口語訳聖書(振り仮名付き)
章: 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31
箴言しんげん
第16章 Pr-Audio
16:1 心こころにはかることは人ひとに属ぞくし、舌したの答こたえは主しゅから出でる。
16:2 人ひとの道みちは自分じぶんの目めにことごとく潔いさぎよしと見みえる、しかし主しゅは人ひとの魂たましいをはかられる。
16:3 あなたのなすべき事ことを主しゅにゆだねよ、そうすれば、あなたの計はかるところは必かならず成なる。
16:4 主しゅはすべての物ものをおのおのその用ようのために造つくり、悪あしき人ひとをも災わざわいの日ひのために造つくられた。
16:5 すべて心こころに高たかぶる者ものは主しゅに憎にくまれる、確たしかに、彼かれは罰ばつを免まぬかれない。
16:6 いつくしみとまことによって、とがはあがなわれる、主しゅを恐おそれることによって、人ひとは悪あくを免まぬかれる。
16:7 人ひとの道みちが主しゅを喜よろこばせる時とき、主しゅはその人ひとの敵てきをもその人ひとと和やわらがせられる。
16:8 正義せいぎによって得えたわずかなものは、不義ふぎによって得えた多おおくの宝たからにまさる。
16:9 人ひとは心こころに自分じぶんの道みちを考かんがえ計はかる、しかし、その歩あゆみを導みちびく者ものは主しゅである。
16:10 王おうのくちびるには神かみの決定けっていがある、さばきをするとき、その口くちに誤あやまりがない。
16:11 正ただしいはかりと天てんびんとは主しゅのものである、袋ふくろにあるふんどうもすべて彼かれの つくられたものである。
16:12 悪あくを行おこなうことは王おうの憎にくむところである、その位くらいが正義せいぎによって堅かたく立たっているからである。
16:13 正ただしいくちびるは王おうに喜よろこばれる、彼かれは正ただしい事ことを言いう者ものを愛あいする。
16:14 王おうの怒いかりは死しの使者ししゃである、知恵ちえある人ひとはこれをなだめる。
16:15 王おうの顔かおの光ひかりには命いのちがある、彼かれの恵めぐみは春雨はるさめをもたらす雲くものようだ。
16:16 知恵ちえを得えるのは金きんを得えるのにまさる、悟さとりを得えるのは銀ぎんを得えるよりも望のぞましい。
16:17 悪あくを離はなれることは正ただしい人ひとの道みちである、自分じぶんの道みちを守まもる者ものはその魂たましいを守まもる。
16:18 高たかぶりは滅ほろびにさきだち、誇ほこる心こころは倒たおれにさきだつ。
16:19 へりくだって貧まずしい人々ひとびとと共ともにおるのは、高たかぶる者ものと共ともにいて、獲物えものを分わけるにまさる。
16:20 慎つつしんで、み言葉ことばをおこなう者ものは栄さかえる、主しゅに寄より頼たのむ者ものはさいわいである。
16:21 心こころに知恵ちえある者ものはさとき者ものととなえられる、くちびるが甘あまければ、その教おしえに人ひとを説ときつける力ちからを増ます。
16:22 知恵ちえはこれを持もつ者ものに命いのちの泉いずみとなる、しかし、愚おろかさは愚おろかな者ものの受うける懲こらしめである。
16:23 知恵ちえある者ものの心こころはその言いうところを賢かしこくし、またそのくちびるに人ひとを説ときつける力ちからを増ます。
16:24 ここちよい言葉ことばは蜂蜜はちみつのように、魂たましいに甘あまく、からだを健すこやかにする。
16:25 人ひとが見みて自分じぶんで正ただしいとする道みちがあり、その終おわりはついに死しにいたる道みちとなるものがある。
16:26 ほねおる者ものは飲食いんしょくのためにほねおる、その口くちが自分じぶんに迫せまるからである。
16:27 よこしまな人ひとは悪あくを企くわだてる、そのくちびるには激はげしい火ひのようなものがある。
16:28 偽いつわる者ものは争あらそいを起おこし、つげ口ぐちする者ものは親したしい友ともを離はなれさせる。
16:29 しえたげる者ものはその隣となり人びとをいざない、これを良よくない道みちに導みちびく。
16:30 めくばせする者ものは悪あくを計はかり、くちびるを縮ちぢめる者ものは悪事あくじをなし遂とげる。
16:31 しらがは栄さかえの冠かんむりである、正ただしく生いきることによってそれが得えられる。
16:32 怒いかりをおそくする者ものは勇士ゆうしにまさり、自分じぶんの心こころを治おさめる者ものは城しろを攻せめ取とる者ものにまさる。
16:33 人ひとはくじをひく、しかし事ことを定さだめるのは全まったく主しゅのことである。
第17章 17:1 平穏へいおんであって、ひとかたまりのかわいたパンのあるのは、争あらそいがあって、食物しょくもつの豊ゆたかな家いえにまさる。17:2 賢かしこいしもべは身持みもちの悪わるいむすこを治おさめ、かつ、その兄弟きょうだいたちの中なかにあって、資産しさんの分わけ前まえを獲える。17:3 銀ぎんを試こころみるものはるつぼ、金きんを試こころみるものは炉ろ、人ひとの心こころを試こころみるものは主しゅである。17:4 悪あくを行おこなう者ものは偽いつわりのくちびるに聞きき、偽いつわりをいう者ものは悪あしき舌したに耳みみを傾かたむける。17:5 貧まずしい者ものをあざける者ものはその造つくり主ぬしを侮あなどる、人ひとの災わざわいを喜よろこぶ者ものは罰ばつを免まぬかれない。17:6 孫まごは老人ろうじんの冠かんむりである、父ちちは子この栄さかえである。17:7 すぐれた言葉ことばは愚おろかな者ものには似合にあわない、まして偽いつわりを言いうくちびるは君きみたる者ものには似合にあわない。17:8 まいないはこれを贈おくる人ひとの目めには幸運こううんの玉たまのようだ、その向むかう所ところ、どこでも彼かれは栄さかえる。17:9 愛あいを追おい求もとめる人ひとは人ひとのあやまちをゆるす、人ひとのことを言いいふらす者ものは友ともを離はなれさせる。17:10 一度どの戒いましめがさとき人ひとに徹てっするのは、百度どの懲こらしめが愚おろかな人ひとに徹てっするよりも深ふかい。17:11 悪あしき者ものはただ、そむく事ことのみを求もとめる、それゆえ、彼かれに向むかっては残忍ざんにんな使者ししゃがつかわされる。17:12 愚おろかな者ものが愚おろかな事ことをするのに会あうよりは、子こをとられた雌めぐまに会あうほうがよい。17:13 悪あくをもて善ぜんに報むくいる者ものは、悪あくがその家いえを離はなれることがない。17:14 争あらそいの初はじめは水みずがもれるのに似にている、それゆえ、けんかの起おこらないうちにそれをやめよ。17:15 悪あしき者ものを正ただしいとする者もの、正ただしい者ものを悪わるいとする者もの、この二つの者ものはともに主しゅに憎にくまれる。17:16 愚おろかな者ものはすでに心こころがないのに、どうして知恵ちえを買かおうとして手てにその代金だいきんを持もっているのか。17:17 友ともはいずれの時ときにも愛あいする、兄弟きょうだいはなやみの時ときのために生うまれる。17:18 知恵ちえのない人ひとは手てをうって、その隣となり人びとの前まえで保証ほしょうをする。17:19 争あらそいを好このむ者ものは罪つみを好このむ、その門もんを高たかくする者ものは滅ほろびを求もとめる。17:20 曲まがった心こころの者ものはさいわいを得えない、みだりに舌したをもって語かたる者ものは災わざわいに陥おちいる。17:21 愚おろかな子こを生うむ者ものは嘆なげきを得える、愚おろか者ものの父ちちは喜よろこびを得えない。17:22 心こころの楽たのしみは良よい薬くすりである、たましいの憂うれいは骨ほねを枯からす。17:23 悪あしき者ものは人ひとのふところからまいないを受うけて、さばきの道みちをまげる。17:24 さとき者ものはその顔かおを知恵ちえにむける、しかし、愚おろかな者ものは目めを地ちの果はてにそそぐ。17:25 愚おろかな子こはその父ちちの憂うれいである、またこれを産うんだ母ははの痛いたみである。17:26 正ただしい人ひとを罰ばっするのはよくない、尊たっとい人ひとを打うつのは悪わるい。17:27 言葉ことばを少すくなくする者ものは知識ちしきのある者もの、心こころの冷静れいせいな人ひとはさとき人ひとである。17:28 愚おろかな者ものも黙だまっているときは、知恵ちえある者ものと思おもわれ、そのくちびるを閉とじている時ときは、さとき者ものと思おもわれる。 第18章 18:1 人ひとと交まじわりをしない者ものは口実こうじつを捜さがし、すべてのよい考かんがえに激はげしく反対はんたいする。18:2 愚おろかな者ものは悟さとることを喜よろこばず、ただ自分じぶんの意見いけんを言いい表あらわすことを喜よろこぶ。18:3 悪あしき者ものが来くると、卑いやしめもまた来くる、不名誉ふめいよが来くると、はずかしめも共ともにくる。18:4 人ひとの口くちの言葉ことばは深ふかい水みずのようだ、知恵ちえの泉いずみは、わいて流ながれる川かわである。18:5 悪あしき者ものをえこひいきすることは良よくない、正ただしい者ものをさばいて、悪あしき者ものとすることも良よくない。18:6 愚おろかな者もののくちびるは争あらそいを起おこし、その口くちはむち打うたれることを招まねく。18:7 愚おろかな者ものの口くちは自分じぶんの滅ほろびとなり、そのくちびるは自分じぶんを捕とらえるわなとなる。18:8 人ひとのよしあしをいう者ものの言葉ことばはおいしい食物しょくもつのようで、腹はらの奥おくにしみこむ。18:9 その仕事しごとを怠おこたる者ものは、滅ほろぼす者ものの兄弟きょうだいである。18:10 主しゅの名なは堅固けんごなやぐらのようだ、正ただしい者ものはその中なかに走はしりこんで救すくいを得える。18:11 富とめる者ものの富とみはその堅かたき城しろである、それは高たかき城壁じょうへきのように彼かれを守まもる。18:12 人ひとの心こころの高たかぶりは滅ほろびにさきだち、謙遜けんそんは栄誉えいよにさきだつ。18:13 事ことをよく聞きかないで答こたえる者ものは、愚おろかであって恥はじをこうむる。18:14 人ひとの心こころは病苦びょうくをも忍しのぶ、しかし心こころの痛いたむときは、だれがそれに耐たえようか。18:15 さとき者ものの心こころは知識ちしきを得え、知恵ちえある者ものの耳みみは知識ちしきを求もとめる。18:16 人ひとの贈おくり物ものは、その人ひとのために道みちをひらき、また尊たっとい人ひとの前まえに彼かれを導みちびく。18:17 先さきに訴うったえ出でる者ものは正ただしいように見みえる、しかしその訴うったえられた人ひとが来きて、それを調しらべて、事ことは明あきらかになる。18:18 くじは争あらそいをとどめ、かつ強つよい争あらそい相手あいての間あいだを決定けっていする。18:19 助たすけあう兄弟きょうだいは堅固けんごな城しろのようだ、しかし争あらそいは、やぐらの貫かんの木きのようだ。18:20 人ひとは自分じぶんの言葉ことばの結むすぶ実みによって、満みち足たり、そのくちびるの産物さんぶつによって自みずから飽あきる。18:21 死しと生せいとは舌したに支配しはいされる、これを愛あいする者ものはその実みを食たべる。18:22 妻つまを得える者ものは、良よき物ものを得える、かつ主しゅから恵めぐみを与あたえられる。18:23 貧まずしい者ものは、あわれみを請こい、富とめる者ものは、はげしい答こたえをする。18:24 世よには友ともらしい見みせかけの友ともがある、しかし兄弟きょうだいよりもたのもしい友とももある。 第19章 19:1 正ただしく歩あゆむ貧まずしい者ものは、曲まがったことを言いう愚おろかな者ものにまさる。19:2 人ひとが知識ちしきのないのは良よくない、足あしで急いそぐ者ものは道みちに迷まよう。19:3 人ひとは自分じぶんの愚おろかさによって道みちにつまずき、かえって心こころのうちに主しゅをうらむ。19:4 富とみは多おおくの新あたらしい友ともを作つくる、しかし貧まずしい人ひとはその友ともに捨すてられる。19:5 偽いつわりの証人しょうにんは罰ばつを免まぬかれない、偽いつわりをいう者ものはのがれることができない。19:6 気前きまえのよい人ひとにこびる者ものは多おおい、人ひとはみな贈おくり物ものをする人ひとの友ともとなる。19:7 貧まずしい者ものはその兄弟きょうだいすらもみなこれを憎にくむ、ましてその友ともはこれに遠とおざからないであろうか。言葉ことばをかけてこれを呼よんでも、去さって帰かえらないのである。19:8 知恵ちえを得える者ものは自分じぶんの魂たましいを愛あいし、悟さとりを保たもつ者ものは幸さいわいを得える。19:9 偽いつわりの証人しょうにんは罰ばつを免まぬかれない、偽いつわりをいう者ものは滅ほろびる。19:10 愚おろかな者ものが、ぜいたくな暮くらしをするのは、ふさわしいことではない、しもべたる者ものが、君きみたる者ものを治おさめるなどは、なおさらである。19:11 悟さとりは人ひとに怒いかりを忍しのばせる、あやまちをゆるすのは人ひとの誉ほまれである。19:12 王おうの怒いかりは、ししのほえるようであり、その恵めぐみは草くさの上うえにおく露つゆのようである。19:13 愚おろかな子こはその父ちちの災わざわいである、妻つまの争あらそうのは、雨漏あまもりの絶たえないのとひとしい。19:14 家いえと富とみとは先祖せんぞからうけつぐもの、賢かしこい妻つまは主しゅから賜たまわるものである。19:15 怠おこたりは人ひとを熟睡じゅくすいさせる、なまけ者ものは飢うえる。19:16 戒いましめを守まもる者ものは自分じぶんの魂たましいを守まもる、み言葉ことばを軽かろんじる者ものは死しぬ。19:17 貧まずしい者ものをあわれむ者ものは主しゅに貸かすのだ、その施ほどこしは主しゅが償つぐなわれる。19:18 望のぞみのあるうちに、自分じぶんの子こを懲こらせ、これを滅ほろぼす心こころを起おこしてはならない。19:19 怒いかることの激はげしい者ものは罰ばつをうける、たとい彼かれを救すくってやっても、さらにくり返かえさねばならない。19:20 勧すすめを聞きき、教訓きょうくんをうけよ、そうすれば、ついには知恵ちえある者ものとなる。19:21 人ひとの心こころには多おおくの計画けいかくがある、しかしただ主しゅの、み旨むねだけが堅かたく立たつ。19:22 人ひとに望のぞましいのは、いつくしみ深ふかいことである、貧まずしい人ひとは偽いつわりをいう人ひとにまさる。19:23 主しゅを恐おそれることは人ひとを命いのちに至いたらせ、常つねに飽あき足たりて、災わざわいにあうことはない。19:24 なまけ者ものは、手てを皿さらに入いれても、それを口くちに持もってゆくことをしない。19:25 あざける者ものを打うて、そうすれば思慮しりょのない者ものも慎つつしむ。さとき者ものを戒いましめよ、そうすれば彼かれは知識ちしきを得える。19:26 父ちちに乱暴らんぼうをはたらき、母ははを追おい出だす者ものは、恥はじをきたらし、はずかしめをまねく子こである。19:27 わが子こよ、知識ちしきの言葉ことばをはなれて人ひとを迷まよわせる教訓きょうくんを聞きくことをやめよ。19:28 悪わるい証人しょうにんはさばきをあざけり、悪あしき者ものの口くちは悪あくをむさぼり食くう。19:29 さばきはあざける者もののために備そなえられ、むちは愚おろかな者ものの背せのために備そなえられる。 第20章 20:1 酒さけは人ひとをあざける者ものとし、濃こい酒さけは人ひとをあばれ者ものとする、これに迷まよわされる者ものは無知むちである。20:2 王おうの怒いかりは、ししがほえるようだ、彼かれを怒いからせる者ものは自分じぶんの命いのちをそこなう。20:3 争あらそいに関係かんけいしないことは人ひとの誉ほまれである、すべて愚おろかな者ものは怒いかり争あらそう。20:4 なまけ者ものは寒さむいときに耕たがやさない、それゆえ刈入かりいれのときになって、求もとめても何なにもない。20:5 人ひとの心こころにある計はかりごとは深ふかい井戸いどの水みずのようだ、しかし、さとき人ひとはこれをくみ出だす。20:6 自分じぶんは真実しんじつだという人ひとが多おおい、しかし、だれが忠信ちゅうしんな人ひとに会あうであろうか。20:7 欠かけた所ところなく、正ただしく歩あゆむ人ひと――その後のちの子孫しそんはさいわいである。20:8 さばきの座ざにすわる王おうはその目めをもって、すべての悪あくをふるいわける。20:9 だれが「わたしは自分じぶんの心こころを清きよめた、わたしの罪つみは清きよめられた」ということができようか。20:10 互たがいに違ちがった二種しゅのはかり、二種しゅのますは、ひとしく主しゅに憎にくまれる。20:11 幼おさな子ごでさえも、その行おこないによって自みずからを示しめし、そのすることの清きよいか正ただしいかを現あらわす。20:12 聞きく耳みみと、見みる目めとは、ともに主しゅが造つくられたものである。20:13 眠ねむりを愛あいしてはならない、そうすれば貧まずしくなる、目めを開ひらけ、そうすればパンに飽あくことができる。20:14 買かう者ものは、「悪わるい、悪わるい」という、しかし去さって後のち、彼かれは自みずから誇ほこる。20:15 金きんもあり、価あたいの高たかい宝石ほうせきも多おおくあるが、尊たっとい器うつわは知識ちしきのくちびるである。20:16 人ひとのために保証ほしょうする者ものからは、まずその着物きものを取とれ、他人たにんのために保証ほしょうする者ものをば抵当ていとうに取とれ。20:17 欺あざむき取とったパンはおいしい、しかし後のちにはその口くちは砂利じゃりで満みたされる。20:18 計はかりごとは共ともに議ぎすることによって成なる、戦たたかおうとするならば、まずよく議ぎしなければならない。20:19 歩あるきまわって人ひとのよしあしをいう者ものは秘密ひみつをもらす、くちびるを開ひらいて歩あるく者ものと交まじわってはならない。20:20 自分じぶんの父母ふぼをののしる者ものは、そのともしびは暗くらやみの中なかに消きえる。20:21 初はじめに急いそいで得えた資産しさんは、その終おわりがさいわいでない。20:22 「わたしが悪あくに報むくいる」と言いってはならない、主しゅを待まち望のぞめ、主しゅはあなたを助たすけられる。20:23 互たがいに違ちがった二種しゅのふんどうは主しゅに憎にくまれる、偽いつわりのはかりは良よくない。20:24 人ひとの歩あゆみは主しゅによって定さだめられる、人ひとはどうして自みずからその道みちを、明あきらかにすることができようか。20:25 軽々かるがるしく「これは聖せいなるささげ物ものだ」と言いい、また誓ちかいを立たてて後のちに考かんがえることは、その人ひとのわなとなる。20:26 知恵ちえある王おうは、箕みのをもってあおぎ分わけるように悪人あくにんを散ちらし、車くるまをもって脱穀だっこくするように、これを罰ばっする。20:27 人ひとの魂たましいは主しゅのともしびであり、人ひとの心こころの奥おくを探さぐる。20:28 いつくしみと、まこととは王おうを守まもる、その位くらいもまた正義せいぎによって保たもたれる。20:29 若わかい人ひとの栄さかえはその力ちから、老人ろうじんの美うつくしさはそのしらがである。20:30 傷きずつくまでに打うてば悪わるい所ところは清きよくなり、むちで打うてば心こころの底そこまでも清きよまる。 第21章 21:1 王おうの心こころは、主しゅの手てのうちにあって、水みずの流ながれのようだ、主しゅはみこころのままにこれを導みちびかれる。21:2 人ひとの道みちは自分じぶんの目めには正ただしく見みえる、しかし主しゅは人ひとの心こころをはかられる。21:3 正義せいぎと公平こうへいを行おこなうことは、犠牲ぎせいにもまさって主しゅに喜よろこばれる。21:4 高たかぶる目めとおごる心こころとは、悪あしき人ひとのともしびであって、罪つみである。21:5 勤勉きんべんな人ひとの計画けいかくは、ついにその人ひとを豊ゆたかにする、すべて おこたるものは貧まずしくなる。21:6 偽いつわりの舌したをもって宝たからを得えるのは、吹ふきはらわれる煙けむり、死しのわなである。21:7 悪あしき者ものの暴虐ぼうぎゃくはその身みを滅ほろぼす、彼かれらは公平こうへいを行おこなうことを好このまないからである。21:8 罪つみびとの道みちは曲まがっている、潔白けっぱくな人ひとの行おこないはまっすぐである。21:9 争あらそいを好このむ女おんなと一緒いっしょに家いえにおるよりは屋根やねのすみにおるほうがよい。21:10 悪あしき者ものの魂たましいは悪あくを行おこなうことを願ねがう、その隣となり人びとにも好意こういをもって見みられない。21:11 あざけるものが罰ばつをうけるならば、思慮しりょのない者ものは知恵ちえを得える。知恵ちえある者ものが教おしえをうけるならば知識ちしきを得える。21:12 正ただしい神かみは、悪あしき者ものの家いえをみとめて、悪あしき者ものを滅ほろびに投なげいれられる。21:13 耳みみを閉とじて貧まずしい者ものの呼よぶ声こえを聞きかない者ものは、自分じぶんが呼よぶときに、聞きかれない。21:14 ひそかな贈おくり物ものは憤いきどおりをなだめる、ふところのまいないは激はげしい怒いかりを和やわらげる。21:15 公義こうぎを行おこなうことは、正ただしい者ものには喜よろこびであるが、悪あくを行おこなう者ものには滅ほろびである。21:16 悟さとりの道みちを離はなれる人ひとは、死人しにんの集会しゅうかいの中なかにおる。21:17 快楽かいらくを好このむ者ものは貧まずしい人ひととなり、酒さけと油あぶらとを好このむ者ものは富とむことがない。21:18 悪あしき者ものは正ただしい者もののあがないとなり、不信実ふしんじつな者ものは正ただしい人ひとに代かわる。21:19 争あらそい怒いかる女おんなと共ともにおるよりは、荒野あらのに住すむほうがましだ。21:20 知恵ちえある者ものの家いえには尊たっとい宝たからがあり、愚おろかな人ひとはこれを、のみ尽つくす。21:21 正義せいぎといつくしみとを追おい求もとめる者ものは、命いのちと誉ほまれとを得える。21:22 知恵ちえある者ものは強つよい者ものの城しろにのぼって、その頼たのみとするとりでをくずす。21:23 口くちと舌したとを守まもる者ものはその魂たましいを守まもって、悩なやみにあわせない。21:24 高たかぶりおごる者ものを「あざける者もの」となづける、彼かれは高慢こうまん無礼ぶれいな行おこないをするものである。21:25 なまけ者ものの欲望よくぼうは自分じぶんの身みを殺ころす、これはその手てを働はたらかせないからである。21:26 悪あしき者ものはひねもす人ひとの物ものをむさぼる、正ただしい者ものは与あたえて惜おしまない。21:27 悪あしき者ものの供そなえ物ものは憎にくまれる、悪意あくいをもってささげる時ときはなおさらである。21:28 偽いつわりの証人しょうにんは滅ほろぼされる、よく聞きく人ひとの言葉ことばはすたることがない。21:29 悪あしき者ものはあつかましくし、正ただしい人ひとはその道みちをつつしむ。21:30 主しゅに向むかっては知恵ちえも悟さとりも、計はかりごとも、なんの役やくにも立たたない。21:31 戦たたかいの日ひのために馬うまを備そなえる、しかし勝利しょうりは主しゅによる。 第22章 22:1 令名れいめいは大おおいなる富とみにまさり、恩恵おんけいは銀ぎんや金きんよりも良よい。22:2 富とめる者ものと貧まずしい者ものとは共ともに世よにおる、すべてこれを造つくられたのは主しゅである。22:3 賢かしこい者ものは災わざわいを見みて自みずから避さけ、思慮しりょのない者ものは進すすんでいって、罰ばつをうける。22:4 謙遜けんそんと主しゅを恐おそれることとの報むくいは、富とみと誉ほまれと命いのちとである。22:5 よこしまな者ものの道みちにはいばらとわながあり、たましいを守まもる者ものは遠とおくこれを離はなれる。22:6 子こをその行いくべき道みちに従したがって教おしえよ、そうすれば年老としおいても、それを離はなれることがない。22:7 富とめる者ものは貧まずしき者ものを治おさめ、借かりる者ものは貸かす人ひとの奴隷どれいとなる。22:8 悪あくをまく者ものは災わざわいを刈かり、その怒いかりのつえはすたれる。22:9 人ひとを見みて恵めぐむ者ものはめぐまれる、自分じぶんのパンを貧まずしい人ひとに与あたえるからである。22:10 あざける者ものを追放ついほうすれば争あらそいもまた去さり、かつ、いさかいも、はずかしめもなくなる。22:11 心こころの潔白けっぱくを愛あいする者もの、その言葉ことばの上品じょうひんな者ものは、王おうがその友ともとなる。22:12 主しゅの目めは知識ちしきある者ものを守まもる、しかし主しゅは不信実ふしんじつな者ものの言葉ことばを敗やぶられる。22:13 なまけ者ものは言いう、「ししがそとにいる、わたしは、ちまたで殺ころされる」と。22:14 遊女ゆうじょの口くちは深ふかい落おとし穴あなである、主しゅに憎にくまれる者ものはその中なかに陥おちいる。22:15 愚おろかなことが子供こどもの心こころの中なかにつながれている、懲こらしめのむちは、これを遠とおく追おいだす。22:16 貧まずしい者ものをしえたげて自分じぶんの富とみを増まそうとする者ものと、富とめる者ものに与あたえる者ものとは、ついに必かならず貧まずしくなる。 22:17 あなたの耳みみを傾かたむけて知恵ちえある者ものの言葉ことばを聞きき、かつ、わたしの知識ちしきにあなたの心こころを用もちいよ。22:18 これをあなたのうちに保たもち、ことごとく、あなたのくちびるに備そなえておくなら、楽たのしいことである。22:19 あなたが主しゅに、寄より頼たのむことのできるように、わたしはきょう、これをあなたにも教おしえる。22:20 わたしは、勧すすめと知識ちしきとの三十の言葉ことばをあなたのためにしるしたではないか。22:21 それは正ただしいこと、真実しんじつなことをあなたに示しめし、あなたをつかわした者ものに真実しんじつの答こたえをさせるためであった。 22:22 貧まずしい者ものを、貧まずしいゆえに、かすめてはならない、悩なやむ者ものを、町まちの門もんでおさえつけてはならない。22:23 それは主しゅが彼かれらの訴うったえをただし、かつ彼かれらをそこなう者ものの命いのちを、そこなわれるからである。22:24 怒いかる者ものと交まじわるな、憤いきどおる人ひとと共ともに行いくな。22:25 それはあなたがその道みちにならって、みずから、わなに陥おちいることのないためである。22:26 あなたは人ひとと手てを打うつ者ものとなってはならない、人ひとの負債ふさいの保証ほしょうをしてはならない。22:27 あなたが償つぐなうものがないとき、あなたの寝ねている寝床ねどこまでも、人ひとが奪うばい取とってよかろうか。22:28 あなたの先祖せんぞが立たてた古ふるい地境じざかいを移うつしてはならない。22:29 あなたはそのわざに巧たくみな人ひとを見みるか、そのような人ひとは王おうの前まえに立たつが、卑いやしい人々ひとびとの前まえには立たたない。 第23章 23:1 治おさめる人ひとと共ともに座ざして食事しょくじするとき、あなたの前まえにあるものを、よくわきまえ、23:2 あなたがもし食しょくをたしなむ者ものであるならば、あなたののどに刀かたなをあてよ。23:3 そのごちそうをむさぼり食たべてはならない、これは人ひとを欺あざむく食物しょくもつだからである。23:4 富とみを得えようと苦労くろうしてはならない、かしこく思おもいとどまるがよい。23:5 あなたの目めをそれにとめると、それはない、富とみはたちまち自みずから翼つばさを生しょうじて、わしのように天てんに飛とび去さるからだ。23:6 物惜ものおしみする人ひとのパンを食たべてはならない、そのごちそうをむさぼり願ねがってはならない。23:7 彼かれは心こころのうちで勘定かんじょうする人ひとのように、「食くえ、飲のめ」とあなたに言いうけれども、その心こころはあなたに真実しんじつではない。23:8 あなたはついにその食たべた物ものを吐はき出だすようになり、あなたのねんごろな言葉ことばもむだになる。23:9 愚おろかな者ものの耳みみに語かたってはならない、彼かれはあなたの言葉ことばが示しめす知恵ちえをいやしめるからだ。23:10 古ふるい地境じざかいを移うつしてはならない、みなしごの畑はたけを侵おかしてはならない。23:11 彼かれらのあがない主しゅは強つよくいらせられ、あなたに逆さからって彼かれらの訴うったえを弁護べんごされるからだ。23:12 あなたの心こころを教訓きょうくんに用もちい、あなたの耳みみを知識ちしきの言葉ことばに傾かたむけよ。23:13 子こを懲こらすことを、さし控ひかえてはならない、むちで彼かれを打うっても死しぬことはない。23:14 もし、むちで彼かれを打うつならば、その命いのちを陰府よみから救すくうことができる。23:15 わが子こよ、もしあなたの心こころが賢かしこくあれば、わたしの心こころもまた喜よろこび、23:16 もしあなたのくちびるが正ただしい事ことを言いうならば、わたしの心こころも喜よろこぶ。23:17 心こころに罪つみびとをうらやんではならない、ただ、ひねもす主しゅを恐おそれよ。23:18 かならず後のちのよい報むくいがあって、あなたの望のぞみは、すたらない。23:19 わが子こよ、よく聞きいて、知恵ちえを得えよ、かつ、あなたの心こころを道みちに向むけよ。23:20 酒さけにふけり、肉にくをたしなむ者ものと交まじわってはならない。23:21 酒さけにふける者ものと、肉にくをたしなむ者ものとは貧まずしくなり、眠ねむりをむさぼる者ものは、ぼろを身みにまとうようになる。23:22 あなたを生うんだ父ちちのいうことを聞きき、年老としおいた母ははを軽かろんじてはならない。23:23 真理しんりを買かえ、これを売うってはならない、知恵ちえと教訓きょうくんと悟さとりをも買かえ。23:24 正ただしい人ひとの父ちちは大おおいによろこび、知恵ちえある子こを生うむ者ものは子このために楽たのしむ。23:25 あなたの父母ふぼを楽たのしませ、あなたを産うんだ母ははを喜よろこばせよ。23:26 わが子こよ、あなたの心こころをわたしに与あたえ、あなたの目めをわたしの道みちに注そそげ。23:27 遊女ゆうじょは深ふかい穴あなのごとく、みだらな女おんなは狭せまい井戸いどのようだ。23:28 彼女かのじょは盗ぬすびとのように人ひとをうかがい、かつ世よの人ひとのうちに、不信実ふしんじつな者ものを多おおくする。23:29 災わざわいある者ものはだれか、憂うれいある者ものはだれか、争あらそいをする者ものはだれか、煩わずらいある者ものはだれか、ゆえなく傷きずをうける者ものはだれか、赤あかい目めをしている者ものはだれか。23:30 酒さけに夜よるをふかす者もの、行いって、混まぜ合あわせた酒さけを味あじわう者ものである。23:31 酒さけはあかく、杯はいの中なかにあわだち、なめらかにくだる、あなたはこれを見みてはならない。23:32 これはついに、へびのようにかみ、まむしのように刺さす。23:33 あなたの目めは怪あやしいものを見み、あなたの心こころは偽いつわりを言いう。23:34 あなたは海うみの中なかに寝ねている人ひとのように、帆柱ほばしらの上うえに寝ねている人ひとのようになる。23:35 あなたは言いう、「人ひとがわたしを撃うったが、わたしは痛いたくはなかった。わたしを、たたいたが、わたしは何なにも覚おぼえはない。いつわたしはさめるのか、また酒さけを求もとめよう」と。 第24章 24:1 悪あくを行おこなう人ひとをうらやんではならない、また彼かれらと共ともにおることを願ねがってはならない。24:2 彼かれらはその心こころに強奪ごうだつを計はかり、そのくちびるに人ひとをそこなうことを語かたるからである。24:3 家いえは知恵ちえによって建たてられ、悟さとりによって堅かたくせられ、24:4 また、へやは知識ちしきによってさまざまの尊たっとく、麗うるわしい宝たからで満みたされる。24:5 知恵ちえある者ものは強つよい人ひとよりも強つよく、知識ちしきある人ひとは力ちからある人ひとよりも強つよい。24:6 良よい指揮しきによって戦たたかいをすることができ、勝利しょうりは多おおくの議ぎする者ものがいるからである。24:7 知恵ちえは高たかくて愚おろかな者ものの及およぶところではない、愚おろかな者ものは門もんで口くちを開ひらくことができない。24:8 悪あくを行おこなうことを計はかる者ものを人ひとはいたずら者ものととなえる。24:9 愚おろかな者ものの計はかるところは罪つみであり、あざける者ものは人ひとに憎にくまれる。 24:10 もしあなたが悩なやみの日ひに気きをくじくならば、あなたの力ちからは弱よわい。24:11 死地しちにひかれゆく者ものを助たすけ出だせ、滅ほろびによろめきゆく者ものを救すくえ。24:12 あなたが、われわれはこれを知しらなかったといっても、心こころをはかる者ものはそれを悟さとらないであろうか。あなたの魂たましいを守まもる者ものはそれを知しらないであろうか。彼かれはおのおのの行おこないにより、人ひとに報むくいないであろうか。 24:13 わが子こよ、蜜みつを食たべよ、これは良よいものである、また、蜂はちの巣すのしたたりはあなたの口くちに甘あまい。24:14 知恵ちえもあなたの魂たましいにはそのようであることを知しれ。それを得えるならば、かならず報むくいがあって、あなたの望のぞみは、すたらない。24:15 悪あしき者ものがするように、正ただしい者ものの家いえをうかがってはならない、その住すむ所ところに乱暴らんぼうをしてはならない。24:16 正ただしい者ものは七たび倒たおれても、また起おきあがる、しかし、悪あしき者ものは災わざわいによって滅ほろびる。24:17 あなたのあだが倒たおれるとき楽たのしんではならない、彼かれのつまずくとき心こころに喜よろこんではならない。24:18 主しゅはそれを見みて悪わるいこととし、その怒いかりを彼かれから転てんじられる。24:19 悪あくを行おこなう者もののゆえに心こころを悩なやましてはならない、よこしまな者ものをうらやんではならない。24:20 悪あしき者ものには後のちの良よい報むくいはない、よこしまな者もののともしびは消けされる。24:21 わが子こよ、主しゅと王おうとを恐おそれよ、そのいずれにも不ふ従順じゅうじゅんであってはならない。24:22 その災わざわいはたちまち起おこるからである。この二つの者ものからくる滅ほろびをだれが知しり得えようか。 24:23 これらもまた知恵ちえある者ものの箴言しんげんである。 片寄かたよったさばきをするのは、よくない。24:24 悪あしき者ものに向むかって、「あなたは正ただしい」という者ものを、人々ひとびとはのろい、諸民しょみんは憎にくむ。24:25 悪あしき者ものをせめる者ものは恵めぐみを得える、また幸福こうふくが与あたえられる。24:26 正ただしい答こたえをする者ものは、くちびるに、口くちづけするのである。24:27 外そとで、あなたの仕事しごとを整ととのえ、畑はたけで、すべての物ものをおのれのために備そなえ、その後のちあなたの家いえを建たてるがよい。24:28 ゆえなく隣となり人びとに敵てきして、証言しょうげんをしてはならない、くちびるをもって欺あざむいてはならない。24:29 「彼かれがわたしにしたように、わたしも彼かれにしよう、わたしは人ひとがしたところにしたがって、その人ひとに報むくいよう」と言いってはならない。 24:30 わたしはなまけ者ものの畑はたけのそばと、知恵ちえのない人ひとのぶどう畑はたけのそばを通とおってみたが、24:31 いばらが一面いちめんに生はえ、あざみがその地面じめんをおおい、その石いしがきはくずれていた。24:32 わたしはこれをみて心こころをとどめ、これを見みて教訓きょうくんを得えた。24:33 「しばらく眠ねむり、しばらくまどろみ、手てをこまぬいて、またしばらく休やすむ」。24:34 それゆえ、貧まずしさは盗ぬすびとのように、あなたに来き、乏とぼしさは、つわもののように、あなたに来くる。 第25章 25:1 これらもまたソロモンの箴言しんげんであり、ユダの王おうヒゼキヤに属ぞくする人々ひとびとがこれを書かき写うつした。25:2 事ことを隠かくすのは神かみの誉ほまれであり、事ことを窮きわめるのは王おうの誉ほまれである。25:3 天てんの高たかさと地ちの深ふかさと、王おうたる者ものの心こころとは測はかることができない。25:4 銀ぎんから、かなくそを除のぞけ、そうすれば、銀ぎん細工人ざいくにんが器うつわを造つくる材料ざいりょうとなる。25:5 王おうの前まえから悪あしき者ものを除のぞけ、そうすれば、その位くらいは正義せいぎによって堅かたく立たつ。25:6 王おうの前まえで自みずから高たかぶってはならない、偉えらい人ひとの場ばに立たってはならない。25:7 尊たっとい人ひとの前まえで下したにさげられるよりは、「ここに上あがれ」といわれるほうがましだ。25:8 あなたが目めに見みたことを、軽々かるがるしく法廷ほうていに出だしてはならない。あとになり、あなたが隣となり人びとにはずかしめられるとき、あなたはどうしようとするのか。25:9 隣となり人びとと争あらそうことがあるならば、ただその人ひとと争あらそえ、他人たにんの秘密ひみつをもらしてはならない。25:10 そうでないと、聞きく者ものがあなたをいやしめ、あなたは、いつまでもそしられる。 25:11 おりにかなって語かたる言葉ことばは、銀ぎんの彫ほり物ものに金きんのりんごをはめたようだ。25:12 知恵ちえをもって戒いましめる者ものは、これをきく者ものの耳みみにとって、金きんの耳輪みみわ、精せい金きんの飾かざりのようだ。25:13 忠実ちゅうじつな使者ししゃはこれをつかわす者ものにとって、刈入かりいれの日ひに冷ひややかな雪ゆきがあるようだ、よくその主人しゅじんの心こころを喜よろこばせる。25:14 贈おくり物ものをすると偽いつわって誇ほこる人ひとは、雨あめのない雲くもと風かぜのようだ。 25:15 忍耐にんたいをもって説とけば君きみも言葉ことばをいれる、柔やわらかな舌したは骨ほねを砕くだく。25:16 蜜みつを得えたならば、ただ足たるほどにこれを食たべよ、おそらくは食たべすごして、それを吐はき出だすであろう。25:17 隣となり人びとの家いえに足あしをしげくしてはならない、おそらくは彼かれは煩わずらわしくなって、あなたを憎にくむようになろう。25:18 隣となり人びとに敵てきして偽いつわりのあかしを立たてる人ひとは、こん棒ぼう、つるぎ、または鋭するどい矢やのようだ。25:19 悩なやみに会あうとき不信実ふしんじつな者ものを頼たのみにするのは、悪わるい歯は、またはなえた足あしを頼たのみとするようなものだ。25:20 心こころの痛いためる人ひとの前まえで歌うたをうたうのは、寒さむい日ひに着物きものを脱ぬぐようであり、また傷きずの上うえに酢すをそそぐようだ。25:21 もしあなたのあだが飢うえているならば、パンを与あたえて食たべさせ、もしかわいているならば水みずを与あたえて飲のませよ。25:22 こうするのは、火ひを彼かれのこうべに積つむのである、主しゅはあなたに報むくいられる。25:23 北風きたかぜは雨あめを起おこし、陰言かげごとをいう舌したは人ひとの顔かおを怒いからす。25:24 争あらそいを好このむ女おんなと一緒いっしょに家いえにおるよりは、屋根やねのすみにおるほうがよい。25:25 遠とおい国くにから来くるよい消息しょうそくは、かわいている人ひとが飲のむ冷ひややかな水みずのようだ。25:26 正ただしい者ものが悪わるい者ものの前まえに屈服くっぷくするのは、井戸いどが濁にごったよう、また泉いずみがよごれたようなものだ。25:27 蜜みつを多おおく食たべるのはよくない、ほめる言葉ことばは控ひかえ目めにするがよい。25:28 自分じぶんの心こころを制せいしない人ひとは、城壁じょうへきのない破やぶれた城しろのようだ。 第26章 26:1 誉ほまれが愚おろかな者ものにふさわしくないのは、夏なつに雪ゆきが降ふり、刈入かりいれの時ときに雨あめが降ふるようなものだ。26:2 いわれのないのろいは、飛とびまわるすずめや、飛とびかけるつばめのようなもので、止とまらない。26:3 馬うまのためにはむちがあり、ろばのためにはくつわがあり、愚おろかな者ものの背せのためにはつえがある。26:4 愚おろかな者ものにその愚おろかさにしたがって答こたえをするな、自分じぶんも彼かれと同おなじようにならないためだ。26:5 愚おろかな者ものにその愚おろかさにしたがって答こたえをせよ、彼かれが自分じぶんの目めに自みずからを知恵ちえある者ものと見みないためだ。26:6 愚おろかな者ものに託たくして事ことを言いい送おくる者ものは、自分じぶんの足あしを切きり去さり、身みに害がいをうける。26:7 あしなえの足あしは用ようがない、愚おろかな者ものの口くちには箴言しんげんもそれにひとしい。26:8 誉ほまれを愚おろかな者ものに与あたえるのは、石いしを石いし投なげにつなぐようだ。26:9 愚おろかな者ものの口くちに箴言しんげんがあるのは、酔よった者ものが、とげのあるつえを手てで振ふり上あげるようだ。26:10 通とおりがかりの愚おろか者ものや、酔よった者ものを雇やとう者ものは、すべての人ひとを傷きずつける射手いてのようだ。26:11 犬いぬが帰かえって来きてその吐はいた物ものを食たべるように、愚おろかな者ものはその愚おろかさをくり返かえす。26:12 自分じぶんの目めに自みずからを知恵ちえある者ものとする人ひとを、あなたは見みるか、彼かれよりもかえって愚おろかな人ひとに望のぞみがある。26:13 なまけ者ものは、「道みちにししがいる、ちまたにししがいる」という。26:14 戸とがちょうつがいによって回まわるように、なまけ者ものはその寝床ねどこで寝返ねがえりをする。26:15 なまけ者ものは手てを皿さらに入いれても、それを口くちに持もってゆくことをいとう。26:16 なまけ者ものは自分じぶんの目めに、良よく答こたえることのできる七人にんの者ものよりも、自みずからを知恵ちえありとする。26:17 自分じぶんに関係かんけいのない争あらそいにたずさわる者ものは、通とおりすぎる犬いぬの耳みみをとらえる者もののようだ。26:18 26:19 隣となり人びとを欺あざむいて、「わたしはただ戯たわむれにした」という者ものは、燃もえ木ぎまたは矢や、または死しを、投なげつける気違きちがいのようだ。26:20 たきぎがなければ火ひは消きえ、人ひとのよしあしを言いう者ものがなければ争あらそいはやむ。26:21 おき火ひに炭すみをつぎ、火ひにたきぎをくべるように、争あらそいを好このむ人ひとは争あらそいの火ひをおこす。26:22 人ひとのよしあしをいう者ものの言葉ことばはおいしい食物しょくもつのようで、腹はらの奥おくにしみこむ。26:23 くちびるはなめらかであっても、心こころの悪わるいのは上うえぐすりをかけた土つちの器うつわのようだ。26:24 憎にくむ者ものはくちびるをもって自みずから飾かざるけれども、心こころのうちには偽いつわりをいだく。26:25 彼かれが声こえをやわらげて語かたっても、信しんじてはならない。その心こころに七つの憎にくむべきものがあるからだ。26:26 たとい偽いつわりをもってその憎にくしみをかくしても、彼かれの悪あくは会衆かいしゅうの中なかに現あらわれる。26:27 穴あなを掘ほる者ものは自みずからその中なかに陥おちいる、石いしをまろばしあげる者ものの上うえに、その石いしはまろびかえる。26:28 偽いつわりの舌したは自分じぶんが傷きずつけた者ものを憎にくみ、へつらう口くちは滅ほろびをきたらせる。 第27章 27:1 あすのことを誇ほこってはならない、一日にちのうちに何なにがおこるかを知しることができないからだ。27:2 自分じぶんの口くちをもって自みずからをほめることなく、他人たにんにほめさせよ。自分じぶんのくちびるをもってせず、ほかの人ひとにあなたをほめさせよ。27:3 石いしは重おもく、砂すなも軽かるくはない、しかし愚おろかな者ものの怒いかりはこの二つよりも重おもい。27:4 憤いきどおりはむごく、怒いかりははげしい、しかしねたみの前まえには、だれが立たちえよう。27:5 あからさまに戒いましめるのは、ひそかに愛あいするのにまさる。27:6 愛あいする者ものが傷きずつけるのは、まことからであり、あだの口くちづけするのは偽いつわりからである。27:7 飽あいている者ものは蜂蜜はちみつをも踏ふみつける、しかし飢うえた者ものには苦にがい物ものでさえ、みな甘あまい。27:8 その家いえを離はなれてさまよう人ひとは、巣すを離はなれてさまよう鳥とりのようだ。27:9 油あぶらと香こうとは人ひとの心こころを喜よろこばせる、しかし魂たましいは悩なやみによって裂さかれる。27:10 あなたの友とも、あなたの父ちちの友ともを捨すてるな、あなたが悩なやみにあう日ひには兄弟きょうだいの家いえに行いくな、近ちかい隣となり人びとは遠とおくにいる兄弟きょうだいにまさる。27:11 わが子こよ、知恵ちえを得えて、わたしの心こころを喜よろこばせよ、そうすればわたしをそしる者ものに答こたえることができる。27:12 賢かしこい者ものは災わざわいを見みて自みずから避さけ、思慮しりょのない者ものは進すすんでいって、罰ばつをうける。27:13 人ひとのために保証ほしょうする者ものからは、まずその着物きものをとれ、他人たにんのために保証ほしょうをする者ものをば抵当ていとうに取とれ。27:14 朝あさはやく起おきて大声おおごえにその隣となり人びとを祝しゅくすれば、かえってのろいと見みなされよう。27:15 雨あめの降ふる日ひに雨漏あまもりの絶たえないのと、争あらそい好すきな女おんなとは同おなじだ。27:16 この女おんなを制せいするのは風かぜを制せいするのとおなじく、右みぎの手てに油あぶらをつかむのとおなじだ。27:17 鉄てつは鉄てつをとぐ、そのように人ひとはその友ともの顔かおをとぐ。27:18 いちじくの木きを守まもる者ものはその実みを食たべる、主人しゅじんを尊たっとぶ者ものは誉ほまれを得える。27:19 水みずにうつせば顔かおと顔かおとが応おうじるように、人ひとの心こころはその人ひとをうつす。27:20 陰府よみと滅ほろびとは飽あくことなく、人ひとの目めもまた飽あくことがない。27:21 るつぼによって銀ぎんをためし、炉ろによって金きんをためす、人ひとはその称賛しょうさんによってためされる。27:22 愚おろかな者ものをうすに入いれ、きねをもって、麦むぎと共ともにこれをついても、その愚おろかさは去さることがない。 27:23 あなたの羊ひつじの状態じょうたいをよく知しり、あなたの群むれに心こころをとめよ。27:24 富とみはいつまでも続つづくものではない、どうして位くらいが末代まつだいまでも保たもつであろうか。27:25 草くさが刈かり取とられ、新あたらしい芽めがのび、山やまの牧草ぼくそうも集あつめられると、27:26 小羊こひつじはあなたの衣料いりょうを出だし、やぎは畑はたけを買かう価あたいとなり、27:27 やぎの乳ちちは多おおくて、あなたと、あなたの家いえのものの食物しょくもつとなり、おとめらを養やしなうのにじゅうぶんである。 第28章 28:1 悪あしき者ものは追おう人ひともないのに逃にげる、正ただしい人ひとはししのように勇いさましい。28:2 国くにの罪つみによって、治おさめる者ものは多おおくなり、さとく、また知識ちしきある人ひとによって、国くにはながく保たもつ。28:3 貧まずしい者ものをしえたげる貧まずしい人ひとは、糧食りょうしょくを残のこさない激はげしい雨あめのようだ。28:4 律法りっぽうを捨すてる者ものは悪あしき者ものをほめる、律法りっぽうを守まもる者ものはこれに敵対てきたいする。28:5 悪人あくにんは正ただしいことを悟さとらない、主しゅを求もとめる者ものはこれをことごとく悟さとる。28:6 正ただしく歩あゆむ貧まずしい者ものは、曲まがった道みちを歩あゆむ富とめる者ものにまさる。28:7 律法りっぽうを守まもる者ものは賢かしこい子こである、不品行ふひんこうな者ものと交まじわるものは、父ちちをはずかしめる。28:8 利息りそくと高利こうりとによってその富とみをます者ものは、貧まずしい者ものを恵めぐむ者もののために、それをたくわえる。28:9 耳みみをそむけて律法りっぽうを聞きかない者ものは、その祈いのりでさえも憎にくまれる。28:10 正ただしい者ものを悪わるい道みちに惑まどわす者ものは、みずから自分じぶんの穴あなに陥おちいる、しかし誠実せいじつな人ひとは幸福こうふくを継つぐ。28:11 富とめる人ひとは自分じぶんの目めに自みずからを知恵ちえある者ものと見みる、しかし悟さとりのある貧まずしい者ものは彼かれを見みやぶる。28:12 正ただしい者ものが勝かつときは、大おおいなる栄さかえがある、悪あしき者ものが起おこるときは、民たみは身みをかくす。28:13 その罪つみを隠かくす者ものは栄さかえることがない、言いい表あらわしてこれを離はなれる者ものは、あわれみをうける。28:14 常つねに主しゅを恐おそれる人ひとはさいわいである、心こころをかたくなにする者ものは災わざわいに陥おちいる。28:15 貧まずしい民たみを治おさめる悪わるいつかさは、ほえるしし、または飢うえたくまのようだ。28:16 悟さとりのないつかさは残忍ざんにんな圧制者あっせいしゃである、不正ふせいの利りを憎にくむ者ものは長命ちょうめいを得える。28:17 人ひとを殺ころしてその血ちを身みに負おう者ものは死しぬまで、のがれびとである、だれもこれを助たすけてはならない。28:18 正ただしく歩あゆむ者ものは救すくいを得え、曲まがった道みちに歩あゆむ者ものは穴あなに陥おちいる。28:19 自分じぶんの田地でんちを耕たがやす者ものは食糧しょくりょうに飽あき、無益むえきな事ことに従したがう者ものは貧乏びんぼうに飽あきる。28:20 忠実ちゅうじつな人ひとは多おおくの祝福しゅくふくを得える、急いそいで富とみを得えようとする者ものは罰ばつを免まぬかれない。28:21 人ひとを片寄かたより見みることは良よくない、人ひとは一いち切きれのパンのために、とがを犯おかすことがある。28:22 欲よくの深ふかい人ひとは急いそいで富とみを得えようとする、かえって欠乏けつぼうが自分じぶんの所ところに来くることを知しらない。28:23 人ひとを戒いましめる者ものは舌したをもってへつらう者ものよりも、大おおいなる感謝かんしゃをうける。28:24 父ちちや母ははの物ものを盗ぬすんで「これは罪つみではない」と言いう者ものは、滅ほろぼす者ものの友ともである。28:25 むさぼる者ものは争あらそいを起おこし、主しゅに信頼しんらいする者ものは豊ゆたかになる。28:26 自分じぶんの心こころを頼たのむ者ものは愚おろかである、知恵ちえをもって歩あゆむ者ものは救すくいを得える。28:27 貧まずしい者ものに施ほどこす者ものは物ものに不足ふそくしない、目めをおおって見みない人ひとは多おおくののろいをうける。28:28 悪あしき者ものが起おこるときは、民たみは身みをかくす、その滅ほろびるときは、正ただしい人ひとが増ます。 第29章 29:1 しばしばしかられても、なおかたくなな者ものは、たちまち打うち敗やぶられて助たすかることはない。29:2 正ただしい者ものが権力けんりょくを得えれば民たみは喜よろこび、悪あしき者ものが治おさめるとき、民たみはうめき苦くるしむ。29:3 知恵ちえを愛あいする人ひとはその父ちちを喜よろこばせ、遊女ゆうじょに交まじわる者ものはその資産しさんを浪費ろうひする。29:4 王おうは公儀こうぎをもって国くにを堅かたくする、しかし、重税じゅうぜいを取とり立たてる者ものはこれを滅ほろぼす。29:5 その隣となり人びとにへつらう者ものは、彼かれの足あしの前まえに網あみを張はる。29:6 悪人あくにんは自分じぶんの罪つみのわなに陥おちいる、しかし正ただしい人ひとは喜よろこび楽たのしむ。29:7 正ただしい人ひとは貧まずしい者ものの訴うったえをかえりみる、悪あしき人ひとはそれを知しろうとはしない。29:8 あざける人ひとは町まちを乱みだし、知恵ちえある者ものは怒いかりを静しずめる。29:9 知恵ちえある人ひとが愚おろかな人ひとと争あらそうと、愚おろかな者ものはただ怒いかり、あるいは笑わらって、休やすむことがない。29:10 血ちに飢うえている人ひとは罪つみのない者ものを憎にくむ、悪あしき者ものは彼かれの命いのちを求もとめる。29:11 愚おろかな者ものは怒いかりをことごとく表あらわし、知恵ちえある者ものは静しずかにこれをおさえる。29:12 もし治おさめる者ものが偽いつわりの言葉ことばに聞きくならば、その役人やくにんらはみな悪わるくなる。29:13 貧まずしい者ものと、しえたげる者ものとは共ともに世よにおる、主しゅは彼かれら両者りょうしゃの目めに光ひかりを与あたえられる。29:14 もし王おうが貧まずしい者ものを公平こうへいにさばくならば、その位くらいはいつまでも堅かたく立たつ。29:15 むちと戒いましめとは知恵ちえを与あたえる、わがままにさせた子こはその母ははに恥はじをもたらす。29:16 悪あしき者ものが権力けんりょくを得えると罪つみも増ます、正ただしい者ものは彼かれらの倒たおれるのを見みる。29:17 あなたの子こを懲こらしめよ、そうすれば彼かれはあなたを安やすらかにし、またあなたの心こころに喜よろこびを与あたえる。29:18 預言よげんがなければ民たみはわがままにふるまう、しかし律法りっぽうを守まもる者ものはさいわいである。29:19 しもべは言葉ことばだけで訓練くんれんすることはできない、彼かれは聞きいて知しっても、心こころにとめないからである。29:20 言葉ことばの軽率けいそつな人ひとを見みるか、彼かれよりもかえって愚おろかな者もののほうに望のぞみがある。29:21 しもべをその幼おさない時ときからわがままに育そだてる人ひとは、ついにはそれを自分じぶんのあとつぎにする。29:22 怒いかる人ひとは争あらそいを起おこし、憤いきどおる人ひとは多おおくの罪つみを犯おかす。29:23 人ひとの高たかぶりはその人ひとを低ひくくし、心こころにへりくだる者ものは誉ほまれを得える。29:24 盗ぬすびとにくみする者ものは自分じぶんの魂たましいを憎にくむ、彼かれはのろいを聞きいても何事なにごとをも口外こうがいしない。29:25 人ひとを恐おそれると、わなに陥おちいる、主しゅに信頼しんらいする者ものは安やすらかである。29:26 治おさめる者ものの歓心かんしんを得えようとする人ひとは多おおい、しかし人ひとの事ことを定さだめるのは主しゅによる。29:27 正ただしい人ひとは不正ふせいを行おこなう人ひとを憎にくみ、悪あしき者ものは正ただしく歩あゆむ人ひとを憎にくむ。 第30章 30:1 マッサの人ひとヤケの子こアグルの言葉ことば。その人ひとはイテエルに向むかって言いった、すなわちイテエルと、ウカルとに向むかって言いった、30:2 わたしは確たしかに人ひとよりも愚おろかであり、わたしには人ひとの悟さとりがない。30:3 わたしはまだ知恵ちえをならうことができず、また、聖せいなる者ものを悟さとることもできない。30:4 天てんにのぼったり、下くだったりしたのはだれか、風かぜをこぶしの中なかに集あつめたのはだれか、水みずを着物きものに包つつんだのはだれか、地ちのすべての限界げんかいを定さだめた者ものはだれか、その名なは何なにか、その子この名なは何なにか、あなたは確たしかにそれを知しっている。 30:5 神かみの言葉ことばはみな真実しんじつである、神かみは彼かれに寄より頼たのむ者ものの盾たてである。30:6 その言葉ことばに付つけ加くわえてはならない、彼かれがあなたを責せめ、あなたを偽いつわり者ものとされないためだ。 30:7 わたしは二つのことをあなたに求もとめます、わたしの死しなないうちに、これをかなえてください。30:8 うそ、偽いつわりをわたしから遠とおざけ、貧まずしくもなく、また富とみもせず、ただなくてならぬ食物しょくもつでわたしを養やしなってください。30:9 飽あき足たりて、あなたを知しらないといい、「主しゅとはだれか」と言いうことのないため、また貧まずしくて盗ぬすみをし、わたしの神かみの名なを汚よごすことのないためです。 30:10 あなたは、しもべのことをその主人しゅじんに、あしざまにいってはならない、そうでないと彼かれはあなたをのろい、あなたは罪つみをきせられる。 30:11 世よには父ちちをのろったり、母ははを祝福しゅくふくしない者ものがある。30:12 世よには自分じぶんの目めにみずからを清きよい者ものとして、なおその汚けがれを洗あらわれないものがある。30:13 世よにはまた、このような人ひとがある――ああ、その目めのいかに高たかきことよ、またそのまぶたのいかにつりあがっていることよ。30:14 世よにはまたつるぎのような歯はをもち、刀かたなのようなきばをもって、貧まずしい者ものを地ちの上うえから、乏とぼしい者ものを人ひとの中なかから食くい滅ほろぼすものがある。 30:15 蛭ひるにふたりの娘むすめがあって、「与あたえよ、与あたえよ」という。飽あくことを知しらないものが三つある、いや、四つあって、皆みな「もう、たくさんです」と言いわない。30:16 すなわち陰府よみ、不妊ふにんの胎たい、水みずにかわく地ち、「もう、たくさんだ」といわない火ひがそれである。30:17 自分じぶんの父ちちをあざけり、母ははに従したがうのを卑いやしいこととする目めは、谷たにのからすがこれをつつき出だし、はげたかがこれを食たべる。 30:18 わたしにとって不思議ふしぎにたえないことが三つある、いや、四つあって、わたしには悟さとることができない。30:19 すなわち空そらを飛とぶはげたかの道みち、岩いわの上うえを這はうへびの道みち、海うみをはしる舟ふねの道みち、男おとこの女おんなにあう道みちがそれである。30:20 遊女ゆうじょの道みちもまたそうだ、彼女かのじょは食たべて、その口くちをぬぐって、「わたしは何なにもわるいことはしない」と言いう。 30:21 地ちは三つのことによって震ふるう、いや、四つのことによって、耐たえることができない。30:22 すなわち奴隷どれいたる者ものが王おうとなり、愚おろかな者ものが食物しょくもつに飽あき、30:23 忌いみきらわれた女おんなが嫁よめに行いき、はしためが女おんな主人しゅじんのあとにすわることである。 30:24 この地上ちじょうに、小ちいさいけれども、非常ひじょうに賢かしこいものが四つある。30:25 ありは力ちからのない種類しゅるいだが、その食糧しょくりょうを夏なつのうちに備そなえる。30:26 岩いわだぬきは強つよくない種類しゅるいだが、その家いえを岩いわにつくる。30:27 いなごは王おうがないけれども、みな隊たいを組くんでいで立たつ。30:28 やもりは手てでつかまえられるが、王おうの宮殿きゅうでんにおる。 30:29 歩あるきぶりの堂々どうどうたる者ものが三つある、いや、四つあって、みな堂々どうどうと歩あるく。30:30 すなわち獣けもののうちでもっとも強つよく、何なにものの前まえにも退しりぞかない、しし、30:31 尾おを立たてて歩あるくおんどり、雄おやぎ、その民たみの前まえをいばって歩あるく王おうがそれである。 30:32 あなたがもし愚おろかであって自みずから高たかぶり、あるいは悪事あくじを計はかったならば、あなたの手てを口くちに当あてるがよい。30:33 乳ちちをしめれば凝乳ぎょうにゅうが出でる、鼻はなをしめれば血ちがでる、怒いかりをしめれば争あらそいが起おこる。 第31章 31:1 マッサの王おうレムエルの言葉ことば、すなわちその母ははが彼かれに教おしえたものである。31:2 わが子こよ、何なにを言いおうか。わが胎たいの子こよ、何なにを言いおうか。わたしが願がんをかけて得えた子こよ、何なにをいおうか。31:3 あなたの力ちからを女おんなについやすな、王おうをも滅ほろぼすものに、あなたの道みちを任まかせるな。31:4 レムエルよ、酒さけを飲のむのは、王おうのすることではない、王おうのすることではない、濃こい酒さけを求もとめるのは君きみたる者もののすることではない。31:5 彼かれらは酒さけを飲のんで、おきてを忘わすれ、すべて悩なやむ者もののさばきを曲まげる。31:6 濃こい酒さけを滅ほろびようとしている者ものに与あたえ、酒さけを心こころの苦くるしむ人ひとに与あたえよ。31:7 彼かれらは飲のんで自分じぶんの貧乏びんぼうを忘わすれ、その悩なやみをもはや思おもい出ださない。31:8 あなたは黙だまっている人ひとのために、すべてのみなしごの訴うったえのために、口くちを開ひらくがよい。31:9 口くちを開ひらいて、正ただしいさばきを行おこない、貧まずしい者ものと乏とぼしい者ものの訴うったえをただせ。 31:10 だれが賢かしこい妻つまを見みつけることができるか、彼女かのじょは宝石ほうせきよりもすぐれて尊たっとい。31:11 その夫おっとの心こころは彼女かのじょを信頼しんらいして、収益しゅうえきに欠かけることはない。31:12 彼女かのじょは生いきながらえている間あいだ、その夫おっとのために良よいことをして、悪わるいことをしない。31:13 彼女かのじょは羊ひつじの毛けや亜麻あまを求もとめて、手てずから望のぞみのように、それを仕上しあげる。31:14 また商人しょうにんの舟ふねのように、遠とおい国くにから食糧しょくりょうを運はこんでくる。31:15 彼女かのじょはまだ夜よるのあけぬうちに起おきて、その家いえの者ものの食たべ物ものを備そなえ、その女おんなたちに日用にちようの分ぶんを与あたえる。31:16 彼女かのじょは畑はたけをよく考かんがえてそれを買かい、その手ての働はたらきの実みをもって、ぶどう畑ばたけをつくり、31:17 力ちからをもって腰こしに帯おびし、その腕うでを強つよくする。31:18 彼女かのじょはその商品しょうひんのもうけのあるのを知しっている、そのともしびは終夜しゅうや消きえることがない。31:19 彼女かのじょは手てを糸取いととり棒ぼうにのべ、その手てに、つむを持もち、31:20 手てを貧まずしい者ものに開ひらき、乏とぼしい人ひとに手てをさしのべる。31:21 彼女かのじょはその家いえの者もののために雪ゆきを恐おそれない、その家いえの者ものはみな紅くれないの着物きものを着きているからである。31:22 彼女かのじょは自分じぶんのために美うつくしいしとねを作つくり、亜麻あま布ぬのと紫むらさき布ぬのとをもってその着物きものとする。31:23 その夫おっとはその地ちの長老ちょうろうたちと共ともに、町まちの門もんに座ざするので、人ひとに知しられている。31:24 彼女かのじょは亜麻あま布ぬのの着物きものをつくって、それを売うり、帯おびをつくって商人しょうにんに渡わたす。31:25 力ちからと気品きひんとは彼女かのじょの着物きものである、そして後のちの日ひを笑わらっている。31:26 彼女かのじょは口くちを開ひらいて知恵ちえを語かたる、その舌したにはいつくしみの教おしえがある。31:27 彼女かのじょは家いえの事ことをよくかえりみ、怠おこたりのかてを食たべることをしない。31:28 その子こらは立たち上あがって彼女かのじょを祝しゅくし、その夫おっともまた彼女かのじょをほめたたえて言いう、31:29 「りっぱに事ことをなし遂とげる女おんなは多おおいけれども、あなたはそのすべてにまさっている」と。31:30 あでやかさは偽いつわりであり、美うつくしさはつかのまである、しかし主しゅを恐おそれる女おんなはほめたたえられる。31:31 その手ての働はたらきの実みを彼女かのじょに与あたえ、その行おこないのために彼女かのじょを町まちの門もんでほめたたえよ。
17:1 平穏へいおんであって、ひとかたまりのかわいたパンのあるのは、争あらそいがあって、食物しょくもつの豊ゆたかな家いえにまさる。
17:2 賢かしこいしもべは身持みもちの悪わるいむすこを治おさめ、かつ、その兄弟きょうだいたちの中なかにあって、資産しさんの分わけ前まえを獲える。
17:3 銀ぎんを試こころみるものはるつぼ、金きんを試こころみるものは炉ろ、人ひとの心こころを試こころみるものは主しゅである。
17:4 悪あくを行おこなう者ものは偽いつわりのくちびるに聞きき、偽いつわりをいう者ものは悪あしき舌したに耳みみを傾かたむける。
17:5 貧まずしい者ものをあざける者ものはその造つくり主ぬしを侮あなどる、人ひとの災わざわいを喜よろこぶ者ものは罰ばつを免まぬかれない。
17:6 孫まごは老人ろうじんの冠かんむりである、父ちちは子この栄さかえである。
17:7 すぐれた言葉ことばは愚おろかな者ものには似合にあわない、まして偽いつわりを言いうくちびるは君きみたる者ものには似合にあわない。
17:8 まいないはこれを贈おくる人ひとの目めには幸運こううんの玉たまのようだ、その向むかう所ところ、どこでも彼かれは栄さかえる。
17:9 愛あいを追おい求もとめる人ひとは人ひとのあやまちをゆるす、人ひとのことを言いいふらす者ものは友ともを離はなれさせる。
17:10 一度どの戒いましめがさとき人ひとに徹てっするのは、百度どの懲こらしめが愚おろかな人ひとに徹てっするよりも深ふかい。
17:11 悪あしき者ものはただ、そむく事ことのみを求もとめる、それゆえ、彼かれに向むかっては残忍ざんにんな使者ししゃがつかわされる。
17:12 愚おろかな者ものが愚おろかな事ことをするのに会あうよりは、子こをとられた雌めぐまに会あうほうがよい。
17:13 悪あくをもて善ぜんに報むくいる者ものは、悪あくがその家いえを離はなれることがない。
17:14 争あらそいの初はじめは水みずがもれるのに似にている、それゆえ、けんかの起おこらないうちにそれをやめよ。
17:15 悪あしき者ものを正ただしいとする者もの、正ただしい者ものを悪わるいとする者もの、この二つの者ものはともに主しゅに憎にくまれる。
17:16 愚おろかな者ものはすでに心こころがないのに、どうして知恵ちえを買かおうとして手てにその代金だいきんを持もっているのか。
17:17 友ともはいずれの時ときにも愛あいする、兄弟きょうだいはなやみの時ときのために生うまれる。
17:18 知恵ちえのない人ひとは手てをうって、その隣となり人びとの前まえで保証ほしょうをする。
17:19 争あらそいを好このむ者ものは罪つみを好このむ、その門もんを高たかくする者ものは滅ほろびを求もとめる。
17:20 曲まがった心こころの者ものはさいわいを得えない、みだりに舌したをもって語かたる者ものは災わざわいに陥おちいる。
17:21 愚おろかな子こを生うむ者ものは嘆なげきを得える、愚おろか者ものの父ちちは喜よろこびを得えない。
17:22 心こころの楽たのしみは良よい薬くすりである、たましいの憂うれいは骨ほねを枯からす。
17:23 悪あしき者ものは人ひとのふところからまいないを受うけて、さばきの道みちをまげる。
17:24 さとき者ものはその顔かおを知恵ちえにむける、しかし、愚おろかな者ものは目めを地ちの果はてにそそぐ。
17:25 愚おろかな子こはその父ちちの憂うれいである、またこれを産うんだ母ははの痛いたみである。
17:26 正ただしい人ひとを罰ばっするのはよくない、尊たっとい人ひとを打うつのは悪わるい。
17:27 言葉ことばを少すくなくする者ものは知識ちしきのある者もの、心こころの冷静れいせいな人ひとはさとき人ひとである。
17:28 愚おろかな者ものも黙だまっているときは、知恵ちえある者ものと思おもわれ、そのくちびるを閉とじている時ときは、さとき者ものと思おもわれる。
