口語訳聖書(振り仮名付き)

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サムエルじょう

第13章   1Sm-Audio 

13:1 サウルは三十さいおうくらいにつき、二ねんイスラエルをおさめた。

13:2 さてサウルはイスラエルびと三千をえらんだ。二千はサウルとともにミクマシ、およびベテルの山地さんちにおり、一千はヨナタンとともにベニヤミンのギベアにいた。サウルはそのたみを、おのおの、その天幕てんまくかえらせた。

13:3 ヨナタンは、ゲバにあるペリシテびとの守備しゅびへいやぶった。ペリシテびとはそのことをいた。そこで、サウルは国中くにぢゅうに、あまねく角笛つのぶえきならしてわせた、「ヘブルびとよ、け」。

13:4 イスラエルのひとみな、サウルがペリシテびとの守備しゅびへいやぶったこと、そしてイスラエルがペリシテびとににくまれるようになったことをいた。こうしてたみされて、ギルガルのサウルのもとにあつまった。

13:5 ペリシテびとはイスラエルとたたかうためにあつまった。戦車せんしゃ三千、騎兵きへい六千、たみはまべのすなのようにおおかった。かれらはのぼってきて、ベテアベンのひがしのミクマシにじんった。

13:6 イスラエルびとは、ひどく圧迫あっぱくされ、味方みかたあやうくなったのをて、ほらあなに、縦穴たてあなに、いわに、はかに、ためいけかくした。

13:7 また、あるヘブルびとはヨルダンをわたって、ガドとギレアデのった。しかしサウルはなおギルガルにいて、たみはみな、ふるえながらかれしたがった。

13:8 サウルは、サムエルがさだめたように、七日なぬかのあいだったが、サムエルがギルガルにこなかったので、たみかれはなれてってった。

13:9 そこでサウルはった、「燔祭はんさい酬恩祭しゅうおんさいをわたしのところってきなさい」。こうしてかれ燔祭はんさいをささげた。

13:10 その燔祭はんさいをささげおわると、サムエルがきた。サウルはあいさつをしようと、かれむかえにた。

13:11 そのときサムエルはった、「あなたはなにをしたのですか」。サウルはった、「たみはわたしをはなれてってき、あなたはさだまったのうちにこられないのに、ペリシテびとがミクマシにあつまったのをたので、

13:12 わたしは、ペリシテびとがいまにも、ギルガルにくだってきて、わたしをおそうかもれないのに、わたしはまだしゅめぐみをもとめることをしていないとおもい、やむを燔祭はんさいをささげました」。

13:13 サムエルはサウルにった、「あなたはおろかなことをした。あなたは、あなたのかみしゅめいじられた命令めいれいまもらなかった。もしまもったならば、しゅいまあなたの王国おうこくながくイスラエルのうえ確保かくほされたであろう。

13:14 しかしいまは、あなたの王国おうこくつづかないであろう。しゅ自分じぶんこころにかなうひともとめて、そのひとたみきみとなることをめいじられた。あなたがしゅめいじられたことまもらなかったからである」。

13:15 こうしてサムエルはって、ギルガルからベニヤミンのギベアにのぼっていった。

サウルはともにいるたみかぞえてみたが、おおよそ六百にんあった。

13:16 サウルとそのヨナタン、ならびに、ともにいるたみは、ベニヤミンのゲバにおり、ペリシテびとはミクマシにじんっていた。

13:17 そしてペリシテびとのじんから三つの部隊ぶたいにわかれた略奪りゃくだつたいてきて、一たいはオフラのほうかって、シュアルのき、

13:18 一たいはベテホロンのほうかい、一たい荒野あらのほうのゼボイムのたにおろすさかいほうかった。

13:19 そのころ、イスラエルのにはどこにも鉄工てっこうがいなかった。ペリシテびとが「ヘブルびとはつるぎも、やりもつくってはならない」とったからである。

13:20 ただしイスラエルのひとみな、そのすきざき、くわ、おの、かまにをつけるときは、ペリシテびとのところくだってった。

13:21 すきざきと、くわのための料金りょうきんは一ピムであり、おのにをつけるのと、とげのあるむちをなおすのは三ぶんの一シケルであった。

13:22 それでこのたたかいのには、サウルおよびヨナタンとともにいたたみには、つるぎもやりもなく、ただサウルとそのヨナタンとがそれをっていた。

13:23 ペリシテびとの先陣せんじんはミクマシのわたりにすすた。 

第14章

14:1 ある、サウルのヨナタンは、その武器ぶき若者わかものに「さあ、われわれはこうがわの、ペリシテびとの先陣せんじんわたってこう」とった。しかしヨナタンはちちにはげなかった。

14:2 サウルはギベアのはずれで、ミグロンにある、ざくろのしたにとどまっていたが、ともにいたたみはおおよそ六百にんであった。

14:3 またアヒヤはエポデをけてともにいた。アヒヤはアヒトブの、アヒトブはイカボデの兄弟きょうだい、イカボデはピネハスの、ピネハスはシロにおいてしゅ祭司さいしであったエリのである。たみはヨナタンがかけることをらなかった。

14:4 ヨナタンがペリシテびとの先陣せんじんわたってこうとするわたりには、一方いっぽうけわしいいわがあり、他方たほうにもけわしいいわがあり、一方いっぽうをボゼヅといい、他方たほうをセネといった。

14:5 いわの一つはミクマシのまえにあってきたにあり、一つはゲバのまえにあってみなみにあった。

14:6 ヨナタンはその武器ぶき若者わかものった、「さあ、われわれは、この割礼かつれいなきものどもの先陣せんじんわたってこう。しゅがわれわれのためになにおこなわれるであろう。おおくのひとをもってすくうのも、すくないひとをもってすくうのも、しゅにとっては、なんのさまたげもないからである」。

14:7 武器ぶきものかれった、「あなたののぞみどおりにしなさい。わたしは一緒いっしょにいます。わたしはあなたとおなこころです」。

14:8 ヨナタンはまたった、「われわれは、あの人々ひとびとところわたっていって、かれらにあらわそう。

14:9 そして、もしかれらがわれわれに、『こちらからくまでて』とうならば、われわれはそのにとどまり、かれらのところのぼっていかないであろう。

14:10 しかし、もしかれらが『われわれのところへのぼってこい』とうならば、われわれはのぼってこう。しゅかれらをわれわれのわたされるからである。これをもってしるしとしよう」。

14:11 こうしてふたりはペリシテびとの先陣せんじんに、そのあらわしたので、ペリシテびとはった、「よ、ヘブルびとが、かくれていたあなからてくる」。

14:12 先陣せんじん人々ひとびとはヨナタンと、その武器ぶきものさけんでった、「われわれのところにのぼってこい。に、ものせてくれよう」。ヨナタンは、その武器ぶきものった、「わたしのあとについてのぼってきなさい。しゅかれらをイスラエルのわたされたのだ」。

