口語訳聖書(振り仮名付き)
章: 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15
箴言しんげん
第1章 Pr-Audio
1:1 ダビデの子こ、イスラエルの王おうソロモンの箴言しんげん。
1:2 これは人ひとに知恵ちえと教訓きょうくんとを知しらせ、悟さとりの言葉ことばをさとらせ、
1:3 賢かしこい行おこないと、正義せいぎと公正こうせいと公平こうへいの教訓きょうくんをうけさせ、
1:4 思慮しりょのない者ものに悟さとりを与あたえ、若わかい者ものに知識ちしきと慎つつしみを得えさせるためである。
1:5 賢かしこい者ものはこれを聞きいて学がくに進すすみ、さとい者ものは指導しどうを得える。
1:6 人ひとはこれによって箴言しんげんと、たとえと、賢かしこい者ものの言葉ことばと、そのなぞとを悟さとる。
1:7 主しゅを恐おそれることは知識ちしきのはじめである、愚おろかな者ものは知恵ちえと教訓きょうくんを軽かろんじる。
1:8 わが子こよ、あなたは父ちちの教訓きょうくんを聞きき、母ははの教おしえを捨すててはならない。
1:9 それらは、あなたの頭あたまの麗うるわしい冠かんむりとなり、あなたの首くびの飾かざりとなるからである。
1:10 わが子こよ、悪者わるものがあなたを誘さそっても、それに従したがってはならない。
1:11 彼かれらがあなたに向むかって、「一緒いっしょに来きなさい。われわれは待まち伏ぶせして、人ひとの血ちを流ながし、罪つみのない者ものを、ゆえなく伏ふしてねらい、
1:12 陰府よみのように、彼かれらを生いきたままで、のみ尽つくし、健すこやかな者ものを、墓はかに下くだる者もののようにしよう。
1:13 われわれは、さまざまの尊たっとい貨か財ざいを得え、奪うばい取とった物もので、われわれの家いえを満みたそう。
1:14 あなたもわれわれの仲間なかまに加くわわりなさい、われわれは共ともに一つの金かね袋ぶくろを持もとう」と言いっても、
1:15 わが子こよ、彼かれらの仲間なかまになってはならない、あなたの足あしをとどめて、彼かれらの道みちに行いってはならない。
1:16 彼かれらの足あしは悪あくに走はしり、血ちを流ながすことに速はやいからだ。
1:17 すべて鳥とりの目めの前まえで網あみを張はるのは、むだである。
1:18 彼かれらは自分じぶんの血ちを待まち伏ぶせし、自分じぶんの命いのちを伏ふしてねらうのだ。
1:19 すべて利りをむさぼる者ものの道みちはこのようなものである。これはその持もち主ぬしの命いのちを取とり去さるのだ。
1:20 知恵ちえは、ちまたに呼よばわり、市場しじょうにその声こえをあげ、
1:21 城壁じょうへきの頂いただきで叫さけび、町まちの門もんの入口いりぐちで語かたる。
1:22 「思慮しりょのない者ものたちよ、あなたがたは、いつまで思慮しりょのないことを好このむのか。あざける者ものは、いつまで、あざけり楽たのしみ、愚おろかな者ものは、いつまで、知識ちしきを憎にくむのか。
1:23 わたしの戒いましめに心こころをとめよ、見みよ、わたしは自分じぶんの思おもいを、あなたがたに告つげ、わたしの言葉ことばを、あなたがたに知しらせる。
1:24 わたしは呼よんだが、あなたがたは聞きくことを拒こばみ、手てを伸のべたが、顧かえりみる者ものはなく、
1:25 かえって、あなたがたはわたしのすべての勧すすめを捨すて、わたしの戒いましめを受うけなかったので、
1:26 わたしもまた、あなたがたが災わざわいにあう時ときに、笑わらい、あなたがたが恐慌きょうこうにあう時とき、あざけるであろう。
1:27 これは恐慌きょうこうが、あらしのようにあなたがたに臨のぞみ、災わざわいが、つむじ風かぜのように臨のぞみ、悩なやみと悲かなしみとが、あなたがたに臨のぞむ時ときである。
1:28 その時とき、彼かれらはわたしを呼よぶであろう、しかし、わたしは答こたえない。ひたすら、わたしを求もとめるであろう、しかし、わたしに会あえない。
1:29 彼かれらは知識ちしきを憎にくみ、主しゅを恐おそれることを選えらばず、
1:30 わたしの勧すすめに従したがわず、すべての戒いましめを軽かろんじたゆえ、
1:31 自分じぶんの行おこないの実みを食くらい、自分じぶんの計はかりごとに飽あきる。
1:32 思慮しりょのない者ものの不ふ従順じゅうじゅんはおのれを殺ころし、愚おろかな者ものの安楽あんらくはおのれを滅ほろぼす。
1:33 しかし、わたしに聞きき従したがう者ものは安やすらかに住すまい、災わざわいに会あう恐おそれもなく、安全あんぜんである」。
第2章 2:1 わが子こよ、もしあなたがわたしの言葉ことばを受うけ、わたしの戒いましめを、あなたの心こころにおさめ、2:2 あなたの耳みみを知恵ちえに傾かたむけ、あなたの心こころを悟さとりに向むけ、2:3 しかも、もし知識ちしきを呼よび求もとめ、悟さとりを得えようと、あなたの声こえをあげ、2:4 銀ぎんを求もとめるように、これを求もとめ、かくれた宝たからを尋たずねるように、これを尋たずねるならば、2:5 あなたは、主しゅを恐おそれることを悟さとり、神かみを知しることができるようになる。2:6 これは、主しゅが知恵ちえを与あたえ、知識ちしきと悟さとりとは、み口くちから出でるからである。2:7 彼かれは正ただしい人ひとのために、確たしかな知恵ちえをたくわえ、誠実せいじつに歩あゆむ者ものの盾たてとなって、2:8 公正こうせいの道みちを保たもち、その聖徒せいとたちの道筋みちすじを守まもられる。2:9 そのとき、あなたは、ついに正義せいぎと公正こうせい、公平こうへいとすべての良よい道みちを悟さとる。2:10 これは知恵ちえが、あなたの心こころにはいり、知識ちしきがあなたの魂たましいに楽たのしみとなるからである。2:11 慎つつしみはあなたを守まもり、悟さとりはあなたを保たもって、2:12 悪あくの道みちからあなたを救すくい、偽いつわりをいう者ものから救すくう。2:13 彼かれらは正ただしい道みちを離はなれて、暗くらい道みちに歩あゆみ、2:14 悪あくを行おこなうことを楽たのしみ、悪人あくにんの偽いつわりを喜よろこび、2:15 その道みちは曲まがり、その行おこないは、よこしまである。2:16 慎つつしみと悟さとりはまたあなたを遊女ゆうじょから救すくい、言葉ことばの巧たくみな、みだらな女おんなから救すくう。2:17 彼女かのじょは若わかい時ときの友ともを捨すて、その神かみに契約けいやくしたことを忘わすれている。2:18 その家いえは死しに下くだり、その道みちは陰府よみにおもむく。2:19 すべて彼女かのじょのもとへ行いく者ものは、帰かえらない、また命いのちの道みちにいたらない。2:20 こうして、あなたは善良ぜんりょうな人々ひとびとの道みちに歩あゆみ、正ただしい人々ひとびとの道みちを守まもることができる。2:21 正ただしい人ひとは地ちにながらえ、誠実せいじつな人ひとは地ちにとどまる。2:22 しかし悪あしき者ものは地ちから断たち滅ほろぼされ、不信実ふしんじつな者ものは地ちから抜ぬき捨すてられる。 第3章 3:1 わが子こよ、わたしの教おしえを忘わすれず、わたしの戒いましめを心こころにとめよ。3:2 そうすれば、これはあなたの日ひを長ながくし、命いのちの年としを延のべ、あなたに平安へいあんを増まし加くわえる。3:3 いつくしみと、まこととを捨すててはならない、それをあなたの首くびに結むすび、心こころの碑ひにしるせ。3:4 そうすれば、あなたは神かみと人ひととの前まえに恵めぐみと、誉ほまれとを得える。3:5 心こころをつくして主しゅに信頼しんらいせよ、自分じぶんの知識ちしきにたよってはならない。3:6 すべての道みちで主しゅを認みとめよ、そうすれば、主しゅはあなたの道みちをまっすぐにされる。3:7 自分じぶんを見みて賢かしこいと思おもってはならない、主しゅを恐おそれて、悪あくを離はなれよ。3:8 そうすれば、あなたの身みを健すこやかにし、あなたの骨ほねに元気げんきを与あたえる。3:9 あなたの財産ざいさんと、すべての産物さんぶつの初はつなりをもって主しゅをあがめよ。3:10 そうすれば、あなたの倉くらは満みちて余あまり、あなたの酒さかぶねは新あたらしい酒さけであふれる。3:11 わが子こよ、主しゅの懲こらしめを軽かろんじてはならない、その戒いましめをきらってはならない。3:12 主しゅは、愛あいする者ものを、戒いましめられるからである、あたかも父ちちがその愛あいする子こを戒いましめるように。 3:13 知恵ちえを求もとめて得える人ひと、悟さとりを得える人ひとはさいわいである。3:14 知恵ちえによって得えるものは、銀ぎんによって得えるものにまさり、その利益りえきは精せい金きんよりも良よいからである。3:15 知恵ちえは宝石ほうせきよりも尊たっとく、あなたの望のぞむ何なに物ものも、これと比くらべるに足たりない。3:16 その右みぎの手てには長寿ちょうじゅがあり、左ひだりの手てには富とみと、誉ほまれがある。3:17 その道みちは楽たのしい道みちであり、その道みち筋すじはみな平安へいあんである。3:18 知恵ちえは、これを捕とらえる者ものには命いのちの木きである、これをしっかり捕とらえる人ひとはさいわいである。3:19 主しゅは知恵ちえをもって地ちの基もといをすえ、悟さとりをもって天てんを定さだめられた。3:20 その知識ちしきによって海うみはわきいで、雲くもは露つゆをそそぐ。 3:21 わが子こよ、確たしかな知恵ちえと、慎つつしみとを守まもって、それをあなたの目めから離はなしてはならない。3:22 それはあなたの魂たましいの命いのちとなりあなたの首くびの飾かざりとなる。3:23 こうして、あなたは安やすらかに自分じぶんの道みちを行いき、あなたの足あしはつまずくことがない。3:24 あなたは座ざしているとき、恐おそれることはなく、伏ふすとき、あなたの眠ねむりはここちよい。3:25 あなたはにわかに起おこる恐怖きょうふを恐おそれることなく、悪あしき者ものの滅ほろびが来きても、それを恐おそれることはない。3:26 これは、主しゅがあなたの信頼しんらいする者ものであり、あなたの足あしを守まもって、わなに捕とらわれさせられないからである。3:27 あなたの手てに善ぜんをなす力ちからがあるならば、これをなすべき人ひとになすことをさし控ひかえてはならない。3:28 あなたが物ものを持もっている時とき、その隣となり人びとに向むかい、「去さって、また来きなさい。あす、それをあげよう」と言いってはならない。3:29 あなたの隣となり人びとがかたわらに安やすらかに住すんでいる時とき、これに向むかって、悪あくを計はかってはならない。3:30 もし人ひとがあなたに悪あくを行おこなったのでなければ、ゆえなく、これと争あらそってはならない。3:31 暴虐ぼうぎゃくな人ひとを、うらやんではならない、そのすべての道みちを選えらんではならない。3:32 よこしまな者ものは主しゅに憎にくまれるからである、しかし、正ただしい者ものは主しゅに信任しんにんされる。3:33 主しゅの、のろいは悪あしき者ものの家いえにある、しかし、正ただしい人ひとのすまいは主しゅに恵めぐまれる。3:34 彼かれはあざける者ものをあざけり、へりくだる者ものに恵めぐみを与あたえられる。3:35 知恵ちえある者ものは、誉ほまれを得える、しかし、愚おろかな者ものははずかしめを得える。 第4章 4:1 子供こどもらよ、父ちちの教おしえを聞きき、悟さとりを得えるために耳みみを傾かたむけよ。4:2 わたしは、良よい教訓きょうくんを、あなたがたにさずける。わたしの教おしえを捨すててはならない。4:3 わたしもわが父ちちには子こであり、わが母ははの目めには、ひとりのいとし子こであった。4:4 父ちちはわたしを教おしえて言いった、「わたしの言葉ことばを、心こころに留とめ、わたしの戒いましめを守まもって、命いのちを得えよ。4:5 それを忘わすれることなく、またわが口くちの言葉ことばにそむいてはならない、知恵ちえを得えよ、悟さとりを得えよ。4:6 知恵ちえを捨すてるな、それはあなたを守まもる。それを愛あいせよ、それはあなたを保たもつ。4:7 知恵ちえの初はじめはこれである、知恵ちえを得えよ、あなたが何なにを得えるにしても、悟さとりを得えよ。4:8 それを尊たっとべ、そうすれば、それはあなたを高たかくあげる、もしそれをいだくならば、それはあなたを尊たっとくする。4:9 それはあなたの頭あたまに麗うるわしい飾かざりを置おき、栄さかえの冠かんむりをあなたに与あたえる」。 4:10 わが子こよ、聞きけ、わたしの言葉ことばをうけいれよ、そうすれば、あなたの命いのちの年としは多おおくなる。4:11 わたしは知恵ちえの道みちをあなたに教おしえ、正ただしい道筋みちすじにあなたを導みちびいた。4:12 あなたが歩あるくとき、その歩あゆみは妨さまたげられず、走はしる時ときにも、つまずくことはない。4:13 教訓きょうくんをかたくとらえて、離はなしてはならない、それを守まもれ、それはあなたの命いのちである。4:14 よこしまな者ものの道みちに、はいってはならない、悪あしき者ものの道みちを歩あゆんではならない。4:15 それを避さけよ、通とおってはならない、それを離はなれて進すすめ。4:16 彼かれらは悪あくを行おこなわなければ眠ねむることができず、人ひとをつまずかせなければ、寝ねることができず、4:17 不正ふせいのパンを食くらい、暴虐ぼうぎゃくの酒さけを飲のむからである。4:18 正ただしい者ものの道みちは、夜明よあけの光ひかりのようだ、いよいよ輝かがやきを増まして真昼まひるとなる。4:19 悪あしき人ひとの道みちは暗くらやみのようだ、彼かれらは何なににつまずくかを知しらない。 4:20 わが子こよ、わたしの言葉ことばに心こころをとめ、わたしの語かたることに耳みみを傾かたむけよ。4:21 それを、あなたの目めから離はなさず、あなたの心こころのうちに守まもれ。4:22 それは、これを得える者ものの命いのちであり、またその全身ぜんしんを健すこやかにするからである。4:23 油断ゆだんすることなく、あなたの心こころを守まもれ、命いのちの泉いずみは、これから流ながれ出でるからである。4:24 曲まがった言葉ことばをあなたから捨すてさり、よこしまな談話だんわをあなたから遠とおざけよ。4:25 あなたの目めは、まっすぐに正面しょうめんを見み、あなたのまぶたはあなたの前まえを、まっすぐに見みよ。4:26 あなたの足あしの道みちに気きをつけよ、そうすれば、あなたのすべての道みちは安全あんぜんである。4:27 右みぎにも左ひだりにも迷まよい出でてはならない、あなたの足あしを悪あくから離はなれさせよ。 第5章 5:1 わが子こよ、わたしの知恵ちえに心こころをとめ、わたしの悟さとりに耳みみをかたむけよ。5:2 これは、あなたが慎つつしみを守まもり、あなたのくちびるに知識ちしきを保たもつためである。5:3 遊女ゆうじょのくちびるは蜜みつをしたたらせ、その言葉ことばは油あぶらよりもなめらかである。5:4 しかしついには、彼女かのじょはにがよもぎのように苦にがく、もろ刃はのつるぎのように鋭するどくなる。5:5 その足あしは死しに下くだり、その歩あゆみは陰府よみの道みちにおもむく。5:6 彼女かのじょはいのちの道みちに心こころをとめず、その道みちは人ひとを迷まよわすが、彼女かのじょはそれを知しらない。 5:7 子供こどもらよ、今いまわたしの言いうことを聞きけ、わたしの口くちの言葉ことばから、離はなれ去さってはならない。5:8 あなたの道みちを彼女かのじょから遠とおく離はなし、その家いえの門もんに近ちかづいてはならない。5:9 おそらくはあなたの誉ほまれを他人たにんにわたし、あなたの年としを無慈悲むじひな者ものにわたすに至いたる。5:10 おそらくは他人たにんがあなたの資産しさんによって満みたされ、あなたの労苦ろうくは他人たにんの家いえに行いく。5:11 そしてあなたの終おわりが来きて、あなたの身みと、からだが滅ほろびるとき、泣なき悲かなしんで、5:12 言いうであろう、「わたしは教訓きょうくんをいとい、心こころに戒いましめを軽かろんじ、5:13 教師きょうしの声こえに聞きき従したがわず、わたしを教おしえる者ものに耳みみを傾かたむけず、5:14 集あつまりの中なか、会衆かいしゅうのうちにあって、わたしは、破滅はめつに陥おちいりかけた」と。5:15 あなたは自分じぶんの水みずためから水みずを飲のみ、自分じぶんの井戸いどから、わき出です水みずを飲のむがよい。5:16 あなたの泉いずみを、外そとにまきちらし、水みずの流ながれを、ちまたに流ながしてよかろうか。5:17 それを自分じぶんだけのものとし、他人たにんを共ともにあずからせてはならない。5:18 あなたの泉いずみに祝福しゅくふくを受うけさせ、あなたの若わかい時ときの妻つまを楽たのしめ。5:19 彼女かのじょは愛あいらしい雌めじか、美うつくしいしかのようだ。いつも、その乳ちぶさをもって満足まんぞくし、その愛あいをもって常つねに喜よろこべ。5:20 わが子こよ、どうして遊女ゆうじょに迷まよい、みだらな女おんなの胸むねをいだくのか。5:21 人ひとの道みちは主しゅの目めの前まえにあり、主しゅはすべて、その行おこないを見守みまもられる。5:22 悪あしき者ものは自分じぶんのとがに捕とらえられ、自分じぶんの罪つみのなわにつながれる。5:23 彼かれは、教訓きょうくんがないために死しに、その愚おろかさの大おおきいことによって滅ほろびる。 第6章 6:1 わが子こよ、あなたがもし隣となり人びとのために保証人ほしょうにんとなり、他人たにんのために手てをうって誓ちかったならば、6:2 もしあなたのくちびるの言葉ことばによって、わなにかかり、あなたの口くちの言葉ことばによって捕とらえられたならば、6:3 わが子こよ、その時ときはこうして、おのれを救すくえ、あなたは隣となり人びとの手てに陥おちいったのだから。急いそいで行いって、隣となり人びとにひたすら求もとめよ。6:4 あなたの目めを眠ねむらせず、あなたのまぶたを、まどろませず、6:5 かもしかが、かりゅうどの手てからのがれるように、鳥とりが鳥とりを取とる者ものの手てからのがれるように、おのれを救すくえ。 6:6 なまけ者ものよ、ありのところへ行いき、そのすることを見みて、知恵ちえを得えよ。6:7 ありは、かしらなく、つかさなく、王おうもないが、6:8 夏なつのうちに食物しょくもつをそなえ、刈入かりいれの時ときに、かてを集あつめる。6:9 なまけ者ものよ、いつまで寝ねているのか、いつ目めをさまして起おきるのか。6:10 しばらく眠ねむり、しばらくまどろみ、手てをこまぬいて、またしばらく休やすむ。6:11 それゆえ、貧まずしさは盗ぬすびとのようにあなたに来きたり、乏とぼしさは、つわもののようにあなたに来くる。6:12 よこしまな人ひと、悪あしき人ひとは偽いつわりの言葉ことばをもって行いきめぐり、6:13 目めでめくばせし、足あしで踏ふみ鳴ならし、指ゆびで示しめし、6:14 よこしまな心こころをもって悪あくを計はかり、絶たえず争あらそいをおこす。6:15 それゆえ、災わざわいは、にわかに彼かれに臨のぞみ、たちまちにして打うち敗やぶられ、助たすかることはない。 6:16 主しゅの憎にくまれるものが六つある、否いな、その心こころに、忌いみきらわれるものが七つある。6:17 すなわち、高たかぶる目め、偽いつわりを言いう舌した、罪つみなき人ひとの血ちを流ながす手て、6:18 悪あしき計はかりごとをめぐらす心こころ、すみやかに悪あくに走はしる足あし、6:19 偽いつわりをのべる証人しょうにん、また兄弟きょうだいのうちに争あらそいをおこす人ひとがこれである。 6:20 わが子こよ、あなたの父ちちの戒いましめを守まもり、あなたの母ははの教おしえを捨すてるな。6:21 つねに、これをあなたの心こころに結むすび、あなたの首くびのまわりにつけよ。6:22 これは、あなたが歩あるくとき、あなたを導みちびき、あなたが寝ねるとき、あなたを守まもり、あなたが目めざめるとき、あなたと語かたる。6:23 戒いましめはともしびである、教おしえは光ひかりである、教訓きょうくんの懲こらしめは命いのちの道みちである。6:24 これは、あなたを守まもって、悪わるい女おんなに近ちかづかせず、みだらな女おんなの、巧たくみな舌したに惑まどわされぬようにする。6:25 彼女かのじょの麗うるわしさを心こころに慕したってはならない、そのまぶたに捕とらえられてはならない。6:26 遊女ゆうじょは一いっ塊かいのパンのために雇やとわれる、しかし、みだらな女おんなは人ひとの尊たっとい命いのちを求もとめる。6:27 人ひとは火ひを、そのふところにいだいてその着物きものが焼やかれないであろうか。6:28 また人ひとは、熱あつい火ひを踏ふんで、その足あしが、焼やかれないであろうか。6:29 その隣となりの妻つまと不義ふぎを行おこなう者ものも、それと同おなじだ。すべて彼女かのじょに触ふれる者ものは罰ばつを免まぬかれることはできない。6:30 盗ぬすびとが飢うえたとき、その飢うえを満みたすために盗ぬすむならば、人ひとは彼かれを軽かろんじないであろうか。6:31 もし捕とらえられたなら、その七倍ばいを償つぐない、その家いえの貨か財ざいを、ことごとく出ださなければならない。6:32 女おんなと姦淫かんいんを行おこなう者ものは思慮しりょがない。これを行おこなう者ものはおのれを滅ほろぼし、6:33 傷きずと、はずかしめとを受うけて、その恥はじをすすぐことができない。6:34 ねたみは、その夫おっとを激はげしく怒いからせるゆえ、恨うらみを報むくいるとき、容赦ようしゃすることはない。6:35 どのようなあがない物ものをも顧かえりみず、多おおくの贈おくり物ものをしても、和やわらがない。 第7章 7:1 わが子こよ、わたしの言葉ことばを守まもり、わたしの戒いましめをあなたの心こころにたくわえよ。7:2 わたしの戒いましめを守まもって命いのちを得えよ、わたしの教おしえを守まもること、ひとみを守まもるようにせよ。7:3 これをあなたの指ゆびにむすび、これをあなたの心こころの碑いしぶみにしるせ。7:4 知恵ちえに向むかって、「あなたはわが姉妹しまいだ」と言いい、悟さとりに向むかっては、あなたの友ともと呼よべ。7:5 そうすれば、これはあなたを守まもって遊女ゆうじょに迷まよわせず、言葉ことば巧たくみな、みだらな女おんなに近ちかづかせない。7:6 わたしはわが家いえの窓まどにより、格子こうし窓まどから外そとをのぞいて、7:7 思慮しりょのない者もののうちに、若わかい者もののうちに、ひとりの知恵ちえのない若者わかもののいるのを見みた。7:8 彼かれはちまたを過すぎ、女おんなの家いえに行いく曲まがりかどに近ちかづき、その家いえに行いく道みちを、7:9 たそがれに、よいに、また夜中よなかに、また暗くらやみに歩あるいていった。7:10 見みよ、遊女ゆうじょの装よそおいをした陰険いんけんな女おんなが彼かれに会あう。7:11 この女おんなは、騒さわがしくて、慎つつしみなく、その足あしは自分じぶんの家いえにとどまらず、7:12 ある時ときはちまたにあり、ある時ときは市場いちばにあり、すみずみに立たって人ひとをうかがう。7:13 この女おんなは彼かれを捕とらえて口くちづけし、恥はじしらぬ顔かおで彼かれに言いう、7:14 「わたしは酬恩祭しゅうおんさいをささげなければならなかったが、きょう、その誓ちかいを果はたしました。7:15 それでわたしはあなたを迎むかえようと出でて、あなたを尋たずね、あなたに会あいました。7:16 わたしは床とこに美うつくしい、しとねと、エジプトのあや布ぬのを敷しき、7:17 没薬もつやく、ろかい、桂皮けいひをもってわたしの床とこをにおわせました。7:18 さあ、わたしたちは夜よるが明あけるまで、情じょうをつくし、愛あいをかわして楽たのしみましょう。7:19 夫おっとは家いえにいません、遠とおくへ旅立たびだち、7:20 手てに金かね袋ぶくろを持もって出でました。満月まんげつになるまでは帰かえりません」と。7:21 女おんなが多おおくの、なまめかしい言葉ことばをもって彼かれを惑まどわし、巧たくみなくちびるをもって、いざなうと、7:22 若わかい人ひとは直ただちに女おんなに従したがった、あたかも牛うしが、ほふり場ばに行いくように、雄おじかが、すみやかに捕とらえられ、7:23 ついに、矢やがその内臓ないぞうを突つき刺さすように、鳥とりがすみやかに網あみにかかるように、彼かれは自分じぶんが命いのちを失うしなうようになることを知しらない。 7:24 子供こどもらよ、今いまわたしの言いうことを聞きき、わが口くちの言葉ことばに耳みみを傾かたむけよ。7:25 あなたの心こころを彼女かのじょの道みちに傾かたむけてはならない、またその道みちに迷まよってはならない。7:26 彼女かのじょは多おおくの人ひとを傷きずつけて倒たおした、まことに、彼女かのじょに殺ころされた者ものは多おおい。7:27 その家いえは陰府よみへ行いく道みちであって、死しのへやへ下くだって行いく。 第8章 8:1 知恵ちえは呼よばわらないのか、悟さとりは声こえをあげないのか。8:2 これは道みちのほとりの高たかい所ところの頂いただき、また、ちまたの中なかに立たち、8:3 町まちの入口いりぐちにあるもろもろの門もんのかたわら、正門せいもんの入口いりぐちで呼よばわって言いう、8:4 「人々ひとびとよ、わたしはあなたがたに呼よばわり、声こえをあげて人ひとの子こらを呼よぶ。8:5 思慮しりょのない者ものよ、悟さとりを得えよ、愚おろかな者ものよ、知恵ちえを得えよ。8:6 聞きけ、わたしは高貴こうきな事ことを語かたり、わがくちびるは正ただしい事ことを語かたり出だす。8:7 わが口くちは真実しんじつを述のべ、わがくちびるは悪あしき事ことを憎にくむ。8:8 わが口くちの言葉ことばはみな正ただしい、そのうちに偽いつわりと、よこしまはない。8:9 これはみな、さとき者ものの明あきらかにするところ、知識ちしきを得える者ものの正ただしとするところである。8:10 あなたがたは銀ぎんを受うけるよりも、わたしの教おしえを受うけよ、精せい金きんよりも、むしろ知識ちしきを得えよ。8:11 知恵ちえは宝石ほうせきにまさり、あなたがたの望のぞむすべての物ものは、これと比くらべるにたりない。8:12 知恵ちえであるわたしは悟さとりをすみかとし、知識ちしきと慎つつしみとをもつ。8:13 主しゅを恐おそれるとは悪あくを憎にくむことである。わたしは高たかぶりと、おごりと、悪あしき道みちと、偽いつわりの言葉ことばとを憎にくむ。8:14 計はかりごとと、確たしかな知恵ちえとは、わたしにある、わたしには悟さとりがあり、わたしには力ちからがある。8:15 わたしによって、王おうたる者ものは世よを治おさめ、君きみたる者ものは正ただしい定さだめを立たてる。8:16 わたしによって、主しゅたる者ものは支配しはいし、つかさたる者ものは地ちを治おさめる。8:17 わたしは、わたしを愛あいする者ものを愛あいする、わたしをせつに求もとめる者ものは、わたしに出会であう。8:18 富とみと誉ほまれとはわたしにあり、すぐれた宝たからと繁栄はんえいもまたそうである。8:19 わたしの実みは金きんよりも精せい金きんよりも良よく、わたしの産物さんぶつは精せい銀ぎんにまさる。8:20 わたしは正義せいぎの道みち、公正こうせいな道筋みちすじの中なかを歩あゆみ、8:21 わたしを愛あいする者ものに宝たからを得えさせ、またその倉くらを満みちさせる。 8:22 主しゅが昔むかしそのわざをなし始はじめられるとき、そのわざの初はじめとして、わたしを造つくられた。8:23 いにしえ、地ちのなかった時とき、初はじめに、わたしは立たてられた。8:24 まだ海うみもなく、また大おおいなる水みずの泉いずみもなかった時とき、わたしはすでに生うまれ、8:25 山やまもまだ定さだめられず、丘おかもまだなかった時とき、わたしはすでに生うまれた。8:26 すなわち神かみがまだ地ちをも野のをも、地ちのちりのもとをも造つくられなかった時ときである。8:27 彼かれが天てんを造つくり、海うみのおもてに、大空おおぞらを張はられたとき、わたしはそこにあった。8:28 彼かれが上うえに空そらを堅かたく立たたせ、淵ふちの泉いずみをつよく定さだめ、8:29 海うみにその限界げんかいをたて、水みずにその岸きしを越こえないようにし、また地ちの基もといを定さだめられたとき、8:30 わたしは、そのかたわらにあって、名 めいしょうとなり、日々ひびに喜よろこび、常つねにその前まえに楽たのしみ、8:31 その地ちで楽たのしみ、また世よの人ひとを喜よろこんだ。 8:32 それゆえ、子供こどもらよ、今いまわたしの言いうことを聞きけ、わたしの道みちを守まもる者ものはさいわいである。8:33 教訓きょうくんを聞きいて、知恵ちえを得えよ、これを捨すててはならない。8:34 わたしの言いうことを聞きき、日々ひびわたしの門もんのかたわらでうかがい、わたしの戸口とぐちの柱はしらのわきで待まつ人ひとはさいわいである。8:35 それは、わたしを得える者ものは命いのちを得え、主しゅから恵めぐみを得えるからである。8:36 わたしを失うしなう者ものは自分じぶんの命いのちをそこなう、すべてわたしを憎にくむ者ものは死しを愛あいする者ものである」。 第9章 9:1 知恵ちえは自分じぶんの家いえを建たて、その七つの柱はしらを立たて、9:2 獣けものをほふり、酒さけを混まぜ合あわせて、ふるまいを備そなえ、9:3 はしためをつかわして、町まちの高たかい所ところで呼よばわり言いわせた、9:4 「思慮しりょのない者ものよ、ここに来きたれ」と。また、知恵ちえのない者ものに言いう、9:5 「来きて、わたしのパンを食たべ、わたしの混まぜ合あわせた酒さけをのみ、9:6 思慮しりょのないわざを捨すてて命いのちを得え、悟さとりの道みちを歩あゆめ」と。 9:7 あざける者ものを戒いましめる者ものは、自みずから恥はじを得え、悪あしき者ものを責せめる者ものは自みずから傷きずを受うける。9:8 あざける者ものを責せめるな、おそらく彼かれはあなたを憎にくむであろう。知恵ちえある者ものを責せめよ、彼かれはあなたを愛あいする。9:9 知恵ちえある者ものに教訓きょうくんを授さづけよ、彼かれはますます知恵ちえを得える。正ただしい者ものを教おしえよ、彼かれは学がくに進すすむ。9:10 主しゅを恐おそれることは知恵ちえのもとである、聖せいなる者ものを知しることは、悟さとりである。9:11 わたしによって、あなたの日ひは多おおくなり、あなたの命いのちの年としは増ます。9:12 もしあなたに知恵ちえがあるならば、あなた自身じしんのために知恵ちえがあるのである。もしあなたがあざけるならば、あなたひとりがその責せめを負おうことになる。 9:13 愚おろかな女おんなは、騒さわがしく、みだらで、恥はじを知しらない。9:14 彼女かのじょはその家いえの戸口とぐちに座ざし、町まちの高たかい所ところにある座ざにすわり、9:15 道みちを急いそぐ行いき来きの人ひとを招まねいて言いう、9:16 「思慮しりょのない者ものよ、ここに来きたれ」と。また知恵ちえのない人ひとに向むかってこれに言いう、9:17 「盗ぬすんだ水みずは甘あまく、ひそかに食たべるパンはうまい」と。9:18 しかしその人ひとは、死しの影かげがそこにあることを知しらず、彼女かのじょの客きゃくは陰府よみの深ふかみにおることを知しらない。 第10章 10:1 ソロモンの箴言しんげん。知恵ちえある子こは父ちちを喜よろこばせ、愚おろかな子こは母ははの悲かなしみとなる。10:2 不義ふぎの宝たからは益えきなく、正義せいぎは人ひとを救すくい出だして、死しを免まぬかれさせる。10:3 主しゅは正ただしい人ひとを飢うえさせず、悪あしき者ものの欲望よくぼうをくじかれる。10:4 手てを動うごかすことを怠おこたる者ものは貧まずしくなり、勤つとめ働はたらく者ものの手ては富とみを得える。10:5 夏なつのうちに集あつめる者ものは賢かしこい子こであり、刈入かりいれの時ときに眠ねむる者ものは恥はじをきたらせる子こである。10:6 正ただしい者もののこうべには祝福しゅくふくがあり、悪あしき者ものの口くちは暴虐ぼうぎゃくを隠かくす。10:7 正ただしい者ものの名なはほめられ、悪あしき者ものの名なは朽くちる。10:8 心こころのさとき者ものは戒いましめを受うける、むだ口くちをたたく愚おろかな者ものは滅ほろぼされる。10:9 まっすぐに歩あゆむ者ものの歩あゆみは安全あんぜんである、しかし、その道みちを曲まげる者ものは災わざわいにあう。10:10 目めで、めくばせする者ものは憂うれいをおこし、あからさまに、戒いましめる者ものは平和へいわをきたらせる。10:11 正ただしい者ものの口くちは命いのちの泉いずみである、悪あしき者ものの口くちは暴虐ぼうぎゃくを隠かくす。10:12 憎にくしみは、争あらそいを起おこし、愛あいはすべてのとがをおおう。10:13 さとき者もののくちびるには知恵ちえがあり、知恵ちえのない者ものの背せにはむちがある。10:14 知恵ちえある者ものは知識ちしきをたくわえる、愚おろかな者もののむだ口くちは、今いまにも滅ほろびをきたらせる。10:15 富とめる者ものの宝たからは、その堅かたき城しろであり、貧まずしい者ものの乏とぼしきは、その滅ほろびである。10:16 正ただしい者ものの受うける賃銀ちんぎんは命いのちに導みちびき、悪あしき者ものの利得りとくは罪つみに至いたる。10:17 教訓きょうくんを守まもる者ものは命いのちの道みちにあり、懲こらしめを捨すてる者ものは道みちをふみ迷まよう。10:18 憎にくしみを隠かくす者ものには偽いつわりのくちびるがあり、そしりを口くちに出だす者ものは愚おろかな者ものである。10:19 言葉ことばが多おおければ、とがを免まぬかれない、自分じぶんのくちびるを制せいする者ものは知恵ちえがある。10:20 正ただしい者ものの舌したは精せい銀ぎんである、悪あしき者ものの心こころは価値かちが少すくない。10:21 正ただしい者もののくちびるは多おおくの人ひとを養やしない、愚おろかな者ものは知恵ちえがなくて死しぬ。10:22 主しゅの祝福しゅくふくは人ひとを富とませる、主しゅはこれになんの悲かなしみをも加くわえない。10:23 愚おろかな者ものは、戯たわむれ事ごとのように悪あくを行おこなう、さとき人ひとには賢かしこい行おこないが楽たのしみである。10:24 悪あしき者ものの恐おそれることは自分じぶんに来きたり、正ただしい者ものの願ねがうことは与あたえられる。10:25 あらしが通とおりすぎる時とき、悪あしき者ものは、もはや、いなくなり、正ただしい者ものは永久えいきゅうに堅かたく立たてられる。10:26 なまけ者ものは、これをつかわす者ものにとっては、酢すが歯はをいため、煙けむりが目めを悩なやますようなものだ。10:27 主しゅを恐おそれることは人ひとの命いのちの日ひを多おおくする、悪あしき者ものの年としは縮ちぢめられる。10:28 正ただしい者ものの望のぞみは喜よろこびに終おわり、悪あしき者ものの望のぞみは絶たえる。10:29 主しゅは、まっすぐに歩あゆむ者ものには城しろであり、悪あくを行おこなう者ものには滅ほろびである。10:30 正ただしい者ものはいつまでも動うごかされることはない、悪あしき者ものは、地ちに住すむことができない。10:31 正ただしい者ものの口くちは知恵ちえをいだし、偽いつわりの舌したは抜ぬかれる。10:32 正ただしい者もののくちびるは喜よろこばるべきことをわきまえ、悪あしき者ものの口くちは偽いつわりを語かたる。 第11章 11:1 偽いつわりのはかりは主しゅに憎にくまれ、正ただしいふんどうは彼かれに喜よろこばれる。11:2 高たかぶりが来くれば、恥はじもまた来くる、へりくだる者ものには知恵ちえがある。11:3 正ただしい者ものの誠実せいじつはその人ひとを導みちびき、不信実ふしんじつな者もののよこしまはその人ひとを滅ほろぼす。11:4 宝たからは怒いかりの日ひに益えきなく、正義せいぎは人ひとを救すくい出だして、死しを免まぬかれさせる。11:5 誠実せいじつな者ものは、その正義せいぎによって、その道みちをまっすぐにせられ、悪あしき者ものは、その悪あくによって倒たおれる。11:6 正ただしい者ものはその正義せいぎによって救すくわれ、不信実ふしんじつな者ものは自分じぶんの欲よくによって捕とらえられる。11:7 悪あしき者ものは死しぬとき、その望のぞみは絶たえ、不信心ふしんじんな者ものの望のぞみもまた絶たえる。11:8 正ただしい者ものは、悩なやみから救すくわれ、悪あしき者ものは代かわってそれに陥おちいる。11:9 不信心ふしんじんな者ものはその口くちをもって隣となり人びとを滅ほろぼす、正ただしい者ものは知識ちしきによって救すくわれる。11:10 正ただしい者ものが、しあわせになれば、その町まちは喜よろこび、悪あしき者ものが滅ほろびると、喜よろこびの声こえがおこる。11:11 町まちは正ただしい者ものの祝福しゅくふくによって、高たかくあげられ、悪あしき者ものの口くちによって、滅ほろぼされる。11:12 隣となり人びとを侮あなどる者ものは知恵ちえがない、さとき人ひとは口くちをつぐむ。11:13 人ひとのよしあしを言いいあるく者ものは秘密ひみつをもらす、心こころの忠信ちゅうしんなる者ものは事ことを隠かくす。11:14 指導者しどうしゃがなければ民たみは倒たおれ、助言者じょげんしゃが多おおければ安全あんぜんである。11:15 他人たにんのために保証ほしょうをする者ものは苦くるしみをうけ、保証ほしょうをきらう者ものは安全あんぜんである。11:16 しとやかな女おんなは、誉ほまれを得え、強暴きょうぼうな男おとこは富とみを得える。11:17 いつくしみある者ものはおのれ自身じしんに益えきを得え、残忍ざんにんな者ものはおのれの身みをそこなう。11:18 悪あしき者ものの得える報むくいはむなしく、正義せいぎを播まく者ものは確たしかな報むくいを得える。11:19 正義せいぎを堅かたく保たもつ者ものは命いのちに至いたり、悪あくを追おい求もとめる者ものは死しを招まねく。11:20 心こころのねじけた者ものは主しゅに憎にくまれ、まっすぐに道みちを歩あゆむ者ものは彼かれに喜よろこばれる。11:21 確たしかに、悪人あくにんは罰ばつを免まぬかれない、しかし正ただしい人ひとは救すくいを得える。11:22 美うつくしい女おんなの慎つつしみがないのは、金きんの輪わの、ぶたの鼻はなにあるようだ。11:23 正ただしい者ものの願ねがいは、すべて良よい結果けっかを得え、悪あしき者ものの望のぞみは怒いかりに至いたる。11:24 施ほどこし散ちらして、なお富とみを増ます人ひとがあり、与あたえるべきものを惜おしんで、かえって貧まずしくなる者ものがある。11:25 物惜ものおしみしない者ものは富とみ、人ひとを潤うるおす者ものは自分じぶんも潤うるおされる。11:26 穀物こくもつを、しまい込こんで売うらない者ものは民たみにのろわれる、それを売うる者もののこうべには祝福しゅくふくがある。11:27 善ぜんを求もとめる者ものは恵めぐみを得える、悪あくを求もとめる者ものには悪あくが来くる。11:28 自分じぶんの富とみを頼たのむ者ものは衰おとろえる、正ただしい者ものは木きの青葉あおばのように栄さかえる。11:29 自分じぶんの家族かぞくを苦くるしめる者ものは風かぜを所有しょゆうとする、愚おろかな者ものは心こころのさとき者もののしもべとなる。11:30 正ただしい者ものの結むすぶ実みは命いのちの木きである、不法ふほうな者ものは人ひとの命いのちをとる。11:31 もし正ただしい者ものがこの世よで罰ばっせられるならば、悪あしき者ものと罪つみびととは、なおさらである。 第12章 12:1 戒いましめを愛あいする人ひとは知識ちしきを愛あいする、懲こらしめを憎にくむ者ものは愚おろかである。12:2 善人ぜんにんは主しゅの恵めぐみをうけ、悪わるい計はかりごとを設もうける人ひとは主しゅに罰ばっせられる。12:3 人ひとは悪あくをもって堅かたく立たつことはできない、正ただしい人ひとの根ねは動うごくことはない。12:4 賢かしこい妻つまはその夫おっとの冠かんむりである、恥はじをこうむらせる妻つまは夫おっとの骨ほねに生しょうじた腐くされのようなものである。12:5 正ただしい人ひとの考かんがえは公正こうせいである、悪あしき者ものの計はかることは偽いつわりである。12:6 悪あしき者ものの言葉ことばは、人ひとの血ちを流ながそうとうかがう、正ただしい人ひとの口くちは人ひとを救すくう。12:7 悪あしき者ものは倒たおされて、うせ去さる、正ただしい人ひとの家いえは堅かたく立たつ。12:8 人ひとはその悟さとりにしたがって、ほめられ、心こころのねじけた者ものは、卑いやしめられる。12:9 身分みぶんの低ひくい人ひとでも自分じぶんで働はたらく者ものは、みずから高たかぶって食しょくに乏とぼしい者ものにまさる。12:10 正ただしい人ひとはその家畜かちくの命いのちを顧かえりみる、悪あしき者ものは残忍ざんにんをもって、あわれみとする。12:11 自分じぶんの田地でんちを耕たがやす者ものは食糧しょくりょうに飽あきる、無益むえきな事ことに従したがう者ものは知恵ちえがない。12:12 悪あしき者ものの堅固けんごなやぐらは崩壊ほうかいする、正ただしい人ひとの根ねは堅かたく立たつ。12:13 悪人あくにんはくちびるのとがによって、わなに陥おちいる、しかし正ただしい人ひとは悩なやみをのがれる。12:14 人ひとはその口くちの実みによって、幸福こうふくに満みち足たり、人ひとの手てのわざは、その人ひとの身みに帰かえる。12:15 愚おろかな人ひとの道みちは、自分じぶんの目めに正ただしく見みえる、しかし知恵ちえある者ものは勧すすめをいれる。12:16 愚おろかな人ひとは、すぐに怒いかりをあらわす、しかし賢かしこい人ひとは、はずかしめをも気きにとめない。12:17 真実しんじつを語かたる人ひとは正ただしい証言しょうげんをなし、偽いつわりの証人しょうにんは偽いつわりを言いう。12:18 つるぎをもって刺さすように、みだりに言葉ことばを出だす者ものがある、しかし知恵ちえある人ひとの舌したは人ひとをいやす。12:19 真実しんじつを言いうくちびるは、いつまでも保たもつ、偽いつわりを言いう舌したは、ただ、まばたきの間あいだだけである。12:20 悪あくをたくらむ者ものの心こころには欺あざむきがあり、善ぜんをはかる人ひとには喜よろこびがある。12:21 正ただしい人ひとにはなんの害悪がいあくも生しょうじない、しかし悪あしき者ものは災わざわいをもって満みたされる。12:22 偽いつわりを言いうくちびるは主しゅに憎にくまれ、真実しんじつを行おこなう者ものは彼かれに喜よろこばれる。12:23 さとき人ひとは知識ちしきをかくす、しかし愚おろかな者ものは自分じぶんの愚おろかなことをあらわす。12:24 勤つとめ働はたらく者ものの手てはついに人ひとを治おさめる、怠おこたる者ものは人ひとに仕つかえるようになる。12:25 心こころに憂うれいがあればその人ひとをかがませる、しかし親切しんせつな言葉ことばはその人ひとを喜よろこばせる。12:26 正ただしい人ひとは悪あくを離はなれ去さる、しかし悪あしき者ものは自みずから道みちに迷まよう。12:27 怠おこたる者ものは自分じぶんの獲物えものを捕とらえない、しかし勤つとめ働はたらく人ひとは尊たっとい宝たからを獲える。12:28 正義せいぎの道みちには命いのちがある、しかし誤あやまりの道みちは死しに至いたる。 第13章 13:1 知恵ちえある子こは父ちちの教訓きょうくんをきく、あざける者ものは、懲こらしめをきかない。13:2 善良ぜんりょうな人ひとはその口くちの実みによって、幸福こうふくを得える、不信実ふしんじつな者ものの願ねがいは、暴虐ぼうぎゃくである。13:3 口くちを守まもる者ものはその命いのちを守まもる、くちびるを大おおきく開ひらく者ものには滅ほろびが来くる。13:4 なまけ者ものの心こころは、願ねがい求もとめても、何なにも得えない、しかし勤つとめ働はたらく者ものの心こころは豊ゆたかに満みたされる。13:5 正ただしい人ひとは偽いつわりを憎にくむ、しかし悪あしき人ひとは恥はずべく、忌いまわしくふるまう。13:6 正義せいぎは道みちをまっすぐ歩あゆむ者ものを守まもり、罪つみは悪あしき者ものを倒たおす。13:7 富とんでいると偽いつわって、何なにも持もたない者ものがいる、貧まずしいと偽いつわって、多おおくの富とみを持もつ者ものがいる。13:8 人ひとの富とみはその命いのちをあがなう、しかし貧まずしい者ものにはあがなうべき富とみがない。13:9 正ただしい者ものの光ひかりは輝かがやき、悪あしき者もののともしびは消けされる。13:10 高たかぶりはただ争あらそいを生しょうじる、勧告かんこくをきく者ものは知恵ちえがある。13:11 急いそいで得えた富とみは減へる、少すこしずつたくわえる者ものはそれを増ますことができる。13:12 望のぞみを得えることが長ながびくときは、心こころを悩なやます、願ねがいがかなうときは、命いのちの木きを得えたようだ。13:13 み言葉ことばを軽かろんじる者ものは滅ほろぼされ、戒いましめを重おもんじる者ものは報むくいを得える。13:14 知恵ちえある人ひとの教おしえは命いのちの泉いずみである、これによって死しのわなをのがれることができる。13:15 善良ぜんりょうな賢かしこい者ものは恵めぐみを得える、しかし、不信実ふしんじつな者ものの道みちは滅ほろびである。13:16 おおよそ、さとき者ものは知識ちしきによって事ことをおこない、愚おろかな者ものは自分じぶんの愚ぐを見みせびらかす。13:17 悪あしき使者ししゃは人ひとを災わざわいにおとしいれる、しかし忠実ちゅうじつな使者ししゃは人ひとを救すくう。13:18 貧乏びんぼうと、はずかしめとは教訓きょうくんを捨すてる者ものに来くる、しかし戒いましめを守まもる者ものは尊たっとばれる。13:19 願ねがいがかなえば、心こころは楽たのしい、愚おろかな者ものは悪あくを捨すてることをきらう。13:20 知恵ちえある者ものとともに歩あゆむ者ものは知恵ちえを得える。愚おろかな者ものの友ともとなる者ものは害がいをうける。13:21 災わざわいは罪つみびとを追おい、正ただしい者ものは良よい報むくいを受うける。13:22 善良ぜんりょうな人ひとはその嗣し業ぎょうを子孫しそんにのこす、しかし罪つみびとの富とみは正ただしい人ひとのためにたくわえられる。13:23 貧まずしい人ひとの新田しんでんは多おおくの食糧しょくりょうを産さんする、しかし不正ふせいによれば押おし流ながされる。13:24 むちを加くわえない者ものはその子こを憎にくむのである、子こを愛あいする者ものは、つとめてこれを懲こらしめる。13:25 正ただしい者ものは食たべてその食欲しょくよくを満みたす、しかし悪あしき者ものの腹はらは満みたされない。 第14章 14:1 知恵ちえはその家いえを建たて、愚おろかさは自分じぶんの手てでそれをこわす。14:2 まっすぐに歩あゆむ者ものは主しゅを恐おそれる、曲まがって歩あゆむ者ものは主しゅを侮あなどる。14:3 愚おろかな者ものの言葉ことばは自分じぶんの背せにむちを当あてる、知恵ちえある者もののくちびるはその身みを守まもる。14:4 牛うしがなければ穀物こくもつはない、牛うしの力ちからによって農作物のうさくもつは多おおくなる。14:5 真実しんじつな証人しょうにんはうそをいわない、偽いつわりの証人しょうにんはうそをつく。14:6 あざける者ものは知恵ちえを求もとめても得えられない、さとき者ものは知識ちしきを得えることがたやすい。14:7 愚おろかな者ものの前まえを離はなれ去され、そこには知識ちしきの言葉ことばがないからである。14:8 さとき者ものの知恵ちえは自分じぶんの道みちをわきまえることにあり、愚おろかな者ものの愚おろかは、欺あざむくことにある。14:9 神かみは悪あしき者ものをあざけられる、正ただしい者ものは、その恵めぐみを受うける。14:10 心こころの苦くるしみは心こころみずからが知しる、その喜よろこびには他人たにんはあずからない。14:11 悪あしき者ものの家いえは滅ほろぼされ、正ただしい者ものの幕屋まくやは栄さかえる。14:12 人ひとが見みて自みずから正ただしいとする道みちでも、その終おわりはついに死しに至いたる道みちとなるものがある。14:13 笑わらう時ときにも心こころに悲かなしみがあり、喜よろこびのはてに憂うれいがある。14:14 心こころのもとれる者ものはそのしわざの実みを刈かり取とり、善良ぜんりょうな人ひともまたその行おこないの実みを刈かり取とる。14:15 思慮しりょのない者ものはすべてのことを信しんじる、さとき者ものは自分じぶんの歩あゆみを慎つつしむ。14:16 知恵ちえある者ものは用心ようじんぶかく、悪あくを離はなれる、愚おろかな者ものは高たかぶって用心ようじんしない。14:17 怒いかりやすい者ものは愚おろかなことを行おこない、賢かしこい者ものは忍耐にんたい強づよい。14:18 思慮しりょのない者ものは愚おろかなことを自分じぶんのものとする、さとき者ものは知識ちしきをもって冠かんむりとする。14:19 悪人あくにんは善人ぜんにんの前まえにひれ伏ふし、悪あしき者ものは正ただしい者ものの門もんにひれ伏ふす。14:20 貧まずしい者ものはその隣となりにさえも憎にくまれる、しかし富とめる者ものは多おおくの友ともをもつ。14:21 隣となり人びとを卑いやしめる者ものは罪つみびとである、貧まずしい人ひとをあわれむ者ものはさいわいである。14:22 悪あくを計はかる者ものはおのれを誤あやまるではないか、善ぜんを計はかる者ものにはいつくしみと、まこととがある。14:23 すべての勤労きんろうには利益りえきがある、しかし口先くちさきだけの言葉ことばは貧乏びんぼうをきたらせるだけだ。14:24 知恵ちえある者ものの冠かんむりはその知恵ちえである、愚おろかな者ものの花はなの冠かんむりはただ愚おろかさである。14:25 まことの証人しょうにんは人ひとの命いのちを救すくう、偽いつわりを吐はく者ものは裏うら切ぎり者ものである。14:26 主しゅを恐おそれることによって人ひとは安心あんしんを得え、その子こらはのがれ場ばを得える。14:27 主しゅを恐おそれることは命いのちの泉いずみである、人ひとを死しのわなからのがれさせる。14:28 王おうの栄さかえは民たみの多おおいことにあり、君きみの滅ほろびは民たみを失うしなうことにある。14:29 怒いかりをおそくする者ものは大おおいなる悟さとりがあり、気きの短みじかい者ものは愚おろかさをあらわす。14:30 穏おだやかな心こころは身みの命いのちである、しかし興奮こうふんは骨ほねを腐くさらせる。14:31 貧まずしい者ものをしえたげる者ものはその つくり主ぬしを侮あなどる、乏とぼしい者ものをあわれむ者ものは、主しゅをうやまう。14:32 悪あしき者ものはその悪あしき行おこないによって滅ほろぼされ、正ただしい者ものはその正ただしきによって、のがれ場ばを得える。14:33 知恵ちえはさとき者ものの心こころにとどまり、愚おろかな者ものの心こころに知しられない。14:34 正義せいぎは国くにを高たかくし、罪つみは民たみをはずかしめる。14:35 賢かしこいしもべは王おうの恵めぐみをうけ、恥はじをきたらす者ものはその怒いかりにあう。 第15章 15:1 柔やわらかい答こたえは憤いきどおりをとどめ、激はげしい言葉ことばは怒いかりをひきおこす。15:2 知恵ちえある者ものの舌したは知識ちしきをわかち与あたえ、愚おろかな者ものの口くちは愚おろかを吐はき出だす。15:3 主しゅの目めはどこにでもあって、悪人あくにんと善人ぜんにんとを見張みはっている。15:4 優やさしい舌したは命いのちの木きである、乱暴らんぼうな言葉ことばは魂たましいを傷きずつける。15:5 愚おろかな者ものは父ちちの教訓きょうくんを軽かろんじる、戒いましめを守まもる者ものは賢かしこい者ものである。15:6 正ただしい者ものの家いえには多おおくの宝たからがある、悪あしき者ものの所得しょとくには煩わずらいがある。15:7 知恵ちえある者もののくちびるは知識ちしきをひろめる、愚おろかな者ものの心こころはそうでない。15:8 悪あしき者ものの供そなえ物ものは主しゅに憎にくまれ、正ただしい者ものの祈いのりは彼かれに喜よろこばれる。15:9 悪あしき者ものの道みちは主しゅに憎にくまれ、正義せいぎを求もとめる者ものは彼かれに愛あいせられる。15:10 道みちを捨すてる者ものには、きびしい懲こらしめがあり、戒いましめを憎にくむ者ものは死しに至いたる。15:11 陰府よみと滅ほろびとは主しゅの目めの前まえにあり、人ひとの心こころはなおさらである。15:12 あざける者ものは戒いましめられることを好このまない、また知恵ちえある者ものに近ちかづかない。15:13 心こころに楽たのしみがあれば顔色かおいろも喜よろこばしい、心こころに憂うれいがあれば気きはふさぐ。15:14 さとき者ものの心こころは知識ちしきをたずね、愚おろかな者ものの口くちは愚おろかさを食物しょくもつとする。15:15 悩なやんでいる者ものの日々ひびはことごとくつらく、心こころの楽たのしい人ひとは常つねに宴会えんかいをもつ。15:16 少すこしの物ものを所有しょゆうして主しゅを恐おそれるのは、多おおくの宝たからをもって苦く労ろうするのにまさる。15:17 野菜やさいを食たべて互たがいに愛あいするのは、肥こえた牛うしを食たべて互たがいに憎にくむのにまさる。15:18 憤いきどおりやすい者ものは争あらそいをおこし、怒いかりをおそくする者ものは争あらそいをとどめる。15:19 なまけ者ものの道みちには、いばらがはえしげり、正ただしい者ものの道みちは平たいらかである。15:20 知恵ちえある子こは父ちちを喜よろこばせる、愚おろかな人ひとはその母ははを軽かろんじる。15:21 無知むちな者ものは愚おろかなことを喜よろこび、さとき者ものはまっすぐに歩あゆむ。15:22 相あいはかることがなければ、計画けいかくは破やぶれる、はかる者ものが多おおければ、それは必かならず成なる。15:23 人ひとは口くちから出でる好このましい答こたえによって喜よろこびを得える、時ときにかなった言葉ことばは、いかにも良よいものだ。15:24 知恵ちえある人ひとの道みちは上のぼって命いのちに至いたる、こうしてその人ひとは下したにある陰府よみを離はなれる。15:25 主しゅは高たかぶる者ものの家いえを滅ほろぼし、やもめの地境じざかいを定さだめられる。15:26 悪人あくにんの計はかりごとは主しゅに憎にくまれ、潔白けっぱくな人ひとの言葉ことばは彼かれに喜よろこばれる。15:27 不正ふせいな利りをむさぼる者ものはその家いえを煩わずらわせる、まいないを憎にくむ者ものは生いきながらえる。15:28 正ただしい者ものの心こころは答こたえるべきことを考かんがえる、悪あしき者ものの口くちは悪あくを吐はき出だす。15:29 主しゅは悪あしき者ものに遠とおざかり、正ただしい者ものの祈いのりを聞きかれる。15:30 目めの光ひかりは心こころを喜よろこばせ、よい知しらせは骨ほねを潤うるおす。15:31 ためになる戒いましめを聞きく耳みみをもつ者ものは、知恵ちえある者ものの中なかにとどまる。15:32 教訓きょうくんを捨すてる者ものはおのれの命いのちを軽かろんじ、戒いましめを重おもんじる者ものは悟さとりを得える。15:33 主しゅを恐おそれることは知恵ちえの教訓きょうくんである、謙遜けんそんは、栄誉えいよに先さきだつ。
2:1 わが子こよ、もしあなたがわたしの言葉ことばを受うけ、わたしの戒いましめを、あなたの心こころにおさめ、
2:2 あなたの耳みみを知恵ちえに傾かたむけ、あなたの心こころを悟さとりに向むけ、
2:3 しかも、もし知識ちしきを呼よび求もとめ、悟さとりを得えようと、あなたの声こえをあげ、
2:4 銀ぎんを求もとめるように、これを求もとめ、かくれた宝たからを尋たずねるように、これを尋たずねるならば、
2:5 あなたは、主しゅを恐おそれることを悟さとり、神かみを知しることができるようになる。
2:6 これは、主しゅが知恵ちえを与あたえ、知識ちしきと悟さとりとは、み口くちから出でるからである。
2:7 彼かれは正ただしい人ひとのために、確たしかな知恵ちえをたくわえ、誠実せいじつに歩あゆむ者ものの盾たてとなって、
2:8 公正こうせいの道みちを保たもち、その聖徒せいとたちの道筋みちすじを守まもられる。
2:9 そのとき、あなたは、ついに正義せいぎと公正こうせい、公平こうへいとすべての良よい道みちを悟さとる。
2:10 これは知恵ちえが、あなたの心こころにはいり、知識ちしきがあなたの魂たましいに楽たのしみとなるからである。
2:11 慎つつしみはあなたを守まもり、悟さとりはあなたを保たもって、