第18章 18:1 人ひとと交まじわりをしない者ものは口実こうじつを捜さがし、すべてのよい考かんがえに激はげしく反対はんたいする。18:2 愚おろかな者ものは悟さとることを喜よろこばず、ただ自分じぶんの意見いけんを言いい表あらわすことを喜よろこぶ。18:3 悪あしき者ものが来くると、卑いやしめもまた来くる、不名誉ふめいよが来くると、はずかしめも共ともにくる。18:4 人ひとの口くちの言葉ことばは深ふかい水みずのようだ、知恵ちえの泉いずみは、わいて流ながれる川かわである。18:5 悪あしき者ものをえこひいきすることは良よくない、正ただしい者ものをさばいて、悪あしき者ものとすることも良よくない。18:6 愚おろかな者もののくちびるは争あらそいを起おこし、その口くちはむち打うたれることを招まねく。18:7 愚おろかな者ものの口くちは自分じぶんの滅ほろびとなり、そのくちびるは自分じぶんを捕とらえるわなとなる。18:8 人ひとのよしあしをいう者ものの言葉ことばはおいしい食物しょくもつのようで、腹はらの奥おくにしみこむ。18:9 その仕事しごとを怠おこたる者ものは、滅ほろぼす者ものの兄弟きょうだいである。18:10 主しゅの名なは堅固けんごなやぐらのようだ、正ただしい者ものはその中なかに走はしりこんで救すくいを得える。18:11 富とめる者ものの富とみはその堅かたき城しろである、それは高たかき城壁じょうへきのように彼かれを守まもる。18:12 人ひとの心こころの高たかぶりは滅ほろびにさきだち、謙遜けんそんは栄誉えいよにさきだつ。18:13 事ことをよく聞きかないで答こたえる者ものは、愚おろかであって恥はじをこうむる。18:14 人ひとの心こころは病苦びょうくをも忍しのぶ、しかし心こころの痛いたむときは、だれがそれに耐たえようか。18:15 さとき者ものの心こころは知識ちしきを得え、知恵ちえある者ものの耳みみは知識ちしきを求もとめる。18:16 人ひとの贈おくり物ものは、その人ひとのために道みちをひらき、また尊たっとい人ひとの前まえに彼かれを導みちびく。18:17 先さきに訴うったえ出でる者ものは正ただしいように見みえる、しかしその訴うったえられた人ひとが来きて、それを調しらべて、事ことは明あきらかになる。18:18 くじは争あらそいをとどめ、かつ強つよい争あらそい相手あいての間あいだを決定けっていする。18:19 助たすけあう兄弟きょうだいは堅固けんごな城しろのようだ、しかし争あらそいは、やぐらの貫かんの木きのようだ。18:20 人ひとは自分じぶんの言葉ことばの結むすぶ実みによって、満みち足たり、そのくちびるの産物さんぶつによって自みずから飽あきる。18:21 死しと生せいとは舌したに支配しはいされる、これを愛あいする者ものはその実みを食たべる。18:22 妻つまを得える者ものは、良よき物ものを得える、かつ主しゅから恵めぐみを与あたえられる。18:23 貧まずしい者ものは、あわれみを請こい、富とめる者ものは、はげしい答こたえをする。18:24 世よには友ともらしい見みせかけの友ともがある、しかし兄弟きょうだいよりもたのもしい友とももある。 第19章 19:1 正ただしく歩あゆむ貧まずしい者ものは、曲まがったことを言いう愚おろかな者ものにまさる。19:2 人ひとが知識ちしきのないのは良よくない、足あしで急いそぐ者ものは道みちに迷まよう。19:3 人ひとは自分じぶんの愚おろかさによって道みちにつまずき、かえって心こころのうちに主しゅをうらむ。19:4 富とみは多おおくの新あたらしい友ともを作つくる、しかし貧まずしい人ひとはその友ともに捨すてられる。19:5 偽いつわりの証人しょうにんは罰ばつを免まぬかれない、偽いつわりをいう者ものはのがれることができない。19:6 気前きまえのよい人ひとにこびる者ものは多おおい、人ひとはみな贈おくり物ものをする人ひとの友ともとなる。19:7 貧まずしい者ものはその兄弟きょうだいすらもみなこれを憎にくむ、ましてその友ともはこれに遠とおざからないであろうか。言葉ことばをかけてこれを呼よんでも、去さって帰かえらないのである。19:8 知恵ちえを得える者ものは自分じぶんの魂たましいを愛あいし、悟さとりを保たもつ者ものは幸さいわいを得える。19:9 偽いつわりの証人しょうにんは罰ばつを免まぬかれない、偽いつわりをいう者ものは滅ほろびる。19:10 愚おろかな者ものが、ぜいたくな暮くらしをするのは、ふさわしいことではない、しもべたる者ものが、君きみたる者ものを治おさめるなどは、なおさらである。19:11 悟さとりは人ひとに怒いかりを忍しのばせる、あやまちをゆるすのは人ひとの誉ほまれである。19:12 王おうの怒いかりは、ししのほえるようであり、その恵めぐみは草くさの上うえにおく露つゆのようである。19:13 愚おろかな子こはその父ちちの災わざわいである、妻つまの争あらそうのは、雨漏あまもりの絶たえないのとひとしい。19:14 家いえと富とみとは先祖せんぞからうけつぐもの、賢かしこい妻つまは主しゅから賜たまわるものである。19:15 怠おこたりは人ひとを熟睡じゅくすいさせる、なまけ者ものは飢うえる。19:16 戒いましめを守まもる者ものは自分じぶんの魂たましいを守まもる、み言葉ことばを軽かろんじる者ものは死しぬ。19:17 貧まずしい者ものをあわれむ者ものは主しゅに貸かすのだ、その施ほどこしは主しゅが償つぐなわれる。19:18 望のぞみのあるうちに、自分じぶんの子こを懲こらせ、これを滅ほろぼす心こころを起おこしてはならない。19:19 怒いかることの激はげしい者ものは罰ばつをうける、たとい彼かれを救すくってやっても、さらにくり返かえさねばならない。19:20 勧すすめを聞きき、教訓きょうくんをうけよ、そうすれば、ついには知恵ちえある者ものとなる。19:21 人ひとの心こころには多おおくの計画けいかくがある、しかしただ主しゅの、み旨むねだけが堅かたく立たつ。19:22 人ひとに望のぞましいのは、いつくしみ深ふかいことである、貧まずしい人ひとは偽いつわりをいう人ひとにまさる。19:23 主しゅを恐おそれることは人ひとを命いのちに至いたらせ、常つねに飽あき足たりて、災わざわいにあうことはない。19:24 なまけ者ものは、手てを皿さらに入いれても、それを口くちに持もってゆくことをしない。19:25 あざける者ものを打うて、そうすれば思慮しりょのない者ものも慎つつしむ。さとき者ものを戒いましめよ、そうすれば彼かれは知識ちしきを得える。19:26 父ちちに乱暴らんぼうをはたらき、母ははを追おい出だす者ものは、恥はじをきたらし、はずかしめをまねく子こである。19:27 わが子こよ、知識ちしきの言葉ことばをはなれて人ひとを迷まよわせる教訓きょうくんを聞きくことをやめよ。19:28 悪わるい証人しょうにんはさばきをあざけり、悪あしき者ものの口くちは悪あくをむさぼり食くう。19:29 さばきはあざける者もののために備そなえられ、むちは愚おろかな者ものの背せのために備そなえられる。 第20章 20:1 酒さけは人ひとをあざける者ものとし、濃こい酒さけは人ひとをあばれ者ものとする、これに迷まよわされる者ものは無知むちである。20:2 王おうの怒いかりは、ししがほえるようだ、彼かれを怒いからせる者ものは自分じぶんの命いのちをそこなう。20:3 争あらそいに関係かんけいしないことは人ひとの誉ほまれである、すべて愚おろかな者ものは怒いかり争あらそう。20:4 なまけ者ものは寒さむいときに耕たがやさない、それゆえ刈入かりいれのときになって、求もとめても何なにもない。20:5 人ひとの心こころにある計はかりごとは深ふかい井戸いどの水みずのようだ、しかし、さとき人ひとはこれをくみ出だす。20:6 自分じぶんは真実しんじつだという人ひとが多おおい、しかし、だれが忠信ちゅうしんな人ひとに会あうであろうか。20:7 欠かけた所ところなく、正ただしく歩あゆむ人ひと――その後のちの子孫しそんはさいわいである。20:8 さばきの座ざにすわる王おうはその目めをもって、すべての悪あくをふるいわける。20:9 だれが「わたしは自分じぶんの心こころを清きよめた、わたしの罪つみは清きよめられた」ということができようか。20:10 互たがいに違ちがった二種しゅのはかり、二種しゅのますは、ひとしく主しゅに憎にくまれる。20:11 幼おさな子ごでさえも、その行おこないによって自みずからを示しめし、そのすることの清きよいか正ただしいかを現あらわす。20:12 聞きく耳みみと、見みる目めとは、ともに主しゅが造つくられたものである。20:13 眠ねむりを愛あいしてはならない、そうすれば貧まずしくなる、目めを開ひらけ、そうすればパンに飽あくことができる。20:14 買かう者ものは、「悪わるい、悪わるい」という、しかし去さって後のち、彼かれは自みずから誇ほこる。20:15 金きんもあり、価あたいの高たかい宝石ほうせきも多おおくあるが、尊たっとい器うつわは知識ちしきのくちびるである。20:16 人ひとのために保証ほしょうする者ものからは、まずその着物きものを取とれ、他人たにんのために保証ほしょうする者ものをば抵当ていとうに取とれ。20:17 欺あざむき取とったパンはおいしい、しかし後のちにはその口くちは砂利じゃりで満みたされる。20:18 計はかりごとは共ともに議ぎすることによって成なる、戦たたかおうとするならば、まずよく議ぎしなければならない。20:19 歩あるきまわって人ひとのよしあしをいう者ものは秘密ひみつをもらす、くちびるを開ひらいて歩あるく者ものと交まじわってはならない。20:20 自分じぶんの父母ふぼをののしる者ものは、そのともしびは暗くらやみの中なかに消きえる。20:21 初はじめに急いそいで得えた資産しさんは、その終おわりがさいわいでない。20:22 「わたしが悪あくに報むくいる」と言いってはならない、主しゅを待まち望のぞめ、主しゅはあなたを助たすけられる。20:23 互たがいに違ちがった二種しゅのふんどうは主しゅに憎にくまれる、偽いつわりのはかりは良よくない。20:24 人ひとの歩あゆみは主しゅによって定さだめられる、人ひとはどうして自みずからその道みちを、明あきらかにすることができようか。20:25 軽々かるがるしく「これは聖せいなるささげ物ものだ」と言いい、また誓ちかいを立たてて後のちに考かんがえることは、その人ひとのわなとなる。20:26 知恵ちえある王おうは、箕みのをもってあおぎ分わけるように悪人あくにんを散ちらし、車くるまをもって脱穀だっこくするように、これを罰ばっする。20:27 人ひとの魂たましいは主しゅのともしびであり、人ひとの心こころの奥おくを探さぐる。20:28 いつくしみと、まこととは王おうを守まもる、その位くらいもまた正義せいぎによって保たもたれる。20:29 若わかい人ひとの栄さかえはその力ちから、老人ろうじんの美うつくしさはそのしらがである。20:30 傷きずつくまでに打うてば悪わるい所ところは清きよくなり、むちで打うてば心こころの底そこまでも清きよまる。 第21章 21:1 王おうの心こころは、主しゅの手てのうちにあって、水みずの流ながれのようだ、主しゅはみこころのままにこれを導みちびかれる。21:2 人ひとの道みちは自分じぶんの目めには正ただしく見みえる、しかし主しゅは人ひとの心こころをはかられる。21:3 正義せいぎと公平こうへいを行おこなうことは、犠牲ぎせいにもまさって主しゅに喜よろこばれる。21:4 高たかぶる目めとおごる心こころとは、悪あしき人ひとのともしびであって、罪つみである。21:5 勤勉きんべんな人ひとの計画けいかくは、ついにその人ひとを豊ゆたかにする、すべて おこたるものは貧まずしくなる。21:6 偽いつわりの舌したをもって宝たからを得えるのは、吹ふきはらわれる煙けむり、死しのわなである。21:7 悪あしき者ものの暴虐ぼうぎゃくはその身みを滅ほろぼす、彼かれらは公平こうへいを行おこなうことを好このまないからである。21:8 罪つみびとの道みちは曲まがっている、潔白けっぱくな人ひとの行おこないはまっすぐである。21:9 争あらそいを好このむ女おんなと一緒いっしょに家いえにおるよりは屋根やねのすみにおるほうがよい。21:10 悪あしき者ものの魂たましいは悪あくを行おこなうことを願ねがう、その隣となり人びとにも好意こういをもって見みられない。21:11 あざけるものが罰ばつをうけるならば、思慮しりょのない者ものは知恵ちえを得える。知恵ちえある者ものが教おしえをうけるならば知識ちしきを得える。21:12 正ただしい神かみは、悪あしき者ものの家いえをみとめて、悪あしき者ものを滅ほろびに投なげいれられる。21:13 耳みみを閉とじて貧まずしい者ものの呼よぶ声こえを聞きかない者ものは、自分じぶんが呼よぶときに、聞きかれない。21:14 ひそかな贈おくり物ものは憤いきどおりをなだめる、ふところのまいないは激はげしい怒いかりを和やわらげる。21:15 公義こうぎを行おこなうことは、正ただしい者ものには喜よろこびであるが、悪あくを行おこなう者ものには滅ほろびである。21:16 悟さとりの道みちを離はなれる人ひとは、死人しにんの集会しゅうかいの中なかにおる。21:17 快楽かいらくを好このむ者ものは貧まずしい人ひととなり、酒さけと油あぶらとを好このむ者ものは富とむことがない。21:18 悪あしき者ものは正ただしい者もののあがないとなり、不信実ふしんじつな者ものは正ただしい人ひとに代かわる。21:19 争あらそい怒いかる女おんなと共ともにおるよりは、荒野あらのに住すむほうがましだ。21:20 知恵ちえある者ものの家いえには尊たっとい宝たからがあり、愚おろかな人ひとはこれを、のみ尽つくす。21:21 正義せいぎといつくしみとを追おい求もとめる者ものは、命いのちと誉ほまれとを得える。21:22 知恵ちえある者ものは強つよい者ものの城しろにのぼって、その頼たのみとするとりでをくずす。21:23 口くちと舌したとを守まもる者ものはその魂たましいを守まもって、悩なやみにあわせない。21:24 高たかぶりおごる者ものを「あざける者もの」となづける、彼かれは高慢こうまん無礼ぶれいな行おこないをするものである。21:25 なまけ者ものの欲望よくぼうは自分じぶんの身みを殺ころす、これはその手てを働はたらかせないからである。21:26 悪あしき者ものはひねもす人ひとの物ものをむさぼる、正ただしい者ものは与あたえて惜おしまない。21:27 悪あしき者ものの供そなえ物ものは憎にくまれる、悪意あくいをもってささげる時ときはなおさらである。21:28 偽いつわりの証人しょうにんは滅ほろぼされる、よく聞きく人ひとの言葉ことばはすたることがない。21:29 悪あしき者ものはあつかましくし、正ただしい人ひとはその道みちをつつしむ。21:30 主しゅに向むかっては知恵ちえも悟さとりも、計はかりごとも、なんの役やくにも立たたない。21:31 戦たたかいの日ひのために馬うまを備そなえる、しかし勝利しょうりは主しゅによる。 第22章 22:1 令名れいめいは大おおいなる富とみにまさり、恩恵おんけいは銀ぎんや金きんよりも良よい。22:2 富とめる者ものと貧まずしい者ものとは共ともに世よにおる、すべてこれを造つくられたのは主しゅである。22:3 賢かしこい者ものは災わざわいを見みて自みずから避さけ、思慮しりょのない者ものは進すすんでいって、罰ばつをうける。22:4 謙遜けんそんと主しゅを恐おそれることとの報むくいは、富とみと誉ほまれと命いのちとである。22:5 よこしまな者ものの道みちにはいばらとわながあり、たましいを守まもる者ものは遠とおくこれを離はなれる。22:6 子こをその行いくべき道みちに従したがって教おしえよ、そうすれば年老としおいても、それを離はなれることがない。22:7 富とめる者ものは貧まずしき者ものを治おさめ、借かりる者ものは貸かす人ひとの奴隷どれいとなる。22:8 悪あくをまく者ものは災わざわいを刈かり、その怒いかりのつえはすたれる。22:9 人ひとを見みて恵めぐむ者ものはめぐまれる、自分じぶんのパンを貧まずしい人ひとに与あたえるからである。22:10 あざける者ものを追放ついほうすれば争あらそいもまた去さり、かつ、いさかいも、はずかしめもなくなる。22:11 心こころの潔白けっぱくを愛あいする者もの、その言葉ことばの上品じょうひんな者ものは、王おうがその友ともとなる。22:12 主しゅの目めは知識ちしきある者ものを守まもる、しかし主しゅは不信実ふしんじつな者ものの言葉ことばを敗やぶられる。22:13 なまけ者ものは言いう、「ししがそとにいる、わたしは、ちまたで殺ころされる」と。22:14 遊女ゆうじょの口くちは深ふかい落おとし穴あなである、主しゅに憎にくまれる者ものはその中なかに陥おちいる。22:15 愚おろかなことが子供こどもの心こころの中なかにつながれている、懲こらしめのむちは、これを遠とおく追おいだす。22:16 貧まずしい者ものをしえたげて自分じぶんの富とみを増まそうとする者ものと、富とめる者ものに与あたえる者ものとは、ついに必かならず貧まずしくなる。 22:17 あなたの耳みみを傾かたむけて知恵ちえある者ものの言葉ことばを聞きき、かつ、わたしの知識ちしきにあなたの心こころを用もちいよ。22:18 これをあなたのうちに保たもち、ことごとく、あなたのくちびるに備そなえておくなら、楽たのしいことである。22:19 あなたが主しゅに、寄より頼たのむことのできるように、わたしはきょう、これをあなたにも教おしえる。22:20 わたしは、勧すすめと知識ちしきとの三十の言葉ことばをあなたのためにしるしたではないか。22:21 それは正ただしいこと、真実しんじつなことをあなたに示しめし、あなたをつかわした者ものに真実しんじつの答こたえをさせるためであった。 22:22 貧まずしい者ものを、貧まずしいゆえに、かすめてはならない、悩なやむ者ものを、町まちの門もんでおさえつけてはならない。22:23 それは主しゅが彼かれらの訴うったえをただし、かつ彼かれらをそこなう者ものの命いのちを、そこなわれるからである。22:24 怒いかる者ものと交まじわるな、憤いきどおる人ひとと共ともに行いくな。22:25 それはあなたがその道みちにならって、みずから、わなに陥おちいることのないためである。22:26 あなたは人ひとと手てを打うつ者ものとなってはならない、人ひとの負債ふさいの保証ほしょうをしてはならない。22:27 あなたが償つぐなうものがないとき、あなたの寝ねている寝床ねどこまでも、人ひとが奪うばい取とってよかろうか。22:28 あなたの先祖せんぞが立たてた古ふるい地境じざかいを移うつしてはならない。22:29 あなたはそのわざに巧たくみな人ひとを見みるか、そのような人ひとは王おうの前まえに立たつが、卑いやしい人々ひとびとの前まえには立たたない。 第23章 23:1 治おさめる人ひとと共ともに座ざして食事しょくじするとき、あなたの前まえにあるものを、よくわきまえ、23:2 あなたがもし食しょくをたしなむ者ものであるならば、あなたののどに刀かたなをあてよ。23:3 そのごちそうをむさぼり食たべてはならない、これは人ひとを欺あざむく食物しょくもつだからである。23:4 富とみを得えようと苦労くろうしてはならない、かしこく思おもいとどまるがよい。23:5 あなたの目めをそれにとめると、それはない、富とみはたちまち自みずから翼つばさを生しょうじて、わしのように天てんに飛とび去さるからだ。23:6 物惜ものおしみする人ひとのパンを食たべてはならない、そのごちそうをむさぼり願ねがってはならない。23:7 彼かれは心こころのうちで勘定かんじょうする人ひとのように、「食くえ、飲のめ」とあなたに言いうけれども、その心こころはあなたに真実しんじつではない。23:8 あなたはついにその食たべた物ものを吐はき出だすようになり、あなたのねんごろな言葉ことばもむだになる。23:9 愚おろかな者ものの耳みみに語かたってはならない、彼かれはあなたの言葉ことばが示しめす知恵ちえをいやしめるからだ。23:10 古ふるい地境じざかいを移うつしてはならない、みなしごの畑はたけを侵おかしてはならない。23:11 彼かれらのあがない主しゅは強つよくいらせられ、あなたに逆さからって彼かれらの訴うったえを弁護べんごされるからだ。23:12 あなたの心こころを教訓きょうくんに用もちい、あなたの耳みみを知識ちしきの言葉ことばに傾かたむけよ。23:13 子こを懲こらすことを、さし控ひかえてはならない、むちで彼かれを打うっても死しぬことはない。23:14 もし、むちで彼かれを打うつならば、その命いのちを陰府よみから救すくうことができる。23:15 わが子こよ、もしあなたの心こころが賢かしこくあれば、わたしの心こころもまた喜よろこび、23:16 もしあなたのくちびるが正ただしい事ことを言いうならば、わたしの心こころも喜よろこぶ。23:17 心こころに罪つみびとをうらやんではならない、ただ、ひねもす主しゅを恐おそれよ。23:18 かならず後のちのよい報むくいがあって、あなたの望のぞみは、すたらない。23:19 わが子こよ、よく聞きいて、知恵ちえを得えよ、かつ、あなたの心こころを道みちに向むけよ。23:20 酒さけにふけり、肉にくをたしなむ者ものと交まじわってはならない。23:21 酒さけにふける者ものと、肉にくをたしなむ者ものとは貧まずしくなり、眠ねむりをむさぼる者ものは、ぼろを身みにまとうようになる。23:22 あなたを生うんだ父ちちのいうことを聞きき、年老としおいた母ははを軽かろんじてはならない。23:23 真理しんりを買かえ、これを売うってはならない、知恵ちえと教訓きょうくんと悟さとりをも買かえ。23:24 正ただしい人ひとの父ちちは大おおいによろこび、知恵ちえある子こを生うむ者ものは子このために楽たのしむ。23:25 あなたの父母ふぼを楽たのしませ、あなたを産うんだ母ははを喜よろこばせよ。23:26 わが子こよ、あなたの心こころをわたしに与あたえ、あなたの目めをわたしの道みちに注そそげ。23:27 遊女ゆうじょは深ふかい穴あなのごとく、みだらな女おんなは狭せまい井戸いどのようだ。23:28 彼女かのじょは盗ぬすびとのように人ひとをうかがい、かつ世よの人ひとのうちに、不信実ふしんじつな者ものを多おおくする。23:29 災わざわいある者ものはだれか、憂うれいある者ものはだれか、争あらそいをする者ものはだれか、煩わずらいある者ものはだれか、ゆえなく傷きずをうける者ものはだれか、赤あかい目めをしている者ものはだれか。23:30 酒さけに夜よるをふかす者もの、行いって、混まぜ合あわせた酒さけを味あじわう者ものである。23:31 酒さけはあかく、杯はいの中なかにあわだち、なめらかにくだる、あなたはこれを見みてはならない。23:32 これはついに、へびのようにかみ、まむしのように刺さす。23:33 あなたの目めは怪あやしいものを見み、あなたの心こころは偽いつわりを言いう。23:34 あなたは海うみの中なかに寝ねている人ひとのように、帆柱ほばしらの上うえに寝ねている人ひとのようになる。23:35 あなたは言いう、「人ひとがわたしを撃うったが、わたしは痛いたくはなかった。わたしを、たたいたが、わたしは何なにも覚おぼえはない。いつわたしはさめるのか、また酒さけを求もとめよう」と。 第24章 24:1 悪あくを行おこなう人ひとをうらやんではならない、また彼かれらと共ともにおることを願ねがってはならない。24:2 彼かれらはその心こころに強奪ごうだつを計はかり、そのくちびるに人ひとをそこなうことを語かたるからである。24:3 家いえは知恵ちえによって建たてられ、悟さとりによって堅かたくせられ、24:4 また、へやは知識ちしきによってさまざまの尊たっとく、麗うるわしい宝たからで満みたされる。24:5 知恵ちえある者ものは強つよい人ひとよりも強つよく、知識ちしきある人ひとは力ちからある人ひとよりも強つよい。24:6 良よい指揮しきによって戦たたかいをすることができ、勝利しょうりは多おおくの議ぎする者ものがいるからである。24:7 知恵ちえは高たかくて愚おろかな者ものの及およぶところではない、愚おろかな者ものは門もんで口くちを開ひらくことができない。24:8 悪あくを行おこなうことを計はかる者ものを人ひとはいたずら者ものととなえる。24:9 愚おろかな者ものの計はかるところは罪つみであり、あざける者ものは人ひとに憎にくまれる。 24:10 もしあなたが悩なやみの日ひに気きをくじくならば、あなたの力ちからは弱よわい。24:11 死地しちにひかれゆく者ものを助たすけ出だせ、滅ほろびによろめきゆく者ものを救すくえ。24:12 あなたが、われわれはこれを知しらなかったといっても、心こころをはかる者ものはそれを悟さとらないであろうか。あなたの魂たましいを守まもる者ものはそれを知しらないであろうか。彼かれはおのおのの行おこないにより、人ひとに報むくいないであろうか。 24:13 わが子こよ、蜜みつを食たべよ、これは良よいものである、また、蜂はちの巣すのしたたりはあなたの口くちに甘あまい。24:14 知恵ちえもあなたの魂たましいにはそのようであることを知しれ。それを得えるならば、かならず報むくいがあって、あなたの望のぞみは、すたらない。24:15 悪あしき者ものがするように、正ただしい者ものの家いえをうかがってはならない、その住すむ所ところに乱暴らんぼうをしてはならない。24:16 正ただしい者ものは七たび倒たおれても、また起おきあがる、しかし、悪あしき者ものは災わざわいによって滅ほろびる。24:17 あなたのあだが倒たおれるとき楽たのしんではならない、彼かれのつまずくとき心こころに喜よろこんではならない。24:18 主しゅはそれを見みて悪わるいこととし、その怒いかりを彼かれから転てんじられる。24:19 悪あくを行おこなう者もののゆえに心こころを悩なやましてはならない、よこしまな者ものをうらやんではならない。24:20 悪あしき者ものには後のちの良よい報むくいはない、よこしまな者もののともしびは消けされる。24:21 わが子こよ、主しゅと王おうとを恐おそれよ、そのいずれにも不ふ従順じゅうじゅんであってはならない。24:22 その災わざわいはたちまち起おこるからである。この二つの者ものからくる滅ほろびをだれが知しり得えようか。 24:23 これらもまた知恵ちえある者ものの箴言しんげんである。 片寄かたよったさばきをするのは、よくない。24:24 悪あしき者ものに向むかって、「あなたは正ただしい」という者ものを、人々ひとびとはのろい、諸民しょみんは憎にくむ。24:25 悪あしき者ものをせめる者ものは恵めぐみを得える、また幸福こうふくが与あたえられる。24:26 正ただしい答こたえをする者ものは、くちびるに、口くちづけするのである。24:27 外そとで、あなたの仕事しごとを整ととのえ、畑はたけで、すべての物ものをおのれのために備そなえ、その後のちあなたの家いえを建たてるがよい。24:28 ゆえなく隣となり人びとに敵てきして、証言しょうげんをしてはならない、くちびるをもって欺あざむいてはならない。24:29 「彼かれがわたしにしたように、わたしも彼かれにしよう、わたしは人ひとがしたところにしたがって、その人ひとに報むくいよう」と言いってはならない。 24:30 わたしはなまけ者ものの畑はたけのそばと、知恵ちえのない人ひとのぶどう畑はたけのそばを通とおってみたが、24:31 いばらが一面いちめんに生はえ、あざみがその地面じめんをおおい、その石いしがきはくずれていた。24:32 わたしはこれをみて心こころをとどめ、これを見みて教訓きょうくんを得えた。24:33 「しばらく眠ねむり、しばらくまどろみ、手てをこまぬいて、またしばらく休やすむ」。24:34 それゆえ、貧まずしさは盗ぬすびとのように、あなたに来き、乏とぼしさは、つわもののように、あなたに来くる。 第25章 25:1 これらもまたソロモンの箴言しんげんであり、ユダの王おうヒゼキヤに属ぞくする人々ひとびとがこれを書かき写うつした。25:2 事ことを隠かくすのは神かみの誉ほまれであり、事ことを窮きわめるのは王おうの誉ほまれである。25:3 天てんの高たかさと地ちの深ふかさと、王おうたる者ものの心こころとは測はかることができない。25:4 銀ぎんから、かなくそを除のぞけ、そうすれば、銀ぎん細工人ざいくにんが器うつわを造つくる材料ざいりょうとなる。25:5 王おうの前まえから悪あしき者ものを除のぞけ、そうすれば、その位くらいは正義せいぎによって堅かたく立たつ。25:6 王おうの前まえで自みずから高たかぶってはならない、偉えらい人ひとの場ばに立たってはならない。25:7 尊たっとい人ひとの前まえで下したにさげられるよりは、「ここに上あがれ」といわれるほうがましだ。25:8 あなたが目めに見みたことを、軽々かるがるしく法廷ほうていに出だしてはならない。あとになり、あなたが隣となり人びとにはずかしめられるとき、あなたはどうしようとするのか。25:9 隣となり人びとと争あらそうことがあるならば、ただその人ひとと争あらそえ、他人たにんの秘密ひみつをもらしてはならない。25:10 そうでないと、聞きく者ものがあなたをいやしめ、あなたは、いつまでもそしられる。 25:11 おりにかなって語かたる言葉ことばは、銀ぎんの彫ほり物ものに金きんのりんごをはめたようだ。25:12 知恵ちえをもって戒いましめる者ものは、これをきく者ものの耳みみにとって、金きんの耳輪みみわ、精せい金きんの飾かざりのようだ。25:13 忠実ちゅうじつな使者ししゃはこれをつかわす者ものにとって、刈入かりいれの日ひに冷ひややかな雪ゆきがあるようだ、よくその主人しゅじんの心こころを喜よろこばせる。25:14 贈おくり物ものをすると偽いつわって誇ほこる人ひとは、雨あめのない雲くもと風かぜのようだ。 25:15 忍耐にんたいをもって説とけば君きみも言葉ことばをいれる、柔やわらかな舌したは骨ほねを砕くだく。25:16 蜜みつを得えたならば、ただ足たるほどにこれを食たべよ、おそらくは食たべすごして、それを吐はき出だすであろう。25:17 隣となり人びとの家いえに足あしをしげくしてはならない、おそらくは彼かれは煩わずらわしくなって、あなたを憎にくむようになろう。25:18 隣となり人びとに敵てきして偽いつわりのあかしを立たてる人ひとは、こん棒ぼう、つるぎ、または鋭するどい矢やのようだ。25:19 悩なやみに会あうとき不信実ふしんじつな者ものを頼たのみにするのは、悪わるい歯は、またはなえた足あしを頼たのみとするようなものだ。25:20 心こころの痛いためる人ひとの前まえで歌うたをうたうのは、寒さむい日ひに着物きものを脱ぬぐようであり、また傷きずの上うえに酢すをそそぐようだ。25:21 もしあなたのあだが飢うえているならば、パンを与あたえて食たべさせ、もしかわいているならば水みずを与あたえて飲のませよ。25:22 こうするのは、火ひを彼かれのこうべに積つむのである、主しゅはあなたに報むくいられる。25:23 北風きたかぜは雨あめを起おこし、陰言かげごとをいう舌したは人ひとの顔かおを怒いからす。25:24 争あらそいを好このむ女おんなと一緒いっしょに家いえにおるよりは、屋根やねのすみにおるほうがよい。25:25 遠とおい国くにから来くるよい消息しょうそくは、かわいている人ひとが飲のむ冷ひややかな水みずのようだ。25:26 正ただしい者ものが悪わるい者ものの前まえに屈服くっぷくするのは、井戸いどが濁にごったよう、また泉いずみがよごれたようなものだ。25:27 蜜みつを多おおく食たべるのはよくない、ほめる言葉ことばは控ひかえ目めにするがよい。25:28 自分じぶんの心こころを制せいしない人ひとは、城壁じょうへきのない破やぶれた城しろのようだ。 第26章 26:1 誉ほまれが愚おろかな者ものにふさわしくないのは、夏なつに雪ゆきが降ふり、刈入かりいれの時ときに雨あめが降ふるようなものだ。26:2 いわれのないのろいは、飛とびまわるすずめや、飛とびかけるつばめのようなもので、止とまらない。26:3 馬うまのためにはむちがあり、ろばのためにはくつわがあり、愚おろかな者ものの背せのためにはつえがある。26:4 愚おろかな者ものにその愚おろかさにしたがって答こたえをするな、自分じぶんも彼かれと同おなじようにならないためだ。26:5 愚おろかな者ものにその愚おろかさにしたがって答こたえをせよ、彼かれが自分じぶんの目めに自みずからを知恵ちえある者ものと見みないためだ。26:6 愚おろかな者ものに託たくして事ことを言いい送おくる者ものは、自分じぶんの足あしを切きり去さり、身みに害がいをうける。26:7 あしなえの足あしは用ようがない、愚おろかな者ものの口くちには箴言しんげんもそれにひとしい。26:8 誉ほまれを愚おろかな者ものに与あたえるのは、石いしを石いし投なげにつなぐようだ。26:9 愚おろかな者ものの口くちに箴言しんげんがあるのは、酔よった者ものが、とげのあるつえを手てで振ふり上あげるようだ。26:10 通とおりがかりの愚おろか者ものや、酔よった者ものを雇やとう者ものは、すべての人ひとを傷きずつける射手いてのようだ。26:11 犬いぬが帰かえって来きてその吐はいた物ものを食たべるように、愚おろかな者ものはその愚おろかさをくり返かえす。26:12 自分じぶんの目めに自みずからを知恵ちえある者ものとする人ひとを、あなたは見みるか、彼かれよりもかえって愚おろかな人ひとに望のぞみがある。26:13 なまけ者ものは、「道みちにししがいる、ちまたにししがいる」という。26:14 戸とがちょうつがいによって回まわるように、なまけ者ものはその寝床ねどこで寝返ねがえりをする。26:15 なまけ者ものは手てを皿さらに入いれても、それを口くちに持もってゆくことをいとう。26:16 なまけ者ものは自分じぶんの目めに、良よく答こたえることのできる七人にんの者ものよりも、自みずからを知恵ちえありとする。26:17 自分じぶんに関係かんけいのない争あらそいにたずさわる者ものは、通とおりすぎる犬いぬの耳みみをとらえる者もののようだ。26:18 26:19 隣となり人びとを欺あざむいて、「わたしはただ戯たわむれにした」という者ものは、燃もえ木ぎまたは矢や、または死しを、投なげつける気違きちがいのようだ。26:20 たきぎがなければ火ひは消きえ、人ひとのよしあしを言いう者ものがなければ争あらそいはやむ。26:21 おき火ひに炭すみをつぎ、火ひにたきぎをくべるように、争あらそいを好このむ人ひとは争あらそいの火ひをおこす。26:22 人ひとのよしあしをいう者ものの言葉ことばはおいしい食物しょくもつのようで、腹はらの奥おくにしみこむ。26:23 くちびるはなめらかであっても、心こころの悪わるいのは上うえぐすりをかけた土つちの器うつわのようだ。26:24 憎にくむ者ものはくちびるをもって自みずから飾かざるけれども、心こころのうちには偽いつわりをいだく。26:25 彼かれが声こえをやわらげて語かたっても、信しんじてはならない。その心こころに七つの憎にくむべきものがあるからだ。26:26 たとい偽いつわりをもってその憎にくしみをかくしても、彼かれの悪あくは会衆かいしゅうの中なかに現あらわれる。26:27 穴あなを掘ほる者ものは自みずからその中なかに陥おちいる、石いしをまろばしあげる者ものの上うえに、その石いしはまろびかえる。26:28 偽いつわりの舌したは自分じぶんが傷きずつけた者ものを憎にくみ、へつらう口くちは滅ほろびをきたらせる。 第27章 27:1 あすのことを誇ほこってはならない、一日にちのうちに何なにがおこるかを知しることができないからだ。27:2 自分じぶんの口くちをもって自みずからをほめることなく、他人たにんにほめさせよ。自分じぶんのくちびるをもってせず、ほかの人ひとにあなたをほめさせよ。27:3 石いしは重おもく、砂すなも軽かるくはない、しかし愚おろかな者ものの怒いかりはこの二つよりも重おもい。27:4 憤いきどおりはむごく、怒いかりははげしい、しかしねたみの前まえには、だれが立たちえよう。27:5 あからさまに戒いましめるのは、ひそかに愛あいするのにまさる。27:6 愛あいする者ものが傷きずつけるのは、まことからであり、あだの口くちづけするのは偽いつわりからである。27:7 飽あいている者ものは蜂蜜はちみつをも踏ふみつける、しかし飢うえた者ものには苦にがい物ものでさえ、みな甘あまい。27:8 その家いえを離はなれてさまよう人ひとは、巣すを離はなれてさまよう鳥とりのようだ。27:9 油あぶらと香こうとは人ひとの心こころを喜よろこばせる、しかし魂たましいは悩なやみによって裂さかれる。27:10 あなたの友とも、あなたの父ちちの友ともを捨すてるな、あなたが悩なやみにあう日ひには兄弟きょうだいの家いえに行いくな、近ちかい隣となり人びとは遠とおくにいる兄弟きょうだいにまさる。27:11 わが子こよ、知恵ちえを得えて、わたしの心こころを喜よろこばせよ、そうすればわたしをそしる者ものに答こたえることができる。27:12 賢かしこい者ものは災わざわいを見みて自みずから避さけ、思慮しりょのない者ものは進すすんでいって、罰ばつをうける。27:13 人ひとのために保証ほしょうする者ものからは、まずその着物きものをとれ、他人たにんのために保証ほしょうをする者ものをば抵当ていとうに取とれ。27:14 朝あさはやく起おきて大声おおごえにその隣となり人びとを祝しゅくすれば、かえってのろいと見みなされよう。27:15 雨あめの降ふる日ひに雨漏あまもりの絶たえないのと、争あらそい好すきな女おんなとは同おなじだ。27:16 この女おんなを制せいするのは風かぜを制せいするのとおなじく、右みぎの手てに油あぶらをつかむのとおなじだ。27:17 鉄てつは鉄てつをとぐ、そのように人ひとはその友ともの顔かおをとぐ。27:18 いちじくの木きを守まもる者ものはその実みを食たべる、主人しゅじんを尊たっとぶ者ものは誉ほまれを得える。27:19 水みずにうつせば顔かおと顔かおとが応おうじるように、人ひとの心こころはその人ひとをうつす。27:20 陰府よみと滅ほろびとは飽あくことなく、人ひとの目めもまた飽あくことがない。27:21 るつぼによって銀ぎんをためし、炉ろによって金きんをためす、人ひとはその称賛しょうさんによってためされる。27:22 愚おろかな者ものをうすに入いれ、きねをもって、麦むぎと共ともにこれをついても、その愚おろかさは去さることがない。 27:23 あなたの羊ひつじの状態じょうたいをよく知しり、あなたの群むれに心こころをとめよ。27:24 富とみはいつまでも続つづくものではない、どうして位くらいが末代まつだいまでも保たもつであろうか。27:25 草くさが刈かり取とられ、新あたらしい芽めがのび、山やまの牧草ぼくそうも集あつめられると、27:26 小羊こひつじはあなたの衣料いりょうを出だし、やぎは畑はたけを買かう価あたいとなり、27:27 やぎの乳ちちは多おおくて、あなたと、あなたの家いえのものの食物しょくもつとなり、おとめらを養やしなうのにじゅうぶんである。 第28章 28:1 悪あしき者ものは追おう人ひともないのに逃にげる、正ただしい人ひとはししのように勇いさましい。28:2 国くにの罪つみによって、治おさめる者ものは多おおくなり、さとく、また知識ちしきある人ひとによって、国くにはながく保たもつ。28:3 貧まずしい者ものをしえたげる貧まずしい人ひとは、糧食りょうしょくを残のこさない激はげしい雨あめのようだ。28:4 律法りっぽうを捨すてる者ものは悪あしき者ものをほめる、律法りっぽうを守まもる者ものはこれに敵対てきたいする。28:5 悪人あくにんは正ただしいことを悟さとらない、主しゅを求もとめる者ものはこれをことごとく悟さとる。28:6 正ただしく歩あゆむ貧まずしい者ものは、曲まがった道みちを歩あゆむ富とめる者ものにまさる。28:7 律法りっぽうを守まもる者ものは賢かしこい子こである、不品行ふひんこうな者ものと交まじわるものは、父ちちをはずかしめる。28:8 利息りそくと高利こうりとによってその富とみをます者ものは、貧まずしい者ものを恵めぐむ者もののために、それをたくわえる。28:9 耳みみをそむけて律法りっぽうを聞きかない者ものは、その祈いのりでさえも憎にくまれる。28:10 正ただしい者ものを悪わるい道みちに惑まどわす者ものは、みずから自分じぶんの穴あなに陥おちいる、しかし誠実せいじつな人ひとは幸福こうふくを継つぐ。28:11 富とめる人ひとは自分じぶんの目めに自みずからを知恵ちえある者ものと見みる、しかし悟さとりのある貧まずしい者ものは彼かれを見みやぶる。28:12 正ただしい者ものが勝かつときは、大おおいなる栄さかえがある、悪あしき者ものが起おこるときは、民たみは身みをかくす。28:13 その罪つみを隠かくす者ものは栄さかえることがない、言いい表あらわしてこれを離はなれる者ものは、あわれみをうける。28:14 常つねに主しゅを恐おそれる人ひとはさいわいである、心こころをかたくなにする者ものは災わざわいに陥おちいる。28:15 貧まずしい民たみを治おさめる悪わるいつかさは、ほえるしし、または飢うえたくまのようだ。28:16 悟さとりのないつかさは残忍ざんにんな圧制者あっせいしゃである、不正ふせいの利りを憎にくむ者ものは長命ちょうめいを得える。28:17 人ひとを殺ころしてその血ちを身みに負おう者ものは死しぬまで、のがれびとである、だれもこれを助たすけてはならない。28:18 正ただしく歩あゆむ者ものは救すくいを得え、曲まがった道みちに歩あゆむ者ものは穴あなに陥おちいる。28:19 自分じぶんの田地でんちを耕たがやす者ものは食糧しょくりょうに飽あき、無益むえきな事ことに従したがう者ものは貧乏びんぼうに飽あきる。28:20 忠実ちゅうじつな人ひとは多おおくの祝福しゅくふくを得える、急いそいで富とみを得えようとする者ものは罰ばつを免まぬかれない。28:21 人ひとを片寄かたより見みることは良よくない、人ひとは一いち切きれのパンのために、とがを犯おかすことがある。28:22 欲よくの深ふかい人ひとは急いそいで富とみを得えようとする、かえって欠乏けつぼうが自分じぶんの所ところに来くることを知しらない。28:23 人ひとを戒いましめる者ものは舌したをもってへつらう者ものよりも、大おおいなる感謝かんしゃをうける。28:24 父ちちや母ははの物ものを盗ぬすんで「これは罪つみではない」と言いう者ものは、滅ほろぼす者ものの友ともである。28:25 むさぼる者ものは争あらそいを起おこし、主しゅに信頼しんらいする者ものは豊ゆたかになる。28:26 自分じぶんの心こころを頼たのむ者ものは愚おろかである、知恵ちえをもって歩あゆむ者ものは救すくいを得える。28:27 貧まずしい者ものに施ほどこす者ものは物ものに不足ふそくしない、目めをおおって見みない人ひとは多おおくののろいをうける。28:28 悪あしき者ものが起おこるときは、民たみは身みをかくす、その滅ほろびるときは、正ただしい人ひとが増ます。 第29章 29:1 しばしばしかられても、なおかたくなな者ものは、たちまち打うち敗やぶられて助たすかることはない。29:2 正ただしい者ものが権力けんりょくを得えれば民たみは喜よろこび、悪あしき者ものが治おさめるとき、民たみはうめき苦くるしむ。29:3 知恵ちえを愛あいする人ひとはその父ちちを喜よろこばせ、遊女ゆうじょに交まじわる者ものはその資産しさんを浪費ろうひする。29:4 王おうは公儀こうぎをもって国くにを堅かたくする、しかし、重税じゅうぜいを取とり立たてる者ものはこれを滅ほろぼす。29:5 その隣となり人びとにへつらう者ものは、彼かれの足あしの前まえに網あみを張はる。29:6 悪人あくにんは自分じぶんの罪つみのわなに陥おちいる、しかし正ただしい人ひとは喜よろこび楽たのしむ。29:7 正ただしい人ひとは貧まずしい者ものの訴うったえをかえりみる、悪あしき人ひとはそれを知しろうとはしない。29:8 あざける人ひとは町まちを乱みだし、知恵ちえある者ものは怒いかりを静しずめる。29:9 知恵ちえある人ひとが愚おろかな人ひとと争あらそうと、愚おろかな者ものはただ怒いかり、あるいは笑わらって、休やすむことがない。29:10 血ちに飢うえている人ひとは罪つみのない者ものを憎にくむ、悪あしき者ものは彼かれの命いのちを求もとめる。29:11 愚おろかな者ものは怒いかりをことごとく表あらわし、知恵ちえある者ものは静しずかにこれをおさえる。29:12 もし治おさめる者ものが偽いつわりの言葉ことばに聞きくならば、その役人やくにんらはみな悪わるくなる。29:13 貧まずしい者ものと、しえたげる者ものとは共ともに世よにおる、主しゅは彼かれら両者りょうしゃの目めに光ひかりを与あたえられる。29:14 もし王おうが貧まずしい者ものを公平こうへいにさばくならば、その位くらいはいつまでも堅かたく立たつ。29:15 むちと戒いましめとは知恵ちえを与あたえる、わがままにさせた子こはその母ははに恥はじをもたらす。29:16 悪あしき者ものが権力けんりょくを得えると罪つみも増ます、正ただしい者ものは彼かれらの倒たおれるのを見みる。29:17 あなたの子こを懲こらしめよ、そうすれば彼かれはあなたを安やすらかにし、またあなたの心こころに喜よろこびを与あたえる。29:18 預言よげんがなければ民たみはわがままにふるまう、しかし律法りっぽうを守まもる者ものはさいわいである。29:19 しもべは言葉ことばだけで訓練くんれんすることはできない、彼かれは聞きいて知しっても、心こころにとめないからである。29:20 言葉ことばの軽率けいそつな人ひとを見みるか、彼かれよりもかえって愚おろかな者もののほうに望のぞみがある。29:21 しもべをその幼おさない時ときからわがままに育そだてる人ひとは、ついにはそれを自分じぶんのあとつぎにする。29:22 怒いかる人ひとは争あらそいを起おこし、憤いきどおる人ひとは多おおくの罪つみを犯おかす。29:23 人ひとの高たかぶりはその人ひとを低ひくくし、心こころにへりくだる者ものは誉ほまれを得える。29:24 盗ぬすびとにくみする者ものは自分じぶんの魂たましいを憎にくむ、彼かれはのろいを聞きいても何事なにごとをも口外こうがいしない。29:25 人ひとを恐おそれると、わなに陥おちいる、主しゅに信頼しんらいする者ものは安やすらかである。29:26 治おさめる者ものの歓心かんしんを得えようとする人ひとは多おおい、しかし人ひとの事ことを定さだめるのは主しゅによる。29:27 正ただしい人ひとは不正ふせいを行おこなう人ひとを憎にくみ、悪あしき者ものは正ただしく歩あゆむ人ひとを憎にくむ。 第30章 30:1 マッサの人ひとヤケの子こアグルの言葉ことば。その人ひとはイテエルに向むかって言いった、すなわちイテエルと、ウカルとに向むかって言いった、30:2 わたしは確たしかに人ひとよりも愚おろかであり、わたしには人ひとの悟さとりがない。30:3 わたしはまだ知恵ちえをならうことができず、また、聖せいなる者ものを悟さとることもできない。30:4 天てんにのぼったり、下くだったりしたのはだれか、風かぜをこぶしの中なかに集あつめたのはだれか、水みずを着物きものに包つつんだのはだれか、地ちのすべての限界げんかいを定さだめた者ものはだれか、その名なは何なにか、その子この名なは何なにか、あなたは確たしかにそれを知しっている。 30:5 神かみの言葉ことばはみな真実しんじつである、神かみは彼かれに寄より頼たのむ者ものの盾たてである。30:6 その言葉ことばに付つけ加くわえてはならない、彼かれがあなたを責せめ、あなたを偽いつわり者ものとされないためだ。 30:7 わたしは二つのことをあなたに求もとめます、わたしの死しなないうちに、これをかなえてください。30:8 うそ、偽いつわりをわたしから遠とおざけ、貧まずしくもなく、また富とみもせず、ただなくてならぬ食物しょくもつでわたしを養やしなってください。30:9 飽あき足たりて、あなたを知しらないといい、「主しゅとはだれか」と言いうことのないため、また貧まずしくて盗ぬすみをし、わたしの神かみの名なを汚よごすことのないためです。 30:10 あなたは、しもべのことをその主人しゅじんに、あしざまにいってはならない、そうでないと彼かれはあなたをのろい、あなたは罪つみをきせられる。 30:11 世よには父ちちをのろったり、母ははを祝福しゅくふくしない者ものがある。30:12 世よには自分じぶんの目めにみずからを清きよい者ものとして、なおその汚けがれを洗あらわれないものがある。30:13 世よにはまた、このような人ひとがある――ああ、その目めのいかに高たかきことよ、またそのまぶたのいかにつりあがっていることよ。30:14 世よにはまたつるぎのような歯はをもち、刀かたなのようなきばをもって、貧まずしい者ものを地ちの上うえから、乏とぼしい者ものを人ひとの中なかから食くい滅ほろぼすものがある。 30:15 蛭ひるにふたりの娘むすめがあって、「与あたえよ、与あたえよ」という。飽あくことを知しらないものが三つある、いや、四つあって、皆みな「もう、たくさんです」と言いわない。30:16 すなわち陰府よみ、不妊ふにんの胎たい、水みずにかわく地ち、「もう、たくさんだ」といわない火ひがそれである。30:17 自分じぶんの父ちちをあざけり、母ははに従したがうのを卑いやしいこととする目めは、谷たにのからすがこれをつつき出だし、はげたかがこれを食たべる。 30:18 わたしにとって不思議ふしぎにたえないことが三つある、いや、四つあって、わたしには悟さとることができない。30:19 すなわち空そらを飛とぶはげたかの道みち、岩いわの上うえを這はうへびの道みち、海うみをはしる舟ふねの道みち、男おとこの女おんなにあう道みちがそれである。30:20 遊女ゆうじょの道みちもまたそうだ、彼女かのじょは食たべて、その口くちをぬぐって、「わたしは何なにもわるいことはしない」と言いう。 30:21 地ちは三つのことによって震ふるう、いや、四つのことによって、耐たえることができない。30:22 すなわち奴隷どれいたる者ものが王おうとなり、愚おろかな者ものが食物しょくもつに飽あき、30:23 忌いみきらわれた女おんなが嫁よめに行いき、はしためが女おんな主人しゅじんのあとにすわることである。 30:24 この地上ちじょうに、小ちいさいけれども、非常ひじょうに賢かしこいものが四つある。30:25 ありは力ちからのない種類しゅるいだが、その食糧しょくりょうを夏なつのうちに備そなえる。30:26 岩いわだぬきは強つよくない種類しゅるいだが、その家いえを岩いわにつくる。30:27 いなごは王おうがないけれども、みな隊たいを組くんでいで立たつ。30:28 やもりは手てでつかまえられるが、王おうの宮殿きゅうでんにおる。 30:29 歩あるきぶりの堂々どうどうたる者ものが三つある、いや、四つあって、みな堂々どうどうと歩あるく。30:30 すなわち獣けもののうちでもっとも強つよく、何なにものの前まえにも退しりぞかない、しし、30:31 尾おを立たてて歩あるくおんどり、雄おやぎ、その民たみの前まえをいばって歩あるく王おうがそれである。 30:32 あなたがもし愚おろかであって自みずから高たかぶり、あるいは悪事あくじを計はかったならば、あなたの手てを口くちに当あてるがよい。30:33 乳ちちをしめれば凝乳ぎょうにゅうが出でる、鼻はなをしめれば血ちがでる、怒いかりをしめれば争あらそいが起おこる。 第31章 31:1 マッサの王おうレムエルの言葉ことば、すなわちその母ははが彼かれに教おしえたものである。31:2 わが子こよ、何なにを言いおうか。わが胎たいの子こよ、何なにを言いおうか。わたしが願がんをかけて得えた子こよ、何なにをいおうか。31:3 あなたの力ちからを女おんなについやすな、王おうをも滅ほろぼすものに、あなたの道みちを任まかせるな。31:4 レムエルよ、酒さけを飲のむのは、王おうのすることではない、王おうのすることではない、濃こい酒さけを求もとめるのは君きみたる者もののすることではない。31:5 彼かれらは酒さけを飲のんで、おきてを忘わすれ、すべて悩なやむ者もののさばきを曲まげる。31:6 濃こい酒さけを滅ほろびようとしている者ものに与あたえ、酒さけを心こころの苦くるしむ人ひとに与あたえよ。31:7 彼かれらは飲のんで自分じぶんの貧乏びんぼうを忘わすれ、その悩なやみをもはや思おもい出ださない。31:8 あなたは黙だまっている人ひとのために、すべてのみなしごの訴うったえのために、口くちを開ひらくがよい。31:9 口くちを開ひらいて、正ただしいさばきを行おこない、貧まずしい者ものと乏とぼしい者ものの訴うったえをただせ。 31:10 だれが賢かしこい妻つまを見みつけることができるか、彼女かのじょは宝石ほうせきよりもすぐれて尊たっとい。31:11 その夫おっとの心こころは彼女かのじょを信頼しんらいして、収益しゅうえきに欠かけることはない。31:12 彼女かのじょは生いきながらえている間あいだ、その夫おっとのために良よいことをして、悪わるいことをしない。31:13 彼女かのじょは羊ひつじの毛けや亜麻あまを求もとめて、手てずから望のぞみのように、それを仕上しあげる。31:14 また商人しょうにんの舟ふねのように、遠とおい国くにから食糧しょくりょうを運はこんでくる。31:15 彼女かのじょはまだ夜よるのあけぬうちに起おきて、その家いえの者ものの食たべ物ものを備そなえ、その女おんなたちに日用にちようの分ぶんを与あたえる。31:16 彼女かのじょは畑はたけをよく考かんがえてそれを買かい、その手ての働はたらきの実みをもって、ぶどう畑ばたけをつくり、31:17 力ちからをもって腰こしに帯おびし、その腕うでを強つよくする。31:18 彼女かのじょはその商品しょうひんのもうけのあるのを知しっている、そのともしびは終夜しゅうや消きえることがない。31:19 彼女かのじょは手てを糸取いととり棒ぼうにのべ、その手てに、つむを持もち、31:20 手てを貧まずしい者ものに開ひらき、乏とぼしい人ひとに手てをさしのべる。31:21 彼女かのじょはその家いえの者もののために雪ゆきを恐おそれない、その家いえの者ものはみな紅くれないの着物きものを着きているからである。31:22 彼女かのじょは自分じぶんのために美うつくしいしとねを作つくり、亜麻あま布ぬのと紫むらさき布ぬのとをもってその着物きものとする。31:23 その夫おっとはその地ちの長老ちょうろうたちと共ともに、町まちの門もんに座ざするので、人ひとに知しられている。31:24 彼女かのじょは亜麻あま布ぬのの着物きものをつくって、それを売うり、帯おびをつくって商人しょうにんに渡わたす。31:25 力ちからと気品きひんとは彼女かのじょの着物きものである、そして後のちの日ひを笑わらっている。31:26 彼女かのじょは口くちを開ひらいて知恵ちえを語かたる、その舌したにはいつくしみの教おしえがある。31:27 彼女かのじょは家いえの事ことをよくかえりみ、怠おこたりのかてを食たべることをしない。31:28 その子こらは立たち上あがって彼女かのじょを祝しゅくし、その夫おっともまた彼女かのじょをほめたたえて言いう、31:29 「りっぱに事ことをなし遂とげる女おんなは多おおいけれども、あなたはそのすべてにまさっている」と。31:30 あでやかさは偽いつわりであり、美うつくしさはつかのまである、しかし主しゅを恐おそれる女おんなはほめたたえられる。31:31 その手ての働はたらきの実みを彼女かのじょに与あたえ、その行おこないのために彼女かのじょを町まちの門もんでほめたたえよ。
18:1 人ひとと交まじわりをしない者ものは口実こうじつを捜さがし、すべてのよい考かんがえに激はげしく反対はんたいする。
18:2 愚おろかな者ものは悟さとることを喜よろこばず、ただ自分じぶんの意見いけんを言いい表あらわすことを喜よろこぶ。
18:3 悪あしき者ものが来くると、卑いやしめもまた来くる、不名誉ふめいよが来くると、はずかしめも共ともにくる。
18:4 人ひとの口くちの言葉ことばは深ふかい水みずのようだ、知恵ちえの泉いずみは、わいて流ながれる川かわである。
18:5 悪あしき者ものをえこひいきすることは良よくない、正ただしい者ものをさばいて、悪あしき者ものとすることも良よくない。
18:6 愚おろかな者もののくちびるは争あらそいを起おこし、その口くちはむち打うたれることを招まねく。
18:7 愚おろかな者ものの口くちは自分じぶんの滅ほろびとなり、そのくちびるは自分じぶんを捕とらえるわなとなる。
18:8 人ひとのよしあしをいう者ものの言葉ことばはおいしい食物しょくもつのようで、腹はらの奥おくにしみこむ。
18:9 その仕事しごとを怠おこたる者ものは、滅ほろぼす者ものの兄弟きょうだいである。
18:10 主しゅの名なは堅固けんごなやぐらのようだ、正ただしい者ものはその中なかに走はしりこんで救すくいを得える。
18:11 富とめる者ものの富とみはその堅かたき城しろである、それは高たかき城壁じょうへきのように彼かれを守まもる。
18:12 人ひとの心こころの高たかぶりは滅ほろびにさきだち、謙遜けんそんは栄誉えいよにさきだつ。
18:13 事ことをよく聞きかないで答こたえる者ものは、愚おろかであって恥はじをこうむる。
18:14 人ひとの心こころは病苦びょうくをも忍しのぶ、しかし心こころの痛いたむときは、だれがそれに耐たえようか。
18:15 さとき者ものの心こころは知識ちしきを得え、知恵ちえある者ものの耳みみは知識ちしきを求もとめる。
18:16 人ひとの贈おくり物ものは、その人ひとのために道みちをひらき、また尊たっとい人ひとの前まえに彼かれを導みちびく。
18:17 先さきに訴うったえ出でる者ものは正ただしいように見みえる、しかしその訴うったえられた人ひとが来きて、それを調しらべて、事ことは明あきらかになる。
18:18 くじは争あらそいをとどめ、かつ強つよい争あらそい相手あいての間あいだを決定けっていする。
18:19 助たすけあう兄弟きょうだいは堅固けんごな城しろのようだ、しかし争あらそいは、やぐらの貫かんの木きのようだ。
18:20 人ひとは自分じぶんの言葉ことばの結むすぶ実みによって、満みち足たり、そのくちびるの産物さんぶつによって自みずから飽あきる。
18:21 死しと生せいとは舌したに支配しはいされる、これを愛あいする者ものはその実みを食たべる。
18:22 妻つまを得える者ものは、良よき物ものを得える、かつ主しゅから恵めぐみを与あたえられる。
18:23 貧まずしい者ものは、あわれみを請こい、富とめる者ものは、はげしい答こたえをする。
18:24 世よには友ともらしい見みせかけの友ともがある、しかし兄弟きょうだいよりもたのもしい友とももある。
第19章 19:1 正ただしく歩あゆむ貧まずしい者ものは、曲まがったことを言いう愚おろかな者ものにまさる。19:2 人ひとが知識ちしきのないのは良よくない、足あしで急いそぐ者ものは道みちに迷まよう。19:3 人ひとは自分じぶんの愚おろかさによって道みちにつまずき、かえって心こころのうちに主しゅをうらむ。19:4 富とみは多おおくの新あたらしい友ともを作つくる、しかし貧まずしい人ひとはその友ともに捨すてられる。19:5 偽いつわりの証人しょうにんは罰ばつを免まぬかれない、偽いつわりをいう者ものはのがれることができない。19:6 気前きまえのよい人ひとにこびる者ものは多おおい、人ひとはみな贈おくり物ものをする人ひとの友ともとなる。19:7 貧まずしい者ものはその兄弟きょうだいすらもみなこれを憎にくむ、ましてその友ともはこれに遠とおざからないであろうか。言葉ことばをかけてこれを呼よんでも、去さって帰かえらないのである。19:8 知恵ちえを得える者ものは自分じぶんの魂たましいを愛あいし、悟さとりを保たもつ者ものは幸さいわいを得える。19:9 偽いつわりの証人しょうにんは罰ばつを免まぬかれない、偽いつわりをいう者ものは滅ほろびる。19:10 愚おろかな者ものが、ぜいたくな暮くらしをするのは、ふさわしいことではない、しもべたる者ものが、君きみたる者ものを治おさめるなどは、なおさらである。19:11 悟さとりは人ひとに怒いかりを忍しのばせる、あやまちをゆるすのは人ひとの誉ほまれである。19:12 王おうの怒いかりは、ししのほえるようであり、その恵めぐみは草くさの上うえにおく露つゆのようである。19:13 愚おろかな子こはその父ちちの災わざわいである、妻つまの争あらそうのは、雨漏あまもりの絶たえないのとひとしい。19:14 家いえと富とみとは先祖せんぞからうけつぐもの、賢かしこい妻つまは主しゅから賜たまわるものである。19:15 怠おこたりは人ひとを熟睡じゅくすいさせる、なまけ者ものは飢うえる。19:16 戒いましめを守まもる者ものは自分じぶんの魂たましいを守まもる、み言葉ことばを軽かろんじる者ものは死しぬ。19:17 貧まずしい者ものをあわれむ者ものは主しゅに貸かすのだ、その施ほどこしは主しゅが償つぐなわれる。19:18 望のぞみのあるうちに、自分じぶんの子こを懲こらせ、これを滅ほろぼす心こころを起おこしてはならない。19:19 怒いかることの激はげしい者ものは罰ばつをうける、たとい彼かれを救すくってやっても、さらにくり返かえさねばならない。19:20 勧すすめを聞きき、教訓きょうくんをうけよ、そうすれば、ついには知恵ちえある者ものとなる。19:21 人ひとの心こころには多おおくの計画けいかくがある、しかしただ主しゅの、み旨むねだけが堅かたく立たつ。19:22 人ひとに望のぞましいのは、いつくしみ深ふかいことである、貧まずしい人ひとは偽いつわりをいう人ひとにまさる。19:23 主しゅを恐おそれることは人ひとを命いのちに至いたらせ、常つねに飽あき足たりて、災わざわいにあうことはない。19:24 なまけ者ものは、手てを皿さらに入いれても、それを口くちに持もってゆくことをしない。19:25 あざける者ものを打うて、そうすれば思慮しりょのない者ものも慎つつしむ。さとき者ものを戒いましめよ、そうすれば彼かれは知識ちしきを得える。19:26 父ちちに乱暴らんぼうをはたらき、母ははを追おい出だす者ものは、恥はじをきたらし、はずかしめをまねく子こである。19:27 わが子こよ、知識ちしきの言葉ことばをはなれて人ひとを迷まよわせる教訓きょうくんを聞きくことをやめよ。19:28 悪わるい証人しょうにんはさばきをあざけり、悪あしき者ものの口くちは悪あくをむさぼり食くう。19:29 さばきはあざける者もののために備そなえられ、むちは愚おろかな者ものの背せのために備そなえられる。 第20章 20:1 酒さけは人ひとをあざける者ものとし、濃こい酒さけは人ひとをあばれ者ものとする、これに迷まよわされる者ものは無知むちである。20:2 王おうの怒いかりは、ししがほえるようだ、彼かれを怒いからせる者ものは自分じぶんの命いのちをそこなう。20:3 争あらそいに関係かんけいしないことは人ひとの誉ほまれである、すべて愚おろかな者ものは怒いかり争あらそう。20:4 なまけ者ものは寒さむいときに耕たがやさない、それゆえ刈入かりいれのときになって、求もとめても何なにもない。20:5 人ひとの心こころにある計はかりごとは深ふかい井戸いどの水みずのようだ、しかし、さとき人ひとはこれをくみ出だす。20:6 自分じぶんは真実しんじつだという人ひとが多おおい、しかし、だれが忠信ちゅうしんな人ひとに会あうであろうか。20:7 欠かけた所ところなく、正ただしく歩あゆむ人ひと――その後のちの子孫しそんはさいわいである。20:8 さばきの座ざにすわる王おうはその目めをもって、すべての悪あくをふるいわける。20:9 だれが「わたしは自分じぶんの心こころを清きよめた、わたしの罪つみは清きよめられた」ということができようか。20:10 互たがいに違ちがった二種しゅのはかり、二種しゅのますは、ひとしく主しゅに憎にくまれる。20:11 幼おさな子ごでさえも、その行おこないによって自みずからを示しめし、そのすることの清きよいか正ただしいかを現あらわす。20:12 聞きく耳みみと、見みる目めとは、ともに主しゅが造つくられたものである。20:13 眠ねむりを愛あいしてはならない、そうすれば貧まずしくなる、目めを開ひらけ、そうすればパンに飽あくことができる。20:14 買かう者ものは、「悪わるい、悪わるい」という、しかし去さって後のち、彼かれは自みずから誇ほこる。20:15 金きんもあり、価あたいの高たかい宝石ほうせきも多おおくあるが、尊たっとい器うつわは知識ちしきのくちびるである。20:16 人ひとのために保証ほしょうする者ものからは、まずその着物きものを取とれ、他人たにんのために保証ほしょうする者ものをば抵当ていとうに取とれ。20:17 欺あざむき取とったパンはおいしい、しかし後のちにはその口くちは砂利じゃりで満みたされる。20:18 計はかりごとは共ともに議ぎすることによって成なる、戦たたかおうとするならば、まずよく議ぎしなければならない。20:19 歩あるきまわって人ひとのよしあしをいう者ものは秘密ひみつをもらす、くちびるを開ひらいて歩あるく者ものと交まじわってはならない。20:20 自分じぶんの父母ふぼをののしる者ものは、そのともしびは暗くらやみの中なかに消きえる。20:21 初はじめに急いそいで得えた資産しさんは、その終おわりがさいわいでない。20:22 「わたしが悪あくに報むくいる」と言いってはならない、主しゅを待まち望のぞめ、主しゅはあなたを助たすけられる。20:23 互たがいに違ちがった二種しゅのふんどうは主しゅに憎にくまれる、偽いつわりのはかりは良よくない。20:24 人ひとの歩あゆみは主しゅによって定さだめられる、人ひとはどうして自みずからその道みちを、明あきらかにすることができようか。20:25 軽々かるがるしく「これは聖せいなるささげ物ものだ」と言いい、また誓ちかいを立たてて後のちに考かんがえることは、その人ひとのわなとなる。20:26 知恵ちえある王おうは、箕みのをもってあおぎ分わけるように悪人あくにんを散ちらし、車くるまをもって脱穀だっこくするように、これを罰ばっする。20:27 人ひとの魂たましいは主しゅのともしびであり、人ひとの心こころの奥おくを探さぐる。20:28 いつくしみと、まこととは王おうを守まもる、その位くらいもまた正義せいぎによって保たもたれる。20:29 若わかい人ひとの栄さかえはその力ちから、老人ろうじんの美うつくしさはそのしらがである。20:30 傷きずつくまでに打うてば悪わるい所ところは清きよくなり、むちで打うてば心こころの底そこまでも清きよまる。 第21章 21:1 王おうの心こころは、主しゅの手てのうちにあって、水みずの流ながれのようだ、主しゅはみこころのままにこれを導みちびかれる。21:2 人ひとの道みちは自分じぶんの目めには正ただしく見みえる、しかし主しゅは人ひとの心こころをはかられる。21:3 正義せいぎと公平こうへいを行おこなうことは、犠牲ぎせいにもまさって主しゅに喜よろこばれる。21:4 高たかぶる目めとおごる心こころとは、悪あしき人ひとのともしびであって、罪つみである。21:5 勤勉きんべんな人ひとの計画けいかくは、ついにその人ひとを豊ゆたかにする、すべて おこたるものは貧まずしくなる。21:6 偽いつわりの舌したをもって宝たからを得えるのは、吹ふきはらわれる煙けむり、死しのわなである。21:7 悪あしき者ものの暴虐ぼうぎゃくはその身みを滅ほろぼす、彼かれらは公平こうへいを行おこなうことを好このまないからである。21:8 罪つみびとの道みちは曲まがっている、潔白けっぱくな人ひとの行おこないはまっすぐである。21:9 争あらそいを好このむ女おんなと一緒いっしょに家いえにおるよりは屋根やねのすみにおるほうがよい。21:10 悪あしき者ものの魂たましいは悪あくを行おこなうことを願ねがう、その隣となり人びとにも好意こういをもって見みられない。21:11 あざけるものが罰ばつをうけるならば、思慮しりょのない者ものは知恵ちえを得える。知恵ちえある者ものが教おしえをうけるならば知識ちしきを得える。21:12 正ただしい神かみは、悪あしき者ものの家いえをみとめて、悪あしき者ものを滅ほろびに投なげいれられる。21:13 耳みみを閉とじて貧まずしい者ものの呼よぶ声こえを聞きかない者ものは、自分じぶんが呼よぶときに、聞きかれない。21:14 ひそかな贈おくり物ものは憤いきどおりをなだめる、ふところのまいないは激はげしい怒いかりを和やわらげる。21:15 公義こうぎを行おこなうことは、正ただしい者ものには喜よろこびであるが、悪あくを行おこなう者ものには滅ほろびである。21:16 悟さとりの道みちを離はなれる人ひとは、死人しにんの集会しゅうかいの中なかにおる。21:17 快楽かいらくを好このむ者ものは貧まずしい人ひととなり、酒さけと油あぶらとを好このむ者ものは富とむことがない。21:18 悪あしき者ものは正ただしい者もののあがないとなり、不信実ふしんじつな者ものは正ただしい人ひとに代かわる。21:19 争あらそい怒いかる女おんなと共ともにおるよりは、荒野あらのに住すむほうがましだ。21:20 知恵ちえある者ものの家いえには尊たっとい宝たからがあり、愚おろかな人ひとはこれを、のみ尽つくす。21:21 正義せいぎといつくしみとを追おい求もとめる者ものは、命いのちと誉ほまれとを得える。