14:13 そしてヨナタンはよじのぼり、武器ぶきものもそのあとについてのぼった。ペリシテびとはヨナタンのまえたおれた。武器ぶきものも、あとについていってペリシテびとをころした。

14:14 ヨナタンとその武器ぶきものとが、手始てはじめにころしたものは、おおよそ二十にんであって、このことは一くびきのうしたがやはたけのおおよそ半分はんぶんうちおこなわれた。

14:15 そして陣営じんえいにいるものにいるもの、およびすべてのたみ恐怖きょうふおそわれ、先陣せんじんのもの、および略奪りゃくだつたいまでも、おそれおののいた。またふるうごき、非常ひじょうおおきな恐怖きょうふとなった。

14:16 ベニヤミンのギベアにいたサウルの番兵ばんぺいたちがると、ペリシテびとの群衆ぐんしゅうはくずれて右往左往うおうさおうしていた。

14:17 そのときサウルは、ともにいるたみった、「人数にんずう調しらべて、われわれのうちのだれがったかをよ」。人数にんずう調しらべたところ、ヨナタンとその武器ぶきものとがそこにいなかった。

14:18 サウルはアヒヤにった、「エポデをここにってきなさい」。そのとき、アヒヤはイスラエルの人々ひとびとまえでエポデをけていたからである。

14:19 サウルが祭司さいしかたっているあいだにも、ペリシテびとの陣営じんえいさわぎはますますおおきくなったので、サウルは祭司さいしった、「きなさい」。

14:20 こうしてサウルおよびともにいるたみみなあつまってたたかいにた。ペリシテびとはつるぎをもって同志どうしちしたので、非常ひじょうおおきな混乱こんらんとなった。

14:21 またさきにペリシテびととともにいて、かれらととも陣営じんえいにきていたヘブルびとたちも、ひるがえってサウルおよびヨナタンとともにいるイスラエルびとにつくようになった。

14:22 またエフライムの山地さんちかくしていたイスラエルびとたちもみな、ペリシテびとがげるといて、かれらもまたたたかいにて、それを追撃ついげきした。

14:23 こうしてしゅはそのイスラエルをすくわれた。そしてたたかいはベテアベンにうつった。

14:24 しかしそのイスラエルの人々ひとびとくるしんだ。これはサウルがたみちかわせて「夕方ゆうがたまで、わたしがてきにあだをかえすまで、食物しょくもつべるものは、のろわれる」とったからである。それゆえたみのうちには、ひとりも食物しょくもつくちにしたものはなかった。

14:25 ところで、たみがみなもりなかにはいると、のおもてにみつがあった。

14:26 たみもりにはいったときみつのしたたっているのをた。しかしだれもそれをってくちにつけるものがなかった。たみちかいをおそれたからである。

14:27 しかしヨナタンは、ちちたみちかわせたことをかなかったので、べてつえのさきみつばちのひたし、ってくちにつけた。するとかれがはっきりした。

14:28 そのときたみのひとりがった、「あなたのちちは、かたくたみちかわせて『きょう、食物しょくもつべるものは、のろわれる』とわれました。それでたみつかれているのです」。

14:29 ヨナタンはった、「ちちくになやませました。ごらんなさい。このみつをすこしなめたばかりで、わたしのがこんなに、はっきりしたではありませんか。

14:30 まして、たみがきょうてきからぶんどったものを、じゅうぶんべていたならば、さらにおおくのペリシテびとをころしていたでしょうに」。

14:31 そのイスラエルびとは、ペリシテびとをって、ミクマシからアヤロンにおよんだ。そしてたみは、ひじょうにつかれたので、

14:32 ぶんどりものに、はせかかって、ひつじうしうしって、それをうえころし、のままでそれをべた。

14:33 人々ひとびとはサウルにった、「たみのままでべて、しゅつみおかしています」。サウルはった、「あなたがたはそむいている。このところへ、わたしのもとにおおきないしをころがしてきなさい」。

14:34 サウルはまたった、「あなたがたはわかれて、たみなかにはいって、かれらにいなさい、『おのおのうしまたは、ひつじいてきてここでほふってべなさい。のままでべて、しゅつみおかしてはならない』」。そこでたみみな、そのよる、おのおのうしいてきて、それを、そのところでほふった。

14:35 こうしてサウルはしゅに一つの祭壇さいだんきずいた。これはサウルがしゅのためにきずいた最初さいしょ祭壇さいだんである。

14:36 サウルはった、「われわれはよるのうちにペリシテびとをってくだり、夜明よあけまでかれらをかすめて、ひとりものこらぬようにしよう」。人々ひとびとった、「いとおもわれることを、なんでもしてください」。しかし祭司さいしった、「われわれは、ここで、かみたずねましょう」。

14:37 そこでサウルはかみうかがった、「わたしはペリシテびとをってくだるべきでしょうか。あなたはかれらをイスラエルのわたされるでしょうか」。しかしかみはそのこたえられなかった。

14:38 そこでサウルはった、「たみちょうたちよ、みなこのところちかよりなさい。あなたがたは、よくきわめて、きょうのこのつみきたわけをらなければならない。

14:39 イスラエルをすくしゅきておられる。たとい、それがわたしのヨナタンであっても、かならななければならない」。しかしたみのうちにはひとりも、これにこたえるものがいなかった。

14:40 サウルはイスラエルのすべてのひとった、「あなたがたはこうがわにいなさい。わたしとわたしのヨナタンはこちらがわにいましょう」。たみはサウルにった、「いとおもわれることをしてください」。

14:41 そこでサウルはった、「イスラエルのかみしゅよ、あなたはきょう、なにゆえしもべにこたえられなかったのですか。もしこのつみがわたしにあるか、またはわたしのヨナタンにあるのでしたら、イスラエルのかみしゅよ、ウリムをおあたえください。しかし、もしこのつみが、あなたのたみイスラエルにあるのでしたらトンミムをおあたえください」。こうしてヨナタンとサウルとが、くじにあたり、たみはのがれた。

14:42 サウルはった、「わたしか、わたしのヨナタンかをめるために、くじをきなさい」。くじはヨナタンにあたった。

14:43 サウルはヨナタンにった、「あなたがしたことを、わたしにいなさい」。ヨナタンはった、「わたしはたしかににあったつえのさきすこしばかりのみつをつけて、なめました。わたしはここにいます。覚悟かくごしています」。

