口語訳聖書(振り仮名付き)
章: 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39
エレミヤ書しょ
第27章 Jr-Audio
27:1 ユダの王おうヨシヤの子こゼデキヤが世よを治おさめ始はじめたころ、この言葉ことばが主しゅからエレミヤに臨のぞんだ。
27:2 すなわち主しゅはこうわたしに仰おおせられた、「綱つなと、くびきとを作つくって、それをあなたの首くびにつけ、
27:3 エルサレムにいるユダの王おうゼデキヤの所ところに来きた使者ししゃたちによって、エドムの王おう、モアブの王おう、アンモンびとの王おう、ツロの王おう、シドンの王おうに言いいおくりなさい。
27:4 彼かれらの主君しゅくんにこの命いのちを伝つたえさせなさい、『万軍ばんぐんの主しゅ、イスラエルの神かみはこう仰おおせられる、あなたがたは主君しゅくんにこのように告つげなければならない。
27:5 わたしは大おおいなる力ちからと伸のべた腕うでとをもって、地ちと地ちの上うえにいる人ひとと獣けものとをつくった者ものである。そして心こころのままに地ちを人ひとに与あたえる。
27:6 いまわたしはこのすべての国くにを、わたしのしもべであるバビロンの王おうネブカデネザルの手てに与あたえ、また野のの獣けものをも彼かれに与あたえて彼かれに仕つかえさせた。
27:7 彼かれの地ちに時ときがくるまで、万国民ばんこくみんは彼かれとその子ことその孫まごに仕つかえる。その時ときがくるならば、多おおくの国くにと大おおいなる王おうたちとが彼かれを自分じぶんの奴隷どれいにする。
27:8 バビロンの王おうネブカデネザルに仕つかえず、バビロンの王おうのくびきを自分じぶんの首くびに負おわない民たみと国くにとは、わたしがつるぎと、ききんと、疫病えきびょうをもって罰ばっし、ついには彼かれの手てによってことごとく滅ほろぼすと主しゅは言いわれる。
27:9 それで、あなたがたの預言者よげんしゃ、占うらない師し、夢ゆめみる者もの、法ほう術じゅつ師し、魔法使まほうつかいが、「あなたがたはバビロンの王おうに仕つかえることはない」と言いっても、聞きいてはならない。
27:10 彼かれらはあなたがたに偽いつわりを預言よげんして、あなたがたを自分じぶんの国くにから遠とおく離はなれさせ、わたしに、あなたがたを追おい出だしてあなたがたを滅ほろぼさせるのである。
27:11 しかしバビロンの王おうのくびきを首くびに負おって、彼かれに仕つかえる国民こくみんを、わたしはその故国ここくに残のこらせ、それを耕たがやして、そこに住すまわせると主しゅは言いわれる』」。
27:12 わたしはユダの王おうゼデキヤにも同おなじように言いった、「あなたがたは、バビロンの王おうのくびきを自分じぶんの首くびに負おって、彼かれとその民たみとに仕つかえ、そして生いきなさい。
27:13 どうしてあなたと、あなたの民たみとが、主しゅがバビロンの王おうに仕つかえない国民こくみんについて言いわれたように、つるぎと、ききんと、疫病えきびょうに死しんでよかろうか。
27:14 あなたがたはバビロンの王おうに仕つかえることはないとあなたがたに告つげる預言者よげんしゃの言葉ことばを聞きいてはならない。彼かれらがあなたがたに預言よげんしていることは偽いつわりであるからだ。
27:15 主しゅは言いわれる、わたしが彼かれらをつかわしたのではないのに、彼かれらはわたしの名なによって偽いつわって預言よげんしている。そのために、わたしはあなたがたを追おい払はらい、あなたがたと、あなたがたに預言よげんする預言者よげんしゃたちを滅ほろぼすようになるのだ」。
27:16 わたしはまた祭司さいしとこのすべての民たみとに語かたって言いった、「主しゅはこう仰おおせられる、『見みよ、主しゅの宮みやの器うつわは今いま、すみやかに、バビロンから返かえされてくる』とあなたがたに預言よげんする預言者よげんしゃの言葉ことばを聞きいてはならない。それは、彼かれらがあなたがたに預言よげんしていることは偽いつわりであるからだ。
27:17 彼かれらのいうことを聞きいてはならない。バビロンの王おうに仕つかえ、そして生いきなさい。どうしてこの町まちが荒あれ地ちとなってよかろうか。
27:18 もし彼かれらが預言者よげんしゃであって、主しゅの言葉ことばが彼かれらのうちにあるのであれば、主しゅの宮みやとユダの王おうの宮殿きゅうでんとエルサレムとに残のこされている器うつわが、バビロンに移うつされないように、万軍ばんぐんの主しゅに、とりなしを願ねがうべきだ。
27:19 万軍ばんぐんの主しゅは柱はしらと海うみと台だい、その他たこの町まちに残のこっている器うつわについて、こう仰おおせられる。
27:20 これはバビロンの王おうネブカデネザルが、ユダの王おうエホヤキムの子こエコニヤ、およびユダとエルサレムのすべての身分みぶんの尊たっとい人々ひとびとを捕とらえてエルサレムからバビロンに移うつしたときに、持もち去さらなかった器うつわである。――
27:21 すなわち万軍ばんぐんの主しゅ、イスラエルの神かみは、主しゅの宮みやとユダの王おうの宮殿きゅうでんとエルサレムとに残のこされている器うつわについて、こう仰おおせられる。
27:22 これらはバビロンに携たずさえ行いかれ、わたしが顧かえりみる日ひまでそこにおかれている。その後のち、わたしはこれらのものを、この所ところに携たずさえ帰かえらせると主しゅは言いわれる」。
第28章 28:1 その年ねん、すなわちユダの王おうゼデキヤの治世ちせいの初はじめ、その第だい四年ねんの五月がつ、ギベオン出身しゅっしんの預言者よげんしゃであって、アズルの子こであるハナニヤは、主しゅの宮みやで祭司さいしとすべての民たみの前まえでわたしに語かたって言いった、28:2 「万軍ばんぐんの主しゅ、イスラエルの神かみはこう仰おおせられる、わたしはバビロンの王おうのくびきを砕くだいた。28:3 二年ねんの内うちに、バビロンの王おうネブカデネザルが、この所ところから取とってバビロンに携たずさえて行いった主しゅの宮みやの器うつわを、皆みなこの所ところに帰かえらせる。28:4 わたしはまたユダの王おうエホヤキムの子こエコニヤと、バビロンに行いったユダのすべての捕とらわれ人びとをこの所ところに帰かえらせる。それは、わたしがバビロンの王おうのくびきを、砕くだくからであると主しゅは言いわれる」。 28:5 そこで預言者よげんしゃエレミヤは主しゅの宮みやのうちに立たっている祭司さいしとすべての民たみの前まえで、預言者よげんしゃハナニヤに言いった。28:6 すなわち預言者よげんしゃエレミヤは言いった、「アァメン。どうか主しゅがこのようにしてくださるように。どうかあなたの預言よげんした言葉ことばが成就じょうじゅして、バビロンに携たずさえて行いった主しゅの宮みやの器うつわとすべての捕とらわれ人びとを、主しゅがバビロンから再ふたたびこの所ところに帰かえらせてくださるように。28:7 ただし、今いまわたしがあなたとすべての民たみの聞きいている所ところで語かたるこの言葉ことばを聞ききなさい。28:8 わたしと、あなたの先さきに出でた預言者よげんしゃは、むかしから、多おおくの地ちと大おおきな国くにについて、戦たたかいと、ききんと、疫病えきびょうの事ことを預言よげんした。28:9 平和へいわを預言よげんする預言者よげんしゃは、その預言者よげんしゃの言葉ことばが成就じょうじゅするとき、真実しんじつに主しゅがその預言者よげんしゃをつかわされたのであることが知しられるのだ」。 28:10 そこで預言者よげんしゃハナニヤは預言者よげんしゃエレミヤの首くびから、くびきを取とって、それを砕くだいた。28:11 そしてハナニヤは、すべての民たみの前まえで語かたり、「主しゅはこう仰おおせられる、『わたしは二年ねんのうちに、このように、万国民ばんこくみんの首くびからバビロンの王おうネブカデネザルのくびきを離はなして砕くだく』」と言いった。預言者よげんしゃエレミヤは去さって行いった。 28:12 預言者よげんしゃハナニヤが預言者よげんしゃエレミヤの首くびから、くびきを離はなして砕くだいた後のち、しばらくして主しゅの言葉ことばがエレミヤに臨のぞんだ、28:13 「行いって、ハナニヤに告つげなさい、『主しゅはこう仰おおせられる、あなたは木きのくびきを砕くだいたが、わたしはそれに替かえて鉄てつのくびきを作つくろう。28:14 万軍ばんぐんの主しゅ、イスラエルの神かみはこう仰おおせられる、わたしは鉄てつのくびきをこの万国民ばんこくみんの首くびに置おいて、バビロンの王おうネブカデネザルに仕つかえさせる。彼かれらはこれに仕つかえる。わたしは野のの獣けものをも彼かれに与あたえた』」。28:15 預言者よげんしゃエレミヤはまた預言者よげんしゃハナニヤに言いった、「ハナニヤよ、聞ききなさい。主しゅがあなたをつかわされたのではない。あなたはこの民たみに偽いつわりを信しんじさせた。28:16 それゆえ主しゅは仰おおせられる、『わたしはあなたを地ちのおもてから除のぞく。あなたは主しゅに対たいする反逆はんぎゃくを語かたったので、今いま年としのうちに死しぬのだ』と」。 28:17 預言者よげんしゃハナニヤはその年ねんの七月がつに死しんだ。 第29章 29:1 これは預言者よげんしゃエレミヤがエルサレムから、かの捕とらえ移うつされた長老ちょうろうたち、およびネブカデネザルによってエルサレムからバビロンに捕とらえ移うつされた祭司さいしと預言者よげんしゃならびにすべての民たみに送おくった手紙てがみに書かきしるした言葉ことばである。29:2 それはエコニヤ王おうと太后たいこうと宦官かんがんおよびユダとエルサレムのつかさたち、および工 こうしょうと鍛冶かじとがエルサレムを去さってのちに書かかれたものであって、29:3 エレミヤはその手紙てがみをシャパンの子こエラサおよびヒルキヤの子こゲマリヤの手てによって送おくった。この人々ひとびとはユダの王おうゼデキヤがバビロンに行いかせ、バビロンの王おうネブカデネザルのもとにつかわしたものであった。その手紙てがみには次つぎのように書かいてあった。29:4 「万軍ばんぐんの主しゅ、イスラエルの神かみは、すべて捕とらえ移うつされた者もの、すなわち、わたしがエルサレムから、バビロンに捕とらえ移うつさせた者ものに、こう言いう、29:5 あなたがたは家いえを建たてて、それに住すみ、畑はたけを作つくってその産物さんぶつを食たべよ。29:6 妻つまをめとって、むすこ娘むすめを産うみ、また、そのむすこに嫁よめをめとり、娘むすめをとつがせて、むすこ娘むすめを産うむようにせよ。その所ところであなたがたの数かずを増まし、減へってはならない。29:7 わたしがあなたがたを捕とらえ移うつさせたところの町まちの平安へいあんを求もとめ、そのために主しゅに祈いのるがよい。その町まちが平安へいあんであれば、あなたがたも平安へいあんを得えるからである。29:8 万軍ばんぐんの主しゅ、イスラエルの神かみはこう言いわれる、あなたがたのうちにいる預言者よげんしゃと占うらない師しに惑まどわされてはならない。また彼かれらの見みる夢ゆめに聞きき従したがってはならない。29:9 それは、彼かれらがわたしの名なによってあなたがたに偽いつわりを預言よげんしているからである。わたしが彼かれらをつかわしたのではないと主しゅは言いわれる。 29:10 主しゅはこう言いわれる、バビロンで七十年ねんが満みちるならば、わたしはあなたがたを顧かえりみ、わたしの約束やくそくを果はたし、あなたがたをこの所ところに導みちびき帰かえる。29:11 主しゅは言いわれる、わたしがあなたがたに対たいしていだいている計画けいかくはわたしが知しっている。それは災わざわいを与あたえようというのではなく、平安へいあんを与あたえようとするものであり、あなたがたに将来しょうらいを与あたえ、希望きぼうを与あたえようとするものである。29:12 その時とき、あなたがたはわたしに呼よばわり、来きて、わたしに祈いのる。わたしはあなたがたの祈いのりを聞きく。29:13 あなたがたはわたしを尋たずね求もとめて、わたしに会あう。もしあなたがたが一心いっしんにわたしを尋たずね求もとめるならば、29:14 わたしはあなたがたに会あうと主しゅは言いわれる。わたしはあなたがたの繁栄はんえいを回復かいふくし、あなたがたを万国ばんこくから、すべてわたしがあなたがたを追おいやった所ところから集あつめ、かつ、わたしがあなたがたを捕とらわれ離はなれさせたそのもとの所ところに、あなたがたを導みちびき帰かえろうと主しゅは言いわれる。 29:15 あなたがたは、『主しゅはバビロンでわれわれのために預言者よげんしゃたちを起おこされた』と言いったが、――29:16 主しゅはダビデの位くらいに座ざしている王おうと、この町まちに住すむすべての民たみで、あなたがたと共ともに捕とらえ移うつされなかった兄弟きょうだいたちについて、こう言いわれる、29:17 『万軍ばんぐんの主しゅはこう言いわれる、見みよ、わたしは、つるぎと、ききんと、疫病えきびょうを彼かれらに送おくり、彼かれらを悪わるくて食たべられない腐くさったいちじくのようにしてしまう。29:18 わたしはつるぎと、ききんと、疫病えきびょうをもって彼かれらのあとを追おい、また彼かれらを地ちの万国ばんこくに忌いみきらわれるものとなし、わたしが彼かれらを追おいやる国々くにぐにで、のろいとなり、恐おそれとなり、物笑ものわらいとなり、はずかしめとならせる。29:19 それは彼かれらがわたしの言葉ことばに聞きき従したがわなかったからであると主しゅは言いわれる。わたしはこの言葉ことばを、わたしのしもべである預言者よげんしゃたちによって、しきりに送おくったが、あなたがたは聞きこうともしなかったと主しゅは言いわれる』。――29:20 わたしがエルサレムからバビロンに送おくったあなたがたすべての捕とらわれ人びとよ、主しゅの言葉ことばを聞ききなさい、29:21 『わたしの名なによって、あなたがたに偽いつわりを預言よげんしているコラヤの子こアハブと、マアセヤの子こゼデキヤについて万軍ばんぐんの主しゅ、イスラエルの神かみはこう仰おおせられる、見みよ、わたしは彼かれらをバビロンの王おうネブカデレザルの手てに渡わたす。王おうはあなたがたの目めの前まえで彼かれらを殺ころす。29:22 バビロンにいるユダの捕とらわれ人びとは皆みな、彼かれらの名なを、のろいの言葉ことばに用もちいて、「主しゅがあなたをバビロンの王おうが火ひで焼やいたゼデキヤとアハブのようにされるように」という。29:23 それは、彼かれらがイスラエルのうちで愚おろかな事ことをし、隣となりの妻つまと不義ふぎを行おこない、わたしが命めいじたのでない偽いつわりの言葉ことばを、わたしの名なによって語かたったことによるのである。わたしはそれを知しっており、またその証人しょうにんであると主しゅは言いわれる』」。 29:24 ネヘラムびとシマヤにあなたは言いいなさい、29:25 「万軍ばんぐんの主しゅ、イスラエルの神かみはこう仰おおせられる、あなたは自分じぶんの名なでエルサレムにいるすべての民たみと、マアセヤの子こ祭司さいしゼパニヤおよびすべての祭司さいしに手紙てがみを送おくって言いう、29:26 『主しゅは祭司さいしエホヤダに代かわってあなたを祭司さいしとし、主しゅの宮みやをつかさどらせ、すべて狂くるい、かつ預言よげんする者ものを足あしかせと首くびかせにつながせられる。29:27 そうであるのに、どうしてあなたは、あなたがたに預言よげんしているアナトテのエレミヤを戒いましめないのか。29:28 彼かれはバビロンにいるわれわれの所ところに手紙てがみを送おくって、捕とらわれの時ときはなお長ながいゆえ、あなたがたは家いえを建たててそこに住すみ、畑はたけを作つくってその産物さんぶつを食たべよと言いってきた』」。 29:29 祭司さいしゼパニヤはこの手紙てがみを預言者よげんしゃエレミヤに読よみ聞きかせた。29:30 その時とき、主しゅの言葉ことばがエレミヤに臨のぞんだ、29:31 「すべての捕とらわれ人びとに書かき送おくって言いいなさい、ネヘラムびとシマヤの事ことについて主しゅはこう仰おおせられる、わたしはシマヤをつかわさなかったのに、彼かれがあなたがたに預言よげんして偽いつわりを信しんじさせたので、29:32 主しゅはこう仰おおせられる、見みよ、わたしはネヘラムびとシマヤとその子孫しそんを罰ばっする。彼かれは主しゅに対たいする反逆はんぎゃくを語かたったゆえ、彼かれに属ぞくする者もので、この民たみのうちに住すみ、わたしが自分じぶんの民たみに行おこなおうとしている良よい事ことを見みるものはひとりもいない」。 第30章 30:1 主しゅからエレミヤに臨のぞんだ言葉ことば。30:2 「イスラエルの神かみ、主しゅはこう仰おおせられる、わたしがあなたに語かたった言葉ことばを、ことごとく書物しょもつにしるしなさい。30:3 主しゅは言いわれる、見みよ、わたしがわが民たみイスラエルとユダの繁栄はんえいを回復かいふくする日ひが来くる。主しゅがこれを言いわれる。わたしは彼かれらを、その先祖せんぞに与あたえた地ちに帰かえらせ、彼かれらにこれを保たもたせる」。 30:4 これは主しゅがイスラエルとユダについて言いわれた言葉ことばである。 30:5 「主しゅはこう仰おおせられる、われわれはおののきの声こえを聞きいた。恐おそれがあり、平安へいあんはない。30:6 子こを産うむ男おとこがあるか、尋たずねてみよ。どうして男おとこがみな子こを産うむ女おんなのように手てを腰こしにおくのをわたしは見みるのか。なぜ、どの人ひとの顔色かおいろも青あおく変かわっているのか。30:7 悲かなしいかな、その日ひは大おおいなる日ひであって、それに比くらべるべき日ひはない。それはヤコブの悩なやみの時ときである。しかし彼かれはそれから救すくい出だされる。30:8 万軍ばんぐんの主しゅは仰おおせられる、その日ひわたしは彼かれらの首くびからそのくびきを砕くだき離はなし、彼かれらの束縛そくばくを解とく。異邦いほうの人ひとはもはや、彼かれらを使役しえきすることをしない。30:9 彼かれらはその神かみ、主しゅと、わたしが彼かれらのために立たてるその王おうダビデに仕つかえる。 30:10 主しゅは仰おおせられる、わがしもべヤコブよ、恐おそれることはない、イスラエルよ、驚おどろくことはない。見みよ、わたしがあなたを救すくって、遠とおくからかえし、あなたの子孫しそんを救すくって、その捕とらえ移うつされた地ちからかえすからだ。ヤコブは帰かえってきて、穏おだやかに安やすらかにおり、彼かれを恐おそれさせる者ものはない。30:11 主しゅは言いわれる、わたしはあなたと共ともにいて、あなたを救すくう。わたしはあなたを散ちらした国々くにぐにをことごとく滅ほろぼし尽つくす。しかし、あなたを滅ほろぼし尽つくすことはしない。わたしは正ただしい道みちに従したがってあなたを懲こらしめる。決けっして罰ばっしないではおかない。 30:12 主しゅはこう仰おおせられる、あなたの痛いたみはいえず、あなたの傷きずは重おもい。30:13 あなたの訴うったえを支持しじする者ものはなく、あなたの傷きずをつつむ薬くすりはなく、あなたをいやすものもない。30:14 あなたの愛あいする者ものは皆みなあなたを忘わすれてあなたの事ことを心こころに留とめない。それは、あなたのとがが多おおく、あなたの罪つみがはなはだしいので、わたしがあだを撃うつようにあなたを撃うち、残忍ざんにんな敵てきのように懲こらしたからだ。30:15 なぜ、あなたの傷きずのために叫さけぶのか、あなたの悩なやみはいえることはない。あなたのとがが多おおく、あなたの罪つみがはなはだしいので、これらの事ことをわたしはあなたにしたのである。30:16 しかし、すべてあなたを食くい滅ほろぼす者ものは食くい滅ほろぼされ、あなたをしえたげる者ものは、ひとり残のこらず、捕とらえ移うつされ、あなたをかすめる者ものは、かすめられ、すべてあなたの物ものを奪うばう者ものは奪うばわれる者ものとなる。30:17 主しゅは言いわれる、わたしはあなたの健康けんこうを回復かいふくさせ、あなたの傷きずをいやす。それは、人ひとがあなたを捨すてられた者ものとよび、『だれも心こころに留とめないシオン』というからである。 30:18 主しゅはこう仰おおせられる、見みよ、わたしはヤコブの天幕てんまくを再ふたたび栄さかえさせ、そのすまいにあわれみを施ほどこす。町まちは、その丘おかに建たてなおされ、宮殿きゅうでんはもと立たっていた所ところに立たつ。30:19 感謝かんしゃの歌うたと喜よろこぶ者ものの声こえとが、その中なかから出でる。わたしが彼かれらを増ますゆえ、彼かれらは少すくなくはなく、また彼かれらを尊たっとばれしめるゆえ、卑いやしめられることはない。30:20 その子こらは、いにしえのようになり、その会衆かいしゅうはわたしの前まえに堅かたく立たつ。すべて彼かれらをしえたげる者ものをわたしは罰ばっする。30:21 その君きみは彼かれら自身じしんのうちのひとりであり、そのつかさは、そのうちから出でる。わたしは彼かれをわたしに近ちかづけ、彼かれはわたしに近ちかづく。だれか自分じぶんの命いのちをかけてわたしに近ちかづく者ものがあろうかと主しゅは言いわれる。30:22 あなたがたは、わたしの民たみとなり、わたしはあなたがたの神かみとなる」。 30:23 見みよ、主しゅの暴風ぼうふうがくる。憤いきどおりと、つむじ風かぜが出でて、悪人あくにんのこうべをうつ。30:24 主しゅの激はげしい怒いかりは、み心こころに思おもい定さだめられたことを行おこなって、これを遂とげるまで、退しりぞくことはない。末すえの日ひにあなたがたはこれを悟さとるのである。 第31章 31:1 「主しゅは言いわれる、その時ときわたしはイスラエルの全部ぜんぶ族ぞくの神かみとなり、彼かれらはわたしの民たみとなる」。 31:2 主しゅはこう言いわれる、「つるぎをのがれて生いき残のこった民たみは、荒野あらので恵めぐみを得えた。イスラエルが安息あんそくを求もとめた時とき、31:3 主しゅは遠とおくから彼かれに現あらわれた。わたしは限かぎりなき愛あいをもってあなたを愛あいしている。それゆえ、わたしは絶たえずあなたに真実しんじつをつくしてきた。31:4 イスラエルのおとめよ、再ふたたびわたしはあなたを建たてる、あなたは建たてられる。あなたは再ふたたび鼓つづみをもって身みを飾かざり、出でて行いって、喜よろこび楽たのしむ者ものと共ともに踊おどる。31:5 またあなたはぶどうの木きをサマリヤの山やまに植うえる。植うえる者ものは、植うえてその実みを食たべることができる。31:6 見守みまもる者ものがエフライムの山やまの上うえに立たって呼よばわる日ひが来くる。『立たって、シオンに上のぼり、われわれの神かみ、主しゅに、もうでよう』と」。 31:7 主しゅはこう仰おおせられる、「ヤコブのために喜よろこんで声こえ高たかく歌うたい、万国ばんこくのかしらのために叫さけび声ごえをあげよ。告つげ示しめし、ほめたたえて言いえ、『主しゅはその民たみイスラエルの残のこりの者ものを救すくわれた』と。31:8 見みよ、わたしは彼かれらを北きたの国くにから連つれ帰かえり、彼かれらを地ちの果はてから集あつめる。彼かれらのうちには、盲人もうじんやあしなえ、妊婦にんぷ、産婦さんぷも共ともにいる。彼かれらは大おおきな群むれとなって、ここに帰かえってくる。31:9 彼かれらは泣なき悲かなしんで帰かえってくる。わたしは慰なぐさめながら彼かれらを導みちびき帰かえる。彼かれらがつまずかないように、まっすぐな道みちにより、水みずの流ながれのそばを通とおらせる。それは、わたしがイスラエルの父ちちであり、エフライムはわたしの長子ちょうしだからである。 31:10 万国ばんこくの民たみよ、あなたがたは主しゅの言葉ことばを聞きき、これを遠とおい、海沿うみぞいの地ちに示しめして言いいなさい、『イスラエルを散ちらした者ものがこれを集あつめられる。牧者ぼくしゃがその群むれを守まもるようにこれを守まもられる』と。31:11 すなわち主しゅはヤコブをあがない、彼かれらよりも強つよい者ものの手てから彼かれを救すくいだされた。31:12 彼かれらは来きてシオンの山やまで声こえ高たかく歌うたい、主しゅから賜たまわった良よい物もののために、穀物こくもつと酒さけと油あぶらおよび若わかき羊ひつじと牛うしのために、喜よろこびに輝かがやく。その魂たましいは潤うるおう園そののようになり、彼かれらは重かさねて憂うれえることがない。31:13 その時ときおとめたちは舞まって楽たのしみ、若わかい者ものも老おいた者ものも共ともに楽たのしむ。わたしは彼かれらの悲かなしみを喜よろこびにかえ、彼かれらを慰なぐさめ、憂うれいの代かわりに喜よろこびを与あたえる。31:14 わたしは多おおくのささげ物もので、祭司さいしの心こころを飽あかせ、わたしの良よき物もので、わたしの民たみを満みち足たらせると主しゅは言いわれる」。 31:15 主しゅはこう仰おおせられる、「嘆なげき悲かなしみ、いたく泣なく声こえがラマで聞きこえる。ラケルがその子こらのために嘆なげくのである。子こらがもはやいないので、彼女かのじょはその子こらのことで慰なぐさめられるのを願ねがわない」。31:16 主しゅはこう仰おおせられる、「あなたは泣なく声こえをとどめ、目めから涙なみだをながすことをやめよ。あなたのわざに報むくいがある。彼かれらは敵てきの地ちから帰かえってくると主しゅは言いわれる。31:17 あなたの将来しょうらいには希望きぼうがあり、あなたの子供こどもたちは自分じぶんの国くにに帰かえってくると主しゅは言いわれる。31:18 わたしは確たしかに、エフライムがこう言いって嘆なげくの聞きいた、『あなたはわたしを懲こらしめられた、わたしはくびきに慣なれない子こ牛うしのように懲こらしめをうけた。主しゅよ、あなたはわたしの神かみ、主しゅでいらせられる、わたしを連つれ帰かえって、もとにかえしてください。31:19 わたしはそむき去さった後のち、悔くい、教おしえをうけた後のち、ももを打うった。若わかい時ときのはずかしめが身みにあるので、わたしは恥はじ、うろたえた』。31:20 主しゅは言いわれる、エフライムはわたしの愛あいする子こ、わたしの喜よろこぶ子こであろうか。わたしは彼かれについて語かたるごとに、なお彼かれを忘わすれることができない。それゆえ、わたしの心こころは彼かれをしたっている。わたしは必かならず彼かれをあわれむ。31:21 みずからのために道みちしるべを置おき、みずからのために標柱ひょうちゅうを立たてよ。大路おおじに、あなたの通とおって行いった道みちに心こころを留とめよ。イスラエルのおとめよ、帰かえれ、これらの、あなたの町々まちまちに帰かえれ。31:22 不信ふしんの娘むすめよ、いつまでさまようのか。主しゅは地ちの上うえに新あたらしい事ことを創 そうぞうされたのだ、女おんなが男おとこを保護ほごする事ことである」。31:23 万軍ばんぐんの主しゅ、イスラエルの神かみはこう言いわれる、「わたしが彼かれらを再ふたたび栄さかえさせる時とき、人々ひとびとはまたユダの地ちとその町々まちまちでこの言葉ことばを言いう、 『正義せいぎのすみかよ、聖せいなる山やまよ、どうか主しゅがおまえを祝福しゅくふくしてくださるように』。31:24 ユダとそのすべての町まちの人ひと、および農夫のうふと群むれを飼かって歩あるき回まわる者ものは共ともにそこに住すむ。31:25 わたしが疲つかれた魂たましいを飽あき足たらせ、すべて悩なやんでいる魂たましいを慰なぐさめるからである」。 31:26 ここでわたしは目めをさましたが、わたしの眠ねむりは、ここちよかった。 31:27 「主しゅは言いわれる、見みよ、わたしが人ひとの種たねと獣けものの種たねとをイスラエルの家いえとユダの家いえとにまく日ひが来くる。31:28 わたしは彼かれらを抜ぬき、砕くだき、倒たおし、滅ほろぼし、悩なやまそうと待まちかまえていたように、また彼かれらを建たて、植うえようと待まちかまえていると主しゅは言いわれる。31:29 その時とき、彼かれらはもはや、 『父ちちがすっぱいぶどうを食たべたので、子こどもの歯はがうく』とは言いわない。31:30 人ひとはめいめい自分じぶんの罪つみによって死しぬ。すっぱいぶどうを食たべる人ひとはみな、その歯はがうく。 31:31 主しゅは言いわれる、見みよ、わたしがイスラエルの家いえとユダの家いえとに新あたらしい契約けいやくを立たてる日ひが来くる。31:32 この契約けいやくはわたしが彼かれらの先祖せんぞをその手てをとってエジプトの地ちから導みちびき出だした日ひに立たてたようなものではない。わたしは彼かれらの夫おっとであったのだが、彼かれらはそのわたしの契約けいやくを破やぶったと主しゅは言いわれる。31:33 しかし、それらの日ひの後のちにわたしがイスラエルの家いえに立たてる契約けいやくはこれである。すなわちわたしは、わたしの律法りっぽうを彼かれらのうちに置おき、その心こころにしるす。わたしは彼かれらの神かみとなり、彼かれらはわたしの民たみとなると主しゅは言いわれる。31:34 人ひとはもはや、おのおのその隣となりとその兄弟きょうだいに教おしえて、『あなたは主しゅを知しりなさい』とは言いわない。それは、彼かれらが小しょうより大だいに至いたるまで皆みな、わたしを知しるようになるからであると主しゅは言いわれる。わたしは彼かれらの不義ふぎをゆるし、もはやその罪つみを思おもわない」。 31:35 主しゅはこう言いわれる、すなわち太陽たいようを与あたえて昼ひるの光ひかりとし、月つきと星ほしとを定さだめて夜よるの光ひかりとし、海うみをかき立たてて、その波なみを鳴なりとどろかせる者もの――その名なは万軍ばんぐんの主しゅという。31:36 主しゅは言いわれる、「もしこの定さだめがわたしの前まえですたれてしまうなら、イスラエルの子孫しそんもすたって、永久えいきゅうにわたしの前まえで民たみであることはできない」。31:37 主しゅはこう言いわれる、「もし上うえの天てんを量はかることができ、下したの地ちの基もといを探さぐることができるなら、そのとき、わたしはイスラエルのすべての子孫しそんをそのもろもろの行おこないのために捨すて去さると主しゅは言いわれる」。31:38 主しゅは言いわれる、「見みよ、この町まちが、ハナネルの塔とうから隅すみの門もんまで、主しゅのために再建さいけんされる時ときが来くる。31:39 測はかりなわはそれよりも遠とおくまっすぐに延のびて、ガレブの丘おかに達たっし、ゴアのほうに向むかう。31:40 死体したいと灰はいとの谷たにの全部ぜんぶ、またキデロンの谷たにに行いくまでと、東ひがしのほうの馬うまの門もんのすみに行いくまでとのすべての畑はたけはみな主しゅの聖せいなる所ところとなり、永遠えいえんにわたって、ふたたび抜ぬかれ、また倒たおされることはない」。 第32章 32:1 ユダの王おうゼデキヤの十年ねん、すなわちネブカデレザルの十八年ねんに、主しゅの言葉ことばがエレミヤに臨のぞんだ。32:2 その時とき、バビロンの王おうの軍勢ぐんぜいがエルサレムを攻せめ囲かこんでいて、預言者よげんしゃエレミヤはユダの王おうの宮殿きゅうでんにある監視かんしの庭にわのうちに監禁かんきんされていた。32:3 ユダの王おうゼデキヤが彼かれを閉とじ込こめたのであるが、王おうは言いった、「なぜあなたは預言よげんして言いうのか、『主しゅはこう仰おおせられる、見みよ、わたしはこの町まちをバビロンの王おうの手てに渡わたし、彼かれはこれを取とる。32:4 またユダの王おうゼデキヤはカルデヤびとの手てをのがれることなく、かならずバビロンの王おうの手てに渡わたされ、顔かおと顔かおを合あわせて彼かれと語かたり、目めと目めは相あいまみえる。32:5 そして彼かれはゼデキヤをバビロンに引ひいていき、ゼデキヤは、わたしが彼かれを顧かえりみる時ときまで、そこにいると主しゅは言いわれる。あなたがたは、カルデヤびとと戦たたかっても勝かつことはできない』と」。 32:6 エレミヤは言いった、「主しゅの言葉ことばがわたしに臨のぞんで言いわれる、32:7 『見みよ、あなたのおじシャルムの子こハナメルがあなたの所ところに来きて言いう、「アナトテにあるわたしの畑はたけを買かいなさい。それは、これを買かい取とり、あがなう権利けんりがあなたにあるから」と』。32:8 はたして主しゅの言葉ことばのように、わたしのいとこであるハナメルが監視かんしの庭にわのうちにいるわたしの所ところに来きて言いった、『ベニヤミンの地ちのアナトテにあるわたしの畑はたけを買かってください。所有しょゆうするのも、あがなうのも、あなたの権利けんりなのです。買かい取とってあなたの物ものにしてください。これが主しゅの言葉ことばであるのをわたしは知しっていました』。 32:9 そこでわたしは、いとこのハナメルからアナトテにある畑はたけを買かい取とり、銀ぎん十七シケルを量はかって彼かれに支払しはらった。32:10 すなわち、わたしはその証書しょうしょをつくって、これに記名きめいし、それを封印ふういんし、証人しょうにんを立たて、はかりをもって銀ぎんを量はかって与あたえた。32:11 そしてわたしはその約定やくじょうをしるして封印ふういんした買収ばいしゅう証書しょうしょと、封印ふういんのない写うつしとを取とり、32:12 いとこのハナメルと、買収ばいしゅう証書しょうしょに記名きめいした証人しょうにんたち、および監視かんしの庭にわにすわっているすべてのユダヤ人ひとの前まえで、その証書しょうしょをマアセヤの子こであるネリヤの子こバルクに与あたえ、32:13 彼かれらの前まえで、わたしはバルクに命めいじて言いった、32:14 『万軍ばんぐんの主しゅ、イスラエルの神かみはこう仰おおせられる、これらの証書しょうしょすなわち、この買収ばいしゅう証書しょうしょの封印ふういんしたものと、封印ふういんのない写うつしとを取とり、これらを土つちの器うつわに入いれて、長ながく保存ほぞんせよ。32:15 万軍ばんぐんの主しゅ、イスラエルの神かみがこう言いわれるからである、「この地ちで人々ひとびとはまた家いえと畑はたけとぶどう畑はたけを買かうようになる」と』。 32:16 わたしは買収ばいしゅう証書しょうしょをネリヤの子こバルクに渡わたしたあとで主しゅに祈いのって言いった、32:17 『ああ主しゅなる神かみよ、あなたは大おおいなる力ちからと、伸のべた腕うでをもって天てんと地ちをお造つくりになったのです。あなたのできないことは、ひとつもありません。32:18 あなたはいつくしみを千万人にんに施ほどこし、また父ちちの罪つみをそののちの子孫しそんに報むくいられるのです。あなたは大おおいなる全能ぜんのうの神かみでいらせられ、その名なは万軍ばんぐんの主しゅと申もうされます。32:19 あなたの計はかりごとは大おおきく、また、事ことを行おこなうのに力ちからがあり、あなたの目めは人々ひとびとの歩あゆむすべての道みちを見みて、おのおのの道みちにしたがい、その行おこないの実みによってこれに報むくいられます。32:20 あなたは、しるしと、不思議ふしぎなわざとをエジプトの地ちに行おこない、また今日こんにちに至いたるまでイスラエルと全ぜん人類じんるいのうちに行おこない、そして今日こんにちのように名なをあげられました。32:21 あなたは、しるしと、不思議ふしぎなわざと、強つよい手てと、伸のべた腕うでと、大おおいなる恐おそるべき事ことをもって、あなたの民たみイスラエルをエジプトの地ちから導みちびき出だし、32:22 この地ちを彼かれらに賜たまわりました。これはあなたが彼かれらの先祖せんぞたちに与あたえようと誓ちかわれた乳ちちと蜜みつの流ながれる地ちです。32:23 こうして彼かれらは、はいってこれを獲えたのですが、あなたの声こえに聞きき従したがわず、あなたの律法りっぽうを行おこなわず、すべてあなたがせよと命めいじられたことをしなかったので、あなたはこの災わざわいを彼かれらの上うえにお下くだしになりました。32:24 見みよ、塁るいが築きずきあげられたのは、この町まちを取とるためです。つるぎと、ききんと、疫病えきびょうのために、町まちはこれを攻せめているカルデヤびとの手てに渡わたされます。あなたの言いわれたようになりましたのは、ごらんのとおりであります。32:25 主しゅなる神かみよ、あなたはわたしに言いわれました、「銀ぎんをもって畑はたけを買かい、証人しょうにんを立たてよ」と。そうであるのに、町まちはカルデヤびとの手てに渡わたされています』」。 32:26 主しゅの言葉ことばがエレミヤに臨のぞんだ、32:27 「見みよ、わたしは主しゅである、すべて命いのちある者ものの神かみである。わたしにできない事ことがあろうか。32:28 それゆえ、主しゅはこう言いわれる、見みよ、わたしはこの町まちをカルデヤびとと、バビロンの王おうネブカデレザルの手てに渡わたす。彼かれはこれを取とる。32:29 この町まちを攻せめているカルデヤびとがきて、この町まちに火ひをつけて焼やき払はらう。屋根やねの上うえで人々ひとびとが、バアルに香こうをたき、ほかの神々かみがみに酒さけをそそいで、わたしを怒いからせたその家いえをも彼かれらは焼やく。32:30 それは、イスラエルの人々ひとびととユダの人々ひとびととは、その若わかい時ときから、わたしの前まえに悪わるいことのみを行おこない、またイスラエルの民たみはその手てのわざをもって、わたしを怒いからせることばかりをしたからであると主しゅは言いわれる。32:31 この町まちはそれが建たった日ひからきょうまで、わたしの怒いかりと憤いきどおりとをひき起おこしてきたので、わたしの前まえからこれを除のぞき去さるのである。32:32 それは、イスラエルの民たみとユダの民たみとが、もろもろの悪あくを行いって、わたしを怒いからせたことによるのである。――彼かれらの王おうたちと、そのつかさたち、祭司さいしたち、預言者よげんしゃたち、またユダの人々ひとびととエルサレムの住民じゅうみんたちが皆みなそうである。32:33 彼かれらはその背中せなかをわたしに向むけて顔かおをわたしに向むけず、わたしがたゆまず教おしえたにもかかわらず、彼かれらは教おしえを聞きかず、またうけないのである。32:34 彼かれらは憎にくむべき物ものを、わが名なをもって呼よばれている家いえにすえつけて、そこを汚けがし、32:35 またベンヒンノムの谷たににバアルの高たかき所ところを築きずいて、むすこ娘むすめをモレクにささげた。わたしは彼かれらにこのようなことを命めいじたことはなく、また彼かれらがこの憎にくむべきことを行いって、ユダに罪つみを犯おかさせようとは考かんがえもしなかった。 32:36 それゆえ今いまイスラエルの神かみ、主しゅは、この町まち、すなわちあなたがたが、『つるぎと、ききんと、疫病えきびょうのためにバビロンの王おうの手てに渡わたされる』といっている町まちについてこう仰おおせられる、32:37 見みよ、わたしは、わたしの怒いかりと憤いきどおりと大おおいなる怒いかりをもって、彼かれらを追おいやったもろもろの国くにから彼かれらを集あつめ、この所ところへ導みちびきかえって、安やすらかに住すまわせる。32:38 そして彼かれらはわたしの民たみとなり、わたしは彼かれらの神かみとなる。32:39 わたしは彼かれらに一つの心こころと一つの道みちを与あたえて常つねにわたしを恐おそれさせる。これは彼かれらが彼かれら自身じしんとその後のちの子孫しそんの幸さいわいを得えるためである。32:40 わたしは彼かれらと永遠えいえんの契約けいやくを立たてて、彼かれらを見捨みすてずに恵めぐみを施ほどこすことを誓ちかい、またわたしを恐おそれる恐おそれを彼かれらの心こころに置おいて、わたしを離はなれることのないようにしよう。32:41 わたしは彼かれらに恵めぐみを施ほどこすことを喜よろこびとし、心こころをつくし、精神せいしんをつくし、真実しんじつをもって彼かれらをこの地ちに植うえる。32:42 主しゅはこう仰おおせられる、わたしがこのもろもろの大おおきな災わざわいをこの民たみに下くだしたように、わたしが彼かれらに約束やくそくするもろもろの幸さいわいを彼かれらの上うえに下くだす。32:43 人々ひとびとはこの地ちに畑はたけを買かうようになる。あなたがたが、『それは荒あれて人ひとも獣けものもいなくなり、カルデヤびとの手てに渡わたされてしまう』といっている地ちである。32:44 人々ひとびとはベニヤミンの地ちと、エルサレムの周囲しゅういと、ユダの町々まちまちと、山地さんちの町々まちまちと、平地へいちの町々まちまちと、ネゲブの町々まちまちで、銀ぎんをもって畑はたけを買かい、証書しょうしょをつくって、これに記名きめいし封印ふういんし、また証人しょうにんを立たてる。それは、わたしが彼かれらを再ふたたび栄さかえさせるからであると主しゅは言いわれる」。 第33章 33:1 エレミヤがなお監視かんしの庭にわに閉とじ込こめられている時とき、主しゅの言葉ことばはふたたび彼かれに臨のぞんだ、33:2 「地ちを造つくられた主しゅ、それを形かたち造つくって堅かたく立たたせられた主しゅ、その名なを主しゅと名なのっておられる者ものがこう仰おおせられる、33:3 わたしに呼よび求もとめよ、そうすれば、わたしはあなたに答こたえる。そしてあなたの知しらない大おおきな隠かくされている事ことを、あなたに示しめす。33:4 イスラエルの神かみ、主しゅは塁るいと、つるぎとを防ふせぐために破壊はかいされたこの町まちの家いえと、ユダの王おうの家いえについてこう言いわれる、33:5 カルデヤびとは来きて戦たたかい、わたしが怒いかりと憤いきどおりをもって殺ころす人々ひとびとの死体したいを、それに満みたす。わたしは人々ひとびとのもろもろの悪あくのために、この町まちにわたしの顔かおをおおい隠かくした。33:6 見みよ、わたしは健康けんこうと、いやしとを、ここにもたらして人々ひとびとをいやし、豊ゆたかな繁栄はんえいと安全あんぜんとを彼かれらに示しめす。33:7 わたしはユダとイスラエルを再ふたたび栄さかえさせ、彼かれらを建たてて、もとのようにする。33:8 わたしは彼かれらがわたしに向むかって犯おかした罪つみのすべてのとがを清きよめ、彼かれらがわたしに向むかって犯おかした罪つみと反逆はんぎゃくのすべてのとがをゆるす。33:9 この町まちは地ちのもろもろの民たみの前まえに、わたしのために喜よろこびの名なとなり、誉ほまれとなり、栄さかえとなる。彼かれらはわたしがわたしの民たみに施ほどこすもろもろの恵めぐみのことを聞きく。そして、わたしがこの町まちに施ほどこすもろもろの恵めぐみと、もろもろの繁栄はんえいのために恐おそれて身みをふるわす。 33:10 主しゅはこう言いわれる、あなたがたが、『それは荒あれて、人ひともおらず獣けものもいない』というこの所ところ、すなわち、荒あれて、人ひともおらず住すむ者ものもなく、獣けものもいないユダの町まちとエルサレムのちまたに、33:11 再ふたたび喜よろこびの声こえ、楽たのしみの声こえ、花婿はなむこの声こえ、花嫁はなよめの声こえ、および 『万軍ばんぐんの主しゅに感謝かんしゃせよ、主しゅは恵めぐみふかく、そのいつくしみは、いつまでも絶たえることがない』といって、感謝かんしゃの供そなえ物ものを主しゅの宮みやに携たずさえてくる者ものの声こえが聞きこえる。それは、わたしがこの地ちを再ふたたび栄さかえさせて初はじめのようにするからであると主しゅは言いわれる。 33:12 万軍ばんぐんの主しゅはこう言いわれる、荒あれて、人ひともおらず獣けものもいないこの所ところと、そのすべての町々まちまちに再ふたたびその群むれを伏ふさせる牧者ぼくしゃのすまいがあるようになる。33:13 山地さんちの町々まちまちと、平地へいちの町々まちまちと、ネゲブの町々まちまちと、ベニヤミンの地ち、エルサレムの周囲しゅういと、ユダの町々まちまちで、群むれは再ふたたびそれを数かぞえる者ものの手ての下したを通とおりすぎると主しゅは言いわれる。 33:14 主しゅは言いわれる、見みよ、わたしがイスラエルの家いえとユダの家いえに約束やくそくしたことをなし遂とげる日ひが来くる。33:15 その日ひ、その時ときになるならば、わたしはダビデのために一つの正ただしい枝えだを生しょうじさせよう。彼かれは公平こうへいと正義せいぎを地ちに行おこなう。33:16 その日ひ、ユダは救すくいを得え、エルサレムは安やすらかにおる。その名なは『主しゅはわれわれの正義せいぎ』ととなえられる。 33:17 主しゅはこう仰おおせられる、イスラエルの家いえの位くらいに座ざする人ひとがダビデの子孫しそんのうちに欠かけることはない。33:18 またわたしの前まえに燔祭はんさいをささげ、素祭そさいを焼やき、つねに犠牲ぎせいをささげる人ひとが、レビびとである祭司さいしのうちに絶たえることはない」。 33:19 主しゅの言葉ことばはエレミヤに臨のぞんだ、33:20 「主しゅはこう仰おおせられる、もしあなたがたが、昼ひると結むすんだわたしの契約けいやくを破やぶり、また夜よると結むすんだわたしの契約けいやくを破やぶり、昼ひると夜よるが定さだめられた時ときに来きないようにすることができるならば、33:21 しもべダビデとわたしが結むすんだ契約けいやくもまた破やぶれ、彼かれはその位くらいに座ざして王おうとなる子こを与あたえられない。またわたしがわたしに仕つかえるレビびとである祭司さいしに立たてた契約けいやくも破やぶれる。33:22 天てんの星ほしは数かぞえることができず、浜はまの砂すなは量はかることができない。そのようにわたしは、しもべダビデの子孫しそんと、わたしに仕つかえるレビびとである祭司さいしの数かずを増まそう」。 33:23 主しゅの言葉ことばはエレミヤに臨のぞんだ、33:24 「あなたはこの民たみが、『主しゅは自みずから選えらんだ二つのやからを捨すてた』といっているのを聞きかないか。彼かれらはこのようにわたしの民たみを侮あなどって、これを国くにとみなさないのである。33:25 主しゅはこう言いわれる、もしわたしが昼ひると夜よるとに契約けいやくを立たてず、また天地てんちのおきてを定さだめなかったのであれば、33:26 わたしは、ヤコブとわたしのしもべダビデとの子孫しそんを捨すてて、再ふたたび彼かれの子孫しそんのうちからアブラハム、イサク、ヤコブの子孫しそんを治おさめる者ものを選えらばない。わたしは彼かれらを再ふたたび栄さかえさせ、彼かれらにあわれみをたれよう」。 第34章 34:1 バビロンの王おうネブカデレザルがその全ぜん軍ぐんと、彼かれに従したがっている地ちのすべての国くにの人々ひとびと、およびもろもろの民たみを率ひきいて、エルサレムとその町々まちまちを攻せめて戦たたかっていた時ときに、主しゅからエレミヤに臨のぞんだ言葉ことば、34:2 「イスラエルの神かみ、主しゅはこう言いわれる、行いってユダの王おうゼデキヤに告つげて言いいなさい、『主しゅはこう言いわれる、見みよ、わたしはこの町まちをバビロンの王おうの手てに渡わたす。彼かれは火ひでこれを焼やく。34:3 あなたはその手てをのがれることはできない、必かならず捕とらえられてその手てに渡わたされる。あなたはまのあたりバビロンの王おうを見み、顔かおと顔かおを合あわせて彼かれと語かたる。それからバビロンへ行いく』。34:4 しかしユダの王おうゼデキヤよ、主しゅの言葉ことばを聞ききなさい。主しゅはあなたの事ことについてこう言いわれる、『あなたはつるぎで死しぬことはない。34:5 あなたは安やすらかに死しぬ。民たみはあなたの先祖せんぞであるあなたの先さきの王おうたちのために香こうをたいたように、あなたのためにも香こうをたき、またあなたのために嘆なげいて「ああ、主君しゅくんよ」と言いう』。わたしがこの言葉ことばをいうのであると主しゅは言いわれる」。 34:6 そこで預言者よげんしゃエレミヤはこの言葉ことばをことごとくエルサレムでユダの王おうゼデキヤに告つげた。34:7 その時ときバビロンの王おうの軍勢ぐんぜいはエルサレム、および残のこっているユダのすべての町まち、すなわちラキシとアゼカを攻せめて戦たたかっていた。それはユダの町々まちまちのうちに、これらの堅固けんごな町まちがなお残のこっていたからである。 34:8 ゼデキヤ王おうがエルサレムにいるすべての民たみと契約けいやくを立たてて、彼かれらに釈放しゃくほうのことを告つげ示しめした後のちに、主しゅからエレミヤに臨のぞんだ言葉ことば。34:9 その契約けいやくはすなわち人ひとがおのおのそのヘブルびとである男女だんじょの奴隷どれいを解放かいほうし、その兄弟きょうだいであるユダヤ人ひとを奴隷どれいとしないことを定さだめたものであった。34:10 この契約けいやくをしたつかさたちと、すべての民たみは人ひとがおのおのその男女だんじょの奴隷どれいを解放かいほうし、再ふたたびこれを奴隷どれいとしないということに聞きき従したがって、これを解放かいほうしたが、34:11 後のちに心こころを翻ひるがえし、解放かいほうした男女だんじょの奴隷どれいをひきかえさせ、再ふたたびこれを従したがわせて奴隷どれいとした。34:12 そこで主しゅの言葉ことばが主しゅからエレミヤに臨のぞんだ、34:13 「イスラエルの神かみ、主しゅはこう言いわれる、わたしはあなたがたの先祖せんぞをエジプトの地ち、その奴隷どれいであった家いえから導みちびき出だした時とき、彼かれらと契約けいやくを立たてて言いった、34:14 『あなたがたの兄弟きょうだいであるヘブルびとで、あなたがたに身みを売うり、六年ねんの間あいだあなたがたに仕つかえた者ものは、六年ねんの終おわりに、あなたがたおのおのがこれを解放かいほうしなければならない。あなたがたは彼かれを解放かいほうして、あなたがたに仕つかえることをやめさせなければならない』。ところがあなたがたの先祖せんぞたちはわたしに聞きき従したがわず、またその耳みみを傾かたむけなかった。34:15 しかしあなたがたは今日こんにち、心こころを改あらため、おのおのその隣となり人びとに釈放しゃくほうのことを告つげ示しめして、わたしの見みて正ただしいとすることを行おこない、かつわたしの名なをもってとなえられる家いえで、わたしの前まえに契約けいやくを立たてた。34:16 ところがあなたがたは再ふたたび心こころを翻ひるがえして、わたしの名なを汚けがし、おのおの男女だんじょの奴隷どれいをその願ねがいのままに解放かいほうしたのをひきかえさせ、再ふたたびこれを従したがわせて、あなたがたの奴隷どれいとした。34:17 それゆえに、主しゅはこう仰おおせられる、あなたがたがわたしに聞きき従したがわず、おのおのその兄弟きょうだいとその隣となりに釈放しゃくほうのことを告つげ示しめさなかったので、見みよ、わたしはあなたがたのために釈放しゃくほうを告つげ示しめして、あなたがたをつるぎと、疫病えきびょうと、ききんとに渡わたすと主しゅは言いわれる。わたしはあなたがたを地ちのもろもろの国くにに忌いみきらわれるものとする。34:18 わたしの契約けいやくを破やぶり、わたしの前まえに立たてた契約けいやくの定さだめに従したがわない人々ひとびとを、わたしは彼かれらが二つに裂さいて、その二つの間あいだを通とおった子こ牛うしのようにする。――34:19 すなわち二つに分わけた子こ牛うしの間あいだを通とおったユダのつかさたち、エルサレムのつかさたちと宦官かんがんと祭司さいしと、この地ちのすべての民たみを、34:20 わたしはその敵てきの手てと、その命いのちを求もとめる者ものの手てに渡わたす。その死体したいは空そらの鳥とりと野のの獣けものの食物しょくもつとなる。34:21 わたしはまたユダの王おうゼデキヤと、そのつかさたちをその敵てきの手て、その命いのちを求もとめる者ものの手て、あなたがたを離はなれて去さったバビロンの王おうの軍勢ぐんぜいの手てに渡わたす。34:22 主しゅは言いわれる、見みよ、わたしは彼かれらに命めいじて、この町まちに引ひきかえしてこさせる。彼かれらはこの町まちを攻せめて戦たたかい、これを取とり、火ひを放はなって焼やき払はらう。わたしはユダの町々まちまちを住すむ人ひとのない荒あれ地ちとする」。 第35章 35:1 ユダの王おうヨシヤの子こエホヤキムの時とき、主しゅからエレミヤに臨のぞんだ言葉ことば。35:2 「レカブびとの家いえに行いって、彼かれらと語かたり、彼かれらを主しゅの宮みやの一室いっしつに連つれてきて、酒さけを飲のませなさい」。35:3 そこでわたしはハバジニヤの子こエレミヤの子こであるヤザニヤと、その兄弟きょうだいと、そのむすこたち、およびレカブびとの全家ぜんかを連つれ、35:4 これを主しゅの宮みやにあるハナンの子こたちの室しつに連つれてきた。ハナンはイグダリヤの子こであって神かみの人ひとであった。その室しつは、つかさたちの室しつの次つぎにあって、門もんを守まもるシャルムの子こマアセヤの室しつの上うえにあった。35:5 わたしはレカブびとの前まえに酒さけを満みたしたつぼと杯さかずきを置おき、彼かれらに、「酒さけを飲のみなさい」と言いったが、35:6 彼かれらは答こたえた、「われわれは酒さけを飲のみません。それは、レカブの子こであるわれわれの先祖せんぞヨナダブがわれわれに命めいじて、『あなたがたとあなたがたの子孫しそんはいつまでも酒さけを飲のんではならない。35:7 また家いえを建たてず、種たねをまかず、またぶどう畑はたけを植うえてはならない。またこれを所有しょゆうしてはならない。あなたがたは生いきながらえる間あいだは幕屋まくやに住すんでいなさい。そうするならば、あなたがたはその宿やどっている地ちに長ながく生いきることができると言いったからです』。35:8 こうしてわれわれは、レカブの子こであるわれわれの先祖せんぞヨナダブがすべて命めいじた言葉ことばに従したがって、われわれも、妻つまも、むすこ娘むすめも生いきながらえる間あいだ、酒さけを飲のまず、35:9 住すむ家いえを建たてず、ぶどう畑はたけも畑はたけも種たねも持もたないで、35:10 幕屋まくやに住すみ、すべてわれわれの先祖せんぞヨナダブがわれわれに命めいじたところに従したがい、そのように行おこないました。35:11 しかしバビロンの王おうネブカデレザルがこの地ちに上のぼってきた時とき、われわれは言いいました、『さあ、われわれはエルサレムへ行いこう。カルデヤびとの軍勢ぐんぜいとスリヤびとの軍勢ぐんぜいが恐おそろしい』と。こうしてわれわれはエルサレムに住すんでいるのです」。 35:12 その時とき、主しゅの言葉ことばがエレミヤに臨のぞんだ、35:13 「万軍ばんぐんの主しゅ、イスラエルの神かみはこう言いわれる、行いって、ユダの人々ひとびととエルサレムに住すむ者ものとに告つげよ。主しゅは仰おおせられる、あなたがたはわたしの言葉ことばを聞きいて教おしえを受うけないのか。35:14 レカブの子こヨナダブがその子孫しそんに酒さけを飲のむなと命めいじた言葉ことばは守まもられてきた。彼かれらは今日こんにちに至いたるまで酒さけを飲のまず、その先祖せんぞの命いのちに従したがってきた。ところがあなたがたはわたしがしきりに語かたったけれども、わたしに聞きき従したがわなかった。35:15 わたしはまた、わたしのしもべである預言者よげんしゃたちを、しきりにあなたがたにつかわして言いわせた、『あなたがたは今いまおのおのその悪わるい道みちを離はなれ、その行おこないを改あらためなさい。ほかの神々かみがみに従したがい仕つかえてはならない。そうすれば、あなたがたはわたしがあなたがたと、あなたがたの先祖せんぞに与あたえたこの地ちに住すむことができる』と。しかしあなたがたは耳みみを傾かたむけず、わたしに聞きかなかった。35:16 レカブの子こヨナダブの子孫しそんは、その先祖せんぞが彼かれらに命めいじた命令めいれいを守まもっているのである。しかしこの民たみはわたしに従したがわなかった。35:17 それゆえ万軍ばんぐんの神かみ、主しゅ、イスラエルの神かみはこう仰おおせられる、見みよ、わたしはユダとエルサレムに住すむ者ものとに、わたしが彼かれらの上うえに宣告せんこくした災わざわいを下くだす。わたしが彼かれらに語かたっても聞きかず、彼かれらを呼よんでも答こたえなかったからである」。 35:18 ところでエレミヤはレカブびとの家いえの人々ひとびとに言いった、「万軍ばんぐんの主しゅ、イスラエルの神かみはこう仰おおせられる、あなたがたは先祖せんぞヨナダブの命いのちに従したがい、そのすべての戒いましめを守まもり、彼かれがあなたがたに命めいじた事ことを行おこなった。35:19 それゆえ、万軍ばんぐんの主しゅ、イスラエルの神かみはこう言いわれる、レカブの子こヨナダブには、わたしの前まえに立たつ人ひとがいつまでも欠かけることはない」。 第36章 36:1 ユダの王おうヨシヤの子こエホヤキムの四年ねんに主しゅからこの言葉ことばがエレミヤに臨のぞんだ、36:2 「あなたは巻物まきものを取とり、わたしがあなたに語かたった日ひ、すなわちヨシヤの日ひから今日こんにちに至いたるまで、イスラエルとユダと万国ばんこくとに関かんしてあなたに語かたったすべての言葉ことばを、それにしるしなさい。36:3 ユダの家いえがわたしの下くだそうとしているすべての災わざわいを聞きいて、おのおのその悪わるい道みちを離はなれて帰かえることもあろう。そうすれば、わたしはそのとがとその罪つみをゆるすかも知しれない」。 36:4 そこでエレミヤはネリヤの子こバルクを呼よんだ。バルクはエレミヤの口述こうじゅつにしたがって、主しゅが彼かれにお告つげになった言葉ことばをことごとく巻物まきものに書かきしるした。36:5 そしてエレミヤはバルクに命めいじて言いった、「わたしは主しゅの宮みやに行いくことを妨さまたげられている。36:6 それで、あなたが行いって、断食だんじきの日ひに主しゅの宮みやで、すべての民たみが聞きいているところで、あなたがわたしの口述こうじゅつにしたがって、巻物まきものに筆記ひっきした主しゅの言葉ことばを読よみなさい。またユダの人々ひとびとがその町々まちまちから来きて聞きいているところで、それを読よみなさい。36:7 彼かれらは主しゅの前まえに祈願きがんをささげ、おのおのその悪わるい道みちを離はなれて帰かえることもあろう。主しゅがこの民たみに対たいして宣告せんこくされた怒いかりと憤いきどおりは大おおきいからである」。36:8 こうしてネリヤの子こバルクはすべて預言者よげんしゃエレミヤが自分じぶんに命めいじたように、主しゅの宮みやで、その巻物まきものに書かかれた主しゅの言葉ことばを読よんだ。 36:9 ユダの王おうヨシヤの子こエホヤキムの五年ねん九月がつ、エルサレムのすべての民たみと、ユダの町々まちまちからエルサレムに来きたすべての民たみとは、主しゅの前まえに断食だんじきを行おこなうべきことを告つげ示しめされた。36:10 バルクは主しゅの宮みやの上うえの庭にわで、主しゅの宮みやの新あたらしい門もんの入口いりぐちのかたわらにある書記しょきシャパンの子こであるゲマリヤのへやで、巻物まきものに書かかれたエレミヤの言葉ことばをすべての民たみに読よみ聞きかせた。 36:11 シャパンの子こであるゲマリヤの子こミカヤはその巻物まきものにある主しゅの言葉ことばをことごとく聞きいて、36:12 王おうの家いえにある書記しょきのへやに下くだって行いくと、もろもろのつかさたち、すなわち書記しょきエリシャマ、シマヤの子こデラヤ、アカボルの子こエルナタン、シャパンの子こゲマリヤ、ハナニヤの子こゼデキヤおよびすべてのつかさたちがそこに座ざしていた。36:13 ミカヤはバルクが民たみに巻物まきものを読よんで聞きかせたとき、自分じぶんの聞きいたすべての言葉ことばを彼かれらに告つげたので、36:14 つかさたちはクシの子こセレミヤの子こであるネタニヤの子こエホデをバルクのもとにつかわして言いわせた、「あなたが民たみに読よみ聞きかせたその巻物まきものを手てに取とって、来きてください」。そこでネリヤの子こバルクは巻物まきものを手てに取とって、彼かれらのもとに来きたので、36:15 彼かれらはバルクに言いった、「座ざしてそれを読よんでください」。バルクはそれを彼かれらに読よみきかせた。36:16 彼かれらはそのすべての言葉ことばを聞きき、恐おそれて互たがいに見みかわし、バルクに言いった、「われわれはこのすべての言葉ことばを、王おうに報告ほうこくしなければならない」。36:17 そしてバルクに尋たずねて言いった、「このすべての言葉ことばを、あなたがどのようにして書かいたのか話はなしてください。彼かれの口述こうじゅつによるのですか」。36:18 バルクは彼かれらに答こたえた、「彼かれがわたしにこのすべての言葉ことばを口述こうじゅつしたので、わたしはそれを墨汁ぼくじゅうで巻物まきものに書かいたのです」。36:19 つかさたちはバルクに言いった、「行いって、エレミヤと一緒いっしょに身みを隠かくしなさい。人ひとに所在しょざいを知しられてはなりません」。 36:20 そこで彼かれらは巻物まきものを書記しょきエリシャマのへやに置おいて庭にわにはいり、王おうのもとへ行いって、このすべての言葉ことばを王おうに告つげたので、36:21 王おうはその巻物まきものを持もってこさせるためにエホデをつかわした。エホデは書記しょきエリシャマのへやから巻物まきものを取とってきて、それを王おうと王おうのかたわらに立たっているすべてのつかさたちに読よみきかせた。36:22 時ときは九月がつであって、王おうは冬ふゆの家いえに座ざしていた。その前まえに炉ろがあって火ひが燃もえていた。36:23 エホデが三段だんか四段だんを読よむと、王おうは小刀こがたなをもってそれを切きり取とり、炉ろの火ひに投なげいれ、ついに巻物まきもの全部ぜんぶを炉ろの火ひで焼やきつくした。36:24 王おうとその家来けらいたちはこのすべての言葉ことばを聞きいても恐おそれず、またその着物きものを裂さくこともしなかった。36:25 エルナタン、デラヤおよびゲマリヤが王おうにその巻物まきものを焼やかないようにと願ねがったときにも彼かれは聞ききいれなかった。36:26 そして王おうは王子おうじエラメルとアヅリエルの子こセラヤとアブデルの子こセレミヤに、書記しょきバルクと預言者よげんしゃエレミヤを捕とらえるようにと命めいじたが、主しゅは彼かれらを隠かくされた。 36:27 バルクがエレミヤの口述こうじゅつにしたがって筆記ひっきした言葉ことばを載のせた巻物まきものを王おうが焼やいた後のち、主しゅの言葉ことばがエレミヤに臨のぞんだ、36:28 「他たの巻物まきものを取とり、ユダの王おうエホヤキムが焼やいた、前まえの巻物まきもののうちにある言葉ことばを皆みなそれに書かきしるしなさい。36:29 またユダの王おうエホヤキムについて言いいなさい、『主しゅはこう仰おおせられる、あなたはこの巻物まきものを焼やいて言いった、「どうしてあなたはこの巻物まきものに、バビロンの王おうが必かならず来きてこの地ちを滅ほろぼし、ここから人ひとと獣けものとを絶たやす、と書かいたのか」と。36:30 それゆえ主しゅはユダの王おうエホヤキムについてこう言いわれる、彼かれの子孫しそんにはダビデの位くらいにすわる者ものがなくなる。また彼かれの死体したいは捨すてられて昼ひるは暑あつさにあい、夜よるは霜しもにあう。36:31 わたしはまた彼かれとその子孫しそんとその家来けらいたちをその罪つみのために罰ばっする。また彼かれらとエルサレムの民たみとユダの人々ひとびとには災わざわいを下くだす。この災わざわいのことについては、すでに語かたったけれども、彼かれらは聞きくことをしなかった』」。 36:32 そこでエレミヤは他たの巻物まきものを取とり、ネリヤの子こ書記しょきバルクに与あたえたので、バルクはユダの王おうエホヤキムが火ひにくべて焼やいた巻物まきもののすべての言葉ことばを、エレミヤの口述こうじゅつにしたがってそれに書かきしるし、また同おなじような言葉ことばを多おおくそれに加くわえた。 第37章 37:1 ヨシヤの子こゼデキヤはエホヤキムの子こコニヤに代かわって王おうとなった。バビロンの王おうネブカデレザルが彼かれをユダの地ちの王おうとしたのである。37:2 彼かれもその家来けらいたちも、その地ちの人々ひとびとも、主しゅが預言者よげんしゃエレミヤによって語かたられた言葉ことばに聞きき従したがわなかった。 37:3 ゼデキヤ王おうはセレミヤの子こユカルと、マアセヤの子こ祭司さいしゼパニヤを預言者よげんしゃエレミヤにつかわして、「われわれのために、われわれの神かみ、主しゅに祈いのってください」と言いわせた。37:4 エレミヤは民たみの中なかに出入でいりしていた。まだ獄屋ごくやに入いれられなかったからである。37:5 パロの軍勢ぐんぜいがエジプトから出でて来きたので、エルサレムを攻せめ囲かこんでいたカルデヤびとはその情報じょうほうを聞きいてエルサレムを退しりぞいた。37:6 その時とき、主しゅの言葉ことばは預言者よげんしゃエレミヤに臨のぞんだ、37:7 「イスラエルの神かみ、主しゅはこう言いわれる、あなたがたをつかわしてわたしに求もとめたユダの王おうにこう言いいなさい、『あなたがたを救すくうために出でてきたパロの軍勢ぐんぜいはその国くにエジプトに帰かえろうとしている。37:8 カルデヤびとが再ふたたび来きてこの町まちを攻せめて戦たたかい、これを取とって火ひで焼やき滅ほろぼす。37:9 主しゅはこう言いわれる、あなたがたは、「カルデヤびとはきっとわれわれを離はなれ去さる」といって自分じぶんを欺あざむいてはならない。彼かれらは去さることはない。37:10 たといあなたがたが自分じぶんを攻せめて戦たたかうカルデヤびとの全ぜん軍ぐんを撃うち破やぶって、その天幕てんまくのうちに負傷ふしょう者もののみを残のこしても、彼かれらは立たち上あがって火ひでこの町まちを焼やき滅ほろぼす』」。 37:11 さてカルデヤびとの軍勢ぐんぜいがパロの軍勢ぐんぜいの来くるのを聞きいてエルサレムを退しりぞいたとき、37:12 エレミヤは、ベニヤミンの地ちで民たみのうちに自分じぶんの分わけ前まえを受うけ取とるため、エルサレムを立たってその地ちへ行いこうと、37:13 ベニヤミンの門もんに着ついたとき、そこにハナニヤの子こセレミヤの子こでイリヤという名なの番兵ばんぺいがいて、預言者よげんしゃエレミヤを捕とらえ、「あなたはカルデヤびとの側がわに脱走だっそうしようとしている」と言いった。37:14 エレミヤは言いった、「それはまちがいだ。わたしはカルデヤびとの側がわに脱走だっそうしようとしていない」。しかしイリヤは聞きかず、エレミヤを捕とらえて、つかさたちのもとへ引ひいて行いった。37:15 つかさたちは怒いかって、エレミヤを打うちたたき、書記しょきヨナタンの家いえの獄屋ごくやにいれた。この家いえが獄屋ごくやになっていたからである。 