口語訳聖書(振り仮名付き)
章: 15 16 17 18 19 20 21 22
列王紀れつおうき上じょう
第15章 1Kn-Audio
15:1 ネバテの子こヤラベアム王おうの第だい十八年ねんにアビヤムがユダの王おうとなり、
15:2 エルサレムで三年ねん世よを治おさめた。その母ははの名なはマアカといって、アブサロムの娘むすめであった。
15:3 彼かれはその父ちちが先さきに行おこなったもろもろの罪つみをおこない、その心こころは父ちちダビデの心こころのようにその神かみ、主しゅに対たいして全まったく真実しんじつではなかった。
15:4 それにもかかわらず、その神かみ、主しゅはダビデのために、エルサレムにおいて彼かれに一つのともしびを与あたえ、その子こを彼かれのあとに立たてて、エルサレムを固かためられた。
15:5 それはダビデがヘテびとウリヤの事ことのほか、一生いっしょうの間あいだ、主しゅの目めにかなう事ことを行おこない、主しゅが命めいじられたすべての事ことに、そむかなかったからである。
15:6 レハベアムとヤラベアムの間あいだには一生いっしょうの間あいだ、戦争せんそうがあった。
15:7 アビヤムのその他たの行為こういと、彼かれがしたすべての事ことは、ユダの王おうの歴代志れきだいしの書しょにしるされているではないか。アビヤムとヤラベアムの間あいだにも戦争せんそうがあった。
15:8 アビヤムはその先祖せんぞと共ともに ねむって、ダビデの町まちに葬ほうむられ、その子こアサが代かわって王おうとなった。
15:9 イスラエルの王おうヤラベアムの第だい二十年ねんにアサはユダの王おうとなり、
15:10 エルサレムで四十一年ねん世よを治おさめた。その母ははの名なはマアカといってアブサロムの娘むすめであった。
15:11 アサはその父ちちダビデがしたように主しゅの目めにかなう事ことをし、
15:12 神殿しんでん男娼だんしょうを国くにから追おい出だし、先祖せんぞたちの造つくったもろもろの偶像ぐうぞうを除のぞいた。
15:13 彼かれはまたその母ははマアカが、アシラのために憎にくむべき像ぞうを造つくらせたので、彼女かのじょを太后たいこうの位くらいから退しりぞけた。そしてアサはその憎にくむべき像ぞうを切きり倒たおしてキデロンの谷たにで焼やき捨すてた。
15:14 ただし高たかき所ところは除のぞかなかった。けれどもアサの心こころは一生いっしょうの間あいだ、主しゅに対たいして全まったく真実しんじつであった。
15:15 彼かれは父ちちの献納けんのうした物ものと自分じぶんの献納けんのうした物もの、金銀きんぎんおよび器物うつわものを主しゅの宮みやに携たずさえ入いれた。
15:16 アサとイスラエルの王おうバアシャの間あいだには一生いっしょうの間あいだ、戦争せんそうがあった。
15:17 イスラエルの王おうバアシャはユダに攻せめ上のぼり、ユダの王おうアサの所ところに、だれをも出入でいりさせないためにラマを築きずいた。
15:18 そこでアサは主しゅの宮みやの宝蔵ほうぞうと、王おうの宮殿きゅうでんの宝蔵ほうぞうに残のこっている金銀きんぎんをことごとく取とって、これを家来けらいたちの手てにわたし、そしてアサ王おうは彼かれらをダマスコに住すんでいるスリヤの王おう、ヘジョンの子こタブリモンの子こであるベネハダデにつかわして言いわせた、
15:19 「わたしの父ちちとあなたの父ちちとの間あいだに結むすばれていたように、わたしとあなたの間あいだに同盟どうめいを結むすびましょう。わたしはあなたに金銀きんぎんの贈おくり物ものをさしあげます。行いって、あなたとイスラエルの王おうバアシャとの同盟どうめいを破棄はきし、彼かれをわたしの所ところから撤退てったいさせてください」。
15:20 ベネハダデはアサ王おうの言いうことを聞きき、自分じぶんの軍勢ぐんぜいの長ちょうたちをつかわしてイスラエルの町々まちまちを攻せめ、イヨンとダンとアベル・ベテ・マアカおよびキンネレテの全ぜん地ちと、ナフタリの全ぜん地ちを撃うった。
15:21 バアシャはこれを聞きき、ラマを築きずくことをやめて、テルザにとどまった。
15:22 そこでアサ王おうはユダ全国ぜんこくに布告ふこくを発はっした。ひとりも免まぬかれる者ものはなかった。すなわちバアシャがラマを築きずくために用もちいた石いしと材木ざいもくを運はこびこさせ、アサ王おうはそれを用もちいて、ベニヤミンのゲバとミヅパを築きずいた。
15:23 アサのその他たの事績じせきとそのすべての勲功くんこうと、彼かれがしたすべての事ことおよび彼かれが建たてた町々まちまちは、ユダの王おうの歴代志れきだいしの書しょにしるされているではないか。彼かれは老年ろうねんになって足あしを病やんだ。
15:24 アサはその先祖せんぞと共ともに眠ねむって、父ちちダビデの町まちに先祖せんぞと共ともに葬ほうむられ、その子こヨシャパテが代かわって王おうとなった。
15:25 ユダの王おうアサの第だい二年ねんにヤラベアムの子こナダブがイスラエルの王おうとなって、二年ねんイスラエルを治おさめた。
15:26 彼かれは主しゅの目めの前まえに悪あくを行おこない、その父ちちの道みちに歩あゆみ、父ちちがイスラエルに犯おかさせた罪つみをおこなった。
15:27 イッサカルの家いえのアヒヤの子こバアシャは彼かれに対たいしてむほんを企くわだて、ペリシテびとに属ぞくするギベトンで彼かれを撃うった。これはナダブとイスラエルが皆みなギベトンを囲かこんでいたからである。
15:28 こうしてユダの王おうアサの第だい三年ねんにバアシャは彼かれを殺ころし、彼かれに代かわって王おうとなった。
15:29 彼かれは王おうとなるとすぐヤラベアムの全家ぜんかを撃うち、息いきのある者ものをひとりもヤラベアムの家いえに残のこさず、ことごとく滅ほろぼした。主しゅがそのしもべシロびとアヒヤによって言いわれた言葉ことばのとおりであって、
15:30 これはヤラベアムがみずから犯おかし、またイスラエルに犯おかさせた罪つみのため、また彼かれがイスラエルの神かみ、主しゅを怒いからせたその怒いかりによるのであった。
15:31 ナダブのその他たの事績じせきと、彼かれがしたすべての事ことは、イスラエルの王おうの歴代志れきだいしの書しょにしるされているではないか。
15:32 アサとイスラエルの王おうバアシャの間あいだには一生いっしょうの間あいだ戦争せんそうがあった。
15:33 ユダの王おうアサの第だい三年ねんにアヒヤの子こバアシャはテルザでイスラエルの全ぜん地ちの王おうとなって、二十四年ねん世よを治おさめた。
15:34 彼かれは主しゅの目めの前まえに悪あくを行おこない、ヤラベアムの道みちに歩あゆみ、ヤラベアムがイスラエルに犯おかさせた罪つみをおこなった。
第16章 16:1 そこで主しゅの言葉ことばがハナニの子こエヒウに臨のぞみ、バアシャを責せめて言いった、16:2 「わたしはあなたをちりの中なかからあげて、わたしの民たみイスラエルの上うえに君きみとしたが、あなたはヤラベアムの道みちに歩あゆみ、わたしの民たみイスラエルに罪つみを犯おかさせ、その罪つみをもってわたしを怒いからせた。16:3 それでわたしは、バアシャとその家いえを全まったく滅ほろぼし去さり、あなたの家いえをネバテの子こヤラベアムの家いえのようにする。16:4 バアシャに属ぞくする者もので、町まちで死しぬ者ものは犬いぬが食たべ、彼かれに属ぞくする者もので、野ので死しぬ者ものは空そらの鳥とりが食たべるであろう」。 16:5 バアシャのその他たの事績じせきと、彼かれがした事ことと、その勲功くんこうとは、イスラエルの王おうの歴代志れきだいしの書しょにしるされているではないか。16:6 バアシャはその先祖せんぞと共ともに眠ねむって、テルザに葬ほうむられ、その子こエラが代かわって王おうとなった。16:7 主しゅの言葉ことばはまたハナニの子こ預言者よげんしゃエヒウによって臨のぞみ、バアシャとその家いえを責せめた。これは彼かれが主しゅの目めの前まえに、もろもろの悪あくを行おこない、その手てのわざをもって主しゅを怒いからせ、ヤラベアムの家いえにならったためであり、また彼かれがヤラベアムの家いえを滅ほろぼしたためであった。 16:8 ユダの王おうアサの第だい二十六年ねんにバアシャの子こエラはテルザでイスラエルの王おうとなり、二年ねん世よを治おさめた。16:9 彼かれがテルザにいて、テルザの宮殿きゅうでんのつかさアルザの家いえで酒さけを飲のんで酔よった時とき、その家来けらいで戦車せんしゃ隊たいの半なかばを指揮しきしていたジムリが、彼かれにそむいた。16:10 そしてユダの王おうアサの第だい二十七年ねんにジムリは、はいってきて彼かれを撃うち殺ころし、彼かれに代かわって王おうとなった。 16:11 ジムリは王おうとなって、位くらいについた時とき、バアシャの全家ぜんかを殺ころし、その親族しんぞくまたは友ともだちの男子だんしは、ひとりも残のこさなかった。16:12 こうしてジムリはバアシャの全家ぜんかを滅ほろぼした。主しゅが預言者よげんしゃエヒウによってバアシャを責せめて言いわれた言葉ことばのとおりである。16:13 これはバアシャのもろもろの罪つみと、その子こエラの罪つみのためであって、彼かれらが罪つみを犯おかし、またイスラエルに罪つみを犯おかさせ、彼かれらの偶像ぐうぞうをもってイスラエルの神かみ、主しゅを怒いからせたからである。16:14 エラのその他たの事績じせきと、彼かれがしたすべての事ことは、イスラエルの王おうの歴代志れきだいしの書しょにしるされているではないか。 16:15 ユダの王おうアサの第だい二十七年ねんにジムリはテルザで七日なぬかの間あいだ、世よを治おさめた。民たみはペリシテびとに属ぞくするギベトンにむかって陣取じんどっていたが、16:16 その陣取じんどっていた民たみが「ジムリはむほんを起おこして王おうを殺ころした」と人ひとのいうのを聞きいたので、イスラエルは皆みなその日ひ陣営じんえいで、軍ぐんの長ちょうオムリをイスラエルの王おうとした。16:17 そこでオムリはイスラエルの人々ひとびとと共ともにギベトンから上のぼってテルザを囲かこんだ。16:18 ジムリはその町まちの陥おちいるのを見みて、王おうの宮殿きゅうでんの天守てんしゅにはいり、王おうの宮殿きゅうでんに火ひをかけてその中なかで死しんだ。16:19 これは彼かれが犯おかした罪つみのためであって、彼かれが主しゅの目めの前まえに悪あくを行おこない、ヤラベアムの道みちに歩あゆみ、ヤラベアムがイスラエルに犯おかさせたその罪つみを行おこなったからである。16:20 ジムリのその他たの事績じせきと、彼かれが企くわだてた陰謀いんぼうは、イスラエルの王おうの歴代志れきだいしの書しょにしるされているではないか。 16:21 その時ときイスラエルの民たみは二つに分わかれ、民たみの半なかばはギナテの子こテブニに従したがって、これを王おうとしようとし、半なかばはオムリに従したがった。16:22 しかしオムリに従したがった民たみはギナテの子こテブニに従したがった民たみに勝かって、テブニは死しに、オムリが王おうとなった。16:23 ユダの王おうアサの第だい三十一年ねんにオムリはイスラエルの王おうとなって十二年ねん世よを治おさめた。彼かれはテルザで六年ねん王おうであった。16:24 彼かれは銀ぎん二タラントでセメルからサマリヤの山やまを買かい、その上うえに町まちを建たて、その建たてた町まちの名なをその山やまの持もち主ぬしであったセメルの名なに従したがってサマリヤと呼よんだ。 16:25 オムリは主しゅの目めの前まえに悪あくを行おこない、彼かれよりも先さきにいたすべての者ものにまさって悪わるい事ことをした。16:26 彼かれはネバテの子こヤラベアムのすべての道みちに歩あゆみ、ヤラベアムがイスラエルに罪つみを犯おかさせ、彼かれらの偶像ぐうぞうをもってイスラエルの神かみ、主しゅを怒いからせたその罪つみを行おこなった。16:27 オムリが行いったその他たの事績じせきと、彼かれがあらわした勲功くんこうとは、イスラエルの王おうの歴代志れきだいしの書しょにしるされているではないか。16:28 オムリはその先祖せんぞと共ともに眠ねむって、サマリヤに葬ほうむられ、その子こアハブが代かわって王おうとなった。 16:29 ユダの王おうアサの第だい三十八年ねんにオムリの子こアハブがイスラエルの王おうとなった。オムリの子こアハブはサマリヤで二十二年ねんイスラエルを治おさめた。16:30 オムリの子こアハブは彼かれよりも先さきにいたすべての者ものにまさって、主しゅの目めの前まえに悪あくを行おこなった。16:31 彼かれはネバテの子こヤラベアムの罪つみを行おこなうことを、軽かるい事こととし、シドンびとの王おうエテバアルの娘むすめイゼベルを妻つまにめとり、行いってバアルに仕つかえ、これを拝おがんだ。16:32 彼かれはサマリヤに建たてたバアルの宮みやに、バアルのために祭壇さいだんを築きずいた。16:33 アハブはまたアシラ像ぞうを造つくった。アハブは彼かれよりも先さきにいたイスラエルのすべての王おうにまさってイスラエルの神かみ、主しゅを怒いからせることを行おこなった。16:34 彼かれの代よにベテルびとヒエルはエリコを建たてた。彼かれはその基もといをすえる時ときに長子ちょうしアビラムを失うしない、その門もんを立たてる時ときに末すえの子こセグブを失うしなった。主しゅがヌンの子こヨシュアによって言いわれた言葉ことばのとおりである。 第17章 17:1 ギレアデのテシベに住すむテシベびとエリヤはアハブに言いった、「わたしの仕つかえているイスラエルの神かみ、主しゅは生いきておられます。わたしの言葉ことばのないうちは、数年すうねん雨あめも露つゆもないでしょう」。17:2 主しゅの言葉ことばがエリヤに臨のぞんだ、17:3 「ここを去さって東ひがしにおもむき、ヨルダンの東ひがしにあるケリテ川かわのほとりに身みを隠かくしなさい。17:4 そしてその川かわの水みずを飲のみなさい。わたしはからすに命めいじて、そこであなたを養やしなわせよう」。17:5 エリヤは行いって、主しゅの言葉ことばのとおりにした。すなわち行いって、ヨルダンの東ひがしにあるケリテ川かわのほとりに住すんだ。17:6 すると、からすが朝あさごとに彼かれの所ところにパンと肉にくを運はこび、また夕ゆうごとにパンと肉にくを運はこんできた。そして彼かれはその川かわの水みずを飲のんだ。17:7 しかし国くにに雨あめがなかったので、しばらくしてその川かわはかれた。 17:8 その時とき、主しゅの言葉ことばが彼かれに臨のぞんで言いった、17:9 「立たってシドンに属ぞくするザレパテへ行いって、そこに住すみなさい。わたしはそのところのやもめ女おんなに命めいじてあなたを養やしなわせよう」。17:10 そこで彼かれは立たってザレパテへ行いったが、町まちの門もんに着ついたとき、ひとりのやもめ女おんなが、その所ところでたきぎを拾ひろっていた。彼かれはその女おんなに声こえをかけて言いった、「器うつわに水みずを少すこし持もってきて、わたしに飲のませてください」。17:11 彼女かのじょが行いって、それを持もってこようとした時とき、彼かれは彼女かのじょを呼よんで言いった、「手てに一口ひとくちのパンを持もってきてください」。17:12 彼女かのじょは言いった、「あなたの神かみ、主しゅは生いきておられます。わたしにはパンはありません。ただ、かめに一握ひとにぎりの粉こなと、びんに少すこしの油あぶらがあるだけです。今いまわたしはたきぎ二、三本ぼんを拾ひろい、うちへ帰かえって、わたしと子供こどものためにそれを調理ちょうりし、それを食たべて死しのうとしているのです」。17:13 エリヤは彼女かのじょに言いった、「恐おそれるにはおよばない。行いって、あなたが言いったとおりにしなさい。しかしまず、それでわたしのために小ちいさいパンを、一つ作つくって持もってきなさい。その後のち、あなたと、あなたの子供こどものために作つくりなさい。17:14 『主しゅが雨あめを地ちのおもてに降ふらす日ひまで、かめの粉こなは尽つきず、びんの油あぶらは絶たえない』とイスラエルの神かみ、主しゅが言いわれるからです」。17:15 彼女かのじょは行いって、エリヤが言いったとおりにした。彼女かのじょと彼かれおよび彼女かのじょの家族かぞくは久ひさしく食たべた。17:16 主しゅがエリヤによって言いわれた言葉ことばのように、かめの粉こなは尽つきず、びんの油あぶらは絶たえなかった。 17:17 これらの事ことの後のち、その家いえの主婦しゅふであるこの女おんなの男おとこの子こが病気びょうきになった。その病気びょうきはたいそう重おもく、息いきが絶たえたので、17:18 彼女かのじょはエリヤに言いった、「神かみの人ひとよ、あなたはわたしに、何なにの恨うらみがあるのですか。あなたはわたしの罪つみを思おもい出ださせるため、またわたしの子こを死しなせるためにおいでになったのですか」。17:19 エリヤは彼女かのじょに言いった、「子こをわたしによこしなさい」。そして彼女かのじょのふところから子供こどもを取とり、自分じぶんのいる屋上おくじょうのへやへかかえて上のぼり、自分じぶんの寝台しんだいに寝ねかせ、17:20 主しゅに呼よばわって言いった、「わが神かみ、主しゅよ、あなたはわたしが宿やどっている家いえのやもめにさえ災わざわいをくだして、子供こどもを殺ころされるのですか」。17:21 そして三度どその子こ供ともの上うえに身みを伸のばし、主しゅに呼よばわって言いった、「わが神かみ、主しゅよ、この子供こどもの魂たましいをもとに帰かえらせてください」。17:22 主しゅはエリヤの声こえを聞ききいれられたので、その子こ供ともの魂たましいはもとに帰かえって、彼かれは生いきかえった。17:23 エリヤはその子こ供ともを取とって屋上おくじょうのへやから家いえの中なかにつれて降ふり、その母ははにわたして言いった、「ごらんなさい。あなたの子こは生いきかえりました」。17:24 女おんなはエリヤに言いった、「今いまわたしはあなたが神かみの人ひとであることと、あなたの口くちにある主しゅの言葉ことばが真実しんじつであることを知しりました」。 第18章 18:1 多おおくの日ひを経へて、三年ねん目めに主しゅの言葉ことばがエリヤに臨のぞんだ、「行いって、あなたの身みをアハブに示しめしなさい。わたしは雨あめを地ちに降ふらせる」。18:2 エリヤはその身みをアハブに示しめそうとして行いった。その時とき、サマリヤにききんが激はげしかった。18:3 アハブは家いえづかさオバデヤを召めした。(オバデヤは深ふかく主しゅを恐おそれる人ひとで、18:4 イゼベルが主しゅの預言者よげんしゃを断たち滅ほろぼした時とき、オバデヤは百人にんの預言者よげんしゃを救すくい出だして五十人にんずつほら穴あなに隠かくし、パンと水みずをもって彼かれらを養やしなった)。18:5 アハブはオバデヤに言いった、「国中くにぢゅうのすべての水みずの源みなもとと、すべての川かわに行いってみるがよい。馬うまと騾馬らばを生いかしておくための草くさがあるかもしれない。そうすれば、われわれは家畜かちくをいくぶんでも失うしなわずにすむであろう」。18:6 彼かれらは行いき巡めぐる地ちをふたりで分わけ、アハブはひとりでこの道みちを行いき、オバデヤはひとりで他たの道みちを行おこなった。 18:7 オバデヤが道みちを進すすんでいた時とき、エリヤが彼かれに会あった。彼かれはエリヤを認みとめて伏ふして言いった、「わが主しゅエリヤよ、あなたはここにおられるのですか」。18:8 エリヤは彼かれに言いった、「そうです。行いって、あなたの主人しゅじんに、エリヤはここにいると告つげなさい」。18:9 彼かれは言いった、「わたしにどんな罪つみがあって、あなたはしもべをアハブの手てにわたして殺ころそうとされるのですか。18:10 あなたの神かみ、主しゅは生いきておられます。わたしの主人しゅじんがあなたを尋たずねるために、人ひとをつかわさない民たみはなく、国くにもありません。そしてエリヤはいないと言いう時ときは、その国くに、その民たみに、あなたが見みつからないという誓ちかいをさせるのです。18:11 あなたは今いま『行いって、エリヤはここにいると主人しゅじんに告つげよ』と言いわれます。18:12 しかしわたしがあなたを離はなれて行いくと、主しゅの霊れいはあなたを、わたしの知しらない所ところへ連つれて行いくでしょう。わたしが行いってアハブに告つげ、彼かれがあなたを見みつけることができなければ、彼かれはわたしを殺ころすでしょう。しかし、しもべは幼おさない時ときから主しゅを恐おそれている者ものです。18:13 イゼベルが主しゅの預言者よげんしゃを殺ころした時ときに、わたしがした事こと、すなわち、わたしが主しゅの預言者よげんしゃのうち百人にんを五十人にんずつほら穴あなに隠かくして、パンと水みずをもって養やしなった事ことを、わが主しゅは聞きかれませんでしたか。18:14 ところが今いまあなたは『行いって、エリヤはここにいると主人しゅじんに告つげよ』と言いわれます。そのようなことをすれば彼かれはわたしを殺ころすでしょう」。18:15 エリヤは言いった、「わたしの仕つかえる万軍ばんぐんの主しゅは生いきておられる。わたしは必かならず、きょう、わたしの身みを彼かれに示しめすであろう」。18:16 オバデヤは行いってアハブに会あい、彼かれに告つげたので、アハブはエリヤに会あおうとして行いった。 18:17 アハブはエリヤを見みたとき、彼かれに言いった、「イスラエルを悩なやます者ものよ、あなたはここにいるのですか」。18:18 彼かれは答こたえた、「わたしがイスラエルを悩なやますのではありません。あなたと、あなたの父ちちの家いえが悩なやましたのです。あなたがたが主しゅの命令めいれいを捨すて、バアルに従したがったためです。18:19 それで今いま、人ひとをつかわしてイスラエルのすべての人ひとおよびバアルの預言者よげんしゃ四百五十人にん、ならびにアシラの預言者よげんしゃ四百人にん、イゼベルの食卓しょくたくで食事しょくじする者ものたちをカルメル山やまに集あつめて、わたしの所ところにこさせなさい」。 18:20 そこでアハブはイスラエルのすべての人ひとに人ひとをつかわして、預言者よげんしゃたちをカルメル山やまに集あつめた。18:21 そのときエリヤはすべての民たみに近ちかづいて言いった、「あなたがたはいつまで二つのものの間あいだに迷まよっているのですか。主しゅが神かみならばそれに従したがいなさい。しかしバアルが神かみならば、それに従したがいなさい」。民たみはひと言ことも彼かれに答こたえなかった。18:22 エリヤは民たみに言いった、「わたしはただひとり残のこった主しゅの預言者よげんしゃです。しかしバアルの預言者よげんしゃは四百五十人にんあります。18:23 われわれに二頭とうの牛うしをください。そして一頭とうの牛うしを彼かれらに選えらばせ、それを切きり裂さいて、たきぎの上うえに載のせ、それに火ひをつけずにおかせなさい。わたしも一頭とうの牛うしを整ととのえ、それをたきぎの上うえに載のせて火ひをつけずにおきましょう。18:24 こうしてあなたがたはあなたがたの神かみの名なを呼よびなさい。わたしは主しゅの名なを呼よびましょう。そして火ひをもって答こたえる神かみを神かみとしましょう」。民たみは皆みな答こたえて「それがよかろう」と言いった。18:25 そこでエリヤはバアルの預言者よげんしゃたちに言いった、「あなたがたは大だいぜいだから初はじめに一頭とうの牛うしを選えらんで、それを整ととのえ、あなたがたの神かみの名なを呼よびなさい。ただし火ひをつけてはなりません」。18:26 彼かれらは与あたえられた牛うしを取とって整ととのえ、朝あさから昼ひるまでバアルの名なを呼よんで「バアルよ、答こたえてください」と言いった。しかしなんの声こえもなく、また答こたえる者ものもなかったので、彼かれらは自分じぶんたちの造つくった祭壇さいだんのまわりに踊おどった。18:27 昼ひるになってエリヤは彼かれらをあざけって言いった、「彼かれは神かみだから、大声おおごえをあげて呼よびなさい。彼かれは考かんがえにふけっているのか、よそへ行いったのか、旅たびに出でたのか、または眠ねむっていて起おこされなければならないのか」。18:28 そこで彼かれらは大声おおごえに呼よばわり、彼かれらのならわしに従したがって、刀かたなとやりで身みを傷きずつけ、血ちをその身みに流ながすに至いたった。18:29 こうして昼ひるが過すぎても彼かれらはなお叫さけび続つづけて、夕ゆうの供そなえ物ものをささげる時ときにまで及およんだ。しかしなんの声こえもなく、答こたえる者ものもなく、また顧かえりみる者ものもなかった。 18:30 その時ときエリヤはすべての民たみにむかって「わたしに近寄ちかよりなさい」と言いったので、民たみは皆みな彼かれに近寄ちかよった。彼かれはこわれている主しゅの祭壇さいだんを繕つくろった。18:31 そしてエリヤは昔むかし、主しゅの言葉ことばがヤコブに臨のぞんで、「イスラエルをあなたの名なとせよ」と言いわれたヤコブの子こらの部族ぶぞくの数かずにしたがって十二の石いしを取とり、18:32 その石いしで主しゅの名なによって祭壇さいだんを築きずき、祭壇さいだんの周囲しゅういに種たね二セヤをいれるほどの大おおきさの、みぞを作つくった。18:33 また、たきぎを並ならべ、牛うしを切きり裂さいてたきぎの上うえに載のせて言いった、「四つのかめに水みずを満みたし、それを燔祭はんさいとたきぎの上うえに注そそげ」。18:34 また言いった、「それを二度どせよ」。二度どそれをすると、また言いった、「三度どそれをせよ」。三度どそれをした。18:35 水みずは祭壇さいだんの周囲しゅういに流ながれた。またみぞにも水みずを満みたした。 18:36 夕ゆうの供そなえ物ものをささげる時ときになって、預言者よげんしゃエリヤは近寄ちかよって言いった、「アブラハム、イサク、ヤコブの神かみ、主しゅよ、イスラエルでは、あなたが神かみであること、わたしがあなたのしもべであって、あなたの言葉ことばに従したがってこのすべての事ことを行おこなったことを、今日こんにち知しらせてください。18:37 主しゅよ、わたしに答こたえてください、わたしに答こたえてください。主しゅよ、この民たみにあなたが神かみであること、またあなたが彼かれらの心こころを翻ひるがえされたのであることを知しらせてください」。18:38 そのとき主しゅの火ひが下くだって燔祭はんさいと、たきぎと、石いしと、ちりとを焼やきつくし、またみぞの水みずをなめつくした。18:39 民たみは皆みな見みて、ひれ伏ふして言いった、「主しゅが神かみである。主しゅが神かみである」。18:40 エリヤは彼かれらに言いった、「バアルの預言者よげんしゃを捕とらえよ。そのひとりも逃にがしてはならない」。そこで彼かれらを捕とらえたので、エリヤは彼かれらをキション川かわに連つれくだって、そこで彼かれらを殺ころした。 18:41 エリヤはアハブに言いった、「大雨おおあめの音おとがするから、上のぼって行いって、食くい飲のみしなさい」。18:42 アハブは食くい飲のみするために上のぼっていった。しかしエリヤはカルメルの頂いただきに登のぼり、地ちに伏ふして顔かおをひざの間あいだに入いれていたが、18:43 彼かれはしもべに言いった、「上のぼっていって海うみの方ほうを見みなさい」。彼かれは上のぼっていって、見みて、「何なにもありません」と言いったので、エリヤは「もう一度ど行いきなさい」と言いって七度どに及およんだ。18:44 七度目どめにしもべは言いった、「海うみから人ひとの手てほどの小ちいさな雲くもが起たっています」。エリヤは言いった、「上のぼっていって、『雨あめにとどめられないように車くるまを整ととのえて下くだれ』とアハブに言いいなさい」。18:45 すると間まもなく、雲くもと風かぜが起おこり、空そらが黒くろくなって大雨おおあめが降ふってきた。アハブは車くるまに乗のってエズレルへ行いった。18:46 また主しゅの手てがエリヤに臨のぞんだので、彼かれは腰こしをからげ、エズレルの入口いりぐちまでアハブの前まえに走はしっていった。 第19章 19:1 アハブはエリヤのしたすべての事こと、また彼かれがすべての預言者よげんしゃを刀かたなで殺ころしたことをイゼベルに告つげたので、19:2 イゼベルは使者ししゃをエリヤにつかわして言いった、「もしわたしが、あすの今いまごろ、あなたの命いのちをあの人々ひとびとのひとりの命いのちのようにしていないならば、神々かみがみがどんなにでも、わたしを罰ばっしてくださるように」。19:3 そこでエリヤは恐おそれて、自分じぶんの命いのちを救すくうために立たって逃にげ、ユダに属ぞくするベエルシバへ行いって、しもべをそこに残のこし、19:4 自分じぶんは一日にちの道みちのりほど荒野あらのにはいって行いって、れだまの木きの下したに座ざし、自分じぶんの死しを求もとめて言いった、「主しゅよ、もはや、じゅうぶんです。今いまわたしの命いのちを取とってください。わたしは先祖せんぞにまさる者ものではありません」。19:5 彼かれはれだまの木きの下したに伏ふして眠ねむったが、天てんの使つかいが彼かれにさわり、「起おきて食たべなさい」と言いったので、19:6 起おきて見みると、頭とうのそばに、焼やけ石いしの上うえで焼やいたパン一個こと、一びんの水みずがあった。彼かれは食たべ、かつ飲のんでまた寝ねた。19:7 主しゅの使つかいは再ふたたびきて、彼かれにさわって言いった、「起おきて食たべなさい。道みちが遠とおくて耐たえられないでしょうから」。19:8 彼かれは起おきて食たべ、かつ飲のみ、その食物しょくもつで力ちからづいて四十日にち四十夜や行いって、神かみの山やまホレブに着ついた。 19:9 その所ところで彼かれはほら穴あなにはいって、そこに宿やどったが、主しゅの言葉ことばが彼かれに臨のぞんで、彼かれに言いわれた、「エリヤよ、あなたはここで何なにをしているのか」。19:10 彼かれは言いった、「わたしは万軍ばんぐんの神かみ、主しゅのために非常ひじょうに熱心ねっしんでありました。イスラエルの人々ひとびとはあなたの契約けいやくを捨すて、あなたの祭壇さいだんをこわし、刀かたなをもってあなたの預言者よげんしゃたちを殺ころしたのです。ただわたしだけ残のこりましたが、彼かれらはわたしの命いのちを取とろうとしています」。19:11 主しゅは言いわれた、「出でて、山やまの上うえで主しゅの前まえに、立たちなさい」。その時とき主しゅは通とおり過すぎられ、主しゅの前まえに大おおきな強つよい風かぜが吹ふき、山やまを裂さき、岩いわを砕くだいた。しかし主しゅは風かぜの中なかにおられなかった。風かぜの後のちに地震じしんがあったが、地震じしんの中なかにも主しゅはおられなかった。19:12 地震じしんの後のちに火ひがあったが、火ひの中なかにも主しゅはおられなかった。火ひの後のちに静しずかな細ほそい声こえが聞きこえた。19:13 エリヤはそれを聞きいて顔かおを外套がいとうに包つつみ、出でてほら穴あなの口くちに立たつと、彼かれに語かたる声こえが聞きこえた、「エリヤよ、あなたはここで何なにをしているのか」。19:14 彼かれは言いった、「わたしは万軍ばんぐんの神かみ、主しゅのために非常ひじょうに熱心ねっしんでありました。イスラエルの人々ひとびとはあなたの契約けいやくを捨すて、あなたの祭壇さいだんをこわし、刀かたなであなたの預言者よげんしゃたちを殺ころしたからです。ただわたしだけ残のこりましたが、彼かれらはわたしの命いのちを取とろうとしています」。19:15 主しゅは彼かれに言いわれた、「あなたの道みちを帰かえって行いって、ダマスコの荒野あらのにおもむき、ダマスコに着ついて、ハザエルに油あぶらを注そそぎ、スリヤの王おうとしなさい。19:16 またニムシの子こエヒウに油あぶらを注そそいでイスラエルの王おうとしなさい。またアベルメホラのシャパテの子こエリシャに油あぶらを注そそいで、あなたに代かわって預言者よげんしゃとしなさい。19:17 ハザエルのつるぎをのがれる者ものをエヒウが殺ころし、エヒウのつるぎをのがれる者ものをエリシャが殺ころすであろう。19:18 また、わたしはイスラエルのうちに七千人にんを残のこすであろう。皆みなバアルにひざをかがめず、それに口くちづけしない者ものである」。 19:19 さてエリヤはそこを去さって行いって、シャパテの子こエリシャに会あった。彼かれは十二くびきの牛うしを前まえに行いかせ、自分じぶんは十二番目ばんめのくびきと共ともにいて耕たがやしていた。エリヤは彼かれのかたわらを通とおり過すぎて外套がいとうを彼かれの上うえにかけた。19:20 エリシャは牛うしを捨すて、エリヤのあとに走はしってきて言いった、「わたしの父母ふぼに口くちづけさせてください。そして後のちあなたに従したがいましょう」。エリヤは彼かれに言いった、「行いってきなさい。わたしはあなたに何なにをしましたか」。19:21 エリシャは彼かれを離はなれて帰かえり、ひとくびきの牛うしを取とって殺ころし、牛うしのくびきを燃もやしてその肉にくを煮に、それを民たみに与あたえて食たべさせ、立たって行いってエリヤに従したがい、彼かれに仕つかえた。 第20章 20:1 スリヤの王おうベネハダデはその軍勢ぐんぜいをことごとく集あつめた。三十二人にんの王おうが彼かれと共ともにおり、また馬うまと戦車せんしゃもあった。彼かれは上のぼってサマリヤを囲かこみ、これを攻せめた。20:2 また彼かれは町まちに使者ししゃをつかわし、イスラエルの王おうアハブに言いった、「ベネハダデはこう申もうします、20:3 『あなたの金銀きんぎんはわたしのもの、またあなたの妻つまたちと子供こどもたちの最もっとも美うつくしい者ものもわたしのものです』」。20:4 イスラエルの王おうは答こたえた、「王おう、わが主しゅよ、仰おおせのとおり、わたしと、わたしの持もち物ものは皆みなあなたのものです」。20:5 使者ししゃは再ふたたびきて言いった、「ベネハダデはこう申もうします、『わたしはさきに人ひとをつかわして、あなたの金銀きんぎん、妻子さいしを引ひきわたせと言いいました。20:6 しかし、あすの今いまごろ、しもべたちをあなたにつかわします。彼かれらはあなたの家いえと、あなたの家来けらいの家いえを探さぐって、すべて彼かれらの気きにいる物ものを手てに入いれて奪うばい去さるでしょう』」。 20:7 そこでイスラエルの王おうは国くにの長老ちょうろうをことごとく召めして言いった、「よく注意ちゅういして、この人ひとが無理むりな事ことを求もとめているのを知しりなさい。彼かれは人ひとをつかわして、わたしの妻子さいしと金銀きんぎんを求もとめたが、わたしはそれを拒こばまなかった」。20:8 すべての長老ちょうろうおよび民たみは皆みな彼かれに言いった、「聞きいてはなりません。承諾しょうだくしてはなりません」。20:9 それで彼かれはベネハダデの使者ししゃに言いった、「王おう、わが主しゅに告つげなさい。『あなたが初はじめに要求ようきゅうされたことは皆みないたしましょう。しかし今度こんどの事ことはできません』」。使者ししゃは去さって復命ふくめいした。20:10 ベネハダデは彼かれに人ひとをつかわして言いった、「もしサマリヤのちりが、わたしに従したがうすべての民たみの手てを満みたすに足たりるならば、神々かみがみがどんなにでも、わたしを罰ばっしてくださるように」。20:11 イスラエルの王おうは答こたえた、「『武具ぶぐを帯おびる者ものは、それを脱ぬぐ者もののように誇ほこってはならない』と告つげなさい」。20:12 ベネハダデは仮かり小屋ごやで、王おうたちと酒さけを飲のんでいたが、この事ことを聞きいて、その家来けらいたちに言いった、「戦たたかいの備そなえをせよ」。彼かれらは町まちにむかって戦たたかいの備そなえをした。 20:13 この時ときひとりの預言者よげんしゃがイスラエルの王おうアハブのもとにきて言いった、「主しゅはこう仰おおせられる、『あなたはこの大軍たいぐんを見みたか。わたしはきょう、これをあなたの手てにわたす。あなたは、わたしが主しゅであることを、知しるようになるであろう』」。20:14 アハブは言いった、「だれにさせましょうか」。彼かれは言いった、「主しゅはこう仰おおせられる、『地方ちほうの代官だいかんの家来けらいたちにさせよ』」。アハブは言いった、「だれが戦たたかいを始はじめましょうか」。彼かれは答こたえた、「あなたです」。20:15 そこでアハブは地方ちほうの代官だいかんの家来けらいたちを調しらべたところ二百三十二人にんあった。次つぎにすべての民たみ、すなわちイスラエルのすべての人ひとを調しらべたところ七千人にんあった。 20:16 彼かれらは昼ひるごろ出でていったが、ベネハダデは仮かり小屋ごやで、味方みかたの三十二人にんの王おうたちと共ともに酒さけを飲のんで酔よっていた。