口語訳聖書(振り仮名付き)
章: 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21
ヨブ記
第1章 Jb-Audio
1:1 ウヅの地にヨブという名の人があった。そのひととなりは全く、かつ正しく、神を恐れ、悪に遠ざかった。
1:2 彼に男の子七人と女の子三人があり、
1:3 その家畜は羊七千頭、らくだ三千頭、牛五百くびき、雌ろば五百頭で、しもべも非常に多く、この人は東の人々のうちで最も大いなる者であった。
1:4 そのむすこたちは、めいめい自分の日に、自分の家でふるまいを設け、その三人の姉妹をも招いて一緒に食い飲みするのを常とした。
1:5 そのふるまいの日がひとめぐり終るごとに、ヨブは彼らを呼び寄せて聖別し、朝早く起きて、彼らすべての数にしたがって燔祭をささげた。これはヨブが「わたしのむすこたちは、ことによったら罪を犯し、その心に神をのろったかもしれない」と思ったからである。ヨブはいつも、このように行った。
1:6 ある日、神の子たちが来て、主の前に立った。サタンも来てその中にいた。
1:7 主は言われた、「あなたはどこから来たか」。サタンは主に答えて言った、「地を行きめぐり、あちらこちら歩いてきました」。
1:8 主はサタンに言われた、「あなたはわたしのしもべヨブのように全く、かつ正しく、神を恐れ、悪に遠ざかる者の世にないことを気づいたか」。
1:9 サタンは主に答えて言った、「ヨブはいたずらに神を恐れましょうか。
1:10 あなたは彼とその家およびすべての所有物のまわりにくまなく、まがきを設けられたではありませんか。あなたは彼の勤労を祝福されたので、その家畜は地にふえたのです。
1:11 しかし今あなたの手を伸べて、彼のすべての所有物を撃ってごらんなさい。彼は必ずあなたの顔に向かって、あなたをのろうでしょう」。
1:12 主はサタンに言われた、「見よ、彼のすべての所有物をあなたの手にまかせる。ただ彼の身に手をつけてはならない」。サタンは主の前から出て行った。
1:13 ある日ヨブのむすこ、娘たちが第一の兄の家で食事をし、酒を飲んでいたとき、
1:14 使者がヨブのもとに来て言った、「牛が耕し、ろばがそのかたわらで草を食っていると、
1:15 シバびとが襲ってきて、これを奪い、つるぎをもってしもべたちを打ち殺しました。わたしはただひとりのがれて、あなたに告げるために来ました」。
1:16 彼がなお語っているうちに、またひとりが来て言った、「神の火が天から下って、羊およびしもべたちを焼き滅ぼしました。わたしはただひとりのがれて、あなたに告げるために来ました」。
1:17 彼がなお語っているうちに、またひとりが来て言った、「カルデヤびとが三組に分れて来て、らくだを襲ってこれを奪い、つるぎをもってしもべたちを打ち殺しました。わたしはただひとりのがれて、あなたに告げるために来ました」。
1:18 彼がなお語っているうちに、またひとりが来て言った、「あなたのむすこ、娘たちが第一の兄の家で食事をし、酒を飲んでいると、
1:19 荒野の方から大風が吹いてきて、家の四すみを撃ったので、あの若い人たちの上につぶれ落ちて、皆死にました。わたしはただひとりのがれて、あなたに告げるために来ました」。
1:20 このときヨブは起き上がり、上着を裂き、頭をそり、地に伏して拝し、
1:21 そして言った、 「わたしは裸で母の胎を出た。また裸でかしこに帰ろう。主が与え、主が取られたのだ。主のみ名はほむべきかな」。
1:22 すべてこの事においてヨブは罪を犯さず、また神に向かって愚かなことを言わなかった。
第2章
2:1 ある日、また神の子たちが来て、主の前に立った。サタンもまたその中に来て、主の前に立った。
2:2 主はサタンに言われた、「あなたはどこから来たか」。サタンは主に答えて言った、「地を行きめぐり、あちらこちら歩いてきました」。
2:3 主はサタンに言われた、「あなたは、わたしのしもべヨブのように全く、かつ正しく、神を恐れ、悪に遠ざかる者の世にないことを気づいたか。あなたは、わたしを勧めて、ゆえなく彼を滅ぼそうとしたが、彼はなお堅く保って、おのれを全うした」。
2:4 サタンは主に答えて言った、「皮には皮をもってします。人は自分の命のために、その持っているすべての物をも与えます。
2:5 しかしいま、あなたの手を伸べて、彼の骨と肉とを撃ってごらんなさい。彼は必ずあなたの顔に向かって、あなたをのろうでしょう」。
2:6 主はサタンに言われた、「見よ、彼はあなたの手にある。ただ彼の命を助けよ」。
2:7 サタンは主の前から出て行って、ヨブを撃ち、その足の裏から頭の頂まで、いやな腫物をもって彼を悩ました。
2:8 ヨブは陶器の破片を取り、それで自分の身をかき、灰の中にすわった。
2:9 時にその妻は彼に言った、「あなたはなおも堅く保って、自分を全うするのですか。神をのろって死になさい」。
2:10 しかしヨブは彼女に言った、「あなたの語ることは愚かな女の語るのと同じだ。われわれは神から幸をうけるのだから、災をも、うけるべきではないか」。すべてこの事においてヨブはそのくちびるをもって罪を犯さなかった。
2:11 時に、ヨブの三人の友がこのすべての災のヨブに臨んだのを聞いて、めいめい自分の所から尋ねて来た。すなわちテマンびとエリパズ、シュヒびとビルダデ、ナアマびとゾパルである。彼らはヨブをいたわり、慰めようとして、たがいに約束してきたのである。
2:12 彼らは目をあげて遠方から見たが、彼のヨブであることを認めがたいほどであったので、声をあげて泣き、めいめい自分の上着を裂き、天に向かって、ちりをうちあげ、自分たちの頭の上にまき散らした。
2:13 こうして七日七夜、彼と共に地に座していて、ひと言も彼に話しかける者がなかった。彼の苦しみの非常に大きいのを見たからである。
第3章
3:1 この後、ヨブは口を開いて、自分の生れた日をのろった。
3:2 すなわちヨブは言った、
3:3 「わたしの生れた日は滅びうせよ。『男の子が、胎にやどった』と言った夜もそのようになれ。
3:4 その日は暗くなるように。神が上からこれを顧みられないように。光がこれを照さないように。
3:5 やみと暗黒がこれを取りもどすように。雲が、その上にとどまるように。日を暗くする者が、これを脅かすように。
3:6 その夜は、暗やみが、これを捕えるように。年の日のうちに加わらないように。月の数にもはいらないように。
3:7 また、その夜は、はらむことのないように。喜びの声がそのうちに聞かれないように。
3:8 日をのろう者が、これをのろうように。レビヤタンを奮い起すに巧みな者が、これをのろうように。
3:9 その明けの星は暗くなるように。光を望んでも、得られないように。また、あけぼののまぶたを見ることのないように。
3:10 これは、わたしの母の胎の戸を閉じず、また悩みをわたしの目に隠さなかったからである。
3:11 なにゆえ、わたしは胎から出て、死ななかったのか。腹から出たとき息が絶えなかったのか。