37:16 エレミヤが地下ちかの獄屋ごくやにはいって、そこに多おおくの日ひを送おくってのち、37:17 ゼデキヤ王おうは人ひとをつかわし、彼かれを連つれてこさせた。王おうは自分じぶんの家いえでひそかに彼かれに尋たずねて言いった、「主しゅから何なにかお言葉ことばがあったか」。エレミヤはあったと答こたえた。そして言いった、「あなたはバビロンの王おうの手てに引ひき渡わたされます」。37:18 エレミヤはまたゼデキヤ王おうに言いった、「わたしが獄屋ごくやにいれられたのは、あなたに、またはあなたの家来けらいに、あるいはこの民たみに、どのような罪つみを犯おかしたからなのですか。37:19 あなたがたに預言よげんして、『バビロンの王おうはあなたがたをも、この地ちをも攻せめにこない』と言いっていたあなたがたの預言者よげんしゃは今いまどこにいるのですか。37:20 王おうなるわが君きみよ、どうぞ今いまお聞ききください。わたしの願ねがいをお聞ききとどけください。わたしを書記しょきヨナタンの家いえへ帰かえらせないでください。そうでないと、わたしはそこで殺ころされるでしょう」。37:21 そこでゼデキヤ王おうは命めいを下くだし、エレミヤを監視かんしの庭にわに入いれさせ、かつ、パンを つくる者ものの町まちから毎日まいにちパン一個こを彼かれに与あたえさせた。これは町まちにパンがなくなるまで続つづいた。こうしてエレミヤは監視かんしの庭にわにいた。 第38章 38:1 マッタンの子こシパテヤ、パシュルの子こゲダリヤ、セレミヤの子こユカル、マルキヤの子こパシュルはエレミヤがすべての民たみに告つげていたその言葉ことばを聞きいた。38:2 彼かれは言いった、「主しゅはこう言いわれる、この町まちにとどまる者ものは、つるぎや、ききんや、疫病えきびょうで死しぬ。しかし出でてカルデヤびとにくだる者ものは死しを免まぬかれる。すなわちその命いのちを自分じぶんのぶんどり物ものとして生いきることができる。38:3 主しゅはこう言いわれる、この町まちは必かならずバビロンの王おうの軍勢ぐんぜいの手てに渡わたされる。彼かれはこれを取とる」。38:4 すると、つかさたちは王おうに言いった、「この人ひとを殺ころしてください。このような言葉ことばをのべて、この町まちに残のこっている兵士へいしの手てと、すべての民たみの手てを弱よわくしているからです。この人ひとは民たみの安泰あんたいを求もとめないで、その災わざわいを求もとめているのです」。38:5 ゼデキヤ王おうは言いった、「見みよ、彼かれはあなたがたの手てにある。王おうはあなたがたに逆さからって何事なにごとをもなし得えない」。38:6 そこで彼かれらはエレミヤを捕とらえ、監視かんしの庭にわにある王子おうじマルキヤの穴あなに投なげ入いれた。すなわち、綱つなをもってエレミヤをつり降おろしたが、その穴あなには水みずがなく、泥どろだけであったので、エレミヤは泥どろの中なかに沈しずんだ。 38:7 王おうの家いえの宦官かんがんエチオピヤびとエベデメレクは、彼かれらがエレミヤを穴あなに投なげ入いれたことを聞きいた。その時とき、王おうはベニヤミンの門もんに座ざしていたので、38:8 エベデメレクは王おうの家いえから出でて行いって王おうに言いった、38:9 「王おうなるわが君きみよ、この人々ひとびとが預言者よげんしゃエレミヤにしたことはみな良よいことではありません。彼かれを穴あなに投なげ入いれました。町まちに食物しょくもつがなくなりましたから、彼かれはそこで餓死がしするでしょう」。38:10 王おうはエチオピヤびとエベデメレクに命めいじて言いった、「ここから三人にんのひとを連つれて行いって、預言者よげんしゃエレミヤを、死しなないうちに穴あなから引ひき上あげなさい」。38:11 そこでエベデメレクはその人々ひとびとを連つれて王おうの家いえの倉くらの衣服いふく室しつに行いき、そこから古ふるい布ぬの切きれや、着きふるした着物きものを取とり、これを穴あなの中なかにいるエレミヤのところへ、綱つなをもってつり降おろした。38:12 そしてエチオピヤびとエベデメレクは、「この布ぬの切きれや着物きものを、あなたのわきの下したにはさんで、綱つなに当あてなさい」とエレミヤに言いった。エレミヤはそのようにした。38:13 すると彼かれらは綱つなをもってエレミヤを穴あなから引ひき上あげた。そしてエレミヤは監視かんしの庭にわにとどまった。 38:14 ゼデキヤ王おうは人ひとをつかわして預言者よげんしゃエレミヤを主しゅの宮みやの第だい三の門もんに連つれてこさせ、王おうはエレミヤに言いった、「あなたに尋たずねたいことがある。何事なにごともわたしに隠かくしてはならない」。38:15 エレミヤはゼデキヤに言いった、「もしわたしがお話はなするなら、あなたは必かならずわたしを殺ころされるではありませんか。たといわたしが忠告ちゅうこくをしても、あなたはお聞ききにならないでしょう」。38:16 その時ときゼデキヤ王おうは、ひそかにエレミヤに誓ちかって言いった、「われわれの魂たましいを造つくられた主しゅは生いきておられる。わたしはあなたを殺ころさない、またあなたの命いのちを求もとめる者ものの手てに、あなたを渡わたすこともしない」。 38:17 そこでエレミヤはゼデキヤに言いった、「万軍ばんぐんの神かみ、イスラエルの神かみ、主しゅはこう仰おおせられる、もしあなたがバビロンの王おうのつかさたちに降伏こうふくするならば、あなたの命いのちは助たすかり、またこの町まちは火ひで焼やかれることなく、あなたも、あなたの家いえの者ものも生いきながらえることができる。38:18 しかし、もしあなたが出でてバビロンの王おうのつかさたちに降伏こうふくしないならば、この町まちはカルデヤびとの手てに渡わたされる。彼かれらは火ひでこれを焼やく。あなたはその手てをのがれることができない」。38:19 ゼデキヤ王おうはエレミヤに言いった、「わたしはカルデヤびとに脱走だっそうしたユダヤ人ひとを恐おそれている。カルデヤびとはわたしを彼かれらの手てに渡わたし、彼かれらはわたしをはずかしめる」。38:20 エレミヤは言いった、「彼かれらはあなたを渡わたさないでしょう。どうか、わたしがあなたに告つげた主しゅの声こえに聞きき従したがってください。そうすれば幸さいわいを得え、また命いのちが助たすかります。38:21 しかし降伏こうふくすることを拒こばむならば、主しゅがわたしに示しめされた幻まぼろしを申もうしましょう。38:22 すなわち、ユダの王おうの家いえに残のこっている女おんなたちは、みなバビロンの王おうのつかさたちの所ところへ引ひいて行いかれます。その女おんなたちは言いうのです、 『あなたの親したしい友ともだちがあなたを欺あざむいた、そしてあなたに勝かった。今いまあなたの足あしは泥どろに沈しずんでいるので、彼かれらはあなたを捨すてて去さる』。38:23 あなたの妻つまたちと子供こどもたちは皆みなカルデヤびとの所ところへひき出だされる。あなた自身じしんもその手てをのがれることができず、バビロンの王おうに捕とらえられる。そしてこの町まちは火ひで焼やかれるでしょう」。 38:24 ゼデキヤはエレミヤに言いった、「これらの言葉ことばを人ひとに知しらせてはならない。そうすればあなたは殺ころされることはない。38:25 わたしがあなたと話はなしをしたことを、つかさたちが聞きいて、彼かれらがあなたの所ところに来きて、『あなたが王おうに話はなしたこと、王おうがあなたに話はなしたことをわれわれに告つげなさい。何事なにごとも隠かくしてはならない。われわれはあなたを殺ころしはしない』と言いうならば、38:26 あなたは彼かれらに、『わたしは王おうに願ねがって、わたしをヨナタンの家いえに送おくり返かえさず、そこで死しぬことのないようにしてくださいと言いった』と答こたえなさい」。38:27 さて、つかさたちは皆みなエレミヤのところへ来きて尋たずねたが、王おうが彼かれに教おしえたように彼かれらに答こたえたので、彼かれらは彼かれと話はなすことをやめた。その会話かいわを聞きいた者ものがなかったからである。38:28 エレミヤはエルサレムの取とられる日ひまで監視かんしの庭にわにとどまっていた。 第39章 39:1 ユダの王おうゼデキヤの九年ねん十月がつ、バビロンの王おうネブカデレザルはその全ぜん軍ぐんを率ひきい、エルサレムに来きてこれを攻せめ囲かこんだが、39:2 ゼデキヤの十一年ねん四月がつ九日かになって町まちの一角いっかくが破やぶれた。39:3 エルサレムが取とられたので、バビロンの王おうのつかさたち、すなわちネルガル・シャレゼル、サムガル・ネボ、ラブサリスのサルセキム、ラブマグのネルガル・シャレゼルおよびバビロンの王おうのその他たのつかさたちは皆みなともに来きて中なかの門もんに座ざした。39:4 ユダの王おうゼデキヤとすべての兵士へいしたちはこれを見みて逃にげ、夜よるのうちに、王おうの庭園ていえんの道みちを通とおって、二つの城壁じょうへきの間あいだの門もんから町まちを出でて、アラバの方ほうへ行いったが、39:5 カルデヤびとの軍勢ぐんぜいはこれを追おって、エリコの平地へいちでゼデキヤに追おいつき、これを捕とらえて、ハマテの地ちリブラにいるバビロンの王おうネブカデレザルのもとに引ひいて行いったので、王おうはそこで彼かれの罪つみをさだめた。39:6 バビロンの王おうはリブラで、ゼデキヤの子こたちを彼かれの目めの前まえで殺ころした。バビロンの王おうはまたユダのすべての貴族きぞくたちを殺ころした。39:7 王おうはまたゼデキヤの目めをつぶさせ、彼かれをバビロンに引ひいて行いくために、鎖くさりにつないだ。39:8 またカルデヤびとは王宮おうきゅうと民家みんかを火ひで焼やき、エルサレムの城壁じょうへきを破壊はかいした。39:9 そして侍衛じえいの長ちょうネブザラダンは町まちのうちに残のこっている民たみと、自分じぶんに降伏こうふくした者もの、およびその他たの残のこっている民たみをバビロンに捕とらえ移うつした。39:10 しかし侍衛じえいの長ちょうネブザラダンは、民たみの貧まずしい無産むさん者ものをユダの地ちに残のこし、同時どうじにぶどう畑はたけと田地でんちをこれに与あたえた。 39:11 さてバビロンの王おうネブカデレザルはエレミヤの事ことについて侍衛じえいの長ちょうネブザラダンに命めいじて言いった、39:12 「彼かれをとり、よく世話せわをせよ。害がいを加くわえることなく、彼かれがあなたに言いうようにしてやりなさい」。39:13 そこで侍衛じえいの長ちょうネブザラダン、ラブサリスのネブシャズバン、ラブマグのネルガル・シャレゼル、およびバビロンの王おうのつかさたちは、39:14 人ひとをつかわして、エレミヤを監視かんしの庭にわから連つれてこさせ、シャパンの子こアヒカムの子こであるゲダリヤに託たくして、家いえにつれて行いかせた。こうして彼かれは民たみのうちにいた。 39:15 エレミヤが監視かんしの庭にわに閉とじこめられていた時とき、主しゅの言葉ことばが彼かれに臨のぞんだ、39:16 「行いって、エチオピヤびとエベデメレクに告つげなさい、『万軍ばんぐんの主しゅ、イスラエルの神かみはこう言いわれる、わたしの言いった災わざわいをわたしはこの町まちに下くだす、幸さいわいをこれに下くだすのではない。その日ひ、この事ことがあなたの目めの前まえで成就じょうじゅする。39:17 主しゅは言いわれる、その日ひわたしはあなたを救すくう。あなたは自分じぶんの恐おそれている人々ひとびとの手てに渡わたされることはない。39:18 わたしが必かならずあなたを救すくい、つるぎに倒たおれることのないようにするからである。あなたの命いのちはあなたのぶんどり物ものとなる。あなたがわたしに寄より頼たよんだからであると主しゅは言いわれる』」。
28:1 その年ねん、すなわちユダの王おうゼデキヤの治世ちせいの初はじめ、その第だい四年ねんの五月がつ、ギベオン出身しゅっしんの預言者よげんしゃであって、アズルの子こであるハナニヤは、主しゅの宮みやで祭司さいしとすべての民たみの前まえでわたしに語かたって言いった、
28:2 「万軍ばんぐんの主しゅ、イスラエルの神かみはこう仰おおせられる、わたしはバビロンの王おうのくびきを砕くだいた。
28:3 二年ねんの内うちに、バビロンの王おうネブカデネザルが、この所ところから取とってバビロンに携たずさえて行いった主しゅの宮みやの器うつわを、皆みなこの所ところに帰かえらせる。
28:4 わたしはまたユダの王おうエホヤキムの子こエコニヤと、バビロンに行いったユダのすべての捕とらわれ人びとをこの所ところに帰かえらせる。それは、わたしがバビロンの王おうのくびきを、砕くだくからであると主しゅは言いわれる」。
28:5 そこで預言者よげんしゃエレミヤは主しゅの宮みやのうちに立たっている祭司さいしとすべての民たみの前まえで、預言者よげんしゃハナニヤに言いった。
28:6 すなわち預言者よげんしゃエレミヤは言いった、「アァメン。どうか主しゅがこのようにしてくださるように。どうかあなたの預言よげんした言葉ことばが成就じょうじゅして、バビロンに携たずさえて行いった主しゅの宮みやの器うつわとすべての捕とらわれ人びとを、主しゅがバビロンから再ふたたびこの所ところに帰かえらせてくださるように。
28:7 ただし、今いまわたしがあなたとすべての民たみの聞きいている所ところで語かたるこの言葉ことばを聞ききなさい。
28:8 わたしと、あなたの先さきに出でた預言者よげんしゃは、むかしから、多おおくの地ちと大おおきな国くにについて、戦たたかいと、ききんと、疫病えきびょうの事ことを預言よげんした。
28:9 平和へいわを預言よげんする預言者よげんしゃは、その預言者よげんしゃの言葉ことばが成就じょうじゅするとき、真実しんじつに主しゅがその預言者よげんしゃをつかわされたのであることが知しられるのだ」。
28:10 そこで預言者よげんしゃハナニヤは預言者よげんしゃエレミヤの首くびから、くびきを取とって、それを砕くだいた。
28:11 そしてハナニヤは、すべての民たみの前まえで語かたり、「主しゅはこう仰おおせられる、『わたしは二年ねんのうちに、このように、万国民ばんこくみんの首くびからバビロンの王おうネブカデネザルのくびきを離はなして砕くだく』」と言いった。預言者よげんしゃエレミヤは去さって行いった。
28:12 預言者よげんしゃハナニヤが預言者よげんしゃエレミヤの首くびから、くびきを離はなして砕くだいた後のち、しばらくして主しゅの言葉ことばがエレミヤに臨のぞんだ、
28:13 「行いって、ハナニヤに告つげなさい、『主しゅはこう仰おおせられる、あなたは木きのくびきを砕くだいたが、わたしはそれに替かえて鉄てつのくびきを作つくろう。
28:14 万軍ばんぐんの主しゅ、イスラエルの神かみはこう仰おおせられる、わたしは鉄てつのくびきをこの万国民ばんこくみんの首くびに置おいて、バビロンの王おうネブカデネザルに仕つかえさせる。彼かれらはこれに仕つかえる。わたしは野のの獣けものをも彼かれに与あたえた』」。
28:15 預言者よげんしゃエレミヤはまた預言者よげんしゃハナニヤに言いった、「ハナニヤよ、聞ききなさい。主しゅがあなたをつかわされたのではない。あなたはこの民たみに偽いつわりを信しんじさせた。
28:16 それゆえ主しゅは仰おおせられる、『わたしはあなたを地ちのおもてから除のぞく。あなたは主しゅに対たいする反逆はんぎゃくを語かたったので、今いま年としのうちに死しぬのだ』と」。
28:17 預言者よげんしゃハナニヤはその年ねんの七月がつに死しんだ。
第29章 29:1 これは預言者よげんしゃエレミヤがエルサレムから、かの捕とらえ移うつされた長老ちょうろうたち、およびネブカデネザルによってエルサレムからバビロンに捕とらえ移うつされた祭司さいしと預言者よげんしゃならびにすべての民たみに送おくった手紙てがみに書かきしるした言葉ことばである。29:2 それはエコニヤ王おうと太后たいこうと宦官かんがんおよびユダとエルサレムのつかさたち、および工 こうしょうと鍛冶かじとがエルサレムを去さってのちに書かかれたものであって、29:3 エレミヤはその手紙てがみをシャパンの子こエラサおよびヒルキヤの子こゲマリヤの手てによって送おくった。この人々ひとびとはユダの王おうゼデキヤがバビロンに行いかせ、バビロンの王おうネブカデネザルのもとにつかわしたものであった。その手紙てがみには次つぎのように書かいてあった。29:4 「万軍ばんぐんの主しゅ、イスラエルの神かみは、すべて捕とらえ移うつされた者もの、すなわち、わたしがエルサレムから、バビロンに捕とらえ移うつさせた者ものに、こう言いう、29:5 あなたがたは家いえを建たてて、それに住すみ、畑はたけを作つくってその産物さんぶつを食たべよ。29:6 妻つまをめとって、むすこ娘むすめを産うみ、また、そのむすこに嫁よめをめとり、娘むすめをとつがせて、むすこ娘むすめを産うむようにせよ。その所ところであなたがたの数かずを増まし、減へってはならない。29:7 わたしがあなたがたを捕とらえ移うつさせたところの町まちの平安へいあんを求もとめ、そのために主しゅに祈いのるがよい。その町まちが平安へいあんであれば、あなたがたも平安へいあんを得えるからである。29:8 万軍ばんぐんの主しゅ、イスラエルの神かみはこう言いわれる、あなたがたのうちにいる預言者よげんしゃと占うらない師しに惑まどわされてはならない。また彼かれらの見みる夢ゆめに聞きき従したがってはならない。29:9 それは、彼かれらがわたしの名なによってあなたがたに偽いつわりを預言よげんしているからである。わたしが彼かれらをつかわしたのではないと主しゅは言いわれる。 29:10 主しゅはこう言いわれる、バビロンで七十年ねんが満みちるならば、わたしはあなたがたを顧かえりみ、わたしの約束やくそくを果はたし、あなたがたをこの所ところに導みちびき帰かえる。29:11 主しゅは言いわれる、わたしがあなたがたに対たいしていだいている計画けいかくはわたしが知しっている。それは災わざわいを与あたえようというのではなく、平安へいあんを与あたえようとするものであり、あなたがたに将来しょうらいを与あたえ、希望きぼうを与あたえようとするものである。29:12 その時とき、あなたがたはわたしに呼よばわり、来きて、わたしに祈いのる。わたしはあなたがたの祈いのりを聞きく。29:13 あなたがたはわたしを尋たずね求もとめて、わたしに会あう。もしあなたがたが一心いっしんにわたしを尋たずね求もとめるならば、29:14 わたしはあなたがたに会あうと主しゅは言いわれる。わたしはあなたがたの繁栄はんえいを回復かいふくし、あなたがたを万国ばんこくから、すべてわたしがあなたがたを追おいやった所ところから集あつめ、かつ、わたしがあなたがたを捕とらわれ離はなれさせたそのもとの所ところに、あなたがたを導みちびき帰かえろうと主しゅは言いわれる。 29:15 あなたがたは、『主しゅはバビロンでわれわれのために預言者よげんしゃたちを起おこされた』と言いったが、――29:16 主しゅはダビデの位くらいに座ざしている王おうと、この町まちに住すむすべての民たみで、あなたがたと共ともに捕とらえ移うつされなかった兄弟きょうだいたちについて、こう言いわれる、29:17 『万軍ばんぐんの主しゅはこう言いわれる、見みよ、わたしは、つるぎと、ききんと、疫病えきびょうを彼かれらに送おくり、彼かれらを悪わるくて食たべられない腐くさったいちじくのようにしてしまう。29:18 わたしはつるぎと、ききんと、疫病えきびょうをもって彼かれらのあとを追おい、また彼かれらを地ちの万国ばんこくに忌いみきらわれるものとなし、わたしが彼かれらを追おいやる国々くにぐにで、のろいとなり、恐おそれとなり、物笑ものわらいとなり、はずかしめとならせる。29:19 それは彼かれらがわたしの言葉ことばに聞きき従したがわなかったからであると主しゅは言いわれる。わたしはこの言葉ことばを、わたしのしもべである預言者よげんしゃたちによって、しきりに送おくったが、あなたがたは聞きこうともしなかったと主しゅは言いわれる』。――29:20 わたしがエルサレムからバビロンに送おくったあなたがたすべての捕とらわれ人びとよ、主しゅの言葉ことばを聞ききなさい、29:21 『わたしの名なによって、あなたがたに偽いつわりを預言よげんしているコラヤの子こアハブと、マアセヤの子こゼデキヤについて万軍ばんぐんの主しゅ、イスラエルの神かみはこう仰おおせられる、見みよ、わたしは彼かれらをバビロンの王おうネブカデレザルの手てに渡わたす。王おうはあなたがたの目めの前まえで彼かれらを殺ころす。29:22 バビロンにいるユダの捕とらわれ人びとは皆みな、彼かれらの名なを、のろいの言葉ことばに用もちいて、「主しゅがあなたをバビロンの王おうが火ひで焼やいたゼデキヤとアハブのようにされるように」という。29:23 それは、彼かれらがイスラエルのうちで愚おろかな事ことをし、隣となりの妻つまと不義ふぎを行おこない、わたしが命めいじたのでない偽いつわりの言葉ことばを、わたしの名なによって語かたったことによるのである。わたしはそれを知しっており、またその証人しょうにんであると主しゅは言いわれる』」。 29:24 ネヘラムびとシマヤにあなたは言いいなさい、29:25 「万軍ばんぐんの主しゅ、イスラエルの神かみはこう仰おおせられる、あなたは自分じぶんの名なでエルサレムにいるすべての民たみと、マアセヤの子こ祭司さいしゼパニヤおよびすべての祭司さいしに手紙てがみを送おくって言いう、29:26 『主しゅは祭司さいしエホヤダに代かわってあなたを祭司さいしとし、主しゅの宮みやをつかさどらせ、すべて狂くるい、かつ預言よげんする者ものを足あしかせと首くびかせにつながせられる。29:27 そうであるのに、どうしてあなたは、あなたがたに預言よげんしているアナトテのエレミヤを戒いましめないのか。29:28 彼かれはバビロンにいるわれわれの所ところに手紙てがみを送おくって、捕とらわれの時ときはなお長ながいゆえ、あなたがたは家いえを建たててそこに住すみ、畑はたけを作つくってその産物さんぶつを食たべよと言いってきた』」。 29:29 祭司さいしゼパニヤはこの手紙てがみを預言者よげんしゃエレミヤに読よみ聞きかせた。29:30 その時とき、主しゅの言葉ことばがエレミヤに臨のぞんだ、29:31 「すべての捕とらわれ人びとに書かき送おくって言いいなさい、ネヘラムびとシマヤの事ことについて主しゅはこう仰おおせられる、わたしはシマヤをつかわさなかったのに、彼かれがあなたがたに預言よげんして偽いつわりを信しんじさせたので、29:32 主しゅはこう仰おおせられる、見みよ、わたしはネヘラムびとシマヤとその子孫しそんを罰ばっする。彼かれは主しゅに対たいする反逆はんぎゃくを語かたったゆえ、彼かれに属ぞくする者もので、この民たみのうちに住すみ、わたしが自分じぶんの民たみに行おこなおうとしている良よい事ことを見みるものはひとりもいない」。 第30章 30:1 主しゅからエレミヤに臨のぞんだ言葉ことば。30:2 「イスラエルの神かみ、主しゅはこう仰おおせられる、わたしがあなたに語かたった言葉ことばを、ことごとく書物しょもつにしるしなさい。30:3 主しゅは言いわれる、見みよ、わたしがわが民たみイスラエルとユダの繁栄はんえいを回復かいふくする日ひが来くる。主しゅがこれを言いわれる。わたしは彼かれらを、その先祖せんぞに与あたえた地ちに帰かえらせ、彼かれらにこれを保たもたせる」。 30:4 これは主しゅがイスラエルとユダについて言いわれた言葉ことばである。 30:5 「主しゅはこう仰おおせられる、われわれはおののきの声こえを聞きいた。恐おそれがあり、平安へいあんはない。30:6 子こを産うむ男おとこがあるか、尋たずねてみよ。どうして男おとこがみな子こを産うむ女おんなのように手てを腰こしにおくのをわたしは見みるのか。なぜ、どの人ひとの顔色かおいろも青あおく変かわっているのか。30:7 悲かなしいかな、その日ひは大おおいなる日ひであって、それに比くらべるべき日ひはない。それはヤコブの悩なやみの時ときである。しかし彼かれはそれから救すくい出だされる。30:8 万軍ばんぐんの主しゅは仰おおせられる、その日ひわたしは彼かれらの首くびからそのくびきを砕くだき離はなし、彼かれらの束縛そくばくを解とく。異邦いほうの人ひとはもはや、彼かれらを使役しえきすることをしない。30:9 彼かれらはその神かみ、主しゅと、わたしが彼かれらのために立たてるその王おうダビデに仕つかえる。 30:10 主しゅは仰おおせられる、わがしもべヤコブよ、恐おそれることはない、イスラエルよ、驚おどろくことはない。見みよ、わたしがあなたを救すくって、遠とおくからかえし、あなたの子孫しそんを救すくって、その捕とらえ移うつされた地ちからかえすからだ。ヤコブは帰かえってきて、穏おだやかに安やすらかにおり、彼かれを恐おそれさせる者ものはない。30:11 主しゅは言いわれる、わたしはあなたと共ともにいて、あなたを救すくう。わたしはあなたを散ちらした国々くにぐにをことごとく滅ほろぼし尽つくす。しかし、あなたを滅ほろぼし尽つくすことはしない。わたしは正ただしい道みちに従したがってあなたを懲こらしめる。決けっして罰ばっしないではおかない。 30:12 主しゅはこう仰おおせられる、あなたの痛いたみはいえず、あなたの傷きずは重おもい。30:13 あなたの訴うったえを支持しじする者ものはなく、あなたの傷きずをつつむ薬くすりはなく、あなたをいやすものもない。30:14 あなたの愛あいする者ものは皆みなあなたを忘わすれてあなたの事ことを心こころに留とめない。それは、あなたのとがが多おおく、あなたの罪つみがはなはだしいので、わたしがあだを撃うつようにあなたを撃うち、残忍ざんにんな敵てきのように懲こらしたからだ。30:15 なぜ、あなたの傷きずのために叫さけぶのか、あなたの悩なやみはいえることはない。あなたのとがが多おおく、あなたの罪つみがはなはだしいので、これらの事ことをわたしはあなたにしたのである。30:16 しかし、すべてあなたを食くい滅ほろぼす者ものは食くい滅ほろぼされ、あなたをしえたげる者ものは、ひとり残のこらず、捕とらえ移うつされ、あなたをかすめる者ものは、かすめられ、すべてあなたの物ものを奪うばう者ものは奪うばわれる者ものとなる。30:17 主しゅは言いわれる、わたしはあなたの健康けんこうを回復かいふくさせ、あなたの傷きずをいやす。それは、人ひとがあなたを捨すてられた者ものとよび、『だれも心こころに留とめないシオン』というからである。 30:18 主しゅはこう仰おおせられる、見みよ、わたしはヤコブの天幕てんまくを再ふたたび栄さかえさせ、そのすまいにあわれみを施ほどこす。町まちは、その丘おかに建たてなおされ、宮殿きゅうでんはもと立たっていた所ところに立たつ。30:19 感謝かんしゃの歌うたと喜よろこぶ者ものの声こえとが、その中なかから出でる。わたしが彼かれらを増ますゆえ、彼かれらは少すくなくはなく、また彼かれらを尊たっとばれしめるゆえ、卑いやしめられることはない。30:20 その子こらは、いにしえのようになり、その会衆かいしゅうはわたしの前まえに堅かたく立たつ。すべて彼かれらをしえたげる者ものをわたしは罰ばっする。30:21 その君きみは彼かれら自身じしんのうちのひとりであり、そのつかさは、そのうちから出でる。わたしは彼かれをわたしに近ちかづけ、彼かれはわたしに近ちかづく。だれか自分じぶんの命いのちをかけてわたしに近ちかづく者ものがあろうかと主しゅは言いわれる。30:22 あなたがたは、わたしの民たみとなり、わたしはあなたがたの神かみとなる」。 30:23 見みよ、主しゅの暴風ぼうふうがくる。憤いきどおりと、つむじ風かぜが出でて、悪人あくにんのこうべをうつ。30:24 主しゅの激はげしい怒いかりは、み心こころに思おもい定さだめられたことを行おこなって、これを遂とげるまで、退しりぞくことはない。末すえの日ひにあなたがたはこれを悟さとるのである。 第31章 31:1 「主しゅは言いわれる、その時ときわたしはイスラエルの全部ぜんぶ族ぞくの神かみとなり、彼かれらはわたしの民たみとなる」。 31:2 主しゅはこう言いわれる、「つるぎをのがれて生いき残のこった民たみは、荒野あらので恵めぐみを得えた。イスラエルが安息あんそくを求もとめた時とき、31:3 主しゅは遠とおくから彼かれに現あらわれた。わたしは限かぎりなき愛あいをもってあなたを愛あいしている。それゆえ、わたしは絶たえずあなたに真実しんじつをつくしてきた。31:4 イスラエルのおとめよ、再ふたたびわたしはあなたを建たてる、あなたは建たてられる。あなたは再ふたたび鼓つづみをもって身みを飾かざり、出でて行いって、喜よろこび楽たのしむ者ものと共ともに踊おどる。31:5 またあなたはぶどうの木きをサマリヤの山やまに植うえる。植うえる者ものは、植うえてその実みを食たべることができる。31:6 見守みまもる者ものがエフライムの山やまの上うえに立たって呼よばわる日ひが来くる。『立たって、シオンに上のぼり、われわれの神かみ、主しゅに、もうでよう』と」。 31:7 主しゅはこう仰おおせられる、「ヤコブのために喜よろこんで声こえ高たかく歌うたい、万国ばんこくのかしらのために叫さけび声ごえをあげよ。告つげ示しめし、ほめたたえて言いえ、『主しゅはその民たみイスラエルの残のこりの者ものを救すくわれた』と。31:8 見みよ、わたしは彼かれらを北きたの国くにから連つれ帰かえり、彼かれらを地ちの果はてから集あつめる。彼かれらのうちには、盲人もうじんやあしなえ、妊婦にんぷ、産婦さんぷも共ともにいる。彼かれらは大おおきな群むれとなって、ここに帰かえってくる。31:9 彼かれらは泣なき悲かなしんで帰かえってくる。わたしは慰なぐさめながら彼かれらを導みちびき帰かえる。彼かれらがつまずかないように、まっすぐな道みちにより、水みずの流ながれのそばを通とおらせる。それは、わたしがイスラエルの父ちちであり、エフライムはわたしの長子ちょうしだからである。 31:10 万国ばんこくの民たみよ、あなたがたは主しゅの言葉ことばを聞きき、これを遠とおい、海沿うみぞいの地ちに示しめして言いいなさい、『イスラエルを散ちらした者ものがこれを集あつめられる。牧者ぼくしゃがその群むれを守まもるようにこれを守まもられる』と。31:11 すなわち主しゅはヤコブをあがない、彼かれらよりも強つよい者ものの手てから彼かれを救すくいだされた。31:12 彼かれらは来きてシオンの山やまで声こえ高たかく歌うたい、主しゅから賜たまわった良よい物もののために、穀物こくもつと酒さけと油あぶらおよび若わかき羊ひつじと牛うしのために、喜よろこびに輝かがやく。その魂たましいは潤うるおう園そののようになり、彼かれらは重かさねて憂うれえることがない。31:13 その時ときおとめたちは舞まって楽たのしみ、若わかい者ものも老おいた者ものも共ともに楽たのしむ。わたしは彼かれらの悲かなしみを喜よろこびにかえ、彼かれらを慰なぐさめ、憂うれいの代かわりに喜よろこびを与あたえる。31:14 わたしは多おおくのささげ物もので、祭司さいしの心こころを飽あかせ、わたしの良よき物もので、わたしの民たみを満みち足たらせると主しゅは言いわれる」。 31:15 主しゅはこう仰おおせられる、「嘆なげき悲かなしみ、いたく泣なく声こえがラマで聞きこえる。ラケルがその子こらのために嘆なげくのである。子こらがもはやいないので、彼女かのじょはその子こらのことで慰なぐさめられるのを願ねがわない」。31:16 主しゅはこう仰おおせられる、「あなたは泣なく声こえをとどめ、目めから涙なみだをながすことをやめよ。あなたのわざに報むくいがある。彼かれらは敵てきの地ちから帰かえってくると主しゅは言いわれる。31:17 あなたの将来しょうらいには希望きぼうがあり、あなたの子供こどもたちは自分じぶんの国くにに帰かえってくると主しゅは言いわれる。31:18 わたしは確たしかに、エフライムがこう言いって嘆なげくの聞きいた、『あなたはわたしを懲こらしめられた、わたしはくびきに慣なれない子こ牛うしのように懲こらしめをうけた。主しゅよ、あなたはわたしの神かみ、主しゅでいらせられる、わたしを連つれ帰かえって、もとにかえしてください。31:19 わたしはそむき去さった後のち、悔くい、教おしえをうけた後のち、ももを打うった。若わかい時ときのはずかしめが身みにあるので、わたしは恥はじ、うろたえた』。31:20 主しゅは言いわれる、エフライムはわたしの愛あいする子こ、わたしの喜よろこぶ子こであろうか。わたしは彼かれについて語かたるごとに、なお彼かれを忘わすれることができない。それゆえ、わたしの心こころは彼かれをしたっている。わたしは必かならず彼かれをあわれむ。31:21 みずからのために道みちしるべを置おき、みずからのために標柱ひょうちゅうを立たてよ。大路おおじに、あなたの通とおって行いった道みちに心こころを留とめよ。イスラエルのおとめよ、帰かえれ、これらの、あなたの町々まちまちに帰かえれ。31:22 不信ふしんの娘むすめよ、いつまでさまようのか。主しゅは地ちの上うえに新あたらしい事ことを創 そうぞうされたのだ、女おんなが男おとこを保護ほごする事ことである」。31:23 万軍ばんぐんの主しゅ、イスラエルの神かみはこう言いわれる、「わたしが彼かれらを再ふたたび栄さかえさせる時とき、人々ひとびとはまたユダの地ちとその町々まちまちでこの言葉ことばを言いう、 『正義せいぎのすみかよ、聖せいなる山やまよ、どうか主しゅがおまえを祝福しゅくふくしてくださるように』。31:24 ユダとそのすべての町まちの人ひと、および農夫のうふと群むれを飼かって歩あるき回まわる者ものは共ともにそこに住すむ。31:25 わたしが疲つかれた魂たましいを飽あき足たらせ、すべて悩なやんでいる魂たましいを慰なぐさめるからである」。 31:26 ここでわたしは目めをさましたが、わたしの眠ねむりは、ここちよかった。 31:27 「主しゅは言いわれる、見みよ、わたしが人ひとの種たねと獣けものの種たねとをイスラエルの家いえとユダの家いえとにまく日ひが来くる。31:28 わたしは彼かれらを抜ぬき、砕くだき、倒たおし、滅ほろぼし、悩なやまそうと待まちかまえていたように、また彼かれらを建たて、植うえようと待まちかまえていると主しゅは言いわれる。31:29 その時とき、彼かれらはもはや、 『父ちちがすっぱいぶどうを食たべたので、子こどもの歯はがうく』とは言いわない。31:30 人ひとはめいめい自分じぶんの罪つみによって死しぬ。すっぱいぶどうを食たべる人ひとはみな、その歯はがうく。 31:31 主しゅは言いわれる、見みよ、わたしがイスラエルの家いえとユダの家いえとに新あたらしい契約けいやくを立たてる日ひが来くる。31:32 この契約けいやくはわたしが彼かれらの先祖せんぞをその手てをとってエジプトの地ちから導みちびき出だした日ひに立たてたようなものではない。わたしは彼かれらの夫おっとであったのだが、彼かれらはそのわたしの契約けいやくを破やぶったと主しゅは言いわれる。31:33 しかし、それらの日ひの後のちにわたしがイスラエルの家いえに立たてる契約けいやくはこれである。すなわちわたしは、わたしの律法りっぽうを彼かれらのうちに置おき、その心こころにしるす。わたしは彼かれらの神かみとなり、彼かれらはわたしの民たみとなると主しゅは言いわれる。31:34 人ひとはもはや、おのおのその隣となりとその兄弟きょうだいに教おしえて、『あなたは主しゅを知しりなさい』とは言いわない。それは、彼かれらが小しょうより大だいに至いたるまで皆みな、わたしを知しるようになるからであると主しゅは言いわれる。わたしは彼かれらの不義ふぎをゆるし、もはやその罪つみを思おもわない」。 31:35 主しゅはこう言いわれる、すなわち太陽たいようを与あたえて昼ひるの光ひかりとし、月つきと星ほしとを定さだめて夜よるの光ひかりとし、海うみをかき立たてて、その波なみを鳴なりとどろかせる者もの――その名なは万軍ばんぐんの主しゅという。31:36 主しゅは言いわれる、「もしこの定さだめがわたしの前まえですたれてしまうなら、イスラエルの子孫しそんもすたって、永久えいきゅうにわたしの前まえで民たみであることはできない」。31:37 主しゅはこう言いわれる、「もし上うえの天てんを量はかることができ、下したの地ちの基もといを探さぐることができるなら、そのとき、わたしはイスラエルのすべての子孫しそんをそのもろもろの行おこないのために捨すて去さると主しゅは言いわれる」。31:38 主しゅは言いわれる、「見みよ、この町まちが、ハナネルの塔とうから隅すみの門もんまで、主しゅのために再建さいけんされる時ときが来くる。31:39 測はかりなわはそれよりも遠とおくまっすぐに延のびて、ガレブの丘おかに達たっし、ゴアのほうに向むかう。31:40 死体したいと灰はいとの谷たにの全部ぜんぶ、またキデロンの谷たにに行いくまでと、東ひがしのほうの馬うまの門もんのすみに行いくまでとのすべての畑はたけはみな主しゅの聖せいなる所ところとなり、永遠えいえんにわたって、ふたたび抜ぬかれ、また倒たおされることはない」。 第32章 32:1 ユダの王おうゼデキヤの十年ねん、すなわちネブカデレザルの十八年ねんに、主しゅの言葉ことばがエレミヤに臨のぞんだ。32:2 その時とき、バビロンの王おうの軍勢ぐんぜいがエルサレムを攻せめ囲かこんでいて、預言者よげんしゃエレミヤはユダの王おうの宮殿きゅうでんにある監視かんしの庭にわのうちに監禁かんきんされていた。32:3 ユダの王おうゼデキヤが彼かれを閉とじ込こめたのであるが、王おうは言いった、「なぜあなたは預言よげんして言いうのか、『主しゅはこう仰おおせられる、見みよ、わたしはこの町まちをバビロンの王おうの手てに渡わたし、彼かれはこれを取とる。32:4 またユダの王おうゼデキヤはカルデヤびとの手てをのがれることなく、かならずバビロンの王おうの手てに渡わたされ、顔かおと顔かおを合あわせて彼かれと語かたり、目めと目めは相あいまみえる。32:5 そして彼かれはゼデキヤをバビロンに引ひいていき、ゼデキヤは、わたしが彼かれを顧かえりみる時ときまで、そこにいると主しゅは言いわれる。あなたがたは、カルデヤびとと戦たたかっても勝かつことはできない』と」。 32:6 エレミヤは言いった、「主しゅの言葉ことばがわたしに臨のぞんで言いわれる、32:7 『見みよ、あなたのおじシャルムの子こハナメルがあなたの所ところに来きて言いう、「アナトテにあるわたしの畑はたけを買かいなさい。それは、これを買かい取とり、あがなう権利けんりがあなたにあるから」と』。32:8 はたして主しゅの言葉ことばのように、わたしのいとこであるハナメルが監視かんしの庭にわのうちにいるわたしの所ところに来きて言いった、『ベニヤミンの地ちのアナトテにあるわたしの畑はたけを買かってください。所有しょゆうするのも、あがなうのも、あなたの権利けんりなのです。買かい取とってあなたの物ものにしてください。これが主しゅの言葉ことばであるのをわたしは知しっていました』。 32:9 そこでわたしは、いとこのハナメルからアナトテにある畑はたけを買かい取とり、銀ぎん十七シケルを量はかって彼かれに支払しはらった。32:10 すなわち、わたしはその証書しょうしょをつくって、これに記名きめいし、それを封印ふういんし、証人しょうにんを立たて、はかりをもって銀ぎんを量はかって与あたえた。32:11 そしてわたしはその約定やくじょうをしるして封印ふういんした買収ばいしゅう証書しょうしょと、封印ふういんのない写うつしとを取とり、32:12 いとこのハナメルと、買収ばいしゅう証書しょうしょに記名きめいした証人しょうにんたち、および監視かんしの庭にわにすわっているすべてのユダヤ人ひとの前まえで、その証書しょうしょをマアセヤの子こであるネリヤの子こバルクに与あたえ、32:13 彼かれらの前まえで、わたしはバルクに命めいじて言いった、32:14 『万軍ばんぐんの主しゅ、イスラエルの神かみはこう仰おおせられる、これらの証書しょうしょすなわち、この買収ばいしゅう証書しょうしょの封印ふういんしたものと、封印ふういんのない写うつしとを取とり、これらを土つちの器うつわに入いれて、長ながく保存ほぞんせよ。32:15 万軍ばんぐんの主しゅ、イスラエルの神かみがこう言いわれるからである、「この地ちで人々ひとびとはまた家いえと畑はたけとぶどう畑はたけを買かうようになる」と』。 32:16 わたしは買収ばいしゅう証書しょうしょをネリヤの子こバルクに渡わたしたあとで主しゅに祈いのって言いった、32:17 『ああ主しゅなる神かみよ、あなたは大おおいなる力ちからと、伸のべた腕うでをもって天てんと地ちをお造つくりになったのです。あなたのできないことは、ひとつもありません。32:18 あなたはいつくしみを千万人にんに施ほどこし、また父ちちの罪つみをそののちの子孫しそんに報むくいられるのです。あなたは大おおいなる全能ぜんのうの神かみでいらせられ、その名なは万軍ばんぐんの主しゅと申もうされます。32:19 あなたの計はかりごとは大おおきく、また、事ことを行おこなうのに力ちからがあり、あなたの目めは人々ひとびとの歩あゆむすべての道みちを見みて、おのおのの道みちにしたがい、その行おこないの実みによってこれに報むくいられます。32:20 あなたは、しるしと、不思議ふしぎなわざとをエジプトの地ちに行おこない、また今日こんにちに至いたるまでイスラエルと全ぜん人類じんるいのうちに行おこない、そして今日こんにちのように名なをあげられました。32:21 あなたは、しるしと、不思議ふしぎなわざと、強つよい手てと、伸のべた腕うでと、大おおいなる恐おそるべき事ことをもって、あなたの民たみイスラエルをエジプトの地ちから導みちびき出だし、32:22 この地ちを彼かれらに賜たまわりました。これはあなたが彼かれらの先祖せんぞたちに与あたえようと誓ちかわれた乳ちちと蜜みつの流ながれる地ちです。32:23 こうして彼かれらは、はいってこれを獲えたのですが、あなたの声こえに聞きき従したがわず、あなたの律法りっぽうを行おこなわず、すべてあなたがせよと命めいじられたことをしなかったので、あなたはこの災わざわいを彼かれらの上うえにお下くだしになりました。32:24 見みよ、塁るいが築きずきあげられたのは、この町まちを取とるためです。つるぎと、ききんと、疫病えきびょうのために、町まちはこれを攻せめているカルデヤびとの手てに渡わたされます。あなたの言いわれたようになりましたのは、ごらんのとおりであります。32:25 主しゅなる神かみよ、あなたはわたしに言いわれました、「銀ぎんをもって畑はたけを買かい、証人しょうにんを立たてよ」と。そうであるのに、町まちはカルデヤびとの手てに渡わたされています』」。 32:26 主しゅの言葉ことばがエレミヤに臨のぞんだ、32:27 「見みよ、わたしは主しゅである、すべて命いのちある者ものの神かみである。わたしにできない事ことがあろうか。32:28 それゆえ、主しゅはこう言いわれる、見みよ、わたしはこの町まちをカルデヤびとと、バビロンの王おうネブカデレザルの手てに渡わたす。彼かれはこれを取とる。32:29 この町まちを攻せめているカルデヤびとがきて、この町まちに火ひをつけて焼やき払はらう。屋根やねの上うえで人々ひとびとが、バアルに香こうをたき、ほかの神々かみがみに酒さけをそそいで、わたしを怒いからせたその家いえをも彼かれらは焼やく。32:30 それは、イスラエルの人々ひとびととユダの人々ひとびととは、その若わかい時ときから、わたしの前まえに悪わるいことのみを行おこない、またイスラエルの民たみはその手てのわざをもって、わたしを怒いからせることばかりをしたからであると主しゅは言いわれる。32:31 この町まちはそれが建たった日ひからきょうまで、わたしの怒いかりと憤いきどおりとをひき起おこしてきたので、わたしの前まえからこれを除のぞき去さるのである。32:32 それは、イスラエルの民たみとユダの民たみとが、もろもろの悪あくを行いって、わたしを怒いからせたことによるのである。――彼かれらの王おうたちと、そのつかさたち、祭司さいしたち、預言者よげんしゃたち、またユダの人々ひとびととエルサレムの住民じゅうみんたちが皆みなそうである。32:33 彼かれらはその背中せなかをわたしに向むけて顔かおをわたしに向むけず、わたしがたゆまず教おしえたにもかかわらず、彼かれらは教おしえを聞きかず、またうけないのである。32:34 彼かれらは憎にくむべき物ものを、わが名なをもって呼よばれている家いえにすえつけて、そこを汚けがし、32:35 またベンヒンノムの谷たににバアルの高たかき所ところを築きずいて、むすこ娘むすめをモレクにささげた。わたしは彼かれらにこのようなことを命めいじたことはなく、また彼かれらがこの憎にくむべきことを行いって、ユダに罪つみを犯おかさせようとは考かんがえもしなかった。 32:36 それゆえ今いまイスラエルの神かみ、主しゅは、この町まち、すなわちあなたがたが、『つるぎと、ききんと、疫病えきびょうのためにバビロンの王おうの手てに渡わたされる』といっている町まちについてこう仰おおせられる、32:37 見みよ、わたしは、わたしの怒いかりと憤いきどおりと大おおいなる怒いかりをもって、彼かれらを追おいやったもろもろの国くにから彼かれらを集あつめ、この所ところへ導みちびきかえって、安やすらかに住すまわせる。32:38 そして彼かれらはわたしの民たみとなり、わたしは彼かれらの神かみとなる。32:39 わたしは彼かれらに一つの心こころと一つの道みちを与あたえて常つねにわたしを恐おそれさせる。これは彼かれらが彼かれら自身じしんとその後のちの子孫しそんの幸さいわいを得えるためである。32:40 わたしは彼かれらと永遠えいえんの契約けいやくを立たてて、彼かれらを見捨みすてずに恵めぐみを施ほどこすことを誓ちかい、またわたしを恐おそれる恐おそれを彼かれらの心こころに置おいて、わたしを離はなれることのないようにしよう。32:41 わたしは彼かれらに恵めぐみを施ほどこすことを喜よろこびとし、心こころをつくし、精神せいしんをつくし、真実しんじつをもって彼かれらをこの地ちに植うえる。32:42 主しゅはこう仰おおせられる、わたしがこのもろもろの大おおきな災わざわいをこの民たみに下くだしたように、わたしが彼かれらに約束やくそくするもろもろの幸さいわいを彼かれらの上うえに下くだす。32:43 人々ひとびとはこの地ちに畑はたけを買かうようになる。あなたがたが、『それは荒あれて人ひとも獣けものもいなくなり、カルデヤびとの手てに渡わたされてしまう』といっている地ちである。32:44 人々ひとびとはベニヤミンの地ちと、エルサレムの周囲しゅういと、ユダの町々まちまちと、山地さんちの町々まちまちと、平地へいちの町々まちまちと、ネゲブの町々まちまちで、銀ぎんをもって畑はたけを買かい、証書しょうしょをつくって、これに記名きめいし封印ふういんし、また証人しょうにんを立たてる。それは、わたしが彼かれらを再ふたたび栄さかえさせるからであると主しゅは言いわれる」。 第33章 33:1 エレミヤがなお監視かんしの庭にわに閉とじ込こめられている時とき、主しゅの言葉ことばはふたたび彼かれに臨のぞんだ、33:2 「地ちを造つくられた主しゅ、それを形かたち造つくって堅かたく立たたせられた主しゅ、その名なを主しゅと名なのっておられる者ものがこう仰おおせられる、33:3 わたしに呼よび求もとめよ、そうすれば、わたしはあなたに答こたえる。そしてあなたの知しらない大おおきな隠かくされている事ことを、あなたに示しめす。33:4 イスラエルの神かみ、主しゅは塁るいと、つるぎとを防ふせぐために破壊はかいされたこの町まちの家いえと、ユダの王おうの家いえについてこう言いわれる、33:5 カルデヤびとは来きて戦たたかい、わたしが怒いかりと憤いきどおりをもって殺ころす人々ひとびとの死体したいを、それに満みたす。わたしは人々ひとびとのもろもろの悪あくのために、この町まちにわたしの顔かおをおおい隠かくした。33:6 見みよ、わたしは健康けんこうと、いやしとを、ここにもたらして人々ひとびとをいやし、豊ゆたかな繁栄はんえいと安全あんぜんとを彼かれらに示しめす。33:7 わたしはユダとイスラエルを再ふたたび栄さかえさせ、彼かれらを建たてて、もとのようにする。33:8 わたしは彼かれらがわたしに向むかって犯おかした罪つみのすべてのとがを清きよめ、彼かれらがわたしに向むかって犯おかした罪つみと反逆はんぎゃくのすべてのとがをゆるす。33:9 この町まちは地ちのもろもろの民たみの前まえに、わたしのために喜よろこびの名なとなり、誉ほまれとなり、栄さかえとなる。彼かれらはわたしがわたしの民たみに施ほどこすもろもろの恵めぐみのことを聞きく。そして、わたしがこの町まちに施ほどこすもろもろの恵めぐみと、もろもろの繁栄はんえいのために恐おそれて身みをふるわす。 33:10 主しゅはこう言いわれる、あなたがたが、『それは荒あれて、人ひともおらず獣けものもいない』というこの所ところ、すなわち、荒あれて、人ひともおらず住すむ者ものもなく、獣けものもいないユダの町まちとエルサレムのちまたに、33:11 再ふたたび喜よろこびの声こえ、楽たのしみの声こえ、花婿はなむこの声こえ、花嫁はなよめの声こえ、および 『万軍ばんぐんの主しゅに感謝かんしゃせよ、主しゅは恵めぐみふかく、そのいつくしみは、いつまでも絶たえることがない』といって、感謝かんしゃの供そなえ物ものを主しゅの宮みやに携たずさえてくる者ものの声こえが聞きこえる。それは、わたしがこの地ちを再ふたたび栄さかえさせて初はじめのようにするからであると主しゅは言いわれる。 33:12 万軍ばんぐんの主しゅはこう言いわれる、荒あれて、人ひともおらず獣けものもいないこの所ところと、そのすべての町々まちまちに再ふたたびその群むれを伏ふさせる牧者ぼくしゃのすまいがあるようになる。33:13 山地さんちの町々まちまちと、平地へいちの町々まちまちと、ネゲブの町々まちまちと、ベニヤミンの地ち、エルサレムの周囲しゅういと、ユダの町々まちまちで、群むれは再ふたたびそれを数かぞえる者ものの手ての下したを通とおりすぎると主しゅは言いわれる。 33:14 主しゅは言いわれる、見みよ、わたしがイスラエルの家いえとユダの家いえに約束やくそくしたことをなし遂とげる日ひが来くる。33:15 その日ひ、その時ときになるならば、わたしはダビデのために一つの正ただしい枝えだを生しょうじさせよう。彼かれは公平こうへいと正義せいぎを地ちに行おこなう。33:16 その日ひ、ユダは救すくいを得え、エルサレムは安やすらかにおる。その名なは『主しゅはわれわれの正義せいぎ』ととなえられる。 33:17 主しゅはこう仰おおせられる、イスラエルの家いえの位くらいに座ざする人ひとがダビデの子孫しそんのうちに欠かけることはない。33:18 またわたしの前まえに燔祭はんさいをささげ、素祭そさいを焼やき、つねに犠牲ぎせいをささげる人ひとが、レビびとである祭司さいしのうちに絶たえることはない」。 33:19 主しゅの言葉ことばはエレミヤに臨のぞんだ、33:20 「主しゅはこう仰おおせられる、もしあなたがたが、昼ひると結むすんだわたしの契約けいやくを破やぶり、また夜よると結むすんだわたしの契約けいやくを破やぶり、昼ひると夜よるが定さだめられた時ときに来きないようにすることができるならば、33:21 しもべダビデとわたしが結むすんだ契約けいやくもまた破やぶれ、彼かれはその位くらいに座ざして王おうとなる子こを与あたえられない。またわたしがわたしに仕つかえるレビびとである祭司さいしに立たてた契約けいやくも破やぶれる。33:22 天てんの星ほしは数かぞえることができず、浜はまの砂すなは量はかることができない。そのようにわたしは、しもべダビデの子孫しそんと、わたしに仕つかえるレビびとである祭司さいしの数かずを増まそう」。 33:23 主しゅの言葉ことばはエレミヤに臨のぞんだ、33:24 「あなたはこの民たみが、『主しゅは自みずから選えらんだ二つのやからを捨すてた』といっているのを聞きかないか。彼かれらはこのようにわたしの民たみを侮あなどって、これを国くにとみなさないのである。33:25 主しゅはこう言いわれる、もしわたしが昼ひると夜よるとに契約けいやくを立たてず、また天地てんちのおきてを定さだめなかったのであれば、33:26 わたしは、ヤコブとわたしのしもべダビデとの子孫しそんを捨すてて、再ふたたび彼かれの子孫しそんのうちからアブラハム、イサク、ヤコブの子孫しそんを治おさめる者ものを選えらばない。わたしは彼かれらを再ふたたび栄さかえさせ、彼かれらにあわれみをたれよう」。 第34章 34:1 バビロンの王おうネブカデレザルがその全ぜん軍ぐんと、彼かれに従したがっている地ちのすべての国くにの人々ひとびと、およびもろもろの民たみを率ひきいて、エルサレムとその町々まちまちを攻せめて戦たたかっていた時ときに、主しゅからエレミヤに臨のぞんだ言葉ことば、34:2 「イスラエルの神かみ、主しゅはこう言いわれる、行いってユダの王おうゼデキヤに告つげて言いいなさい、『主しゅはこう言いわれる、見みよ、わたしはこの町まちをバビロンの王おうの手てに渡わたす。彼かれは火ひでこれを焼やく。34:3 あなたはその手てをのがれることはできない、必かならず捕とらえられてその手てに渡わたされる。あなたはまのあたりバビロンの王おうを見み、顔かおと顔かおを合あわせて彼かれと語かたる。それからバビロンへ行いく』。34:4 しかしユダの王おうゼデキヤよ、主しゅの言葉ことばを聞ききなさい。主しゅはあなたの事ことについてこう言いわれる、『あなたはつるぎで死しぬことはない。34:5 あなたは安やすらかに死しぬ。民たみはあなたの先祖せんぞであるあなたの先さきの王おうたちのために香こうをたいたように、あなたのためにも香こうをたき、またあなたのために嘆なげいて「ああ、主君しゅくんよ」と言いう』。わたしがこの言葉ことばをいうのであると主しゅは言いわれる」。 34:6 そこで預言者よげんしゃエレミヤはこの言葉ことばをことごとくエルサレムでユダの王おうゼデキヤに告つげた。34:7 その時ときバビロンの王おうの軍勢ぐんぜいはエルサレム、および残のこっているユダのすべての町まち、すなわちラキシとアゼカを攻せめて戦たたかっていた。それはユダの町々まちまちのうちに、これらの堅固けんごな町まちがなお残のこっていたからである。 34:8 ゼデキヤ王おうがエルサレムにいるすべての民たみと契約けいやくを立たてて、彼かれらに釈放しゃくほうのことを告つげ示しめした後のちに、主しゅからエレミヤに臨のぞんだ言葉ことば。34:9 その契約けいやくはすなわち人ひとがおのおのそのヘブルびとである男女だんじょの奴隷どれいを解放かいほうし、その兄弟きょうだいであるユダヤ人ひとを奴隷どれいとしないことを定さだめたものであった。34:10 この契約けいやくをしたつかさたちと、すべての民たみは人ひとがおのおのその男女だんじょの奴隷どれいを解放かいほうし、再ふたたびこれを奴隷どれいとしないということに聞きき従したがって、これを解放かいほうしたが、34:11 後のちに心こころを翻ひるがえし、解放かいほうした男女だんじょの奴隷どれいをひきかえさせ、再ふたたびこれを従したがわせて奴隷どれいとした。34:12 そこで主しゅの言葉ことばが主しゅからエレミヤに臨のぞんだ、34:13 「イスラエルの神かみ、主しゅはこう言いわれる、わたしはあなたがたの先祖せんぞをエジプトの地ち、その奴隷どれいであった家いえから導みちびき出だした時とき、彼かれらと契約けいやくを立たてて言いった、34:14 『あなたがたの兄弟きょうだいであるヘブルびとで、あなたがたに身みを売うり、六年ねんの間あいだあなたがたに仕つかえた者ものは、六年ねんの終おわりに、あなたがたおのおのがこれを解放かいほうしなければならない。あなたがたは彼かれを解放かいほうして、あなたがたに仕つかえることをやめさせなければならない』。ところがあなたがたの先祖せんぞたちはわたしに聞きき従したがわず、またその耳みみを傾かたむけなかった。34:15 しかしあなたがたは今日こんにち、心こころを改あらため、おのおのその隣となり人びとに釈放しゃくほうのことを告つげ示しめして、わたしの見みて正ただしいとすることを行おこない、かつわたしの名なをもってとなえられる家いえで、わたしの前まえに契約けいやくを立たてた。34:16 ところがあなたがたは再ふたたび心こころを翻ひるがえして、わたしの名なを汚けがし、おのおの男女だんじょの奴隷どれいをその願ねがいのままに解放かいほうしたのをひきかえさせ、再ふたたびこれを従したがわせて、あなたがたの奴隷どれいとした。34:17 それゆえに、主しゅはこう仰おおせられる、あなたがたがわたしに聞きき従したがわず、おのおのその兄弟きょうだいとその隣となりに釈放しゃくほうのことを告つげ示しめさなかったので、見みよ、わたしはあなたがたのために釈放しゃくほうを告つげ示しめして、あなたがたをつるぎと、疫病えきびょうと、ききんとに渡わたすと主しゅは言いわれる。わたしはあなたがたを地ちのもろもろの国くにに忌いみきらわれるものとする。34:18 わたしの契約けいやくを破やぶり、わたしの前まえに立たてた契約けいやくの定さだめに従したがわない人々ひとびとを、わたしは彼かれらが二つに裂さいて、その二つの間あいだを通とおった子こ牛うしのようにする。――34:19 すなわち二つに分わけた子こ牛うしの間あいだを通とおったユダのつかさたち、エルサレムのつかさたちと宦官かんがんと祭司さいしと、この地ちのすべての民たみを、34:20 わたしはその敵てきの手てと、その命いのちを求もとめる者ものの手てに渡わたす。その死体したいは空そらの鳥とりと野のの獣けものの食物しょくもつとなる。34:21 わたしはまたユダの王おうゼデキヤと、そのつかさたちをその敵てきの手て、その命いのちを求もとめる者ものの手て、あなたがたを離はなれて去さったバビロンの王おうの軍勢ぐんぜいの手てに渡わたす。34:22 主しゅは言いわれる、見みよ、わたしは彼かれらに命めいじて、この町まちに引ひきかえしてこさせる。彼かれらはこの町まちを攻せめて戦たたかい、これを取とり、火ひを放はなって焼やき払はらう。わたしはユダの町々まちまちを住すむ人ひとのない荒あれ地ちとする」。 第35章 35:1 ユダの王おうヨシヤの子こエホヤキムの時とき、主しゅからエレミヤに臨のぞんだ言葉ことば。35:2 「レカブびとの家いえに行いって、彼かれらと語かたり、彼かれらを主しゅの宮みやの一室いっしつに連つれてきて、酒さけを飲のませなさい」。35:3 そこでわたしはハバジニヤの子こエレミヤの子こであるヤザニヤと、その兄弟きょうだいと、そのむすこたち、およびレカブびとの全家ぜんかを連つれ、35:4 これを主しゅの宮みやにあるハナンの子こたちの室しつに連つれてきた。ハナンはイグダリヤの子こであって神かみの人ひとであった。その室しつは、つかさたちの室しつの次つぎにあって、門もんを守まもるシャルムの子こマアセヤの室しつの上うえにあった。35:5 わたしはレカブびとの前まえに酒さけを満みたしたつぼと杯さかずきを置おき、彼かれらに、「酒さけを飲のみなさい」と言いったが、35:6 彼かれらは答こたえた、「われわれは酒さけを飲のみません。それは、レカブの子こであるわれわれの先祖せんぞヨナダブがわれわれに命めいじて、『あなたがたとあなたがたの子孫しそんはいつまでも酒さけを飲のんではならない。35:7 また家いえを建たてず、種たねをまかず、またぶどう畑はたけを植うえてはならない。またこれを所有しょゆうしてはならない。あなたがたは生いきながらえる間あいだは幕屋まくやに住すんでいなさい。そうするならば、あなたがたはその宿やどっている地ちに長ながく生いきることができると言いったからです』。35:8 こうしてわれわれは、レカブの子こであるわれわれの先祖せんぞヨナダブがすべて命めいじた言葉ことばに従したがって、われわれも、妻つまも、むすこ娘むすめも生いきながらえる間あいだ、酒さけを飲のまず、35:9 住すむ家いえを建たてず、ぶどう畑はたけも畑はたけも種たねも持もたないで、35:10 幕屋まくやに住すみ、すべてわれわれの先祖せんぞヨナダブがわれわれに命めいじたところに従したがい、そのように行おこないました。35:11 しかしバビロンの王おうネブカデレザルがこの地ちに上のぼってきた時とき、われわれは言いいました、『さあ、われわれはエルサレムへ行いこう。カルデヤびとの軍勢ぐんぜいとスリヤびとの軍勢ぐんぜいが恐おそろしい』と。こうしてわれわれはエルサレムに住すんでいるのです」。 35:12 その時とき、主しゅの言葉ことばがエレミヤに臨のぞんだ、35:13 「万軍ばんぐんの主しゅ、イスラエルの神かみはこう言いわれる、行いって、ユダの人々ひとびととエルサレムに住すむ者ものとに告つげよ。主しゅは仰おおせられる、あなたがたはわたしの言葉ことばを聞きいて教おしえを受うけないのか。35:14 レカブの子こヨナダブがその子孫しそんに酒さけを飲のむなと命めいじた言葉ことばは守まもられてきた。彼かれらは今日こんにちに至いたるまで酒さけを飲のまず、その先祖せんぞの命いのちに従したがってきた。ところがあなたがたはわたしがしきりに語かたったけれども、わたしに聞きき従したがわなかった。35:15 わたしはまた、わたしのしもべである預言者よげんしゃたちを、しきりにあなたがたにつかわして言いわせた、『あなたがたは今いまおのおのその悪わるい道みちを離はなれ、その行おこないを改あらためなさい。ほかの神々かみがみに従したがい仕つかえてはならない。そうすれば、あなたがたはわたしがあなたがたと、あなたがたの先祖せんぞに与あたえたこの地ちに住すむことができる』と。しかしあなたがたは耳みみを傾かたむけず、わたしに聞きかなかった。35:16 レカブの子こヨナダブの子孫しそんは、その先祖せんぞが彼かれらに命めいじた命令めいれいを守まもっているのである。しかしこの民たみはわたしに従したがわなかった。35:17 それゆえ万軍ばんぐんの神かみ、主しゅ、イスラエルの神かみはこう仰おおせられる、見みよ、わたしはユダとエルサレムに住すむ者ものとに、わたしが彼かれらの上うえに宣告せんこくした災わざわいを下くだす。わたしが彼かれらに語かたっても聞きかず、彼かれらを呼よんでも答こたえなかったからである」。 35:18 ところでエレミヤはレカブびとの家いえの人々ひとびとに言いった、「万軍ばんぐんの主しゅ、イスラエルの神かみはこう仰おおせられる、あなたがたは先祖せんぞヨナダブの命いのちに従したがい、そのすべての戒いましめを守まもり、彼かれがあなたがたに命めいじた事ことを行おこなった。35:19 それゆえ、万軍ばんぐんの主しゅ、イスラエルの神かみはこう言いわれる、レカブの子こヨナダブには、わたしの前まえに立たつ人ひとがいつまでも欠かけることはない」。 第36章 36:1 ユダの王おうヨシヤの子こエホヤキムの四年ねんに主しゅからこの言葉ことばがエレミヤに臨のぞんだ、36:2 「あなたは巻物まきものを取とり、わたしがあなたに語かたった日ひ、すなわちヨシヤの日ひから今日こんにちに至いたるまで、イスラエルとユダと万国ばんこくとに関かんしてあなたに語かたったすべての言葉ことばを、それにしるしなさい。36:3 ユダの家いえがわたしの下くだそうとしているすべての災わざわいを聞きいて、おのおのその悪わるい道みちを離はなれて帰かえることもあろう。そうすれば、わたしはそのとがとその罪つみをゆるすかも知しれない」。 36:4 そこでエレミヤはネリヤの子こバルクを呼よんだ。バルクはエレミヤの口述こうじゅつにしたがって、主しゅが彼かれにお告つげになった言葉ことばをことごとく巻物まきものに書かきしるした。36:5 そしてエレミヤはバルクに命めいじて言いった、「わたしは主しゅの宮みやに行いくことを妨さまたげられている。36:6 それで、あなたが行いって、断食だんじきの日ひに主しゅの宮みやで、すべての民たみが聞きいているところで、あなたがわたしの口述こうじゅつにしたがって、巻物まきものに筆記ひっきした主しゅの言葉ことばを読よみなさい。またユダの人々ひとびとがその町々まちまちから来きて聞きいているところで、それを読よみなさい。36:7 彼かれらは主しゅの前まえに祈願きがんをささげ、おのおのその悪わるい道みちを離はなれて帰かえることもあろう。主しゅがこの民たみに対たいして宣告せんこくされた怒いかりと憤いきどおりは大おおきいからである」。36:8 こうしてネリヤの子こバルクはすべて預言者よげんしゃエレミヤが自分じぶんに命めいじたように、主しゅの宮みやで、その巻物まきものに書かかれた主しゅの言葉ことばを読よんだ。 36:9 ユダの王おうヨシヤの子こエホヤキムの五年ねん九月がつ、エルサレムのすべての民たみと、ユダの町々まちまちからエルサレムに来きたすべての民たみとは、主しゅの前まえに断食だんじきを行おこなうべきことを告つげ示しめされた。36:10 バルクは主しゅの宮みやの上うえの庭にわで、主しゅの宮みやの新あたらしい門もんの入口いりぐちのかたわらにある書記しょきシャパンの子こであるゲマリヤのへやで、巻物まきものに書かかれたエレミヤの言葉ことばをすべての民たみに読よみ聞きかせた。 36:11 シャパンの子こであるゲマリヤの子こミカヤはその巻物まきものにある主しゅの言葉ことばをことごとく聞きいて、36:12 王おうの家いえにある書記しょきのへやに下くだって行いくと、もろもろのつかさたち、すなわち書記しょきエリシャマ、シマヤの子こデラヤ、アカボルの子こエルナタン、シャパンの子こゲマリヤ、ハナニヤの子こゼデキヤおよびすべてのつかさたちがそこに座ざしていた。36:13 ミカヤはバルクが民たみに巻物まきものを読よんで聞きかせたとき、自分じぶんの聞きいたすべての言葉ことばを彼かれらに告つげたので、36:14 つかさたちはクシの子こセレミヤの子こであるネタニヤの子こエホデをバルクのもとにつかわして言いわせた、「あなたが民たみに読よみ聞きかせたその巻物まきものを手てに取とって、来きてください」。そこでネリヤの子こバルクは巻物まきものを手てに取とって、彼かれらのもとに来きたので、36:15 彼かれらはバルクに言いった、「座ざしてそれを読よんでください」。バルクはそれを彼かれらに読よみきかせた。36:16 彼かれらはそのすべての言葉ことばを聞きき、恐おそれて互たがいに見みかわし、バルクに言いった、「われわれはこのすべての言葉ことばを、王おうに報告ほうこくしなければならない」。36:17 そしてバルクに尋たずねて言いった、「このすべての言葉ことばを、あなたがどのようにして書かいたのか話はなしてください。