文語訳舊約聖書(1953年版)(振り仮名付き)

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サムエル後書

  第1章

1:1 サウルのしにのちダビデ、アマレクびとうちてかへりチクラグに二日ふつかとどまりけるが

1:2 第三日みつかおよびて一個ひとりひとそのころもかしらつちをかむりてぢんえいよりすなはちサウルのところよりきたりダビデのもとにいたりにふしてはいせり

1:3 ダビデかれにいひけるはなんぢいづくよりきたれるやかれダビデにいひけるはイスラエルのぢんえいよりのがれきたれり

1:4 ダビデかれにいひけるはこといかんわれにつげよかれこたへけるはたみたたかひやぶれてたみおほくたふれてしねりまたサウルとそのヨナタンもしね

1:5 ダビデそのおのれにつぐる少者わかきものにいひけるはなんぢいかにしてサウルとそのヨナタンのしにたるをしるや

1:6 ダビデにつぐる少者わかきものいひけるはわれはからずもギルボアやまにのぼりしにサウルそのやりよりかかりをりて戰車いくさぐるま騎兵きへいかれにせめよらんとせり

1:7 かれうしろにふりむきてわれわれをよびたればわれこたへてわれここにありといふ

1:8 かれわれなんぢたれなるやといひければわれかれにこたへてわれはアマレクびとなりといふ

1:9 かれまたわれにいひけるはわがいたくつれわがうへにのりてわれをころせわが生命いのちなほわれのうちにまつたければなりと

1:10 われすなはちかれのうへにのりてかれをころしたりわれかれが?すでたふれいくることをえざるをしりたればなりしかしてわれそのかうべにありしかんむりとそのうでにありしうでわりてこれをわがしゆたづさへきたれり

1:11 ここにおいてダビデおのれのころもとりてこれをけりまたかれとともにあるものみなしかせり

1:12 彼等かれらサウルのためまたそのヨナタンのためまたヱホバのたみのためイスラエルのいへのためにきかなしみてよひまでしよくたてかれかたなにたふれたればなり

1:13 ダビデおのれにつげ少者わかきものにいひけるはなんぢ何處いづくものなるやかれこたへけるはわれ他國たこくひとすなはちアマレクびとなりと

1:14 ダビデかれにいひけるはなんぢなんぞをのばしてヱホバのあぶらそそぎしものをころすことをおそれざりしやと

1:15 ダビデ一人ひとり少者わかものをよびていひけるはちかよりてかれをころせとすなはちかれをうちければしね

1:16 ダビデかれにいひけるはなんぢなんぢかうべせよなんぢくちづからわれヱホバのあぶらそそぎしものをころせりといひておのれにむかひてあかしをたつればなり

1:17 ダビデかなしみのうたをもてサウルとそのヨナタンをとむら

1:18 ダビデめいじてこれをユダのひとびとにをしへしむすなはゆみうたこれなりこれはヤシルしよしるさる

1:19 イスラエルよなんぢ榮耀かがやきなんぢ崇邱たかきところころさる嗚呼ああ勇士ますらをたふれたるかな

1:20 此事このことをガテにつぐるなかれアシケロンのまちつたふるなかれおそらくはペリシテびと女等むすめらよろこばんおそらくは割禮かつれいうけざるもの女等むすめらたのしいははん

1:21 ギルボアのやまねがなんぢうへ雨露つゆくだることあらざれまた供物そなへもの田園はたけもあらざれ彼處かしこ勇士ますらをたてすてらるればなりすなはちサウルのたてあぶらそそがずして彼處かしこすてらる

1:22 ころせしものをのまずしてヨナタンのゆみ退しりぞかず勇士ますらをあぶらくはずしてサウルのつるぎむなしかへらず

1:23 サウルとヨナタンはあいらしくたのしげにしていきしにともにはなれず二人ふたりわしよりもはや獅子ししよりもつよかりき

1:24 イスラエルの女等むすめらよサウルのためになげけサウルはあかころもをもて汝等なんぢら華麗はなやかよそほこがねかざり汝等なんぢらころもつけたり

1:25 嗚呼ああ勇士ますらをたたかひなかたふれたるかなヨナタンなんぢ崇邱たかきところころされぬ

1:26 兄弟きやうだいヨナタンよわれなんぢのために悲慟かなしみなんぢおほいわれたのしものなりきなんぢわれをいつくしめるあい尋常よのつねならずをんなあいにもまさりたり

1:27 嗚呼ああ勇士ますらをたふれたるかなたたかひうつはうせたるかな

  第2章

2:1 こののちダビデ、ヱホバにとひていひけるはわれユダのひとつのまちにのぼるべきやヱホバかれにいひたまひけるはのぼれダビデいひけるは何處いづくにのぼるべきやヱホバいひたまひけるはヘブロンにのぼるべしと

2:2 ダビデすなはち彼處かしこにのぼれりその二人ふたりつまヱズレルびとアヒノアムおよびカルメルびとナバルのつまなりしアビガルもともにのぼれり

2:3 ダビデそのおのれとともにありし從者じふしやその家族かぞくをことごとくひきゐのぼりければみなヘブロンの諸巴まちまちにすめり

2:4 ときにユダの人々ひとびときたり彼處かしこにてダビデにあぶらをそそぎてユダのいへわうとなせり 人々ひとびとダビデにつげてサウルをはうむりしはヤベシギレアデのひとなりといひければ

2:5 ダビデ使者つかひをヤベシギレアデのひとにおくりてこれにいひけるはなんぢらこのあつきこころなんぢらのしゆサウルにあらはしてかれをはうむりたればねがはくはなんぢらヱホバより福祉さいはひをえよ

2:6 ねがはくはヱホバ恩寵めぐみ眞實まこと汝等なんぢらにしめしたまへなんぢらこのことをなしたるによりわれまたなんぢらにこの恩惠めぐみをしめすなり

2:7 さればなんぢをつよくしていさましくなれなんぢらのしゆサウルはしにたりまたユダのいへわれあぶらをそそぎてわれをかれらのわうとなしたればなりと

2:8 ここにサウルのぐんかしらネルのアブネル、サウルのイシボセテをりてこれをマナイムにみちびきわたり

2:9 ギレアデとアシユリびととヱズレルとエフライムとベニヤミンとイスラエルのひとびとわうとなせり

2:10 サウルのイシボセテはイスラエルのわうとなりしとき四十さいにして二ねんのあひだくらゐにありしがユダのいへはダビデにしたがへり

2:11 ダビデのヘブロンにありてユダのいへわうたりしかずは七ねんと六ヶげつなりき

2:12 ネルのアブネルおよびサウルのなるイシボセテの臣僕けらいたちマハナイムをいでてギベオンにいたれり

2:13 セルヤのヨアブとダビデの臣僕けらいもいでゆけりかれらギベオンのいけかたはらにて出會いであひ一方いつぱういけ此畔こなた一方いつぱういけ彼畔かなた

2:14 アブネル、ヨアブにいひけるはいざ少者わかものをしてたちわれらのまへにたはむれしめんヨアブいひけるはたたしめんと

2:15 サウルのイシボセテにぞくするベニヤミンのひとそのかず十二にんおよびダビデの臣僕けらい十二にんたちすす

2:16 おのおのその敵手あひてくびとらへてかたなその敵手あひてわきばらかくして彼等かれらともたふれたり是故このゆえそのところはヘルカテハヅリム(利劍つるぎ)ととなへらるすなはちギベオンにあり