3:12 なにゆえ、ひざが、わたしを受けたのか。なにゆえ、乳ぶさがあって、わたしはそれを吸ったのか。
3:13 そうしなかったならば、わたしは伏して休み、 ったであろう。そうすればわたしは安んじており、
3:14 自分のために荒れ跡を築き直した地の王たち、参議たち、
3:15 あるいは、こがねを持ち、しろがねを家に満たした君たちと一緒にいたであろう。
3:16 なにゆえ、わたしは人知れずおりる胎児のごとく、光を見ないみどりごのようでなかったのか。
3:17 かしこでは悪人も、あばれることをやめ、うみ疲れた者も、休みを得、
3:18 捕われ人も共に安らかにおり、追い使う者の声を聞かない。
3:19 小さい者も大きい者もそこにおり、奴隷も、その主人から解き放される。
3:20 なにゆえ、悩む者に光を賜い、心の苦しむ者に命を賜わったのか。
3:21 このような人は死を望んでも来ない、これを求めることは隠れた宝を掘るよりも、はなはだしい。
3:22 彼らは墓を見いだすとき、非常に喜び楽しむのだ。
3:23 なにゆえ、その道の隠された人に、神が、まがきをめぐらされた人に、光を賜わるのか。
3:24 わたしの嘆きはわが食物に代って来り、わたしのうめきは水のように流れ出る。
3:25 わたしの恐れるものが、わたしに臨み、わたしの恐れおののくものが、わが身に及ぶ。
3:26 わたしは安らかでなく、またおだやかでない。わたしは休みを得ない、ただ悩みのみが来る」。
第4章
4:1 その時、テマンびとエリパズが答えて言った、
4:2 「もし人があなたにむかって意見を述べるならば、あなたは腹を立てるでしょうか。しかしだれが黙っておれましょう。
4:3 見よ、あなたは多くの人を教えさとし、衰えた手を強くした。
4:4 あなたの言葉はつまずく者をたすけ起し、かよわいひざを強くした。
4:5 ところが今、この事があなたに臨むと、あなたは耐え得ない。この事があなたに触れると、あなたはおじ惑う。
4:6 あなたが神を恐れていることは、あなたのよりどころではないか。あなたの道の全きことは、あなたの望みではないか。
4:7 考えてみよ、だれが罪のないのに、滅ぼされた者があるか。どこに正しい者で、断ち滅ぼされた者があるか。
4:8 わたしの見た所によれば、不義を耕し、害悪をまく者は、それを刈り取っている。
4:9 彼らは神のいぶきによって滅び、その怒りの息によって消えうせる。
4:10 ししのほえる声、たけきししの声はともにやみ、若きししのきばは折られ、
4:11 雄じしは獲物を得ずに滅び、雌じしの子は散らされる。
4:12 さて、わたしに、言葉がひそかに臨んだ、わたしの耳はそのささやきを聞いた。
4:13 すなわち人の熟睡するころ、夜の幻によって思い乱れている時、
4:14 恐れがわたしに臨んだので、おののき、わたしの骨はことごとく震えた。
4:15 時に、霊があって、わたしの顔の前を過ぎたので、わたしの身の毛はよだった。
4:16 そのものは立ちどまったが、わたしはその姿を見わけることができなかった。一つのかたちが、わたしの目の前にあった。わたしは静かな声を聞いた、
4:17 『人は神の前に正しくありえようか。人はその造り主の前に清くありえようか。
4:18 見よ、彼はそのしもべをさえ頼みとせず、その天使をも誤れる者とみなされる。
4:19 まして、泥の家に住む者、ちりをその基とする者、しみのようにつぶされる者。
4:20 彼らは朝から夕までの間に打ち砕かれ、顧みる者もなく、永遠に滅びる。
4:21 もしその天幕の綱が彼らのうちに取り去られるなら、ついに悟ることもなく、死にうせるではないか』。
第5章
5:1 試みに呼んでみよ、だれかあなたに答える者があるか。どの聖者にあなたは頼もうとするのか。
5:2 確かに、憤りは愚かな者を殺し、ねたみはあさはかな者を死なせる。
5:3 わたしは愚かな者の根を張るのを見た、しかしわたしは、にわかにそのすみかをのろった。
5:4 その子らは安きを得ず、町の門でしえたげられても、これを救う者がない。
5:5 その収穫は飢えた人が食べ、いばらの中からさえ、これを奪う。また、かわいた者はその財産をあえぎ求める。
5:6 苦しみは、ちりから起るものでなく、悩みは土から生じるものでない。
5:7 人が生れて悩みを受けるのは、火の子が上に飛ぶにひとしい。
5:8 しかし、わたしであるならば、神に求め、神に、わたしの事をまかせる。
5:9 彼は大いなる事をされるかたで、測り知れない、その不思議なみわざは数えがたい。
5:10 彼は地に雨を降らせ、野に水を送られる。
5:11 彼は低い者を高くあげ、悲しむ者を引き上げて、安全にされる。
5:12 彼は悪賢い者の計りごとを敗られる。それで何事もその手になし遂げることはできない。
5:13 彼は賢い者を、彼ら自身の悪巧みによって捕え、曲った者の計りごとをくつがえされる。
5:14 彼らは昼も、やみに会い、真昼にも、夜のように手探りする。
5:15 彼は貧しい者を彼らの口のつるぎから救い、また強い者の手から救われる。
5:16 それゆえ乏しい者に望みがあり、不義はその口を閉じる。
5:17 見よ、神に戒められる人はさいわいだ。それゆえ全能者の懲しめを軽んじてはならない。
5:18 彼は傷つけ、また包み、撃ち、またその手をもっていやされる。
5:19 彼はあなたを六つの悩みから救い、七つのうちでも、災はあなたに触れることがない。
5:20 ききんの時には、あなたをあがなって、死を免れさせ、いくさの時には、つるぎの力を免れさせられる。
5:21 あなたは舌をもってむち打たれる時にも、おおい隠され、滅びが来る時でも、恐れることはない。
5:22 あなたは滅びと、ききんとを笑い、地の獣をも恐れることはない。
5:23 あなたは野の石と契約を結び、野の獣はあなたと和らぐからである。
5:24 あなたは自分の天幕の安全なことを知り、自分の家畜のおりを見回っても、 けた物がなく、
5:25 また、あなたの子孫の多くなり、そのすえが地の草のようになるのを知るであろう。
5:26 あなたは高齢に達して墓に入る、あたかも麦束をその季節になって打ち場に運びあげるようになるであろう。
5:27 見よ、われわれの尋ねきわめた所はこのとおりだ。あなたはこれを聞いて、みずから知るがよい」。
第6章
6:1 ヨブは答えて言った、
6:2 「どうかわたしの憤りが正しく量られ、同時にわたしの災も、はかりにかけられるように。
6:3 そうすれば、これは海の砂よりも重いに相違ない。それゆえ、わたしの言葉が軽率であったのだ。
6:4 全能者の矢が、わたしのうちにあり、わたしの霊はその毒を飲み、神の恐るべき軍勢が、わたしを襲い攻めている。
6:5 野ろばは、青草のあるのに鳴くであろうか。牛は飼葉の上でうなるであろうか。
6:6 味のない物は塩がなくて食べられようか。すべりひゆのしるは味があろうか。
6:7 わたしの食欲はこれに触れることを拒む。これは、わたしのきらう食物のようだ。