彼かれの口述こうじゅつによるのですか」。36:18 バルクは彼かれらに答こたえた、「彼かれがわたしにこのすべての言葉ことばを口述こうじゅつしたので、わたしはそれを墨汁ぼくじゅうで巻物まきものに書かいたのです」。36:19 つかさたちはバルクに言いった、「行いって、エレミヤと一緒いっしょに身みを隠かくしなさい。人ひとに所在しょざいを知しられてはなりません」。 36:20 そこで彼かれらは巻物まきものを書記しょきエリシャマのへやに置おいて庭にわにはいり、王おうのもとへ行いって、このすべての言葉ことばを王おうに告つげたので、36:21 王おうはその巻物まきものを持もってこさせるためにエホデをつかわした。エホデは書記しょきエリシャマのへやから巻物まきものを取とってきて、それを王おうと王おうのかたわらに立たっているすべてのつかさたちに読よみきかせた。36:22 時ときは九月がつであって、王おうは冬ふゆの家いえに座ざしていた。その前まえに炉ろがあって火ひが燃もえていた。36:23 エホデが三段だんか四段だんを読よむと、王おうは小刀こがたなをもってそれを切きり取とり、炉ろの火ひに投なげいれ、ついに巻物まきもの全部ぜんぶを炉ろの火ひで焼やきつくした。36:24 王おうとその家来けらいたちはこのすべての言葉ことばを聞きいても恐おそれず、またその着物きものを裂さくこともしなかった。36:25 エルナタン、デラヤおよびゲマリヤが王おうにその巻物まきものを焼やかないようにと願ねがったときにも彼かれは聞ききいれなかった。36:26 そして王おうは王子おうじエラメルとアヅリエルの子こセラヤとアブデルの子こセレミヤに、書記しょきバルクと預言者よげんしゃエレミヤを捕とらえるようにと命めいじたが、主しゅは彼かれらを隠かくされた。 36:27 バルクがエレミヤの口述こうじゅつにしたがって筆記ひっきした言葉ことばを載のせた巻物まきものを王おうが焼やいた後のち、主しゅの言葉ことばがエレミヤに臨のぞんだ、36:28 「他たの巻物まきものを取とり、ユダの王おうエホヤキムが焼やいた、前まえの巻物まきもののうちにある言葉ことばを皆みなそれに書かきしるしなさい。36:29 またユダの王おうエホヤキムについて言いいなさい、『主しゅはこう仰おおせられる、あなたはこの巻物まきものを焼やいて言いった、「どうしてあなたはこの巻物まきものに、バビロンの王おうが必かならず来きてこの地ちを滅ほろぼし、ここから人ひとと獣けものとを絶たやす、と書かいたのか」と。36:30 それゆえ主しゅはユダの王おうエホヤキムについてこう言いわれる、彼かれの子孫しそんにはダビデの位くらいにすわる者ものがなくなる。また彼かれの死体したいは捨すてられて昼ひるは暑あつさにあい、夜よるは霜しもにあう。36:31 わたしはまた彼かれとその子孫しそんとその家来けらいたちをその罪つみのために罰ばっする。また彼かれらとエルサレムの民たみとユダの人々ひとびとには災わざわいを下くだす。この災わざわいのことについては、すでに語かたったけれども、彼かれらは聞きくことをしなかった』」。 36:32 そこでエレミヤは他たの巻物まきものを取とり、ネリヤの子こ書記しょきバルクに与あたえたので、バルクはユダの王おうエホヤキムが火ひにくべて焼やいた巻物まきもののすべての言葉ことばを、エレミヤの口述こうじゅつにしたがってそれに書かきしるし、また同おなじような言葉ことばを多おおくそれに加くわえた。 第37章 37:1 ヨシヤの子こゼデキヤはエホヤキムの子こコニヤに代かわって王おうとなった。バビロンの王おうネブカデレザルが彼かれをユダの地ちの王おうとしたのである。37:2 彼かれもその家来けらいたちも、その地ちの人々ひとびとも、主しゅが預言者よげんしゃエレミヤによって語かたられた言葉ことばに聞きき従したがわなかった。 37:3 ゼデキヤ王おうはセレミヤの子こユカルと、マアセヤの子こ祭司さいしゼパニヤを預言者よげんしゃエレミヤにつかわして、「われわれのために、われわれの神かみ、主しゅに祈いのってください」と言いわせた。37:4 エレミヤは民たみの中なかに出入でいりしていた。まだ獄屋ごくやに入いれられなかったからである。37:5 パロの軍勢ぐんぜいがエジプトから出でて来きたので、エルサレムを攻せめ囲かこんでいたカルデヤびとはその情報じょうほうを聞きいてエルサレムを退しりぞいた。37:6 その時とき、主しゅの言葉ことばは預言者よげんしゃエレミヤに臨のぞんだ、37:7 「イスラエルの神かみ、主しゅはこう言いわれる、あなたがたをつかわしてわたしに求もとめたユダの王おうにこう言いいなさい、『あなたがたを救すくうために出でてきたパロの軍勢ぐんぜいはその国くにエジプトに帰かえろうとしている。37:8 カルデヤびとが再ふたたび来きてこの町まちを攻せめて戦たたかい、これを取とって火ひで焼やき滅ほろぼす。37:9 主しゅはこう言いわれる、あなたがたは、「カルデヤびとはきっとわれわれを離はなれ去さる」といって自分じぶんを欺あざむいてはならない。彼かれらは去さることはない。37:10 たといあなたがたが自分じぶんを攻せめて戦たたかうカルデヤびとの全ぜん軍ぐんを撃うち破やぶって、その天幕てんまくのうちに負傷ふしょう者もののみを残のこしても、彼かれらは立たち上あがって火ひでこの町まちを焼やき滅ほろぼす』」。 37:11 さてカルデヤびとの軍勢ぐんぜいがパロの軍勢ぐんぜいの来くるのを聞きいてエルサレムを退しりぞいたとき、37:12 エレミヤは、ベニヤミンの地ちで民たみのうちに自分じぶんの分わけ前まえを受うけ取とるため、エルサレムを立たってその地ちへ行いこうと、37:13 ベニヤミンの門もんに着ついたとき、そこにハナニヤの子こセレミヤの子こでイリヤという名なの番兵ばんぺいがいて、預言者よげんしゃエレミヤを捕とらえ、「あなたはカルデヤびとの側がわに脱走だっそうしようとしている」と言いった。37:14 エレミヤは言いった、「それはまちがいだ。わたしはカルデヤびとの側がわに脱走だっそうしようとしていない」。しかしイリヤは聞きかず、エレミヤを捕とらえて、つかさたちのもとへ引ひいて行いった。37:15 つかさたちは怒いかって、エレミヤを打うちたたき、書記しょきヨナタンの家いえの獄屋ごくやにいれた。この家いえが獄屋ごくやになっていたからである。 37:16 エレミヤが地下ちかの獄屋ごくやにはいって、そこに多おおくの日ひを送おくってのち、37:17 ゼデキヤ王おうは人ひとをつかわし、彼かれを連つれてこさせた。王おうは自分じぶんの家いえでひそかに彼かれに尋たずねて言いった、「主しゅから何なにかお言葉ことばがあったか」。エレミヤはあったと答こたえた。そして言いった、「あなたはバビロンの王おうの手てに引ひき渡わたされます」。37:18 エレミヤはまたゼデキヤ王おうに言いった、「わたしが獄屋ごくやにいれられたのは、あなたに、またはあなたの家来けらいに、あるいはこの民たみに、どのような罪つみを犯おかしたからなのですか。37:19 あなたがたに預言よげんして、『バビロンの王おうはあなたがたをも、この地ちをも攻せめにこない』と言いっていたあなたがたの預言者よげんしゃは今いまどこにいるのですか。37:20 王おうなるわが君きみよ、どうぞ今いまお聞ききください。わたしの願ねがいをお聞ききとどけください。わたしを書記しょきヨナタンの家いえへ帰かえらせないでください。そうでないと、わたしはそこで殺ころされるでしょう」。37:21 そこでゼデキヤ王おうは命めいを下くだし、エレミヤを監視かんしの庭にわに入いれさせ、かつ、パンを つくる者ものの町まちから毎日まいにちパン一個こを彼かれに与あたえさせた。これは町まちにパンがなくなるまで続つづいた。こうしてエレミヤは監視かんしの庭にわにいた。 第38章 38:1 マッタンの子こシパテヤ、パシュルの子こゲダリヤ、セレミヤの子こユカル、マルキヤの子こパシュルはエレミヤがすべての民たみに告つげていたその言葉ことばを聞きいた。38:2 彼かれは言いった、「主しゅはこう言いわれる、この町まちにとどまる者ものは、つるぎや、ききんや、疫病えきびょうで死しぬ。しかし出でてカルデヤびとにくだる者ものは死しを免まぬかれる。すなわちその命いのちを自分じぶんのぶんどり物ものとして生いきることができる。38:3 主しゅはこう言いわれる、この町まちは必かならずバビロンの王おうの軍勢ぐんぜいの手てに渡わたされる。彼かれはこれを取とる」。38:4 すると、つかさたちは王おうに言いった、「この人ひとを殺ころしてください。このような言葉ことばをのべて、この町まちに残のこっている兵士へいしの手てと、すべての民たみの手てを弱よわくしているからです。この人ひとは民たみの安泰あんたいを求もとめないで、その災わざわいを求もとめているのです」。38:5 ゼデキヤ王おうは言いった、「見みよ、彼かれはあなたがたの手てにある。王おうはあなたがたに逆さからって何事なにごとをもなし得えない」。38:6 そこで彼かれらはエレミヤを捕とらえ、監視かんしの庭にわにある王子おうじマルキヤの穴あなに投なげ入いれた。すなわち、綱つなをもってエレミヤをつり降おろしたが、その穴あなには水みずがなく、泥どろだけであったので、エレミヤは泥どろの中なかに沈しずんだ。 38:7 王おうの家いえの宦官かんがんエチオピヤびとエベデメレクは、彼かれらがエレミヤを穴あなに投なげ入いれたことを聞きいた。その時とき、王おうはベニヤミンの門もんに座ざしていたので、38:8 エベデメレクは王おうの家いえから出でて行いって王おうに言いった、38:9 「王おうなるわが君きみよ、この人々ひとびとが預言者よげんしゃエレミヤにしたことはみな良よいことではありません。彼かれを穴あなに投なげ入いれました。町まちに食物しょくもつがなくなりましたから、彼かれはそこで餓死がしするでしょう」。38:10 王おうはエチオピヤびとエベデメレクに命めいじて言いった、「ここから三人にんのひとを連つれて行いって、預言者よげんしゃエレミヤを、死しなないうちに穴あなから引ひき上あげなさい」。38:11 そこでエベデメレクはその人々ひとびとを連つれて王おうの家いえの倉くらの衣服いふく室しつに行いき、そこから古ふるい布ぬの切きれや、着きふるした着物きものを取とり、これを穴あなの中なかにいるエレミヤのところへ、綱つなをもってつり降おろした。38:12 そしてエチオピヤびとエベデメレクは、「この布ぬの切きれや着物きものを、あなたのわきの下したにはさんで、綱つなに当あてなさい」とエレミヤに言いった。エレミヤはそのようにした。38:13 すると彼かれらは綱つなをもってエレミヤを穴あなから引ひき上あげた。そしてエレミヤは監視かんしの庭にわにとどまった。 38:14 ゼデキヤ王おうは人ひとをつかわして預言者よげんしゃエレミヤを主しゅの宮みやの第だい三の門もんに連つれてこさせ、王おうはエレミヤに言いった、「あなたに尋たずねたいことがある。何事なにごともわたしに隠かくしてはならない」。38:15 エレミヤはゼデキヤに言いった、「もしわたしがお話はなするなら、あなたは必かならずわたしを殺ころされるではありませんか。たといわたしが忠告ちゅうこくをしても、あなたはお聞ききにならないでしょう」。38:16 その時ときゼデキヤ王おうは、ひそかにエレミヤに誓ちかって言いった、「われわれの魂たましいを造つくられた主しゅは生いきておられる。わたしはあなたを殺ころさない、またあなたの命いのちを求もとめる者ものの手てに、あなたを渡わたすこともしない」。 38:17 そこでエレミヤはゼデキヤに言いった、「万軍ばんぐんの神かみ、イスラエルの神かみ、主しゅはこう仰おおせられる、もしあなたがバビロンの王おうのつかさたちに降伏こうふくするならば、あなたの命いのちは助たすかり、またこの町まちは火ひで焼やかれることなく、あなたも、あなたの家いえの者ものも生いきながらえることができる。38:18 しかし、もしあなたが出でてバビロンの王おうのつかさたちに降伏こうふくしないならば、この町まちはカルデヤびとの手てに渡わたされる。彼かれらは火ひでこれを焼やく。あなたはその手てをのがれることができない」。38:19 ゼデキヤ王おうはエレミヤに言いった、「わたしはカルデヤびとに脱走だっそうしたユダヤ人ひとを恐おそれている。カルデヤびとはわたしを彼かれらの手てに渡わたし、彼かれらはわたしをはずかしめる」。38:20 エレミヤは言いった、「彼かれらはあなたを渡わたさないでしょう。どうか、わたしがあなたに告つげた主しゅの声こえに聞きき従したがってください。そうすれば幸さいわいを得え、また命いのちが助たすかります。38:21 しかし降伏こうふくすることを拒こばむならば、主しゅがわたしに示しめされた幻まぼろしを申もうしましょう。38:22 すなわち、ユダの王おうの家いえに残のこっている女おんなたちは、みなバビロンの王おうのつかさたちの所ところへ引ひいて行いかれます。その女おんなたちは言いうのです、 『あなたの親したしい友ともだちがあなたを欺あざむいた、そしてあなたに勝かった。今いまあなたの足あしは泥どろに沈しずんでいるので、彼かれらはあなたを捨すてて去さる』。38:23 あなたの妻つまたちと子供こどもたちは皆みなカルデヤびとの所ところへひき出だされる。あなた自身じしんもその手てをのがれることができず、バビロンの王おうに捕とらえられる。そしてこの町まちは火ひで焼やかれるでしょう」。 38:24 ゼデキヤはエレミヤに言いった、「これらの言葉ことばを人ひとに知しらせてはならない。そうすればあなたは殺ころされることはない。38:25 わたしがあなたと話はなしをしたことを、つかさたちが聞きいて、彼かれらがあなたの所ところに来きて、『あなたが王おうに話はなしたこと、王おうがあなたに話はなしたことをわれわれに告つげなさい。何事なにごとも隠かくしてはならない。われわれはあなたを殺ころしはしない』と言いうならば、38:26 あなたは彼かれらに、『わたしは王おうに願ねがって、わたしをヨナタンの家いえに送おくり返かえさず、そこで死しぬことのないようにしてくださいと言いった』と答こたえなさい」。38:27 さて、つかさたちは皆みなエレミヤのところへ来きて尋たずねたが、王おうが彼かれに教おしえたように彼かれらに答こたえたので、彼かれらは彼かれと話はなすことをやめた。その会話かいわを聞きいた者ものがなかったからである。38:28 エレミヤはエルサレムの取とられる日ひまで監視かんしの庭にわにとどまっていた。 第39章 39:1 ユダの王おうゼデキヤの九年ねん十月がつ、バビロンの王おうネブカデレザルはその全ぜん軍ぐんを率ひきい、エルサレムに来きてこれを攻せめ囲かこんだが、39:2 ゼデキヤの十一年ねん四月がつ九日かになって町まちの一角いっかくが破やぶれた。39:3 エルサレムが取とられたので、バビロンの王おうのつかさたち、すなわちネルガル・シャレゼル、サムガル・ネボ、ラブサリスのサルセキム、ラブマグのネルガル・シャレゼルおよびバビロンの王おうのその他たのつかさたちは皆みなともに来きて中なかの門もんに座ざした。39:4 ユダの王おうゼデキヤとすべての兵士へいしたちはこれを見みて逃にげ、夜よるのうちに、王おうの庭園ていえんの道みちを通とおって、二つの城壁じょうへきの間あいだの門もんから町まちを出でて、アラバの方ほうへ行いったが、39:5 カルデヤびとの軍勢ぐんぜいはこれを追おって、エリコの平地へいちでゼデキヤに追おいつき、これを捕とらえて、ハマテの地ちリブラにいるバビロンの王おうネブカデレザルのもとに引ひいて行いったので、王おうはそこで彼かれの罪つみをさだめた。39:6 バビロンの王おうはリブラで、ゼデキヤの子こたちを彼かれの目めの前まえで殺ころした。バビロンの王おうはまたユダのすべての貴族きぞくたちを殺ころした。39:7 王おうはまたゼデキヤの目めをつぶさせ、彼かれをバビロンに引ひいて行いくために、鎖くさりにつないだ。39:8 またカルデヤびとは王宮おうきゅうと民家みんかを火ひで焼やき、エルサレムの城壁じょうへきを破壊はかいした。39:9 そして侍衛じえいの長ちょうネブザラダンは町まちのうちに残のこっている民たみと、自分じぶんに降伏こうふくした者もの、およびその他たの残のこっている民たみをバビロンに捕とらえ移うつした。39:10 しかし侍衛じえいの長ちょうネブザラダンは、民たみの貧まずしい無産むさん者ものをユダの地ちに残のこし、同時どうじにぶどう畑はたけと田地でんちをこれに与あたえた。 39:11 さてバビロンの王おうネブカデレザルはエレミヤの事ことについて侍衛じえいの長ちょうネブザラダンに命めいじて言いった、39:12 「彼かれをとり、よく世話せわをせよ。害がいを加くわえることなく、彼かれがあなたに言いうようにしてやりなさい」。39:13 そこで侍衛じえいの長ちょうネブザラダン、ラブサリスのネブシャズバン、ラブマグのネルガル・シャレゼル、およびバビロンの王おうのつかさたちは、39:14 人ひとをつかわして、エレミヤを監視かんしの庭にわから連つれてこさせ、シャパンの子こアヒカムの子こであるゲダリヤに託たくして、家いえにつれて行いかせた。こうして彼かれは民たみのうちにいた。 39:15 エレミヤが監視かんしの庭にわに閉とじこめられていた時とき、主しゅの言葉ことばが彼かれに臨のぞんだ、39:16 「行いって、エチオピヤびとエベデメレクに告つげなさい、『万軍ばんぐんの主しゅ、イスラエルの神かみはこう言いわれる、わたしの言いった災わざわいをわたしはこの町まちに下くだす、幸さいわいをこれに下くだすのではない。その日ひ、この事ことがあなたの目めの前まえで成就じょうじゅする。39:17 主しゅは言いわれる、その日ひわたしはあなたを救すくう。あなたは自分じぶんの恐おそれている人々ひとびとの手てに渡わたされることはない。39:18 わたしが必かならずあなたを救すくい、つるぎに倒たおれることのないようにするからである。あなたの命いのちはあなたのぶんどり物ものとなる。あなたがわたしに寄より頼たよんだからであると主しゅは言いわれる』」。
29:1 これは預言者よげんしゃエレミヤがエルサレムから、かの捕とらえ移うつされた長老ちょうろうたち、およびネブカデネザルによってエルサレムからバビロンに捕とらえ移うつされた祭司さいしと預言者よげんしゃならびにすべての民たみに送おくった手紙てがみに書かきしるした言葉ことばである。
29:2 それはエコニヤ王おうと太后たいこうと宦官かんがんおよびユダとエルサレムのつかさたち、および工 こうしょうと鍛冶かじとがエルサレムを去さってのちに書かかれたものであって、
29:3 エレミヤはその手紙てがみをシャパンの子こエラサおよびヒルキヤの子こゲマリヤの手てによって送おくった。この人々ひとびとはユダの王おうゼデキヤがバビロンに行いかせ、バビロンの王おうネブカデネザルのもとにつかわしたものであった。その手紙てがみには次つぎのように書かいてあった。
29:4 「万軍ばんぐんの主しゅ、イスラエルの神かみは、すべて捕とらえ移うつされた者もの、すなわち、わたしがエルサレムから、バビロンに捕とらえ移うつさせた者ものに、こう言いう、
29:5 あなたがたは家いえを建たてて、それに住すみ、畑はたけを作つくってその産物さんぶつを食たべよ。
29:6 妻つまをめとって、むすこ娘むすめを産うみ、また、そのむすこに嫁よめをめとり、娘むすめをとつがせて、むすこ娘むすめを産うむようにせよ。その所ところであなたがたの数かずを増まし、減へってはならない。
29:7 わたしがあなたがたを捕とらえ移うつさせたところの町まちの平安へいあんを求もとめ、そのために主しゅに祈いのるがよい。その町まちが平安へいあんであれば、あなたがたも平安へいあんを得えるからである。
29:8 万軍ばんぐんの主しゅ、イスラエルの神かみはこう言いわれる、あなたがたのうちにいる預言者よげんしゃと占うらない師しに惑まどわされてはならない。また彼かれらの見みる夢ゆめに聞きき従したがってはならない。
29:9 それは、彼かれらがわたしの名なによってあなたがたに偽いつわりを預言よげんしているからである。わたしが彼かれらをつかわしたのではないと主しゅは言いわれる。
29:10 主しゅはこう言いわれる、バビロンで七十年ねんが満みちるならば、わたしはあなたがたを顧かえりみ、わたしの約束やくそくを果はたし、あなたがたをこの所ところに導みちびき帰かえる。
29:11 主しゅは言いわれる、わたしがあなたがたに対たいしていだいている計画けいかくはわたしが知しっている。それは災わざわいを与あたえようというのではなく、平安へいあんを与あたえようとするものであり、あなたがたに将来しょうらいを与あたえ、希望きぼうを与あたえようとするものである。
29:12 その時とき、あなたがたはわたしに呼よばわり、来きて、わたしに祈いのる。わたしはあなたがたの祈いのりを聞きく。
29:13 あなたがたはわたしを尋たずね求もとめて、わたしに会あう。もしあなたがたが一心いっしんにわたしを尋たずね求もとめるならば、
29:14 わたしはあなたがたに会あうと主しゅは言いわれる。わたしはあなたがたの繁栄はんえいを回復かいふくし、あなたがたを万国ばんこくから、すべてわたしがあなたがたを追おいやった所ところから集あつめ、かつ、わたしがあなたがたを捕とらわれ離はなれさせたそのもとの所ところに、あなたがたを導みちびき帰かえろうと主しゅは言いわれる。
29:15 あなたがたは、『主しゅはバビロンでわれわれのために預言者よげんしゃたちを起おこされた』と言いったが、――
29:16 主しゅはダビデの位くらいに座ざしている王おうと、この町まちに住すむすべての民たみで、あなたがたと共ともに捕とらえ移うつされなかった兄弟きょうだいたちについて、こう言いわれる、
29:17 『万軍ばんぐんの主しゅはこう言いわれる、見みよ、わたしは、つるぎと、ききんと、疫病えきびょうを彼かれらに送おくり、彼かれらを悪わるくて食たべられない腐くさったいちじくのようにしてしまう。
29:18 わたしはつるぎと、ききんと、疫病えきびょうをもって彼かれらのあとを追おい、また彼かれらを地ちの万国ばんこくに忌いみきらわれるものとなし、わたしが彼かれらを追おいやる国々くにぐにで、のろいとなり、恐おそれとなり、物笑ものわらいとなり、はずかしめとならせる。
29:19 それは彼かれらがわたしの言葉ことばに聞きき従したがわなかったからであると主しゅは言いわれる。わたしはこの言葉ことばを、わたしのしもべである預言者よげんしゃたちによって、しきりに送おくったが、あなたがたは聞きこうともしなかったと主しゅは言いわれる』。――
29:20 わたしがエルサレムからバビロンに送おくったあなたがたすべての捕とらわれ人びとよ、主しゅの言葉ことばを聞ききなさい、
29:21 『わたしの名なによって、あなたがたに偽いつわりを預言よげんしているコラヤの子こアハブと、マアセヤの子こゼデキヤについて万軍ばんぐんの主しゅ、イスラエルの神かみはこう仰おおせられる、見みよ、わたしは彼かれらをバビロンの王おうネブカデレザルの手てに渡わたす。王おうはあなたがたの目めの前まえで彼かれらを殺ころす。
29:22 バビロンにいるユダの捕とらわれ人びとは皆みな、彼かれらの名なを、のろいの言葉ことばに用もちいて、「主しゅがあなたをバビロンの王おうが火ひで焼やいたゼデキヤとアハブのようにされるように」という。
29:23 それは、彼かれらがイスラエルのうちで愚おろかな事ことをし、隣となりの妻つまと不義ふぎを行おこない、わたしが命めいじたのでない偽いつわりの言葉ことばを、わたしの名なによって語かたったことによるのである。わたしはそれを知しっており、またその証人しょうにんであると主しゅは言いわれる』」。
29:24 ネヘラムびとシマヤにあなたは言いいなさい、
29:25 「万軍ばんぐんの主しゅ、イスラエルの神かみはこう仰おおせられる、あなたは自分じぶんの名なでエルサレムにいるすべての民たみと、マアセヤの子こ祭司さいしゼパニヤおよびすべての祭司さいしに手紙てがみを送おくって言いう、
29:26 『主しゅは祭司さいしエホヤダに代かわってあなたを祭司さいしとし、主しゅの宮みやをつかさどらせ、すべて狂くるい、かつ預言よげんする者ものを足あしかせと首くびかせにつながせられる。
29:27 そうであるのに、どうしてあなたは、あなたがたに預言よげんしているアナトテのエレミヤを戒いましめないのか。
29:28 彼かれはバビロンにいるわれわれの所ところに手紙てがみを送おくって、捕とらわれの時ときはなお長ながいゆえ、あなたがたは家いえを建たててそこに住すみ、畑はたけを作つくってその産物さんぶつを食たべよと言いってきた』」。
29:29 祭司さいしゼパニヤはこの手紙てがみを預言者よげんしゃエレミヤに読よみ聞きかせた。
29:30 その時とき、主しゅの言葉ことばがエレミヤに臨のぞんだ、
29:31 「すべての捕とらわれ人びとに書かき送おくって言いいなさい、ネヘラムびとシマヤの事ことについて主しゅはこう仰おおせられる、わたしはシマヤをつかわさなかったのに、彼かれがあなたがたに預言よげんして偽いつわりを信しんじさせたので、
29:32 主しゅはこう仰おおせられる、見みよ、わたしはネヘラムびとシマヤとその子孫しそんを罰ばっする。彼かれは主しゅに対たいする反逆はんぎゃくを語かたったゆえ、彼かれに属ぞくする者もので、この民たみのうちに住すみ、わたしが自分じぶんの民たみに行おこなおうとしている良よい事ことを見みるものはひとりもいない」。
第30章 30:1 主しゅからエレミヤに臨のぞんだ言葉ことば。30:2 「イスラエルの神かみ、主しゅはこう仰おおせられる、わたしがあなたに語かたった言葉ことばを、ことごとく書物しょもつにしるしなさい。30:3 主しゅは言いわれる、見みよ、わたしがわが民たみイスラエルとユダの繁栄はんえいを回復かいふくする日ひが来くる。主しゅがこれを言いわれる。わたしは彼かれらを、その先祖せんぞに与あたえた地ちに帰かえらせ、彼かれらにこれを保たもたせる」。 30:4 これは主しゅがイスラエルとユダについて言いわれた言葉ことばである。 30:5 「主しゅはこう仰おおせられる、われわれはおののきの声こえを聞きいた。恐おそれがあり、平安へいあんはない。30:6 子こを産うむ男おとこがあるか、尋たずねてみよ。どうして男おとこがみな子こを産うむ女おんなのように手てを腰こしにおくのをわたしは見みるのか。なぜ、どの人ひとの顔色かおいろも青あおく変かわっているのか。30:7 悲かなしいかな、その日ひは大おおいなる日ひであって、それに比くらべるべき日ひはない。それはヤコブの悩なやみの時ときである。しかし彼かれはそれから救すくい出だされる。30:8 万軍ばんぐんの主しゅは仰おおせられる、その日ひわたしは彼かれらの首くびからそのくびきを砕くだき離はなし、彼かれらの束縛そくばくを解とく。異邦いほうの人ひとはもはや、彼かれらを使役しえきすることをしない。30:9 彼かれらはその神かみ、主しゅと、わたしが彼かれらのために立たてるその王おうダビデに仕つかえる。 30:10 主しゅは仰おおせられる、わがしもべヤコブよ、恐おそれることはない、イスラエルよ、驚おどろくことはない。見みよ、わたしがあなたを救すくって、遠とおくからかえし、あなたの子孫しそんを救すくって、その捕とらえ移うつされた地ちからかえすからだ。ヤコブは帰かえってきて、穏おだやかに安やすらかにおり、彼かれを恐おそれさせる者ものはない。30:11 主しゅは言いわれる、わたしはあなたと共ともにいて、あなたを救すくう。わたしはあなたを散ちらした国々くにぐにをことごとく滅ほろぼし尽つくす。しかし、あなたを滅ほろぼし尽つくすことはしない。わたしは正ただしい道みちに従したがってあなたを懲こらしめる。決けっして罰ばっしないではおかない。 30:12 主しゅはこう仰おおせられる、あなたの痛いたみはいえず、あなたの傷きずは重おもい。30:13 あなたの訴うったえを支持しじする者ものはなく、あなたの傷きずをつつむ薬くすりはなく、あなたをいやすものもない。30:14 あなたの愛あいする者ものは皆みなあなたを忘わすれてあなたの事ことを心こころに留とめない。それは、あなたのとがが多おおく、あなたの罪つみがはなはだしいので、わたしがあだを撃うつようにあなたを撃うち、残忍ざんにんな敵てきのように懲こらしたからだ。30:15 なぜ、あなたの傷きずのために叫さけぶのか、あなたの悩なやみはいえることはない。あなたのとがが多おおく、あなたの罪つみがはなはだしいので、これらの事ことをわたしはあなたにしたのである。30:16 しかし、すべてあなたを食くい滅ほろぼす者ものは食くい滅ほろぼされ、あなたをしえたげる者ものは、ひとり残のこらず、捕とらえ移うつされ、あなたをかすめる者ものは、かすめられ、すべてあなたの物ものを奪うばう者ものは奪うばわれる者ものとなる。30:17 主しゅは言いわれる、わたしはあなたの健康けんこうを回復かいふくさせ、あなたの傷きずをいやす。それは、人ひとがあなたを捨すてられた者ものとよび、『だれも心こころに留とめないシオン』というからである。 30:18 主しゅはこう仰おおせられる、見みよ、わたしはヤコブの天幕てんまくを再ふたたび栄さかえさせ、そのすまいにあわれみを施ほどこす。町まちは、その丘おかに建たてなおされ、宮殿きゅうでんはもと立たっていた所ところに立たつ。30:19 感謝かんしゃの歌うたと喜よろこぶ者ものの声こえとが、その中なかから出でる。わたしが彼かれらを増ますゆえ、彼かれらは少すくなくはなく、また彼かれらを尊たっとばれしめるゆえ、卑いやしめられることはない。30:20 その子こらは、いにしえのようになり、その会衆かいしゅうはわたしの前まえに堅かたく立たつ。すべて彼かれらをしえたげる者ものをわたしは罰ばっする。30:21 その君きみは彼かれら自身じしんのうちのひとりであり、そのつかさは、そのうちから出でる。わたしは彼かれをわたしに近ちかづけ、彼かれはわたしに近ちかづく。だれか自分じぶんの命いのちをかけてわたしに近ちかづく者ものがあろうかと主しゅは言いわれる。30:22 あなたがたは、わたしの民たみとなり、わたしはあなたがたの神かみとなる」。 30:23 見みよ、主しゅの暴風ぼうふうがくる。憤いきどおりと、つむじ風かぜが出でて、悪人あくにんのこうべをうつ。30:24 主しゅの激はげしい怒いかりは、み心こころに思おもい定さだめられたことを行おこなって、これを遂とげるまで、退しりぞくことはない。末すえの日ひにあなたがたはこれを悟さとるのである。 第31章 31:1 「主しゅは言いわれる、その時ときわたしはイスラエルの全部ぜんぶ族ぞくの神かみとなり、彼かれらはわたしの民たみとなる」。 31:2 主しゅはこう言いわれる、「つるぎをのがれて生いき残のこった民たみは、荒野あらので恵めぐみを得えた。イスラエルが安息あんそくを求もとめた時とき、31:3 主しゅは遠とおくから彼かれに現あらわれた。わたしは限かぎりなき愛あいをもってあなたを愛あいしている。それゆえ、わたしは絶たえずあなたに真実しんじつをつくしてきた。31:4 イスラエルのおとめよ、再ふたたびわたしはあなたを建たてる、あなたは建たてられる。あなたは再ふたたび鼓つづみをもって身みを飾かざり、出でて行いって、喜よろこび楽たのしむ者ものと共ともに踊おどる。31:5 またあなたはぶどうの木きをサマリヤの山やまに植うえる。植うえる者ものは、植うえてその実みを食たべることができる。31:6 見守みまもる者ものがエフライムの山やまの上うえに立たって呼よばわる日ひが来くる。『立たって、シオンに上のぼり、われわれの神かみ、主しゅに、もうでよう』と」。 31:7 主しゅはこう仰おおせられる、「ヤコブのために喜よろこんで声こえ高たかく歌うたい、万国ばんこくのかしらのために叫さけび声ごえをあげよ。告つげ示しめし、ほめたたえて言いえ、『主しゅはその民たみイスラエルの残のこりの者ものを救すくわれた』と。31:8 見みよ、わたしは彼かれらを北きたの国くにから連つれ帰かえり、彼かれらを地ちの果はてから集あつめる。彼かれらのうちには、盲人もうじんやあしなえ、妊婦にんぷ、産婦さんぷも共ともにいる。彼かれらは大おおきな群むれとなって、ここに帰かえってくる。31:9 彼かれらは泣なき悲かなしんで帰かえってくる。わたしは慰なぐさめながら彼かれらを導みちびき帰かえる。彼かれらがつまずかないように、まっすぐな道みちにより、水みずの流ながれのそばを通とおらせる。それは、わたしがイスラエルの父ちちであり、エフライムはわたしの長子ちょうしだからである。 31:10 万国ばんこくの民たみよ、あなたがたは主しゅの言葉ことばを聞きき、これを遠とおい、海沿うみぞいの地ちに示しめして言いいなさい、『イスラエルを散ちらした者ものがこれを集あつめられる。牧者ぼくしゃがその群むれを守まもるようにこれを守まもられる』と。31:11 すなわち主しゅはヤコブをあがない、彼かれらよりも強つよい者ものの手てから彼かれを救すくいだされた。31:12 彼かれらは来きてシオンの山やまで声こえ高たかく歌うたい、主しゅから賜たまわった良よい物もののために、穀物こくもつと酒さけと油あぶらおよび若わかき羊ひつじと牛うしのために、喜よろこびに輝かがやく。その魂たましいは潤うるおう園そののようになり、彼かれらは重かさねて憂うれえることがない。31:13 その時ときおとめたちは舞まって楽たのしみ、若わかい者ものも老おいた者ものも共ともに楽たのしむ。わたしは彼かれらの悲かなしみを喜よろこびにかえ、彼かれらを慰なぐさめ、憂うれいの代かわりに喜よろこびを与あたえる。31:14 わたしは多おおくのささげ物もので、祭司さいしの心こころを飽あかせ、わたしの良よき物もので、わたしの民たみを満みち足たらせると主しゅは言いわれる」。 31:15 主しゅはこう仰おおせられる、「嘆なげき悲かなしみ、いたく泣なく声こえがラマで聞きこえる。ラケルがその子こらのために嘆なげくのである。子こらがもはやいないので、彼女かのじょはその子こらのことで慰なぐさめられるのを願ねがわない」。31:16 主しゅはこう仰おおせられる、「あなたは泣なく声こえをとどめ、目めから涙なみだをながすことをやめよ。あなたのわざに報むくいがある。彼かれらは敵てきの地ちから帰かえってくると主しゅは言いわれる。31:17 あなたの将来しょうらいには希望きぼうがあり、あなたの子供こどもたちは自分じぶんの国くにに帰かえってくると主しゅは言いわれる。31:18 わたしは確たしかに、エフライムがこう言いって嘆なげくの聞きいた、『あなたはわたしを懲こらしめられた、わたしはくびきに慣なれない子こ牛うしのように懲こらしめをうけた。主しゅよ、あなたはわたしの神かみ、主しゅでいらせられる、わたしを連つれ帰かえって、もとにかえしてください。31:19 わたしはそむき去さった後のち、悔くい、教おしえをうけた後のち、ももを打うった。若わかい時ときのはずかしめが身みにあるので、わたしは恥はじ、うろたえた』。31:20 主しゅは言いわれる、エフライムはわたしの愛あいする子こ、わたしの喜よろこぶ子こであろうか。わたしは彼かれについて語かたるごとに、なお彼かれを忘わすれることができない。それゆえ、わたしの心こころは彼かれをしたっている。わたしは必かならず彼かれをあわれむ。31:21 みずからのために道みちしるべを置おき、みずからのために標柱ひょうちゅうを立たてよ。大路おおじに、あなたの通とおって行いった道みちに心こころを留とめよ。イスラエルのおとめよ、帰かえれ、これらの、あなたの町々まちまちに帰かえれ。31:22 不信ふしんの娘むすめよ、いつまでさまようのか。主しゅは地ちの上うえに新あたらしい事ことを創 そうぞうされたのだ、女おんなが男おとこを保護ほごする事ことである」。31:23 万軍ばんぐんの主しゅ、イスラエルの神かみはこう言いわれる、「わたしが彼かれらを再ふたたび栄さかえさせる時とき、人々ひとびとはまたユダの地ちとその町々まちまちでこの言葉ことばを言いう、 『正義せいぎのすみかよ、聖せいなる山やまよ、どうか主しゅがおまえを祝福しゅくふくしてくださるように』。31:24 ユダとそのすべての町まちの人ひと、および農夫のうふと群むれを飼かって歩あるき回まわる者ものは共ともにそこに住すむ。31:25 わたしが疲つかれた魂たましいを飽あき足たらせ、すべて悩なやんでいる魂たましいを慰なぐさめるからである」。 31:26 ここでわたしは目めをさましたが、わたしの眠ねむりは、ここちよかった。 31:27 「主しゅは言いわれる、見みよ、わたしが人ひとの種たねと獣けものの種たねとをイスラエルの家いえとユダの家いえとにまく日ひが来くる。31:28 わたしは彼かれらを抜ぬき、砕くだき、倒たおし、滅ほろぼし、悩なやまそうと待まちかまえていたように、また彼かれらを建たて、植うえようと待まちかまえていると主しゅは言いわれる。31:29 その時とき、彼かれらはもはや、 『父ちちがすっぱいぶどうを食たべたので、子こどもの歯はがうく』とは言いわない。31:30 人ひとはめいめい自分じぶんの罪つみによって死しぬ。すっぱいぶどうを食たべる人ひとはみな、その歯はがうく。 31:31 主しゅは言いわれる、見みよ、わたしがイスラエルの家いえとユダの家いえとに新あたらしい契約けいやくを立たてる日ひが来くる。31:32 この契約けいやくはわたしが彼かれらの先祖せんぞをその手てをとってエジプトの地ちから導みちびき出だした日ひに立たてたようなものではない。わたしは彼かれらの夫おっとであったのだが、彼かれらはそのわたしの契約けいやくを破やぶったと主しゅは言いわれる。31:33 しかし、それらの日ひの後のちにわたしがイスラエルの家いえに立たてる契約けいやくはこれである。すなわちわたしは、わたしの律法りっぽうを彼かれらのうちに置おき、その心こころにしるす。わたしは彼かれらの神かみとなり、彼かれらはわたしの民たみとなると主しゅは言いわれる。31:34 人ひとはもはや、おのおのその隣となりとその兄弟きょうだいに教おしえて、『あなたは主しゅを知しりなさい』とは言いわない。それは、彼かれらが小しょうより大だいに至いたるまで皆みな、わたしを知しるようになるからであると主しゅは言いわれる。わたしは彼かれらの不義ふぎをゆるし、もはやその罪つみを思おもわない」。 31:35 主しゅはこう言いわれる、すなわち太陽たいようを与あたえて昼ひるの光ひかりとし、月つきと星ほしとを定さだめて夜よるの光ひかりとし、海うみをかき立たてて、その波なみを鳴なりとどろかせる者もの――その名なは万軍ばんぐんの主しゅという。31:36 主しゅは言いわれる、「もしこの定さだめがわたしの前まえですたれてしまうなら、イスラエルの子孫しそんもすたって、永久えいきゅうにわたしの前まえで民たみであることはできない」。31:37 主しゅはこう言いわれる、「もし上うえの天てんを量はかることができ、下したの地ちの基もといを探さぐることができるなら、そのとき、わたしはイスラエルのすべての子孫しそんをそのもろもろの行おこないのために捨すて去さると主しゅは言いわれる」。31:38 主しゅは言いわれる、「見みよ、この町まちが、ハナネルの塔とうから隅すみの門もんまで、主しゅのために再建さいけんされる時ときが来くる。31:39 測はかりなわはそれよりも遠とおくまっすぐに延のびて、ガレブの丘おかに達たっし、ゴアのほうに向むかう。31:40 死体したいと灰はいとの谷たにの全部ぜんぶ、またキデロンの谷たにに行いくまでと、東ひがしのほうの馬うまの門もんのすみに行いくまでとのすべての畑はたけはみな主しゅの聖せいなる所ところとなり、永遠えいえんにわたって、ふたたび抜ぬかれ、また倒たおされることはない」。 第32章 32:1 ユダの王おうゼデキヤの十年ねん、すなわちネブカデレザルの十八年ねんに、主しゅの言葉ことばがエレミヤに臨のぞんだ。32:2 その時とき、バビロンの王おうの軍勢ぐんぜいがエルサレムを攻せめ囲かこんでいて、預言者よげんしゃエレミヤはユダの王おうの宮殿きゅうでんにある監視かんしの庭にわのうちに監禁かんきんされていた。32:3 ユダの王おうゼデキヤが彼かれを閉とじ込こめたのであるが、王おうは言いった、「なぜあなたは預言よげんして言いうのか、『主しゅはこう仰おおせられる、見みよ、わたしはこの町まちをバビロンの王おうの手てに渡わたし、彼かれはこれを取とる。32:4 またユダの王おうゼデキヤはカルデヤびとの手てをのがれることなく、かならずバビロンの王おうの手てに渡わたされ、顔かおと顔かおを合あわせて彼かれと語かたり、目めと目めは相あいまみえる。32:5 そして彼かれはゼデキヤをバビロンに引ひいていき、ゼデキヤは、わたしが彼かれを顧かえりみる時ときまで、そこにいると主しゅは言いわれる。あなたがたは、カルデヤびとと戦たたかっても勝かつことはできない』と」。 32:6 エレミヤは言いった、「主しゅの言葉ことばがわたしに臨のぞんで言いわれる、32:7 『見みよ、あなたのおじシャルムの子こハナメルがあなたの所ところに来きて言いう、「アナトテにあるわたしの畑はたけを買かいなさい。それは、これを買かい取とり、あがなう権利けんりがあなたにあるから」と』。32:8 はたして主しゅの言葉ことばのように、わたしのいとこであるハナメルが監視かんしの庭にわのうちにいるわたしの所ところに来きて言いった、『ベニヤミンの地ちのアナトテにあるわたしの畑はたけを買かってください。所有しょゆうするのも、あがなうのも、あなたの権利けんりなのです。買かい取とってあなたの物ものにしてください。これが主しゅの言葉ことばであるのをわたしは知しっていました』。 32:9 そこでわたしは、いとこのハナメルからアナトテにある畑はたけを買かい取とり、銀ぎん十七シケルを量はかって彼かれに支払しはらった。32:10 すなわち、わたしはその証書しょうしょをつくって、これに記名きめいし、それを封印ふういんし、証人しょうにんを立たて、はかりをもって銀ぎんを量はかって与あたえた。32:11 そしてわたしはその約定やくじょうをしるして封印ふういんした買収ばいしゅう証書しょうしょと、封印ふういんのない写うつしとを取とり、32:12 いとこのハナメルと、買収ばいしゅう証書しょうしょに記名きめいした証人しょうにんたち、および監視かんしの庭にわにすわっているすべてのユダヤ人ひとの前まえで、その証書しょうしょをマアセヤの子こであるネリヤの子こバルクに与あたえ、32:13 彼かれらの前まえで、わたしはバルクに命めいじて言いった、32:14 『万軍ばんぐんの主しゅ、イスラエルの神かみはこう仰おおせられる、これらの証書しょうしょすなわち、この買収ばいしゅう証書しょうしょの封印ふういんしたものと、封印ふういんのない写うつしとを取とり、これらを土つちの器うつわに入いれて、長ながく保存ほぞんせよ。32:15 万軍ばんぐんの主しゅ、イスラエルの神かみがこう言いわれるからである、「この地ちで人々ひとびとはまた家いえと畑はたけとぶどう畑はたけを買かうようになる」と』。 32:16 わたしは買収ばいしゅう証書しょうしょをネリヤの子こバルクに渡わたしたあとで主しゅに祈いのって言いった、32:17 『ああ主しゅなる神かみよ、あなたは大おおいなる力ちからと、伸のべた腕うでをもって天てんと地ちをお造つくりになったのです。あなたのできないことは、ひとつもありません。32:18 あなたはいつくしみを千万人にんに施ほどこし、また父ちちの罪つみをそののちの子孫しそんに報むくいられるのです。あなたは大おおいなる全能ぜんのうの神かみでいらせられ、その名なは万軍ばんぐんの主しゅと申もうされます。32:19 あなたの計はかりごとは大おおきく、また、事ことを行おこなうのに力ちからがあり、あなたの目めは人々ひとびとの歩あゆむすべての道みちを見みて、おのおのの道みちにしたがい、その行おこないの実みによってこれに報むくいられます。32:20 あなたは、しるしと、不思議ふしぎなわざとをエジプトの地ちに行おこない、また今日こんにちに至いたるまでイスラエルと全ぜん人類じんるいのうちに行おこない、そして今日こんにちのように名なをあげられました。32:21 あなたは、しるしと、不思議ふしぎなわざと、強つよい手てと、伸のべた腕うでと、大おおいなる恐おそるべき事ことをもって、あなたの民たみイスラエルをエジプトの地ちから導みちびき出だし、32:22 この地ちを彼かれらに賜たまわりました。これはあなたが彼かれらの先祖せんぞたちに与あたえようと誓ちかわれた乳ちちと蜜みつの流ながれる地ちです。32:23 こうして彼かれらは、はいってこれを獲えたのですが、あなたの声こえに聞きき従したがわず、あなたの律法りっぽうを行おこなわず、すべてあなたがせよと命めいじられたことをしなかったので、あなたはこの災わざわいを彼かれらの上うえにお下くだしになりました。32:24 見みよ、塁るいが築きずきあげられたのは、この町まちを取とるためです。つるぎと、ききんと、疫病えきびょうのために、町まちはこれを攻せめているカルデヤびとの手てに渡わたされます。あなたの言いわれたようになりましたのは、ごらんのとおりであります。32:25 主しゅなる神かみよ、あなたはわたしに言いわれました、「銀ぎんをもって畑はたけを買かい、証人しょうにんを立たてよ」と。そうであるのに、町まちはカルデヤびとの手てに渡わたされています』」。 32:26 主しゅの言葉ことばがエレミヤに臨のぞんだ、32:27 「見みよ、わたしは主しゅである、すべて命いのちある者ものの神かみである。わたしにできない事ことがあろうか。32:28 それゆえ、主しゅはこう言いわれる、見みよ、わたしはこの町まちをカルデヤびとと、バビロンの王おうネブカデレザルの手てに渡わたす。彼かれはこれを取とる。32:29 この町まちを攻せめているカルデヤびとがきて、この町まちに火ひをつけて焼やき払はらう。屋根やねの上うえで人々ひとびとが、バアルに香こうをたき、ほかの神々かみがみに酒さけをそそいで、わたしを怒いからせたその家いえをも彼かれらは焼やく。32:30 それは、イスラエルの人々ひとびととユダの人々ひとびととは、その若わかい時ときから、わたしの前まえに悪わるいことのみを行おこない、またイスラエルの民たみはその手てのわざをもって、わたしを怒いからせることばかりをしたからであると主しゅは言いわれる。32:31 この町まちはそれが建たった日ひからきょうまで、わたしの怒いかりと憤いきどおりとをひき起おこしてきたので、わたしの前まえからこれを除のぞき去さるのである。32:32 それは、イスラエルの民たみとユダの民たみとが、もろもろの悪あくを行いって、わたしを怒いからせたことによるのである。――彼かれらの王おうたちと、そのつかさたち、祭司さいしたち、預言者よげんしゃたち、またユダの人々ひとびととエルサレムの住民じゅうみんたちが皆みなそうである。32:33 彼かれらはその背中せなかをわたしに向むけて顔かおをわたしに向むけず、わたしがたゆまず教おしえたにもかかわらず、彼かれらは教おしえを聞きかず、またうけないのである。32:34 彼かれらは憎にくむべき物ものを、わが名なをもって呼よばれている家いえにすえつけて、そこを汚けがし、32:35 またベンヒンノムの谷たににバアルの高たかき所ところを築きずいて、むすこ娘むすめをモレクにささげた。わたしは彼かれらにこのようなことを命めいじたことはなく、また彼かれらがこの憎にくむべきことを行いって、ユダに罪つみを犯おかさせようとは考かんがえもしなかった。 32:36 それゆえ今いまイスラエルの神かみ、主しゅは、この町まち、すなわちあなたがたが、『つるぎと、ききんと、疫病えきびょうのためにバビロンの王おうの手てに渡わたされる』といっている町まちについてこう仰おおせられる、32:37 見みよ、わたしは、わたしの怒いかりと憤いきどおりと大おおいなる怒いかりをもって、彼かれらを追おいやったもろもろの国くにから彼かれらを集あつめ、この所ところへ導みちびきかえって、安やすらかに住すまわせる。32:38 そして彼かれらはわたしの民たみとなり、わたしは彼かれらの神かみとなる。32:39 わたしは彼かれらに一つの心こころと一つの道みちを与あたえて常つねにわたしを恐おそれさせる。これは彼かれらが彼かれら自身じしんとその後のちの子孫しそんの幸さいわいを得えるためである。32:40 わたしは彼かれらと永遠えいえんの契約けいやくを立たてて、彼かれらを見捨みすてずに恵めぐみを施ほどこすことを誓ちかい、またわたしを恐おそれる恐おそれを彼かれらの心こころに置おいて、わたしを離はなれることのないようにしよう。32:41 わたしは彼かれらに恵めぐみを施ほどこすことを喜よろこびとし、心こころをつくし、精神せいしんをつくし、真実しんじつをもって彼かれらをこの地ちに植うえる。32:42 主しゅはこう仰おおせられる、わたしがこのもろもろの大おおきな災わざわいをこの民たみに下くだしたように、わたしが彼かれらに約束やくそくするもろもろの幸さいわいを彼かれらの上うえに下くだす。32:43 人々ひとびとはこの地ちに畑はたけを買かうようになる。あなたがたが、『それは荒あれて人ひとも獣けものもいなくなり、カルデヤびとの手てに渡わたされてしまう』といっている地ちである。32:44 人々ひとびとはベニヤミンの地ちと、エルサレムの周囲しゅういと、ユダの町々まちまちと、山地さんちの町々まちまちと、平地へいちの町々まちまちと、ネゲブの町々まちまちで、銀ぎんをもって畑はたけを買かい、証書しょうしょをつくって、これに記名きめいし封印ふういんし、また証人しょうにんを立たてる。それは、わたしが彼かれらを再ふたたび栄さかえさせるからであると主しゅは言いわれる」。 第33章 33:1 エレミヤがなお監視かんしの庭にわに閉とじ込こめられている時とき、主しゅの言葉ことばはふたたび彼かれに臨のぞんだ、33:2 「地ちを造つくられた主しゅ、それを形かたち造つくって堅かたく立たたせられた主しゅ、その名なを主しゅと名なのっておられる者ものがこう仰おおせられる、33:3 わたしに呼よび求もとめよ、そうすれば、わたしはあなたに答こたえる。そしてあなたの知しらない大おおきな隠かくされている事ことを、あなたに示しめす。33:4 イスラエルの神かみ、主しゅは塁るいと、つるぎとを防ふせぐために破壊はかいされたこの町まちの家いえと、ユダの王おうの家いえについてこう言いわれる、33:5 カルデヤびとは来きて戦たたかい、わたしが怒いかりと憤いきどおりをもって殺ころす人々ひとびとの死体したいを、それに満みたす。わたしは人々ひとびとのもろもろの悪あくのために、この町まちにわたしの顔かおをおおい隠かくした。33:6 見みよ、わたしは健康けんこうと、いやしとを、ここにもたらして人々ひとびとをいやし、豊ゆたかな繁栄はんえいと安全あんぜんとを彼かれらに示しめす。33:7 わたしはユダとイスラエルを再ふたたび栄さかえさせ、彼かれらを建たてて、もとのようにする。33:8 わたしは彼かれらがわたしに向むかって犯おかした罪つみのすべてのとがを清きよめ、彼かれらがわたしに向むかって犯おかした罪つみと反逆はんぎゃくのすべてのとがをゆるす。33:9 この町まちは地ちのもろもろの民たみの前まえに、わたしのために喜よろこびの名なとなり、誉ほまれとなり、栄さかえとなる。彼かれらはわたしがわたしの民たみに施ほどこすもろもろの恵めぐみのことを聞きく。そして、わたしがこの町まちに施ほどこすもろもろの恵めぐみと、もろもろの繁栄はんえいのために恐おそれて身みをふるわす。 33:10 主しゅはこう言いわれる、あなたがたが、『それは荒あれて、人ひともおらず獣けものもいない』というこの所ところ、すなわち、荒あれて、人ひともおらず住すむ者ものもなく、獣けものもいないユダの町まちとエルサレムのちまたに、33:11 再ふたたび喜よろこびの声こえ、楽たのしみの声こえ、花婿はなむこの声こえ、花嫁はなよめの声こえ、および 『万軍ばんぐんの主しゅに感謝かんしゃせよ、主しゅは恵めぐみふかく、そのいつくしみは、いつまでも絶たえることがない』といって、感謝かんしゃの供そなえ物ものを主しゅの宮みやに携たずさえてくる者ものの声こえが聞きこえる。それは、わたしがこの地ちを再ふたたび栄さかえさせて初はじめのようにするからであると主しゅは言いわれる。 33:12 万軍ばんぐんの主しゅはこう言いわれる、荒あれて、人ひともおらず獣けものもいないこの所ところと、そのすべての町々まちまちに再ふたたびその群むれを伏ふさせる牧者ぼくしゃのすまいがあるようになる。33:13 山地さんちの町々まちまちと、平地へいちの町々まちまちと、ネゲブの町々まちまちと、ベニヤミンの地ち、エルサレムの周囲しゅういと、ユダの町々まちまちで、群むれは再ふたたびそれを数かぞえる者ものの手ての下したを通とおりすぎると主しゅは言いわれる。 33:14 主しゅは言いわれる、見みよ、わたしがイスラエルの家いえとユダの家いえに約束やくそくしたことをなし遂とげる日ひが来くる。33:15 その日ひ、その時ときになるならば、わたしはダビデのために一つの正ただしい枝えだを生しょうじさせよう。彼かれは公平こうへいと正義せいぎを地ちに行おこなう。33:16 その日ひ、ユダは救すくいを得え、エルサレムは安やすらかにおる。その名なは『主しゅはわれわれの正義せいぎ』ととなえられる。 33:17 主しゅはこう仰おおせられる、イスラエルの家いえの位くらいに座ざする人ひとがダビデの子孫しそんのうちに欠かけることはない。33:18 またわたしの前まえに燔祭はんさいをささげ、素祭そさいを焼やき、つねに犠牲ぎせいをささげる人ひとが、レビびとである祭司さいしのうちに絶たえることはない」。 33:19 主しゅの言葉ことばはエレミヤに臨のぞんだ、33:20 「主しゅはこう仰おおせられる、もしあなたがたが、昼ひると結むすんだわたしの契約けいやくを破やぶり、また夜よると結むすんだわたしの契約けいやくを破やぶり、昼ひると夜よるが定さだめられた時ときに来きないようにすることができるならば、33:21 しもべダビデとわたしが結むすんだ契約けいやくもまた破やぶれ、彼かれはその位くらいに座ざして王おうとなる子こを与あたえられない。またわたしがわたしに仕つかえるレビびとである祭司さいしに立たてた契約けいやくも破やぶれる。33:22 天てんの星ほしは数かぞえることができず、浜はまの砂すなは量はかることができない。そのようにわたしは、しもべダビデの子孫しそんと、わたしに仕つかえるレビびとである祭司さいしの数かずを増まそう」。 33:23 主しゅの言葉ことばはエレミヤに臨のぞんだ、33:24 「あなたはこの民たみが、『主しゅは自みずから選えらんだ二つのやからを捨すてた』といっているのを聞きかないか。彼かれらはこのようにわたしの民たみを侮あなどって、これを国くにとみなさないのである。33:25 主しゅはこう言いわれる、もしわたしが昼ひると夜よるとに契約けいやくを立たてず、また天地てんちのおきてを定さだめなかったのであれば、33:26 わたしは、ヤコブとわたしのしもべダビデとの子孫しそんを捨すてて、再ふたたび彼かれの子孫しそんのうちからアブラハム、イサク、ヤコブの子孫しそんを治おさめる者ものを選えらばない。わたしは彼かれらを再ふたたび栄さかえさせ、彼かれらにあわれみをたれよう」。 第34章 34:1 バビロンの王おうネブカデレザルがその全ぜん軍ぐんと、彼かれに従したがっている地ちのすべての国くにの人々ひとびと、およびもろもろの民たみを率ひきいて、エルサレムとその町々まちまちを攻せめて戦たたかっていた時ときに、主しゅからエレミヤに臨のぞんだ言葉ことば、34:2 「イスラエルの神かみ、主しゅはこう言いわれる、行いってユダの王おうゼデキヤに告つげて言いいなさい、『主しゅはこう言いわれる、見みよ、わたしはこの町まちをバビロンの王おうの手てに渡わたす。彼かれは火ひでこれを焼やく。34:3 あなたはその手てをのがれることはできない、必かならず捕とらえられてその手てに渡わたされる。あなたはまのあたりバビロンの王おうを見み、顔かおと顔かおを合あわせて彼かれと語かたる。それからバビロンへ行いく』。34:4 しかしユダの王おうゼデキヤよ、主しゅの言葉ことばを聞ききなさい。主しゅはあなたの事ことについてこう言いわれる、『あなたはつるぎで死しぬことはない。34:5 あなたは安やすらかに死しぬ。民たみはあなたの先祖せんぞであるあなたの先さきの王おうたちのために香こうをたいたように、あなたのためにも香こうをたき、またあなたのために嘆なげいて「ああ、主君しゅくんよ」と言いう』。わたしがこの言葉ことばをいうのであると主しゅは言いわれる」。 34:6 そこで預言者よげんしゃエレミヤはこの言葉ことばをことごとくエルサレムでユダの王おうゼデキヤに告つげた。34:7 その時ときバビロンの王おうの軍勢ぐんぜいはエルサレム、および残のこっているユダのすべての町まち、すなわちラキシとアゼカを攻せめて戦たたかっていた。それはユダの町々まちまちのうちに、これらの堅固けんごな町まちがなお残のこっていたからである。 34:8 ゼデキヤ王おうがエルサレムにいるすべての民たみと契約けいやくを立たてて、彼かれらに釈放しゃくほうのことを告つげ示しめした後のちに、主しゅからエレミヤに臨のぞんだ言葉ことば。34:9 その契約けいやくはすなわち人ひとがおのおのそのヘブルびとである男女だんじょの奴隷どれいを解放かいほうし、その兄弟きょうだいであるユダヤ人ひとを奴隷どれいとしないことを定さだめたものであった。34:10 この契約けいやくをしたつかさたちと、すべての民たみは人ひとがおのおのその男女だんじょの奴隷どれいを解放かいほうし、再ふたたびこれを奴隷どれいとしないということに聞きき従したがって、これを解放かいほうしたが、34:11 後のちに心こころを翻ひるがえし、解放かいほうした男女だんじょの奴隷どれいをひきかえさせ、再ふたたびこれを従したがわせて奴隷どれいとした。34:12 そこで主しゅの言葉ことばが主しゅからエレミヤに臨のぞんだ、34:13 「イスラエルの神かみ、主しゅはこう言いわれる、わたしはあなたがたの先祖せんぞをエジプトの地ち、その奴隷どれいであった家いえから導みちびき出だした時とき、彼かれらと契約けいやくを立たてて言いった、34:14 『あなたがたの兄弟きょうだいであるヘブルびとで、あなたがたに身みを売うり、六年ねんの間あいだあなたがたに仕つかえた者ものは、六年ねんの終おわりに、あなたがたおのおのがこれを解放かいほうしなければならない。あなたがたは彼かれを解放かいほうして、あなたがたに仕つかえることをやめさせなければならない』。ところがあなたがたの先祖せんぞたちはわたしに聞きき従したがわず、またその耳みみを傾かたむけなかった。34:15 しかしあなたがたは今日こんにち、心こころを改あらため、おのおのその隣となり人びとに釈放しゃくほうのことを告つげ示しめして、わたしの見みて正ただしいとすることを行おこない、かつわたしの名なをもってとなえられる家いえで、わたしの前まえに契約けいやくを立たてた。34:16 ところがあなたがたは再ふたたび心こころを翻ひるがえして、わたしの名なを汚けがし、おのおの男女だんじょの奴隷どれいをその願ねがいのままに解放かいほうしたのをひきかえさせ、再ふたたびこれを従したがわせて、あなたがたの奴隷どれいとした。34:17 それゆえに、主しゅはこう仰おおせられる、あなたがたがわたしに聞きき従したがわず、おのおのその兄弟きょうだいとその隣となりに釈放しゃくほうのことを告つげ示しめさなかったので、見みよ、わたしはあなたがたのために釈放しゃくほうを告つげ示しめして、あなたがたをつるぎと、疫病えきびょうと、ききんとに渡わたすと主しゅは言いわれる。わたしはあなたがたを地ちのもろもろの国くにに忌いみきらわれるものとする。34:18 わたしの契約けいやくを破やぶり、わたしの前まえに立たてた契約けいやくの定さだめに従したがわない人々ひとびとを、わたしは彼かれらが二つに裂さいて、その二つの間あいだを通とおった子こ牛うしのようにする。――34:19 すなわち二つに分わけた子こ牛うしの間あいだを通とおったユダのつかさたち、エルサレムのつかさたちと宦官かんがんと祭司さいしと、この地ちのすべての民たみを、34:20 わたしはその敵てきの手てと、その命いのちを求もとめる者ものの手てに渡わたす。その死体したいは空そらの鳥とりと野のの獣けものの食物しょくもつとなる。34:21 わたしはまたユダの王おうゼデキヤと、そのつかさたちをその敵てきの手て、その命いのちを求もとめる者ものの手て、あなたがたを離はなれて去さったバビロンの王おうの軍勢ぐんぜいの手てに渡わたす。34:22 主しゅは言いわれる、見みよ、わたしは彼かれらに命めいじて、この町まちに引ひきかえしてこさせる。彼かれらはこの町まちを攻せめて戦たたかい、これを取とり、火ひを放はなって焼やき払はらう。わたしはユダの町々まちまちを住すむ人ひとのない荒あれ地ちとする」。 第35章 35:1 ユダの王おうヨシヤの子こエホヤキムの時とき、主しゅからエレミヤに臨のぞんだ言葉ことば。35:2 「レカブびとの家いえに行いって、彼かれらと語かたり、彼かれらを主しゅの宮みやの一室いっしつに連つれてきて、酒さけを飲のませなさい」。35:3 そこでわたしはハバジニヤの子こエレミヤの子こであるヤザニヤと、その兄弟きょうだいと、そのむすこたち、およびレカブびとの全家ぜんかを連つれ、35:4 これを主しゅの宮みやにあるハナンの子こたちの室しつに連つれてきた。ハナンはイグダリヤの子こであって神かみの人ひとであった。その室しつは、つかさたちの室しつの次つぎにあって、門もんを守まもるシャルムの子こマアセヤの室しつの上うえにあった。35:5 わたしはレカブびとの前まえに酒さけを満みたしたつぼと杯さかずきを置おき、彼かれらに、「酒さけを飲のみなさい」と言いったが、35:6 彼かれらは答こたえた、「われわれは酒さけを飲のみません。それは、レカブの子こであるわれわれの先祖せんぞヨナダブがわれわれに命めいじて、『あなたがたとあなたがたの子孫しそんはいつまでも酒さけを飲のんではならない。35:7 また家いえを建たてず、種たねをまかず、またぶどう畑はたけを植うえてはならない。またこれを所有しょゆうしてはならない。あなたがたは生いきながらえる間あいだは幕屋まくやに住すんでいなさい。そうするならば、あなたがたはその宿やどっている地ちに長ながく生いきることができると言いったからです』。35:8 こうしてわれわれは、レカブの子こであるわれわれの先祖せんぞヨナダブがすべて命めいじた言葉ことばに従したがって、われわれも、妻つまも、むすこ娘むすめも生いきながらえる間あいだ、酒さけを飲のまず、35:9 住すむ家いえを建たてず、ぶどう畑はたけも畑はたけも種たねも持もたないで、35:10 幕屋まくやに住すみ、すべてわれわれの先祖せんぞヨナダブがわれわれに命めいじたところに従したがい、そのように行おこないました。35:11 しかしバビロンの王おうネブカデレザルがこの地ちに上のぼってきた時とき、われわれは言いいました、『さあ、われわれはエルサレムへ行いこう。カルデヤびとの軍勢ぐんぜいとスリヤびとの軍勢ぐんぜいが恐おそろしい』と。こうしてわれわれはエルサレムに住すんでいるのです」。 35:12 その時とき、主しゅの言葉ことばがエレミヤに臨のぞんだ、35:13 「万軍ばんぐんの主しゅ、イスラエルの神かみはこう言いわれる、行いって、ユダの人々ひとびととエルサレムに住すむ者ものとに告つげよ。主しゅは仰おおせられる、あなたがたはわたしの言葉ことばを聞きいて教おしえを受うけないのか。35:14 レカブの子こヨナダブがその子孫しそんに酒さけを飲のむなと命めいじた言葉ことばは守まもられてきた。彼かれらは今日こんにちに至いたるまで酒さけを飲のまず、その先祖せんぞの命いのちに従したがってきた。ところがあなたがたはわたしがしきりに語かたったけれども、わたしに聞きき従したがわなかった。35:15 わたしはまた、わたしのしもべである預言者よげんしゃたちを、しきりにあなたがたにつかわして言いわせた、『あなたがたは今いまおのおのその悪わるい道みちを離はなれ、その行おこないを改あらためなさい。ほかの神々かみがみに従したがい仕つかえてはならない。そうすれば、あなたがたはわたしがあなたがたと、あなたがたの先祖せんぞに与あたえたこの地ちに住すむことができる』と。しかしあなたがたは耳みみを傾かたむけず、わたしに聞きかなかった。35:16 レカブの子こヨナダブの子孫しそんは、その先祖せんぞが彼かれらに命めいじた命令めいれいを守まもっているのである。しかしこの民たみはわたしに従したがわなかった。35:17 それゆえ万軍ばんぐんの神かみ、主しゅ、イスラエルの神かみはこう仰おおせられる、見みよ、わたしはユダとエルサレムに住すむ者ものとに、わたしが彼かれらの上うえに宣告せんこくした災わざわいを下くだす。わたしが彼かれらに語かたっても聞きかず、彼かれらを呼よんでも答こたえなかったからである」。 35:18 ところでエレミヤはレカブびとの家いえの人々ひとびとに言いった、「万軍ばんぐんの主しゅ、イスラエルの神かみはこう仰おおせられる、あなたがたは先祖せんぞヨナダブの命いのちに従したがい、そのすべての戒いましめを守まもり、彼かれがあなたがたに命めいじた事ことを行おこなった。35:19 それゆえ、万軍ばんぐんの主しゅ、イスラエルの神かみはこう言いわれる、レカブの子こヨナダブには、わたしの前まえに立たつ人ひとがいつまでも欠かけることはない」。 第36章 36:1 ユダの王おうヨシヤの子こエホヤキムの四年ねんに主しゅからこの言葉ことばがエレミヤに臨のぞんだ、36:2 「あなたは巻物まきものを取とり、わたしがあなたに語かたった日ひ、すなわちヨシヤの日ひから今日こんにちに至いたるまで、イスラエルとユダと万国ばんこくとに関かんしてあなたに語かたったすべての言葉ことばを、それにしるしなさい。36:3 ユダの家いえがわたしの下くだそうとしているすべての災わざわいを聞きいて、おのおのその悪わるい道みちを離はなれて帰かえることもあろう。そうすれば、わたしはそのとがとその罪つみをゆるすかも知しれない」。 36:4 そこでエレミヤはネリヤの子こバルクを呼よんだ。バルクはエレミヤの口述こうじゅつにしたがって、主しゅが彼かれにお告つげになった言葉ことばをことごとく巻物まきものに書かきしるした。36:5 そしてエレミヤはバルクに命めいじて言いった、「わたしは主しゅの宮みやに行いくことを妨さまたげられている。36:6 それで、あなたが行いって、断食だんじきの日ひに主しゅの宮みやで、すべての民たみが聞きいているところで、あなたがわたしの口述こうじゅつにしたがって、巻物まきものに筆記ひっきした主しゅの言葉ことばを読よみなさい。