20:17 地方ちほうの代官だいかんの家来けらいたちが先さきに出でていった。ベネハダデは斥候せっこうをつかわしたが、彼かれらは「サマリヤから人々ひとびとが出でてきた」と報告ほうこくしたので、20:18 彼かれは言いった、「和解わかいのために出でてきたのであっても、生いけどりにせよ。また戦たたかいのために出でてきたのであっても、生いけどりにせよ」。 20:19 地方ちほうの代官だいかんの家来けらいたちと、それに従したがう軍勢ぐんぜいが町まちから出でていって、20:20 おのおのその相手あいてを撃うち殺ころしたので、スリヤびとは逃にげた。イスラエルはこれを追おったが、スリヤの王おうベネハダデは馬うまに乗のり、騎兵きへいを従したがえてのがれた。20:21 イスラエルの王おうは出でていって、馬うまと戦車せんしゃをぶんどり、また大おおいにスリヤびとを撃うち殺ころした。 20:22 時ときに、かの預言者よげんしゃがイスラエルの王おうのもとにきて言いった、「行いって、力ちからを養やしない、なすべき事ことをよく考かんがえなさい。来年らいねんの春はるにはスリヤの王おうが、あなたのところに攻せめ上のぼってくるからです」。 20:23 スリヤの王おうの家来けらいたちは王おうに言いった、「彼かれらの神々かみがみは山やまの神かみですから彼かれらがわれわれよりも強つよかったのです。もしわれわれが平地へいちで戦たたかうならば、必かならず彼かれらよりも強つよいでしょう。20:24 それでこうしなさい。王おうたちをおのおのその地位ちいから退しりぞかせ、総督そうとくを置おいてそれに代かわらせなさい。20:25 またあなたが失うしなった軍勢ぐんぜいに等ひとしい軍勢ぐんぜいを集あつめ、馬うまは馬うま、戦車せんしゃは戦車せんしゃをもって補おぎないなさい。こうしてわれわれが平地へいちで戦たたかうならば必かならず彼かれらよりも強つよいでしょう」。彼かれはその言葉ことばを聞ききいれて、そのようにした。 20:26 春はるになって、ベネハダデはスリヤびとを集あつめて、イスラエルと戦たたかうために、アペクに上のぼってきた。20:27 イスラエルの人々ひとびとは召集しょうしゅうされ、糧食りょうしょくを受うけて彼かれらを迎むかえ撃うつために出でかけた。イスラエルの人々ひとびとはやぎの二つの小ちいさい群むれのように彼かれらの前まえに陣取じんどったが、スリヤびとはその地ちに満みちていた。20:28 その時とき神かみの人ひとがきて、イスラエルの王おうに言いった、「主しゅはこう仰おおせられる、『スリヤびとが、主しゅは山やまの神かみであって、谷たにの神かみではないと言いっているから、わたしはこのすべての大軍たいぐんをあなたの手てにわたす。あなたは、わたしが主しゅであることを知しるようになるであろう』」。20:29 彼かれらは七日なぬかの間あいだ、互たがいにむかいあって陣取じんどり、七日なぬか目めになって戦たたかいを交まじえたが、イスラエルの人々ひとびとは一日にちにスリヤびとの歩兵ほへい十万人にんを殺ころした。20:30 そのほかの者ものはアペクの町まちに逃にげこんだが、城壁じょうへきがくずれて、その残のこった二万七千人にんの上うえに倒たおれた。 ベネハダデは逃にげて町まちに入はいり、奥おくの間あいだにはいった。20:31 家来けらいたちは彼かれに言いった、「イスラエルの家いえの王おうたちはあわれみ深ふかい王おうであると聞きいています。それでわれわれの腰こしに荒布あらぬのをつけ、くびになわをかけて、イスラエルの王おうの所ところへ行いかせてください。たぶん彼かれはあなたの命いのちを助たすけるでしょう」。20:32 そこで彼かれらは荒布あらぬのを腰こしにまき、なわをくびにかけてイスラエルの王おうの所ところへ行いって言いった、「あなたのしもべベネハダデが『どうぞ、わたしの命いのちを助たすけてください』と申もうしています」。アハブは言いった、「彼かれはまだ生いきているのですか。彼かれはわたしの兄弟きょうだいです」。20:33 その人々ひとびとはこれを吉兆きっちょうとしてすみやかに彼かれの言葉ことばをうけ、「そうです。ベネハダデはあなたの兄弟きょうだいです」と言いったので、彼かれは言いった、「行いって彼かれをつれてきなさい」。それでベネハダデは彼かれの所ところに出でてきたので、彼かれはこれを自分じぶんの車くるまに乗のせた。20:34 ベネハダデは彼かれに言いった、「わたしの父ちちが、あなたの父上ちちうえから取とった町々まちまちは返かえします。またわたしの父ちちがサマリヤに造つくったように、あなたはダマスコに、あなたのために市場しじょうを設もうけなさい」。アハブは言いった、「わたしはこの契約けいやくをもってあなたを帰かえらせましょう」。こうしてアハブは彼かれと契約けいやくを結むすび、彼かれを帰かえらせた。 20:35 さて預言者よげんしゃのともがらのひとりが主しゅの言葉ことばに従したがってその仲間なかまに言いった、「どうぞ、わたしを撃うってください」。しかしその人ひとは撃うつことを拒こばんだので、20:36 彼かれはその人ひとに言いった、「あなたは主しゅの言葉ことばに聞きき従したがわないゆえ、わたしを離はなれて行いくとすぐ、ししがあなたを殺ころすでしょう」。その人ひとが彼かれのそばを離はなれて行いくとすぐ、ししが彼かれに会あって彼かれを殺ころした。20:37 彼かれはまたほかの人ひとに会あって言いった、「どうぞ、わたしを撃うってください」。するとその人ひとは彼かれを撃うち、撃うって傷きずつけた。20:38 こうしてその預言者よげんしゃは行いって、道みちのかたわらで王おうを待まち、目めにほうたいを当あてて姿すがたを変かえていた。20:39 王おうが通とおり過すぎる時とき、王おうに呼よばわって言いった、「しもべはいくさの中なかに出でて行いきましたが、ある軍人ぐんじんが、ひとりの人ひとをわたしの所ところにつれてきて言いいました、『この人ひとを守まもっていなさい。もし彼かれがいなくなれば、あなたの命いのちを彼かれの命いのちに代かえるか、または銀ぎん一タラントを払はらわなければならない』。20:40 ところが、しもべはあちらこちらと忙いそがしくしていたので、ついに彼かれはいなくなりました」。イスラエルの王おうは彼かれに言いった、「あなたはそのとおりにさばかれなければならない。あなたが自分じぶんでそれを定さだめたのです」。20:41 そこで彼かれが急いそいで目めのほうたいを取とり除のぞいたので、イスラエルの王おうはそれが預言者よげんしゃのひとりであることを知しった。20:42 彼かれは王おうに言いった、「主しゅはこう仰おおせられる、『わたしが滅ほろぼそうと定さだめた人ひとを、あなたは自分じぶんの手てから放はなして行いかせたので、あなたの命いのちは彼かれの命いのちに代かわり、あなたの民たみは彼かれの民たみに代かわるであろう』と」。20:43 イスラエルの王おうは悲かなしみ、かつ怒いかって自分じぶんの家いえにおもむき、サマリヤに帰かえった。 第21章 21:1 さてエズレルびとナボテはエズレルにぶどう畑はたけをもっていたが、サマリヤの王おうアハブの宮殿きゅうでんのかたわらにあったので、21:2 アハブはナボテに言いった、「あなたのぶどう畑はたけはわたしの家いえの近ちかくにあるので、わたしに譲ゆずって青物あおもの畑はたけにさせてください。その代かわり、わたしはそれよりも良よいぶどう畑はたけをあなたにあげましょう。もしお望のぞみならば、その価あたいを金きんでさしあげましょう」。21:3 ナボテはアハブに言いった、「わたしは先祖せんぞの嗣し業ぎょうをあなたに譲ゆずることを断だんじていたしません」。21:4 アハブはエズレルびとナボテが言いった言葉ことばを聞きいて、悲かなしみ、かつ怒いかって家いえにはいった。ナボテが「わたしは先祖せんぞの嗣し業ぎょうをあなたに譲ゆずりません」と言いったからである。アハブは床とこに伏ふし、顔かおをそむけて食事しょくじをしなかった。 21:5 妻つまイゼベルは彼かれの所ところにきて、言いった、「あなたは何なにをそんなに悲かなしんで、食事しょくじをなさらないのですか」。21:6 彼かれは彼女かのじょに言いった、「わたしはエズレルびとナボテに『あなたのぶどう畑はたけを金かねで譲ゆずってください。もし望のぞむならば、その代かわりに、ほかのぶどう畑はたけをあげよう』と言いったが、彼かれは答こたえて『わたしはぶどう畑はたけを譲ゆずりません』と言いったからだ」。21:7 妻つまイゼベルは彼かれに言いった、「あなたが今いまイスラエルを治おさめているのですか。起おきて食事しょくじをし、元気げんきを出だしてください。わたしがエズレルびとナボテのぶどう畑はたけをあなたにあげます」。 21:8 彼女かのじょはアハブの名なで手紙てがみを書かき、彼かれの印しるしをおして、ナボテと同おなじように、その町まちに住すんでいる長老ちょうろうたちと身分みぶんの尊たっとい人々ひとびとに、その手紙てがみを送おくった。21:9 彼女かのじょはその手紙てがみに書かきしるした、「断食だんじきを布告ふこくして、ナボテを民たみのうちの高たかい所ところにすわらせ、21:10 またふたりのよこしまな者ものを彼かれの前まえにすわらせ、そして彼かれを訴うったえて、『あなたは神かみと王おうとをのろった』と言いわせなさい。こうして彼かれを引ひき出だし、石いしで撃うち殺ころしなさい」。21:11 その町まちの人々ひとびと、すなわち、その町まちに住すんでいる長老ちょうろうたちおよび身分みぶんの尊たっとい人々ひとびとは、イゼベルが言いいつかわしたようにした。彼女かのじょが彼かれらに送おくった手紙てがみに書かきしるされていたように、21:12 彼かれらは断食だんじきを布告ふこくして、ナボテを民たみのうちの高たかい所ところにすわらせた。21:13 そしてふたりのよこしまな者ものがはいってきて、その前まえにすわり、そのよこしまな者ものたちが民たみの前まえでナボテを訴うったえて、「ナボテは神かみと王おうとをのろった」と言いった。そこで人々ひとびとは彼かれを町まちの外そとに引ひき出だし、石いしで撃うち殺ころした。21:14 そして人々ひとびとはイゼベルに「ナボテは石いしで撃うち殺ころされた」と言いい送おくった。 21:15 イゼベルはナボテが石いしで撃うち殺ころされたのを聞きくとすぐ、アハブに言いった、「立たって、あのエズレルびとナボテが、あなたに金かねで譲ゆずることを拒こばんだぶどう畑はたけを取とりなさい。ナボテは生いきていません。死しんだのです」。21:16 アハブはナボテの死しんだのを聞きくとすぐ、立たって、エズレルびとナボテのぶどう畑はたけを取とるために、そこへ下くだっていった。 21:17 そのとき、主しゅの言葉ことばがテシベびとエリヤに臨のぞんだ、21:18 「立たって、下くだって行いき、サマリヤにいるイスラエルの王おうアハブに会あいなさい。彼かれはナボテのぶどう畑はたけを取とろうとしてそこへ下くだっている。21:19 あなたは彼かれに言いわなければならない、『主しゅはこう仰おおせられる、あなたは殺ころしたのか、また取とったのか』と。また彼かれに言いいなさい、『主しゅはこう仰おおせられる、犬いぬがナボテの血ちをなめた場所ばしょで、犬いぬがあなたの血ちをなめるであろう』」。 21:20 アハブはエリヤに言いった、「わが敵てきよ、ついに、わたしを見みつけたのか」。彼かれは言いった、「見みつけました。あなたが主しゅの目めの前まえに悪あくを行おこなうことに身みをゆだねたゆえ、21:21 わたしはあなたに災わざわいを下くだし、あなたを全まったく滅ほろぼし、アハブに属ぞくする男おとこは、イスラエルにいてつながれた者ものも、自由じゆうな者ものもことごとく断たち、21:22 またあなたの家いえをネバテの子こヤラベアムの家いえのようにし、アヒヤの子こバアシャの家いえのようにするでしょう。これはあなたがわたしを怒いからせた怒いかりのゆえ、またイスラエルに罪つみを犯おかさせたゆえです。21:23 イゼベルについて、主しゅはまた言いわれました、『犬いぬがエズレルの地域ちいきでイゼベルを食くうであろう』と。21:24 アハブに属ぞくする者ものは、町まちで死しぬ者ものを犬いぬが食くい、野ので死しぬ者ものを空そらの鳥とりが食くうでしょう」。 21:25 アハブのように主しゅの目めの前まえに悪あくを行おこなうことに身みをゆだねた者ものはなかった。その妻つまイゼベルが彼かれをそそのかしたのである。21:26 彼かれは主しゅがイスラエルの人々ひとびとの前まえから追おい払はらわれたアモリびとがしたように偶像ぐうぞうに従したがって、はなはだ憎にくむべき事ことを行おこなった。 21:27 アハブはこれらの言葉ことばを聞きいた時とき、衣ころもを裂さき、荒布あらぬのを身みにまとい、食しょくを断たち、荒布あらぬのに伏ふし、打うちしおれて歩あるいた。21:28 この時とき、主しゅの言葉ことばがテシベびとエリヤに臨のぞんだ、21:29 「アハブがわたしの前まえにへりくだっているのを見みたか。彼かれがわたしの前まえにへりくだっているゆえ、わたしは彼あの世よには災わざわいを下くださない。その子この世よに災わざわいをその家いえに下くだすであろう」。 第22章 22:1 スリヤとイスラエルの間あいだに戦争せんそうがなくて三年ねんを経へた。22:2 しかし三年ねん目めにユダの王おうヨシャパテがイスラエルの王おうの所ところへ下くだっていったので、22:3 イスラエルの王おうはその家来けらいたちに言いった、「あなたがたは、ラモテ・ギレアデがわれわれの所有しょゆうであることを知しっていますか。しかもなおわれわれはスリヤの王おうの手てからそれを取とらずに黙だまっているのです」。22:4 彼かれはヨシャパテに言いった、「ラモテ・ギレアデで戦たたかうためにわたしと一緒いっしょに行いかれませんか」。ヨシャパテはイスラエルの王おうに言いった、「わたしはあなたと一つです。わたしの民たみはあなたの民たみと一つです。わたしの馬うまはあなたの馬うまと一つです」。 22:5 ヨシャパテはまたイスラエルの王おうに言いった、「まず、主しゅの言葉ことばを伺うかがいなさい」。22:6 そこでイスラエルの王おうは預言者よげんしゃ四百人にんばかりを集あつめて、彼かれらに言いった、「わたしはラモテ・ギレアデに戦たたかいに行いくべきでしょうか、あるいは控ひかえるべきでしょうか」。彼かれらは言いった、「上のぼっていきなさい。主しゅはそれを王おうの手てにわたされるでしょう」。22:7 ヨシャパテは言いった、「ここには、われわれの問とうべき主しゅの預言者よげんしゃがほかにいませんか」。22:8 イスラエルの王おうはヨシャパテに言いった、「われわれが主しゅに問とうことのできる人ひとが、まだひとりいます。イムラの子こミカヤです。彼かれはわたしについて良よい事ことを預言よげんせず、ただ悪わるい事ことだけを預言よげんするので、わたしは彼かれを憎にくんでいます」。ヨシャパテは言いった、「王おうよ、そう言いわないでください」。22:9 そこでイスラエルの王おうは役人やくにんを呼よんで、「急いそいでイムラの子こミカヤを連つれてきなさい」と言いった。22:10 さてイスラエルの王おうおよびユダの王おうヨシャパテは王おうの服ふくを着きて、サマリヤの門もんの入口いりぐちの広場ひろばに、おのおのその王座おうざにすわり、預言者よげんしゃたちは皆みなその前まえで預言よげんしていた。22:11 ケナアナの子こゼデキヤは鉄てつの角つのを造つくって言いった、「主しゅはこう仰おおせられます、『あなたはこれらの角つのをもってスリヤびとを突ついて彼かれらを滅ほろぼしなさい』」。22:12 預言者よげんしゃたちは皆みなそのように預言よげんして言いった、「ラモテ・ギレアデに上のぼっていって勝利しょうりを得えなさい。主しゅはそれを王おうの手てにわたされるでしょう」。 22:13 さてミカヤを呼よびにいった使者ししゃは彼かれに言いった、「預言者よげんしゃたちは一致いっちして王おうに良よい事ことを言いいました。どうぞ、あなたも、彼かれらのひとりの言葉ことばのようにして、良よい事ことを言いってください」。22:14 ミカヤは言いった、「主しゅは生いきておられます。主しゅがわたしに言いわれる事ことを申もうしましょう」。22:15 彼かれが王おうの所ところへ行いくと、王おうは彼かれに言いった、「ミカヤよ、われわれはラモテ・ギレアデに戦たたかいに行いくべきでしょうか、あるいは控ひかえるべきでしょうか」。彼かれは王おうに言いった、「上のぼっていって勝利しょうりを得えなさい。主しゅはそれを王おうの手てにわたされるでしょう」。22:16 しかし王おうは彼かれに言いった、「幾いくたびあなたを誓ちかわせたら、あなたは主しゅの名なをもって、ただ真実しんじつのみをわたしに告つげるでしょうか」。22:17 彼かれは言いった、「わたしはイスラエルが皆みな、牧者ぼくしゃのない羊ひつじのように、山やまに散ちっているのを見みました。すると主しゅは『これらの者ものは飼主かいぬしがいない。彼かれらをそれぞれ安やすらかに、その家いえに帰かえらせよ』と言いわれました」。22:18 イスラエルの王おうはヨシャパテに言いった、「彼かれがわたしについて良よい事ことを預言よげんせず、ただ悪わるい事ことだけを預言よげんすると、あなたに告つげたではありませんか」。22:19 ミカヤは言いった、「それゆえ主しゅの言葉ことばを聞ききなさい。わたしは主しゅがその玉座ぎょくざにすわり、天てんの万軍ばんぐんがそのかたわらに、右左みぎひだりに立たっているのを見みたが、22:20 主しゅは『だれがアハブをいざなってラモテ・ギレアデに上のぼらせ、彼かれを倒たおれさせるであろうか』と言いわれました。するとひとりはこの事ことを言いい、ひとりはほかの事ことを言いいました。22:21 その時とき一つの霊れいが進すすみ出でて、主しゅの前まえに立たち、『わたしが彼かれをいざないましょう』と言いいました。22:22 主しゅは『どのような方法ほうほうでするのか』と言いわれたので、彼かれは『わたしが出でて行いって、偽いつわりを言いう霊れいとなって、すべての預言者よげんしゃの口くちに宿やどりましょう』と言いいました。そこで主しゅは『おまえは彼かれをいざなって、それを成なし遂とげるであろう。出でて行いって、そうしなさい』と言いわれました。22:23 それで主しゅは偽いつわりを言いう霊れいをあなたのすべての預言者よげんしゃの口くちに入いれ、また主しゅはあなたの身みに起おこる災わざわいを告つげられたのです」。22:24 するとケナアナの子こゼデキヤは近寄ちかよって、ミカヤのほおを打うって言いった、「どのようにして主しゅの霊れいがわたしを離はなれて、あなたに語かたりましたか」。22:25 ミカヤは言いった、「あなたが奥おくの間あいだにはいって身みを隠かくすその日ひに、わかるでしょう」。22:26 イスラエルの王おうは言いった、「ミカヤを捕とらえ、町まちのつかさアモンと、王おうの子こヨアシの所ところへ引ひいて帰かえって、22:27 言いいなさい、『王おうがこう言いいます、この者ものを獄屋ごくやに入いれ、わずかのパンと水みずをもって彼かれを養やしない、わたしが勝利しょうりを得えて帰かえってくるのを待まて』」。22:28 ミカヤは言いった、「もしあなたが勝利しょうりを得えて帰かえってこられるならば、主しゅがわたしによって語かたられなかったのです」。また彼かれは言いった、「あなたがた、すべての民たみよ、聞ききなさい」。 22:29 こうしてイスラエルの王おうとユダの王おうヨシャパテはラモテ・ギレアデに上のぼっていった。22:30 イスラエルの王おうはヨシャパテに言いった、「わたしは姿すがたを変かえて、戦たたかいに行いきます。あなたは王おうの服ふくを着つけなさい」。イスラエルの王おうは姿すがたを変かえて戦たたかいに行いった。22:31 さて、スリヤの王おうは、その戦車せんしゃ長ちょう三十二人にんに命めいじて言いった、「あなたがたは、小ちいさい者ものとも大おおきい者ものとも戦たたかわないで、ただイスラエルの王おうとだけ戦たたかいなさい」。22:32 戦車せんしゃ長ちょうらはヨシャパテを見みたとき、これはきっとイスラエルの王おうだと思おもったので、身みをめぐらして、これと戦たたかおうとすると、ヨシャパテは呼よばわった。22:33 戦車せんしゃ長ちょうらは彼かれがイスラエルの王おうでないのを見みたので、彼かれを追おうことをやめて引ひき返かえした。22:34 しかし、ひとりの人ひとが何なに心こころなく弓ゆみをひいて、イスラエルの王おうの胸当むねあてと草摺くさずりの間あいだを射いたので、彼かれはその戦車せんしゃの御者ぎょしゃに言いった、「わたしは傷きずを受うけた。戦車せんしゃをめぐらして、わたしを戦場せんじょうから運はこび出だせ」。22:35 その日ひ戦たたかいは激はげしくなった。王おうは戦車せんしゃの中なかにささえられて立たち、スリヤびとにむかっていたが、ついに、夕暮ゆうぐれになって死しんだ。傷きずの血ちは戦車せんしゃの底そこに流ながれた。22:36 日ひの没ぼっするころ、軍勢ぐんぜいの中なかに呼よばわる声こえがした、「めいめいその町まちへ、めいめいその国くにへ帰かえれ」。 22:37 王おうは死しんで、サマリヤへ携たずさえ行いかれた。人々ひとびとは王おうをサマリヤに葬ほうむった。22:38 またその戦車せんしゃをサマリヤの池いけで洗あらったが、犬いぬがその血ちをなめた。また遊女ゆうじょがそこで身みを洗あらった。主しゅが言いわれた言葉ことばのとおりである。22:39 アハブのそのほかの事績じせきと、彼かれがしたすべての事ことと、その建たてた象牙ぞうげの家いえと、その建たてたすべての町まちは、イスラエルの王おうの歴代志れきだいしの書しょにしるされているではないか。22:40 こうしてアハブはその先祖せんぞと共ともに眠ねむって、その子こアハジヤが代かわって王おうとなった。 22:41 アサの子こヨシャパテはイスラエルの王おうアハブの第だい四年ねんにユダの王おうとなった。22:42 ヨシャパテは王おうとなった時とき、三十五歳さいであったが、エルサレムで二十五年ねん世よを治おさめた。その母ははの名なはアズバといい、シルヒの娘むすめであった。22:43 ヨシャパテは父ちちアサのすべての道みちに歩あゆみ、それを離はなれることなく、主しゅの目めにかなう事ことをした。ただし高たかき所ところは除のぞかなかったので、民たみはなお高たかき所ところで犠牲ぎせいをささげ、香こうをたいた。22:44 ヨシャパテはまたイスラエルの王おうと、よしみを結むすんだ。 22:45 ヨシャパテのその他たの事績じせきと、彼かれがあらわした勲功くんこうおよびその戦争せんそうについては、ユダの王おうの歴代志れきだいしの書しょにしるされているではないか。22:46 彼かれは父ちちアサの世よになお残のこっていた神殿しんでん男娼だんしょうたちを国くにのうちから追おい払はらった。 22:47 そのころエドムには王おうがなく、代官だいかんが王おうであった。22:48 ヨシャパテはタルシシの船ふねを造つくって、金きんを獲えるためにオフルに行いかせようとしたが、その船ふねはエジオン・ゲベルで難破なんぱしたため、ついに行いかなかった。22:49 そこでアハブの子こアハジヤはヨシャパテに「わたしの家来けらいをあなたの家来けらいと一緒いっしょに船ふねで行いかせなさい」と言いったが、ヨシャパテは承知しょうちしなかった。22:50 ヨシャパテはその先祖せんぞと共ともに眠ねむって、父ちちダビデの町まちに先祖せんぞと共ともに葬ほうむられ、その子こヨラムが代かわって王おうとなった。 22:51 アハブの子こアハジヤはユダの王おうヨシャパテの第だい十七年ねんにサマリヤでイスラエルの王おうとなり、二年ねんイスラエルを治おさめた。22:52 彼かれは主しゅの目めの前まえに悪あくを行おこない、その父ちちの道みちと、その母ははの道みち、およびかのイスラエルに罪つみを犯おかさせたネバテの子こヤラベアムの道みちに歩あゆみ、22:53 バアルに仕つかえて、それを拝おがみ、イスラエルの神かみ、主しゅを怒いからせた。すべて彼かれの父ちちがしたとおりであった。
16:1 そこで主しゅの言葉ことばがハナニの子こエヒウに臨のぞみ、バアシャを責せめて言いった、
16:2 「わたしはあなたをちりの中なかからあげて、わたしの民たみイスラエルの上うえに君きみとしたが、あなたはヤラベアムの道みちに歩あゆみ、わたしの民たみイスラエルに罪つみを犯おかさせ、その罪つみをもってわたしを怒いからせた。
16:3 それでわたしは、バアシャとその家いえを全まったく滅ほろぼし去さり、あなたの家いえをネバテの子こヤラベアムの家いえのようにする。
16:4 バアシャに属ぞくする者もので、町まちで死しぬ者ものは犬いぬが食たべ、彼かれに属ぞくする者もので、野ので死しぬ者ものは空そらの鳥とりが食たべるであろう」。
16:5 バアシャのその他たの事績じせきと、彼かれがした事ことと、その勲功くんこうとは、イスラエルの王おうの歴代志れきだいしの書しょにしるされているではないか。
16:6 バアシャはその先祖せんぞと共ともに眠ねむって、テルザに葬ほうむられ、その子こエラが代かわって王おうとなった。
16:7 主しゅの言葉ことばはまたハナニの子こ預言者よげんしゃエヒウによって臨のぞみ、バアシャとその家いえを責せめた。これは彼かれが主しゅの目めの前まえに、もろもろの悪あくを行おこない、その手てのわざをもって主しゅを怒いからせ、ヤラベアムの家いえにならったためであり、また彼かれがヤラベアムの家いえを滅ほろぼしたためであった。
16:8 ユダの王おうアサの第だい二十六年ねんにバアシャの子こエラはテルザでイスラエルの王おうとなり、二年ねん世よを治おさめた。
16:9 彼かれがテルザにいて、テルザの宮殿きゅうでんのつかさアルザの家いえで酒さけを飲のんで酔よった時とき、その家来けらいで戦車せんしゃ隊たいの半なかばを指揮しきしていたジムリが、彼かれにそむいた。
16:10 そしてユダの王おうアサの第だい二十七年ねんにジムリは、はいってきて彼かれを撃うち殺ころし、彼かれに代かわって王おうとなった。
16:11 ジムリは王おうとなって、位くらいについた時とき、バアシャの全家ぜんかを殺ころし、その親族しんぞくまたは友ともだちの男子だんしは、ひとりも残のこさなかった。
16:12 こうしてジムリはバアシャの全家ぜんかを滅ほろぼした。主しゅが預言者よげんしゃエヒウによってバアシャを責せめて言いわれた言葉ことばのとおりである。
16:13 これはバアシャのもろもろの罪つみと、その子こエラの罪つみのためであって、彼かれらが罪つみを犯おかし、またイスラエルに罪つみを犯おかさせ、彼かれらの偶像ぐうぞうをもってイスラエルの神かみ、主しゅを怒いからせたからである。
16:14 エラのその他たの事績じせきと、彼かれがしたすべての事ことは、イスラエルの王おうの歴代志れきだいしの書しょにしるされているではないか。
16:15 ユダの王おうアサの第だい二十七年ねんにジムリはテルザで七日なぬかの間あいだ、世よを治おさめた。民たみはペリシテびとに属ぞくするギベトンにむかって陣取じんどっていたが、
16:16 その陣取じんどっていた民たみが「ジムリはむほんを起おこして王おうを殺ころした」と人ひとのいうのを聞きいたので、イスラエルは皆みなその日ひ陣営じんえいで、軍ぐんの長ちょうオムリをイスラエルの王おうとした。
16:17 そこでオムリはイスラエルの人々ひとびとと共ともにギベトンから上のぼってテルザを囲かこんだ。
16:18 ジムリはその町まちの陥おちいるのを見みて、王おうの宮殿きゅうでんの天守てんしゅにはいり、王おうの宮殿きゅうでんに火ひをかけてその中なかで死しんだ。
16:19 これは彼かれが犯おかした罪つみのためであって、彼かれが主しゅの目めの前まえに悪あくを行おこない、ヤラベアムの道みちに歩あゆみ、ヤラベアムがイスラエルに犯おかさせたその罪つみを行おこなったからである。
16:20 ジムリのその他たの事績じせきと、彼かれが企くわだてた陰謀いんぼうは、イスラエルの王おうの歴代志れきだいしの書しょにしるされているではないか。
16:21 その時ときイスラエルの民たみは二つに分わかれ、民たみの半なかばはギナテの子こテブニに従したがって、これを王おうとしようとし、半なかばはオムリに従したがった。
16:22 しかしオムリに従したがった民たみはギナテの子こテブニに従したがった民たみに勝かって、テブニは死しに、オムリが王おうとなった。
16:23 ユダの王おうアサの第だい三十一年ねんにオムリはイスラエルの王おうとなって十二年ねん世よを治おさめた。彼かれはテルザで六年ねん王おうであった。
16:24 彼かれは銀ぎん二タラントでセメルからサマリヤの山やまを買かい、その上うえに町まちを建たて、その建たてた町まちの名なをその山やまの持もち主ぬしであったセメルの名なに従したがってサマリヤと呼よんだ。
16:25 オムリは主しゅの目めの前まえに悪あくを行おこない、彼かれよりも先さきにいたすべての者ものにまさって悪わるい事ことをした。
16:26 彼かれはネバテの子こヤラベアムのすべての道みちに歩あゆみ、ヤラベアムがイスラエルに罪つみを犯おかさせ、彼かれらの偶像ぐうぞうをもってイスラエルの神かみ、主しゅを怒いからせたその罪つみを行おこなった。
16:27 オムリが行いったその他たの事績じせきと、彼かれがあらわした勲功くんこうとは、イスラエルの王おうの歴代志れきだいしの書しょにしるされているではないか。
16:28 オムリはその先祖せんぞと共ともに眠ねむって、サマリヤに葬ほうむられ、その子こアハブが代かわって王おうとなった。
16:29 ユダの王おうアサの第だい三十八年ねんにオムリの子こアハブがイスラエルの王おうとなった。オムリの子こアハブはサマリヤで二十二年ねんイスラエルを治おさめた。
16:30 オムリの子こアハブは彼かれよりも先さきにいたすべての者ものにまさって、主しゅの目めの前まえに悪あくを行おこなった。
16:31 彼かれはネバテの子こヤラベアムの罪つみを行おこなうことを、軽かるい事こととし、シドンびとの王おうエテバアルの娘むすめイゼベルを妻つまにめとり、行いってバアルに仕つかえ、これを拝おがんだ。
16:32 彼かれはサマリヤに建たてたバアルの宮みやに、バアルのために祭壇さいだんを築きずいた。
16:33 アハブはまたアシラ像ぞうを造つくった。アハブは彼かれよりも先さきにいたイスラエルのすべての王おうにまさってイスラエルの神かみ、主しゅを怒いからせることを行おこなった。
16:34 彼かれの代よにベテルびとヒエルはエリコを建たてた。彼かれはその基もといをすえる時ときに長子ちょうしアビラムを失うしない、その門もんを立たてる時ときに末すえの子こセグブを失うしなった。主しゅがヌンの子こヨシュアによって言いわれた言葉ことばのとおりである。
第17章 17:1 ギレアデのテシベに住すむテシベびとエリヤはアハブに言いった、「わたしの仕つかえているイスラエルの神かみ、主しゅは生いきておられます。わたしの言葉ことばのないうちは、数年すうねん雨あめも露つゆもないでしょう」。17:2 主しゅの言葉ことばがエリヤに臨のぞんだ、17:3 「ここを去さって東ひがしにおもむき、ヨルダンの東ひがしにあるケリテ川かわのほとりに身みを隠かくしなさい。17:4 そしてその川かわの水みずを飲のみなさい。わたしはからすに命めいじて、そこであなたを養やしなわせよう」。17:5 エリヤは行いって、主しゅの言葉ことばのとおりにした。すなわち行いって、ヨルダンの東ひがしにあるケリテ川かわのほとりに住すんだ。17:6 すると、からすが朝あさごとに彼かれの所ところにパンと肉にくを運はこび、また夕ゆうごとにパンと肉にくを運はこんできた。そして彼かれはその川かわの水みずを飲のんだ。17:7 しかし国くにに雨あめがなかったので、しばらくしてその川かわはかれた。 17:8 その時とき、主しゅの言葉ことばが彼かれに臨のぞんで言いった、17:9 「立たってシドンに属ぞくするザレパテへ行いって、そこに住すみなさい。わたしはそのところのやもめ女おんなに命めいじてあなたを養やしなわせよう」。17:10 そこで彼かれは立たってザレパテへ行いったが、町まちの門もんに着ついたとき、ひとりのやもめ女おんなが、その所ところでたきぎを拾ひろっていた。彼かれはその女おんなに声こえをかけて言いった、「器うつわに水みずを少すこし持もってきて、わたしに飲のませてください」。17:11 彼女かのじょが行いって、それを持もってこようとした時とき、彼かれは彼女かのじょを呼よんで言いった、「手てに一口ひとくちのパンを持もってきてください」。17:12 彼女かのじょは言いった、「あなたの神かみ、主しゅは生いきておられます。わたしにはパンはありません。ただ、かめに一握ひとにぎりの粉こなと、びんに少すこしの油あぶらがあるだけです。今いまわたしはたきぎ二、三本ぼんを拾ひろい、うちへ帰かえって、わたしと子供こどものためにそれを調理ちょうりし、それを食たべて死しのうとしているのです」。17:13 エリヤは彼女かのじょに言いった、「恐おそれるにはおよばない。行いって、あなたが言いったとおりにしなさい。しかしまず、それでわたしのために小ちいさいパンを、一つ作つくって持もってきなさい。その後のち、あなたと、あなたの子供こどものために作つくりなさい。17:14 『主しゅが雨あめを地ちのおもてに降ふらす日ひまで、かめの粉こなは尽つきず、びんの油あぶらは絶たえない』とイスラエルの神かみ、主しゅが言いわれるからです」。17:15 彼女かのじょは行いって、エリヤが言いったとおりにした。彼女かのじょと彼かれおよび彼女かのじょの家族かぞくは久ひさしく食たべた。17:16 主しゅがエリヤによって言いわれた言葉ことばのように、かめの粉こなは尽つきず、びんの油あぶらは絶たえなかった。 17:17 これらの事ことの後のち、その家いえの主婦しゅふであるこの女おんなの男おとこの子こが病気びょうきになった。その病気びょうきはたいそう重おもく、息いきが絶たえたので、17:18 彼女かのじょはエリヤに言いった、「神かみの人ひとよ、あなたはわたしに、何なにの恨うらみがあるのですか。あなたはわたしの罪つみを思おもい出ださせるため、またわたしの子こを死しなせるためにおいでになったのですか」。17:19 エリヤは彼女かのじょに言いった、「子こをわたしによこしなさい」。そして彼女かのじょのふところから子供こどもを取とり、自分じぶんのいる屋上おくじょうのへやへかかえて上のぼり、自分じぶんの寝台しんだいに寝ねかせ、17:20 主しゅに呼よばわって言いった、「わが神かみ、主しゅよ、あなたはわたしが宿やどっている家いえのやもめにさえ災わざわいをくだして、子供こどもを殺ころされるのですか」。17:21 そして三度どその子こ供ともの上うえに身みを伸のばし、主しゅに呼よばわって言いった、「わが神かみ、主しゅよ、この子供こどもの魂たましいをもとに帰かえらせてください」。17:22 主しゅはエリヤの声こえを聞ききいれられたので、その子こ供ともの魂たましいはもとに帰かえって、彼かれは生いきかえった。17:23 エリヤはその子こ供ともを取とって屋上おくじょうのへやから家いえの中なかにつれて降ふり、その母ははにわたして言いった、「ごらんなさい。あなたの子こは生いきかえりました」。17:24 女おんなはエリヤに言いった、「今いまわたしはあなたが神かみの人ひとであることと、あなたの口くちにある主しゅの言葉ことばが真実しんじつであることを知しりました」。 第18章 18:1 多おおくの日ひを経へて、三年ねん目めに主しゅの言葉ことばがエリヤに臨のぞんだ、「行いって、あなたの身みをアハブに示しめしなさい。わたしは雨あめを地ちに降ふらせる」。18:2 エリヤはその身みをアハブに示しめそうとして行いった。その時とき、サマリヤにききんが激はげしかった。18:3 アハブは家いえづかさオバデヤを召めした。(オバデヤは深ふかく主しゅを恐おそれる人ひとで、18:4 イゼベルが主しゅの預言者よげんしゃを断たち滅ほろぼした時とき、オバデヤは百人にんの預言者よげんしゃを救すくい出だして五十人にんずつほら穴あなに隠かくし、パンと水みずをもって彼かれらを養やしなった)。18:5 アハブはオバデヤに言いった、「国中くにぢゅうのすべての水みずの源みなもとと、すべての川かわに行いってみるがよい。馬うまと騾馬らばを生いかしておくための草くさがあるかもしれない。そうすれば、われわれは家畜かちくをいくぶんでも失うしなわずにすむであろう」。18:6 彼かれらは行いき巡めぐる地ちをふたりで分わけ、アハブはひとりでこの道みちを行いき、オバデヤはひとりで他たの道みちを行おこなった。 18:7 オバデヤが道みちを進すすんでいた時とき、エリヤが彼かれに会あった。