口語訳聖書(振り仮名付き)

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ルカによる福音ふくいんしょ

第16章   Lk-Audio 

16:1 イエスはまた、弟子でしたちにわれた、「ある金持かねもちのところにひとりの家令かれいがいたが、かれ主人しゅじん財産ざいさん浪費ろうひしていると、ぐちをするものがあった。

16:2 そこで主人しゅじんかれんでった、『あなたについていていることがあるが、あれはどうなのか。あなたの会計かいけい報告ほうこくしなさい。もう家令かれいをさせてくわけにはいかないから』。

16:3 この家令かれいこころなかおもった、『どうしようか。主人しゅじんがわたしのしょくげようとしている。つちるにはちからがないし、ものごいするのはずかしい。

16:4 そうだ、わかった。こうしておけば、しょくをやめさせられる場合ばあい人々ひとびとがわたしをそのいえむかえてくれるだろう』。

16:5 それからかれは、主人しゅじん負債ふさいしゃをひとりびとりして、はじめのひとに、『あなたは、わたしの主人しゅじんにどれだけ負債ふさいがありますか』とたずねた。

16:6 『あぶらたるです』とこたえた。そこで家令かれいった、『ここにあなたの証書しょうしょがある。すぐそこにすわって、五十たるえなさい』。

16:7 つぎに、もうひとりに、『あなたの負債ふさいはどれだけですか』とたずねると、『むぎこくです』とこたえた。これにたいして、『ここに、あなたの証書しょうしょがあるが、八十こくえなさい』とった。

16:8 ところが主人しゅじんは、この不正ふせい家令かれい利口りこうなやりほうをほめた。このらはその時代じだいたいしては、ひかりらよりも利口りこうである。

16:9 またあなたがたにうが、不正ふせいとみもちいてでも、自分じぶんのためにともだちをつくるがよい。そうすれば、とみくなった場合ばあい、あなたがたを永遠えいえんのすまいにむかえてくれるであろう。

16:10 小事しょうじ忠実ちゅうじつひとは、大事だいじにも忠実ちゅうじつである。そして、小事しょうじ忠実ちゅうじつひと大事だいじにも忠実ちゅうじつである。

16:11 だから、もしあなたがたが不正ふせいとみについて忠実ちゅうじつでなかったら、だれがしんとみまかせるだろうか。

16:12 また、もしほかのひとのものについて忠実ちゅうじつでなかったら、だれがあなたがたのものをあたえてくれようか。

16:13 どのしもべでも、ふたりの主人しゅじんつかえることはできない。一方いっぽうにくんで他方たほうあいし、あるいは、一方いっぽうしたしんで他方たほうをうとんじるからである。あなたがたは、かみとみとにつかえることはできない」。

16:14 よくふかいパリサイびとたちが、すべてこれらの言葉ことばいて、イエスをあざわらった。

16:15 そこでかれらにむかってわれた、「あなたがたは、人々ひとびとまえ自分じぶんただしいとするひとたちである。しかし、かみはあなたがたのこころをごぞんじである。人々ひとびとあいだたっとばれるものは、かみのみまえではみきらわれる。

16:16 律法りっぽう預言者よげんしゃとはヨハネのときまでのものである。それ以来いらいかみくにつたえられ、人々ひとびとみなこれに突入とつにゅうしている。

16:17 しかし、律法りっぽう一画いっかくちるよりは、天地てんちほろびるほうが、もっとたやすい。

16:18 すべて自分じぶんつましておんなをめとるものは、姦淫かんいんおこなうものであり、また、おっとからされたおんなをめとるものも、姦淫かんいんおこなうものである。

16:19 ある金持かねもちがいた。かれむらさきころもほそぬのて、毎日まいにちぜいたくにあそくらしていた。

16:20 ところが、ラザロという貧乏人びんぼうにん全身ぜんしんできものでおおわれて、この金持かねもち玄関げんかんまえにすわり、

16:21 その食卓しょくたくからちるものでえをしのごうとのぞんでいた。そのうえいぬがきてかれのできものをなめていた。

16:22 この貧乏人びんぼうにんがついにに、御使みつかいたちにれられてアブラハムのふところにおくられた。金持かねもちんでほうむられた。

16:23 そして黄泉よみにいてくるしみながら、をあげると、アブラハムとそのふところにいるラザロとが、はるかにえた。

16:24 そこでこえをあげてった、『ちち、アブラハムよ、わたしをあわれんでください。ラザロをおつかわしになって、その指先ゆびさきみずでぬらし、わたしのしたやさせてください。わたしはこの火炎かえんなかくるしみもだえています』。

16:25 アブラハムがった、『よ、おもすがよい。あなたは生前せいぜんよいものをけ、ラザロのほうわるいものをけた。しかしいまここでは、かれなぐさめられ、あなたはくるしみもだえている。

16:26 そればかりか、わたしたちとあなたがたとのあいだにはおおきなふちがおいてあって、こちらからあなたがたのほうわたろうとおもってもできないし、そちらからわたしたちのほうえてることもできない』。

16:27 そこで金持かねもちった、『ちちよ、ではおねがいします。わたしのちちいえへラザロをつかわしてください。

16:28 わたしに五にん兄弟きょうだいがいますので、こんなくるしいところることがないように、かれらに警告けいこくしていただきたいのです』。

16:29 アブラハムはった、『かれらにはモーセと預言者よげんしゃとがある。それにくがよかろう』。

16:30 金持かねもちった、『いえいえ、ちちアブラハムよ、もし死人しにんなかからだれかが兄弟きょうだいたちのところへってくれましたら、かれらはあらためるでしょう』。

16:31 アブラハムはった、『もしかれらがモーセと預言者よげんしゃとにみみかたむけないなら、死人しにんなかからよみがえってくるものがあっても、かれらはそのすすめをれはしないであろう』」。  

第17章

17:1 イエスは弟子でしたちにわれた、「つみ誘惑ゆうわくることはけられない。しかし、それをきたらせるものは、わざわいである。

17:2 これらのちいさいもののひとりをつみ誘惑ゆうわくするよりは、むしろ、ひきうすをくびにかけられてうみれられたほうが、ましである。

17:3 あなたがたは、自分じぶん注意ちゅういしていなさい。もしあなたの兄弟きょうだいつみおかすなら、かれをいさめなさい。そしてあらためたら、ゆるしてやりなさい。

17:4 もしあなたにたいして一にちに七つみおかし、そして七あらためます』とってあなたのところへかえってくれば、ゆるしてやるがよい」。

17:5 使徒しとたちはしゅに「わたしたちの信仰しんこうしてください」とった。

17:6 そこでしゅわれた、「もし、からしだねつぶほどの信仰しんこうがあるなら、このくわに、『してうみわれ』とったとしても、その言葉ことばどおりになるであろう。

17:7 あなたがたのうちのだれかに、耕作こうさく牧畜ぼくちくかをするしもべがあるとする。そのしもべはたけからかえってたとき、かれに『すぐきて、食卓しょくたくにつきなさい』とうだろうか。

17:8 かえって、『夕食ゆうしょく用意よういをしてくれ。そしてわたしがいをするあいだ、おびをしめて給仕きゅうじをしなさい。そのあとで、いをするがよい』と、うではないか。

