口語訳聖書(振り仮名付き)

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 ヨブ

第22章    Jb-Audio 

22:1 そこでテマンびとエリパズはこたえてった、

22:2 「ひとかみえきすることができるであろうか。かしこひとも、ただ自身じしんえきするのみである。

22:3 あなたがただしくても、全能者ぜんのうしゃになんのよろこびがあろう。あなたが自分じぶんみちまっとうしても、かれになんの利益りえきがあろう。

22:4 かみはあなたがかみおそれることのゆえに、あなたをめ、あなたをさばかれるであろうか。

22:5 あなたのあくおおきいではないか。あなたのつみは、はてしがない。

22:6 あなたはゆえなく兄弟きょうだいのものをしちにとり、はだかもの着物きものをはぎり、

22:7 つかれたものみずませず、えたもの食物しょくもつあたえなかった。

22:8 ちからあるひと土地とちあるひとはそのうちにんだ。

22:9 あなたは、やもめをむなしくらせた。みなしごのうでられた。

22:10 それゆえ、わなはあなたをめぐり、恐怖きょうふは、にわかにあなたをおどろかす。

22:11 あなたのひかりくらくされ、あなたはることができない。大水おおみずはあなたをおおうであろう。

22:12 かみてんたかくおられるではないか。よ、いとたかほしを。いかにたかいことよ。

22:13 それであなたはう、『かみなにっておられるか。かれ黒雲くろくもとおして、さばくことができるのか。

22:14 くもかれをおおいかくすと、かれることができない。かれてん大空おおぞらあゆまれるのだ』と。

22:15 あなたはしき人々ひとびとんだいにしえのみちまもろうとするのか。

22:16 かれらはときがこないうちにられ、そのもといかわのようにながされた。

22:17 かれらはかみった、『われわれをはなれてください』と、また『全能者ぜんのうしゃはわれわれになにをなしえようか』と。

22:18 しかしかみかれらのいえものたされた。ただし悪人あくにんはかりごとはわたしのくみするところではない。

22:19 ただしいものはこれをよろこび、つみなきものかれらをあざわらってう、

22:20 『まことにわれわれのあだはほろぼされ、そののこしたものほろぼされた』と。

22:21 あなたはかみやわらいで、平安へいあんるがよい。そうすれば幸福こうふくがあなたにるでしょう。

22:22 どうか、かれくちからおしえけ、その言葉ことばをあなたのこころにおさめるように。

22:23 あなたがもし全能者ぜんのうしゃかえって、おのれをひくくし、あなたの天幕てんまくから不義ふぎのぞり、

22:24 こがねをちりのなかき、オフルのこがねを谷川たにがわいしなかき、

22:25 全能者ぜんのうしゃがあなたのこがねとなり、あなたの貴重きちょうなしろがねとなるならば、

22:26 そのとき、あなたは全能者ぜんのうしゃよろこび、かみかってかおをあげることができる。

22:27 あなたがかれいのるならば、かれはあなたにかれる。そしてあなたは自分じぶんちかいをはたす。

22:28 あなたがことをなそうとさだめるならば、あなたはそのこと成就じょうじゅし、あなたのみちにはひかりかがやく。

22:29 かれたかぶるものひくくされるが、へりくだるものすくわれるからだ。

22:30 かれつみのないものすくわれる。あなたはそのいさぎよいことによって、すくわれるであろう」。 

第23章 

23:1 そこでヨブはこたえてった、

23:2 「きょうもまた、わたしのつぶやきははげしく、かれはわたしのなげきにかかわらず、おもい。

23:3 どうか、かれたずねてどこでえるかをり、そのみいたることができるように。

23:4 わたしはかれまえにわたしのうったえをならべ、くちをきわめて論するであろう。

23:5 わたしは、わたしにこたえられるみ言葉ことばり、わたしにわれるところさとろう。

23:6 かれおおいなるちからをもって、わたしとあらそわれるであろうか、いな、かえってわたしをかえりみられるであろう。

23:7 かしこではただしいひとかれあらそうことができる。そうすれば、わたしはわたしをさばくものから永久えいきゅうすくわれるであろう。

23:8 よ、わたしがすすんでも、かれない。退しりぞいても、かれみとめることができない。

23:9 ひだりほうたずねても、うことができない。みぎほうかっても、ることができない。

23:10 しかしかれはわたしのあゆみちっておられる。かれがわたしをこころみられるとき、わたしはきんのようにるであろう。

23:11 わたしのあしかれあゆみにかたしたがった。わたしはかれみちまもってはなれなかった。

23:12 わたしはかれのくちびるの命令めいれいにそむかず、そのくち言葉ことばをわたしのむねにたくわえた。

23:13 しかしかれかわることはない。だれがかれをひるがえすことができようか。かれはそのこころほっするところをおこなわれるのだ。

23:14 かれはわたしのためにさだめたことをなしげられる。そしてこのようなことおおかれこころにある。

23:15 それゆえ、わたしはかれまえにおののく。わたしはかんがえるとき、かれおそれる。

23:16 かみはわたしのこころよわくされた。全能者ぜんのうしゃはわたしをおそれさせられた。

23:17 わたしは、やみによってじこめられ、暗黒あんこくがわたしのかおをおおっている。 

第24章 

24:1 なにゆえ、全能者ぜんのうしゃはさばきのときさだめておかれないのか。なにゆえ、かれものがそのないのか。

24:2 には地境じざかいうつものれをうばってそれをもの

24:3 みなしごのろばをいやるものやもめのうししちもの

24:4 まずしいものみちからしのけるものがある。よわものみなかれらをさけてをかくす。

24:5 よ、かれらは荒野あらのにおるろばのようにはたらき、獲物えものもとめて、そのらの食物しょくもつとする。

24:6 かれらははたけでそのまぐさをり、また悪人あくにんのぶどうはたけひろあつめる。

24:7 かれらはものがなく、はだかよるごし、さむさにをおおうべきものもない。

24:8 かれらはやまあめにぬれ、しのぎもなくいわにすがる。

24:9 (みなしごをそのははのふところからうばい、まずしいものおさしちにとるものがある。)