彼かれはエリヤを認みとめて伏ふして言いった、「わが主しゅエリヤよ、あなたはここにおられるのですか」。18:8 エリヤは彼かれに言いった、「そうです。行いって、あなたの主人しゅじんに、エリヤはここにいると告つげなさい」。18:9 彼かれは言いった、「わたしにどんな罪つみがあって、あなたはしもべをアハブの手てにわたして殺ころそうとされるのですか。18:10 あなたの神かみ、主しゅは生いきておられます。わたしの主人しゅじんがあなたを尋たずねるために、人ひとをつかわさない民たみはなく、国くにもありません。そしてエリヤはいないと言いう時ときは、その国くに、その民たみに、あなたが見みつからないという誓ちかいをさせるのです。18:11 あなたは今いま『行いって、エリヤはここにいると主人しゅじんに告つげよ』と言いわれます。18:12 しかしわたしがあなたを離はなれて行いくと、主しゅの霊れいはあなたを、わたしの知しらない所ところへ連つれて行いくでしょう。わたしが行いってアハブに告つげ、彼かれがあなたを見みつけることができなければ、彼かれはわたしを殺ころすでしょう。しかし、しもべは幼おさない時ときから主しゅを恐おそれている者ものです。18:13 イゼベルが主しゅの預言者よげんしゃを殺ころした時ときに、わたしがした事こと、すなわち、わたしが主しゅの預言者よげんしゃのうち百人にんを五十人にんずつほら穴あなに隠かくして、パンと水みずをもって養やしなった事ことを、わが主しゅは聞きかれませんでしたか。18:14 ところが今いまあなたは『行いって、エリヤはここにいると主人しゅじんに告つげよ』と言いわれます。そのようなことをすれば彼かれはわたしを殺ころすでしょう」。18:15 エリヤは言いった、「わたしの仕つかえる万軍ばんぐんの主しゅは生いきておられる。わたしは必かならず、きょう、わたしの身みを彼かれに示しめすであろう」。18:16 オバデヤは行いってアハブに会あい、彼かれに告つげたので、アハブはエリヤに会あおうとして行いった。 18:17 アハブはエリヤを見みたとき、彼かれに言いった、「イスラエルを悩なやます者ものよ、あなたはここにいるのですか」。18:18 彼かれは答こたえた、「わたしがイスラエルを悩なやますのではありません。あなたと、あなたの父ちちの家いえが悩なやましたのです。あなたがたが主しゅの命令めいれいを捨すて、バアルに従したがったためです。18:19 それで今いま、人ひとをつかわしてイスラエルのすべての人ひとおよびバアルの預言者よげんしゃ四百五十人にん、ならびにアシラの預言者よげんしゃ四百人にん、イゼベルの食卓しょくたくで食事しょくじする者ものたちをカルメル山やまに集あつめて、わたしの所ところにこさせなさい」。 18:20 そこでアハブはイスラエルのすべての人ひとに人ひとをつかわして、預言者よげんしゃたちをカルメル山やまに集あつめた。18:21 そのときエリヤはすべての民たみに近ちかづいて言いった、「あなたがたはいつまで二つのものの間あいだに迷まよっているのですか。主しゅが神かみならばそれに従したがいなさい。しかしバアルが神かみならば、それに従したがいなさい」。民たみはひと言ことも彼かれに答こたえなかった。18:22 エリヤは民たみに言いった、「わたしはただひとり残のこった主しゅの預言者よげんしゃです。しかしバアルの預言者よげんしゃは四百五十人にんあります。18:23 われわれに二頭とうの牛うしをください。そして一頭とうの牛うしを彼かれらに選えらばせ、それを切きり裂さいて、たきぎの上うえに載のせ、それに火ひをつけずにおかせなさい。わたしも一頭とうの牛うしを整ととのえ、それをたきぎの上うえに載のせて火ひをつけずにおきましょう。18:24 こうしてあなたがたはあなたがたの神かみの名なを呼よびなさい。わたしは主しゅの名なを呼よびましょう。そして火ひをもって答こたえる神かみを神かみとしましょう」。民たみは皆みな答こたえて「それがよかろう」と言いった。18:25 そこでエリヤはバアルの預言者よげんしゃたちに言いった、「あなたがたは大だいぜいだから初はじめに一頭とうの牛うしを選えらんで、それを整ととのえ、あなたがたの神かみの名なを呼よびなさい。ただし火ひをつけてはなりません」。18:26 彼かれらは与あたえられた牛うしを取とって整ととのえ、朝あさから昼ひるまでバアルの名なを呼よんで「バアルよ、答こたえてください」と言いった。しかしなんの声こえもなく、また答こたえる者ものもなかったので、彼かれらは自分じぶんたちの造つくった祭壇さいだんのまわりに踊おどった。18:27 昼ひるになってエリヤは彼かれらをあざけって言いった、「彼かれは神かみだから、大声おおごえをあげて呼よびなさい。彼かれは考かんがえにふけっているのか、よそへ行いったのか、旅たびに出でたのか、または眠ねむっていて起おこされなければならないのか」。18:28 そこで彼かれらは大声おおごえに呼よばわり、彼かれらのならわしに従したがって、刀かたなとやりで身みを傷きずつけ、血ちをその身みに流ながすに至いたった。18:29 こうして昼ひるが過すぎても彼かれらはなお叫さけび続つづけて、夕ゆうの供そなえ物ものをささげる時ときにまで及およんだ。しかしなんの声こえもなく、答こたえる者ものもなく、また顧かえりみる者ものもなかった。 18:30 その時ときエリヤはすべての民たみにむかって「わたしに近寄ちかよりなさい」と言いったので、民たみは皆みな彼かれに近寄ちかよった。彼かれはこわれている主しゅの祭壇さいだんを繕つくろった。18:31 そしてエリヤは昔むかし、主しゅの言葉ことばがヤコブに臨のぞんで、「イスラエルをあなたの名なとせよ」と言いわれたヤコブの子こらの部族ぶぞくの数かずにしたがって十二の石いしを取とり、18:32 その石いしで主しゅの名なによって祭壇さいだんを築きずき、祭壇さいだんの周囲しゅういに種たね二セヤをいれるほどの大おおきさの、みぞを作つくった。18:33 また、たきぎを並ならべ、牛うしを切きり裂さいてたきぎの上うえに載のせて言いった、「四つのかめに水みずを満みたし、それを燔祭はんさいとたきぎの上うえに注そそげ」。18:34 また言いった、「それを二度どせよ」。二度どそれをすると、また言いった、「三度どそれをせよ」。三度どそれをした。18:35 水みずは祭壇さいだんの周囲しゅういに流ながれた。またみぞにも水みずを満みたした。 18:36 夕ゆうの供そなえ物ものをささげる時ときになって、預言者よげんしゃエリヤは近寄ちかよって言いった、「アブラハム、イサク、ヤコブの神かみ、主しゅよ、イスラエルでは、あなたが神かみであること、わたしがあなたのしもべであって、あなたの言葉ことばに従したがってこのすべての事ことを行おこなったことを、今日こんにち知しらせてください。18:37 主しゅよ、わたしに答こたえてください、わたしに答こたえてください。主しゅよ、この民たみにあなたが神かみであること、またあなたが彼かれらの心こころを翻ひるがえされたのであることを知しらせてください」。18:38 そのとき主しゅの火ひが下くだって燔祭はんさいと、たきぎと、石いしと、ちりとを焼やきつくし、またみぞの水みずをなめつくした。18:39 民たみは皆みな見みて、ひれ伏ふして言いった、「主しゅが神かみである。主しゅが神かみである」。18:40 エリヤは彼かれらに言いった、「バアルの預言者よげんしゃを捕とらえよ。そのひとりも逃にがしてはならない」。そこで彼かれらを捕とらえたので、エリヤは彼かれらをキション川かわに連つれくだって、そこで彼かれらを殺ころした。 18:41 エリヤはアハブに言いった、「大雨おおあめの音おとがするから、上のぼって行いって、食くい飲のみしなさい」。18:42 アハブは食くい飲のみするために上のぼっていった。しかしエリヤはカルメルの頂いただきに登のぼり、地ちに伏ふして顔かおをひざの間あいだに入いれていたが、18:43 彼かれはしもべに言いった、「上のぼっていって海うみの方ほうを見みなさい」。彼かれは上のぼっていって、見みて、「何なにもありません」と言いったので、エリヤは「もう一度ど行いきなさい」と言いって七度どに及およんだ。18:44 七度目どめにしもべは言いった、「海うみから人ひとの手てほどの小ちいさな雲くもが起たっています」。エリヤは言いった、「上のぼっていって、『雨あめにとどめられないように車くるまを整ととのえて下くだれ』とアハブに言いいなさい」。18:45 すると間まもなく、雲くもと風かぜが起おこり、空そらが黒くろくなって大雨おおあめが降ふってきた。アハブは車くるまに乗のってエズレルへ行いった。18:46 また主しゅの手てがエリヤに臨のぞんだので、彼かれは腰こしをからげ、エズレルの入口いりぐちまでアハブの前まえに走はしっていった。 第19章 19:1 アハブはエリヤのしたすべての事こと、また彼かれがすべての預言者よげんしゃを刀かたなで殺ころしたことをイゼベルに告つげたので、19:2 イゼベルは使者ししゃをエリヤにつかわして言いった、「もしわたしが、あすの今いまごろ、あなたの命いのちをあの人々ひとびとのひとりの命いのちのようにしていないならば、神々かみがみがどんなにでも、わたしを罰ばっしてくださるように」。19:3 そこでエリヤは恐おそれて、自分じぶんの命いのちを救すくうために立たって逃にげ、ユダに属ぞくするベエルシバへ行いって、しもべをそこに残のこし、19:4 自分じぶんは一日にちの道みちのりほど荒野あらのにはいって行いって、れだまの木きの下したに座ざし、自分じぶんの死しを求もとめて言いった、「主しゅよ、もはや、じゅうぶんです。今いまわたしの命いのちを取とってください。わたしは先祖せんぞにまさる者ものではありません」。19:5 彼かれはれだまの木きの下したに伏ふして眠ねむったが、天てんの使つかいが彼かれにさわり、「起おきて食たべなさい」と言いったので、19:6 起おきて見みると、頭とうのそばに、焼やけ石いしの上うえで焼やいたパン一個こと、一びんの水みずがあった。彼かれは食たべ、かつ飲のんでまた寝ねた。19:7 主しゅの使つかいは再ふたたびきて、彼かれにさわって言いった、「起おきて食たべなさい。道みちが遠とおくて耐たえられないでしょうから」。19:8 彼かれは起おきて食たべ、かつ飲のみ、その食物しょくもつで力ちからづいて四十日にち四十夜や行いって、神かみの山やまホレブに着ついた。 19:9 その所ところで彼かれはほら穴あなにはいって、そこに宿やどったが、主しゅの言葉ことばが彼かれに臨のぞんで、彼かれに言いわれた、「エリヤよ、あなたはここで何なにをしているのか」。19:10 彼かれは言いった、「わたしは万軍ばんぐんの神かみ、主しゅのために非常ひじょうに熱心ねっしんでありました。イスラエルの人々ひとびとはあなたの契約けいやくを捨すて、あなたの祭壇さいだんをこわし、刀かたなをもってあなたの預言者よげんしゃたちを殺ころしたのです。ただわたしだけ残のこりましたが、彼かれらはわたしの命いのちを取とろうとしています」。19:11 主しゅは言いわれた、「出でて、山やまの上うえで主しゅの前まえに、立たちなさい」。その時とき主しゅは通とおり過すぎられ、主しゅの前まえに大おおきな強つよい風かぜが吹ふき、山やまを裂さき、岩いわを砕くだいた。しかし主しゅは風かぜの中なかにおられなかった。風かぜの後のちに地震じしんがあったが、地震じしんの中なかにも主しゅはおられなかった。19:12 地震じしんの後のちに火ひがあったが、火ひの中なかにも主しゅはおられなかった。火ひの後のちに静しずかな細ほそい声こえが聞きこえた。19:13 エリヤはそれを聞きいて顔かおを外套がいとうに包つつみ、出でてほら穴あなの口くちに立たつと、彼かれに語かたる声こえが聞きこえた、「エリヤよ、あなたはここで何なにをしているのか」。19:14 彼かれは言いった、「わたしは万軍ばんぐんの神かみ、主しゅのために非常ひじょうに熱心ねっしんでありました。イスラエルの人々ひとびとはあなたの契約けいやくを捨すて、あなたの祭壇さいだんをこわし、刀かたなであなたの預言者よげんしゃたちを殺ころしたからです。ただわたしだけ残のこりましたが、彼かれらはわたしの命いのちを取とろうとしています」。19:15 主しゅは彼かれに言いわれた、「あなたの道みちを帰かえって行いって、ダマスコの荒野あらのにおもむき、ダマスコに着ついて、ハザエルに油あぶらを注そそぎ、スリヤの王おうとしなさい。19:16 またニムシの子こエヒウに油あぶらを注そそいでイスラエルの王おうとしなさい。またアベルメホラのシャパテの子こエリシャに油あぶらを注そそいで、あなたに代かわって預言者よげんしゃとしなさい。19:17 ハザエルのつるぎをのがれる者ものをエヒウが殺ころし、エヒウのつるぎをのがれる者ものをエリシャが殺ころすであろう。19:18 また、わたしはイスラエルのうちに七千人にんを残のこすであろう。皆みなバアルにひざをかがめず、それに口くちづけしない者ものである」。 19:19 さてエリヤはそこを去さって行いって、シャパテの子こエリシャに会あった。彼かれは十二くびきの牛うしを前まえに行いかせ、自分じぶんは十二番目ばんめのくびきと共ともにいて耕たがやしていた。エリヤは彼かれのかたわらを通とおり過すぎて外套がいとうを彼かれの上うえにかけた。19:20 エリシャは牛うしを捨すて、エリヤのあとに走はしってきて言いった、「わたしの父母ふぼに口くちづけさせてください。そして後のちあなたに従したがいましょう」。エリヤは彼かれに言いった、「行いってきなさい。わたしはあなたに何なにをしましたか」。19:21 エリシャは彼かれを離はなれて帰かえり、ひとくびきの牛うしを取とって殺ころし、牛うしのくびきを燃もやしてその肉にくを煮に、それを民たみに与あたえて食たべさせ、立たって行いってエリヤに従したがい、彼かれに仕つかえた。 第20章 20:1 スリヤの王おうベネハダデはその軍勢ぐんぜいをことごとく集あつめた。三十二人にんの王おうが彼かれと共ともにおり、また馬うまと戦車せんしゃもあった。彼かれは上のぼってサマリヤを囲かこみ、これを攻せめた。20:2 また彼かれは町まちに使者ししゃをつかわし、イスラエルの王おうアハブに言いった、「ベネハダデはこう申もうします、20:3 『あなたの金銀きんぎんはわたしのもの、またあなたの妻つまたちと子供こどもたちの最もっとも美うつくしい者ものもわたしのものです』」。20:4 イスラエルの王おうは答こたえた、「王おう、わが主しゅよ、仰おおせのとおり、わたしと、わたしの持もち物ものは皆みなあなたのものです」。20:5 使者ししゃは再ふたたびきて言いった、「ベネハダデはこう申もうします、『わたしはさきに人ひとをつかわして、あなたの金銀きんぎん、妻子さいしを引ひきわたせと言いいました。20:6 しかし、あすの今いまごろ、しもべたちをあなたにつかわします。彼かれらはあなたの家いえと、あなたの家来けらいの家いえを探さぐって、すべて彼かれらの気きにいる物ものを手てに入いれて奪うばい去さるでしょう』」。 20:7 そこでイスラエルの王おうは国くにの長老ちょうろうをことごとく召めして言いった、「よく注意ちゅういして、この人ひとが無理むりな事ことを求もとめているのを知しりなさい。彼かれは人ひとをつかわして、わたしの妻子さいしと金銀きんぎんを求もとめたが、わたしはそれを拒こばまなかった」。20:8 すべての長老ちょうろうおよび民たみは皆みな彼かれに言いった、「聞きいてはなりません。承諾しょうだくしてはなりません」。20:9 それで彼かれはベネハダデの使者ししゃに言いった、「王おう、わが主しゅに告つげなさい。『あなたが初はじめに要求ようきゅうされたことは皆みないたしましょう。しかし今度こんどの事ことはできません』」。使者ししゃは去さって復命ふくめいした。20:10 ベネハダデは彼かれに人ひとをつかわして言いった、「もしサマリヤのちりが、わたしに従したがうすべての民たみの手てを満みたすに足たりるならば、神々かみがみがどんなにでも、わたしを罰ばっしてくださるように」。20:11 イスラエルの王おうは答こたえた、「『武具ぶぐを帯おびる者ものは、それを脱ぬぐ者もののように誇ほこってはならない』と告つげなさい」。20:12 ベネハダデは仮かり小屋ごやで、王おうたちと酒さけを飲のんでいたが、この事ことを聞きいて、その家来けらいたちに言いった、「戦たたかいの備そなえをせよ」。彼かれらは町まちにむかって戦たたかいの備そなえをした。 20:13 この時ときひとりの預言者よげんしゃがイスラエルの王おうアハブのもとにきて言いった、「主しゅはこう仰おおせられる、『あなたはこの大軍たいぐんを見みたか。わたしはきょう、これをあなたの手てにわたす。あなたは、わたしが主しゅであることを、知しるようになるであろう』」。20:14 アハブは言いった、「だれにさせましょうか」。彼かれは言いった、「主しゅはこう仰おおせられる、『地方ちほうの代官だいかんの家来けらいたちにさせよ』」。アハブは言いった、「だれが戦たたかいを始はじめましょうか」。彼かれは答こたえた、「あなたです」。20:15 そこでアハブは地方ちほうの代官だいかんの家来けらいたちを調しらべたところ二百三十二人にんあった。次つぎにすべての民たみ、すなわちイスラエルのすべての人ひとを調しらべたところ七千人にんあった。 20:16 彼かれらは昼ひるごろ出でていったが、ベネハダデは仮かり小屋ごやで、味方みかたの三十二人にんの王おうたちと共ともに酒さけを飲のんで酔よっていた。20:17 地方ちほうの代官だいかんの家来けらいたちが先さきに出でていった。ベネハダデは斥候せっこうをつかわしたが、彼かれらは「サマリヤから人々ひとびとが出でてきた」と報告ほうこくしたので、20:18 彼かれは言いった、「和解わかいのために出でてきたのであっても、生いけどりにせよ。また戦たたかいのために出でてきたのであっても、生いけどりにせよ」。 20:19 地方ちほうの代官だいかんの家来けらいたちと、それに従したがう軍勢ぐんぜいが町まちから出でていって、20:20 おのおのその相手あいてを撃うち殺ころしたので、スリヤびとは逃にげた。イスラエルはこれを追おったが、スリヤの王おうベネハダデは馬うまに乗のり、騎兵きへいを従したがえてのがれた。20:21 イスラエルの王おうは出でていって、馬うまと戦車せんしゃをぶんどり、また大おおいにスリヤびとを撃うち殺ころした。 20:22 時ときに、かの預言者よげんしゃがイスラエルの王おうのもとにきて言いった、「行いって、力ちからを養やしない、なすべき事ことをよく考かんがえなさい。来年らいねんの春はるにはスリヤの王おうが、あなたのところに攻せめ上のぼってくるからです」。 20:23 スリヤの王おうの家来けらいたちは王おうに言いった、「彼かれらの神々かみがみは山やまの神かみですから彼かれらがわれわれよりも強つよかったのです。もしわれわれが平地へいちで戦たたかうならば、必かならず彼かれらよりも強つよいでしょう。20:24 それでこうしなさい。王おうたちをおのおのその地位ちいから退しりぞかせ、総督そうとくを置おいてそれに代かわらせなさい。20:25 またあなたが失うしなった軍勢ぐんぜいに等ひとしい軍勢ぐんぜいを集あつめ、馬うまは馬うま、戦車せんしゃは戦車せんしゃをもって補おぎないなさい。こうしてわれわれが平地へいちで戦たたかうならば必かならず彼かれらよりも強つよいでしょう」。彼かれはその言葉ことばを聞ききいれて、そのようにした。 20:26 春はるになって、ベネハダデはスリヤびとを集あつめて、イスラエルと戦たたかうために、アペクに上のぼってきた。20:27 イスラエルの人々ひとびとは召集しょうしゅうされ、糧食りょうしょくを受うけて彼かれらを迎むかえ撃うつために出でかけた。イスラエルの人々ひとびとはやぎの二つの小ちいさい群むれのように彼かれらの前まえに陣取じんどったが、スリヤびとはその地ちに満みちていた。20:28 その時とき神かみの人ひとがきて、イスラエルの王おうに言いった、「主しゅはこう仰おおせられる、『スリヤびとが、主しゅは山やまの神かみであって、谷たにの神かみではないと言いっているから、わたしはこのすべての大軍たいぐんをあなたの手てにわたす。あなたは、わたしが主しゅであることを知しるようになるであろう』」。20:29 彼かれらは七日なぬかの間あいだ、互たがいにむかいあって陣取じんどり、七日なぬか目めになって戦たたかいを交まじえたが、イスラエルの人々ひとびとは一日にちにスリヤびとの歩兵ほへい十万人にんを殺ころした。20:30 そのほかの者ものはアペクの町まちに逃にげこんだが、城壁じょうへきがくずれて、その残のこった二万七千人にんの上うえに倒たおれた。 ベネハダデは逃にげて町まちに入はいり、奥おくの間あいだにはいった。20:31 家来けらいたちは彼かれに言いった、「イスラエルの家いえの王おうたちはあわれみ深ふかい王おうであると聞きいています。それでわれわれの腰こしに荒布あらぬのをつけ、くびになわをかけて、イスラエルの王おうの所ところへ行いかせてください。たぶん彼かれはあなたの命いのちを助たすけるでしょう」。20:32 そこで彼かれらは荒布あらぬのを腰こしにまき、なわをくびにかけてイスラエルの王おうの所ところへ行いって言いった、「あなたのしもべベネハダデが『どうぞ、わたしの命いのちを助たすけてください』と申もうしています」。アハブは言いった、「彼かれはまだ生いきているのですか。彼かれはわたしの兄弟きょうだいです」。20:33 その人々ひとびとはこれを吉兆きっちょうとしてすみやかに彼かれの言葉ことばをうけ、「そうです。ベネハダデはあなたの兄弟きょうだいです」と言いったので、彼かれは言いった、「行いって彼かれをつれてきなさい」。それでベネハダデは彼かれの所ところに出でてきたので、彼かれはこれを自分じぶんの車くるまに乗のせた。20:34 ベネハダデは彼かれに言いった、「わたしの父ちちが、あなたの父上ちちうえから取とった町々まちまちは返かえします。またわたしの父ちちがサマリヤに造つくったように、あなたはダマスコに、あなたのために市場しじょうを設もうけなさい」。アハブは言いった、「わたしはこの契約けいやくをもってあなたを帰かえらせましょう」。こうしてアハブは彼かれと契約けいやくを結むすび、彼かれを帰かえらせた。 20:35 さて預言者よげんしゃのともがらのひとりが主しゅの言葉ことばに従したがってその仲間なかまに言いった、「どうぞ、わたしを撃うってください」。しかしその人ひとは撃うつことを拒こばんだので、20:36 彼かれはその人ひとに言いった、「あなたは主しゅの言葉ことばに聞きき従したがわないゆえ、わたしを離はなれて行いくとすぐ、ししがあなたを殺ころすでしょう」。その人ひとが彼かれのそばを離はなれて行いくとすぐ、ししが彼かれに会あって彼かれを殺ころした。20:37 彼かれはまたほかの人ひとに会あって言いった、「どうぞ、わたしを撃うってください」。するとその人ひとは彼かれを撃うち、撃うって傷きずつけた。20:38 こうしてその預言者よげんしゃは行いって、道みちのかたわらで王おうを待まち、目めにほうたいを当あてて姿すがたを変かえていた。20:39 王おうが通とおり過すぎる時とき、王おうに呼よばわって言いった、「しもべはいくさの中なかに出でて行いきましたが、ある軍人ぐんじんが、ひとりの人ひとをわたしの所ところにつれてきて言いいました、『この人ひとを守まもっていなさい。もし彼かれがいなくなれば、あなたの命いのちを彼かれの命いのちに代かえるか、または銀ぎん一タラントを払はらわなければならない』。20:40 ところが、しもべはあちらこちらと忙いそがしくしていたので、ついに彼かれはいなくなりました」。イスラエルの王おうは彼かれに言いった、「あなたはそのとおりにさばかれなければならない。あなたが自分じぶんでそれを定さだめたのです」。20:41 そこで彼かれが急いそいで目めのほうたいを取とり除のぞいたので、イスラエルの王おうはそれが預言者よげんしゃのひとりであることを知しった。20:42 彼かれは王おうに言いった、「主しゅはこう仰おおせられる、『わたしが滅ほろぼそうと定さだめた人ひとを、あなたは自分じぶんの手てから放はなして行いかせたので、あなたの命いのちは彼かれの命いのちに代かわり、あなたの民たみは彼かれの民たみに代かわるであろう』と」。20:43 イスラエルの王おうは悲かなしみ、かつ怒いかって自分じぶんの家いえにおもむき、サマリヤに帰かえった。 第21章 21:1 さてエズレルびとナボテはエズレルにぶどう畑はたけをもっていたが、サマリヤの王おうアハブの宮殿きゅうでんのかたわらにあったので、21:2 アハブはナボテに言いった、「あなたのぶどう畑はたけはわたしの家いえの近ちかくにあるので、わたしに譲ゆずって青物あおもの畑はたけにさせてください。その代かわり、わたしはそれよりも良よいぶどう畑はたけをあなたにあげましょう。もしお望のぞみならば、その価あたいを金きんでさしあげましょう」。21:3 ナボテはアハブに言いった、「わたしは先祖せんぞの嗣し業ぎょうをあなたに譲ゆずることを断だんじていたしません」。21:4 アハブはエズレルびとナボテが言いった言葉ことばを聞きいて、悲かなしみ、かつ怒いかって家いえにはいった。ナボテが「わたしは先祖せんぞの嗣し業ぎょうをあなたに譲ゆずりません」と言いったからである。アハブは床とこに伏ふし、顔かおをそむけて食事しょくじをしなかった。 21:5 妻つまイゼベルは彼かれの所ところにきて、言いった、「あなたは何なにをそんなに悲かなしんで、食事しょくじをなさらないのですか」。21:6 彼かれは彼女かのじょに言いった、「わたしはエズレルびとナボテに『あなたのぶどう畑はたけを金かねで譲ゆずってください。もし望のぞむならば、その代かわりに、ほかのぶどう畑はたけをあげよう』と言いったが、彼かれは答こたえて『わたしはぶどう畑はたけを譲ゆずりません』と言いったからだ」。21:7 妻つまイゼベルは彼かれに言いった、「あなたが今いまイスラエルを治おさめているのですか。起おきて食事しょくじをし、元気げんきを出だしてください。わたしがエズレルびとナボテのぶどう畑はたけをあなたにあげます」。 21:8 彼女かのじょはアハブの名なで手紙てがみを書かき、彼かれの印しるしをおして、ナボテと同おなじように、その町まちに住すんでいる長老ちょうろうたちと身分みぶんの尊たっとい人々ひとびとに、その手紙てがみを送おくった。21:9 彼女かのじょはその手紙てがみに書かきしるした、「断食だんじきを布告ふこくして、ナボテを民たみのうちの高たかい所ところにすわらせ、21:10 またふたりのよこしまな者ものを彼かれの前まえにすわらせ、そして彼かれを訴うったえて、『あなたは神かみと王おうとをのろった』と言いわせなさい。こうして彼かれを引ひき出だし、石いしで撃うち殺ころしなさい」。21:11 その町まちの人々ひとびと、すなわち、その町まちに住すんでいる長老ちょうろうたちおよび身分みぶんの尊たっとい人々ひとびとは、イゼベルが言いいつかわしたようにした。彼女かのじょが彼かれらに送おくった手紙てがみに書かきしるされていたように、21:12 彼かれらは断食だんじきを布告ふこくして、ナボテを民たみのうちの高たかい所ところにすわらせた。21:13 そしてふたりのよこしまな者ものがはいってきて、その前まえにすわり、そのよこしまな者ものたちが民たみの前まえでナボテを訴うったえて、「ナボテは神かみと王おうとをのろった」と言いった。そこで人々ひとびとは彼かれを町まちの外そとに引ひき出だし、石いしで撃うち殺ころした。21:14 そして人々ひとびとはイゼベルに「ナボテは石いしで撃うち殺ころされた」と言いい送おくった。 21:15 イゼベルはナボテが石いしで撃うち殺ころされたのを聞きくとすぐ、アハブに言いった、「立たって、あのエズレルびとナボテが、あなたに金かねで譲ゆずることを拒こばんだぶどう畑はたけを取とりなさい。ナボテは生いきていません。死しんだのです」。21:16 アハブはナボテの死しんだのを聞きくとすぐ、立たって、エズレルびとナボテのぶどう畑はたけを取とるために、そこへ下くだっていった。 21:17 そのとき、主しゅの言葉ことばがテシベびとエリヤに臨のぞんだ、21:18 「立たって、下くだって行いき、サマリヤにいるイスラエルの王おうアハブに会あいなさい。彼かれはナボテのぶどう畑はたけを取とろうとしてそこへ下くだっている。21:19 あなたは彼かれに言いわなければならない、『主しゅはこう仰おおせられる、あなたは殺ころしたのか、また取とったのか』と。また彼かれに言いいなさい、『主しゅはこう仰おおせられる、犬いぬがナボテの血ちをなめた場所ばしょで、犬いぬがあなたの血ちをなめるであろう』」。 21:20 アハブはエリヤに言いった、「わが敵てきよ、ついに、わたしを見みつけたのか」。彼かれは言いった、「見みつけました。あなたが主しゅの目めの前まえに悪あくを行おこなうことに身みをゆだねたゆえ、21:21 わたしはあなたに災わざわいを下くだし、あなたを全まったく滅ほろぼし、アハブに属ぞくする男おとこは、イスラエルにいてつながれた者ものも、自由じゆうな者ものもことごとく断たち、21:22 またあなたの家いえをネバテの子こヤラベアムの家いえのようにし、アヒヤの子こバアシャの家いえのようにするでしょう。これはあなたがわたしを怒いからせた怒いかりのゆえ、またイスラエルに罪つみを犯おかさせたゆえです。21:23 イゼベルについて、主しゅはまた言いわれました、『犬いぬがエズレルの地域ちいきでイゼベルを食くうであろう』と。21:24 アハブに属ぞくする者ものは、町まちで死しぬ者ものを犬いぬが食くい、野ので死しぬ者ものを空そらの鳥とりが食くうでしょう」。 21:25 アハブのように主しゅの目めの前まえに悪あくを行おこなうことに身みをゆだねた者ものはなかった。その妻つまイゼベルが彼かれをそそのかしたのである。21:26 彼かれは主しゅがイスラエルの人々ひとびとの前まえから追おい払はらわれたアモリびとがしたように偶像ぐうぞうに従したがって、はなはだ憎にくむべき事ことを行おこなった。 21:27 アハブはこれらの言葉ことばを聞きいた時とき、衣ころもを裂さき、荒布あらぬのを身みにまとい、食しょくを断たち、荒布あらぬのに伏ふし、打うちしおれて歩あるいた。21:28 この時とき、主しゅの言葉ことばがテシベびとエリヤに臨のぞんだ、21:29 「アハブがわたしの前まえにへりくだっているのを見みたか。彼かれがわたしの前まえにへりくだっているゆえ、わたしは彼あの世よには災わざわいを下くださない。その子この世よに災わざわいをその家いえに下くだすであろう」。 第22章 22:1 スリヤとイスラエルの間あいだに戦争せんそうがなくて三年ねんを経へた。22:2 しかし三年ねん目めにユダの王おうヨシャパテがイスラエルの王おうの所ところへ下くだっていったので、22:3 イスラエルの王おうはその家来けらいたちに言いった、「あなたがたは、ラモテ・ギレアデがわれわれの所有しょゆうであることを知しっていますか。しかもなおわれわれはスリヤの王おうの手てからそれを取とらずに黙だまっているのです」。22:4 彼かれはヨシャパテに言いった、「ラモテ・ギレアデで戦たたかうためにわたしと一緒いっしょに行いかれませんか」。ヨシャパテはイスラエルの王おうに言いった、「わたしはあなたと一つです。わたしの民たみはあなたの民たみと一つです。わたしの馬うまはあなたの馬うまと一つです」。 22:5 ヨシャパテはまたイスラエルの王おうに言いった、「まず、主しゅの言葉ことばを伺うかがいなさい」。22:6 そこでイスラエルの王おうは預言者よげんしゃ四百人にんばかりを集あつめて、彼かれらに言いった、「わたしはラモテ・ギレアデに戦たたかいに行いくべきでしょうか、あるいは控ひかえるべきでしょうか」。彼かれらは言いった、「上のぼっていきなさい。主しゅはそれを王おうの手てにわたされるでしょう」。22:7 ヨシャパテは言いった、「ここには、われわれの問とうべき主しゅの預言者よげんしゃがほかにいませんか」。22:8 イスラエルの王おうはヨシャパテに言いった、「われわれが主しゅに問とうことのできる人ひとが、まだひとりいます。イムラの子こミカヤです。彼かれはわたしについて良よい事ことを預言よげんせず、ただ悪わるい事ことだけを預言よげんするので、わたしは彼かれを憎にくんでいます」。ヨシャパテは言いった、「王おうよ、そう言いわないでください」。22:9 そこでイスラエルの王おうは役人やくにんを呼よんで、「急いそいでイムラの子こミカヤを連つれてきなさい」と言いった。22:10 さてイスラエルの王おうおよびユダの王おうヨシャパテは王おうの服ふくを着きて、サマリヤの門もんの入口いりぐちの広場ひろばに、おのおのその王座おうざにすわり、預言者よげんしゃたちは皆みなその前まえで預言よげんしていた。22:11 ケナアナの子こゼデキヤは鉄てつの角つのを造つくって言いった、「主しゅはこう仰おおせられます、『あなたはこれらの角つのをもってスリヤびとを突ついて彼かれらを滅ほろぼしなさい』」。22:12 預言者よげんしゃたちは皆みなそのように預言よげんして言いった、「ラモテ・ギレアデに上のぼっていって勝利しょうりを得えなさい。主しゅはそれを王おうの手てにわたされるでしょう」。 22:13 さてミカヤを呼よびにいった使者ししゃは彼かれに言いった、「預言者よげんしゃたちは一致いっちして王おうに良よい事ことを言いいました。どうぞ、あなたも、彼かれらのひとりの言葉ことばのようにして、良よい事ことを言いってください」。22:14 ミカヤは言いった、「主しゅは生いきておられます。主しゅがわたしに言いわれる事ことを申もうしましょう」。22:15 彼かれが王おうの所ところへ行いくと、王おうは彼かれに言いった、「ミカヤよ、われわれはラモテ・ギレアデに戦たたかいに行いくべきでしょうか、あるいは控ひかえるべきでしょうか」。彼かれは王おうに言いった、「上のぼっていって勝利しょうりを得えなさい。主しゅはそれを王おうの手てにわたされるでしょう」。22:16 しかし王おうは彼かれに言いった、「幾いくたびあなたを誓ちかわせたら、あなたは主しゅの名なをもって、ただ真実しんじつのみをわたしに告つげるでしょうか」。22:17 彼かれは言いった、「わたしはイスラエルが皆みな、牧者ぼくしゃのない羊ひつじのように、山やまに散ちっているのを見みました。すると主しゅは『これらの者ものは飼主かいぬしがいない。彼かれらをそれぞれ安やすらかに、その家いえに帰かえらせよ』と言いわれました」。22:18 イスラエルの王おうはヨシャパテに言いった、「彼かれがわたしについて良よい事ことを預言よげんせず、ただ悪わるい事ことだけを預言よげんすると、あなたに告つげたではありませんか」。22:19 ミカヤは言いった、「それゆえ主しゅの言葉ことばを聞ききなさい。わたしは主しゅがその玉座ぎょくざにすわり、天てんの万軍ばんぐんがそのかたわらに、右左みぎひだりに立たっているのを見みたが、22:20 主しゅは『だれがアハブをいざなってラモテ・ギレアデに上のぼらせ、彼かれを倒たおれさせるであろうか』と言いわれました。するとひとりはこの事ことを言いい、ひとりはほかの事ことを言いいました。22:21 その時とき一つの霊れいが進すすみ出でて、主しゅの前まえに立たち、『わたしが彼かれをいざないましょう』と言いいました。22:22 主しゅは『どのような方法ほうほうでするのか』と言いわれたので、彼かれは『わたしが出でて行いって、偽いつわりを言いう霊れいとなって、すべての預言者よげんしゃの口くちに宿やどりましょう』と言いいました。そこで主しゅは『おまえは彼かれをいざなって、それを成なし遂とげるであろう。出でて行いって、そうしなさい』と言いわれました。22:23 それで主しゅは偽いつわりを言いう霊れいをあなたのすべての預言者よげんしゃの口くちに入いれ、また主しゅはあなたの身みに起おこる災わざわいを告つげられたのです」。22:24 するとケナアナの子こゼデキヤは近寄ちかよって、ミカヤのほおを打うって言いった、「どのようにして主しゅの霊れいがわたしを離はなれて、あなたに語かたりましたか」。22:25 ミカヤは言いった、「あなたが奥おくの間あいだにはいって身みを隠かくすその日ひに、わかるでしょう」。22:26 イスラエルの王おうは言いった、「ミカヤを捕とらえ、町まちのつかさアモンと、王おうの子こヨアシの所ところへ引ひいて帰かえって、22:27 言いいなさい、『王おうがこう言いいます、この者ものを獄屋ごくやに入いれ、わずかのパンと水みずをもって彼かれを養やしない、わたしが勝利しょうりを得えて帰かえってくるのを待まて』」。22:28 ミカヤは言いった、「もしあなたが勝利しょうりを得えて帰かえってこられるならば、主しゅがわたしによって語かたられなかったのです」。また彼かれは言いった、「あなたがた、すべての民たみよ、聞ききなさい」。 22:29 こうしてイスラエルの王おうとユダの王おうヨシャパテはラモテ・ギレアデに上のぼっていった。22:30 イスラエルの王おうはヨシャパテに言いった、「わたしは姿すがたを変かえて、戦たたかいに行いきます。あなたは王おうの服ふくを着つけなさい」。イスラエルの王おうは姿すがたを変かえて戦たたかいに行いった。22:31 さて、スリヤの王おうは、その戦車せんしゃ長ちょう三十二人にんに命めいじて言いった、「あなたがたは、小ちいさい者ものとも大おおきい者ものとも戦たたかわないで、ただイスラエルの王おうとだけ戦たたかいなさい」。22:32 戦車せんしゃ長ちょうらはヨシャパテを見みたとき、これはきっとイスラエルの王おうだと思おもったので、身みをめぐらして、これと戦たたかおうとすると、ヨシャパテは呼よばわった。22:33 戦車せんしゃ長ちょうらは彼かれがイスラエルの王おうでないのを見みたので、彼かれを追おうことをやめて引ひき返かえした。22:34 しかし、ひとりの人ひとが何なに心こころなく弓ゆみをひいて、イスラエルの王おうの胸当むねあてと草摺くさずりの間あいだを射いたので、彼かれはその戦車せんしゃの御者ぎょしゃに言いった、「わたしは傷きずを受うけた。戦車せんしゃをめぐらして、わたしを戦場せんじょうから運はこび出だせ」。22:35 その日ひ戦たたかいは激はげしくなった。王おうは戦車せんしゃの中なかにささえられて立たち、スリヤびとにむかっていたが、ついに、夕暮ゆうぐれになって死しんだ。傷きずの血ちは戦車せんしゃの底そこに流ながれた。22:36 日ひの没ぼっするころ、軍勢ぐんぜいの中なかに呼よばわる声こえがした、「めいめいその町まちへ、めいめいその国くにへ帰かえれ」。 22:37 王おうは死しんで、サマリヤへ携たずさえ行いかれた。人々ひとびとは王おうをサマリヤに葬ほうむった。22:38 またその戦車せんしゃをサマリヤの池いけで洗あらったが、犬いぬがその血ちをなめた。また遊女ゆうじょがそこで身みを洗あらった。主しゅが言いわれた言葉ことばのとおりである。22:39 アハブのそのほかの事績じせきと、彼かれがしたすべての事ことと、その建たてた象牙ぞうげの家いえと、その建たてたすべての町まちは、イスラエルの王おうの歴代志れきだいしの書しょにしるされているではないか。22:40 こうしてアハブはその先祖せんぞと共ともに眠ねむって、その子こアハジヤが代かわって王おうとなった。 22:41 アサの子こヨシャパテはイスラエルの王おうアハブの第だい四年ねんにユダの王おうとなった。22:42 ヨシャパテは王おうとなった時とき、三十五歳さいであったが、エルサレムで二十五年ねん世よを治おさめた。その母ははの名なはアズバといい、シルヒの娘むすめであった。22:43 ヨシャパテは父ちちアサのすべての道みちに歩あゆみ、それを離はなれることなく、主しゅの目めにかなう事ことをした。ただし高たかき所ところは除のぞかなかったので、民たみはなお高たかき所ところで犠牲ぎせいをささげ、香こうをたいた。22:44 ヨシャパテはまたイスラエルの王おうと、よしみを結むすんだ。 22:45 ヨシャパテのその他たの事績じせきと、彼かれがあらわした勲功くんこうおよびその戦争せんそうについては、ユダの王おうの歴代志れきだいしの書しょにしるされているではないか。22:46 彼かれは父ちちアサの世よになお残のこっていた神殿しんでん男娼だんしょうたちを国くにのうちから追おい払はらった。 22:47 そのころエドムには王おうがなく、代官だいかんが王おうであった。22:48 ヨシャパテはタルシシの船ふねを造つくって、金きんを獲えるためにオフルに行いかせようとしたが、その船ふねはエジオン・ゲベルで難破なんぱしたため、ついに行いかなかった。22:49 そこでアハブの子こアハジヤはヨシャパテに「わたしの家来けらいをあなたの家来けらいと一緒いっしょに船ふねで行いかせなさい」と言いったが、ヨシャパテは承知しょうちしなかった。22:50 ヨシャパテはその先祖せんぞと共ともに眠ねむって、父ちちダビデの町まちに先祖せんぞと共ともに葬ほうむられ、その子こヨラムが代かわって王おうとなった。 22:51 アハブの子こアハジヤはユダの王おうヨシャパテの第だい十七年ねんにサマリヤでイスラエルの王おうとなり、二年ねんイスラエルを治おさめた。22:52 彼かれは主しゅの目めの前まえに悪あくを行おこない、その父ちちの道みちと、その母ははの道みち、およびかのイスラエルに罪つみを犯おかさせたネバテの子こヤラベアムの道みちに歩あゆみ、22:53 バアルに仕つかえて、それを拝おがみ、イスラエルの神かみ、主しゅを怒いからせた。すべて彼かれの父ちちがしたとおりであった。
