74:1 神かみよ、なぜ、われらをとこしえに捨すてられるのですか。なぜ、あなたの牧まきの羊ひつじに怒いかりを燃もやされるのですか。

74:2 昔むかしあなたが手てに入いれられたあなたの公会こうかい、すなわち、あなたの嗣し業ぎょうの部族ぶぞくとなすためにあがなわれたものを思おもい出だしてください。あなたが住すまわれたシオンの山やまを思おもい出だしてください。

74:3 とこしえの滅ほろびの跡あとに、あなたの足あしを向むけてください。敵てきは聖所せいじょで、すべての物ものを破壊はかいしました。

74:4 あなたのあだは聖所せいじょの中なかでほえさけび、彼かれらのしるしを立たてて、しるしとしました。

74:5 彼かれらは上うえの入口いりぐちでは、おのをもって木きの格子こうし垣かきを切きり倒たおしました。

74:6 また彼かれらは手ておのと鎚つちとをもって聖所せいじょの彫ほり物ものをことごとく打うち落おとしました。

74:7 彼かれらはあなたの聖所せいじょに火ひをかけ、み名なのすみかをけがして、地ちに倒たおしました。

74:8 彼かれらは心こころのうちに言いいました、「われらはことごとくこれを滅ほろぼそう」と。彼かれらは国くにのうちの神かみの会堂かいどうをことごとく焼やきました。

74:9 われらは自分じぶんたちのしるしを見みません。預言者よげんしゃも今いまはいません。そしていつまで続つづくのか、われらのうちには、知しる者ものがありません。

74:10 神かみよ、あだはいつまであざけるでしょうか。敵てきはとこしえにあなたの名なをののしるでしょうか。

74:11 なぜあなたは手てを引ひかれるのですか。なぜあなたは右みぎの手てをふところに入いれておかれるのですか。

74:12 神かみはいにしえからわたしの王おうであって、救すくいを世よの中なかに行おこなわれた。

74:13 あなたはみ力ちからをもって海うみをわかち、水みずの上うえの龍りゅうの頭あたまを砕くだかれた。

74:14 あなたはレビヤタンの頭あたまをくだき、これを野のの獣けものに与あたえてえじきとされた。

74:15 あなたは泉いずみと流ながれとを開ひらき、絶たえず流ながれるもろもろの川かわをからされた。

74:16 昼ひるはあなたのもの、夜よるもまたあなたのもの。あなたは光ひかりと太陽たいようとを設もうけられた。

74:17 あなたは地ちのもろもろの境さかいを定さだめ、夏なつと冬ふゆとを つくられた。

74:18 主しゅよ、敵てきはあなたをあざけり、愚おろかな民たみはあなたのみ名なをののしります。この事ことを思おもい出だしてください。

74:19 どうかあなたのはとの魂たましいを野のの獣けものにわたさないでください。貧まずしい者もののいのちをとこしえに忘わすれないでください。

74:20 あなたの契約けいやくをかえりみてください。地ちの暗くらい所ところは暴力ぼうりょくのすまいで満みちています。

74:21 しえたげられる者ものを恥はじさせないでください。貧まずしい者ものと乏とぼしい者ものとにみ名なをほめたたえさせてください。

74:22 神かみよ、起おきてあなたの訴うったえをあげつらい、愚おろかな者もののひねもすあなたをあざけるのをみこころにとめてください。

74:23 あなたのあだの叫さけびを忘わすれないでください。あなたの敵てきの絶たえずあげる騒さわぎを忘わすれないでください。 

75:1 神かみよ、われらはあなたに感謝かんしゃします。われらは感謝かんしゃします。われらはあなたのみ名なを呼よび、あなたのくすしきみわざを語かたります。

75:2 定さだまった時ときが来くれば、わたしは公平こうへいをもってさばく。

75:3 地ちとすべてこれに住すむものがよろめくとき、わたしはその柱はしらを堅かたくする。〔セラ

75:4 わたしは、誇ほこる者ものには「誇ほこるな」と言いい、悪あしき者ものには「角つのをあげるな、

75:5 角つのを高たかくあげるな、高慢こうまんな態度たいどをもって語かたるな」と言いう。

75:6 上あげることは東ひがしからでなく、西にしからでなく、また荒野あらのからでもない。

75:7 それはさばきを行おこなわれる神かみであって、神かみはこれを下さげ、かれを上あげられる。

75:8 主しゅの手てには杯さかずきがあって、よく混まぜた酒さけがあわだっている。主しゅがこれを注そそぎ出だされると、地ちのすべての悪あしき者ものはこれを一滴いってきも残のこさずに飲のみつくすであろう。

75:9 しかしわたしはとこしえに喜よろこび、ヤコブの神かみをほめうたいます。

75:10 悪あしき者ものの角つのはことごとく切きり離はなされるが正ただしい者ものの角つのはあげられるであろう。 

76:1 神かみはユダに知しられ、そのみ名なはイスラエルにおいて偉大いだいである。

76:2 その幕屋まくやはサレムにあり、そのすまいはシオンにある。

76:3 かしこで神かみは弓ゆみの火矢ひやを折おり、盾たてとつるぎと戦たたかいの武器ぶきをこわされた。〔セラ

76:4 あなたは永久えいきゅうの山々やまやまにまさって光栄こうえいあり、威厳いげんがある。

76:5 雄々おおしい者ものはかすめられ、彼かれらは眠ねむりに沈しずみ、いくさびとは皆みなその手てを施ほどこすことができなかった。

76:6 ヤコブの神かみよ、あなたのとがめによって、乗のり手てと馬うまとは深ふかい眠ねむりに陥おちいった。

76:7 しかし、あなたこそは恐おそるべき方かたである。あなたが怒いかりを発はっせられるとき、だれがみ前まえに立たつことができよう。

76:8 76:9 あなたは天てんからさばきを仰おおせられた。神かみが地ちのしえたげられた者ものを救すくうために、さばきに立たたれたとき、地ちは恐おそれて、沈黙ちんもくした。〔セラ