またユダの人々ひとびとがその町々まちまちから来きて聞きいているところで、それを読よみなさい。36:7 彼かれらは主しゅの前まえに祈願きがんをささげ、おのおのその悪わるい道みちを離はなれて帰かえることもあろう。主しゅがこの民たみに対たいして宣告せんこくされた怒いかりと憤いきどおりは大おおきいからである」。36:8 こうしてネリヤの子こバルクはすべて預言者よげんしゃエレミヤが自分じぶんに命めいじたように、主しゅの宮みやで、その巻物まきものに書かかれた主しゅの言葉ことばを読よんだ。 36:9 ユダの王おうヨシヤの子こエホヤキムの五年ねん九月がつ、エルサレムのすべての民たみと、ユダの町々まちまちからエルサレムに来きたすべての民たみとは、主しゅの前まえに断食だんじきを行おこなうべきことを告つげ示しめされた。36:10 バルクは主しゅの宮みやの上うえの庭にわで、主しゅの宮みやの新あたらしい門もんの入口いりぐちのかたわらにある書記しょきシャパンの子こであるゲマリヤのへやで、巻物まきものに書かかれたエレミヤの言葉ことばをすべての民たみに読よみ聞きかせた。 36:11 シャパンの子こであるゲマリヤの子こミカヤはその巻物まきものにある主しゅの言葉ことばをことごとく聞きいて、36:12 王おうの家いえにある書記しょきのへやに下くだって行いくと、もろもろのつかさたち、すなわち書記しょきエリシャマ、シマヤの子こデラヤ、アカボルの子こエルナタン、シャパンの子こゲマリヤ、ハナニヤの子こゼデキヤおよびすべてのつかさたちがそこに座ざしていた。36:13 ミカヤはバルクが民たみに巻物まきものを読よんで聞きかせたとき、自分じぶんの聞きいたすべての言葉ことばを彼かれらに告つげたので、36:14 つかさたちはクシの子こセレミヤの子こであるネタニヤの子こエホデをバルクのもとにつかわして言いわせた、「あなたが民たみに読よみ聞きかせたその巻物まきものを手てに取とって、来きてください」。そこでネリヤの子こバルクは巻物まきものを手てに取とって、彼かれらのもとに来きたので、36:15 彼かれらはバルクに言いった、「座ざしてそれを読よんでください」。バルクはそれを彼かれらに読よみきかせた。36:16 彼かれらはそのすべての言葉ことばを聞きき、恐おそれて互たがいに見みかわし、バルクに言いった、「われわれはこのすべての言葉ことばを、王おうに報告ほうこくしなければならない」。36:17 そしてバルクに尋たずねて言いった、「このすべての言葉ことばを、あなたがどのようにして書かいたのか話はなしてください。彼かれの口述こうじゅつによるのですか」。36:18 バルクは彼かれらに答こたえた、「彼かれがわたしにこのすべての言葉ことばを口述こうじゅつしたので、わたしはそれを墨汁ぼくじゅうで巻物まきものに書かいたのです」。36:19 つかさたちはバルクに言いった、「行いって、エレミヤと一緒いっしょに身みを隠かくしなさい。人ひとに所在しょざいを知しられてはなりません」。 36:20 そこで彼かれらは巻物まきものを書記しょきエリシャマのへやに置おいて庭にわにはいり、王おうのもとへ行いって、このすべての言葉ことばを王おうに告つげたので、36:21 王おうはその巻物まきものを持もってこさせるためにエホデをつかわした。エホデは書記しょきエリシャマのへやから巻物まきものを取とってきて、それを王おうと王おうのかたわらに立たっているすべてのつかさたちに読よみきかせた。36:22 時ときは九月がつであって、王おうは冬ふゆの家いえに座ざしていた。その前まえに炉ろがあって火ひが燃もえていた。36:23 エホデが三段だんか四段だんを読よむと、王おうは小刀こがたなをもってそれを切きり取とり、炉ろの火ひに投なげいれ、ついに巻物まきもの全部ぜんぶを炉ろの火ひで焼やきつくした。36:24 王おうとその家来けらいたちはこのすべての言葉ことばを聞きいても恐おそれず、またその着物きものを裂さくこともしなかった。36:25 エルナタン、デラヤおよびゲマリヤが王おうにその巻物まきものを焼やかないようにと願ねがったときにも彼かれは聞ききいれなかった。36:26 そして王おうは王子おうじエラメルとアヅリエルの子こセラヤとアブデルの子こセレミヤに、書記しょきバルクと預言者よげんしゃエレミヤを捕とらえるようにと命めいじたが、主しゅは彼かれらを隠かくされた。 36:27 バルクがエレミヤの口述こうじゅつにしたがって筆記ひっきした言葉ことばを載のせた巻物まきものを王おうが焼やいた後のち、主しゅの言葉ことばがエレミヤに臨のぞんだ、36:28 「他たの巻物まきものを取とり、ユダの王おうエホヤキムが焼やいた、前まえの巻物まきもののうちにある言葉ことばを皆みなそれに書かきしるしなさい。36:29 またユダの王おうエホヤキムについて言いいなさい、『主しゅはこう仰おおせられる、あなたはこの巻物まきものを焼やいて言いった、「どうしてあなたはこの巻物まきものに、バビロンの王おうが必かならず来きてこの地ちを滅ほろぼし、ここから人ひとと獣けものとを絶たやす、と書かいたのか」と。36:30 それゆえ主しゅはユダの王おうエホヤキムについてこう言いわれる、彼かれの子孫しそんにはダビデの位くらいにすわる者ものがなくなる。また彼かれの死体したいは捨すてられて昼ひるは暑あつさにあい、夜よるは霜しもにあう。36:31 わたしはまた彼かれとその子孫しそんとその家来けらいたちをその罪つみのために罰ばっする。また彼かれらとエルサレムの民たみとユダの人々ひとびとには災わざわいを下くだす。この災わざわいのことについては、すでに語かたったけれども、彼かれらは聞きくことをしなかった』」。 36:32 そこでエレミヤは他たの巻物まきものを取とり、ネリヤの子こ書記しょきバルクに与あたえたので、バルクはユダの王おうエホヤキムが火ひにくべて焼やいた巻物まきもののすべての言葉ことばを、エレミヤの口述こうじゅつにしたがってそれに書かきしるし、また同おなじような言葉ことばを多おおくそれに加くわえた。 第37章 37:1 ヨシヤの子こゼデキヤはエホヤキムの子こコニヤに代かわって王おうとなった。バビロンの王おうネブカデレザルが彼かれをユダの地ちの王おうとしたのである。37:2 彼かれもその家来けらいたちも、その地ちの人々ひとびとも、主しゅが預言者よげんしゃエレミヤによって語かたられた言葉ことばに聞きき従したがわなかった。 37:3 ゼデキヤ王おうはセレミヤの子こユカルと、マアセヤの子こ祭司さいしゼパニヤを預言者よげんしゃエレミヤにつかわして、「われわれのために、われわれの神かみ、主しゅに祈いのってください」と言いわせた。37:4 エレミヤは民たみの中なかに出入でいりしていた。まだ獄屋ごくやに入いれられなかったからである。37:5 パロの軍勢ぐんぜいがエジプトから出でて来きたので、エルサレムを攻せめ囲かこんでいたカルデヤびとはその情報じょうほうを聞きいてエルサレムを退しりぞいた。37:6 その時とき、主しゅの言葉ことばは預言者よげんしゃエレミヤに臨のぞんだ、37:7 「イスラエルの神かみ、主しゅはこう言いわれる、あなたがたをつかわしてわたしに求もとめたユダの王おうにこう言いいなさい、『あなたがたを救すくうために出でてきたパロの軍勢ぐんぜいはその国くにエジプトに帰かえろうとしている。37:8 カルデヤびとが再ふたたび来きてこの町まちを攻せめて戦たたかい、これを取とって火ひで焼やき滅ほろぼす。37:9 主しゅはこう言いわれる、あなたがたは、「カルデヤびとはきっとわれわれを離はなれ去さる」といって自分じぶんを欺あざむいてはならない。彼かれらは去さることはない。37:10 たといあなたがたが自分じぶんを攻せめて戦たたかうカルデヤびとの全ぜん軍ぐんを撃うち破やぶって、その天幕てんまくのうちに負傷ふしょう者もののみを残のこしても、彼かれらは立たち上あがって火ひでこの町まちを焼やき滅ほろぼす』」。 37:11 さてカルデヤびとの軍勢ぐんぜいがパロの軍勢ぐんぜいの来くるのを聞きいてエルサレムを退しりぞいたとき、37:12 エレミヤは、ベニヤミンの地ちで民たみのうちに自分じぶんの分わけ前まえを受うけ取とるため、エルサレムを立たってその地ちへ行いこうと、37:13 ベニヤミンの門もんに着ついたとき、そこにハナニヤの子こセレミヤの子こでイリヤという名なの番兵ばんぺいがいて、預言者よげんしゃエレミヤを捕とらえ、「あなたはカルデヤびとの側がわに脱走だっそうしようとしている」と言いった。37:14 エレミヤは言いった、「それはまちがいだ。わたしはカルデヤびとの側がわに脱走だっそうしようとしていない」。しかしイリヤは聞きかず、エレミヤを捕とらえて、つかさたちのもとへ引ひいて行いった。37:15 つかさたちは怒いかって、エレミヤを打うちたたき、書記しょきヨナタンの家いえの獄屋ごくやにいれた。この家いえが獄屋ごくやになっていたからである。 37:16 エレミヤが地下ちかの獄屋ごくやにはいって、そこに多おおくの日ひを送おくってのち、37:17 ゼデキヤ王おうは人ひとをつかわし、彼かれを連つれてこさせた。王おうは自分じぶんの家いえでひそかに彼かれに尋たずねて言いった、「主しゅから何なにかお言葉ことばがあったか」。エレミヤはあったと答こたえた。そして言いった、「あなたはバビロンの王おうの手てに引ひき渡わたされます」。37:18 エレミヤはまたゼデキヤ王おうに言いった、「わたしが獄屋ごくやにいれられたのは、あなたに、またはあなたの家来けらいに、あるいはこの民たみに、どのような罪つみを犯おかしたからなのですか。37:19 あなたがたに預言よげんして、『バビロンの王おうはあなたがたをも、この地ちをも攻せめにこない』と言いっていたあなたがたの預言者よげんしゃは今いまどこにいるのですか。37:20 王おうなるわが君きみよ、どうぞ今いまお聞ききください。わたしの願ねがいをお聞ききとどけください。わたしを書記しょきヨナタンの家いえへ帰かえらせないでください。そうでないと、わたしはそこで殺ころされるでしょう」。37:21 そこでゼデキヤ王おうは命めいを下くだし、エレミヤを監視かんしの庭にわに入いれさせ、かつ、パンを つくる者ものの町まちから毎日まいにちパン一個こを彼かれに与あたえさせた。これは町まちにパンがなくなるまで続つづいた。こうしてエレミヤは監視かんしの庭にわにいた。 第38章 38:1 マッタンの子こシパテヤ、パシュルの子こゲダリヤ、セレミヤの子こユカル、マルキヤの子こパシュルはエレミヤがすべての民たみに告つげていたその言葉ことばを聞きいた。38:2 彼かれは言いった、「主しゅはこう言いわれる、この町まちにとどまる者ものは、つるぎや、ききんや、疫病えきびょうで死しぬ。しかし出でてカルデヤびとにくだる者ものは死しを免まぬかれる。すなわちその命いのちを自分じぶんのぶんどり物ものとして生いきることができる。38:3 主しゅはこう言いわれる、この町まちは必かならずバビロンの王おうの軍勢ぐんぜいの手てに渡わたされる。彼かれはこれを取とる」。38:4 すると、つかさたちは王おうに言いった、「この人ひとを殺ころしてください。このような言葉ことばをのべて、この町まちに残のこっている兵士へいしの手てと、すべての民たみの手てを弱よわくしているからです。この人ひとは民たみの安泰あんたいを求もとめないで、その災わざわいを求もとめているのです」。38:5 ゼデキヤ王おうは言いった、「見みよ、彼かれはあなたがたの手てにある。王おうはあなたがたに逆さからって何事なにごとをもなし得えない」。38:6 そこで彼かれらはエレミヤを捕とらえ、監視かんしの庭にわにある王子おうじマルキヤの穴あなに投なげ入いれた。すなわち、綱つなをもってエレミヤをつり降おろしたが、その穴あなには水みずがなく、泥どろだけであったので、エレミヤは泥どろの中なかに沈しずんだ。 38:7 王おうの家いえの宦官かんがんエチオピヤびとエベデメレクは、彼かれらがエレミヤを穴あなに投なげ入いれたことを聞きいた。その時とき、王おうはベニヤミンの門もんに座ざしていたので、38:8 エベデメレクは王おうの家いえから出でて行いって王おうに言いった、38:9 「王おうなるわが君きみよ、この人々ひとびとが預言者よげんしゃエレミヤにしたことはみな良よいことではありません。彼かれを穴あなに投なげ入いれました。町まちに食物しょくもつがなくなりましたから、彼かれはそこで餓死がしするでしょう」。38:10 王おうはエチオピヤびとエベデメレクに命めいじて言いった、「ここから三人にんのひとを連つれて行いって、預言者よげんしゃエレミヤを、死しなないうちに穴あなから引ひき上あげなさい」。38:11 そこでエベデメレクはその人々ひとびとを連つれて王おうの家いえの倉くらの衣服いふく室しつに行いき、そこから古ふるい布ぬの切きれや、着きふるした着物きものを取とり、これを穴あなの中なかにいるエレミヤのところへ、綱つなをもってつり降おろした。38:12 そしてエチオピヤびとエベデメレクは、「この布ぬの切きれや着物きものを、あなたのわきの下したにはさんで、綱つなに当あてなさい」とエレミヤに言いった。エレミヤはそのようにした。38:13 すると彼かれらは綱つなをもってエレミヤを穴あなから引ひき上あげた。そしてエレミヤは監視かんしの庭にわにとどまった。 38:14 ゼデキヤ王おうは人ひとをつかわして預言者よげんしゃエレミヤを主しゅの宮みやの第だい三の門もんに連つれてこさせ、王おうはエレミヤに言いった、「あなたに尋たずねたいことがある。何事なにごともわたしに隠かくしてはならない」。38:15 エレミヤはゼデキヤに言いった、「もしわたしがお話はなするなら、あなたは必かならずわたしを殺ころされるではありませんか。たといわたしが忠告ちゅうこくをしても、あなたはお聞ききにならないでしょう」。38:16 その時ときゼデキヤ王おうは、ひそかにエレミヤに誓ちかって言いった、「われわれの魂たましいを造つくられた主しゅは生いきておられる。わたしはあなたを殺ころさない、またあなたの命いのちを求もとめる者ものの手てに、あなたを渡わたすこともしない」。 38:17 そこでエレミヤはゼデキヤに言いった、「万軍ばんぐんの神かみ、イスラエルの神かみ、主しゅはこう仰おおせられる、もしあなたがバビロンの王おうのつかさたちに降伏こうふくするならば、あなたの命いのちは助たすかり、またこの町まちは火ひで焼やかれることなく、あなたも、あなたの家いえの者ものも生いきながらえることができる。38:18 しかし、もしあなたが出でてバビロンの王おうのつかさたちに降伏こうふくしないならば、この町まちはカルデヤびとの手てに渡わたされる。彼かれらは火ひでこれを焼やく。あなたはその手てをのがれることができない」。38:19 ゼデキヤ王おうはエレミヤに言いった、「わたしはカルデヤびとに脱走だっそうしたユダヤ人ひとを恐おそれている。カルデヤびとはわたしを彼かれらの手てに渡わたし、彼かれらはわたしをはずかしめる」。38:20 エレミヤは言いった、「彼かれらはあなたを渡わたさないでしょう。どうか、わたしがあなたに告つげた主しゅの声こえに聞きき従したがってください。そうすれば幸さいわいを得え、また命いのちが助たすかります。38:21 しかし降伏こうふくすることを拒こばむならば、主しゅがわたしに示しめされた幻まぼろしを申もうしましょう。38:22 すなわち、ユダの王おうの家いえに残のこっている女おんなたちは、みなバビロンの王おうのつかさたちの所ところへ引ひいて行いかれます。その女おんなたちは言いうのです、 『あなたの親したしい友ともだちがあなたを欺あざむいた、そしてあなたに勝かった。今いまあなたの足あしは泥どろに沈しずんでいるので、彼かれらはあなたを捨すてて去さる』。38:23 あなたの妻つまたちと子供こどもたちは皆みなカルデヤびとの所ところへひき出だされる。あなた自身じしんもその手てをのがれることができず、バビロンの王おうに捕とらえられる。そしてこの町まちは火ひで焼やかれるでしょう」。 38:24 ゼデキヤはエレミヤに言いった、「これらの言葉ことばを人ひとに知しらせてはならない。そうすればあなたは殺ころされることはない。38:25 わたしがあなたと話はなしをしたことを、つかさたちが聞きいて、彼かれらがあなたの所ところに来きて、『あなたが王おうに話はなしたこと、王おうがあなたに話はなしたことをわれわれに告つげなさい。何事なにごとも隠かくしてはならない。われわれはあなたを殺ころしはしない』と言いうならば、38:26 あなたは彼かれらに、『わたしは王おうに願ねがって、わたしをヨナタンの家いえに送おくり返かえさず、そこで死しぬことのないようにしてくださいと言いった』と答こたえなさい」。38:27 さて、つかさたちは皆みなエレミヤのところへ来きて尋たずねたが、王おうが彼かれに教おしえたように彼かれらに答こたえたので、彼かれらは彼かれと話はなすことをやめた。その会話かいわを聞きいた者ものがなかったからである。38:28 エレミヤはエルサレムの取とられる日ひまで監視かんしの庭にわにとどまっていた。 第39章 39:1 ユダの王おうゼデキヤの九年ねん十月がつ、バビロンの王おうネブカデレザルはその全ぜん軍ぐんを率ひきい、エルサレムに来きてこれを攻せめ囲かこんだが、39:2 ゼデキヤの十一年ねん四月がつ九日かになって町まちの一角いっかくが破やぶれた。39:3 エルサレムが取とられたので、バビロンの王おうのつかさたち、すなわちネルガル・シャレゼル、サムガル・ネボ、ラブサリスのサルセキム、ラブマグのネルガル・シャレゼルおよびバビロンの王おうのその他たのつかさたちは皆みなともに来きて中なかの門もんに座ざした。39:4 ユダの王おうゼデキヤとすべての兵士へいしたちはこれを見みて逃にげ、夜よるのうちに、王おうの庭園ていえんの道みちを通とおって、二つの城壁じょうへきの間あいだの門もんから町まちを出でて、アラバの方ほうへ行いったが、39:5 カルデヤびとの軍勢ぐんぜいはこれを追おって、エリコの平地へいちでゼデキヤに追おいつき、これを捕とらえて、ハマテの地ちリブラにいるバビロンの王おうネブカデレザルのもとに引ひいて行いったので、王おうはそこで彼かれの罪つみをさだめた。39:6 バビロンの王おうはリブラで、ゼデキヤの子こたちを彼かれの目めの前まえで殺ころした。バビロンの王おうはまたユダのすべての貴族きぞくたちを殺ころした。39:7 王おうはまたゼデキヤの目めをつぶさせ、彼かれをバビロンに引ひいて行いくために、鎖くさりにつないだ。39:8 またカルデヤびとは王宮おうきゅうと民家みんかを火ひで焼やき、エルサレムの城壁じょうへきを破壊はかいした。39:9 そして侍衛じえいの長ちょうネブザラダンは町まちのうちに残のこっている民たみと、自分じぶんに降伏こうふくした者もの、およびその他たの残のこっている民たみをバビロンに捕とらえ移うつした。39:10 しかし侍衛じえいの長ちょうネブザラダンは、民たみの貧まずしい無産むさん者ものをユダの地ちに残のこし、同時どうじにぶどう畑はたけと田地でんちをこれに与あたえた。 39:11 さてバビロンの王おうネブカデレザルはエレミヤの事ことについて侍衛じえいの長ちょうネブザラダンに命めいじて言いった、39:12 「彼かれをとり、よく世話せわをせよ。害がいを加くわえることなく、彼かれがあなたに言いうようにしてやりなさい」。39:13 そこで侍衛じえいの長ちょうネブザラダン、ラブサリスのネブシャズバン、ラブマグのネルガル・シャレゼル、およびバビロンの王おうのつかさたちは、39:14 人ひとをつかわして、エレミヤを監視かんしの庭にわから連つれてこさせ、シャパンの子こアヒカムの子こであるゲダリヤに託たくして、家いえにつれて行いかせた。こうして彼かれは民たみのうちにいた。 39:15 エレミヤが監視かんしの庭にわに閉とじこめられていた時とき、主しゅの言葉ことばが彼かれに臨のぞんだ、39:16 「行いって、エチオピヤびとエベデメレクに告つげなさい、『万軍ばんぐんの主しゅ、イスラエルの神かみはこう言いわれる、わたしの言いった災わざわいをわたしはこの町まちに下くだす、幸さいわいをこれに下くだすのではない。その日ひ、この事ことがあなたの目めの前まえで成就じょうじゅする。39:17 主しゅは言いわれる、その日ひわたしはあなたを救すくう。あなたは自分じぶんの恐おそれている人々ひとびとの手てに渡わたされることはない。39:18 わたしが必かならずあなたを救すくい、つるぎに倒たおれることのないようにするからである。あなたの命いのちはあなたのぶんどり物ものとなる。あなたがわたしに寄より頼たよんだからであると主しゅは言いわれる』」。
30:1 主しゅからエレミヤに臨のぞんだ言葉ことば。
30:2 「イスラエルの神かみ、主しゅはこう仰おおせられる、わたしがあなたに語かたった言葉ことばを、ことごとく書物しょもつにしるしなさい。
30:3 主しゅは言いわれる、見みよ、わたしがわが民たみイスラエルとユダの繁栄はんえいを回復かいふくする日ひが来くる。主しゅがこれを言いわれる。わたしは彼かれらを、その先祖せんぞに与あたえた地ちに帰かえらせ、彼かれらにこれを保たもたせる」。
30:4 これは主しゅがイスラエルとユダについて言いわれた言葉ことばである。
30:5 「主しゅはこう仰おおせられる、われわれはおののきの声こえを聞きいた。恐おそれがあり、平安へいあんはない。
30:6 子こを産うむ男おとこがあるか、尋たずねてみよ。どうして男おとこがみな子こを産うむ女おんなのように手てを腰こしにおくのをわたしは見みるのか。なぜ、どの人ひとの顔色かおいろも青あおく変かわっているのか。
30:7 悲かなしいかな、その日ひは大おおいなる日ひであって、それに比くらべるべき日ひはない。それはヤコブの悩なやみの時ときである。しかし彼かれはそれから救すくい出だされる。
30:8 万軍ばんぐんの主しゅは仰おおせられる、その日ひわたしは彼かれらの首くびからそのくびきを砕くだき離はなし、彼かれらの束縛そくばくを解とく。異邦いほうの人ひとはもはや、彼かれらを使役しえきすることをしない。
30:9 彼かれらはその神かみ、主しゅと、わたしが彼かれらのために立たてるその王おうダビデに仕つかえる。
30:10 主しゅは仰おおせられる、わがしもべヤコブよ、恐おそれることはない、イスラエルよ、驚おどろくことはない。見みよ、わたしがあなたを救すくって、遠とおくからかえし、あなたの子孫しそんを救すくって、その捕とらえ移うつされた地ちからかえすからだ。ヤコブは帰かえってきて、穏おだやかに安やすらかにおり、彼かれを恐おそれさせる者ものはない。
30:11 主しゅは言いわれる、わたしはあなたと共ともにいて、あなたを救すくう。わたしはあなたを散ちらした国々くにぐにをことごとく滅ほろぼし尽つくす。しかし、あなたを滅ほろぼし尽つくすことはしない。わたしは正ただしい道みちに従したがってあなたを懲こらしめる。決けっして罰ばっしないではおかない。
30:12 主しゅはこう仰おおせられる、あなたの痛いたみはいえず、あなたの傷きずは重おもい。
30:13 あなたの訴うったえを支持しじする者ものはなく、あなたの傷きずをつつむ薬くすりはなく、あなたをいやすものもない。
30:14 あなたの愛あいする者ものは皆みなあなたを忘わすれてあなたの事ことを心こころに留とめない。それは、あなたのとがが多おおく、あなたの罪つみがはなはだしいので、わたしがあだを撃うつようにあなたを撃うち、残忍ざんにんな敵てきのように懲こらしたからだ。
30:15 なぜ、あなたの傷きずのために叫さけぶのか、あなたの悩なやみはいえることはない。あなたのとがが多おおく、あなたの罪つみがはなはだしいので、これらの事ことをわたしはあなたにしたのである。
30:16 しかし、すべてあなたを食くい滅ほろぼす者ものは食くい滅ほろぼされ、あなたをしえたげる者ものは、ひとり残のこらず、捕とらえ移うつされ、あなたをかすめる者ものは、かすめられ、すべてあなたの物ものを奪うばう者ものは奪うばわれる者ものとなる。
30:17 主しゅは言いわれる、わたしはあなたの健康けんこうを回復かいふくさせ、あなたの傷きずをいやす。それは、人ひとがあなたを捨すてられた者ものとよび、『だれも心こころに留とめないシオン』というからである。
30:18 主しゅはこう仰おおせられる、見みよ、わたしはヤコブの天幕てんまくを再ふたたび栄さかえさせ、そのすまいにあわれみを施ほどこす。町まちは、その丘おかに建たてなおされ、宮殿きゅうでんはもと立たっていた所ところに立たつ。
30:19 感謝かんしゃの歌うたと喜よろこぶ者ものの声こえとが、その中なかから出でる。わたしが彼かれらを増ますゆえ、彼かれらは少すくなくはなく、また彼かれらを尊たっとばれしめるゆえ、卑いやしめられることはない。
30:20 その子こらは、いにしえのようになり、その会衆かいしゅうはわたしの前まえに堅かたく立たつ。すべて彼かれらをしえたげる者ものをわたしは罰ばっする。
30:21 その君きみは彼かれら自身じしんのうちのひとりであり、そのつかさは、そのうちから出でる。わたしは彼かれをわたしに近ちかづけ、彼かれはわたしに近ちかづく。だれか自分じぶんの命いのちをかけてわたしに近ちかづく者ものがあろうかと主しゅは言いわれる。
30:22 あなたがたは、わたしの民たみとなり、わたしはあなたがたの神かみとなる」。
30:23 見みよ、主しゅの暴風ぼうふうがくる。憤いきどおりと、つむじ風かぜが出でて、悪人あくにんのこうべをうつ。
30:24 主しゅの激はげしい怒いかりは、み心こころに思おもい定さだめられたことを行おこなって、これを遂とげるまで、退しりぞくことはない。末すえの日ひにあなたがたはこれを悟さとるのである。
第31章 31:1 「主しゅは言いわれる、その時ときわたしはイスラエルの全部ぜんぶ族ぞくの神かみとなり、彼かれらはわたしの民たみとなる」。 31:2 主しゅはこう言いわれる、「つるぎをのがれて生いき残のこった民たみは、荒野あらので恵めぐみを得えた。イスラエルが安息あんそくを求もとめた時とき、31:3 主しゅは遠とおくから彼かれに現あらわれた。わたしは限かぎりなき愛あいをもってあなたを愛あいしている。それゆえ、わたしは絶たえずあなたに真実しんじつをつくしてきた。31:4 イスラエルのおとめよ、再ふたたびわたしはあなたを建たてる、あなたは建たてられる。あなたは再ふたたび鼓つづみをもって身みを飾かざり、出でて行いって、喜よろこび楽たのしむ者ものと共ともに踊おどる。31:5 またあなたはぶどうの木きをサマリヤの山やまに植うえる。植うえる者ものは、植うえてその実みを食たべることができる。31:6 見守みまもる者ものがエフライムの山やまの上うえに立たって呼よばわる日ひが来くる。『立たって、シオンに上のぼり、われわれの神かみ、主しゅに、もうでよう』と」。 31:7 主しゅはこう仰おおせられる、「ヤコブのために喜よろこんで声こえ高たかく歌うたい、万国ばんこくのかしらのために叫さけび声ごえをあげよ。告つげ示しめし、ほめたたえて言いえ、『主しゅはその民たみイスラエルの残のこりの者ものを救すくわれた』と。31:8 見みよ、わたしは彼かれらを北きたの国くにから連つれ帰かえり、彼かれらを地ちの果はてから集あつめる。彼かれらのうちには、盲人もうじんやあしなえ、妊婦にんぷ、産婦さんぷも共ともにいる。彼かれらは大おおきな群むれとなって、ここに帰かえってくる。31:9 彼かれらは泣なき悲かなしんで帰かえってくる。わたしは慰なぐさめながら彼かれらを導みちびき帰かえる。彼かれらがつまずかないように、まっすぐな道みちにより、水みずの流ながれのそばを通とおらせる。それは、わたしがイスラエルの父ちちであり、エフライムはわたしの長子ちょうしだからである。 31:10 万国ばんこくの民たみよ、あなたがたは主しゅの言葉ことばを聞きき、これを遠とおい、海沿うみぞいの地ちに示しめして言いいなさい、『イスラエルを散ちらした者ものがこれを集あつめられる。牧者ぼくしゃがその群むれを守まもるようにこれを守まもられる』と。31:11 すなわち主しゅはヤコブをあがない、彼かれらよりも強つよい者ものの手てから彼かれを救すくいだされた。31:12 彼かれらは来きてシオンの山やまで声こえ高たかく歌うたい、主しゅから賜たまわった良よい物もののために、穀物こくもつと酒さけと油あぶらおよび若わかき羊ひつじと牛うしのために、喜よろこびに輝かがやく。その魂たましいは潤うるおう園そののようになり、彼かれらは重かさねて憂うれえることがない。31:13 その時ときおとめたちは舞まって楽たのしみ、若わかい者ものも老おいた者ものも共ともに楽たのしむ。わたしは彼かれらの悲かなしみを喜よろこびにかえ、彼かれらを慰なぐさめ、憂うれいの代かわりに喜よろこびを与あたえる。31:14 わたしは多おおくのささげ物もので、祭司さいしの心こころを飽あかせ、わたしの良よき物もので、わたしの民たみを満みち足たらせると主しゅは言いわれる」。 31:15 主しゅはこう仰おおせられる、「嘆なげき悲かなしみ、いたく泣なく声こえがラマで聞きこえる。ラケルがその子こらのために嘆なげくのである。子こらがもはやいないので、彼女かのじょはその子こらのことで慰なぐさめられるのを願ねがわない」。31:16 主しゅはこう仰おおせられる、「あなたは泣なく声こえをとどめ、目めから涙なみだをながすことをやめよ。あなたのわざに報むくいがある。彼かれらは敵てきの地ちから帰かえってくると主しゅは言いわれる。31:17 あなたの将来しょうらいには希望きぼうがあり、あなたの子供こどもたちは自分じぶんの国くにに帰かえってくると主しゅは言いわれる。31:18 わたしは確たしかに、エフライムがこう言いって嘆なげくの聞きいた、『あなたはわたしを懲こらしめられた、わたしはくびきに慣なれない子こ牛うしのように懲こらしめをうけた。主しゅよ、あなたはわたしの神かみ、主しゅでいらせられる、わたしを連つれ帰かえって、もとにかえしてください。31:19 わたしはそむき去さった後のち、悔くい、教おしえをうけた後のち、ももを打うった。若わかい時ときのはずかしめが身みにあるので、わたしは恥はじ、うろたえた』。31:20 主しゅは言いわれる、エフライムはわたしの愛あいする子こ、わたしの喜よろこぶ子こであろうか。わたしは彼かれについて語かたるごとに、なお彼かれを忘わすれることができない。それゆえ、わたしの心こころは彼かれをしたっている。わたしは必かならず彼かれをあわれむ。31:21 みずからのために道みちしるべを置おき、みずからのために標柱ひょうちゅうを立たてよ。大路おおじに、あなたの通とおって行いった道みちに心こころを留とめよ。イスラエルのおとめよ、帰かえれ、これらの、あなたの町々まちまちに帰かえれ。31:22 不信ふしんの娘むすめよ、いつまでさまようのか。主しゅは地ちの上うえに新あたらしい事ことを創 そうぞうされたのだ、女おんなが男おとこを保護ほごする事ことである」。31:23 万軍ばんぐんの主しゅ、イスラエルの神かみはこう言いわれる、「わたしが彼かれらを再ふたたび栄さかえさせる時とき、人々ひとびとはまたユダの地ちとその町々まちまちでこの言葉ことばを言いう、 『正義せいぎのすみかよ、聖せいなる山やまよ、どうか主しゅがおまえを祝福しゅくふくしてくださるように』。31:24 ユダとそのすべての町まちの人ひと、および農夫のうふと群むれを飼かって歩あるき回まわる者ものは共ともにそこに住すむ。31:25 わたしが疲つかれた魂たましいを飽あき足たらせ、すべて悩なやんでいる魂たましいを慰なぐさめるからである」。 31:26 ここでわたしは目めをさましたが、わたしの眠ねむりは、ここちよかった。 31:27 「主しゅは言いわれる、見みよ、わたしが人ひとの種たねと獣けものの種たねとをイスラエルの家いえとユダの家いえとにまく日ひが来くる。31:28 わたしは彼かれらを抜ぬき、砕くだき、倒たおし、滅ほろぼし、悩なやまそうと待まちかまえていたように、また彼かれらを建たて、植うえようと待まちかまえていると主しゅは言いわれる。31:29 その時とき、彼かれらはもはや、 『父ちちがすっぱいぶどうを食たべたので、子こどもの歯はがうく』とは言いわない。31:30 人ひとはめいめい自分じぶんの罪つみによって死しぬ。すっぱいぶどうを食たべる人ひとはみな、その歯はがうく。 31:31 主しゅは言いわれる、見みよ、わたしがイスラエルの家いえとユダの家いえとに新あたらしい契約けいやくを立たてる日ひが来くる。31:32 この契約けいやくはわたしが彼かれらの先祖せんぞをその手てをとってエジプトの地ちから導みちびき出だした日ひに立たてたようなものではない。わたしは彼かれらの夫おっとであったのだが、彼かれらはそのわたしの契約けいやくを破やぶったと主しゅは言いわれる。31:33 しかし、それらの日ひの後のちにわたしがイスラエルの家いえに立たてる契約けいやくはこれである。すなわちわたしは、わたしの律法りっぽうを彼かれらのうちに置おき、その心こころにしるす。わたしは彼かれらの神かみとなり、彼かれらはわたしの民たみとなると主しゅは言いわれる。31:34 人ひとはもはや、おのおのその隣となりとその兄弟きょうだいに教おしえて、『あなたは主しゅを知しりなさい』とは言いわない。それは、彼かれらが小しょうより大だいに至いたるまで皆みな、わたしを知しるようになるからであると主しゅは言いわれる。わたしは彼かれらの不義ふぎをゆるし、もはやその罪つみを思おもわない」。 31:35 主しゅはこう言いわれる、すなわち太陽たいようを与あたえて昼ひるの光ひかりとし、月つきと星ほしとを定さだめて夜よるの光ひかりとし、海うみをかき立たてて、その波なみを鳴なりとどろかせる者もの――その名なは万軍ばんぐんの主しゅという。31:36 主しゅは言いわれる、「もしこの定さだめがわたしの前まえですたれてしまうなら、イスラエルの子孫しそんもすたって、永久えいきゅうにわたしの前まえで民たみであることはできない」。31:37 主しゅはこう言いわれる、「もし上うえの天てんを量はかることができ、下したの地ちの基もといを探さぐることができるなら、そのとき、わたしはイスラエルのすべての子孫しそんをそのもろもろの行おこないのために捨すて去さると主しゅは言いわれる」。31:38 主しゅは言いわれる、「見みよ、この町まちが、ハナネルの塔とうから隅すみの門もんまで、主しゅのために再建さいけんされる時ときが来くる。31:39 測はかりなわはそれよりも遠とおくまっすぐに延のびて、ガレブの丘おかに達たっし、ゴアのほうに向むかう。31:40 死体したいと灰はいとの谷たにの全部ぜんぶ、またキデロンの谷たにに行いくまでと、東ひがしのほうの馬うまの門もんのすみに行いくまでとのすべての畑はたけはみな主しゅの聖せいなる所ところとなり、永遠えいえんにわたって、ふたたび抜ぬかれ、また倒たおされることはない」。 第32章 32:1 ユダの王おうゼデキヤの十年ねん、すなわちネブカデレザルの十八年ねんに、主しゅの言葉ことばがエレミヤに臨のぞんだ。32:2 その時とき、バビロンの王おうの軍勢ぐんぜいがエルサレムを攻せめ囲かこんでいて、預言者よげんしゃエレミヤはユダの王おうの宮殿きゅうでんにある監視かんしの庭にわのうちに監禁かんきんされていた。32:3 ユダの王おうゼデキヤが彼かれを閉とじ込こめたのであるが、王おうは言いった、「なぜあなたは預言よげんして言いうのか、『主しゅはこう仰おおせられる、見みよ、わたしはこの町まちをバビロンの王おうの手てに渡わたし、彼かれはこれを取とる。32:4 またユダの王おうゼデキヤはカルデヤびとの手てをのがれることなく、かならずバビロンの王おうの手てに渡わたされ、顔かおと顔かおを合あわせて彼かれと語かたり、目めと目めは相あいまみえる。32:5 そして彼かれはゼデキヤをバビロンに引ひいていき、ゼデキヤは、わたしが彼かれを顧かえりみる時ときまで、そこにいると主しゅは言いわれる。あなたがたは、カルデヤびとと戦たたかっても勝かつことはできない』と」。 32:6 エレミヤは言いった、「主しゅの言葉ことばがわたしに臨のぞんで言いわれる、32:7 『見みよ、あなたのおじシャルムの子こハナメルがあなたの所ところに来きて言いう、「アナトテにあるわたしの畑はたけを買かいなさい。それは、これを買かい取とり、あがなう権利けんりがあなたにあるから」と』。32:8 はたして主しゅの言葉ことばのように、わたしのいとこであるハナメルが監視かんしの庭にわのうちにいるわたしの所ところに来きて言いった、『ベニヤミンの地ちのアナトテにあるわたしの畑はたけを買かってください。所有しょゆうするのも、あがなうのも、あなたの権利けんりなのです。買かい取とってあなたの物ものにしてください。これが主しゅの言葉ことばであるのをわたしは知しっていました』。 32:9 そこでわたしは、いとこのハナメルからアナトテにある畑はたけを買かい取とり、銀ぎん十七シケルを量はかって彼かれに支払しはらった。32:10 すなわち、わたしはその証書しょうしょをつくって、これに記名きめいし、それを封印ふういんし、証人しょうにんを立たて、はかりをもって銀ぎんを量はかって与あたえた。32:11 そしてわたしはその約定やくじょうをしるして封印ふういんした買収ばいしゅう証書しょうしょと、封印ふういんのない写うつしとを取とり、32:12 いとこのハナメルと、買収ばいしゅう証書しょうしょに記名きめいした証人しょうにんたち、および監視かんしの庭にわにすわっているすべてのユダヤ人ひとの前まえで、その証書しょうしょをマアセヤの子こであるネリヤの子こバルクに与あたえ、32:13 彼かれらの前まえで、わたしはバルクに命めいじて言いった、32:14 『万軍ばんぐんの主しゅ、イスラエルの神かみはこう仰おおせられる、これらの証書しょうしょすなわち、この買収ばいしゅう証書しょうしょの封印ふういんしたものと、封印ふういんのない写うつしとを取とり、これらを土つちの器うつわに入いれて、長ながく保存ほぞんせよ。32:15 万軍ばんぐんの主しゅ、イスラエルの神かみがこう言いわれるからである、「この地ちで人々ひとびとはまた家いえと畑はたけとぶどう畑はたけを買かうようになる」と』。 32:16 わたしは買収ばいしゅう証書しょうしょをネリヤの子こバルクに渡わたしたあとで主しゅに祈いのって言いった、32:17 『ああ主しゅなる神かみよ、あなたは大おおいなる力ちからと、伸のべた腕うでをもって天てんと地ちをお造つくりになったのです。あなたのできないことは、ひとつもありません。32:18 あなたはいつくしみを千万人にんに施ほどこし、また父ちちの罪つみをそののちの子孫しそんに報むくいられるのです。あなたは大おおいなる全能ぜんのうの神かみでいらせられ、その名なは万軍ばんぐんの主しゅと申もうされます。32:19 あなたの計はかりごとは大おおきく、また、事ことを行おこなうのに力ちからがあり、あなたの目めは人々ひとびとの歩あゆむすべての道みちを見みて、おのおのの道みちにしたがい、その行おこないの実みによってこれに報むくいられます。32:20 あなたは、しるしと、不思議ふしぎなわざとをエジプトの地ちに行おこない、また今日こんにちに至いたるまでイスラエルと全ぜん人類じんるいのうちに行おこない、そして今日こんにちのように名なをあげられました。32:21 あなたは、しるしと、不思議ふしぎなわざと、強つよい手てと、伸のべた腕うでと、大おおいなる恐おそるべき事ことをもって、あなたの民たみイスラエルをエジプトの地ちから導みちびき出だし、32:22 この地ちを彼かれらに賜たまわりました。これはあなたが彼かれらの先祖せんぞたちに与あたえようと誓ちかわれた乳ちちと蜜みつの流ながれる地ちです。32:23 こうして彼かれらは、はいってこれを獲えたのですが、あなたの声こえに聞きき従したがわず、あなたの律法りっぽうを行おこなわず、すべてあなたがせよと命めいじられたことをしなかったので、あなたはこの災わざわいを彼かれらの上うえにお下くだしになりました。32:24 見みよ、塁るいが築きずきあげられたのは、この町まちを取とるためです。つるぎと、ききんと、疫病えきびょうのために、町まちはこれを攻せめているカルデヤびとの手てに渡わたされます。あなたの言いわれたようになりましたのは、ごらんのとおりであります。32:25 主しゅなる神かみよ、あなたはわたしに言いわれました、「銀ぎんをもって畑はたけを買かい、証人しょうにんを立たてよ」と。そうであるのに、町まちはカルデヤびとの手てに渡わたされています』」。 32:26 主しゅの言葉ことばがエレミヤに臨のぞんだ、32:27 「見みよ、わたしは主しゅである、すべて命いのちある者ものの神かみである。わたしにできない事ことがあろうか。32:28 それゆえ、主しゅはこう言いわれる、見みよ、わたしはこの町まちをカルデヤびとと、バビロンの王おうネブカデレザルの手てに渡わたす。彼かれはこれを取とる。32:29 この町まちを攻せめているカルデヤびとがきて、この町まちに火ひをつけて焼やき払はらう。屋根やねの上うえで人々ひとびとが、バアルに香こうをたき、ほかの神々かみがみに酒さけをそそいで、わたしを怒いからせたその家いえをも彼かれらは焼やく。32:30 それは、イスラエルの人々ひとびととユダの人々ひとびととは、その若わかい時ときから、わたしの前まえに悪わるいことのみを行おこない、またイスラエルの民たみはその手てのわざをもって、わたしを怒いからせることばかりをしたからであると主しゅは言いわれる。32:31 この町まちはそれが建たった日ひからきょうまで、わたしの怒いかりと憤いきどおりとをひき起おこしてきたので、わたしの前まえからこれを除のぞき去さるのである。32:32 それは、イスラエルの民たみとユダの民たみとが、もろもろの悪あくを行いって、わたしを怒いからせたことによるのである。――彼かれらの王おうたちと、そのつかさたち、祭司さいしたち、預言者よげんしゃたち、またユダの人々ひとびととエルサレムの住民じゅうみんたちが皆みなそうである。32:33 彼かれらはその背中せなかをわたしに向むけて顔かおをわたしに向むけず、わたしがたゆまず教おしえたにもかかわらず、彼かれらは教おしえを聞きかず、またうけないのである。32:34 彼かれらは憎にくむべき物ものを、わが名なをもって呼よばれている家いえにすえつけて、そこを汚けがし、32:35 またベンヒンノムの谷たににバアルの高たかき所ところを築きずいて、むすこ娘むすめをモレクにささげた。わたしは彼かれらにこのようなことを命めいじたことはなく、また彼かれらがこの憎にくむべきことを行いって、ユダに罪つみを犯おかさせようとは考かんがえもしなかった。 32:36 それゆえ今いまイスラエルの神かみ、主しゅは、この町まち、すなわちあなたがたが、『つるぎと、ききんと、疫病えきびょうのためにバビロンの王おうの手てに渡わたされる』といっている町まちについてこう仰おおせられる、32:37 見みよ、わたしは、わたしの怒いかりと憤いきどおりと大おおいなる怒いかりをもって、彼かれらを追おいやったもろもろの国くにから彼かれらを集あつめ、この所ところへ導みちびきかえって、安やすらかに住すまわせる。32:38 そして彼かれらはわたしの民たみとなり、わたしは彼かれらの神かみとなる。32:39 わたしは彼かれらに一つの心こころと一つの道みちを与あたえて常つねにわたしを恐おそれさせる。これは彼かれらが彼かれら自身じしんとその後のちの子孫しそんの幸さいわいを得えるためである。32:40 わたしは彼かれらと永遠えいえんの契約けいやくを立たてて、彼かれらを見捨みすてずに恵めぐみを施ほどこすことを誓ちかい、またわたしを恐おそれる恐おそれを彼かれらの心こころに置おいて、わたしを離はなれることのないようにしよう。32:41 わたしは彼かれらに恵めぐみを施ほどこすことを喜よろこびとし、心こころをつくし、精神せいしんをつくし、真実しんじつをもって彼かれらをこの地ちに植うえる。32:42 主しゅはこう仰おおせられる、わたしがこのもろもろの大おおきな災わざわいをこの民たみに下くだしたように、わたしが彼かれらに約束やくそくするもろもろの幸さいわいを彼かれらの上うえに下くだす。32:43 人々ひとびとはこの地ちに畑はたけを買かうようになる。あなたがたが、『それは荒あれて人ひとも獣けものもいなくなり、カルデヤびとの手てに渡わたされてしまう』といっている地ちである。32:44 人々ひとびとはベニヤミンの地ちと、エルサレムの周囲しゅういと、ユダの町々まちまちと、山地さんちの町々まちまちと、平地へいちの町々まちまちと、ネゲブの町々まちまちで、銀ぎんをもって畑はたけを買かい、証書しょうしょをつくって、これに記名きめいし封印ふういんし、また証人しょうにんを立たてる。それは、わたしが彼かれらを再ふたたび栄さかえさせるからであると主しゅは言いわれる」。 第33章 33:1 エレミヤがなお監視かんしの庭にわに閉とじ込こめられている時とき、主しゅの言葉ことばはふたたび彼かれに臨のぞんだ、33:2 「地ちを造つくられた主しゅ、それを形かたち造つくって堅かたく立たたせられた主しゅ、その名なを主しゅと名なのっておられる者ものがこう仰おおせられる、33:3 わたしに呼よび求もとめよ、そうすれば、わたしはあなたに答こたえる。そしてあなたの知しらない大おおきな隠かくされている事ことを、あなたに示しめす。33:4 イスラエルの神かみ、主しゅは塁るいと、つるぎとを防ふせぐために破壊はかいされたこの町まちの家いえと、ユダの王おうの家いえについてこう言いわれる、33:5 カルデヤびとは来きて戦たたかい、わたしが怒いかりと憤いきどおりをもって殺ころす人々ひとびとの死体したいを、それに満みたす。わたしは人々ひとびとのもろもろの悪あくのために、この町まちにわたしの顔かおをおおい隠かくした。33:6 見みよ、わたしは健康けんこうと、いやしとを、ここにもたらして人々ひとびとをいやし、豊ゆたかな繁栄はんえいと安全あんぜんとを彼かれらに示しめす。33:7 わたしはユダとイスラエルを再ふたたび栄さかえさせ、彼かれらを建たてて、もとのようにする。33:8 わたしは彼かれらがわたしに向むかって犯おかした罪つみのすべてのとがを清きよめ、彼かれらがわたしに向むかって犯おかした罪つみと反逆はんぎゃくのすべてのとがをゆるす。33:9 この町まちは地ちのもろもろの民たみの前まえに、わたしのために喜よろこびの名なとなり、誉ほまれとなり、栄さかえとなる。彼かれらはわたしがわたしの民たみに施ほどこすもろもろの恵めぐみのことを聞きく。そして、わたしがこの町まちに施ほどこすもろもろの恵めぐみと、もろもろの繁栄はんえいのために恐おそれて身みをふるわす。 33:10 主しゅはこう言いわれる、あなたがたが、『それは荒あれて、人ひともおらず獣けものもいない』というこの所ところ、すなわち、荒あれて、人ひともおらず住すむ者ものもなく、獣けものもいないユダの町まちとエルサレムのちまたに、33:11 再ふたたび喜よろこびの声こえ、楽たのしみの声こえ、花婿はなむこの声こえ、花嫁はなよめの声こえ、および 『万軍ばんぐんの主しゅに感謝かんしゃせよ、主しゅは恵めぐみふかく、そのいつくしみは、いつまでも絶たえることがない』といって、感謝かんしゃの供そなえ物ものを主しゅの宮みやに携たずさえてくる者ものの声こえが聞きこえる。それは、わたしがこの地ちを再ふたたび栄さかえさせて初はじめのようにするからであると主しゅは言いわれる。 33:12 万軍ばんぐんの主しゅはこう言いわれる、荒あれて、人ひともおらず獣けものもいないこの所ところと、そのすべての町々まちまちに再ふたたびその群むれを伏ふさせる牧者ぼくしゃのすまいがあるようになる。33:13 山地さんちの町々まちまちと、平地へいちの町々まちまちと、ネゲブの町々まちまちと、ベニヤミンの地ち、エルサレムの周囲しゅういと、ユダの町々まちまちで、群むれは再ふたたびそれを数かぞえる者ものの手ての下したを通とおりすぎると主しゅは言いわれる。 33:14 主しゅは言いわれる、見みよ、わたしがイスラエルの家いえとユダの家いえに約束やくそくしたことをなし遂とげる日ひが来くる。33:15 その日ひ、その時ときになるならば、わたしはダビデのために一つの正ただしい枝えだを生しょうじさせよう。彼かれは公平こうへいと正義せいぎを地ちに行おこなう。33:16 その日ひ、ユダは救すくいを得え、エルサレムは安やすらかにおる。その名なは『主しゅはわれわれの正義せいぎ』ととなえられる。 33:17 主しゅはこう仰おおせられる、イスラエルの家いえの位くらいに座ざする人ひとがダビデの子孫しそんのうちに欠かけることはない。33:18 またわたしの前まえに燔祭はんさいをささげ、素祭そさいを焼やき、つねに犠牲ぎせいをささげる人ひとが、レビびとである祭司さいしのうちに絶たえることはない」。 33:19 主しゅの言葉ことばはエレミヤに臨のぞんだ、33:20 「主しゅはこう仰おおせられる、もしあなたがたが、昼ひると結むすんだわたしの契約けいやくを破やぶり、また夜よると結むすんだわたしの契約けいやくを破やぶり、昼ひると夜よるが定さだめられた時ときに来きないようにすることができるならば、33:21 しもべダビデとわたしが結むすんだ契約けいやくもまた破やぶれ、彼かれはその位くらいに座ざして王おうとなる子こを与あたえられない。またわたしがわたしに仕つかえるレビびとである祭司さいしに立たてた契約けいやくも破やぶれる。33:22 天てんの星ほしは数かぞえることができず、浜はまの砂すなは量はかることができない。そのようにわたしは、しもべダビデの子孫しそんと、わたしに仕つかえるレビびとである祭司さいしの数かずを増まそう」。 33:23 主しゅの言葉ことばはエレミヤに臨のぞんだ、33:24 「あなたはこの民たみが、『主しゅは自みずから選えらんだ二つのやからを捨すてた』といっているのを聞きかないか。彼かれらはこのようにわたしの民たみを侮あなどって、これを国くにとみなさないのである。33:25 主しゅはこう言いわれる、もしわたしが昼ひると夜よるとに契約けいやくを立たてず、また天地てんちのおきてを定さだめなかったのであれば、33:26 わたしは、ヤコブとわたしのしもべダビデとの子孫しそんを捨すてて、再ふたたび彼かれの子孫しそんのうちからアブラハム、イサク、ヤコブの子孫しそんを治おさめる者ものを選えらばない。わたしは彼かれらを再ふたたび栄さかえさせ、彼かれらにあわれみをたれよう」。 第34章 34:1 バビロンの王おうネブカデレザルがその全ぜん軍ぐんと、彼かれに従したがっている地ちのすべての国くにの人々ひとびと、およびもろもろの民たみを率ひきいて、エルサレムとその町々まちまちを攻せめて戦たたかっていた時ときに、主しゅからエレミヤに臨のぞんだ言葉ことば、34:2 「イスラエルの神かみ、主しゅはこう言いわれる、行いってユダの王おうゼデキヤに告つげて言いいなさい、『主しゅはこう言いわれる、見みよ、わたしはこの町まちをバビロンの王おうの手てに渡わたす。彼かれは火ひでこれを焼やく。34:3 あなたはその手てをのがれることはできない、必かならず捕とらえられてその手てに渡わたされる。あなたはまのあたりバビロンの王おうを見み、顔かおと顔かおを合あわせて彼かれと語かたる。それからバビロンへ行いく』。34:4 しかしユダの王おうゼデキヤよ、主しゅの言葉ことばを聞ききなさい。主しゅはあなたの事ことについてこう言いわれる、『あなたはつるぎで死しぬことはない。34:5 あなたは安やすらかに死しぬ。民たみはあなたの先祖せんぞであるあなたの先さきの王おうたちのために香こうをたいたように、あなたのためにも香こうをたき、またあなたのために嘆なげいて「ああ、主君しゅくんよ」と言いう』。わたしがこの言葉ことばをいうのであると主しゅは言いわれる」。 34:6 そこで預言者よげんしゃエレミヤはこの言葉ことばをことごとくエルサレムでユダの王おうゼデキヤに告つげた。34:7 その時ときバビロンの王おうの軍勢ぐんぜいはエルサレム、および残のこっているユダのすべての町まち、すなわちラキシとアゼカを攻せめて戦たたかっていた。それはユダの町々まちまちのうちに、これらの堅固けんごな町まちがなお残のこっていたからである。 34:8 ゼデキヤ王おうがエルサレムにいるすべての民たみと契約けいやくを立たてて、彼かれらに釈放しゃくほうのことを告つげ示しめした後のちに、主しゅからエレミヤに臨のぞんだ言葉ことば。34:9 その契約けいやくはすなわち人ひとがおのおのそのヘブルびとである男女だんじょの奴隷どれいを解放かいほうし、その兄弟きょうだいであるユダヤ人ひとを奴隷どれいとしないことを定さだめたものであった。34:10 この契約けいやくをしたつかさたちと、すべての民たみは人ひとがおのおのその男女だんじょの奴隷どれいを解放かいほうし、再ふたたびこれを奴隷どれいとしないということに聞きき従したがって、これを解放かいほうしたが、34:11 後のちに心こころを翻ひるがえし、解放かいほうした男女だんじょの奴隷どれいをひきかえさせ、再ふたたびこれを従したがわせて奴隷どれいとした。34:12 そこで主しゅの言葉ことばが主しゅからエレミヤに臨のぞんだ、34:13 「イスラエルの神かみ、主しゅはこう言いわれる、わたしはあなたがたの先祖せんぞをエジプトの地ち、その奴隷どれいであった家いえから導みちびき出だした時とき、彼かれらと契約けいやくを立たてて言いった、34:14 『あなたがたの兄弟きょうだいであるヘブルびとで、あなたがたに身みを売うり、六年ねんの間あいだあなたがたに仕つかえた者ものは、六年ねんの終おわりに、あなたがたおのおのがこれを解放かいほうしなければならない。あなたがたは彼かれを解放かいほうして、あなたがたに仕つかえることをやめさせなければならない』。ところがあなたがたの先祖せんぞたちはわたしに聞きき従したがわず、またその耳みみを傾かたむけなかった。34:15 しかしあなたがたは今日こんにち、心こころを改あらため、おのおのその隣となり人びとに釈放しゃくほうのことを告つげ示しめして、わたしの見みて正ただしいとすることを行おこない、かつわたしの名なをもってとなえられる家いえで、わたしの前まえに契約けいやくを立たてた。34:16 ところがあなたがたは再ふたたび心こころを翻ひるがえして、わたしの名なを汚けがし、おのおの男女だんじょの奴隷どれいをその願ねがいのままに解放かいほうしたのをひきかえさせ、再ふたたびこれを従したがわせて、あなたがたの奴隷どれいとした。34:17 それゆえに、主しゅはこう仰おおせられる、あなたがたがわたしに聞きき従したがわず、おのおのその兄弟きょうだいとその隣となりに釈放しゃくほうのことを告つげ示しめさなかったので、見みよ、わたしはあなたがたのために釈放しゃくほうを告つげ示しめして、あなたがたをつるぎと、疫病えきびょうと、ききんとに渡わたすと主しゅは言いわれる。わたしはあなたがたを地ちのもろもろの国くにに忌いみきらわれるものとする。34:18 わたしの契約けいやくを破やぶり、わたしの前まえに立たてた契約けいやくの定さだめに従したがわない人々ひとびとを、わたしは彼かれらが二つに裂さいて、その二つの間あいだを通とおった子こ牛うしのようにする。――34:19 すなわち二つに分わけた子こ牛うしの間あいだを通とおったユダのつかさたち、エルサレムのつかさたちと宦官かんがんと祭司さいしと、この地ちのすべての民たみを、34:20 わたしはその敵てきの手てと、その命いのちを求もとめる者ものの手てに渡わたす。その死体したいは空そらの鳥とりと野のの獣けものの食物しょくもつとなる。34:21 わたしはまたユダの王おうゼデキヤと、そのつかさたちをその敵てきの手て、その命いのちを求もとめる者ものの手て、あなたがたを離はなれて去さったバビロンの王おうの軍勢ぐんぜいの手てに渡わたす。34:22 主しゅは言いわれる、見みよ、わたしは彼かれらに命めいじて、この町まちに引ひきかえしてこさせる。彼かれらはこの町まちを攻せめて戦たたかい、これを取とり、火ひを放はなって焼やき払はらう。わたしはユダの町々まちまちを住すむ人ひとのない荒あれ地ちとする」。 第35章 35:1 ユダの王おうヨシヤの子こエホヤキムの時とき、主しゅからエレミヤに臨のぞんだ言葉ことば。35:2 「レカブびとの家いえに行いって、彼かれらと語かたり、彼かれらを主しゅの宮みやの一室いっしつに連つれてきて、酒さけを飲のませなさい」。35:3 そこでわたしはハバジニヤの子こエレミヤの子こであるヤザニヤと、その兄弟きょうだいと、そのむすこたち、およびレカブびとの全家ぜんかを連つれ、35:4 これを主しゅの宮みやにあるハナンの子こたちの室しつに連つれてきた。ハナンはイグダリヤの子こであって神かみの人ひとであった。その室しつは、つかさたちの室しつの次つぎにあって、門もんを守まもるシャルムの子こマアセヤの室しつの上うえにあった。35:5 わたしはレカブびとの前まえに酒さけを満みたしたつぼと杯さかずきを置おき、彼かれらに、「酒さけを飲のみなさい」と言いったが、35:6 彼かれらは答こたえた、「われわれは酒さけを飲のみません。それは、レカブの子こであるわれわれの先祖せんぞヨナダブがわれわれに命めいじて、『あなたがたとあなたがたの子孫しそんはいつまでも酒さけを飲のんではならない。35:7 また家いえを建たてず、種たねをまかず、またぶどう畑はたけを植うえてはならない。またこれを所有しょゆうしてはならない。あなたがたは生いきながらえる間あいだは幕屋まくやに住すんでいなさい。そうするならば、あなたがたはその宿やどっている地ちに長ながく生いきることができると言いったからです』。35:8 こうしてわれわれは、レカブの子こであるわれわれの先祖せんぞヨナダブがすべて命めいじた言葉ことばに従したがって、われわれも、妻つまも、むすこ娘むすめも生いきながらえる間あいだ、酒さけを飲のまず、35:9 住すむ家いえを建たてず、ぶどう畑はたけも畑はたけも種たねも持もたないで、35:10 幕屋まくやに住すみ、すべてわれわれの先祖せんぞヨナダブがわれわれに命めいじたところに従したがい、そのように行おこないました。35:11 しかしバビロンの王おうネブカデレザルがこの地ちに上のぼってきた時とき、われわれは言いいました、『さあ、われわれはエルサレムへ行いこう。カルデヤびとの軍勢ぐんぜいとスリヤびとの軍勢ぐんぜいが恐おそろしい』と。こうしてわれわれはエルサレムに住すんでいるのです」。 35:12 その時とき、主しゅの言葉ことばがエレミヤに臨のぞんだ、35:13 「万軍ばんぐんの主しゅ、イスラエルの神かみはこう言いわれる、行いって、ユダの人々ひとびととエルサレムに住すむ者ものとに告つげよ。主しゅは仰おおせられる、あなたがたはわたしの言葉ことばを聞きいて教おしえを受うけないのか。35:14 レカブの子こヨナダブがその子孫しそんに酒さけを飲のむなと命めいじた言葉ことばは守まもられてきた。彼かれらは今日こんにちに至いたるまで酒さけを飲のまず、その先祖せんぞの命いのちに従したがってきた。ところがあなたがたはわたしがしきりに語かたったけれども、わたしに聞きき従したがわなかった。35:15 わたしはまた、わたしのしもべである預言者よげんしゃたちを、しきりにあなたがたにつかわして言いわせた、『あなたがたは今いまおのおのその悪わるい道みちを離はなれ、その行おこないを改あらためなさい。ほかの神々かみがみに従したがい仕つかえてはならない。そうすれば、あなたがたはわたしがあなたがたと、あなたがたの先祖せんぞに与あたえたこの地ちに住すむことができる』と。しかしあなたがたは耳みみを傾かたむけず、わたしに聞きかなかった。35:16 レカブの子こヨナダブの子孫しそんは、その先祖せんぞが彼かれらに命めいじた命令めいれいを守まもっているのである。しかしこの民たみはわたしに従したがわなかった。35:17 それゆえ万軍ばんぐんの神かみ、主しゅ、イスラエルの神かみはこう仰おおせられる、見みよ、わたしはユダとエルサレムに住すむ者ものとに、わたしが彼かれらの上うえに宣告せんこくした災わざわいを下くだす。わたしが彼かれらに語かたっても聞きかず、彼かれらを呼よんでも答こたえなかったからである」。 35:18 ところでエレミヤはレカブびとの家いえの人々ひとびとに言いった、「万軍ばんぐんの主しゅ、イスラエルの神かみはこう仰おおせられる、あなたがたは先祖せんぞヨナダブの命いのちに従したがい、そのすべての戒いましめを守まもり、彼かれがあなたがたに命めいじた事ことを行おこなった。35:19 それゆえ、万軍ばんぐんの主しゅ、イスラエルの神かみはこう言いわれる、レカブの子こヨナダブには、わたしの前まえに立たつ人ひとがいつまでも欠かけることはない」。 第36章 36:1 ユダの王おうヨシヤの子こエホヤキムの四年ねんに主しゅからこの言葉ことばがエレミヤに臨のぞんだ、36:2 「あなたは巻物まきものを取とり、わたしがあなたに語かたった日ひ、すなわちヨシヤの日ひから今日こんにちに至いたるまで、イスラエルとユダと万国ばんこくとに関かんしてあなたに語かたったすべての言葉ことばを、それにしるしなさい。36:3 ユダの家いえがわたしの下くだそうとしているすべての災わざわいを聞きいて、おのおのその悪わるい道みちを離はなれて帰かえることもあろう。そうすれば、わたしはそのとがとその罪つみをゆるすかも知しれない」。 36:4 そこでエレミヤはネリヤの子こバルクを呼よんだ。バルクはエレミヤの口述こうじゅつにしたがって、主しゅが彼かれにお告つげになった言葉ことばをことごとく巻物まきものに書かきしるした。36:5 そしてエレミヤはバルクに命めいじて言いった、「わたしは主しゅの宮みやに行いくことを妨さまたげられている。36:6 それで、あなたが行いって、断食だんじきの日ひに主しゅの宮みやで、すべての民たみが聞きいているところで、あなたがわたしの口述こうじゅつにしたがって、巻物まきものに筆記ひっきした主しゅの言葉ことばを読よみなさい。またユダの人々ひとびとがその町々まちまちから来きて聞きいているところで、それを読よみなさい。36:7 彼かれらは主しゅの前まえに祈願きがんをささげ、おのおのその悪わるい道みちを離はなれて帰かえることもあろう。主しゅがこの民たみに対たいして宣告せんこくされた怒いかりと憤いきどおりは大おおきいからである」。36:8 こうしてネリヤの子こバルクはすべて預言者よげんしゃエレミヤが自分じぶんに命めいじたように、主しゅの宮みやで、その巻物まきものに書かかれた主しゅの言葉ことばを読よんだ。 36:9 ユダの王おうヨシヤの子こエホヤキムの五年ねん九月がつ、エルサレムのすべての民たみと、ユダの町々まちまちからエルサレムに来きたすべての民たみとは、主しゅの前まえに断食だんじきを行おこなうべきことを告つげ示しめされた。36:10 バルクは主しゅの宮みやの上うえの庭にわで、主しゅの宮みやの新あたらしい門もんの入口いりぐちのかたわらにある書記しょきシャパンの子こであるゲマリヤのへやで、巻物まきものに書かかれたエレミヤの言葉ことばをすべての民たみに読よみ聞きかせた。 36:11 シャパンの子こであるゲマリヤの子こミカヤはその巻物まきものにある主しゅの言葉ことばをことごとく聞きいて、36:12 王おうの家いえにある書記しょきのへやに下くだって行いくと、もろもろのつかさたち、すなわち書記しょきエリシャマ、シマヤの子こデラヤ、アカボルの子こエルナタン、シャパンの子こゲマリヤ、ハナニヤの子こゼデキヤおよびすべてのつかさたちがそこに座ざしていた。36:13 ミカヤはバルクが民たみに巻物まきものを読よんで聞きかせたとき、自分じぶんの聞きいたすべての言葉ことばを彼かれらに告つげたので、36:14 つかさたちはクシの子こセレミヤの子こであるネタニヤの子こエホデをバルクのもとにつかわして言いわせた、「あなたが民たみに読よみ聞きかせたその巻物まきものを手てに取とって、来きてください」。そこでネリヤの子こバルクは巻物まきものを手てに取とって、彼かれらのもとに来きたので、36:15 彼かれらはバルクに言いった、「座ざしてそれを読よんでください」。バルクはそれを彼かれらに読よみきかせた。36:16 彼かれらはそのすべての言葉ことばを聞きき、恐おそれて互たがいに見みかわし、バルクに言いった、「われわれはこのすべての言葉ことばを、王おうに報告ほうこくしなければならない」。36:17 そしてバルクに尋たずねて言いった、「このすべての言葉ことばを、あなたがどのようにして書かいたのか話はなしてください。彼かれの口述こうじゅつによるのですか」。36:18 バルクは彼かれらに答こたえた、「彼かれがわたしにこのすべての言葉ことばを口述こうじゅつしたので、わたしはそれを墨汁ぼくじゅうで巻物まきものに書かいたのです」。36:19 つかさたちはバルクに言いった、「行いって、エレミヤと一緒いっしょに身みを隠かくしなさい。人ひとに所在しょざいを知しられてはなりません」。 36:20 そこで彼かれらは巻物まきものを書記しょきエリシャマのへやに置おいて庭にわにはいり、王おうのもとへ行いって、このすべての言葉ことばを王おうに告つげたので、36:21 王おうはその巻物まきものを持もってこさせるためにエホデをつかわした。エホデは書記しょきエリシャマのへやから巻物まきものを取とってきて、それを王おうと王おうのかたわらに立たっているすべてのつかさたちに読よみきかせた。36:22 時ときは九月がつであって、王おうは冬ふゆの家いえに座ざしていた。その前まえに炉ろがあって火ひが燃もえていた。36:23 エホデが三段だんか四段だんを読よむと、王おうは小刀こがたなをもってそれを切きり取とり、炉ろの火ひに投なげいれ、ついに巻物まきもの全部ぜんぶを炉ろの火ひで焼やきつくした。36:24 王おうとその家来けらいたちはこのすべての言葉ことばを聞きいても恐おそれず、またその着物きものを裂さくこともしなかった。36:25 エルナタン、デラヤおよびゲマリヤが王おうにその巻物まきものを焼やかないようにと願ねがったときにも彼かれは聞ききいれなかった。36:26 そして王おうは王子おうじエラメルとアヅリエルの子こセラヤとアブデルの子こセレミヤに、書記しょきバルクと預言者よげんしゃエレミヤを捕とらえるようにと命めいじたが、主しゅは彼かれらを隠かくされた。 36:27 バルクがエレミヤの口述こうじゅつにしたがって筆記ひっきした言葉ことばを載のせた巻物まきものを王おうが焼やいた後のち、主しゅの言葉ことばがエレミヤに臨のぞんだ、36:28 「他たの巻物まきものを取とり、ユダの王おうエホヤキムが焼やいた、前まえの巻物まきもののうちにある言葉ことばを皆みなそれに書かきしるしなさい。