口語訳聖書(振り仮名付き)
章: 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14
歴代志れきだいし下げ
第1章 2Ch-Audio
1:1 ダビデの子こソロモンはその国くにに自分じぶんの地位ちいを確立かくりつした。その神かみ、主しゅが共ともにいまして彼かれを非常ひじょうに大おおいなる者ものにされた。
1:2 ソロモンはすべてのイスラエルびと、すなわち千人にんの長ちょう、百人にんの長ちょう、さばきびとおよびイスラエルの全ぜん地ちのすべてのつかさ、氏族しぞくのかしらたちに告つげた。
1:3 そしてソロモンとイスラエルの全ぜん会衆かいしゅうはともにギベオンにある高たかき所ところへ行いった。主しゅのしもべモーセが荒野あらので つくった神かみの会見かいけんの幕屋まくやがそこにあったからである。
1:4 (しかし神かみの箱はこはダビデがすでにキリアテ・ヤリムから、これのために備そなえた所ところに運はこび上のぼらせてあった。ダビデはさきに、エルサレムでこれのために天幕てんまくを張はって置おいたからである。)
1:5 またホルの子こであるウリの子こベザレルが つくった青銅せいどうの祭壇さいだんがその所ところの主しゅの幕屋まくやの前まえにあり、ソロモンおよび会衆かいしゅうは主しゅに求もとめた。
1:6 ソロモンはそこに上のぼって行いって、会見かいけんの幕屋まくやのうちにある主しゅの前まえの青銅せいどうの祭壇さいだんに燔祭はんさい一千をささげた。
1:7 その夜よる、神かみはソロモンに現あらわれて言いわれた、「あなたに何なにを与あたえようか、求もとめなさい」。
1:8 ソロモンは神かみに言いった、「あなたはわたしの父ちちダビデに大おおいなるいつくしみを示しめし、またわたしを彼かれに代かわって王おうとされました。
1:9 主しゅなる神かみよ、どうぞわが父ちちダビデに約束やくそくされた事ことを果はたしてください。あなたは地ちのちりのような多おおくの民たみの上うえにわたしを立たてて王おうとされたからです。
1:10 この民たみの前まえに出入でいりすることのできるように今いまわたしに知恵ちえと知識ちしきとを与あたえてください。だれがこのような大おおいなるあなたの民たみをさばくことができましょうか」。
1:11 神かみはソロモンに言いわれた、「この事ことがあなたの心こころにあって、富とみをも、宝たからをも、誉ほまれをも、またあなたを憎にくむ者ものの命いのちをも求もとめず、また長命ちょうめいをも求もとめず、ただわたしがあなたを立たてて王おうとしたわたしの民たみをさばくために知恵ちえと知識ちしきとを自分じぶんのために求もとめたので、
1:12 知恵ちえと知識ちしきとはあなたに与あたえられている。わたしはまたあなたの前まえの王おうたちの、まだ得えたことのないほどの富とみと宝たからと誉ほまれとをあなたに与あたえよう。あなたの後のちの者ものも、このようなものを得えないでしょう」。
1:13 それからソロモンはギベオンの高たかき所ところを去さり、会見かいけんの幕屋まくやの前まえを去さって、エルサレムに帰かえり、イスラエルを治おさめた。
1:14 ソロモンは戦車せんしゃと騎兵きへいとを集あつめたが、戦車せんしゃ一千四百両りょう、騎兵きへい一万二千人にんあった。ソロモンはこれを戦車せんしゃの町々まちまちと、エルサレムの王おうのもととに置おいた。
1:15 王おうは銀ぎんと金きんを石いしのようにエルサレムに多おおくし、香柏こうはくを平野へいやのいちじく桑くわのように多おおくした。
1:16 ソロモンが馬うまを輸入ゆにゅうしたのはエジプトとクエからであった。すなわち王おうの貿易ぼうえき商人しょうにんがクエから代価だいかを払はらって受うけ取とって来きた。
1:17 彼かれらはエジプトから戦車せんしゃ一両りょうを銀ぎん六百シケルで輸入ゆにゅうし、馬うま一頭とうを銀ぎん百五十で輸入ゆにゅうした。同おなじようにこれらのものが彼かれらによってヘテびとのすべての王おうたち、およびスリヤの王おうたちにも輸出ゆしゅつされた。
第2章 2:1 さてソロモンは主しゅの名なのために一つの宮みやを建たて、また自分じぶんのために一つの王宮おうきゅうを建たてようと思おもった。2:2 そしてソロモンは荷にを負おう者もの七万人にん、山やまで石いしを切きり出だす者もの八万人にん、これらを監督かんとくする者もの三千六百人にんを数かぞえ出だした。2:3 ソロモンはまずツロのヒラムに人ひとをつかわして言いわせた、「あなたはわたしの父ちちダビデに、その住すむべき家いえを建たてるために香柏こうはくを送おくられました。どうぞ彼かれにされたように、わたしにもして下ください。2:4 見みよ、わたしはわが神かみ、主しゅの名なのために一つの家いえを建たて、これを聖別せいべつして彼かれにささげ、彼かれの前まえにこうばしい香こうをたき、常供じょうくのパンを供そなえ、また燔祭はんさいを安息日あんそくにち、新月しんげつ、およびわれらの神かみ、主しゅの定さだめの祭まつりに朝夕あさゆうささげ、これをイスラエルのながく守まもるべき定さだめにしようとしています。2:5 またわたしの建たてる家いえは大おおきな家いえです。われらの神かみはすべての神かみよりも大おおいなる神かみだからです。2:6 しかし、天てんも、諸しょ天てんの天てんも彼かれを入いれることができないのに、だれが彼かれのために家いえを建たてることができましょうか。わたしは何者なにものですか、彼かれのために家いえを建たてるというのも、ただ彼かれの前まえに香こうをたく所ところに、ほかならないのです。2:7 それで、どうぞ金きん、銀ぎん、青銅せいどう、鉄てつの細工さいくおよび紫むらさき糸いと、緋ひ糸いと、青あお糸いとの織物おりものにくわしく、また彫刻ちょうこくの術じゅつに巧たくみな工人こうじんひとりをわたしに送おくって、父ちちダビデが備そなえておいたユダとエルサレムのわたしの工人こうじんたちと一緒いっしょに働はたらかせてください。2:8 またどうぞレバノンから香柏こうはく、いとすぎ、びゃくだんを送おくってください。わたしはあなたのしもべたちがレバノンで木きを切きることをよくわきまえているのを知しっています。わたしのしもべたちも、あなたのしもべたちと一緒いっしょに働はたらかせ、2:9 わたしのためにたくさんの材木ざいもくを備そなえさせてください。わたしの建たてる家いえは非常ひじょうに広大こうだいなものですから。2:10 わたしは木きを切きるあなたのしもべたちに砕くだいた小麦こむぎ二万コル、大麦おおむぎ二万コル、ぶどう酒しゅ二万バテ、油あぶら二万バテを与あたえます」。 2:11 そこでツロの王おうヒラムは手紙てがみをソロモンに送おくって答こたえた、「主しゅはその民たみを愛あいするゆえに、あなたを彼かれらの王おうとされました」。2:12 ヒラムはまた言いった、「天地てんちを造つくられたイスラエルの神かみ、主しゅはほむべきかな。彼かれはダビデ王おうに賢かしこい子こを与あたえ、これに分別ふんべつと知恵ちえを授さづけて、主しゅのために宮みやを建たて、また自分じぶんのために、王宮おうきゅうを建たてることをさせられた。 2:13 いまわたしは達人たつじんヒラムという知恵ちえのある工人こうじんをつかわします。2:14 彼かれはダンの子孫しそんである女おんなを母ははとし、ツロの人ひとを父ちちとし、金銀きんぎん、青銅せいどう、鉄てつ、石いし、木きの細工さいくおよび紫むらさき糸いと、青あお糸いと、亜麻あま糸いと、緋ひ糸いとの織物おりものにくわしく、またよくもろもろの彫刻ちょうこくをし、意 いしょうを凝こらしてもろもろの工作こうさくをします。彼かれを用もちいてあなたの工人こうじんおよびあなたの父ちち、わが主しゅダビデの工人こうじんと一緒いっしょに働はたらかせなさい。2:15 それでいまわが主しゅの言いわれた小麦こむぎ、大麦おおむぎ、油あぶらおよびぶどう酒しゅをそのしもべどもに送おくってください。2:16 あなたの求もとめられる材木ざいもくはレバノンから切きりだし、いかだに組くんで、海うみからヨッパに送おくります。あなたはそれをエルサレムに運はこび上あげなさい」。 2:17 そこでソロモンはその父ちちダビデが数かぞえたようにイスラエルの国くににいるすべての他国たこく人じんを数かぞえたが、合あわせて十五万三千六百人にんあった。2:18 彼かれはその七万人にんを荷にを負おう者ものとし、八万人にんを山やまで木きや石いしを切きる者ものとし、三千六百人にんを民たみを働はたらかせる監督かんとく者しゃとした。 第3章 3:1 ソロモンはエルサレムのモリアの山やまに主しゅの宮みやを建たてることを始はじめた。そこは父ちちダビデに主しゅが現あらわれられた所ところ、すなわちエブスびとオルナンの打うち場ばにダビデが備そなえた所ところである。3:2 ソロモンが宮みやを建たて始はじめたのは、その治世ちせいの四年ねんの二月がつであった。3:3 ソロモンの建たてた神かみの宮みやの基もといの寸法すんぽうは次つぎのとおりである。すなわち昔むかしの尺度しゃくどによれば長ながさ六十キュビト、幅はば二十キュビト、3:4 宮みやの前まえの廊ろうは宮みやの幅はばに従したがって長ながさ二十キュビト高たかさ百二十キュビトで、その内部ないぶは純金じゅんきんでおおった。3:5 またその拝殿はいでんはいとすぎの板いたで張はり、精せい金きんをもってこれをおおい、その上うえにしゅろと鎖くさりの形かたちを施ほどこした。3:6 また宝石ほうせきをはめ込こんで宮みやを飾かざった。その金きんはパルワイムの金きんであった。3:7 彼かれはまた金きんをもってその宮みや、すなわち、梁はり、敷居しきい、壁かべおよび戸とをおおい、壁かべの上うえにケルビムを彫ほりつけた。3:8 彼かれはまた至聖所しせいじょを造つくった。その長ながさは宮みやの長ながさにしたがって二十キュビト、幅はばも二十キュビトである。彼かれは精せい金きん六百タラントをもってこれをおおった。3:9 その釘くぎの金きんの重おもさは五十シケルであった。彼かれはまた階上かいじょうの室しつも金きんでおおった。 3:10 彼かれは至聖所しせいじょに木きを刻きざんだケルビムの像ぞうを二つ造つくり、これを金きんでおおった。3:11 ケルビムの翼つばさの長ながさは合あわせて二十キュビトあった。すなわち一つのケルブの一つの翼つばさは五キュビトで、宮みやの壁かべに届とどき、ほかの翼つばさも五キュビトで、他たのケルブの翼つばさに届とどき、3:12 他たのケルブの一つの翼つばさも五キュビトで、宮みやの壁かべに届とどき、ほかの翼つばさも五キュビトで、先さきのケルブの翼つばさに接せっしていた。3:13 これらのケルビムの翼つばさは広ひろげると二十キュビトあった。かれらは共ともに足あしで立たち、その顔かおは拝殿はいでんに向むかっていた。3:14 ソロモンはまた青あお糸いと、紫むらさき糸いと、緋ひ糸いとおよび亜麻あま糸いとで垂幕たれまくを造つくり、その上うえにケルビムの縫ぬい取とりを施ほどこした。 3:15 彼かれは宮みやの前まえに柱はしらを二本ほん造つくった。その高たかさは三十五キュビト、おのおのの柱はしらの頂いただきに五キュビトの柱頭ちゅうとうを造つくった。3:16 彼かれは首くび飾かざりのような鎖くさりを造つくって、柱はしらの頂いただきにつけ、ざくろ百を つくってその鎖くさりの上うえにつけた。3:17 彼かれはこの柱はしらを神殿しんでんの前まえに、一本ぽんを南みなみの方ほうに、一本ぽんを北きたの方ほうに立たて、南みなみの方ほうのをヤキンと名なづけ、北きたの方ほうのをボアズと名なづけた。 第4章 4:1 ソロモンはまた青銅せいどうの祭壇さいだんを造つくった。その長ながさ二十キュビト、幅はば二十キュビト、高たかさ十キュビトである。4:2 彼かれはまた海うみを鋳いて造つくった。縁ふちから縁ふちまで十キュビトであって、周囲しゅういは円形えんけいをなし、高たかさ五キュビトで、その周囲しゅういは綱つなをもって測はかると三十キュビトあった。4:3 海うみの下したには三十キュビトの周囲しゅういをめぐるひさごの形かたちがあって、海うみの周囲しゅういを囲かこんでいた。そのひさごは二並ならびで、海うみを鋳いる時ときに鋳いたものである。4:4 その海うみは十二の牛うしの上うえに置おかれ、その三つは北きたに向むかい、三つは西にしに向むかい、三つは南みなみに向むかい、三つは東ひがしに向むかっていた。海うみはその上うえに置おかれ、牛うしのうしろはみな内うちに向むかっていた。4:5 海うみの厚あつさは手ての幅はばで、その縁ふちは杯はいの縁ふちのように、ゆりの花はなに似にせて造つくられた。海うみには水みずを三千バテ入いれることができた。4:6 彼かれはまた物ものを洗あらうために洗盤せんばん十個こを つくって、五個こを南側みなみがわに、五個こを北側きたがわに置おいた。その中なかで燔祭はんさいに用もちいるものを洗あらった。しかし海うみは祭司さいしがその中なかで身みを洗あらうためであった。 4:7 彼かれはまた金きんの燭台しょくだい十個こをその定さだめに従したがって造つくり、拝殿はいでんの中なかの南側みなみがわに五個こ、北側きたがわに五個こを置おき、4:8 また机つくえ十個こを造つくり、神殿しんでんの中なかの南側みなみがわに五個こ、北側きたがわに五個こを置おき、また金きんの鉢はち百を つくった。4:9 彼かれはまた祭司さいしの庭にわと大庭おおにわおよび庭にわの戸とを造つくり、その戸とを青銅せいどうでおおった。4:10 彼かれは海うみを宮みやの東南とうなんのすみにすえた。 4:11 ヒラムはまたつぼと十能じゅうのうと鉢はちとを造つくった。こうしてヒラムはソロモン王おうのため、神かみの宮みやの工事こうじを終おえた。4:12 すなわち二本ほんの柱はしらと玉たまと、柱はしらの頂いただきにある二つの柱頭ちゅうとうと、柱はしらの頂いただきにある柱頭ちゅうとうの二つの玉たまをおおう二つの網あみ細工ざいくと、4:13 その二つの網あみ細工ざいくのためのざくろ四百、このざくろはおのおの網あみ細工ざいくに二並ならびにつけて、柱はしらの頂いただきにある柱頭ちゅうとうの二つの玉たまを巻まいていた。4:14 彼かれはまた台だいと台だいの上うえの洗盤せんばんと、4:15 一つの海うみとその下したの十二の牛うしを つくった。4:16 つぼ、十能じゅうのう、肉にくさしなどすべてこれらの器物うつわものを、達人たつじんヒラムはソロモン王おうのため、主しゅの宮みやのために、光ひかりのある青銅せいどうで造つくった。4:17 王おうはヨルダンの低地ていちで、スコテとゼレダの間あいだの粘土ねんどの地ちでこれを鋳いた。4:18 このようにソロモンはこれらのすべての器物うつわものを非常ひじょうに多おおく造つくったので、その青銅せいどうの重量じゅうりょうは、量はかることができなかった。 4:19 こうしてソロモンは神かみの宮みやのすべての器物うつわものを造つくった。すなわち金きんの祭壇さいだんと、供そなえのパンを載のせる机つくえ、4:20 また定さだめのように本殿ほんでんの前まえで火ひをともす純金じゅんきんの燭台しょくだいと、そのともしび皿さらを つくった。4:21 その花はな、ともしび皿さら、心こころかきは精せい金きんであった。4:22 また心切しんきりばさみ、鉢はち、香こうの杯はい、心取しんとり皿ざらは純金じゅんきんであった。また宮みやの戸と、すなわち至聖所しせいじょの内部ないぶの戸とおよび拝殿はいでんの戸とのひじつぼは金きんであった。 第5章 5:1 こうしてソロモンは主しゅの宮みやのためにしたすべての工事こうじを終おわった。そしてソロモンは父ちちダビデがささげた物もの、すなわち金銀きんぎんおよびもろもろの器物うつわものを携たずさえて行いって神かみの宮みやの宝蔵ほうぞうに納おさめた。 5:2 ソロモンは主しゅの契約けいやくの箱はこをダビデの町まちシオンからかつぎ上のぼろうとして、イスラエルの長老ちょうろうたちと、すべての部族ぶぞくのかしらたちと、イスラエルの人々ひとびとの氏族しぞくの長ちょうたちをエルサレムに召めし集あつめた。5:3 イスラエルの人々ひとびとは皆みな七月がつの祭まつりに王おうのもとに集あつまった。5:4 イスラエルの長老ちょうろうたちが皆みなきたので、レビびとたちは箱はこを取とり上あげた。5:5 彼かれらは箱はこと、会見かいけんの幕屋まくやと、幕屋まくやにあるすべて聖せいなる器うつわをかつぎ上のぼった。すなわち祭司さいしとレビびとがこれらの物ものをかつぎ上のぼった。5:6 ソロモン王おうおよび彼かれのもとに集あつまったイスラエルの会衆かいしゅうは皆みな箱はこの前まえで羊ひつじと牛うしをささげたが、その数かずが多おおくて、調しらべることも数かぞえることもできなかった。5:7 こうして祭司さいしたちは主しゅの契約けいやくの箱はこをその場所ばしょにかつぎ入いれ、宮みやの本殿ほんでんである至聖所しせいじょのうちのケルビムの翼つばさの下したに置おいた。5:8 ケルビムは翼つばさを箱はこの所ところの上うえに伸のべていたので、ケルビムは上うえから箱はことそのさおをおおった。5:9 さおは長ながかったので、さおの端はしが本殿ほんでんの前まえの聖所せいじょから見みえた。しかし外部がいぶには見みえなかった。さおは今日こんにちまでそこにある。5:10 箱はこの内うちには二枚まいの板いたのほか何なにもなかった。これはイスラエルの人々ひとびとがエジプトから出でて来きたとき、主しゅが彼かれらと契約けいやくを結むすばれ、モーセがホレブでそれを納おさめたものである。5:11 そして祭司さいしたちが聖所せいじょから出でたとき(ここにいた祭司さいしたちは皆みな、その組くみの順じゅんにかかわらず身みを清きよめた。5:12 またレビびとの歌うたうたう者もの、すなわちアサフ、ヘマン、エドトンおよび彼かれらの子こたちと兄弟きょうだいたちはみな亜麻あま布ぬのを着き、シンバルと、立琴たてごとと、琴ことをとって祭壇さいだんの東ひがしに立たち、百二十人にんの祭司さいしは彼かれらと一緒いっしょに立たってラッパを吹ふいた。5:13 ラッパ吹ふく者ものと歌うたうたう者ものとは、ひとりのように声こえを合あわせて主しゅをほめ、感謝かんしゃした)、そして彼かれらがラッパと、シンバルとその他たの楽器がっきをもって声こえをふりあげ、主しゅをほめて 「主しゅは恵めぐみあり、そのあわれみはとこしえに絶たえることがない」と言いったとき、雲くもはその宮みやすなわち主しゅの宮みやに満みちた。5:14 祭司さいしたちは雲くものゆえに立たって勤つとめをすることができなかった。主しゅの栄光えいこうが神かみの宮みやに満みちたからである。 第6章 6:1 そこでソロモンは言いった、 「主しゅはみずから濃こき雲くもの中なかに住すまおうと言いわれた。6:2 しかしわたしはあなたのために高たかき家いえ、とこしえのみすまいを建たてた」。6:3 そして王おうは顔かおをふり向むけてイスラエルの全ぜん会衆かいしゅうを祝福しゅくふくした。その時ときイスラエルの全ぜん会衆かいしゅうは立たっていた。6:4 彼かれは言いった、「イスラエルの神かみ、主しゅはほむべきかな。主しゅは口くちをもってわが父ちちダビデに約束やくそくされたことを、その手てをもってなし遂とげられた。すなわち主しゅは言いわれた、6:5 『わが民たみをエジプトの地ちから導みちびき出だした日ひから、わたしはわが名なを置おくべき家いえを建たてるために、イスラエルのもろもろの部族ぶぞくのうちから、どの町まちをも選えらんだことがなく、また他たのだれをもわが民たみイスラエルの君きみとして選えらんだことがない。6:6 わが名なを置おくために、ただエルサレムだけを選えらび、またわが民たみイスラエルを治おさめさせるために、ただダビデだけを選えらんだ』。6:7 イスラエルの神かみ、主しゅの名なのために家いえを建たてることは、父ちちダビデの心こころにあった。6:8 しかし主しゅは父ちちダビデに言いわれた、『わたしの名なのために家いえを建たてることはあなたの心こころにあった。あなたの心こころにこの事ことのあったのは結構けっこうである。6:9 しかしあなたはその家いえを建たててはならない。あなたの腰こしから出でるあなたの子こがわたしの名なのために家いえを建たてるであろう』。6:10 そして主しゅはそう言いわれた言葉ことばを行おこなわれた。すなわちわたしは父ちちダビデに代かわって立たち、主しゅが言いわれたように、イスラエルの位くらいに座ざし、イスラエルの神かみ、主しゅの名なのために家いえを建たてた。6:11 わたしはまた、主しゅがイスラエルの人々ひとびとと結むすばれた主しゅの契約けいやくを入いれた箱はこをそこに納おさめた」。 6:12 ソロモンはイスラエルの全ぜん会衆かいしゅうの前まえ、主しゅの祭壇さいだんの前まえに立たって、手てを伸のべた。6:13 ソロモンはさきに長ながさ五キュビト、幅はば五キュビト、高たかさ三キュビトの青銅せいどうの台だいを造つくって、庭にわのまん中なかにすえて置おいたので、彼かれはその上うえに立たち、イスラエルの全ぜん会衆かいしゅうの前まえでひざをかがめ、その手てを天てんに伸のべて、6:14 言いった、「イスラエルの神かみ、主しゅよ、天てんにも地ちにも、あなたのような神かみはありません。あなたは契約けいやくを守まもられ、心こころをつくしてあなたの前まえに歩あゆむあなたのしもべらに、いつくしみを施ほどこし、6:15 あなたのしもべ、わたしの父ちちダビデに約束やくそくされたことを守まもられました。あなたが口くちをもって約束やくそくされたことを、手てをもってなし遂とげられたことは、今日こんにち見みるとおりであります。6:16 それゆえ、イスラエルの神かみ、主しゅよ、あなたのしもべ、わたしの父ちちダビデに、あなたが約束やくそくして、『おまえがわたしの前まえに歩あゆんだように、おまえの子孫しそんがその道みちを慎つつしんで、わたしのおきてに歩あゆむならば、おまえにはイスラエルの位くらいに座ざする人ひとがわたしの前まえに かけることはない』と言いわれたことを、ダビデのためにお守まもりください。6:17 それゆえ、イスラエルの神かみ、主しゅよ、どうぞ、あなたのしもべダビデに言いわれた言葉ことばを確認かくにんしてください。 6:18 しかし神かみは、はたして人ひとと共ともに地上ちじょうに住すまわれるでしょうか。見みよ、天てんも、いと高たかき天てんもあなたをいれることはできません。わたしの建たてたこの家いえなどなおさらです。6:19 しかしわが神かみ、主しゅよ、しもべの祈いのりと願ねがいを顧かえりみて、しもべがあなたの前まえにささげる叫さけびと祈いのりをお聞ききください。6:20 どうぞ、あなたの目めを昼ひるも夜よるもこの家いえに、すなわち、あなたの名なをそこに置おくと言いわれた所ところに向むかってお開ひらきください。どうぞ、しもべがこの所ところに向むかってささげる祈いのりをお聞ききください。6:21 どうぞ、しもべと、あなたの民たみイスラエルがこの所ところに向むかって祈いのる時ときに、その願ねがいをお聞ききください。あなたのすみかである天てんから聞きき、聞きいておゆるしください。 6:22 もし人ひとがその隣となり人びとに対たいして罪つみを犯おかし、誓ちかいをすることを求もとめられるとき、来きてこの宮みやで、あなたの祭壇さいだんの前まえに誓ちかうならば、6:23 あなたは天てんから聞きいて、行おこない、あなたのしもべらをさばき、悪人あくにんに報むくいをなして、その行おこないの報むくいをそのこうべに帰きし、義人ぎじんを義ぎとして、その義ぎにしたがってその人ひとに報むくいてください。 6:24 もしあなたの民たみイスラエルが、あなたに対たいして罪つみを犯おかしたために、敵てきの前まえに敗やぶれた時とき、あなたに立たち返かえって、あなたの名なをあがめ、この宮みやであなたの前まえに祈いのり願ねがうならば、6:25 あなたは天てんから聞きき、あなたの民たみイスラエルの罪つみをゆるして、あなたが彼かれらとその先祖せんぞに与あたえられた地ちに彼かれらを帰かえらせてください。 6:26 もし彼かれらがあなたに罪つみを犯おかしたために、天てんが閉とざされて、雨あめがなく、あなたが彼かれらを苦くるしめられるとき、彼かれらがこの所ところに向むかって祈いのり、あなたの名なをあがめ、その罪つみを離はなれるならば、6:27 あなたは天てんにあって聞きき、あなたのしもべ、あなたの民たみイスラエルの罪つみをゆるして、彼かれらに歩あゆむべき良よい道みちを教おしえ、あなたの民たみに嗣し業ぎょうとして賜たまわった地ちに雨あめを降ふらせてください。 6:28 もし国くににききんがあるか、もしくは疫病えきびょう、立たち枯がれ、腐くさり穂ほ、いなご、青虫あおむしがあるか、または敵てきのために町まちの門もんの中なかに攻せめ囲かこまれることがあるか、どんな災害さいがい、どんな病気びょうきがあっても、6:29 もし、ひとりか、あるいはあなたの民たみイスラエルが皆みなおのおのその心こころの悩なやみを知しって、この宮みやに向むかい、手てを伸のべるならば、どんな祈いのり、どんな願ねがいでも、6:30 あなたはそのすみかである天てんから聞きいてゆるし、おのおのの人ひとに、その心こころを知しっておられるゆえ、そのすべての道みちにしたがって報むくいてください。ただあなただけがすべての人ひとの心こころを知しっておられるからです。6:31 あなたがわれわれの先祖せんぞたちに賜たまわった地ちに、彼かれらの生いきながらえる日ひの間あいだ、常つねにあなたを恐おそれさせ、あなたの道みちに歩あゆませてください。 6:32 またあなたの民たみイスラエルの者ものでなく、他国たこく人じんで、あなたの大おおいなる名なと、強つよい手てと、伸のべた腕うでのために遠とおい国くにから来きて、この宮みやに向むかって祈いのるならば、6:33 あなたは、あなたのすみかである天てんから聞きき、すべて他国たこく人じんがあなたに呼よび求もとめるようにしてください。そうすれば地ちのすべての民たみはあなたの民たみイスラエルのように、あなたの名なを知しり、あなたを恐おそれ、またわたしが建たてたこの宮みやが、あなたの名なによって呼よばれることを知しるにいたるでしょう。 6:34 あなたの民たみが敵てきと戦たたかうために、あなたがつかわされる道みちによって出でるとき、もし彼かれらがあなたの選えらばれたこの町まちと、わたしがあなたの名なのために建たてたこの宮みやに向むかってあなたに祈いのるならば、6:35 あなたは天てんから彼かれらの祈いのりと願ねがいとを聞きいて彼かれらをお助たすけください。6:36 彼かれらがあなたに対たいして罪つみを犯おかすことがあって、――罪つみを犯おかさない人ひとはないゆえ、――あなたが彼かれらを怒いかって、敵てきにわたし、敵てきが彼かれらを捕虜ほりょとして遠とおい地ちあるいは近ちかい地ちに引ひいて行いくとき、6:37 もし、彼かれらが捕とらわれて行いった地ちで、みずから省かえりみて悔くい、その捕とらわれの地ちであなたに願ねがい、『われわれは罪つみを犯おかし、よこしまな事ことをし、悪あくを行おこないました』と言いい、6:38 その捕とらわれの地ちで心こころをつくし、精神せいしんをつくしてあなたに立たち返かえり、あなたが彼かれらの先祖せんぞに与あたえられた地ち、あなたが選えらばれた町まち、わたしがあなたの名なのために建たてたこの宮みやに向むかって祈いのるならば、6:39 あなたのすみかである天てんから、彼かれらの祈いのりと願ねがいとを聞きいて彼かれらを助たすけ、あなたに向むかって罪つみを犯おかしたあなたの民たみをおゆるしください。6:40 わが神かみよ、どうぞ、この所ところでささげる祈いのりにあなたの目めを開ひらき、あなたの耳みみを傾かたむけてください。 6:41 主しゅなる神かみよ、今いまあなたと、あなたの力ちからの箱はこが立たって、あなたの安息所あんそくじょにおはいりください。主しゅなる神かみよ、どうぞあなたの祭司さいしたちに救すくいの衣ころもを着きせ、あなたの聖徒せいとたちに恵めぐみを喜よろこばせてください。 6:42 主しゅなる神かみよ、どうぞあなたの油あぶらそそがれた者ものの顔かおを退しりぞけないでください。あなたのしもべダビデに示しめされたいつくしみを覚おぼえて下ください」。 第7章 7:1 ソロモンが祈いのり終おわったとき、天てんから火ひが下くだって燔祭はんさいと犠牲ぎせいを焼やき、主しゅの栄光えいこうが宮みやに満みちた。7:2 主しゅの栄光えいこうが主しゅの宮みやに満みちたので、祭司さいしたちは主しゅの宮みやに、はいることができなかった。7:3 イスラエルの人々ひとびとはみな火ひが下くだったのを見み、また主しゅの栄光えいこうが宮みやに臨のぞんだのを見みて、敷石しきいしの上うえで地ちにひれ伏ふして拝はいし、主しゅに感謝かんしゃして言いった、 「主しゅは恵めぐみふかく、そのいつくしみはとこしえに絶たえることがない」。7:4 そして王おうと民たみは皆みな主しゅの前まえに犠牲ぎせいをささげた。7:5 ソロモン王おうのささげた犠牲ぎせいは、牛うし二万二千頭とう、羊ひつじ十二万頭とうであった。こうして王おうと民たみは皆みな神かみの宮みやをささげた。7:6 祭司さいしはその持もち場ばに立たち、レビびとも主しゅの楽器がっきをとって立たった。その楽器がっきはダビデ王おうが主しゅに感謝かんしゃするために造つくったもので、ダビデが彼かれらの手てによってさんびをささげるとき、「そのいつくしみは、とこしえに絶たえることがない」ととなえさせたものである。祭司さいしは彼かれらの前まえでラッパを吹ふき、すべてのイスラエルびとは立たっていた。 7:7 ソロモンはまた主しゅの宮みやの前まえにある庭にわの中なかを聖別せいべつし、その所ところで、燔祭はんさいと酬恩祭しゅうおんさいのあぶらをささげた。これはソロモンが造つくった青銅せいどうの祭壇さいだんが、その燔祭はんさいと素祭そさいとあぶらとを載のせるに足たりなかったからである。 7:8 その時ときソロモンは七日なぬかの間あいだ祭まつりを行おこなった。ハマテの入口いりぐちからエジプトの川かわに至いたるまでのすべてのイスラエルびとが彼かれと共ともにあり、非常ひじょうに大おおきな会衆かいしゅうであった。7:9 そして八日か目めに聖せい会かいを開ひらいた。彼かれらは七日なぬかの間あいだ、祭壇さいだん奉献ほうけんの礼れいを行おこない、七日なぬかの間あいだ祭まつりを行おこなったが、7:10 七月がつ二十三日にちに至いたってソロモンは民たみをその天幕てんまくに帰かえらせた。皆みな主しゅがダビデ、ソロモンおよびその民たみイスラエルに施ほどこされた恵めぐみのために喜よろこび、かつ心こころに楽たのしんで去さった。 7:11 こうしてソロモンは主しゅの家いえと王おうの家いえとを造つくり終おえた。すなわち彼かれは主しゅの家いえと自分じぶんの家いえについて、しようと計画けいかくしたすべての事ことを首尾しゅびよくなし遂とげた。7:12 時ときに主しゅは夜よるソロモンに現あらわれて言いわれた、「わたしはあなたの祈いのりを聞きき、この所ところをわたしのために選えらんで、犠牲ぎせいをささげる家いえとした。7:13 わたしが天てんを閉とじて雨あめをなくし、またはわたしがいなごに命めいじて地ちの物ものを食くわせ、または疫病えきびょうを民たみの中なかに送おくるとき、7:14 わたしの名なをもってとなえられるわたしの民たみが、もしへりくだり、祈いのって、わたしの顔かおを求もとめ、その悪わるい道みちを離はなれるならば、わたしは天てんから聞きいて、その罪つみをゆるし、その地ちをいやす。7:15 今いまこの所ところにささげられる祈いのりにわたしの目めを開ひらき、耳みみを傾かたむける。7:16 今いまわたしはわたしの名なをながくここにとどめるために、この宮みやを選えらび、かつ聖別せいべつした。わたしの目めとわたしの心こころは常つねにここにある。7:17 あなたがもし父ちちダビデの歩あゆんだようにわたしの前まえに歩あゆみ、わたしが命めいじたとおりにすべて行いって、わたしの定さだめとおきてとを守まもるならば、7:18 わたしはあなたの父ちちダビデに契約けいやくして『イスラエルを治おさめる人ひとはあなたに欠かけることがない』と言いったとおりに、あなたの王おうの位くらいを堅かたくする。 7:19 しかし、あなたがたがもし翻ひるがえって、わたしがあなたがたの前まえに置おいた定さだめと戒いましめとを捨すて、行いって他たの神々かみがみに仕つかえ、それを拝おがむならば、7:20 わたしはあなたがたをわたしの与あたえた地ちから抜ぬき去さり、またわたしの名なのために聖別せいべつしたこの宮みやをわたしの前まえから投なげ捨すてて、もろもろの民たみのうちにことわざとし、笑わらい草ぐさとする。7:21 またこの宮みやは高たかいけれども、ついには、そのかたわらを過すぎる者ものは皆みな驚おどろいて、『何なにゆえ主しゅはこの地ちと、この宮みやとにこのようにされたのか』と言いうであろう。7:22 その時とき、人々ひとびとは答こたえて『彼かれらはその先祖せんぞたちをエジプトの地ちから導みちびき出だした彼かれらの神かみ、主しゅを捨すてて、他たの神々かみがみにつき従したがい、それを拝おがみ、それに仕つかえたために、主しゅはこのすべての災わざわいを彼かれらの上うえに下くだしたのである』と言いうであろう」。 第8章 8:1 ソロモンは二十年ねんを経へて、主しゅの家いえと自分じぶんの家いえとを建たて終おわった。8:2 またソロモンはヒラムから送おくられた町々まちまちを建たて直なおして、そこにイスラエルの人々ひとびとを住すませた。 8:3 ソロモンはまたハマテ・ゾバを攻せめて、これを取とった。8:4 彼かれはまた荒野あらのにタデモルを建たて、もろもろの倉くらの町まちをハマテに建たてた。8:5 また城壁じょうへき、門もん、貫かんの木きのある堅固けんごな町まち、上うえベテホロンと下したベテホロンを建たてた。8:6 ソロモンはまたバアラテと自分じぶんのもっていたすべての倉くらの町まちと、すべての戦車せんしゃの町まちと、騎兵きへいの町まち、ならびにエルサレム、レバノンおよび自分じぶんの治おさめる全ぜん地方ちほうに建たてようと望のぞんだものを、ことごとく建たてた。8:7 すべてイスラエルの子孫しそんでないヘテびと、アモリびと、ペリジびと、ヒビびと、エブスびとの残のこった民たみ、8:8 その地ちにあって彼かれらのあとに残のこったその子孫しそん、すなわちイスラエルの子孫しそんが滅ほろぼし尽つくさなかった民たみに、ソロモンは強制きょうせい徴募ちょうぼをおこなって今日こんにちに及およんでいる。8:9 しかし、イスラエルの人々ひとびとをソロモンはその工事こうじのためには、ひとりも奴隷どれいとしなかった。彼かれらは兵士へいしとなり、将校しょうこうとなり、戦車せんしゃと、騎兵きへいの長ちょうとなった。8:10 これらはソロモン王おうのおもな官吏かんりで、二百五十人にんあり、民たみを治おさめた。 8:11 ソロモンはパロの娘むすめをダビデの町まちから連つれ上のぼって、彼女かのじょのために建たてた家いえに入いれて言いった、「主しゅの箱はこを迎むかえた所ところは神聖しんせいであるから、わたしの妻つまはイスラエルの王おうダビデの家いえに住すんではならない」。 8:12 ソロモンは廊ろうの前まえに築きずいておいた主しゅの祭壇さいだんの上うえで主しゅに燔祭はんさいをささげた。8:13 すなわちモーセの命令めいれいに従したがって、毎日まいにち定さだめのようにささげ、安息日あんそくにち、新月しんげつおよび年ねんに三度どの祭まつり、すなわち種たね入いれぬパンの祭まつり、七週しゅうの祭まつり、仮庵かりいおの祭まつりにこれをささげた。8:14 ソロモンは、その父ちちダビデのおきてに従したがって、祭司さいしの組くみを定さだめてその職しょくに任にんじ、またレビびとをその勤つとめに任にんじて、毎日まいにち定さだめのように祭司さいしの前まえでさんびと奉仕ほうしをさせ、また門もんを守まもる者ものに、その組くみにしたがって、もろもろの門もんを守まもらせた。これは神かみの人ひとダビデがこのように命めいじたからである。8:15 祭司さいしとレビびとはすべての事ことにつき、また倉くらの事ことについて、王おうの命令めいれいにそむかなかった。 8:16 このようにソロモンは、主しゅの宮みやの基もといをすえた日ひからこれをなし終おえたときまで、その工事こうじの準備じゅんびをことごとくなしたので、主しゅの宮みやは完成かんせいした。 8:17 それからソロモンはエドムの地ちの海うみべにあるエジオン・ゲベルおよびエロテへ行いった。8:18 時ときにヒラムはそのしもべどもの手てによって船団せんだんを彼かれに送おくり、また海うみの事ことになれたしもべどもをつかわしたので、彼かれらはソロモンのしもべらと共ともにオフルへ行いき、そこから金きん四百五十タラントを取とって、これをソロモン王おうのもとに携たずさえてきた。 第9章 9:1 シバの女王じょおうはソロモンの名声めいせいを聞きいたので、難問なんもんをもってソロモンを試こころみようと、非常ひじょうに多おおくの従者じゅうしゃを連つれ、香料こうりょうと非常ひじょうにたくさんの金きんと宝石ほうせきとをらくだに負おわせて、エルサレムのソロモンのもとに来きて、その心こころにあることをことごとく彼かれに告つげた。9:2 ソロモンは彼女かのじょのすべての問といに答こたえた。ソロモンが知しらないで彼女かのじょに説明せつめいのできないことは一つもなかった。9:3 シバの女王じょおうはソロモンの知恵ちえと、彼かれが建たてた家いえを見み、9:4 またその食卓しょくたくの食物しょくもつと、列座れつざの家来けらいたちと、その侍臣じしんたちの伺候しこう振ふりと彼かれらの服装ふくそう、および彼かれの給仕きゅうじたちとその服装ふくそう、ならびに彼かれが主しゅの宮みやでささげる燔祭はんさいを見みて、全まったく気きを奪うばわれてしまった。 9:5 彼女かのじょは王おうに言いった、「わたしが国くにであなたの事ことと、あなたの知恵ちえについて聞きいたうわさは真実しんじつでした。9:6 しかしわたしは来きて目めに見みるまでは、そのうわさを信しんじませんでしたが、今見いまみると、あなたの知恵ちえの大おおいなることはその半分はんぶんもわたしに知しらされませんでした。あなたはわたしの聞きいたうわさにまさっています。9:7 あなたの奥方おくがたたちはさいわいです。常つねにあなたの前まえに立たって、あなたの知恵ちえを聞きくこのあなたの家来けらいたちはさいわいです。9:8 あなたの神かみ、主しゅはほむべきかな。主しゅはあなたを喜よろこび、あなたをその位くらいにつかせ、あなたの神かみ、主しゅのために王おうとされました。あなたの神かみはイスラエルを愛あいして、とこしえにこれを堅かたくするために、あなたをその王おうとされ、公道こうどうと正義せいぎを行おこなわれるのです」。9:9 そして彼女かのじょは金きん百二十タラント、および非常ひじょうに多おおくの香料こうりょうと宝石ほうせきとを王おうに贈おくった。シバの女王じょおうがソロモンに贈おくったような香料こうりょうは、いまだかつてなかった。 9:10 オフルから金きんを携たずさえて来きたヒラムのしもべたちとソロモンのしもべたちはまた、びゃくだんの木きと宝石ほうせきをも携たずさえて来きた。9:11 王おうはそのびゃくだんの木きで、主しゅの宮みやと王おうの家いえとに階段かいだんを造つくり、また歌うたうたう者もののために琴ことと立琴たてごとを つくった。このようなものはかつてユダの地ちで見みたことがなかった。 9:12 ソロモン王おうは、シバの女王じょおうが贈おくった物ものに報むくいたほかに、彼女かのじょの望のぞみにまかせて、すべてその求もとめるものを贈おくった。そして彼女かのじょはその家来けらいたちと共ともに自分じぶんの国くにへ帰かえって行いった。 9:13 さて一年ねんの間あいだにソロモンの所ところにはいって来きた金きんの目方めかたは六百六十六タラントであった。9:14 このほかに貿易ぼうえき商しょうおよび商人しょうにんの携たずさえて来きたものがあった。またアラビヤのすべての王おうたちおよび国くにの代官だいかんたちも金銀きんぎんをソロモンに携たずさえてきた。9:15 ソロモン王おうは延金のべきんの大盾おおだて二百を造つくった。その大盾おおだてにはおのおの六百シケルの延金のべきんを用もちいた。9:16 また延金のべきんの小盾こだて三百を造つくった。小盾こだてにはおのおの三百シケルの金きんを用もちいた。王おうはこれらをレバノンの森もりの家いえに置おいた。9:17 王おうはまた大おおきな象牙ぞうげの玉座ぎょくざを造つくり、純金じゅんきんでこれをおおった。9:18 その玉座ぎょくざには六つの段だんがあり、また金きんの足あし台だいがあって共ともに玉座ぎょくざにつらなり、その座ざする所ところの両方りょうほうに、ひじかけがあって、ひじかけのわきに二つのししが立たっていた。9:19 また十二のししが六つの段だんのおのおのの両側りょうがわに立たっていた。このような物ものはどこの国くにでも造つくられたことがなかった。9:20 ソロモン王おうが飲のむときに用もちいた器うつわはみな金きんであった。またレバノンの森もりの家いえの器うつわもみな純金じゅんきんであって、銀ぎんはソロモンの世よには尊たっとばれなかった。9:21 これは王おうの船ふねがヒラムのしもべたちを乗のせてタルシシへ行いき、三年ねんごとに一度ど、そのタルシシの船ふねが金きん、銀ぎん、象牙ぞうげ、さる、くじゃくを載のせて来きたからである。 9:22 このようにソロモン王おうは富とみと知恵ちえにおいて、地ちのすべての王おうにまさっていたので、9:23 地ちのすべての王おうは神かみがソロモンの心こころに授さづけられた知恵ちえを聞きこうとしてソロモンに謁見えっけんを求もとめた。9:24 人々ひとびとはおのおの贈おくり物ものを携たずさえてきた。すなわち銀ぎんの器うつわ、金きんの器うつわ、衣服いふく、没薬もつやく、香料こうりょう、馬うま、騾馬らばなど年々ねんねん定さだまっていた。9:25 ソロモンは馬うまと戦車せんしゃのために馬屋うまや四千と騎兵きへい一万二千を持もち、これを戦車せんしゃの町まちに置おき、またエルサレムの王おうのもとに置おいた。9:26 彼かれはユフラテ川かわからペリシテびとの地ちと、エジプトの境さかいに至いたるまでのすべての王おうを治おさめた。9:27 王おうはまた銀ぎんを石いしのようにエルサレムに多おおくし、香柏こうはくを平野へいやのいちじく桑くわのように多おおくした。9:28 また人々ひとびとはエジプトおよび諸国しょこくから馬うまをソロモンのために輸入ゆにゅうした。 9:29 ソロモンのそのほかの始終しじゅうの行為こういは、預言者よげんしゃナタンの書しょと、シロびとアヒヤの預言よげんと、先見者せんけんしゃイドがネバテの子こヤラベアムについて述のべた黙示もくしのなかに、しるされているではないか。9:30 ソロモンはエルサレムで四十年ねんの間あいだイスラエルの全ぜん地ちを治おさめた。9:31 ソロモンはその先祖せんぞたちと共ともに眠ねむって、父ちちダビデの町まちに葬ほうむられ、その子こレハベアムが代かわって王おうとなった。 第10章 10:1 レハベアムはシケムへ行いった。すべてのイスラエルびとが彼かれを王おうにしようとシケムへ行いったからである。10:2 ネバテの子こヤラベアムは、ソロモンを避さけてエジプトにのがれていたが、これを聞きいてエジプトから帰かえったので、10:3 人々ひとびとは人ひとをつかわして彼かれを招まねいた。そこでヤラベアムとすべてのイスラエルは来きて、レハベアムに言いった、10:4 「あなたの父ちちは、われわれのくびきを重おもくしましたが、今いまあなたの父ちちのきびしい使役しえきと、あなたの父ちちが、われわれに負おわせた重おもいくびきを軽かるくしてください。そうすればわたしたちはあなたに仕つかえましょう」。10:5 レハベアムは彼かれらに答こたえた、「三日かの後のち、またわたしの所ところに来きなさい」。それで民たみは去さった。 10:6 レハベアム王おうは父ちちソロモンの存命ぞんめい中ちゅうソロモンに仕つかえた長老ちょうろうたちに相談そうだんして言いった、「あなたがたはこの民たみにどう返答へんとうすればよいと思おもいますか」。10:7 彼かれらはレハベアムに言いった、「あなたがもしこの民たみを親切しんせつにあつかい、彼かれらを喜よろこばせ、ねんごろに語かたられるならば彼かれらは長ながくあなたのしもべとなるでしょう」。10:8 しかし彼かれは長老ちょうろうたちが与あたえた勧すすめをすてて、自分じぶんと一緒いっしょに大おおきくなって自分じぶんに仕つかえている若者わかものたちに相談そうだんして、10:9 彼かれらに言いった、「あなたがたは、この民たみがわたしに向むかって、『あなたの父上ちちうえが、われわれに負おわせたくびきを軽かるくしてください』と言いうのに、われわれはなんと返答へんとうすればよいと思おもいますか」。10:10 彼かれと一緒いっしょに大おおきくなった若者わかものたちは彼かれに言いった、「あなたに向むかって、『あなたの父ちちは、われわれのくびきを重おもくしたが、あなたは、それをわれわれのために軽かるくしてください』と言いったこの民たみに、こう言いいなさい、『わたしの小指こゆびは父ちちの腰こしよりも太ふとい、10:11 父ちちはあなたがたに重おもいくびきを負おわせたが、わたしはさらに、あなたがたのくびきを重おもくしよう。父ちちはむちであなたがたを懲こらしたが、わたしはさそりであなたがたを懲こらそう』」。 10:12 さてヤラベアムと民たみは皆みな、王おうが「三日か目めにわたしのところに来きなさい」と言いったとおりに、三日か目めにレハベアムのところへ行いった。10:13 王おうは荒々あらあらしく彼かれらに答こたえた。すなわちレハベアム王おうは長老ちょうろうたちの勧すすめをすて、10:14 若者わかものたちの勧すすめに従したがい、彼かれらに告つげて言いった、「父ちちはあなたがたのくびきを重おもくしたが、わたしは更さらにこれを重おもくしよう。父ちちはむちであなたがたを懲こらしたが、わたしはさそりであなたがたを懲こらそう」。10:15 このように王おうは民たみの言いうことを聞ききいれなかった。これは主しゅが、かつてシロびとアヒヤによって、ネバテの子こヤラベアムに言いわれた言葉ことばを成就じょうじゅするために、神かみがなされたのであった。 10:16 イスラエルの人々ひとびとは皆みな、王おうが自分じぶんたちの言いうことを聞ききいれないのを見みたので、民たみは王おうに答こたえて言いった、 「われわれはダビデのうちに何なにの分ぶんがあろうか。われわれはエッサイの子このうちに嗣し業ぎょうがない。イスラエルよ、めいめいの天幕てんまくに帰かえれ。ダビデよ、今いまあなたの家いえを見みよ」。そしてイスラエルは皆みな彼かれらの天幕てんまくへ去さって行いった。10:17 しかしレハベアムはユダの町々まちまちに住すんでいるイスラエルの人々ひとびとを治おさめた。10:18 レハベアム王おうは徴募ちょうぼ人にんの監督かんとくであったアドラムをつかわしたが、イスラエルの人々ひとびとが石いしで彼かれを撃うち殺ころしたので、レハベアム王おうは急いそいで車くるまに乗のり、エルサレムに逃にげた。10:19 こうしてイスラエルはダビデの家いえにそむいて今日こんにちに至いたった。 第11章 11:1 レハベアムはエルサレムに来きて、ユダとベニヤミンの家いえの者もの、すなわち、えり抜ぬきの軍人ぐんじん十八万人にんを集あつめ、国くにを取とりもどすためにイスラエルと戦たたかおうとしたが、11:2 主しゅの言葉ことばが神かみの人ひとシマヤに臨のぞんで言いった、11:3 「ソロモンの子こ、ユダの王おうレハベアムおよびユダとベニヤミンにいるすべてのイスラエルの人々ひとびとに言いいなさい、11:4 『主しゅはこう仰おおせられる、あなたがたは上のぼってはならない。あなたがたの兄弟きょうだいと戦たたかってはならない。おのおの自分じぶんの家いえに帰かえりなさい。この事ことはわたしから出でたのである』」。それで人々ひとびとは主しゅの言葉ことばを聞きき、ヤラベアムを攻せめに行いくのをやめて帰かえった。 11:5 レハベアムはエルサレムに住すんで、ユダに防衛ぼうえいの町々まちまちを建たてた。11:6 すなわちベツレヘム、エタム、テコア、11:7 ベテズル、ソコ、アドラム、11:8 ガテ、マレシャ、ジフ、11:9 アドライム、ラキシ、アゼカ、11:10 ゾラ、アヤロン、およびヘブロン。これらはユダとベニヤミンにあって要害ようがいの町々まちまちである。11:11 彼かれはその要害ようがいを堅固けんごにし、これに軍ぐん長ちょうを置おき、糧食りょうしょくと油あぶらとぶどう酒しゅをたくわえ、11:12 またそのすべての町まちに盾たてとやりを備そなえて、これを非常ひじょうに強化きょうかし、そしてユダとベニヤミンを確保かくほした。 11:13 イスラエルの全ぜん地ちの祭司さいしとレビびとは四方しほうの境さかいから来きてレハベアムに身みを寄よせた。11:14 すなわちレビびとは自分じぶんの放牧ほうぼく地ちと領地りょうちを離はなれてユダとエルサレムに来きた。これはヤラベアムとその子こらが彼かれらを排斥はいせきして、主しゅの前まえに祭司さいしの務つとめをさせなかったためである。11:15 ヤラベアムは高たかき所ところと、みだらな神かみと、自分じぶんで造つくった子こ牛うしのために自分じぶんの祭司さいしを立たてた。11:16 またイスラエルのすべての部族ぶぞくのうちで、すべてその心こころを傾かたむけて、イスラエルの神かみ、主しゅを求もとめる者ものは先祖せんぞの神かみ、主しゅに犠牲ぎせいをささげるために、レビびとに従したがってエルサレムに来きた。11:17 このように彼かれらはユダの国くにを堅かたくし、ソロモンの子こレハベアムを三年ねんの間あいだ強つよくした。彼かれらは三年ねんの間あいだダビデとソロモンの道みちに歩あゆんだからである。 11:18 レハベアムはダビデの子こエレモテの娘むすめマハラテを妻つまにめとった。マハラテはエッサイの子こエリアブの娘むすめアビハイルが産うんだ者ものである。11:19 彼女かのじょはエウシ、シマリヤおよびザハムの三子しを産うんだ。11:20 彼かれはまた彼女かのじょの後のちにアブサロムの娘むすめマアカをめとった。マアカはアビヤ、アッタイ、ジザおよびシロミテを産うんだ。11:21 レハベアムはアブサロムの娘むすめマアカをすべての妻つまとそばめにまさって愛あいした。彼かれは妻つま十八人にん、そばめ六十人にんをめとって、男おとこの子こ二十八人にんと女おんなの子こ六十人にんをもうけた。11:22 レハベアムはマアカの子こアビヤを立たててかしらとし、その兄弟きょうだいの長ちょうとした。彼かれはアビヤを王おうにしようと思おもったからである。11:23 それで王おうは賢かしこくとり行おこない、そのむすこたちをことごとく、ユダとベニヤミンの全ぜん地方ちほうにあるすべての要害ようがいの町まちに散在さんざいさせ、彼かれらに糧食りょうしょくを多おおく与あたえ、また多おおくの妻つまを得えさせた。 第12章 12:1 レハベアムはその国くにが堅かたく立たち、強つよくなるに及およんで、主しゅのおきてを捨すてた。イスラエルも皆みな彼かれにならった。12:2 彼かれらがこのように主しゅに向むかって罪つみを犯おかしたので、レハベアム王おうの五年ねんにエジプトの王おうシシャクがエルサレムに攻せめ上のぼってきた。12:3 その戦車せんしゃは一千二百、騎兵きへいは六万、また彼かれに従したがってエジプトから来きた民たみ、すなわちリビアびと、スキびと、エチオピヤびとは無数むすうであった。12:4 シシャクはユダの要害ようがいの町々まちまちを取とり、エルサレムに迫せまって来きた。12:5 そこで預言者よげんしゃシマヤは、レハベアムおよびシシャクのゆえに、エルサレムに集あつまったユダのつかさたちのもとにきて言いった、「主しゅはこう仰おおせられる、『あなたがたはわたしを捨すてたので、わたしもあなたがたを捨すててシシャクにわたした』と」。12:6 そこでイスラエルのつかさたち、および王おうはへりくだって、「主しゅは正ただしい」と言いった。12:7 主しゅは彼かれらのへりくだるのを見みられたので、主しゅの言葉ことばがシマヤにのぞんで言いった、「彼かれらがへりくだったから、わたしは彼かれらを滅ほろぼさないで、間まもなく救すくいを施ほどこす。わたしはシシャクの手てによって、怒いかりをエルサレムに注そそぐことをしない。12:8 しかし彼かれらはシシャクのしもべになる。これは彼かれらがわたしに仕つかえることと、国々くにぐにの王おうたちに仕つかえることとの相違そういを知しるためである」。 12:9 エジプトの王おうシシャクはエルサレムに攻せめのぼって、主しゅの宮みやの宝物ほうもつと、王おうの家いえの宝物ほうもつとを奪うばい去さった。すなわちそれらをことごとく奪うばい去さり、またソロモンの造つくった金きんの盾たてをも奪うばい去さった。12:10 それでレハベアム王おうは、その代かわりに青銅せいどうの盾たてを造つくって、王おうの家いえの門もんを守まもる侍衛じえい長ちょうたちの手てに渡わたした。12:11 王おうが主しゅの宮みやにはいるごとに侍衛じえいは来きて、これを負おい、またこれを侍衛じえいのへやへ持もって帰かえった。12:12 レハベアムがへりくだったので主しゅの怒いかりは彼かれを離はなれ、彼かれをことごとく滅ほろぼそうとはされなかった。またユダの事情じじょうもよくなった。 12:13 レハベアム王おうはエルサレムで自分じぶんの地位ちいを確立かくりつし、世よを治おさめた。すなわちレハベアムは四十一歳さいのとき位くらいにつき、十七年ねんの間あいだエルサレムで世よを治おさめた。エルサレムは主しゅがその名なを置おくためにイスラエルのすべての部族ぶぞくのうちから選えらばれた町まちである。彼かれの母はははアンモンの女おんなで、名なをナアマといった。12:14 レハベアムは主しゅを求もとめることに心こころを傾かたむけないで、悪わるい事ことを行おこなった。 12:15 レハベアムの始終しじゅうの行為こういは、預言者よげんしゃシマヤおよび先見者せんけんしゃイドの書しょにしるされているではないか。レハベアムとヤラベアムとの間あいだには絶たえず戦争せんそうがあった。12:16 レハベアムはその先祖せんぞたちと共ともに眠ねむって、ダビデの町まちに葬ほうむられ、その子こアビヤが彼かれに代かわって王おうとなった。 第13章 13:1 ヤラベアム王おうの第だい十八年ねんにアビヤがユダの王おうとなった。13:2 彼かれは三年ねんの間あいだエルサレムで世よを治おさめた。彼かれの母はははギベアのウリエルの娘むすめで、名なをミカヤといった。 13:3 ここにアビヤとヤラベアムとの間あいだに戦争せんそうが起おこり、アビヤは四十万の精兵せいへいから成なる勇敢ゆうかんな軍勢ぐんぜいをもって戦たたかいにいで、ヤラベアムも大だい勇士ゆうしから成なる八十万の精兵せいへいをもって、これに向むかって戦たたかいの備そなえをした。13:4 時ときにアビヤはエフライムの山地さんちにあるゼマライム山やまの上うえに立たって言いった、「ヤラベアムおよびイスラエルの人々ひとびとよ皆みな聞きけ。13:5 あなたがたはイスラエルの神かみ、主しゅが塩しおの契約けいやくをもってイスラエルの国くにをながくダビデとその子孫しそんに賜たまわったことを知しらないのか。13:6 ところがダビデの子こソロモンの家来けらいであるネバテの子こヤラベアムが起たって、その主君しゅくんにそむき、13:7 また卑いやしい無頼ぶらいのともがらが集あつまって彼かれにくみし、ソロモンの子こレハベアムに敵てきしたが、レハベアムは若わかく、かつ意志いしが弱よわくてこれに当あたることができなかった。 13:8 今いままた、あなたがたは大軍たいぐんをたのみ、またヤラベアムが造つくって、あなたがたの神かみとした金きんの子こ牛うしをたのんで、ダビデの子孫しそんの手てにある主しゅの国くにに敵対てきたいしようとしている。13:9 またあなたがたはアロンの子孫しそんである主しゅの祭司さいしとレビびととを追おいだして、他たの国々くにぐにの民たみがするように祭司さいしを立たてたではないか。すなわちだれでも若わかい雄牛おうし一頭とう、雄羊おひつじ七頭とうを携たずさえてきて、自分じぶんを聖別せいべつする者ものは皆みなあの神かみでない者ものの祭司さいしとすることができた。13:10 しかしわれわれにおいては、主しゅがわれわれの神かみであって、われわれは彼かれを捨すてない。また主しゅに仕つかえる祭司さいしはアロンの子孫しそんであり、働はたらきをなす者ものはレビびとである。13:11 彼かれらは朝あさごと夕ゆうごとに主しゅに燔祭はんさいと、こうばしい香こうをささげ、供そなえのパンを純金じゅんきんの机つくえの上うえに供そなえ、また金きんの燭台しょくだいとそのともしび皿さらを整ととのえて、夕ゆうごとにともすのである。このようにわれわれはわれわれの神かみ、主しゅの務つとめを守まもっているが、あなたがたは彼かれを捨すてた。13:12 見みよ、神かみはみずからわれわれと共ともにおられて、われわれのかしらとなられ、また、その祭司さいしたちはラッパを吹ふきならして、あなたがたを攻せめる。イスラエルの人々ひとびとよ、あなたがたの先祖せんぞの神かみ、主しゅに敵てきして戦たたかってはならない。あなたがたは成功せいこうしない」。 13:13 ヤラベアムは伏兵ふくへいを彼かれらのうしろに回まわらせたので、彼かれの軍隊ぐんたいはユダの前まえにあり、伏兵ふくへいは彼かれらのうしろにあった。13:14 ユダはうしろを見みると、敵てきが前まえとうしろとにあったので、主しゅに向むかって呼よばわり、祭司さいしたちはラッパを吹ふいた。13:15 そこでユダの人々ひとびとはときの声こえをあげた。ユダの人々ひとびとがときの声こえをあげると、神かみはヤラベアムとイスラエルの人々ひとびとをアビヤとユダの前まえに打うち敗やぶられたので、13:16 イスラエルの人々ひとびとはユダの前まえから逃にげた。神かみが彼かれらをユダの手てに渡わたされたので、13:17 アビヤとその民たみは、彼かれらをおびただしく撃うち殺ころした。イスラエルの殺ころされて倒たおれた者ものは五十万人にん、皆みな精兵せいへいであった。13:18 このように、この時ときイスラエルの人々ひとびとは打うち負まかされ、ユダの人々ひとびとは勝かちを得えた。彼かれらがその先祖せんぞの神かみ、主しゅを頼たのんだからである。13:19 アビヤはヤラベアムを追撃ついげきして数個すうこの町まちを彼かれから取とった。すなわちベテルとその村里むらざと、エシャナとその村里むらざと、エフロンとその村里むらざとである。13:20 ヤラベアムは、アビヤの世よには再ふたたび力ちからを得えることができず、主しゅに撃うたれて死しんだ。13:21 しかしアビヤは強つよくなり、妻つま十四人にんをめとり、むすこ二十二人にん、むすめ十六人にんをもうけた。13:22 アビヤのその他たの行為こういすなわちその行動こうどうと言葉ことばは、預言者よげんしゃイドの注釈ちゅうしゃくにしるされている。 第14章 14:1 アビヤはその先祖せんぞたちと共ともに眠ねむって、ダビデの町まちに葬ほうむられ、その子こアサが代かわって王おうとなった。アサの治世ちせいに国くには十年ねんの間あいだ、穏おだやかであった。14:2 アサはその神かみ、主しゅの目めに良よしと見みえ、また正ただしと見みえることを行おこなった。14:3 彼かれは異ことなる祭壇さいだんと、もろもろの高たかき所ところを取とり除のぞき、石柱せきちゅうをこわし、アシラ像ぞうを切きり倒たおし、14:4 ユダに命めいじてその先祖せんぞたちの神かみ、主しゅを求もとめさせ、おきてと戒いましめとを行おこなわせ、14:5 ユダのすべての町々まちまちから、高たかき所ところと香こうの祭壇さいだんとを取とり除のぞいた。そして国くには彼かれのもとに穏おだやかであった。14:6 彼かれは国くにが穏おだやかであったので、要害ようがいの町まち数個すうこをユダに建たてた。また主しゅが彼かれに平安へいあんを賜たまわったので、この年としごろ戦争せんそうがなかった。14:7 彼かれはユダに言いった、「われわれはこれらの町まちを建たて、その周囲しゅういに石いしがきを築きずき、やぐらを建たて、門もんと貫かんの木きを設もうけよう。われわれがわれわれの神かみ、主しゅを求もとめたので、この国くにはなおわれわれのものであり、われわれが彼かれを求もとめたので、四方しほうにおいて、われわれに平安へいあんを賜たまわった」。こうして彼かれらは滞とどこおりなく建たて終おわった。14:8 アサの軍隊ぐんたいはユダから出でた者もの三十万人にんあって、盾たてとやりをとり、ベニヤミンから出でた者もの二十八万人にんあって、小盾こだてをとり、弓ゆみを引ひいた。これはみな大だい勇士ゆうしであった。 14:9 エチオピヤびとゼラが、百万の軍隊ぐんたいと三百の戦車せんしゃを率ひきいて、マレシャまで攻せめてきた。14:10 アサは出でて、これを迎むかえ、マレシャのゼパタの谷たにに戦たたかいの備そなえをした。14:11 時ときにアサはその神かみ、主しゅに向むかって呼よばわって言いった、「主しゅよ、力ちからのある者ものを助たすけることも、力ちからのない者ものを助たすけることも、あなたにおいては異ことなることはありません。われわれの神かみ、主しゅよ、われわれをお助たすけください。われわれはあなたに寄より頼たのみ、あなたの名なによってこの大軍たいぐんに当あたります。主しゅよ、あなたはわれわれの神かみです。どうぞ人ひとをあなたに勝かたせないでください」。14:12 そこで主しゅはアサの前まえとユダの前まえでエチオピヤびとを撃うち敗やぶられたので、エチオピヤびとは逃にげ去さった。14:13 アサと彼かれに従したがう民たみは彼かれらをゲラルまで追撃ついげきしたので、エチオピヤびとは倒たおれて、生いき残のこった者ものはひとりもなかった。主しゅと主しゅの軍勢ぐんぜいの前まえに撃うち破やぶられたからである。ユダの人々ひとびとの得えたぶんどり物ものは非常ひじょうに多おおかった。14:14 彼かれらはまた、ゲラルの周囲しゅういの町々まちまちをことごとく撃うち破やぶった。主しゅの恐おそれが彼かれらの上うえに臨のぞんだからである。そして彼かれらはそのすべての町まちをかすめ奪うばった。その内うちに多おおくの物ものがあったからである。14:15 また家畜かちくをもっている者ものの天幕てんまくを襲おそい、多おおくの羊ひつじとらくだを奪うばい取とって、エルサレムに帰かえった。