76:10 まことに人ひとの怒いかりはあなたをほめたたえる。怒いかりの余あまりをあなたは帯おびとされる。

76:11 あなたがたの神かみ、主しゅに誓ちかいを立たてて、それを償つぐなえ。その周囲しゅういのすべての者ものは恐おそるべき主しゅに贈おくり物ものをささげよ。

76:12 主しゅはもろもろの君きみたちのいのちを断たたれる。主しゅは地ちの王おうたちの恐おそるべき者ものである。 

77:1 わたしは神かみにむかい声こえをあげて叫さけぶ。わたしが神かみにむかって声こえをあげれば、神かみはわたしに聞きかれる。

77:2 わたしは悩なやみの日ひに主しゅをたずね求もとめ、夜よるはわが手てを伸のべてたゆむことなく、わが魂たましいは慰なぐさめられるのを拒こばむ。

77:3 わたしは神かみを思おもうとき、嘆なげき悲かなしみ、深ふかく思おもうとき、わが魂たましいは衰おとろえる。〔セラ

77:4 あなたはわたしのまぶたをささえて閉とじさせず、わたしは物言ものいうこともできないほどに悩なやむ。

77:5 わたしは昔むかしの日ひを思おもい、いにしえの年としを思おもう。

77:6 わたしは夜よる、わが心こころと親したしく語かたり、深ふかく思おもうてわが魂たましいを探さぐり、言いう、

77:7 「主しゅはとこしえにわれらを捨すてられるであろうか。ふたたび、めぐみを施ほどこされないであろうか。

77:8 そのいつくしみはとこしえに絶たえ、その約束やくそくは世々よよながくすたれるであろうか。

77:9 神かみは恵めぐみを施ほどこすことを忘わすれ、怒いかりをもってそのあわれみを閉とじられたであろうか」と。〔セラ

77:10 その時ときわたしは言いう、「わたしの悲かなしみはいと高たかき者ものの右みぎの手てが変かわったことである」と。

77:11 わたしは主しゅのみわざを思おもい起おこす。わたしは、いにしえからのあなたのくすしきみわざを思おもいいだす。

77:12 わたしは、あなたのすべてのみわざを思おもい、あなたの力ちからあるみわざを深ふかく思おもう。

77:13 神かみよ、あなたの道みちは聖せいである。われらの神かみのように大おおいなる神かみはだれか。

77:14 あなたは、くすしきみわざを行おこなわれる神かみである。あなたは、もろもろの民たみの間あいだに、その大能たいのうをあらわし、

77:15 その腕うでをもっておのれの民たみをあがない、ヤコブとヨセフの子こらをあがなわれた。〔セラ

77:16 神かみよ、大水おおみずはあなたを見みた。大水おおみずはあなたを見みておののき、淵ふちもまた震ふるえた。

77:17 雲くもは水みずを注そそぎいだし、空そらは雷かみなりをとどろかし、あなたの矢やは四方しほうにきらめいた。

77:18 あなたの雷かみなりのとどろきは、つむじ風かぜの中なかにあり、あなたのいなずまは世よを照てらし、地ちは震ふるい動うごいた。

77:19 あなたの大路おおじは海うみの中なかにあり、あなたの道みちは大水おおみずの中なかにあり、あなたの足跡あしあとはたずねえなかった。

77:20 あなたは、その民たみをモーセとアロンの手てによって羊ひつじの群むれのように導みちびかれた。 

78:1 わが民たみよ、わが教おしえを聞きき、わが口くちの言葉ことばに耳みみを傾かたむけよ。

78:2 わたしは口くちを開ひらいて、たとえを語かたり、いにしえからの、なぞを語かたろう。

78:3 これはわれらがさきに聞きいて知しったこと、またわれらの先祖せんぞたちがわれらに語かたり伝つたえたことである。

78:4 われらはこれを子孫しそんに隠かくさず、主しゅの光栄こうえいあるみわざと、その力ちからと、主しゅのなされたくすしきみわざとをきたるべき代よに告つげるであろう。

78:5 主しゅはあかしをヤコブのうちにたて、おきてをイスラエルのうちに定さだめて、その子孫しそんに教おしえうべきことをわれらの先祖せんぞたちに命めいじられた。

78:6 これは次つぎの代よに生うまれる子孫しそんがこれを知しり、みずから起おこって、そのまた子孫しそんにこれを伝つたえ、

78:7 彼かれらをして神かみに望のぞみをおき、神かみのみわざを忘わすれず、その戒いましめを守まもらせるためである。

78:8 またその先祖せんぞたちのようにかたくなで、そむく者もののやからとなり、その心こころが定さだまりなく、その魂たましいが神かみに忠実ちゅうじつでないやからとならないためである。

78:9 エフライムの人々ひとびとは武装ぶそうし、弓ゆみを携たずさえたが、戦たたかいの日ひに引ひき返かえした。

78:10 彼かれらは神かみの契約けいやくを守まもらず、そのおきてにしたがって歩あゆむことを拒こばみ、

78:11 神かみがなされた事ことと、彼かれらに示しめされたくすしきみわざとを忘わすれた。

78:12 神かみはエジプトの地ちと、ゾアンの野のでくすしきみわざを彼かれらの先祖せんぞたちの前まえに行おこなわれた。

78:13 神かみは海うみを分わけて彼かれらを通とおらせ、水みずを立たたせて山やまのようにされた。

78:14 昼ひるは雲くもをもって彼かれらを導みちびき、夜よるは、よもすがら火ひの光ひかりをもって彼かれらを導みちびかれた。

78:15 神かみは荒野あらので岩いわを裂さき、淵ふちから飲のむように豊ゆたかに彼かれらに飲のませ、

78:16 また岩いわから流ながれを引ひいて、川かわのように水みずを流ながれさせられた。

78:17 ところが彼かれらはなお神かみにむかって罪つみをかさね、荒野あらのでいと高たかき者ものにそむき、

78:18 おのが欲よくのために食物しょくもつを求もとめて、その心こころのうちに神かみを試こころみた。

78:19 また彼かれらは神かみに逆さからって言いった、「神かみは荒野あらのに宴うたげを設もうけることができるだろうか。

78:20 見みよ、神かみが岩いわを打うたれると、水みずはほとばしりいで、流ながれがあふれた。神かみはまたパンを与あたえることができるだろうか。民たみのために肉にくを備そなえることができるだろうか」と。

78:21 それゆえ、主しゅは聞きいて憤いきどおられた。火ひはヤコブにむかって燃もえあがり、怒いかりはイスラエルにむかって立たちのぼった。

78:22 これは彼かれらが神かみを信しんぜず、その救すくいの力ちからを信用しんようしなかったからである。

78:23 しかし神かみは上うえなる大空おおぞらに命めいじて天てんの戸とを開ひらき、

78:24 彼かれらの上うえにマナを降ふらせて食たべさせ、天てんの穀物こくもつを彼かれらに与あたえられた。

78:25 人ひとは天使てんしのパンを食たべた。神かみは彼かれらに食物しょくもつをおくって飽あき足たらせられた。

78:26 神かみは天てんに東風ひがしかぜを吹ふかせ、み力ちからをもって南風みなみかぜを導みちびかれた。

78:27 神かみは彼かれらの上うえに肉にくをちりのように降ふらせ、翼つばさある鳥とりを海うみの砂すなのように降ふらせて、

78:28 その宿営しゅくえいのなか、そのすまいのまわりに落おとされた。

78:29 こうして彼かれらは食たべて、飽あき足たることができた。神かみが彼かれらにその望のぞんだものを与あたえられたからである。

78:30 ところが彼かれらがまだその欲よくを離はなれず、食物しょくもつがなお口くちの中なかにあるうちに、

78:31 神かみの怒いかりが彼かれらにむかって立たちのぼり、彼かれらのうちの最もっとも強つよい者ものを殺ころし、イスラエルのうちのえり抜ぬきの者ものを打うち倒たおされた。

78:32 すべてこれらの事ことがあったにもかかわらず、彼かれらはなお罪つみを犯おかし、そのくすしきみわざを信しんじなかった。

78:33 それゆえ神かみは彼かれらの日ひを息いきのように消きえさせ、彼かれらの年としを恐おそれをもって過すごさせられた。

78:34 神かみが彼かれらを殺ころされたとき、彼かれらは神かみをたずね、悔くいて神かみを熱心ねっしんに求もとめた。

78:35 こうして彼かれらは、神かみは彼かれらの岩いわ、いと高たかき神かみは彼かれらのあがないぬしであることを思おもい出だした。

78:36 しかし彼かれらはその口くちをもって神かみにへつらい、その舌したをもって神かみに偽いつわりを言いった。

78:37 彼かれらの心こころは神かみにむかって堅実けんじつでなく、神かみの契約けいやくに真実しんじつでなかった。

78:38 しかし神かみはあわれみに富とまれるので、彼かれらの不義ふぎをゆるして滅ほろぼさず、しばしばその怒いかりをおさえて、その憤いきどおりをことごとくふり起おこされなかった。