24:10 かれらはものがなく、はだかあるき、えつつむぎたばはこび、

24:11 悪人あくにんのオリブ並みなかあぶらをしぼり、さかぶねをんでも、かわきをおぼえる。

24:12 まちなかからのうめきがおこり、きずついたものたましいたすけをもとめる。しかしかみかれらのいのりかえりみられない。

24:13 ひかりにそむくものたちがある。かれらはひかりみちらず、ひかりみちにとどまらない。

24:14 ひところものくらいうちによわものまずしいものころし、よるぬすびととなる。

24:15 姦淫かんいんするものはたそがれをって、『だれもわたしをていないだろう』とい、かおにおおうものてる。

24:16 かれらはくらやみでいえをうがち、ひるじこもってひかりらない。

24:17 かれらには暗黒あんこくあさである。かれらは暗黒あんこくおそれをともとするからだ。

24:18 あなたがたはう、かれらはみずのおもてにすみやかにながり、そのけるぶんでのろわれ、さかぶねをものはだれもかれらのぶどうはたけみちかない。

24:19 ひでりとあつさはゆきみずうばる、陰府よみつみおかしたものたいするも、これと同様どうようだ。

24:20 まち広場ひろばかれらをわすれ、かれらのおぼえられることなく、不義ふぎられるようにられる』と。

24:21 かれらはまぬうまずめをくらい、やもめをあわれむことをしない。

24:22 しかしかみはそのちからをもって、つよ人々ひとびときながらえさせられる。かれらはきるのぞみのないときにもきあがる。

24:23 かみかれらに安全あんぜんあたえられるので、かれらはやすらかである。かみかれらのみちうえにある。

24:24 かれらはしばしたかめられて、いなくなり、ぜにあおいのようにれてえうせ、むぎ穂先ほさきのようにられる。

24:25 もし、そうでないなら、だれがわたしにそのいつわりを証明しょうめいし、わが言葉ことばのむなしいことをしめしうるだろうか」。 

第25章 

25:1 そこでシュヒびとビルダデはこたえてった、

25:2 「大権たいけんおそれとはかみともにある。かれたかところ平和へいわほどこされる。

25:3 その軍勢ぐんぜいかぞえることができるか。なにものかそのひかりよくさないものがあるか。

25:4 それでひとはどうしてかみまえただしくありえようか。おんなからうまれたものがどうしてきよくありえようか。

25:5 よ、つきさえもかがやかず、ほしかれにはきよくない。

25:6 うじのようなひとむしのようなひとはなおさらである」。 

第26章 

26:1 そこでヨブはこたえてった、

26:2 「あなたはちからのないものをどれほどたすけたかしれない。気力きりょくのないうでをどれほどすくったかしれない。

26:3 知恵ちえのないものをどれほどおしえたかしれない。さとりをどれほどおおしめしたかしれない。

26:4 あなたはだれのたすけによって言葉ことばをだしたのか。あなたからたのはだれのれいなのか。

26:5 亡霊ぼうれいみずおよびそのなかむもののしたふるう。

26:6 かみまえでは陰府よみはだかである。ほろびのあなもおおいかくすものはない。

26:7 かれきたてん空間くうかんり、なにもないところけられる。

26:8 かれみずくもなかつつまれるが、そのしたくもけない。

26:9 かれつきのおもてをおおいかくして、くもをそのうえにのべ、

26:10 みずのおもてにえんえがいて、ひかりとやみとのさかいとされた。

26:11 かれいましめると、てんはしらふるい、かつおどろく。

26:12 かれはそのちからをもってうみしずめ、その知恵ちえをもってラハブをくだき、

26:13 そのいきをもっててんれわたらせ、そのをもってげるへびをとおされる。

26:14 よ、これらはただかれみちはしにすぎない。われわれがかれについてところいかにかすかなささやきであろう。しかし、そのちからのとどろきにいたっては、だれがさとることができるか」。 