14:44 サウルはった、「かみがわたしをいくえにもばっしてくださるように。ヨナタンよ、あなたはかならななければならない」。

14:45 そのときたみはサウルにった、「イスラエルのうちにこのおおいなる勝利しょうりをもたらしたヨナタンがななければならないのですか。けっしてそうではありません。しゅきておられます。ヨナタンのかみ一すじもおとしてはなりません。かれかみともにきょうはたらいたのです」。こうしてたみはヨナタンをすくったのでかれまぬかれた。

14:46 サウルはペリシテびとをうことをやめてきあげ、ペリシテびとはそのくにかえった。

14:47 サウルはイスラエルのおうとなって、周囲しゅういのもろもろのてき、すなわちモアブ、アンモンの人々ひとびと、エドム、ゾバのおうたちおよびペリシテびととたたかい、すべてかうところ勝利しょうりた。

14:48 サウルはいさましくはたらき、アマレクびとをって、イスラエルびとを略奪者りゃくだつしゃからすくした。

14:49 さて、サウルのむすこたちはヨナタン、エスイ、およびマルキシュアである。ふたりのむすめつぎのとおりである。すなわちあねはメラブ、いもうとはミカルである。

14:50 サウルのつまはアヒノアムといい、アヒマアズのむすめである。またぐんちょうはアブネルといい、サウルのおじネルのである。

14:51 サウルのちちキシとアブネルのちちネルとは、アビエルのである。

14:52 サウルの一生いっしょうあいだ、ペリシテびととはげしいたたかいがあった。サウルはちからつよひと勇気ゆうきのあるひとるごとに、それをしかかえた。 

第15章

15:1 さて、サムエルはサウルにった、「しゅは、わたしをつかわし、あなたにあぶらをそそいで、そのたみイスラエルのおうとされました。それゆえ、いましゅ言葉ことばきなさい。

15:2 万軍ばんぐんしゅは、こうおおせられる、『わたしは、アマレクがイスラエルにしたこと、すなわちイスラエルがエジプトからのぼってきたとき、その途中とちゅう敵対てきたいしたことについてかれらをばっするであろう。

15:3 いまってアマレクをち、そのすべてのものほろぼしつくせ。かれらをゆるすな。おとこおんなも、おさ乳飲ちのも、うしひつじも、らくだも、ろばもみなころせ』」。

15:4 サウルはたみあつめ、テライムで人数にんずう調しらべたところ、歩兵ほへいは二十万、ユダのひとは一万であった。

15:5 そしてサウルはアマレクのまちって、たにへいせた。

15:6 サウルはケニびとにった、「さあ、あなたがたはアマレクびとをはなれて、くだっていってください。かれらと一緒いっしょにあなたがたをほろぼすようなことがあってはならない。あなたがたは、イスラエルの人々ひとびとがエジプトからのぼってきたとき親切しんせつにしてくれたのですから」。そこでケニびとはアマレクびとをはなれてった。

15:7 サウルはアマレクびとをって、ハビラからエジプトのひがしにあるシュルにまでおよんだ。

15:8 そしてアマレクびとのおうアガグをいけどり、つるぎをもってそのたみをことごとくほろぼした。

15:9 しかしサウルとたみはアガグをゆるし、またひつじうしもっといもの、えたものならびに小羊こひつじと、すべてのいものをのこし、それらをほろぼしつくすことをこのまず、ただうちのない、つまらないものほろぼしつくした。

15:10 そのときしゅ言葉ことばがサムエルにのぞんだ、

15:11 「わたしはサウルをおうとしたことをいる。かれがそむいて、わたしにしたがわず、わたしの言葉ことばおこなわなかったからである」。サムエルはいかって、夜通よどおし、しゅばわった。

15:12 そしてあさサウルにうため、はやきたが、サムエルにげるひとがあった、「サウルはカルメルにきて、自分じぶんのために戦勝せんしょう記念碑きねんひて、をかえしてすすみ、ギルガルへくだってきました」。

15:13 サムエルがサウルのもとへると、サウルはかれった、「どうぞ、しゅがあなたを祝福しゅくふくされますように。わたしはしゅ言葉ことば実行じっこうしました」。

15:14 サムエルはった、「それならば、わたしのみみにはいる、このひつじこえと、わたしのうしこえは、いったい、なんですか」。

15:15 サウルはった、「人々ひとびとがアマレクびとのところからいてきたのです。たみは、あなたのかみしゅにささげるために、ひつじうしもっといものをのこしたのです。そのほかは、われわれがほろぼしつくしました」。

15:16 サムエルはサウルにった、「おやめなさい。昨夜さくやしゅがわたしにわれたことを、あなたにげましょう」。サウルはかれった、「ってください」。

15:17 サムエルはった、「たとい、自分じぶんではちいさいとおもっても、あなたはイスラエルの諸部族しょぶぞくちょうではありませんか。しゅはあなたにあぶらそそいでイスラエルのおうとされた。

15:18 そしてしゅはあなたに使命しめいさづけ、つかわしてわれた、『って、つみびとなるアマレクびとをほろぼしつくせ。かれらを皆殺みなごろしにするまでたたかえ』。

15:19 それであるのに、どうしてあなたはしゅこえしたがわないで、ぶんどりものにとびかかり、しゅまえあくをおこなったのですか」。

15:20 サウルはサムエルにった、「わたしはしゅこえしたがい、しゅがつかわされた使命しめいびてき、アマレクのおうアガグをれてきて、アマレクびとをほろぼしつくしました。

15:21 しかしたみほろぼしつくすべきもののうちもっといものを、ギルガルで、あなたのかみしゅにささげるため、ぶんどりもののうちからひつじうしりました」。

15:22 サムエルはった、

しゅはそのみ言葉ことばしたがことよろこばれるように、燔祭はんさい犠牲ぎせいよろこばれるであろうか。よ、したがうことは犠牲ぎせいにまさり、くことは雄羊おひつじ脂肪しぼうにまさる。

15:23 そむくことはうらないのつみひとしく、強情ごうじょう偶像ぐうぞう礼拝れいはいつみひとしいからである。あなたがしゅのことばをてたので、しゅもまたあなたをてて、おうくらいから退しりぞけられた」。

15:24 サウルはサムエルにった、「わたしはしゅ命令めいれいとあなたの言葉ことばにそむいてつみおかしました。たみおそれて、そのこえしたがったからです。

15:25 どうぞ、いまわたしのつみをゆるし、わたしと一緒いっしょかえって、しゅおがませてください」。

15:26 サムエルはサウルにった、「あなたと一緒いっしょかえりません。あなたがしゅ言葉ことばてたので、しゅもあなたをてて、イスラエルの王位おういから退しりぞけられたからです」。