78:39 また神かみは、彼かれらがただ肉にくであって、過すぎ去されば再ふたたび帰かえりこぬ風かぜであることを思おもい出だされた。

78:40 幾いくたび彼かれらは野ので神かみにそむき、荒野あらので神かみを悲かなしませたことであろうか。

78:41 彼かれらはかさねがさね神かみを試こころみ、イスラエルの聖者せいじゃを怒いからせた。

78:42 彼かれらは神かみの力ちからをも、神かみが彼かれらをあだからあがなわれた日ひをも思おもい出ださなかった。

78:43 神かみはエジプトでもろもろのしるしをおこない、ゾアンの野のでもろもろの奇跡きせきをおこない、

78:44 彼かれらの川かわを血ちに変かわらせて、その流ながれを飲のむことができないようにされた。

78:45 神かみははえの群むれを彼かれらのうちに送おくって彼かれらを食くわせ、かえるを送おくって彼かれらを滅ほろぼされた。

78:46 また神かみは彼かれらの作物さくもつを青虫あおむしにわたし、彼かれらの勤労きんろうの実みをいなごにわたされた。

78:47 神かみはひょうをもって彼かれらのぶどうの木きを枯からし、霜しもをもって彼かれらのいちじく桑くわの木きを枯からされた。

78:48 神かみは彼かれらの家畜かちくをひょうにわたし、彼かれらの群むれを燃もえるいなずまにわたされた。

78:49 神かみは彼かれらの上うえに激はげしい怒いかりと、憤いきどおりと、恨うらみと、悩なやみと、滅ほろぼす天使てんしの群むれとを放はなたれた。

78:50 神かみはその怒いかりのために道みちを設もうけ、彼かれらの魂たましいを死しから免まぬかれさせず、そのいのちを疫病えきびょうにわたされた。

78:51 神かみはエジプトですべてのういごを撃うち、ハムの天幕てんまくで彼かれらの力ちからの初はじめの子こを撃うたれた。

78:52 こうして神かみはおのれの民たみを羊ひつじのように引ひき出だし、彼かれらを荒野あらので羊ひつじの群むれのように導みちびき、

78:53 彼かれらを安やすらかに導みちびかれたので彼かれらは恐おそれることがなかった。しかし海うみは彼かれらの敵てきをのみつくした。

78:54 神かみは彼かれらをその聖地せいちに伴ともない、その右みぎの手てをもって獲えたこの山やまに伴ともないこられた。

78:55 神かみは彼かれらの前まえからもろもろの国民くにたみを追おい出だし、その地ちを分わけて嗣し業ぎょうとし、イスラエルの諸しょ族ぞくを彼かれらの天幕てんまくに住すまわせられた。

78:56 しかし彼かれらはいと高たかき神かみを試こころみ、これにそむいて、そのもろもろのあかしを守まもらず、

78:57 そむき去さって、先祖せんぞたちのように真実しんじつを失うしない、狂くるった弓ゆみのようにねじれた。

78:58 彼かれらは高たかき所ところを設もうけて神かみを怒いからせ、刻きざんだ像ぞうをもって神かみのねたみを起おこした。

78:59 神かみは聞きいて大おおいに怒いかり、イスラエルを全まったくしりぞけられた。

78:60 神かみは人々ひとびとのなかに設もうけた幕屋まくやなるシロのすまいを捨すて、

78:61 その力ちからをとりことならせ、その栄光えいこうをあだの手てにわたされた。

78:62 神かみはその民たみをつるぎにわたし、その嗣し業ぎょうにむかって大おおいなる怒いかりをもらされた。

78:63 火ひは彼かれらの若者わかものたちを焼やきつくし、彼かれらのおとめたちは婚姻こんいんの歌うたを失うしない、

78:64 彼かれらの祭司さいしたちはつるぎによって倒たおれ、彼かれらのやもめたちは嘆なげき悲かなしむことさえしなかった。

78:65 そのとき主しゅは ねむった者もののさめたように、勇士ゆうしが酒さけによって叫さけぶように目めをさまして、

78:66 そのあだを撃うち退しりぞけ、とこしえの恥はじを彼かれらに負おわせられた。

78:67 神かみはヨセフの天幕てんまくをしりぞけ、エフライムの部族ぶぞくを選えらばず、

78:68 ユダの部族ぶぞくを選えらび、神かみの愛あいするシオンの山やまを選えらばれた。

78:69 神かみはその聖所せいじょを高たかい天てんのように建たて、とこしえに基もといを定さだめられた地ちのように建たてられた。

78:70 神かみはそのしもべダビデを選えらんで、羊ひつじのおりから取とり、

78:71 乳ちちを与あたえる雌めす羊ひつじの番ばんをするところからつれて来きて、その民たみヤコブ、その嗣し業ぎょうイスラエルの牧者ぼくしゃとされた。

78:72 こうして彼かれは直なおき心こころをもって彼かれらを牧ぼくし、巧たくみな手てをもって彼かれらを導みちびいた。 

79:1 神かみよ、もろもろの異邦人いほうじんはあなたの嗣し業ぎょうの地ちを侵おかし、あなたの聖せいなる宮みやをけがし、エルサレムを荒塚あらつかとしました。

79:2 彼かれらはあなたのしもべのしかばねを空そらの鳥とりに与あたえてえさとし、あなたの聖徒せいとの肉にくを地ちの獣けものに与あたえ、

79:3 その血ちをエルサレムのまわりに水みずのように流ながし、これを葬ほうむる人ひとがありませんでした。

79:4 われらは隣となり人びとにそしられ、まわりの人々ひとびとに侮あなどられ、あざけられる者ものとなりました。

79:5 主しゅよ、いつまでなのですか。とこしえにお怒いかりになられるのですか。あなたのねたみは火ひのように燃もえるのですか。

79:6 どうか、あなたを知しらない異邦人いほうじんと、あなたの名なを呼よばない国々くにぐにの上うえにあなたの怒いかりを注そそいでください。

79:7 彼かれらはヤコブを滅ほろぼし、そのすみかを荒あらしたからです。

79:8 われらの先祖せんぞたちの不義ふぎをみこころにとめられず、あわれみをもって、すみやかにわれらを迎むかえてください。われらは、はなはだしく低ひくくされたからです。

79:9 われらの救すくいの神かみよ、み名なの栄光えいこうのためにわれらを助たすけ、み名なのためにわれらを救すくい、われらの罪つみをおゆるしください。

79:10 どうして異邦人いほうじんは言いうのでしょう、「彼かれらの神かみはどこにいるのか」と。あなたのしもべらの流ながされた血ちの報むくいをわれらのまのあたりになして、異邦人いほうじんに知しらせてください。

79:11 捕とらわれ人びとの嘆なげきをあなたのみ前まえにいたらせ、あなたの大おおいなる力ちからにより、死しに定さだめられた者ものを守まもりながらえさせてください。

79:12 主しゅよ、われらの隣となり人びとがあなたをそしったそしりを七倍ばいにして彼かれらのふところに報むくい返かえしてください。

79:13 そうすれば、あなたの民たみ、あなたの牧まきの羊ひつじは、とこしえにあなたに感謝かんしゃし、世々よよあなたをほめたたえるでしょう。 

80:1 イスラエルの牧者ぼくしゃよ、羊ひつじの群むれのようにヨセフを導みちびかれる者ものよ、耳みみを傾かたむけてください。ケルビムの上うえに座ざせられる者ものよ、光ひかりを放はなってください。