6:8 どうかわたしの求めるものが獲られるように。どうか神がわたしの望むものをくださるように。
6:9 どうか神がわたしを打ち滅ぼすことをよしとし、み手を伸べてわたしを断たれるように。
6:10 そうすれば、わたしはなお慰めを得、激しい苦しみの中にあっても喜ぶであろう。わたしは聖なる者の言葉を否んだことがないからだ。
6:11 わたしにどんな力があって、なお待たねばならないのか。わたしにどんな終りがあるので、なお耐え忍ばねばならないのか。
6:12 わたしの力は石の力のようであるのか。わたしの肉は青銅のようであるのか。
6:13 まことに、わたしのうちに助けはなく、救われる望みは、わたしから追いやられた。
6:14 その友に対するいつくしみをさし控える者は、全能者を恐れることをすてる。
6:15 わが兄弟たちは谷川のように、過ぎ去る出水のように欺く。
6:16 これは氷のために黒くなり、そのうちに雪が隠れる。
6:17 これは暖かになると消え去り、暑くなるとその所からなくなる。
6:18 隊商はその道を転じ、むなしい所へ行って滅びる。
6:19 テマの隊商はこれを望み、シバの旅びとはこれを慕う。
6:20 彼らはこれにたよったために失望し、そこに来てみて、あわてる。
6:21 あなたがたは今わたしにはこのような者となった。あなたがたはわたしの災難を見て恐れた。
6:22 わたしは言ったことがあるか、『わたしに与えよ』と、あるいは『あなたがたの財産のうちからわたしのために、まいないを贈れ』と、
6:23 あるいは『あだの手からわたしを救い出せ』と、あるいは『しえたげる者の手からわたしをあがなえ』と。
6:24 わたしに教えよ、そうすればわたしは黙るであろう。わたしの誤っている所をわたしに悟らせよ。
6:25 正しい言葉はいかに力のあるものか。しかしあなたがたの戒めは何を戒めるのか。
6:26 あなたがたは言葉を戒めうると思うのか。望みの絶えた者の語ることは風のようなものだ。
6:27 あなたがたは、みなしごのためにくじをひき、あなたがたの友をさえ売り買いするであろう。
6:28 今、どうぞわたしを見られよ、わたしはあなたがたの顔に向かって偽らない。
6:29 どうぞ、思いなおせ、まちがってはならない。さらに思いなおせ、わたしの義は、なおわたしのうちにある。
6:30 わたしの舌に不義があるか。わたしの口は災をわきまえることができぬであろうか。
第7章
7:1 地上の人には、激しい労務があるではないか。またその日は雇人の日のようではないか。
7:2 奴隷が夕暮を慕うように、雇人がその賃銀を望むように、
7:3 わたしは、むなしい月を持たせられ、悩みの夜を与えられる。
7:4 わたしは寝るときに言う、『いつ起きるだろうか』と。しかし夜は長く、暁までころびまわる。
7:5 わたしの肉はうじと土くれとをまとい、わたしの皮は固まっては、またくずれる。
7:6 わたしの日は機のひよりも速く、望みをもたずに消え去る。
7:7 記憶せよ、わたしの命は息にすぎないことを。わたしの目は再び幸を見ることがない。
7:8 わたしを見る者の目は、かさねてわたしを見ることがなく、あなたがわたしに目を向けられても、わたしはいない。
7:9 雲が消えて、なくなるように、陰府に下る者は上がって来ることがない。
7:10 彼は再びその家に帰らず、彼の所も、もはや彼を認めない。
7:11 それゆえ、わたしはわが口をおさえず、わたしの霊のもだえによって語り、わたしの魂の苦しさによって嘆く。
7:12 わたしは海であるのか、龍であるのか、あなたはわたしの上に見張りを置かれる。
7:13 『わたしの床はわたしを慰め、わたしの寝床はわが嘆きを軽くする』とわたしが言うとき、
7:14 あなたは夢をもってわたしを驚かし、幻をもってわたしを恐れさせられる。
7:15 それゆえ、わたしは息の止まることを願い、わが骨よりもむしろ死を選ぶ。
7:16 わたしは命をいとう。わたしは長く生きることを望まない。わたしに構わないでください。わたしの日は息にすぎないのだから。
7:17 人は何者なので、あなたはこれを大きなものとし、これにみ心をとめ、
7:18 朝ごとに、これを尋ね、絶え間なく、これを試みられるのか。
7:19 いつまで、あなたはわたしに目を離さず、つばをのむまも、わたしを捨てておかれないのか。
7:20 人を監視される者よ、わたしが罪を犯したとて、あなたに何をなしえようか。なにゆえ、わたしをあなたの的とし、わたしをあなたの重荷とされるのか。
7:21 なにゆえ、わたしのとがをゆるさず、わたしの不義を除かれないのか。わたしはいま土の中に横たわる。あなたがわたしを尋ねられても、わたしはいないでしょう」。
第8章
8:1 時にシュヒびとビルダデが答えて言った、
8:2 「いつまであなたは、そのような事を言うのか。あなたの口の言葉は荒い風ではないか。
8:3 神は公義を曲げられるであろうか。全能者は正義を曲げられるであろうか。
8:4 あなたの子たちが彼に罪を犯したので、彼らをそのとがの手に渡されたのだ。
8:5 あなたがもし神に求め、全能者に祈るならば、
8:6 あなたがもし清く、正しくあるならば、彼は必ずあなたのために立って、あなたの正しいすみかを栄えさせられる。
8:7 あなたの初めは小さくあっても、あなたの終りは非常に大きくなるであろう。
8:8 先の代の人に問うてみよ、先祖たちの尋ねきわめた事を学べ。
8:9 われわれはただ、きのうからあった者で、何も知らない、われわれの世にある日は、影のようなものである。
8:10 彼らはあなたに教え、あなたに語り、その悟りから言葉を出さないであろうか。
8:11 紙草は泥のない所に生長することができようか。葦は水のない所におい茂ることができようか。
8:12 これはなお青くて、まだ刈られないのに、すべての草に先だって枯れる。
8:13 すべて神を忘れる者の道はこのとおりだ。神を信じない者の望みは滅びる。
8:14 その頼むところは断たれ、その寄るところは、くもの巣のようだ。
8:15 その家によりかかろうとすれば、家は立たず、それにすがろうとしても、それは耐えない。
8:16 彼は日の前に青々と茂り、その若枝を園にはびこらせ、
8:17 その根を石塚にからませ、岩の間に生きていても、
8:18 もしその所から取り除かれれば、その所は彼を拒んで言うであろう、『わたしはあなたを見たことがない』と。
8:19 見よ、これこそ彼の道の喜びである、そしてほかの者が地から生じるであろう。
8:20 見よ、神は全き人を捨てられない。また悪を行う者の手を支持されない。
8:21 彼は笑いをもってあなたの口を満たし、喜びの声をもってあなたのくちびるを満たされる。
8:22 あなたを憎む者は恥を着せられ、悪しき者の天幕はなくなる」。
第9章
9:1 ヨブは答えて言った、
9:2 「まことにわたしは、その事のそのとおりであることを知っている。しかし人はどうして神の前に正しくありえようか。