第27章 

27:1 ヨブはまた言葉ことばをついでった、

27:2 「かみきておられる。かれはわたしのうばられた。全能者ぜんのうしゃはわたしのたましいなやまされた。

27:3 わたしのいきがわたしのうちにあり、かみいきがわたしのはなにあるあいだ

27:4 わたしのくちびるは不義ふぎわない、わたしのしたいつわりをかたらない。

27:5 わたしはだんじて、あなたがたをただしいとはみとめない。わたしはぬまで、潔白けっぱく主張しゅちょうしてやめない。

27:6 わたしはかたくわがたもっててない。わたしはいままで一にちこころめられたことがない。

27:7 どうか、わたしのてき悪人あくにんのようになり、わたしにさからうもの不義ふぎなるもののようになるように。

27:8 かみかれち、そのたましいきとられるとき、かみしんじないものになんののぞみがあろう。

27:9 わざわいかれのぞむとき、かみはそのさけびをかれるであろうか。

27:10 かれ全能者ぜんのうしゃよろこぶであろうか、つねかみぶであろうか。

27:11 わたしはかみのみについてあなたがたにおしえ、全能者ぜんのうしゃともにあるものをかくすことをしない。

27:12 よ、あなたがたはみなみずからこれをた、それなのに、どうしてむなしいものとなったのか。

27:13 これは悪人あくにんかみからけるぶん圧制者あっせいしゃ全能者ぜんのうしゃからけるぎょうである。

27:14 そのらがふえればつるぎにわたされ、その子孫しそん食物しょくもつきることがない。

27:15 そののこったもの疫病えきびょうんでめられ、そのやもめらはかなしむことをしない。

27:16 たといかれぎんをちりのようにみ、衣服いふくつちのようにそなえても、

27:17 そのそなえるものはただしいひとがこれをそのぎんつみなきものかちるであろう。

27:18 かれてるいえは、くもののようであり、番人ばんにん つく小屋こやのようである。

27:19 かれめるても、ふたたむことがなく、ひらけばそのとみはない。

27:20 おそろしいこと大水おおみずのようにかれおそい、よるはつむじかぜかれうばる。

27:21 東風ひがしかぜかれげると、かれり、かれをそのところからはらう。

27:22 それはかれげつけて、あわれむことなく、かれはそのちからからのがれようと、もがく。

27:23 それはかれかってらし、あざけりわらって、そのところからかせる。 

第28章 

28:1 しろがねにはあながあり、精錬せいれんするこがねにはどころがある。

28:2 くろがねはつちからり、あかがねはいしからかしてる。

28:3 ひとくらやみをやぶり、いやはてまでもたずねきわめて、くらやみおよび暗黒あんこくなかから鉱石こうせきる。

28:4 かれらはひとところはなれて縦穴たてあなをうがち、道行みちゆひとわすれられ、ひとはなれてをつりさげ、うごく。

28:5 はそこから食物しょくもつす。そのしたでくつがえされるようにくつがえる。

28:6 そのいしはサファイヤのあるところそこにはまた金塊きんかいがある。

28:7 そのみち猛禽もうきんらず、たかのもこれをず、

28:8 猛獣もうじゅうもこれをまず、ししもこれをとおらなかった。

28:9 ひとかたいわをくだして、やま根元ねもとからくつがえす。

28:10 かれいわ坑道こうどうり、そのはもろもろのたっとものる。

28:11 かれ水路すいろをふさいで、れないようにし、かくれたものひかりす。

28:12 しかし知恵ちえはどこにいだされるか。さとりのあるところはどこか。

28:13 ひとはそこにいたみちらない、またけるものでそれをることができない。

28:14 ふちう、『それはわたしのうちにない』と。またうみう、『わたしのもとにない』と。

28:15 せいきんもこれとえることはできない。ぎんはかってそのあたいとすることはできない。

28:16 オフルのきんをもってしても、そのあたいはかることはできない。たっとしまめのうも、サファイヤも同様どうようである。

28:17 こがねも、玻璃はりもこれにならぶことができない。またせいきん器物うつわものもこれとえることができない。

28:18 さんごも水晶すいしょううにりない。知恵ちえるのは真珠しんじゅるのにまさる。

28:19 エチオピヤのトパズもこれにならぶことができない。純金じゅんきんをもってしても、そのあたいはかることはできない。

28:20 それでは知恵ちえはどこからるか。さとりのあるところはどこか。

28:21 これはすべてのものかくされ、そらとりにもかくされている。

28:22 ほろびもう、『われわれはそのうわさをみみいただけだ』。

28:23 かみはこれにいたみちさとっておられる、かれはそのあるところっておられる。

28:24 かれはてまでもみそなわし、あめしたきわめられるからだ。

28:25 かれかぜおもさをあたえ、みずをますではかられたとき、

28:26 かれあめのために規定きていもうけ、かみなりのひらめきのためにみちもうけられたとき、

28:27 かれ知恵ちえて、これをあらわし、これをたしかめ、これをきわめられた。

28:28 そしてひとわれた、よ、しゅおそれることは知恵ちえである、あくはなれることはさとりである』と」。 

第29章 

29:1 ヨブはまた言葉ことばをついでった、

29:2 「ああぎた年月としつきのようであったらよいのだが、かみがわたしをまもってくださったのようであったらよいのだが。

29:3 あのときには、かれのともしびがわたしのあたまうえかがやき、かれひかりによってわたしはくらやみをあゆんだ。

29:4 わたしのさかんなときのようであったならよいのだが。あのときには、かみしたしみがわたしの天幕てんまくうえにあった。

29:5 あのときには、全能者ぜんのうしゃがなおわたしとともにいまし、わたしの子供こどもたちもわたしの周囲しゅういにいた。

29:6 あのとき、わたしの足跡あしあとちちあらわれ、いわもわたしのためにあぶらながれをそそぎだした。

29:7 あのときには、わたしはまちもんき、わたしの広場ひろばもうけた。

29:8 わかものはわたしをてしりぞき、いたものをおこしてち、

29:9 きみたるもの物言ものいうことをやめて、そのくちて、

29:10 たっとものこえをおさめて、そのしたうえあごにつけた。

29:11 みみいたものはわたしを祝福しゅくふくされたものとなし、ものはこれをあかしした。

29:12 これはたすけをもとめるまずしいものすくい、また、みなしごおよびたすけるひとのないものすくったからである。

29:13 いまにもほろびようとしたもの祝福しゅくふくがわたしにた。わたしはまたやもめのこころをしてよろこうたわせた。

29:14 わたしは正義せいぎ正義せいぎはわたしをおおった。わたしの公義こうぎ上着うわぎのごとく、またかんむりのようであった。

29:15 わたしはしいのとなり、あしなえのあしとなり、

29:16 まずしいものちちとなり、らないひとうったえの理由りゆう調しらべてやった。

29:17 わたしはまたしきもののきばをり、そのあいだから獲物えものした。

29:18 そのとき、わたしはった、『わたしは自分じぶんなかに、わたしのすなのようにおおくなるであろう。

29:19 わたしのみずのほとりにはびこり、つゆもすがらわたしのえだにおくであろう。

29:20 わたしのさかえはわたしとともあたらしく、わたしのゆみはわたしのにいつもつよい』と。

29:21 人々ひとびとはわたしにいてち、もくして、わたしのおしえしたがった。

29:22 わたしがったのちかれらはふたたわなかった。わたしの言葉ことばかれらのうえあめのようにりそそいだ。

29:23 かれらはあめつように、わたしをのぞみ、はるあめあおぐようにくちひらいてあおいだ。

29:24 かれらが希望きぼううしなったときにも、わたしはかれらにむかってほほえんだ。かれらはわたしのかおひかりのぞくことができなかった。

29:25 わたしはかれらのためにみちえらび、そのかしらとしてし、軍中ぐんちゅうおうのようにしており、なげものなぐさめるひとのようであった。 

第30章 

30:1 しかしいまはわたしよりもとしわかものが、かえってわたしをあざわらう。かれらのちちはわたしがいやしめて、れのいぬ一緒いっしょにさえしなかったものだ。

30:2 かれらのちからからわたしはなにるであろうか、かれらはその気力きりょくがすでにおとろえた人々ひとびとだ。

30:3 かれらはとぼしさとはげしいえとによって、かわいたをかむ。

30:4 かれらは、ぜにあおいおよび灌木かんぼくみ、れだまのをもってあたためる。

30:5 かれらは人々ひとびとなかからいだされ、ぬすびとをうように、人々ひとびとかれらをばわる。

30:6 かれらは急流きゅうりゅう谷間たにまみ、つちあなまたはいわあなにおり、

30:7 灌木かんぼくなかにいななき、いらくさのしたう。

30:8 かれらはおろかなもの、またいやしいものであって、くにからいだされたものだ。

30:9 それなのに、わたしはいまかれらのうたとなり、かれらのわらぐさとなった。

30:10 かれらはわたしをいとい、とおくわたしをはなれ、わたしのかおにつばきすることも、ためらわない。

30:11 かみがわたしのつないて、わたしをいやしめられたので、かれらもわたしのまえつつしみをてた。

30:12 このともがらはわたしのみぎがり、わたしをいのけ、わたしにむかってほろびのみちきずく。

30:13 かれらはわたしのみちをこわし、わたしのわざわいうながす。これをさしめるものはない。

30:14 かれらはひろやぶくちからはいるようにすすみきたり、破壊はかいなかをおしせる。

30:15 おそろしいことはわたしにのぞみ、わたしのほまれかぜのようにはらわれ、わたしの繁栄はんえいくものようにえうせた。

30:16 いまは、わたしのたましいはわたしのうちにとけてながれ、なやみのはわたしをとらえた。

30:17 よるはわたしのほねはげしくなやまし、わたしをかむくるしみは、やむことがない。

30:18 それは暴力ぼうりょくをもって、わたしの着物きものとらえ、はだのえりのように、わたしをしめつける。

30:19 かみがわたしをどろなかれられたので、わたしはちりはいのようになった。

30:20 わたしがあなたにむかってばわっても、あなたはこたえられない。わたしがっていても、あなたはかえりみられない。

30:21 あなたはかわって、わたしに無情むじょうものとなり、ちからをもってわたしをなやまされる。

30:22 あなたはわたしをげてかぜうえせ、大風おおかぜのうなりこえなかに、もませられる。

30:23 わたしはっている、あなたはわたしをかえらせ、すべてのものあつまるいえかえらせられることを。

30:24 さりながら荒塚あらつかなかにあるものは、べないであろうか、わざわいなかにあるものたすけをもとめないであろうか。

30:25 わたしはくるしいおくもののためにかなかったか。わたしのたましいまずしいひとのためにかなしまなかったか。

30:26 しかしわたしがさいわいのぞんだのにわざわいた。ひかりのぞんだのにやみがた。

30:27 わたしのはらわたはきかえって、しずまらない。なやみのがわたしにちかづいた。

30:28 わたしはひかりによらずにくろくなってあるき、公会こうかいなかってたすけをもとめる。

30:29 わたしは山犬やまいぬ兄弟きょうだいとなり、だちょうのともとなった。

30:30 わたしの皮膚ひふくろくなって、はげち、わたしのほねあつさによってえ、

30:31 わたしのことかなしみのとなり、わたしのふえものこえとなった。 

第31章 

31:1 わたしは、わたしの契約けいやくむすんだ、どうして、おとめをしたうことができようか。

31:2 もしそうすればうえからかみくだされるぶんどんなであろうか。たかところから全能者ぜんのうしゃあたえられるぎょうどんなであろうか。

31:3 不義ふぎなるものにはわざわいくだらないであろうか。あくをなすものには災難さいなんのぞまないであろうか。

31:4 かれはわたしのみちをみそなわし、わたしのあゆみをことごとくかぞえられぬであろうか。

31:5 もし、わたしがうそとともあゆみ、わたしのあしいつわりにむかっていそいだことがあるなら、

31:6 (ただしいはかりをもってわたしをはかれ、そうすればかみはわたしの潔白けっぱくられるであろう。)

31:7 もしわたしのあゆみが、みちをはなれ、わたしのこころがわたしのにしたがってあゆみ、わたしのけがれがついていたなら、

31:8 わたしのまいたのをひとべ、わたしのために成長せいちょうするものが、られてもかまわない。

31:9 もし、わたしのこころが、おんなまよったことがあるか、またわたしがとなびともんせしたことがあるなら、

31:10 わたしのつまひとのためにうすをひき、ひと彼女かのじょうえてもかまわない。

31:11 これはおもつみであって、さばきびとにばっせられるべき悪事あくじだからである。

31:12 これはほろびにいたるまでもきつくすであって、わたしのすべての産業さんぎょうこそぎくであろう。

31:13 わたしのしもべ、また、はしためがわたしとあらそったときに、わたしがもしそのぶん退しりぞけたことがあるなら、

31:14 かみがられるとき、わたしはどうしようか、かみたずねられるとき、なんとおこたえしようか。

31:15 わたしを胎内たいないつくられたものは、かれをもつくられたのではないか。われわれをはらうちかたちつくられたものは、ただひとりではないか。

31:16 わたしがもしまずしいものねがいを退しりぞけ、やもめのおとろえさせ、

31:17 あるいはわたしひとりで食物しょくもつべて、みなしごにべさせなかったことがあるなら、

31:18 (わたしはかれおさなときからちちのようにかれそだて、またそのははたいたときからかれみちびいた。)