80:2 エフライム、ベニヤミン、マナセの前まえにあなたの力ちからを振ふり起おこし、来きて、われらをお救すくいください。

80:3 神かみよ、われらをもとに返かえし、み顔かおの光ひかりを照てらしてください。そうすればわれらは救すくいをえるでしょう。

80:4 万軍ばんぐんの神かみ、主しゅよ、いつまで、その民たみの祈いのりにむかってお怒いかりになるのですか。

80:5 あなたは涙なみだのパンを彼かれらに食くわせ、多おおくの涙なみだを彼かれらに飲のませられました。

80:6 あなたはわれらを隣となり人びとのあざけりとし、われらの敵てきはたがいにあざわらいました。

80:7 万軍ばんぐんの神かみよ、われらをもとに返かえし、われらの救すくわれるため、み顔かおの光ひかりを照てらしてください。

80:8 あなたは、ぶどうの木きをエジプトから携たずさえ出だし、もろもろの国民くにたみを追おい出だして、これを植うえられました。

80:9 あなたはこれがために地ちを開ひらかれたので、深ふかく根ねざして、国くににはびこりました。

80:10 山々やまやまはその影かげでおおわれ、神かみの香柏こうはくはその枝えだでおおわれました。

80:11 これはその枝えだを海うみにまでのべ、その若わか枝えだを大川おおかわにまでのべました。

80:12 あなたは何なにゆえ、そのかきをくずして道みちゆくすべての人ひとにその実みを摘つみ取とらせられるのですか。

80:13 林はやしのいのししはこれを荒あらし、野ののすべての獣けものはこれを食たべます。

80:14 万軍ばんぐんの神かみよ、再ふたたび天てんから見みおろして、このぶどうの木きをかえりみてください。

80:15 あなたの右みぎの手ての植うえられた幹みきと、みずからのために強つよくされた枝えだとをかえりみてください。

80:16 彼かれらは火ひをもってこれを焼やき、これを切きり倒たおしました。彼かれらをみ顔かおのとがめによって滅ほろぼしてください。

80:17 しかしあなたの手てをその右みぎの手ての人ひとの上うえにおき、みずからのために強つよくされた人ひとの子この上うえにおいてください。

80:18 そうすれば、われらはあなたを離はなれ退しりぞくことはありません。われらを生いかしてください。われらはあなたのみ名なを呼よびます。

80:19 万軍ばんぐんの神かみ、主しゅよ、われらをもとに返かえし、み顔かおの光ひかりを照てらしてください。そうすればわれらは救すくいをえるでしょう。 

81:1 われらの力ちからなる神かみにむかって高たからかに歌うたえ。ヤコブの神かみにむかって喜よろこびの声こえをあげよ。

81:2 歌うたをうたい、鼓つづみを打うて。良よい音ねの琴ことと立琴たてごととをかきならせ。

81:3 新月しんげつと満月まんげつとわれらの祭まつりの日ひとにラッパを吹ふきならせ。

81:4 これはイスラエルの定さだめ、ヤコブの神かみのおきてである。

81:5 神かみが出でてエジプトの国くにを攻せめられたとき、ヨセフのなかにこれを立たてて、あかしとされた。わたしはかしこでまだ知しらなかった言葉ことばを聞きいた、

81:6 「わたしはあなたの肩かたから重荷おもにをのぞき、あなたの手てをかごから免まぬかれさせた。

81:7 あなたが悩なやんだとき、呼よばわったのでわたしはあなたを救すくった。わたしは雷かみなりの隠かくれた所ところで、あなたに答こたえ、メリバの水みずのほとりで、あなたを試こころみた。〔セラ

81:8 わが民たみよ、聞きけ、わたしはあなたに勧告かんこくする。イスラエルよ、あなたがわたしに聞きき従したがうことを望のぞむ。

81:9 あなたのうちに他たの神かみがあってはならない。あなたは外国がいこくの神かみを拝おがんではならない。

81:10 わたしはエジプトの国くにから、あなたをつれ出だしたあなたの神かみ、主しゅである。あなたの口くちを広ひろくあけよ、わたしはそれを満みたそう。

81:11 しかしわが民たみはわたしの声こえに聞きき従したがわず、イスラエルはわたしを好このまなかった。

81:12 それゆえ、わたしは彼かれらをそのかたくなな心こころにまかせ、その思おもいのままに行いくにまかせた。

81:13 わたしはわが民たみのわたしに聞きき従したがい、イスラエルのわが道みちに歩あゆむことを欲ほっする。

81:14 わたしはすみやかに彼かれらの敵てきを従したがえ、わが手てを彼かれらのあだに向むけよう。

81:15 主しゅを憎にくむ者ものも彼かれらに恐おそれ従したがい、彼かれらの時ときはとこしえに続つづくであろう。

81:16 わたしは麦むぎの最もっとも良よいものをもってあなたを養やしない、岩いわから出でた蜜みつをもってあなたを飽あかせるであろう」。 

82:1 神かみは神かみの会議かいぎのなかに立たたれる。神かみは神々かみがみのなかで、さばきを行おこなわれる。

82:2 「あなたがたはいつまで不正ふせいなさばきをなし、悪あしき者ものに好意こういを示しめすのか。〔セラ

82:3 弱よわい者ものと、みなしごとを公平こうへいに扱あつかい、苦くるしむ者ものと乏とぼしい者ものの権利けんりを擁護ようごせよ。

82:4 弱よわい者ものと貧まずしい者ものを救すくい、彼かれらを悪あしき者ものの手てから助たすけ出だせ」。

82:5 彼かれらは知しることなく、悟さとることもなくて、暗くらき中なかをさまよう。地ちのもろもろの基もといはゆり動うごいた。

82:6 わたしは言いう、「あなたがたは神かみだ、あなたがたは皆みないと高たかき者ものの子こだ。

82:7 しかし、あなたがたは人ひとのように死しに、もろもろの君きみのひとりのように倒たおれるであろう」。

82:8 神かみよ、起おきて、地ちをさばいてください。すべての国民くにたみはあなたのものだからです。 

83:1 神かみよ、沈黙ちんもくを守まもらないでください。神かみよ、何なにも言いわずに、黙だまっていないでください。

83:2 見みよ、あなたの敵てきは騒さわぎたち、あなたを憎にくむ者ものは頭あたまをあげました。

83:3 彼かれらはあなたの民たみにむかって巧たくみなはかりごとをめぐらし、あなたの保護ほごされる者ものにむかって相あいともに計はかります。

83:4 彼かれらは言いいます、「さあ、彼かれらを断たち滅ほろぼして国くにを立たてさせず、イスラエルの名なをふたたび思おもい出ださせないようにしよう」。

83:5 彼かれらは心こころをひとつにして共ともにはかり、あなたに逆さからって契約けいやくを結むすびます。

83:6 すなわちエドムの天幕てんまくに住すむ者ものとイシマエルびと、モアブとハガルびと、

83:7 ゲバルとアンモンとアマレク、ペリシテとツロの住民じゅうみんなどです。

83:8 アッスリヤもまた彼かれらにくみしました。彼かれらはロトの子孫しそんを助たすけました。〔セラ

83:9 あなたがミデアンにされたように、キション川かわでシセラとヤビンにされたように、彼かれらにしてください。

83:10 彼かれらはエンドルで滅ほろぼされ、地ちのために肥料ひりょうとなりました。

83:11 彼かれらの貴人きじんをオレブとゼエブのように、そのすべての君きみたちをゼバとザルムンナのようにしてください。

83:12 彼かれらは言いいました、「われらは神かみの牧場まきばを獲えて、われらの所有しょゆうにしよう」と。

83:13 わが神かみよ、彼かれらを巻まきあげられるちりのように、風かぜの前まえのもみがらのようにしてください。

83:14 林はやしを焼やく火ひのように、山やまを燃もやす炎ほのおのように、

83:15 あなたのはやてをもって彼かれらを追おい、つむじかぜをもって彼かれらを恐おそれさせてください。

83:16 彼かれらの顔かおに恥はじを満みたしてください。主しゅよ、そうすれば彼かれらはあなたの名なを求もとめるでしょう。

83:17 彼かれらをとこしえに恥はじ恐おそれさせ、あわて惑まどって滅ほろびうせさせてください。

83:18 主しゅという名なをおもちになるあなたのみ、全ぜん地ちをしろしめすいと高たかき者ものであることを彼かれらに知しらせてください。 

84:1 万軍ばんぐんの主しゅよ、あなたのすまいはいかに麗うるわしいことでしょう。

84:2 わが魂たましいは絶たえいるばかりに主しゅの大庭おおにわを慕したい、わが心こころとわが身みは生いける神かみにむかって喜よろこび歌うたいます。

84:3 すずめがすみかを得え、つばめがそのひなをいれる巣すを得えるように、万軍ばんぐんの主しゅ、わが王おう、わが神かみよ、あなたの祭壇さいだんのかたわらにわがすまいを得えさせてください。