2:1 さてソロモンは主しゅの名なのために一つの宮みやを建たて、また自分じぶんのために一つの王宮おうきゅうを建たてようと思おもった。
2:2 そしてソロモンは荷にを負おう者もの七万人にん、山やまで石いしを切きり出だす者もの八万人にん、これらを監督かんとくする者もの三千六百人にんを数かぞえ出だした。
2:3 ソロモンはまずツロのヒラムに人ひとをつかわして言いわせた、「あなたはわたしの父ちちダビデに、その住すむべき家いえを建たてるために香柏こうはくを送おくられました。どうぞ彼かれにされたように、わたしにもして下ください。
2:4 見みよ、わたしはわが神かみ、主しゅの名なのために一つの家いえを建たて、これを聖別せいべつして彼かれにささげ、彼かれの前まえにこうばしい香こうをたき、常供じょうくのパンを供そなえ、また燔祭はんさいを安息日あんそくにち、新月しんげつ、およびわれらの神かみ、主しゅの定さだめの祭まつりに朝夕あさゆうささげ、これをイスラエルのながく守まもるべき定さだめにしようとしています。
2:5 またわたしの建たてる家いえは大おおきな家いえです。われらの神かみはすべての神かみよりも大おおいなる神かみだからです。
2:6 しかし、天てんも、諸しょ天てんの天てんも彼かれを入いれることができないのに、だれが彼かれのために家いえを建たてることができましょうか。わたしは何者なにものですか、彼かれのために家いえを建たてるというのも、ただ彼かれの前まえに香こうをたく所ところに、ほかならないのです。
2:7 それで、どうぞ金きん、銀ぎん、青銅せいどう、鉄てつの細工さいくおよび紫むらさき糸いと、緋ひ糸いと、青あお糸いとの織物おりものにくわしく、また彫刻ちょうこくの術じゅつに巧たくみな工人こうじんひとりをわたしに送おくって、父ちちダビデが備そなえておいたユダとエルサレムのわたしの工人こうじんたちと一緒いっしょに働はたらかせてください。
2:8 またどうぞレバノンから香柏こうはく、いとすぎ、びゃくだんを送おくってください。わたしはあなたのしもべたちがレバノンで木きを切きることをよくわきまえているのを知しっています。わたしのしもべたちも、あなたのしもべたちと一緒いっしょに働はたらかせ、
2:9 わたしのためにたくさんの材木ざいもくを備そなえさせてください。わたしの建たてる家いえは非常ひじょうに広大こうだいなものですから。
2:10 わたしは木きを切きるあなたのしもべたちに砕くだいた小麦こむぎ二万コル、大麦おおむぎ二万コル、ぶどう酒しゅ二万バテ、油あぶら二万バテを与あたえます」。
2:11 そこでツロの王おうヒラムは手紙てがみをソロモンに送おくって答こたえた、「主しゅはその民たみを愛あいするゆえに、あなたを彼かれらの王おうとされました」。
2:12 ヒラムはまた言いった、「天地てんちを造つくられたイスラエルの神かみ、主しゅはほむべきかな。彼かれはダビデ王おうに賢かしこい子こを与あたえ、これに分別ふんべつと知恵ちえを授さづけて、主しゅのために宮みやを建たて、また自分じぶんのために、王宮おうきゅうを建たてることをさせられた。
2:13 いまわたしは達人たつじんヒラムという知恵ちえのある工人こうじんをつかわします。
2:14 彼かれはダンの子孫しそんである女おんなを母ははとし、ツロの人ひとを父ちちとし、金銀きんぎん、青銅せいどう、鉄てつ、石いし、木きの細工さいくおよび紫むらさき糸いと、青あお糸いと、亜麻あま糸いと、緋ひ糸いとの織物おりものにくわしく、またよくもろもろの彫刻ちょうこくをし、意 いしょうを凝こらしてもろもろの工作こうさくをします。彼かれを用もちいてあなたの工人こうじんおよびあなたの父ちち、わが主しゅダビデの工人こうじんと一緒いっしょに働はたらかせなさい。
2:15 それでいまわが主しゅの言いわれた小麦こむぎ、大麦おおむぎ、油あぶらおよびぶどう酒しゅをそのしもべどもに送おくってください。
2:16 あなたの求もとめられる材木ざいもくはレバノンから切きりだし、いかだに組くんで、海うみからヨッパに送おくります。あなたはそれをエルサレムに運はこび上あげなさい」。
2:17 そこでソロモンはその父ちちダビデが数かぞえたようにイスラエルの国くににいるすべての他国たこく人じんを数かぞえたが、合あわせて十五万三千六百人にんあった。
2:18 彼かれはその七万人にんを荷にを負おう者ものとし、八万人にんを山やまで木きや石いしを切きる者ものとし、三千六百人にんを民たみを働はたらかせる監督かんとく者しゃとした。
第3章 3:1 ソロモンはエルサレムのモリアの山やまに主しゅの宮みやを建たてることを始はじめた。そこは父ちちダビデに主しゅが現あらわれられた所ところ、すなわちエブスびとオルナンの打うち場ばにダビデが備そなえた所ところである。3:2 ソロモンが宮みやを建たて始はじめたのは、その治世ちせいの四年ねんの二月がつであった。3:3 ソロモンの建たてた神かみの宮みやの基もといの寸法すんぽうは次つぎのとおりである。すなわち昔むかしの尺度しゃくどによれば長ながさ六十キュビト、幅はば二十キュビト、3:4 宮みやの前まえの廊ろうは宮みやの幅はばに従したがって長ながさ二十キュビト高たかさ百二十キュビトで、その内部ないぶは純金じゅんきんでおおった。3:5 またその拝殿はいでんはいとすぎの板いたで張はり、精せい金きんをもってこれをおおい、その上うえにしゅろと鎖くさりの形かたちを施ほどこした。3:6 また宝石ほうせきをはめ込こんで宮みやを飾かざった。その金きんはパルワイムの金きんであった。3:7 彼かれはまた金きんをもってその宮みや、すなわち、梁はり、敷居しきい、壁かべおよび戸とをおおい、壁かべの上うえにケルビムを彫ほりつけた。3:8 彼かれはまた至聖所しせいじょを造つくった。その長ながさは宮みやの長ながさにしたがって二十キュビト、幅はばも二十キュビトである。彼かれは精せい金きん六百タラントをもってこれをおおった。3:9 その釘くぎの金きんの重おもさは五十シケルであった。彼かれはまた階上かいじょうの室しつも金きんでおおった。 3:10 彼かれは至聖所しせいじょに木きを刻きざんだケルビムの像ぞうを二つ造つくり、これを金きんでおおった。3:11 ケルビムの翼つばさの長ながさは合あわせて二十キュビトあった。すなわち一つのケルブの一つの翼つばさは五キュビトで、宮みやの壁かべに届とどき、ほかの翼つばさも五キュビトで、他たのケルブの翼つばさに届とどき、3:12 他たのケルブの一つの翼つばさも五キュビトで、宮みやの壁かべに届とどき、ほかの翼つばさも五キュビトで、先さきのケルブの翼つばさに接せっしていた。3:13 これらのケルビムの翼つばさは広ひろげると二十キュビトあった。かれらは共ともに足あしで立たち、その顔かおは拝殿はいでんに向むかっていた。3:14 ソロモンはまた青あお糸いと、紫むらさき糸いと、緋ひ糸いとおよび亜麻あま糸いとで垂幕たれまくを造つくり、その上うえにケルビムの縫ぬい取とりを施ほどこした。 3:15 彼かれは宮みやの前まえに柱はしらを二本ほん造つくった。その高たかさは三十五キュビト、おのおのの柱はしらの頂いただきに五キュビトの柱頭ちゅうとうを造つくった。3:16 彼かれは首くび飾かざりのような鎖くさりを造つくって、柱はしらの頂いただきにつけ、ざくろ百を つくってその鎖くさりの上うえにつけた。3:17 彼かれはこの柱はしらを神殿しんでんの前まえに、一本ぽんを南みなみの方ほうに、一本ぽんを北きたの方ほうに立たて、南みなみの方ほうのをヤキンと名なづけ、北きたの方ほうのをボアズと名なづけた。 第4章 4:1 ソロモンはまた青銅せいどうの祭壇さいだんを造つくった。その長ながさ二十キュビト、幅はば二十キュビト、高たかさ十キュビトである。4:2 彼かれはまた海うみを鋳いて造つくった。縁ふちから縁ふちまで十キュビトであって、周囲しゅういは円形えんけいをなし、高たかさ五キュビトで、その周囲しゅういは綱つなをもって測はかると三十キュビトあった。4:3 海うみの下したには三十キュビトの周囲しゅういをめぐるひさごの形かたちがあって、海うみの周囲しゅういを囲かこんでいた。そのひさごは二並ならびで、海うみを鋳いる時ときに鋳いたものである。4:4 その海うみは十二の牛うしの上うえに置おかれ、その三つは北きたに向むかい、三つは西にしに向むかい、三つは南みなみに向むかい、三つは東ひがしに向むかっていた。海うみはその上うえに置おかれ、牛うしのうしろはみな内うちに向むかっていた。4:5 海うみの厚あつさは手ての幅はばで、その縁ふちは杯はいの縁ふちのように、ゆりの花はなに似にせて造つくられた。海うみには水みずを三千バテ入いれることができた。4:6 彼かれはまた物ものを洗あらうために洗盤せんばん十個こを つくって、五個こを南側みなみがわに、五個こを北側きたがわに置おいた。その中なかで燔祭はんさいに用もちいるものを洗あらった。しかし海うみは祭司さいしがその中なかで身みを洗あらうためであった。 4:7 彼かれはまた金きんの燭台しょくだい十個こをその定さだめに従したがって造つくり、拝殿はいでんの中なかの南側みなみがわに五個こ、北側きたがわに五個こを置おき、4:8 また机つくえ十個こを造つくり、神殿しんでんの中なかの南側みなみがわに五個こ、北側きたがわに五個こを置おき、また金きんの鉢はち百を つくった。4:9 彼かれはまた祭司さいしの庭にわと大庭おおにわおよび庭にわの戸とを造つくり、その戸とを青銅せいどうでおおった。4:10 彼かれは海うみを宮みやの東南とうなんのすみにすえた。 4:11 ヒラムはまたつぼと十能じゅうのうと鉢はちとを造つくった。こうしてヒラムはソロモン王おうのため、神かみの宮みやの工事こうじを終おえた。4:12 すなわち二本ほんの柱はしらと玉たまと、柱はしらの頂いただきにある二つの柱頭ちゅうとうと、柱はしらの頂いただきにある柱頭ちゅうとうの二つの玉たまをおおう二つの網あみ細工ざいくと、4:13 その二つの網あみ細工ざいくのためのざくろ四百、このざくろはおのおの網あみ細工ざいくに二並ならびにつけて、柱はしらの頂いただきにある柱頭ちゅうとうの二つの玉たまを巻まいていた。4:14 彼かれはまた台だいと台だいの上うえの洗盤せんばんと、4:15 一つの海うみとその下したの十二の牛うしを つくった。4:16 つぼ、十能じゅうのう、肉にくさしなどすべてこれらの器物うつわものを、達人たつじんヒラムはソロモン王おうのため、主しゅの宮みやのために、光ひかりのある青銅せいどうで造つくった。4:17 王おうはヨルダンの低地ていちで、スコテとゼレダの間あいだの粘土ねんどの地ちでこれを鋳いた。4:18 このようにソロモンはこれらのすべての器物うつわものを非常ひじょうに多おおく造つくったので、その青銅せいどうの重量じゅうりょうは、量はかることができなかった。 4:19 こうしてソロモンは神かみの宮みやのすべての器物うつわものを造つくった。すなわち金きんの祭壇さいだんと、供そなえのパンを載のせる机つくえ、4:20 また定さだめのように本殿ほんでんの前まえで火ひをともす純金じゅんきんの燭台しょくだいと、そのともしび皿さらを つくった。4:21 その花はな、ともしび皿さら、心こころかきは精せい金きんであった。4:22 また心切しんきりばさみ、鉢はち、香こうの杯はい、心取しんとり皿ざらは純金じゅんきんであった。また宮みやの戸と、すなわち至聖所しせいじょの内部ないぶの戸とおよび拝殿はいでんの戸とのひじつぼは金きんであった。 第5章 5:1 こうしてソロモンは主しゅの宮みやのためにしたすべての工事こうじを終おわった。そしてソロモンは父ちちダビデがささげた物もの、すなわち金銀きんぎんおよびもろもろの器物うつわものを携たずさえて行いって神かみの宮みやの宝蔵ほうぞうに納おさめた。 5:2 ソロモンは主しゅの契約けいやくの箱はこをダビデの町まちシオンからかつぎ上のぼろうとして、イスラエルの長老ちょうろうたちと、すべての部族ぶぞくのかしらたちと、イスラエルの人々ひとびとの氏族しぞくの長ちょうたちをエルサレムに召めし集あつめた。5:3 イスラエルの人々ひとびとは皆みな七月がつの祭まつりに王おうのもとに集あつまった。5:4 イスラエルの長老ちょうろうたちが皆みなきたので、レビびとたちは箱はこを取とり上あげた。5:5 彼かれらは箱はこと、会見かいけんの幕屋まくやと、幕屋まくやにあるすべて聖せいなる器うつわをかつぎ上のぼった。すなわち祭司さいしとレビびとがこれらの物ものをかつぎ上のぼった。5:6 ソロモン王おうおよび彼かれのもとに集あつまったイスラエルの会衆かいしゅうは皆みな箱はこの前まえで羊ひつじと牛うしをささげたが、その数かずが多おおくて、調しらべることも数かぞえることもできなかった。5:7 こうして祭司さいしたちは主しゅの契約けいやくの箱はこをその場所ばしょにかつぎ入いれ、宮みやの本殿ほんでんである至聖所しせいじょのうちのケルビムの翼つばさの下したに置おいた。5:8 ケルビムは翼つばさを箱はこの所ところの上うえに伸のべていたので、ケルビムは上うえから箱はことそのさおをおおった。5:9 さおは長ながかったので、さおの端はしが本殿ほんでんの前まえの聖所せいじょから見みえた。しかし外部がいぶには見みえなかった。さおは今日こんにちまでそこにある。5:10 箱はこの内うちには二枚まいの板いたのほか何なにもなかった。これはイスラエルの人々ひとびとがエジプトから出でて来きたとき、主しゅが彼かれらと契約けいやくを結むすばれ、モーセがホレブでそれを納おさめたものである。5:11 そして祭司さいしたちが聖所せいじょから出でたとき(ここにいた祭司さいしたちは皆みな、その組くみの順じゅんにかかわらず身みを清きよめた。5:12 またレビびとの歌うたうたう者もの、すなわちアサフ、ヘマン、エドトンおよび彼かれらの子こたちと兄弟きょうだいたちはみな亜麻あま布ぬのを着き、シンバルと、立琴たてごとと、琴ことをとって祭壇さいだんの東ひがしに立たち、百二十人にんの祭司さいしは彼かれらと一緒いっしょに立たってラッパを吹ふいた。5:13 ラッパ吹ふく者ものと歌うたうたう者ものとは、ひとりのように声こえを合あわせて主しゅをほめ、感謝かんしゃした)、そして彼かれらがラッパと、シンバルとその他たの楽器がっきをもって声こえをふりあげ、主しゅをほめて 「主しゅは恵めぐみあり、そのあわれみはとこしえに絶たえることがない」と言いったとき、雲くもはその宮みやすなわち主しゅの宮みやに満みちた。5:14 祭司さいしたちは雲くものゆえに立たって勤つとめをすることができなかった。主しゅの栄光えいこうが神かみの宮みやに満みちたからである。 第6章 6:1 そこでソロモンは言いった、 「主しゅはみずから濃こき雲くもの中なかに住すまおうと言いわれた。6:2 しかしわたしはあなたのために高たかき家いえ、とこしえのみすまいを建たてた」。6:3 そして王おうは顔かおをふり向むけてイスラエルの全ぜん会衆かいしゅうを祝福しゅくふくした。その時ときイスラエルの全ぜん会衆かいしゅうは立たっていた。6:4 彼かれは言いった、「イスラエルの神かみ、主しゅはほむべきかな。主しゅは口くちをもってわが父ちちダビデに約束やくそくされたことを、その手てをもってなし遂とげられた。すなわち主しゅは言いわれた、6:5 『わが民たみをエジプトの地ちから導みちびき出だした日ひから、わたしはわが名なを置おくべき家いえを建たてるために、イスラエルのもろもろの部族ぶぞくのうちから、どの町まちをも選えらんだことがなく、また他たのだれをもわが民たみイスラエルの君きみとして選えらんだことがない。6:6 わが名なを置おくために、ただエルサレムだけを選えらび、またわが民たみイスラエルを治おさめさせるために、ただダビデだけを選えらんだ』。6:7 イスラエルの神かみ、主しゅの名なのために家いえを建たてることは、父ちちダビデの心こころにあった。6:8 しかし主しゅは父ちちダビデに言いわれた、『わたしの名なのために家いえを建たてることはあなたの心こころにあった。あなたの心こころにこの事ことのあったのは結構けっこうである。6:9 しかしあなたはその家いえを建たててはならない。あなたの腰こしから出でるあなたの子こがわたしの名なのために家いえを建たてるであろう』。6:10 そして主しゅはそう言いわれた言葉ことばを行おこなわれた。すなわちわたしは父ちちダビデに代かわって立たち、主しゅが言いわれたように、イスラエルの位くらいに座ざし、イスラエルの神かみ、主しゅの名なのために家いえを建たてた。6:11 わたしはまた、主しゅがイスラエルの人々ひとびとと結むすばれた主しゅの契約けいやくを入いれた箱はこをそこに納おさめた」。 6:12 ソロモンはイスラエルの全ぜん会衆かいしゅうの前まえ、主しゅの祭壇さいだんの前まえに立たって、手てを伸のべた。6:13 ソロモンはさきに長ながさ五キュビト、幅はば五キュビト、高たかさ三キュビトの青銅せいどうの台だいを造つくって、庭にわのまん中なかにすえて置おいたので、彼かれはその上うえに立たち、イスラエルの全ぜん会衆かいしゅうの前まえでひざをかがめ、その手てを天てんに伸のべて、6:14 言いった、「イスラエルの神かみ、主しゅよ、天てんにも地ちにも、あなたのような神かみはありません。あなたは契約けいやくを守まもられ、心こころをつくしてあなたの前まえに歩あゆむあなたのしもべらに、いつくしみを施ほどこし、6:15 あなたのしもべ、わたしの父ちちダビデに約束やくそくされたことを守まもられました。あなたが口くちをもって約束やくそくされたことを、手てをもってなし遂とげられたことは、今日こんにち見みるとおりであります。6:16 それゆえ、イスラエルの神かみ、主しゅよ、あなたのしもべ、わたしの父ちちダビデに、あなたが約束やくそくして、『おまえがわたしの前まえに歩あゆんだように、おまえの子孫しそんがその道みちを慎つつしんで、わたしのおきてに歩あゆむならば、おまえにはイスラエルの位くらいに座ざする人ひとがわたしの前まえに かけることはない』と言いわれたことを、ダビデのためにお守まもりください。6:17 それゆえ、イスラエルの神かみ、主しゅよ、どうぞ、あなたのしもべダビデに言いわれた言葉ことばを確認かくにんしてください。 6:18 しかし神かみは、はたして人ひとと共ともに地上ちじょうに住すまわれるでしょうか。見みよ、天てんも、いと高たかき天てんもあなたをいれることはできません。わたしの建たてたこの家いえなどなおさらです。6:19 しかしわが神かみ、主しゅよ、しもべの祈いのりと願ねがいを顧かえりみて、しもべがあなたの前まえにささげる叫さけびと祈いのりをお聞ききください。6:20 どうぞ、あなたの目めを昼ひるも夜よるもこの家いえに、すなわち、あなたの名なをそこに置おくと言いわれた所ところに向むかってお開ひらきください。どうぞ、しもべがこの所ところに向むかってささげる祈いのりをお聞ききください。6:21 どうぞ、しもべと、あなたの民たみイスラエルがこの所ところに向むかって祈いのる時ときに、その願ねがいをお聞ききください。あなたのすみかである天てんから聞きき、聞きいておゆるしください。 6:22 もし人ひとがその隣となり人びとに対たいして罪つみを犯おかし、誓ちかいをすることを求もとめられるとき、来きてこの宮みやで、あなたの祭壇さいだんの前まえに誓ちかうならば、6:23 あなたは天てんから聞きいて、行おこない、あなたのしもべらをさばき、悪人あくにんに報むくいをなして、その行おこないの報むくいをそのこうべに帰きし、義人ぎじんを義ぎとして、その義ぎにしたがってその人ひとに報むくいてください。 6:24 もしあなたの民たみイスラエルが、あなたに対たいして罪つみを犯おかしたために、敵てきの前まえに敗やぶれた時とき、あなたに立たち返かえって、あなたの名なをあがめ、この宮みやであなたの前まえに祈いのり願ねがうならば、6:25 あなたは天てんから聞きき、あなたの民たみイスラエルの罪つみをゆるして、あなたが彼かれらとその先祖せんぞに与あたえられた地ちに彼かれらを帰かえらせてください。 6:26 もし彼かれらがあなたに罪つみを犯おかしたために、天てんが閉とざされて、雨あめがなく、あなたが彼かれらを苦くるしめられるとき、彼かれらがこの所ところに向むかって祈いのり、あなたの名なをあがめ、その罪つみを離はなれるならば、6:27 あなたは天てんにあって聞きき、あなたのしもべ、あなたの民たみイスラエルの罪つみをゆるして、彼かれらに歩あゆむべき良よい道みちを教おしえ、あなたの民たみに嗣し業ぎょうとして賜たまわった地ちに雨あめを降ふらせてください。 6:28 もし国くににききんがあるか、もしくは疫病えきびょう、立たち枯がれ、腐くさり穂ほ、いなご、青虫あおむしがあるか、または敵てきのために町まちの門もんの中なかに攻せめ囲かこまれることがあるか、どんな災害さいがい、どんな病気びょうきがあっても、6:29 もし、ひとりか、あるいはあなたの民たみイスラエルが皆みなおのおのその心こころの悩なやみを知しって、この宮みやに向むかい、手てを伸のべるならば、どんな祈いのり、どんな願ねがいでも、6:30 あなたはそのすみかである天てんから聞きいてゆるし、おのおのの人ひとに、その心こころを知しっておられるゆえ、そのすべての道みちにしたがって報むくいてください。ただあなただけがすべての人ひとの心こころを知しっておられるからです。6:31 あなたがわれわれの先祖せんぞたちに賜たまわった地ちに、彼かれらの生いきながらえる日ひの間あいだ、常つねにあなたを恐おそれさせ、あなたの道みちに歩あゆませてください。 6:32 またあなたの民たみイスラエルの者ものでなく、他国たこく人じんで、あなたの大おおいなる名なと、強つよい手てと、伸のべた腕うでのために遠とおい国くにから来きて、この宮みやに向むかって祈いのるならば、6:33 あなたは、あなたのすみかである天てんから聞きき、すべて他国たこく人じんがあなたに呼よび求もとめるようにしてください。そうすれば地ちのすべての民たみはあなたの民たみイスラエルのように、あなたの名なを知しり、あなたを恐おそれ、またわたしが建たてたこの宮みやが、あなたの名なによって呼よばれることを知しるにいたるでしょう。 6:34 あなたの民たみが敵てきと戦たたかうために、あなたがつかわされる道みちによって出でるとき、もし彼かれらがあなたの選えらばれたこの町まちと、わたしがあなたの名なのために建たてたこの宮みやに向むかってあなたに祈いのるならば、6:35 あなたは天てんから彼かれらの祈いのりと願ねがいとを聞きいて彼かれらをお助たすけください。6:36 彼かれらがあなたに対たいして罪つみを犯おかすことがあって、――罪つみを犯おかさない人ひとはないゆえ、――あなたが彼かれらを怒いかって、敵てきにわたし、敵てきが彼かれらを捕虜ほりょとして遠とおい地ちあるいは近ちかい地ちに引ひいて行いくとき、6:37 もし、彼かれらが捕とらわれて行いった地ちで、みずから省かえりみて悔くい、その捕とらわれの地ちであなたに願ねがい、『われわれは罪つみを犯おかし、よこしまな事ことをし、悪あくを行おこないました』と言いい、6:38 その捕とらわれの地ちで心こころをつくし、精神せいしんをつくしてあなたに立たち返かえり、あなたが彼かれらの先祖せんぞに与あたえられた地ち、あなたが選えらばれた町まち、わたしがあなたの名なのために建たてたこの宮みやに向むかって祈いのるならば、6:39 あなたのすみかである天てんから、彼かれらの祈いのりと願ねがいとを聞きいて彼かれらを助たすけ、あなたに向むかって罪つみを犯おかしたあなたの民たみをおゆるしください。6:40 わが神かみよ、どうぞ、この所ところでささげる祈いのりにあなたの目めを開ひらき、あなたの耳みみを傾かたむけてください。 6:41 主しゅなる神かみよ、今いまあなたと、あなたの力ちからの箱はこが立たって、あなたの安息所あんそくじょにおはいりください。主しゅなる神かみよ、どうぞあなたの祭司さいしたちに救すくいの衣ころもを着きせ、あなたの聖徒せいとたちに恵めぐみを喜よろこばせてください。 6:42 主しゅなる神かみよ、どうぞあなたの油あぶらそそがれた者ものの顔かおを退しりぞけないでください。あなたのしもべダビデに示しめされたいつくしみを覚おぼえて下ください」。 第7章 7:1 ソロモンが祈いのり終おわったとき、天てんから火ひが下くだって燔祭はんさいと犠牲ぎせいを焼やき、主しゅの栄光えいこうが宮みやに満みちた。7:2 主しゅの栄光えいこうが主しゅの宮みやに満みちたので、祭司さいしたちは主しゅの宮みやに、はいることができなかった。7:3 イスラエルの人々ひとびとはみな火ひが下くだったのを見み、また主しゅの栄光えいこうが宮みやに臨のぞんだのを見みて、敷石しきいしの上うえで地ちにひれ伏ふして拝はいし、主しゅに感謝かんしゃして言いった、 「主しゅは恵めぐみふかく、そのいつくしみはとこしえに絶たえることがない」。7:4 そして王おうと民たみは皆みな主しゅの前まえに犠牲ぎせいをささげた。7:5 ソロモン王おうのささげた犠牲ぎせいは、牛うし二万二千頭とう、羊ひつじ十二万頭とうであった。こうして王おうと民たみは皆みな神かみの宮みやをささげた。7:6 祭司さいしはその持もち場ばに立たち、レビびとも主しゅの楽器がっきをとって立たった。その楽器がっきはダビデ王おうが主しゅに感謝かんしゃするために造つくったもので、ダビデが彼かれらの手てによってさんびをささげるとき、「そのいつくしみは、とこしえに絶たえることがない」ととなえさせたものである。祭司さいしは彼かれらの前まえでラッパを吹ふき、すべてのイスラエルびとは立たっていた。 7:7 ソロモンはまた主しゅの宮みやの前まえにある庭にわの中なかを聖別せいべつし、その所ところで、燔祭はんさいと酬恩祭しゅうおんさいのあぶらをささげた。これはソロモンが造つくった青銅せいどうの祭壇さいだんが、その燔祭はんさいと素祭そさいとあぶらとを載のせるに足たりなかったからである。 7:8 その時ときソロモンは七日なぬかの間あいだ祭まつりを行おこなった。ハマテの入口いりぐちからエジプトの川かわに至いたるまでのすべてのイスラエルびとが彼かれと共ともにあり、非常ひじょうに大おおきな会衆かいしゅうであった。7:9 そして八日か目めに聖せい会かいを開ひらいた。彼かれらは七日なぬかの間あいだ、祭壇さいだん奉献ほうけんの礼れいを行おこない、七日なぬかの間あいだ祭まつりを行おこなったが、7:10 七月がつ二十三日にちに至いたってソロモンは民たみをその天幕てんまくに帰かえらせた。皆みな主しゅがダビデ、ソロモンおよびその民たみイスラエルに施ほどこされた恵めぐみのために喜よろこび、かつ心こころに楽たのしんで去さった。 7:11 こうしてソロモンは主しゅの家いえと王おうの家いえとを造つくり終おえた。すなわち彼かれは主しゅの家いえと自分じぶんの家いえについて、しようと計画けいかくしたすべての事ことを首尾しゅびよくなし遂とげた。7:12 時ときに主しゅは夜よるソロモンに現あらわれて言いわれた、「わたしはあなたの祈いのりを聞きき、この所ところをわたしのために選えらんで、犠牲ぎせいをささげる家いえとした。7:13 わたしが天てんを閉とじて雨あめをなくし、またはわたしがいなごに命めいじて地ちの物ものを食くわせ、または疫病えきびょうを民たみの中なかに送おくるとき、7:14 わたしの名なをもってとなえられるわたしの民たみが、もしへりくだり、祈いのって、わたしの顔かおを求もとめ、その悪わるい道みちを離はなれるならば、わたしは天てんから聞きいて、その罪つみをゆるし、その地ちをいやす。7:15 今いまこの所ところにささげられる祈いのりにわたしの目めを開ひらき、耳みみを傾かたむける。7:16 今いまわたしはわたしの名なをながくここにとどめるために、この宮みやを選えらび、かつ聖別せいべつした。わたしの目めとわたしの心こころは常つねにここにある。7:17 あなたがもし父ちちダビデの歩あゆんだようにわたしの前まえに歩あゆみ、わたしが命めいじたとおりにすべて行いって、わたしの定さだめとおきてとを守まもるならば、7:18 わたしはあなたの父ちちダビデに契約けいやくして『イスラエルを治おさめる人ひとはあなたに欠かけることがない』と言いったとおりに、あなたの王おうの位くらいを堅かたくする。 7:19 しかし、あなたがたがもし翻ひるがえって、わたしがあなたがたの前まえに置おいた定さだめと戒いましめとを捨すて、行いって他たの神々かみがみに仕つかえ、それを拝おがむならば、7:20 わたしはあなたがたをわたしの与あたえた地ちから抜ぬき去さり、またわたしの名なのために聖別せいべつしたこの宮みやをわたしの前まえから投なげ捨すてて、もろもろの民たみのうちにことわざとし、笑わらい草ぐさとする。7:21 またこの宮みやは高たかいけれども、ついには、そのかたわらを過すぎる者ものは皆みな驚おどろいて、『何なにゆえ主しゅはこの地ちと、この宮みやとにこのようにされたのか』と言いうであろう。7:22 その時とき、人々ひとびとは答こたえて『彼かれらはその先祖せんぞたちをエジプトの地ちから導みちびき出だした彼かれらの神かみ、主しゅを捨すてて、他たの神々かみがみにつき従したがい、それを拝おがみ、それに仕つかえたために、主しゅはこのすべての災わざわいを彼かれらの上うえに下くだしたのである』と言いうであろう」。 第8章 8:1 ソロモンは二十年ねんを経へて、主しゅの家いえと自分じぶんの家いえとを建たて終おわった。8:2 またソロモンはヒラムから送おくられた町々まちまちを建たて直なおして、そこにイスラエルの人々ひとびとを住すませた。 8:3 ソロモンはまたハマテ・ゾバを攻せめて、これを取とった。8:4 彼かれはまた荒野あらのにタデモルを建たて、もろもろの倉くらの町まちをハマテに建たてた。8:5 また城壁じょうへき、門もん、貫かんの木きのある堅固けんごな町まち、上うえベテホロンと下したベテホロンを建たてた。8:6 ソロモンはまたバアラテと自分じぶんのもっていたすべての倉くらの町まちと、すべての戦車せんしゃの町まちと、騎兵きへいの町まち、ならびにエルサレム、レバノンおよび自分じぶんの治おさめる全ぜん地方ちほうに建たてようと望のぞんだものを、ことごとく建たてた。8:7 すべてイスラエルの子孫しそんでないヘテびと、アモリびと、ペリジびと、ヒビびと、エブスびとの残のこった民たみ、8:8 その地ちにあって彼かれらのあとに残のこったその子孫しそん、すなわちイスラエルの子孫しそんが滅ほろぼし尽つくさなかった民たみに、ソロモンは強制きょうせい徴募ちょうぼをおこなって今日こんにちに及およんでいる。8:9 しかし、イスラエルの人々ひとびとをソロモンはその工事こうじのためには、ひとりも奴隷どれいとしなかった。彼かれらは兵士へいしとなり、将校しょうこうとなり、戦車せんしゃと、騎兵きへいの長ちょうとなった。8:10 これらはソロモン王おうのおもな官吏かんりで、二百五十人にんあり、民たみを治おさめた。 8:11 ソロモンはパロの娘むすめをダビデの町まちから連つれ上のぼって、彼女かのじょのために建たてた家いえに入いれて言いった、「主しゅの箱はこを迎むかえた所ところは神聖しんせいであるから、わたしの妻つまはイスラエルの王おうダビデの家いえに住すんではならない」。 8:12 ソロモンは廊ろうの前まえに築きずいておいた主しゅの祭壇さいだんの上うえで主しゅに燔祭はんさいをささげた。8:13 すなわちモーセの命令めいれいに従したがって、毎日まいにち定さだめのようにささげ、安息日あんそくにち、新月しんげつおよび年ねんに三度どの祭まつり、すなわち種たね入いれぬパンの祭まつり、七週しゅうの祭まつり、仮庵かりいおの祭まつりにこれをささげた。8:14 ソロモンは、その父ちちダビデのおきてに従したがって、祭司さいしの組くみを定さだめてその職しょくに任にんじ、またレビびとをその勤つとめに任にんじて、毎日まいにち定さだめのように祭司さいしの前まえでさんびと奉仕ほうしをさせ、また門もんを守まもる者ものに、その組くみにしたがって、もろもろの門もんを守まもらせた。これは神かみの人ひとダビデがこのように命めいじたからである。8:15 祭司さいしとレビびとはすべての事ことにつき、また倉くらの事ことについて、王おうの命令めいれいにそむかなかった。 8:16 このようにソロモンは、主しゅの宮みやの基もといをすえた日ひからこれをなし終おえたときまで、その工事こうじの準備じゅんびをことごとくなしたので、主しゅの宮みやは完成かんせいした。 8:17 それからソロモンはエドムの地ちの海うみべにあるエジオン・ゲベルおよびエロテへ行いった。8:18 時ときにヒラムはそのしもべどもの手てによって船団せんだんを彼かれに送おくり、また海うみの事ことになれたしもべどもをつかわしたので、彼かれらはソロモンのしもべらと共ともにオフルへ行いき、そこから金きん四百五十タラントを取とって、これをソロモン王おうのもとに携たずさえてきた。 第9章 9:1 シバの女王じょおうはソロモンの名声めいせいを聞きいたので、難問なんもんをもってソロモンを試こころみようと、非常ひじょうに多おおくの従者じゅうしゃを連つれ、香料こうりょうと非常ひじょうにたくさんの金きんと宝石ほうせきとをらくだに負おわせて、エルサレムのソロモンのもとに来きて、その心こころにあることをことごとく彼かれに告つげた。9:2 ソロモンは彼女かのじょのすべての問といに答こたえた。ソロモンが知しらないで彼女かのじょに説明せつめいのできないことは一つもなかった。9:3 シバの女王じょおうはソロモンの知恵ちえと、彼かれが建たてた家いえを見み、9:4 またその食卓しょくたくの食物しょくもつと、列座れつざの家来けらいたちと、その侍臣じしんたちの伺候しこう振ふりと彼かれらの服装ふくそう、および彼かれの給仕きゅうじたちとその服装ふくそう、ならびに彼かれが主しゅの宮みやでささげる燔祭はんさいを見みて、全まったく気きを奪うばわれてしまった。 9:5 彼女かのじょは王おうに言いった、「わたしが国くにであなたの事ことと、あなたの知恵ちえについて聞きいたうわさは真実しんじつでした。9:6 しかしわたしは来きて目めに見みるまでは、そのうわさを信しんじませんでしたが、今見いまみると、あなたの知恵ちえの大おおいなることはその半分はんぶんもわたしに知しらされませんでした。あなたはわたしの聞きいたうわさにまさっています。9:7 あなたの奥方おくがたたちはさいわいです。常つねにあなたの前まえに立たって、あなたの知恵ちえを聞きくこのあなたの家来けらいたちはさいわいです。9:8 あなたの神かみ、主しゅはほむべきかな。主しゅはあなたを喜よろこび、あなたをその位くらいにつかせ、あなたの神かみ、主しゅのために王おうとされました。あなたの神かみはイスラエルを愛あいして、とこしえにこれを堅かたくするために、あなたをその王おうとされ、公道こうどうと正義せいぎを行おこなわれるのです」。9:9 そして彼女かのじょは金きん百二十タラント、および非常ひじょうに多おおくの香料こうりょうと宝石ほうせきとを王おうに贈おくった。シバの女王じょおうがソロモンに贈おくったような香料こうりょうは、いまだかつてなかった。 9:10 オフルから金きんを携たずさえて来きたヒラムのしもべたちとソロモンのしもべたちはまた、びゃくだんの木きと宝石ほうせきをも携たずさえて来きた。9:11 王おうはそのびゃくだんの木きで、主しゅの宮みやと王おうの家いえとに階段かいだんを造つくり、また歌うたうたう者もののために琴ことと立琴たてごとを つくった。このようなものはかつてユダの地ちで見みたことがなかった。 9:12 ソロモン王おうは、シバの女王じょおうが贈おくった物ものに報むくいたほかに、彼女かのじょの望のぞみにまかせて、すべてその求もとめるものを贈おくった。そして彼女かのじょはその家来けらいたちと共ともに自分じぶんの国くにへ帰かえって行いった。 9:13 さて一年ねんの間あいだにソロモンの所ところにはいって来きた金きんの目方めかたは六百六十六タラントであった。9:14 このほかに貿易ぼうえき商しょうおよび商人しょうにんの携たずさえて来きたものがあった。またアラビヤのすべての王おうたちおよび国くにの代官だいかんたちも金銀きんぎんをソロモンに携たずさえてきた。9:15 ソロモン王おうは延金のべきんの大盾おおだて二百を造つくった。その大盾おおだてにはおのおの六百シケルの延金のべきんを用もちいた。9:16 また延金のべきんの小盾こだて三百を造つくった。小盾こだてにはおのおの三百シケルの金きんを用もちいた。王おうはこれらをレバノンの森もりの家いえに置おいた。9:17 王おうはまた大おおきな象牙ぞうげの玉座ぎょくざを造つくり、純金じゅんきんでこれをおおった。9:18 その玉座ぎょくざには六つの段だんがあり、また金きんの足あし台だいがあって共ともに玉座ぎょくざにつらなり、その座ざする所ところの両方りょうほうに、ひじかけがあって、ひじかけのわきに二つのししが立たっていた。9:19 また十二のししが六つの段だんのおのおのの両側りょうがわに立たっていた。このような物ものはどこの国くにでも造つくられたことがなかった。9:20 ソロモン王おうが飲のむときに用もちいた器うつわはみな金きんであった。またレバノンの森もりの家いえの器うつわもみな純金じゅんきんであって、銀ぎんはソロモンの世よには尊たっとばれなかった。9:21 これは王おうの船ふねがヒラムのしもべたちを乗のせてタルシシへ行いき、三年ねんごとに一度ど、そのタルシシの船ふねが金きん、銀ぎん、象牙ぞうげ、さる、くじゃくを載のせて来きたからである。 9:22 このようにソロモン王おうは富とみと知恵ちえにおいて、地ちのすべての王おうにまさっていたので、9:23 地ちのすべての王おうは神かみがソロモンの心こころに授さづけられた知恵ちえを聞きこうとしてソロモンに謁見えっけんを求もとめた。9:24 人々ひとびとはおのおの贈おくり物ものを携たずさえてきた。すなわち銀ぎんの器うつわ、金きんの器うつわ、衣服いふく、没薬もつやく、香料こうりょう、馬うま、騾馬らばなど年々ねんねん定さだまっていた。9:25 ソロモンは馬うまと戦車せんしゃのために馬屋うまや四千と騎兵きへい一万二千を持もち、これを戦車せんしゃの町まちに置おき、またエルサレムの王おうのもとに置おいた。9:26 彼かれはユフラテ川かわからペリシテびとの地ちと、エジプトの境さかいに至いたるまでのすべての王おうを治おさめた。9:27 王おうはまた銀ぎんを石いしのようにエルサレムに多おおくし、香柏こうはくを平野へいやのいちじく桑くわのように多おおくした。9:28 また人々ひとびとはエジプトおよび諸国しょこくから馬うまをソロモンのために輸入ゆにゅうした。 9:29 ソロモンのそのほかの始終しじゅうの行為こういは、預言者よげんしゃナタンの書しょと、シロびとアヒヤの預言よげんと、先見者せんけんしゃイドがネバテの子こヤラベアムについて述のべた黙示もくしのなかに、しるされているではないか。9:30 ソロモンはエルサレムで四十年ねんの間あいだイスラエルの全ぜん地ちを治おさめた。9:31 ソロモンはその先祖せんぞたちと共ともに眠ねむって、父ちちダビデの町まちに葬ほうむられ、その子こレハベアムが代かわって王おうとなった。 第10章 10:1 レハベアムはシケムへ行いった。すべてのイスラエルびとが彼かれを王おうにしようとシケムへ行いったからである。10:2 ネバテの子こヤラベアムは、ソロモンを避さけてエジプトにのがれていたが、これを聞きいてエジプトから帰かえったので、10:3 人々ひとびとは人ひとをつかわして彼かれを招まねいた。そこでヤラベアムとすべてのイスラエルは来きて、レハベアムに言いった、10:4 「あなたの父ちちは、われわれのくびきを重おもくしましたが、今いまあなたの父ちちのきびしい使役しえきと、あなたの父ちちが、われわれに負おわせた重おもいくびきを軽かるくしてください。そうすればわたしたちはあなたに仕つかえましょう」。10:5 レハベアムは彼かれらに答こたえた、「三日かの後のち、またわたしの所ところに来きなさい」。それで民たみは去さった。 10:6 レハベアム王おうは父ちちソロモンの存命ぞんめい中ちゅうソロモンに仕つかえた長老ちょうろうたちに相談そうだんして言いった、「あなたがたはこの民たみにどう返答へんとうすればよいと思おもいますか」。10:7 彼かれらはレハベアムに言いった、「あなたがもしこの民たみを親切しんせつにあつかい、彼かれらを喜よろこばせ、ねんごろに語かたられるならば彼かれらは長ながくあなたのしもべとなるでしょう」。10:8 しかし彼かれは長老ちょうろうたちが与あたえた勧すすめをすてて、自分じぶんと一緒いっしょに大おおきくなって自分じぶんに仕つかえている若者わかものたちに相談そうだんして、10:9 彼かれらに言いった、「あなたがたは、この民たみがわたしに向むかって、『あなたの父上ちちうえが、われわれに負おわせたくびきを軽かるくしてください』と言いうのに、われわれはなんと返答へんとうすればよいと思おもいますか」。10:10 彼かれと一緒いっしょに大おおきくなった若者わかものたちは彼かれに言いった、「あなたに向むかって、『あなたの父ちちは、われわれのくびきを重おもくしたが、あなたは、それをわれわれのために軽かるくしてください』と言いったこの民たみに、こう言いいなさい、『わたしの小指こゆびは父ちちの腰こしよりも太ふとい、10:11 父ちちはあなたがたに重おもいくびきを負おわせたが、わたしはさらに、あなたがたのくびきを重おもくしよう。父ちちはむちであなたがたを懲こらしたが、わたしはさそりであなたがたを懲こらそう』」。 10:12 さてヤラベアムと民たみは皆みな、王おうが「三日か目めにわたしのところに来きなさい」と言いったとおりに、三日か目めにレハベアムのところへ行いった。10:13 王おうは荒々あらあらしく彼かれらに答こたえた。すなわちレハベアム王おうは長老ちょうろうたちの勧すすめをすて、10:14 若者わかものたちの勧すすめに従したがい、彼かれらに告つげて言いった、「父ちちはあなたがたのくびきを重おもくしたが、わたしは更さらにこれを重おもくしよう。父ちちはむちであなたがたを懲こらしたが、わたしはさそりであなたがたを懲こらそう」。10:15 このように王おうは民たみの言いうことを聞ききいれなかった。これは主しゅが、かつてシロびとアヒヤによって、ネバテの子こヤラベアムに言いわれた言葉ことばを成就じょうじゅするために、神かみがなされたのであった。 10:16 イスラエルの人々ひとびとは皆みな、王おうが自分じぶんたちの言いうことを聞ききいれないのを見みたので、民たみは王おうに答こたえて言いった、 「われわれはダビデのうちに何なにの分ぶんがあろうか。われわれはエッサイの子このうちに嗣し業ぎょうがない。イスラエルよ、めいめいの天幕てんまくに帰かえれ。ダビデよ、今いまあなたの家いえを見みよ」。そしてイスラエルは皆みな彼かれらの天幕てんまくへ去さって行いった。10:17 しかしレハベアムはユダの町々まちまちに住すんでいるイスラエルの人々ひとびとを治おさめた。10:18 レハベアム王おうは徴募ちょうぼ人にんの監督かんとくであったアドラムをつかわしたが、イスラエルの人々ひとびとが石いしで彼かれを撃うち殺ころしたので、レハベアム王おうは急いそいで車くるまに乗のり、エルサレムに逃にげた。10:19 こうしてイスラエルはダビデの家いえにそむいて今日こんにちに至いたった。 第11章 11:1 レハベアムはエルサレムに来きて、ユダとベニヤミンの家いえの者もの、すなわち、えり抜ぬきの軍人ぐんじん十八万人にんを集あつめ、国くにを取とりもどすためにイスラエルと戦たたかおうとしたが、11:2 主しゅの言葉ことばが神かみの人ひとシマヤに臨のぞんで言いった、11:3 「ソロモンの子こ、ユダの王おうレハベアムおよびユダとベニヤミンにいるすべてのイスラエルの人々ひとびとに言いいなさい、11:4 『主しゅはこう仰おおせられる、あなたがたは上のぼってはならない。あなたがたの兄弟きょうだいと戦たたかってはならない。おのおの自分じぶんの家いえに帰かえりなさい。この事ことはわたしから出でたのである』」。それで人々ひとびとは主しゅの言葉ことばを聞きき、ヤラベアムを攻せめに行いくのをやめて帰かえった。 11:5 レハベアムはエルサレムに住すんで、ユダに防衛ぼうえいの町々まちまちを建たてた。11:6 すなわちベツレヘム、エタム、テコア、11:7 ベテズル、ソコ、アドラム、11:8 ガテ、マレシャ、ジフ、11:9 アドライム、ラキシ、アゼカ、11:10 ゾラ、アヤロン、およびヘブロン。これらはユダとベニヤミンにあって要害ようがいの町々まちまちである。11:11 彼かれはその要害ようがいを堅固けんごにし、これに軍ぐん長ちょうを置おき、糧食りょうしょくと油あぶらとぶどう酒しゅをたくわえ、11:12 またそのすべての町まちに盾たてとやりを備そなえて、これを非常ひじょうに強化きょうかし、そしてユダとベニヤミンを確保かくほした。 11:13 イスラエルの全ぜん地ちの祭司さいしとレビびとは四方しほうの境さかいから来きてレハベアムに身みを寄よせた。11:14 すなわちレビびとは自分じぶんの放牧ほうぼく地ちと領地りょうちを離はなれてユダとエルサレムに来きた。これはヤラベアムとその子こらが彼かれらを排斥はいせきして、主しゅの前まえに祭司さいしの務つとめをさせなかったためである。11:15 ヤラベアムは高たかき所ところと、みだらな神かみと、自分じぶんで造つくった子こ牛うしのために自分じぶんの祭司さいしを立たてた。11:16 またイスラエルのすべての部族ぶぞくのうちで、すべてその心こころを傾かたむけて、イスラエルの神かみ、主しゅを求もとめる者ものは先祖せんぞの神かみ、主しゅに犠牲ぎせいをささげるために、レビびとに従したがってエルサレムに来きた。11:17 このように彼かれらはユダの国くにを堅かたくし、ソロモンの子こレハベアムを三年ねんの間あいだ強つよくした。彼かれらは三年ねんの間あいだダビデとソロモンの道みちに歩あゆんだからである。 11:18 レハベアムはダビデの子こエレモテの娘むすめマハラテを妻つまにめとった。マハラテはエッサイの子こエリアブの娘むすめアビハイルが産うんだ者ものである。11:19 彼女かのじょはエウシ、シマリヤおよびザハムの三子しを産うんだ。11:20 彼かれはまた彼女かのじょの後のちにアブサロムの娘むすめマアカをめとった。マアカはアビヤ、アッタイ、ジザおよびシロミテを産うんだ。11:21 レハベアムはアブサロムの娘むすめマアカをすべての妻つまとそばめにまさって愛あいした。彼かれは妻つま十八人にん、そばめ六十人にんをめとって、男おとこの子こ二十八人にんと女おんなの子こ六十人にんをもうけた。11:22 レハベアムはマアカの子こアビヤを立たててかしらとし、その兄弟きょうだいの長ちょうとした。彼かれはアビヤを王おうにしようと思おもったからである。11:23 それで王おうは賢かしこくとり行おこない、そのむすこたちをことごとく、ユダとベニヤミンの全ぜん地方ちほうにあるすべての要害ようがいの町まちに散在さんざいさせ、彼かれらに糧食りょうしょくを多おおく与あたえ、また多おおくの妻つまを得えさせた。 第12章 12:1 レハベアムはその国くにが堅かたく立たち、強つよくなるに及およんで、主しゅのおきてを捨すてた。イスラエルも皆みな彼かれにならった。12:2 彼かれらがこのように主しゅに向むかって罪つみを犯おかしたので、レハベアム王おうの五年ねんにエジプトの王おうシシャクがエルサレムに攻せめ上のぼってきた。12:3 その戦車せんしゃは一千二百、騎兵きへいは六万、また彼かれに従したがってエジプトから来きた民たみ、すなわちリビアびと、スキびと、エチオピヤびとは無数むすうであった。12:4 シシャクはユダの要害ようがいの町々まちまちを取とり、エルサレムに迫せまって来きた。12:5 そこで預言者よげんしゃシマヤは、レハベアムおよびシシャクのゆえに、エルサレムに集あつまったユダのつかさたちのもとにきて言いった、「主しゅはこう仰おおせられる、『あなたがたはわたしを捨すてたので、わたしもあなたがたを捨すててシシャクにわたした』と」。12:6 そこでイスラエルのつかさたち、および王おうはへりくだって、「主しゅは正ただしい」と言いった。12:7 主しゅは彼かれらのへりくだるのを見みられたので、主しゅの言葉ことばがシマヤにのぞんで言いった、「彼かれらがへりくだったから、わたしは彼かれらを滅ほろぼさないで、間まもなく救すくいを施ほどこす。わたしはシシャクの手てによって、怒いかりをエルサレムに注そそぐことをしない。12:8 しかし彼かれらはシシャクのしもべになる。これは彼かれらがわたしに仕つかえることと、国々くにぐにの王おうたちに仕つかえることとの相違そういを知しるためである」。 12:9 エジプトの王おうシシャクはエルサレムに攻せめのぼって、主しゅの宮みやの宝物ほうもつと、王おうの家いえの宝物ほうもつとを奪うばい去さった。すなわちそれらをことごとく奪うばい去さり、またソロモンの造つくった金きんの盾たてをも奪うばい去さった。12:10 それでレハベアム王おうは、その代かわりに青銅せいどうの盾たてを造つくって、王おうの家いえの門もんを守まもる侍衛じえい長ちょうたちの手てに渡わたした。12:11 王おうが主しゅの宮みやにはいるごとに侍衛じえいは来きて、これを負おい、またこれを侍衛じえいのへやへ持もって帰かえった。12:12 レハベアムがへりくだったので主しゅの怒いかりは彼かれを離はなれ、彼かれをことごとく滅ほろぼそうとはされなかった。またユダの事情じじょうもよくなった。 12:13 レハベアム王おうはエルサレムで自分じぶんの地位ちいを確立かくりつし、世よを治おさめた。すなわちレハベアムは四十一歳さいのとき位くらいにつき、十七年ねんの間あいだエルサレムで世よを治おさめた。エルサレムは主しゅがその名なを置おくためにイスラエルのすべての部族ぶぞくのうちから選えらばれた町まちである。彼かれの母はははアンモンの女おんなで、名なをナアマといった。12:14 レハベアムは主しゅを求もとめることに心こころを傾かたむけないで、悪わるい事ことを行おこなった。 12:15 レハベアムの始終しじゅうの行為こういは、預言者よげんしゃシマヤおよび先見者せんけんしゃイドの書しょにしるされているではないか。レハベアムとヤラベアムとの間あいだには絶たえず戦争せんそうがあった。12:16 レハベアムはその先祖せんぞたちと共ともに眠ねむって、ダビデの町まちに葬ほうむられ、その子こアビヤが彼かれに代かわって王おうとなった。 第13章 13:1 ヤラベアム王おうの第だい十八年ねんにアビヤがユダの王おうとなった。13:2 彼かれは三年ねんの間あいだエルサレムで世よを治おさめた。彼かれの母はははギベアのウリエルの娘むすめで、名なをミカヤといった。 13:3 ここにアビヤとヤラベアムとの間あいだに戦争せんそうが起おこり、アビヤは四十万の精兵せいへいから成なる勇敢ゆうかんな軍勢ぐんぜいをもって戦たたかいにいで、ヤラベアムも大だい勇士ゆうしから成なる八十万の精兵せいへいをもって、これに向むかって戦たたかいの備そなえをした。13:4 時ときにアビヤはエフライムの山地さんちにあるゼマライム山やまの上うえに立たって言いった、「ヤラベアムおよびイスラエルの人々ひとびとよ皆みな聞きけ。13:5 あなたがたはイスラエルの神かみ、主しゅが塩しおの契約けいやくをもってイスラエルの国くにをながくダビデとその子孫しそんに賜たまわったことを知しらないのか。13:6 ところがダビデの子こソロモンの家来けらいであるネバテの子こヤラベアムが起たって、その主君しゅくんにそむき、13:7 また卑いやしい無頼ぶらいのともがらが集あつまって彼かれにくみし、ソロモンの子こレハベアムに敵てきしたが、レハベアムは若わかく、かつ意志いしが弱よわくてこれに当あたることができなかった。 13:8 今いままた、あなたがたは大軍たいぐんをたのみ、またヤラベアムが造つくって、あなたがたの神かみとした金きんの子こ牛うしをたのんで、ダビデの子孫しそんの手てにある主しゅの国くにに敵対てきたいしようとしている。13:9 またあなたがたはアロンの子孫しそんである主しゅの祭司さいしとレビびととを追おいだして、他たの国々くにぐにの民たみがするように祭司さいしを立たてたではないか。すなわちだれでも若わかい雄牛おうし一頭とう、雄羊おひつじ七頭とうを携たずさえてきて、自分じぶんを聖別せいべつする者ものは皆みなあの神かみでない者ものの祭司さいしとすることができた。13:10 しかしわれわれにおいては、主しゅがわれわれの神かみであって、われわれは彼かれを捨すてない。また主しゅに仕つかえる祭司さいしはアロンの子孫しそんであり、働はたらきをなす者ものはレビびとである。13:11 彼かれらは朝あさごと夕ゆうごとに主しゅに燔祭はんさいと、こうばしい香こうをささげ、供そなえのパンを純金じゅんきんの机つくえの上うえに供そなえ、また金きんの燭台しょくだいとそのともしび皿さらを整ととのえて、夕ゆうごとにともすのである。このようにわれわれはわれわれの神かみ、主しゅの務つとめを守まもっているが、あなたがたは彼かれを捨すてた。13:12 見みよ、神かみはみずからわれわれと共ともにおられて、われわれのかしらとなられ、また、その祭司さいしたちはラッパを吹ふきならして、あなたがたを攻せめる。イスラエルの人々ひとびとよ、あなたがたの先祖せんぞの神かみ、主しゅに敵てきして戦たたかってはならない。あなたがたは成功せいこうしない」。 13:13 ヤラベアムは伏兵ふくへいを彼かれらのうしろに回まわらせたので、彼かれの軍隊ぐんたいはユダの前まえにあり、伏兵ふくへいは彼かれらのうしろにあった。13:14 ユダはうしろを見みると、敵てきが前まえとうしろとにあったので、主しゅに向むかって呼よばわり、祭司さいしたちはラッパを吹ふいた。13:15 そこでユダの人々ひとびとはときの声こえをあげた。ユダの人々ひとびとがときの声こえをあげると、神かみはヤラベアムとイスラエルの人々ひとびとをアビヤとユダの前まえに打うち敗やぶられたので、13:16 イスラエルの人々ひとびとはユダの前まえから逃にげた。神かみが彼かれらをユダの手てに渡わたされたので、13:17 アビヤとその民たみは、彼かれらをおびただしく撃うち殺ころした。イスラエルの殺ころされて倒たおれた者ものは五十万人にん、皆みな精兵せいへいであった。13:18 このように、この時ときイスラエルの人々ひとびとは打うち負まかされ、ユダの人々ひとびとは勝かちを得えた。彼かれらがその先祖せんぞの神かみ、主しゅを頼たのんだからである。13:19 アビヤはヤラベアムを追撃ついげきして数個すうこの町まちを彼かれから取とった。すなわちベテルとその村里むらざと、エシャナとその村里むらざと、エフロンとその村里むらざとである。13:20 ヤラベアムは、アビヤの世よには再ふたたび力ちからを得えることができず、主しゅに撃うたれて死しんだ。13:21 しかしアビヤは強つよくなり、妻つま十四人にんをめとり、むすこ二十二人にん、むすめ十六人にんをもうけた。13:22 アビヤのその他たの行為こういすなわちその行動こうどうと言葉ことばは、預言者よげんしゃイドの注釈ちゅうしゃくにしるされている。 第14章 14:1 アビヤはその先祖せんぞたちと共ともに眠ねむって、ダビデの町まちに葬ほうむられ、その子こアサが代かわって王おうとなった。アサの治世ちせいに国くには十年ねんの間あいだ、穏おだやかであった。14:2 アサはその神かみ、主しゅの目めに良よしと見みえ、また正ただしと見みえることを行おこなった。14:3 彼かれは異ことなる祭壇さいだんと、もろもろの高たかき所ところを取とり除のぞき、石柱せきちゅうをこわし、アシラ像ぞうを切きり倒たおし、14:4 ユダに命めいじてその先祖せんぞたちの神かみ、主しゅを求もとめさせ、おきてと戒いましめとを行おこなわせ、14:5 ユダのすべての町々まちまちから、高たかき所ところと香こうの祭壇さいだんとを取とり除のぞいた。そして国くには彼かれのもとに穏おだやかであった。14:6 彼かれは国くにが穏おだやかであったので、要害ようがいの町まち数個すうこをユダに建たてた。また主しゅが彼かれに平安へいあんを賜たまわったので、この年としごろ戦争せんそうがなかった。14:7 彼かれはユダに言いった、「われわれはこれらの町まちを建たて、その周囲しゅういに石いしがきを築きずき、やぐらを建たて、門もんと貫かんの木きを設もうけよう。われわれがわれわれの神かみ、主しゅを求もとめたので、この国くにはなおわれわれのものであり、われわれが彼かれを求もとめたので、四方しほうにおいて、われわれに平安へいあんを賜たまわった」。こうして彼かれらは滞とどこおりなく建たて終おわった。14:8 アサの軍隊ぐんたいはユダから出でた者もの三十万人にんあって、盾たてとやりをとり、ベニヤミンから出でた者もの二十八万人にんあって、小盾こだてをとり、弓ゆみを引ひいた。これはみな大だい勇士ゆうしであった。 14:9 エチオピヤびとゼラが、百万の軍隊ぐんたいと三百の戦車せんしゃを率ひきいて、マレシャまで攻せめてきた。14:10 アサは出でて、これを迎むかえ、マレシャのゼパタの谷たにに戦たたかいの備そなえをした。14:11 時ときにアサはその神かみ、主しゅに向むかって呼よばわって言いった、「主しゅよ、力ちからのある者ものを助たすけることも、力ちからのない者ものを助たすけることも、あなたにおいては異ことなることはありません。われわれの神かみ、主しゅよ、われわれをお助たすけください。われわれはあなたに寄より頼たのみ、あなたの名なによってこの大軍たいぐんに当あたります。主しゅよ、あなたはわれわれの神かみです。どうぞ人ひとをあなたに勝かたせないでください」。14:12 そこで主しゅはアサの前まえとユダの前まえでエチオピヤびとを撃うち敗やぶられたので、エチオピヤびとは逃にげ去さった。14:13 アサと彼かれに従したがう民たみは彼かれらをゲラルまで追撃ついげきしたので、エチオピヤびとは倒たおれて、生いき残のこった者ものはひとりもなかった。主しゅと主しゅの軍勢ぐんぜいの前まえに撃うち破やぶられたからである。ユダの人々ひとびとの得えたぶんどり物ものは非常ひじょうに多おおかった。14:14 彼かれらはまた、ゲラルの周囲しゅういの町々まちまちをことごとく撃うち破やぶった。主しゅの恐おそれが彼かれらの上うえに臨のぞんだからである。そして彼かれらはそのすべての町まちをかすめ奪うばった。その内うちに多おおくの物ものがあったからである。14:15 また家畜かちくをもっている者ものの天幕てんまくを襲おそい、多おおくの羊ひつじとらくだを奪うばい取とって、エルサレムに帰かえった。