36:29 またユダの王おうエホヤキムについて言いいなさい、『主しゅはこう仰おおせられる、あなたはこの巻物まきものを焼やいて言いった、「どうしてあなたはこの巻物まきものに、バビロンの王おうが必かならず来きてこの地ちを滅ほろぼし、ここから人ひとと獣けものとを絶たやす、と書かいたのか」と。36:30 それゆえ主しゅはユダの王おうエホヤキムについてこう言いわれる、彼かれの子孫しそんにはダビデの位くらいにすわる者ものがなくなる。また彼かれの死体したいは捨すてられて昼ひるは暑あつさにあい、夜よるは霜しもにあう。36:31 わたしはまた彼かれとその子孫しそんとその家来けらいたちをその罪つみのために罰ばっする。また彼かれらとエルサレムの民たみとユダの人々ひとびとには災わざわいを下くだす。この災わざわいのことについては、すでに語かたったけれども、彼かれらは聞きくことをしなかった』」。 36:32 そこでエレミヤは他たの巻物まきものを取とり、ネリヤの子こ書記しょきバルクに与あたえたので、バルクはユダの王おうエホヤキムが火ひにくべて焼やいた巻物まきもののすべての言葉ことばを、エレミヤの口述こうじゅつにしたがってそれに書かきしるし、また同おなじような言葉ことばを多おおくそれに加くわえた。 第37章 37:1 ヨシヤの子こゼデキヤはエホヤキムの子こコニヤに代かわって王おうとなった。バビロンの王おうネブカデレザルが彼かれをユダの地ちの王おうとしたのである。37:2 彼かれもその家来けらいたちも、その地ちの人々ひとびとも、主しゅが預言者よげんしゃエレミヤによって語かたられた言葉ことばに聞きき従したがわなかった。 37:3 ゼデキヤ王おうはセレミヤの子こユカルと、マアセヤの子こ祭司さいしゼパニヤを預言者よげんしゃエレミヤにつかわして、「われわれのために、われわれの神かみ、主しゅに祈いのってください」と言いわせた。37:4 エレミヤは民たみの中なかに出入でいりしていた。まだ獄屋ごくやに入いれられなかったからである。37:5 パロの軍勢ぐんぜいがエジプトから出でて来きたので、エルサレムを攻せめ囲かこんでいたカルデヤびとはその情報じょうほうを聞きいてエルサレムを退しりぞいた。37:6 その時とき、主しゅの言葉ことばは預言者よげんしゃエレミヤに臨のぞんだ、37:7 「イスラエルの神かみ、主しゅはこう言いわれる、あなたがたをつかわしてわたしに求もとめたユダの王おうにこう言いいなさい、『あなたがたを救すくうために出でてきたパロの軍勢ぐんぜいはその国くにエジプトに帰かえろうとしている。37:8 カルデヤびとが再ふたたび来きてこの町まちを攻せめて戦たたかい、これを取とって火ひで焼やき滅ほろぼす。37:9 主しゅはこう言いわれる、あなたがたは、「カルデヤびとはきっとわれわれを離はなれ去さる」といって自分じぶんを欺あざむいてはならない。彼かれらは去さることはない。37:10 たといあなたがたが自分じぶんを攻せめて戦たたかうカルデヤびとの全ぜん軍ぐんを撃うち破やぶって、その天幕てんまくのうちに負傷ふしょう者もののみを残のこしても、彼かれらは立たち上あがって火ひでこの町まちを焼やき滅ほろぼす』」。 37:11 さてカルデヤびとの軍勢ぐんぜいがパロの軍勢ぐんぜいの来くるのを聞きいてエルサレムを退しりぞいたとき、37:12 エレミヤは、ベニヤミンの地ちで民たみのうちに自分じぶんの分わけ前まえを受うけ取とるため、エルサレムを立たってその地ちへ行いこうと、37:13 ベニヤミンの門もんに着ついたとき、そこにハナニヤの子こセレミヤの子こでイリヤという名なの番兵ばんぺいがいて、預言者よげんしゃエレミヤを捕とらえ、「あなたはカルデヤびとの側がわに脱走だっそうしようとしている」と言いった。37:14 エレミヤは言いった、「それはまちがいだ。わたしはカルデヤびとの側がわに脱走だっそうしようとしていない」。しかしイリヤは聞きかず、エレミヤを捕とらえて、つかさたちのもとへ引ひいて行いった。37:15 つかさたちは怒いかって、エレミヤを打うちたたき、書記しょきヨナタンの家いえの獄屋ごくやにいれた。この家いえが獄屋ごくやになっていたからである。 37:16 エレミヤが地下ちかの獄屋ごくやにはいって、そこに多おおくの日ひを送おくってのち、37:17 ゼデキヤ王おうは人ひとをつかわし、彼かれを連つれてこさせた。王おうは自分じぶんの家いえでひそかに彼かれに尋たずねて言いった、「主しゅから何なにかお言葉ことばがあったか」。エレミヤはあったと答こたえた。そして言いった、「あなたはバビロンの王おうの手てに引ひき渡わたされます」。37:18 エレミヤはまたゼデキヤ王おうに言いった、「わたしが獄屋ごくやにいれられたのは、あなたに、またはあなたの家来けらいに、あるいはこの民たみに、どのような罪つみを犯おかしたからなのですか。37:19 あなたがたに預言よげんして、『バビロンの王おうはあなたがたをも、この地ちをも攻せめにこない』と言いっていたあなたがたの預言者よげんしゃは今いまどこにいるのですか。37:20 王おうなるわが君きみよ、どうぞ今いまお聞ききください。わたしの願ねがいをお聞ききとどけください。わたしを書記しょきヨナタンの家いえへ帰かえらせないでください。そうでないと、わたしはそこで殺ころされるでしょう」。37:21 そこでゼデキヤ王おうは命めいを下くだし、エレミヤを監視かんしの庭にわに入いれさせ、かつ、パンを つくる者ものの町まちから毎日まいにちパン一個こを彼かれに与あたえさせた。これは町まちにパンがなくなるまで続つづいた。こうしてエレミヤは監視かんしの庭にわにいた。 第38章 38:1 マッタンの子こシパテヤ、パシュルの子こゲダリヤ、セレミヤの子こユカル、マルキヤの子こパシュルはエレミヤがすべての民たみに告つげていたその言葉ことばを聞きいた。38:2 彼かれは言いった、「主しゅはこう言いわれる、この町まちにとどまる者ものは、つるぎや、ききんや、疫病えきびょうで死しぬ。しかし出でてカルデヤびとにくだる者ものは死しを免まぬかれる。すなわちその命いのちを自分じぶんのぶんどり物ものとして生いきることができる。38:3 主しゅはこう言いわれる、この町まちは必かならずバビロンの王おうの軍勢ぐんぜいの手てに渡わたされる。彼かれはこれを取とる」。38:4 すると、つかさたちは王おうに言いった、「この人ひとを殺ころしてください。このような言葉ことばをのべて、この町まちに残のこっている兵士へいしの手てと、すべての民たみの手てを弱よわくしているからです。この人ひとは民たみの安泰あんたいを求もとめないで、その災わざわいを求もとめているのです」。38:5 ゼデキヤ王おうは言いった、「見みよ、彼かれはあなたがたの手てにある。王おうはあなたがたに逆さからって何事なにごとをもなし得えない」。38:6 そこで彼かれらはエレミヤを捕とらえ、監視かんしの庭にわにある王子おうじマルキヤの穴あなに投なげ入いれた。すなわち、綱つなをもってエレミヤをつり降おろしたが、その穴あなには水みずがなく、泥どろだけであったので、エレミヤは泥どろの中なかに沈しずんだ。 38:7 王おうの家いえの宦官かんがんエチオピヤびとエベデメレクは、彼かれらがエレミヤを穴あなに投なげ入いれたことを聞きいた。その時とき、王おうはベニヤミンの門もんに座ざしていたので、38:8 エベデメレクは王おうの家いえから出でて行いって王おうに言いった、38:9 「王おうなるわが君きみよ、この人々ひとびとが預言者よげんしゃエレミヤにしたことはみな良よいことではありません。彼かれを穴あなに投なげ入いれました。町まちに食物しょくもつがなくなりましたから、彼かれはそこで餓死がしするでしょう」。38:10 王おうはエチオピヤびとエベデメレクに命めいじて言いった、「ここから三人にんのひとを連つれて行いって、預言者よげんしゃエレミヤを、死しなないうちに穴あなから引ひき上あげなさい」。38:11 そこでエベデメレクはその人々ひとびとを連つれて王おうの家いえの倉くらの衣服いふく室しつに行いき、そこから古ふるい布ぬの切きれや、着きふるした着物きものを取とり、これを穴あなの中なかにいるエレミヤのところへ、綱つなをもってつり降おろした。38:12 そしてエチオピヤびとエベデメレクは、「この布ぬの切きれや着物きものを、あなたのわきの下したにはさんで、綱つなに当あてなさい」とエレミヤに言いった。エレミヤはそのようにした。38:13 すると彼かれらは綱つなをもってエレミヤを穴あなから引ひき上あげた。そしてエレミヤは監視かんしの庭にわにとどまった。 38:14 ゼデキヤ王おうは人ひとをつかわして預言者よげんしゃエレミヤを主しゅの宮みやの第だい三の門もんに連つれてこさせ、王おうはエレミヤに言いった、「あなたに尋たずねたいことがある。何事なにごともわたしに隠かくしてはならない」。38:15 エレミヤはゼデキヤに言いった、「もしわたしがお話はなするなら、あなたは必かならずわたしを殺ころされるではありませんか。たといわたしが忠告ちゅうこくをしても、あなたはお聞ききにならないでしょう」。38:16 その時ときゼデキヤ王おうは、ひそかにエレミヤに誓ちかって言いった、「われわれの魂たましいを造つくられた主しゅは生いきておられる。わたしはあなたを殺ころさない、またあなたの命いのちを求もとめる者ものの手てに、あなたを渡わたすこともしない」。 38:17 そこでエレミヤはゼデキヤに言いった、「万軍ばんぐんの神かみ、イスラエルの神かみ、主しゅはこう仰おおせられる、もしあなたがバビロンの王おうのつかさたちに降伏こうふくするならば、あなたの命いのちは助たすかり、またこの町まちは火ひで焼やかれることなく、あなたも、あなたの家いえの者ものも生いきながらえることができる。38:18 しかし、もしあなたが出でてバビロンの王おうのつかさたちに降伏こうふくしないならば、この町まちはカルデヤびとの手てに渡わたされる。彼かれらは火ひでこれを焼やく。あなたはその手てをのがれることができない」。38:19 ゼデキヤ王おうはエレミヤに言いった、「わたしはカルデヤびとに脱走だっそうしたユダヤ人ひとを恐おそれている。カルデヤびとはわたしを彼かれらの手てに渡わたし、彼かれらはわたしをはずかしめる」。38:20 エレミヤは言いった、「彼かれらはあなたを渡わたさないでしょう。どうか、わたしがあなたに告つげた主しゅの声こえに聞きき従したがってください。そうすれば幸さいわいを得え、また命いのちが助たすかります。38:21 しかし降伏こうふくすることを拒こばむならば、主しゅがわたしに示しめされた幻まぼろしを申もうしましょう。38:22 すなわち、ユダの王おうの家いえに残のこっている女おんなたちは、みなバビロンの王おうのつかさたちの所ところへ引ひいて行いかれます。その女おんなたちは言いうのです、 『あなたの親したしい友ともだちがあなたを欺あざむいた、そしてあなたに勝かった。今いまあなたの足あしは泥どろに沈しずんでいるので、彼かれらはあなたを捨すてて去さる』。38:23 あなたの妻つまたちと子供こどもたちは皆みなカルデヤびとの所ところへひき出だされる。あなた自身じしんもその手てをのがれることができず、バビロンの王おうに捕とらえられる。そしてこの町まちは火ひで焼やかれるでしょう」。 38:24 ゼデキヤはエレミヤに言いった、「これらの言葉ことばを人ひとに知しらせてはならない。そうすればあなたは殺ころされることはない。38:25 わたしがあなたと話はなしをしたことを、つかさたちが聞きいて、彼かれらがあなたの所ところに来きて、『あなたが王おうに話はなしたこと、王おうがあなたに話はなしたことをわれわれに告つげなさい。何事なにごとも隠かくしてはならない。われわれはあなたを殺ころしはしない』と言いうならば、38:26 あなたは彼かれらに、『わたしは王おうに願ねがって、わたしをヨナタンの家いえに送おくり返かえさず、そこで死しぬことのないようにしてくださいと言いった』と答こたえなさい」。38:27 さて、つかさたちは皆みなエレミヤのところへ来きて尋たずねたが、王おうが彼かれに教おしえたように彼かれらに答こたえたので、彼かれらは彼かれと話はなすことをやめた。その会話かいわを聞きいた者ものがなかったからである。38:28 エレミヤはエルサレムの取とられる日ひまで監視かんしの庭にわにとどまっていた。 第39章 39:1 ユダの王おうゼデキヤの九年ねん十月がつ、バビロンの王おうネブカデレザルはその全ぜん軍ぐんを率ひきい、エルサレムに来きてこれを攻せめ囲かこんだが、39:2 ゼデキヤの十一年ねん四月がつ九日かになって町まちの一角いっかくが破やぶれた。39:3 エルサレムが取とられたので、バビロンの王おうのつかさたち、すなわちネルガル・シャレゼル、サムガル・ネボ、ラブサリスのサルセキム、ラブマグのネルガル・シャレゼルおよびバビロンの王おうのその他たのつかさたちは皆みなともに来きて中なかの門もんに座ざした。39:4 ユダの王おうゼデキヤとすべての兵士へいしたちはこれを見みて逃にげ、夜よるのうちに、王おうの庭園ていえんの道みちを通とおって、二つの城壁じょうへきの間あいだの門もんから町まちを出でて、アラバの方ほうへ行いったが、39:5 カルデヤびとの軍勢ぐんぜいはこれを追おって、エリコの平地へいちでゼデキヤに追おいつき、これを捕とらえて、ハマテの地ちリブラにいるバビロンの王おうネブカデレザルのもとに引ひいて行いったので、王おうはそこで彼かれの罪つみをさだめた。39:6 バビロンの王おうはリブラで、ゼデキヤの子こたちを彼かれの目めの前まえで殺ころした。バビロンの王おうはまたユダのすべての貴族きぞくたちを殺ころした。39:7 王おうはまたゼデキヤの目めをつぶさせ、彼かれをバビロンに引ひいて行いくために、鎖くさりにつないだ。39:8 またカルデヤびとは王宮おうきゅうと民家みんかを火ひで焼やき、エルサレムの城壁じょうへきを破壊はかいした。39:9 そして侍衛じえいの長ちょうネブザラダンは町まちのうちに残のこっている民たみと、自分じぶんに降伏こうふくした者もの、およびその他たの残のこっている民たみをバビロンに捕とらえ移うつした。39:10 しかし侍衛じえいの長ちょうネブザラダンは、民たみの貧まずしい無産むさん者ものをユダの地ちに残のこし、同時どうじにぶどう畑はたけと田地でんちをこれに与あたえた。 39:11 さてバビロンの王おうネブカデレザルはエレミヤの事ことについて侍衛じえいの長ちょうネブザラダンに命めいじて言いった、39:12 「彼かれをとり、よく世話せわをせよ。害がいを加くわえることなく、彼かれがあなたに言いうようにしてやりなさい」。39:13 そこで侍衛じえいの長ちょうネブザラダン、ラブサリスのネブシャズバン、ラブマグのネルガル・シャレゼル、およびバビロンの王おうのつかさたちは、39:14 人ひとをつかわして、エレミヤを監視かんしの庭にわから連つれてこさせ、シャパンの子こアヒカムの子こであるゲダリヤに託たくして、家いえにつれて行いかせた。こうして彼かれは民たみのうちにいた。 39:15 エレミヤが監視かんしの庭にわに閉とじこめられていた時とき、主しゅの言葉ことばが彼かれに臨のぞんだ、39:16 「行いって、エチオピヤびとエベデメレクに告つげなさい、『万軍ばんぐんの主しゅ、イスラエルの神かみはこう言いわれる、わたしの言いった災わざわいをわたしはこの町まちに下くだす、幸さいわいをこれに下くだすのではない。その日ひ、この事ことがあなたの目めの前まえで成就じょうじゅする。39:17 主しゅは言いわれる、その日ひわたしはあなたを救すくう。あなたは自分じぶんの恐おそれている人々ひとびとの手てに渡わたされることはない。39:18 わたしが必かならずあなたを救すくい、つるぎに倒たおれることのないようにするからである。あなたの命いのちはあなたのぶんどり物ものとなる。あなたがわたしに寄より頼たよんだからであると主しゅは言いわれる』」。
31:1 「主しゅは言いわれる、その時ときわたしはイスラエルの全部ぜんぶ族ぞくの神かみとなり、彼かれらはわたしの民たみとなる」。
31:2 主しゅはこう言いわれる、「つるぎをのがれて生いき残のこった民たみは、荒野あらので恵めぐみを得えた。イスラエルが安息あんそくを求もとめた時とき、
31:3 主しゅは遠とおくから彼かれに現あらわれた。わたしは限かぎりなき愛あいをもってあなたを愛あいしている。それゆえ、わたしは絶たえずあなたに真実しんじつをつくしてきた。
31:4 イスラエルのおとめよ、再ふたたびわたしはあなたを建たてる、あなたは建たてられる。あなたは再ふたたび鼓つづみをもって身みを飾かざり、出でて行いって、喜よろこび楽たのしむ者ものと共ともに踊おどる。
31:5 またあなたはぶどうの木きをサマリヤの山やまに植うえる。植うえる者ものは、植うえてその実みを食たべることができる。
31:6 見守みまもる者ものがエフライムの山やまの上うえに立たって呼よばわる日ひが来くる。『立たって、シオンに上のぼり、われわれの神かみ、主しゅに、もうでよう』と」。
31:7 主しゅはこう仰おおせられる、「ヤコブのために喜よろこんで声こえ高たかく歌うたい、万国ばんこくのかしらのために叫さけび声ごえをあげよ。告つげ示しめし、ほめたたえて言いえ、『主しゅはその民たみイスラエルの残のこりの者ものを救すくわれた』と。
31:8 見みよ、わたしは彼かれらを北きたの国くにから連つれ帰かえり、彼かれらを地ちの果はてから集あつめる。彼かれらのうちには、盲人もうじんやあしなえ、妊婦にんぷ、産婦さんぷも共ともにいる。彼かれらは大おおきな群むれとなって、ここに帰かえってくる。
31:9 彼かれらは泣なき悲かなしんで帰かえってくる。わたしは慰なぐさめながら彼かれらを導みちびき帰かえる。彼かれらがつまずかないように、まっすぐな道みちにより、水みずの流ながれのそばを通とおらせる。それは、わたしがイスラエルの父ちちであり、エフライムはわたしの長子ちょうしだからである。
31:10 万国ばんこくの民たみよ、あなたがたは主しゅの言葉ことばを聞きき、これを遠とおい、海沿うみぞいの地ちに示しめして言いいなさい、『イスラエルを散ちらした者ものがこれを集あつめられる。牧者ぼくしゃがその群むれを守まもるようにこれを守まもられる』と。
31:11 すなわち主しゅはヤコブをあがない、彼かれらよりも強つよい者ものの手てから彼かれを救すくいだされた。
31:12 彼かれらは来きてシオンの山やまで声こえ高たかく歌うたい、主しゅから賜たまわった良よい物もののために、穀物こくもつと酒さけと油あぶらおよび若わかき羊ひつじと牛うしのために、喜よろこびに輝かがやく。その魂たましいは潤うるおう園そののようになり、彼かれらは重かさねて憂うれえることがない。
31:13 その時ときおとめたちは舞まって楽たのしみ、若わかい者ものも老おいた者ものも共ともに楽たのしむ。わたしは彼かれらの悲かなしみを喜よろこびにかえ、彼かれらを慰なぐさめ、憂うれいの代かわりに喜よろこびを与あたえる。
31:14 わたしは多おおくのささげ物もので、祭司さいしの心こころを飽あかせ、わたしの良よき物もので、わたしの民たみを満みち足たらせると主しゅは言いわれる」。
31:15 主しゅはこう仰おおせられる、「嘆なげき悲かなしみ、いたく泣なく声こえがラマで聞きこえる。ラケルがその子こらのために嘆なげくのである。子こらがもはやいないので、彼女かのじょはその子こらのことで慰なぐさめられるのを願ねがわない」。
31:16 主しゅはこう仰おおせられる、「あなたは泣なく声こえをとどめ、目めから涙なみだをながすことをやめよ。あなたのわざに報むくいがある。彼かれらは敵てきの地ちから帰かえってくると主しゅは言いわれる。
31:17 あなたの将来しょうらいには希望きぼうがあり、あなたの子供こどもたちは自分じぶんの国くにに帰かえってくると主しゅは言いわれる。
31:18 わたしは確たしかに、エフライムがこう言いって嘆なげくの聞きいた、『あなたはわたしを懲こらしめられた、わたしはくびきに慣なれない子こ牛うしのように懲こらしめをうけた。主しゅよ、あなたはわたしの神かみ、主しゅでいらせられる、わたしを連つれ帰かえって、もとにかえしてください。
31:19 わたしはそむき去さった後のち、悔くい、教おしえをうけた後のち、ももを打うった。若わかい時ときのはずかしめが身みにあるので、わたしは恥はじ、うろたえた』。
31:20 主しゅは言いわれる、エフライムはわたしの愛あいする子こ、わたしの喜よろこぶ子こであろうか。わたしは彼かれについて語かたるごとに、なお彼かれを忘わすれることができない。それゆえ、わたしの心こころは彼かれをしたっている。わたしは必かならず彼かれをあわれむ。
31:21 みずからのために道みちしるべを置おき、みずからのために標柱ひょうちゅうを立たてよ。大路おおじに、あなたの通とおって行いった道みちに心こころを留とめよ。イスラエルのおとめよ、帰かえれ、これらの、あなたの町々まちまちに帰かえれ。
31:22 不信ふしんの娘むすめよ、いつまでさまようのか。主しゅは地ちの上うえに新あたらしい事ことを創 そうぞうされたのだ、女おんなが男おとこを保護ほごする事ことである」。
31:23 万軍ばんぐんの主しゅ、イスラエルの神かみはこう言いわれる、「わたしが彼かれらを再ふたたび栄さかえさせる時とき、人々ひとびとはまたユダの地ちとその町々まちまちでこの言葉ことばを言いう、 『正義せいぎのすみかよ、聖せいなる山やまよ、どうか主しゅがおまえを祝福しゅくふくしてくださるように』。
31:24 ユダとそのすべての町まちの人ひと、および農夫のうふと群むれを飼かって歩あるき回まわる者ものは共ともにそこに住すむ。
31:25 わたしが疲つかれた魂たましいを飽あき足たらせ、すべて悩なやんでいる魂たましいを慰なぐさめるからである」。
31:26 ここでわたしは目めをさましたが、わたしの眠ねむりは、ここちよかった。
31:27 「主しゅは言いわれる、見みよ、わたしが人ひとの種たねと獣けものの種たねとをイスラエルの家いえとユダの家いえとにまく日ひが来くる。
31:28 わたしは彼かれらを抜ぬき、砕くだき、倒たおし、滅ほろぼし、悩なやまそうと待まちかまえていたように、また彼かれらを建たて、植うえようと待まちかまえていると主しゅは言いわれる。
31:29 その時とき、彼かれらはもはや、 『父ちちがすっぱいぶどうを食たべたので、子こどもの歯はがうく』とは言いわない。
31:30 人ひとはめいめい自分じぶんの罪つみによって死しぬ。すっぱいぶどうを食たべる人ひとはみな、その歯はがうく。
31:31 主しゅは言いわれる、見みよ、わたしがイスラエルの家いえとユダの家いえとに新あたらしい契約けいやくを立たてる日ひが来くる。
31:32 この契約けいやくはわたしが彼かれらの先祖せんぞをその手てをとってエジプトの地ちから導みちびき出だした日ひに立たてたようなものではない。わたしは彼かれらの夫おっとであったのだが、彼かれらはそのわたしの契約けいやくを破やぶったと主しゅは言いわれる。
31:33 しかし、それらの日ひの後のちにわたしがイスラエルの家いえに立たてる契約けいやくはこれである。すなわちわたしは、わたしの律法りっぽうを彼かれらのうちに置おき、その心こころにしるす。わたしは彼かれらの神かみとなり、彼かれらはわたしの民たみとなると主しゅは言いわれる。
31:34 人ひとはもはや、おのおのその隣となりとその兄弟きょうだいに教おしえて、『あなたは主しゅを知しりなさい』とは言いわない。それは、彼かれらが小しょうより大だいに至いたるまで皆みな、わたしを知しるようになるからであると主しゅは言いわれる。わたしは彼かれらの不義ふぎをゆるし、もはやその罪つみを思おもわない」。
31:35 主しゅはこう言いわれる、すなわち太陽たいようを与あたえて昼ひるの光ひかりとし、月つきと星ほしとを定さだめて夜よるの光ひかりとし、海うみをかき立たてて、その波なみを鳴なりとどろかせる者もの――その名なは万軍ばんぐんの主しゅという。
31:36 主しゅは言いわれる、「もしこの定さだめがわたしの前まえですたれてしまうなら、イスラエルの子孫しそんもすたって、永久えいきゅうにわたしの前まえで民たみであることはできない」。
31:37 主しゅはこう言いわれる、「もし上うえの天てんを量はかることができ、下したの地ちの基もといを探さぐることができるなら、そのとき、わたしはイスラエルのすべての子孫しそんをそのもろもろの行おこないのために捨すて去さると主しゅは言いわれる」。
31:38 主しゅは言いわれる、「見みよ、この町まちが、ハナネルの塔とうから隅すみの門もんまで、主しゅのために再建さいけんされる時ときが来くる。
31:39 測はかりなわはそれよりも遠とおくまっすぐに延のびて、ガレブの丘おかに達たっし、ゴアのほうに向むかう。
31:40 死体したいと灰はいとの谷たにの全部ぜんぶ、またキデロンの谷たにに行いくまでと、東ひがしのほうの馬うまの門もんのすみに行いくまでとのすべての畑はたけはみな主しゅの聖せいなる所ところとなり、永遠えいえんにわたって、ふたたび抜ぬかれ、また倒たおされることはない」。
第32章 32:1 ユダの王おうゼデキヤの十年ねん、すなわちネブカデレザルの十八年ねんに、主しゅの言葉ことばがエレミヤに臨のぞんだ。32:2 その時とき、バビロンの王おうの軍勢ぐんぜいがエルサレムを攻せめ囲かこんでいて、預言者よげんしゃエレミヤはユダの王おうの宮殿きゅうでんにある監視かんしの庭にわのうちに監禁かんきんされていた。32:3 ユダの王おうゼデキヤが彼かれを閉とじ込こめたのであるが、王おうは言いった、「なぜあなたは預言よげんして言いうのか、『主しゅはこう仰おおせられる、見みよ、わたしはこの町まちをバビロンの王おうの手てに渡わたし、彼かれはこれを取とる。32:4 またユダの王おうゼデキヤはカルデヤびとの手てをのがれることなく、かならずバビロンの王おうの手てに渡わたされ、顔かおと顔かおを合あわせて彼かれと語かたり、目めと目めは相あいまみえる。32:5 そして彼かれはゼデキヤをバビロンに引ひいていき、ゼデキヤは、わたしが彼かれを顧かえりみる時ときまで、そこにいると主しゅは言いわれる。あなたがたは、カルデヤびとと戦たたかっても勝かつことはできない』と」。 32:6 エレミヤは言いった、「主しゅの言葉ことばがわたしに臨のぞんで言いわれる、32:7 『見みよ、あなたのおじシャルムの子こハナメルがあなたの所ところに来きて言いう、「アナトテにあるわたしの畑はたけを買かいなさい。それは、これを買かい取とり、あがなう権利けんりがあなたにあるから」と』。32:8 はたして主しゅの言葉ことばのように、わたしのいとこであるハナメルが監視かんしの庭にわのうちにいるわたしの所ところに来きて言いった、『ベニヤミンの地ちのアナトテにあるわたしの畑はたけを買かってください。所有しょゆうするのも、あがなうのも、あなたの権利けんりなのです。買かい取とってあなたの物ものにしてください。これが主しゅの言葉ことばであるのをわたしは知しっていました』。 32:9 そこでわたしは、いとこのハナメルからアナトテにある畑はたけを買かい取とり、銀ぎん十七シケルを量はかって彼かれに支払しはらった。32:10 すなわち、わたしはその証書しょうしょをつくって、これに記名きめいし、それを封印ふういんし、証人しょうにんを立たて、はかりをもって銀ぎんを量はかって与あたえた。32:11 そしてわたしはその約定やくじょうをしるして封印ふういんした買収ばいしゅう証書しょうしょと、封印ふういんのない写うつしとを取とり、32:12 いとこのハナメルと、買収ばいしゅう証書しょうしょに記名きめいした証人しょうにんたち、および監視かんしの庭にわにすわっているすべてのユダヤ人ひとの前まえで、その証書しょうしょをマアセヤの子こであるネリヤの子こバルクに与あたえ、32:13 彼かれらの前まえで、わたしはバルクに命めいじて言いった、32:14 『万軍ばんぐんの主しゅ、イスラエルの神かみはこう仰おおせられる、これらの証書しょうしょすなわち、この買収ばいしゅう証書しょうしょの封印ふういんしたものと、封印ふういんのない写うつしとを取とり、これらを土つちの器うつわに入いれて、長ながく保存ほぞんせよ。32:15 万軍ばんぐんの主しゅ、イスラエルの神かみがこう言いわれるからである、「この地ちで人々ひとびとはまた家いえと畑はたけとぶどう畑はたけを買かうようになる」と』。 32:16 わたしは買収ばいしゅう証書しょうしょをネリヤの子こバルクに渡わたしたあとで主しゅに祈いのって言いった、32:17 『ああ主しゅなる神かみよ、あなたは大おおいなる力ちからと、伸のべた腕うでをもって天てんと地ちをお造つくりになったのです。あなたのできないことは、ひとつもありません。32:18 あなたはいつくしみを千万人にんに施ほどこし、また父ちちの罪つみをそののちの子孫しそんに報むくいられるのです。あなたは大おおいなる全能ぜんのうの神かみでいらせられ、その名なは万軍ばんぐんの主しゅと申もうされます。32:19 あなたの計はかりごとは大おおきく、また、事ことを行おこなうのに力ちからがあり、あなたの目めは人々ひとびとの歩あゆむすべての道みちを見みて、おのおのの道みちにしたがい、その行おこないの実みによってこれに報むくいられます。32:20 あなたは、しるしと、不思議ふしぎなわざとをエジプトの地ちに行おこない、また今日こんにちに至いたるまでイスラエルと全ぜん人類じんるいのうちに行おこない、そして今日こんにちのように名なをあげられました。32:21 あなたは、しるしと、不思議ふしぎなわざと、強つよい手てと、伸のべた腕うでと、大おおいなる恐おそるべき事ことをもって、あなたの民たみイスラエルをエジプトの地ちから導みちびき出だし、32:22 この地ちを彼かれらに賜たまわりました。これはあなたが彼かれらの先祖せんぞたちに与あたえようと誓ちかわれた乳ちちと蜜みつの流ながれる地ちです。32:23 こうして彼かれらは、はいってこれを獲えたのですが、あなたの声こえに聞きき従したがわず、あなたの律法りっぽうを行おこなわず、すべてあなたがせよと命めいじられたことをしなかったので、あなたはこの災わざわいを彼かれらの上うえにお下くだしになりました。32:24 見みよ、塁るいが築きずきあげられたのは、この町まちを取とるためです。つるぎと、ききんと、疫病えきびょうのために、町まちはこれを攻せめているカルデヤびとの手てに渡わたされます。あなたの言いわれたようになりましたのは、ごらんのとおりであります。32:25 主しゅなる神かみよ、あなたはわたしに言いわれました、「銀ぎんをもって畑はたけを買かい、証人しょうにんを立たてよ」と。そうであるのに、町まちはカルデヤびとの手てに渡わたされています』」。 32:26 主しゅの言葉ことばがエレミヤに臨のぞんだ、32:27 「見みよ、わたしは主しゅである、すべて命いのちある者ものの神かみである。わたしにできない事ことがあろうか。32:28 それゆえ、主しゅはこう言いわれる、見みよ、わたしはこの町まちをカルデヤびとと、バビロンの王おうネブカデレザルの手てに渡わたす。彼かれはこれを取とる。32:29 この町まちを攻せめているカルデヤびとがきて、この町まちに火ひをつけて焼やき払はらう。屋根やねの上うえで人々ひとびとが、バアルに香こうをたき、ほかの神々かみがみに酒さけをそそいで、わたしを怒いからせたその家いえをも彼かれらは焼やく。32:30 それは、イスラエルの人々ひとびととユダの人々ひとびととは、その若わかい時ときから、わたしの前まえに悪わるいことのみを行おこない、またイスラエルの民たみはその手てのわざをもって、わたしを怒いからせることばかりをしたからであると主しゅは言いわれる。32:31 この町まちはそれが建たった日ひからきょうまで、わたしの怒いかりと憤いきどおりとをひき起おこしてきたので、わたしの前まえからこれを除のぞき去さるのである。32:32 それは、イスラエルの民たみとユダの民たみとが、もろもろの悪あくを行いって、わたしを怒いからせたことによるのである。――彼かれらの王おうたちと、そのつかさたち、祭司さいしたち、預言者よげんしゃたち、またユダの人々ひとびととエルサレムの住民じゅうみんたちが皆みなそうである。32:33 彼かれらはその背中せなかをわたしに向むけて顔かおをわたしに向むけず、わたしがたゆまず教おしえたにもかかわらず、彼かれらは教おしえを聞きかず、またうけないのである。32:34 彼かれらは憎にくむべき物ものを、わが名なをもって呼よばれている家いえにすえつけて、そこを汚けがし、32:35 またベンヒンノムの谷たににバアルの高たかき所ところを築きずいて、むすこ娘むすめをモレクにささげた。わたしは彼かれらにこのようなことを命めいじたことはなく、また彼かれらがこの憎にくむべきことを行いって、ユダに罪つみを犯おかさせようとは考かんがえもしなかった。 32:36 それゆえ今いまイスラエルの神かみ、主しゅは、この町まち、すなわちあなたがたが、『つるぎと、ききんと、疫病えきびょうのためにバビロンの王おうの手てに渡わたされる』といっている町まちについてこう仰おおせられる、32:37 見みよ、わたしは、わたしの怒いかりと憤いきどおりと大おおいなる怒いかりをもって、彼かれらを追おいやったもろもろの国くにから彼かれらを集あつめ、この所ところへ導みちびきかえって、安やすらかに住すまわせる。32:38 そして彼かれらはわたしの民たみとなり、わたしは彼かれらの神かみとなる。32:39 わたしは彼かれらに一つの心こころと一つの道みちを与あたえて常つねにわたしを恐おそれさせる。これは彼かれらが彼かれら自身じしんとその後のちの子孫しそんの幸さいわいを得えるためである。32:40 わたしは彼かれらと永遠えいえんの契約けいやくを立たてて、彼かれらを見捨みすてずに恵めぐみを施ほどこすことを誓ちかい、またわたしを恐おそれる恐おそれを彼かれらの心こころに置おいて、わたしを離はなれることのないようにしよう。32:41 わたしは彼かれらに恵めぐみを施ほどこすことを喜よろこびとし、心こころをつくし、精神せいしんをつくし、真実しんじつをもって彼かれらをこの地ちに植うえる。32:42 主しゅはこう仰おおせられる、わたしがこのもろもろの大おおきな災わざわいをこの民たみに下くだしたように、わたしが彼かれらに約束やくそくするもろもろの幸さいわいを彼かれらの上うえに下くだす。32:43 人々ひとびとはこの地ちに畑はたけを買かうようになる。あなたがたが、『それは荒あれて人ひとも獣けものもいなくなり、カルデヤびとの手てに渡わたされてしまう』といっている地ちである。32:44 人々ひとびとはベニヤミンの地ちと、エルサレムの周囲しゅういと、ユダの町々まちまちと、山地さんちの町々まちまちと、平地へいちの町々まちまちと、ネゲブの町々まちまちで、銀ぎんをもって畑はたけを買かい、証書しょうしょをつくって、これに記名きめいし封印ふういんし、また証人しょうにんを立たてる。それは、わたしが彼かれらを再ふたたび栄さかえさせるからであると主しゅは言いわれる」。 第33章 33:1 エレミヤがなお監視かんしの庭にわに閉とじ込こめられている時とき、主しゅの言葉ことばはふたたび彼かれに臨のぞんだ、33:2 「地ちを造つくられた主しゅ、それを形かたち造つくって堅かたく立たたせられた主しゅ、その名なを主しゅと名なのっておられる者ものがこう仰おおせられる、33:3 わたしに呼よび求もとめよ、そうすれば、わたしはあなたに答こたえる。そしてあなたの知しらない大おおきな隠かくされている事ことを、あなたに示しめす。33:4 イスラエルの神かみ、主しゅは塁るいと、つるぎとを防ふせぐために破壊はかいされたこの町まちの家いえと、ユダの王おうの家いえについてこう言いわれる、33:5 カルデヤびとは来きて戦たたかい、わたしが怒いかりと憤いきどおりをもって殺ころす人々ひとびとの死体したいを、それに満みたす。わたしは人々ひとびとのもろもろの悪あくのために、この町まちにわたしの顔かおをおおい隠かくした。33:6 見みよ、わたしは健康けんこうと、いやしとを、ここにもたらして人々ひとびとをいやし、豊ゆたかな繁栄はんえいと安全あんぜんとを彼かれらに示しめす。33:7 わたしはユダとイスラエルを再ふたたび栄さかえさせ、彼かれらを建たてて、もとのようにする。33:8 わたしは彼かれらがわたしに向むかって犯おかした罪つみのすべてのとがを清きよめ、彼かれらがわたしに向むかって犯おかした罪つみと反逆はんぎゃくのすべてのとがをゆるす。33:9 この町まちは地ちのもろもろの民たみの前まえに、わたしのために喜よろこびの名なとなり、誉ほまれとなり、栄さかえとなる。彼かれらはわたしがわたしの民たみに施ほどこすもろもろの恵めぐみのことを聞きく。そして、わたしがこの町まちに施ほどこすもろもろの恵めぐみと、もろもろの繁栄はんえいのために恐おそれて身みをふるわす。 33:10 主しゅはこう言いわれる、あなたがたが、『それは荒あれて、人ひともおらず獣けものもいない』というこの所ところ、すなわち、荒あれて、人ひともおらず住すむ者ものもなく、獣けものもいないユダの町まちとエルサレムのちまたに、33:11 再ふたたび喜よろこびの声こえ、楽たのしみの声こえ、花婿はなむこの声こえ、花嫁はなよめの声こえ、および 『万軍ばんぐんの主しゅに感謝かんしゃせよ、主しゅは恵めぐみふかく、そのいつくしみは、いつまでも絶たえることがない』といって、感謝かんしゃの供そなえ物ものを主しゅの宮みやに携たずさえてくる者ものの声こえが聞きこえる。それは、わたしがこの地ちを再ふたたび栄さかえさせて初はじめのようにするからであると主しゅは言いわれる。 33:12 万軍ばんぐんの主しゅはこう言いわれる、荒あれて、人ひともおらず獣けものもいないこの所ところと、そのすべての町々まちまちに再ふたたびその群むれを伏ふさせる牧者ぼくしゃのすまいがあるようになる。33:13 山地さんちの町々まちまちと、平地へいちの町々まちまちと、ネゲブの町々まちまちと、ベニヤミンの地ち、エルサレムの周囲しゅういと、ユダの町々まちまちで、群むれは再ふたたびそれを数かぞえる者ものの手ての下したを通とおりすぎると主しゅは言いわれる。 33:14 主しゅは言いわれる、見みよ、わたしがイスラエルの家いえとユダの家いえに約束やくそくしたことをなし遂とげる日ひが来くる。33:15 その日ひ、その時ときになるならば、わたしはダビデのために一つの正ただしい枝えだを生しょうじさせよう。彼かれは公平こうへいと正義せいぎを地ちに行おこなう。33:16 その日ひ、ユダは救すくいを得え、エルサレムは安やすらかにおる。その名なは『主しゅはわれわれの正義せいぎ』ととなえられる。 33:17 主しゅはこう仰おおせられる、イスラエルの家いえの位くらいに座ざする人ひとがダビデの子孫しそんのうちに欠かけることはない。33:18 またわたしの前まえに燔祭はんさいをささげ、素祭そさいを焼やき、つねに犠牲ぎせいをささげる人ひとが、レビびとである祭司さいしのうちに絶たえることはない」。 33:19 主しゅの言葉ことばはエレミヤに臨のぞんだ、33:20 「主しゅはこう仰おおせられる、もしあなたがたが、昼ひると結むすんだわたしの契約けいやくを破やぶり、また夜よると結むすんだわたしの契約けいやくを破やぶり、昼ひると夜よるが定さだめられた時ときに来きないようにすることができるならば、33:21 しもべダビデとわたしが結むすんだ契約けいやくもまた破やぶれ、彼かれはその位くらいに座ざして王おうとなる子こを与あたえられない。またわたしがわたしに仕つかえるレビびとである祭司さいしに立たてた契約けいやくも破やぶれる。33:22 天てんの星ほしは数かぞえることができず、浜はまの砂すなは量はかることができない。そのようにわたしは、しもべダビデの子孫しそんと、わたしに仕つかえるレビびとである祭司さいしの数かずを増まそう」。 33:23 主しゅの言葉ことばはエレミヤに臨のぞんだ、33:24 「あなたはこの民たみが、『主しゅは自みずから選えらんだ二つのやからを捨すてた』といっているのを聞きかないか。彼かれらはこのようにわたしの民たみを侮あなどって、これを国くにとみなさないのである。33:25 主しゅはこう言いわれる、もしわたしが昼ひると夜よるとに契約けいやくを立たてず、また天地てんちのおきてを定さだめなかったのであれば、33:26 わたしは、ヤコブとわたしのしもべダビデとの子孫しそんを捨すてて、再ふたたび彼かれの子孫しそんのうちからアブラハム、イサク、ヤコブの子孫しそんを治おさめる者ものを選えらばない。わたしは彼かれらを再ふたたび栄さかえさせ、彼かれらにあわれみをたれよう」。 第34章 34:1 バビロンの王おうネブカデレザルがその全ぜん軍ぐんと、彼かれに従したがっている地ちのすべての国くにの人々ひとびと、およびもろもろの民たみを率ひきいて、エルサレムとその町々まちまちを攻せめて戦たたかっていた時ときに、主しゅからエレミヤに臨のぞんだ言葉ことば、34:2 「イスラエルの神かみ、主しゅはこう言いわれる、行いってユダの王おうゼデキヤに告つげて言いいなさい、『主しゅはこう言いわれる、見みよ、わたしはこの町まちをバビロンの王おうの手てに渡わたす。彼かれは火ひでこれを焼やく。34:3 あなたはその手てをのがれることはできない、必かならず捕とらえられてその手てに渡わたされる。あなたはまのあたりバビロンの王おうを見み、顔かおと顔かおを合あわせて彼かれと語かたる。それからバビロンへ行いく』。34:4 しかしユダの王おうゼデキヤよ、主しゅの言葉ことばを聞ききなさい。主しゅはあなたの事ことについてこう言いわれる、『あなたはつるぎで死しぬことはない。34:5 あなたは安やすらかに死しぬ。民たみはあなたの先祖せんぞであるあなたの先さきの王おうたちのために香こうをたいたように、あなたのためにも香こうをたき、またあなたのために嘆なげいて「ああ、主君しゅくんよ」と言いう』。わたしがこの言葉ことばをいうのであると主しゅは言いわれる」。 34:6 そこで預言者よげんしゃエレミヤはこの言葉ことばをことごとくエルサレムでユダの王おうゼデキヤに告つげた。34:7 その時ときバビロンの王おうの軍勢ぐんぜいはエルサレム、および残のこっているユダのすべての町まち、すなわちラキシとアゼカを攻せめて戦たたかっていた。それはユダの町々まちまちのうちに、これらの堅固けんごな町まちがなお残のこっていたからである。 34:8 ゼデキヤ王おうがエルサレムにいるすべての民たみと契約けいやくを立たてて、彼かれらに釈放しゃくほうのことを告つげ示しめした後のちに、主しゅからエレミヤに臨のぞんだ言葉ことば。34:9 その契約けいやくはすなわち人ひとがおのおのそのヘブルびとである男女だんじょの奴隷どれいを解放かいほうし、その兄弟きょうだいであるユダヤ人ひとを奴隷どれいとしないことを定さだめたものであった。34:10 この契約けいやくをしたつかさたちと、すべての民たみは人ひとがおのおのその男女だんじょの奴隷どれいを解放かいほうし、再ふたたびこれを奴隷どれいとしないということに聞きき従したがって、これを解放かいほうしたが、34:11 後のちに心こころを翻ひるがえし、解放かいほうした男女だんじょの奴隷どれいをひきかえさせ、再ふたたびこれを従したがわせて奴隷どれいとした。34:12 そこで主しゅの言葉ことばが主しゅからエレミヤに臨のぞんだ、34:13 「イスラエルの神かみ、主しゅはこう言いわれる、わたしはあなたがたの先祖せんぞをエジプトの地ち、その奴隷どれいであった家いえから導みちびき出だした時とき、彼かれらと契約けいやくを立たてて言いった、34:14 『あなたがたの兄弟きょうだいであるヘブルびとで、あなたがたに身みを売うり、六年ねんの間あいだあなたがたに仕つかえた者ものは、六年ねんの終おわりに、あなたがたおのおのがこれを解放かいほうしなければならない。あなたがたは彼かれを解放かいほうして、あなたがたに仕つかえることをやめさせなければならない』。ところがあなたがたの先祖せんぞたちはわたしに聞きき従したがわず、またその耳みみを傾かたむけなかった。34:15 しかしあなたがたは今日こんにち、心こころを改あらため、おのおのその隣となり人びとに釈放しゃくほうのことを告つげ示しめして、わたしの見みて正ただしいとすることを行おこない、かつわたしの名なをもってとなえられる家いえで、わたしの前まえに契約けいやくを立たてた。34:16 ところがあなたがたは再ふたたび心こころを翻ひるがえして、わたしの名なを汚けがし、おのおの男女だんじょの奴隷どれいをその願ねがいのままに解放かいほうしたのをひきかえさせ、再ふたたびこれを従したがわせて、あなたがたの奴隷どれいとした。34:17 それゆえに、主しゅはこう仰おおせられる、あなたがたがわたしに聞きき従したがわず、おのおのその兄弟きょうだいとその隣となりに釈放しゃくほうのことを告つげ示しめさなかったので、見みよ、わたしはあなたがたのために釈放しゃくほうを告つげ示しめして、あなたがたをつるぎと、疫病えきびょうと、ききんとに渡わたすと主しゅは言いわれる。わたしはあなたがたを地ちのもろもろの国くにに忌いみきらわれるものとする。34:18 わたしの契約けいやくを破やぶり、わたしの前まえに立たてた契約けいやくの定さだめに従したがわない人々ひとびとを、わたしは彼かれらが二つに裂さいて、その二つの間あいだを通とおった子こ牛うしのようにする。――34:19 すなわち二つに分わけた子こ牛うしの間あいだを通とおったユダのつかさたち、エルサレムのつかさたちと宦官かんがんと祭司さいしと、この地ちのすべての民たみを、34:20 わたしはその敵てきの手てと、その命いのちを求もとめる者ものの手てに渡わたす。その死体したいは空そらの鳥とりと野のの獣けものの食物しょくもつとなる。34:21 わたしはまたユダの王おうゼデキヤと、そのつかさたちをその敵てきの手て、その命いのちを求もとめる者ものの手て、あなたがたを離はなれて去さったバビロンの王おうの軍勢ぐんぜいの手てに渡わたす。34:22 主しゅは言いわれる、見みよ、わたしは彼かれらに命めいじて、この町まちに引ひきかえしてこさせる。彼かれらはこの町まちを攻せめて戦たたかい、これを取とり、火ひを放はなって焼やき払はらう。わたしはユダの町々まちまちを住すむ人ひとのない荒あれ地ちとする」。 第35章 35:1 ユダの王おうヨシヤの子こエホヤキムの時とき、主しゅからエレミヤに臨のぞんだ言葉ことば。35:2 「レカブびとの家いえに行いって、彼かれらと語かたり、彼かれらを主しゅの宮みやの一室いっしつに連つれてきて、酒さけを飲のませなさい」。35:3 そこでわたしはハバジニヤの子こエレミヤの子こであるヤザニヤと、その兄弟きょうだいと、そのむすこたち、およびレカブびとの全家ぜんかを連つれ、35:4 これを主しゅの宮みやにあるハナンの子こたちの室しつに連つれてきた。ハナンはイグダリヤの子こであって神かみの人ひとであった。その室しつは、つかさたちの室しつの次つぎにあって、門もんを守まもるシャルムの子こマアセヤの室しつの上うえにあった。35:5 わたしはレカブびとの前まえに酒さけを満みたしたつぼと杯さかずきを置おき、彼かれらに、「酒さけを飲のみなさい」と言いったが、35:6 彼かれらは答こたえた、「われわれは酒さけを飲のみません。それは、レカブの子こであるわれわれの先祖せんぞヨナダブがわれわれに命めいじて、『あなたがたとあなたがたの子孫しそんはいつまでも酒さけを飲のんではならない。35:7 また家いえを建たてず、種たねをまかず、またぶどう畑はたけを植うえてはならない。またこれを所有しょゆうしてはならない。あなたがたは生いきながらえる間あいだは幕屋まくやに住すんでいなさい。そうするならば、あなたがたはその宿やどっている地ちに長ながく生いきることができると言いったからです』。35:8 こうしてわれわれは、レカブの子こであるわれわれの先祖せんぞヨナダブがすべて命めいじた言葉ことばに従したがって、われわれも、妻つまも、むすこ娘むすめも生いきながらえる間あいだ、酒さけを飲のまず、35:9 住すむ家いえを建たてず、ぶどう畑はたけも畑はたけも種たねも持もたないで、35:10 幕屋まくやに住すみ、すべてわれわれの先祖せんぞヨナダブがわれわれに命めいじたところに従したがい、そのように行おこないました。35:11 しかしバビロンの王おうネブカデレザルがこの地ちに上のぼってきた時とき、われわれは言いいました、『さあ、われわれはエルサレムへ行いこう。カルデヤびとの軍勢ぐんぜいとスリヤびとの軍勢ぐんぜいが恐おそろしい』と。こうしてわれわれはエルサレムに住すんでいるのです」。 35:12 その時とき、主しゅの言葉ことばがエレミヤに臨のぞんだ、35:13 「万軍ばんぐんの主しゅ、イスラエルの神かみはこう言いわれる、行いって、ユダの人々ひとびととエルサレムに住すむ者ものとに告つげよ。主しゅは仰おおせられる、あなたがたはわたしの言葉ことばを聞きいて教おしえを受うけないのか。35:14 レカブの子こヨナダブがその子孫しそんに酒さけを飲のむなと命めいじた言葉ことばは守まもられてきた。彼かれらは今日こんにちに至いたるまで酒さけを飲のまず、その先祖せんぞの命いのちに従したがってきた。ところがあなたがたはわたしがしきりに語かたったけれども、わたしに聞きき従したがわなかった。35:15 わたしはまた、わたしのしもべである預言者よげんしゃたちを、しきりにあなたがたにつかわして言いわせた、『あなたがたは今いまおのおのその悪わるい道みちを離はなれ、その行おこないを改あらためなさい。ほかの神々かみがみに従したがい仕つかえてはならない。そうすれば、あなたがたはわたしがあなたがたと、あなたがたの先祖せんぞに与あたえたこの地ちに住すむことができる』と。しかしあなたがたは耳みみを傾かたむけず、わたしに聞きかなかった。35:16 レカブの子こヨナダブの子孫しそんは、その先祖せんぞが彼かれらに命めいじた命令めいれいを守まもっているのである。しかしこの民たみはわたしに従したがわなかった。35:17 それゆえ万軍ばんぐんの神かみ、主しゅ、イスラエルの神かみはこう仰おおせられる、見みよ、わたしはユダとエルサレムに住すむ者ものとに、わたしが彼かれらの上うえに宣告せんこくした災わざわいを下くだす。わたしが彼かれらに語かたっても聞きかず、彼かれらを呼よんでも答こたえなかったからである」。 35:18 ところでエレミヤはレカブびとの家いえの人々ひとびとに言いった、「万軍ばんぐんの主しゅ、イスラエルの神かみはこう仰おおせられる、あなたがたは先祖せんぞヨナダブの命いのちに従したがい、そのすべての戒いましめを守まもり、彼かれがあなたがたに命めいじた事ことを行おこなった。35:19 それゆえ、万軍ばんぐんの主しゅ、イスラエルの神かみはこう言いわれる、レカブの子こヨナダブには、わたしの前まえに立たつ人ひとがいつまでも欠かけることはない」。 第36章 36:1 ユダの王おうヨシヤの子こエホヤキムの四年ねんに主しゅからこの言葉ことばがエレミヤに臨のぞんだ、36:2 「あなたは巻物まきものを取とり、わたしがあなたに語かたった日ひ、すなわちヨシヤの日ひから今日こんにちに至いたるまで、イスラエルとユダと万国ばんこくとに関かんしてあなたに語かたったすべての言葉ことばを、それにしるしなさい。36:3 ユダの家いえがわたしの下くだそうとしているすべての災わざわいを聞きいて、おのおのその悪わるい道みちを離はなれて帰かえることもあろう。そうすれば、わたしはそのとがとその罪つみをゆるすかも知しれない」。 36:4 そこでエレミヤはネリヤの子こバルクを呼よんだ。バルクはエレミヤの口述こうじゅつにしたがって、主しゅが彼かれにお告つげになった言葉ことばをことごとく巻物まきものに書かきしるした。36:5 そしてエレミヤはバルクに命めいじて言いった、「わたしは主しゅの宮みやに行いくことを妨さまたげられている。36:6 それで、あなたが行いって、断食だんじきの日ひに主しゅの宮みやで、すべての民たみが聞きいているところで、あなたがわたしの口述こうじゅつにしたがって、巻物まきものに筆記ひっきした主しゅの言葉ことばを読よみなさい。またユダの人々ひとびとがその町々まちまちから来きて聞きいているところで、それを読よみなさい。36:7 彼かれらは主しゅの前まえに祈願きがんをささげ、おのおのその悪わるい道みちを離はなれて帰かえることもあろう。主しゅがこの民たみに対たいして宣告せんこくされた怒いかりと憤いきどおりは大おおきいからである」。36:8 こうしてネリヤの子こバルクはすべて預言者よげんしゃエレミヤが自分じぶんに命めいじたように、主しゅの宮みやで、その巻物まきものに書かかれた主しゅの言葉ことばを読よんだ。 36:9 ユダの王おうヨシヤの子こエホヤキムの五年ねん九月がつ、エルサレムのすべての民たみと、ユダの町々まちまちからエルサレムに来きたすべての民たみとは、主しゅの前まえに断食だんじきを行おこなうべきことを告つげ示しめされた。36:10 バルクは主しゅの宮みやの上うえの庭にわで、主しゅの宮みやの新あたらしい門もんの入口いりぐちのかたわらにある書記しょきシャパンの子こであるゲマリヤのへやで、巻物まきものに書かかれたエレミヤの言葉ことばをすべての民たみに読よみ聞きかせた。 36:11 シャパンの子こであるゲマリヤの子こミカヤはその巻物まきものにある主しゅの言葉ことばをことごとく聞きいて、36:12 王おうの家いえにある書記しょきのへやに下くだって行いくと、もろもろのつかさたち、すなわち書記しょきエリシャマ、シマヤの子こデラヤ、アカボルの子こエルナタン、シャパンの子こゲマリヤ、ハナニヤの子こゼデキヤおよびすべてのつかさたちがそこに座ざしていた。36:13 ミカヤはバルクが民たみに巻物まきものを読よんで聞きかせたとき、自分じぶんの聞きいたすべての言葉ことばを彼かれらに告つげたので、36:14 つかさたちはクシの子こセレミヤの子こであるネタニヤの子こエホデをバルクのもとにつかわして言いわせた、「あなたが民たみに読よみ聞きかせたその巻物まきものを手てに取とって、来きてください」。そこでネリヤの子こバルクは巻物まきものを手てに取とって、彼かれらのもとに来きたので、36:15 彼かれらはバルクに言いった、「座ざしてそれを読よんでください」。バルクはそれを彼かれらに読よみきかせた。36:16 彼かれらはそのすべての言葉ことばを聞きき、恐おそれて互たがいに見みかわし、バルクに言いった、「われわれはこのすべての言葉ことばを、王おうに報告ほうこくしなければならない」。36:17 そしてバルクに尋たずねて言いった、「このすべての言葉ことばを、あなたがどのようにして書かいたのか話はなしてください。彼かれの口述こうじゅつによるのですか」。36:18 バルクは彼かれらに答こたえた、「彼かれがわたしにこのすべての言葉ことばを口述こうじゅつしたので、わたしはそれを墨汁ぼくじゅうで巻物まきものに書かいたのです」。36:19 つかさたちはバルクに言いった、「行いって、エレミヤと一緒いっしょに身みを隠かくしなさい。人ひとに所在しょざいを知しられてはなりません」。 36:20 そこで彼かれらは巻物まきものを書記しょきエリシャマのへやに置おいて庭にわにはいり、王おうのもとへ行いって、このすべての言葉ことばを王おうに告つげたので、36:21 王おうはその巻物まきものを持もってこさせるためにエホデをつかわした。エホデは書記しょきエリシャマのへやから巻物まきものを取とってきて、それを王おうと王おうのかたわらに立たっているすべてのつかさたちに読よみきかせた。36:22 時ときは九月がつであって、王おうは冬ふゆの家いえに座ざしていた。その前まえに炉ろがあって火ひが燃もえていた。36:23 エホデが三段だんか四段だんを読よむと、王おうは小刀こがたなをもってそれを切きり取とり、炉ろの火ひに投なげいれ、ついに巻物まきもの全部ぜんぶを炉ろの火ひで焼やきつくした。36:24 王おうとその家来けらいたちはこのすべての言葉ことばを聞きいても恐おそれず、またその着物きものを裂さくこともしなかった。36:25 エルナタン、デラヤおよびゲマリヤが王おうにその巻物まきものを焼やかないようにと願ねがったときにも彼かれは聞ききいれなかった。36:26 そして王おうは王子おうじエラメルとアヅリエルの子こセラヤとアブデルの子こセレミヤに、書記しょきバルクと預言者よげんしゃエレミヤを捕とらえるようにと命めいじたが、主しゅは彼かれらを隠かくされた。 36:27 バルクがエレミヤの口述こうじゅつにしたがって筆記ひっきした言葉ことばを載のせた巻物まきものを王おうが焼やいた後のち、主しゅの言葉ことばがエレミヤに臨のぞんだ、36:28 「他たの巻物まきものを取とり、ユダの王おうエホヤキムが焼やいた、前まえの巻物まきもののうちにある言葉ことばを皆みなそれに書かきしるしなさい。36:29 またユダの王おうエホヤキムについて言いいなさい、『主しゅはこう仰おおせられる、あなたはこの巻物まきものを焼やいて言いった、「どうしてあなたはこの巻物まきものに、バビロンの王おうが必かならず来きてこの地ちを滅ほろぼし、ここから人ひとと獣けものとを絶たやす、と書かいたのか」と。36:30 それゆえ主しゅはユダの王おうエホヤキムについてこう言いわれる、彼かれの子孫しそんにはダビデの位くらいにすわる者ものがなくなる。また彼かれの死体したいは捨すてられて昼ひるは暑あつさにあい、夜よるは霜しもにあう。36:31 わたしはまた彼かれとその子孫しそんとその家来けらいたちをその罪つみのために罰ばっする。また彼かれらとエルサレムの民たみとユダの人々ひとびとには災わざわいを下くだす。この災わざわいのことについては、すでに語かたったけれども、彼かれらは聞きくことをしなかった』」。 36:32 そこでエレミヤは他たの巻物まきものを取とり、ネリヤの子こ書記しょきバルクに与あたえたので、バルクはユダの王おうエホヤキムが火ひにくべて焼やいた巻物まきもののすべての言葉ことばを、エレミヤの口述こうじゅつにしたがってそれに書かきしるし、また同おなじような言葉ことばを多おおくそれに加くわえた。 第37章 37:1 ヨシヤの子こゼデキヤはエホヤキムの子こコニヤに代かわって王おうとなった。バビロンの王おうネブカデレザルが彼かれをユダの地ちの王おうとしたのである。37:2 彼かれもその家来けらいたちも、その地ちの人々ひとびとも、主しゅが預言者よげんしゃエレミヤによって語かたられた言葉ことばに聞きき従したがわなかった。 37:3 ゼデキヤ王おうはセレミヤの子こユカルと、マアセヤの子こ祭司さいしゼパニヤを預言者よげんしゃエレミヤにつかわして、「われわれのために、われわれの神かみ、主しゅに祈いのってください」と言いわせた。37:4 エレミヤは民たみの中なかに出入でいりしていた。まだ獄屋ごくやに入いれられなかったからである。37:5 パロの軍勢ぐんぜいがエジプトから出でて来きたので、エルサレムを攻せめ囲かこんでいたカルデヤびとはその情報じょうほうを聞きいてエルサレムを退しりぞいた。37:6 その時とき、主しゅの言葉ことばは預言者よげんしゃエレミヤに臨のぞんだ、37:7 「イスラエルの神かみ、主しゅはこう言いわれる、あなたがたをつかわしてわたしに求もとめたユダの王おうにこう言いいなさい、『あなたがたを救すくうために出でてきたパロの軍勢ぐんぜいはその国くにエジプトに帰かえろうとしている。37:8 カルデヤびとが再ふたたび来きてこの町まちを攻せめて戦たたかい、これを取とって火ひで焼やき滅ほろぼす。37:9 主しゅはこう言いわれる、あなたがたは、「カルデヤびとはきっとわれわれを離はなれ去さる」といって自分じぶんを欺あざむいてはならない。彼かれらは去さることはない。37:10 たといあなたがたが自分じぶんを攻せめて戦たたかうカルデヤびとの全ぜん軍ぐんを撃うち破やぶって、その天幕てんまくのうちに負傷ふしょう者もののみを残のこしても、彼かれらは立たち上あがって火ひでこの町まちを焼やき滅ほろぼす』」。 37:11 さてカルデヤびとの軍勢ぐんぜいがパロの軍勢ぐんぜいの来くるのを聞きいてエルサレムを退しりぞいたとき、37:12 エレミヤは、ベニヤミンの地ちで民たみのうちに自分じぶんの分わけ前まえを受うけ取とるため、エルサレムを立たってその地ちへ行いこうと、37:13 ベニヤミンの門もんに着ついたとき、そこにハナニヤの子こセレミヤの子こでイリヤという名なの番兵ばんぺいがいて、預言者よげんしゃエレミヤを捕とらえ、「あなたはカルデヤびとの側がわに脱走だっそうしようとしている」と言いった。37:14 エレミヤは言いった、「それはまちがいだ。わたしはカルデヤびとの側がわに脱走だっそうしようとしていない」。しかしイリヤは聞きかず、エレミヤを捕とらえて、つかさたちのもとへ引ひいて行いった。37:15 つかさたちは怒いかって、エレミヤを打うちたたき、書記しょきヨナタンの家いえの獄屋ごくやにいれた。この家いえが獄屋ごくやになっていたからである。 37:16 エレミヤが地下ちかの獄屋ごくやにはいって、そこに多おおくの日ひを送おくってのち、37:17 ゼデキヤ王おうは人ひとをつかわし、彼かれを連つれてこさせた。王おうは自分じぶんの家いえでひそかに彼かれに尋たずねて言いった、「主しゅから何なにかお言葉ことばがあったか」。エレミヤはあったと答こたえた。そして言いった、「あなたはバビロンの王おうの手てに引ひき渡わたされます」。37:18 エレミヤはまたゼデキヤ王おうに言いった、「わたしが獄屋ごくやにいれられたのは、あなたに、またはあなたの家来けらいに、あるいはこの民たみに、どのような罪つみを犯おかしたからなのですか。37:19 あなたがたに預言よげんして、『バビロンの王おうはあなたがたをも、この地ちをも攻せめにこない』と言いっていたあなたがたの預言者よげんしゃは今いまどこにいるのですか。37:20 王おうなるわが君きみよ、どうぞ今いまお聞ききください。わたしの願ねがいをお聞ききとどけください。わたしを書記しょきヨナタンの家いえへ帰かえらせないでください。そうでないと、わたしはそこで殺ころされるでしょう」。37:21 そこでゼデキヤ王おうは命めいを下くだし、エレミヤを監視かんしの庭にわに入いれさせ、かつ、パンを つくる者ものの町まちから毎日まいにちパン一個こを彼かれに与あたえさせた。これは町まちにパンがなくなるまで続つづいた。こうしてエレミヤは監視かんしの庭にわにいた。 第38章 38:1 マッタンの子こシパテヤ、パシュルの子こゲダリヤ、セレミヤの子こユカル、マルキヤの子こパシュルはエレミヤがすべての民たみに告つげていたその言葉ことばを聞きいた。38:2 彼かれは言いった、「主しゅはこう言いわれる、この町まちにとどまる者ものは、つるぎや、ききんや、疫病えきびょうで死しぬ。しかし出でてカルデヤびとにくだる者ものは死しを免まぬかれる。すなわちその命いのちを自分じぶんのぶんどり物ものとして生いきることができる。38:3 主しゅはこう言いわれる、この町まちは必かならずバビロンの王おうの軍勢ぐんぜいの手てに渡わたされる。彼かれはこれを取とる」。38:4 すると、つかさたちは王おうに言いった、「この人ひとを殺ころしてください。このような言葉ことばをのべて、この町まちに残のこっている兵士へいしの手てと、すべての民たみの手てを弱よわくしているからです。この人ひとは民たみの安泰あんたいを求もとめないで、その災わざわいを求もとめているのです」。38:5 ゼデキヤ王おうは言いった、「見みよ、彼かれはあなたがたの手てにある。王おうはあなたがたに逆さからって何事なにごとをもなし得えない」。38:6 そこで彼かれらはエレミヤを捕とらえ、監視かんしの庭にわにある王子おうじマルキヤの穴あなに投なげ入いれた。すなわち、綱つなをもってエレミヤをつり降おろしたが、その穴あなには水みずがなく、泥どろだけであったので、エレミヤは泥どろの中なかに沈しずんだ。 38:7 王おうの家いえの宦官かんがんエチオピヤびとエベデメレクは、彼かれらがエレミヤを穴あなに投なげ入いれたことを聞きいた。その時とき、王おうはベニヤミンの門もんに座ざしていたので、38:8 エベデメレクは王おうの家いえから出でて行いって王おうに言いった、38:9 「王おうなるわが君きみよ、この人々ひとびとが預言者よげんしゃエレミヤにしたことはみな良よいことではありません。彼かれを穴あなに投なげ入いれました。町まちに食物しょくもつがなくなりましたから、彼かれはそこで餓死がしするでしょう」。38:10 王おうはエチオピヤびとエベデメレクに命めいじて言いった、「ここから三人にんのひとを連つれて行いって、預言者よげんしゃエレミヤを、死しなないうちに穴あなから引ひき上あげなさい」。38:11 そこでエベデメレクはその人々ひとびとを連つれて王おうの家いえの倉くらの衣服いふく室しつに行いき、そこから古ふるい布ぬの切きれや、着きふるした着物きものを取とり、これを穴あなの中なかにいるエレミヤのところへ、綱つなをもってつり降おろした。38:12 そしてエチオピヤびとエベデメレクは、「この布ぬの切きれや着物きものを、あなたのわきの下したにはさんで、綱つなに当あてなさい」とエレミヤに言いった。エレミヤはそのようにした。38:13 すると彼かれらは綱つなをもってエレミヤを穴あなから引ひき上あげた。そしてエレミヤは監視かんしの庭にわにとどまった。 38:14 ゼデキヤ王おうは人ひとをつかわして預言者よげんしゃエレミヤを主しゅの宮みやの第だい三の門もんに連つれてこさせ、王おうはエレミヤに言いった、「あなたに尋たずねたいことがある。何事なにごともわたしに隠かくしてはならない」。38:15 エレミヤはゼデキヤに言いった、「もしわたしがお話はなするなら、あなたは必かならずわたしを殺ころされるではありませんか。たといわたしが忠告ちゅうこくをしても、あなたはお聞ききにならないでしょう」。38:16 その時ときゼデキヤ王おうは、ひそかにエレミヤに誓ちかって言いった、「われわれの魂たましいを造つくられた主しゅは生いきておられる。わたしはあなたを殺ころさない、またあなたの命いのちを求もとめる者ものの手てに、あなたを渡わたすこともしない」。 38:17 そこでエレミヤはゼデキヤに言いった、「万軍ばんぐんの神かみ、イスラエルの神かみ、主しゅはこう仰おおせられる、もしあなたがバビロンの王おうのつかさたちに降伏こうふくするならば、あなたの命いのちは助たすかり、またこの町まちは火ひで焼やかれることなく、あなたも、あなたの家いえの者ものも生いきながらえることができる。38:18 しかし、もしあなたが出でてバビロンの王おうのつかさたちに降伏こうふくしないならば、この町まちはカルデヤびとの手てに渡わたされる。彼かれらは火ひでこれを焼やく。あなたはその手てをのがれることができない」。38:19 ゼデキヤ王おうはエレミヤに言いった、「わたしはカルデヤびとに脱走だっそうしたユダヤ人ひとを恐おそれている。カルデヤびとはわたしを彼かれらの手てに渡わたし、彼かれらはわたしをはずかしめる」。38:20 エレミヤは言いった、「彼かれらはあなたを渡わたさないでしょう。どうか、わたしがあなたに告つげた主しゅの声こえに聞きき従したがってください。そうすれば幸さいわいを得え、また命いのちが助たすかります。38:21 しかし降伏こうふくすることを拒こばむならば、主しゅがわたしに示しめされた幻まぼろしを申もうしましょう。38:22 すなわち、ユダの王おうの家いえに残のこっている女おんなたちは、みなバビロンの王おうのつかさたちの所ところへ引ひいて行いかれます。その女おんなたちは言いうのです、 『あなたの親したしい友ともだちがあなたを欺あざむいた、そしてあなたに勝かった。今いまあなたの足あしは泥どろに沈しずんでいるので、彼かれらはあなたを捨すてて去さる』。38:23 あなたの妻つまたちと子供こどもたちは皆みなカルデヤびとの所ところへひき出だされる。あなた自身じしんもその手てをのがれることができず、バビロンの王おうに捕とらえられる。そしてこの町まちは火ひで焼やかれるでしょう」。 38:24 ゼデキヤはエレミヤに言いった、「これらの言葉ことばを人ひとに知しらせてはならない。そうすればあなたは殺ころされることはない。38:25 わたしがあなたと話はなしをしたことを、つかさたちが聞きいて、彼かれらがあなたの所ところに来きて、『あなたが王おうに話はなしたこと、王おうがあなたに話はなしたことをわれわれに告つげなさい。何事なにごとも隠かくしてはならない。われわれはあなたを殺ころしはしない』と言いうならば、38:26 あなたは彼かれらに、『わたしは王おうに願ねがって、わたしをヨナタンの家いえに送おくり返かえさず、そこで死しぬことのないようにしてくださいと言いった』と答こたえなさい」。38:27 さて、つかさたちは皆みなエレミヤのところへ来きて尋たずねたが、王おうが彼かれに教おしえたように彼かれらに答こたえたので、彼かれらは彼かれと話はなすことをやめた。その会話かいわを聞きいた者ものがなかったからである。38:28 エレミヤはエルサレムの取とられる日ひまで監視かんしの庭にわにとどまっていた。 第39章 39:1 ユダの王おうゼデキヤの九年ねん十月がつ、バビロンの王おうネブカデレザルはその全ぜん軍ぐんを率ひきい、エルサレムに来きてこれを攻せめ囲かこんだが、39:2 ゼデキヤの十一年ねん四月がつ九日かになって町まちの一角いっかくが破やぶれた。39:3 エルサレムが取とられたので、バビロンの王おうのつかさたち、すなわちネルガル・シャレゼル、サムガル・ネボ、ラブサリスのサルセキム、ラブマグのネルガル・シャレゼルおよびバビロンの王おうのその他たのつかさたちは皆みなともに来きて中なかの門もんに座ざした。39:4 ユダの王おうゼデキヤとすべての兵士へいしたちはこれを見みて逃にげ、夜よるのうちに、王おうの庭園ていえんの道みちを通とおって、二つの城壁じょうへきの間あいだの門もんから町まちを出でて、アラバの方ほうへ行いったが、39:5 カルデヤびとの軍勢ぐんぜいはこれを追おって、エリコの平地へいちでゼデキヤに追おいつき、これを捕とらえて、ハマテの地ちリブラにいるバビロンの王おうネブカデレザルのもとに引ひいて行いったので、王おうはそこで彼かれの罪つみをさだめた。39:6 バビロンの王おうはリブラで、ゼデキヤの子こたちを彼かれの目めの前まえで殺ころした。バビロンの王おうはまたユダのすべての貴族きぞくたちを殺ころした。39:7 王おうはまたゼデキヤの目めをつぶさせ、彼かれをバビロンに引ひいて行いくために、鎖くさりにつないだ。39:8 またカルデヤびとは王宮おうきゅうと民家みんかを火ひで焼やき、エルサレムの城壁じょうへきを破壊はかいした。39:9 そして侍衛じえいの長ちょうネブザラダンは町まちのうちに残のこっている民たみと、自分じぶんに降伏こうふくした者もの、およびその他たの残のこっている民たみをバビロンに捕とらえ移うつした。39:10 しかし侍衛じえいの長ちょうネブザラダンは、民たみの貧まずしい無産むさん者ものをユダの地ちに残のこし、同時どうじにぶどう畑はたけと田地でんちをこれに与あたえた。 39:11 さてバビロンの王おうネブカデレザルはエレミヤの事ことについて侍衛じえいの長ちょうネブザラダンに命めいじて言いった、39:12 「彼かれをとり、よく世話せわをせよ。害がいを加くわえることなく、彼かれがあなたに言いうようにしてやりなさい」。39:13 そこで侍衛じえいの長ちょうネブザラダン、ラブサリスのネブシャズバン、ラブマグのネルガル・シャレゼル、およびバビロンの王おうのつかさたちは、39:14 人ひとをつかわして、エレミヤを監視かんしの庭にわから連つれてこさせ、シャパンの子こアヒカムの子こであるゲダリヤに託たくして、家いえにつれて行いかせた。こうして彼かれは民たみのうちにいた。 39:15 エレミヤが監視かんしの庭にわに閉とじこめられていた時とき、主しゅの言葉ことばが彼かれに臨のぞんだ、39:16 「行いって、エチオピヤびとエベデメレクに告つげなさい、『万軍ばんぐんの主しゅ、イスラエルの神かみはこう言いわれる、わたしの言いった災わざわいをわたしはこの町まちに下くだす、幸さいわいをこれに下くだすのではない。その日ひ、この事ことがあなたの目めの前まえで成就じょうじゅする。39:17 主しゅは言いわれる、その日ひわたしはあなたを救すくう。あなたは自分じぶんの恐おそれている人々ひとびとの手てに渡わたされることはない。39:18 わたしが必かならずあなたを救すくい、つるぎに倒たおれることのないようにするからである。あなたの命いのちはあなたのぶんどり物ものとなる。あなたがわたしに寄より頼たよんだからであると主しゅは言いわれる』」。