31:19 もし着物きものがないためにのうとするものや、をおおうもののないまずしいひとをわたしがときに、

31:20 そのこしがわたしを祝福しゅくふくせず、またかれがわたしのひつじあたたまらなかったことがあるなら、

31:21 もしわたしをたすけるものもんにおるのをて、みなしごにむかってわたしのげたことがあるなら、

31:22 わたしのかたほねが、かたからち、わたしのうでが、つけかられてもかまわない。

31:23 わたしはかみからわざわいおそれる、その威光いこうまえには何事なにごともなすことはできない。

31:24 わたしがもしきんをわがのぞみとし、せいきんをわがたのみとったことがあるなら、

31:25 わたしがもしわがとみおおいなることと、わたしのおおくのものこととをよろこんだことがあるなら、

31:26 わたしがもしかがやくのをまたはつきりわたってうごくのをとき

31:27 こころひそかにまよって、くちづけしたことがあるなら、

31:28 これもまたさばきびとにばっせらるべき悪事あくじだ。わたしはうえなるかみあざむいたからである。

31:29 わたしがもしわたしをにくものほろびるのをよろこび、またはわざわいかれのぞんだとき、ほこったことがあるなら、

31:30 (わたしはわがくちつみおかさせず、のろいをもってかれいのちもとめたことはなかった。)

31:31 もし、わたしの天幕てんまく人々ひとびとで、『だれかかれにくきなかったものがあるか』と、わなかったことがあるなら、

31:32 (他国たこくじんはちまたに宿やどらず、わたしはわがもんたびびとにひらいた。)

31:33 わたしがもし人々ひとびとまえにわたしのとがをおおい、わたしの悪事あくじむねなかかくしたことがあるなら、

31:34 わたしが大衆たいしゅうおそれ、宗族そうぞくあなどりにおぢて、くちじ、もんなかったことがあるなら、

31:35 ああ、わたしにいてくれるものがあればよいのだが、(わたしのかきはんがここにある。どうか、全能者ぜんのうしゃがわたしにこたえられるように。)ああ、わたしのてきいた告訴こくそじょうがあればよいのだが。

31:36 わたしはかならずこれをかたい、かんむりのようにこれをわがむすび、

31:37 わがあゆみのかずかれべ、きみたるもののようにして、かれちかづくであろう。

31:38 もしわが田畑たはたがわたしにかってばわり、そのうねみぞがともさけんだことがあるなら、

31:39 もしわたしがきんはらわないでその産物さんぶつべ、そのぬしなせたことがあるなら、

31:40 小麦こむぎかわりに、いばらがはえ、大麦おおむぎかわりに雑草ざっそうがはえてもかまわない」。ヨブの言葉ことばおわった。 

第32章 

32:1 このようにヨブが自分じぶんただしいことを主張しゅちょうしたので、これら三にんものはヨブにこたえるのをやめた。

32:2 そのときラムぞくのブズびとバラケルのエリフはいかりをおこした。すなわちヨブがかみよりも自分じぶんただしいことを主張しゅちょうするので、かれはヨブにかっていかりをおこした。

32:3 またヨブの三にんともがヨブをつみありとしながら、こたえる言葉ことばがなかったので、エリフはかれらにむかってもいかりをおこした。

32:4 エリフはかれらがみな自分じぶんよりも年長者ねんちょうしゃであったので、ヨブに物言ものいうことをひかえてっていたが、

32:5 ここにエリフは三にんくちこたえる言葉ことばのないのをいかりをおこした。

32:6 ブズびとバラケルのエリフはこたえてった、 「わたしはとしわかく、あなたがたは年老としおいている。それゆえ、わたしははばかって、わたしの意見いけんべることをあえてしなかった。