17:9 しもべめいじられたことをしたからといって、主人しゅじんかれ感謝かんしゃするだろうか。

17:10 同様どうようにあなたがたも、めいじられたことをみなしてしまったとき、『わたしたちはふつつかなしもべです。すべきことをしたにぎません』といなさい」。

17:11 イエスはエルサレムへかれるとき、サマリヤとガリラヤとのあいだとおられた。

17:12 そして、あるむらにはいられると、十にんのらい病人びょうにん出会であわれたが、かれらはとおくのほうちとどまり、

17:13 こえりあげて、「イエスさま、わたしたちをあわれんでください」とった。

17:14 イエスはかれらをごらんになって、「祭司さいしたちのところにって、からだをせなさい」とわれた。そして、途中とちゅうかれらはきよめられた。

17:15 そのうちのひとりは、自分じぶんがいやされたことをり、大声おおごえかみをほめたたえながらかえってきて、

17:16 イエスのあしもとにひれして感謝かんしゃした。これはサマリヤびとであった。

17:17 イエスはかれにむかってわれた、「きよめられたのは、十にんではなかったか。ほかの九にんは、どこにいるのか。

17:18 かみをほめたたえるためにかえってきたものは、この他国たこくじんのほかにはいないのか」。

17:19 それから、そのひとわれた、「ってきなさい。あなたの信仰しんこうがあなたをすくったのだ」。

17:20 かみくにはいつるのかと、パリサイびとたずねたので、イエスはこたえてわれた、「かみくには、られるかたちでるものではない。

17:21 また『よ、ここにある』『あそこにある』などともえない。かみくには、じつにあなたがたのただなかにあるのだ」。

17:22 それから弟子でしたちにわれた、「あなたがたは、ひとを一にちでもたいとねがってもることができないときるであろう。

17:23 人々ひとびとはあなたがたに、『よ、あそこに』『よ、ここに』とうだろう。しかし、そちらへくな、かれらのあとをうな。

17:24 いなずまがてんはしからひかりてんはしへとひらめきわたるように、ひともそのにはおなじようであるだろう。

17:25 しかし、かれはまずおおくのくるしみをけ、またこの時代じだい人々ひとびとてられねばならない。

17:26 そして、ノアのときにあったように、ひとときにも同様どうようなことがおこるであろう。

17:27 ノアが箱舟はこぶねにはいるまで、人々ひとびとい、み、めとり、とつぎなどしていたが、そこへ洪水こうずいおそってきて、かれらをことごとくほろぼした。

17:28 ロトのときにもおなじようなことがおこった。人々ひとびとい、み、い、り、え、てなどしていたが、

17:29 ロトがソドムからったに、てんから硫黄いおうとがってきて、かれらをことごとくほろぼした。

17:30 ひとあらわれるも、ちょうどそれと同様どうようであろう。

17:31 そのには、屋上おくじょうにいるものは、自分じぶんものいえなかにあっても、りにおりるな。はたけにいるものおなじように、あとへもどるな。

17:32 ロトのつまのことをおもしなさい。

17:33 自分じぶんいのちすくおうとするものは、それをうしない、それをうしなうものは、たもつのである。

17:34 あなたがたにっておく。その、ふたりのおとこが一つ寝床ねどこにいるならば、ひとりはられ、のひとりはのこされるであろう。

17:35 ふたりのおんな一緒いっしょにうすをひいているならば、ひとりはられ、のひとりはのこされるであろう。〔

17:36 ふたりのおとこはたけにおれば、ひとりはられ、のひとりはのこされるであろう〕」。

17:37 弟子でしたちは「しゅよ、それはどこであるのですか」とたずねた。するとイエスはわれた、「死体したいのあるところには、またはげたかがあつまるものである」。  

第18章

18:1 また、イエスは失望しつぼうせずにつねいのるべきことを、人々ひとびとたとえおしえられた。

18:2 「あるまちに、かみおそれず、ひとひとともおもわぬ裁判官さいばんかんがいた。

18:3 ところが、そのおなまちにひとりのやもめがいて、かれのもとにたびたびきて、『どうぞ、わたしをうったえるものをさばいて、わたしをまもってください』とねがいつづけた。

18:4 かれはしばらくのあいだききれないでいたが、そののち、こころのうちでかんがえた、『わたしはかみをもおそれず、ひとひとともおもわないが、

18:5 このやもめがわたしに面倒めんどうをかけるから、彼女かのじょのためになる裁判さいばんをしてやろう。そうしたら、えずやってきてわたしをなやますことがなくなるだろう』」。

18:6 そこでしゅわれた、「この不義ふぎ裁判官さいばんかんっていることをいたか。

18:7 ましてかみは、日夜にちやさけもとめる選民せんみんのために、ただしいさばきをしてくださらずにながあいだそのままにしておかれることがあろうか。

18:8 あなたがたにっておくが、かみはすみやかにさばいてくださるであろう。しかし、ひとるとき、地上ちじょう信仰しんこうられるであろうか」。

18:9 自分じぶん義人ぎじんだと自任じにんして他人たにん見下みさげているひとたちにたいして、イエスはまたこのたとえをおはなしになった。

18:10 「ふたりのひといのるためにみやのぼった。そのひとりはパリサイびとであり、もうひとりは取税人しゅぜいにんであった。

18:11 パリサイびとって、ひとりでこういのった、『かみよ、わたしはほかのひとたちのような貪欲どんよくもの不正ふせいもの姦淫かんいんをするものではなく、また、この取税人しゅぜいにんのような人間にんげんでもないことを感謝かんしゃします。

18:12 わたしは一しゅうに二断食だんじきしており、ぜん収入しゅうにゅうの十ぶんの一をささげています』。

18:13 ところが、取税人しゅぜいにんとおはなれてち、てんにむけようともしないで、むねちながらった、『神様かみさま罪人つみびとのわたしをおゆるしください』と。

18:14 あなたがたにっておく。かみとされて自分じぶんいえかえったのは、この取税人しゅぜいにんであって、あのパリサイびとではなかった。おおよそ、自分じぶんたかくするものひくくされ、自分じぶんひくくするものたかくされるであろう」。

18:15 イエスにさわっていただくために、人々ひとびとおさらをみもとにれてきた。ところが、弟子でしたちはそれをて、かれらをたしなめた。

18:16 するとイエスはおさらをせてわれた、「おさらをわたしのところにるままにしておきなさい、めてはならない。かみくにはこのようなものくにである。

18:17 よくいておくがよい。だれでもおさのようにかみくにけいれるものでなければ、そこにはいることはけっしてできない」。

18:18 また、ある役人やくにんがイエスにたずねた、「よきよ、なにをしたら永遠えいえん生命せいめいけられましょうか」。

18:19 イエスはわれた、「なぜわたしをよきものうのか。かみひとりのほかによいものはいない。

18:20 いましめはあなたのっているとおりである、『姦淫かんいんするな、ころすな、ぬすむな、偽証ぎしょうてるな、ちちははとをうやまえ』」。

18:21 するとかれった、「それらのことはみな、ちいさいときからまもっております」。

18:22 イエスはこれをいてわれた、「あなたのすることがまだ一つのこっている。っているものをみなはらって、まずしい人々ひとびとけてやりなさい。そうすれば、てんたからつようになろう。そして、わたしにしたがってきなさい」。

18:23 かれはこの言葉ことばいて非常ひじょうかなしんだ。大金持おおがねもちであったからである。

18:24 イエスはかれ様子ようすわれた、「財産ざいさんのあるものかみくににはいるのはなんとむずかしいことであろう。

18:25 んでいるものかみくににはいるよりは、らくだがはりあなとおほうが、もっとやさしい」。

18:26 これをいた人々ひとびとが、「それでは、だれがすくわれることができるのですか」とたずねると、

18:27 イエスはわれた、「ひとにはできないことも、かみにはできる」。

18:28 ペテロがった、「ごらんなさい、わたしたちは自分じぶんのものをてて、あなたにしたがいました」。

18:29 イエスはわれた、「よくいておくがよい。だれでもかみくにのために、いえつま兄弟きょうだい両親りょうしんてたものは、

18:30 かならずこの時代じだいではそのいくばいもをけ、また、きたるべきでは永遠えいえん生命せいめいけるのである」。

18:31 イエスは十二弟子でしせてわれた、「よ、わたしたちはエルサレムへのぼってくが、ひとについて預言者よげんしゃたちがしるしたことは、すべて成就じょうじゅするであろう。