32:1 ユダの王おうゼデキヤの十年ねん、すなわちネブカデレザルの十八年ねんに、主しゅの言葉ことばがエレミヤに臨のぞんだ。
32:2 その時とき、バビロンの王おうの軍勢ぐんぜいがエルサレムを攻せめ囲かこんでいて、預言者よげんしゃエレミヤはユダの王おうの宮殿きゅうでんにある監視かんしの庭にわのうちに監禁かんきんされていた。
32:3 ユダの王おうゼデキヤが彼かれを閉とじ込こめたのであるが、王おうは言いった、「なぜあなたは預言よげんして言いうのか、『主しゅはこう仰おおせられる、見みよ、わたしはこの町まちをバビロンの王おうの手てに渡わたし、彼かれはこれを取とる。
32:4 またユダの王おうゼデキヤはカルデヤびとの手てをのがれることなく、かならずバビロンの王おうの手てに渡わたされ、顔かおと顔かおを合あわせて彼かれと語かたり、目めと目めは相あいまみえる。
32:5 そして彼かれはゼデキヤをバビロンに引ひいていき、ゼデキヤは、わたしが彼かれを顧かえりみる時ときまで、そこにいると主しゅは言いわれる。あなたがたは、カルデヤびとと戦たたかっても勝かつことはできない』と」。
32:6 エレミヤは言いった、「主しゅの言葉ことばがわたしに臨のぞんで言いわれる、
32:7 『見みよ、あなたのおじシャルムの子こハナメルがあなたの所ところに来きて言いう、「アナトテにあるわたしの畑はたけを買かいなさい。それは、これを買かい取とり、あがなう権利けんりがあなたにあるから」と』。
32:8 はたして主しゅの言葉ことばのように、わたしのいとこであるハナメルが監視かんしの庭にわのうちにいるわたしの所ところに来きて言いった、『ベニヤミンの地ちのアナトテにあるわたしの畑はたけを買かってください。所有しょゆうするのも、あがなうのも、あなたの権利けんりなのです。買かい取とってあなたの物ものにしてください。これが主しゅの言葉ことばであるのをわたしは知しっていました』。
32:9 そこでわたしは、いとこのハナメルからアナトテにある畑はたけを買かい取とり、銀ぎん十七シケルを量はかって彼かれに支払しはらった。
32:10 すなわち、わたしはその証書しょうしょをつくって、これに記名きめいし、それを封印ふういんし、証人しょうにんを立たて、はかりをもって銀ぎんを量はかって与あたえた。
32:11 そしてわたしはその約定やくじょうをしるして封印ふういんした買収ばいしゅう証書しょうしょと、封印ふういんのない写うつしとを取とり、
32:12 いとこのハナメルと、買収ばいしゅう証書しょうしょに記名きめいした証人しょうにんたち、および監視かんしの庭にわにすわっているすべてのユダヤ人ひとの前まえで、その証書しょうしょをマアセヤの子こであるネリヤの子こバルクに与あたえ、
32:13 彼かれらの前まえで、わたしはバルクに命めいじて言いった、
32:14 『万軍ばんぐんの主しゅ、イスラエルの神かみはこう仰おおせられる、これらの証書しょうしょすなわち、この買収ばいしゅう証書しょうしょの封印ふういんしたものと、封印ふういんのない写うつしとを取とり、これらを土つちの器うつわに入いれて、長ながく保存ほぞんせよ。
32:15 万軍ばんぐんの主しゅ、イスラエルの神かみがこう言いわれるからである、「この地ちで人々ひとびとはまた家いえと畑はたけとぶどう畑はたけを買かうようになる」と』。
32:16 わたしは買収ばいしゅう証書しょうしょをネリヤの子こバルクに渡わたしたあとで主しゅに祈いのって言いった、
32:17 『ああ主しゅなる神かみよ、あなたは大おおいなる力ちからと、伸のべた腕うでをもって天てんと地ちをお造つくりになったのです。あなたのできないことは、ひとつもありません。
32:18 あなたはいつくしみを千万人にんに施ほどこし、また父ちちの罪つみをそののちの子孫しそんに報むくいられるのです。あなたは大おおいなる全能ぜんのうの神かみでいらせられ、その名なは万軍ばんぐんの主しゅと申もうされます。
32:19 あなたの計はかりごとは大おおきく、また、事ことを行おこなうのに力ちからがあり、あなたの目めは人々ひとびとの歩あゆむすべての道みちを見みて、おのおのの道みちにしたがい、その行おこないの実みによってこれに報むくいられます。
32:20 あなたは、しるしと、不思議ふしぎなわざとをエジプトの地ちに行おこない、また今日こんにちに至いたるまでイスラエルと全ぜん人類じんるいのうちに行おこない、そして今日こんにちのように名なをあげられました。
32:21 あなたは、しるしと、不思議ふしぎなわざと、強つよい手てと、伸のべた腕うでと、大おおいなる恐おそるべき事ことをもって、あなたの民たみイスラエルをエジプトの地ちから導みちびき出だし、
32:22 この地ちを彼かれらに賜たまわりました。これはあなたが彼かれらの先祖せんぞたちに与あたえようと誓ちかわれた乳ちちと蜜みつの流ながれる地ちです。
32:23 こうして彼かれらは、はいってこれを獲えたのですが、あなたの声こえに聞きき従したがわず、あなたの律法りっぽうを行おこなわず、すべてあなたがせよと命めいじられたことをしなかったので、あなたはこの災わざわいを彼かれらの上うえにお下くだしになりました。
32:24 見みよ、塁るいが築きずきあげられたのは、この町まちを取とるためです。つるぎと、ききんと、疫病えきびょうのために、町まちはこれを攻せめているカルデヤびとの手てに渡わたされます。あなたの言いわれたようになりましたのは、ごらんのとおりであります。
32:25 主しゅなる神かみよ、あなたはわたしに言いわれました、「銀ぎんをもって畑はたけを買かい、証人しょうにんを立たてよ」と。そうであるのに、町まちはカルデヤびとの手てに渡わたされています』」。
32:26 主しゅの言葉ことばがエレミヤに臨のぞんだ、
32:27 「見みよ、わたしは主しゅである、すべて命いのちある者ものの神かみである。わたしにできない事ことがあろうか。
32:28 それゆえ、主しゅはこう言いわれる、見みよ、わたしはこの町まちをカルデヤびとと、バビロンの王おうネブカデレザルの手てに渡わたす。彼かれはこれを取とる。
32:29 この町まちを攻せめているカルデヤびとがきて、この町まちに火ひをつけて焼やき払はらう。屋根やねの上うえで人々ひとびとが、バアルに香こうをたき、ほかの神々かみがみに酒さけをそそいで、わたしを怒いからせたその家いえをも彼かれらは焼やく。
32:30 それは、イスラエルの人々ひとびととユダの人々ひとびととは、その若わかい時ときから、わたしの前まえに悪わるいことのみを行おこない、またイスラエルの民たみはその手てのわざをもって、わたしを怒いからせることばかりをしたからであると主しゅは言いわれる。
32:31 この町まちはそれが建たった日ひからきょうまで、わたしの怒いかりと憤いきどおりとをひき起おこしてきたので、わたしの前まえからこれを除のぞき去さるのである。
32:32 それは、イスラエルの民たみとユダの民たみとが、もろもろの悪あくを行いって、わたしを怒いからせたことによるのである。――彼かれらの王おうたちと、そのつかさたち、祭司さいしたち、預言者よげんしゃたち、またユダの人々ひとびととエルサレムの住民じゅうみんたちが皆みなそうである。
32:33 彼かれらはその背中せなかをわたしに向むけて顔かおをわたしに向むけず、わたしがたゆまず教おしえたにもかかわらず、彼かれらは教おしえを聞きかず、またうけないのである。
32:34 彼かれらは憎にくむべき物ものを、わが名なをもって呼よばれている家いえにすえつけて、そこを汚けがし、
32:35 またベンヒンノムの谷たににバアルの高たかき所ところを築きずいて、むすこ娘むすめをモレクにささげた。わたしは彼かれらにこのようなことを命めいじたことはなく、また彼かれらがこの憎にくむべきことを行いって、ユダに罪つみを犯おかさせようとは考かんがえもしなかった。
32:36 それゆえ今いまイスラエルの神かみ、主しゅは、この町まち、すなわちあなたがたが、『つるぎと、ききんと、疫病えきびょうのためにバビロンの王おうの手てに渡わたされる』といっている町まちについてこう仰おおせられる、
32:37 見みよ、わたしは、わたしの怒いかりと憤いきどおりと大おおいなる怒いかりをもって、彼かれらを追おいやったもろもろの国くにから彼かれらを集あつめ、この所ところへ導みちびきかえって、安やすらかに住すまわせる。
32:38 そして彼かれらはわたしの民たみとなり、わたしは彼かれらの神かみとなる。
32:39 わたしは彼かれらに一つの心こころと一つの道みちを与あたえて常つねにわたしを恐おそれさせる。これは彼かれらが彼かれら自身じしんとその後のちの子孫しそんの幸さいわいを得えるためである。
32:40 わたしは彼かれらと永遠えいえんの契約けいやくを立たてて、彼かれらを見捨みすてずに恵めぐみを施ほどこすことを誓ちかい、またわたしを恐おそれる恐おそれを彼かれらの心こころに置おいて、わたしを離はなれることのないようにしよう。
32:41 わたしは彼かれらに恵めぐみを施ほどこすことを喜よろこびとし、心こころをつくし、精神せいしんをつくし、真実しんじつをもって彼かれらをこの地ちに植うえる。
32:42 主しゅはこう仰おおせられる、わたしがこのもろもろの大おおきな災わざわいをこの民たみに下くだしたように、わたしが彼かれらに約束やくそくするもろもろの幸さいわいを彼かれらの上うえに下くだす。
32:43 人々ひとびとはこの地ちに畑はたけを買かうようになる。あなたがたが、『それは荒あれて人ひとも獣けものもいなくなり、カルデヤびとの手てに渡わたされてしまう』といっている地ちである。
32:44 人々ひとびとはベニヤミンの地ちと、エルサレムの周囲しゅういと、ユダの町々まちまちと、山地さんちの町々まちまちと、平地へいちの町々まちまちと、ネゲブの町々まちまちで、銀ぎんをもって畑はたけを買かい、証書しょうしょをつくって、これに記名きめいし封印ふういんし、また証人しょうにんを立たてる。それは、わたしが彼かれらを再ふたたび栄さかえさせるからであると主しゅは言いわれる」。
第33章 33:1 エレミヤがなお監視かんしの庭にわに閉とじ込こめられている時とき、主しゅの言葉ことばはふたたび彼かれに臨のぞんだ、33:2 「地ちを造つくられた主しゅ、それを形かたち造つくって堅かたく立たたせられた主しゅ、その名なを主しゅと名なのっておられる者ものがこう仰おおせられる、33:3 わたしに呼よび求もとめよ、そうすれば、わたしはあなたに答こたえる。そしてあなたの知しらない大おおきな隠かくされている事ことを、あなたに示しめす。33:4 イスラエルの神かみ、主しゅは塁るいと、つるぎとを防ふせぐために破壊はかいされたこの町まちの家いえと、ユダの王おうの家いえについてこう言いわれる、33:5 カルデヤびとは来きて戦たたかい、わたしが怒いかりと憤いきどおりをもって殺ころす人々ひとびとの死体したいを、それに満みたす。わたしは人々ひとびとのもろもろの悪あくのために、この町まちにわたしの顔かおをおおい隠かくした。33:6 見みよ、わたしは健康けんこうと、いやしとを、ここにもたらして人々ひとびとをいやし、豊ゆたかな繁栄はんえいと安全あんぜんとを彼かれらに示しめす。33:7 わたしはユダとイスラエルを再ふたたび栄さかえさせ、彼かれらを建たてて、もとのようにする。33:8 わたしは彼かれらがわたしに向むかって犯おかした罪つみのすべてのとがを清きよめ、彼かれらがわたしに向むかって犯おかした罪つみと反逆はんぎゃくのすべてのとがをゆるす。33:9 この町まちは地ちのもろもろの民たみの前まえに、わたしのために喜よろこびの名なとなり、誉ほまれとなり、栄さかえとなる。彼かれらはわたしがわたしの民たみに施ほどこすもろもろの恵めぐみのことを聞きく。そして、わたしがこの町まちに施ほどこすもろもろの恵めぐみと、もろもろの繁栄はんえいのために恐おそれて身みをふるわす。 33:10 主しゅはこう言いわれる、あなたがたが、『それは荒あれて、人ひともおらず獣けものもいない』というこの所ところ、すなわち、荒あれて、人ひともおらず住すむ者ものもなく、獣けものもいないユダの町まちとエルサレムのちまたに、33:11 再ふたたび喜よろこびの声こえ、楽たのしみの声こえ、花婿はなむこの声こえ、花嫁はなよめの声こえ、および 『万軍ばんぐんの主しゅに感謝かんしゃせよ、主しゅは恵めぐみふかく、そのいつくしみは、いつまでも絶たえることがない』といって、感謝かんしゃの供そなえ物ものを主しゅの宮みやに携たずさえてくる者ものの声こえが聞きこえる。それは、わたしがこの地ちを再ふたたび栄さかえさせて初はじめのようにするからであると主しゅは言いわれる。 33:12 万軍ばんぐんの主しゅはこう言いわれる、荒あれて、人ひともおらず獣けものもいないこの所ところと、そのすべての町々まちまちに再ふたたびその群むれを伏ふさせる牧者ぼくしゃのすまいがあるようになる。33:13 山地さんちの町々まちまちと、平地へいちの町々まちまちと、ネゲブの町々まちまちと、ベニヤミンの地ち、エルサレムの周囲しゅういと、ユダの町々まちまちで、群むれは再ふたたびそれを数かぞえる者ものの手ての下したを通とおりすぎると主しゅは言いわれる。 33:14 主しゅは言いわれる、見みよ、わたしがイスラエルの家いえとユダの家いえに約束やくそくしたことをなし遂とげる日ひが来くる。33:15 その日ひ、その時ときになるならば、わたしはダビデのために一つの正ただしい枝えだを生しょうじさせよう。彼かれは公平こうへいと正義せいぎを地ちに行おこなう。33:16 その日ひ、ユダは救すくいを得え、エルサレムは安やすらかにおる。その名なは『主しゅはわれわれの正義せいぎ』ととなえられる。 33:17 主しゅはこう仰おおせられる、イスラエルの家いえの位くらいに座ざする人ひとがダビデの子孫しそんのうちに欠かけることはない。33:18 またわたしの前まえに燔祭はんさいをささげ、素祭そさいを焼やき、つねに犠牲ぎせいをささげる人ひとが、レビびとである祭司さいしのうちに絶たえることはない」。 33:19 主しゅの言葉ことばはエレミヤに臨のぞんだ、33:20 「主しゅはこう仰おおせられる、もしあなたがたが、昼ひると結むすんだわたしの契約けいやくを破やぶり、また夜よると結むすんだわたしの契約けいやくを破やぶり、昼ひると夜よるが定さだめられた時ときに来きないようにすることができるならば、33:21 しもべダビデとわたしが結むすんだ契約けいやくもまた破やぶれ、彼かれはその位くらいに座ざして王おうとなる子こを与あたえられない。またわたしがわたしに仕つかえるレビびとである祭司さいしに立たてた契約けいやくも破やぶれる。33:22 天てんの星ほしは数かぞえることができず、浜はまの砂すなは量はかることができない。そのようにわたしは、しもべダビデの子孫しそんと、わたしに仕つかえるレビびとである祭司さいしの数かずを増まそう」。 33:23 主しゅの言葉ことばはエレミヤに臨のぞんだ、33:24 「あなたはこの民たみが、『主しゅは自みずから選えらんだ二つのやからを捨すてた』といっているのを聞きかないか。彼かれらはこのようにわたしの民たみを侮あなどって、これを国くにとみなさないのである。33:25 主しゅはこう言いわれる、もしわたしが昼ひると夜よるとに契約けいやくを立たてず、また天地てんちのおきてを定さだめなかったのであれば、33:26 わたしは、ヤコブとわたしのしもべダビデとの子孫しそんを捨すてて、再ふたたび彼かれの子孫しそんのうちからアブラハム、イサク、ヤコブの子孫しそんを治おさめる者ものを選えらばない。わたしは彼かれらを再ふたたび栄さかえさせ、彼かれらにあわれみをたれよう」。 第34章 34:1 バビロンの王おうネブカデレザルがその全ぜん軍ぐんと、彼かれに従したがっている地ちのすべての国くにの人々ひとびと、およびもろもろの民たみを率ひきいて、エルサレムとその町々まちまちを攻せめて戦たたかっていた時ときに、主しゅからエレミヤに臨のぞんだ言葉ことば、34:2 「イスラエルの神かみ、主しゅはこう言いわれる、行いってユダの王おうゼデキヤに告つげて言いいなさい、『主しゅはこう言いわれる、見みよ、わたしはこの町まちをバビロンの王おうの手てに渡わたす。彼かれは火ひでこれを焼やく。34:3 あなたはその手てをのがれることはできない、必かならず捕とらえられてその手てに渡わたされる。あなたはまのあたりバビロンの王おうを見み、顔かおと顔かおを合あわせて彼かれと語かたる。それからバビロンへ行いく』。34:4 しかしユダの王おうゼデキヤよ、主しゅの言葉ことばを聞ききなさい。主しゅはあなたの事ことについてこう言いわれる、『あなたはつるぎで死しぬことはない。34:5 あなたは安やすらかに死しぬ。民たみはあなたの先祖せんぞであるあなたの先さきの王おうたちのために香こうをたいたように、あなたのためにも香こうをたき、またあなたのために嘆なげいて「ああ、主君しゅくんよ」と言いう』。わたしがこの言葉ことばをいうのであると主しゅは言いわれる」。 34:6 そこで預言者よげんしゃエレミヤはこの言葉ことばをことごとくエルサレムでユダの王おうゼデキヤに告つげた。34:7 その時ときバビロンの王おうの軍勢ぐんぜいはエルサレム、および残のこっているユダのすべての町まち、すなわちラキシとアゼカを攻せめて戦たたかっていた。それはユダの町々まちまちのうちに、これらの堅固けんごな町まちがなお残のこっていたからである。 34:8 ゼデキヤ王おうがエルサレムにいるすべての民たみと契約けいやくを立たてて、彼かれらに釈放しゃくほうのことを告つげ示しめした後のちに、主しゅからエレミヤに臨のぞんだ言葉ことば。34:9 その契約けいやくはすなわち人ひとがおのおのそのヘブルびとである男女だんじょの奴隷どれいを解放かいほうし、その兄弟きょうだいであるユダヤ人ひとを奴隷どれいとしないことを定さだめたものであった。34:10 この契約けいやくをしたつかさたちと、すべての民たみは人ひとがおのおのその男女だんじょの奴隷どれいを解放かいほうし、再ふたたびこれを奴隷どれいとしないということに聞きき従したがって、これを解放かいほうしたが、34:11 後のちに心こころを翻ひるがえし、解放かいほうした男女だんじょの奴隷どれいをひきかえさせ、再ふたたびこれを従したがわせて奴隷どれいとした。34:12 そこで主しゅの言葉ことばが主しゅからエレミヤに臨のぞんだ、34:13 「イスラエルの神かみ、主しゅはこう言いわれる、わたしはあなたがたの先祖せんぞをエジプトの地ち、その奴隷どれいであった家いえから導みちびき出だした時とき、彼かれらと契約けいやくを立たてて言いった、34:14 『あなたがたの兄弟きょうだいであるヘブルびとで、あなたがたに身みを売うり、六年ねんの間あいだあなたがたに仕つかえた者ものは、六年ねんの終おわりに、あなたがたおのおのがこれを解放かいほうしなければならない。あなたがたは彼かれを解放かいほうして、あなたがたに仕つかえることをやめさせなければならない』。ところがあなたがたの先祖せんぞたちはわたしに聞きき従したがわず、またその耳みみを傾かたむけなかった。34:15 しかしあなたがたは今日こんにち、心こころを改あらため、おのおのその隣となり人びとに釈放しゃくほうのことを告つげ示しめして、わたしの見みて正ただしいとすることを行おこない、かつわたしの名なをもってとなえられる家いえで、わたしの前まえに契約けいやくを立たてた。34:16 ところがあなたがたは再ふたたび心こころを翻ひるがえして、わたしの名なを汚けがし、おのおの男女だんじょの奴隷どれいをその願ねがいのままに解放かいほうしたのをひきかえさせ、再ふたたびこれを従したがわせて、あなたがたの奴隷どれいとした。34:17 それゆえに、主しゅはこう仰おおせられる、あなたがたがわたしに聞きき従したがわず、おのおのその兄弟きょうだいとその隣となりに釈放しゃくほうのことを告つげ示しめさなかったので、見みよ、わたしはあなたがたのために釈放しゃくほうを告つげ示しめして、あなたがたをつるぎと、疫病えきびょうと、ききんとに渡わたすと主しゅは言いわれる。わたしはあなたがたを地ちのもろもろの国くにに忌いみきらわれるものとする。34:18 わたしの契約けいやくを破やぶり、わたしの前まえに立たてた契約けいやくの定さだめに従したがわない人々ひとびとを、わたしは彼かれらが二つに裂さいて、その二つの間あいだを通とおった子こ牛うしのようにする。――34:19 すなわち二つに分わけた子こ牛うしの間あいだを通とおったユダのつかさたち、エルサレムのつかさたちと宦官かんがんと祭司さいしと、この地ちのすべての民たみを、34:20 わたしはその敵てきの手てと、その命いのちを求もとめる者ものの手てに渡わたす。その死体したいは空そらの鳥とりと野のの獣けものの食物しょくもつとなる。34:21 わたしはまたユダの王おうゼデキヤと、そのつかさたちをその敵てきの手て、その命いのちを求もとめる者ものの手て、あなたがたを離はなれて去さったバビロンの王おうの軍勢ぐんぜいの手てに渡わたす。34:22 主しゅは言いわれる、見みよ、わたしは彼かれらに命めいじて、この町まちに引ひきかえしてこさせる。彼かれらはこの町まちを攻せめて戦たたかい、これを取とり、火ひを放はなって焼やき払はらう。わたしはユダの町々まちまちを住すむ人ひとのない荒あれ地ちとする」。 第35章 35:1 ユダの王おうヨシヤの子こエホヤキムの時とき、主しゅからエレミヤに臨のぞんだ言葉ことば。35:2 「レカブびとの家いえに行いって、彼かれらと語かたり、彼かれらを主しゅの宮みやの一室いっしつに連つれてきて、酒さけを飲のませなさい」。35:3 そこでわたしはハバジニヤの子こエレミヤの子こであるヤザニヤと、その兄弟きょうだいと、そのむすこたち、およびレカブびとの全家ぜんかを連つれ、35:4 これを主しゅの宮みやにあるハナンの子こたちの室しつに連つれてきた。ハナンはイグダリヤの子こであって神かみの人ひとであった。その室しつは、つかさたちの室しつの次つぎにあって、門もんを守まもるシャルムの子こマアセヤの室しつの上うえにあった。35:5 わたしはレカブびとの前まえに酒さけを満みたしたつぼと杯さかずきを置おき、彼かれらに、「酒さけを飲のみなさい」と言いったが、35:6 彼かれらは答こたえた、「われわれは酒さけを飲のみません。それは、レカブの子こであるわれわれの先祖せんぞヨナダブがわれわれに命めいじて、『あなたがたとあなたがたの子孫しそんはいつまでも酒さけを飲のんではならない。35:7 また家いえを建たてず、種たねをまかず、またぶどう畑はたけを植うえてはならない。またこれを所有しょゆうしてはならない。あなたがたは生いきながらえる間あいだは幕屋まくやに住すんでいなさい。そうするならば、あなたがたはその宿やどっている地ちに長ながく生いきることができると言いったからです』。35:8 こうしてわれわれは、レカブの子こであるわれわれの先祖せんぞヨナダブがすべて命めいじた言葉ことばに従したがって、われわれも、妻つまも、むすこ娘むすめも生いきながらえる間あいだ、酒さけを飲のまず、35:9 住すむ家いえを建たてず、ぶどう畑はたけも畑はたけも種たねも持もたないで、35:10 幕屋まくやに住すみ、すべてわれわれの先祖せんぞヨナダブがわれわれに命めいじたところに従したがい、そのように行おこないました。35:11 しかしバビロンの王おうネブカデレザルがこの地ちに上のぼってきた時とき、われわれは言いいました、『さあ、われわれはエルサレムへ行いこう。カルデヤびとの軍勢ぐんぜいとスリヤびとの軍勢ぐんぜいが恐おそろしい』と。こうしてわれわれはエルサレムに住すんでいるのです」。 35:12 その時とき、主しゅの言葉ことばがエレミヤに臨のぞんだ、35:13 「万軍ばんぐんの主しゅ、イスラエルの神かみはこう言いわれる、行いって、ユダの人々ひとびととエルサレムに住すむ者ものとに告つげよ。主しゅは仰おおせられる、あなたがたはわたしの言葉ことばを聞きいて教おしえを受うけないのか。35:14 レカブの子こヨナダブがその子孫しそんに酒さけを飲のむなと命めいじた言葉ことばは守まもられてきた。彼かれらは今日こんにちに至いたるまで酒さけを飲のまず、その先祖せんぞの命いのちに従したがってきた。ところがあなたがたはわたしがしきりに語かたったけれども、わたしに聞きき従したがわなかった。35:15 わたしはまた、わたしのしもべである預言者よげんしゃたちを、しきりにあなたがたにつかわして言いわせた、『あなたがたは今いまおのおのその悪わるい道みちを離はなれ、その行おこないを改あらためなさい。ほかの神々かみがみに従したがい仕つかえてはならない。そうすれば、あなたがたはわたしがあなたがたと、あなたがたの先祖せんぞに与あたえたこの地ちに住すむことができる』と。しかしあなたがたは耳みみを傾かたむけず、わたしに聞きかなかった。35:16 レカブの子こヨナダブの子孫しそんは、その先祖せんぞが彼かれらに命めいじた命令めいれいを守まもっているのである。しかしこの民たみはわたしに従したがわなかった。35:17 それゆえ万軍ばんぐんの神かみ、主しゅ、イスラエルの神かみはこう仰おおせられる、見みよ、わたしはユダとエルサレムに住すむ者ものとに、わたしが彼かれらの上うえに宣告せんこくした災わざわいを下くだす。わたしが彼かれらに語かたっても聞きかず、彼かれらを呼よんでも答こたえなかったからである」。 35:18 ところでエレミヤはレカブびとの家いえの人々ひとびとに言いった、「万軍ばんぐんの主しゅ、イスラエルの神かみはこう仰おおせられる、あなたがたは先祖せんぞヨナダブの命いのちに従したがい、そのすべての戒いましめを守まもり、彼かれがあなたがたに命めいじた事ことを行おこなった。35:19 それゆえ、万軍ばんぐんの主しゅ、イスラエルの神かみはこう言いわれる、レカブの子こヨナダブには、わたしの前まえに立たつ人ひとがいつまでも欠かけることはない」。 第36章 36:1 ユダの王おうヨシヤの子こエホヤキムの四年ねんに主しゅからこの言葉ことばがエレミヤに臨のぞんだ、36:2 「あなたは巻物まきものを取とり、わたしがあなたに語かたった日ひ、すなわちヨシヤの日ひから今日こんにちに至いたるまで、イスラエルとユダと万国ばんこくとに関かんしてあなたに語かたったすべての言葉ことばを、それにしるしなさい。36:3 ユダの家いえがわたしの下くだそうとしているすべての災わざわいを聞きいて、おのおのその悪わるい道みちを離はなれて帰かえることもあろう。そうすれば、わたしはそのとがとその罪つみをゆるすかも知しれない」。 36:4 そこでエレミヤはネリヤの子こバルクを呼よんだ。バルクはエレミヤの口述こうじゅつにしたがって、主しゅが彼かれにお告つげになった言葉ことばをことごとく巻物まきものに書かきしるした。36:5 そしてエレミヤはバルクに命めいじて言いった、「わたしは主しゅの宮みやに行いくことを妨さまたげられている。36:6 それで、あなたが行いって、断食だんじきの日ひに主しゅの宮みやで、すべての民たみが聞きいているところで、あなたがわたしの口述こうじゅつにしたがって、巻物まきものに筆記ひっきした主しゅの言葉ことばを読よみなさい。またユダの人々ひとびとがその町々まちまちから来きて聞きいているところで、それを読よみなさい。36:7 彼かれらは主しゅの前まえに祈願きがんをささげ、おのおのその悪わるい道みちを離はなれて帰かえることもあろう。主しゅがこの民たみに対たいして宣告せんこくされた怒いかりと憤いきどおりは大おおきいからである」。36:8 こうしてネリヤの子こバルクはすべて預言者よげんしゃエレミヤが自分じぶんに命めいじたように、主しゅの宮みやで、その巻物まきものに書かかれた主しゅの言葉ことばを読よんだ。 36:9 ユダの王おうヨシヤの子こエホヤキムの五年ねん九月がつ、エルサレムのすべての民たみと、ユダの町々まちまちからエルサレムに来きたすべての民たみとは、主しゅの前まえに断食だんじきを行おこなうべきことを告つげ示しめされた。36:10 バルクは主しゅの宮みやの上うえの庭にわで、主しゅの宮みやの新あたらしい門もんの入口いりぐちのかたわらにある書記しょきシャパンの子こであるゲマリヤのへやで、巻物まきものに書かかれたエレミヤの言葉ことばをすべての民たみに読よみ聞きかせた。 36:11 シャパンの子こであるゲマリヤの子こミカヤはその巻物まきものにある主しゅの言葉ことばをことごとく聞きいて、36:12 王おうの家いえにある書記しょきのへやに下くだって行いくと、もろもろのつかさたち、すなわち書記しょきエリシャマ、シマヤの子こデラヤ、アカボルの子こエルナタン、シャパンの子こゲマリヤ、ハナニヤの子こゼデキヤおよびすべてのつかさたちがそこに座ざしていた。36:13 ミカヤはバルクが民たみに巻物まきものを読よんで聞きかせたとき、自分じぶんの聞きいたすべての言葉ことばを彼かれらに告つげたので、36:14 つかさたちはクシの子こセレミヤの子こであるネタニヤの子こエホデをバルクのもとにつかわして言いわせた、「あなたが民たみに読よみ聞きかせたその巻物まきものを手てに取とって、来きてください」。そこでネリヤの子こバルクは巻物まきものを手てに取とって、彼かれらのもとに来きたので、36:15 彼かれらはバルクに言いった、「座ざしてそれを読よんでください」。バルクはそれを彼かれらに読よみきかせた。36:16 彼かれらはそのすべての言葉ことばを聞きき、恐おそれて互たがいに見みかわし、バルクに言いった、「われわれはこのすべての言葉ことばを、王おうに報告ほうこくしなければならない」。36:17 そしてバルクに尋たずねて言いった、「このすべての言葉ことばを、あなたがどのようにして書かいたのか話はなしてください。彼かれの口述こうじゅつによるのですか」。36:18 バルクは彼かれらに答こたえた、「彼かれがわたしにこのすべての言葉ことばを口述こうじゅつしたので、わたしはそれを墨汁ぼくじゅうで巻物まきものに書かいたのです」。36:19 つかさたちはバルクに言いった、「行いって、エレミヤと一緒いっしょに身みを隠かくしなさい。人ひとに所在しょざいを知しられてはなりません」。 36:20 そこで彼かれらは巻物まきものを書記しょきエリシャマのへやに置おいて庭にわにはいり、王おうのもとへ行いって、このすべての言葉ことばを王おうに告つげたので、36:21 王おうはその巻物まきものを持もってこさせるためにエホデをつかわした。エホデは書記しょきエリシャマのへやから巻物まきものを取とってきて、それを王おうと王おうのかたわらに立たっているすべてのつかさたちに読よみきかせた。36:22 時ときは九月がつであって、王おうは冬ふゆの家いえに座ざしていた。その前まえに炉ろがあって火ひが燃もえていた。36:23 エホデが三段だんか四段だんを読よむと、王おうは小刀こがたなをもってそれを切きり取とり、炉ろの火ひに投なげいれ、ついに巻物まきもの全部ぜんぶを炉ろの火ひで焼やきつくした。36:24 王おうとその家来けらいたちはこのすべての言葉ことばを聞きいても恐おそれず、またその着物きものを裂さくこともしなかった。36:25 エルナタン、デラヤおよびゲマリヤが王おうにその巻物まきものを焼やかないようにと願ねがったときにも彼かれは聞ききいれなかった。36:26 そして王おうは王子おうじエラメルとアヅリエルの子こセラヤとアブデルの子こセレミヤに、書記しょきバルクと預言者よげんしゃエレミヤを捕とらえるようにと命めいじたが、主しゅは彼かれらを隠かくされた。 36:27 バルクがエレミヤの口述こうじゅつにしたがって筆記ひっきした言葉ことばを載のせた巻物まきものを王おうが焼やいた後のち、主しゅの言葉ことばがエレミヤに臨のぞんだ、36:28 「他たの巻物まきものを取とり、ユダの王おうエホヤキムが焼やいた、前まえの巻物まきもののうちにある言葉ことばを皆みなそれに書かきしるしなさい。36:29 またユダの王おうエホヤキムについて言いいなさい、『主しゅはこう仰おおせられる、あなたはこの巻物まきものを焼やいて言いった、「どうしてあなたはこの巻物まきものに、バビロンの王おうが必かならず来きてこの地ちを滅ほろぼし、ここから人ひとと獣けものとを絶たやす、と書かいたのか」と。36:30 それゆえ主しゅはユダの王おうエホヤキムについてこう言いわれる、彼かれの子孫しそんにはダビデの位くらいにすわる者ものがなくなる。また彼かれの死体したいは捨すてられて昼ひるは暑あつさにあい、夜よるは霜しもにあう。36:31 わたしはまた彼かれとその子孫しそんとその家来けらいたちをその罪つみのために罰ばっする。また彼かれらとエルサレムの民たみとユダの人々ひとびとには災わざわいを下くだす。この災わざわいのことについては、すでに語かたったけれども、彼かれらは聞きくことをしなかった』」。 36:32 そこでエレミヤは他たの巻物まきものを取とり、ネリヤの子こ書記しょきバルクに与あたえたので、バルクはユダの王おうエホヤキムが火ひにくべて焼やいた巻物まきもののすべての言葉ことばを、エレミヤの口述こうじゅつにしたがってそれに書かきしるし、また同おなじような言葉ことばを多おおくそれに加くわえた。 第37章 37:1 ヨシヤの子こゼデキヤはエホヤキムの子こコニヤに代かわって王おうとなった。バビロンの王おうネブカデレザルが彼かれをユダの地ちの王おうとしたのである。37:2 彼かれもその家来けらいたちも、その地ちの人々ひとびとも、主しゅが預言者よげんしゃエレミヤによって語かたられた言葉ことばに聞きき従したがわなかった。 37:3 ゼデキヤ王おうはセレミヤの子こユカルと、マアセヤの子こ祭司さいしゼパニヤを預言者よげんしゃエレミヤにつかわして、「われわれのために、われわれの神かみ、主しゅに祈いのってください」と言いわせた。37:4 エレミヤは民たみの中なかに出入でいりしていた。まだ獄屋ごくやに入いれられなかったからである。37:5 パロの軍勢ぐんぜいがエジプトから出でて来きたので、エルサレムを攻せめ囲かこんでいたカルデヤびとはその情報じょうほうを聞きいてエルサレムを退しりぞいた。37:6 その時とき、主しゅの言葉ことばは預言者よげんしゃエレミヤに臨のぞんだ、37:7 「イスラエルの神かみ、主しゅはこう言いわれる、あなたがたをつかわしてわたしに求もとめたユダの王おうにこう言いいなさい、『あなたがたを救すくうために出でてきたパロの軍勢ぐんぜいはその国くにエジプトに帰かえろうとしている。37:8 カルデヤびとが再ふたたび来きてこの町まちを攻せめて戦たたかい、これを取とって火ひで焼やき滅ほろぼす。37:9 主しゅはこう言いわれる、あなたがたは、「カルデヤびとはきっとわれわれを離はなれ去さる」といって自分じぶんを欺あざむいてはならない。彼かれらは去さることはない。37:10 たといあなたがたが自分じぶんを攻せめて戦たたかうカルデヤびとの全ぜん軍ぐんを撃うち破やぶって、その天幕てんまくのうちに負傷ふしょう者もののみを残のこしても、彼かれらは立たち上あがって火ひでこの町まちを焼やき滅ほろぼす』」。 37:11 さてカルデヤびとの軍勢ぐんぜいがパロの軍勢ぐんぜいの来くるのを聞きいてエルサレムを退しりぞいたとき、37:12 エレミヤは、ベニヤミンの地ちで民たみのうちに自分じぶんの分わけ前まえを受うけ取とるため、エルサレムを立たってその地ちへ行いこうと、37:13 ベニヤミンの門もんに着ついたとき、そこにハナニヤの子こセレミヤの子こでイリヤという名なの番兵ばんぺいがいて、預言者よげんしゃエレミヤを捕とらえ、「あなたはカルデヤびとの側がわに脱走だっそうしようとしている」と言いった。37:14 エレミヤは言いった、「それはまちがいだ。わたしはカルデヤびとの側がわに脱走だっそうしようとしていない」。しかしイリヤは聞きかず、エレミヤを捕とらえて、つかさたちのもとへ引ひいて行いった。37:15 つかさたちは怒いかって、エレミヤを打うちたたき、書記しょきヨナタンの家いえの獄屋ごくやにいれた。この家いえが獄屋ごくやになっていたからである。 37:16 エレミヤが地下ちかの獄屋ごくやにはいって、そこに多おおくの日ひを送おくってのち、37:17 ゼデキヤ王おうは人ひとをつかわし、彼かれを連つれてこさせた。王おうは自分じぶんの家いえでひそかに彼かれに尋たずねて言いった、「主しゅから何なにかお言葉ことばがあったか」。エレミヤはあったと答こたえた。そして言いった、「あなたはバビロンの王おうの手てに引ひき渡わたされます」。37:18 エレミヤはまたゼデキヤ王おうに言いった、「わたしが獄屋ごくやにいれられたのは、あなたに、またはあなたの家来けらいに、あるいはこの民たみに、どのような罪つみを犯おかしたからなのですか。37:19 あなたがたに預言よげんして、『バビロンの王おうはあなたがたをも、この地ちをも攻せめにこない』と言いっていたあなたがたの預言者よげんしゃは今いまどこにいるのですか。37:20 王おうなるわが君きみよ、どうぞ今いまお聞ききください。わたしの願ねがいをお聞ききとどけください。わたしを書記しょきヨナタンの家いえへ帰かえらせないでください。そうでないと、わたしはそこで殺ころされるでしょう」。37:21 そこでゼデキヤ王おうは命めいを下くだし、エレミヤを監視かんしの庭にわに入いれさせ、かつ、パンを つくる者ものの町まちから毎日まいにちパン一個こを彼かれに与あたえさせた。これは町まちにパンがなくなるまで続つづいた。こうしてエレミヤは監視かんしの庭にわにいた。 第38章 38:1 マッタンの子こシパテヤ、パシュルの子こゲダリヤ、セレミヤの子こユカル、マルキヤの子こパシュルはエレミヤがすべての民たみに告つげていたその言葉ことばを聞きいた。38:2 彼かれは言いった、「主しゅはこう言いわれる、この町まちにとどまる者ものは、つるぎや、ききんや、疫病えきびょうで死しぬ。しかし出でてカルデヤびとにくだる者ものは死しを免まぬかれる。すなわちその命いのちを自分じぶんのぶんどり物ものとして生いきることができる。38:3 主しゅはこう言いわれる、この町まちは必かならずバビロンの王おうの軍勢ぐんぜいの手てに渡わたされる。彼かれはこれを取とる」。38:4 すると、つかさたちは王おうに言いった、「この人ひとを殺ころしてください。このような言葉ことばをのべて、この町まちに残のこっている兵士へいしの手てと、すべての民たみの手てを弱よわくしているからです。この人ひとは民たみの安泰あんたいを求もとめないで、その災わざわいを求もとめているのです」。38:5 ゼデキヤ王おうは言いった、「見みよ、彼かれはあなたがたの手てにある。王おうはあなたがたに逆さからって何事なにごとをもなし得えない」。38:6 そこで彼かれらはエレミヤを捕とらえ、監視かんしの庭にわにある王子おうじマルキヤの穴あなに投なげ入いれた。すなわち、綱つなをもってエレミヤをつり降おろしたが、その穴あなには水みずがなく、泥どろだけであったので、エレミヤは泥どろの中なかに沈しずんだ。 38:7 王おうの家いえの宦官かんがんエチオピヤびとエベデメレクは、彼かれらがエレミヤを穴あなに投なげ入いれたことを聞きいた。その時とき、王おうはベニヤミンの門もんに座ざしていたので、38:8 エベデメレクは王おうの家いえから出でて行いって王おうに言いった、38:9 「王おうなるわが君きみよ、この人々ひとびとが預言者よげんしゃエレミヤにしたことはみな良よいことではありません。彼かれを穴あなに投なげ入いれました。町まちに食物しょくもつがなくなりましたから、彼かれはそこで餓死がしするでしょう」。38:10 王おうはエチオピヤびとエベデメレクに命めいじて言いった、「ここから三人にんのひとを連つれて行いって、預言者よげんしゃエレミヤを、死しなないうちに穴あなから引ひき上あげなさい」。38:11 そこでエベデメレクはその人々ひとびとを連つれて王おうの家いえの倉くらの衣服いふく室しつに行いき、そこから古ふるい布ぬの切きれや、着きふるした着物きものを取とり、これを穴あなの中なかにいるエレミヤのところへ、綱つなをもってつり降おろした。38:12 そしてエチオピヤびとエベデメレクは、「この布ぬの切きれや着物きものを、あなたのわきの下したにはさんで、綱つなに当あてなさい」とエレミヤに言いった。エレミヤはそのようにした。38:13 すると彼かれらは綱つなをもってエレミヤを穴あなから引ひき上あげた。そしてエレミヤは監視かんしの庭にわにとどまった。 38:14 ゼデキヤ王おうは人ひとをつかわして預言者よげんしゃエレミヤを主しゅの宮みやの第だい三の門もんに連つれてこさせ、王おうはエレミヤに言いった、「あなたに尋たずねたいことがある。何事なにごともわたしに隠かくしてはならない」。38:15 エレミヤはゼデキヤに言いった、「もしわたしがお話はなするなら、あなたは必かならずわたしを殺ころされるではありませんか。たといわたしが忠告ちゅうこくをしても、あなたはお聞ききにならないでしょう」。38:16 その時ときゼデキヤ王おうは、ひそかにエレミヤに誓ちかって言いった、「われわれの魂たましいを造つくられた主しゅは生いきておられる。わたしはあなたを殺ころさない、またあなたの命いのちを求もとめる者ものの手てに、あなたを渡わたすこともしない」。 38:17 そこでエレミヤはゼデキヤに言いった、「万軍ばんぐんの神かみ、イスラエルの神かみ、主しゅはこう仰おおせられる、もしあなたがバビロンの王おうのつかさたちに降伏こうふくするならば、あなたの命いのちは助たすかり、またこの町まちは火ひで焼やかれることなく、あなたも、あなたの家いえの者ものも生いきながらえることができる。38:18 しかし、もしあなたが出でてバビロンの王おうのつかさたちに降伏こうふくしないならば、この町まちはカルデヤびとの手てに渡わたされる。彼かれらは火ひでこれを焼やく。あなたはその手てをのがれることができない」。38:19 ゼデキヤ王おうはエレミヤに言いった、「わたしはカルデヤびとに脱走だっそうしたユダヤ人ひとを恐おそれている。カルデヤびとはわたしを彼かれらの手てに渡わたし、彼かれらはわたしをはずかしめる」。38:20 エレミヤは言いった、「彼かれらはあなたを渡わたさないでしょう。どうか、わたしがあなたに告つげた主しゅの声こえに聞きき従したがってください。そうすれば幸さいわいを得え、また命いのちが助たすかります。38:21 しかし降伏こうふくすることを拒こばむならば、主しゅがわたしに示しめされた幻まぼろしを申もうしましょう。38:22 すなわち、ユダの王おうの家いえに残のこっている女おんなたちは、みなバビロンの王おうのつかさたちの所ところへ引ひいて行いかれます。その女おんなたちは言いうのです、 『あなたの親したしい友ともだちがあなたを欺あざむいた、そしてあなたに勝かった。今いまあなたの足あしは泥どろに沈しずんでいるので、彼かれらはあなたを捨すてて去さる』。38:23 あなたの妻つまたちと子供こどもたちは皆みなカルデヤびとの所ところへひき出だされる。あなた自身じしんもその手てをのがれることができず、バビロンの王おうに捕とらえられる。そしてこの町まちは火ひで焼やかれるでしょう」。 38:24 ゼデキヤはエレミヤに言いった、「これらの言葉ことばを人ひとに知しらせてはならない。そうすればあなたは殺ころされることはない。38:25 わたしがあなたと話はなしをしたことを、つかさたちが聞きいて、彼かれらがあなたの所ところに来きて、『あなたが王おうに話はなしたこと、王おうがあなたに話はなしたことをわれわれに告つげなさい。何事なにごとも隠かくしてはならない。われわれはあなたを殺ころしはしない』と言いうならば、38:26 あなたは彼かれらに、『わたしは王おうに願ねがって、わたしをヨナタンの家いえに送おくり返かえさず、そこで死しぬことのないようにしてくださいと言いった』と答こたえなさい」。38:27 さて、つかさたちは皆みなエレミヤのところへ来きて尋たずねたが、王おうが彼かれに教おしえたように彼かれらに答こたえたので、彼かれらは彼かれと話はなすことをやめた。その会話かいわを聞きいた者ものがなかったからである。38:28 エレミヤはエルサレムの取とられる日ひまで監視かんしの庭にわにとどまっていた。 第39章 39:1 ユダの王おうゼデキヤの九年ねん十月がつ、バビロンの王おうネブカデレザルはその全ぜん軍ぐんを率ひきい、エルサレムに来きてこれを攻せめ囲かこんだが、39:2 ゼデキヤの十一年ねん四月がつ九日かになって町まちの一角いっかくが破やぶれた。39:3 エルサレムが取とられたので、バビロンの王おうのつかさたち、すなわちネルガル・シャレゼル、サムガル・ネボ、ラブサリスのサルセキム、ラブマグのネルガル・シャレゼルおよびバビロンの王おうのその他たのつかさたちは皆みなともに来きて中なかの門もんに座ざした。39:4 ユダの王おうゼデキヤとすべての兵士へいしたちはこれを見みて逃にげ、夜よるのうちに、王おうの庭園ていえんの道みちを通とおって、二つの城壁じょうへきの間あいだの門もんから町まちを出でて、アラバの方ほうへ行いったが、39:5 カルデヤびとの軍勢ぐんぜいはこれを追おって、エリコの平地へいちでゼデキヤに追おいつき、これを捕とらえて、ハマテの地ちリブラにいるバビロンの王おうネブカデレザルのもとに引ひいて行いったので、王おうはそこで彼かれの罪つみをさだめた。39:6 バビロンの王おうはリブラで、ゼデキヤの子こたちを彼かれの目めの前まえで殺ころした。バビロンの王おうはまたユダのすべての貴族きぞくたちを殺ころした。39:7 王おうはまたゼデキヤの目めをつぶさせ、彼かれをバビロンに引ひいて行いくために、鎖くさりにつないだ。39:8 またカルデヤびとは王宮おうきゅうと民家みんかを火ひで焼やき、エルサレムの城壁じょうへきを破壊はかいした。39:9 そして侍衛じえいの長ちょうネブザラダンは町まちのうちに残のこっている民たみと、自分じぶんに降伏こうふくした者もの、およびその他たの残のこっている民たみをバビロンに捕とらえ移うつした。39:10 しかし侍衛じえいの長ちょうネブザラダンは、民たみの貧まずしい無産むさん者ものをユダの地ちに残のこし、同時どうじにぶどう畑はたけと田地でんちをこれに与あたえた。 39:11 さてバビロンの王おうネブカデレザルはエレミヤの事ことについて侍衛じえいの長ちょうネブザラダンに命めいじて言いった、39:12 「彼かれをとり、よく世話せわをせよ。害がいを加くわえることなく、彼かれがあなたに言いうようにしてやりなさい」。39:13 そこで侍衛じえいの長ちょうネブザラダン、ラブサリスのネブシャズバン、ラブマグのネルガル・シャレゼル、およびバビロンの王おうのつかさたちは、39:14 人ひとをつかわして、エレミヤを監視かんしの庭にわから連つれてこさせ、シャパンの子こアヒカムの子こであるゲダリヤに託たくして、家いえにつれて行いかせた。こうして彼かれは民たみのうちにいた。 39:15 エレミヤが監視かんしの庭にわに閉とじこめられていた時とき、主しゅの言葉ことばが彼かれに臨のぞんだ、39:16 「行いって、エチオピヤびとエベデメレクに告つげなさい、『万軍ばんぐんの主しゅ、イスラエルの神かみはこう言いわれる、わたしの言いった災わざわいをわたしはこの町まちに下くだす、幸さいわいをこれに下くだすのではない。その日ひ、この事ことがあなたの目めの前まえで成就じょうじゅする。39:17 主しゅは言いわれる、その日ひわたしはあなたを救すくう。あなたは自分じぶんの恐おそれている人々ひとびとの手てに渡わたされることはない。39:18 わたしが必かならずあなたを救すくい、つるぎに倒たおれることのないようにするからである。あなたの命いのちはあなたのぶんどり物ものとなる。あなたがわたしに寄より頼たよんだからであると主しゅは言いわれる』」。
33:1 エレミヤがなお監視かんしの庭にわに閉とじ込こめられている時とき、主しゅの言葉ことばはふたたび彼かれに臨のぞんだ、
33:2 「地ちを造つくられた主しゅ、それを形かたち造つくって堅かたく立たたせられた主しゅ、その名なを主しゅと名なのっておられる者ものがこう仰おおせられる、
33:3 わたしに呼よび求もとめよ、そうすれば、わたしはあなたに答こたえる。そしてあなたの知しらない大おおきな隠かくされている事ことを、あなたに示しめす。
33:4 イスラエルの神かみ、主しゅは塁るいと、つるぎとを防ふせぐために破壊はかいされたこの町まちの家いえと、ユダの王おうの家いえについてこう言いわれる、
33:5 カルデヤびとは来きて戦たたかい、わたしが怒いかりと憤いきどおりをもって殺ころす人々ひとびとの死体したいを、それに満みたす。わたしは人々ひとびとのもろもろの悪あくのために、この町まちにわたしの顔かおをおおい隠かくした。
33:6 見みよ、わたしは健康けんこうと、いやしとを、ここにもたらして人々ひとびとをいやし、豊ゆたかな繁栄はんえいと安全あんぜんとを彼かれらに示しめす。
33:7 わたしはユダとイスラエルを再ふたたび栄さかえさせ、彼かれらを建たてて、もとのようにする。
33:8 わたしは彼かれらがわたしに向むかって犯おかした罪つみのすべてのとがを清きよめ、彼かれらがわたしに向むかって犯おかした罪つみと反逆はんぎゃくのすべてのとがをゆるす。
33:9 この町まちは地ちのもろもろの民たみの前まえに、わたしのために喜よろこびの名なとなり、誉ほまれとなり、栄さかえとなる。彼かれらはわたしがわたしの民たみに施ほどこすもろもろの恵めぐみのことを聞きく。そして、わたしがこの町まちに施ほどこすもろもろの恵めぐみと、もろもろの繁栄はんえいのために恐おそれて身みをふるわす。
33:10 主しゅはこう言いわれる、あなたがたが、『それは荒あれて、人ひともおらず獣けものもいない』というこの所ところ、すなわち、荒あれて、人ひともおらず住すむ者ものもなく、獣けものもいないユダの町まちとエルサレムのちまたに、
33:11 再ふたたび喜よろこびの声こえ、楽たのしみの声こえ、花婿はなむこの声こえ、花嫁はなよめの声こえ、および 『万軍ばんぐんの主しゅに感謝かんしゃせよ、主しゅは恵めぐみふかく、そのいつくしみは、いつまでも絶たえることがない』といって、感謝かんしゃの供そなえ物ものを主しゅの宮みやに携たずさえてくる者ものの声こえが聞きこえる。それは、わたしがこの地ちを再ふたたび栄さかえさせて初はじめのようにするからであると主しゅは言いわれる。
33:12 万軍ばんぐんの主しゅはこう言いわれる、荒あれて、人ひともおらず獣けものもいないこの所ところと、そのすべての町々まちまちに再ふたたびその群むれを伏ふさせる牧者ぼくしゃのすまいがあるようになる。
33:13 山地さんちの町々まちまちと、平地へいちの町々まちまちと、ネゲブの町々まちまちと、ベニヤミンの地ち、エルサレムの周囲しゅういと、ユダの町々まちまちで、群むれは再ふたたびそれを数かぞえる者ものの手ての下したを通とおりすぎると主しゅは言いわれる。
33:14 主しゅは言いわれる、見みよ、わたしがイスラエルの家いえとユダの家いえに約束やくそくしたことをなし遂とげる日ひが来くる。
33:15 その日ひ、その時ときになるならば、わたしはダビデのために一つの正ただしい枝えだを生しょうじさせよう。彼かれは公平こうへいと正義せいぎを地ちに行おこなう。
33:16 その日ひ、ユダは救すくいを得え、エルサレムは安やすらかにおる。その名なは『主しゅはわれわれの正義せいぎ』ととなえられる。
33:17 主しゅはこう仰おおせられる、イスラエルの家いえの位くらいに座ざする人ひとがダビデの子孫しそんのうちに欠かけることはない。
33:18 またわたしの前まえに燔祭はんさいをささげ、素祭そさいを焼やき、つねに犠牲ぎせいをささげる人ひとが、レビびとである祭司さいしのうちに絶たえることはない」。
33:19 主しゅの言葉ことばはエレミヤに臨のぞんだ、
33:20 「主しゅはこう仰おおせられる、もしあなたがたが、昼ひると結むすんだわたしの契約けいやくを破やぶり、また夜よると結むすんだわたしの契約けいやくを破やぶり、昼ひると夜よるが定さだめられた時ときに来きないようにすることができるならば、
33:21 しもべダビデとわたしが結むすんだ契約けいやくもまた破やぶれ、彼かれはその位くらいに座ざして王おうとなる子こを与あたえられない。またわたしがわたしに仕つかえるレビびとである祭司さいしに立たてた契約けいやくも破やぶれる。
33:22 天てんの星ほしは数かぞえることができず、浜はまの砂すなは量はかることができない。そのようにわたしは、しもべダビデの子孫しそんと、わたしに仕つかえるレビびとである祭司さいしの数かずを増まそう」。
33:23 主しゅの言葉ことばはエレミヤに臨のぞんだ、
33:24 「あなたはこの民たみが、『主しゅは自みずから選えらんだ二つのやからを捨すてた』といっているのを聞きかないか。彼かれらはこのようにわたしの民たみを侮あなどって、これを国くにとみなさないのである。
33:25 主しゅはこう言いわれる、もしわたしが昼ひると夜よるとに契約けいやくを立たてず、また天地てんちのおきてを定さだめなかったのであれば、
33:26 わたしは、ヤコブとわたしのしもべダビデとの子孫しそんを捨すてて、再ふたたび彼かれの子孫しそんのうちからアブラハム、イサク、ヤコブの子孫しそんを治おさめる者ものを選えらばない。わたしは彼かれらを再ふたたび栄さかえさせ、彼かれらにあわれみをたれよう」。