2:17 これたたかひはなははげしくしてアブネルとイスラエルの人々ひとびとダビデの臣僕けらいのまへにやぶ

2:18 其處そこにゼルヤの三にんヨアブ、アビシヤイ、アサヘルたりしがアサヘルは疾足あしばやなることにをる?しかのごとくなりき

2:19 アサヘル、アブネルのあとひけるがあゆ右左みぎひだりにまがらずアブネルのうしろをしたふ

2:20 アブネルうしろかへりみていふなんぢはアサヘルなるかかれしかりとこた

2:21 アブネルかれにいひけるはなんぢみぎひだり轉向むかひ少者わかもの一人ひとりとらへてその戎服よろひれとされどアサヘル、アブネルをおふことをやめほかむかふをがへんぜず

2:22 アブネルふたたびアサヘルにいふなんぢわれおふことをやめてほかむかわれなんぞなんぢたふすべけんやしかせばわれいかでかわがかほなんぢあにヨアブにむくべけんと

2:23 しかれどもかれほかにむかふことをいなむによりアブネルやり後銛いしづきをもてかれのはらしければやりその背後うしろにいでたりかれ其處そこにたふれて立時たちどころしねかかりしかばアサヘルのたふれてしねるところにきたものみなたちどまれり

2:24 されどヨアブとアビシヤイはアブネルのあとおひきたりしがギベオンのみちばたにギアのまへにあるアンマのやまにいたれるときくれ

2:25 ベニヤミンの子孫ひとびとアブネルにしたがひてあつまり一隊いつたいとなりてひとつのやまいただきにたてり

2:26 ここにアブネル、ヨアブをよびていひけるは刀劍かたなあに永久とこしへにほろぼさんやなんぢそのをはりには怨恨うらみむすぶにいたるをしらざるやなんぢ何時いつまでたみその兄弟きやうだいふことをやめてかへることをめいぜざるや

2:27 ヨアブいひけるはかみなんぢいひいださざりしならばたみはおのおのその兄弟きやうだいはずして今晨あさのうちにさりゆきしならんと

2:28 かくてヨアブ喇叭らつぱきければたみみなたちどまりてふたたびイスラエルのあとはずまたかさねてたたかはざりき

2:29 アブネルとその從者じふしや終夜よもすがらアラバをゆきてヨルダンをわたりビテロンをとほりてマハナイムにいたれり

2:30 ヨアブ、アブネルをおふことをやめてかへたみをことごとくあつめたるにダビデの臣僕けらい十九にんとアサヘルかけてをらざりき

2:31 されどダビデの臣僕けらいはベニヤミンとアブネルの從者じふしやびやく六十にんころせり

2:32 人々ひとびとアサヘルをりあげてベテレヘムにあるそのちちはかはうむるヨアブとその從者じふしや終夜よもすがらゆきて黎明よあけにヘブロンにいたれり

  第3章

3:1 サウルのいへとダビデのいへあひだ戰爭いくさひさしかりしがダビデはますますつよくなりサウルのいへはますますよわくなれり

3:2 ヘブロンにてダビデに男子等をとこのこどもうまその首出はじめはアムノンといひてヱズレルびとアヒノアムよりうま

3:3 そのつぎはギレアブといひてカルメルびとナバルのつまなりしアビガルよりうまだい三はアブサロムといひてゲシユルのわうタルマイの女子むすめマアカのなり

3:4 だい四はアドニヤといひてハギテのなりだい五はシバテヤといひてアビタルのなり

3:5 だい六はイテレヤムといひてダビデのつまエグラのなり是等これらヘブロンにてダビデにうま

3:6 サウルのいへとダビデのいへなか戰爭いくさありしあひだアブネルはかたくサウルのいへ荷擔つけ

3:7 さきにサウル一人ひとりめかけもてそのをリヅパといふアヤのむすめなりここにイシボセテ、アブネルにいひけるはなんぢなんぞわがちちめかけつうじたるや

3:8 アブネルはなはだしくイシボセテのことばいかりていひけるはわれ今日けふなんぢちちサウルのいへとその兄弟きやうだいとその朋友ともあつきこころをあらはしなんぢをダビデのにわたさざるになんぢ今日けふ婦人をんなあやまちあげわれわれあにいぬくびならんやユダにくみするものならんや

3:9 かみアブネルにかくなしまたかさねてかくなしたまへヱホバのダビデにちかひたまひしごとくわれかれにしかなすべし

3:10 すなはくにをサウルのいへよりうつしダビデのくらゐをダンよりベエルシバにいたるまでイスラエルとユダのうへにたてん

3:11 イシボセテ、アブネルをおそれたればかさねて一言ひとことこれにこたふるをえざりき

3:12 アブネルおのれのかはり使者つかひをダビデにつかはしていひけるは此地このちたれ所有ものなるやまたいひけるはなんぢわれ契約けいやくわれちからなんぢへてイスラエルをことごとなんぢせしめん

3:13 ダビデいひけるはわれなんぢ契約けいやくをなさんただわれひとつことなんぢもとすなはなんぢきたりてわがかほ覿ときづサウルのむすめミカルをつれきたらざればわれかほ覿るをじと

3:14 ダビデ使者つかひをサウルのイシボセテにつかはしていひけるはわがペリシテびと陽皮まへのかは一百いつぴやくめとたるわがつまミカルをわれわたすべし

3:15 イシボセテひとをつかはしてかれをそのをつとライシのパルテよりとりしかば

3:16 そのをつとなきつつあゆみてそのうしろにしたがひてともにバホリムにいたりしがアブネルかれにかへけといひければすなはちかへりぬ

3:17 アブネル、イスラエルの長老等としよりたちかたりていひけるはなんぢさきよりダビデをなんぢらのわうとなさんことをもとたり

3:18 さればいまこれをなすべしはヱホバ、ダビデについかたりてわれわがしもべダビデのてわがたみイスラエルをペリシテびとよりまたそのもろもろてきよりすくひいださんといひたまひたればなりと

3:19 アブネルまたベニヤミンのみみかたれりしかしてアブネルみづからイスラエルおよびベニヤミンの全家ぜんかよしとおもふところをヘブロンにてダビデのみみつげんとてゆけ

3:20 すなはちアブネル二十にんをしたがへてヘブロンにゆきてダビデのもとにいたりければダビデ、アブネルとそのしたがへる從者じふしやのために酒宴ふるまひまうけたり

3:21 アブネル、ダビデにいひけるはわれたちてゆきイスラエルをことごとくわがしゆわうところあつめて彼等かれらなんぢ契約けいやくたてしめなんぢをしてこころのぞところものをことごとくをさむるにいたらしめんとここにおいてダビデ、アブネルをかへしてかれ安然やすらかされ

3:22 ときにダビデの臣僕けらいおよびヨアブひとくにをかしてかへおほいなる掠取物ぶんどりものたづさへきたれりされどアブネルはタビデとともにヘブロンにはをらざりきはダビデかれをかへしてかれ安然やすらかりたればなり

3:23 ヨアブおよびともにありし軍兵ぐんぴやうみなかへりきたりしとき人々ひとびとヨアブにつげていひけるはネルのアブネルわうところにきたりしがわうかれをかへしてかれ安然やすらかにされりと