17:1 ギレアデのテシベに住すむテシベびとエリヤはアハブに言いった、「わたしの仕つかえているイスラエルの神かみ、主しゅは生いきておられます。わたしの言葉ことばのないうちは、数年すうねん雨あめも露つゆもないでしょう」。
17:2 主しゅの言葉ことばがエリヤに臨のぞんだ、
17:3 「ここを去さって東ひがしにおもむき、ヨルダンの東ひがしにあるケリテ川かわのほとりに身みを隠かくしなさい。
17:4 そしてその川かわの水みずを飲のみなさい。わたしはからすに命めいじて、そこであなたを養やしなわせよう」。
17:5 エリヤは行いって、主しゅの言葉ことばのとおりにした。すなわち行いって、ヨルダンの東ひがしにあるケリテ川かわのほとりに住すんだ。
17:6 すると、からすが朝あさごとに彼かれの所ところにパンと肉にくを運はこび、また夕ゆうごとにパンと肉にくを運はこんできた。そして彼かれはその川かわの水みずを飲のんだ。
17:7 しかし国くにに雨あめがなかったので、しばらくしてその川かわはかれた。
17:8 その時とき、主しゅの言葉ことばが彼かれに臨のぞんで言いった、
17:9 「立たってシドンに属ぞくするザレパテへ行いって、そこに住すみなさい。わたしはそのところのやもめ女おんなに命めいじてあなたを養やしなわせよう」。
17:10 そこで彼かれは立たってザレパテへ行いったが、町まちの門もんに着ついたとき、ひとりのやもめ女おんなが、その所ところでたきぎを拾ひろっていた。彼かれはその女おんなに声こえをかけて言いった、「器うつわに水みずを少すこし持もってきて、わたしに飲のませてください」。
17:11 彼女かのじょが行いって、それを持もってこようとした時とき、彼かれは彼女かのじょを呼よんで言いった、「手てに一口ひとくちのパンを持もってきてください」。
17:12 彼女かのじょは言いった、「あなたの神かみ、主しゅは生いきておられます。わたしにはパンはありません。ただ、かめに一握ひとにぎりの粉こなと、びんに少すこしの油あぶらがあるだけです。今いまわたしはたきぎ二、三本ぼんを拾ひろい、うちへ帰かえって、わたしと子供こどものためにそれを調理ちょうりし、それを食たべて死しのうとしているのです」。
17:13 エリヤは彼女かのじょに言いった、「恐おそれるにはおよばない。行いって、あなたが言いったとおりにしなさい。しかしまず、それでわたしのために小ちいさいパンを、一つ作つくって持もってきなさい。その後のち、あなたと、あなたの子供こどものために作つくりなさい。
17:14 『主しゅが雨あめを地ちのおもてに降ふらす日ひまで、かめの粉こなは尽つきず、びんの油あぶらは絶たえない』とイスラエルの神かみ、主しゅが言いわれるからです」。
17:15 彼女かのじょは行いって、エリヤが言いったとおりにした。彼女かのじょと彼かれおよび彼女かのじょの家族かぞくは久ひさしく食たべた。
17:16 主しゅがエリヤによって言いわれた言葉ことばのように、かめの粉こなは尽つきず、びんの油あぶらは絶たえなかった。
17:17 これらの事ことの後のち、その家いえの主婦しゅふであるこの女おんなの男おとこの子こが病気びょうきになった。その病気びょうきはたいそう重おもく、息いきが絶たえたので、
17:18 彼女かのじょはエリヤに言いった、「神かみの人ひとよ、あなたはわたしに、何なにの恨うらみがあるのですか。あなたはわたしの罪つみを思おもい出ださせるため、またわたしの子こを死しなせるためにおいでになったのですか」。
17:19 エリヤは彼女かのじょに言いった、「子こをわたしによこしなさい」。そして彼女かのじょのふところから子供こどもを取とり、自分じぶんのいる屋上おくじょうのへやへかかえて上のぼり、自分じぶんの寝台しんだいに寝ねかせ、
17:20 主しゅに呼よばわって言いった、「わが神かみ、主しゅよ、あなたはわたしが宿やどっている家いえのやもめにさえ災わざわいをくだして、子供こどもを殺ころされるのですか」。
17:21 そして三度どその子こ供ともの上うえに身みを伸のばし、主しゅに呼よばわって言いった、「わが神かみ、主しゅよ、この子供こどもの魂たましいをもとに帰かえらせてください」。
17:22 主しゅはエリヤの声こえを聞ききいれられたので、その子こ供ともの魂たましいはもとに帰かえって、彼かれは生いきかえった。
17:23 エリヤはその子こ供ともを取とって屋上おくじょうのへやから家いえの中なかにつれて降ふり、その母ははにわたして言いった、「ごらんなさい。あなたの子こは生いきかえりました」。
17:24 女おんなはエリヤに言いった、「今いまわたしはあなたが神かみの人ひとであることと、あなたの口くちにある主しゅの言葉ことばが真実しんじつであることを知しりました」。
第18章 18:1 多おおくの日ひを経へて、三年ねん目めに主しゅの言葉ことばがエリヤに臨のぞんだ、「行いって、あなたの身みをアハブに示しめしなさい。わたしは雨あめを地ちに降ふらせる」。18:2 エリヤはその身みをアハブに示しめそうとして行いった。その時とき、サマリヤにききんが激はげしかった。18:3 アハブは家いえづかさオバデヤを召めした。(オバデヤは深ふかく主しゅを恐おそれる人ひとで、18:4 イゼベルが主しゅの預言者よげんしゃを断たち滅ほろぼした時とき、オバデヤは百人にんの預言者よげんしゃを救すくい出だして五十人にんずつほら穴あなに隠かくし、パンと水みずをもって彼かれらを養やしなった)。18:5 アハブはオバデヤに言いった、「国中くにぢゅうのすべての水みずの源みなもとと、すべての川かわに行いってみるがよい。馬うまと騾馬らばを生いかしておくための草くさがあるかもしれない。そうすれば、われわれは家畜かちくをいくぶんでも失うしなわずにすむであろう」。18:6 彼かれらは行いき巡めぐる地ちをふたりで分わけ、アハブはひとりでこの道みちを行いき、オバデヤはひとりで他たの道みちを行おこなった。 18:7 オバデヤが道みちを進すすんでいた時とき、エリヤが彼かれに会あった。彼かれはエリヤを認みとめて伏ふして言いった、「わが主しゅエリヤよ、あなたはここにおられるのですか」。18:8 エリヤは彼かれに言いった、「そうです。行いって、あなたの主人しゅじんに、エリヤはここにいると告つげなさい」。18:9 彼かれは言いった、「わたしにどんな罪つみがあって、あなたはしもべをアハブの手てにわたして殺ころそうとされるのですか。18:10 あなたの神かみ、主しゅは生いきておられます。わたしの主人しゅじんがあなたを尋たずねるために、人ひとをつかわさない民たみはなく、国くにもありません。そしてエリヤはいないと言いう時ときは、その国くに、その民たみに、あなたが見みつからないという誓ちかいをさせるのです。18:11 あなたは今いま『行いって、エリヤはここにいると主人しゅじんに告つげよ』と言いわれます。18:12 しかしわたしがあなたを離はなれて行いくと、主しゅの霊れいはあなたを、わたしの知しらない所ところへ連つれて行いくでしょう。わたしが行いってアハブに告つげ、彼かれがあなたを見みつけることができなければ、彼かれはわたしを殺ころすでしょう。しかし、しもべは幼おさない時ときから主しゅを恐おそれている者ものです。18:13 イゼベルが主しゅの預言者よげんしゃを殺ころした時ときに、わたしがした事こと、すなわち、わたしが主しゅの預言者よげんしゃのうち百人にんを五十人にんずつほら穴あなに隠かくして、パンと水みずをもって養やしなった事ことを、わが主しゅは聞きかれませんでしたか。18:14 ところが今いまあなたは『行いって、エリヤはここにいると主人しゅじんに告つげよ』と言いわれます。そのようなことをすれば彼かれはわたしを殺ころすでしょう」。18:15 エリヤは言いった、「わたしの仕つかえる万軍ばんぐんの主しゅは生いきておられる。わたしは必かならず、きょう、わたしの身みを彼かれに示しめすであろう」。18:16 オバデヤは行いってアハブに会あい、彼かれに告つげたので、アハブはエリヤに会あおうとして行いった。 18:17 アハブはエリヤを見みたとき、彼かれに言いった、「イスラエルを悩なやます者ものよ、あなたはここにいるのですか」。18:18 彼かれは答こたえた、「わたしがイスラエルを悩なやますのではありません。あなたと、あなたの父ちちの家いえが悩なやましたのです。あなたがたが主しゅの命令めいれいを捨すて、バアルに従したがったためです。18:19 それで今いま、人ひとをつかわしてイスラエルのすべての人ひとおよびバアルの預言者よげんしゃ四百五十人にん、ならびにアシラの預言者よげんしゃ四百人にん、イゼベルの食卓しょくたくで食事しょくじする者ものたちをカルメル山やまに集あつめて、わたしの所ところにこさせなさい」。 18:20 そこでアハブはイスラエルのすべての人ひとに人ひとをつかわして、預言者よげんしゃたちをカルメル山やまに集あつめた。18:21 そのときエリヤはすべての民たみに近ちかづいて言いった、「あなたがたはいつまで二つのものの間あいだに迷まよっているのですか。主しゅが神かみならばそれに従したがいなさい。しかしバアルが神かみならば、それに従したがいなさい」。民たみはひと言ことも彼かれに答こたえなかった。18:22 エリヤは民たみに言いった、「わたしはただひとり残のこった主しゅの預言者よげんしゃです。しかしバアルの預言者よげんしゃは四百五十人にんあります。18:23 われわれに二頭とうの牛うしをください。そして一頭とうの牛うしを彼かれらに選えらばせ、それを切きり裂さいて、たきぎの上うえに載のせ、それに火ひをつけずにおかせなさい。わたしも一頭とうの牛うしを整ととのえ、それをたきぎの上うえに載のせて火ひをつけずにおきましょう。18:24 こうしてあなたがたはあなたがたの神かみの名なを呼よびなさい。わたしは主しゅの名なを呼よびましょう。そして火ひをもって答こたえる神かみを神かみとしましょう」。民たみは皆みな答こたえて「それがよかろう」と言いった。18:25 そこでエリヤはバアルの預言者よげんしゃたちに言いった、「あなたがたは大だいぜいだから初はじめに一頭とうの牛うしを選えらんで、それを整ととのえ、あなたがたの神かみの名なを呼よびなさい。ただし火ひをつけてはなりません」。18:26 彼かれらは与あたえられた牛うしを取とって整ととのえ、朝あさから昼ひるまでバアルの名なを呼よんで「バアルよ、答こたえてください」と言いった。しかしなんの声こえもなく、また答こたえる者ものもなかったので、彼かれらは自分じぶんたちの造つくった祭壇さいだんのまわりに踊おどった。18:27 昼ひるになってエリヤは彼かれらをあざけって言いった、「彼かれは神かみだから、大声おおごえをあげて呼よびなさい。彼かれは考かんがえにふけっているのか、よそへ行いったのか、旅たびに出でたのか、または眠ねむっていて起おこされなければならないのか」。18:28 そこで彼かれらは大声おおごえに呼よばわり、彼かれらのならわしに従したがって、刀かたなとやりで身みを傷きずつけ、血ちをその身みに流ながすに至いたった。18:29 こうして昼ひるが過すぎても彼かれらはなお叫さけび続つづけて、夕ゆうの供そなえ物ものをささげる時ときにまで及およんだ。しかしなんの声こえもなく、答こたえる者ものもなく、また顧かえりみる者ものもなかった。 18:30 その時ときエリヤはすべての民たみにむかって「わたしに近寄ちかよりなさい」と言いったので、民たみは皆みな彼かれに近寄ちかよった。彼かれはこわれている主しゅの祭壇さいだんを繕つくろった。18:31 そしてエリヤは昔むかし、主しゅの言葉ことばがヤコブに臨のぞんで、「イスラエルをあなたの名なとせよ」と言いわれたヤコブの子こらの部族ぶぞくの数かずにしたがって十二の石いしを取とり、18:32 その石いしで主しゅの名なによって祭壇さいだんを築きずき、祭壇さいだんの周囲しゅういに種たね二セヤをいれるほどの大おおきさの、みぞを作つくった。18:33 また、たきぎを並ならべ、牛うしを切きり裂さいてたきぎの上うえに載のせて言いった、「四つのかめに水みずを満みたし、それを燔祭はんさいとたきぎの上うえに注そそげ」。18:34 また言いった、「それを二度どせよ」。二度どそれをすると、また言いった、「三度どそれをせよ」。三度どそれをした。18:35 水みずは祭壇さいだんの周囲しゅういに流ながれた。またみぞにも水みずを満みたした。 18:36 夕ゆうの供そなえ物ものをささげる時ときになって、預言者よげんしゃエリヤは近寄ちかよって言いった、「アブラハム、イサク、ヤコブの神かみ、主しゅよ、イスラエルでは、あなたが神かみであること、わたしがあなたのしもべであって、あなたの言葉ことばに従したがってこのすべての事ことを行おこなったことを、今日こんにち知しらせてください。18:37 主しゅよ、わたしに答こたえてください、わたしに答こたえてください。主しゅよ、この民たみにあなたが神かみであること、またあなたが彼かれらの心こころを翻ひるがえされたのであることを知しらせてください」。18:38 そのとき主しゅの火ひが下くだって燔祭はんさいと、たきぎと、石いしと、ちりとを焼やきつくし、またみぞの水みずをなめつくした。18:39 民たみは皆みな見みて、ひれ伏ふして言いった、「主しゅが神かみである。主しゅが神かみである」。18:40 エリヤは彼かれらに言いった、「バアルの預言者よげんしゃを捕とらえよ。そのひとりも逃にがしてはならない」。そこで彼かれらを捕とらえたので、エリヤは彼かれらをキション川かわに連つれくだって、そこで彼かれらを殺ころした。 18:41 エリヤはアハブに言いった、「大雨おおあめの音おとがするから、上のぼって行いって、食くい飲のみしなさい」。18:42 アハブは食くい飲のみするために上のぼっていった。しかしエリヤはカルメルの頂いただきに登のぼり、地ちに伏ふして顔かおをひざの間あいだに入いれていたが、18:43 彼かれはしもべに言いった、「上のぼっていって海うみの方ほうを見みなさい」。彼かれは上のぼっていって、見みて、「何なにもありません」と言いったので、エリヤは「もう一度ど行いきなさい」と言いって七度どに及およんだ。18:44 七度目どめにしもべは言いった、「海うみから人ひとの手てほどの小ちいさな雲くもが起たっています」。エリヤは言いった、「上のぼっていって、『雨あめにとどめられないように車くるまを整ととのえて下くだれ』とアハブに言いいなさい」。18:45 すると間まもなく、雲くもと風かぜが起おこり、空そらが黒くろくなって大雨おおあめが降ふってきた。アハブは車くるまに乗のってエズレルへ行いった。18:46 また主しゅの手てがエリヤに臨のぞんだので、彼かれは腰こしをからげ、エズレルの入口いりぐちまでアハブの前まえに走はしっていった。 第19章 19:1 アハブはエリヤのしたすべての事こと、また彼かれがすべての預言者よげんしゃを刀かたなで殺ころしたことをイゼベルに告つげたので、19:2 イゼベルは使者ししゃをエリヤにつかわして言いった、「もしわたしが、あすの今いまごろ、あなたの命いのちをあの人々ひとびとのひとりの命いのちのようにしていないならば、神々かみがみがどんなにでも、わたしを罰ばっしてくださるように」。19:3 そこでエリヤは恐おそれて、自分じぶんの命いのちを救すくうために立たって逃にげ、ユダに属ぞくするベエルシバへ行いって、しもべをそこに残のこし、19:4 自分じぶんは一日にちの道みちのりほど荒野あらのにはいって行いって、れだまの木きの下したに座ざし、自分じぶんの死しを求もとめて言いった、「主しゅよ、もはや、じゅうぶんです。今いまわたしの命いのちを取とってください。わたしは先祖せんぞにまさる者ものではありません」。19:5 彼かれはれだまの木きの下したに伏ふして眠ねむったが、天てんの使つかいが彼かれにさわり、「起おきて食たべなさい」と言いったので、19:6 起おきて見みると、頭とうのそばに、焼やけ石いしの上うえで焼やいたパン一個こと、一びんの水みずがあった。彼かれは食たべ、かつ飲のんでまた寝ねた。19:7 主しゅの使つかいは再ふたたびきて、彼かれにさわって言いった、「起おきて食たべなさい。道みちが遠とおくて耐たえられないでしょうから」。19:8 彼かれは起おきて食たべ、かつ飲のみ、その食物しょくもつで力ちからづいて四十日にち四十夜や行いって、神かみの山やまホレブに着ついた。 19:9 その所ところで彼かれはほら穴あなにはいって、そこに宿やどったが、主しゅの言葉ことばが彼かれに臨のぞんで、彼かれに言いわれた、「エリヤよ、あなたはここで何なにをしているのか」。19:10 彼かれは言いった、「わたしは万軍ばんぐんの神かみ、主しゅのために非常ひじょうに熱心ねっしんでありました。イスラエルの人々ひとびとはあなたの契約けいやくを捨すて、あなたの祭壇さいだんをこわし、刀かたなをもってあなたの預言者よげんしゃたちを殺ころしたのです。ただわたしだけ残のこりましたが、彼かれらはわたしの命いのちを取とろうとしています」。19:11 主しゅは言いわれた、「出でて、山やまの上うえで主しゅの前まえに、立たちなさい」。その時とき主しゅは通とおり過すぎられ、主しゅの前まえに大おおきな強つよい風かぜが吹ふき、山やまを裂さき、岩いわを砕くだいた。しかし主しゅは風かぜの中なかにおられなかった。風かぜの後のちに地震じしんがあったが、地震じしんの中なかにも主しゅはおられなかった。19:12 地震じしんの後のちに火ひがあったが、火ひの中なかにも主しゅはおられなかった。火ひの後のちに静しずかな細ほそい声こえが聞きこえた。19:13 エリヤはそれを聞きいて顔かおを外套がいとうに包つつみ、出でてほら穴あなの口くちに立たつと、彼かれに語かたる声こえが聞きこえた、「エリヤよ、あなたはここで何なにをしているのか」。19:14 彼かれは言いった、「わたしは万軍ばんぐんの神かみ、主しゅのために非常ひじょうに熱心ねっしんでありました。イスラエルの人々ひとびとはあなたの契約けいやくを捨すて、あなたの祭壇さいだんをこわし、刀かたなであなたの預言者よげんしゃたちを殺ころしたからです。ただわたしだけ残のこりましたが、彼かれらはわたしの命いのちを取とろうとしています」。19:15 主しゅは彼かれに言いわれた、「あなたの道みちを帰かえって行いって、ダマスコの荒野あらのにおもむき、ダマスコに着ついて、ハザエルに油あぶらを注そそぎ、スリヤの王おうとしなさい。19:16 またニムシの子こエヒウに油あぶらを注そそいでイスラエルの王おうとしなさい。またアベルメホラのシャパテの子こエリシャに油あぶらを注そそいで、あなたに代かわって預言者よげんしゃとしなさい。19:17 ハザエルのつるぎをのがれる者ものをエヒウが殺ころし、エヒウのつるぎをのがれる者ものをエリシャが殺ころすであろう。19:18 また、わたしはイスラエルのうちに七千人にんを残のこすであろう。皆みなバアルにひざをかがめず、それに口くちづけしない者ものである」。 19:19 さてエリヤはそこを去さって行いって、シャパテの子こエリシャに会あった。彼かれは十二くびきの牛うしを前まえに行いかせ、自分じぶんは十二番目ばんめのくびきと共ともにいて耕たがやしていた。エリヤは彼かれのかたわらを通とおり過すぎて外套がいとうを彼かれの上うえにかけた。19:20 エリシャは牛うしを捨すて、エリヤのあとに走はしってきて言いった、「わたしの父母ふぼに口くちづけさせてください。そして後のちあなたに従したがいましょう」。エリヤは彼かれに言いった、「行いってきなさい。わたしはあなたに何なにをしましたか」。19:21 エリシャは彼かれを離はなれて帰かえり、ひとくびきの牛うしを取とって殺ころし、牛うしのくびきを燃もやしてその肉にくを煮に、それを民たみに与あたえて食たべさせ、立たって行いってエリヤに従したがい、彼かれに仕つかえた。 第20章 20:1 スリヤの王おうベネハダデはその軍勢ぐんぜいをことごとく集あつめた。三十二人にんの王おうが彼かれと共ともにおり、また馬うまと戦車せんしゃもあった。彼かれは上のぼってサマリヤを囲かこみ、これを攻せめた。20:2 また彼かれは町まちに使者ししゃをつかわし、イスラエルの王おうアハブに言いった、「ベネハダデはこう申もうします、20:3 『あなたの金銀きんぎんはわたしのもの、またあなたの妻つまたちと子供こどもたちの最もっとも美うつくしい者ものもわたしのものです』」。20:4 イスラエルの王おうは答こたえた、「王おう、わが主しゅよ、仰おおせのとおり、わたしと、わたしの持もち物ものは皆みなあなたのものです」。20:5 使者ししゃは再ふたたびきて言いった、「ベネハダデはこう申もうします、『わたしはさきに人ひとをつかわして、あなたの金銀きんぎん、妻子さいしを引ひきわたせと言いいました。20:6 しかし、あすの今いまごろ、しもべたちをあなたにつかわします。彼かれらはあなたの家いえと、あなたの家来けらいの家いえを探さぐって、すべて彼かれらの気きにいる物ものを手てに入いれて奪うばい去さるでしょう』」。 20:7 そこでイスラエルの王おうは国くにの長老ちょうろうをことごとく召めして言いった、「よく注意ちゅういして、この人ひとが無理むりな事ことを求もとめているのを知しりなさい。彼かれは人ひとをつかわして、わたしの妻子さいしと金銀きんぎんを求もとめたが、わたしはそれを拒こばまなかった」。20:8 すべての長老ちょうろうおよび民たみは皆みな彼かれに言いった、「聞きいてはなりません。承諾しょうだくしてはなりません」。20:9 それで彼かれはベネハダデの使者ししゃに言いった、「王おう、わが主しゅに告つげなさい。『あなたが初はじめに要求ようきゅうされたことは皆みないたしましょう。しかし今度こんどの事ことはできません』」。使者ししゃは去さって復命ふくめいした。20:10 ベネハダデは彼かれに人ひとをつかわして言いった、「もしサマリヤのちりが、わたしに従したがうすべての民たみの手てを満みたすに足たりるならば、神々かみがみがどんなにでも、わたしを罰ばっしてくださるように」。20:11 イスラエルの王おうは答こたえた、「『武具ぶぐを帯おびる者ものは、それを脱ぬぐ者もののように誇ほこってはならない』と告つげなさい」。20:12 ベネハダデは仮かり小屋ごやで、王おうたちと酒さけを飲のんでいたが、この事ことを聞きいて、その家来けらいたちに言いった、「戦たたかいの備そなえをせよ」。彼かれらは町まちにむかって戦たたかいの備そなえをした。 20:13 この時ときひとりの預言者よげんしゃがイスラエルの王おうアハブのもとにきて言いった、「主しゅはこう仰おおせられる、『あなたはこの大軍たいぐんを見みたか。わたしはきょう、これをあなたの手てにわたす。あなたは、わたしが主しゅであることを、知しるようになるであろう』」。20:14 アハブは言いった、「だれにさせましょうか」。彼かれは言いった、「主しゅはこう仰おおせられる、『地方ちほうの代官だいかんの家来けらいたちにさせよ』」。アハブは言いった、「だれが戦たたかいを始はじめましょうか」。彼かれは答こたえた、「あなたです」。20:15 そこでアハブは地方ちほうの代官だいかんの家来けらいたちを調しらべたところ二百三十二人にんあった。次つぎにすべての民たみ、すなわちイスラエルのすべての人ひとを調しらべたところ七千人にんあった。 20:16 彼かれらは昼ひるごろ出でていったが、ベネハダデは仮かり小屋ごやで、味方みかたの三十二人にんの王おうたちと共ともに酒さけを飲のんで酔よっていた。20:17 地方ちほうの代官だいかんの家来けらいたちが先さきに出でていった。ベネハダデは斥候せっこうをつかわしたが、彼かれらは「サマリヤから人々ひとびとが出でてきた」と報告ほうこくしたので、20:18 彼かれは言いった、「和解わかいのために出でてきたのであっても、生いけどりにせよ。また戦たたかいのために出でてきたのであっても、生いけどりにせよ」。 20:19 地方ちほうの代官だいかんの家来けらいたちと、それに従したがう軍勢ぐんぜいが町まちから出でていって、20:20 おのおのその相手あいてを撃うち殺ころしたので、スリヤびとは逃にげた。イスラエルはこれを追おったが、スリヤの王おうベネハダデは馬うまに乗のり、騎兵きへいを従したがえてのがれた。20:21 イスラエルの王おうは出でていって、馬うまと戦車せんしゃをぶんどり、また大おおいにスリヤびとを撃うち殺ころした。 20:22 時ときに、かの預言者よげんしゃがイスラエルの王おうのもとにきて言いった、「行いって、力ちからを養やしない、なすべき事ことをよく考かんがえなさい。来年らいねんの春はるにはスリヤの王おうが、あなたのところに攻せめ上のぼってくるからです」。 20:23 スリヤの王おうの家来けらいたちは王おうに言いった、「彼かれらの神々かみがみは山やまの神かみですから彼かれらがわれわれよりも強つよかったのです。もしわれわれが平地へいちで戦たたかうならば、必かならず彼かれらよりも強つよいでしょう。20:24 それでこうしなさい。王おうたちをおのおのその地位ちいから退しりぞかせ、総督そうとくを置おいてそれに代かわらせなさい。20:25 またあなたが失うしなった軍勢ぐんぜいに等ひとしい軍勢ぐんぜいを集あつめ、馬うまは馬うま、戦車せんしゃは戦車せんしゃをもって補おぎないなさい。こうしてわれわれが平地へいちで戦たたかうならば必かならず彼かれらよりも強つよいでしょう」。彼かれはその言葉ことばを聞ききいれて、そのようにした。 20:26 春はるになって、ベネハダデはスリヤびとを集あつめて、イスラエルと戦たたかうために、アペクに上のぼってきた。20:27 イスラエルの人々ひとびとは召集しょうしゅうされ、糧食りょうしょくを受うけて彼かれらを迎むかえ撃うつために出でかけた。イスラエルの人々ひとびとはやぎの二つの小ちいさい群むれのように彼かれらの前まえに陣取じんどったが、スリヤびとはその地ちに満みちていた。20:28 その時とき神かみの人ひとがきて、イスラエルの王おうに言いった、「主しゅはこう仰おおせられる、『スリヤびとが、主しゅは山やまの神かみであって、谷たにの神かみではないと言いっているから、わたしはこのすべての大軍たいぐんをあなたの手てにわたす。あなたは、わたしが主しゅであることを知しるようになるであろう』」。20:29 彼かれらは七日なぬかの間あいだ、互たがいにむかいあって陣取じんどり、七日なぬか目めになって戦たたかいを交まじえたが、イスラエルの人々ひとびとは一日にちにスリヤびとの歩兵ほへい十万人にんを殺ころした。20:30 そのほかの者ものはアペクの町まちに逃にげこんだが、城壁じょうへきがくずれて、その残のこった二万七千人にんの上うえに倒たおれた。 ベネハダデは逃にげて町まちに入はいり、奥おくの間あいだにはいった。20:31 家来けらいたちは彼かれに言いった、「イスラエルの家いえの王おうたちはあわれみ深ふかい王おうであると聞きいています。それでわれわれの腰こしに荒布あらぬのをつけ、くびになわをかけて、イスラエルの王おうの所ところへ行いかせてください。たぶん彼かれはあなたの命いのちを助たすけるでしょう」。20:32 そこで彼かれらは荒布あらぬのを腰こしにまき、なわをくびにかけてイスラエルの王おうの所ところへ行いって言いった、「あなたのしもべベネハダデが『どうぞ、わたしの命いのちを助たすけてください』と申もうしています」。アハブは言いった、「彼かれはまだ生いきているのですか。彼かれはわたしの兄弟きょうだいです」。20:33 その人々ひとびとはこれを吉兆きっちょうとしてすみやかに彼かれの言葉ことばをうけ、「そうです。ベネハダデはあなたの兄弟きょうだいです」と言いったので、彼かれは言いった、「行いって彼かれをつれてきなさい」。それでベネハダデは彼かれの所ところに出でてきたので、彼かれはこれを自分じぶんの車くるまに乗のせた。20:34 ベネハダデは彼かれに言いった、「わたしの父ちちが、あなたの父上ちちうえから取とった町々まちまちは返かえします。またわたしの父ちちがサマリヤに造つくったように、あなたはダマスコに、あなたのために市場しじょうを設もうけなさい」。アハブは言いった、「わたしはこの契約けいやくをもってあなたを帰かえらせましょう」。こうしてアハブは彼かれと契約けいやくを結むすび、彼かれを帰かえらせた。 20:35 さて預言者よげんしゃのともがらのひとりが主しゅの言葉ことばに従したがってその仲間なかまに言いった、「どうぞ、わたしを撃うってください」。しかしその人ひとは撃うつことを拒こばんだので、20:36 彼かれはその人ひとに言いった、「あなたは主しゅの言葉ことばに聞きき従したがわないゆえ、わたしを離はなれて行いくとすぐ、ししがあなたを殺ころすでしょう」。その人ひとが彼かれのそばを離はなれて行いくとすぐ、ししが彼かれに会あって彼かれを殺ころした。20:37 彼かれはまたほかの人ひとに会あって言いった、「どうぞ、わたしを撃うってください」。するとその人ひとは彼かれを撃うち、撃うって傷きずつけた。20:38 こうしてその預言者よげんしゃは行いって、道みちのかたわらで王おうを待まち、目めにほうたいを当あてて姿すがたを変かえていた。20:39 王おうが通とおり過すぎる時とき、王おうに呼よばわって言いった、「しもべはいくさの中なかに出でて行いきましたが、ある軍人ぐんじんが、ひとりの人ひとをわたしの所ところにつれてきて言いいました、『この人ひとを守まもっていなさい。もし彼かれがいなくなれば、あなたの命いのちを彼かれの命いのちに代かえるか、または銀ぎん一タラントを払はらわなければならない』。20:40 ところが、しもべはあちらこちらと忙いそがしくしていたので、ついに彼かれはいなくなりました」。イスラエルの王おうは彼かれに言いった、「あなたはそのとおりにさばかれなければならない。あなたが自分じぶんでそれを定さだめたのです」。20:41 そこで彼かれが急いそいで目めのほうたいを取とり除のぞいたので、イスラエルの王おうはそれが預言者よげんしゃのひとりであることを知しった。20:42 彼かれは王おうに言いった、「主しゅはこう仰おおせられる、『わたしが滅ほろぼそうと定さだめた人ひとを、あなたは自分じぶんの手てから放はなして行いかせたので、あなたの命いのちは彼かれの命いのちに代かわり、あなたの民たみは彼かれの民たみに代かわるであろう』と」。20:43 イスラエルの王おうは悲かなしみ、かつ怒いかって自分じぶんの家いえにおもむき、サマリヤに帰かえった。 第21章 21:1 さてエズレルびとナボテはエズレルにぶどう畑はたけをもっていたが、サマリヤの王おうアハブの宮殿きゅうでんのかたわらにあったので、21:2 アハブはナボテに言いった、「あなたのぶどう畑はたけはわたしの家いえの近ちかくにあるので、わたしに譲ゆずって青物あおもの畑はたけにさせてください。その代かわり、わたしはそれよりも良よいぶどう畑はたけをあなたにあげましょう。もしお望のぞみならば、その価あたいを金きんでさしあげましょう」。21:3 ナボテはアハブに言いった、「わたしは先祖せんぞの嗣し業ぎょうをあなたに譲ゆずることを断だんじていたしません」。21:4 アハブはエズレルびとナボテが言いった言葉ことばを聞きいて、悲かなしみ、かつ怒いかって家いえにはいった。ナボテが「わたしは先祖せんぞの嗣し業ぎょうをあなたに譲ゆずりません」と言いったからである。アハブは床とこに伏ふし、顔かおをそむけて食事しょくじをしなかった。 21:5 妻つまイゼベルは彼かれの所ところにきて、言いった、「あなたは何なにをそんなに悲かなしんで、食事しょくじをなさらないのですか」。21:6 彼かれは彼女かのじょに言いった、「わたしはエズレルびとナボテに『あなたのぶどう畑はたけを金かねで譲ゆずってください。もし望のぞむならば、その代かわりに、ほかのぶどう畑はたけをあげよう』と言いったが、彼かれは答こたえて『わたしはぶどう畑はたけを譲ゆずりません』と言いったからだ」。21:7 妻つまイゼベルは彼かれに言いった、「あなたが今いまイスラエルを治おさめているのですか。起おきて食事しょくじをし、元気げんきを出だしてください。わたしがエズレルびとナボテのぶどう畑はたけをあなたにあげます」。 