口語訳聖書(振り仮名付き)

章: 1  2  3  4  5  6  7  8  9  10  11  12

マタイによる福音ふくいんしょ

第1章   Mt-Audio 

1:1 アブラハムのであるダビデの、イエス・キリストの系図けいず

1:2 アブラハムはイサクのちちであり、イサクはヤコブのちち、ヤコブはユダとその兄弟きょうだいたちとのちち

1:3 ユダはタマルによるパレスとザラとのちち、パレスはエスロンのちち、エスロンはアラムのちち

1:4 アラムはアミナダブのちち、アミナダブはナアソンのちち、ナアソンはサルモンのちち

1:5 サルモンはラハブによるボアズのちち、ボアズはルツによるオベデのちち、オベデはエッサイのちち

1:6 エッサイはダビデおうちちであった。

ダビデはウリヤのつまによるソロモンのちちであり、

1:7 ソロモンはレハベアムのちち、レハベアムはアビヤのちち、アビヤはアサのちち

1:8 アサはヨサパテのちち、ヨサパテはヨラムのちち、ヨラムはウジヤのちち

1:9 ウジヤはヨタムのちち、ヨタムはアハズのちち、アハズはヒゼキヤのちち

1:10 ヒゼキヤはマナセのちち、マナセはアモンのちち、アモンはヨシヤのちち

1:11 ヨシヤはバビロンへうつされたころ、エコニヤとその兄弟きょうだいたちとのちちとなった。

1:12 バビロンへうつされたのち、エコニヤはサラテルのちちとなった。サラテルはゾロバベルのちち

1:13 ゾロバベルはアビウデのちち、アビウデはエリヤキムのちち、エリヤキムはアゾルのちち

1:14 アゾルはサドクのちち、サドクはアキムのちち、アキムはエリウデのちち

1:15 エリウデはエレアザルのちち、エレアザルはマタンのちち、マタンはヤコブのちち

1:16 ヤコブはマリヤのおっとヨセフのちちであった。このマリヤからキリストといわれるイエスがおうまれになった。

1:17 だから、アブラハムからダビデまでのだいわせて十四だい、ダビデからバビロンへうつされるまでは十四だい、そして、バビロンへうつされてからキリストまでは十四だいである。

1:18 イエス・キリストの誕生たんじょう次第しだいはこうであった。ははマリヤはヨセフと婚約こんやくしていたが、まだ一緒いっしょにならないまえに、聖霊せいれいによって身重みおもになった。

1:19 おっとヨセフはただしいひとであったので、彼女かのじょのことがおおやけになることをこのまず、ひそかに離縁りえんしようと決心けっしんした。

1:20 かれがこのことをおもいめぐらしていたとき、しゅ使つかいゆめあらわれてった、「ダビデのヨセフよ、心配しんぱいしないでマリヤをつまとしてむかえるがよい。その胎内たいない宿やどっているものは聖霊せいれいによるのである。

1:21 彼女かのじょおとこむであろう。そのをイエスとづけなさい。かれは、おのれのたみをそのもろもろのつみからすくものとなるからである」。

1:22 すべてこれらのことがおこったのは、しゅ預言者よげんしゃによってわれたことの成就じょうじゅするためである。すなわち、

1:23 「よ、おとめがみごもっておとこむであろう。そのはインマヌエルとばれるであろう」。

これは、「かみわれらとともにいます」という意味いみである。

1:24 ヨセフはねむりからさめたのちに、しゅ使つかいめいじたとおりに、マリヤをつまむかえた。

1:25 しかし、うまれるまでは、彼女かのじょることはなかった。そして、そのをイエスとづけた。 

第2章

2:1 イエスがヘロデおうだいに、ユダヤのベツレヘムでおうまれになったとき、よ、ひがしからきた博士はかせたちがエルサレムにいてった、

2:2 「ユダヤじんおうとしておうまれになったかたは、どこにおられますか。わたしたちはひがしほうでそのほしたので、そのかたをおがみにきました」。

2:3 ヘロデおうはこのことをいて不安ふあんかんじた。エルサレムの人々ひとびともみな、同様どうようであった。

2:4 そこでおう祭司長さいしちょうたちとたみ律法りっぽう学者がくしゃたちとを全部ぜんぶあつめて、キリストはどこにうまれるのかと、かれらにいただした。

2:5 かれらはおうった、「それはユダヤのベツレヘムです。預言者よげんしゃがこうしるしています、

2:6 『ユダの、ベツレヘムよ、おまえはユダのきみたちのなかで、けっしてもっとちいさいものではない。おまえのなかからひとりのきみて、わがたみイスラエルの牧者ぼくしゃとなるであろう』」。

2:7 そこで、ヘロデはひそかに博士はかせたちをんで、ほしあらわれたときについてくわしくき、

2:8 かれらをベツレヘムにつかわしてった、「って、そのおさのことをくわしく調しらべ、つかったらわたしにらせてくれ。わたしもおがみにくから」。

2:9 かれらはおううことをいてかけると、よ、かれらが東方とうほうほしが、かれらよりさきすすんで、おさのいるところまでき、そのうえにとどまった。

2:10 かれらはそのほして、非常ひじょうよろこびにあふれた。

2:11 そして、いえにはいって、ははマリヤのそばにいるおさい、ひれしておがみ、また、たからはこをあけて、黄金おうごん乳香にゅうこう没薬もつやくなどのおくものをささげた。

2:12 そして、ゆめでヘロデのところにかえるなとのみげをけたので、みちをとおって自分じぶんくにかえってった。

2:13 かれらがかえってったのち、よ、しゅ使つかいゆめでヨセフにあらわれてった、「って、おさとそのははれて、エジプトにげなさい。そして、あなたにらせるまで、そこにとどまっていなさい。ヘロデがおささがして、ころそうとしている」。

2:14 そこで、ヨセフはって、よるあいだおさとそのははとをれてエジプトへき、

2:15 ヘロデがぬまでそこにとどまっていた。それは、しゅ預言者よげんしゃによって「エジプトからわがした」とわれたことが、成就じょうじゅするためである。

2:16 さて、ヘロデは博士はかせたちにだまされたとって、非常ひじょう立腹りっぷくした。そして人々ひとびとをつかわし、博士はかせたちからたしかめたときもとづいて、ベツレヘムとその附近ふきん地方ちほうとにいる二さい以下いかおとこを、ことごとくころした。

2:17 こうして、預言者よげんしゃエレミヤによってわれたことが、成就じょうじゅしたのである。

2:18 「さけおおいなるかなしみのこえラマできこえた。ラケルはそのらのためになげいた。らがもはやいないので、なぐさめられることさえねがわなかった」。

2:19 さて、ヘロデがんだのち、よ、しゅ使つかいがエジプトにいるヨセフにゆめあらわれてった、

2:20 「って、おさとそのははれて、イスラエルのけ。おさいのちをねらっていた人々ひとびとは、んでしまった」。

2:21 そこでヨセフはって、おさとそのははとをれて、イスラエルのかえった。

2:22 しかし、アケラオがそのちちヘロデにかわってユダヤをおさめているといたので、そこへくことをおそれた。そしてゆめでみげをけたので、ガリラヤの地方ちほう退しりぞき、