3:24 ヨアブわういたりていひけるはなんぢなにしたるやアブネルなんぢところにきたりしになんぢ何故なにゆゑにかれをかへしてさりゆかしめしや

3:25 なんぢネルのアブネルがなんぢたぶらかさんとてきたりなんぢいりりまたなんぢのすべてところしらんためにきたりしをると

3:26 かくてヨアブ、ダビデのところよりいできた使者つかひをつかはしてアブネルをおひしめたれば使者つかひシラのゐどよりかれをひきかへれりされどダビデはしらざりき

3:27 アブネル、ヘブロンにかへりしかばヨアブかれひそかかたらんとてかれをもんうちきゆき其處そこにてそのはらさしてこれをころおのれ兄弟きやうだいアサヘルのをむくいたり

3:28 そののちダビデききていひけるはわれわがくにはネルのアブネルのにつきてヱホバのまへにながつみあることなし

3:29 そのつみはヨアブのかうべそのちち全家ぜんかせよねがはくはヨアブのいへにははくだくやむものからいびやうにんつゑよるものかつるぎたふるものか食物しよくもつとぼしきものゆることあらざれと

3:30 ヨアブとそのおとうとアビシヤイのアブネルをころしたるはかれがギベオンにて戰陣たたかひのうちにおのれの兄弟きやうだいアサヘルをころせしによれり

3:31 ダビデ、ヨアブおよびおのれとともにあるたみにいひけるはなんぢらの衣服ころもあさころもてアブネルのために哀哭なげくべしとダビデわうそのくわんにしたがふ

3:32 人衆ひとびとアブネルをヘブロンにはうむれりわうこゑをあげてアブネルのはかまたたみみなけり

3:33 わうアブネルのためかなしみうたつくりていはくアブネル如何いかにしておろかなるひとごとくにしにけん

3:34 なんぢしばりもあらずなんぢあしくさりにもつながれざりしものを嗚呼ああなんぢ惡人あしきひとのためにたふひとのごとくにたふれたりかくたみみなふたたびかれのためにけり

3:35 たみみなのあるうちにダビデにパンをくらはしめんとてきたりしにダビデちかひていひけるはいるまへにわれパンにてもなににてもあじはひなばかみわれにかくなしまたかさねてかくなしたまへと

3:36 たみみなこれそのしとせりすべわうすところのことみなたみよしえたり

3:37 そのたみすなはちイスラエルみなネルのアブネルをころしたるはわう所爲わざにあらざるをれり

3:38 わうその臣僕けらいにいひけるは今日けふ一人ひとりたいしやうたいじんイスラエルにたふなんぢらこれをしらざるや

3:39 われあぶらそそがれしわうなれども今日けふなほよわしゼルヤの子等こどもなるこれひとわれにはせいしがたしヱホバあくをおこなものそのあくしたがひてむくいたまはん

  第4章

4:1 サウルのはアブネルのヘブロンにてしにたるをきくきしかばそのよわくなりてイスラエルみなうれへたり

4:2 サウルのたいちやう二人ふたりてりその一人ひとりをバアナといひ一人ひとりをレカブといふベニヤミンの支派わかれなるベロテびとリンモンの子等こどもなりはベロテもまたベニヤミンのうちかぞへらるればなり

4:3 さきにペロテびとギツタイムに逃遁のがれて今日こんにちにいたるまで彼處かしこ旅人たびびととなりてとどまる

4:4 サウルのヨナタンに跛足あしなへ一人ひとりありヱズレルよりサウルとヨナタンのこときこえいたりしときには五さいなりきその乳媼うばかれをいだきてのがれたりしがいそにぐときそのおち跛者あしなへとなれりそのをメピボセテといふ

4:5 ベロテびとリンモンのレカブとバアナゆきてあつころイシボセテのいへにいたるにイシボセテ午睡ひるねたり

4:6 かれらむぎらんといひていへなかにいりきたりかれのはらさせりしかしてレカブとその兄弟きやうだいバアナげさりぬ

4:7 彼等かれらいへにいりしときイシボセテはその寝室ねやにありてとこうへいねたりかれらすなはちこれをうちころしこれをくびきりてその首級くびをとり終夜よもすがらアラバのみちをゆきて

4:8 イシボセテの首級くびをヘブロンにダビデのもとたづさへいたりてわうにいひけるはなんぢ生命いのちもとめたるなんぢてきサウルのイシボセテのくびよヱホバ今日こんにちわがしゆなるわうあたをサウルとそのすゑむくいたまへりと

4:9 ダビデ、ベロテびとリンモンのレカブとその兄弟きやうだいバアナにこたへていひけるはわが生命いのちもろもろ艱難かんんあんうちすくひたまひしヱホバは

4:10 われかつひとわれつげよサウルはしねりとひてみづかわれことつたふるものおもひをりしをとらへてこれをチクラグにころその消息たよりむくいたり

4:11 いはん惡人あしきひと義人ただしきひとそのいへとこうへころしたるをやさればわれかれをながせるつみなんぢらにむくなんぢらをこのよりたたざるべけんやと

4:12 ダビデ少者わかきものめいじければ少者わかきものかれらをころしてそのあしきりはなしヘブロンのいけうへかけたりまたイシボセテのくびりてヘブロンにあるアブネルのはかはうむれり

  第5章

5:1 ここにイスラエルの支派わかれことごとくヘブロンにきたりダビデにいたりていひけるは我儕われらなんぢこつにくなり

5:2 さきにサウルが我儕われらわうたりしときにもなんぢはイスラエルをひきゐていりするものなりきしかしてヱホバなんぢなんぢわがたみイスラエルを牧養やしなはんなんぢイスラエルの君長きみとならんといひたまへりと

5:3 くイスラエルの長老としよりみなヘブロンにきたりわういたりければダビデわうヘブロンにてヱホバのまへにかれらと契約けいやくをたてたりかれらすなはちダビデにあぶらそそいでイスラエルのわうとなす

5:4 ダビデはわうとなりしとき三十さいにして四十ねんあひだくらゐあり

5:5 すなはちヘブロンにてユダををさむること七ねんと六げつまたエルサレムにてイスラエルとユダをまつたをさむること三十三ねんなり

5:6 ここわうその從者じふしやとともにエルサレムにその居民たみヱブスびとせめんとすヱブスびとダビデにかたりていひけるはなんぢここることあたはざるべしかへつ盲者めくら跛者あしなへなんぢおひはらはんとこれかれらダビデここるあたはずとおもへるなり

5:7 しかるにダビデ、シオンの要害えうがいとれこれすなはちダビデの城邑まちなり

5:8 ダビデそのいひけるはたれにてもすゐだうにいたりてヱブスびとちまたダビデのこころにくめる跛者あしなへ盲者めくらものは(かしらとなしちやうとなさん)とこれによりて人々ひとびと盲者めくら跛者あしなへいへるべからずといひなせり