18:32 ひと異邦人いほうじんきわたされ、あざけられ、はずかしめをけ、つばきをかけられ、

18:33 また、むちたれてから、ついにころされ、そして三によみがえるであろう」。

18:34 弟子でしたちには、これらのことが何一なにひとつわからなかった。この言葉ことばかれらにかくされていたので、イエスのわれたこと理解りかいできなかった。

18:35 イエスがエリコにちかづかれたとき、ある盲人もうじんみちばたにすわって、ものごいをしていた。

18:36 群衆ぐんしゅうとおぎるおとみみにして、かれ何事なにごとがあるのかとたずねた。

18:37 ところが、ナザレのイエスがおとおりなのだとかされたので、

18:38 こえをあげて、「ダビデのイエスよ、わたしをあわれんでください」とった。

18:39 先頭せんとう人々ひとびとかれをしかってだまらせようとしたが、かれはますますはげしくさけびつづけた、「ダビデのよ、わたしをあわれんでください」。

18:40 そこでイエスはちどまって、そのものれてるように、とおめいじになった。かれちかづいたとき、

18:41 「わたしになにをしてほしいのか」とおたずねになると、「しゅよ、えるようになることです」とこたえた。

18:42 そこでイエスはわれた、「えるようになれ。あなたの信仰しんこうがあなたをすくった」。

18:43 するとかれは、たちまちえるようになった。そしてかみをあがめながらイエスにしたがってった。これをて、人々ひとびとはみなかみをさんびした。  

第19章

19:1 さて、イエスはエリコにはいって、そのまちをおとおりになった。

19:2 ところが、そこにザアカイというひとがいた。このひと取税人しゅぜいにんのかしらで、金持かねもちであった。

19:3 かれは、イエスがどんなひとたいとおもっていたが、ひくかったので、群衆ぐんしゅうにさえぎられてることができなかった。

19:4 それでイエスをるために、まえほうはしってって、いちじくくわのぼった。そこをとおられるところだったからである。

19:5 イエスは、その場所ばしょにこられたとき、うえあげてわれた、「ザアカイよ、いそいでくだりてきなさい。きょう、あなたのいえまることにしているから」。

19:6 そこでザアカイはいそいでおりてきて、よろこんでイエスをむかれた。

19:7 人々ひとびとはみな、これをてつぶやき、「かれ罪人つみびといえにはいってきゃくとなった」とった。

19:8 ザアカイはってしゅった、「しゅよ、わたしはちかって自分じぶん財産ざいさん半分はんぶん貧民ひんみんほどこします。また、もしだれかから不正ふせい取立とりたてをしていましたら、それを四ばいにしてかえします」。

19:9 イエスはかれわれた、「きょう、すくいがこのいえにきた。このひともアブラハムのなのだから。

19:10 ひとがきたのは、うしなわれたものをたずしてすくうためである」。

19:11 人々ひとびとがこれらの言葉ことばいているときに、イエスはなお一つのたとえをおはなしになった。それはエルサレムにちかづいてこられたし、また人々ひとびとかみくにはたちまちあらわれるとおもっていたためである。

19:12 それでわれた、「ある身分みぶんたかひとが、王位おういけてかえってくるためにとおところ旅立たびだつことになった。

19:13 そこで十にんしもべび十ミナをわたしてった、『わたしがかえってるまで、これで商売しょうばいをしなさい』。

19:14 ところが、本国ほんごく住民じゅうみんかれにくんでいたので、あとから使者ししゃをおくって、『このひとおうになるのをわれわれはのぞんでいない』とわせた。

19:15 さて、かれ王位おういけてかえってきたとき、だれがどんなもうけをしたかをろうとして、かねわたしておいたしもべたちをんでこさせた。

19:16 最初さいしょものすすった、『ご主人様しゅじんさま、あなたの一ミナで十ミナをもうけました』。

19:17 主人しゅじんった、『よいしもべよ、うまくやった。あなたはちいさいこと忠実ちゅうじつであったから、十のまち支配しはいさせる』。

19:18 つぎものがきてった、『ご主人様しゅじんさま、あなたの一ミナで五ミナをつくりました』。

19:19 そこでこのものにも、『では、あなたは五つのまちのかしらになれ』とった。

19:20 それから、もうひとりのものがきてった、『ご主人様しゅじんさま、さあ、ここにあなたの一ミナがあります。わたしはそれをふくさにつつんで、しまっておきました。

19:21 あなたはきびしいほうで、おあずけにならなかったものをりたて、おまきにならなかったものをひとなので、おそろしかったのです』。

19:22 かれった、『わるしもべよ、わたしはあなたのったその言葉ことばであなたをさばこう。わたしがきびしくて、あずけなかったものをりたて、まかなかったものを人間にんげんだと、っているのか。

19:23 では、なぜわたしのかね銀行ぎんこうれなかったのか。そうすれば、わたしがかえってきたとき、そのかね利子りし一緒いっしょしたであろうに』。

19:24 そして、そばにっていた人々ひとびとに、『その一ミナをかれからげて、十ミナをっているものあたえなさい』とった。

19:25 かれらはった、『ご主人様しゅじんさま、あのひとすでに十ミナをっています』。

19:26 『あなたがたにうが、おおよそっているひとには、なおあたえられ、っていないひとからは、っているものまでもげられるであろう。

19:27 しかしわたしがおうになることをこのまなかったあのてきどもを、ここにひっぱってきて、わたしのまえころせ』」。

19:28 イエスはこれらのことをったのち、先頭せんとうち、エルサレムへのぼってかれた。

19:29 そしてオリブというやま沿ったベテパゲとベタニヤにちかづかれたとき、ふたりの弟子でしをつかわしてわれた、

19:30 「こうのむらきなさい。そこにはいったら、まだだれもったことのないろばのがつないであるのをるであろう。それをいて、いてきなさい。

19:31 もしだれかが『なぜくのか』とうたら、『しゅがおようなのです』と、そういなさい」。

19:32 そこで、つかわされたものたちがってると、はたして、われたとおりであった。

19:33 かれらが、そのろばのいていると、そのぬしたちが、「なぜろばのくのか」とったので、

19:34 「しゅがおようなのです」とこたえた。

19:35 そしてそれをイエスのところにいてきて、そのろばのうえ自分じぶんたちの上着うわぎをかけてイエスをおせした。

19:36 そしてすすんでかれると、人々ひとびと自分じぶんたちの上着うわぎみちいた。

19:37 いよいよオリブやまくだみちあたりにちかづかれると、おおぜいの弟子でしたちはみなよろこんで、かれらがたすべてのちからあるみわざについて、こえたからかにかみをさんびしていはじめた、

19:38 「しゅ御名みなによってきたるおうに、祝福しゅくふくあれ。てんには平和へいわいとたかきところには栄光えいこうあれ」。

19:39 ところが、群衆ぐんしゅうなかにいたあるパリサイびとたちがイエスにった、「先生せんせい、あなたの弟子でしたちをおしかりください」。

19:40 こたえてわれた、「あなたがたにうが、もしこのひとたちがだまれば、いしさけぶであろう」。

19:41 いよいよみやこちかくにきて、それがえたとき、そのためにいてわれた、

19:42 「もしおまえも、このに、平和へいわをもたらすみちってさえいたら……しかし、それはいまおまえのかくされている。

19:43 いつかは、てき周囲しゅういるいきずき、おまえをりかこんで、四方しほうからせまり、

19:44 おまえとそのうちにいるらとをたおし、城内じょうないの一つのいしいしうえのこしてかないるであろう。それは、おまえがかみのおとずれのときらないでいたからである」。