3:1 ソロモンはエルサレムのモリアの山やまに主しゅの宮みやを建たてることを始はじめた。そこは父ちちダビデに主しゅが現あらわれられた所ところ、すなわちエブスびとオルナンの打うち場ばにダビデが備そなえた所ところである。
3:2 ソロモンが宮みやを建たて始はじめたのは、その治世ちせいの四年ねんの二月がつであった。
3:3 ソロモンの建たてた神かみの宮みやの基もといの寸法すんぽうは次つぎのとおりである。すなわち昔むかしの尺度しゃくどによれば長ながさ六十キュビト、幅はば二十キュビト、
3:4 宮みやの前まえの廊ろうは宮みやの幅はばに従したがって長ながさ二十キュビト高たかさ百二十キュビトで、その内部ないぶは純金じゅんきんでおおった。
3:5 またその拝殿はいでんはいとすぎの板いたで張はり、精せい金きんをもってこれをおおい、その上うえにしゅろと鎖くさりの形かたちを施ほどこした。
3:6 また宝石ほうせきをはめ込こんで宮みやを飾かざった。その金きんはパルワイムの金きんであった。
3:7 彼かれはまた金きんをもってその宮みや、すなわち、梁はり、敷居しきい、壁かべおよび戸とをおおい、壁かべの上うえにケルビムを彫ほりつけた。
3:8 彼かれはまた至聖所しせいじょを造つくった。その長ながさは宮みやの長ながさにしたがって二十キュビト、幅はばも二十キュビトである。彼かれは精せい金きん六百タラントをもってこれをおおった。
3:9 その釘くぎの金きんの重おもさは五十シケルであった。彼かれはまた階上かいじょうの室しつも金きんでおおった。
3:10 彼かれは至聖所しせいじょに木きを刻きざんだケルビムの像ぞうを二つ造つくり、これを金きんでおおった。
3:11 ケルビムの翼つばさの長ながさは合あわせて二十キュビトあった。すなわち一つのケルブの一つの翼つばさは五キュビトで、宮みやの壁かべに届とどき、ほかの翼つばさも五キュビトで、他たのケルブの翼つばさに届とどき、
3:12 他たのケルブの一つの翼つばさも五キュビトで、宮みやの壁かべに届とどき、ほかの翼つばさも五キュビトで、先さきのケルブの翼つばさに接せっしていた。
3:13 これらのケルビムの翼つばさは広ひろげると二十キュビトあった。かれらは共ともに足あしで立たち、その顔かおは拝殿はいでんに向むかっていた。
3:14 ソロモンはまた青あお糸いと、紫むらさき糸いと、緋ひ糸いとおよび亜麻あま糸いとで垂幕たれまくを造つくり、その上うえにケルビムの縫ぬい取とりを施ほどこした。
3:15 彼かれは宮みやの前まえに柱はしらを二本ほん造つくった。その高たかさは三十五キュビト、おのおのの柱はしらの頂いただきに五キュビトの柱頭ちゅうとうを造つくった。
3:16 彼かれは首くび飾かざりのような鎖くさりを造つくって、柱はしらの頂いただきにつけ、ざくろ百を つくってその鎖くさりの上うえにつけた。
3:17 彼かれはこの柱はしらを神殿しんでんの前まえに、一本ぽんを南みなみの方ほうに、一本ぽんを北きたの方ほうに立たて、南みなみの方ほうのをヤキンと名なづけ、北きたの方ほうのをボアズと名なづけた。
第4章 4:1 ソロモンはまた青銅せいどうの祭壇さいだんを造つくった。その長ながさ二十キュビト、幅はば二十キュビト、高たかさ十キュビトである。4:2 彼かれはまた海うみを鋳いて造つくった。縁ふちから縁ふちまで十キュビトであって、周囲しゅういは円形えんけいをなし、高たかさ五キュビトで、その周囲しゅういは綱つなをもって測はかると三十キュビトあった。4:3 海うみの下したには三十キュビトの周囲しゅういをめぐるひさごの形かたちがあって、海うみの周囲しゅういを囲かこんでいた。そのひさごは二並ならびで、海うみを鋳いる時ときに鋳いたものである。4:4 その海うみは十二の牛うしの上うえに置おかれ、その三つは北きたに向むかい、三つは西にしに向むかい、三つは南みなみに向むかい、三つは東ひがしに向むかっていた。海うみはその上うえに置おかれ、牛うしのうしろはみな内うちに向むかっていた。4:5 海うみの厚あつさは手ての幅はばで、その縁ふちは杯はいの縁ふちのように、ゆりの花はなに似にせて造つくられた。海うみには水みずを三千バテ入いれることができた。4:6 彼かれはまた物ものを洗あらうために洗盤せんばん十個こを つくって、五個こを南側みなみがわに、五個こを北側きたがわに置おいた。その中なかで燔祭はんさいに用もちいるものを洗あらった。しかし海うみは祭司さいしがその中なかで身みを洗あらうためであった。 4:7 彼かれはまた金きんの燭台しょくだい十個こをその定さだめに従したがって造つくり、拝殿はいでんの中なかの南側みなみがわに五個こ、北側きたがわに五個こを置おき、4:8 また机つくえ十個こを造つくり、神殿しんでんの中なかの南側みなみがわに五個こ、北側きたがわに五個こを置おき、また金きんの鉢はち百を つくった。4:9 彼かれはまた祭司さいしの庭にわと大庭おおにわおよび庭にわの戸とを造つくり、その戸とを青銅せいどうでおおった。4:10 彼かれは海うみを宮みやの東南とうなんのすみにすえた。 4:11 ヒラムはまたつぼと十能じゅうのうと鉢はちとを造つくった。こうしてヒラムはソロモン王おうのため、神かみの宮みやの工事こうじを終おえた。4:12 すなわち二本ほんの柱はしらと玉たまと、柱はしらの頂いただきにある二つの柱頭ちゅうとうと、柱はしらの頂いただきにある柱頭ちゅうとうの二つの玉たまをおおう二つの網あみ細工ざいくと、4:13 その二つの網あみ細工ざいくのためのざくろ四百、このざくろはおのおの網あみ細工ざいくに二並ならびにつけて、柱はしらの頂いただきにある柱頭ちゅうとうの二つの玉たまを巻まいていた。4:14 彼かれはまた台だいと台だいの上うえの洗盤せんばんと、4:15 一つの海うみとその下したの十二の牛うしを つくった。4:16 つぼ、十能じゅうのう、肉にくさしなどすべてこれらの器物うつわものを、達人たつじんヒラムはソロモン王おうのため、主しゅの宮みやのために、光ひかりのある青銅せいどうで造つくった。4:17 王おうはヨルダンの低地ていちで、スコテとゼレダの間あいだの粘土ねんどの地ちでこれを鋳いた。4:18 このようにソロモンはこれらのすべての器物うつわものを非常ひじょうに多おおく造つくったので、その青銅せいどうの重量じゅうりょうは、量はかることができなかった。 4:19 こうしてソロモンは神かみの宮みやのすべての器物うつわものを造つくった。すなわち金きんの祭壇さいだんと、供そなえのパンを載のせる机つくえ、4:20 また定さだめのように本殿ほんでんの前まえで火ひをともす純金じゅんきんの燭台しょくだいと、そのともしび皿さらを つくった。4:21 その花はな、ともしび皿さら、心こころかきは精せい金きんであった。4:22 また心切しんきりばさみ、鉢はち、香こうの杯はい、心取しんとり皿ざらは純金じゅんきんであった。また宮みやの戸と、すなわち至聖所しせいじょの内部ないぶの戸とおよび拝殿はいでんの戸とのひじつぼは金きんであった。 第5章 5:1 こうしてソロモンは主しゅの宮みやのためにしたすべての工事こうじを終おわった。そしてソロモンは父ちちダビデがささげた物もの、すなわち金銀きんぎんおよびもろもろの器物うつわものを携たずさえて行いって神かみの宮みやの宝蔵ほうぞうに納おさめた。 5:2 ソロモンは主しゅの契約けいやくの箱はこをダビデの町まちシオンからかつぎ上のぼろうとして、イスラエルの長老ちょうろうたちと、すべての部族ぶぞくのかしらたちと、イスラエルの人々ひとびとの氏族しぞくの長ちょうたちをエルサレムに召めし集あつめた。5:3 イスラエルの人々ひとびとは皆みな七月がつの祭まつりに王おうのもとに集あつまった。5:4 イスラエルの長老ちょうろうたちが皆みなきたので、レビびとたちは箱はこを取とり上あげた。5:5 彼かれらは箱はこと、会見かいけんの幕屋まくやと、幕屋まくやにあるすべて聖せいなる器うつわをかつぎ上のぼった。すなわち祭司さいしとレビびとがこれらの物ものをかつぎ上のぼった。5:6 ソロモン王おうおよび彼かれのもとに集あつまったイスラエルの会衆かいしゅうは皆みな箱はこの前まえで羊ひつじと牛うしをささげたが、その数かずが多おおくて、調しらべることも数かぞえることもできなかった。5:7 こうして祭司さいしたちは主しゅの契約けいやくの箱はこをその場所ばしょにかつぎ入いれ、宮みやの本殿ほんでんである至聖所しせいじょのうちのケルビムの翼つばさの下したに置おいた。5:8 ケルビムは翼つばさを箱はこの所ところの上うえに伸のべていたので、ケルビムは上うえから箱はことそのさおをおおった。5:9 さおは長ながかったので、さおの端はしが本殿ほんでんの前まえの聖所せいじょから見みえた。しかし外部がいぶには見みえなかった。さおは今日こんにちまでそこにある。5:10 箱はこの内うちには二枚まいの板いたのほか何なにもなかった。これはイスラエルの人々ひとびとがエジプトから出でて来きたとき、主しゅが彼かれらと契約けいやくを結むすばれ、モーセがホレブでそれを納おさめたものである。5:11 そして祭司さいしたちが聖所せいじょから出でたとき(ここにいた祭司さいしたちは皆みな、その組くみの順じゅんにかかわらず身みを清きよめた。5:12 またレビびとの歌うたうたう者もの、すなわちアサフ、ヘマン、エドトンおよび彼かれらの子こたちと兄弟きょうだいたちはみな亜麻あま布ぬのを着き、シンバルと、立琴たてごとと、琴ことをとって祭壇さいだんの東ひがしに立たち、百二十人にんの祭司さいしは彼かれらと一緒いっしょに立たってラッパを吹ふいた。5:13 ラッパ吹ふく者ものと歌うたうたう者ものとは、ひとりのように声こえを合あわせて主しゅをほめ、感謝かんしゃした)、そして彼かれらがラッパと、シンバルとその他たの楽器がっきをもって声こえをふりあげ、主しゅをほめて 「主しゅは恵めぐみあり、そのあわれみはとこしえに絶たえることがない」と言いったとき、雲くもはその宮みやすなわち主しゅの宮みやに満みちた。5:14 祭司さいしたちは雲くものゆえに立たって勤つとめをすることができなかった。主しゅの栄光えいこうが神かみの宮みやに満みちたからである。 第6章 6:1 そこでソロモンは言いった、 「主しゅはみずから濃こき雲くもの中なかに住すまおうと言いわれた。6:2 しかしわたしはあなたのために高たかき家いえ、とこしえのみすまいを建たてた」。6:3 そして王おうは顔かおをふり向むけてイスラエルの全ぜん会衆かいしゅうを祝福しゅくふくした。その時ときイスラエルの全ぜん会衆かいしゅうは立たっていた。6:4 彼かれは言いった、「イスラエルの神かみ、主しゅはほむべきかな。主しゅは口くちをもってわが父ちちダビデに約束やくそくされたことを、その手てをもってなし遂とげられた。すなわち主しゅは言いわれた、6:5 『わが民たみをエジプトの地ちから導みちびき出だした日ひから、わたしはわが名なを置おくべき家いえを建たてるために、イスラエルのもろもろの部族ぶぞくのうちから、どの町まちをも選えらんだことがなく、また他たのだれをもわが民たみイスラエルの君きみとして選えらんだことがない。6:6 わが名なを置おくために、ただエルサレムだけを選えらび、またわが民たみイスラエルを治おさめさせるために、ただダビデだけを選えらんだ』。6:7 イスラエルの神かみ、主しゅの名なのために家いえを建たてることは、父ちちダビデの心こころにあった。6:8 しかし主しゅは父ちちダビデに言いわれた、『わたしの名なのために家いえを建たてることはあなたの心こころにあった。あなたの心こころにこの事ことのあったのは結構けっこうである。6:9 しかしあなたはその家いえを建たててはならない。あなたの腰こしから出でるあなたの子こがわたしの名なのために家いえを建たてるであろう』。6:10 そして主しゅはそう言いわれた言葉ことばを行おこなわれた。すなわちわたしは父ちちダビデに代かわって立たち、主しゅが言いわれたように、イスラエルの位くらいに座ざし、イスラエルの神かみ、主しゅの名なのために家いえを建たてた。6:11 わたしはまた、主しゅがイスラエルの人々ひとびとと結むすばれた主しゅの契約けいやくを入いれた箱はこをそこに納おさめた」。 6:12 ソロモンはイスラエルの全ぜん会衆かいしゅうの前まえ、主しゅの祭壇さいだんの前まえに立たって、手てを伸のべた。6:13 ソロモンはさきに長ながさ五キュビト、幅はば五キュビト、高たかさ三キュビトの青銅せいどうの台だいを造つくって、庭にわのまん中なかにすえて置おいたので、彼かれはその上うえに立たち、イスラエルの全ぜん会衆かいしゅうの前まえでひざをかがめ、その手てを天てんに伸のべて、6:14 言いった、「イスラエルの神かみ、主しゅよ、天てんにも地ちにも、あなたのような神かみはありません。あなたは契約けいやくを守まもられ、心こころをつくしてあなたの前まえに歩あゆむあなたのしもべらに、いつくしみを施ほどこし、6:15 あなたのしもべ、わたしの父ちちダビデに約束やくそくされたことを守まもられました。あなたが口くちをもって約束やくそくされたことを、手てをもってなし遂とげられたことは、今日こんにち見みるとおりであります。6:16 それゆえ、イスラエルの神かみ、主しゅよ、あなたのしもべ、わたしの父ちちダビデに、あなたが約束やくそくして、『おまえがわたしの前まえに歩あゆんだように、おまえの子孫しそんがその道みちを慎つつしんで、わたしのおきてに歩あゆむならば、おまえにはイスラエルの位くらいに座ざする人ひとがわたしの前まえに かけることはない』と言いわれたことを、ダビデのためにお守まもりください。6:17 それゆえ、イスラエルの神かみ、主しゅよ、どうぞ、あなたのしもべダビデに言いわれた言葉ことばを確認かくにんしてください。 6:18 しかし神かみは、はたして人ひとと共ともに地上ちじょうに住すまわれるでしょうか。見みよ、天てんも、いと高たかき天てんもあなたをいれることはできません。わたしの建たてたこの家いえなどなおさらです。6:19 しかしわが神かみ、主しゅよ、しもべの祈いのりと願ねがいを顧かえりみて、しもべがあなたの前まえにささげる叫さけびと祈いのりをお聞ききください。6:20 どうぞ、あなたの目めを昼ひるも夜よるもこの家いえに、すなわち、あなたの名なをそこに置おくと言いわれた所ところに向むかってお開ひらきください。どうぞ、しもべがこの所ところに向むかってささげる祈いのりをお聞ききください。6:21 どうぞ、しもべと、あなたの民たみイスラエルがこの所ところに向むかって祈いのる時ときに、その願ねがいをお聞ききください。あなたのすみかである天てんから聞きき、聞きいておゆるしください。 6:22 もし人ひとがその隣となり人びとに対たいして罪つみを犯おかし、誓ちかいをすることを求もとめられるとき、来きてこの宮みやで、あなたの祭壇さいだんの前まえに誓ちかうならば、6:23 あなたは天てんから聞きいて、行おこない、あなたのしもべらをさばき、悪人あくにんに報むくいをなして、その行おこないの報むくいをそのこうべに帰きし、義人ぎじんを義ぎとして、その義ぎにしたがってその人ひとに報むくいてください。 6:24 もしあなたの民たみイスラエルが、あなたに対たいして罪つみを犯おかしたために、敵てきの前まえに敗やぶれた時とき、あなたに立たち返かえって、あなたの名なをあがめ、この宮みやであなたの前まえに祈いのり願ねがうならば、6:25 あなたは天てんから聞きき、あなたの民たみイスラエルの罪つみをゆるして、あなたが彼かれらとその先祖せんぞに与あたえられた地ちに彼かれらを帰かえらせてください。 6:26 もし彼かれらがあなたに罪つみを犯おかしたために、天てんが閉とざされて、雨あめがなく、あなたが彼かれらを苦くるしめられるとき、彼かれらがこの所ところに向むかって祈いのり、あなたの名なをあがめ、その罪つみを離はなれるならば、6:27 あなたは天てんにあって聞きき、あなたのしもべ、あなたの民たみイスラエルの罪つみをゆるして、彼かれらに歩あゆむべき良よい道みちを教おしえ、あなたの民たみに嗣し業ぎょうとして賜たまわった地ちに雨あめを降ふらせてください。 6:28 もし国くににききんがあるか、もしくは疫病えきびょう、立たち枯がれ、腐くさり穂ほ、いなご、青虫あおむしがあるか、または敵てきのために町まちの門もんの中なかに攻せめ囲かこまれることがあるか、どんな災害さいがい、どんな病気びょうきがあっても、6:29 もし、ひとりか、あるいはあなたの民たみイスラエルが皆みなおのおのその心こころの悩なやみを知しって、この宮みやに向むかい、手てを伸のべるならば、どんな祈いのり、どんな願ねがいでも、6:30 あなたはそのすみかである天てんから聞きいてゆるし、おのおのの人ひとに、その心こころを知しっておられるゆえ、そのすべての道みちにしたがって報むくいてください。ただあなただけがすべての人ひとの心こころを知しっておられるからです。6:31 あなたがわれわれの先祖せんぞたちに賜たまわった地ちに、彼かれらの生いきながらえる日ひの間あいだ、常つねにあなたを恐おそれさせ、あなたの道みちに歩あゆませてください。 6:32 またあなたの民たみイスラエルの者ものでなく、他国たこく人じんで、あなたの大おおいなる名なと、強つよい手てと、伸のべた腕うでのために遠とおい国くにから来きて、この宮みやに向むかって祈いのるならば、6:33 あなたは、あなたのすみかである天てんから聞きき、すべて他国たこく人じんがあなたに呼よび求もとめるようにしてください。そうすれば地ちのすべての民たみはあなたの民たみイスラエルのように、あなたの名なを知しり、あなたを恐おそれ、またわたしが建たてたこの宮みやが、あなたの名なによって呼よばれることを知しるにいたるでしょう。 6:34 あなたの民たみが敵てきと戦たたかうために、あなたがつかわされる道みちによって出でるとき、もし彼かれらがあなたの選えらばれたこの町まちと、わたしがあなたの名なのために建たてたこの宮みやに向むかってあなたに祈いのるならば、6:35 あなたは天てんから彼かれらの祈いのりと願ねがいとを聞きいて彼かれらをお助たすけください。6:36 彼かれらがあなたに対たいして罪つみを犯おかすことがあって、――罪つみを犯おかさない人ひとはないゆえ、――あなたが彼かれらを怒いかって、敵てきにわたし、敵てきが彼かれらを捕虜ほりょとして遠とおい地ちあるいは近ちかい地ちに引ひいて行いくとき、6:37 もし、彼かれらが捕とらわれて行いった地ちで、みずから省かえりみて悔くい、その捕とらわれの地ちであなたに願ねがい、『われわれは罪つみを犯おかし、よこしまな事ことをし、悪あくを行おこないました』と言いい、6:38 その捕とらわれの地ちで心こころをつくし、精神せいしんをつくしてあなたに立たち返かえり、あなたが彼かれらの先祖せんぞに与あたえられた地ち、あなたが選えらばれた町まち、わたしがあなたの名なのために建たてたこの宮みやに向むかって祈いのるならば、6:39 あなたのすみかである天てんから、彼かれらの祈いのりと願ねがいとを聞きいて彼かれらを助たすけ、あなたに向むかって罪つみを犯おかしたあなたの民たみをおゆるしください。6:40 わが神かみよ、どうぞ、この所ところでささげる祈いのりにあなたの目めを開ひらき、あなたの耳みみを傾かたむけてください。 6:41 主しゅなる神かみよ、今いまあなたと、あなたの力ちからの箱はこが立たって、あなたの安息所あんそくじょにおはいりください。主しゅなる神かみよ、どうぞあなたの祭司さいしたちに救すくいの衣ころもを着きせ、あなたの聖徒せいとたちに恵めぐみを喜よろこばせてください。 6:42 主しゅなる神かみよ、どうぞあなたの油あぶらそそがれた者ものの顔かおを退しりぞけないでください。あなたのしもべダビデに示しめされたいつくしみを覚おぼえて下ください」。 第7章 7:1 ソロモンが祈いのり終おわったとき、天てんから火ひが下くだって燔祭はんさいと犠牲ぎせいを焼やき、主しゅの栄光えいこうが宮みやに満みちた。7:2 主しゅの栄光えいこうが主しゅの宮みやに満みちたので、祭司さいしたちは主しゅの宮みやに、はいることができなかった。7:3 イスラエルの人々ひとびとはみな火ひが下くだったのを見み、また主しゅの栄光えいこうが宮みやに臨のぞんだのを見みて、敷石しきいしの上うえで地ちにひれ伏ふして拝はいし、主しゅに感謝かんしゃして言いった、 「主しゅは恵めぐみふかく、そのいつくしみはとこしえに絶たえることがない」。7:4 そして王おうと民たみは皆みな主しゅの前まえに犠牲ぎせいをささげた。7:5 ソロモン王おうのささげた犠牲ぎせいは、牛うし二万二千頭とう、羊ひつじ十二万頭とうであった。こうして王おうと民たみは皆みな神かみの宮みやをささげた。7:6 祭司さいしはその持もち場ばに立たち、レビびとも主しゅの楽器がっきをとって立たった。その楽器がっきはダビデ王おうが主しゅに感謝かんしゃするために造つくったもので、ダビデが彼かれらの手てによってさんびをささげるとき、「そのいつくしみは、とこしえに絶たえることがない」ととなえさせたものである。祭司さいしは彼かれらの前まえでラッパを吹ふき、すべてのイスラエルびとは立たっていた。 7:7 ソロモンはまた主しゅの宮みやの前まえにある庭にわの中なかを聖別せいべつし、その所ところで、燔祭はんさいと酬恩祭しゅうおんさいのあぶらをささげた。これはソロモンが造つくった青銅せいどうの祭壇さいだんが、その燔祭はんさいと素祭そさいとあぶらとを載のせるに足たりなかったからである。 7:8 その時ときソロモンは七日なぬかの間あいだ祭まつりを行おこなった。ハマテの入口いりぐちからエジプトの川かわに至いたるまでのすべてのイスラエルびとが彼かれと共ともにあり、非常ひじょうに大おおきな会衆かいしゅうであった。7:9 そして八日か目めに聖せい会かいを開ひらいた。彼かれらは七日なぬかの間あいだ、祭壇さいだん奉献ほうけんの礼れいを行おこない、七日なぬかの間あいだ祭まつりを行おこなったが、7:10 七月がつ二十三日にちに至いたってソロモンは民たみをその天幕てんまくに帰かえらせた。皆みな主しゅがダビデ、ソロモンおよびその民たみイスラエルに施ほどこされた恵めぐみのために喜よろこび、かつ心こころに楽たのしんで去さった。 7:11 こうしてソロモンは主しゅの家いえと王おうの家いえとを造つくり終おえた。すなわち彼かれは主しゅの家いえと自分じぶんの家いえについて、しようと計画けいかくしたすべての事ことを首尾しゅびよくなし遂とげた。7:12 時ときに主しゅは夜よるソロモンに現あらわれて言いわれた、「わたしはあなたの祈いのりを聞きき、この所ところをわたしのために選えらんで、犠牲ぎせいをささげる家いえとした。7:13 わたしが天てんを閉とじて雨あめをなくし、またはわたしがいなごに命めいじて地ちの物ものを食くわせ、または疫病えきびょうを民たみの中なかに送おくるとき、7:14 わたしの名なをもってとなえられるわたしの民たみが、もしへりくだり、祈いのって、わたしの顔かおを求もとめ、その悪わるい道みちを離はなれるならば、わたしは天てんから聞きいて、その罪つみをゆるし、その地ちをいやす。7:15 今いまこの所ところにささげられる祈いのりにわたしの目めを開ひらき、耳みみを傾かたむける。7:16 今いまわたしはわたしの名なをながくここにとどめるために、この宮みやを選えらび、かつ聖別せいべつした。わたしの目めとわたしの心こころは常つねにここにある。7:17 あなたがもし父ちちダビデの歩あゆんだようにわたしの前まえに歩あゆみ、わたしが命めいじたとおりにすべて行いって、わたしの定さだめとおきてとを守まもるならば、7:18 わたしはあなたの父ちちダビデに契約けいやくして『イスラエルを治おさめる人ひとはあなたに欠かけることがない』と言いったとおりに、あなたの王おうの位くらいを堅かたくする。 7:19 しかし、あなたがたがもし翻ひるがえって、わたしがあなたがたの前まえに置おいた定さだめと戒いましめとを捨すて、行いって他たの神々かみがみに仕つかえ、それを拝おがむならば、7:20 わたしはあなたがたをわたしの与あたえた地ちから抜ぬき去さり、またわたしの名なのために聖別せいべつしたこの宮みやをわたしの前まえから投なげ捨すてて、もろもろの民たみのうちにことわざとし、笑わらい草ぐさとする。7:21 またこの宮みやは高たかいけれども、ついには、そのかたわらを過すぎる者ものは皆みな驚おどろいて、『何なにゆえ主しゅはこの地ちと、この宮みやとにこのようにされたのか』と言いうであろう。7:22 その時とき、人々ひとびとは答こたえて『彼かれらはその先祖せんぞたちをエジプトの地ちから導みちびき出だした彼かれらの神かみ、主しゅを捨すてて、他たの神々かみがみにつき従したがい、それを拝おがみ、それに仕つかえたために、主しゅはこのすべての災わざわいを彼かれらの上うえに下くだしたのである』と言いうであろう」。 第8章 8:1 ソロモンは二十年ねんを経へて、主しゅの家いえと自分じぶんの家いえとを建たて終おわった。8:2 またソロモンはヒラムから送おくられた町々まちまちを建たて直なおして、そこにイスラエルの人々ひとびとを住すませた。 8:3 ソロモンはまたハマテ・ゾバを攻せめて、これを取とった。8:4 彼かれはまた荒野あらのにタデモルを建たて、もろもろの倉くらの町まちをハマテに建たてた。8:5 また城壁じょうへき、門もん、貫かんの木きのある堅固けんごな町まち、上うえベテホロンと下したベテホロンを建たてた。8:6 ソロモンはまたバアラテと自分じぶんのもっていたすべての倉くらの町まちと、すべての戦車せんしゃの町まちと、騎兵きへいの町まち、ならびにエルサレム、レバノンおよび自分じぶんの治おさめる全ぜん地方ちほうに建たてようと望のぞんだものを、ことごとく建たてた。8:7 すべてイスラエルの子孫しそんでないヘテびと、アモリびと、ペリジびと、ヒビびと、エブスびとの残のこった民たみ、8:8 その地ちにあって彼かれらのあとに残のこったその子孫しそん、すなわちイスラエルの子孫しそんが滅ほろぼし尽つくさなかった民たみに、ソロモンは強制きょうせい徴募ちょうぼをおこなって今日こんにちに及およんでいる。8:9 しかし、イスラエルの人々ひとびとをソロモンはその工事こうじのためには、ひとりも奴隷どれいとしなかった。彼かれらは兵士へいしとなり、将校しょうこうとなり、戦車せんしゃと、騎兵きへいの長ちょうとなった。8:10 これらはソロモン王おうのおもな官吏かんりで、二百五十人にんあり、民たみを治おさめた。 8:11 ソロモンはパロの娘むすめをダビデの町まちから連つれ上のぼって、彼女かのじょのために建たてた家いえに入いれて言いった、「主しゅの箱はこを迎むかえた所ところは神聖しんせいであるから、わたしの妻つまはイスラエルの王おうダビデの家いえに住すんではならない」。 8:12 ソロモンは廊ろうの前まえに築きずいておいた主しゅの祭壇さいだんの上うえで主しゅに燔祭はんさいをささげた。8:13 すなわちモーセの命令めいれいに従したがって、毎日まいにち定さだめのようにささげ、安息日あんそくにち、新月しんげつおよび年ねんに三度どの祭まつり、すなわち種たね入いれぬパンの祭まつり、七週しゅうの祭まつり、仮庵かりいおの祭まつりにこれをささげた。8:14 ソロモンは、その父ちちダビデのおきてに従したがって、祭司さいしの組くみを定さだめてその職しょくに任にんじ、またレビびとをその勤つとめに任にんじて、毎日まいにち定さだめのように祭司さいしの前まえでさんびと奉仕ほうしをさせ、また門もんを守まもる者ものに、その組くみにしたがって、もろもろの門もんを守まもらせた。これは神かみの人ひとダビデがこのように命めいじたからである。8:15 祭司さいしとレビびとはすべての事ことにつき、また倉くらの事ことについて、王おうの命令めいれいにそむかなかった。 8:16 このようにソロモンは、主しゅの宮みやの基もといをすえた日ひからこれをなし終おえたときまで、その工事こうじの準備じゅんびをことごとくなしたので、主しゅの宮みやは完成かんせいした。 8:17 それからソロモンはエドムの地ちの海うみべにあるエジオン・ゲベルおよびエロテへ行いった。8:18 時ときにヒラムはそのしもべどもの手てによって船団せんだんを彼かれに送おくり、また海うみの事ことになれたしもべどもをつかわしたので、彼かれらはソロモンのしもべらと共ともにオフルへ行いき、そこから金きん四百五十タラントを取とって、これをソロモン王おうのもとに携たずさえてきた。 第9章 9:1 シバの女王じょおうはソロモンの名声めいせいを聞きいたので、難問なんもんをもってソロモンを試こころみようと、非常ひじょうに多おおくの従者じゅうしゃを連つれ、香料こうりょうと非常ひじょうにたくさんの金きんと宝石ほうせきとをらくだに負おわせて、エルサレムのソロモンのもとに来きて、その心こころにあることをことごとく彼かれに告つげた。9:2 ソロモンは彼女かのじょのすべての問といに答こたえた。ソロモンが知しらないで彼女かのじょに説明せつめいのできないことは一つもなかった。9:3 シバの女王じょおうはソロモンの知恵ちえと、彼かれが建たてた家いえを見み、9:4 またその食卓しょくたくの食物しょくもつと、列座れつざの家来けらいたちと、その侍臣じしんたちの伺候しこう振ふりと彼かれらの服装ふくそう、および彼かれの給仕きゅうじたちとその服装ふくそう、ならびに彼かれが主しゅの宮みやでささげる燔祭はんさいを見みて、全まったく気きを奪うばわれてしまった。 9:5 彼女かのじょは王おうに言いった、「わたしが国くにであなたの事ことと、あなたの知恵ちえについて聞きいたうわさは真実しんじつでした。9:6 しかしわたしは来きて目めに見みるまでは、そのうわさを信しんじませんでしたが、今見いまみると、あなたの知恵ちえの大おおいなることはその半分はんぶんもわたしに知しらされませんでした。あなたはわたしの聞きいたうわさにまさっています。9:7 あなたの奥方おくがたたちはさいわいです。常つねにあなたの前まえに立たって、あなたの知恵ちえを聞きくこのあなたの家来けらいたちはさいわいです。9:8 あなたの神かみ、主しゅはほむべきかな。主しゅはあなたを喜よろこび、あなたをその位くらいにつかせ、あなたの神かみ、主しゅのために王おうとされました。あなたの神かみはイスラエルを愛あいして、とこしえにこれを堅かたくするために、あなたをその王おうとされ、公道こうどうと正義せいぎを行おこなわれるのです」。9:9 そして彼女かのじょは金きん百二十タラント、および非常ひじょうに多おおくの香料こうりょうと宝石ほうせきとを王おうに贈おくった。シバの女王じょおうがソロモンに贈おくったような香料こうりょうは、いまだかつてなかった。 9:10 オフルから金きんを携たずさえて来きたヒラムのしもべたちとソロモンのしもべたちはまた、びゃくだんの木きと宝石ほうせきをも携たずさえて来きた。9:11 王おうはそのびゃくだんの木きで、主しゅの宮みやと王おうの家いえとに階段かいだんを造つくり、また歌うたうたう者もののために琴ことと立琴たてごとを つくった。このようなものはかつてユダの地ちで見みたことがなかった。 9:12 ソロモン王おうは、シバの女王じょおうが贈おくった物ものに報むくいたほかに、彼女かのじょの望のぞみにまかせて、すべてその求もとめるものを贈おくった。そして彼女かのじょはその家来けらいたちと共ともに自分じぶんの国くにへ帰かえって行いった。 9:13 さて一年ねんの間あいだにソロモンの所ところにはいって来きた金きんの目方めかたは六百六十六タラントであった。9:14 このほかに貿易ぼうえき商しょうおよび商人しょうにんの携たずさえて来きたものがあった。またアラビヤのすべての王おうたちおよび国くにの代官だいかんたちも金銀きんぎんをソロモンに携たずさえてきた。9:15 ソロモン王おうは延金のべきんの大盾おおだて二百を造つくった。その大盾おおだてにはおのおの六百シケルの延金のべきんを用もちいた。9:16 また延金のべきんの小盾こだて三百を造つくった。小盾こだてにはおのおの三百シケルの金きんを用もちいた。王おうはこれらをレバノンの森もりの家いえに置おいた。9:17 王おうはまた大おおきな象牙ぞうげの玉座ぎょくざを造つくり、純金じゅんきんでこれをおおった。9:18 その玉座ぎょくざには六つの段だんがあり、また金きんの足あし台だいがあって共ともに玉座ぎょくざにつらなり、その座ざする所ところの両方りょうほうに、ひじかけがあって、ひじかけのわきに二つのししが立たっていた。9:19 また十二のししが六つの段だんのおのおのの両側りょうがわに立たっていた。このような物ものはどこの国くにでも造つくられたことがなかった。9:20 ソロモン王おうが飲のむときに用もちいた器うつわはみな金きんであった。またレバノンの森もりの家いえの器うつわもみな純金じゅんきんであって、銀ぎんはソロモンの世よには尊たっとばれなかった。9:21 これは王おうの船ふねがヒラムのしもべたちを乗のせてタルシシへ行いき、三年ねんごとに一度ど、そのタルシシの船ふねが金きん、銀ぎん、象牙ぞうげ、さる、くじゃくを載のせて来きたからである。 9:22 このようにソロモン王おうは富とみと知恵ちえにおいて、地ちのすべての王おうにまさっていたので、9:23 地ちのすべての王おうは神かみがソロモンの心こころに授さづけられた知恵ちえを聞きこうとしてソロモンに謁見えっけんを求もとめた。9:24 人々ひとびとはおのおの贈おくり物ものを携たずさえてきた。すなわち銀ぎんの器うつわ、金きんの器うつわ、衣服いふく、没薬もつやく、香料こうりょう、馬うま、騾馬らばなど年々ねんねん定さだまっていた。9:25 ソロモンは馬うまと戦車せんしゃのために馬屋うまや四千と騎兵きへい一万二千を持もち、これを戦車せんしゃの町まちに置おき、またエルサレムの王おうのもとに置おいた。9:26 彼かれはユフラテ川かわからペリシテびとの地ちと、エジプトの境さかいに至いたるまでのすべての王おうを治おさめた。9:27 王おうはまた銀ぎんを石いしのようにエルサレムに多おおくし、香柏こうはくを平野へいやのいちじく桑くわのように多おおくした。9:28 また人々ひとびとはエジプトおよび諸国しょこくから馬うまをソロモンのために輸入ゆにゅうした。 9:29 ソロモンのそのほかの始終しじゅうの行為こういは、預言者よげんしゃナタンの書しょと、シロびとアヒヤの預言よげんと、先見者せんけんしゃイドがネバテの子こヤラベアムについて述のべた黙示もくしのなかに、しるされているではないか。9:30 ソロモンはエルサレムで四十年ねんの間あいだイスラエルの全ぜん地ちを治おさめた。9:31 ソロモンはその先祖せんぞたちと共ともに眠ねむって、父ちちダビデの町まちに葬ほうむられ、その子こレハベアムが代かわって王おうとなった。 第10章 10:1 レハベアムはシケムへ行いった。すべてのイスラエルびとが彼かれを王おうにしようとシケムへ行いったからである。10:2 ネバテの子こヤラベアムは、ソロモンを避さけてエジプトにのがれていたが、これを聞きいてエジプトから帰かえったので、10:3 人々ひとびとは人ひとをつかわして彼かれを招まねいた。そこでヤラベアムとすべてのイスラエルは来きて、レハベアムに言いった、10:4 「あなたの父ちちは、われわれのくびきを重おもくしましたが、今いまあなたの父ちちのきびしい使役しえきと、あなたの父ちちが、われわれに負おわせた重おもいくびきを軽かるくしてください。そうすればわたしたちはあなたに仕つかえましょう」。10:5 レハベアムは彼かれらに答こたえた、「三日かの後のち、またわたしの所ところに来きなさい」。それで民たみは去さった。 10:6 レハベアム王おうは父ちちソロモンの存命ぞんめい中ちゅうソロモンに仕つかえた長老ちょうろうたちに相談そうだんして言いった、「あなたがたはこの民たみにどう返答へんとうすればよいと思おもいますか」。10:7 彼かれらはレハベアムに言いった、「あなたがもしこの民たみを親切しんせつにあつかい、彼かれらを喜よろこばせ、ねんごろに語かたられるならば彼かれらは長ながくあなたのしもべとなるでしょう」。10:8 しかし彼かれは長老ちょうろうたちが与あたえた勧すすめをすてて、自分じぶんと一緒いっしょに大おおきくなって自分じぶんに仕つかえている若者わかものたちに相談そうだんして、10:9 彼かれらに言いった、「あなたがたは、この民たみがわたしに向むかって、『あなたの父上ちちうえが、われわれに負おわせたくびきを軽かるくしてください』と言いうのに、われわれはなんと返答へんとうすればよいと思おもいますか」。10:10 彼かれと一緒いっしょに大おおきくなった若者わかものたちは彼かれに言いった、「あなたに向むかって、『あなたの父ちちは、われわれのくびきを重おもくしたが、あなたは、それをわれわれのために軽かるくしてください』と言いったこの民たみに、こう言いいなさい、『わたしの小指こゆびは父ちちの腰こしよりも太ふとい、10:11 父ちちはあなたがたに重おもいくびきを負おわせたが、わたしはさらに、あなたがたのくびきを重おもくしよう。父ちちはむちであなたがたを懲こらしたが、わたしはさそりであなたがたを懲こらそう』」。 10:12 さてヤラベアムと民たみは皆みな、王おうが「三日か目めにわたしのところに来きなさい」と言いったとおりに、三日か目めにレハベアムのところへ行いった。10:13 王おうは荒々あらあらしく彼かれらに答こたえた。すなわちレハベアム王おうは長老ちょうろうたちの勧すすめをすて、10:14 若者わかものたちの勧すすめに従したがい、彼かれらに告つげて言いった、「父ちちはあなたがたのくびきを重おもくしたが、わたしは更さらにこれを重おもくしよう。父ちちはむちであなたがたを懲こらしたが、わたしはさそりであなたがたを懲こらそう」。10:15 このように王おうは民たみの言いうことを聞ききいれなかった。これは主しゅが、かつてシロびとアヒヤによって、ネバテの子こヤラベアムに言いわれた言葉ことばを成就じょうじゅするために、神かみがなされたのであった。 10:16 イスラエルの人々ひとびとは皆みな、王おうが自分じぶんたちの言いうことを聞ききいれないのを見みたので、民たみは王おうに答こたえて言いった、 「われわれはダビデのうちに何なにの分ぶんがあろうか。われわれはエッサイの子このうちに嗣し業ぎょうがない。イスラエルよ、めいめいの天幕てんまくに帰かえれ。ダビデよ、今いまあなたの家いえを見みよ」。そしてイスラエルは皆みな彼かれらの天幕てんまくへ去さって行いった。10:17 しかしレハベアムはユダの町々まちまちに住すんでいるイスラエルの人々ひとびとを治おさめた。10:18 レハベアム王おうは徴募ちょうぼ人にんの監督かんとくであったアドラムをつかわしたが、イスラエルの人々ひとびとが石いしで彼かれを撃うち殺ころしたので、レハベアム王おうは急いそいで車くるまに乗のり、エルサレムに逃にげた。10:19 こうしてイスラエルはダビデの家いえにそむいて今日こんにちに至いたった。 第11章 11:1 レハベアムはエルサレムに来きて、ユダとベニヤミンの家いえの者もの、すなわち、えり抜ぬきの軍人ぐんじん十八万人にんを集あつめ、国くにを取とりもどすためにイスラエルと戦たたかおうとしたが、11:2 主しゅの言葉ことばが神かみの人ひとシマヤに臨のぞんで言いった、11:3 「ソロモンの子こ、ユダの王おうレハベアムおよびユダとベニヤミンにいるすべてのイスラエルの人々ひとびとに言いいなさい、11:4 『主しゅはこう仰おおせられる、あなたがたは上のぼってはならない。あなたがたの兄弟きょうだいと戦たたかってはならない。おのおの自分じぶんの家いえに帰かえりなさい。この事ことはわたしから出でたのである』」。それで人々ひとびとは主しゅの言葉ことばを聞きき、ヤラベアムを攻せめに行いくのをやめて帰かえった。 11:5 レハベアムはエルサレムに住すんで、ユダに防衛ぼうえいの町々まちまちを建たてた。11:6 すなわちベツレヘム、エタム、テコア、11:7 ベテズル、ソコ、アドラム、11:8 ガテ、マレシャ、ジフ、11:9 アドライム、ラキシ、アゼカ、11:10 ゾラ、アヤロン、およびヘブロン。これらはユダとベニヤミンにあって要害ようがいの町々まちまちである。11:11 彼かれはその要害ようがいを堅固けんごにし、これに軍ぐん長ちょうを置おき、糧食りょうしょくと油あぶらとぶどう酒しゅをたくわえ、11:12 またそのすべての町まちに盾たてとやりを備そなえて、これを非常ひじょうに強化きょうかし、そしてユダとベニヤミンを確保かくほした。 11:13 イスラエルの全ぜん地ちの祭司さいしとレビびとは四方しほうの境さかいから来きてレハベアムに身みを寄よせた。11:14 すなわちレビびとは自分じぶんの放牧ほうぼく地ちと領地りょうちを離はなれてユダとエルサレムに来きた。これはヤラベアムとその子こらが彼かれらを排斥はいせきして、主しゅの前まえに祭司さいしの務つとめをさせなかったためである。11:15 ヤラベアムは高たかき所ところと、みだらな神かみと、自分じぶんで造つくった子こ牛うしのために自分じぶんの祭司さいしを立たてた。11:16 またイスラエルのすべての部族ぶぞくのうちで、すべてその心こころを傾かたむけて、イスラエルの神かみ、主しゅを求もとめる者ものは先祖せんぞの神かみ、主しゅに犠牲ぎせいをささげるために、レビびとに従したがってエルサレムに来きた。11:17 このように彼かれらはユダの国くにを堅かたくし、ソロモンの子こレハベアムを三年ねんの間あいだ強つよくした。彼かれらは三年ねんの間あいだダビデとソロモンの道みちに歩あゆんだからである。 11:18 レハベアムはダビデの子こエレモテの娘むすめマハラテを妻つまにめとった。マハラテはエッサイの子こエリアブの娘むすめアビハイルが産うんだ者ものである。11:19 彼女かのじょはエウシ、シマリヤおよびザハムの三子しを産うんだ。11:20 彼かれはまた彼女かのじょの後のちにアブサロムの娘むすめマアカをめとった。マアカはアビヤ、アッタイ、ジザおよびシロミテを産うんだ。11:21 レハベアムはアブサロムの娘むすめマアカをすべての妻つまとそばめにまさって愛あいした。彼かれは妻つま十八人にん、そばめ六十人にんをめとって、男おとこの子こ二十八人にんと女おんなの子こ六十人にんをもうけた。11:22 レハベアムはマアカの子こアビヤを立たててかしらとし、その兄弟きょうだいの長ちょうとした。彼かれはアビヤを王おうにしようと思おもったからである。11:23 それで王おうは賢かしこくとり行おこない、そのむすこたちをことごとく、ユダとベニヤミンの全ぜん地方ちほうにあるすべての要害ようがいの町まちに散在さんざいさせ、彼かれらに糧食りょうしょくを多おおく与あたえ、また多おおくの妻つまを得えさせた。 第12章 12:1 レハベアムはその国くにが堅かたく立たち、強つよくなるに及およんで、主しゅのおきてを捨すてた。イスラエルも皆みな彼かれにならった。12:2 彼かれらがこのように主しゅに向むかって罪つみを犯おかしたので、レハベアム王おうの五年ねんにエジプトの王おうシシャクがエルサレムに攻せめ上のぼってきた。12:3 その戦車せんしゃは一千二百、騎兵きへいは六万、また彼かれに従したがってエジプトから来きた民たみ、すなわちリビアびと、スキびと、エチオピヤびとは無数むすうであった。12:4 シシャクはユダの要害ようがいの町々まちまちを取とり、エルサレムに迫せまって来きた。12:5 そこで預言者よげんしゃシマヤは、レハベアムおよびシシャクのゆえに、エルサレムに集あつまったユダのつかさたちのもとにきて言いった、「主しゅはこう仰おおせられる、『あなたがたはわたしを捨すてたので、わたしもあなたがたを捨すててシシャクにわたした』と」。12:6 そこでイスラエルのつかさたち、および王おうはへりくだって、「主しゅは正ただしい」と言いった。12:7 主しゅは彼かれらのへりくだるのを見みられたので、主しゅの言葉ことばがシマヤにのぞんで言いった、「彼かれらがへりくだったから、わたしは彼かれらを滅ほろぼさないで、間まもなく救すくいを施ほどこす。わたしはシシャクの手てによって、怒いかりをエルサレムに注そそぐことをしない。12:8 しかし彼かれらはシシャクのしもべになる。これは彼かれらがわたしに仕つかえることと、国々くにぐにの王おうたちに仕つかえることとの相違そういを知しるためである」。 12:9 エジプトの王おうシシャクはエルサレムに攻せめのぼって、主しゅの宮みやの宝物ほうもつと、王おうの家いえの宝物ほうもつとを奪うばい去さった。すなわちそれらをことごとく奪うばい去さり、またソロモンの造つくった金きんの盾たてをも奪うばい去さった。12:10 それでレハベアム王おうは、その代かわりに青銅せいどうの盾たてを造つくって、王おうの家いえの門もんを守まもる侍衛じえい長ちょうたちの手てに渡わたした。12:11 王おうが主しゅの宮みやにはいるごとに侍衛じえいは来きて、これを負おい、またこれを侍衛じえいのへやへ持もって帰かえった。12:12 レハベアムがへりくだったので主しゅの怒いかりは彼かれを離はなれ、彼かれをことごとく滅ほろぼそうとはされなかった。またユダの事情じじょうもよくなった。 12:13 レハベアム王おうはエルサレムで自分じぶんの地位ちいを確立かくりつし、世よを治おさめた。すなわちレハベアムは四十一歳さいのとき位くらいにつき、十七年ねんの間あいだエルサレムで世よを治おさめた。エルサレムは主しゅがその名なを置おくためにイスラエルのすべての部族ぶぞくのうちから選えらばれた町まちである。彼かれの母はははアンモンの女おんなで、名なをナアマといった。12:14 レハベアムは主しゅを求もとめることに心こころを傾かたむけないで、悪わるい事ことを行おこなった。 12:15 レハベアムの始終しじゅうの行為こういは、預言者よげんしゃシマヤおよび先見者せんけんしゃイドの書しょにしるされているではないか。レハベアムとヤラベアムとの間あいだには絶たえず戦争せんそうがあった。12:16 レハベアムはその先祖せんぞたちと共ともに眠ねむって、ダビデの町まちに葬ほうむられ、その子こアビヤが彼かれに代かわって王おうとなった。 第13章 13:1 ヤラベアム王おうの第だい十八年ねんにアビヤがユダの王おうとなった。13:2 彼かれは三年ねんの間あいだエルサレムで世よを治おさめた。彼かれの母はははギベアのウリエルの娘むすめで、名なをミカヤといった。 13:3 ここにアビヤとヤラベアムとの間あいだに戦争せんそうが起おこり、アビヤは四十万の精兵せいへいから成なる勇敢ゆうかんな軍勢ぐんぜいをもって戦たたかいにいで、ヤラベアムも大だい勇士ゆうしから成なる八十万の精兵せいへいをもって、これに向むかって戦たたかいの備そなえをした。13:4 時ときにアビヤはエフライムの山地さんちにあるゼマライム山やまの上うえに立たって言いった、「ヤラベアムおよびイスラエルの人々ひとびとよ皆みな聞きけ。13:5 あなたがたはイスラエルの神かみ、主しゅが塩しおの契約けいやくをもってイスラエルの国くにをながくダビデとその子孫しそんに賜たまわったことを知しらないのか。13:6 ところがダビデの子こソロモンの家来けらいであるネバテの子こヤラベアムが起たって、その主君しゅくんにそむき、13:7 また卑いやしい無頼ぶらいのともがらが集あつまって彼かれにくみし、ソロモンの子こレハベアムに敵てきしたが、レハベアムは若わかく、かつ意志いしが弱よわくてこれに当あたることができなかった。 13:8 今いままた、あなたがたは大軍たいぐんをたのみ、またヤラベアムが造つくって、あなたがたの神かみとした金きんの子こ牛うしをたのんで、ダビデの子孫しそんの手てにある主しゅの国くにに敵対てきたいしようとしている。13:9 またあなたがたはアロンの子孫しそんである主しゅの祭司さいしとレビびととを追おいだして、他たの国々くにぐにの民たみがするように祭司さいしを立たてたではないか。すなわちだれでも若わかい雄牛おうし一頭とう、雄羊おひつじ七頭とうを携たずさえてきて、自分じぶんを聖別せいべつする者ものは皆みなあの神かみでない者ものの祭司さいしとすることができた。13:10 しかしわれわれにおいては、主しゅがわれわれの神かみであって、われわれは彼かれを捨すてない。また主しゅに仕つかえる祭司さいしはアロンの子孫しそんであり、働はたらきをなす者ものはレビびとである。13:11 彼かれらは朝あさごと夕ゆうごとに主しゅに燔祭はんさいと、こうばしい香こうをささげ、供そなえのパンを純金じゅんきんの机つくえの上うえに供そなえ、また金きんの燭台しょくだいとそのともしび皿さらを整ととのえて、夕ゆうごとにともすのである。このようにわれわれはわれわれの神かみ、主しゅの務つとめを守まもっているが、あなたがたは彼かれを捨すてた。13:12 見みよ、神かみはみずからわれわれと共ともにおられて、われわれのかしらとなられ、また、その祭司さいしたちはラッパを吹ふきならして、あなたがたを攻せめる。イスラエルの人々ひとびとよ、あなたがたの先祖せんぞの神かみ、主しゅに敵てきして戦たたかってはならない。あなたがたは成功せいこうしない」。 13:13 ヤラベアムは伏兵ふくへいを彼かれらのうしろに回まわらせたので、彼かれの軍隊ぐんたいはユダの前まえにあり、伏兵ふくへいは彼かれらのうしろにあった。13:14 ユダはうしろを見みると、敵てきが前まえとうしろとにあったので、主しゅに向むかって呼よばわり、祭司さいしたちはラッパを吹ふいた。13:15 そこでユダの人々ひとびとはときの声こえをあげた。ユダの人々ひとびとがときの声こえをあげると、神かみはヤラベアムとイスラエルの人々ひとびとをアビヤとユダの前まえに打うち敗やぶられたので、13:16 イスラエルの人々ひとびとはユダの前まえから逃にげた。神かみが彼かれらをユダの手てに渡わたされたので、13:17 アビヤとその民たみは、彼かれらをおびただしく撃うち殺ころした。イスラエルの殺ころされて倒たおれた者ものは五十万人にん、皆みな精兵せいへいであった。13:18 このように、この時ときイスラエルの人々ひとびとは打うち負まかされ、ユダの人々ひとびとは勝かちを得えた。彼かれらがその先祖せんぞの神かみ、主しゅを頼たのんだからである。13:19 アビヤはヤラベアムを追撃ついげきして数個すうこの町まちを彼かれから取とった。すなわちベテルとその村里むらざと、エシャナとその村里むらざと、エフロンとその村里むらざとである。13:20 ヤラベアムは、アビヤの世よには再ふたたび力ちからを得えることができず、主しゅに撃うたれて死しんだ。13:21 しかしアビヤは強つよくなり、妻つま十四人にんをめとり、むすこ二十二人にん、むすめ十六人にんをもうけた。13:22 アビヤのその他たの行為こういすなわちその行動こうどうと言葉ことばは、預言者よげんしゃイドの注釈ちゅうしゃくにしるされている。 第14章 14:1 アビヤはその先祖せんぞたちと共ともに眠ねむって、ダビデの町まちに葬ほうむられ、その子こアサが代かわって王おうとなった。アサの治世ちせいに国くには十年ねんの間あいだ、穏おだやかであった。14:2 アサはその神かみ、主しゅの目めに良よしと見みえ、また正ただしと見みえることを行おこなった。14:3 彼かれは異ことなる祭壇さいだんと、もろもろの高たかき所ところを取とり除のぞき、石柱せきちゅうをこわし、アシラ像ぞうを切きり倒たおし、14:4 ユダに命めいじてその先祖せんぞたちの神かみ、主しゅを求もとめさせ、おきてと戒いましめとを行おこなわせ、14:5 ユダのすべての町々まちまちから、高たかき所ところと香こうの祭壇さいだんとを取とり除のぞいた。そして国くには彼かれのもとに穏おだやかであった。14:6 彼かれは国くにが穏おだやかであったので、要害ようがいの町まち数個すうこをユダに建たてた。また主しゅが彼かれに平安へいあんを賜たまわったので、この年としごろ戦争せんそうがなかった。14:7 彼かれはユダに言いった、「われわれはこれらの町まちを建たて、その周囲しゅういに石いしがきを築きずき、やぐらを建たて、門もんと貫かんの木きを設もうけよう。われわれがわれわれの神かみ、主しゅを求もとめたので、この国くにはなおわれわれのものであり、われわれが彼かれを求もとめたので、四方しほうにおいて、われわれに平安へいあんを賜たまわった」。こうして彼かれらは滞とどこおりなく建たて終おわった。14:8 アサの軍隊ぐんたいはユダから出でた者もの三十万人にんあって、盾たてとやりをとり、ベニヤミンから出でた者もの二十八万人にんあって、小盾こだてをとり、弓ゆみを引ひいた。これはみな大だい勇士ゆうしであった。 14:9 エチオピヤびとゼラが、百万の軍隊ぐんたいと三百の戦車せんしゃを率ひきいて、マレシャまで攻せめてきた。14:10 アサは出でて、これを迎むかえ、マレシャのゼパタの谷たにに戦たたかいの備そなえをした。14:11 時ときにアサはその神かみ、主しゅに向むかって呼よばわって言いった、「主しゅよ、力ちからのある者ものを助たすけることも、力ちからのない者ものを助たすけることも、あなたにおいては異ことなることはありません。われわれの神かみ、主しゅよ、われわれをお助たすけください。われわれはあなたに寄より頼たのみ、あなたの名なによってこの大軍たいぐんに当あたります。主しゅよ、あなたはわれわれの神かみです。どうぞ人ひとをあなたに勝かたせないでください」。14:12 そこで主しゅはアサの前まえとユダの前まえでエチオピヤびとを撃うち敗やぶられたので、エチオピヤびとは逃にげ去さった。14:13 アサと彼かれに従したがう民たみは彼かれらをゲラルまで追撃ついげきしたので、エチオピヤびとは倒たおれて、生いき残のこった者ものはひとりもなかった。主しゅと主しゅの軍勢ぐんぜいの前まえに撃うち破やぶられたからである。ユダの人々ひとびとの得えたぶんどり物ものは非常ひじょうに多おおかった。14:14 彼かれらはまた、ゲラルの周囲しゅういの町々まちまちをことごとく撃うち破やぶった。主しゅの恐おそれが彼かれらの上うえに臨のぞんだからである。そして彼かれらはそのすべての町まちをかすめ奪うばった。その内うちに多おおくの物ものがあったからである。14:15 また家畜かちくをもっている者ものの天幕てんまくを襲おそい、多おおくの羊ひつじとらくだを奪うばい取とって、エルサレムに帰かえった。