2:23 ナザレというまちってんだ。これは預言者よげんしゃたちによって、「かれはナザレびとばれるであろう」とわれたことが、成就じょうじゅするためである。  

第3章

3:1 そのころ、バプテスマのヨハネがあらわれ、ユダヤの荒野あらのおしえべてった、

3:2 「あらためよ、天国てんごくちかづいた」。

3:3 預言者よげんしゃイザヤによって、

荒野あらのばわるものこえがする、しゅみちそなえよ、そのみちすじをまっすぐにせよ』」
われたのは、このひとのことである。

3:4 このヨハネは、らくだのごろもを着物きものにし、こしかわおびをしめ、いなごとみつとを食物しょくもつとしていた。

3:5 すると、エルサレムとユダヤ全土ぜんどとヨルダン附近ふきん一帯いったい人々ひとびとが、ぞくぞくとヨハネのところにてきて、

3:6 自分じぶんつみ告白こくはくし、ヨルダンがわでヨハネからバプテスマをけた。

3:7 ヨハネは、パリサイびとやサドカイびとおおぜいバプテスマをけようとしてきたのをて、かれらにった、「まむしのらよ、せまってきているかみいかりから、おまえたちはのがれられると、だれがおしえたのか。

3:8 だから、悔改くいあらためにふさわしいむすべ。

3:9 自分じぶんたちのちちにはアブラハムがあるなどと、こころなかおもってもみるな。おまえたちにっておく、かみはこれらのいしころからでも、アブラハムのおこすことができるのだ。

3:10 おのがすでにもとにかれている。だから、むすばないはことごとくられて、なかまれるのだ。

3:11 わたしは悔改くいあらためのために、みずでおまえたちにバプテスマをさづけている。しかし、わたしのあとからひとはわたしよりもちからのあるかたで、わたしはそのくつをぬがせてあげるうちもない。このかたは、聖霊せいれいとによっておまえたちにバプテスマをおさづけになるであろう。

3:12 また、って、むぎをふるいけ、むぎくらおさめ、からはえないてるであろう」。

3:13 そのときイエスは、ガリラヤをてヨルダンがわあらわれ、ヨハネのところにきて、バプテスマをけようとされた。

3:14 ところがヨハネは、それをおもいとどまらせようとしてった、「わたしこそあなたからバプテスマをけるはずですのに、あなたがわたしのところにおいでになるのですか」。

3:15 しかし、イエスはこたえてわれた、「いまけさせてもらいたい。このように、すべてのただしいことを成就じょうじゅするのは、われわれにふさわしいことである」。そこでヨハネはイエスのわれるとおりにした。

3:16 イエスはバプテスマをけるとすぐ、みずからがられた。すると、よ、てんひらけ、かみ御霊みたまがはとのように自分じぶんうえくだってくるのを、ごらんになった。

3:17 またてんからこえがあってった、「これはわたしのあいする、わたしのこころにかなうものである」。  

第4章

4:1 さて、イエスは御霊みたまによって荒野あらのみちびかれた。悪魔あくまこころみられるためである。

4:2 そして、四十にち四十断食だんじきをし、そののち空腹くうふくになられた。

4:3 するとこころみるものがきてった、「もしあなたがかみであるなら、これらのいしがパンになるようにめいじてごらんなさい」。

4:4 イエスはこたえてわれた、「『ひとはパンだけできるものではなく、かみくちからる一つ一つのことばきるものである』といてある」。

4:5 それから悪魔あくまは、イエスをせいなるみやこれてき、みや頂上ちょうじょうたせて

4:6 った、「もしあなたがかみであるなら、したびおりてごらんなさい。

かみはあなたのために御使みつかいたちにおめいじになると、あなたのあしいしちつけられないように、かれらはあなたをでささえるであろう』
いてありますから」。

4:7 イエスはかれわれた、「『しゅなるあなたのかみこころみてはならない』とまたいてある」。

4:8 つぎ悪魔あくまは、イエスを非常ひじょうたかやまれてき、こののすべての国々くにぐにとその栄華えいがとをせて

4:9 った、「もしあなたが、ひれしてわたしをおがむなら、これらのものをみなあなたにあげましょう」。

4:10 するとイエスはかれわれた、「サタンよ、退しりぞけ。『しゅなるあなたのかみはいし、ただかみにのみつかえよ』といてある」。

4:11 そこで、悪魔あくまはイエスをはなり、そして、御使みつかいたちがみもとにきてつかえた。

4:12 さて、イエスはヨハネがとらえられたといて、ガリラヤへ退しりぞかれた。

4:13 そしてナザレをり、ゼブルンとナフタリとの地方ちほうにあるうみべのまちカペナウムにってまわれた。

4:14 これは預言者よげんしゃイザヤによってわれたことばが、成就じょうじゅするためである。

4:15 「ゼブルンの、ナフタリのうみ沿地方ちほう、ヨルダンのこうの異邦人いほうじんのガリラヤ、

4:16 暗黒あんこくなかんでいるたみおおいなるひかりかげんでいる人々ひとびとに、ひかりがのぼった」。

4:17 このときからイエスはおしえべはじめてわれた、「あらためよ、天国てんごくちかづいた」。

4:18 さて、イエスがガリラヤのうみべをあるいておられると、ふたりの兄弟きょうだい、すなわち、ペテロとばれたシモンとその兄弟きょうだいアンデレとが、うみあみっているのをごらんになった。かれらは漁師りょうしであった。

4:19 イエスはかれらにわれた、「わたしについてきなさい。あなたがたを、人間にんげんをとる漁師りょうしにしてあげよう」。

4:20 すると、かれらはすぐにあみてて、イエスにしたがった。

4:21 そこからすすんでかれると、ほかのふたりの兄弟きょうだい、すなわち、ゼベダイのヤコブとその兄弟きょうだいヨハネとが、ちちゼベダイと一緒いっしょに、ふねなかあみつくろっているのをごらんになった。そこでかれらをおまねきになると、

4:22 すぐふねちちとをおいて、イエスにしたがってった。

4:23 イエスはガリラヤのぜんめぐあるいて、しょ会堂かいどうおしえ、御国みくに福音ふくいんつたえ、たみなかのあらゆる病気びょうき、あらゆるわずらいをおいやしになった。

4:24 そこで、その評判ひょうばんはシリヤぜんにひろまり、人々ひとびとがあらゆるやまいにかかっているもの、すなわち、いろいろの病気びょうきくるしみとになやんでいるもの悪霊あくれいにつかれているもの、てんかん、中風ちゅうぶものなどをイエスのところにれてきたので、これらの人々ひとびとをおいやしになった。

4:25 こうして、ガリラヤ、デカポリス、エルサレム、ユダヤおよびヨルダンのこうから、おびただしい群衆ぐんしゅうがきてイエスにしたがった。 

第5章

5:1 イエスはこの群衆ぐんしゅうて、やまのぼり、につかれると、弟子でしたちがみもとに近寄ちかよってきた。

5:2 そこで、イエスはくちひらき、かれらにおしえてわれた。

5:3 「こころのまずしいひとたちは、さいわいである、天国てんごくかれらのものである。

5:4 かなしんでいるひとたちは、さいわいである、かれらはなぐさめられるであろう。

5:5 柔和にゅうわひとたちは、さいわいである、かれらはけつぐであろう。

5:6 えかわいているひとたちは、さいわいである、かれらはりるようになるであろう。

5:7 あわれみぶかひとたちは、さいわいである、かれらはあわれみをけるであろう。

5:8 こころきよひとたちは、さいわいである、かれらはかみるであろう。

5:9 平和へいわをつくりひとたちは、さいわいである、かれらはかみばれるであろう。

5:10 のために迫害はくがいされてきたひとたちは、さいわいである、天国てんごくかれらのものである。

5:11 わたしのために人々ひとびとがあなたがたをののしり、また迫害はくがいし、あなたがたにたいいつわって様々さまざま悪口あっこうときには、あなたがたは、さいわいである。