21:8 彼女かのじょはアハブの名なで手紙てがみを書かき、彼かれの印しるしをおして、ナボテと同おなじように、その町まちに住すんでいる長老ちょうろうたちと身分みぶんの尊たっとい人々ひとびとに、その手紙てがみを送おくった。21:9 彼女かのじょはその手紙てがみに書かきしるした、「断食だんじきを布告ふこくして、ナボテを民たみのうちの高たかい所ところにすわらせ、21:10 またふたりのよこしまな者ものを彼かれの前まえにすわらせ、そして彼かれを訴うったえて、『あなたは神かみと王おうとをのろった』と言いわせなさい。こうして彼かれを引ひき出だし、石いしで撃うち殺ころしなさい」。21:11 その町まちの人々ひとびと、すなわち、その町まちに住すんでいる長老ちょうろうたちおよび身分みぶんの尊たっとい人々ひとびとは、イゼベルが言いいつかわしたようにした。彼女かのじょが彼かれらに送おくった手紙てがみに書かきしるされていたように、21:12 彼かれらは断食だんじきを布告ふこくして、ナボテを民たみのうちの高たかい所ところにすわらせた。21:13 そしてふたりのよこしまな者ものがはいってきて、その前まえにすわり、そのよこしまな者ものたちが民たみの前まえでナボテを訴うったえて、「ナボテは神かみと王おうとをのろった」と言いった。そこで人々ひとびとは彼かれを町まちの外そとに引ひき出だし、石いしで撃うち殺ころした。21:14 そして人々ひとびとはイゼベルに「ナボテは石いしで撃うち殺ころされた」と言いい送おくった。 21:15 イゼベルはナボテが石いしで撃うち殺ころされたのを聞きくとすぐ、アハブに言いった、「立たって、あのエズレルびとナボテが、あなたに金かねで譲ゆずることを拒こばんだぶどう畑はたけを取とりなさい。ナボテは生いきていません。死しんだのです」。21:16 アハブはナボテの死しんだのを聞きくとすぐ、立たって、エズレルびとナボテのぶどう畑はたけを取とるために、そこへ下くだっていった。 21:17 そのとき、主しゅの言葉ことばがテシベびとエリヤに臨のぞんだ、21:18 「立たって、下くだって行いき、サマリヤにいるイスラエルの王おうアハブに会あいなさい。彼かれはナボテのぶどう畑はたけを取とろうとしてそこへ下くだっている。21:19 あなたは彼かれに言いわなければならない、『主しゅはこう仰おおせられる、あなたは殺ころしたのか、また取とったのか』と。また彼かれに言いいなさい、『主しゅはこう仰おおせられる、犬いぬがナボテの血ちをなめた場所ばしょで、犬いぬがあなたの血ちをなめるであろう』」。 21:20 アハブはエリヤに言いった、「わが敵てきよ、ついに、わたしを見みつけたのか」。彼かれは言いった、「見みつけました。あなたが主しゅの目めの前まえに悪あくを行おこなうことに身みをゆだねたゆえ、21:21 わたしはあなたに災わざわいを下くだし、あなたを全まったく滅ほろぼし、アハブに属ぞくする男おとこは、イスラエルにいてつながれた者ものも、自由じゆうな者ものもことごとく断たち、21:22 またあなたの家いえをネバテの子こヤラベアムの家いえのようにし、アヒヤの子こバアシャの家いえのようにするでしょう。これはあなたがわたしを怒いからせた怒いかりのゆえ、またイスラエルに罪つみを犯おかさせたゆえです。21:23 イゼベルについて、主しゅはまた言いわれました、『犬いぬがエズレルの地域ちいきでイゼベルを食くうであろう』と。21:24 アハブに属ぞくする者ものは、町まちで死しぬ者ものを犬いぬが食くい、野ので死しぬ者ものを空そらの鳥とりが食くうでしょう」。 21:25 アハブのように主しゅの目めの前まえに悪あくを行おこなうことに身みをゆだねた者ものはなかった。その妻つまイゼベルが彼かれをそそのかしたのである。21:26 彼かれは主しゅがイスラエルの人々ひとびとの前まえから追おい払はらわれたアモリびとがしたように偶像ぐうぞうに従したがって、はなはだ憎にくむべき事ことを行おこなった。 21:27 アハブはこれらの言葉ことばを聞きいた時とき、衣ころもを裂さき、荒布あらぬのを身みにまとい、食しょくを断たち、荒布あらぬのに伏ふし、打うちしおれて歩あるいた。21:28 この時とき、主しゅの言葉ことばがテシベびとエリヤに臨のぞんだ、21:29 「アハブがわたしの前まえにへりくだっているのを見みたか。彼かれがわたしの前まえにへりくだっているゆえ、わたしは彼あの世よには災わざわいを下くださない。その子この世よに災わざわいをその家いえに下くだすであろう」。 第22章 22:1 スリヤとイスラエルの間あいだに戦争せんそうがなくて三年ねんを経へた。22:2 しかし三年ねん目めにユダの王おうヨシャパテがイスラエルの王おうの所ところへ下くだっていったので、22:3 イスラエルの王おうはその家来けらいたちに言いった、「あなたがたは、ラモテ・ギレアデがわれわれの所有しょゆうであることを知しっていますか。しかもなおわれわれはスリヤの王おうの手てからそれを取とらずに黙だまっているのです」。22:4 彼かれはヨシャパテに言いった、「ラモテ・ギレアデで戦たたかうためにわたしと一緒いっしょに行いかれませんか」。ヨシャパテはイスラエルの王おうに言いった、「わたしはあなたと一つです。わたしの民たみはあなたの民たみと一つです。わたしの馬うまはあなたの馬うまと一つです」。 22:5 ヨシャパテはまたイスラエルの王おうに言いった、「まず、主しゅの言葉ことばを伺うかがいなさい」。22:6 そこでイスラエルの王おうは預言者よげんしゃ四百人にんばかりを集あつめて、彼かれらに言いった、「わたしはラモテ・ギレアデに戦たたかいに行いくべきでしょうか、あるいは控ひかえるべきでしょうか」。彼かれらは言いった、「上のぼっていきなさい。主しゅはそれを王おうの手てにわたされるでしょう」。22:7 ヨシャパテは言いった、「ここには、われわれの問とうべき主しゅの預言者よげんしゃがほかにいませんか」。22:8 イスラエルの王おうはヨシャパテに言いった、「われわれが主しゅに問とうことのできる人ひとが、まだひとりいます。イムラの子こミカヤです。彼かれはわたしについて良よい事ことを預言よげんせず、ただ悪わるい事ことだけを預言よげんするので、わたしは彼かれを憎にくんでいます」。ヨシャパテは言いった、「王おうよ、そう言いわないでください」。22:9 そこでイスラエルの王おうは役人やくにんを呼よんで、「急いそいでイムラの子こミカヤを連つれてきなさい」と言いった。22:10 さてイスラエルの王おうおよびユダの王おうヨシャパテは王おうの服ふくを着きて、サマリヤの門もんの入口いりぐちの広場ひろばに、おのおのその王座おうざにすわり、預言者よげんしゃたちは皆みなその前まえで預言よげんしていた。22:11 ケナアナの子こゼデキヤは鉄てつの角つのを造つくって言いった、「主しゅはこう仰おおせられます、『あなたはこれらの角つのをもってスリヤびとを突ついて彼かれらを滅ほろぼしなさい』」。22:12 預言者よげんしゃたちは皆みなそのように預言よげんして言いった、「ラモテ・ギレアデに上のぼっていって勝利しょうりを得えなさい。主しゅはそれを王おうの手てにわたされるでしょう」。 22:13 さてミカヤを呼よびにいった使者ししゃは彼かれに言いった、「預言者よげんしゃたちは一致いっちして王おうに良よい事ことを言いいました。どうぞ、あなたも、彼かれらのひとりの言葉ことばのようにして、良よい事ことを言いってください」。22:14 ミカヤは言いった、「主しゅは生いきておられます。主しゅがわたしに言いわれる事ことを申もうしましょう」。22:15 彼かれが王おうの所ところへ行いくと、王おうは彼かれに言いった、「ミカヤよ、われわれはラモテ・ギレアデに戦たたかいに行いくべきでしょうか、あるいは控ひかえるべきでしょうか」。彼かれは王おうに言いった、「上のぼっていって勝利しょうりを得えなさい。主しゅはそれを王おうの手てにわたされるでしょう」。22:16 しかし王おうは彼かれに言いった、「幾いくたびあなたを誓ちかわせたら、あなたは主しゅの名なをもって、ただ真実しんじつのみをわたしに告つげるでしょうか」。22:17 彼かれは言いった、「わたしはイスラエルが皆みな、牧者ぼくしゃのない羊ひつじのように、山やまに散ちっているのを見みました。すると主しゅは『これらの者ものは飼主かいぬしがいない。彼かれらをそれぞれ安やすらかに、その家いえに帰かえらせよ』と言いわれました」。22:18 イスラエルの王おうはヨシャパテに言いった、「彼かれがわたしについて良よい事ことを預言よげんせず、ただ悪わるい事ことだけを預言よげんすると、あなたに告つげたではありませんか」。22:19 ミカヤは言いった、「それゆえ主しゅの言葉ことばを聞ききなさい。わたしは主しゅがその玉座ぎょくざにすわり、天てんの万軍ばんぐんがそのかたわらに、右左みぎひだりに立たっているのを見みたが、22:20 主しゅは『だれがアハブをいざなってラモテ・ギレアデに上のぼらせ、彼かれを倒たおれさせるであろうか』と言いわれました。するとひとりはこの事ことを言いい、ひとりはほかの事ことを言いいました。22:21 その時とき一つの霊れいが進すすみ出でて、主しゅの前まえに立たち、『わたしが彼かれをいざないましょう』と言いいました。22:22 主しゅは『どのような方法ほうほうでするのか』と言いわれたので、彼かれは『わたしが出でて行いって、偽いつわりを言いう霊れいとなって、すべての預言者よげんしゃの口くちに宿やどりましょう』と言いいました。そこで主しゅは『おまえは彼かれをいざなって、それを成なし遂とげるであろう。出でて行いって、そうしなさい』と言いわれました。22:23 それで主しゅは偽いつわりを言いう霊れいをあなたのすべての預言者よげんしゃの口くちに入いれ、また主しゅはあなたの身みに起おこる災わざわいを告つげられたのです」。22:24 するとケナアナの子こゼデキヤは近寄ちかよって、ミカヤのほおを打うって言いった、「どのようにして主しゅの霊れいがわたしを離はなれて、あなたに語かたりましたか」。22:25 ミカヤは言いった、「あなたが奥おくの間あいだにはいって身みを隠かくすその日ひに、わかるでしょう」。22:26 イスラエルの王おうは言いった、「ミカヤを捕とらえ、町まちのつかさアモンと、王おうの子こヨアシの所ところへ引ひいて帰かえって、22:27 言いいなさい、『王おうがこう言いいます、この者ものを獄屋ごくやに入いれ、わずかのパンと水みずをもって彼かれを養やしない、わたしが勝利しょうりを得えて帰かえってくるのを待まて』」。22:28 ミカヤは言いった、「もしあなたが勝利しょうりを得えて帰かえってこられるならば、主しゅがわたしによって語かたられなかったのです」。また彼かれは言いった、「あなたがた、すべての民たみよ、聞ききなさい」。 22:29 こうしてイスラエルの王おうとユダの王おうヨシャパテはラモテ・ギレアデに上のぼっていった。22:30 イスラエルの王おうはヨシャパテに言いった、「わたしは姿すがたを変かえて、戦たたかいに行いきます。あなたは王おうの服ふくを着つけなさい」。イスラエルの王おうは姿すがたを変かえて戦たたかいに行いった。22:31 さて、スリヤの王おうは、その戦車せんしゃ長ちょう三十二人にんに命めいじて言いった、「あなたがたは、小ちいさい者ものとも大おおきい者ものとも戦たたかわないで、ただイスラエルの王おうとだけ戦たたかいなさい」。22:32 戦車せんしゃ長ちょうらはヨシャパテを見みたとき、これはきっとイスラエルの王おうだと思おもったので、身みをめぐらして、これと戦たたかおうとすると、ヨシャパテは呼よばわった。22:33 戦車せんしゃ長ちょうらは彼かれがイスラエルの王おうでないのを見みたので、彼かれを追おうことをやめて引ひき返かえした。22:34 しかし、ひとりの人ひとが何なに心こころなく弓ゆみをひいて、イスラエルの王おうの胸当むねあてと草摺くさずりの間あいだを射いたので、彼かれはその戦車せんしゃの御者ぎょしゃに言いった、「わたしは傷きずを受うけた。戦車せんしゃをめぐらして、わたしを戦場せんじょうから運はこび出だせ」。22:35 その日ひ戦たたかいは激はげしくなった。王おうは戦車せんしゃの中なかにささえられて立たち、スリヤびとにむかっていたが、ついに、夕暮ゆうぐれになって死しんだ。傷きずの血ちは戦車せんしゃの底そこに流ながれた。22:36 日ひの没ぼっするころ、軍勢ぐんぜいの中なかに呼よばわる声こえがした、「めいめいその町まちへ、めいめいその国くにへ帰かえれ」。 22:37 王おうは死しんで、サマリヤへ携たずさえ行いかれた。人々ひとびとは王おうをサマリヤに葬ほうむった。22:38 またその戦車せんしゃをサマリヤの池いけで洗あらったが、犬いぬがその血ちをなめた。また遊女ゆうじょがそこで身みを洗あらった。主しゅが言いわれた言葉ことばのとおりである。22:39 アハブのそのほかの事績じせきと、彼かれがしたすべての事ことと、その建たてた象牙ぞうげの家いえと、その建たてたすべての町まちは、イスラエルの王おうの歴代志れきだいしの書しょにしるされているではないか。22:40 こうしてアハブはその先祖せんぞと共ともに眠ねむって、その子こアハジヤが代かわって王おうとなった。 22:41 アサの子こヨシャパテはイスラエルの王おうアハブの第だい四年ねんにユダの王おうとなった。22:42 ヨシャパテは王おうとなった時とき、三十五歳さいであったが、エルサレムで二十五年ねん世よを治おさめた。その母ははの名なはアズバといい、シルヒの娘むすめであった。22:43 ヨシャパテは父ちちアサのすべての道みちに歩あゆみ、それを離はなれることなく、主しゅの目めにかなう事ことをした。ただし高たかき所ところは除のぞかなかったので、民たみはなお高たかき所ところで犠牲ぎせいをささげ、香こうをたいた。22:44 ヨシャパテはまたイスラエルの王おうと、よしみを結むすんだ。 22:45 ヨシャパテのその他たの事績じせきと、彼かれがあらわした勲功くんこうおよびその戦争せんそうについては、ユダの王おうの歴代志れきだいしの書しょにしるされているではないか。22:46 彼かれは父ちちアサの世よになお残のこっていた神殿しんでん男娼だんしょうたちを国くにのうちから追おい払はらった。 22:47 そのころエドムには王おうがなく、代官だいかんが王おうであった。22:48 ヨシャパテはタルシシの船ふねを造つくって、金きんを獲えるためにオフルに行いかせようとしたが、その船ふねはエジオン・ゲベルで難破なんぱしたため、ついに行いかなかった。22:49 そこでアハブの子こアハジヤはヨシャパテに「わたしの家来けらいをあなたの家来けらいと一緒いっしょに船ふねで行いかせなさい」と言いったが、ヨシャパテは承知しょうちしなかった。22:50 ヨシャパテはその先祖せんぞと共ともに眠ねむって、父ちちダビデの町まちに先祖せんぞと共ともに葬ほうむられ、その子こヨラムが代かわって王おうとなった。 22:51 アハブの子こアハジヤはユダの王おうヨシャパテの第だい十七年ねんにサマリヤでイスラエルの王おうとなり、二年ねんイスラエルを治おさめた。22:52 彼かれは主しゅの目めの前まえに悪あくを行おこない、その父ちちの道みちと、その母ははの道みち、およびかのイスラエルに罪つみを犯おかさせたネバテの子こヤラベアムの道みちに歩あゆみ、22:53 バアルに仕つかえて、それを拝おがみ、イスラエルの神かみ、主しゅを怒いからせた。すべて彼かれの父ちちがしたとおりであった。
18:1 多おおくの日ひを経へて、三年ねん目めに主しゅの言葉ことばがエリヤに臨のぞんだ、「行いって、あなたの身みをアハブに示しめしなさい。わたしは雨あめを地ちに降ふらせる」。
18:2 エリヤはその身みをアハブに示しめそうとして行いった。その時とき、サマリヤにききんが激はげしかった。
18:3 アハブは家いえづかさオバデヤを召めした。(オバデヤは深ふかく主しゅを恐おそれる人ひとで、
18:4 イゼベルが主しゅの預言者よげんしゃを断たち滅ほろぼした時とき、オバデヤは百人にんの預言者よげんしゃを救すくい出だして五十人にんずつほら穴あなに隠かくし、パンと水みずをもって彼かれらを養やしなった)。
18:5 アハブはオバデヤに言いった、「国中くにぢゅうのすべての水みずの源みなもとと、すべての川かわに行いってみるがよい。馬うまと騾馬らばを生いかしておくための草くさがあるかもしれない。そうすれば、われわれは家畜かちくをいくぶんでも失うしなわずにすむであろう」。
18:6 彼かれらは行いき巡めぐる地ちをふたりで分わけ、アハブはひとりでこの道みちを行いき、オバデヤはひとりで他たの道みちを行おこなった。
18:7 オバデヤが道みちを進すすんでいた時とき、エリヤが彼かれに会あった。彼かれはエリヤを認みとめて伏ふして言いった、「わが主しゅエリヤよ、あなたはここにおられるのですか」。
18:8 エリヤは彼かれに言いった、「そうです。行いって、あなたの主人しゅじんに、エリヤはここにいると告つげなさい」。
18:9 彼かれは言いった、「わたしにどんな罪つみがあって、あなたはしもべをアハブの手てにわたして殺ころそうとされるのですか。
18:10 あなたの神かみ、主しゅは生いきておられます。わたしの主人しゅじんがあなたを尋たずねるために、人ひとをつかわさない民たみはなく、国くにもありません。そしてエリヤはいないと言いう時ときは、その国くに、その民たみに、あなたが見みつからないという誓ちかいをさせるのです。
18:11 あなたは今いま『行いって、エリヤはここにいると主人しゅじんに告つげよ』と言いわれます。
18:12 しかしわたしがあなたを離はなれて行いくと、主しゅの霊れいはあなたを、わたしの知しらない所ところへ連つれて行いくでしょう。わたしが行いってアハブに告つげ、彼かれがあなたを見みつけることができなければ、彼かれはわたしを殺ころすでしょう。しかし、しもべは幼おさない時ときから主しゅを恐おそれている者ものです。
18:13 イゼベルが主しゅの預言者よげんしゃを殺ころした時ときに、わたしがした事こと、すなわち、わたしが主しゅの預言者よげんしゃのうち百人にんを五十人にんずつほら穴あなに隠かくして、パンと水みずをもって養やしなった事ことを、わが主しゅは聞きかれませんでしたか。
18:14 ところが今いまあなたは『行いって、エリヤはここにいると主人しゅじんに告つげよ』と言いわれます。そのようなことをすれば彼かれはわたしを殺ころすでしょう」。
18:15 エリヤは言いった、「わたしの仕つかえる万軍ばんぐんの主しゅは生いきておられる。わたしは必かならず、きょう、わたしの身みを彼かれに示しめすであろう」。
18:16 オバデヤは行いってアハブに会あい、彼かれに告つげたので、アハブはエリヤに会あおうとして行いった。
18:17 アハブはエリヤを見みたとき、彼かれに言いった、「イスラエルを悩なやます者ものよ、あなたはここにいるのですか」。
18:18 彼かれは答こたえた、「わたしがイスラエルを悩なやますのではありません。あなたと、あなたの父ちちの家いえが悩なやましたのです。あなたがたが主しゅの命令めいれいを捨すて、バアルに従したがったためです。
18:19 それで今いま、人ひとをつかわしてイスラエルのすべての人ひとおよびバアルの預言者よげんしゃ四百五十人にん、ならびにアシラの預言者よげんしゃ四百人にん、イゼベルの食卓しょくたくで食事しょくじする者ものたちをカルメル山やまに集あつめて、わたしの所ところにこさせなさい」。
18:20 そこでアハブはイスラエルのすべての人ひとに人ひとをつかわして、預言者よげんしゃたちをカルメル山やまに集あつめた。
18:21 そのときエリヤはすべての民たみに近ちかづいて言いった、「あなたがたはいつまで二つのものの間あいだに迷まよっているのですか。主しゅが神かみならばそれに従したがいなさい。しかしバアルが神かみならば、それに従したがいなさい」。民たみはひと言ことも彼かれに答こたえなかった。
18:22 エリヤは民たみに言いった、「わたしはただひとり残のこった主しゅの預言者よげんしゃです。しかしバアルの預言者よげんしゃは四百五十人にんあります。
18:23 われわれに二頭とうの牛うしをください。そして一頭とうの牛うしを彼かれらに選えらばせ、それを切きり裂さいて、たきぎの上うえに載のせ、それに火ひをつけずにおかせなさい。わたしも一頭とうの牛うしを整ととのえ、それをたきぎの上うえに載のせて火ひをつけずにおきましょう。
18:24 こうしてあなたがたはあなたがたの神かみの名なを呼よびなさい。わたしは主しゅの名なを呼よびましょう。そして火ひをもって答こたえる神かみを神かみとしましょう」。民たみは皆みな答こたえて「それがよかろう」と言いった。
18:25 そこでエリヤはバアルの預言者よげんしゃたちに言いった、「あなたがたは大だいぜいだから初はじめに一頭とうの牛うしを選えらんで、それを整ととのえ、あなたがたの神かみの名なを呼よびなさい。ただし火ひをつけてはなりません」。
18:26 彼かれらは与あたえられた牛うしを取とって整ととのえ、朝あさから昼ひるまでバアルの名なを呼よんで「バアルよ、答こたえてください」と言いった。しかしなんの声こえもなく、また答こたえる者ものもなかったので、彼かれらは自分じぶんたちの造つくった祭壇さいだんのまわりに踊おどった。
18:27 昼ひるになってエリヤは彼かれらをあざけって言いった、「彼かれは神かみだから、大声おおごえをあげて呼よびなさい。彼かれは考かんがえにふけっているのか、よそへ行いったのか、旅たびに出でたのか、または眠ねむっていて起おこされなければならないのか」。
18:28 そこで彼かれらは大声おおごえに呼よばわり、彼かれらのならわしに従したがって、刀かたなとやりで身みを傷きずつけ、血ちをその身みに流ながすに至いたった。
18:29 こうして昼ひるが過すぎても彼かれらはなお叫さけび続つづけて、夕ゆうの供そなえ物ものをささげる時ときにまで及およんだ。しかしなんの声こえもなく、答こたえる者ものもなく、また顧かえりみる者ものもなかった。
18:30 その時ときエリヤはすべての民たみにむかって「わたしに近寄ちかよりなさい」と言いったので、民たみは皆みな彼かれに近寄ちかよった。彼かれはこわれている主しゅの祭壇さいだんを繕つくろった。
18:31 そしてエリヤは昔むかし、主しゅの言葉ことばがヤコブに臨のぞんで、「イスラエルをあなたの名なとせよ」と言いわれたヤコブの子こらの部族ぶぞくの数かずにしたがって十二の石いしを取とり、
18:32 その石いしで主しゅの名なによって祭壇さいだんを築きずき、祭壇さいだんの周囲しゅういに種たね二セヤをいれるほどの大おおきさの、みぞを作つくった。
18:33 また、たきぎを並ならべ、牛うしを切きり裂さいてたきぎの上うえに載のせて言いった、「四つのかめに水みずを満みたし、それを燔祭はんさいとたきぎの上うえに注そそげ」。
18:34 また言いった、「それを二度どせよ」。二度どそれをすると、また言いった、「三度どそれをせよ」。三度どそれをした。
18:35 水みずは祭壇さいだんの周囲しゅういに流ながれた。またみぞにも水みずを満みたした。
18:36 夕ゆうの供そなえ物ものをささげる時ときになって、預言者よげんしゃエリヤは近寄ちかよって言いった、「アブラハム、イサク、ヤコブの神かみ、主しゅよ、イスラエルでは、あなたが神かみであること、わたしがあなたのしもべであって、あなたの言葉ことばに従したがってこのすべての事ことを行おこなったことを、今日こんにち知しらせてください。
18:37 主しゅよ、わたしに答こたえてください、わたしに答こたえてください。主しゅよ、この民たみにあなたが神かみであること、またあなたが彼かれらの心こころを翻ひるがえされたのであることを知しらせてください」。
18:38 そのとき主しゅの火ひが下くだって燔祭はんさいと、たきぎと、石いしと、ちりとを焼やきつくし、またみぞの水みずをなめつくした。
18:39 民たみは皆みな見みて、ひれ伏ふして言いった、「主しゅが神かみである。主しゅが神かみである」。
18:40 エリヤは彼かれらに言いった、「バアルの預言者よげんしゃを捕とらえよ。そのひとりも逃にがしてはならない」。そこで彼かれらを捕とらえたので、エリヤは彼かれらをキション川かわに連つれくだって、そこで彼かれらを殺ころした。
18:41 エリヤはアハブに言いった、「大雨おおあめの音おとがするから、上のぼって行いって、食くい飲のみしなさい」。
18:42 アハブは食くい飲のみするために上のぼっていった。しかしエリヤはカルメルの頂いただきに登のぼり、地ちに伏ふして顔かおをひざの間あいだに入いれていたが、
18:43 彼かれはしもべに言いった、「上のぼっていって海うみの方ほうを見みなさい」。彼かれは上のぼっていって、見みて、「何なにもありません」と言いったので、エリヤは「もう一度ど行いきなさい」と言いって七度どに及およんだ。
18:44 七度目どめにしもべは言いった、「海うみから人ひとの手てほどの小ちいさな雲くもが起たっています」。エリヤは言いった、「上のぼっていって、『雨あめにとどめられないように車くるまを整ととのえて下くだれ』とアハブに言いいなさい」。
18:45 すると間まもなく、雲くもと風かぜが起おこり、空そらが黒くろくなって大雨おおあめが降ふってきた。アハブは車くるまに乗のってエズレルへ行いった。
18:46 また主しゅの手てがエリヤに臨のぞんだので、彼かれは腰こしをからげ、エズレルの入口いりぐちまでアハブの前まえに走はしっていった。
第19章 19:1 アハブはエリヤのしたすべての事こと、また彼かれがすべての預言者よげんしゃを刀かたなで殺ころしたことをイゼベルに告つげたので、19:2 イゼベルは使者ししゃをエリヤにつかわして言いった、「もしわたしが、あすの今いまごろ、あなたの命いのちをあの人々ひとびとのひとりの命いのちのようにしていないならば、神々かみがみがどんなにでも、わたしを罰ばっしてくださるように」。19:3 そこでエリヤは恐おそれて、自分じぶんの命いのちを救すくうために立たって逃にげ、ユダに属ぞくするベエルシバへ行いって、しもべをそこに残のこし、19:4 自分じぶんは一日にちの道みちのりほど荒野あらのにはいって行いって、れだまの木きの下したに座ざし、自分じぶんの死しを求もとめて言いった、「主しゅよ、もはや、じゅうぶんです。今いまわたしの命いのちを取とってください。わたしは先祖せんぞにまさる者ものではありません」。19:5 彼かれはれだまの木きの下したに伏ふして眠ねむったが、天てんの使つかいが彼かれにさわり、「起おきて食たべなさい」と言いったので、19:6 起おきて見みると、頭とうのそばに、焼やけ石いしの上うえで焼やいたパン一個こと、一びんの水みずがあった。彼かれは食たべ、かつ飲のんでまた寝ねた。19:7 主しゅの使つかいは再ふたたびきて、彼かれにさわって言いった、「起おきて食たべなさい。道みちが遠とおくて耐たえられないでしょうから」。19:8 彼かれは起おきて食たべ、かつ飲のみ、その食物しょくもつで力ちからづいて四十日にち四十夜や行いって、神かみの山やまホレブに着ついた。 19:9 その所ところで彼かれはほら穴あなにはいって、そこに宿やどったが、主しゅの言葉ことばが彼かれに臨のぞんで、彼かれに言いわれた、「エリヤよ、あなたはここで何なにをしているのか」。19:10 彼かれは言いった、「わたしは万軍ばんぐんの神かみ、主しゅのために非常ひじょうに熱心ねっしんでありました。イスラエルの人々ひとびとはあなたの契約けいやくを捨すて、あなたの祭壇さいだんをこわし、刀かたなをもってあなたの預言者よげんしゃたちを殺ころしたのです。ただわたしだけ残のこりましたが、彼かれらはわたしの命いのちを取とろうとしています」。19:11 主しゅは言いわれた、「出でて、山やまの上うえで主しゅの前まえに、立たちなさい」。その時とき主しゅは通とおり過すぎられ、主しゅの前まえに大おおきな強つよい風かぜが吹ふき、山やまを裂さき、岩いわを砕くだいた。しかし主しゅは風かぜの中なかにおられなかった。風かぜの後のちに地震じしんがあったが、地震じしんの中なかにも主しゅはおられなかった。19:12 地震じしんの後のちに火ひがあったが、火ひの中なかにも主しゅはおられなかった。火ひの後のちに静しずかな細ほそい声こえが聞きこえた。19:13 エリヤはそれを聞きいて顔かおを外套がいとうに包つつみ、出でてほら穴あなの口くちに立たつと、彼かれに語かたる声こえが聞きこえた、「エリヤよ、あなたはここで何なにをしているのか」。19:14 彼かれは言いった、「わたしは万軍ばんぐんの神かみ、主しゅのために非常ひじょうに熱心ねっしんでありました。イスラエルの人々ひとびとはあなたの契約けいやくを捨すて、あなたの祭壇さいだんをこわし、刀かたなであなたの預言者よげんしゃたちを殺ころしたからです。ただわたしだけ残のこりましたが、彼かれらはわたしの命いのちを取とろうとしています」。19:15 主しゅは彼かれに言いわれた、「あなたの道みちを帰かえって行いって、ダマスコの荒野あらのにおもむき、ダマスコに着ついて、ハザエルに油あぶらを注そそぎ、スリヤの王おうとしなさい。19:16 またニムシの子こエヒウに油あぶらを注そそいでイスラエルの王おうとしなさい。またアベルメホラのシャパテの子こエリシャに油あぶらを注そそいで、あなたに代かわって預言者よげんしゃとしなさい。19:17 ハザエルのつるぎをのがれる者ものをエヒウが殺ころし、エヒウのつるぎをのがれる者ものをエリシャが殺ころすであろう。19:18 また、わたしはイスラエルのうちに七千人にんを残のこすであろう。皆みなバアルにひざをかがめず、それに口くちづけしない者ものである」。 19:19 さてエリヤはそこを去さって行いって、シャパテの子こエリシャに会あった。彼かれは十二くびきの牛うしを前まえに行いかせ、自分じぶんは十二番目ばんめのくびきと共ともにいて耕たがやしていた。エリヤは彼かれのかたわらを通とおり過すぎて外套がいとうを彼かれの上うえにかけた。19:20 エリシャは牛うしを捨すて、エリヤのあとに走はしってきて言いった、「わたしの父母ふぼに口くちづけさせてください。そして後のちあなたに従したがいましょう」。エリヤは彼かれに言いった、「行いってきなさい。わたしはあなたに何なにをしましたか」。19:21 エリシャは彼かれを離はなれて帰かえり、ひとくびきの牛うしを取とって殺ころし、牛うしのくびきを燃もやしてその肉にくを煮に、それを民たみに与あたえて食たべさせ、立たって行いってエリヤに従したがい、彼かれに仕つかえた。 第20章 20:1 スリヤの王おうベネハダデはその軍勢ぐんぜいをことごとく集あつめた。三十二人にんの王おうが彼かれと共ともにおり、また馬うまと戦車せんしゃもあった。彼かれは上のぼってサマリヤを囲かこみ、これを攻せめた。20:2 また彼かれは町まちに使者ししゃをつかわし、イスラエルの王おうアハブに言いった、「ベネハダデはこう申もうします、20:3 『あなたの金銀きんぎんはわたしのもの、またあなたの妻つまたちと子供こどもたちの最もっとも美うつくしい者ものもわたしのものです』」。20:4 イスラエルの王おうは答こたえた、「王おう、わが主しゅよ、仰おおせのとおり、わたしと、わたしの持もち物ものは皆みなあなたのものです」。20:5 使者ししゃは再ふたたびきて言いった、「ベネハダデはこう申もうします、『わたしはさきに人ひとをつかわして、あなたの金銀きんぎん、妻子さいしを引ひきわたせと言いいました。20:6 しかし、あすの今いまごろ、しもべたちをあなたにつかわします。彼かれらはあなたの家いえと、あなたの家来けらいの家いえを探さぐって、すべて彼かれらの気きにいる物ものを手てに入いれて奪うばい去さるでしょう』」。 20:7 そこでイスラエルの王おうは国くにの長老ちょうろうをことごとく召めして言いった、「よく注意ちゅういして、この人ひとが無理むりな事ことを求もとめているのを知しりなさい。彼かれは人ひとをつかわして、わたしの妻子さいしと金銀きんぎんを求もとめたが、わたしはそれを拒こばまなかった」。20:8 すべての長老ちょうろうおよび民たみは皆みな彼かれに言いった、「聞きいてはなりません。承諾しょうだくしてはなりません」。20:9 それで彼かれはベネハダデの使者ししゃに言いった、「王おう、わが主しゅに告つげなさい。『あなたが初はじめに要求ようきゅうされたことは皆みないたしましょう。しかし今度こんどの事ことはできません』」。使者ししゃは去さって復命ふくめいした。20:10 ベネハダデは彼かれに人ひとをつかわして言いった、「もしサマリヤのちりが、わたしに従したがうすべての民たみの手てを満みたすに足たりるならば、神々かみがみがどんなにでも、わたしを罰ばっしてくださるように」。20:11 イスラエルの王おうは答こたえた、「『武具ぶぐを帯おびる者ものは、それを脱ぬぐ者もののように誇ほこってはならない』と告つげなさい」。20:12 ベネハダデは仮かり小屋ごやで、王おうたちと酒さけを飲のんでいたが、この事ことを聞きいて、その家来けらいたちに言いった、「戦たたかいの備そなえをせよ」。彼かれらは町まちにむかって戦たたかいの備そなえをした。 20:13 この時ときひとりの預言者よげんしゃがイスラエルの王おうアハブのもとにきて言いった、「主しゅはこう仰おおせられる、『あなたはこの大軍たいぐんを見みたか。わたしはきょう、これをあなたの手てにわたす。あなたは、わたしが主しゅであることを、知しるようになるであろう』」。20:14 アハブは言いった、「だれにさせましょうか」。彼かれは言いった、「主しゅはこう仰おおせられる、『地方ちほうの代官だいかんの家来けらいたちにさせよ』」。アハブは言いった、「だれが戦たたかいを始はじめましょうか」。彼かれは答こたえた、「あなたです」。20:15 そこでアハブは地方ちほうの代官だいかんの家来けらいたちを調しらべたところ二百三十二人にんあった。次つぎにすべての民たみ、すなわちイスラエルのすべての人ひとを調しらべたところ七千人にんあった。 20:16 彼かれらは昼ひるごろ出でていったが、ベネハダデは仮かり小屋ごやで、味方みかたの三十二人にんの王おうたちと共ともに酒さけを飲のんで酔よっていた。20:17 地方ちほうの代官だいかんの家来けらいたちが先さきに出でていった。ベネハダデは斥候せっこうをつかわしたが、彼かれらは「サマリヤから人々ひとびとが出でてきた」と報告ほうこくしたので、20:18 彼かれは言いった、「和解わかいのために出でてきたのであっても、生いけどりにせよ。また戦たたかいのために出でてきたのであっても、生いけどりにせよ」。 20:19 地方ちほうの代官だいかんの家来けらいたちと、それに従したがう軍勢ぐんぜいが町まちから出でていって、20:20 おのおのその相手あいてを撃うち殺ころしたので、スリヤびとは逃にげた。イスラエルはこれを追おったが、スリヤの王おうベネハダデは馬うまに乗のり、騎兵きへいを従したがえてのがれた。20:21 イスラエルの王おうは出でていって、馬うまと戦車せんしゃをぶんどり、また大おおいにスリヤびとを撃うち殺ころした。 20:22 時ときに、かの預言者よげんしゃがイスラエルの王おうのもとにきて言いった、「行いって、力ちからを養やしない、なすべき事ことをよく考かんがえなさい。来年らいねんの春はるにはスリヤの王おうが、あなたのところに攻せめ上のぼってくるからです」。 20:23 スリヤの王おうの家来けらいたちは王おうに言いった、「彼かれらの神々かみがみは山やまの神かみですから彼かれらがわれわれよりも強つよかったのです。もしわれわれが平地へいちで戦たたかうならば、必かならず彼かれらよりも強つよいでしょう。20:24 それでこうしなさい。王おうたちをおのおのその地位ちいから退しりぞかせ、総督そうとくを置おいてそれに代かわらせなさい。20:25 またあなたが失うしなった軍勢ぐんぜいに等ひとしい軍勢ぐんぜいを集あつめ、馬うまは馬うま、戦車せんしゃは戦車せんしゃをもって補おぎないなさい。こうしてわれわれが平地へいちで戦たたかうならば必かならず彼かれらよりも強つよいでしょう」。彼かれはその言葉ことばを聞ききいれて、そのようにした。 20:26 春はるになって、ベネハダデはスリヤびとを集あつめて、イスラエルと戦たたかうために、アペクに上のぼってきた。20:27 イスラエルの人々ひとびとは召集しょうしゅうされ、糧食りょうしょくを受うけて彼かれらを迎むかえ撃うつために出でかけた。イスラエルの人々ひとびとはやぎの二つの小ちいさい群むれのように彼かれらの前まえに陣取じんどったが、スリヤびとはその地ちに満みちていた。20:28 その時とき神かみの人ひとがきて、イスラエルの王おうに言いった、「主しゅはこう仰おおせられる、『スリヤびとが、主しゅは山やまの神かみであって、谷たにの神かみではないと言いっているから、わたしはこのすべての大軍たいぐんをあなたの手てにわたす。