21:22 知恵ちえある者ものは強つよい者ものの城しろにのぼって、その頼たのみとするとりでをくずす。21:23 口くちと舌したとを守まもる者ものはその魂たましいを守まもって、悩なやみにあわせない。21:24 高たかぶりおごる者ものを「あざける者もの」となづける、彼かれは高慢こうまん無礼ぶれいな行おこないをするものである。21:25 なまけ者ものの欲望よくぼうは自分じぶんの身みを殺ころす、これはその手てを働はたらかせないからである。21:26 悪あしき者ものはひねもす人ひとの物ものをむさぼる、正ただしい者ものは与あたえて惜おしまない。21:27 悪あしき者ものの供そなえ物ものは憎にくまれる、悪意あくいをもってささげる時ときはなおさらである。21:28 偽いつわりの証人しょうにんは滅ほろぼされる、よく聞きく人ひとの言葉ことばはすたることがない。21:29 悪あしき者ものはあつかましくし、正ただしい人ひとはその道みちをつつしむ。21:30 主しゅに向むかっては知恵ちえも悟さとりも、計はかりごとも、なんの役やくにも立たたない。21:31 戦たたかいの日ひのために馬うまを備そなえる、しかし勝利しょうりは主しゅによる。 第22章 22:1 令名れいめいは大おおいなる富とみにまさり、恩恵おんけいは銀ぎんや金きんよりも良よい。22:2 富とめる者ものと貧まずしい者ものとは共ともに世よにおる、すべてこれを造つくられたのは主しゅである。22:3 賢かしこい者ものは災わざわいを見みて自みずから避さけ、思慮しりょのない者ものは進すすんでいって、罰ばつをうける。22:4 謙遜けんそんと主しゅを恐おそれることとの報むくいは、富とみと誉ほまれと命いのちとである。22:5 よこしまな者ものの道みちにはいばらとわながあり、たましいを守まもる者ものは遠とおくこれを離はなれる。22:6 子こをその行いくべき道みちに従したがって教おしえよ、そうすれば年老としおいても、それを離はなれることがない。22:7 富とめる者ものは貧まずしき者ものを治おさめ、借かりる者ものは貸かす人ひとの奴隷どれいとなる。22:8 悪あくをまく者ものは災わざわいを刈かり、その怒いかりのつえはすたれる。22:9 人ひとを見みて恵めぐむ者ものはめぐまれる、自分じぶんのパンを貧まずしい人ひとに与あたえるからである。22:10 あざける者ものを追放ついほうすれば争あらそいもまた去さり、かつ、いさかいも、はずかしめもなくなる。22:11 心こころの潔白けっぱくを愛あいする者もの、その言葉ことばの上品じょうひんな者ものは、王おうがその友ともとなる。22:12 主しゅの目めは知識ちしきある者ものを守まもる、しかし主しゅは不信実ふしんじつな者ものの言葉ことばを敗やぶられる。22:13 なまけ者ものは言いう、「ししがそとにいる、わたしは、ちまたで殺ころされる」と。22:14 遊女ゆうじょの口くちは深ふかい落おとし穴あなである、主しゅに憎にくまれる者ものはその中なかに陥おちいる。22:15 愚おろかなことが子供こどもの心こころの中なかにつながれている、懲こらしめのむちは、これを遠とおく追おいだす。22:16 貧まずしい者ものをしえたげて自分じぶんの富とみを増まそうとする者ものと、富とめる者ものに与あたえる者ものとは、ついに必かならず貧まずしくなる。 22:17 あなたの耳みみを傾かたむけて知恵ちえある者ものの言葉ことばを聞きき、かつ、わたしの知識ちしきにあなたの心こころを用もちいよ。22:18 これをあなたのうちに保たもち、ことごとく、あなたのくちびるに備そなえておくなら、楽たのしいことである。22:19 あなたが主しゅに、寄より頼たのむことのできるように、わたしはきょう、これをあなたにも教おしえる。22:20 わたしは、勧すすめと知識ちしきとの三十の言葉ことばをあなたのためにしるしたではないか。22:21 それは正ただしいこと、真実しんじつなことをあなたに示しめし、あなたをつかわした者ものに真実しんじつの答こたえをさせるためであった。 22:22 貧まずしい者ものを、貧まずしいゆえに、かすめてはならない、悩なやむ者ものを、町まちの門もんでおさえつけてはならない。22:23 それは主しゅが彼かれらの訴うったえをただし、かつ彼かれらをそこなう者ものの命いのちを、そこなわれるからである。22:24 怒いかる者ものと交まじわるな、憤いきどおる人ひとと共ともに行いくな。22:25 それはあなたがその道みちにならって、みずから、わなに陥おちいることのないためである。22:26 あなたは人ひとと手てを打うつ者ものとなってはならない、人ひとの負債ふさいの保証ほしょうをしてはならない。22:27 あなたが償つぐなうものがないとき、あなたの寝ねている寝床ねどこまでも、人ひとが奪うばい取とってよかろうか。22:28 あなたの先祖せんぞが立たてた古ふるい地境じざかいを移うつしてはならない。22:29 あなたはそのわざに巧たくみな人ひとを見みるか、そのような人ひとは王おうの前まえに立たつが、卑いやしい人々ひとびとの前まえには立たたない。 第23章 23:1 治おさめる人ひとと共ともに座ざして食事しょくじするとき、あなたの前まえにあるものを、よくわきまえ、23:2 あなたがもし食しょくをたしなむ者ものであるならば、あなたののどに刀かたなをあてよ。23:3 そのごちそうをむさぼり食たべてはならない、これは人ひとを欺あざむく食物しょくもつだからである。23:4 富とみを得えようと苦労くろうしてはならない、かしこく思おもいとどまるがよい。23:5 あなたの目めをそれにとめると、それはない、富とみはたちまち自みずから翼つばさを生しょうじて、わしのように天てんに飛とび去さるからだ。23:6 物惜ものおしみする人ひとのパンを食たべてはならない、そのごちそうをむさぼり願ねがってはならない。23:7 彼かれは心こころのうちで勘定かんじょうする人ひとのように、「食くえ、飲のめ」とあなたに言いうけれども、その心こころはあなたに真実しんじつではない。23:8 あなたはついにその食たべた物ものを吐はき出だすようになり、あなたのねんごろな言葉ことばもむだになる。23:9 愚おろかな者ものの耳みみに語かたってはならない、彼かれはあなたの言葉ことばが示しめす知恵ちえをいやしめるからだ。23:10 古ふるい地境じざかいを移うつしてはならない、みなしごの畑はたけを侵おかしてはならない。23:11 彼かれらのあがない主しゅは強つよくいらせられ、あなたに逆さからって彼かれらの訴うったえを弁護べんごされるからだ。23:12 あなたの心こころを教訓きょうくんに用もちい、あなたの耳みみを知識ちしきの言葉ことばに傾かたむけよ。23:13 子こを懲こらすことを、さし控ひかえてはならない、むちで彼かれを打うっても死しぬことはない。23:14 もし、むちで彼かれを打うつならば、その命いのちを陰府よみから救すくうことができる。23:15 わが子こよ、もしあなたの心こころが賢かしこくあれば、わたしの心こころもまた喜よろこび、23:16 もしあなたのくちびるが正ただしい事ことを言いうならば、わたしの心こころも喜よろこぶ。23:17 心こころに罪つみびとをうらやんではならない、ただ、ひねもす主しゅを恐おそれよ。23:18 かならず後のちのよい報むくいがあって、あなたの望のぞみは、すたらない。23:19 わが子こよ、よく聞きいて、知恵ちえを得えよ、かつ、あなたの心こころを道みちに向むけよ。23:20 酒さけにふけり、肉にくをたしなむ者ものと交まじわってはならない。23:21 酒さけにふける者ものと、肉にくをたしなむ者ものとは貧まずしくなり、眠ねむりをむさぼる者ものは、ぼろを身みにまとうようになる。23:22 あなたを生うんだ父ちちのいうことを聞きき、年老としおいた母ははを軽かろんじてはならない。23:23 真理しんりを買かえ、これを売うってはならない、知恵ちえと教訓きょうくんと悟さとりをも買かえ。23:24 正ただしい人ひとの父ちちは大おおいによろこび、知恵ちえある子こを生うむ者ものは子このために楽たのしむ。23:25 あなたの父母ふぼを楽たのしませ、あなたを産うんだ母ははを喜よろこばせよ。23:26 わが子こよ、あなたの心こころをわたしに与あたえ、あなたの目めをわたしの道みちに注そそげ。23:27 遊女ゆうじょは深ふかい穴あなのごとく、みだらな女おんなは狭せまい井戸いどのようだ。23:28 彼女かのじょは盗ぬすびとのように人ひとをうかがい、かつ世よの人ひとのうちに、不信実ふしんじつな者ものを多おおくする。23:29 災わざわいある者ものはだれか、憂うれいある者ものはだれか、争あらそいをする者ものはだれか、煩わずらいある者ものはだれか、ゆえなく傷きずをうける者ものはだれか、赤あかい目めをしている者ものはだれか。23:30 酒さけに夜よるをふかす者もの、行いって、混まぜ合あわせた酒さけを味あじわう者ものである。23:31 酒さけはあかく、杯はいの中なかにあわだち、なめらかにくだる、あなたはこれを見みてはならない。23:32 これはついに、へびのようにかみ、まむしのように刺さす。23:33 あなたの目めは怪あやしいものを見み、あなたの心こころは偽いつわりを言いう。23:34 あなたは海うみの中なかに寝ねている人ひとのように、帆柱ほばしらの上うえに寝ねている人ひとのようになる。23:35 あなたは言いう、「人ひとがわたしを撃うったが、わたしは痛いたくはなかった。わたしを、たたいたが、わたしは何なにも覚おぼえはない。いつわたしはさめるのか、また酒さけを求もとめよう」と。 第24章 24:1 悪あくを行おこなう人ひとをうらやんではならない、また彼かれらと共ともにおることを願ねがってはならない。24:2 彼かれらはその心こころに強奪ごうだつを計はかり、そのくちびるに人ひとをそこなうことを語かたるからである。24:3 家いえは知恵ちえによって建たてられ、悟さとりによって堅かたくせられ、24:4 また、へやは知識ちしきによってさまざまの尊たっとく、麗うるわしい宝たからで満みたされる。24:5 知恵ちえある者ものは強つよい人ひとよりも強つよく、知識ちしきある人ひとは力ちからある人ひとよりも強つよい。24:6 良よい指揮しきによって戦たたかいをすることができ、勝利しょうりは多おおくの議ぎする者ものがいるからである。24:7 知恵ちえは高たかくて愚おろかな者ものの及およぶところではない、愚おろかな者ものは門もんで口くちを開ひらくことができない。24:8 悪あくを行おこなうことを計はかる者ものを人ひとはいたずら者ものととなえる。24:9 愚おろかな者ものの計はかるところは罪つみであり、あざける者ものは人ひとに憎にくまれる。 24:10 もしあなたが悩なやみの日ひに気きをくじくならば、あなたの力ちからは弱よわい。24:11 死地しちにひかれゆく者ものを助たすけ出だせ、滅ほろびによろめきゆく者ものを救すくえ。24:12 あなたが、われわれはこれを知しらなかったといっても、心こころをはかる者ものはそれを悟さとらないであろうか。あなたの魂たましいを守まもる者ものはそれを知しらないであろうか。彼かれはおのおのの行おこないにより、人ひとに報むくいないであろうか。 24:13 わが子こよ、蜜みつを食たべよ、これは良よいものである、また、蜂はちの巣すのしたたりはあなたの口くちに甘あまい。24:14 知恵ちえもあなたの魂たましいにはそのようであることを知しれ。それを得えるならば、かならず報むくいがあって、あなたの望のぞみは、すたらない。24:15 悪あしき者ものがするように、正ただしい者ものの家いえをうかがってはならない、その住すむ所ところに乱暴らんぼうをしてはならない。24:16 正ただしい者ものは七たび倒たおれても、また起おきあがる、しかし、悪あしき者ものは災わざわいによって滅ほろびる。24:17 あなたのあだが倒たおれるとき楽たのしんではならない、彼かれのつまずくとき心こころに喜よろこんではならない。24:18 主しゅはそれを見みて悪わるいこととし、その怒いかりを彼かれから転てんじられる。24:19 悪あくを行おこなう者もののゆえに心こころを悩なやましてはならない、よこしまな者ものをうらやんではならない。24:20 悪あしき者ものには後のちの良よい報むくいはない、よこしまな者もののともしびは消けされる。24:21 わが子こよ、主しゅと王おうとを恐おそれよ、そのいずれにも不ふ従順じゅうじゅんであってはならない。24:22 その災わざわいはたちまち起おこるからである。この二つの者ものからくる滅ほろびをだれが知しり得えようか。 24:23 これらもまた知恵ちえある者ものの箴言しんげんである。 片寄かたよったさばきをするのは、よくない。24:24 悪あしき者ものに向むかって、「あなたは正ただしい」という者ものを、人々ひとびとはのろい、諸民しょみんは憎にくむ。24:25 悪あしき者ものをせめる者ものは恵めぐみを得える、また幸福こうふくが与あたえられる。24:26 正ただしい答こたえをする者ものは、くちびるに、口くちづけするのである。24:27 外そとで、あなたの仕事しごとを整ととのえ、畑はたけで、すべての物ものをおのれのために備そなえ、その後のちあなたの家いえを建たてるがよい。24:28 ゆえなく隣となり人びとに敵てきして、証言しょうげんをしてはならない、くちびるをもって欺あざむいてはならない。24:29 「彼かれがわたしにしたように、わたしも彼かれにしよう、わたしは人ひとがしたところにしたがって、その人ひとに報むくいよう」と言いってはならない。 24:30 わたしはなまけ者ものの畑はたけのそばと、知恵ちえのない人ひとのぶどう畑はたけのそばを通とおってみたが、24:31 いばらが一面いちめんに生はえ、あざみがその地面じめんをおおい、その石いしがきはくずれていた。24:32 わたしはこれをみて心こころをとどめ、これを見みて教訓きょうくんを得えた。24:33 「しばらく眠ねむり、しばらくまどろみ、手てをこまぬいて、またしばらく休やすむ」。24:34 それゆえ、貧まずしさは盗ぬすびとのように、あなたに来き、乏とぼしさは、つわもののように、あなたに来くる。 第25章 25:1 これらもまたソロモンの箴言しんげんであり、ユダの王おうヒゼキヤに属ぞくする人々ひとびとがこれを書かき写うつした。25:2 事ことを隠かくすのは神かみの誉ほまれであり、事ことを窮きわめるのは王おうの誉ほまれである。25:3 天てんの高たかさと地ちの深ふかさと、王おうたる者ものの心こころとは測はかることができない。25:4 銀ぎんから、かなくそを除のぞけ、そうすれば、銀ぎん細工人ざいくにんが器うつわを造つくる材料ざいりょうとなる。25:5 王おうの前まえから悪あしき者ものを除のぞけ、そうすれば、その位くらいは正義せいぎによって堅かたく立たつ。25:6 王おうの前まえで自みずから高たかぶってはならない、偉えらい人ひとの場ばに立たってはならない。25:7 尊たっとい人ひとの前まえで下したにさげられるよりは、「ここに上あがれ」といわれるほうがましだ。25:8 あなたが目めに見みたことを、軽々かるがるしく法廷ほうていに出だしてはならない。あとになり、あなたが隣となり人びとにはずかしめられるとき、あなたはどうしようとするのか。25:9 隣となり人びとと争あらそうことがあるならば、ただその人ひとと争あらそえ、他人たにんの秘密ひみつをもらしてはならない。25:10 そうでないと、聞きく者ものがあなたをいやしめ、あなたは、いつまでもそしられる。 25:11 おりにかなって語かたる言葉ことばは、銀ぎんの彫ほり物ものに金きんのりんごをはめたようだ。25:12 知恵ちえをもって戒いましめる者ものは、これをきく者ものの耳みみにとって、金きんの耳輪みみわ、精せい金きんの飾かざりのようだ。25:13 忠実ちゅうじつな使者ししゃはこれをつかわす者ものにとって、刈入かりいれの日ひに冷ひややかな雪ゆきがあるようだ、よくその主人しゅじんの心こころを喜よろこばせる。25:14 贈おくり物ものをすると偽いつわって誇ほこる人ひとは、雨あめのない雲くもと風かぜのようだ。 25:15 忍耐にんたいをもって説とけば君きみも言葉ことばをいれる、柔やわらかな舌したは骨ほねを砕くだく。25:16 蜜みつを得えたならば、ただ足たるほどにこれを食たべよ、おそらくは食たべすごして、それを吐はき出だすであろう。25:17 隣となり人びとの家いえに足あしをしげくしてはならない、おそらくは彼かれは煩わずらわしくなって、あなたを憎にくむようになろう。25:18 隣となり人びとに敵てきして偽いつわりのあかしを立たてる人ひとは、こん棒ぼう、つるぎ、または鋭するどい矢やのようだ。25:19 悩なやみに会あうとき不信実ふしんじつな者ものを頼たのみにするのは、悪わるい歯は、またはなえた足あしを頼たのみとするようなものだ。25:20 心こころの痛いためる人ひとの前まえで歌うたをうたうのは、寒さむい日ひに着物きものを脱ぬぐようであり、また傷きずの上うえに酢すをそそぐようだ。25:21 もしあなたのあだが飢うえているならば、パンを与あたえて食たべさせ、もしかわいているならば水みずを与あたえて飲のませよ。25:22 こうするのは、火ひを彼かれのこうべに積つむのである、主しゅはあなたに報むくいられる。25:23 北風きたかぜは雨あめを起おこし、陰言かげごとをいう舌したは人ひとの顔かおを怒いからす。25:24 争あらそいを好このむ女おんなと一緒いっしょに家いえにおるよりは、屋根やねのすみにおるほうがよい。25:25 遠とおい国くにから来くるよい消息しょうそくは、かわいている人ひとが飲のむ冷ひややかな水みずのようだ。25:26 正ただしい者ものが悪わるい者ものの前まえに屈服くっぷくするのは、井戸いどが濁にごったよう、また泉いずみがよごれたようなものだ。25:27 蜜みつを多おおく食たべるのはよくない、ほめる言葉ことばは控ひかえ目めにするがよい。25:28 自分じぶんの心こころを制せいしない人ひとは、城壁じょうへきのない破やぶれた城しろのようだ。 第26章 26:1 誉ほまれが愚おろかな者ものにふさわしくないのは、夏なつに雪ゆきが降ふり、刈入かりいれの時ときに雨あめが降ふるようなものだ。26:2 いわれのないのろいは、飛とびまわるすずめや、飛とびかけるつばめのようなもので、止とまらない。26:3 馬うまのためにはむちがあり、ろばのためにはくつわがあり、愚おろかな者ものの背せのためにはつえがある。26:4 愚おろかな者ものにその愚おろかさにしたがって答こたえをするな、自分じぶんも彼かれと同おなじようにならないためだ。26:5 愚おろかな者ものにその愚おろかさにしたがって答こたえをせよ、彼かれが自分じぶんの目めに自みずからを知恵ちえある者ものと見みないためだ。26:6 愚おろかな者ものに託たくして事ことを言いい送おくる者ものは、自分じぶんの足あしを切きり去さり、身みに害がいをうける。26:7 あしなえの足あしは用ようがない、愚おろかな者ものの口くちには箴言しんげんもそれにひとしい。26:8 誉ほまれを愚おろかな者ものに与あたえるのは、石いしを石いし投なげにつなぐようだ。26:9 愚おろかな者ものの口くちに箴言しんげんがあるのは、酔よった者ものが、とげのあるつえを手てで振ふり上あげるようだ。26:10 通とおりがかりの愚おろか者ものや、酔よった者ものを雇やとう者ものは、すべての人ひとを傷きずつける射手いてのようだ。26:11 犬いぬが帰かえって来きてその吐はいた物ものを食たべるように、愚おろかな者ものはその愚おろかさをくり返かえす。26:12 自分じぶんの目めに自みずからを知恵ちえある者ものとする人ひとを、あなたは見みるか、彼かれよりもかえって愚おろかな人ひとに望のぞみがある。26:13 なまけ者ものは、「道みちにししがいる、ちまたにししがいる」という。26:14 戸とがちょうつがいによって回まわるように、なまけ者ものはその寝床ねどこで寝返ねがえりをする。26:15 なまけ者ものは手てを皿さらに入いれても、それを口くちに持もってゆくことをいとう。26:16 なまけ者ものは自分じぶんの目めに、良よく答こたえることのできる七人にんの者ものよりも、自みずからを知恵ちえありとする。26:17 自分じぶんに関係かんけいのない争あらそいにたずさわる者ものは、通とおりすぎる犬いぬの耳みみをとらえる者もののようだ。26:18 26:19 隣となり人びとを欺あざむいて、「わたしはただ戯たわむれにした」という者ものは、燃もえ木ぎまたは矢や、または死しを、投なげつける気違きちがいのようだ。26:20 たきぎがなければ火ひは消きえ、人ひとのよしあしを言いう者ものがなければ争あらそいはやむ。26:21 おき火ひに炭すみをつぎ、火ひにたきぎをくべるように、争あらそいを好このむ人ひとは争あらそいの火ひをおこす。26:22 人ひとのよしあしをいう者ものの言葉ことばはおいしい食物しょくもつのようで、腹はらの奥おくにしみこむ。26:23 くちびるはなめらかであっても、心こころの悪わるいのは上うえぐすりをかけた土つちの器うつわのようだ。26:24 憎にくむ者ものはくちびるをもって自みずから飾かざるけれども、心こころのうちには偽いつわりをいだく。26:25 彼かれが声こえをやわらげて語かたっても、信しんじてはならない。その心こころに七つの憎にくむべきものがあるからだ。26:26 たとい偽いつわりをもってその憎にくしみをかくしても、彼かれの悪あくは会衆かいしゅうの中なかに現あらわれる。26:27 穴あなを掘ほる者ものは自みずからその中なかに陥おちいる、石いしをまろばしあげる者ものの上うえに、その石いしはまろびかえる。26:28 偽いつわりの舌したは自分じぶんが傷きずつけた者ものを憎にくみ、へつらう口くちは滅ほろびをきたらせる。 第27章 27:1 あすのことを誇ほこってはならない、一日にちのうちに何なにがおこるかを知しることができないからだ。27:2 自分じぶんの口くちをもって自みずからをほめることなく、他人たにんにほめさせよ。自分じぶんのくちびるをもってせず、ほかの人ひとにあなたをほめさせよ。27:3 石いしは重おもく、砂すなも軽かるくはない、しかし愚おろかな者ものの怒いかりはこの二つよりも重おもい。27:4 憤いきどおりはむごく、怒いかりははげしい、しかしねたみの前まえには、だれが立たちえよう。27:5 あからさまに戒いましめるのは、ひそかに愛あいするのにまさる。27:6 愛あいする者ものが傷きずつけるのは、まことからであり、あだの口くちづけするのは偽いつわりからである。27:7 飽あいている者ものは蜂蜜はちみつをも踏ふみつける、しかし飢うえた者ものには苦にがい物ものでさえ、みな甘あまい。27:8 その家いえを離はなれてさまよう人ひとは、巣すを離はなれてさまよう鳥とりのようだ。27:9 油あぶらと香こうとは人ひとの心こころを喜よろこばせる、しかし魂たましいは悩なやみによって裂さかれる。27:10 あなたの友とも、あなたの父ちちの友ともを捨すてるな、あなたが悩なやみにあう日ひには兄弟きょうだいの家いえに行いくな、近ちかい隣となり人びとは遠とおくにいる兄弟きょうだいにまさる。27:11 わが子こよ、知恵ちえを得えて、わたしの心こころを喜よろこばせよ、そうすればわたしをそしる者ものに答こたえることができる。27:12 賢かしこい者ものは災わざわいを見みて自みずから避さけ、思慮しりょのない者ものは進すすんでいって、罰ばつをうける。27:13 人ひとのために保証ほしょうする者ものからは、まずその着物きものをとれ、他人たにんのために保証ほしょうをする者ものをば抵当ていとうに取とれ。27:14 朝あさはやく起おきて大声おおごえにその隣となり人びとを祝しゅくすれば、かえってのろいと見みなされよう。27:15 雨あめの降ふる日ひに雨漏あまもりの絶たえないのと、争あらそい好すきな女おんなとは同おなじだ。27:16 この女おんなを制せいするのは風かぜを制せいするのとおなじく、右みぎの手てに油あぶらをつかむのとおなじだ。27:17 鉄てつは鉄てつをとぐ、そのように人ひとはその友ともの顔かおをとぐ。27:18 いちじくの木きを守まもる者ものはその実みを食たべる、主人しゅじんを尊たっとぶ者ものは誉ほまれを得える。27:19 水みずにうつせば顔かおと顔かおとが応おうじるように、人ひとの心こころはその人ひとをうつす。27:20 陰府よみと滅ほろびとは飽あくことなく、人ひとの目めもまた飽あくことがない。27:21 るつぼによって銀ぎんをためし、炉ろによって金きんをためす、人ひとはその称賛しょうさんによってためされる。27:22 愚おろかな者ものをうすに入いれ、きねをもって、麦むぎと共ともにこれをついても、その愚おろかさは去さることがない。 27:23 あなたの羊ひつじの状態じょうたいをよく知しり、あなたの群むれに心こころをとめよ。27:24 富とみはいつまでも続つづくものではない、どうして位くらいが末代まつだいまでも保たもつであろうか。27:25 草くさが刈かり取とられ、新あたらしい芽めがのび、山やまの牧草ぼくそうも集あつめられると、27:26 小羊こひつじはあなたの衣料いりょうを出だし、やぎは畑はたけを買かう価あたいとなり、27:27 やぎの乳ちちは多おおくて、あなたと、あなたの家いえのものの食物しょくもつとなり、おとめらを養やしなうのにじゅうぶんである。 第28章 28:1 悪あしき者ものは追おう人ひともないのに逃にげる、正ただしい人ひとはししのように勇いさましい。28:2 国くにの罪つみによって、治おさめる者ものは多おおくなり、さとく、また知識ちしきある人ひとによって、国くにはながく保たもつ。28:3 貧まずしい者ものをしえたげる貧まずしい人ひとは、糧食りょうしょくを残のこさない激はげしい雨あめのようだ。28:4 律法りっぽうを捨すてる者ものは悪あしき者ものをほめる、律法りっぽうを守まもる者ものはこれに敵対てきたいする。28:5 悪人あくにんは正ただしいことを悟さとらない、主しゅを求もとめる者ものはこれをことごとく悟さとる。28:6 正ただしく歩あゆむ貧まずしい者ものは、曲まがった道みちを歩あゆむ富とめる者ものにまさる。28:7 律法りっぽうを守まもる者ものは賢かしこい子こである、不品行ふひんこうな者ものと交まじわるものは、父ちちをはずかしめる。28:8 利息りそくと高利こうりとによってその富とみをます者ものは、貧まずしい者ものを恵めぐむ者もののために、それをたくわえる。28:9 耳みみをそむけて律法りっぽうを聞きかない者ものは、その祈いのりでさえも憎にくまれる。28:10 正ただしい者ものを悪わるい道みちに惑まどわす者ものは、みずから自分じぶんの穴あなに陥おちいる、しかし誠実せいじつな人ひとは幸福こうふくを継つぐ。28:11 富とめる人ひとは自分じぶんの目めに自みずからを知恵ちえある者ものと見みる、しかし悟さとりのある貧まずしい者ものは彼かれを見みやぶる。28:12 正ただしい者ものが勝かつときは、大おおいなる栄さかえがある、悪あしき者ものが起おこるときは、民たみは身みをかくす。28:13 その罪つみを隠かくす者ものは栄さかえることがない、言いい表あらわしてこれを離はなれる者ものは、あわれみをうける。28:14 常つねに主しゅを恐おそれる人ひとはさいわいである、心こころをかたくなにする者ものは災わざわいに陥おちいる。28:15 貧まずしい民たみを治おさめる悪わるいつかさは、ほえるしし、または飢うえたくまのようだ。28:16 悟さとりのないつかさは残忍ざんにんな圧制者あっせいしゃである、不正ふせいの利りを憎にくむ者ものは長命ちょうめいを得える。28:17 人ひとを殺ころしてその血ちを身みに負おう者ものは死しぬまで、のがれびとである、だれもこれを助たすけてはならない。28:18 正ただしく歩あゆむ者ものは救すくいを得え、曲まがった道みちに歩あゆむ者ものは穴あなに陥おちいる。28:19 自分じぶんの田地でんちを耕たがやす者ものは食糧しょくりょうに飽あき、無益むえきな事ことに従したがう者ものは貧乏びんぼうに飽あきる。28:20 忠実ちゅうじつな人ひとは多おおくの祝福しゅくふくを得える、急いそいで富とみを得えようとする者ものは罰ばつを免まぬかれない。28:21 人ひとを片寄かたより見みることは良よくない、人ひとは一いち切きれのパンのために、とがを犯おかすことがある。28:22 欲よくの深ふかい人ひとは急いそいで富とみを得えようとする、かえって欠乏けつぼうが自分じぶんの所ところに来くることを知しらない。28:23 人ひとを戒いましめる者ものは舌したをもってへつらう者ものよりも、大おおいなる感謝かんしゃをうける。28:24 父ちちや母ははの物ものを盗ぬすんで「これは罪つみではない」と言いう者ものは、滅ほろぼす者ものの友ともである。28:25 むさぼる者ものは争あらそいを起おこし、主しゅに信頼しんらいする者ものは豊ゆたかになる。28:26 自分じぶんの心こころを頼たのむ者ものは愚おろかである、知恵ちえをもって歩あゆむ者ものは救すくいを得える。28:27 貧まずしい者ものに施ほどこす者ものは物ものに不足ふそくしない、目めをおおって見みない人ひとは多おおくののろいをうける。28:28 悪あしき者ものが起おこるときは、民たみは身みをかくす、その滅ほろびるときは、正ただしい人ひとが増ます。 第29章 29:1 しばしばしかられても、なおかたくなな者ものは、たちまち打うち敗やぶられて助たすかることはない。29:2 正ただしい者ものが権力けんりょくを得えれば民たみは喜よろこび、悪あしき者ものが治おさめるとき、民たみはうめき苦くるしむ。29:3 知恵ちえを愛あいする人ひとはその父ちちを喜よろこばせ、遊女ゆうじょに交まじわる者ものはその資産しさんを浪費ろうひする。29:4 王おうは公儀こうぎをもって国くにを堅かたくする、しかし、重税じゅうぜいを取とり立たてる者ものはこれを滅ほろぼす。29:5 その隣となり人びとにへつらう者ものは、彼かれの足あしの前まえに網あみを張はる。29:6 悪人あくにんは自分じぶんの罪つみのわなに陥おちいる、しかし正ただしい人ひとは喜よろこび楽たのしむ。29:7 正ただしい人ひとは貧まずしい者ものの訴うったえをかえりみる、悪あしき人ひとはそれを知しろうとはしない。29:8 あざける人ひとは町まちを乱みだし、知恵ちえある者ものは怒いかりを静しずめる。29:9 知恵ちえある人ひとが愚おろかな人ひとと争あらそうと、愚おろかな者ものはただ怒いかり、あるいは笑わらって、休やすむことがない。29:10 血ちに飢うえている人ひとは罪つみのない者ものを憎にくむ、悪あしき者ものは彼かれの命いのちを求もとめる。29:11 愚おろかな者ものは怒いかりをことごとく表あらわし、知恵ちえある者ものは静しずかにこれをおさえる。29:12 もし治おさめる者ものが偽いつわりの言葉ことばに聞きくならば、その役人やくにんらはみな悪わるくなる。29:13 貧まずしい者ものと、しえたげる者ものとは共ともに世よにおる、主しゅは彼かれら両者りょうしゃの目めに光ひかりを与あたえられる。29:14 もし王おうが貧まずしい者ものを公平こうへいにさばくならば、その位くらいはいつまでも堅かたく立たつ。29:15 むちと戒いましめとは知恵ちえを与あたえる、わがままにさせた子こはその母ははに恥はじをもたらす。29:16 悪あしき者ものが権力けんりょくを得えると罪つみも増ます、正ただしい者ものは彼かれらの倒たおれるのを見みる。29:17 あなたの子こを懲こらしめよ、そうすれば彼かれはあなたを安やすらかにし、またあなたの心こころに喜よろこびを与あたえる。29:18 預言よげんがなければ民たみはわがままにふるまう、しかし律法りっぽうを守まもる者ものはさいわいである。29:19 しもべは言葉ことばだけで訓練くんれんすることはできない、彼かれは聞きいて知しっても、心こころにとめないからである。29:20 言葉ことばの軽率けいそつな人ひとを見みるか、彼かれよりもかえって愚おろかな者もののほうに望のぞみがある。29:21 しもべをその幼おさない時ときからわがままに育そだてる人ひとは、ついにはそれを自分じぶんのあとつぎにする。29:22 怒いかる人ひとは争あらそいを起おこし、憤いきどおる人ひとは多おおくの罪つみを犯おかす。29:23 人ひとの高たかぶりはその人ひとを低ひくくし、心こころにへりくだる者ものは誉ほまれを得える。29:24 盗ぬすびとにくみする者ものは自分じぶんの魂たましいを憎にくむ、彼かれはのろいを聞きいても何事なにごとをも口外こうがいしない。29:25 人ひとを恐おそれると、わなに陥おちいる、主しゅに信頼しんらいする者ものは安やすらかである。29:26 治おさめる者ものの歓心かんしんを得えようとする人ひとは多おおい、しかし人ひとの事ことを定さだめるのは主しゅによる。29:27 正ただしい人ひとは不正ふせいを行おこなう人ひとを憎にくみ、悪あしき者ものは正ただしく歩あゆむ人ひとを憎にくむ。 第30章 30:1 マッサの人ひとヤケの子こアグルの言葉ことば。その人ひとはイテエルに向むかって言いった、すなわちイテエルと、ウカルとに向むかって言いった、30:2 わたしは確たしかに人ひとよりも愚おろかであり、わたしには人ひとの悟さとりがない。30:3 わたしはまだ知恵ちえをならうことができず、また、聖せいなる者ものを悟さとることもできない。30:4 天てんにのぼったり、下くだったりしたのはだれか、風かぜをこぶしの中なかに集あつめたのはだれか、水みずを着物きものに包つつんだのはだれか、地ちのすべての限界げんかいを定さだめた者ものはだれか、その名なは何なにか、その子この名なは何なにか、あなたは確たしかにそれを知しっている。 30:5 神かみの言葉ことばはみな真実しんじつである、神かみは彼かれに寄より頼たのむ者ものの盾たてである。30:6 その言葉ことばに付つけ加くわえてはならない、彼かれがあなたを責せめ、あなたを偽いつわり者ものとされないためだ。 30:7 わたしは二つのことをあなたに求もとめます、わたしの死しなないうちに、これをかなえてください。30:8 うそ、偽いつわりをわたしから遠とおざけ、貧まずしくもなく、また富とみもせず、ただなくてならぬ食物しょくもつでわたしを養やしなってください。30:9 飽あき足たりて、あなたを知しらないといい、「主しゅとはだれか」と言いうことのないため、また貧まずしくて盗ぬすみをし、わたしの神かみの名なを汚よごすことのないためです。 30:10 あなたは、しもべのことをその主人しゅじんに、あしざまにいってはならない、そうでないと彼かれはあなたをのろい、あなたは罪つみをきせられる。 30:11 世よには父ちちをのろったり、母ははを祝福しゅくふくしない者ものがある。30:12 世よには自分じぶんの目めにみずからを清きよい者ものとして、なおその汚けがれを洗あらわれないものがある。30:13 世よにはまた、このような人ひとがある――ああ、その目めのいかに高たかきことよ、またそのまぶたのいかにつりあがっていることよ。30:14 世よにはまたつるぎのような歯はをもち、刀かたなのようなきばをもって、貧まずしい者ものを地ちの上うえから、乏とぼしい者ものを人ひとの中なかから食くい滅ほろぼすものがある。 30:15 蛭ひるにふたりの娘むすめがあって、「与あたえよ、与あたえよ」という。飽あくことを知しらないものが三つある、いや、四つあって、皆みな「もう、たくさんです」と言いわない。30:16 すなわち陰府よみ、不妊ふにんの胎たい、水みずにかわく地ち、「もう、たくさんだ」といわない火ひがそれである。30:17 自分じぶんの父ちちをあざけり、母ははに従したがうのを卑いやしいこととする目めは、谷たにのからすがこれをつつき出だし、はげたかがこれを食たべる。 30:18 わたしにとって不思議ふしぎにたえないことが三つある、いや、四つあって、わたしには悟さとることができない。30:19 すなわち空そらを飛とぶはげたかの道みち、岩いわの上うえを這はうへびの道みち、海うみをはしる舟ふねの道みち、男おとこの女おんなにあう道みちがそれである。30:20 遊女ゆうじょの道みちもまたそうだ、彼女かのじょは食たべて、その口くちをぬぐって、「わたしは何なにもわるいことはしない」と言いう。 30:21 地ちは三つのことによって震ふるう、いや、四つのことによって、耐たえることができない。30:22 すなわち奴隷どれいたる者ものが王おうとなり、愚おろかな者ものが食物しょくもつに飽あき、30:23 忌いみきらわれた女おんなが嫁よめに行いき、はしためが女おんな主人しゅじんのあとにすわることである。 30:24 この地上ちじょうに、小ちいさいけれども、非常ひじょうに賢かしこいものが四つある。30:25 ありは力ちからのない種類しゅるいだが、その食糧しょくりょうを夏なつのうちに備そなえる。30:26 岩いわだぬきは強つよくない種類しゅるいだが、その家いえを岩いわにつくる。30:27 いなごは王おうがないけれども、みな隊たいを組くんでいで立たつ。30:28 やもりは手てでつかまえられるが、王おうの宮殿きゅうでんにおる。 30:29 歩あるきぶりの堂々どうどうたる者ものが三つある、いや、四つあって、みな堂々どうどうと歩あるく。30:30 すなわち獣けもののうちでもっとも強つよく、何なにものの前まえにも退しりぞかない、しし、30:31 尾おを立たてて歩あるくおんどり、雄おやぎ、その民たみの前まえをいばって歩あるく王おうがそれである。 30:32 あなたがもし愚おろかであって自みずから高たかぶり、あるいは悪事あくじを計はかったならば、あなたの手てを口くちに当あてるがよい。30:33 乳ちちをしめれば凝乳ぎょうにゅうが出でる、鼻はなをしめれば血ちがでる、怒いかりをしめれば争あらそいが起おこる。 第31章 31:1 マッサの王おうレムエルの言葉ことば、すなわちその母ははが彼かれに教おしえたものである。31:2 わが子こよ、何なにを言いおうか。わが胎たいの子こよ、何なにを言いおうか。わたしが願がんをかけて得えた子こよ、何なにをいおうか。31:3 あなたの力ちからを女おんなについやすな、王おうをも滅ほろぼすものに、あなたの道みちを任まかせるな。31:4 レムエルよ、酒さけを飲のむのは、王おうのすることではない、王おうのすることではない、濃こい酒さけを求もとめるのは君きみたる者もののすることではない。31:5 彼かれらは酒さけを飲のんで、おきてを忘わすれ、すべて悩なやむ者もののさばきを曲まげる。31:6 濃こい酒さけを滅ほろびようとしている者ものに与あたえ、酒さけを心こころの苦くるしむ人ひとに与あたえよ。31:7 彼かれらは飲のんで自分じぶんの貧乏びんぼうを忘わすれ、その悩なやみをもはや思おもい出ださない。31:8 あなたは黙だまっている人ひとのために、すべてのみなしごの訴うったえのために、口くちを開ひらくがよい。31:9 口くちを開ひらいて、正ただしいさばきを行おこない、貧まずしい者ものと乏とぼしい者ものの訴うったえをただせ。 31:10 だれが賢かしこい妻つまを見みつけることができるか、彼女かのじょは宝石ほうせきよりもすぐれて尊たっとい。31:11 その夫おっとの心こころは彼女かのじょを信頼しんらいして、収益しゅうえきに欠かけることはない。31:12 彼女かのじょは生いきながらえている間あいだ、その夫おっとのために良よいことをして、悪わるいことをしない。31:13 彼女かのじょは羊ひつじの毛けや亜麻あまを求もとめて、手てずから望のぞみのように、それを仕上しあげる。31:14 また商人しょうにんの舟ふねのように、遠とおい国くにから食糧しょくりょうを運はこんでくる。31:15 彼女かのじょはまだ夜よるのあけぬうちに起おきて、その家いえの者ものの食たべ物ものを備そなえ、その女おんなたちに日用にちようの分ぶんを与あたえる。31:16 彼女かのじょは畑はたけをよく考かんがえてそれを買かい、その手ての働はたらきの実みをもって、ぶどう畑ばたけをつくり、31:17 力ちからをもって腰こしに帯おびし、その腕うでを強つよくする。31:18 彼女かのじょはその商品しょうひんのもうけのあるのを知しっている、そのともしびは終夜しゅうや消きえることがない。31:19 彼女かのじょは手てを糸取いととり棒ぼうにのべ、その手てに、つむを持もち、31:20 手てを貧まずしい者ものに開ひらき、乏とぼしい人ひとに手てをさしのべる。31:21 彼女かのじょはその家いえの者もののために雪ゆきを恐おそれない、その家いえの者ものはみな紅くれないの着物きものを着きているからである。31:22 彼女かのじょは自分じぶんのために美うつくしいしとねを作つくり、亜麻あま布ぬのと紫むらさき布ぬのとをもってその着物きものとする。31:23 その夫おっとはその地ちの長老ちょうろうたちと共ともに、町まちの門もんに座ざするので、人ひとに知しられている。31:24 彼女かのじょは亜麻あま布ぬのの着物きものをつくって、それを売うり、帯おびをつくって商人しょうにんに渡わたす。31:25 力ちからと気品きひんとは彼女かのじょの着物きものである、そして後のちの日ひを笑わらっている。31:26 彼女かのじょは口くちを開ひらいて知恵ちえを語かたる、その舌したにはいつくしみの教おしえがある。31:27 彼女かのじょは家いえの事ことをよくかえりみ、怠おこたりのかてを食たべることをしない。31:28 その子こらは立たち上あがって彼女かのじょを祝しゅくし、その夫おっともまた彼女かのじょをほめたたえて言いう、31:29 「りっぱに事ことをなし遂とげる女おんなは多おおいけれども、あなたはそのすべてにまさっている」と。31:30 あでやかさは偽いつわりであり、美うつくしさはつかのまである、しかし主しゅを恐おそれる女おんなはほめたたえられる。31:31 その手ての働はたらきの実みを彼女かのじょに与あたえ、その行おこないのために彼女かのじょを町まちの門もんでほめたたえよ。
19:1 正ただしく歩あゆむ貧まずしい者ものは、曲まがったことを言いう愚おろかな者ものにまさる。
19:2 人ひとが知識ちしきのないのは良よくない、足あしで急いそぐ者ものは道みちに迷まよう。
19:3 人ひとは自分じぶんの愚おろかさによって道みちにつまずき、かえって心こころのうちに主しゅをうらむ。
19:4 富とみは多おおくの新あたらしい友ともを作つくる、しかし貧まずしい人ひとはその友ともに捨すてられる。
19:5 偽いつわりの証人しょうにんは罰ばつを免まぬかれない、偽いつわりをいう者ものはのがれることができない。
19:6 気前きまえのよい人ひとにこびる者ものは多おおい、人ひとはみな贈おくり物ものをする人ひとの友ともとなる。
19:7 貧まずしい者ものはその兄弟きょうだいすらもみなこれを憎にくむ、ましてその友ともはこれに遠とおざからないであろうか。言葉ことばをかけてこれを呼よんでも、去さって帰かえらないのである。
19:8 知恵ちえを得える者ものは自分じぶんの魂たましいを愛あいし、悟さとりを保たもつ者ものは幸さいわいを得える。
19:9 偽いつわりの証人しょうにんは罰ばつを免まぬかれない、偽いつわりをいう者ものは滅ほろびる。
19:10 愚おろかな者ものが、ぜいたくな暮くらしをするのは、ふさわしいことではない、しもべたる者ものが、君きみたる者ものを治おさめるなどは、なおさらである。
19:11 悟さとりは人ひとに怒いかりを忍しのばせる、あやまちをゆるすのは人ひとの誉ほまれである。
19:12 王おうの怒いかりは、ししのほえるようであり、その恵めぐみは草くさの上うえにおく露つゆのようである。
19:13 愚おろかな子こはその父ちちの災わざわいである、妻つまの争あらそうのは、雨漏あまもりの絶たえないのとひとしい。
19:14 家いえと富とみとは先祖せんぞからうけつぐもの、賢かしこい妻つまは主しゅから賜たまわるものである。
19:15 怠おこたりは人ひとを熟睡じゅくすいさせる、なまけ者ものは飢うえる。
19:16 戒いましめを守まもる者ものは自分じぶんの魂たましいを守まもる、み言葉ことばを軽かろんじる者ものは死しぬ。
19:17 貧まずしい者ものをあわれむ者ものは主しゅに貸かすのだ、その施ほどこしは主しゅが償つぐなわれる。
19:18 望のぞみのあるうちに、自分じぶんの子こを懲こらせ、これを滅ほろぼす心こころを起おこしてはならない。
19:19 怒いかることの激はげしい者ものは罰ばつをうける、たとい彼かれを救すくってやっても、さらにくり返かえさねばならない。
19:20 勧すすめを聞きき、教訓きょうくんをうけよ、そうすれば、ついには知恵ちえある者ものとなる。
19:21 人ひとの心こころには多おおくの計画けいかくがある、しかしただ主しゅの、み旨むねだけが堅かたく立たつ。
19:22 人ひとに望のぞましいのは、いつくしみ深ふかいことである、貧まずしい人ひとは偽いつわりをいう人ひとにまさる。
19:23 主しゅを恐おそれることは人ひとを命いのちに至いたらせ、常つねに飽あき足たりて、災わざわいにあうことはない。
19:24 なまけ者ものは、手てを皿さらに入いれても、それを口くちに持もってゆくことをしない。
19:25 あざける者ものを打うて、そうすれば思慮しりょのない者ものも慎つつしむ。さとき者ものを戒いましめよ、そうすれば彼かれは知識ちしきを得える。
19:26 父ちちに乱暴らんぼうをはたらき、母ははを追おい出だす者ものは、恥はじをきたらし、はずかしめをまねく子こである。
19:27 わが子こよ、知識ちしきの言葉ことばをはなれて人ひとを迷まよわせる教訓きょうくんを聞きくことをやめよ。
19:28 悪わるい証人しょうにんはさばきをあざけり、悪あしき者ものの口くちは悪あくをむさぼり食くう。
19:29 さばきはあざける者もののために備そなえられ、むちは愚おろかな者ものの背せのために備そなえられる。
第20章 20:1 酒さけは人ひとをあざける者ものとし、濃こい酒さけは人ひとをあばれ者ものとする、これに迷まよわされる者ものは無知むちである。20:2 王おうの怒いかりは、ししがほえるようだ、彼かれを怒いからせる者ものは自分じぶんの命いのちをそこなう。20:3 争あらそいに関係かんけいしないことは人ひとの誉ほまれである、すべて愚おろかな者ものは怒いかり争あらそう。20:4 なまけ者ものは寒さむいときに耕たがやさない、それゆえ刈入かりいれのときになって、求もとめても何なにもない。20:5 人ひとの心こころにある計はかりごとは深ふかい井戸いどの水みずのようだ、しかし、さとき人ひとはこれをくみ出だす。20:6 自分じぶんは真実しんじつだという人ひとが多おおい、しかし、だれが忠信ちゅうしんな人ひとに会あうであろうか。20:7 欠かけた所ところなく、正ただしく歩あゆむ人ひと――その後のちの子孫しそんはさいわいである。20:8 さばきの座ざにすわる王おうはその目めをもって、すべての悪あくをふるいわける。20:9 だれが「わたしは自分じぶんの心こころを清きよめた、わたしの罪つみは清きよめられた」ということができようか。20:10 互たがいに違ちがった二種しゅのはかり、二種しゅのますは、ひとしく主しゅに憎にくまれる。20:11 幼おさな子ごでさえも、その行おこないによって自みずからを示しめし、そのすることの清きよいか正ただしいかを現あらわす。20:12 聞きく耳みみと、見みる目めとは、ともに主しゅが造つくられたものである。20:13 眠ねむりを愛あいしてはならない、そうすれば貧まずしくなる、目めを開ひらけ、そうすればパンに飽あくことができる。20:14 買かう者ものは、「悪わるい、悪わるい」という、しかし去さって後のち、彼かれは自みずから誇ほこる。20:15 金きんもあり、価あたいの高たかい宝石ほうせきも多おおくあるが、尊たっとい器うつわは知識ちしきのくちびるである。20:16 人ひとのために保証ほしょうする者ものからは、まずその着物きものを取とれ、他人たにんのために保証ほしょうする者ものをば抵当ていとうに取とれ。20:17 欺あざむき取とったパンはおいしい、しかし後のちにはその口くちは砂利じゃりで満みたされる。20:18 計はかりごとは共ともに議ぎすることによって成なる、戦たたかおうとするならば、まずよく議ぎしなければならない。20:19 歩あるきまわって人ひとのよしあしをいう者ものは秘密ひみつをもらす、くちびるを開ひらいて歩あるく者ものと交まじわってはならない。20:20 自分じぶんの父母ふぼをののしる者ものは、そのともしびは暗くらやみの中なかに消きえる。20:21 初はじめに急いそいで得えた資産しさんは、その終おわりがさいわいでない。20:22 「わたしが悪あくに報むくいる」と言いってはならない、主しゅを待まち望のぞめ、主しゅはあなたを助たすけられる。20:23 互たがいに違ちがった二種しゅのふんどうは主しゅに憎にくまれる、偽いつわりのはかりは良よくない。20:24 人ひとの歩あゆみは主しゅによって定さだめられる、人ひとはどうして自みずからその道みちを、明あきらかにすることができようか。20:25 軽々かるがるしく「これは聖せいなるささげ物ものだ」と言いい、また誓ちかいを立たてて後のちに考かんがえることは、その人ひとのわなとなる。20:26 知恵ちえある王おうは、箕みのをもってあおぎ分わけるように悪人あくにんを散ちらし、車くるまをもって脱穀だっこくするように、これを罰ばっする。20:27 人ひとの魂たましいは主しゅのともしびであり、人ひとの心こころの奥おくを探さぐる。20:28 いつくしみと、まこととは王おうを守まもる、その位くらいもまた正義せいぎによって保たもたれる。20:29 若わかい人ひとの栄さかえはその力ちから、老人ろうじんの美うつくしさはそのしらがである。20:30 傷きずつくまでに打うてば悪わるい所ところは清きよくなり、むちで打うてば心こころの底そこまでも清きよまる。 第21章 21:1 王おうの心こころは、主しゅの手てのうちにあって、水みずの流ながれのようだ、主しゅはみこころのままにこれを導みちびかれる。21:2 人ひとの道みちは自分じぶんの目めには正ただしく見みえる、しかし主しゅは人ひとの心こころをはかられる。21:3 正義せいぎと公平こうへいを行おこなうことは、犠牲ぎせいにもまさって主しゅに喜よろこばれる。21:4 高たかぶる目めとおごる心こころとは、悪あしき人ひとのともしびであって、罪つみである。21:5 勤勉きんべんな人ひとの計画けいかくは、ついにその人ひとを豊ゆたかにする、すべて おこたるものは貧まずしくなる。21:6 偽いつわりの舌したをもって宝たからを得えるのは、吹ふきはらわれる煙けむり、死しのわなである。21:7 悪あしき者ものの暴虐ぼうぎゃくはその身みを滅ほろぼす、彼かれらは公平こうへいを行おこなうことを好このまないからである。21:8 罪つみびとの道みちは曲まがっている、潔白けっぱくな人ひとの行おこないはまっすぐである。21:9 争あらそいを好このむ女おんなと一緒いっしょに家いえにおるよりは屋根やねのすみにおるほうがよい。21:10 悪あしき者ものの魂たましいは悪あくを行おこなうことを願ねがう、その隣となり人びとにも好意こういをもって見みられない。21:11 あざけるものが罰ばつをうけるならば、思慮しりょのない者ものは知恵ちえを得える。知恵ちえある者ものが教おしえをうけるならば知識ちしきを得える。21:12 正ただしい神かみは、悪あしき者ものの家いえをみとめて、悪あしき者ものを滅ほろびに投なげいれられる。21:13 耳みみを閉とじて貧まずしい者ものの呼よぶ声こえを聞きかない者ものは、自分じぶんが呼よぶときに、聞きかれない。21:14 ひそかな贈おくり物ものは憤いきどおりをなだめる、ふところのまいないは激はげしい怒いかりを和やわらげる。21:15 公義こうぎを行おこなうことは、正ただしい者ものには喜よろこびであるが、悪あくを行おこなう者ものには滅ほろびである。21:16 悟さとりの道みちを離はなれる人ひとは、死人しにんの集会しゅうかいの中なかにおる。21:17 快楽かいらくを好このむ者ものは貧まずしい人ひととなり、酒さけと油あぶらとを好このむ者ものは富とむことがない。21:18 悪あしき者ものは正ただしい者もののあがないとなり、不信実ふしんじつな者ものは正ただしい人ひとに代かわる。21:19 争あらそい怒いかる女おんなと共ともにおるよりは、荒野あらのに住すむほうがましだ。21:20 知恵ちえある者ものの家いえには尊たっとい宝たからがあり、愚おろかな人ひとはこれを、のみ尽つくす。21:21 正義せいぎといつくしみとを追おい求もとめる者ものは、命いのちと誉ほまれとを得える。21:22 知恵ちえある者ものは強つよい者ものの城しろにのぼって、その頼たのみとするとりでをくずす。21:23 口くちと舌したとを守まもる者ものはその魂たましいを守まもって、悩なやみにあわせない。21:24 高たかぶりおごる者ものを「あざける者もの」となづける、彼かれは高慢こうまん無礼ぶれいな行おこないをするものである。21:25 なまけ者ものの欲望よくぼうは自分じぶんの身みを殺ころす、これはその手てを働はたらかせないからである。21:26 悪あしき者ものはひねもす人ひとの物ものをむさぼる、正ただしい者ものは与あたえて惜おしまない。21:27 悪あしき者ものの供そなえ物ものは憎にくまれる、悪意あくいをもってささげる時ときはなおさらである。21:28 偽いつわりの証人しょうにんは滅ほろぼされる、よく聞きく人ひとの言葉ことばはすたることがない。21:29 悪あしき者ものはあつかましくし、正ただしい人ひとはその道みちをつつしむ。21:30 主しゅに向むかっては知恵ちえも悟さとりも、計はかりごとも、なんの役やくにも立たたない。21:31 戦たたかいの日ひのために馬うまを備そなえる、しかし勝利しょうりは主しゅによる。 第22章 22:1 令名れいめいは大おおいなる富とみにまさり、恩恵おんけいは銀ぎんや金きんよりも良よい。22:2 富とめる者ものと貧まずしい者ものとは共ともに世よにおる、すべてこれを造つくられたのは主しゅである。22:3 賢かしこい者ものは災わざわいを見みて自みずから避さけ、思慮しりょのない者ものは進すすんでいって、罰ばつをうける。22:4 謙遜けんそんと主しゅを恐おそれることとの報むくいは、富とみと誉ほまれと命いのちとである。22:5 よこしまな者ものの道みちにはいばらとわながあり、たましいを守まもる者ものは遠とおくこれを離はなれる。22:6 子こをその行いくべき道みちに従したがって教おしえよ、そうすれば年老としおいても、それを離はなれることがない。22:7 富とめる者ものは貧まずしき者ものを治おさめ、借かりる者ものは貸かす人ひとの奴隷どれいとなる。22:8 悪あくをまく者ものは災わざわいを刈かり、その怒いかりのつえはすたれる。22:9 人ひとを見みて恵めぐむ者ものはめぐまれる、自分じぶんのパンを貧まずしい人ひとに与あたえるからである。22:10 あざける者ものを追放ついほうすれば争あらそいもまた去さり、かつ、いさかいも、はずかしめもなくなる。22:11 心こころの潔白けっぱくを愛あいする者もの、その言葉ことばの上品じょうひんな者ものは、王おうがその友ともとなる。22:12 主しゅの目めは知識ちしきある者ものを守まもる、しかし主しゅは不信実ふしんじつな者ものの言葉ことばを敗やぶられる。22:13 なまけ者ものは言いう、「ししがそとにいる、わたしは、ちまたで殺ころされる」と。22:14 遊女ゆうじょの口くちは深ふかい落おとし穴あなである、主しゅに憎にくまれる者ものはその中なかに陥おちいる。22:15 愚おろかなことが子供こどもの心こころの中なかにつながれている、懲こらしめのむちは、これを遠とおく追おいだす。22:16 貧まずしい者ものをしえたげて自分じぶんの富とみを増まそうとする者ものと、富とめる者ものに与あたえる者ものとは、ついに必かならず貧まずしくなる。 22:17 あなたの耳みみを傾かたむけて知恵ちえある者ものの言葉ことばを聞きき、かつ、わたしの知識ちしきにあなたの心こころを用もちいよ。22:18 これをあなたのうちに保たもち、ことごとく、あなたのくちびるに備そなえておくなら、楽たのしいことである。22:19 あなたが主しゅに、寄より頼たのむことのできるように、わたしはきょう、これをあなたにも教おしえる。22:20 わたしは、勧すすめと知識ちしきとの三十の言葉ことばをあなたのためにしるしたではないか。22:21 それは正ただしいこと、真実しんじつなことをあなたに示しめし、あなたをつかわした者ものに真実しんじつの答こたえをさせるためであった。 22:22 貧まずしい者ものを、貧まずしいゆえに、かすめてはならない、悩なやむ者ものを、町まちの門もんでおさえつけてはならない。22:23 それは主しゅが彼かれらの訴うったえをただし、かつ彼かれらをそこなう者ものの命いのちを、そこなわれるからである。22:24 怒いかる者ものと交まじわるな、憤いきどおる人ひとと共ともに行いくな。22:25 それはあなたがその道みちにならって、みずから、わなに陥おちいることのないためである。22:26 あなたは人ひとと手てを打うつ者ものとなってはならない、人ひとの負債ふさいの保証ほしょうをしてはならない。22:27 あなたが償つぐなうものがないとき、あなたの寝ねている寝床ねどこまでも、人ひとが奪うばい取とってよかろうか。22:28 あなたの先祖せんぞが立たてた古ふるい地境じざかいを移うつしてはならない。22:29 あなたはそのわざに巧たくみな人ひとを見みるか、そのような人ひとは王おうの前まえに立たつが、卑いやしい人々ひとびとの前まえには立たたない。 第23章 23:1 治おさめる人ひとと共ともに座ざして食事しょくじするとき、あなたの前まえにあるものを、よくわきまえ、23:2 あなたがもし食しょくをたしなむ者ものであるならば、あなたののどに刀かたなをあてよ。23:3 そのごちそうをむさぼり食たべてはならない、これは人ひとを欺あざむく食物しょくもつだからである。23:4 富とみを得えようと苦労くろうしてはならない、かしこく思おもいとどまるがよい。23:5 あなたの目めをそれにとめると、それはない、富とみはたちまち自みずから翼つばさを生しょうじて、わしのように天てんに飛とび去さるからだ。23:6 物惜ものおしみする人ひとのパンを食たべてはならない、そのごちそうをむさぼり願ねがってはならない。23:7 彼かれは心こころのうちで勘定かんじょうする人ひとのように、「食くえ、飲のめ」とあなたに言いうけれども、その心こころはあなたに真実しんじつではない。23:8 あなたはついにその食たべた物ものを吐はき出だすようになり、あなたのねんごろな言葉ことばもむだになる。23:9 愚おろかな者ものの耳みみに語かたってはならない、彼かれはあなたの言葉ことばが示しめす知恵ちえをいやしめるからだ。23:10 古ふるい地境じざかいを移うつしてはならない、みなしごの畑はたけを侵おかしてはならない。23:11 彼かれらのあがない主しゅは強つよくいらせられ、あなたに逆さからって彼かれらの訴うったえを弁護べんごされるからだ。23:12 あなたの心こころを教訓きょうくんに用もちい、あなたの耳みみを知識ちしきの言葉ことばに傾かたむけよ。23:13 子こを懲こらすことを、さし控ひかえてはならない、むちで彼かれを打うっても死しぬことはない。23:14 もし、むちで彼かれを打うつならば、その命いのちを陰府よみから救すくうことができる。23:15 わが子こよ、もしあなたの心こころが賢かしこくあれば、わたしの心こころもまた喜よろこび、23:16 もしあなたのくちびるが正ただしい事ことを言いうならば、わたしの心こころも喜よろこぶ。23:17 心こころに罪つみびとをうらやんではならない、ただ、ひねもす主しゅを恐おそれよ。23:18 かならず後のちのよい報むくいがあって、あなたの望のぞみは、すたらない。23:19 わが子こよ、よく聞きいて、知恵ちえを得えよ、かつ、あなたの心こころを道みちに向むけよ。23:20 酒さけにふけり、肉にくをたしなむ者ものと交まじわってはならない。23:21 酒さけにふける者ものと、肉にくをたしなむ者ものとは貧まずしくなり、眠ねむりをむさぼる者ものは、ぼろを身みにまとうようになる。23:22 あなたを生うんだ父ちちのいうことを聞きき、年老としおいた母ははを軽かろんじてはならない。23:23 真理しんりを買かえ、これを売うってはならない、知恵ちえと教訓きょうくんと悟さとりをも買かえ。23:24 正ただしい人ひとの父ちちは大おおいによろこび、知恵ちえある子こを生うむ者ものは子このために楽たのしむ。23:25 あなたの父母ふぼを楽たのしませ、あなたを産うんだ母ははを喜よろこばせよ。23:26 わが子こよ、あなたの心こころをわたしに与あたえ、あなたの目めをわたしの道みちに注そそげ。23:27 遊女ゆうじょは深ふかい穴あなのごとく、みだらな女おんなは狭せまい井戸いどのようだ。23:28 彼女かのじょは盗ぬすびとのように人ひとをうかがい、かつ世よの人ひとのうちに、不信実ふしんじつな者ものを多おおくする。23:29 災わざわいある者ものはだれか、憂うれいある者ものはだれか、争あらそいをする者ものはだれか、煩わずらいある者ものはだれか、ゆえなく傷きずをうける者ものはだれか、赤あかい目めをしている者ものはだれか。23:30 酒さけに夜よるをふかす者もの、行いって、混まぜ合あわせた酒さけを味あじわう者ものである。23:31 酒さけはあかく、杯はいの中なかにあわだち、なめらかにくだる、あなたはこれを見みてはならない。23:32 これはついに、へびのようにかみ、まむしのように刺さす。23:33 あなたの目めは怪あやしいものを見み、あなたの心こころは偽いつわりを言いう。23:34 あなたは海うみの中なかに寝ねている人ひとのように、帆柱ほばしらの上うえに寝ねている人ひとのようになる。23:35 あなたは言いう、「人ひとがわたしを撃うったが、わたしは痛いたくはなかった。わたしを、たたいたが、わたしは何なにも覚おぼえはない。いつわたしはさめるのか、また酒さけを求もとめよう」と。 第24章 24:1 悪あくを行おこなう人ひとをうらやんではならない、また彼かれらと共ともにおることを願ねがってはならない。24:2 彼かれらはその心こころに強奪ごうだつを計はかり、そのくちびるに人ひとをそこなうことを語かたるからである。24:3 家いえは知恵ちえによって建たてられ、悟さとりによって堅かたくせられ、24:4 また、へやは知識ちしきによってさまざまの尊たっとく、麗うるわしい宝たからで満みたされる。24:5 知恵ちえある者ものは強つよい人ひとよりも強つよく、知識ちしきある人ひとは力ちからある人ひとよりも強つよい。24:6 良よい指揮しきによって戦たたかいをすることができ、勝利しょうりは多おおくの議ぎする者ものがいるからである。24:7 知恵ちえは高たかくて愚おろかな者ものの及およぶところではない、愚おろかな者ものは門もんで口くちを開ひらくことができない。24:8 悪あくを行おこなうことを計はかる者ものを人ひとはいたずら者ものととなえる。24:9 愚おろかな者ものの計はかるところは罪つみであり、あざける者ものは人ひとに憎にくまれる。 24:10 もしあなたが悩なやみの日ひに気きをくじくならば、あなたの力ちからは弱よわい。24:11 死地しちにひかれゆく者ものを助たすけ出だせ、滅ほろびによろめきゆく者ものを救すくえ。24:12 あなたが、われわれはこれを知しらなかったといっても、心こころをはかる者ものはそれを悟さとらないであろうか。あなたの魂たましいを守まもる者ものはそれを知しらないであろうか。彼かれはおのおのの行おこないにより、人ひとに報むくいないであろうか。 24:13 わが子こよ、蜜みつを食たべよ、これは良よいものである、また、蜂はちの巣すのしたたりはあなたの口くちに甘あまい。24:14 知恵ちえもあなたの魂たましいにはそのようであることを知しれ。それを得えるならば、かならず報むくいがあって、あなたの望のぞみは、すたらない。24:15 悪あしき者ものがするように、正ただしい者ものの家いえをうかがってはならない、その住すむ所ところに乱暴らんぼうをしてはならない。24:16 正ただしい者ものは七たび倒たおれても、また起おきあがる、しかし、悪あしき者ものは災わざわいによって滅ほろびる。24:17 あなたのあだが倒たおれるとき楽たのしんではならない、彼かれのつまずくとき心こころに喜よろこんではならない。24:18 主しゅはそれを見みて悪わるいこととし、その怒いかりを彼かれから転てんじられる。24:19 悪あくを行おこなう者もののゆえに心こころを悩なやましてはならない、よこしまな者ものをうらやんではならない。24:20 悪あしき者ものには後のちの良よい報むくいはない、よこしまな者もののともしびは消けされる。24:21 わが子こよ、主しゅと王おうとを恐おそれよ、そのいずれにも不ふ従順じゅうじゅんであってはならない。24:22 その災わざわいはたちまち起おこるからである。この二つの者ものからくる滅ほろびをだれが知しり得えようか。 24:23 これらもまた知恵ちえある者ものの箴言しんげんである。 片寄かたよったさばきをするのは、よくない。24:24 悪あしき者ものに向むかって、「あなたは正ただしい」という者ものを、人々ひとびとはのろい、諸民しょみんは憎にくむ。24:25 悪あしき者ものをせめる者ものは恵めぐみを得える、また幸福こうふくが与あたえられる。24:26 正ただしい答こたえをする者ものは、くちびるに、口くちづけするのである。24:27 外そとで、あなたの仕事しごとを整ととのえ、畑はたけで、すべての物ものをおのれのために備そなえ、その後のちあなたの家いえを建たてるがよい。24:28 ゆえなく隣となり人びとに敵てきして、証言しょうげんをしてはならない、くちびるをもって欺あざむいてはならない。24:29 「彼かれがわたしにしたように、わたしも彼かれにしよう、わたしは人ひとがしたところにしたがって、その人ひとに報むくいよう」と言いってはならない。 24:30 わたしはなまけ者ものの畑はたけのそばと、知恵ちえのない人ひとのぶどう畑はたけのそばを通とおってみたが、24:31 いばらが一面いちめんに生はえ、あざみがその地面じめんをおおい、その石いしがきはくずれていた。24:32 わたしはこれをみて心こころをとどめ、これを見みて教訓きょうくんを得えた。24:33 「しばらく眠ねむり、しばらくまどろみ、手てをこまぬいて、またしばらく休やすむ」。24:34 それゆえ、貧まずしさは盗ぬすびとのように、あなたに来き、乏とぼしさは、つわもののように、あなたに来くる。 第25章 25:1 これらもまたソロモンの箴言しんげんであり、ユダの王おうヒゼキヤに属ぞくする人々ひとびとがこれを書かき写うつした。25:2 事ことを隠かくすのは神かみの誉ほまれであり、事ことを窮きわめるのは王おうの誉ほまれである。25:3 天てんの高たかさと地ちの深ふかさと、王おうたる者ものの心こころとは測はかることができない。25:4 銀ぎんから、かなくそを除のぞけ、そうすれば、銀ぎん細工人ざいくにんが器うつわを造つくる材料ざいりょうとなる。25:5 王おうの前まえから悪あしき者ものを除のぞけ、そうすれば、その位くらいは正義せいぎによって堅かたく立たつ。25:6 王おうの前まえで自みずから高たかぶってはならない、偉えらい人ひとの場ばに立たってはならない。25:7 尊たっとい人ひとの前まえで下したにさげられるよりは、「ここに上あがれ」といわれるほうがましだ。25:8 あなたが目めに見みたことを、軽々かるがるしく法廷ほうていに出だしてはならない。あとになり、あなたが隣となり人びとにはずかしめられるとき、あなたはどうしようとするのか。25:9 隣となり人びとと争あらそうことがあるならば、ただその人ひとと争あらそえ、他人たにんの秘密ひみつをもらしてはならない。25:10 そうでないと、聞きく者ものがあなたをいやしめ、あなたは、いつまでもそしられる。 25:11 おりにかなって語かたる言葉ことばは、銀ぎんの彫ほり物ものに金きんのりんごをはめたようだ。25:12 知恵ちえをもって戒いましめる者ものは、これをきく者ものの耳みみにとって、金きんの耳輪みみわ、精せい金きんの飾かざりのようだ。25:13 忠実ちゅうじつな使者ししゃはこれをつかわす者ものにとって、刈入かりいれの日ひに冷ひややかな雪ゆきがあるようだ、よくその主人しゅじんの心こころを喜よろこばせる。25:14 贈おくり物ものをすると偽いつわって誇ほこる人ひとは、雨あめのない雲くもと風かぜのようだ。 