19:45 それからみやにはいり、商売人しょうばいにんたちをしはじめて、

19:46 かれらにわれた、「『わがいのりいえであるべきだ』といてあるのに、あなたがたはそれを盗賊とうぞくにしてしまった」。

19:47 イエスは毎日まいにちみやおしえておられた。祭司長さいしちょう律法りっぽう学者がくしゃまた民衆みんしゅう重立おもだったものたちはイエスをころそうとおもっていたが、

19:48 民衆みんしゅうがみな熱心ねっしんにイエスにみみかたむけていたので、のくだしようがなかった。  

第20章

20:1 ある、イエスがみや人々ひとびとおしえ、福音ふくいんべておられると、祭司長さいしちょう律法りっぽう学者がくしゃたちが、長老ちょうろうたちととも近寄ちかよってきて、

20:2 イエスにった、「なに権威けんいによってこれらのことをするのですか。そうする権威けんいをあなたにあたえたのはだれですか、わたしたちにってください」。

20:3 そこで、イエスはこたえてわれた、「わたしも、ひとことたずねよう。それにこたえてほしい。

20:4 ヨハネのバプテスマは、てんからであったか、ひとからであったか」。

20:5 かれらはたがいろんじてった、「もしてんからだとえば、では、なぜかれしんじなかったのか、とイエスはうだろう。

20:6 しかし、もしひとからだとえば、民衆みんしゅうはみな、ヨハネを預言者よげんしゃだとしんじているから、わたしたちをいしつだろう」。

20:7 それでかれらは「どこからか、りません」とこたえた。

20:8 イエスはこれにたいしてわれた、「わたしもなに権威けんいによってこれらのことをするのか、あなたがたにうまい」。

20:9 そこでイエスはつぎたとえ民衆みんしゅうかたされた、「あるひとがぶどうえんつくって農夫のうふたちにし、ながたびた。

20:10 季節きせつになったので、農夫のうふたちのところへ、ひとりのしもべおくって、ぶどうえん収穫しゅうかくまえさせようとした。ところが、農夫のうふたちは、そのしもべふくろだたきにし、からかえらせた。

20:11 そこでかれはもうひとりのしもべおくった。かれらはそのしもべふくろだたきにし、侮辱ぶじょくくわえて、からかえらせた。

20:12 そこでさらに三にんものおくったが、かれらはこのものも、きずわせてした。

20:13 ぶどうえん主人しゅじんった、『どうしようか。そうだ、わたしの愛子あいしをつかわそう。これなら、たぶんうやまってくれるだろう』。

20:14 ところが、農夫のうふたちはかれると、『あれはあとりだ。あれをころしてしまおう。そうしたら、その財産ざいさんはわれわれのものになるのだ』とたがいはない、

20:15 かれをぶどうえんそとしてころした。そのさい、ぶどうえん主人しゅじんは、かれらをどうするだろうか。

20:16 かれてきて、この農夫のうふたちをころし、ぶどうえん人々ひとびとあたえるであろう」。人々ひとびとはこれをいて、「そんなことがあってはなりません」とった。

20:17 そこで、イエスはかれらをつめてわれた、「それでは、

いえつくりらのてたいしすみのかしらいしになった』
いてあるのは、どういうことか。

20:18 すべてそのいしうえちるものくだかれ、それがだれかのうえちかかるなら、そのひとはこなみじんにされるであろう」。

20:19 このとき、律法りっぽう学者がくしゃたちや祭司長さいしちょうたちはイエスにをかけようとおもったが、民衆みんしゅうおそれた。いまのたとえ自分じぶんたちにててかたられたのだと、さとったからである。

20:20 そこで、かれらは機会きかいをうかがい、義人ぎじんよそおうまわしものどもをおくって、イエスを総督そうとく支配しはい権威けんいとにわたすため、その言葉ことばじりをとらえさせようとした。

20:21 かれらはたずねてった、「先生せんせい、わたしたちは、あなたのかたおしえられることがただしく、また、あなたはへだてをなさらず、真理しんりもとづいてかみみちおしえておられることを、承知しょうちしています。

20:22 ところで、カイザルにみつぎおさめてよいでしょうか、いけないでしょうか」。

20:23 イエスはかれらの悪巧わるだくみを見破みやぶってわれた、

20:24 「デナリをせなさい。それにあるのは、だれの肖像しょうぞう、だれの記号きごうなのか」。「カイザルのです」と、かれらがこたえた。

20:25 するとイエスはかれらにわれた、「それなら、カイザルのものはカイザルに、かみのものはかみかえしなさい」。

20:26 そこでかれらは、民衆みんしゅうまえでイエスの言葉ことばじりをとらえることができず、そのこたえ驚嘆きょうたんして、だまってしまった。

20:27 復活ふっかつということはないとっていたサドカイびとのあるものたちが、イエスに近寄ちかよってきて質問しつもんした、

20:28 「先生せんせい、モーセは、わたしたちのためにこういています、『もしあるひとあにつまをめとり、がなくてんだなら、おとうとはこのおんなをめとって、あにのためにをもうけねばならない』。

20:29 ところで、ここに七にん兄弟きょうだいがいました。長男ちょうなんつまをめとりましたが、がなくてに、

20:30 そして次男じなん三男さんなんと、次々つぎつぎに、そのおんなをめとり、

20:31 七にんとも同様どうように、をもうけずににました。

20:32 のちに、そのおんなにました。

20:33 さて、復活ふっかつときには、このおんなは七にんのうち、だれのつまになるのですか。七にんとも彼女かのじょつまにしたのですが」。

20:34 イエスはかれらにわれた、「このらは、めとったり、とついだりするが、

20:35 かのにはいって死人しにんからの復活ふっかつにあずかるにふさわしいものたちは、めとったり、とついだりすることはない。

20:36 かれらは天使てんしひとしいものであり、また復活ふっかつにあずかるゆえに、かみでもあるので、もうぬことはありないからである。

20:37 死人しにんがよみがえることは、モーセもしばへんで、しゅを『アブラハムのかみ、イサクのかみ、ヤコブのかみ』とんで、これをしめした。

20:38 かみんだものかみではなく、きているものかみである。ひとはみなかみきるものだからである」。

20:39 律法りっぽう学者がくしゃのうちのある人々ひとびとこたえてった、「先生せんせいおおせのとおりです」。

20:40 かれらはそれ以上いじょうなにもあえていかけようとしなかった。

20:41 イエスはかれらにわれた、「どうして人々ひとびとはキリストをダビデのだとうのか。

20:42 ダビデ自身じしん詩篇しへんなかっている、

しゅはわがしゅおおせになった、

20:43 あなたのてきをあなたのあしだいとするときまでは、わたしのみぎしていなさい』。

20:44 このように、ダビデはキリストをしゅんでいる。それなら、どうしてキリストはダビデのであろうか」。

20:45 民衆みんしゅうがみないているとき、イエスは弟子でしたちにわれた、

20:46 「律法りっぽう学者がくしゃをつけなさい。かれらはながころもあるくのをこのみ、広場ひろばでの敬礼けいれい会堂かいどう上席じょうせき宴会えんかい上座じょうざをよろこび、