2:12 悪あくの道みちからあなたを救すくい、偽いつわりをいう者ものから救すくう。
2:13 彼かれらは正ただしい道みちを離はなれて、暗くらい道みちに歩あゆみ、
2:14 悪あくを行おこなうことを楽たのしみ、悪人あくにんの偽いつわりを喜よろこび、
2:15 その道みちは曲まがり、その行おこないは、よこしまである。
2:16 慎つつしみと悟さとりはまたあなたを遊女ゆうじょから救すくい、言葉ことばの巧たくみな、みだらな女おんなから救すくう。
2:17 彼女かのじょは若わかい時ときの友ともを捨すて、その神かみに契約けいやくしたことを忘わすれている。
2:18 その家いえは死しに下くだり、その道みちは陰府よみにおもむく。
2:19 すべて彼女かのじょのもとへ行いく者ものは、帰かえらない、また命いのちの道みちにいたらない。
2:20 こうして、あなたは善良ぜんりょうな人々ひとびとの道みちに歩あゆみ、正ただしい人々ひとびとの道みちを守まもることができる。
2:21 正ただしい人ひとは地ちにながらえ、誠実せいじつな人ひとは地ちにとどまる。
2:22 しかし悪あしき者ものは地ちから断たち滅ほろぼされ、不信実ふしんじつな者ものは地ちから抜ぬき捨すてられる。
第3章 3:1 わが子こよ、わたしの教おしえを忘わすれず、わたしの戒いましめを心こころにとめよ。3:2 そうすれば、これはあなたの日ひを長ながくし、命いのちの年としを延のべ、あなたに平安へいあんを増まし加くわえる。3:3 いつくしみと、まこととを捨すててはならない、それをあなたの首くびに結むすび、心こころの碑ひにしるせ。3:4 そうすれば、あなたは神かみと人ひととの前まえに恵めぐみと、誉ほまれとを得える。3:5 心こころをつくして主しゅに信頼しんらいせよ、自分じぶんの知識ちしきにたよってはならない。3:6 すべての道みちで主しゅを認みとめよ、そうすれば、主しゅはあなたの道みちをまっすぐにされる。3:7 自分じぶんを見みて賢かしこいと思おもってはならない、主しゅを恐おそれて、悪あくを離はなれよ。3:8 そうすれば、あなたの身みを健すこやかにし、あなたの骨ほねに元気げんきを与あたえる。3:9 あなたの財産ざいさんと、すべての産物さんぶつの初はつなりをもって主しゅをあがめよ。3:10 そうすれば、あなたの倉くらは満みちて余あまり、あなたの酒さかぶねは新あたらしい酒さけであふれる。3:11 わが子こよ、主しゅの懲こらしめを軽かろんじてはならない、その戒いましめをきらってはならない。3:12 主しゅは、愛あいする者ものを、戒いましめられるからである、あたかも父ちちがその愛あいする子こを戒いましめるように。 3:13 知恵ちえを求もとめて得える人ひと、悟さとりを得える人ひとはさいわいである。3:14 知恵ちえによって得えるものは、銀ぎんによって得えるものにまさり、その利益りえきは精せい金きんよりも良よいからである。3:15 知恵ちえは宝石ほうせきよりも尊たっとく、あなたの望のぞむ何なに物ものも、これと比くらべるに足たりない。3:16 その右みぎの手てには長寿ちょうじゅがあり、左ひだりの手てには富とみと、誉ほまれがある。3:17 その道みちは楽たのしい道みちであり、その道みち筋すじはみな平安へいあんである。3:18 知恵ちえは、これを捕とらえる者ものには命いのちの木きである、これをしっかり捕とらえる人ひとはさいわいである。3:19 主しゅは知恵ちえをもって地ちの基もといをすえ、悟さとりをもって天てんを定さだめられた。3:20 その知識ちしきによって海うみはわきいで、雲くもは露つゆをそそぐ。 3:21 わが子こよ、確たしかな知恵ちえと、慎つつしみとを守まもって、それをあなたの目めから離はなしてはならない。3:22 それはあなたの魂たましいの命いのちとなりあなたの首くびの飾かざりとなる。3:23 こうして、あなたは安やすらかに自分じぶんの道みちを行いき、あなたの足あしはつまずくことがない。3:24 あなたは座ざしているとき、恐おそれることはなく、伏ふすとき、あなたの眠ねむりはここちよい。3:25 あなたはにわかに起おこる恐怖きょうふを恐おそれることなく、悪あしき者ものの滅ほろびが来きても、それを恐おそれることはない。3:26 これは、主しゅがあなたの信頼しんらいする者ものであり、あなたの足あしを守まもって、わなに捕とらわれさせられないからである。3:27 あなたの手てに善ぜんをなす力ちからがあるならば、これをなすべき人ひとになすことをさし控ひかえてはならない。3:28 あなたが物ものを持もっている時とき、その隣となり人びとに向むかい、「去さって、また来きなさい。あす、それをあげよう」と言いってはならない。3:29 あなたの隣となり人びとがかたわらに安やすらかに住すんでいる時とき、これに向むかって、悪あくを計はかってはならない。3:30 もし人ひとがあなたに悪あくを行おこなったのでなければ、ゆえなく、これと争あらそってはならない。3:31 暴虐ぼうぎゃくな人ひとを、うらやんではならない、そのすべての道みちを選えらんではならない。3:32 よこしまな者ものは主しゅに憎にくまれるからである、しかし、正ただしい者ものは主しゅに信任しんにんされる。3:33 主しゅの、のろいは悪あしき者ものの家いえにある、しかし、正ただしい人ひとのすまいは主しゅに恵めぐまれる。3:34 彼かれはあざける者ものをあざけり、へりくだる者ものに恵めぐみを与あたえられる。3:35 知恵ちえある者ものは、誉ほまれを得える、しかし、愚おろかな者ものははずかしめを得える。 第4章 4:1 子供こどもらよ、父ちちの教おしえを聞きき、悟さとりを得えるために耳みみを傾かたむけよ。4:2 わたしは、良よい教訓きょうくんを、あなたがたにさずける。わたしの教おしえを捨すててはならない。4:3 わたしもわが父ちちには子こであり、わが母ははの目めには、ひとりのいとし子こであった。4:4 父ちちはわたしを教おしえて言いった、「わたしの言葉ことばを、心こころに留とめ、わたしの戒いましめを守まもって、命いのちを得えよ。4:5 それを忘わすれることなく、またわが口くちの言葉ことばにそむいてはならない、知恵ちえを得えよ、悟さとりを得えよ。4:6 知恵ちえを捨すてるな、それはあなたを守まもる。それを愛あいせよ、それはあなたを保たもつ。4:7 知恵ちえの初はじめはこれである、知恵ちえを得えよ、あなたが何なにを得えるにしても、悟さとりを得えよ。4:8 それを尊たっとべ、そうすれば、それはあなたを高たかくあげる、もしそれをいだくならば、それはあなたを尊たっとくする。4:9 それはあなたの頭あたまに麗うるわしい飾かざりを置おき、栄さかえの冠かんむりをあなたに与あたえる」。 4:10 わが子こよ、聞きけ、わたしの言葉ことばをうけいれよ、そうすれば、あなたの命いのちの年としは多おおくなる。4:11 わたしは知恵ちえの道みちをあなたに教おしえ、正ただしい道筋みちすじにあなたを導みちびいた。4:12 あなたが歩あるくとき、その歩あゆみは妨さまたげられず、走はしる時ときにも、つまずくことはない。4:13 教訓きょうくんをかたくとらえて、離はなしてはならない、それを守まもれ、それはあなたの命いのちである。4:14 よこしまな者ものの道みちに、はいってはならない、悪あしき者ものの道みちを歩あゆんではならない。4:15 それを避さけよ、通とおってはならない、それを離はなれて進すすめ。4:16 彼かれらは悪あくを行おこなわなければ眠ねむることができず、人ひとをつまずかせなければ、寝ねることができず、4:17 不正ふせいのパンを食くらい、暴虐ぼうぎゃくの酒さけを飲のむからである。4:18 正ただしい者ものの道みちは、夜明よあけの光ひかりのようだ、いよいよ輝かがやきを増まして真昼まひるとなる。4:19 悪あしき人ひとの道みちは暗くらやみのようだ、彼かれらは何なににつまずくかを知しらない。 4:20 わが子こよ、わたしの言葉ことばに心こころをとめ、わたしの語かたることに耳みみを傾かたむけよ。4:21 それを、あなたの目めから離はなさず、あなたの心こころのうちに守まもれ。4:22 それは、これを得える者ものの命いのちであり、またその全身ぜんしんを健すこやかにするからである。4:23 油断ゆだんすることなく、あなたの心こころを守まもれ、命いのちの泉いずみは、これから流ながれ出でるからである。4:24 曲まがった言葉ことばをあなたから捨すてさり、よこしまな談話だんわをあなたから遠とおざけよ。4:25 あなたの目めは、まっすぐに正面しょうめんを見み、あなたのまぶたはあなたの前まえを、まっすぐに見みよ。4:26 あなたの足あしの道みちに気きをつけよ、そうすれば、あなたのすべての道みちは安全あんぜんである。4:27 右みぎにも左ひだりにも迷まよい出でてはならない、あなたの足あしを悪あくから離はなれさせよ。 第5章 5:1 わが子こよ、わたしの知恵ちえに心こころをとめ、わたしの悟さとりに耳みみをかたむけよ。5:2 これは、あなたが慎つつしみを守まもり、あなたのくちびるに知識ちしきを保たもつためである。5:3 遊女ゆうじょのくちびるは蜜みつをしたたらせ、その言葉ことばは油あぶらよりもなめらかである。5:4 しかしついには、彼女かのじょはにがよもぎのように苦にがく、もろ刃はのつるぎのように鋭するどくなる。5:5 その足あしは死しに下くだり、その歩あゆみは陰府よみの道みちにおもむく。5:6 彼女かのじょはいのちの道みちに心こころをとめず、その道みちは人ひとを迷まよわすが、彼女かのじょはそれを知しらない。 5:7 子供こどもらよ、今いまわたしの言いうことを聞きけ、わたしの口くちの言葉ことばから、離はなれ去さってはならない。5:8 あなたの道みちを彼女かのじょから遠とおく離はなし、その家いえの門もんに近ちかづいてはならない。5:9 おそらくはあなたの誉ほまれを他人たにんにわたし、あなたの年としを無慈悲むじひな者ものにわたすに至いたる。5:10 おそらくは他人たにんがあなたの資産しさんによって満みたされ、あなたの労苦ろうくは他人たにんの家いえに行いく。5:11 そしてあなたの終おわりが来きて、あなたの身みと、からだが滅ほろびるとき、泣なき悲かなしんで、5:12 言いうであろう、「わたしは教訓きょうくんをいとい、心こころに戒いましめを軽かろんじ、5:13 教師きょうしの声こえに聞きき従したがわず、わたしを教おしえる者ものに耳みみを傾かたむけず、5:14 集あつまりの中なか、会衆かいしゅうのうちにあって、わたしは、破滅はめつに陥おちいりかけた」と。5:15 あなたは自分じぶんの水みずためから水みずを飲のみ、自分じぶんの井戸いどから、わき出です水みずを飲のむがよい。5:16 あなたの泉いずみを、外そとにまきちらし、水みずの流ながれを、ちまたに流ながしてよかろうか。5:17 それを自分じぶんだけのものとし、他人たにんを共ともにあずからせてはならない。5:18 あなたの泉いずみに祝福しゅくふくを受うけさせ、あなたの若わかい時ときの妻つまを楽たのしめ。5:19 彼女かのじょは愛あいらしい雌めじか、美うつくしいしかのようだ。いつも、その乳ちぶさをもって満足まんぞくし、その愛あいをもって常つねに喜よろこべ。5:20 わが子こよ、どうして遊女ゆうじょに迷まよい、みだらな女おんなの胸むねをいだくのか。5:21 人ひとの道みちは主しゅの目めの前まえにあり、主しゅはすべて、その行おこないを見守みまもられる。5:22 悪あしき者ものは自分じぶんのとがに捕とらえられ、自分じぶんの罪つみのなわにつながれる。5:23 彼かれは、教訓きょうくんがないために死しに、その愚おろかさの大おおきいことによって滅ほろびる。 第6章 6:1 わが子こよ、あなたがもし隣となり人びとのために保証人ほしょうにんとなり、他人たにんのために手てをうって誓ちかったならば、6:2 もしあなたのくちびるの言葉ことばによって、わなにかかり、あなたの口くちの言葉ことばによって捕とらえられたならば、6:3 わが子こよ、その時ときはこうして、おのれを救すくえ、あなたは隣となり人びとの手てに陥おちいったのだから。急いそいで行いって、隣となり人びとにひたすら求もとめよ。6:4 あなたの目めを眠ねむらせず、あなたのまぶたを、まどろませず、6:5 かもしかが、かりゅうどの手てからのがれるように、鳥とりが鳥とりを取とる者ものの手てからのがれるように、おのれを救すくえ。 6:6 なまけ者ものよ、ありのところへ行いき、そのすることを見みて、知恵ちえを得えよ。6:7 ありは、かしらなく、つかさなく、王おうもないが、6:8 夏なつのうちに食物しょくもつをそなえ、刈入かりいれの時ときに、かてを集あつめる。6:9 なまけ者ものよ、いつまで寝ねているのか、いつ目めをさまして起おきるのか。6:10 しばらく眠ねむり、しばらくまどろみ、手てをこまぬいて、またしばらく休やすむ。6:11 それゆえ、貧まずしさは盗ぬすびとのようにあなたに来きたり、乏とぼしさは、つわもののようにあなたに来くる。6:12 よこしまな人ひと、悪あしき人ひとは偽いつわりの言葉ことばをもって行いきめぐり、6:13 目めでめくばせし、足あしで踏ふみ鳴ならし、指ゆびで示しめし、6:14 よこしまな心こころをもって悪あくを計はかり、絶たえず争あらそいをおこす。6:15 それゆえ、災わざわいは、にわかに彼かれに臨のぞみ、たちまちにして打うち敗やぶられ、助たすかることはない。 6:16 主しゅの憎にくまれるものが六つある、否いな、その心こころに、忌いみきらわれるものが七つある。6:17 すなわち、高たかぶる目め、偽いつわりを言いう舌した、罪つみなき人ひとの血ちを流ながす手て、6:18 悪あしき計はかりごとをめぐらす心こころ、すみやかに悪あくに走はしる足あし、6:19 偽いつわりをのべる証人しょうにん、また兄弟きょうだいのうちに争あらそいをおこす人ひとがこれである。 6:20 わが子こよ、あなたの父ちちの戒いましめを守まもり、あなたの母ははの教おしえを捨すてるな。6:21 つねに、これをあなたの心こころに結むすび、あなたの首くびのまわりにつけよ。6:22 これは、あなたが歩あるくとき、あなたを導みちびき、あなたが寝ねるとき、あなたを守まもり、あなたが目めざめるとき、あなたと語かたる。6:23 戒いましめはともしびである、教おしえは光ひかりである、教訓きょうくんの懲こらしめは命いのちの道みちである。6:24 これは、あなたを守まもって、悪わるい女おんなに近ちかづかせず、みだらな女おんなの、巧たくみな舌したに惑まどわされぬようにする。6:25 彼女かのじょの麗うるわしさを心こころに慕したってはならない、そのまぶたに捕とらえられてはならない。6:26 遊女ゆうじょは一いっ塊かいのパンのために雇やとわれる、しかし、みだらな女おんなは人ひとの尊たっとい命いのちを求もとめる。6:27 人ひとは火ひを、そのふところにいだいてその着物きものが焼やかれないであろうか。6:28 また人ひとは、熱あつい火ひを踏ふんで、その足あしが、焼やかれないであろうか。6:29 その隣となりの妻つまと不義ふぎを行おこなう者ものも、それと同おなじだ。すべて彼女かのじょに触ふれる者ものは罰ばつを免まぬかれることはできない。6:30 盗ぬすびとが飢うえたとき、その飢うえを満みたすために盗ぬすむならば、人ひとは彼かれを軽かろんじないであろうか。6:31 もし捕とらえられたなら、その七倍ばいを償つぐない、その家いえの貨か財ざいを、ことごとく出ださなければならない。6:32 女おんなと姦淫かんいんを行おこなう者ものは思慮しりょがない。これを行おこなう者ものはおのれを滅ほろぼし、6:33 傷きずと、はずかしめとを受うけて、その恥はじをすすぐことができない。6:34 ねたみは、その夫おっとを激はげしく怒いからせるゆえ、恨うらみを報むくいるとき、容赦ようしゃすることはない。6:35 どのようなあがない物ものをも顧かえりみず、多おおくの贈おくり物ものをしても、和やわらがない。 第7章 7:1 わが子こよ、わたしの言葉ことばを守まもり、わたしの戒いましめをあなたの心こころにたくわえよ。7:2 わたしの戒いましめを守まもって命いのちを得えよ、わたしの教おしえを守まもること、ひとみを守まもるようにせよ。7:3 これをあなたの指ゆびにむすび、これをあなたの心こころの碑いしぶみにしるせ。7:4 知恵ちえに向むかって、「あなたはわが姉妹しまいだ」と言いい、悟さとりに向むかっては、あなたの友ともと呼よべ。7:5 そうすれば、これはあなたを守まもって遊女ゆうじょに迷まよわせず、言葉ことば巧たくみな、みだらな女おんなに近ちかづかせない。7:6 わたしはわが家いえの窓まどにより、格子こうし窓まどから外そとをのぞいて、7:7 思慮しりょのない者もののうちに、若わかい者もののうちに、ひとりの知恵ちえのない若者わかもののいるのを見みた。7:8 彼かれはちまたを過すぎ、女おんなの家いえに行いく曲まがりかどに近ちかづき、その家いえに行いく道みちを、7:9 たそがれに、よいに、また夜中よなかに、また暗くらやみに歩あるいていった。7:10 見みよ、遊女ゆうじょの装よそおいをした陰険いんけんな女おんなが彼かれに会あう。7:11 この女おんなは、騒さわがしくて、慎つつしみなく、その足あしは自分じぶんの家いえにとどまらず、7:12 ある時ときはちまたにあり、ある時ときは市場いちばにあり、すみずみに立たって人ひとをうかがう。7:13 この女おんなは彼かれを捕とらえて口くちづけし、恥はじしらぬ顔かおで彼かれに言いう、7:14 「わたしは酬恩祭しゅうおんさいをささげなければならなかったが、きょう、その誓ちかいを果はたしました。7:15 それでわたしはあなたを迎むかえようと出でて、あなたを尋たずね、あなたに会あいました。7:16 わたしは床とこに美うつくしい、しとねと、エジプトのあや布ぬのを敷しき、7:17 没薬もつやく、ろかい、桂皮けいひをもってわたしの床とこをにおわせました。7:18 さあ、わたしたちは夜よるが明あけるまで、情じょうをつくし、愛あいをかわして楽たのしみましょう。7:19 夫おっとは家いえにいません、遠とおくへ旅立たびだち、7:20 手てに金かね袋ぶくろを持もって出でました。満月まんげつになるまでは帰かえりません」と。7:21 女おんなが多おおくの、なまめかしい言葉ことばをもって彼かれを惑まどわし、巧たくみなくちびるをもって、いざなうと、7:22 若わかい人ひとは直ただちに女おんなに従したがった、あたかも牛うしが、ほふり場ばに行いくように、雄おじかが、すみやかに捕とらえられ、7:23 ついに、矢やがその内臓ないぞうを突つき刺さすように、鳥とりがすみやかに網あみにかかるように、彼かれは自分じぶんが命いのちを失うしなうようになることを知しらない。 7:24 子供こどもらよ、今いまわたしの言いうことを聞きき、わが口くちの言葉ことばに耳みみを傾かたむけよ。7:25 あなたの心こころを彼女かのじょの道みちに傾かたむけてはならない、またその道みちに迷まよってはならない。7:26 彼女かのじょは多おおくの人ひとを傷きずつけて倒たおした、まことに、彼女かのじょに殺ころされた者ものは多おおい。7:27 その家いえは陰府よみへ行いく道みちであって、死しのへやへ下くだって行いく。 第8章 8:1 知恵ちえは呼よばわらないのか、悟さとりは声こえをあげないのか。8:2 これは道みちのほとりの高たかい所ところの頂いただき、また、ちまたの中なかに立たち、8:3 町まちの入口いりぐちにあるもろもろの門もんのかたわら、正門せいもんの入口いりぐちで呼よばわって言いう、8:4 「人々ひとびとよ、わたしはあなたがたに呼よばわり、声こえをあげて人ひとの子こらを呼よぶ。8:5 思慮しりょのない者ものよ、悟さとりを得えよ、愚おろかな者ものよ、知恵ちえを得えよ。8:6 聞きけ、わたしは高貴こうきな事ことを語かたり、わがくちびるは正ただしい事ことを語かたり出だす。8:7 わが口くちは真実しんじつを述のべ、わがくちびるは悪あしき事ことを憎にくむ。8:8 わが口くちの言葉ことばはみな正ただしい、そのうちに偽いつわりと、よこしまはない。8:9 これはみな、さとき者ものの明あきらかにするところ、知識ちしきを得える者ものの正ただしとするところである。8:10 あなたがたは銀ぎんを受うけるよりも、わたしの教おしえを受うけよ、精せい金きんよりも、むしろ知識ちしきを得えよ。8:11 知恵ちえは宝石ほうせきにまさり、あなたがたの望のぞむすべての物ものは、これと比くらべるにたりない。8:12 知恵ちえであるわたしは悟さとりをすみかとし、知識ちしきと慎つつしみとをもつ。8:13 主しゅを恐おそれるとは悪あくを憎にくむことである。わたしは高たかぶりと、おごりと、悪あしき道みちと、偽いつわりの言葉ことばとを憎にくむ。8:14 計はかりごとと、確たしかな知恵ちえとは、わたしにある、わたしには悟さとりがあり、わたしには力ちからがある。8:15 わたしによって、王おうたる者ものは世よを治おさめ、君きみたる者ものは正ただしい定さだめを立たてる。8:16 わたしによって、主しゅたる者ものは支配しはいし、つかさたる者ものは地ちを治おさめる。8:17 わたしは、わたしを愛あいする者ものを愛あいする、わたしをせつに求もとめる者ものは、わたしに出会であう。8:18 富とみと誉ほまれとはわたしにあり、すぐれた宝たからと繁栄はんえいもまたそうである。8:19 わたしの実みは金きんよりも精せい金きんよりも良よく、わたしの産物さんぶつは精せい銀ぎんにまさる。8:20 わたしは正義せいぎの道みち、公正こうせいな道筋みちすじの中なかを歩あゆみ、8:21 わたしを愛あいする者ものに宝たからを得えさせ、またその倉くらを満みちさせる。 8:22 主しゅが昔むかしそのわざをなし始はじめられるとき、そのわざの初はじめとして、わたしを造つくられた。8:23 いにしえ、地ちのなかった時とき、初はじめに、わたしは立たてられた。8:24 まだ海うみもなく、また大おおいなる水みずの泉いずみもなかった時とき、わたしはすでに生うまれ、8:25 山やまもまだ定さだめられず、丘おかもまだなかった時とき、わたしはすでに生うまれた。8:26 すなわち神かみがまだ地ちをも野のをも、地ちのちりのもとをも造つくられなかった時ときである。8:27 彼かれが天てんを造つくり、海うみのおもてに、大空おおぞらを張はられたとき、わたしはそこにあった。8:28 彼かれが上うえに空そらを堅かたく立たたせ、淵ふちの泉いずみをつよく定さだめ、8:29 海うみにその限界げんかいをたて、水みずにその岸きしを越こえないようにし、また地ちの基もといを定さだめられたとき、8:30 わたしは、そのかたわらにあって、名 めいしょうとなり、日々ひびに喜よろこび、常つねにその前まえに楽たのしみ、8:31 その地ちで楽たのしみ、また世よの人ひとを喜よろこんだ。 8:32 それゆえ、子供こどもらよ、今いまわたしの言いうことを聞きけ、わたしの道みちを守まもる者ものはさいわいである。8:33 教訓きょうくんを聞きいて、知恵ちえを得えよ、これを捨すててはならない。8:34 わたしの言いうことを聞きき、日々ひびわたしの門もんのかたわらでうかがい、わたしの戸口とぐちの柱はしらのわきで待まつ人ひとはさいわいである。8:35 それは、わたしを得える者ものは命いのちを得え、主しゅから恵めぐみを得えるからである。8:36 わたしを失うしなう者ものは自分じぶんの命いのちをそこなう、すべてわたしを憎にくむ者ものは死しを愛あいする者ものである」。 第9章 9:1 知恵ちえは自分じぶんの家いえを建たて、その七つの柱はしらを立たて、9:2 獣けものをほふり、酒さけを混まぜ合あわせて、ふるまいを備そなえ、9:3 はしためをつかわして、町まちの高たかい所ところで呼よばわり言いわせた、9:4 「思慮しりょのない者ものよ、ここに来きたれ」と。また、知恵ちえのない者ものに言いう、9:5 「来きて、わたしのパンを食たべ、わたしの混まぜ合あわせた酒さけをのみ、9:6 思慮しりょのないわざを捨すてて命いのちを得え、悟さとりの道みちを歩あゆめ」と。 9:7 あざける者ものを戒いましめる者ものは、自みずから恥はじを得え、悪あしき者ものを責せめる者ものは自みずから傷きずを受うける。9:8 あざける者ものを責せめるな、おそらく彼かれはあなたを憎にくむであろう。知恵ちえある者ものを責せめよ、彼かれはあなたを愛あいする。9:9 知恵ちえある者ものに教訓きょうくんを授さづけよ、彼かれはますます知恵ちえを得える。正ただしい者ものを教おしえよ、彼かれは学がくに進すすむ。9:10 主しゅを恐おそれることは知恵ちえのもとである、聖せいなる者ものを知しることは、悟さとりである。9:11 わたしによって、あなたの日ひは多おおくなり、あなたの命いのちの年としは増ます。9:12 もしあなたに知恵ちえがあるならば、あなた自身じしんのために知恵ちえがあるのである。もしあなたがあざけるならば、あなたひとりがその責せめを負おうことになる。 9:13 愚おろかな女おんなは、騒さわがしく、みだらで、恥はじを知しらない。9:14 彼女かのじょはその家いえの戸口とぐちに座ざし、町まちの高たかい所ところにある座ざにすわり、9:15 道みちを急いそぐ行いき来きの人ひとを招まねいて言いう、9:16 「思慮しりょのない者ものよ、ここに来きたれ」と。また知恵ちえのない人ひとに向むかってこれに言いう、9:17 「盗ぬすんだ水みずは甘あまく、ひそかに食たべるパンはうまい」と。9:18 しかしその人ひとは、死しの影かげがそこにあることを知しらず、彼女かのじょの客きゃくは陰府よみの深ふかみにおることを知しらない。 第10章 10:1 ソロモンの箴言しんげん。知恵ちえある子こは父ちちを喜よろこばせ、愚おろかな子こは母ははの悲かなしみとなる。10:2 不義ふぎの宝たからは益えきなく、正義せいぎは人ひとを救すくい出だして、死しを免まぬかれさせる。10:3 主しゅは正ただしい人ひとを飢うえさせず、悪あしき者ものの欲望よくぼうをくじかれる。10:4 手てを動うごかすことを怠おこたる者ものは貧まずしくなり、勤つとめ働はたらく者ものの手ては富とみを得える。10:5 夏なつのうちに集あつめる者ものは賢かしこい子こであり、刈入かりいれの時ときに眠ねむる者ものは恥はじをきたらせる子こである。10:6 正ただしい者もののこうべには祝福しゅくふくがあり、悪あしき者ものの口くちは暴虐ぼうぎゃくを隠かくす。10:7 正ただしい者ものの名なはほめられ、悪あしき者ものの名なは朽くちる。10:8 心こころのさとき者ものは戒いましめを受うける、むだ口くちをたたく愚おろかな者ものは滅ほろぼされる。10:9 まっすぐに歩あゆむ者ものの歩あゆみは安全あんぜんである、しかし、その道みちを曲まげる者ものは災わざわいにあう。10:10 目めで、めくばせする者ものは憂うれいをおこし、あからさまに、戒いましめる者ものは平和へいわをきたらせる。10:11 正ただしい者ものの口くちは命いのちの泉いずみである、悪あしき者ものの口くちは暴虐ぼうぎゃくを隠かくす。10:12 憎にくしみは、争あらそいを起おこし、愛あいはすべてのとがをおおう。10:13 さとき者もののくちびるには知恵ちえがあり、知恵ちえのない者ものの背せにはむちがある。10:14 知恵ちえある者ものは知識ちしきをたくわえる、愚おろかな者もののむだ口くちは、今いまにも滅ほろびをきたらせる。10:15 富とめる者ものの宝たからは、その堅かたき城しろであり、貧まずしい者ものの乏とぼしきは、その滅ほろびである。10:16 正ただしい者ものの受うける賃銀ちんぎんは命いのちに導みちびき、悪あしき者ものの利得りとくは罪つみに至いたる。10:17 教訓きょうくんを守まもる者ものは命いのちの道みちにあり、懲こらしめを捨すてる者ものは道みちをふみ迷まよう。10:18 憎にくしみを隠かくす者ものには偽いつわりのくちびるがあり、そしりを口くちに出だす者ものは愚おろかな者ものである。10:19 言葉ことばが多おおければ、とがを免まぬかれない、自分じぶんのくちびるを制せいする者ものは知恵ちえがある。10:20 正ただしい者ものの舌したは精せい銀ぎんである、悪あしき者ものの心こころは価値かちが少すくない。10:21 正ただしい者もののくちびるは多おおくの人ひとを養やしない、愚おろかな者ものは知恵ちえがなくて死しぬ。10:22 主しゅの祝福しゅくふくは人ひとを富とませる、主しゅはこれになんの悲かなしみをも加くわえない。10:23 愚おろかな者ものは、戯たわむれ事ごとのように悪あくを行おこなう、さとき人ひとには賢かしこい行おこないが楽たのしみである。10:24 悪あしき者ものの恐おそれることは自分じぶんに来きたり、正ただしい者ものの願ねがうことは与あたえられる。10:25 あらしが通とおりすぎる時とき、悪あしき者ものは、もはや、いなくなり、正ただしい者ものは永久えいきゅうに堅かたく立たてられる。10:26 なまけ者ものは、これをつかわす者ものにとっては、酢すが歯はをいため、煙けむりが目めを悩なやますようなものだ。10:27 主しゅを恐おそれることは人ひとの命いのちの日ひを多おおくする、悪あしき者ものの年としは縮ちぢめられる。10:28 正ただしい者ものの望のぞみは喜よろこびに終おわり、悪あしき者ものの望のぞみは絶たえる。10:29 主しゅは、まっすぐに歩あゆむ者ものには城しろであり、悪あくを行おこなう者ものには滅ほろびである。10:30 正ただしい者ものはいつまでも動うごかされることはない、悪あしき者ものは、地ちに住すむことができない。10:31 正ただしい者ものの口くちは知恵ちえをいだし、偽いつわりの舌したは抜ぬかれる。10:32 正ただしい者もののくちびるは喜よろこばるべきことをわきまえ、悪あしき者ものの口くちは偽いつわりを語かたる。 第11章 11:1 偽いつわりのはかりは主しゅに憎にくまれ、正ただしいふんどうは彼かれに喜よろこばれる。11:2 高たかぶりが来くれば、恥はじもまた来くる、へりくだる者ものには知恵ちえがある。11:3 正ただしい者ものの誠実せいじつはその人ひとを導みちびき、不信実ふしんじつな者もののよこしまはその人ひとを滅ほろぼす。11:4 宝たからは怒いかりの日ひに益えきなく、正義せいぎは人ひとを救すくい出だして、死しを免まぬかれさせる。11:5 誠実せいじつな者ものは、その正義せいぎによって、その道みちをまっすぐにせられ、悪あしき者ものは、その悪あくによって倒たおれる。11:6 正ただしい者ものはその正義せいぎによって救すくわれ、不信実ふしんじつな者ものは自分じぶんの欲よくによって捕とらえられる。11:7 悪あしき者ものは死しぬとき、その望のぞみは絶たえ、不信心ふしんじんな者ものの望のぞみもまた絶たえる。11:8 正ただしい者ものは、悩なやみから救すくわれ、悪あしき者ものは代かわってそれに陥おちいる。11:9 不信心ふしんじんな者ものはその口くちをもって隣となり人びとを滅ほろぼす、正ただしい者ものは知識ちしきによって救すくわれる。11:10 正ただしい者ものが、しあわせになれば、その町まちは喜よろこび、悪あしき者ものが滅ほろびると、喜よろこびの声こえがおこる。11:11 町まちは正ただしい者ものの祝福しゅくふくによって、高たかくあげられ、悪あしき者ものの口くちによって、滅ほろぼされる。11:12 隣となり人びとを侮あなどる者ものは知恵ちえがない、さとき人ひとは口くちをつぐむ。11:13 人ひとのよしあしを言いいあるく者ものは秘密ひみつをもらす、心こころの忠信ちゅうしんなる者ものは事ことを隠かくす。11:14 指導者しどうしゃがなければ民たみは倒たおれ、助言者じょげんしゃが多おおければ安全あんぜんである。11:15 他人たにんのために保証ほしょうをする者ものは苦くるしみをうけ、保証ほしょうをきらう者ものは安全あんぜんである。11:16 しとやかな女おんなは、誉ほまれを得え、強暴きょうぼうな男おとこは富とみを得える。11:17 いつくしみある者ものはおのれ自身じしんに益えきを得え、残忍ざんにんな者ものはおのれの身みをそこなう。11:18 悪あしき者ものの得える報むくいはむなしく、正義せいぎを播まく者ものは確たしかな報むくいを得える。11:19 正義せいぎを堅かたく保たもつ者ものは命いのちに至いたり、悪あくを追おい求もとめる者ものは死しを招まねく。11:20 心こころのねじけた者ものは主しゅに憎にくまれ、まっすぐに道みちを歩あゆむ者ものは彼かれに喜よろこばれる。11:21 確たしかに、悪人あくにんは罰ばつを免まぬかれない、しかし正ただしい人ひとは救すくいを得える。11:22 美うつくしい女おんなの慎つつしみがないのは、金きんの輪わの、ぶたの鼻はなにあるようだ。11:23 正ただしい者ものの願ねがいは、すべて良よい結果けっかを得え、悪あしき者ものの望のぞみは怒いかりに至いたる。11:24 施ほどこし散ちらして、なお富とみを増ます人ひとがあり、与あたえるべきものを惜おしんで、かえって貧まずしくなる者ものがある。11:25 物惜ものおしみしない者ものは富とみ、人ひとを潤うるおす者ものは自分じぶんも潤うるおされる。11:26 穀物こくもつを、しまい込こんで売うらない者ものは民たみにのろわれる、それを売うる者もののこうべには祝福しゅくふくがある。11:27 善ぜんを求もとめる者ものは恵めぐみを得える、悪あくを求もとめる者ものには悪あくが来くる。11:28 自分じぶんの富とみを頼たのむ者ものは衰おとろえる、正ただしい者ものは木きの青葉あおばのように栄さかえる。11:29 自分じぶんの家族かぞくを苦くるしめる者ものは風かぜを所有しょゆうとする、愚おろかな者ものは心こころのさとき者もののしもべとなる。11:30 正ただしい者ものの結むすぶ実みは命いのちの木きである、不法ふほうな者ものは人ひとの命いのちをとる。11:31 もし正ただしい者ものがこの世よで罰ばっせられるならば、悪あしき者ものと罪つみびととは、なおさらである。 第12章 12:1 戒いましめを愛あいする人ひとは知識ちしきを愛あいする、懲こらしめを憎にくむ者ものは愚おろかである。12:2 善人ぜんにんは主しゅの恵めぐみをうけ、悪わるい計はかりごとを設もうける人ひとは主しゅに罰ばっせられる。12:3 人ひとは悪あくをもって堅かたく立たつことはできない、正ただしい人ひとの根ねは動うごくことはない。12:4 賢かしこい妻つまはその夫おっとの冠かんむりである、恥はじをこうむらせる妻つまは夫おっとの骨ほねに生しょうじた腐くされのようなものである。12:5 正ただしい人ひとの考かんがえは公正こうせいである、悪あしき者ものの計はかることは偽いつわりである。12:6 悪あしき者ものの言葉ことばは、人ひとの血ちを流ながそうとうかがう、正ただしい人ひとの口くちは人ひとを救すくう。12:7 悪あしき者ものは倒たおされて、うせ去さる、正ただしい人ひとの家いえは堅かたく立たつ。12:8 人ひとはその悟さとりにしたがって、ほめられ、心こころのねじけた者ものは、卑いやしめられる。12:9 身分みぶんの低ひくい人ひとでも自分じぶんで働はたらく者ものは、みずから高たかぶって食しょくに乏とぼしい者ものにまさる。12:10 正ただしい人ひとはその家畜かちくの命いのちを顧かえりみる、悪あしき者ものは残忍ざんにんをもって、あわれみとする。12:11 自分じぶんの田地でんちを耕たがやす者ものは食糧しょくりょうに飽あきる、無益むえきな事ことに従したがう者ものは知恵ちえがない。12:12 悪あしき者ものの堅固けんごなやぐらは崩壊ほうかいする、正ただしい人ひとの根ねは堅かたく立たつ。12:13 悪人あくにんはくちびるのとがによって、わなに陥おちいる、しかし正ただしい人ひとは悩なやみをのがれる。12:14 人ひとはその口くちの実みによって、幸福こうふくに満みち足たり、人ひとの手てのわざは、その人ひとの身みに帰かえる。12:15 愚おろかな人ひとの道みちは、自分じぶんの目めに正ただしく見みえる、しかし知恵ちえある者ものは勧すすめをいれる。12:16 愚おろかな人ひとは、すぐに怒いかりをあらわす、しかし賢かしこい人ひとは、はずかしめをも気きにとめない。12:17 真実しんじつを語かたる人ひとは正ただしい証言しょうげんをなし、偽いつわりの証人しょうにんは偽いつわりを言いう。12:18 つるぎをもって刺さすように、みだりに言葉ことばを出だす者ものがある、しかし知恵ちえある人ひとの舌したは人ひとをいやす。12:19 真実しんじつを言いうくちびるは、いつまでも保たもつ、偽いつわりを言いう舌したは、ただ、まばたきの間あいだだけである。12:20 悪あくをたくらむ者ものの心こころには欺あざむきがあり、善ぜんをはかる人ひとには喜よろこびがある。12:21 正ただしい人ひとにはなんの害悪がいあくも生しょうじない、しかし悪あしき者ものは災わざわいをもって満みたされる。12:22 偽いつわりを言いうくちびるは主しゅに憎にくまれ、真実しんじつを行おこなう者ものは彼かれに喜よろこばれる。12:23 さとき人ひとは知識ちしきをかくす、しかし愚おろかな者ものは自分じぶんの愚おろかなことをあらわす。12:24 勤つとめ働はたらく者ものの手てはついに人ひとを治おさめる、怠おこたる者ものは人ひとに仕つかえるようになる。12:25 心こころに憂うれいがあればその人ひとをかがませる、しかし親切しんせつな言葉ことばはその人ひとを喜よろこばせる。12:26 正ただしい人ひとは悪あくを離はなれ去さる、しかし悪あしき者ものは自みずから道みちに迷まよう。12:27 怠おこたる者ものは自分じぶんの獲物えものを捕とらえない、しかし勤つとめ働はたらく人ひとは尊たっとい宝たからを獲える。12:28 正義せいぎの道みちには命いのちがある、しかし誤あやまりの道みちは死しに至いたる。 第13章 13:1 知恵ちえある子こは父ちちの教訓きょうくんをきく、あざける者ものは、懲こらしめをきかない。13:2 善良ぜんりょうな人ひとはその口くちの実みによって、幸福こうふくを得える、不信実ふしんじつな者ものの願ねがいは、暴虐ぼうぎゃくである。13:3 口くちを守まもる者ものはその命いのちを守まもる、くちびるを大おおきく開ひらく者ものには滅ほろびが来くる。13:4 なまけ者ものの心こころは、願ねがい求もとめても、何なにも得えない、しかし勤つとめ働はたらく者ものの心こころは豊ゆたかに満みたされる。13:5 正ただしい人ひとは偽いつわりを憎にくむ、しかし悪あしき人ひとは恥はずべく、忌いまわしくふるまう。13:6 正義せいぎは道みちをまっすぐ歩あゆむ者ものを守まもり、罪つみは悪あしき者ものを倒たおす。13:7 富とんでいると偽いつわって、何なにも持もたない者ものがいる、貧まずしいと偽いつわって、多おおくの富とみを持もつ者ものがいる。13:8 人ひとの富とみはその命いのちをあがなう、しかし貧まずしい者ものにはあがなうべき富とみがない。13:9 正ただしい者ものの光ひかりは輝かがやき、悪あしき者もののともしびは消けされる。13:10 高たかぶりはただ争あらそいを生しょうじる、勧告かんこくをきく者ものは知恵ちえがある。13:11 急いそいで得えた富とみは減へる、少すこしずつたくわえる者ものはそれを増ますことができる。13:12 望のぞみを得えることが長ながびくときは、心こころを悩なやます、願ねがいがかなうときは、命いのちの木きを得えたようだ。13:13 み言葉ことばを軽かろんじる者ものは滅ほろぼされ、戒いましめを重おもんじる者ものは報むくいを得える。13:14 知恵ちえある人ひとの教おしえは命いのちの泉いずみである、これによって死しのわなをのがれることができる。13:15 善良ぜんりょうな賢かしこい者ものは恵めぐみを得える、しかし、不信実ふしんじつな者ものの道みちは滅ほろびである。13:16 おおよそ、さとき者ものは知識ちしきによって事ことをおこない、愚おろかな者ものは自分じぶんの愚ぐを見みせびらかす。13:17 悪あしき使者ししゃは人ひとを災わざわいにおとしいれる、しかし忠実ちゅうじつな使者ししゃは人ひとを救すくう。13:18 貧乏びんぼうと、はずかしめとは教訓きょうくんを捨すてる者ものに来くる、しかし戒いましめを守まもる者ものは尊たっとばれる。13:19 願ねがいがかなえば、心こころは楽たのしい、愚おろかな者ものは悪あくを捨すてることをきらう。13:20 知恵ちえある者ものとともに歩あゆむ者ものは知恵ちえを得える。愚おろかな者ものの友ともとなる者ものは害がいをうける。13:21 災わざわいは罪つみびとを追おい、正ただしい者ものは良よい報むくいを受うける。13:22 善良ぜんりょうな人ひとはその嗣し業ぎょうを子孫しそんにのこす、しかし罪つみびとの富とみは正ただしい人ひとのためにたくわえられる。13:23 貧まずしい人ひとの新田しんでんは多おおくの食糧しょくりょうを産さんする、しかし不正ふせいによれば押おし流ながされる。13:24 むちを加くわえない者ものはその子こを憎にくむのである、子こを愛あいする者ものは、つとめてこれを懲こらしめる。13:25 正ただしい者ものは食たべてその食欲しょくよくを満みたす、しかし悪あしき者ものの腹はらは満みたされない。 第14章 14:1 知恵ちえはその家いえを建たて、愚おろかさは自分じぶんの手てでそれをこわす。14:2 まっすぐに歩あゆむ者ものは主しゅを恐おそれる、曲まがって歩あゆむ者ものは主しゅを侮あなどる。14:3 愚おろかな者ものの言葉ことばは自分じぶんの背せにむちを当あてる、知恵ちえある者もののくちびるはその身みを守まもる。14:4 牛うしがなければ穀物こくもつはない、牛うしの力ちからによって農作物のうさくもつは多おおくなる。14:5 真実しんじつな証人しょうにんはうそをいわない、偽いつわりの証人しょうにんはうそをつく。14:6 あざける者ものは知恵ちえを求もとめても得えられない、さとき者ものは知識ちしきを得えることがたやすい。14:7 愚おろかな者ものの前まえを離はなれ去され、そこには知識ちしきの言葉ことばがないからである。14:8 さとき者ものの知恵ちえは自分じぶんの道みちをわきまえることにあり、愚おろかな者ものの愚おろかは、欺あざむくことにある。14:9 神かみは悪あしき者ものをあざけられる、正ただしい者ものは、その恵めぐみを受うける。14:10 心こころの苦くるしみは心こころみずからが知しる、その喜よろこびには他人たにんはあずからない。14:11 悪あしき者ものの家いえは滅ほろぼされ、正ただしい者ものの幕屋まくやは栄さかえる。14:12 人ひとが見みて自みずから正ただしいとする道みちでも、その終おわりはついに死しに至いたる道みちとなるものがある。14:13 笑わらう時ときにも心こころに悲かなしみがあり、喜よろこびのはてに憂うれいがある。14:14 心こころのもとれる者ものはそのしわざの実みを刈かり取とり、善良ぜんりょうな人ひともまたその行おこないの実みを刈かり取とる。14:15 思慮しりょのない者ものはすべてのことを信しんじる、さとき者ものは自分じぶんの歩あゆみを慎つつしむ。14:16 知恵ちえある者ものは用心ようじんぶかく、悪あくを離はなれる、愚おろかな者ものは高たかぶって用心ようじんしない。14:17 怒いかりやすい者ものは愚おろかなことを行おこない、賢かしこい者ものは忍耐にんたい強づよい。14:18 思慮しりょのない者ものは愚おろかなことを自分じぶんのものとする、さとき者ものは知識ちしきをもって冠かんむりとする。14:19 悪人あくにんは善人ぜんにんの前まえにひれ伏ふし、悪あしき者ものは正ただしい者ものの門もんにひれ伏ふす。14:20 貧まずしい者ものはその隣となりにさえも憎にくまれる、しかし富とめる者ものは多おおくの友ともをもつ。14:21 隣となり人びとを卑いやしめる者ものは罪つみびとである、貧まずしい人ひとをあわれむ者ものはさいわいである。14:22 悪あくを計はかる者ものはおのれを誤あやまるではないか、善ぜんを計はかる者ものにはいつくしみと、まこととがある。14:23 すべての勤労きんろうには利益りえきがある、しかし口先くちさきだけの言葉ことばは貧乏びんぼうをきたらせるだけだ。14:24 知恵ちえある者ものの冠かんむりはその知恵ちえである、愚おろかな者ものの花はなの冠かんむりはただ愚おろかさである。14:25 まことの証人しょうにんは人ひとの命いのちを救すくう、偽いつわりを吐はく者ものは裏うら切ぎり者ものである。14:26 主しゅを恐おそれることによって人ひとは安心あんしんを得え、その子こらはのがれ場ばを得える。14:27 主しゅを恐おそれることは命いのちの泉いずみである、人ひとを死しのわなからのがれさせる。14:28 王おうの栄さかえは民たみの多おおいことにあり、君きみの滅ほろびは民たみを失うしなうことにある。14:29 怒いかりをおそくする者ものは大おおいなる悟さとりがあり、気きの短みじかい者ものは愚おろかさをあらわす。14:30 穏おだやかな心こころは身みの命いのちである、しかし興奮こうふんは骨ほねを腐くさらせる。14:31 貧まずしい者ものをしえたげる者ものはその つくり主ぬしを侮あなどる、乏とぼしい者ものをあわれむ者ものは、主しゅをうやまう。14:32 悪あしき者ものはその悪あしき行おこないによって滅ほろぼされ、正ただしい者ものはその正ただしきによって、のがれ場ばを得える。14:33 知恵ちえはさとき者ものの心こころにとどまり、愚おろかな者ものの心こころに知しられない。14:34 正義せいぎは国くにを高たかくし、罪つみは民たみをはずかしめる。14:35 賢かしこいしもべは王おうの恵めぐみをうけ、恥はじをきたらす者ものはその怒いかりにあう。 第15章 15:1 柔やわらかい答こたえは憤いきどおりをとどめ、激はげしい言葉ことばは怒いかりをひきおこす。15:2 知恵ちえある者ものの舌したは知識ちしきをわかち与あたえ、愚おろかな者ものの口くちは愚おろかを吐はき出だす。15:3 主しゅの目めはどこにでもあって、悪人あくにんと善人ぜんにんとを見張みはっている。15:4 優やさしい舌したは命いのちの木きである、乱暴らんぼうな言葉ことばは魂たましいを傷きずつける。15:5 愚おろかな者ものは父ちちの教訓きょうくんを軽かろんじる、戒いましめを守まもる者ものは賢かしこい者ものである。15:6 正ただしい者ものの家いえには多おおくの宝たからがある、悪あしき者ものの所得しょとくには煩わずらいがある。15:7 知恵ちえある者もののくちびるは知識ちしきをひろめる、愚おろかな者ものの心こころはそうでない。15:8 悪あしき者ものの供そなえ物ものは主しゅに憎にくまれ、正ただしい者ものの祈いのりは彼かれに喜よろこばれる。15:9 悪あしき者ものの道みちは主しゅに憎にくまれ、正義せいぎを求もとめる者ものは彼かれに愛あいせられる。15:10 道みちを捨すてる者ものには、きびしい懲こらしめがあり、戒いましめを憎にくむ者ものは死しに至いたる。15:11 陰府よみと滅ほろびとは主しゅの目めの前まえにあり、人ひとの心こころはなおさらである。15:12 あざける者ものは戒いましめられることを好このまない、また知恵ちえある者ものに近ちかづかない。15:13 心こころに楽たのしみがあれば顔色かおいろも喜よろこばしい、心こころに憂うれいがあれば気きはふさぐ。15:14 さとき者ものの心こころは知識ちしきをたずね、愚おろかな者ものの口くちは愚おろかさを食物しょくもつとする。15:15 悩なやんでいる者ものの日々ひびはことごとくつらく、心こころの楽たのしい人ひとは常つねに宴会えんかいをもつ。15:16 少すこしの物ものを所有しょゆうして主しゅを恐おそれるのは、多おおくの宝たからをもって苦く労ろうするのにまさる。15:17 野菜やさいを食たべて互たがいに愛あいするのは、肥こえた牛うしを食たべて互たがいに憎にくむのにまさる。15:18 憤いきどおりやすい者ものは争あらそいをおこし、怒いかりをおそくする者ものは争あらそいをとどめる。15:19 なまけ者ものの道みちには、いばらがはえしげり、正ただしい者ものの道みちは平たいらかである。15:20 知恵ちえある子こは父ちちを喜よろこばせる、愚おろかな人ひとはその母ははを軽かろんじる。15:21 無知むちな者ものは愚おろかなことを喜よろこび、さとき者ものはまっすぐに歩あゆむ。15:22 相あいはかることがなければ、計画けいかくは破やぶれる、はかる者ものが多おおければ、それは必かならず成なる。15:23 人ひとは口くちから出でる好このましい答こたえによって喜よろこびを得える、時ときにかなった言葉ことばは、いかにも良よいものだ。15:24 知恵ちえある人ひとの道みちは上のぼって命いのちに至いたる、こうしてその人ひとは下したにある陰府よみを離はなれる。15:25 主しゅは高たかぶる者ものの家いえを滅ほろぼし、やもめの地境じざかいを定さだめられる。15:26 悪人あくにんの計はかりごとは主しゅに憎にくまれ、潔白けっぱくな人ひとの言葉ことばは彼かれに喜よろこばれる。15:27 不正ふせいな利りをむさぼる者ものはその家いえを煩わずらわせる、まいないを憎にくむ者ものは生いきながらえる。15:28 正ただしい者ものの心こころは答こたえるべきことを考かんがえる、悪あしき者ものの口くちは悪あくを吐はき出だす。15:29 主しゅは悪あしき者ものに遠とおざかり、正ただしい者ものの祈いのりを聞きかれる。15:30 目めの光ひかりは心こころを喜よろこばせ、よい知しらせは骨ほねを潤うるおす。15:31 ためになる戒いましめを聞きく耳みみをもつ者ものは、知恵ちえある者ものの中なかにとどまる。15:32 教訓きょうくんを捨すてる者ものはおのれの命いのちを軽かろんじ、戒いましめを重おもんじる者ものは悟さとりを得える。15:33 主しゅを恐おそれることは知恵ちえの教訓きょうくんである、謙遜けんそんは、栄誉えいよに先さきだつ。
3:1 わが子こよ、わたしの教おしえを忘わすれず、わたしの戒いましめを心こころにとめよ。
3:2 そうすれば、これはあなたの日ひを長ながくし、命いのちの年としを延のべ、あなたに平安へいあんを増まし加くわえる。
3:3 いつくしみと、まこととを捨すててはならない、それをあなたの首くびに結むすび、心こころの碑ひにしるせ。
3:4 そうすれば、あなたは神かみと人ひととの前まえに恵めぐみと、誉ほまれとを得える。
3:5 心こころをつくして主しゅに信頼しんらいせよ、自分じぶんの知識ちしきにたよってはならない。
3:6 すべての道みちで主しゅを認みとめよ、そうすれば、主しゅはあなたの道みちをまっすぐにされる。
3:7 自分じぶんを見みて賢かしこいと思おもってはならない、主しゅを恐おそれて、悪あくを離はなれよ。
3:8 そうすれば、あなたの身みを健すこやかにし、あなたの骨ほねに元気げんきを与あたえる。
3:9 あなたの財産ざいさんと、すべての産物さんぶつの初はつなりをもって主しゅをあがめよ。
3:10 そうすれば、あなたの倉くらは満みちて余あまり、あなたの酒さかぶねは新あたらしい酒さけであふれる。
3:11 わが子こよ、主しゅの懲こらしめを軽かろんじてはならない、その戒いましめをきらってはならない。
3:12 主しゅは、愛あいする者ものを、戒いましめられるからである、あたかも父ちちがその愛あいする子こを戒いましめるように。
3:13 知恵ちえを求もとめて得える人ひと、悟さとりを得える人ひとはさいわいである。
3:14 知恵ちえによって得えるものは、銀ぎんによって得えるものにまさり、その利益りえきは精せい金きんよりも良よいからである。
3:15 知恵ちえは宝石ほうせきよりも尊たっとく、あなたの望のぞむ何なに物ものも、これと比くらべるに足たりない。
3:16 その右みぎの手てには長寿ちょうじゅがあり、左ひだりの手てには富とみと、誉ほまれがある。
3:17 その道みちは楽たのしい道みちであり、その道みち筋すじはみな平安へいあんである。
3:18 知恵ちえは、これを捕とらえる者ものには命いのちの木きである、これをしっかり捕とらえる人ひとはさいわいである。
3:19 主しゅは知恵ちえをもって地ちの基もといをすえ、悟さとりをもって天てんを定さだめられた。
3:20 その知識ちしきによって海うみはわきいで、雲くもは露つゆをそそぐ。
3:21 わが子こよ、確たしかな知恵ちえと、慎つつしみとを守まもって、それをあなたの目めから離はなしてはならない。
3:22 それはあなたの魂たましいの命いのちとなりあなたの首くびの飾かざりとなる。
3:23 こうして、あなたは安やすらかに自分じぶんの道みちを行いき、あなたの足あしはつまずくことがない。
3:24 あなたは座ざしているとき、恐おそれることはなく、伏ふすとき、あなたの眠ねむりはここちよい。
3:25 あなたはにわかに起おこる恐怖きょうふを恐おそれることなく、悪あしき者ものの滅ほろびが来きても、それを恐おそれることはない。
3:26 これは、主しゅがあなたの信頼しんらいする者ものであり、あなたの足あしを守まもって、わなに捕とらわれさせられないからである。
3:27 あなたの手てに善ぜんをなす力ちからがあるならば、これをなすべき人ひとになすことをさし控ひかえてはならない。
3:28 あなたが物ものを持もっている時とき、その隣となり人びとに向むかい、「去さって、また来きなさい。あす、それをあげよう」と言いってはならない。
3:29 あなたの隣となり人びとがかたわらに安やすらかに住すんでいる時とき、これに向むかって、悪あくを計はかってはならない。
3:30 もし人ひとがあなたに悪あくを行おこなったのでなければ、ゆえなく、これと争あらそってはならない。
3:31 暴虐ぼうぎゃくな人ひとを、うらやんではならない、そのすべての道みちを選えらんではならない。
3:32 よこしまな者ものは主しゅに憎にくまれるからである、しかし、正ただしい者ものは主しゅに信任しんにんされる。
3:33 主しゅの、のろいは悪あしき者ものの家いえにある、しかし、正ただしい人ひとのすまいは主しゅに恵めぐまれる。
3:34 彼かれはあざける者ものをあざけり、へりくだる者ものに恵めぐみを与あたえられる。
3:35 知恵ちえある者ものは、誉ほまれを得える、しかし、愚おろかな者ものははずかしめを得える。