5:9 ダビデその要害えうがいすみこれをダビデの城邑まちなづけたりまたダビデ、ミロ(城塞とりで)よりうち四方しはう建築たてものをなせり

5:10 かくてダビデはますますおほいりゆきかつ萬軍ばんぐんかみヱホバこれとともにいませり

5:11 ツロのわうヒラム使者つかひをダビデにつかはして香柏かうはくおよび木匠たくみ石工せきこうをおくれりかれらダビデのためいへ

5:12 ダビデ、ヱホバのかたくおのれをたててイスラエルのわうとなしたまへるをさとりまたヱホバのそのたみイスラエルのためにそのくにおこしたまひしをさとれり

5:13 ダビデ、ヘブロンよりきたりしのちエルサレムのうちよりまためかけつまいれたれば男子むすこ女子むすめまたダビデにうま

5:14 ヱルサレムにてかれうまれたるものはかくのごとしシヤンマ、シヨバブ、ナタン、ソロモン

5:15 イブハル、エリシユア、ネペグ、ヤピア

5:16 エリシヤマ、エリアダ、エリバレテ

5:17 ここあぶらそそいでダビデをイスラエルのわうなせことペリシテびときこえければペリシテびとみなダビデをんとてのぼるダビデきき要害えうがいくだれり

5:18 ペリシテびといたりてレバイムのたにそなへたり

5:19 ダビデ、ヱホバにとふていひけるはわれペリシテびとにむかひてのぼるべきやなんぢかれらをわがわたしたまふやヱホバ、ダビデにいひたまひけるはのぼわれかならずペリシテびとなんぢにわたさん

5:20 ダビデ、バアルペラジムにいたりかれらを其所そこうちていひけるはヱホバみづ破壞やぶいづるごとくわがてきをわがまへ破壞やぶりたまへりと是故このゆえ其所そのところをバアルペラジム(破壞やぶれところ)と

5:21 彼處かしこ彼等かれらその偶像ぐうざうすてたればダビデとその從者じふしやこれをとりあげたり

5:22 ペリシテびとふたたのぼりてレバイムのたにそなへたれば

5:23 ダビデ、ヱホバにとふにヱホバいひたまひけるはのぼるべからず彼等かれらうしろにまはりベカのかたより彼等かれらおそ

5:24 なんぢベカのうへ進行あゆみおときかばすなけちつきづべし其時そのときにはヱホバなんぢのまへにいでてペリシテびとぐんうちたまふべければなりと

5:25 ダビデ、ヱホバのおのれにめいじたまひしごとくなしペリシテびとうちてゲバよりガゼルにいたる

  第6章

6:1 ダビデふたたびイスラエルの選抜えりぬき兵士つはもの萬人まんにんことごとあつ

6:2 ダビデたちておのれとともにをるたみとともにバアレユダにゆきかみはこ其處そこよりかきのぼらんとすそのはこはケルビムのうへしたまふ萬軍ばんぐんのヱホバのをもてよば

6:3 すなはちかみはこあたらしきくるまのせせてやまにあるアビナダブのいへよりかきだせり

6:4 アビナダブのウザとアヒオかみはこのせたるそのあたらしきくるまぎよしアヒオははこのまへにゆけり

6:5 ダビデおよびイスラエルの全家ぜんかことしつ?つづみすず鐃?ねうはちをもちてちからきはうたうたひてヱホバのまへに躍踴をどれり

6:6 彼等かれらがナコンの禾場うちばにいたれるときウザかみはこのばしてこれをおさへたりうしふりたればなり

6:7 ヱホバ、ウザにむかひていかりをはつその誤謬あやまりのためにかれ其處そこちたまひければかれそこにかみはこかたはらねり

6:8 ヱホバ、ウザをちたまひしによりてダビデいか其處そのところをペレヅウザ(ウザうち)とよべその今日こんにちにいたる

6:9 そのダビデ、ヱホバをおそれていひけるはヱホバのはこいかで我所わがところにいたるべけんやと

6:10 ダビデ、ヱホバのはこおのれうつしてダビデの城邑まちにいらしむるをこのまずこれめぐらしてガテびとオベデエドムのいへにいたらしむ

6:11 ヱホバのはこガテびとオベデエドムのいへること三月みつきなりきヱホバ、オベデエドムとその全家ぜんかめぐみたまふ

6:12 ヱホバかみはこのためにオベデエドムのいへその所有もちものみなめぐみたまふといふことダビデわうきこえけれぼダビデゆきて喜樂よろこびをもてかみはこをオベデエドムのいへよりダビデの城邑まちかきのぼれり

6:13 ヱホバのはこかくもの六歩むあし行](ゆき)}たるときダビデうしこえたるものささげたり

6:14 ダビデちからきはめてヱホバのまへ踊躍をどれりときにダビデぬののエポデをたり

6:15 ダビデおよびイスラエルの全家ぜんか歓呼よばはり喇叭らつぱおとをもてヱホバのはこかきのぼれり

6:16 かみはこダビデの城邑まちにいりしときサウルのむすめミカル?まどよりうかがひてダビデわうのヱホバのまへにまひをどるを其心そのこころにダビデを蔑視いやし

6:17 人々ひとびとヱホバのはこかきいれてこれをダビデがそのためはりたるてんまくなかなるそのところおけりしかしてダビデ燔祭はんさい酬恩祭しうおんさいをヱホバのまへにささげたり

6:18 ダビデ燔祭はんさい酬恩祭しうおんさいささぐることををへとき萬軍ばんぐんのヱホバのたみしゆくせり

6:19 またたみうちすなはちイスラエルの衆庶ひとびとうちをとこにもをんなにもともにパン一箇ひとつにく一斤ひときれ乾葡萄ほしぶだうひとかたまりわかちあたへたりかくたみみなおのおのそのいへにかへりぬ

6:20 ここにダビデその家族かぞくしゆくせんとてかへりしかばサウルのむすめミカル、ダビデをいでむかへていひけるはイスラエルのわう今日けふ如何いか威光ゐくわうありしやみづか遊蕩者いたづらものそのあらはすがごとく今日けふその臣僕けらいしもめをんなのまへにそのあらはしたまへりと

6:21 ダビデ、ミカルにいふわれはヱホバのまへにすなはなんぢちちよりもまたその全家ぜんかよりもわれえらみてわれをヱホバのたみイスラエルの首長きみめいじたまへるヱホバのまへにをどれり

6:22 われこれよりもなほかろからんまたみづからいやしとおもはんなんぢいへしもめをんなとともにありてわれ尊榮ほまれをえんと

6:23 是故このゆえにサウルのむすめミカルはぬるまであらざりき

  第7章

7:1 わうそのいへすむにいたりかつヱホバその四方よもてきやぶりてかれをやすらかならしめたまひしとき

7:2 わう預言者よげんしやナタンにいひけるはわれ香柏かうはくいへしかれどもかみはこ幔幕まくうちにあり

7:3 ナタンわういひけるはヱホバなんぢともいませばゆきすべなんぢこころにあるところを

7:4 そのヱホバのことばナタンにのぞみていはく

7:5 ゆきてわがしもべダビデにへヱホバなんぢわがためにわれむべきいへたてんとするや

7:6 われはイスラエルの子孫ひとびとをエジプトよりみちびいだせしときより今日こんにちにいたるまでいへすみしことなくしてただてんまく幕屋まくやうちあゆたり

7:7 われイスラエルの子孫ひとびとともすべあゆめるところにてなんぢ何故なにゆゑわれ香柏かうはくいへたてざるやとわがめいじてわがたみイスラエルを牧養やしなはしめしイスラエルの士師さばきつかさ一人ひとりひとことかたりしことあるや

7:8 されなんぢわがしもべダビデにふべし萬軍ばんぐんのヱホバわれなんぢ牧場まきばよりひつじしたがところよりりてわがたみイスラエルの首長きみとなし

7:9 なんぢがすべてくところにてなんぢともにありなんぢもろもろてきなんぢまへよりたちさりてうへおほいなるもののごとくなんぢおほいなるさしめたり

7:10 またわれわがたみイスラエルのためにところさだめてかれらをうゑつけかれらをして自己おのれところすみかさねうごくことなからしめたり

7:11 また惡人あくにんむかしのごとくまたわがたみイスラエルのうへ士師さばきつかさてたるときよりのごとくふたたびこれなやますことなかるべしわれなんぢもろもろてきをやぶりてなんぢやすらかならしめたりまたヱホバなんぢぐヱホバなんぢのためにいへをたてん