4:1 ソロモンはまた青銅せいどうの祭壇さいだんを造つくった。その長ながさ二十キュビト、幅はば二十キュビト、高たかさ十キュビトである。
4:2 彼かれはまた海うみを鋳いて造つくった。縁ふちから縁ふちまで十キュビトであって、周囲しゅういは円形えんけいをなし、高たかさ五キュビトで、その周囲しゅういは綱つなをもって測はかると三十キュビトあった。
4:3 海うみの下したには三十キュビトの周囲しゅういをめぐるひさごの形かたちがあって、海うみの周囲しゅういを囲かこんでいた。そのひさごは二並ならびで、海うみを鋳いる時ときに鋳いたものである。
4:4 その海うみは十二の牛うしの上うえに置おかれ、その三つは北きたに向むかい、三つは西にしに向むかい、三つは南みなみに向むかい、三つは東ひがしに向むかっていた。海うみはその上うえに置おかれ、牛うしのうしろはみな内うちに向むかっていた。
4:5 海うみの厚あつさは手ての幅はばで、その縁ふちは杯はいの縁ふちのように、ゆりの花はなに似にせて造つくられた。海うみには水みずを三千バテ入いれることができた。
4:6 彼かれはまた物ものを洗あらうために洗盤せんばん十個こを つくって、五個こを南側みなみがわに、五個こを北側きたがわに置おいた。その中なかで燔祭はんさいに用もちいるものを洗あらった。しかし海うみは祭司さいしがその中なかで身みを洗あらうためであった。
4:7 彼かれはまた金きんの燭台しょくだい十個こをその定さだめに従したがって造つくり、拝殿はいでんの中なかの南側みなみがわに五個こ、北側きたがわに五個こを置おき、
4:8 また机つくえ十個こを造つくり、神殿しんでんの中なかの南側みなみがわに五個こ、北側きたがわに五個こを置おき、また金きんの鉢はち百を つくった。
4:9 彼かれはまた祭司さいしの庭にわと大庭おおにわおよび庭にわの戸とを造つくり、その戸とを青銅せいどうでおおった。
4:10 彼かれは海うみを宮みやの東南とうなんのすみにすえた。
4:11 ヒラムはまたつぼと十能じゅうのうと鉢はちとを造つくった。こうしてヒラムはソロモン王おうのため、神かみの宮みやの工事こうじを終おえた。
4:12 すなわち二本ほんの柱はしらと玉たまと、柱はしらの頂いただきにある二つの柱頭ちゅうとうと、柱はしらの頂いただきにある柱頭ちゅうとうの二つの玉たまをおおう二つの網あみ細工ざいくと、
4:13 その二つの網あみ細工ざいくのためのざくろ四百、このざくろはおのおの網あみ細工ざいくに二並ならびにつけて、柱はしらの頂いただきにある柱頭ちゅうとうの二つの玉たまを巻まいていた。
4:14 彼かれはまた台だいと台だいの上うえの洗盤せんばんと、
4:15 一つの海うみとその下したの十二の牛うしを つくった。
4:16 つぼ、十能じゅうのう、肉にくさしなどすべてこれらの器物うつわものを、達人たつじんヒラムはソロモン王おうのため、主しゅの宮みやのために、光ひかりのある青銅せいどうで造つくった。
4:17 王おうはヨルダンの低地ていちで、スコテとゼレダの間あいだの粘土ねんどの地ちでこれを鋳いた。
4:18 このようにソロモンはこれらのすべての器物うつわものを非常ひじょうに多おおく造つくったので、その青銅せいどうの重量じゅうりょうは、量はかることができなかった。
4:19 こうしてソロモンは神かみの宮みやのすべての器物うつわものを造つくった。すなわち金きんの祭壇さいだんと、供そなえのパンを載のせる机つくえ、
4:20 また定さだめのように本殿ほんでんの前まえで火ひをともす純金じゅんきんの燭台しょくだいと、そのともしび皿さらを つくった。
4:21 その花はな、ともしび皿さら、心こころかきは精せい金きんであった。
4:22 また心切しんきりばさみ、鉢はち、香こうの杯はい、心取しんとり皿ざらは純金じゅんきんであった。また宮みやの戸と、すなわち至聖所しせいじょの内部ないぶの戸とおよび拝殿はいでんの戸とのひじつぼは金きんであった。
第5章 5:1 こうしてソロモンは主しゅの宮みやのためにしたすべての工事こうじを終おわった。そしてソロモンは父ちちダビデがささげた物もの、すなわち金銀きんぎんおよびもろもろの器物うつわものを携たずさえて行いって神かみの宮みやの宝蔵ほうぞうに納おさめた。 5:2 ソロモンは主しゅの契約けいやくの箱はこをダビデの町まちシオンからかつぎ上のぼろうとして、イスラエルの長老ちょうろうたちと、すべての部族ぶぞくのかしらたちと、イスラエルの人々ひとびとの氏族しぞくの長ちょうたちをエルサレムに召めし集あつめた。5:3 イスラエルの人々ひとびとは皆みな七月がつの祭まつりに王おうのもとに集あつまった。5:4 イスラエルの長老ちょうろうたちが皆みなきたので、レビびとたちは箱はこを取とり上あげた。5:5 彼かれらは箱はこと、会見かいけんの幕屋まくやと、幕屋まくやにあるすべて聖せいなる器うつわをかつぎ上のぼった。すなわち祭司さいしとレビびとがこれらの物ものをかつぎ上のぼった。5:6 ソロモン王おうおよび彼かれのもとに集あつまったイスラエルの会衆かいしゅうは皆みな箱はこの前まえで羊ひつじと牛うしをささげたが、その数かずが多おおくて、調しらべることも数かぞえることもできなかった。5:7 こうして祭司さいしたちは主しゅの契約けいやくの箱はこをその場所ばしょにかつぎ入いれ、宮みやの本殿ほんでんである至聖所しせいじょのうちのケルビムの翼つばさの下したに置おいた。5:8 ケルビムは翼つばさを箱はこの所ところの上うえに伸のべていたので、ケルビムは上うえから箱はことそのさおをおおった。5:9 さおは長ながかったので、さおの端はしが本殿ほんでんの前まえの聖所せいじょから見みえた。しかし外部がいぶには見みえなかった。さおは今日こんにちまでそこにある。5:10 箱はこの内うちには二枚まいの板いたのほか何なにもなかった。これはイスラエルの人々ひとびとがエジプトから出でて来きたとき、主しゅが彼かれらと契約けいやくを結むすばれ、モーセがホレブでそれを納おさめたものである。5:11 そして祭司さいしたちが聖所せいじょから出でたとき(ここにいた祭司さいしたちは皆みな、その組くみの順じゅんにかかわらず身みを清きよめた。5:12 またレビびとの歌うたうたう者もの、すなわちアサフ、ヘマン、エドトンおよび彼かれらの子こたちと兄弟きょうだいたちはみな亜麻あま布ぬのを着き、シンバルと、立琴たてごとと、琴ことをとって祭壇さいだんの東ひがしに立たち、百二十人にんの祭司さいしは彼かれらと一緒いっしょに立たってラッパを吹ふいた。5:13 ラッパ吹ふく者ものと歌うたうたう者ものとは、ひとりのように声こえを合あわせて主しゅをほめ、感謝かんしゃした)、そして彼かれらがラッパと、シンバルとその他たの楽器がっきをもって声こえをふりあげ、主しゅをほめて 「主しゅは恵めぐみあり、そのあわれみはとこしえに絶たえることがない」と言いったとき、雲くもはその宮みやすなわち主しゅの宮みやに満みちた。5:14 祭司さいしたちは雲くものゆえに立たって勤つとめをすることができなかった。主しゅの栄光えいこうが神かみの宮みやに満みちたからである。 第6章 6:1 そこでソロモンは言いった、 「主しゅはみずから濃こき雲くもの中なかに住すまおうと言いわれた。6:2 しかしわたしはあなたのために高たかき家いえ、とこしえのみすまいを建たてた」。6:3 そして王おうは顔かおをふり向むけてイスラエルの全ぜん会衆かいしゅうを祝福しゅくふくした。その時ときイスラエルの全ぜん会衆かいしゅうは立たっていた。6:4 彼かれは言いった、「イスラエルの神かみ、主しゅはほむべきかな。主しゅは口くちをもってわが父ちちダビデに約束やくそくされたことを、その手てをもってなし遂とげられた。すなわち主しゅは言いわれた、6:5 『わが民たみをエジプトの地ちから導みちびき出だした日ひから、わたしはわが名なを置おくべき家いえを建たてるために、イスラエルのもろもろの部族ぶぞくのうちから、どの町まちをも選えらんだことがなく、また他たのだれをもわが民たみイスラエルの君きみとして選えらんだことがない。6:6 わが名なを置おくために、ただエルサレムだけを選えらび、またわが民たみイスラエルを治おさめさせるために、ただダビデだけを選えらんだ』。6:7 イスラエルの神かみ、主しゅの名なのために家いえを建たてることは、父ちちダビデの心こころにあった。6:8 しかし主しゅは父ちちダビデに言いわれた、『わたしの名なのために家いえを建たてることはあなたの心こころにあった。あなたの心こころにこの事ことのあったのは結構けっこうである。6:9 しかしあなたはその家いえを建たててはならない。あなたの腰こしから出でるあなたの子こがわたしの名なのために家いえを建たてるであろう』。6:10 そして主しゅはそう言いわれた言葉ことばを行おこなわれた。すなわちわたしは父ちちダビデに代かわって立たち、主しゅが言いわれたように、イスラエルの位くらいに座ざし、イスラエルの神かみ、主しゅの名なのために家いえを建たてた。6:11 わたしはまた、主しゅがイスラエルの人々ひとびとと結むすばれた主しゅの契約けいやくを入いれた箱はこをそこに納おさめた」。 6:12 ソロモンはイスラエルの全ぜん会衆かいしゅうの前まえ、主しゅの祭壇さいだんの前まえに立たって、手てを伸のべた。6:13 ソロモンはさきに長ながさ五キュビト、幅はば五キュビト、高たかさ三キュビトの青銅せいどうの台だいを造つくって、庭にわのまん中なかにすえて置おいたので、彼かれはその上うえに立たち、イスラエルの全ぜん会衆かいしゅうの前まえでひざをかがめ、その手てを天てんに伸のべて、6:14 言いった、「イスラエルの神かみ、主しゅよ、天てんにも地ちにも、あなたのような神かみはありません。あなたは契約けいやくを守まもられ、心こころをつくしてあなたの前まえに歩あゆむあなたのしもべらに、いつくしみを施ほどこし、6:15 あなたのしもべ、わたしの父ちちダビデに約束やくそくされたことを守まもられました。あなたが口くちをもって約束やくそくされたことを、手てをもってなし遂とげられたことは、今日こんにち見みるとおりであります。6:16 それゆえ、イスラエルの神かみ、主しゅよ、あなたのしもべ、わたしの父ちちダビデに、あなたが約束やくそくして、『おまえがわたしの前まえに歩あゆんだように、おまえの子孫しそんがその道みちを慎つつしんで、わたしのおきてに歩あゆむならば、おまえにはイスラエルの位くらいに座ざする人ひとがわたしの前まえに かけることはない』と言いわれたことを、ダビデのためにお守まもりください。6:17 それゆえ、イスラエルの神かみ、主しゅよ、どうぞ、あなたのしもべダビデに言いわれた言葉ことばを確認かくにんしてください。 6:18 しかし神かみは、はたして人ひとと共ともに地上ちじょうに住すまわれるでしょうか。見みよ、天てんも、いと高たかき天てんもあなたをいれることはできません。わたしの建たてたこの家いえなどなおさらです。6:19 しかしわが神かみ、主しゅよ、しもべの祈いのりと願ねがいを顧かえりみて、しもべがあなたの前まえにささげる叫さけびと祈いのりをお聞ききください。6:20 どうぞ、あなたの目めを昼ひるも夜よるもこの家いえに、すなわち、あなたの名なをそこに置おくと言いわれた所ところに向むかってお開ひらきください。どうぞ、しもべがこの所ところに向むかってささげる祈いのりをお聞ききください。6:21 どうぞ、しもべと、あなたの民たみイスラエルがこの所ところに向むかって祈いのる時ときに、その願ねがいをお聞ききください。あなたのすみかである天てんから聞きき、聞きいておゆるしください。 6:22 もし人ひとがその隣となり人びとに対たいして罪つみを犯おかし、誓ちかいをすることを求もとめられるとき、来きてこの宮みやで、あなたの祭壇さいだんの前まえに誓ちかうならば、6:23 あなたは天てんから聞きいて、行おこない、あなたのしもべらをさばき、悪人あくにんに報むくいをなして、その行おこないの報むくいをそのこうべに帰きし、義人ぎじんを義ぎとして、その義ぎにしたがってその人ひとに報むくいてください。 6:24 もしあなたの民たみイスラエルが、あなたに対たいして罪つみを犯おかしたために、敵てきの前まえに敗やぶれた時とき、あなたに立たち返かえって、あなたの名なをあがめ、この宮みやであなたの前まえに祈いのり願ねがうならば、6:25 あなたは天てんから聞きき、あなたの民たみイスラエルの罪つみをゆるして、あなたが彼かれらとその先祖せんぞに与あたえられた地ちに彼かれらを帰かえらせてください。 6:26 もし彼かれらがあなたに罪つみを犯おかしたために、天てんが閉とざされて、雨あめがなく、あなたが彼かれらを苦くるしめられるとき、彼かれらがこの所ところに向むかって祈いのり、あなたの名なをあがめ、その罪つみを離はなれるならば、6:27 あなたは天てんにあって聞きき、あなたのしもべ、あなたの民たみイスラエルの罪つみをゆるして、彼かれらに歩あゆむべき良よい道みちを教おしえ、あなたの民たみに嗣し業ぎょうとして賜たまわった地ちに雨あめを降ふらせてください。 6:28 もし国くににききんがあるか、もしくは疫病えきびょう、立たち枯がれ、腐くさり穂ほ、いなご、青虫あおむしがあるか、または敵てきのために町まちの門もんの中なかに攻せめ囲かこまれることがあるか、どんな災害さいがい、どんな病気びょうきがあっても、6:29 もし、ひとりか、あるいはあなたの民たみイスラエルが皆みなおのおのその心こころの悩なやみを知しって、この宮みやに向むかい、手てを伸のべるならば、どんな祈いのり、どんな願ねがいでも、6:30 あなたはそのすみかである天てんから聞きいてゆるし、おのおのの人ひとに、その心こころを知しっておられるゆえ、そのすべての道みちにしたがって報むくいてください。ただあなただけがすべての人ひとの心こころを知しっておられるからです。6:31 あなたがわれわれの先祖せんぞたちに賜たまわった地ちに、彼かれらの生いきながらえる日ひの間あいだ、常つねにあなたを恐おそれさせ、あなたの道みちに歩あゆませてください。 6:32 またあなたの民たみイスラエルの者ものでなく、他国たこく人じんで、あなたの大おおいなる名なと、強つよい手てと、伸のべた腕うでのために遠とおい国くにから来きて、この宮みやに向むかって祈いのるならば、6:33 あなたは、あなたのすみかである天てんから聞きき、すべて他国たこく人じんがあなたに呼よび求もとめるようにしてください。そうすれば地ちのすべての民たみはあなたの民たみイスラエルのように、あなたの名なを知しり、あなたを恐おそれ、またわたしが建たてたこの宮みやが、あなたの名なによって呼よばれることを知しるにいたるでしょう。 6:34 あなたの民たみが敵てきと戦たたかうために、あなたがつかわされる道みちによって出でるとき、もし彼かれらがあなたの選えらばれたこの町まちと、わたしがあなたの名なのために建たてたこの宮みやに向むかってあなたに祈いのるならば、6:35 あなたは天てんから彼かれらの祈いのりと願ねがいとを聞きいて彼かれらをお助たすけください。6:36 彼かれらがあなたに対たいして罪つみを犯おかすことがあって、――罪つみを犯おかさない人ひとはないゆえ、――あなたが彼かれらを怒いかって、敵てきにわたし、敵てきが彼かれらを捕虜ほりょとして遠とおい地ちあるいは近ちかい地ちに引ひいて行いくとき、6:37 もし、彼かれらが捕とらわれて行いった地ちで、みずから省かえりみて悔くい、その捕とらわれの地ちであなたに願ねがい、『われわれは罪つみを犯おかし、よこしまな事ことをし、悪あくを行おこないました』と言いい、6:38 その捕とらわれの地ちで心こころをつくし、精神せいしんをつくしてあなたに立たち返かえり、あなたが彼かれらの先祖せんぞに与あたえられた地ち、あなたが選えらばれた町まち、わたしがあなたの名なのために建たてたこの宮みやに向むかって祈いのるならば、6:39 あなたのすみかである天てんから、彼かれらの祈いのりと願ねがいとを聞きいて彼かれらを助たすけ、あなたに向むかって罪つみを犯おかしたあなたの民たみをおゆるしください。6:40 わが神かみよ、どうぞ、この所ところでささげる祈いのりにあなたの目めを開ひらき、あなたの耳みみを傾かたむけてください。 6:41 主しゅなる神かみよ、今いまあなたと、あなたの力ちからの箱はこが立たって、あなたの安息所あんそくじょにおはいりください。主しゅなる神かみよ、どうぞあなたの祭司さいしたちに救すくいの衣ころもを着きせ、あなたの聖徒せいとたちに恵めぐみを喜よろこばせてください。 6:42 主しゅなる神かみよ、どうぞあなたの油あぶらそそがれた者ものの顔かおを退しりぞけないでください。あなたのしもべダビデに示しめされたいつくしみを覚おぼえて下ください」。 第7章 7:1 ソロモンが祈いのり終おわったとき、天てんから火ひが下くだって燔祭はんさいと犠牲ぎせいを焼やき、主しゅの栄光えいこうが宮みやに満みちた。7:2 主しゅの栄光えいこうが主しゅの宮みやに満みちたので、祭司さいしたちは主しゅの宮みやに、はいることができなかった。7:3 イスラエルの人々ひとびとはみな火ひが下くだったのを見み、また主しゅの栄光えいこうが宮みやに臨のぞんだのを見みて、敷石しきいしの上うえで地ちにひれ伏ふして拝はいし、主しゅに感謝かんしゃして言いった、 「主しゅは恵めぐみふかく、そのいつくしみはとこしえに絶たえることがない」。7:4 そして王おうと民たみは皆みな主しゅの前まえに犠牲ぎせいをささげた。7:5 ソロモン王おうのささげた犠牲ぎせいは、牛うし二万二千頭とう、羊ひつじ十二万頭とうであった。こうして王おうと民たみは皆みな神かみの宮みやをささげた。7:6 祭司さいしはその持もち場ばに立たち、レビびとも主しゅの楽器がっきをとって立たった。その楽器がっきはダビデ王おうが主しゅに感謝かんしゃするために造つくったもので、ダビデが彼かれらの手てによってさんびをささげるとき、「そのいつくしみは、とこしえに絶たえることがない」ととなえさせたものである。祭司さいしは彼かれらの前まえでラッパを吹ふき、すべてのイスラエルびとは立たっていた。 7:7 ソロモンはまた主しゅの宮みやの前まえにある庭にわの中なかを聖別せいべつし、その所ところで、燔祭はんさいと酬恩祭しゅうおんさいのあぶらをささげた。これはソロモンが造つくった青銅せいどうの祭壇さいだんが、その燔祭はんさいと素祭そさいとあぶらとを載のせるに足たりなかったからである。 7:8 その時ときソロモンは七日なぬかの間あいだ祭まつりを行おこなった。ハマテの入口いりぐちからエジプトの川かわに至いたるまでのすべてのイスラエルびとが彼かれと共ともにあり、非常ひじょうに大おおきな会衆かいしゅうであった。7:9 そして八日か目めに聖せい会かいを開ひらいた。彼かれらは七日なぬかの間あいだ、祭壇さいだん奉献ほうけんの礼れいを行おこない、七日なぬかの間あいだ祭まつりを行おこなったが、7:10 七月がつ二十三日にちに至いたってソロモンは民たみをその天幕てんまくに帰かえらせた。皆みな主しゅがダビデ、ソロモンおよびその民たみイスラエルに施ほどこされた恵めぐみのために喜よろこび、かつ心こころに楽たのしんで去さった。 7:11 こうしてソロモンは主しゅの家いえと王おうの家いえとを造つくり終おえた。すなわち彼かれは主しゅの家いえと自分じぶんの家いえについて、しようと計画けいかくしたすべての事ことを首尾しゅびよくなし遂とげた。7:12 時ときに主しゅは夜よるソロモンに現あらわれて言いわれた、「わたしはあなたの祈いのりを聞きき、この所ところをわたしのために選えらんで、犠牲ぎせいをささげる家いえとした。7:13 わたしが天てんを閉とじて雨あめをなくし、またはわたしがいなごに命めいじて地ちの物ものを食くわせ、または疫病えきびょうを民たみの中なかに送おくるとき、7:14 わたしの名なをもってとなえられるわたしの民たみが、もしへりくだり、祈いのって、わたしの顔かおを求もとめ、その悪わるい道みちを離はなれるならば、わたしは天てんから聞きいて、その罪つみをゆるし、その地ちをいやす。7:15 今いまこの所ところにささげられる祈いのりにわたしの目めを開ひらき、耳みみを傾かたむける。7:16 今いまわたしはわたしの名なをながくここにとどめるために、この宮みやを選えらび、かつ聖別せいべつした。わたしの目めとわたしの心こころは常つねにここにある。7:17 あなたがもし父ちちダビデの歩あゆんだようにわたしの前まえに歩あゆみ、わたしが命めいじたとおりにすべて行いって、わたしの定さだめとおきてとを守まもるならば、7:18 わたしはあなたの父ちちダビデに契約けいやくして『イスラエルを治おさめる人ひとはあなたに欠かけることがない』と言いったとおりに、あなたの王おうの位くらいを堅かたくする。 7:19 しかし、あなたがたがもし翻ひるがえって、わたしがあなたがたの前まえに置おいた定さだめと戒いましめとを捨すて、行いって他たの神々かみがみに仕つかえ、それを拝おがむならば、7:20 わたしはあなたがたをわたしの与あたえた地ちから抜ぬき去さり、またわたしの名なのために聖別せいべつしたこの宮みやをわたしの前まえから投なげ捨すてて、もろもろの民たみのうちにことわざとし、笑わらい草ぐさとする。7:21 またこの宮みやは高たかいけれども、ついには、そのかたわらを過すぎる者ものは皆みな驚おどろいて、『何なにゆえ主しゅはこの地ちと、この宮みやとにこのようにされたのか』と言いうであろう。7:22 その時とき、人々ひとびとは答こたえて『彼かれらはその先祖せんぞたちをエジプトの地ちから導みちびき出だした彼かれらの神かみ、主しゅを捨すてて、他たの神々かみがみにつき従したがい、それを拝おがみ、それに仕つかえたために、主しゅはこのすべての災わざわいを彼かれらの上うえに下くだしたのである』と言いうであろう」。 第8章 8:1 ソロモンは二十年ねんを経へて、主しゅの家いえと自分じぶんの家いえとを建たて終おわった。8:2 またソロモンはヒラムから送おくられた町々まちまちを建たて直なおして、そこにイスラエルの人々ひとびとを住すませた。 8:3 ソロモンはまたハマテ・ゾバを攻せめて、これを取とった。8:4 彼かれはまた荒野あらのにタデモルを建たて、もろもろの倉くらの町まちをハマテに建たてた。8:5 また城壁じょうへき、門もん、貫かんの木きのある堅固けんごな町まち、上うえベテホロンと下したベテホロンを建たてた。8:6 ソロモンはまたバアラテと自分じぶんのもっていたすべての倉くらの町まちと、すべての戦車せんしゃの町まちと、騎兵きへいの町まち、ならびにエルサレム、レバノンおよび自分じぶんの治おさめる全ぜん地方ちほうに建たてようと望のぞんだものを、ことごとく建たてた。8:7 すべてイスラエルの子孫しそんでないヘテびと、アモリびと、ペリジびと、ヒビびと、エブスびとの残のこった民たみ、8:8 その地ちにあって彼かれらのあとに残のこったその子孫しそん、すなわちイスラエルの子孫しそんが滅ほろぼし尽つくさなかった民たみに、ソロモンは強制きょうせい徴募ちょうぼをおこなって今日こんにちに及およんでいる。8:9 しかし、イスラエルの人々ひとびとをソロモンはその工事こうじのためには、ひとりも奴隷どれいとしなかった。彼かれらは兵士へいしとなり、将校しょうこうとなり、戦車せんしゃと、騎兵きへいの長ちょうとなった。8:10 これらはソロモン王おうのおもな官吏かんりで、二百五十人にんあり、民たみを治おさめた。 8:11 ソロモンはパロの娘むすめをダビデの町まちから連つれ上のぼって、彼女かのじょのために建たてた家いえに入いれて言いった、「主しゅの箱はこを迎むかえた所ところは神聖しんせいであるから、わたしの妻つまはイスラエルの王おうダビデの家いえに住すんではならない」。 8:12 ソロモンは廊ろうの前まえに築きずいておいた主しゅの祭壇さいだんの上うえで主しゅに燔祭はんさいをささげた。8:13 すなわちモーセの命令めいれいに従したがって、毎日まいにち定さだめのようにささげ、安息日あんそくにち、新月しんげつおよび年ねんに三度どの祭まつり、すなわち種たね入いれぬパンの祭まつり、七週しゅうの祭まつり、仮庵かりいおの祭まつりにこれをささげた。8:14 ソロモンは、その父ちちダビデのおきてに従したがって、祭司さいしの組くみを定さだめてその職しょくに任にんじ、またレビびとをその勤つとめに任にんじて、毎日まいにち定さだめのように祭司さいしの前まえでさんびと奉仕ほうしをさせ、また門もんを守まもる者ものに、その組くみにしたがって、もろもろの門もんを守まもらせた。これは神かみの人ひとダビデがこのように命めいじたからである。8:15 祭司さいしとレビびとはすべての事ことにつき、また倉くらの事ことについて、王おうの命令めいれいにそむかなかった。 8:16 このようにソロモンは、主しゅの宮みやの基もといをすえた日ひからこれをなし終おえたときまで、その工事こうじの準備じゅんびをことごとくなしたので、主しゅの宮みやは完成かんせいした。 8:17 それからソロモンはエドムの地ちの海うみべにあるエジオン・ゲベルおよびエロテへ行いった。8:18 時ときにヒラムはそのしもべどもの手てによって船団せんだんを彼かれに送おくり、また海うみの事ことになれたしもべどもをつかわしたので、彼かれらはソロモンのしもべらと共ともにオフルへ行いき、そこから金きん四百五十タラントを取とって、これをソロモン王おうのもとに携たずさえてきた。 第9章 9:1 シバの女王じょおうはソロモンの名声めいせいを聞きいたので、難問なんもんをもってソロモンを試こころみようと、非常ひじょうに多おおくの従者じゅうしゃを連つれ、香料こうりょうと非常ひじょうにたくさんの金きんと宝石ほうせきとをらくだに負おわせて、エルサレムのソロモンのもとに来きて、その心こころにあることをことごとく彼かれに告つげた。9:2 ソロモンは彼女かのじょのすべての問といに答こたえた。ソロモンが知しらないで彼女かのじょに説明せつめいのできないことは一つもなかった。9:3 シバの女王じょおうはソロモンの知恵ちえと、彼かれが建たてた家いえを見み、9:4 またその食卓しょくたくの食物しょくもつと、列座れつざの家来けらいたちと、その侍臣じしんたちの伺候しこう振ふりと彼かれらの服装ふくそう、および彼かれの給仕きゅうじたちとその服装ふくそう、ならびに彼かれが主しゅの宮みやでささげる燔祭はんさいを見みて、全まったく気きを奪うばわれてしまった。 9:5 彼女かのじょは王おうに言いった、「わたしが国くにであなたの事ことと、あなたの知恵ちえについて聞きいたうわさは真実しんじつでした。9:6 しかしわたしは来きて目めに見みるまでは、そのうわさを信しんじませんでしたが、今見いまみると、あなたの知恵ちえの大おおいなることはその半分はんぶんもわたしに知しらされませんでした。あなたはわたしの聞きいたうわさにまさっています。9:7 あなたの奥方おくがたたちはさいわいです。常つねにあなたの前まえに立たって、あなたの知恵ちえを聞きくこのあなたの家来けらいたちはさいわいです。9:8 あなたの神かみ、主しゅはほむべきかな。主しゅはあなたを喜よろこび、あなたをその位くらいにつかせ、あなたの神かみ、主しゅのために王おうとされました。あなたの神かみはイスラエルを愛あいして、とこしえにこれを堅かたくするために、あなたをその王おうとされ、公道こうどうと正義せいぎを行おこなわれるのです」。9:9 そして彼女かのじょは金きん百二十タラント、および非常ひじょうに多おおくの香料こうりょうと宝石ほうせきとを王おうに贈おくった。シバの女王じょおうがソロモンに贈おくったような香料こうりょうは、いまだかつてなかった。 9:10 オフルから金きんを携たずさえて来きたヒラムのしもべたちとソロモンのしもべたちはまた、びゃくだんの木きと宝石ほうせきをも携たずさえて来きた。9:11 王おうはそのびゃくだんの木きで、主しゅの宮みやと王おうの家いえとに階段かいだんを造つくり、また歌うたうたう者もののために琴ことと立琴たてごとを つくった。このようなものはかつてユダの地ちで見みたことがなかった。 9:12 ソロモン王おうは、シバの女王じょおうが贈おくった物ものに報むくいたほかに、彼女かのじょの望のぞみにまかせて、すべてその求もとめるものを贈おくった。そして彼女かのじょはその家来けらいたちと共ともに自分じぶんの国くにへ帰かえって行いった。 9:13 さて一年ねんの間あいだにソロモンの所ところにはいって来きた金きんの目方めかたは六百六十六タラントであった。9:14 このほかに貿易ぼうえき商しょうおよび商人しょうにんの携たずさえて来きたものがあった。またアラビヤのすべての王おうたちおよび国くにの代官だいかんたちも金銀きんぎんをソロモンに携たずさえてきた。9:15 ソロモン王おうは延金のべきんの大盾おおだて二百を造つくった。その大盾おおだてにはおのおの六百シケルの延金のべきんを用もちいた。9:16 また延金のべきんの小盾こだて三百を造つくった。小盾こだてにはおのおの三百シケルの金きんを用もちいた。王おうはこれらをレバノンの森もりの家いえに置おいた。9:17 王おうはまた大おおきな象牙ぞうげの玉座ぎょくざを造つくり、純金じゅんきんでこれをおおった。9:18 その玉座ぎょくざには六つの段だんがあり、また金きんの足あし台だいがあって共ともに玉座ぎょくざにつらなり、その座ざする所ところの両方りょうほうに、ひじかけがあって、ひじかけのわきに二つのししが立たっていた。9:19 また十二のししが六つの段だんのおのおのの両側りょうがわに立たっていた。このような物ものはどこの国くにでも造つくられたことがなかった。9:20 ソロモン王おうが飲のむときに用もちいた器うつわはみな金きんであった。またレバノンの森もりの家いえの器うつわもみな純金じゅんきんであって、銀ぎんはソロモンの世よには尊たっとばれなかった。9:21 これは王おうの船ふねがヒラムのしもべたちを乗のせてタルシシへ行いき、三年ねんごとに一度ど、そのタルシシの船ふねが金きん、銀ぎん、象牙ぞうげ、さる、くじゃくを載のせて来きたからである。 9:22 このようにソロモン王おうは富とみと知恵ちえにおいて、地ちのすべての王おうにまさっていたので、9:23 地ちのすべての王おうは神かみがソロモンの心こころに授さづけられた知恵ちえを聞きこうとしてソロモンに謁見えっけんを求もとめた。9:24 人々ひとびとはおのおの贈おくり物ものを携たずさえてきた。すなわち銀ぎんの器うつわ、金きんの器うつわ、衣服いふく、没薬もつやく、香料こうりょう、馬うま、騾馬らばなど年々ねんねん定さだまっていた。9:25 ソロモンは馬うまと戦車せんしゃのために馬屋うまや四千と騎兵きへい一万二千を持もち、これを戦車せんしゃの町まちに置おき、またエルサレムの王おうのもとに置おいた。9:26 彼かれはユフラテ川かわからペリシテびとの地ちと、エジプトの境さかいに至いたるまでのすべての王おうを治おさめた。9:27 王おうはまた銀ぎんを石いしのようにエルサレムに多おおくし、香柏こうはくを平野へいやのいちじく桑くわのように多おおくした。9:28 また人々ひとびとはエジプトおよび諸国しょこくから馬うまをソロモンのために輸入ゆにゅうした。 9:29 ソロモンのそのほかの始終しじゅうの行為こういは、預言者よげんしゃナタンの書しょと、シロびとアヒヤの預言よげんと、先見者せんけんしゃイドがネバテの子こヤラベアムについて述のべた黙示もくしのなかに、しるされているではないか。9:30 ソロモンはエルサレムで四十年ねんの間あいだイスラエルの全ぜん地ちを治おさめた。9:31 ソロモンはその先祖せんぞたちと共ともに眠ねむって、父ちちダビデの町まちに葬ほうむられ、その子こレハベアムが代かわって王おうとなった。 第10章 10:1 レハベアムはシケムへ行いった。すべてのイスラエルびとが彼かれを王おうにしようとシケムへ行いったからである。10:2 ネバテの子こヤラベアムは、ソロモンを避さけてエジプトにのがれていたが、これを聞きいてエジプトから帰かえったので、10:3 人々ひとびとは人ひとをつかわして彼かれを招まねいた。そこでヤラベアムとすべてのイスラエルは来きて、レハベアムに言いった、10:4 「あなたの父ちちは、われわれのくびきを重おもくしましたが、今いまあなたの父ちちのきびしい使役しえきと、あなたの父ちちが、われわれに負おわせた重おもいくびきを軽かるくしてください。そうすればわたしたちはあなたに仕つかえましょう」。10:5 レハベアムは彼かれらに答こたえた、「三日かの後のち、またわたしの所ところに来きなさい」。それで民たみは去さった。 10:6 レハベアム王おうは父ちちソロモンの存命ぞんめい中ちゅうソロモンに仕つかえた長老ちょうろうたちに相談そうだんして言いった、「あなたがたはこの民たみにどう返答へんとうすればよいと思おもいますか」。10:7 彼かれらはレハベアムに言いった、「あなたがもしこの民たみを親切しんせつにあつかい、彼かれらを喜よろこばせ、ねんごろに語かたられるならば彼かれらは長ながくあなたのしもべとなるでしょう」。10:8 しかし彼かれは長老ちょうろうたちが与あたえた勧すすめをすてて、自分じぶんと一緒いっしょに大おおきくなって自分じぶんに仕つかえている若者わかものたちに相談そうだんして、10:9 彼かれらに言いった、「あなたがたは、この民たみがわたしに向むかって、『あなたの父上ちちうえが、われわれに負おわせたくびきを軽かるくしてください』と言いうのに、われわれはなんと返答へんとうすればよいと思おもいますか」。10:10 彼かれと一緒いっしょに大おおきくなった若者わかものたちは彼かれに言いった、「あなたに向むかって、『あなたの父ちちは、われわれのくびきを重おもくしたが、あなたは、それをわれわれのために軽かるくしてください』と言いったこの民たみに、こう言いいなさい、『わたしの小指こゆびは父ちちの腰こしよりも太ふとい、10:11 父ちちはあなたがたに重おもいくびきを負おわせたが、わたしはさらに、あなたがたのくびきを重おもくしよう。父ちちはむちであなたがたを懲こらしたが、わたしはさそりであなたがたを懲こらそう』」。 10:12 さてヤラベアムと民たみは皆みな、王おうが「三日か目めにわたしのところに来きなさい」と言いったとおりに、三日か目めにレハベアムのところへ行いった。10:13 王おうは荒々あらあらしく彼かれらに答こたえた。すなわちレハベアム王おうは長老ちょうろうたちの勧すすめをすて、10:14 若者わかものたちの勧すすめに従したがい、彼かれらに告つげて言いった、「父ちちはあなたがたのくびきを重おもくしたが、わたしは更さらにこれを重おもくしよう。父ちちはむちであなたがたを懲こらしたが、わたしはさそりであなたがたを懲こらそう」。10:15 このように王おうは民たみの言いうことを聞ききいれなかった。これは主しゅが、かつてシロびとアヒヤによって、ネバテの子こヤラベアムに言いわれた言葉ことばを成就じょうじゅするために、神かみがなされたのであった。 10:16 イスラエルの人々ひとびとは皆みな、王おうが自分じぶんたちの言いうことを聞ききいれないのを見みたので、民たみは王おうに答こたえて言いった、 「われわれはダビデのうちに何なにの分ぶんがあろうか。われわれはエッサイの子このうちに嗣し業ぎょうがない。イスラエルよ、めいめいの天幕てんまくに帰かえれ。ダビデよ、今いまあなたの家いえを見みよ」。そしてイスラエルは皆みな彼かれらの天幕てんまくへ去さって行いった。10:17 しかしレハベアムはユダの町々まちまちに住すんでいるイスラエルの人々ひとびとを治おさめた。10:18 レハベアム王おうは徴募ちょうぼ人にんの監督かんとくであったアドラムをつかわしたが、イスラエルの人々ひとびとが石いしで彼かれを撃うち殺ころしたので、レハベアム王おうは急いそいで車くるまに乗のり、エルサレムに逃にげた。10:19 こうしてイスラエルはダビデの家いえにそむいて今日こんにちに至いたった。 第11章 11:1 レハベアムはエルサレムに来きて、ユダとベニヤミンの家いえの者もの、すなわち、えり抜ぬきの軍人ぐんじん十八万人にんを集あつめ、国くにを取とりもどすためにイスラエルと戦たたかおうとしたが、11:2 主しゅの言葉ことばが神かみの人ひとシマヤに臨のぞんで言いった、11:3 「ソロモンの子こ、ユダの王おうレハベアムおよびユダとベニヤミンにいるすべてのイスラエルの人々ひとびとに言いいなさい、11:4 『主しゅはこう仰おおせられる、あなたがたは上のぼってはならない。あなたがたの兄弟きょうだいと戦たたかってはならない。おのおの自分じぶんの家いえに帰かえりなさい。この事ことはわたしから出でたのである』」。それで人々ひとびとは主しゅの言葉ことばを聞きき、ヤラベアムを攻せめに行いくのをやめて帰かえった。 11:5 レハベアムはエルサレムに住すんで、ユダに防衛ぼうえいの町々まちまちを建たてた。11:6 すなわちベツレヘム、エタム、テコア、11:7 ベテズル、ソコ、アドラム、11:8 ガテ、マレシャ、ジフ、11:9 アドライム、ラキシ、アゼカ、11:10 ゾラ、アヤロン、およびヘブロン。これらはユダとベニヤミンにあって要害ようがいの町々まちまちである。11:11 彼かれはその要害ようがいを堅固けんごにし、これに軍ぐん長ちょうを置おき、糧食りょうしょくと油あぶらとぶどう酒しゅをたくわえ、11:12 またそのすべての町まちに盾たてとやりを備そなえて、これを非常ひじょうに強化きょうかし、そしてユダとベニヤミンを確保かくほした。 11:13 イスラエルの全ぜん地ちの祭司さいしとレビびとは四方しほうの境さかいから来きてレハベアムに身みを寄よせた。11:14 すなわちレビびとは自分じぶんの放牧ほうぼく地ちと領地りょうちを離はなれてユダとエルサレムに来きた。これはヤラベアムとその子こらが彼かれらを排斥はいせきして、主しゅの前まえに祭司さいしの務つとめをさせなかったためである。11:15 ヤラベアムは高たかき所ところと、みだらな神かみと、自分じぶんで造つくった子こ牛うしのために自分じぶんの祭司さいしを立たてた。11:16 またイスラエルのすべての部族ぶぞくのうちで、すべてその心こころを傾かたむけて、イスラエルの神かみ、主しゅを求もとめる者ものは先祖せんぞの神かみ、主しゅに犠牲ぎせいをささげるために、レビびとに従したがってエルサレムに来きた。11:17 このように彼かれらはユダの国くにを堅かたくし、ソロモンの子こレハベアムを三年ねんの間あいだ強つよくした。彼かれらは三年ねんの間あいだダビデとソロモンの道みちに歩あゆんだからである。 11:18 レハベアムはダビデの子こエレモテの娘むすめマハラテを妻つまにめとった。マハラテはエッサイの子こエリアブの娘むすめアビハイルが産うんだ者ものである。11:19 彼女かのじょはエウシ、シマリヤおよびザハムの三子しを産うんだ。11:20 彼かれはまた彼女かのじょの後のちにアブサロムの娘むすめマアカをめとった。マアカはアビヤ、アッタイ、ジザおよびシロミテを産うんだ。11:21 レハベアムはアブサロムの娘むすめマアカをすべての妻つまとそばめにまさって愛あいした。彼かれは妻つま十八人にん、そばめ六十人にんをめとって、男おとこの子こ二十八人にんと女おんなの子こ六十人にんをもうけた。11:22 レハベアムはマアカの子こアビヤを立たててかしらとし、その兄弟きょうだいの長ちょうとした。彼かれはアビヤを王おうにしようと思おもったからである。11:23 それで王おうは賢かしこくとり行おこない、そのむすこたちをことごとく、ユダとベニヤミンの全ぜん地方ちほうにあるすべての要害ようがいの町まちに散在さんざいさせ、彼かれらに糧食りょうしょくを多おおく与あたえ、また多おおくの妻つまを得えさせた。 第12章 12:1 レハベアムはその国くにが堅かたく立たち、強つよくなるに及およんで、主しゅのおきてを捨すてた。イスラエルも皆みな彼かれにならった。12:2 彼かれらがこのように主しゅに向むかって罪つみを犯おかしたので、レハベアム王おうの五年ねんにエジプトの王おうシシャクがエルサレムに攻せめ上のぼってきた。12:3 その戦車せんしゃは一千二百、騎兵きへいは六万、また彼かれに従したがってエジプトから来きた民たみ、すなわちリビアびと、スキびと、エチオピヤびとは無数むすうであった。12:4 シシャクはユダの要害ようがいの町々まちまちを取とり、エルサレムに迫せまって来きた。12:5 そこで預言者よげんしゃシマヤは、レハベアムおよびシシャクのゆえに、エルサレムに集あつまったユダのつかさたちのもとにきて言いった、「主しゅはこう仰おおせられる、『あなたがたはわたしを捨すてたので、わたしもあなたがたを捨すててシシャクにわたした』と」。12:6 そこでイスラエルのつかさたち、および王おうはへりくだって、「主しゅは正ただしい」と言いった。12:7 主しゅは彼かれらのへりくだるのを見みられたので、主しゅの言葉ことばがシマヤにのぞんで言いった、「彼かれらがへりくだったから、わたしは彼かれらを滅ほろぼさないで、間まもなく救すくいを施ほどこす。わたしはシシャクの手てによって、怒いかりをエルサレムに注そそぐことをしない。12:8 しかし彼かれらはシシャクのしもべになる。これは彼かれらがわたしに仕つかえることと、国々くにぐにの王おうたちに仕つかえることとの相違そういを知しるためである」。 12:9 エジプトの王おうシシャクはエルサレムに攻せめのぼって、主しゅの宮みやの宝物ほうもつと、王おうの家いえの宝物ほうもつとを奪うばい去さった。すなわちそれらをことごとく奪うばい去さり、またソロモンの造つくった金きんの盾たてをも奪うばい去さった。12:10 それでレハベアム王おうは、その代かわりに青銅せいどうの盾たてを造つくって、王おうの家いえの門もんを守まもる侍衛じえい長ちょうたちの手てに渡わたした。12:11 王おうが主しゅの宮みやにはいるごとに侍衛じえいは来きて、これを負おい、またこれを侍衛じえいのへやへ持もって帰かえった。12:12 レハベアムがへりくだったので主しゅの怒いかりは彼かれを離はなれ、彼かれをことごとく滅ほろぼそうとはされなかった。またユダの事情じじょうもよくなった。 12:13 レハベアム王おうはエルサレムで自分じぶんの地位ちいを確立かくりつし、世よを治おさめた。すなわちレハベアムは四十一歳さいのとき位くらいにつき、十七年ねんの間あいだエルサレムで世よを治おさめた。エルサレムは主しゅがその名なを置おくためにイスラエルのすべての部族ぶぞくのうちから選えらばれた町まちである。彼かれの母はははアンモンの女おんなで、名なをナアマといった。12:14 レハベアムは主しゅを求もとめることに心こころを傾かたむけないで、悪わるい事ことを行おこなった。 12:15 レハベアムの始終しじゅうの行為こういは、預言者よげんしゃシマヤおよび先見者せんけんしゃイドの書しょにしるされているではないか。レハベアムとヤラベアムとの間あいだには絶たえず戦争せんそうがあった。12:16 レハベアムはその先祖せんぞたちと共ともに眠ねむって、ダビデの町まちに葬ほうむられ、その子こアビヤが彼かれに代かわって王おうとなった。 第13章 13:1 ヤラベアム王おうの第だい十八年ねんにアビヤがユダの王おうとなった。13:2 彼かれは三年ねんの間あいだエルサレムで世よを治おさめた。彼かれの母はははギベアのウリエルの娘むすめで、名なをミカヤといった。 13:3 ここにアビヤとヤラベアムとの間あいだに戦争せんそうが起おこり、アビヤは四十万の精兵せいへいから成なる勇敢ゆうかんな軍勢ぐんぜいをもって戦たたかいにいで、ヤラベアムも大だい勇士ゆうしから成なる八十万の精兵せいへいをもって、これに向むかって戦たたかいの備そなえをした。13:4 時ときにアビヤはエフライムの山地さんちにあるゼマライム山やまの上うえに立たって言いった、「ヤラベアムおよびイスラエルの人々ひとびとよ皆みな聞きけ。13:5 あなたがたはイスラエルの神かみ、主しゅが塩しおの契約けいやくをもってイスラエルの国くにをながくダビデとその子孫しそんに賜たまわったことを知しらないのか。13:6 ところがダビデの子こソロモンの家来けらいであるネバテの子こヤラベアムが起たって、その主君しゅくんにそむき、13:7 また卑いやしい無頼ぶらいのともがらが集あつまって彼かれにくみし、ソロモンの子こレハベアムに敵てきしたが、レハベアムは若わかく、かつ意志いしが弱よわくてこれに当あたることができなかった。 13:8 今いままた、あなたがたは大軍たいぐんをたのみ、またヤラベアムが造つくって、あなたがたの神かみとした金きんの子こ牛うしをたのんで、ダビデの子孫しそんの手てにある主しゅの国くにに敵対てきたいしようとしている。13:9 またあなたがたはアロンの子孫しそんである主しゅの祭司さいしとレビびととを追おいだして、他たの国々くにぐにの民たみがするように祭司さいしを立たてたではないか。すなわちだれでも若わかい雄牛おうし一頭とう、雄羊おひつじ七頭とうを携たずさえてきて、自分じぶんを聖別せいべつする者ものは皆みなあの神かみでない者ものの祭司さいしとすることができた。13:10 しかしわれわれにおいては、主しゅがわれわれの神かみであって、われわれは彼かれを捨すてない。また主しゅに仕つかえる祭司さいしはアロンの子孫しそんであり、働はたらきをなす者ものはレビびとである。13:11 彼かれらは朝あさごと夕ゆうごとに主しゅに燔祭はんさいと、こうばしい香こうをささげ、供そなえのパンを純金じゅんきんの机つくえの上うえに供そなえ、また金きんの燭台しょくだいとそのともしび皿さらを整ととのえて、夕ゆうごとにともすのである。このようにわれわれはわれわれの神かみ、主しゅの務つとめを守まもっているが、あなたがたは彼かれを捨すてた。13:12 見みよ、神かみはみずからわれわれと共ともにおられて、われわれのかしらとなられ、また、その祭司さいしたちはラッパを吹ふきならして、あなたがたを攻せめる。イスラエルの人々ひとびとよ、あなたがたの先祖せんぞの神かみ、主しゅに敵てきして戦たたかってはならない。あなたがたは成功せいこうしない」。 13:13 ヤラベアムは伏兵ふくへいを彼かれらのうしろに回まわらせたので、彼かれの軍隊ぐんたいはユダの前まえにあり、伏兵ふくへいは彼かれらのうしろにあった。13:14 ユダはうしろを見みると、敵てきが前まえとうしろとにあったので、主しゅに向むかって呼よばわり、祭司さいしたちはラッパを吹ふいた。13:15 そこでユダの人々ひとびとはときの声こえをあげた。ユダの人々ひとびとがときの声こえをあげると、神かみはヤラベアムとイスラエルの人々ひとびとをアビヤとユダの前まえに打うち敗やぶられたので、13:16 イスラエルの人々ひとびとはユダの前まえから逃にげた。神かみが彼かれらをユダの手てに渡わたされたので、13:17 アビヤとその民たみは、彼かれらをおびただしく撃うち殺ころした。イスラエルの殺ころされて倒たおれた者ものは五十万人にん、皆みな精兵せいへいであった。13:18 このように、この時ときイスラエルの人々ひとびとは打うち負まかされ、ユダの人々ひとびとは勝かちを得えた。彼かれらがその先祖せんぞの神かみ、主しゅを頼たのんだからである。13:19 アビヤはヤラベアムを追撃ついげきして数個すうこの町まちを彼かれから取とった。すなわちベテルとその村里むらざと、エシャナとその村里むらざと、エフロンとその村里むらざとである。13:20 ヤラベアムは、アビヤの世よには再ふたたび力ちからを得えることができず、主しゅに撃うたれて死しんだ。13:21 しかしアビヤは強つよくなり、妻つま十四人にんをめとり、むすこ二十二人にん、むすめ十六人にんをもうけた。13:22 アビヤのその他たの行為こういすなわちその行動こうどうと言葉ことばは、預言者よげんしゃイドの注釈ちゅうしゃくにしるされている。 第14章 14:1 アビヤはその先祖せんぞたちと共ともに眠ねむって、ダビデの町まちに葬ほうむられ、その子こアサが代かわって王おうとなった。アサの治世ちせいに国くには十年ねんの間あいだ、穏おだやかであった。14:2 アサはその神かみ、主しゅの目めに良よしと見みえ、また正ただしと見みえることを行おこなった。14:3 彼かれは異ことなる祭壇さいだんと、もろもろの高たかき所ところを取とり除のぞき、石柱せきちゅうをこわし、アシラ像ぞうを切きり倒たおし、14:4 ユダに命めいじてその先祖せんぞたちの神かみ、主しゅを求もとめさせ、おきてと戒いましめとを行おこなわせ、14:5 ユダのすべての町々まちまちから、高たかき所ところと香こうの祭壇さいだんとを取とり除のぞいた。そして国くには彼かれのもとに穏おだやかであった。14:6 彼かれは国くにが穏おだやかであったので、要害ようがいの町まち数個すうこをユダに建たてた。また主しゅが彼かれに平安へいあんを賜たまわったので、この年としごろ戦争せんそうがなかった。14:7 彼かれはユダに言いった、「われわれはこれらの町まちを建たて、その周囲しゅういに石いしがきを築きずき、やぐらを建たて、門もんと貫かんの木きを設もうけよう。われわれがわれわれの神かみ、主しゅを求もとめたので、この国くにはなおわれわれのものであり、われわれが彼かれを求もとめたので、四方しほうにおいて、われわれに平安へいあんを賜たまわった」。こうして彼かれらは滞とどこおりなく建たて終おわった。14:8 アサの軍隊ぐんたいはユダから出でた者もの三十万人にんあって、盾たてとやりをとり、ベニヤミンから出でた者もの二十八万人にんあって、小盾こだてをとり、弓ゆみを引ひいた。これはみな大だい勇士ゆうしであった。 14:9 エチオピヤびとゼラが、百万の軍隊ぐんたいと三百の戦車せんしゃを率ひきいて、マレシャまで攻せめてきた。14:10 アサは出でて、これを迎むかえ、マレシャのゼパタの谷たにに戦たたかいの備そなえをした。14:11 時ときにアサはその神かみ、主しゅに向むかって呼よばわって言いった、「主しゅよ、力ちからのある者ものを助たすけることも、力ちからのない者ものを助たすけることも、あなたにおいては異ことなることはありません。われわれの神かみ、主しゅよ、われわれをお助たすけください。われわれはあなたに寄より頼たのみ、あなたの名なによってこの大軍たいぐんに当あたります。主しゅよ、あなたはわれわれの神かみです。どうぞ人ひとをあなたに勝かたせないでください」。14:12 そこで主しゅはアサの前まえとユダの前まえでエチオピヤびとを撃うち敗やぶられたので、エチオピヤびとは逃にげ去さった。14:13 アサと彼かれに従したがう民たみは彼かれらをゲラルまで追撃ついげきしたので、エチオピヤびとは倒たおれて、生いき残のこった者ものはひとりもなかった。主しゅと主しゅの軍勢ぐんぜいの前まえに撃うち破やぶられたからである。ユダの人々ひとびとの得えたぶんどり物ものは非常ひじょうに多おおかった。14:14 彼かれらはまた、ゲラルの周囲しゅういの町々まちまちをことごとく撃うち破やぶった。主しゅの恐おそれが彼かれらの上うえに臨のぞんだからである。そして彼かれらはそのすべての町まちをかすめ奪うばった。その内うちに多おおくの物ものがあったからである。14:15 また家畜かちくをもっている者ものの天幕てんまくを襲おそい、多おおくの羊ひつじとらくだを奪うばい取とって、エルサレムに帰かえった。
5:1 こうしてソロモンは主しゅの宮みやのためにしたすべての工事こうじを終おわった。そしてソロモンは父ちちダビデがささげた物もの、すなわち金銀きんぎんおよびもろもろの器物うつわものを携たずさえて行いって神かみの宮みやの宝蔵ほうぞうに納おさめた。
5:2 ソロモンは主しゅの契約けいやくの箱はこをダビデの町まちシオンからかつぎ上のぼろうとして、イスラエルの長老ちょうろうたちと、すべての部族ぶぞくのかしらたちと、イスラエルの人々ひとびとの氏族しぞくの長ちょうたちをエルサレムに召めし集あつめた。
5:3 イスラエルの人々ひとびとは皆みな七月がつの祭まつりに王おうのもとに集あつまった。
5:4 イスラエルの長老ちょうろうたちが皆みなきたので、レビびとたちは箱はこを取とり上あげた。
5:5 彼かれらは箱はこと、会見かいけんの幕屋まくやと、幕屋まくやにあるすべて聖せいなる器うつわをかつぎ上のぼった。すなわち祭司さいしとレビびとがこれらの物ものをかつぎ上のぼった。
5:6 ソロモン王おうおよび彼かれのもとに集あつまったイスラエルの会衆かいしゅうは皆みな箱はこの前まえで羊ひつじと牛うしをささげたが、その数かずが多おおくて、調しらべることも数かぞえることもできなかった。
5:7 こうして祭司さいしたちは主しゅの契約けいやくの箱はこをその場所ばしょにかつぎ入いれ、宮みやの本殿ほんでんである至聖所しせいじょのうちのケルビムの翼つばさの下したに置おいた。
5:8 ケルビムは翼つばさを箱はこの所ところの上うえに伸のべていたので、ケルビムは上うえから箱はことそのさおをおおった。
5:9 さおは長ながかったので、さおの端はしが本殿ほんでんの前まえの聖所せいじょから見みえた。しかし外部がいぶには見みえなかった。さおは今日こんにちまでそこにある。
5:10 箱はこの内うちには二枚まいの板いたのほか何なにもなかった。これはイスラエルの人々ひとびとがエジプトから出でて来きたとき、主しゅが彼かれらと契約けいやくを結むすばれ、モーセがホレブでそれを納おさめたものである。
5:11 そして祭司さいしたちが聖所せいじょから出でたとき(ここにいた祭司さいしたちは皆みな、その組くみの順じゅんにかかわらず身みを清きよめた。
5:12 またレビびとの歌うたうたう者もの、すなわちアサフ、ヘマン、エドトンおよび彼かれらの子こたちと兄弟きょうだいたちはみな亜麻あま布ぬのを着き、シンバルと、立琴たてごとと、琴ことをとって祭壇さいだんの東ひがしに立たち、百二十人にんの祭司さいしは彼かれらと一緒いっしょに立たってラッパを吹ふいた。
5:13 ラッパ吹ふく者ものと歌うたうたう者ものとは、ひとりのように声こえを合あわせて主しゅをほめ、感謝かんしゃした)、そして彼かれらがラッパと、シンバルとその他たの楽器がっきをもって声こえをふりあげ、主しゅをほめて
5:14 祭司さいしたちは雲くものゆえに立たって勤つとめをすることができなかった。主しゅの栄光えいこうが神かみの宮みやに満みちたからである。