9:3 よし彼と争おうとしても、千に一つも答えることができない。
9:4 彼は心賢く、力強くあられる。だれが彼にむかい、おのれをかたくなにして、栄えた者があるか。
9:5 彼は、山を移されるが、山は知らない。彼は怒りをもって、これらをくつがえされる。
9:6 彼が、地を震い動かしてその所を離れさせられると、その柱はゆらぐ。
9:7 彼が日に命じられると、日は出ない。彼はまた星を閉じこめられる。
9:8 彼はただひとり天を張り、海の波を踏まれた。
9:9 彼は北斗、オリオン、プレアデスおよび南の密室を造られた。
9:10 彼が大いなる事をされることは測りがたく、不思議な事をされることは数知れない。
9:11 見よ、彼がわたしのかたわらを通られても、わたしは彼を見ない。彼は進み行かれるが、わたしは彼を認めない。
9:12 見よ、彼が奪い去られるのに、だれが彼をはばむことができるか。だれが彼にむかって『あなたは何をするのか』と言うことができるか。
9:13 神はその怒りをやめられない。ラハブを助ける者どもは彼のもとにかがんだ。
9:14 どうしてわたしは彼に答え、言葉を選んで、彼と議論することができよう。
9:15 たといわたしは正しくても答えることができない。わたしを責められる者にあわれみを請わなければならない。
9:16 たといわたしが呼ばわり、彼がわたしに答えられても、わたしの声に耳を傾けられたとは信じない。
9:17 彼は大風をもってわたしを撃ち砕き、ゆえなく、わたしに多くの傷を負わせ、
9:18 わたしに息をつかせず、苦い物をもってわたしを満たされる。
9:19 力の争いであるならば、彼を見よ、さばきの事であるならば、だれが彼を呼び出すことができよう。
9:20 たといわたしは正しくても、わたしの口はわたしを罪ある者とする。たといわたしは罪がなくても、彼はわたしを曲った者とする。
9:21 わたしは罪がない、しかしわたしは自分を知らない。わたしは自分の命をいとう。
9:22 皆同一である。それゆえ、わたしは言う、『彼は罪のない者と、悪しき者とを共に滅ぼされるのだ』と。
9:23 災がにわかに人を殺すような事があると、彼は罪のない者の苦難をあざ笑われる。
9:24 世は悪人の手に渡されてある。彼はその裁判人の顔をおおわれる。もし彼でなければ、これはだれのしわざか。
9:25 わたしの日は飛脚よりも速く、飛び去って幸を見ない。
9:26 これは走ること葦舟のごとく、えじきに襲いかかる、わしのようだ。
9:27 たといわたしは『わが嘆きを忘れ、憂い顔をかえて元気よくなろう』と言っても、
9:28 わたしはわがもろもろの苦しみを恐れる。あなたがわたしを罪なき者とされないことをわたしは知っているからだ。
9:29 わたしは罪ある者とされている。どうして、いたずらに労する必要があるか。
9:30 たといわたしは雪で身を洗い、灰汁で手を清めても、
9:31 あなたはわたしを、みぞの中に投げ込まれるので、わたしの着物も、わたしをいとうようになる。
9:32 神はわたしのように人ではないゆえ、わたしは彼に答えることができない。われわれは共にさばきに臨むことができない。
9:33 われわれの間には、われわれふたりの上に手を置くべき仲裁者がない。
9:34 どうか彼がそのつえをわたしから取り離し、その怒りをもって、わたしを恐れさせられないように。
9:35 そうすれば、わたしは語って、彼を恐れることはない。わたしはみずからそのような者ではないからだ。
第10章
10:1 わたしは自分の命をいとう。わたしは自分の嘆きを包まず言いあらわし、わが魂の苦しみによって語ろう。
10:2 わたしは神に申そう、わたしを罪ある者とされないように。なぜわたしと争われるかを知らせてほしい。
10:3 あなたはしえたげをなし、み手のわざを捨て、悪人の計画を照すことを良しとされるのか。
10:4 あなたの持っておられるのは肉の目か、あなたは人が見るように見られるのか。
10:5 あなたの日は人の日のごとく、あなたの年は人の年のようであるのか。
10:6 あなたはなにゆえわたしのとがを尋ね、わたしの罪を調べられるのか。
10:7 あなたはわたしの罪のないことを知っておられる。またあなたの手から救い出しうる者はない。
10:8 あなたの手はわたしをかたどり、わたしを作った。ところが今あなたはかえって、わたしを滅ぼされる。
10:9 どうぞ覚えてください、あなたは土くれをもってわたしを作られた事を。ところが、わたしをちりに返そうとされるのか。
10:10 あなたはわたしを乳のように注ぎ、乾酪のように凝り固まらせたではないか。
10:11 あなたは肉と皮とをわたしに着せ、骨と筋とをもってわたしを編み、
10:12 命といつくしみとをわたしに授け、わたしを顧みてわが霊を守られた。
10:13 しかしあなたはこれらの事をみ心に秘めおかれた。この事があなたの心のうちにあった事をわたしは知っている。
10:14 わたしがもし罪を犯せば、あなたはわたしに目をつけて、わたしを罪から解き放されない。
10:15 わたしがもし悪ければわたしはわざわいだ。たといわたしが正しくても、わたしは頭を上げることができない。わたしは恥に満ち、悩みを見ているからだ。
10:16 もし頭をあげれば、あなたは、ししのようにわたしを追い、わたしにむかって再びくすしき力をあらわされる。
10:17 あなたは証人を入れ替えてわたしを攻め、わたしにむかってあなたの怒りを増し、新たに軍勢を出してわたしを攻められる。
10:18 なにゆえあなたはわたしを胎から出されたか、わたしは息絶えて目に見られることなく、
10:19 胎から墓に運ばれて、初めからなかった者のようであったなら、よかったのに。
10:20 わたしの命の日はいくばくもないではないか。どうぞ、しばしわたしを離れて、少しく慰めを得させられるように。
10:21 わたしが行って、帰ることのないその前に、これを得させられるように。わたしは暗き地、暗黒の地へ行く。
10:22 これは暗き地で、やみにひとしく、暗黒で秩序なく、光もやみのようだ」。
第11章
11:1 そこでナアマびとゾパルは答えて言った、
11:2 「言葉が多ければ、答なしにすまされるだろうか。口の達者な人は義とされるだろうか。
11:3 あなたのむなしい言葉は人を沈黙させるだろうか。あなたがあざけるとき、人はあなたを恥じさせないだろうか。
11:4 あなたは言う、『わたしの教は正しい、わたしは神の目に潔い』と。
11:5 どうぞ神が言葉を出し、あなたにむかってくちびるを開き、
11:6 知恵の秘密をあなたに示されるように。神はさまざまの知識をもたれるからである。それであなたは知るがよい、神はあなたの罪よりも軽くあなたを罰せられることを。
11:7 あなたは神の深い事を窮めることができるか。全能者の限界を窮めることができるか。
11:8 それは天よりも高い、あなたは何をなしうるか。それは陰府よりも深い、あなたは何を知りうるか。