32:7 わたしはおもった、『かさねたものかたるべきだ、としんだもの知恵ちえおしえるべきだ』と。

32:8 しかしひとのうちにはれいがあり、全能者ぜんのうしゃいきひとさとりをあたえる。

32:9 いたものかならずしも知恵ちえがあるのではなく、としとったものかならずしも道理どうりをわきまえるのではない。

32:10 ゆえにわたしはう、『わたしにけ、わたしもまたわが意見いけんべよう』。

32:11 よ、わたしはあなたがたの言葉ことば期待きたいし、その知恵ちえある言葉ことばみみかたむけ、あなたがたがうべき言葉ことばさがすのをっていた。

32:12 わたしはあなたがたにこころをとめたが、あなたがたのうちにヨブをいふせるものひとりもなく、またかれ言葉ことばこたえるものはひとりもなかった。

32:13 おそらくあなたがたはうだろう、『われわれは知恵ちえいだした、かれつことのできるのはかみだけで、ひとにはできない』と。

32:14 かれはその言葉ことばをわたしにけてわなかった。わたしはあなたがたの言葉ことばをもってかれこたえることはしない。

32:15 かれらはおどろいて、もはやこたえることをせず、かれらには、もはやうべき言葉ことばがない。

32:16 かれらは物言ものいわず、ちとどまって、もはやこたえるところがないので、わたしはこれ以上いじょう必要ひつようがあろうか。

32:17 わたしもまたわたしのぶんこたえ、わたしの意見いけんべよう。

32:18 わたしには言葉ことばち、わたしのうちのれいがわたしにせまるからだ。

32:19 よ、わたしのこころくちひらかないぶどうしゅのように、あたらしいぶどうしゅかわぶくろのように、いまにもりさけようとしている。

32:20 わたしはかたって、らし、くちびるをひらいてこたえよう。

32:21 わたしはだれをもかたよりることなく、また何人なにびとにもへつらうことをしない。

32:22 わたしはへつらうことをらないからだ。もしへつらうならば、わたしのつくぬしただちにわたしをほろぼされるであろう。 

第33章 

33:1 だから、ヨブよ、いまわたしのうことをけ、わたしのすべての言葉ことばみみかたむけよ。

33:2 よ、わたしはくちひらき、くちなかした物言ものいう。

33:3 わたしの言葉ことばはわがこころただしきをかたり、わたしのくちびるは真実しんじつをもってその知識ちしきかたる。

33:4 かみれいはわたしをつくり、全能者ぜんのうしゃいきはわたしをかす。

33:5 あなたがもしできるなら、わたしにこたえよ、わたしのまえ言葉ことばととのえて、て。

33:6 よ、かみたいしては、わたしもあなたと同様どうようであり、わたしもまたつちからって つくられたものだ。

33:7 よ、わたしの威厳いげんはあなたをおそれさせない、わたしのいきおいはあなたをあっしない。

33:8 たしかに、あなたはわたしのくところでった、わたしはあなたの言葉ことばこえいた。

33:9 あなたはう、『わたしはいさぎよく、とがはない。わたしはきよく、不義ふぎはない。

33:10 よ、かれはわたしをめる口実こうじつつけ、わたしを自分じぶんてきとみなし、

33:11 わたしのあしをかせにはめ、わたしのすべてのおこないにをとめられる』と。

33:12 よ、わたしはあなたにこたえる、あなたはこのことにおいてただしくない。かみひとよりもおおいなるものだ。

33:13 あなたが『かれはわたしの言葉ことばすこしもこたえられない』といって、かれかってあらそうのは、どういうわけであるか。

33:14 かみは一つの方法ほうほうによってかたられ、また二つの方法ほうほうによってかたられるのだが、ひとはそれをさとらないのだ。

33:15 人々ひとびと熟睡じゅくすいするとき、またはとこにまどろむとき、ゆめあるいはよるまぼろしのうちで、

33:16 かれ人々ひとびとみみひらき、警告けいこくをもってかれらをおそれさせ、

33:17 こうしてひとにそのしきわざをはなれさせ、たかぶりをひとからのぞき、

33:18 そのたましいまもって、はかいたらせず、そのいのちまもって、つるぎにほろびないようにされる。

33:19 ひとはまたそのとこうえいたみによってらされ、そのほねたたかいがえることなく、

33:20 そのいのちは、食物しょくもつをいとい、その食欲しょくよくは、おいしい食物しょくもつをきらう。

33:21 そのにくはやせちてえず、そのほねえなかったものまでもあらわになり、

33:22 そのたましいはかちかづき、そのいのちほろぼすものちかづく。

33:23 もしそこにかれのためにひとりの天使てんしがあり、千のうちのひとりであって、仲保ちゅうほとなり、ひとにそのただしいみちしめすならば、

33:24 かみかれをあわれんでわれる、かれすくって、はかくだることをまぬかれさせよ、わたしはすでにあがないしろをた。

33:25 かれにくおさにくよりもみずみずしくならせ、かれわかとき元気げんきかえらせよ』と。

33:26 そのときかれかみいのるならば、かみかれかえりみ、よろこびをもって、みまえにいたらせ、そのすくいひとらせられる。

33:27 かれ人々ひとびとまえうたってう、『わたしはつみおかし、ただしいことげた。しかしわたしに報復ほうふくがなかった。

33:28 かれはわたしのたましいをあがなって、はかくだらせられなかった。わたしのいのちひかりることができる』と。

33:29 よ、かみはこれらすべてのことふたたび、みたびひとおこない、

33:30 そのたましいはかからかえし、かれいのちひかりさせられる。

33:31 ヨブよ、みみかたむけてわたしにけ、もくせよ、わたしはかたろう。

33:32 あなたがもしうべきことがあるなら、わたしにこたえよ、かたれ、わたしはあなたをただしいものにしようとのぞむからだ。

33:33 もしかたることがないなら、わたしにけ、もくせよ、わたしはあなたに知恵ちえおしえよう」。 

第34章 

34:1 エリフはまたこたえてった、

34:2 「あなたがた知恵ちえある人々ひとびとよ、わたしの言葉ことばけ、あなたがた知識ちしきある人々ひとびとよ、わたしにみみかたむけよ。

34:3 くち食物しょくもつあじわうように、みみ言葉ことばをわきまえるからだ。

34:4 われわれはただしいことえらび、われわれのあいだことなにであるかをあきらかにしよう。

34:5 ヨブはった、『わたしはただしい、かみはわたしの公義こうぎうばわれた。

34:6 わたしはただしいにもかかわらず、いつわものとされた。わたしにはとががないけれども、わたしのきずはいえない』と。

34:7 だれかヨブのようなひとがあろう。かれはあざけりをみずのようにみ、

34:8 あくをなすものどもとまじわり、悪人あくにんともあゆむ。

34:9 かれった、『ひとかみしたしんでも、なんのえきもない』と。

34:10 それであなたがた理解りかいある人々ひとびとよ、わたしにけ、かみだんじてあくおこなうことなく、全能者ぜんのうしゃだんじて不義ふぎおこなうことはない。

34:11 かみひとのわざにしたがってそのむくい、おのおののみちにしたがって、そのりかからせられる。

34:12 まことにかみしきことおこなわれない。全能者ぜんのうしゃはさばきをまげられない。

34:13 だれかこのかれにゆだねたものがあるか。だれかぜん世界せかいかれわせたものがあるか。

34:14 かみがもしそのれいをご自分じぶんりもどし、そのいきをご自分じぶんりあつめられるならば、

34:15 すべてのにくともほろび、ひとはちりにかえるであろう。

34:16 もし、あなたにさとりがあるならば、これをけ、わたしのうところにみみかたむけよ。

34:17 公義こうぎにくものおさめることができようか。ただしくちからあるものを、あなたは非難ひなんするであろうか。

34:18 おうたるものかって『よこしまなもの』とい、つかさたるものかって、『しきもの』とうことができるであろうか。

34:19 かみくんたるものをもかたよりられることなく、めるものまずしきものにまさってかえりみられることはない。かれらはみなのわざだからである。

34:20 かれらはまたたくに、たみよるあいだわれて、えうせ、ちからあるもの人手ひとでによらずにのぞかれる。

34:21 かみひとみちうえにあって、そのすべてのあゆみをられるからだ。

34:22 あくおこなものにはかくすべきくらやみもなく、暗黒あんこくもない。

34:23 ひとがさばきのためにかみまえるとき、かみひとのためにときさだめておかれない。

34:24 かれちからあるものをも調しらべることなくほろぼし、人々ひとびとてて、これにえられる。

34:25 このように、かみかれらのわざをり、かれらをくつがえされるので、かれらはやがてほろびる。

34:26 かれ人々ひとびとところで、かれらをそのあくのためにたれる。

34:27 これはかれらがそむいてかれしたがわず、そのみちまったかえりみないからだ。

34:28 こうしてかれらはまずしきものさけびをかれのもとにいたらせ、なやめるものさけびをかれかせる。

34:29 かれだまっておられるとき、だれが非難ひなんすることができようか。かれかおかくされるとき、だれがかれることができようか。こくうえにも、一にんうえにも同様どうようだ。