第34章 34:1 バビロンの王おうネブカデレザルがその全ぜん軍ぐんと、彼かれに従したがっている地ちのすべての国くにの人々ひとびと、およびもろもろの民たみを率ひきいて、エルサレムとその町々まちまちを攻せめて戦たたかっていた時ときに、主しゅからエレミヤに臨のぞんだ言葉ことば、34:2 「イスラエルの神かみ、主しゅはこう言いわれる、行いってユダの王おうゼデキヤに告つげて言いいなさい、『主しゅはこう言いわれる、見みよ、わたしはこの町まちをバビロンの王おうの手てに渡わたす。彼かれは火ひでこれを焼やく。34:3 あなたはその手てをのがれることはできない、必かならず捕とらえられてその手てに渡わたされる。あなたはまのあたりバビロンの王おうを見み、顔かおと顔かおを合あわせて彼かれと語かたる。それからバビロンへ行いく』。34:4 しかしユダの王おうゼデキヤよ、主しゅの言葉ことばを聞ききなさい。主しゅはあなたの事ことについてこう言いわれる、『あなたはつるぎで死しぬことはない。34:5 あなたは安やすらかに死しぬ。民たみはあなたの先祖せんぞであるあなたの先さきの王おうたちのために香こうをたいたように、あなたのためにも香こうをたき、またあなたのために嘆なげいて「ああ、主君しゅくんよ」と言いう』。わたしがこの言葉ことばをいうのであると主しゅは言いわれる」。 34:6 そこで預言者よげんしゃエレミヤはこの言葉ことばをことごとくエルサレムでユダの王おうゼデキヤに告つげた。34:7 その時ときバビロンの王おうの軍勢ぐんぜいはエルサレム、および残のこっているユダのすべての町まち、すなわちラキシとアゼカを攻せめて戦たたかっていた。それはユダの町々まちまちのうちに、これらの堅固けんごな町まちがなお残のこっていたからである。 34:8 ゼデキヤ王おうがエルサレムにいるすべての民たみと契約けいやくを立たてて、彼かれらに釈放しゃくほうのことを告つげ示しめした後のちに、主しゅからエレミヤに臨のぞんだ言葉ことば。34:9 その契約けいやくはすなわち人ひとがおのおのそのヘブルびとである男女だんじょの奴隷どれいを解放かいほうし、その兄弟きょうだいであるユダヤ人ひとを奴隷どれいとしないことを定さだめたものであった。34:10 この契約けいやくをしたつかさたちと、すべての民たみは人ひとがおのおのその男女だんじょの奴隷どれいを解放かいほうし、再ふたたびこれを奴隷どれいとしないということに聞きき従したがって、これを解放かいほうしたが、34:11 後のちに心こころを翻ひるがえし、解放かいほうした男女だんじょの奴隷どれいをひきかえさせ、再ふたたびこれを従したがわせて奴隷どれいとした。34:12 そこで主しゅの言葉ことばが主しゅからエレミヤに臨のぞんだ、34:13 「イスラエルの神かみ、主しゅはこう言いわれる、わたしはあなたがたの先祖せんぞをエジプトの地ち、その奴隷どれいであった家いえから導みちびき出だした時とき、彼かれらと契約けいやくを立たてて言いった、34:14 『あなたがたの兄弟きょうだいであるヘブルびとで、あなたがたに身みを売うり、六年ねんの間あいだあなたがたに仕つかえた者ものは、六年ねんの終おわりに、あなたがたおのおのがこれを解放かいほうしなければならない。あなたがたは彼かれを解放かいほうして、あなたがたに仕つかえることをやめさせなければならない』。ところがあなたがたの先祖せんぞたちはわたしに聞きき従したがわず、またその耳みみを傾かたむけなかった。34:15 しかしあなたがたは今日こんにち、心こころを改あらため、おのおのその隣となり人びとに釈放しゃくほうのことを告つげ示しめして、わたしの見みて正ただしいとすることを行おこない、かつわたしの名なをもってとなえられる家いえで、わたしの前まえに契約けいやくを立たてた。34:16 ところがあなたがたは再ふたたび心こころを翻ひるがえして、わたしの名なを汚けがし、おのおの男女だんじょの奴隷どれいをその願ねがいのままに解放かいほうしたのをひきかえさせ、再ふたたびこれを従したがわせて、あなたがたの奴隷どれいとした。34:17 それゆえに、主しゅはこう仰おおせられる、あなたがたがわたしに聞きき従したがわず、おのおのその兄弟きょうだいとその隣となりに釈放しゃくほうのことを告つげ示しめさなかったので、見みよ、わたしはあなたがたのために釈放しゃくほうを告つげ示しめして、あなたがたをつるぎと、疫病えきびょうと、ききんとに渡わたすと主しゅは言いわれる。わたしはあなたがたを地ちのもろもろの国くにに忌いみきらわれるものとする。34:18 わたしの契約けいやくを破やぶり、わたしの前まえに立たてた契約けいやくの定さだめに従したがわない人々ひとびとを、わたしは彼かれらが二つに裂さいて、その二つの間あいだを通とおった子こ牛うしのようにする。――34:19 すなわち二つに分わけた子こ牛うしの間あいだを通とおったユダのつかさたち、エルサレムのつかさたちと宦官かんがんと祭司さいしと、この地ちのすべての民たみを、34:20 わたしはその敵てきの手てと、その命いのちを求もとめる者ものの手てに渡わたす。その死体したいは空そらの鳥とりと野のの獣けものの食物しょくもつとなる。34:21 わたしはまたユダの王おうゼデキヤと、そのつかさたちをその敵てきの手て、その命いのちを求もとめる者ものの手て、あなたがたを離はなれて去さったバビロンの王おうの軍勢ぐんぜいの手てに渡わたす。34:22 主しゅは言いわれる、見みよ、わたしは彼かれらに命めいじて、この町まちに引ひきかえしてこさせる。彼かれらはこの町まちを攻せめて戦たたかい、これを取とり、火ひを放はなって焼やき払はらう。わたしはユダの町々まちまちを住すむ人ひとのない荒あれ地ちとする」。 第35章 35:1 ユダの王おうヨシヤの子こエホヤキムの時とき、主しゅからエレミヤに臨のぞんだ言葉ことば。35:2 「レカブびとの家いえに行いって、彼かれらと語かたり、彼かれらを主しゅの宮みやの一室いっしつに連つれてきて、酒さけを飲のませなさい」。35:3 そこでわたしはハバジニヤの子こエレミヤの子こであるヤザニヤと、その兄弟きょうだいと、そのむすこたち、およびレカブびとの全家ぜんかを連つれ、35:4 これを主しゅの宮みやにあるハナンの子こたちの室しつに連つれてきた。ハナンはイグダリヤの子こであって神かみの人ひとであった。その室しつは、つかさたちの室しつの次つぎにあって、門もんを守まもるシャルムの子こマアセヤの室しつの上うえにあった。35:5 わたしはレカブびとの前まえに酒さけを満みたしたつぼと杯さかずきを置おき、彼かれらに、「酒さけを飲のみなさい」と言いったが、35:6 彼かれらは答こたえた、「われわれは酒さけを飲のみません。それは、レカブの子こであるわれわれの先祖せんぞヨナダブがわれわれに命めいじて、『あなたがたとあなたがたの子孫しそんはいつまでも酒さけを飲のんではならない。35:7 また家いえを建たてず、種たねをまかず、またぶどう畑はたけを植うえてはならない。またこれを所有しょゆうしてはならない。あなたがたは生いきながらえる間あいだは幕屋まくやに住すんでいなさい。そうするならば、あなたがたはその宿やどっている地ちに長ながく生いきることができると言いったからです』。35:8 こうしてわれわれは、レカブの子こであるわれわれの先祖せんぞヨナダブがすべて命めいじた言葉ことばに従したがって、われわれも、妻つまも、むすこ娘むすめも生いきながらえる間あいだ、酒さけを飲のまず、35:9 住すむ家いえを建たてず、ぶどう畑はたけも畑はたけも種たねも持もたないで、35:10 幕屋まくやに住すみ、すべてわれわれの先祖せんぞヨナダブがわれわれに命めいじたところに従したがい、そのように行おこないました。35:11 しかしバビロンの王おうネブカデレザルがこの地ちに上のぼってきた時とき、われわれは言いいました、『さあ、われわれはエルサレムへ行いこう。カルデヤびとの軍勢ぐんぜいとスリヤびとの軍勢ぐんぜいが恐おそろしい』と。こうしてわれわれはエルサレムに住すんでいるのです」。 35:12 その時とき、主しゅの言葉ことばがエレミヤに臨のぞんだ、35:13 「万軍ばんぐんの主しゅ、イスラエルの神かみはこう言いわれる、行いって、ユダの人々ひとびととエルサレムに住すむ者ものとに告つげよ。主しゅは仰おおせられる、あなたがたはわたしの言葉ことばを聞きいて教おしえを受うけないのか。35:14 レカブの子こヨナダブがその子孫しそんに酒さけを飲のむなと命めいじた言葉ことばは守まもられてきた。彼かれらは今日こんにちに至いたるまで酒さけを飲のまず、その先祖せんぞの命いのちに従したがってきた。ところがあなたがたはわたしがしきりに語かたったけれども、わたしに聞きき従したがわなかった。35:15 わたしはまた、わたしのしもべである預言者よげんしゃたちを、しきりにあなたがたにつかわして言いわせた、『あなたがたは今いまおのおのその悪わるい道みちを離はなれ、その行おこないを改あらためなさい。ほかの神々かみがみに従したがい仕つかえてはならない。そうすれば、あなたがたはわたしがあなたがたと、あなたがたの先祖せんぞに与あたえたこの地ちに住すむことができる』と。しかしあなたがたは耳みみを傾かたむけず、わたしに聞きかなかった。35:16 レカブの子こヨナダブの子孫しそんは、その先祖せんぞが彼かれらに命めいじた命令めいれいを守まもっているのである。しかしこの民たみはわたしに従したがわなかった。35:17 それゆえ万軍ばんぐんの神かみ、主しゅ、イスラエルの神かみはこう仰おおせられる、見みよ、わたしはユダとエルサレムに住すむ者ものとに、わたしが彼かれらの上うえに宣告せんこくした災わざわいを下くだす。わたしが彼かれらに語かたっても聞きかず、彼かれらを呼よんでも答こたえなかったからである」。 35:18 ところでエレミヤはレカブびとの家いえの人々ひとびとに言いった、「万軍ばんぐんの主しゅ、イスラエルの神かみはこう仰おおせられる、あなたがたは先祖せんぞヨナダブの命いのちに従したがい、そのすべての戒いましめを守まもり、彼かれがあなたがたに命めいじた事ことを行おこなった。35:19 それゆえ、万軍ばんぐんの主しゅ、イスラエルの神かみはこう言いわれる、レカブの子こヨナダブには、わたしの前まえに立たつ人ひとがいつまでも欠かけることはない」。 第36章 36:1 ユダの王おうヨシヤの子こエホヤキムの四年ねんに主しゅからこの言葉ことばがエレミヤに臨のぞんだ、36:2 「あなたは巻物まきものを取とり、わたしがあなたに語かたった日ひ、すなわちヨシヤの日ひから今日こんにちに至いたるまで、イスラエルとユダと万国ばんこくとに関かんしてあなたに語かたったすべての言葉ことばを、それにしるしなさい。36:3 ユダの家いえがわたしの下くだそうとしているすべての災わざわいを聞きいて、おのおのその悪わるい道みちを離はなれて帰かえることもあろう。そうすれば、わたしはそのとがとその罪つみをゆるすかも知しれない」。 36:4 そこでエレミヤはネリヤの子こバルクを呼よんだ。バルクはエレミヤの口述こうじゅつにしたがって、主しゅが彼かれにお告つげになった言葉ことばをことごとく巻物まきものに書かきしるした。36:5 そしてエレミヤはバルクに命めいじて言いった、「わたしは主しゅの宮みやに行いくことを妨さまたげられている。36:6 それで、あなたが行いって、断食だんじきの日ひに主しゅの宮みやで、すべての民たみが聞きいているところで、あなたがわたしの口述こうじゅつにしたがって、巻物まきものに筆記ひっきした主しゅの言葉ことばを読よみなさい。またユダの人々ひとびとがその町々まちまちから来きて聞きいているところで、それを読よみなさい。36:7 彼かれらは主しゅの前まえに祈願きがんをささげ、おのおのその悪わるい道みちを離はなれて帰かえることもあろう。主しゅがこの民たみに対たいして宣告せんこくされた怒いかりと憤いきどおりは大おおきいからである」。36:8 こうしてネリヤの子こバルクはすべて預言者よげんしゃエレミヤが自分じぶんに命めいじたように、主しゅの宮みやで、その巻物まきものに書かかれた主しゅの言葉ことばを読よんだ。 36:9 ユダの王おうヨシヤの子こエホヤキムの五年ねん九月がつ、エルサレムのすべての民たみと、ユダの町々まちまちからエルサレムに来きたすべての民たみとは、主しゅの前まえに断食だんじきを行おこなうべきことを告つげ示しめされた。36:10 バルクは主しゅの宮みやの上うえの庭にわで、主しゅの宮みやの新あたらしい門もんの入口いりぐちのかたわらにある書記しょきシャパンの子こであるゲマリヤのへやで、巻物まきものに書かかれたエレミヤの言葉ことばをすべての民たみに読よみ聞きかせた。 36:11 シャパンの子こであるゲマリヤの子こミカヤはその巻物まきものにある主しゅの言葉ことばをことごとく聞きいて、36:12 王おうの家いえにある書記しょきのへやに下くだって行いくと、もろもろのつかさたち、すなわち書記しょきエリシャマ、シマヤの子こデラヤ、アカボルの子こエルナタン、シャパンの子こゲマリヤ、ハナニヤの子こゼデキヤおよびすべてのつかさたちがそこに座ざしていた。36:13 ミカヤはバルクが民たみに巻物まきものを読よんで聞きかせたとき、自分じぶんの聞きいたすべての言葉ことばを彼かれらに告つげたので、36:14 つかさたちはクシの子こセレミヤの子こであるネタニヤの子こエホデをバルクのもとにつかわして言いわせた、「あなたが民たみに読よみ聞きかせたその巻物まきものを手てに取とって、来きてください」。そこでネリヤの子こバルクは巻物まきものを手てに取とって、彼かれらのもとに来きたので、36:15 彼かれらはバルクに言いった、「座ざしてそれを読よんでください」。バルクはそれを彼かれらに読よみきかせた。36:16 彼かれらはそのすべての言葉ことばを聞きき、恐おそれて互たがいに見みかわし、バルクに言いった、「われわれはこのすべての言葉ことばを、王おうに報告ほうこくしなければならない」。36:17 そしてバルクに尋たずねて言いった、「このすべての言葉ことばを、あなたがどのようにして書かいたのか話はなしてください。彼かれの口述こうじゅつによるのですか」。36:18 バルクは彼かれらに答こたえた、「彼かれがわたしにこのすべての言葉ことばを口述こうじゅつしたので、わたしはそれを墨汁ぼくじゅうで巻物まきものに書かいたのです」。36:19 つかさたちはバルクに言いった、「行いって、エレミヤと一緒いっしょに身みを隠かくしなさい。人ひとに所在しょざいを知しられてはなりません」。 36:20 そこで彼かれらは巻物まきものを書記しょきエリシャマのへやに置おいて庭にわにはいり、王おうのもとへ行いって、このすべての言葉ことばを王おうに告つげたので、36:21 王おうはその巻物まきものを持もってこさせるためにエホデをつかわした。エホデは書記しょきエリシャマのへやから巻物まきものを取とってきて、それを王おうと王おうのかたわらに立たっているすべてのつかさたちに読よみきかせた。36:22 時ときは九月がつであって、王おうは冬ふゆの家いえに座ざしていた。その前まえに炉ろがあって火ひが燃もえていた。36:23 エホデが三段だんか四段だんを読よむと、王おうは小刀こがたなをもってそれを切きり取とり、炉ろの火ひに投なげいれ、ついに巻物まきもの全部ぜんぶを炉ろの火ひで焼やきつくした。36:24 王おうとその家来けらいたちはこのすべての言葉ことばを聞きいても恐おそれず、またその着物きものを裂さくこともしなかった。36:25 エルナタン、デラヤおよびゲマリヤが王おうにその巻物まきものを焼やかないようにと願ねがったときにも彼かれは聞ききいれなかった。36:26 そして王おうは王子おうじエラメルとアヅリエルの子こセラヤとアブデルの子こセレミヤに、書記しょきバルクと預言者よげんしゃエレミヤを捕とらえるようにと命めいじたが、主しゅは彼かれらを隠かくされた。 36:27 バルクがエレミヤの口述こうじゅつにしたがって筆記ひっきした言葉ことばを載のせた巻物まきものを王おうが焼やいた後のち、主しゅの言葉ことばがエレミヤに臨のぞんだ、36:28 「他たの巻物まきものを取とり、ユダの王おうエホヤキムが焼やいた、前まえの巻物まきもののうちにある言葉ことばを皆みなそれに書かきしるしなさい。36:29 またユダの王おうエホヤキムについて言いいなさい、『主しゅはこう仰おおせられる、あなたはこの巻物まきものを焼やいて言いった、「どうしてあなたはこの巻物まきものに、バビロンの王おうが必かならず来きてこの地ちを滅ほろぼし、ここから人ひとと獣けものとを絶たやす、と書かいたのか」と。36:30 それゆえ主しゅはユダの王おうエホヤキムについてこう言いわれる、彼かれの子孫しそんにはダビデの位くらいにすわる者ものがなくなる。また彼かれの死体したいは捨すてられて昼ひるは暑あつさにあい、夜よるは霜しもにあう。36:31 わたしはまた彼かれとその子孫しそんとその家来けらいたちをその罪つみのために罰ばっする。また彼かれらとエルサレムの民たみとユダの人々ひとびとには災わざわいを下くだす。この災わざわいのことについては、すでに語かたったけれども、彼かれらは聞きくことをしなかった』」。 36:32 そこでエレミヤは他たの巻物まきものを取とり、ネリヤの子こ書記しょきバルクに与あたえたので、バルクはユダの王おうエホヤキムが火ひにくべて焼やいた巻物まきもののすべての言葉ことばを、エレミヤの口述こうじゅつにしたがってそれに書かきしるし、また同おなじような言葉ことばを多おおくそれに加くわえた。 第37章 37:1 ヨシヤの子こゼデキヤはエホヤキムの子こコニヤに代かわって王おうとなった。バビロンの王おうネブカデレザルが彼かれをユダの地ちの王おうとしたのである。37:2 彼かれもその家来けらいたちも、その地ちの人々ひとびとも、主しゅが預言者よげんしゃエレミヤによって語かたられた言葉ことばに聞きき従したがわなかった。 37:3 ゼデキヤ王おうはセレミヤの子こユカルと、マアセヤの子こ祭司さいしゼパニヤを預言者よげんしゃエレミヤにつかわして、「われわれのために、われわれの神かみ、主しゅに祈いのってください」と言いわせた。37:4 エレミヤは民たみの中なかに出入でいりしていた。まだ獄屋ごくやに入いれられなかったからである。37:5 パロの軍勢ぐんぜいがエジプトから出でて来きたので、エルサレムを攻せめ囲かこんでいたカルデヤびとはその情報じょうほうを聞きいてエルサレムを退しりぞいた。37:6 その時とき、主しゅの言葉ことばは預言者よげんしゃエレミヤに臨のぞんだ、37:7 「イスラエルの神かみ、主しゅはこう言いわれる、あなたがたをつかわしてわたしに求もとめたユダの王おうにこう言いいなさい、『あなたがたを救すくうために出でてきたパロの軍勢ぐんぜいはその国くにエジプトに帰かえろうとしている。37:8 カルデヤびとが再ふたたび来きてこの町まちを攻せめて戦たたかい、これを取とって火ひで焼やき滅ほろぼす。37:9 主しゅはこう言いわれる、あなたがたは、「カルデヤびとはきっとわれわれを離はなれ去さる」といって自分じぶんを欺あざむいてはならない。彼かれらは去さることはない。37:10 たといあなたがたが自分じぶんを攻せめて戦たたかうカルデヤびとの全ぜん軍ぐんを撃うち破やぶって、その天幕てんまくのうちに負傷ふしょう者もののみを残のこしても、彼かれらは立たち上あがって火ひでこの町まちを焼やき滅ほろぼす』」。 37:11 さてカルデヤびとの軍勢ぐんぜいがパロの軍勢ぐんぜいの来くるのを聞きいてエルサレムを退しりぞいたとき、37:12 エレミヤは、ベニヤミンの地ちで民たみのうちに自分じぶんの分わけ前まえを受うけ取とるため、エルサレムを立たってその地ちへ行いこうと、37:13 ベニヤミンの門もんに着ついたとき、そこにハナニヤの子こセレミヤの子こでイリヤという名なの番兵ばんぺいがいて、預言者よげんしゃエレミヤを捕とらえ、「あなたはカルデヤびとの側がわに脱走だっそうしようとしている」と言いった。37:14 エレミヤは言いった、「それはまちがいだ。わたしはカルデヤびとの側がわに脱走だっそうしようとしていない」。しかしイリヤは聞きかず、エレミヤを捕とらえて、つかさたちのもとへ引ひいて行いった。37:15 つかさたちは怒いかって、エレミヤを打うちたたき、書記しょきヨナタンの家いえの獄屋ごくやにいれた。この家いえが獄屋ごくやになっていたからである。 37:16 エレミヤが地下ちかの獄屋ごくやにはいって、そこに多おおくの日ひを送おくってのち、37:17 ゼデキヤ王おうは人ひとをつかわし、彼かれを連つれてこさせた。王おうは自分じぶんの家いえでひそかに彼かれに尋たずねて言いった、「主しゅから何なにかお言葉ことばがあったか」。エレミヤはあったと答こたえた。そして言いった、「あなたはバビロンの王おうの手てに引ひき渡わたされます」。37:18 エレミヤはまたゼデキヤ王おうに言いった、「わたしが獄屋ごくやにいれられたのは、あなたに、またはあなたの家来けらいに、あるいはこの民たみに、どのような罪つみを犯おかしたからなのですか。37:19 あなたがたに預言よげんして、『バビロンの王おうはあなたがたをも、この地ちをも攻せめにこない』と言いっていたあなたがたの預言者よげんしゃは今いまどこにいるのですか。37:20 王おうなるわが君きみよ、どうぞ今いまお聞ききください。わたしの願ねがいをお聞ききとどけください。わたしを書記しょきヨナタンの家いえへ帰かえらせないでください。そうでないと、わたしはそこで殺ころされるでしょう」。37:21 そこでゼデキヤ王おうは命めいを下くだし、エレミヤを監視かんしの庭にわに入いれさせ、かつ、パンを つくる者ものの町まちから毎日まいにちパン一個こを彼かれに与あたえさせた。これは町まちにパンがなくなるまで続つづいた。こうしてエレミヤは監視かんしの庭にわにいた。 第38章 38:1 マッタンの子こシパテヤ、パシュルの子こゲダリヤ、セレミヤの子こユカル、マルキヤの子こパシュルはエレミヤがすべての民たみに告つげていたその言葉ことばを聞きいた。38:2 彼かれは言いった、「主しゅはこう言いわれる、この町まちにとどまる者ものは、つるぎや、ききんや、疫病えきびょうで死しぬ。しかし出でてカルデヤびとにくだる者ものは死しを免まぬかれる。すなわちその命いのちを自分じぶんのぶんどり物ものとして生いきることができる。38:3 主しゅはこう言いわれる、この町まちは必かならずバビロンの王おうの軍勢ぐんぜいの手てに渡わたされる。彼かれはこれを取とる」。38:4 すると、つかさたちは王おうに言いった、「この人ひとを殺ころしてください。このような言葉ことばをのべて、この町まちに残のこっている兵士へいしの手てと、すべての民たみの手てを弱よわくしているからです。この人ひとは民たみの安泰あんたいを求もとめないで、その災わざわいを求もとめているのです」。38:5 ゼデキヤ王おうは言いった、「見みよ、彼かれはあなたがたの手てにある。王おうはあなたがたに逆さからって何事なにごとをもなし得えない」。38:6 そこで彼かれらはエレミヤを捕とらえ、監視かんしの庭にわにある王子おうじマルキヤの穴あなに投なげ入いれた。すなわち、綱つなをもってエレミヤをつり降おろしたが、その穴あなには水みずがなく、泥どろだけであったので、エレミヤは泥どろの中なかに沈しずんだ。 38:7 王おうの家いえの宦官かんがんエチオピヤびとエベデメレクは、彼かれらがエレミヤを穴あなに投なげ入いれたことを聞きいた。その時とき、王おうはベニヤミンの門もんに座ざしていたので、38:8 エベデメレクは王おうの家いえから出でて行いって王おうに言いった、38:9 「王おうなるわが君きみよ、この人々ひとびとが預言者よげんしゃエレミヤにしたことはみな良よいことではありません。彼かれを穴あなに投なげ入いれました。町まちに食物しょくもつがなくなりましたから、彼かれはそこで餓死がしするでしょう」。38:10 王おうはエチオピヤびとエベデメレクに命めいじて言いった、「ここから三人にんのひとを連つれて行いって、預言者よげんしゃエレミヤを、死しなないうちに穴あなから引ひき上あげなさい」。38:11 そこでエベデメレクはその人々ひとびとを連つれて王おうの家いえの倉くらの衣服いふく室しつに行いき、そこから古ふるい布ぬの切きれや、着きふるした着物きものを取とり、これを穴あなの中なかにいるエレミヤのところへ、綱つなをもってつり降おろした。38:12 そしてエチオピヤびとエベデメレクは、「この布ぬの切きれや着物きものを、あなたのわきの下したにはさんで、綱つなに当あてなさい」とエレミヤに言いった。エレミヤはそのようにした。38:13 すると彼かれらは綱つなをもってエレミヤを穴あなから引ひき上あげた。そしてエレミヤは監視かんしの庭にわにとどまった。 38:14 ゼデキヤ王おうは人ひとをつかわして預言者よげんしゃエレミヤを主しゅの宮みやの第だい三の門もんに連つれてこさせ、王おうはエレミヤに言いった、「あなたに尋たずねたいことがある。何事なにごともわたしに隠かくしてはならない」。38:15 エレミヤはゼデキヤに言いった、「もしわたしがお話はなするなら、あなたは必かならずわたしを殺ころされるではありませんか。たといわたしが忠告ちゅうこくをしても、あなたはお聞ききにならないでしょう」。38:16 その時ときゼデキヤ王おうは、ひそかにエレミヤに誓ちかって言いった、「われわれの魂たましいを造つくられた主しゅは生いきておられる。わたしはあなたを殺ころさない、またあなたの命いのちを求もとめる者ものの手てに、あなたを渡わたすこともしない」。 38:17 そこでエレミヤはゼデキヤに言いった、「万軍ばんぐんの神かみ、イスラエルの神かみ、主しゅはこう仰おおせられる、もしあなたがバビロンの王おうのつかさたちに降伏こうふくするならば、あなたの命いのちは助たすかり、またこの町まちは火ひで焼やかれることなく、あなたも、あなたの家いえの者ものも生いきながらえることができる。38:18 しかし、もしあなたが出でてバビロンの王おうのつかさたちに降伏こうふくしないならば、この町まちはカルデヤびとの手てに渡わたされる。彼かれらは火ひでこれを焼やく。あなたはその手てをのがれることができない」。38:19 ゼデキヤ王おうはエレミヤに言いった、「わたしはカルデヤびとに脱走だっそうしたユダヤ人ひとを恐おそれている。カルデヤびとはわたしを彼かれらの手てに渡わたし、彼かれらはわたしをはずかしめる」。38:20 エレミヤは言いった、「彼かれらはあなたを渡わたさないでしょう。どうか、わたしがあなたに告つげた主しゅの声こえに聞きき従したがってください。そうすれば幸さいわいを得え、また命いのちが助たすかります。38:21 しかし降伏こうふくすることを拒こばむならば、主しゅがわたしに示しめされた幻まぼろしを申もうしましょう。38:22 すなわち、ユダの王おうの家いえに残のこっている女おんなたちは、みなバビロンの王おうのつかさたちの所ところへ引ひいて行いかれます。その女おんなたちは言いうのです、 『あなたの親したしい友ともだちがあなたを欺あざむいた、そしてあなたに勝かった。今いまあなたの足あしは泥どろに沈しずんでいるので、彼かれらはあなたを捨すてて去さる』。38:23 あなたの妻つまたちと子供こどもたちは皆みなカルデヤびとの所ところへひき出だされる。あなた自身じしんもその手てをのがれることができず、バビロンの王おうに捕とらえられる。そしてこの町まちは火ひで焼やかれるでしょう」。 38:24 ゼデキヤはエレミヤに言いった、「これらの言葉ことばを人ひとに知しらせてはならない。そうすればあなたは殺ころされることはない。38:25 わたしがあなたと話はなしをしたことを、つかさたちが聞きいて、彼かれらがあなたの所ところに来きて、『あなたが王おうに話はなしたこと、王おうがあなたに話はなしたことをわれわれに告つげなさい。何事なにごとも隠かくしてはならない。われわれはあなたを殺ころしはしない』と言いうならば、38:26 あなたは彼かれらに、『わたしは王おうに願ねがって、わたしをヨナタンの家いえに送おくり返かえさず、そこで死しぬことのないようにしてくださいと言いった』と答こたえなさい」。38:27 さて、つかさたちは皆みなエレミヤのところへ来きて尋たずねたが、王おうが彼かれに教おしえたように彼かれらに答こたえたので、彼かれらは彼かれと話はなすことをやめた。その会話かいわを聞きいた者ものがなかったからである。38:28 エレミヤはエルサレムの取とられる日ひまで監視かんしの庭にわにとどまっていた。 第39章 39:1 ユダの王おうゼデキヤの九年ねん十月がつ、バビロンの王おうネブカデレザルはその全ぜん軍ぐんを率ひきい、エルサレムに来きてこれを攻せめ囲かこんだが、39:2 ゼデキヤの十一年ねん四月がつ九日かになって町まちの一角いっかくが破やぶれた。39:3 エルサレムが取とられたので、バビロンの王おうのつかさたち、すなわちネルガル・シャレゼル、サムガル・ネボ、ラブサリスのサルセキム、ラブマグのネルガル・シャレゼルおよびバビロンの王おうのその他たのつかさたちは皆みなともに来きて中なかの門もんに座ざした。39:4 ユダの王おうゼデキヤとすべての兵士へいしたちはこれを見みて逃にげ、夜よるのうちに、王おうの庭園ていえんの道みちを通とおって、二つの城壁じょうへきの間あいだの門もんから町まちを出でて、アラバの方ほうへ行いったが、39:5 カルデヤびとの軍勢ぐんぜいはこれを追おって、エリコの平地へいちでゼデキヤに追おいつき、これを捕とらえて、ハマテの地ちリブラにいるバビロンの王おうネブカデレザルのもとに引ひいて行いったので、王おうはそこで彼かれの罪つみをさだめた。39:6 バビロンの王おうはリブラで、ゼデキヤの子こたちを彼かれの目めの前まえで殺ころした。バビロンの王おうはまたユダのすべての貴族きぞくたちを殺ころした。39:7 王おうはまたゼデキヤの目めをつぶさせ、彼かれをバビロンに引ひいて行いくために、鎖くさりにつないだ。39:8 またカルデヤびとは王宮おうきゅうと民家みんかを火ひで焼やき、エルサレムの城壁じょうへきを破壊はかいした。39:9 そして侍衛じえいの長ちょうネブザラダンは町まちのうちに残のこっている民たみと、自分じぶんに降伏こうふくした者もの、およびその他たの残のこっている民たみをバビロンに捕とらえ移うつした。39:10 しかし侍衛じえいの長ちょうネブザラダンは、民たみの貧まずしい無産むさん者ものをユダの地ちに残のこし、同時どうじにぶどう畑はたけと田地でんちをこれに与あたえた。 39:11 さてバビロンの王おうネブカデレザルはエレミヤの事ことについて侍衛じえいの長ちょうネブザラダンに命めいじて言いった、39:12 「彼かれをとり、よく世話せわをせよ。害がいを加くわえることなく、彼かれがあなたに言いうようにしてやりなさい」。39:13 そこで侍衛じえいの長ちょうネブザラダン、ラブサリスのネブシャズバン、ラブマグのネルガル・シャレゼル、およびバビロンの王おうのつかさたちは、39:14 人ひとをつかわして、エレミヤを監視かんしの庭にわから連つれてこさせ、シャパンの子こアヒカムの子こであるゲダリヤに託たくして、家いえにつれて行いかせた。こうして彼かれは民たみのうちにいた。 39:15 エレミヤが監視かんしの庭にわに閉とじこめられていた時とき、主しゅの言葉ことばが彼かれに臨のぞんだ、39:16 「行いって、エチオピヤびとエベデメレクに告つげなさい、『万軍ばんぐんの主しゅ、イスラエルの神かみはこう言いわれる、わたしの言いった災わざわいをわたしはこの町まちに下くだす、幸さいわいをこれに下くだすのではない。その日ひ、この事ことがあなたの目めの前まえで成就じょうじゅする。39:17 主しゅは言いわれる、その日ひわたしはあなたを救すくう。あなたは自分じぶんの恐おそれている人々ひとびとの手てに渡わたされることはない。39:18 わたしが必かならずあなたを救すくい、つるぎに倒たおれることのないようにするからである。あなたの命いのちはあなたのぶんどり物ものとなる。あなたがわたしに寄より頼たよんだからであると主しゅは言いわれる』」。
34:1 バビロンの王おうネブカデレザルがその全ぜん軍ぐんと、彼かれに従したがっている地ちのすべての国くにの人々ひとびと、およびもろもろの民たみを率ひきいて、エルサレムとその町々まちまちを攻せめて戦たたかっていた時ときに、主しゅからエレミヤに臨のぞんだ言葉ことば、
34:2 「イスラエルの神かみ、主しゅはこう言いわれる、行いってユダの王おうゼデキヤに告つげて言いいなさい、『主しゅはこう言いわれる、見みよ、わたしはこの町まちをバビロンの王おうの手てに渡わたす。彼かれは火ひでこれを焼やく。
34:3 あなたはその手てをのがれることはできない、必かならず捕とらえられてその手てに渡わたされる。あなたはまのあたりバビロンの王おうを見み、顔かおと顔かおを合あわせて彼かれと語かたる。それからバビロンへ行いく』。
34:4 しかしユダの王おうゼデキヤよ、主しゅの言葉ことばを聞ききなさい。主しゅはあなたの事ことについてこう言いわれる、『あなたはつるぎで死しぬことはない。
34:5 あなたは安やすらかに死しぬ。民たみはあなたの先祖せんぞであるあなたの先さきの王おうたちのために香こうをたいたように、あなたのためにも香こうをたき、またあなたのために嘆なげいて「ああ、主君しゅくんよ」と言いう』。わたしがこの言葉ことばをいうのであると主しゅは言いわれる」。
34:6 そこで預言者よげんしゃエレミヤはこの言葉ことばをことごとくエルサレムでユダの王おうゼデキヤに告つげた。
34:7 その時ときバビロンの王おうの軍勢ぐんぜいはエルサレム、および残のこっているユダのすべての町まち、すなわちラキシとアゼカを攻せめて戦たたかっていた。それはユダの町々まちまちのうちに、これらの堅固けんごな町まちがなお残のこっていたからである。
34:8 ゼデキヤ王おうがエルサレムにいるすべての民たみと契約けいやくを立たてて、彼かれらに釈放しゃくほうのことを告つげ示しめした後のちに、主しゅからエレミヤに臨のぞんだ言葉ことば。
34:9 その契約けいやくはすなわち人ひとがおのおのそのヘブルびとである男女だんじょの奴隷どれいを解放かいほうし、その兄弟きょうだいであるユダヤ人ひとを奴隷どれいとしないことを定さだめたものであった。
34:10 この契約けいやくをしたつかさたちと、すべての民たみは人ひとがおのおのその男女だんじょの奴隷どれいを解放かいほうし、再ふたたびこれを奴隷どれいとしないということに聞きき従したがって、これを解放かいほうしたが、
34:11 後のちに心こころを翻ひるがえし、解放かいほうした男女だんじょの奴隷どれいをひきかえさせ、再ふたたびこれを従したがわせて奴隷どれいとした。
34:12 そこで主しゅの言葉ことばが主しゅからエレミヤに臨のぞんだ、
34:13 「イスラエルの神かみ、主しゅはこう言いわれる、わたしはあなたがたの先祖せんぞをエジプトの地ち、その奴隷どれいであった家いえから導みちびき出だした時とき、彼かれらと契約けいやくを立たてて言いった、
34:14 『あなたがたの兄弟きょうだいであるヘブルびとで、あなたがたに身みを売うり、六年ねんの間あいだあなたがたに仕つかえた者ものは、六年ねんの終おわりに、あなたがたおのおのがこれを解放かいほうしなければならない。あなたがたは彼かれを解放かいほうして、あなたがたに仕つかえることをやめさせなければならない』。ところがあなたがたの先祖せんぞたちはわたしに聞きき従したがわず、またその耳みみを傾かたむけなかった。
34:15 しかしあなたがたは今日こんにち、心こころを改あらため、おのおのその隣となり人びとに釈放しゃくほうのことを告つげ示しめして、わたしの見みて正ただしいとすることを行おこない、かつわたしの名なをもってとなえられる家いえで、わたしの前まえに契約けいやくを立たてた。
34:16 ところがあなたがたは再ふたたび心こころを翻ひるがえして、わたしの名なを汚けがし、おのおの男女だんじょの奴隷どれいをその願ねがいのままに解放かいほうしたのをひきかえさせ、再ふたたびこれを従したがわせて、あなたがたの奴隷どれいとした。
34:17 それゆえに、主しゅはこう仰おおせられる、あなたがたがわたしに聞きき従したがわず、おのおのその兄弟きょうだいとその隣となりに釈放しゃくほうのことを告つげ示しめさなかったので、見みよ、わたしはあなたがたのために釈放しゃくほうを告つげ示しめして、あなたがたをつるぎと、疫病えきびょうと、ききんとに渡わたすと主しゅは言いわれる。わたしはあなたがたを地ちのもろもろの国くにに忌いみきらわれるものとする。
34:18 わたしの契約けいやくを破やぶり、わたしの前まえに立たてた契約けいやくの定さだめに従したがわない人々ひとびとを、わたしは彼かれらが二つに裂さいて、その二つの間あいだを通とおった子こ牛うしのようにする。――
34:19 すなわち二つに分わけた子こ牛うしの間あいだを通とおったユダのつかさたち、エルサレムのつかさたちと宦官かんがんと祭司さいしと、この地ちのすべての民たみを、
34:20 わたしはその敵てきの手てと、その命いのちを求もとめる者ものの手てに渡わたす。その死体したいは空そらの鳥とりと野のの獣けものの食物しょくもつとなる。
34:21 わたしはまたユダの王おうゼデキヤと、そのつかさたちをその敵てきの手て、その命いのちを求もとめる者ものの手て、あなたがたを離はなれて去さったバビロンの王おうの軍勢ぐんぜいの手てに渡わたす。
34:22 主しゅは言いわれる、見みよ、わたしは彼かれらに命めいじて、この町まちに引ひきかえしてこさせる。彼かれらはこの町まちを攻せめて戦たたかい、これを取とり、火ひを放はなって焼やき払はらう。わたしはユダの町々まちまちを住すむ人ひとのない荒あれ地ちとする」。
第35章 35:1 ユダの王おうヨシヤの子こエホヤキムの時とき、主しゅからエレミヤに臨のぞんだ言葉ことば。35:2 「レカブびとの家いえに行いって、彼かれらと語かたり、彼かれらを主しゅの宮みやの一室いっしつに連つれてきて、酒さけを飲のませなさい」。35:3 そこでわたしはハバジニヤの子こエレミヤの子こであるヤザニヤと、その兄弟きょうだいと、そのむすこたち、およびレカブびとの全家ぜんかを連つれ、35:4 これを主しゅの宮みやにあるハナンの子こたちの室しつに連つれてきた。ハナンはイグダリヤの子こであって神かみの人ひとであった。その室しつは、つかさたちの室しつの次つぎにあって、門もんを守まもるシャルムの子こマアセヤの室しつの上うえにあった。35:5 わたしはレカブびとの前まえに酒さけを満みたしたつぼと杯さかずきを置おき、彼かれらに、「酒さけを飲のみなさい」と言いったが、35:6 彼かれらは答こたえた、「われわれは酒さけを飲のみません。それは、レカブの子こであるわれわれの先祖せんぞヨナダブがわれわれに命めいじて、『あなたがたとあなたがたの子孫しそんはいつまでも酒さけを飲のんではならない。35:7 また家いえを建たてず、種たねをまかず、またぶどう畑はたけを植うえてはならない。またこれを所有しょゆうしてはならない。あなたがたは生いきながらえる間あいだは幕屋まくやに住すんでいなさい。そうするならば、あなたがたはその宿やどっている地ちに長ながく生いきることができると言いったからです』。35:8 こうしてわれわれは、レカブの子こであるわれわれの先祖せんぞヨナダブがすべて命めいじた言葉ことばに従したがって、われわれも、妻つまも、むすこ娘むすめも生いきながらえる間あいだ、酒さけを飲のまず、35:9 住すむ家いえを建たてず、ぶどう畑はたけも畑はたけも種たねも持もたないで、35:10 幕屋まくやに住すみ、すべてわれわれの先祖せんぞヨナダブがわれわれに命めいじたところに従したがい、そのように行おこないました。35:11 しかしバビロンの王おうネブカデレザルがこの地ちに上のぼってきた時とき、われわれは言いいました、『さあ、われわれはエルサレムへ行いこう。カルデヤびとの軍勢ぐんぜいとスリヤびとの軍勢ぐんぜいが恐おそろしい』と。こうしてわれわれはエルサレムに住すんでいるのです」。 35:12 その時とき、主しゅの言葉ことばがエレミヤに臨のぞんだ、35:13 「万軍ばんぐんの主しゅ、イスラエルの神かみはこう言いわれる、行いって、ユダの人々ひとびととエルサレムに住すむ者ものとに告つげよ。主しゅは仰おおせられる、あなたがたはわたしの言葉ことばを聞きいて教おしえを受うけないのか。35:14 レカブの子こヨナダブがその子孫しそんに酒さけを飲のむなと命めいじた言葉ことばは守まもられてきた。彼かれらは今日こんにちに至いたるまで酒さけを飲のまず、その先祖せんぞの命いのちに従したがってきた。ところがあなたがたはわたしがしきりに語かたったけれども、わたしに聞きき従したがわなかった。35:15 わたしはまた、わたしのしもべである預言者よげんしゃたちを、しきりにあなたがたにつかわして言いわせた、『あなたがたは今いまおのおのその悪わるい道みちを離はなれ、その行おこないを改あらためなさい。ほかの神々かみがみに従したがい仕つかえてはならない。そうすれば、あなたがたはわたしがあなたがたと、あなたがたの先祖せんぞに与あたえたこの地ちに住すむことができる』と。しかしあなたがたは耳みみを傾かたむけず、わたしに聞きかなかった。35:16 レカブの子こヨナダブの子孫しそんは、その先祖せんぞが彼かれらに命めいじた命令めいれいを守まもっているのである。しかしこの民たみはわたしに従したがわなかった。35:17 それゆえ万軍ばんぐんの神かみ、主しゅ、イスラエルの神かみはこう仰おおせられる、見みよ、わたしはユダとエルサレムに住すむ者ものとに、わたしが彼かれらの上うえに宣告せんこくした災わざわいを下くだす。わたしが彼かれらに語かたっても聞きかず、彼かれらを呼よんでも答こたえなかったからである」。 35:18 ところでエレミヤはレカブびとの家いえの人々ひとびとに言いった、「万軍ばんぐんの主しゅ、イスラエルの神かみはこう仰おおせられる、あなたがたは先祖せんぞヨナダブの命いのちに従したがい、そのすべての戒いましめを守まもり、彼かれがあなたがたに命めいじた事ことを行おこなった。35:19 それゆえ、万軍ばんぐんの主しゅ、イスラエルの神かみはこう言いわれる、レカブの子こヨナダブには、わたしの前まえに立たつ人ひとがいつまでも欠かけることはない」。 第36章 36:1 ユダの王おうヨシヤの子こエホヤキムの四年ねんに主しゅからこの言葉ことばがエレミヤに臨のぞんだ、36:2 「あなたは巻物まきものを取とり、わたしがあなたに語かたった日ひ、すなわちヨシヤの日ひから今日こんにちに至いたるまで、イスラエルとユダと万国ばんこくとに関かんしてあなたに語かたったすべての言葉ことばを、それにしるしなさい。36:3 ユダの家いえがわたしの下くだそうとしているすべての災わざわいを聞きいて、おのおのその悪わるい道みちを離はなれて帰かえることもあろう。そうすれば、わたしはそのとがとその罪つみをゆるすかも知しれない」。 36:4 そこでエレミヤはネリヤの子こバルクを呼よんだ。バルクはエレミヤの口述こうじゅつにしたがって、主しゅが彼かれにお告つげになった言葉ことばをことごとく巻物まきものに書かきしるした。36:5 そしてエレミヤはバルクに命めいじて言いった、「わたしは主しゅの宮みやに行いくことを妨さまたげられている。36:6 それで、あなたが行いって、断食だんじきの日ひに主しゅの宮みやで、すべての民たみが聞きいているところで、あなたがわたしの口述こうじゅつにしたがって、巻物まきものに筆記ひっきした主しゅの言葉ことばを読よみなさい。またユダの人々ひとびとがその町々まちまちから来きて聞きいているところで、それを読よみなさい。36:7 彼かれらは主しゅの前まえに祈願きがんをささげ、おのおのその悪わるい道みちを離はなれて帰かえることもあろう。主しゅがこの民たみに対たいして宣告せんこくされた怒いかりと憤いきどおりは大おおきいからである」。36:8 こうしてネリヤの子こバルクはすべて預言者よげんしゃエレミヤが自分じぶんに命めいじたように、主しゅの宮みやで、その巻物まきものに書かかれた主しゅの言葉ことばを読よんだ。 36:9 ユダの王おうヨシヤの子こエホヤキムの五年ねん九月がつ、エルサレムのすべての民たみと、ユダの町々まちまちからエルサレムに来きたすべての民たみとは、主しゅの前まえに断食だんじきを行おこなうべきことを告つげ示しめされた。36:10 バルクは主しゅの宮みやの上うえの庭にわで、主しゅの宮みやの新あたらしい門もんの入口いりぐちのかたわらにある書記しょきシャパンの子こであるゲマリヤのへやで、巻物まきものに書かかれたエレミヤの言葉ことばをすべての民たみに読よみ聞きかせた。 36:11 シャパンの子こであるゲマリヤの子こミカヤはその巻物まきものにある主しゅの言葉ことばをことごとく聞きいて、36:12 王おうの家いえにある書記しょきのへやに下くだって行いくと、もろもろのつかさたち、すなわち書記しょきエリシャマ、シマヤの子こデラヤ、アカボルの子こエルナタン、シャパンの子こゲマリヤ、ハナニヤの子こゼデキヤおよびすべてのつかさたちがそこに座ざしていた。36:13 ミカヤはバルクが民たみに巻物まきものを読よんで聞きかせたとき、自分じぶんの聞きいたすべての言葉ことばを彼かれらに告つげたので、36:14 つかさたちはクシの子こセレミヤの子こであるネタニヤの子こエホデをバルクのもとにつかわして言いわせた、「あなたが民たみに読よみ聞きかせたその巻物まきものを手てに取とって、来きてください」。そこでネリヤの子こバルクは巻物まきものを手てに取とって、彼かれらのもとに来きたので、36:15 彼かれらはバルクに言いった、「座ざしてそれを読よんでください」。バルクはそれを彼かれらに読よみきかせた。36:16 彼かれらはそのすべての言葉ことばを聞きき、恐おそれて互たがいに見みかわし、バルクに言いった、「われわれはこのすべての言葉ことばを、王おうに報告ほうこくしなければならない」。36:17 そしてバルクに尋たずねて言いった、「このすべての言葉ことばを、あなたがどのようにして書かいたのか話はなしてください。彼かれの口述こうじゅつによるのですか」。36:18 バルクは彼かれらに答こたえた、「彼かれがわたしにこのすべての言葉ことばを口述こうじゅつしたので、わたしはそれを墨汁ぼくじゅうで巻物まきものに書かいたのです」。36:19 つかさたちはバルクに言いった、「行いって、エレミヤと一緒いっしょに身みを隠かくしなさい。人ひとに所在しょざいを知しられてはなりません」。 36:20 そこで彼かれらは巻物まきものを書記しょきエリシャマのへやに置おいて庭にわにはいり、王おうのもとへ行いって、このすべての言葉ことばを王おうに告つげたので、36:21 王おうはその巻物まきものを持もってこさせるためにエホデをつかわした。エホデは書記しょきエリシャマのへやから巻物まきものを取とってきて、それを王おうと王おうのかたわらに立たっているすべてのつかさたちに読よみきかせた。36:22 時ときは九月がつであって、王おうは冬ふゆの家いえに座ざしていた。その前まえに炉ろがあって火ひが燃もえていた。36:23 エホデが三段だんか四段だんを読よむと、王おうは小刀こがたなをもってそれを切きり取とり、炉ろの火ひに投なげいれ、ついに巻物まきもの全部ぜんぶを炉ろの火ひで焼やきつくした。36:24 王おうとその家来けらいたちはこのすべての言葉ことばを聞きいても恐おそれず、またその着物きものを裂さくこともしなかった。36:25 エルナタン、デラヤおよびゲマリヤが王おうにその巻物まきものを焼やかないようにと願ねがったときにも彼かれは聞ききいれなかった。36:26 そして王おうは王子おうじエラメルとアヅリエルの子こセラヤとアブデルの子こセレミヤに、書記しょきバルクと預言者よげんしゃエレミヤを捕とらえるようにと命めいじたが、主しゅは彼かれらを隠かくされた。 36:27 バルクがエレミヤの口述こうじゅつにしたがって筆記ひっきした言葉ことばを載のせた巻物まきものを王おうが焼やいた後のち、主しゅの言葉ことばがエレミヤに臨のぞんだ、36:28 「他たの巻物まきものを取とり、ユダの王おうエホヤキムが焼やいた、前まえの巻物まきもののうちにある言葉ことばを皆みなそれに書かきしるしなさい。36:29 またユダの王おうエホヤキムについて言いいなさい、『主しゅはこう仰おおせられる、あなたはこの巻物まきものを焼やいて言いった、「どうしてあなたはこの巻物まきものに、バビロンの王おうが必かならず来きてこの地ちを滅ほろぼし、ここから人ひとと獣けものとを絶たやす、と書かいたのか」と。36:30 それゆえ主しゅはユダの王おうエホヤキムについてこう言いわれる、彼かれの子孫しそんにはダビデの位くらいにすわる者ものがなくなる。また彼かれの死体したいは捨すてられて昼ひるは暑あつさにあい、夜よるは霜しもにあう。36:31 わたしはまた彼かれとその子孫しそんとその家来けらいたちをその罪つみのために罰ばっする。また彼かれらとエルサレムの民たみとユダの人々ひとびとには災わざわいを下くだす。この災わざわいのことについては、すでに語かたったけれども、彼かれらは聞きくことをしなかった』」。 36:32 そこでエレミヤは他たの巻物まきものを取とり、ネリヤの子こ書記しょきバルクに与あたえたので、バルクはユダの王おうエホヤキムが火ひにくべて焼やいた巻物まきもののすべての言葉ことばを、エレミヤの口述こうじゅつにしたがってそれに書かきしるし、また同おなじような言葉ことばを多おおくそれに加くわえた。 第37章 37:1 ヨシヤの子こゼデキヤはエホヤキムの子こコニヤに代かわって王おうとなった。バビロンの王おうネブカデレザルが彼かれをユダの地ちの王おうとしたのである。37:2 彼かれもその家来けらいたちも、その地ちの人々ひとびとも、主しゅが預言者よげんしゃエレミヤによって語かたられた言葉ことばに聞きき従したがわなかった。 37:3 ゼデキヤ王おうはセレミヤの子こユカルと、マアセヤの子こ祭司さいしゼパニヤを預言者よげんしゃエレミヤにつかわして、「われわれのために、われわれの神かみ、主しゅに祈いのってください」と言いわせた。37:4 エレミヤは民たみの中なかに出入でいりしていた。まだ獄屋ごくやに入いれられなかったからである。37:5 パロの軍勢ぐんぜいがエジプトから出でて来きたので、エルサレムを攻せめ囲かこんでいたカルデヤびとはその情報じょうほうを聞きいてエルサレムを退しりぞいた。37:6 その時とき、主しゅの言葉ことばは預言者よげんしゃエレミヤに臨のぞんだ、37:7 「イスラエルの神かみ、主しゅはこう言いわれる、あなたがたをつかわしてわたしに求もとめたユダの王おうにこう言いいなさい、『あなたがたを救すくうために出でてきたパロの軍勢ぐんぜいはその国くにエジプトに帰かえろうとしている。37:8 カルデヤびとが再ふたたび来きてこの町まちを攻せめて戦たたかい、これを取とって火ひで焼やき滅ほろぼす。37:9 主しゅはこう言いわれる、あなたがたは、「カルデヤびとはきっとわれわれを離はなれ去さる」といって自分じぶんを欺あざむいてはならない。彼かれらは去さることはない。37:10 たといあなたがたが自分じぶんを攻せめて戦たたかうカルデヤびとの全ぜん軍ぐんを撃うち破やぶって、その天幕てんまくのうちに負傷ふしょう者もののみを残のこしても、彼かれらは立たち上あがって火ひでこの町まちを焼やき滅ほろぼす』」。 37:11 さてカルデヤびとの軍勢ぐんぜいがパロの軍勢ぐんぜいの来くるのを聞きいてエルサレムを退しりぞいたとき、37:12 エレミヤは、ベニヤミンの地ちで民たみのうちに自分じぶんの分わけ前まえを受うけ取とるため、エルサレムを立たってその地ちへ行いこうと、37:13 ベニヤミンの門もんに着ついたとき、そこにハナニヤの子こセレミヤの子こでイリヤという名なの番兵ばんぺいがいて、預言者よげんしゃエレミヤを捕とらえ、「あなたはカルデヤびとの側がわに脱走だっそうしようとしている」と言いった。37:14 エレミヤは言いった、「それはまちがいだ。わたしはカルデヤびとの側がわに脱走だっそうしようとしていない」。しかしイリヤは聞きかず、エレミヤを捕とらえて、つかさたちのもとへ引ひいて行いった。37:15 つかさたちは怒いかって、エレミヤを打うちたたき、書記しょきヨナタンの家いえの獄屋ごくやにいれた。この家いえが獄屋ごくやになっていたからである。 37:16 エレミヤが地下ちかの獄屋ごくやにはいって、そこに多おおくの日ひを送おくってのち、37:17 ゼデキヤ王おうは人ひとをつかわし、彼かれを連つれてこさせた。王おうは自分じぶんの家いえでひそかに彼かれに尋たずねて言いった、「主しゅから何なにかお言葉ことばがあったか」。エレミヤはあったと答こたえた。そして言いった、「あなたはバビロンの王おうの手てに引ひき渡わたされます」。37:18 エレミヤはまたゼデキヤ王おうに言いった、「わたしが獄屋ごくやにいれられたのは、あなたに、またはあなたの家来けらいに、あるいはこの民たみに、どのような罪つみを犯おかしたからなのですか。37:19 あなたがたに預言よげんして、『バビロンの王おうはあなたがたをも、この地ちをも攻せめにこない』と言いっていたあなたがたの預言者よげんしゃは今いまどこにいるのですか。37:20 王おうなるわが君きみよ、どうぞ今いまお聞ききください。わたしの願ねがいをお聞ききとどけください。わたしを書記しょきヨナタンの家いえへ帰かえらせないでください。そうでないと、わたしはそこで殺ころされるでしょう」。37:21 そこでゼデキヤ王おうは命めいを下くだし、エレミヤを監視かんしの庭にわに入いれさせ、かつ、パンを つくる者ものの町まちから毎日まいにちパン一個こを彼かれに与あたえさせた。これは町まちにパンがなくなるまで続つづいた。こうしてエレミヤは監視かんしの庭にわにいた。 第38章 38:1 マッタンの子こシパテヤ、パシュルの子こゲダリヤ、セレミヤの子こユカル、マルキヤの子こパシュルはエレミヤがすべての民たみに告つげていたその言葉ことばを聞きいた。38:2 彼かれは言いった、「主しゅはこう言いわれる、この町まちにとどまる者ものは、つるぎや、ききんや、疫病えきびょうで死しぬ。しかし出でてカルデヤびとにくだる者ものは死しを免まぬかれる。すなわちその命いのちを自分じぶんのぶんどり物ものとして生いきることができる。38:3 主しゅはこう言いわれる、この町まちは必かならずバビロンの王おうの軍勢ぐんぜいの手てに渡わたされる。彼かれはこれを取とる」。38:4 すると、つかさたちは王おうに言いった、「この人ひとを殺ころしてください。このような言葉ことばをのべて、この町まちに残のこっている兵士へいしの手てと、すべての民たみの手てを弱よわくしているからです。この人ひとは民たみの安泰あんたいを求もとめないで、その災わざわいを求もとめているのです」。38:5 ゼデキヤ王おうは言いった、「見みよ、彼かれはあなたがたの手てにある。王おうはあなたがたに逆さからって何事なにごとをもなし得えない」。38:6 そこで彼かれらはエレミヤを捕とらえ、監視かんしの庭にわにある王子おうじマルキヤの穴あなに投なげ入いれた。すなわち、綱つなをもってエレミヤをつり降おろしたが、その穴あなには水みずがなく、泥どろだけであったので、エレミヤは泥どろの中なかに沈しずんだ。 38:7 王おうの家いえの宦官かんがんエチオピヤびとエベデメレクは、彼かれらがエレミヤを穴あなに投なげ入いれたことを聞きいた。その時とき、王おうはベニヤミンの門もんに座ざしていたので、38:8 エベデメレクは王おうの家いえから出でて行いって王おうに言いった、38:9 「王おうなるわが君きみよ、この人々ひとびとが預言者よげんしゃエレミヤにしたことはみな良よいことではありません。彼かれを穴あなに投なげ入いれました。町まちに食物しょくもつがなくなりましたから、彼かれはそこで餓死がしするでしょう」。38:10 王おうはエチオピヤびとエベデメレクに命めいじて言いった、「ここから三人にんのひとを連つれて行いって、預言者よげんしゃエレミヤを、死しなないうちに穴あなから引ひき上あげなさい」。38:11 そこでエベデメレクはその人々ひとびとを連つれて王おうの家いえの倉くらの衣服いふく室しつに行いき、そこから古ふるい布ぬの切きれや、着きふるした着物きものを取とり、これを穴あなの中なかにいるエレミヤのところへ、綱つなをもってつり降おろした。38:12 そしてエチオピヤびとエベデメレクは、「この布ぬの切きれや着物きものを、あなたのわきの下したにはさんで、綱つなに当あてなさい」とエレミヤに言いった。エレミヤはそのようにした。38:13 すると彼かれらは綱つなをもってエレミヤを穴あなから引ひき上あげた。そしてエレミヤは監視かんしの庭にわにとどまった。 38:14 ゼデキヤ王おうは人ひとをつかわして預言者よげんしゃエレミヤを主しゅの宮みやの第だい三の門もんに連つれてこさせ、王おうはエレミヤに言いった、「あなたに尋たずねたいことがある。何事なにごともわたしに隠かくしてはならない」。38:15 エレミヤはゼデキヤに言いった、「もしわたしがお話はなするなら、あなたは必かならずわたしを殺ころされるではありませんか。たといわたしが忠告ちゅうこくをしても、あなたはお聞ききにならないでしょう」。38:16 その時ときゼデキヤ王おうは、ひそかにエレミヤに誓ちかって言いった、「われわれの魂たましいを造つくられた主しゅは生いきておられる。わたしはあなたを殺ころさない、またあなたの命いのちを求もとめる者ものの手てに、あなたを渡わたすこともしない」。 38:17 そこでエレミヤはゼデキヤに言いった、「万軍ばんぐんの神かみ、イスラエルの神かみ、主しゅはこう仰おおせられる、もしあなたがバビロンの王おうのつかさたちに降伏こうふくするならば、あなたの命いのちは助たすかり、またこの町まちは火ひで焼やかれることなく、あなたも、あなたの家いえの者ものも生いきながらえることができる。38:18 しかし、もしあなたが出でてバビロンの王おうのつかさたちに降伏こうふくしないならば、この町まちはカルデヤびとの手てに渡わたされる。彼かれらは火ひでこれを焼やく。あなたはその手てをのがれることができない」。38:19 ゼデキヤ王おうはエレミヤに言いった、「わたしはカルデヤびとに脱走だっそうしたユダヤ人ひとを恐おそれている。カルデヤびとはわたしを彼かれらの手てに渡わたし、彼かれらはわたしをはずかしめる」。38:20 エレミヤは言いった、「彼かれらはあなたを渡わたさないでしょう。どうか、わたしがあなたに告つげた主しゅの声こえに聞きき従したがってください。そうすれば幸さいわいを得え、また命いのちが助たすかります。38:21 しかし降伏こうふくすることを拒こばむならば、主しゅがわたしに示しめされた幻まぼろしを申もうしましょう。38:22 すなわち、ユダの王おうの家いえに残のこっている女おんなたちは、みなバビロンの王おうのつかさたちの所ところへ引ひいて行いかれます。その女おんなたちは言いうのです、 『あなたの親したしい友ともだちがあなたを欺あざむいた、そしてあなたに勝かった。今いまあなたの足あしは泥どろに沈しずんでいるので、彼かれらはあなたを捨すてて去さる』。38:23 あなたの妻つまたちと子供こどもたちは皆みなカルデヤびとの所ところへひき出だされる。あなた自身じしんもその手てをのがれることができず、バビロンの王おうに捕とらえられる。そしてこの町まちは火ひで焼やかれるでしょう」。 38:24 ゼデキヤはエレミヤに言いった、「これらの言葉ことばを人ひとに知しらせてはならない。そうすればあなたは殺ころされることはない。38:25 わたしがあなたと話はなしをしたことを、つかさたちが聞きいて、彼かれらがあなたの所ところに来きて、『あなたが王おうに話はなしたこと、王おうがあなたに話はなしたことをわれわれに告つげなさい。何事なにごとも隠かくしてはならない。われわれはあなたを殺ころしはしない』と言いうならば、38:26 あなたは彼かれらに、『わたしは王おうに願ねがって、わたしをヨナタンの家いえに送おくり返かえさず、そこで死しぬことのないようにしてくださいと言いった』と答こたえなさい」。38:27 さて、つかさたちは皆みなエレミヤのところへ来きて尋たずねたが、王おうが彼かれに教おしえたように彼かれらに答こたえたので、彼かれらは彼かれと話はなすことをやめた。その会話かいわを聞きいた者ものがなかったからである。38:28 エレミヤはエルサレムの取とられる日ひまで監視かんしの庭にわにとどまっていた。 第39章 39:1 ユダの王おうゼデキヤの九年ねん十月がつ、バビロンの王おうネブカデレザルはその全ぜん軍ぐんを率ひきい、エルサレムに来きてこれを攻せめ囲かこんだが、39:2 ゼデキヤの十一年ねん四月がつ九日かになって町まちの一角いっかくが破やぶれた。39:3 エルサレムが取とられたので、バビロンの王おうのつかさたち、すなわちネルガル・シャレゼル、サムガル・ネボ、ラブサリスのサルセキム、ラブマグのネルガル・シャレゼルおよびバビロンの王おうのその他たのつかさたちは皆みなともに来きて中なかの門もんに座ざした。39:4 ユダの王おうゼデキヤとすべての兵士へいしたちはこれを見みて逃にげ、夜よるのうちに、王おうの庭園ていえんの道みちを通とおって、二つの城壁じょうへきの間あいだの門もんから町まちを出でて、アラバの方ほうへ行いったが、39:5 カルデヤびとの軍勢ぐんぜいはこれを追おって、エリコの平地へいちでゼデキヤに追おいつき、これを捕とらえて、ハマテの地ちリブラにいるバビロンの王おうネブカデレザルのもとに引ひいて行いったので、王おうはそこで彼かれの罪つみをさだめた。39:6 バビロンの王おうはリブラで、ゼデキヤの子こたちを彼かれの目めの前まえで殺ころした。バビロンの王おうはまたユダのすべての貴族きぞくたちを殺ころした。39:7 王おうはまたゼデキヤの目めをつぶさせ、彼かれをバビロンに引ひいて行いくために、鎖くさりにつないだ。39:8 またカルデヤびとは王宮おうきゅうと民家みんかを火ひで焼やき、エルサレムの城壁じょうへきを破壊はかいした。39:9 そして侍衛じえいの長ちょうネブザラダンは町まちのうちに残のこっている民たみと、自分じぶんに降伏こうふくした者もの、およびその他たの残のこっている民たみをバビロンに捕とらえ移うつした。39:10 しかし侍衛じえいの長ちょうネブザラダンは、民たみの貧まずしい無産むさん者ものをユダの地ちに残のこし、同時どうじにぶどう畑はたけと田地でんちをこれに与あたえた。 39:11 さてバビロンの王おうネブカデレザルはエレミヤの事ことについて侍衛じえいの長ちょうネブザラダンに命めいじて言いった、39:12 「彼かれをとり、よく世話せわをせよ。害がいを加くわえることなく、彼かれがあなたに言いうようにしてやりなさい」。39:13 そこで侍衛じえいの長ちょうネブザラダン、ラブサリスのネブシャズバン、ラブマグのネルガル・シャレゼル、およびバビロンの王おうのつかさたちは、39:14 人ひとをつかわして、エレミヤを監視かんしの庭にわから連つれてこさせ、シャパンの子こアヒカムの子こであるゲダリヤに託たくして、家いえにつれて行いかせた。こうして彼かれは民たみのうちにいた。 39:15 エレミヤが監視かんしの庭にわに閉とじこめられていた時とき、主しゅの言葉ことばが彼かれに臨のぞんだ、39:16 「行いって、エチオピヤびとエベデメレクに告つげなさい、『万軍ばんぐんの主しゅ、イスラエルの神かみはこう言いわれる、わたしの言いった災わざわいをわたしはこの町まちに下くだす、幸さいわいをこれに下くだすのではない。その日ひ、この事ことがあなたの目めの前まえで成就じょうじゅする。39:17 主しゅは言いわれる、その日ひわたしはあなたを救すくう。あなたは自分じぶんの恐おそれている人々ひとびとの手てに渡わたされることはない。39:18 わたしが必かならずあなたを救すくい、つるぎに倒たおれることのないようにするからである。あなたの命いのちはあなたのぶんどり物ものとなる。あなたがわたしに寄より頼たよんだからであると主しゅは言いわれる』」。
35:1 ユダの王おうヨシヤの子こエホヤキムの時とき、主しゅからエレミヤに臨のぞんだ言葉ことば。
35:2 「レカブびとの家いえに行いって、彼かれらと語かたり、彼かれらを主しゅの宮みやの一室いっしつに連つれてきて、酒さけを飲のませなさい」。
35:3 そこでわたしはハバジニヤの子こエレミヤの子こであるヤザニヤと、その兄弟きょうだいと、そのむすこたち、およびレカブびとの全家ぜんかを連つれ、
35:4 これを主しゅの宮みやにあるハナンの子こたちの室しつに連つれてきた。ハナンはイグダリヤの子こであって神かみの人ひとであった。その室しつは、つかさたちの室しつの次つぎにあって、門もんを守まもるシャルムの子こマアセヤの室しつの上うえにあった。
35:5 わたしはレカブびとの前まえに酒さけを満みたしたつぼと杯さかずきを置おき、彼かれらに、「酒さけを飲のみなさい」と言いったが、
35:6 彼かれらは答こたえた、「われわれは酒さけを飲のみません。それは、レカブの子こであるわれわれの先祖せんぞヨナダブがわれわれに命めいじて、『あなたがたとあなたがたの子孫しそんはいつまでも酒さけを飲のんではならない。
35:7 また家いえを建たてず、種たねをまかず、またぶどう畑はたけを植うえてはならない。またこれを所有しょゆうしてはならない。あなたがたは生いきながらえる間あいだは幕屋まくやに住すんでいなさい。そうするならば、あなたがたはその宿やどっている地ちに長ながく生いきることができると言いったからです』。
35:8 こうしてわれわれは、レカブの子こであるわれわれの先祖せんぞヨナダブがすべて命めいじた言葉ことばに従したがって、われわれも、妻つまも、むすこ娘むすめも生いきながらえる間あいだ、酒さけを飲のまず、
35:9 住すむ家いえを建たてず、ぶどう畑はたけも畑はたけも種たねも持もたないで、
35:10 幕屋まくやに住すみ、すべてわれわれの先祖せんぞヨナダブがわれわれに命めいじたところに従したがい、そのように行おこないました。
35:11 しかしバビロンの王おうネブカデレザルがこの地ちに上のぼってきた時とき、われわれは言いいました、『さあ、われわれはエルサレムへ行いこう。カルデヤびとの軍勢ぐんぜいとスリヤびとの軍勢ぐんぜいが恐おそろしい』と。こうしてわれわれはエルサレムに住すんでいるのです」。
35:12 その時とき、主しゅの言葉ことばがエレミヤに臨のぞんだ、
35:13 「万軍ばんぐんの主しゅ、イスラエルの神かみはこう言いわれる、行いって、ユダの人々ひとびととエルサレムに住すむ者ものとに告つげよ。主しゅは仰おおせられる、あなたがたはわたしの言葉ことばを聞きいて教おしえを受うけないのか。
35:14 レカブの子こヨナダブがその子孫しそんに酒さけを飲のむなと命めいじた言葉ことばは守まもられてきた。彼かれらは今日こんにちに至いたるまで酒さけを飲のまず、その先祖せんぞの命いのちに従したがってきた。ところがあなたがたはわたしがしきりに語かたったけれども、わたしに聞きき従したがわなかった。
35:15 わたしはまた、わたしのしもべである預言者よげんしゃたちを、しきりにあなたがたにつかわして言いわせた、『あなたがたは今いまおのおのその悪わるい道みちを離はなれ、その行おこないを改あらためなさい。ほかの神々かみがみに従したがい仕つかえてはならない。そうすれば、あなたがたはわたしがあなたがたと、あなたがたの先祖せんぞに与あたえたこの地ちに住すむことができる』と。しかしあなたがたは耳みみを傾かたむけず、わたしに聞きかなかった。
35:16 レカブの子こヨナダブの子孫しそんは、その先祖せんぞが彼かれらに命めいじた命令めいれいを守まもっているのである。しかしこの民たみはわたしに従したがわなかった。
35:17 それゆえ万軍ばんぐんの神かみ、主しゅ、イスラエルの神かみはこう仰おおせられる、見みよ、わたしはユダとエルサレムに住すむ者ものとに、わたしが彼かれらの上うえに宣告せんこくした災わざわいを下くだす。わたしが彼かれらに語かたっても聞きかず、彼かれらを呼よんでも答こたえなかったからである」。
35:18 ところでエレミヤはレカブびとの家いえの人々ひとびとに言いった、「万軍ばんぐんの主しゅ、イスラエルの神かみはこう仰おおせられる、あなたがたは先祖せんぞヨナダブの命いのちに従したがい、そのすべての戒いましめを守まもり、彼かれがあなたがたに命めいじた事ことを行おこなった。
35:19 それゆえ、万軍ばんぐんの主しゅ、イスラエルの神かみはこう言いわれる、レカブの子こヨナダブには、わたしの前まえに立たつ人ひとがいつまでも欠かけることはない」。