25:15 忍耐にんたいをもって説とけば君きみも言葉ことばをいれる、柔やわらかな舌したは骨ほねを砕くだく。25:16 蜜みつを得えたならば、ただ足たるほどにこれを食たべよ、おそらくは食たべすごして、それを吐はき出だすであろう。25:17 隣となり人びとの家いえに足あしをしげくしてはならない、おそらくは彼かれは煩わずらわしくなって、あなたを憎にくむようになろう。25:18 隣となり人びとに敵てきして偽いつわりのあかしを立たてる人ひとは、こん棒ぼう、つるぎ、または鋭するどい矢やのようだ。25:19 悩なやみに会あうとき不信実ふしんじつな者ものを頼たのみにするのは、悪わるい歯は、またはなえた足あしを頼たのみとするようなものだ。25:20 心こころの痛いためる人ひとの前まえで歌うたをうたうのは、寒さむい日ひに着物きものを脱ぬぐようであり、また傷きずの上うえに酢すをそそぐようだ。25:21 もしあなたのあだが飢うえているならば、パンを与あたえて食たべさせ、もしかわいているならば水みずを与あたえて飲のませよ。25:22 こうするのは、火ひを彼かれのこうべに積つむのである、主しゅはあなたに報むくいられる。25:23 北風きたかぜは雨あめを起おこし、陰言かげごとをいう舌したは人ひとの顔かおを怒いからす。25:24 争あらそいを好このむ女おんなと一緒いっしょに家いえにおるよりは、屋根やねのすみにおるほうがよい。25:25 遠とおい国くにから来くるよい消息しょうそくは、かわいている人ひとが飲のむ冷ひややかな水みずのようだ。25:26 正ただしい者ものが悪わるい者ものの前まえに屈服くっぷくするのは、井戸いどが濁にごったよう、また泉いずみがよごれたようなものだ。25:27 蜜みつを多おおく食たべるのはよくない、ほめる言葉ことばは控ひかえ目めにするがよい。25:28 自分じぶんの心こころを制せいしない人ひとは、城壁じょうへきのない破やぶれた城しろのようだ。 第26章 26:1 誉ほまれが愚おろかな者ものにふさわしくないのは、夏なつに雪ゆきが降ふり、刈入かりいれの時ときに雨あめが降ふるようなものだ。26:2 いわれのないのろいは、飛とびまわるすずめや、飛とびかけるつばめのようなもので、止とまらない。26:3 馬うまのためにはむちがあり、ろばのためにはくつわがあり、愚おろかな者ものの背せのためにはつえがある。26:4 愚おろかな者ものにその愚おろかさにしたがって答こたえをするな、自分じぶんも彼かれと同おなじようにならないためだ。26:5 愚おろかな者ものにその愚おろかさにしたがって答こたえをせよ、彼かれが自分じぶんの目めに自みずからを知恵ちえある者ものと見みないためだ。26:6 愚おろかな者ものに託たくして事ことを言いい送おくる者ものは、自分じぶんの足あしを切きり去さり、身みに害がいをうける。26:7 あしなえの足あしは用ようがない、愚おろかな者ものの口くちには箴言しんげんもそれにひとしい。26:8 誉ほまれを愚おろかな者ものに与あたえるのは、石いしを石いし投なげにつなぐようだ。26:9 愚おろかな者ものの口くちに箴言しんげんがあるのは、酔よった者ものが、とげのあるつえを手てで振ふり上あげるようだ。26:10 通とおりがかりの愚おろか者ものや、酔よった者ものを雇やとう者ものは、すべての人ひとを傷きずつける射手いてのようだ。26:11 犬いぬが帰かえって来きてその吐はいた物ものを食たべるように、愚おろかな者ものはその愚おろかさをくり返かえす。26:12 自分じぶんの目めに自みずからを知恵ちえある者ものとする人ひとを、あなたは見みるか、彼かれよりもかえって愚おろかな人ひとに望のぞみがある。26:13 なまけ者ものは、「道みちにししがいる、ちまたにししがいる」という。26:14 戸とがちょうつがいによって回まわるように、なまけ者ものはその寝床ねどこで寝返ねがえりをする。26:15 なまけ者ものは手てを皿さらに入いれても、それを口くちに持もってゆくことをいとう。26:16 なまけ者ものは自分じぶんの目めに、良よく答こたえることのできる七人にんの者ものよりも、自みずからを知恵ちえありとする。26:17 自分じぶんに関係かんけいのない争あらそいにたずさわる者ものは、通とおりすぎる犬いぬの耳みみをとらえる者もののようだ。26:18 26:19 隣となり人びとを欺あざむいて、「わたしはただ戯たわむれにした」という者ものは、燃もえ木ぎまたは矢や、または死しを、投なげつける気違きちがいのようだ。26:20 たきぎがなければ火ひは消きえ、人ひとのよしあしを言いう者ものがなければ争あらそいはやむ。26:21 おき火ひに炭すみをつぎ、火ひにたきぎをくべるように、争あらそいを好このむ人ひとは争あらそいの火ひをおこす。26:22 人ひとのよしあしをいう者ものの言葉ことばはおいしい食物しょくもつのようで、腹はらの奥おくにしみこむ。26:23 くちびるはなめらかであっても、心こころの悪わるいのは上うえぐすりをかけた土つちの器うつわのようだ。26:24 憎にくむ者ものはくちびるをもって自みずから飾かざるけれども、心こころのうちには偽いつわりをいだく。26:25 彼かれが声こえをやわらげて語かたっても、信しんじてはならない。その心こころに七つの憎にくむべきものがあるからだ。26:26 たとい偽いつわりをもってその憎にくしみをかくしても、彼かれの悪あくは会衆かいしゅうの中なかに現あらわれる。26:27 穴あなを掘ほる者ものは自みずからその中なかに陥おちいる、石いしをまろばしあげる者ものの上うえに、その石いしはまろびかえる。26:28 偽いつわりの舌したは自分じぶんが傷きずつけた者ものを憎にくみ、へつらう口くちは滅ほろびをきたらせる。 第27章 27:1 あすのことを誇ほこってはならない、一日にちのうちに何なにがおこるかを知しることができないからだ。27:2 自分じぶんの口くちをもって自みずからをほめることなく、他人たにんにほめさせよ。自分じぶんのくちびるをもってせず、ほかの人ひとにあなたをほめさせよ。27:3 石いしは重おもく、砂すなも軽かるくはない、しかし愚おろかな者ものの怒いかりはこの二つよりも重おもい。27:4 憤いきどおりはむごく、怒いかりははげしい、しかしねたみの前まえには、だれが立たちえよう。27:5 あからさまに戒いましめるのは、ひそかに愛あいするのにまさる。27:6 愛あいする者ものが傷きずつけるのは、まことからであり、あだの口くちづけするのは偽いつわりからである。27:7 飽あいている者ものは蜂蜜はちみつをも踏ふみつける、しかし飢うえた者ものには苦にがい物ものでさえ、みな甘あまい。27:8 その家いえを離はなれてさまよう人ひとは、巣すを離はなれてさまよう鳥とりのようだ。27:9 油あぶらと香こうとは人ひとの心こころを喜よろこばせる、しかし魂たましいは悩なやみによって裂さかれる。27:10 あなたの友とも、あなたの父ちちの友ともを捨すてるな、あなたが悩なやみにあう日ひには兄弟きょうだいの家いえに行いくな、近ちかい隣となり人びとは遠とおくにいる兄弟きょうだいにまさる。27:11 わが子こよ、知恵ちえを得えて、わたしの心こころを喜よろこばせよ、そうすればわたしをそしる者ものに答こたえることができる。27:12 賢かしこい者ものは災わざわいを見みて自みずから避さけ、思慮しりょのない者ものは進すすんでいって、罰ばつをうける。27:13 人ひとのために保証ほしょうする者ものからは、まずその着物きものをとれ、他人たにんのために保証ほしょうをする者ものをば抵当ていとうに取とれ。27:14 朝あさはやく起おきて大声おおごえにその隣となり人びとを祝しゅくすれば、かえってのろいと見みなされよう。27:15 雨あめの降ふる日ひに雨漏あまもりの絶たえないのと、争あらそい好すきな女おんなとは同おなじだ。27:16 この女おんなを制せいするのは風かぜを制せいするのとおなじく、右みぎの手てに油あぶらをつかむのとおなじだ。27:17 鉄てつは鉄てつをとぐ、そのように人ひとはその友ともの顔かおをとぐ。27:18 いちじくの木きを守まもる者ものはその実みを食たべる、主人しゅじんを尊たっとぶ者ものは誉ほまれを得える。27:19 水みずにうつせば顔かおと顔かおとが応おうじるように、人ひとの心こころはその人ひとをうつす。27:20 陰府よみと滅ほろびとは飽あくことなく、人ひとの目めもまた飽あくことがない。27:21 るつぼによって銀ぎんをためし、炉ろによって金きんをためす、人ひとはその称賛しょうさんによってためされる。27:22 愚おろかな者ものをうすに入いれ、きねをもって、麦むぎと共ともにこれをついても、その愚おろかさは去さることがない。 27:23 あなたの羊ひつじの状態じょうたいをよく知しり、あなたの群むれに心こころをとめよ。27:24 富とみはいつまでも続つづくものではない、どうして位くらいが末代まつだいまでも保たもつであろうか。27:25 草くさが刈かり取とられ、新あたらしい芽めがのび、山やまの牧草ぼくそうも集あつめられると、27:26 小羊こひつじはあなたの衣料いりょうを出だし、やぎは畑はたけを買かう価あたいとなり、27:27 やぎの乳ちちは多おおくて、あなたと、あなたの家いえのものの食物しょくもつとなり、おとめらを養やしなうのにじゅうぶんである。 第28章 28:1 悪あしき者ものは追おう人ひともないのに逃にげる、正ただしい人ひとはししのように勇いさましい。28:2 国くにの罪つみによって、治おさめる者ものは多おおくなり、さとく、また知識ちしきある人ひとによって、国くにはながく保たもつ。28:3 貧まずしい者ものをしえたげる貧まずしい人ひとは、糧食りょうしょくを残のこさない激はげしい雨あめのようだ。28:4 律法りっぽうを捨すてる者ものは悪あしき者ものをほめる、律法りっぽうを守まもる者ものはこれに敵対てきたいする。28:5 悪人あくにんは正ただしいことを悟さとらない、主しゅを求もとめる者ものはこれをことごとく悟さとる。28:6 正ただしく歩あゆむ貧まずしい者ものは、曲まがった道みちを歩あゆむ富とめる者ものにまさる。28:7 律法りっぽうを守まもる者ものは賢かしこい子こである、不品行ふひんこうな者ものと交まじわるものは、父ちちをはずかしめる。28:8 利息りそくと高利こうりとによってその富とみをます者ものは、貧まずしい者ものを恵めぐむ者もののために、それをたくわえる。28:9 耳みみをそむけて律法りっぽうを聞きかない者ものは、その祈いのりでさえも憎にくまれる。28:10 正ただしい者ものを悪わるい道みちに惑まどわす者ものは、みずから自分じぶんの穴あなに陥おちいる、しかし誠実せいじつな人ひとは幸福こうふくを継つぐ。28:11 富とめる人ひとは自分じぶんの目めに自みずからを知恵ちえある者ものと見みる、しかし悟さとりのある貧まずしい者ものは彼かれを見みやぶる。28:12 正ただしい者ものが勝かつときは、大おおいなる栄さかえがある、悪あしき者ものが起おこるときは、民たみは身みをかくす。28:13 その罪つみを隠かくす者ものは栄さかえることがない、言いい表あらわしてこれを離はなれる者ものは、あわれみをうける。28:14 常つねに主しゅを恐おそれる人ひとはさいわいである、心こころをかたくなにする者ものは災わざわいに陥おちいる。28:15 貧まずしい民たみを治おさめる悪わるいつかさは、ほえるしし、または飢うえたくまのようだ。28:16 悟さとりのないつかさは残忍ざんにんな圧制者あっせいしゃである、不正ふせいの利りを憎にくむ者ものは長命ちょうめいを得える。28:17 人ひとを殺ころしてその血ちを身みに負おう者ものは死しぬまで、のがれびとである、だれもこれを助たすけてはならない。28:18 正ただしく歩あゆむ者ものは救すくいを得え、曲まがった道みちに歩あゆむ者ものは穴あなに陥おちいる。28:19 自分じぶんの田地でんちを耕たがやす者ものは食糧しょくりょうに飽あき、無益むえきな事ことに従したがう者ものは貧乏びんぼうに飽あきる。28:20 忠実ちゅうじつな人ひとは多おおくの祝福しゅくふくを得える、急いそいで富とみを得えようとする者ものは罰ばつを免まぬかれない。28:21 人ひとを片寄かたより見みることは良よくない、人ひとは一いち切きれのパンのために、とがを犯おかすことがある。28:22 欲よくの深ふかい人ひとは急いそいで富とみを得えようとする、かえって欠乏けつぼうが自分じぶんの所ところに来くることを知しらない。28:23 人ひとを戒いましめる者ものは舌したをもってへつらう者ものよりも、大おおいなる感謝かんしゃをうける。28:24 父ちちや母ははの物ものを盗ぬすんで「これは罪つみではない」と言いう者ものは、滅ほろぼす者ものの友ともである。28:25 むさぼる者ものは争あらそいを起おこし、主しゅに信頼しんらいする者ものは豊ゆたかになる。28:26 自分じぶんの心こころを頼たのむ者ものは愚おろかである、知恵ちえをもって歩あゆむ者ものは救すくいを得える。28:27 貧まずしい者ものに施ほどこす者ものは物ものに不足ふそくしない、目めをおおって見みない人ひとは多おおくののろいをうける。28:28 悪あしき者ものが起おこるときは、民たみは身みをかくす、その滅ほろびるときは、正ただしい人ひとが増ます。 第29章 29:1 しばしばしかられても、なおかたくなな者ものは、たちまち打うち敗やぶられて助たすかることはない。29:2 正ただしい者ものが権力けんりょくを得えれば民たみは喜よろこび、悪あしき者ものが治おさめるとき、民たみはうめき苦くるしむ。29:3 知恵ちえを愛あいする人ひとはその父ちちを喜よろこばせ、遊女ゆうじょに交まじわる者ものはその資産しさんを浪費ろうひする。29:4 王おうは公儀こうぎをもって国くにを堅かたくする、しかし、重税じゅうぜいを取とり立たてる者ものはこれを滅ほろぼす。29:5 その隣となり人びとにへつらう者ものは、彼かれの足あしの前まえに網あみを張はる。29:6 悪人あくにんは自分じぶんの罪つみのわなに陥おちいる、しかし正ただしい人ひとは喜よろこび楽たのしむ。29:7 正ただしい人ひとは貧まずしい者ものの訴うったえをかえりみる、悪あしき人ひとはそれを知しろうとはしない。29:8 あざける人ひとは町まちを乱みだし、知恵ちえある者ものは怒いかりを静しずめる。29:9 知恵ちえある人ひとが愚おろかな人ひとと争あらそうと、愚おろかな者ものはただ怒いかり、あるいは笑わらって、休やすむことがない。29:10 血ちに飢うえている人ひとは罪つみのない者ものを憎にくむ、悪あしき者ものは彼かれの命いのちを求もとめる。29:11 愚おろかな者ものは怒いかりをことごとく表あらわし、知恵ちえある者ものは静しずかにこれをおさえる。29:12 もし治おさめる者ものが偽いつわりの言葉ことばに聞きくならば、その役人やくにんらはみな悪わるくなる。29:13 貧まずしい者ものと、しえたげる者ものとは共ともに世よにおる、主しゅは彼かれら両者りょうしゃの目めに光ひかりを与あたえられる。29:14 もし王おうが貧まずしい者ものを公平こうへいにさばくならば、その位くらいはいつまでも堅かたく立たつ。29:15 むちと戒いましめとは知恵ちえを与あたえる、わがままにさせた子こはその母ははに恥はじをもたらす。29:16 悪あしき者ものが権力けんりょくを得えると罪つみも増ます、正ただしい者ものは彼かれらの倒たおれるのを見みる。29:17 あなたの子こを懲こらしめよ、そうすれば彼かれはあなたを安やすらかにし、またあなたの心こころに喜よろこびを与あたえる。29:18 預言よげんがなければ民たみはわがままにふるまう、しかし律法りっぽうを守まもる者ものはさいわいである。29:19 しもべは言葉ことばだけで訓練くんれんすることはできない、彼かれは聞きいて知しっても、心こころにとめないからである。29:20 言葉ことばの軽率けいそつな人ひとを見みるか、彼かれよりもかえって愚おろかな者もののほうに望のぞみがある。29:21 しもべをその幼おさない時ときからわがままに育そだてる人ひとは、ついにはそれを自分じぶんのあとつぎにする。29:22 怒いかる人ひとは争あらそいを起おこし、憤いきどおる人ひとは多おおくの罪つみを犯おかす。29:23 人ひとの高たかぶりはその人ひとを低ひくくし、心こころにへりくだる者ものは誉ほまれを得える。29:24 盗ぬすびとにくみする者ものは自分じぶんの魂たましいを憎にくむ、彼かれはのろいを聞きいても何事なにごとをも口外こうがいしない。29:25 人ひとを恐おそれると、わなに陥おちいる、主しゅに信頼しんらいする者ものは安やすらかである。29:26 治おさめる者ものの歓心かんしんを得えようとする人ひとは多おおい、しかし人ひとの事ことを定さだめるのは主しゅによる。29:27 正ただしい人ひとは不正ふせいを行おこなう人ひとを憎にくみ、悪あしき者ものは正ただしく歩あゆむ人ひとを憎にくむ。 第30章 30:1 マッサの人ひとヤケの子こアグルの言葉ことば。その人ひとはイテエルに向むかって言いった、すなわちイテエルと、ウカルとに向むかって言いった、30:2 わたしは確たしかに人ひとよりも愚おろかであり、わたしには人ひとの悟さとりがない。30:3 わたしはまだ知恵ちえをならうことができず、また、聖せいなる者ものを悟さとることもできない。30:4 天てんにのぼったり、下くだったりしたのはだれか、風かぜをこぶしの中なかに集あつめたのはだれか、水みずを着物きものに包つつんだのはだれか、地ちのすべての限界げんかいを定さだめた者ものはだれか、その名なは何なにか、その子この名なは何なにか、あなたは確たしかにそれを知しっている。 30:5 神かみの言葉ことばはみな真実しんじつである、神かみは彼かれに寄より頼たのむ者ものの盾たてである。30:6 その言葉ことばに付つけ加くわえてはならない、彼かれがあなたを責せめ、あなたを偽いつわり者ものとされないためだ。 30:7 わたしは二つのことをあなたに求もとめます、わたしの死しなないうちに、これをかなえてください。30:8 うそ、偽いつわりをわたしから遠とおざけ、貧まずしくもなく、また富とみもせず、ただなくてならぬ食物しょくもつでわたしを養やしなってください。30:9 飽あき足たりて、あなたを知しらないといい、「主しゅとはだれか」と言いうことのないため、また貧まずしくて盗ぬすみをし、わたしの神かみの名なを汚よごすことのないためです。 30:10 あなたは、しもべのことをその主人しゅじんに、あしざまにいってはならない、そうでないと彼かれはあなたをのろい、あなたは罪つみをきせられる。 30:11 世よには父ちちをのろったり、母ははを祝福しゅくふくしない者ものがある。30:12 世よには自分じぶんの目めにみずからを清きよい者ものとして、なおその汚けがれを洗あらわれないものがある。30:13 世よにはまた、このような人ひとがある――ああ、その目めのいかに高たかきことよ、またそのまぶたのいかにつりあがっていることよ。30:14 世よにはまたつるぎのような歯はをもち、刀かたなのようなきばをもって、貧まずしい者ものを地ちの上うえから、乏とぼしい者ものを人ひとの中なかから食くい滅ほろぼすものがある。 30:15 蛭ひるにふたりの娘むすめがあって、「与あたえよ、与あたえよ」という。飽あくことを知しらないものが三つある、いや、四つあって、皆みな「もう、たくさんです」と言いわない。30:16 すなわち陰府よみ、不妊ふにんの胎たい、水みずにかわく地ち、「もう、たくさんだ」といわない火ひがそれである。30:17 自分じぶんの父ちちをあざけり、母ははに従したがうのを卑いやしいこととする目めは、谷たにのからすがこれをつつき出だし、はげたかがこれを食たべる。 30:18 わたしにとって不思議ふしぎにたえないことが三つある、いや、四つあって、わたしには悟さとることができない。30:19 すなわち空そらを飛とぶはげたかの道みち、岩いわの上うえを這はうへびの道みち、海うみをはしる舟ふねの道みち、男おとこの女おんなにあう道みちがそれである。30:20 遊女ゆうじょの道みちもまたそうだ、彼女かのじょは食たべて、その口くちをぬぐって、「わたしは何なにもわるいことはしない」と言いう。 30:21 地ちは三つのことによって震ふるう、いや、四つのことによって、耐たえることができない。30:22 すなわち奴隷どれいたる者ものが王おうとなり、愚おろかな者ものが食物しょくもつに飽あき、30:23 忌いみきらわれた女おんなが嫁よめに行いき、はしためが女おんな主人しゅじんのあとにすわることである。 30:24 この地上ちじょうに、小ちいさいけれども、非常ひじょうに賢かしこいものが四つある。30:25 ありは力ちからのない種類しゅるいだが、その食糧しょくりょうを夏なつのうちに備そなえる。30:26 岩いわだぬきは強つよくない種類しゅるいだが、その家いえを岩いわにつくる。30:27 いなごは王おうがないけれども、みな隊たいを組くんでいで立たつ。30:28 やもりは手てでつかまえられるが、王おうの宮殿きゅうでんにおる。 30:29 歩あるきぶりの堂々どうどうたる者ものが三つある、いや、四つあって、みな堂々どうどうと歩あるく。30:30 すなわち獣けもののうちでもっとも強つよく、何なにものの前まえにも退しりぞかない、しし、30:31 尾おを立たてて歩あるくおんどり、雄おやぎ、その民たみの前まえをいばって歩あるく王おうがそれである。 30:32 あなたがもし愚おろかであって自みずから高たかぶり、あるいは悪事あくじを計はかったならば、あなたの手てを口くちに当あてるがよい。30:33 乳ちちをしめれば凝乳ぎょうにゅうが出でる、鼻はなをしめれば血ちがでる、怒いかりをしめれば争あらそいが起おこる。 第31章 31:1 マッサの王おうレムエルの言葉ことば、すなわちその母ははが彼かれに教おしえたものである。31:2 わが子こよ、何なにを言いおうか。わが胎たいの子こよ、何なにを言いおうか。わたしが願がんをかけて得えた子こよ、何なにをいおうか。31:3 あなたの力ちからを女おんなについやすな、王おうをも滅ほろぼすものに、あなたの道みちを任まかせるな。31:4 レムエルよ、酒さけを飲のむのは、王おうのすることではない、王おうのすることではない、濃こい酒さけを求もとめるのは君きみたる者もののすることではない。31:5 彼かれらは酒さけを飲のんで、おきてを忘わすれ、すべて悩なやむ者もののさばきを曲まげる。31:6 濃こい酒さけを滅ほろびようとしている者ものに与あたえ、酒さけを心こころの苦くるしむ人ひとに与あたえよ。31:7 彼かれらは飲のんで自分じぶんの貧乏びんぼうを忘わすれ、その悩なやみをもはや思おもい出ださない。31:8 あなたは黙だまっている人ひとのために、すべてのみなしごの訴うったえのために、口くちを開ひらくがよい。31:9 口くちを開ひらいて、正ただしいさばきを行おこない、貧まずしい者ものと乏とぼしい者ものの訴うったえをただせ。 31:10 だれが賢かしこい妻つまを見みつけることができるか、彼女かのじょは宝石ほうせきよりもすぐれて尊たっとい。31:11 その夫おっとの心こころは彼女かのじょを信頼しんらいして、収益しゅうえきに欠かけることはない。31:12 彼女かのじょは生いきながらえている間あいだ、その夫おっとのために良よいことをして、悪わるいことをしない。31:13 彼女かのじょは羊ひつじの毛けや亜麻あまを求もとめて、手てずから望のぞみのように、それを仕上しあげる。31:14 また商人しょうにんの舟ふねのように、遠とおい国くにから食糧しょくりょうを運はこんでくる。31:15 彼女かのじょはまだ夜よるのあけぬうちに起おきて、その家いえの者ものの食たべ物ものを備そなえ、その女おんなたちに日用にちようの分ぶんを与あたえる。31:16 彼女かのじょは畑はたけをよく考かんがえてそれを買かい、その手ての働はたらきの実みをもって、ぶどう畑ばたけをつくり、31:17 力ちからをもって腰こしに帯おびし、その腕うでを強つよくする。31:18 彼女かのじょはその商品しょうひんのもうけのあるのを知しっている、そのともしびは終夜しゅうや消きえることがない。31:19 彼女かのじょは手てを糸取いととり棒ぼうにのべ、その手てに、つむを持もち、31:20 手てを貧まずしい者ものに開ひらき、乏とぼしい人ひとに手てをさしのべる。31:21 彼女かのじょはその家いえの者もののために雪ゆきを恐おそれない、その家いえの者ものはみな紅くれないの着物きものを着きているからである。31:22 彼女かのじょは自分じぶんのために美うつくしいしとねを作つくり、亜麻あま布ぬのと紫むらさき布ぬのとをもってその着物きものとする。31:23 その夫おっとはその地ちの長老ちょうろうたちと共ともに、町まちの門もんに座ざするので、人ひとに知しられている。31:24 彼女かのじょは亜麻あま布ぬのの着物きものをつくって、それを売うり、帯おびをつくって商人しょうにんに渡わたす。31:25 力ちからと気品きひんとは彼女かのじょの着物きものである、そして後のちの日ひを笑わらっている。31:26 彼女かのじょは口くちを開ひらいて知恵ちえを語かたる、その舌したにはいつくしみの教おしえがある。31:27 彼女かのじょは家いえの事ことをよくかえりみ、怠おこたりのかてを食たべることをしない。31:28 その子こらは立たち上あがって彼女かのじょを祝しゅくし、その夫おっともまた彼女かのじょをほめたたえて言いう、31:29 「りっぱに事ことをなし遂とげる女おんなは多おおいけれども、あなたはそのすべてにまさっている」と。31:30 あでやかさは偽いつわりであり、美うつくしさはつかのまである、しかし主しゅを恐おそれる女おんなはほめたたえられる。31:31 その手ての働はたらきの実みを彼女かのじょに与あたえ、その行おこないのために彼女かのじょを町まちの門もんでほめたたえよ。
20:1 酒さけは人ひとをあざける者ものとし、濃こい酒さけは人ひとをあばれ者ものとする、これに迷まよわされる者ものは無知むちである。
20:2 王おうの怒いかりは、ししがほえるようだ、彼かれを怒いからせる者ものは自分じぶんの命いのちをそこなう。
20:3 争あらそいに関係かんけいしないことは人ひとの誉ほまれである、すべて愚おろかな者ものは怒いかり争あらそう。
20:4 なまけ者ものは寒さむいときに耕たがやさない、それゆえ刈入かりいれのときになって、求もとめても何なにもない。
20:5 人ひとの心こころにある計はかりごとは深ふかい井戸いどの水みずのようだ、しかし、さとき人ひとはこれをくみ出だす。
20:6 自分じぶんは真実しんじつだという人ひとが多おおい、しかし、だれが忠信ちゅうしんな人ひとに会あうであろうか。
20:7 欠かけた所ところなく、正ただしく歩あゆむ人ひと――その後のちの子孫しそんはさいわいである。
20:8 さばきの座ざにすわる王おうはその目めをもって、すべての悪あくをふるいわける。
20:9 だれが「わたしは自分じぶんの心こころを清きよめた、わたしの罪つみは清きよめられた」ということができようか。
20:10 互たがいに違ちがった二種しゅのはかり、二種しゅのますは、ひとしく主しゅに憎にくまれる。
20:11 幼おさな子ごでさえも、その行おこないによって自みずからを示しめし、そのすることの清きよいか正ただしいかを現あらわす。
20:12 聞きく耳みみと、見みる目めとは、ともに主しゅが造つくられたものである。
20:13 眠ねむりを愛あいしてはならない、そうすれば貧まずしくなる、目めを開ひらけ、そうすればパンに飽あくことができる。
20:14 買かう者ものは、「悪わるい、悪わるい」という、しかし去さって後のち、彼かれは自みずから誇ほこる。
20:15 金きんもあり、価あたいの高たかい宝石ほうせきも多おおくあるが、尊たっとい器うつわは知識ちしきのくちびるである。
20:16 人ひとのために保証ほしょうする者ものからは、まずその着物きものを取とれ、他人たにんのために保証ほしょうする者ものをば抵当ていとうに取とれ。
20:17 欺あざむき取とったパンはおいしい、しかし後のちにはその口くちは砂利じゃりで満みたされる。
20:18 計はかりごとは共ともに議ぎすることによって成なる、戦たたかおうとするならば、まずよく議ぎしなければならない。
20:19 歩あるきまわって人ひとのよしあしをいう者ものは秘密ひみつをもらす、くちびるを開ひらいて歩あるく者ものと交まじわってはならない。
20:20 自分じぶんの父母ふぼをののしる者ものは、そのともしびは暗くらやみの中なかに消きえる。
20:21 初はじめに急いそいで得えた資産しさんは、その終おわりがさいわいでない。
20:22 「わたしが悪あくに報むくいる」と言いってはならない、主しゅを待まち望のぞめ、主しゅはあなたを助たすけられる。
20:23 互たがいに違ちがった二種しゅのふんどうは主しゅに憎にくまれる、偽いつわりのはかりは良よくない。
20:24 人ひとの歩あゆみは主しゅによって定さだめられる、人ひとはどうして自みずからその道みちを、明あきらかにすることができようか。
20:25 軽々かるがるしく「これは聖せいなるささげ物ものだ」と言いい、また誓ちかいを立たてて後のちに考かんがえることは、その人ひとのわなとなる。
20:26 知恵ちえある王おうは、箕みのをもってあおぎ分わけるように悪人あくにんを散ちらし、車くるまをもって脱穀だっこくするように、これを罰ばっする。
20:27 人ひとの魂たましいは主しゅのともしびであり、人ひとの心こころの奥おくを探さぐる。
20:28 いつくしみと、まこととは王おうを守まもる、その位くらいもまた正義せいぎによって保たもたれる。
20:29 若わかい人ひとの栄さかえはその力ちから、老人ろうじんの美うつくしさはそのしらがである。
20:30 傷きずつくまでに打うてば悪わるい所ところは清きよくなり、むちで打うてば心こころの底そこまでも清きよまる。
第21章 21:1 王おうの心こころは、主しゅの手てのうちにあって、水みずの流ながれのようだ、主しゅはみこころのままにこれを導みちびかれる。21:2 人ひとの道みちは自分じぶんの目めには正ただしく見みえる、しかし主しゅは人ひとの心こころをはかられる。21:3 正義せいぎと公平こうへいを行おこなうことは、犠牲ぎせいにもまさって主しゅに喜よろこばれる。21:4 高たかぶる目めとおごる心こころとは、悪あしき人ひとのともしびであって、罪つみである。21:5 勤勉きんべんな人ひとの計画けいかくは、ついにその人ひとを豊ゆたかにする、すべて おこたるものは貧まずしくなる。21:6 偽いつわりの舌したをもって宝たからを得えるのは、吹ふきはらわれる煙けむり、死しのわなである。21:7 悪あしき者ものの暴虐ぼうぎゃくはその身みを滅ほろぼす、彼かれらは公平こうへいを行おこなうことを好このまないからである。21:8 罪つみびとの道みちは曲まがっている、潔白けっぱくな人ひとの行おこないはまっすぐである。21:9 争あらそいを好このむ女おんなと一緒いっしょに家いえにおるよりは屋根やねのすみにおるほうがよい。21:10 悪あしき者ものの魂たましいは悪あくを行おこなうことを願ねがう、その隣となり人びとにも好意こういをもって見みられない。21:11 あざけるものが罰ばつをうけるならば、思慮しりょのない者ものは知恵ちえを得える。知恵ちえある者ものが教おしえをうけるならば知識ちしきを得える。21:12 正ただしい神かみは、悪あしき者ものの家いえをみとめて、悪あしき者ものを滅ほろびに投なげいれられる。21:13 耳みみを閉とじて貧まずしい者ものの呼よぶ声こえを聞きかない者ものは、自分じぶんが呼よぶときに、聞きかれない。21:14 ひそかな贈おくり物ものは憤いきどおりをなだめる、ふところのまいないは激はげしい怒いかりを和やわらげる。21:15 公義こうぎを行おこなうことは、正ただしい者ものには喜よろこびであるが、悪あくを行おこなう者ものには滅ほろびである。21:16 悟さとりの道みちを離はなれる人ひとは、死人しにんの集会しゅうかいの中なかにおる。21:17 快楽かいらくを好このむ者ものは貧まずしい人ひととなり、酒さけと油あぶらとを好このむ者ものは富とむことがない。21:18 悪あしき者ものは正ただしい者もののあがないとなり、不信実ふしんじつな者ものは正ただしい人ひとに代かわる。21:19 争あらそい怒いかる女おんなと共ともにおるよりは、荒野あらのに住すむほうがましだ。21:20 知恵ちえある者ものの家いえには尊たっとい宝たからがあり、愚おろかな人ひとはこれを、のみ尽つくす。21:21 正義せいぎといつくしみとを追おい求もとめる者ものは、命いのちと誉ほまれとを得える。21:22 知恵ちえある者ものは強つよい者ものの城しろにのぼって、その頼たのみとするとりでをくずす。21:23 口くちと舌したとを守まもる者ものはその魂たましいを守まもって、悩なやみにあわせない。21:24 高たかぶりおごる者ものを「あざける者もの」となづける、彼かれは高慢こうまん無礼ぶれいな行おこないをするものである。21:25 なまけ者ものの欲望よくぼうは自分じぶんの身みを殺ころす、これはその手てを働はたらかせないからである。21:26 悪あしき者ものはひねもす人ひとの物ものをむさぼる、正ただしい者ものは与あたえて惜おしまない。21:27 悪あしき者ものの供そなえ物ものは憎にくまれる、悪意あくいをもってささげる時ときはなおさらである。21:28 偽いつわりの証人しょうにんは滅ほろぼされる、よく聞きく人ひとの言葉ことばはすたることがない。21:29 悪あしき者ものはあつかましくし、正ただしい人ひとはその道みちをつつしむ。21:30 主しゅに向むかっては知恵ちえも悟さとりも、計はかりごとも、なんの役やくにも立たたない。21:31 戦たたかいの日ひのために馬うまを備そなえる、しかし勝利しょうりは主しゅによる。 第22章 22:1 令名れいめいは大おおいなる富とみにまさり、恩恵おんけいは銀ぎんや金きんよりも良よい。22:2 富とめる者ものと貧まずしい者ものとは共ともに世よにおる、すべてこれを造つくられたのは主しゅである。22:3 賢かしこい者ものは災わざわいを見みて自みずから避さけ、思慮しりょのない者ものは進すすんでいって、罰ばつをうける。22:4 謙遜けんそんと主しゅを恐おそれることとの報むくいは、富とみと誉ほまれと命いのちとである。22:5 よこしまな者ものの道みちにはいばらとわながあり、たましいを守まもる者ものは遠とおくこれを離はなれる。22:6 子こをその行いくべき道みちに従したがって教おしえよ、そうすれば年老としおいても、それを離はなれることがない。22:7 富とめる者ものは貧まずしき者ものを治おさめ、借かりる者ものは貸かす人ひとの奴隷どれいとなる。22:8 悪あくをまく者ものは災わざわいを刈かり、その怒いかりのつえはすたれる。22:9 人ひとを見みて恵めぐむ者ものはめぐまれる、自分じぶんのパンを貧まずしい人ひとに与あたえるからである。22:10 あざける者ものを追放ついほうすれば争あらそいもまた去さり、かつ、いさかいも、はずかしめもなくなる。22:11 心こころの潔白けっぱくを愛あいする者もの、その言葉ことばの上品じょうひんな者ものは、王おうがその友ともとなる。22:12 主しゅの目めは知識ちしきある者ものを守まもる、しかし主しゅは不信実ふしんじつな者ものの言葉ことばを敗やぶられる。22:13 なまけ者ものは言いう、「ししがそとにいる、わたしは、ちまたで殺ころされる」と。22:14 遊女ゆうじょの口くちは深ふかい落おとし穴あなである、主しゅに憎にくまれる者ものはその中なかに陥おちいる。22:15 愚おろかなことが子供こどもの心こころの中なかにつながれている、懲こらしめのむちは、これを遠とおく追おいだす。22:16 貧まずしい者ものをしえたげて自分じぶんの富とみを増まそうとする者ものと、富とめる者ものに与あたえる者ものとは、ついに必かならず貧まずしくなる。 22:17 あなたの耳みみを傾かたむけて知恵ちえある者ものの言葉ことばを聞きき、かつ、わたしの知識ちしきにあなたの心こころを用もちいよ。22:18 これをあなたのうちに保たもち、ことごとく、あなたのくちびるに備そなえておくなら、楽たのしいことである。22:19 あなたが主しゅに、寄より頼たのむことのできるように、わたしはきょう、これをあなたにも教おしえる。22:20 わたしは、勧すすめと知識ちしきとの三十の言葉ことばをあなたのためにしるしたではないか。22:21 それは正ただしいこと、真実しんじつなことをあなたに示しめし、あなたをつかわした者ものに真実しんじつの答こたえをさせるためであった。 22:22 貧まずしい者ものを、貧まずしいゆえに、かすめてはならない、悩なやむ者ものを、町まちの門もんでおさえつけてはならない。22:23 それは主しゅが彼かれらの訴うったえをただし、かつ彼かれらをそこなう者ものの命いのちを、そこなわれるからである。22:24 怒いかる者ものと交まじわるな、憤いきどおる人ひとと共ともに行いくな。22:25 それはあなたがその道みちにならって、みずから、わなに陥おちいることのないためである。22:26 あなたは人ひとと手てを打うつ者ものとなってはならない、人ひとの負債ふさいの保証ほしょうをしてはならない。22:27 あなたが償つぐなうものがないとき、あなたの寝ねている寝床ねどこまでも、人ひとが奪うばい取とってよかろうか。22:28 あなたの先祖せんぞが立たてた古ふるい地境じざかいを移うつしてはならない。22:29 あなたはそのわざに巧たくみな人ひとを見みるか、そのような人ひとは王おうの前まえに立たつが、卑いやしい人々ひとびとの前まえには立たたない。 第23章 23:1 治おさめる人ひとと共ともに座ざして食事しょくじするとき、あなたの前まえにあるものを、よくわきまえ、23:2 あなたがもし食しょくをたしなむ者ものであるならば、あなたののどに刀かたなをあてよ。23:3 そのごちそうをむさぼり食たべてはならない、これは人ひとを欺あざむく食物しょくもつだからである。23:4 富とみを得えようと苦労くろうしてはならない、かしこく思おもいとどまるがよい。23:5 あなたの目めをそれにとめると、それはない、富とみはたちまち自みずから翼つばさを生しょうじて、わしのように天てんに飛とび去さるからだ。23:6 物惜ものおしみする人ひとのパンを食たべてはならない、そのごちそうをむさぼり願ねがってはならない。23:7 彼かれは心こころのうちで勘定かんじょうする人ひとのように、「食くえ、飲のめ」とあなたに言いうけれども、その心こころはあなたに真実しんじつではない。23:8 あなたはついにその食たべた物ものを吐はき出だすようになり、あなたのねんごろな言葉ことばもむだになる。23:9 愚おろかな者ものの耳みみに語かたってはならない、彼かれはあなたの言葉ことばが示しめす知恵ちえをいやしめるからだ。23:10 古ふるい地境じざかいを移うつしてはならない、みなしごの畑はたけを侵おかしてはならない。23:11 彼かれらのあがない主しゅは強つよくいらせられ、あなたに逆さからって彼かれらの訴うったえを弁護べんごされるからだ。23:12 あなたの心こころを教訓きょうくんに用もちい、あなたの耳みみを知識ちしきの言葉ことばに傾かたむけよ。23:13 子こを懲こらすことを、さし控ひかえてはならない、むちで彼かれを打うっても死しぬことはない。23:14 もし、むちで彼かれを打うつならば、その命いのちを陰府よみから救すくうことができる。23:15 わが子こよ、もしあなたの心こころが賢かしこくあれば、わたしの心こころもまた喜よろこび、23:16 もしあなたのくちびるが正ただしい事ことを言いうならば、わたしの心こころも喜よろこぶ。23:17 心こころに罪つみびとをうらやんではならない、ただ、ひねもす主しゅを恐おそれよ。23:18 かならず後のちのよい報むくいがあって、あなたの望のぞみは、すたらない。23:19 わが子こよ、よく聞きいて、知恵ちえを得えよ、かつ、あなたの心こころを道みちに向むけよ。23:20 酒さけにふけり、肉にくをたしなむ者ものと交まじわってはならない。23:21 酒さけにふける者ものと、肉にくをたしなむ者ものとは貧まずしくなり、眠ねむりをむさぼる者ものは、ぼろを身みにまとうようになる。23:22 あなたを生うんだ父ちちのいうことを聞きき、年老としおいた母ははを軽かろんじてはならない。23:23 真理しんりを買かえ、これを売うってはならない、知恵ちえと教訓きょうくんと悟さとりをも買かえ。23:24 正ただしい人ひとの父ちちは大おおいによろこび、知恵ちえある子こを生うむ者ものは子このために楽たのしむ。23:25 あなたの父母ふぼを楽たのしませ、あなたを産うんだ母ははを喜よろこばせよ。23:26 わが子こよ、あなたの心こころをわたしに与あたえ、あなたの目めをわたしの道みちに注そそげ。23:27 遊女ゆうじょは深ふかい穴あなのごとく、みだらな女おんなは狭せまい井戸いどのようだ。23:28 彼女かのじょは盗ぬすびとのように人ひとをうかがい、かつ世よの人ひとのうちに、不信実ふしんじつな者ものを多おおくする。23:29 災わざわいある者ものはだれか、憂うれいある者ものはだれか、争あらそいをする者ものはだれか、煩わずらいある者ものはだれか、ゆえなく傷きずをうける者ものはだれか、赤あかい目めをしている者ものはだれか。23:30 酒さけに夜よるをふかす者もの、行いって、混まぜ合あわせた酒さけを味あじわう者ものである。23:31 酒さけはあかく、杯はいの中なかにあわだち、なめらかにくだる、あなたはこれを見みてはならない。23:32 これはついに、へびのようにかみ、まむしのように刺さす。23:33 あなたの目めは怪あやしいものを見み、あなたの心こころは偽いつわりを言いう。23:34 あなたは海うみの中なかに寝ねている人ひとのように、帆柱ほばしらの上うえに寝ねている人ひとのようになる。23:35 あなたは言いう、「人ひとがわたしを撃うったが、わたしは痛いたくはなかった。わたしを、たたいたが、わたしは何なにも覚おぼえはない。いつわたしはさめるのか、また酒さけを求もとめよう」と。 第24章 24:1 悪あくを行おこなう人ひとをうらやんではならない、また彼かれらと共ともにおることを願ねがってはならない。24:2 彼かれらはその心こころに強奪ごうだつを計はかり、そのくちびるに人ひとをそこなうことを語かたるからである。24:3 家いえは知恵ちえによって建たてられ、悟さとりによって堅かたくせられ、24:4 また、へやは知識ちしきによってさまざまの尊たっとく、麗うるわしい宝たからで満みたされる。24:5 知恵ちえある者ものは強つよい人ひとよりも強つよく、知識ちしきある人ひとは力ちからある人ひとよりも強つよい。24:6 良よい指揮しきによって戦たたかいをすることができ、勝利しょうりは多おおくの議ぎする者ものがいるからである。24:7 知恵ちえは高たかくて愚おろかな者ものの及およぶところではない、愚おろかな者ものは門もんで口くちを開ひらくことができない。24:8 悪あくを行おこなうことを計はかる者ものを人ひとはいたずら者ものととなえる。24:9 愚おろかな者ものの計はかるところは罪つみであり、あざける者ものは人ひとに憎にくまれる。 24:10 もしあなたが悩なやみの日ひに気きをくじくならば、あなたの力ちからは弱よわい。24:11 死地しちにひかれゆく者ものを助たすけ出だせ、滅ほろびによろめきゆく者ものを救すくえ。24:12 あなたが、われわれはこれを知しらなかったといっても、心こころをはかる者ものはそれを悟さとらないであろうか。あなたの魂たましいを守まもる者ものはそれを知しらないであろうか。彼かれはおのおのの行おこないにより、人ひとに報むくいないであろうか。 24:13 わが子こよ、蜜みつを食たべよ、これは良よいものである、また、蜂はちの巣すのしたたりはあなたの口くちに甘あまい。24:14 知恵ちえもあなたの魂たましいにはそのようであることを知しれ。それを得えるならば、かならず報むくいがあって、あなたの望のぞみは、すたらない。24:15 悪あしき者ものがするように、正ただしい者ものの家いえをうかがってはならない、その住すむ所ところに乱暴らんぼうをしてはならない。24:16 正ただしい者ものは七たび倒たおれても、また起おきあがる、しかし、悪あしき者ものは災わざわいによって滅ほろびる。24:17 あなたのあだが倒たおれるとき楽たのしんではならない、彼かれのつまずくとき心こころに喜よろこんではならない。24:18 主しゅはそれを見みて悪わるいこととし、その怒いかりを彼かれから転てんじられる。24:19 悪あくを行おこなう者もののゆえに心こころを悩なやましてはならない、よこしまな者ものをうらやんではならない。24:20 悪あしき者ものには後のちの良よい報むくいはない、よこしまな者もののともしびは消けされる。24:21 わが子こよ、主しゅと王おうとを恐おそれよ、そのいずれにも不ふ従順じゅうじゅんであってはならない。24:22 その災わざわいはたちまち起おこるからである。この二つの者ものからくる滅ほろびをだれが知しり得えようか。 24:23 これらもまた知恵ちえある者ものの箴言しんげんである。 片寄かたよったさばきをするのは、よくない。24:24 悪あしき者ものに向むかって、「あなたは正ただしい」という者ものを、人々ひとびとはのろい、諸民しょみんは憎にくむ。24:25 悪あしき者ものをせめる者ものは恵めぐみを得える、また幸福こうふくが与あたえられる。24:26 正ただしい答こたえをする者ものは、くちびるに、口くちづけするのである。24:27 外そとで、あなたの仕事しごとを整ととのえ、畑はたけで、すべての物ものをおのれのために備そなえ、その後のちあなたの家いえを建たてるがよい。24:28 ゆえなく隣となり人びとに敵てきして、証言しょうげんをしてはならない、くちびるをもって欺あざむいてはならない。24:29 「彼かれがわたしにしたように、わたしも彼かれにしよう、わたしは人ひとがしたところにしたがって、その人ひとに報むくいよう」と言いってはならない。 24:30 わたしはなまけ者ものの畑はたけのそばと、知恵ちえのない人ひとのぶどう畑はたけのそばを通とおってみたが、24:31 いばらが一面いちめんに生はえ、あざみがその地面じめんをおおい、その石いしがきはくずれていた。24:32 わたしはこれをみて心こころをとどめ、これを見みて教訓きょうくんを得えた。24:33 「しばらく眠ねむり、しばらくまどろみ、手てをこまぬいて、またしばらく休やすむ」。24:34 それゆえ、貧まずしさは盗ぬすびとのように、あなたに来き、乏とぼしさは、つわもののように、あなたに来くる。 第25章 25:1 これらもまたソロモンの箴言しんげんであり、ユダの王おうヒゼキヤに属ぞくする人々ひとびとがこれを書かき写うつした。25:2 事ことを隠かくすのは神かみの誉ほまれであり、事ことを窮きわめるのは王おうの誉ほまれである。25:3 天てんの高たかさと地ちの深ふかさと、王おうたる者ものの心こころとは測はかることができない。25:4 銀ぎんから、かなくそを除のぞけ、そうすれば、銀ぎん細工人ざいくにんが器うつわを造つくる材料ざいりょうとなる。25:5 王おうの前まえから悪あしき者ものを除のぞけ、そうすれば、その位くらいは正義せいぎによって堅かたく立たつ。25:6 王おうの前まえで自みずから高たかぶってはならない、偉えらい人ひとの場ばに立たってはならない。25:7 尊たっとい人ひとの前まえで下したにさげられるよりは、「ここに上あがれ」といわれるほうがましだ。25:8 あなたが目めに見みたことを、軽々かるがるしく法廷ほうていに出だしてはならない。あとになり、あなたが隣となり人びとにはずかしめられるとき、あなたはどうしようとするのか。25:9 隣となり人びとと争あらそうことがあるならば、ただその人ひとと争あらそえ、他人たにんの秘密ひみつをもらしてはならない。25:10 そうでないと、聞きく者ものがあなたをいやしめ、あなたは、いつまでもそしられる。 25:11 おりにかなって語かたる言葉ことばは、銀ぎんの彫ほり物ものに金きんのりんごをはめたようだ。25:12 知恵ちえをもって戒いましめる者ものは、これをきく者ものの耳みみにとって、金きんの耳輪みみわ、精せい金きんの飾かざりのようだ。25:13 忠実ちゅうじつな使者ししゃはこれをつかわす者ものにとって、刈入かりいれの日ひに冷ひややかな雪ゆきがあるようだ、よくその主人しゅじんの心こころを喜よろこばせる。25:14 贈おくり物ものをすると偽いつわって誇ほこる人ひとは、雨あめのない雲くもと風かぜのようだ。 25:15 忍耐にんたいをもって説とけば君きみも言葉ことばをいれる、柔やわらかな舌したは骨ほねを砕くだく。25:16 蜜みつを得えたならば、ただ足たるほどにこれを食たべよ、おそらくは食たべすごして、それを吐はき出だすであろう。25:17 隣となり人びとの家いえに足あしをしげくしてはならない、おそらくは彼かれは煩わずらわしくなって、あなたを憎にくむようになろう。25:18 隣となり人びとに敵てきして偽いつわりのあかしを立たてる人ひとは、こん棒ぼう、つるぎ、または鋭するどい矢やのようだ。25:19 悩なやみに会あうとき不信実ふしんじつな者ものを頼たのみにするのは、悪わるい歯は、またはなえた足あしを頼たのみとするようなものだ。25:20 心こころの痛いためる人ひとの前まえで歌うたをうたうのは、寒さむい日ひに着物きものを脱ぬぐようであり、また傷きずの上うえに酢すをそそぐようだ。25:21 もしあなたのあだが飢うえているならば、パンを与あたえて食たべさせ、もしかわいているならば水みずを与あたえて飲のませよ。25:22 こうするのは、火ひを彼かれのこうべに積つむのである、主しゅはあなたに報むくいられる。25:23 北風きたかぜは雨あめを起おこし、陰言かげごとをいう舌したは人ひとの顔かおを怒いからす。25:24 争あらそいを好このむ女おんなと一緒いっしょに家いえにおるよりは、屋根やねのすみにおるほうがよい。25:25 遠とおい国くにから来くるよい消息しょうそくは、かわいている人ひとが飲のむ冷ひややかな水みずのようだ。25:26 正ただしい者ものが悪わるい者ものの前まえに屈服くっぷくするのは、井戸いどが濁にごったよう、また泉いずみがよごれたようなものだ。25:27 蜜みつを多おおく食たべるのはよくない、ほめる言葉ことばは控ひかえ目めにするがよい。25:28 自分じぶんの心こころを制せいしない人ひとは、城壁じょうへきのない破やぶれた城しろのようだ。 第26章 26:1 誉ほまれが愚おろかな者ものにふさわしくないのは、夏なつに雪ゆきが降ふり、刈入かりいれの時ときに雨あめが降ふるようなものだ。26:2 いわれのないのろいは、飛とびまわるすずめや、飛とびかけるつばめのようなもので、止とまらない。26:3 馬うまのためにはむちがあり、ろばのためにはくつわがあり、愚おろかな者ものの背せのためにはつえがある。26:4 愚おろかな者ものにその愚おろかさにしたがって答こたえをするな、自分じぶんも彼かれと同おなじようにならないためだ。26:5 愚おろかな者ものにその愚おろかさにしたがって答こたえをせよ、彼かれが自分じぶんの目めに自みずからを知恵ちえある者ものと見みないためだ。26:6 愚おろかな者ものに託たくして事ことを言いい送おくる者ものは、自分じぶんの足あしを切きり去さり、身みに害がいをうける。26:7 あしなえの足あしは用ようがない、愚おろかな者ものの口くちには箴言しんげんもそれにひとしい。26:8 誉ほまれを愚おろかな者ものに与あたえるのは、石いしを石いし投なげにつなぐようだ。26:9 愚おろかな者ものの口くちに箴言しんげんがあるのは、酔よった者ものが、とげのあるつえを手てで振ふり上あげるようだ。26:10 通とおりがかりの愚おろか者ものや、酔よった者ものを雇やとう者ものは、すべての人ひとを傷きずつける射手いてのようだ。26:11 犬いぬが帰かえって来きてその吐はいた物ものを食たべるように、愚おろかな者ものはその愚おろかさをくり返かえす。26:12 自分じぶんの目めに自みずからを知恵ちえある者ものとする人ひとを、あなたは見みるか、彼かれよりもかえって愚おろかな人ひとに望のぞみがある。26:13 なまけ者ものは、「道みちにししがいる、ちまたにししがいる」という。26:14 戸とがちょうつがいによって回まわるように、なまけ者ものはその寝床ねどこで寝返ねがえりをする。26:15 なまけ者ものは手てを皿さらに入いれても、それを口くちに持もってゆくことをいとう。26:16 なまけ者ものは自分じぶんの目めに、良よく答こたえることのできる七人にんの者ものよりも、自みずからを知恵ちえありとする。26:17 自分じぶんに関係かんけいのない争あらそいにたずさわる者ものは、通とおりすぎる犬いぬの耳みみをとらえる者もののようだ。26:18 26:19 隣となり人びとを欺あざむいて、「わたしはただ戯たわむれにした」という者ものは、燃もえ木ぎまたは矢や、または死しを、投なげつける気違きちがいのようだ。26:20 たきぎがなければ火ひは消きえ、人ひとのよしあしを言いう者ものがなければ争あらそいはやむ。26:21 おき火ひに炭すみをつぎ、火ひにたきぎをくべるように、争あらそいを好このむ人ひとは争あらそいの火ひをおこす。26:22 人ひとのよしあしをいう者ものの言葉ことばはおいしい食物しょくもつのようで、腹はらの奥おくにしみこむ。26:23 くちびるはなめらかであっても、心こころの悪わるいのは上うえぐすりをかけた土つちの器うつわのようだ。26:24 憎にくむ者ものはくちびるをもって自みずから飾かざるけれども、心こころのうちには偽いつわりをいだく。26:25 彼かれが声こえをやわらげて語かたっても、信しんじてはならない。その心こころに七つの憎にくむべきものがあるからだ。26:26 たとい偽いつわりをもってその憎にくしみをかくしても、彼かれの悪あくは会衆かいしゅうの中なかに現あらわれる。26:27 穴あなを掘ほる者ものは自みずからその中なかに陥おちいる、石いしをまろばしあげる者ものの上うえに、その石いしはまろびかえる。26:28 偽いつわりの舌したは自分じぶんが傷きずつけた者ものを憎にくみ、へつらう口くちは滅ほろびをきたらせる。 第27章 27:1 あすのことを誇ほこってはならない、一日にちのうちに何なにがおこるかを知しることができないからだ。27:2 自分じぶんの口くちをもって自みずからをほめることなく、他人たにんにほめさせよ。自分じぶんのくちびるをもってせず、ほかの人ひとにあなたをほめさせよ。27:3 石いしは重おもく、砂すなも軽かるくはない、しかし愚おろかな者ものの怒いかりはこの二つよりも重おもい。27:4 憤いきどおりはむごく、怒いかりははげしい、しかしねたみの前まえには、だれが立たちえよう。27:5 あからさまに戒いましめるのは、ひそかに愛あいするのにまさる。27:6 愛あいする者ものが傷きずつけるのは、まことからであり、あだの口くちづけするのは偽いつわりからである。27:7 飽あいている者ものは蜂蜜はちみつをも踏ふみつける、しかし飢うえた者ものには苦にがい物ものでさえ、みな甘あまい。27:8 その家いえを離はなれてさまよう人ひとは、巣すを離はなれてさまよう鳥とりのようだ。27:9 油あぶらと香こうとは人ひとの心こころを喜よろこばせる、しかし魂たましいは悩なやみによって裂さかれる。27:10 あなたの友とも、あなたの父ちちの友ともを捨すてるな、あなたが悩なやみにあう日ひには兄弟きょうだいの家いえに行いくな、近ちかい隣となり人びとは遠とおくにいる兄弟きょうだいにまさる。27:11 わが子こよ、知恵ちえを得えて、わたしの心こころを喜よろこばせよ、そうすればわたしをそしる者ものに答こたえることができる。27:12 賢かしこい者ものは災わざわいを見みて自みずから避さけ、思慮しりょのない者ものは進すすんでいって、罰ばつをうける。27:13 人ひとのために保証ほしょうする者ものからは、まずその着物きものをとれ、他人たにんのために保証ほしょうをする者ものをば抵当ていとうに取とれ。27:14 朝あさはやく起おきて大声おおごえにその隣となり人びとを祝しゅくすれば、かえってのろいと見みなされよう。27:15 雨あめの降ふる日ひに雨漏あまもりの絶たえないのと、争あらそい好すきな女おんなとは同おなじだ。27:16 この女おんなを制せいするのは風かぜを制せいするのとおなじく、右みぎの手てに油あぶらをつかむのとおなじだ。27:17 鉄てつは鉄てつをとぐ、そのように人ひとはその友ともの顔かおをとぐ。27:18 いちじくの木きを守まもる者ものはその実みを食たべる、主人しゅじんを尊たっとぶ者ものは誉ほまれを得える。27:19 水みずにうつせば顔かおと顔かおとが応おうじるように、人ひとの心こころはその人ひとをうつす。27:20 陰府よみと滅ほろびとは飽あくことなく、人ひとの目めもまた飽あくことがない。27:21 るつぼによって銀ぎんをためし、炉ろによって金きんをためす、人ひとはその称賛しょうさんによってためされる。27:22 愚おろかな者ものをうすに入いれ、きねをもって、麦むぎと共ともにこれをついても、その愚おろかさは去さることがない。 27:23 あなたの羊ひつじの状態じょうたいをよく知しり、あなたの群むれに心こころをとめよ。27:24 富とみはいつまでも続つづくものではない、どうして位くらいが末代まつだいまでも保たもつであろうか。27:25 草くさが刈かり取とられ、新あたらしい芽めがのび、山やまの牧草ぼくそうも集あつめられると、27:26 小羊こひつじはあなたの衣料いりょうを出だし、やぎは畑はたけを買かう価あたいとなり、27:27 やぎの乳ちちは多おおくて、あなたと、あなたの家いえのものの食物しょくもつとなり、おとめらを養やしなうのにじゅうぶんである。 第28章 28:1 悪あしき者ものは追おう人ひともないのに逃にげる、正ただしい人ひとはししのように勇いさましい。28:2 国くにの罪つみによって、治おさめる者ものは多おおくなり、さとく、また知識ちしきある人ひとによって、国くにはながく保たもつ。28:3 貧まずしい者ものをしえたげる貧まずしい人ひとは、糧食りょうしょくを残のこさない激はげしい雨あめのようだ。28:4 律法りっぽうを捨すてる者ものは悪あしき者ものをほめる、律法りっぽうを守まもる者ものはこれに敵対てきたいする。28:5 悪人あくにんは正ただしいことを悟さとらない、主しゅを求もとめる者ものはこれをことごとく悟さとる。28:6 正ただしく歩あゆむ貧まずしい者ものは、曲まがった道みちを歩あゆむ富とめる者ものにまさる。28:7 律法りっぽうを守まもる者ものは賢かしこい子こである、不品行ふひんこうな者ものと交まじわるものは、父ちちをはずかしめる。28:8 利息りそくと高利こうりとによってその富とみをます者ものは、貧まずしい者ものを恵めぐむ者もののために、それをたくわえる。28:9 耳みみをそむけて律法りっぽうを聞きかない者ものは、その祈いのりでさえも憎にくまれる。28:10 正ただしい者ものを悪わるい道みちに惑まどわす者ものは、みずから自分じぶんの穴あなに陥おちいる、しかし誠実せいじつな人ひとは幸福こうふくを継つぐ。28:11 富とめる人ひとは自分じぶんの目めに自みずからを知恵ちえある者ものと見みる、しかし悟さとりのある貧まずしい者ものは彼かれを見みやぶる。28:12 正ただしい者ものが勝かつときは、大おおいなる栄さかえがある、悪あしき者ものが起おこるときは、民たみは身みをかくす。28:13 その罪つみを隠かくす者ものは栄さかえることがない、言いい表あらわしてこれを離はなれる者ものは、あわれみをうける。28:14 常つねに主しゅを恐おそれる人ひとはさいわいである、心こころをかたくなにする者ものは災わざわいに陥おちいる。28:15 貧まずしい民たみを治おさめる悪わるいつかさは、ほえるしし、または飢うえたくまのようだ。28:16 悟さとりのないつかさは残忍ざんにんな圧制者あっせいしゃである、不正ふせいの利りを憎にくむ者ものは長命ちょうめいを得える。28:17 人ひとを殺ころしてその血ちを身みに負おう者ものは死しぬまで、のがれびとである、だれもこれを助たすけてはならない。28:18 正ただしく歩あゆむ者ものは救すくいを得え、曲まがった道みちに歩あゆむ者ものは穴あなに陥おちいる。28:19 自分じぶんの田地でんちを耕たがやす者ものは食糧しょくりょうに飽あき、無益むえきな事ことに従したがう者ものは貧乏びんぼうに飽あきる。28:20 忠実ちゅうじつな人ひとは多おおくの祝福しゅくふくを得える、急いそいで富とみを得えようとする者ものは罰ばつを免まぬかれない。28:21 人ひとを片寄かたより見みることは良よくない、人ひとは一いち切きれのパンのために、とがを犯おかすことがある。28:22 欲よくの深ふかい人ひとは急いそいで富とみを得えようとする、かえって欠乏けつぼうが自分じぶんの所ところに来くることを知しらない。28:23 人ひとを戒いましめる者ものは舌したをもってへつらう者ものよりも、大おおいなる感謝かんしゃをうける。28:24 父ちちや母ははの物ものを盗ぬすんで「これは罪つみではない」と言いう者ものは、滅ほろぼす者ものの友ともである。28:25 むさぼる者ものは争あらそいを起おこし、主しゅに信頼しんらいする者ものは豊ゆたかになる。28:26 自分じぶんの心こころを頼たのむ者ものは愚おろかである、知恵ちえをもって歩あゆむ者ものは救すくいを得える。28:27 貧まずしい者ものに施ほどこす者ものは物ものに不足ふそくしない、目めをおおって見みない人ひとは多おおくののろいをうける。28:28 悪あしき者ものが起おこるときは、民たみは身みをかくす、その滅ほろびるときは、正ただしい人ひとが増ます。 第29章 29:1 しばしばしかられても、なおかたくなな者ものは、たちまち打うち敗やぶられて助たすかることはない。29:2 正ただしい者ものが権力けんりょくを得えれば民たみは喜よろこび、悪あしき者ものが治おさめるとき、民たみはうめき苦くるしむ。29:3 知恵ちえを愛あいする人ひとはその父ちちを喜よろこばせ、遊女ゆうじょに交まじわる者ものはその資産しさんを浪費ろうひする。29:4 王おうは公儀こうぎをもって国くにを堅かたくする、しかし、重税じゅうぜいを取とり立たてる者ものはこれを滅ほろぼす。29:5 その隣となり人びとにへつらう者ものは、彼かれの足あしの前まえに網あみを張はる。29:6 悪人あくにんは自分じぶんの罪つみのわなに陥おちいる、しかし正ただしい人ひとは喜よろこび楽たのしむ。29:7 正ただしい人ひとは貧まずしい者ものの訴うったえをかえりみる、悪あしき人ひとはそれを知しろうとはしない。29:8 あざける人ひとは町まちを乱みだし、知恵ちえある者ものは怒いかりを静しずめる。29:9 知恵ちえある人ひとが愚おろかな人ひとと争あらそうと、愚おろかな者ものはただ怒いかり、あるいは笑わらって、休やすむことがない。29:10 血ちに飢うえている人ひとは罪つみのない者ものを憎にくむ、悪あしき者ものは彼かれの命いのちを求もとめる。29:11 愚おろかな者ものは怒いかりをことごとく表あらわし、知恵ちえある者ものは静しずかにこれをおさえる。29:12 もし治おさめる者ものが偽いつわりの言葉ことばに聞きくならば、その役人やくにんらはみな悪わるくなる。29:13 貧まずしい者ものと、しえたげる者ものとは共ともに世よにおる、主しゅは彼かれら両者りょうしゃの目めに光ひかりを与あたえられる。29:14 もし王おうが貧まずしい者ものを公平こうへいにさばくならば、その位くらいはいつまでも堅かたく立たつ。29:15 むちと戒いましめとは知恵ちえを与あたえる、わがままにさせた子こはその母ははに恥はじをもたらす。29:16 悪あしき者ものが権力けんりょくを得えると罪つみも増ます、正ただしい者ものは彼かれらの倒たおれるのを見みる。29:17 あなたの子こを懲こらしめよ、そうすれば彼かれはあなたを安やすらかにし、またあなたの心こころに喜よろこびを与あたえる。29:18 預言よげんがなければ民たみはわがままにふるまう、しかし律法りっぽうを守まもる者ものはさいわいである。29:19 しもべは言葉ことばだけで訓練くんれんすることはできない、彼かれは聞きいて知しっても、心こころにとめないからである。29:20 言葉ことばの軽率けいそつな人ひとを見みるか、彼かれよりもかえって愚おろかな者もののほうに望のぞみがある。29:21 しもべをその幼おさない時ときからわがままに育そだてる人ひとは、ついにはそれを自分じぶんのあとつぎにする。29:22 怒いかる人ひとは争あらそいを起おこし、憤いきどおる人ひとは多おおくの罪つみを犯おかす。29:23 人ひとの高たかぶりはその人ひとを低ひくくし、心こころにへりくだる者ものは誉ほまれを得える。29:24 盗ぬすびとにくみする者ものは自分じぶんの魂たましいを憎にくむ、彼かれはのろいを聞きいても何事なにごとをも口外こうがいしない。29:25 人ひとを恐おそれると、わなに陥おちいる、主しゅに信頼しんらいする者ものは安やすらかである。29:26 治おさめる者ものの歓心かんしんを得えようとする人ひとは多おおい、しかし人ひとの事ことを定さだめるのは主しゅによる。29:27 正ただしい人ひとは不正ふせいを行おこなう人ひとを憎にくみ、悪あしき者ものは正ただしく歩あゆむ人ひとを憎にくむ。 第30章 30:1 マッサの人ひとヤケの子こアグルの言葉ことば。その人ひとはイテエルに向むかって言いった、すなわちイテエルと、ウカルとに向むかって言いった、30:2 わたしは確たしかに人ひとよりも愚おろかであり、わたしには人ひとの悟さとりがない。30:3 わたしはまだ知恵ちえをならうことができず、また、聖せいなる者ものを悟さとることもできない。30:4 天てんにのぼったり、下くだったりしたのはだれか、風かぜをこぶしの中なかに集あつめたのはだれか、水みずを着物きものに包つつんだのはだれか、地ちのすべての限界げんかいを定さだめた者ものはだれか、その名なは何なにか、その子この名なは何なにか、あなたは確たしかにそれを知しっている。 30:5 神かみの言葉ことばはみな真実しんじつである、神かみは彼かれに寄より頼たのむ者ものの盾たてである。30:6 その言葉ことばに付つけ加くわえてはならない、彼かれがあなたを責せめ、あなたを偽いつわり者ものとされないためだ。 30:7 わたしは二つのことをあなたに求もとめます、わたしの死しなないうちに、これをかなえてください。30:8 うそ、偽いつわりをわたしから遠とおざけ、貧まずしくもなく、また富とみもせず、ただなくてならぬ食物しょくもつでわたしを養やしなってください。30:9 飽あき足たりて、あなたを知しらないといい、「主しゅとはだれか」と言いうことのないため、また貧まずしくて盗ぬすみをし、わたしの神かみの名なを汚よごすことのないためです。 30:10 あなたは、しもべのことをその主人しゅじんに、あしざまにいってはならない、そうでないと彼かれはあなたをのろい、あなたは罪つみをきせられる。 30:11 世よには父ちちをのろったり、母ははを祝福しゅくふくしない者ものがある。30:12 世よには自分じぶんの目めにみずからを清きよい者ものとして、なおその汚けがれを洗あらわれないものがある。30:13 世よにはまた、このような人ひとがある――ああ、その目めのいかに高たかきことよ、またそのまぶたのいかにつりあがっていることよ。30:14 世よにはまたつるぎのような歯はをもち、刀かたなのようなきばをもって、貧まずしい者ものを地ちの上うえから、乏とぼしい者ものを人ひとの中なかから食くい滅ほろぼすものがある。 30:15 蛭ひるにふたりの娘むすめがあって、「与あたえよ、与あたえよ」という。飽あくことを知しらないものが三つある、いや、四つあって、皆みな「もう、たくさんです」と言いわない。30:16 すなわち陰府よみ、不妊ふにんの胎たい、水みずにかわく地ち、「もう、たくさんだ」といわない火ひがそれである。30:17 自分じぶんの父ちちをあざけり、母ははに従したがうのを卑いやしいこととする目めは、谷たにのからすがこれをつつき出だし、はげたかがこれを食たべる。 30:18 わたしにとって不思議ふしぎにたえないことが三つある、いや、四つあって、わたしには悟さとることができない。30:19 すなわち空そらを飛とぶはげたかの道みち、岩いわの上うえを這はうへびの道みち、海うみをはしる舟ふねの道みち、男おとこの女おんなにあう道みちがそれである。30:20 遊女ゆうじょの道みちもまたそうだ、彼女かのじょは食たべて、その口くちをぬぐって、「わたしは何なにもわるいことはしない」と言いう。 30:21 地ちは三つのことによって震ふるう、いや、四つのことによって、耐たえることができない。30:22 すなわち奴隷どれいたる者ものが王おうとなり、愚おろかな者ものが食物しょくもつに飽あき、30:23 忌いみきらわれた女おんなが嫁よめに行いき、はしためが女おんな主人しゅじんのあとにすわることである。 30:24 この地上ちじょうに、小ちいさいけれども、非常ひじょうに賢かしこいものが四つある。30:25 ありは力ちからのない種類しゅるいだが、その食糧しょくりょうを夏なつのうちに備そなえる。30:26 岩いわだぬきは強つよくない種類しゅるいだが、その家いえを岩いわにつくる。30:27 いなごは王おうがないけれども、みな隊たいを組くんでいで立たつ。30:28 やもりは手てでつかまえられるが、王おうの宮殿きゅうでんにおる。 30:29 歩あるきぶりの堂々どうどうたる者ものが三つある、いや、四つあって、みな堂々どうどうと歩あるく。30:30 すなわち獣けもののうちでもっとも強つよく、何なにものの前まえにも退しりぞかない、しし、30:31 尾おを立たてて歩あるくおんどり、雄おやぎ、その民たみの前まえをいばって歩あるく王おうがそれである。 30:32 あなたがもし愚おろかであって自みずから高たかぶり、あるいは悪事あくじを計はかったならば、あなたの手てを口くちに当あてるがよい。30:33 乳ちちをしめれば凝乳ぎょうにゅうが出でる、鼻はなをしめれば血ちがでる、怒いかりをしめれば争あらそいが起おこる。 第31章 31:1 マッサの王おうレムエルの言葉ことば、すなわちその母ははが彼かれに教おしえたものである。31:2 わが子こよ、何なにを言いおうか。わが胎たいの子こよ、何なにを言いおうか。わたしが願がんをかけて得えた子こよ、何なにをいおうか。31:3 あなたの力ちからを女おんなについやすな、王おうをも滅ほろぼすものに、あなたの道みちを任まかせるな。31:4 レムエルよ、酒さけを飲のむのは、王おうのすることではない、王おうのすることではない、濃こい酒さけを求もとめるのは君きみたる者もののすることではない。31:5 彼かれらは酒さけを飲のんで、おきてを忘わすれ、すべて悩なやむ者もののさばきを曲まげる。31:6 濃こい酒さけを滅ほろびようとしている者ものに与あたえ、酒さけを心こころの苦くるしむ人ひとに与あたえよ。31:7 彼かれらは飲のんで自分じぶんの貧乏びんぼうを忘わすれ、その悩なやみをもはや思おもい出ださない。31:8 あなたは黙だまっている人ひとのために、すべてのみなしごの訴うったえのために、口くちを開ひらくがよい。31:9 口くちを開ひらいて、正ただしいさばきを行おこない、貧まずしい者ものと乏とぼしい者ものの訴うったえをただせ。 31:10 だれが賢かしこい妻つまを見みつけることができるか、彼女かのじょは宝石ほうせきよりもすぐれて尊たっとい。31:11 その夫おっとの心こころは彼女かのじょを信頼しんらいして、収益しゅうえきに欠かけることはない。31:12 彼女かのじょは生いきながらえている間あいだ、その夫おっとのために良よいことをして、悪わるいことをしない。31:13 彼女かのじょは羊ひつじの毛けや亜麻あまを求もとめて、手てずから望のぞみのように、それを仕上しあげる。31:14 また商人しょうにんの舟ふねのように、遠とおい国くにから食糧しょくりょうを運はこんでくる。31:15 彼女かのじょはまだ夜よるのあけぬうちに起おきて、その家いえの者ものの食たべ物ものを備そなえ、その女おんなたちに日用にちようの分ぶんを与あたえる。31:16 彼女かのじょは畑はたけをよく考かんがえてそれを買かい、その手ての働はたらきの実みをもって、ぶどう畑ばたけをつくり、31:17 力ちからをもって腰こしに帯おびし、その腕うでを強つよくする。31:18 彼女かのじょはその商品しょうひんのもうけのあるのを知しっている、そのともしびは終夜しゅうや消きえることがない。31:19 彼女かのじょは手てを糸取いととり棒ぼうにのべ、その手てに、つむを持もち、31:20 手てを貧まずしい者ものに開ひらき、乏とぼしい人ひとに手てをさしのべる。31:21 彼女かのじょはその家いえの者もののために雪ゆきを恐おそれない、その家いえの者ものはみな紅くれないの着物きものを着きているからである。31:22 彼女かのじょは自分じぶんのために美うつくしいしとねを作つくり、亜麻あま布ぬのと紫むらさき布ぬのとをもってその着物きものとする。31:23 その夫おっとはその地ちの長老ちょうろうたちと共ともに、町まちの門もんに座ざするので、人ひとに知しられている。31:24 彼女かのじょは亜麻あま布ぬのの着物きものをつくって、それを売うり、帯おびをつくって商人しょうにんに渡わたす。31:25 力ちからと気品きひんとは彼女かのじょの着物きものである、そして後のちの日ひを笑わらっている。31:26 彼女かのじょは口くちを開ひらいて知恵ちえを語かたる、その舌したにはいつくしみの教おしえがある。31:27 彼女かのじょは家いえの事ことをよくかえりみ、怠おこたりのかてを食たべることをしない。31:28 その子こらは立たち上あがって彼女かのじょを祝しゅくし、その夫おっともまた彼女かのじょをほめたたえて言いう、31:29 「りっぱに事ことをなし遂とげる女おんなは多おおいけれども、あなたはそのすべてにまさっている」と。31:30 あでやかさは偽いつわりであり、美うつくしさはつかのまである、しかし主しゅを恐おそれる女おんなはほめたたえられる。31:31 その手ての働はたらきの実みを彼女かのじょに与あたえ、その行おこないのために彼女かのじょを町まちの門もんでほめたたえよ。