34:30 これはかみしんじないものおさめることがなく、たみをわなにかけることのないようにするためである。

34:31 だれがかみかってったか、『わたしはつみおかさないのに、こらしめられた。

34:32 わたしのないものをわたしにおしえられたい。もしわたしがわることをしたなら、かさねてこれをしない』と。

34:33 あなたがこばむゆえに、かれはあなたのこのむようにむくいをされるであろうか。あなたみずからえらぶがよい、わたしはしない。あなたのるところをいなさい。

34:34 さとりある人々ひとびとはわたしにうだろう、わたしにくところの知恵ちえあるひとうだろう、

34:35 『ヨブのうところは知識ちしきがなく、その言葉ことばさとりがない』と。

34:36 どうかヨブがおわりまでこころみられるように、かれ悪人あくにんのようにこたえるからである。

34:37 かれ自分じぶんつみに、とがをくわえ、われわれのなかにあってをうち、かみさからって、その言葉ことばをしげくする」。 

第35章 

35:1 エリフはまたこたえてった、

35:2 「あなたはこれをただしいとおもうのか、あなたは『かみまえ自分じぶんただしい』とうのか。

35:3 あなたはう、『これはわたしになんのえきがあるか、つみおかしたのとくらべてなんのまさるところがあるか』と。

35:4 わたしはあなたおよび、あなたとともにいるあなたの友人ゆうじんたちにこたえよう。

35:5 てんあおよ、あなたのうえなるたかそらのぞよ。

35:6 あなたがつみおかしても、かれになんのさしさわりがあるか。あなたのとががおおくても、かれなにをなしようか。

35:7 またあなたはただしくても、かれなにあたようか。かれはあなたのからなにけられるであろうか。

35:8 あなたのあくはただあなたのようなひとにかかわり、あなたのはただひとにかかわるのみだ。

35:9 しえたげのおおいためにさけび、ちからあるものうでのゆえにばわる人々ひとびとがある。

35:10 しかし、ひとりとしてものはない、『わが つくぬしなるかみはどこにおられるか、かれうたあたえ、

35:11 けものよりもおおく、われわれをおしえ、そらとりよりも、われわれをかしこくされるかたである』と。

35:12 かれらがさけんでもこたえられないのは、しきものたかぶりによる。

35:13 まことにかみはむなしいさけびをかれない。また全能者ぜんのうしゃはこれをかえりみられない。

35:14 あなたがかれないとときはなおさらだ。さばきはかみまえにある。あなたはかれつべきである。

35:15 いまかれいかりをもってばっせず、つみとがをふかこころにとめられないゆえに

35:16 ヨブはくちひらいてむなしいことべ、無知むち言葉ことばをしげくする」。 

第36章 

36:1 エリフはかさねてった、

36:2 「しばらくて、わたしはあなたにしめすことがある。なおかみのためにうべきことがある。

36:3 わたしはとおくからわが知識ちしきり、わがつくぬし正義せいぎする。

36:4 まことにわたしの言葉ことばいつわらない。知識ちしきまったものがあなたとともにいる。

36:5 よ、かみちからあるものであるが、なにをもいやしめられない、そのさとりのちからおおきい。

36:6 かれしきものかしておかれない、くるしむもののためにさばきをおこなわれる。

36:7 かれただしいものからはなさず、くらいにあるおうたちとともに、とこしえに、かれらをすわらせて、たっとくされる。

36:8 もしかれらがあしかせにつながれ、なやみのなわにとらえられるときは、

36:9 かれらのおこないと、とがと、そのたかぶったふるまいをかれらにしめし、

36:10 かれらのみみひらいて、おしえかせ、あくはなれてかえることをめいじられる。

36:11 もしかれらがいてかれつかえるならば、かれらはその幸福こうふくごし、そのとしたのしくおくるであろう。

36:12 しかしかれらがかないならば、つるぎによってほろび、知識ちしきないでぬであろう。

36:13 こころかみしんじないものどもはいかりをたくわえ、かみしばられるときも、たすけをもとめることをしない。

36:14 かれらはとしわかくしてに、そのいのちはじのうちにおわる。

36:15 かみくるしむものをそのくるしみによってすくい、かれらのみみ逆境ぎゃっきょうによってひらかれる。

36:16 かみはまたあなたをなやみから、束縛そくばくのないひろところさそされた。そしてあなたの食卓しょくたくかれたものすべてえたものであった。

36:17 しかしあなたは悪人あくにんのうくべきさばきをおのれにたし、さばきと公義こうぎはあなたをとらえている。

36:18 あなたはいかりにさそわれて、あざけりにおちいらぬようにこころせよ。あがないしろのおおいなるがために、おのれをあやまるな。

36:19 あなたのさけびはあなたをまもって、なやみをまぬかれさせるであろうか、いかにちからをつくしてもやくたない。

36:20 人々ひとびとがそのところからたれるそのしたってはならない。

36:21 つつしんであくかたむいてはならない。あなたはなやみよりもむしろこれをえらんだからだ。

36:22 よ、かみはそのちからをもってあがめられる。だれかかれのようにおしえるものがあるか。

36:23 だれかかれのためにそのみちさだめたものがあるか。だれか『あなたはわることをした』というるものがあるか。

36:24 かみのみわざをほめたたえることわすれてはならない。これは人々ひとびとうたいあがめるところである。

36:25 すべてのひとはこれをあおる。ひととおくからこれをるにすぎない。

36:26 よ、かみおおいなるものにいまして、われわれはかれらない。そのとしかずはかることができない。

36:27 かれみずのしたたりをきあげ、そのきりをしたたらせてあめとされる。

36:28 そらはこれをらせて、ひとうえゆたかにそそぐ。

36:29 だれかくもひろがるわけと、その幕屋まくやのとどろくわけとをさとることができようか。

36:30 よ、かれはそのひかりをおのれのまわりにひろげ、またうみそこをおおわれる。

36:31 かれはこれらをもってたみをさばき、食物しょくもつゆたかにたまい、

36:32 いなずまをもってもろつつみ、これにめいじててきたせられる。

36:33 そのとどろきは、あくにむかっていかりにえるかれあらわす。 

第37章 

37:1 これがためにわがこころもまたわななき、そのところからとびはなれる。

37:2 け、かみこえのとどろきを、またそのくちからるささやきを。

37:3 かれはこれをあめしたはなち、そのひかりのすみずみまでいたらせられる。

37:4 そののちこえとどろき、かれはそのいかめしいこえをもってわたられる。そのこえきこえるときかれはいなずまをきとめられない。

37:5 かみはそのおどろくべきこえをもってわたり、われわれのさとりえないおおいなることおこなわれる。

37:6 かれゆきかって『れ』とめいじ、夕立ゆうだちおよびあめかって『つよれ』とめいじられる。

37:7 かれはすべてのひとふうじられる。これはすべてのひとにみわざをらせるためである。

37:8 そのときけものあなはいり、そのほらにとどまる。

37:9 つむじかぜはそのへやから、さむさは北風きたかぜからる。

37:10 かみのいぶきによってこおりり、広々ひろびろとしたみずこおる。

37:11 かれくも水気すいきわせ、くもはそのいなずまをらす。

37:12 これはかれみちびきによってめぐる。かれめいじるところをことごとく世界せかいのおもてにおこなうためである。

37:13 かみがこれらをこさせるのは、こらしめのため、あるいはそののため、あるいはいつくしみのためである。

37:14 ヨブよ、これをけ、ってかみのくすしきみわざをかんがえよ。

37:15 あなたはっているか、かみがいかにこれらにめいじて、そのくもひかりかがやかされるかを。

37:16 あなたはっているか、くものつりあいと、知識ちしきまったもののくすしきみわざを。

37:17 南風みなみかぜによっておだやかになるときあなたの着物きものあつくなることを。

37:18 あなたはかがみのようにかた大空おおぞらを、かれのようにることができるか。

37:19 われわれがかれうべきことをわれわれにおしえよ、われわれはくらくて、言葉ことばをつらねることはできない。