第4章 4:1 子供こどもらよ、父ちちの教おしえを聞きき、悟さとりを得えるために耳みみを傾かたむけよ。4:2 わたしは、良よい教訓きょうくんを、あなたがたにさずける。わたしの教おしえを捨すててはならない。4:3 わたしもわが父ちちには子こであり、わが母ははの目めには、ひとりのいとし子こであった。4:4 父ちちはわたしを教おしえて言いった、「わたしの言葉ことばを、心こころに留とめ、わたしの戒いましめを守まもって、命いのちを得えよ。4:5 それを忘わすれることなく、またわが口くちの言葉ことばにそむいてはならない、知恵ちえを得えよ、悟さとりを得えよ。4:6 知恵ちえを捨すてるな、それはあなたを守まもる。それを愛あいせよ、それはあなたを保たもつ。4:7 知恵ちえの初はじめはこれである、知恵ちえを得えよ、あなたが何なにを得えるにしても、悟さとりを得えよ。4:8 それを尊たっとべ、そうすれば、それはあなたを高たかくあげる、もしそれをいだくならば、それはあなたを尊たっとくする。4:9 それはあなたの頭あたまに麗うるわしい飾かざりを置おき、栄さかえの冠かんむりをあなたに与あたえる」。 4:10 わが子こよ、聞きけ、わたしの言葉ことばをうけいれよ、そうすれば、あなたの命いのちの年としは多おおくなる。4:11 わたしは知恵ちえの道みちをあなたに教おしえ、正ただしい道筋みちすじにあなたを導みちびいた。4:12 あなたが歩あるくとき、その歩あゆみは妨さまたげられず、走はしる時ときにも、つまずくことはない。4:13 教訓きょうくんをかたくとらえて、離はなしてはならない、それを守まもれ、それはあなたの命いのちである。4:14 よこしまな者ものの道みちに、はいってはならない、悪あしき者ものの道みちを歩あゆんではならない。4:15 それを避さけよ、通とおってはならない、それを離はなれて進すすめ。4:16 彼かれらは悪あくを行おこなわなければ眠ねむることができず、人ひとをつまずかせなければ、寝ねることができず、4:17 不正ふせいのパンを食くらい、暴虐ぼうぎゃくの酒さけを飲のむからである。4:18 正ただしい者ものの道みちは、夜明よあけの光ひかりのようだ、いよいよ輝かがやきを増まして真昼まひるとなる。4:19 悪あしき人ひとの道みちは暗くらやみのようだ、彼かれらは何なににつまずくかを知しらない。 4:20 わが子こよ、わたしの言葉ことばに心こころをとめ、わたしの語かたることに耳みみを傾かたむけよ。4:21 それを、あなたの目めから離はなさず、あなたの心こころのうちに守まもれ。4:22 それは、これを得える者ものの命いのちであり、またその全身ぜんしんを健すこやかにするからである。4:23 油断ゆだんすることなく、あなたの心こころを守まもれ、命いのちの泉いずみは、これから流ながれ出でるからである。4:24 曲まがった言葉ことばをあなたから捨すてさり、よこしまな談話だんわをあなたから遠とおざけよ。4:25 あなたの目めは、まっすぐに正面しょうめんを見み、あなたのまぶたはあなたの前まえを、まっすぐに見みよ。4:26 あなたの足あしの道みちに気きをつけよ、そうすれば、あなたのすべての道みちは安全あんぜんである。4:27 右みぎにも左ひだりにも迷まよい出でてはならない、あなたの足あしを悪あくから離はなれさせよ。 第5章 5:1 わが子こよ、わたしの知恵ちえに心こころをとめ、わたしの悟さとりに耳みみをかたむけよ。5:2 これは、あなたが慎つつしみを守まもり、あなたのくちびるに知識ちしきを保たもつためである。5:3 遊女ゆうじょのくちびるは蜜みつをしたたらせ、その言葉ことばは油あぶらよりもなめらかである。5:4 しかしついには、彼女かのじょはにがよもぎのように苦にがく、もろ刃はのつるぎのように鋭するどくなる。5:5 その足あしは死しに下くだり、その歩あゆみは陰府よみの道みちにおもむく。5:6 彼女かのじょはいのちの道みちに心こころをとめず、その道みちは人ひとを迷まよわすが、彼女かのじょはそれを知しらない。 5:7 子供こどもらよ、今いまわたしの言いうことを聞きけ、わたしの口くちの言葉ことばから、離はなれ去さってはならない。5:8 あなたの道みちを彼女かのじょから遠とおく離はなし、その家いえの門もんに近ちかづいてはならない。5:9 おそらくはあなたの誉ほまれを他人たにんにわたし、あなたの年としを無慈悲むじひな者ものにわたすに至いたる。5:10 おそらくは他人たにんがあなたの資産しさんによって満みたされ、あなたの労苦ろうくは他人たにんの家いえに行いく。5:11 そしてあなたの終おわりが来きて、あなたの身みと、からだが滅ほろびるとき、泣なき悲かなしんで、5:12 言いうであろう、「わたしは教訓きょうくんをいとい、心こころに戒いましめを軽かろんじ、5:13 教師きょうしの声こえに聞きき従したがわず、わたしを教おしえる者ものに耳みみを傾かたむけず、5:14 集あつまりの中なか、会衆かいしゅうのうちにあって、わたしは、破滅はめつに陥おちいりかけた」と。5:15 あなたは自分じぶんの水みずためから水みずを飲のみ、自分じぶんの井戸いどから、わき出です水みずを飲のむがよい。5:16 あなたの泉いずみを、外そとにまきちらし、水みずの流ながれを、ちまたに流ながしてよかろうか。5:17 それを自分じぶんだけのものとし、他人たにんを共ともにあずからせてはならない。5:18 あなたの泉いずみに祝福しゅくふくを受うけさせ、あなたの若わかい時ときの妻つまを楽たのしめ。5:19 彼女かのじょは愛あいらしい雌めじか、美うつくしいしかのようだ。いつも、その乳ちぶさをもって満足まんぞくし、その愛あいをもって常つねに喜よろこべ。5:20 わが子こよ、どうして遊女ゆうじょに迷まよい、みだらな女おんなの胸むねをいだくのか。5:21 人ひとの道みちは主しゅの目めの前まえにあり、主しゅはすべて、その行おこないを見守みまもられる。5:22 悪あしき者ものは自分じぶんのとがに捕とらえられ、自分じぶんの罪つみのなわにつながれる。5:23 彼かれは、教訓きょうくんがないために死しに、その愚おろかさの大おおきいことによって滅ほろびる。 第6章 6:1 わが子こよ、あなたがもし隣となり人びとのために保証人ほしょうにんとなり、他人たにんのために手てをうって誓ちかったならば、6:2 もしあなたのくちびるの言葉ことばによって、わなにかかり、あなたの口くちの言葉ことばによって捕とらえられたならば、6:3 わが子こよ、その時ときはこうして、おのれを救すくえ、あなたは隣となり人びとの手てに陥おちいったのだから。急いそいで行いって、隣となり人びとにひたすら求もとめよ。6:4 あなたの目めを眠ねむらせず、あなたのまぶたを、まどろませず、6:5 かもしかが、かりゅうどの手てからのがれるように、鳥とりが鳥とりを取とる者ものの手てからのがれるように、おのれを救すくえ。 6:6 なまけ者ものよ、ありのところへ行いき、そのすることを見みて、知恵ちえを得えよ。6:7 ありは、かしらなく、つかさなく、王おうもないが、6:8 夏なつのうちに食物しょくもつをそなえ、刈入かりいれの時ときに、かてを集あつめる。6:9 なまけ者ものよ、いつまで寝ねているのか、いつ目めをさまして起おきるのか。6:10 しばらく眠ねむり、しばらくまどろみ、手てをこまぬいて、またしばらく休やすむ。6:11 それゆえ、貧まずしさは盗ぬすびとのようにあなたに来きたり、乏とぼしさは、つわもののようにあなたに来くる。6:12 よこしまな人ひと、悪あしき人ひとは偽いつわりの言葉ことばをもって行いきめぐり、6:13 目めでめくばせし、足あしで踏ふみ鳴ならし、指ゆびで示しめし、6:14 よこしまな心こころをもって悪あくを計はかり、絶たえず争あらそいをおこす。6:15 それゆえ、災わざわいは、にわかに彼かれに臨のぞみ、たちまちにして打うち敗やぶられ、助たすかることはない。 6:16 主しゅの憎にくまれるものが六つある、否いな、その心こころに、忌いみきらわれるものが七つある。6:17 すなわち、高たかぶる目め、偽いつわりを言いう舌した、罪つみなき人ひとの血ちを流ながす手て、6:18 悪あしき計はかりごとをめぐらす心こころ、すみやかに悪あくに走はしる足あし、6:19 偽いつわりをのべる証人しょうにん、また兄弟きょうだいのうちに争あらそいをおこす人ひとがこれである。 6:20 わが子こよ、あなたの父ちちの戒いましめを守まもり、あなたの母ははの教おしえを捨すてるな。6:21 つねに、これをあなたの心こころに結むすび、あなたの首くびのまわりにつけよ。6:22 これは、あなたが歩あるくとき、あなたを導みちびき、あなたが寝ねるとき、あなたを守まもり、あなたが目めざめるとき、あなたと語かたる。6:23 戒いましめはともしびである、教おしえは光ひかりである、教訓きょうくんの懲こらしめは命いのちの道みちである。6:24 これは、あなたを守まもって、悪わるい女おんなに近ちかづかせず、みだらな女おんなの、巧たくみな舌したに惑まどわされぬようにする。6:25 彼女かのじょの麗うるわしさを心こころに慕したってはならない、そのまぶたに捕とらえられてはならない。6:26 遊女ゆうじょは一いっ塊かいのパンのために雇やとわれる、しかし、みだらな女おんなは人ひとの尊たっとい命いのちを求もとめる。6:27 人ひとは火ひを、そのふところにいだいてその着物きものが焼やかれないであろうか。6:28 また人ひとは、熱あつい火ひを踏ふんで、その足あしが、焼やかれないであろうか。6:29 その隣となりの妻つまと不義ふぎを行おこなう者ものも、それと同おなじだ。すべて彼女かのじょに触ふれる者ものは罰ばつを免まぬかれることはできない。6:30 盗ぬすびとが飢うえたとき、その飢うえを満みたすために盗ぬすむならば、人ひとは彼かれを軽かろんじないであろうか。6:31 もし捕とらえられたなら、その七倍ばいを償つぐない、その家いえの貨か財ざいを、ことごとく出ださなければならない。6:32 女おんなと姦淫かんいんを行おこなう者ものは思慮しりょがない。これを行おこなう者ものはおのれを滅ほろぼし、6:33 傷きずと、はずかしめとを受うけて、その恥はじをすすぐことができない。6:34 ねたみは、その夫おっとを激はげしく怒いからせるゆえ、恨うらみを報むくいるとき、容赦ようしゃすることはない。6:35 どのようなあがない物ものをも顧かえりみず、多おおくの贈おくり物ものをしても、和やわらがない。 第7章 7:1 わが子こよ、わたしの言葉ことばを守まもり、わたしの戒いましめをあなたの心こころにたくわえよ。7:2 わたしの戒いましめを守まもって命いのちを得えよ、わたしの教おしえを守まもること、ひとみを守まもるようにせよ。7:3 これをあなたの指ゆびにむすび、これをあなたの心こころの碑いしぶみにしるせ。7:4 知恵ちえに向むかって、「あなたはわが姉妹しまいだ」と言いい、悟さとりに向むかっては、あなたの友ともと呼よべ。7:5 そうすれば、これはあなたを守まもって遊女ゆうじょに迷まよわせず、言葉ことば巧たくみな、みだらな女おんなに近ちかづかせない。7:6 わたしはわが家いえの窓まどにより、格子こうし窓まどから外そとをのぞいて、7:7 思慮しりょのない者もののうちに、若わかい者もののうちに、ひとりの知恵ちえのない若者わかもののいるのを見みた。7:8 彼かれはちまたを過すぎ、女おんなの家いえに行いく曲まがりかどに近ちかづき、その家いえに行いく道みちを、7:9 たそがれに、よいに、また夜中よなかに、また暗くらやみに歩あるいていった。7:10 見みよ、遊女ゆうじょの装よそおいをした陰険いんけんな女おんなが彼かれに会あう。7:11 この女おんなは、騒さわがしくて、慎つつしみなく、その足あしは自分じぶんの家いえにとどまらず、7:12 ある時ときはちまたにあり、ある時ときは市場いちばにあり、すみずみに立たって人ひとをうかがう。7:13 この女おんなは彼かれを捕とらえて口くちづけし、恥はじしらぬ顔かおで彼かれに言いう、7:14 「わたしは酬恩祭しゅうおんさいをささげなければならなかったが、きょう、その誓ちかいを果はたしました。7:15 それでわたしはあなたを迎むかえようと出でて、あなたを尋たずね、あなたに会あいました。7:16 わたしは床とこに美うつくしい、しとねと、エジプトのあや布ぬのを敷しき、7:17 没薬もつやく、ろかい、桂皮けいひをもってわたしの床とこをにおわせました。7:18 さあ、わたしたちは夜よるが明あけるまで、情じょうをつくし、愛あいをかわして楽たのしみましょう。7:19 夫おっとは家いえにいません、遠とおくへ旅立たびだち、7:20 手てに金かね袋ぶくろを持もって出でました。満月まんげつになるまでは帰かえりません」と。7:21 女おんなが多おおくの、なまめかしい言葉ことばをもって彼かれを惑まどわし、巧たくみなくちびるをもって、いざなうと、7:22 若わかい人ひとは直ただちに女おんなに従したがった、あたかも牛うしが、ほふり場ばに行いくように、雄おじかが、すみやかに捕とらえられ、7:23 ついに、矢やがその内臓ないぞうを突つき刺さすように、鳥とりがすみやかに網あみにかかるように、彼かれは自分じぶんが命いのちを失うしなうようになることを知しらない。 7:24 子供こどもらよ、今いまわたしの言いうことを聞きき、わが口くちの言葉ことばに耳みみを傾かたむけよ。7:25 あなたの心こころを彼女かのじょの道みちに傾かたむけてはならない、またその道みちに迷まよってはならない。7:26 彼女かのじょは多おおくの人ひとを傷きずつけて倒たおした、まことに、彼女かのじょに殺ころされた者ものは多おおい。7:27 その家いえは陰府よみへ行いく道みちであって、死しのへやへ下くだって行いく。 第8章 8:1 知恵ちえは呼よばわらないのか、悟さとりは声こえをあげないのか。8:2 これは道みちのほとりの高たかい所ところの頂いただき、また、ちまたの中なかに立たち、8:3 町まちの入口いりぐちにあるもろもろの門もんのかたわら、正門せいもんの入口いりぐちで呼よばわって言いう、8:4 「人々ひとびとよ、わたしはあなたがたに呼よばわり、声こえをあげて人ひとの子こらを呼よぶ。8:5 思慮しりょのない者ものよ、悟さとりを得えよ、愚おろかな者ものよ、知恵ちえを得えよ。8:6 聞きけ、わたしは高貴こうきな事ことを語かたり、わがくちびるは正ただしい事ことを語かたり出だす。8:7 わが口くちは真実しんじつを述のべ、わがくちびるは悪あしき事ことを憎にくむ。8:8 わが口くちの言葉ことばはみな正ただしい、そのうちに偽いつわりと、よこしまはない。8:9 これはみな、さとき者ものの明あきらかにするところ、知識ちしきを得える者ものの正ただしとするところである。8:10 あなたがたは銀ぎんを受うけるよりも、わたしの教おしえを受うけよ、精せい金きんよりも、むしろ知識ちしきを得えよ。8:11 知恵ちえは宝石ほうせきにまさり、あなたがたの望のぞむすべての物ものは、これと比くらべるにたりない。8:12 知恵ちえであるわたしは悟さとりをすみかとし、知識ちしきと慎つつしみとをもつ。8:13 主しゅを恐おそれるとは悪あくを憎にくむことである。わたしは高たかぶりと、おごりと、悪あしき道みちと、偽いつわりの言葉ことばとを憎にくむ。8:14 計はかりごとと、確たしかな知恵ちえとは、わたしにある、わたしには悟さとりがあり、わたしには力ちからがある。8:15 わたしによって、王おうたる者ものは世よを治おさめ、君きみたる者ものは正ただしい定さだめを立たてる。8:16 わたしによって、主しゅたる者ものは支配しはいし、つかさたる者ものは地ちを治おさめる。8:17 わたしは、わたしを愛あいする者ものを愛あいする、わたしをせつに求もとめる者ものは、わたしに出会であう。8:18 富とみと誉ほまれとはわたしにあり、すぐれた宝たからと繁栄はんえいもまたそうである。8:19 わたしの実みは金きんよりも精せい金きんよりも良よく、わたしの産物さんぶつは精せい銀ぎんにまさる。8:20 わたしは正義せいぎの道みち、公正こうせいな道筋みちすじの中なかを歩あゆみ、8:21 わたしを愛あいする者ものに宝たからを得えさせ、またその倉くらを満みちさせる。 8:22 主しゅが昔むかしそのわざをなし始はじめられるとき、そのわざの初はじめとして、わたしを造つくられた。8:23 いにしえ、地ちのなかった時とき、初はじめに、わたしは立たてられた。8:24 まだ海うみもなく、また大おおいなる水みずの泉いずみもなかった時とき、わたしはすでに生うまれ、8:25 山やまもまだ定さだめられず、丘おかもまだなかった時とき、わたしはすでに生うまれた。8:26 すなわち神かみがまだ地ちをも野のをも、地ちのちりのもとをも造つくられなかった時ときである。8:27 彼かれが天てんを造つくり、海うみのおもてに、大空おおぞらを張はられたとき、わたしはそこにあった。8:28 彼かれが上うえに空そらを堅かたく立たたせ、淵ふちの泉いずみをつよく定さだめ、8:29 海うみにその限界げんかいをたて、水みずにその岸きしを越こえないようにし、また地ちの基もといを定さだめられたとき、8:30 わたしは、そのかたわらにあって、名 めいしょうとなり、日々ひびに喜よろこび、常つねにその前まえに楽たのしみ、8:31 その地ちで楽たのしみ、また世よの人ひとを喜よろこんだ。 8:32 それゆえ、子供こどもらよ、今いまわたしの言いうことを聞きけ、わたしの道みちを守まもる者ものはさいわいである。8:33 教訓きょうくんを聞きいて、知恵ちえを得えよ、これを捨すててはならない。8:34 わたしの言いうことを聞きき、日々ひびわたしの門もんのかたわらでうかがい、わたしの戸口とぐちの柱はしらのわきで待まつ人ひとはさいわいである。8:35 それは、わたしを得える者ものは命いのちを得え、主しゅから恵めぐみを得えるからである。8:36 わたしを失うしなう者ものは自分じぶんの命いのちをそこなう、すべてわたしを憎にくむ者ものは死しを愛あいする者ものである」。 第9章 9:1 知恵ちえは自分じぶんの家いえを建たて、その七つの柱はしらを立たて、9:2 獣けものをほふり、酒さけを混まぜ合あわせて、ふるまいを備そなえ、9:3 はしためをつかわして、町まちの高たかい所ところで呼よばわり言いわせた、9:4 「思慮しりょのない者ものよ、ここに来きたれ」と。また、知恵ちえのない者ものに言いう、9:5 「来きて、わたしのパンを食たべ、わたしの混まぜ合あわせた酒さけをのみ、9:6 思慮しりょのないわざを捨すてて命いのちを得え、悟さとりの道みちを歩あゆめ」と。 9:7 あざける者ものを戒いましめる者ものは、自みずから恥はじを得え、悪あしき者ものを責せめる者ものは自みずから傷きずを受うける。9:8 あざける者ものを責せめるな、おそらく彼かれはあなたを憎にくむであろう。知恵ちえある者ものを責せめよ、彼かれはあなたを愛あいする。9:9 知恵ちえある者ものに教訓きょうくんを授さづけよ、彼かれはますます知恵ちえを得える。正ただしい者ものを教おしえよ、彼かれは学がくに進すすむ。9:10 主しゅを恐おそれることは知恵ちえのもとである、聖せいなる者ものを知しることは、悟さとりである。9:11 わたしによって、あなたの日ひは多おおくなり、あなたの命いのちの年としは増ます。9:12 もしあなたに知恵ちえがあるならば、あなた自身じしんのために知恵ちえがあるのである。もしあなたがあざけるならば、あなたひとりがその責せめを負おうことになる。 9:13 愚おろかな女おんなは、騒さわがしく、みだらで、恥はじを知しらない。9:14 彼女かのじょはその家いえの戸口とぐちに座ざし、町まちの高たかい所ところにある座ざにすわり、9:15 道みちを急いそぐ行いき来きの人ひとを招まねいて言いう、9:16 「思慮しりょのない者ものよ、ここに来きたれ」と。また知恵ちえのない人ひとに向むかってこれに言いう、9:17 「盗ぬすんだ水みずは甘あまく、ひそかに食たべるパンはうまい」と。9:18 しかしその人ひとは、死しの影かげがそこにあることを知しらず、彼女かのじょの客きゃくは陰府よみの深ふかみにおることを知しらない。 第10章 10:1 ソロモンの箴言しんげん。知恵ちえある子こは父ちちを喜よろこばせ、愚おろかな子こは母ははの悲かなしみとなる。10:2 不義ふぎの宝たからは益えきなく、正義せいぎは人ひとを救すくい出だして、死しを免まぬかれさせる。10:3 主しゅは正ただしい人ひとを飢うえさせず、悪あしき者ものの欲望よくぼうをくじかれる。10:4 手てを動うごかすことを怠おこたる者ものは貧まずしくなり、勤つとめ働はたらく者ものの手ては富とみを得える。10:5 夏なつのうちに集あつめる者ものは賢かしこい子こであり、刈入かりいれの時ときに眠ねむる者ものは恥はじをきたらせる子こである。10:6 正ただしい者もののこうべには祝福しゅくふくがあり、悪あしき者ものの口くちは暴虐ぼうぎゃくを隠かくす。10:7 正ただしい者ものの名なはほめられ、悪あしき者ものの名なは朽くちる。10:8 心こころのさとき者ものは戒いましめを受うける、むだ口くちをたたく愚おろかな者ものは滅ほろぼされる。10:9 まっすぐに歩あゆむ者ものの歩あゆみは安全あんぜんである、しかし、その道みちを曲まげる者ものは災わざわいにあう。10:10 目めで、めくばせする者ものは憂うれいをおこし、あからさまに、戒いましめる者ものは平和へいわをきたらせる。10:11 正ただしい者ものの口くちは命いのちの泉いずみである、悪あしき者ものの口くちは暴虐ぼうぎゃくを隠かくす。10:12 憎にくしみは、争あらそいを起おこし、愛あいはすべてのとがをおおう。10:13 さとき者もののくちびるには知恵ちえがあり、知恵ちえのない者ものの背せにはむちがある。10:14 知恵ちえある者ものは知識ちしきをたくわえる、愚おろかな者もののむだ口くちは、今いまにも滅ほろびをきたらせる。10:15 富とめる者ものの宝たからは、その堅かたき城しろであり、貧まずしい者ものの乏とぼしきは、その滅ほろびである。10:16 正ただしい者ものの受うける賃銀ちんぎんは命いのちに導みちびき、悪あしき者ものの利得りとくは罪つみに至いたる。10:17 教訓きょうくんを守まもる者ものは命いのちの道みちにあり、懲こらしめを捨すてる者ものは道みちをふみ迷まよう。10:18 憎にくしみを隠かくす者ものには偽いつわりのくちびるがあり、そしりを口くちに出だす者ものは愚おろかな者ものである。10:19 言葉ことばが多おおければ、とがを免まぬかれない、自分じぶんのくちびるを制せいする者ものは知恵ちえがある。10:20 正ただしい者ものの舌したは精せい銀ぎんである、悪あしき者ものの心こころは価値かちが少すくない。10:21 正ただしい者もののくちびるは多おおくの人ひとを養やしない、愚おろかな者ものは知恵ちえがなくて死しぬ。10:22 主しゅの祝福しゅくふくは人ひとを富とませる、主しゅはこれになんの悲かなしみをも加くわえない。10:23 愚おろかな者ものは、戯たわむれ事ごとのように悪あくを行おこなう、さとき人ひとには賢かしこい行おこないが楽たのしみである。10:24 悪あしき者ものの恐おそれることは自分じぶんに来きたり、正ただしい者ものの願ねがうことは与あたえられる。10:25 あらしが通とおりすぎる時とき、悪あしき者ものは、もはや、いなくなり、正ただしい者ものは永久えいきゅうに堅かたく立たてられる。10:26 なまけ者ものは、これをつかわす者ものにとっては、酢すが歯はをいため、煙けむりが目めを悩なやますようなものだ。10:27 主しゅを恐おそれることは人ひとの命いのちの日ひを多おおくする、悪あしき者ものの年としは縮ちぢめられる。10:28 正ただしい者ものの望のぞみは喜よろこびに終おわり、悪あしき者ものの望のぞみは絶たえる。10:29 主しゅは、まっすぐに歩あゆむ者ものには城しろであり、悪あくを行おこなう者ものには滅ほろびである。10:30 正ただしい者ものはいつまでも動うごかされることはない、悪あしき者ものは、地ちに住すむことができない。10:31 正ただしい者ものの口くちは知恵ちえをいだし、偽いつわりの舌したは抜ぬかれる。10:32 正ただしい者もののくちびるは喜よろこばるべきことをわきまえ、悪あしき者ものの口くちは偽いつわりを語かたる。 第11章 11:1 偽いつわりのはかりは主しゅに憎にくまれ、正ただしいふんどうは彼かれに喜よろこばれる。11:2 高たかぶりが来くれば、恥はじもまた来くる、へりくだる者ものには知恵ちえがある。11:3 正ただしい者ものの誠実せいじつはその人ひとを導みちびき、不信実ふしんじつな者もののよこしまはその人ひとを滅ほろぼす。11:4 宝たからは怒いかりの日ひに益えきなく、正義せいぎは人ひとを救すくい出だして、死しを免まぬかれさせる。11:5 誠実せいじつな者ものは、その正義せいぎによって、その道みちをまっすぐにせられ、悪あしき者ものは、その悪あくによって倒たおれる。11:6 正ただしい者ものはその正義せいぎによって救すくわれ、不信実ふしんじつな者ものは自分じぶんの欲よくによって捕とらえられる。11:7 悪あしき者ものは死しぬとき、その望のぞみは絶たえ、不信心ふしんじんな者ものの望のぞみもまた絶たえる。11:8 正ただしい者ものは、悩なやみから救すくわれ、悪あしき者ものは代かわってそれに陥おちいる。11:9 不信心ふしんじんな者ものはその口くちをもって隣となり人びとを滅ほろぼす、正ただしい者ものは知識ちしきによって救すくわれる。11:10 正ただしい者ものが、しあわせになれば、その町まちは喜よろこび、悪あしき者ものが滅ほろびると、喜よろこびの声こえがおこる。11:11 町まちは正ただしい者ものの祝福しゅくふくによって、高たかくあげられ、悪あしき者ものの口くちによって、滅ほろぼされる。11:12 隣となり人びとを侮あなどる者ものは知恵ちえがない、さとき人ひとは口くちをつぐむ。11:13 人ひとのよしあしを言いいあるく者ものは秘密ひみつをもらす、心こころの忠信ちゅうしんなる者ものは事ことを隠かくす。11:14 指導者しどうしゃがなければ民たみは倒たおれ、助言者じょげんしゃが多おおければ安全あんぜんである。11:15 他人たにんのために保証ほしょうをする者ものは苦くるしみをうけ、保証ほしょうをきらう者ものは安全あんぜんである。11:16 しとやかな女おんなは、誉ほまれを得え、強暴きょうぼうな男おとこは富とみを得える。11:17 いつくしみある者ものはおのれ自身じしんに益えきを得え、残忍ざんにんな者ものはおのれの身みをそこなう。11:18 悪あしき者ものの得える報むくいはむなしく、正義せいぎを播まく者ものは確たしかな報むくいを得える。11:19 正義せいぎを堅かたく保たもつ者ものは命いのちに至いたり、悪あくを追おい求もとめる者ものは死しを招まねく。11:20 心こころのねじけた者ものは主しゅに憎にくまれ、まっすぐに道みちを歩あゆむ者ものは彼かれに喜よろこばれる。11:21 確たしかに、悪人あくにんは罰ばつを免まぬかれない、しかし正ただしい人ひとは救すくいを得える。11:22 美うつくしい女おんなの慎つつしみがないのは、金きんの輪わの、ぶたの鼻はなにあるようだ。11:23 正ただしい者ものの願ねがいは、すべて良よい結果けっかを得え、悪あしき者ものの望のぞみは怒いかりに至いたる。11:24 施ほどこし散ちらして、なお富とみを増ます人ひとがあり、与あたえるべきものを惜おしんで、かえって貧まずしくなる者ものがある。11:25 物惜ものおしみしない者ものは富とみ、人ひとを潤うるおす者ものは自分じぶんも潤うるおされる。11:26 穀物こくもつを、しまい込こんで売うらない者ものは民たみにのろわれる、それを売うる者もののこうべには祝福しゅくふくがある。11:27 善ぜんを求もとめる者ものは恵めぐみを得える、悪あくを求もとめる者ものには悪あくが来くる。11:28 自分じぶんの富とみを頼たのむ者ものは衰おとろえる、正ただしい者ものは木きの青葉あおばのように栄さかえる。11:29 自分じぶんの家族かぞくを苦くるしめる者ものは風かぜを所有しょゆうとする、愚おろかな者ものは心こころのさとき者もののしもべとなる。11:30 正ただしい者ものの結むすぶ実みは命いのちの木きである、不法ふほうな者ものは人ひとの命いのちをとる。11:31 もし正ただしい者ものがこの世よで罰ばっせられるならば、悪あしき者ものと罪つみびととは、なおさらである。 第12章 12:1 戒いましめを愛あいする人ひとは知識ちしきを愛あいする、懲こらしめを憎にくむ者ものは愚おろかである。12:2 善人ぜんにんは主しゅの恵めぐみをうけ、悪わるい計はかりごとを設もうける人ひとは主しゅに罰ばっせられる。12:3 人ひとは悪あくをもって堅かたく立たつことはできない、正ただしい人ひとの根ねは動うごくことはない。12:4 賢かしこい妻つまはその夫おっとの冠かんむりである、恥はじをこうむらせる妻つまは夫おっとの骨ほねに生しょうじた腐くされのようなものである。12:5 正ただしい人ひとの考かんがえは公正こうせいである、悪あしき者ものの計はかることは偽いつわりである。12:6 悪あしき者ものの言葉ことばは、人ひとの血ちを流ながそうとうかがう、正ただしい人ひとの口くちは人ひとを救すくう。12:7 悪あしき者ものは倒たおされて、うせ去さる、正ただしい人ひとの家いえは堅かたく立たつ。12:8 人ひとはその悟さとりにしたがって、ほめられ、心こころのねじけた者ものは、卑いやしめられる。12:9 身分みぶんの低ひくい人ひとでも自分じぶんで働はたらく者ものは、みずから高たかぶって食しょくに乏とぼしい者ものにまさる。12:10 正ただしい人ひとはその家畜かちくの命いのちを顧かえりみる、悪あしき者ものは残忍ざんにんをもって、あわれみとする。12:11 自分じぶんの田地でんちを耕たがやす者ものは食糧しょくりょうに飽あきる、無益むえきな事ことに従したがう者ものは知恵ちえがない。12:12 悪あしき者ものの堅固けんごなやぐらは崩壊ほうかいする、正ただしい人ひとの根ねは堅かたく立たつ。12:13 悪人あくにんはくちびるのとがによって、わなに陥おちいる、しかし正ただしい人ひとは悩なやみをのがれる。12:14 人ひとはその口くちの実みによって、幸福こうふくに満みち足たり、人ひとの手てのわざは、その人ひとの身みに帰かえる。12:15 愚おろかな人ひとの道みちは、自分じぶんの目めに正ただしく見みえる、しかし知恵ちえある者ものは勧すすめをいれる。12:16 愚おろかな人ひとは、すぐに怒いかりをあらわす、しかし賢かしこい人ひとは、はずかしめをも気きにとめない。12:17 真実しんじつを語かたる人ひとは正ただしい証言しょうげんをなし、偽いつわりの証人しょうにんは偽いつわりを言いう。12:18 つるぎをもって刺さすように、みだりに言葉ことばを出だす者ものがある、しかし知恵ちえある人ひとの舌したは人ひとをいやす。12:19 真実しんじつを言いうくちびるは、いつまでも保たもつ、偽いつわりを言いう舌したは、ただ、まばたきの間あいだだけである。12:20 悪あくをたくらむ者ものの心こころには欺あざむきがあり、善ぜんをはかる人ひとには喜よろこびがある。12:21 正ただしい人ひとにはなんの害悪がいあくも生しょうじない、しかし悪あしき者ものは災わざわいをもって満みたされる。12:22 偽いつわりを言いうくちびるは主しゅに憎にくまれ、真実しんじつを行おこなう者ものは彼かれに喜よろこばれる。12:23 さとき人ひとは知識ちしきをかくす、しかし愚おろかな者ものは自分じぶんの愚おろかなことをあらわす。12:24 勤つとめ働はたらく者ものの手てはついに人ひとを治おさめる、怠おこたる者ものは人ひとに仕つかえるようになる。12:25 心こころに憂うれいがあればその人ひとをかがませる、しかし親切しんせつな言葉ことばはその人ひとを喜よろこばせる。12:26 正ただしい人ひとは悪あくを離はなれ去さる、しかし悪あしき者ものは自みずから道みちに迷まよう。12:27 怠おこたる者ものは自分じぶんの獲物えものを捕とらえない、しかし勤つとめ働はたらく人ひとは尊たっとい宝たからを獲える。12:28 正義せいぎの道みちには命いのちがある、しかし誤あやまりの道みちは死しに至いたる。 第13章 13:1 知恵ちえある子こは父ちちの教訓きょうくんをきく、あざける者ものは、懲こらしめをきかない。13:2 善良ぜんりょうな人ひとはその口くちの実みによって、幸福こうふくを得える、不信実ふしんじつな者ものの願ねがいは、暴虐ぼうぎゃくである。13:3 口くちを守まもる者ものはその命いのちを守まもる、くちびるを大おおきく開ひらく者ものには滅ほろびが来くる。13:4 なまけ者ものの心こころは、願ねがい求もとめても、何なにも得えない、しかし勤つとめ働はたらく者ものの心こころは豊ゆたかに満みたされる。13:5 正ただしい人ひとは偽いつわりを憎にくむ、しかし悪あしき人ひとは恥はずべく、忌いまわしくふるまう。13:6 正義せいぎは道みちをまっすぐ歩あゆむ者ものを守まもり、罪つみは悪あしき者ものを倒たおす。13:7 富とんでいると偽いつわって、何なにも持もたない者ものがいる、貧まずしいと偽いつわって、多おおくの富とみを持もつ者ものがいる。13:8 人ひとの富とみはその命いのちをあがなう、しかし貧まずしい者ものにはあがなうべき富とみがない。13:9 正ただしい者ものの光ひかりは輝かがやき、悪あしき者もののともしびは消けされる。13:10 高たかぶりはただ争あらそいを生しょうじる、勧告かんこくをきく者ものは知恵ちえがある。13:11 急いそいで得えた富とみは減へる、少すこしずつたくわえる者ものはそれを増ますことができる。13:12 望のぞみを得えることが長ながびくときは、心こころを悩なやます、願ねがいがかなうときは、命いのちの木きを得えたようだ。13:13 み言葉ことばを軽かろんじる者ものは滅ほろぼされ、戒いましめを重おもんじる者ものは報むくいを得える。13:14 知恵ちえある人ひとの教おしえは命いのちの泉いずみである、これによって死しのわなをのがれることができる。13:15 善良ぜんりょうな賢かしこい者ものは恵めぐみを得える、しかし、不信実ふしんじつな者ものの道みちは滅ほろびである。13:16 おおよそ、さとき者ものは知識ちしきによって事ことをおこない、愚おろかな者ものは自分じぶんの愚ぐを見みせびらかす。13:17 悪あしき使者ししゃは人ひとを災わざわいにおとしいれる、しかし忠実ちゅうじつな使者ししゃは人ひとを救すくう。13:18 貧乏びんぼうと、はずかしめとは教訓きょうくんを捨すてる者ものに来くる、しかし戒いましめを守まもる者ものは尊たっとばれる。13:19 願ねがいがかなえば、心こころは楽たのしい、愚おろかな者ものは悪あくを捨すてることをきらう。13:20 知恵ちえある者ものとともに歩あゆむ者ものは知恵ちえを得える。愚おろかな者ものの友ともとなる者ものは害がいをうける。13:21 災わざわいは罪つみびとを追おい、正ただしい者ものは良よい報むくいを受うける。13:22 善良ぜんりょうな人ひとはその嗣し業ぎょうを子孫しそんにのこす、しかし罪つみびとの富とみは正ただしい人ひとのためにたくわえられる。13:23 貧まずしい人ひとの新田しんでんは多おおくの食糧しょくりょうを産さんする、しかし不正ふせいによれば押おし流ながされる。13:24 むちを加くわえない者ものはその子こを憎にくむのである、子こを愛あいする者ものは、つとめてこれを懲こらしめる。13:25 正ただしい者ものは食たべてその食欲しょくよくを満みたす、しかし悪あしき者ものの腹はらは満みたされない。 第14章 14:1 知恵ちえはその家いえを建たて、愚おろかさは自分じぶんの手てでそれをこわす。14:2 まっすぐに歩あゆむ者ものは主しゅを恐おそれる、曲まがって歩あゆむ者ものは主しゅを侮あなどる。14:3 愚おろかな者ものの言葉ことばは自分じぶんの背せにむちを当あてる、知恵ちえある者もののくちびるはその身みを守まもる。14:4 牛うしがなければ穀物こくもつはない、牛うしの力ちからによって農作物のうさくもつは多おおくなる。14:5 真実しんじつな証人しょうにんはうそをいわない、偽いつわりの証人しょうにんはうそをつく。14:6 あざける者ものは知恵ちえを求もとめても得えられない、さとき者ものは知識ちしきを得えることがたやすい。14:7 愚おろかな者ものの前まえを離はなれ去され、そこには知識ちしきの言葉ことばがないからである。14:8 さとき者ものの知恵ちえは自分じぶんの道みちをわきまえることにあり、愚おろかな者ものの愚おろかは、欺あざむくことにある。14:9 神かみは悪あしき者ものをあざけられる、正ただしい者ものは、その恵めぐみを受うける。14:10 心こころの苦くるしみは心こころみずからが知しる、その喜よろこびには他人たにんはあずからない。14:11 悪あしき者ものの家いえは滅ほろぼされ、正ただしい者ものの幕屋まくやは栄さかえる。14:12 人ひとが見みて自みずから正ただしいとする道みちでも、その終おわりはついに死しに至いたる道みちとなるものがある。14:13 笑わらう時ときにも心こころに悲かなしみがあり、喜よろこびのはてに憂うれいがある。14:14 心こころのもとれる者ものはそのしわざの実みを刈かり取とり、善良ぜんりょうな人ひともまたその行おこないの実みを刈かり取とる。14:15 思慮しりょのない者ものはすべてのことを信しんじる、さとき者ものは自分じぶんの歩あゆみを慎つつしむ。14:16 知恵ちえある者ものは用心ようじんぶかく、悪あくを離はなれる、愚おろかな者ものは高たかぶって用心ようじんしない。14:17 怒いかりやすい者ものは愚おろかなことを行おこない、賢かしこい者ものは忍耐にんたい強づよい。14:18 思慮しりょのない者ものは愚おろかなことを自分じぶんのものとする、さとき者ものは知識ちしきをもって冠かんむりとする。14:19 悪人あくにんは善人ぜんにんの前まえにひれ伏ふし、悪あしき者ものは正ただしい者ものの門もんにひれ伏ふす。14:20 貧まずしい者ものはその隣となりにさえも憎にくまれる、しかし富とめる者ものは多おおくの友ともをもつ。14:21 隣となり人びとを卑いやしめる者ものは罪つみびとである、貧まずしい人ひとをあわれむ者ものはさいわいである。14:22 悪あくを計はかる者ものはおのれを誤あやまるではないか、善ぜんを計はかる者ものにはいつくしみと、まこととがある。14:23 すべての勤労きんろうには利益りえきがある、しかし口先くちさきだけの言葉ことばは貧乏びんぼうをきたらせるだけだ。14:24 知恵ちえある者ものの冠かんむりはその知恵ちえである、愚おろかな者ものの花はなの冠かんむりはただ愚おろかさである。14:25 まことの証人しょうにんは人ひとの命いのちを救すくう、偽いつわりを吐はく者ものは裏うら切ぎり者ものである。14:26 主しゅを恐おそれることによって人ひとは安心あんしんを得え、その子こらはのがれ場ばを得える。14:27 主しゅを恐おそれることは命いのちの泉いずみである、人ひとを死しのわなからのがれさせる。14:28 王おうの栄さかえは民たみの多おおいことにあり、君きみの滅ほろびは民たみを失うしなうことにある。14:29 怒いかりをおそくする者ものは大おおいなる悟さとりがあり、気きの短みじかい者ものは愚おろかさをあらわす。14:30 穏おだやかな心こころは身みの命いのちである、しかし興奮こうふんは骨ほねを腐くさらせる。14:31 貧まずしい者ものをしえたげる者ものはその つくり主ぬしを侮あなどる、乏とぼしい者ものをあわれむ者ものは、主しゅをうやまう。14:32 悪あしき者ものはその悪あしき行おこないによって滅ほろぼされ、正ただしい者ものはその正ただしきによって、のがれ場ばを得える。14:33 知恵ちえはさとき者ものの心こころにとどまり、愚おろかな者ものの心こころに知しられない。14:34 正義せいぎは国くにを高たかくし、罪つみは民たみをはずかしめる。14:35 賢かしこいしもべは王おうの恵めぐみをうけ、恥はじをきたらす者ものはその怒いかりにあう。 第15章 15:1 柔やわらかい答こたえは憤いきどおりをとどめ、激はげしい言葉ことばは怒いかりをひきおこす。15:2 知恵ちえある者ものの舌したは知識ちしきをわかち与あたえ、愚おろかな者ものの口くちは愚おろかを吐はき出だす。15:3 主しゅの目めはどこにでもあって、悪人あくにんと善人ぜんにんとを見張みはっている。15:4 優やさしい舌したは命いのちの木きである、乱暴らんぼうな言葉ことばは魂たましいを傷きずつける。15:5 愚おろかな者ものは父ちちの教訓きょうくんを軽かろんじる、戒いましめを守まもる者ものは賢かしこい者ものである。15:6 正ただしい者ものの家いえには多おおくの宝たからがある、悪あしき者ものの所得しょとくには煩わずらいがある。15:7 知恵ちえある者もののくちびるは知識ちしきをひろめる、愚おろかな者ものの心こころはそうでない。15:8 悪あしき者ものの供そなえ物ものは主しゅに憎にくまれ、正ただしい者ものの祈いのりは彼かれに喜よろこばれる。15:9 悪あしき者ものの道みちは主しゅに憎にくまれ、正義せいぎを求もとめる者ものは彼かれに愛あいせられる。15:10 道みちを捨すてる者ものには、きびしい懲こらしめがあり、戒いましめを憎にくむ者ものは死しに至いたる。15:11 陰府よみと滅ほろびとは主しゅの目めの前まえにあり、人ひとの心こころはなおさらである。15:12 あざける者ものは戒いましめられることを好このまない、また知恵ちえある者ものに近ちかづかない。15:13 心こころに楽たのしみがあれば顔色かおいろも喜よろこばしい、心こころに憂うれいがあれば気きはふさぐ。15:14 さとき者ものの心こころは知識ちしきをたずね、愚おろかな者ものの口くちは愚おろかさを食物しょくもつとする。15:15 悩なやんでいる者ものの日々ひびはことごとくつらく、心こころの楽たのしい人ひとは常つねに宴会えんかいをもつ。15:16 少すこしの物ものを所有しょゆうして主しゅを恐おそれるのは、多おおくの宝たからをもって苦く労ろうするのにまさる。15:17 野菜やさいを食たべて互たがいに愛あいするのは、肥こえた牛うしを食たべて互たがいに憎にくむのにまさる。15:18 憤いきどおりやすい者ものは争あらそいをおこし、怒いかりをおそくする者ものは争あらそいをとどめる。15:19 なまけ者ものの道みちには、いばらがはえしげり、正ただしい者ものの道みちは平たいらかである。15:20 知恵ちえある子こは父ちちを喜よろこばせる、愚おろかな人ひとはその母ははを軽かろんじる。15:21 無知むちな者ものは愚おろかなことを喜よろこび、さとき者ものはまっすぐに歩あゆむ。15:22 相あいはかることがなければ、計画けいかくは破やぶれる、はかる者ものが多おおければ、それは必かならず成なる。15:23 人ひとは口くちから出でる好このましい答こたえによって喜よろこびを得える、時ときにかなった言葉ことばは、いかにも良よいものだ。15:24 知恵ちえある人ひとの道みちは上のぼって命いのちに至いたる、こうしてその人ひとは下したにある陰府よみを離はなれる。15:25 主しゅは高たかぶる者ものの家いえを滅ほろぼし、やもめの地境じざかいを定さだめられる。15:26 悪人あくにんの計はかりごとは主しゅに憎にくまれ、潔白けっぱくな人ひとの言葉ことばは彼かれに喜よろこばれる。15:27 不正ふせいな利りをむさぼる者ものはその家いえを煩わずらわせる、まいないを憎にくむ者ものは生いきながらえる。15:28 正ただしい者ものの心こころは答こたえるべきことを考かんがえる、悪あしき者ものの口くちは悪あくを吐はき出だす。15:29 主しゅは悪あしき者ものに遠とおざかり、正ただしい者ものの祈いのりを聞きかれる。15:30 目めの光ひかりは心こころを喜よろこばせ、よい知しらせは骨ほねを潤うるおす。15:31 ためになる戒いましめを聞きく耳みみをもつ者ものは、知恵ちえある者ものの中なかにとどまる。15:32 教訓きょうくんを捨すてる者ものはおのれの命いのちを軽かろんじ、戒いましめを重おもんじる者ものは悟さとりを得える。15:33 主しゅを恐おそれることは知恵ちえの教訓きょうくんである、謙遜けんそんは、栄誉えいよに先さきだつ。
4:1 子供こどもらよ、父ちちの教おしえを聞きき、悟さとりを得えるために耳みみを傾かたむけよ。
4:2 わたしは、良よい教訓きょうくんを、あなたがたにさずける。わたしの教おしえを捨すててはならない。
4:3 わたしもわが父ちちには子こであり、わが母ははの目めには、ひとりのいとし子こであった。
4:4 父ちちはわたしを教おしえて言いった、「わたしの言葉ことばを、心こころに留とめ、わたしの戒いましめを守まもって、命いのちを得えよ。
4:5 それを忘わすれることなく、またわが口くちの言葉ことばにそむいてはならない、知恵ちえを得えよ、悟さとりを得えよ。
4:6 知恵ちえを捨すてるな、それはあなたを守まもる。それを愛あいせよ、それはあなたを保たもつ。
4:7 知恵ちえの初はじめはこれである、知恵ちえを得えよ、あなたが何なにを得えるにしても、悟さとりを得えよ。
4:8 それを尊たっとべ、そうすれば、それはあなたを高たかくあげる、もしそれをいだくならば、それはあなたを尊たっとくする。
4:9 それはあなたの頭あたまに麗うるわしい飾かざりを置おき、栄さかえの冠かんむりをあなたに与あたえる」。
4:10 わが子こよ、聞きけ、わたしの言葉ことばをうけいれよ、そうすれば、あなたの命いのちの年としは多おおくなる。
4:11 わたしは知恵ちえの道みちをあなたに教おしえ、正ただしい道筋みちすじにあなたを導みちびいた。
4:12 あなたが歩あるくとき、その歩あゆみは妨さまたげられず、走はしる時ときにも、つまずくことはない。
4:13 教訓きょうくんをかたくとらえて、離はなしてはならない、それを守まもれ、それはあなたの命いのちである。
4:14 よこしまな者ものの道みちに、はいってはならない、悪あしき者ものの道みちを歩あゆんではならない。
4:15 それを避さけよ、通とおってはならない、それを離はなれて進すすめ。
4:16 彼かれらは悪あくを行おこなわなければ眠ねむることができず、人ひとをつまずかせなければ、寝ねることができず、
4:17 不正ふせいのパンを食くらい、暴虐ぼうぎゃくの酒さけを飲のむからである。
4:18 正ただしい者ものの道みちは、夜明よあけの光ひかりのようだ、いよいよ輝かがやきを増まして真昼まひるとなる。
4:19 悪あしき人ひとの道みちは暗くらやみのようだ、彼かれらは何なににつまずくかを知しらない。
4:20 わが子こよ、わたしの言葉ことばに心こころをとめ、わたしの語かたることに耳みみを傾かたむけよ。
4:21 それを、あなたの目めから離はなさず、あなたの心こころのうちに守まもれ。
4:22 それは、これを得える者ものの命いのちであり、またその全身ぜんしんを健すこやかにするからである。
4:23 油断ゆだんすることなく、あなたの心こころを守まもれ、命いのちの泉いずみは、これから流ながれ出でるからである。
4:24 曲まがった言葉ことばをあなたから捨すてさり、よこしまな談話だんわをあなたから遠とおざけよ。
4:25 あなたの目めは、まっすぐに正面しょうめんを見み、あなたのまぶたはあなたの前まえを、まっすぐに見みよ。
4:26 あなたの足あしの道みちに気きをつけよ、そうすれば、あなたのすべての道みちは安全あんぜんである。
4:27 右みぎにも左ひだりにも迷まよい出でてはならない、あなたの足あしを悪あくから離はなれさせよ。
第5章 5:1 わが子こよ、わたしの知恵ちえに心こころをとめ、わたしの悟さとりに耳みみをかたむけよ。5:2 これは、あなたが慎つつしみを守まもり、あなたのくちびるに知識ちしきを保たもつためである。5:3 遊女ゆうじょのくちびるは蜜みつをしたたらせ、その言葉ことばは油あぶらよりもなめらかである。5:4 しかしついには、彼女かのじょはにがよもぎのように苦にがく、もろ刃はのつるぎのように鋭するどくなる。5:5 その足あしは死しに下くだり、その歩あゆみは陰府よみの道みちにおもむく。5:6 彼女かのじょはいのちの道みちに心こころをとめず、その道みちは人ひとを迷まよわすが、彼女かのじょはそれを知しらない。 5:7 子供こどもらよ、今いまわたしの言いうことを聞きけ、わたしの口くちの言葉ことばから、離はなれ去さってはならない。5:8 あなたの道みちを彼女かのじょから遠とおく離はなし、その家いえの門もんに近ちかづいてはならない。5:9 おそらくはあなたの誉ほまれを他人たにんにわたし、あなたの年としを無慈悲むじひな者ものにわたすに至いたる。5:10 おそらくは他人たにんがあなたの資産しさんによって満みたされ、あなたの労苦ろうくは他人たにんの家いえに行いく。5:11 そしてあなたの終おわりが来きて、あなたの身みと、からだが滅ほろびるとき、泣なき悲かなしんで、5:12 言いうであろう、「わたしは教訓きょうくんをいとい、心こころに戒いましめを軽かろんじ、5:13 教師きょうしの声こえに聞きき従したがわず、わたしを教おしえる者ものに耳みみを傾かたむけず、5:14 集あつまりの中なか、会衆かいしゅうのうちにあって、わたしは、破滅はめつに陥おちいりかけた」と。5:15 あなたは自分じぶんの水みずためから水みずを飲のみ、自分じぶんの井戸いどから、わき出です水みずを飲のむがよい。5:16 あなたの泉いずみを、外そとにまきちらし、水みずの流ながれを、ちまたに流ながしてよかろうか。5:17 それを自分じぶんだけのものとし、他人たにんを共ともにあずからせてはならない。5:18 あなたの泉いずみに祝福しゅくふくを受うけさせ、あなたの若わかい時ときの妻つまを楽たのしめ。5:19 彼女かのじょは愛あいらしい雌めじか、美うつくしいしかのようだ。いつも、その乳ちぶさをもって満足まんぞくし、その愛あいをもって常つねに喜よろこべ。5:20 わが子こよ、どうして遊女ゆうじょに迷まよい、みだらな女おんなの胸むねをいだくのか。5:21 人ひとの道みちは主しゅの目めの前まえにあり、主しゅはすべて、その行おこないを見守みまもられる。5:22 悪あしき者ものは自分じぶんのとがに捕とらえられ、自分じぶんの罪つみのなわにつながれる。5:23 彼かれは、教訓きょうくんがないために死しに、その愚おろかさの大おおきいことによって滅ほろびる。 第6章 6:1 わが子こよ、あなたがもし隣となり人びとのために保証人ほしょうにんとなり、他人たにんのために手てをうって誓ちかったならば、6:2 もしあなたのくちびるの言葉ことばによって、わなにかかり、あなたの口くちの言葉ことばによって捕とらえられたならば、6:3 わが子こよ、その時ときはこうして、おのれを救すくえ、あなたは隣となり人びとの手てに陥おちいったのだから。急いそいで行いって、隣となり人びとにひたすら求もとめよ。6:4 あなたの目めを眠ねむらせず、あなたのまぶたを、まどろませず、6:5 かもしかが、かりゅうどの手てからのがれるように、鳥とりが鳥とりを取とる者ものの手てからのがれるように、おのれを救すくえ。 6:6 なまけ者ものよ、ありのところへ行いき、そのすることを見みて、知恵ちえを得えよ。6:7 ありは、かしらなく、つかさなく、王おうもないが、6:8 夏なつのうちに食物しょくもつをそなえ、刈入かりいれの時ときに、かてを集あつめる。6:9 なまけ者ものよ、いつまで寝ねているのか、いつ目めをさまして起おきるのか。6:10 しばらく眠ねむり、しばらくまどろみ、手てをこまぬいて、またしばらく休やすむ。6:11 それゆえ、貧まずしさは盗ぬすびとのようにあなたに来きたり、乏とぼしさは、つわもののようにあなたに来くる。6:12 よこしまな人ひと、悪あしき人ひとは偽いつわりの言葉ことばをもって行いきめぐり、6:13 目めでめくばせし、足あしで踏ふみ鳴ならし、指ゆびで示しめし、6:14 よこしまな心こころをもって悪あくを計はかり、絶たえず争あらそいをおこす。6:15 それゆえ、災わざわいは、にわかに彼かれに臨のぞみ、たちまちにして打うち敗やぶられ、助たすかることはない。 6:16 主しゅの憎にくまれるものが六つある、否いな、その心こころに、忌いみきらわれるものが七つある。6:17 すなわち、高たかぶる目め、偽いつわりを言いう舌した、罪つみなき人ひとの血ちを流ながす手て、6:18 悪あしき計はかりごとをめぐらす心こころ、すみやかに悪あくに走はしる足あし、6:19 偽いつわりをのべる証人しょうにん、また兄弟きょうだいのうちに争あらそいをおこす人ひとがこれである。 6:20 わが子こよ、あなたの父ちちの戒いましめを守まもり、あなたの母ははの教おしえを捨すてるな。6:21 つねに、これをあなたの心こころに結むすび、あなたの首くびのまわりにつけよ。6:22 これは、あなたが歩あるくとき、あなたを導みちびき、あなたが寝ねるとき、あなたを守まもり、あなたが目めざめるとき、あなたと語かたる。6:23 戒いましめはともしびである、教おしえは光ひかりである、教訓きょうくんの懲こらしめは命いのちの道みちである。6:24 これは、あなたを守まもって、悪わるい女おんなに近ちかづかせず、みだらな女おんなの、巧たくみな舌したに惑まどわされぬようにする。6:25 彼女かのじょの麗うるわしさを心こころに慕したってはならない、そのまぶたに捕とらえられてはならない。6:26 遊女ゆうじょは一いっ塊かいのパンのために雇やとわれる、しかし、みだらな女おんなは人ひとの尊たっとい命いのちを求もとめる。6:27 人ひとは火ひを、そのふところにいだいてその着物きものが焼やかれないであろうか。6:28 また人ひとは、熱あつい火ひを踏ふんで、その足あしが、焼やかれないであろうか。6:29 その隣となりの妻つまと不義ふぎを行おこなう者ものも、それと同おなじだ。すべて彼女かのじょに触ふれる者ものは罰ばつを免まぬかれることはできない。6:30 盗ぬすびとが飢うえたとき、その飢うえを満みたすために盗ぬすむならば、人ひとは彼かれを軽かろんじないであろうか。6:31 もし捕とらえられたなら、その七倍ばいを償つぐない、その家いえの貨か財ざいを、ことごとく出ださなければならない。6:32 女おんなと姦淫かんいんを行おこなう者ものは思慮しりょがない。これを行おこなう者ものはおのれを滅ほろぼし、6:33 傷きずと、はずかしめとを受うけて、その恥はじをすすぐことができない。6:34 ねたみは、その夫おっとを激はげしく怒いからせるゆえ、恨うらみを報むくいるとき、容赦ようしゃすることはない。6:35 どのようなあがない物ものをも顧かえりみず、多おおくの贈おくり物ものをしても、和やわらがない。 第7章 7:1 わが子こよ、わたしの言葉ことばを守まもり、わたしの戒いましめをあなたの心こころにたくわえよ。7:2 わたしの戒いましめを守まもって命いのちを得えよ、わたしの教おしえを守まもること、ひとみを守まもるようにせよ。7:3 これをあなたの指ゆびにむすび、これをあなたの心こころの碑いしぶみにしるせ。7:4 知恵ちえに向むかって、「あなたはわが姉妹しまいだ」と言いい、悟さとりに向むかっては、あなたの友ともと呼よべ。7:5 そうすれば、これはあなたを守まもって遊女ゆうじょに迷まよわせず、言葉ことば巧たくみな、みだらな女おんなに近ちかづかせない。7:6 わたしはわが家いえの窓まどにより、格子こうし窓まどから外そとをのぞいて、7:7 思慮しりょのない者もののうちに、若わかい者もののうちに、ひとりの知恵ちえのない若者わかもののいるのを見みた。7:8 彼かれはちまたを過すぎ、女おんなの家いえに行いく曲まがりかどに近ちかづき、その家いえに行いく道みちを、7:9 たそがれに、よいに、また夜中よなかに、また暗くらやみに歩あるいていった。7:10 見みよ、遊女ゆうじょの装よそおいをした陰険いんけんな女おんなが彼かれに会あう。7:11 この女おんなは、騒さわがしくて、慎つつしみなく、その足あしは自分じぶんの家いえにとどまらず、7:12 ある時ときはちまたにあり、ある時ときは市場いちばにあり、すみずみに立たって人ひとをうかがう。7:13 この女おんなは彼かれを捕とらえて口くちづけし、恥はじしらぬ顔かおで彼かれに言いう、7:14 「わたしは酬恩祭しゅうおんさいをささげなければならなかったが、きょう、その誓ちかいを果はたしました。7:15 それでわたしはあなたを迎むかえようと出でて、あなたを尋たずね、あなたに会あいました。7:16 わたしは床とこに美うつくしい、しとねと、エジプトのあや布ぬのを敷しき、7:17 没薬もつやく、ろかい、桂皮けいひをもってわたしの床とこをにおわせました。7:18 さあ、わたしたちは夜よるが明あけるまで、情じょうをつくし、愛あいをかわして楽たのしみましょう。7:19 夫おっとは家いえにいません、遠とおくへ旅立たびだち、7:20 手てに金かね袋ぶくろを持もって出でました。満月まんげつになるまでは帰かえりません」と。7:21 女おんなが多おおくの、なまめかしい言葉ことばをもって彼かれを惑まどわし、巧たくみなくちびるをもって、いざなうと、7:22 若わかい人ひとは直ただちに女おんなに従したがった、あたかも牛うしが、ほふり場ばに行いくように、雄おじかが、すみやかに捕とらえられ、7:23 ついに、矢やがその内臓ないぞうを突つき刺さすように、鳥とりがすみやかに網あみにかかるように、彼かれは自分じぶんが命いのちを失うしなうようになることを知しらない。 7:24 子供こどもらよ、今いまわたしの言いうことを聞きき、わが口くちの言葉ことばに耳みみを傾かたむけよ。7:25 あなたの心こころを彼女かのじょの道みちに傾かたむけてはならない、またその道みちに迷まよってはならない。7:26 彼女かのじょは多おおくの人ひとを傷きずつけて倒たおした、まことに、彼女かのじょに殺ころされた者ものは多おおい。7:27 その家いえは陰府よみへ行いく道みちであって、死しのへやへ下くだって行いく。 第8章 8:1 知恵ちえは呼よばわらないのか、悟さとりは声こえをあげないのか。8:2 これは道みちのほとりの高たかい所ところの頂いただき、また、ちまたの中なかに立たち、8:3 町まちの入口いりぐちにあるもろもろの門もんのかたわら、正門せいもんの入口いりぐちで呼よばわって言いう、8:4 「人々ひとびとよ、わたしはあなたがたに呼よばわり、声こえをあげて人ひとの子こらを呼よぶ。8:5 思慮しりょのない者ものよ、悟さとりを得えよ、愚おろかな者ものよ、知恵ちえを得えよ。8:6 聞きけ、わたしは高貴こうきな事ことを語かたり、わがくちびるは正ただしい事ことを語かたり出だす。8:7 わが口くちは真実しんじつを述のべ、わがくちびるは悪あしき事ことを憎にくむ。8:8 わが口くちの言葉ことばはみな正ただしい、そのうちに偽いつわりと、よこしまはない。8:9 これはみな、さとき者ものの明あきらかにするところ、知識ちしきを得える者ものの正ただしとするところである。8:10 あなたがたは銀ぎんを受うけるよりも、わたしの教おしえを受うけよ、精せい金きんよりも、むしろ知識ちしきを得えよ。8:11 知恵ちえは宝石ほうせきにまさり、あなたがたの望のぞむすべての物ものは、これと比くらべるにたりない。8:12 知恵ちえであるわたしは悟さとりをすみかとし、知識ちしきと慎つつしみとをもつ。8:13 主しゅを恐おそれるとは悪あくを憎にくむことである。わたしは高たかぶりと、おごりと、悪あしき道みちと、偽いつわりの言葉ことばとを憎にくむ。8:14 計はかりごとと、確たしかな知恵ちえとは、わたしにある、わたしには悟さとりがあり、わたしには力ちからがある。