84:4 あなたの家いえに住すみ、常つねにあなたをほめたたえる人ひとはさいわいです。〔セラ

84:5 その力ちからがあなたにあり、その心こころがシオンの大路おおじにある人ひとはさいわいです。

84:6 彼かれらはバカの谷たにを通とおっても、そこを泉いずみのある所ところとします。また前まえの雨あめは池いけをもってそこをおおいます。

84:7 彼かれらは力ちからから力ちからに進すすみ、シオンにおいて神々かみがみの神かみにまみえるでしょう。

84:8 万軍ばんぐんの神かみ、主しゅよ、わが祈いのりをおききください。ヤコブの神かみよ、耳みみを傾かたむけてください。〔セラ

84:9 神かみよ、われらの盾たてをみそなわし、あなたの油あぶらそそがれた者ものの顔かおをかえりみてください。

84:10 あなたの大庭おおにわにいる一日にちは、よそにいる千日にちにもまさるのです。わたしは悪あくの天幕てんまくにいるよりは、むしろ、わが神かみの家いえの門守かどもりとなることを願ねがいます。

84:11 主しゅなる神かみは日ひです、盾たてです。主しゅは恵めぐみと誉ほまれとを与あたえ、直なおく歩あゆむ者ものに良よい物ものを拒こばまれることはありません。

84:12 万軍ばんぐんの主しゅよ、あなたに信頼しんらいする人ひとはさいわいです。 

85:1 主しゅよ、あなたはみ国くににめぐみを示しめし、ヤコブの繁栄はんえいを回復かいふくされました。

85:2 あなたはその民たみの不義ふぎをゆるし、彼かれらの罪つみをことごとくおおわれました。〔セラ

85:3 あなたはすべての怒いかりを捨すて、激はげしい憤いきどおりを遠とおざけられました。

85:4 われらの救すくいの神かみよ、われらを回復かいふくし、われらに対たいするあなたの憤いきどおりをおやめください。

85:5 あなたはとこしえにわれらを怒いかり、よろずよまで、あなたの怒いかりを延のばされるのですか。

85:6 あなたの民たみが、あなたによって喜よろこびを得えるため、われらを再ふたたび生いかされないのですか。

85:7 主しゅよ、あなたのいつくしみをわれらに示しめし、あなたの救すくいをわれらに与あたえてください。

85:8 わたしは主しゅなる神かみの語かたられることを聞ききましょう。主しゅはその民たみ、その聖徒せいと、ならびにその心こころを主しゅに向むける者ものに、平和へいわを語かたられるからです。

85:9 まことに、その救すくいは神かみを恐おそれる者ものに近ちかく、その栄光えいこうはわれらの国くににとどまるでしょう。

85:10 いつくしみと、まこととは共ともに会あい、義ぎと平和へいわとは互たがいに口くちづけし、

85:11 まことは地ちからはえ、義ぎは天てんから見みおろすでしょう。

85:12 主しゅが良よい物ものを与あたえられるので、われらの国くにはその産物さんぶつを出だし、

85:13 義ぎは主しゅのみ前まえに行いき、その足跡あしあとを道みちとするでしょう。 

86:1 主しゅよ、あなたの耳みみを傾かたむけて、わたしにお答こたえください。わたしは苦くるしみかつ乏とぼしいからです。

86:2 わたしのいのちをお守まもりください。わたしは神かみを敬うやまう者ものだからです。あなたに信頼しんらいするあなたのしもべをお救すくいください。あなたはわたしの神かみです。

86:3 主しゅよ、わたしをあわれんでください。わたしはひねもすあなたに呼よばわります。

86:4 あなたのしもべの魂たましいを喜よろこばせてください。主しゅよ、わが魂たましいはあなたを仰あおぎ望のぞみます。

86:5 主しゅよ、あなたは恵めぐみふかく、寛容かんようであって、あなたに呼よばわるすべての者ものにいつくしみを豊ゆたかに施ほどこされます。

86:6 主しゅよ、わたしの祈いのりに耳みみを傾かたむけ、わたしの願ねがいの声こえをお聞ききください。

86:7 わたしの悩なやみの日ひにわたしはあなたに呼よばわります。あなたはわたしに答こたえられるからです。

86:8 主しゅよ、もろもろの神かみのうちにあなたに等ひとしい者ものはなく、また、あなたのみわざに等ひとしいものはありません。

86:9 主しゅよ、あなたが造つくられたすべての国民くにたみはあなたの前まえに来きて、伏ふし拝おがみ、み名なをあがめるでしょう。

86:10 あなたは大おおいなる神かみで、くすしきみわざをなされます。ただあなたのみ、神かみでいらせられます。

86:11 主しゅよ、あなたの道みちをわたしに教おしえてください。わたしはあなたの真理しんりに歩あゆみます。心こころをひとつにしてみ名なを恐おそれさせてください。

86:12 わが神かみ、主しゅよ、わたしは心こころをつくしてあなたに感謝かんしゃし、とこしえに、み名なをあがめるでしょう。

86:13 わたしに示しめされたあなたのいつくしみは大おおきく、わが魂たましいを陰府よみの深ふかい所ところから助たすけ出だされたからです。

86:14 神かみよ、高たかぶる者ものはわたしに逆さからって起おこり、荒あらぶる者ものの群むれはわたしのいのちを求もとめ、彼かれらは自分じぶんの前まえにあなたを置おくことをしません。

86:15 しかし主しゅよ、あなたはあわれみと恵めぐみに富とみ、怒いかりをおそくし、いつくしみと、まこととに豊ゆたかな神かみでいらせられます。

86:16 わたしをかえりみ、わたしをあわれみ、あなたのしもべにみ力ちからを与あたえ、あなたのはしための子こをお救すくいください。

86:17 わたしに、あなたの恵めぐみのしるしをあらわしてください。そうすれば、わたしを憎にくむ者ものどもはわたしを見みて恥はじるでしょう。主しゅよ、あなたはわたしを助たすけ、わたしを慰なぐさめられたからです。 

87:1 主しゅが基もといをすえられた都みやこは聖せいなる山やまの上うえに立たつ。

87:2 主しゅはヤコブのすべてのすまいにまさって、シオンのもろもろの門もんを愛あいされる。

87:3 神かみの都みやこよ、あなたについて、もろもろの栄光えいこうある事ことが語かたられる。〔セラ

87:4 わたしはラハブとバビロンをわたしを知しる者もののうちに挙あげる。ペリシテ、ツロ、またエチオピヤを見みよ。「この者ものはかしこに生うまれた」と言いわれる。

87:5 しかしシオンについては「この者ものも、かの者ものもその中なかに生うまれた」と言いわれる。いと高たかき者ものみずからシオンを堅かたく立たてられるからである。