37:20 わたしはかたることがあるとかれげることができようか、ひとほろぼされることをのぞむであろうか。

37:21 ひかりそらかがやいているとき、かぜぎてそらきよめると、人々ひとびとはそのひかりることができない。

37:22 きたから黄金おうごんのようなかがやきがでてくる。かみにはおそるべき威光いこうがある。

37:23 全能者ぜんのうしゃは――われわれはこれをいだすことができない。かれちから公義こうぎとにすぐれ、正義せいぎちて、これをげることはない。

37:24 それゆえ、人々ひとびとかれおそれる。かれはみずからかしこいとおもものかえりみられない」。 

第38章 

38:1 このときしゅはつむじかぜなかからヨブにこたえられた、

38:2 「無知むち言葉ことばをもって、かみはかりごとをくらくするこのものはだれか。

38:3 あなたはこしおびして、おとこらしくせよ。わたしはあなたにたずねる、わたしにこたえよ。

38:4 わたしがもといをすえたとき、どこにいたか。もしあなたがっているならえ。

38:5 あなたがもしっているなら、だれがその度量どりょうさだめたか。だれがはかりなわをうえったか。

38:6 その土台どだいなにうえかれたか。そのすみいしはだれがすえたか。

38:7 かのときにはけのほしあいともうたい、かみたちはみなよろこばわった。

38:8 うみみずながれいで、胎内たいないからわきたとき、だれがをもって、これをじこめたか。

38:9 あのとき、わたしはくもをもってころもとし、黒雲くろくもをもってむつきとし、

38:10 これがためにさかいさだめ、かんおよびもうけて、

38:11 った、『ここまでてもよい、えてはならぬ、おまえの高波たかなみはここにとどまるのだ』と。

38:12 あなたはうまれたからこのかたあさめいじ、夜明よあけにそのところらせ、

38:13 これにふちをとらえさせ、悪人あくにんをそのうえからおとさせたことがあるか。

38:14 いんせられたつちのようにかわり、ころものようにいろどられる。

38:15 悪人あくにんはそのひかりうばわれ、そのたかくあげたうでられる。

38:16 あなたはうみみなもとったことがあるか。ふちそこあるいたことがあるか。

38:17 もんはあなたのためにひらかれたか。あなたは暗黒あんこくもんたことがあるか。

38:18 あなたはひろさをきわめたか。もしこれをことごとくっているならばえ。

38:19 ひかりのあるところいたみちはいずれか。くらやみのあるところはどこか。

38:20 あなたはこれをそのさかいみちびくことができるか。その家路いえじっているか。

38:21 あなたはっているだろう、あなたはかのときすでにうまれており、またあなたのかずおおいのだから。

38:22 あなたはゆきくらにはいったことがあるか。ひょうのくらたことがあるか。

38:23 これらはなやみのときのため、いくさとたたかいののため、わたしがたくわえていたものだ。

38:24 ひかりひろがるみちはどこか。東風ひがしかぜわたみちはどこか。

38:25 だれが大雨おおあめのために水路すいろひらき、いかずちのひかりのためにみちひらき、

38:26 ひとなきにも、ひとなき荒野あらのにもあめらせ、

38:27 れすたれたをあきらせ、これに若草わかくさをはえさせるか。

38:28 あめちちがあるか。つゆたまはだれがんだか。

38:29 こおりはだれのたいからたか。そらしもはだれがんだか。

38:30 みずかたまっていしのようになり、ふちのおもてはこおる。

38:31 あなたはプレアデスのくさりむすぶことができるか。オリオンのつなくことができるか。

38:32 あなたは十二きゅうをそのときにしたがってすことができるか。北斗ほくととそのぼしみちびくことができるか。

38:33 あなたはてん法則ほうそくっているか、そのおきてをほどこすことができるか。

38:34 あなたはこえくもにあげ、おおくのみずにあなたをおおわせることができるか。

38:35 あなたはいなずまをつかわしてかせ、『われわれはここにいる』と、あなたにわせることができるか。

38:36 くも知恵ちえき、きりさとりをあたえたのはだれか。

38:37 だれが知恵ちえをもってくもかぞえることができるか。だれがてんかわぶくろかたむけて、

38:38 ちりを一つにながわさせ、つちくれをかたまらせることができるか。

38:39 あなたはししのために食物しょくもつり、じしの食欲しょくよくたすことができるか。

38:40 かれらがほらあなし、はやしのなかにせするときあなたはこのことをなすことができるか。

38:41 からすのかみかってばわり、食物しょくもつがなくて、さまようとき、からすにえさをあたえるものはだれか。 

第39章 

39:1 あなたは岩間いわまのやぎがむときをっているか。あなたはじかがむのをたことがあるか。

39:2 これらの妊娠にんしんつきかぞえることができるか。これらがときっているか。

39:3 これらはをかがめてみ、そのはらみみいだす。

39:4 そのつよくなって、そだち、って、そのおやのもとにかえらない。

39:5 だれがろばをはなって、自由じゆうにしたか。だれがろばのつなぎをいたか。

39:6 わたしは荒野あらのをそのいえとしてあたえ、をそのすみかとしてあたえた。

39:7 これはまちさわぎをいやしめ、御者ぎょしゃこえきいれず、

39:8 やま牧場まきばとしてはせまわり、もろもろの青物あおものたずもとめる。

39:9 野牛やぎゅうこころよくあなたにつかえ、あなたの飼葉かいばおけのかたわらにとどまるだろうか。

39:10 あなたは野牛やぎゅう手綱たづなをつけてうねをあるかせることができるか、これはあなたにしたがってたにたがやすであろうか。

39:11 そのちからつよいからとて、あなたはこれにたのむであろうか。またあなたの仕事しごとをこれにまかせるであろうか。

39:12 あなたはこれにたよって、あなたの穀物こくもつはこかえらせるであろうか。

39:13 だちょうは威勢いせいよくそのつばさをふるう。しかしこれにはきれいなはね羽毛うもうがあるか。

39:14 これはそのたまごつちなかき、これをすなのなかであたため、

39:15 あしでつぶされることも、けものまれることもわすれている。

39:16 これはその無情むじょうであって、あたかも自分じぶんでないようにし、その苦労くろうのむなしくなるをもおそれない。

39:17 これはかみがこれに知恵ちえさづけず、さとりをあたえなかったゆえである。

39:18 これがそのおこしてはしときには、うまをも、そのをもあざける。

39:19 あなたはうまにそのちからあたえることができるか。ちからをもってそのくびよそおうことができるか。

39:20 あなたはこれをいなごのように、とばせることができるか。そのはなあらしの威力いりょくおそろしい。

39:21 これはたにであがき、そのちからほこり、みずからていって武器ぶきかう。

39:22 これはおそれをあざわらって、おどろくことなく、つるぎをさけて退しりぞくことがない。

39:23 矢筒やづつはそのうえり、やりとげやりと、あいきらめく。

39:24 これはたけりつ、くるいつ、をひとのみにし、ラッパのおとわたっても、ちどまることがない。

39:25 これはラッパのるごとにハアハアとい、とおくからたたかいをかぎつけ、隊長たいちょう大声おおごえおよびときのこえる。

39:26 たかがいあがり、そのつばさをのべてみなみかうのは、あなたの知恵ちえによるのか、

39:27 わしがかけのぼり、そのたかところにつくるのは、あなたの命令めいれいによるのか。

39:28 これはいわうえにすみかをかまえ、いわのとがり、またはけわしいところにおり、

39:29 そこから獲物えものをうかがう。そのおよぶところはとおい。

39:30 そのひなもまたう。おおよそころされたもののあるところには、これもそこにいる」。 

第40章 

40:1 しゅはまたヨブにこたえてわれた、

40:2 「非難ひなんするもの全能者ぜんのうしゃあらそおうとするのか、かみろんずるものはこれにこたえよ」。

40:3 そこで、ヨブはしゅこたえてった、

40:4 「よ、わたしはまことにいやしいものです、なんとあなたにこたえましょうか。ただくちてるのみです。

40:5 わたしはすでに一いました、またいません、すでに二いました、かさねてもうしません」。

40:6 しゅはまたつむじかぜなかからヨブにこたえられた、