あなたは、わたしが主しゅであることを知しるようになるであろう』」。20:29 彼かれらは七日なぬかの間あいだ、互たがいにむかいあって陣取じんどり、七日なぬか目めになって戦たたかいを交まじえたが、イスラエルの人々ひとびとは一日にちにスリヤびとの歩兵ほへい十万人にんを殺ころした。20:30 そのほかの者ものはアペクの町まちに逃にげこんだが、城壁じょうへきがくずれて、その残のこった二万七千人にんの上うえに倒たおれた。 ベネハダデは逃にげて町まちに入はいり、奥おくの間あいだにはいった。20:31 家来けらいたちは彼かれに言いった、「イスラエルの家いえの王おうたちはあわれみ深ふかい王おうであると聞きいています。それでわれわれの腰こしに荒布あらぬのをつけ、くびになわをかけて、イスラエルの王おうの所ところへ行いかせてください。たぶん彼かれはあなたの命いのちを助たすけるでしょう」。20:32 そこで彼かれらは荒布あらぬのを腰こしにまき、なわをくびにかけてイスラエルの王おうの所ところへ行いって言いった、「あなたのしもべベネハダデが『どうぞ、わたしの命いのちを助たすけてください』と申もうしています」。アハブは言いった、「彼かれはまだ生いきているのですか。彼かれはわたしの兄弟きょうだいです」。20:33 その人々ひとびとはこれを吉兆きっちょうとしてすみやかに彼かれの言葉ことばをうけ、「そうです。ベネハダデはあなたの兄弟きょうだいです」と言いったので、彼かれは言いった、「行いって彼かれをつれてきなさい」。それでベネハダデは彼かれの所ところに出でてきたので、彼かれはこれを自分じぶんの車くるまに乗のせた。20:34 ベネハダデは彼かれに言いった、「わたしの父ちちが、あなたの父上ちちうえから取とった町々まちまちは返かえします。またわたしの父ちちがサマリヤに造つくったように、あなたはダマスコに、あなたのために市場しじょうを設もうけなさい」。アハブは言いった、「わたしはこの契約けいやくをもってあなたを帰かえらせましょう」。こうしてアハブは彼かれと契約けいやくを結むすび、彼かれを帰かえらせた。 20:35 さて預言者よげんしゃのともがらのひとりが主しゅの言葉ことばに従したがってその仲間なかまに言いった、「どうぞ、わたしを撃うってください」。しかしその人ひとは撃うつことを拒こばんだので、20:36 彼かれはその人ひとに言いった、「あなたは主しゅの言葉ことばに聞きき従したがわないゆえ、わたしを離はなれて行いくとすぐ、ししがあなたを殺ころすでしょう」。その人ひとが彼かれのそばを離はなれて行いくとすぐ、ししが彼かれに会あって彼かれを殺ころした。20:37 彼かれはまたほかの人ひとに会あって言いった、「どうぞ、わたしを撃うってください」。するとその人ひとは彼かれを撃うち、撃うって傷きずつけた。20:38 こうしてその預言者よげんしゃは行いって、道みちのかたわらで王おうを待まち、目めにほうたいを当あてて姿すがたを変かえていた。20:39 王おうが通とおり過すぎる時とき、王おうに呼よばわって言いった、「しもべはいくさの中なかに出でて行いきましたが、ある軍人ぐんじんが、ひとりの人ひとをわたしの所ところにつれてきて言いいました、『この人ひとを守まもっていなさい。もし彼かれがいなくなれば、あなたの命いのちを彼かれの命いのちに代かえるか、または銀ぎん一タラントを払はらわなければならない』。20:40 ところが、しもべはあちらこちらと忙いそがしくしていたので、ついに彼かれはいなくなりました」。イスラエルの王おうは彼かれに言いった、「あなたはそのとおりにさばかれなければならない。あなたが自分じぶんでそれを定さだめたのです」。20:41 そこで彼かれが急いそいで目めのほうたいを取とり除のぞいたので、イスラエルの王おうはそれが預言者よげんしゃのひとりであることを知しった。20:42 彼かれは王おうに言いった、「主しゅはこう仰おおせられる、『わたしが滅ほろぼそうと定さだめた人ひとを、あなたは自分じぶんの手てから放はなして行いかせたので、あなたの命いのちは彼かれの命いのちに代かわり、あなたの民たみは彼かれの民たみに代かわるであろう』と」。20:43 イスラエルの王おうは悲かなしみ、かつ怒いかって自分じぶんの家いえにおもむき、サマリヤに帰かえった。 第21章 21:1 さてエズレルびとナボテはエズレルにぶどう畑はたけをもっていたが、サマリヤの王おうアハブの宮殿きゅうでんのかたわらにあったので、21:2 アハブはナボテに言いった、「あなたのぶどう畑はたけはわたしの家いえの近ちかくにあるので、わたしに譲ゆずって青物あおもの畑はたけにさせてください。その代かわり、わたしはそれよりも良よいぶどう畑はたけをあなたにあげましょう。もしお望のぞみならば、その価あたいを金きんでさしあげましょう」。21:3 ナボテはアハブに言いった、「わたしは先祖せんぞの嗣し業ぎょうをあなたに譲ゆずることを断だんじていたしません」。21:4 アハブはエズレルびとナボテが言いった言葉ことばを聞きいて、悲かなしみ、かつ怒いかって家いえにはいった。ナボテが「わたしは先祖せんぞの嗣し業ぎょうをあなたに譲ゆずりません」と言いったからである。アハブは床とこに伏ふし、顔かおをそむけて食事しょくじをしなかった。 21:5 妻つまイゼベルは彼かれの所ところにきて、言いった、「あなたは何なにをそんなに悲かなしんで、食事しょくじをなさらないのですか」。21:6 彼かれは彼女かのじょに言いった、「わたしはエズレルびとナボテに『あなたのぶどう畑はたけを金かねで譲ゆずってください。もし望のぞむならば、その代かわりに、ほかのぶどう畑はたけをあげよう』と言いったが、彼かれは答こたえて『わたしはぶどう畑はたけを譲ゆずりません』と言いったからだ」。21:7 妻つまイゼベルは彼かれに言いった、「あなたが今いまイスラエルを治おさめているのですか。起おきて食事しょくじをし、元気げんきを出だしてください。わたしがエズレルびとナボテのぶどう畑はたけをあなたにあげます」。 21:8 彼女かのじょはアハブの名なで手紙てがみを書かき、彼かれの印しるしをおして、ナボテと同おなじように、その町まちに住すんでいる長老ちょうろうたちと身分みぶんの尊たっとい人々ひとびとに、その手紙てがみを送おくった。21:9 彼女かのじょはその手紙てがみに書かきしるした、「断食だんじきを布告ふこくして、ナボテを民たみのうちの高たかい所ところにすわらせ、21:10 またふたりのよこしまな者ものを彼かれの前まえにすわらせ、そして彼かれを訴うったえて、『あなたは神かみと王おうとをのろった』と言いわせなさい。こうして彼かれを引ひき出だし、石いしで撃うち殺ころしなさい」。21:11 その町まちの人々ひとびと、すなわち、その町まちに住すんでいる長老ちょうろうたちおよび身分みぶんの尊たっとい人々ひとびとは、イゼベルが言いいつかわしたようにした。彼女かのじょが彼かれらに送おくった手紙てがみに書かきしるされていたように、21:12 彼かれらは断食だんじきを布告ふこくして、ナボテを民たみのうちの高たかい所ところにすわらせた。21:13 そしてふたりのよこしまな者ものがはいってきて、その前まえにすわり、そのよこしまな者ものたちが民たみの前まえでナボテを訴うったえて、「ナボテは神かみと王おうとをのろった」と言いった。そこで人々ひとびとは彼かれを町まちの外そとに引ひき出だし、石いしで撃うち殺ころした。21:14 そして人々ひとびとはイゼベルに「ナボテは石いしで撃うち殺ころされた」と言いい送おくった。 21:15 イゼベルはナボテが石いしで撃うち殺ころされたのを聞きくとすぐ、アハブに言いった、「立たって、あのエズレルびとナボテが、あなたに金かねで譲ゆずることを拒こばんだぶどう畑はたけを取とりなさい。ナボテは生いきていません。死しんだのです」。21:16 アハブはナボテの死しんだのを聞きくとすぐ、立たって、エズレルびとナボテのぶどう畑はたけを取とるために、そこへ下くだっていった。 21:17 そのとき、主しゅの言葉ことばがテシベびとエリヤに臨のぞんだ、21:18 「立たって、下くだって行いき、サマリヤにいるイスラエルの王おうアハブに会あいなさい。彼かれはナボテのぶどう畑はたけを取とろうとしてそこへ下くだっている。21:19 あなたは彼かれに言いわなければならない、『主しゅはこう仰おおせられる、あなたは殺ころしたのか、また取とったのか』と。また彼かれに言いいなさい、『主しゅはこう仰おおせられる、犬いぬがナボテの血ちをなめた場所ばしょで、犬いぬがあなたの血ちをなめるであろう』」。 21:20 アハブはエリヤに言いった、「わが敵てきよ、ついに、わたしを見みつけたのか」。彼かれは言いった、「見みつけました。あなたが主しゅの目めの前まえに悪あくを行おこなうことに身みをゆだねたゆえ、21:21 わたしはあなたに災わざわいを下くだし、あなたを全まったく滅ほろぼし、アハブに属ぞくする男おとこは、イスラエルにいてつながれた者ものも、自由じゆうな者ものもことごとく断たち、21:22 またあなたの家いえをネバテの子こヤラベアムの家いえのようにし、アヒヤの子こバアシャの家いえのようにするでしょう。これはあなたがわたしを怒いからせた怒いかりのゆえ、またイスラエルに罪つみを犯おかさせたゆえです。21:23 イゼベルについて、主しゅはまた言いわれました、『犬いぬがエズレルの地域ちいきでイゼベルを食くうであろう』と。21:24 アハブに属ぞくする者ものは、町まちで死しぬ者ものを犬いぬが食くい、野ので死しぬ者ものを空そらの鳥とりが食くうでしょう」。 21:25 アハブのように主しゅの目めの前まえに悪あくを行おこなうことに身みをゆだねた者ものはなかった。その妻つまイゼベルが彼かれをそそのかしたのである。21:26 彼かれは主しゅがイスラエルの人々ひとびとの前まえから追おい払はらわれたアモリびとがしたように偶像ぐうぞうに従したがって、はなはだ憎にくむべき事ことを行おこなった。 21:27 アハブはこれらの言葉ことばを聞きいた時とき、衣ころもを裂さき、荒布あらぬのを身みにまとい、食しょくを断たち、荒布あらぬのに伏ふし、打うちしおれて歩あるいた。21:28 この時とき、主しゅの言葉ことばがテシベびとエリヤに臨のぞんだ、21:29 「アハブがわたしの前まえにへりくだっているのを見みたか。彼かれがわたしの前まえにへりくだっているゆえ、わたしは彼あの世よには災わざわいを下くださない。その子この世よに災わざわいをその家いえに下くだすであろう」。 第22章 22:1 スリヤとイスラエルの間あいだに戦争せんそうがなくて三年ねんを経へた。22:2 しかし三年ねん目めにユダの王おうヨシャパテがイスラエルの王おうの所ところへ下くだっていったので、22:3 イスラエルの王おうはその家来けらいたちに言いった、「あなたがたは、ラモテ・ギレアデがわれわれの所有しょゆうであることを知しっていますか。しかもなおわれわれはスリヤの王おうの手てからそれを取とらずに黙だまっているのです」。22:4 彼かれはヨシャパテに言いった、「ラモテ・ギレアデで戦たたかうためにわたしと一緒いっしょに行いかれませんか」。ヨシャパテはイスラエルの王おうに言いった、「わたしはあなたと一つです。わたしの民たみはあなたの民たみと一つです。わたしの馬うまはあなたの馬うまと一つです」。 22:5 ヨシャパテはまたイスラエルの王おうに言いった、「まず、主しゅの言葉ことばを伺うかがいなさい」。22:6 そこでイスラエルの王おうは預言者よげんしゃ四百人にんばかりを集あつめて、彼かれらに言いった、「わたしはラモテ・ギレアデに戦たたかいに行いくべきでしょうか、あるいは控ひかえるべきでしょうか」。彼かれらは言いった、「上のぼっていきなさい。主しゅはそれを王おうの手てにわたされるでしょう」。22:7 ヨシャパテは言いった、「ここには、われわれの問とうべき主しゅの預言者よげんしゃがほかにいませんか」。22:8 イスラエルの王おうはヨシャパテに言いった、「われわれが主しゅに問とうことのできる人ひとが、まだひとりいます。イムラの子こミカヤです。彼かれはわたしについて良よい事ことを預言よげんせず、ただ悪わるい事ことだけを預言よげんするので、わたしは彼かれを憎にくんでいます」。ヨシャパテは言いった、「王おうよ、そう言いわないでください」。22:9 そこでイスラエルの王おうは役人やくにんを呼よんで、「急いそいでイムラの子こミカヤを連つれてきなさい」と言いった。22:10 さてイスラエルの王おうおよびユダの王おうヨシャパテは王おうの服ふくを着きて、サマリヤの門もんの入口いりぐちの広場ひろばに、おのおのその王座おうざにすわり、預言者よげんしゃたちは皆みなその前まえで預言よげんしていた。22:11 ケナアナの子こゼデキヤは鉄てつの角つのを造つくって言いった、「主しゅはこう仰おおせられます、『あなたはこれらの角つのをもってスリヤびとを突ついて彼かれらを滅ほろぼしなさい』」。22:12 預言者よげんしゃたちは皆みなそのように預言よげんして言いった、「ラモテ・ギレアデに上のぼっていって勝利しょうりを得えなさい。主しゅはそれを王おうの手てにわたされるでしょう」。 22:13 さてミカヤを呼よびにいった使者ししゃは彼かれに言いった、「預言者よげんしゃたちは一致いっちして王おうに良よい事ことを言いいました。どうぞ、あなたも、彼かれらのひとりの言葉ことばのようにして、良よい事ことを言いってください」。22:14 ミカヤは言いった、「主しゅは生いきておられます。主しゅがわたしに言いわれる事ことを申もうしましょう」。22:15 彼かれが王おうの所ところへ行いくと、王おうは彼かれに言いった、「ミカヤよ、われわれはラモテ・ギレアデに戦たたかいに行いくべきでしょうか、あるいは控ひかえるべきでしょうか」。彼かれは王おうに言いった、「上のぼっていって勝利しょうりを得えなさい。主しゅはそれを王おうの手てにわたされるでしょう」。22:16 しかし王おうは彼かれに言いった、「幾いくたびあなたを誓ちかわせたら、あなたは主しゅの名なをもって、ただ真実しんじつのみをわたしに告つげるでしょうか」。22:17 彼かれは言いった、「わたしはイスラエルが皆みな、牧者ぼくしゃのない羊ひつじのように、山やまに散ちっているのを見みました。すると主しゅは『これらの者ものは飼主かいぬしがいない。彼かれらをそれぞれ安やすらかに、その家いえに帰かえらせよ』と言いわれました」。22:18 イスラエルの王おうはヨシャパテに言いった、「彼かれがわたしについて良よい事ことを預言よげんせず、ただ悪わるい事ことだけを預言よげんすると、あなたに告つげたではありませんか」。22:19 ミカヤは言いった、「それゆえ主しゅの言葉ことばを聞ききなさい。わたしは主しゅがその玉座ぎょくざにすわり、天てんの万軍ばんぐんがそのかたわらに、右左みぎひだりに立たっているのを見みたが、22:20 主しゅは『だれがアハブをいざなってラモテ・ギレアデに上のぼらせ、彼かれを倒たおれさせるであろうか』と言いわれました。するとひとりはこの事ことを言いい、ひとりはほかの事ことを言いいました。22:21 その時とき一つの霊れいが進すすみ出でて、主しゅの前まえに立たち、『わたしが彼かれをいざないましょう』と言いいました。22:22 主しゅは『どのような方法ほうほうでするのか』と言いわれたので、彼かれは『わたしが出でて行いって、偽いつわりを言いう霊れいとなって、すべての預言者よげんしゃの口くちに宿やどりましょう』と言いいました。そこで主しゅは『おまえは彼かれをいざなって、それを成なし遂とげるであろう。出でて行いって、そうしなさい』と言いわれました。22:23 それで主しゅは偽いつわりを言いう霊れいをあなたのすべての預言者よげんしゃの口くちに入いれ、また主しゅはあなたの身みに起おこる災わざわいを告つげられたのです」。22:24 するとケナアナの子こゼデキヤは近寄ちかよって、ミカヤのほおを打うって言いった、「どのようにして主しゅの霊れいがわたしを離はなれて、あなたに語かたりましたか」。22:25 ミカヤは言いった、「あなたが奥おくの間あいだにはいって身みを隠かくすその日ひに、わかるでしょう」。22:26 イスラエルの王おうは言いった、「ミカヤを捕とらえ、町まちのつかさアモンと、王おうの子こヨアシの所ところへ引ひいて帰かえって、22:27 言いいなさい、『王おうがこう言いいます、この者ものを獄屋ごくやに入いれ、わずかのパンと水みずをもって彼かれを養やしない、わたしが勝利しょうりを得えて帰かえってくるのを待まて』」。22:28 ミカヤは言いった、「もしあなたが勝利しょうりを得えて帰かえってこられるならば、主しゅがわたしによって語かたられなかったのです」。また彼かれは言いった、「あなたがた、すべての民たみよ、聞ききなさい」。 22:29 こうしてイスラエルの王おうとユダの王おうヨシャパテはラモテ・ギレアデに上のぼっていった。22:30 イスラエルの王おうはヨシャパテに言いった、「わたしは姿すがたを変かえて、戦たたかいに行いきます。あなたは王おうの服ふくを着つけなさい」。イスラエルの王おうは姿すがたを変かえて戦たたかいに行いった。22:31 さて、スリヤの王おうは、その戦車せんしゃ長ちょう三十二人にんに命めいじて言いった、「あなたがたは、小ちいさい者ものとも大おおきい者ものとも戦たたかわないで、ただイスラエルの王おうとだけ戦たたかいなさい」。22:32 戦車せんしゃ長ちょうらはヨシャパテを見みたとき、これはきっとイスラエルの王おうだと思おもったので、身みをめぐらして、これと戦たたかおうとすると、ヨシャパテは呼よばわった。22:33 戦車せんしゃ長ちょうらは彼かれがイスラエルの王おうでないのを見みたので、彼かれを追おうことをやめて引ひき返かえした。22:34 しかし、ひとりの人ひとが何なに心こころなく弓ゆみをひいて、イスラエルの王おうの胸当むねあてと草摺くさずりの間あいだを射いたので、彼かれはその戦車せんしゃの御者ぎょしゃに言いった、「わたしは傷きずを受うけた。戦車せんしゃをめぐらして、わたしを戦場せんじょうから運はこび出だせ」。22:35 その日ひ戦たたかいは激はげしくなった。王おうは戦車せんしゃの中なかにささえられて立たち、スリヤびとにむかっていたが、ついに、夕暮ゆうぐれになって死しんだ。傷きずの血ちは戦車せんしゃの底そこに流ながれた。22:36 日ひの没ぼっするころ、軍勢ぐんぜいの中なかに呼よばわる声こえがした、「めいめいその町まちへ、めいめいその国くにへ帰かえれ」。 22:37 王おうは死しんで、サマリヤへ携たずさえ行いかれた。人々ひとびとは王おうをサマリヤに葬ほうむった。22:38 またその戦車せんしゃをサマリヤの池いけで洗あらったが、犬いぬがその血ちをなめた。また遊女ゆうじょがそこで身みを洗あらった。主しゅが言いわれた言葉ことばのとおりである。22:39 アハブのそのほかの事績じせきと、彼かれがしたすべての事ことと、その建たてた象牙ぞうげの家いえと、その建たてたすべての町まちは、イスラエルの王おうの歴代志れきだいしの書しょにしるされているではないか。22:40 こうしてアハブはその先祖せんぞと共ともに眠ねむって、その子こアハジヤが代かわって王おうとなった。 22:41 アサの子こヨシャパテはイスラエルの王おうアハブの第だい四年ねんにユダの王おうとなった。22:42 ヨシャパテは王おうとなった時とき、三十五歳さいであったが、エルサレムで二十五年ねん世よを治おさめた。その母ははの名なはアズバといい、シルヒの娘むすめであった。22:43 ヨシャパテは父ちちアサのすべての道みちに歩あゆみ、それを離はなれることなく、主しゅの目めにかなう事ことをした。ただし高たかき所ところは除のぞかなかったので、民たみはなお高たかき所ところで犠牲ぎせいをささげ、香こうをたいた。22:44 ヨシャパテはまたイスラエルの王おうと、よしみを結むすんだ。 22:45 ヨシャパテのその他たの事績じせきと、彼かれがあらわした勲功くんこうおよびその戦争せんそうについては、ユダの王おうの歴代志れきだいしの書しょにしるされているではないか。22:46 彼かれは父ちちアサの世よになお残のこっていた神殿しんでん男娼だんしょうたちを国くにのうちから追おい払はらった。 22:47 そのころエドムには王おうがなく、代官だいかんが王おうであった。22:48 ヨシャパテはタルシシの船ふねを造つくって、金きんを獲えるためにオフルに行いかせようとしたが、その船ふねはエジオン・ゲベルで難破なんぱしたため、ついに行いかなかった。22:49 そこでアハブの子こアハジヤはヨシャパテに「わたしの家来けらいをあなたの家来けらいと一緒いっしょに船ふねで行いかせなさい」と言いったが、ヨシャパテは承知しょうちしなかった。22:50 ヨシャパテはその先祖せんぞと共ともに眠ねむって、父ちちダビデの町まちに先祖せんぞと共ともに葬ほうむられ、その子こヨラムが代かわって王おうとなった。 22:51 アハブの子こアハジヤはユダの王おうヨシャパテの第だい十七年ねんにサマリヤでイスラエルの王おうとなり、二年ねんイスラエルを治おさめた。22:52 彼かれは主しゅの目めの前まえに悪あくを行おこない、その父ちちの道みちと、その母ははの道みち、およびかのイスラエルに罪つみを犯おかさせたネバテの子こヤラベアムの道みちに歩あゆみ、22:53 バアルに仕つかえて、それを拝おがみ、イスラエルの神かみ、主しゅを怒いからせた。すべて彼かれの父ちちがしたとおりであった。
19:1 アハブはエリヤのしたすべての事こと、また彼かれがすべての預言者よげんしゃを刀かたなで殺ころしたことをイゼベルに告つげたので、
19:2 イゼベルは使者ししゃをエリヤにつかわして言いった、「もしわたしが、あすの今いまごろ、あなたの命いのちをあの人々ひとびとのひとりの命いのちのようにしていないならば、神々かみがみがどんなにでも、わたしを罰ばっしてくださるように」。
19:3 そこでエリヤは恐おそれて、自分じぶんの命いのちを救すくうために立たって逃にげ、ユダに属ぞくするベエルシバへ行いって、しもべをそこに残のこし、
19:4 自分じぶんは一日にちの道みちのりほど荒野あらのにはいって行いって、れだまの木きの下したに座ざし、自分じぶんの死しを求もとめて言いった、「主しゅよ、もはや、じゅうぶんです。今いまわたしの命いのちを取とってください。わたしは先祖せんぞにまさる者ものではありません」。
19:5 彼かれはれだまの木きの下したに伏ふして眠ねむったが、天てんの使つかいが彼かれにさわり、「起おきて食たべなさい」と言いったので、
19:6 起おきて見みると、頭とうのそばに、焼やけ石いしの上うえで焼やいたパン一個こと、一びんの水みずがあった。彼かれは食たべ、かつ飲のんでまた寝ねた。
19:7 主しゅの使つかいは再ふたたびきて、彼かれにさわって言いった、「起おきて食たべなさい。道みちが遠とおくて耐たえられないでしょうから」。
19:8 彼かれは起おきて食たべ、かつ飲のみ、その食物しょくもつで力ちからづいて四十日にち四十夜や行いって、神かみの山やまホレブに着ついた。
19:9 その所ところで彼かれはほら穴あなにはいって、そこに宿やどったが、主しゅの言葉ことばが彼かれに臨のぞんで、彼かれに言いわれた、「エリヤよ、あなたはここで何なにをしているのか」。
19:10 彼かれは言いった、「わたしは万軍ばんぐんの神かみ、主しゅのために非常ひじょうに熱心ねっしんでありました。イスラエルの人々ひとびとはあなたの契約けいやくを捨すて、あなたの祭壇さいだんをこわし、刀かたなをもってあなたの預言者よげんしゃたちを殺ころしたのです。ただわたしだけ残のこりましたが、彼かれらはわたしの命いのちを取とろうとしています」。
19:11 主しゅは言いわれた、「出でて、山やまの上うえで主しゅの前まえに、立たちなさい」。その時とき主しゅは通とおり過すぎられ、主しゅの前まえに大おおきな強つよい風かぜが吹ふき、山やまを裂さき、岩いわを砕くだいた。しかし主しゅは風かぜの中なかにおられなかった。風かぜの後のちに地震じしんがあったが、地震じしんの中なかにも主しゅはおられなかった。
19:12 地震じしんの後のちに火ひがあったが、火ひの中なかにも主しゅはおられなかった。火ひの後のちに静しずかな細ほそい声こえが聞きこえた。
19:13 エリヤはそれを聞きいて顔かおを外套がいとうに包つつみ、出でてほら穴あなの口くちに立たつと、彼かれに語かたる声こえが聞きこえた、「エリヤよ、あなたはここで何なにをしているのか」。
19:14 彼かれは言いった、「わたしは万軍ばんぐんの神かみ、主しゅのために非常ひじょうに熱心ねっしんでありました。イスラエルの人々ひとびとはあなたの契約けいやくを捨すて、あなたの祭壇さいだんをこわし、刀かたなであなたの預言者よげんしゃたちを殺ころしたからです。ただわたしだけ残のこりましたが、彼かれらはわたしの命いのちを取とろうとしています」。
19:15 主しゅは彼かれに言いわれた、「あなたの道みちを帰かえって行いって、ダマスコの荒野あらのにおもむき、ダマスコに着ついて、ハザエルに油あぶらを注そそぎ、スリヤの王おうとしなさい。
19:16 またニムシの子こエヒウに油あぶらを注そそいでイスラエルの王おうとしなさい。またアベルメホラのシャパテの子こエリシャに油あぶらを注そそいで、あなたに代かわって預言者よげんしゃとしなさい。
19:17 ハザエルのつるぎをのがれる者ものをエヒウが殺ころし、エヒウのつるぎをのがれる者ものをエリシャが殺ころすであろう。
19:18 また、わたしはイスラエルのうちに七千人にんを残のこすであろう。皆みなバアルにひざをかがめず、それに口くちづけしない者ものである」。
19:19 さてエリヤはそこを去さって行いって、シャパテの子こエリシャに会あった。彼かれは十二くびきの牛うしを前まえに行いかせ、自分じぶんは十二番目ばんめのくびきと共ともにいて耕たがやしていた。エリヤは彼かれのかたわらを通とおり過すぎて外套がいとうを彼かれの上うえにかけた。
19:20 エリシャは牛うしを捨すて、エリヤのあとに走はしってきて言いった、「わたしの父母ふぼに口くちづけさせてください。そして後のちあなたに従したがいましょう」。エリヤは彼かれに言いった、「行いってきなさい。わたしはあなたに何なにをしましたか」。
19:21 エリシャは彼かれを離はなれて帰かえり、ひとくびきの牛うしを取とって殺ころし、牛うしのくびきを燃もやしてその肉にくを煮に、それを民たみに与あたえて食たべさせ、立たって行いってエリヤに従したがい、彼かれに仕つかえた。
第20章 20:1 スリヤの王おうベネハダデはその軍勢ぐんぜいをことごとく集あつめた。三十二人にんの王おうが彼かれと共ともにおり、また馬うまと戦車せんしゃもあった。彼かれは上のぼってサマリヤを囲かこみ、これを攻せめた。20:2 また彼かれは町まちに使者ししゃをつかわし、イスラエルの王おうアハブに言いった、「ベネハダデはこう申もうします、20:3 『あなたの金銀きんぎんはわたしのもの、またあなたの妻つまたちと子供こどもたちの最もっとも美うつくしい者ものもわたしのものです』」。20:4 イスラエルの王おうは答こたえた、「王おう、わが主しゅよ、仰おおせのとおり、わたしと、わたしの持もち物ものは皆みなあなたのものです」。20:5 使者ししゃは再ふたたびきて言いった、「ベネハダデはこう申もうします、『わたしはさきに人ひとをつかわして、あなたの金銀きんぎん、妻子さいしを引ひきわたせと言いいました。20:6 しかし、あすの今いまごろ、しもべたちをあなたにつかわします。彼かれらはあなたの家いえと、あなたの家来けらいの家いえを探さぐって、すべて彼かれらの気きにいる物ものを手てに入いれて奪うばい去さるでしょう』」。 20:7 そこでイスラエルの王おうは国くにの長老ちょうろうをことごとく召めして言いった、「よく注意ちゅういして、この人ひとが無理むりな事ことを求もとめているのを知しりなさい。彼かれは人ひとをつかわして、わたしの妻子さいしと金銀きんぎんを求もとめたが、わたしはそれを拒こばまなかった」。20:8 すべての長老ちょうろうおよび民たみは皆みな彼かれに言いった、「聞きいてはなりません。承諾しょうだくしてはなりません」。20:9 それで彼かれはベネハダデの使者ししゃに言いった、「王おう、わが主しゅに告つげなさい。『あなたが初はじめに要求ようきゅうされたことは皆みないたしましょう。しかし今度こんどの事ことはできません』」。使者ししゃは去さって復命ふくめいした。20:10 ベネハダデは彼かれに人ひとをつかわして言いった、「もしサマリヤのちりが、わたしに従したがうすべての民たみの手てを満みたすに足たりるならば、神々かみがみがどんなにでも、わたしを罰ばっしてくださるように」。20:11 イスラエルの王おうは答こたえた、「『武具ぶぐを帯おびる者ものは、それを脱ぬぐ者もののように誇ほこってはならない』と告つげなさい」。20:12 ベネハダデは仮かり小屋ごやで、王おうたちと酒さけを飲のんでいたが、この事ことを聞きいて、その家来けらいたちに言いった、「戦たたかいの備そなえをせよ」。彼かれらは町まちにむかって戦たたかいの備そなえをした。 20:13 この時ときひとりの預言者よげんしゃがイスラエルの王おうアハブのもとにきて言いった、「主しゅはこう仰おおせられる、『あなたはこの大軍たいぐんを見みたか。わたしはきょう、これをあなたの手てにわたす。あなたは、わたしが主しゅであることを、知しるようになるであろう』」。20:14 アハブは言いった、「だれにさせましょうか」。彼かれは言いった、「主しゅはこう仰おおせられる、『地方ちほうの代官だいかんの家来けらいたちにさせよ』」。アハブは言いった、「だれが戦たたかいを始はじめましょうか」。彼かれは答こたえた、「あなたです」。20:15 そこでアハブは地方ちほうの代官だいかんの家来けらいたちを調しらべたところ二百三十二人にんあった。次つぎにすべての民たみ、すなわちイスラエルのすべての人ひとを調しらべたところ七千人にんあった。 20:16 彼かれらは昼ひるごろ出でていったが、ベネハダデは仮かり小屋ごやで、味方みかたの三十二人にんの王おうたちと共ともに酒さけを飲のんで酔よっていた。20:17 地方ちほうの代官だいかんの家来けらいたちが先さきに出でていった。ベネハダデは斥候せっこうをつかわしたが、彼かれらは「サマリヤから人々ひとびとが出でてきた」と報告ほうこくしたので、20:18 彼かれは言いった、「和解わかいのために出でてきたのであっても、生いけどりにせよ。また戦たたかいのために出でてきたのであっても、生いけどりにせよ」。 20:19 地方ちほうの代官だいかんの家来けらいたちと、それに従したがう軍勢ぐんぜいが町まちから出でていって、20:20 おのおのその相手あいてを撃うち殺ころしたので、スリヤびとは逃にげた。イスラエルはこれを追おったが、スリヤの王おうベネハダデは馬うまに乗のり、騎兵きへいを従したがえてのがれた。20:21 イスラエルの王おうは出でていって、馬うまと戦車せんしゃをぶんどり、また大おおいにスリヤびとを撃うち殺ころした。 20:22 時ときに、かの預言者よげんしゃがイスラエルの王おうのもとにきて言いった、「行いって、力ちからを養やしない、なすべき事ことをよく考かんがえなさい。来年らいねんの春はるにはスリヤの王おうが、あなたのところに攻せめ上のぼってくるからです」。 20:23 スリヤの王おうの家来けらいたちは王おうに言いった、「彼かれらの神々かみがみは山やまの神かみですから彼かれらがわれわれよりも強つよかったのです。もしわれわれが平地へいちで戦たたかうならば、必かならず彼かれらよりも強つよいでしょう。20:24 それでこうしなさい。王おうたちをおのおのその地位ちいから退しりぞかせ、総督そうとくを置おいてそれに代かわらせなさい。20:25 またあなたが失うしなった軍勢ぐんぜいに等ひとしい軍勢ぐんぜいを集あつめ、馬うまは馬うま、戦車せんしゃは戦車せんしゃをもって補おぎないなさい。こうしてわれわれが平地へいちで戦たたかうならば必かならず彼かれらよりも強つよいでしょう」。彼かれはその言葉ことばを聞ききいれて、そのようにした。 20:26 春はるになって、ベネハダデはスリヤびとを集あつめて、イスラエルと戦たたかうために、アペクに上のぼってきた。20:27 イスラエルの人々ひとびとは召集しょうしゅうされ、糧食りょうしょくを受うけて彼かれらを迎むかえ撃うつために出でかけた。イスラエルの人々ひとびとはやぎの二つの小ちいさい群むれのように彼かれらの前まえに陣取じんどったが、スリヤびとはその地ちに満みちていた。20:28 その時とき神かみの人ひとがきて、イスラエルの王おうに言いった、「主しゅはこう仰おおせられる、『スリヤびとが、主しゅは山やまの神かみであって、谷たにの神かみではないと言いっているから、わたしはこのすべての大軍たいぐんをあなたの手てにわたす。あなたは、わたしが主しゅであることを知しるようになるであろう』」。20:29 彼かれらは七日なぬかの間あいだ、互たがいにむかいあって陣取じんどり、七日なぬか目めになって戦たたかいを交まじえたが、イスラエルの人々ひとびとは一日にちにスリヤびとの歩兵ほへい十万人にんを殺ころした。20:30 そのほかの者ものはアペクの町まちに逃にげこんだが、城壁じょうへきがくずれて、その残のこった二万七千人にんの上うえに倒たおれた。 ベネハダデは逃にげて町まちに入はいり、奥おくの間あいだにはいった。20:31 家来けらいたちは彼かれに言いった、「イスラエルの家いえの王おうたちはあわれみ深ふかい王おうであると聞きいています。それでわれわれの腰こしに荒布あらぬのをつけ、くびになわをかけて、イスラエルの王おうの所ところへ行いかせてください。たぶん彼かれはあなたの命いのちを助たすけるでしょう」。20:32 そこで彼かれらは荒布あらぬのを腰こしにまき、なわをくびにかけてイスラエルの王おうの所ところへ行いって言いった、「あなたのしもべベネハダデが『どうぞ、わたしの命いのちを助たすけてください』と申もうしています」。アハブは言いった、「彼かれはまだ生いきているのですか。彼かれはわたしの兄弟きょうだいです」。20:33 その人々ひとびとはこれを吉兆きっちょうとしてすみやかに彼かれの言葉ことばをうけ、「そうです。ベネハダデはあなたの兄弟きょうだいです」と言いったので、彼かれは言いった、「行いって彼かれをつれてきなさい」。それでベネハダデは彼かれの所ところに出でてきたので、彼かれはこれを自分じぶんの車くるまに乗のせた。20:34 ベネハダデは彼かれに言いった、「わたしの父ちちが、あなたの父上ちちうえから取とった町々まちまちは返かえします。またわたしの父ちちがサマリヤに造つくったように、あなたはダマスコに、あなたのために市場しじょうを設もうけなさい」。アハブは言いった、「わたしはこの契約けいやくをもってあなたを帰かえらせましょう」。こうしてアハブは彼かれと契約けいやくを結むすび、彼かれを帰かえらせた。 20:35 さて預言者よげんしゃのともがらのひとりが主しゅの言葉ことばに従したがってその仲間なかまに言いった、「どうぞ、わたしを撃うってください」。しかしその人ひとは撃うつことを拒こばんだので、20:36 彼かれはその人ひとに言いった、「あなたは主しゅの言葉ことばに聞きき従したがわないゆえ、わたしを離はなれて行いくとすぐ、ししがあなたを殺ころすでしょう」。その人ひとが彼かれのそばを離はなれて行いくとすぐ、ししが彼かれに会あって彼かれを殺ころした。20:37 彼かれはまたほかの人ひとに会あって言いった、「どうぞ、わたしを撃うってください」。するとその人ひとは彼かれを撃うち、撃うって傷きずつけた。20:38 こうしてその預言者よげんしゃは行いって、道みちのかたわらで王おうを待まち、目めにほうたいを当あてて姿すがたを変かえていた。20:39 王おうが通とおり過すぎる時とき、王おうに呼よばわって言いった、「しもべはいくさの中なかに出でて行いきましたが、ある軍人ぐんじんが、ひとりの人ひとをわたしの所ところにつれてきて言いいました、『この人ひとを守まもっていなさい。もし彼かれがいなくなれば、あなたの命いのちを彼かれの命いのちに代かえるか、または銀ぎん一タラントを払はらわなければならない』。20:40 ところが、しもべはあちらこちらと忙いそがしくしていたので、ついに彼かれはいなくなりました」。イスラエルの王おうは彼かれに言いった、「あなたはそのとおりにさばかれなければならない。あなたが自分じぶんでそれを定さだめたのです」。20:41 そこで彼かれが急いそいで目めのほうたいを取とり除のぞいたので、イスラエルの王おうはそれが預言者よげんしゃのひとりであることを知しった。