5:12 よろこび、よろこべ、てんにおいてあなたがたのけるむくいはおおきい。あなたがたよりまえ預言者よげんしゃたちも、おなじように迫害はくがいされたのである。

5:13 あなたがたは、しおである。もししおのききめがなくなったら、なにによってそのあじりもどされようか。もはや、なんのやくにもたず、ただそとてられて、人々ひとびとにふみつけられるだけである。

5:14 あなたがたは、ひかりである。やまうえにあるまちかくれることができない。

5:15 また、あかりをつけて、それをますしたにおくものはいない。むしろ燭台しょくだいうえにおいて、いえなかのすべてのものをてらさせるのである。

5:16 そのように、あなたがたのひかり人々ひとびとまえかがやかし、そして、人々ひとびとがあなたがたのよいおこないをて、てんにいますあなたがたのちちをあがめるようにしなさい。

5:17 わたしが律法りっぽう預言者よげんしゃはいするためにきた、とおもってはならない。はいするためではなく、成就じょうじゅするためにきたのである。

5:18 よくっておく。天地てんちほろくまでは、律法りっぽうの一てん一画いっかくもすたることはなく、ことごとくまっとうされるのである。

5:19 それだから、これらのもっとちいさいいましめの一つでもやぶり、またそうするようにひとおしえたりするものは、天国てんごくもっとちいさいものばれるであろう。しかし、これをおこないまたそうおしえるものは、天国てんごくおおいなるものばれるであろう。

5:20 わたしはっておく。あなたがたの律法りっぽう学者がくしゃやパリサイびとにまさっていなければ、けっして天国てんごくに、はいることはできない。

5:21 むかし人々ひとびとに『ころすな。ころもの裁判さいばんけねばならない』とわれていたことは、あなたがたのいているところである。

5:22 しかし、わたしはあなたがたにう。兄弟きょうだいたいしていかものは、だれでも裁判さいばんけねばならない。兄弟きょうだいにむかっておろものものは、議会ぎかいきわたされるであろう。また、ばかものものは、地獄じごくまれるであろう。

5:23 だから、祭壇さいだんそなものをささげようとする場合ばあい兄弟きょうだい自分じぶんたいしてなにかうらみをいだいていることを、そこでおもしたなら、

5:24 そのそなもの祭壇さいだんまえのこしておき、まずってその兄弟きょうだい和解わかいし、それからかえってきて、そなものをささげることにしなさい。

5:25 あなたをうったえるもの一緒いっしょみちときには、その途中とちゅうはや仲直なかなおりをしなさい。そうしないと、そのうったえるものはあなたを裁判官さいばんかんにわたし、裁判官さいばんかん下役したやくにわたし、そして、あなたはごくれられるであろう。

5:26 よくあなたにっておく。最後さいごの一コドラントを支払しはらってしまうまでは、けっしてそこからてくることはできない。

5:27 『姦淫かんいんするな』とわれていたことは、あなたがたのいているところである。

5:28 しかし、わたしはあなたがたにう。だれでも、情欲じょうよくをいだいておんなものは、こころなかですでに姦淫かんいんをしたのである。

5:29 もしあなたのみぎつみおかさせるなら、それをしててなさい。五体ごたい一部いちぶうしなっても、全身ぜんしん地獄じごくれられないほうが、あなたにとってえきである。

5:30 もしあなたのみぎつみおかさせるなら、それをっててなさい。五体ごたい一部いちぶうしなっても、全身ぜんしん地獄じごくまないほうが、あなたにとってえきである。

5:31 また『つまもの離縁りえんじょうわたせ』とわれている。

5:32 しかし、わたしはあなたがたにう。だれでも、不品行ふひんこう以外いがい理由りゆう自分じぶんつまものは、姦淫かんいんおこなわせるのである。またされたおんなをめとるものも、姦淫かんいんおこなうのである。

5:33 またむかし人々ひとびとに『いつわりちかうな、ちかったことは、すべてしゅたいしてはたせ』とわれていたことは、あなたがたのいているところである。

5:34 しかし、わたしはあなたがたにう。いっさいちかってはならない。てんをさしてちかうな。そこはかみ御座みざであるから。

5:35 またをさしてちかうな。そこはかみあしだいであるから。またエルサレムをさしてちかうな。それは『大王だいおうみやこ』であるから。

5:36 また、自分じぶんあたまをさしてちかうな。あなたはかみひとすじさえ、しろくもくろくもすることができない。

5:37 あなたがたの言葉ことばは、ただ、しかり、しかり、いないな、であるべきだ。それ以上いじょうることは、あくからるのである。

5:38 『にはを、にはを』とわれていたことは、あなたがたのいているところである。

5:39 しかし、わたしはあなたがたにう。悪人あくにん手向てむかうな。もし、だれかがあなたのみぎほおつなら、ほかのほおをもけてやりなさい。

5:40 あなたをうったえて、下着したぎろうとするものには、上着うわぎをもあたえなさい。

5:41 もし、だれかが、あなたをしいて一マイルかせようとするなら、そのひとともに二マイルきなさい。

5:42 もとめるものにはあたえ、りようとするものことわるな。

5:43 『となびとあいし、てきにくめ』とわれていたことは、あなたがたのいているところである。

5:44 しかし、わたしはあなたがたにう。てきあいし、迫害はくがいするもののためにいのれ。

5:45 こうして、てんにいますあなたがたのちちとなるためである。てんちちは、わるものうえにもものうえにも、太陽たいようをのぼらせ、ただしいものにもただしくないものにも、あめらしてくださるからである。

5:46 あなたがたが自分じぶんあいするものあいしたからとて、なんのむくいがあろうか。そのようなことは取税人しゅぜいにんでもするではないか。

5:47 兄弟きょうだいだけにあいさつをしたからとて、なんのすぐれたことをしているだろうか。そのようなことは異邦人いほうじんでもしているではないか。

5:48 それだから、あなたがたのてんちち完全かんぜんであられるように、あなたがたも完全かんぜんものとなりなさい。  

第6章

6:1 自分じぶんを、られるためにひとまえおこなわないように、注意ちゅういしなさい。もし、そうしないと、てんにいますあなたがたのちちからむくいをけることがないであろう。

6:2 だから、ほどこしをするときには、偽善者ぎぜんしゃたちがひとにほめられるため会堂かいどうまちなかでするように、自分じぶんまえでラッパをきならすな。よくっておくが、かれらはそのむくいをけてしまっている。

6:3 あなたはほどこしをする場合ばあいみぎのしていることをひだりらせるな。

6:4 それは、あなたのするほどこしがかくれているためである。すると、かくれたことておられるあなたのちちは、むくいてくださるであろう。

6:5 またいのときには、偽善者ぎぜんしゃたちのようにするな。かれらはひとせようとして、会堂かいどう大通おおどおりのつじにっていのることをこのむ。よくっておくが、かれらはそのむくいをけてしまっている。

6:6 あなたはいのとき自分じぶんのへやにはいり、じて、かくれたところにおいでになるあなたのちちいのりなさい。すると、かくれたことておられるあなたのちちは、むくいてくださるであろう。