20:47 やもめたちのいえたおし、えのためにながいのりをする。かれらはもっときびしいさばきをけるであろう」。 

第21章

21:1 イエスはをあげて、金持かねもちたちがさいせんはこ献金けんきんれるのをられ、

21:2 また、あるまずしいやもめが、レプタ二つをれるのを

21:3 われた、「よくきなさい。あのまずしいやもめはだれよりもたくさんれたのだ。

21:4 これらのひとたちはみな、ありあまるなかから献金けんきんれたが、あの婦人ふじんは、そのとぼしいなかから、っている生活せいかつ全部ぜんぶれたからである」。

21:5 ある人々ひとびとが、見事みごといし奉納物ほうのうぶつとでみやかざられていることをはなしていたので、イエスはわれた、

21:6 「あなたがたはこれらのものをながめているが、そのいし一つでもくずされずに、いしうえのこることもなくなるが、るであろう」。

21:7 そこでかれらはたずねた、「先生せんせい、では、いつそんなことがおこるのでしょうか。またそんなことがおこるような場合ばあいには、どんな前兆ぜんちょうがありますか」。

21:8 イエスがわれた、「あなたがたは、まどわされないようにをつけなさい。おおくのものがわたしののってあらわれ、自分じぶんがそれだとか、ときちかづいたとか、うであろう。かれらについてくな。

21:9 戦争せんそう騒乱そうらんとのうわさをくときにも、おじおそれるな。こうしたことはまずおこらねばならないが、おわりはすぐにはこない」。

21:10 それからかれらにわれた、「たみたみに、くにくに敵対てきたいしてがるであろう。

21:11 まただい地震じしんがあり、あちこちに疫病えきびょうやききんがおこり、いろいろおそろしいことやてんからのものすごい前兆ぜんちょうがあるであろう。

21:12 しかし、これらのあらゆる出来事できごとのあるまえに、人々ひとびとはあなたがたにをかけて迫害はくがいをし、会堂かいどうごくわたし、わたしののゆえにおう総督そうとくまえにひっぱってくであろう。

21:13 それは、あなたがたがあかしをする機会きかいとなるであろう。

21:14 だから、どう答弁とうべんしようかと、まえもってかんがえておかないことにこころめなさい。

21:15 あなたの反対者はんたいしゃのだれもが抗弁こうべん否定ひていもできないような言葉ことば知恵ちえとを、わたしがさづけるから。

21:16 しかし、あなたがたは両親りょうしん兄弟きょうだい親族しんぞく友人ゆうじんにさえ裏切うらぎられるであろう。また、あなたがたのなかころされるものもあろう。

21:17 また、わたしののゆえにすべてのひとにくまれるであろう。

21:18 しかし、あなたがたのかみ一すじでもうしなわれることはない。

21:19 あなたがたはしのぶことによって、自分じぶんたましいをかちるであろう。

21:20 エルサレムが軍隊ぐんたい包囲ほういされるのをたならば、そのときは、その滅亡めつぼうちかづいたとさとりなさい。

21:21 そのとき、ユダヤにいる人々ひとびとやまげよ。市中しちゅうにいるものは、そこからくがよい。また、いなかにいるもの市内しないにはいってはいけない。

21:22 それは、聖書せいしょにしるされたすべてのこと実現じつげんする刑罰けいばつであるからだ。

21:23 そのには、身重みおもおんな乳飲ちのをもつおんなとは、不幸ふこうである。地上ちじょうにはおおきな苦難くなんがあり、このたみにはみいかりがのぞみ、

21:24 かれらはつるぎのたおれ、またとらえられて諸国しょこくきゆかれるであろう。そしてエルサレムは、異邦人いほうじん時期じきちるまで、かれらにみにじられているであろう。

21:25 またつきほしとに、しるしがあらわれるであろう。そして、地上ちじょうでは、しょ国民こくみんなやみ、うみ大波おおなみとのとどろきにおじまどい、

21:26 人々ひとびと世界せかいおころうとすることおもい、恐怖きょうふ不安ふあん気絶きぜつするであろう。もろもろの天体てんたいうごかされるからである。

21:27 そのとき、おおいなるちから栄光えいこうとをもって、ひとくもってるのを、人々ひとびとるであろう。

21:28 これらのことおこりはじめたら、おこあたまをもたげなさい。あなたがたのすくいちかづいているのだから」。

21:29 それから一つのたとえはなされた、「いちじくのを、またすべてのなさい。

21:30 はやせば、あなたがたはそれをて、なつがすでにちかいと、自分じぶんづくのである。

21:31 このようにあなたがたも、これらのことおこるのをたなら、かみくにちかいのだとさとりなさい。

21:32 よくいておきなさい。これらのことが、ことごとくおこるまでは、この時代じだいほろびることがない。

21:33 天地てんちほろびるであろう。しかしわたしの言葉ことばけっしてほろびることがない。

21:34 あなたがたが放縦ほうじゅうや、泥酔でいすいや、わずらいのためにこころにぶっているうちに、おもいがけないとき、そのがわなのようにあなたがたをとらえることがないように、よく注意ちゅういしていなさい。

21:35 その全面ぜんめんむすべてのひとのぞむのであるから。

21:36 これらのおころうとしているすべてのことからのがれて、ひとまえつことができるように、えずをさましていのっていなさい」。

21:37 イエスはひるのあいだはみやおしえ、よるにはってオリブというやまをすごしておられた。

21:38 民衆みんしゅうはみな、みおしえこうとして、いつもあさはやみやき、イエスのもとにあつまった。  

第22章

22:1 さて、過越すぎこしといわれている除酵祭じょこうさいちかづいた。

22:2 祭司長さいしちょうたちや律法りっぽう学者がくしゃたちは、どうかしてイエスをころそうとはかっていた。民衆みんしゅうおそれていたからである。

22:3 そのとき、十二弟子でしのひとりで、イスカリオテとばれていたユダに、サタンがはいった。

22:4 すなわち、かれ祭司長さいしちょうたちや宮守みやもりがしらたちのところへって、どうしてイエスをかれらにわたそうかと、その方法ほうほうについて協議きょうぎした。

22:5 かれらはよろこんで、ユダにかねあたえる取決とりきめをした。

22:6 ユダはそれを承諾しょうだくした。そして、群衆ぐんしゅうのいないときにイエスをわたそうと、機会きかいをねらっていた。

22:7 さて、過越すぎこし小羊こひつじをほふるべき除酵祭じょこうさいがきたので、

22:8 イエスはペテロとヨハネとを使つかいにしてわれた、「って、過越すぎこし食事しょくじができるように準備じゅんびをしなさい」。

22:9 かれらはった、「どこに準備じゅんびをしたらよいのですか」。

22:10 イエスはわれた、「市内しないにはいったら、みずがめをっているおとこ出会であうであろう。そのひとがはいるいえまでついてって、

22:11 そのいえ主人しゅじんいなさい、『弟子でしたちと一緒いっしょ過越すぎこし食事しょくじをする座敷ざしきはどこか、と先生せんせいっておられます』。

22:12 すると、その主人しゅじんせきととのえられた二かい広間ひろませてくれるから、そこに用意よういをしなさい」。

22:13 弟子でしたちはってみると、イエスがわれたとおりであったので、過越すぎこし食事しょくじ用意よういをした。

22:14 時間じかんになったので、イエスは食卓しょくたくにつかれ、使徒しとたちもともせきについた。

22:15 イエスはかれらにわれた、「わたしはくるしみをけるまえに、あなたがたとこの過越すぎこし食事しょくじをしようと、せつのぞんでいた。

22:16 あなたがたにってくが、かみくに過越すぎこし成就じょうじゅするときまでは、わたしは二と、この過越すぎこし食事しょくじをすることはない」。

22:17 そしてさかずきり、感謝かんしゃしてわれた、「これをって、たがいけてめ。

22:18 あなたがたにっておくが、いまからのちかみくにるまでは、わたしはぶどうのからつくったものを、いっさいまない」。

22:19 またパンをり、感謝かんしゃしてこれをさき、弟子でしたちにあたえてわれた、「これは、あなたがたのためにあたえるわたしのからだである。わたしを記念きねんするため、このようにおこないなさい」。