15:27 こうしてサムエルがろうとしてをかえしたとき、サウルがサムエルの上着うわぎのすそをとらえたので、それはけた。

15:28 サムエルはかれった、「しゅはきょう、あなたからイスラエルの王国おうこくき、もっといあなたの隣人りんじんあたえられた。

15:29 またイスラエルの栄光えいこういつわることもなく、いることもない。かれひとではないからいることはない」。

15:30 サウルはった、「わたしはつみおかしましたが、どうぞ、たみ長老ちょうろうたち、およびイスラエルのまえで、わたしをたっとび、わたしと一緒いっしょかえって、あなたのかみしゅおがませてください」。

15:31 そこでサムエルはサウルのあとについてかえった。そしてサウルはしゅおがんだ。

15:32 ときにサムエルはった、「わたしのところにアマレクびとのおうアガグをいてきなさい」。アガグはうれしそうにサムエルのところにきた。アガグは「くるしみはきっとったのだ」とおもった。

15:33 サムエルはった、「あなたのつるぎはおおくのおんな子供こどもうしなわせた。そのようにあなたのははおんなのうちでもっと無惨むざん子供こどもうしなものとなるであろう」。サムエルはギルガルでしゅまえに、アガグを寸断すんだんした。

15:34 そしてサムエルはラマにき、サウルは故郷こきょうのギベアにのぼって、そのいえかえった。

15:35 サムエルはまで、二とサウルをなかった。しかしサムエルはサウルのためにかなしんだ。またしゅはサウルをイスラエルのおうとしたことをいられた。  

第16章

16:1 さてしゅはサムエルにわれた、「わたしがすでにサウルをてて、イスラエルの王位おういから退しりぞけたのに、あなたはいつまでかれのためにかなしむのか。つのあぶらたし、それをもってきなさい。あなたをベツレヘムびとエッサイのもとにつかわします。わたしはそのたちのうちにひとりのおうさがたからである」。

16:2 サムエルはった、「どうしてわたしはくことができましょう。サウルがそれをけば、わたしをころすでしょう」。しゅわれた、「一とううしいていって、『しゅ犠牲ぎせいをささげるためにきました』といなさい。

16:3 そしてエッサイを犠牲ぎせい場所ばしょびなさい。そのときわたしはあなたのすることをしめします。わたしがあなたにげるひとあぶらそそがなければならない」。

16:4 サムエルはしゅめいじられたようにして、ベツレヘムへった。まち長老ちょうろうたちは、おそれながらて、かれむかえ、「おだやかなことのためにこられたのですか」とった。

16:5 サムエルはった、「おだやかなことのためです。わたしはしゅ犠牲ぎせいをささげるためにきました。をきよめて、犠牲ぎせい場所ばしょにわたしとともにきてください」。そしてサムエルはエッサイとそのたちをきよめて犠牲ぎせいまねいた。

16:6 かれらがきたとき、サムエルはエリアブをて、「自分じぶんまえにいるこのひとこそ、しゅあぶらをそそがれるひとだ」とおもった。

16:7 しかししゅはサムエルにわれた、「かおかたちやのたけをてはならない。わたしはすでにそのひとてた。わたしがるところはひととはことなる。ひとそとかおかたちをしゅこころる」。

16:8 そこでエッサイはアビナダブをんでサムエルのまえとおらせた。サムエルはった、「しゅえらばれたのはこのひとでもない」。

16:9 エッサイはシャンマをとおらせたが、サムエルはった、「しゅえらばれたのはこのひとでもない」。

16:10 エッサイは七にんにサムエルのまえとおらせたが、サムエルはエッサイにった、「しゅえらばれたのはこのひとたちではない」。

16:11 サムエルはエッサイにった、「あなたのむすこたちはみなここにいますか」。かれった、「まだすえのこっていますがひつじっています」。サムエルはエッサイにった、「ひとをやってかれれてきなさい。かれがここにるまで、われわれは食卓しょくたくにつきません」。

16:12 そこでひとをやってかれをつれてきた。かれ血色けっしょくのよい、のきれいな、姿すがたうつくしいひとであった。しゅわれた、「ってこれにあぶらをそそげ。これがそのひとである」。

16:13 サムエルはあぶらつのをとって、その兄弟きょうだいたちのなかで、かれあぶらをそそいだ。このからのち、しゅれいは、はげしくダビデのうえのぞんだ。そしてサムエルはってラマへった。

16:14 さてしゅれいはサウルをはなれ、しゅから悪霊あくれいかれなやました。

16:15 サウルの家来けらいたちはかれった、「ごらんなさい。かみから悪霊あくれいがあなたをなやましているのです。

16:16 どうぞ、われわれの主君しゅくんが、あなたのまえつかえている家来けらいたちにめいじて、じょうずにことをひくものひとりをさがさせてください。かみから悪霊あくれいがあなたにのぞときかれことをひくならば、あなたはくなられるでしょう」。

16:17 そこでサウルは家来けらいたちにった、「じょうずにことをひくものさがして、わたしのもとにれてきなさい」。

16:18 そのとき、ひとりの若者わかものがこたえた、「わたしはベツレヘムびとエッサイのましたが、ことがじょうずで、勇気ゆうきもあり、いくさびとで、弁舌べんぜつにひいで、姿すがたうつくしいひとです。またしゅかれともにおられます」。

16:19 そこでサウルはエッサイのもとに使者ししゃをつかわしてった、「ひつじっているあなたのダビデをわたしのもとによこしなさい」。

16:20 エッサイは、ろばにパンをわせ、かわぶくろにいれたぶどうしゅふくろと、やぎのとをって、そのダビデのによってサウルにおくった。

16:21 ダビデはサウルのもとにきて、かれつかえた。サウルはひじょうにこれをあいして、その武器ぶきものとした。

16:22 またサウルはひとをつかわしてエッサイにった、「ダビデをわたしにつかえさせてください。かれはわたしのこころにかないました」。

16:23 かみから悪霊あくれいがサウルにのぞとき、ダビデはことをとり、でそれをひくと、サウルはしずまり、くなって、悪霊あくれいかれはなれた。  

第17章

17:1 さてペリシテびとは、ぐんあつめてたたかおうとし、ユダにぞくするソコにあつまって、ソコとアゼカのあいだにあるエペス・ダミムに陣取じんどった。

17:2 サウルとイスラエルの人々ひとびとあつまってエラのたに陣取じんどり、ペリシテびとにたいして戦列せんれつをしいた。

17:3 ペリシテびとはこうのやまうえち、イスラエルはこちらのやまうえった。そのかんたにがあった。

17:4 ときに、ペリシテびとのじんから、ガテのゴリアテというの、たたかいをいどむものてきた。のたけは六キュビトはん

17:5 あたまには青銅せいどうのかぶとをいただき、には、うろことじのよろいをていた。そのよろいは青銅せいどうおもさ五千シケル。

17:6 またあしには青銅せいどうのすねとうけ、かたには青銅せいどうげやりを背負せおっていた。

17:7 っているやりのは、はた巻棒まきぼうのようであり、やりのてつは六百シケルであった。かれまえには、たてものすすんだ。

17:8 ゴリアテはってイスラエルの戦列せんれつかってさけんだ、「なにゆえ戦列せんれつをつくっててきたのか。わたしはペリシテびと、おまえたちはサウルの家来けらいではないか。おまえたちから、ひとりをえらんで、わたしのところへくだってこさせよ。