8:15 わたしによって、王おうたる者ものは世よを治おさめ、君きみたる者ものは正ただしい定さだめを立たてる。8:16 わたしによって、主しゅたる者ものは支配しはいし、つかさたる者ものは地ちを治おさめる。8:17 わたしは、わたしを愛あいする者ものを愛あいする、わたしをせつに求もとめる者ものは、わたしに出会であう。8:18 富とみと誉ほまれとはわたしにあり、すぐれた宝たからと繁栄はんえいもまたそうである。8:19 わたしの実みは金きんよりも精せい金きんよりも良よく、わたしの産物さんぶつは精せい銀ぎんにまさる。8:20 わたしは正義せいぎの道みち、公正こうせいな道筋みちすじの中なかを歩あゆみ、8:21 わたしを愛あいする者ものに宝たからを得えさせ、またその倉くらを満みちさせる。 8:22 主しゅが昔むかしそのわざをなし始はじめられるとき、そのわざの初はじめとして、わたしを造つくられた。8:23 いにしえ、地ちのなかった時とき、初はじめに、わたしは立たてられた。8:24 まだ海うみもなく、また大おおいなる水みずの泉いずみもなかった時とき、わたしはすでに生うまれ、8:25 山やまもまだ定さだめられず、丘おかもまだなかった時とき、わたしはすでに生うまれた。8:26 すなわち神かみがまだ地ちをも野のをも、地ちのちりのもとをも造つくられなかった時ときである。8:27 彼かれが天てんを造つくり、海うみのおもてに、大空おおぞらを張はられたとき、わたしはそこにあった。8:28 彼かれが上うえに空そらを堅かたく立たたせ、淵ふちの泉いずみをつよく定さだめ、8:29 海うみにその限界げんかいをたて、水みずにその岸きしを越こえないようにし、また地ちの基もといを定さだめられたとき、8:30 わたしは、そのかたわらにあって、名 めいしょうとなり、日々ひびに喜よろこび、常つねにその前まえに楽たのしみ、8:31 その地ちで楽たのしみ、また世よの人ひとを喜よろこんだ。 8:32 それゆえ、子供こどもらよ、今いまわたしの言いうことを聞きけ、わたしの道みちを守まもる者ものはさいわいである。8:33 教訓きょうくんを聞きいて、知恵ちえを得えよ、これを捨すててはならない。8:34 わたしの言いうことを聞きき、日々ひびわたしの門もんのかたわらでうかがい、わたしの戸口とぐちの柱はしらのわきで待まつ人ひとはさいわいである。8:35 それは、わたしを得える者ものは命いのちを得え、主しゅから恵めぐみを得えるからである。8:36 わたしを失うしなう者ものは自分じぶんの命いのちをそこなう、すべてわたしを憎にくむ者ものは死しを愛あいする者ものである」。 第9章 9:1 知恵ちえは自分じぶんの家いえを建たて、その七つの柱はしらを立たて、9:2 獣けものをほふり、酒さけを混まぜ合あわせて、ふるまいを備そなえ、9:3 はしためをつかわして、町まちの高たかい所ところで呼よばわり言いわせた、9:4 「思慮しりょのない者ものよ、ここに来きたれ」と。また、知恵ちえのない者ものに言いう、9:5 「来きて、わたしのパンを食たべ、わたしの混まぜ合あわせた酒さけをのみ、9:6 思慮しりょのないわざを捨すてて命いのちを得え、悟さとりの道みちを歩あゆめ」と。 9:7 あざける者ものを戒いましめる者ものは、自みずから恥はじを得え、悪あしき者ものを責せめる者ものは自みずから傷きずを受うける。9:8 あざける者ものを責せめるな、おそらく彼かれはあなたを憎にくむであろう。知恵ちえある者ものを責せめよ、彼かれはあなたを愛あいする。9:9 知恵ちえある者ものに教訓きょうくんを授さづけよ、彼かれはますます知恵ちえを得える。正ただしい者ものを教おしえよ、彼かれは学がくに進すすむ。9:10 主しゅを恐おそれることは知恵ちえのもとである、聖せいなる者ものを知しることは、悟さとりである。9:11 わたしによって、あなたの日ひは多おおくなり、あなたの命いのちの年としは増ます。9:12 もしあなたに知恵ちえがあるならば、あなた自身じしんのために知恵ちえがあるのである。もしあなたがあざけるならば、あなたひとりがその責せめを負おうことになる。 9:13 愚おろかな女おんなは、騒さわがしく、みだらで、恥はじを知しらない。9:14 彼女かのじょはその家いえの戸口とぐちに座ざし、町まちの高たかい所ところにある座ざにすわり、9:15 道みちを急いそぐ行いき来きの人ひとを招まねいて言いう、9:16 「思慮しりょのない者ものよ、ここに来きたれ」と。また知恵ちえのない人ひとに向むかってこれに言いう、9:17 「盗ぬすんだ水みずは甘あまく、ひそかに食たべるパンはうまい」と。9:18 しかしその人ひとは、死しの影かげがそこにあることを知しらず、彼女かのじょの客きゃくは陰府よみの深ふかみにおることを知しらない。 第10章 10:1 ソロモンの箴言しんげん。知恵ちえある子こは父ちちを喜よろこばせ、愚おろかな子こは母ははの悲かなしみとなる。10:2 不義ふぎの宝たからは益えきなく、正義せいぎは人ひとを救すくい出だして、死しを免まぬかれさせる。10:3 主しゅは正ただしい人ひとを飢うえさせず、悪あしき者ものの欲望よくぼうをくじかれる。10:4 手てを動うごかすことを怠おこたる者ものは貧まずしくなり、勤つとめ働はたらく者ものの手ては富とみを得える。10:5 夏なつのうちに集あつめる者ものは賢かしこい子こであり、刈入かりいれの時ときに眠ねむる者ものは恥はじをきたらせる子こである。10:6 正ただしい者もののこうべには祝福しゅくふくがあり、悪あしき者ものの口くちは暴虐ぼうぎゃくを隠かくす。10:7 正ただしい者ものの名なはほめられ、悪あしき者ものの名なは朽くちる。10:8 心こころのさとき者ものは戒いましめを受うける、むだ口くちをたたく愚おろかな者ものは滅ほろぼされる。10:9 まっすぐに歩あゆむ者ものの歩あゆみは安全あんぜんである、しかし、その道みちを曲まげる者ものは災わざわいにあう。10:10 目めで、めくばせする者ものは憂うれいをおこし、あからさまに、戒いましめる者ものは平和へいわをきたらせる。10:11 正ただしい者ものの口くちは命いのちの泉いずみである、悪あしき者ものの口くちは暴虐ぼうぎゃくを隠かくす。10:12 憎にくしみは、争あらそいを起おこし、愛あいはすべてのとがをおおう。10:13 さとき者もののくちびるには知恵ちえがあり、知恵ちえのない者ものの背せにはむちがある。10:14 知恵ちえある者ものは知識ちしきをたくわえる、愚おろかな者もののむだ口くちは、今いまにも滅ほろびをきたらせる。10:15 富とめる者ものの宝たからは、その堅かたき城しろであり、貧まずしい者ものの乏とぼしきは、その滅ほろびである。10:16 正ただしい者ものの受うける賃銀ちんぎんは命いのちに導みちびき、悪あしき者ものの利得りとくは罪つみに至いたる。10:17 教訓きょうくんを守まもる者ものは命いのちの道みちにあり、懲こらしめを捨すてる者ものは道みちをふみ迷まよう。10:18 憎にくしみを隠かくす者ものには偽いつわりのくちびるがあり、そしりを口くちに出だす者ものは愚おろかな者ものである。10:19 言葉ことばが多おおければ、とがを免まぬかれない、自分じぶんのくちびるを制せいする者ものは知恵ちえがある。10:20 正ただしい者ものの舌したは精せい銀ぎんである、悪あしき者ものの心こころは価値かちが少すくない。10:21 正ただしい者もののくちびるは多おおくの人ひとを養やしない、愚おろかな者ものは知恵ちえがなくて死しぬ。10:22 主しゅの祝福しゅくふくは人ひとを富とませる、主しゅはこれになんの悲かなしみをも加くわえない。10:23 愚おろかな者ものは、戯たわむれ事ごとのように悪あくを行おこなう、さとき人ひとには賢かしこい行おこないが楽たのしみである。10:24 悪あしき者ものの恐おそれることは自分じぶんに来きたり、正ただしい者ものの願ねがうことは与あたえられる。10:25 あらしが通とおりすぎる時とき、悪あしき者ものは、もはや、いなくなり、正ただしい者ものは永久えいきゅうに堅かたく立たてられる。10:26 なまけ者ものは、これをつかわす者ものにとっては、酢すが歯はをいため、煙けむりが目めを悩なやますようなものだ。10:27 主しゅを恐おそれることは人ひとの命いのちの日ひを多おおくする、悪あしき者ものの年としは縮ちぢめられる。10:28 正ただしい者ものの望のぞみは喜よろこびに終おわり、悪あしき者ものの望のぞみは絶たえる。10:29 主しゅは、まっすぐに歩あゆむ者ものには城しろであり、悪あくを行おこなう者ものには滅ほろびである。10:30 正ただしい者ものはいつまでも動うごかされることはない、悪あしき者ものは、地ちに住すむことができない。10:31 正ただしい者ものの口くちは知恵ちえをいだし、偽いつわりの舌したは抜ぬかれる。10:32 正ただしい者もののくちびるは喜よろこばるべきことをわきまえ、悪あしき者ものの口くちは偽いつわりを語かたる。 第11章 11:1 偽いつわりのはかりは主しゅに憎にくまれ、正ただしいふんどうは彼かれに喜よろこばれる。11:2 高たかぶりが来くれば、恥はじもまた来くる、へりくだる者ものには知恵ちえがある。11:3 正ただしい者ものの誠実せいじつはその人ひとを導みちびき、不信実ふしんじつな者もののよこしまはその人ひとを滅ほろぼす。11:4 宝たからは怒いかりの日ひに益えきなく、正義せいぎは人ひとを救すくい出だして、死しを免まぬかれさせる。11:5 誠実せいじつな者ものは、その正義せいぎによって、その道みちをまっすぐにせられ、悪あしき者ものは、その悪あくによって倒たおれる。11:6 正ただしい者ものはその正義せいぎによって救すくわれ、不信実ふしんじつな者ものは自分じぶんの欲よくによって捕とらえられる。11:7 悪あしき者ものは死しぬとき、その望のぞみは絶たえ、不信心ふしんじんな者ものの望のぞみもまた絶たえる。11:8 正ただしい者ものは、悩なやみから救すくわれ、悪あしき者ものは代かわってそれに陥おちいる。11:9 不信心ふしんじんな者ものはその口くちをもって隣となり人びとを滅ほろぼす、正ただしい者ものは知識ちしきによって救すくわれる。11:10 正ただしい者ものが、しあわせになれば、その町まちは喜よろこび、悪あしき者ものが滅ほろびると、喜よろこびの声こえがおこる。11:11 町まちは正ただしい者ものの祝福しゅくふくによって、高たかくあげられ、悪あしき者ものの口くちによって、滅ほろぼされる。11:12 隣となり人びとを侮あなどる者ものは知恵ちえがない、さとき人ひとは口くちをつぐむ。11:13 人ひとのよしあしを言いいあるく者ものは秘密ひみつをもらす、心こころの忠信ちゅうしんなる者ものは事ことを隠かくす。11:14 指導者しどうしゃがなければ民たみは倒たおれ、助言者じょげんしゃが多おおければ安全あんぜんである。11:15 他人たにんのために保証ほしょうをする者ものは苦くるしみをうけ、保証ほしょうをきらう者ものは安全あんぜんである。11:16 しとやかな女おんなは、誉ほまれを得え、強暴きょうぼうな男おとこは富とみを得える。11:17 いつくしみある者ものはおのれ自身じしんに益えきを得え、残忍ざんにんな者ものはおのれの身みをそこなう。11:18 悪あしき者ものの得える報むくいはむなしく、正義せいぎを播まく者ものは確たしかな報むくいを得える。11:19 正義せいぎを堅かたく保たもつ者ものは命いのちに至いたり、悪あくを追おい求もとめる者ものは死しを招まねく。11:20 心こころのねじけた者ものは主しゅに憎にくまれ、まっすぐに道みちを歩あゆむ者ものは彼かれに喜よろこばれる。11:21 確たしかに、悪人あくにんは罰ばつを免まぬかれない、しかし正ただしい人ひとは救すくいを得える。11:22 美うつくしい女おんなの慎つつしみがないのは、金きんの輪わの、ぶたの鼻はなにあるようだ。11:23 正ただしい者ものの願ねがいは、すべて良よい結果けっかを得え、悪あしき者ものの望のぞみは怒いかりに至いたる。11:24 施ほどこし散ちらして、なお富とみを増ます人ひとがあり、与あたえるべきものを惜おしんで、かえって貧まずしくなる者ものがある。11:25 物惜ものおしみしない者ものは富とみ、人ひとを潤うるおす者ものは自分じぶんも潤うるおされる。11:26 穀物こくもつを、しまい込こんで売うらない者ものは民たみにのろわれる、それを売うる者もののこうべには祝福しゅくふくがある。11:27 善ぜんを求もとめる者ものは恵めぐみを得える、悪あくを求もとめる者ものには悪あくが来くる。11:28 自分じぶんの富とみを頼たのむ者ものは衰おとろえる、正ただしい者ものは木きの青葉あおばのように栄さかえる。11:29 自分じぶんの家族かぞくを苦くるしめる者ものは風かぜを所有しょゆうとする、愚おろかな者ものは心こころのさとき者もののしもべとなる。11:30 正ただしい者ものの結むすぶ実みは命いのちの木きである、不法ふほうな者ものは人ひとの命いのちをとる。11:31 もし正ただしい者ものがこの世よで罰ばっせられるならば、悪あしき者ものと罪つみびととは、なおさらである。 第12章 12:1 戒いましめを愛あいする人ひとは知識ちしきを愛あいする、懲こらしめを憎にくむ者ものは愚おろかである。12:2 善人ぜんにんは主しゅの恵めぐみをうけ、悪わるい計はかりごとを設もうける人ひとは主しゅに罰ばっせられる。12:3 人ひとは悪あくをもって堅かたく立たつことはできない、正ただしい人ひとの根ねは動うごくことはない。12:4 賢かしこい妻つまはその夫おっとの冠かんむりである、恥はじをこうむらせる妻つまは夫おっとの骨ほねに生しょうじた腐くされのようなものである。12:5 正ただしい人ひとの考かんがえは公正こうせいである、悪あしき者ものの計はかることは偽いつわりである。12:6 悪あしき者ものの言葉ことばは、人ひとの血ちを流ながそうとうかがう、正ただしい人ひとの口くちは人ひとを救すくう。12:7 悪あしき者ものは倒たおされて、うせ去さる、正ただしい人ひとの家いえは堅かたく立たつ。12:8 人ひとはその悟さとりにしたがって、ほめられ、心こころのねじけた者ものは、卑いやしめられる。12:9 身分みぶんの低ひくい人ひとでも自分じぶんで働はたらく者ものは、みずから高たかぶって食しょくに乏とぼしい者ものにまさる。12:10 正ただしい人ひとはその家畜かちくの命いのちを顧かえりみる、悪あしき者ものは残忍ざんにんをもって、あわれみとする。12:11 自分じぶんの田地でんちを耕たがやす者ものは食糧しょくりょうに飽あきる、無益むえきな事ことに従したがう者ものは知恵ちえがない。12:12 悪あしき者ものの堅固けんごなやぐらは崩壊ほうかいする、正ただしい人ひとの根ねは堅かたく立たつ。12:13 悪人あくにんはくちびるのとがによって、わなに陥おちいる、しかし正ただしい人ひとは悩なやみをのがれる。12:14 人ひとはその口くちの実みによって、幸福こうふくに満みち足たり、人ひとの手てのわざは、その人ひとの身みに帰かえる。12:15 愚おろかな人ひとの道みちは、自分じぶんの目めに正ただしく見みえる、しかし知恵ちえある者ものは勧すすめをいれる。12:16 愚おろかな人ひとは、すぐに怒いかりをあらわす、しかし賢かしこい人ひとは、はずかしめをも気きにとめない。12:17 真実しんじつを語かたる人ひとは正ただしい証言しょうげんをなし、偽いつわりの証人しょうにんは偽いつわりを言いう。12:18 つるぎをもって刺さすように、みだりに言葉ことばを出だす者ものがある、しかし知恵ちえある人ひとの舌したは人ひとをいやす。12:19 真実しんじつを言いうくちびるは、いつまでも保たもつ、偽いつわりを言いう舌したは、ただ、まばたきの間あいだだけである。12:20 悪あくをたくらむ者ものの心こころには欺あざむきがあり、善ぜんをはかる人ひとには喜よろこびがある。12:21 正ただしい人ひとにはなんの害悪がいあくも生しょうじない、しかし悪あしき者ものは災わざわいをもって満みたされる。12:22 偽いつわりを言いうくちびるは主しゅに憎にくまれ、真実しんじつを行おこなう者ものは彼かれに喜よろこばれる。12:23 さとき人ひとは知識ちしきをかくす、しかし愚おろかな者ものは自分じぶんの愚おろかなことをあらわす。12:24 勤つとめ働はたらく者ものの手てはついに人ひとを治おさめる、怠おこたる者ものは人ひとに仕つかえるようになる。12:25 心こころに憂うれいがあればその人ひとをかがませる、しかし親切しんせつな言葉ことばはその人ひとを喜よろこばせる。12:26 正ただしい人ひとは悪あくを離はなれ去さる、しかし悪あしき者ものは自みずから道みちに迷まよう。12:27 怠おこたる者ものは自分じぶんの獲物えものを捕とらえない、しかし勤つとめ働はたらく人ひとは尊たっとい宝たからを獲える。12:28 正義せいぎの道みちには命いのちがある、しかし誤あやまりの道みちは死しに至いたる。 第13章 13:1 知恵ちえある子こは父ちちの教訓きょうくんをきく、あざける者ものは、懲こらしめをきかない。13:2 善良ぜんりょうな人ひとはその口くちの実みによって、幸福こうふくを得える、不信実ふしんじつな者ものの願ねがいは、暴虐ぼうぎゃくである。13:3 口くちを守まもる者ものはその命いのちを守まもる、くちびるを大おおきく開ひらく者ものには滅ほろびが来くる。13:4 なまけ者ものの心こころは、願ねがい求もとめても、何なにも得えない、しかし勤つとめ働はたらく者ものの心こころは豊ゆたかに満みたされる。13:5 正ただしい人ひとは偽いつわりを憎にくむ、しかし悪あしき人ひとは恥はずべく、忌いまわしくふるまう。13:6 正義せいぎは道みちをまっすぐ歩あゆむ者ものを守まもり、罪つみは悪あしき者ものを倒たおす。13:7 富とんでいると偽いつわって、何なにも持もたない者ものがいる、貧まずしいと偽いつわって、多おおくの富とみを持もつ者ものがいる。13:8 人ひとの富とみはその命いのちをあがなう、しかし貧まずしい者ものにはあがなうべき富とみがない。13:9 正ただしい者ものの光ひかりは輝かがやき、悪あしき者もののともしびは消けされる。13:10 高たかぶりはただ争あらそいを生しょうじる、勧告かんこくをきく者ものは知恵ちえがある。13:11 急いそいで得えた富とみは減へる、少すこしずつたくわえる者ものはそれを増ますことができる。13:12 望のぞみを得えることが長ながびくときは、心こころを悩なやます、願ねがいがかなうときは、命いのちの木きを得えたようだ。13:13 み言葉ことばを軽かろんじる者ものは滅ほろぼされ、戒いましめを重おもんじる者ものは報むくいを得える。13:14 知恵ちえある人ひとの教おしえは命いのちの泉いずみである、これによって死しのわなをのがれることができる。13:15 善良ぜんりょうな賢かしこい者ものは恵めぐみを得える、しかし、不信実ふしんじつな者ものの道みちは滅ほろびである。13:16 おおよそ、さとき者ものは知識ちしきによって事ことをおこない、愚おろかな者ものは自分じぶんの愚ぐを見みせびらかす。13:17 悪あしき使者ししゃは人ひとを災わざわいにおとしいれる、しかし忠実ちゅうじつな使者ししゃは人ひとを救すくう。13:18 貧乏びんぼうと、はずかしめとは教訓きょうくんを捨すてる者ものに来くる、しかし戒いましめを守まもる者ものは尊たっとばれる。13:19 願ねがいがかなえば、心こころは楽たのしい、愚おろかな者ものは悪あくを捨すてることをきらう。13:20 知恵ちえある者ものとともに歩あゆむ者ものは知恵ちえを得える。愚おろかな者ものの友ともとなる者ものは害がいをうける。13:21 災わざわいは罪つみびとを追おい、正ただしい者ものは良よい報むくいを受うける。13:22 善良ぜんりょうな人ひとはその嗣し業ぎょうを子孫しそんにのこす、しかし罪つみびとの富とみは正ただしい人ひとのためにたくわえられる。13:23 貧まずしい人ひとの新田しんでんは多おおくの食糧しょくりょうを産さんする、しかし不正ふせいによれば押おし流ながされる。13:24 むちを加くわえない者ものはその子こを憎にくむのである、子こを愛あいする者ものは、つとめてこれを懲こらしめる。13:25 正ただしい者ものは食たべてその食欲しょくよくを満みたす、しかし悪あしき者ものの腹はらは満みたされない。 第14章 14:1 知恵ちえはその家いえを建たて、愚おろかさは自分じぶんの手てでそれをこわす。14:2 まっすぐに歩あゆむ者ものは主しゅを恐おそれる、曲まがって歩あゆむ者ものは主しゅを侮あなどる。14:3 愚おろかな者ものの言葉ことばは自分じぶんの背せにむちを当あてる、知恵ちえある者もののくちびるはその身みを守まもる。14:4 牛うしがなければ穀物こくもつはない、牛うしの力ちからによって農作物のうさくもつは多おおくなる。14:5 真実しんじつな証人しょうにんはうそをいわない、偽いつわりの証人しょうにんはうそをつく。14:6 あざける者ものは知恵ちえを求もとめても得えられない、さとき者ものは知識ちしきを得えることがたやすい。14:7 愚おろかな者ものの前まえを離はなれ去され、そこには知識ちしきの言葉ことばがないからである。14:8 さとき者ものの知恵ちえは自分じぶんの道みちをわきまえることにあり、愚おろかな者ものの愚おろかは、欺あざむくことにある。14:9 神かみは悪あしき者ものをあざけられる、正ただしい者ものは、その恵めぐみを受うける。14:10 心こころの苦くるしみは心こころみずからが知しる、その喜よろこびには他人たにんはあずからない。14:11 悪あしき者ものの家いえは滅ほろぼされ、正ただしい者ものの幕屋まくやは栄さかえる。14:12 人ひとが見みて自みずから正ただしいとする道みちでも、その終おわりはついに死しに至いたる道みちとなるものがある。14:13 笑わらう時ときにも心こころに悲かなしみがあり、喜よろこびのはてに憂うれいがある。14:14 心こころのもとれる者ものはそのしわざの実みを刈かり取とり、善良ぜんりょうな人ひともまたその行おこないの実みを刈かり取とる。14:15 思慮しりょのない者ものはすべてのことを信しんじる、さとき者ものは自分じぶんの歩あゆみを慎つつしむ。14:16 知恵ちえある者ものは用心ようじんぶかく、悪あくを離はなれる、愚おろかな者ものは高たかぶって用心ようじんしない。14:17 怒いかりやすい者ものは愚おろかなことを行おこない、賢かしこい者ものは忍耐にんたい強づよい。14:18 思慮しりょのない者ものは愚おろかなことを自分じぶんのものとする、さとき者ものは知識ちしきをもって冠かんむりとする。14:19 悪人あくにんは善人ぜんにんの前まえにひれ伏ふし、悪あしき者ものは正ただしい者ものの門もんにひれ伏ふす。14:20 貧まずしい者ものはその隣となりにさえも憎にくまれる、しかし富とめる者ものは多おおくの友ともをもつ。14:21 隣となり人びとを卑いやしめる者ものは罪つみびとである、貧まずしい人ひとをあわれむ者ものはさいわいである。14:22 悪あくを計はかる者ものはおのれを誤あやまるではないか、善ぜんを計はかる者ものにはいつくしみと、まこととがある。14:23 すべての勤労きんろうには利益りえきがある、しかし口先くちさきだけの言葉ことばは貧乏びんぼうをきたらせるだけだ。14:24 知恵ちえある者ものの冠かんむりはその知恵ちえである、愚おろかな者ものの花はなの冠かんむりはただ愚おろかさである。14:25 まことの証人しょうにんは人ひとの命いのちを救すくう、偽いつわりを吐はく者ものは裏うら切ぎり者ものである。14:26 主しゅを恐おそれることによって人ひとは安心あんしんを得え、その子こらはのがれ場ばを得える。14:27 主しゅを恐おそれることは命いのちの泉いずみである、人ひとを死しのわなからのがれさせる。14:28 王おうの栄さかえは民たみの多おおいことにあり、君きみの滅ほろびは民たみを失うしなうことにある。14:29 怒いかりをおそくする者ものは大おおいなる悟さとりがあり、気きの短みじかい者ものは愚おろかさをあらわす。14:30 穏おだやかな心こころは身みの命いのちである、しかし興奮こうふんは骨ほねを腐くさらせる。14:31 貧まずしい者ものをしえたげる者ものはその つくり主ぬしを侮あなどる、乏とぼしい者ものをあわれむ者ものは、主しゅをうやまう。14:32 悪あしき者ものはその悪あしき行おこないによって滅ほろぼされ、正ただしい者ものはその正ただしきによって、のがれ場ばを得える。14:33 知恵ちえはさとき者ものの心こころにとどまり、愚おろかな者ものの心こころに知しられない。14:34 正義せいぎは国くにを高たかくし、罪つみは民たみをはずかしめる。14:35 賢かしこいしもべは王おうの恵めぐみをうけ、恥はじをきたらす者ものはその怒いかりにあう。 第15章 15:1 柔やわらかい答こたえは憤いきどおりをとどめ、激はげしい言葉ことばは怒いかりをひきおこす。15:2 知恵ちえある者ものの舌したは知識ちしきをわかち与あたえ、愚おろかな者ものの口くちは愚おろかを吐はき出だす。15:3 主しゅの目めはどこにでもあって、悪人あくにんと善人ぜんにんとを見張みはっている。15:4 優やさしい舌したは命いのちの木きである、乱暴らんぼうな言葉ことばは魂たましいを傷きずつける。15:5 愚おろかな者ものは父ちちの教訓きょうくんを軽かろんじる、戒いましめを守まもる者ものは賢かしこい者ものである。15:6 正ただしい者ものの家いえには多おおくの宝たからがある、悪あしき者ものの所得しょとくには煩わずらいがある。15:7 知恵ちえある者もののくちびるは知識ちしきをひろめる、愚おろかな者ものの心こころはそうでない。15:8 悪あしき者ものの供そなえ物ものは主しゅに憎にくまれ、正ただしい者ものの祈いのりは彼かれに喜よろこばれる。15:9 悪あしき者ものの道みちは主しゅに憎にくまれ、正義せいぎを求もとめる者ものは彼かれに愛あいせられる。15:10 道みちを捨すてる者ものには、きびしい懲こらしめがあり、戒いましめを憎にくむ者ものは死しに至いたる。15:11 陰府よみと滅ほろびとは主しゅの目めの前まえにあり、人ひとの心こころはなおさらである。15:12 あざける者ものは戒いましめられることを好このまない、また知恵ちえある者ものに近ちかづかない。15:13 心こころに楽たのしみがあれば顔色かおいろも喜よろこばしい、心こころに憂うれいがあれば気きはふさぐ。15:14 さとき者ものの心こころは知識ちしきをたずね、愚おろかな者ものの口くちは愚おろかさを食物しょくもつとする。15:15 悩なやんでいる者ものの日々ひびはことごとくつらく、心こころの楽たのしい人ひとは常つねに宴会えんかいをもつ。15:16 少すこしの物ものを所有しょゆうして主しゅを恐おそれるのは、多おおくの宝たからをもって苦く労ろうするのにまさる。15:17 野菜やさいを食たべて互たがいに愛あいするのは、肥こえた牛うしを食たべて互たがいに憎にくむのにまさる。15:18 憤いきどおりやすい者ものは争あらそいをおこし、怒いかりをおそくする者ものは争あらそいをとどめる。15:19 なまけ者ものの道みちには、いばらがはえしげり、正ただしい者ものの道みちは平たいらかである。15:20 知恵ちえある子こは父ちちを喜よろこばせる、愚おろかな人ひとはその母ははを軽かろんじる。15:21 無知むちな者ものは愚おろかなことを喜よろこび、さとき者ものはまっすぐに歩あゆむ。15:22 相あいはかることがなければ、計画けいかくは破やぶれる、はかる者ものが多おおければ、それは必かならず成なる。15:23 人ひとは口くちから出でる好このましい答こたえによって喜よろこびを得える、時ときにかなった言葉ことばは、いかにも良よいものだ。15:24 知恵ちえある人ひとの道みちは上のぼって命いのちに至いたる、こうしてその人ひとは下したにある陰府よみを離はなれる。15:25 主しゅは高たかぶる者ものの家いえを滅ほろぼし、やもめの地境じざかいを定さだめられる。15:26 悪人あくにんの計はかりごとは主しゅに憎にくまれ、潔白けっぱくな人ひとの言葉ことばは彼かれに喜よろこばれる。15:27 不正ふせいな利りをむさぼる者ものはその家いえを煩わずらわせる、まいないを憎にくむ者ものは生いきながらえる。15:28 正ただしい者ものの心こころは答こたえるべきことを考かんがえる、悪あしき者ものの口くちは悪あくを吐はき出だす。15:29 主しゅは悪あしき者ものに遠とおざかり、正ただしい者ものの祈いのりを聞きかれる。15:30 目めの光ひかりは心こころを喜よろこばせ、よい知しらせは骨ほねを潤うるおす。15:31 ためになる戒いましめを聞きく耳みみをもつ者ものは、知恵ちえある者ものの中なかにとどまる。15:32 教訓きょうくんを捨すてる者ものはおのれの命いのちを軽かろんじ、戒いましめを重おもんじる者ものは悟さとりを得える。15:33 主しゅを恐おそれることは知恵ちえの教訓きょうくんである、謙遜けんそんは、栄誉えいよに先さきだつ。
5:1 わが子こよ、わたしの知恵ちえに心こころをとめ、わたしの悟さとりに耳みみをかたむけよ。
5:2 これは、あなたが慎つつしみを守まもり、あなたのくちびるに知識ちしきを保たもつためである。
5:3 遊女ゆうじょのくちびるは蜜みつをしたたらせ、その言葉ことばは油あぶらよりもなめらかである。
5:4 しかしついには、彼女かのじょはにがよもぎのように苦にがく、もろ刃はのつるぎのように鋭するどくなる。
5:5 その足あしは死しに下くだり、その歩あゆみは陰府よみの道みちにおもむく。
5:6 彼女かのじょはいのちの道みちに心こころをとめず、その道みちは人ひとを迷まよわすが、彼女かのじょはそれを知しらない。
5:7 子供こどもらよ、今いまわたしの言いうことを聞きけ、わたしの口くちの言葉ことばから、離はなれ去さってはならない。
5:8 あなたの道みちを彼女かのじょから遠とおく離はなし、その家いえの門もんに近ちかづいてはならない。
5:9 おそらくはあなたの誉ほまれを他人たにんにわたし、あなたの年としを無慈悲むじひな者ものにわたすに至いたる。
5:10 おそらくは他人たにんがあなたの資産しさんによって満みたされ、あなたの労苦ろうくは他人たにんの家いえに行いく。
5:11 そしてあなたの終おわりが来きて、あなたの身みと、からだが滅ほろびるとき、泣なき悲かなしんで、
5:12 言いうであろう、「わたしは教訓きょうくんをいとい、心こころに戒いましめを軽かろんじ、
5:13 教師きょうしの声こえに聞きき従したがわず、わたしを教おしえる者ものに耳みみを傾かたむけず、
5:14 集あつまりの中なか、会衆かいしゅうのうちにあって、わたしは、破滅はめつに陥おちいりかけた」と。
5:15 あなたは自分じぶんの水みずためから水みずを飲のみ、自分じぶんの井戸いどから、わき出です水みずを飲のむがよい。
5:16 あなたの泉いずみを、外そとにまきちらし、水みずの流ながれを、ちまたに流ながしてよかろうか。
5:17 それを自分じぶんだけのものとし、他人たにんを共ともにあずからせてはならない。
5:18 あなたの泉いずみに祝福しゅくふくを受うけさせ、あなたの若わかい時ときの妻つまを楽たのしめ。
5:19 彼女かのじょは愛あいらしい雌めじか、美うつくしいしかのようだ。いつも、その乳ちぶさをもって満足まんぞくし、その愛あいをもって常つねに喜よろこべ。
5:20 わが子こよ、どうして遊女ゆうじょに迷まよい、みだらな女おんなの胸むねをいだくのか。
5:21 人ひとの道みちは主しゅの目めの前まえにあり、主しゅはすべて、その行おこないを見守みまもられる。
5:22 悪あしき者ものは自分じぶんのとがに捕とらえられ、自分じぶんの罪つみのなわにつながれる。
5:23 彼かれは、教訓きょうくんがないために死しに、その愚おろかさの大おおきいことによって滅ほろびる。
第6章 6:1 わが子こよ、あなたがもし隣となり人びとのために保証人ほしょうにんとなり、他人たにんのために手てをうって誓ちかったならば、6:2 もしあなたのくちびるの言葉ことばによって、わなにかかり、あなたの口くちの言葉ことばによって捕とらえられたならば、6:3 わが子こよ、その時ときはこうして、おのれを救すくえ、あなたは隣となり人びとの手てに陥おちいったのだから。急いそいで行いって、隣となり人びとにひたすら求もとめよ。6:4 あなたの目めを眠ねむらせず、あなたのまぶたを、まどろませず、6:5 かもしかが、かりゅうどの手てからのがれるように、鳥とりが鳥とりを取とる者ものの手てからのがれるように、おのれを救すくえ。 6:6 なまけ者ものよ、ありのところへ行いき、そのすることを見みて、知恵ちえを得えよ。6:7 ありは、かしらなく、つかさなく、王おうもないが、6:8 夏なつのうちに食物しょくもつをそなえ、刈入かりいれの時ときに、かてを集あつめる。6:9 なまけ者ものよ、いつまで寝ねているのか、いつ目めをさまして起おきるのか。6:10 しばらく眠ねむり、しばらくまどろみ、手てをこまぬいて、またしばらく休やすむ。6:11 それゆえ、貧まずしさは盗ぬすびとのようにあなたに来きたり、乏とぼしさは、つわもののようにあなたに来くる。6:12 よこしまな人ひと、悪あしき人ひとは偽いつわりの言葉ことばをもって行いきめぐり、6:13 目めでめくばせし、足あしで踏ふみ鳴ならし、指ゆびで示しめし、6:14 よこしまな心こころをもって悪あくを計はかり、絶たえず争あらそいをおこす。6:15 それゆえ、災わざわいは、にわかに彼かれに臨のぞみ、たちまちにして打うち敗やぶられ、助たすかることはない。 6:16 主しゅの憎にくまれるものが六つある、否いな、その心こころに、忌いみきらわれるものが七つある。6:17 すなわち、高たかぶる目め、偽いつわりを言いう舌した、罪つみなき人ひとの血ちを流ながす手て、6:18 悪あしき計はかりごとをめぐらす心こころ、すみやかに悪あくに走はしる足あし、6:19 偽いつわりをのべる証人しょうにん、また兄弟きょうだいのうちに争あらそいをおこす人ひとがこれである。 6:20 わが子こよ、あなたの父ちちの戒いましめを守まもり、あなたの母ははの教おしえを捨すてるな。6:21 つねに、これをあなたの心こころに結むすび、あなたの首くびのまわりにつけよ。6:22 これは、あなたが歩あるくとき、あなたを導みちびき、あなたが寝ねるとき、あなたを守まもり、あなたが目めざめるとき、あなたと語かたる。6:23 戒いましめはともしびである、教おしえは光ひかりである、教訓きょうくんの懲こらしめは命いのちの道みちである。6:24 これは、あなたを守まもって、悪わるい女おんなに近ちかづかせず、みだらな女おんなの、巧たくみな舌したに惑まどわされぬようにする。6:25 彼女かのじょの麗うるわしさを心こころに慕したってはならない、そのまぶたに捕とらえられてはならない。6:26 遊女ゆうじょは一いっ塊かいのパンのために雇やとわれる、しかし、みだらな女おんなは人ひとの尊たっとい命いのちを求もとめる。6:27 人ひとは火ひを、そのふところにいだいてその着物きものが焼やかれないであろうか。6:28 また人ひとは、熱あつい火ひを踏ふんで、その足あしが、焼やかれないであろうか。6:29 その隣となりの妻つまと不義ふぎを行おこなう者ものも、それと同おなじだ。すべて彼女かのじょに触ふれる者ものは罰ばつを免まぬかれることはできない。6:30 盗ぬすびとが飢うえたとき、その飢うえを満みたすために盗ぬすむならば、人ひとは彼かれを軽かろんじないであろうか。6:31 もし捕とらえられたなら、その七倍ばいを償つぐない、その家いえの貨か財ざいを、ことごとく出ださなければならない。6:32 女おんなと姦淫かんいんを行おこなう者ものは思慮しりょがない。これを行おこなう者ものはおのれを滅ほろぼし、6:33 傷きずと、はずかしめとを受うけて、その恥はじをすすぐことができない。6:34 ねたみは、その夫おっとを激はげしく怒いからせるゆえ、恨うらみを報むくいるとき、容赦ようしゃすることはない。6:35 どのようなあがない物ものをも顧かえりみず、多おおくの贈おくり物ものをしても、和やわらがない。 第7章 7:1 わが子こよ、わたしの言葉ことばを守まもり、わたしの戒いましめをあなたの心こころにたくわえよ。7:2 わたしの戒いましめを守まもって命いのちを得えよ、わたしの教おしえを守まもること、ひとみを守まもるようにせよ。7:3 これをあなたの指ゆびにむすび、これをあなたの心こころの碑いしぶみにしるせ。7:4 知恵ちえに向むかって、「あなたはわが姉妹しまいだ」と言いい、悟さとりに向むかっては、あなたの友ともと呼よべ。7:5 そうすれば、これはあなたを守まもって遊女ゆうじょに迷まよわせず、言葉ことば巧たくみな、みだらな女おんなに近ちかづかせない。7:6 わたしはわが家いえの窓まどにより、格子こうし窓まどから外そとをのぞいて、7:7 思慮しりょのない者もののうちに、若わかい者もののうちに、ひとりの知恵ちえのない若者わかもののいるのを見みた。7:8 彼かれはちまたを過すぎ、女おんなの家いえに行いく曲まがりかどに近ちかづき、その家いえに行いく道みちを、7:9 たそがれに、よいに、また夜中よなかに、また暗くらやみに歩あるいていった。7:10 見みよ、遊女ゆうじょの装よそおいをした陰険いんけんな女おんなが彼かれに会あう。7:11 この女おんなは、騒さわがしくて、慎つつしみなく、その足あしは自分じぶんの家いえにとどまらず、7:12 ある時ときはちまたにあり、ある時ときは市場いちばにあり、すみずみに立たって人ひとをうかがう。7:13 この女おんなは彼かれを捕とらえて口くちづけし、恥はじしらぬ顔かおで彼かれに言いう、7:14 「わたしは酬恩祭しゅうおんさいをささげなければならなかったが、きょう、その誓ちかいを果はたしました。7:15 それでわたしはあなたを迎むかえようと出でて、あなたを尋たずね、あなたに会あいました。7:16 わたしは床とこに美うつくしい、しとねと、エジプトのあや布ぬのを敷しき、7:17 没薬もつやく、ろかい、桂皮けいひをもってわたしの床とこをにおわせました。7:18 さあ、わたしたちは夜よるが明あけるまで、情じょうをつくし、愛あいをかわして楽たのしみましょう。7:19 夫おっとは家いえにいません、遠とおくへ旅立たびだち、7:20 手てに金かね袋ぶくろを持もって出でました。満月まんげつになるまでは帰かえりません」と。7:21 女おんなが多おおくの、なまめかしい言葉ことばをもって彼かれを惑まどわし、巧たくみなくちびるをもって、いざなうと、7:22 若わかい人ひとは直ただちに女おんなに従したがった、あたかも牛うしが、ほふり場ばに行いくように、雄おじかが、すみやかに捕とらえられ、7:23 ついに、矢やがその内臓ないぞうを突つき刺さすように、鳥とりがすみやかに網あみにかかるように、彼かれは自分じぶんが命いのちを失うしなうようになることを知しらない。 7:24 子供こどもらよ、今いまわたしの言いうことを聞きき、わが口くちの言葉ことばに耳みみを傾かたむけよ。7:25 あなたの心こころを彼女かのじょの道みちに傾かたむけてはならない、またその道みちに迷まよってはならない。7:26 彼女かのじょは多おおくの人ひとを傷きずつけて倒たおした、まことに、彼女かのじょに殺ころされた者ものは多おおい。7:27 その家いえは陰府よみへ行いく道みちであって、死しのへやへ下くだって行いく。 第8章 8:1 知恵ちえは呼よばわらないのか、悟さとりは声こえをあげないのか。8:2 これは道みちのほとりの高たかい所ところの頂いただき、また、ちまたの中なかに立たち、8:3 町まちの入口いりぐちにあるもろもろの門もんのかたわら、正門せいもんの入口いりぐちで呼よばわって言いう、8:4 「人々ひとびとよ、わたしはあなたがたに呼よばわり、声こえをあげて人ひとの子こらを呼よぶ。8:5 思慮しりょのない者ものよ、悟さとりを得えよ、愚おろかな者ものよ、知恵ちえを得えよ。8:6 聞きけ、わたしは高貴こうきな事ことを語かたり、わがくちびるは正ただしい事ことを語かたり出だす。8:7 わが口くちは真実しんじつを述のべ、わがくちびるは悪あしき事ことを憎にくむ。8:8 わが口くちの言葉ことばはみな正ただしい、そのうちに偽いつわりと、よこしまはない。8:9 これはみな、さとき者ものの明あきらかにするところ、知識ちしきを得える者ものの正ただしとするところである。8:10 あなたがたは銀ぎんを受うけるよりも、わたしの教おしえを受うけよ、精せい金きんよりも、むしろ知識ちしきを得えよ。8:11 知恵ちえは宝石ほうせきにまさり、あなたがたの望のぞむすべての物ものは、これと比くらべるにたりない。8:12 知恵ちえであるわたしは悟さとりをすみかとし、知識ちしきと慎つつしみとをもつ。8:13 主しゅを恐おそれるとは悪あくを憎にくむことである。わたしは高たかぶりと、おごりと、悪あしき道みちと、偽いつわりの言葉ことばとを憎にくむ。8:14 計はかりごとと、確たしかな知恵ちえとは、わたしにある、わたしには悟さとりがあり、わたしには力ちからがある。8:15 わたしによって、王おうたる者ものは世よを治おさめ、君きみたる者ものは正ただしい定さだめを立たてる。8:16 わたしによって、主しゅたる者ものは支配しはいし、つかさたる者ものは地ちを治おさめる。8:17 わたしは、わたしを愛あいする者ものを愛あいする、わたしをせつに求もとめる者ものは、わたしに出会であう。8:18 富とみと誉ほまれとはわたしにあり、すぐれた宝たからと繁栄はんえいもまたそうである。8:19 わたしの実みは金きんよりも精せい金きんよりも良よく、わたしの産物さんぶつは精せい銀ぎんにまさる。8:20 わたしは正義せいぎの道みち、公正こうせいな道筋みちすじの中なかを歩あゆみ、8:21 わたしを愛あいする者ものに宝たからを得えさせ、またその倉くらを満みちさせる。 8:22 主しゅが昔むかしそのわざをなし始はじめられるとき、そのわざの初はじめとして、わたしを造つくられた。8:23 いにしえ、地ちのなかった時とき、初はじめに、わたしは立たてられた。8:24 まだ海うみもなく、また大おおいなる水みずの泉いずみもなかった時とき、わたしはすでに生うまれ、8:25 山やまもまだ定さだめられず、丘おかもまだなかった時とき、わたしはすでに生うまれた。8:26 すなわち神かみがまだ地ちをも野のをも、地ちのちりのもとをも造つくられなかった時ときである。8:27 彼かれが天てんを造つくり、海うみのおもてに、大空おおぞらを張はられたとき、わたしはそこにあった。8:28 彼かれが上うえに空そらを堅かたく立たたせ、淵ふちの泉いずみをつよく定さだめ、8:29 海うみにその限界げんかいをたて、水みずにその岸きしを越こえないようにし、また地ちの基もといを定さだめられたとき、8:30 わたしは、そのかたわらにあって、名 めいしょうとなり、日々ひびに喜よろこび、常つねにその前まえに楽たのしみ、8:31 その地ちで楽たのしみ、また世よの人ひとを喜よろこんだ。 8:32 それゆえ、子供こどもらよ、今いまわたしの言いうことを聞きけ、わたしの道みちを守まもる者ものはさいわいである。8:33 教訓きょうくんを聞きいて、知恵ちえを得えよ、これを捨すててはならない。8:34 わたしの言いうことを聞きき、日々ひびわたしの門もんのかたわらでうかがい、わたしの戸口とぐちの柱はしらのわきで待まつ人ひとはさいわいである。8:35 それは、わたしを得える者ものは命いのちを得え、主しゅから恵めぐみを得えるからである。8:36 わたしを失うしなう者ものは自分じぶんの命いのちをそこなう、すべてわたしを憎にくむ者ものは死しを愛あいする者ものである」。 第9章 9:1 知恵ちえは自分じぶんの家いえを建たて、その七つの柱はしらを立たて、9:2 獣けものをほふり、酒さけを混まぜ合あわせて、ふるまいを備そなえ、9:3 はしためをつかわして、町まちの高たかい所ところで呼よばわり言いわせた、9:4 「思慮しりょのない者ものよ、ここに来きたれ」と。また、知恵ちえのない者ものに言いう、9:5 「来きて、わたしのパンを食たべ、わたしの混まぜ合あわせた酒さけをのみ、9:6 思慮しりょのないわざを捨すてて命いのちを得え、悟さとりの道みちを歩あゆめ」と。 9:7 あざける者ものを戒いましめる者ものは、自みずから恥はじを得え、悪あしき者ものを責せめる者ものは自みずから傷きずを受うける。9:8 あざける者ものを責せめるな、おそらく彼かれはあなたを憎にくむであろう。知恵ちえある者ものを責せめよ、彼かれはあなたを愛あいする。9:9 知恵ちえある者ものに教訓きょうくんを授さづけよ、彼かれはますます知恵ちえを得える。正ただしい者ものを教おしえよ、彼かれは学がくに進すすむ。9:10 主しゅを恐おそれることは知恵ちえのもとである、聖せいなる者ものを知しることは、悟さとりである。9:11 わたしによって、あなたの日ひは多おおくなり、あなたの命いのちの年としは増ます。9:12 もしあなたに知恵ちえがあるならば、あなた自身じしんのために知恵ちえがあるのである。もしあなたがあざけるならば、あなたひとりがその責せめを負おうことになる。 9:13 愚おろかな女おんなは、騒さわがしく、みだらで、恥はじを知しらない。9:14 彼女かのじょはその家いえの戸口とぐちに座ざし、町まちの高たかい所ところにある座ざにすわり、9:15 道みちを急いそぐ行いき来きの人ひとを招まねいて言いう、9:16 「思慮しりょのない者ものよ、ここに来きたれ」と。また知恵ちえのない人ひとに向むかってこれに言いう、9:17 「盗ぬすんだ水みずは甘あまく、ひそかに食たべるパンはうまい」と。9:18 しかしその人ひとは、死しの影かげがそこにあることを知しらず、彼女かのじょの客きゃくは陰府よみの深ふかみにおることを知しらない。 第10章 10:1 ソロモンの箴言しんげん。知恵ちえある子こは父ちちを喜よろこばせ、愚おろかな子こは母ははの悲かなしみとなる。10:2 不義ふぎの宝たからは益えきなく、正義せいぎは人ひとを救すくい出だして、死しを免まぬかれさせる。10:3 主しゅは正ただしい人ひとを飢うえさせず、悪あしき者ものの欲望よくぼうをくじかれる。10:4 手てを動うごかすことを怠おこたる者ものは貧まずしくなり、勤つとめ働はたらく者ものの手ては富とみを得える。10:5 夏なつのうちに集あつめる者ものは賢かしこい子こであり、刈入かりいれの時ときに眠ねむる者ものは恥はじをきたらせる子こである。10:6 正ただしい者もののこうべには祝福しゅくふくがあり、悪あしき者ものの口くちは暴虐ぼうぎゃくを隠かくす。10:7 正ただしい者ものの名なはほめられ、悪あしき者ものの名なは朽くちる。10:8 心こころのさとき者ものは戒いましめを受うける、むだ口くちをたたく愚おろかな者ものは滅ほろぼされる。10:9 まっすぐに歩あゆむ者ものの歩あゆみは安全あんぜんである、しかし、その道みちを曲まげる者ものは災わざわいにあう。10:10 目めで、めくばせする者ものは憂うれいをおこし、あからさまに、戒いましめる者ものは平和へいわをきたらせる。10:11 正ただしい者ものの口くちは命いのちの泉いずみである、悪あしき者ものの口くちは暴虐ぼうぎゃくを隠かくす。10:12 憎にくしみは、争あらそいを起おこし、愛あいはすべてのとがをおおう。10:13 さとき者もののくちびるには知恵ちえがあり、知恵ちえのない者ものの背せにはむちがある。10:14 知恵ちえある者ものは知識ちしきをたくわえる、愚おろかな者もののむだ口くちは、今いまにも滅ほろびをきたらせる。10:15 富とめる者ものの宝たからは、その堅かたき城しろであり、貧まずしい者ものの乏とぼしきは、その滅ほろびである。10:16 正ただしい者ものの受うける賃銀ちんぎんは命いのちに導みちびき、悪あしき者ものの利得りとくは罪つみに至いたる。10:17 教訓きょうくんを守まもる者ものは命いのちの道みちにあり、懲こらしめを捨すてる者ものは道みちをふみ迷まよう。10:18 憎にくしみを隠かくす者ものには偽いつわりのくちびるがあり、そしりを口くちに出だす者ものは愚おろかな者ものである。10:19 言葉ことばが多おおければ、とがを免まぬかれない、自分じぶんのくちびるを制せいする者ものは知恵ちえがある。10:20 正ただしい者ものの舌したは精せい銀ぎんである、悪あしき者ものの心こころは価値かちが少すくない。10:21 正ただしい者もののくちびるは多おおくの人ひとを養やしない、愚おろかな者ものは知恵ちえがなくて死しぬ。10:22 主しゅの祝福しゅくふくは人ひとを富とませる、主しゅはこれになんの悲かなしみをも加くわえない。10:23 愚おろかな者ものは、戯たわむれ事ごとのように悪あくを行おこなう、さとき人ひとには賢かしこい行おこないが楽たのしみである。10:24 悪あしき者ものの恐おそれることは自分じぶんに来きたり、正ただしい者ものの願ねがうことは与あたえられる。10:25 あらしが通とおりすぎる時とき、悪あしき者ものは、もはや、いなくなり、正ただしい者ものは永久えいきゅうに堅かたく立たてられる。10:26 なまけ者ものは、これをつかわす者ものにとっては、酢すが歯はをいため、煙けむりが目めを悩なやますようなものだ。10:27 主しゅを恐おそれることは人ひとの命いのちの日ひを多おおくする、悪あしき者ものの年としは縮ちぢめられる。10:28 正ただしい者ものの望のぞみは喜よろこびに終おわり、悪あしき者ものの望のぞみは絶たえる。10:29 主しゅは、まっすぐに歩あゆむ者ものには城しろであり、悪あくを行おこなう者ものには滅ほろびである。10:30 正ただしい者ものはいつまでも動うごかされることはない、悪あしき者ものは、地ちに住すむことができない。10:31 正ただしい者ものの口くちは知恵ちえをいだし、偽いつわりの舌したは抜ぬかれる。10:32 正ただしい者もののくちびるは喜よろこばるべきことをわきまえ、悪あしき者ものの口くちは偽いつわりを語かたる。 第11章 11:1 偽いつわりのはかりは主しゅに憎にくまれ、正ただしいふんどうは彼かれに喜よろこばれる。11:2 高たかぶりが来くれば、恥はじもまた来くる、へりくだる者ものには知恵ちえがある。11:3 正ただしい者ものの誠実せいじつはその人ひとを導みちびき、不信実ふしんじつな者もののよこしまはその人ひとを滅ほろぼす。11:4 宝たからは怒いかりの日ひに益えきなく、正義せいぎは人ひとを救すくい出だして、死しを免まぬかれさせる。11:5 誠実せいじつな者ものは、その正義せいぎによって、その道みちをまっすぐにせられ、悪あしき者ものは、その悪あくによって倒たおれる。11:6 正ただしい者ものはその正義せいぎによって救すくわれ、不信実ふしんじつな者ものは自分じぶんの欲よくによって捕とらえられる。11:7 悪あしき者ものは死しぬとき、その望のぞみは絶たえ、不信心ふしんじんな者ものの望のぞみもまた絶たえる。11:8 正ただしい者ものは、悩なやみから救すくわれ、悪あしき者ものは代かわってそれに陥おちいる。11:9 不信心ふしんじんな者ものはその口くちをもって隣となり人びとを滅ほろぼす、正ただしい者ものは知識ちしきによって救すくわれる。11:10 正ただしい者ものが、しあわせになれば、その町まちは喜よろこび、悪あしき者ものが滅ほろびると、喜よろこびの声こえがおこる。11:11 町まちは正ただしい者ものの祝福しゅくふくによって、高たかくあげられ、悪あしき者ものの口くちによって、滅ほろぼされる。11:12 隣となり人びとを侮あなどる者ものは知恵ちえがない、さとき人ひとは口くちをつぐむ。11:13 人ひとのよしあしを言いいあるく者ものは秘密ひみつをもらす、心こころの忠信ちゅうしんなる者ものは事ことを隠かくす。11:14 指導者しどうしゃがなければ民たみは倒たおれ、助言者じょげんしゃが多おおければ安全あんぜんである。11:15 他人たにんのために保証ほしょうをする者ものは苦くるしみをうけ、保証ほしょうをきらう者ものは安全あんぜんである。11:16 しとやかな女おんなは、誉ほまれを得え、強暴きょうぼうな男おとこは富とみを得える。11:17 いつくしみある者ものはおのれ自身じしんに益えきを得え、残忍ざんにんな者ものはおのれの身みをそこなう。11:18 悪あしき者ものの得える報むくいはむなしく、正義せいぎを播まく者ものは確たしかな報むくいを得える。11:19 正義せいぎを堅かたく保たもつ者ものは命いのちに至いたり、悪あくを追おい求もとめる者ものは死しを招まねく。11:20 心こころのねじけた者ものは主しゅに憎にくまれ、まっすぐに道みちを歩あゆむ者ものは彼かれに喜よろこばれる。11:21 確たしかに、悪人あくにんは罰ばつを免まぬかれない、しかし正ただしい人ひとは救すくいを得える。11:22 美うつくしい女おんなの慎つつしみがないのは、金きんの輪わの、ぶたの鼻はなにあるようだ。11:23 正ただしい者ものの願ねがいは、すべて良よい結果けっかを得え、悪あしき者ものの望のぞみは怒いかりに至いたる。11:24 施ほどこし散ちらして、なお富とみを増ます人ひとがあり、与あたえるべきものを惜おしんで、かえって貧まずしくなる者ものがある。11:25 物惜ものおしみしない者ものは富とみ、人ひとを潤うるおす者ものは自分じぶんも潤うるおされる。11:26 穀物こくもつを、しまい込こんで売うらない者ものは民たみにのろわれる、それを売うる者もののこうべには祝福しゅくふくがある。11:27 善ぜんを求もとめる者ものは恵めぐみを得える、悪あくを求もとめる者ものには悪あくが来くる。11:28 自分じぶんの富とみを頼たのむ者ものは衰おとろえる、正ただしい者ものは木きの青葉あおばのように栄さかえる。11:29 自分じぶんの家族かぞくを苦くるしめる者ものは風かぜを所有しょゆうとする、愚おろかな者ものは心こころのさとき者もののしもべとなる。11:30 正ただしい者ものの結むすぶ実みは命いのちの木きである、不法ふほうな者ものは人ひとの命いのちをとる。11:31 もし正ただしい者ものがこの世よで罰ばっせられるならば、悪あしき者ものと罪つみびととは、なおさらである。 第12章 12:1 戒いましめを愛あいする人ひとは知識ちしきを愛あいする、懲こらしめを憎にくむ者ものは愚おろかである。12:2 善人ぜんにんは主しゅの恵めぐみをうけ、悪わるい計はかりごとを設もうける人ひとは主しゅに罰ばっせられる。12:3 人ひとは悪あくをもって堅かたく立たつことはできない、正ただしい人ひとの根ねは動うごくことはない。12:4 賢かしこい妻つまはその夫おっとの冠かんむりである、恥はじをこうむらせる妻つまは夫おっとの骨ほねに生しょうじた腐くされのようなものである。12:5 正ただしい人ひとの考かんがえは公正こうせいである、悪あしき者ものの計はかることは偽いつわりである。12:6 悪あしき者ものの言葉ことばは、人ひとの血ちを流ながそうとうかがう、正ただしい人ひとの口くちは人ひとを救すくう。12:7 悪あしき者ものは倒たおされて、うせ去さる、正ただしい人ひとの家いえは堅かたく立たつ。12:8 人ひとはその悟さとりにしたがって、ほめられ、心こころのねじけた者ものは、卑いやしめられる。12:9 身分みぶんの低ひくい人ひとでも自分じぶんで働はたらく者ものは、みずから高たかぶって食しょくに乏とぼしい者ものにまさる。12:10 正ただしい人ひとはその家畜かちくの命いのちを顧かえりみる、悪あしき者ものは残忍ざんにんをもって、あわれみとする。12:11 自分じぶんの田地でんちを耕たがやす者ものは食糧しょくりょうに飽あきる、無益むえきな事ことに従したがう者ものは知恵ちえがない。12:12 悪あしき者ものの堅固けんごなやぐらは崩壊ほうかいする、正ただしい人ひとの根ねは堅かたく立たつ。12:13 悪人あくにんはくちびるのとがによって、わなに陥おちいる、しかし正ただしい人ひとは悩なやみをのがれる。12:14 人ひとはその口くちの実みによって、幸福こうふくに満みち足たり、人ひとの手てのわざは、その人ひとの身みに帰かえる。12:15 愚おろかな人ひとの道みちは、自分じぶんの目めに正ただしく見みえる、しかし知恵ちえある者ものは勧すすめをいれる。12:16 愚おろかな人ひとは、すぐに怒いかりをあらわす、しかし賢かしこい人ひとは、はずかしめをも気きにとめない。12:17 真実しんじつを語かたる人ひとは正ただしい証言しょうげんをなし、偽いつわりの証人しょうにんは偽いつわりを言いう。12:18 つるぎをもって刺さすように、みだりに言葉ことばを出だす者ものがある、しかし知恵ちえある人ひとの舌したは人ひとをいやす。12:19 真実しんじつを言いうくちびるは、いつまでも保たもつ、偽いつわりを言いう舌したは、ただ、まばたきの間あいだだけである。12:20 悪あくをたくらむ者ものの心こころには欺あざむきがあり、善ぜんをはかる人ひとには喜よろこびがある。12:21 正ただしい人ひとにはなんの害悪がいあくも生しょうじない、しかし悪あしき者ものは災わざわいをもって満みたされる。