40:7 「あなたはこしおびして、おとこらしくせよ。わたしはあなたにたずねる、わたしにこたえよ。

40:8 あなたはなお、わたしに責任せきにんわそうとするのか。あなたはわたしをとし、自分じぶんとしようとするのか。

40:9 あなたはかみのようなうでっているのか、かみのようなこえでとどろきわたることができるか。

40:10 あなたは威光いこう尊厳そんげんとをもってそのかざり、栄光えいこう華麗かれいとをもってそのよそおってみよ。

40:11 あなたのあふるるいかりをらし、すべてのたかぶるものて、これをひくくせよ。

40:12 すべてのたかぶるものて、これをかがませ、また悪人あくにんをそのところみつけ、

40:13 かれらをともにちりのなかにうずめ、そのかおかくれたところじこめよ。

40:14 そうすれば、わたしもまた、あなたをほめて、あなたのみぎあなたをすくうことができるとしよう。

40:15 河馬かばよ、これはあなたと同様どうようにわたしがつくったもので、うしのようにくさう。

40:16 よ、そのちからこしにあり、そのいきおいははらすじにある。

40:17 これはその香柏こうはくのようにうごかし、そのもものすじたがいにからみう。

40:18 そのほね青銅せいどうくだのようで、その肋骨ろっこつてつぼうのようだ。

40:19 これはかみのわざのだい一のものであって、これをつくったものがこれにつるぎをさづけた。

40:20 やまもこれがために食物しょくもつをいだし、もろもろのけものもそこにあそぶ。

40:21 これは酸棗さんそうしたし、あししげみ、またはぬまかくれている。

40:22 酸棗さんそうはそのかげでこれをおおい、かわやなぎはこれをめぐりかこむ。

40:23 よ、たといかわれても、これはおどろかない。ヨルダンがそのくちそそぎかかっても、これはあわてない。

40:24 だれが、かぎでこれをとらえることができるか。だれが、わなでそのはなつらぬくことができるか。 

第41章 

41:1 あなたはつりばりわにをつりすことができるか。いとでそのしたおさえることができるか。

41:2 あなたはあしのなわをそのはなとおすことができるか。つりばりでそのあごをとおすことができるか。

41:3 これはしきりに、あなたにねがもとめるであろうか。やわらかな言葉ことばをあなたにかたるであろうか。

41:4 これはあなたと契約けいやくむすぶであろうか。あなたはこれをって、ながくあなたのしもべとすることができるであろうか。

41:5 あなたはとりたわむれるようにこれとたわむれ、またあなたのおとめたちのために、これをつないでおくことができるであろうか。

41:6 商人しょうにん仲間なかまはこれを商品しょうひんとして、小売こうり商人しょうにんあいだけるであろうか。

41:7 あなたは、もりでそのかわたし、やすでそのあたまとおすことができるか。

41:8 あなたのをこれのうえけ、あなたはたたかいをおもして、ふたたびこれをしないであろう。

41:9 よ、そののぞみはむなしくなり、これをてすらたおれる。

41:10 あえてこれをげきする勇気ゆうきのあるものはひとりもない。それで、だれがわたしのまえつことができるか。

41:11 だれがさきにわたしにあたえたので、わたしはこれにむくいるのか。あめしたにあるものは、ことごとくわたしのものだ。

41:12 わたしはこれが全身ぜんしんと、そのいちじるしいちからと、そのうつくしい構造こうぞうについてだまっていることはできない。

41:13 だれがその上着うわぎをはぐことができるか。だれがその二重ふたえのよろいのあいだはいることができるか。

41:14 だれがそのかおひらくことができるか。そのまわりのおそろしい。

41:15 そのたてれつでできていて、そのかたじたさまは密封みっぷうしたように、

41:16 相互そうご密接みっせつして、かぜもそのあいだに、はいることができず、

41:17 たがい相連あいつらなり、かたいてはなすことができない。

41:18 これが、くしゃみすればひかりはっし、そのはあけぼののまぶたにている。

41:19 そのくちからは、たいまつがえいで、火花ひばなをいだす。

41:20 そのはなあなからはけむりてきて、さながらつなべの水煙みずけむりのごとく、えるあしけむりのようだ。

41:21 そのいき炭火すみびをおこし、そのくちからはほのおる。

41:22 そのくびにはちから宿やどっていて、おそろしさが、そのまえおどっている。

41:23 その肉片にくへん密接みっせつ相連あいつらなり、かたいてうごかすことができない。

41:24 その心臓しんぞういしのようにかたく、うすのしたいしのようにかたい。

41:25 そのおこすときは勇士ゆうしおそれ、その衝撃しょうげきによってあわてまどう。

41:26 つるぎがこれをっても、きかない、やりも、も、もりもようをなさない。

41:27 これはてつること、わらのように、青銅せいどうることのようである。

41:28 弓矢ゆみやもこれを逃がにがすことができない。いしげのいしもこれには、わらくずとなる。

41:29 こんぼうもわらくずのようにみなされ、げやりのひびきを、これはあざわらう。

41:30 その下腹かふくするどいかわらのかけらのようで、むぎこきいたのようにそのどろうえばす。

41:31 これはふちをかなえのようにきかえらせ、うみ香油こうゆのなべのようにする。

41:32 これは自分じぶんのあとにひかみちのこし、ふちをしらがのようにおもわせる。

41:33 うえにはこれとならぶものなく、これはおそれのないものつくられた。

41:34 これはすべてのたかものをさげすみ、すべてのほこたかぶるものおうである」。 

第42章 

42:1 そこでヨブはしゅこたえてった、

42:2 「わたしはります、あなたはすべてのことをなすことができ、またいかなるおぼしめしでも、あなたにできないことはないことを。

42:3 『無知むちをもってかみはかりごとをおおうこのものはだれか』。それゆえ、わたしはみずからさとらないことい、みずかららない、はかがたことべました。

42:4 『け、わたしはかたろう、わたしはあなたにたずねる、わたしにこたえよ』。

42:5 わたしはあなたのことみみいていましたが、いまはわたしのであなたを拝見はいけんいたします。

42:6 それでわたしはみずからうらみ、ちりはいなかいます」。

42:7 しゅはこれらの言葉ことばをヨブにかたられてのち、テマンびとエリパズにわれた、

「わたしのいかりはあなたとあなたのふたりのともかってえる。あなたがたが、わたしのしもべヨブのようにただしいことをわたしについてべなかったからである。

42:8 それでいま、あなたがたは雄牛おうしとう雄羊おひつじとうって、わたしのしもべヨブのところき、あなたがたのために燔祭はんさいをささげよ。わたしのしもべヨブはあなたがたのためにいのるであろう。わたしはかれいのりけいれるによって、あなたがたのおろかをばっすることをしない。あなたがたはわたしのしもべヨブのようにただしいことをわたしについてべなかったからである」。

42:9 そこでテマンびとエリパズ、シュヒびとビルダデ、ナアマびとゾパルはって、しゅかれらにめいじられたようにしたので、しゅはヨブのいのりけいれられた。

42:10 ヨブがその友人ゆうじんたちのためにいのったとき、しゅはヨブの繁栄はんえいをもとにかえし、そしてしゅはヨブのすべての財産ざいさんを二ばいされた。

42:11 そこでかれのすべての兄弟きょうだい、すべての姉妹しまい、およびかれ旧知きゅうちものどもことごとくかれのもとにて、かれともにそのいえいし、かつしゅかれにくだされたすべてのわざわいについてかれをいたわり、なぐさめ、おのおのぎん一ケシタときん一つをかれおくった。

42:12 しゅはヨブのおわりをはじめよりもおおめぐまれた。かれひつじ一万四千とう、らくだ六千とううし一千くびき、ろば一千とうをもった。

42:13 またかれおとこにんおんなにんをもった。

42:14 かれはそのだい一のむすめをエミマとづけ、だい二をケジアとづけ、だい三をケレン・ハップクとづけた。

42:15 全国ぜんこくのうちでヨブのむすめたちほどうつくしいおんなはなかった。ちちはその兄弟きょうだいたちと同様どうようぎょうかれらにもあたえた。

42:16 こののち、ヨブは百四十ねんきながらえて、そのとそのまごと四だいまでをた。

42:17 ヨブは年老としおい、ちてんだ。