第6章 6:1 そこでソロモンは言いった、 「主しゅはみずから濃こき雲くもの中なかに住すまおうと言いわれた。6:2 しかしわたしはあなたのために高たかき家いえ、とこしえのみすまいを建たてた」。6:3 そして王おうは顔かおをふり向むけてイスラエルの全ぜん会衆かいしゅうを祝福しゅくふくした。その時ときイスラエルの全ぜん会衆かいしゅうは立たっていた。6:4 彼かれは言いった、「イスラエルの神かみ、主しゅはほむべきかな。主しゅは口くちをもってわが父ちちダビデに約束やくそくされたことを、その手てをもってなし遂とげられた。すなわち主しゅは言いわれた、6:5 『わが民たみをエジプトの地ちから導みちびき出だした日ひから、わたしはわが名なを置おくべき家いえを建たてるために、イスラエルのもろもろの部族ぶぞくのうちから、どの町まちをも選えらんだことがなく、また他たのだれをもわが民たみイスラエルの君きみとして選えらんだことがない。6:6 わが名なを置おくために、ただエルサレムだけを選えらび、またわが民たみイスラエルを治おさめさせるために、ただダビデだけを選えらんだ』。6:7 イスラエルの神かみ、主しゅの名なのために家いえを建たてることは、父ちちダビデの心こころにあった。6:8 しかし主しゅは父ちちダビデに言いわれた、『わたしの名なのために家いえを建たてることはあなたの心こころにあった。あなたの心こころにこの事ことのあったのは結構けっこうである。6:9 しかしあなたはその家いえを建たててはならない。あなたの腰こしから出でるあなたの子こがわたしの名なのために家いえを建たてるであろう』。6:10 そして主しゅはそう言いわれた言葉ことばを行おこなわれた。すなわちわたしは父ちちダビデに代かわって立たち、主しゅが言いわれたように、イスラエルの位くらいに座ざし、イスラエルの神かみ、主しゅの名なのために家いえを建たてた。6:11 わたしはまた、主しゅがイスラエルの人々ひとびとと結むすばれた主しゅの契約けいやくを入いれた箱はこをそこに納おさめた」。 6:12 ソロモンはイスラエルの全ぜん会衆かいしゅうの前まえ、主しゅの祭壇さいだんの前まえに立たって、手てを伸のべた。6:13 ソロモンはさきに長ながさ五キュビト、幅はば五キュビト、高たかさ三キュビトの青銅せいどうの台だいを造つくって、庭にわのまん中なかにすえて置おいたので、彼かれはその上うえに立たち、イスラエルの全ぜん会衆かいしゅうの前まえでひざをかがめ、その手てを天てんに伸のべて、6:14 言いった、「イスラエルの神かみ、主しゅよ、天てんにも地ちにも、あなたのような神かみはありません。あなたは契約けいやくを守まもられ、心こころをつくしてあなたの前まえに歩あゆむあなたのしもべらに、いつくしみを施ほどこし、6:15 あなたのしもべ、わたしの父ちちダビデに約束やくそくされたことを守まもられました。あなたが口くちをもって約束やくそくされたことを、手てをもってなし遂とげられたことは、今日こんにち見みるとおりであります。6:16 それゆえ、イスラエルの神かみ、主しゅよ、あなたのしもべ、わたしの父ちちダビデに、あなたが約束やくそくして、『おまえがわたしの前まえに歩あゆんだように、おまえの子孫しそんがその道みちを慎つつしんで、わたしのおきてに歩あゆむならば、おまえにはイスラエルの位くらいに座ざする人ひとがわたしの前まえに かけることはない』と言いわれたことを、ダビデのためにお守まもりください。6:17 それゆえ、イスラエルの神かみ、主しゅよ、どうぞ、あなたのしもべダビデに言いわれた言葉ことばを確認かくにんしてください。 6:18 しかし神かみは、はたして人ひとと共ともに地上ちじょうに住すまわれるでしょうか。見みよ、天てんも、いと高たかき天てんもあなたをいれることはできません。わたしの建たてたこの家いえなどなおさらです。6:19 しかしわが神かみ、主しゅよ、しもべの祈いのりと願ねがいを顧かえりみて、しもべがあなたの前まえにささげる叫さけびと祈いのりをお聞ききください。6:20 どうぞ、あなたの目めを昼ひるも夜よるもこの家いえに、すなわち、あなたの名なをそこに置おくと言いわれた所ところに向むかってお開ひらきください。どうぞ、しもべがこの所ところに向むかってささげる祈いのりをお聞ききください。6:21 どうぞ、しもべと、あなたの民たみイスラエルがこの所ところに向むかって祈いのる時ときに、その願ねがいをお聞ききください。あなたのすみかである天てんから聞きき、聞きいておゆるしください。 6:22 もし人ひとがその隣となり人びとに対たいして罪つみを犯おかし、誓ちかいをすることを求もとめられるとき、来きてこの宮みやで、あなたの祭壇さいだんの前まえに誓ちかうならば、6:23 あなたは天てんから聞きいて、行おこない、あなたのしもべらをさばき、悪人あくにんに報むくいをなして、その行おこないの報むくいをそのこうべに帰きし、義人ぎじんを義ぎとして、その義ぎにしたがってその人ひとに報むくいてください。 6:24 もしあなたの民たみイスラエルが、あなたに対たいして罪つみを犯おかしたために、敵てきの前まえに敗やぶれた時とき、あなたに立たち返かえって、あなたの名なをあがめ、この宮みやであなたの前まえに祈いのり願ねがうならば、6:25 あなたは天てんから聞きき、あなたの民たみイスラエルの罪つみをゆるして、あなたが彼かれらとその先祖せんぞに与あたえられた地ちに彼かれらを帰かえらせてください。 6:26 もし彼かれらがあなたに罪つみを犯おかしたために、天てんが閉とざされて、雨あめがなく、あなたが彼かれらを苦くるしめられるとき、彼かれらがこの所ところに向むかって祈いのり、あなたの名なをあがめ、その罪つみを離はなれるならば、6:27 あなたは天てんにあって聞きき、あなたのしもべ、あなたの民たみイスラエルの罪つみをゆるして、彼かれらに歩あゆむべき良よい道みちを教おしえ、あなたの民たみに嗣し業ぎょうとして賜たまわった地ちに雨あめを降ふらせてください。 6:28 もし国くににききんがあるか、もしくは疫病えきびょう、立たち枯がれ、腐くさり穂ほ、いなご、青虫あおむしがあるか、または敵てきのために町まちの門もんの中なかに攻せめ囲かこまれることがあるか、どんな災害さいがい、どんな病気びょうきがあっても、6:29 もし、ひとりか、あるいはあなたの民たみイスラエルが皆みなおのおのその心こころの悩なやみを知しって、この宮みやに向むかい、手てを伸のべるならば、どんな祈いのり、どんな願ねがいでも、6:30 あなたはそのすみかである天てんから聞きいてゆるし、おのおのの人ひとに、その心こころを知しっておられるゆえ、そのすべての道みちにしたがって報むくいてください。ただあなただけがすべての人ひとの心こころを知しっておられるからです。6:31 あなたがわれわれの先祖せんぞたちに賜たまわった地ちに、彼かれらの生いきながらえる日ひの間あいだ、常つねにあなたを恐おそれさせ、あなたの道みちに歩あゆませてください。 6:32 またあなたの民たみイスラエルの者ものでなく、他国たこく人じんで、あなたの大おおいなる名なと、強つよい手てと、伸のべた腕うでのために遠とおい国くにから来きて、この宮みやに向むかって祈いのるならば、6:33 あなたは、あなたのすみかである天てんから聞きき、すべて他国たこく人じんがあなたに呼よび求もとめるようにしてください。そうすれば地ちのすべての民たみはあなたの民たみイスラエルのように、あなたの名なを知しり、あなたを恐おそれ、またわたしが建たてたこの宮みやが、あなたの名なによって呼よばれることを知しるにいたるでしょう。 6:34 あなたの民たみが敵てきと戦たたかうために、あなたがつかわされる道みちによって出でるとき、もし彼かれらがあなたの選えらばれたこの町まちと、わたしがあなたの名なのために建たてたこの宮みやに向むかってあなたに祈いのるならば、6:35 あなたは天てんから彼かれらの祈いのりと願ねがいとを聞きいて彼かれらをお助たすけください。6:36 彼かれらがあなたに対たいして罪つみを犯おかすことがあって、――罪つみを犯おかさない人ひとはないゆえ、――あなたが彼かれらを怒いかって、敵てきにわたし、敵てきが彼かれらを捕虜ほりょとして遠とおい地ちあるいは近ちかい地ちに引ひいて行いくとき、6:37 もし、彼かれらが捕とらわれて行いった地ちで、みずから省かえりみて悔くい、その捕とらわれの地ちであなたに願ねがい、『われわれは罪つみを犯おかし、よこしまな事ことをし、悪あくを行おこないました』と言いい、6:38 その捕とらわれの地ちで心こころをつくし、精神せいしんをつくしてあなたに立たち返かえり、あなたが彼かれらの先祖せんぞに与あたえられた地ち、あなたが選えらばれた町まち、わたしがあなたの名なのために建たてたこの宮みやに向むかって祈いのるならば、6:39 あなたのすみかである天てんから、彼かれらの祈いのりと願ねがいとを聞きいて彼かれらを助たすけ、あなたに向むかって罪つみを犯おかしたあなたの民たみをおゆるしください。6:40 わが神かみよ、どうぞ、この所ところでささげる祈いのりにあなたの目めを開ひらき、あなたの耳みみを傾かたむけてください。 6:41 主しゅなる神かみよ、今いまあなたと、あなたの力ちからの箱はこが立たって、あなたの安息所あんそくじょにおはいりください。主しゅなる神かみよ、どうぞあなたの祭司さいしたちに救すくいの衣ころもを着きせ、あなたの聖徒せいとたちに恵めぐみを喜よろこばせてください。 6:42 主しゅなる神かみよ、どうぞあなたの油あぶらそそがれた者ものの顔かおを退しりぞけないでください。あなたのしもべダビデに示しめされたいつくしみを覚おぼえて下ください」。 第7章 7:1 ソロモンが祈いのり終おわったとき、天てんから火ひが下くだって燔祭はんさいと犠牲ぎせいを焼やき、主しゅの栄光えいこうが宮みやに満みちた。7:2 主しゅの栄光えいこうが主しゅの宮みやに満みちたので、祭司さいしたちは主しゅの宮みやに、はいることができなかった。7:3 イスラエルの人々ひとびとはみな火ひが下くだったのを見み、また主しゅの栄光えいこうが宮みやに臨のぞんだのを見みて、敷石しきいしの上うえで地ちにひれ伏ふして拝はいし、主しゅに感謝かんしゃして言いった、 「主しゅは恵めぐみふかく、そのいつくしみはとこしえに絶たえることがない」。7:4 そして王おうと民たみは皆みな主しゅの前まえに犠牲ぎせいをささげた。7:5 ソロモン王おうのささげた犠牲ぎせいは、牛うし二万二千頭とう、羊ひつじ十二万頭とうであった。こうして王おうと民たみは皆みな神かみの宮みやをささげた。7:6 祭司さいしはその持もち場ばに立たち、レビびとも主しゅの楽器がっきをとって立たった。その楽器がっきはダビデ王おうが主しゅに感謝かんしゃするために造つくったもので、ダビデが彼かれらの手てによってさんびをささげるとき、「そのいつくしみは、とこしえに絶たえることがない」ととなえさせたものである。祭司さいしは彼かれらの前まえでラッパを吹ふき、すべてのイスラエルびとは立たっていた。 7:7 ソロモンはまた主しゅの宮みやの前まえにある庭にわの中なかを聖別せいべつし、その所ところで、燔祭はんさいと酬恩祭しゅうおんさいのあぶらをささげた。これはソロモンが造つくった青銅せいどうの祭壇さいだんが、その燔祭はんさいと素祭そさいとあぶらとを載のせるに足たりなかったからである。 7:8 その時ときソロモンは七日なぬかの間あいだ祭まつりを行おこなった。ハマテの入口いりぐちからエジプトの川かわに至いたるまでのすべてのイスラエルびとが彼かれと共ともにあり、非常ひじょうに大おおきな会衆かいしゅうであった。7:9 そして八日か目めに聖せい会かいを開ひらいた。彼かれらは七日なぬかの間あいだ、祭壇さいだん奉献ほうけんの礼れいを行おこない、七日なぬかの間あいだ祭まつりを行おこなったが、7:10 七月がつ二十三日にちに至いたってソロモンは民たみをその天幕てんまくに帰かえらせた。皆みな主しゅがダビデ、ソロモンおよびその民たみイスラエルに施ほどこされた恵めぐみのために喜よろこび、かつ心こころに楽たのしんで去さった。 7:11 こうしてソロモンは主しゅの家いえと王おうの家いえとを造つくり終おえた。すなわち彼かれは主しゅの家いえと自分じぶんの家いえについて、しようと計画けいかくしたすべての事ことを首尾しゅびよくなし遂とげた。7:12 時ときに主しゅは夜よるソロモンに現あらわれて言いわれた、「わたしはあなたの祈いのりを聞きき、この所ところをわたしのために選えらんで、犠牲ぎせいをささげる家いえとした。7:13 わたしが天てんを閉とじて雨あめをなくし、またはわたしがいなごに命めいじて地ちの物ものを食くわせ、または疫病えきびょうを民たみの中なかに送おくるとき、7:14 わたしの名なをもってとなえられるわたしの民たみが、もしへりくだり、祈いのって、わたしの顔かおを求もとめ、その悪わるい道みちを離はなれるならば、わたしは天てんから聞きいて、その罪つみをゆるし、その地ちをいやす。7:15 今いまこの所ところにささげられる祈いのりにわたしの目めを開ひらき、耳みみを傾かたむける。7:16 今いまわたしはわたしの名なをながくここにとどめるために、この宮みやを選えらび、かつ聖別せいべつした。わたしの目めとわたしの心こころは常つねにここにある。7:17 あなたがもし父ちちダビデの歩あゆんだようにわたしの前まえに歩あゆみ、わたしが命めいじたとおりにすべて行いって、わたしの定さだめとおきてとを守まもるならば、7:18 わたしはあなたの父ちちダビデに契約けいやくして『イスラエルを治おさめる人ひとはあなたに欠かけることがない』と言いったとおりに、あなたの王おうの位くらいを堅かたくする。 7:19 しかし、あなたがたがもし翻ひるがえって、わたしがあなたがたの前まえに置おいた定さだめと戒いましめとを捨すて、行いって他たの神々かみがみに仕つかえ、それを拝おがむならば、7:20 わたしはあなたがたをわたしの与あたえた地ちから抜ぬき去さり、またわたしの名なのために聖別せいべつしたこの宮みやをわたしの前まえから投なげ捨すてて、もろもろの民たみのうちにことわざとし、笑わらい草ぐさとする。7:21 またこの宮みやは高たかいけれども、ついには、そのかたわらを過すぎる者ものは皆みな驚おどろいて、『何なにゆえ主しゅはこの地ちと、この宮みやとにこのようにされたのか』と言いうであろう。7:22 その時とき、人々ひとびとは答こたえて『彼かれらはその先祖せんぞたちをエジプトの地ちから導みちびき出だした彼かれらの神かみ、主しゅを捨すてて、他たの神々かみがみにつき従したがい、それを拝おがみ、それに仕つかえたために、主しゅはこのすべての災わざわいを彼かれらの上うえに下くだしたのである』と言いうであろう」。 第8章 8:1 ソロモンは二十年ねんを経へて、主しゅの家いえと自分じぶんの家いえとを建たて終おわった。8:2 またソロモンはヒラムから送おくられた町々まちまちを建たて直なおして、そこにイスラエルの人々ひとびとを住すませた。 8:3 ソロモンはまたハマテ・ゾバを攻せめて、これを取とった。8:4 彼かれはまた荒野あらのにタデモルを建たて、もろもろの倉くらの町まちをハマテに建たてた。8:5 また城壁じょうへき、門もん、貫かんの木きのある堅固けんごな町まち、上うえベテホロンと下したベテホロンを建たてた。8:6 ソロモンはまたバアラテと自分じぶんのもっていたすべての倉くらの町まちと、すべての戦車せんしゃの町まちと、騎兵きへいの町まち、ならびにエルサレム、レバノンおよび自分じぶんの治おさめる全ぜん地方ちほうに建たてようと望のぞんだものを、ことごとく建たてた。8:7 すべてイスラエルの子孫しそんでないヘテびと、アモリびと、ペリジびと、ヒビびと、エブスびとの残のこった民たみ、8:8 その地ちにあって彼かれらのあとに残のこったその子孫しそん、すなわちイスラエルの子孫しそんが滅ほろぼし尽つくさなかった民たみに、ソロモンは強制きょうせい徴募ちょうぼをおこなって今日こんにちに及およんでいる。8:9 しかし、イスラエルの人々ひとびとをソロモンはその工事こうじのためには、ひとりも奴隷どれいとしなかった。彼かれらは兵士へいしとなり、将校しょうこうとなり、戦車せんしゃと、騎兵きへいの長ちょうとなった。8:10 これらはソロモン王おうのおもな官吏かんりで、二百五十人にんあり、民たみを治おさめた。 8:11 ソロモンはパロの娘むすめをダビデの町まちから連つれ上のぼって、彼女かのじょのために建たてた家いえに入いれて言いった、「主しゅの箱はこを迎むかえた所ところは神聖しんせいであるから、わたしの妻つまはイスラエルの王おうダビデの家いえに住すんではならない」。 8:12 ソロモンは廊ろうの前まえに築きずいておいた主しゅの祭壇さいだんの上うえで主しゅに燔祭はんさいをささげた。8:13 すなわちモーセの命令めいれいに従したがって、毎日まいにち定さだめのようにささげ、安息日あんそくにち、新月しんげつおよび年ねんに三度どの祭まつり、すなわち種たね入いれぬパンの祭まつり、七週しゅうの祭まつり、仮庵かりいおの祭まつりにこれをささげた。8:14 ソロモンは、その父ちちダビデのおきてに従したがって、祭司さいしの組くみを定さだめてその職しょくに任にんじ、またレビびとをその勤つとめに任にんじて、毎日まいにち定さだめのように祭司さいしの前まえでさんびと奉仕ほうしをさせ、また門もんを守まもる者ものに、その組くみにしたがって、もろもろの門もんを守まもらせた。これは神かみの人ひとダビデがこのように命めいじたからである。8:15 祭司さいしとレビびとはすべての事ことにつき、また倉くらの事ことについて、王おうの命令めいれいにそむかなかった。 8:16 このようにソロモンは、主しゅの宮みやの基もといをすえた日ひからこれをなし終おえたときまで、その工事こうじの準備じゅんびをことごとくなしたので、主しゅの宮みやは完成かんせいした。 8:17 それからソロモンはエドムの地ちの海うみべにあるエジオン・ゲベルおよびエロテへ行いった。8:18 時ときにヒラムはそのしもべどもの手てによって船団せんだんを彼かれに送おくり、また海うみの事ことになれたしもべどもをつかわしたので、彼かれらはソロモンのしもべらと共ともにオフルへ行いき、そこから金きん四百五十タラントを取とって、これをソロモン王おうのもとに携たずさえてきた。 第9章 9:1 シバの女王じょおうはソロモンの名声めいせいを聞きいたので、難問なんもんをもってソロモンを試こころみようと、非常ひじょうに多おおくの従者じゅうしゃを連つれ、香料こうりょうと非常ひじょうにたくさんの金きんと宝石ほうせきとをらくだに負おわせて、エルサレムのソロモンのもとに来きて、その心こころにあることをことごとく彼かれに告つげた。9:2 ソロモンは彼女かのじょのすべての問といに答こたえた。ソロモンが知しらないで彼女かのじょに説明せつめいのできないことは一つもなかった。9:3 シバの女王じょおうはソロモンの知恵ちえと、彼かれが建たてた家いえを見み、9:4 またその食卓しょくたくの食物しょくもつと、列座れつざの家来けらいたちと、その侍臣じしんたちの伺候しこう振ふりと彼かれらの服装ふくそう、および彼かれの給仕きゅうじたちとその服装ふくそう、ならびに彼かれが主しゅの宮みやでささげる燔祭はんさいを見みて、全まったく気きを奪うばわれてしまった。 9:5 彼女かのじょは王おうに言いった、「わたしが国くにであなたの事ことと、あなたの知恵ちえについて聞きいたうわさは真実しんじつでした。9:6 しかしわたしは来きて目めに見みるまでは、そのうわさを信しんじませんでしたが、今見いまみると、あなたの知恵ちえの大おおいなることはその半分はんぶんもわたしに知しらされませんでした。あなたはわたしの聞きいたうわさにまさっています。9:7 あなたの奥方おくがたたちはさいわいです。常つねにあなたの前まえに立たって、あなたの知恵ちえを聞きくこのあなたの家来けらいたちはさいわいです。9:8 あなたの神かみ、主しゅはほむべきかな。主しゅはあなたを喜よろこび、あなたをその位くらいにつかせ、あなたの神かみ、主しゅのために王おうとされました。あなたの神かみはイスラエルを愛あいして、とこしえにこれを堅かたくするために、あなたをその王おうとされ、公道こうどうと正義せいぎを行おこなわれるのです」。9:9 そして彼女かのじょは金きん百二十タラント、および非常ひじょうに多おおくの香料こうりょうと宝石ほうせきとを王おうに贈おくった。シバの女王じょおうがソロモンに贈おくったような香料こうりょうは、いまだかつてなかった。 9:10 オフルから金きんを携たずさえて来きたヒラムのしもべたちとソロモンのしもべたちはまた、びゃくだんの木きと宝石ほうせきをも携たずさえて来きた。9:11 王おうはそのびゃくだんの木きで、主しゅの宮みやと王おうの家いえとに階段かいだんを造つくり、また歌うたうたう者もののために琴ことと立琴たてごとを つくった。このようなものはかつてユダの地ちで見みたことがなかった。 9:12 ソロモン王おうは、シバの女王じょおうが贈おくった物ものに報むくいたほかに、彼女かのじょの望のぞみにまかせて、すべてその求もとめるものを贈おくった。そして彼女かのじょはその家来けらいたちと共ともに自分じぶんの国くにへ帰かえって行いった。 9:13 さて一年ねんの間あいだにソロモンの所ところにはいって来きた金きんの目方めかたは六百六十六タラントであった。9:14 このほかに貿易ぼうえき商しょうおよび商人しょうにんの携たずさえて来きたものがあった。またアラビヤのすべての王おうたちおよび国くにの代官だいかんたちも金銀きんぎんをソロモンに携たずさえてきた。9:15 ソロモン王おうは延金のべきんの大盾おおだて二百を造つくった。その大盾おおだてにはおのおの六百シケルの延金のべきんを用もちいた。9:16 また延金のべきんの小盾こだて三百を造つくった。小盾こだてにはおのおの三百シケルの金きんを用もちいた。王おうはこれらをレバノンの森もりの家いえに置おいた。9:17 王おうはまた大おおきな象牙ぞうげの玉座ぎょくざを造つくり、純金じゅんきんでこれをおおった。9:18 その玉座ぎょくざには六つの段だんがあり、また金きんの足あし台だいがあって共ともに玉座ぎょくざにつらなり、その座ざする所ところの両方りょうほうに、ひじかけがあって、ひじかけのわきに二つのししが立たっていた。9:19 また十二のししが六つの段だんのおのおのの両側りょうがわに立たっていた。このような物ものはどこの国くにでも造つくられたことがなかった。9:20 ソロモン王おうが飲のむときに用もちいた器うつわはみな金きんであった。またレバノンの森もりの家いえの器うつわもみな純金じゅんきんであって、銀ぎんはソロモンの世よには尊たっとばれなかった。9:21 これは王おうの船ふねがヒラムのしもべたちを乗のせてタルシシへ行いき、三年ねんごとに一度ど、そのタルシシの船ふねが金きん、銀ぎん、象牙ぞうげ、さる、くじゃくを載のせて来きたからである。 9:22 このようにソロモン王おうは富とみと知恵ちえにおいて、地ちのすべての王おうにまさっていたので、9:23 地ちのすべての王おうは神かみがソロモンの心こころに授さづけられた知恵ちえを聞きこうとしてソロモンに謁見えっけんを求もとめた。9:24 人々ひとびとはおのおの贈おくり物ものを携たずさえてきた。すなわち銀ぎんの器うつわ、金きんの器うつわ、衣服いふく、没薬もつやく、香料こうりょう、馬うま、騾馬らばなど年々ねんねん定さだまっていた。9:25 ソロモンは馬うまと戦車せんしゃのために馬屋うまや四千と騎兵きへい一万二千を持もち、これを戦車せんしゃの町まちに置おき、またエルサレムの王おうのもとに置おいた。9:26 彼かれはユフラテ川かわからペリシテびとの地ちと、エジプトの境さかいに至いたるまでのすべての王おうを治おさめた。9:27 王おうはまた銀ぎんを石いしのようにエルサレムに多おおくし、香柏こうはくを平野へいやのいちじく桑くわのように多おおくした。9:28 また人々ひとびとはエジプトおよび諸国しょこくから馬うまをソロモンのために輸入ゆにゅうした。 9:29 ソロモンのそのほかの始終しじゅうの行為こういは、預言者よげんしゃナタンの書しょと、シロびとアヒヤの預言よげんと、先見者せんけんしゃイドがネバテの子こヤラベアムについて述のべた黙示もくしのなかに、しるされているではないか。9:30 ソロモンはエルサレムで四十年ねんの間あいだイスラエルの全ぜん地ちを治おさめた。9:31 ソロモンはその先祖せんぞたちと共ともに眠ねむって、父ちちダビデの町まちに葬ほうむられ、その子こレハベアムが代かわって王おうとなった。 第10章 10:1 レハベアムはシケムへ行いった。すべてのイスラエルびとが彼かれを王おうにしようとシケムへ行いったからである。10:2 ネバテの子こヤラベアムは、ソロモンを避さけてエジプトにのがれていたが、これを聞きいてエジプトから帰かえったので、10:3 人々ひとびとは人ひとをつかわして彼かれを招まねいた。そこでヤラベアムとすべてのイスラエルは来きて、レハベアムに言いった、10:4 「あなたの父ちちは、われわれのくびきを重おもくしましたが、今いまあなたの父ちちのきびしい使役しえきと、あなたの父ちちが、われわれに負おわせた重おもいくびきを軽かるくしてください。そうすればわたしたちはあなたに仕つかえましょう」。10:5 レハベアムは彼かれらに答こたえた、「三日かの後のち、またわたしの所ところに来きなさい」。それで民たみは去さった。 10:6 レハベアム王おうは父ちちソロモンの存命ぞんめい中ちゅうソロモンに仕つかえた長老ちょうろうたちに相談そうだんして言いった、「あなたがたはこの民たみにどう返答へんとうすればよいと思おもいますか」。10:7 彼かれらはレハベアムに言いった、「あなたがもしこの民たみを親切しんせつにあつかい、彼かれらを喜よろこばせ、ねんごろに語かたられるならば彼かれらは長ながくあなたのしもべとなるでしょう」。10:8 しかし彼かれは長老ちょうろうたちが与あたえた勧すすめをすてて、自分じぶんと一緒いっしょに大おおきくなって自分じぶんに仕つかえている若者わかものたちに相談そうだんして、10:9 彼かれらに言いった、「あなたがたは、この民たみがわたしに向むかって、『あなたの父上ちちうえが、われわれに負おわせたくびきを軽かるくしてください』と言いうのに、われわれはなんと返答へんとうすればよいと思おもいますか」。10:10 彼かれと一緒いっしょに大おおきくなった若者わかものたちは彼かれに言いった、「あなたに向むかって、『あなたの父ちちは、われわれのくびきを重おもくしたが、あなたは、それをわれわれのために軽かるくしてください』と言いったこの民たみに、こう言いいなさい、『わたしの小指こゆびは父ちちの腰こしよりも太ふとい、10:11 父ちちはあなたがたに重おもいくびきを負おわせたが、わたしはさらに、あなたがたのくびきを重おもくしよう。父ちちはむちであなたがたを懲こらしたが、わたしはさそりであなたがたを懲こらそう』」。 10:12 さてヤラベアムと民たみは皆みな、王おうが「三日か目めにわたしのところに来きなさい」と言いったとおりに、三日か目めにレハベアムのところへ行いった。10:13 王おうは荒々あらあらしく彼かれらに答こたえた。すなわちレハベアム王おうは長老ちょうろうたちの勧すすめをすて、10:14 若者わかものたちの勧すすめに従したがい、彼かれらに告つげて言いった、「父ちちはあなたがたのくびきを重おもくしたが、わたしは更さらにこれを重おもくしよう。父ちちはむちであなたがたを懲こらしたが、わたしはさそりであなたがたを懲こらそう」。10:15 このように王おうは民たみの言いうことを聞ききいれなかった。これは主しゅが、かつてシロびとアヒヤによって、ネバテの子こヤラベアムに言いわれた言葉ことばを成就じょうじゅするために、神かみがなされたのであった。 10:16 イスラエルの人々ひとびとは皆みな、王おうが自分じぶんたちの言いうことを聞ききいれないのを見みたので、民たみは王おうに答こたえて言いった、 「われわれはダビデのうちに何なにの分ぶんがあろうか。われわれはエッサイの子このうちに嗣し業ぎょうがない。イスラエルよ、めいめいの天幕てんまくに帰かえれ。ダビデよ、今いまあなたの家いえを見みよ」。そしてイスラエルは皆みな彼かれらの天幕てんまくへ去さって行いった。10:17 しかしレハベアムはユダの町々まちまちに住すんでいるイスラエルの人々ひとびとを治おさめた。10:18 レハベアム王おうは徴募ちょうぼ人にんの監督かんとくであったアドラムをつかわしたが、イスラエルの人々ひとびとが石いしで彼かれを撃うち殺ころしたので、レハベアム王おうは急いそいで車くるまに乗のり、エルサレムに逃にげた。10:19 こうしてイスラエルはダビデの家いえにそむいて今日こんにちに至いたった。 第11章 11:1 レハベアムはエルサレムに来きて、ユダとベニヤミンの家いえの者もの、すなわち、えり抜ぬきの軍人ぐんじん十八万人にんを集あつめ、国くにを取とりもどすためにイスラエルと戦たたかおうとしたが、11:2 主しゅの言葉ことばが神かみの人ひとシマヤに臨のぞんで言いった、11:3 「ソロモンの子こ、ユダの王おうレハベアムおよびユダとベニヤミンにいるすべてのイスラエルの人々ひとびとに言いいなさい、11:4 『主しゅはこう仰おおせられる、あなたがたは上のぼってはならない。あなたがたの兄弟きょうだいと戦たたかってはならない。おのおの自分じぶんの家いえに帰かえりなさい。この事ことはわたしから出でたのである』」。それで人々ひとびとは主しゅの言葉ことばを聞きき、ヤラベアムを攻せめに行いくのをやめて帰かえった。 11:5 レハベアムはエルサレムに住すんで、ユダに防衛ぼうえいの町々まちまちを建たてた。11:6 すなわちベツレヘム、エタム、テコア、11:7 ベテズル、ソコ、アドラム、11:8 ガテ、マレシャ、ジフ、11:9 アドライム、ラキシ、アゼカ、11:10 ゾラ、アヤロン、およびヘブロン。これらはユダとベニヤミンにあって要害ようがいの町々まちまちである。11:11 彼かれはその要害ようがいを堅固けんごにし、これに軍ぐん長ちょうを置おき、糧食りょうしょくと油あぶらとぶどう酒しゅをたくわえ、11:12 またそのすべての町まちに盾たてとやりを備そなえて、これを非常ひじょうに強化きょうかし、そしてユダとベニヤミンを確保かくほした。 11:13 イスラエルの全ぜん地ちの祭司さいしとレビびとは四方しほうの境さかいから来きてレハベアムに身みを寄よせた。11:14 すなわちレビびとは自分じぶんの放牧ほうぼく地ちと領地りょうちを離はなれてユダとエルサレムに来きた。これはヤラベアムとその子こらが彼かれらを排斥はいせきして、主しゅの前まえに祭司さいしの務つとめをさせなかったためである。11:15 ヤラベアムは高たかき所ところと、みだらな神かみと、自分じぶんで造つくった子こ牛うしのために自分じぶんの祭司さいしを立たてた。11:16 またイスラエルのすべての部族ぶぞくのうちで、すべてその心こころを傾かたむけて、イスラエルの神かみ、主しゅを求もとめる者ものは先祖せんぞの神かみ、主しゅに犠牲ぎせいをささげるために、レビびとに従したがってエルサレムに来きた。11:17 このように彼かれらはユダの国くにを堅かたくし、ソロモンの子こレハベアムを三年ねんの間あいだ強つよくした。彼かれらは三年ねんの間あいだダビデとソロモンの道みちに歩あゆんだからである。 11:18 レハベアムはダビデの子こエレモテの娘むすめマハラテを妻つまにめとった。マハラテはエッサイの子こエリアブの娘むすめアビハイルが産うんだ者ものである。11:19 彼女かのじょはエウシ、シマリヤおよびザハムの三子しを産うんだ。11:20 彼かれはまた彼女かのじょの後のちにアブサロムの娘むすめマアカをめとった。マアカはアビヤ、アッタイ、ジザおよびシロミテを産うんだ。11:21 レハベアムはアブサロムの娘むすめマアカをすべての妻つまとそばめにまさって愛あいした。彼かれは妻つま十八人にん、そばめ六十人にんをめとって、男おとこの子こ二十八人にんと女おんなの子こ六十人にんをもうけた。11:22 レハベアムはマアカの子こアビヤを立たててかしらとし、その兄弟きょうだいの長ちょうとした。彼かれはアビヤを王おうにしようと思おもったからである。11:23 それで王おうは賢かしこくとり行おこない、そのむすこたちをことごとく、ユダとベニヤミンの全ぜん地方ちほうにあるすべての要害ようがいの町まちに散在さんざいさせ、彼かれらに糧食りょうしょくを多おおく与あたえ、また多おおくの妻つまを得えさせた。 第12章 12:1 レハベアムはその国くにが堅かたく立たち、強つよくなるに及およんで、主しゅのおきてを捨すてた。イスラエルも皆みな彼かれにならった。12:2 彼かれらがこのように主しゅに向むかって罪つみを犯おかしたので、レハベアム王おうの五年ねんにエジプトの王おうシシャクがエルサレムに攻せめ上のぼってきた。12:3 その戦車せんしゃは一千二百、騎兵きへいは六万、また彼かれに従したがってエジプトから来きた民たみ、すなわちリビアびと、スキびと、エチオピヤびとは無数むすうであった。12:4 シシャクはユダの要害ようがいの町々まちまちを取とり、エルサレムに迫せまって来きた。12:5 そこで預言者よげんしゃシマヤは、レハベアムおよびシシャクのゆえに、エルサレムに集あつまったユダのつかさたちのもとにきて言いった、「主しゅはこう仰おおせられる、『あなたがたはわたしを捨すてたので、わたしもあなたがたを捨すててシシャクにわたした』と」。12:6 そこでイスラエルのつかさたち、および王おうはへりくだって、「主しゅは正ただしい」と言いった。12:7 主しゅは彼かれらのへりくだるのを見みられたので、主しゅの言葉ことばがシマヤにのぞんで言いった、「彼かれらがへりくだったから、わたしは彼かれらを滅ほろぼさないで、間まもなく救すくいを施ほどこす。わたしはシシャクの手てによって、怒いかりをエルサレムに注そそぐことをしない。12:8 しかし彼かれらはシシャクのしもべになる。これは彼かれらがわたしに仕つかえることと、国々くにぐにの王おうたちに仕つかえることとの相違そういを知しるためである」。 12:9 エジプトの王おうシシャクはエルサレムに攻せめのぼって、主しゅの宮みやの宝物ほうもつと、王おうの家いえの宝物ほうもつとを奪うばい去さった。すなわちそれらをことごとく奪うばい去さり、またソロモンの造つくった金きんの盾たてをも奪うばい去さった。12:10 それでレハベアム王おうは、その代かわりに青銅せいどうの盾たてを造つくって、王おうの家いえの門もんを守まもる侍衛じえい長ちょうたちの手てに渡わたした。12:11 王おうが主しゅの宮みやにはいるごとに侍衛じえいは来きて、これを負おい、またこれを侍衛じえいのへやへ持もって帰かえった。12:12 レハベアムがへりくだったので主しゅの怒いかりは彼かれを離はなれ、彼かれをことごとく滅ほろぼそうとはされなかった。またユダの事情じじょうもよくなった。 12:13 レハベアム王おうはエルサレムで自分じぶんの地位ちいを確立かくりつし、世よを治おさめた。すなわちレハベアムは四十一歳さいのとき位くらいにつき、十七年ねんの間あいだエルサレムで世よを治おさめた。エルサレムは主しゅがその名なを置おくためにイスラエルのすべての部族ぶぞくのうちから選えらばれた町まちである。彼かれの母はははアンモンの女おんなで、名なをナアマといった。12:14 レハベアムは主しゅを求もとめることに心こころを傾かたむけないで、悪わるい事ことを行おこなった。 12:15 レハベアムの始終しじゅうの行為こういは、預言者よげんしゃシマヤおよび先見者せんけんしゃイドの書しょにしるされているではないか。レハベアムとヤラベアムとの間あいだには絶たえず戦争せんそうがあった。12:16 レハベアムはその先祖せんぞたちと共ともに眠ねむって、ダビデの町まちに葬ほうむられ、その子こアビヤが彼かれに代かわって王おうとなった。 第13章 13:1 ヤラベアム王おうの第だい十八年ねんにアビヤがユダの王おうとなった。13:2 彼かれは三年ねんの間あいだエルサレムで世よを治おさめた。彼かれの母はははギベアのウリエルの娘むすめで、名なをミカヤといった。 13:3 ここにアビヤとヤラベアムとの間あいだに戦争せんそうが起おこり、アビヤは四十万の精兵せいへいから成なる勇敢ゆうかんな軍勢ぐんぜいをもって戦たたかいにいで、ヤラベアムも大だい勇士ゆうしから成なる八十万の精兵せいへいをもって、これに向むかって戦たたかいの備そなえをした。13:4 時ときにアビヤはエフライムの山地さんちにあるゼマライム山やまの上うえに立たって言いった、「ヤラベアムおよびイスラエルの人々ひとびとよ皆みな聞きけ。13:5 あなたがたはイスラエルの神かみ、主しゅが塩しおの契約けいやくをもってイスラエルの国くにをながくダビデとその子孫しそんに賜たまわったことを知しらないのか。13:6 ところがダビデの子こソロモンの家来けらいであるネバテの子こヤラベアムが起たって、その主君しゅくんにそむき、13:7 また卑いやしい無頼ぶらいのともがらが集あつまって彼かれにくみし、ソロモンの子こレハベアムに敵てきしたが、レハベアムは若わかく、かつ意志いしが弱よわくてこれに当あたることができなかった。 13:8 今いままた、あなたがたは大軍たいぐんをたのみ、またヤラベアムが造つくって、あなたがたの神かみとした金きんの子こ牛うしをたのんで、ダビデの子孫しそんの手てにある主しゅの国くにに敵対てきたいしようとしている。13:9 またあなたがたはアロンの子孫しそんである主しゅの祭司さいしとレビびととを追おいだして、他たの国々くにぐにの民たみがするように祭司さいしを立たてたではないか。すなわちだれでも若わかい雄牛おうし一頭とう、雄羊おひつじ七頭とうを携たずさえてきて、自分じぶんを聖別せいべつする者ものは皆みなあの神かみでない者ものの祭司さいしとすることができた。13:10 しかしわれわれにおいては、主しゅがわれわれの神かみであって、われわれは彼かれを捨すてない。また主しゅに仕つかえる祭司さいしはアロンの子孫しそんであり、働はたらきをなす者ものはレビびとである。13:11 彼かれらは朝あさごと夕ゆうごとに主しゅに燔祭はんさいと、こうばしい香こうをささげ、供そなえのパンを純金じゅんきんの机つくえの上うえに供そなえ、また金きんの燭台しょくだいとそのともしび皿さらを整ととのえて、夕ゆうごとにともすのである。このようにわれわれはわれわれの神かみ、主しゅの務つとめを守まもっているが、あなたがたは彼かれを捨すてた。13:12 見みよ、神かみはみずからわれわれと共ともにおられて、われわれのかしらとなられ、また、その祭司さいしたちはラッパを吹ふきならして、あなたがたを攻せめる。イスラエルの人々ひとびとよ、あなたがたの先祖せんぞの神かみ、主しゅに敵てきして戦たたかってはならない。あなたがたは成功せいこうしない」。 13:13 ヤラベアムは伏兵ふくへいを彼かれらのうしろに回まわらせたので、彼かれの軍隊ぐんたいはユダの前まえにあり、伏兵ふくへいは彼かれらのうしろにあった。13:14 ユダはうしろを見みると、敵てきが前まえとうしろとにあったので、主しゅに向むかって呼よばわり、祭司さいしたちはラッパを吹ふいた。13:15 そこでユダの人々ひとびとはときの声こえをあげた。ユダの人々ひとびとがときの声こえをあげると、神かみはヤラベアムとイスラエルの人々ひとびとをアビヤとユダの前まえに打うち敗やぶられたので、13:16 イスラエルの人々ひとびとはユダの前まえから逃にげた。神かみが彼かれらをユダの手てに渡わたされたので、13:17 アビヤとその民たみは、彼かれらをおびただしく撃うち殺ころした。イスラエルの殺ころされて倒たおれた者ものは五十万人にん、皆みな精兵せいへいであった。13:18 このように、この時ときイスラエルの人々ひとびとは打うち負まかされ、ユダの人々ひとびとは勝かちを得えた。彼かれらがその先祖せんぞの神かみ、主しゅを頼たのんだからである。13:19 アビヤはヤラベアムを追撃ついげきして数個すうこの町まちを彼かれから取とった。すなわちベテルとその村里むらざと、エシャナとその村里むらざと、エフロンとその村里むらざとである。13:20 ヤラベアムは、アビヤの世よには再ふたたび力ちからを得えることができず、主しゅに撃うたれて死しんだ。13:21 しかしアビヤは強つよくなり、妻つま十四人にんをめとり、むすこ二十二人にん、むすめ十六人にんをもうけた。13:22 アビヤのその他たの行為こういすなわちその行動こうどうと言葉ことばは、預言者よげんしゃイドの注釈ちゅうしゃくにしるされている。 第14章 14:1 アビヤはその先祖せんぞたちと共ともに眠ねむって、ダビデの町まちに葬ほうむられ、その子こアサが代かわって王おうとなった。アサの治世ちせいに国くには十年ねんの間あいだ、穏おだやかであった。14:2 アサはその神かみ、主しゅの目めに良よしと見みえ、また正ただしと見みえることを行おこなった。14:3 彼かれは異ことなる祭壇さいだんと、もろもろの高たかき所ところを取とり除のぞき、石柱せきちゅうをこわし、アシラ像ぞうを切きり倒たおし、14:4 ユダに命めいじてその先祖せんぞたちの神かみ、主しゅを求もとめさせ、おきてと戒いましめとを行おこなわせ、14:5 ユダのすべての町々まちまちから、高たかき所ところと香こうの祭壇さいだんとを取とり除のぞいた。そして国くには彼かれのもとに穏おだやかであった。14:6 彼かれは国くにが穏おだやかであったので、要害ようがいの町まち数個すうこをユダに建たてた。また主しゅが彼かれに平安へいあんを賜たまわったので、この年としごろ戦争せんそうがなかった。14:7 彼かれはユダに言いった、「われわれはこれらの町まちを建たて、その周囲しゅういに石いしがきを築きずき、やぐらを建たて、門もんと貫かんの木きを設もうけよう。われわれがわれわれの神かみ、主しゅを求もとめたので、この国くにはなおわれわれのものであり、われわれが彼かれを求もとめたので、四方しほうにおいて、われわれに平安へいあんを賜たまわった」。こうして彼かれらは滞とどこおりなく建たて終おわった。14:8 アサの軍隊ぐんたいはユダから出でた者もの三十万人にんあって、盾たてとやりをとり、ベニヤミンから出でた者もの二十八万人にんあって、小盾こだてをとり、弓ゆみを引ひいた。これはみな大だい勇士ゆうしであった。 14:9 エチオピヤびとゼラが、百万の軍隊ぐんたいと三百の戦車せんしゃを率ひきいて、マレシャまで攻せめてきた。14:10 アサは出でて、これを迎むかえ、マレシャのゼパタの谷たにに戦たたかいの備そなえをした。14:11 時ときにアサはその神かみ、主しゅに向むかって呼よばわって言いった、「主しゅよ、力ちからのある者ものを助たすけることも、力ちからのない者ものを助たすけることも、あなたにおいては異ことなることはありません。われわれの神かみ、主しゅよ、われわれをお助たすけください。われわれはあなたに寄より頼たのみ、あなたの名なによってこの大軍たいぐんに当あたります。主しゅよ、あなたはわれわれの神かみです。どうぞ人ひとをあなたに勝かたせないでください」。14:12 そこで主しゅはアサの前まえとユダの前まえでエチオピヤびとを撃うち敗やぶられたので、エチオピヤびとは逃にげ去さった。14:13 アサと彼かれに従したがう民たみは彼かれらをゲラルまで追撃ついげきしたので、エチオピヤびとは倒たおれて、生いき残のこった者ものはひとりもなかった。主しゅと主しゅの軍勢ぐんぜいの前まえに撃うち破やぶられたからである。ユダの人々ひとびとの得えたぶんどり物ものは非常ひじょうに多おおかった。14:14 彼かれらはまた、ゲラルの周囲しゅういの町々まちまちをことごとく撃うち破やぶった。主しゅの恐おそれが彼かれらの上うえに臨のぞんだからである。そして彼かれらはそのすべての町まちをかすめ奪うばった。その内うちに多おおくの物ものがあったからである。14:15 また家畜かちくをもっている者ものの天幕てんまくを襲おそい、多おおくの羊ひつじとらくだを奪うばい取とって、エルサレムに帰かえった。
6:1 そこでソロモンは言いった、
6:2 しかしわたしはあなたのために高たかき家いえ、とこしえのみすまいを建たてた」。
6:3 そして王おうは顔かおをふり向むけてイスラエルの全ぜん会衆かいしゅうを祝福しゅくふくした。その時ときイスラエルの全ぜん会衆かいしゅうは立たっていた。
6:4 彼かれは言いった、「イスラエルの神かみ、主しゅはほむべきかな。主しゅは口くちをもってわが父ちちダビデに約束やくそくされたことを、その手てをもってなし遂とげられた。すなわち主しゅは言いわれた、
6:5 『わが民たみをエジプトの地ちから導みちびき出だした日ひから、わたしはわが名なを置おくべき家いえを建たてるために、イスラエルのもろもろの部族ぶぞくのうちから、どの町まちをも選えらんだことがなく、また他たのだれをもわが民たみイスラエルの君きみとして選えらんだことがない。
6:6 わが名なを置おくために、ただエルサレムだけを選えらび、またわが民たみイスラエルを治おさめさせるために、ただダビデだけを選えらんだ』。
6:7 イスラエルの神かみ、主しゅの名なのために家いえを建たてることは、父ちちダビデの心こころにあった。
6:8 しかし主しゅは父ちちダビデに言いわれた、『わたしの名なのために家いえを建たてることはあなたの心こころにあった。あなたの心こころにこの事ことのあったのは結構けっこうである。
6:9 しかしあなたはその家いえを建たててはならない。あなたの腰こしから出でるあなたの子こがわたしの名なのために家いえを建たてるであろう』。
6:10 そして主しゅはそう言いわれた言葉ことばを行おこなわれた。すなわちわたしは父ちちダビデに代かわって立たち、主しゅが言いわれたように、イスラエルの位くらいに座ざし、イスラエルの神かみ、主しゅの名なのために家いえを建たてた。
6:11 わたしはまた、主しゅがイスラエルの人々ひとびとと結むすばれた主しゅの契約けいやくを入いれた箱はこをそこに納おさめた」。
6:12 ソロモンはイスラエルの全ぜん会衆かいしゅうの前まえ、主しゅの祭壇さいだんの前まえに立たって、手てを伸のべた。
6:13 ソロモンはさきに長ながさ五キュビト、幅はば五キュビト、高たかさ三キュビトの青銅せいどうの台だいを造つくって、庭にわのまん中なかにすえて置おいたので、彼かれはその上うえに立たち、イスラエルの全ぜん会衆かいしゅうの前まえでひざをかがめ、その手てを天てんに伸のべて、
6:14 言いった、「イスラエルの神かみ、主しゅよ、天てんにも地ちにも、あなたのような神かみはありません。あなたは契約けいやくを守まもられ、心こころをつくしてあなたの前まえに歩あゆむあなたのしもべらに、いつくしみを施ほどこし、
6:15 あなたのしもべ、わたしの父ちちダビデに約束やくそくされたことを守まもられました。あなたが口くちをもって約束やくそくされたことを、手てをもってなし遂とげられたことは、今日こんにち見みるとおりであります。
6:16 それゆえ、イスラエルの神かみ、主しゅよ、あなたのしもべ、わたしの父ちちダビデに、あなたが約束やくそくして、『おまえがわたしの前まえに歩あゆんだように、おまえの子孫しそんがその道みちを慎つつしんで、わたしのおきてに歩あゆむならば、おまえにはイスラエルの位くらいに座ざする人ひとがわたしの前まえに かけることはない』と言いわれたことを、ダビデのためにお守まもりください。
6:17 それゆえ、イスラエルの神かみ、主しゅよ、どうぞ、あなたのしもべダビデに言いわれた言葉ことばを確認かくにんしてください。
6:18 しかし神かみは、はたして人ひとと共ともに地上ちじょうに住すまわれるでしょうか。見みよ、天てんも、いと高たかき天てんもあなたをいれることはできません。わたしの建たてたこの家いえなどなおさらです。
6:19 しかしわが神かみ、主しゅよ、しもべの祈いのりと願ねがいを顧かえりみて、しもべがあなたの前まえにささげる叫さけびと祈いのりをお聞ききください。
6:20 どうぞ、あなたの目めを昼ひるも夜よるもこの家いえに、すなわち、あなたの名なをそこに置おくと言いわれた所ところに向むかってお開ひらきください。どうぞ、しもべがこの所ところに向むかってささげる祈いのりをお聞ききください。
6:21 どうぞ、しもべと、あなたの民たみイスラエルがこの所ところに向むかって祈いのる時ときに、その願ねがいをお聞ききください。あなたのすみかである天てんから聞きき、聞きいておゆるしください。
6:22 もし人ひとがその隣となり人びとに対たいして罪つみを犯おかし、誓ちかいをすることを求もとめられるとき、来きてこの宮みやで、あなたの祭壇さいだんの前まえに誓ちかうならば、
6:23 あなたは天てんから聞きいて、行おこない、あなたのしもべらをさばき、悪人あくにんに報むくいをなして、その行おこないの報むくいをそのこうべに帰きし、義人ぎじんを義ぎとして、その義ぎにしたがってその人ひとに報むくいてください。
6:24 もしあなたの民たみイスラエルが、あなたに対たいして罪つみを犯おかしたために、敵てきの前まえに敗やぶれた時とき、あなたに立たち返かえって、あなたの名なをあがめ、この宮みやであなたの前まえに祈いのり願ねがうならば、
6:25 あなたは天てんから聞きき、あなたの民たみイスラエルの罪つみをゆるして、あなたが彼かれらとその先祖せんぞに与あたえられた地ちに彼かれらを帰かえらせてください。
6:26 もし彼かれらがあなたに罪つみを犯おかしたために、天てんが閉とざされて、雨あめがなく、あなたが彼かれらを苦くるしめられるとき、彼かれらがこの所ところに向むかって祈いのり、あなたの名なをあがめ、その罪つみを離はなれるならば、
6:27 あなたは天てんにあって聞きき、あなたのしもべ、あなたの民たみイスラエルの罪つみをゆるして、彼かれらに歩あゆむべき良よい道みちを教おしえ、あなたの民たみに嗣し業ぎょうとして賜たまわった地ちに雨あめを降ふらせてください。
6:28 もし国くににききんがあるか、もしくは疫病えきびょう、立たち枯がれ、腐くさり穂ほ、いなご、青虫あおむしがあるか、または敵てきのために町まちの門もんの中なかに攻せめ囲かこまれることがあるか、どんな災害さいがい、どんな病気びょうきがあっても、
6:29 もし、ひとりか、あるいはあなたの民たみイスラエルが皆みなおのおのその心こころの悩なやみを知しって、この宮みやに向むかい、手てを伸のべるならば、どんな祈いのり、どんな願ねがいでも、
6:30 あなたはそのすみかである天てんから聞きいてゆるし、おのおのの人ひとに、その心こころを知しっておられるゆえ、そのすべての道みちにしたがって報むくいてください。ただあなただけがすべての人ひとの心こころを知しっておられるからです。
6:31 あなたがわれわれの先祖せんぞたちに賜たまわった地ちに、彼かれらの生いきながらえる日ひの間あいだ、常つねにあなたを恐おそれさせ、あなたの道みちに歩あゆませてください。
6:32 またあなたの民たみイスラエルの者ものでなく、他国たこく人じんで、あなたの大おおいなる名なと、強つよい手てと、伸のべた腕うでのために遠とおい国くにから来きて、この宮みやに向むかって祈いのるならば、
6:33 あなたは、あなたのすみかである天てんから聞きき、すべて他国たこく人じんがあなたに呼よび求もとめるようにしてください。そうすれば地ちのすべての民たみはあなたの民たみイスラエルのように、あなたの名なを知しり、あなたを恐おそれ、またわたしが建たてたこの宮みやが、あなたの名なによって呼よばれることを知しるにいたるでしょう。
6:34 あなたの民たみが敵てきと戦たたかうために、あなたがつかわされる道みちによって出でるとき、もし彼かれらがあなたの選えらばれたこの町まちと、わたしがあなたの名なのために建たてたこの宮みやに向むかってあなたに祈いのるならば、
6:35 あなたは天てんから彼かれらの祈いのりと願ねがいとを聞きいて彼かれらをお助たすけください。
6:36 彼かれらがあなたに対たいして罪つみを犯おかすことがあって、――罪つみを犯おかさない人ひとはないゆえ、――あなたが彼かれらを怒いかって、敵てきにわたし、敵てきが彼かれらを捕虜ほりょとして遠とおい地ちあるいは近ちかい地ちに引ひいて行いくとき、
6:37 もし、彼かれらが捕とらわれて行いった地ちで、みずから省かえりみて悔くい、その捕とらわれの地ちであなたに願ねがい、『われわれは罪つみを犯おかし、よこしまな事ことをし、悪あくを行おこないました』と言いい、
6:38 その捕とらわれの地ちで心こころをつくし、精神せいしんをつくしてあなたに立たち返かえり、あなたが彼かれらの先祖せんぞに与あたえられた地ち、あなたが選えらばれた町まち、わたしがあなたの名なのために建たてたこの宮みやに向むかって祈いのるならば、
6:39 あなたのすみかである天てんから、彼かれらの祈いのりと願ねがいとを聞きいて彼かれらを助たすけ、あなたに向むかって罪つみを犯おかしたあなたの民たみをおゆるしください。
6:40 わが神かみよ、どうぞ、この所ところでささげる祈いのりにあなたの目めを開ひらき、あなたの耳みみを傾かたむけてください。
6:41 主しゅなる神かみよ、今いまあなたと、あなたの力ちからの箱はこが立たって、あなたの安息所あんそくじょにおはいりください。主しゅなる神かみよ、どうぞあなたの祭司さいしたちに救すくいの衣ころもを着きせ、あなたの聖徒せいとたちに恵めぐみを喜よろこばせてください。
6:42 主しゅなる神かみよ、どうぞあなたの油あぶらそそがれた者ものの顔かおを退しりぞけないでください。あなたのしもべダビデに示しめされたいつくしみを覚おぼえて下ください」。