12:22 偽いつわりを言いうくちびるは主しゅに憎にくまれ、真実しんじつを行おこなう者ものは彼かれに喜よろこばれる。12:23 さとき人ひとは知識ちしきをかくす、しかし愚おろかな者ものは自分じぶんの愚おろかなことをあらわす。12:24 勤つとめ働はたらく者ものの手てはついに人ひとを治おさめる、怠おこたる者ものは人ひとに仕つかえるようになる。12:25 心こころに憂うれいがあればその人ひとをかがませる、しかし親切しんせつな言葉ことばはその人ひとを喜よろこばせる。12:26 正ただしい人ひとは悪あくを離はなれ去さる、しかし悪あしき者ものは自みずから道みちに迷まよう。12:27 怠おこたる者ものは自分じぶんの獲物えものを捕とらえない、しかし勤つとめ働はたらく人ひとは尊たっとい宝たからを獲える。12:28 正義せいぎの道みちには命いのちがある、しかし誤あやまりの道みちは死しに至いたる。 第13章 13:1 知恵ちえある子こは父ちちの教訓きょうくんをきく、あざける者ものは、懲こらしめをきかない。13:2 善良ぜんりょうな人ひとはその口くちの実みによって、幸福こうふくを得える、不信実ふしんじつな者ものの願ねがいは、暴虐ぼうぎゃくである。13:3 口くちを守まもる者ものはその命いのちを守まもる、くちびるを大おおきく開ひらく者ものには滅ほろびが来くる。13:4 なまけ者ものの心こころは、願ねがい求もとめても、何なにも得えない、しかし勤つとめ働はたらく者ものの心こころは豊ゆたかに満みたされる。13:5 正ただしい人ひとは偽いつわりを憎にくむ、しかし悪あしき人ひとは恥はずべく、忌いまわしくふるまう。13:6 正義せいぎは道みちをまっすぐ歩あゆむ者ものを守まもり、罪つみは悪あしき者ものを倒たおす。13:7 富とんでいると偽いつわって、何なにも持もたない者ものがいる、貧まずしいと偽いつわって、多おおくの富とみを持もつ者ものがいる。13:8 人ひとの富とみはその命いのちをあがなう、しかし貧まずしい者ものにはあがなうべき富とみがない。13:9 正ただしい者ものの光ひかりは輝かがやき、悪あしき者もののともしびは消けされる。13:10 高たかぶりはただ争あらそいを生しょうじる、勧告かんこくをきく者ものは知恵ちえがある。13:11 急いそいで得えた富とみは減へる、少すこしずつたくわえる者ものはそれを増ますことができる。13:12 望のぞみを得えることが長ながびくときは、心こころを悩なやます、願ねがいがかなうときは、命いのちの木きを得えたようだ。13:13 み言葉ことばを軽かろんじる者ものは滅ほろぼされ、戒いましめを重おもんじる者ものは報むくいを得える。13:14 知恵ちえある人ひとの教おしえは命いのちの泉いずみである、これによって死しのわなをのがれることができる。13:15 善良ぜんりょうな賢かしこい者ものは恵めぐみを得える、しかし、不信実ふしんじつな者ものの道みちは滅ほろびである。13:16 おおよそ、さとき者ものは知識ちしきによって事ことをおこない、愚おろかな者ものは自分じぶんの愚ぐを見みせびらかす。13:17 悪あしき使者ししゃは人ひとを災わざわいにおとしいれる、しかし忠実ちゅうじつな使者ししゃは人ひとを救すくう。13:18 貧乏びんぼうと、はずかしめとは教訓きょうくんを捨すてる者ものに来くる、しかし戒いましめを守まもる者ものは尊たっとばれる。13:19 願ねがいがかなえば、心こころは楽たのしい、愚おろかな者ものは悪あくを捨すてることをきらう。13:20 知恵ちえある者ものとともに歩あゆむ者ものは知恵ちえを得える。愚おろかな者ものの友ともとなる者ものは害がいをうける。13:21 災わざわいは罪つみびとを追おい、正ただしい者ものは良よい報むくいを受うける。13:22 善良ぜんりょうな人ひとはその嗣し業ぎょうを子孫しそんにのこす、しかし罪つみびとの富とみは正ただしい人ひとのためにたくわえられる。13:23 貧まずしい人ひとの新田しんでんは多おおくの食糧しょくりょうを産さんする、しかし不正ふせいによれば押おし流ながされる。13:24 むちを加くわえない者ものはその子こを憎にくむのである、子こを愛あいする者ものは、つとめてこれを懲こらしめる。13:25 正ただしい者ものは食たべてその食欲しょくよくを満みたす、しかし悪あしき者ものの腹はらは満みたされない。 第14章 14:1 知恵ちえはその家いえを建たて、愚おろかさは自分じぶんの手てでそれをこわす。14:2 まっすぐに歩あゆむ者ものは主しゅを恐おそれる、曲まがって歩あゆむ者ものは主しゅを侮あなどる。14:3 愚おろかな者ものの言葉ことばは自分じぶんの背せにむちを当あてる、知恵ちえある者もののくちびるはその身みを守まもる。14:4 牛うしがなければ穀物こくもつはない、牛うしの力ちからによって農作物のうさくもつは多おおくなる。14:5 真実しんじつな証人しょうにんはうそをいわない、偽いつわりの証人しょうにんはうそをつく。14:6 あざける者ものは知恵ちえを求もとめても得えられない、さとき者ものは知識ちしきを得えることがたやすい。14:7 愚おろかな者ものの前まえを離はなれ去され、そこには知識ちしきの言葉ことばがないからである。14:8 さとき者ものの知恵ちえは自分じぶんの道みちをわきまえることにあり、愚おろかな者ものの愚おろかは、欺あざむくことにある。14:9 神かみは悪あしき者ものをあざけられる、正ただしい者ものは、その恵めぐみを受うける。14:10 心こころの苦くるしみは心こころみずからが知しる、その喜よろこびには他人たにんはあずからない。14:11 悪あしき者ものの家いえは滅ほろぼされ、正ただしい者ものの幕屋まくやは栄さかえる。14:12 人ひとが見みて自みずから正ただしいとする道みちでも、その終おわりはついに死しに至いたる道みちとなるものがある。14:13 笑わらう時ときにも心こころに悲かなしみがあり、喜よろこびのはてに憂うれいがある。14:14 心こころのもとれる者ものはそのしわざの実みを刈かり取とり、善良ぜんりょうな人ひともまたその行おこないの実みを刈かり取とる。14:15 思慮しりょのない者ものはすべてのことを信しんじる、さとき者ものは自分じぶんの歩あゆみを慎つつしむ。14:16 知恵ちえある者ものは用心ようじんぶかく、悪あくを離はなれる、愚おろかな者ものは高たかぶって用心ようじんしない。14:17 怒いかりやすい者ものは愚おろかなことを行おこない、賢かしこい者ものは忍耐にんたい強づよい。14:18 思慮しりょのない者ものは愚おろかなことを自分じぶんのものとする、さとき者ものは知識ちしきをもって冠かんむりとする。14:19 悪人あくにんは善人ぜんにんの前まえにひれ伏ふし、悪あしき者ものは正ただしい者ものの門もんにひれ伏ふす。14:20 貧まずしい者ものはその隣となりにさえも憎にくまれる、しかし富とめる者ものは多おおくの友ともをもつ。14:21 隣となり人びとを卑いやしめる者ものは罪つみびとである、貧まずしい人ひとをあわれむ者ものはさいわいである。14:22 悪あくを計はかる者ものはおのれを誤あやまるではないか、善ぜんを計はかる者ものにはいつくしみと、まこととがある。14:23 すべての勤労きんろうには利益りえきがある、しかし口先くちさきだけの言葉ことばは貧乏びんぼうをきたらせるだけだ。14:24 知恵ちえある者ものの冠かんむりはその知恵ちえである、愚おろかな者ものの花はなの冠かんむりはただ愚おろかさである。14:25 まことの証人しょうにんは人ひとの命いのちを救すくう、偽いつわりを吐はく者ものは裏うら切ぎり者ものである。14:26 主しゅを恐おそれることによって人ひとは安心あんしんを得え、その子こらはのがれ場ばを得える。14:27 主しゅを恐おそれることは命いのちの泉いずみである、人ひとを死しのわなからのがれさせる。14:28 王おうの栄さかえは民たみの多おおいことにあり、君きみの滅ほろびは民たみを失うしなうことにある。14:29 怒いかりをおそくする者ものは大おおいなる悟さとりがあり、気きの短みじかい者ものは愚おろかさをあらわす。14:30 穏おだやかな心こころは身みの命いのちである、しかし興奮こうふんは骨ほねを腐くさらせる。14:31 貧まずしい者ものをしえたげる者ものはその つくり主ぬしを侮あなどる、乏とぼしい者ものをあわれむ者ものは、主しゅをうやまう。14:32 悪あしき者ものはその悪あしき行おこないによって滅ほろぼされ、正ただしい者ものはその正ただしきによって、のがれ場ばを得える。14:33 知恵ちえはさとき者ものの心こころにとどまり、愚おろかな者ものの心こころに知しられない。14:34 正義せいぎは国くにを高たかくし、罪つみは民たみをはずかしめる。14:35 賢かしこいしもべは王おうの恵めぐみをうけ、恥はじをきたらす者ものはその怒いかりにあう。 第15章 15:1 柔やわらかい答こたえは憤いきどおりをとどめ、激はげしい言葉ことばは怒いかりをひきおこす。15:2 知恵ちえある者ものの舌したは知識ちしきをわかち与あたえ、愚おろかな者ものの口くちは愚おろかを吐はき出だす。15:3 主しゅの目めはどこにでもあって、悪人あくにんと善人ぜんにんとを見張みはっている。15:4 優やさしい舌したは命いのちの木きである、乱暴らんぼうな言葉ことばは魂たましいを傷きずつける。15:5 愚おろかな者ものは父ちちの教訓きょうくんを軽かろんじる、戒いましめを守まもる者ものは賢かしこい者ものである。15:6 正ただしい者ものの家いえには多おおくの宝たからがある、悪あしき者ものの所得しょとくには煩わずらいがある。15:7 知恵ちえある者もののくちびるは知識ちしきをひろめる、愚おろかな者ものの心こころはそうでない。15:8 悪あしき者ものの供そなえ物ものは主しゅに憎にくまれ、正ただしい者ものの祈いのりは彼かれに喜よろこばれる。15:9 悪あしき者ものの道みちは主しゅに憎にくまれ、正義せいぎを求もとめる者ものは彼かれに愛あいせられる。15:10 道みちを捨すてる者ものには、きびしい懲こらしめがあり、戒いましめを憎にくむ者ものは死しに至いたる。15:11 陰府よみと滅ほろびとは主しゅの目めの前まえにあり、人ひとの心こころはなおさらである。15:12 あざける者ものは戒いましめられることを好このまない、また知恵ちえある者ものに近ちかづかない。15:13 心こころに楽たのしみがあれば顔色かおいろも喜よろこばしい、心こころに憂うれいがあれば気きはふさぐ。15:14 さとき者ものの心こころは知識ちしきをたずね、愚おろかな者ものの口くちは愚おろかさを食物しょくもつとする。15:15 悩なやんでいる者ものの日々ひびはことごとくつらく、心こころの楽たのしい人ひとは常つねに宴会えんかいをもつ。15:16 少すこしの物ものを所有しょゆうして主しゅを恐おそれるのは、多おおくの宝たからをもって苦く労ろうするのにまさる。15:17 野菜やさいを食たべて互たがいに愛あいするのは、肥こえた牛うしを食たべて互たがいに憎にくむのにまさる。15:18 憤いきどおりやすい者ものは争あらそいをおこし、怒いかりをおそくする者ものは争あらそいをとどめる。15:19 なまけ者ものの道みちには、いばらがはえしげり、正ただしい者ものの道みちは平たいらかである。15:20 知恵ちえある子こは父ちちを喜よろこばせる、愚おろかな人ひとはその母ははを軽かろんじる。15:21 無知むちな者ものは愚おろかなことを喜よろこび、さとき者ものはまっすぐに歩あゆむ。15:22 相あいはかることがなければ、計画けいかくは破やぶれる、はかる者ものが多おおければ、それは必かならず成なる。15:23 人ひとは口くちから出でる好このましい答こたえによって喜よろこびを得える、時ときにかなった言葉ことばは、いかにも良よいものだ。15:24 知恵ちえある人ひとの道みちは上のぼって命いのちに至いたる、こうしてその人ひとは下したにある陰府よみを離はなれる。15:25 主しゅは高たかぶる者ものの家いえを滅ほろぼし、やもめの地境じざかいを定さだめられる。15:26 悪人あくにんの計はかりごとは主しゅに憎にくまれ、潔白けっぱくな人ひとの言葉ことばは彼かれに喜よろこばれる。15:27 不正ふせいな利りをむさぼる者ものはその家いえを煩わずらわせる、まいないを憎にくむ者ものは生いきながらえる。15:28 正ただしい者ものの心こころは答こたえるべきことを考かんがえる、悪あしき者ものの口くちは悪あくを吐はき出だす。15:29 主しゅは悪あしき者ものに遠とおざかり、正ただしい者ものの祈いのりを聞きかれる。15:30 目めの光ひかりは心こころを喜よろこばせ、よい知しらせは骨ほねを潤うるおす。15:31 ためになる戒いましめを聞きく耳みみをもつ者ものは、知恵ちえある者ものの中なかにとどまる。15:32 教訓きょうくんを捨すてる者ものはおのれの命いのちを軽かろんじ、戒いましめを重おもんじる者ものは悟さとりを得える。15:33 主しゅを恐おそれることは知恵ちえの教訓きょうくんである、謙遜けんそんは、栄誉えいよに先さきだつ。
6:1 わが子こよ、あなたがもし隣となり人びとのために保証人ほしょうにんとなり、他人たにんのために手てをうって誓ちかったならば、
6:2 もしあなたのくちびるの言葉ことばによって、わなにかかり、あなたの口くちの言葉ことばによって捕とらえられたならば、
6:3 わが子こよ、その時ときはこうして、おのれを救すくえ、あなたは隣となり人びとの手てに陥おちいったのだから。急いそいで行いって、隣となり人びとにひたすら求もとめよ。
6:4 あなたの目めを眠ねむらせず、あなたのまぶたを、まどろませず、
6:5 かもしかが、かりゅうどの手てからのがれるように、鳥とりが鳥とりを取とる者ものの手てからのがれるように、おのれを救すくえ。
6:6 なまけ者ものよ、ありのところへ行いき、そのすることを見みて、知恵ちえを得えよ。
6:7 ありは、かしらなく、つかさなく、王おうもないが、
6:8 夏なつのうちに食物しょくもつをそなえ、刈入かりいれの時ときに、かてを集あつめる。
6:9 なまけ者ものよ、いつまで寝ねているのか、いつ目めをさまして起おきるのか。
6:10 しばらく眠ねむり、しばらくまどろみ、手てをこまぬいて、またしばらく休やすむ。
6:11 それゆえ、貧まずしさは盗ぬすびとのようにあなたに来きたり、乏とぼしさは、つわもののようにあなたに来くる。
6:12 よこしまな人ひと、悪あしき人ひとは偽いつわりの言葉ことばをもって行いきめぐり、
6:13 目めでめくばせし、足あしで踏ふみ鳴ならし、指ゆびで示しめし、
6:14 よこしまな心こころをもって悪あくを計はかり、絶たえず争あらそいをおこす。
6:15 それゆえ、災わざわいは、にわかに彼かれに臨のぞみ、たちまちにして打うち敗やぶられ、助たすかることはない。
6:16 主しゅの憎にくまれるものが六つある、否いな、その心こころに、忌いみきらわれるものが七つある。
6:17 すなわち、高たかぶる目め、偽いつわりを言いう舌した、罪つみなき人ひとの血ちを流ながす手て、
6:18 悪あしき計はかりごとをめぐらす心こころ、すみやかに悪あくに走はしる足あし、
6:19 偽いつわりをのべる証人しょうにん、また兄弟きょうだいのうちに争あらそいをおこす人ひとがこれである。
6:20 わが子こよ、あなたの父ちちの戒いましめを守まもり、あなたの母ははの教おしえを捨すてるな。
6:21 つねに、これをあなたの心こころに結むすび、あなたの首くびのまわりにつけよ。
6:22 これは、あなたが歩あるくとき、あなたを導みちびき、あなたが寝ねるとき、あなたを守まもり、あなたが目めざめるとき、あなたと語かたる。
6:23 戒いましめはともしびである、教おしえは光ひかりである、教訓きょうくんの懲こらしめは命いのちの道みちである。
6:24 これは、あなたを守まもって、悪わるい女おんなに近ちかづかせず、みだらな女おんなの、巧たくみな舌したに惑まどわされぬようにする。
6:25 彼女かのじょの麗うるわしさを心こころに慕したってはならない、そのまぶたに捕とらえられてはならない。
6:26 遊女ゆうじょは一いっ塊かいのパンのために雇やとわれる、しかし、みだらな女おんなは人ひとの尊たっとい命いのちを求もとめる。
6:27 人ひとは火ひを、そのふところにいだいてその着物きものが焼やかれないであろうか。
6:28 また人ひとは、熱あつい火ひを踏ふんで、その足あしが、焼やかれないであろうか。
6:29 その隣となりの妻つまと不義ふぎを行おこなう者ものも、それと同おなじだ。すべて彼女かのじょに触ふれる者ものは罰ばつを免まぬかれることはできない。
6:30 盗ぬすびとが飢うえたとき、その飢うえを満みたすために盗ぬすむならば、人ひとは彼かれを軽かろんじないであろうか。
6:31 もし捕とらえられたなら、その七倍ばいを償つぐない、その家いえの貨か財ざいを、ことごとく出ださなければならない。
6:32 女おんなと姦淫かんいんを行おこなう者ものは思慮しりょがない。これを行おこなう者ものはおのれを滅ほろぼし、
6:33 傷きずと、はずかしめとを受うけて、その恥はじをすすぐことができない。
6:34 ねたみは、その夫おっとを激はげしく怒いからせるゆえ、恨うらみを報むくいるとき、容赦ようしゃすることはない。
6:35 どのようなあがない物ものをも顧かえりみず、多おおくの贈おくり物ものをしても、和やわらがない。
第7章 7:1 わが子こよ、わたしの言葉ことばを守まもり、わたしの戒いましめをあなたの心こころにたくわえよ。7:2 わたしの戒いましめを守まもって命いのちを得えよ、わたしの教おしえを守まもること、ひとみを守まもるようにせよ。7:3 これをあなたの指ゆびにむすび、これをあなたの心こころの碑いしぶみにしるせ。7:4 知恵ちえに向むかって、「あなたはわが姉妹しまいだ」と言いい、悟さとりに向むかっては、あなたの友ともと呼よべ。7:5 そうすれば、これはあなたを守まもって遊女ゆうじょに迷まよわせず、言葉ことば巧たくみな、みだらな女おんなに近ちかづかせない。7:6 わたしはわが家いえの窓まどにより、格子こうし窓まどから外そとをのぞいて、7:7 思慮しりょのない者もののうちに、若わかい者もののうちに、ひとりの知恵ちえのない若者わかもののいるのを見みた。7:8 彼かれはちまたを過すぎ、女おんなの家いえに行いく曲まがりかどに近ちかづき、その家いえに行いく道みちを、7:9 たそがれに、よいに、また夜中よなかに、また暗くらやみに歩あるいていった。7:10 見みよ、遊女ゆうじょの装よそおいをした陰険いんけんな女おんなが彼かれに会あう。7:11 この女おんなは、騒さわがしくて、慎つつしみなく、その足あしは自分じぶんの家いえにとどまらず、7:12 ある時ときはちまたにあり、ある時ときは市場いちばにあり、すみずみに立たって人ひとをうかがう。7:13 この女おんなは彼かれを捕とらえて口くちづけし、恥はじしらぬ顔かおで彼かれに言いう、7:14 「わたしは酬恩祭しゅうおんさいをささげなければならなかったが、きょう、その誓ちかいを果はたしました。7:15 それでわたしはあなたを迎むかえようと出でて、あなたを尋たずね、あなたに会あいました。7:16 わたしは床とこに美うつくしい、しとねと、エジプトのあや布ぬのを敷しき、7:17 没薬もつやく、ろかい、桂皮けいひをもってわたしの床とこをにおわせました。7:18 さあ、わたしたちは夜よるが明あけるまで、情じょうをつくし、愛あいをかわして楽たのしみましょう。7:19 夫おっとは家いえにいません、遠とおくへ旅立たびだち、7:20 手てに金かね袋ぶくろを持もって出でました。満月まんげつになるまでは帰かえりません」と。7:21 女おんなが多おおくの、なまめかしい言葉ことばをもって彼かれを惑まどわし、巧たくみなくちびるをもって、いざなうと、7:22 若わかい人ひとは直ただちに女おんなに従したがった、あたかも牛うしが、ほふり場ばに行いくように、雄おじかが、すみやかに捕とらえられ、7:23 ついに、矢やがその内臓ないぞうを突つき刺さすように、鳥とりがすみやかに網あみにかかるように、彼かれは自分じぶんが命いのちを失うしなうようになることを知しらない。 7:24 子供こどもらよ、今いまわたしの言いうことを聞きき、わが口くちの言葉ことばに耳みみを傾かたむけよ。7:25 あなたの心こころを彼女かのじょの道みちに傾かたむけてはならない、またその道みちに迷まよってはならない。7:26 彼女かのじょは多おおくの人ひとを傷きずつけて倒たおした、まことに、彼女かのじょに殺ころされた者ものは多おおい。7:27 その家いえは陰府よみへ行いく道みちであって、死しのへやへ下くだって行いく。 第8章 8:1 知恵ちえは呼よばわらないのか、悟さとりは声こえをあげないのか。8:2 これは道みちのほとりの高たかい所ところの頂いただき、また、ちまたの中なかに立たち、8:3 町まちの入口いりぐちにあるもろもろの門もんのかたわら、正門せいもんの入口いりぐちで呼よばわって言いう、8:4 「人々ひとびとよ、わたしはあなたがたに呼よばわり、声こえをあげて人ひとの子こらを呼よぶ。8:5 思慮しりょのない者ものよ、悟さとりを得えよ、愚おろかな者ものよ、知恵ちえを得えよ。8:6 聞きけ、わたしは高貴こうきな事ことを語かたり、わがくちびるは正ただしい事ことを語かたり出だす。8:7 わが口くちは真実しんじつを述のべ、わがくちびるは悪あしき事ことを憎にくむ。8:8 わが口くちの言葉ことばはみな正ただしい、そのうちに偽いつわりと、よこしまはない。8:9 これはみな、さとき者ものの明あきらかにするところ、知識ちしきを得える者ものの正ただしとするところである。8:10 あなたがたは銀ぎんを受うけるよりも、わたしの教おしえを受うけよ、精せい金きんよりも、むしろ知識ちしきを得えよ。8:11 知恵ちえは宝石ほうせきにまさり、あなたがたの望のぞむすべての物ものは、これと比くらべるにたりない。8:12 知恵ちえであるわたしは悟さとりをすみかとし、知識ちしきと慎つつしみとをもつ。8:13 主しゅを恐おそれるとは悪あくを憎にくむことである。わたしは高たかぶりと、おごりと、悪あしき道みちと、偽いつわりの言葉ことばとを憎にくむ。8:14 計はかりごとと、確たしかな知恵ちえとは、わたしにある、わたしには悟さとりがあり、わたしには力ちからがある。8:15 わたしによって、王おうたる者ものは世よを治おさめ、君きみたる者ものは正ただしい定さだめを立たてる。8:16 わたしによって、主しゅたる者ものは支配しはいし、つかさたる者ものは地ちを治おさめる。8:17 わたしは、わたしを愛あいする者ものを愛あいする、わたしをせつに求もとめる者ものは、わたしに出会であう。8:18 富とみと誉ほまれとはわたしにあり、すぐれた宝たからと繁栄はんえいもまたそうである。8:19 わたしの実みは金きんよりも精せい金きんよりも良よく、わたしの産物さんぶつは精せい銀ぎんにまさる。8:20 わたしは正義せいぎの道みち、公正こうせいな道筋みちすじの中なかを歩あゆみ、8:21 わたしを愛あいする者ものに宝たからを得えさせ、またその倉くらを満みちさせる。 8:22 主しゅが昔むかしそのわざをなし始はじめられるとき、そのわざの初はじめとして、わたしを造つくられた。8:23 いにしえ、地ちのなかった時とき、初はじめに、わたしは立たてられた。8:24 まだ海うみもなく、また大おおいなる水みずの泉いずみもなかった時とき、わたしはすでに生うまれ、8:25 山やまもまだ定さだめられず、丘おかもまだなかった時とき、わたしはすでに生うまれた。8:26 すなわち神かみがまだ地ちをも野のをも、地ちのちりのもとをも造つくられなかった時ときである。8:27 彼かれが天てんを造つくり、海うみのおもてに、大空おおぞらを張はられたとき、わたしはそこにあった。8:28 彼かれが上うえに空そらを堅かたく立たたせ、淵ふちの泉いずみをつよく定さだめ、8:29 海うみにその限界げんかいをたて、水みずにその岸きしを越こえないようにし、また地ちの基もといを定さだめられたとき、8:30 わたしは、そのかたわらにあって、名 めいしょうとなり、日々ひびに喜よろこび、常つねにその前まえに楽たのしみ、8:31 その地ちで楽たのしみ、また世よの人ひとを喜よろこんだ。 8:32 それゆえ、子供こどもらよ、今いまわたしの言いうことを聞きけ、わたしの道みちを守まもる者ものはさいわいである。8:33 教訓きょうくんを聞きいて、知恵ちえを得えよ、これを捨すててはならない。8:34 わたしの言いうことを聞きき、日々ひびわたしの門もんのかたわらでうかがい、わたしの戸口とぐちの柱はしらのわきで待まつ人ひとはさいわいである。8:35 それは、わたしを得える者ものは命いのちを得え、主しゅから恵めぐみを得えるからである。8:36 わたしを失うしなう者ものは自分じぶんの命いのちをそこなう、すべてわたしを憎にくむ者ものは死しを愛あいする者ものである」。 第9章 9:1 知恵ちえは自分じぶんの家いえを建たて、その七つの柱はしらを立たて、9:2 獣けものをほふり、酒さけを混まぜ合あわせて、ふるまいを備そなえ、9:3 はしためをつかわして、町まちの高たかい所ところで呼よばわり言いわせた、9:4 「思慮しりょのない者ものよ、ここに来きたれ」と。また、知恵ちえのない者ものに言いう、9:5 「来きて、わたしのパンを食たべ、わたしの混まぜ合あわせた酒さけをのみ、9:6 思慮しりょのないわざを捨すてて命いのちを得え、悟さとりの道みちを歩あゆめ」と。 9:7 あざける者ものを戒いましめる者ものは、自みずから恥はじを得え、悪あしき者ものを責せめる者ものは自みずから傷きずを受うける。9:8 あざける者ものを責せめるな、おそらく彼かれはあなたを憎にくむであろう。知恵ちえある者ものを責せめよ、彼かれはあなたを愛あいする。9:9 知恵ちえある者ものに教訓きょうくんを授さづけよ、彼かれはますます知恵ちえを得える。正ただしい者ものを教おしえよ、彼かれは学がくに進すすむ。9:10 主しゅを恐おそれることは知恵ちえのもとである、聖せいなる者ものを知しることは、悟さとりである。9:11 わたしによって、あなたの日ひは多おおくなり、あなたの命いのちの年としは増ます。9:12 もしあなたに知恵ちえがあるならば、あなた自身じしんのために知恵ちえがあるのである。もしあなたがあざけるならば、あなたひとりがその責せめを負おうことになる。 9:13 愚おろかな女おんなは、騒さわがしく、みだらで、恥はじを知しらない。9:14 彼女かのじょはその家いえの戸口とぐちに座ざし、町まちの高たかい所ところにある座ざにすわり、9:15 道みちを急いそぐ行いき来きの人ひとを招まねいて言いう、9:16 「思慮しりょのない者ものよ、ここに来きたれ」と。また知恵ちえのない人ひとに向むかってこれに言いう、9:17 「盗ぬすんだ水みずは甘あまく、ひそかに食たべるパンはうまい」と。9:18 しかしその人ひとは、死しの影かげがそこにあることを知しらず、彼女かのじょの客きゃくは陰府よみの深ふかみにおることを知しらない。 第10章 10:1 ソロモンの箴言しんげん。知恵ちえある子こは父ちちを喜よろこばせ、愚おろかな子こは母ははの悲かなしみとなる。10:2 不義ふぎの宝たからは益えきなく、正義せいぎは人ひとを救すくい出だして、死しを免まぬかれさせる。10:3 主しゅは正ただしい人ひとを飢うえさせず、悪あしき者ものの欲望よくぼうをくじかれる。10:4 手てを動うごかすことを怠おこたる者ものは貧まずしくなり、勤つとめ働はたらく者ものの手ては富とみを得える。10:5 夏なつのうちに集あつめる者ものは賢かしこい子こであり、刈入かりいれの時ときに眠ねむる者ものは恥はじをきたらせる子こである。10:6 正ただしい者もののこうべには祝福しゅくふくがあり、悪あしき者ものの口くちは暴虐ぼうぎゃくを隠かくす。10:7 正ただしい者ものの名なはほめられ、悪あしき者ものの名なは朽くちる。10:8 心こころのさとき者ものは戒いましめを受うける、むだ口くちをたたく愚おろかな者ものは滅ほろぼされる。10:9 まっすぐに歩あゆむ者ものの歩あゆみは安全あんぜんである、しかし、その道みちを曲まげる者ものは災わざわいにあう。10:10 目めで、めくばせする者ものは憂うれいをおこし、あからさまに、戒いましめる者ものは平和へいわをきたらせる。10:11 正ただしい者ものの口くちは命いのちの泉いずみである、悪あしき者ものの口くちは暴虐ぼうぎゃくを隠かくす。10:12 憎にくしみは、争あらそいを起おこし、愛あいはすべてのとがをおおう。10:13 さとき者もののくちびるには知恵ちえがあり、知恵ちえのない者ものの背せにはむちがある。10:14 知恵ちえある者ものは知識ちしきをたくわえる、愚おろかな者もののむだ口くちは、今いまにも滅ほろびをきたらせる。10:15 富とめる者ものの宝たからは、その堅かたき城しろであり、貧まずしい者ものの乏とぼしきは、その滅ほろびである。10:16 正ただしい者ものの受うける賃銀ちんぎんは命いのちに導みちびき、悪あしき者ものの利得りとくは罪つみに至いたる。10:17 教訓きょうくんを守まもる者ものは命いのちの道みちにあり、懲こらしめを捨すてる者ものは道みちをふみ迷まよう。10:18 憎にくしみを隠かくす者ものには偽いつわりのくちびるがあり、そしりを口くちに出だす者ものは愚おろかな者ものである。10:19 言葉ことばが多おおければ、とがを免まぬかれない、自分じぶんのくちびるを制せいする者ものは知恵ちえがある。10:20 正ただしい者ものの舌したは精せい銀ぎんである、悪あしき者ものの心こころは価値かちが少すくない。10:21 正ただしい者もののくちびるは多おおくの人ひとを養やしない、愚おろかな者ものは知恵ちえがなくて死しぬ。10:22 主しゅの祝福しゅくふくは人ひとを富とませる、主しゅはこれになんの悲かなしみをも加くわえない。10:23 愚おろかな者ものは、戯たわむれ事ごとのように悪あくを行おこなう、さとき人ひとには賢かしこい行おこないが楽たのしみである。10:24 悪あしき者ものの恐おそれることは自分じぶんに来きたり、正ただしい者ものの願ねがうことは与あたえられる。10:25 あらしが通とおりすぎる時とき、悪あしき者ものは、もはや、いなくなり、正ただしい者ものは永久えいきゅうに堅かたく立たてられる。10:26 なまけ者ものは、これをつかわす者ものにとっては、酢すが歯はをいため、煙けむりが目めを悩なやますようなものだ。10:27 主しゅを恐おそれることは人ひとの命いのちの日ひを多おおくする、悪あしき者ものの年としは縮ちぢめられる。10:28 正ただしい者ものの望のぞみは喜よろこびに終おわり、悪あしき者ものの望のぞみは絶たえる。10:29 主しゅは、まっすぐに歩あゆむ者ものには城しろであり、悪あくを行おこなう者ものには滅ほろびである。10:30 正ただしい者ものはいつまでも動うごかされることはない、悪あしき者ものは、地ちに住すむことができない。10:31 正ただしい者ものの口くちは知恵ちえをいだし、偽いつわりの舌したは抜ぬかれる。10:32 正ただしい者もののくちびるは喜よろこばるべきことをわきまえ、悪あしき者ものの口くちは偽いつわりを語かたる。 第11章 11:1 偽いつわりのはかりは主しゅに憎にくまれ、正ただしいふんどうは彼かれに喜よろこばれる。11:2 高たかぶりが来くれば、恥はじもまた来くる、へりくだる者ものには知恵ちえがある。11:3 正ただしい者ものの誠実せいじつはその人ひとを導みちびき、不信実ふしんじつな者もののよこしまはその人ひとを滅ほろぼす。11:4 宝たからは怒いかりの日ひに益えきなく、正義せいぎは人ひとを救すくい出だして、死しを免まぬかれさせる。11:5 誠実せいじつな者ものは、その正義せいぎによって、その道みちをまっすぐにせられ、悪あしき者ものは、その悪あくによって倒たおれる。11:6 正ただしい者ものはその正義せいぎによって救すくわれ、不信実ふしんじつな者ものは自分じぶんの欲よくによって捕とらえられる。11:7 悪あしき者ものは死しぬとき、その望のぞみは絶たえ、不信心ふしんじんな者ものの望のぞみもまた絶たえる。11:8 正ただしい者ものは、悩なやみから救すくわれ、悪あしき者ものは代かわってそれに陥おちいる。11:9 不信心ふしんじんな者ものはその口くちをもって隣となり人びとを滅ほろぼす、正ただしい者ものは知識ちしきによって救すくわれる。11:10 正ただしい者ものが、しあわせになれば、その町まちは喜よろこび、悪あしき者ものが滅ほろびると、喜よろこびの声こえがおこる。11:11 町まちは正ただしい者ものの祝福しゅくふくによって、高たかくあげられ、悪あしき者ものの口くちによって、滅ほろぼされる。11:12 隣となり人びとを侮あなどる者ものは知恵ちえがない、さとき人ひとは口くちをつぐむ。11:13 人ひとのよしあしを言いいあるく者ものは秘密ひみつをもらす、心こころの忠信ちゅうしんなる者ものは事ことを隠かくす。11:14 指導者しどうしゃがなければ民たみは倒たおれ、助言者じょげんしゃが多おおければ安全あんぜんである。11:15 他人たにんのために保証ほしょうをする者ものは苦くるしみをうけ、保証ほしょうをきらう者ものは安全あんぜんである。11:16 しとやかな女おんなは、誉ほまれを得え、強暴きょうぼうな男おとこは富とみを得える。11:17 いつくしみある者ものはおのれ自身じしんに益えきを得え、残忍ざんにんな者ものはおのれの身みをそこなう。11:18 悪あしき者ものの得える報むくいはむなしく、正義せいぎを播まく者ものは確たしかな報むくいを得える。11:19 正義せいぎを堅かたく保たもつ者ものは命いのちに至いたり、悪あくを追おい求もとめる者ものは死しを招まねく。11:20 心こころのねじけた者ものは主しゅに憎にくまれ、まっすぐに道みちを歩あゆむ者ものは彼かれに喜よろこばれる。11:21 確たしかに、悪人あくにんは罰ばつを免まぬかれない、しかし正ただしい人ひとは救すくいを得える。11:22 美うつくしい女おんなの慎つつしみがないのは、金きんの輪わの、ぶたの鼻はなにあるようだ。11:23 正ただしい者ものの願ねがいは、すべて良よい結果けっかを得え、悪あしき者ものの望のぞみは怒いかりに至いたる。11:24 施ほどこし散ちらして、なお富とみを増ます人ひとがあり、与あたえるべきものを惜おしんで、かえって貧まずしくなる者ものがある。11:25 物惜ものおしみしない者ものは富とみ、人ひとを潤うるおす者ものは自分じぶんも潤うるおされる。11:26 穀物こくもつを、しまい込こんで売うらない者ものは民たみにのろわれる、それを売うる者もののこうべには祝福しゅくふくがある。11:27 善ぜんを求もとめる者ものは恵めぐみを得える、悪あくを求もとめる者ものには悪あくが来くる。11:28 自分じぶんの富とみを頼たのむ者ものは衰おとろえる、正ただしい者ものは木きの青葉あおばのように栄さかえる。11:29 自分じぶんの家族かぞくを苦くるしめる者ものは風かぜを所有しょゆうとする、愚おろかな者ものは心こころのさとき者もののしもべとなる。11:30 正ただしい者ものの結むすぶ実みは命いのちの木きである、不法ふほうな者ものは人ひとの命いのちをとる。11:31 もし正ただしい者ものがこの世よで罰ばっせられるならば、悪あしき者ものと罪つみびととは、なおさらである。 第12章 12:1 戒いましめを愛あいする人ひとは知識ちしきを愛あいする、懲こらしめを憎にくむ者ものは愚おろかである。12:2 善人ぜんにんは主しゅの恵めぐみをうけ、悪わるい計はかりごとを設もうける人ひとは主しゅに罰ばっせられる。12:3 人ひとは悪あくをもって堅かたく立たつことはできない、正ただしい人ひとの根ねは動うごくことはない。12:4 賢かしこい妻つまはその夫おっとの冠かんむりである、恥はじをこうむらせる妻つまは夫おっとの骨ほねに生しょうじた腐くされのようなものである。12:5 正ただしい人ひとの考かんがえは公正こうせいである、悪あしき者ものの計はかることは偽いつわりである。12:6 悪あしき者ものの言葉ことばは、人ひとの血ちを流ながそうとうかがう、正ただしい人ひとの口くちは人ひとを救すくう。12:7 悪あしき者ものは倒たおされて、うせ去さる、正ただしい人ひとの家いえは堅かたく立たつ。12:8 人ひとはその悟さとりにしたがって、ほめられ、心こころのねじけた者ものは、卑いやしめられる。12:9 身分みぶんの低ひくい人ひとでも自分じぶんで働はたらく者ものは、みずから高たかぶって食しょくに乏とぼしい者ものにまさる。12:10 正ただしい人ひとはその家畜かちくの命いのちを顧かえりみる、悪あしき者ものは残忍ざんにんをもって、あわれみとする。12:11 自分じぶんの田地でんちを耕たがやす者ものは食糧しょくりょうに飽あきる、無益むえきな事ことに従したがう者ものは知恵ちえがない。12:12 悪あしき者ものの堅固けんごなやぐらは崩壊ほうかいする、正ただしい人ひとの根ねは堅かたく立たつ。12:13 悪人あくにんはくちびるのとがによって、わなに陥おちいる、しかし正ただしい人ひとは悩なやみをのがれる。12:14 人ひとはその口くちの実みによって、幸福こうふくに満みち足たり、人ひとの手てのわざは、その人ひとの身みに帰かえる。12:15 愚おろかな人ひとの道みちは、自分じぶんの目めに正ただしく見みえる、しかし知恵ちえある者ものは勧すすめをいれる。12:16 愚おろかな人ひとは、すぐに怒いかりをあらわす、しかし賢かしこい人ひとは、はずかしめをも気きにとめない。12:17 真実しんじつを語かたる人ひとは正ただしい証言しょうげんをなし、偽いつわりの証人しょうにんは偽いつわりを言いう。12:18 つるぎをもって刺さすように、みだりに言葉ことばを出だす者ものがある、しかし知恵ちえある人ひとの舌したは人ひとをいやす。12:19 真実しんじつを言いうくちびるは、いつまでも保たもつ、偽いつわりを言いう舌したは、ただ、まばたきの間あいだだけである。12:20 悪あくをたくらむ者ものの心こころには欺あざむきがあり、善ぜんをはかる人ひとには喜よろこびがある。12:21 正ただしい人ひとにはなんの害悪がいあくも生しょうじない、しかし悪あしき者ものは災わざわいをもって満みたされる。12:22 偽いつわりを言いうくちびるは主しゅに憎にくまれ、真実しんじつを行おこなう者ものは彼かれに喜よろこばれる。12:23 さとき人ひとは知識ちしきをかくす、しかし愚おろかな者ものは自分じぶんの愚おろかなことをあらわす。12:24 勤つとめ働はたらく者ものの手てはついに人ひとを治おさめる、怠おこたる者ものは人ひとに仕つかえるようになる。12:25 心こころに憂うれいがあればその人ひとをかがませる、しかし親切しんせつな言葉ことばはその人ひとを喜よろこばせる。12:26 正ただしい人ひとは悪あくを離はなれ去さる、しかし悪あしき者ものは自みずから道みちに迷まよう。12:27 怠おこたる者ものは自分じぶんの獲物えものを捕とらえない、しかし勤つとめ働はたらく人ひとは尊たっとい宝たからを獲える。12:28 正義せいぎの道みちには命いのちがある、しかし誤あやまりの道みちは死しに至いたる。 第13章 13:1 知恵ちえある子こは父ちちの教訓きょうくんをきく、あざける者ものは、懲こらしめをきかない。13:2 善良ぜんりょうな人ひとはその口くちの実みによって、幸福こうふくを得える、不信実ふしんじつな者ものの願ねがいは、暴虐ぼうぎゃくである。13:3 口くちを守まもる者ものはその命いのちを守まもる、くちびるを大おおきく開ひらく者ものには滅ほろびが来くる。13:4 なまけ者ものの心こころは、願ねがい求もとめても、何なにも得えない、しかし勤つとめ働はたらく者ものの心こころは豊ゆたかに満みたされる。13:5 正ただしい人ひとは偽いつわりを憎にくむ、しかし悪あしき人ひとは恥はずべく、忌いまわしくふるまう。13:6 正義せいぎは道みちをまっすぐ歩あゆむ者ものを守まもり、罪つみは悪あしき者ものを倒たおす。13:7 富とんでいると偽いつわって、何なにも持もたない者ものがいる、貧まずしいと偽いつわって、多おおくの富とみを持もつ者ものがいる。13:8 人ひとの富とみはその命いのちをあがなう、しかし貧まずしい者ものにはあがなうべき富とみがない。13:9 正ただしい者ものの光ひかりは輝かがやき、悪あしき者もののともしびは消けされる。13:10 高たかぶりはただ争あらそいを生しょうじる、勧告かんこくをきく者ものは知恵ちえがある。13:11 急いそいで得えた富とみは減へる、少すこしずつたくわえる者ものはそれを増ますことができる。13:12 望のぞみを得えることが長ながびくときは、心こころを悩なやます、願ねがいがかなうときは、命いのちの木きを得えたようだ。13:13 み言葉ことばを軽かろんじる者ものは滅ほろぼされ、戒いましめを重おもんじる者ものは報むくいを得える。13:14 知恵ちえある人ひとの教おしえは命いのちの泉いずみである、これによって死しのわなをのがれることができる。13:15 善良ぜんりょうな賢かしこい者ものは恵めぐみを得える、しかし、不信実ふしんじつな者ものの道みちは滅ほろびである。13:16 おおよそ、さとき者ものは知識ちしきによって事ことをおこない、愚おろかな者ものは自分じぶんの愚ぐを見みせびらかす。13:17 悪あしき使者ししゃは人ひとを災わざわいにおとしいれる、しかし忠実ちゅうじつな使者ししゃは人ひとを救すくう。13:18 貧乏びんぼうと、はずかしめとは教訓きょうくんを捨すてる者ものに来くる、しかし戒いましめを守まもる者ものは尊たっとばれる。13:19 願ねがいがかなえば、心こころは楽たのしい、愚おろかな者ものは悪あくを捨すてることをきらう。13:20 知恵ちえある者ものとともに歩あゆむ者ものは知恵ちえを得える。愚おろかな者ものの友ともとなる者ものは害がいをうける。13:21 災わざわいは罪つみびとを追おい、正ただしい者ものは良よい報むくいを受うける。13:22 善良ぜんりょうな人ひとはその嗣し業ぎょうを子孫しそんにのこす、しかし罪つみびとの富とみは正ただしい人ひとのためにたくわえられる。13:23 貧まずしい人ひとの新田しんでんは多おおくの食糧しょくりょうを産さんする、しかし不正ふせいによれば押おし流ながされる。13:24 むちを加くわえない者ものはその子こを憎にくむのである、子こを愛あいする者ものは、つとめてこれを懲こらしめる。13:25 正ただしい者ものは食たべてその食欲しょくよくを満みたす、しかし悪あしき者ものの腹はらは満みたされない。 第14章 14:1 知恵ちえはその家いえを建たて、愚おろかさは自分じぶんの手てでそれをこわす。14:2 まっすぐに歩あゆむ者ものは主しゅを恐おそれる、曲まがって歩あゆむ者ものは主しゅを侮あなどる。14:3 愚おろかな者ものの言葉ことばは自分じぶんの背せにむちを当あてる、知恵ちえある者もののくちびるはその身みを守まもる。14:4 牛うしがなければ穀物こくもつはない、牛うしの力ちからによって農作物のうさくもつは多おおくなる。14:5 真実しんじつな証人しょうにんはうそをいわない、偽いつわりの証人しょうにんはうそをつく。14:6 あざける者ものは知恵ちえを求もとめても得えられない、さとき者ものは知識ちしきを得えることがたやすい。14:7 愚おろかな者ものの前まえを離はなれ去され、そこには知識ちしきの言葉ことばがないからである。14:8 さとき者ものの知恵ちえは自分じぶんの道みちをわきまえることにあり、愚おろかな者ものの愚おろかは、欺あざむくことにある。14:9 神かみは悪あしき者ものをあざけられる、正ただしい者ものは、その恵めぐみを受うける。14:10 心こころの苦くるしみは心こころみずからが知しる、その喜よろこびには他人たにんはあずからない。14:11 悪あしき者ものの家いえは滅ほろぼされ、正ただしい者ものの幕屋まくやは栄さかえる。14:12 人ひとが見みて自みずから正ただしいとする道みちでも、その終おわりはついに死しに至いたる道みちとなるものがある。14:13 笑わらう時ときにも心こころに悲かなしみがあり、喜よろこびのはてに憂うれいがある。14:14 心こころのもとれる者ものはそのしわざの実みを刈かり取とり、善良ぜんりょうな人ひともまたその行おこないの実みを刈かり取とる。14:15 思慮しりょのない者ものはすべてのことを信しんじる、さとき者ものは自分じぶんの歩あゆみを慎つつしむ。14:16 知恵ちえある者ものは用心ようじんぶかく、悪あくを離はなれる、愚おろかな者ものは高たかぶって用心ようじんしない。14:17 怒いかりやすい者ものは愚おろかなことを行おこない、賢かしこい者ものは忍耐にんたい強づよい。14:18 思慮しりょのない者ものは愚おろかなことを自分じぶんのものとする、さとき者ものは知識ちしきをもって冠かんむりとする。14:19 悪人あくにんは善人ぜんにんの前まえにひれ伏ふし、悪あしき者ものは正ただしい者ものの門もんにひれ伏ふす。14:20 貧まずしい者ものはその隣となりにさえも憎にくまれる、しかし富とめる者ものは多おおくの友ともをもつ。14:21 隣となり人びとを卑いやしめる者ものは罪つみびとである、貧まずしい人ひとをあわれむ者ものはさいわいである。14:22 悪あくを計はかる者ものはおのれを誤あやまるではないか、善ぜんを計はかる者ものにはいつくしみと、まこととがある。14:23 すべての勤労きんろうには利益りえきがある、しかし口先くちさきだけの言葉ことばは貧乏びんぼうをきたらせるだけだ。14:24 知恵ちえある者ものの冠かんむりはその知恵ちえである、愚おろかな者ものの花はなの冠かんむりはただ愚おろかさである。14:25 まことの証人しょうにんは人ひとの命いのちを救すくう、偽いつわりを吐はく者ものは裏うら切ぎり者ものである。14:26 主しゅを恐おそれることによって人ひとは安心あんしんを得え、その子こらはのがれ場ばを得える。14:27 主しゅを恐おそれることは命いのちの泉いずみである、人ひとを死しのわなからのがれさせる。14:28 王おうの栄さかえは民たみの多おおいことにあり、君きみの滅ほろびは民たみを失うしなうことにある。14:29 怒いかりをおそくする者ものは大おおいなる悟さとりがあり、気きの短みじかい者ものは愚おろかさをあらわす。14:30 穏おだやかな心こころは身みの命いのちである、しかし興奮こうふんは骨ほねを腐くさらせる。14:31 貧まずしい者ものをしえたげる者ものはその つくり主ぬしを侮あなどる、乏とぼしい者ものをあわれむ者ものは、主しゅをうやまう。14:32 悪あしき者ものはその悪あしき行おこないによって滅ほろぼされ、正ただしい者ものはその正ただしきによって、のがれ場ばを得える。14:33 知恵ちえはさとき者ものの心こころにとどまり、愚おろかな者ものの心こころに知しられない。14:34 正義せいぎは国くにを高たかくし、罪つみは民たみをはずかしめる。14:35 賢かしこいしもべは王おうの恵めぐみをうけ、恥はじをきたらす者ものはその怒いかりにあう。 第15章 15:1 柔やわらかい答こたえは憤いきどおりをとどめ、激はげしい言葉ことばは怒いかりをひきおこす。15:2 知恵ちえある者ものの舌したは知識ちしきをわかち与あたえ、愚おろかな者ものの口くちは愚おろかを吐はき出だす。15:3 主しゅの目めはどこにでもあって、悪人あくにんと善人ぜんにんとを見張みはっている。15:4 優やさしい舌したは命いのちの木きである、乱暴らんぼうな言葉ことばは魂たましいを傷きずつける。15:5 愚おろかな者ものは父ちちの教訓きょうくんを軽かろんじる、戒いましめを守まもる者ものは賢かしこい者ものである。15:6 正ただしい者ものの家いえには多おおくの宝たからがある、悪あしき者ものの所得しょとくには煩わずらいがある。15:7 知恵ちえある者もののくちびるは知識ちしきをひろめる、愚おろかな者ものの心こころはそうでない。15:8 悪あしき者ものの供そなえ物ものは主しゅに憎にくまれ、正ただしい者ものの祈いのりは彼かれに喜よろこばれる。15:9 悪あしき者ものの道みちは主しゅに憎にくまれ、正義せいぎを求もとめる者ものは彼かれに愛あいせられる。15:10 道みちを捨すてる者ものには、きびしい懲こらしめがあり、戒いましめを憎にくむ者ものは死しに至いたる。15:11 陰府よみと滅ほろびとは主しゅの目めの前まえにあり、人ひとの心こころはなおさらである。15:12 あざける者ものは戒いましめられることを好このまない、また知恵ちえある者ものに近ちかづかない。15:13 心こころに楽たのしみがあれば顔色かおいろも喜よろこばしい、心こころに憂うれいがあれば気きはふさぐ。15:14 さとき者ものの心こころは知識ちしきをたずね、愚おろかな者ものの口くちは愚おろかさを食物しょくもつとする。15:15 悩なやんでいる者ものの日々ひびはことごとくつらく、心こころの楽たのしい人ひとは常つねに宴会えんかいをもつ。15:16 少すこしの物ものを所有しょゆうして主しゅを恐おそれるのは、多おおくの宝たからをもって苦く労ろうするのにまさる。15:17 野菜やさいを食たべて互たがいに愛あいするのは、肥こえた牛うしを食たべて互たがいに憎にくむのにまさる。15:18 憤いきどおりやすい者ものは争あらそいをおこし、怒いかりをおそくする者ものは争あらそいをとどめる。15:19 なまけ者ものの道みちには、いばらがはえしげり、正ただしい者ものの道みちは平たいらかである。15:20 知恵ちえある子こは父ちちを喜よろこばせる、愚おろかな人ひとはその母ははを軽かろんじる。15:21 無知むちな者ものは愚おろかなことを喜よろこび、さとき者ものはまっすぐに歩あゆむ。15:22 相あいはかることがなければ、計画けいかくは破やぶれる、はかる者ものが多おおければ、それは必かならず成なる。15:23 人ひとは口くちから出でる好このましい答こたえによって喜よろこびを得える、時ときにかなった言葉ことばは、いかにも良よいものだ。15:24 知恵ちえある人ひとの道みちは上のぼって命いのちに至いたる、こうしてその人ひとは下したにある陰府よみを離はなれる。15:25 主しゅは高たかぶる者ものの家いえを滅ほろぼし、やもめの地境じざかいを定さだめられる。15:26 悪人あくにんの計はかりごとは主しゅに憎にくまれ、潔白けっぱくな人ひとの言葉ことばは彼かれに喜よろこばれる。15:27 不正ふせいな利りをむさぼる者ものはその家いえを煩わずらわせる、まいないを憎にくむ者ものは生いきながらえる。15:28 正ただしい者ものの心こころは答こたえるべきことを考かんがえる、悪あしき者ものの口くちは悪あくを吐はき出だす。15:29 主しゅは悪あしき者ものに遠とおざかり、正ただしい者ものの祈いのりを聞きかれる。15:30 目めの光ひかりは心こころを喜よろこばせ、よい知しらせは骨ほねを潤うるおす。15:31 ためになる戒いましめを聞きく耳みみをもつ者ものは、知恵ちえある者ものの中なかにとどまる。15:32 教訓きょうくんを捨すてる者ものはおのれの命いのちを軽かろんじ、戒いましめを重おもんじる者ものは悟さとりを得える。15:33 主しゅを恐おそれることは知恵ちえの教訓きょうくんである、謙遜けんそんは、栄誉えいよに先さきだつ。
7:1 わが子こよ、わたしの言葉ことばを守まもり、わたしの戒いましめをあなたの心こころにたくわえよ。
7:2 わたしの戒いましめを守まもって命いのちを得えよ、わたしの教おしえを守まもること、ひとみを守まもるようにせよ。
7:3 これをあなたの指ゆびにむすび、これをあなたの心こころの碑いしぶみにしるせ。
7:4 知恵ちえに向むかって、「あなたはわが姉妹しまいだ」と言いい、悟さとりに向むかっては、あなたの友ともと呼よべ。
7:5 そうすれば、これはあなたを守まもって遊女ゆうじょに迷まよわせず、言葉ことば巧たくみな、みだらな女おんなに近ちかづかせない。
7:6 わたしはわが家いえの窓まどにより、格子こうし窓まどから外そとをのぞいて、
7:7 思慮しりょのない者もののうちに、若わかい者もののうちに、ひとりの知恵ちえのない若者わかもののいるのを見みた。
7:8 彼かれはちまたを過すぎ、女おんなの家いえに行いく曲まがりかどに近ちかづき、その家いえに行いく道みちを、
7:9 たそがれに、よいに、また夜中よなかに、また暗くらやみに歩あるいていった。
7:10 見みよ、遊女ゆうじょの装よそおいをした陰険いんけんな女おんなが彼かれに会あう。
7:11 この女おんなは、騒さわがしくて、慎つつしみなく、その足あしは自分じぶんの家いえにとどまらず、
7:12 ある時ときはちまたにあり、ある時ときは市場いちばにあり、すみずみに立たって人ひとをうかがう。
7:13 この女おんなは彼かれを捕とらえて口くちづけし、恥はじしらぬ顔かおで彼かれに言いう、
7:14 「わたしは酬恩祭しゅうおんさいをささげなければならなかったが、きょう、その誓ちかいを果はたしました。
7:15 それでわたしはあなたを迎むかえようと出でて、あなたを尋たずね、あなたに会あいました。
7:16 わたしは床とこに美うつくしい、しとねと、エジプトのあや布ぬのを敷しき、
7:17 没薬もつやく、ろかい、桂皮けいひをもってわたしの床とこをにおわせました。
7:18 さあ、わたしたちは夜よるが明あけるまで、情じょうをつくし、愛あいをかわして楽たのしみましょう。
7:19 夫おっとは家いえにいません、遠とおくへ旅立たびだち、
7:20 手てに金かね袋ぶくろを持もって出でました。満月まんげつになるまでは帰かえりません」と。
7:21 女おんなが多おおくの、なまめかしい言葉ことばをもって彼かれを惑まどわし、巧たくみなくちびるをもって、いざなうと、
7:22 若わかい人ひとは直ただちに女おんなに従したがった、あたかも牛うしが、ほふり場ばに行いくように、雄おじかが、すみやかに捕とらえられ、
7:23 ついに、矢やがその内臓ないぞうを突つき刺さすように、鳥とりがすみやかに網あみにかかるように、彼かれは自分じぶんが命いのちを失うしなうようになることを知しらない。
7:24 子供こどもらよ、今いまわたしの言いうことを聞きき、わが口くちの言葉ことばに耳みみを傾かたむけよ。
7:25 あなたの心こころを彼女かのじょの道みちに傾かたむけてはならない、またその道みちに迷まよってはならない。
7:26 彼女かのじょは多おおくの人ひとを傷きずつけて倒たおした、まことに、彼女かのじょに殺ころされた者ものは多おおい。
7:27 その家いえは陰府よみへ行いく道みちであって、死しのへやへ下くだって行いく。