17:9 もしそのひとたたかってわたしをころすことができたら、われわれはおまえたちの家来けらいとなる。しかしわたしがってそのひところしたら、おまえたちは、われわれの家来けらいになってつかえなければならない」。

17:10 またこのペリシテびとはった、「わたしは、きょうイスラエルの戦列せんれつにいどむ。ひとりをして、わたしとたたかわせよ」。

17:11 サウルとイスラエルのすべてのひとは、ペリシテびとのこの言葉ことばいておどろき、ひじょうにおそれた。

17:12 さて、ダビデはユダのベツレヘムにいたエフラタびとエッサイというひとで、このひとはちにんがあったが、サウルのにはとしすすんで、すでに年老としおいていた。

17:13 エッサイのらのうち、うえの三にんはサウルにしたがって戦争せんそうた。そのたたかいにた三にんは、長子ちょうしをエリアブといい、つぎをアビナダブといい、だい三をシャンマとった。

17:14 ダビデはすえであって、あににんはサウルにしたがった。

17:15 ダビデはサウルのところからったりきたりして、ベツレヘムでちちひつじっていた。

17:16 あのペリシテびとは四十にちあいだ朝夕あさゆうてきて、かれらのまえった。

17:17 ときに、エッサイはそのダビデにった、「あにたちのため、このいりむぎ一エパと、この十のパンをとって、いそいで陣営じんえいにいるあにところっていきなさい。

17:18 またこの十の乾酪かんらくって、千にんちょうにもってき、あにたちの安否あんぴとどけて、そのしるしをもらってきなさい」。

17:19 さてサウルとかれらおよびイスラエルのすべてのひとは、エラのたにでペリシテびととたたかっていた。

17:20 ダビデはあさはやくきて、ひつじ番人ばんにんたくし、エッサイがめいじたように食料しょくりょうひんたずさえてった。かれ陣営じんえいいたとき軍勢ぐんぜいは、ときのこえをあげて戦線せんせんようとしていた。

17:21 そしてイスラエルとペリシテびととは戦列せんれついて、ぐんぐんった。

17:22 ダビデは荷物にもつをおろして、荷物にもつまもものにあずけ、戦列せんれつほうはしって、あにたちのところき、かれらの安否あんぴたずねた。

17:23 あにたちとかたっているとき、ペリシテびとの戦列せんれつから、ガテのペリシテびとで、をゴリアテという、あのたたかいをいどむもののぼってきて、まえおな言葉ことばったので、ダビデはそれをいた。

17:24 イスラエルのすべてのひとは、そのひとて、けてげ、ひじょうにおそれた。

17:25 イスラエルの人々ひとびとはまたった、「あなたがたは、あののぼってきたひとたか。たしかにイスラエルにいどむためにのぼってきたのだ。かれころひとは、おうおおいなるとみあたえてませ、そのむすめあたえ、そのちちいえにはイスラエルのうちでぜいまぬかれさせるであろう」。

17:26 ダビデはかたわらにっている人々ひとびとった、「このペリシテびとをころし、イスラエルのはじをすすぐひとには、どうされるのですか。この割礼かつれいなきペリシテびとは何者なにものなので、けるかみぐんをいどむのか」。

17:27 たみまえおなじように、「かれころひとにはこうされるであろう」とこたえた。

17:28 うえあにエリアブはダビデが人々ひとびとかたるのをいて、ダビデにかいいかりをはっしてった、「なんのためにくだってきたのか。にいるわずかのひつじはだれにたくしたのか。あなたのわがままとわるこころはわかっている。たたかいをるためにくだってきたのだ」。

17:29 ダビデはった、「わたしがいまなにをしたというのですか。ただひとこといっただけではありませんか」。

17:30 またふりいて、ほかのひとまえのようにかたったところ、たみはまたおなじようにこたえた。

17:31 人々ひとびとはダビデのかたった言葉ことばいて、それをサウルにげたので、サウルはかれせた。

17:32 ダビデはサウルにった、「だれもかれのゆえにおとしてはなりません。しもべがってあのペリシテびととたたかいましょう」。

17:33 サウルはダビデにった、「って、あのペリシテびととたたかうことはできない。あなたは年少ねんしょうだが、かれわかときからの軍人ぐんじんだからです」。

17:34 しかしダビデはサウルにった、「しもべはちちひつじっていたのですが、しし、あるいはくまがきて、れの小羊こひつじったとき

17:35 わたしはそのあとをって、これをち、小羊こひつじをそのくちからすくいだしました。そのけものがわたしにとびかかってきたときは、ひげをつかまえて、それをころしました。

17:36 しもべはすでに、ししと、くまをころしました。この割礼かつれいなきペリシテびとも、けるかみぐんをいどんだのですから、あのけものの一とうのようになるでしょう」。

17:37 ダビデはまたった、「ししのつめ、くまのつめからわたしをすくされたしゅは、またわたしを、このペリシテびとのからすくされるでしょう」。サウルはダビデにった、「きなさい。どうぞしゅがあなたとともにおられるように」。

17:38 そしてサウルは自分じぶんのいくさころもをダビデにせ、青銅せいどうのかぶとを、そのあたまにかぶらせ、また、うろことじのよろいをにまとわせた。

17:39 ダビデは、いくさころもうえに、つるぎをびてこうとしたが、できなかった。それにれていなかったからである。そこでダビデはサウルにった、「わたしはこれらのものをけていくことはできません。れていないからです」。

17:40 ダビデはそれらをぎすて、につえをとり、谷間たにまからなめらかないしえらびとって自分じぶんっている羊飼ひつじかいふくろれ、いしげをって、あのペリシテびとにちかづいた。

17:41 そのペリシテびとはすすんできてダビデにちかづいた。そのたてをものかれまえにいた。

17:42 ペリシテびとはまわしてダビデを、これをあなどった。まだわかくて血色けっしょくがよく、姿すがたうつくしかったからである。

17:43 ペリシテびとはダビデにった、「つえをって、かってくるが、わたしはいぬなのか」。ペリシテびとは、また神々かみがみによってダビデをのろった。

17:44 ペリシテびとはダビデにった、「さあ、かってこい。おまえのにくを、そらとりけもののえじきにしてくれよう」。

17:45 ダビデはペリシテびとにった、「おまえはつるぎと、やりと、げやりをって、わたしにかってくるが、わたしは万軍ばんぐんしゅ、すなわち、おまえがいどんだ、イスラエルのぐんかみによって、おまえにかう。