21:1 王おうの心こころは、主しゅの手てのうちにあって、水みずの流ながれのようだ、主しゅはみこころのままにこれを導みちびかれる。
21:2 人ひとの道みちは自分じぶんの目めには正ただしく見みえる、しかし主しゅは人ひとの心こころをはかられる。
21:3 正義せいぎと公平こうへいを行おこなうことは、犠牲ぎせいにもまさって主しゅに喜よろこばれる。
21:4 高たかぶる目めとおごる心こころとは、悪あしき人ひとのともしびであって、罪つみである。
21:5 勤勉きんべんな人ひとの計画けいかくは、ついにその人ひとを豊ゆたかにする、すべて おこたるものは貧まずしくなる。
21:6 偽いつわりの舌したをもって宝たからを得えるのは、吹ふきはらわれる煙けむり、死しのわなである。
21:7 悪あしき者ものの暴虐ぼうぎゃくはその身みを滅ほろぼす、彼かれらは公平こうへいを行おこなうことを好このまないからである。
21:8 罪つみびとの道みちは曲まがっている、潔白けっぱくな人ひとの行おこないはまっすぐである。
21:9 争あらそいを好このむ女おんなと一緒いっしょに家いえにおるよりは屋根やねのすみにおるほうがよい。
21:10 悪あしき者ものの魂たましいは悪あくを行おこなうことを願ねがう、その隣となり人びとにも好意こういをもって見みられない。
21:11 あざけるものが罰ばつをうけるならば、思慮しりょのない者ものは知恵ちえを得える。知恵ちえある者ものが教おしえをうけるならば知識ちしきを得える。
21:12 正ただしい神かみは、悪あしき者ものの家いえをみとめて、悪あしき者ものを滅ほろびに投なげいれられる。
21:13 耳みみを閉とじて貧まずしい者ものの呼よぶ声こえを聞きかない者ものは、自分じぶんが呼よぶときに、聞きかれない。
21:14 ひそかな贈おくり物ものは憤いきどおりをなだめる、ふところのまいないは激はげしい怒いかりを和やわらげる。
21:15 公義こうぎを行おこなうことは、正ただしい者ものには喜よろこびであるが、悪あくを行おこなう者ものには滅ほろびである。
21:16 悟さとりの道みちを離はなれる人ひとは、死人しにんの集会しゅうかいの中なかにおる。
21:17 快楽かいらくを好このむ者ものは貧まずしい人ひととなり、酒さけと油あぶらとを好このむ者ものは富とむことがない。
21:18 悪あしき者ものは正ただしい者もののあがないとなり、不信実ふしんじつな者ものは正ただしい人ひとに代かわる。
21:19 争あらそい怒いかる女おんなと共ともにおるよりは、荒野あらのに住すむほうがましだ。
21:20 知恵ちえある者ものの家いえには尊たっとい宝たからがあり、愚おろかな人ひとはこれを、のみ尽つくす。
21:21 正義せいぎといつくしみとを追おい求もとめる者ものは、命いのちと誉ほまれとを得える。
21:22 知恵ちえある者ものは強つよい者ものの城しろにのぼって、その頼たのみとするとりでをくずす。
21:23 口くちと舌したとを守まもる者ものはその魂たましいを守まもって、悩なやみにあわせない。
21:24 高たかぶりおごる者ものを「あざける者もの」となづける、彼かれは高慢こうまん無礼ぶれいな行おこないをするものである。
21:25 なまけ者ものの欲望よくぼうは自分じぶんの身みを殺ころす、これはその手てを働はたらかせないからである。
21:26 悪あしき者ものはひねもす人ひとの物ものをむさぼる、正ただしい者ものは与あたえて惜おしまない。
21:27 悪あしき者ものの供そなえ物ものは憎にくまれる、悪意あくいをもってささげる時ときはなおさらである。
21:28 偽いつわりの証人しょうにんは滅ほろぼされる、よく聞きく人ひとの言葉ことばはすたることがない。
21:29 悪あしき者ものはあつかましくし、正ただしい人ひとはその道みちをつつしむ。
21:30 主しゅに向むかっては知恵ちえも悟さとりも、計はかりごとも、なんの役やくにも立たたない。
21:31 戦たたかいの日ひのために馬うまを備そなえる、しかし勝利しょうりは主しゅによる。
第22章 22:1 令名れいめいは大おおいなる富とみにまさり、恩恵おんけいは銀ぎんや金きんよりも良よい。22:2 富とめる者ものと貧まずしい者ものとは共ともに世よにおる、すべてこれを造つくられたのは主しゅである。22:3 賢かしこい者ものは災わざわいを見みて自みずから避さけ、思慮しりょのない者ものは進すすんでいって、罰ばつをうける。22:4 謙遜けんそんと主しゅを恐おそれることとの報むくいは、富とみと誉ほまれと命いのちとである。22:5 よこしまな者ものの道みちにはいばらとわながあり、たましいを守まもる者ものは遠とおくこれを離はなれる。22:6 子こをその行いくべき道みちに従したがって教おしえよ、そうすれば年老としおいても、それを離はなれることがない。22:7 富とめる者ものは貧まずしき者ものを治おさめ、借かりる者ものは貸かす人ひとの奴隷どれいとなる。22:8 悪あくをまく者ものは災わざわいを刈かり、その怒いかりのつえはすたれる。22:9 人ひとを見みて恵めぐむ者ものはめぐまれる、自分じぶんのパンを貧まずしい人ひとに与あたえるからである。22:10 あざける者ものを追放ついほうすれば争あらそいもまた去さり、かつ、いさかいも、はずかしめもなくなる。22:11 心こころの潔白けっぱくを愛あいする者もの、その言葉ことばの上品じょうひんな者ものは、王おうがその友ともとなる。22:12 主しゅの目めは知識ちしきある者ものを守まもる、しかし主しゅは不信実ふしんじつな者ものの言葉ことばを敗やぶられる。22:13 なまけ者ものは言いう、「ししがそとにいる、わたしは、ちまたで殺ころされる」と。22:14 遊女ゆうじょの口くちは深ふかい落おとし穴あなである、主しゅに憎にくまれる者ものはその中なかに陥おちいる。22:15 愚おろかなことが子供こどもの心こころの中なかにつながれている、懲こらしめのむちは、これを遠とおく追おいだす。22:16 貧まずしい者ものをしえたげて自分じぶんの富とみを増まそうとする者ものと、富とめる者ものに与あたえる者ものとは、ついに必かならず貧まずしくなる。 22:17 あなたの耳みみを傾かたむけて知恵ちえある者ものの言葉ことばを聞きき、かつ、わたしの知識ちしきにあなたの心こころを用もちいよ。22:18 これをあなたのうちに保たもち、ことごとく、あなたのくちびるに備そなえておくなら、楽たのしいことである。22:19 あなたが主しゅに、寄より頼たのむことのできるように、わたしはきょう、これをあなたにも教おしえる。22:20 わたしは、勧すすめと知識ちしきとの三十の言葉ことばをあなたのためにしるしたではないか。22:21 それは正ただしいこと、真実しんじつなことをあなたに示しめし、あなたをつかわした者ものに真実しんじつの答こたえをさせるためであった。 22:22 貧まずしい者ものを、貧まずしいゆえに、かすめてはならない、悩なやむ者ものを、町まちの門もんでおさえつけてはならない。22:23 それは主しゅが彼かれらの訴うったえをただし、かつ彼かれらをそこなう者ものの命いのちを、そこなわれるからである。22:24 怒いかる者ものと交まじわるな、憤いきどおる人ひとと共ともに行いくな。22:25 それはあなたがその道みちにならって、みずから、わなに陥おちいることのないためである。22:26 あなたは人ひとと手てを打うつ者ものとなってはならない、人ひとの負債ふさいの保証ほしょうをしてはならない。22:27 あなたが償つぐなうものがないとき、あなたの寝ねている寝床ねどこまでも、人ひとが奪うばい取とってよかろうか。22:28 あなたの先祖せんぞが立たてた古ふるい地境じざかいを移うつしてはならない。22:29 あなたはそのわざに巧たくみな人ひとを見みるか、そのような人ひとは王おうの前まえに立たつが、卑いやしい人々ひとびとの前まえには立たたない。 第23章 23:1 治おさめる人ひとと共ともに座ざして食事しょくじするとき、あなたの前まえにあるものを、よくわきまえ、23:2 あなたがもし食しょくをたしなむ者ものであるならば、あなたののどに刀かたなをあてよ。23:3 そのごちそうをむさぼり食たべてはならない、これは人ひとを欺あざむく食物しょくもつだからである。23:4 富とみを得えようと苦労くろうしてはならない、かしこく思おもいとどまるがよい。23:5 あなたの目めをそれにとめると、それはない、富とみはたちまち自みずから翼つばさを生しょうじて、わしのように天てんに飛とび去さるからだ。23:6 物惜ものおしみする人ひとのパンを食たべてはならない、そのごちそうをむさぼり願ねがってはならない。23:7 彼かれは心こころのうちで勘定かんじょうする人ひとのように、「食くえ、飲のめ」とあなたに言いうけれども、その心こころはあなたに真実しんじつではない。23:8 あなたはついにその食たべた物ものを吐はき出だすようになり、あなたのねんごろな言葉ことばもむだになる。23:9 愚おろかな者ものの耳みみに語かたってはならない、彼かれはあなたの言葉ことばが示しめす知恵ちえをいやしめるからだ。23:10 古ふるい地境じざかいを移うつしてはならない、みなしごの畑はたけを侵おかしてはならない。23:11 彼かれらのあがない主しゅは強つよくいらせられ、あなたに逆さからって彼かれらの訴うったえを弁護べんごされるからだ。23:12 あなたの心こころを教訓きょうくんに用もちい、あなたの耳みみを知識ちしきの言葉ことばに傾かたむけよ。23:13 子こを懲こらすことを、さし控ひかえてはならない、むちで彼かれを打うっても死しぬことはない。23:14 もし、むちで彼かれを打うつならば、その命いのちを陰府よみから救すくうことができる。23:15 わが子こよ、もしあなたの心こころが賢かしこくあれば、わたしの心こころもまた喜よろこび、23:16 もしあなたのくちびるが正ただしい事ことを言いうならば、わたしの心こころも喜よろこぶ。23:17 心こころに罪つみびとをうらやんではならない、ただ、ひねもす主しゅを恐おそれよ。23:18 かならず後のちのよい報むくいがあって、あなたの望のぞみは、すたらない。23:19 わが子こよ、よく聞きいて、知恵ちえを得えよ、かつ、あなたの心こころを道みちに向むけよ。23:20 酒さけにふけり、肉にくをたしなむ者ものと交まじわってはならない。23:21 酒さけにふける者ものと、肉にくをたしなむ者ものとは貧まずしくなり、眠ねむりをむさぼる者ものは、ぼろを身みにまとうようになる。23:22 あなたを生うんだ父ちちのいうことを聞きき、年老としおいた母ははを軽かろんじてはならない。23:23 真理しんりを買かえ、これを売うってはならない、知恵ちえと教訓きょうくんと悟さとりをも買かえ。23:24 正ただしい人ひとの父ちちは大おおいによろこび、知恵ちえある子こを生うむ者ものは子このために楽たのしむ。23:25 あなたの父母ふぼを楽たのしませ、あなたを産うんだ母ははを喜よろこばせよ。23:26 わが子こよ、あなたの心こころをわたしに与あたえ、あなたの目めをわたしの道みちに注そそげ。23:27 遊女ゆうじょは深ふかい穴あなのごとく、みだらな女おんなは狭せまい井戸いどのようだ。23:28 彼女かのじょは盗ぬすびとのように人ひとをうかがい、かつ世よの人ひとのうちに、不信実ふしんじつな者ものを多おおくする。23:29 災わざわいある者ものはだれか、憂うれいある者ものはだれか、争あらそいをする者ものはだれか、煩わずらいある者ものはだれか、ゆえなく傷きずをうける者ものはだれか、赤あかい目めをしている者ものはだれか。23:30 酒さけに夜よるをふかす者もの、行いって、混まぜ合あわせた酒さけを味あじわう者ものである。23:31 酒さけはあかく、杯はいの中なかにあわだち、なめらかにくだる、あなたはこれを見みてはならない。23:32 これはついに、へびのようにかみ、まむしのように刺さす。23:33 あなたの目めは怪あやしいものを見み、あなたの心こころは偽いつわりを言いう。23:34 あなたは海うみの中なかに寝ねている人ひとのように、帆柱ほばしらの上うえに寝ねている人ひとのようになる。23:35 あなたは言いう、「人ひとがわたしを撃うったが、わたしは痛いたくはなかった。わたしを、たたいたが、わたしは何なにも覚おぼえはない。いつわたしはさめるのか、また酒さけを求もとめよう」と。 第24章 24:1 悪あくを行おこなう人ひとをうらやんではならない、また彼かれらと共ともにおることを願ねがってはならない。24:2 彼かれらはその心こころに強奪ごうだつを計はかり、そのくちびるに人ひとをそこなうことを語かたるからである。24:3 家いえは知恵ちえによって建たてられ、悟さとりによって堅かたくせられ、24:4 また、へやは知識ちしきによってさまざまの尊たっとく、麗うるわしい宝たからで満みたされる。24:5 知恵ちえある者ものは強つよい人ひとよりも強つよく、知識ちしきある人ひとは力ちからある人ひとよりも強つよい。24:6 良よい指揮しきによって戦たたかいをすることができ、勝利しょうりは多おおくの議ぎする者ものがいるからである。24:7 知恵ちえは高たかくて愚おろかな者ものの及およぶところではない、愚おろかな者ものは門もんで口くちを開ひらくことができない。24:8 悪あくを行おこなうことを計はかる者ものを人ひとはいたずら者ものととなえる。24:9 愚おろかな者ものの計はかるところは罪つみであり、あざける者ものは人ひとに憎にくまれる。 24:10 もしあなたが悩なやみの日ひに気きをくじくならば、あなたの力ちからは弱よわい。24:11 死地しちにひかれゆく者ものを助たすけ出だせ、滅ほろびによろめきゆく者ものを救すくえ。24:12 あなたが、われわれはこれを知しらなかったといっても、心こころをはかる者ものはそれを悟さとらないであろうか。あなたの魂たましいを守まもる者ものはそれを知しらないであろうか。彼かれはおのおのの行おこないにより、人ひとに報むくいないであろうか。 24:13 わが子こよ、蜜みつを食たべよ、これは良よいものである、また、蜂はちの巣すのしたたりはあなたの口くちに甘あまい。24:14 知恵ちえもあなたの魂たましいにはそのようであることを知しれ。それを得えるならば、かならず報むくいがあって、あなたの望のぞみは、すたらない。24:15 悪あしき者ものがするように、正ただしい者ものの家いえをうかがってはならない、その住すむ所ところに乱暴らんぼうをしてはならない。24:16 正ただしい者ものは七たび倒たおれても、また起おきあがる、しかし、悪あしき者ものは災わざわいによって滅ほろびる。24:17 あなたのあだが倒たおれるとき楽たのしんではならない、彼かれのつまずくとき心こころに喜よろこんではならない。24:18 主しゅはそれを見みて悪わるいこととし、その怒いかりを彼かれから転てんじられる。24:19 悪あくを行おこなう者もののゆえに心こころを悩なやましてはならない、よこしまな者ものをうらやんではならない。24:20 悪あしき者ものには後のちの良よい報むくいはない、よこしまな者もののともしびは消けされる。24:21 わが子こよ、主しゅと王おうとを恐おそれよ、そのいずれにも不ふ従順じゅうじゅんであってはならない。24:22 その災わざわいはたちまち起おこるからである。この二つの者ものからくる滅ほろびをだれが知しり得えようか。 24:23 これらもまた知恵ちえある者ものの箴言しんげんである。 片寄かたよったさばきをするのは、よくない。24:24 悪あしき者ものに向むかって、「あなたは正ただしい」という者ものを、人々ひとびとはのろい、諸民しょみんは憎にくむ。24:25 悪あしき者ものをせめる者ものは恵めぐみを得える、また幸福こうふくが与あたえられる。24:26 正ただしい答こたえをする者ものは、くちびるに、口くちづけするのである。24:27 外そとで、あなたの仕事しごとを整ととのえ、畑はたけで、すべての物ものをおのれのために備そなえ、その後のちあなたの家いえを建たてるがよい。24:28 ゆえなく隣となり人びとに敵てきして、証言しょうげんをしてはならない、くちびるをもって欺あざむいてはならない。24:29 「彼かれがわたしにしたように、わたしも彼かれにしよう、わたしは人ひとがしたところにしたがって、その人ひとに報むくいよう」と言いってはならない。 24:30 わたしはなまけ者ものの畑はたけのそばと、知恵ちえのない人ひとのぶどう畑はたけのそばを通とおってみたが、24:31 いばらが一面いちめんに生はえ、あざみがその地面じめんをおおい、その石いしがきはくずれていた。24:32 わたしはこれをみて心こころをとどめ、これを見みて教訓きょうくんを得えた。24:33 「しばらく眠ねむり、しばらくまどろみ、手てをこまぬいて、またしばらく休やすむ」。24:34 それゆえ、貧まずしさは盗ぬすびとのように、あなたに来き、乏とぼしさは、つわもののように、あなたに来くる。 第25章 25:1 これらもまたソロモンの箴言しんげんであり、ユダの王おうヒゼキヤに属ぞくする人々ひとびとがこれを書かき写うつした。25:2 事ことを隠かくすのは神かみの誉ほまれであり、事ことを窮きわめるのは王おうの誉ほまれである。25:3 天てんの高たかさと地ちの深ふかさと、王おうたる者ものの心こころとは測はかることができない。25:4 銀ぎんから、かなくそを除のぞけ、そうすれば、銀ぎん細工人ざいくにんが器うつわを造つくる材料ざいりょうとなる。25:5 王おうの前まえから悪あしき者ものを除のぞけ、そうすれば、その位くらいは正義せいぎによって堅かたく立たつ。25:6 王おうの前まえで自みずから高たかぶってはならない、偉えらい人ひとの場ばに立たってはならない。25:7 尊たっとい人ひとの前まえで下したにさげられるよりは、「ここに上あがれ」といわれるほうがましだ。25:8 あなたが目めに見みたことを、軽々かるがるしく法廷ほうていに出だしてはならない。あとになり、あなたが隣となり人びとにはずかしめられるとき、あなたはどうしようとするのか。25:9 隣となり人びとと争あらそうことがあるならば、ただその人ひとと争あらそえ、他人たにんの秘密ひみつをもらしてはならない。25:10 そうでないと、聞きく者ものがあなたをいやしめ、あなたは、いつまでもそしられる。 25:11 おりにかなって語かたる言葉ことばは、銀ぎんの彫ほり物ものに金きんのりんごをはめたようだ。25:12 知恵ちえをもって戒いましめる者ものは、これをきく者ものの耳みみにとって、金きんの耳輪みみわ、精せい金きんの飾かざりのようだ。25:13 忠実ちゅうじつな使者ししゃはこれをつかわす者ものにとって、刈入かりいれの日ひに冷ひややかな雪ゆきがあるようだ、よくその主人しゅじんの心こころを喜よろこばせる。25:14 贈おくり物ものをすると偽いつわって誇ほこる人ひとは、雨あめのない雲くもと風かぜのようだ。 25:15 忍耐にんたいをもって説とけば君きみも言葉ことばをいれる、柔やわらかな舌したは骨ほねを砕くだく。25:16 蜜みつを得えたならば、ただ足たるほどにこれを食たべよ、おそらくは食たべすごして、それを吐はき出だすであろう。25:17 隣となり人びとの家いえに足あしをしげくしてはならない、おそらくは彼かれは煩わずらわしくなって、あなたを憎にくむようになろう。25:18 隣となり人びとに敵てきして偽いつわりのあかしを立たてる人ひとは、こん棒ぼう、つるぎ、または鋭するどい矢やのようだ。25:19 悩なやみに会あうとき不信実ふしんじつな者ものを頼たのみにするのは、悪わるい歯は、またはなえた足あしを頼たのみとするようなものだ。25:20 心こころの痛いためる人ひとの前まえで歌うたをうたうのは、寒さむい日ひに着物きものを脱ぬぐようであり、また傷きずの上うえに酢すをそそぐようだ。25:21 もしあなたのあだが飢うえているならば、パンを与あたえて食たべさせ、もしかわいているならば水みずを与あたえて飲のませよ。25:22 こうするのは、火ひを彼かれのこうべに積つむのである、主しゅはあなたに報むくいられる。25:23 北風きたかぜは雨あめを起おこし、陰言かげごとをいう舌したは人ひとの顔かおを怒いからす。25:24 争あらそいを好このむ女おんなと一緒いっしょに家いえにおるよりは、屋根やねのすみにおるほうがよい。25:25 遠とおい国くにから来くるよい消息しょうそくは、かわいている人ひとが飲のむ冷ひややかな水みずのようだ。25:26 正ただしい者ものが悪わるい者ものの前まえに屈服くっぷくするのは、井戸いどが濁にごったよう、また泉いずみがよごれたようなものだ。25:27 蜜みつを多おおく食たべるのはよくない、ほめる言葉ことばは控ひかえ目めにするがよい。25:28 自分じぶんの心こころを制せいしない人ひとは、城壁じょうへきのない破やぶれた城しろのようだ。 第26章 26:1 誉ほまれが愚おろかな者ものにふさわしくないのは、夏なつに雪ゆきが降ふり、刈入かりいれの時ときに雨あめが降ふるようなものだ。26:2 いわれのないのろいは、飛とびまわるすずめや、飛とびかけるつばめのようなもので、止とまらない。26:3 馬うまのためにはむちがあり、ろばのためにはくつわがあり、愚おろかな者ものの背せのためにはつえがある。26:4 愚おろかな者ものにその愚おろかさにしたがって答こたえをするな、自分じぶんも彼かれと同おなじようにならないためだ。26:5 愚おろかな者ものにその愚おろかさにしたがって答こたえをせよ、彼かれが自分じぶんの目めに自みずからを知恵ちえある者ものと見みないためだ。26:6 愚おろかな者ものに託たくして事ことを言いい送おくる者ものは、自分じぶんの足あしを切きり去さり、身みに害がいをうける。26:7 あしなえの足あしは用ようがない、愚おろかな者ものの口くちには箴言しんげんもそれにひとしい。26:8 誉ほまれを愚おろかな者ものに与あたえるのは、石いしを石いし投なげにつなぐようだ。26:9 愚おろかな者ものの口くちに箴言しんげんがあるのは、酔よった者ものが、とげのあるつえを手てで振ふり上あげるようだ。26:10 通とおりがかりの愚おろか者ものや、酔よった者ものを雇やとう者ものは、すべての人ひとを傷きずつける射手いてのようだ。26:11 犬いぬが帰かえって来きてその吐はいた物ものを食たべるように、愚おろかな者ものはその愚おろかさをくり返かえす。26:12 自分じぶんの目めに自みずからを知恵ちえある者ものとする人ひとを、あなたは見みるか、彼かれよりもかえって愚おろかな人ひとに望のぞみがある。26:13 なまけ者ものは、「道みちにししがいる、ちまたにししがいる」という。26:14 戸とがちょうつがいによって回まわるように、なまけ者ものはその寝床ねどこで寝返ねがえりをする。26:15 なまけ者ものは手てを皿さらに入いれても、それを口くちに持もってゆくことをいとう。26:16 なまけ者ものは自分じぶんの目めに、良よく答こたえることのできる七人にんの者ものよりも、自みずからを知恵ちえありとする。26:17 自分じぶんに関係かんけいのない争あらそいにたずさわる者ものは、通とおりすぎる犬いぬの耳みみをとらえる者もののようだ。26:18 26:19 隣となり人びとを欺あざむいて、「わたしはただ戯たわむれにした」という者ものは、燃もえ木ぎまたは矢や、または死しを、投なげつける気違きちがいのようだ。26:20 たきぎがなければ火ひは消きえ、人ひとのよしあしを言いう者ものがなければ争あらそいはやむ。26:21 おき火ひに炭すみをつぎ、火ひにたきぎをくべるように、争あらそいを好このむ人ひとは争あらそいの火ひをおこす。26:22 人ひとのよしあしをいう者ものの言葉ことばはおいしい食物しょくもつのようで、腹はらの奥おくにしみこむ。26:23 くちびるはなめらかであっても、心こころの悪わるいのは上うえぐすりをかけた土つちの器うつわのようだ。26:24 憎にくむ者ものはくちびるをもって自みずから飾かざるけれども、心こころのうちには偽いつわりをいだく。26:25 彼かれが声こえをやわらげて語かたっても、信しんじてはならない。その心こころに七つの憎にくむべきものがあるからだ。26:26 たとい偽いつわりをもってその憎にくしみをかくしても、彼かれの悪あくは会衆かいしゅうの中なかに現あらわれる。26:27 穴あなを掘ほる者ものは自みずからその中なかに陥おちいる、石いしをまろばしあげる者ものの上うえに、その石いしはまろびかえる。26:28 偽いつわりの舌したは自分じぶんが傷きずつけた者ものを憎にくみ、へつらう口くちは滅ほろびをきたらせる。 第27章 27:1 あすのことを誇ほこってはならない、一日にちのうちに何なにがおこるかを知しることができないからだ。27:2 自分じぶんの口くちをもって自みずからをほめることなく、他人たにんにほめさせよ。自分じぶんのくちびるをもってせず、ほかの人ひとにあなたをほめさせよ。27:3 石いしは重おもく、砂すなも軽かるくはない、しかし愚おろかな者ものの怒いかりはこの二つよりも重おもい。27:4 憤いきどおりはむごく、怒いかりははげしい、しかしねたみの前まえには、だれが立たちえよう。27:5 あからさまに戒いましめるのは、ひそかに愛あいするのにまさる。27:6 愛あいする者ものが傷きずつけるのは、まことからであり、あだの口くちづけするのは偽いつわりからである。27:7 飽あいている者ものは蜂蜜はちみつをも踏ふみつける、しかし飢うえた者ものには苦にがい物ものでさえ、みな甘あまい。27:8 その家いえを離はなれてさまよう人ひとは、巣すを離はなれてさまよう鳥とりのようだ。27:9 油あぶらと香こうとは人ひとの心こころを喜よろこばせる、しかし魂たましいは悩なやみによって裂さかれる。27:10 あなたの友とも、あなたの父ちちの友ともを捨すてるな、あなたが悩なやみにあう日ひには兄弟きょうだいの家いえに行いくな、近ちかい隣となり人びとは遠とおくにいる兄弟きょうだいにまさる。27:11 わが子こよ、知恵ちえを得えて、わたしの心こころを喜よろこばせよ、そうすればわたしをそしる者ものに答こたえることができる。27:12 賢かしこい者ものは災わざわいを見みて自みずから避さけ、思慮しりょのない者ものは進すすんでいって、罰ばつをうける。27:13 人ひとのために保証ほしょうする者ものからは、まずその着物きものをとれ、他人たにんのために保証ほしょうをする者ものをば抵当ていとうに取とれ。27:14 朝あさはやく起おきて大声おおごえにその隣となり人びとを祝しゅくすれば、かえってのろいと見みなされよう。27:15 雨あめの降ふる日ひに雨漏あまもりの絶たえないのと、争あらそい好すきな女おんなとは同おなじだ。27:16 この女おんなを制せいするのは風かぜを制せいするのとおなじく、右みぎの手てに油あぶらをつかむのとおなじだ。27:17 鉄てつは鉄てつをとぐ、そのように人ひとはその友ともの顔かおをとぐ。27:18 いちじくの木きを守まもる者ものはその実みを食たべる、主人しゅじんを尊たっとぶ者ものは誉ほまれを得える。27:19 水みずにうつせば顔かおと顔かおとが応おうじるように、人ひとの心こころはその人ひとをうつす。27:20 陰府よみと滅ほろびとは飽あくことなく、人ひとの目めもまた飽あくことがない。27:21 るつぼによって銀ぎんをためし、炉ろによって金きんをためす、人ひとはその称賛しょうさんによってためされる。27:22 愚おろかな者ものをうすに入いれ、きねをもって、麦むぎと共ともにこれをついても、その愚おろかさは去さることがない。 27:23 あなたの羊ひつじの状態じょうたいをよく知しり、あなたの群むれに心こころをとめよ。27:24 富とみはいつまでも続つづくものではない、どうして位くらいが末代まつだいまでも保たもつであろうか。27:25 草くさが刈かり取とられ、新あたらしい芽めがのび、山やまの牧草ぼくそうも集あつめられると、27:26 小羊こひつじはあなたの衣料いりょうを出だし、やぎは畑はたけを買かう価あたいとなり、27:27 やぎの乳ちちは多おおくて、あなたと、あなたの家いえのものの食物しょくもつとなり、おとめらを養やしなうのにじゅうぶんである。 第28章 28:1 悪あしき者ものは追おう人ひともないのに逃にげる、正ただしい人ひとはししのように勇いさましい。28:2 国くにの罪つみによって、治おさめる者ものは多おおくなり、さとく、また知識ちしきある人ひとによって、国くにはながく保たもつ。28:3 貧まずしい者ものをしえたげる貧まずしい人ひとは、糧食りょうしょくを残のこさない激はげしい雨あめのようだ。28:4 律法りっぽうを捨すてる者ものは悪あしき者ものをほめる、律法りっぽうを守まもる者ものはこれに敵対てきたいする。28:5 悪人あくにんは正ただしいことを悟さとらない、主しゅを求もとめる者ものはこれをことごとく悟さとる。28:6 正ただしく歩あゆむ貧まずしい者ものは、曲まがった道みちを歩あゆむ富とめる者ものにまさる。28:7 律法りっぽうを守まもる者ものは賢かしこい子こである、不品行ふひんこうな者ものと交まじわるものは、父ちちをはずかしめる。28:8 利息りそくと高利こうりとによってその富とみをます者ものは、貧まずしい者ものを恵めぐむ者もののために、それをたくわえる。28:9 耳みみをそむけて律法りっぽうを聞きかない者ものは、その祈いのりでさえも憎にくまれる。28:10 正ただしい者ものを悪わるい道みちに惑まどわす者ものは、みずから自分じぶんの穴あなに陥おちいる、しかし誠実せいじつな人ひとは幸福こうふくを継つぐ。28:11 富とめる人ひとは自分じぶんの目めに自みずからを知恵ちえある者ものと見みる、しかし悟さとりのある貧まずしい者ものは彼かれを見みやぶる。28:12 正ただしい者ものが勝かつときは、大おおいなる栄さかえがある、悪あしき者ものが起おこるときは、民たみは身みをかくす。28:13 その罪つみを隠かくす者ものは栄さかえることがない、言いい表あらわしてこれを離はなれる者ものは、あわれみをうける。28:14 常つねに主しゅを恐おそれる人ひとはさいわいである、心こころをかたくなにする者ものは災わざわいに陥おちいる。28:15 貧まずしい民たみを治おさめる悪わるいつかさは、ほえるしし、または飢うえたくまのようだ。28:16 悟さとりのないつかさは残忍ざんにんな圧制者あっせいしゃである、不正ふせいの利りを憎にくむ者ものは長命ちょうめいを得える。28:17 人ひとを殺ころしてその血ちを身みに負おう者ものは死しぬまで、のがれびとである、だれもこれを助たすけてはならない。28:18 正ただしく歩あゆむ者ものは救すくいを得え、曲まがった道みちに歩あゆむ者ものは穴あなに陥おちいる。28:19 自分じぶんの田地でんちを耕たがやす者ものは食糧しょくりょうに飽あき、無益むえきな事ことに従したがう者ものは貧乏びんぼうに飽あきる。28:20 忠実ちゅうじつな人ひとは多おおくの祝福しゅくふくを得える、急いそいで富とみを得えようとする者ものは罰ばつを免まぬかれない。28:21 人ひとを片寄かたより見みることは良よくない、人ひとは一いち切きれのパンのために、とがを犯おかすことがある。28:22 欲よくの深ふかい人ひとは急いそいで富とみを得えようとする、かえって欠乏けつぼうが自分じぶんの所ところに来くることを知しらない。28:23 人ひとを戒いましめる者ものは舌したをもってへつらう者ものよりも、大おおいなる感謝かんしゃをうける。28:24 父ちちや母ははの物ものを盗ぬすんで「これは罪つみではない」と言いう者ものは、滅ほろぼす者ものの友ともである。28:25 むさぼる者ものは争あらそいを起おこし、主しゅに信頼しんらいする者ものは豊ゆたかになる。28:26 自分じぶんの心こころを頼たのむ者ものは愚おろかである、知恵ちえをもって歩あゆむ者ものは救すくいを得える。28:27 貧まずしい者ものに施ほどこす者ものは物ものに不足ふそくしない、目めをおおって見みない人ひとは多おおくののろいをうける。28:28 悪あしき者ものが起おこるときは、民たみは身みをかくす、その滅ほろびるときは、正ただしい人ひとが増ます。 第29章 29:1 しばしばしかられても、なおかたくなな者ものは、たちまち打うち敗やぶられて助たすかることはない。29:2 正ただしい者ものが権力けんりょくを得えれば民たみは喜よろこび、悪あしき者ものが治おさめるとき、民たみはうめき苦くるしむ。29:3 知恵ちえを愛あいする人ひとはその父ちちを喜よろこばせ、遊女ゆうじょに交まじわる者ものはその資産しさんを浪費ろうひする。29:4 王おうは公儀こうぎをもって国くにを堅かたくする、しかし、重税じゅうぜいを取とり立たてる者ものはこれを滅ほろぼす。29:5 その隣となり人びとにへつらう者ものは、彼かれの足あしの前まえに網あみを張はる。29:6 悪人あくにんは自分じぶんの罪つみのわなに陥おちいる、しかし正ただしい人ひとは喜よろこび楽たのしむ。29:7 正ただしい人ひとは貧まずしい者ものの訴うったえをかえりみる、悪あしき人ひとはそれを知しろうとはしない。29:8 あざける人ひとは町まちを乱みだし、知恵ちえある者ものは怒いかりを静しずめる。29:9 知恵ちえある人ひとが愚おろかな人ひとと争あらそうと、愚おろかな者ものはただ怒いかり、あるいは笑わらって、休やすむことがない。29:10 血ちに飢うえている人ひとは罪つみのない者ものを憎にくむ、悪あしき者ものは彼かれの命いのちを求もとめる。29:11 愚おろかな者ものは怒いかりをことごとく表あらわし、知恵ちえある者ものは静しずかにこれをおさえる。29:12 もし治おさめる者ものが偽いつわりの言葉ことばに聞きくならば、その役人やくにんらはみな悪わるくなる。29:13 貧まずしい者ものと、しえたげる者ものとは共ともに世よにおる、主しゅは彼かれら両者りょうしゃの目めに光ひかりを与あたえられる。29:14 もし王おうが貧まずしい者ものを公平こうへいにさばくならば、その位くらいはいつまでも堅かたく立たつ。29:15 むちと戒いましめとは知恵ちえを与あたえる、わがままにさせた子こはその母ははに恥はじをもたらす。29:16 悪あしき者ものが権力けんりょくを得えると罪つみも増ます、正ただしい者ものは彼かれらの倒たおれるのを見みる。29:17 あなたの子こを懲こらしめよ、そうすれば彼かれはあなたを安やすらかにし、またあなたの心こころに喜よろこびを与あたえる。29:18 預言よげんがなければ民たみはわがままにふるまう、しかし律法りっぽうを守まもる者ものはさいわいである。29:19 しもべは言葉ことばだけで訓練くんれんすることはできない、彼かれは聞きいて知しっても、心こころにとめないからである。29:20 言葉ことばの軽率けいそつな人ひとを見みるか、彼かれよりもかえって愚おろかな者もののほうに望のぞみがある。29:21 しもべをその幼おさない時ときからわがままに育そだてる人ひとは、ついにはそれを自分じぶんのあとつぎにする。29:22 怒いかる人ひとは争あらそいを起おこし、憤いきどおる人ひとは多おおくの罪つみを犯おかす。29:23 人ひとの高たかぶりはその人ひとを低ひくくし、心こころにへりくだる者ものは誉ほまれを得える。29:24 盗ぬすびとにくみする者ものは自分じぶんの魂たましいを憎にくむ、彼かれはのろいを聞きいても何事なにごとをも口外こうがいしない。29:25 人ひとを恐おそれると、わなに陥おちいる、主しゅに信頼しんらいする者ものは安やすらかである。29:26 治おさめる者ものの歓心かんしんを得えようとする人ひとは多おおい、しかし人ひとの事ことを定さだめるのは主しゅによる。29:27 正ただしい人ひとは不正ふせいを行おこなう人ひとを憎にくみ、悪あしき者ものは正ただしく歩あゆむ人ひとを憎にくむ。 第30章 30:1 マッサの人ひとヤケの子こアグルの言葉ことば。その人ひとはイテエルに向むかって言いった、すなわちイテエルと、ウカルとに向むかって言いった、30:2 わたしは確たしかに人ひとよりも愚おろかであり、わたしには人ひとの悟さとりがない。30:3 わたしはまだ知恵ちえをならうことができず、また、聖せいなる者ものを悟さとることもできない。30:4 天てんにのぼったり、下くだったりしたのはだれか、風かぜをこぶしの中なかに集あつめたのはだれか、水みずを着物きものに包つつんだのはだれか、地ちのすべての限界げんかいを定さだめた者ものはだれか、その名なは何なにか、その子この名なは何なにか、あなたは確たしかにそれを知しっている。 30:5 神かみの言葉ことばはみな真実しんじつである、神かみは彼かれに寄より頼たのむ者ものの盾たてである。30:6 その言葉ことばに付つけ加くわえてはならない、彼かれがあなたを責せめ、あなたを偽いつわり者ものとされないためだ。 30:7 わたしは二つのことをあなたに求もとめます、わたしの死しなないうちに、これをかなえてください。30:8 うそ、偽いつわりをわたしから遠とおざけ、貧まずしくもなく、また富とみもせず、ただなくてならぬ食物しょくもつでわたしを養やしなってください。30:9 飽あき足たりて、あなたを知しらないといい、「主しゅとはだれか」と言いうことのないため、また貧まずしくて盗ぬすみをし、わたしの神かみの名なを汚よごすことのないためです。 30:10 あなたは、しもべのことをその主人しゅじんに、あしざまにいってはならない、そうでないと彼かれはあなたをのろい、あなたは罪つみをきせられる。 30:11 世よには父ちちをのろったり、母ははを祝福しゅくふくしない者ものがある。30:12 世よには自分じぶんの目めにみずからを清きよい者ものとして、なおその汚けがれを洗あらわれないものがある。30:13 世よにはまた、このような人ひとがある――ああ、その目めのいかに高たかきことよ、またそのまぶたのいかにつりあがっていることよ。30:14 世よにはまたつるぎのような歯はをもち、刀かたなのようなきばをもって、貧まずしい者ものを地ちの上うえから、乏とぼしい者ものを人ひとの中なかから食くい滅ほろぼすものがある。 30:15 蛭ひるにふたりの娘むすめがあって、「与あたえよ、与あたえよ」という。飽あくことを知しらないものが三つある、いや、四つあって、皆みな「もう、たくさんです」と言いわない。30:16 すなわち陰府よみ、不妊ふにんの胎たい、水みずにかわく地ち、「もう、たくさんだ」といわない火ひがそれである。30:17 自分じぶんの父ちちをあざけり、母ははに従したがうのを卑いやしいこととする目めは、谷たにのからすがこれをつつき出だし、はげたかがこれを食たべる。 30:18 わたしにとって不思議ふしぎにたえないことが三つある、いや、四つあって、わたしには悟さとることができない。30:19 すなわち空そらを飛とぶはげたかの道みち、岩いわの上うえを這はうへびの道みち、海うみをはしる舟ふねの道みち、男おとこの女おんなにあう道みちがそれである。30:20 遊女ゆうじょの道みちもまたそうだ、彼女かのじょは食たべて、その口くちをぬぐって、「わたしは何なにもわるいことはしない」と言いう。 30:21 地ちは三つのことによって震ふるう、いや、四つのことによって、耐たえることができない。30:22 すなわち奴隷どれいたる者ものが王おうとなり、愚おろかな者ものが食物しょくもつに飽あき、30:23 忌いみきらわれた女おんなが嫁よめに行いき、はしためが女おんな主人しゅじんのあとにすわることである。 30:24 この地上ちじょうに、小ちいさいけれども、非常ひじょうに賢かしこいものが四つある。30:25 ありは力ちからのない種類しゅるいだが、その食糧しょくりょうを夏なつのうちに備そなえる。30:26 岩いわだぬきは強つよくない種類しゅるいだが、その家いえを岩いわにつくる。30:27 いなごは王おうがないけれども、みな隊たいを組くんでいで立たつ。30:28 やもりは手てでつかまえられるが、王おうの宮殿きゅうでんにおる。 30:29 歩あるきぶりの堂々どうどうたる者ものが三つある、いや、四つあって、みな堂々どうどうと歩あるく。30:30 すなわち獣けもののうちでもっとも強つよく、何なにものの前まえにも退しりぞかない、しし、30:31 尾おを立たてて歩あるくおんどり、雄おやぎ、その民たみの前まえをいばって歩あるく王おうがそれである。 30:32 あなたがもし愚おろかであって自みずから高たかぶり、あるいは悪事あくじを計はかったならば、あなたの手てを口くちに当あてるがよい。30:33 乳ちちをしめれば凝乳ぎょうにゅうが出でる、鼻はなをしめれば血ちがでる、怒いかりをしめれば争あらそいが起おこる。 第31章 31:1 マッサの王おうレムエルの言葉ことば、すなわちその母ははが彼かれに教おしえたものである。31:2 わが子こよ、何なにを言いおうか。わが胎たいの子こよ、何なにを言いおうか。わたしが願がんをかけて得えた子こよ、何なにをいおうか。31:3 あなたの力ちからを女おんなについやすな、王おうをも滅ほろぼすものに、あなたの道みちを任まかせるな。31:4 レムエルよ、酒さけを飲のむのは、王おうのすることではない、王おうのすることではない、濃こい酒さけを求もとめるのは君きみたる者もののすることではない。31:5 彼かれらは酒さけを飲のんで、おきてを忘わすれ、すべて悩なやむ者もののさばきを曲まげる。31:6 濃こい酒さけを滅ほろびようとしている者ものに与あたえ、酒さけを心こころの苦くるしむ人ひとに与あたえよ。31:7 彼かれらは飲のんで自分じぶんの貧乏びんぼうを忘わすれ、その悩なやみをもはや思おもい出ださない。31:8 あなたは黙だまっている人ひとのために、すべてのみなしごの訴うったえのために、口くちを開ひらくがよい。31:9 口くちを開ひらいて、正ただしいさばきを行おこない、貧まずしい者ものと乏とぼしい者ものの訴うったえをただせ。 31:10 だれが賢かしこい妻つまを見みつけることができるか、彼女かのじょは宝石ほうせきよりもすぐれて尊たっとい。31:11 その夫おっとの心こころは彼女かのじょを信頼しんらいして、収益しゅうえきに欠かけることはない。31:12 彼女かのじょは生いきながらえている間あいだ、その夫おっとのために良よいことをして、悪わるいことをしない。31:13 彼女かのじょは羊ひつじの毛けや亜麻あまを求もとめて、手てずから望のぞみのように、それを仕上しあげる。31:14 また商人しょうにんの舟ふねのように、遠とおい国くにから食糧しょくりょうを運はこんでくる。31:15 彼女かのじょはまだ夜よるのあけぬうちに起おきて、その家いえの者ものの食たべ物ものを備そなえ、その女おんなたちに日用にちようの分ぶんを与あたえる。31:16 彼女かのじょは畑はたけをよく考かんがえてそれを買かい、その手ての働はたらきの実みをもって、ぶどう畑ばたけをつくり、31:17 力ちからをもって腰こしに帯おびし、その腕うでを強つよくする。31:18 彼女かのじょはその商品しょうひんのもうけのあるのを知しっている、そのともしびは終夜しゅうや消きえることがない。31:19 彼女かのじょは手てを糸取いととり棒ぼうにのべ、その手てに、つむを持もち、31:20 手てを貧まずしい者ものに開ひらき、乏とぼしい人ひとに手てをさしのべる。31:21 彼女かのじょはその家いえの者もののために雪ゆきを恐おそれない、その家いえの者ものはみな紅くれないの着物きものを着きているからである。31:22 彼女かのじょは自分じぶんのために美うつくしいしとねを作つくり、亜麻あま布ぬのと紫むらさき布ぬのとをもってその着物きものとする。31:23 その夫おっとはその地ちの長老ちょうろうたちと共ともに、町まちの門もんに座ざするので、人ひとに知しられている。31:24 彼女かのじょは亜麻あま布ぬのの着物きものをつくって、それを売うり、帯おびをつくって商人しょうにんに渡わたす。31:25 力ちからと気品きひんとは彼女かのじょの着物きものである、そして後のちの日ひを笑わらっている。31:26 彼女かのじょは口くちを開ひらいて知恵ちえを語かたる、その舌したにはいつくしみの教おしえがある。31:27 彼女かのじょは家いえの事ことをよくかえりみ、怠おこたりのかてを食たべることをしない。31:28 その子こらは立たち上あがって彼女かのじょを祝しゅくし、その夫おっともまた彼女かのじょをほめたたえて言いう、31:29 「りっぱに事ことをなし遂とげる女おんなは多おおいけれども、あなたはそのすべてにまさっている」と。31:30 あでやかさは偽いつわりであり、美うつくしさはつかのまである、しかし主しゅを恐おそれる女おんなはほめたたえられる。31:31 その手ての働はたらきの実みを彼女かのじょに与あたえ、その行おこないのために彼女かのじょを町まちの門もんでほめたたえよ。
22:1 令名れいめいは大おおいなる富とみにまさり、恩恵おんけいは銀ぎんや金きんよりも良よい。
22:2 富とめる者ものと貧まずしい者ものとは共ともに世よにおる、すべてこれを造つくられたのは主しゅである。
22:3 賢かしこい者ものは災わざわいを見みて自みずから避さけ、思慮しりょのない者ものは進すすんでいって、罰ばつをうける。
22:4 謙遜けんそんと主しゅを恐おそれることとの報むくいは、富とみと誉ほまれと命いのちとである。
22:5 よこしまな者ものの道みちにはいばらとわながあり、たましいを守まもる者ものは遠とおくこれを離はなれる。
22:6 子こをその行いくべき道みちに従したがって教おしえよ、そうすれば年老としおいても、それを離はなれることがない。
22:7 富とめる者ものは貧まずしき者ものを治おさめ、借かりる者ものは貸かす人ひとの奴隷どれいとなる。
22:8 悪あくをまく者ものは災わざわいを刈かり、その怒いかりのつえはすたれる。
22:9 人ひとを見みて恵めぐむ者ものはめぐまれる、自分じぶんのパンを貧まずしい人ひとに与あたえるからである。
22:10 あざける者ものを追放ついほうすれば争あらそいもまた去さり、かつ、いさかいも、はずかしめもなくなる。
22:11 心こころの潔白けっぱくを愛あいする者もの、その言葉ことばの上品じょうひんな者ものは、王おうがその友ともとなる。
22:12 主しゅの目めは知識ちしきある者ものを守まもる、しかし主しゅは不信実ふしんじつな者ものの言葉ことばを敗やぶられる。
22:13 なまけ者ものは言いう、「ししがそとにいる、わたしは、ちまたで殺ころされる」と。
22:14 遊女ゆうじょの口くちは深ふかい落おとし穴あなである、主しゅに憎にくまれる者ものはその中なかに陥おちいる。
22:15 愚おろかなことが子供こどもの心こころの中なかにつながれている、懲こらしめのむちは、これを遠とおく追おいだす。
22:16 貧まずしい者ものをしえたげて自分じぶんの富とみを増まそうとする者ものと、富とめる者ものに与あたえる者ものとは、ついに必かならず貧まずしくなる。
22:17 あなたの耳みみを傾かたむけて知恵ちえある者ものの言葉ことばを聞きき、かつ、わたしの知識ちしきにあなたの心こころを用もちいよ。
22:18 これをあなたのうちに保たもち、ことごとく、あなたのくちびるに備そなえておくなら、楽たのしいことである。
22:19 あなたが主しゅに、寄より頼たのむことのできるように、わたしはきょう、これをあなたにも教おしえる。
22:20 わたしは、勧すすめと知識ちしきとの三十の言葉ことばをあなたのためにしるしたではないか。
22:21 それは正ただしいこと、真実しんじつなことをあなたに示しめし、あなたをつかわした者ものに真実しんじつの答こたえをさせるためであった。
22:22 貧まずしい者ものを、貧まずしいゆえに、かすめてはならない、悩なやむ者ものを、町まちの門もんでおさえつけてはならない。
22:23 それは主しゅが彼かれらの訴うったえをただし、かつ彼かれらをそこなう者ものの命いのちを、そこなわれるからである。
22:24 怒いかる者ものと交まじわるな、憤いきどおる人ひとと共ともに行いくな。
22:25 それはあなたがその道みちにならって、みずから、わなに陥おちいることのないためである。
22:26 あなたは人ひとと手てを打うつ者ものとなってはならない、人ひとの負債ふさいの保証ほしょうをしてはならない。
22:27 あなたが償つぐなうものがないとき、あなたの寝ねている寝床ねどこまでも、人ひとが奪うばい取とってよかろうか。
22:28 あなたの先祖せんぞが立たてた古ふるい地境じざかいを移うつしてはならない。
22:29 あなたはそのわざに巧たくみな人ひとを見みるか、そのような人ひとは王おうの前まえに立たつが、卑いやしい人々ひとびとの前まえには立たたない。
第23章 23:1 治おさめる人ひとと共ともに座ざして食事しょくじするとき、あなたの前まえにあるものを、よくわきまえ、23:2 あなたがもし食しょくをたしなむ者ものであるならば、あなたののどに刀かたなをあてよ。23:3 そのごちそうをむさぼり食たべてはならない、これは人ひとを欺あざむく食物しょくもつだからである。23:4 富とみを得えようと苦労くろうしてはならない、かしこく思おもいとどまるがよい。23:5 あなたの目めをそれにとめると、それはない、富とみはたちまち自みずから翼つばさを生しょうじて、わしのように天てんに飛とび去さるからだ。23:6 物惜ものおしみする人ひとのパンを食たべてはならない、そのごちそうをむさぼり願ねがってはならない。23:7 彼かれは心こころのうちで勘定かんじょうする人ひとのように、「食くえ、飲のめ」とあなたに言いうけれども、その心こころはあなたに真実しんじつではない。23:8 あなたはついにその食たべた物ものを吐はき出だすようになり、あなたのねんごろな言葉ことばもむだになる。23:9 愚おろかな者ものの耳みみに語かたってはならない、彼かれはあなたの言葉ことばが示しめす知恵ちえをいやしめるからだ。23:10 古ふるい地境じざかいを移うつしてはならない、みなしごの畑はたけを侵おかしてはならない。23:11 彼かれらのあがない主しゅは強つよくいらせられ、あなたに逆さからって彼かれらの訴うったえを弁護べんごされるからだ。23:12 あなたの心こころを教訓きょうくんに用もちい、あなたの耳みみを知識ちしきの言葉ことばに傾かたむけよ。23:13 子こを懲こらすことを、さし控ひかえてはならない、むちで彼かれを打うっても死しぬことはない。23:14 もし、むちで彼かれを打うつならば、その命いのちを陰府よみから救すくうことができる。23:15 わが子こよ、もしあなたの心こころが賢かしこくあれば、わたしの心こころもまた喜よろこび、23:16 もしあなたのくちびるが正ただしい事ことを言いうならば、わたしの心こころも喜よろこぶ。23:17 心こころに罪つみびとをうらやんではならない、ただ、ひねもす主しゅを恐おそれよ。23:18 かならず後のちのよい報むくいがあって、あなたの望のぞみは、すたらない。23:19 わが子こよ、よく聞きいて、知恵ちえを得えよ、かつ、あなたの心こころを道みちに向むけよ。23:20 酒さけにふけり、肉にくをたしなむ者ものと交まじわってはならない。23:21 酒さけにふける者ものと、肉にくをたしなむ者ものとは貧まずしくなり、眠ねむりをむさぼる者ものは、ぼろを身みにまとうようになる。23:22 あなたを生うんだ父ちちのいうことを聞きき、年老としおいた母ははを軽かろんじてはならない。23:23 真理しんりを買かえ、これを売うってはならない、知恵ちえと教訓きょうくんと悟さとりをも買かえ。23:24 正ただしい人ひとの父ちちは大おおいによろこび、知恵ちえある子こを生うむ者ものは子このために楽たのしむ。23:25 あなたの父母ふぼを楽たのしませ、あなたを産うんだ母ははを喜よろこばせよ。23:26 わが子こよ、あなたの心こころをわたしに与あたえ、あなたの目めをわたしの道みちに注そそげ。23:27 遊女ゆうじょは深ふかい穴あなのごとく、みだらな女おんなは狭せまい井戸いどのようだ。23:28 彼女かのじょは盗ぬすびとのように人ひとをうかがい、かつ世よの人ひとのうちに、不信実ふしんじつな者ものを多おおくする。23:29 災わざわいある者ものはだれか、憂うれいある者ものはだれか、争あらそいをする者ものはだれか、煩わずらいある者ものはだれか、ゆえなく傷きずをうける者ものはだれか、赤あかい目めをしている者ものはだれか。23:30 酒さけに夜よるをふかす者もの、行いって、混まぜ合あわせた酒さけを味あじわう者ものである。23:31 酒さけはあかく、杯はいの中なかにあわだち、なめらかにくだる、あなたはこれを見みてはならない。23:32 これはついに、へびのようにかみ、まむしのように刺さす。23:33 あなたの目めは怪あやしいものを見み、あなたの心こころは偽いつわりを言いう。23:34 あなたは海うみの中なかに寝ねている人ひとのように、帆柱ほばしらの上うえに寝ねている人ひとのようになる。23:35 あなたは言いう、「人ひとがわたしを撃うったが、わたしは痛いたくはなかった。わたしを、たたいたが、わたしは何なにも覚おぼえはない。いつわたしはさめるのか、また酒さけを求もとめよう」と。 第24章 24:1 悪あくを行おこなう人ひとをうらやんではならない、また彼かれらと共ともにおることを願ねがってはならない。24:2 彼かれらはその心こころに強奪ごうだつを計はかり、そのくちびるに人ひとをそこなうことを語かたるからである。24:3 家いえは知恵ちえによって建たてられ、悟さとりによって堅かたくせられ、24:4 また、へやは知識ちしきによってさまざまの尊たっとく、麗うるわしい宝たからで満みたされる。24:5 知恵ちえある者ものは強つよい人ひとよりも強つよく、知識ちしきある人ひとは力ちからある人ひとよりも強つよい。24:6 良よい指揮しきによって戦たたかいをすることができ、勝利しょうりは多おおくの議ぎする者ものがいるからである。24:7 知恵ちえは高たかくて愚おろかな者ものの及およぶところではない、愚おろかな者ものは門もんで口くちを開ひらくことができない。24:8 悪あくを行おこなうことを計はかる者ものを人ひとはいたずら者ものととなえる。24:9 愚おろかな者ものの計はかるところは罪つみであり、あざける者ものは人ひとに憎にくまれる。 24:10 もしあなたが悩なやみの日ひに気きをくじくならば、あなたの力ちからは弱よわい。24:11 死地しちにひかれゆく者ものを助たすけ出だせ、滅ほろびによろめきゆく者ものを救すくえ。24:12 あなたが、われわれはこれを知しらなかったといっても、心こころをはかる者ものはそれを悟さとらないであろうか。あなたの魂たましいを守まもる者ものはそれを知しらないであろうか。彼かれはおのおのの行おこないにより、人ひとに報むくいないであろうか。 24:13 わが子こよ、蜜みつを食たべよ、これは良よいものである、また、蜂はちの巣すのしたたりはあなたの口くちに甘あまい。24:14 知恵ちえもあなたの魂たましいにはそのようであることを知しれ。それを得えるならば、かならず報むくいがあって、あなたの望のぞみは、すたらない。24:15 悪あしき者ものがするように、正ただしい者ものの家いえをうかがってはならない、その住すむ所ところに乱暴らんぼうをしてはならない。24:16 正ただしい者ものは七たび倒たおれても、また起おきあがる、しかし、悪あしき者ものは災わざわいによって滅ほろびる。24:17 あなたのあだが倒たおれるとき楽たのしんではならない、彼かれのつまずくとき心こころに喜よろこんではならない。24:18 主しゅはそれを見みて悪わるいこととし、その怒いかりを彼かれから転てんじられる。24:19 悪あくを行おこなう者もののゆえに心こころを悩なやましてはならない、よこしまな者ものをうらやんではならない。24:20 悪あしき者ものには後のちの良よい報むくいはない、よこしまな者もののともしびは消けされる。24:21 わが子こよ、主しゅと王おうとを恐おそれよ、そのいずれにも不ふ従順じゅうじゅんであってはならない。24:22 その災わざわいはたちまち起おこるからである。この二つの者ものからくる滅ほろびをだれが知しり得えようか。 24:23 これらもまた知恵ちえある者ものの箴言しんげんである。 片寄かたよったさばきをするのは、よくない。24:24 悪あしき者ものに向むかって、「あなたは正ただしい」という者ものを、人々ひとびとはのろい、諸民しょみんは憎にくむ。24:25 悪あしき者ものをせめる者ものは恵めぐみを得える、また幸福こうふくが与あたえられる。24:26 正ただしい答こたえをする者ものは、くちびるに、口くちづけするのである。24:27 外そとで、あなたの仕事しごとを整ととのえ、畑はたけで、すべての物ものをおのれのために備そなえ、その後のちあなたの家いえを建たてるがよい。24:28 ゆえなく隣となり人びとに敵てきして、証言しょうげんをしてはならない、くちびるをもって欺あざむいてはならない。24:29 「彼かれがわたしにしたように、わたしも彼かれにしよう、わたしは人ひとがしたところにしたがって、その人ひとに報むくいよう」と言いってはならない。 24:30 わたしはなまけ者ものの畑はたけのそばと、知恵ちえのない人ひとのぶどう畑はたけのそばを通とおってみたが、24:31 いばらが一面いちめんに生はえ、あざみがその地面じめんをおおい、その石いしがきはくずれていた。24:32 わたしはこれをみて心こころをとどめ、これを見みて教訓きょうくんを得えた。24:33 「しばらく眠ねむり、しばらくまどろみ、手てをこまぬいて、またしばらく休やすむ」。24:34 それゆえ、貧まずしさは盗ぬすびとのように、あなたに来き、乏とぼしさは、つわもののように、あなたに来くる。 第25章 25:1 これらもまたソロモンの箴言しんげんであり、ユダの王おうヒゼキヤに属ぞくする人々ひとびとがこれを書かき写うつした。25:2 事ことを隠かくすのは神かみの誉ほまれであり、事ことを窮きわめるのは王おうの誉ほまれである。25:3 天てんの高たかさと地ちの深ふかさと、王おうたる者ものの心こころとは測はかることができない。25:4 銀ぎんから、かなくそを除のぞけ、そうすれば、銀ぎん細工人ざいくにんが器うつわを造つくる材料ざいりょうとなる。25:5 王おうの前まえから悪あしき者ものを除のぞけ、そうすれば、その位くらいは正義せいぎによって堅かたく立たつ。25:6 王おうの前まえで自みずから高たかぶってはならない、偉えらい人ひとの場ばに立たってはならない。25:7 尊たっとい人ひとの前まえで下したにさげられるよりは、「ここに上あがれ」といわれるほうがましだ。25:8 あなたが目めに見みたことを、軽々かるがるしく法廷ほうていに出だしてはならない。あとになり、あなたが隣となり人びとにはずかしめられるとき、あなたはどうしようとするのか。25:9 隣となり人びとと争あらそうことがあるならば、ただその人ひとと争あらそえ、他人たにんの秘密ひみつをもらしてはならない。25:10 そうでないと、聞きく者ものがあなたをいやしめ、あなたは、いつまでもそしられる。 25:11 おりにかなって語かたる言葉ことばは、銀ぎんの彫ほり物ものに金きんのりんごをはめたようだ。25:12 知恵ちえをもって戒いましめる者ものは、これをきく者ものの耳みみにとって、金きんの耳輪みみわ、精せい金きんの飾かざりのようだ。25:13 忠実ちゅうじつな使者ししゃはこれをつかわす者ものにとって、刈入かりいれの日ひに冷ひややかな雪ゆきがあるようだ、よくその主人しゅじんの心こころを喜よろこばせる。25:14 贈おくり物ものをすると偽いつわって誇ほこる人ひとは、雨あめのない雲くもと風かぜのようだ。 25:15 忍耐にんたいをもって説とけば君きみも言葉ことばをいれる、柔やわらかな舌したは骨ほねを砕くだく。25:16 蜜みつを得えたならば、ただ足たるほどにこれを食たべよ、おそらくは食たべすごして、それを吐はき出だすであろう。25:17 隣となり人びとの家いえに足あしをしげくしてはならない、おそらくは彼かれは煩わずらわしくなって、あなたを憎にくむようになろう。25:18 隣となり人びとに敵てきして偽いつわりのあかしを立たてる人ひとは、こん棒ぼう、つるぎ、または鋭するどい矢やのようだ。25:19 悩なやみに会あうとき不信実ふしんじつな者ものを頼たのみにするのは、悪わるい歯は、またはなえた足あしを頼たのみとするようなものだ。25:20 心こころの痛いためる人ひとの前まえで歌うたをうたうのは、寒さむい日ひに着物きものを脱ぬぐようであり、また傷きずの上うえに酢すをそそぐようだ。25:21 もしあなたのあだが飢うえているならば、パンを与あたえて食たべさせ、もしかわいているならば水みずを与あたえて飲のませよ。25:22 こうするのは、火ひを彼かれのこうべに積つむのである、主しゅはあなたに報むくいられる。25:23 北風きたかぜは雨あめを起おこし、陰言かげごとをいう舌したは人ひとの顔かおを怒いからす。25:24 争あらそいを好このむ女おんなと一緒いっしょに家いえにおるよりは、屋根やねのすみにおるほうがよい。25:25 遠とおい国くにから来くるよい消息しょうそくは、かわいている人ひとが飲のむ冷ひややかな水みずのようだ。25:26 正ただしい者ものが悪わるい者ものの前まえに屈服くっぷくするのは、井戸いどが濁にごったよう、また泉いずみがよごれたようなものだ。25:27 蜜みつを多おおく食たべるのはよくない、ほめる言葉ことばは控ひかえ目めにするがよい。25:28 自分じぶんの心こころを制せいしない人ひとは、城壁じょうへきのない破やぶれた城しろのようだ。 第26章 26:1 誉ほまれが愚おろかな者ものにふさわしくないのは、夏なつに雪ゆきが降ふり、刈入かりいれの時ときに雨あめが降ふるようなものだ。26:2 いわれのないのろいは、飛とびまわるすずめや、飛とびかけるつばめのようなもので、止とまらない。26:3 馬うまのためにはむちがあり、ろばのためにはくつわがあり、愚おろかな者ものの背せのためにはつえがある。26:4 愚おろかな者ものにその愚おろかさにしたがって答こたえをするな、自分じぶんも彼かれと同おなじようにならないためだ。26:5 愚おろかな者ものにその愚おろかさにしたがって答こたえをせよ、彼かれが自分じぶんの目めに自みずからを知恵ちえある者ものと見みないためだ。26:6 愚おろかな者ものに託たくして事ことを言いい送おくる者ものは、自分じぶんの足あしを切きり去さり、身みに害がいをうける。26:7 あしなえの足あしは用ようがない、愚おろかな者ものの口くちには箴言しんげんもそれにひとしい。26:8 誉ほまれを愚おろかな者ものに与あたえるのは、石いしを石いし投なげにつなぐようだ。26:9 愚おろかな者ものの口くちに箴言しんげんがあるのは、酔よった者ものが、とげのあるつえを手てで振ふり上あげるようだ。26:10 通とおりがかりの愚おろか者ものや、酔よった者ものを雇やとう者ものは、すべての人ひとを傷きずつける射手いてのようだ。