11:9 その量は地よりも長く、海よりも広い。
11:10 彼がもし行きめぐって人を捕え、さばきに召し集められるとき、だれが彼をはばむことができよう。
11:11 彼は卑しい人間を知っておられるからだ。彼は不義を見る時、これに心をとめられぬであろうか。
11:12 しかし野ろばの子が人として生れるとき、愚かな者も悟りを得るであろう。
11:13 もしあなたが心を正しくするならば、神に向かって手を伸べるであろう。
11:14 もしあなたの手に不義があるなら、それを遠く去れ、あなたの天幕に悪を住まわせてはならない。
11:15 そうすれば、あなたは恥じることなく顔をあげることができ、堅く立って、恐れることはない。
11:16 あなたは苦しみを忘れ、あなたのこれを覚えることは、流れ去った水のようになる。
11:17 そしてあなたの命は真昼よりも光り輝き、たとい暗くても朝のようになる。
11:18 あなたは望みがあるゆえに安んじ、保護されて安らかにいこうことができる。
11:19 あなたは伏してやすみ、あなたを恐れさせるものはない。多くの者はあなたの好意を求めるであろう。
11:20 しかし悪しき者の目は衰える。彼らは逃げ場を失い、その望みは息の絶えるにひとしい」。
第12章
12:1 そこでヨブは答えて言った、
12:2 「まことに、あなたがたのみ、人である、知恵はあなたがたと共に死ぬであろう。
12:3 しかしわたしも、あなたがたと同様に悟りをもつ。わたしはあなたがたに劣らない。だれがこのような事を知らないだろうか。
12:4 わたしは神に呼ばわって、聞かれた者であるのに、その友の物笑いとなっている。正しく全き人は物笑いとなる。
12:5 安らかな者の思いには、不幸な者に対する侮りがあって、足のすべる者を待っている。
12:6 かすめ奪う者の天幕は栄え、神を怒らす者は安らかである。自分の手に神を携えている者も同様だ。
12:7 しかし獣に問うてみよ、それはあなたに教える。空の鳥に問うてみよ、それはあなたに告げる。
12:8 あるいは地の草や木に問うてみよ、彼らはあなたに教える。海の魚もまたあなたに示す。
12:9 これらすべてのもののうち、いずれか主の手がこれをなしたことを知らぬ者があろうか。
12:10 すべての生き物の命、およびすべての人の息は彼の手のうちにある。
12:11 口が食物を味わうように、耳は言葉をわきまえないであろうか。
12:12 老いた者には知恵があり、命の長い者には悟りがある。
12:13 知恵と力は神と共にあり、深慮と悟りも彼のものである。
12:14 彼が破壊すれば、再び建てることができない。彼が人を閉じ込めれば、開き出すことができない。
12:15 彼が水を止めれば、それはかれ、彼が水を出せば、地をくつがえす。
12:16 力と深き知恵は彼と共にあり、惑わされる者も惑わす者も彼のものである。
12:17 彼は議士たちを裸にして連れ行き、さばきびとらを愚かにし、
12:18 王たちのきずなを解き、彼らの腰に腰帯を巻き、
12:19 祭司たちを裸にして連れ行き、力ある者を滅ぼし、
12:20 みずから頼む者たちの言葉を奪い、長老たちの分別を取り去り、
12:21 君たちの上に侮りを注ぎ、強い者たちの帯を解き、
12:22 暗やみの中から隠れた事どもをあらわし、暗黒を光に引き出し、
12:23 国々を大きくし、またこれを滅ぼし、国々を広くし、また捕え行き、
12:24 地の民の長たちの悟りを奪い、彼らを道なき荒野にさまよわせ、
12:25 光なき暗やみに手探りさせ、酔うた者のようによろめかせる。
第13章
13:1 見よ、わたしの目は、これをことごとく見た。わたしの耳はこれを聞いて悟った。
13:2 あなたがたの知っている事は、わたしも知っている。わたしはあなたがたに劣らない。
13:3 しかしわたしは全能者に物を言おう、わたしは神と論ずることを望む。
13:4 あなたがたは偽りをもってうわべを繕う者、皆、無用の医師だ。
13:5 どうか、あなたがたは全く沈黙するように。これがあなたがたの知恵であろう。
13:6 今、わたしの論ずることを聞くがよい。わたしの口で言い争うことに耳を傾けるがよい。
13:7 あなたがたは神のために不義を言おうとするのか。また彼のために偽りを述べるのか。
13:8 あなたがたは彼にひいきしようとするのか。神のために争おうとするのか。
13:9 神があなたがたを調べられるとき、あなたがたは無事だろうか。あなたがたは人を欺くように彼を欺くことができるか。
13:10 あなたがたがもし、ひそかにひいきするならば、彼は必ずあなたがたを責められる。
13:11 その威厳はあなたがたを恐れさせないであろうか。彼をおそれる恐れがあなたがたに臨まないであろうか。
13:12 あなたがたの格言は灰のことわざだ。あなたがたの盾は土の盾だ。
13:13 黙して、わたしにかかわるな、わたしは話そう。何事でもわたしに来るなら、来るがよい。
13:14 わたしはわが肉をわが歯に取り、わが命をわが手のうちに置く。
13:15 見よ、彼はわたしを殺すであろう。わたしは絶望だ。しかしなおわたしはわたしの道を彼の前に守り抜こう。
13:16 これこそわたしの救となる。神を信じない者は、神の前に出ることができないからだ。
13:17 あなたがたはよくわたしの言葉を聞き、わたしの述べる所を耳に入れよ。
13:18 見よ、わたしはすでにわたしの立ち場を言い並べた。わたしは義とされることをみずから知っている。
13:19 だれかわたしと言い争う事のできる者があろうか。もしあるならば、わたしは黙して死ぬであろう。
13:20 ただわたしに二つの事を許してください。そうすれば、わたしはあなたの顔をさけて隠れることはないでしょう。
13:21 あなたの手をわたしから離してください。あなたの恐るべき事をもってわたしを恐れさせないでください。
13:22 そしてお呼びください、わたしは答えます。わたしに物を言わせて、あなたご自身、わたしにお答えください。
13:23 わたしのよこしまと、わたしの罪がどれほどあるか。わたしのとがと罪とをわたしに知らせてください。
13:24 なにゆえ、あなたはみ顔をかくし、わたしをあなたの敵とされるのか。
13:25 あなたは吹き回される木の葉をおどし、干あがったもみがらを追われるのか。
13:26 あなたはわたしについて苦き事どもを書きしるし、わたしに若い時の罪を継がせ、
13:27 わたしの足を足かせにはめ、わたしのすべての道をうかがい、わたしの足の周囲に限りをつけられる。
13:28 このような人は腐れた物のように朽ち果て、虫に食われた衣服のようにすたれる。
第14章
14:1 女から生れる人は日が短く、悩みに満ちている。
14:2 彼は花のように咲き出て枯れ、影のように飛び去って、とどまらない。
14:3 あなたはこのような者にさえ目を開き、あなたの前に引き出して、さばかれるであろうか。
14:4 だれが汚れたもののうちから清いものを出すことができようか、ひとりもない。