17:46 きょう、しゅは、おまえをわたしのにわたされるであろう。わたしは、おまえをって、くびをはね、ペリシテびとの軍勢ぐんぜいかばねを、きょう、そらとり野獣やじゅうのえじきにし、イスラエルに、かみがおられることをぜんらせよう。

17:47 またこのぜん会衆かいしゅうも、しゅすくいほどこすのに、つるぎとやりをもちいられないことをるであろう。このたたかいはしゅたたかいであって、しゅがわれわれのにおまえたちをわたされるからである」。

17:48 そのペリシテびとががり、ちかづいてきてダビデにかったので、ダビデはいそ戦線せんせんはして、ペリシテびとにかった。

17:49 ダビデはふくろれて、そのなかから一つのいしり、いしげでげて、ペリシテびとのひたいったので、いしはそのひたいはいり、うつむきにたおれた。

17:50 こうしてダビデはいしげといしをもってペリシテびとにち、ペリシテびとをって、これをころした。ダビデのにつるぎがなかったので、

17:51 ダビデははしりよってペリシテびとのうえり、そのつるぎをって、さやからきはなし、それをもってかれころし、そのくびをはねた。ペリシテの人々ひとびとは、その勇士ゆうしんだのをげた。

17:52 イスラエルとユダの人々ひとびとちあがり、ときをあげて、ペリシテびとを追撃ついげきし、ガテおよびエクロンのもんにまでおよんだ。そのためペリシテびとの負傷ふしょうしゃは、シャライムからガテおよびエクロンにみちうえたおれた。

17:53 イスラエルの人々ひとびとはペリシテびとの追撃ついげきえてかえり、その陣営じんえい略奪りゃくだつした。

17:54 ダビデは、あのペリシテびとのくびってエルサレムへってったが、その武器ぶき自分じぶん天幕てんまくいた。

17:55 サウルはダビデがあのペリシテびとにかってていくのをて、ぐんちょうアブネルにった、「アブネルよ、この若者わかものはだれのか」。アブネルはった、「おうよ、あなたのいのちにかけてちかいます。わたしはらないのです」。

17:56 おうった、「この若者わかものがだれのか、たずねてみよ」。

17:57 ダビデが、あのペリシテびとをころしてかえってきたとき、アブネルは、ペリシテびとのくびっているかれを、サウルのまえれてった。

17:58 サウルはかれった、「若者わかものよ、あなたはだれのか」。ダビデはこたえた、「あなたのしもべ、ベツレヘムびとエッサイのです」。  

第18章

18:1 ダビデがサウルにかたえたとき、ヨナタンのこころはダビデのこころむすびつき、ヨナタンは自分じぶんいのちのようにダビデをあいした。

18:2 この、サウルはダビデをしかかえて、ちちいえかえらせなかった。

18:3 ヨナタンとダビデとは契約けいやくむすんだ。ヨナタンが自分じぶんいのちのようにダビデをあいしたからである。

18:4 ヨナタンは自分じぶんていた上着うわぎいでダビデにあたえた。また、そのいくさころも、およびつるぎもゆみおびも、そのようにした。

18:5 ダビデはどこでもサウルがつかわすところって、てがらをてたので、サウルはかれへい隊長たいちょうとした。それはすべてのたみこころにかない、またサウルの家来けらいたちのこころにもかなった。

18:6 人々ひとびとげてきたとき、すなわちダビデが、かのペリシテびとをころしてかえったときおんなたちはイスラエルの町々まちまちからてきて、つづみいわうた三糸みついとことをもって、うたいついつ、サウルおうむかえた。

18:7 おんなたちはおどりながらたがいうたいかわした、

「サウルは千をころし、ダビデはまんころした」。

18:8 サウルは、ひじょうにいかり、この言葉ことばわるくしてった、「ダビデにはまんい、わたしには千とう。このうえかれあたえるものは、くにのほかないではないか」。

18:9 サウルは、このからのちダビデをうかがった。

18:10 つぎかみから悪霊あくれいがサウルにはげしくのぞんで、サウルがいえなかくるいわめいたので、ダビデは、いつものように、ことをひいた。そのとき、サウルのにやりがあったので、

18:11 サウルは「ダビデをかべとおそう」とおもって、そのやりをふりげた。しかしダビデは二をかわしてサウルをけた。

18:12 しゅがサウルをはなれて、ダビデとともにおられたので、サウルはダビデをおそれた。

18:13 それゆえサウルは、ダビデをとおざけて、千にんちょうとしたので、ダビデはたみさきって出入でいりした。

18:14 またダビデは、すべてそのすることに、てがらをてた。しゅともにおられたからである。

18:15 サウルはダビデがおおきなてがらをてるのをかれおそれたが、

18:16 イスラエルとユダのすべてのひとはダビデをあいした。かれたみさきって出入でいりしたからである。

18:17 そのときサウルはダビデにった、「わたしの長女ちょうじょメラブを、あなたにつまとしてあたえよう。ただ、あなたはわたしのためにいさましく、しゅたたかいをたたかいなさい」。サウルは「自分じぶんかれころさないで、ペリシテびとのころそう」とおもったからである。

18:18 ダビデはサウルにった、「わたしは何者なにものなのでしょう。わたしの親族しんぞく、わたしのちち一族いちぞくはイスラエルのうちで何者なにものなのでしょう。そのわたしが、どうしておうのむこになることができましょう」。

18:19 しかしサウルのむすめメラブは、ダビデにとつぐべきときになって、メホラびとアデリエルにつまとしてあたえられた。

18:20 サウルのむすめミカルはダビデをあいした。人々ひとびとがそれをサウルにげたとき、サウルはそのことよろこんだ。

18:21 サウルは「ミカルをかれあたえて、かれあざむだてとし、ペリシテびとのかれころそう」とおもったので、サウルはふたたびダビデにった、「あなたを、きょう、わたしのむこにします」。

18:22 そしてサウルは家来けらいたちにめいじた、「ひそかにダビデにいなさい、『おうはあなたがり、おう家来けらいたちもみなあなたをあいしています。それゆえおうのむこになりなさい』」。

18:23 そこでサウルの家来けらいたちはこの言葉ことばをダビデのみみかたったので、ダビデはった、「わたしのようなまずしく、いやしいものが、おうのむこになることは、あなたがたには、たやすいこととおもわれますか」。

18:24 サウルの家来けらいたちはサウルに、「ダビデはこうった」とげた。

18:25 サウルはった、「あなたがたはダビデにこういなさい、『おうはなにも結納ゆいのうのぞまれない。ただペリシテびとのようかわ一百をて、おうのあだをつことをのぞまれる』」。これはサウルが、ダビデをペリシテびとのによってたおそうとおもったからである。