87:6 主しゅがもろもろの民たみを登録とうろくされるとき、「この者ものはかしこに生うまれた」としるされる。〔セラ

87:7 歌うたう者ものと踊おどる者ものはみな言いう、「わがもろもろの泉いずみはあなたのうちにある」と。 

88:1 わが神かみ、主しゅよ、わたしは昼ひる、助たすけを呼よび求もとめ、夜よる、み前まえに叫さけび求もとめます。

88:2 わたしの祈いのりをみ前まえにいたらせ、わたしの叫さけびに耳みみを傾かたむけてください。

88:3 わたしの魂たましいは悩なやみに満みち、わたしのいのちは陰府よみに近ちかづきます。

88:4 わたしは穴あなに下くだる者もののうちに数かぞえられ、力ちからのない人ひとのようになりました。

88:5 すなわち死人しにんのうちに捨すてられた者もののように、墓はかに横よこたわる殺ころされた者もののように、あなたが再ふたたび心こころにとめられない者もののようになりました。彼かれらはあなたのみ手てから断たち滅ほろぼされた者ものです。

88:6 あなたはわたしを深ふかい穴あな、暗くらい所ところ、深ふかい淵ふちに置おかれました。

88:7 あなたの怒いかりはわたしの上うえに重おもく、あなたはもろもろの波なみをもってわたしを苦くるしめられました。〔セラ

88:8 あなたはわが知しり人ひとをわたしから遠とおざけ、わたしを彼かれらの忌いみきらう者ものとされました。わたしは閉とじこめられて、のがれることはできません。

88:9 わたしの目めは悲かなしみによって衰おとろえました。主しゅよ、わたしは日ひごとにあなたを呼よび、あなたにむかってわが両手りょうてを伸のべました。

88:10 あなたは死しんだ者もののために奇跡きせきを行おこなわれるでしょうか。なき人ひとのたましいは起おきあがってあなたをほめたたえるでしょうか。〔セラ

88:11 あなたのいつくしみは墓はかのなかに、あなたのまことは滅ほろびのなかに、宣のべ伝つたえられるでしょうか。

88:12 あなたの奇跡きせきは暗くらやみに、あなたの義ぎは忘わすれの国くにに知しられるでしょうか。

88:13 しかし主しゅよ、わたしはあなたに呼よばわります。あしたに、わが祈いのりをあなたのみ前まえにささげます。

88:14 主しゅよ、なぜ、あなたはわたしを捨すてられるのですか。なぜ、わたしにみ顔かおを隠かくされるのですか。

88:15 わたしは若わかい時ときから苦くるしんで死しぬばかりです。あなたの脅おびやかしにあって衰おとろえはてました。

88:16 あなたの激はげしい怒いかりがわたしを襲おそい、あなたの恐おそろしい脅おびやかしがわたしを滅ほろぼしました。

88:17 これらの事ことがひねもす大水おおみずのようにわたしをめぐり、わたしを全まったく取とり巻まきました。

88:18 あなたは愛あいする者ものと友ともとをわたしから遠とおざけ、わたしの知しり人びとを暗くらやみにおかれました。 

89:1 主しゅよ、わたしはとこしえにあなたのいつくしみを歌うたい、わたしの口くちをもってあなたのまことをよろずよに告つげ知しらせます。

89:2 あなたのいつくしみはとこしえに堅かたく立たち、あなたのまことは天てんのようにゆるぐことはありません。

89:3 あなたは言いわれました、「わたしはわたしの選えらんだ者ものと契約けいやくを結むすび、わたしのしもべダビデに誓ちかった、

89:4 『わたしはあなたの子孫しそんをとこしえに堅かたくし、あなたの王座おうざを建たてて、よろずよに至いたらせる』」。〔セラ

89:5 主しゅよ、もろもろの天てんにあなたのくすしきみわざをほめたたえさせ、聖せいなる者もののつどいで、あなたのまことをほめたたえさせてください。

89:6 大空おおぞらのうちに、だれか主しゅと並ならぶものがあるでしょうか。神かみの子こらのうちに、だれか主しゅのような者ものがあるでしょうか。

89:7 主しゅは聖せいなる者ものの会議かいぎにおいて恐おそるべき神かみ、そのまわりにあるすべての者ものにまさって大おおいなる恐おそるべき者ものです。

89:8 万軍ばんぐんの神かみ、主しゅよ、主しゅよ、だれかあなたのように大能たいのうのある者ものがあるでしょうか。あなたのまことは、あなたをめぐっています。

89:9 あなたは海うみの荒あれるのを治おさめ、その波なみの起おこるとき、これを静しずめられます。

89:10 あなたはラハブを、殺ころされた者もののように打うち砕くだき、あなたの敵てきを力ちからある腕うでをもって散ちらされました。

89:11 もろもろの天てんはあなたのもの、地ちもまたあなたのもの、世界せかいとその中なかにあるものとはあなたがその基もといをおかれたものです。

89:12 北きたと南みなみはあなたがこれを造つくられました。タボルとヘルモンは、み名なを喜よろこび歌うたいます。

89:13 あなたは大能たいのうの腕うでをもたれます。あなたの手ては強つよく、あなたの右みぎの手ては高たかく、

89:14 義ぎと公平こうへいはあなたのみくらの基もとい、いつくしみと、まことはあなたの前まえに行いきます。

89:15 祭まつりの日ひの喜よろこびの声こえを知しる民たみはさいわいです。主しゅよ、彼かれらはみ顔かおの光ひかりのなかを歩あゆみ、

89:16 ひねもす、み名なによって喜よろこび、あなたの義ぎをほめたたえます。

89:17 あなたは彼かれらの力ちからの栄光えいこうだからです。われらの角つのはあなたの恵めぐみによって高たかくあげられるでしょう。

89:18 われらの盾たては主しゅに属ぞくし、われらの王おうはイスラエルの聖者せいじゃに属ぞくします。

89:19 昔むかしあなたは幻まぼろしをもってあなたの聖徒せいとに告つげて言いわれました、「わたしは勇士ゆうしに栄冠えいかんを授さづけ、民たみの中なかから選えらばれた者ものを高たかくあげた。