第7章 7:1 ソロモンが祈いのり終おわったとき、天てんから火ひが下くだって燔祭はんさいと犠牲ぎせいを焼やき、主しゅの栄光えいこうが宮みやに満みちた。7:2 主しゅの栄光えいこうが主しゅの宮みやに満みちたので、祭司さいしたちは主しゅの宮みやに、はいることができなかった。7:3 イスラエルの人々ひとびとはみな火ひが下くだったのを見み、また主しゅの栄光えいこうが宮みやに臨のぞんだのを見みて、敷石しきいしの上うえで地ちにひれ伏ふして拝はいし、主しゅに感謝かんしゃして言いった、 「主しゅは恵めぐみふかく、そのいつくしみはとこしえに絶たえることがない」。7:4 そして王おうと民たみは皆みな主しゅの前まえに犠牲ぎせいをささげた。7:5 ソロモン王おうのささげた犠牲ぎせいは、牛うし二万二千頭とう、羊ひつじ十二万頭とうであった。こうして王おうと民たみは皆みな神かみの宮みやをささげた。7:6 祭司さいしはその持もち場ばに立たち、レビびとも主しゅの楽器がっきをとって立たった。その楽器がっきはダビデ王おうが主しゅに感謝かんしゃするために造つくったもので、ダビデが彼かれらの手てによってさんびをささげるとき、「そのいつくしみは、とこしえに絶たえることがない」ととなえさせたものである。祭司さいしは彼かれらの前まえでラッパを吹ふき、すべてのイスラエルびとは立たっていた。 7:7 ソロモンはまた主しゅの宮みやの前まえにある庭にわの中なかを聖別せいべつし、その所ところで、燔祭はんさいと酬恩祭しゅうおんさいのあぶらをささげた。これはソロモンが造つくった青銅せいどうの祭壇さいだんが、その燔祭はんさいと素祭そさいとあぶらとを載のせるに足たりなかったからである。 7:8 その時ときソロモンは七日なぬかの間あいだ祭まつりを行おこなった。ハマテの入口いりぐちからエジプトの川かわに至いたるまでのすべてのイスラエルびとが彼かれと共ともにあり、非常ひじょうに大おおきな会衆かいしゅうであった。7:9 そして八日か目めに聖せい会かいを開ひらいた。彼かれらは七日なぬかの間あいだ、祭壇さいだん奉献ほうけんの礼れいを行おこない、七日なぬかの間あいだ祭まつりを行おこなったが、7:10 七月がつ二十三日にちに至いたってソロモンは民たみをその天幕てんまくに帰かえらせた。皆みな主しゅがダビデ、ソロモンおよびその民たみイスラエルに施ほどこされた恵めぐみのために喜よろこび、かつ心こころに楽たのしんで去さった。 7:11 こうしてソロモンは主しゅの家いえと王おうの家いえとを造つくり終おえた。すなわち彼かれは主しゅの家いえと自分じぶんの家いえについて、しようと計画けいかくしたすべての事ことを首尾しゅびよくなし遂とげた。7:12 時ときに主しゅは夜よるソロモンに現あらわれて言いわれた、「わたしはあなたの祈いのりを聞きき、この所ところをわたしのために選えらんで、犠牲ぎせいをささげる家いえとした。7:13 わたしが天てんを閉とじて雨あめをなくし、またはわたしがいなごに命めいじて地ちの物ものを食くわせ、または疫病えきびょうを民たみの中なかに送おくるとき、7:14 わたしの名なをもってとなえられるわたしの民たみが、もしへりくだり、祈いのって、わたしの顔かおを求もとめ、その悪わるい道みちを離はなれるならば、わたしは天てんから聞きいて、その罪つみをゆるし、その地ちをいやす。7:15 今いまこの所ところにささげられる祈いのりにわたしの目めを開ひらき、耳みみを傾かたむける。7:16 今いまわたしはわたしの名なをながくここにとどめるために、この宮みやを選えらび、かつ聖別せいべつした。わたしの目めとわたしの心こころは常つねにここにある。7:17 あなたがもし父ちちダビデの歩あゆんだようにわたしの前まえに歩あゆみ、わたしが命めいじたとおりにすべて行いって、わたしの定さだめとおきてとを守まもるならば、7:18 わたしはあなたの父ちちダビデに契約けいやくして『イスラエルを治おさめる人ひとはあなたに欠かけることがない』と言いったとおりに、あなたの王おうの位くらいを堅かたくする。 7:19 しかし、あなたがたがもし翻ひるがえって、わたしがあなたがたの前まえに置おいた定さだめと戒いましめとを捨すて、行いって他たの神々かみがみに仕つかえ、それを拝おがむならば、7:20 わたしはあなたがたをわたしの与あたえた地ちから抜ぬき去さり、またわたしの名なのために聖別せいべつしたこの宮みやをわたしの前まえから投なげ捨すてて、もろもろの民たみのうちにことわざとし、笑わらい草ぐさとする。7:21 またこの宮みやは高たかいけれども、ついには、そのかたわらを過すぎる者ものは皆みな驚おどろいて、『何なにゆえ主しゅはこの地ちと、この宮みやとにこのようにされたのか』と言いうであろう。7:22 その時とき、人々ひとびとは答こたえて『彼かれらはその先祖せんぞたちをエジプトの地ちから導みちびき出だした彼かれらの神かみ、主しゅを捨すてて、他たの神々かみがみにつき従したがい、それを拝おがみ、それに仕つかえたために、主しゅはこのすべての災わざわいを彼かれらの上うえに下くだしたのである』と言いうであろう」。 第8章 8:1 ソロモンは二十年ねんを経へて、主しゅの家いえと自分じぶんの家いえとを建たて終おわった。8:2 またソロモンはヒラムから送おくられた町々まちまちを建たて直なおして、そこにイスラエルの人々ひとびとを住すませた。 8:3 ソロモンはまたハマテ・ゾバを攻せめて、これを取とった。8:4 彼かれはまた荒野あらのにタデモルを建たて、もろもろの倉くらの町まちをハマテに建たてた。8:5 また城壁じょうへき、門もん、貫かんの木きのある堅固けんごな町まち、上うえベテホロンと下したベテホロンを建たてた。8:6 ソロモンはまたバアラテと自分じぶんのもっていたすべての倉くらの町まちと、すべての戦車せんしゃの町まちと、騎兵きへいの町まち、ならびにエルサレム、レバノンおよび自分じぶんの治おさめる全ぜん地方ちほうに建たてようと望のぞんだものを、ことごとく建たてた。8:7 すべてイスラエルの子孫しそんでないヘテびと、アモリびと、ペリジびと、ヒビびと、エブスびとの残のこった民たみ、8:8 その地ちにあって彼かれらのあとに残のこったその子孫しそん、すなわちイスラエルの子孫しそんが滅ほろぼし尽つくさなかった民たみに、ソロモンは強制きょうせい徴募ちょうぼをおこなって今日こんにちに及およんでいる。8:9 しかし、イスラエルの人々ひとびとをソロモンはその工事こうじのためには、ひとりも奴隷どれいとしなかった。彼かれらは兵士へいしとなり、将校しょうこうとなり、戦車せんしゃと、騎兵きへいの長ちょうとなった。8:10 これらはソロモン王おうのおもな官吏かんりで、二百五十人にんあり、民たみを治おさめた。 8:11 ソロモンはパロの娘むすめをダビデの町まちから連つれ上のぼって、彼女かのじょのために建たてた家いえに入いれて言いった、「主しゅの箱はこを迎むかえた所ところは神聖しんせいであるから、わたしの妻つまはイスラエルの王おうダビデの家いえに住すんではならない」。 8:12 ソロモンは廊ろうの前まえに築きずいておいた主しゅの祭壇さいだんの上うえで主しゅに燔祭はんさいをささげた。8:13 すなわちモーセの命令めいれいに従したがって、毎日まいにち定さだめのようにささげ、安息日あんそくにち、新月しんげつおよび年ねんに三度どの祭まつり、すなわち種たね入いれぬパンの祭まつり、七週しゅうの祭まつり、仮庵かりいおの祭まつりにこれをささげた。8:14 ソロモンは、その父ちちダビデのおきてに従したがって、祭司さいしの組くみを定さだめてその職しょくに任にんじ、またレビびとをその勤つとめに任にんじて、毎日まいにち定さだめのように祭司さいしの前まえでさんびと奉仕ほうしをさせ、また門もんを守まもる者ものに、その組くみにしたがって、もろもろの門もんを守まもらせた。これは神かみの人ひとダビデがこのように命めいじたからである。8:15 祭司さいしとレビびとはすべての事ことにつき、また倉くらの事ことについて、王おうの命令めいれいにそむかなかった。 8:16 このようにソロモンは、主しゅの宮みやの基もといをすえた日ひからこれをなし終おえたときまで、その工事こうじの準備じゅんびをことごとくなしたので、主しゅの宮みやは完成かんせいした。 8:17 それからソロモンはエドムの地ちの海うみべにあるエジオン・ゲベルおよびエロテへ行いった。8:18 時ときにヒラムはそのしもべどもの手てによって船団せんだんを彼かれに送おくり、また海うみの事ことになれたしもべどもをつかわしたので、彼かれらはソロモンのしもべらと共ともにオフルへ行いき、そこから金きん四百五十タラントを取とって、これをソロモン王おうのもとに携たずさえてきた。 第9章 9:1 シバの女王じょおうはソロモンの名声めいせいを聞きいたので、難問なんもんをもってソロモンを試こころみようと、非常ひじょうに多おおくの従者じゅうしゃを連つれ、香料こうりょうと非常ひじょうにたくさんの金きんと宝石ほうせきとをらくだに負おわせて、エルサレムのソロモンのもとに来きて、その心こころにあることをことごとく彼かれに告つげた。9:2 ソロモンは彼女かのじょのすべての問といに答こたえた。ソロモンが知しらないで彼女かのじょに説明せつめいのできないことは一つもなかった。9:3 シバの女王じょおうはソロモンの知恵ちえと、彼かれが建たてた家いえを見み、9:4 またその食卓しょくたくの食物しょくもつと、列座れつざの家来けらいたちと、その侍臣じしんたちの伺候しこう振ふりと彼かれらの服装ふくそう、および彼かれの給仕きゅうじたちとその服装ふくそう、ならびに彼かれが主しゅの宮みやでささげる燔祭はんさいを見みて、全まったく気きを奪うばわれてしまった。 9:5 彼女かのじょは王おうに言いった、「わたしが国くにであなたの事ことと、あなたの知恵ちえについて聞きいたうわさは真実しんじつでした。9:6 しかしわたしは来きて目めに見みるまでは、そのうわさを信しんじませんでしたが、今見いまみると、あなたの知恵ちえの大おおいなることはその半分はんぶんもわたしに知しらされませんでした。あなたはわたしの聞きいたうわさにまさっています。9:7 あなたの奥方おくがたたちはさいわいです。常つねにあなたの前まえに立たって、あなたの知恵ちえを聞きくこのあなたの家来けらいたちはさいわいです。9:8 あなたの神かみ、主しゅはほむべきかな。主しゅはあなたを喜よろこび、あなたをその位くらいにつかせ、あなたの神かみ、主しゅのために王おうとされました。あなたの神かみはイスラエルを愛あいして、とこしえにこれを堅かたくするために、あなたをその王おうとされ、公道こうどうと正義せいぎを行おこなわれるのです」。9:9 そして彼女かのじょは金きん百二十タラント、および非常ひじょうに多おおくの香料こうりょうと宝石ほうせきとを王おうに贈おくった。シバの女王じょおうがソロモンに贈おくったような香料こうりょうは、いまだかつてなかった。 9:10 オフルから金きんを携たずさえて来きたヒラムのしもべたちとソロモンのしもべたちはまた、びゃくだんの木きと宝石ほうせきをも携たずさえて来きた。9:11 王おうはそのびゃくだんの木きで、主しゅの宮みやと王おうの家いえとに階段かいだんを造つくり、また歌うたうたう者もののために琴ことと立琴たてごとを つくった。このようなものはかつてユダの地ちで見みたことがなかった。 9:12 ソロモン王おうは、シバの女王じょおうが贈おくった物ものに報むくいたほかに、彼女かのじょの望のぞみにまかせて、すべてその求もとめるものを贈おくった。そして彼女かのじょはその家来けらいたちと共ともに自分じぶんの国くにへ帰かえって行いった。 9:13 さて一年ねんの間あいだにソロモンの所ところにはいって来きた金きんの目方めかたは六百六十六タラントであった。9:14 このほかに貿易ぼうえき商しょうおよび商人しょうにんの携たずさえて来きたものがあった。またアラビヤのすべての王おうたちおよび国くにの代官だいかんたちも金銀きんぎんをソロモンに携たずさえてきた。9:15 ソロモン王おうは延金のべきんの大盾おおだて二百を造つくった。その大盾おおだてにはおのおの六百シケルの延金のべきんを用もちいた。9:16 また延金のべきんの小盾こだて三百を造つくった。小盾こだてにはおのおの三百シケルの金きんを用もちいた。王おうはこれらをレバノンの森もりの家いえに置おいた。9:17 王おうはまた大おおきな象牙ぞうげの玉座ぎょくざを造つくり、純金じゅんきんでこれをおおった。9:18 その玉座ぎょくざには六つの段だんがあり、また金きんの足あし台だいがあって共ともに玉座ぎょくざにつらなり、その座ざする所ところの両方りょうほうに、ひじかけがあって、ひじかけのわきに二つのししが立たっていた。9:19 また十二のししが六つの段だんのおのおのの両側りょうがわに立たっていた。このような物ものはどこの国くにでも造つくられたことがなかった。9:20 ソロモン王おうが飲のむときに用もちいた器うつわはみな金きんであった。またレバノンの森もりの家いえの器うつわもみな純金じゅんきんであって、銀ぎんはソロモンの世よには尊たっとばれなかった。9:21 これは王おうの船ふねがヒラムのしもべたちを乗のせてタルシシへ行いき、三年ねんごとに一度ど、そのタルシシの船ふねが金きん、銀ぎん、象牙ぞうげ、さる、くじゃくを載のせて来きたからである。 9:22 このようにソロモン王おうは富とみと知恵ちえにおいて、地ちのすべての王おうにまさっていたので、9:23 地ちのすべての王おうは神かみがソロモンの心こころに授さづけられた知恵ちえを聞きこうとしてソロモンに謁見えっけんを求もとめた。9:24 人々ひとびとはおのおの贈おくり物ものを携たずさえてきた。すなわち銀ぎんの器うつわ、金きんの器うつわ、衣服いふく、没薬もつやく、香料こうりょう、馬うま、騾馬らばなど年々ねんねん定さだまっていた。9:25 ソロモンは馬うまと戦車せんしゃのために馬屋うまや四千と騎兵きへい一万二千を持もち、これを戦車せんしゃの町まちに置おき、またエルサレムの王おうのもとに置おいた。9:26 彼かれはユフラテ川かわからペリシテびとの地ちと、エジプトの境さかいに至いたるまでのすべての王おうを治おさめた。9:27 王おうはまた銀ぎんを石いしのようにエルサレムに多おおくし、香柏こうはくを平野へいやのいちじく桑くわのように多おおくした。9:28 また人々ひとびとはエジプトおよび諸国しょこくから馬うまをソロモンのために輸入ゆにゅうした。 9:29 ソロモンのそのほかの始終しじゅうの行為こういは、預言者よげんしゃナタンの書しょと、シロびとアヒヤの預言よげんと、先見者せんけんしゃイドがネバテの子こヤラベアムについて述のべた黙示もくしのなかに、しるされているではないか。9:30 ソロモンはエルサレムで四十年ねんの間あいだイスラエルの全ぜん地ちを治おさめた。9:31 ソロモンはその先祖せんぞたちと共ともに眠ねむって、父ちちダビデの町まちに葬ほうむられ、その子こレハベアムが代かわって王おうとなった。 第10章 10:1 レハベアムはシケムへ行いった。すべてのイスラエルびとが彼かれを王おうにしようとシケムへ行いったからである。10:2 ネバテの子こヤラベアムは、ソロモンを避さけてエジプトにのがれていたが、これを聞きいてエジプトから帰かえったので、10:3 人々ひとびとは人ひとをつかわして彼かれを招まねいた。そこでヤラベアムとすべてのイスラエルは来きて、レハベアムに言いった、10:4 「あなたの父ちちは、われわれのくびきを重おもくしましたが、今いまあなたの父ちちのきびしい使役しえきと、あなたの父ちちが、われわれに負おわせた重おもいくびきを軽かるくしてください。そうすればわたしたちはあなたに仕つかえましょう」。10:5 レハベアムは彼かれらに答こたえた、「三日かの後のち、またわたしの所ところに来きなさい」。それで民たみは去さった。 10:6 レハベアム王おうは父ちちソロモンの存命ぞんめい中ちゅうソロモンに仕つかえた長老ちょうろうたちに相談そうだんして言いった、「あなたがたはこの民たみにどう返答へんとうすればよいと思おもいますか」。10:7 彼かれらはレハベアムに言いった、「あなたがもしこの民たみを親切しんせつにあつかい、彼かれらを喜よろこばせ、ねんごろに語かたられるならば彼かれらは長ながくあなたのしもべとなるでしょう」。10:8 しかし彼かれは長老ちょうろうたちが与あたえた勧すすめをすてて、自分じぶんと一緒いっしょに大おおきくなって自分じぶんに仕つかえている若者わかものたちに相談そうだんして、10:9 彼かれらに言いった、「あなたがたは、この民たみがわたしに向むかって、『あなたの父上ちちうえが、われわれに負おわせたくびきを軽かるくしてください』と言いうのに、われわれはなんと返答へんとうすればよいと思おもいますか」。10:10 彼かれと一緒いっしょに大おおきくなった若者わかものたちは彼かれに言いった、「あなたに向むかって、『あなたの父ちちは、われわれのくびきを重おもくしたが、あなたは、それをわれわれのために軽かるくしてください』と言いったこの民たみに、こう言いいなさい、『わたしの小指こゆびは父ちちの腰こしよりも太ふとい、10:11 父ちちはあなたがたに重おもいくびきを負おわせたが、わたしはさらに、あなたがたのくびきを重おもくしよう。父ちちはむちであなたがたを懲こらしたが、わたしはさそりであなたがたを懲こらそう』」。 10:12 さてヤラベアムと民たみは皆みな、王おうが「三日か目めにわたしのところに来きなさい」と言いったとおりに、三日か目めにレハベアムのところへ行いった。10:13 王おうは荒々あらあらしく彼かれらに答こたえた。すなわちレハベアム王おうは長老ちょうろうたちの勧すすめをすて、10:14 若者わかものたちの勧すすめに従したがい、彼かれらに告つげて言いった、「父ちちはあなたがたのくびきを重おもくしたが、わたしは更さらにこれを重おもくしよう。父ちちはむちであなたがたを懲こらしたが、わたしはさそりであなたがたを懲こらそう」。10:15 このように王おうは民たみの言いうことを聞ききいれなかった。これは主しゅが、かつてシロびとアヒヤによって、ネバテの子こヤラベアムに言いわれた言葉ことばを成就じょうじゅするために、神かみがなされたのであった。 10:16 イスラエルの人々ひとびとは皆みな、王おうが自分じぶんたちの言いうことを聞ききいれないのを見みたので、民たみは王おうに答こたえて言いった、 「われわれはダビデのうちに何なにの分ぶんがあろうか。われわれはエッサイの子このうちに嗣し業ぎょうがない。イスラエルよ、めいめいの天幕てんまくに帰かえれ。ダビデよ、今いまあなたの家いえを見みよ」。そしてイスラエルは皆みな彼かれらの天幕てんまくへ去さって行いった。10:17 しかしレハベアムはユダの町々まちまちに住すんでいるイスラエルの人々ひとびとを治おさめた。10:18 レハベアム王おうは徴募ちょうぼ人にんの監督かんとくであったアドラムをつかわしたが、イスラエルの人々ひとびとが石いしで彼かれを撃うち殺ころしたので、レハベアム王おうは急いそいで車くるまに乗のり、エルサレムに逃にげた。10:19 こうしてイスラエルはダビデの家いえにそむいて今日こんにちに至いたった。 第11章 11:1 レハベアムはエルサレムに来きて、ユダとベニヤミンの家いえの者もの、すなわち、えり抜ぬきの軍人ぐんじん十八万人にんを集あつめ、国くにを取とりもどすためにイスラエルと戦たたかおうとしたが、11:2 主しゅの言葉ことばが神かみの人ひとシマヤに臨のぞんで言いった、11:3 「ソロモンの子こ、ユダの王おうレハベアムおよびユダとベニヤミンにいるすべてのイスラエルの人々ひとびとに言いいなさい、11:4 『主しゅはこう仰おおせられる、あなたがたは上のぼってはならない。あなたがたの兄弟きょうだいと戦たたかってはならない。おのおの自分じぶんの家いえに帰かえりなさい。この事ことはわたしから出でたのである』」。それで人々ひとびとは主しゅの言葉ことばを聞きき、ヤラベアムを攻せめに行いくのをやめて帰かえった。 11:5 レハベアムはエルサレムに住すんで、ユダに防衛ぼうえいの町々まちまちを建たてた。11:6 すなわちベツレヘム、エタム、テコア、11:7 ベテズル、ソコ、アドラム、11:8 ガテ、マレシャ、ジフ、11:9 アドライム、ラキシ、アゼカ、11:10 ゾラ、アヤロン、およびヘブロン。これらはユダとベニヤミンにあって要害ようがいの町々まちまちである。11:11 彼かれはその要害ようがいを堅固けんごにし、これに軍ぐん長ちょうを置おき、糧食りょうしょくと油あぶらとぶどう酒しゅをたくわえ、11:12 またそのすべての町まちに盾たてとやりを備そなえて、これを非常ひじょうに強化きょうかし、そしてユダとベニヤミンを確保かくほした。 11:13 イスラエルの全ぜん地ちの祭司さいしとレビびとは四方しほうの境さかいから来きてレハベアムに身みを寄よせた。11:14 すなわちレビびとは自分じぶんの放牧ほうぼく地ちと領地りょうちを離はなれてユダとエルサレムに来きた。これはヤラベアムとその子こらが彼かれらを排斥はいせきして、主しゅの前まえに祭司さいしの務つとめをさせなかったためである。11:15 ヤラベアムは高たかき所ところと、みだらな神かみと、自分じぶんで造つくった子こ牛うしのために自分じぶんの祭司さいしを立たてた。11:16 またイスラエルのすべての部族ぶぞくのうちで、すべてその心こころを傾かたむけて、イスラエルの神かみ、主しゅを求もとめる者ものは先祖せんぞの神かみ、主しゅに犠牲ぎせいをささげるために、レビびとに従したがってエルサレムに来きた。11:17 このように彼かれらはユダの国くにを堅かたくし、ソロモンの子こレハベアムを三年ねんの間あいだ強つよくした。彼かれらは三年ねんの間あいだダビデとソロモンの道みちに歩あゆんだからである。 11:18 レハベアムはダビデの子こエレモテの娘むすめマハラテを妻つまにめとった。マハラテはエッサイの子こエリアブの娘むすめアビハイルが産うんだ者ものである。11:19 彼女かのじょはエウシ、シマリヤおよびザハムの三子しを産うんだ。11:20 彼かれはまた彼女かのじょの後のちにアブサロムの娘むすめマアカをめとった。マアカはアビヤ、アッタイ、ジザおよびシロミテを産うんだ。11:21 レハベアムはアブサロムの娘むすめマアカをすべての妻つまとそばめにまさって愛あいした。彼かれは妻つま十八人にん、そばめ六十人にんをめとって、男おとこの子こ二十八人にんと女おんなの子こ六十人にんをもうけた。11:22 レハベアムはマアカの子こアビヤを立たててかしらとし、その兄弟きょうだいの長ちょうとした。彼かれはアビヤを王おうにしようと思おもったからである。11:23 それで王おうは賢かしこくとり行おこない、そのむすこたちをことごとく、ユダとベニヤミンの全ぜん地方ちほうにあるすべての要害ようがいの町まちに散在さんざいさせ、彼かれらに糧食りょうしょくを多おおく与あたえ、また多おおくの妻つまを得えさせた。 第12章 12:1 レハベアムはその国くにが堅かたく立たち、強つよくなるに及およんで、主しゅのおきてを捨すてた。イスラエルも皆みな彼かれにならった。12:2 彼かれらがこのように主しゅに向むかって罪つみを犯おかしたので、レハベアム王おうの五年ねんにエジプトの王おうシシャクがエルサレムに攻せめ上のぼってきた。12:3 その戦車せんしゃは一千二百、騎兵きへいは六万、また彼かれに従したがってエジプトから来きた民たみ、すなわちリビアびと、スキびと、エチオピヤびとは無数むすうであった。12:4 シシャクはユダの要害ようがいの町々まちまちを取とり、エルサレムに迫せまって来きた。12:5 そこで預言者よげんしゃシマヤは、レハベアムおよびシシャクのゆえに、エルサレムに集あつまったユダのつかさたちのもとにきて言いった、「主しゅはこう仰おおせられる、『あなたがたはわたしを捨すてたので、わたしもあなたがたを捨すててシシャクにわたした』と」。12:6 そこでイスラエルのつかさたち、および王おうはへりくだって、「主しゅは正ただしい」と言いった。12:7 主しゅは彼かれらのへりくだるのを見みられたので、主しゅの言葉ことばがシマヤにのぞんで言いった、「彼かれらがへりくだったから、わたしは彼かれらを滅ほろぼさないで、間まもなく救すくいを施ほどこす。わたしはシシャクの手てによって、怒いかりをエルサレムに注そそぐことをしない。12:8 しかし彼かれらはシシャクのしもべになる。これは彼かれらがわたしに仕つかえることと、国々くにぐにの王おうたちに仕つかえることとの相違そういを知しるためである」。 12:9 エジプトの王おうシシャクはエルサレムに攻せめのぼって、主しゅの宮みやの宝物ほうもつと、王おうの家いえの宝物ほうもつとを奪うばい去さった。すなわちそれらをことごとく奪うばい去さり、またソロモンの造つくった金きんの盾たてをも奪うばい去さった。12:10 それでレハベアム王おうは、その代かわりに青銅せいどうの盾たてを造つくって、王おうの家いえの門もんを守まもる侍衛じえい長ちょうたちの手てに渡わたした。12:11 王おうが主しゅの宮みやにはいるごとに侍衛じえいは来きて、これを負おい、またこれを侍衛じえいのへやへ持もって帰かえった。12:12 レハベアムがへりくだったので主しゅの怒いかりは彼かれを離はなれ、彼かれをことごとく滅ほろぼそうとはされなかった。またユダの事情じじょうもよくなった。 12:13 レハベアム王おうはエルサレムで自分じぶんの地位ちいを確立かくりつし、世よを治おさめた。すなわちレハベアムは四十一歳さいのとき位くらいにつき、十七年ねんの間あいだエルサレムで世よを治おさめた。エルサレムは主しゅがその名なを置おくためにイスラエルのすべての部族ぶぞくのうちから選えらばれた町まちである。彼かれの母はははアンモンの女おんなで、名なをナアマといった。12:14 レハベアムは主しゅを求もとめることに心こころを傾かたむけないで、悪わるい事ことを行おこなった。 12:15 レハベアムの始終しじゅうの行為こういは、預言者よげんしゃシマヤおよび先見者せんけんしゃイドの書しょにしるされているではないか。レハベアムとヤラベアムとの間あいだには絶たえず戦争せんそうがあった。12:16 レハベアムはその先祖せんぞたちと共ともに眠ねむって、ダビデの町まちに葬ほうむられ、その子こアビヤが彼かれに代かわって王おうとなった。 第13章 13:1 ヤラベアム王おうの第だい十八年ねんにアビヤがユダの王おうとなった。13:2 彼かれは三年ねんの間あいだエルサレムで世よを治おさめた。彼かれの母はははギベアのウリエルの娘むすめで、名なをミカヤといった。 13:3 ここにアビヤとヤラベアムとの間あいだに戦争せんそうが起おこり、アビヤは四十万の精兵せいへいから成なる勇敢ゆうかんな軍勢ぐんぜいをもって戦たたかいにいで、ヤラベアムも大だい勇士ゆうしから成なる八十万の精兵せいへいをもって、これに向むかって戦たたかいの備そなえをした。13:4 時ときにアビヤはエフライムの山地さんちにあるゼマライム山やまの上うえに立たって言いった、「ヤラベアムおよびイスラエルの人々ひとびとよ皆みな聞きけ。13:5 あなたがたはイスラエルの神かみ、主しゅが塩しおの契約けいやくをもってイスラエルの国くにをながくダビデとその子孫しそんに賜たまわったことを知しらないのか。13:6 ところがダビデの子こソロモンの家来けらいであるネバテの子こヤラベアムが起たって、その主君しゅくんにそむき、13:7 また卑いやしい無頼ぶらいのともがらが集あつまって彼かれにくみし、ソロモンの子こレハベアムに敵てきしたが、レハベアムは若わかく、かつ意志いしが弱よわくてこれに当あたることができなかった。 13:8 今いままた、あなたがたは大軍たいぐんをたのみ、またヤラベアムが造つくって、あなたがたの神かみとした金きんの子こ牛うしをたのんで、ダビデの子孫しそんの手てにある主しゅの国くにに敵対てきたいしようとしている。13:9 またあなたがたはアロンの子孫しそんである主しゅの祭司さいしとレビびととを追おいだして、他たの国々くにぐにの民たみがするように祭司さいしを立たてたではないか。すなわちだれでも若わかい雄牛おうし一頭とう、雄羊おひつじ七頭とうを携たずさえてきて、自分じぶんを聖別せいべつする者ものは皆みなあの神かみでない者ものの祭司さいしとすることができた。13:10 しかしわれわれにおいては、主しゅがわれわれの神かみであって、われわれは彼かれを捨すてない。また主しゅに仕つかえる祭司さいしはアロンの子孫しそんであり、働はたらきをなす者ものはレビびとである。13:11 彼かれらは朝あさごと夕ゆうごとに主しゅに燔祭はんさいと、こうばしい香こうをささげ、供そなえのパンを純金じゅんきんの机つくえの上うえに供そなえ、また金きんの燭台しょくだいとそのともしび皿さらを整ととのえて、夕ゆうごとにともすのである。このようにわれわれはわれわれの神かみ、主しゅの務つとめを守まもっているが、あなたがたは彼かれを捨すてた。13:12 見みよ、神かみはみずからわれわれと共ともにおられて、われわれのかしらとなられ、また、その祭司さいしたちはラッパを吹ふきならして、あなたがたを攻せめる。イスラエルの人々ひとびとよ、あなたがたの先祖せんぞの神かみ、主しゅに敵てきして戦たたかってはならない。あなたがたは成功せいこうしない」。 13:13 ヤラベアムは伏兵ふくへいを彼かれらのうしろに回まわらせたので、彼かれの軍隊ぐんたいはユダの前まえにあり、伏兵ふくへいは彼かれらのうしろにあった。13:14 ユダはうしろを見みると、敵てきが前まえとうしろとにあったので、主しゅに向むかって呼よばわり、祭司さいしたちはラッパを吹ふいた。13:15 そこでユダの人々ひとびとはときの声こえをあげた。ユダの人々ひとびとがときの声こえをあげると、神かみはヤラベアムとイスラエルの人々ひとびとをアビヤとユダの前まえに打うち敗やぶられたので、13:16 イスラエルの人々ひとびとはユダの前まえから逃にげた。神かみが彼かれらをユダの手てに渡わたされたので、13:17 アビヤとその民たみは、彼かれらをおびただしく撃うち殺ころした。イスラエルの殺ころされて倒たおれた者ものは五十万人にん、皆みな精兵せいへいであった。13:18 このように、この時ときイスラエルの人々ひとびとは打うち負まかされ、ユダの人々ひとびとは勝かちを得えた。彼かれらがその先祖せんぞの神かみ、主しゅを頼たのんだからである。13:19 アビヤはヤラベアムを追撃ついげきして数個すうこの町まちを彼かれから取とった。すなわちベテルとその村里むらざと、エシャナとその村里むらざと、エフロンとその村里むらざとである。13:20 ヤラベアムは、アビヤの世よには再ふたたび力ちからを得えることができず、主しゅに撃うたれて死しんだ。13:21 しかしアビヤは強つよくなり、妻つま十四人にんをめとり、むすこ二十二人にん、むすめ十六人にんをもうけた。13:22 アビヤのその他たの行為こういすなわちその行動こうどうと言葉ことばは、預言者よげんしゃイドの注釈ちゅうしゃくにしるされている。 第14章 14:1 アビヤはその先祖せんぞたちと共ともに眠ねむって、ダビデの町まちに葬ほうむられ、その子こアサが代かわって王おうとなった。アサの治世ちせいに国くには十年ねんの間あいだ、穏おだやかであった。14:2 アサはその神かみ、主しゅの目めに良よしと見みえ、また正ただしと見みえることを行おこなった。14:3 彼かれは異ことなる祭壇さいだんと、もろもろの高たかき所ところを取とり除のぞき、石柱せきちゅうをこわし、アシラ像ぞうを切きり倒たおし、14:4 ユダに命めいじてその先祖せんぞたちの神かみ、主しゅを求もとめさせ、おきてと戒いましめとを行おこなわせ、14:5 ユダのすべての町々まちまちから、高たかき所ところと香こうの祭壇さいだんとを取とり除のぞいた。そして国くには彼かれのもとに穏おだやかであった。14:6 彼かれは国くにが穏おだやかであったので、要害ようがいの町まち数個すうこをユダに建たてた。また主しゅが彼かれに平安へいあんを賜たまわったので、この年としごろ戦争せんそうがなかった。14:7 彼かれはユダに言いった、「われわれはこれらの町まちを建たて、その周囲しゅういに石いしがきを築きずき、やぐらを建たて、門もんと貫かんの木きを設もうけよう。われわれがわれわれの神かみ、主しゅを求もとめたので、この国くにはなおわれわれのものであり、われわれが彼かれを求もとめたので、四方しほうにおいて、われわれに平安へいあんを賜たまわった」。こうして彼かれらは滞とどこおりなく建たて終おわった。14:8 アサの軍隊ぐんたいはユダから出でた者もの三十万人にんあって、盾たてとやりをとり、ベニヤミンから出でた者もの二十八万人にんあって、小盾こだてをとり、弓ゆみを引ひいた。これはみな大だい勇士ゆうしであった。 14:9 エチオピヤびとゼラが、百万の軍隊ぐんたいと三百の戦車せんしゃを率ひきいて、マレシャまで攻せめてきた。14:10 アサは出でて、これを迎むかえ、マレシャのゼパタの谷たにに戦たたかいの備そなえをした。14:11 時ときにアサはその神かみ、主しゅに向むかって呼よばわって言いった、「主しゅよ、力ちからのある者ものを助たすけることも、力ちからのない者ものを助たすけることも、あなたにおいては異ことなることはありません。われわれの神かみ、主しゅよ、われわれをお助たすけください。われわれはあなたに寄より頼たのみ、あなたの名なによってこの大軍たいぐんに当あたります。主しゅよ、あなたはわれわれの神かみです。どうぞ人ひとをあなたに勝かたせないでください」。14:12 そこで主しゅはアサの前まえとユダの前まえでエチオピヤびとを撃うち敗やぶられたので、エチオピヤびとは逃にげ去さった。14:13 アサと彼かれに従したがう民たみは彼かれらをゲラルまで追撃ついげきしたので、エチオピヤびとは倒たおれて、生いき残のこった者ものはひとりもなかった。主しゅと主しゅの軍勢ぐんぜいの前まえに撃うち破やぶられたからである。ユダの人々ひとびとの得えたぶんどり物ものは非常ひじょうに多おおかった。14:14 彼かれらはまた、ゲラルの周囲しゅういの町々まちまちをことごとく撃うち破やぶった。主しゅの恐おそれが彼かれらの上うえに臨のぞんだからである。そして彼かれらはそのすべての町まちをかすめ奪うばった。その内うちに多おおくの物ものがあったからである。14:15 また家畜かちくをもっている者ものの天幕てんまくを襲おそい、多おおくの羊ひつじとらくだを奪うばい取とって、エルサレムに帰かえった。
7:1 ソロモンが祈いのり終おわったとき、天てんから火ひが下くだって燔祭はんさいと犠牲ぎせいを焼やき、主しゅの栄光えいこうが宮みやに満みちた。
7:2 主しゅの栄光えいこうが主しゅの宮みやに満みちたので、祭司さいしたちは主しゅの宮みやに、はいることができなかった。
7:3 イスラエルの人々ひとびとはみな火ひが下くだったのを見み、また主しゅの栄光えいこうが宮みやに臨のぞんだのを見みて、敷石しきいしの上うえで地ちにひれ伏ふして拝はいし、主しゅに感謝かんしゃして言いった、
7:4 そして王おうと民たみは皆みな主しゅの前まえに犠牲ぎせいをささげた。
7:5 ソロモン王おうのささげた犠牲ぎせいは、牛うし二万二千頭とう、羊ひつじ十二万頭とうであった。こうして王おうと民たみは皆みな神かみの宮みやをささげた。
7:6 祭司さいしはその持もち場ばに立たち、レビびとも主しゅの楽器がっきをとって立たった。その楽器がっきはダビデ王おうが主しゅに感謝かんしゃするために造つくったもので、ダビデが彼かれらの手てによってさんびをささげるとき、「そのいつくしみは、とこしえに絶たえることがない」ととなえさせたものである。祭司さいしは彼かれらの前まえでラッパを吹ふき、すべてのイスラエルびとは立たっていた。
7:7 ソロモンはまた主しゅの宮みやの前まえにある庭にわの中なかを聖別せいべつし、その所ところで、燔祭はんさいと酬恩祭しゅうおんさいのあぶらをささげた。これはソロモンが造つくった青銅せいどうの祭壇さいだんが、その燔祭はんさいと素祭そさいとあぶらとを載のせるに足たりなかったからである。
7:8 その時ときソロモンは七日なぬかの間あいだ祭まつりを行おこなった。ハマテの入口いりぐちからエジプトの川かわに至いたるまでのすべてのイスラエルびとが彼かれと共ともにあり、非常ひじょうに大おおきな会衆かいしゅうであった。
7:9 そして八日か目めに聖せい会かいを開ひらいた。彼かれらは七日なぬかの間あいだ、祭壇さいだん奉献ほうけんの礼れいを行おこない、七日なぬかの間あいだ祭まつりを行おこなったが、
7:10 七月がつ二十三日にちに至いたってソロモンは民たみをその天幕てんまくに帰かえらせた。皆みな主しゅがダビデ、ソロモンおよびその民たみイスラエルに施ほどこされた恵めぐみのために喜よろこび、かつ心こころに楽たのしんで去さった。
7:11 こうしてソロモンは主しゅの家いえと王おうの家いえとを造つくり終おえた。すなわち彼かれは主しゅの家いえと自分じぶんの家いえについて、しようと計画けいかくしたすべての事ことを首尾しゅびよくなし遂とげた。
7:12 時ときに主しゅは夜よるソロモンに現あらわれて言いわれた、「わたしはあなたの祈いのりを聞きき、この所ところをわたしのために選えらんで、犠牲ぎせいをささげる家いえとした。
7:13 わたしが天てんを閉とじて雨あめをなくし、またはわたしがいなごに命めいじて地ちの物ものを食くわせ、または疫病えきびょうを民たみの中なかに送おくるとき、
7:14 わたしの名なをもってとなえられるわたしの民たみが、もしへりくだり、祈いのって、わたしの顔かおを求もとめ、その悪わるい道みちを離はなれるならば、わたしは天てんから聞きいて、その罪つみをゆるし、その地ちをいやす。
7:15 今いまこの所ところにささげられる祈いのりにわたしの目めを開ひらき、耳みみを傾かたむける。
7:16 今いまわたしはわたしの名なをながくここにとどめるために、この宮みやを選えらび、かつ聖別せいべつした。わたしの目めとわたしの心こころは常つねにここにある。
7:17 あなたがもし父ちちダビデの歩あゆんだようにわたしの前まえに歩あゆみ、わたしが命めいじたとおりにすべて行いって、わたしの定さだめとおきてとを守まもるならば、
7:18 わたしはあなたの父ちちダビデに契約けいやくして『イスラエルを治おさめる人ひとはあなたに欠かけることがない』と言いったとおりに、あなたの王おうの位くらいを堅かたくする。
7:19 しかし、あなたがたがもし翻ひるがえって、わたしがあなたがたの前まえに置おいた定さだめと戒いましめとを捨すて、行いって他たの神々かみがみに仕つかえ、それを拝おがむならば、
7:20 わたしはあなたがたをわたしの与あたえた地ちから抜ぬき去さり、またわたしの名なのために聖別せいべつしたこの宮みやをわたしの前まえから投なげ捨すてて、もろもろの民たみのうちにことわざとし、笑わらい草ぐさとする。
7:21 またこの宮みやは高たかいけれども、ついには、そのかたわらを過すぎる者ものは皆みな驚おどろいて、『何なにゆえ主しゅはこの地ちと、この宮みやとにこのようにされたのか』と言いうであろう。
7:22 その時とき、人々ひとびとは答こたえて『彼かれらはその先祖せんぞたちをエジプトの地ちから導みちびき出だした彼かれらの神かみ、主しゅを捨すてて、他たの神々かみがみにつき従したがい、それを拝おがみ、それに仕つかえたために、主しゅはこのすべての災わざわいを彼かれらの上うえに下くだしたのである』と言いうであろう」。
第8章 8:1 ソロモンは二十年ねんを経へて、主しゅの家いえと自分じぶんの家いえとを建たて終おわった。8:2 またソロモンはヒラムから送おくられた町々まちまちを建たて直なおして、そこにイスラエルの人々ひとびとを住すませた。 8:3 ソロモンはまたハマテ・ゾバを攻せめて、これを取とった。8:4 彼かれはまた荒野あらのにタデモルを建たて、もろもろの倉くらの町まちをハマテに建たてた。8:5 また城壁じょうへき、門もん、貫かんの木きのある堅固けんごな町まち、上うえベテホロンと下したベテホロンを建たてた。8:6 ソロモンはまたバアラテと自分じぶんのもっていたすべての倉くらの町まちと、すべての戦車せんしゃの町まちと、騎兵きへいの町まち、ならびにエルサレム、レバノンおよび自分じぶんの治おさめる全ぜん地方ちほうに建たてようと望のぞんだものを、ことごとく建たてた。8:7 すべてイスラエルの子孫しそんでないヘテびと、アモリびと、ペリジびと、ヒビびと、エブスびとの残のこった民たみ、8:8 その地ちにあって彼かれらのあとに残のこったその子孫しそん、すなわちイスラエルの子孫しそんが滅ほろぼし尽つくさなかった民たみに、ソロモンは強制きょうせい徴募ちょうぼをおこなって今日こんにちに及およんでいる。8:9 しかし、イスラエルの人々ひとびとをソロモンはその工事こうじのためには、ひとりも奴隷どれいとしなかった。彼かれらは兵士へいしとなり、将校しょうこうとなり、戦車せんしゃと、騎兵きへいの長ちょうとなった。8:10 これらはソロモン王おうのおもな官吏かんりで、二百五十人にんあり、民たみを治おさめた。 8:11 ソロモンはパロの娘むすめをダビデの町まちから連つれ上のぼって、彼女かのじょのために建たてた家いえに入いれて言いった、「主しゅの箱はこを迎むかえた所ところは神聖しんせいであるから、わたしの妻つまはイスラエルの王おうダビデの家いえに住すんではならない」。 8:12 ソロモンは廊ろうの前まえに築きずいておいた主しゅの祭壇さいだんの上うえで主しゅに燔祭はんさいをささげた。8:13 すなわちモーセの命令めいれいに従したがって、毎日まいにち定さだめのようにささげ、安息日あんそくにち、新月しんげつおよび年ねんに三度どの祭まつり、すなわち種たね入いれぬパンの祭まつり、七週しゅうの祭まつり、仮庵かりいおの祭まつりにこれをささげた。8:14 ソロモンは、その父ちちダビデのおきてに従したがって、祭司さいしの組くみを定さだめてその職しょくに任にんじ、またレビびとをその勤つとめに任にんじて、毎日まいにち定さだめのように祭司さいしの前まえでさんびと奉仕ほうしをさせ、また門もんを守まもる者ものに、その組くみにしたがって、もろもろの門もんを守まもらせた。これは神かみの人ひとダビデがこのように命めいじたからである。8:15 祭司さいしとレビびとはすべての事ことにつき、また倉くらの事ことについて、王おうの命令めいれいにそむかなかった。 8:16 このようにソロモンは、主しゅの宮みやの基もといをすえた日ひからこれをなし終おえたときまで、その工事こうじの準備じゅんびをことごとくなしたので、主しゅの宮みやは完成かんせいした。 8:17 それからソロモンはエドムの地ちの海うみべにあるエジオン・ゲベルおよびエロテへ行いった。8:18 時ときにヒラムはそのしもべどもの手てによって船団せんだんを彼かれに送おくり、また海うみの事ことになれたしもべどもをつかわしたので、彼かれらはソロモンのしもべらと共ともにオフルへ行いき、そこから金きん四百五十タラントを取とって、これをソロモン王おうのもとに携たずさえてきた。 第9章 9:1 シバの女王じょおうはソロモンの名声めいせいを聞きいたので、難問なんもんをもってソロモンを試こころみようと、非常ひじょうに多おおくの従者じゅうしゃを連つれ、香料こうりょうと非常ひじょうにたくさんの金きんと宝石ほうせきとをらくだに負おわせて、エルサレムのソロモンのもとに来きて、その心こころにあることをことごとく彼かれに告つげた。9:2 ソロモンは彼女かのじょのすべての問といに答こたえた。ソロモンが知しらないで彼女かのじょに説明せつめいのできないことは一つもなかった。9:3 シバの女王じょおうはソロモンの知恵ちえと、彼かれが建たてた家いえを見み、9:4 またその食卓しょくたくの食物しょくもつと、列座れつざの家来けらいたちと、その侍臣じしんたちの伺候しこう振ふりと彼かれらの服装ふくそう、および彼かれの給仕きゅうじたちとその服装ふくそう、ならびに彼かれが主しゅの宮みやでささげる燔祭はんさいを見みて、全まったく気きを奪うばわれてしまった。 9:5 彼女かのじょは王おうに言いった、「わたしが国くにであなたの事ことと、あなたの知恵ちえについて聞きいたうわさは真実しんじつでした。9:6 しかしわたしは来きて目めに見みるまでは、そのうわさを信しんじませんでしたが、今見いまみると、あなたの知恵ちえの大おおいなることはその半分はんぶんもわたしに知しらされませんでした。あなたはわたしの聞きいたうわさにまさっています。9:7 あなたの奥方おくがたたちはさいわいです。常つねにあなたの前まえに立たって、あなたの知恵ちえを聞きくこのあなたの家来けらいたちはさいわいです。9:8 あなたの神かみ、主しゅはほむべきかな。主しゅはあなたを喜よろこび、あなたをその位くらいにつかせ、あなたの神かみ、主しゅのために王おうとされました。あなたの神かみはイスラエルを愛あいして、とこしえにこれを堅かたくするために、あなたをその王おうとされ、公道こうどうと正義せいぎを行おこなわれるのです」。9:9 そして彼女かのじょは金きん百二十タラント、および非常ひじょうに多おおくの香料こうりょうと宝石ほうせきとを王おうに贈おくった。シバの女王じょおうがソロモンに贈おくったような香料こうりょうは、いまだかつてなかった。 9:10 オフルから金きんを携たずさえて来きたヒラムのしもべたちとソロモンのしもべたちはまた、びゃくだんの木きと宝石ほうせきをも携たずさえて来きた。9:11 王おうはそのびゃくだんの木きで、主しゅの宮みやと王おうの家いえとに階段かいだんを造つくり、また歌うたうたう者もののために琴ことと立琴たてごとを つくった。このようなものはかつてユダの地ちで見みたことがなかった。 9:12 ソロモン王おうは、シバの女王じょおうが贈おくった物ものに報むくいたほかに、彼女かのじょの望のぞみにまかせて、すべてその求もとめるものを贈おくった。そして彼女かのじょはその家来けらいたちと共ともに自分じぶんの国くにへ帰かえって行いった。 9:13 さて一年ねんの間あいだにソロモンの所ところにはいって来きた金きんの目方めかたは六百六十六タラントであった。9:14 このほかに貿易ぼうえき商しょうおよび商人しょうにんの携たずさえて来きたものがあった。またアラビヤのすべての王おうたちおよび国くにの代官だいかんたちも金銀きんぎんをソロモンに携たずさえてきた。9:15 ソロモン王おうは延金のべきんの大盾おおだて二百を造つくった。その大盾おおだてにはおのおの六百シケルの延金のべきんを用もちいた。9:16 また延金のべきんの小盾こだて三百を造つくった。小盾こだてにはおのおの三百シケルの金きんを用もちいた。王おうはこれらをレバノンの森もりの家いえに置おいた。9:17 王おうはまた大おおきな象牙ぞうげの玉座ぎょくざを造つくり、純金じゅんきんでこれをおおった。9:18 その玉座ぎょくざには六つの段だんがあり、また金きんの足あし台だいがあって共ともに玉座ぎょくざにつらなり、その座ざする所ところの両方りょうほうに、ひじかけがあって、ひじかけのわきに二つのししが立たっていた。9:19 また十二のししが六つの段だんのおのおのの両側りょうがわに立たっていた。このような物ものはどこの国くにでも造つくられたことがなかった。9:20 ソロモン王おうが飲のむときに用もちいた器うつわはみな金きんであった。またレバノンの森もりの家いえの器うつわもみな純金じゅんきんであって、銀ぎんはソロモンの世よには尊たっとばれなかった。9:21 これは王おうの船ふねがヒラムのしもべたちを乗のせてタルシシへ行いき、三年ねんごとに一度ど、そのタルシシの船ふねが金きん、銀ぎん、象牙ぞうげ、さる、くじゃくを載のせて来きたからである。 9:22 このようにソロモン王おうは富とみと知恵ちえにおいて、地ちのすべての王おうにまさっていたので、9:23 地ちのすべての王おうは神かみがソロモンの心こころに授さづけられた知恵ちえを聞きこうとしてソロモンに謁見えっけんを求もとめた。9:24 人々ひとびとはおのおの贈おくり物ものを携たずさえてきた。すなわち銀ぎんの器うつわ、金きんの器うつわ、衣服いふく、没薬もつやく、香料こうりょう、馬うま、騾馬らばなど年々ねんねん定さだまっていた。9:25 ソロモンは馬うまと戦車せんしゃのために馬屋うまや四千と騎兵きへい一万二千を持もち、これを戦車せんしゃの町まちに置おき、またエルサレムの王おうのもとに置おいた。9:26 彼かれはユフラテ川かわからペリシテびとの地ちと、エジプトの境さかいに至いたるまでのすべての王おうを治おさめた。9:27 王おうはまた銀ぎんを石いしのようにエルサレムに多おおくし、香柏こうはくを平野へいやのいちじく桑くわのように多おおくした。9:28 また人々ひとびとはエジプトおよび諸国しょこくから馬うまをソロモンのために輸入ゆにゅうした。 9:29 ソロモンのそのほかの始終しじゅうの行為こういは、預言者よげんしゃナタンの書しょと、シロびとアヒヤの預言よげんと、先見者せんけんしゃイドがネバテの子こヤラベアムについて述のべた黙示もくしのなかに、しるされているではないか。9:30 ソロモンはエルサレムで四十年ねんの間あいだイスラエルの全ぜん地ちを治おさめた。9:31 ソロモンはその先祖せんぞたちと共ともに眠ねむって、父ちちダビデの町まちに葬ほうむられ、その子こレハベアムが代かわって王おうとなった。 第10章 10:1 レハベアムはシケムへ行いった。すべてのイスラエルびとが彼かれを王おうにしようとシケムへ行いったからである。10:2 ネバテの子こヤラベアムは、ソロモンを避さけてエジプトにのがれていたが、これを聞きいてエジプトから帰かえったので、10:3 人々ひとびとは人ひとをつかわして彼かれを招まねいた。そこでヤラベアムとすべてのイスラエルは来きて、レハベアムに言いった、10:4 「あなたの父ちちは、われわれのくびきを重おもくしましたが、今いまあなたの父ちちのきびしい使役しえきと、あなたの父ちちが、われわれに負おわせた重おもいくびきを軽かるくしてください。そうすればわたしたちはあなたに仕つかえましょう」。10:5 レハベアムは彼かれらに答こたえた、「三日かの後のち、またわたしの所ところに来きなさい」。それで民たみは去さった。 10:6 レハベアム王おうは父ちちソロモンの存命ぞんめい中ちゅうソロモンに仕つかえた長老ちょうろうたちに相談そうだんして言いった、「あなたがたはこの民たみにどう返答へんとうすればよいと思おもいますか」。10:7 彼かれらはレハベアムに言いった、「あなたがもしこの民たみを親切しんせつにあつかい、彼かれらを喜よろこばせ、ねんごろに語かたられるならば彼かれらは長ながくあなたのしもべとなるでしょう」。10:8 しかし彼かれは長老ちょうろうたちが与あたえた勧すすめをすてて、自分じぶんと一緒いっしょに大おおきくなって自分じぶんに仕つかえている若者わかものたちに相談そうだんして、10:9 彼かれらに言いった、「あなたがたは、この民たみがわたしに向むかって、『あなたの父上ちちうえが、われわれに負おわせたくびきを軽かるくしてください』と言いうのに、われわれはなんと返答へんとうすればよいと思おもいますか」。10:10 彼かれと一緒いっしょに大おおきくなった若者わかものたちは彼かれに言いった、「あなたに向むかって、『あなたの父ちちは、われわれのくびきを重おもくしたが、あなたは、それをわれわれのために軽かるくしてください』と言いったこの民たみに、こう言いいなさい、『わたしの小指こゆびは父ちちの腰こしよりも太ふとい、10:11 父ちちはあなたがたに重おもいくびきを負おわせたが、わたしはさらに、あなたがたのくびきを重おもくしよう。父ちちはむちであなたがたを懲こらしたが、わたしはさそりであなたがたを懲こらそう』」。 10:12 さてヤラベアムと民たみは皆みな、王おうが「三日か目めにわたしのところに来きなさい」と言いったとおりに、三日か目めにレハベアムのところへ行いった。10:13 王おうは荒々あらあらしく彼かれらに答こたえた。すなわちレハベアム王おうは長老ちょうろうたちの勧すすめをすて、10:14 若者わかものたちの勧すすめに従したがい、彼かれらに告つげて言いった、「父ちちはあなたがたのくびきを重おもくしたが、わたしは更さらにこれを重おもくしよう。父ちちはむちであなたがたを懲こらしたが、わたしはさそりであなたがたを懲こらそう」。10:15 このように王おうは民たみの言いうことを聞ききいれなかった。これは主しゅが、かつてシロびとアヒヤによって、ネバテの子こヤラベアムに言いわれた言葉ことばを成就じょうじゅするために、神かみがなされたのであった。 10:16 イスラエルの人々ひとびとは皆みな、王おうが自分じぶんたちの言いうことを聞ききいれないのを見みたので、民たみは王おうに答こたえて言いった、 「われわれはダビデのうちに何なにの分ぶんがあろうか。われわれはエッサイの子このうちに嗣し業ぎょうがない。イスラエルよ、めいめいの天幕てんまくに帰かえれ。ダビデよ、今いまあなたの家いえを見みよ」。そしてイスラエルは皆みな彼かれらの天幕てんまくへ去さって行いった。10:17 しかしレハベアムはユダの町々まちまちに住すんでいるイスラエルの人々ひとびとを治おさめた。10:18 レハベアム王おうは徴募ちょうぼ人にんの監督かんとくであったアドラムをつかわしたが、イスラエルの人々ひとびとが石いしで彼かれを撃うち殺ころしたので、レハベアム王おうは急いそいで車くるまに乗のり、エルサレムに逃にげた。10:19 こうしてイスラエルはダビデの家いえにそむいて今日こんにちに至いたった。 第11章 11:1 レハベアムはエルサレムに来きて、ユダとベニヤミンの家いえの者もの、すなわち、えり抜ぬきの軍人ぐんじん十八万人にんを集あつめ、国くにを取とりもどすためにイスラエルと戦たたかおうとしたが、11:2 主しゅの言葉ことばが神かみの人ひとシマヤに臨のぞんで言いった、11:3 「ソロモンの子こ、ユダの王おうレハベアムおよびユダとベニヤミンにいるすべてのイスラエルの人々ひとびとに言いいなさい、11:4 『主しゅはこう仰おおせられる、あなたがたは上のぼってはならない。あなたがたの兄弟きょうだいと戦たたかってはならない。おのおの自分じぶんの家いえに帰かえりなさい。この事ことはわたしから出でたのである』」。それで人々ひとびとは主しゅの言葉ことばを聞きき、ヤラベアムを攻せめに行いくのをやめて帰かえった。 11:5 レハベアムはエルサレムに住すんで、ユダに防衛ぼうえいの町々まちまちを建たてた。11:6 すなわちベツレヘム、エタム、テコア、11:7 ベテズル、ソコ、アドラム、11:8 ガテ、マレシャ、ジフ、11:9 アドライム、ラキシ、アゼカ、11:10 ゾラ、アヤロン、およびヘブロン。これらはユダとベニヤミンにあって要害ようがいの町々まちまちである。11:11 彼かれはその要害ようがいを堅固けんごにし、これに軍ぐん長ちょうを置おき、糧食りょうしょくと油あぶらとぶどう酒しゅをたくわえ、11:12 またそのすべての町まちに盾たてとやりを備そなえて、これを非常ひじょうに強化きょうかし、そしてユダとベニヤミンを確保かくほした。 11:13 イスラエルの全ぜん地ちの祭司さいしとレビびとは四方しほうの境さかいから来きてレハベアムに身みを寄よせた。11:14 すなわちレビびとは自分じぶんの放牧ほうぼく地ちと領地りょうちを離はなれてユダとエルサレムに来きた。これはヤラベアムとその子こらが彼かれらを排斥はいせきして、主しゅの前まえに祭司さいしの務つとめをさせなかったためである。11:15 ヤラベアムは高たかき所ところと、みだらな神かみと、自分じぶんで造つくった子こ牛うしのために自分じぶんの祭司さいしを立たてた。11:16 またイスラエルのすべての部族ぶぞくのうちで、すべてその心こころを傾かたむけて、イスラエルの神かみ、主しゅを求もとめる者ものは先祖せんぞの神かみ、主しゅに犠牲ぎせいをささげるために、レビびとに従したがってエルサレムに来きた。11:17 このように彼かれらはユダの国くにを堅かたくし、ソロモンの子こレハベアムを三年ねんの間あいだ強つよくした。彼かれらは三年ねんの間あいだダビデとソロモンの道みちに歩あゆんだからである。 11:18 レハベアムはダビデの子こエレモテの娘むすめマハラテを妻つまにめとった。マハラテはエッサイの子こエリアブの娘むすめアビハイルが産うんだ者ものである。11:19 彼女かのじょはエウシ、シマリヤおよびザハムの三子しを産うんだ。11:20 彼かれはまた彼女かのじょの後のちにアブサロムの娘むすめマアカをめとった。マアカはアビヤ、アッタイ、ジザおよびシロミテを産うんだ。11:21 レハベアムはアブサロムの娘むすめマアカをすべての妻つまとそばめにまさって愛あいした。彼かれは妻つま十八人にん、そばめ六十人にんをめとって、男おとこの子こ二十八人にんと女おんなの子こ六十人にんをもうけた。11:22 レハベアムはマアカの子こアビヤを立たててかしらとし、その兄弟きょうだいの長ちょうとした。彼かれはアビヤを王おうにしようと思おもったからである。11:23 それで王おうは賢かしこくとり行おこない、そのむすこたちをことごとく、ユダとベニヤミンの全ぜん地方ちほうにあるすべての要害ようがいの町まちに散在さんざいさせ、彼かれらに糧食りょうしょくを多おおく与あたえ、また多おおくの妻つまを得えさせた。 第12章 12:1 レハベアムはその国くにが堅かたく立たち、強つよくなるに及およんで、主しゅのおきてを捨すてた。イスラエルも皆みな彼かれにならった。12:2 彼かれらがこのように主しゅに向むかって罪つみを犯おかしたので、レハベアム王おうの五年ねんにエジプトの王おうシシャクがエルサレムに攻せめ上のぼってきた。12:3 その戦車せんしゃは一千二百、騎兵きへいは六万、また彼かれに従したがってエジプトから来きた民たみ、すなわちリビアびと、スキびと、エチオピヤびとは無数むすうであった。12:4 シシャクはユダの要害ようがいの町々まちまちを取とり、エルサレムに迫せまって来きた。12:5 そこで預言者よげんしゃシマヤは、レハベアムおよびシシャクのゆえに、エルサレムに集あつまったユダのつかさたちのもとにきて言いった、「主しゅはこう仰おおせられる、『あなたがたはわたしを捨すてたので、わたしもあなたがたを捨すててシシャクにわたした』と」。12:6 そこでイスラエルのつかさたち、および王おうはへりくだって、「主しゅは正ただしい」と言いった。12:7 主しゅは彼かれらのへりくだるのを見みられたので、主しゅの言葉ことばがシマヤにのぞんで言いった、「彼かれらがへりくだったから、わたしは彼かれらを滅ほろぼさないで、間まもなく救すくいを施ほどこす。わたしはシシャクの手てによって、怒いかりをエルサレムに注そそぐことをしない。12:8 しかし彼かれらはシシャクのしもべになる。これは彼かれらがわたしに仕つかえることと、国々くにぐにの王おうたちに仕つかえることとの相違そういを知しるためである」。 12:9 エジプトの王おうシシャクはエルサレムに攻せめのぼって、主しゅの宮みやの宝物ほうもつと、王おうの家いえの宝物ほうもつとを奪うばい去さった。すなわちそれらをことごとく奪うばい去さり、またソロモンの造つくった金きんの盾たてをも奪うばい去さった。12:10 それでレハベアム王おうは、その代かわりに青銅せいどうの盾たてを造つくって、王おうの家いえの門もんを守まもる侍衛じえい長ちょうたちの手てに渡わたした。12:11 王おうが主しゅの宮みやにはいるごとに侍衛じえいは来きて、これを負おい、またこれを侍衛じえいのへやへ持もって帰かえった。12:12 レハベアムがへりくだったので主しゅの怒いかりは彼かれを離はなれ、彼かれをことごとく滅ほろぼそうとはされなかった。またユダの事情じじょうもよくなった。 12:13 レハベアム王おうはエルサレムで自分じぶんの地位ちいを確立かくりつし、世よを治おさめた。すなわちレハベアムは四十一歳さいのとき位くらいにつき、十七年ねんの間あいだエルサレムで世よを治おさめた。エルサレムは主しゅがその名なを置おくためにイスラエルのすべての部族ぶぞくのうちから選えらばれた町まちである。彼かれの母はははアンモンの女おんなで、名なをナアマといった。12:14 レハベアムは主しゅを求もとめることに心こころを傾かたむけないで、悪わるい事ことを行おこなった。 12:15 レハベアムの始終しじゅうの行為こういは、預言者よげんしゃシマヤおよび先見者せんけんしゃイドの書しょにしるされているではないか。レハベアムとヤラベアムとの間あいだには絶たえず戦争せんそうがあった。12:16 レハベアムはその先祖せんぞたちと共ともに眠ねむって、ダビデの町まちに葬ほうむられ、その子こアビヤが彼かれに代かわって王おうとなった。 第13章 13:1 ヤラベアム王おうの第だい十八年ねんにアビヤがユダの王おうとなった。13:2 彼かれは三年ねんの間あいだエルサレムで世よを治おさめた。彼かれの母はははギベアのウリエルの娘むすめで、名なをミカヤといった。 13:3 ここにアビヤとヤラベアムとの間あいだに戦争せんそうが起おこり、アビヤは四十万の精兵せいへいから成なる勇敢ゆうかんな軍勢ぐんぜいをもって戦たたかいにいで、ヤラベアムも大だい勇士ゆうしから成なる八十万の精兵せいへいをもって、これに向むかって戦たたかいの備そなえをした。13:4 時ときにアビヤはエフライムの山地さんちにあるゼマライム山やまの上うえに立たって言いった、「ヤラベアムおよびイスラエルの人々ひとびとよ皆みな聞きけ。13:5 あなたがたはイスラエルの神かみ、主しゅが塩しおの契約けいやくをもってイスラエルの国くにをながくダビデとその子孫しそんに賜たまわったことを知しらないのか。13:6 ところがダビデの子こソロモンの家来けらいであるネバテの子こヤラベアムが起たって、その主君しゅくんにそむき、13:7 また卑いやしい無頼ぶらいのともがらが集あつまって彼かれにくみし、ソロモンの子こレハベアムに敵てきしたが、レハベアムは若わかく、かつ意志いしが弱よわくてこれに当あたることができなかった。 13:8 今いままた、あなたがたは大軍たいぐんをたのみ、またヤラベアムが造つくって、あなたがたの神かみとした金きんの子こ牛うしをたのんで、ダビデの子孫しそんの手てにある主しゅの国くにに敵対てきたいしようとしている。13:9 またあなたがたはアロンの子孫しそんである主しゅの祭司さいしとレビびととを追おいだして、他たの国々くにぐにの民たみがするように祭司さいしを立たてたではないか。すなわちだれでも若わかい雄牛おうし一頭とう、雄羊おひつじ七頭とうを携たずさえてきて、自分じぶんを聖別せいべつする者ものは皆みなあの神かみでない者ものの祭司さいしとすることができた。13:10 しかしわれわれにおいては、主しゅがわれわれの神かみであって、われわれは彼かれを捨すてない。また主しゅに仕つかえる祭司さいしはアロンの子孫しそんであり、働はたらきをなす者ものはレビびとである。13:11 彼かれらは朝あさごと夕ゆうごとに主しゅに燔祭はんさいと、こうばしい香こうをささげ、供そなえのパンを純金じゅんきんの机つくえの上うえに供そなえ、また金きんの燭台しょくだいとそのともしび皿さらを整ととのえて、夕ゆうごとにともすのである。このようにわれわれはわれわれの神かみ、主しゅの務つとめを守まもっているが、あなたがたは彼かれを捨すてた。13:12 見みよ、神かみはみずからわれわれと共ともにおられて、われわれのかしらとなられ、また、その祭司さいしたちはラッパを吹ふきならして、あなたがたを攻せめる。イスラエルの人々ひとびとよ、あなたがたの先祖せんぞの神かみ、主しゅに敵てきして戦たたかってはならない。あなたがたは成功せいこうしない」。 13:13 ヤラベアムは伏兵ふくへいを彼かれらのうしろに回まわらせたので、彼かれの軍隊ぐんたいはユダの前まえにあり、伏兵ふくへいは彼かれらのうしろにあった。13:14 ユダはうしろを見みると、敵てきが前まえとうしろとにあったので、主しゅに向むかって呼よばわり、祭司さいしたちはラッパを吹ふいた。13:15 そこでユダの人々ひとびとはときの声こえをあげた。ユダの人々ひとびとがときの声こえをあげると、神かみはヤラベアムとイスラエルの人々ひとびとをアビヤとユダの前まえに打うち敗やぶられたので、13:16 イスラエルの人々ひとびとはユダの前まえから逃にげた。神かみが彼かれらをユダの手てに渡わたされたので、13:17 アビヤとその民たみは、彼かれらをおびただしく撃うち殺ころした。イスラエルの殺ころされて倒たおれた者ものは五十万人にん、皆みな精兵せいへいであった。13:18 このように、この時ときイスラエルの人々ひとびとは打うち負まかされ、ユダの人々ひとびとは勝かちを得えた。彼かれらがその先祖せんぞの神かみ、主しゅを頼たのんだからである。13:19 アビヤはヤラベアムを追撃ついげきして数個すうこの町まちを彼かれから取とった。すなわちベテルとその村里むらざと、エシャナとその村里むらざと、エフロンとその村里むらざとである。13:20 ヤラベアムは、アビヤの世よには再ふたたび力ちからを得えることができず、主しゅに撃うたれて死しんだ。13:21 しかしアビヤは強つよくなり、妻つま十四人にんをめとり、むすこ二十二人にん、むすめ十六人にんをもうけた。13:22 アビヤのその他たの行為こういすなわちその行動こうどうと言葉ことばは、預言者よげんしゃイドの注釈ちゅうしゃくにしるされている。 第14章 14:1 アビヤはその先祖せんぞたちと共ともに眠ねむって、ダビデの町まちに葬ほうむられ、その子こアサが代かわって王おうとなった。アサの治世ちせいに国くには十年ねんの間あいだ、穏おだやかであった。14:2 アサはその神かみ、主しゅの目めに良よしと見みえ、また正ただしと見みえることを行おこなった。14:3 彼かれは異ことなる祭壇さいだんと、もろもろの高たかき所ところを取とり除のぞき、石柱せきちゅうをこわし、アシラ像ぞうを切きり倒たおし、14:4 ユダに命めいじてその先祖せんぞたちの神かみ、主しゅを求もとめさせ、おきてと戒いましめとを行おこなわせ、14:5 ユダのすべての町々まちまちから、高たかき所ところと香こうの祭壇さいだんとを取とり除のぞいた。そして国くには彼かれのもとに穏おだやかであった。14:6 彼かれは国くにが穏おだやかであったので、要害ようがいの町まち数個すうこをユダに建たてた。また主しゅが彼かれに平安へいあんを賜たまわったので、この年としごろ戦争せんそうがなかった。14:7 彼かれはユダに言いった、「われわれはこれらの町まちを建たて、その周囲しゅういに石いしがきを築きずき、やぐらを建たて、門もんと貫かんの木きを設もうけよう。われわれがわれわれの神かみ、主しゅを求もとめたので、この国くにはなおわれわれのものであり、われわれが彼かれを求もとめたので、四方しほうにおいて、われわれに平安へいあんを賜たまわった」。こうして彼かれらは滞とどこおりなく建たて終おわった。14:8 アサの軍隊ぐんたいはユダから出でた者もの三十万人にんあって、盾たてとやりをとり、ベニヤミンから出でた者もの二十八万人にんあって、小盾こだてをとり、弓ゆみを引ひいた。これはみな大だい勇士ゆうしであった。 14:9 エチオピヤびとゼラが、百万の軍隊ぐんたいと三百の戦車せんしゃを率ひきいて、マレシャまで攻せめてきた。14:10 アサは出でて、これを迎むかえ、マレシャのゼパタの谷たにに戦たたかいの備そなえをした。14:11 時ときにアサはその神かみ、主しゅに向むかって呼よばわって言いった、「主しゅよ、力ちからのある者ものを助たすけることも、力ちからのない者ものを助たすけることも、あなたにおいては異ことなることはありません。われわれの神かみ、主しゅよ、われわれをお助たすけください。われわれはあなたに寄より頼たのみ、あなたの名なによってこの大軍たいぐんに当あたります。主しゅよ、あなたはわれわれの神かみです。どうぞ人ひとをあなたに勝かたせないでください」。14:12 そこで主しゅはアサの前まえとユダの前まえでエチオピヤびとを撃うち敗やぶられたので、エチオピヤびとは逃にげ去さった。14:13 アサと彼かれに従したがう民たみは彼かれらをゲラルまで追撃ついげきしたので、エチオピヤびとは倒たおれて、生いき残のこった者ものはひとりもなかった。主しゅと主しゅの軍勢ぐんぜいの前まえに撃うち破やぶられたからである。ユダの人々ひとびとの得えたぶんどり物ものは非常ひじょうに多おおかった。14:14 彼かれらはまた、ゲラルの周囲しゅういの町々まちまちをことごとく撃うち破やぶった。主しゅの恐おそれが彼かれらの上うえに臨のぞんだからである。そして彼かれらはそのすべての町まちをかすめ奪うばった。その内うちに多おおくの物ものがあったからである。14:15 また家畜かちくをもっている者ものの天幕てんまくを襲おそい、多おおくの羊ひつじとらくだを奪うばい取とって、エルサレムに帰かえった。