22:20 食事しょくじののち、さかずきおなようにしてわれた、「このさかずきは、あなたがたのためにながすわたしのてられるあたらしい契約けいやくである。

22:21 しかし、そこに、わたしを裏切うらぎものが、わたしと一緒いっしょ食卓しょくたくいている。

22:22 ひとさだめられたとおりに、ってく。しかしひと裏切うらぎるそのひとは、わざわいである」。

22:23 弟子でしたちは、自分じぶんたちのうちのだれが、そんなことをしようとしているのだろうと、たがいろんじはじめた。

22:24 それから、自分じぶんたちのなかでだれがいちばんえらいだろうかとって、争論そうろんかれらのあいだに、おこった。

22:25 そこでイエスがわれた、「異邦いほうおうたちはそのたみうえ君臨くんりんし、また、権力けんりょくをふるっているものたちは恩人おんじんばれる。

22:26 しかし、あなたがたは、そうであってはならない。かえって、あなたがたのなかでいちばんえらひとはいちばんわかもののように、指導しどうするひとつかえるもののようになるべきである。

22:27 食卓しょくたくにつくひと給仕きゅうじするものと、どちらがえらいのか。食卓しょくたくにつくひとほうではないか。しかし、わたしはあなたがたのなかで、給仕きゅうじをするもののようにしている。

22:28 あなたがたは、わたしの試錬しれんのあいだ、わたしと一緒いっしょ最後さいごまでしのんでくれたひとたちである。

22:29 それで、わたしのちちくに支配しはいをわたしにゆだねてくださったように、わたしもそれをあなたがたにゆだね、

22:30 わたしのくに食卓しょくたくについていをさせ、またくらいしてイスラエルの十二の部族ぶぞくをさばかせるであろう。

22:31 シモン、シモン、よ、サタンはあなたがたをむぎのようにふるいにかけることをねがってゆるされた。

22:32 しかし、わたしはあなたの信仰しんこうがなくならないように、あなたのためにいのった。それで、あなたがなおったときには、兄弟きょうだいたちをちからづけてやりなさい」。

22:33 シモンがった、「しゅよ、わたしはごくにでも、またいたるまでも、あなたとご一緒いっしょ覚悟かくごです」。

22:34 するとイエスがわれた、「ペテロよ、あなたにっておく。きょう、にわとりくまでに、あなたは三わたしをらないとうだろう」。

22:35 そしてかれらにわれた、「わたしが財布さいふふくろもくつもたせずにあなたがたをつかわしたとき、なにかこまったことがあったか」。かれらは、「いいえ、なにもありませんでした」とこたえた。

22:36 そこでわれた、「しかしいまは、財布さいふのあるものは、それをってけ。ふくろ同様どうようってけ。また、つるぎのないものは、自分じぶん上着うわぎって、それをうがよい。

22:37 あなたがたにうが、『かれ罪人つみびとのひとりにかぞえられた』としるしてあることは、わたしのしとげられねばならない。そうだ、わたしにかかわることは成就じょうじゅしている」。

22:38 弟子でしたちがった、「しゅよ、ごらんなさい、ここにつるぎが二りございます」。イエスはわれた、「それでよい」。

22:39 イエスはて、いつものようにオリブやまかれると、弟子でしたちもしたがってった。

22:40 いつもの場所ばしょいてから、かれらにわれた、「誘惑ゆうわくおちいらないようにいのりなさい」。

22:41 そしてご自分じぶんは、いしげてとどくほどはなれたところへ退しりぞき、ひざまずいて、いのってわれた、

22:42 「ちちよ、みこころならば、どうぞ、このさかずきをわたしからりのけてください。しかし、わたしのおもいではなく、みこころがるようにしてください」。

22:43 そのとき、御使みつかいてんからあらわれてイエスをちからづけた。

22:44 イエスはくるしみもだえて、ますますせついのられた。そして、そのあせのしたたりのようにちた。

22:45 いのりえてちあがり、弟子でしたちのところへかれると、かれらがかなしみのはて寝入ねいっているのをごらんになって

22:46 われた、「なぜねむっているのか。誘惑ゆうわくおちいらないように、きていのっていなさい」。

22:47 イエスがまだそうっておられるうちに、そこに群衆ぐんしゅうあらわれ、十二弟子でしのひとりでユダというもの先頭せんとうって、イエスに接吻せっぷんしようとしてちかづいてきた。

22:48 そこでイエスはわれた、「ユダ、あなたは接吻せっぷんをもってひと裏切うらぎるのか」。

22:49 イエスのそばにいたひとたちは、ことのなりゆきをて、「しゅよ、つるぎでりつけてやりましょうか」とって、

22:50 そのうちのひとりが、祭司長さいしちょうしもべりつけ、そのみぎみみおとした。

22:51 イエスはこれにたいしてわれた、「それだけでやめなさい」。そして、そのしもべみみふれて、おいやしになった。

22:52 それから、自分じぶんにむかって祭司長さいしちょう宮守みやもりがしら、長老ちょうろうたちにたいしてわれた、「あなたがたは、強盗ごうとうにむかうようにけんぼうっててきたのか。

22:53 毎日まいにちあなたがたと一緒いっしょみやにいたときには、わたしにをかけなかった。だが、いまはあなたがたのとき、また、やみの支配しはいときである」。

22:54 それから人々ひとびとはイエスをとらえ、ひっぱって大祭司だいさいし邸宅ていたくへつれてった。ペテロはとおくからついてった。

22:55 人々ひとびと中庭なかにわのまんなかをたいて、一緒いっしょにすわっていたので、ペテロもそのなかにすわった。

22:56 すると、ある女中じょちゅうが、かれのそばにすわっているのをかれつめて、「このひともイエスと一緒いっしょにいました」とった。

22:57 ペテロはそれをして、「わたしはそのひとらない」とった。

22:58 しばらくして、ほかのひとがペテロをった、「あなたもあの仲間なかまのひとりだ」。するとペテロはった、「いや、それはちがう」。

22:59 やく時間じかんたってから、またほかのものった、「たしかにこのひともイエスと一緒いっしょだった。このひともガリラヤびとなのだから」。

22:60 ペテロはった、「あなたのっていることは、わたしにわからない」。すると、かれがまだおわらぬうちに、たちまち、にわとりいた。

22:61 しゅりむいてペテロをつめられた。そのときペテロは、「きょう、にわとりまえに、三わたしをらないとうであろう」とわれたしゅのお言葉ことばおもした。

22:62 そしてそとて、はげしくいた。

22:63 イエスを監視かんししていたひとたちは、イエスを嘲弄ちょうろうし、ちたたき、

22:64 かくしをして、「いあててみよ。ったのは、だれか」ときいたりした。

22:65 そのほか、いろいろなことって、イエスを愚弄ぐろうした。

22:66 けたとき、人民じんみん長老ちょうろう祭司長さいしちょうたち、律法りっぽう学者がくしゃたちがあつまり、イエスを議会ぎかいしてった、

22:67 「あなたがキリストなら、そうってもらいたい」。イエスはわれた、「わたしがっても、あなたがたはしんじないだろう。

22:68 また、わたしがたずねても、こたえないだろう。

22:69 しかし、ひといまからのち、全能ぜんのうかみみぎするであろう」。

22:70 かれらはった、「では、あなたはかみなのか」。イエスはわれた、「あなたがたのうとおりである」。

22:71 するとかれらはった、「これ以上いじょう、なんの証拠しょうこがいるか。われわれは直接ちょくせつかれくちからいたのだから」。  

第23章

23:1 群衆ぐんしゅうはみなちあがって、イエスをピラトのところへれてった。

23:2 そしてうったった、「わたしたちは、このひと国民こくみんまどわし、みつぎをカイザルにおさめることをきんじ、また自分じぶんこそおうなるキリストだと、となえているところを目撃もくげきしました」。