7:12 なんぢ滿みちなんぢなんぢ父祖せんぞたちともねむらんときわれなんぢよりいづなんぢ種子なんぢあとにたててそのくにかたうせん

7:13 かれわがのためにいへたてわれながそのくにくらゐかたうせん

7:14 われはかれのちちとなりかれはわがとなるべしかれもしまよはばわれひとつゑひとむちこれこらさん

7:15 されどわれ恩惠めぐみはわがなんぢのまへよりのぞきしサウルよりはなれたるごとくにかれよりははなるることあらじ

7:16 なんぢいへなんぢくになんぢのまへにながたもつべしなんぢくらゐながかたうせらるべし

7:17 ナタンすべ是等これらことばのごとくまたすべてこの異象まぼろしのごとくダビデにかたりければ

7:18 ダビデわうりてヱホバのまへしていひけるはしゆヱホバよわれたれわがいへなになればかなんぢこれまでわれみちびきたまひしや

7:19 しゆヱホバよこれはなほなんぢにはちひさことなりなんぢまたしもべいへはるのちことかたりたまへりしゆヱホバよこれひとおきてなり

7:20 ダビデこのうへなになんぢふをしゆヱホバなんぢしもべしりたまへばなり

7:21 なんぢことばのためまたなんぢこころしたがひてなんぢこのもろもろおほいなることをしもべこれをしらしめたまふ

7:22 ゆゑかみヱホバよなんぢおほいなりわれらがすべみみきけところよれなんぢごとものなくまたなんぢほかかみなければなり

7:23 いづれのくになんぢたみイスラエルのごとくなるかみゆきてかれらをあがなおのれたみとなしておほいなるたまひまたかれらのためおほいなるおそるべきことしたまへばなりすなはなんぢがエジプトよりあがなとりたまひしたみまへより國々くにぐにひとそのもろもろかみおひはらひたまへり

7:24 なんぢなんぢたみイスラエルをかぎりなくなんぢたみとしてなんぢさだめたまへりヱホバよなんぢはかれのかみとなりたまふ

7:25 さればかみヱホバよなんぢしもべそのいへにつきてかたりたまひしことばながかたうしてなんぢのいひしごとくなしたまへ

7:26 ねがはくは永久とこしなへなんぢあがめて萬軍ばんぐんのヱホバはイスラエルのかみなりといはしめたまへねがはくはしもべダビデのいへをしてなんぢのまへにかたたたしめたまへ

7:27 萬軍ばんぐんのヱホバ、イスラエルのかみなんぢしもべみみしめしてわれなんぢいへをたてんといひたまひたればなり 是故このゆえしもべこの祈祷いのりなんぢみちこころうちたり

7:28 しゆヱホバよなんぢかみなりなんぢことばまことなりなんぢこのめぐみしもべかたりたまへり

7:29 ねがはくはしもべいへ祝福みぐみなんぢのまへにながつづくことをさしめたまへしゆヱホバなんぢこれをかたりたまへばなりねがはくはなんぢ祝福めぐみによりてしもべいへなが祝福めぐみかうむらしめたまへ

  第8章

8:1 こののちダビデ、ペリシテびとうちてこれをふくすダビデまたペリシテびとよりメテグアンマをとれり

8:2 ダビデまたモアブをかれらをしてふさしめなはをもてかれらをはかれりすなは二條ふたすぢなはをもてころものはか一條ひとすぢなはをもていかしおくもの量度はかるモアブびと貢物みつぎいれてダビデの臣僕しもべとなれり

8:3 ダビデまたレホブのなるゾバのわうハダデゼルがユフラテがはほとりにてそのせいあらたにせんとてゆけるをうて

8:4 しかしてダビデかれより騎兵きへいせんひやくにんへい萬人まんにんりまたダビデいつぴやくくるまうまのこしてそのほかくるまうまみなそのすぢ切斷きれ

8:5 ダマスコのスリアびとゾバのわうハダデゼルをたすけんとてきたりければダビデ、スリアびとまんせんころせり

8:6 しかしてダビデ、ダマスコのスリアにだいくわんきぬスリアびと貢物みつぎてダビデの臣僕しもべとなれりヱホバ、ダビデをすべそのところにてたすけたまへり

8:7 ダビデ、ハダデゼルの臣僕けらいどももてきんたてうばひてこれをエルサレムにもちきたる

8:8 ダビデわうまたハダデゼルのまちベタとベロタよりはなはおほくのあかがねとれ

8:9 ときにハマテのわうトイ、ダビデがハダデゼルのすべてぐん撃破うちやぶりしをきき

8:10 トイそのヨラムをダビデわうにつかはし安否あんぴひかついはひのべしむはハダデゼルかつてトイとたたかひしたるにダビデ、ハダデゼルとたたかひてこれをうちやぶりたればなりヨラムぎんうつはきんうつはあかがねうつはたづさきたりければ

8:11 ダビデわうそのせたるもろもろ國民くにたみうちよりりてをさめたる金銀きんぎんとも是等これらをもヱホバにをさめたり

8:12 すなはちエドムよりモアブよりアンモンの子孫ひとびとよりペリシテびとよりアマレクよりえたるものおよびゾバのわうレホブのハダデゼルよりたる掠取物ぶんどりものとともにこれををさめたり

8:13 ダビデしほのたににてエドムびとまんせんうちかへり名譽ほまれたり

8:14 ダビデ、エドムにだいくわんおけすなはちエドムの全地ぜんち?あまねだいくわんおきてエドムびとみなダビデの臣僕しもべとなれりヱホバ、ダビデをすべそのくところにてたすたまへり

8:15 ダビデ、イスラエルの全地ぜんちをさそのたみ公道おほやけ正義ただしきおこな

8:16 ゼルヤのヨアブはぐんかしらアヒルデのヨシヤバテはくわん

8:17 アヒトブのザドクとアビヤタルのアヒメレクは祭司さいしセラヤは書記しよきくわん

8:18 ヱホヤダのベナヤはケレテびとおよびペレテびとかしらダビデの子等こたち大臣だいじんなりき

  第9章

9:1 ここにダビデいひけるはサウルのいへ遺存のこれるものなほあるやわれヨナタンのため其人そのひと恩惠めぐみをほどこさんと

9:2 サウルのいへしもべなるヂバとなづくるものありければかれをダビデのもとめしきたるにわうかれにいひけるはなんぢはヂバなるかかれいふしもべこれなり

9:3 わういひけるはなほサウルのいへものあるかわれ其人そのひとかみ恩惠めぐみをほどこさんとすヂバわうにいひけるはヨナタンのなほあり跛足あしなへなり

9:4 わうかれにいひけるは其人そのひと何處いづくにをるやヂバわうにいひけるはロデバルにてアンミエルのマキルのいへにをる

9:5 ダビデわうひとつかはしてロデバルよりすなはちアンミエルのマキルのいへよりかれをつれきたらしむ

9:6 サウルのヨナタンのなるメピボセテ、ダビデのところきたふしはいせりダビデ、メピボセテよといひければこたへしもべここにありと

9:7 ダビデかれにいひけるはおそるるなかれわれかならなんぢちちヨナタンのため恩惠めぐみなんぢにしめさんわれなんぢちちサウルのことごとなんぢかへすべしまたなんぢつねわがせきにおいてくらふべしと