6:7 また、いの場合ばあい異邦人いほうじんのように、くどくどといのるな。かれらは言葉ことばかずがおおければ、きいれられるものとおもっている。

6:8 だから、かれらのまねをするな。あなたがたのちちなるかみは、もとめないさきから、あなたがたに必要ひつようなものはごぞんじなのである。

6:9 だから、あなたがたはこういのりなさい、

てんにいますわれらのちちよ、御名みながあがめられますように。

6:10 御国みくにがきますように。みこころがてんおこなわれるとおり、にもおこなわれますように。

6:11 わたしたちのごとの食物しょくもつを、きょうもおあたえください。

6:12 わたしたちに負債ふさいのあるものをゆるしましたように、わたしたちの負債ふさいをもおゆるしください。

6:13 わたしたちをこころみにわせないで、しきものからおすくいください。

6:14 もしも、あなたがたが、人々ひとびとのあやまちをゆるすならば、あなたがたのてんちちも、あなたがたをゆるしてくださるであろう。

6:15 もしひとをゆるさないならば、あなたがたのちちも、あなたがたのあやまちをゆるしてくださらないであろう。

6:16 また断食だんじきをするときには、偽善者ぎぜんしゃがするように、陰気いんきかおつきをするな。かれらは断食だんじきをしていることをひとせようとして、自分じぶんかお見苦みぐるしくするのである。よくっておくが、かれらはそのむくいをけてしまっている。

6:17 あなたがたは断食だんじきをするときには、自分じぶんあたまあぶらり、かおあらいなさい。

6:18 それは断食だんじきをしていることがひとれないで、かくれたところにおいでになるあなたのちちられるためである。すると、かくれたことておられるあなたのちちは、むくいてくださるであろう。

6:19 あなたがたは自分じぶんのために、むしい、さびがつき、また、盗人ぬすびとらがってぬすすような地上ちじょうに、たからをたくわえてはならない。

6:20 むしろ自分じぶんのため、むしわず、さびもつかず、また、盗人ぬすびとらがってぬすすこともないてんに、たからをたくわえなさい。

6:21 あなたのたからのあるところには、こころもあるからである。

6:22 はからだのあかりである。だから、あなたのんでおれば、全身ぜんしんあかるいだろう。

6:23 しかし、あなたのわるければ、全身ぜんしんくらいだろう。だから、もしあなたのうちなるひかりくらければ、そのくらさは、どんなであろう。

6:24 だれも、ふたりの主人しゅじんつかえることはできない。一方いっぽうにくんで他方たほうあいし、あるいは、一方いっぽうしたしんで他方たほうをうとんじるからである。あなたがたは、かみとみとにつかえることはできない。

6:25 それだから、あなたがたにっておく。なにべようか、なにもうかと、自分じぶんいのちのことでおもいわずらい、なにようかと自分じぶんのからだのことでおもいわずらうな。いのち食物しょくもつにまさり、からだは着物きものにまさるではないか。

6:26 そらとりるがよい。まくことも、ることもせず、くらりいれることもしない。それだのに、あなたがたのてんちちかれらをやしなっていてくださる。あなたがたはかれらよりも、はるかにすぐれたものではないか。

6:27 あなたがたのうち、だれがおもいわずらったからとて、自分じぶん寿命じゅみょうをわずかでもばすことができようか。

6:28 また、なぜ、着物きもののことでおもいわずらうのか。はながどうしてそだっているか、かんがえてるがよい。はたらきもせず、つむぎもしない。

6:29 しかし、あなたがたにうが、栄華えいがをきわめたときのソロモンでさえ、このはなの一つほどにも着飾きかざってはいなかった。

6:30 きょうはえていて、あすはれられるくさでさえ、かみはこのようによそおってくださるのなら、あなたがたに、それ以上いじょうよくしてくださらないはずがあろうか。ああ、信仰しんこううすものたちよ。

6:31 だから、なにべようか、なにもうか、あるいはなにようかとっておもいわずらうな。

6:32 これらのものはみな、異邦人いほうじんせつもとめているものである。あなたがたのてんちちは、これらのものが、ことごとくあなたがたに必要ひつようであることをごぞんじである。

6:33 まずかみくにかみとをもとめなさい。そうすれば、これらのものは、すべてえてあたえられるであろう。

6:34 だから、あすのことをおもいわずらうな。あすのことは、あす自身じしんおもいわずらうであろう。一にち苦労くろうは、そのにちだけで十分じゅうぶんである。  

第7章

7:1 ひとをさばくな。自分じぶんがさばかれないためである。

7:2 あなたがたがさばくそのさばきで、自分じぶんもさばかれ、あなたがたのはかるそのはかりで、自分じぶんにもはかあたえられるであろう。

7:3 なぜ、兄弟きょうだいにあるちりをながら、自分じぶんにあるはりみとめないのか。

7:4 自分じぶんにははりがあるのに、どうして兄弟きょうだいにむかって、あなたのからちりをらせてください、とえようか。

7:5 偽善者ぎぜんしゃよ、まず自分じぶんからはりりのけるがよい。そうすれば、はっきりえるようになって、兄弟きょうだいからちりをりのけることができるだろう。

7:6 せいなるものをいぬにやるな。また真珠しんじゅぶたげてやるな。おそらくかれらはそれらをあしみつけ、きなおってあなたがたにかみついてくるであろう。

7:7 もとめよ、そうすれば、あたえられるであろう。さがせ、そうすれば、いだすであろう。もんをたたけ、そうすれば、あけてもらえるであろう。

7:8 すべてもとめるものさがものいだし、もんをたたくものはあけてもらえるからである。

7:9 あなたがたのうちで、自分じぶんがパンをもとめるのに、いしあたえるものがあろうか。

7:10 うおもとめるのに、へびをあたえるものがあろうか。

7:11 このように、あなたがたはわるものであっても、自分じぶん子供こどもには、おくものをすることをっているとすれば、てんにいますあなたがたのちちはなおさら、もとめてくるものいものをくださらないことがあろうか。

7:12 だから、何事なにごとでも人々ひとびとからしてほしいとのぞむことは、人々ひとびとにもそのとおりにせよ。これが律法りっぽうであり預言者よげんしゃである。

7:13 せまもんからはいれ。ほろびにいたるもんおおきく、そのみちひろい。そして、そこからはいってものおおい。

7:14 いのちにいたるもんせまく、そのみちほそい。そして、それをいだすものすくない。

7:15 にせ預言者よげんしゃ警戒けいかいせよ。かれらは、ひつじころもてあなたがたのところにるが、その内側うちがわ強欲ごうよくなおおかみである。

7:16 あなたがたは、そのによってかれらをわけるであろう。いばらからぶどうを、あざみからいちじくをあつめるものがあろうか。

7:17 そのように、すべてむすび、わるわるむすぶ。

7:18 わるをならせることはないし、わるをならせることはできない。

7:19 むすばないはことごとくられて、なかまれる。

7:20 このように、あなたがたはそのによってかれらをわけるのである。

7:21 わたしにむかって『しゅよ、しゅよ』とものが、みな天国てんごくにはいるのではなく、ただ、てんにいますわがちち御旨みむねおこなものだけが、はいるのである。

7:22 そのには、おおくのものが、わたしにむかって『しゅよ、しゅよ、わたしたちはあなたのによって預言よげんしたではありませんか。また、あなたのによって悪霊あくれいし、あなたのによっておおくのちからあるわざをおこなったではありませんか』とうであろう。