23:3 ピラトはイエスにたずねた、「あなたがユダヤじんおうであるか」。イエスは「そのとおりである」とおこたえになった。

23:4 そこでピラトは祭司長さいしちょうたちと群衆ぐんしゅうとにむかってった、「わたしはこのひとになんのつみもみとめない」。

23:5 ところがかれらは、ますますいつのってやまなかった、「かれは、ガリラヤからはじめてこのところまで、ユダヤ全国ぜんこくにわたっておしえ、民衆みんしゅう煽動せんどうしているのです」。

23:6 ピラトはこれをいて、このひとはガリラヤびとかとたずね、

23:7 そしてヘロデの支配下しはいかのものであることをたしかめたので、ちょうどこのころ、ヘロデがエルサレムにいたのをさいわい、そちらへイエスをおくりとどけた。

23:8 ヘロデはイエスを非常ひじょうよろこんだ。それは、かねてイエスのことをいていたので、ってたいとながいあいだおもっていたし、またイエスがなに奇跡きせきおこなうのをたいとのぞんでいたからである。

23:9 それで、いろいろと質問しつもんこころみたが、イエスはなにもおこたえにならなかった。

23:10 祭司長さいしちょうたちと律法りっぽう学者がくしゃたちとはって、はげしい語調ごちょうでイエスをうったえた。

23:11 またヘロデはその兵卒へいそつどもと一緒いっしょになって、イエスを侮辱ぶじょくしたり嘲弄ちょうろうしたりしたあげく、はなやかな着物きものせてピラトへおくりかえした。

23:12 ヘロデとピラトとは以前いぜんたがい敵視てきししていたが、このしたしいなかになった。

23:13 ピラトは、祭司長さいしちょうたちと役人やくにんたちと民衆みんしゅうとを、あつめてった、

23:14 「おまえたちは、このひと民衆みんしゅうまどわすものとしてわたしのところにれてきたので、おまえたちの面前めんぜんでしらべたが、うったているようなつみは、このひとすこしもみとめられなかった。

23:15 ヘロデもまたみとめなかった。げんかれはイエスをわれわれにおくりかえしてきた。このひとはなんらあたるようなことはしていないのである。

23:16 だから、かれをむちってから、ゆるしてやることにしよう」。〔

23:17 まつりごとにピラトがひとりの囚人しゅうじんをゆるしてやることになっていた。〕

23:18 ところが、かれらはいっせいにさけんでった、「そのひところせ。バラバをゆるしてくれ」。

23:19 このバラバは、みやこおこった暴動ぼうどう殺人さつじんとのかどで、ごくとうぜられていたものである。

23:20 ピラトはイエスをゆるしてやりたいとおもって、もう一かれらにびかけた。

23:21 しかしかれらは、わめきたてて「十字架じゅうじかにつけよ、かれ十字架じゅうじかにつけよ」といつづけた。

23:22 ピラトは三度目どめかれらにむかってった、「では、このひとは、いったい、どんな悪事あくじをしたのか。かれにはあたつみまったくみとめられなかった。だから、むちってからかれをゆるしてやることにしよう」。

23:23 ところが、かれらは大声おおごえをあげてり、イエスを十字架じゅうじかにつけるように要求ようきゅうした。そして、そのこえった。

23:24 ピラトはついにかれらのねがいどおりにすることに決定けっていした。

23:25 そして、暴動ぼうどう殺人さつじんとのかどでごくとうぜられたものほうを、かれらの要求ようきゅうおうじてゆるしてやり、イエスのほうかれらにわたして、そののままにまかせた。

23:26 かれらがイエスをひいてゆく途中とちゅう、シモンというクレネびと郊外こうがいからてきたのをとらえて十字架じゅうじかわせ、それをになってイエスのあとからかせた。

23:27 おおぜいの民衆みんしゅうと、かなしみなげいてやまないおんなたちのれとが、イエスにしたがってった。

23:28 イエスはおんなたちのほうりむいてわれた、「エルサレムのむすめたちよ、わたしのためにくな。むしろ、あなたがた自身じしんのため、また自分じぶん子供こどもたちのためにくがよい。

23:29 『不妊ふにんおんなまなかったたいと、ふくませなかった乳房ちぶさとは、さいわいだ』とが、いまにる。

23:30 そのとき、人々ひとびとやまにむかって、われわれのうえたおれかかれとい、またおかにむかって、われわれにおおいかぶされとすであろう。

23:31 もし、生木なまきでさえもそうされるなら、枯木かれきはどうされることであろう」。

23:32 さて、イエスとともけいけるために、ほかにふたりの犯罪はんざいにんかれていった。

23:33 されこうべとばれているところくと、人々ひとびとはそこでイエスを十字架じゅうじかにつけ、犯罪はんざいにんたちも、ひとりはみぎに、ひとりはひだりに、十字架じゅうじかにつけた。

23:34 そのとき、イエスはわれた、「ちちよ、かれらをおゆるしください。かれらはなにをしているのか、わからずにいるのです」。人々ひとびとはイエスの着物きものをくじきでった。

23:35 民衆みんしゅうってていた。役人やくにんたちもあざわらってった、「かれ他人たにんすくった。もしかれかみのキリスト、えらばれたものであるなら、自分じぶん自身じしんすくうがよい」。

23:36 兵卒へいそつどももイエスをののしり、近寄ちかよってきていぶどうしゅをさししてった、

23:37 「あなたがユダヤじんおうなら、自分じぶんすくいなさい」。

23:38 イエスのうえには、「これはユダヤじんおう」といたふだがかけてあった。

23:39 十字架じゅうじかにかけられた犯罪はんざいにんのひとりが、「あなたはキリストではないか。それなら、自分じぶんすくい、またわれわれもすくってみよ」と、イエスに悪口わるくちいつづけた。