18:26 サウルの家来けらいたちが、この言葉ことばをダビデにげたとき、ダビデはおうのむこになることをしとした。そしてさだめたがまだこないうちに、

18:27 ダビデは従者じゅうしゃをつれて、ってき、ペリシテびと二百にんころして、そのようかわたずさかえり、おうのむこになるために、それをことごとくおうにささげた。そこでサウルはむすめミカルをかれつまとしてあたえた。

18:28 しかしサウルはて、しゅがダビデとともにおられること、またイスラエルのすべてのひとがダビデをあいするのをったとき

18:29 サウルは、ますますダビデをおそれた。こうしてサウルはえずダビデにてきした。

18:30 さてペリシテびとのきみたちがめてきたが、ダビデは、かれらがめてくるごとに、サウルのどの家来けらいよりもおおくのてがらをてたので、そのはひじょうに尊敬そんけいされた。 

第19章

19:1 サウルはそのヨナタンおよびすべての家来けらいたちにダビデをころすようにとった。しかしサウルのヨナタンはふかくダビデをあいしていた。

19:2 ヨナタンはダビデにった、「ちちサウルはあなたをころそうとしています。それゆえあすのあさをつけて、わからない場所ばしょかくしていてください。

19:3 わたしはって、あなたがいる野原のはらちちのかたわらにち、ちちにあなたのことをはなしましょう。そして、なにかわたしにわかれば、あなたにげましょう」。

19:4 ヨナタンはちちサウルにダビデのことをほめてった、「おうよ、どうか家来けらいダビデにたいしてつみおかさないでください。かれは、あなたにつみおかさず、またかれのしたことは、あなたのためになることでした。

19:5 かれいのちをかけて、あのペリシテびとをころし、しゅはイスラエルの人々ひとびとおおいなる勝利しょうりあたえられたのです。あなたはそれをよろこばれました。それであるのに、どうしてゆえなくダビデをころし、つみなきものながしてつみおかそうとされるのですか」。

19:6 サウルはヨナタンの言葉ことばきいれた。そしてサウルはちかった、「しゅきておられる。わたしはけっしてかれころさない」。

19:7 ヨナタンはダビデをんでこれらのことをみなダビデにげた。そしてヨナタンがダビデをサウルのもとにれてきたので、ダビデは、もとのようにサウルのまえにいた。

19:8 ところがまた戦争せんそうがおこって、ダビデはてペリシテびととたたかい、おおいにかれらをころしたので、かれらはそのまえからった。

19:9 さてサウルがいえにいてにやりをってすわっていたときしゅから悪霊あくれいがサウルにのぞんだので、ダビデはことをひいていたが、

19:10 サウルはそのやりをもってダビデをかべとおそうとした。しかしかれはサウルのまえをかわしたので、やりはかべにつきささった。そしてダビデはった。

19:11 そのよる、サウルはダビデのいえ使者ししゃたちをつかわして見張みはりをさせ、あさになってかれころさせようとした。しかしダビデのつまミカルはダビデにった、「もし今夜こんやのうちに、あなたが自分じぶんいのちすくわないならば、あすはころされるでしょう」。

19:12 そしてミカルがダビデをまどからつりおろしたので、かれった。

19:13 ミカルは一つのぞうをとって、寝床ねどこうえよこたえ、そのあたまにやぎのあみをかけ、着物きものをもってそれをおおった。

19:14 サウルはダビデをとらえるため使者ししゃたちをつかわしたが、彼女かのじょった、「あのひと病気びょうきです」。

19:15 そこでサウルは、ダビデをさせようと使者ししゃたちをつかわしてった、「かれ寝床ねどこのまま、わたしのところれてきなさい。わたしがかれころそう」。

19:16 使者ししゃたちがはいってると、寝床ねどこにはぞうよこたえてあって、そのあたまには、やぎのあみがかけてあった。

19:17 サウルはミカルにった、「あなたはどうして、このようにわたしをあざむいて、わたしのてきがしたのか」。ミカルはサウルにこたえた、「あのひとはわたしに『がしてくれ。さもないと、おまえをころす』といました」。

19:18 ダビデはり、ラマにいるサムエルのもとへって、サウルが自分じぶんにしたすべてのことをかれげた。そしてダビデとサムエルはってナヨテにんだ。

19:19 あるひとがサウルに「ダビデはラマのナヨテにいます」とげたので、

19:20 サウルは、ダビデをとらえるために、使者ししゃたちをつかわした。かれらは預言者よげんしゃ一群いちぐん預言よげんしていて、サムエルが、そのうちの、かしらとなってっているのをたが、そのときかみれいはサウルの使者ししゃたちにものぞんで、かれらもまた預言よげんした。

19:21 サウルは、このことをいて、使者ししゃたちをつかわしたが、かれらもまた預言よげんした。サウルは三たび使者ししゃたちをつかわしたが、かれらもまた預言よげんした。

19:22 そこでサウルはみずからラマにき、セクの大井戸おおいどいたときうてった、「サムエルとダビデは、どこにおるか」。ひとりのひとこたえた、「かれらはラマのナヨテにいます」。

19:23 そこでサウルはそこからラマのナヨテにったが、かみれいはまたかれにものぞんで、かれはラマのナヨテにくまであるきながら預言よげんした。

19:24 そしてかれもまた着物きものいで、おなじようにサムエルのまえ預言よげんし、一にちはだかたおしていた。人々ひとびとが「サウルもまた預言者よげんしゃたちのうちにいるのか」というのはこのためである。  

第20章

20:1 ダビデはラマのナヨテからげてきて、ヨナタンにった、「わたしがなにをし、どのようなわるいことがあり、あなたのちちまえにどんなつみおかしたので、わたしをころそうとされるのでしょうか」。

20:2 ヨナタンはかれった、「けっしてころされることはありません。ちちこと大小だいしょうわず、わたしにげないですることはありません。どうしてちちがわたしにそのことかくしましょう。そのようなことはありません」。

20:3 しかしダビデはこたえた、「あなたのちちは、わたしがあなたの好意こういをえていることをよくっておられます。それで『ヨナタンがかなしむことのないように、これをらせないでおこう』とおもっておられるのです。しかし、しゅきておられ、あなたのたましいきています。わたしととのあいだは、ただ一です」。

20:4 ヨナタンはダビデにった、「あなたがわれることはなんでもします」。

20:5 ダビデはヨナタンにった、「あすは、ついたちですから、わたしはおう一緒いっしょ食事しょくじをしなければなりません。しかしわたしをかせて三夕方ゆうがたまで、野原のはらかくれることをゆるしてください。