26:11 犬いぬが帰かえって来きてその吐はいた物ものを食たべるように、愚おろかな者ものはその愚おろかさをくり返かえす。26:12 自分じぶんの目めに自みずからを知恵ちえある者ものとする人ひとを、あなたは見みるか、彼かれよりもかえって愚おろかな人ひとに望のぞみがある。26:13 なまけ者ものは、「道みちにししがいる、ちまたにししがいる」という。26:14 戸とがちょうつがいによって回まわるように、なまけ者ものはその寝床ねどこで寝返ねがえりをする。26:15 なまけ者ものは手てを皿さらに入いれても、それを口くちに持もってゆくことをいとう。26:16 なまけ者ものは自分じぶんの目めに、良よく答こたえることのできる七人にんの者ものよりも、自みずからを知恵ちえありとする。26:17 自分じぶんに関係かんけいのない争あらそいにたずさわる者ものは、通とおりすぎる犬いぬの耳みみをとらえる者もののようだ。26:18 26:19 隣となり人びとを欺あざむいて、「わたしはただ戯たわむれにした」という者ものは、燃もえ木ぎまたは矢や、または死しを、投なげつける気違きちがいのようだ。26:20 たきぎがなければ火ひは消きえ、人ひとのよしあしを言いう者ものがなければ争あらそいはやむ。26:21 おき火ひに炭すみをつぎ、火ひにたきぎをくべるように、争あらそいを好このむ人ひとは争あらそいの火ひをおこす。26:22 人ひとのよしあしをいう者ものの言葉ことばはおいしい食物しょくもつのようで、腹はらの奥おくにしみこむ。26:23 くちびるはなめらかであっても、心こころの悪わるいのは上うえぐすりをかけた土つちの器うつわのようだ。26:24 憎にくむ者ものはくちびるをもって自みずから飾かざるけれども、心こころのうちには偽いつわりをいだく。26:25 彼かれが声こえをやわらげて語かたっても、信しんじてはならない。その心こころに七つの憎にくむべきものがあるからだ。26:26 たとい偽いつわりをもってその憎にくしみをかくしても、彼かれの悪あくは会衆かいしゅうの中なかに現あらわれる。26:27 穴あなを掘ほる者ものは自みずからその中なかに陥おちいる、石いしをまろばしあげる者ものの上うえに、その石いしはまろびかえる。26:28 偽いつわりの舌したは自分じぶんが傷きずつけた者ものを憎にくみ、へつらう口くちは滅ほろびをきたらせる。 第27章 27:1 あすのことを誇ほこってはならない、一日にちのうちに何なにがおこるかを知しることができないからだ。27:2 自分じぶんの口くちをもって自みずからをほめることなく、他人たにんにほめさせよ。自分じぶんのくちびるをもってせず、ほかの人ひとにあなたをほめさせよ。27:3 石いしは重おもく、砂すなも軽かるくはない、しかし愚おろかな者ものの怒いかりはこの二つよりも重おもい。27:4 憤いきどおりはむごく、怒いかりははげしい、しかしねたみの前まえには、だれが立たちえよう。27:5 あからさまに戒いましめるのは、ひそかに愛あいするのにまさる。27:6 愛あいする者ものが傷きずつけるのは、まことからであり、あだの口くちづけするのは偽いつわりからである。27:7 飽あいている者ものは蜂蜜はちみつをも踏ふみつける、しかし飢うえた者ものには苦にがい物ものでさえ、みな甘あまい。27:8 その家いえを離はなれてさまよう人ひとは、巣すを離はなれてさまよう鳥とりのようだ。27:9 油あぶらと香こうとは人ひとの心こころを喜よろこばせる、しかし魂たましいは悩なやみによって裂さかれる。27:10 あなたの友とも、あなたの父ちちの友ともを捨すてるな、あなたが悩なやみにあう日ひには兄弟きょうだいの家いえに行いくな、近ちかい隣となり人びとは遠とおくにいる兄弟きょうだいにまさる。27:11 わが子こよ、知恵ちえを得えて、わたしの心こころを喜よろこばせよ、そうすればわたしをそしる者ものに答こたえることができる。27:12 賢かしこい者ものは災わざわいを見みて自みずから避さけ、思慮しりょのない者ものは進すすんでいって、罰ばつをうける。27:13 人ひとのために保証ほしょうする者ものからは、まずその着物きものをとれ、他人たにんのために保証ほしょうをする者ものをば抵当ていとうに取とれ。27:14 朝あさはやく起おきて大声おおごえにその隣となり人びとを祝しゅくすれば、かえってのろいと見みなされよう。27:15 雨あめの降ふる日ひに雨漏あまもりの絶たえないのと、争あらそい好すきな女おんなとは同おなじだ。27:16 この女おんなを制せいするのは風かぜを制せいするのとおなじく、右みぎの手てに油あぶらをつかむのとおなじだ。27:17 鉄てつは鉄てつをとぐ、そのように人ひとはその友ともの顔かおをとぐ。27:18 いちじくの木きを守まもる者ものはその実みを食たべる、主人しゅじんを尊たっとぶ者ものは誉ほまれを得える。27:19 水みずにうつせば顔かおと顔かおとが応おうじるように、人ひとの心こころはその人ひとをうつす。27:20 陰府よみと滅ほろびとは飽あくことなく、人ひとの目めもまた飽あくことがない。27:21 るつぼによって銀ぎんをためし、炉ろによって金きんをためす、人ひとはその称賛しょうさんによってためされる。27:22 愚おろかな者ものをうすに入いれ、きねをもって、麦むぎと共ともにこれをついても、その愚おろかさは去さることがない。 27:23 あなたの羊ひつじの状態じょうたいをよく知しり、あなたの群むれに心こころをとめよ。27:24 富とみはいつまでも続つづくものではない、どうして位くらいが末代まつだいまでも保たもつであろうか。27:25 草くさが刈かり取とられ、新あたらしい芽めがのび、山やまの牧草ぼくそうも集あつめられると、27:26 小羊こひつじはあなたの衣料いりょうを出だし、やぎは畑はたけを買かう価あたいとなり、27:27 やぎの乳ちちは多おおくて、あなたと、あなたの家いえのものの食物しょくもつとなり、おとめらを養やしなうのにじゅうぶんである。 第28章 28:1 悪あしき者ものは追おう人ひともないのに逃にげる、正ただしい人ひとはししのように勇いさましい。28:2 国くにの罪つみによって、治おさめる者ものは多おおくなり、さとく、また知識ちしきある人ひとによって、国くにはながく保たもつ。28:3 貧まずしい者ものをしえたげる貧まずしい人ひとは、糧食りょうしょくを残のこさない激はげしい雨あめのようだ。28:4 律法りっぽうを捨すてる者ものは悪あしき者ものをほめる、律法りっぽうを守まもる者ものはこれに敵対てきたいする。28:5 悪人あくにんは正ただしいことを悟さとらない、主しゅを求もとめる者ものはこれをことごとく悟さとる。28:6 正ただしく歩あゆむ貧まずしい者ものは、曲まがった道みちを歩あゆむ富とめる者ものにまさる。28:7 律法りっぽうを守まもる者ものは賢かしこい子こである、不品行ふひんこうな者ものと交まじわるものは、父ちちをはずかしめる。28:8 利息りそくと高利こうりとによってその富とみをます者ものは、貧まずしい者ものを恵めぐむ者もののために、それをたくわえる。28:9 耳みみをそむけて律法りっぽうを聞きかない者ものは、その祈いのりでさえも憎にくまれる。28:10 正ただしい者ものを悪わるい道みちに惑まどわす者ものは、みずから自分じぶんの穴あなに陥おちいる、しかし誠実せいじつな人ひとは幸福こうふくを継つぐ。28:11 富とめる人ひとは自分じぶんの目めに自みずからを知恵ちえある者ものと見みる、しかし悟さとりのある貧まずしい者ものは彼かれを見みやぶる。28:12 正ただしい者ものが勝かつときは、大おおいなる栄さかえがある、悪あしき者ものが起おこるときは、民たみは身みをかくす。28:13 その罪つみを隠かくす者ものは栄さかえることがない、言いい表あらわしてこれを離はなれる者ものは、あわれみをうける。28:14 常つねに主しゅを恐おそれる人ひとはさいわいである、心こころをかたくなにする者ものは災わざわいに陥おちいる。28:15 貧まずしい民たみを治おさめる悪わるいつかさは、ほえるしし、または飢うえたくまのようだ。28:16 悟さとりのないつかさは残忍ざんにんな圧制者あっせいしゃである、不正ふせいの利りを憎にくむ者ものは長命ちょうめいを得える。28:17 人ひとを殺ころしてその血ちを身みに負おう者ものは死しぬまで、のがれびとである、だれもこれを助たすけてはならない。28:18 正ただしく歩あゆむ者ものは救すくいを得え、曲まがった道みちに歩あゆむ者ものは穴あなに陥おちいる。28:19 自分じぶんの田地でんちを耕たがやす者ものは食糧しょくりょうに飽あき、無益むえきな事ことに従したがう者ものは貧乏びんぼうに飽あきる。28:20 忠実ちゅうじつな人ひとは多おおくの祝福しゅくふくを得える、急いそいで富とみを得えようとする者ものは罰ばつを免まぬかれない。28:21 人ひとを片寄かたより見みることは良よくない、人ひとは一いち切きれのパンのために、とがを犯おかすことがある。28:22 欲よくの深ふかい人ひとは急いそいで富とみを得えようとする、かえって欠乏けつぼうが自分じぶんの所ところに来くることを知しらない。28:23 人ひとを戒いましめる者ものは舌したをもってへつらう者ものよりも、大おおいなる感謝かんしゃをうける。28:24 父ちちや母ははの物ものを盗ぬすんで「これは罪つみではない」と言いう者ものは、滅ほろぼす者ものの友ともである。28:25 むさぼる者ものは争あらそいを起おこし、主しゅに信頼しんらいする者ものは豊ゆたかになる。28:26 自分じぶんの心こころを頼たのむ者ものは愚おろかである、知恵ちえをもって歩あゆむ者ものは救すくいを得える。28:27 貧まずしい者ものに施ほどこす者ものは物ものに不足ふそくしない、目めをおおって見みない人ひとは多おおくののろいをうける。28:28 悪あしき者ものが起おこるときは、民たみは身みをかくす、その滅ほろびるときは、正ただしい人ひとが増ます。 第29章 29:1 しばしばしかられても、なおかたくなな者ものは、たちまち打うち敗やぶられて助たすかることはない。29:2 正ただしい者ものが権力けんりょくを得えれば民たみは喜よろこび、悪あしき者ものが治おさめるとき、民たみはうめき苦くるしむ。29:3 知恵ちえを愛あいする人ひとはその父ちちを喜よろこばせ、遊女ゆうじょに交まじわる者ものはその資産しさんを浪費ろうひする。29:4 王おうは公儀こうぎをもって国くにを堅かたくする、しかし、重税じゅうぜいを取とり立たてる者ものはこれを滅ほろぼす。29:5 その隣となり人びとにへつらう者ものは、彼かれの足あしの前まえに網あみを張はる。29:6 悪人あくにんは自分じぶんの罪つみのわなに陥おちいる、しかし正ただしい人ひとは喜よろこび楽たのしむ。29:7 正ただしい人ひとは貧まずしい者ものの訴うったえをかえりみる、悪あしき人ひとはそれを知しろうとはしない。29:8 あざける人ひとは町まちを乱みだし、知恵ちえある者ものは怒いかりを静しずめる。29:9 知恵ちえある人ひとが愚おろかな人ひとと争あらそうと、愚おろかな者ものはただ怒いかり、あるいは笑わらって、休やすむことがない。29:10 血ちに飢うえている人ひとは罪つみのない者ものを憎にくむ、悪あしき者ものは彼かれの命いのちを求もとめる。29:11 愚おろかな者ものは怒いかりをことごとく表あらわし、知恵ちえある者ものは静しずかにこれをおさえる。29:12 もし治おさめる者ものが偽いつわりの言葉ことばに聞きくならば、その役人やくにんらはみな悪わるくなる。29:13 貧まずしい者ものと、しえたげる者ものとは共ともに世よにおる、主しゅは彼かれら両者りょうしゃの目めに光ひかりを与あたえられる。29:14 もし王おうが貧まずしい者ものを公平こうへいにさばくならば、その位くらいはいつまでも堅かたく立たつ。29:15 むちと戒いましめとは知恵ちえを与あたえる、わがままにさせた子こはその母ははに恥はじをもたらす。29:16 悪あしき者ものが権力けんりょくを得えると罪つみも増ます、正ただしい者ものは彼かれらの倒たおれるのを見みる。29:17 あなたの子こを懲こらしめよ、そうすれば彼かれはあなたを安やすらかにし、またあなたの心こころに喜よろこびを与あたえる。29:18 預言よげんがなければ民たみはわがままにふるまう、しかし律法りっぽうを守まもる者ものはさいわいである。29:19 しもべは言葉ことばだけで訓練くんれんすることはできない、彼かれは聞きいて知しっても、心こころにとめないからである。29:20 言葉ことばの軽率けいそつな人ひとを見みるか、彼かれよりもかえって愚おろかな者もののほうに望のぞみがある。29:21 しもべをその幼おさない時ときからわがままに育そだてる人ひとは、ついにはそれを自分じぶんのあとつぎにする。29:22 怒いかる人ひとは争あらそいを起おこし、憤いきどおる人ひとは多おおくの罪つみを犯おかす。29:23 人ひとの高たかぶりはその人ひとを低ひくくし、心こころにへりくだる者ものは誉ほまれを得える。29:24 盗ぬすびとにくみする者ものは自分じぶんの魂たましいを憎にくむ、彼かれはのろいを聞きいても何事なにごとをも口外こうがいしない。29:25 人ひとを恐おそれると、わなに陥おちいる、主しゅに信頼しんらいする者ものは安やすらかである。29:26 治おさめる者ものの歓心かんしんを得えようとする人ひとは多おおい、しかし人ひとの事ことを定さだめるのは主しゅによる。29:27 正ただしい人ひとは不正ふせいを行おこなう人ひとを憎にくみ、悪あしき者ものは正ただしく歩あゆむ人ひとを憎にくむ。 第30章 30:1 マッサの人ひとヤケの子こアグルの言葉ことば。その人ひとはイテエルに向むかって言いった、すなわちイテエルと、ウカルとに向むかって言いった、30:2 わたしは確たしかに人ひとよりも愚おろかであり、わたしには人ひとの悟さとりがない。30:3 わたしはまだ知恵ちえをならうことができず、また、聖せいなる者ものを悟さとることもできない。30:4 天てんにのぼったり、下くだったりしたのはだれか、風かぜをこぶしの中なかに集あつめたのはだれか、水みずを着物きものに包つつんだのはだれか、地ちのすべての限界げんかいを定さだめた者ものはだれか、その名なは何なにか、その子この名なは何なにか、あなたは確たしかにそれを知しっている。 30:5 神かみの言葉ことばはみな真実しんじつである、神かみは彼かれに寄より頼たのむ者ものの盾たてである。30:6 その言葉ことばに付つけ加くわえてはならない、彼かれがあなたを責せめ、あなたを偽いつわり者ものとされないためだ。 30:7 わたしは二つのことをあなたに求もとめます、わたしの死しなないうちに、これをかなえてください。30:8 うそ、偽いつわりをわたしから遠とおざけ、貧まずしくもなく、また富とみもせず、ただなくてならぬ食物しょくもつでわたしを養やしなってください。30:9 飽あき足たりて、あなたを知しらないといい、「主しゅとはだれか」と言いうことのないため、また貧まずしくて盗ぬすみをし、わたしの神かみの名なを汚よごすことのないためです。 30:10 あなたは、しもべのことをその主人しゅじんに、あしざまにいってはならない、そうでないと彼かれはあなたをのろい、あなたは罪つみをきせられる。 30:11 世よには父ちちをのろったり、母ははを祝福しゅくふくしない者ものがある。30:12 世よには自分じぶんの目めにみずからを清きよい者ものとして、なおその汚けがれを洗あらわれないものがある。30:13 世よにはまた、このような人ひとがある――ああ、その目めのいかに高たかきことよ、またそのまぶたのいかにつりあがっていることよ。30:14 世よにはまたつるぎのような歯はをもち、刀かたなのようなきばをもって、貧まずしい者ものを地ちの上うえから、乏とぼしい者ものを人ひとの中なかから食くい滅ほろぼすものがある。 30:15 蛭ひるにふたりの娘むすめがあって、「与あたえよ、与あたえよ」という。飽あくことを知しらないものが三つある、いや、四つあって、皆みな「もう、たくさんです」と言いわない。30:16 すなわち陰府よみ、不妊ふにんの胎たい、水みずにかわく地ち、「もう、たくさんだ」といわない火ひがそれである。30:17 自分じぶんの父ちちをあざけり、母ははに従したがうのを卑いやしいこととする目めは、谷たにのからすがこれをつつき出だし、はげたかがこれを食たべる。 30:18 わたしにとって不思議ふしぎにたえないことが三つある、いや、四つあって、わたしには悟さとることができない。30:19 すなわち空そらを飛とぶはげたかの道みち、岩いわの上うえを這はうへびの道みち、海うみをはしる舟ふねの道みち、男おとこの女おんなにあう道みちがそれである。30:20 遊女ゆうじょの道みちもまたそうだ、彼女かのじょは食たべて、その口くちをぬぐって、「わたしは何なにもわるいことはしない」と言いう。 30:21 地ちは三つのことによって震ふるう、いや、四つのことによって、耐たえることができない。30:22 すなわち奴隷どれいたる者ものが王おうとなり、愚おろかな者ものが食物しょくもつに飽あき、30:23 忌いみきらわれた女おんなが嫁よめに行いき、はしためが女おんな主人しゅじんのあとにすわることである。 30:24 この地上ちじょうに、小ちいさいけれども、非常ひじょうに賢かしこいものが四つある。30:25 ありは力ちからのない種類しゅるいだが、その食糧しょくりょうを夏なつのうちに備そなえる。30:26 岩いわだぬきは強つよくない種類しゅるいだが、その家いえを岩いわにつくる。30:27 いなごは王おうがないけれども、みな隊たいを組くんでいで立たつ。30:28 やもりは手てでつかまえられるが、王おうの宮殿きゅうでんにおる。 30:29 歩あるきぶりの堂々どうどうたる者ものが三つある、いや、四つあって、みな堂々どうどうと歩あるく。30:30 すなわち獣けもののうちでもっとも強つよく、何なにものの前まえにも退しりぞかない、しし、30:31 尾おを立たてて歩あるくおんどり、雄おやぎ、その民たみの前まえをいばって歩あるく王おうがそれである。 30:32 あなたがもし愚おろかであって自みずから高たかぶり、あるいは悪事あくじを計はかったならば、あなたの手てを口くちに当あてるがよい。30:33 乳ちちをしめれば凝乳ぎょうにゅうが出でる、鼻はなをしめれば血ちがでる、怒いかりをしめれば争あらそいが起おこる。 第31章 31:1 マッサの王おうレムエルの言葉ことば、すなわちその母ははが彼かれに教おしえたものである。31:2 わが子こよ、何なにを言いおうか。わが胎たいの子こよ、何なにを言いおうか。わたしが願がんをかけて得えた子こよ、何なにをいおうか。31:3 あなたの力ちからを女おんなについやすな、王おうをも滅ほろぼすものに、あなたの道みちを任まかせるな。31:4 レムエルよ、酒さけを飲のむのは、王おうのすることではない、王おうのすることではない、濃こい酒さけを求もとめるのは君きみたる者もののすることではない。31:5 彼かれらは酒さけを飲のんで、おきてを忘わすれ、すべて悩なやむ者もののさばきを曲まげる。31:6 濃こい酒さけを滅ほろびようとしている者ものに与あたえ、酒さけを心こころの苦くるしむ人ひとに与あたえよ。31:7 彼かれらは飲のんで自分じぶんの貧乏びんぼうを忘わすれ、その悩なやみをもはや思おもい出ださない。31:8 あなたは黙だまっている人ひとのために、すべてのみなしごの訴うったえのために、口くちを開ひらくがよい。31:9 口くちを開ひらいて、正ただしいさばきを行おこない、貧まずしい者ものと乏とぼしい者ものの訴うったえをただせ。 31:10 だれが賢かしこい妻つまを見みつけることができるか、彼女かのじょは宝石ほうせきよりもすぐれて尊たっとい。31:11 その夫おっとの心こころは彼女かのじょを信頼しんらいして、収益しゅうえきに欠かけることはない。31:12 彼女かのじょは生いきながらえている間あいだ、その夫おっとのために良よいことをして、悪わるいことをしない。31:13 彼女かのじょは羊ひつじの毛けや亜麻あまを求もとめて、手てずから望のぞみのように、それを仕上しあげる。31:14 また商人しょうにんの舟ふねのように、遠とおい国くにから食糧しょくりょうを運はこんでくる。31:15 彼女かのじょはまだ夜よるのあけぬうちに起おきて、その家いえの者ものの食たべ物ものを備そなえ、その女おんなたちに日用にちようの分ぶんを与あたえる。31:16 彼女かのじょは畑はたけをよく考かんがえてそれを買かい、その手ての働はたらきの実みをもって、ぶどう畑ばたけをつくり、31:17 力ちからをもって腰こしに帯おびし、その腕うでを強つよくする。31:18 彼女かのじょはその商品しょうひんのもうけのあるのを知しっている、そのともしびは終夜しゅうや消きえることがない。31:19 彼女かのじょは手てを糸取いととり棒ぼうにのべ、その手てに、つむを持もち、31:20 手てを貧まずしい者ものに開ひらき、乏とぼしい人ひとに手てをさしのべる。31:21 彼女かのじょはその家いえの者もののために雪ゆきを恐おそれない、その家いえの者ものはみな紅くれないの着物きものを着きているからである。31:22 彼女かのじょは自分じぶんのために美うつくしいしとねを作つくり、亜麻あま布ぬのと紫むらさき布ぬのとをもってその着物きものとする。31:23 その夫おっとはその地ちの長老ちょうろうたちと共ともに、町まちの門もんに座ざするので、人ひとに知しられている。31:24 彼女かのじょは亜麻あま布ぬのの着物きものをつくって、それを売うり、帯おびをつくって商人しょうにんに渡わたす。31:25 力ちからと気品きひんとは彼女かのじょの着物きものである、そして後のちの日ひを笑わらっている。31:26 彼女かのじょは口くちを開ひらいて知恵ちえを語かたる、その舌したにはいつくしみの教おしえがある。31:27 彼女かのじょは家いえの事ことをよくかえりみ、怠おこたりのかてを食たべることをしない。31:28 その子こらは立たち上あがって彼女かのじょを祝しゅくし、その夫おっともまた彼女かのじょをほめたたえて言いう、31:29 「りっぱに事ことをなし遂とげる女おんなは多おおいけれども、あなたはそのすべてにまさっている」と。31:30 あでやかさは偽いつわりであり、美うつくしさはつかのまである、しかし主しゅを恐おそれる女おんなはほめたたえられる。31:31 その手ての働はたらきの実みを彼女かのじょに与あたえ、その行おこないのために彼女かのじょを町まちの門もんでほめたたえよ。
23:1 治おさめる人ひとと共ともに座ざして食事しょくじするとき、あなたの前まえにあるものを、よくわきまえ、
23:2 あなたがもし食しょくをたしなむ者ものであるならば、あなたののどに刀かたなをあてよ。
23:3 そのごちそうをむさぼり食たべてはならない、これは人ひとを欺あざむく食物しょくもつだからである。
23:4 富とみを得えようと苦労くろうしてはならない、かしこく思おもいとどまるがよい。
23:5 あなたの目めをそれにとめると、それはない、富とみはたちまち自みずから翼つばさを生しょうじて、わしのように天てんに飛とび去さるからだ。
23:6 物惜ものおしみする人ひとのパンを食たべてはならない、そのごちそうをむさぼり願ねがってはならない。
23:7 彼かれは心こころのうちで勘定かんじょうする人ひとのように、「食くえ、飲のめ」とあなたに言いうけれども、その心こころはあなたに真実しんじつではない。
23:8 あなたはついにその食たべた物ものを吐はき出だすようになり、あなたのねんごろな言葉ことばもむだになる。
23:9 愚おろかな者ものの耳みみに語かたってはならない、彼かれはあなたの言葉ことばが示しめす知恵ちえをいやしめるからだ。
23:10 古ふるい地境じざかいを移うつしてはならない、みなしごの畑はたけを侵おかしてはならない。
23:11 彼かれらのあがない主しゅは強つよくいらせられ、あなたに逆さからって彼かれらの訴うったえを弁護べんごされるからだ。
23:12 あなたの心こころを教訓きょうくんに用もちい、あなたの耳みみを知識ちしきの言葉ことばに傾かたむけよ。
23:13 子こを懲こらすことを、さし控ひかえてはならない、むちで彼かれを打うっても死しぬことはない。
23:14 もし、むちで彼かれを打うつならば、その命いのちを陰府よみから救すくうことができる。
23:15 わが子こよ、もしあなたの心こころが賢かしこくあれば、わたしの心こころもまた喜よろこび、
23:16 もしあなたのくちびるが正ただしい事ことを言いうならば、わたしの心こころも喜よろこぶ。
23:17 心こころに罪つみびとをうらやんではならない、ただ、ひねもす主しゅを恐おそれよ。
23:18 かならず後のちのよい報むくいがあって、あなたの望のぞみは、すたらない。
23:19 わが子こよ、よく聞きいて、知恵ちえを得えよ、かつ、あなたの心こころを道みちに向むけよ。
23:20 酒さけにふけり、肉にくをたしなむ者ものと交まじわってはならない。
23:21 酒さけにふける者ものと、肉にくをたしなむ者ものとは貧まずしくなり、眠ねむりをむさぼる者ものは、ぼろを身みにまとうようになる。
23:22 あなたを生うんだ父ちちのいうことを聞きき、年老としおいた母ははを軽かろんじてはならない。
23:23 真理しんりを買かえ、これを売うってはならない、知恵ちえと教訓きょうくんと悟さとりをも買かえ。
23:24 正ただしい人ひとの父ちちは大おおいによろこび、知恵ちえある子こを生うむ者ものは子このために楽たのしむ。
23:25 あなたの父母ふぼを楽たのしませ、あなたを産うんだ母ははを喜よろこばせよ。
23:26 わが子こよ、あなたの心こころをわたしに与あたえ、あなたの目めをわたしの道みちに注そそげ。
23:27 遊女ゆうじょは深ふかい穴あなのごとく、みだらな女おんなは狭せまい井戸いどのようだ。
23:28 彼女かのじょは盗ぬすびとのように人ひとをうかがい、かつ世よの人ひとのうちに、不信実ふしんじつな者ものを多おおくする。
23:29 災わざわいある者ものはだれか、憂うれいある者ものはだれか、争あらそいをする者ものはだれか、煩わずらいある者ものはだれか、ゆえなく傷きずをうける者ものはだれか、赤あかい目めをしている者ものはだれか。
23:30 酒さけに夜よるをふかす者もの、行いって、混まぜ合あわせた酒さけを味あじわう者ものである。
23:31 酒さけはあかく、杯はいの中なかにあわだち、なめらかにくだる、あなたはこれを見みてはならない。
23:32 これはついに、へびのようにかみ、まむしのように刺さす。
23:33 あなたの目めは怪あやしいものを見み、あなたの心こころは偽いつわりを言いう。
23:34 あなたは海うみの中なかに寝ねている人ひとのように、帆柱ほばしらの上うえに寝ねている人ひとのようになる。
23:35 あなたは言いう、「人ひとがわたしを撃うったが、わたしは痛いたくはなかった。わたしを、たたいたが、わたしは何なにも覚おぼえはない。いつわたしはさめるのか、また酒さけを求もとめよう」と。
第24章 24:1 悪あくを行おこなう人ひとをうらやんではならない、また彼かれらと共ともにおることを願ねがってはならない。24:2 彼かれらはその心こころに強奪ごうだつを計はかり、そのくちびるに人ひとをそこなうことを語かたるからである。24:3 家いえは知恵ちえによって建たてられ、悟さとりによって堅かたくせられ、24:4 また、へやは知識ちしきによってさまざまの尊たっとく、麗うるわしい宝たからで満みたされる。24:5 知恵ちえある者ものは強つよい人ひとよりも強つよく、知識ちしきある人ひとは力ちからある人ひとよりも強つよい。24:6 良よい指揮しきによって戦たたかいをすることができ、勝利しょうりは多おおくの議ぎする者ものがいるからである。24:7 知恵ちえは高たかくて愚おろかな者ものの及およぶところではない、愚おろかな者ものは門もんで口くちを開ひらくことができない。24:8 悪あくを行おこなうことを計はかる者ものを人ひとはいたずら者ものととなえる。24:9 愚おろかな者ものの計はかるところは罪つみであり、あざける者ものは人ひとに憎にくまれる。 24:10 もしあなたが悩なやみの日ひに気きをくじくならば、あなたの力ちからは弱よわい。24:11 死地しちにひかれゆく者ものを助たすけ出だせ、滅ほろびによろめきゆく者ものを救すくえ。24:12 あなたが、われわれはこれを知しらなかったといっても、心こころをはかる者ものはそれを悟さとらないであろうか。あなたの魂たましいを守まもる者ものはそれを知しらないであろうか。彼かれはおのおのの行おこないにより、人ひとに報むくいないであろうか。 24:13 わが子こよ、蜜みつを食たべよ、これは良よいものである、また、蜂はちの巣すのしたたりはあなたの口くちに甘あまい。24:14 知恵ちえもあなたの魂たましいにはそのようであることを知しれ。それを得えるならば、かならず報むくいがあって、あなたの望のぞみは、すたらない。24:15 悪あしき者ものがするように、正ただしい者ものの家いえをうかがってはならない、その住すむ所ところに乱暴らんぼうをしてはならない。24:16 正ただしい者ものは七たび倒たおれても、また起おきあがる、しかし、悪あしき者ものは災わざわいによって滅ほろびる。24:17 あなたのあだが倒たおれるとき楽たのしんではならない、彼かれのつまずくとき心こころに喜よろこんではならない。24:18 主しゅはそれを見みて悪わるいこととし、その怒いかりを彼かれから転てんじられる。24:19 悪あくを行おこなう者もののゆえに心こころを悩なやましてはならない、よこしまな者ものをうらやんではならない。24:20 悪あしき者ものには後のちの良よい報むくいはない、よこしまな者もののともしびは消けされる。24:21 わが子こよ、主しゅと王おうとを恐おそれよ、そのいずれにも不ふ従順じゅうじゅんであってはならない。24:22 その災わざわいはたちまち起おこるからである。この二つの者ものからくる滅ほろびをだれが知しり得えようか。 24:23 これらもまた知恵ちえある者ものの箴言しんげんである。 片寄かたよったさばきをするのは、よくない。24:24 悪あしき者ものに向むかって、「あなたは正ただしい」という者ものを、人々ひとびとはのろい、諸民しょみんは憎にくむ。24:25 悪あしき者ものをせめる者ものは恵めぐみを得える、また幸福こうふくが与あたえられる。24:26 正ただしい答こたえをする者ものは、くちびるに、口くちづけするのである。24:27 外そとで、あなたの仕事しごとを整ととのえ、畑はたけで、すべての物ものをおのれのために備そなえ、その後のちあなたの家いえを建たてるがよい。24:28 ゆえなく隣となり人びとに敵てきして、証言しょうげんをしてはならない、くちびるをもって欺あざむいてはならない。24:29 「彼かれがわたしにしたように、わたしも彼かれにしよう、わたしは人ひとがしたところにしたがって、その人ひとに報むくいよう」と言いってはならない。 24:30 わたしはなまけ者ものの畑はたけのそばと、知恵ちえのない人ひとのぶどう畑はたけのそばを通とおってみたが、24:31 いばらが一面いちめんに生はえ、あざみがその地面じめんをおおい、その石いしがきはくずれていた。24:32 わたしはこれをみて心こころをとどめ、これを見みて教訓きょうくんを得えた。24:33 「しばらく眠ねむり、しばらくまどろみ、手てをこまぬいて、またしばらく休やすむ」。24:34 それゆえ、貧まずしさは盗ぬすびとのように、あなたに来き、乏とぼしさは、つわもののように、あなたに来くる。 第25章 25:1 これらもまたソロモンの箴言しんげんであり、ユダの王おうヒゼキヤに属ぞくする人々ひとびとがこれを書かき写うつした。25:2 事ことを隠かくすのは神かみの誉ほまれであり、事ことを窮きわめるのは王おうの誉ほまれである。25:3 天てんの高たかさと地ちの深ふかさと、王おうたる者ものの心こころとは測はかることができない。25:4 銀ぎんから、かなくそを除のぞけ、そうすれば、銀ぎん細工人ざいくにんが器うつわを造つくる材料ざいりょうとなる。25:5 王おうの前まえから悪あしき者ものを除のぞけ、そうすれば、その位くらいは正義せいぎによって堅かたく立たつ。25:6 王おうの前まえで自みずから高たかぶってはならない、偉えらい人ひとの場ばに立たってはならない。25:7 尊たっとい人ひとの前まえで下したにさげられるよりは、「ここに上あがれ」といわれるほうがましだ。25:8 あなたが目めに見みたことを、軽々かるがるしく法廷ほうていに出だしてはならない。あとになり、あなたが隣となり人びとにはずかしめられるとき、あなたはどうしようとするのか。25:9 隣となり人びとと争あらそうことがあるならば、ただその人ひとと争あらそえ、他人たにんの秘密ひみつをもらしてはならない。25:10 そうでないと、聞きく者ものがあなたをいやしめ、あなたは、いつまでもそしられる。 25:11 おりにかなって語かたる言葉ことばは、銀ぎんの彫ほり物ものに金きんのりんごをはめたようだ。25:12 知恵ちえをもって戒いましめる者ものは、これをきく者ものの耳みみにとって、金きんの耳輪みみわ、精せい金きんの飾かざりのようだ。25:13 忠実ちゅうじつな使者ししゃはこれをつかわす者ものにとって、刈入かりいれの日ひに冷ひややかな雪ゆきがあるようだ、よくその主人しゅじんの心こころを喜よろこばせる。25:14 贈おくり物ものをすると偽いつわって誇ほこる人ひとは、雨あめのない雲くもと風かぜのようだ。 25:15 忍耐にんたいをもって説とけば君きみも言葉ことばをいれる、柔やわらかな舌したは骨ほねを砕くだく。25:16 蜜みつを得えたならば、ただ足たるほどにこれを食たべよ、おそらくは食たべすごして、それを吐はき出だすであろう。25:17 隣となり人びとの家いえに足あしをしげくしてはならない、おそらくは彼かれは煩わずらわしくなって、あなたを憎にくむようになろう。25:18 隣となり人びとに敵てきして偽いつわりのあかしを立たてる人ひとは、こん棒ぼう、つるぎ、または鋭するどい矢やのようだ。25:19 悩なやみに会あうとき不信実ふしんじつな者ものを頼たのみにするのは、悪わるい歯は、またはなえた足あしを頼たのみとするようなものだ。25:20 心こころの痛いためる人ひとの前まえで歌うたをうたうのは、寒さむい日ひに着物きものを脱ぬぐようであり、また傷きずの上うえに酢すをそそぐようだ。25:21 もしあなたのあだが飢うえているならば、パンを与あたえて食たべさせ、もしかわいているならば水みずを与あたえて飲のませよ。25:22 こうするのは、火ひを彼かれのこうべに積つむのである、主しゅはあなたに報むくいられる。25:23 北風きたかぜは雨あめを起おこし、陰言かげごとをいう舌したは人ひとの顔かおを怒いからす。25:24 争あらそいを好このむ女おんなと一緒いっしょに家いえにおるよりは、屋根やねのすみにおるほうがよい。25:25 遠とおい国くにから来くるよい消息しょうそくは、かわいている人ひとが飲のむ冷ひややかな水みずのようだ。25:26 正ただしい者ものが悪わるい者ものの前まえに屈服くっぷくするのは、井戸いどが濁にごったよう、また泉いずみがよごれたようなものだ。25:27 蜜みつを多おおく食たべるのはよくない、ほめる言葉ことばは控ひかえ目めにするがよい。25:28 自分じぶんの心こころを制せいしない人ひとは、城壁じょうへきのない破やぶれた城しろのようだ。 第26章 26:1 誉ほまれが愚おろかな者ものにふさわしくないのは、夏なつに雪ゆきが降ふり、刈入かりいれの時ときに雨あめが降ふるようなものだ。26:2 いわれのないのろいは、飛とびまわるすずめや、飛とびかけるつばめのようなもので、止とまらない。26:3 馬うまのためにはむちがあり、ろばのためにはくつわがあり、愚おろかな者ものの背せのためにはつえがある。26:4 愚おろかな者ものにその愚おろかさにしたがって答こたえをするな、自分じぶんも彼かれと同おなじようにならないためだ。26:5 愚おろかな者ものにその愚おろかさにしたがって答こたえをせよ、彼かれが自分じぶんの目めに自みずからを知恵ちえある者ものと見みないためだ。26:6 愚おろかな者ものに託たくして事ことを言いい送おくる者ものは、自分じぶんの足あしを切きり去さり、身みに害がいをうける。26:7 あしなえの足あしは用ようがない、愚おろかな者ものの口くちには箴言しんげんもそれにひとしい。26:8 誉ほまれを愚おろかな者ものに与あたえるのは、石いしを石いし投なげにつなぐようだ。26:9 愚おろかな者ものの口くちに箴言しんげんがあるのは、酔よった者ものが、とげのあるつえを手てで振ふり上あげるようだ。26:10 通とおりがかりの愚おろか者ものや、酔よった者ものを雇やとう者ものは、すべての人ひとを傷きずつける射手いてのようだ。26:11 犬いぬが帰かえって来きてその吐はいた物ものを食たべるように、愚おろかな者ものはその愚おろかさをくり返かえす。26:12 自分じぶんの目めに自みずからを知恵ちえある者ものとする人ひとを、あなたは見みるか、彼かれよりもかえって愚おろかな人ひとに望のぞみがある。26:13 なまけ者ものは、「道みちにししがいる、ちまたにししがいる」という。26:14 戸とがちょうつがいによって回まわるように、なまけ者ものはその寝床ねどこで寝返ねがえりをする。26:15 なまけ者ものは手てを皿さらに入いれても、それを口くちに持もってゆくことをいとう。26:16 なまけ者ものは自分じぶんの目めに、良よく答こたえることのできる七人にんの者ものよりも、自みずからを知恵ちえありとする。26:17 自分じぶんに関係かんけいのない争あらそいにたずさわる者ものは、通とおりすぎる犬いぬの耳みみをとらえる者もののようだ。26:18 26:19 隣となり人びとを欺あざむいて、「わたしはただ戯たわむれにした」という者ものは、燃もえ木ぎまたは矢や、または死しを、投なげつける気違きちがいのようだ。26:20 たきぎがなければ火ひは消きえ、人ひとのよしあしを言いう者ものがなければ争あらそいはやむ。26:21 おき火ひに炭すみをつぎ、火ひにたきぎをくべるように、争あらそいを好このむ人ひとは争あらそいの火ひをおこす。26:22 人ひとのよしあしをいう者ものの言葉ことばはおいしい食物しょくもつのようで、腹はらの奥おくにしみこむ。26:23 くちびるはなめらかであっても、心こころの悪わるいのは上うえぐすりをかけた土つちの器うつわのようだ。26:24 憎にくむ者ものはくちびるをもって自みずから飾かざるけれども、心こころのうちには偽いつわりをいだく。26:25 彼かれが声こえをやわらげて語かたっても、信しんじてはならない。その心こころに七つの憎にくむべきものがあるからだ。26:26 たとい偽いつわりをもってその憎にくしみをかくしても、彼かれの悪あくは会衆かいしゅうの中なかに現あらわれる。26:27 穴あなを掘ほる者ものは自みずからその中なかに陥おちいる、石いしをまろばしあげる者ものの上うえに、その石いしはまろびかえる。26:28 偽いつわりの舌したは自分じぶんが傷きずつけた者ものを憎にくみ、へつらう口くちは滅ほろびをきたらせる。 第27章 27:1 あすのことを誇ほこってはならない、一日にちのうちに何なにがおこるかを知しることができないからだ。27:2 自分じぶんの口くちをもって自みずからをほめることなく、他人たにんにほめさせよ。自分じぶんのくちびるをもってせず、ほかの人ひとにあなたをほめさせよ。27:3 石いしは重おもく、砂すなも軽かるくはない、しかし愚おろかな者ものの怒いかりはこの二つよりも重おもい。27:4 憤いきどおりはむごく、怒いかりははげしい、しかしねたみの前まえには、だれが立たちえよう。27:5 あからさまに戒いましめるのは、ひそかに愛あいするのにまさる。27:6 愛あいする者ものが傷きずつけるのは、まことからであり、あだの口くちづけするのは偽いつわりからである。27:7 飽あいている者ものは蜂蜜はちみつをも踏ふみつける、しかし飢うえた者ものには苦にがい物ものでさえ、みな甘あまい。27:8 その家いえを離はなれてさまよう人ひとは、巣すを離はなれてさまよう鳥とりのようだ。27:9 油あぶらと香こうとは人ひとの心こころを喜よろこばせる、しかし魂たましいは悩なやみによって裂さかれる。27:10 あなたの友とも、あなたの父ちちの友ともを捨すてるな、あなたが悩なやみにあう日ひには兄弟きょうだいの家いえに行いくな、近ちかい隣となり人びとは遠とおくにいる兄弟きょうだいにまさる。27:11 わが子こよ、知恵ちえを得えて、わたしの心こころを喜よろこばせよ、そうすればわたしをそしる者ものに答こたえることができる。27:12 賢かしこい者ものは災わざわいを見みて自みずから避さけ、思慮しりょのない者ものは進すすんでいって、罰ばつをうける。27:13 人ひとのために保証ほしょうする者ものからは、まずその着物きものをとれ、他人たにんのために保証ほしょうをする者ものをば抵当ていとうに取とれ。27:14 朝あさはやく起おきて大声おおごえにその隣となり人びとを祝しゅくすれば、かえってのろいと見みなされよう。27:15 雨あめの降ふる日ひに雨漏あまもりの絶たえないのと、争あらそい好すきな女おんなとは同おなじだ。27:16 この女おんなを制せいするのは風かぜを制せいするのとおなじく、右みぎの手てに油あぶらをつかむのとおなじだ。27:17 鉄てつは鉄てつをとぐ、そのように人ひとはその友ともの顔かおをとぐ。27:18 いちじくの木きを守まもる者ものはその実みを食たべる、主人しゅじんを尊たっとぶ者ものは誉ほまれを得える。27:19 水みずにうつせば顔かおと顔かおとが応おうじるように、人ひとの心こころはその人ひとをうつす。27:20 陰府よみと滅ほろびとは飽あくことなく、人ひとの目めもまた飽あくことがない。27:21 るつぼによって銀ぎんをためし、炉ろによって金きんをためす、人ひとはその称賛しょうさんによってためされる。27:22 愚おろかな者ものをうすに入いれ、きねをもって、麦むぎと共ともにこれをついても、その愚おろかさは去さることがない。 27:23 あなたの羊ひつじの状態じょうたいをよく知しり、あなたの群むれに心こころをとめよ。27:24 富とみはいつまでも続つづくものではない、どうして位くらいが末代まつだいまでも保たもつであろうか。27:25 草くさが刈かり取とられ、新あたらしい芽めがのび、山やまの牧草ぼくそうも集あつめられると、27:26 小羊こひつじはあなたの衣料いりょうを出だし、やぎは畑はたけを買かう価あたいとなり、27:27 やぎの乳ちちは多おおくて、あなたと、あなたの家いえのものの食物しょくもつとなり、おとめらを養やしなうのにじゅうぶんである。 第28章 28:1 悪あしき者ものは追おう人ひともないのに逃にげる、正ただしい人ひとはししのように勇いさましい。28:2 国くにの罪つみによって、治おさめる者ものは多おおくなり、さとく、また知識ちしきある人ひとによって、国くにはながく保たもつ。28:3 貧まずしい者ものをしえたげる貧まずしい人ひとは、糧食りょうしょくを残のこさない激はげしい雨あめのようだ。28:4 律法りっぽうを捨すてる者ものは悪あしき者ものをほめる、律法りっぽうを守まもる者ものはこれに敵対てきたいする。28:5 悪人あくにんは正ただしいことを悟さとらない、主しゅを求もとめる者ものはこれをことごとく悟さとる。28:6 正ただしく歩あゆむ貧まずしい者ものは、曲まがった道みちを歩あゆむ富とめる者ものにまさる。28:7 律法りっぽうを守まもる者ものは賢かしこい子こである、不品行ふひんこうな者ものと交まじわるものは、父ちちをはずかしめる。28:8 利息りそくと高利こうりとによってその富とみをます者ものは、貧まずしい者ものを恵めぐむ者もののために、それをたくわえる。28:9 耳みみをそむけて律法りっぽうを聞きかない者ものは、その祈いのりでさえも憎にくまれる。28:10 正ただしい者ものを悪わるい道みちに惑まどわす者ものは、みずから自分じぶんの穴あなに陥おちいる、しかし誠実せいじつな人ひとは幸福こうふくを継つぐ。28:11 富とめる人ひとは自分じぶんの目めに自みずからを知恵ちえある者ものと見みる、しかし悟さとりのある貧まずしい者ものは彼かれを見みやぶる。28:12 正ただしい者ものが勝かつときは、大おおいなる栄さかえがある、悪あしき者ものが起おこるときは、民たみは身みをかくす。28:13 その罪つみを隠かくす者ものは栄さかえることがない、言いい表あらわしてこれを離はなれる者ものは、あわれみをうける。28:14 常つねに主しゅを恐おそれる人ひとはさいわいである、心こころをかたくなにする者ものは災わざわいに陥おちいる。28:15 貧まずしい民たみを治おさめる悪わるいつかさは、ほえるしし、または飢うえたくまのようだ。28:16 悟さとりのないつかさは残忍ざんにんな圧制者あっせいしゃである、不正ふせいの利りを憎にくむ者ものは長命ちょうめいを得える。28:17 人ひとを殺ころしてその血ちを身みに負おう者ものは死しぬまで、のがれびとである、だれもこれを助たすけてはならない。28:18 正ただしく歩あゆむ者ものは救すくいを得え、曲まがった道みちに歩あゆむ者ものは穴あなに陥おちいる。28:19 自分じぶんの田地でんちを耕たがやす者ものは食糧しょくりょうに飽あき、無益むえきな事ことに従したがう者ものは貧乏びんぼうに飽あきる。28:20 忠実ちゅうじつな人ひとは多おおくの祝福しゅくふくを得える、急いそいで富とみを得えようとする者ものは罰ばつを免まぬかれない。28:21 人ひとを片寄かたより見みることは良よくない、人ひとは一いち切きれのパンのために、とがを犯おかすことがある。28:22 欲よくの深ふかい人ひとは急いそいで富とみを得えようとする、かえって欠乏けつぼうが自分じぶんの所ところに来くることを知しらない。28:23 人ひとを戒いましめる者ものは舌したをもってへつらう者ものよりも、大おおいなる感謝かんしゃをうける。28:24 父ちちや母ははの物ものを盗ぬすんで「これは罪つみではない」と言いう者ものは、滅ほろぼす者ものの友ともである。28:25 むさぼる者ものは争あらそいを起おこし、主しゅに信頼しんらいする者ものは豊ゆたかになる。28:26 自分じぶんの心こころを頼たのむ者ものは愚おろかである、知恵ちえをもって歩あゆむ者ものは救すくいを得える。28:27 貧まずしい者ものに施ほどこす者ものは物ものに不足ふそくしない、目めをおおって見みない人ひとは多おおくののろいをうける。28:28 悪あしき者ものが起おこるときは、民たみは身みをかくす、その滅ほろびるときは、正ただしい人ひとが増ます。 第29章 29:1 しばしばしかられても、なおかたくなな者ものは、たちまち打うち敗やぶられて助たすかることはない。29:2 正ただしい者ものが権力けんりょくを得えれば民たみは喜よろこび、悪あしき者ものが治おさめるとき、民たみはうめき苦くるしむ。29:3 知恵ちえを愛あいする人ひとはその父ちちを喜よろこばせ、遊女ゆうじょに交まじわる者ものはその資産しさんを浪費ろうひする。29:4 王おうは公儀こうぎをもって国くにを堅かたくする、しかし、重税じゅうぜいを取とり立たてる者ものはこれを滅ほろぼす。29:5 その隣となり人びとにへつらう者ものは、彼かれの足あしの前まえに網あみを張はる。29:6 悪人あくにんは自分じぶんの罪つみのわなに陥おちいる、しかし正ただしい人ひとは喜よろこび楽たのしむ。29:7 正ただしい人ひとは貧まずしい者ものの訴うったえをかえりみる、悪あしき人ひとはそれを知しろうとはしない。29:8 あざける人ひとは町まちを乱みだし、知恵ちえある者ものは怒いかりを静しずめる。29:9 知恵ちえある人ひとが愚おろかな人ひとと争あらそうと、愚おろかな者ものはただ怒いかり、あるいは笑わらって、休やすむことがない。29:10 血ちに飢うえている人ひとは罪つみのない者ものを憎にくむ、悪あしき者ものは彼かれの命いのちを求もとめる。29:11 愚おろかな者ものは怒いかりをことごとく表あらわし、知恵ちえある者ものは静しずかにこれをおさえる。29:12 もし治おさめる者ものが偽いつわりの言葉ことばに聞きくならば、その役人やくにんらはみな悪わるくなる。29:13 貧まずしい者ものと、しえたげる者ものとは共ともに世よにおる、主しゅは彼かれら両者りょうしゃの目めに光ひかりを与あたえられる。29:14 もし王おうが貧まずしい者ものを公平こうへいにさばくならば、その位くらいはいつまでも堅かたく立たつ。29:15 むちと戒いましめとは知恵ちえを与あたえる、わがままにさせた子こはその母ははに恥はじをもたらす。29:16 悪あしき者ものが権力けんりょくを得えると罪つみも増ます、正ただしい者ものは彼かれらの倒たおれるのを見みる。29:17 あなたの子こを懲こらしめよ、そうすれば彼かれはあなたを安やすらかにし、またあなたの心こころに喜よろこびを与あたえる。29:18 預言よげんがなければ民たみはわがままにふるまう、しかし律法りっぽうを守まもる者ものはさいわいである。29:19 しもべは言葉ことばだけで訓練くんれんすることはできない、彼かれは聞きいて知しっても、心こころにとめないからである。29:20 言葉ことばの軽率けいそつな人ひとを見みるか、彼かれよりもかえって愚おろかな者もののほうに望のぞみがある。29:21 しもべをその幼おさない時ときからわがままに育そだてる人ひとは、ついにはそれを自分じぶんのあとつぎにする。29:22 怒いかる人ひとは争あらそいを起おこし、憤いきどおる人ひとは多おおくの罪つみを犯おかす。29:23 人ひとの高たかぶりはその人ひとを低ひくくし、心こころにへりくだる者ものは誉ほまれを得える。29:24 盗ぬすびとにくみする者ものは自分じぶんの魂たましいを憎にくむ、彼かれはのろいを聞きいても何事なにごとをも口外こうがいしない。29:25 人ひとを恐おそれると、わなに陥おちいる、主しゅに信頼しんらいする者ものは安やすらかである。29:26 治おさめる者ものの歓心かんしんを得えようとする人ひとは多おおい、しかし人ひとの事ことを定さだめるのは主しゅによる。29:27 正ただしい人ひとは不正ふせいを行おこなう人ひとを憎にくみ、悪あしき者ものは正ただしく歩あゆむ人ひとを憎にくむ。 第30章 30:1 マッサの人ひとヤケの子こアグルの言葉ことば。その人ひとはイテエルに向むかって言いった、すなわちイテエルと、ウカルとに向むかって言いった、30:2 わたしは確たしかに人ひとよりも愚おろかであり、わたしには人ひとの悟さとりがない。30:3 わたしはまだ知恵ちえをならうことができず、また、聖せいなる者ものを悟さとることもできない。30:4 天てんにのぼったり、下くだったりしたのはだれか、風かぜをこぶしの中なかに集あつめたのはだれか、水みずを着物きものに包つつんだのはだれか、地ちのすべての限界げんかいを定さだめた者ものはだれか、その名なは何なにか、その子この名なは何なにか、あなたは確たしかにそれを知しっている。 30:5 神かみの言葉ことばはみな真実しんじつである、神かみは彼かれに寄より頼たのむ者ものの盾たてである。30:6 その言葉ことばに付つけ加くわえてはならない、彼かれがあなたを責せめ、あなたを偽いつわり者ものとされないためだ。 30:7 わたしは二つのことをあなたに求もとめます、わたしの死しなないうちに、これをかなえてください。30:8 うそ、偽いつわりをわたしから遠とおざけ、貧まずしくもなく、また富とみもせず、ただなくてならぬ食物しょくもつでわたしを養やしなってください。30:9 飽あき足たりて、あなたを知しらないといい、「主しゅとはだれか」と言いうことのないため、また貧まずしくて盗ぬすみをし、わたしの神かみの名なを汚よごすことのないためです。 30:10 あなたは、しもべのことをその主人しゅじんに、あしざまにいってはならない、そうでないと彼かれはあなたをのろい、あなたは罪つみをきせられる。 30:11 世よには父ちちをのろったり、母ははを祝福しゅくふくしない者ものがある。30:12 世よには自分じぶんの目めにみずからを清きよい者ものとして、なおその汚けがれを洗あらわれないものがある。30:13 世よにはまた、このような人ひとがある――ああ、その目めのいかに高たかきことよ、またそのまぶたのいかにつりあがっていることよ。30:14 世よにはまたつるぎのような歯はをもち、刀かたなのようなきばをもって、貧まずしい者ものを地ちの上うえから、乏とぼしい者ものを人ひとの中なかから食くい滅ほろぼすものがある。 30:15 蛭ひるにふたりの娘むすめがあって、「与あたえよ、与あたえよ」という。飽あくことを知しらないものが三つある、いや、四つあって、皆みな「もう、たくさんです」と言いわない。30:16 すなわち陰府よみ、不妊ふにんの胎たい、水みずにかわく地ち、「もう、たくさんだ」といわない火ひがそれである。30:17 自分じぶんの父ちちをあざけり、母ははに従したがうのを卑いやしいこととする目めは、谷たにのからすがこれをつつき出だし、はげたかがこれを食たべる。 30:18 わたしにとって不思議ふしぎにたえないことが三つある、いや、四つあって、わたしには悟さとることができない。30:19 すなわち空そらを飛とぶはげたかの道みち、岩いわの上うえを這はうへびの道みち、海うみをはしる舟ふねの道みち、男おとこの女おんなにあう道みちがそれである。30:20 遊女ゆうじょの道みちもまたそうだ、彼女かのじょは食たべて、その口くちをぬぐって、「わたしは何なにもわるいことはしない」と言いう。 30:21 地ちは三つのことによって震ふるう、いや、四つのことによって、耐たえることができない。30:22 すなわち奴隷どれいたる者ものが王おうとなり、愚おろかな者ものが食物しょくもつに飽あき、30:23 忌いみきらわれた女おんなが嫁よめに行いき、はしためが女おんな主人しゅじんのあとにすわることである。 30:24 この地上ちじょうに、小ちいさいけれども、非常ひじょうに賢かしこいものが四つある。30:25 ありは力ちからのない種類しゅるいだが、その食糧しょくりょうを夏なつのうちに備そなえる。30:26 岩いわだぬきは強つよくない種類しゅるいだが、その家いえを岩いわにつくる。30:27 いなごは王おうがないけれども、みな隊たいを組くんでいで立たつ。30:28 やもりは手てでつかまえられるが、王おうの宮殿きゅうでんにおる。 30:29 歩あるきぶりの堂々どうどうたる者ものが三つある、いや、四つあって、みな堂々どうどうと歩あるく。30:30 すなわち獣けもののうちでもっとも強つよく、何なにものの前まえにも退しりぞかない、しし、30:31 尾おを立たてて歩あるくおんどり、雄おやぎ、その民たみの前まえをいばって歩あるく王おうがそれである。 30:32 あなたがもし愚おろかであって自みずから高たかぶり、あるいは悪事あくじを計はかったならば、あなたの手てを口くちに当あてるがよい。30:33 乳ちちをしめれば凝乳ぎょうにゅうが出でる、鼻はなをしめれば血ちがでる、怒いかりをしめれば争あらそいが起おこる。 第31章 31:1 マッサの王おうレムエルの言葉ことば、すなわちその母ははが彼かれに教おしえたものである。31:2 わが子こよ、何なにを言いおうか。わが胎たいの子こよ、何なにを言いおうか。わたしが願がんをかけて得えた子こよ、何なにをいおうか。31:3 あなたの力ちからを女おんなについやすな、王おうをも滅ほろぼすものに、あなたの道みちを任まかせるな。31:4 レムエルよ、酒さけを飲のむのは、王おうのすることではない、王おうのすることではない、濃こい酒さけを求もとめるのは君きみたる者もののすることではない。31:5 彼かれらは酒さけを飲のんで、おきてを忘わすれ、すべて悩なやむ者もののさばきを曲まげる。31:6 濃こい酒さけを滅ほろびようとしている者ものに与あたえ、酒さけを心こころの苦くるしむ人ひとに与あたえよ。31:7 彼かれらは飲のんで自分じぶんの貧乏びんぼうを忘わすれ、その悩なやみをもはや思おもい出ださない。31:8 あなたは黙だまっている人ひとのために、すべてのみなしごの訴うったえのために、口くちを開ひらくがよい。31:9 口くちを開ひらいて、正ただしいさばきを行おこない、貧まずしい者ものと乏とぼしい者ものの訴うったえをただせ。 31:10 だれが賢かしこい妻つまを見みつけることができるか、彼女かのじょは宝石ほうせきよりもすぐれて尊たっとい。31:11 その夫おっとの心こころは彼女かのじょを信頼しんらいして、収益しゅうえきに欠かけることはない。31:12 彼女かのじょは生いきながらえている間あいだ、その夫おっとのために良よいことをして、悪わるいことをしない。31:13 彼女かのじょは羊ひつじの毛けや亜麻あまを求もとめて、手てずから望のぞみのように、それを仕上しあげる。31:14 また商人しょうにんの舟ふねのように、遠とおい国くにから食糧しょくりょうを運はこんでくる。31:15 彼女かのじょはまだ夜よるのあけぬうちに起おきて、その家いえの者ものの食たべ物ものを備そなえ、その女おんなたちに日用にちようの分ぶんを与あたえる。31:16 彼女かのじょは畑はたけをよく考かんがえてそれを買かい、その手ての働はたらきの実みをもって、ぶどう畑ばたけをつくり、31:17 力ちからをもって腰こしに帯おびし、その腕うでを強つよくする。31:18 彼女かのじょはその商品しょうひんのもうけのあるのを知しっている、そのともしびは終夜しゅうや消きえることがない。31:19 彼女かのじょは手てを糸取いととり棒ぼうにのべ、その手てに、つむを持もち、31:20 手てを貧まずしい者ものに開ひらき、乏とぼしい人ひとに手てをさしのべる。31:21 彼女かのじょはその家いえの者もののために雪ゆきを恐おそれない、その家いえの者ものはみな紅くれないの着物きものを着きているからである。31:22 彼女かのじょは自分じぶんのために美うつくしいしとねを作つくり、亜麻あま布ぬのと紫むらさき布ぬのとをもってその着物きものとする。31:23 その夫おっとはその地ちの長老ちょうろうたちと共ともに、町まちの門もんに座ざするので、人ひとに知しられている。31:24 彼女かのじょは亜麻あま布ぬのの着物きものをつくって、それを売うり、帯おびをつくって商人しょうにんに渡わたす。31:25 力ちからと気品きひんとは彼女かのじょの着物きものである、そして後のちの日ひを笑わらっている。31:26 彼女かのじょは口くちを開ひらいて知恵ちえを語かたる、その舌したにはいつくしみの教おしえがある。31:27 彼女かのじょは家いえの事ことをよくかえりみ、怠おこたりのかてを食たべることをしない。31:28 その子こらは立たち上あがって彼女かのじょを祝しゅくし、その夫おっともまた彼女かのじょをほめたたえて言いう、31:29 「りっぱに事ことをなし遂とげる女おんなは多おおいけれども、あなたはそのすべてにまさっている」と。31:30 あでやかさは偽いつわりであり、美うつくしさはつかのまである、しかし主しゅを恐おそれる女おんなはほめたたえられる。31:31 その手ての働はたらきの実みを彼女かのじょに与あたえ、その行おこないのために彼女かのじょを町まちの門もんでほめたたえよ。
24:1 悪あくを行おこなう人ひとをうらやんではならない、また彼かれらと共ともにおることを願ねがってはならない。
24:2 彼かれらはその心こころに強奪ごうだつを計はかり、そのくちびるに人ひとをそこなうことを語かたるからである。
24:3 家いえは知恵ちえによって建たてられ、悟さとりによって堅かたくせられ、
24:4 また、へやは知識ちしきによってさまざまの尊たっとく、麗うるわしい宝たからで満みたされる。
24:5 知恵ちえある者ものは強つよい人ひとよりも強つよく、知識ちしきある人ひとは力ちからある人ひとよりも強つよい。
24:6 良よい指揮しきによって戦たたかいをすることができ、勝利しょうりは多おおくの議ぎする者ものがいるからである。
24:7 知恵ちえは高たかくて愚おろかな者ものの及およぶところではない、愚おろかな者ものは門もんで口くちを開ひらくことができない。
24:8 悪あくを行おこなうことを計はかる者ものを人ひとはいたずら者ものととなえる。
24:9 愚おろかな者ものの計はかるところは罪つみであり、あざける者ものは人ひとに憎にくまれる。
24:10 もしあなたが悩なやみの日ひに気きをくじくならば、あなたの力ちからは弱よわい。
24:11 死地しちにひかれゆく者ものを助たすけ出だせ、滅ほろびによろめきゆく者ものを救すくえ。
24:12 あなたが、われわれはこれを知しらなかったといっても、心こころをはかる者ものはそれを悟さとらないであろうか。あなたの魂たましいを守まもる者ものはそれを知しらないであろうか。彼かれはおのおのの行おこないにより、人ひとに報むくいないであろうか。
24:13 わが子こよ、蜜みつを食たべよ、これは良よいものである、また、蜂はちの巣すのしたたりはあなたの口くちに甘あまい。
24:14 知恵ちえもあなたの魂たましいにはそのようであることを知しれ。それを得えるならば、かならず報むくいがあって、あなたの望のぞみは、すたらない。
24:15 悪あしき者ものがするように、正ただしい者ものの家いえをうかがってはならない、その住すむ所ところに乱暴らんぼうをしてはならない。
24:16 正ただしい者ものは七たび倒たおれても、また起おきあがる、しかし、悪あしき者ものは災わざわいによって滅ほろびる。
24:17 あなたのあだが倒たおれるとき楽たのしんではならない、彼かれのつまずくとき心こころに喜よろこんではならない。
24:18 主しゅはそれを見みて悪わるいこととし、その怒いかりを彼かれから転てんじられる。
24:19 悪あくを行おこなう者もののゆえに心こころを悩なやましてはならない、よこしまな者ものをうらやんではならない。
24:20 悪あしき者ものには後のちの良よい報むくいはない、よこしまな者もののともしびは消けされる。
24:21 わが子こよ、主しゅと王おうとを恐おそれよ、そのいずれにも不ふ従順じゅうじゅんであってはならない。
24:22 その災わざわいはたちまち起おこるからである。この二つの者ものからくる滅ほろびをだれが知しり得えようか。
24:23 これらもまた知恵ちえある者ものの箴言しんげんである。
片寄かたよったさばきをするのは、よくない。
24:24 悪あしき者ものに向むかって、「あなたは正ただしい」という者ものを、人々ひとびとはのろい、諸民しょみんは憎にくむ。
24:25 悪あしき者ものをせめる者ものは恵めぐみを得える、また幸福こうふくが与あたえられる。
24:26 正ただしい答こたえをする者ものは、くちびるに、口くちづけするのである。
24:27 外そとで、あなたの仕事しごとを整ととのえ、畑はたけで、すべての物ものをおのれのために備そなえ、その後のちあなたの家いえを建たてるがよい。
24:28 ゆえなく隣となり人びとに敵てきして、証言しょうげんをしてはならない、くちびるをもって欺あざむいてはならない。
24:29 「彼かれがわたしにしたように、わたしも彼かれにしよう、わたしは人ひとがしたところにしたがって、その人ひとに報むくいよう」と言いってはならない。
24:30 わたしはなまけ者ものの畑はたけのそばと、知恵ちえのない人ひとのぶどう畑はたけのそばを通とおってみたが、
24:31 いばらが一面いちめんに生はえ、あざみがその地面じめんをおおい、その石いしがきはくずれていた。
24:32 わたしはこれをみて心こころをとどめ、これを見みて教訓きょうくんを得えた。
24:33 「しばらく眠ねむり、しばらくまどろみ、手てをこまぬいて、またしばらく休やすむ」。
24:34 それゆえ、貧まずしさは盗ぬすびとのように、あなたに来き、乏とぼしさは、つわもののように、あなたに来くる。