9:8 かれはいしていひけるはしもべなになればかなんぢしにたるいぬのごときわれ眷顧かへりみたまふ

9:9 わうサウルのしもべヂバをよびてこれにいひけるはすべてサウルとそのいへものわれみななんぢ主人しゆじんにあたへたり

9:10 なんぢなんぢ子等こどもなんぢけらいかれのためにたがへしてなんぢ主人しゆじんくらふべき食物しよくもつりきたるべしただなんぢ主人しゆじんメピボセテはつねわがせきにおいてくらふべしとヂバは十五にんと二十にんけらいあり

9:11 ヂバわうにいひけるはすべわうわがしゆしもべめいじたまひしごとくしもべなすべしとメピボセテはわう一人ひとりのごとくダビデのせきにてくらへり

9:12 メピボセテに一人ひとりわかありそのをミカといふヂバのいへすめものみなメピボセテのけらいなりき

9:13 メピボセテはエルサレムにみたりはかれつねわうせきにてくらひたればなりかれはふたつあしともになへたるものなり

  第10章

10:1 こののちアンモンの子孫ひとびとわうしにそのハヌンこれかはりてくらゐ

10:2 ダビデわれナハシのハヌンにそのちちわれ恩惠めぐみしめせしごとく恩惠めぐみしめさんといひてダビデかれをそのちちゆゑによりてなぐさめんとてそのけらいつかはせりダビデのけらいアンモンの子孫ひとびとにいたるに

10:3 アンモンの子孫ひとびと諸伯きみたちそのしゆハヌンにいひけるはダビデなぐさむるものなんぢつかはしたるによりてかれなんぢちちたふとむとなんぢゆるやダビデこの城邑まちうかがひこれをさぐりておとしいれんためにそのけらいなんぢつかはせるにあらずや

10:4 ここにおいてハヌン、ダビデのしもべとらそのひげなかばおとその衣服ころもなかよりたちももまでにしてこれをかへせり

10:5 人々ひとびとこれをダビデにつげたればダビデひとつかはしてかれらをむかへしむその人々ひとびとおほいはぢたればなりすなはわういふなんぢひげのびるまでヱリコにとどまりてしかるのちかへるべしと

10:6 アンモンの子孫ひとびと自己おのれのダビデににくまるるをしかばアンモンの子孫ひとびとひとつかはしてベテレホブのスリアびととゾバのスリアびとへい萬人まんにんおよびマアカのわうよりいつせんにんトブのひとより一まんせんにんやとひいれたり

10:7 ダビデききてヨアブと勇士ゆうし惣軍そうぐんつかはせり

10:8 アンモンの子孫ひとびといでもんいりくちいくさ陣列そなへをなしたりゾバとレホブのスリアびとおよびトブのひととマアカのひとべつ

10:9 ヨアブたたかひぜんよりおのれむかふをてイスラエルの選抜えりぬきつはものうちえらみてこれをスリアびとむかひてそなへしめ

10:10 そのほかたみをばその兄弟きやうだいアビシヤイのわたしてアンモンの子孫ひとびとむかひそなへしめて

10:11 いひけるはもしスリアびとわれごはからばなんぢわれたすけよもしアンモンの子孫ひとびとなんぢごはからばわれゆきてなんぢをたすけん

10:12 なんぢいさましくなれよわれたみのためとわれらのかみ諸邑まちまちのためにいさましくなさんねがはくはヱホバそのによしとゆるところをなしたまへ

10:13 ヨアブおのれともたみともにスリアびとにむかひてたたかはんとてちかづきければスリアびとかれのまへよりにげたり

10:14 アンモンの子孫ひとびとスリアびとにげたるをまた自己おのれもアビシヤイのまへよりにげ城邑まちにいりぬヨアブすなはちアンモンの子孫ひとびとところよりかへりてエルサレムにいたる

10:15 スリアびとそのイスラエルのまへにやぶれたるをともにあつまれり

10:16 ハダデゼルひとをやりてかは前岸むかふにをるスリアびとひきいだしてみなヘラムにきたらしむハダデゼルのぐんかしらシヨバクかれらをひきゐたり

10:17 そのことダビデにきこえければかれイスラエルをことごとあつめてヨルダンをわたりてヘラムにきたれりスリアびとダビデにむかひてそなこれたたか

10:18 スリアびとイスラエルのまへよりにげければダビデ、スリアの兵車いくさぐるまひとひやく騎兵きへいまんころまたそのぐんかしらシヨバクをうちてこれを其所そこしなしめたり

10:19 ハダデゼルのしんなる王等わうたちそのイスラエルのまへにやぶれたるをてイスラエルと平和やはらぎをなしてこれつかへたりかくスリアびとおそれてふたたびアンモンの子孫ひとびとたすくることをせざりき

  第11章

11:1 としかへりて王等わうたちたたかひいづときにおよびてダビデ、ヨアブおよび自己おのれ臣僕けらいならびにイスラエルのぜんぐんつかはせり彼等かれらアンモンの子孫ひとびとほろぼしてラバをかこめりされどダビデはエルサレムにとどまりぬ

11:2 ここゆふぐれにダビデそのとこよりきいでてわういへ屋蓋やねのうへにあゆみしが屋蓋やねより一人ひとり婦人をんなからだをあらふをたりそのをんなるにはなはうつく

11:3 ダビデひとつかはして婦人をんなさぐらしめしにあるひといふこれはエリアムのむすめハテシバにてヘテびとウリヤのつまなるにあらずやと

11:4 ダビデすなは使者つかひつかはしてそのをんなをんなかれきたりてかれをんないねたりしかしてをんなその不潔けがれきよめていへかへりぬ

11:5 かくてをんなはらみければひとをつかはしてダビデにつげていひけるはわがはらめりと

11:6 ここにおいてダビデひとをヨアブにつかはしてヘテびとウリヤをわれつかはせといひければヨアブ、ウリヤをダビデにつかはせり

11:7 ウリヤ、ダビデにいたりしかばダビデこれにヨアブの如何いかなるとたみ如何いかなると戰爭たたかひ如何いかなるを

11:8 しかしてダビデ、ウリヤにいひけるはなんぢいへくだりてあしあらへとウリヤわういへいづるにわう贈物おくりものそのうしろしたがひてきたる

11:9 されどウリヤはわういへもんそのしゆしもべとともにいねておのれのいへにくだりいたらず

11:10 人々ひとびとダビデにつげてウリヤそのいへにくだりいたらずといひければダビデ、ウリヤにいひけるはなんぢたびをなしてきたれるにあらずや何故なにゆゑ自己おのれいへにくだらざるや

11:11 ウリヤ、ダビデにいひけるははことイスラエルとユダは小屋こやうちとどまりわがしゆヨアブとわがしゆけらいおもてぢんるにわれいかでわがいへにゆきてくらのみしまたつまいねべけけんやなんぢいくまたなんぢ霊魂たましひわれ此事このことをなさじ

11:12 ダビデ、ウリヤにいふ今日けふここにとどまれ明日あすわれなんぢさらしめんとウリヤそのつぎエルサレムにとどまりしが

11:13 ダビデかれをめしそのまへにのみせしめダビデかれをゑはしめたりよひにいたりてかれいでそのとこそのしゆしもべともいねたりされどおのれのいへにはくだりゆかざりき