第8章 8:1 知恵ちえは呼よばわらないのか、悟さとりは声こえをあげないのか。8:2 これは道みちのほとりの高たかい所ところの頂いただき、また、ちまたの中なかに立たち、8:3 町まちの入口いりぐちにあるもろもろの門もんのかたわら、正門せいもんの入口いりぐちで呼よばわって言いう、8:4 「人々ひとびとよ、わたしはあなたがたに呼よばわり、声こえをあげて人ひとの子こらを呼よぶ。8:5 思慮しりょのない者ものよ、悟さとりを得えよ、愚おろかな者ものよ、知恵ちえを得えよ。8:6 聞きけ、わたしは高貴こうきな事ことを語かたり、わがくちびるは正ただしい事ことを語かたり出だす。8:7 わが口くちは真実しんじつを述のべ、わがくちびるは悪あしき事ことを憎にくむ。8:8 わが口くちの言葉ことばはみな正ただしい、そのうちに偽いつわりと、よこしまはない。8:9 これはみな、さとき者ものの明あきらかにするところ、知識ちしきを得える者ものの正ただしとするところである。8:10 あなたがたは銀ぎんを受うけるよりも、わたしの教おしえを受うけよ、精せい金きんよりも、むしろ知識ちしきを得えよ。8:11 知恵ちえは宝石ほうせきにまさり、あなたがたの望のぞむすべての物ものは、これと比くらべるにたりない。8:12 知恵ちえであるわたしは悟さとりをすみかとし、知識ちしきと慎つつしみとをもつ。8:13 主しゅを恐おそれるとは悪あくを憎にくむことである。わたしは高たかぶりと、おごりと、悪あしき道みちと、偽いつわりの言葉ことばとを憎にくむ。8:14 計はかりごとと、確たしかな知恵ちえとは、わたしにある、わたしには悟さとりがあり、わたしには力ちからがある。8:15 わたしによって、王おうたる者ものは世よを治おさめ、君きみたる者ものは正ただしい定さだめを立たてる。8:16 わたしによって、主しゅたる者ものは支配しはいし、つかさたる者ものは地ちを治おさめる。8:17 わたしは、わたしを愛あいする者ものを愛あいする、わたしをせつに求もとめる者ものは、わたしに出会であう。8:18 富とみと誉ほまれとはわたしにあり、すぐれた宝たからと繁栄はんえいもまたそうである。8:19 わたしの実みは金きんよりも精せい金きんよりも良よく、わたしの産物さんぶつは精せい銀ぎんにまさる。8:20 わたしは正義せいぎの道みち、公正こうせいな道筋みちすじの中なかを歩あゆみ、8:21 わたしを愛あいする者ものに宝たからを得えさせ、またその倉くらを満みちさせる。 8:22 主しゅが昔むかしそのわざをなし始はじめられるとき、そのわざの初はじめとして、わたしを造つくられた。8:23 いにしえ、地ちのなかった時とき、初はじめに、わたしは立たてられた。8:24 まだ海うみもなく、また大おおいなる水みずの泉いずみもなかった時とき、わたしはすでに生うまれ、8:25 山やまもまだ定さだめられず、丘おかもまだなかった時とき、わたしはすでに生うまれた。8:26 すなわち神かみがまだ地ちをも野のをも、地ちのちりのもとをも造つくられなかった時ときである。8:27 彼かれが天てんを造つくり、海うみのおもてに、大空おおぞらを張はられたとき、わたしはそこにあった。8:28 彼かれが上うえに空そらを堅かたく立たたせ、淵ふちの泉いずみをつよく定さだめ、8:29 海うみにその限界げんかいをたて、水みずにその岸きしを越こえないようにし、また地ちの基もといを定さだめられたとき、8:30 わたしは、そのかたわらにあって、名 めいしょうとなり、日々ひびに喜よろこび、常つねにその前まえに楽たのしみ、8:31 その地ちで楽たのしみ、また世よの人ひとを喜よろこんだ。 8:32 それゆえ、子供こどもらよ、今いまわたしの言いうことを聞きけ、わたしの道みちを守まもる者ものはさいわいである。8:33 教訓きょうくんを聞きいて、知恵ちえを得えよ、これを捨すててはならない。8:34 わたしの言いうことを聞きき、日々ひびわたしの門もんのかたわらでうかがい、わたしの戸口とぐちの柱はしらのわきで待まつ人ひとはさいわいである。8:35 それは、わたしを得える者ものは命いのちを得え、主しゅから恵めぐみを得えるからである。8:36 わたしを失うしなう者ものは自分じぶんの命いのちをそこなう、すべてわたしを憎にくむ者ものは死しを愛あいする者ものである」。 第9章 9:1 知恵ちえは自分じぶんの家いえを建たて、その七つの柱はしらを立たて、9:2 獣けものをほふり、酒さけを混まぜ合あわせて、ふるまいを備そなえ、9:3 はしためをつかわして、町まちの高たかい所ところで呼よばわり言いわせた、9:4 「思慮しりょのない者ものよ、ここに来きたれ」と。また、知恵ちえのない者ものに言いう、9:5 「来きて、わたしのパンを食たべ、わたしの混まぜ合あわせた酒さけをのみ、9:6 思慮しりょのないわざを捨すてて命いのちを得え、悟さとりの道みちを歩あゆめ」と。 9:7 あざける者ものを戒いましめる者ものは、自みずから恥はじを得え、悪あしき者ものを責せめる者ものは自みずから傷きずを受うける。9:8 あざける者ものを責せめるな、おそらく彼かれはあなたを憎にくむであろう。知恵ちえある者ものを責せめよ、彼かれはあなたを愛あいする。9:9 知恵ちえある者ものに教訓きょうくんを授さづけよ、彼かれはますます知恵ちえを得える。正ただしい者ものを教おしえよ、彼かれは学がくに進すすむ。9:10 主しゅを恐おそれることは知恵ちえのもとである、聖せいなる者ものを知しることは、悟さとりである。9:11 わたしによって、あなたの日ひは多おおくなり、あなたの命いのちの年としは増ます。9:12 もしあなたに知恵ちえがあるならば、あなた自身じしんのために知恵ちえがあるのである。もしあなたがあざけるならば、あなたひとりがその責せめを負おうことになる。 9:13 愚おろかな女おんなは、騒さわがしく、みだらで、恥はじを知しらない。9:14 彼女かのじょはその家いえの戸口とぐちに座ざし、町まちの高たかい所ところにある座ざにすわり、9:15 道みちを急いそぐ行いき来きの人ひとを招まねいて言いう、9:16 「思慮しりょのない者ものよ、ここに来きたれ」と。また知恵ちえのない人ひとに向むかってこれに言いう、9:17 「盗ぬすんだ水みずは甘あまく、ひそかに食たべるパンはうまい」と。9:18 しかしその人ひとは、死しの影かげがそこにあることを知しらず、彼女かのじょの客きゃくは陰府よみの深ふかみにおることを知しらない。 第10章 10:1 ソロモンの箴言しんげん。知恵ちえある子こは父ちちを喜よろこばせ、愚おろかな子こは母ははの悲かなしみとなる。10:2 不義ふぎの宝たからは益えきなく、正義せいぎは人ひとを救すくい出だして、死しを免まぬかれさせる。10:3 主しゅは正ただしい人ひとを飢うえさせず、悪あしき者ものの欲望よくぼうをくじかれる。10:4 手てを動うごかすことを怠おこたる者ものは貧まずしくなり、勤つとめ働はたらく者ものの手ては富とみを得える。10:5 夏なつのうちに集あつめる者ものは賢かしこい子こであり、刈入かりいれの時ときに眠ねむる者ものは恥はじをきたらせる子こである。10:6 正ただしい者もののこうべには祝福しゅくふくがあり、悪あしき者ものの口くちは暴虐ぼうぎゃくを隠かくす。10:7 正ただしい者ものの名なはほめられ、悪あしき者ものの名なは朽くちる。10:8 心こころのさとき者ものは戒いましめを受うける、むだ口くちをたたく愚おろかな者ものは滅ほろぼされる。10:9 まっすぐに歩あゆむ者ものの歩あゆみは安全あんぜんである、しかし、その道みちを曲まげる者ものは災わざわいにあう。10:10 目めで、めくばせする者ものは憂うれいをおこし、あからさまに、戒いましめる者ものは平和へいわをきたらせる。10:11 正ただしい者ものの口くちは命いのちの泉いずみである、悪あしき者ものの口くちは暴虐ぼうぎゃくを隠かくす。10:12 憎にくしみは、争あらそいを起おこし、愛あいはすべてのとがをおおう。10:13 さとき者もののくちびるには知恵ちえがあり、知恵ちえのない者ものの背せにはむちがある。10:14 知恵ちえある者ものは知識ちしきをたくわえる、愚おろかな者もののむだ口くちは、今いまにも滅ほろびをきたらせる。10:15 富とめる者ものの宝たからは、その堅かたき城しろであり、貧まずしい者ものの乏とぼしきは、その滅ほろびである。10:16 正ただしい者ものの受うける賃銀ちんぎんは命いのちに導みちびき、悪あしき者ものの利得りとくは罪つみに至いたる。10:17 教訓きょうくんを守まもる者ものは命いのちの道みちにあり、懲こらしめを捨すてる者ものは道みちをふみ迷まよう。10:18 憎にくしみを隠かくす者ものには偽いつわりのくちびるがあり、そしりを口くちに出だす者ものは愚おろかな者ものである。10:19 言葉ことばが多おおければ、とがを免まぬかれない、自分じぶんのくちびるを制せいする者ものは知恵ちえがある。10:20 正ただしい者ものの舌したは精せい銀ぎんである、悪あしき者ものの心こころは価値かちが少すくない。10:21 正ただしい者もののくちびるは多おおくの人ひとを養やしない、愚おろかな者ものは知恵ちえがなくて死しぬ。10:22 主しゅの祝福しゅくふくは人ひとを富とませる、主しゅはこれになんの悲かなしみをも加くわえない。10:23 愚おろかな者ものは、戯たわむれ事ごとのように悪あくを行おこなう、さとき人ひとには賢かしこい行おこないが楽たのしみである。10:24 悪あしき者ものの恐おそれることは自分じぶんに来きたり、正ただしい者ものの願ねがうことは与あたえられる。10:25 あらしが通とおりすぎる時とき、悪あしき者ものは、もはや、いなくなり、正ただしい者ものは永久えいきゅうに堅かたく立たてられる。10:26 なまけ者ものは、これをつかわす者ものにとっては、酢すが歯はをいため、煙けむりが目めを悩なやますようなものだ。10:27 主しゅを恐おそれることは人ひとの命いのちの日ひを多おおくする、悪あしき者ものの年としは縮ちぢめられる。10:28 正ただしい者ものの望のぞみは喜よろこびに終おわり、悪あしき者ものの望のぞみは絶たえる。10:29 主しゅは、まっすぐに歩あゆむ者ものには城しろであり、悪あくを行おこなう者ものには滅ほろびである。10:30 正ただしい者ものはいつまでも動うごかされることはない、悪あしき者ものは、地ちに住すむことができない。10:31 正ただしい者ものの口くちは知恵ちえをいだし、偽いつわりの舌したは抜ぬかれる。10:32 正ただしい者もののくちびるは喜よろこばるべきことをわきまえ、悪あしき者ものの口くちは偽いつわりを語かたる。 第11章 11:1 偽いつわりのはかりは主しゅに憎にくまれ、正ただしいふんどうは彼かれに喜よろこばれる。11:2 高たかぶりが来くれば、恥はじもまた来くる、へりくだる者ものには知恵ちえがある。11:3 正ただしい者ものの誠実せいじつはその人ひとを導みちびき、不信実ふしんじつな者もののよこしまはその人ひとを滅ほろぼす。11:4 宝たからは怒いかりの日ひに益えきなく、正義せいぎは人ひとを救すくい出だして、死しを免まぬかれさせる。11:5 誠実せいじつな者ものは、その正義せいぎによって、その道みちをまっすぐにせられ、悪あしき者ものは、その悪あくによって倒たおれる。11:6 正ただしい者ものはその正義せいぎによって救すくわれ、不信実ふしんじつな者ものは自分じぶんの欲よくによって捕とらえられる。11:7 悪あしき者ものは死しぬとき、その望のぞみは絶たえ、不信心ふしんじんな者ものの望のぞみもまた絶たえる。11:8 正ただしい者ものは、悩なやみから救すくわれ、悪あしき者ものは代かわってそれに陥おちいる。11:9 不信心ふしんじんな者ものはその口くちをもって隣となり人びとを滅ほろぼす、正ただしい者ものは知識ちしきによって救すくわれる。11:10 正ただしい者ものが、しあわせになれば、その町まちは喜よろこび、悪あしき者ものが滅ほろびると、喜よろこびの声こえがおこる。11:11 町まちは正ただしい者ものの祝福しゅくふくによって、高たかくあげられ、悪あしき者ものの口くちによって、滅ほろぼされる。11:12 隣となり人びとを侮あなどる者ものは知恵ちえがない、さとき人ひとは口くちをつぐむ。11:13 人ひとのよしあしを言いいあるく者ものは秘密ひみつをもらす、心こころの忠信ちゅうしんなる者ものは事ことを隠かくす。11:14 指導者しどうしゃがなければ民たみは倒たおれ、助言者じょげんしゃが多おおければ安全あんぜんである。11:15 他人たにんのために保証ほしょうをする者ものは苦くるしみをうけ、保証ほしょうをきらう者ものは安全あんぜんである。11:16 しとやかな女おんなは、誉ほまれを得え、強暴きょうぼうな男おとこは富とみを得える。11:17 いつくしみある者ものはおのれ自身じしんに益えきを得え、残忍ざんにんな者ものはおのれの身みをそこなう。11:18 悪あしき者ものの得える報むくいはむなしく、正義せいぎを播まく者ものは確たしかな報むくいを得える。11:19 正義せいぎを堅かたく保たもつ者ものは命いのちに至いたり、悪あくを追おい求もとめる者ものは死しを招まねく。11:20 心こころのねじけた者ものは主しゅに憎にくまれ、まっすぐに道みちを歩あゆむ者ものは彼かれに喜よろこばれる。11:21 確たしかに、悪人あくにんは罰ばつを免まぬかれない、しかし正ただしい人ひとは救すくいを得える。11:22 美うつくしい女おんなの慎つつしみがないのは、金きんの輪わの、ぶたの鼻はなにあるようだ。11:23 正ただしい者ものの願ねがいは、すべて良よい結果けっかを得え、悪あしき者ものの望のぞみは怒いかりに至いたる。11:24 施ほどこし散ちらして、なお富とみを増ます人ひとがあり、与あたえるべきものを惜おしんで、かえって貧まずしくなる者ものがある。11:25 物惜ものおしみしない者ものは富とみ、人ひとを潤うるおす者ものは自分じぶんも潤うるおされる。11:26 穀物こくもつを、しまい込こんで売うらない者ものは民たみにのろわれる、それを売うる者もののこうべには祝福しゅくふくがある。11:27 善ぜんを求もとめる者ものは恵めぐみを得える、悪あくを求もとめる者ものには悪あくが来くる。11:28 自分じぶんの富とみを頼たのむ者ものは衰おとろえる、正ただしい者ものは木きの青葉あおばのように栄さかえる。11:29 自分じぶんの家族かぞくを苦くるしめる者ものは風かぜを所有しょゆうとする、愚おろかな者ものは心こころのさとき者もののしもべとなる。11:30 正ただしい者ものの結むすぶ実みは命いのちの木きである、不法ふほうな者ものは人ひとの命いのちをとる。11:31 もし正ただしい者ものがこの世よで罰ばっせられるならば、悪あしき者ものと罪つみびととは、なおさらである。 第12章 12:1 戒いましめを愛あいする人ひとは知識ちしきを愛あいする、懲こらしめを憎にくむ者ものは愚おろかである。12:2 善人ぜんにんは主しゅの恵めぐみをうけ、悪わるい計はかりごとを設もうける人ひとは主しゅに罰ばっせられる。12:3 人ひとは悪あくをもって堅かたく立たつことはできない、正ただしい人ひとの根ねは動うごくことはない。12:4 賢かしこい妻つまはその夫おっとの冠かんむりである、恥はじをこうむらせる妻つまは夫おっとの骨ほねに生しょうじた腐くされのようなものである。12:5 正ただしい人ひとの考かんがえは公正こうせいである、悪あしき者ものの計はかることは偽いつわりである。12:6 悪あしき者ものの言葉ことばは、人ひとの血ちを流ながそうとうかがう、正ただしい人ひとの口くちは人ひとを救すくう。12:7 悪あしき者ものは倒たおされて、うせ去さる、正ただしい人ひとの家いえは堅かたく立たつ。12:8 人ひとはその悟さとりにしたがって、ほめられ、心こころのねじけた者ものは、卑いやしめられる。12:9 身分みぶんの低ひくい人ひとでも自分じぶんで働はたらく者ものは、みずから高たかぶって食しょくに乏とぼしい者ものにまさる。12:10 正ただしい人ひとはその家畜かちくの命いのちを顧かえりみる、悪あしき者ものは残忍ざんにんをもって、あわれみとする。12:11 自分じぶんの田地でんちを耕たがやす者ものは食糧しょくりょうに飽あきる、無益むえきな事ことに従したがう者ものは知恵ちえがない。12:12 悪あしき者ものの堅固けんごなやぐらは崩壊ほうかいする、正ただしい人ひとの根ねは堅かたく立たつ。12:13 悪人あくにんはくちびるのとがによって、わなに陥おちいる、しかし正ただしい人ひとは悩なやみをのがれる。12:14 人ひとはその口くちの実みによって、幸福こうふくに満みち足たり、人ひとの手てのわざは、その人ひとの身みに帰かえる。12:15 愚おろかな人ひとの道みちは、自分じぶんの目めに正ただしく見みえる、しかし知恵ちえある者ものは勧すすめをいれる。12:16 愚おろかな人ひとは、すぐに怒いかりをあらわす、しかし賢かしこい人ひとは、はずかしめをも気きにとめない。12:17 真実しんじつを語かたる人ひとは正ただしい証言しょうげんをなし、偽いつわりの証人しょうにんは偽いつわりを言いう。12:18 つるぎをもって刺さすように、みだりに言葉ことばを出だす者ものがある、しかし知恵ちえある人ひとの舌したは人ひとをいやす。12:19 真実しんじつを言いうくちびるは、いつまでも保たもつ、偽いつわりを言いう舌したは、ただ、まばたきの間あいだだけである。12:20 悪あくをたくらむ者ものの心こころには欺あざむきがあり、善ぜんをはかる人ひとには喜よろこびがある。12:21 正ただしい人ひとにはなんの害悪がいあくも生しょうじない、しかし悪あしき者ものは災わざわいをもって満みたされる。12:22 偽いつわりを言いうくちびるは主しゅに憎にくまれ、真実しんじつを行おこなう者ものは彼かれに喜よろこばれる。12:23 さとき人ひとは知識ちしきをかくす、しかし愚おろかな者ものは自分じぶんの愚おろかなことをあらわす。12:24 勤つとめ働はたらく者ものの手てはついに人ひとを治おさめる、怠おこたる者ものは人ひとに仕つかえるようになる。12:25 心こころに憂うれいがあればその人ひとをかがませる、しかし親切しんせつな言葉ことばはその人ひとを喜よろこばせる。12:26 正ただしい人ひとは悪あくを離はなれ去さる、しかし悪あしき者ものは自みずから道みちに迷まよう。12:27 怠おこたる者ものは自分じぶんの獲物えものを捕とらえない、しかし勤つとめ働はたらく人ひとは尊たっとい宝たからを獲える。12:28 正義せいぎの道みちには命いのちがある、しかし誤あやまりの道みちは死しに至いたる。 第13章 13:1 知恵ちえある子こは父ちちの教訓きょうくんをきく、あざける者ものは、懲こらしめをきかない。13:2 善良ぜんりょうな人ひとはその口くちの実みによって、幸福こうふくを得える、不信実ふしんじつな者ものの願ねがいは、暴虐ぼうぎゃくである。13:3 口くちを守まもる者ものはその命いのちを守まもる、くちびるを大おおきく開ひらく者ものには滅ほろびが来くる。13:4 なまけ者ものの心こころは、願ねがい求もとめても、何なにも得えない、しかし勤つとめ働はたらく者ものの心こころは豊ゆたかに満みたされる。13:5 正ただしい人ひとは偽いつわりを憎にくむ、しかし悪あしき人ひとは恥はずべく、忌いまわしくふるまう。13:6 正義せいぎは道みちをまっすぐ歩あゆむ者ものを守まもり、罪つみは悪あしき者ものを倒たおす。13:7 富とんでいると偽いつわって、何なにも持もたない者ものがいる、貧まずしいと偽いつわって、多おおくの富とみを持もつ者ものがいる。13:8 人ひとの富とみはその命いのちをあがなう、しかし貧まずしい者ものにはあがなうべき富とみがない。13:9 正ただしい者ものの光ひかりは輝かがやき、悪あしき者もののともしびは消けされる。13:10 高たかぶりはただ争あらそいを生しょうじる、勧告かんこくをきく者ものは知恵ちえがある。13:11 急いそいで得えた富とみは減へる、少すこしずつたくわえる者ものはそれを増ますことができる。13:12 望のぞみを得えることが長ながびくときは、心こころを悩なやます、願ねがいがかなうときは、命いのちの木きを得えたようだ。13:13 み言葉ことばを軽かろんじる者ものは滅ほろぼされ、戒いましめを重おもんじる者ものは報むくいを得える。13:14 知恵ちえある人ひとの教おしえは命いのちの泉いずみである、これによって死しのわなをのがれることができる。13:15 善良ぜんりょうな賢かしこい者ものは恵めぐみを得える、しかし、不信実ふしんじつな者ものの道みちは滅ほろびである。13:16 おおよそ、さとき者ものは知識ちしきによって事ことをおこない、愚おろかな者ものは自分じぶんの愚ぐを見みせびらかす。13:17 悪あしき使者ししゃは人ひとを災わざわいにおとしいれる、しかし忠実ちゅうじつな使者ししゃは人ひとを救すくう。13:18 貧乏びんぼうと、はずかしめとは教訓きょうくんを捨すてる者ものに来くる、しかし戒いましめを守まもる者ものは尊たっとばれる。13:19 願ねがいがかなえば、心こころは楽たのしい、愚おろかな者ものは悪あくを捨すてることをきらう。13:20 知恵ちえある者ものとともに歩あゆむ者ものは知恵ちえを得える。愚おろかな者ものの友ともとなる者ものは害がいをうける。13:21 災わざわいは罪つみびとを追おい、正ただしい者ものは良よい報むくいを受うける。13:22 善良ぜんりょうな人ひとはその嗣し業ぎょうを子孫しそんにのこす、しかし罪つみびとの富とみは正ただしい人ひとのためにたくわえられる。13:23 貧まずしい人ひとの新田しんでんは多おおくの食糧しょくりょうを産さんする、しかし不正ふせいによれば押おし流ながされる。13:24 むちを加くわえない者ものはその子こを憎にくむのである、子こを愛あいする者ものは、つとめてこれを懲こらしめる。13:25 正ただしい者ものは食たべてその食欲しょくよくを満みたす、しかし悪あしき者ものの腹はらは満みたされない。 第14章 14:1 知恵ちえはその家いえを建たて、愚おろかさは自分じぶんの手てでそれをこわす。14:2 まっすぐに歩あゆむ者ものは主しゅを恐おそれる、曲まがって歩あゆむ者ものは主しゅを侮あなどる。14:3 愚おろかな者ものの言葉ことばは自分じぶんの背せにむちを当あてる、知恵ちえある者もののくちびるはその身みを守まもる。14:4 牛うしがなければ穀物こくもつはない、牛うしの力ちからによって農作物のうさくもつは多おおくなる。14:5 真実しんじつな証人しょうにんはうそをいわない、偽いつわりの証人しょうにんはうそをつく。14:6 あざける者ものは知恵ちえを求もとめても得えられない、さとき者ものは知識ちしきを得えることがたやすい。14:7 愚おろかな者ものの前まえを離はなれ去され、そこには知識ちしきの言葉ことばがないからである。14:8 さとき者ものの知恵ちえは自分じぶんの道みちをわきまえることにあり、愚おろかな者ものの愚おろかは、欺あざむくことにある。14:9 神かみは悪あしき者ものをあざけられる、正ただしい者ものは、その恵めぐみを受うける。14:10 心こころの苦くるしみは心こころみずからが知しる、その喜よろこびには他人たにんはあずからない。14:11 悪あしき者ものの家いえは滅ほろぼされ、正ただしい者ものの幕屋まくやは栄さかえる。14:12 人ひとが見みて自みずから正ただしいとする道みちでも、その終おわりはついに死しに至いたる道みちとなるものがある。14:13 笑わらう時ときにも心こころに悲かなしみがあり、喜よろこびのはてに憂うれいがある。14:14 心こころのもとれる者ものはそのしわざの実みを刈かり取とり、善良ぜんりょうな人ひともまたその行おこないの実みを刈かり取とる。14:15 思慮しりょのない者ものはすべてのことを信しんじる、さとき者ものは自分じぶんの歩あゆみを慎つつしむ。14:16 知恵ちえある者ものは用心ようじんぶかく、悪あくを離はなれる、愚おろかな者ものは高たかぶって用心ようじんしない。14:17 怒いかりやすい者ものは愚おろかなことを行おこない、賢かしこい者ものは忍耐にんたい強づよい。14:18 思慮しりょのない者ものは愚おろかなことを自分じぶんのものとする、さとき者ものは知識ちしきをもって冠かんむりとする。14:19 悪人あくにんは善人ぜんにんの前まえにひれ伏ふし、悪あしき者ものは正ただしい者ものの門もんにひれ伏ふす。14:20 貧まずしい者ものはその隣となりにさえも憎にくまれる、しかし富とめる者ものは多おおくの友ともをもつ。14:21 隣となり人びとを卑いやしめる者ものは罪つみびとである、貧まずしい人ひとをあわれむ者ものはさいわいである。14:22 悪あくを計はかる者ものはおのれを誤あやまるではないか、善ぜんを計はかる者ものにはいつくしみと、まこととがある。14:23 すべての勤労きんろうには利益りえきがある、しかし口先くちさきだけの言葉ことばは貧乏びんぼうをきたらせるだけだ。14:24 知恵ちえある者ものの冠かんむりはその知恵ちえである、愚おろかな者ものの花はなの冠かんむりはただ愚おろかさである。14:25 まことの証人しょうにんは人ひとの命いのちを救すくう、偽いつわりを吐はく者ものは裏うら切ぎり者ものである。14:26 主しゅを恐おそれることによって人ひとは安心あんしんを得え、その子こらはのがれ場ばを得える。14:27 主しゅを恐おそれることは命いのちの泉いずみである、人ひとを死しのわなからのがれさせる。14:28 王おうの栄さかえは民たみの多おおいことにあり、君きみの滅ほろびは民たみを失うしなうことにある。14:29 怒いかりをおそくする者ものは大おおいなる悟さとりがあり、気きの短みじかい者ものは愚おろかさをあらわす。14:30 穏おだやかな心こころは身みの命いのちである、しかし興奮こうふんは骨ほねを腐くさらせる。14:31 貧まずしい者ものをしえたげる者ものはその つくり主ぬしを侮あなどる、乏とぼしい者ものをあわれむ者ものは、主しゅをうやまう。14:32 悪あしき者ものはその悪あしき行おこないによって滅ほろぼされ、正ただしい者ものはその正ただしきによって、のがれ場ばを得える。14:33 知恵ちえはさとき者ものの心こころにとどまり、愚おろかな者ものの心こころに知しられない。14:34 正義せいぎは国くにを高たかくし、罪つみは民たみをはずかしめる。14:35 賢かしこいしもべは王おうの恵めぐみをうけ、恥はじをきたらす者ものはその怒いかりにあう。 第15章 15:1 柔やわらかい答こたえは憤いきどおりをとどめ、激はげしい言葉ことばは怒いかりをひきおこす。15:2 知恵ちえある者ものの舌したは知識ちしきをわかち与あたえ、愚おろかな者ものの口くちは愚おろかを吐はき出だす。15:3 主しゅの目めはどこにでもあって、悪人あくにんと善人ぜんにんとを見張みはっている。15:4 優やさしい舌したは命いのちの木きである、乱暴らんぼうな言葉ことばは魂たましいを傷きずつける。15:5 愚おろかな者ものは父ちちの教訓きょうくんを軽かろんじる、戒いましめを守まもる者ものは賢かしこい者ものである。15:6 正ただしい者ものの家いえには多おおくの宝たからがある、悪あしき者ものの所得しょとくには煩わずらいがある。15:7 知恵ちえある者もののくちびるは知識ちしきをひろめる、愚おろかな者ものの心こころはそうでない。15:8 悪あしき者ものの供そなえ物ものは主しゅに憎にくまれ、正ただしい者ものの祈いのりは彼かれに喜よろこばれる。15:9 悪あしき者ものの道みちは主しゅに憎にくまれ、正義せいぎを求もとめる者ものは彼かれに愛あいせられる。15:10 道みちを捨すてる者ものには、きびしい懲こらしめがあり、戒いましめを憎にくむ者ものは死しに至いたる。15:11 陰府よみと滅ほろびとは主しゅの目めの前まえにあり、人ひとの心こころはなおさらである。15:12 あざける者ものは戒いましめられることを好このまない、また知恵ちえある者ものに近ちかづかない。15:13 心こころに楽たのしみがあれば顔色かおいろも喜よろこばしい、心こころに憂うれいがあれば気きはふさぐ。15:14 さとき者ものの心こころは知識ちしきをたずね、愚おろかな者ものの口くちは愚おろかさを食物しょくもつとする。15:15 悩なやんでいる者ものの日々ひびはことごとくつらく、心こころの楽たのしい人ひとは常つねに宴会えんかいをもつ。15:16 少すこしの物ものを所有しょゆうして主しゅを恐おそれるのは、多おおくの宝たからをもって苦く労ろうするのにまさる。15:17 野菜やさいを食たべて互たがいに愛あいするのは、肥こえた牛うしを食たべて互たがいに憎にくむのにまさる。15:18 憤いきどおりやすい者ものは争あらそいをおこし、怒いかりをおそくする者ものは争あらそいをとどめる。15:19 なまけ者ものの道みちには、いばらがはえしげり、正ただしい者ものの道みちは平たいらかである。15:20 知恵ちえある子こは父ちちを喜よろこばせる、愚おろかな人ひとはその母ははを軽かろんじる。15:21 無知むちな者ものは愚おろかなことを喜よろこび、さとき者ものはまっすぐに歩あゆむ。15:22 相あいはかることがなければ、計画けいかくは破やぶれる、はかる者ものが多おおければ、それは必かならず成なる。15:23 人ひとは口くちから出でる好このましい答こたえによって喜よろこびを得える、時ときにかなった言葉ことばは、いかにも良よいものだ。15:24 知恵ちえある人ひとの道みちは上のぼって命いのちに至いたる、こうしてその人ひとは下したにある陰府よみを離はなれる。15:25 主しゅは高たかぶる者ものの家いえを滅ほろぼし、やもめの地境じざかいを定さだめられる。15:26 悪人あくにんの計はかりごとは主しゅに憎にくまれ、潔白けっぱくな人ひとの言葉ことばは彼かれに喜よろこばれる。15:27 不正ふせいな利りをむさぼる者ものはその家いえを煩わずらわせる、まいないを憎にくむ者ものは生いきながらえる。15:28 正ただしい者ものの心こころは答こたえるべきことを考かんがえる、悪あしき者ものの口くちは悪あくを吐はき出だす。15:29 主しゅは悪あしき者ものに遠とおざかり、正ただしい者ものの祈いのりを聞きかれる。15:30 目めの光ひかりは心こころを喜よろこばせ、よい知しらせは骨ほねを潤うるおす。15:31 ためになる戒いましめを聞きく耳みみをもつ者ものは、知恵ちえある者ものの中なかにとどまる。15:32 教訓きょうくんを捨すてる者ものはおのれの命いのちを軽かろんじ、戒いましめを重おもんじる者ものは悟さとりを得える。15:33 主しゅを恐おそれることは知恵ちえの教訓きょうくんである、謙遜けんそんは、栄誉えいよに先さきだつ。
8:1 知恵ちえは呼よばわらないのか、悟さとりは声こえをあげないのか。
8:2 これは道みちのほとりの高たかい所ところの頂いただき、また、ちまたの中なかに立たち、
8:3 町まちの入口いりぐちにあるもろもろの門もんのかたわら、正門せいもんの入口いりぐちで呼よばわって言いう、
8:4 「人々ひとびとよ、わたしはあなたがたに呼よばわり、声こえをあげて人ひとの子こらを呼よぶ。
8:5 思慮しりょのない者ものよ、悟さとりを得えよ、愚おろかな者ものよ、知恵ちえを得えよ。
8:6 聞きけ、わたしは高貴こうきな事ことを語かたり、わがくちびるは正ただしい事ことを語かたり出だす。
8:7 わが口くちは真実しんじつを述のべ、わがくちびるは悪あしき事ことを憎にくむ。
8:8 わが口くちの言葉ことばはみな正ただしい、そのうちに偽いつわりと、よこしまはない。
8:9 これはみな、さとき者ものの明あきらかにするところ、知識ちしきを得える者ものの正ただしとするところである。
8:10 あなたがたは銀ぎんを受うけるよりも、わたしの教おしえを受うけよ、精せい金きんよりも、むしろ知識ちしきを得えよ。
8:11 知恵ちえは宝石ほうせきにまさり、あなたがたの望のぞむすべての物ものは、これと比くらべるにたりない。
8:12 知恵ちえであるわたしは悟さとりをすみかとし、知識ちしきと慎つつしみとをもつ。
8:13 主しゅを恐おそれるとは悪あくを憎にくむことである。わたしは高たかぶりと、おごりと、悪あしき道みちと、偽いつわりの言葉ことばとを憎にくむ。
8:14 計はかりごとと、確たしかな知恵ちえとは、わたしにある、わたしには悟さとりがあり、わたしには力ちからがある。
8:15 わたしによって、王おうたる者ものは世よを治おさめ、君きみたる者ものは正ただしい定さだめを立たてる。
8:16 わたしによって、主しゅたる者ものは支配しはいし、つかさたる者ものは地ちを治おさめる。
8:17 わたしは、わたしを愛あいする者ものを愛あいする、わたしをせつに求もとめる者ものは、わたしに出会であう。
8:18 富とみと誉ほまれとはわたしにあり、すぐれた宝たからと繁栄はんえいもまたそうである。
8:19 わたしの実みは金きんよりも精せい金きんよりも良よく、わたしの産物さんぶつは精せい銀ぎんにまさる。
8:20 わたしは正義せいぎの道みち、公正こうせいな道筋みちすじの中なかを歩あゆみ、
8:21 わたしを愛あいする者ものに宝たからを得えさせ、またその倉くらを満みちさせる。
8:22 主しゅが昔むかしそのわざをなし始はじめられるとき、そのわざの初はじめとして、わたしを造つくられた。
8:23 いにしえ、地ちのなかった時とき、初はじめに、わたしは立たてられた。
8:24 まだ海うみもなく、また大おおいなる水みずの泉いずみもなかった時とき、わたしはすでに生うまれ、
8:25 山やまもまだ定さだめられず、丘おかもまだなかった時とき、わたしはすでに生うまれた。
8:26 すなわち神かみがまだ地ちをも野のをも、地ちのちりのもとをも造つくられなかった時ときである。
8:27 彼かれが天てんを造つくり、海うみのおもてに、大空おおぞらを張はられたとき、わたしはそこにあった。
8:28 彼かれが上うえに空そらを堅かたく立たたせ、淵ふちの泉いずみをつよく定さだめ、
8:29 海うみにその限界げんかいをたて、水みずにその岸きしを越こえないようにし、また地ちの基もといを定さだめられたとき、
8:30 わたしは、そのかたわらにあって、名 めいしょうとなり、日々ひびに喜よろこび、常つねにその前まえに楽たのしみ、
8:31 その地ちで楽たのしみ、また世よの人ひとを喜よろこんだ。
8:32 それゆえ、子供こどもらよ、今いまわたしの言いうことを聞きけ、わたしの道みちを守まもる者ものはさいわいである。
8:33 教訓きょうくんを聞きいて、知恵ちえを得えよ、これを捨すててはならない。
8:34 わたしの言いうことを聞きき、日々ひびわたしの門もんのかたわらでうかがい、わたしの戸口とぐちの柱はしらのわきで待まつ人ひとはさいわいである。
8:35 それは、わたしを得える者ものは命いのちを得え、主しゅから恵めぐみを得えるからである。
8:36 わたしを失うしなう者ものは自分じぶんの命いのちをそこなう、すべてわたしを憎にくむ者ものは死しを愛あいする者ものである」。
第9章 9:1 知恵ちえは自分じぶんの家いえを建たて、その七つの柱はしらを立たて、9:2 獣けものをほふり、酒さけを混まぜ合あわせて、ふるまいを備そなえ、9:3 はしためをつかわして、町まちの高たかい所ところで呼よばわり言いわせた、9:4 「思慮しりょのない者ものよ、ここに来きたれ」と。また、知恵ちえのない者ものに言いう、9:5 「来きて、わたしのパンを食たべ、わたしの混まぜ合あわせた酒さけをのみ、9:6 思慮しりょのないわざを捨すてて命いのちを得え、悟さとりの道みちを歩あゆめ」と。 9:7 あざける者ものを戒いましめる者ものは、自みずから恥はじを得え、悪あしき者ものを責せめる者ものは自みずから傷きずを受うける。9:8 あざける者ものを責せめるな、おそらく彼かれはあなたを憎にくむであろう。知恵ちえある者ものを責せめよ、彼かれはあなたを愛あいする。9:9 知恵ちえある者ものに教訓きょうくんを授さづけよ、彼かれはますます知恵ちえを得える。正ただしい者ものを教おしえよ、彼かれは学がくに進すすむ。9:10 主しゅを恐おそれることは知恵ちえのもとである、聖せいなる者ものを知しることは、悟さとりである。9:11 わたしによって、あなたの日ひは多おおくなり、あなたの命いのちの年としは増ます。9:12 もしあなたに知恵ちえがあるならば、あなた自身じしんのために知恵ちえがあるのである。もしあなたがあざけるならば、あなたひとりがその責せめを負おうことになる。 9:13 愚おろかな女おんなは、騒さわがしく、みだらで、恥はじを知しらない。9:14 彼女かのじょはその家いえの戸口とぐちに座ざし、町まちの高たかい所ところにある座ざにすわり、9:15 道みちを急いそぐ行いき来きの人ひとを招まねいて言いう、9:16 「思慮しりょのない者ものよ、ここに来きたれ」と。また知恵ちえのない人ひとに向むかってこれに言いう、9:17 「盗ぬすんだ水みずは甘あまく、ひそかに食たべるパンはうまい」と。9:18 しかしその人ひとは、死しの影かげがそこにあることを知しらず、彼女かのじょの客きゃくは陰府よみの深ふかみにおることを知しらない。 第10章 10:1 ソロモンの箴言しんげん。知恵ちえある子こは父ちちを喜よろこばせ、愚おろかな子こは母ははの悲かなしみとなる。10:2 不義ふぎの宝たからは益えきなく、正義せいぎは人ひとを救すくい出だして、死しを免まぬかれさせる。10:3 主しゅは正ただしい人ひとを飢うえさせず、悪あしき者ものの欲望よくぼうをくじかれる。10:4 手てを動うごかすことを怠おこたる者ものは貧まずしくなり、勤つとめ働はたらく者ものの手ては富とみを得える。10:5 夏なつのうちに集あつめる者ものは賢かしこい子こであり、刈入かりいれの時ときに眠ねむる者ものは恥はじをきたらせる子こである。10:6 正ただしい者もののこうべには祝福しゅくふくがあり、悪あしき者ものの口くちは暴虐ぼうぎゃくを隠かくす。10:7 正ただしい者ものの名なはほめられ、悪あしき者ものの名なは朽くちる。10:8 心こころのさとき者ものは戒いましめを受うける、むだ口くちをたたく愚おろかな者ものは滅ほろぼされる。10:9 まっすぐに歩あゆむ者ものの歩あゆみは安全あんぜんである、しかし、その道みちを曲まげる者ものは災わざわいにあう。10:10 目めで、めくばせする者ものは憂うれいをおこし、あからさまに、戒いましめる者ものは平和へいわをきたらせる。10:11 正ただしい者ものの口くちは命いのちの泉いずみである、悪あしき者ものの口くちは暴虐ぼうぎゃくを隠かくす。10:12 憎にくしみは、争あらそいを起おこし、愛あいはすべてのとがをおおう。10:13 さとき者もののくちびるには知恵ちえがあり、知恵ちえのない者ものの背せにはむちがある。10:14 知恵ちえある者ものは知識ちしきをたくわえる、愚おろかな者もののむだ口くちは、今いまにも滅ほろびをきたらせる。10:15 富とめる者ものの宝たからは、その堅かたき城しろであり、貧まずしい者ものの乏とぼしきは、その滅ほろびである。10:16 正ただしい者ものの受うける賃銀ちんぎんは命いのちに導みちびき、悪あしき者ものの利得りとくは罪つみに至いたる。10:17 教訓きょうくんを守まもる者ものは命いのちの道みちにあり、懲こらしめを捨すてる者ものは道みちをふみ迷まよう。10:18 憎にくしみを隠かくす者ものには偽いつわりのくちびるがあり、そしりを口くちに出だす者ものは愚おろかな者ものである。10:19 言葉ことばが多おおければ、とがを免まぬかれない、自分じぶんのくちびるを制せいする者ものは知恵ちえがある。10:20 正ただしい者ものの舌したは精せい銀ぎんである、悪あしき者ものの心こころは価値かちが少すくない。10:21 正ただしい者もののくちびるは多おおくの人ひとを養やしない、愚おろかな者ものは知恵ちえがなくて死しぬ。10:22 主しゅの祝福しゅくふくは人ひとを富とませる、主しゅはこれになんの悲かなしみをも加くわえない。10:23 愚おろかな者ものは、戯たわむれ事ごとのように悪あくを行おこなう、さとき人ひとには賢かしこい行おこないが楽たのしみである。10:24 悪あしき者ものの恐おそれることは自分じぶんに来きたり、正ただしい者ものの願ねがうことは与あたえられる。10:25 あらしが通とおりすぎる時とき、悪あしき者ものは、もはや、いなくなり、正ただしい者ものは永久えいきゅうに堅かたく立たてられる。10:26 なまけ者ものは、これをつかわす者ものにとっては、酢すが歯はをいため、煙けむりが目めを悩なやますようなものだ。10:27 主しゅを恐おそれることは人ひとの命いのちの日ひを多おおくする、悪あしき者ものの年としは縮ちぢめられる。10:28 正ただしい者ものの望のぞみは喜よろこびに終おわり、悪あしき者ものの望のぞみは絶たえる。10:29 主しゅは、まっすぐに歩あゆむ者ものには城しろであり、悪あくを行おこなう者ものには滅ほろびである。10:30 正ただしい者ものはいつまでも動うごかされることはない、悪あしき者ものは、地ちに住すむことができない。10:31 正ただしい者ものの口くちは知恵ちえをいだし、偽いつわりの舌したは抜ぬかれる。10:32 正ただしい者もののくちびるは喜よろこばるべきことをわきまえ、悪あしき者ものの口くちは偽いつわりを語かたる。 第11章 11:1 偽いつわりのはかりは主しゅに憎にくまれ、正ただしいふんどうは彼かれに喜よろこばれる。11:2 高たかぶりが来くれば、恥はじもまた来くる、へりくだる者ものには知恵ちえがある。11:3 正ただしい者ものの誠実せいじつはその人ひとを導みちびき、不信実ふしんじつな者もののよこしまはその人ひとを滅ほろぼす。11:4 宝たからは怒いかりの日ひに益えきなく、正義せいぎは人ひとを救すくい出だして、死しを免まぬかれさせる。11:5 誠実せいじつな者ものは、その正義せいぎによって、その道みちをまっすぐにせられ、悪あしき者ものは、その悪あくによって倒たおれる。11:6 正ただしい者ものはその正義せいぎによって救すくわれ、不信実ふしんじつな者ものは自分じぶんの欲よくによって捕とらえられる。11:7 悪あしき者ものは死しぬとき、その望のぞみは絶たえ、不信心ふしんじんな者ものの望のぞみもまた絶たえる。11:8 正ただしい者ものは、悩なやみから救すくわれ、悪あしき者ものは代かわってそれに陥おちいる。11:9 不信心ふしんじんな者ものはその口くちをもって隣となり人びとを滅ほろぼす、正ただしい者ものは知識ちしきによって救すくわれる。11:10 正ただしい者ものが、しあわせになれば、その町まちは喜よろこび、悪あしき者ものが滅ほろびると、喜よろこびの声こえがおこる。11:11 町まちは正ただしい者ものの祝福しゅくふくによって、高たかくあげられ、悪あしき者ものの口くちによって、滅ほろぼされる。11:12 隣となり人びとを侮あなどる者ものは知恵ちえがない、さとき人ひとは口くちをつぐむ。11:13 人ひとのよしあしを言いいあるく者ものは秘密ひみつをもらす、心こころの忠信ちゅうしんなる者ものは事ことを隠かくす。11:14 指導者しどうしゃがなければ民たみは倒たおれ、助言者じょげんしゃが多おおければ安全あんぜんである。11:15 他人たにんのために保証ほしょうをする者ものは苦くるしみをうけ、保証ほしょうをきらう者ものは安全あんぜんである。11:16 しとやかな女おんなは、誉ほまれを得え、強暴きょうぼうな男おとこは富とみを得える。11:17 いつくしみある者ものはおのれ自身じしんに益えきを得え、残忍ざんにんな者ものはおのれの身みをそこなう。11:18 悪あしき者ものの得える報むくいはむなしく、正義せいぎを播まく者ものは確たしかな報むくいを得える。11:19 正義せいぎを堅かたく保たもつ者ものは命いのちに至いたり、悪あくを追おい求もとめる者ものは死しを招まねく。11:20 心こころのねじけた者ものは主しゅに憎にくまれ、まっすぐに道みちを歩あゆむ者ものは彼かれに喜よろこばれる。11:21 確たしかに、悪人あくにんは罰ばつを免まぬかれない、しかし正ただしい人ひとは救すくいを得える。11:22 美うつくしい女おんなの慎つつしみがないのは、金きんの輪わの、ぶたの鼻はなにあるようだ。11:23 正ただしい者ものの願ねがいは、すべて良よい結果けっかを得え、悪あしき者ものの望のぞみは怒いかりに至いたる。11:24 施ほどこし散ちらして、なお富とみを増ます人ひとがあり、与あたえるべきものを惜おしんで、かえって貧まずしくなる者ものがある。11:25 物惜ものおしみしない者ものは富とみ、人ひとを潤うるおす者ものは自分じぶんも潤うるおされる。11:26 穀物こくもつを、しまい込こんで売うらない者ものは民たみにのろわれる、それを売うる者もののこうべには祝福しゅくふくがある。11:27 善ぜんを求もとめる者ものは恵めぐみを得える、悪あくを求もとめる者ものには悪あくが来くる。11:28 自分じぶんの富とみを頼たのむ者ものは衰おとろえる、正ただしい者ものは木きの青葉あおばのように栄さかえる。11:29 自分じぶんの家族かぞくを苦くるしめる者ものは風かぜを所有しょゆうとする、愚おろかな者ものは心こころのさとき者もののしもべとなる。11:30 正ただしい者ものの結むすぶ実みは命いのちの木きである、不法ふほうな者ものは人ひとの命いのちをとる。11:31 もし正ただしい者ものがこの世よで罰ばっせられるならば、悪あしき者ものと罪つみびととは、なおさらである。 第12章 12:1 戒いましめを愛あいする人ひとは知識ちしきを愛あいする、懲こらしめを憎にくむ者ものは愚おろかである。12:2 善人ぜんにんは主しゅの恵めぐみをうけ、悪わるい計はかりごとを設もうける人ひとは主しゅに罰ばっせられる。12:3 人ひとは悪あくをもって堅かたく立たつことはできない、正ただしい人ひとの根ねは動うごくことはない。12:4 賢かしこい妻つまはその夫おっとの冠かんむりである、恥はじをこうむらせる妻つまは夫おっとの骨ほねに生しょうじた腐くされのようなものである。12:5 正ただしい人ひとの考かんがえは公正こうせいである、悪あしき者ものの計はかることは偽いつわりである。12:6 悪あしき者ものの言葉ことばは、人ひとの血ちを流ながそうとうかがう、正ただしい人ひとの口くちは人ひとを救すくう。12:7 悪あしき者ものは倒たおされて、うせ去さる、正ただしい人ひとの家いえは堅かたく立たつ。12:8 人ひとはその悟さとりにしたがって、ほめられ、心こころのねじけた者ものは、卑いやしめられる。12:9 身分みぶんの低ひくい人ひとでも自分じぶんで働はたらく者ものは、みずから高たかぶって食しょくに乏とぼしい者ものにまさる。12:10 正ただしい人ひとはその家畜かちくの命いのちを顧かえりみる、悪あしき者ものは残忍ざんにんをもって、あわれみとする。12:11 自分じぶんの田地でんちを耕たがやす者ものは食糧しょくりょうに飽あきる、無益むえきな事ことに従したがう者ものは知恵ちえがない。12:12 悪あしき者ものの堅固けんごなやぐらは崩壊ほうかいする、正ただしい人ひとの根ねは堅かたく立たつ。12:13 悪人あくにんはくちびるのとがによって、わなに陥おちいる、しかし正ただしい人ひとは悩なやみをのがれる。12:14 人ひとはその口くちの実みによって、幸福こうふくに満みち足たり、人ひとの手てのわざは、その人ひとの身みに帰かえる。12:15 愚おろかな人ひとの道みちは、自分じぶんの目めに正ただしく見みえる、しかし知恵ちえある者ものは勧すすめをいれる。12:16 愚おろかな人ひとは、すぐに怒いかりをあらわす、しかし賢かしこい人ひとは、はずかしめをも気きにとめない。12:17 真実しんじつを語かたる人ひとは正ただしい証言しょうげんをなし、偽いつわりの証人しょうにんは偽いつわりを言いう。12:18 つるぎをもって刺さすように、みだりに言葉ことばを出だす者ものがある、しかし知恵ちえある人ひとの舌したは人ひとをいやす。12:19 真実しんじつを言いうくちびるは、いつまでも保たもつ、偽いつわりを言いう舌したは、ただ、まばたきの間あいだだけである。12:20 悪あくをたくらむ者ものの心こころには欺あざむきがあり、善ぜんをはかる人ひとには喜よろこびがある。12:21 正ただしい人ひとにはなんの害悪がいあくも生しょうじない、しかし悪あしき者ものは災わざわいをもって満みたされる。12:22 偽いつわりを言いうくちびるは主しゅに憎にくまれ、真実しんじつを行おこなう者ものは彼かれに喜よろこばれる。12:23 さとき人ひとは知識ちしきをかくす、しかし愚おろかな者ものは自分じぶんの愚おろかなことをあらわす。12:24 勤つとめ働はたらく者ものの手てはついに人ひとを治おさめる、怠おこたる者ものは人ひとに仕つかえるようになる。12:25 心こころに憂うれいがあればその人ひとをかがませる、しかし親切しんせつな言葉ことばはその人ひとを喜よろこばせる。12:26 正ただしい人ひとは悪あくを離はなれ去さる、しかし悪あしき者ものは自みずから道みちに迷まよう。12:27 怠おこたる者ものは自分じぶんの獲物えものを捕とらえない、しかし勤つとめ働はたらく人ひとは尊たっとい宝たからを獲える。12:28 正義せいぎの道みちには命いのちがある、しかし誤あやまりの道みちは死しに至いたる。 第13章 13:1 知恵ちえある子こは父ちちの教訓きょうくんをきく、あざける者ものは、懲こらしめをきかない。13:2 善良ぜんりょうな人ひとはその口くちの実みによって、幸福こうふくを得える、不信実ふしんじつな者ものの願ねがいは、暴虐ぼうぎゃくである。13:3 口くちを守まもる者ものはその命いのちを守まもる、くちびるを大おおきく開ひらく者ものには滅ほろびが来くる。13:4 なまけ者ものの心こころは、願ねがい求もとめても、何なにも得えない、しかし勤つとめ働はたらく者ものの心こころは豊ゆたかに満みたされる。13:5 正ただしい人ひとは偽いつわりを憎にくむ、しかし悪あしき人ひとは恥はずべく、忌いまわしくふるまう。13:6 正義せいぎは道みちをまっすぐ歩あゆむ者ものを守まもり、罪つみは悪あしき者ものを倒たおす。13:7 富とんでいると偽いつわって、何なにも持もたない者ものがいる、貧まずしいと偽いつわって、多おおくの富とみを持もつ者ものがいる。13:8 人ひとの富とみはその命いのちをあがなう、しかし貧まずしい者ものにはあがなうべき富とみがない。13:9 正ただしい者ものの光ひかりは輝かがやき、悪あしき者もののともしびは消けされる。13:10 高たかぶりはただ争あらそいを生しょうじる、勧告かんこくをきく者ものは知恵ちえがある。13:11 急いそいで得えた富とみは減へる、少すこしずつたくわえる者ものはそれを増ますことができる。13:12 望のぞみを得えることが長ながびくときは、心こころを悩なやます、願ねがいがかなうときは、命いのちの木きを得えたようだ。13:13 み言葉ことばを軽かろんじる者ものは滅ほろぼされ、戒いましめを重おもんじる者ものは報むくいを得える。13:14 知恵ちえある人ひとの教おしえは命いのちの泉いずみである、これによって死しのわなをのがれることができる。13:15 善良ぜんりょうな賢かしこい者ものは恵めぐみを得える、しかし、不信実ふしんじつな者ものの道みちは滅ほろびである。13:16 おおよそ、さとき者ものは知識ちしきによって事ことをおこない、愚おろかな者ものは自分じぶんの愚ぐを見みせびらかす。13:17 悪あしき使者ししゃは人ひとを災わざわいにおとしいれる、しかし忠実ちゅうじつな使者ししゃは人ひとを救すくう。13:18 貧乏びんぼうと、はずかしめとは教訓きょうくんを捨すてる者ものに来くる、しかし戒いましめを守まもる者ものは尊たっとばれる。13:19 願ねがいがかなえば、心こころは楽たのしい、愚おろかな者ものは悪あくを捨すてることをきらう。13:20 知恵ちえある者ものとともに歩あゆむ者ものは知恵ちえを得える。愚おろかな者ものの友ともとなる者ものは害がいをうける。13:21 災わざわいは罪つみびとを追おい、正ただしい者ものは良よい報むくいを受うける。13:22 善良ぜんりょうな人ひとはその嗣し業ぎょうを子孫しそんにのこす、しかし罪つみびとの富とみは正ただしい人ひとのためにたくわえられる。13:23 貧まずしい人ひとの新田しんでんは多おおくの食糧しょくりょうを産さんする、しかし不正ふせいによれば押おし流ながされる。13:24 むちを加くわえない者ものはその子こを憎にくむのである、子こを愛あいする者ものは、つとめてこれを懲こらしめる。13:25 正ただしい者ものは食たべてその食欲しょくよくを満みたす、しかし悪あしき者ものの腹はらは満みたされない。 第14章 14:1 知恵ちえはその家いえを建たて、愚おろかさは自分じぶんの手てでそれをこわす。14:2 まっすぐに歩あゆむ者ものは主しゅを恐おそれる、曲まがって歩あゆむ者ものは主しゅを侮あなどる。14:3 愚おろかな者ものの言葉ことばは自分じぶんの背せにむちを当あてる、知恵ちえある者もののくちびるはその身みを守まもる。14:4 牛うしがなければ穀物こくもつはない、牛うしの力ちからによって農作物のうさくもつは多おおくなる。14:5 真実しんじつな証人しょうにんはうそをいわない、偽いつわりの証人しょうにんはうそをつく。14:6 あざける者ものは知恵ちえを求もとめても得えられない、さとき者ものは知識ちしきを得えることがたやすい。14:7 愚おろかな者ものの前まえを離はなれ去され、そこには知識ちしきの言葉ことばがないからである。14:8 さとき者ものの知恵ちえは自分じぶんの道みちをわきまえることにあり、愚おろかな者ものの愚おろかは、欺あざむくことにある。14:9 神かみは悪あしき者ものをあざけられる、正ただしい者ものは、その恵めぐみを受うける。14:10 心こころの苦くるしみは心こころみずからが知しる、その喜よろこびには他人たにんはあずからない。14:11 悪あしき者ものの家いえは滅ほろぼされ、正ただしい者ものの幕屋まくやは栄さかえる。14:12 人ひとが見みて自みずから正ただしいとする道みちでも、その終おわりはついに死しに至いたる道みちとなるものがある。14:13 笑わらう時ときにも心こころに悲かなしみがあり、喜よろこびのはてに憂うれいがある。14:14 心こころのもとれる者ものはそのしわざの実みを刈かり取とり、善良ぜんりょうな人ひともまたその行おこないの実みを刈かり取とる。14:15 思慮しりょのない者ものはすべてのことを信しんじる、さとき者ものは自分じぶんの歩あゆみを慎つつしむ。14:16 知恵ちえある者ものは用心ようじんぶかく、悪あくを離はなれる、愚おろかな者ものは高たかぶって用心ようじんしない。14:17 怒いかりやすい者ものは愚おろかなことを行おこない、賢かしこい者ものは忍耐にんたい強づよい。14:18 思慮しりょのない者ものは愚おろかなことを自分じぶんのものとする、さとき者ものは知識ちしきをもって冠かんむりとする。14:19 悪人あくにんは善人ぜんにんの前まえにひれ伏ふし、悪あしき者ものは正ただしい者ものの門もんにひれ伏ふす。14:20 貧まずしい者ものはその隣となりにさえも憎にくまれる、しかし富とめる者ものは多おおくの友ともをもつ。14:21 隣となり人びとを卑いやしめる者ものは罪つみびとである、貧まずしい人ひとをあわれむ者ものはさいわいである。14:22 悪あくを計はかる者ものはおのれを誤あやまるではないか、善ぜんを計はかる者ものにはいつくしみと、まこととがある。14:23 すべての勤労きんろうには利益りえきがある、しかし口先くちさきだけの言葉ことばは貧乏びんぼうをきたらせるだけだ。14:24 知恵ちえある者ものの冠かんむりはその知恵ちえである、愚おろかな者ものの花はなの冠かんむりはただ愚おろかさである。14:25 まことの証人しょうにんは人ひとの命いのちを救すくう、偽いつわりを吐はく者ものは裏うら切ぎり者ものである。14:26 主しゅを恐おそれることによって人ひとは安心あんしんを得え、その子こらはのがれ場ばを得える。14:27 主しゅを恐おそれることは命いのちの泉いずみである、人ひとを死しのわなからのがれさせる。14:28 王おうの栄さかえは民たみの多おおいことにあり、君きみの滅ほろびは民たみを失うしなうことにある。14:29 怒いかりをおそくする者ものは大おおいなる悟さとりがあり、気きの短みじかい者ものは愚おろかさをあらわす。14:30 穏おだやかな心こころは身みの命いのちである、しかし興奮こうふんは骨ほねを腐くさらせる。14:31 貧まずしい者ものをしえたげる者ものはその つくり主ぬしを侮あなどる、乏とぼしい者ものをあわれむ者ものは、主しゅをうやまう。14:32 悪あしき者ものはその悪あしき行おこないによって滅ほろぼされ、正ただしい者ものはその正ただしきによって、のがれ場ばを得える。14:33 知恵ちえはさとき者ものの心こころにとどまり、愚おろかな者ものの心こころに知しられない。14:34 正義せいぎは国くにを高たかくし、罪つみは民たみをはずかしめる。14:35 賢かしこいしもべは王おうの恵めぐみをうけ、恥はじをきたらす者ものはその怒いかりにあう。 第15章 15:1 柔やわらかい答こたえは憤いきどおりをとどめ、激はげしい言葉ことばは怒いかりをひきおこす。15:2 知恵ちえある者ものの舌したは知識ちしきをわかち与あたえ、愚おろかな者ものの口くちは愚おろかを吐はき出だす。15:3 主しゅの目めはどこにでもあって、悪人あくにんと善人ぜんにんとを見張みはっている。15:4 優やさしい舌したは命いのちの木きである、乱暴らんぼうな言葉ことばは魂たましいを傷きずつける。15:5 愚おろかな者ものは父ちちの教訓きょうくんを軽かろんじる、戒いましめを守まもる者ものは賢かしこい者ものである。15:6 正ただしい者ものの家いえには多おおくの宝たからがある、悪あしき者ものの所得しょとくには煩わずらいがある。15:7 知恵ちえある者もののくちびるは知識ちしきをひろめる、愚おろかな者ものの心こころはそうでない。15:8 悪あしき者ものの供そなえ物ものは主しゅに憎にくまれ、正ただしい者ものの祈いのりは彼かれに喜よろこばれる。15:9 悪あしき者ものの道みちは主しゅに憎にくまれ、正義せいぎを求もとめる者ものは彼かれに愛あいせられる。15:10 道みちを捨すてる者ものには、きびしい懲こらしめがあり、戒いましめを憎にくむ者ものは死しに至いたる。15:11 陰府よみと滅ほろびとは主しゅの目めの前まえにあり、人ひとの心こころはなおさらである。15:12 あざける者ものは戒いましめられることを好このまない、また知恵ちえある者ものに近ちかづかない。15:13 心こころに楽たのしみがあれば顔色かおいろも喜よろこばしい、心こころに憂うれいがあれば気きはふさぐ。15:14 さとき者ものの心こころは知識ちしきをたずね、愚おろかな者ものの口くちは愚おろかさを食物しょくもつとする。15:15 悩なやんでいる者ものの日々ひびはことごとくつらく、心こころの楽たのしい人ひとは常つねに宴会えんかいをもつ。15:16 少すこしの物ものを所有しょゆうして主しゅを恐おそれるのは、多おおくの宝たからをもって苦く労ろうするのにまさる。15:17 野菜やさいを食たべて互たがいに愛あいするのは、肥こえた牛うしを食たべて互たがいに憎にくむのにまさる。15:18 憤いきどおりやすい者ものは争あらそいをおこし、怒いかりをおそくする者ものは争あらそいをとどめる。15:19 なまけ者ものの道みちには、いばらがはえしげり、正ただしい者ものの道みちは平たいらかである。15:20 知恵ちえある子こは父ちちを喜よろこばせる、愚おろかな人ひとはその母ははを軽かろんじる。15:21 無知むちな者ものは愚おろかなことを喜よろこび、さとき者ものはまっすぐに歩あゆむ。15:22 相あいはかることがなければ、計画けいかくは破やぶれる、はかる者ものが多おおければ、それは必かならず成なる。15:23 人ひとは口くちから出でる好このましい答こたえによって喜よろこびを得える、時ときにかなった言葉ことばは、いかにも良よいものだ。15:24 知恵ちえある人ひとの道みちは上のぼって命いのちに至いたる、こうしてその人ひとは下したにある陰府よみを離はなれる。15:25 主しゅは高たかぶる者ものの家いえを滅ほろぼし、やもめの地境じざかいを定さだめられる。15:26 悪人あくにんの計はかりごとは主しゅに憎にくまれ、潔白けっぱくな人ひとの言葉ことばは彼かれに喜よろこばれる。15:27 不正ふせいな利りをむさぼる者ものはその家いえを煩わずらわせる、まいないを憎にくむ者ものは生いきながらえる。15:28 正ただしい者ものの心こころは答こたえるべきことを考かんがえる、悪あしき者ものの口くちは悪あくを吐はき出だす。15:29 主しゅは悪あしき者ものに遠とおざかり、正ただしい者ものの祈いのりを聞きかれる。15:30 目めの光ひかりは心こころを喜よろこばせ、よい知しらせは骨ほねを潤うるおす。15:31 ためになる戒いましめを聞きく耳みみをもつ者ものは、知恵ちえある者ものの中なかにとどまる。15:32 教訓きょうくんを捨すてる者ものはおのれの命いのちを軽かろんじ、戒いましめを重おもんじる者ものは悟さとりを得える。15:33 主しゅを恐おそれることは知恵ちえの教訓きょうくんである、謙遜けんそんは、栄誉えいよに先さきだつ。