7:23 そのとき、わたしはかれらにはっきり、こうおう、『あなたがたをまったらない。不法ふほうはたらものどもよ、ってしまえ』。

7:24 それで、わたしのこれらの言葉ことばいておこなうものを、いわうえ自分じぶんいえてたかしこひとくらべることができよう。

7:25 あめり、洪水こうずいせ、かぜいてそのいえちつけても、たおれることはない。いわ土台どだいとしているからである。

7:26 また、わたしのこれらの言葉ことばいてもおこなわないものを、すなうえ自分じぶんいえてたおろかなひとくらべることができよう。

7:27 あめり、洪水こうずいせ、かぜいてそのいえちつけると、たおれてしまう。そしてそのたおかたはひどいのである」。

7:28 イエスがこれらのことばかたえられると、群衆ぐんしゅうはそのおしえにひどくおどろいた。

7:29 それは律法りっぽう学者がくしゃたちのようにではなく、権威けんいあるもののように、おしえられたからである。 

第8章

8:1 イエスがやまをおりになると、おびただしい群衆ぐんしゅうがついてきた。

8:2 すると、そのとき、ひとりのらい病人びょうにんがイエスのところにきて、ひれしてった、「しゅよ、みこころでしたら、きよめていただけるのですが」。

8:3 イエスはばして、かれにさわり、「そうしてあげよう、きよくなれ」とわれた。すると、らいびょうただちにきよめられた。

8:4 イエスはかれわれた、「だれにもはなさないように、注意ちゅういしなさい。ただって、自分じぶんのからだを祭司さいしせ、それから、モーセがめいじたそなものをささげて、人々ひとびと証明しょうめいしなさい」。

8:5 さて、イエスがカペナウムにかえってこられたとき、ある百卒長ひゃくそつちょうがみもとにきてうったえてった、

8:6 「しゅよ、わたしのしもべ中風ちゅうぶでひどくくるしんで、いえています」。

8:7 イエスはかれに、「わたしがってなおしてあげよう」とわれた。

8:8 そこで百卒長ひゃくそつちょうこたえてった、「しゅよ、わたしの屋根やねしたにあなたをおれする資格しかくは、わたしにはございません。ただ、お言葉ことばください。そうすればしもべはなおります。

8:9 わたしも権威けんいしたにあるものですが、わたしのしたにも兵卒へいそつがいまして、ひとりのものに『け』とえばき、ほかのものに『こい』とえばきますし、また、しもべに『これをせよ』とえば、してくれるのです」。

8:10 イエスはこれをいて非常ひじょう感心かんしんされ、ついてきた人々ひとびとわれた、「よくきなさい。イスラエルひとなかにも、これほどの信仰しんこうたことがない。

8:11 なお、あなたがたにうが、おおくのひとひがしから西にしからきて、天国てんごくで、アブラハム、イサク、ヤコブととも宴会えんかいせきにつくが、

8:12 このくにらはそとのやみにされ、そこでさけんだり、がみをしたりするであろう」。

8:13 それからイエスは百卒長ひゃくそつちょうに「け、あなたのしんじたとおりになるように」とわれた。すると、ちょうどそのときに、しもべはいやされた。

8:14 それから、イエスはペテロのいえにはいってかれ、そのしゅうとめが熱病ねつびょうで、とこについているのをごらんになった。

8:15 そこで、そのにさわられると、ねついた。そしておんなきあがってイエスをもてなした。

8:16 夕暮ゆうぐれになると、人々ひとびと悪霊あくれいにつかれたものおおぜい、みもとにれてきたので、イエスはみ言葉ことばをもってれいどもをし、病人びょうにんをことごとくおいやしになった。

8:17 これは、預言者よげんしゃイザヤによって「かれは、わたしたちのわずらいをけ、わたしたちのやまいうた」とわれた言葉ことば成就じょうじゅするためである。

8:18 イエスは、群衆ぐんしゅう自分じぶんのまわりにむらがっているのをて、こうぎしくようにと弟子でしたちにおめいじになった。

8:19 するとひとりの律法りっぽう学者がくしゃちかづいてきてった、「先生せんせい、あなたがおいでになるところなら、どこへでもしたがってまいります」。

8:20 イエスはそのひとわれた、「きつねにはあながあり、そらとりにはがある。しかし、ひとにはまくらするところがない」。

8:21 また弟子でしのひとりがった、「しゅよ、まず、ちちほうむりにかせてください」。

8:22 イエスはかれわれた、「わたしにしたがってきなさい。そして、その死人しにんほうむることは、死人しにんまかせておくがよい」。

8:23 それから、イエスがふねまれると、弟子でしたちもしたがった。

8:24 すると突然とつぜん海上かいじょうはげしい暴風ぼうふうおこって、ふねなみにのまれそうになった。ところが、イエスはねむっておられた。

8:25 そこで弟子でしたちはみそばにってきてイエスをおこし、「しゅよ、おたすけください、わたしたちはにそうです」とった。

8:26 するとイエスはかれらにわれた、「なぜこわがるのか、信仰しんこううすものたちよ」。それからきあがって、かぜうみとをおしかりになると、おおなぎになった。

8:27 かれらはおどろいてった、「このかたはどういうひとなのだろう。かぜうみしたがわせるとは」。

8:28 それから、こうぎし、ガダラびとかれると、悪霊あくれいにつかれたふたりのものが、墓場はかばからてきてイエスに出会であった。かれらはえない乱暴らんぼうもので、だれもそのへんみちとおることができないほどであった。

8:29 すると突然とつぜんかれらはさけんでった、「かみよ、あなたはわたしどもとなんのかかわりがあるのです。まだそのときではないのに、ここにきて、わたしどもをくるしめるのですか」。

8:30 さて、そこからはるかはなれたところに、おびただしいぶたれがってあった。

8:31 悪霊あくれいどもはイエスにねがってった、「もしわたしどもをされるのなら、あのぶたれのなかにつかわしてください」。

8:32 そこで、イエスが「け」とわれると、かれらはって、ぶたなかへはいりんだ。すると、その全体ぜんたいが、がけからうみへなだれをってくだり、みずなかんでしまった。

8:33 ものたちはげてまちき、悪霊あくれいにつかれたものたちのことなど、いっさいをらせた。

8:34 すると、町中まちじゅうものがイエスにいにてきた。そして、イエスにうと、この地方ちほうからってくださるようにとたのんだ。  

第9章

9:1 さて、イエスはふねってうみわたり、自分じぶんまちかえられた。

9:2 すると、人々ひとびと中風ちゅうぶものとこうえかせたままでみもとにはこんできた。イエスはかれらの信仰しんこうて、中風ちゅうぶものに、「よ、しっかりしなさい。あなたのつみはゆるされたのだ」とわれた。

9:3 すると、ある律法りっぽう学者がくしゃたちがこころなかった、「このひとかみけがしている」。

9:4 イエスはかれらのかんがえを見抜みぬいて、「なぜ、あなたがたはこころなかわるいことをかんがえているのか。

9:5 あなたのつみはゆるされた、とうのと、きてあるけ、とうのと、どちらがたやすいか。

9:6 しかし、ひと地上ちじょうつみをゆるす権威けんいをもっていることが、あなたがたにわかるために」とい、中風ちゅうぶものにむかって、「きよ、とこりあげていえかえれ」とわれた。

9:7 するとかれきあがり、いえかえってった。

9:8 群衆ぐんしゅうはそれをおそれ、こんなおおきな権威けんいひとにおあたえになったかみをあがめた。

9:9 さてイエスはそこからすすんでかれ、マタイというひと収税所しゅうぜいしょにすわっているのをて、「わたしにしたがってきなさい」とわれた。するとかれちあがって、イエスにしたがった。

9:10 それから、イエスがいえ食事しょくじせきについておられたときのことである。おおくの取税人しゅぜいにん罪人つみびとたちがきて、イエスや弟子でしたちとともにそのせきいていた。

9:11 パリサイびとたちはこれをて、弟子でしたちにった、「なぜ、あなたがたの先生せんせいは、取税人しゅぜいにん罪人つみびとなどと食事しょくじともにするのか」。

9:12 イエスはこれをいてわれた、「丈夫じょうぶひとには医者いしゃはいらない。いるのは病人びょうにんである。

9:13 『わたしがこのむのは、あわれみであって、いけにえではない』とはどういう意味いみか、まなんできなさい。わたしがきたのは、義人ぎじんまねくためではなく、罪人つみびとまねくためである」。