11:14 あさにおよびてダビデ、ヨアブヘのふみしたためてこれをウリヤのによりておくれり

11:15 ダビデそのふみしるしていはくなんぢらウリヤをはげしきたたかひ先鉾さきにいだしてかれのうしろより退しりぞきてかれをして戰死うちじにせしめよ

11:16 ここにおいてヨアブ城邑まちうかがひてウリヤをばその勇士ゆうしるとところおけ

11:17 城邑まちひといでてヨアブとたたかひしかばダビデのけらいうち數人すうにんたふれヘテびとウリヤも

11:18 ヨアブひとをつかはしていくさことことごとくダビデにげしむ

11:19 ヨアブその使者つかひめいじていひけるはなんぢいくさことみなわうかたをへしとき

11:20 わうもしいかりをおこしてなんぢなんぢらなんぞたたかはんとて城邑まちちかづきしやなんぢらはかれらが石墻いしがきうへよりることをらざりしや

11:21 ヱルベセテのアビメレクをうちものたれなるや一人ひとりをんな石垣いしがきうへよりうすうはいしなげかれをテベツにころせしにあらずやなんなんぢ城垣いじがきちかづきしやとはばなんぢいふべしなんぢけらいヘテびとウリヤもまたしねりと

11:22 使者つかひゆきてダビデにいたりヨアブがつかはしたるところのことをことごとくげたり

11:23 使者つかひダビデにいひけるはてき我儕われらごはかりしが城外そとにいでて我儕われらにいたりしかば我儕われらこれにせまりてもんいりくちにまでいたれり

11:24 とき射手いてもの城垣いしがきうへよりなんぢけらいたりければわうけらいあるものまたなんぢけらいヘテびとウリヤもしねりと

11:25 ダビデ使者つかひにいひけるはかくなんぢヨアブにいふべし此事このことうれふるなかれ刀劍かたなこれをもかれをもおなじくころすなりつよ城邑まちせめたたかこれおとしいるべしとなんぢかくヨアブをはげますべし

11:26 ウリヤのつまそのをつとウリヤのしにたるをききをつとのために悲哀かなしめ

11:27 そのすぎときダビデひとつかはしてかれをおのれのいへめしいるかれすなはちそのつまとなりて男子をとこのこうめただしダビデのなしたる此事このことはヱホバのあしかりき

  第12章

12:1 ヱホバ、ナタンをダビデにつかはしたまへばかれダビデにいたりてこれにいひけるはひとつまち二箇ふたりひとありひとりとみひとりまづ

12:2 その富者とめるものはなはおほくのひつじうしもて

12:3 されど貧者まづしきものただ自己おのれかひそだてたるひとつちひさひつじほかなにをももたざりきそのひつじかれおよびかれの子女こどもとともに生長そだちかれの食物くひものくらひかれのわんみまたかれふところいねかれには女子むすめのごとくなりき

12:4 とき一人ひとり旅人たびびとそのとめひともときたりけるがかれおのれのひつじうしうちりてそのおのれにきたれる旅人たびびとのためににるをしみてかのまづしひとひつじりてこれをおのれにきたれるひとのためにたり

12:5 ダビデ其人そのひとことおほいいかりてナタンにいひけるはヱホバはまことこれをなしたるひとしぬべきなり

12:6 かつかれ此事このことをなしたるにりまた憐憫あはれまざりしによりてそのひつじばいになしてつくなふべし

12:7 ナタン、ダビデにいひけるはなんぢ其人そのひとなりイスラエルのかみヱホバかくいひたまふわれなんぢあぶらそそいでイスラエルのわうとなしわれなんぢをサウルのよりすくひいだし

12:8 なんぢなんぢ主人しゆじんいへをあたへなんぢ主人しゆじん諸妻つまたちなんぢふところあたへまたイスラエルとユダのいへなんぢあたへたりすくなからばわれなんぢ種々いろいろものましくはへしならん

12:9 なんなんぢヱホバのことば藐視かろんじてそののまへにあくをなせしやなんぢ刃劍かたなをもてヘテびとウリヤをころそのつまをとりてなんぢつまとなせりすなはちアンモンの子孫ひとびとかたなをもてかれきりころせり

12:10 なんぢわれかろんじてヘテびとウリヤのつまをとりなんぢつまとなしたるによりかたな何時いつまでもなんぢいへはなるることなかるべし

12:11 ヱホバかくいひたまふわれなんぢいへうちよりなんぢうへわざはひおこすべしわれなんぢ諸妻つまらなんぢのまへにとりなんぢ隣人となりあたへん其人そのひとこののまへにてなんぢ諸妻つまらとともにいね

12:12 なんぢひそかことをなしたれどわれはイスラエルのひとびとのまへとのまへに此事このことをなすべければなりと

12:13 ダビデ、ナタンにいふわれヱホバにつみをかしたりナタン、ダビデにいひけるはヱホバまたなんぢつみのぞきたまへりなんぢしなざるべし

12:14 されどなんぢこの所行わざによりてヱホバのてきおほいなるののし機會をりあたへたればなんぢうまれしそのかならしぬべしと

12:15 かくてナタンそのいへにかへれり ここにヱホバ、ウリヤのつまがダビデにうめうちたまひければいためり

12:16 ダビデそののためにかみこひもとすなはちダビデ斷食だんじきして終夜よもすがらしたり

12:17 ダビデのいへとしよりたちかれかたはらちてかれをよりたたしめんとせしかどもかれがへんぜずまたかれらとともにしよくなさざりき

12:18 第七日なぬかめそのしねりダビデのしもべそのしにたることをダビデにつぐることをおそれたりかれらいひけるはなほいけあひだ我儕われらかれいひたりしにかれ我儕われらことばききいれざりき如何いかんかれそのしにたるをぐべけんやかれがいなさんと

12:19 しかるにダビデそのしもべ私語ささやくをてダビデそのしにたるをさとれりダビデすなはそのしもべしにたるやといひければかれらしねりといふ

12:20 ここにおいてダビデよりおきあがりあらあぶらをぬりその衣服ころもかへてヱホバのいへにいりてはい自己おのれいへいたもとめておのれのためにしよくそなへしめてくらへり

12:21 しもべかれにいひけるはなんぢがなせるところ何事なにごとなるやなんぢいけるあひだはこれがために斷食だんじきしてきながらしねときなんぢおきしよくすと

12:22 ダビデいひけるは嬰孩なほいけるあひだにわが斷食だんじきしてきたるはわれたれかヱホバのわれあはれれみてこのいかしめたまふをしらんとおもひたればなり

12:23 されどいましにたればわれなんぞ斷食だんじきすべけんやわれふたたびかれをかへらしむるをんやわれかれのところゆくべけれどかれわれところにかへらざるべし

12:24 ダビデそのつまバテシバをなぐさめかれのところにいりてかれとともにいねたりければかれ男子をとこのこうめりダビデそのをソロモンとぶヱホバこれをあいしたまひて

12:25 預言者よげんしやナタンをつかはしそのをヱホバのゆゑによりてヱデデア(ヱホバのあいするもの)となづけしめたまふ

12:26 ここにヨアブ、アンモンの子孫ひとびとのラバをめて王城みやこれり

12:27 ヨアブ使者つかひをダビデにつかはしていひけるはわれラバをせめみづまちれり

12:28 さればなんぢいまのこりたみあつこのまちむかひぢんどりてこれおそらくはわれこのまちとりひとわがをもてこれよぶにいたらんと

12:29 ここにおいてダビデたみことごとくあつめてラバにゆきせめこれとれ

12:30 しかしてダビデ、アンモンわうかんむりそのかうべよりとりはなしたりそのきんおもさいちタラントなりまたはうせきいれたりこれをダビデのかうべおくダビデそのまち掠取物ぶんどりものはなはおほもちいだせり