20:6 もしあなたのちちがわたしのことをたずねられるならば、そのときってください、『ダビデはふるさとのまちベツレヘムへいそいでくことをゆるしてくださいと、しきりにわたしにもとめました。そこで全家ぜんかとしまつりがあるからです』。

20:7 もしかれが「し」とわれるなら、しもべは安全あんぜんですが、いかられるなら、わたしにがいくわえる決心けっしんでおられるのをってください。

20:8 あなたは、しゅまえで、しもべと契約けいやくむすんでくださいました。それでどうぞしもべにいつくしみをほどこしてください。しかし、もしわたしにわるいことがあるならば、あなたみずからわたしをころしてください。どうしてあなたのちちのもとへわたしをいていかなければならないでしょう」。

20:9 ヨナタンはった、「そのようなことはけっしてありません。ちちがあなたにがいくわえる決心けっしんをしていることがわたしにわかっているならば、わたしはそれをあなたにげないでおきましょうか」。

20:10 ダビデはヨナタンにった、「あなたのちち荒々あらあらしくあなたにこたえられるとき、だれがわたしにげるでしょうか」。

20:11 ヨナタンはダビデにった、「さあ、野原のはらていこう」。こうしてふたりは野原のはらった。

20:12 そしてヨナタンはダビデにった、「イスラエルのかみしゅが、証人しょうにんです。明日みょうにち明後日みょうごにちいまごろ、わたしがちちこころさぐって、ちちがダビデにたいしていのをながら、ひとをつかわしてあなたにらせないようなことをするでしょうか。

20:13 しかし、もしちちがあなたにがいくわえようとおもっているのに、それをあなたにらせず、あなたをがして、安全あんぜんらせないならば、しゅよ、どうぞ幾重いくえにも、このヨナタンをばっしてください。どうぞしゅちちともにおられたように、あなたとともにおられますように。

20:14 もしわたしがなおきながらえているならば、しゅのいつくしみをわたしにほどこし、まぬかれさせてください。

20:15 またわたしのいえをも、ながくあなたのいつくしみにあずからせてください。しゅがダビデのてきをことごとくのおもてからほろぼされるとき

20:16 ヨナタンのをダビデのいえからやさないでください。どうぞしゅがダビデのてきに、あだをかえされるように」。

20:17 そしてヨナタンはかさねてダビデにちかわせた。かれあいしたからである。ヨナタンは自分じぶんいのちのようにかれあいしていた。

20:18 ヨナタンはダビデにった、「あすはついたちです。あなたのせきがあいているので、どうしたのかとたずねられるでしょう。

20:19 三には、きびしくたずねられるでしょうから、さきにあなたがかくれた場所ばしょって、こうの石塚いしづかのかたわらにいてください。

20:20 わたしはまとるようにして、を三ほん、そのそばにはなちます。

20:21 そして、『ってさがしてきなさい』とって子供こどもをつかわしましょう。わたしが子供こどもに、『手前てまえにある。それをってきなさい』とうならば、そのときあなたはきてください。しゅきておられるように、あなたは安全あんぜんで、なに危険きけんがないからです。

20:22 しかしわたしがそのともに、『こうにある』とうならば、そのとき、あなたはってきなさい。しゅがあなたをらせられるのです。

20:23 あなたとわたしとではなしあったことについては、しゅつねにあなたとわたしとのあいだにおられます」。

20:24 そこでダビデは野原のはらかくした。さて、ついたちになったので、おう食事しょくじをするためせきいた。

20:25 おうはいつものようにかべりにせきき、ヨナタンはそのかいがわせきき、アブネルはサウルのよこせきいたが、ダビデの場所ばしょにはだれもいなかった。

20:26 ところがそのサウルはなにわなかった、「かれなにってけがれたのだろう。きっとけがれたのにちがいない」とおもったからである。

20:27 しかし、ふつかすなわち、ついたちのくるも、ダビデの場所ばしょはあいていたので、サウルは、そのヨナタンにった、「どうしてエッサイのは、きのうもきょうも食事しょくじにこないのか」。

20:28 ヨナタンはサウルにこたえた、「ダビデは、ベツレヘムへくことをゆるしてくださいと、しきりにわたしにもとめました。

20:29 かれいました、『わたしにかせてください。われわれの一族いちぞくまちまつりをするので、あにがわたしにるようにとめいじました。それでもし、あなたのまえめぐみをますならば、どうぞ、わたしにくことをゆるし、兄弟きょうだいたちにわせてください』。それでかれおう食卓しょくたくにこなかったのです」。

20:30 そのときサウルはヨナタンにむかっていかりをはっし、かれった、「あなたはこころまがった、そむくおんなんだだ。あなたがエッサイのえらんで、自分じぶんをはずかしめ、またははをはずかしめていることをわたしがらないとおもうのか。

20:31 エッサイのがこのきながらえているあいだは、あなたも、あなたの王国おうこくかたっていくことはできない。それゆえいまひとをつかわして、かれをわたしのもとにれてこさせなさい。かれかならななければならない」。

20:32 ヨナタンはちちサウルにこたえた、「どうしてかれころされなければならないのですか。かれなにをしたのですか」。

20:33 ところがサウルはヨナタンをとうとして、やりをかれかってげたので、ヨナタンはちちがダビデをころそうと、こころめているのをった。

20:34 ヨナタンははげしくいかってせきち、そのつきのふつかには食事しょくじをしなかった。ちちがダビデをはずかしめたので、ダビデのためにうれえたからである。

20:35 あくるあさ、ヨナタンは、ひとりのちいさい子供こどもれて、ダビデとわせたように野原のはらった。

20:36 そしてそのともった、「はしってって、わたしのさがしなさい」。子供こどもはしってあいだに、ヨナタンはかれまえほうはなった。

20:37 そして子供こどもが、ヨナタンのはなったのところへったとき、ヨナタンは子供こどものうしろからばわって、「こうにあるではないか」とった。

20:38 ヨナタンはまた、そのとものうしろからばわってった、「はやくせよ、いそげ。とどまるな」。そのともひろあつめて主人しゅじんヨナタンのもとにきた。

20:39 しかし子供こどもなにらず、ヨナタンとダビデだけがそのことをっていた。

20:40 ヨナタンは自分じぶん武器ぶきをそのともわたしてった、「あなたはこれをまちはこんできなさい」。

20:41 子供こどもってしまうとダビデは石塚いしづかのかたわらをはなれてちいで、にひれして三敬礼けいれいした。そして、ふたりはたがいくちづけし、たがいいた。やがてダビデはこころいた。

20:42 そのときヨナタンはダビデにった、「無事ぶじきなさい。われわれふたりは、『しゅつねにわたしとあなたのあいだにおられ、また、わたしの子孫しそんとあなたの子孫しそんあいだにおられる』とって、しゅをさしてちかったのです」。こうしてダビデはり、ヨナタンはまちにはいった。