9:14 そのとき、ヨハネの弟子でしたちがイエスのところにきてった、「わたしたちとパリサイびとたちとが断食だんじきをしているのに、あなたの弟子でしたちは、なぜ断食だんじきをしないのですか」。

9:15 するとイエスはわれた、「婚礼こんれいきゃくは、花婿はなむこ一緒いっしょにいるあいだは、かなしんでおられようか。しかし、花婿はなむこうばられるる。そのときには断食だんじきをするであろう。

9:16 だれも、真新まあたらしいぬのぎれで、ふる着物きものにつぎをてはしない。そのつぎきれは着物きものやぶり、そして、やぶれがもっとひどくなるから。

9:17 だれも、あたらしいぶどうしゅふるかわぶくろれはしない。もしそんなことをしたら、そのかわぶくろけ、さけながるし、かわぶくろもむだになる。だから、あたらしいぶどうしゅあたらしいかわぶくろれるべきである。そうすれば両方りょうほうともながもちがするであろう」。

9:18 これらのことをかれらにはなしておられると、そこにひとりの会堂司かいどうづかさがきて、イエスをはいしてった、「わたしのむすめがただいまにました。しかしおいでになってをそのうえにおいてやってください。そうしたら、むすめかえるでしょう」。

9:19 そこで、イエスがってかれについてかれると、弟子でしたちも一緒いっしょった。

9:20 するとそのとき、十二年間ねんかんながをわずらっているおんな近寄ちかよってきて、イエスのうしろからみころものふさにさわった。

9:21 みころもにさわりさえすれば、なおしていただけるだろう、とこころなかおもっていたからである。

9:22 イエスはいて、このおんなわれた、「むすめよ、しっかりしなさい。あなたの信仰しんこうがあなたをすくったのです」。するとこのおんなはそのときに、いやされた。

9:23 それからイエスはつかさいえき、ふえきどもやさわいでいる群衆ぐんしゅうわれた。

9:24 「あちらへっていなさい。少女しょうじょんだのではない。ねむっているだけである」。すると人々ひとびとはイエスをあざわらった。

9:25 しかし、群衆ぐんしゅうそとしたのち、イエスはうちへはいって、少女しょうじょをおりになると、少女しょうじょきあがった。

9:26 そして、そのうわさがこの地方ちほう全体ぜんたいにひろまった。

9:27 そこからすすんでかれると、ふたりの盲人もうじんが、「ダビデのよ、わたしたちをあわれんでください」とさけびながら、イエスについてきた。

9:28 そしてイエスがいえにはいられると、盲人もうじんたちがみもとにきたので、かれらに「わたしにそれができるとしんじるか」とわれた。かれらはった、「しゅよ、しんじます」。

9:29 そこで、イエスはかれらのにさわってわれた、「あなたがたの信仰しんこうどおり、あなたがたのになるように」。

9:30 するとかれらのひらかれた。イエスはかれらをきびしくいましめてわれた、「だれにもれないようにをつけなさい」。

9:31 しかし、かれらはって、その地方ちほう全体ぜんたいにイエスのことをいひろめた。

9:32 かれらがくと、人々ひとびと悪霊あくれいにつかれたおしをイエスのところにれてきた。

9:33 すると、悪霊あくれいされて、おしがものうようになった。群衆ぐんしゅうおどろいて、「このようなことがイスラエルのなかられたことは、これまで一度いちどもなかった」とった。

9:34 しかし、パリサイびとたちはった、「かれは、悪霊あくれいどものかしらによって悪霊あくれいどもをしているのだ」。

9:35 イエスは、すべての町々まちまち村々むらむらめぐあるいて、しょ会堂かいどうおしえ、御国みくに福音ふくいんつたえ、あらゆる病気びょうき、あらゆるわずらいをおいやしになった。

9:36 また群衆ぐんしゅうもののないひつじのようによわてて、たおれているのをごらんになって、かれらをふかくあわれまれた。

9:37 そして弟子でしたちにわれた、「収穫しゅうかくおおいが、はたらびとすくない。

9:38 だから、収穫しゅうかくしゅねがって、その収穫しゅうかくのためにはたらびとおくすようにしてもらいなさい」。 

第10章

10:1 そこで、イエスは十二弟子でしせて、けがれたれいし、あらゆる病気びょうき、あらゆるわずらいをいやす権威けんいをおさづけになった。

10:2 十二使徒しとは、つぎのとおりである。まずペテロとばれたシモンとその兄弟きょうだいアンデレ、それからゼベダイのヤコブとその兄弟きょうだいヨハネ、

10:3 ピリポとバルトロマイ、トマスと取税人しゅぜいにんマタイ、アルパヨのヤコブとタダイ、

10:4 熱心ねっしんとうのシモンとイスカリオテのユダ。このユダはイエスを裏切うらぎったものである。

10:5 イエスはこの十二にんをつかわすにあたり、かれらにめいじてわれた、「異邦人いほうじんみちくな。またサマリヤびとまちにはいるな。

10:6 むしろ、イスラエルのいえうしなわれたひつじのところにけ。

10:7 って、『天国てんごくちかづいた』とつたえよ。

10:8 病人びょうにんをいやし、死人しにんをよみがえらせ、らい病人びょうにんをきよめ、悪霊あくれいせ。ただでけたのだから、ただであたえるがよい。

10:9 財布さいふなかきんぎんまたはぜにれてくな。

10:10 旅行りょこうのためのふくろも、二まい下着したぎも、くつも、つえもってくな。はたらびとがその食物しょくもつるのは当然とうぜんである。

10:11 どのまち、どのむらにはいっても、そのなかでだれがふさわしいひとか、たずねして、るまではそのひとのところにとどまっておれ。

10:12 そのいえにはいったなら、平安へいあんいのってあげなさい。

10:13 もし平安へいあんけるにふさわしいいえであれば、あなたがたのいの平安へいあんはそのいえるであろう。もしふさわしくなければ、その平安へいあんはあなたがたにかえってるであろう。

10:14 もしあなたがたをむかえもせず、またあなたがたの言葉ことばきもしないひとがあれば、そのいえまちときに、あしのちりをはらおとしなさい。

10:15 あなたがたによくっておく。さばきのには、ソドム、ゴモラのほうが、そのまちよりはえやすいであろう。

10:16 わたしがあなたがたをつかわすのは、ひつじをおおかみのなかおくるようなものである。だから、へびのようにかしこく、はとのように素直すなおであれ。

10:17 人々ひとびと注意ちゅういしなさい。かれらはあなたがたを衆議所しゅうぎしょわたし、会堂かいどうでむちつであろう。

10:18 またあなたがたは、わたしのために長官ちょうかんたちやおうたちのまえされるであろう。それは、かれらと異邦人いほうじんとにたいしてあかしをするためである。

10:19 かれらがあなたがたをわたしたとき、なにをどうおうかと心配しんぱいしないがよい。うべきことは、そのときさづけられるからである。

10:20 かたものは、あなたがたではなく、あなたがたのなかにあってかたちちれいである。

10:21 兄弟きょうだい兄弟きょうだいを、ちちころすためにわたし、またおやさからってち、かれらをころさせるであろう。

10:22 またあなたがたは、わたしののゆえにすべてのひとにくまれるであろう。しかし、最後さいごまでしのものすくわれる。

10:23 一つのまち迫害はくがいされたなら、まちげなさい。よくっておく。あなたがたがイスラエルの町々まちまちまわおわらないうちに、ひとるであろう。

10:24 弟子でしはその以上いじょうのものではなく、しもべはその主人しゅじん以上いじょうものではない。

10:25 弟子でしがそののようであり、しもべがその主人しゅじんのようであれば、それで十分じゅうぶんである。もしいえ主人しゅじんがベルゼブルとわれるならば、そのいえものどもはなおさら、どんなにかわるわれることであろう。