第25章 25:1 これらもまたソロモンの箴言しんげんであり、ユダの王おうヒゼキヤに属ぞくする人々ひとびとがこれを書かき写うつした。25:2 事ことを隠かくすのは神かみの誉ほまれであり、事ことを窮きわめるのは王おうの誉ほまれである。25:3 天てんの高たかさと地ちの深ふかさと、王おうたる者ものの心こころとは測はかることができない。25:4 銀ぎんから、かなくそを除のぞけ、そうすれば、銀ぎん細工人ざいくにんが器うつわを造つくる材料ざいりょうとなる。25:5 王おうの前まえから悪あしき者ものを除のぞけ、そうすれば、その位くらいは正義せいぎによって堅かたく立たつ。25:6 王おうの前まえで自みずから高たかぶってはならない、偉えらい人ひとの場ばに立たってはならない。25:7 尊たっとい人ひとの前まえで下したにさげられるよりは、「ここに上あがれ」といわれるほうがましだ。25:8 あなたが目めに見みたことを、軽々かるがるしく法廷ほうていに出だしてはならない。あとになり、あなたが隣となり人びとにはずかしめられるとき、あなたはどうしようとするのか。25:9 隣となり人びとと争あらそうことがあるならば、ただその人ひとと争あらそえ、他人たにんの秘密ひみつをもらしてはならない。25:10 そうでないと、聞きく者ものがあなたをいやしめ、あなたは、いつまでもそしられる。 25:11 おりにかなって語かたる言葉ことばは、銀ぎんの彫ほり物ものに金きんのりんごをはめたようだ。25:12 知恵ちえをもって戒いましめる者ものは、これをきく者ものの耳みみにとって、金きんの耳輪みみわ、精せい金きんの飾かざりのようだ。25:13 忠実ちゅうじつな使者ししゃはこれをつかわす者ものにとって、刈入かりいれの日ひに冷ひややかな雪ゆきがあるようだ、よくその主人しゅじんの心こころを喜よろこばせる。25:14 贈おくり物ものをすると偽いつわって誇ほこる人ひとは、雨あめのない雲くもと風かぜのようだ。 25:15 忍耐にんたいをもって説とけば君きみも言葉ことばをいれる、柔やわらかな舌したは骨ほねを砕くだく。25:16 蜜みつを得えたならば、ただ足たるほどにこれを食たべよ、おそらくは食たべすごして、それを吐はき出だすであろう。25:17 隣となり人びとの家いえに足あしをしげくしてはならない、おそらくは彼かれは煩わずらわしくなって、あなたを憎にくむようになろう。25:18 隣となり人びとに敵てきして偽いつわりのあかしを立たてる人ひとは、こん棒ぼう、つるぎ、または鋭するどい矢やのようだ。25:19 悩なやみに会あうとき不信実ふしんじつな者ものを頼たのみにするのは、悪わるい歯は、またはなえた足あしを頼たのみとするようなものだ。25:20 心こころの痛いためる人ひとの前まえで歌うたをうたうのは、寒さむい日ひに着物きものを脱ぬぐようであり、また傷きずの上うえに酢すをそそぐようだ。25:21 もしあなたのあだが飢うえているならば、パンを与あたえて食たべさせ、もしかわいているならば水みずを与あたえて飲のませよ。25:22 こうするのは、火ひを彼かれのこうべに積つむのである、主しゅはあなたに報むくいられる。25:23 北風きたかぜは雨あめを起おこし、陰言かげごとをいう舌したは人ひとの顔かおを怒いからす。25:24 争あらそいを好このむ女おんなと一緒いっしょに家いえにおるよりは、屋根やねのすみにおるほうがよい。25:25 遠とおい国くにから来くるよい消息しょうそくは、かわいている人ひとが飲のむ冷ひややかな水みずのようだ。25:26 正ただしい者ものが悪わるい者ものの前まえに屈服くっぷくするのは、井戸いどが濁にごったよう、また泉いずみがよごれたようなものだ。25:27 蜜みつを多おおく食たべるのはよくない、ほめる言葉ことばは控ひかえ目めにするがよい。25:28 自分じぶんの心こころを制せいしない人ひとは、城壁じょうへきのない破やぶれた城しろのようだ。 第26章 26:1 誉ほまれが愚おろかな者ものにふさわしくないのは、夏なつに雪ゆきが降ふり、刈入かりいれの時ときに雨あめが降ふるようなものだ。26:2 いわれのないのろいは、飛とびまわるすずめや、飛とびかけるつばめのようなもので、止とまらない。26:3 馬うまのためにはむちがあり、ろばのためにはくつわがあり、愚おろかな者ものの背せのためにはつえがある。26:4 愚おろかな者ものにその愚おろかさにしたがって答こたえをするな、自分じぶんも彼かれと同おなじようにならないためだ。26:5 愚おろかな者ものにその愚おろかさにしたがって答こたえをせよ、彼かれが自分じぶんの目めに自みずからを知恵ちえある者ものと見みないためだ。26:6 愚おろかな者ものに託たくして事ことを言いい送おくる者ものは、自分じぶんの足あしを切きり去さり、身みに害がいをうける。26:7 あしなえの足あしは用ようがない、愚おろかな者ものの口くちには箴言しんげんもそれにひとしい。26:8 誉ほまれを愚おろかな者ものに与あたえるのは、石いしを石いし投なげにつなぐようだ。26:9 愚おろかな者ものの口くちに箴言しんげんがあるのは、酔よった者ものが、とげのあるつえを手てで振ふり上あげるようだ。26:10 通とおりがかりの愚おろか者ものや、酔よった者ものを雇やとう者ものは、すべての人ひとを傷きずつける射手いてのようだ。26:11 犬いぬが帰かえって来きてその吐はいた物ものを食たべるように、愚おろかな者ものはその愚おろかさをくり返かえす。26:12 自分じぶんの目めに自みずからを知恵ちえある者ものとする人ひとを、あなたは見みるか、彼かれよりもかえって愚おろかな人ひとに望のぞみがある。26:13 なまけ者ものは、「道みちにししがいる、ちまたにししがいる」という。26:14 戸とがちょうつがいによって回まわるように、なまけ者ものはその寝床ねどこで寝返ねがえりをする。26:15 なまけ者ものは手てを皿さらに入いれても、それを口くちに持もってゆくことをいとう。26:16 なまけ者ものは自分じぶんの目めに、良よく答こたえることのできる七人にんの者ものよりも、自みずからを知恵ちえありとする。26:17 自分じぶんに関係かんけいのない争あらそいにたずさわる者ものは、通とおりすぎる犬いぬの耳みみをとらえる者もののようだ。26:18 26:19 隣となり人びとを欺あざむいて、「わたしはただ戯たわむれにした」という者ものは、燃もえ木ぎまたは矢や、または死しを、投なげつける気違きちがいのようだ。26:20 たきぎがなければ火ひは消きえ、人ひとのよしあしを言いう者ものがなければ争あらそいはやむ。26:21 おき火ひに炭すみをつぎ、火ひにたきぎをくべるように、争あらそいを好このむ人ひとは争あらそいの火ひをおこす。26:22 人ひとのよしあしをいう者ものの言葉ことばはおいしい食物しょくもつのようで、腹はらの奥おくにしみこむ。26:23 くちびるはなめらかであっても、心こころの悪わるいのは上うえぐすりをかけた土つちの器うつわのようだ。26:24 憎にくむ者ものはくちびるをもって自みずから飾かざるけれども、心こころのうちには偽いつわりをいだく。26:25 彼かれが声こえをやわらげて語かたっても、信しんじてはならない。その心こころに七つの憎にくむべきものがあるからだ。26:26 たとい偽いつわりをもってその憎にくしみをかくしても、彼かれの悪あくは会衆かいしゅうの中なかに現あらわれる。26:27 穴あなを掘ほる者ものは自みずからその中なかに陥おちいる、石いしをまろばしあげる者ものの上うえに、その石いしはまろびかえる。26:28 偽いつわりの舌したは自分じぶんが傷きずつけた者ものを憎にくみ、へつらう口くちは滅ほろびをきたらせる。 第27章 27:1 あすのことを誇ほこってはならない、一日にちのうちに何なにがおこるかを知しることができないからだ。27:2 自分じぶんの口くちをもって自みずからをほめることなく、他人たにんにほめさせよ。自分じぶんのくちびるをもってせず、ほかの人ひとにあなたをほめさせよ。27:3 石いしは重おもく、砂すなも軽かるくはない、しかし愚おろかな者ものの怒いかりはこの二つよりも重おもい。27:4 憤いきどおりはむごく、怒いかりははげしい、しかしねたみの前まえには、だれが立たちえよう。27:5 あからさまに戒いましめるのは、ひそかに愛あいするのにまさる。27:6 愛あいする者ものが傷きずつけるのは、まことからであり、あだの口くちづけするのは偽いつわりからである。27:7 飽あいている者ものは蜂蜜はちみつをも踏ふみつける、しかし飢うえた者ものには苦にがい物ものでさえ、みな甘あまい。27:8 その家いえを離はなれてさまよう人ひとは、巣すを離はなれてさまよう鳥とりのようだ。27:9 油あぶらと香こうとは人ひとの心こころを喜よろこばせる、しかし魂たましいは悩なやみによって裂さかれる。27:10 あなたの友とも、あなたの父ちちの友ともを捨すてるな、あなたが悩なやみにあう日ひには兄弟きょうだいの家いえに行いくな、近ちかい隣となり人びとは遠とおくにいる兄弟きょうだいにまさる。27:11 わが子こよ、知恵ちえを得えて、わたしの心こころを喜よろこばせよ、そうすればわたしをそしる者ものに答こたえることができる。27:12 賢かしこい者ものは災わざわいを見みて自みずから避さけ、思慮しりょのない者ものは進すすんでいって、罰ばつをうける。27:13 人ひとのために保証ほしょうする者ものからは、まずその着物きものをとれ、他人たにんのために保証ほしょうをする者ものをば抵当ていとうに取とれ。27:14 朝あさはやく起おきて大声おおごえにその隣となり人びとを祝しゅくすれば、かえってのろいと見みなされよう。27:15 雨あめの降ふる日ひに雨漏あまもりの絶たえないのと、争あらそい好すきな女おんなとは同おなじだ。27:16 この女おんなを制せいするのは風かぜを制せいするのとおなじく、右みぎの手てに油あぶらをつかむのとおなじだ。27:17 鉄てつは鉄てつをとぐ、そのように人ひとはその友ともの顔かおをとぐ。27:18 いちじくの木きを守まもる者ものはその実みを食たべる、主人しゅじんを尊たっとぶ者ものは誉ほまれを得える。27:19 水みずにうつせば顔かおと顔かおとが応おうじるように、人ひとの心こころはその人ひとをうつす。27:20 陰府よみと滅ほろびとは飽あくことなく、人ひとの目めもまた飽あくことがない。27:21 るつぼによって銀ぎんをためし、炉ろによって金きんをためす、人ひとはその称賛しょうさんによってためされる。27:22 愚おろかな者ものをうすに入いれ、きねをもって、麦むぎと共ともにこれをついても、その愚おろかさは去さることがない。 27:23 あなたの羊ひつじの状態じょうたいをよく知しり、あなたの群むれに心こころをとめよ。27:24 富とみはいつまでも続つづくものではない、どうして位くらいが末代まつだいまでも保たもつであろうか。27:25 草くさが刈かり取とられ、新あたらしい芽めがのび、山やまの牧草ぼくそうも集あつめられると、27:26 小羊こひつじはあなたの衣料いりょうを出だし、やぎは畑はたけを買かう価あたいとなり、27:27 やぎの乳ちちは多おおくて、あなたと、あなたの家いえのものの食物しょくもつとなり、おとめらを養やしなうのにじゅうぶんである。 第28章 28:1 悪あしき者ものは追おう人ひともないのに逃にげる、正ただしい人ひとはししのように勇いさましい。28:2 国くにの罪つみによって、治おさめる者ものは多おおくなり、さとく、また知識ちしきある人ひとによって、国くにはながく保たもつ。28:3 貧まずしい者ものをしえたげる貧まずしい人ひとは、糧食りょうしょくを残のこさない激はげしい雨あめのようだ。28:4 律法りっぽうを捨すてる者ものは悪あしき者ものをほめる、律法りっぽうを守まもる者ものはこれに敵対てきたいする。28:5 悪人あくにんは正ただしいことを悟さとらない、主しゅを求もとめる者ものはこれをことごとく悟さとる。28:6 正ただしく歩あゆむ貧まずしい者ものは、曲まがった道みちを歩あゆむ富とめる者ものにまさる。28:7 律法りっぽうを守まもる者ものは賢かしこい子こである、不品行ふひんこうな者ものと交まじわるものは、父ちちをはずかしめる。28:8 利息りそくと高利こうりとによってその富とみをます者ものは、貧まずしい者ものを恵めぐむ者もののために、それをたくわえる。28:9 耳みみをそむけて律法りっぽうを聞きかない者ものは、その祈いのりでさえも憎にくまれる。28:10 正ただしい者ものを悪わるい道みちに惑まどわす者ものは、みずから自分じぶんの穴あなに陥おちいる、しかし誠実せいじつな人ひとは幸福こうふくを継つぐ。28:11 富とめる人ひとは自分じぶんの目めに自みずからを知恵ちえある者ものと見みる、しかし悟さとりのある貧まずしい者ものは彼かれを見みやぶる。28:12 正ただしい者ものが勝かつときは、大おおいなる栄さかえがある、悪あしき者ものが起おこるときは、民たみは身みをかくす。28:13 その罪つみを隠かくす者ものは栄さかえることがない、言いい表あらわしてこれを離はなれる者ものは、あわれみをうける。28:14 常つねに主しゅを恐おそれる人ひとはさいわいである、心こころをかたくなにする者ものは災わざわいに陥おちいる。28:15 貧まずしい民たみを治おさめる悪わるいつかさは、ほえるしし、または飢うえたくまのようだ。28:16 悟さとりのないつかさは残忍ざんにんな圧制者あっせいしゃである、不正ふせいの利りを憎にくむ者ものは長命ちょうめいを得える。28:17 人ひとを殺ころしてその血ちを身みに負おう者ものは死しぬまで、のがれびとである、だれもこれを助たすけてはならない。28:18 正ただしく歩あゆむ者ものは救すくいを得え、曲まがった道みちに歩あゆむ者ものは穴あなに陥おちいる。28:19 自分じぶんの田地でんちを耕たがやす者ものは食糧しょくりょうに飽あき、無益むえきな事ことに従したがう者ものは貧乏びんぼうに飽あきる。28:20 忠実ちゅうじつな人ひとは多おおくの祝福しゅくふくを得える、急いそいで富とみを得えようとする者ものは罰ばつを免まぬかれない。28:21 人ひとを片寄かたより見みることは良よくない、人ひとは一いち切きれのパンのために、とがを犯おかすことがある。28:22 欲よくの深ふかい人ひとは急いそいで富とみを得えようとする、かえって欠乏けつぼうが自分じぶんの所ところに来くることを知しらない。28:23 人ひとを戒いましめる者ものは舌したをもってへつらう者ものよりも、大おおいなる感謝かんしゃをうける。28:24 父ちちや母ははの物ものを盗ぬすんで「これは罪つみではない」と言いう者ものは、滅ほろぼす者ものの友ともである。28:25 むさぼる者ものは争あらそいを起おこし、主しゅに信頼しんらいする者ものは豊ゆたかになる。28:26 自分じぶんの心こころを頼たのむ者ものは愚おろかである、知恵ちえをもって歩あゆむ者ものは救すくいを得える。28:27 貧まずしい者ものに施ほどこす者ものは物ものに不足ふそくしない、目めをおおって見みない人ひとは多おおくののろいをうける。28:28 悪あしき者ものが起おこるときは、民たみは身みをかくす、その滅ほろびるときは、正ただしい人ひとが増ます。 第29章 29:1 しばしばしかられても、なおかたくなな者ものは、たちまち打うち敗やぶられて助たすかることはない。29:2 正ただしい者ものが権力けんりょくを得えれば民たみは喜よろこび、悪あしき者ものが治おさめるとき、民たみはうめき苦くるしむ。29:3 知恵ちえを愛あいする人ひとはその父ちちを喜よろこばせ、遊女ゆうじょに交まじわる者ものはその資産しさんを浪費ろうひする。29:4 王おうは公儀こうぎをもって国くにを堅かたくする、しかし、重税じゅうぜいを取とり立たてる者ものはこれを滅ほろぼす。29:5 その隣となり人びとにへつらう者ものは、彼かれの足あしの前まえに網あみを張はる。29:6 悪人あくにんは自分じぶんの罪つみのわなに陥おちいる、しかし正ただしい人ひとは喜よろこび楽たのしむ。29:7 正ただしい人ひとは貧まずしい者ものの訴うったえをかえりみる、悪あしき人ひとはそれを知しろうとはしない。29:8 あざける人ひとは町まちを乱みだし、知恵ちえある者ものは怒いかりを静しずめる。29:9 知恵ちえある人ひとが愚おろかな人ひとと争あらそうと、愚おろかな者ものはただ怒いかり、あるいは笑わらって、休やすむことがない。29:10 血ちに飢うえている人ひとは罪つみのない者ものを憎にくむ、悪あしき者ものは彼かれの命いのちを求もとめる。29:11 愚おろかな者ものは怒いかりをことごとく表あらわし、知恵ちえある者ものは静しずかにこれをおさえる。29:12 もし治おさめる者ものが偽いつわりの言葉ことばに聞きくならば、その役人やくにんらはみな悪わるくなる。29:13 貧まずしい者ものと、しえたげる者ものとは共ともに世よにおる、主しゅは彼かれら両者りょうしゃの目めに光ひかりを与あたえられる。29:14 もし王おうが貧まずしい者ものを公平こうへいにさばくならば、その位くらいはいつまでも堅かたく立たつ。29:15 むちと戒いましめとは知恵ちえを与あたえる、わがままにさせた子こはその母ははに恥はじをもたらす。29:16 悪あしき者ものが権力けんりょくを得えると罪つみも増ます、正ただしい者ものは彼かれらの倒たおれるのを見みる。29:17 あなたの子こを懲こらしめよ、そうすれば彼かれはあなたを安やすらかにし、またあなたの心こころに喜よろこびを与あたえる。29:18 預言よげんがなければ民たみはわがままにふるまう、しかし律法りっぽうを守まもる者ものはさいわいである。29:19 しもべは言葉ことばだけで訓練くんれんすることはできない、彼かれは聞きいて知しっても、心こころにとめないからである。29:20 言葉ことばの軽率けいそつな人ひとを見みるか、彼かれよりもかえって愚おろかな者もののほうに望のぞみがある。29:21 しもべをその幼おさない時ときからわがままに育そだてる人ひとは、ついにはそれを自分じぶんのあとつぎにする。29:22 怒いかる人ひとは争あらそいを起おこし、憤いきどおる人ひとは多おおくの罪つみを犯おかす。29:23 人ひとの高たかぶりはその人ひとを低ひくくし、心こころにへりくだる者ものは誉ほまれを得える。29:24 盗ぬすびとにくみする者ものは自分じぶんの魂たましいを憎にくむ、彼かれはのろいを聞きいても何事なにごとをも口外こうがいしない。29:25 人ひとを恐おそれると、わなに陥おちいる、主しゅに信頼しんらいする者ものは安やすらかである。29:26 治おさめる者ものの歓心かんしんを得えようとする人ひとは多おおい、しかし人ひとの事ことを定さだめるのは主しゅによる。29:27 正ただしい人ひとは不正ふせいを行おこなう人ひとを憎にくみ、悪あしき者ものは正ただしく歩あゆむ人ひとを憎にくむ。 第30章 30:1 マッサの人ひとヤケの子こアグルの言葉ことば。その人ひとはイテエルに向むかって言いった、すなわちイテエルと、ウカルとに向むかって言いった、30:2 わたしは確たしかに人ひとよりも愚おろかであり、わたしには人ひとの悟さとりがない。30:3 わたしはまだ知恵ちえをならうことができず、また、聖せいなる者ものを悟さとることもできない。30:4 天てんにのぼったり、下くだったりしたのはだれか、風かぜをこぶしの中なかに集あつめたのはだれか、水みずを着物きものに包つつんだのはだれか、地ちのすべての限界げんかいを定さだめた者ものはだれか、その名なは何なにか、その子この名なは何なにか、あなたは確たしかにそれを知しっている。 30:5 神かみの言葉ことばはみな真実しんじつである、神かみは彼かれに寄より頼たのむ者ものの盾たてである。30:6 その言葉ことばに付つけ加くわえてはならない、彼かれがあなたを責せめ、あなたを偽いつわり者ものとされないためだ。 30:7 わたしは二つのことをあなたに求もとめます、わたしの死しなないうちに、これをかなえてください。30:8 うそ、偽いつわりをわたしから遠とおざけ、貧まずしくもなく、また富とみもせず、ただなくてならぬ食物しょくもつでわたしを養やしなってください。30:9 飽あき足たりて、あなたを知しらないといい、「主しゅとはだれか」と言いうことのないため、また貧まずしくて盗ぬすみをし、わたしの神かみの名なを汚よごすことのないためです。 30:10 あなたは、しもべのことをその主人しゅじんに、あしざまにいってはならない、そうでないと彼かれはあなたをのろい、あなたは罪つみをきせられる。 30:11 世よには父ちちをのろったり、母ははを祝福しゅくふくしない者ものがある。30:12 世よには自分じぶんの目めにみずからを清きよい者ものとして、なおその汚けがれを洗あらわれないものがある。30:13 世よにはまた、このような人ひとがある――ああ、その目めのいかに高たかきことよ、またそのまぶたのいかにつりあがっていることよ。30:14 世よにはまたつるぎのような歯はをもち、刀かたなのようなきばをもって、貧まずしい者ものを地ちの上うえから、乏とぼしい者ものを人ひとの中なかから食くい滅ほろぼすものがある。 30:15 蛭ひるにふたりの娘むすめがあって、「与あたえよ、与あたえよ」という。飽あくことを知しらないものが三つある、いや、四つあって、皆みな「もう、たくさんです」と言いわない。30:16 すなわち陰府よみ、不妊ふにんの胎たい、水みずにかわく地ち、「もう、たくさんだ」といわない火ひがそれである。30:17 自分じぶんの父ちちをあざけり、母ははに従したがうのを卑いやしいこととする目めは、谷たにのからすがこれをつつき出だし、はげたかがこれを食たべる。 30:18 わたしにとって不思議ふしぎにたえないことが三つある、いや、四つあって、わたしには悟さとることができない。30:19 すなわち空そらを飛とぶはげたかの道みち、岩いわの上うえを這はうへびの道みち、海うみをはしる舟ふねの道みち、男おとこの女おんなにあう道みちがそれである。30:20 遊女ゆうじょの道みちもまたそうだ、彼女かのじょは食たべて、その口くちをぬぐって、「わたしは何なにもわるいことはしない」と言いう。 30:21 地ちは三つのことによって震ふるう、いや、四つのことによって、耐たえることができない。30:22 すなわち奴隷どれいたる者ものが王おうとなり、愚おろかな者ものが食物しょくもつに飽あき、30:23 忌いみきらわれた女おんなが嫁よめに行いき、はしためが女おんな主人しゅじんのあとにすわることである。 30:24 この地上ちじょうに、小ちいさいけれども、非常ひじょうに賢かしこいものが四つある。30:25 ありは力ちからのない種類しゅるいだが、その食糧しょくりょうを夏なつのうちに備そなえる。30:26 岩いわだぬきは強つよくない種類しゅるいだが、その家いえを岩いわにつくる。30:27 いなごは王おうがないけれども、みな隊たいを組くんでいで立たつ。30:28 やもりは手てでつかまえられるが、王おうの宮殿きゅうでんにおる。 30:29 歩あるきぶりの堂々どうどうたる者ものが三つある、いや、四つあって、みな堂々どうどうと歩あるく。30:30 すなわち獣けもののうちでもっとも強つよく、何なにものの前まえにも退しりぞかない、しし、30:31 尾おを立たてて歩あるくおんどり、雄おやぎ、その民たみの前まえをいばって歩あるく王おうがそれである。 30:32 あなたがもし愚おろかであって自みずから高たかぶり、あるいは悪事あくじを計はかったならば、あなたの手てを口くちに当あてるがよい。30:33 乳ちちをしめれば凝乳ぎょうにゅうが出でる、鼻はなをしめれば血ちがでる、怒いかりをしめれば争あらそいが起おこる。 第31章 31:1 マッサの王おうレムエルの言葉ことば、すなわちその母ははが彼かれに教おしえたものである。31:2 わが子こよ、何なにを言いおうか。わが胎たいの子こよ、何なにを言いおうか。わたしが願がんをかけて得えた子こよ、何なにをいおうか。31:3 あなたの力ちからを女おんなについやすな、王おうをも滅ほろぼすものに、あなたの道みちを任まかせるな。31:4 レムエルよ、酒さけを飲のむのは、王おうのすることではない、王おうのすることではない、濃こい酒さけを求もとめるのは君きみたる者もののすることではない。31:5 彼かれらは酒さけを飲のんで、おきてを忘わすれ、すべて悩なやむ者もののさばきを曲まげる。31:6 濃こい酒さけを滅ほろびようとしている者ものに与あたえ、酒さけを心こころの苦くるしむ人ひとに与あたえよ。31:7 彼かれらは飲のんで自分じぶんの貧乏びんぼうを忘わすれ、その悩なやみをもはや思おもい出ださない。31:8 あなたは黙だまっている人ひとのために、すべてのみなしごの訴うったえのために、口くちを開ひらくがよい。31:9 口くちを開ひらいて、正ただしいさばきを行おこない、貧まずしい者ものと乏とぼしい者ものの訴うったえをただせ。 31:10 だれが賢かしこい妻つまを見みつけることができるか、彼女かのじょは宝石ほうせきよりもすぐれて尊たっとい。31:11 その夫おっとの心こころは彼女かのじょを信頼しんらいして、収益しゅうえきに欠かけることはない。31:12 彼女かのじょは生いきながらえている間あいだ、その夫おっとのために良よいことをして、悪わるいことをしない。31:13 彼女かのじょは羊ひつじの毛けや亜麻あまを求もとめて、手てずから望のぞみのように、それを仕上しあげる。31:14 また商人しょうにんの舟ふねのように、遠とおい国くにから食糧しょくりょうを運はこんでくる。31:15 彼女かのじょはまだ夜よるのあけぬうちに起おきて、その家いえの者ものの食たべ物ものを備そなえ、その女おんなたちに日用にちようの分ぶんを与あたえる。31:16 彼女かのじょは畑はたけをよく考かんがえてそれを買かい、その手ての働はたらきの実みをもって、ぶどう畑ばたけをつくり、31:17 力ちからをもって腰こしに帯おびし、その腕うでを強つよくする。31:18 彼女かのじょはその商品しょうひんのもうけのあるのを知しっている、そのともしびは終夜しゅうや消きえることがない。31:19 彼女かのじょは手てを糸取いととり棒ぼうにのべ、その手てに、つむを持もち、31:20 手てを貧まずしい者ものに開ひらき、乏とぼしい人ひとに手てをさしのべる。31:21 彼女かのじょはその家いえの者もののために雪ゆきを恐おそれない、その家いえの者ものはみな紅くれないの着物きものを着きているからである。31:22 彼女かのじょは自分じぶんのために美うつくしいしとねを作つくり、亜麻あま布ぬのと紫むらさき布ぬのとをもってその着物きものとする。31:23 その夫おっとはその地ちの長老ちょうろうたちと共ともに、町まちの門もんに座ざするので、人ひとに知しられている。31:24 彼女かのじょは亜麻あま布ぬのの着物きものをつくって、それを売うり、帯おびをつくって商人しょうにんに渡わたす。31:25 力ちからと気品きひんとは彼女かのじょの着物きものである、そして後のちの日ひを笑わらっている。31:26 彼女かのじょは口くちを開ひらいて知恵ちえを語かたる、その舌したにはいつくしみの教おしえがある。31:27 彼女かのじょは家いえの事ことをよくかえりみ、怠おこたりのかてを食たべることをしない。31:28 その子こらは立たち上あがって彼女かのじょを祝しゅくし、その夫おっともまた彼女かのじょをほめたたえて言いう、31:29 「りっぱに事ことをなし遂とげる女おんなは多おおいけれども、あなたはそのすべてにまさっている」と。31:30 あでやかさは偽いつわりであり、美うつくしさはつかのまである、しかし主しゅを恐おそれる女おんなはほめたたえられる。31:31 その手ての働はたらきの実みを彼女かのじょに与あたえ、その行おこないのために彼女かのじょを町まちの門もんでほめたたえよ。
25:1 これらもまたソロモンの箴言しんげんであり、ユダの王おうヒゼキヤに属ぞくする人々ひとびとがこれを書かき写うつした。
25:2 事ことを隠かくすのは神かみの誉ほまれであり、事ことを窮きわめるのは王おうの誉ほまれである。
25:3 天てんの高たかさと地ちの深ふかさと、王おうたる者ものの心こころとは測はかることができない。
25:4 銀ぎんから、かなくそを除のぞけ、そうすれば、銀ぎん細工人ざいくにんが器うつわを造つくる材料ざいりょうとなる。
25:5 王おうの前まえから悪あしき者ものを除のぞけ、そうすれば、その位くらいは正義せいぎによって堅かたく立たつ。
25:6 王おうの前まえで自みずから高たかぶってはならない、偉えらい人ひとの場ばに立たってはならない。
25:7 尊たっとい人ひとの前まえで下したにさげられるよりは、「ここに上あがれ」といわれるほうがましだ。
25:8 あなたが目めに見みたことを、軽々かるがるしく法廷ほうていに出だしてはならない。あとになり、あなたが隣となり人びとにはずかしめられるとき、あなたはどうしようとするのか。
25:9 隣となり人びとと争あらそうことがあるならば、ただその人ひとと争あらそえ、他人たにんの秘密ひみつをもらしてはならない。
25:10 そうでないと、聞きく者ものがあなたをいやしめ、あなたは、いつまでもそしられる。
25:11 おりにかなって語かたる言葉ことばは、銀ぎんの彫ほり物ものに金きんのりんごをはめたようだ。
25:12 知恵ちえをもって戒いましめる者ものは、これをきく者ものの耳みみにとって、金きんの耳輪みみわ、精せい金きんの飾かざりのようだ。
25:13 忠実ちゅうじつな使者ししゃはこれをつかわす者ものにとって、刈入かりいれの日ひに冷ひややかな雪ゆきがあるようだ、よくその主人しゅじんの心こころを喜よろこばせる。
25:14 贈おくり物ものをすると偽いつわって誇ほこる人ひとは、雨あめのない雲くもと風かぜのようだ。
25:15 忍耐にんたいをもって説とけば君きみも言葉ことばをいれる、柔やわらかな舌したは骨ほねを砕くだく。
25:16 蜜みつを得えたならば、ただ足たるほどにこれを食たべよ、おそらくは食たべすごして、それを吐はき出だすであろう。
25:17 隣となり人びとの家いえに足あしをしげくしてはならない、おそらくは彼かれは煩わずらわしくなって、あなたを憎にくむようになろう。
25:18 隣となり人びとに敵てきして偽いつわりのあかしを立たてる人ひとは、こん棒ぼう、つるぎ、または鋭するどい矢やのようだ。
25:19 悩なやみに会あうとき不信実ふしんじつな者ものを頼たのみにするのは、悪わるい歯は、またはなえた足あしを頼たのみとするようなものだ。
25:20 心こころの痛いためる人ひとの前まえで歌うたをうたうのは、寒さむい日ひに着物きものを脱ぬぐようであり、また傷きずの上うえに酢すをそそぐようだ。
25:21 もしあなたのあだが飢うえているならば、パンを与あたえて食たべさせ、もしかわいているならば水みずを与あたえて飲のませよ。
25:22 こうするのは、火ひを彼かれのこうべに積つむのである、主しゅはあなたに報むくいられる。
25:23 北風きたかぜは雨あめを起おこし、陰言かげごとをいう舌したは人ひとの顔かおを怒いからす。
25:24 争あらそいを好このむ女おんなと一緒いっしょに家いえにおるよりは、屋根やねのすみにおるほうがよい。
25:25 遠とおい国くにから来くるよい消息しょうそくは、かわいている人ひとが飲のむ冷ひややかな水みずのようだ。
25:26 正ただしい者ものが悪わるい者ものの前まえに屈服くっぷくするのは、井戸いどが濁にごったよう、また泉いずみがよごれたようなものだ。
25:27 蜜みつを多おおく食たべるのはよくない、ほめる言葉ことばは控ひかえ目めにするがよい。
25:28 自分じぶんの心こころを制せいしない人ひとは、城壁じょうへきのない破やぶれた城しろのようだ。
第26章 26:1 誉ほまれが愚おろかな者ものにふさわしくないのは、夏なつに雪ゆきが降ふり、刈入かりいれの時ときに雨あめが降ふるようなものだ。26:2 いわれのないのろいは、飛とびまわるすずめや、飛とびかけるつばめのようなもので、止とまらない。26:3 馬うまのためにはむちがあり、ろばのためにはくつわがあり、愚おろかな者ものの背せのためにはつえがある。26:4 愚おろかな者ものにその愚おろかさにしたがって答こたえをするな、自分じぶんも彼かれと同おなじようにならないためだ。26:5 愚おろかな者ものにその愚おろかさにしたがって答こたえをせよ、彼かれが自分じぶんの目めに自みずからを知恵ちえある者ものと見みないためだ。26:6 愚おろかな者ものに託たくして事ことを言いい送おくる者ものは、自分じぶんの足あしを切きり去さり、身みに害がいをうける。26:7 あしなえの足あしは用ようがない、愚おろかな者ものの口くちには箴言しんげんもそれにひとしい。26:8 誉ほまれを愚おろかな者ものに与あたえるのは、石いしを石いし投なげにつなぐようだ。26:9 愚おろかな者ものの口くちに箴言しんげんがあるのは、酔よった者ものが、とげのあるつえを手てで振ふり上あげるようだ。26:10 通とおりがかりの愚おろか者ものや、酔よった者ものを雇やとう者ものは、すべての人ひとを傷きずつける射手いてのようだ。26:11 犬いぬが帰かえって来きてその吐はいた物ものを食たべるように、愚おろかな者ものはその愚おろかさをくり返かえす。26:12 自分じぶんの目めに自みずからを知恵ちえある者ものとする人ひとを、あなたは見みるか、彼かれよりもかえって愚おろかな人ひとに望のぞみがある。26:13 なまけ者ものは、「道みちにししがいる、ちまたにししがいる」という。26:14 戸とがちょうつがいによって回まわるように、なまけ者ものはその寝床ねどこで寝返ねがえりをする。26:15 なまけ者ものは手てを皿さらに入いれても、それを口くちに持もってゆくことをいとう。26:16 なまけ者ものは自分じぶんの目めに、良よく答こたえることのできる七人にんの者ものよりも、自みずからを知恵ちえありとする。26:17 自分じぶんに関係かんけいのない争あらそいにたずさわる者ものは、通とおりすぎる犬いぬの耳みみをとらえる者もののようだ。26:18 26:19 隣となり人びとを欺あざむいて、「わたしはただ戯たわむれにした」という者ものは、燃もえ木ぎまたは矢や、または死しを、投なげつける気違きちがいのようだ。26:20 たきぎがなければ火ひは消きえ、人ひとのよしあしを言いう者ものがなければ争あらそいはやむ。26:21 おき火ひに炭すみをつぎ、火ひにたきぎをくべるように、争あらそいを好このむ人ひとは争あらそいの火ひをおこす。26:22 人ひとのよしあしをいう者ものの言葉ことばはおいしい食物しょくもつのようで、腹はらの奥おくにしみこむ。26:23 くちびるはなめらかであっても、心こころの悪わるいのは上うえぐすりをかけた土つちの器うつわのようだ。26:24 憎にくむ者ものはくちびるをもって自みずから飾かざるけれども、心こころのうちには偽いつわりをいだく。26:25 彼かれが声こえをやわらげて語かたっても、信しんじてはならない。その心こころに七つの憎にくむべきものがあるからだ。26:26 たとい偽いつわりをもってその憎にくしみをかくしても、彼かれの悪あくは会衆かいしゅうの中なかに現あらわれる。26:27 穴あなを掘ほる者ものは自みずからその中なかに陥おちいる、石いしをまろばしあげる者ものの上うえに、その石いしはまろびかえる。26:28 偽いつわりの舌したは自分じぶんが傷きずつけた者ものを憎にくみ、へつらう口くちは滅ほろびをきたらせる。 第27章 27:1 あすのことを誇ほこってはならない、一日にちのうちに何なにがおこるかを知しることができないからだ。27:2 自分じぶんの口くちをもって自みずからをほめることなく、他人たにんにほめさせよ。自分じぶんのくちびるをもってせず、ほかの人ひとにあなたをほめさせよ。27:3 石いしは重おもく、砂すなも軽かるくはない、しかし愚おろかな者ものの怒いかりはこの二つよりも重おもい。27:4 憤いきどおりはむごく、怒いかりははげしい、しかしねたみの前まえには、だれが立たちえよう。27:5 あからさまに戒いましめるのは、ひそかに愛あいするのにまさる。27:6 愛あいする者ものが傷きずつけるのは、まことからであり、あだの口くちづけするのは偽いつわりからである。27:7 飽あいている者ものは蜂蜜はちみつをも踏ふみつける、しかし飢うえた者ものには苦にがい物ものでさえ、みな甘あまい。27:8 その家いえを離はなれてさまよう人ひとは、巣すを離はなれてさまよう鳥とりのようだ。27:9 油あぶらと香こうとは人ひとの心こころを喜よろこばせる、しかし魂たましいは悩なやみによって裂さかれる。27:10 あなたの友とも、あなたの父ちちの友ともを捨すてるな、あなたが悩なやみにあう日ひには兄弟きょうだいの家いえに行いくな、近ちかい隣となり人びとは遠とおくにいる兄弟きょうだいにまさる。27:11 わが子こよ、知恵ちえを得えて、わたしの心こころを喜よろこばせよ、そうすればわたしをそしる者ものに答こたえることができる。27:12 賢かしこい者ものは災わざわいを見みて自みずから避さけ、思慮しりょのない者ものは進すすんでいって、罰ばつをうける。27:13 人ひとのために保証ほしょうする者ものからは、まずその着物きものをとれ、他人たにんのために保証ほしょうをする者ものをば抵当ていとうに取とれ。27:14 朝あさはやく起おきて大声おおごえにその隣となり人びとを祝しゅくすれば、かえってのろいと見みなされよう。27:15 雨あめの降ふる日ひに雨漏あまもりの絶たえないのと、争あらそい好すきな女おんなとは同おなじだ。27:16 この女おんなを制せいするのは風かぜを制せいするのとおなじく、右みぎの手てに油あぶらをつかむのとおなじだ。27:17 鉄てつは鉄てつをとぐ、そのように人ひとはその友ともの顔かおをとぐ。27:18 いちじくの木きを守まもる者ものはその実みを食たべる、主人しゅじんを尊たっとぶ者ものは誉ほまれを得える。27:19 水みずにうつせば顔かおと顔かおとが応おうじるように、人ひとの心こころはその人ひとをうつす。27:20 陰府よみと滅ほろびとは飽あくことなく、人ひとの目めもまた飽あくことがない。27:21 るつぼによって銀ぎんをためし、炉ろによって金きんをためす、人ひとはその称賛しょうさんによってためされる。27:22 愚おろかな者ものをうすに入いれ、きねをもって、麦むぎと共ともにこれをついても、その愚おろかさは去さることがない。 27:23 あなたの羊ひつじの状態じょうたいをよく知しり、あなたの群むれに心こころをとめよ。27:24 富とみはいつまでも続つづくものではない、どうして位くらいが末代まつだいまでも保たもつであろうか。27:25 草くさが刈かり取とられ、新あたらしい芽めがのび、山やまの牧草ぼくそうも集あつめられると、27:26 小羊こひつじはあなたの衣料いりょうを出だし、やぎは畑はたけを買かう価あたいとなり、27:27 やぎの乳ちちは多おおくて、あなたと、あなたの家いえのものの食物しょくもつとなり、おとめらを養やしなうのにじゅうぶんである。 第28章 28:1 悪あしき者ものは追おう人ひともないのに逃にげる、正ただしい人ひとはししのように勇いさましい。28:2 国くにの罪つみによって、治おさめる者ものは多おおくなり、さとく、また知識ちしきある人ひとによって、国くにはながく保たもつ。28:3 貧まずしい者ものをしえたげる貧まずしい人ひとは、糧食りょうしょくを残のこさない激はげしい雨あめのようだ。28:4 律法りっぽうを捨すてる者ものは悪あしき者ものをほめる、律法りっぽうを守まもる者ものはこれに敵対てきたいする。28:5 悪人あくにんは正ただしいことを悟さとらない、主しゅを求もとめる者ものはこれをことごとく悟さとる。28:6 正ただしく歩あゆむ貧まずしい者ものは、曲まがった道みちを歩あゆむ富とめる者ものにまさる。28:7 律法りっぽうを守まもる者ものは賢かしこい子こである、不品行ふひんこうな者ものと交まじわるものは、父ちちをはずかしめる。28:8 利息りそくと高利こうりとによってその富とみをます者ものは、貧まずしい者ものを恵めぐむ者もののために、それをたくわえる。28:9 耳みみをそむけて律法りっぽうを聞きかない者ものは、その祈いのりでさえも憎にくまれる。28:10 正ただしい者ものを悪わるい道みちに惑まどわす者ものは、みずから自分じぶんの穴あなに陥おちいる、しかし誠実せいじつな人ひとは幸福こうふくを継つぐ。28:11 富とめる人ひとは自分じぶんの目めに自みずからを知恵ちえある者ものと見みる、しかし悟さとりのある貧まずしい者ものは彼かれを見みやぶる。28:12 正ただしい者ものが勝かつときは、大おおいなる栄さかえがある、悪あしき者ものが起おこるときは、民たみは身みをかくす。28:13 その罪つみを隠かくす者ものは栄さかえることがない、言いい表あらわしてこれを離はなれる者ものは、あわれみをうける。28:14 常つねに主しゅを恐おそれる人ひとはさいわいである、心こころをかたくなにする者ものは災わざわいに陥おちいる。28:15 貧まずしい民たみを治おさめる悪わるいつかさは、ほえるしし、または飢うえたくまのようだ。28:16 悟さとりのないつかさは残忍ざんにんな圧制者あっせいしゃである、不正ふせいの利りを憎にくむ者ものは長命ちょうめいを得える。28:17 人ひとを殺ころしてその血ちを身みに負おう者ものは死しぬまで、のがれびとである、だれもこれを助たすけてはならない。28:18 正ただしく歩あゆむ者ものは救すくいを得え、曲まがった道みちに歩あゆむ者ものは穴あなに陥おちいる。28:19 自分じぶんの田地でんちを耕たがやす者ものは食糧しょくりょうに飽あき、無益むえきな事ことに従したがう者ものは貧乏びんぼうに飽あきる。28:20 忠実ちゅうじつな人ひとは多おおくの祝福しゅくふくを得える、急いそいで富とみを得えようとする者ものは罰ばつを免まぬかれない。28:21 人ひとを片寄かたより見みることは良よくない、人ひとは一いち切きれのパンのために、とがを犯おかすことがある。28:22 欲よくの深ふかい人ひとは急いそいで富とみを得えようとする、かえって欠乏けつぼうが自分じぶんの所ところに来くることを知しらない。28:23 人ひとを戒いましめる者ものは舌したをもってへつらう者ものよりも、大おおいなる感謝かんしゃをうける。28:24 父ちちや母ははの物ものを盗ぬすんで「これは罪つみではない」と言いう者ものは、滅ほろぼす者ものの友ともである。28:25 むさぼる者ものは争あらそいを起おこし、主しゅに信頼しんらいする者ものは豊ゆたかになる。28:26 自分じぶんの心こころを頼たのむ者ものは愚おろかである、知恵ちえをもって歩あゆむ者ものは救すくいを得える。28:27 貧まずしい者ものに施ほどこす者ものは物ものに不足ふそくしない、目めをおおって見みない人ひとは多おおくののろいをうける。28:28 悪あしき者ものが起おこるときは、民たみは身みをかくす、その滅ほろびるときは、正ただしい人ひとが増ます。 第29章 29:1 しばしばしかられても、なおかたくなな者ものは、たちまち打うち敗やぶられて助たすかることはない。29:2 正ただしい者ものが権力けんりょくを得えれば民たみは喜よろこび、悪あしき者ものが治おさめるとき、民たみはうめき苦くるしむ。29:3 知恵ちえを愛あいする人ひとはその父ちちを喜よろこばせ、遊女ゆうじょに交まじわる者ものはその資産しさんを浪費ろうひする。29:4 王おうは公儀こうぎをもって国くにを堅かたくする、しかし、重税じゅうぜいを取とり立たてる者ものはこれを滅ほろぼす。29:5 その隣となり人びとにへつらう者ものは、彼かれの足あしの前まえに網あみを張はる。29:6 悪人あくにんは自分じぶんの罪つみのわなに陥おちいる、しかし正ただしい人ひとは喜よろこび楽たのしむ。29:7 正ただしい人ひとは貧まずしい者ものの訴うったえをかえりみる、悪あしき人ひとはそれを知しろうとはしない。29:8 あざける人ひとは町まちを乱みだし、知恵ちえある者ものは怒いかりを静しずめる。29:9 知恵ちえある人ひとが愚おろかな人ひとと争あらそうと、愚おろかな者ものはただ怒いかり、あるいは笑わらって、休やすむことがない。29:10 血ちに飢うえている人ひとは罪つみのない者ものを憎にくむ、悪あしき者ものは彼かれの命いのちを求もとめる。29:11 愚おろかな者ものは怒いかりをことごとく表あらわし、知恵ちえある者ものは静しずかにこれをおさえる。29:12 もし治おさめる者ものが偽いつわりの言葉ことばに聞きくならば、その役人やくにんらはみな悪わるくなる。29:13 貧まずしい者ものと、しえたげる者ものとは共ともに世よにおる、主しゅは彼かれら両者りょうしゃの目めに光ひかりを与あたえられる。29:14 もし王おうが貧まずしい者ものを公平こうへいにさばくならば、その位くらいはいつまでも堅かたく立たつ。29:15 むちと戒いましめとは知恵ちえを与あたえる、わがままにさせた子こはその母ははに恥はじをもたらす。29:16 悪あしき者ものが権力けんりょくを得えると罪つみも増ます、正ただしい者ものは彼かれらの倒たおれるのを見みる。29:17 あなたの子こを懲こらしめよ、そうすれば彼かれはあなたを安やすらかにし、またあなたの心こころに喜よろこびを与あたえる。29:18 預言よげんがなければ民たみはわがままにふるまう、しかし律法りっぽうを守まもる者ものはさいわいである。29:19 しもべは言葉ことばだけで訓練くんれんすることはできない、彼かれは聞きいて知しっても、心こころにとめないからである。29:20 言葉ことばの軽率けいそつな人ひとを見みるか、彼かれよりもかえって愚おろかな者もののほうに望のぞみがある。29:21 しもべをその幼おさない時ときからわがままに育そだてる人ひとは、ついにはそれを自分じぶんのあとつぎにする。29:22 怒いかる人ひとは争あらそいを起おこし、憤いきどおる人ひとは多おおくの罪つみを犯おかす。29:23 人ひとの高たかぶりはその人ひとを低ひくくし、心こころにへりくだる者ものは誉ほまれを得える。29:24 盗ぬすびとにくみする者ものは自分じぶんの魂たましいを憎にくむ、彼かれはのろいを聞きいても何事なにごとをも口外こうがいしない。29:25 人ひとを恐おそれると、わなに陥おちいる、主しゅに信頼しんらいする者ものは安やすらかである。29:26 治おさめる者ものの歓心かんしんを得えようとする人ひとは多おおい、しかし人ひとの事ことを定さだめるのは主しゅによる。29:27 正ただしい人ひとは不正ふせいを行おこなう人ひとを憎にくみ、悪あしき者ものは正ただしく歩あゆむ人ひとを憎にくむ。 第30章 30:1 マッサの人ひとヤケの子こアグルの言葉ことば。その人ひとはイテエルに向むかって言いった、すなわちイテエルと、ウカルとに向むかって言いった、30:2 わたしは確たしかに人ひとよりも愚おろかであり、わたしには人ひとの悟さとりがない。30:3 わたしはまだ知恵ちえをならうことができず、また、聖せいなる者ものを悟さとることもできない。30:4 天てんにのぼったり、下くだったりしたのはだれか、風かぜをこぶしの中なかに集あつめたのはだれか、水みずを着物きものに包つつんだのはだれか、地ちのすべての限界げんかいを定さだめた者ものはだれか、その名なは何なにか、その子この名なは何なにか、あなたは確たしかにそれを知しっている。 30:5 神かみの言葉ことばはみな真実しんじつである、神かみは彼かれに寄より頼たのむ者ものの盾たてである。30:6 その言葉ことばに付つけ加くわえてはならない、彼かれがあなたを責せめ、あなたを偽いつわり者ものとされないためだ。 30:7 わたしは二つのことをあなたに求もとめます、わたしの死しなないうちに、これをかなえてください。30:8 うそ、偽いつわりをわたしから遠とおざけ、貧まずしくもなく、また富とみもせず、ただなくてならぬ食物しょくもつでわたしを養やしなってください。30:9 飽あき足たりて、あなたを知しらないといい、「主しゅとはだれか」と言いうことのないため、また貧まずしくて盗ぬすみをし、わたしの神かみの名なを汚よごすことのないためです。 30:10 あなたは、しもべのことをその主人しゅじんに、あしざまにいってはならない、そうでないと彼かれはあなたをのろい、あなたは罪つみをきせられる。 30:11 世よには父ちちをのろったり、母ははを祝福しゅくふくしない者ものがある。30:12 世よには自分じぶんの目めにみずからを清きよい者ものとして、なおその汚けがれを洗あらわれないものがある。30:13 世よにはまた、このような人ひとがある――ああ、その目めのいかに高たかきことよ、またそのまぶたのいかにつりあがっていることよ。30:14 世よにはまたつるぎのような歯はをもち、刀かたなのようなきばをもって、貧まずしい者ものを地ちの上うえから、乏とぼしい者ものを人ひとの中なかから食くい滅ほろぼすものがある。 30:15 蛭ひるにふたりの娘むすめがあって、「与あたえよ、与あたえよ」という。飽あくことを知しらないものが三つある、いや、四つあって、皆みな「もう、たくさんです」と言いわない。30:16 すなわち陰府よみ、不妊ふにんの胎たい、水みずにかわく地ち、「もう、たくさんだ」といわない火ひがそれである。30:17 自分じぶんの父ちちをあざけり、母ははに従したがうのを卑いやしいこととする目めは、谷たにのからすがこれをつつき出だし、はげたかがこれを食たべる。 30:18 わたしにとって不思議ふしぎにたえないことが三つある、いや、四つあって、わたしには悟さとることができない。30:19 すなわち空そらを飛とぶはげたかの道みち、岩いわの上うえを這はうへびの道みち、海うみをはしる舟ふねの道みち、男おとこの女おんなにあう道みちがそれである。30:20 遊女ゆうじょの道みちもまたそうだ、彼女かのじょは食たべて、その口くちをぬぐって、「わたしは何なにもわるいことはしない」と言いう。 30:21 地ちは三つのことによって震ふるう、いや、四つのことによって、耐たえることができない。30:22 すなわち奴隷どれいたる者ものが王おうとなり、愚おろかな者ものが食物しょくもつに飽あき、30:23 忌いみきらわれた女おんなが嫁よめに行いき、はしためが女おんな主人しゅじんのあとにすわることである。 30:24 この地上ちじょうに、小ちいさいけれども、非常ひじょうに賢かしこいものが四つある。30:25 ありは力ちからのない種類しゅるいだが、その食糧しょくりょうを夏なつのうちに備そなえる。30:26 岩いわだぬきは強つよくない種類しゅるいだが、その家いえを岩いわにつくる。30:27 いなごは王おうがないけれども、みな隊たいを組くんでいで立たつ。30:28 やもりは手てでつかまえられるが、王おうの宮殿きゅうでんにおる。 30:29 歩あるきぶりの堂々どうどうたる者ものが三つある、いや、四つあって、みな堂々どうどうと歩あるく。30:30 すなわち獣けもののうちでもっとも強つよく、何なにものの前まえにも退しりぞかない、しし、30:31 尾おを立たてて歩あるくおんどり、雄おやぎ、その民たみの前まえをいばって歩あるく王おうがそれである。 30:32 あなたがもし愚おろかであって自みずから高たかぶり、あるいは悪事あくじを計はかったならば、あなたの手てを口くちに当あてるがよい。30:33 乳ちちをしめれば凝乳ぎょうにゅうが出でる、鼻はなをしめれば血ちがでる、怒いかりをしめれば争あらそいが起おこる。 第31章 31:1 マッサの王おうレムエルの言葉ことば、すなわちその母ははが彼かれに教おしえたものである。31:2 わが子こよ、何なにを言いおうか。わが胎たいの子こよ、何なにを言いおうか。わたしが願がんをかけて得えた子こよ、何なにをいおうか。31:3 あなたの力ちからを女おんなについやすな、王おうをも滅ほろぼすものに、あなたの道みちを任まかせるな。31:4 レムエルよ、酒さけを飲のむのは、王おうのすることではない、王おうのすることではない、濃こい酒さけを求もとめるのは君きみたる者もののすることではない。31:5 彼かれらは酒さけを飲のんで、おきてを忘わすれ、すべて悩なやむ者もののさばきを曲まげる。31:6 濃こい酒さけを滅ほろびようとしている者ものに与あたえ、酒さけを心こころの苦くるしむ人ひとに与あたえよ。31:7 彼かれらは飲のんで自分じぶんの貧乏びんぼうを忘わすれ、その悩なやみをもはや思おもい出ださない。31:8 あなたは黙だまっている人ひとのために、すべてのみなしごの訴うったえのために、口くちを開ひらくがよい。31:9 口くちを開ひらいて、正ただしいさばきを行おこない、貧まずしい者ものと乏とぼしい者ものの訴うったえをただせ。 31:10 だれが賢かしこい妻つまを見みつけることができるか、彼女かのじょは宝石ほうせきよりもすぐれて尊たっとい。31:11 その夫おっとの心こころは彼女かのじょを信頼しんらいして、収益しゅうえきに欠かけることはない。31:12 彼女かのじょは生いきながらえている間あいだ、その夫おっとのために良よいことをして、悪わるいことをしない。31:13 彼女かのじょは羊ひつじの毛けや亜麻あまを求もとめて、手てずから望のぞみのように、それを仕上しあげる。31:14 また商人しょうにんの舟ふねのように、遠とおい国くにから食糧しょくりょうを運はこんでくる。31:15 彼女かのじょはまだ夜よるのあけぬうちに起おきて、その家いえの者ものの食たべ物ものを備そなえ、その女おんなたちに日用にちようの分ぶんを与あたえる。31:16 彼女かのじょは畑はたけをよく考かんがえてそれを買かい、その手ての働はたらきの実みをもって、ぶどう畑ばたけをつくり、31:17 力ちからをもって腰こしに帯おびし、その腕うでを強つよくする。31:18 彼女かのじょはその商品しょうひんのもうけのあるのを知しっている、そのともしびは終夜しゅうや消きえることがない。31:19 彼女かのじょは手てを糸取いととり棒ぼうにのべ、その手てに、つむを持もち、31:20 手てを貧まずしい者ものに開ひらき、乏とぼしい人ひとに手てをさしのべる。31:21 彼女かのじょはその家いえの者もののために雪ゆきを恐おそれない、その家いえの者ものはみな紅くれないの着物きものを着きているからである。31:22 彼女かのじょは自分じぶんのために美うつくしいしとねを作つくり、亜麻あま布ぬのと紫むらさき布ぬのとをもってその着物きものとする。31:23 その夫おっとはその地ちの長老ちょうろうたちと共ともに、町まちの門もんに座ざするので、人ひとに知しられている。31:24 彼女かのじょは亜麻あま布ぬのの着物きものをつくって、それを売うり、帯おびをつくって商人しょうにんに渡わたす。31:25 力ちからと気品きひんとは彼女かのじょの着物きものである、そして後のちの日ひを笑わらっている。31:26 彼女かのじょは口くちを開ひらいて知恵ちえを語かたる、その舌したにはいつくしみの教おしえがある。31:27 彼女かのじょは家いえの事ことをよくかえりみ、怠おこたりのかてを食たべることをしない。31:28 その子こらは立たち上あがって彼女かのじょを祝しゅくし、その夫おっともまた彼女かのじょをほめたたえて言いう、31:29 「りっぱに事ことをなし遂とげる女おんなは多おおいけれども、あなたはそのすべてにまさっている」と。31:30 あでやかさは偽いつわりであり、美うつくしさはつかのまである、しかし主しゅを恐おそれる女おんなはほめたたえられる。31:31 その手ての働はたらきの実みを彼女かのじょに与あたえ、その行おこないのために彼女かのじょを町まちの門もんでほめたたえよ。
26:1 誉ほまれが愚おろかな者ものにふさわしくないのは、夏なつに雪ゆきが降ふり、刈入かりいれの時ときに雨あめが降ふるようなものだ。
26:2 いわれのないのろいは、飛とびまわるすずめや、飛とびかけるつばめのようなもので、止とまらない。
26:3 馬うまのためにはむちがあり、ろばのためにはくつわがあり、愚おろかな者ものの背せのためにはつえがある。
26:4 愚おろかな者ものにその愚おろかさにしたがって答こたえをするな、自分じぶんも彼かれと同おなじようにならないためだ。
26:5 愚おろかな者ものにその愚おろかさにしたがって答こたえをせよ、彼かれが自分じぶんの目めに自みずからを知恵ちえある者ものと見みないためだ。
26:6 愚おろかな者ものに託たくして事ことを言いい送おくる者ものは、自分じぶんの足あしを切きり去さり、身みに害がいをうける。
26:7 あしなえの足あしは用ようがない、愚おろかな者ものの口くちには箴言しんげんもそれにひとしい。
26:8 誉ほまれを愚おろかな者ものに与あたえるのは、石いしを石いし投なげにつなぐようだ。
26:9 愚おろかな者ものの口くちに箴言しんげんがあるのは、酔よった者ものが、とげのあるつえを手てで振ふり上あげるようだ。
26:10 通とおりがかりの愚おろか者ものや、酔よった者ものを雇やとう者ものは、すべての人ひとを傷きずつける射手いてのようだ。
26:11 犬いぬが帰かえって来きてその吐はいた物ものを食たべるように、愚おろかな者ものはその愚おろかさをくり返かえす。
26:12 自分じぶんの目めに自みずからを知恵ちえある者ものとする人ひとを、あなたは見みるか、彼かれよりもかえって愚おろかな人ひとに望のぞみがある。
26:13 なまけ者ものは、「道みちにししがいる、ちまたにししがいる」という。
26:14 戸とがちょうつがいによって回まわるように、なまけ者ものはその寝床ねどこで寝返ねがえりをする。
26:15 なまけ者ものは手てを皿さらに入いれても、それを口くちに持もってゆくことをいとう。
26:16 なまけ者ものは自分じぶんの目めに、良よく答こたえることのできる七人にんの者ものよりも、自みずからを知恵ちえありとする。
26:17 自分じぶんに関係かんけいのない争あらそいにたずさわる者ものは、通とおりすぎる犬いぬの耳みみをとらえる者もののようだ。
26:18 26:19 隣となり人びとを欺あざむいて、「わたしはただ戯たわむれにした」という者ものは、燃もえ木ぎまたは矢や、または死しを、投なげつける気違きちがいのようだ。
26:20 たきぎがなければ火ひは消きえ、人ひとのよしあしを言いう者ものがなければ争あらそいはやむ。
26:21 おき火ひに炭すみをつぎ、火ひにたきぎをくべるように、争あらそいを好このむ人ひとは争あらそいの火ひをおこす。
26:22 人ひとのよしあしをいう者ものの言葉ことばはおいしい食物しょくもつのようで、腹はらの奥おくにしみこむ。
26:23 くちびるはなめらかであっても、心こころの悪わるいのは上うえぐすりをかけた土つちの器うつわのようだ。
26:24 憎にくむ者ものはくちびるをもって自みずから飾かざるけれども、心こころのうちには偽いつわりをいだく。
26:25 彼かれが声こえをやわらげて語かたっても、信しんじてはならない。その心こころに七つの憎にくむべきものがあるからだ。
26:26 たとい偽いつわりをもってその憎にくしみをかくしても、彼かれの悪あくは会衆かいしゅうの中なかに現あらわれる。
26:27 穴あなを掘ほる者ものは自みずからその中なかに陥おちいる、石いしをまろばしあげる者ものの上うえに、その石いしはまろびかえる。
26:28 偽いつわりの舌したは自分じぶんが傷きずつけた者ものを憎にくみ、へつらう口くちは滅ほろびをきたらせる。
第27章 27:1 あすのことを誇ほこってはならない、一日にちのうちに何なにがおこるかを知しることができないからだ。27:2 自分じぶんの口くちをもって自みずからをほめることなく、他人たにんにほめさせよ。自分じぶんのくちびるをもってせず、ほかの人ひとにあなたをほめさせよ。27:3 石いしは重おもく、砂すなも軽かるくはない、しかし愚おろかな者ものの怒いかりはこの二つよりも重おもい。27:4 憤いきどおりはむごく、怒いかりははげしい、しかしねたみの前まえには、だれが立たちえよう。27:5 あからさまに戒いましめるのは、ひそかに愛あいするのにまさる。27:6 愛あいする者ものが傷きずつけるのは、まことからであり、あだの口くちづけするのは偽いつわりからである。27:7 飽あいている者ものは蜂蜜はちみつをも踏ふみつける、しかし飢うえた者ものには苦にがい物ものでさえ、みな甘あまい。27:8 その家いえを離はなれてさまよう人ひとは、巣すを離はなれてさまよう鳥とりのようだ。27:9 油あぶらと香こうとは人ひとの心こころを喜よろこばせる、しかし魂たましいは悩なやみによって裂さかれる。27:10 あなたの友とも、あなたの父ちちの友ともを捨すてるな、あなたが悩なやみにあう日ひには兄弟きょうだいの家いえに行いくな、近ちかい隣となり人びとは遠とおくにいる兄弟きょうだいにまさる。27:11 わが子こよ、知恵ちえを得えて、わたしの心こころを喜よろこばせよ、そうすればわたしをそしる者ものに答こたえることができる。27:12 賢かしこい者ものは災わざわいを見みて自みずから避さけ、思慮しりょのない者ものは進すすんでいって、罰ばつをうける。27:13 人ひとのために保証ほしょうする者ものからは、まずその着物きものをとれ、他人たにんのために保証ほしょうをする者ものをば抵当ていとうに取とれ。27:14 朝あさはやく起おきて大声おおごえにその隣となり人びとを祝しゅくすれば、かえってのろいと見みなされよう。27:15 雨あめの降ふる日ひに雨漏あまもりの絶たえないのと、争あらそい好すきな女おんなとは同おなじだ。27:16 この女おんなを制せいするのは風かぜを制せいするのとおなじく、右みぎの手てに油あぶらをつかむのとおなじだ。27:17 鉄てつは鉄てつをとぐ、そのように人ひとはその友ともの顔かおをとぐ。27:18 いちじくの木きを守まもる者ものはその実みを食たべる、主人しゅじんを尊たっとぶ者ものは誉ほまれを得える。27:19 水みずにうつせば顔かおと顔かおとが応おうじるように、人ひとの心こころはその人ひとをうつす。27:20 陰府よみと滅ほろびとは飽あくことなく、人ひとの目めもまた飽あくことがない。27:21 るつぼによって銀ぎんをためし、炉ろによって金きんをためす、人ひとはその称賛しょうさんによってためされる。27:22 愚おろかな者ものをうすに入いれ、きねをもって、麦むぎと共ともにこれをついても、その愚おろかさは去さることがない。 27:23 あなたの羊ひつじの状態じょうたいをよく知しり、あなたの群むれに心こころをとめよ。27:24 富とみはいつまでも続つづくものではない、どうして位くらいが末代まつだいまでも保たもつであろうか。27:25 草くさが刈かり取とられ、新あたらしい芽めがのび、山やまの牧草ぼくそうも集あつめられると、27:26 小羊こひつじはあなたの衣料いりょうを出だし、やぎは畑はたけを買かう価あたいとなり、27:27 やぎの乳ちちは多おおくて、あなたと、あなたの家いえのものの食物しょくもつとなり、おとめらを養やしなうのにじゅうぶんである。 第28章 28:1 悪あしき者ものは追おう人ひともないのに逃にげる、正ただしい人ひとはししのように勇いさましい。28:2 国くにの罪つみによって、治おさめる者ものは多おおくなり、さとく、また知識ちしきある人ひとによって、国くにはながく保たもつ。28:3 貧まずしい者ものをしえたげる貧まずしい人ひとは、糧食りょうしょくを残のこさない激はげしい雨あめのようだ。28:4 律法りっぽうを捨すてる者ものは悪あしき者ものをほめる、律法りっぽうを守まもる者ものはこれに敵対てきたいする。28:5 悪人あくにんは正ただしいことを悟さとらない、主しゅを求もとめる者ものはこれをことごとく悟さとる。28:6 正ただしく歩あゆむ貧まずしい者ものは、曲まがった道みちを歩あゆむ富とめる者ものにまさる。28:7 律法りっぽうを守まもる者ものは賢かしこい子こである、不品行ふひんこうな者ものと交まじわるものは、父ちちをはずかしめる。28:8 利息りそくと高利こうりとによってその富とみをます者ものは、貧まずしい者ものを恵めぐむ者もののために、それをたくわえる。28:9 耳みみをそむけて律法りっぽうを聞きかない者ものは、その祈いのりでさえも憎にくまれる。28:10 正ただしい者ものを悪わるい道みちに惑まどわす者ものは、みずから自分じぶんの穴あなに陥おちいる、しかし誠実せいじつな人ひとは幸福こうふくを継つぐ。28:11 富とめる人ひとは自分じぶんの目めに自みずからを知恵ちえある者ものと見みる、しかし悟さとりのある貧まずしい者ものは彼かれを見みやぶる。28:12 正ただしい者ものが勝かつときは、大おおいなる栄さかえがある、悪あしき者ものが起おこるときは、民たみは身みをかくす。28:13 その罪つみを隠かくす者ものは栄さかえることがない、言いい表あらわしてこれを離はなれる者ものは、あわれみをうける。28:14 常つねに主しゅを恐おそれる人ひとはさいわいである、心こころをかたくなにする者ものは災わざわいに陥おちいる。28:15 貧まずしい民たみを治おさめる悪わるいつかさは、ほえるしし、または飢うえたくまのようだ。28:16 悟さとりのないつかさは残忍ざんにんな圧制者あっせいしゃである、不正ふせいの利りを憎にくむ者ものは長命ちょうめいを得える。28:17 人ひとを殺ころしてその血ちを身みに負おう者ものは死しぬまで、のがれびとである、だれもこれを助たすけてはならない。28:18 正ただしく歩あゆむ者ものは救すくいを得え、曲まがった道みちに歩あゆむ者ものは穴あなに陥おちいる。28:19 自分じぶんの田地でんちを耕たがやす者ものは食糧しょくりょうに飽あき、無益むえきな事ことに従したがう者ものは貧乏びんぼうに飽あきる。28:20 忠実ちゅうじつな人ひとは多おおくの祝福しゅくふくを得える、急いそいで富とみを得えようとする者ものは罰ばつを免まぬかれない。28:21 人ひとを片寄かたより見みることは良よくない、人ひとは一いち切きれのパンのために、とがを犯おかすことがある。28:22 欲よくの深ふかい人ひとは急いそいで富とみを得えようとする、かえって欠乏けつぼうが自分じぶんの所ところに来くることを知しらない。28:23 人ひとを戒いましめる者ものは舌したをもってへつらう者ものよりも、大おおいなる感謝かんしゃをうける。28:24 父ちちや母ははの物ものを盗ぬすんで「これは罪つみではない」と言いう者ものは、滅ほろぼす者ものの友ともである。28:25 むさぼる者ものは争あらそいを起おこし、主しゅに信頼しんらいする者ものは豊ゆたかになる。28:26 自分じぶんの心こころを頼たのむ者ものは愚おろかである、知恵ちえをもって歩あゆむ者ものは救すくいを得える。28:27 貧まずしい者ものに施ほどこす者ものは物ものに不足ふそくしない、目めをおおって見みない人ひとは多おおくののろいをうける。28:28 悪あしき者ものが起おこるときは、民たみは身みをかくす、その滅ほろびるときは、正ただしい人ひとが増ます。 第29章 29:1 しばしばしかられても、なおかたくなな者ものは、たちまち打うち敗やぶられて助たすかることはない。29:2 正ただしい者ものが権力けんりょくを得えれば民たみは喜よろこび、悪あしき者ものが治おさめるとき、民たみはうめき苦くるしむ。29:3 知恵ちえを愛あいする人ひとはその父ちちを喜よろこばせ、遊女ゆうじょに交まじわる者ものはその資産しさんを浪費ろうひする。29:4 王おうは公儀こうぎをもって国くにを堅かたくする、しかし、重税じゅうぜいを取とり立たてる者ものはこれを滅ほろぼす。29:5 その隣となり人びとにへつらう者ものは、彼かれの足あしの前まえに網あみを張はる。29:6 悪人あくにんは自分じぶんの罪つみのわなに陥おちいる、しかし正ただしい人ひとは喜よろこび楽たのしむ。29:7 正ただしい人ひとは貧まずしい者ものの訴うったえをかえりみる、悪あしき人ひとはそれを知しろうとはしない。29:8 あざける人ひとは町まちを乱みだし、知恵ちえある者ものは怒いかりを静しずめる。29:9 知恵ちえある人ひとが愚おろかな人ひとと争あらそうと、愚おろかな者ものはただ怒いかり、あるいは笑わらって、休やすむことがない。29:10 血ちに飢うえている人ひとは罪つみのない者ものを憎にくむ、悪あしき者ものは彼かれの命いのちを求もとめる。29:11 愚おろかな者ものは怒いかりをことごとく表あらわし、知恵ちえある者ものは静しずかにこれをおさえる。29:12 もし治おさめる者ものが偽いつわりの言葉ことばに聞きくならば、その役人やくにんらはみな悪わるくなる。29:13 貧まずしい者ものと、しえたげる者ものとは共ともに世よにおる、主しゅは彼かれら両者りょうしゃの目めに光ひかりを与あたえられる。29:14 もし王おうが貧まずしい者ものを公平こうへいにさばくならば、その位くらいはいつまでも堅かたく立たつ。29:15 むちと戒いましめとは知恵ちえを与あたえる、わがままにさせた子こはその母ははに恥はじをもたらす。29:16 悪あしき者ものが権力けんりょくを得えると罪つみも増ます、正ただしい者ものは彼かれらの倒たおれるのを見みる。29:17 あなたの子こを懲こらしめよ、そうすれば彼かれはあなたを安やすらかにし、またあなたの心こころに喜よろこびを与あたえる。29:18 預言よげんがなければ民たみはわがままにふるまう、しかし律法りっぽうを守まもる者ものはさいわいである。29:19 しもべは言葉ことばだけで訓練くんれんすることはできない、彼かれは聞きいて知しっても、心こころにとめないからである。29:20 言葉ことばの軽率けいそつな人ひとを見みるか、彼かれよりもかえって愚おろかな者もののほうに望のぞみがある。29:21 しもべをその幼おさない時ときからわがままに育そだてる人ひとは、ついにはそれを自分じぶんのあとつぎにする。29:22 怒いかる人ひとは争あらそいを起おこし、憤いきどおる人ひとは多おおくの罪つみを犯おかす。29:23 人ひとの高たかぶりはその人ひとを低ひくくし、心こころにへりくだる者ものは誉ほまれを得える。29:24 盗ぬすびとにくみする者ものは自分じぶんの魂たましいを憎にくむ、彼かれはのろいを聞きいても何事なにごとをも口外こうがいしない。29:25 人ひとを恐おそれると、わなに陥おちいる、主しゅに信頼しんらいする者ものは安やすらかである。29:26 治おさめる者ものの歓心かんしんを得えようとする人ひとは多おおい、しかし人ひとの事ことを定さだめるのは主しゅによる。29:27 正ただしい人ひとは不正ふせいを行おこなう人ひとを憎にくみ、悪あしき者ものは正ただしく歩あゆむ人ひとを憎にくむ。 第30章 30:1 マッサの人ひとヤケの子こアグルの言葉ことば。その人ひとはイテエルに向むかって言いった、すなわちイテエルと、ウカルとに向むかって言いった、30:2 わたしは確たしかに人ひとよりも愚おろかであり、わたしには人ひとの悟さとりがない。30:3 わたしはまだ知恵ちえをならうことができず、また、聖せいなる者ものを悟さとることもできない。30:4 天てんにのぼったり、下くだったりしたのはだれか、風かぜをこぶしの中なかに集あつめたのはだれか、水みずを着物きものに包つつんだのはだれか、地ちのすべての限界げんかいを定さだめた者ものはだれか、その名なは何なにか、その子この名なは何なにか、あなたは確たしかにそれを知しっている。 30:5 神かみの言葉ことばはみな真実しんじつである、神かみは彼かれに寄より頼たのむ者ものの盾たてである。30:6 その言葉ことばに付つけ加くわえてはならない、彼かれがあなたを責せめ、あなたを偽いつわり者ものとされないためだ。 30:7 わたしは二つのことをあなたに求もとめます、わたしの死しなないうちに、これをかなえてください。30:8 うそ、偽いつわりをわたしから遠とおざけ、貧まずしくもなく、また富とみもせず、ただなくてならぬ食物しょくもつでわたしを養やしなってください。30:9 飽あき足たりて、あなたを知しらないといい、「主しゅとはだれか」と言いうことのないため、また貧まずしくて盗ぬすみをし、わたしの神かみの名なを汚よごすことのないためです。 30:10 あなたは、しもべのことをその主人しゅじんに、あしざまにいってはならない、そうでないと彼かれはあなたをのろい、あなたは罪つみをきせられる。 30:11 世よには父ちちをのろったり、母ははを祝福しゅくふくしない者ものがある。30:12 世よには自分じぶんの目めにみずからを清きよい者ものとして、なおその汚けがれを洗あらわれないものがある。30:13 世よにはまた、このような人ひとがある――ああ、その目めのいかに高たかきことよ、またそのまぶたのいかにつりあがっていることよ。30:14 世よにはまたつるぎのような歯はをもち、刀かたなのようなきばをもって、貧まずしい者ものを地ちの上うえから、乏とぼしい者ものを人ひとの中なかから食くい滅ほろぼすものがある。 30:15 蛭ひるにふたりの娘むすめがあって、「与あたえよ、与あたえよ」という。飽あくことを知しらないものが三つある、いや、四つあって、皆みな「もう、たくさんです」と言いわない。30:16 すなわち陰府よみ、不妊ふにんの胎たい、水みずにかわく地ち、「もう、たくさんだ」といわない火ひがそれである。30:17 自分じぶんの父ちちをあざけり、母ははに従したがうのを卑いやしいこととする目めは、谷たにのからすがこれをつつき出だし、はげたかがこれを食たべる。 30:18 わたしにとって不思議ふしぎにたえないことが三つある、いや、四つあって、わたしには悟さとることができない。30:19 すなわち空そらを飛とぶはげたかの道みち、岩いわの上うえを這はうへびの道みち、海うみをはしる舟ふねの道みち、男おとこの女おんなにあう道みちがそれである。30:20 遊女ゆうじょの道みちもまたそうだ、彼女かのじょは食たべて、その口くちをぬぐって、「わたしは何なにもわるいことはしない」と言いう。 30:21 地ちは三つのことによって震ふるう、いや、四つのことによって、耐たえることができない。30:22 すなわち奴隷どれいたる者ものが王おうとなり、愚おろかな者ものが食物しょくもつに飽あき、30:23 忌いみきらわれた女おんなが嫁よめに行いき、はしためが女おんな主人しゅじんのあとにすわることである。 30:24 この地上ちじょうに、小ちいさいけれども、非常ひじょうに賢かしこいものが四つある。30:25 ありは力ちからのない種類しゅるいだが、その食糧しょくりょうを夏なつのうちに備そなえる。30:26 岩いわだぬきは強つよくない種類しゅるいだが、その家いえを岩いわにつくる。30:27 いなごは王おうがないけれども、みな隊たいを組くんでいで立たつ。30:28 やもりは手てでつかまえられるが、王おうの宮殿きゅうでんにおる。 30:29 歩あるきぶりの堂々どうどうたる者ものが三つある、いや、四つあって、みな堂々どうどうと歩あるく。30:30 すなわち獣けもののうちでもっとも強つよく、何なにものの前まえにも退しりぞかない、しし、30:31 尾おを立たてて歩あるくおんどり、雄おやぎ、その民たみの前まえをいばって歩あるく王おうがそれである。 30:32 あなたがもし愚おろかであって自みずから高たかぶり、あるいは悪事あくじを計はかったならば、あなたの手てを口くちに当あてるがよい。30:33 乳ちちをしめれば凝乳ぎょうにゅうが出でる、鼻はなをしめれば血ちがでる、怒いかりをしめれば争あらそいが起おこる。 第31章 31:1 マッサの王おうレムエルの言葉ことば、すなわちその母ははが彼かれに教おしえたものである。31:2 わが子こよ、何なにを言いおうか。わが胎たいの子こよ、何なにを言いおうか。わたしが願がんをかけて得えた子こよ、何なにをいおうか。31:3 あなたの力ちからを女おんなについやすな、王おうをも滅ほろぼすものに、あなたの道みちを任まかせるな。31:4 レムエルよ、酒さけを飲のむのは、王おうのすることではない、王おうのすることではない、濃こい酒さけを求もとめるのは君きみたる者もののすることではない。31:5 彼かれらは酒さけを飲のんで、おきてを忘わすれ、すべて悩なやむ者もののさばきを曲まげる。31:6 濃こい酒さけを滅ほろびようとしている者ものに与あたえ、酒さけを心こころの苦くるしむ人ひとに与あたえよ。31:7 彼かれらは飲のんで自分じぶんの貧乏びんぼうを忘わすれ、その悩なやみをもはや思おもい出ださない。31:8 あなたは黙だまっている人ひとのために、すべてのみなしごの訴うったえのために、口くちを開ひらくがよい。31:9 口くちを開ひらいて、正ただしいさばきを行おこない、貧まずしい者ものと乏とぼしい者ものの訴うったえをただせ。 31:10 だれが賢かしこい妻つまを見みつけることができるか、彼女かのじょは宝石ほうせきよりもすぐれて尊たっとい。31:11 その夫おっとの心こころは彼女かのじょを信頼しんらいして、収益しゅうえきに欠かけることはない。31:12 彼女かのじょは生いきながらえている間あいだ、その夫おっとのために良よいことをして、悪わるいことをしない。31:13 彼女かのじょは羊ひつじの毛けや亜麻あまを求もとめて、手てずから望のぞみのように、それを仕上しあげる。31:14 また商人しょうにんの舟ふねのように、遠とおい国くにから食糧しょくりょうを運はこんでくる。31:15 彼女かのじょはまだ夜よるのあけぬうちに起おきて、その家いえの者ものの食たべ物ものを備そなえ、その女おんなたちに日用にちようの分ぶんを与あたえる。31:16 彼女かのじょは畑はたけをよく考かんがえてそれを買かい、その手ての働はたらきの実みをもって、ぶどう畑ばたけをつくり、31:17 力ちからをもって腰こしに帯おびし、その腕うでを強つよくする。31:18 彼女かのじょはその商品しょうひんのもうけのあるのを知しっている、そのともしびは終夜しゅうや消きえることがない。31:19 彼女かのじょは手てを糸取いととり棒ぼうにのべ、その手てに、つむを持もち、31:20 手てを貧まずしい者ものに開ひらき、乏とぼしい人ひとに手てをさしのべる。31:21 彼女かのじょはその家いえの者もののために雪ゆきを恐おそれない、その家いえの者ものはみな紅くれないの着物きものを着きているからである。31:22 彼女かのじょは自分じぶんのために美うつくしいしとねを作つくり、亜麻あま布ぬのと紫むらさき布ぬのとをもってその着物きものとする。31:23 その夫おっとはその地ちの長老ちょうろうたちと共ともに、町まちの門もんに座ざするので、人ひとに知しられている。31:24 彼女かのじょは亜麻あま布ぬのの着物きものをつくって、それを売うり、帯おびをつくって商人しょうにんに渡わたす。31:25 力ちからと気品きひんとは彼女かのじょの着物きものである、そして後のちの日ひを笑わらっている。31:26 彼女かのじょは口くちを開ひらいて知恵ちえを語かたる、その舌したにはいつくしみの教おしえがある。31:27 彼女かのじょは家いえの事ことをよくかえりみ、怠おこたりのかてを食たべることをしない。31:28 その子こらは立たち上あがって彼女かのじょを祝しゅくし、その夫おっともまた彼女かのじょをほめたたえて言いう、31:29 「りっぱに事ことをなし遂とげる女おんなは多おおいけれども、あなたはそのすべてにまさっている」と。31:30 あでやかさは偽いつわりであり、美うつくしさはつかのまである、しかし主しゅを恐おそれる女おんなはほめたたえられる。31:31 その手ての働はたらきの実みを彼女かのじょに与あたえ、その行おこないのために彼女かのじょを町まちの門もんでほめたたえよ。