14:5 その日は定められ、その月の数もあなたと共にあり、あなたがその限りを定めて、越えることのできないようにされたのだから、
14:6 彼から目をはなし、手をひいてください。そうすれば彼は雇人のように、その日を楽しむことができるでしょう。
14:7 木には望みがある。たとい切られてもまた芽をだし、その若枝は絶えることがない。
14:8 たといその根が地の中に老い、その幹が土の中に枯れても、
14:9 なお水の潤いにあえば芽をふき、若木のように枝を出す。
14:10 しかし人は死ねば消えうせる。息が絶えれば、どこにおるか。
14:11 水が湖から消え、川がかれて、かわくように、
14:12 人は伏して寝、また起きず、天のつきるまで、目ざめず、その りからさまされない。
14:13 どうぞ、わたしを陰府にかくし、あなたの怒りのやむまで、潜ませ、わたしのために時を定めて、わたしを覚えてください。
14:14 人がもし死ねば、また生きるでしょうか。わたしはわが服役の諸日の間、わが解放の来るまで待つでしょう。
14:15 あなたがお呼びになるとき、わたしは答えるでしょう。あなたはみ手のわざを顧みられるでしょう。
14:16 その時あなたはわたしの歩みを数え、わたしの罪を見のがされるでしょう。
14:17 わたしのとがは袋の中に封じられ、あなたはわたしの罪を塗りかくされるでしょう。
14:18 しかし山は倒れてくずれ、岩もその所から移される。
14:19 水は石をうがち、大水は地のちりを洗い去る。このようにあなたは人の望みを断たれる。
14:20 あなたはながく彼に勝って、彼を去り行かせ、彼の顔かたちを変らせて追いやられる。
14:21 彼の子らは尊くなっても、彼はそれを知らない、卑しくなっても、それを悟らない。
14:22 ただおのが身に痛みを覚え、おのれのために嘆くのみである」。
第15章
15:1 そこでテマンびとエリパズは答えて言った、
15:2 「知者はむなしき知識をもって答えるであろうか。東風をもってその腹を満たすであろうか。
15:3 役に立たない談話をもって論じるであろうか。無益な言葉をもって争うであろうか。
15:4 ところがあなたは神を恐れることを捨て、神の前に祈る事をやめている。
15:5 あなたの罪はあなたの口を教え、あなたは悪賢い人の舌を選び用いる。
15:6 あなたの口みずからあなたの罪を定める、わたしではない。あなたのくちびるがあなたに逆らって証明する。
15:7 あなたは最初に生れた人であるのか。山よりも先に生れたのか。
15:8 あなたは神の会議にあずかったのか。あなたは知恵を独占しているのか。
15:9 あなたが知るものはわれわれも知るではないか。あなたが悟るものはわれわれも悟るではないか。
15:10 われわれの中にはしらがの人も、年老いた人もあって、あなたの父よりも年上だ。
15:11 神の慰めおよびあなたに対するやさしい言葉も、あなたにとって、あまりに小さいというのか。
15:12 どうしてあなたの心は狂うのか。どうしてあなたの目はしばたたくのか。
15:13 あなたが神にむかって気をいらだて、このような言葉をあなたの口から出すのはなぜか。
15:14 人はいかなる者か、どうしてこれは清くありえよう。女から生れた者は、どうして正しくありえよう。
15:15 見よ、神はその聖なる者にすら信を置かれない、もろもろの天も彼の目には清くない。
15:16 まして憎むべき汚れた者、また不義を水のように飲む人においては。
15:17 わたしはあなたに語ろう、聞くがよい。わたしは自分の見た事を述べよう。
15:18 これは知者たちがその先祖からうけて、隠す所なく語り伝えたものである。
15:19 彼らにのみこの地は授けられて、他国人はその中に行き来したことがなかった。
15:20 悪しき人は一生の間、もだえ苦しむ。残酷な人には年の数が定められている。
15:21 その耳には恐ろしい音が聞え、繁栄の時にも滅ぼす者が彼に臨む。
15:22 彼は、暗やみから帰りうるとは信ぜず、つるぎにねらわれる。
15:23 彼は食物はどこにあるかと言いつつさまよい、暗き日が手近に備えられてあるのを知る。
15:24 悩みと苦しみとが彼を恐れさせ、戦いの備えをした王のように彼に打ち勝つ。
15:25 これは彼が神に逆らってその手を伸べ、全能者に逆らって高慢にふるまい、
15:26 盾の厚い面をもって強情に、彼にはせ向かうからだ。
15:27 また彼は脂肪をもってその顔をおおい、その腰には脂肪の肉を集め、
15:28 滅ぼされた町々に住み、人の住まない家、荒塚となる所におるからだ。
15:29 彼は富める者とならず、その富はながく続かない、また地に根を張ることはない。
15:30 彼は暗やみからのがれることができない。炎はその若枝を枯らし、その花は風に吹き去られる。
15:31 彼をしてみずから欺いて、むなしい事にたよらせてはならない。その報いはむなしいからだ。
15:32 彼の時のこない前にその事がなし遂げられ、彼の枝は緑とならないであろう。
15:33 彼はぶどうの木のように、その熟さない実をふり落すであろう。またオリブの木のように、その花を落すであろう。
15:34 神を信じない者のやからは子なく、まいないによる天幕は火で焼き滅ぼされるからだ。
15:35 彼らは害悪をはらみ、不義を生み、その腹は偽りをつくる」。
第16章
16:1 そこでヨブは答えて言った、
16:2 「わたしはこのような事を数多く聞いた。あなたがたは皆人を慰めようとして、かえって人を煩わす者だ。
16:3 むなしき言葉に、はてしがあろうか。あなたは何に激して答をするのか。
16:4 わたしもあなたがたのように語ることができる。もしあなたがたがわたしと代ったならば、わたしは言葉を練って、あなたがたを攻め、あなたがたに向かって頭を振ることができる。
16:5 また口をもって、あなたがたを強くし、くちびるの慰めをもって、あなたがたの苦しみを和らげることができる。
16:6 たといわたしは語っても、わたしの苦しみは和らげられない。たといわたしは忍んでも、どれほどそれがわたしを去るであろうか。
16:7 まことに神は今わたしを疲れさせた。彼はわたしのやからをことごとく荒した。
16:8 彼はわたしを、しわ寄らせた。これがわたしに対する証拠である。またわたしのやせ衰えた姿が立って、わたしを攻め、わたしの顔にむかって証明する。
16:9 彼は怒ってわたしをかき裂き、わたしを憎み、わたしに向かって歯をかみ鳴らした。わたしの敵は目を鋭くして、わたしを攻める。
16:10 人々はわたしに向かって口を張り、侮ってわたしのほおを打ち、ともに集まってわたしを攻める。
16:11 神はわたしをよこしまな者に渡し、悪人の手に投げいれられる。
16:12 わたしは安らかであったのに、彼はわたしを切り裂き、首を捕えて、わたしを打ち砕き、わたしを立てて的とされた。
16:13 その射手はわたしを囲む。彼は無慈悲にもわたしの腰を射通し、わたしの肝を地に流れ出させられる。