第36章 36:1 ユダの王おうヨシヤの子こエホヤキムの四年ねんに主しゅからこの言葉ことばがエレミヤに臨のぞんだ、36:2 「あなたは巻物まきものを取とり、わたしがあなたに語かたった日ひ、すなわちヨシヤの日ひから今日こんにちに至いたるまで、イスラエルとユダと万国ばんこくとに関かんしてあなたに語かたったすべての言葉ことばを、それにしるしなさい。36:3 ユダの家いえがわたしの下くだそうとしているすべての災わざわいを聞きいて、おのおのその悪わるい道みちを離はなれて帰かえることもあろう。そうすれば、わたしはそのとがとその罪つみをゆるすかも知しれない」。 36:4 そこでエレミヤはネリヤの子こバルクを呼よんだ。バルクはエレミヤの口述こうじゅつにしたがって、主しゅが彼かれにお告つげになった言葉ことばをことごとく巻物まきものに書かきしるした。36:5 そしてエレミヤはバルクに命めいじて言いった、「わたしは主しゅの宮みやに行いくことを妨さまたげられている。36:6 それで、あなたが行いって、断食だんじきの日ひに主しゅの宮みやで、すべての民たみが聞きいているところで、あなたがわたしの口述こうじゅつにしたがって、巻物まきものに筆記ひっきした主しゅの言葉ことばを読よみなさい。またユダの人々ひとびとがその町々まちまちから来きて聞きいているところで、それを読よみなさい。36:7 彼かれらは主しゅの前まえに祈願きがんをささげ、おのおのその悪わるい道みちを離はなれて帰かえることもあろう。主しゅがこの民たみに対たいして宣告せんこくされた怒いかりと憤いきどおりは大おおきいからである」。36:8 こうしてネリヤの子こバルクはすべて預言者よげんしゃエレミヤが自分じぶんに命めいじたように、主しゅの宮みやで、その巻物まきものに書かかれた主しゅの言葉ことばを読よんだ。 36:9 ユダの王おうヨシヤの子こエホヤキムの五年ねん九月がつ、エルサレムのすべての民たみと、ユダの町々まちまちからエルサレムに来きたすべての民たみとは、主しゅの前まえに断食だんじきを行おこなうべきことを告つげ示しめされた。36:10 バルクは主しゅの宮みやの上うえの庭にわで、主しゅの宮みやの新あたらしい門もんの入口いりぐちのかたわらにある書記しょきシャパンの子こであるゲマリヤのへやで、巻物まきものに書かかれたエレミヤの言葉ことばをすべての民たみに読よみ聞きかせた。 36:11 シャパンの子こであるゲマリヤの子こミカヤはその巻物まきものにある主しゅの言葉ことばをことごとく聞きいて、36:12 王おうの家いえにある書記しょきのへやに下くだって行いくと、もろもろのつかさたち、すなわち書記しょきエリシャマ、シマヤの子こデラヤ、アカボルの子こエルナタン、シャパンの子こゲマリヤ、ハナニヤの子こゼデキヤおよびすべてのつかさたちがそこに座ざしていた。36:13 ミカヤはバルクが民たみに巻物まきものを読よんで聞きかせたとき、自分じぶんの聞きいたすべての言葉ことばを彼かれらに告つげたので、36:14 つかさたちはクシの子こセレミヤの子こであるネタニヤの子こエホデをバルクのもとにつかわして言いわせた、「あなたが民たみに読よみ聞きかせたその巻物まきものを手てに取とって、来きてください」。そこでネリヤの子こバルクは巻物まきものを手てに取とって、彼かれらのもとに来きたので、36:15 彼かれらはバルクに言いった、「座ざしてそれを読よんでください」。バルクはそれを彼かれらに読よみきかせた。36:16 彼かれらはそのすべての言葉ことばを聞きき、恐おそれて互たがいに見みかわし、バルクに言いった、「われわれはこのすべての言葉ことばを、王おうに報告ほうこくしなければならない」。36:17 そしてバルクに尋たずねて言いった、「このすべての言葉ことばを、あなたがどのようにして書かいたのか話はなしてください。彼かれの口述こうじゅつによるのですか」。36:18 バルクは彼かれらに答こたえた、「彼かれがわたしにこのすべての言葉ことばを口述こうじゅつしたので、わたしはそれを墨汁ぼくじゅうで巻物まきものに書かいたのです」。36:19 つかさたちはバルクに言いった、「行いって、エレミヤと一緒いっしょに身みを隠かくしなさい。人ひとに所在しょざいを知しられてはなりません」。 36:20 そこで彼かれらは巻物まきものを書記しょきエリシャマのへやに置おいて庭にわにはいり、王おうのもとへ行いって、このすべての言葉ことばを王おうに告つげたので、36:21 王おうはその巻物まきものを持もってこさせるためにエホデをつかわした。エホデは書記しょきエリシャマのへやから巻物まきものを取とってきて、それを王おうと王おうのかたわらに立たっているすべてのつかさたちに読よみきかせた。36:22 時ときは九月がつであって、王おうは冬ふゆの家いえに座ざしていた。その前まえに炉ろがあって火ひが燃もえていた。36:23 エホデが三段だんか四段だんを読よむと、王おうは小刀こがたなをもってそれを切きり取とり、炉ろの火ひに投なげいれ、ついに巻物まきもの全部ぜんぶを炉ろの火ひで焼やきつくした。36:24 王おうとその家来けらいたちはこのすべての言葉ことばを聞きいても恐おそれず、またその着物きものを裂さくこともしなかった。36:25 エルナタン、デラヤおよびゲマリヤが王おうにその巻物まきものを焼やかないようにと願ねがったときにも彼かれは聞ききいれなかった。36:26 そして王おうは王子おうじエラメルとアヅリエルの子こセラヤとアブデルの子こセレミヤに、書記しょきバルクと預言者よげんしゃエレミヤを捕とらえるようにと命めいじたが、主しゅは彼かれらを隠かくされた。 36:27 バルクがエレミヤの口述こうじゅつにしたがって筆記ひっきした言葉ことばを載のせた巻物まきものを王おうが焼やいた後のち、主しゅの言葉ことばがエレミヤに臨のぞんだ、36:28 「他たの巻物まきものを取とり、ユダの王おうエホヤキムが焼やいた、前まえの巻物まきもののうちにある言葉ことばを皆みなそれに書かきしるしなさい。36:29 またユダの王おうエホヤキムについて言いいなさい、『主しゅはこう仰おおせられる、あなたはこの巻物まきものを焼やいて言いった、「どうしてあなたはこの巻物まきものに、バビロンの王おうが必かならず来きてこの地ちを滅ほろぼし、ここから人ひとと獣けものとを絶たやす、と書かいたのか」と。36:30 それゆえ主しゅはユダの王おうエホヤキムについてこう言いわれる、彼かれの子孫しそんにはダビデの位くらいにすわる者ものがなくなる。また彼かれの死体したいは捨すてられて昼ひるは暑あつさにあい、夜よるは霜しもにあう。36:31 わたしはまた彼かれとその子孫しそんとその家来けらいたちをその罪つみのために罰ばっする。また彼かれらとエルサレムの民たみとユダの人々ひとびとには災わざわいを下くだす。この災わざわいのことについては、すでに語かたったけれども、彼かれらは聞きくことをしなかった』」。 36:32 そこでエレミヤは他たの巻物まきものを取とり、ネリヤの子こ書記しょきバルクに与あたえたので、バルクはユダの王おうエホヤキムが火ひにくべて焼やいた巻物まきもののすべての言葉ことばを、エレミヤの口述こうじゅつにしたがってそれに書かきしるし、また同おなじような言葉ことばを多おおくそれに加くわえた。 第37章 37:1 ヨシヤの子こゼデキヤはエホヤキムの子こコニヤに代かわって王おうとなった。バビロンの王おうネブカデレザルが彼かれをユダの地ちの王おうとしたのである。37:2 彼かれもその家来けらいたちも、その地ちの人々ひとびとも、主しゅが預言者よげんしゃエレミヤによって語かたられた言葉ことばに聞きき従したがわなかった。 37:3 ゼデキヤ王おうはセレミヤの子こユカルと、マアセヤの子こ祭司さいしゼパニヤを預言者よげんしゃエレミヤにつかわして、「われわれのために、われわれの神かみ、主しゅに祈いのってください」と言いわせた。37:4 エレミヤは民たみの中なかに出入でいりしていた。まだ獄屋ごくやに入いれられなかったからである。37:5 パロの軍勢ぐんぜいがエジプトから出でて来きたので、エルサレムを攻せめ囲かこんでいたカルデヤびとはその情報じょうほうを聞きいてエルサレムを退しりぞいた。37:6 その時とき、主しゅの言葉ことばは預言者よげんしゃエレミヤに臨のぞんだ、37:7 「イスラエルの神かみ、主しゅはこう言いわれる、あなたがたをつかわしてわたしに求もとめたユダの王おうにこう言いいなさい、『あなたがたを救すくうために出でてきたパロの軍勢ぐんぜいはその国くにエジプトに帰かえろうとしている。37:8 カルデヤびとが再ふたたび来きてこの町まちを攻せめて戦たたかい、これを取とって火ひで焼やき滅ほろぼす。37:9 主しゅはこう言いわれる、あなたがたは、「カルデヤびとはきっとわれわれを離はなれ去さる」といって自分じぶんを欺あざむいてはならない。彼かれらは去さることはない。37:10 たといあなたがたが自分じぶんを攻せめて戦たたかうカルデヤびとの全ぜん軍ぐんを撃うち破やぶって、その天幕てんまくのうちに負傷ふしょう者もののみを残のこしても、彼かれらは立たち上あがって火ひでこの町まちを焼やき滅ほろぼす』」。 37:11 さてカルデヤびとの軍勢ぐんぜいがパロの軍勢ぐんぜいの来くるのを聞きいてエルサレムを退しりぞいたとき、37:12 エレミヤは、ベニヤミンの地ちで民たみのうちに自分じぶんの分わけ前まえを受うけ取とるため、エルサレムを立たってその地ちへ行いこうと、37:13 ベニヤミンの門もんに着ついたとき、そこにハナニヤの子こセレミヤの子こでイリヤという名なの番兵ばんぺいがいて、預言者よげんしゃエレミヤを捕とらえ、「あなたはカルデヤびとの側がわに脱走だっそうしようとしている」と言いった。37:14 エレミヤは言いった、「それはまちがいだ。わたしはカルデヤびとの側がわに脱走だっそうしようとしていない」。しかしイリヤは聞きかず、エレミヤを捕とらえて、つかさたちのもとへ引ひいて行いった。37:15 つかさたちは怒いかって、エレミヤを打うちたたき、書記しょきヨナタンの家いえの獄屋ごくやにいれた。この家いえが獄屋ごくやになっていたからである。 37:16 エレミヤが地下ちかの獄屋ごくやにはいって、そこに多おおくの日ひを送おくってのち、37:17 ゼデキヤ王おうは人ひとをつかわし、彼かれを連つれてこさせた。王おうは自分じぶんの家いえでひそかに彼かれに尋たずねて言いった、「主しゅから何なにかお言葉ことばがあったか」。エレミヤはあったと答こたえた。そして言いった、「あなたはバビロンの王おうの手てに引ひき渡わたされます」。37:18 エレミヤはまたゼデキヤ王おうに言いった、「わたしが獄屋ごくやにいれられたのは、あなたに、またはあなたの家来けらいに、あるいはこの民たみに、どのような罪つみを犯おかしたからなのですか。37:19 あなたがたに預言よげんして、『バビロンの王おうはあなたがたをも、この地ちをも攻せめにこない』と言いっていたあなたがたの預言者よげんしゃは今いまどこにいるのですか。37:20 王おうなるわが君きみよ、どうぞ今いまお聞ききください。わたしの願ねがいをお聞ききとどけください。わたしを書記しょきヨナタンの家いえへ帰かえらせないでください。そうでないと、わたしはそこで殺ころされるでしょう」。37:21 そこでゼデキヤ王おうは命めいを下くだし、エレミヤを監視かんしの庭にわに入いれさせ、かつ、パンを つくる者ものの町まちから毎日まいにちパン一個こを彼かれに与あたえさせた。これは町まちにパンがなくなるまで続つづいた。こうしてエレミヤは監視かんしの庭にわにいた。 第38章 38:1 マッタンの子こシパテヤ、パシュルの子こゲダリヤ、セレミヤの子こユカル、マルキヤの子こパシュルはエレミヤがすべての民たみに告つげていたその言葉ことばを聞きいた。38:2 彼かれは言いった、「主しゅはこう言いわれる、この町まちにとどまる者ものは、つるぎや、ききんや、疫病えきびょうで死しぬ。しかし出でてカルデヤびとにくだる者ものは死しを免まぬかれる。すなわちその命いのちを自分じぶんのぶんどり物ものとして生いきることができる。38:3 主しゅはこう言いわれる、この町まちは必かならずバビロンの王おうの軍勢ぐんぜいの手てに渡わたされる。彼かれはこれを取とる」。38:4 すると、つかさたちは王おうに言いった、「この人ひとを殺ころしてください。このような言葉ことばをのべて、この町まちに残のこっている兵士へいしの手てと、すべての民たみの手てを弱よわくしているからです。この人ひとは民たみの安泰あんたいを求もとめないで、その災わざわいを求もとめているのです」。38:5 ゼデキヤ王おうは言いった、「見みよ、彼かれはあなたがたの手てにある。王おうはあなたがたに逆さからって何事なにごとをもなし得えない」。38:6 そこで彼かれらはエレミヤを捕とらえ、監視かんしの庭にわにある王子おうじマルキヤの穴あなに投なげ入いれた。すなわち、綱つなをもってエレミヤをつり降おろしたが、その穴あなには水みずがなく、泥どろだけであったので、エレミヤは泥どろの中なかに沈しずんだ。 38:7 王おうの家いえの宦官かんがんエチオピヤびとエベデメレクは、彼かれらがエレミヤを穴あなに投なげ入いれたことを聞きいた。その時とき、王おうはベニヤミンの門もんに座ざしていたので、38:8 エベデメレクは王おうの家いえから出でて行いって王おうに言いった、38:9 「王おうなるわが君きみよ、この人々ひとびとが預言者よげんしゃエレミヤにしたことはみな良よいことではありません。彼かれを穴あなに投なげ入いれました。町まちに食物しょくもつがなくなりましたから、彼かれはそこで餓死がしするでしょう」。38:10 王おうはエチオピヤびとエベデメレクに命めいじて言いった、「ここから三人にんのひとを連つれて行いって、預言者よげんしゃエレミヤを、死しなないうちに穴あなから引ひき上あげなさい」。38:11 そこでエベデメレクはその人々ひとびとを連つれて王おうの家いえの倉くらの衣服いふく室しつに行いき、そこから古ふるい布ぬの切きれや、着きふるした着物きものを取とり、これを穴あなの中なかにいるエレミヤのところへ、綱つなをもってつり降おろした。38:12 そしてエチオピヤびとエベデメレクは、「この布ぬの切きれや着物きものを、あなたのわきの下したにはさんで、綱つなに当あてなさい」とエレミヤに言いった。エレミヤはそのようにした。38:13 すると彼かれらは綱つなをもってエレミヤを穴あなから引ひき上あげた。そしてエレミヤは監視かんしの庭にわにとどまった。 38:14 ゼデキヤ王おうは人ひとをつかわして預言者よげんしゃエレミヤを主しゅの宮みやの第だい三の門もんに連つれてこさせ、王おうはエレミヤに言いった、「あなたに尋たずねたいことがある。何事なにごともわたしに隠かくしてはならない」。38:15 エレミヤはゼデキヤに言いった、「もしわたしがお話はなするなら、あなたは必かならずわたしを殺ころされるではありませんか。たといわたしが忠告ちゅうこくをしても、あなたはお聞ききにならないでしょう」。38:16 その時ときゼデキヤ王おうは、ひそかにエレミヤに誓ちかって言いった、「われわれの魂たましいを造つくられた主しゅは生いきておられる。わたしはあなたを殺ころさない、またあなたの命いのちを求もとめる者ものの手てに、あなたを渡わたすこともしない」。 38:17 そこでエレミヤはゼデキヤに言いった、「万軍ばんぐんの神かみ、イスラエルの神かみ、主しゅはこう仰おおせられる、もしあなたがバビロンの王おうのつかさたちに降伏こうふくするならば、あなたの命いのちは助たすかり、またこの町まちは火ひで焼やかれることなく、あなたも、あなたの家いえの者ものも生いきながらえることができる。38:18 しかし、もしあなたが出でてバビロンの王おうのつかさたちに降伏こうふくしないならば、この町まちはカルデヤびとの手てに渡わたされる。彼かれらは火ひでこれを焼やく。あなたはその手てをのがれることができない」。38:19 ゼデキヤ王おうはエレミヤに言いった、「わたしはカルデヤびとに脱走だっそうしたユダヤ人ひとを恐おそれている。カルデヤびとはわたしを彼かれらの手てに渡わたし、彼かれらはわたしをはずかしめる」。38:20 エレミヤは言いった、「彼かれらはあなたを渡わたさないでしょう。どうか、わたしがあなたに告つげた主しゅの声こえに聞きき従したがってください。そうすれば幸さいわいを得え、また命いのちが助たすかります。38:21 しかし降伏こうふくすることを拒こばむならば、主しゅがわたしに示しめされた幻まぼろしを申もうしましょう。38:22 すなわち、ユダの王おうの家いえに残のこっている女おんなたちは、みなバビロンの王おうのつかさたちの所ところへ引ひいて行いかれます。その女おんなたちは言いうのです、 『あなたの親したしい友ともだちがあなたを欺あざむいた、そしてあなたに勝かった。今いまあなたの足あしは泥どろに沈しずんでいるので、彼かれらはあなたを捨すてて去さる』。38:23 あなたの妻つまたちと子供こどもたちは皆みなカルデヤびとの所ところへひき出だされる。あなた自身じしんもその手てをのがれることができず、バビロンの王おうに捕とらえられる。そしてこの町まちは火ひで焼やかれるでしょう」。 38:24 ゼデキヤはエレミヤに言いった、「これらの言葉ことばを人ひとに知しらせてはならない。そうすればあなたは殺ころされることはない。38:25 わたしがあなたと話はなしをしたことを、つかさたちが聞きいて、彼かれらがあなたの所ところに来きて、『あなたが王おうに話はなしたこと、王おうがあなたに話はなしたことをわれわれに告つげなさい。何事なにごとも隠かくしてはならない。われわれはあなたを殺ころしはしない』と言いうならば、38:26 あなたは彼かれらに、『わたしは王おうに願ねがって、わたしをヨナタンの家いえに送おくり返かえさず、そこで死しぬことのないようにしてくださいと言いった』と答こたえなさい」。38:27 さて、つかさたちは皆みなエレミヤのところへ来きて尋たずねたが、王おうが彼かれに教おしえたように彼かれらに答こたえたので、彼かれらは彼かれと話はなすことをやめた。その会話かいわを聞きいた者ものがなかったからである。38:28 エレミヤはエルサレムの取とられる日ひまで監視かんしの庭にわにとどまっていた。 第39章 39:1 ユダの王おうゼデキヤの九年ねん十月がつ、バビロンの王おうネブカデレザルはその全ぜん軍ぐんを率ひきい、エルサレムに来きてこれを攻せめ囲かこんだが、39:2 ゼデキヤの十一年ねん四月がつ九日かになって町まちの一角いっかくが破やぶれた。39:3 エルサレムが取とられたので、バビロンの王おうのつかさたち、すなわちネルガル・シャレゼル、サムガル・ネボ、ラブサリスのサルセキム、ラブマグのネルガル・シャレゼルおよびバビロンの王おうのその他たのつかさたちは皆みなともに来きて中なかの門もんに座ざした。39:4 ユダの王おうゼデキヤとすべての兵士へいしたちはこれを見みて逃にげ、夜よるのうちに、王おうの庭園ていえんの道みちを通とおって、二つの城壁じょうへきの間あいだの門もんから町まちを出でて、アラバの方ほうへ行いったが、39:5 カルデヤびとの軍勢ぐんぜいはこれを追おって、エリコの平地へいちでゼデキヤに追おいつき、これを捕とらえて、ハマテの地ちリブラにいるバビロンの王おうネブカデレザルのもとに引ひいて行いったので、王おうはそこで彼かれの罪つみをさだめた。39:6 バビロンの王おうはリブラで、ゼデキヤの子こたちを彼かれの目めの前まえで殺ころした。バビロンの王おうはまたユダのすべての貴族きぞくたちを殺ころした。39:7 王おうはまたゼデキヤの目めをつぶさせ、彼かれをバビロンに引ひいて行いくために、鎖くさりにつないだ。39:8 またカルデヤびとは王宮おうきゅうと民家みんかを火ひで焼やき、エルサレムの城壁じょうへきを破壊はかいした。39:9 そして侍衛じえいの長ちょうネブザラダンは町まちのうちに残のこっている民たみと、自分じぶんに降伏こうふくした者もの、およびその他たの残のこっている民たみをバビロンに捕とらえ移うつした。39:10 しかし侍衛じえいの長ちょうネブザラダンは、民たみの貧まずしい無産むさん者ものをユダの地ちに残のこし、同時どうじにぶどう畑はたけと田地でんちをこれに与あたえた。 39:11 さてバビロンの王おうネブカデレザルはエレミヤの事ことについて侍衛じえいの長ちょうネブザラダンに命めいじて言いった、39:12 「彼かれをとり、よく世話せわをせよ。害がいを加くわえることなく、彼かれがあなたに言いうようにしてやりなさい」。39:13 そこで侍衛じえいの長ちょうネブザラダン、ラブサリスのネブシャズバン、ラブマグのネルガル・シャレゼル、およびバビロンの王おうのつかさたちは、39:14 人ひとをつかわして、エレミヤを監視かんしの庭にわから連つれてこさせ、シャパンの子こアヒカムの子こであるゲダリヤに託たくして、家いえにつれて行いかせた。こうして彼かれは民たみのうちにいた。 39:15 エレミヤが監視かんしの庭にわに閉とじこめられていた時とき、主しゅの言葉ことばが彼かれに臨のぞんだ、39:16 「行いって、エチオピヤびとエベデメレクに告つげなさい、『万軍ばんぐんの主しゅ、イスラエルの神かみはこう言いわれる、わたしの言いった災わざわいをわたしはこの町まちに下くだす、幸さいわいをこれに下くだすのではない。その日ひ、この事ことがあなたの目めの前まえで成就じょうじゅする。39:17 主しゅは言いわれる、その日ひわたしはあなたを救すくう。あなたは自分じぶんの恐おそれている人々ひとびとの手てに渡わたされることはない。39:18 わたしが必かならずあなたを救すくい、つるぎに倒たおれることのないようにするからである。あなたの命いのちはあなたのぶんどり物ものとなる。あなたがわたしに寄より頼たよんだからであると主しゅは言いわれる』」。
36:1 ユダの王おうヨシヤの子こエホヤキムの四年ねんに主しゅからこの言葉ことばがエレミヤに臨のぞんだ、
36:2 「あなたは巻物まきものを取とり、わたしがあなたに語かたった日ひ、すなわちヨシヤの日ひから今日こんにちに至いたるまで、イスラエルとユダと万国ばんこくとに関かんしてあなたに語かたったすべての言葉ことばを、それにしるしなさい。
36:3 ユダの家いえがわたしの下くだそうとしているすべての災わざわいを聞きいて、おのおのその悪わるい道みちを離はなれて帰かえることもあろう。そうすれば、わたしはそのとがとその罪つみをゆるすかも知しれない」。
36:4 そこでエレミヤはネリヤの子こバルクを呼よんだ。バルクはエレミヤの口述こうじゅつにしたがって、主しゅが彼かれにお告つげになった言葉ことばをことごとく巻物まきものに書かきしるした。
36:5 そしてエレミヤはバルクに命めいじて言いった、「わたしは主しゅの宮みやに行いくことを妨さまたげられている。
36:6 それで、あなたが行いって、断食だんじきの日ひに主しゅの宮みやで、すべての民たみが聞きいているところで、あなたがわたしの口述こうじゅつにしたがって、巻物まきものに筆記ひっきした主しゅの言葉ことばを読よみなさい。またユダの人々ひとびとがその町々まちまちから来きて聞きいているところで、それを読よみなさい。
36:7 彼かれらは主しゅの前まえに祈願きがんをささげ、おのおのその悪わるい道みちを離はなれて帰かえることもあろう。主しゅがこの民たみに対たいして宣告せんこくされた怒いかりと憤いきどおりは大おおきいからである」。
36:8 こうしてネリヤの子こバルクはすべて預言者よげんしゃエレミヤが自分じぶんに命めいじたように、主しゅの宮みやで、その巻物まきものに書かかれた主しゅの言葉ことばを読よんだ。
36:9 ユダの王おうヨシヤの子こエホヤキムの五年ねん九月がつ、エルサレムのすべての民たみと、ユダの町々まちまちからエルサレムに来きたすべての民たみとは、主しゅの前まえに断食だんじきを行おこなうべきことを告つげ示しめされた。
36:10 バルクは主しゅの宮みやの上うえの庭にわで、主しゅの宮みやの新あたらしい門もんの入口いりぐちのかたわらにある書記しょきシャパンの子こであるゲマリヤのへやで、巻物まきものに書かかれたエレミヤの言葉ことばをすべての民たみに読よみ聞きかせた。
36:11 シャパンの子こであるゲマリヤの子こミカヤはその巻物まきものにある主しゅの言葉ことばをことごとく聞きいて、
36:12 王おうの家いえにある書記しょきのへやに下くだって行いくと、もろもろのつかさたち、すなわち書記しょきエリシャマ、シマヤの子こデラヤ、アカボルの子こエルナタン、シャパンの子こゲマリヤ、ハナニヤの子こゼデキヤおよびすべてのつかさたちがそこに座ざしていた。
36:13 ミカヤはバルクが民たみに巻物まきものを読よんで聞きかせたとき、自分じぶんの聞きいたすべての言葉ことばを彼かれらに告つげたので、
36:14 つかさたちはクシの子こセレミヤの子こであるネタニヤの子こエホデをバルクのもとにつかわして言いわせた、「あなたが民たみに読よみ聞きかせたその巻物まきものを手てに取とって、来きてください」。そこでネリヤの子こバルクは巻物まきものを手てに取とって、彼かれらのもとに来きたので、
36:15 彼かれらはバルクに言いった、「座ざしてそれを読よんでください」。バルクはそれを彼かれらに読よみきかせた。
36:16 彼かれらはそのすべての言葉ことばを聞きき、恐おそれて互たがいに見みかわし、バルクに言いった、「われわれはこのすべての言葉ことばを、王おうに報告ほうこくしなければならない」。
36:17 そしてバルクに尋たずねて言いった、「このすべての言葉ことばを、あなたがどのようにして書かいたのか話はなしてください。彼かれの口述こうじゅつによるのですか」。
36:18 バルクは彼かれらに答こたえた、「彼かれがわたしにこのすべての言葉ことばを口述こうじゅつしたので、わたしはそれを墨汁ぼくじゅうで巻物まきものに書かいたのです」。
36:19 つかさたちはバルクに言いった、「行いって、エレミヤと一緒いっしょに身みを隠かくしなさい。人ひとに所在しょざいを知しられてはなりません」。
36:20 そこで彼かれらは巻物まきものを書記しょきエリシャマのへやに置おいて庭にわにはいり、王おうのもとへ行いって、このすべての言葉ことばを王おうに告つげたので、
36:21 王おうはその巻物まきものを持もってこさせるためにエホデをつかわした。エホデは書記しょきエリシャマのへやから巻物まきものを取とってきて、それを王おうと王おうのかたわらに立たっているすべてのつかさたちに読よみきかせた。
36:22 時ときは九月がつであって、王おうは冬ふゆの家いえに座ざしていた。その前まえに炉ろがあって火ひが燃もえていた。
36:23 エホデが三段だんか四段だんを読よむと、王おうは小刀こがたなをもってそれを切きり取とり、炉ろの火ひに投なげいれ、ついに巻物まきもの全部ぜんぶを炉ろの火ひで焼やきつくした。
36:24 王おうとその家来けらいたちはこのすべての言葉ことばを聞きいても恐おそれず、またその着物きものを裂さくこともしなかった。
36:25 エルナタン、デラヤおよびゲマリヤが王おうにその巻物まきものを焼やかないようにと願ねがったときにも彼かれは聞ききいれなかった。
36:26 そして王おうは王子おうじエラメルとアヅリエルの子こセラヤとアブデルの子こセレミヤに、書記しょきバルクと預言者よげんしゃエレミヤを捕とらえるようにと命めいじたが、主しゅは彼かれらを隠かくされた。
36:27 バルクがエレミヤの口述こうじゅつにしたがって筆記ひっきした言葉ことばを載のせた巻物まきものを王おうが焼やいた後のち、主しゅの言葉ことばがエレミヤに臨のぞんだ、
36:28 「他たの巻物まきものを取とり、ユダの王おうエホヤキムが焼やいた、前まえの巻物まきもののうちにある言葉ことばを皆みなそれに書かきしるしなさい。
36:29 またユダの王おうエホヤキムについて言いいなさい、『主しゅはこう仰おおせられる、あなたはこの巻物まきものを焼やいて言いった、「どうしてあなたはこの巻物まきものに、バビロンの王おうが必かならず来きてこの地ちを滅ほろぼし、ここから人ひとと獣けものとを絶たやす、と書かいたのか」と。
36:30 それゆえ主しゅはユダの王おうエホヤキムについてこう言いわれる、彼かれの子孫しそんにはダビデの位くらいにすわる者ものがなくなる。また彼かれの死体したいは捨すてられて昼ひるは暑あつさにあい、夜よるは霜しもにあう。
36:31 わたしはまた彼かれとその子孫しそんとその家来けらいたちをその罪つみのために罰ばっする。また彼かれらとエルサレムの民たみとユダの人々ひとびとには災わざわいを下くだす。この災わざわいのことについては、すでに語かたったけれども、彼かれらは聞きくことをしなかった』」。
36:32 そこでエレミヤは他たの巻物まきものを取とり、ネリヤの子こ書記しょきバルクに与あたえたので、バルクはユダの王おうエホヤキムが火ひにくべて焼やいた巻物まきもののすべての言葉ことばを、エレミヤの口述こうじゅつにしたがってそれに書かきしるし、また同おなじような言葉ことばを多おおくそれに加くわえた。
第37章 37:1 ヨシヤの子こゼデキヤはエホヤキムの子こコニヤに代かわって王おうとなった。バビロンの王おうネブカデレザルが彼かれをユダの地ちの王おうとしたのである。37:2 彼かれもその家来けらいたちも、その地ちの人々ひとびとも、主しゅが預言者よげんしゃエレミヤによって語かたられた言葉ことばに聞きき従したがわなかった。 37:3 ゼデキヤ王おうはセレミヤの子こユカルと、マアセヤの子こ祭司さいしゼパニヤを預言者よげんしゃエレミヤにつかわして、「われわれのために、われわれの神かみ、主しゅに祈いのってください」と言いわせた。37:4 エレミヤは民たみの中なかに出入でいりしていた。まだ獄屋ごくやに入いれられなかったからである。37:5 パロの軍勢ぐんぜいがエジプトから出でて来きたので、エルサレムを攻せめ囲かこんでいたカルデヤびとはその情報じょうほうを聞きいてエルサレムを退しりぞいた。37:6 その時とき、主しゅの言葉ことばは預言者よげんしゃエレミヤに臨のぞんだ、37:7 「イスラエルの神かみ、主しゅはこう言いわれる、あなたがたをつかわしてわたしに求もとめたユダの王おうにこう言いいなさい、『あなたがたを救すくうために出でてきたパロの軍勢ぐんぜいはその国くにエジプトに帰かえろうとしている。37:8 カルデヤびとが再ふたたび来きてこの町まちを攻せめて戦たたかい、これを取とって火ひで焼やき滅ほろぼす。37:9 主しゅはこう言いわれる、あなたがたは、「カルデヤびとはきっとわれわれを離はなれ去さる」といって自分じぶんを欺あざむいてはならない。彼かれらは去さることはない。37:10 たといあなたがたが自分じぶんを攻せめて戦たたかうカルデヤびとの全ぜん軍ぐんを撃うち破やぶって、その天幕てんまくのうちに負傷ふしょう者もののみを残のこしても、彼かれらは立たち上あがって火ひでこの町まちを焼やき滅ほろぼす』」。 37:11 さてカルデヤびとの軍勢ぐんぜいがパロの軍勢ぐんぜいの来くるのを聞きいてエルサレムを退しりぞいたとき、37:12 エレミヤは、ベニヤミンの地ちで民たみのうちに自分じぶんの分わけ前まえを受うけ取とるため、エルサレムを立たってその地ちへ行いこうと、37:13 ベニヤミンの門もんに着ついたとき、そこにハナニヤの子こセレミヤの子こでイリヤという名なの番兵ばんぺいがいて、預言者よげんしゃエレミヤを捕とらえ、「あなたはカルデヤびとの側がわに脱走だっそうしようとしている」と言いった。37:14 エレミヤは言いった、「それはまちがいだ。わたしはカルデヤびとの側がわに脱走だっそうしようとしていない」。しかしイリヤは聞きかず、エレミヤを捕とらえて、つかさたちのもとへ引ひいて行いった。37:15 つかさたちは怒いかって、エレミヤを打うちたたき、書記しょきヨナタンの家いえの獄屋ごくやにいれた。この家いえが獄屋ごくやになっていたからである。 37:16 エレミヤが地下ちかの獄屋ごくやにはいって、そこに多おおくの日ひを送おくってのち、37:17 ゼデキヤ王おうは人ひとをつかわし、彼かれを連つれてこさせた。王おうは自分じぶんの家いえでひそかに彼かれに尋たずねて言いった、「主しゅから何なにかお言葉ことばがあったか」。エレミヤはあったと答こたえた。そして言いった、「あなたはバビロンの王おうの手てに引ひき渡わたされます」。37:18 エレミヤはまたゼデキヤ王おうに言いった、「わたしが獄屋ごくやにいれられたのは、あなたに、またはあなたの家来けらいに、あるいはこの民たみに、どのような罪つみを犯おかしたからなのですか。37:19 あなたがたに預言よげんして、『バビロンの王おうはあなたがたをも、この地ちをも攻せめにこない』と言いっていたあなたがたの預言者よげんしゃは今いまどこにいるのですか。37:20 王おうなるわが君きみよ、どうぞ今いまお聞ききください。わたしの願ねがいをお聞ききとどけください。わたしを書記しょきヨナタンの家いえへ帰かえらせないでください。そうでないと、わたしはそこで殺ころされるでしょう」。37:21 そこでゼデキヤ王おうは命めいを下くだし、エレミヤを監視かんしの庭にわに入いれさせ、かつ、パンを つくる者ものの町まちから毎日まいにちパン一個こを彼かれに与あたえさせた。これは町まちにパンがなくなるまで続つづいた。こうしてエレミヤは監視かんしの庭にわにいた。 第38章 38:1 マッタンの子こシパテヤ、パシュルの子こゲダリヤ、セレミヤの子こユカル、マルキヤの子こパシュルはエレミヤがすべての民たみに告つげていたその言葉ことばを聞きいた。38:2 彼かれは言いった、「主しゅはこう言いわれる、この町まちにとどまる者ものは、つるぎや、ききんや、疫病えきびょうで死しぬ。しかし出でてカルデヤびとにくだる者ものは死しを免まぬかれる。すなわちその命いのちを自分じぶんのぶんどり物ものとして生いきることができる。38:3 主しゅはこう言いわれる、この町まちは必かならずバビロンの王おうの軍勢ぐんぜいの手てに渡わたされる。彼かれはこれを取とる」。38:4 すると、つかさたちは王おうに言いった、「この人ひとを殺ころしてください。このような言葉ことばをのべて、この町まちに残のこっている兵士へいしの手てと、すべての民たみの手てを弱よわくしているからです。この人ひとは民たみの安泰あんたいを求もとめないで、その災わざわいを求もとめているのです」。38:5 ゼデキヤ王おうは言いった、「見みよ、彼かれはあなたがたの手てにある。王おうはあなたがたに逆さからって何事なにごとをもなし得えない」。38:6 そこで彼かれらはエレミヤを捕とらえ、監視かんしの庭にわにある王子おうじマルキヤの穴あなに投なげ入いれた。すなわち、綱つなをもってエレミヤをつり降おろしたが、その穴あなには水みずがなく、泥どろだけであったので、エレミヤは泥どろの中なかに沈しずんだ。 38:7 王おうの家いえの宦官かんがんエチオピヤびとエベデメレクは、彼かれらがエレミヤを穴あなに投なげ入いれたことを聞きいた。その時とき、王おうはベニヤミンの門もんに座ざしていたので、38:8 エベデメレクは王おうの家いえから出でて行いって王おうに言いった、38:9 「王おうなるわが君きみよ、この人々ひとびとが預言者よげんしゃエレミヤにしたことはみな良よいことではありません。彼かれを穴あなに投なげ入いれました。町まちに食物しょくもつがなくなりましたから、彼かれはそこで餓死がしするでしょう」。38:10 王おうはエチオピヤびとエベデメレクに命めいじて言いった、「ここから三人にんのひとを連つれて行いって、預言者よげんしゃエレミヤを、死しなないうちに穴あなから引ひき上あげなさい」。38:11 そこでエベデメレクはその人々ひとびとを連つれて王おうの家いえの倉くらの衣服いふく室しつに行いき、そこから古ふるい布ぬの切きれや、着きふるした着物きものを取とり、これを穴あなの中なかにいるエレミヤのところへ、綱つなをもってつり降おろした。38:12 そしてエチオピヤびとエベデメレクは、「この布ぬの切きれや着物きものを、あなたのわきの下したにはさんで、綱つなに当あてなさい」とエレミヤに言いった。エレミヤはそのようにした。38:13 すると彼かれらは綱つなをもってエレミヤを穴あなから引ひき上あげた。そしてエレミヤは監視かんしの庭にわにとどまった。 38:14 ゼデキヤ王おうは人ひとをつかわして預言者よげんしゃエレミヤを主しゅの宮みやの第だい三の門もんに連つれてこさせ、王おうはエレミヤに言いった、「あなたに尋たずねたいことがある。何事なにごともわたしに隠かくしてはならない」。38:15 エレミヤはゼデキヤに言いった、「もしわたしがお話はなするなら、あなたは必かならずわたしを殺ころされるではありませんか。たといわたしが忠告ちゅうこくをしても、あなたはお聞ききにならないでしょう」。38:16 その時ときゼデキヤ王おうは、ひそかにエレミヤに誓ちかって言いった、「われわれの魂たましいを造つくられた主しゅは生いきておられる。わたしはあなたを殺ころさない、またあなたの命いのちを求もとめる者ものの手てに、あなたを渡わたすこともしない」。 38:17 そこでエレミヤはゼデキヤに言いった、「万軍ばんぐんの神かみ、イスラエルの神かみ、主しゅはこう仰おおせられる、もしあなたがバビロンの王おうのつかさたちに降伏こうふくするならば、あなたの命いのちは助たすかり、またこの町まちは火ひで焼やかれることなく、あなたも、あなたの家いえの者ものも生いきながらえることができる。38:18 しかし、もしあなたが出でてバビロンの王おうのつかさたちに降伏こうふくしないならば、この町まちはカルデヤびとの手てに渡わたされる。彼かれらは火ひでこれを焼やく。あなたはその手てをのがれることができない」。38:19 ゼデキヤ王おうはエレミヤに言いった、「わたしはカルデヤびとに脱走だっそうしたユダヤ人ひとを恐おそれている。カルデヤびとはわたしを彼かれらの手てに渡わたし、彼かれらはわたしをはずかしめる」。38:20 エレミヤは言いった、「彼かれらはあなたを渡わたさないでしょう。どうか、わたしがあなたに告つげた主しゅの声こえに聞きき従したがってください。そうすれば幸さいわいを得え、また命いのちが助たすかります。38:21 しかし降伏こうふくすることを拒こばむならば、主しゅがわたしに示しめされた幻まぼろしを申もうしましょう。38:22 すなわち、ユダの王おうの家いえに残のこっている女おんなたちは、みなバビロンの王おうのつかさたちの所ところへ引ひいて行いかれます。その女おんなたちは言いうのです、 『あなたの親したしい友ともだちがあなたを欺あざむいた、そしてあなたに勝かった。今いまあなたの足あしは泥どろに沈しずんでいるので、彼かれらはあなたを捨すてて去さる』。38:23 あなたの妻つまたちと子供こどもたちは皆みなカルデヤびとの所ところへひき出だされる。あなた自身じしんもその手てをのがれることができず、バビロンの王おうに捕とらえられる。そしてこの町まちは火ひで焼やかれるでしょう」。 38:24 ゼデキヤはエレミヤに言いった、「これらの言葉ことばを人ひとに知しらせてはならない。そうすればあなたは殺ころされることはない。38:25 わたしがあなたと話はなしをしたことを、つかさたちが聞きいて、彼かれらがあなたの所ところに来きて、『あなたが王おうに話はなしたこと、王おうがあなたに話はなしたことをわれわれに告つげなさい。何事なにごとも隠かくしてはならない。われわれはあなたを殺ころしはしない』と言いうならば、38:26 あなたは彼かれらに、『わたしは王おうに願ねがって、わたしをヨナタンの家いえに送おくり返かえさず、そこで死しぬことのないようにしてくださいと言いった』と答こたえなさい」。38:27 さて、つかさたちは皆みなエレミヤのところへ来きて尋たずねたが、王おうが彼かれに教おしえたように彼かれらに答こたえたので、彼かれらは彼かれと話はなすことをやめた。その会話かいわを聞きいた者ものがなかったからである。38:28 エレミヤはエルサレムの取とられる日ひまで監視かんしの庭にわにとどまっていた。 第39章 39:1 ユダの王おうゼデキヤの九年ねん十月がつ、バビロンの王おうネブカデレザルはその全ぜん軍ぐんを率ひきい、エルサレムに来きてこれを攻せめ囲かこんだが、39:2 ゼデキヤの十一年ねん四月がつ九日かになって町まちの一角いっかくが破やぶれた。39:3 エルサレムが取とられたので、バビロンの王おうのつかさたち、すなわちネルガル・シャレゼル、サムガル・ネボ、ラブサリスのサルセキム、ラブマグのネルガル・シャレゼルおよびバビロンの王おうのその他たのつかさたちは皆みなともに来きて中なかの門もんに座ざした。39:4 ユダの王おうゼデキヤとすべての兵士へいしたちはこれを見みて逃にげ、夜よるのうちに、王おうの庭園ていえんの道みちを通とおって、二つの城壁じょうへきの間あいだの門もんから町まちを出でて、アラバの方ほうへ行いったが、39:5 カルデヤびとの軍勢ぐんぜいはこれを追おって、エリコの平地へいちでゼデキヤに追おいつき、これを捕とらえて、ハマテの地ちリブラにいるバビロンの王おうネブカデレザルのもとに引ひいて行いったので、王おうはそこで彼かれの罪つみをさだめた。39:6 バビロンの王おうはリブラで、ゼデキヤの子こたちを彼かれの目めの前まえで殺ころした。バビロンの王おうはまたユダのすべての貴族きぞくたちを殺ころした。39:7 王おうはまたゼデキヤの目めをつぶさせ、彼かれをバビロンに引ひいて行いくために、鎖くさりにつないだ。39:8 またカルデヤびとは王宮おうきゅうと民家みんかを火ひで焼やき、エルサレムの城壁じょうへきを破壊はかいした。39:9 そして侍衛じえいの長ちょうネブザラダンは町まちのうちに残のこっている民たみと、自分じぶんに降伏こうふくした者もの、およびその他たの残のこっている民たみをバビロンに捕とらえ移うつした。39:10 しかし侍衛じえいの長ちょうネブザラダンは、民たみの貧まずしい無産むさん者ものをユダの地ちに残のこし、同時どうじにぶどう畑はたけと田地でんちをこれに与あたえた。 39:11 さてバビロンの王おうネブカデレザルはエレミヤの事ことについて侍衛じえいの長ちょうネブザラダンに命めいじて言いった、39:12 「彼かれをとり、よく世話せわをせよ。害がいを加くわえることなく、彼かれがあなたに言いうようにしてやりなさい」。39:13 そこで侍衛じえいの長ちょうネブザラダン、ラブサリスのネブシャズバン、ラブマグのネルガル・シャレゼル、およびバビロンの王おうのつかさたちは、39:14 人ひとをつかわして、エレミヤを監視かんしの庭にわから連つれてこさせ、シャパンの子こアヒカムの子こであるゲダリヤに託たくして、家いえにつれて行いかせた。こうして彼かれは民たみのうちにいた。 39:15 エレミヤが監視かんしの庭にわに閉とじこめられていた時とき、主しゅの言葉ことばが彼かれに臨のぞんだ、39:16 「行いって、エチオピヤびとエベデメレクに告つげなさい、『万軍ばんぐんの主しゅ、イスラエルの神かみはこう言いわれる、わたしの言いった災わざわいをわたしはこの町まちに下くだす、幸さいわいをこれに下くだすのではない。その日ひ、この事ことがあなたの目めの前まえで成就じょうじゅする。39:17 主しゅは言いわれる、その日ひわたしはあなたを救すくう。あなたは自分じぶんの恐おそれている人々ひとびとの手てに渡わたされることはない。39:18 わたしが必かならずあなたを救すくい、つるぎに倒たおれることのないようにするからである。あなたの命いのちはあなたのぶんどり物ものとなる。あなたがわたしに寄より頼たよんだからであると主しゅは言いわれる』」。
37:1 ヨシヤの子こゼデキヤはエホヤキムの子こコニヤに代かわって王おうとなった。バビロンの王おうネブカデレザルが彼かれをユダの地ちの王おうとしたのである。
37:2 彼かれもその家来けらいたちも、その地ちの人々ひとびとも、主しゅが預言者よげんしゃエレミヤによって語かたられた言葉ことばに聞きき従したがわなかった。
37:3 ゼデキヤ王おうはセレミヤの子こユカルと、マアセヤの子こ祭司さいしゼパニヤを預言者よげんしゃエレミヤにつかわして、「われわれのために、われわれの神かみ、主しゅに祈いのってください」と言いわせた。
37:4 エレミヤは民たみの中なかに出入でいりしていた。まだ獄屋ごくやに入いれられなかったからである。
37:5 パロの軍勢ぐんぜいがエジプトから出でて来きたので、エルサレムを攻せめ囲かこんでいたカルデヤびとはその情報じょうほうを聞きいてエルサレムを退しりぞいた。
37:6 その時とき、主しゅの言葉ことばは預言者よげんしゃエレミヤに臨のぞんだ、
37:7 「イスラエルの神かみ、主しゅはこう言いわれる、あなたがたをつかわしてわたしに求もとめたユダの王おうにこう言いいなさい、『あなたがたを救すくうために出でてきたパロの軍勢ぐんぜいはその国くにエジプトに帰かえろうとしている。
37:8 カルデヤびとが再ふたたび来きてこの町まちを攻せめて戦たたかい、これを取とって火ひで焼やき滅ほろぼす。
37:9 主しゅはこう言いわれる、あなたがたは、「カルデヤびとはきっとわれわれを離はなれ去さる」といって自分じぶんを欺あざむいてはならない。彼かれらは去さることはない。
37:10 たといあなたがたが自分じぶんを攻せめて戦たたかうカルデヤびとの全ぜん軍ぐんを撃うち破やぶって、その天幕てんまくのうちに負傷ふしょう者もののみを残のこしても、彼かれらは立たち上あがって火ひでこの町まちを焼やき滅ほろぼす』」。
37:11 さてカルデヤびとの軍勢ぐんぜいがパロの軍勢ぐんぜいの来くるのを聞きいてエルサレムを退しりぞいたとき、
37:12 エレミヤは、ベニヤミンの地ちで民たみのうちに自分じぶんの分わけ前まえを受うけ取とるため、エルサレムを立たってその地ちへ行いこうと、
37:13 ベニヤミンの門もんに着ついたとき、そこにハナニヤの子こセレミヤの子こでイリヤという名なの番兵ばんぺいがいて、預言者よげんしゃエレミヤを捕とらえ、「あなたはカルデヤびとの側がわに脱走だっそうしようとしている」と言いった。
37:14 エレミヤは言いった、「それはまちがいだ。わたしはカルデヤびとの側がわに脱走だっそうしようとしていない」。しかしイリヤは聞きかず、エレミヤを捕とらえて、つかさたちのもとへ引ひいて行いった。
37:15 つかさたちは怒いかって、エレミヤを打うちたたき、書記しょきヨナタンの家いえの獄屋ごくやにいれた。この家いえが獄屋ごくやになっていたからである。
37:16 エレミヤが地下ちかの獄屋ごくやにはいって、そこに多おおくの日ひを送おくってのち、
37:17 ゼデキヤ王おうは人ひとをつかわし、彼かれを連つれてこさせた。王おうは自分じぶんの家いえでひそかに彼かれに尋たずねて言いった、「主しゅから何なにかお言葉ことばがあったか」。エレミヤはあったと答こたえた。そして言いった、「あなたはバビロンの王おうの手てに引ひき渡わたされます」。
37:18 エレミヤはまたゼデキヤ王おうに言いった、「わたしが獄屋ごくやにいれられたのは、あなたに、またはあなたの家来けらいに、あるいはこの民たみに、どのような罪つみを犯おかしたからなのですか。
37:19 あなたがたに預言よげんして、『バビロンの王おうはあなたがたをも、この地ちをも攻せめにこない』と言いっていたあなたがたの預言者よげんしゃは今いまどこにいるのですか。
37:20 王おうなるわが君きみよ、どうぞ今いまお聞ききください。わたしの願ねがいをお聞ききとどけください。わたしを書記しょきヨナタンの家いえへ帰かえらせないでください。そうでないと、わたしはそこで殺ころされるでしょう」。
37:21 そこでゼデキヤ王おうは命めいを下くだし、エレミヤを監視かんしの庭にわに入いれさせ、かつ、パンを つくる者ものの町まちから毎日まいにちパン一個こを彼かれに与あたえさせた。これは町まちにパンがなくなるまで続つづいた。こうしてエレミヤは監視かんしの庭にわにいた。
第38章 38:1 マッタンの子こシパテヤ、パシュルの子こゲダリヤ、セレミヤの子こユカル、マルキヤの子こパシュルはエレミヤがすべての民たみに告つげていたその言葉ことばを聞きいた。38:2 彼かれは言いった、「主しゅはこう言いわれる、この町まちにとどまる者ものは、つるぎや、ききんや、疫病えきびょうで死しぬ。しかし出でてカルデヤびとにくだる者ものは死しを免まぬかれる。すなわちその命いのちを自分じぶんのぶんどり物ものとして生いきることができる。38:3 主しゅはこう言いわれる、この町まちは必かならずバビロンの王おうの軍勢ぐんぜいの手てに渡わたされる。彼かれはこれを取とる」。38:4 すると、つかさたちは王おうに言いった、「この人ひとを殺ころしてください。このような言葉ことばをのべて、この町まちに残のこっている兵士へいしの手てと、すべての民たみの手てを弱よわくしているからです。この人ひとは民たみの安泰あんたいを求もとめないで、その災わざわいを求もとめているのです」。38:5 ゼデキヤ王おうは言いった、「見みよ、彼かれはあなたがたの手てにある。王おうはあなたがたに逆さからって何事なにごとをもなし得えない」。38:6 そこで彼かれらはエレミヤを捕とらえ、監視かんしの庭にわにある王子おうじマルキヤの穴あなに投なげ入いれた。すなわち、綱つなをもってエレミヤをつり降おろしたが、その穴あなには水みずがなく、泥どろだけであったので、エレミヤは泥どろの中なかに沈しずんだ。 38:7 王おうの家いえの宦官かんがんエチオピヤびとエベデメレクは、彼かれらがエレミヤを穴あなに投なげ入いれたことを聞きいた。その時とき、王おうはベニヤミンの門もんに座ざしていたので、38:8 エベデメレクは王おうの家いえから出でて行いって王おうに言いった、38:9 「王おうなるわが君きみよ、この人々ひとびとが預言者よげんしゃエレミヤにしたことはみな良よいことではありません。彼かれを穴あなに投なげ入いれました。町まちに食物しょくもつがなくなりましたから、彼かれはそこで餓死がしするでしょう」。38:10 王おうはエチオピヤびとエベデメレクに命めいじて言いった、「ここから三人にんのひとを連つれて行いって、預言者よげんしゃエレミヤを、死しなないうちに穴あなから引ひき上あげなさい」。38:11 そこでエベデメレクはその人々ひとびとを連つれて王おうの家いえの倉くらの衣服いふく室しつに行いき、そこから古ふるい布ぬの切きれや、着きふるした着物きものを取とり、これを穴あなの中なかにいるエレミヤのところへ、綱つなをもってつり降おろした。38:12 そしてエチオピヤびとエベデメレクは、「この布ぬの切きれや着物きものを、あなたのわきの下したにはさんで、綱つなに当あてなさい」とエレミヤに言いった。エレミヤはそのようにした。38:13 すると彼かれらは綱つなをもってエレミヤを穴あなから引ひき上あげた。そしてエレミヤは監視かんしの庭にわにとどまった。 38:14 ゼデキヤ王おうは人ひとをつかわして預言者よげんしゃエレミヤを主しゅの宮みやの第だい三の門もんに連つれてこさせ、王おうはエレミヤに言いった、「あなたに尋たずねたいことがある。何事なにごともわたしに隠かくしてはならない」。38:15 エレミヤはゼデキヤに言いった、「もしわたしがお話はなするなら、あなたは必かならずわたしを殺ころされるではありませんか。たといわたしが忠告ちゅうこくをしても、あなたはお聞ききにならないでしょう」。38:16 その時ときゼデキヤ王おうは、ひそかにエレミヤに誓ちかって言いった、「われわれの魂たましいを造つくられた主しゅは生いきておられる。わたしはあなたを殺ころさない、またあなたの命いのちを求もとめる者ものの手てに、あなたを渡わたすこともしない」。 38:17 そこでエレミヤはゼデキヤに言いった、「万軍ばんぐんの神かみ、イスラエルの神かみ、主しゅはこう仰おおせられる、もしあなたがバビロンの王おうのつかさたちに降伏こうふくするならば、あなたの命いのちは助たすかり、またこの町まちは火ひで焼やかれることなく、あなたも、あなたの家いえの者ものも生いきながらえることができる。38:18 しかし、もしあなたが出でてバビロンの王おうのつかさたちに降伏こうふくしないならば、この町まちはカルデヤびとの手てに渡わたされる。彼かれらは火ひでこれを焼やく。あなたはその手てをのがれることができない」。38:19 ゼデキヤ王おうはエレミヤに言いった、「わたしはカルデヤびとに脱走だっそうしたユダヤ人ひとを恐おそれている。カルデヤびとはわたしを彼かれらの手てに渡わたし、彼かれらはわたしをはずかしめる」。38:20 エレミヤは言いった、「彼かれらはあなたを渡わたさないでしょう。どうか、わたしがあなたに告つげた主しゅの声こえに聞きき従したがってください。そうすれば幸さいわいを得え、また命いのちが助たすかります。38:21 しかし降伏こうふくすることを拒こばむならば、主しゅがわたしに示しめされた幻まぼろしを申もうしましょう。38:22 すなわち、ユダの王おうの家いえに残のこっている女おんなたちは、みなバビロンの王おうのつかさたちの所ところへ引ひいて行いかれます。その女おんなたちは言いうのです、 『あなたの親したしい友ともだちがあなたを欺あざむいた、そしてあなたに勝かった。今いまあなたの足あしは泥どろに沈しずんでいるので、彼かれらはあなたを捨すてて去さる』。38:23 あなたの妻つまたちと子供こどもたちは皆みなカルデヤびとの所ところへひき出だされる。あなた自身じしんもその手てをのがれることができず、バビロンの王おうに捕とらえられる。そしてこの町まちは火ひで焼やかれるでしょう」。 38:24 ゼデキヤはエレミヤに言いった、「これらの言葉ことばを人ひとに知しらせてはならない。そうすればあなたは殺ころされることはない。38:25 わたしがあなたと話はなしをしたことを、つかさたちが聞きいて、彼かれらがあなたの所ところに来きて、『あなたが王おうに話はなしたこと、王おうがあなたに話はなしたことをわれわれに告つげなさい。何事なにごとも隠かくしてはならない。われわれはあなたを殺ころしはしない』と言いうならば、38:26 あなたは彼かれらに、『わたしは王おうに願ねがって、わたしをヨナタンの家いえに送おくり返かえさず、そこで死しぬことのないようにしてくださいと言いった』と答こたえなさい」。38:27 さて、つかさたちは皆みなエレミヤのところへ来きて尋たずねたが、王おうが彼かれに教おしえたように彼かれらに答こたえたので、彼かれらは彼かれと話はなすことをやめた。その会話かいわを聞きいた者ものがなかったからである。38:28 エレミヤはエルサレムの取とられる日ひまで監視かんしの庭にわにとどまっていた。 第39章 39:1 ユダの王おうゼデキヤの九年ねん十月がつ、バビロンの王おうネブカデレザルはその全ぜん軍ぐんを率ひきい、エルサレムに来きてこれを攻せめ囲かこんだが、39:2 ゼデキヤの十一年ねん四月がつ九日かになって町まちの一角いっかくが破やぶれた。39:3 エルサレムが取とられたので、バビロンの王おうのつかさたち、すなわちネルガル・シャレゼル、サムガル・ネボ、ラブサリスのサルセキム、ラブマグのネルガル・シャレゼルおよびバビロンの王おうのその他たのつかさたちは皆みなともに来きて中なかの門もんに座ざした。39:4 ユダの王おうゼデキヤとすべての兵士へいしたちはこれを見みて逃にげ、夜よるのうちに、王おうの庭園ていえんの道みちを通とおって、二つの城壁じょうへきの間あいだの門もんから町まちを出でて、アラバの方ほうへ行いったが、39:5 カルデヤびとの軍勢ぐんぜいはこれを追おって、エリコの平地へいちでゼデキヤに追おいつき、これを捕とらえて、ハマテの地ちリブラにいるバビロンの王おうネブカデレザルのもとに引ひいて行いったので、王おうはそこで彼かれの罪つみをさだめた。39:6 バビロンの王おうはリブラで、ゼデキヤの子こたちを彼かれの目めの前まえで殺ころした。バビロンの王おうはまたユダのすべての貴族きぞくたちを殺ころした。39:7 王おうはまたゼデキヤの目めをつぶさせ、彼かれをバビロンに引ひいて行いくために、鎖くさりにつないだ。39:8 またカルデヤびとは王宮おうきゅうと民家みんかを火ひで焼やき、エルサレムの城壁じょうへきを破壊はかいした。39:9 そして侍衛じえいの長ちょうネブザラダンは町まちのうちに残のこっている民たみと、自分じぶんに降伏こうふくした者もの、およびその他たの残のこっている民たみをバビロンに捕とらえ移うつした。39:10 しかし侍衛じえいの長ちょうネブザラダンは、民たみの貧まずしい無産むさん者ものをユダの地ちに残のこし、同時どうじにぶどう畑はたけと田地でんちをこれに与あたえた。 39:11 さてバビロンの王おうネブカデレザルはエレミヤの事ことについて侍衛じえいの長ちょうネブザラダンに命めいじて言いった、39:12 「彼かれをとり、よく世話せわをせよ。害がいを加くわえることなく、彼かれがあなたに言いうようにしてやりなさい」。39:13 そこで侍衛じえいの長ちょうネブザラダン、ラブサリスのネブシャズバン、ラブマグのネルガル・シャレゼル、およびバビロンの王おうのつかさたちは、39:14 人ひとをつかわして、エレミヤを監視かんしの庭にわから連つれてこさせ、シャパンの子こアヒカムの子こであるゲダリヤに託たくして、家いえにつれて行いかせた。こうして彼かれは民たみのうちにいた。 39:15 エレミヤが監視かんしの庭にわに閉とじこめられていた時とき、主しゅの言葉ことばが彼かれに臨のぞんだ、39:16 「行いって、エチオピヤびとエベデメレクに告つげなさい、『万軍ばんぐんの主しゅ、イスラエルの神かみはこう言いわれる、わたしの言いった災わざわいをわたしはこの町まちに下くだす、幸さいわいをこれに下くだすのではない。その日ひ、この事ことがあなたの目めの前まえで成就じょうじゅする。39:17 主しゅは言いわれる、その日ひわたしはあなたを救すくう。あなたは自分じぶんの恐おそれている人々ひとびとの手てに渡わたされることはない。39:18 わたしが必かならずあなたを救すくい、つるぎに倒たおれることのないようにするからである。あなたの命いのちはあなたのぶんどり物ものとなる。あなたがわたしに寄より頼たよんだからであると主しゅは言いわれる』」。
38:1 マッタンの子こシパテヤ、パシュルの子こゲダリヤ、セレミヤの子こユカル、マルキヤの子こパシュルはエレミヤがすべての民たみに告つげていたその言葉ことばを聞きいた。
38:2 彼かれは言いった、「主しゅはこう言いわれる、この町まちにとどまる者ものは、つるぎや、ききんや、疫病えきびょうで死しぬ。しかし出でてカルデヤびとにくだる者ものは死しを免まぬかれる。すなわちその命いのちを自分じぶんのぶんどり物ものとして生いきることができる。
38:3 主しゅはこう言いわれる、この町まちは必かならずバビロンの王おうの軍勢ぐんぜいの手てに渡わたされる。彼かれはこれを取とる」。
38:4 すると、つかさたちは王おうに言いった、「この人ひとを殺ころしてください。このような言葉ことばをのべて、この町まちに残のこっている兵士へいしの手てと、すべての民たみの手てを弱よわくしているからです。この人ひとは民たみの安泰あんたいを求もとめないで、その災わざわいを求もとめているのです」。
38:5 ゼデキヤ王おうは言いった、「見みよ、彼かれはあなたがたの手てにある。王おうはあなたがたに逆さからって何事なにごとをもなし得えない」。
38:6 そこで彼かれらはエレミヤを捕とらえ、監視かんしの庭にわにある王子おうじマルキヤの穴あなに投なげ入いれた。すなわち、綱つなをもってエレミヤをつり降おろしたが、その穴あなには水みずがなく、泥どろだけであったので、エレミヤは泥どろの中なかに沈しずんだ。
38:7 王おうの家いえの宦官かんがんエチオピヤびとエベデメレクは、彼かれらがエレミヤを穴あなに投なげ入いれたことを聞きいた。その時とき、王おうはベニヤミンの門もんに座ざしていたので、
38:8 エベデメレクは王おうの家いえから出でて行いって王おうに言いった、
38:9 「王おうなるわが君きみよ、この人々ひとびとが預言者よげんしゃエレミヤにしたことはみな良よいことではありません。彼かれを穴あなに投なげ入いれました。町まちに食物しょくもつがなくなりましたから、彼かれはそこで餓死がしするでしょう」。
38:10 王おうはエチオピヤびとエベデメレクに命めいじて言いった、「ここから三人にんのひとを連つれて行いって、預言者よげんしゃエレミヤを、死しなないうちに穴あなから引ひき上あげなさい」。
38:11 そこでエベデメレクはその人々ひとびとを連つれて王おうの家いえの倉くらの衣服いふく室しつに行いき、そこから古ふるい布ぬの切きれや、着きふるした着物きものを取とり、これを穴あなの中なかにいるエレミヤのところへ、綱つなをもってつり降おろした。
38:12 そしてエチオピヤびとエベデメレクは、「この布ぬの切きれや着物きものを、あなたのわきの下したにはさんで、綱つなに当あてなさい」とエレミヤに言いった。エレミヤはそのようにした。
38:13 すると彼かれらは綱つなをもってエレミヤを穴あなから引ひき上あげた。そしてエレミヤは監視かんしの庭にわにとどまった。
38:14 ゼデキヤ王おうは人ひとをつかわして預言者よげんしゃエレミヤを主しゅの宮みやの第だい三の門もんに連つれてこさせ、王おうはエレミヤに言いった、「あなたに尋たずねたいことがある。何事なにごともわたしに隠かくしてはならない」。
38:15 エレミヤはゼデキヤに言いった、「もしわたしがお話はなするなら、あなたは必かならずわたしを殺ころされるではありませんか。たといわたしが忠告ちゅうこくをしても、あなたはお聞ききにならないでしょう」。
38:16 その時ときゼデキヤ王おうは、ひそかにエレミヤに誓ちかって言いった、「われわれの魂たましいを造つくられた主しゅは生いきておられる。わたしはあなたを殺ころさない、またあなたの命いのちを求もとめる者ものの手てに、あなたを渡わたすこともしない」。
38:17 そこでエレミヤはゼデキヤに言いった、「万軍ばんぐんの神かみ、イスラエルの神かみ、主しゅはこう仰おおせられる、もしあなたがバビロンの王おうのつかさたちに降伏こうふくするならば、あなたの命いのちは助たすかり、またこの町まちは火ひで焼やかれることなく、あなたも、あなたの家いえの者ものも生いきながらえることができる。
38:18 しかし、もしあなたが出でてバビロンの王おうのつかさたちに降伏こうふくしないならば、この町まちはカルデヤびとの手てに渡わたされる。彼かれらは火ひでこれを焼やく。あなたはその手てをのがれることができない」。
38:19 ゼデキヤ王おうはエレミヤに言いった、「わたしはカルデヤびとに脱走だっそうしたユダヤ人ひとを恐おそれている。カルデヤびとはわたしを彼かれらの手てに渡わたし、彼かれらはわたしをはずかしめる」。
38:20 エレミヤは言いった、「彼かれらはあなたを渡わたさないでしょう。どうか、わたしがあなたに告つげた主しゅの声こえに聞きき従したがってください。そうすれば幸さいわいを得え、また命いのちが助たすかります。
38:21 しかし降伏こうふくすることを拒こばむならば、主しゅがわたしに示しめされた幻まぼろしを申もうしましょう。
38:22 すなわち、ユダの王おうの家いえに残のこっている女おんなたちは、みなバビロンの王おうのつかさたちの所ところへ引ひいて行いかれます。その女おんなたちは言いうのです、 『あなたの親したしい友ともだちがあなたを欺あざむいた、そしてあなたに勝かった。今いまあなたの足あしは泥どろに沈しずんでいるので、彼かれらはあなたを捨すてて去さる』。
38:23 あなたの妻つまたちと子供こどもたちは皆みなカルデヤびとの所ところへひき出だされる。あなた自身じしんもその手てをのがれることができず、バビロンの王おうに捕とらえられる。そしてこの町まちは火ひで焼やかれるでしょう」。
38:24 ゼデキヤはエレミヤに言いった、「これらの言葉ことばを人ひとに知しらせてはならない。そうすればあなたは殺ころされることはない。
38:25 わたしがあなたと話はなしをしたことを、つかさたちが聞きいて、彼かれらがあなたの所ところに来きて、『あなたが王おうに話はなしたこと、王おうがあなたに話はなしたことをわれわれに告つげなさい。何事なにごとも隠かくしてはならない。われわれはあなたを殺ころしはしない』と言いうならば、
38:26 あなたは彼かれらに、『わたしは王おうに願ねがって、わたしをヨナタンの家いえに送おくり返かえさず、そこで死しぬことのないようにしてくださいと言いった』と答こたえなさい」。
38:27 さて、つかさたちは皆みなエレミヤのところへ来きて尋たずねたが、王おうが彼かれに教おしえたように彼かれらに答こたえたので、彼かれらは彼かれと話はなすことをやめた。その会話かいわを聞きいた者ものがなかったからである。
38:28 エレミヤはエルサレムの取とられる日ひまで監視かんしの庭にわにとどまっていた。
第39章 39:1 ユダの王おうゼデキヤの九年ねん十月がつ、バビロンの王おうネブカデレザルはその全ぜん軍ぐんを率ひきい、エルサレムに来きてこれを攻せめ囲かこんだが、39:2 ゼデキヤの十一年ねん四月がつ九日かになって町まちの一角いっかくが破やぶれた。39:3 エルサレムが取とられたので、バビロンの王おうのつかさたち、すなわちネルガル・シャレゼル、サムガル・ネボ、ラブサリスのサルセキム、ラブマグのネルガル・シャレゼルおよびバビロンの王おうのその他たのつかさたちは皆みなともに来きて中なかの門もんに座ざした。39:4 ユダの王おうゼデキヤとすべての兵士へいしたちはこれを見みて逃にげ、夜よるのうちに、王おうの庭園ていえんの道みちを通とおって、二つの城壁じょうへきの間あいだの門もんから町まちを出でて、アラバの方ほうへ行いったが、39:5 カルデヤびとの軍勢ぐんぜいはこれを追おって、エリコの平地へいちでゼデキヤに追おいつき、これを捕とらえて、ハマテの地ちリブラにいるバビロンの王おうネブカデレザルのもとに引ひいて行いったので、王おうはそこで彼かれの罪つみをさだめた。39:6 バビロンの王おうはリブラで、ゼデキヤの子こたちを彼かれの目めの前まえで殺ころした。バビロンの王おうはまたユダのすべての貴族きぞくたちを殺ころした。39:7 王おうはまたゼデキヤの目めをつぶさせ、彼かれをバビロンに引ひいて行いくために、鎖くさりにつないだ。39:8 またカルデヤびとは王宮おうきゅうと民家みんかを火ひで焼やき、エルサレムの城壁じょうへきを破壊はかいした。39:9 そして侍衛じえいの長ちょうネブザラダンは町まちのうちに残のこっている民たみと、自分じぶんに降伏こうふくした者もの、およびその他たの残のこっている民たみをバビロンに捕とらえ移うつした。39:10 しかし侍衛じえいの長ちょうネブザラダンは、民たみの貧まずしい無産むさん者ものをユダの地ちに残のこし、同時どうじにぶどう畑はたけと田地でんちをこれに与あたえた。 39:11 さてバビロンの王おうネブカデレザルはエレミヤの事ことについて侍衛じえいの長ちょうネブザラダンに命めいじて言いった、39:12 「彼かれをとり、よく世話せわをせよ。害がいを加くわえることなく、彼かれがあなたに言いうようにしてやりなさい」。39:13 そこで侍衛じえいの長ちょうネブザラダン、ラブサリスのネブシャズバン、ラブマグのネルガル・シャレゼル、およびバビロンの王おうのつかさたちは、39:14 人ひとをつかわして、エレミヤを監視かんしの庭にわから連つれてこさせ、シャパンの子こアヒカムの子こであるゲダリヤに託たくして、家いえにつれて行いかせた。こうして彼かれは民たみのうちにいた。 39:15 エレミヤが監視かんしの庭にわに閉とじこめられていた時とき、主しゅの言葉ことばが彼かれに臨のぞんだ、39:16 「行いって、エチオピヤびとエベデメレクに告つげなさい、『万軍ばんぐんの主しゅ、イスラエルの神かみはこう言いわれる、わたしの言いった災わざわいをわたしはこの町まちに下くだす、幸さいわいをこれに下くだすのではない。その日ひ、この事ことがあなたの目めの前まえで成就じょうじゅする。39:17 主しゅは言いわれる、その日ひわたしはあなたを救すくう。あなたは自分じぶんの恐おそれている人々ひとびとの手てに渡わたされることはない。39:18 わたしが必かならずあなたを救すくい、つるぎに倒たおれることのないようにするからである。あなたの命いのちはあなたのぶんどり物ものとなる。あなたがわたしに寄より頼たよんだからであると主しゅは言いわれる』」。
39:1 ユダの王おうゼデキヤの九年ねん十月がつ、バビロンの王おうネブカデレザルはその全ぜん軍ぐんを率ひきい、エルサレムに来きてこれを攻せめ囲かこんだが、
39:2 ゼデキヤの十一年ねん四月がつ九日かになって町まちの一角いっかくが破やぶれた。
39:3 エルサレムが取とられたので、バビロンの王おうのつかさたち、すなわちネルガル・シャレゼル、サムガル・ネボ、ラブサリスのサルセキム、ラブマグのネルガル・シャレゼルおよびバビロンの王おうのその他たのつかさたちは皆みなともに来きて中なかの門もんに座ざした。
39:4 ユダの王おうゼデキヤとすべての兵士へいしたちはこれを見みて逃にげ、夜よるのうちに、王おうの庭園ていえんの道みちを通とおって、二つの城壁じょうへきの間あいだの門もんから町まちを出でて、アラバの方ほうへ行いったが、
39:5 カルデヤびとの軍勢ぐんぜいはこれを追おって、エリコの平地へいちでゼデキヤに追おいつき、これを捕とらえて、ハマテの地ちリブラにいるバビロンの王おうネブカデレザルのもとに引ひいて行いったので、王おうはそこで彼かれの罪つみをさだめた。
39:6 バビロンの王おうはリブラで、ゼデキヤの子こたちを彼かれの目めの前まえで殺ころした。バビロンの王おうはまたユダのすべての貴族きぞくたちを殺ころした。
39:7 王おうはまたゼデキヤの目めをつぶさせ、彼かれをバビロンに引ひいて行いくために、鎖くさりにつないだ。
39:8 またカルデヤびとは王宮おうきゅうと民家みんかを火ひで焼やき、エルサレムの城壁じょうへきを破壊はかいした。
39:9 そして侍衛じえいの長ちょうネブザラダンは町まちのうちに残のこっている民たみと、自分じぶんに降伏こうふくした者もの、およびその他たの残のこっている民たみをバビロンに捕とらえ移うつした。
39:10 しかし侍衛じえいの長ちょうネブザラダンは、民たみの貧まずしい無産むさん者ものをユダの地ちに残のこし、同時どうじにぶどう畑はたけと田地でんちをこれに与あたえた。
39:11 さてバビロンの王おうネブカデレザルはエレミヤの事ことについて侍衛じえいの長ちょうネブザラダンに命めいじて言いった、
39:12 「彼かれをとり、よく世話せわをせよ。害がいを加くわえることなく、彼かれがあなたに言いうようにしてやりなさい」。
39:13 そこで侍衛じえいの長ちょうネブザラダン、ラブサリスのネブシャズバン、ラブマグのネルガル・シャレゼル、およびバビロンの王おうのつかさたちは、
39:14 人ひとをつかわして、エレミヤを監視かんしの庭にわから連つれてこさせ、シャパンの子こアヒカムの子こであるゲダリヤに託たくして、家いえにつれて行いかせた。こうして彼かれは民たみのうちにいた。
39:15 エレミヤが監視かんしの庭にわに閉とじこめられていた時とき、主しゅの言葉ことばが彼かれに臨のぞんだ、
39:16 「行いって、エチオピヤびとエベデメレクに告つげなさい、『万軍ばんぐんの主しゅ、イスラエルの神かみはこう言いわれる、わたしの言いった災わざわいをわたしはこの町まちに下くだす、幸さいわいをこれに下くだすのではない。その日ひ、この事ことがあなたの目めの前まえで成就じょうじゅする。
39:17 主しゅは言いわれる、その日ひわたしはあなたを救すくう。あなたは自分じぶんの恐おそれている人々ひとびとの手てに渡わたされることはない。
39:18 わたしが必かならずあなたを救すくい、つるぎに倒たおれることのないようにするからである。あなたの命いのちはあなたのぶんどり物ものとなる。あなたがわたしに寄より頼たよんだからであると主しゅは言いわれる』」。