23:40 もうひとりは、それをたしなめてった、「おまえはおなけいけていながら、かみおそれないのか。

23:41 おたがい自分じぶんのやったことのむくいをけているのだから、こうなったのは当然とうぜんだ。しかし、このかたはなにわるいことをしたのではない」。

23:42 そしてった、「イエスよ、あなたが御国みくに権威けんいをもっておいでになるときには、わたしをおもしてください」。

23:43 イエスはわれた、「よくっておくが、あなたはきょう、わたしと一緒いっしょにパラダイスにいるであろう」。

23:44 ときはもうひるの十二ごろであったが、太陽たいようひかりうしない、ぜんくらくなって、三およんだ。

23:45 そして聖所せいじょまくがまんなかからけた。

23:46 そのとき、イエスはこえたかさけんでわれた、「ちちよ、わたしのれいをみにゆだねます」。こうってついにいききとられた。

23:47 百卒長ひゃくそつちょうはこの有様ありさまて、かみをあがめ、「ほんとうに、このひとただしいひとであった」とった。

23:48 この光景こうけいあつまってきた群衆ぐんしゅうも、これらの出来事できごとて、みなむねちながらかえってった。

23:49 すべてイエスをっていたものや、ガリラヤからしたがってきたおんなたちも、とおところって、これらのことをていた。

23:50 ここに、ヨセフという議員ぎいんがいたが、善良ぜんりょうただしいひとであった。

23:51 このひとはユダヤのまちアリマタヤの出身しゅっしんで、かみくにのぞんでいた。かれ議会ぎかい議決ぎけつ行動こうどうには賛成さんせいしていなかった。

23:52 このひとがピラトのところへって、イエスのからだの引取ひきとかたねがて、

23:53 それをりおろして亜麻布あまぬのつつみ、まだだれもほうむったことのない、いわってつくったはかおさめた。

23:54 この準備じゅんびであって、安息日あんそくにちはじまりかけていた。

23:55 イエスと一緒いっしょにガリラヤからきたおんなたちは、あとについてきて、そのはか、またイエスのからだがおさめられる様子ようすとどけた。

23:56 そしてかえって、香料こうりょう香油こうゆとを用意よういした。

それからおきてにしたがって安息日あんそくにちやすんだ。 

第24章

24:1 しゅうはじめの夜明よあまえに、おんなたちは用意よういしておいた香料こうりょうたずさえて、はかった。

24:2 ところが、いしはかからころがしてあるので、

24:3 なかにはいってみると、しゅイエスのからだが見当みあたらなかった。

24:4 そのため途方とほうにくれていると、よ、かがやいたころもたふたりのものが、かれらにあらわれた。

24:5 おんなたちはおどろおそれて、かおせていると、このふたりのものった、「あなたがたは、なぜきたほう死人しにんなかにたずねているのか。

24:6 そのかたは、ここにはおられない。よみがえられたのだ。まだガリラヤにおられたとき、あなたがたにおはなしになったことをおもしなさい。

24:7 すなわち、ひとかなら罪人つみびとらのわたされ、十字架じゅうじかにつけられ、そして三によみがえる、とおおせられたではないか」。

24:8 そこでおんなたちはその言葉ことばおもし、

24:9 はかからかえって、これらいっさいのことを、十一弟子でしや、そのみんなのひと報告ほうこくした。

24:10 このおんなたちというのは、マグダラのマリヤ、ヨハンナ、およびヤコブのははマリヤであった。彼女かのじょたちと一緒いっしょにいたほかのおんなたちも、このことを使徒しとたちにはなした。

24:11 ところが、使徒しとたちには、それがおろかなはなしのようにおもわれて、それをしんじなかった。〔

24:12 ペテロはってはかはしってき、かがんでなかると、亜麻布あまぬのだけがそこにあったので、こと次第しだい不思議ふしぎおもいながらかえってった。〕

24:13 この、ふたりの弟子でしが、エルサレムから七マイルばかりはなれたエマオというむらきながら、

24:14 このいっさいの出来事できごとについてたがいかたっていた。

24:15 かたろんっていると、イエスご自身じしんちかづいてきて、かれらと一緒いっしょあるいてかれた。

24:16 しかし、かれらのがさえぎられて、イエスをみとめることができなかった。

24:17 イエスはかれらにわれた、「あるきながらたがいかたっているそのはなしは、なんのことなのか」。かれらはかなしそうなかおをしてちどまった。

24:18 そのひとりのクレオパというものが、こたえてった、「あなたはエルサレムにまっていながら、あなただけが、このみやこでこのごろおこったことをごぞんじないのですか」。

24:19 「それは、どんなことか」とわれると、かれらはった、「ナザレのイエスのことです。あのかたは、かみとすべての民衆みんしゅうとのまえで、わざにも言葉ことばにもちからある預言者よげんしゃでしたが、

24:20 祭司長さいしちょうたちや役人やくにんたちが、死刑しけいしょするためにわたし、十字架じゅうじかにつけたのです。

24:21 わたしたちは、イスラエルをすくうのはこのひとであろうと、のぞみをかけていました。しかもそのうえに、このことおこってから、きょうが三なのです。

24:22 ところが、わたしたちの仲間なかまである数人すうにんおんなが、わたしたちをおどろかせました。というのは、かれらがあさはやはかきますと、

24:23 イエスのからだが見当みあたらないので、かえってきましたが、そのとき御使みつかいあらわれて、『イエスはきておられる』とげたともうすのです。

24:24 それで、わたしたちの仲間なかま数人すうにんはかってますと、はたしておんなたちがったとおりで、イエスは見当みあたりませんでした」。

24:25 そこでイエスがわれた、「ああ、おろかでこころのにぶいため、預言者よげんしゃたちがいたすべてのことしんじられないものたちよ。

24:26 キリストはかならず、これらの苦難くなんけて、その栄光えいこうはいるはずではなかったのか」。

24:27 こうって、モーセやすべての預言者よげんしゃからはじめて、聖書せいしょ全体ぜんたいにわたり、ご自身じしんについてしるしてあることどもを、きあかされた。

24:28 それから、かれらはこうとしていたむらちかづいたが、イエスがなおさきすすかれる様子ようすであった。

24:29 そこで、しいてめてった、「わたしたちと一緒いっしょにおまりください。もう夕暮ゆうぐれになっており、もはやかたむいています」。イエスは、かれらとともまるために、いえにはいられた。

24:30 一緒いっしょ食卓しょくたくにつかれたとき、パンをり、祝福しゅくふくしてさき、かれらにわたしておられるうちに、

24:31 かれらのひらけて、それがイエスであることがわかった。すると、み姿すがたえなくなった。

24:32 かれらはたがいった、「道々みちみちはなしになったとき、また聖書せいしょめいしてくださったとき、おたがいこころうちえたではないか」。

24:33 そして、すぐにってエルサレムにかえってると、十一弟子でしとその仲間なかまあつまっていて、

24:34 「しゅは、ほんとうによみがえって、シモンにあらわれなさった」とっていた。

24:35 そこでふたりのものは、途中とちゅうであったことや、パンをおさきになる様子ようすでイエスだとわかったことなどをはなした。

24:36 こうはなしていると、イエスがかれらのなかにおちになった。〔そして「やすかれ」とわれた。〕

24:37 かれらはおそおどろいて、れいているのだとおもった。

24:38 そこでイエスがわれた、「なぜおじまどっているのか。どうしてこころうたがいをおこすのか。

24:39 わたしのあしなさい。まさしくわたしなのだ。さわってなさい。れいにはにくほねはないが、あなたがたがるとおり、わたしにはあるのだ」。〔

24:40 こうって、あしとをおせになった。〕

24:41 かれらはよろこびのあまり、まだしんじられないで不思議ふしぎおもっていると、イエスが「ここになに食物しょくもつがあるか」とわれた。

24:42 かれらがいたうおの一きれをさしあげると、

24:43 イエスはそれをって、みんなのまえべられた。

24:44 それからかれらにたいしてわれた、「わたしが以前いぜんあなたがたと一緒いっしょにいた時分じぶんはなしてかせた言葉ことばは、こうであった。すなわち、モーセの律法りっぽう預言よげんしょ詩篇しへんとに、わたしについていてあることは、かならずことごとく成就じょうじゅする」。

24:45 そこでイエスは、聖書せいしょさとらせるためにかれらのこころひらいて

24:46 われた、「こう、しるしてある。キリストはくるしみをけて、三死人しにんなかからよみがえる。

24:47 そして、そのによってつみのゆるしをさせる悔改くいあらためが、エルサレムからはじまって、もろもろの国民こくみんつたえられる。

24:48 あなたがたは、これらのこと証人しょうにんである。

24:49 よ、わたしのちち約束やくそくされたものを、あなたがたにおくる。だから、うえからちからさづけられるまでは、あなたがたはみやこにとどまっていなさい」。

24:50 それから、イエスはかれらをベタニヤのちかくまでれてき、をあげてかれらを祝福しゅくふくされた。

24:51 祝福しゅくふくしておられるうちに、かれらをはなれて、〔てんにあげられた。〕

24:52 かれらは〔イエスをはいし、〕非常ひじょうよろこびをもってエルサレムにかえり、

24:53 えずみやにいて、かみをほめたたえていた。