8:1 ソロモンは二十年ねんを経へて、主しゅの家いえと自分じぶんの家いえとを建たて終おわった。
8:2 またソロモンはヒラムから送おくられた町々まちまちを建たて直なおして、そこにイスラエルの人々ひとびとを住すませた。
8:3 ソロモンはまたハマテ・ゾバを攻せめて、これを取とった。
8:4 彼かれはまた荒野あらのにタデモルを建たて、もろもろの倉くらの町まちをハマテに建たてた。
8:5 また城壁じょうへき、門もん、貫かんの木きのある堅固けんごな町まち、上うえベテホロンと下したベテホロンを建たてた。
8:6 ソロモンはまたバアラテと自分じぶんのもっていたすべての倉くらの町まちと、すべての戦車せんしゃの町まちと、騎兵きへいの町まち、ならびにエルサレム、レバノンおよび自分じぶんの治おさめる全ぜん地方ちほうに建たてようと望のぞんだものを、ことごとく建たてた。
8:7 すべてイスラエルの子孫しそんでないヘテびと、アモリびと、ペリジびと、ヒビびと、エブスびとの残のこった民たみ、
8:8 その地ちにあって彼かれらのあとに残のこったその子孫しそん、すなわちイスラエルの子孫しそんが滅ほろぼし尽つくさなかった民たみに、ソロモンは強制きょうせい徴募ちょうぼをおこなって今日こんにちに及およんでいる。
8:9 しかし、イスラエルの人々ひとびとをソロモンはその工事こうじのためには、ひとりも奴隷どれいとしなかった。彼かれらは兵士へいしとなり、将校しょうこうとなり、戦車せんしゃと、騎兵きへいの長ちょうとなった。
8:10 これらはソロモン王おうのおもな官吏かんりで、二百五十人にんあり、民たみを治おさめた。
8:11 ソロモンはパロの娘むすめをダビデの町まちから連つれ上のぼって、彼女かのじょのために建たてた家いえに入いれて言いった、「主しゅの箱はこを迎むかえた所ところは神聖しんせいであるから、わたしの妻つまはイスラエルの王おうダビデの家いえに住すんではならない」。
8:12 ソロモンは廊ろうの前まえに築きずいておいた主しゅの祭壇さいだんの上うえで主しゅに燔祭はんさいをささげた。
8:13 すなわちモーセの命令めいれいに従したがって、毎日まいにち定さだめのようにささげ、安息日あんそくにち、新月しんげつおよび年ねんに三度どの祭まつり、すなわち種たね入いれぬパンの祭まつり、七週しゅうの祭まつり、仮庵かりいおの祭まつりにこれをささげた。
8:14 ソロモンは、その父ちちダビデのおきてに従したがって、祭司さいしの組くみを定さだめてその職しょくに任にんじ、またレビびとをその勤つとめに任にんじて、毎日まいにち定さだめのように祭司さいしの前まえでさんびと奉仕ほうしをさせ、また門もんを守まもる者ものに、その組くみにしたがって、もろもろの門もんを守まもらせた。これは神かみの人ひとダビデがこのように命めいじたからである。
8:15 祭司さいしとレビびとはすべての事ことにつき、また倉くらの事ことについて、王おうの命令めいれいにそむかなかった。
8:16 このようにソロモンは、主しゅの宮みやの基もといをすえた日ひからこれをなし終おえたときまで、その工事こうじの準備じゅんびをことごとくなしたので、主しゅの宮みやは完成かんせいした。
8:17 それからソロモンはエドムの地ちの海うみべにあるエジオン・ゲベルおよびエロテへ行いった。
8:18 時ときにヒラムはそのしもべどもの手てによって船団せんだんを彼かれに送おくり、また海うみの事ことになれたしもべどもをつかわしたので、彼かれらはソロモンのしもべらと共ともにオフルへ行いき、そこから金きん四百五十タラントを取とって、これをソロモン王おうのもとに携たずさえてきた。
第9章 9:1 シバの女王じょおうはソロモンの名声めいせいを聞きいたので、難問なんもんをもってソロモンを試こころみようと、非常ひじょうに多おおくの従者じゅうしゃを連つれ、香料こうりょうと非常ひじょうにたくさんの金きんと宝石ほうせきとをらくだに負おわせて、エルサレムのソロモンのもとに来きて、その心こころにあることをことごとく彼かれに告つげた。9:2 ソロモンは彼女かのじょのすべての問といに答こたえた。ソロモンが知しらないで彼女かのじょに説明せつめいのできないことは一つもなかった。9:3 シバの女王じょおうはソロモンの知恵ちえと、彼かれが建たてた家いえを見み、9:4 またその食卓しょくたくの食物しょくもつと、列座れつざの家来けらいたちと、その侍臣じしんたちの伺候しこう振ふりと彼かれらの服装ふくそう、および彼かれの給仕きゅうじたちとその服装ふくそう、ならびに彼かれが主しゅの宮みやでささげる燔祭はんさいを見みて、全まったく気きを奪うばわれてしまった。 9:5 彼女かのじょは王おうに言いった、「わたしが国くにであなたの事ことと、あなたの知恵ちえについて聞きいたうわさは真実しんじつでした。9:6 しかしわたしは来きて目めに見みるまでは、そのうわさを信しんじませんでしたが、今見いまみると、あなたの知恵ちえの大おおいなることはその半分はんぶんもわたしに知しらされませんでした。あなたはわたしの聞きいたうわさにまさっています。9:7 あなたの奥方おくがたたちはさいわいです。常つねにあなたの前まえに立たって、あなたの知恵ちえを聞きくこのあなたの家来けらいたちはさいわいです。9:8 あなたの神かみ、主しゅはほむべきかな。主しゅはあなたを喜よろこび、あなたをその位くらいにつかせ、あなたの神かみ、主しゅのために王おうとされました。あなたの神かみはイスラエルを愛あいして、とこしえにこれを堅かたくするために、あなたをその王おうとされ、公道こうどうと正義せいぎを行おこなわれるのです」。9:9 そして彼女かのじょは金きん百二十タラント、および非常ひじょうに多おおくの香料こうりょうと宝石ほうせきとを王おうに贈おくった。シバの女王じょおうがソロモンに贈おくったような香料こうりょうは、いまだかつてなかった。 9:10 オフルから金きんを携たずさえて来きたヒラムのしもべたちとソロモンのしもべたちはまた、びゃくだんの木きと宝石ほうせきをも携たずさえて来きた。9:11 王おうはそのびゃくだんの木きで、主しゅの宮みやと王おうの家いえとに階段かいだんを造つくり、また歌うたうたう者もののために琴ことと立琴たてごとを つくった。このようなものはかつてユダの地ちで見みたことがなかった。 9:12 ソロモン王おうは、シバの女王じょおうが贈おくった物ものに報むくいたほかに、彼女かのじょの望のぞみにまかせて、すべてその求もとめるものを贈おくった。そして彼女かのじょはその家来けらいたちと共ともに自分じぶんの国くにへ帰かえって行いった。 9:13 さて一年ねんの間あいだにソロモンの所ところにはいって来きた金きんの目方めかたは六百六十六タラントであった。9:14 このほかに貿易ぼうえき商しょうおよび商人しょうにんの携たずさえて来きたものがあった。またアラビヤのすべての王おうたちおよび国くにの代官だいかんたちも金銀きんぎんをソロモンに携たずさえてきた。9:15 ソロモン王おうは延金のべきんの大盾おおだて二百を造つくった。その大盾おおだてにはおのおの六百シケルの延金のべきんを用もちいた。9:16 また延金のべきんの小盾こだて三百を造つくった。小盾こだてにはおのおの三百シケルの金きんを用もちいた。王おうはこれらをレバノンの森もりの家いえに置おいた。9:17 王おうはまた大おおきな象牙ぞうげの玉座ぎょくざを造つくり、純金じゅんきんでこれをおおった。9:18 その玉座ぎょくざには六つの段だんがあり、また金きんの足あし台だいがあって共ともに玉座ぎょくざにつらなり、その座ざする所ところの両方りょうほうに、ひじかけがあって、ひじかけのわきに二つのししが立たっていた。9:19 また十二のししが六つの段だんのおのおのの両側りょうがわに立たっていた。このような物ものはどこの国くにでも造つくられたことがなかった。9:20 ソロモン王おうが飲のむときに用もちいた器うつわはみな金きんであった。またレバノンの森もりの家いえの器うつわもみな純金じゅんきんであって、銀ぎんはソロモンの世よには尊たっとばれなかった。9:21 これは王おうの船ふねがヒラムのしもべたちを乗のせてタルシシへ行いき、三年ねんごとに一度ど、そのタルシシの船ふねが金きん、銀ぎん、象牙ぞうげ、さる、くじゃくを載のせて来きたからである。 9:22 このようにソロモン王おうは富とみと知恵ちえにおいて、地ちのすべての王おうにまさっていたので、9:23 地ちのすべての王おうは神かみがソロモンの心こころに授さづけられた知恵ちえを聞きこうとしてソロモンに謁見えっけんを求もとめた。9:24 人々ひとびとはおのおの贈おくり物ものを携たずさえてきた。すなわち銀ぎんの器うつわ、金きんの器うつわ、衣服いふく、没薬もつやく、香料こうりょう、馬うま、騾馬らばなど年々ねんねん定さだまっていた。9:25 ソロモンは馬うまと戦車せんしゃのために馬屋うまや四千と騎兵きへい一万二千を持もち、これを戦車せんしゃの町まちに置おき、またエルサレムの王おうのもとに置おいた。9:26 彼かれはユフラテ川かわからペリシテびとの地ちと、エジプトの境さかいに至いたるまでのすべての王おうを治おさめた。9:27 王おうはまた銀ぎんを石いしのようにエルサレムに多おおくし、香柏こうはくを平野へいやのいちじく桑くわのように多おおくした。9:28 また人々ひとびとはエジプトおよび諸国しょこくから馬うまをソロモンのために輸入ゆにゅうした。 9:29 ソロモンのそのほかの始終しじゅうの行為こういは、預言者よげんしゃナタンの書しょと、シロびとアヒヤの預言よげんと、先見者せんけんしゃイドがネバテの子こヤラベアムについて述のべた黙示もくしのなかに、しるされているではないか。9:30 ソロモンはエルサレムで四十年ねんの間あいだイスラエルの全ぜん地ちを治おさめた。9:31 ソロモンはその先祖せんぞたちと共ともに眠ねむって、父ちちダビデの町まちに葬ほうむられ、その子こレハベアムが代かわって王おうとなった。 第10章 10:1 レハベアムはシケムへ行いった。すべてのイスラエルびとが彼かれを王おうにしようとシケムへ行いったからである。10:2 ネバテの子こヤラベアムは、ソロモンを避さけてエジプトにのがれていたが、これを聞きいてエジプトから帰かえったので、10:3 人々ひとびとは人ひとをつかわして彼かれを招まねいた。そこでヤラベアムとすべてのイスラエルは来きて、レハベアムに言いった、10:4 「あなたの父ちちは、われわれのくびきを重おもくしましたが、今いまあなたの父ちちのきびしい使役しえきと、あなたの父ちちが、われわれに負おわせた重おもいくびきを軽かるくしてください。そうすればわたしたちはあなたに仕つかえましょう」。10:5 レハベアムは彼かれらに答こたえた、「三日かの後のち、またわたしの所ところに来きなさい」。それで民たみは去さった。 10:6 レハベアム王おうは父ちちソロモンの存命ぞんめい中ちゅうソロモンに仕つかえた長老ちょうろうたちに相談そうだんして言いった、「あなたがたはこの民たみにどう返答へんとうすればよいと思おもいますか」。10:7 彼かれらはレハベアムに言いった、「あなたがもしこの民たみを親切しんせつにあつかい、彼かれらを喜よろこばせ、ねんごろに語かたられるならば彼かれらは長ながくあなたのしもべとなるでしょう」。10:8 しかし彼かれは長老ちょうろうたちが与あたえた勧すすめをすてて、自分じぶんと一緒いっしょに大おおきくなって自分じぶんに仕つかえている若者わかものたちに相談そうだんして、10:9 彼かれらに言いった、「あなたがたは、この民たみがわたしに向むかって、『あなたの父上ちちうえが、われわれに負おわせたくびきを軽かるくしてください』と言いうのに、われわれはなんと返答へんとうすればよいと思おもいますか」。10:10 彼かれと一緒いっしょに大おおきくなった若者わかものたちは彼かれに言いった、「あなたに向むかって、『あなたの父ちちは、われわれのくびきを重おもくしたが、あなたは、それをわれわれのために軽かるくしてください』と言いったこの民たみに、こう言いいなさい、『わたしの小指こゆびは父ちちの腰こしよりも太ふとい、10:11 父ちちはあなたがたに重おもいくびきを負おわせたが、わたしはさらに、あなたがたのくびきを重おもくしよう。父ちちはむちであなたがたを懲こらしたが、わたしはさそりであなたがたを懲こらそう』」。 10:12 さてヤラベアムと民たみは皆みな、王おうが「三日か目めにわたしのところに来きなさい」と言いったとおりに、三日か目めにレハベアムのところへ行いった。10:13 王おうは荒々あらあらしく彼かれらに答こたえた。すなわちレハベアム王おうは長老ちょうろうたちの勧すすめをすて、10:14 若者わかものたちの勧すすめに従したがい、彼かれらに告つげて言いった、「父ちちはあなたがたのくびきを重おもくしたが、わたしは更さらにこれを重おもくしよう。父ちちはむちであなたがたを懲こらしたが、わたしはさそりであなたがたを懲こらそう」。10:15 このように王おうは民たみの言いうことを聞ききいれなかった。これは主しゅが、かつてシロびとアヒヤによって、ネバテの子こヤラベアムに言いわれた言葉ことばを成就じょうじゅするために、神かみがなされたのであった。 10:16 イスラエルの人々ひとびとは皆みな、王おうが自分じぶんたちの言いうことを聞ききいれないのを見みたので、民たみは王おうに答こたえて言いった、 「われわれはダビデのうちに何なにの分ぶんがあろうか。われわれはエッサイの子このうちに嗣し業ぎょうがない。イスラエルよ、めいめいの天幕てんまくに帰かえれ。ダビデよ、今いまあなたの家いえを見みよ」。そしてイスラエルは皆みな彼かれらの天幕てんまくへ去さって行いった。10:17 しかしレハベアムはユダの町々まちまちに住すんでいるイスラエルの人々ひとびとを治おさめた。10:18 レハベアム王おうは徴募ちょうぼ人にんの監督かんとくであったアドラムをつかわしたが、イスラエルの人々ひとびとが石いしで彼かれを撃うち殺ころしたので、レハベアム王おうは急いそいで車くるまに乗のり、エルサレムに逃にげた。10:19 こうしてイスラエルはダビデの家いえにそむいて今日こんにちに至いたった。 第11章 11:1 レハベアムはエルサレムに来きて、ユダとベニヤミンの家いえの者もの、すなわち、えり抜ぬきの軍人ぐんじん十八万人にんを集あつめ、国くにを取とりもどすためにイスラエルと戦たたかおうとしたが、11:2 主しゅの言葉ことばが神かみの人ひとシマヤに臨のぞんで言いった、11:3 「ソロモンの子こ、ユダの王おうレハベアムおよびユダとベニヤミンにいるすべてのイスラエルの人々ひとびとに言いいなさい、11:4 『主しゅはこう仰おおせられる、あなたがたは上のぼってはならない。あなたがたの兄弟きょうだいと戦たたかってはならない。おのおの自分じぶんの家いえに帰かえりなさい。この事ことはわたしから出でたのである』」。それで人々ひとびとは主しゅの言葉ことばを聞きき、ヤラベアムを攻せめに行いくのをやめて帰かえった。 11:5 レハベアムはエルサレムに住すんで、ユダに防衛ぼうえいの町々まちまちを建たてた。11:6 すなわちベツレヘム、エタム、テコア、11:7 ベテズル、ソコ、アドラム、11:8 ガテ、マレシャ、ジフ、11:9 アドライム、ラキシ、アゼカ、11:10 ゾラ、アヤロン、およびヘブロン。これらはユダとベニヤミンにあって要害ようがいの町々まちまちである。11:11 彼かれはその要害ようがいを堅固けんごにし、これに軍ぐん長ちょうを置おき、糧食りょうしょくと油あぶらとぶどう酒しゅをたくわえ、11:12 またそのすべての町まちに盾たてとやりを備そなえて、これを非常ひじょうに強化きょうかし、そしてユダとベニヤミンを確保かくほした。 11:13 イスラエルの全ぜん地ちの祭司さいしとレビびとは四方しほうの境さかいから来きてレハベアムに身みを寄よせた。11:14 すなわちレビびとは自分じぶんの放牧ほうぼく地ちと領地りょうちを離はなれてユダとエルサレムに来きた。これはヤラベアムとその子こらが彼かれらを排斥はいせきして、主しゅの前まえに祭司さいしの務つとめをさせなかったためである。11:15 ヤラベアムは高たかき所ところと、みだらな神かみと、自分じぶんで造つくった子こ牛うしのために自分じぶんの祭司さいしを立たてた。11:16 またイスラエルのすべての部族ぶぞくのうちで、すべてその心こころを傾かたむけて、イスラエルの神かみ、主しゅを求もとめる者ものは先祖せんぞの神かみ、主しゅに犠牲ぎせいをささげるために、レビびとに従したがってエルサレムに来きた。11:17 このように彼かれらはユダの国くにを堅かたくし、ソロモンの子こレハベアムを三年ねんの間あいだ強つよくした。彼かれらは三年ねんの間あいだダビデとソロモンの道みちに歩あゆんだからである。 11:18 レハベアムはダビデの子こエレモテの娘むすめマハラテを妻つまにめとった。マハラテはエッサイの子こエリアブの娘むすめアビハイルが産うんだ者ものである。11:19 彼女かのじょはエウシ、シマリヤおよびザハムの三子しを産うんだ。11:20 彼かれはまた彼女かのじょの後のちにアブサロムの娘むすめマアカをめとった。マアカはアビヤ、アッタイ、ジザおよびシロミテを産うんだ。11:21 レハベアムはアブサロムの娘むすめマアカをすべての妻つまとそばめにまさって愛あいした。彼かれは妻つま十八人にん、そばめ六十人にんをめとって、男おとこの子こ二十八人にんと女おんなの子こ六十人にんをもうけた。11:22 レハベアムはマアカの子こアビヤを立たててかしらとし、その兄弟きょうだいの長ちょうとした。彼かれはアビヤを王おうにしようと思おもったからである。11:23 それで王おうは賢かしこくとり行おこない、そのむすこたちをことごとく、ユダとベニヤミンの全ぜん地方ちほうにあるすべての要害ようがいの町まちに散在さんざいさせ、彼かれらに糧食りょうしょくを多おおく与あたえ、また多おおくの妻つまを得えさせた。 第12章 12:1 レハベアムはその国くにが堅かたく立たち、強つよくなるに及およんで、主しゅのおきてを捨すてた。イスラエルも皆みな彼かれにならった。12:2 彼かれらがこのように主しゅに向むかって罪つみを犯おかしたので、レハベアム王おうの五年ねんにエジプトの王おうシシャクがエルサレムに攻せめ上のぼってきた。12:3 その戦車せんしゃは一千二百、騎兵きへいは六万、また彼かれに従したがってエジプトから来きた民たみ、すなわちリビアびと、スキびと、エチオピヤびとは無数むすうであった。12:4 シシャクはユダの要害ようがいの町々まちまちを取とり、エルサレムに迫せまって来きた。12:5 そこで預言者よげんしゃシマヤは、レハベアムおよびシシャクのゆえに、エルサレムに集あつまったユダのつかさたちのもとにきて言いった、「主しゅはこう仰おおせられる、『あなたがたはわたしを捨すてたので、わたしもあなたがたを捨すててシシャクにわたした』と」。12:6 そこでイスラエルのつかさたち、および王おうはへりくだって、「主しゅは正ただしい」と言いった。12:7 主しゅは彼かれらのへりくだるのを見みられたので、主しゅの言葉ことばがシマヤにのぞんで言いった、「彼かれらがへりくだったから、わたしは彼かれらを滅ほろぼさないで、間まもなく救すくいを施ほどこす。わたしはシシャクの手てによって、怒いかりをエルサレムに注そそぐことをしない。12:8 しかし彼かれらはシシャクのしもべになる。これは彼かれらがわたしに仕つかえることと、国々くにぐにの王おうたちに仕つかえることとの相違そういを知しるためである」。 12:9 エジプトの王おうシシャクはエルサレムに攻せめのぼって、主しゅの宮みやの宝物ほうもつと、王おうの家いえの宝物ほうもつとを奪うばい去さった。すなわちそれらをことごとく奪うばい去さり、またソロモンの造つくった金きんの盾たてをも奪うばい去さった。12:10 それでレハベアム王おうは、その代かわりに青銅せいどうの盾たてを造つくって、王おうの家いえの門もんを守まもる侍衛じえい長ちょうたちの手てに渡わたした。12:11 王おうが主しゅの宮みやにはいるごとに侍衛じえいは来きて、これを負おい、またこれを侍衛じえいのへやへ持もって帰かえった。12:12 レハベアムがへりくだったので主しゅの怒いかりは彼かれを離はなれ、彼かれをことごとく滅ほろぼそうとはされなかった。またユダの事情じじょうもよくなった。 12:13 レハベアム王おうはエルサレムで自分じぶんの地位ちいを確立かくりつし、世よを治おさめた。すなわちレハベアムは四十一歳さいのとき位くらいにつき、十七年ねんの間あいだエルサレムで世よを治おさめた。エルサレムは主しゅがその名なを置おくためにイスラエルのすべての部族ぶぞくのうちから選えらばれた町まちである。彼かれの母はははアンモンの女おんなで、名なをナアマといった。12:14 レハベアムは主しゅを求もとめることに心こころを傾かたむけないで、悪わるい事ことを行おこなった。 12:15 レハベアムの始終しじゅうの行為こういは、預言者よげんしゃシマヤおよび先見者せんけんしゃイドの書しょにしるされているではないか。レハベアムとヤラベアムとの間あいだには絶たえず戦争せんそうがあった。12:16 レハベアムはその先祖せんぞたちと共ともに眠ねむって、ダビデの町まちに葬ほうむられ、その子こアビヤが彼かれに代かわって王おうとなった。 第13章 13:1 ヤラベアム王おうの第だい十八年ねんにアビヤがユダの王おうとなった。13:2 彼かれは三年ねんの間あいだエルサレムで世よを治おさめた。彼かれの母はははギベアのウリエルの娘むすめで、名なをミカヤといった。 13:3 ここにアビヤとヤラベアムとの間あいだに戦争せんそうが起おこり、アビヤは四十万の精兵せいへいから成なる勇敢ゆうかんな軍勢ぐんぜいをもって戦たたかいにいで、ヤラベアムも大だい勇士ゆうしから成なる八十万の精兵せいへいをもって、これに向むかって戦たたかいの備そなえをした。13:4 時ときにアビヤはエフライムの山地さんちにあるゼマライム山やまの上うえに立たって言いった、「ヤラベアムおよびイスラエルの人々ひとびとよ皆みな聞きけ。13:5 あなたがたはイスラエルの神かみ、主しゅが塩しおの契約けいやくをもってイスラエルの国くにをながくダビデとその子孫しそんに賜たまわったことを知しらないのか。13:6 ところがダビデの子こソロモンの家来けらいであるネバテの子こヤラベアムが起たって、その主君しゅくんにそむき、13:7 また卑いやしい無頼ぶらいのともがらが集あつまって彼かれにくみし、ソロモンの子こレハベアムに敵てきしたが、レハベアムは若わかく、かつ意志いしが弱よわくてこれに当あたることができなかった。 13:8 今いままた、あなたがたは大軍たいぐんをたのみ、またヤラベアムが造つくって、あなたがたの神かみとした金きんの子こ牛うしをたのんで、ダビデの子孫しそんの手てにある主しゅの国くにに敵対てきたいしようとしている。13:9 またあなたがたはアロンの子孫しそんである主しゅの祭司さいしとレビびととを追おいだして、他たの国々くにぐにの民たみがするように祭司さいしを立たてたではないか。すなわちだれでも若わかい雄牛おうし一頭とう、雄羊おひつじ七頭とうを携たずさえてきて、自分じぶんを聖別せいべつする者ものは皆みなあの神かみでない者ものの祭司さいしとすることができた。13:10 しかしわれわれにおいては、主しゅがわれわれの神かみであって、われわれは彼かれを捨すてない。また主しゅに仕つかえる祭司さいしはアロンの子孫しそんであり、働はたらきをなす者ものはレビびとである。13:11 彼かれらは朝あさごと夕ゆうごとに主しゅに燔祭はんさいと、こうばしい香こうをささげ、供そなえのパンを純金じゅんきんの机つくえの上うえに供そなえ、また金きんの燭台しょくだいとそのともしび皿さらを整ととのえて、夕ゆうごとにともすのである。このようにわれわれはわれわれの神かみ、主しゅの務つとめを守まもっているが、あなたがたは彼かれを捨すてた。13:12 見みよ、神かみはみずからわれわれと共ともにおられて、われわれのかしらとなられ、また、その祭司さいしたちはラッパを吹ふきならして、あなたがたを攻せめる。イスラエルの人々ひとびとよ、あなたがたの先祖せんぞの神かみ、主しゅに敵てきして戦たたかってはならない。あなたがたは成功せいこうしない」。 13:13 ヤラベアムは伏兵ふくへいを彼かれらのうしろに回まわらせたので、彼かれの軍隊ぐんたいはユダの前まえにあり、伏兵ふくへいは彼かれらのうしろにあった。13:14 ユダはうしろを見みると、敵てきが前まえとうしろとにあったので、主しゅに向むかって呼よばわり、祭司さいしたちはラッパを吹ふいた。13:15 そこでユダの人々ひとびとはときの声こえをあげた。ユダの人々ひとびとがときの声こえをあげると、神かみはヤラベアムとイスラエルの人々ひとびとをアビヤとユダの前まえに打うち敗やぶられたので、13:16 イスラエルの人々ひとびとはユダの前まえから逃にげた。神かみが彼かれらをユダの手てに渡わたされたので、13:17 アビヤとその民たみは、彼かれらをおびただしく撃うち殺ころした。イスラエルの殺ころされて倒たおれた者ものは五十万人にん、皆みな精兵せいへいであった。13:18 このように、この時ときイスラエルの人々ひとびとは打うち負まかされ、ユダの人々ひとびとは勝かちを得えた。彼かれらがその先祖せんぞの神かみ、主しゅを頼たのんだからである。13:19 アビヤはヤラベアムを追撃ついげきして数個すうこの町まちを彼かれから取とった。すなわちベテルとその村里むらざと、エシャナとその村里むらざと、エフロンとその村里むらざとである。13:20 ヤラベアムは、アビヤの世よには再ふたたび力ちからを得えることができず、主しゅに撃うたれて死しんだ。13:21 しかしアビヤは強つよくなり、妻つま十四人にんをめとり、むすこ二十二人にん、むすめ十六人にんをもうけた。13:22 アビヤのその他たの行為こういすなわちその行動こうどうと言葉ことばは、預言者よげんしゃイドの注釈ちゅうしゃくにしるされている。 第14章 14:1 アビヤはその先祖せんぞたちと共ともに眠ねむって、ダビデの町まちに葬ほうむられ、その子こアサが代かわって王おうとなった。アサの治世ちせいに国くには十年ねんの間あいだ、穏おだやかであった。14:2 アサはその神かみ、主しゅの目めに良よしと見みえ、また正ただしと見みえることを行おこなった。14:3 彼かれは異ことなる祭壇さいだんと、もろもろの高たかき所ところを取とり除のぞき、石柱せきちゅうをこわし、アシラ像ぞうを切きり倒たおし、14:4 ユダに命めいじてその先祖せんぞたちの神かみ、主しゅを求もとめさせ、おきてと戒いましめとを行おこなわせ、14:5 ユダのすべての町々まちまちから、高たかき所ところと香こうの祭壇さいだんとを取とり除のぞいた。そして国くには彼かれのもとに穏おだやかであった。14:6 彼かれは国くにが穏おだやかであったので、要害ようがいの町まち数個すうこをユダに建たてた。また主しゅが彼かれに平安へいあんを賜たまわったので、この年としごろ戦争せんそうがなかった。14:7 彼かれはユダに言いった、「われわれはこれらの町まちを建たて、その周囲しゅういに石いしがきを築きずき、やぐらを建たて、門もんと貫かんの木きを設もうけよう。われわれがわれわれの神かみ、主しゅを求もとめたので、この国くにはなおわれわれのものであり、われわれが彼かれを求もとめたので、四方しほうにおいて、われわれに平安へいあんを賜たまわった」。こうして彼かれらは滞とどこおりなく建たて終おわった。14:8 アサの軍隊ぐんたいはユダから出でた者もの三十万人にんあって、盾たてとやりをとり、ベニヤミンから出でた者もの二十八万人にんあって、小盾こだてをとり、弓ゆみを引ひいた。これはみな大だい勇士ゆうしであった。 14:9 エチオピヤびとゼラが、百万の軍隊ぐんたいと三百の戦車せんしゃを率ひきいて、マレシャまで攻せめてきた。14:10 アサは出でて、これを迎むかえ、マレシャのゼパタの谷たにに戦たたかいの備そなえをした。14:11 時ときにアサはその神かみ、主しゅに向むかって呼よばわって言いった、「主しゅよ、力ちからのある者ものを助たすけることも、力ちからのない者ものを助たすけることも、あなたにおいては異ことなることはありません。われわれの神かみ、主しゅよ、われわれをお助たすけください。われわれはあなたに寄より頼たのみ、あなたの名なによってこの大軍たいぐんに当あたります。主しゅよ、あなたはわれわれの神かみです。どうぞ人ひとをあなたに勝かたせないでください」。14:12 そこで主しゅはアサの前まえとユダの前まえでエチオピヤびとを撃うち敗やぶられたので、エチオピヤびとは逃にげ去さった。14:13 アサと彼かれに従したがう民たみは彼かれらをゲラルまで追撃ついげきしたので、エチオピヤびとは倒たおれて、生いき残のこった者ものはひとりもなかった。主しゅと主しゅの軍勢ぐんぜいの前まえに撃うち破やぶられたからである。ユダの人々ひとびとの得えたぶんどり物ものは非常ひじょうに多おおかった。14:14 彼かれらはまた、ゲラルの周囲しゅういの町々まちまちをことごとく撃うち破やぶった。主しゅの恐おそれが彼かれらの上うえに臨のぞんだからである。そして彼かれらはそのすべての町まちをかすめ奪うばった。その内うちに多おおくの物ものがあったからである。14:15 また家畜かちくをもっている者ものの天幕てんまくを襲おそい、多おおくの羊ひつじとらくだを奪うばい取とって、エルサレムに帰かえった。
9:1 シバの女王じょおうはソロモンの名声めいせいを聞きいたので、難問なんもんをもってソロモンを試こころみようと、非常ひじょうに多おおくの従者じゅうしゃを連つれ、香料こうりょうと非常ひじょうにたくさんの金きんと宝石ほうせきとをらくだに負おわせて、エルサレムのソロモンのもとに来きて、その心こころにあることをことごとく彼かれに告つげた。
9:2 ソロモンは彼女かのじょのすべての問といに答こたえた。ソロモンが知しらないで彼女かのじょに説明せつめいのできないことは一つもなかった。
9:3 シバの女王じょおうはソロモンの知恵ちえと、彼かれが建たてた家いえを見み、
9:4 またその食卓しょくたくの食物しょくもつと、列座れつざの家来けらいたちと、その侍臣じしんたちの伺候しこう振ふりと彼かれらの服装ふくそう、および彼かれの給仕きゅうじたちとその服装ふくそう、ならびに彼かれが主しゅの宮みやでささげる燔祭はんさいを見みて、全まったく気きを奪うばわれてしまった。
9:5 彼女かのじょは王おうに言いった、「わたしが国くにであなたの事ことと、あなたの知恵ちえについて聞きいたうわさは真実しんじつでした。
9:6 しかしわたしは来きて目めに見みるまでは、そのうわさを信しんじませんでしたが、今見いまみると、あなたの知恵ちえの大おおいなることはその半分はんぶんもわたしに知しらされませんでした。あなたはわたしの聞きいたうわさにまさっています。
9:7 あなたの奥方おくがたたちはさいわいです。常つねにあなたの前まえに立たって、あなたの知恵ちえを聞きくこのあなたの家来けらいたちはさいわいです。
9:8 あなたの神かみ、主しゅはほむべきかな。主しゅはあなたを喜よろこび、あなたをその位くらいにつかせ、あなたの神かみ、主しゅのために王おうとされました。あなたの神かみはイスラエルを愛あいして、とこしえにこれを堅かたくするために、あなたをその王おうとされ、公道こうどうと正義せいぎを行おこなわれるのです」。
9:9 そして彼女かのじょは金きん百二十タラント、および非常ひじょうに多おおくの香料こうりょうと宝石ほうせきとを王おうに贈おくった。シバの女王じょおうがソロモンに贈おくったような香料こうりょうは、いまだかつてなかった。
9:10 オフルから金きんを携たずさえて来きたヒラムのしもべたちとソロモンのしもべたちはまた、びゃくだんの木きと宝石ほうせきをも携たずさえて来きた。
9:11 王おうはそのびゃくだんの木きで、主しゅの宮みやと王おうの家いえとに階段かいだんを造つくり、また歌うたうたう者もののために琴ことと立琴たてごとを つくった。このようなものはかつてユダの地ちで見みたことがなかった。
9:12 ソロモン王おうは、シバの女王じょおうが贈おくった物ものに報むくいたほかに、彼女かのじょの望のぞみにまかせて、すべてその求もとめるものを贈おくった。そして彼女かのじょはその家来けらいたちと共ともに自分じぶんの国くにへ帰かえって行いった。
9:13 さて一年ねんの間あいだにソロモンの所ところにはいって来きた金きんの目方めかたは六百六十六タラントであった。
9:14 このほかに貿易ぼうえき商しょうおよび商人しょうにんの携たずさえて来きたものがあった。またアラビヤのすべての王おうたちおよび国くにの代官だいかんたちも金銀きんぎんをソロモンに携たずさえてきた。
9:15 ソロモン王おうは延金のべきんの大盾おおだて二百を造つくった。その大盾おおだてにはおのおの六百シケルの延金のべきんを用もちいた。
9:16 また延金のべきんの小盾こだて三百を造つくった。小盾こだてにはおのおの三百シケルの金きんを用もちいた。王おうはこれらをレバノンの森もりの家いえに置おいた。
9:17 王おうはまた大おおきな象牙ぞうげの玉座ぎょくざを造つくり、純金じゅんきんでこれをおおった。
9:18 その玉座ぎょくざには六つの段だんがあり、また金きんの足あし台だいがあって共ともに玉座ぎょくざにつらなり、その座ざする所ところの両方りょうほうに、ひじかけがあって、ひじかけのわきに二つのししが立たっていた。
9:19 また十二のししが六つの段だんのおのおのの両側りょうがわに立たっていた。このような物ものはどこの国くにでも造つくられたことがなかった。
9:20 ソロモン王おうが飲のむときに用もちいた器うつわはみな金きんであった。またレバノンの森もりの家いえの器うつわもみな純金じゅんきんであって、銀ぎんはソロモンの世よには尊たっとばれなかった。
9:21 これは王おうの船ふねがヒラムのしもべたちを乗のせてタルシシへ行いき、三年ねんごとに一度ど、そのタルシシの船ふねが金きん、銀ぎん、象牙ぞうげ、さる、くじゃくを載のせて来きたからである。
9:22 このようにソロモン王おうは富とみと知恵ちえにおいて、地ちのすべての王おうにまさっていたので、
9:23 地ちのすべての王おうは神かみがソロモンの心こころに授さづけられた知恵ちえを聞きこうとしてソロモンに謁見えっけんを求もとめた。
9:24 人々ひとびとはおのおの贈おくり物ものを携たずさえてきた。すなわち銀ぎんの器うつわ、金きんの器うつわ、衣服いふく、没薬もつやく、香料こうりょう、馬うま、騾馬らばなど年々ねんねん定さだまっていた。
9:25 ソロモンは馬うまと戦車せんしゃのために馬屋うまや四千と騎兵きへい一万二千を持もち、これを戦車せんしゃの町まちに置おき、またエルサレムの王おうのもとに置おいた。
9:26 彼かれはユフラテ川かわからペリシテびとの地ちと、エジプトの境さかいに至いたるまでのすべての王おうを治おさめた。
9:27 王おうはまた銀ぎんを石いしのようにエルサレムに多おおくし、香柏こうはくを平野へいやのいちじく桑くわのように多おおくした。
9:28 また人々ひとびとはエジプトおよび諸国しょこくから馬うまをソロモンのために輸入ゆにゅうした。
9:29 ソロモンのそのほかの始終しじゅうの行為こういは、預言者よげんしゃナタンの書しょと、シロびとアヒヤの預言よげんと、先見者せんけんしゃイドがネバテの子こヤラベアムについて述のべた黙示もくしのなかに、しるされているではないか。
9:30 ソロモンはエルサレムで四十年ねんの間あいだイスラエルの全ぜん地ちを治おさめた。
9:31 ソロモンはその先祖せんぞたちと共ともに眠ねむって、父ちちダビデの町まちに葬ほうむられ、その子こレハベアムが代かわって王おうとなった。
第10章 10:1 レハベアムはシケムへ行いった。すべてのイスラエルびとが彼かれを王おうにしようとシケムへ行いったからである。10:2 ネバテの子こヤラベアムは、ソロモンを避さけてエジプトにのがれていたが、これを聞きいてエジプトから帰かえったので、10:3 人々ひとびとは人ひとをつかわして彼かれを招まねいた。そこでヤラベアムとすべてのイスラエルは来きて、レハベアムに言いった、10:4 「あなたの父ちちは、われわれのくびきを重おもくしましたが、今いまあなたの父ちちのきびしい使役しえきと、あなたの父ちちが、われわれに負おわせた重おもいくびきを軽かるくしてください。そうすればわたしたちはあなたに仕つかえましょう」。10:5 レハベアムは彼かれらに答こたえた、「三日かの後のち、またわたしの所ところに来きなさい」。それで民たみは去さった。 10:6 レハベアム王おうは父ちちソロモンの存命ぞんめい中ちゅうソロモンに仕つかえた長老ちょうろうたちに相談そうだんして言いった、「あなたがたはこの民たみにどう返答へんとうすればよいと思おもいますか」。10:7 彼かれらはレハベアムに言いった、「あなたがもしこの民たみを親切しんせつにあつかい、彼かれらを喜よろこばせ、ねんごろに語かたられるならば彼かれらは長ながくあなたのしもべとなるでしょう」。10:8 しかし彼かれは長老ちょうろうたちが与あたえた勧すすめをすてて、自分じぶんと一緒いっしょに大おおきくなって自分じぶんに仕つかえている若者わかものたちに相談そうだんして、10:9 彼かれらに言いった、「あなたがたは、この民たみがわたしに向むかって、『あなたの父上ちちうえが、われわれに負おわせたくびきを軽かるくしてください』と言いうのに、われわれはなんと返答へんとうすればよいと思おもいますか」。10:10 彼かれと一緒いっしょに大おおきくなった若者わかものたちは彼かれに言いった、「あなたに向むかって、『あなたの父ちちは、われわれのくびきを重おもくしたが、あなたは、それをわれわれのために軽かるくしてください』と言いったこの民たみに、こう言いいなさい、『わたしの小指こゆびは父ちちの腰こしよりも太ふとい、10:11 父ちちはあなたがたに重おもいくびきを負おわせたが、わたしはさらに、あなたがたのくびきを重おもくしよう。父ちちはむちであなたがたを懲こらしたが、わたしはさそりであなたがたを懲こらそう』」。 10:12 さてヤラベアムと民たみは皆みな、王おうが「三日か目めにわたしのところに来きなさい」と言いったとおりに、三日か目めにレハベアムのところへ行いった。10:13 王おうは荒々あらあらしく彼かれらに答こたえた。すなわちレハベアム王おうは長老ちょうろうたちの勧すすめをすて、10:14 若者わかものたちの勧すすめに従したがい、彼かれらに告つげて言いった、「父ちちはあなたがたのくびきを重おもくしたが、わたしは更さらにこれを重おもくしよう。父ちちはむちであなたがたを懲こらしたが、わたしはさそりであなたがたを懲こらそう」。10:15 このように王おうは民たみの言いうことを聞ききいれなかった。これは主しゅが、かつてシロびとアヒヤによって、ネバテの子こヤラベアムに言いわれた言葉ことばを成就じょうじゅするために、神かみがなされたのであった。 10:16 イスラエルの人々ひとびとは皆みな、王おうが自分じぶんたちの言いうことを聞ききいれないのを見みたので、民たみは王おうに答こたえて言いった、 「われわれはダビデのうちに何なにの分ぶんがあろうか。われわれはエッサイの子このうちに嗣し業ぎょうがない。イスラエルよ、めいめいの天幕てんまくに帰かえれ。ダビデよ、今いまあなたの家いえを見みよ」。そしてイスラエルは皆みな彼かれらの天幕てんまくへ去さって行いった。10:17 しかしレハベアムはユダの町々まちまちに住すんでいるイスラエルの人々ひとびとを治おさめた。10:18 レハベアム王おうは徴募ちょうぼ人にんの監督かんとくであったアドラムをつかわしたが、イスラエルの人々ひとびとが石いしで彼かれを撃うち殺ころしたので、レハベアム王おうは急いそいで車くるまに乗のり、エルサレムに逃にげた。10:19 こうしてイスラエルはダビデの家いえにそむいて今日こんにちに至いたった。 第11章 11:1 レハベアムはエルサレムに来きて、ユダとベニヤミンの家いえの者もの、すなわち、えり抜ぬきの軍人ぐんじん十八万人にんを集あつめ、国くにを取とりもどすためにイスラエルと戦たたかおうとしたが、11:2 主しゅの言葉ことばが神かみの人ひとシマヤに臨のぞんで言いった、11:3 「ソロモンの子こ、ユダの王おうレハベアムおよびユダとベニヤミンにいるすべてのイスラエルの人々ひとびとに言いいなさい、11:4 『主しゅはこう仰おおせられる、あなたがたは上のぼってはならない。あなたがたの兄弟きょうだいと戦たたかってはならない。おのおの自分じぶんの家いえに帰かえりなさい。この事ことはわたしから出でたのである』」。それで人々ひとびとは主しゅの言葉ことばを聞きき、ヤラベアムを攻せめに行いくのをやめて帰かえった。 11:5 レハベアムはエルサレムに住すんで、ユダに防衛ぼうえいの町々まちまちを建たてた。11:6 すなわちベツレヘム、エタム、テコア、11:7 ベテズル、ソコ、アドラム、11:8 ガテ、マレシャ、ジフ、11:9 アドライム、ラキシ、アゼカ、11:10 ゾラ、アヤロン、およびヘブロン。これらはユダとベニヤミンにあって要害ようがいの町々まちまちである。11:11 彼かれはその要害ようがいを堅固けんごにし、これに軍ぐん長ちょうを置おき、糧食りょうしょくと油あぶらとぶどう酒しゅをたくわえ、11:12 またそのすべての町まちに盾たてとやりを備そなえて、これを非常ひじょうに強化きょうかし、そしてユダとベニヤミンを確保かくほした。 11:13 イスラエルの全ぜん地ちの祭司さいしとレビびとは四方しほうの境さかいから来きてレハベアムに身みを寄よせた。11:14 すなわちレビびとは自分じぶんの放牧ほうぼく地ちと領地りょうちを離はなれてユダとエルサレムに来きた。これはヤラベアムとその子こらが彼かれらを排斥はいせきして、主しゅの前まえに祭司さいしの務つとめをさせなかったためである。11:15 ヤラベアムは高たかき所ところと、みだらな神かみと、自分じぶんで造つくった子こ牛うしのために自分じぶんの祭司さいしを立たてた。11:16 またイスラエルのすべての部族ぶぞくのうちで、すべてその心こころを傾かたむけて、イスラエルの神かみ、主しゅを求もとめる者ものは先祖せんぞの神かみ、主しゅに犠牲ぎせいをささげるために、レビびとに従したがってエルサレムに来きた。11:17 このように彼かれらはユダの国くにを堅かたくし、ソロモンの子こレハベアムを三年ねんの間あいだ強つよくした。彼かれらは三年ねんの間あいだダビデとソロモンの道みちに歩あゆんだからである。 11:18 レハベアムはダビデの子こエレモテの娘むすめマハラテを妻つまにめとった。マハラテはエッサイの子こエリアブの娘むすめアビハイルが産うんだ者ものである。11:19 彼女かのじょはエウシ、シマリヤおよびザハムの三子しを産うんだ。11:20 彼かれはまた彼女かのじょの後のちにアブサロムの娘むすめマアカをめとった。マアカはアビヤ、アッタイ、ジザおよびシロミテを産うんだ。11:21 レハベアムはアブサロムの娘むすめマアカをすべての妻つまとそばめにまさって愛あいした。彼かれは妻つま十八人にん、そばめ六十人にんをめとって、男おとこの子こ二十八人にんと女おんなの子こ六十人にんをもうけた。11:22 レハベアムはマアカの子こアビヤを立たててかしらとし、その兄弟きょうだいの長ちょうとした。彼かれはアビヤを王おうにしようと思おもったからである。11:23 それで王おうは賢かしこくとり行おこない、そのむすこたちをことごとく、ユダとベニヤミンの全ぜん地方ちほうにあるすべての要害ようがいの町まちに散在さんざいさせ、彼かれらに糧食りょうしょくを多おおく与あたえ、また多おおくの妻つまを得えさせた。 第12章 12:1 レハベアムはその国くにが堅かたく立たち、強つよくなるに及およんで、主しゅのおきてを捨すてた。イスラエルも皆みな彼かれにならった。12:2 彼かれらがこのように主しゅに向むかって罪つみを犯おかしたので、レハベアム王おうの五年ねんにエジプトの王おうシシャクがエルサレムに攻せめ上のぼってきた。12:3 その戦車せんしゃは一千二百、騎兵きへいは六万、また彼かれに従したがってエジプトから来きた民たみ、すなわちリビアびと、スキびと、エチオピヤびとは無数むすうであった。12:4 シシャクはユダの要害ようがいの町々まちまちを取とり、エルサレムに迫せまって来きた。12:5 そこで預言者よげんしゃシマヤは、レハベアムおよびシシャクのゆえに、エルサレムに集あつまったユダのつかさたちのもとにきて言いった、「主しゅはこう仰おおせられる、『あなたがたはわたしを捨すてたので、わたしもあなたがたを捨すててシシャクにわたした』と」。12:6 そこでイスラエルのつかさたち、および王おうはへりくだって、「主しゅは正ただしい」と言いった。12:7 主しゅは彼かれらのへりくだるのを見みられたので、主しゅの言葉ことばがシマヤにのぞんで言いった、「彼かれらがへりくだったから、わたしは彼かれらを滅ほろぼさないで、間まもなく救すくいを施ほどこす。わたしはシシャクの手てによって、怒いかりをエルサレムに注そそぐことをしない。12:8 しかし彼かれらはシシャクのしもべになる。これは彼かれらがわたしに仕つかえることと、国々くにぐにの王おうたちに仕つかえることとの相違そういを知しるためである」。 12:9 エジプトの王おうシシャクはエルサレムに攻せめのぼって、主しゅの宮みやの宝物ほうもつと、王おうの家いえの宝物ほうもつとを奪うばい去さった。すなわちそれらをことごとく奪うばい去さり、またソロモンの造つくった金きんの盾たてをも奪うばい去さった。12:10 それでレハベアム王おうは、その代かわりに青銅せいどうの盾たてを造つくって、王おうの家いえの門もんを守まもる侍衛じえい長ちょうたちの手てに渡わたした。12:11 王おうが主しゅの宮みやにはいるごとに侍衛じえいは来きて、これを負おい、またこれを侍衛じえいのへやへ持もって帰かえった。12:12 レハベアムがへりくだったので主しゅの怒いかりは彼かれを離はなれ、彼かれをことごとく滅ほろぼそうとはされなかった。またユダの事情じじょうもよくなった。 12:13 レハベアム王おうはエルサレムで自分じぶんの地位ちいを確立かくりつし、世よを治おさめた。すなわちレハベアムは四十一歳さいのとき位くらいにつき、十七年ねんの間あいだエルサレムで世よを治おさめた。エルサレムは主しゅがその名なを置おくためにイスラエルのすべての部族ぶぞくのうちから選えらばれた町まちである。彼かれの母はははアンモンの女おんなで、名なをナアマといった。12:14 レハベアムは主しゅを求もとめることに心こころを傾かたむけないで、悪わるい事ことを行おこなった。 12:15 レハベアムの始終しじゅうの行為こういは、預言者よげんしゃシマヤおよび先見者せんけんしゃイドの書しょにしるされているではないか。レハベアムとヤラベアムとの間あいだには絶たえず戦争せんそうがあった。12:16 レハベアムはその先祖せんぞたちと共ともに眠ねむって、ダビデの町まちに葬ほうむられ、その子こアビヤが彼かれに代かわって王おうとなった。 第13章 13:1 ヤラベアム王おうの第だい十八年ねんにアビヤがユダの王おうとなった。13:2 彼かれは三年ねんの間あいだエルサレムで世よを治おさめた。彼かれの母はははギベアのウリエルの娘むすめで、名なをミカヤといった。 13:3 ここにアビヤとヤラベアムとの間あいだに戦争せんそうが起おこり、アビヤは四十万の精兵せいへいから成なる勇敢ゆうかんな軍勢ぐんぜいをもって戦たたかいにいで、ヤラベアムも大だい勇士ゆうしから成なる八十万の精兵せいへいをもって、これに向むかって戦たたかいの備そなえをした。13:4 時ときにアビヤはエフライムの山地さんちにあるゼマライム山やまの上うえに立たって言いった、「ヤラベアムおよびイスラエルの人々ひとびとよ皆みな聞きけ。13:5 あなたがたはイスラエルの神かみ、主しゅが塩しおの契約けいやくをもってイスラエルの国くにをながくダビデとその子孫しそんに賜たまわったことを知しらないのか。13:6 ところがダビデの子こソロモンの家来けらいであるネバテの子こヤラベアムが起たって、その主君しゅくんにそむき、13:7 また卑いやしい無頼ぶらいのともがらが集あつまって彼かれにくみし、ソロモンの子こレハベアムに敵てきしたが、レハベアムは若わかく、かつ意志いしが弱よわくてこれに当あたることができなかった。 13:8 今いままた、あなたがたは大軍たいぐんをたのみ、またヤラベアムが造つくって、あなたがたの神かみとした金きんの子こ牛うしをたのんで、ダビデの子孫しそんの手てにある主しゅの国くにに敵対てきたいしようとしている。13:9 またあなたがたはアロンの子孫しそんである主しゅの祭司さいしとレビびととを追おいだして、他たの国々くにぐにの民たみがするように祭司さいしを立たてたではないか。すなわちだれでも若わかい雄牛おうし一頭とう、雄羊おひつじ七頭とうを携たずさえてきて、自分じぶんを聖別せいべつする者ものは皆みなあの神かみでない者ものの祭司さいしとすることができた。13:10 しかしわれわれにおいては、主しゅがわれわれの神かみであって、われわれは彼かれを捨すてない。また主しゅに仕つかえる祭司さいしはアロンの子孫しそんであり、働はたらきをなす者ものはレビびとである。13:11 彼かれらは朝あさごと夕ゆうごとに主しゅに燔祭はんさいと、こうばしい香こうをささげ、供そなえのパンを純金じゅんきんの机つくえの上うえに供そなえ、また金きんの燭台しょくだいとそのともしび皿さらを整ととのえて、夕ゆうごとにともすのである。このようにわれわれはわれわれの神かみ、主しゅの務つとめを守まもっているが、あなたがたは彼かれを捨すてた。13:12 見みよ、神かみはみずからわれわれと共ともにおられて、われわれのかしらとなられ、また、その祭司さいしたちはラッパを吹ふきならして、あなたがたを攻せめる。イスラエルの人々ひとびとよ、あなたがたの先祖せんぞの神かみ、主しゅに敵てきして戦たたかってはならない。あなたがたは成功せいこうしない」。 13:13 ヤラベアムは伏兵ふくへいを彼かれらのうしろに回まわらせたので、彼かれの軍隊ぐんたいはユダの前まえにあり、伏兵ふくへいは彼かれらのうしろにあった。13:14 ユダはうしろを見みると、敵てきが前まえとうしろとにあったので、主しゅに向むかって呼よばわり、祭司さいしたちはラッパを吹ふいた。13:15 そこでユダの人々ひとびとはときの声こえをあげた。ユダの人々ひとびとがときの声こえをあげると、神かみはヤラベアムとイスラエルの人々ひとびとをアビヤとユダの前まえに打うち敗やぶられたので、13:16 イスラエルの人々ひとびとはユダの前まえから逃にげた。神かみが彼かれらをユダの手てに渡わたされたので、13:17 アビヤとその民たみは、彼かれらをおびただしく撃うち殺ころした。イスラエルの殺ころされて倒たおれた者ものは五十万人にん、皆みな精兵せいへいであった。13:18 このように、この時ときイスラエルの人々ひとびとは打うち負まかされ、ユダの人々ひとびとは勝かちを得えた。彼かれらがその先祖せんぞの神かみ、主しゅを頼たのんだからである。13:19 アビヤはヤラベアムを追撃ついげきして数個すうこの町まちを彼かれから取とった。すなわちベテルとその村里むらざと、エシャナとその村里むらざと、エフロンとその村里むらざとである。13:20 ヤラベアムは、アビヤの世よには再ふたたび力ちからを得えることができず、主しゅに撃うたれて死しんだ。13:21 しかしアビヤは強つよくなり、妻つま十四人にんをめとり、むすこ二十二人にん、むすめ十六人にんをもうけた。13:22 アビヤのその他たの行為こういすなわちその行動こうどうと言葉ことばは、預言者よげんしゃイドの注釈ちゅうしゃくにしるされている。 第14章 14:1 アビヤはその先祖せんぞたちと共ともに眠ねむって、ダビデの町まちに葬ほうむられ、その子こアサが代かわって王おうとなった。アサの治世ちせいに国くには十年ねんの間あいだ、穏おだやかであった。14:2 アサはその神かみ、主しゅの目めに良よしと見みえ、また正ただしと見みえることを行おこなった。14:3 彼かれは異ことなる祭壇さいだんと、もろもろの高たかき所ところを取とり除のぞき、石柱せきちゅうをこわし、アシラ像ぞうを切きり倒たおし、14:4 ユダに命めいじてその先祖せんぞたちの神かみ、主しゅを求もとめさせ、おきてと戒いましめとを行おこなわせ、14:5 ユダのすべての町々まちまちから、高たかき所ところと香こうの祭壇さいだんとを取とり除のぞいた。そして国くには彼かれのもとに穏おだやかであった。14:6 彼かれは国くにが穏おだやかであったので、要害ようがいの町まち数個すうこをユダに建たてた。また主しゅが彼かれに平安へいあんを賜たまわったので、この年としごろ戦争せんそうがなかった。14:7 彼かれはユダに言いった、「われわれはこれらの町まちを建たて、その周囲しゅういに石いしがきを築きずき、やぐらを建たて、門もんと貫かんの木きを設もうけよう。われわれがわれわれの神かみ、主しゅを求もとめたので、この国くにはなおわれわれのものであり、われわれが彼かれを求もとめたので、四方しほうにおいて、われわれに平安へいあんを賜たまわった」。こうして彼かれらは滞とどこおりなく建たて終おわった。14:8 アサの軍隊ぐんたいはユダから出でた者もの三十万人にんあって、盾たてとやりをとり、ベニヤミンから出でた者もの二十八万人にんあって、小盾こだてをとり、弓ゆみを引ひいた。これはみな大だい勇士ゆうしであった。 14:9 エチオピヤびとゼラが、百万の軍隊ぐんたいと三百の戦車せんしゃを率ひきいて、マレシャまで攻せめてきた。14:10 アサは出でて、これを迎むかえ、マレシャのゼパタの谷たにに戦たたかいの備そなえをした。14:11 時ときにアサはその神かみ、主しゅに向むかって呼よばわって言いった、「主しゅよ、力ちからのある者ものを助たすけることも、力ちからのない者ものを助たすけることも、あなたにおいては異ことなることはありません。われわれの神かみ、主しゅよ、われわれをお助たすけください。われわれはあなたに寄より頼たのみ、あなたの名なによってこの大軍たいぐんに当あたります。主しゅよ、あなたはわれわれの神かみです。どうぞ人ひとをあなたに勝かたせないでください」。14:12 そこで主しゅはアサの前まえとユダの前まえでエチオピヤびとを撃うち敗やぶられたので、エチオピヤびとは逃にげ去さった。14:13 アサと彼かれに従したがう民たみは彼かれらをゲラルまで追撃ついげきしたので、エチオピヤびとは倒たおれて、生いき残のこった者ものはひとりもなかった。主しゅと主しゅの軍勢ぐんぜいの前まえに撃うち破やぶられたからである。ユダの人々ひとびとの得えたぶんどり物ものは非常ひじょうに多おおかった。14:14 彼かれらはまた、ゲラルの周囲しゅういの町々まちまちをことごとく撃うち破やぶった。主しゅの恐おそれが彼かれらの上うえに臨のぞんだからである。そして彼かれらはそのすべての町まちをかすめ奪うばった。その内うちに多おおくの物ものがあったからである。14:15 また家畜かちくをもっている者ものの天幕てんまくを襲おそい、多おおくの羊ひつじとらくだを奪うばい取とって、エルサレムに帰かえった。