20:42 彼かれは王おうに言いった、「主しゅはこう仰おおせられる、『わたしが滅ほろぼそうと定さだめた人ひとを、あなたは自分じぶんの手てから放はなして行いかせたので、あなたの命いのちは彼かれの命いのちに代かわり、あなたの民たみは彼かれの民たみに代かわるであろう』と」。20:43 イスラエルの王おうは悲かなしみ、かつ怒いかって自分じぶんの家いえにおもむき、サマリヤに帰かえった。 第21章 21:1 さてエズレルびとナボテはエズレルにぶどう畑はたけをもっていたが、サマリヤの王おうアハブの宮殿きゅうでんのかたわらにあったので、21:2 アハブはナボテに言いった、「あなたのぶどう畑はたけはわたしの家いえの近ちかくにあるので、わたしに譲ゆずって青物あおもの畑はたけにさせてください。その代かわり、わたしはそれよりも良よいぶどう畑はたけをあなたにあげましょう。もしお望のぞみならば、その価あたいを金きんでさしあげましょう」。21:3 ナボテはアハブに言いった、「わたしは先祖せんぞの嗣し業ぎょうをあなたに譲ゆずることを断だんじていたしません」。21:4 アハブはエズレルびとナボテが言いった言葉ことばを聞きいて、悲かなしみ、かつ怒いかって家いえにはいった。ナボテが「わたしは先祖せんぞの嗣し業ぎょうをあなたに譲ゆずりません」と言いったからである。アハブは床とこに伏ふし、顔かおをそむけて食事しょくじをしなかった。 21:5 妻つまイゼベルは彼かれの所ところにきて、言いった、「あなたは何なにをそんなに悲かなしんで、食事しょくじをなさらないのですか」。21:6 彼かれは彼女かのじょに言いった、「わたしはエズレルびとナボテに『あなたのぶどう畑はたけを金かねで譲ゆずってください。もし望のぞむならば、その代かわりに、ほかのぶどう畑はたけをあげよう』と言いったが、彼かれは答こたえて『わたしはぶどう畑はたけを譲ゆずりません』と言いったからだ」。21:7 妻つまイゼベルは彼かれに言いった、「あなたが今いまイスラエルを治おさめているのですか。起おきて食事しょくじをし、元気げんきを出だしてください。わたしがエズレルびとナボテのぶどう畑はたけをあなたにあげます」。 21:8 彼女かのじょはアハブの名なで手紙てがみを書かき、彼かれの印しるしをおして、ナボテと同おなじように、その町まちに住すんでいる長老ちょうろうたちと身分みぶんの尊たっとい人々ひとびとに、その手紙てがみを送おくった。21:9 彼女かのじょはその手紙てがみに書かきしるした、「断食だんじきを布告ふこくして、ナボテを民たみのうちの高たかい所ところにすわらせ、21:10 またふたりのよこしまな者ものを彼かれの前まえにすわらせ、そして彼かれを訴うったえて、『あなたは神かみと王おうとをのろった』と言いわせなさい。こうして彼かれを引ひき出だし、石いしで撃うち殺ころしなさい」。21:11 その町まちの人々ひとびと、すなわち、その町まちに住すんでいる長老ちょうろうたちおよび身分みぶんの尊たっとい人々ひとびとは、イゼベルが言いいつかわしたようにした。彼女かのじょが彼かれらに送おくった手紙てがみに書かきしるされていたように、21:12 彼かれらは断食だんじきを布告ふこくして、ナボテを民たみのうちの高たかい所ところにすわらせた。21:13 そしてふたりのよこしまな者ものがはいってきて、その前まえにすわり、そのよこしまな者ものたちが民たみの前まえでナボテを訴うったえて、「ナボテは神かみと王おうとをのろった」と言いった。そこで人々ひとびとは彼かれを町まちの外そとに引ひき出だし、石いしで撃うち殺ころした。21:14 そして人々ひとびとはイゼベルに「ナボテは石いしで撃うち殺ころされた」と言いい送おくった。 21:15 イゼベルはナボテが石いしで撃うち殺ころされたのを聞きくとすぐ、アハブに言いった、「立たって、あのエズレルびとナボテが、あなたに金かねで譲ゆずることを拒こばんだぶどう畑はたけを取とりなさい。ナボテは生いきていません。死しんだのです」。21:16 アハブはナボテの死しんだのを聞きくとすぐ、立たって、エズレルびとナボテのぶどう畑はたけを取とるために、そこへ下くだっていった。 21:17 そのとき、主しゅの言葉ことばがテシベびとエリヤに臨のぞんだ、21:18 「立たって、下くだって行いき、サマリヤにいるイスラエルの王おうアハブに会あいなさい。彼かれはナボテのぶどう畑はたけを取とろうとしてそこへ下くだっている。21:19 あなたは彼かれに言いわなければならない、『主しゅはこう仰おおせられる、あなたは殺ころしたのか、また取とったのか』と。また彼かれに言いいなさい、『主しゅはこう仰おおせられる、犬いぬがナボテの血ちをなめた場所ばしょで、犬いぬがあなたの血ちをなめるであろう』」。 21:20 アハブはエリヤに言いった、「わが敵てきよ、ついに、わたしを見みつけたのか」。彼かれは言いった、「見みつけました。あなたが主しゅの目めの前まえに悪あくを行おこなうことに身みをゆだねたゆえ、21:21 わたしはあなたに災わざわいを下くだし、あなたを全まったく滅ほろぼし、アハブに属ぞくする男おとこは、イスラエルにいてつながれた者ものも、自由じゆうな者ものもことごとく断たち、21:22 またあなたの家いえをネバテの子こヤラベアムの家いえのようにし、アヒヤの子こバアシャの家いえのようにするでしょう。これはあなたがわたしを怒いからせた怒いかりのゆえ、またイスラエルに罪つみを犯おかさせたゆえです。21:23 イゼベルについて、主しゅはまた言いわれました、『犬いぬがエズレルの地域ちいきでイゼベルを食くうであろう』と。21:24 アハブに属ぞくする者ものは、町まちで死しぬ者ものを犬いぬが食くい、野ので死しぬ者ものを空そらの鳥とりが食くうでしょう」。 21:25 アハブのように主しゅの目めの前まえに悪あくを行おこなうことに身みをゆだねた者ものはなかった。その妻つまイゼベルが彼かれをそそのかしたのである。21:26 彼かれは主しゅがイスラエルの人々ひとびとの前まえから追おい払はらわれたアモリびとがしたように偶像ぐうぞうに従したがって、はなはだ憎にくむべき事ことを行おこなった。 21:27 アハブはこれらの言葉ことばを聞きいた時とき、衣ころもを裂さき、荒布あらぬのを身みにまとい、食しょくを断たち、荒布あらぬのに伏ふし、打うちしおれて歩あるいた。21:28 この時とき、主しゅの言葉ことばがテシベびとエリヤに臨のぞんだ、21:29 「アハブがわたしの前まえにへりくだっているのを見みたか。彼かれがわたしの前まえにへりくだっているゆえ、わたしは彼あの世よには災わざわいを下くださない。その子この世よに災わざわいをその家いえに下くだすであろう」。 第22章 22:1 スリヤとイスラエルの間あいだに戦争せんそうがなくて三年ねんを経へた。22:2 しかし三年ねん目めにユダの王おうヨシャパテがイスラエルの王おうの所ところへ下くだっていったので、22:3 イスラエルの王おうはその家来けらいたちに言いった、「あなたがたは、ラモテ・ギレアデがわれわれの所有しょゆうであることを知しっていますか。しかもなおわれわれはスリヤの王おうの手てからそれを取とらずに黙だまっているのです」。22:4 彼かれはヨシャパテに言いった、「ラモテ・ギレアデで戦たたかうためにわたしと一緒いっしょに行いかれませんか」。ヨシャパテはイスラエルの王おうに言いった、「わたしはあなたと一つです。わたしの民たみはあなたの民たみと一つです。わたしの馬うまはあなたの馬うまと一つです」。 22:5 ヨシャパテはまたイスラエルの王おうに言いった、「まず、主しゅの言葉ことばを伺うかがいなさい」。22:6 そこでイスラエルの王おうは預言者よげんしゃ四百人にんばかりを集あつめて、彼かれらに言いった、「わたしはラモテ・ギレアデに戦たたかいに行いくべきでしょうか、あるいは控ひかえるべきでしょうか」。彼かれらは言いった、「上のぼっていきなさい。主しゅはそれを王おうの手てにわたされるでしょう」。22:7 ヨシャパテは言いった、「ここには、われわれの問とうべき主しゅの預言者よげんしゃがほかにいませんか」。22:8 イスラエルの王おうはヨシャパテに言いった、「われわれが主しゅに問とうことのできる人ひとが、まだひとりいます。イムラの子こミカヤです。彼かれはわたしについて良よい事ことを預言よげんせず、ただ悪わるい事ことだけを預言よげんするので、わたしは彼かれを憎にくんでいます」。ヨシャパテは言いった、「王おうよ、そう言いわないでください」。22:9 そこでイスラエルの王おうは役人やくにんを呼よんで、「急いそいでイムラの子こミカヤを連つれてきなさい」と言いった。22:10 さてイスラエルの王おうおよびユダの王おうヨシャパテは王おうの服ふくを着きて、サマリヤの門もんの入口いりぐちの広場ひろばに、おのおのその王座おうざにすわり、預言者よげんしゃたちは皆みなその前まえで預言よげんしていた。22:11 ケナアナの子こゼデキヤは鉄てつの角つのを造つくって言いった、「主しゅはこう仰おおせられます、『あなたはこれらの角つのをもってスリヤびとを突ついて彼かれらを滅ほろぼしなさい』」。22:12 預言者よげんしゃたちは皆みなそのように預言よげんして言いった、「ラモテ・ギレアデに上のぼっていって勝利しょうりを得えなさい。主しゅはそれを王おうの手てにわたされるでしょう」。 22:13 さてミカヤを呼よびにいった使者ししゃは彼かれに言いった、「預言者よげんしゃたちは一致いっちして王おうに良よい事ことを言いいました。どうぞ、あなたも、彼かれらのひとりの言葉ことばのようにして、良よい事ことを言いってください」。22:14 ミカヤは言いった、「主しゅは生いきておられます。主しゅがわたしに言いわれる事ことを申もうしましょう」。22:15 彼かれが王おうの所ところへ行いくと、王おうは彼かれに言いった、「ミカヤよ、われわれはラモテ・ギレアデに戦たたかいに行いくべきでしょうか、あるいは控ひかえるべきでしょうか」。彼かれは王おうに言いった、「上のぼっていって勝利しょうりを得えなさい。主しゅはそれを王おうの手てにわたされるでしょう」。22:16 しかし王おうは彼かれに言いった、「幾いくたびあなたを誓ちかわせたら、あなたは主しゅの名なをもって、ただ真実しんじつのみをわたしに告つげるでしょうか」。22:17 彼かれは言いった、「わたしはイスラエルが皆みな、牧者ぼくしゃのない羊ひつじのように、山やまに散ちっているのを見みました。すると主しゅは『これらの者ものは飼主かいぬしがいない。彼かれらをそれぞれ安やすらかに、その家いえに帰かえらせよ』と言いわれました」。22:18 イスラエルの王おうはヨシャパテに言いった、「彼かれがわたしについて良よい事ことを預言よげんせず、ただ悪わるい事ことだけを預言よげんすると、あなたに告つげたではありませんか」。22:19 ミカヤは言いった、「それゆえ主しゅの言葉ことばを聞ききなさい。わたしは主しゅがその玉座ぎょくざにすわり、天てんの万軍ばんぐんがそのかたわらに、右左みぎひだりに立たっているのを見みたが、22:20 主しゅは『だれがアハブをいざなってラモテ・ギレアデに上のぼらせ、彼かれを倒たおれさせるであろうか』と言いわれました。するとひとりはこの事ことを言いい、ひとりはほかの事ことを言いいました。22:21 その時とき一つの霊れいが進すすみ出でて、主しゅの前まえに立たち、『わたしが彼かれをいざないましょう』と言いいました。22:22 主しゅは『どのような方法ほうほうでするのか』と言いわれたので、彼かれは『わたしが出でて行いって、偽いつわりを言いう霊れいとなって、すべての預言者よげんしゃの口くちに宿やどりましょう』と言いいました。そこで主しゅは『おまえは彼かれをいざなって、それを成なし遂とげるであろう。出でて行いって、そうしなさい』と言いわれました。22:23 それで主しゅは偽いつわりを言いう霊れいをあなたのすべての預言者よげんしゃの口くちに入いれ、また主しゅはあなたの身みに起おこる災わざわいを告つげられたのです」。22:24 するとケナアナの子こゼデキヤは近寄ちかよって、ミカヤのほおを打うって言いった、「どのようにして主しゅの霊れいがわたしを離はなれて、あなたに語かたりましたか」。22:25 ミカヤは言いった、「あなたが奥おくの間あいだにはいって身みを隠かくすその日ひに、わかるでしょう」。22:26 イスラエルの王おうは言いった、「ミカヤを捕とらえ、町まちのつかさアモンと、王おうの子こヨアシの所ところへ引ひいて帰かえって、22:27 言いいなさい、『王おうがこう言いいます、この者ものを獄屋ごくやに入いれ、わずかのパンと水みずをもって彼かれを養やしない、わたしが勝利しょうりを得えて帰かえってくるのを待まて』」。22:28 ミカヤは言いった、「もしあなたが勝利しょうりを得えて帰かえってこられるならば、主しゅがわたしによって語かたられなかったのです」。また彼かれは言いった、「あなたがた、すべての民たみよ、聞ききなさい」。 22:29 こうしてイスラエルの王おうとユダの王おうヨシャパテはラモテ・ギレアデに上のぼっていった。22:30 イスラエルの王おうはヨシャパテに言いった、「わたしは姿すがたを変かえて、戦たたかいに行いきます。あなたは王おうの服ふくを着つけなさい」。イスラエルの王おうは姿すがたを変かえて戦たたかいに行いった。22:31 さて、スリヤの王おうは、その戦車せんしゃ長ちょう三十二人にんに命めいじて言いった、「あなたがたは、小ちいさい者ものとも大おおきい者ものとも戦たたかわないで、ただイスラエルの王おうとだけ戦たたかいなさい」。22:32 戦車せんしゃ長ちょうらはヨシャパテを見みたとき、これはきっとイスラエルの王おうだと思おもったので、身みをめぐらして、これと戦たたかおうとすると、ヨシャパテは呼よばわった。22:33 戦車せんしゃ長ちょうらは彼かれがイスラエルの王おうでないのを見みたので、彼かれを追おうことをやめて引ひき返かえした。22:34 しかし、ひとりの人ひとが何なに心こころなく弓ゆみをひいて、イスラエルの王おうの胸当むねあてと草摺くさずりの間あいだを射いたので、彼かれはその戦車せんしゃの御者ぎょしゃに言いった、「わたしは傷きずを受うけた。戦車せんしゃをめぐらして、わたしを戦場せんじょうから運はこび出だせ」。22:35 その日ひ戦たたかいは激はげしくなった。王おうは戦車せんしゃの中なかにささえられて立たち、スリヤびとにむかっていたが、ついに、夕暮ゆうぐれになって死しんだ。傷きずの血ちは戦車せんしゃの底そこに流ながれた。22:36 日ひの没ぼっするころ、軍勢ぐんぜいの中なかに呼よばわる声こえがした、「めいめいその町まちへ、めいめいその国くにへ帰かえれ」。 22:37 王おうは死しんで、サマリヤへ携たずさえ行いかれた。人々ひとびとは王おうをサマリヤに葬ほうむった。22:38 またその戦車せんしゃをサマリヤの池いけで洗あらったが、犬いぬがその血ちをなめた。また遊女ゆうじょがそこで身みを洗あらった。主しゅが言いわれた言葉ことばのとおりである。22:39 アハブのそのほかの事績じせきと、彼かれがしたすべての事ことと、その建たてた象牙ぞうげの家いえと、その建たてたすべての町まちは、イスラエルの王おうの歴代志れきだいしの書しょにしるされているではないか。22:40 こうしてアハブはその先祖せんぞと共ともに眠ねむって、その子こアハジヤが代かわって王おうとなった。 22:41 アサの子こヨシャパテはイスラエルの王おうアハブの第だい四年ねんにユダの王おうとなった。22:42 ヨシャパテは王おうとなった時とき、三十五歳さいであったが、エルサレムで二十五年ねん世よを治おさめた。その母ははの名なはアズバといい、シルヒの娘むすめであった。22:43 ヨシャパテは父ちちアサのすべての道みちに歩あゆみ、それを離はなれることなく、主しゅの目めにかなう事ことをした。ただし高たかき所ところは除のぞかなかったので、民たみはなお高たかき所ところで犠牲ぎせいをささげ、香こうをたいた。22:44 ヨシャパテはまたイスラエルの王おうと、よしみを結むすんだ。 22:45 ヨシャパテのその他たの事績じせきと、彼かれがあらわした勲功くんこうおよびその戦争せんそうについては、ユダの王おうの歴代志れきだいしの書しょにしるされているではないか。22:46 彼かれは父ちちアサの世よになお残のこっていた神殿しんでん男娼だんしょうたちを国くにのうちから追おい払はらった。 22:47 そのころエドムには王おうがなく、代官だいかんが王おうであった。22:48 ヨシャパテはタルシシの船ふねを造つくって、金きんを獲えるためにオフルに行いかせようとしたが、その船ふねはエジオン・ゲベルで難破なんぱしたため、ついに行いかなかった。22:49 そこでアハブの子こアハジヤはヨシャパテに「わたしの家来けらいをあなたの家来けらいと一緒いっしょに船ふねで行いかせなさい」と言いったが、ヨシャパテは承知しょうちしなかった。22:50 ヨシャパテはその先祖せんぞと共ともに眠ねむって、父ちちダビデの町まちに先祖せんぞと共ともに葬ほうむられ、その子こヨラムが代かわって王おうとなった。 22:51 アハブの子こアハジヤはユダの王おうヨシャパテの第だい十七年ねんにサマリヤでイスラエルの王おうとなり、二年ねんイスラエルを治おさめた。22:52 彼かれは主しゅの目めの前まえに悪あくを行おこない、その父ちちの道みちと、その母ははの道みち、およびかのイスラエルに罪つみを犯おかさせたネバテの子こヤラベアムの道みちに歩あゆみ、22:53 バアルに仕つかえて、それを拝おがみ、イスラエルの神かみ、主しゅを怒いからせた。すべて彼かれの父ちちがしたとおりであった。
20:1 スリヤの王おうベネハダデはその軍勢ぐんぜいをことごとく集あつめた。三十二人にんの王おうが彼かれと共ともにおり、また馬うまと戦車せんしゃもあった。彼かれは上のぼってサマリヤを囲かこみ、これを攻せめた。
20:2 また彼かれは町まちに使者ししゃをつかわし、イスラエルの王おうアハブに言いった、「ベネハダデはこう申もうします、
20:3 『あなたの金銀きんぎんはわたしのもの、またあなたの妻つまたちと子供こどもたちの最もっとも美うつくしい者ものもわたしのものです』」。
20:4 イスラエルの王おうは答こたえた、「王おう、わが主しゅよ、仰おおせのとおり、わたしと、わたしの持もち物ものは皆みなあなたのものです」。
20:5 使者ししゃは再ふたたびきて言いった、「ベネハダデはこう申もうします、『わたしはさきに人ひとをつかわして、あなたの金銀きんぎん、妻子さいしを引ひきわたせと言いいました。
20:6 しかし、あすの今いまごろ、しもべたちをあなたにつかわします。彼かれらはあなたの家いえと、あなたの家来けらいの家いえを探さぐって、すべて彼かれらの気きにいる物ものを手てに入いれて奪うばい去さるでしょう』」。
20:7 そこでイスラエルの王おうは国くにの長老ちょうろうをことごとく召めして言いった、「よく注意ちゅういして、この人ひとが無理むりな事ことを求もとめているのを知しりなさい。彼かれは人ひとをつかわして、わたしの妻子さいしと金銀きんぎんを求もとめたが、わたしはそれを拒こばまなかった」。
20:8 すべての長老ちょうろうおよび民たみは皆みな彼かれに言いった、「聞きいてはなりません。承諾しょうだくしてはなりません」。
20:9 それで彼かれはベネハダデの使者ししゃに言いった、「王おう、わが主しゅに告つげなさい。『あなたが初はじめに要求ようきゅうされたことは皆みないたしましょう。しかし今度こんどの事ことはできません』」。使者ししゃは去さって復命ふくめいした。
20:10 ベネハダデは彼かれに人ひとをつかわして言いった、「もしサマリヤのちりが、わたしに従したがうすべての民たみの手てを満みたすに足たりるならば、神々かみがみがどんなにでも、わたしを罰ばっしてくださるように」。
20:11 イスラエルの王おうは答こたえた、「『武具ぶぐを帯おびる者ものは、それを脱ぬぐ者もののように誇ほこってはならない』と告つげなさい」。
20:12 ベネハダデは仮かり小屋ごやで、王おうたちと酒さけを飲のんでいたが、この事ことを聞きいて、その家来けらいたちに言いった、「戦たたかいの備そなえをせよ」。彼かれらは町まちにむかって戦たたかいの備そなえをした。
20:13 この時ときひとりの預言者よげんしゃがイスラエルの王おうアハブのもとにきて言いった、「主しゅはこう仰おおせられる、『あなたはこの大軍たいぐんを見みたか。わたしはきょう、これをあなたの手てにわたす。あなたは、わたしが主しゅであることを、知しるようになるであろう』」。
20:14 アハブは言いった、「だれにさせましょうか」。彼かれは言いった、「主しゅはこう仰おおせられる、『地方ちほうの代官だいかんの家来けらいたちにさせよ』」。アハブは言いった、「だれが戦たたかいを始はじめましょうか」。彼かれは答こたえた、「あなたです」。
20:15 そこでアハブは地方ちほうの代官だいかんの家来けらいたちを調しらべたところ二百三十二人にんあった。次つぎにすべての民たみ、すなわちイスラエルのすべての人ひとを調しらべたところ七千人にんあった。
20:16 彼かれらは昼ひるごろ出でていったが、ベネハダデは仮かり小屋ごやで、味方みかたの三十二人にんの王おうたちと共ともに酒さけを飲のんで酔よっていた。
20:17 地方ちほうの代官だいかんの家来けらいたちが先さきに出でていった。ベネハダデは斥候せっこうをつかわしたが、彼かれらは「サマリヤから人々ひとびとが出でてきた」と報告ほうこくしたので、
20:18 彼かれは言いった、「和解わかいのために出でてきたのであっても、生いけどりにせよ。また戦たたかいのために出でてきたのであっても、生いけどりにせよ」。
20:19 地方ちほうの代官だいかんの家来けらいたちと、それに従したがう軍勢ぐんぜいが町まちから出でていって、
20:20 おのおのその相手あいてを撃うち殺ころしたので、スリヤびとは逃にげた。イスラエルはこれを追おったが、スリヤの王おうベネハダデは馬うまに乗のり、騎兵きへいを従したがえてのがれた。
20:21 イスラエルの王おうは出でていって、馬うまと戦車せんしゃをぶんどり、また大おおいにスリヤびとを撃うち殺ころした。
20:22 時ときに、かの預言者よげんしゃがイスラエルの王おうのもとにきて言いった、「行いって、力ちからを養やしない、なすべき事ことをよく考かんがえなさい。来年らいねんの春はるにはスリヤの王おうが、あなたのところに攻せめ上のぼってくるからです」。
20:23 スリヤの王おうの家来けらいたちは王おうに言いった、「彼かれらの神々かみがみは山やまの神かみですから彼かれらがわれわれよりも強つよかったのです。もしわれわれが平地へいちで戦たたかうならば、必かならず彼かれらよりも強つよいでしょう。
20:24 それでこうしなさい。王おうたちをおのおのその地位ちいから退しりぞかせ、総督そうとくを置おいてそれに代かわらせなさい。
20:25 またあなたが失うしなった軍勢ぐんぜいに等ひとしい軍勢ぐんぜいを集あつめ、馬うまは馬うま、戦車せんしゃは戦車せんしゃをもって補おぎないなさい。こうしてわれわれが平地へいちで戦たたかうならば必かならず彼かれらよりも強つよいでしょう」。彼かれはその言葉ことばを聞ききいれて、そのようにした。
20:26 春はるになって、ベネハダデはスリヤびとを集あつめて、イスラエルと戦たたかうために、アペクに上のぼってきた。
20:27 イスラエルの人々ひとびとは召集しょうしゅうされ、糧食りょうしょくを受うけて彼かれらを迎むかえ撃うつために出でかけた。イスラエルの人々ひとびとはやぎの二つの小ちいさい群むれのように彼かれらの前まえに陣取じんどったが、スリヤびとはその地ちに満みちていた。
20:28 その時とき神かみの人ひとがきて、イスラエルの王おうに言いった、「主しゅはこう仰おおせられる、『スリヤびとが、主しゅは山やまの神かみであって、谷たにの神かみではないと言いっているから、わたしはこのすべての大軍たいぐんをあなたの手てにわたす。あなたは、わたしが主しゅであることを知しるようになるであろう』」。
20:29 彼かれらは七日なぬかの間あいだ、互たがいにむかいあって陣取じんどり、七日なぬか目めになって戦たたかいを交まじえたが、イスラエルの人々ひとびとは一日にちにスリヤびとの歩兵ほへい十万人にんを殺ころした。
20:30 そのほかの者ものはアペクの町まちに逃にげこんだが、城壁じょうへきがくずれて、その残のこった二万七千人にんの上うえに倒たおれた。
ベネハダデは逃にげて町まちに入はいり、奥おくの間あいだにはいった。
20:31 家来けらいたちは彼かれに言いった、「イスラエルの家いえの王おうたちはあわれみ深ふかい王おうであると聞きいています。それでわれわれの腰こしに荒布あらぬのをつけ、くびになわをかけて、イスラエルの王おうの所ところへ行いかせてください。たぶん彼かれはあなたの命いのちを助たすけるでしょう」。
20:32 そこで彼かれらは荒布あらぬのを腰こしにまき、なわをくびにかけてイスラエルの王おうの所ところへ行いって言いった、「あなたのしもべベネハダデが『どうぞ、わたしの命いのちを助たすけてください』と申もうしています」。アハブは言いった、「彼かれはまだ生いきているのですか。彼かれはわたしの兄弟きょうだいです」。
20:33 その人々ひとびとはこれを吉兆きっちょうとしてすみやかに彼かれの言葉ことばをうけ、「そうです。ベネハダデはあなたの兄弟きょうだいです」と言いったので、彼かれは言いった、「行いって彼かれをつれてきなさい」。それでベネハダデは彼かれの所ところに出でてきたので、彼かれはこれを自分じぶんの車くるまに乗のせた。
20:34 ベネハダデは彼かれに言いった、「わたしの父ちちが、あなたの父上ちちうえから取とった町々まちまちは返かえします。またわたしの父ちちがサマリヤに造つくったように、あなたはダマスコに、あなたのために市場しじょうを設もうけなさい」。アハブは言いった、「わたしはこの契約けいやくをもってあなたを帰かえらせましょう」。こうしてアハブは彼かれと契約けいやくを結むすび、彼かれを帰かえらせた。
20:35 さて預言者よげんしゃのともがらのひとりが主しゅの言葉ことばに従したがってその仲間なかまに言いった、「どうぞ、わたしを撃うってください」。しかしその人ひとは撃うつことを拒こばんだので、
20:36 彼かれはその人ひとに言いった、「あなたは主しゅの言葉ことばに聞きき従したがわないゆえ、わたしを離はなれて行いくとすぐ、ししがあなたを殺ころすでしょう」。その人ひとが彼かれのそばを離はなれて行いくとすぐ、ししが彼かれに会あって彼かれを殺ころした。
20:37 彼かれはまたほかの人ひとに会あって言いった、「どうぞ、わたしを撃うってください」。するとその人ひとは彼かれを撃うち、撃うって傷きずつけた。
20:38 こうしてその預言者よげんしゃは行いって、道みちのかたわらで王おうを待まち、目めにほうたいを当あてて姿すがたを変かえていた。
20:39 王おうが通とおり過すぎる時とき、王おうに呼よばわって言いった、「しもべはいくさの中なかに出でて行いきましたが、ある軍人ぐんじんが、ひとりの人ひとをわたしの所ところにつれてきて言いいました、『この人ひとを守まもっていなさい。もし彼かれがいなくなれば、あなたの命いのちを彼かれの命いのちに代かえるか、または銀ぎん一タラントを払はらわなければならない』。
20:40 ところが、しもべはあちらこちらと忙いそがしくしていたので、ついに彼かれはいなくなりました」。イスラエルの王おうは彼かれに言いった、「あなたはそのとおりにさばかれなければならない。あなたが自分じぶんでそれを定さだめたのです」。
20:41 そこで彼かれが急いそいで目めのほうたいを取とり除のぞいたので、イスラエルの王おうはそれが預言者よげんしゃのひとりであることを知しった。
20:42 彼かれは王おうに言いった、「主しゅはこう仰おおせられる、『わたしが滅ほろぼそうと定さだめた人ひとを、あなたは自分じぶんの手てから放はなして行いかせたので、あなたの命いのちは彼かれの命いのちに代かわり、あなたの民たみは彼かれの民たみに代かわるであろう』と」。
20:43 イスラエルの王おうは悲かなしみ、かつ怒いかって自分じぶんの家いえにおもむき、サマリヤに帰かえった。
第21章 21:1 さてエズレルびとナボテはエズレルにぶどう畑はたけをもっていたが、サマリヤの王おうアハブの宮殿きゅうでんのかたわらにあったので、21:2 アハブはナボテに言いった、「あなたのぶどう畑はたけはわたしの家いえの近ちかくにあるので、わたしに譲ゆずって青物あおもの畑はたけにさせてください。その代かわり、わたしはそれよりも良よいぶどう畑はたけをあなたにあげましょう。もしお望のぞみならば、その価あたいを金きんでさしあげましょう」。21:3 ナボテはアハブに言いった、「わたしは先祖せんぞの嗣し業ぎょうをあなたに譲ゆずることを断だんじていたしません」。21:4 アハブはエズレルびとナボテが言いった言葉ことばを聞きいて、悲かなしみ、かつ怒いかって家いえにはいった。ナボテが「わたしは先祖せんぞの嗣し業ぎょうをあなたに譲ゆずりません」と言いったからである。アハブは床とこに伏ふし、顔かおをそむけて食事しょくじをしなかった。 21:5 妻つまイゼベルは彼かれの所ところにきて、言いった、「あなたは何なにをそんなに悲かなしんで、食事しょくじをなさらないのですか」。21:6 彼かれは彼女かのじょに言いった、「わたしはエズレルびとナボテに『あなたのぶどう畑はたけを金かねで譲ゆずってください。もし望のぞむならば、その代かわりに、ほかのぶどう畑はたけをあげよう』と言いったが、彼かれは答こたえて『わたしはぶどう畑はたけを譲ゆずりません』と言いったからだ」。21:7 妻つまイゼベルは彼かれに言いった、「あなたが今いまイスラエルを治おさめているのですか。起おきて食事しょくじをし、元気げんきを出だしてください。わたしがエズレルびとナボテのぶどう畑はたけをあなたにあげます」。 21:8 彼女かのじょはアハブの名なで手紙てがみを書かき、彼かれの印しるしをおして、ナボテと同おなじように、その町まちに住すんでいる長老ちょうろうたちと身分みぶんの尊たっとい人々ひとびとに、その手紙てがみを送おくった。21:9 彼女かのじょはその手紙てがみに書かきしるした、「断食だんじきを布告ふこくして、ナボテを民たみのうちの高たかい所ところにすわらせ、21:10 またふたりのよこしまな者ものを彼かれの前まえにすわらせ、そして彼かれを訴うったえて、『あなたは神かみと王おうとをのろった』と言いわせなさい。こうして彼かれを引ひき出だし、石いしで撃うち殺ころしなさい」。21:11 その町まちの人々ひとびと、すなわち、その町まちに住すんでいる長老ちょうろうたちおよび身分みぶんの尊たっとい人々ひとびとは、イゼベルが言いいつかわしたようにした。彼女かのじょが彼かれらに送おくった手紙てがみに書かきしるされていたように、21:12 彼かれらは断食だんじきを布告ふこくして、ナボテを民たみのうちの高たかい所ところにすわらせた。21:13 そしてふたりのよこしまな者ものがはいってきて、その前まえにすわり、そのよこしまな者ものたちが民たみの前まえでナボテを訴うったえて、「ナボテは神かみと王おうとをのろった」と言いった。そこで人々ひとびとは彼かれを町まちの外そとに引ひき出だし、石いしで撃うち殺ころした。21:14 そして人々ひとびとはイゼベルに「ナボテは石いしで撃うち殺ころされた」と言いい送おくった。 21:15 イゼベルはナボテが石いしで撃うち殺ころされたのを聞きくとすぐ、アハブに言いった、「立たって、あのエズレルびとナボテが、あなたに金かねで譲ゆずることを拒こばんだぶどう畑はたけを取とりなさい。ナボテは生いきていません。死しんだのです」。21:16 アハブはナボテの死しんだのを聞きくとすぐ、立たって、エズレルびとナボテのぶどう畑はたけを取とるために、そこへ下くだっていった。 21:17 そのとき、主しゅの言葉ことばがテシベびとエリヤに臨のぞんだ、21:18 「立たって、下くだって行いき、サマリヤにいるイスラエルの王おうアハブに会あいなさい。彼かれはナボテのぶどう畑はたけを取とろうとしてそこへ下くだっている。21:19 あなたは彼かれに言いわなければならない、『主しゅはこう仰おおせられる、あなたは殺ころしたのか、また取とったのか』と。また彼かれに言いいなさい、『主しゅはこう仰おおせられる、犬いぬがナボテの血ちをなめた場所ばしょで、犬いぬがあなたの血ちをなめるであろう』」。 21:20 アハブはエリヤに言いった、「わが敵てきよ、ついに、わたしを見みつけたのか」。彼かれは言いった、「見みつけました。あなたが主しゅの目めの前まえに悪あくを行おこなうことに身みをゆだねたゆえ、21:21 わたしはあなたに災わざわいを下くだし、あなたを全まったく滅ほろぼし、アハブに属ぞくする男おとこは、イスラエルにいてつながれた者ものも、自由じゆうな者ものもことごとく断たち、21:22 またあなたの家いえをネバテの子こヤラベアムの家いえのようにし、アヒヤの子こバアシャの家いえのようにするでしょう。これはあなたがわたしを怒いからせた怒いかりのゆえ、またイスラエルに罪つみを犯おかさせたゆえです。21:23 イゼベルについて、主しゅはまた言いわれました、『犬いぬがエズレルの地域ちいきでイゼベルを食くうであろう』と。21:24 アハブに属ぞくする者ものは、町まちで死しぬ者ものを犬いぬが食くい、野ので死しぬ者ものを空そらの鳥とりが食くうでしょう」。 21:25 アハブのように主しゅの目めの前まえに悪あくを行おこなうことに身みをゆだねた者ものはなかった。その妻つまイゼベルが彼かれをそそのかしたのである。21:26 彼かれは主しゅがイスラエルの人々ひとびとの前まえから追おい払はらわれたアモリびとがしたように偶像ぐうぞうに従したがって、はなはだ憎にくむべき事ことを行おこなった。 21:27 アハブはこれらの言葉ことばを聞きいた時とき、衣ころもを裂さき、荒布あらぬのを身みにまとい、食しょくを断たち、荒布あらぬのに伏ふし、打うちしおれて歩あるいた。21:28 この時とき、主しゅの言葉ことばがテシベびとエリヤに臨のぞんだ、21:29 「アハブがわたしの前まえにへりくだっているのを見みたか。彼かれがわたしの前まえにへりくだっているゆえ、わたしは彼あの世よには災わざわいを下くださない。その子この世よに災わざわいをその家いえに下くだすであろう」。 第22章 22:1 スリヤとイスラエルの間あいだに戦争せんそうがなくて三年ねんを経へた。22:2 しかし三年ねん目めにユダの王おうヨシャパテがイスラエルの王おうの所ところへ下くだっていったので、22:3 イスラエルの王おうはその家来けらいたちに言いった、「あなたがたは、ラモテ・ギレアデがわれわれの所有しょゆうであることを知しっていますか。しかもなおわれわれはスリヤの王おうの手てからそれを取とらずに黙だまっているのです」。22:4 彼かれはヨシャパテに言いった、「ラモテ・ギレアデで戦たたかうためにわたしと一緒いっしょに行いかれませんか」。ヨシャパテはイスラエルの王おうに言いった、「わたしはあなたと一つです。わたしの民たみはあなたの民たみと一つです。わたしの馬うまはあなたの馬うまと一つです」。 22:5 ヨシャパテはまたイスラエルの王おうに言いった、「まず、主しゅの言葉ことばを伺うかがいなさい」。22:6 そこでイスラエルの王おうは預言者よげんしゃ四百人にんばかりを集あつめて、彼かれらに言いった、「わたしはラモテ・ギレアデに戦たたかいに行いくべきでしょうか、あるいは控ひかえるべきでしょうか」。彼かれらは言いった、「上のぼっていきなさい。主しゅはそれを王おうの手てにわたされるでしょう」。22:7 ヨシャパテは言いった、「ここには、われわれの問とうべき主しゅの預言者よげんしゃがほかにいませんか」。22:8 イスラエルの王おうはヨシャパテに言いった、「われわれが主しゅに問とうことのできる人ひとが、まだひとりいます。イムラの子こミカヤです。彼かれはわたしについて良よい事ことを預言よげんせず、ただ悪わるい事ことだけを預言よげんするので、わたしは彼かれを憎にくんでいます」。ヨシャパテは言いった、「王おうよ、そう言いわないでください」。22:9 そこでイスラエルの王おうは役人やくにんを呼よんで、「急いそいでイムラの子こミカヤを連つれてきなさい」と言いった。22:10 さてイスラエルの王おうおよびユダの王おうヨシャパテは王おうの服ふくを着きて、サマリヤの門もんの入口いりぐちの広場ひろばに、おのおのその王座おうざにすわり、預言者よげんしゃたちは皆みなその前まえで預言よげんしていた。22:11 ケナアナの子こゼデキヤは鉄てつの角つのを造つくって言いった、「主しゅはこう仰おおせられます、『あなたはこれらの角つのをもってスリヤびとを突ついて彼かれらを滅ほろぼしなさい』」。