9:1 知恵ちえは自分じぶんの家いえを建たて、その七つの柱はしらを立たて、
9:2 獣けものをほふり、酒さけを混まぜ合あわせて、ふるまいを備そなえ、
9:3 はしためをつかわして、町まちの高たかい所ところで呼よばわり言いわせた、
9:4 「思慮しりょのない者ものよ、ここに来きたれ」と。また、知恵ちえのない者ものに言いう、
9:5 「来きて、わたしのパンを食たべ、わたしの混まぜ合あわせた酒さけをのみ、
9:6 思慮しりょのないわざを捨すてて命いのちを得え、悟さとりの道みちを歩あゆめ」と。
9:7 あざける者ものを戒いましめる者ものは、自みずから恥はじを得え、悪あしき者ものを責せめる者ものは自みずから傷きずを受うける。
9:8 あざける者ものを責せめるな、おそらく彼かれはあなたを憎にくむであろう。知恵ちえある者ものを責せめよ、彼かれはあなたを愛あいする。
9:9 知恵ちえある者ものに教訓きょうくんを授さづけよ、彼かれはますます知恵ちえを得える。正ただしい者ものを教おしえよ、彼かれは学がくに進すすむ。
9:10 主しゅを恐おそれることは知恵ちえのもとである、聖せいなる者ものを知しることは、悟さとりである。
9:11 わたしによって、あなたの日ひは多おおくなり、あなたの命いのちの年としは増ます。
9:12 もしあなたに知恵ちえがあるならば、あなた自身じしんのために知恵ちえがあるのである。もしあなたがあざけるならば、あなたひとりがその責せめを負おうことになる。
9:13 愚おろかな女おんなは、騒さわがしく、みだらで、恥はじを知しらない。
9:14 彼女かのじょはその家いえの戸口とぐちに座ざし、町まちの高たかい所ところにある座ざにすわり、
9:15 道みちを急いそぐ行いき来きの人ひとを招まねいて言いう、
9:16 「思慮しりょのない者ものよ、ここに来きたれ」と。また知恵ちえのない人ひとに向むかってこれに言いう、
9:17 「盗ぬすんだ水みずは甘あまく、ひそかに食たべるパンはうまい」と。
9:18 しかしその人ひとは、死しの影かげがそこにあることを知しらず、彼女かのじょの客きゃくは陰府よみの深ふかみにおることを知しらない。
第10章 10:1 ソロモンの箴言しんげん。知恵ちえある子こは父ちちを喜よろこばせ、愚おろかな子こは母ははの悲かなしみとなる。10:2 不義ふぎの宝たからは益えきなく、正義せいぎは人ひとを救すくい出だして、死しを免まぬかれさせる。10:3 主しゅは正ただしい人ひとを飢うえさせず、悪あしき者ものの欲望よくぼうをくじかれる。10:4 手てを動うごかすことを怠おこたる者ものは貧まずしくなり、勤つとめ働はたらく者ものの手ては富とみを得える。10:5 夏なつのうちに集あつめる者ものは賢かしこい子こであり、刈入かりいれの時ときに眠ねむる者ものは恥はじをきたらせる子こである。10:6 正ただしい者もののこうべには祝福しゅくふくがあり、悪あしき者ものの口くちは暴虐ぼうぎゃくを隠かくす。10:7 正ただしい者ものの名なはほめられ、悪あしき者ものの名なは朽くちる。10:8 心こころのさとき者ものは戒いましめを受うける、むだ口くちをたたく愚おろかな者ものは滅ほろぼされる。10:9 まっすぐに歩あゆむ者ものの歩あゆみは安全あんぜんである、しかし、その道みちを曲まげる者ものは災わざわいにあう。10:10 目めで、めくばせする者ものは憂うれいをおこし、あからさまに、戒いましめる者ものは平和へいわをきたらせる。10:11 正ただしい者ものの口くちは命いのちの泉いずみである、悪あしき者ものの口くちは暴虐ぼうぎゃくを隠かくす。10:12 憎にくしみは、争あらそいを起おこし、愛あいはすべてのとがをおおう。10:13 さとき者もののくちびるには知恵ちえがあり、知恵ちえのない者ものの背せにはむちがある。10:14 知恵ちえある者ものは知識ちしきをたくわえる、愚おろかな者もののむだ口くちは、今いまにも滅ほろびをきたらせる。10:15 富とめる者ものの宝たからは、その堅かたき城しろであり、貧まずしい者ものの乏とぼしきは、その滅ほろびである。10:16 正ただしい者ものの受うける賃銀ちんぎんは命いのちに導みちびき、悪あしき者ものの利得りとくは罪つみに至いたる。10:17 教訓きょうくんを守まもる者ものは命いのちの道みちにあり、懲こらしめを捨すてる者ものは道みちをふみ迷まよう。10:18 憎にくしみを隠かくす者ものには偽いつわりのくちびるがあり、そしりを口くちに出だす者ものは愚おろかな者ものである。10:19 言葉ことばが多おおければ、とがを免まぬかれない、自分じぶんのくちびるを制せいする者ものは知恵ちえがある。10:20 正ただしい者ものの舌したは精せい銀ぎんである、悪あしき者ものの心こころは価値かちが少すくない。10:21 正ただしい者もののくちびるは多おおくの人ひとを養やしない、愚おろかな者ものは知恵ちえがなくて死しぬ。10:22 主しゅの祝福しゅくふくは人ひとを富とませる、主しゅはこれになんの悲かなしみをも加くわえない。10:23 愚おろかな者ものは、戯たわむれ事ごとのように悪あくを行おこなう、さとき人ひとには賢かしこい行おこないが楽たのしみである。10:24 悪あしき者ものの恐おそれることは自分じぶんに来きたり、正ただしい者ものの願ねがうことは与あたえられる。10:25 あらしが通とおりすぎる時とき、悪あしき者ものは、もはや、いなくなり、正ただしい者ものは永久えいきゅうに堅かたく立たてられる。10:26 なまけ者ものは、これをつかわす者ものにとっては、酢すが歯はをいため、煙けむりが目めを悩なやますようなものだ。10:27 主しゅを恐おそれることは人ひとの命いのちの日ひを多おおくする、悪あしき者ものの年としは縮ちぢめられる。10:28 正ただしい者ものの望のぞみは喜よろこびに終おわり、悪あしき者ものの望のぞみは絶たえる。10:29 主しゅは、まっすぐに歩あゆむ者ものには城しろであり、悪あくを行おこなう者ものには滅ほろびである。10:30 正ただしい者ものはいつまでも動うごかされることはない、悪あしき者ものは、地ちに住すむことができない。10:31 正ただしい者ものの口くちは知恵ちえをいだし、偽いつわりの舌したは抜ぬかれる。10:32 正ただしい者もののくちびるは喜よろこばるべきことをわきまえ、悪あしき者ものの口くちは偽いつわりを語かたる。 第11章 11:1 偽いつわりのはかりは主しゅに憎にくまれ、正ただしいふんどうは彼かれに喜よろこばれる。11:2 高たかぶりが来くれば、恥はじもまた来くる、へりくだる者ものには知恵ちえがある。11:3 正ただしい者ものの誠実せいじつはその人ひとを導みちびき、不信実ふしんじつな者もののよこしまはその人ひとを滅ほろぼす。11:4 宝たからは怒いかりの日ひに益えきなく、正義せいぎは人ひとを救すくい出だして、死しを免まぬかれさせる。11:5 誠実せいじつな者ものは、その正義せいぎによって、その道みちをまっすぐにせられ、悪あしき者ものは、その悪あくによって倒たおれる。11:6 正ただしい者ものはその正義せいぎによって救すくわれ、不信実ふしんじつな者ものは自分じぶんの欲よくによって捕とらえられる。11:7 悪あしき者ものは死しぬとき、その望のぞみは絶たえ、不信心ふしんじんな者ものの望のぞみもまた絶たえる。11:8 正ただしい者ものは、悩なやみから救すくわれ、悪あしき者ものは代かわってそれに陥おちいる。11:9 不信心ふしんじんな者ものはその口くちをもって隣となり人びとを滅ほろぼす、正ただしい者ものは知識ちしきによって救すくわれる。11:10 正ただしい者ものが、しあわせになれば、その町まちは喜よろこび、悪あしき者ものが滅ほろびると、喜よろこびの声こえがおこる。11:11 町まちは正ただしい者ものの祝福しゅくふくによって、高たかくあげられ、悪あしき者ものの口くちによって、滅ほろぼされる。11:12 隣となり人びとを侮あなどる者ものは知恵ちえがない、さとき人ひとは口くちをつぐむ。11:13 人ひとのよしあしを言いいあるく者ものは秘密ひみつをもらす、心こころの忠信ちゅうしんなる者ものは事ことを隠かくす。11:14 指導者しどうしゃがなければ民たみは倒たおれ、助言者じょげんしゃが多おおければ安全あんぜんである。11:15 他人たにんのために保証ほしょうをする者ものは苦くるしみをうけ、保証ほしょうをきらう者ものは安全あんぜんである。11:16 しとやかな女おんなは、誉ほまれを得え、強暴きょうぼうな男おとこは富とみを得える。11:17 いつくしみある者ものはおのれ自身じしんに益えきを得え、残忍ざんにんな者ものはおのれの身みをそこなう。11:18 悪あしき者ものの得える報むくいはむなしく、正義せいぎを播まく者ものは確たしかな報むくいを得える。11:19 正義せいぎを堅かたく保たもつ者ものは命いのちに至いたり、悪あくを追おい求もとめる者ものは死しを招まねく。11:20 心こころのねじけた者ものは主しゅに憎にくまれ、まっすぐに道みちを歩あゆむ者ものは彼かれに喜よろこばれる。11:21 確たしかに、悪人あくにんは罰ばつを免まぬかれない、しかし正ただしい人ひとは救すくいを得える。11:22 美うつくしい女おんなの慎つつしみがないのは、金きんの輪わの、ぶたの鼻はなにあるようだ。11:23 正ただしい者ものの願ねがいは、すべて良よい結果けっかを得え、悪あしき者ものの望のぞみは怒いかりに至いたる。11:24 施ほどこし散ちらして、なお富とみを増ます人ひとがあり、与あたえるべきものを惜おしんで、かえって貧まずしくなる者ものがある。11:25 物惜ものおしみしない者ものは富とみ、人ひとを潤うるおす者ものは自分じぶんも潤うるおされる。11:26 穀物こくもつを、しまい込こんで売うらない者ものは民たみにのろわれる、それを売うる者もののこうべには祝福しゅくふくがある。11:27 善ぜんを求もとめる者ものは恵めぐみを得える、悪あくを求もとめる者ものには悪あくが来くる。11:28 自分じぶんの富とみを頼たのむ者ものは衰おとろえる、正ただしい者ものは木きの青葉あおばのように栄さかえる。11:29 自分じぶんの家族かぞくを苦くるしめる者ものは風かぜを所有しょゆうとする、愚おろかな者ものは心こころのさとき者もののしもべとなる。11:30 正ただしい者ものの結むすぶ実みは命いのちの木きである、不法ふほうな者ものは人ひとの命いのちをとる。11:31 もし正ただしい者ものがこの世よで罰ばっせられるならば、悪あしき者ものと罪つみびととは、なおさらである。 第12章 12:1 戒いましめを愛あいする人ひとは知識ちしきを愛あいする、懲こらしめを憎にくむ者ものは愚おろかである。12:2 善人ぜんにんは主しゅの恵めぐみをうけ、悪わるい計はかりごとを設もうける人ひとは主しゅに罰ばっせられる。12:3 人ひとは悪あくをもって堅かたく立たつことはできない、正ただしい人ひとの根ねは動うごくことはない。12:4 賢かしこい妻つまはその夫おっとの冠かんむりである、恥はじをこうむらせる妻つまは夫おっとの骨ほねに生しょうじた腐くされのようなものである。12:5 正ただしい人ひとの考かんがえは公正こうせいである、悪あしき者ものの計はかることは偽いつわりである。12:6 悪あしき者ものの言葉ことばは、人ひとの血ちを流ながそうとうかがう、正ただしい人ひとの口くちは人ひとを救すくう。12:7 悪あしき者ものは倒たおされて、うせ去さる、正ただしい人ひとの家いえは堅かたく立たつ。12:8 人ひとはその悟さとりにしたがって、ほめられ、心こころのねじけた者ものは、卑いやしめられる。12:9 身分みぶんの低ひくい人ひとでも自分じぶんで働はたらく者ものは、みずから高たかぶって食しょくに乏とぼしい者ものにまさる。12:10 正ただしい人ひとはその家畜かちくの命いのちを顧かえりみる、悪あしき者ものは残忍ざんにんをもって、あわれみとする。12:11 自分じぶんの田地でんちを耕たがやす者ものは食糧しょくりょうに飽あきる、無益むえきな事ことに従したがう者ものは知恵ちえがない。12:12 悪あしき者ものの堅固けんごなやぐらは崩壊ほうかいする、正ただしい人ひとの根ねは堅かたく立たつ。12:13 悪人あくにんはくちびるのとがによって、わなに陥おちいる、しかし正ただしい人ひとは悩なやみをのがれる。12:14 人ひとはその口くちの実みによって、幸福こうふくに満みち足たり、人ひとの手てのわざは、その人ひとの身みに帰かえる。12:15 愚おろかな人ひとの道みちは、自分じぶんの目めに正ただしく見みえる、しかし知恵ちえある者ものは勧すすめをいれる。12:16 愚おろかな人ひとは、すぐに怒いかりをあらわす、しかし賢かしこい人ひとは、はずかしめをも気きにとめない。12:17 真実しんじつを語かたる人ひとは正ただしい証言しょうげんをなし、偽いつわりの証人しょうにんは偽いつわりを言いう。12:18 つるぎをもって刺さすように、みだりに言葉ことばを出だす者ものがある、しかし知恵ちえある人ひとの舌したは人ひとをいやす。12:19 真実しんじつを言いうくちびるは、いつまでも保たもつ、偽いつわりを言いう舌したは、ただ、まばたきの間あいだだけである。12:20 悪あくをたくらむ者ものの心こころには欺あざむきがあり、善ぜんをはかる人ひとには喜よろこびがある。12:21 正ただしい人ひとにはなんの害悪がいあくも生しょうじない、しかし悪あしき者ものは災わざわいをもって満みたされる。12:22 偽いつわりを言いうくちびるは主しゅに憎にくまれ、真実しんじつを行おこなう者ものは彼かれに喜よろこばれる。12:23 さとき人ひとは知識ちしきをかくす、しかし愚おろかな者ものは自分じぶんの愚おろかなことをあらわす。12:24 勤つとめ働はたらく者ものの手てはついに人ひとを治おさめる、怠おこたる者ものは人ひとに仕つかえるようになる。12:25 心こころに憂うれいがあればその人ひとをかがませる、しかし親切しんせつな言葉ことばはその人ひとを喜よろこばせる。12:26 正ただしい人ひとは悪あくを離はなれ去さる、しかし悪あしき者ものは自みずから道みちに迷まよう。12:27 怠おこたる者ものは自分じぶんの獲物えものを捕とらえない、しかし勤つとめ働はたらく人ひとは尊たっとい宝たからを獲える。12:28 正義せいぎの道みちには命いのちがある、しかし誤あやまりの道みちは死しに至いたる。 第13章 13:1 知恵ちえある子こは父ちちの教訓きょうくんをきく、あざける者ものは、懲こらしめをきかない。13:2 善良ぜんりょうな人ひとはその口くちの実みによって、幸福こうふくを得える、不信実ふしんじつな者ものの願ねがいは、暴虐ぼうぎゃくである。13:3 口くちを守まもる者ものはその命いのちを守まもる、くちびるを大おおきく開ひらく者ものには滅ほろびが来くる。13:4 なまけ者ものの心こころは、願ねがい求もとめても、何なにも得えない、しかし勤つとめ働はたらく者ものの心こころは豊ゆたかに満みたされる。13:5 正ただしい人ひとは偽いつわりを憎にくむ、しかし悪あしき人ひとは恥はずべく、忌いまわしくふるまう。13:6 正義せいぎは道みちをまっすぐ歩あゆむ者ものを守まもり、罪つみは悪あしき者ものを倒たおす。13:7 富とんでいると偽いつわって、何なにも持もたない者ものがいる、貧まずしいと偽いつわって、多おおくの富とみを持もつ者ものがいる。13:8 人ひとの富とみはその命いのちをあがなう、しかし貧まずしい者ものにはあがなうべき富とみがない。13:9 正ただしい者ものの光ひかりは輝かがやき、悪あしき者もののともしびは消けされる。13:10 高たかぶりはただ争あらそいを生しょうじる、勧告かんこくをきく者ものは知恵ちえがある。13:11 急いそいで得えた富とみは減へる、少すこしずつたくわえる者ものはそれを増ますことができる。13:12 望のぞみを得えることが長ながびくときは、心こころを悩なやます、願ねがいがかなうときは、命いのちの木きを得えたようだ。13:13 み言葉ことばを軽かろんじる者ものは滅ほろぼされ、戒いましめを重おもんじる者ものは報むくいを得える。13:14 知恵ちえある人ひとの教おしえは命いのちの泉いずみである、これによって死しのわなをのがれることができる。13:15 善良ぜんりょうな賢かしこい者ものは恵めぐみを得える、しかし、不信実ふしんじつな者ものの道みちは滅ほろびである。13:16 おおよそ、さとき者ものは知識ちしきによって事ことをおこない、愚おろかな者ものは自分じぶんの愚ぐを見みせびらかす。13:17 悪あしき使者ししゃは人ひとを災わざわいにおとしいれる、しかし忠実ちゅうじつな使者ししゃは人ひとを救すくう。13:18 貧乏びんぼうと、はずかしめとは教訓きょうくんを捨すてる者ものに来くる、しかし戒いましめを守まもる者ものは尊たっとばれる。13:19 願ねがいがかなえば、心こころは楽たのしい、愚おろかな者ものは悪あくを捨すてることをきらう。13:20 知恵ちえある者ものとともに歩あゆむ者ものは知恵ちえを得える。愚おろかな者ものの友ともとなる者ものは害がいをうける。13:21 災わざわいは罪つみびとを追おい、正ただしい者ものは良よい報むくいを受うける。13:22 善良ぜんりょうな人ひとはその嗣し業ぎょうを子孫しそんにのこす、しかし罪つみびとの富とみは正ただしい人ひとのためにたくわえられる。13:23 貧まずしい人ひとの新田しんでんは多おおくの食糧しょくりょうを産さんする、しかし不正ふせいによれば押おし流ながされる。13:24 むちを加くわえない者ものはその子こを憎にくむのである、子こを愛あいする者ものは、つとめてこれを懲こらしめる。13:25 正ただしい者ものは食たべてその食欲しょくよくを満みたす、しかし悪あしき者ものの腹はらは満みたされない。 第14章 14:1 知恵ちえはその家いえを建たて、愚おろかさは自分じぶんの手てでそれをこわす。14:2 まっすぐに歩あゆむ者ものは主しゅを恐おそれる、曲まがって歩あゆむ者ものは主しゅを侮あなどる。14:3 愚おろかな者ものの言葉ことばは自分じぶんの背せにむちを当あてる、知恵ちえある者もののくちびるはその身みを守まもる。14:4 牛うしがなければ穀物こくもつはない、牛うしの力ちからによって農作物のうさくもつは多おおくなる。14:5 真実しんじつな証人しょうにんはうそをいわない、偽いつわりの証人しょうにんはうそをつく。14:6 あざける者ものは知恵ちえを求もとめても得えられない、さとき者ものは知識ちしきを得えることがたやすい。14:7 愚おろかな者ものの前まえを離はなれ去され、そこには知識ちしきの言葉ことばがないからである。14:8 さとき者ものの知恵ちえは自分じぶんの道みちをわきまえることにあり、愚おろかな者ものの愚おろかは、欺あざむくことにある。14:9 神かみは悪あしき者ものをあざけられる、正ただしい者ものは、その恵めぐみを受うける。14:10 心こころの苦くるしみは心こころみずからが知しる、その喜よろこびには他人たにんはあずからない。14:11 悪あしき者ものの家いえは滅ほろぼされ、正ただしい者ものの幕屋まくやは栄さかえる。14:12 人ひとが見みて自みずから正ただしいとする道みちでも、その終おわりはついに死しに至いたる道みちとなるものがある。14:13 笑わらう時ときにも心こころに悲かなしみがあり、喜よろこびのはてに憂うれいがある。14:14 心こころのもとれる者ものはそのしわざの実みを刈かり取とり、善良ぜんりょうな人ひともまたその行おこないの実みを刈かり取とる。14:15 思慮しりょのない者ものはすべてのことを信しんじる、さとき者ものは自分じぶんの歩あゆみを慎つつしむ。14:16 知恵ちえある者ものは用心ようじんぶかく、悪あくを離はなれる、愚おろかな者ものは高たかぶって用心ようじんしない。14:17 怒いかりやすい者ものは愚おろかなことを行おこない、賢かしこい者ものは忍耐にんたい強づよい。14:18 思慮しりょのない者ものは愚おろかなことを自分じぶんのものとする、さとき者ものは知識ちしきをもって冠かんむりとする。14:19 悪人あくにんは善人ぜんにんの前まえにひれ伏ふし、悪あしき者ものは正ただしい者ものの門もんにひれ伏ふす。14:20 貧まずしい者ものはその隣となりにさえも憎にくまれる、しかし富とめる者ものは多おおくの友ともをもつ。14:21 隣となり人びとを卑いやしめる者ものは罪つみびとである、貧まずしい人ひとをあわれむ者ものはさいわいである。14:22 悪あくを計はかる者ものはおのれを誤あやまるではないか、善ぜんを計はかる者ものにはいつくしみと、まこととがある。14:23 すべての勤労きんろうには利益りえきがある、しかし口先くちさきだけの言葉ことばは貧乏びんぼうをきたらせるだけだ。14:24 知恵ちえある者ものの冠かんむりはその知恵ちえである、愚おろかな者ものの花はなの冠かんむりはただ愚おろかさである。14:25 まことの証人しょうにんは人ひとの命いのちを救すくう、偽いつわりを吐はく者ものは裏うら切ぎり者ものである。14:26 主しゅを恐おそれることによって人ひとは安心あんしんを得え、その子こらはのがれ場ばを得える。14:27 主しゅを恐おそれることは命いのちの泉いずみである、人ひとを死しのわなからのがれさせる。14:28 王おうの栄さかえは民たみの多おおいことにあり、君きみの滅ほろびは民たみを失うしなうことにある。14:29 怒いかりをおそくする者ものは大おおいなる悟さとりがあり、気きの短みじかい者ものは愚おろかさをあらわす。14:30 穏おだやかな心こころは身みの命いのちである、しかし興奮こうふんは骨ほねを腐くさらせる。14:31 貧まずしい者ものをしえたげる者ものはその つくり主ぬしを侮あなどる、乏とぼしい者ものをあわれむ者ものは、主しゅをうやまう。14:32 悪あしき者ものはその悪あしき行おこないによって滅ほろぼされ、正ただしい者ものはその正ただしきによって、のがれ場ばを得える。14:33 知恵ちえはさとき者ものの心こころにとどまり、愚おろかな者ものの心こころに知しられない。14:34 正義せいぎは国くにを高たかくし、罪つみは民たみをはずかしめる。14:35 賢かしこいしもべは王おうの恵めぐみをうけ、恥はじをきたらす者ものはその怒いかりにあう。 第15章 15:1 柔やわらかい答こたえは憤いきどおりをとどめ、激はげしい言葉ことばは怒いかりをひきおこす。15:2 知恵ちえある者ものの舌したは知識ちしきをわかち与あたえ、愚おろかな者ものの口くちは愚おろかを吐はき出だす。15:3 主しゅの目めはどこにでもあって、悪人あくにんと善人ぜんにんとを見張みはっている。15:4 優やさしい舌したは命いのちの木きである、乱暴らんぼうな言葉ことばは魂たましいを傷きずつける。15:5 愚おろかな者ものは父ちちの教訓きょうくんを軽かろんじる、戒いましめを守まもる者ものは賢かしこい者ものである。15:6 正ただしい者ものの家いえには多おおくの宝たからがある、悪あしき者ものの所得しょとくには煩わずらいがある。15:7 知恵ちえある者もののくちびるは知識ちしきをひろめる、愚おろかな者ものの心こころはそうでない。15:8 悪あしき者ものの供そなえ物ものは主しゅに憎にくまれ、正ただしい者ものの祈いのりは彼かれに喜よろこばれる。15:9 悪あしき者ものの道みちは主しゅに憎にくまれ、正義せいぎを求もとめる者ものは彼かれに愛あいせられる。15:10 道みちを捨すてる者ものには、きびしい懲こらしめがあり、戒いましめを憎にくむ者ものは死しに至いたる。15:11 陰府よみと滅ほろびとは主しゅの目めの前まえにあり、人ひとの心こころはなおさらである。15:12 あざける者ものは戒いましめられることを好このまない、また知恵ちえある者ものに近ちかづかない。15:13 心こころに楽たのしみがあれば顔色かおいろも喜よろこばしい、心こころに憂うれいがあれば気きはふさぐ。15:14 さとき者ものの心こころは知識ちしきをたずね、愚おろかな者ものの口くちは愚おろかさを食物しょくもつとする。15:15 悩なやんでいる者ものの日々ひびはことごとくつらく、心こころの楽たのしい人ひとは常つねに宴会えんかいをもつ。15:16 少すこしの物ものを所有しょゆうして主しゅを恐おそれるのは、多おおくの宝たからをもって苦く労ろうするのにまさる。15:17 野菜やさいを食たべて互たがいに愛あいするのは、肥こえた牛うしを食たべて互たがいに憎にくむのにまさる。15:18 憤いきどおりやすい者ものは争あらそいをおこし、怒いかりをおそくする者ものは争あらそいをとどめる。15:19 なまけ者ものの道みちには、いばらがはえしげり、正ただしい者ものの道みちは平たいらかである。15:20 知恵ちえある子こは父ちちを喜よろこばせる、愚おろかな人ひとはその母ははを軽かろんじる。15:21 無知むちな者ものは愚おろかなことを喜よろこび、さとき者ものはまっすぐに歩あゆむ。15:22 相あいはかることがなければ、計画けいかくは破やぶれる、はかる者ものが多おおければ、それは必かならず成なる。15:23 人ひとは口くちから出でる好このましい答こたえによって喜よろこびを得える、時ときにかなった言葉ことばは、いかにも良よいものだ。15:24 知恵ちえある人ひとの道みちは上のぼって命いのちに至いたる、こうしてその人ひとは下したにある陰府よみを離はなれる。15:25 主しゅは高たかぶる者ものの家いえを滅ほろぼし、やもめの地境じざかいを定さだめられる。15:26 悪人あくにんの計はかりごとは主しゅに憎にくまれ、潔白けっぱくな人ひとの言葉ことばは彼かれに喜よろこばれる。15:27 不正ふせいな利りをむさぼる者ものはその家いえを煩わずらわせる、まいないを憎にくむ者ものは生いきながらえる。15:28 正ただしい者ものの心こころは答こたえるべきことを考かんがえる、悪あしき者ものの口くちは悪あくを吐はき出だす。15:29 主しゅは悪あしき者ものに遠とおざかり、正ただしい者ものの祈いのりを聞きかれる。15:30 目めの光ひかりは心こころを喜よろこばせ、よい知しらせは骨ほねを潤うるおす。15:31 ためになる戒いましめを聞きく耳みみをもつ者ものは、知恵ちえある者ものの中なかにとどまる。15:32 教訓きょうくんを捨すてる者ものはおのれの命いのちを軽かろんじ、戒いましめを重おもんじる者ものは悟さとりを得える。15:33 主しゅを恐おそれることは知恵ちえの教訓きょうくんである、謙遜けんそんは、栄誉えいよに先さきだつ。
10:1 ソロモンの箴言しんげん。知恵ちえある子こは父ちちを喜よろこばせ、愚おろかな子こは母ははの悲かなしみとなる。
10:2 不義ふぎの宝たからは益えきなく、正義せいぎは人ひとを救すくい出だして、死しを免まぬかれさせる。
10:3 主しゅは正ただしい人ひとを飢うえさせず、悪あしき者ものの欲望よくぼうをくじかれる。
10:4 手てを動うごかすことを怠おこたる者ものは貧まずしくなり、勤つとめ働はたらく者ものの手ては富とみを得える。
10:5 夏なつのうちに集あつめる者ものは賢かしこい子こであり、刈入かりいれの時ときに眠ねむる者ものは恥はじをきたらせる子こである。
10:6 正ただしい者もののこうべには祝福しゅくふくがあり、悪あしき者ものの口くちは暴虐ぼうぎゃくを隠かくす。
10:7 正ただしい者ものの名なはほめられ、悪あしき者ものの名なは朽くちる。
10:8 心こころのさとき者ものは戒いましめを受うける、むだ口くちをたたく愚おろかな者ものは滅ほろぼされる。
10:9 まっすぐに歩あゆむ者ものの歩あゆみは安全あんぜんである、しかし、その道みちを曲まげる者ものは災わざわいにあう。
10:10 目めで、めくばせする者ものは憂うれいをおこし、あからさまに、戒いましめる者ものは平和へいわをきたらせる。
10:11 正ただしい者ものの口くちは命いのちの泉いずみである、悪あしき者ものの口くちは暴虐ぼうぎゃくを隠かくす。
10:12 憎にくしみは、争あらそいを起おこし、愛あいはすべてのとがをおおう。
10:13 さとき者もののくちびるには知恵ちえがあり、知恵ちえのない者ものの背せにはむちがある。
10:14 知恵ちえある者ものは知識ちしきをたくわえる、愚おろかな者もののむだ口くちは、今いまにも滅ほろびをきたらせる。
10:15 富とめる者ものの宝たからは、その堅かたき城しろであり、貧まずしい者ものの乏とぼしきは、その滅ほろびである。
10:16 正ただしい者ものの受うける賃銀ちんぎんは命いのちに導みちびき、悪あしき者ものの利得りとくは罪つみに至いたる。
10:17 教訓きょうくんを守まもる者ものは命いのちの道みちにあり、懲こらしめを捨すてる者ものは道みちをふみ迷まよう。
10:18 憎にくしみを隠かくす者ものには偽いつわりのくちびるがあり、そしりを口くちに出だす者ものは愚おろかな者ものである。
10:19 言葉ことばが多おおければ、とがを免まぬかれない、自分じぶんのくちびるを制せいする者ものは知恵ちえがある。
10:20 正ただしい者ものの舌したは精せい銀ぎんである、悪あしき者ものの心こころは価値かちが少すくない。
10:21 正ただしい者もののくちびるは多おおくの人ひとを養やしない、愚おろかな者ものは知恵ちえがなくて死しぬ。
10:22 主しゅの祝福しゅくふくは人ひとを富とませる、主しゅはこれになんの悲かなしみをも加くわえない。
10:23 愚おろかな者ものは、戯たわむれ事ごとのように悪あくを行おこなう、さとき人ひとには賢かしこい行おこないが楽たのしみである。
10:24 悪あしき者ものの恐おそれることは自分じぶんに来きたり、正ただしい者ものの願ねがうことは与あたえられる。
10:25 あらしが通とおりすぎる時とき、悪あしき者ものは、もはや、いなくなり、正ただしい者ものは永久えいきゅうに堅かたく立たてられる。
10:26 なまけ者ものは、これをつかわす者ものにとっては、酢すが歯はをいため、煙けむりが目めを悩なやますようなものだ。
10:27 主しゅを恐おそれることは人ひとの命いのちの日ひを多おおくする、悪あしき者ものの年としは縮ちぢめられる。
10:28 正ただしい者ものの望のぞみは喜よろこびに終おわり、悪あしき者ものの望のぞみは絶たえる。
10:29 主しゅは、まっすぐに歩あゆむ者ものには城しろであり、悪あくを行おこなう者ものには滅ほろびである。
10:30 正ただしい者ものはいつまでも動うごかされることはない、悪あしき者ものは、地ちに住すむことができない。
10:31 正ただしい者ものの口くちは知恵ちえをいだし、偽いつわりの舌したは抜ぬかれる。
10:32 正ただしい者もののくちびるは喜よろこばるべきことをわきまえ、悪あしき者ものの口くちは偽いつわりを語かたる。
第11章 11:1 偽いつわりのはかりは主しゅに憎にくまれ、正ただしいふんどうは彼かれに喜よろこばれる。11:2 高たかぶりが来くれば、恥はじもまた来くる、へりくだる者ものには知恵ちえがある。11:3 正ただしい者ものの誠実せいじつはその人ひとを導みちびき、不信実ふしんじつな者もののよこしまはその人ひとを滅ほろぼす。11:4 宝たからは怒いかりの日ひに益えきなく、正義せいぎは人ひとを救すくい出だして、死しを免まぬかれさせる。11:5 誠実せいじつな者ものは、その正義せいぎによって、その道みちをまっすぐにせられ、悪あしき者ものは、その悪あくによって倒たおれる。11:6 正ただしい者ものはその正義せいぎによって救すくわれ、不信実ふしんじつな者ものは自分じぶんの欲よくによって捕とらえられる。11:7 悪あしき者ものは死しぬとき、その望のぞみは絶たえ、不信心ふしんじんな者ものの望のぞみもまた絶たえる。11:8 正ただしい者ものは、悩なやみから救すくわれ、悪あしき者ものは代かわってそれに陥おちいる。11:9 不信心ふしんじんな者ものはその口くちをもって隣となり人びとを滅ほろぼす、正ただしい者ものは知識ちしきによって救すくわれる。11:10 正ただしい者ものが、しあわせになれば、その町まちは喜よろこび、悪あしき者ものが滅ほろびると、喜よろこびの声こえがおこる。11:11 町まちは正ただしい者ものの祝福しゅくふくによって、高たかくあげられ、悪あしき者ものの口くちによって、滅ほろぼされる。11:12 隣となり人びとを侮あなどる者ものは知恵ちえがない、さとき人ひとは口くちをつぐむ。11:13 人ひとのよしあしを言いいあるく者ものは秘密ひみつをもらす、心こころの忠信ちゅうしんなる者ものは事ことを隠かくす。11:14 指導者しどうしゃがなければ民たみは倒たおれ、助言者じょげんしゃが多おおければ安全あんぜんである。11:15 他人たにんのために保証ほしょうをする者ものは苦くるしみをうけ、保証ほしょうをきらう者ものは安全あんぜんである。11:16 しとやかな女おんなは、誉ほまれを得え、強暴きょうぼうな男おとこは富とみを得える。11:17 いつくしみある者ものはおのれ自身じしんに益えきを得え、残忍ざんにんな者ものはおのれの身みをそこなう。11:18 悪あしき者ものの得える報むくいはむなしく、正義せいぎを播まく者ものは確たしかな報むくいを得える。11:19 正義せいぎを堅かたく保たもつ者ものは命いのちに至いたり、悪あくを追おい求もとめる者ものは死しを招まねく。11:20 心こころのねじけた者ものは主しゅに憎にくまれ、まっすぐに道みちを歩あゆむ者ものは彼かれに喜よろこばれる。11:21 確たしかに、悪人あくにんは罰ばつを免まぬかれない、しかし正ただしい人ひとは救すくいを得える。11:22 美うつくしい女おんなの慎つつしみがないのは、金きんの輪わの、ぶたの鼻はなにあるようだ。11:23 正ただしい者ものの願ねがいは、すべて良よい結果けっかを得え、悪あしき者ものの望のぞみは怒いかりに至いたる。11:24 施ほどこし散ちらして、なお富とみを増ます人ひとがあり、与あたえるべきものを惜おしんで、かえって貧まずしくなる者ものがある。11:25 物惜ものおしみしない者ものは富とみ、人ひとを潤うるおす者ものは自分じぶんも潤うるおされる。11:26 穀物こくもつを、しまい込こんで売うらない者ものは民たみにのろわれる、それを売うる者もののこうべには祝福しゅくふくがある。11:27 善ぜんを求もとめる者ものは恵めぐみを得える、悪あくを求もとめる者ものには悪あくが来くる。11:28 自分じぶんの富とみを頼たのむ者ものは衰おとろえる、正ただしい者ものは木きの青葉あおばのように栄さかえる。11:29 自分じぶんの家族かぞくを苦くるしめる者ものは風かぜを所有しょゆうとする、愚おろかな者ものは心こころのさとき者もののしもべとなる。11:30 正ただしい者ものの結むすぶ実みは命いのちの木きである、不法ふほうな者ものは人ひとの命いのちをとる。11:31 もし正ただしい者ものがこの世よで罰ばっせられるならば、悪あしき者ものと罪つみびととは、なおさらである。 第12章 12:1 戒いましめを愛あいする人ひとは知識ちしきを愛あいする、懲こらしめを憎にくむ者ものは愚おろかである。12:2 善人ぜんにんは主しゅの恵めぐみをうけ、悪わるい計はかりごとを設もうける人ひとは主しゅに罰ばっせられる。12:3 人ひとは悪あくをもって堅かたく立たつことはできない、正ただしい人ひとの根ねは動うごくことはない。12:4 賢かしこい妻つまはその夫おっとの冠かんむりである、恥はじをこうむらせる妻つまは夫おっとの骨ほねに生しょうじた腐くされのようなものである。12:5 正ただしい人ひとの考かんがえは公正こうせいである、悪あしき者ものの計はかることは偽いつわりである。12:6 悪あしき者ものの言葉ことばは、人ひとの血ちを流ながそうとうかがう、正ただしい人ひとの口くちは人ひとを救すくう。12:7 悪あしき者ものは倒たおされて、うせ去さる、正ただしい人ひとの家いえは堅かたく立たつ。12:8 人ひとはその悟さとりにしたがって、ほめられ、心こころのねじけた者ものは、卑いやしめられる。12:9 身分みぶんの低ひくい人ひとでも自分じぶんで働はたらく者ものは、みずから高たかぶって食しょくに乏とぼしい者ものにまさる。12:10 正ただしい人ひとはその家畜かちくの命いのちを顧かえりみる、悪あしき者ものは残忍ざんにんをもって、あわれみとする。12:11 自分じぶんの田地でんちを耕たがやす者ものは食糧しょくりょうに飽あきる、無益むえきな事ことに従したがう者ものは知恵ちえがない。12:12 悪あしき者ものの堅固けんごなやぐらは崩壊ほうかいする、正ただしい人ひとの根ねは堅かたく立たつ。12:13 悪人あくにんはくちびるのとがによって、わなに陥おちいる、しかし正ただしい人ひとは悩なやみをのがれる。12:14 人ひとはその口くちの実みによって、幸福こうふくに満みち足たり、人ひとの手てのわざは、その人ひとの身みに帰かえる。12:15 愚おろかな人ひとの道みちは、自分じぶんの目めに正ただしく見みえる、しかし知恵ちえある者ものは勧すすめをいれる。12:16 愚おろかな人ひとは、すぐに怒いかりをあらわす、しかし賢かしこい人ひとは、はずかしめをも気きにとめない。12:17 真実しんじつを語かたる人ひとは正ただしい証言しょうげんをなし、偽いつわりの証人しょうにんは偽いつわりを言いう。12:18 つるぎをもって刺さすように、みだりに言葉ことばを出だす者ものがある、しかし知恵ちえある人ひとの舌したは人ひとをいやす。12:19 真実しんじつを言いうくちびるは、いつまでも保たもつ、偽いつわりを言いう舌したは、ただ、まばたきの間あいだだけである。12:20 悪あくをたくらむ者ものの心こころには欺あざむきがあり、善ぜんをはかる人ひとには喜よろこびがある。12:21 正ただしい人ひとにはなんの害悪がいあくも生しょうじない、しかし悪あしき者ものは災わざわいをもって満みたされる。12:22 偽いつわりを言いうくちびるは主しゅに憎にくまれ、真実しんじつを行おこなう者ものは彼かれに喜よろこばれる。12:23 さとき人ひとは知識ちしきをかくす、しかし愚おろかな者ものは自分じぶんの愚おろかなことをあらわす。12:24 勤つとめ働はたらく者ものの手てはついに人ひとを治おさめる、怠おこたる者ものは人ひとに仕つかえるようになる。12:25 心こころに憂うれいがあればその人ひとをかがませる、しかし親切しんせつな言葉ことばはその人ひとを喜よろこばせる。12:26 正ただしい人ひとは悪あくを離はなれ去さる、しかし悪あしき者ものは自みずから道みちに迷まよう。12:27 怠おこたる者ものは自分じぶんの獲物えものを捕とらえない、しかし勤つとめ働はたらく人ひとは尊たっとい宝たからを獲える。12:28 正義せいぎの道みちには命いのちがある、しかし誤あやまりの道みちは死しに至いたる。 第13章 13:1 知恵ちえある子こは父ちちの教訓きょうくんをきく、あざける者ものは、懲こらしめをきかない。13:2 善良ぜんりょうな人ひとはその口くちの実みによって、幸福こうふくを得える、不信実ふしんじつな者ものの願ねがいは、暴虐ぼうぎゃくである。13:3 口くちを守まもる者ものはその命いのちを守まもる、くちびるを大おおきく開ひらく者ものには滅ほろびが来くる。13:4 なまけ者ものの心こころは、願ねがい求もとめても、何なにも得えない、しかし勤つとめ働はたらく者ものの心こころは豊ゆたかに満みたされる。13:5 正ただしい人ひとは偽いつわりを憎にくむ、しかし悪あしき人ひとは恥はずべく、忌いまわしくふるまう。13:6 正義せいぎは道みちをまっすぐ歩あゆむ者ものを守まもり、罪つみは悪あしき者ものを倒たおす。13:7 富とんでいると偽いつわって、何なにも持もたない者ものがいる、貧まずしいと偽いつわって、多おおくの富とみを持もつ者ものがいる。13:8 人ひとの富とみはその命いのちをあがなう、しかし貧まずしい者ものにはあがなうべき富とみがない。13:9 正ただしい者ものの光ひかりは輝かがやき、悪あしき者もののともしびは消けされる。13:10 高たかぶりはただ争あらそいを生しょうじる、勧告かんこくをきく者ものは知恵ちえがある。13:11 急いそいで得えた富とみは減へる、少すこしずつたくわえる者ものはそれを増ますことができる。13:12 望のぞみを得えることが長ながびくときは、心こころを悩なやます、願ねがいがかなうときは、命いのちの木きを得えたようだ。13:13 み言葉ことばを軽かろんじる者ものは滅ほろぼされ、戒いましめを重おもんじる者ものは報むくいを得える。13:14 知恵ちえある人ひとの教おしえは命いのちの泉いずみである、これによって死しのわなをのがれることができる。13:15 善良ぜんりょうな賢かしこい者ものは恵めぐみを得える、しかし、不信実ふしんじつな者ものの道みちは滅ほろびである。13:16 おおよそ、さとき者ものは知識ちしきによって事ことをおこない、愚おろかな者ものは自分じぶんの愚ぐを見みせびらかす。13:17 悪あしき使者ししゃは人ひとを災わざわいにおとしいれる、しかし忠実ちゅうじつな使者ししゃは人ひとを救すくう。13:18 貧乏びんぼうと、はずかしめとは教訓きょうくんを捨すてる者ものに来くる、しかし戒いましめを守まもる者ものは尊たっとばれる。13:19 願ねがいがかなえば、心こころは楽たのしい、愚おろかな者ものは悪あくを捨すてることをきらう。13:20 知恵ちえある者ものとともに歩あゆむ者ものは知恵ちえを得える。愚おろかな者ものの友ともとなる者ものは害がいをうける。13:21 災わざわいは罪つみびとを追おい、正ただしい者ものは良よい報むくいを受うける。13:22 善良ぜんりょうな人ひとはその嗣し業ぎょうを子孫しそんにのこす、しかし罪つみびとの富とみは正ただしい人ひとのためにたくわえられる。13:23 貧まずしい人ひとの新田しんでんは多おおくの食糧しょくりょうを産さんする、しかし不正ふせいによれば押おし流ながされる。13:24 むちを加くわえない者ものはその子こを憎にくむのである、子こを愛あいする者ものは、つとめてこれを懲こらしめる。13:25 正ただしい者ものは食たべてその食欲しょくよくを満みたす、しかし悪あしき者ものの腹はらは満みたされない。 第14章 14:1 知恵ちえはその家いえを建たて、愚おろかさは自分じぶんの手てでそれをこわす。14:2 まっすぐに歩あゆむ者ものは主しゅを恐おそれる、曲まがって歩あゆむ者ものは主しゅを侮あなどる。14:3 愚おろかな者ものの言葉ことばは自分じぶんの背せにむちを当あてる、知恵ちえある者もののくちびるはその身みを守まもる。14:4 牛うしがなければ穀物こくもつはない、牛うしの力ちからによって農作物のうさくもつは多おおくなる。14:5 真実しんじつな証人しょうにんはうそをいわない、偽いつわりの証人しょうにんはうそをつく。14:6 あざける者ものは知恵ちえを求もとめても得えられない、さとき者ものは知識ちしきを得えることがたやすい。14:7 愚おろかな者ものの前まえを離はなれ去され、そこには知識ちしきの言葉ことばがないからである。14:8 さとき者ものの知恵ちえは自分じぶんの道みちをわきまえることにあり、愚おろかな者ものの愚おろかは、欺あざむくことにある。14:9 神かみは悪あしき者ものをあざけられる、正ただしい者ものは、その恵めぐみを受うける。14:10 心こころの苦くるしみは心こころみずからが知しる、その喜よろこびには他人たにんはあずからない。14:11 悪あしき者ものの家いえは滅ほろぼされ、正ただしい者ものの幕屋まくやは栄さかえる。14:12 人ひとが見みて自みずから正ただしいとする道みちでも、その終おわりはついに死しに至いたる道みちとなるものがある。14:13 笑わらう時ときにも心こころに悲かなしみがあり、喜よろこびのはてに憂うれいがある。14:14 心こころのもとれる者ものはそのしわざの実みを刈かり取とり、善良ぜんりょうな人ひともまたその行おこないの実みを刈かり取とる。14:15 思慮しりょのない者ものはすべてのことを信しんじる、さとき者ものは自分じぶんの歩あゆみを慎つつしむ。14:16 知恵ちえある者ものは用心ようじんぶかく、悪あくを離はなれる、愚おろかな者ものは高たかぶって用心ようじんしない。14:17 怒いかりやすい者ものは愚おろかなことを行おこない、賢かしこい者ものは忍耐にんたい強づよい。14:18 思慮しりょのない者ものは愚おろかなことを自分じぶんのものとする、さとき者ものは知識ちしきをもって冠かんむりとする。14:19 悪人あくにんは善人ぜんにんの前まえにひれ伏ふし、悪あしき者ものは正ただしい者ものの門もんにひれ伏ふす。14:20 貧まずしい者ものはその隣となりにさえも憎にくまれる、しかし富とめる者ものは多おおくの友ともをもつ。14:21 隣となり人びとを卑いやしめる者ものは罪つみびとである、貧まずしい人ひとをあわれむ者ものはさいわいである。14:22 悪あくを計はかる者ものはおのれを誤あやまるではないか、善ぜんを計はかる者ものにはいつくしみと、まこととがある。14:23 すべての勤労きんろうには利益りえきがある、しかし口先くちさきだけの言葉ことばは貧乏びんぼうをきたらせるだけだ。14:24 知恵ちえある者ものの冠かんむりはその知恵ちえである、愚おろかな者ものの花はなの冠かんむりはただ愚おろかさである。14:25 まことの証人しょうにんは人ひとの命いのちを救すくう、偽いつわりを吐はく者ものは裏うら切ぎり者ものである。14:26 主しゅを恐おそれることによって人ひとは安心あんしんを得え、その子こらはのがれ場ばを得える。14:27 主しゅを恐おそれることは命いのちの泉いずみである、人ひとを死しのわなからのがれさせる。14:28 王おうの栄さかえは民たみの多おおいことにあり、君きみの滅ほろびは民たみを失うしなうことにある。14:29 怒いかりをおそくする者ものは大おおいなる悟さとりがあり、気きの短みじかい者ものは愚おろかさをあらわす。14:30 穏おだやかな心こころは身みの命いのちである、しかし興奮こうふんは骨ほねを腐くさらせる。14:31 貧まずしい者ものをしえたげる者ものはその つくり主ぬしを侮あなどる、乏とぼしい者ものをあわれむ者ものは、主しゅをうやまう。14:32 悪あしき者ものはその悪あしき行おこないによって滅ほろぼされ、正ただしい者ものはその正ただしきによって、のがれ場ばを得える。14:33 知恵ちえはさとき者ものの心こころにとどまり、愚おろかな者ものの心こころに知しられない。14:34 正義せいぎは国くにを高たかくし、罪つみは民たみをはずかしめる。14:35 賢かしこいしもべは王おうの恵めぐみをうけ、恥はじをきたらす者ものはその怒いかりにあう。 第15章 15:1 柔やわらかい答こたえは憤いきどおりをとどめ、激はげしい言葉ことばは怒いかりをひきおこす。15:2 知恵ちえある者ものの舌したは知識ちしきをわかち与あたえ、愚おろかな者ものの口くちは愚おろかを吐はき出だす。15:3 主しゅの目めはどこにでもあって、悪人あくにんと善人ぜんにんとを見張みはっている。15:4 優やさしい舌したは命いのちの木きである、乱暴らんぼうな言葉ことばは魂たましいを傷きずつける。15:5 愚おろかな者ものは父ちちの教訓きょうくんを軽かろんじる、戒いましめを守まもる者ものは賢かしこい者ものである。15:6 正ただしい者ものの家いえには多おおくの宝たからがある、悪あしき者ものの所得しょとくには煩わずらいがある。15:7 知恵ちえある者もののくちびるは知識ちしきをひろめる、愚おろかな者ものの心こころはそうでない。15:8 悪あしき者ものの供そなえ物ものは主しゅに憎にくまれ、正ただしい者ものの祈いのりは彼かれに喜よろこばれる。15:9 悪あしき者ものの道みちは主しゅに憎にくまれ、正義せいぎを求もとめる者ものは彼かれに愛あいせられる。15:10 道みちを捨すてる者ものには、きびしい懲こらしめがあり、戒いましめを憎にくむ者ものは死しに至いたる。15:11 陰府よみと滅ほろびとは主しゅの目めの前まえにあり、人ひとの心こころはなおさらである。15:12 あざける者ものは戒いましめられることを好このまない、また知恵ちえある者ものに近ちかづかない。15:13 心こころに楽たのしみがあれば顔色かおいろも喜よろこばしい、心こころに憂うれいがあれば気きはふさぐ。15:14 さとき者ものの心こころは知識ちしきをたずね、愚おろかな者ものの口くちは愚おろかさを食物しょくもつとする。15:15 悩なやんでいる者ものの日々ひびはことごとくつらく、心こころの楽たのしい人ひとは常つねに宴会えんかいをもつ。15:16 少すこしの物ものを所有しょゆうして主しゅを恐おそれるのは、多おおくの宝たからをもって苦く労ろうするのにまさる。15:17 野菜やさいを食たべて互たがいに愛あいするのは、肥こえた牛うしを食たべて互たがいに憎にくむのにまさる。15:18 憤いきどおりやすい者ものは争あらそいをおこし、怒いかりをおそくする者ものは争あらそいをとどめる。15:19 なまけ者ものの道みちには、いばらがはえしげり、正ただしい者ものの道みちは平たいらかである。15:20 知恵ちえある子こは父ちちを喜よろこばせる、愚おろかな人ひとはその母ははを軽かろんじる。15:21 無知むちな者ものは愚おろかなことを喜よろこび、さとき者ものはまっすぐに歩あゆむ。15:22 相あいはかることがなければ、計画けいかくは破やぶれる、はかる者ものが多おおければ、それは必かならず成なる。15:23 人ひとは口くちから出でる好このましい答こたえによって喜よろこびを得える、時ときにかなった言葉ことばは、いかにも良よいものだ。15:24 知恵ちえある人ひとの道みちは上のぼって命いのちに至いたる、こうしてその人ひとは下したにある陰府よみを離はなれる。15:25 主しゅは高たかぶる者ものの家いえを滅ほろぼし、やもめの地境じざかいを定さだめられる。15:26 悪人あくにんの計はかりごとは主しゅに憎にくまれ、潔白けっぱくな人ひとの言葉ことばは彼かれに喜よろこばれる。15:27 不正ふせいな利りをむさぼる者ものはその家いえを煩わずらわせる、まいないを憎にくむ者ものは生いきながらえる。15:28 正ただしい者ものの心こころは答こたえるべきことを考かんがえる、悪あしき者ものの口くちは悪あくを吐はき出だす。15:29 主しゅは悪あしき者ものに遠とおざかり、正ただしい者ものの祈いのりを聞きかれる。15:30 目めの光ひかりは心こころを喜よろこばせ、よい知しらせは骨ほねを潤うるおす。15:31 ためになる戒いましめを聞きく耳みみをもつ者ものは、知恵ちえある者ものの中なかにとどまる。15:32 教訓きょうくんを捨すてる者ものはおのれの命いのちを軽かろんじ、戒いましめを重おもんじる者ものは悟さとりを得える。15:33 主しゅを恐おそれることは知恵ちえの教訓きょうくんである、謙遜けんそんは、栄誉えいよに先さきだつ。
11:1 偽いつわりのはかりは主しゅに憎にくまれ、正ただしいふんどうは彼かれに喜よろこばれる。
11:2 高たかぶりが来くれば、恥はじもまた来くる、へりくだる者ものには知恵ちえがある。
11:3 正ただしい者ものの誠実せいじつはその人ひとを導みちびき、不信実ふしんじつな者もののよこしまはその人ひとを滅ほろぼす。
11:4 宝たからは怒いかりの日ひに益えきなく、正義せいぎは人ひとを救すくい出だして、死しを免まぬかれさせる。
11:5 誠実せいじつな者ものは、その正義せいぎによって、その道みちをまっすぐにせられ、悪あしき者ものは、その悪あくによって倒たおれる。
11:6 正ただしい者ものはその正義せいぎによって救すくわれ、不信実ふしんじつな者ものは自分じぶんの欲よくによって捕とらえられる。
11:7 悪あしき者ものは死しぬとき、その望のぞみは絶たえ、不信心ふしんじんな者ものの望のぞみもまた絶たえる。
11:8 正ただしい者ものは、悩なやみから救すくわれ、悪あしき者ものは代かわってそれに陥おちいる。
11:9 不信心ふしんじんな者ものはその口くちをもって隣となり人びとを滅ほろぼす、正ただしい者ものは知識ちしきによって救すくわれる。
11:10 正ただしい者ものが、しあわせになれば、その町まちは喜よろこび、悪あしき者ものが滅ほろびると、喜よろこびの声こえがおこる。
11:11 町まちは正ただしい者ものの祝福しゅくふくによって、高たかくあげられ、悪あしき者ものの口くちによって、滅ほろぼされる。
11:12 隣となり人びとを侮あなどる者ものは知恵ちえがない、さとき人ひとは口くちをつぐむ。
11:13 人ひとのよしあしを言いいあるく者ものは秘密ひみつをもらす、心こころの忠信ちゅうしんなる者ものは事ことを隠かくす。
11:14 指導者しどうしゃがなければ民たみは倒たおれ、助言者じょげんしゃが多おおければ安全あんぜんである。
11:15 他人たにんのために保証ほしょうをする者ものは苦くるしみをうけ、保証ほしょうをきらう者ものは安全あんぜんである。
11:16 しとやかな女おんなは、誉ほまれを得え、強暴きょうぼうな男おとこは富とみを得える。
11:17 いつくしみある者ものはおのれ自身じしんに益えきを得え、残忍ざんにんな者ものはおのれの身みをそこなう。
11:18 悪あしき者ものの得える報むくいはむなしく、正義せいぎを播まく者ものは確たしかな報むくいを得える。
11:19 正義せいぎを堅かたく保たもつ者ものは命いのちに至いたり、悪あくを追おい求もとめる者ものは死しを招まねく。
11:20 心こころのねじけた者ものは主しゅに憎にくまれ、まっすぐに道みちを歩あゆむ者ものは彼かれに喜よろこばれる。
11:21 確たしかに、悪人あくにんは罰ばつを免まぬかれない、しかし正ただしい人ひとは救すくいを得える。
11:22 美うつくしい女おんなの慎つつしみがないのは、金きんの輪わの、ぶたの鼻はなにあるようだ。
11:23 正ただしい者ものの願ねがいは、すべて良よい結果けっかを得え、悪あしき者ものの望のぞみは怒いかりに至いたる。
11:24 施ほどこし散ちらして、なお富とみを増ます人ひとがあり、与あたえるべきものを惜おしんで、かえって貧まずしくなる者ものがある。
11:25 物惜ものおしみしない者ものは富とみ、人ひとを潤うるおす者ものは自分じぶんも潤うるおされる。
11:26 穀物こくもつを、しまい込こんで売うらない者ものは民たみにのろわれる、それを売うる者もののこうべには祝福しゅくふくがある。
11:27 善ぜんを求もとめる者ものは恵めぐみを得える、悪あくを求もとめる者ものには悪あくが来くる。
11:28 自分じぶんの富とみを頼たのむ者ものは衰おとろえる、正ただしい者ものは木きの青葉あおばのように栄さかえる。
11:29 自分じぶんの家族かぞくを苦くるしめる者ものは風かぜを所有しょゆうとする、愚おろかな者ものは心こころのさとき者もののしもべとなる。
11:30 正ただしい者ものの結むすぶ実みは命いのちの木きである、不法ふほうな者ものは人ひとの命いのちをとる。
11:31 もし正ただしい者ものがこの世よで罰ばっせられるならば、悪あしき者ものと罪つみびととは、なおさらである。