10:26 だからかれらをおそれるな。おおわれたもので、あらわれてこないものはなく、かくれているもので、られてこないものはない。

10:27 わたしがくらやみであなたがたにはなすことを、あかるみでえ。みみにささやかれたことを、屋根やねうえいひろめよ。

10:28 また、からだをころしても、たましいころすことのできないものどもをおそれるな。むしろ、からだもたましい地獄じごくほろぼすちからのあるかたをおそれなさい。

10:29 二のすずめは一アサリオンでられているではないか。しかもあなたがたのちちゆるしがなければ、その一ちることはない。

10:30 またあなたがたのあたままでも、みなかぞえられている。

10:31 それだから、おそれることはない。あなたがたはおおくのすずめよりも、まさったものである。

10:32 だからひとまえでわたしをけいれるものを、わたしもまた、てんにいますわたしのちちまえけいれるであろう。

10:33 しかし、ひとまえでわたしをこばものを、わたしもてんにいますわたしのちちまえこばむであろう。

10:34 地上ちじょう平和へいわをもたらすために、わたしがきたとおもうな。平和へいわではなく、つるぎをむためにきたのである。

10:35 わたしがきたのは、ひとをそのちちと、むすめをそのははと、よめをそのしゅうとめとなかたがいさせるためである。

10:36 そしていえものが、そのひとてきとなるであろう。

10:37 わたしよりもちちまたはははあいするものは、わたしにふさわしくない。わたしよりもむすこやむすめあいするものは、わたしにふさわしくない。

10:38 また自分じぶん十字架じゅうじかをとってわたしにしたがってこないものはわたしにふさわしくない。

10:39 自分じぶんいのちているものはそれをうしない、わたしのために自分じぶんいのちうしなっているものは、それをるであろう。

10:40 あなたがたをけいれるものは、わたしをけいれるのである。わたしをけいれるものは、わたしをおつかわしになったかたをけいれるのである。

10:41 預言者よげんしゃのゆえに預言者よげんしゃけいれるものは、預言者よげんしゃむくいをけ、義人ぎじんのゆえに義人ぎじんけいれるものは、義人ぎじんむくいをけるであろう。

10:42 わたしの弟子でしであるというのゆえに、このちいさいもののひとりにつめたいみずぱいでもませてくれるものは、よくっておくが、けっしてそのむくいからもれることはない」。 

第11章

11:1 イエスは十二弟子でしにこのようにめいえてから、町々まちまちおしえまたつたえるために、そこをられた。

11:2 さて、ヨハネは獄中ごくちゅうでキリストのみわざについてつたき、自分じぶん弟子でしたちをつかわして、

11:3 イエスにわせた、「『きたるべきかた』はあなたなのですか。それとも、ほかにだれかをつべきでしょうか」。

11:4 イエスはこたえてわれた、「って、あなたがたが見聞みききしていることをヨハネに報告ほうこくしなさい。

11:5 盲人もうじんえ、あしなえはあるき、らい病人びょうにんはきよまり、みみしいはきこえ、死人しにんきかえり、まずしい人々ひとびと福音ふくいんかされている。

11:6 わたしにつまずかないものは、さいわいである」。

11:7 かれらがかえってしまうと、イエスはヨハネのことを群衆ぐんしゅうかたりはじめられた、「あなたがたは、なに荒野あらのてきたのか。かぜらぐあしであるか。

11:8 では、なにてきたのか。やわらかい着物きものをまとったひとか。やわらかい着物きものをまとった人々ひとびとなら、おういえにいる。

11:9 では、なんのためにてきたのか。預言者よげんしゃるためか。そうだ、あなたがたにうが、預言者よげんしゃ以上いじょうものである。

11:10 『よ、わたしは使つかいをあなたのさきにつかわし、あなたのまえに、みちととのえさせるであろう』

いてあるのは、このひとのことである。

11:11 あなたがたによくっておく。おんなんだものなかで、バプテスマのヨハネよりおおきい人物じんぶつおこらなかった。しかし、天国てんごくもっとちいさいものも、かれよりはおおきい。

11:12 バプテスマのヨハネのときからいまいたるまで、天国てんごくはげしくおそわれている。そしてはげしくおそものたちがそれをうばっている。

11:13 すべての預言者よげんしゃ律法りっぽうとが預言よげんしたのは、ヨハネのときまでである。

11:14 そして、もしあなたがたがけいれることをのぞめば、このひとこそは、きたるべきエリヤなのである。

11:15 みみのあるものくがよい。

11:16 いま時代じだいなにくらべようか。それは子供こどもたちが広場ひろばにすわって、ほかの子供こどもたちにびかけ、

11:17 『わたしたちがふえいたのに、あなたたちはおどってくれなかった。とむらいのうたうたったのに、むねってくれなかった』

うのにている。

11:18 なぜなら、ヨハネがきて、べることも、むこともしないと、あれは悪霊あくれいにつかれているのだ、とい、

11:19 またひとがきて、べたりんだりしていると、よ、あれはしょくをむさぼるもの大酒おおざけもの、また取税人しゅぜいにん罪人つみびと仲間なかまだ、とう。しかし、知恵ちえただしいことは、そのはたらきが証明しょうめいする」。

11:20 それからイエスは、数々かずかずちからあるわざがなされたのに、あらためることをしなかった町々まちまちを、めはじめられた。

11:21 「わざわいだ、コラジンよ。わざわいだ、ベツサイダよ。おまえたちのうちでなされたちからあるわざが、もしツロとシドンでなされたなら、かれらはとうのむかしに、荒布あらぬのをまといはいをかぶって、あらためたであろう。

11:22 しかし、おまえたちにっておく。さばきのには、ツロとシドンのほうがおまえたちよりも、えやすいであろう。

11:23 ああ、カペナウムよ、おまえはてんにまでげられようとでもいうのか。黄泉よみにまでおとされるであろう。おまえのなかでなされたちからあるわざが、もしソドムでなされたなら、そのまち今日きょうまでものこっていたであろう。

11:24 しかし、あなたがたにう。さばきのには、ソドムのほうがおまえよりはえやすいであろう」。

11:25 そのときイエスはこえをあげてわれた、「天地てんちしゅなるちちよ。あなたをほめたたえます。これらのこと知恵ちえのあるものかしこものかくして、おさにあらわしてくださいました。

11:26 ちちよ、これはまことにみこころにかなったことでした。

11:27 すべてのことちちからわたしにまかせられています。そして、ものちちのほかにはなく、ちちものは、と、ちちをあらわそうとしてえらんだものとのほかに、だれもありません。

11:28 すべて重荷おもにうて苦労くろうしているものは、わたしのもとにきなさい。あなたがたをやすませてあげよう。

11:29 わたしは柔和にゅうわこころのへりくだったものであるから、わたしのくびきをうて、わたしにまなびなさい。そうすれば、あなたがたのたましいやすみがあたえられるであろう。