16:14 彼はわたしを打ち破って、破れに破れを加え、勇士のようにわたしに、はせかかられる。
16:15 わたしは荒布を膚に縫いつけ、わたしの角をちりに伏せた。
16:16 わたしの顔は泣いて赤くなり、わたしのまぶたには深いやみがある。
16:17 しかし、わたしの手には暴虐がなく、わたしの祈は清い。
16:18 地よ、わたしの血をおおってくれるな。わたしの叫びに、休む所を得させるな。
16:19 見よ、今でもわたしの証人は天にある。わたしのために保証してくれる者は高い所にある。
16:20 わたしの友はわたしをあざける、しかしわたしの目は神に向かって涙を注ぐ。
16:21 どうか彼が人のために神と弁論し、人とその友との間をさばいてくれるように。
16:22 数年過ぎ去れば、わたしは帰らぬ旅路に行くであろう。
第17章
17:1 わが霊は破れ、わが日は尽き、墓はわたしを待っている。
17:2 まことにあざける者どもはわたしのまわりにあり、わが目は常に彼らの侮りを見る。
17:3 どうか、あなた自ら保証となられるように。ほかにだれがわたしのために保証となってくれる者があろうか。
17:4 あなたは彼らの心を閉じて、悟ることのないようにされた。それゆえ、彼らに勝利を得させられるはずはない。
17:5 分け前を得るために友を訴えるものは、その子らの目がつぶれるであろう。
17:6 彼はわたしを民の笑い草とされた。わたしは顔につばきされる者となる。
17:7 わが目は憂いによってかすみ、わがからだはすべて影のようだ。
17:8 正しい者はこれに驚き、罪なき者は神を信ぜぬ者に対して憤る。
17:9 それでもなお正しい者はその道を堅く保ち、潔い手をもつ者はますます力を得る。
17:10 しかし、あなたがたは皆再び来るがよい、わたしはあなたがたのうちに賢い者を見ないのだ。
17:11 わが日は過ぎ去り、わが計りごとは敗れ、わが心の願いも敗れた。
17:12 彼らは夜を昼に変える。彼らは言う、『光が暗やみに近づいている』と。
17:13 わたしがもし陰府をわたしの家として望み、暗やみに寝床をのべ、
17:14 穴に向かって『あなたはわたしの父である』と言い、うじに向かって『あなたはわたしの母、わたしの姉妹である』と言うならば、
17:15 わたしの望みはどこにあるか、だれがわたしの望みを見ることができようか。
17:16 これは下って陰府の関門にいたり、われわれは共にちりに下るであろうか」。
第18章
18:1 そこでシュヒびとビルダデは答えて言った、
18:2 「あなたはいつまで言葉にわなを設けるのか。あなたはまず悟るがよい、それからわれわれは論じよう。
18:3 なぜ、われわれは獣のように思われるのか。なぜ、あなたの目に愚かな者と見えるのか。
18:4 怒っておのが身を裂く者よ、あなたのために地は捨てられるだろうか。岩はその所から移されるだろうか。
18:5 悪しき者の光は消え、その火の炎は光を放たず、
18:6 その天幕のうちの光は暗く、彼の上のともしびは消える。
18:7 その力ある歩みはせばめられ、その計りごとは彼を倒す。
18:8 彼は自分の足で網にかかり、また落し穴の上を歩む。
18:9 わなは彼のかかとを捕え、網わなは彼を捕える。
18:10 輪なわは彼を捕えるために地に隠され、張り網は彼を捕えるために道に設けられる。
18:11 恐ろしい事が四方にあって彼を恐れさせ、その歩みにしたがって彼を追う。
18:12 その力は飢え、災は彼をつまずかすために備わっている。
18:13 その皮膚は病によって食いつくされ、死のういごは彼の手足を食いつくす。
18:14 彼はその頼む所の天幕から引き離されて、恐れの王のもとに追いやられる。
18:15 彼に属さない者が彼の天幕に住み、硫黄が彼のすまいの上にまき散らされる。
18:16 下ではその根が枯れ、上ではその枝が切られる。
18:17 彼の形見は地から滅び、彼の名はちまたに消える。
18:18 彼は光からやみに追いやられ、世の中から追い出される。
18:19 彼はその民の中に子もなく、孫もなく、彼のすみかには、ひとりも生き残る者はない。
18:20 西の者は彼の日について驚き、東の者はおじ恐れる。
18:21 まことに、悪しき者のすまいはこのようであり、神を知らない者の所はこのようである」。
第19章
19:1 そこでヨブは答えて言った、
19:2 「あなたがたはいつまでわたしを悩まし、言葉をもってわたしを打ち砕くのか。
19:3 あなたがたはすでに十度もわたしをはずかしめ、わたしを悪くあしらってもなお恥じないのか。
19:4 たといわたしが、まことにあやまったとしても、そのあやまちは、わたし自身にとどまる。
19:5 もしあなたがたが、まことにわたしに向かって高ぶり、わたしの恥を論じるならば、
19:6 『神がわたしをしえたげ、その網でわたしを囲まれたのだ』と知るべきだ。
19:7 見よ、わたしが『暴虐』と叫んでも答えられず、助けを呼び求めても、さばきはない。
19:8 彼はわたしの道にかきをめぐらして、越えることのできないようにし、わたしの行く道に暗やみを置かれた。
19:9 彼はわたしの栄えをわたしからはぎ取り、わたしのこうべから冠を奪い、
19:10 四方からわたしを取りこわして、うせさせ、わたしの望みを木のように抜き去り、
19:11 わたしに向かって怒りを燃やし、わたしを敵のひとりのように思われた。
19:12 その軍勢がいっせいに来て、塁を築いて攻め寄せ、わたしの天幕のまわりに陣を張った。
19:13 彼はわたしの兄弟たちをわたしから遠く離れさせられた。わたしを知る人々は全くわたしに疎遠になった。
19:14 わたしの親類および親しい友はわたしを見捨て、
19:15 わたしの家に宿る者はわたしを忘れ、わたしのはしためらはわたしを他人のように思い、わたしは彼らの目に他国人となった。
19:16 わたしがしもべを呼んでも、彼は答えず、わたしは口をもって彼に請わなければならない。
19:17 わたしの息はわが妻にいとわれ、わたしは同じ腹の子たちにきらわれる。
19:18 わらべたちさえもわたしを侮り、わたしが起き上がれば、わたしをあざける。
19:19 親しい人々は皆わたしをいみきらい、わたしの愛した人々はわたしにそむいた。
19:20 わたしの骨は皮と肉につき、わたしはわずかに歯の皮をもってのがれた。
19:21 わが友よ、わたしをあわれめ、わたしをあわれめ、神のみ手がわたしを打ったからである。
19:22 あなたがたは、なにゆえ神のようにわたしを責め、わたしの肉をもって満足しないのか。
19:23 どうか、わたしの言葉が、書きとめられるように。どうか、わたしの言葉が、書物にしるされるように。
19:24 鉄の筆と鉛とをもって、ながく岩に刻みつけられるように。
19:25 わたしは知る、わたしをあがなう者は生きておられる、後の日に彼は必ず地の上に立たれる。