第12章 12:1 戒いましめを愛あいする人ひとは知識ちしきを愛あいする、懲こらしめを憎にくむ者ものは愚おろかである。12:2 善人ぜんにんは主しゅの恵めぐみをうけ、悪わるい計はかりごとを設もうける人ひとは主しゅに罰ばっせられる。12:3 人ひとは悪あくをもって堅かたく立たつことはできない、正ただしい人ひとの根ねは動うごくことはない。12:4 賢かしこい妻つまはその夫おっとの冠かんむりである、恥はじをこうむらせる妻つまは夫おっとの骨ほねに生しょうじた腐くされのようなものである。12:5 正ただしい人ひとの考かんがえは公正こうせいである、悪あしき者ものの計はかることは偽いつわりである。12:6 悪あしき者ものの言葉ことばは、人ひとの血ちを流ながそうとうかがう、正ただしい人ひとの口くちは人ひとを救すくう。12:7 悪あしき者ものは倒たおされて、うせ去さる、正ただしい人ひとの家いえは堅かたく立たつ。12:8 人ひとはその悟さとりにしたがって、ほめられ、心こころのねじけた者ものは、卑いやしめられる。12:9 身分みぶんの低ひくい人ひとでも自分じぶんで働はたらく者ものは、みずから高たかぶって食しょくに乏とぼしい者ものにまさる。12:10 正ただしい人ひとはその家畜かちくの命いのちを顧かえりみる、悪あしき者ものは残忍ざんにんをもって、あわれみとする。12:11 自分じぶんの田地でんちを耕たがやす者ものは食糧しょくりょうに飽あきる、無益むえきな事ことに従したがう者ものは知恵ちえがない。12:12 悪あしき者ものの堅固けんごなやぐらは崩壊ほうかいする、正ただしい人ひとの根ねは堅かたく立たつ。12:13 悪人あくにんはくちびるのとがによって、わなに陥おちいる、しかし正ただしい人ひとは悩なやみをのがれる。12:14 人ひとはその口くちの実みによって、幸福こうふくに満みち足たり、人ひとの手てのわざは、その人ひとの身みに帰かえる。12:15 愚おろかな人ひとの道みちは、自分じぶんの目めに正ただしく見みえる、しかし知恵ちえある者ものは勧すすめをいれる。12:16 愚おろかな人ひとは、すぐに怒いかりをあらわす、しかし賢かしこい人ひとは、はずかしめをも気きにとめない。12:17 真実しんじつを語かたる人ひとは正ただしい証言しょうげんをなし、偽いつわりの証人しょうにんは偽いつわりを言いう。12:18 つるぎをもって刺さすように、みだりに言葉ことばを出だす者ものがある、しかし知恵ちえある人ひとの舌したは人ひとをいやす。12:19 真実しんじつを言いうくちびるは、いつまでも保たもつ、偽いつわりを言いう舌したは、ただ、まばたきの間あいだだけである。12:20 悪あくをたくらむ者ものの心こころには欺あざむきがあり、善ぜんをはかる人ひとには喜よろこびがある。12:21 正ただしい人ひとにはなんの害悪がいあくも生しょうじない、しかし悪あしき者ものは災わざわいをもって満みたされる。12:22 偽いつわりを言いうくちびるは主しゅに憎にくまれ、真実しんじつを行おこなう者ものは彼かれに喜よろこばれる。12:23 さとき人ひとは知識ちしきをかくす、しかし愚おろかな者ものは自分じぶんの愚おろかなことをあらわす。12:24 勤つとめ働はたらく者ものの手てはついに人ひとを治おさめる、怠おこたる者ものは人ひとに仕つかえるようになる。12:25 心こころに憂うれいがあればその人ひとをかがませる、しかし親切しんせつな言葉ことばはその人ひとを喜よろこばせる。12:26 正ただしい人ひとは悪あくを離はなれ去さる、しかし悪あしき者ものは自みずから道みちに迷まよう。12:27 怠おこたる者ものは自分じぶんの獲物えものを捕とらえない、しかし勤つとめ働はたらく人ひとは尊たっとい宝たからを獲える。12:28 正義せいぎの道みちには命いのちがある、しかし誤あやまりの道みちは死しに至いたる。 第13章 13:1 知恵ちえある子こは父ちちの教訓きょうくんをきく、あざける者ものは、懲こらしめをきかない。13:2 善良ぜんりょうな人ひとはその口くちの実みによって、幸福こうふくを得える、不信実ふしんじつな者ものの願ねがいは、暴虐ぼうぎゃくである。13:3 口くちを守まもる者ものはその命いのちを守まもる、くちびるを大おおきく開ひらく者ものには滅ほろびが来くる。13:4 なまけ者ものの心こころは、願ねがい求もとめても、何なにも得えない、しかし勤つとめ働はたらく者ものの心こころは豊ゆたかに満みたされる。13:5 正ただしい人ひとは偽いつわりを憎にくむ、しかし悪あしき人ひとは恥はずべく、忌いまわしくふるまう。13:6 正義せいぎは道みちをまっすぐ歩あゆむ者ものを守まもり、罪つみは悪あしき者ものを倒たおす。13:7 富とんでいると偽いつわって、何なにも持もたない者ものがいる、貧まずしいと偽いつわって、多おおくの富とみを持もつ者ものがいる。13:8 人ひとの富とみはその命いのちをあがなう、しかし貧まずしい者ものにはあがなうべき富とみがない。13:9 正ただしい者ものの光ひかりは輝かがやき、悪あしき者もののともしびは消けされる。13:10 高たかぶりはただ争あらそいを生しょうじる、勧告かんこくをきく者ものは知恵ちえがある。13:11 急いそいで得えた富とみは減へる、少すこしずつたくわえる者ものはそれを増ますことができる。13:12 望のぞみを得えることが長ながびくときは、心こころを悩なやます、願ねがいがかなうときは、命いのちの木きを得えたようだ。13:13 み言葉ことばを軽かろんじる者ものは滅ほろぼされ、戒いましめを重おもんじる者ものは報むくいを得える。13:14 知恵ちえある人ひとの教おしえは命いのちの泉いずみである、これによって死しのわなをのがれることができる。13:15 善良ぜんりょうな賢かしこい者ものは恵めぐみを得える、しかし、不信実ふしんじつな者ものの道みちは滅ほろびである。13:16 おおよそ、さとき者ものは知識ちしきによって事ことをおこない、愚おろかな者ものは自分じぶんの愚ぐを見みせびらかす。13:17 悪あしき使者ししゃは人ひとを災わざわいにおとしいれる、しかし忠実ちゅうじつな使者ししゃは人ひとを救すくう。13:18 貧乏びんぼうと、はずかしめとは教訓きょうくんを捨すてる者ものに来くる、しかし戒いましめを守まもる者ものは尊たっとばれる。13:19 願ねがいがかなえば、心こころは楽たのしい、愚おろかな者ものは悪あくを捨すてることをきらう。13:20 知恵ちえある者ものとともに歩あゆむ者ものは知恵ちえを得える。愚おろかな者ものの友ともとなる者ものは害がいをうける。13:21 災わざわいは罪つみびとを追おい、正ただしい者ものは良よい報むくいを受うける。13:22 善良ぜんりょうな人ひとはその嗣し業ぎょうを子孫しそんにのこす、しかし罪つみびとの富とみは正ただしい人ひとのためにたくわえられる。13:23 貧まずしい人ひとの新田しんでんは多おおくの食糧しょくりょうを産さんする、しかし不正ふせいによれば押おし流ながされる。13:24 むちを加くわえない者ものはその子こを憎にくむのである、子こを愛あいする者ものは、つとめてこれを懲こらしめる。13:25 正ただしい者ものは食たべてその食欲しょくよくを満みたす、しかし悪あしき者ものの腹はらは満みたされない。 第14章 14:1 知恵ちえはその家いえを建たて、愚おろかさは自分じぶんの手てでそれをこわす。14:2 まっすぐに歩あゆむ者ものは主しゅを恐おそれる、曲まがって歩あゆむ者ものは主しゅを侮あなどる。14:3 愚おろかな者ものの言葉ことばは自分じぶんの背せにむちを当あてる、知恵ちえある者もののくちびるはその身みを守まもる。14:4 牛うしがなければ穀物こくもつはない、牛うしの力ちからによって農作物のうさくもつは多おおくなる。14:5 真実しんじつな証人しょうにんはうそをいわない、偽いつわりの証人しょうにんはうそをつく。14:6 あざける者ものは知恵ちえを求もとめても得えられない、さとき者ものは知識ちしきを得えることがたやすい。14:7 愚おろかな者ものの前まえを離はなれ去され、そこには知識ちしきの言葉ことばがないからである。14:8 さとき者ものの知恵ちえは自分じぶんの道みちをわきまえることにあり、愚おろかな者ものの愚おろかは、欺あざむくことにある。14:9 神かみは悪あしき者ものをあざけられる、正ただしい者ものは、その恵めぐみを受うける。14:10 心こころの苦くるしみは心こころみずからが知しる、その喜よろこびには他人たにんはあずからない。14:11 悪あしき者ものの家いえは滅ほろぼされ、正ただしい者ものの幕屋まくやは栄さかえる。14:12 人ひとが見みて自みずから正ただしいとする道みちでも、その終おわりはついに死しに至いたる道みちとなるものがある。14:13 笑わらう時ときにも心こころに悲かなしみがあり、喜よろこびのはてに憂うれいがある。14:14 心こころのもとれる者ものはそのしわざの実みを刈かり取とり、善良ぜんりょうな人ひともまたその行おこないの実みを刈かり取とる。14:15 思慮しりょのない者ものはすべてのことを信しんじる、さとき者ものは自分じぶんの歩あゆみを慎つつしむ。14:16 知恵ちえある者ものは用心ようじんぶかく、悪あくを離はなれる、愚おろかな者ものは高たかぶって用心ようじんしない。14:17 怒いかりやすい者ものは愚おろかなことを行おこない、賢かしこい者ものは忍耐にんたい強づよい。14:18 思慮しりょのない者ものは愚おろかなことを自分じぶんのものとする、さとき者ものは知識ちしきをもって冠かんむりとする。14:19 悪人あくにんは善人ぜんにんの前まえにひれ伏ふし、悪あしき者ものは正ただしい者ものの門もんにひれ伏ふす。14:20 貧まずしい者ものはその隣となりにさえも憎にくまれる、しかし富とめる者ものは多おおくの友ともをもつ。14:21 隣となり人びとを卑いやしめる者ものは罪つみびとである、貧まずしい人ひとをあわれむ者ものはさいわいである。14:22 悪あくを計はかる者ものはおのれを誤あやまるではないか、善ぜんを計はかる者ものにはいつくしみと、まこととがある。14:23 すべての勤労きんろうには利益りえきがある、しかし口先くちさきだけの言葉ことばは貧乏びんぼうをきたらせるだけだ。14:24 知恵ちえある者ものの冠かんむりはその知恵ちえである、愚おろかな者ものの花はなの冠かんむりはただ愚おろかさである。14:25 まことの証人しょうにんは人ひとの命いのちを救すくう、偽いつわりを吐はく者ものは裏うら切ぎり者ものである。14:26 主しゅを恐おそれることによって人ひとは安心あんしんを得え、その子こらはのがれ場ばを得える。14:27 主しゅを恐おそれることは命いのちの泉いずみである、人ひとを死しのわなからのがれさせる。14:28 王おうの栄さかえは民たみの多おおいことにあり、君きみの滅ほろびは民たみを失うしなうことにある。14:29 怒いかりをおそくする者ものは大おおいなる悟さとりがあり、気きの短みじかい者ものは愚おろかさをあらわす。14:30 穏おだやかな心こころは身みの命いのちである、しかし興奮こうふんは骨ほねを腐くさらせる。14:31 貧まずしい者ものをしえたげる者ものはその つくり主ぬしを侮あなどる、乏とぼしい者ものをあわれむ者ものは、主しゅをうやまう。14:32 悪あしき者ものはその悪あしき行おこないによって滅ほろぼされ、正ただしい者ものはその正ただしきによって、のがれ場ばを得える。14:33 知恵ちえはさとき者ものの心こころにとどまり、愚おろかな者ものの心こころに知しられない。14:34 正義せいぎは国くにを高たかくし、罪つみは民たみをはずかしめる。14:35 賢かしこいしもべは王おうの恵めぐみをうけ、恥はじをきたらす者ものはその怒いかりにあう。 第15章 15:1 柔やわらかい答こたえは憤いきどおりをとどめ、激はげしい言葉ことばは怒いかりをひきおこす。15:2 知恵ちえある者ものの舌したは知識ちしきをわかち与あたえ、愚おろかな者ものの口くちは愚おろかを吐はき出だす。15:3 主しゅの目めはどこにでもあって、悪人あくにんと善人ぜんにんとを見張みはっている。15:4 優やさしい舌したは命いのちの木きである、乱暴らんぼうな言葉ことばは魂たましいを傷きずつける。15:5 愚おろかな者ものは父ちちの教訓きょうくんを軽かろんじる、戒いましめを守まもる者ものは賢かしこい者ものである。15:6 正ただしい者ものの家いえには多おおくの宝たからがある、悪あしき者ものの所得しょとくには煩わずらいがある。15:7 知恵ちえある者もののくちびるは知識ちしきをひろめる、愚おろかな者ものの心こころはそうでない。15:8 悪あしき者ものの供そなえ物ものは主しゅに憎にくまれ、正ただしい者ものの祈いのりは彼かれに喜よろこばれる。15:9 悪あしき者ものの道みちは主しゅに憎にくまれ、正義せいぎを求もとめる者ものは彼かれに愛あいせられる。15:10 道みちを捨すてる者ものには、きびしい懲こらしめがあり、戒いましめを憎にくむ者ものは死しに至いたる。15:11 陰府よみと滅ほろびとは主しゅの目めの前まえにあり、人ひとの心こころはなおさらである。15:12 あざける者ものは戒いましめられることを好このまない、また知恵ちえある者ものに近ちかづかない。15:13 心こころに楽たのしみがあれば顔色かおいろも喜よろこばしい、心こころに憂うれいがあれば気きはふさぐ。15:14 さとき者ものの心こころは知識ちしきをたずね、愚おろかな者ものの口くちは愚おろかさを食物しょくもつとする。15:15 悩なやんでいる者ものの日々ひびはことごとくつらく、心こころの楽たのしい人ひとは常つねに宴会えんかいをもつ。15:16 少すこしの物ものを所有しょゆうして主しゅを恐おそれるのは、多おおくの宝たからをもって苦く労ろうするのにまさる。15:17 野菜やさいを食たべて互たがいに愛あいするのは、肥こえた牛うしを食たべて互たがいに憎にくむのにまさる。15:18 憤いきどおりやすい者ものは争あらそいをおこし、怒いかりをおそくする者ものは争あらそいをとどめる。15:19 なまけ者ものの道みちには、いばらがはえしげり、正ただしい者ものの道みちは平たいらかである。15:20 知恵ちえある子こは父ちちを喜よろこばせる、愚おろかな人ひとはその母ははを軽かろんじる。15:21 無知むちな者ものは愚おろかなことを喜よろこび、さとき者ものはまっすぐに歩あゆむ。15:22 相あいはかることがなければ、計画けいかくは破やぶれる、はかる者ものが多おおければ、それは必かならず成なる。15:23 人ひとは口くちから出でる好このましい答こたえによって喜よろこびを得える、時ときにかなった言葉ことばは、いかにも良よいものだ。15:24 知恵ちえある人ひとの道みちは上のぼって命いのちに至いたる、こうしてその人ひとは下したにある陰府よみを離はなれる。15:25 主しゅは高たかぶる者ものの家いえを滅ほろぼし、やもめの地境じざかいを定さだめられる。15:26 悪人あくにんの計はかりごとは主しゅに憎にくまれ、潔白けっぱくな人ひとの言葉ことばは彼かれに喜よろこばれる。15:27 不正ふせいな利りをむさぼる者ものはその家いえを煩わずらわせる、まいないを憎にくむ者ものは生いきながらえる。15:28 正ただしい者ものの心こころは答こたえるべきことを考かんがえる、悪あしき者ものの口くちは悪あくを吐はき出だす。15:29 主しゅは悪あしき者ものに遠とおざかり、正ただしい者ものの祈いのりを聞きかれる。15:30 目めの光ひかりは心こころを喜よろこばせ、よい知しらせは骨ほねを潤うるおす。15:31 ためになる戒いましめを聞きく耳みみをもつ者ものは、知恵ちえある者ものの中なかにとどまる。15:32 教訓きょうくんを捨すてる者ものはおのれの命いのちを軽かろんじ、戒いましめを重おもんじる者ものは悟さとりを得える。15:33 主しゅを恐おそれることは知恵ちえの教訓きょうくんである、謙遜けんそんは、栄誉えいよに先さきだつ。
12:1 戒いましめを愛あいする人ひとは知識ちしきを愛あいする、懲こらしめを憎にくむ者ものは愚おろかである。
12:2 善人ぜんにんは主しゅの恵めぐみをうけ、悪わるい計はかりごとを設もうける人ひとは主しゅに罰ばっせられる。
12:3 人ひとは悪あくをもって堅かたく立たつことはできない、正ただしい人ひとの根ねは動うごくことはない。
12:4 賢かしこい妻つまはその夫おっとの冠かんむりである、恥はじをこうむらせる妻つまは夫おっとの骨ほねに生しょうじた腐くされのようなものである。
12:5 正ただしい人ひとの考かんがえは公正こうせいである、悪あしき者ものの計はかることは偽いつわりである。
12:6 悪あしき者ものの言葉ことばは、人ひとの血ちを流ながそうとうかがう、正ただしい人ひとの口くちは人ひとを救すくう。
12:7 悪あしき者ものは倒たおされて、うせ去さる、正ただしい人ひとの家いえは堅かたく立たつ。
12:8 人ひとはその悟さとりにしたがって、ほめられ、心こころのねじけた者ものは、卑いやしめられる。
12:9 身分みぶんの低ひくい人ひとでも自分じぶんで働はたらく者ものは、みずから高たかぶって食しょくに乏とぼしい者ものにまさる。
12:10 正ただしい人ひとはその家畜かちくの命いのちを顧かえりみる、悪あしき者ものは残忍ざんにんをもって、あわれみとする。
12:11 自分じぶんの田地でんちを耕たがやす者ものは食糧しょくりょうに飽あきる、無益むえきな事ことに従したがう者ものは知恵ちえがない。
12:12 悪あしき者ものの堅固けんごなやぐらは崩壊ほうかいする、正ただしい人ひとの根ねは堅かたく立たつ。
12:13 悪人あくにんはくちびるのとがによって、わなに陥おちいる、しかし正ただしい人ひとは悩なやみをのがれる。
12:14 人ひとはその口くちの実みによって、幸福こうふくに満みち足たり、人ひとの手てのわざは、その人ひとの身みに帰かえる。
12:15 愚おろかな人ひとの道みちは、自分じぶんの目めに正ただしく見みえる、しかし知恵ちえある者ものは勧すすめをいれる。
12:16 愚おろかな人ひとは、すぐに怒いかりをあらわす、しかし賢かしこい人ひとは、はずかしめをも気きにとめない。
12:17 真実しんじつを語かたる人ひとは正ただしい証言しょうげんをなし、偽いつわりの証人しょうにんは偽いつわりを言いう。
12:18 つるぎをもって刺さすように、みだりに言葉ことばを出だす者ものがある、しかし知恵ちえある人ひとの舌したは人ひとをいやす。
12:19 真実しんじつを言いうくちびるは、いつまでも保たもつ、偽いつわりを言いう舌したは、ただ、まばたきの間あいだだけである。
12:20 悪あくをたくらむ者ものの心こころには欺あざむきがあり、善ぜんをはかる人ひとには喜よろこびがある。
12:21 正ただしい人ひとにはなんの害悪がいあくも生しょうじない、しかし悪あしき者ものは災わざわいをもって満みたされる。
12:22 偽いつわりを言いうくちびるは主しゅに憎にくまれ、真実しんじつを行おこなう者ものは彼かれに喜よろこばれる。
12:23 さとき人ひとは知識ちしきをかくす、しかし愚おろかな者ものは自分じぶんの愚おろかなことをあらわす。
12:24 勤つとめ働はたらく者ものの手てはついに人ひとを治おさめる、怠おこたる者ものは人ひとに仕つかえるようになる。
12:25 心こころに憂うれいがあればその人ひとをかがませる、しかし親切しんせつな言葉ことばはその人ひとを喜よろこばせる。
12:26 正ただしい人ひとは悪あくを離はなれ去さる、しかし悪あしき者ものは自みずから道みちに迷まよう。
12:27 怠おこたる者ものは自分じぶんの獲物えものを捕とらえない、しかし勤つとめ働はたらく人ひとは尊たっとい宝たからを獲える。
12:28 正義せいぎの道みちには命いのちがある、しかし誤あやまりの道みちは死しに至いたる。
第13章 13:1 知恵ちえある子こは父ちちの教訓きょうくんをきく、あざける者ものは、懲こらしめをきかない。13:2 善良ぜんりょうな人ひとはその口くちの実みによって、幸福こうふくを得える、不信実ふしんじつな者ものの願ねがいは、暴虐ぼうぎゃくである。13:3 口くちを守まもる者ものはその命いのちを守まもる、くちびるを大おおきく開ひらく者ものには滅ほろびが来くる。13:4 なまけ者ものの心こころは、願ねがい求もとめても、何なにも得えない、しかし勤つとめ働はたらく者ものの心こころは豊ゆたかに満みたされる。13:5 正ただしい人ひとは偽いつわりを憎にくむ、しかし悪あしき人ひとは恥はずべく、忌いまわしくふるまう。13:6 正義せいぎは道みちをまっすぐ歩あゆむ者ものを守まもり、罪つみは悪あしき者ものを倒たおす。13:7 富とんでいると偽いつわって、何なにも持もたない者ものがいる、貧まずしいと偽いつわって、多おおくの富とみを持もつ者ものがいる。13:8 人ひとの富とみはその命いのちをあがなう、しかし貧まずしい者ものにはあがなうべき富とみがない。13:9 正ただしい者ものの光ひかりは輝かがやき、悪あしき者もののともしびは消けされる。13:10 高たかぶりはただ争あらそいを生しょうじる、勧告かんこくをきく者ものは知恵ちえがある。13:11 急いそいで得えた富とみは減へる、少すこしずつたくわえる者ものはそれを増ますことができる。13:12 望のぞみを得えることが長ながびくときは、心こころを悩なやます、願ねがいがかなうときは、命いのちの木きを得えたようだ。13:13 み言葉ことばを軽かろんじる者ものは滅ほろぼされ、戒いましめを重おもんじる者ものは報むくいを得える。13:14 知恵ちえある人ひとの教おしえは命いのちの泉いずみである、これによって死しのわなをのがれることができる。13:15 善良ぜんりょうな賢かしこい者ものは恵めぐみを得える、しかし、不信実ふしんじつな者ものの道みちは滅ほろびである。13:16 おおよそ、さとき者ものは知識ちしきによって事ことをおこない、愚おろかな者ものは自分じぶんの愚ぐを見みせびらかす。13:17 悪あしき使者ししゃは人ひとを災わざわいにおとしいれる、しかし忠実ちゅうじつな使者ししゃは人ひとを救すくう。13:18 貧乏びんぼうと、はずかしめとは教訓きょうくんを捨すてる者ものに来くる、しかし戒いましめを守まもる者ものは尊たっとばれる。13:19 願ねがいがかなえば、心こころは楽たのしい、愚おろかな者ものは悪あくを捨すてることをきらう。13:20 知恵ちえある者ものとともに歩あゆむ者ものは知恵ちえを得える。愚おろかな者ものの友ともとなる者ものは害がいをうける。13:21 災わざわいは罪つみびとを追おい、正ただしい者ものは良よい報むくいを受うける。13:22 善良ぜんりょうな人ひとはその嗣し業ぎょうを子孫しそんにのこす、しかし罪つみびとの富とみは正ただしい人ひとのためにたくわえられる。13:23 貧まずしい人ひとの新田しんでんは多おおくの食糧しょくりょうを産さんする、しかし不正ふせいによれば押おし流ながされる。13:24 むちを加くわえない者ものはその子こを憎にくむのである、子こを愛あいする者ものは、つとめてこれを懲こらしめる。13:25 正ただしい者ものは食たべてその食欲しょくよくを満みたす、しかし悪あしき者ものの腹はらは満みたされない。 第14章 14:1 知恵ちえはその家いえを建たて、愚おろかさは自分じぶんの手てでそれをこわす。14:2 まっすぐに歩あゆむ者ものは主しゅを恐おそれる、曲まがって歩あゆむ者ものは主しゅを侮あなどる。14:3 愚おろかな者ものの言葉ことばは自分じぶんの背せにむちを当あてる、知恵ちえある者もののくちびるはその身みを守まもる。14:4 牛うしがなければ穀物こくもつはない、牛うしの力ちからによって農作物のうさくもつは多おおくなる。14:5 真実しんじつな証人しょうにんはうそをいわない、偽いつわりの証人しょうにんはうそをつく。14:6 あざける者ものは知恵ちえを求もとめても得えられない、さとき者ものは知識ちしきを得えることがたやすい。14:7 愚おろかな者ものの前まえを離はなれ去され、そこには知識ちしきの言葉ことばがないからである。14:8 さとき者ものの知恵ちえは自分じぶんの道みちをわきまえることにあり、愚おろかな者ものの愚おろかは、欺あざむくことにある。14:9 神かみは悪あしき者ものをあざけられる、正ただしい者ものは、その恵めぐみを受うける。14:10 心こころの苦くるしみは心こころみずからが知しる、その喜よろこびには他人たにんはあずからない。14:11 悪あしき者ものの家いえは滅ほろぼされ、正ただしい者ものの幕屋まくやは栄さかえる。14:12 人ひとが見みて自みずから正ただしいとする道みちでも、その終おわりはついに死しに至いたる道みちとなるものがある。14:13 笑わらう時ときにも心こころに悲かなしみがあり、喜よろこびのはてに憂うれいがある。14:14 心こころのもとれる者ものはそのしわざの実みを刈かり取とり、善良ぜんりょうな人ひともまたその行おこないの実みを刈かり取とる。14:15 思慮しりょのない者ものはすべてのことを信しんじる、さとき者ものは自分じぶんの歩あゆみを慎つつしむ。14:16 知恵ちえある者ものは用心ようじんぶかく、悪あくを離はなれる、愚おろかな者ものは高たかぶって用心ようじんしない。14:17 怒いかりやすい者ものは愚おろかなことを行おこない、賢かしこい者ものは忍耐にんたい強づよい。14:18 思慮しりょのない者ものは愚おろかなことを自分じぶんのものとする、さとき者ものは知識ちしきをもって冠かんむりとする。14:19 悪人あくにんは善人ぜんにんの前まえにひれ伏ふし、悪あしき者ものは正ただしい者ものの門もんにひれ伏ふす。14:20 貧まずしい者ものはその隣となりにさえも憎にくまれる、しかし富とめる者ものは多おおくの友ともをもつ。14:21 隣となり人びとを卑いやしめる者ものは罪つみびとである、貧まずしい人ひとをあわれむ者ものはさいわいである。14:22 悪あくを計はかる者ものはおのれを誤あやまるではないか、善ぜんを計はかる者ものにはいつくしみと、まこととがある。14:23 すべての勤労きんろうには利益りえきがある、しかし口先くちさきだけの言葉ことばは貧乏びんぼうをきたらせるだけだ。14:24 知恵ちえある者ものの冠かんむりはその知恵ちえである、愚おろかな者ものの花はなの冠かんむりはただ愚おろかさである。14:25 まことの証人しょうにんは人ひとの命いのちを救すくう、偽いつわりを吐はく者ものは裏うら切ぎり者ものである。14:26 主しゅを恐おそれることによって人ひとは安心あんしんを得え、その子こらはのがれ場ばを得える。14:27 主しゅを恐おそれることは命いのちの泉いずみである、人ひとを死しのわなからのがれさせる。14:28 王おうの栄さかえは民たみの多おおいことにあり、君きみの滅ほろびは民たみを失うしなうことにある。14:29 怒いかりをおそくする者ものは大おおいなる悟さとりがあり、気きの短みじかい者ものは愚おろかさをあらわす。14:30 穏おだやかな心こころは身みの命いのちである、しかし興奮こうふんは骨ほねを腐くさらせる。14:31 貧まずしい者ものをしえたげる者ものはその つくり主ぬしを侮あなどる、乏とぼしい者ものをあわれむ者ものは、主しゅをうやまう。14:32 悪あしき者ものはその悪あしき行おこないによって滅ほろぼされ、正ただしい者ものはその正ただしきによって、のがれ場ばを得える。14:33 知恵ちえはさとき者ものの心こころにとどまり、愚おろかな者ものの心こころに知しられない。14:34 正義せいぎは国くにを高たかくし、罪つみは民たみをはずかしめる。14:35 賢かしこいしもべは王おうの恵めぐみをうけ、恥はじをきたらす者ものはその怒いかりにあう。 第15章 15:1 柔やわらかい答こたえは憤いきどおりをとどめ、激はげしい言葉ことばは怒いかりをひきおこす。15:2 知恵ちえある者ものの舌したは知識ちしきをわかち与あたえ、愚おろかな者ものの口くちは愚おろかを吐はき出だす。15:3 主しゅの目めはどこにでもあって、悪人あくにんと善人ぜんにんとを見張みはっている。15:4 優やさしい舌したは命いのちの木きである、乱暴らんぼうな言葉ことばは魂たましいを傷きずつける。15:5 愚おろかな者ものは父ちちの教訓きょうくんを軽かろんじる、戒いましめを守まもる者ものは賢かしこい者ものである。15:6 正ただしい者ものの家いえには多おおくの宝たからがある、悪あしき者ものの所得しょとくには煩わずらいがある。15:7 知恵ちえある者もののくちびるは知識ちしきをひろめる、愚おろかな者ものの心こころはそうでない。15:8 悪あしき者ものの供そなえ物ものは主しゅに憎にくまれ、正ただしい者ものの祈いのりは彼かれに喜よろこばれる。15:9 悪あしき者ものの道みちは主しゅに憎にくまれ、正義せいぎを求もとめる者ものは彼かれに愛あいせられる。15:10 道みちを捨すてる者ものには、きびしい懲こらしめがあり、戒いましめを憎にくむ者ものは死しに至いたる。15:11 陰府よみと滅ほろびとは主しゅの目めの前まえにあり、人ひとの心こころはなおさらである。15:12 あざける者ものは戒いましめられることを好このまない、また知恵ちえある者ものに近ちかづかない。15:13 心こころに楽たのしみがあれば顔色かおいろも喜よろこばしい、心こころに憂うれいがあれば気きはふさぐ。15:14 さとき者ものの心こころは知識ちしきをたずね、愚おろかな者ものの口くちは愚おろかさを食物しょくもつとする。15:15 悩なやんでいる者ものの日々ひびはことごとくつらく、心こころの楽たのしい人ひとは常つねに宴会えんかいをもつ。15:16 少すこしの物ものを所有しょゆうして主しゅを恐おそれるのは、多おおくの宝たからをもって苦く労ろうするのにまさる。15:17 野菜やさいを食たべて互たがいに愛あいするのは、肥こえた牛うしを食たべて互たがいに憎にくむのにまさる。15:18 憤いきどおりやすい者ものは争あらそいをおこし、怒いかりをおそくする者ものは争あらそいをとどめる。15:19 なまけ者ものの道みちには、いばらがはえしげり、正ただしい者ものの道みちは平たいらかである。15:20 知恵ちえある子こは父ちちを喜よろこばせる、愚おろかな人ひとはその母ははを軽かろんじる。15:21 無知むちな者ものは愚おろかなことを喜よろこび、さとき者ものはまっすぐに歩あゆむ。15:22 相あいはかることがなければ、計画けいかくは破やぶれる、はかる者ものが多おおければ、それは必かならず成なる。15:23 人ひとは口くちから出でる好このましい答こたえによって喜よろこびを得える、時ときにかなった言葉ことばは、いかにも良よいものだ。15:24 知恵ちえある人ひとの道みちは上のぼって命いのちに至いたる、こうしてその人ひとは下したにある陰府よみを離はなれる。15:25 主しゅは高たかぶる者ものの家いえを滅ほろぼし、やもめの地境じざかいを定さだめられる。15:26 悪人あくにんの計はかりごとは主しゅに憎にくまれ、潔白けっぱくな人ひとの言葉ことばは彼かれに喜よろこばれる。15:27 不正ふせいな利りをむさぼる者ものはその家いえを煩わずらわせる、まいないを憎にくむ者ものは生いきながらえる。15:28 正ただしい者ものの心こころは答こたえるべきことを考かんがえる、悪あしき者ものの口くちは悪あくを吐はき出だす。15:29 主しゅは悪あしき者ものに遠とおざかり、正ただしい者ものの祈いのりを聞きかれる。15:30 目めの光ひかりは心こころを喜よろこばせ、よい知しらせは骨ほねを潤うるおす。15:31 ためになる戒いましめを聞きく耳みみをもつ者ものは、知恵ちえある者ものの中なかにとどまる。15:32 教訓きょうくんを捨すてる者ものはおのれの命いのちを軽かろんじ、戒いましめを重おもんじる者ものは悟さとりを得える。15:33 主しゅを恐おそれることは知恵ちえの教訓きょうくんである、謙遜けんそんは、栄誉えいよに先さきだつ。
13:1 知恵ちえある子こは父ちちの教訓きょうくんをきく、あざける者ものは、懲こらしめをきかない。
13:2 善良ぜんりょうな人ひとはその口くちの実みによって、幸福こうふくを得える、不信実ふしんじつな者ものの願ねがいは、暴虐ぼうぎゃくである。
13:3 口くちを守まもる者ものはその命いのちを守まもる、くちびるを大おおきく開ひらく者ものには滅ほろびが来くる。
13:4 なまけ者ものの心こころは、願ねがい求もとめても、何なにも得えない、しかし勤つとめ働はたらく者ものの心こころは豊ゆたかに満みたされる。
13:5 正ただしい人ひとは偽いつわりを憎にくむ、しかし悪あしき人ひとは恥はずべく、忌いまわしくふるまう。
13:6 正義せいぎは道みちをまっすぐ歩あゆむ者ものを守まもり、罪つみは悪あしき者ものを倒たおす。
13:7 富とんでいると偽いつわって、何なにも持もたない者ものがいる、貧まずしいと偽いつわって、多おおくの富とみを持もつ者ものがいる。
13:8 人ひとの富とみはその命いのちをあがなう、しかし貧まずしい者ものにはあがなうべき富とみがない。
13:9 正ただしい者ものの光ひかりは輝かがやき、悪あしき者もののともしびは消けされる。
13:10 高たかぶりはただ争あらそいを生しょうじる、勧告かんこくをきく者ものは知恵ちえがある。
13:11 急いそいで得えた富とみは減へる、少すこしずつたくわえる者ものはそれを増ますことができる。
13:12 望のぞみを得えることが長ながびくときは、心こころを悩なやます、願ねがいがかなうときは、命いのちの木きを得えたようだ。
13:13 み言葉ことばを軽かろんじる者ものは滅ほろぼされ、戒いましめを重おもんじる者ものは報むくいを得える。
13:14 知恵ちえある人ひとの教おしえは命いのちの泉いずみである、これによって死しのわなをのがれることができる。
13:15 善良ぜんりょうな賢かしこい者ものは恵めぐみを得える、しかし、不信実ふしんじつな者ものの道みちは滅ほろびである。
13:16 おおよそ、さとき者ものは知識ちしきによって事ことをおこない、愚おろかな者ものは自分じぶんの愚ぐを見みせびらかす。
13:17 悪あしき使者ししゃは人ひとを災わざわいにおとしいれる、しかし忠実ちゅうじつな使者ししゃは人ひとを救すくう。
13:18 貧乏びんぼうと、はずかしめとは教訓きょうくんを捨すてる者ものに来くる、しかし戒いましめを守まもる者ものは尊たっとばれる。
13:19 願ねがいがかなえば、心こころは楽たのしい、愚おろかな者ものは悪あくを捨すてることをきらう。
13:20 知恵ちえある者ものとともに歩あゆむ者ものは知恵ちえを得える。愚おろかな者ものの友ともとなる者ものは害がいをうける。
13:21 災わざわいは罪つみびとを追おい、正ただしい者ものは良よい報むくいを受うける。
13:22 善良ぜんりょうな人ひとはその嗣し業ぎょうを子孫しそんにのこす、しかし罪つみびとの富とみは正ただしい人ひとのためにたくわえられる。
13:23 貧まずしい人ひとの新田しんでんは多おおくの食糧しょくりょうを産さんする、しかし不正ふせいによれば押おし流ながされる。
13:24 むちを加くわえない者ものはその子こを憎にくむのである、子こを愛あいする者ものは、つとめてこれを懲こらしめる。
13:25 正ただしい者ものは食たべてその食欲しょくよくを満みたす、しかし悪あしき者ものの腹はらは満みたされない。
第14章 14:1 知恵ちえはその家いえを建たて、愚おろかさは自分じぶんの手てでそれをこわす。14:2 まっすぐに歩あゆむ者ものは主しゅを恐おそれる、曲まがって歩あゆむ者ものは主しゅを侮あなどる。14:3 愚おろかな者ものの言葉ことばは自分じぶんの背せにむちを当あてる、知恵ちえある者もののくちびるはその身みを守まもる。14:4 牛うしがなければ穀物こくもつはない、牛うしの力ちからによって農作物のうさくもつは多おおくなる。14:5 真実しんじつな証人しょうにんはうそをいわない、偽いつわりの証人しょうにんはうそをつく。14:6 あざける者ものは知恵ちえを求もとめても得えられない、さとき者ものは知識ちしきを得えることがたやすい。14:7 愚おろかな者ものの前まえを離はなれ去され、そこには知識ちしきの言葉ことばがないからである。14:8 さとき者ものの知恵ちえは自分じぶんの道みちをわきまえることにあり、愚おろかな者ものの愚おろかは、欺あざむくことにある。14:9 神かみは悪あしき者ものをあざけられる、正ただしい者ものは、その恵めぐみを受うける。14:10 心こころの苦くるしみは心こころみずからが知しる、その喜よろこびには他人たにんはあずからない。14:11 悪あしき者ものの家いえは滅ほろぼされ、正ただしい者ものの幕屋まくやは栄さかえる。14:12 人ひとが見みて自みずから正ただしいとする道みちでも、その終おわりはついに死しに至いたる道みちとなるものがある。14:13 笑わらう時ときにも心こころに悲かなしみがあり、喜よろこびのはてに憂うれいがある。14:14 心こころのもとれる者ものはそのしわざの実みを刈かり取とり、善良ぜんりょうな人ひともまたその行おこないの実みを刈かり取とる。14:15 思慮しりょのない者ものはすべてのことを信しんじる、さとき者ものは自分じぶんの歩あゆみを慎つつしむ。14:16 知恵ちえある者ものは用心ようじんぶかく、悪あくを離はなれる、愚おろかな者ものは高たかぶって用心ようじんしない。14:17 怒いかりやすい者ものは愚おろかなことを行おこない、賢かしこい者ものは忍耐にんたい強づよい。14:18 思慮しりょのない者ものは愚おろかなことを自分じぶんのものとする、さとき者ものは知識ちしきをもって冠かんむりとする。14:19 悪人あくにんは善人ぜんにんの前まえにひれ伏ふし、悪あしき者ものは正ただしい者ものの門もんにひれ伏ふす。14:20 貧まずしい者ものはその隣となりにさえも憎にくまれる、しかし富とめる者ものは多おおくの友ともをもつ。14:21 隣となり人びとを卑いやしめる者ものは罪つみびとである、貧まずしい人ひとをあわれむ者ものはさいわいである。14:22 悪あくを計はかる者ものはおのれを誤あやまるではないか、善ぜんを計はかる者ものにはいつくしみと、まこととがある。14:23 すべての勤労きんろうには利益りえきがある、しかし口先くちさきだけの言葉ことばは貧乏びんぼうをきたらせるだけだ。14:24 知恵ちえある者ものの冠かんむりはその知恵ちえである、愚おろかな者ものの花はなの冠かんむりはただ愚おろかさである。14:25 まことの証人しょうにんは人ひとの命いのちを救すくう、偽いつわりを吐はく者ものは裏うら切ぎり者ものである。14:26 主しゅを恐おそれることによって人ひとは安心あんしんを得え、その子こらはのがれ場ばを得える。14:27 主しゅを恐おそれることは命いのちの泉いずみである、人ひとを死しのわなからのがれさせる。14:28 王おうの栄さかえは民たみの多おおいことにあり、君きみの滅ほろびは民たみを失うしなうことにある。14:29 怒いかりをおそくする者ものは大おおいなる悟さとりがあり、気きの短みじかい者ものは愚おろかさをあらわす。14:30 穏おだやかな心こころは身みの命いのちである、しかし興奮こうふんは骨ほねを腐くさらせる。14:31 貧まずしい者ものをしえたげる者ものはその つくり主ぬしを侮あなどる、乏とぼしい者ものをあわれむ者ものは、主しゅをうやまう。14:32 悪あしき者ものはその悪あしき行おこないによって滅ほろぼされ、正ただしい者ものはその正ただしきによって、のがれ場ばを得える。14:33 知恵ちえはさとき者ものの心こころにとどまり、愚おろかな者ものの心こころに知しられない。14:34 正義せいぎは国くにを高たかくし、罪つみは民たみをはずかしめる。14:35 賢かしこいしもべは王おうの恵めぐみをうけ、恥はじをきたらす者ものはその怒いかりにあう。 第15章 15:1 柔やわらかい答こたえは憤いきどおりをとどめ、激はげしい言葉ことばは怒いかりをひきおこす。15:2 知恵ちえある者ものの舌したは知識ちしきをわかち与あたえ、愚おろかな者ものの口くちは愚おろかを吐はき出だす。15:3 主しゅの目めはどこにでもあって、悪人あくにんと善人ぜんにんとを見張みはっている。15:4 優やさしい舌したは命いのちの木きである、乱暴らんぼうな言葉ことばは魂たましいを傷きずつける。15:5 愚おろかな者ものは父ちちの教訓きょうくんを軽かろんじる、戒いましめを守まもる者ものは賢かしこい者ものである。15:6 正ただしい者ものの家いえには多おおくの宝たからがある、悪あしき者ものの所得しょとくには煩わずらいがある。15:7 知恵ちえある者もののくちびるは知識ちしきをひろめる、愚おろかな者ものの心こころはそうでない。15:8 悪あしき者ものの供そなえ物ものは主しゅに憎にくまれ、正ただしい者ものの祈いのりは彼かれに喜よろこばれる。15:9 悪あしき者ものの道みちは主しゅに憎にくまれ、正義せいぎを求もとめる者ものは彼かれに愛あいせられる。15:10 道みちを捨すてる者ものには、きびしい懲こらしめがあり、戒いましめを憎にくむ者ものは死しに至いたる。15:11 陰府よみと滅ほろびとは主しゅの目めの前まえにあり、人ひとの心こころはなおさらである。15:12 あざける者ものは戒いましめられることを好このまない、また知恵ちえある者ものに近ちかづかない。15:13 心こころに楽たのしみがあれば顔色かおいろも喜よろこばしい、心こころに憂うれいがあれば気きはふさぐ。15:14 さとき者ものの心こころは知識ちしきをたずね、愚おろかな者ものの口くちは愚おろかさを食物しょくもつとする。15:15 悩なやんでいる者ものの日々ひびはことごとくつらく、心こころの楽たのしい人ひとは常つねに宴会えんかいをもつ。15:16 少すこしの物ものを所有しょゆうして主しゅを恐おそれるのは、多おおくの宝たからをもって苦く労ろうするのにまさる。15:17 野菜やさいを食たべて互たがいに愛あいするのは、肥こえた牛うしを食たべて互たがいに憎にくむのにまさる。15:18 憤いきどおりやすい者ものは争あらそいをおこし、怒いかりをおそくする者ものは争あらそいをとどめる。15:19 なまけ者ものの道みちには、いばらがはえしげり、正ただしい者ものの道みちは平たいらかである。15:20 知恵ちえある子こは父ちちを喜よろこばせる、愚おろかな人ひとはその母ははを軽かろんじる。15:21 無知むちな者ものは愚おろかなことを喜よろこび、さとき者ものはまっすぐに歩あゆむ。15:22 相あいはかることがなければ、計画けいかくは破やぶれる、はかる者ものが多おおければ、それは必かならず成なる。15:23 人ひとは口くちから出でる好このましい答こたえによって喜よろこびを得える、時ときにかなった言葉ことばは、いかにも良よいものだ。15:24 知恵ちえある人ひとの道みちは上のぼって命いのちに至いたる、こうしてその人ひとは下したにある陰府よみを離はなれる。15:25 主しゅは高たかぶる者ものの家いえを滅ほろぼし、やもめの地境じざかいを定さだめられる。15:26 悪人あくにんの計はかりごとは主しゅに憎にくまれ、潔白けっぱくな人ひとの言葉ことばは彼かれに喜よろこばれる。15:27 不正ふせいな利りをむさぼる者ものはその家いえを煩わずらわせる、まいないを憎にくむ者ものは生いきながらえる。15:28 正ただしい者ものの心こころは答こたえるべきことを考かんがえる、悪あしき者ものの口くちは悪あくを吐はき出だす。15:29 主しゅは悪あしき者ものに遠とおざかり、正ただしい者ものの祈いのりを聞きかれる。15:30 目めの光ひかりは心こころを喜よろこばせ、よい知しらせは骨ほねを潤うるおす。15:31 ためになる戒いましめを聞きく耳みみをもつ者ものは、知恵ちえある者ものの中なかにとどまる。15:32 教訓きょうくんを捨すてる者ものはおのれの命いのちを軽かろんじ、戒いましめを重おもんじる者ものは悟さとりを得える。15:33 主しゅを恐おそれることは知恵ちえの教訓きょうくんである、謙遜けんそんは、栄誉えいよに先さきだつ。
14:1 知恵ちえはその家いえを建たて、愚おろかさは自分じぶんの手てでそれをこわす。
14:2 まっすぐに歩あゆむ者ものは主しゅを恐おそれる、曲まがって歩あゆむ者ものは主しゅを侮あなどる。
14:3 愚おろかな者ものの言葉ことばは自分じぶんの背せにむちを当あてる、知恵ちえある者もののくちびるはその身みを守まもる。
14:4 牛うしがなければ穀物こくもつはない、牛うしの力ちからによって農作物のうさくもつは多おおくなる。
14:5 真実しんじつな証人しょうにんはうそをいわない、偽いつわりの証人しょうにんはうそをつく。
14:6 あざける者ものは知恵ちえを求もとめても得えられない、さとき者ものは知識ちしきを得えることがたやすい。
14:7 愚おろかな者ものの前まえを離はなれ去され、そこには知識ちしきの言葉ことばがないからである。
14:8 さとき者ものの知恵ちえは自分じぶんの道みちをわきまえることにあり、愚おろかな者ものの愚おろかは、欺あざむくことにある。
14:9 神かみは悪あしき者ものをあざけられる、正ただしい者ものは、その恵めぐみを受うける。
14:10 心こころの苦くるしみは心こころみずからが知しる、その喜よろこびには他人たにんはあずからない。
14:11 悪あしき者ものの家いえは滅ほろぼされ、正ただしい者ものの幕屋まくやは栄さかえる。
14:12 人ひとが見みて自みずから正ただしいとする道みちでも、その終おわりはついに死しに至いたる道みちとなるものがある。
14:13 笑わらう時ときにも心こころに悲かなしみがあり、喜よろこびのはてに憂うれいがある。
14:14 心こころのもとれる者ものはそのしわざの実みを刈かり取とり、善良ぜんりょうな人ひともまたその行おこないの実みを刈かり取とる。
14:15 思慮しりょのない者ものはすべてのことを信しんじる、さとき者ものは自分じぶんの歩あゆみを慎つつしむ。
14:16 知恵ちえある者ものは用心ようじんぶかく、悪あくを離はなれる、愚おろかな者ものは高たかぶって用心ようじんしない。
14:17 怒いかりやすい者ものは愚おろかなことを行おこない、賢かしこい者ものは忍耐にんたい強づよい。
14:18 思慮しりょのない者ものは愚おろかなことを自分じぶんのものとする、さとき者ものは知識ちしきをもって冠かんむりとする。
14:19 悪人あくにんは善人ぜんにんの前まえにひれ伏ふし、悪あしき者ものは正ただしい者ものの門もんにひれ伏ふす。
14:20 貧まずしい者ものはその隣となりにさえも憎にくまれる、しかし富とめる者ものは多おおくの友ともをもつ。
14:21 隣となり人びとを卑いやしめる者ものは罪つみびとである、貧まずしい人ひとをあわれむ者ものはさいわいである。
14:22 悪あくを計はかる者ものはおのれを誤あやまるではないか、善ぜんを計はかる者ものにはいつくしみと、まこととがある。
14:23 すべての勤労きんろうには利益りえきがある、しかし口先くちさきだけの言葉ことばは貧乏びんぼうをきたらせるだけだ。
14:24 知恵ちえある者ものの冠かんむりはその知恵ちえである、愚おろかな者ものの花はなの冠かんむりはただ愚おろかさである。
14:25 まことの証人しょうにんは人ひとの命いのちを救すくう、偽いつわりを吐はく者ものは裏うら切ぎり者ものである。
14:26 主しゅを恐おそれることによって人ひとは安心あんしんを得え、その子こらはのがれ場ばを得える。
14:27 主しゅを恐おそれることは命いのちの泉いずみである、人ひとを死しのわなからのがれさせる。
14:28 王おうの栄さかえは民たみの多おおいことにあり、君きみの滅ほろびは民たみを失うしなうことにある。
14:29 怒いかりをおそくする者ものは大おおいなる悟さとりがあり、気きの短みじかい者ものは愚おろかさをあらわす。
14:30 穏おだやかな心こころは身みの命いのちである、しかし興奮こうふんは骨ほねを腐くさらせる。
14:31 貧まずしい者ものをしえたげる者ものはその つくり主ぬしを侮あなどる、乏とぼしい者ものをあわれむ者ものは、主しゅをうやまう。
14:32 悪あしき者ものはその悪あしき行おこないによって滅ほろぼされ、正ただしい者ものはその正ただしきによって、のがれ場ばを得える。
14:33 知恵ちえはさとき者ものの心こころにとどまり、愚おろかな者ものの心こころに知しられない。
14:34 正義せいぎは国くにを高たかくし、罪つみは民たみをはずかしめる。
14:35 賢かしこいしもべは王おうの恵めぐみをうけ、恥はじをきたらす者ものはその怒いかりにあう。
第15章 15:1 柔やわらかい答こたえは憤いきどおりをとどめ、激はげしい言葉ことばは怒いかりをひきおこす。15:2 知恵ちえある者ものの舌したは知識ちしきをわかち与あたえ、愚おろかな者ものの口くちは愚おろかを吐はき出だす。15:3 主しゅの目めはどこにでもあって、悪人あくにんと善人ぜんにんとを見張みはっている。15:4 優やさしい舌したは命いのちの木きである、乱暴らんぼうな言葉ことばは魂たましいを傷きずつける。15:5 愚おろかな者ものは父ちちの教訓きょうくんを軽かろんじる、戒いましめを守まもる者ものは賢かしこい者ものである。15:6 正ただしい者ものの家いえには多おおくの宝たからがある、悪あしき者ものの所得しょとくには煩わずらいがある。15:7 知恵ちえある者もののくちびるは知識ちしきをひろめる、愚おろかな者ものの心こころはそうでない。15:8 悪あしき者ものの供そなえ物ものは主しゅに憎にくまれ、正ただしい者ものの祈いのりは彼かれに喜よろこばれる。15:9 悪あしき者ものの道みちは主しゅに憎にくまれ、正義せいぎを求もとめる者ものは彼かれに愛あいせられる。15:10 道みちを捨すてる者ものには、きびしい懲こらしめがあり、戒いましめを憎にくむ者ものは死しに至いたる。15:11 陰府よみと滅ほろびとは主しゅの目めの前まえにあり、人ひとの心こころはなおさらである。15:12 あざける者ものは戒いましめられることを好このまない、また知恵ちえある者ものに近ちかづかない。15:13 心こころに楽たのしみがあれば顔色かおいろも喜よろこばしい、心こころに憂うれいがあれば気きはふさぐ。15:14 さとき者ものの心こころは知識ちしきをたずね、愚おろかな者ものの口くちは愚おろかさを食物しょくもつとする。15:15 悩なやんでいる者ものの日々ひびはことごとくつらく、心こころの楽たのしい人ひとは常つねに宴会えんかいをもつ。15:16 少すこしの物ものを所有しょゆうして主しゅを恐おそれるのは、多おおくの宝たからをもって苦く労ろうするのにまさる。15:17 野菜やさいを食たべて互たがいに愛あいするのは、肥こえた牛うしを食たべて互たがいに憎にくむのにまさる。15:18 憤いきどおりやすい者ものは争あらそいをおこし、怒いかりをおそくする者ものは争あらそいをとどめる。15:19 なまけ者ものの道みちには、いばらがはえしげり、正ただしい者ものの道みちは平たいらかである。15:20 知恵ちえある子こは父ちちを喜よろこばせる、愚おろかな人ひとはその母ははを軽かろんじる。15:21 無知むちな者ものは愚おろかなことを喜よろこび、さとき者ものはまっすぐに歩あゆむ。15:22 相あいはかることがなければ、計画けいかくは破やぶれる、はかる者ものが多おおければ、それは必かならず成なる。15:23 人ひとは口くちから出でる好このましい答こたえによって喜よろこびを得える、時ときにかなった言葉ことばは、いかにも良よいものだ。15:24 知恵ちえある人ひとの道みちは上のぼって命いのちに至いたる、こうしてその人ひとは下したにある陰府よみを離はなれる。15:25 主しゅは高たかぶる者ものの家いえを滅ほろぼし、やもめの地境じざかいを定さだめられる。15:26 悪人あくにんの計はかりごとは主しゅに憎にくまれ、潔白けっぱくな人ひとの言葉ことばは彼かれに喜よろこばれる。15:27 不正ふせいな利りをむさぼる者ものはその家いえを煩わずらわせる、まいないを憎にくむ者ものは生いきながらえる。15:28 正ただしい者ものの心こころは答こたえるべきことを考かんがえる、悪あしき者ものの口くちは悪あくを吐はき出だす。15:29 主しゅは悪あしき者ものに遠とおざかり、正ただしい者ものの祈いのりを聞きかれる。15:30 目めの光ひかりは心こころを喜よろこばせ、よい知しらせは骨ほねを潤うるおす。15:31 ためになる戒いましめを聞きく耳みみをもつ者ものは、知恵ちえある者ものの中なかにとどまる。15:32 教訓きょうくんを捨すてる者ものはおのれの命いのちを軽かろんじ、戒いましめを重おもんじる者ものは悟さとりを得える。15:33 主しゅを恐おそれることは知恵ちえの教訓きょうくんである、謙遜けんそんは、栄誉えいよに先さきだつ。
15:1 柔やわらかい答こたえは憤いきどおりをとどめ、激はげしい言葉ことばは怒いかりをひきおこす。
15:2 知恵ちえある者ものの舌したは知識ちしきをわかち与あたえ、愚おろかな者ものの口くちは愚おろかを吐はき出だす。
15:3 主しゅの目めはどこにでもあって、悪人あくにんと善人ぜんにんとを見張みはっている。
15:4 優やさしい舌したは命いのちの木きである、乱暴らんぼうな言葉ことばは魂たましいを傷きずつける。
15:5 愚おろかな者ものは父ちちの教訓きょうくんを軽かろんじる、戒いましめを守まもる者ものは賢かしこい者ものである。
15:6 正ただしい者ものの家いえには多おおくの宝たからがある、悪あしき者ものの所得しょとくには煩わずらいがある。
15:7 知恵ちえある者もののくちびるは知識ちしきをひろめる、愚おろかな者ものの心こころはそうでない。
15:8 悪あしき者ものの供そなえ物ものは主しゅに憎にくまれ、正ただしい者ものの祈いのりは彼かれに喜よろこばれる。
15:9 悪あしき者ものの道みちは主しゅに憎にくまれ、正義せいぎを求もとめる者ものは彼かれに愛あいせられる。
15:10 道みちを捨すてる者ものには、きびしい懲こらしめがあり、戒いましめを憎にくむ者ものは死しに至いたる。
15:11 陰府よみと滅ほろびとは主しゅの目めの前まえにあり、人ひとの心こころはなおさらである。
15:12 あざける者ものは戒いましめられることを好このまない、また知恵ちえある者ものに近ちかづかない。
15:13 心こころに楽たのしみがあれば顔色かおいろも喜よろこばしい、心こころに憂うれいがあれば気きはふさぐ。
15:14 さとき者ものの心こころは知識ちしきをたずね、愚おろかな者ものの口くちは愚おろかさを食物しょくもつとする。
15:15 悩なやんでいる者ものの日々ひびはことごとくつらく、心こころの楽たのしい人ひとは常つねに宴会えんかいをもつ。
15:16 少すこしの物ものを所有しょゆうして主しゅを恐おそれるのは、多おおくの宝たからをもって苦く労ろうするのにまさる。
15:17 野菜やさいを食たべて互たがいに愛あいするのは、肥こえた牛うしを食たべて互たがいに憎にくむのにまさる。
15:18 憤いきどおりやすい者ものは争あらそいをおこし、怒いかりをおそくする者ものは争あらそいをとどめる。
15:19 なまけ者ものの道みちには、いばらがはえしげり、正ただしい者ものの道みちは平たいらかである。
15:20 知恵ちえある子こは父ちちを喜よろこばせる、愚おろかな人ひとはその母ははを軽かろんじる。
15:21 無知むちな者ものは愚おろかなことを喜よろこび、さとき者ものはまっすぐに歩あゆむ。
15:22 相あいはかることがなければ、計画けいかくは破やぶれる、はかる者ものが多おおければ、それは必かならず成なる。
15:23 人ひとは口くちから出でる好このましい答こたえによって喜よろこびを得える、時ときにかなった言葉ことばは、いかにも良よいものだ。
15:24 知恵ちえある人ひとの道みちは上のぼって命いのちに至いたる、こうしてその人ひとは下したにある陰府よみを離はなれる。
15:25 主しゅは高たかぶる者ものの家いえを滅ほろぼし、やもめの地境じざかいを定さだめられる。
15:26 悪人あくにんの計はかりごとは主しゅに憎にくまれ、潔白けっぱくな人ひとの言葉ことばは彼かれに喜よろこばれる。
15:27 不正ふせいな利りをむさぼる者ものはその家いえを煩わずらわせる、まいないを憎にくむ者ものは生いきながらえる。
15:28 正ただしい者ものの心こころは答こたえるべきことを考かんがえる、悪あしき者ものの口くちは悪あくを吐はき出だす。
15:29 主しゅは悪あしき者ものに遠とおざかり、正ただしい者ものの祈いのりを聞きかれる。
15:30 目めの光ひかりは心こころを喜よろこばせ、よい知しらせは骨ほねを潤うるおす。
15:31 ためになる戒いましめを聞きく耳みみをもつ者ものは、知恵ちえある者ものの中なかにとどまる。
15:32 教訓きょうくんを捨すてる者ものはおのれの命いのちを軽かろんじ、戒いましめを重おもんじる者ものは悟さとりを得える。
15:33 主しゅを恐おそれることは知恵ちえの教訓きょうくんである、謙遜けんそんは、栄誉えいよに先さきだつ。