11:30 わたしのくびきはいやすく、わたしのかるいからである」。 

第12章

12:1 そのころ、ある安息日あんそくにちに、イエスは麦畑むぎばたけなかとおられた。すると弟子でしたちは、空腹くうふくであったので、んでべはじめた。

12:2 パリサイびとたちがこれをて、イエスにった、「ごらんなさい、あなたの弟子でしたちが、安息日あんそくにちにしてはならないことをしています」。

12:3 そこでイエスはかれらにわれた、「あなたがたは、ダビデとそのともものたちとがえたとき、ダビデがなにをしたかんだことがないのか。

12:4 すなわち、かみいえにはいって、祭司さいしたちのほか、自分じぶんともものたちもべてはならぬそなえのパンをべたのである。

12:5 また、安息日あんそくにち宮仕みやづかえをしている祭司さいしたちは安息日あんそくにちやぶってもつみにはならないことを、律法りっぽうんだことがないのか。

12:6 あなたがたにっておく。みやよりもおおいなるものがここにいる。

12:7 『わたしがこのむのは、あわれみであって、いけにえではない』とはどういう意味いみっていたなら、あなたがたはつみのないものをとがめなかったであろう。

12:8 ひと安息日あんそくにちしゅである」。

12:9 イエスはそこをって、かれらの会堂かいどうにはいられた。

12:10 すると、そのとき、片手かたてのなえたひとがいた。人々ひとびとはイエスをうったえようとおもって、「安息日あんそくにちひとをいやしても、さしつかえないか」とたずねた。

12:11 イエスはかれらにわれた、「あなたがたのうちに、一ぴきひつじっているひとがあるとして、もしそれが安息日あんそくにちあなちこんだなら、をかけてげてやらないだろうか。

12:12 ひとひつじよりも、はるかにすぐれているではないか。だから、安息日あんそくにちいことをするのは、ただしいことである」。

12:13 そしてイエスはそのひとに、「ばしなさい」とわれた。そこでばすと、ほかののようにくなった。

12:14 パリサイびとたちはって、なんとかしてイエスをころそうと相談そうだんした。

12:15 イエスはこれをって、そこをってかれた。ところがおおくの人々ひとびとがついてきたので、かれらをみないやし、

12:16 そして自分じぶんのことを人々ひとびとにあらわさないようにと、かれらをいましめられた。

12:17 これは預言者よげんしゃイザヤのった言葉ことばが、成就じょうじゅするためである、

12:18 「よ、わたしがえらんだしもべわたしのこころにかなう、あいするものわたしはかれにわたしのれいさづけ、そしてかれ正義せいぎ異邦人いほうじんつたえるであろう。

12:19 かれあらそわず、さけばず、またそのこえ大路おおじものはない。

12:20 かれ正義せいぎちをさせるときまで、いためられたあしることがなく、けむっている燈心とうしんすこともない。

12:21 異邦人いほうじんかれのぞみをくであろう」。

12:22 そのとき、人々ひとびと悪霊あくれいにつかれた盲人もうじんのおしをれてきたので、イエスはかれをいやして、ものい、またえるようにされた。

12:23 すると群衆ぐんしゅうはみなおどろいてった、「このひとが、あるいはダビデのではあるまいか」。

12:24 しかし、パリサイびとたちは、これをいてった、「このひと悪霊あくれいしているのは、まったく悪霊あくれいのかしらベルゼブルによるのだ」。

12:25 イエスはかれらのおもいを見抜みぬいてわれた、「おおよそ、内部ないぶわかあらそくに自滅じめつし、うちわでわかあらそまちいえかない。

12:26 もしサタンがサタンをすならば、それはうちわでわかあらそうことになる。それでは、そのくにはどうしてけよう。

12:27 もしわたしがベルゼブルによって悪霊あくれいすとすれば、あなたがたの仲間なかまはだれによってすのであろうか。だから、かれらがあなたがたをさばくものとなるであろう。

12:28 しかし、わたしがかみれいによって悪霊あくれいしているのなら、かみくにはすでにあなたがたのところにきたのである。

12:29 まただれでも、まずつよひとしばりあげなければ、どうして、そのひといえって家財かざいうばることができようか。しばってから、はじめてそのいえ掠奪りゃくだつすることができる。

12:30 わたしの味方みかたでないものは、わたしに反対はんたいするものであり、わたしとともあつめないものは、らすものである。

12:31 だから、あなたがたにっておく。ひとには、そのおかすすべてのつみかみけが言葉ことばも、ゆるされる。しかし、聖霊せいれいけが言葉ことばは、ゆるされることはない。

12:32 またひとたいしてさからうものは、ゆるされるであろう。しかし、聖霊せいれいたいしてさからうものは、このでも、きたるべきでも、ゆるされることはない。

12:33 ければ、そのいとし、わるければ、そのわるいとせよ。はそのでわかるからである。

12:34 まむしのらよ。あなたがたはわるものであるのに、どうしていことをかたることができようか。おおよそ、こころからあふれることを、くちかたるものである。

12:35 善人ぜんにんはよいくらからものし、悪人あくにんわるくらからわるものす。

12:36 あなたがたにうが、審判しんぱんには、ひとはそのかた無益むえき言葉ことばたいして、ひらきをしなければならないであろう。

12:37 あなたは、自分じぶん言葉ことばによってただしいとされ、また自分じぶん言葉ことばによってつみありとされるからである」。

12:38 そのとき、律法りっぽう学者がくしゃ、パリサイびとのうちのある人々ひとびとがイエスにむかってった、「先生せんせい、わたしたちはあなたから、しるしをせていただきとうございます」。

12:39 すると、かれらにこたえてわれた、「邪悪じゃあく不義ふぎ時代じだいは、しるしをもとめる。しかし、預言者よげんしゃヨナのしるしのほかには、なんのしるしもあたえられないであろう。

12:40 すなわち、ヨナが三ばん大魚たいぎょはらうちにいたように、ひとも三ばんなかにいるであろう。

12:41 ニネベの人々ひとびとが、いま時代じだい人々ひとびとともにさばきのって、かれらをつみさだめるであろう。なぜなら、ニネベの人々ひとびとはヨナの宣教せんきょうによってあらためたからである。しかしよ、ヨナにまさるものがここにいる。

12:42 みなみ女王じょおうが、いま時代じだい人々ひとびとともにさばきのって、かれらをつみさだめるであろう。なぜなら、彼女かのじょはソロモンの知恵ちえくためにはてから、はるばるきたからである。しかしよ、ソロモンにまさるものがここにいる。

12:43 けがれたれいひとからると、やすもとめてみずところあるきまわるが、つからない。

12:44 そこで、てきたもといえかえろうとってかえってると、そのいえはあいていて、そうじがしてあるうえかざりつけがしてあった。

12:45 そこでまたって、自分じぶん以上いじょうわるの七つのれい一緒いっしょれてきてなかにはいり、そこにむ。そうすると、そのひとののちの状態じょうたいはじめよりももっとわるくなるのである。よこしまないま時代じだいも、このようになるであろう」。

12:46 イエスがまだ群衆ぐんしゅうはなしておられるとき、そのはは兄弟きょうだいたちとが、イエスにはなそうとおもってそとっていた。

12:47 それで、あるひとがイエスにった、「ごらんなさい。あなたの母上ははうえ兄弟きょうだいがたが、あなたにはなそうとおもって、そとっておられます」。

12:48 イエスはらせてくれたものこたえてわれた、「わたしのははとは、だれのことか。わたしの兄弟きょうだいとは、だれのことか」。

12:49 そして、弟子でしたちのほうをさしべてわれた、「ごらんなさい。ここにわたしのはは、わたしの兄弟きょうだいがいる。

12:50 てんにいますわたしのちちのみこころをおこなものはだれでも、わたしの兄弟きょうだい、また姉妹しまい、またははなのである」。