19:26 わたしの皮がこのように滅ぼされたのち、わたしは肉を離れて神を見るであろう。
19:27 しかもわたしの味方として見るであろう。わたしの見る者はこれ以外のものではない。わたしの心はこれを望んでこがれる。
19:28 あなたがたがもし『われわれはどうして彼を責めようか』と言い、また『事の根源は彼のうちに見いだされる』と言うならば、
19:29 つるぎを恐れよ、怒りはつるぎの罰をきたらすからだ。これによって、あなたがたは、さばきのあることを知るであろう」。
第20章
20:1 そこでナアマびとゾパルは答えて言った、
20:2 「これによって、わたしは答えようとの思いを起し、これがために心中しきりに騒ぎ立つ。
20:3 わたしはわたしをはずかしめる非難を聞く、しかし、わたしの悟りの霊がわたしに答えさせる。
20:4 あなたはこの事を知らないのか、昔から地の上に人の置かれてよりこのかた、
20:5 悪しき人の勝ち誇はしばらくであって、神を信じない者の楽しみはただつかのまであることを。
20:6 たといその高さが天に達し、その頭が雲におよんでも、
20:7 彼はおのれの糞のように、とこしえに滅び、彼を見た者は言うであろう、『彼はどこにおるか』と。
20:8 彼は夢のように飛び去って、再び見ることはない。彼は夜の幻のように追い払われるであろう。
20:9 彼を見た目はかさねて彼を見ることがなく、彼のいた所も再び彼を見ることがなかろう。
20:10 その子らは貧しい者に恵みを求め、その手は彼の貨財を償うであろう。
20:11 その骨には若い力が満ちている、しかしそれは彼と共にちりに伏すであろう。
20:12 たとい悪は彼の口に甘く、これを舌の裏にかくし、
20:13 これを惜しんで捨てることなく、口の中に含んでいても、
20:14 その食物は彼の腹の中で変り、彼の内で毒蛇の毒となる。
20:15 彼は貨財をのんでも、またそれを吐き出す、神がそれを彼の腹から押し出されるからだ。
20:16 彼は毒蛇の毒を吸い、まむしの舌は彼を殺すであろう。
20:17 彼は蜜と凝乳の流れる川々を見ることができない。
20:18 彼はほねおって獲たものを返して、それを食うことができない。その商いによって得た利益をもって楽しむことができない。
20:19 彼が貧しい者をしえたげ、これを捨てたからだ。彼は家を奪い取っても、それを建てることができない。
20:20 彼の欲張りは足ることを知らぬゆえ、その楽しむ何物をも救うことができないであろう。
20:21 彼が残して食べなかった物とては一つもない。それゆえ、その繁栄はながく続かないであろう。
20:22 その力の満ちている時、彼は窮境に陥り、悩みの手がことごとく彼の上に臨むであろう。
20:23 彼がその腹を満たそうとすれば、神はその激しい怒りを送って、それを彼の上に降り注ぎ、彼の食物とされる。
20:24 彼は鉄の武器を免れても、青銅の矢は彼を射通すであろう。
20:25 彼がこれをその身から引き抜けば、きらめく矢じりがその肝から出てきて、恐れが彼の上に臨む。
20:26 もろもろの暗黒が彼の宝物のためにたくわえられ、人が吹き起したものでない火が彼を焼きつくし、その天幕に残っている者を滅ぼすであろう。
20:27 天は彼の罪をあらわし、地は起って彼を攻めるであろう。
20:28 その家の財産は奪い去られ、神の怒りの日に消えうせるであろう。
20:29 これが悪しき人の神から受ける分、神によって定められた嗣業である」。
第21章
21:1 そこでヨブは答えて言った、
21:2 「あなたがたはとくと、わたしの言葉を聞き、これをもって、あなたがたの慰めとするがよい。
21:3 まずわたしをゆるして語らせなさい。わたしが語ったのち、あざけるのもよかろう。
21:4 わたしのつぶやきは人に対してであろうか。わたしはどうして、いらだたないでいられようか。
21:5 あなたがたはわたしを見て、驚き、手を口にあてるがよい。
21:6 わたしはこれを思うと恐ろしくなって、からだがしきりに震えわななく。
21:7 なにゆえ悪しき人が生きながらえ、老齢に達し、かつ力強くなるのか。
21:8 その子らは彼らの前に堅く立ち、その子孫もその目の前に堅く立つ。
21:9 その家は安らかで、恐れがなく、神のつえは彼らの上に臨むことがない。
21:10 その雄牛は種を与えて、誤ることなく、その雌牛は子を産んで、そこなうことがない。
21:11 彼らはその小さい者どもを群れのように連れ出し、その子らは舞い踊る。
21:12 彼らは手鼓と琴に合わせて歌い、笛の音によって楽しみ、
21:13 その日をさいわいに過ごし、安らかに陰府にくだる。
21:14 彼らは神に言う、『われわれを離れよ、われわれはあなたの道を知ることを好まない。
21:15 全能者は何者なので、われわれはこれに仕えねばならないのか。われわれはこれに祈っても、なんの益があるか』と。
21:16 見よ、彼らの繁栄は彼らの手にあるではないか。悪人の計りごとは、わたしの遠く及ぶ所でない。
21:17 悪人のともしびの消されること、幾たびあるか。その災の彼らの上に臨むこと、神がその怒りをもって苦しみを与えられること、幾たびあるか。
21:18 彼らが風の前のわらのようになること、あらしに吹き去られるもみがらのようになること、幾たびあるか。
21:19 あなたがたは言う、『神は彼らの罪を積みたくわえて、その子らに報いられるのだ』と。どうかそれを彼ら自身に報いて、彼らにその罪を知らせられるように。
21:20 すなわち彼ら自身の目にその滅びを見させ、全能者の怒りを彼らに飲ませられるように。
21:21 その月の数のつきるとき、彼らはその後の家になんのかかわる所があろうか。
21:22 神は天にある者たちをさえ、さばかれるのに、だれが神に知識を教えることができようか。
21:23 ある者は繁栄をきわめ、全く安らかに、かつおだやかに死に、
21:24 そのからだには脂肪が満ち、その骨の髄は潤っている。
21:25 ある者は心を苦しめて死に、なんの幸をも味わうことがない。
21:26 彼らはひとしくちりに伏し、うじにおおわれる。
21:27 見よ、わたしはあなたがたの思いを知り、わたしを害しようとするたくらみを知る。
21:28 あなたがたは言う、『王侯の家はどこにあるか、悪人の住む天幕はどこにあるか』と。
21:29 あなたがたは道行く人々に問わなかったか、彼らの証言を受け入れないのか。
21:30 すなわち、災の日に悪人は免れ、激しい怒りの日に彼は救い出される。
21:31 だれが彼に向かって、その道を告げ知らせる者があるか、だれが彼のした事を彼に報いる者があるか。
21:32 彼はかかれて墓に行き、塚の上で見張りされ、
21:33 谷の土くれも彼には快く、すべての人はそのあとに従う。彼の前に行った者も数えきれない。
21:34 それで、あなたがたはどうしてむなしい事をもって、わたしを慰めようとするのか。あなたがたの答は偽り以外の何ものでもない」。