27:1 あすのことを誇ほこってはならない、一日にちのうちに何なにがおこるかを知しることができないからだ。
27:2 自分じぶんの口くちをもって自みずからをほめることなく、他人たにんにほめさせよ。自分じぶんのくちびるをもってせず、ほかの人ひとにあなたをほめさせよ。
27:3 石いしは重おもく、砂すなも軽かるくはない、しかし愚おろかな者ものの怒いかりはこの二つよりも重おもい。
27:4 憤いきどおりはむごく、怒いかりははげしい、しかしねたみの前まえには、だれが立たちえよう。
27:5 あからさまに戒いましめるのは、ひそかに愛あいするのにまさる。
27:6 愛あいする者ものが傷きずつけるのは、まことからであり、あだの口くちづけするのは偽いつわりからである。
27:7 飽あいている者ものは蜂蜜はちみつをも踏ふみつける、しかし飢うえた者ものには苦にがい物ものでさえ、みな甘あまい。
27:8 その家いえを離はなれてさまよう人ひとは、巣すを離はなれてさまよう鳥とりのようだ。
27:9 油あぶらと香こうとは人ひとの心こころを喜よろこばせる、しかし魂たましいは悩なやみによって裂さかれる。
27:10 あなたの友とも、あなたの父ちちの友ともを捨すてるな、あなたが悩なやみにあう日ひには兄弟きょうだいの家いえに行いくな、近ちかい隣となり人びとは遠とおくにいる兄弟きょうだいにまさる。
27:11 わが子こよ、知恵ちえを得えて、わたしの心こころを喜よろこばせよ、そうすればわたしをそしる者ものに答こたえることができる。
27:12 賢かしこい者ものは災わざわいを見みて自みずから避さけ、思慮しりょのない者ものは進すすんでいって、罰ばつをうける。
27:13 人ひとのために保証ほしょうする者ものからは、まずその着物きものをとれ、他人たにんのために保証ほしょうをする者ものをば抵当ていとうに取とれ。
27:14 朝あさはやく起おきて大声おおごえにその隣となり人びとを祝しゅくすれば、かえってのろいと見みなされよう。
27:15 雨あめの降ふる日ひに雨漏あまもりの絶たえないのと、争あらそい好すきな女おんなとは同おなじだ。
27:16 この女おんなを制せいするのは風かぜを制せいするのとおなじく、右みぎの手てに油あぶらをつかむのとおなじだ。
27:17 鉄てつは鉄てつをとぐ、そのように人ひとはその友ともの顔かおをとぐ。
27:18 いちじくの木きを守まもる者ものはその実みを食たべる、主人しゅじんを尊たっとぶ者ものは誉ほまれを得える。
27:19 水みずにうつせば顔かおと顔かおとが応おうじるように、人ひとの心こころはその人ひとをうつす。
27:20 陰府よみと滅ほろびとは飽あくことなく、人ひとの目めもまた飽あくことがない。
27:21 るつぼによって銀ぎんをためし、炉ろによって金きんをためす、人ひとはその称賛しょうさんによってためされる。
27:22 愚おろかな者ものをうすに入いれ、きねをもって、麦むぎと共ともにこれをついても、その愚おろかさは去さることがない。
27:23 あなたの羊ひつじの状態じょうたいをよく知しり、あなたの群むれに心こころをとめよ。
27:24 富とみはいつまでも続つづくものではない、どうして位くらいが末代まつだいまでも保たもつであろうか。
27:25 草くさが刈かり取とられ、新あたらしい芽めがのび、山やまの牧草ぼくそうも集あつめられると、
27:26 小羊こひつじはあなたの衣料いりょうを出だし、やぎは畑はたけを買かう価あたいとなり、
27:27 やぎの乳ちちは多おおくて、あなたと、あなたの家いえのものの食物しょくもつとなり、おとめらを養やしなうのにじゅうぶんである。
第28章 28:1 悪あしき者ものは追おう人ひともないのに逃にげる、正ただしい人ひとはししのように勇いさましい。28:2 国くにの罪つみによって、治おさめる者ものは多おおくなり、さとく、また知識ちしきある人ひとによって、国くにはながく保たもつ。28:3 貧まずしい者ものをしえたげる貧まずしい人ひとは、糧食りょうしょくを残のこさない激はげしい雨あめのようだ。28:4 律法りっぽうを捨すてる者ものは悪あしき者ものをほめる、律法りっぽうを守まもる者ものはこれに敵対てきたいする。28:5 悪人あくにんは正ただしいことを悟さとらない、主しゅを求もとめる者ものはこれをことごとく悟さとる。28:6 正ただしく歩あゆむ貧まずしい者ものは、曲まがった道みちを歩あゆむ富とめる者ものにまさる。28:7 律法りっぽうを守まもる者ものは賢かしこい子こである、不品行ふひんこうな者ものと交まじわるものは、父ちちをはずかしめる。28:8 利息りそくと高利こうりとによってその富とみをます者ものは、貧まずしい者ものを恵めぐむ者もののために、それをたくわえる。28:9 耳みみをそむけて律法りっぽうを聞きかない者ものは、その祈いのりでさえも憎にくまれる。28:10 正ただしい者ものを悪わるい道みちに惑まどわす者ものは、みずから自分じぶんの穴あなに陥おちいる、しかし誠実せいじつな人ひとは幸福こうふくを継つぐ。28:11 富とめる人ひとは自分じぶんの目めに自みずからを知恵ちえある者ものと見みる、しかし悟さとりのある貧まずしい者ものは彼かれを見みやぶる。28:12 正ただしい者ものが勝かつときは、大おおいなる栄さかえがある、悪あしき者ものが起おこるときは、民たみは身みをかくす。28:13 その罪つみを隠かくす者ものは栄さかえることがない、言いい表あらわしてこれを離はなれる者ものは、あわれみをうける。28:14 常つねに主しゅを恐おそれる人ひとはさいわいである、心こころをかたくなにする者ものは災わざわいに陥おちいる。28:15 貧まずしい民たみを治おさめる悪わるいつかさは、ほえるしし、または飢うえたくまのようだ。28:16 悟さとりのないつかさは残忍ざんにんな圧制者あっせいしゃである、不正ふせいの利りを憎にくむ者ものは長命ちょうめいを得える。28:17 人ひとを殺ころしてその血ちを身みに負おう者ものは死しぬまで、のがれびとである、だれもこれを助たすけてはならない。28:18 正ただしく歩あゆむ者ものは救すくいを得え、曲まがった道みちに歩あゆむ者ものは穴あなに陥おちいる。28:19 自分じぶんの田地でんちを耕たがやす者ものは食糧しょくりょうに飽あき、無益むえきな事ことに従したがう者ものは貧乏びんぼうに飽あきる。28:20 忠実ちゅうじつな人ひとは多おおくの祝福しゅくふくを得える、急いそいで富とみを得えようとする者ものは罰ばつを免まぬかれない。28:21 人ひとを片寄かたより見みることは良よくない、人ひとは一いち切きれのパンのために、とがを犯おかすことがある。28:22 欲よくの深ふかい人ひとは急いそいで富とみを得えようとする、かえって欠乏けつぼうが自分じぶんの所ところに来くることを知しらない。28:23 人ひとを戒いましめる者ものは舌したをもってへつらう者ものよりも、大おおいなる感謝かんしゃをうける。28:24 父ちちや母ははの物ものを盗ぬすんで「これは罪つみではない」と言いう者ものは、滅ほろぼす者ものの友ともである。28:25 むさぼる者ものは争あらそいを起おこし、主しゅに信頼しんらいする者ものは豊ゆたかになる。28:26 自分じぶんの心こころを頼たのむ者ものは愚おろかである、知恵ちえをもって歩あゆむ者ものは救すくいを得える。28:27 貧まずしい者ものに施ほどこす者ものは物ものに不足ふそくしない、目めをおおって見みない人ひとは多おおくののろいをうける。28:28 悪あしき者ものが起おこるときは、民たみは身みをかくす、その滅ほろびるときは、正ただしい人ひとが増ます。 第29章 29:1 しばしばしかられても、なおかたくなな者ものは、たちまち打うち敗やぶられて助たすかることはない。29:2 正ただしい者ものが権力けんりょくを得えれば民たみは喜よろこび、悪あしき者ものが治おさめるとき、民たみはうめき苦くるしむ。29:3 知恵ちえを愛あいする人ひとはその父ちちを喜よろこばせ、遊女ゆうじょに交まじわる者ものはその資産しさんを浪費ろうひする。29:4 王おうは公儀こうぎをもって国くにを堅かたくする、しかし、重税じゅうぜいを取とり立たてる者ものはこれを滅ほろぼす。29:5 その隣となり人びとにへつらう者ものは、彼かれの足あしの前まえに網あみを張はる。29:6 悪人あくにんは自分じぶんの罪つみのわなに陥おちいる、しかし正ただしい人ひとは喜よろこび楽たのしむ。29:7 正ただしい人ひとは貧まずしい者ものの訴うったえをかえりみる、悪あしき人ひとはそれを知しろうとはしない。29:8 あざける人ひとは町まちを乱みだし、知恵ちえある者ものは怒いかりを静しずめる。29:9 知恵ちえある人ひとが愚おろかな人ひとと争あらそうと、愚おろかな者ものはただ怒いかり、あるいは笑わらって、休やすむことがない。29:10 血ちに飢うえている人ひとは罪つみのない者ものを憎にくむ、悪あしき者ものは彼かれの命いのちを求もとめる。29:11 愚おろかな者ものは怒いかりをことごとく表あらわし、知恵ちえある者ものは静しずかにこれをおさえる。29:12 もし治おさめる者ものが偽いつわりの言葉ことばに聞きくならば、その役人やくにんらはみな悪わるくなる。29:13 貧まずしい者ものと、しえたげる者ものとは共ともに世よにおる、主しゅは彼かれら両者りょうしゃの目めに光ひかりを与あたえられる。29:14 もし王おうが貧まずしい者ものを公平こうへいにさばくならば、その位くらいはいつまでも堅かたく立たつ。29:15 むちと戒いましめとは知恵ちえを与あたえる、わがままにさせた子こはその母ははに恥はじをもたらす。29:16 悪あしき者ものが権力けんりょくを得えると罪つみも増ます、正ただしい者ものは彼かれらの倒たおれるのを見みる。29:17 あなたの子こを懲こらしめよ、そうすれば彼かれはあなたを安やすらかにし、またあなたの心こころに喜よろこびを与あたえる。29:18 預言よげんがなければ民たみはわがままにふるまう、しかし律法りっぽうを守まもる者ものはさいわいである。29:19 しもべは言葉ことばだけで訓練くんれんすることはできない、彼かれは聞きいて知しっても、心こころにとめないからである。29:20 言葉ことばの軽率けいそつな人ひとを見みるか、彼かれよりもかえって愚おろかな者もののほうに望のぞみがある。29:21 しもべをその幼おさない時ときからわがままに育そだてる人ひとは、ついにはそれを自分じぶんのあとつぎにする。29:22 怒いかる人ひとは争あらそいを起おこし、憤いきどおる人ひとは多おおくの罪つみを犯おかす。29:23 人ひとの高たかぶりはその人ひとを低ひくくし、心こころにへりくだる者ものは誉ほまれを得える。29:24 盗ぬすびとにくみする者ものは自分じぶんの魂たましいを憎にくむ、彼かれはのろいを聞きいても何事なにごとをも口外こうがいしない。29:25 人ひとを恐おそれると、わなに陥おちいる、主しゅに信頼しんらいする者ものは安やすらかである。29:26 治おさめる者ものの歓心かんしんを得えようとする人ひとは多おおい、しかし人ひとの事ことを定さだめるのは主しゅによる。29:27 正ただしい人ひとは不正ふせいを行おこなう人ひとを憎にくみ、悪あしき者ものは正ただしく歩あゆむ人ひとを憎にくむ。 第30章 30:1 マッサの人ひとヤケの子こアグルの言葉ことば。その人ひとはイテエルに向むかって言いった、すなわちイテエルと、ウカルとに向むかって言いった、30:2 わたしは確たしかに人ひとよりも愚おろかであり、わたしには人ひとの悟さとりがない。30:3 わたしはまだ知恵ちえをならうことができず、また、聖せいなる者ものを悟さとることもできない。30:4 天てんにのぼったり、下くだったりしたのはだれか、風かぜをこぶしの中なかに集あつめたのはだれか、水みずを着物きものに包つつんだのはだれか、地ちのすべての限界げんかいを定さだめた者ものはだれか、その名なは何なにか、その子この名なは何なにか、あなたは確たしかにそれを知しっている。 30:5 神かみの言葉ことばはみな真実しんじつである、神かみは彼かれに寄より頼たのむ者ものの盾たてである。30:6 その言葉ことばに付つけ加くわえてはならない、彼かれがあなたを責せめ、あなたを偽いつわり者ものとされないためだ。 30:7 わたしは二つのことをあなたに求もとめます、わたしの死しなないうちに、これをかなえてください。30:8 うそ、偽いつわりをわたしから遠とおざけ、貧まずしくもなく、また富とみもせず、ただなくてならぬ食物しょくもつでわたしを養やしなってください。30:9 飽あき足たりて、あなたを知しらないといい、「主しゅとはだれか」と言いうことのないため、また貧まずしくて盗ぬすみをし、わたしの神かみの名なを汚よごすことのないためです。 30:10 あなたは、しもべのことをその主人しゅじんに、あしざまにいってはならない、そうでないと彼かれはあなたをのろい、あなたは罪つみをきせられる。 30:11 世よには父ちちをのろったり、母ははを祝福しゅくふくしない者ものがある。30:12 世よには自分じぶんの目めにみずからを清きよい者ものとして、なおその汚けがれを洗あらわれないものがある。30:13 世よにはまた、このような人ひとがある――ああ、その目めのいかに高たかきことよ、またそのまぶたのいかにつりあがっていることよ。30:14 世よにはまたつるぎのような歯はをもち、刀かたなのようなきばをもって、貧まずしい者ものを地ちの上うえから、乏とぼしい者ものを人ひとの中なかから食くい滅ほろぼすものがある。 30:15 蛭ひるにふたりの娘むすめがあって、「与あたえよ、与あたえよ」という。飽あくことを知しらないものが三つある、いや、四つあって、皆みな「もう、たくさんです」と言いわない。30:16 すなわち陰府よみ、不妊ふにんの胎たい、水みずにかわく地ち、「もう、たくさんだ」といわない火ひがそれである。30:17 自分じぶんの父ちちをあざけり、母ははに従したがうのを卑いやしいこととする目めは、谷たにのからすがこれをつつき出だし、はげたかがこれを食たべる。 30:18 わたしにとって不思議ふしぎにたえないことが三つある、いや、四つあって、わたしには悟さとることができない。30:19 すなわち空そらを飛とぶはげたかの道みち、岩いわの上うえを這はうへびの道みち、海うみをはしる舟ふねの道みち、男おとこの女おんなにあう道みちがそれである。30:20 遊女ゆうじょの道みちもまたそうだ、彼女かのじょは食たべて、その口くちをぬぐって、「わたしは何なにもわるいことはしない」と言いう。 30:21 地ちは三つのことによって震ふるう、いや、四つのことによって、耐たえることができない。30:22 すなわち奴隷どれいたる者ものが王おうとなり、愚おろかな者ものが食物しょくもつに飽あき、30:23 忌いみきらわれた女おんなが嫁よめに行いき、はしためが女おんな主人しゅじんのあとにすわることである。 30:24 この地上ちじょうに、小ちいさいけれども、非常ひじょうに賢かしこいものが四つある。30:25 ありは力ちからのない種類しゅるいだが、その食糧しょくりょうを夏なつのうちに備そなえる。30:26 岩いわだぬきは強つよくない種類しゅるいだが、その家いえを岩いわにつくる。30:27 いなごは王おうがないけれども、みな隊たいを組くんでいで立たつ。30:28 やもりは手てでつかまえられるが、王おうの宮殿きゅうでんにおる。 30:29 歩あるきぶりの堂々どうどうたる者ものが三つある、いや、四つあって、みな堂々どうどうと歩あるく。30:30 すなわち獣けもののうちでもっとも強つよく、何なにものの前まえにも退しりぞかない、しし、30:31 尾おを立たてて歩あるくおんどり、雄おやぎ、その民たみの前まえをいばって歩あるく王おうがそれである。 30:32 あなたがもし愚おろかであって自みずから高たかぶり、あるいは悪事あくじを計はかったならば、あなたの手てを口くちに当あてるがよい。30:33 乳ちちをしめれば凝乳ぎょうにゅうが出でる、鼻はなをしめれば血ちがでる、怒いかりをしめれば争あらそいが起おこる。 第31章 31:1 マッサの王おうレムエルの言葉ことば、すなわちその母ははが彼かれに教おしえたものである。31:2 わが子こよ、何なにを言いおうか。わが胎たいの子こよ、何なにを言いおうか。わたしが願がんをかけて得えた子こよ、何なにをいおうか。31:3 あなたの力ちからを女おんなについやすな、王おうをも滅ほろぼすものに、あなたの道みちを任まかせるな。31:4 レムエルよ、酒さけを飲のむのは、王おうのすることではない、王おうのすることではない、濃こい酒さけを求もとめるのは君きみたる者もののすることではない。31:5 彼かれらは酒さけを飲のんで、おきてを忘わすれ、すべて悩なやむ者もののさばきを曲まげる。31:6 濃こい酒さけを滅ほろびようとしている者ものに与あたえ、酒さけを心こころの苦くるしむ人ひとに与あたえよ。31:7 彼かれらは飲のんで自分じぶんの貧乏びんぼうを忘わすれ、その悩なやみをもはや思おもい出ださない。31:8 あなたは黙だまっている人ひとのために、すべてのみなしごの訴うったえのために、口くちを開ひらくがよい。31:9 口くちを開ひらいて、正ただしいさばきを行おこない、貧まずしい者ものと乏とぼしい者ものの訴うったえをただせ。 31:10 だれが賢かしこい妻つまを見みつけることができるか、彼女かのじょは宝石ほうせきよりもすぐれて尊たっとい。31:11 その夫おっとの心こころは彼女かのじょを信頼しんらいして、収益しゅうえきに欠かけることはない。31:12 彼女かのじょは生いきながらえている間あいだ、その夫おっとのために良よいことをして、悪わるいことをしない。31:13 彼女かのじょは羊ひつじの毛けや亜麻あまを求もとめて、手てずから望のぞみのように、それを仕上しあげる。31:14 また商人しょうにんの舟ふねのように、遠とおい国くにから食糧しょくりょうを運はこんでくる。31:15 彼女かのじょはまだ夜よるのあけぬうちに起おきて、その家いえの者ものの食たべ物ものを備そなえ、その女おんなたちに日用にちようの分ぶんを与あたえる。31:16 彼女かのじょは畑はたけをよく考かんがえてそれを買かい、その手ての働はたらきの実みをもって、ぶどう畑ばたけをつくり、31:17 力ちからをもって腰こしに帯おびし、その腕うでを強つよくする。31:18 彼女かのじょはその商品しょうひんのもうけのあるのを知しっている、そのともしびは終夜しゅうや消きえることがない。31:19 彼女かのじょは手てを糸取いととり棒ぼうにのべ、その手てに、つむを持もち、31:20 手てを貧まずしい者ものに開ひらき、乏とぼしい人ひとに手てをさしのべる。31:21 彼女かのじょはその家いえの者もののために雪ゆきを恐おそれない、その家いえの者ものはみな紅くれないの着物きものを着きているからである。31:22 彼女かのじょは自分じぶんのために美うつくしいしとねを作つくり、亜麻あま布ぬのと紫むらさき布ぬのとをもってその着物きものとする。31:23 その夫おっとはその地ちの長老ちょうろうたちと共ともに、町まちの門もんに座ざするので、人ひとに知しられている。31:24 彼女かのじょは亜麻あま布ぬのの着物きものをつくって、それを売うり、帯おびをつくって商人しょうにんに渡わたす。31:25 力ちからと気品きひんとは彼女かのじょの着物きものである、そして後のちの日ひを笑わらっている。31:26 彼女かのじょは口くちを開ひらいて知恵ちえを語かたる、その舌したにはいつくしみの教おしえがある。31:27 彼女かのじょは家いえの事ことをよくかえりみ、怠おこたりのかてを食たべることをしない。31:28 その子こらは立たち上あがって彼女かのじょを祝しゅくし、その夫おっともまた彼女かのじょをほめたたえて言いう、31:29 「りっぱに事ことをなし遂とげる女おんなは多おおいけれども、あなたはそのすべてにまさっている」と。31:30 あでやかさは偽いつわりであり、美うつくしさはつかのまである、しかし主しゅを恐おそれる女おんなはほめたたえられる。31:31 その手ての働はたらきの実みを彼女かのじょに与あたえ、その行おこないのために彼女かのじょを町まちの門もんでほめたたえよ。
28:1 悪あしき者ものは追おう人ひともないのに逃にげる、正ただしい人ひとはししのように勇いさましい。
28:2 国くにの罪つみによって、治おさめる者ものは多おおくなり、さとく、また知識ちしきある人ひとによって、国くにはながく保たもつ。
28:3 貧まずしい者ものをしえたげる貧まずしい人ひとは、糧食りょうしょくを残のこさない激はげしい雨あめのようだ。
28:4 律法りっぽうを捨すてる者ものは悪あしき者ものをほめる、律法りっぽうを守まもる者ものはこれに敵対てきたいする。
28:5 悪人あくにんは正ただしいことを悟さとらない、主しゅを求もとめる者ものはこれをことごとく悟さとる。
28:6 正ただしく歩あゆむ貧まずしい者ものは、曲まがった道みちを歩あゆむ富とめる者ものにまさる。
28:7 律法りっぽうを守まもる者ものは賢かしこい子こである、不品行ふひんこうな者ものと交まじわるものは、父ちちをはずかしめる。
28:8 利息りそくと高利こうりとによってその富とみをます者ものは、貧まずしい者ものを恵めぐむ者もののために、それをたくわえる。
28:9 耳みみをそむけて律法りっぽうを聞きかない者ものは、その祈いのりでさえも憎にくまれる。
28:10 正ただしい者ものを悪わるい道みちに惑まどわす者ものは、みずから自分じぶんの穴あなに陥おちいる、しかし誠実せいじつな人ひとは幸福こうふくを継つぐ。
28:11 富とめる人ひとは自分じぶんの目めに自みずからを知恵ちえある者ものと見みる、しかし悟さとりのある貧まずしい者ものは彼かれを見みやぶる。
28:12 正ただしい者ものが勝かつときは、大おおいなる栄さかえがある、悪あしき者ものが起おこるときは、民たみは身みをかくす。
28:13 その罪つみを隠かくす者ものは栄さかえることがない、言いい表あらわしてこれを離はなれる者ものは、あわれみをうける。
28:14 常つねに主しゅを恐おそれる人ひとはさいわいである、心こころをかたくなにする者ものは災わざわいに陥おちいる。
28:15 貧まずしい民たみを治おさめる悪わるいつかさは、ほえるしし、または飢うえたくまのようだ。
28:16 悟さとりのないつかさは残忍ざんにんな圧制者あっせいしゃである、不正ふせいの利りを憎にくむ者ものは長命ちょうめいを得える。
28:17 人ひとを殺ころしてその血ちを身みに負おう者ものは死しぬまで、のがれびとである、だれもこれを助たすけてはならない。
28:18 正ただしく歩あゆむ者ものは救すくいを得え、曲まがった道みちに歩あゆむ者ものは穴あなに陥おちいる。
28:19 自分じぶんの田地でんちを耕たがやす者ものは食糧しょくりょうに飽あき、無益むえきな事ことに従したがう者ものは貧乏びんぼうに飽あきる。
28:20 忠実ちゅうじつな人ひとは多おおくの祝福しゅくふくを得える、急いそいで富とみを得えようとする者ものは罰ばつを免まぬかれない。
28:21 人ひとを片寄かたより見みることは良よくない、人ひとは一いち切きれのパンのために、とがを犯おかすことがある。
28:22 欲よくの深ふかい人ひとは急いそいで富とみを得えようとする、かえって欠乏けつぼうが自分じぶんの所ところに来くることを知しらない。
28:23 人ひとを戒いましめる者ものは舌したをもってへつらう者ものよりも、大おおいなる感謝かんしゃをうける。
28:24 父ちちや母ははの物ものを盗ぬすんで「これは罪つみではない」と言いう者ものは、滅ほろぼす者ものの友ともである。
28:25 むさぼる者ものは争あらそいを起おこし、主しゅに信頼しんらいする者ものは豊ゆたかになる。
28:26 自分じぶんの心こころを頼たのむ者ものは愚おろかである、知恵ちえをもって歩あゆむ者ものは救すくいを得える。
28:27 貧まずしい者ものに施ほどこす者ものは物ものに不足ふそくしない、目めをおおって見みない人ひとは多おおくののろいをうける。
28:28 悪あしき者ものが起おこるときは、民たみは身みをかくす、その滅ほろびるときは、正ただしい人ひとが増ます。
第29章 29:1 しばしばしかられても、なおかたくなな者ものは、たちまち打うち敗やぶられて助たすかることはない。29:2 正ただしい者ものが権力けんりょくを得えれば民たみは喜よろこび、悪あしき者ものが治おさめるとき、民たみはうめき苦くるしむ。29:3 知恵ちえを愛あいする人ひとはその父ちちを喜よろこばせ、遊女ゆうじょに交まじわる者ものはその資産しさんを浪費ろうひする。29:4 王おうは公儀こうぎをもって国くにを堅かたくする、しかし、重税じゅうぜいを取とり立たてる者ものはこれを滅ほろぼす。29:5 その隣となり人びとにへつらう者ものは、彼かれの足あしの前まえに網あみを張はる。29:6 悪人あくにんは自分じぶんの罪つみのわなに陥おちいる、しかし正ただしい人ひとは喜よろこび楽たのしむ。29:7 正ただしい人ひとは貧まずしい者ものの訴うったえをかえりみる、悪あしき人ひとはそれを知しろうとはしない。29:8 あざける人ひとは町まちを乱みだし、知恵ちえある者ものは怒いかりを静しずめる。29:9 知恵ちえある人ひとが愚おろかな人ひとと争あらそうと、愚おろかな者ものはただ怒いかり、あるいは笑わらって、休やすむことがない。29:10 血ちに飢うえている人ひとは罪つみのない者ものを憎にくむ、悪あしき者ものは彼かれの命いのちを求もとめる。29:11 愚おろかな者ものは怒いかりをことごとく表あらわし、知恵ちえある者ものは静しずかにこれをおさえる。29:12 もし治おさめる者ものが偽いつわりの言葉ことばに聞きくならば、その役人やくにんらはみな悪わるくなる。29:13 貧まずしい者ものと、しえたげる者ものとは共ともに世よにおる、主しゅは彼かれら両者りょうしゃの目めに光ひかりを与あたえられる。29:14 もし王おうが貧まずしい者ものを公平こうへいにさばくならば、その位くらいはいつまでも堅かたく立たつ。29:15 むちと戒いましめとは知恵ちえを与あたえる、わがままにさせた子こはその母ははに恥はじをもたらす。29:16 悪あしき者ものが権力けんりょくを得えると罪つみも増ます、正ただしい者ものは彼かれらの倒たおれるのを見みる。29:17 あなたの子こを懲こらしめよ、そうすれば彼かれはあなたを安やすらかにし、またあなたの心こころに喜よろこびを与あたえる。29:18 預言よげんがなければ民たみはわがままにふるまう、しかし律法りっぽうを守まもる者ものはさいわいである。29:19 しもべは言葉ことばだけで訓練くんれんすることはできない、彼かれは聞きいて知しっても、心こころにとめないからである。29:20 言葉ことばの軽率けいそつな人ひとを見みるか、彼かれよりもかえって愚おろかな者もののほうに望のぞみがある。29:21 しもべをその幼おさない時ときからわがままに育そだてる人ひとは、ついにはそれを自分じぶんのあとつぎにする。29:22 怒いかる人ひとは争あらそいを起おこし、憤いきどおる人ひとは多おおくの罪つみを犯おかす。29:23 人ひとの高たかぶりはその人ひとを低ひくくし、心こころにへりくだる者ものは誉ほまれを得える。29:24 盗ぬすびとにくみする者ものは自分じぶんの魂たましいを憎にくむ、彼かれはのろいを聞きいても何事なにごとをも口外こうがいしない。29:25 人ひとを恐おそれると、わなに陥おちいる、主しゅに信頼しんらいする者ものは安やすらかである。29:26 治おさめる者ものの歓心かんしんを得えようとする人ひとは多おおい、しかし人ひとの事ことを定さだめるのは主しゅによる。29:27 正ただしい人ひとは不正ふせいを行おこなう人ひとを憎にくみ、悪あしき者ものは正ただしく歩あゆむ人ひとを憎にくむ。 第30章 30:1 マッサの人ひとヤケの子こアグルの言葉ことば。その人ひとはイテエルに向むかって言いった、すなわちイテエルと、ウカルとに向むかって言いった、30:2 わたしは確たしかに人ひとよりも愚おろかであり、わたしには人ひとの悟さとりがない。30:3 わたしはまだ知恵ちえをならうことができず、また、聖せいなる者ものを悟さとることもできない。30:4 天てんにのぼったり、下くだったりしたのはだれか、風かぜをこぶしの中なかに集あつめたのはだれか、水みずを着物きものに包つつんだのはだれか、地ちのすべての限界げんかいを定さだめた者ものはだれか、その名なは何なにか、その子この名なは何なにか、あなたは確たしかにそれを知しっている。 30:5 神かみの言葉ことばはみな真実しんじつである、神かみは彼かれに寄より頼たのむ者ものの盾たてである。30:6 その言葉ことばに付つけ加くわえてはならない、彼かれがあなたを責せめ、あなたを偽いつわり者ものとされないためだ。 30:7 わたしは二つのことをあなたに求もとめます、わたしの死しなないうちに、これをかなえてください。30:8 うそ、偽いつわりをわたしから遠とおざけ、貧まずしくもなく、また富とみもせず、ただなくてならぬ食物しょくもつでわたしを養やしなってください。30:9 飽あき足たりて、あなたを知しらないといい、「主しゅとはだれか」と言いうことのないため、また貧まずしくて盗ぬすみをし、わたしの神かみの名なを汚よごすことのないためです。 30:10 あなたは、しもべのことをその主人しゅじんに、あしざまにいってはならない、そうでないと彼かれはあなたをのろい、あなたは罪つみをきせられる。 30:11 世よには父ちちをのろったり、母ははを祝福しゅくふくしない者ものがある。30:12 世よには自分じぶんの目めにみずからを清きよい者ものとして、なおその汚けがれを洗あらわれないものがある。30:13 世よにはまた、このような人ひとがある――ああ、その目めのいかに高たかきことよ、またそのまぶたのいかにつりあがっていることよ。30:14 世よにはまたつるぎのような歯はをもち、刀かたなのようなきばをもって、貧まずしい者ものを地ちの上うえから、乏とぼしい者ものを人ひとの中なかから食くい滅ほろぼすものがある。 30:15 蛭ひるにふたりの娘むすめがあって、「与あたえよ、与あたえよ」という。飽あくことを知しらないものが三つある、いや、四つあって、皆みな「もう、たくさんです」と言いわない。30:16 すなわち陰府よみ、不妊ふにんの胎たい、水みずにかわく地ち、「もう、たくさんだ」といわない火ひがそれである。30:17 自分じぶんの父ちちをあざけり、母ははに従したがうのを卑いやしいこととする目めは、谷たにのからすがこれをつつき出だし、はげたかがこれを食たべる。 30:18 わたしにとって不思議ふしぎにたえないことが三つある、いや、四つあって、わたしには悟さとることができない。30:19 すなわち空そらを飛とぶはげたかの道みち、岩いわの上うえを這はうへびの道みち、海うみをはしる舟ふねの道みち、男おとこの女おんなにあう道みちがそれである。30:20 遊女ゆうじょの道みちもまたそうだ、彼女かのじょは食たべて、その口くちをぬぐって、「わたしは何なにもわるいことはしない」と言いう。 30:21 地ちは三つのことによって震ふるう、いや、四つのことによって、耐たえることができない。30:22 すなわち奴隷どれいたる者ものが王おうとなり、愚おろかな者ものが食物しょくもつに飽あき、30:23 忌いみきらわれた女おんなが嫁よめに行いき、はしためが女おんな主人しゅじんのあとにすわることである。 30:24 この地上ちじょうに、小ちいさいけれども、非常ひじょうに賢かしこいものが四つある。30:25 ありは力ちからのない種類しゅるいだが、その食糧しょくりょうを夏なつのうちに備そなえる。30:26 岩いわだぬきは強つよくない種類しゅるいだが、その家いえを岩いわにつくる。30:27 いなごは王おうがないけれども、みな隊たいを組くんでいで立たつ。30:28 やもりは手てでつかまえられるが、王おうの宮殿きゅうでんにおる。 30:29 歩あるきぶりの堂々どうどうたる者ものが三つある、いや、四つあって、みな堂々どうどうと歩あるく。30:30 すなわち獣けもののうちでもっとも強つよく、何なにものの前まえにも退しりぞかない、しし、30:31 尾おを立たてて歩あるくおんどり、雄おやぎ、その民たみの前まえをいばって歩あるく王おうがそれである。 30:32 あなたがもし愚おろかであって自みずから高たかぶり、あるいは悪事あくじを計はかったならば、あなたの手てを口くちに当あてるがよい。30:33 乳ちちをしめれば凝乳ぎょうにゅうが出でる、鼻はなをしめれば血ちがでる、怒いかりをしめれば争あらそいが起おこる。 第31章 31:1 マッサの王おうレムエルの言葉ことば、すなわちその母ははが彼かれに教おしえたものである。31:2 わが子こよ、何なにを言いおうか。わが胎たいの子こよ、何なにを言いおうか。わたしが願がんをかけて得えた子こよ、何なにをいおうか。31:3 あなたの力ちからを女おんなについやすな、王おうをも滅ほろぼすものに、あなたの道みちを任まかせるな。31:4 レムエルよ、酒さけを飲のむのは、王おうのすることではない、王おうのすることではない、濃こい酒さけを求もとめるのは君きみたる者もののすることではない。31:5 彼かれらは酒さけを飲のんで、おきてを忘わすれ、すべて悩なやむ者もののさばきを曲まげる。31:6 濃こい酒さけを滅ほろびようとしている者ものに与あたえ、酒さけを心こころの苦くるしむ人ひとに与あたえよ。31:7 彼かれらは飲のんで自分じぶんの貧乏びんぼうを忘わすれ、その悩なやみをもはや思おもい出ださない。31:8 あなたは黙だまっている人ひとのために、すべてのみなしごの訴うったえのために、口くちを開ひらくがよい。31:9 口くちを開ひらいて、正ただしいさばきを行おこない、貧まずしい者ものと乏とぼしい者ものの訴うったえをただせ。 31:10 だれが賢かしこい妻つまを見みつけることができるか、彼女かのじょは宝石ほうせきよりもすぐれて尊たっとい。31:11 その夫おっとの心こころは彼女かのじょを信頼しんらいして、収益しゅうえきに欠かけることはない。31:12 彼女かのじょは生いきながらえている間あいだ、その夫おっとのために良よいことをして、悪わるいことをしない。31:13 彼女かのじょは羊ひつじの毛けや亜麻あまを求もとめて、手てずから望のぞみのように、それを仕上しあげる。31:14 また商人しょうにんの舟ふねのように、遠とおい国くにから食糧しょくりょうを運はこんでくる。31:15 彼女かのじょはまだ夜よるのあけぬうちに起おきて、その家いえの者ものの食たべ物ものを備そなえ、その女おんなたちに日用にちようの分ぶんを与あたえる。31:16 彼女かのじょは畑はたけをよく考かんがえてそれを買かい、その手ての働はたらきの実みをもって、ぶどう畑ばたけをつくり、31:17 力ちからをもって腰こしに帯おびし、その腕うでを強つよくする。31:18 彼女かのじょはその商品しょうひんのもうけのあるのを知しっている、そのともしびは終夜しゅうや消きえることがない。31:19 彼女かのじょは手てを糸取いととり棒ぼうにのべ、その手てに、つむを持もち、31:20 手てを貧まずしい者ものに開ひらき、乏とぼしい人ひとに手てをさしのべる。31:21 彼女かのじょはその家いえの者もののために雪ゆきを恐おそれない、その家いえの者ものはみな紅くれないの着物きものを着きているからである。31:22 彼女かのじょは自分じぶんのために美うつくしいしとねを作つくり、亜麻あま布ぬのと紫むらさき布ぬのとをもってその着物きものとする。31:23 その夫おっとはその地ちの長老ちょうろうたちと共ともに、町まちの門もんに座ざするので、人ひとに知しられている。31:24 彼女かのじょは亜麻あま布ぬのの着物きものをつくって、それを売うり、帯おびをつくって商人しょうにんに渡わたす。31:25 力ちからと気品きひんとは彼女かのじょの着物きものである、そして後のちの日ひを笑わらっている。31:26 彼女かのじょは口くちを開ひらいて知恵ちえを語かたる、その舌したにはいつくしみの教おしえがある。31:27 彼女かのじょは家いえの事ことをよくかえりみ、怠おこたりのかてを食たべることをしない。31:28 その子こらは立たち上あがって彼女かのじょを祝しゅくし、その夫おっともまた彼女かのじょをほめたたえて言いう、31:29 「りっぱに事ことをなし遂とげる女おんなは多おおいけれども、あなたはそのすべてにまさっている」と。31:30 あでやかさは偽いつわりであり、美うつくしさはつかのまである、しかし主しゅを恐おそれる女おんなはほめたたえられる。31:31 その手ての働はたらきの実みを彼女かのじょに与あたえ、その行おこないのために彼女かのじょを町まちの門もんでほめたたえよ。
29:1 しばしばしかられても、なおかたくなな者ものは、たちまち打うち敗やぶられて助たすかることはない。
29:2 正ただしい者ものが権力けんりょくを得えれば民たみは喜よろこび、悪あしき者ものが治おさめるとき、民たみはうめき苦くるしむ。
29:3 知恵ちえを愛あいする人ひとはその父ちちを喜よろこばせ、遊女ゆうじょに交まじわる者ものはその資産しさんを浪費ろうひする。
29:4 王おうは公儀こうぎをもって国くにを堅かたくする、しかし、重税じゅうぜいを取とり立たてる者ものはこれを滅ほろぼす。
29:5 その隣となり人びとにへつらう者ものは、彼かれの足あしの前まえに網あみを張はる。
29:6 悪人あくにんは自分じぶんの罪つみのわなに陥おちいる、しかし正ただしい人ひとは喜よろこび楽たのしむ。
29:7 正ただしい人ひとは貧まずしい者ものの訴うったえをかえりみる、悪あしき人ひとはそれを知しろうとはしない。
29:8 あざける人ひとは町まちを乱みだし、知恵ちえある者ものは怒いかりを静しずめる。
29:9 知恵ちえある人ひとが愚おろかな人ひとと争あらそうと、愚おろかな者ものはただ怒いかり、あるいは笑わらって、休やすむことがない。
29:10 血ちに飢うえている人ひとは罪つみのない者ものを憎にくむ、悪あしき者ものは彼かれの命いのちを求もとめる。
29:11 愚おろかな者ものは怒いかりをことごとく表あらわし、知恵ちえある者ものは静しずかにこれをおさえる。
29:12 もし治おさめる者ものが偽いつわりの言葉ことばに聞きくならば、その役人やくにんらはみな悪わるくなる。
29:13 貧まずしい者ものと、しえたげる者ものとは共ともに世よにおる、主しゅは彼かれら両者りょうしゃの目めに光ひかりを与あたえられる。
29:14 もし王おうが貧まずしい者ものを公平こうへいにさばくならば、その位くらいはいつまでも堅かたく立たつ。
29:15 むちと戒いましめとは知恵ちえを与あたえる、わがままにさせた子こはその母ははに恥はじをもたらす。
29:16 悪あしき者ものが権力けんりょくを得えると罪つみも増ます、正ただしい者ものは彼かれらの倒たおれるのを見みる。
29:17 あなたの子こを懲こらしめよ、そうすれば彼かれはあなたを安やすらかにし、またあなたの心こころに喜よろこびを与あたえる。
29:18 預言よげんがなければ民たみはわがままにふるまう、しかし律法りっぽうを守まもる者ものはさいわいである。
29:19 しもべは言葉ことばだけで訓練くんれんすることはできない、彼かれは聞きいて知しっても、心こころにとめないからである。
29:20 言葉ことばの軽率けいそつな人ひとを見みるか、彼かれよりもかえって愚おろかな者もののほうに望のぞみがある。
29:21 しもべをその幼おさない時ときからわがままに育そだてる人ひとは、ついにはそれを自分じぶんのあとつぎにする。
29:22 怒いかる人ひとは争あらそいを起おこし、憤いきどおる人ひとは多おおくの罪つみを犯おかす。
29:23 人ひとの高たかぶりはその人ひとを低ひくくし、心こころにへりくだる者ものは誉ほまれを得える。
29:24 盗ぬすびとにくみする者ものは自分じぶんの魂たましいを憎にくむ、彼かれはのろいを聞きいても何事なにごとをも口外こうがいしない。
29:25 人ひとを恐おそれると、わなに陥おちいる、主しゅに信頼しんらいする者ものは安やすらかである。
29:26 治おさめる者ものの歓心かんしんを得えようとする人ひとは多おおい、しかし人ひとの事ことを定さだめるのは主しゅによる。
29:27 正ただしい人ひとは不正ふせいを行おこなう人ひとを憎にくみ、悪あしき者ものは正ただしく歩あゆむ人ひとを憎にくむ。
第30章 30:1 マッサの人ひとヤケの子こアグルの言葉ことば。その人ひとはイテエルに向むかって言いった、すなわちイテエルと、ウカルとに向むかって言いった、30:2 わたしは確たしかに人ひとよりも愚おろかであり、わたしには人ひとの悟さとりがない。30:3 わたしはまだ知恵ちえをならうことができず、また、聖せいなる者ものを悟さとることもできない。30:4 天てんにのぼったり、下くだったりしたのはだれか、風かぜをこぶしの中なかに集あつめたのはだれか、水みずを着物きものに包つつんだのはだれか、地ちのすべての限界げんかいを定さだめた者ものはだれか、その名なは何なにか、その子この名なは何なにか、あなたは確たしかにそれを知しっている。 30:5 神かみの言葉ことばはみな真実しんじつである、神かみは彼かれに寄より頼たのむ者ものの盾たてである。30:6 その言葉ことばに付つけ加くわえてはならない、彼かれがあなたを責せめ、あなたを偽いつわり者ものとされないためだ。 30:7 わたしは二つのことをあなたに求もとめます、わたしの死しなないうちに、これをかなえてください。30:8 うそ、偽いつわりをわたしから遠とおざけ、貧まずしくもなく、また富とみもせず、ただなくてならぬ食物しょくもつでわたしを養やしなってください。30:9 飽あき足たりて、あなたを知しらないといい、「主しゅとはだれか」と言いうことのないため、また貧まずしくて盗ぬすみをし、わたしの神かみの名なを汚よごすことのないためです。 30:10 あなたは、しもべのことをその主人しゅじんに、あしざまにいってはならない、そうでないと彼かれはあなたをのろい、あなたは罪つみをきせられる。 30:11 世よには父ちちをのろったり、母ははを祝福しゅくふくしない者ものがある。30:12 世よには自分じぶんの目めにみずからを清きよい者ものとして、なおその汚けがれを洗あらわれないものがある。30:13 世よにはまた、このような人ひとがある――ああ、その目めのいかに高たかきことよ、またそのまぶたのいかにつりあがっていることよ。30:14 世よにはまたつるぎのような歯はをもち、刀かたなのようなきばをもって、貧まずしい者ものを地ちの上うえから、乏とぼしい者ものを人ひとの中なかから食くい滅ほろぼすものがある。 30:15 蛭ひるにふたりの娘むすめがあって、「与あたえよ、与あたえよ」という。飽あくことを知しらないものが三つある、いや、四つあって、皆みな「もう、たくさんです」と言いわない。30:16 すなわち陰府よみ、不妊ふにんの胎たい、水みずにかわく地ち、「もう、たくさんだ」といわない火ひがそれである。30:17 自分じぶんの父ちちをあざけり、母ははに従したがうのを卑いやしいこととする目めは、谷たにのからすがこれをつつき出だし、はげたかがこれを食たべる。 30:18 わたしにとって不思議ふしぎにたえないことが三つある、いや、四つあって、わたしには悟さとることができない。30:19 すなわち空そらを飛とぶはげたかの道みち、岩いわの上うえを這はうへびの道みち、海うみをはしる舟ふねの道みち、男おとこの女おんなにあう道みちがそれである。30:20 遊女ゆうじょの道みちもまたそうだ、彼女かのじょは食たべて、その口くちをぬぐって、「わたしは何なにもわるいことはしない」と言いう。 30:21 地ちは三つのことによって震ふるう、いや、四つのことによって、耐たえることができない。30:22 すなわち奴隷どれいたる者ものが王おうとなり、愚おろかな者ものが食物しょくもつに飽あき、30:23 忌いみきらわれた女おんなが嫁よめに行いき、はしためが女おんな主人しゅじんのあとにすわることである。 30:24 この地上ちじょうに、小ちいさいけれども、非常ひじょうに賢かしこいものが四つある。30:25 ありは力ちからのない種類しゅるいだが、その食糧しょくりょうを夏なつのうちに備そなえる。30:26 岩いわだぬきは強つよくない種類しゅるいだが、その家いえを岩いわにつくる。30:27 いなごは王おうがないけれども、みな隊たいを組くんでいで立たつ。30:28 やもりは手てでつかまえられるが、王おうの宮殿きゅうでんにおる。 30:29 歩あるきぶりの堂々どうどうたる者ものが三つある、いや、四つあって、みな堂々どうどうと歩あるく。30:30 すなわち獣けもののうちでもっとも強つよく、何なにものの前まえにも退しりぞかない、しし、30:31 尾おを立たてて歩あるくおんどり、雄おやぎ、その民たみの前まえをいばって歩あるく王おうがそれである。 30:32 あなたがもし愚おろかであって自みずから高たかぶり、あるいは悪事あくじを計はかったならば、あなたの手てを口くちに当あてるがよい。30:33 乳ちちをしめれば凝乳ぎょうにゅうが出でる、鼻はなをしめれば血ちがでる、怒いかりをしめれば争あらそいが起おこる。 第31章 31:1 マッサの王おうレムエルの言葉ことば、すなわちその母ははが彼かれに教おしえたものである。31:2 わが子こよ、何なにを言いおうか。わが胎たいの子こよ、何なにを言いおうか。わたしが願がんをかけて得えた子こよ、何なにをいおうか。31:3 あなたの力ちからを女おんなについやすな、王おうをも滅ほろぼすものに、あなたの道みちを任まかせるな。31:4 レムエルよ、酒さけを飲のむのは、王おうのすることではない、王おうのすることではない、濃こい酒さけを求もとめるのは君きみたる者もののすることではない。31:5 彼かれらは酒さけを飲のんで、おきてを忘わすれ、すべて悩なやむ者もののさばきを曲まげる。31:6 濃こい酒さけを滅ほろびようとしている者ものに与あたえ、酒さけを心こころの苦くるしむ人ひとに与あたえよ。31:7 彼かれらは飲のんで自分じぶんの貧乏びんぼうを忘わすれ、その悩なやみをもはや思おもい出ださない。31:8 あなたは黙だまっている人ひとのために、すべてのみなしごの訴うったえのために、口くちを開ひらくがよい。31:9 口くちを開ひらいて、正ただしいさばきを行おこない、貧まずしい者ものと乏とぼしい者ものの訴うったえをただせ。 31:10 だれが賢かしこい妻つまを見みつけることができるか、彼女かのじょは宝石ほうせきよりもすぐれて尊たっとい。31:11 その夫おっとの心こころは彼女かのじょを信頼しんらいして、収益しゅうえきに欠かけることはない。31:12 彼女かのじょは生いきながらえている間あいだ、その夫おっとのために良よいことをして、悪わるいことをしない。31:13 彼女かのじょは羊ひつじの毛けや亜麻あまを求もとめて、手てずから望のぞみのように、それを仕上しあげる。31:14 また商人しょうにんの舟ふねのように、遠とおい国くにから食糧しょくりょうを運はこんでくる。31:15 彼女かのじょはまだ夜よるのあけぬうちに起おきて、その家いえの者ものの食たべ物ものを備そなえ、その女おんなたちに日用にちようの分ぶんを与あたえる。31:16 彼女かのじょは畑はたけをよく考かんがえてそれを買かい、その手ての働はたらきの実みをもって、ぶどう畑ばたけをつくり、31:17 力ちからをもって腰こしに帯おびし、その腕うでを強つよくする。31:18 彼女かのじょはその商品しょうひんのもうけのあるのを知しっている、そのともしびは終夜しゅうや消きえることがない。31:19 彼女かのじょは手てを糸取いととり棒ぼうにのべ、その手てに、つむを持もち、31:20 手てを貧まずしい者ものに開ひらき、乏とぼしい人ひとに手てをさしのべる。31:21 彼女かのじょはその家いえの者もののために雪ゆきを恐おそれない、その家いえの者ものはみな紅くれないの着物きものを着きているからである。31:22 彼女かのじょは自分じぶんのために美うつくしいしとねを作つくり、亜麻あま布ぬのと紫むらさき布ぬのとをもってその着物きものとする。31:23 その夫おっとはその地ちの長老ちょうろうたちと共ともに、町まちの門もんに座ざするので、人ひとに知しられている。31:24 彼女かのじょは亜麻あま布ぬのの着物きものをつくって、それを売うり、帯おびをつくって商人しょうにんに渡わたす。31:25 力ちからと気品きひんとは彼女かのじょの着物きものである、そして後のちの日ひを笑わらっている。31:26 彼女かのじょは口くちを開ひらいて知恵ちえを語かたる、その舌したにはいつくしみの教おしえがある。31:27 彼女かのじょは家いえの事ことをよくかえりみ、怠おこたりのかてを食たべることをしない。31:28 その子こらは立たち上あがって彼女かのじょを祝しゅくし、その夫おっともまた彼女かのじょをほめたたえて言いう、31:29 「りっぱに事ことをなし遂とげる女おんなは多おおいけれども、あなたはそのすべてにまさっている」と。31:30 あでやかさは偽いつわりであり、美うつくしさはつかのまである、しかし主しゅを恐おそれる女おんなはほめたたえられる。31:31 その手ての働はたらきの実みを彼女かのじょに与あたえ、その行おこないのために彼女かのじょを町まちの門もんでほめたたえよ。
30:1 マッサの人ひとヤケの子こアグルの言葉ことば。その人ひとはイテエルに向むかって言いった、すなわちイテエルと、ウカルとに向むかって言いった、
30:2 わたしは確たしかに人ひとよりも愚おろかであり、わたしには人ひとの悟さとりがない。
30:3 わたしはまだ知恵ちえをならうことができず、また、聖せいなる者ものを悟さとることもできない。
30:4 天てんにのぼったり、下くだったりしたのはだれか、風かぜをこぶしの中なかに集あつめたのはだれか、水みずを着物きものに包つつんだのはだれか、地ちのすべての限界げんかいを定さだめた者ものはだれか、その名なは何なにか、その子この名なは何なにか、あなたは確たしかにそれを知しっている。
30:5 神かみの言葉ことばはみな真実しんじつである、神かみは彼かれに寄より頼たのむ者ものの盾たてである。
30:6 その言葉ことばに付つけ加くわえてはならない、彼かれがあなたを責せめ、あなたを偽いつわり者ものとされないためだ。
30:7 わたしは二つのことをあなたに求もとめます、わたしの死しなないうちに、これをかなえてください。
30:8 うそ、偽いつわりをわたしから遠とおざけ、貧まずしくもなく、また富とみもせず、ただなくてならぬ食物しょくもつでわたしを養やしなってください。
30:9 飽あき足たりて、あなたを知しらないといい、「主しゅとはだれか」と言いうことのないため、また貧まずしくて盗ぬすみをし、わたしの神かみの名なを汚よごすことのないためです。
30:10 あなたは、しもべのことをその主人しゅじんに、あしざまにいってはならない、そうでないと彼かれはあなたをのろい、あなたは罪つみをきせられる。
30:11 世よには父ちちをのろったり、母ははを祝福しゅくふくしない者ものがある。
30:12 世よには自分じぶんの目めにみずからを清きよい者ものとして、なおその汚けがれを洗あらわれないものがある。
30:13 世よにはまた、このような人ひとがある――ああ、その目めのいかに高たかきことよ、またそのまぶたのいかにつりあがっていることよ。
30:14 世よにはまたつるぎのような歯はをもち、刀かたなのようなきばをもって、貧まずしい者ものを地ちの上うえから、乏とぼしい者ものを人ひとの中なかから食くい滅ほろぼすものがある。
30:15 蛭ひるにふたりの娘むすめがあって、「与あたえよ、与あたえよ」という。飽あくことを知しらないものが三つある、いや、四つあって、皆みな「もう、たくさんです」と言いわない。
30:16 すなわち陰府よみ、不妊ふにんの胎たい、水みずにかわく地ち、「もう、たくさんだ」といわない火ひがそれである。
30:17 自分じぶんの父ちちをあざけり、母ははに従したがうのを卑いやしいこととする目めは、谷たにのからすがこれをつつき出だし、はげたかがこれを食たべる。
30:18 わたしにとって不思議ふしぎにたえないことが三つある、いや、四つあって、わたしには悟さとることができない。
30:19 すなわち空そらを飛とぶはげたかの道みち、岩いわの上うえを這はうへびの道みち、海うみをはしる舟ふねの道みち、男おとこの女おんなにあう道みちがそれである。
30:20 遊女ゆうじょの道みちもまたそうだ、彼女かのじょは食たべて、その口くちをぬぐって、「わたしは何なにもわるいことはしない」と言いう。
30:21 地ちは三つのことによって震ふるう、いや、四つのことによって、耐たえることができない。
30:22 すなわち奴隷どれいたる者ものが王おうとなり、愚おろかな者ものが食物しょくもつに飽あき、
30:23 忌いみきらわれた女おんなが嫁よめに行いき、はしためが女おんな主人しゅじんのあとにすわることである。
30:24 この地上ちじょうに、小ちいさいけれども、非常ひじょうに賢かしこいものが四つある。
30:25 ありは力ちからのない種類しゅるいだが、その食糧しょくりょうを夏なつのうちに備そなえる。
30:26 岩いわだぬきは強つよくない種類しゅるいだが、その家いえを岩いわにつくる。
30:27 いなごは王おうがないけれども、みな隊たいを組くんでいで立たつ。
30:28 やもりは手てでつかまえられるが、王おうの宮殿きゅうでんにおる。
30:29 歩あるきぶりの堂々どうどうたる者ものが三つある、いや、四つあって、みな堂々どうどうと歩あるく。
30:30 すなわち獣けもののうちでもっとも強つよく、何なにものの前まえにも退しりぞかない、しし、
30:31 尾おを立たてて歩あるくおんどり、雄おやぎ、その民たみの前まえをいばって歩あるく王おうがそれである。
30:32 あなたがもし愚おろかであって自みずから高たかぶり、あるいは悪事あくじを計はかったならば、あなたの手てを口くちに当あてるがよい。
30:33 乳ちちをしめれば凝乳ぎょうにゅうが出でる、鼻はなをしめれば血ちがでる、怒いかりをしめれば争あらそいが起おこる。
第31章 31:1 マッサの王おうレムエルの言葉ことば、すなわちその母ははが彼かれに教おしえたものである。31:2 わが子こよ、何なにを言いおうか。わが胎たいの子こよ、何なにを言いおうか。わたしが願がんをかけて得えた子こよ、何なにをいおうか。31:3 あなたの力ちからを女おんなについやすな、王おうをも滅ほろぼすものに、あなたの道みちを任まかせるな。31:4 レムエルよ、酒さけを飲のむのは、王おうのすることではない、王おうのすることではない、濃こい酒さけを求もとめるのは君きみたる者もののすることではない。31:5 彼かれらは酒さけを飲のんで、おきてを忘わすれ、すべて悩なやむ者もののさばきを曲まげる。31:6 濃こい酒さけを滅ほろびようとしている者ものに与あたえ、酒さけを心こころの苦くるしむ人ひとに与あたえよ。31:7 彼かれらは飲のんで自分じぶんの貧乏びんぼうを忘わすれ、その悩なやみをもはや思おもい出ださない。31:8 あなたは黙だまっている人ひとのために、すべてのみなしごの訴うったえのために、口くちを開ひらくがよい。31:9 口くちを開ひらいて、正ただしいさばきを行おこない、貧まずしい者ものと乏とぼしい者ものの訴うったえをただせ。 31:10 だれが賢かしこい妻つまを見みつけることができるか、彼女かのじょは宝石ほうせきよりもすぐれて尊たっとい。31:11 その夫おっとの心こころは彼女かのじょを信頼しんらいして、収益しゅうえきに欠かけることはない。31:12 彼女かのじょは生いきながらえている間あいだ、その夫おっとのために良よいことをして、悪わるいことをしない。31:13 彼女かのじょは羊ひつじの毛けや亜麻あまを求もとめて、手てずから望のぞみのように、それを仕上しあげる。31:14 また商人しょうにんの舟ふねのように、遠とおい国くにから食糧しょくりょうを運はこんでくる。31:15 彼女かのじょはまだ夜よるのあけぬうちに起おきて、その家いえの者ものの食たべ物ものを備そなえ、その女おんなたちに日用にちようの分ぶんを与あたえる。31:16 彼女かのじょは畑はたけをよく考かんがえてそれを買かい、その手ての働はたらきの実みをもって、ぶどう畑ばたけをつくり、31:17 力ちからをもって腰こしに帯おびし、その腕うでを強つよくする。31:18 彼女かのじょはその商品しょうひんのもうけのあるのを知しっている、そのともしびは終夜しゅうや消きえることがない。31:19 彼女かのじょは手てを糸取いととり棒ぼうにのべ、その手てに、つむを持もち、31:20 手てを貧まずしい者ものに開ひらき、乏とぼしい人ひとに手てをさしのべる。31:21 彼女かのじょはその家いえの者もののために雪ゆきを恐おそれない、その家いえの者ものはみな紅くれないの着物きものを着きているからである。31:22 彼女かのじょは自分じぶんのために美うつくしいしとねを作つくり、亜麻あま布ぬのと紫むらさき布ぬのとをもってその着物きものとする。31:23 その夫おっとはその地ちの長老ちょうろうたちと共ともに、町まちの門もんに座ざするので、人ひとに知しられている。31:24 彼女かのじょは亜麻あま布ぬのの着物きものをつくって、それを売うり、帯おびをつくって商人しょうにんに渡わたす。31:25 力ちからと気品きひんとは彼女かのじょの着物きものである、そして後のちの日ひを笑わらっている。31:26 彼女かのじょは口くちを開ひらいて知恵ちえを語かたる、その舌したにはいつくしみの教おしえがある。31:27 彼女かのじょは家いえの事ことをよくかえりみ、怠おこたりのかてを食たべることをしない。31:28 その子こらは立たち上あがって彼女かのじょを祝しゅくし、その夫おっともまた彼女かのじょをほめたたえて言いう、31:29 「りっぱに事ことをなし遂とげる女おんなは多おおいけれども、あなたはそのすべてにまさっている」と。31:30 あでやかさは偽いつわりであり、美うつくしさはつかのまである、しかし主しゅを恐おそれる女おんなはほめたたえられる。31:31 その手ての働はたらきの実みを彼女かのじょに与あたえ、その行おこないのために彼女かのじょを町まちの門もんでほめたたえよ。
31:1 マッサの王おうレムエルの言葉ことば、すなわちその母ははが彼かれに教おしえたものである。
31:2 わが子こよ、何なにを言いおうか。わが胎たいの子こよ、何なにを言いおうか。わたしが願がんをかけて得えた子こよ、何なにをいおうか。
31:3 あなたの力ちからを女おんなについやすな、王おうをも滅ほろぼすものに、あなたの道みちを任まかせるな。
31:4 レムエルよ、酒さけを飲のむのは、王おうのすることではない、王おうのすることではない、濃こい酒さけを求もとめるのは君きみたる者もののすることではない。
31:5 彼かれらは酒さけを飲のんで、おきてを忘わすれ、すべて悩なやむ者もののさばきを曲まげる。
31:6 濃こい酒さけを滅ほろびようとしている者ものに与あたえ、酒さけを心こころの苦くるしむ人ひとに与あたえよ。
31:7 彼かれらは飲のんで自分じぶんの貧乏びんぼうを忘わすれ、その悩なやみをもはや思おもい出ださない。
31:8 あなたは黙だまっている人ひとのために、すべてのみなしごの訴うったえのために、口くちを開ひらくがよい。
31:9 口くちを開ひらいて、正ただしいさばきを行おこない、貧まずしい者ものと乏とぼしい者ものの訴うったえをただせ。
31:10 だれが賢かしこい妻つまを見みつけることができるか、彼女かのじょは宝石ほうせきよりもすぐれて尊たっとい。
31:11 その夫おっとの心こころは彼女かのじょを信頼しんらいして、収益しゅうえきに欠かけることはない。
31:12 彼女かのじょは生いきながらえている間あいだ、その夫おっとのために良よいことをして、悪わるいことをしない。
31:13 彼女かのじょは羊ひつじの毛けや亜麻あまを求もとめて、手てずから望のぞみのように、それを仕上しあげる。
31:14 また商人しょうにんの舟ふねのように、遠とおい国くにから食糧しょくりょうを運はこんでくる。
31:15 彼女かのじょはまだ夜よるのあけぬうちに起おきて、その家いえの者ものの食たべ物ものを備そなえ、その女おんなたちに日用にちようの分ぶんを与あたえる。
31:16 彼女かのじょは畑はたけをよく考かんがえてそれを買かい、その手ての働はたらきの実みをもって、ぶどう畑ばたけをつくり、
31:17 力ちからをもって腰こしに帯おびし、その腕うでを強つよくする。
31:18 彼女かのじょはその商品しょうひんのもうけのあるのを知しっている、そのともしびは終夜しゅうや消きえることがない。
31:19 彼女かのじょは手てを糸取いととり棒ぼうにのべ、その手てに、つむを持もち、
31:20 手てを貧まずしい者ものに開ひらき、乏とぼしい人ひとに手てをさしのべる。
31:21 彼女かのじょはその家いえの者もののために雪ゆきを恐おそれない、その家いえの者ものはみな紅くれないの着物きものを着きているからである。
31:22 彼女かのじょは自分じぶんのために美うつくしいしとねを作つくり、亜麻あま布ぬのと紫むらさき布ぬのとをもってその着物きものとする。
31:23 その夫おっとはその地ちの長老ちょうろうたちと共ともに、町まちの門もんに座ざするので、人ひとに知しられている。
31:24 彼女かのじょは亜麻あま布ぬのの着物きものをつくって、それを売うり、帯おびをつくって商人しょうにんに渡わたす。
31:25 力ちからと気品きひんとは彼女かのじょの着物きものである、そして後のちの日ひを笑わらっている。
31:26 彼女かのじょは口くちを開ひらいて知恵ちえを語かたる、その舌したにはいつくしみの教おしえがある。
31:27 彼女かのじょは家いえの事ことをよくかえりみ、怠おこたりのかてを食たべることをしない。
31:28 その子こらは立たち上あがって彼女かのじょを祝しゅくし、その夫おっともまた彼女かのじょをほめたたえて言いう、
31:29 「りっぱに事ことをなし遂とげる女おんなは多おおいけれども、あなたはそのすべてにまさっている」と。
31:30 あでやかさは偽いつわりであり、美うつくしさはつかのまである、しかし主しゅを恐おそれる女おんなはほめたたえられる。
31:31 その手ての働はたらきの実みを彼女かのじょに与あたえ、その行おこないのために彼女かのじょを町まちの門もんでほめたたえよ。