10:1 レハベアムはシケムへ行いった。すべてのイスラエルびとが彼かれを王おうにしようとシケムへ行いったからである。
10:2 ネバテの子こヤラベアムは、ソロモンを避さけてエジプトにのがれていたが、これを聞きいてエジプトから帰かえったので、
10:3 人々ひとびとは人ひとをつかわして彼かれを招まねいた。そこでヤラベアムとすべてのイスラエルは来きて、レハベアムに言いった、
10:4 「あなたの父ちちは、われわれのくびきを重おもくしましたが、今いまあなたの父ちちのきびしい使役しえきと、あなたの父ちちが、われわれに負おわせた重おもいくびきを軽かるくしてください。そうすればわたしたちはあなたに仕つかえましょう」。
10:5 レハベアムは彼かれらに答こたえた、「三日かの後のち、またわたしの所ところに来きなさい」。それで民たみは去さった。
10:6 レハベアム王おうは父ちちソロモンの存命ぞんめい中ちゅうソロモンに仕つかえた長老ちょうろうたちに相談そうだんして言いった、「あなたがたはこの民たみにどう返答へんとうすればよいと思おもいますか」。
10:7 彼かれらはレハベアムに言いった、「あなたがもしこの民たみを親切しんせつにあつかい、彼かれらを喜よろこばせ、ねんごろに語かたられるならば彼かれらは長ながくあなたのしもべとなるでしょう」。
10:8 しかし彼かれは長老ちょうろうたちが与あたえた勧すすめをすてて、自分じぶんと一緒いっしょに大おおきくなって自分じぶんに仕つかえている若者わかものたちに相談そうだんして、
10:9 彼かれらに言いった、「あなたがたは、この民たみがわたしに向むかって、『あなたの父上ちちうえが、われわれに負おわせたくびきを軽かるくしてください』と言いうのに、われわれはなんと返答へんとうすればよいと思おもいますか」。
10:10 彼かれと一緒いっしょに大おおきくなった若者わかものたちは彼かれに言いった、「あなたに向むかって、『あなたの父ちちは、われわれのくびきを重おもくしたが、あなたは、それをわれわれのために軽かるくしてください』と言いったこの民たみに、こう言いいなさい、『わたしの小指こゆびは父ちちの腰こしよりも太ふとい、
10:11 父ちちはあなたがたに重おもいくびきを負おわせたが、わたしはさらに、あなたがたのくびきを重おもくしよう。父ちちはむちであなたがたを懲こらしたが、わたしはさそりであなたがたを懲こらそう』」。
10:12 さてヤラベアムと民たみは皆みな、王おうが「三日か目めにわたしのところに来きなさい」と言いったとおりに、三日か目めにレハベアムのところへ行いった。
10:13 王おうは荒々あらあらしく彼かれらに答こたえた。すなわちレハベアム王おうは長老ちょうろうたちの勧すすめをすて、
10:14 若者わかものたちの勧すすめに従したがい、彼かれらに告つげて言いった、「父ちちはあなたがたのくびきを重おもくしたが、わたしは更さらにこれを重おもくしよう。父ちちはむちであなたがたを懲こらしたが、わたしはさそりであなたがたを懲こらそう」。
10:15 このように王おうは民たみの言いうことを聞ききいれなかった。これは主しゅが、かつてシロびとアヒヤによって、ネバテの子こヤラベアムに言いわれた言葉ことばを成就じょうじゅするために、神かみがなされたのであった。
10:16 イスラエルの人々ひとびとは皆みな、王おうが自分じぶんたちの言いうことを聞ききいれないのを見みたので、民たみは王おうに答こたえて言いった、
10:17 しかしレハベアムはユダの町々まちまちに住すんでいるイスラエルの人々ひとびとを治おさめた。
10:18 レハベアム王おうは徴募ちょうぼ人にんの監督かんとくであったアドラムをつかわしたが、イスラエルの人々ひとびとが石いしで彼かれを撃うち殺ころしたので、レハベアム王おうは急いそいで車くるまに乗のり、エルサレムに逃にげた。
10:19 こうしてイスラエルはダビデの家いえにそむいて今日こんにちに至いたった。
第11章 11:1 レハベアムはエルサレムに来きて、ユダとベニヤミンの家いえの者もの、すなわち、えり抜ぬきの軍人ぐんじん十八万人にんを集あつめ、国くにを取とりもどすためにイスラエルと戦たたかおうとしたが、11:2 主しゅの言葉ことばが神かみの人ひとシマヤに臨のぞんで言いった、11:3 「ソロモンの子こ、ユダの王おうレハベアムおよびユダとベニヤミンにいるすべてのイスラエルの人々ひとびとに言いいなさい、11:4 『主しゅはこう仰おおせられる、あなたがたは上のぼってはならない。あなたがたの兄弟きょうだいと戦たたかってはならない。おのおの自分じぶんの家いえに帰かえりなさい。この事ことはわたしから出でたのである』」。それで人々ひとびとは主しゅの言葉ことばを聞きき、ヤラベアムを攻せめに行いくのをやめて帰かえった。 11:5 レハベアムはエルサレムに住すんで、ユダに防衛ぼうえいの町々まちまちを建たてた。11:6 すなわちベツレヘム、エタム、テコア、11:7 ベテズル、ソコ、アドラム、11:8 ガテ、マレシャ、ジフ、11:9 アドライム、ラキシ、アゼカ、11:10 ゾラ、アヤロン、およびヘブロン。これらはユダとベニヤミンにあって要害ようがいの町々まちまちである。11:11 彼かれはその要害ようがいを堅固けんごにし、これに軍ぐん長ちょうを置おき、糧食りょうしょくと油あぶらとぶどう酒しゅをたくわえ、11:12 またそのすべての町まちに盾たてとやりを備そなえて、これを非常ひじょうに強化きょうかし、そしてユダとベニヤミンを確保かくほした。 11:13 イスラエルの全ぜん地ちの祭司さいしとレビびとは四方しほうの境さかいから来きてレハベアムに身みを寄よせた。11:14 すなわちレビびとは自分じぶんの放牧ほうぼく地ちと領地りょうちを離はなれてユダとエルサレムに来きた。これはヤラベアムとその子こらが彼かれらを排斥はいせきして、主しゅの前まえに祭司さいしの務つとめをさせなかったためである。11:15 ヤラベアムは高たかき所ところと、みだらな神かみと、自分じぶんで造つくった子こ牛うしのために自分じぶんの祭司さいしを立たてた。11:16 またイスラエルのすべての部族ぶぞくのうちで、すべてその心こころを傾かたむけて、イスラエルの神かみ、主しゅを求もとめる者ものは先祖せんぞの神かみ、主しゅに犠牲ぎせいをささげるために、レビびとに従したがってエルサレムに来きた。11:17 このように彼かれらはユダの国くにを堅かたくし、ソロモンの子こレハベアムを三年ねんの間あいだ強つよくした。彼かれらは三年ねんの間あいだダビデとソロモンの道みちに歩あゆんだからである。 11:18 レハベアムはダビデの子こエレモテの娘むすめマハラテを妻つまにめとった。マハラテはエッサイの子こエリアブの娘むすめアビハイルが産うんだ者ものである。11:19 彼女かのじょはエウシ、シマリヤおよびザハムの三子しを産うんだ。11:20 彼かれはまた彼女かのじょの後のちにアブサロムの娘むすめマアカをめとった。マアカはアビヤ、アッタイ、ジザおよびシロミテを産うんだ。11:21 レハベアムはアブサロムの娘むすめマアカをすべての妻つまとそばめにまさって愛あいした。彼かれは妻つま十八人にん、そばめ六十人にんをめとって、男おとこの子こ二十八人にんと女おんなの子こ六十人にんをもうけた。11:22 レハベアムはマアカの子こアビヤを立たててかしらとし、その兄弟きょうだいの長ちょうとした。彼かれはアビヤを王おうにしようと思おもったからである。11:23 それで王おうは賢かしこくとり行おこない、そのむすこたちをことごとく、ユダとベニヤミンの全ぜん地方ちほうにあるすべての要害ようがいの町まちに散在さんざいさせ、彼かれらに糧食りょうしょくを多おおく与あたえ、また多おおくの妻つまを得えさせた。 第12章 12:1 レハベアムはその国くにが堅かたく立たち、強つよくなるに及およんで、主しゅのおきてを捨すてた。イスラエルも皆みな彼かれにならった。12:2 彼かれらがこのように主しゅに向むかって罪つみを犯おかしたので、レハベアム王おうの五年ねんにエジプトの王おうシシャクがエルサレムに攻せめ上のぼってきた。12:3 その戦車せんしゃは一千二百、騎兵きへいは六万、また彼かれに従したがってエジプトから来きた民たみ、すなわちリビアびと、スキびと、エチオピヤびとは無数むすうであった。12:4 シシャクはユダの要害ようがいの町々まちまちを取とり、エルサレムに迫せまって来きた。12:5 そこで預言者よげんしゃシマヤは、レハベアムおよびシシャクのゆえに、エルサレムに集あつまったユダのつかさたちのもとにきて言いった、「主しゅはこう仰おおせられる、『あなたがたはわたしを捨すてたので、わたしもあなたがたを捨すててシシャクにわたした』と」。12:6 そこでイスラエルのつかさたち、および王おうはへりくだって、「主しゅは正ただしい」と言いった。12:7 主しゅは彼かれらのへりくだるのを見みられたので、主しゅの言葉ことばがシマヤにのぞんで言いった、「彼かれらがへりくだったから、わたしは彼かれらを滅ほろぼさないで、間まもなく救すくいを施ほどこす。わたしはシシャクの手てによって、怒いかりをエルサレムに注そそぐことをしない。12:8 しかし彼かれらはシシャクのしもべになる。これは彼かれらがわたしに仕つかえることと、国々くにぐにの王おうたちに仕つかえることとの相違そういを知しるためである」。 12:9 エジプトの王おうシシャクはエルサレムに攻せめのぼって、主しゅの宮みやの宝物ほうもつと、王おうの家いえの宝物ほうもつとを奪うばい去さった。すなわちそれらをことごとく奪うばい去さり、またソロモンの造つくった金きんの盾たてをも奪うばい去さった。12:10 それでレハベアム王おうは、その代かわりに青銅せいどうの盾たてを造つくって、王おうの家いえの門もんを守まもる侍衛じえい長ちょうたちの手てに渡わたした。12:11 王おうが主しゅの宮みやにはいるごとに侍衛じえいは来きて、これを負おい、またこれを侍衛じえいのへやへ持もって帰かえった。12:12 レハベアムがへりくだったので主しゅの怒いかりは彼かれを離はなれ、彼かれをことごとく滅ほろぼそうとはされなかった。またユダの事情じじょうもよくなった。 12:13 レハベアム王おうはエルサレムで自分じぶんの地位ちいを確立かくりつし、世よを治おさめた。すなわちレハベアムは四十一歳さいのとき位くらいにつき、十七年ねんの間あいだエルサレムで世よを治おさめた。エルサレムは主しゅがその名なを置おくためにイスラエルのすべての部族ぶぞくのうちから選えらばれた町まちである。彼かれの母はははアンモンの女おんなで、名なをナアマといった。12:14 レハベアムは主しゅを求もとめることに心こころを傾かたむけないで、悪わるい事ことを行おこなった。 12:15 レハベアムの始終しじゅうの行為こういは、預言者よげんしゃシマヤおよび先見者せんけんしゃイドの書しょにしるされているではないか。レハベアムとヤラベアムとの間あいだには絶たえず戦争せんそうがあった。12:16 レハベアムはその先祖せんぞたちと共ともに眠ねむって、ダビデの町まちに葬ほうむられ、その子こアビヤが彼かれに代かわって王おうとなった。 第13章 13:1 ヤラベアム王おうの第だい十八年ねんにアビヤがユダの王おうとなった。13:2 彼かれは三年ねんの間あいだエルサレムで世よを治おさめた。彼かれの母はははギベアのウリエルの娘むすめで、名なをミカヤといった。 13:3 ここにアビヤとヤラベアムとの間あいだに戦争せんそうが起おこり、アビヤは四十万の精兵せいへいから成なる勇敢ゆうかんな軍勢ぐんぜいをもって戦たたかいにいで、ヤラベアムも大だい勇士ゆうしから成なる八十万の精兵せいへいをもって、これに向むかって戦たたかいの備そなえをした。13:4 時ときにアビヤはエフライムの山地さんちにあるゼマライム山やまの上うえに立たって言いった、「ヤラベアムおよびイスラエルの人々ひとびとよ皆みな聞きけ。13:5 あなたがたはイスラエルの神かみ、主しゅが塩しおの契約けいやくをもってイスラエルの国くにをながくダビデとその子孫しそんに賜たまわったことを知しらないのか。13:6 ところがダビデの子こソロモンの家来けらいであるネバテの子こヤラベアムが起たって、その主君しゅくんにそむき、13:7 また卑いやしい無頼ぶらいのともがらが集あつまって彼かれにくみし、ソロモンの子こレハベアムに敵てきしたが、レハベアムは若わかく、かつ意志いしが弱よわくてこれに当あたることができなかった。 13:8 今いままた、あなたがたは大軍たいぐんをたのみ、またヤラベアムが造つくって、あなたがたの神かみとした金きんの子こ牛うしをたのんで、ダビデの子孫しそんの手てにある主しゅの国くにに敵対てきたいしようとしている。13:9 またあなたがたはアロンの子孫しそんである主しゅの祭司さいしとレビびととを追おいだして、他たの国々くにぐにの民たみがするように祭司さいしを立たてたではないか。すなわちだれでも若わかい雄牛おうし一頭とう、雄羊おひつじ七頭とうを携たずさえてきて、自分じぶんを聖別せいべつする者ものは皆みなあの神かみでない者ものの祭司さいしとすることができた。13:10 しかしわれわれにおいては、主しゅがわれわれの神かみであって、われわれは彼かれを捨すてない。また主しゅに仕つかえる祭司さいしはアロンの子孫しそんであり、働はたらきをなす者ものはレビびとである。13:11 彼かれらは朝あさごと夕ゆうごとに主しゅに燔祭はんさいと、こうばしい香こうをささげ、供そなえのパンを純金じゅんきんの机つくえの上うえに供そなえ、また金きんの燭台しょくだいとそのともしび皿さらを整ととのえて、夕ゆうごとにともすのである。このようにわれわれはわれわれの神かみ、主しゅの務つとめを守まもっているが、あなたがたは彼かれを捨すてた。13:12 見みよ、神かみはみずからわれわれと共ともにおられて、われわれのかしらとなられ、また、その祭司さいしたちはラッパを吹ふきならして、あなたがたを攻せめる。イスラエルの人々ひとびとよ、あなたがたの先祖せんぞの神かみ、主しゅに敵てきして戦たたかってはならない。あなたがたは成功せいこうしない」。 13:13 ヤラベアムは伏兵ふくへいを彼かれらのうしろに回まわらせたので、彼かれの軍隊ぐんたいはユダの前まえにあり、伏兵ふくへいは彼かれらのうしろにあった。13:14 ユダはうしろを見みると、敵てきが前まえとうしろとにあったので、主しゅに向むかって呼よばわり、祭司さいしたちはラッパを吹ふいた。13:15 そこでユダの人々ひとびとはときの声こえをあげた。ユダの人々ひとびとがときの声こえをあげると、神かみはヤラベアムとイスラエルの人々ひとびとをアビヤとユダの前まえに打うち敗やぶられたので、13:16 イスラエルの人々ひとびとはユダの前まえから逃にげた。神かみが彼かれらをユダの手てに渡わたされたので、13:17 アビヤとその民たみは、彼かれらをおびただしく撃うち殺ころした。イスラエルの殺ころされて倒たおれた者ものは五十万人にん、皆みな精兵せいへいであった。13:18 このように、この時ときイスラエルの人々ひとびとは打うち負まかされ、ユダの人々ひとびとは勝かちを得えた。彼かれらがその先祖せんぞの神かみ、主しゅを頼たのんだからである。13:19 アビヤはヤラベアムを追撃ついげきして数個すうこの町まちを彼かれから取とった。すなわちベテルとその村里むらざと、エシャナとその村里むらざと、エフロンとその村里むらざとである。13:20 ヤラベアムは、アビヤの世よには再ふたたび力ちからを得えることができず、主しゅに撃うたれて死しんだ。13:21 しかしアビヤは強つよくなり、妻つま十四人にんをめとり、むすこ二十二人にん、むすめ十六人にんをもうけた。13:22 アビヤのその他たの行為こういすなわちその行動こうどうと言葉ことばは、預言者よげんしゃイドの注釈ちゅうしゃくにしるされている。 第14章 14:1 アビヤはその先祖せんぞたちと共ともに眠ねむって、ダビデの町まちに葬ほうむられ、その子こアサが代かわって王おうとなった。アサの治世ちせいに国くには十年ねんの間あいだ、穏おだやかであった。14:2 アサはその神かみ、主しゅの目めに良よしと見みえ、また正ただしと見みえることを行おこなった。14:3 彼かれは異ことなる祭壇さいだんと、もろもろの高たかき所ところを取とり除のぞき、石柱せきちゅうをこわし、アシラ像ぞうを切きり倒たおし、14:4 ユダに命めいじてその先祖せんぞたちの神かみ、主しゅを求もとめさせ、おきてと戒いましめとを行おこなわせ、14:5 ユダのすべての町々まちまちから、高たかき所ところと香こうの祭壇さいだんとを取とり除のぞいた。そして国くには彼かれのもとに穏おだやかであった。14:6 彼かれは国くにが穏おだやかであったので、要害ようがいの町まち数個すうこをユダに建たてた。また主しゅが彼かれに平安へいあんを賜たまわったので、この年としごろ戦争せんそうがなかった。14:7 彼かれはユダに言いった、「われわれはこれらの町まちを建たて、その周囲しゅういに石いしがきを築きずき、やぐらを建たて、門もんと貫かんの木きを設もうけよう。われわれがわれわれの神かみ、主しゅを求もとめたので、この国くにはなおわれわれのものであり、われわれが彼かれを求もとめたので、四方しほうにおいて、われわれに平安へいあんを賜たまわった」。こうして彼かれらは滞とどこおりなく建たて終おわった。14:8 アサの軍隊ぐんたいはユダから出でた者もの三十万人にんあって、盾たてとやりをとり、ベニヤミンから出でた者もの二十八万人にんあって、小盾こだてをとり、弓ゆみを引ひいた。これはみな大だい勇士ゆうしであった。 14:9 エチオピヤびとゼラが、百万の軍隊ぐんたいと三百の戦車せんしゃを率ひきいて、マレシャまで攻せめてきた。14:10 アサは出でて、これを迎むかえ、マレシャのゼパタの谷たにに戦たたかいの備そなえをした。14:11 時ときにアサはその神かみ、主しゅに向むかって呼よばわって言いった、「主しゅよ、力ちからのある者ものを助たすけることも、力ちからのない者ものを助たすけることも、あなたにおいては異ことなることはありません。われわれの神かみ、主しゅよ、われわれをお助たすけください。われわれはあなたに寄より頼たのみ、あなたの名なによってこの大軍たいぐんに当あたります。主しゅよ、あなたはわれわれの神かみです。どうぞ人ひとをあなたに勝かたせないでください」。14:12 そこで主しゅはアサの前まえとユダの前まえでエチオピヤびとを撃うち敗やぶられたので、エチオピヤびとは逃にげ去さった。14:13 アサと彼かれに従したがう民たみは彼かれらをゲラルまで追撃ついげきしたので、エチオピヤびとは倒たおれて、生いき残のこった者ものはひとりもなかった。主しゅと主しゅの軍勢ぐんぜいの前まえに撃うち破やぶられたからである。ユダの人々ひとびとの得えたぶんどり物ものは非常ひじょうに多おおかった。14:14 彼かれらはまた、ゲラルの周囲しゅういの町々まちまちをことごとく撃うち破やぶった。主しゅの恐おそれが彼かれらの上うえに臨のぞんだからである。そして彼かれらはそのすべての町まちをかすめ奪うばった。その内うちに多おおくの物ものがあったからである。14:15 また家畜かちくをもっている者ものの天幕てんまくを襲おそい、多おおくの羊ひつじとらくだを奪うばい取とって、エルサレムに帰かえった。
11:1 レハベアムはエルサレムに来きて、ユダとベニヤミンの家いえの者もの、すなわち、えり抜ぬきの軍人ぐんじん十八万人にんを集あつめ、国くにを取とりもどすためにイスラエルと戦たたかおうとしたが、
11:2 主しゅの言葉ことばが神かみの人ひとシマヤに臨のぞんで言いった、
11:3 「ソロモンの子こ、ユダの王おうレハベアムおよびユダとベニヤミンにいるすべてのイスラエルの人々ひとびとに言いいなさい、
11:4 『主しゅはこう仰おおせられる、あなたがたは上のぼってはならない。あなたがたの兄弟きょうだいと戦たたかってはならない。おのおの自分じぶんの家いえに帰かえりなさい。この事ことはわたしから出でたのである』」。それで人々ひとびとは主しゅの言葉ことばを聞きき、ヤラベアムを攻せめに行いくのをやめて帰かえった。
11:5 レハベアムはエルサレムに住すんで、ユダに防衛ぼうえいの町々まちまちを建たてた。
11:6 すなわちベツレヘム、エタム、テコア、
11:7 ベテズル、ソコ、アドラム、
11:8 ガテ、マレシャ、ジフ、
11:9 アドライム、ラキシ、アゼカ、
11:10 ゾラ、アヤロン、およびヘブロン。これらはユダとベニヤミンにあって要害ようがいの町々まちまちである。
11:11 彼かれはその要害ようがいを堅固けんごにし、これに軍ぐん長ちょうを置おき、糧食りょうしょくと油あぶらとぶどう酒しゅをたくわえ、
11:12 またそのすべての町まちに盾たてとやりを備そなえて、これを非常ひじょうに強化きょうかし、そしてユダとベニヤミンを確保かくほした。
11:13 イスラエルの全ぜん地ちの祭司さいしとレビびとは四方しほうの境さかいから来きてレハベアムに身みを寄よせた。
11:14 すなわちレビびとは自分じぶんの放牧ほうぼく地ちと領地りょうちを離はなれてユダとエルサレムに来きた。これはヤラベアムとその子こらが彼かれらを排斥はいせきして、主しゅの前まえに祭司さいしの務つとめをさせなかったためである。
11:15 ヤラベアムは高たかき所ところと、みだらな神かみと、自分じぶんで造つくった子こ牛うしのために自分じぶんの祭司さいしを立たてた。
11:16 またイスラエルのすべての部族ぶぞくのうちで、すべてその心こころを傾かたむけて、イスラエルの神かみ、主しゅを求もとめる者ものは先祖せんぞの神かみ、主しゅに犠牲ぎせいをささげるために、レビびとに従したがってエルサレムに来きた。
11:17 このように彼かれらはユダの国くにを堅かたくし、ソロモンの子こレハベアムを三年ねんの間あいだ強つよくした。彼かれらは三年ねんの間あいだダビデとソロモンの道みちに歩あゆんだからである。
11:18 レハベアムはダビデの子こエレモテの娘むすめマハラテを妻つまにめとった。マハラテはエッサイの子こエリアブの娘むすめアビハイルが産うんだ者ものである。
11:19 彼女かのじょはエウシ、シマリヤおよびザハムの三子しを産うんだ。
11:20 彼かれはまた彼女かのじょの後のちにアブサロムの娘むすめマアカをめとった。マアカはアビヤ、アッタイ、ジザおよびシロミテを産うんだ。
11:21 レハベアムはアブサロムの娘むすめマアカをすべての妻つまとそばめにまさって愛あいした。彼かれは妻つま十八人にん、そばめ六十人にんをめとって、男おとこの子こ二十八人にんと女おんなの子こ六十人にんをもうけた。
11:22 レハベアムはマアカの子こアビヤを立たててかしらとし、その兄弟きょうだいの長ちょうとした。彼かれはアビヤを王おうにしようと思おもったからである。
11:23 それで王おうは賢かしこくとり行おこない、そのむすこたちをことごとく、ユダとベニヤミンの全ぜん地方ちほうにあるすべての要害ようがいの町まちに散在さんざいさせ、彼かれらに糧食りょうしょくを多おおく与あたえ、また多おおくの妻つまを得えさせた。
第12章 12:1 レハベアムはその国くにが堅かたく立たち、強つよくなるに及およんで、主しゅのおきてを捨すてた。イスラエルも皆みな彼かれにならった。12:2 彼かれらがこのように主しゅに向むかって罪つみを犯おかしたので、レハベアム王おうの五年ねんにエジプトの王おうシシャクがエルサレムに攻せめ上のぼってきた。12:3 その戦車せんしゃは一千二百、騎兵きへいは六万、また彼かれに従したがってエジプトから来きた民たみ、すなわちリビアびと、スキびと、エチオピヤびとは無数むすうであった。12:4 シシャクはユダの要害ようがいの町々まちまちを取とり、エルサレムに迫せまって来きた。12:5 そこで預言者よげんしゃシマヤは、レハベアムおよびシシャクのゆえに、エルサレムに集あつまったユダのつかさたちのもとにきて言いった、「主しゅはこう仰おおせられる、『あなたがたはわたしを捨すてたので、わたしもあなたがたを捨すててシシャクにわたした』と」。12:6 そこでイスラエルのつかさたち、および王おうはへりくだって、「主しゅは正ただしい」と言いった。12:7 主しゅは彼かれらのへりくだるのを見みられたので、主しゅの言葉ことばがシマヤにのぞんで言いった、「彼かれらがへりくだったから、わたしは彼かれらを滅ほろぼさないで、間まもなく救すくいを施ほどこす。わたしはシシャクの手てによって、怒いかりをエルサレムに注そそぐことをしない。12:8 しかし彼かれらはシシャクのしもべになる。これは彼かれらがわたしに仕つかえることと、国々くにぐにの王おうたちに仕つかえることとの相違そういを知しるためである」。 12:9 エジプトの王おうシシャクはエルサレムに攻せめのぼって、主しゅの宮みやの宝物ほうもつと、王おうの家いえの宝物ほうもつとを奪うばい去さった。すなわちそれらをことごとく奪うばい去さり、またソロモンの造つくった金きんの盾たてをも奪うばい去さった。12:10 それでレハベアム王おうは、その代かわりに青銅せいどうの盾たてを造つくって、王おうの家いえの門もんを守まもる侍衛じえい長ちょうたちの手てに渡わたした。12:11 王おうが主しゅの宮みやにはいるごとに侍衛じえいは来きて、これを負おい、またこれを侍衛じえいのへやへ持もって帰かえった。12:12 レハベアムがへりくだったので主しゅの怒いかりは彼かれを離はなれ、彼かれをことごとく滅ほろぼそうとはされなかった。またユダの事情じじょうもよくなった。 12:13 レハベアム王おうはエルサレムで自分じぶんの地位ちいを確立かくりつし、世よを治おさめた。すなわちレハベアムは四十一歳さいのとき位くらいにつき、十七年ねんの間あいだエルサレムで世よを治おさめた。エルサレムは主しゅがその名なを置おくためにイスラエルのすべての部族ぶぞくのうちから選えらばれた町まちである。彼かれの母はははアンモンの女おんなで、名なをナアマといった。12:14 レハベアムは主しゅを求もとめることに心こころを傾かたむけないで、悪わるい事ことを行おこなった。 12:15 レハベアムの始終しじゅうの行為こういは、預言者よげんしゃシマヤおよび先見者せんけんしゃイドの書しょにしるされているではないか。レハベアムとヤラベアムとの間あいだには絶たえず戦争せんそうがあった。12:16 レハベアムはその先祖せんぞたちと共ともに眠ねむって、ダビデの町まちに葬ほうむられ、その子こアビヤが彼かれに代かわって王おうとなった。 第13章 13:1 ヤラベアム王おうの第だい十八年ねんにアビヤがユダの王おうとなった。13:2 彼かれは三年ねんの間あいだエルサレムで世よを治おさめた。彼かれの母はははギベアのウリエルの娘むすめで、名なをミカヤといった。 13:3 ここにアビヤとヤラベアムとの間あいだに戦争せんそうが起おこり、アビヤは四十万の精兵せいへいから成なる勇敢ゆうかんな軍勢ぐんぜいをもって戦たたかいにいで、ヤラベアムも大だい勇士ゆうしから成なる八十万の精兵せいへいをもって、これに向むかって戦たたかいの備そなえをした。13:4 時ときにアビヤはエフライムの山地さんちにあるゼマライム山やまの上うえに立たって言いった、「ヤラベアムおよびイスラエルの人々ひとびとよ皆みな聞きけ。13:5 あなたがたはイスラエルの神かみ、主しゅが塩しおの契約けいやくをもってイスラエルの国くにをながくダビデとその子孫しそんに賜たまわったことを知しらないのか。13:6 ところがダビデの子こソロモンの家来けらいであるネバテの子こヤラベアムが起たって、その主君しゅくんにそむき、13:7 また卑いやしい無頼ぶらいのともがらが集あつまって彼かれにくみし、ソロモンの子こレハベアムに敵てきしたが、レハベアムは若わかく、かつ意志いしが弱よわくてこれに当あたることができなかった。 13:8 今いままた、あなたがたは大軍たいぐんをたのみ、またヤラベアムが造つくって、あなたがたの神かみとした金きんの子こ牛うしをたのんで、ダビデの子孫しそんの手てにある主しゅの国くにに敵対てきたいしようとしている。13:9 またあなたがたはアロンの子孫しそんである主しゅの祭司さいしとレビびととを追おいだして、他たの国々くにぐにの民たみがするように祭司さいしを立たてたではないか。すなわちだれでも若わかい雄牛おうし一頭とう、雄羊おひつじ七頭とうを携たずさえてきて、自分じぶんを聖別せいべつする者ものは皆みなあの神かみでない者ものの祭司さいしとすることができた。13:10 しかしわれわれにおいては、主しゅがわれわれの神かみであって、われわれは彼かれを捨すてない。また主しゅに仕つかえる祭司さいしはアロンの子孫しそんであり、働はたらきをなす者ものはレビびとである。13:11 彼かれらは朝あさごと夕ゆうごとに主しゅに燔祭はんさいと、こうばしい香こうをささげ、供そなえのパンを純金じゅんきんの机つくえの上うえに供そなえ、また金きんの燭台しょくだいとそのともしび皿さらを整ととのえて、夕ゆうごとにともすのである。このようにわれわれはわれわれの神かみ、主しゅの務つとめを守まもっているが、あなたがたは彼かれを捨すてた。13:12 見みよ、神かみはみずからわれわれと共ともにおられて、われわれのかしらとなられ、また、その祭司さいしたちはラッパを吹ふきならして、あなたがたを攻せめる。イスラエルの人々ひとびとよ、あなたがたの先祖せんぞの神かみ、主しゅに敵てきして戦たたかってはならない。あなたがたは成功せいこうしない」。 13:13 ヤラベアムは伏兵ふくへいを彼かれらのうしろに回まわらせたので、彼かれの軍隊ぐんたいはユダの前まえにあり、伏兵ふくへいは彼かれらのうしろにあった。13:14 ユダはうしろを見みると、敵てきが前まえとうしろとにあったので、主しゅに向むかって呼よばわり、祭司さいしたちはラッパを吹ふいた。13:15 そこでユダの人々ひとびとはときの声こえをあげた。ユダの人々ひとびとがときの声こえをあげると、神かみはヤラベアムとイスラエルの人々ひとびとをアビヤとユダの前まえに打うち敗やぶられたので、13:16 イスラエルの人々ひとびとはユダの前まえから逃にげた。神かみが彼かれらをユダの手てに渡わたされたので、13:17 アビヤとその民たみは、彼かれらをおびただしく撃うち殺ころした。イスラエルの殺ころされて倒たおれた者ものは五十万人にん、皆みな精兵せいへいであった。13:18 このように、この時ときイスラエルの人々ひとびとは打うち負まかされ、ユダの人々ひとびとは勝かちを得えた。彼かれらがその先祖せんぞの神かみ、主しゅを頼たのんだからである。13:19 アビヤはヤラベアムを追撃ついげきして数個すうこの町まちを彼かれから取とった。すなわちベテルとその村里むらざと、エシャナとその村里むらざと、エフロンとその村里むらざとである。13:20 ヤラベアムは、アビヤの世よには再ふたたび力ちからを得えることができず、主しゅに撃うたれて死しんだ。13:21 しかしアビヤは強つよくなり、妻つま十四人にんをめとり、むすこ二十二人にん、むすめ十六人にんをもうけた。13:22 アビヤのその他たの行為こういすなわちその行動こうどうと言葉ことばは、預言者よげんしゃイドの注釈ちゅうしゃくにしるされている。 第14章 14:1 アビヤはその先祖せんぞたちと共ともに眠ねむって、ダビデの町まちに葬ほうむられ、その子こアサが代かわって王おうとなった。アサの治世ちせいに国くには十年ねんの間あいだ、穏おだやかであった。14:2 アサはその神かみ、主しゅの目めに良よしと見みえ、また正ただしと見みえることを行おこなった。14:3 彼かれは異ことなる祭壇さいだんと、もろもろの高たかき所ところを取とり除のぞき、石柱せきちゅうをこわし、アシラ像ぞうを切きり倒たおし、14:4 ユダに命めいじてその先祖せんぞたちの神かみ、主しゅを求もとめさせ、おきてと戒いましめとを行おこなわせ、14:5 ユダのすべての町々まちまちから、高たかき所ところと香こうの祭壇さいだんとを取とり除のぞいた。そして国くには彼かれのもとに穏おだやかであった。14:6 彼かれは国くにが穏おだやかであったので、要害ようがいの町まち数個すうこをユダに建たてた。また主しゅが彼かれに平安へいあんを賜たまわったので、この年としごろ戦争せんそうがなかった。14:7 彼かれはユダに言いった、「われわれはこれらの町まちを建たて、その周囲しゅういに石いしがきを築きずき、やぐらを建たて、門もんと貫かんの木きを設もうけよう。われわれがわれわれの神かみ、主しゅを求もとめたので、この国くにはなおわれわれのものであり、われわれが彼かれを求もとめたので、四方しほうにおいて、われわれに平安へいあんを賜たまわった」。こうして彼かれらは滞とどこおりなく建たて終おわった。14:8 アサの軍隊ぐんたいはユダから出でた者もの三十万人にんあって、盾たてとやりをとり、ベニヤミンから出でた者もの二十八万人にんあって、小盾こだてをとり、弓ゆみを引ひいた。これはみな大だい勇士ゆうしであった。 14:9 エチオピヤびとゼラが、百万の軍隊ぐんたいと三百の戦車せんしゃを率ひきいて、マレシャまで攻せめてきた。14:10 アサは出でて、これを迎むかえ、マレシャのゼパタの谷たにに戦たたかいの備そなえをした。14:11 時ときにアサはその神かみ、主しゅに向むかって呼よばわって言いった、「主しゅよ、力ちからのある者ものを助たすけることも、力ちからのない者ものを助たすけることも、あなたにおいては異ことなることはありません。われわれの神かみ、主しゅよ、われわれをお助たすけください。われわれはあなたに寄より頼たのみ、あなたの名なによってこの大軍たいぐんに当あたります。主しゅよ、あなたはわれわれの神かみです。どうぞ人ひとをあなたに勝かたせないでください」。14:12 そこで主しゅはアサの前まえとユダの前まえでエチオピヤびとを撃うち敗やぶられたので、エチオピヤびとは逃にげ去さった。14:13 アサと彼かれに従したがう民たみは彼かれらをゲラルまで追撃ついげきしたので、エチオピヤびとは倒たおれて、生いき残のこった者ものはひとりもなかった。主しゅと主しゅの軍勢ぐんぜいの前まえに撃うち破やぶられたからである。ユダの人々ひとびとの得えたぶんどり物ものは非常ひじょうに多おおかった。14:14 彼かれらはまた、ゲラルの周囲しゅういの町々まちまちをことごとく撃うち破やぶった。主しゅの恐おそれが彼かれらの上うえに臨のぞんだからである。そして彼かれらはそのすべての町まちをかすめ奪うばった。その内うちに多おおくの物ものがあったからである。14:15 また家畜かちくをもっている者ものの天幕てんまくを襲おそい、多おおくの羊ひつじとらくだを奪うばい取とって、エルサレムに帰かえった。
12:1 レハベアムはその国くにが堅かたく立たち、強つよくなるに及およんで、主しゅのおきてを捨すてた。イスラエルも皆みな彼かれにならった。
12:2 彼かれらがこのように主しゅに向むかって罪つみを犯おかしたので、レハベアム王おうの五年ねんにエジプトの王おうシシャクがエルサレムに攻せめ上のぼってきた。
12:3 その戦車せんしゃは一千二百、騎兵きへいは六万、また彼かれに従したがってエジプトから来きた民たみ、すなわちリビアびと、スキびと、エチオピヤびとは無数むすうであった。
12:4 シシャクはユダの要害ようがいの町々まちまちを取とり、エルサレムに迫せまって来きた。
12:5 そこで預言者よげんしゃシマヤは、レハベアムおよびシシャクのゆえに、エルサレムに集あつまったユダのつかさたちのもとにきて言いった、「主しゅはこう仰おおせられる、『あなたがたはわたしを捨すてたので、わたしもあなたがたを捨すててシシャクにわたした』と」。
12:6 そこでイスラエルのつかさたち、および王おうはへりくだって、「主しゅは正ただしい」と言いった。
12:7 主しゅは彼かれらのへりくだるのを見みられたので、主しゅの言葉ことばがシマヤにのぞんで言いった、「彼かれらがへりくだったから、わたしは彼かれらを滅ほろぼさないで、間まもなく救すくいを施ほどこす。わたしはシシャクの手てによって、怒いかりをエルサレムに注そそぐことをしない。
12:8 しかし彼かれらはシシャクのしもべになる。これは彼かれらがわたしに仕つかえることと、国々くにぐにの王おうたちに仕つかえることとの相違そういを知しるためである」。
12:9 エジプトの王おうシシャクはエルサレムに攻せめのぼって、主しゅの宮みやの宝物ほうもつと、王おうの家いえの宝物ほうもつとを奪うばい去さった。すなわちそれらをことごとく奪うばい去さり、またソロモンの造つくった金きんの盾たてをも奪うばい去さった。
12:10 それでレハベアム王おうは、その代かわりに青銅せいどうの盾たてを造つくって、王おうの家いえの門もんを守まもる侍衛じえい長ちょうたちの手てに渡わたした。
12:11 王おうが主しゅの宮みやにはいるごとに侍衛じえいは来きて、これを負おい、またこれを侍衛じえいのへやへ持もって帰かえった。
12:12 レハベアムがへりくだったので主しゅの怒いかりは彼かれを離はなれ、彼かれをことごとく滅ほろぼそうとはされなかった。またユダの事情じじょうもよくなった。
12:13 レハベアム王おうはエルサレムで自分じぶんの地位ちいを確立かくりつし、世よを治おさめた。すなわちレハベアムは四十一歳さいのとき位くらいにつき、十七年ねんの間あいだエルサレムで世よを治おさめた。エルサレムは主しゅがその名なを置おくためにイスラエルのすべての部族ぶぞくのうちから選えらばれた町まちである。彼かれの母はははアンモンの女おんなで、名なをナアマといった。
12:14 レハベアムは主しゅを求もとめることに心こころを傾かたむけないで、悪わるい事ことを行おこなった。
12:15 レハベアムの始終しじゅうの行為こういは、預言者よげんしゃシマヤおよび先見者せんけんしゃイドの書しょにしるされているではないか。レハベアムとヤラベアムとの間あいだには絶たえず戦争せんそうがあった。
12:16 レハベアムはその先祖せんぞたちと共ともに眠ねむって、ダビデの町まちに葬ほうむられ、その子こアビヤが彼かれに代かわって王おうとなった。
第13章 13:1 ヤラベアム王おうの第だい十八年ねんにアビヤがユダの王おうとなった。13:2 彼かれは三年ねんの間あいだエルサレムで世よを治おさめた。彼かれの母はははギベアのウリエルの娘むすめで、名なをミカヤといった。 13:3 ここにアビヤとヤラベアムとの間あいだに戦争せんそうが起おこり、アビヤは四十万の精兵せいへいから成なる勇敢ゆうかんな軍勢ぐんぜいをもって戦たたかいにいで、ヤラベアムも大だい勇士ゆうしから成なる八十万の精兵せいへいをもって、これに向むかって戦たたかいの備そなえをした。13:4 時ときにアビヤはエフライムの山地さんちにあるゼマライム山やまの上うえに立たって言いった、「ヤラベアムおよびイスラエルの人々ひとびとよ皆みな聞きけ。13:5 あなたがたはイスラエルの神かみ、主しゅが塩しおの契約けいやくをもってイスラエルの国くにをながくダビデとその子孫しそんに賜たまわったことを知しらないのか。13:6 ところがダビデの子こソロモンの家来けらいであるネバテの子こヤラベアムが起たって、その主君しゅくんにそむき、13:7 また卑いやしい無頼ぶらいのともがらが集あつまって彼かれにくみし、ソロモンの子こレハベアムに敵てきしたが、レハベアムは若わかく、かつ意志いしが弱よわくてこれに当あたることができなかった。 13:8 今いままた、あなたがたは大軍たいぐんをたのみ、またヤラベアムが造つくって、あなたがたの神かみとした金きんの子こ牛うしをたのんで、ダビデの子孫しそんの手てにある主しゅの国くにに敵対てきたいしようとしている。13:9 またあなたがたはアロンの子孫しそんである主しゅの祭司さいしとレビびととを追おいだして、他たの国々くにぐにの民たみがするように祭司さいしを立たてたではないか。すなわちだれでも若わかい雄牛おうし一頭とう、雄羊おひつじ七頭とうを携たずさえてきて、自分じぶんを聖別せいべつする者ものは皆みなあの神かみでない者ものの祭司さいしとすることができた。13:10 しかしわれわれにおいては、主しゅがわれわれの神かみであって、われわれは彼かれを捨すてない。また主しゅに仕つかえる祭司さいしはアロンの子孫しそんであり、働はたらきをなす者ものはレビびとである。13:11 彼かれらは朝あさごと夕ゆうごとに主しゅに燔祭はんさいと、こうばしい香こうをささげ、供そなえのパンを純金じゅんきんの机つくえの上うえに供そなえ、また金きんの燭台しょくだいとそのともしび皿さらを整ととのえて、夕ゆうごとにともすのである。このようにわれわれはわれわれの神かみ、主しゅの務つとめを守まもっているが、あなたがたは彼かれを捨すてた。13:12 見みよ、神かみはみずからわれわれと共ともにおられて、われわれのかしらとなられ、また、その祭司さいしたちはラッパを吹ふきならして、あなたがたを攻せめる。イスラエルの人々ひとびとよ、あなたがたの先祖せんぞの神かみ、主しゅに敵てきして戦たたかってはならない。あなたがたは成功せいこうしない」。 13:13 ヤラベアムは伏兵ふくへいを彼かれらのうしろに回まわらせたので、彼かれの軍隊ぐんたいはユダの前まえにあり、伏兵ふくへいは彼かれらのうしろにあった。13:14 ユダはうしろを見みると、敵てきが前まえとうしろとにあったので、主しゅに向むかって呼よばわり、祭司さいしたちはラッパを吹ふいた。13:15 そこでユダの人々ひとびとはときの声こえをあげた。ユダの人々ひとびとがときの声こえをあげると、神かみはヤラベアムとイスラエルの人々ひとびとをアビヤとユダの前まえに打うち敗やぶられたので、13:16 イスラエルの人々ひとびとはユダの前まえから逃にげた。神かみが彼かれらをユダの手てに渡わたされたので、13:17 アビヤとその民たみは、彼かれらをおびただしく撃うち殺ころした。イスラエルの殺ころされて倒たおれた者ものは五十万人にん、皆みな精兵せいへいであった。13:18 このように、この時ときイスラエルの人々ひとびとは打うち負まかされ、ユダの人々ひとびとは勝かちを得えた。彼かれらがその先祖せんぞの神かみ、主しゅを頼たのんだからである。13:19 アビヤはヤラベアムを追撃ついげきして数個すうこの町まちを彼かれから取とった。すなわちベテルとその村里むらざと、エシャナとその村里むらざと、エフロンとその村里むらざとである。13:20 ヤラベアムは、アビヤの世よには再ふたたび力ちからを得えることができず、主しゅに撃うたれて死しんだ。13:21 しかしアビヤは強つよくなり、妻つま十四人にんをめとり、むすこ二十二人にん、むすめ十六人にんをもうけた。13:22 アビヤのその他たの行為こういすなわちその行動こうどうと言葉ことばは、預言者よげんしゃイドの注釈ちゅうしゃくにしるされている。 第14章 14:1 アビヤはその先祖せんぞたちと共ともに眠ねむって、ダビデの町まちに葬ほうむられ、その子こアサが代かわって王おうとなった。アサの治世ちせいに国くには十年ねんの間あいだ、穏おだやかであった。14:2 アサはその神かみ、主しゅの目めに良よしと見みえ、また正ただしと見みえることを行おこなった。14:3 彼かれは異ことなる祭壇さいだんと、もろもろの高たかき所ところを取とり除のぞき、石柱せきちゅうをこわし、アシラ像ぞうを切きり倒たおし、14:4 ユダに命めいじてその先祖せんぞたちの神かみ、主しゅを求もとめさせ、おきてと戒いましめとを行おこなわせ、14:5 ユダのすべての町々まちまちから、高たかき所ところと香こうの祭壇さいだんとを取とり除のぞいた。そして国くには彼かれのもとに穏おだやかであった。14:6 彼かれは国くにが穏おだやかであったので、要害ようがいの町まち数個すうこをユダに建たてた。また主しゅが彼かれに平安へいあんを賜たまわったので、この年としごろ戦争せんそうがなかった。14:7 彼かれはユダに言いった、「われわれはこれらの町まちを建たて、その周囲しゅういに石いしがきを築きずき、やぐらを建たて、門もんと貫かんの木きを設もうけよう。われわれがわれわれの神かみ、主しゅを求もとめたので、この国くにはなおわれわれのものであり、われわれが彼かれを求もとめたので、四方しほうにおいて、われわれに平安へいあんを賜たまわった」。こうして彼かれらは滞とどこおりなく建たて終おわった。14:8 アサの軍隊ぐんたいはユダから出でた者もの三十万人にんあって、盾たてとやりをとり、ベニヤミンから出でた者もの二十八万人にんあって、小盾こだてをとり、弓ゆみを引ひいた。これはみな大だい勇士ゆうしであった。 14:9 エチオピヤびとゼラが、百万の軍隊ぐんたいと三百の戦車せんしゃを率ひきいて、マレシャまで攻せめてきた。14:10 アサは出でて、これを迎むかえ、マレシャのゼパタの谷たにに戦たたかいの備そなえをした。14:11 時ときにアサはその神かみ、主しゅに向むかって呼よばわって言いった、「主しゅよ、力ちからのある者ものを助たすけることも、力ちからのない者ものを助たすけることも、あなたにおいては異ことなることはありません。われわれの神かみ、主しゅよ、われわれをお助たすけください。われわれはあなたに寄より頼たのみ、あなたの名なによってこの大軍たいぐんに当あたります。主しゅよ、あなたはわれわれの神かみです。どうぞ人ひとをあなたに勝かたせないでください」。14:12 そこで主しゅはアサの前まえとユダの前まえでエチオピヤびとを撃うち敗やぶられたので、エチオピヤびとは逃にげ去さった。14:13 アサと彼かれに従したがう民たみは彼かれらをゲラルまで追撃ついげきしたので、エチオピヤびとは倒たおれて、生いき残のこった者ものはひとりもなかった。主しゅと主しゅの軍勢ぐんぜいの前まえに撃うち破やぶられたからである。ユダの人々ひとびとの得えたぶんどり物ものは非常ひじょうに多おおかった。14:14 彼かれらはまた、ゲラルの周囲しゅういの町々まちまちをことごとく撃うち破やぶった。主しゅの恐おそれが彼かれらの上うえに臨のぞんだからである。そして彼かれらはそのすべての町まちをかすめ奪うばった。その内うちに多おおくの物ものがあったからである。14:15 また家畜かちくをもっている者ものの天幕てんまくを襲おそい、多おおくの羊ひつじとらくだを奪うばい取とって、エルサレムに帰かえった。
13:1 ヤラベアム王おうの第だい十八年ねんにアビヤがユダの王おうとなった。
13:2 彼かれは三年ねんの間あいだエルサレムで世よを治おさめた。彼かれの母はははギベアのウリエルの娘むすめで、名なをミカヤといった。
13:3 ここにアビヤとヤラベアムとの間あいだに戦争せんそうが起おこり、アビヤは四十万の精兵せいへいから成なる勇敢ゆうかんな軍勢ぐんぜいをもって戦たたかいにいで、ヤラベアムも大だい勇士ゆうしから成なる八十万の精兵せいへいをもって、これに向むかって戦たたかいの備そなえをした。
13:4 時ときにアビヤはエフライムの山地さんちにあるゼマライム山やまの上うえに立たって言いった、「ヤラベアムおよびイスラエルの人々ひとびとよ皆みな聞きけ。
13:5 あなたがたはイスラエルの神かみ、主しゅが塩しおの契約けいやくをもってイスラエルの国くにをながくダビデとその子孫しそんに賜たまわったことを知しらないのか。
13:6 ところがダビデの子こソロモンの家来けらいであるネバテの子こヤラベアムが起たって、その主君しゅくんにそむき、
13:7 また卑いやしい無頼ぶらいのともがらが集あつまって彼かれにくみし、ソロモンの子こレハベアムに敵てきしたが、レハベアムは若わかく、かつ意志いしが弱よわくてこれに当あたることができなかった。
13:8 今いままた、あなたがたは大軍たいぐんをたのみ、またヤラベアムが造つくって、あなたがたの神かみとした金きんの子こ牛うしをたのんで、ダビデの子孫しそんの手てにある主しゅの国くにに敵対てきたいしようとしている。
13:9 またあなたがたはアロンの子孫しそんである主しゅの祭司さいしとレビびととを追おいだして、他たの国々くにぐにの民たみがするように祭司さいしを立たてたではないか。すなわちだれでも若わかい雄牛おうし一頭とう、雄羊おひつじ七頭とうを携たずさえてきて、自分じぶんを聖別せいべつする者ものは皆みなあの神かみでない者ものの祭司さいしとすることができた。
13:10 しかしわれわれにおいては、主しゅがわれわれの神かみであって、われわれは彼かれを捨すてない。また主しゅに仕つかえる祭司さいしはアロンの子孫しそんであり、働はたらきをなす者ものはレビびとである。
13:11 彼かれらは朝あさごと夕ゆうごとに主しゅに燔祭はんさいと、こうばしい香こうをささげ、供そなえのパンを純金じゅんきんの机つくえの上うえに供そなえ、また金きんの燭台しょくだいとそのともしび皿さらを整ととのえて、夕ゆうごとにともすのである。このようにわれわれはわれわれの神かみ、主しゅの務つとめを守まもっているが、あなたがたは彼かれを捨すてた。
13:12 見みよ、神かみはみずからわれわれと共ともにおられて、われわれのかしらとなられ、また、その祭司さいしたちはラッパを吹ふきならして、あなたがたを攻せめる。イスラエルの人々ひとびとよ、あなたがたの先祖せんぞの神かみ、主しゅに敵てきして戦たたかってはならない。あなたがたは成功せいこうしない」。
13:13 ヤラベアムは伏兵ふくへいを彼かれらのうしろに回まわらせたので、彼かれの軍隊ぐんたいはユダの前まえにあり、伏兵ふくへいは彼かれらのうしろにあった。
13:14 ユダはうしろを見みると、敵てきが前まえとうしろとにあったので、主しゅに向むかって呼よばわり、祭司さいしたちはラッパを吹ふいた。
13:15 そこでユダの人々ひとびとはときの声こえをあげた。ユダの人々ひとびとがときの声こえをあげると、神かみはヤラベアムとイスラエルの人々ひとびとをアビヤとユダの前まえに打うち敗やぶられたので、
13:16 イスラエルの人々ひとびとはユダの前まえから逃にげた。神かみが彼かれらをユダの手てに渡わたされたので、
13:17 アビヤとその民たみは、彼かれらをおびただしく撃うち殺ころした。イスラエルの殺ころされて倒たおれた者ものは五十万人にん、皆みな精兵せいへいであった。
13:18 このように、この時ときイスラエルの人々ひとびとは打うち負まかされ、ユダの人々ひとびとは勝かちを得えた。彼かれらがその先祖せんぞの神かみ、主しゅを頼たのんだからである。
13:19 アビヤはヤラベアムを追撃ついげきして数個すうこの町まちを彼かれから取とった。すなわちベテルとその村里むらざと、エシャナとその村里むらざと、エフロンとその村里むらざとである。
13:20 ヤラベアムは、アビヤの世よには再ふたたび力ちからを得えることができず、主しゅに撃うたれて死しんだ。
13:21 しかしアビヤは強つよくなり、妻つま十四人にんをめとり、むすこ二十二人にん、むすめ十六人にんをもうけた。
13:22 アビヤのその他たの行為こういすなわちその行動こうどうと言葉ことばは、預言者よげんしゃイドの注釈ちゅうしゃくにしるされている。
第14章 14:1 アビヤはその先祖せんぞたちと共ともに眠ねむって、ダビデの町まちに葬ほうむられ、その子こアサが代かわって王おうとなった。アサの治世ちせいに国くには十年ねんの間あいだ、穏おだやかであった。14:2 アサはその神かみ、主しゅの目めに良よしと見みえ、また正ただしと見みえることを行おこなった。14:3 彼かれは異ことなる祭壇さいだんと、もろもろの高たかき所ところを取とり除のぞき、石柱せきちゅうをこわし、アシラ像ぞうを切きり倒たおし、14:4 ユダに命めいじてその先祖せんぞたちの神かみ、主しゅを求もとめさせ、おきてと戒いましめとを行おこなわせ、14:5 ユダのすべての町々まちまちから、高たかき所ところと香こうの祭壇さいだんとを取とり除のぞいた。そして国くには彼かれのもとに穏おだやかであった。14:6 彼かれは国くにが穏おだやかであったので、要害ようがいの町まち数個すうこをユダに建たてた。また主しゅが彼かれに平安へいあんを賜たまわったので、この年としごろ戦争せんそうがなかった。14:7 彼かれはユダに言いった、「われわれはこれらの町まちを建たて、その周囲しゅういに石いしがきを築きずき、やぐらを建たて、門もんと貫かんの木きを設もうけよう。われわれがわれわれの神かみ、主しゅを求もとめたので、この国くにはなおわれわれのものであり、われわれが彼かれを求もとめたので、四方しほうにおいて、われわれに平安へいあんを賜たまわった」。こうして彼かれらは滞とどこおりなく建たて終おわった。14:8 アサの軍隊ぐんたいはユダから出でた者もの三十万人にんあって、盾たてとやりをとり、ベニヤミンから出でた者もの二十八万人にんあって、小盾こだてをとり、弓ゆみを引ひいた。これはみな大だい勇士ゆうしであった。 14:9 エチオピヤびとゼラが、百万の軍隊ぐんたいと三百の戦車せんしゃを率ひきいて、マレシャまで攻せめてきた。14:10 アサは出でて、これを迎むかえ、マレシャのゼパタの谷たにに戦たたかいの備そなえをした。14:11 時ときにアサはその神かみ、主しゅに向むかって呼よばわって言いった、「主しゅよ、力ちからのある者ものを助たすけることも、力ちからのない者ものを助たすけることも、あなたにおいては異ことなることはありません。われわれの神かみ、主しゅよ、われわれをお助たすけください。われわれはあなたに寄より頼たのみ、あなたの名なによってこの大軍たいぐんに当あたります。主しゅよ、あなたはわれわれの神かみです。どうぞ人ひとをあなたに勝かたせないでください」。14:12 そこで主しゅはアサの前まえとユダの前まえでエチオピヤびとを撃うち敗やぶられたので、エチオピヤびとは逃にげ去さった。14:13 アサと彼かれに従したがう民たみは彼かれらをゲラルまで追撃ついげきしたので、エチオピヤびとは倒たおれて、生いき残のこった者ものはひとりもなかった。主しゅと主しゅの軍勢ぐんぜいの前まえに撃うち破やぶられたからである。ユダの人々ひとびとの得えたぶんどり物ものは非常ひじょうに多おおかった。14:14 彼かれらはまた、ゲラルの周囲しゅういの町々まちまちをことごとく撃うち破やぶった。主しゅの恐おそれが彼かれらの上うえに臨のぞんだからである。そして彼かれらはそのすべての町まちをかすめ奪うばった。その内うちに多おおくの物ものがあったからである。14:15 また家畜かちくをもっている者ものの天幕てんまくを襲おそい、多おおくの羊ひつじとらくだを奪うばい取とって、エルサレムに帰かえった。
14:1 アビヤはその先祖せんぞたちと共ともに眠ねむって、ダビデの町まちに葬ほうむられ、その子こアサが代かわって王おうとなった。アサの治世ちせいに国くには十年ねんの間あいだ、穏おだやかであった。
14:2 アサはその神かみ、主しゅの目めに良よしと見みえ、また正ただしと見みえることを行おこなった。
14:3 彼かれは異ことなる祭壇さいだんと、もろもろの高たかき所ところを取とり除のぞき、石柱せきちゅうをこわし、アシラ像ぞうを切きり倒たおし、
14:4 ユダに命めいじてその先祖せんぞたちの神かみ、主しゅを求もとめさせ、おきてと戒いましめとを行おこなわせ、
14:5 ユダのすべての町々まちまちから、高たかき所ところと香こうの祭壇さいだんとを取とり除のぞいた。そして国くには彼かれのもとに穏おだやかであった。
14:6 彼かれは国くにが穏おだやかであったので、要害ようがいの町まち数個すうこをユダに建たてた。また主しゅが彼かれに平安へいあんを賜たまわったので、この年としごろ戦争せんそうがなかった。
14:7 彼かれはユダに言いった、「われわれはこれらの町まちを建たて、その周囲しゅういに石いしがきを築きずき、やぐらを建たて、門もんと貫かんの木きを設もうけよう。われわれがわれわれの神かみ、主しゅを求もとめたので、この国くにはなおわれわれのものであり、われわれが彼かれを求もとめたので、四方しほうにおいて、われわれに平安へいあんを賜たまわった」。こうして彼かれらは滞とどこおりなく建たて終おわった。
14:8 アサの軍隊ぐんたいはユダから出でた者もの三十万人にんあって、盾たてとやりをとり、ベニヤミンから出でた者もの二十八万人にんあって、小盾こだてをとり、弓ゆみを引ひいた。これはみな大だい勇士ゆうしであった。
14:9 エチオピヤびとゼラが、百万の軍隊ぐんたいと三百の戦車せんしゃを率ひきいて、マレシャまで攻せめてきた。
14:10 アサは出でて、これを迎むかえ、マレシャのゼパタの谷たにに戦たたかいの備そなえをした。
14:11 時ときにアサはその神かみ、主しゅに向むかって呼よばわって言いった、「主しゅよ、力ちからのある者ものを助たすけることも、力ちからのない者ものを助たすけることも、あなたにおいては異ことなることはありません。われわれの神かみ、主しゅよ、われわれをお助たすけください。われわれはあなたに寄より頼たのみ、あなたの名なによってこの大軍たいぐんに当あたります。主しゅよ、あなたはわれわれの神かみです。どうぞ人ひとをあなたに勝かたせないでください」。
14:12 そこで主しゅはアサの前まえとユダの前まえでエチオピヤびとを撃うち敗やぶられたので、エチオピヤびとは逃にげ去さった。
14:13 アサと彼かれに従したがう民たみは彼かれらをゲラルまで追撃ついげきしたので、エチオピヤびとは倒たおれて、生いき残のこった者ものはひとりもなかった。主しゅと主しゅの軍勢ぐんぜいの前まえに撃うち破やぶられたからである。ユダの人々ひとびとの得えたぶんどり物ものは非常ひじょうに多おおかった。
14:14 彼かれらはまた、ゲラルの周囲しゅういの町々まちまちをことごとく撃うち破やぶった。主しゅの恐おそれが彼かれらの上うえに臨のぞんだからである。そして彼かれらはそのすべての町まちをかすめ奪うばった。その内うちに多おおくの物ものがあったからである。
14:15 また家畜かちくをもっている者ものの天幕てんまくを襲おそい、多おおくの羊ひつじとらくだを奪うばい取とって、エルサレムに帰かえった。