89:20 わたしはわがしもべダビデを得えて、これにわが聖せいなる油あぶらをそそいだ。

89:21 わが手ては常つねに彼かれと共ともにあり、わが腕うではまた彼かれを強つよくする。

89:22 敵てきは彼かれをだますことなく、悪あしき者ものは彼かれを卑いやしめることはない。

89:23 わたしは彼かれの前まえにもろもろのあだを打うち滅ほろぼし、彼かれを憎にくむ者ものどもを打うち倒たおす。

89:24 わがまことと、わがいつくしみは彼かれと共ともにあり、わが名なによって彼かれの角つのは高たかくあげられる。

89:25 わたしは彼かれの手てを海うみの上うえにおき、彼かれの右みぎの手てを川かわの上うえにおく。

89:26 彼かれはわたしにむかい『あなたはわが父ちち、わが神かみ、わが救すくいの岩いわ』と呼よぶであろう。

89:27 わたしはまた彼かれをわがういごとし、地ちの王おうたちのうちの最もっとも高たかい者ものとする。

89:28 わたしはとこしえに、わがいつくしみを彼かれのために保たもち、わが契約けいやくは彼かれのために堅かたく立たつ。

89:29 わたしは彼かれの家系かけいをとこしえに堅かたく定さだめ、その位くらいを天てんの日ひ数かずのようにながらえさせる。

89:30 もしその子孫しそんがわがおきてを捨すて、わがさばきに従したがって歩あゆまないならば、

89:31 もし彼かれらがわが定さだめを犯おかし、わが戒いましめを守まもらないならば、

89:32 わたしはつえをもって彼かれらのとがを罰ばっし、むちをもって彼かれらの不義ふぎを罰ばっする。

89:33 しかし、わたしはわがいつくしみを彼かれから取とり去さることなく、わがまことにそむくことはない。

89:34 わたしはわが契約けいやくを破やぶることなく、わがくちびるから出でた言葉ことばを変かえることはない。

89:35 わたしはひとたびわが聖せいによって誓ちかった。わたしはダビデに偽いつわりを言いわない。

89:36 彼かれの家系かけいはとこしえに続つづき、彼かれの位くらいは太陽たいようのように常つねにわたしの前まえにある。

89:37 また月つきのようにとこしえに堅かたく定さだめられ、大空おおぞらの続つづくかぎり堅かたく立たつ」。〔セラ

89:38 しかしあなたは、あなたの油あぶらそそがれた者ものを捨すててしりぞけ、彼かれに対たいして激はげしく怒いかられました。

89:39 あなたはそのしもべとの契約けいやくを廃棄はいきし、彼かれの冠かんむりを地ちになげうって、けがされました。

89:40 あなたはその城壁じょうへきをことごとくこわし、そのとりでを荒あれすたれさせられました。

89:41 そこを通とおり過すぎる者ものは皆みな彼かれをかすめ、彼かれはその隣となり人びとのあざけりとなりました。

89:42 あなたは彼かれのあだの右みぎの手てを高たかくあげ、そのもろもろの敵てきを喜よろこばせられました。

89:43 まことに、あなたは彼かれのつるぎの刃はをかえして、彼かれを戦たたかいに立たたせられなかったのです。

89:44 あなたは彼かれの手てから王おうのつえを取とり去さり、その王座おうざを地ちに投なげすてられました。

89:45 あなたは彼かれの若わかき日ひをちぢめ、恥はじをもって彼かれをおおわれました。〔セラ

89:46 主しゅよ、いつまでなのですか。とこしえにお隠おかくれになるのですか。あなたの怒いかりはいつまで火ひのように燃もえるのですか。

89:47 主しゅよ、人ひとのいのちの、いかに短みじかく、すべての人ひとの子こを、いかにはかなく造つくられたかを、みこころにとめてください。

89:48 だれか生いきて死しを見みず、その魂たましいを陰府よみの力ちからから救すくいうるものがあるでしょうか。〔セラ

89:49 主しゅよ、あなたがまことをもってダビデに誓ちかわれた昔むかしのいつくしみはどこにありますか。

89:50 89:51 主しゅよ、あなたのしもべがうけるはずかしめをみこころにとめてください。主しゅよ、あなたのもろもろの敵てきはわたしをそしり、あなたの油あぶらそそがれた者ものの足跡あしあとをそしります。わたしはもろもろの民たみのそしりをわたしのふところにいだいているのです。

89:52 主しゅはとこしえにほむべきかな。アァメン、アァメン。 

90:1 主しゅよ、あなたは世々よよわれらのすみかでいらせられる。

90:2 山やまがまだ生うまれず、あなたがまだ地ちと世界せかいとを造つくられなかったとき、とこしえからとこしえまで、あなたは神かみでいらせられる。

90:3 あなたは人ひとをちりに帰かえらせて言いわれます、「人ひとの子こよ、帰かえれ」と。

90:4 あなたの目めの前まえには千年ねんも過すぎ去さればきのうのごとく、夜よの間まのひと時ときのようです。

90:5 あなたは人ひとを大水おおみずのように流ながれ去さらせられます。彼かれらはひと夜よの夢ゆめのごとく、あしたにもえでる青草あおくさのようです。

90:6 あしたにもえでて、栄さかえるが、夕ゆうべには、しおれて枯かれるのです。

90:7 われらはあなたの怒いかりによって消きえうせ、あなたの憤いきどおりによって滅ほろび去さるのです。

90:8 あなたはわれらの不義ふぎをみ前まえにおき、われらの隠かくれた罪つみをみ顔かおの光ひかりのなかにおかれました。

90:9 われらのすべての日ひは、あなたの怒いかりによって過すぎ去さり、われらの年としの尽つきるのは、ひと息いきのようです。

90:10 われらのよわいは七十年ねんにすぎません。あるいは健すこやかであっても八十年ねんでしょう。しかしその一生いっしょうはただ、ほねおりと悩なやみであって、その過すぎゆくことは速はやく、われらは飛とび去さるのです。

90:11 だれがあなたの怒いかりの力ちからを知しるでしょうか。だれがあなたをおそれる恐おそれにしたがってあなたの憤いきどおりを知しるでしょうか。

90:12 われらにおのが日ひを数かぞえることを教おしえて、知恵ちえの心こころを得えさせてください。

90:13 主しゅよ、み心こころを変かえてください。いつまでお怒いかりになるのですか。あなたのしもべをあわれんでください。

90:14 あしたに、あなたのいつくしみをもってわれらを飽あき足たらせ、世よを終おわるまで喜よろこび楽たのしませてください。

90:15 あなたがわれらを苦くるしめられた多おおくの日ひと、われらが災わざわいにあった多おおくの年としとに比くらべて、われらを楽たのしませてください。

90:16 あなたのみわざを、あなたのしもべらに、あなたの栄光えいこうを、その子こらにあらわしてください。

90:17 われらの神かみ、主しゅの恵めぐみを、われらの上うえにくだし、われらの手てのわざを、われらの上うえに栄さかえさせてください。われらの手てのわざを栄さかえさせてください。 

91:1 いと高たかき者もののもとにある隠かくれ場ばに住すむ人ひと、全能者ぜんのうしゃの陰かげにやどる人ひとは

91:2 主しゅに言いうであろう、「わが避さけ所どころ、わが城しろ、わが信頼しんらいしまつるわが神かみ」と。

91:3 主しゅはあなたをかりゅうどのわなと、恐おそろしい疫病えきびょうから助たすけ出だされるからである。

91:4 主しゅはその羽はねをもって、あなたをおおわれる。あなたはその翼つばさの下したに避さけ所どころを得えるであろう。そのまことは大盾おおだて、また小盾こだてである。

91:5 あなたは夜よるの恐おそろしい物ものをも、昼ひるに飛とんでくる矢やをも恐おそれることはない。

91:6 また暗くらやみに歩あるきまわる疫病えきびょうをも、真昼まひるに荒あらす滅ほろびをも恐おそれることはない。

91:7 たとい千人にんはあなたのかたわらに倒たおれ、万人にんはあなたの右みぎに倒たおれても、その災わざわいはあなたに近ちかづくことはない。

91:8 あなたはただ、その目めをもって見み、悪あしき者ものの報むくいを見みるだけである。

91:9 あなたは主しゅを避さけ所どころとし、いと高たかき者ものをすまいとしたので、

91:10 災わざわいはあなたに臨のぞまず、悩なやみはあなたの天幕てんまくに近ちかづくことはない。

91:11 これは主しゅがあなたのために天使てんしたちに命めいじて、あなたの歩あゆむすべての道みちであなたを守まもらせられるからである。

91:12 彼かれらはその手てで、あなたをささえ、石いしに足あしを打うちつけることのないようにする。

91:13 あなたはししと、まむしとを踏ふみ、若わかいししと、へびとを足あしの下したに踏ふみにじるであろう。

91:14 彼かれはわたしを愛あいして離はなれないゆえに、わたしは彼かれを助たすけよう。彼かれはわが名なを知しるゆえに、わたしは彼かれを守まもる。

91:15 彼かれがわたしを呼よぶとき、わたしは彼かれに答こたえる。わたしは彼かれの悩なやみのときに、共ともにいて、彼かれを救すくい、彼かれに光栄こうえいを与あたえよう。