22:12 預言者よげんしゃたちは皆みなそのように預言よげんして言いった、「ラモテ・ギレアデに上のぼっていって勝利しょうりを得えなさい。主しゅはそれを王おうの手てにわたされるでしょう」。 22:13 さてミカヤを呼よびにいった使者ししゃは彼かれに言いった、「預言者よげんしゃたちは一致いっちして王おうに良よい事ことを言いいました。どうぞ、あなたも、彼かれらのひとりの言葉ことばのようにして、良よい事ことを言いってください」。22:14 ミカヤは言いった、「主しゅは生いきておられます。主しゅがわたしに言いわれる事ことを申もうしましょう」。22:15 彼かれが王おうの所ところへ行いくと、王おうは彼かれに言いった、「ミカヤよ、われわれはラモテ・ギレアデに戦たたかいに行いくべきでしょうか、あるいは控ひかえるべきでしょうか」。彼かれは王おうに言いった、「上のぼっていって勝利しょうりを得えなさい。主しゅはそれを王おうの手てにわたされるでしょう」。22:16 しかし王おうは彼かれに言いった、「幾いくたびあなたを誓ちかわせたら、あなたは主しゅの名なをもって、ただ真実しんじつのみをわたしに告つげるでしょうか」。22:17 彼かれは言いった、「わたしはイスラエルが皆みな、牧者ぼくしゃのない羊ひつじのように、山やまに散ちっているのを見みました。すると主しゅは『これらの者ものは飼主かいぬしがいない。彼かれらをそれぞれ安やすらかに、その家いえに帰かえらせよ』と言いわれました」。22:18 イスラエルの王おうはヨシャパテに言いった、「彼かれがわたしについて良よい事ことを預言よげんせず、ただ悪わるい事ことだけを預言よげんすると、あなたに告つげたではありませんか」。22:19 ミカヤは言いった、「それゆえ主しゅの言葉ことばを聞ききなさい。わたしは主しゅがその玉座ぎょくざにすわり、天てんの万軍ばんぐんがそのかたわらに、右左みぎひだりに立たっているのを見みたが、22:20 主しゅは『だれがアハブをいざなってラモテ・ギレアデに上のぼらせ、彼かれを倒たおれさせるであろうか』と言いわれました。するとひとりはこの事ことを言いい、ひとりはほかの事ことを言いいました。22:21 その時とき一つの霊れいが進すすみ出でて、主しゅの前まえに立たち、『わたしが彼かれをいざないましょう』と言いいました。22:22 主しゅは『どのような方法ほうほうでするのか』と言いわれたので、彼かれは『わたしが出でて行いって、偽いつわりを言いう霊れいとなって、すべての預言者よげんしゃの口くちに宿やどりましょう』と言いいました。そこで主しゅは『おまえは彼かれをいざなって、それを成なし遂とげるであろう。出でて行いって、そうしなさい』と言いわれました。22:23 それで主しゅは偽いつわりを言いう霊れいをあなたのすべての預言者よげんしゃの口くちに入いれ、また主しゅはあなたの身みに起おこる災わざわいを告つげられたのです」。22:24 するとケナアナの子こゼデキヤは近寄ちかよって、ミカヤのほおを打うって言いった、「どのようにして主しゅの霊れいがわたしを離はなれて、あなたに語かたりましたか」。22:25 ミカヤは言いった、「あなたが奥おくの間あいだにはいって身みを隠かくすその日ひに、わかるでしょう」。22:26 イスラエルの王おうは言いった、「ミカヤを捕とらえ、町まちのつかさアモンと、王おうの子こヨアシの所ところへ引ひいて帰かえって、22:27 言いいなさい、『王おうがこう言いいます、この者ものを獄屋ごくやに入いれ、わずかのパンと水みずをもって彼かれを養やしない、わたしが勝利しょうりを得えて帰かえってくるのを待まて』」。22:28 ミカヤは言いった、「もしあなたが勝利しょうりを得えて帰かえってこられるならば、主しゅがわたしによって語かたられなかったのです」。また彼かれは言いった、「あなたがた、すべての民たみよ、聞ききなさい」。 22:29 こうしてイスラエルの王おうとユダの王おうヨシャパテはラモテ・ギレアデに上のぼっていった。22:30 イスラエルの王おうはヨシャパテに言いった、「わたしは姿すがたを変かえて、戦たたかいに行いきます。あなたは王おうの服ふくを着つけなさい」。イスラエルの王おうは姿すがたを変かえて戦たたかいに行いった。22:31 さて、スリヤの王おうは、その戦車せんしゃ長ちょう三十二人にんに命めいじて言いった、「あなたがたは、小ちいさい者ものとも大おおきい者ものとも戦たたかわないで、ただイスラエルの王おうとだけ戦たたかいなさい」。22:32 戦車せんしゃ長ちょうらはヨシャパテを見みたとき、これはきっとイスラエルの王おうだと思おもったので、身みをめぐらして、これと戦たたかおうとすると、ヨシャパテは呼よばわった。22:33 戦車せんしゃ長ちょうらは彼かれがイスラエルの王おうでないのを見みたので、彼かれを追おうことをやめて引ひき返かえした。22:34 しかし、ひとりの人ひとが何なに心こころなく弓ゆみをひいて、イスラエルの王おうの胸当むねあてと草摺くさずりの間あいだを射いたので、彼かれはその戦車せんしゃの御者ぎょしゃに言いった、「わたしは傷きずを受うけた。戦車せんしゃをめぐらして、わたしを戦場せんじょうから運はこび出だせ」。22:35 その日ひ戦たたかいは激はげしくなった。王おうは戦車せんしゃの中なかにささえられて立たち、スリヤびとにむかっていたが、ついに、夕暮ゆうぐれになって死しんだ。傷きずの血ちは戦車せんしゃの底そこに流ながれた。22:36 日ひの没ぼっするころ、軍勢ぐんぜいの中なかに呼よばわる声こえがした、「めいめいその町まちへ、めいめいその国くにへ帰かえれ」。 22:37 王おうは死しんで、サマリヤへ携たずさえ行いかれた。人々ひとびとは王おうをサマリヤに葬ほうむった。22:38 またその戦車せんしゃをサマリヤの池いけで洗あらったが、犬いぬがその血ちをなめた。また遊女ゆうじょがそこで身みを洗あらった。主しゅが言いわれた言葉ことばのとおりである。22:39 アハブのそのほかの事績じせきと、彼かれがしたすべての事ことと、その建たてた象牙ぞうげの家いえと、その建たてたすべての町まちは、イスラエルの王おうの歴代志れきだいしの書しょにしるされているではないか。22:40 こうしてアハブはその先祖せんぞと共ともに眠ねむって、その子こアハジヤが代かわって王おうとなった。 22:41 アサの子こヨシャパテはイスラエルの王おうアハブの第だい四年ねんにユダの王おうとなった。22:42 ヨシャパテは王おうとなった時とき、三十五歳さいであったが、エルサレムで二十五年ねん世よを治おさめた。その母ははの名なはアズバといい、シルヒの娘むすめであった。22:43 ヨシャパテは父ちちアサのすべての道みちに歩あゆみ、それを離はなれることなく、主しゅの目めにかなう事ことをした。ただし高たかき所ところは除のぞかなかったので、民たみはなお高たかき所ところで犠牲ぎせいをささげ、香こうをたいた。22:44 ヨシャパテはまたイスラエルの王おうと、よしみを結むすんだ。 22:45 ヨシャパテのその他たの事績じせきと、彼かれがあらわした勲功くんこうおよびその戦争せんそうについては、ユダの王おうの歴代志れきだいしの書しょにしるされているではないか。22:46 彼かれは父ちちアサの世よになお残のこっていた神殿しんでん男娼だんしょうたちを国くにのうちから追おい払はらった。 22:47 そのころエドムには王おうがなく、代官だいかんが王おうであった。22:48 ヨシャパテはタルシシの船ふねを造つくって、金きんを獲えるためにオフルに行いかせようとしたが、その船ふねはエジオン・ゲベルで難破なんぱしたため、ついに行いかなかった。22:49 そこでアハブの子こアハジヤはヨシャパテに「わたしの家来けらいをあなたの家来けらいと一緒いっしょに船ふねで行いかせなさい」と言いったが、ヨシャパテは承知しょうちしなかった。22:50 ヨシャパテはその先祖せんぞと共ともに眠ねむって、父ちちダビデの町まちに先祖せんぞと共ともに葬ほうむられ、その子こヨラムが代かわって王おうとなった。 22:51 アハブの子こアハジヤはユダの王おうヨシャパテの第だい十七年ねんにサマリヤでイスラエルの王おうとなり、二年ねんイスラエルを治おさめた。22:52 彼かれは主しゅの目めの前まえに悪あくを行おこない、その父ちちの道みちと、その母ははの道みち、およびかのイスラエルに罪つみを犯おかさせたネバテの子こヤラベアムの道みちに歩あゆみ、22:53 バアルに仕つかえて、それを拝おがみ、イスラエルの神かみ、主しゅを怒いからせた。すべて彼かれの父ちちがしたとおりであった。
21:1 さてエズレルびとナボテはエズレルにぶどう畑はたけをもっていたが、サマリヤの王おうアハブの宮殿きゅうでんのかたわらにあったので、
21:2 アハブはナボテに言いった、「あなたのぶどう畑はたけはわたしの家いえの近ちかくにあるので、わたしに譲ゆずって青物あおもの畑はたけにさせてください。その代かわり、わたしはそれよりも良よいぶどう畑はたけをあなたにあげましょう。もしお望のぞみならば、その価あたいを金きんでさしあげましょう」。
21:3 ナボテはアハブに言いった、「わたしは先祖せんぞの嗣し業ぎょうをあなたに譲ゆずることを断だんじていたしません」。
21:4 アハブはエズレルびとナボテが言いった言葉ことばを聞きいて、悲かなしみ、かつ怒いかって家いえにはいった。ナボテが「わたしは先祖せんぞの嗣し業ぎょうをあなたに譲ゆずりません」と言いったからである。アハブは床とこに伏ふし、顔かおをそむけて食事しょくじをしなかった。
21:5 妻つまイゼベルは彼かれの所ところにきて、言いった、「あなたは何なにをそんなに悲かなしんで、食事しょくじをなさらないのですか」。
21:6 彼かれは彼女かのじょに言いった、「わたしはエズレルびとナボテに『あなたのぶどう畑はたけを金かねで譲ゆずってください。もし望のぞむならば、その代かわりに、ほかのぶどう畑はたけをあげよう』と言いったが、彼かれは答こたえて『わたしはぶどう畑はたけを譲ゆずりません』と言いったからだ」。
21:7 妻つまイゼベルは彼かれに言いった、「あなたが今いまイスラエルを治おさめているのですか。起おきて食事しょくじをし、元気げんきを出だしてください。わたしがエズレルびとナボテのぶどう畑はたけをあなたにあげます」。
21:8 彼女かのじょはアハブの名なで手紙てがみを書かき、彼かれの印しるしをおして、ナボテと同おなじように、その町まちに住すんでいる長老ちょうろうたちと身分みぶんの尊たっとい人々ひとびとに、その手紙てがみを送おくった。
21:9 彼女かのじょはその手紙てがみに書かきしるした、「断食だんじきを布告ふこくして、ナボテを民たみのうちの高たかい所ところにすわらせ、
21:10 またふたりのよこしまな者ものを彼かれの前まえにすわらせ、そして彼かれを訴うったえて、『あなたは神かみと王おうとをのろった』と言いわせなさい。こうして彼かれを引ひき出だし、石いしで撃うち殺ころしなさい」。
21:11 その町まちの人々ひとびと、すなわち、その町まちに住すんでいる長老ちょうろうたちおよび身分みぶんの尊たっとい人々ひとびとは、イゼベルが言いいつかわしたようにした。彼女かのじょが彼かれらに送おくった手紙てがみに書かきしるされていたように、
21:12 彼かれらは断食だんじきを布告ふこくして、ナボテを民たみのうちの高たかい所ところにすわらせた。
21:13 そしてふたりのよこしまな者ものがはいってきて、その前まえにすわり、そのよこしまな者ものたちが民たみの前まえでナボテを訴うったえて、「ナボテは神かみと王おうとをのろった」と言いった。そこで人々ひとびとは彼かれを町まちの外そとに引ひき出だし、石いしで撃うち殺ころした。
21:14 そして人々ひとびとはイゼベルに「ナボテは石いしで撃うち殺ころされた」と言いい送おくった。
21:15 イゼベルはナボテが石いしで撃うち殺ころされたのを聞きくとすぐ、アハブに言いった、「立たって、あのエズレルびとナボテが、あなたに金かねで譲ゆずることを拒こばんだぶどう畑はたけを取とりなさい。ナボテは生いきていません。死しんだのです」。
21:16 アハブはナボテの死しんだのを聞きくとすぐ、立たって、エズレルびとナボテのぶどう畑はたけを取とるために、そこへ下くだっていった。
21:17 そのとき、主しゅの言葉ことばがテシベびとエリヤに臨のぞんだ、
21:18 「立たって、下くだって行いき、サマリヤにいるイスラエルの王おうアハブに会あいなさい。彼かれはナボテのぶどう畑はたけを取とろうとしてそこへ下くだっている。
21:19 あなたは彼かれに言いわなければならない、『主しゅはこう仰おおせられる、あなたは殺ころしたのか、また取とったのか』と。また彼かれに言いいなさい、『主しゅはこう仰おおせられる、犬いぬがナボテの血ちをなめた場所ばしょで、犬いぬがあなたの血ちをなめるであろう』」。
21:20 アハブはエリヤに言いった、「わが敵てきよ、ついに、わたしを見みつけたのか」。彼かれは言いった、「見みつけました。あなたが主しゅの目めの前まえに悪あくを行おこなうことに身みをゆだねたゆえ、
21:21 わたしはあなたに災わざわいを下くだし、あなたを全まったく滅ほろぼし、アハブに属ぞくする男おとこは、イスラエルにいてつながれた者ものも、自由じゆうな者ものもことごとく断たち、
21:22 またあなたの家いえをネバテの子こヤラベアムの家いえのようにし、アヒヤの子こバアシャの家いえのようにするでしょう。これはあなたがわたしを怒いからせた怒いかりのゆえ、またイスラエルに罪つみを犯おかさせたゆえです。
21:23 イゼベルについて、主しゅはまた言いわれました、『犬いぬがエズレルの地域ちいきでイゼベルを食くうであろう』と。
21:24 アハブに属ぞくする者ものは、町まちで死しぬ者ものを犬いぬが食くい、野ので死しぬ者ものを空そらの鳥とりが食くうでしょう」。
21:25 アハブのように主しゅの目めの前まえに悪あくを行おこなうことに身みをゆだねた者ものはなかった。その妻つまイゼベルが彼かれをそそのかしたのである。
21:26 彼かれは主しゅがイスラエルの人々ひとびとの前まえから追おい払はらわれたアモリびとがしたように偶像ぐうぞうに従したがって、はなはだ憎にくむべき事ことを行おこなった。
21:27 アハブはこれらの言葉ことばを聞きいた時とき、衣ころもを裂さき、荒布あらぬのを身みにまとい、食しょくを断たち、荒布あらぬのに伏ふし、打うちしおれて歩あるいた。
21:28 この時とき、主しゅの言葉ことばがテシベびとエリヤに臨のぞんだ、
21:29 「アハブがわたしの前まえにへりくだっているのを見みたか。彼かれがわたしの前まえにへりくだっているゆえ、わたしは彼あの世よには災わざわいを下くださない。その子この世よに災わざわいをその家いえに下くだすであろう」。
第22章 22:1 スリヤとイスラエルの間あいだに戦争せんそうがなくて三年ねんを経へた。22:2 しかし三年ねん目めにユダの王おうヨシャパテがイスラエルの王おうの所ところへ下くだっていったので、22:3 イスラエルの王おうはその家来けらいたちに言いった、「あなたがたは、ラモテ・ギレアデがわれわれの所有しょゆうであることを知しっていますか。しかもなおわれわれはスリヤの王おうの手てからそれを取とらずに黙だまっているのです」。22:4 彼かれはヨシャパテに言いった、「ラモテ・ギレアデで戦たたかうためにわたしと一緒いっしょに行いかれませんか」。ヨシャパテはイスラエルの王おうに言いった、「わたしはあなたと一つです。わたしの民たみはあなたの民たみと一つです。わたしの馬うまはあなたの馬うまと一つです」。 22:5 ヨシャパテはまたイスラエルの王おうに言いった、「まず、主しゅの言葉ことばを伺うかがいなさい」。22:6 そこでイスラエルの王おうは預言者よげんしゃ四百人にんばかりを集あつめて、彼かれらに言いった、「わたしはラモテ・ギレアデに戦たたかいに行いくべきでしょうか、あるいは控ひかえるべきでしょうか」。彼かれらは言いった、「上のぼっていきなさい。主しゅはそれを王おうの手てにわたされるでしょう」。22:7 ヨシャパテは言いった、「ここには、われわれの問とうべき主しゅの預言者よげんしゃがほかにいませんか」。22:8 イスラエルの王おうはヨシャパテに言いった、「われわれが主しゅに問とうことのできる人ひとが、まだひとりいます。イムラの子こミカヤです。彼かれはわたしについて良よい事ことを預言よげんせず、ただ悪わるい事ことだけを預言よげんするので、わたしは彼かれを憎にくんでいます」。ヨシャパテは言いった、「王おうよ、そう言いわないでください」。22:9 そこでイスラエルの王おうは役人やくにんを呼よんで、「急いそいでイムラの子こミカヤを連つれてきなさい」と言いった。22:10 さてイスラエルの王おうおよびユダの王おうヨシャパテは王おうの服ふくを着きて、サマリヤの門もんの入口いりぐちの広場ひろばに、おのおのその王座おうざにすわり、預言者よげんしゃたちは皆みなその前まえで預言よげんしていた。22:11 ケナアナの子こゼデキヤは鉄てつの角つのを造つくって言いった、「主しゅはこう仰おおせられます、『あなたはこれらの角つのをもってスリヤびとを突ついて彼かれらを滅ほろぼしなさい』」。22:12 預言者よげんしゃたちは皆みなそのように預言よげんして言いった、「ラモテ・ギレアデに上のぼっていって勝利しょうりを得えなさい。主しゅはそれを王おうの手てにわたされるでしょう」。 22:13 さてミカヤを呼よびにいった使者ししゃは彼かれに言いった、「預言者よげんしゃたちは一致いっちして王おうに良よい事ことを言いいました。どうぞ、あなたも、彼かれらのひとりの言葉ことばのようにして、良よい事ことを言いってください」。22:14 ミカヤは言いった、「主しゅは生いきておられます。主しゅがわたしに言いわれる事ことを申もうしましょう」。22:15 彼かれが王おうの所ところへ行いくと、王おうは彼かれに言いった、「ミカヤよ、われわれはラモテ・ギレアデに戦たたかいに行いくべきでしょうか、あるいは控ひかえるべきでしょうか」。彼かれは王おうに言いった、「上のぼっていって勝利しょうりを得えなさい。主しゅはそれを王おうの手てにわたされるでしょう」。22:16 しかし王おうは彼かれに言いった、「幾いくたびあなたを誓ちかわせたら、あなたは主しゅの名なをもって、ただ真実しんじつのみをわたしに告つげるでしょうか」。22:17 彼かれは言いった、「わたしはイスラエルが皆みな、牧者ぼくしゃのない羊ひつじのように、山やまに散ちっているのを見みました。すると主しゅは『これらの者ものは飼主かいぬしがいない。彼かれらをそれぞれ安やすらかに、その家いえに帰かえらせよ』と言いわれました」。22:18 イスラエルの王おうはヨシャパテに言いった、「彼かれがわたしについて良よい事ことを預言よげんせず、ただ悪わるい事ことだけを預言よげんすると、あなたに告つげたではありませんか」。22:19 ミカヤは言いった、「それゆえ主しゅの言葉ことばを聞ききなさい。わたしは主しゅがその玉座ぎょくざにすわり、天てんの万軍ばんぐんがそのかたわらに、右左みぎひだりに立たっているのを見みたが、22:20 主しゅは『だれがアハブをいざなってラモテ・ギレアデに上のぼらせ、彼かれを倒たおれさせるであろうか』と言いわれました。するとひとりはこの事ことを言いい、ひとりはほかの事ことを言いいました。22:21 その時とき一つの霊れいが進すすみ出でて、主しゅの前まえに立たち、『わたしが彼かれをいざないましょう』と言いいました。22:22 主しゅは『どのような方法ほうほうでするのか』と言いわれたので、彼かれは『わたしが出でて行いって、偽いつわりを言いう霊れいとなって、すべての預言者よげんしゃの口くちに宿やどりましょう』と言いいました。そこで主しゅは『おまえは彼かれをいざなって、それを成なし遂とげるであろう。出でて行いって、そうしなさい』と言いわれました。22:23 それで主しゅは偽いつわりを言いう霊れいをあなたのすべての預言者よげんしゃの口くちに入いれ、また主しゅはあなたの身みに起おこる災わざわいを告つげられたのです」。22:24 するとケナアナの子こゼデキヤは近寄ちかよって、ミカヤのほおを打うって言いった、「どのようにして主しゅの霊れいがわたしを離はなれて、あなたに語かたりましたか」。22:25 ミカヤは言いった、「あなたが奥おくの間あいだにはいって身みを隠かくすその日ひに、わかるでしょう」。22:26 イスラエルの王おうは言いった、「ミカヤを捕とらえ、町まちのつかさアモンと、王おうの子こヨアシの所ところへ引ひいて帰かえって、22:27 言いいなさい、『王おうがこう言いいます、この者ものを獄屋ごくやに入いれ、わずかのパンと水みずをもって彼かれを養やしない、わたしが勝利しょうりを得えて帰かえってくるのを待まて』」。22:28 ミカヤは言いった、「もしあなたが勝利しょうりを得えて帰かえってこられるならば、主しゅがわたしによって語かたられなかったのです」。また彼かれは言いった、「あなたがた、すべての民たみよ、聞ききなさい」。 22:29 こうしてイスラエルの王おうとユダの王おうヨシャパテはラモテ・ギレアデに上のぼっていった。22:30 イスラエルの王おうはヨシャパテに言いった、「わたしは姿すがたを変かえて、戦たたかいに行いきます。あなたは王おうの服ふくを着つけなさい」。イスラエルの王おうは姿すがたを変かえて戦たたかいに行いった。22:31 さて、スリヤの王おうは、その戦車せんしゃ長ちょう三十二人にんに命めいじて言いった、「あなたがたは、小ちいさい者ものとも大おおきい者ものとも戦たたかわないで、ただイスラエルの王おうとだけ戦たたかいなさい」。22:32 戦車せんしゃ長ちょうらはヨシャパテを見みたとき、これはきっとイスラエルの王おうだと思おもったので、身みをめぐらして、これと戦たたかおうとすると、ヨシャパテは呼よばわった。22:33 戦車せんしゃ長ちょうらは彼かれがイスラエルの王おうでないのを見みたので、彼かれを追おうことをやめて引ひき返かえした。22:34 しかし、ひとりの人ひとが何なに心こころなく弓ゆみをひいて、イスラエルの王おうの胸当むねあてと草摺くさずりの間あいだを射いたので、彼かれはその戦車せんしゃの御者ぎょしゃに言いった、「わたしは傷きずを受うけた。戦車せんしゃをめぐらして、わたしを戦場せんじょうから運はこび出だせ」。22:35 その日ひ戦たたかいは激はげしくなった。王おうは戦車せんしゃの中なかにささえられて立たち、スリヤびとにむかっていたが、ついに、夕暮ゆうぐれになって死しんだ。傷きずの血ちは戦車せんしゃの底そこに流ながれた。22:36 日ひの没ぼっするころ、軍勢ぐんぜいの中なかに呼よばわる声こえがした、「めいめいその町まちへ、めいめいその国くにへ帰かえれ」。 22:37 王おうは死しんで、サマリヤへ携たずさえ行いかれた。人々ひとびとは王おうをサマリヤに葬ほうむった。22:38 またその戦車せんしゃをサマリヤの池いけで洗あらったが、犬いぬがその血ちをなめた。また遊女ゆうじょがそこで身みを洗あらった。主しゅが言いわれた言葉ことばのとおりである。22:39 アハブのそのほかの事績じせきと、彼かれがしたすべての事ことと、その建たてた象牙ぞうげの家いえと、その建たてたすべての町まちは、イスラエルの王おうの歴代志れきだいしの書しょにしるされているではないか。22:40 こうしてアハブはその先祖せんぞと共ともに眠ねむって、その子こアハジヤが代かわって王おうとなった。 22:41 アサの子こヨシャパテはイスラエルの王おうアハブの第だい四年ねんにユダの王おうとなった。22:42 ヨシャパテは王おうとなった時とき、三十五歳さいであったが、エルサレムで二十五年ねん世よを治おさめた。その母ははの名なはアズバといい、シルヒの娘むすめであった。22:43 ヨシャパテは父ちちアサのすべての道みちに歩あゆみ、それを離はなれることなく、主しゅの目めにかなう事ことをした。ただし高たかき所ところは除のぞかなかったので、民たみはなお高たかき所ところで犠牲ぎせいをささげ、香こうをたいた。22:44 ヨシャパテはまたイスラエルの王おうと、よしみを結むすんだ。 22:45 ヨシャパテのその他たの事績じせきと、彼かれがあらわした勲功くんこうおよびその戦争せんそうについては、ユダの王おうの歴代志れきだいしの書しょにしるされているではないか。22:46 彼かれは父ちちアサの世よになお残のこっていた神殿しんでん男娼だんしょうたちを国くにのうちから追おい払はらった。 22:47 そのころエドムには王おうがなく、代官だいかんが王おうであった。22:48 ヨシャパテはタルシシの船ふねを造つくって、金きんを獲えるためにオフルに行いかせようとしたが、その船ふねはエジオン・ゲベルで難破なんぱしたため、ついに行いかなかった。22:49 そこでアハブの子こアハジヤはヨシャパテに「わたしの家来けらいをあなたの家来けらいと一緒いっしょに船ふねで行いかせなさい」と言いったが、ヨシャパテは承知しょうちしなかった。22:50 ヨシャパテはその先祖せんぞと共ともに眠ねむって、父ちちダビデの町まちに先祖せんぞと共ともに葬ほうむられ、その子こヨラムが代かわって王おうとなった。 22:51 アハブの子こアハジヤはユダの王おうヨシャパテの第だい十七年ねんにサマリヤでイスラエルの王おうとなり、二年ねんイスラエルを治おさめた。22:52 彼かれは主しゅの目めの前まえに悪あくを行おこない、その父ちちの道みちと、その母ははの道みち、およびかのイスラエルに罪つみを犯おかさせたネバテの子こヤラベアムの道みちに歩あゆみ、22:53 バアルに仕つかえて、それを拝おがみ、イスラエルの神かみ、主しゅを怒いからせた。すべて彼かれの父ちちがしたとおりであった。
22:1 スリヤとイスラエルの間あいだに戦争せんそうがなくて三年ねんを経へた。
22:2 しかし三年ねん目めにユダの王おうヨシャパテがイスラエルの王おうの所ところへ下くだっていったので、
22:3 イスラエルの王おうはその家来けらいたちに言いった、「あなたがたは、ラモテ・ギレアデがわれわれの所有しょゆうであることを知しっていますか。しかもなおわれわれはスリヤの王おうの手てからそれを取とらずに黙だまっているのです」。
22:4 彼かれはヨシャパテに言いった、「ラモテ・ギレアデで戦たたかうためにわたしと一緒いっしょに行いかれませんか」。ヨシャパテはイスラエルの王おうに言いった、「わたしはあなたと一つです。わたしの民たみはあなたの民たみと一つです。わたしの馬うまはあなたの馬うまと一つです」。
22:5 ヨシャパテはまたイスラエルの王おうに言いった、「まず、主しゅの言葉ことばを伺うかがいなさい」。
22:6 そこでイスラエルの王おうは預言者よげんしゃ四百人にんばかりを集あつめて、彼かれらに言いった、「わたしはラモテ・ギレアデに戦たたかいに行いくべきでしょうか、あるいは控ひかえるべきでしょうか」。彼かれらは言いった、「上のぼっていきなさい。主しゅはそれを王おうの手てにわたされるでしょう」。
22:7 ヨシャパテは言いった、「ここには、われわれの問とうべき主しゅの預言者よげんしゃがほかにいませんか」。
22:8 イスラエルの王おうはヨシャパテに言いった、「われわれが主しゅに問とうことのできる人ひとが、まだひとりいます。イムラの子こミカヤです。彼かれはわたしについて良よい事ことを預言よげんせず、ただ悪わるい事ことだけを預言よげんするので、わたしは彼かれを憎にくんでいます」。ヨシャパテは言いった、「王おうよ、そう言いわないでください」。
22:9 そこでイスラエルの王おうは役人やくにんを呼よんで、「急いそいでイムラの子こミカヤを連つれてきなさい」と言いった。
22:10 さてイスラエルの王おうおよびユダの王おうヨシャパテは王おうの服ふくを着きて、サマリヤの門もんの入口いりぐちの広場ひろばに、おのおのその王座おうざにすわり、預言者よげんしゃたちは皆みなその前まえで預言よげんしていた。
22:11 ケナアナの子こゼデキヤは鉄てつの角つのを造つくって言いった、「主しゅはこう仰おおせられます、『あなたはこれらの角つのをもってスリヤびとを突ついて彼かれらを滅ほろぼしなさい』」。
22:12 預言者よげんしゃたちは皆みなそのように預言よげんして言いった、「ラモテ・ギレアデに上のぼっていって勝利しょうりを得えなさい。主しゅはそれを王おうの手てにわたされるでしょう」。
22:13 さてミカヤを呼よびにいった使者ししゃは彼かれに言いった、「預言者よげんしゃたちは一致いっちして王おうに良よい事ことを言いいました。どうぞ、あなたも、彼かれらのひとりの言葉ことばのようにして、良よい事ことを言いってください」。
22:14 ミカヤは言いった、「主しゅは生いきておられます。主しゅがわたしに言いわれる事ことを申もうしましょう」。
22:15 彼かれが王おうの所ところへ行いくと、王おうは彼かれに言いった、「ミカヤよ、われわれはラモテ・ギレアデに戦たたかいに行いくべきでしょうか、あるいは控ひかえるべきでしょうか」。彼かれは王おうに言いった、「上のぼっていって勝利しょうりを得えなさい。主しゅはそれを王おうの手てにわたされるでしょう」。
22:16 しかし王おうは彼かれに言いった、「幾いくたびあなたを誓ちかわせたら、あなたは主しゅの名なをもって、ただ真実しんじつのみをわたしに告つげるでしょうか」。
22:17 彼かれは言いった、「わたしはイスラエルが皆みな、牧者ぼくしゃのない羊ひつじのように、山やまに散ちっているのを見みました。すると主しゅは『これらの者ものは飼主かいぬしがいない。彼かれらをそれぞれ安やすらかに、その家いえに帰かえらせよ』と言いわれました」。
22:18 イスラエルの王おうはヨシャパテに言いった、「彼かれがわたしについて良よい事ことを預言よげんせず、ただ悪わるい事ことだけを預言よげんすると、あなたに告つげたではありませんか」。
22:19 ミカヤは言いった、「それゆえ主しゅの言葉ことばを聞ききなさい。わたしは主しゅがその玉座ぎょくざにすわり、天てんの万軍ばんぐんがそのかたわらに、右左みぎひだりに立たっているのを見みたが、
22:20 主しゅは『だれがアハブをいざなってラモテ・ギレアデに上のぼらせ、彼かれを倒たおれさせるであろうか』と言いわれました。するとひとりはこの事ことを言いい、ひとりはほかの事ことを言いいました。
22:21 その時とき一つの霊れいが進すすみ出でて、主しゅの前まえに立たち、『わたしが彼かれをいざないましょう』と言いいました。
22:22 主しゅは『どのような方法ほうほうでするのか』と言いわれたので、彼かれは『わたしが出でて行いって、偽いつわりを言いう霊れいとなって、すべての預言者よげんしゃの口くちに宿やどりましょう』と言いいました。そこで主しゅは『おまえは彼かれをいざなって、それを成なし遂とげるであろう。出でて行いって、そうしなさい』と言いわれました。
22:23 それで主しゅは偽いつわりを言いう霊れいをあなたのすべての預言者よげんしゃの口くちに入いれ、また主しゅはあなたの身みに起おこる災わざわいを告つげられたのです」。
22:24 するとケナアナの子こゼデキヤは近寄ちかよって、ミカヤのほおを打うって言いった、「どのようにして主しゅの霊れいがわたしを離はなれて、あなたに語かたりましたか」。
22:25 ミカヤは言いった、「あなたが奥おくの間あいだにはいって身みを隠かくすその日ひに、わかるでしょう」。
22:26 イスラエルの王おうは言いった、「ミカヤを捕とらえ、町まちのつかさアモンと、王おうの子こヨアシの所ところへ引ひいて帰かえって、
22:27 言いいなさい、『王おうがこう言いいます、この者ものを獄屋ごくやに入いれ、わずかのパンと水みずをもって彼かれを養やしない、わたしが勝利しょうりを得えて帰かえってくるのを待まて』」。
22:28 ミカヤは言いった、「もしあなたが勝利しょうりを得えて帰かえってこられるならば、主しゅがわたしによって語かたられなかったのです」。また彼かれは言いった、「あなたがた、すべての民たみよ、聞ききなさい」。
22:29 こうしてイスラエルの王おうとユダの王おうヨシャパテはラモテ・ギレアデに上のぼっていった。
22:30 イスラエルの王おうはヨシャパテに言いった、「わたしは姿すがたを変かえて、戦たたかいに行いきます。あなたは王おうの服ふくを着つけなさい」。イスラエルの王おうは姿すがたを変かえて戦たたかいに行いった。
22:31 さて、スリヤの王おうは、その戦車せんしゃ長ちょう三十二人にんに命めいじて言いった、「あなたがたは、小ちいさい者ものとも大おおきい者ものとも戦たたかわないで、ただイスラエルの王おうとだけ戦たたかいなさい」。
22:32 戦車せんしゃ長ちょうらはヨシャパテを見みたとき、これはきっとイスラエルの王おうだと思おもったので、身みをめぐらして、これと戦たたかおうとすると、ヨシャパテは呼よばわった。
22:33 戦車せんしゃ長ちょうらは彼かれがイスラエルの王おうでないのを見みたので、彼かれを追おうことをやめて引ひき返かえした。
22:34 しかし、ひとりの人ひとが何なに心こころなく弓ゆみをひいて、イスラエルの王おうの胸当むねあてと草摺くさずりの間あいだを射いたので、彼かれはその戦車せんしゃの御者ぎょしゃに言いった、「わたしは傷きずを受うけた。戦車せんしゃをめぐらして、わたしを戦場せんじょうから運はこび出だせ」。
22:35 その日ひ戦たたかいは激はげしくなった。王おうは戦車せんしゃの中なかにささえられて立たち、スリヤびとにむかっていたが、ついに、夕暮ゆうぐれになって死しんだ。傷きずの血ちは戦車せんしゃの底そこに流ながれた。
22:36 日ひの没ぼっするころ、軍勢ぐんぜいの中なかに呼よばわる声こえがした、「めいめいその町まちへ、めいめいその国くにへ帰かえれ」。
22:37 王おうは死しんで、サマリヤへ携たずさえ行いかれた。人々ひとびとは王おうをサマリヤに葬ほうむった。
22:38 またその戦車せんしゃをサマリヤの池いけで洗あらったが、犬いぬがその血ちをなめた。また遊女ゆうじょがそこで身みを洗あらった。主しゅが言いわれた言葉ことばのとおりである。
22:39 アハブのそのほかの事績じせきと、彼かれがしたすべての事ことと、その建たてた象牙ぞうげの家いえと、その建たてたすべての町まちは、イスラエルの王おうの歴代志れきだいしの書しょにしるされているではないか。
22:40 こうしてアハブはその先祖せんぞと共ともに眠ねむって、その子こアハジヤが代かわって王おうとなった。
22:41 アサの子こヨシャパテはイスラエルの王おうアハブの第だい四年ねんにユダの王おうとなった。
22:42 ヨシャパテは王おうとなった時とき、三十五歳さいであったが、エルサレムで二十五年ねん世よを治おさめた。その母ははの名なはアズバといい、シルヒの娘むすめであった。
22:43 ヨシャパテは父ちちアサのすべての道みちに歩あゆみ、それを離はなれることなく、主しゅの目めにかなう事ことをした。ただし高たかき所ところは除のぞかなかったので、民たみはなお高たかき所ところで犠牲ぎせいをささげ、香こうをたいた。
22:44 ヨシャパテはまたイスラエルの王おうと、よしみを結むすんだ。
22:45 ヨシャパテのその他たの事績じせきと、彼かれがあらわした勲功くんこうおよびその戦争せんそうについては、ユダの王おうの歴代志れきだいしの書しょにしるされているではないか。
22:46 彼かれは父ちちアサの世よになお残のこっていた神殿しんでん男娼だんしょうたちを国くにのうちから追おい払はらった。
22:47 そのころエドムには王おうがなく、代官だいかんが王おうであった。
22:48 ヨシャパテはタルシシの船ふねを造つくって、金きんを獲えるためにオフルに行いかせようとしたが、その船ふねはエジオン・ゲベルで難破なんぱしたため、ついに行いかなかった。
22:49 そこでアハブの子こアハジヤはヨシャパテに「わたしの家来けらいをあなたの家来けらいと一緒いっしょに船ふねで行いかせなさい」と言いったが、ヨシャパテは承知しょうちしなかった。
22:50 ヨシャパテはその先祖せんぞと共ともに眠ねむって、父ちちダビデの町まちに先祖せんぞと共ともに葬ほうむられ、その子こヨラムが代かわって王おうとなった。
22:51 アハブの子こアハジヤはユダの王おうヨシャパテの第だい十七年ねんにサマリヤでイスラエルの王おうとなり、二年ねんイスラエルを治おさめた。
22:52 彼かれは主しゅの目めの前まえに悪あくを行おこない、その父ちちの道みちと、その母ははの道みち、およびかのイスラエルに罪つみを犯おかさせたネバテの子こヤラベアムの道みちに歩あゆみ、
22:53 バアルに仕つかえて、それを拝おがみ、イスラエルの神かみ、主しゅを怒いからせた。すべて彼かれの父ちちがしたとおりであった。