12:31 かくてダビデそのうちたみひきいだしてこれをのこぎりてつ千歯せんばてつをのにてりまた瓦陶かはらやきがまなか通行とほらしめたりかれかくのごとくアンモンの子孫ひとびとすべての城邑まちになせりしかしてタビデとたみみなエルサレムにかへりぬ

  第13章

13:1 こののちダビデのアブサロムにタマルとなづくるうつくしきいもうとありしがダビデのアムノンこれをひたり

13:2 アムノンこころくるしめてつひその姉妹しまいタマルのためにわづらへりはタマルは處女をとめなりければアムノンかれに何事なにごとをもしがたしとおもひたればなり

13:3 しかるにアムノンに一人ひとり朋友ともありダビデの兄弟きやうだいシメアのにしてそのをヨナダブといふヨナダブにはなは有智かしこひとなり

13:4 かれアムノンにいひけるはなんぢわうなんぞやせゆくやなんぢわれつげざるやアムノンかれにいひけるはわれわが兄弟きやうだいアブサロムのいもうとタマルを

13:5 ヨナダブかれにいひけるはとこふしやまひいつはなんぢちちきたりてなんぢときこれにいへふわがいもうとタマルをしてきたりてわれしよくあたへしめわがかれよりくらふことをうるやうにわがのまへにて食物しよくもつ調理ととのへしめよと

13:6 アムノンすなはちしてやまひいつはりしがわうきたりておのれをときアムノンわうにいひけるはわがいもうとタマルをしてきたりてわがのまへにてふたつくわこしらへしめてわれにかれのよりくらふことをさしめよと

13:7 ここにおいてダビデ、タマルのいへにいひつかはしけるはなんぢあにアムノンのいへにゆきてかれのために食物しよくもつ調理ととのへよと

13:8 タマルそのあにアムノンのいへにいたるにアムノンはたりタマルすなはこなをとりてこれこねてかれののまへにて菓子くわしこしらその菓子くわし

13:9 なべとりかれのまへに傾出あけたりしかれどもかれくらふことをいなめりしかしてアムノンいひけるはなんぢみなわれはなれていでよとみなかれをはなれていでたり

13:10 アムノン、タマルにいひけるは食物しよくもつ寝室ねやもちきたれわれなんぢよりくらはんとタマルすなはおのれつくりたる菓子くわしりて寝室ねやもちゆきてそのあにアムノンにいたる

13:11 タマルかれくらはしめんとてちかもちいたれるときかれタマルをとらへてこれにいひけるはいもうときたりてわれいね

13:12 タマルかれにいひけるいなあにうへわれはづかしむるなかれかくのごときことはイスラエルにおこなはれずなんぢこのおろかなることをなすべからず

13:13 われ何處いづくにわが恥辱はぢすてんかなんぢはイスラエルのじん一人ひとりとなるべしさればわうかたかれわれなんぢあたへざることなかるべしと

13:14 しかれどもアムノンそのことばきかずしてタマルよりもちからありければタマルをはづかしめてこれとともいねたりしが

13:15 つひにアムノンはなはふかくタマルをにくむにいたるそのかれをにくところにくみはかれをひたるところのこひよりもおほいなりすなはちアムノンかれにいひけるはたちけよ

13:16 かれアムノンにいひけるはわれかへしてこのあくつくるなかれなんぢがさきにわれになしたるところあくよりもおほいなりとしかれどもききいれず

13:17 そのそばつかふる少者わかものよびていひけるはなんぢこのをんなをわがもとよりおくりいだしてそのあと?とざせと

13:18 タマルふりそでゐたりわう女等ひめたち處女をとめなるものはかくのごとき衣服ころもをもてよそほひたりアムノンの侍者そばづかへかれをそとにいだしてそのあと?とざせり

13:19 タマルはひそのかうべかむたるふりそでかうべにのせてよばはりつつさりゆけり

13:20 そのあにアブサロムかれにいひけるはなんぢあにアムノンなんぢともありしやされいもうともくせよかれなんぢあになり此事このことこころとむるなかれとかくてタマルはそのあにアブサロムのいへさみしくれり

13:21 ダビデわう是等これらことことごとききはなはいかれり

13:22 アブサロムはアムノンにむかひてよきあしきもいはざりきはアブサロム、アムノンをにくみたればたりはかれがおのれのいもうとタマルをはづかしめたるによれ

13:23 まるねんのちアブサロム、エフライムのほとりなるバアルハゾルにてひつじきらしめわう諸子こたちことごとまねけり

13:24 アブサロムわうもとにいりていひけるはしもべひつじきらしめをるねがはくはわうわうしもべたちしもべとともにきたりたまへ

13:25 わうアブサロムにいひけるはいなわが我儕われらみないたらしむるなかれおそらくはなんぢつひえおほくせんアブサロム、ダビデをふしかれどもダビデゆくことをがへんぜずしてかれしゆくせり

13:26 アブサロムいひけるはもししからずばふわがあにアムノンをしてわれらとともにきたらしめよわうかれにいひけるはかれなんぞなんぢとともにゆくべけんやと

13:27 されどアブサロムかれをしひければアムノンとわう諸子こたちみなアブサロムとともにゆかしめたり

13:28 ここにアブサロムその少者わかものめいじていひけるはなんぢらアムノンのこころさけによりてたのしときすましてわが汝等なんぢらにアムノンをてとときかれころおそるるなかれ汝等なんぢらこれめいじたるはわれにあらずやなんぢいさましくたけくなれと

13:29 アブサロムの少者わかものアブサロムのめいぜしごとくアムノンになしければわう諸子こたちみなたちおのおのその騾馬うまのりにげたり

13:30 彼等かれらみちにあるときふうぶんダビデにいたりていはくアブサロムわう諸子こたちことごところして一人ひとりのこるものなしと

13:31 わうすなはそのころもきてその臣僕しもべみなころもそのそばにたてり

13:32 ダビデの兄弟きやうだいシメアのヨナダブこたへていひけるはわがしゆわう御子みこたちなる少年せうねんみなころしたりとおもひたまふなかれアムノンひとしねるのみかれがアブサロムのいもうとタマルをはづかしめたるよりアブサロム此事このことをさだめおきたるなり

13:33 さればわがしゆわうわう御子みこたちみなしねりといひて此事このことをおもひわづらひたまふなかれアムノンひとりしにたるなればなりと

13:34 かくてアブサロムはのがれたりここ守望うかがひゐたる少者わかものをあげてたるにやまわきよりしておのれうしろみちよりおほくのひときたれり

13:35 ヨナダブわうにいひけるはわう御子みこたちきたしもべのいへるがごとくしかりと

13:36 かれかたることををへときわう子等こたちきたこゑをあげてなけわうそのしもべみなおほいいたなけ

13:37 さてアブサロムはにげてゲシユルのわうアミホデのタルマイにいたるダビデは日々ひびそののためにかなしめり

13:38 アブサロムにげてゲシユルにゆき三ねん彼處かしこたり

13:39 ダビデわうアブサロムにあはんとおもわづらふはアムノンはしにたるによりてダビデかれのことはあきらめたればなり