91:16 わたしは長寿ちょうじゅをもって彼かれを満みち足たらせ、わが救すくいを彼かれに示しめすであろう。 

92:1 いと高たかき者ものよ、主しゅに感謝かんしゃし、み名なをほめたたえるのは、よいことです。

92:2 あしたに、あなたのいつくしみをあらわし、夜よな夜よな、あなたのまことをあらわすために、

92:3 十弦じゅうげんの楽器がっきと立琴たてごとを用もちい、琴ことのたえなる調しらべを用もちいるのは、よいことです。

92:4 主しゅよ、あなたはみわざをもってわたしを楽たのしませられました。わたしはあなたのみ手てのわざを喜よろこび歌うたいます。

92:5 主しゅよ、あなたのみわざはいかに大おおいなることでしょう。あなたのもろもろの思おもいは、いとも深ふかく、

92:6 鈍にぶい者ものは知しることができず、愚おろかな者ものはこれを悟さとることができません。

92:7 たとい、悪あしき者ものは草くさのようにもえいで、不義ふぎを行おこなう者ものはことごとく栄さかえても、彼かれらはとこしえに滅ほろびに定さだめられているのです。

92:8 しかし、主しゅよ、あなたはとこしえに高たかき所ところにいらせられます。

92:9 主しゅよ、あなたの敵てき、あなたの敵てきは滅ほろび、不義ふぎを行おこなう者ものはことごとく散ちらされるでしょう。

92:10 しかし、あなたはわたしの角つのを野牛のうしの角つののように高たかくあげ、新あたらしい油あぶらをわたしに注そそがれました。

92:11 わたしの目めはわが敵てきの没落ぼつらくを見み、わたしの耳みみはわたしを攻せめる悪者わるものどもの破滅はめつを聞ききました。

92:12 正ただしい者ものはなつめやしの木きのように栄さかえ、レバノンの香柏こうはくのように育そだちます。

92:13 彼かれらは主しゅの家いえに植うえられ、われらの神かみの大庭おおにわに栄さかえます。

92:14 彼かれらは年老としおいてなお実みを結むすび、いつも生気せいきに満みち、青々あおあおとして、

92:15 主しゅの正ただしいことを示しめすでしょう。主しゅはわが岩いわです。主しゅには少すこしの不義ふぎもありません。 

93:1 主しゅは王おうとなり、威光いこうの衣ころもをまとわれます。主しゅは衣ころもをまとい、力ちからをもって帯おびとされます。まことに、世界せかいは堅かたく立たって、動うごかされることはありません。

93:2 あなたの位くらいはいにしえより堅かたく立たち、あなたはとこしえよりいらせられます。

93:3 主しゅよ、大水おおみずは声こえをあげました。大水おおみずはその声こえをあげました。大水おおみずはそのとどろく声こえをあげます。

93:4 主しゅは高たかき所ところにいらせられて、その勢いきおいは多おおくの水みずのとどろきにまさり、海うみの大波おおなみにまさって盛さかんです。

93:5 あなたのあかしはいとも確たしかです。主しゅよ、聖せいなることはとこしえまでもあなたの家いえにふさわしいのです。 

94:1 あだを報むくいられる神かみ、主しゅよ、あだを報むくいられる神かみよ、光ひかりを放はなってください。

94:2 地ちをさばかれる者ものよ、立たって高たかぶる者ものにその受うくべき罰ばつをお与あたえください。

94:3 主しゅよ、悪あしき者ものはいつまで、悪あしき者ものはいつまで勝かち誇ほこるでしょうか。

94:4 彼かれらは高慢こうまんな言葉ことばを吐はき散ちらし、すべて不義ふぎを行おこなう者ものはみずから高たかぶります。

94:5 主しゅよ、彼かれらはあなたの民たみを打うち砕くだき、あなたの嗣し業ぎょうを苦くるしめます。

94:6 彼かれらはやもめと旅たびびとのいのちをうばい、みなしごを殺ころします。

94:7 彼かれらは言いいます、「主しゅは見みない、ヤコブの神かみは悟さとらない」と。

94:8 民たみのうちの鈍にぶき者ものよ、悟さとれ。愚おろかな者ものよ、いつ賢かしこくなるだろうか。

94:9 耳みみを植うえた者ものは聞きくことをしないだろうか、目めを つくった者ものは見みることをしないだろうか。

94:10 もろもろの国民くにたみを懲こらす者ものは罰ばっすることをしないだろうか、人ひとを教おしえる者ものは知識ちしきをもたないだろうか。

94:11 主しゅは人ひとの思おもいの、むなしいことを知しられる。

94:12 主しゅよ、あなたによって懲こらされる人ひと、あなたのおきてを教おしえられる人ひとはさいわいです。

94:13 あなたはその人ひとを災わざわいの日ひからのがれさせ、悪あしき者もののために穴あなが掘ほられるまでその人ひとに平安へいあんを与あたえられます。

94:14 主しゅはその民たみを捨すてず、その嗣し業ぎょうを見捨みすてられないからです。

94:15 さばきは正義せいぎに帰かえり、すべて心こころの正ただしい者ものはそれに従したがうでしょう。

94:16 だれがわたしのために立たちあがって、悪あしき者ものを責せめるだろうか。だれがわたしのために立たって、不義ふぎを行おこなう者ものを責せめるだろうか。

94:17 もしも主しゅがわたしを助たすけられなかったならば、わが魂たましいはとくに音おとなき所ところに住すんだであろう。

94:18 しかし「わたしの足あしがすべる」と思おもったとき、主しゅよ、あなたのいつくしみはわたしをささえられました。

94:19 わたしのうちに思おもい煩わずらいの満みちるとき、あなたの慰なぐさめはわが魂たましいを喜よろこばせます。

94:20 定さだめをもって危害きがいをたくらむ悪あしき支配者しはいしゃはあなたと親したしむことができるでしょうか。

94:21 彼かれらは相あい結むすんで正ただしい人ひとの魂たましいを責せめ、罪つみのない者ものに死しを宣告せんこくします。

94:22 しかし主しゅはわが高たかきやぐらとなり、わが神かみはわが避さけ所どころの岩いわとなられました。

94:23 主しゅは彼かれらの不義ふぎを彼かれらに報むくい、彼かれらをその悪あくのゆえに滅ほろぼされます。われらの神かみ、主しゅは彼かれらを滅ほろぼされます。 

95:1 さあ、われらは主しゅにむかって歌うたい、われらの救すくいの岩いわにむかって喜よろこばしい声こえをあげよう。

95:2 われらは感謝かんしゃをもって、み前まえに行いき、主しゅにむかい、さんびの歌うたをもって、喜よろこばしい声こえをあげよう。

95:3 主しゅは大おおいなる神かみ、すべての神かみにまさって大おおいなる王おうだからである。

95:4 地ちの深ふかい所ところは主しゅのみ手てにあり、山々やまやまの頂いただきもまた主しゅのものである。

95:5 海うみは主しゅのもの、主しゅはこれを造つくられた。またそのみ手てはかわいた地ちを造つくられた。

95:6 さあ、われらは拝おがみ、ひれ伏ふし、われらの つくり主ぬし、主しゅのみ前まえにひざまずこう。

95:7 主しゅはわれらの神かみであり、われらはその牧まきの民たみ、そのみ手ての羊ひつじである。どうか、あなたがたは、きょう、そのみ声こえを聞きくように。

95:8 あなたがたは、メリバにいた時ときのように、また荒野あらののマッサにいた日ひのように、心こころをかたくなにしてはならない。

95:9 あの時とき、あなたがたの先祖せんぞたちはわたしのわざを見みたにもかかわらず、わたしを試こころみ、わたしをためした。

95:10 わたしは四十年ねんの間あいだ、その代よをきらって言いった、「彼かれらは心こころの誤あやまっている民たみであって、わたしの道みちを知しらない」と。

95:11 それゆえ、わたしは憤いきどおって、彼かれらはわが安息あんそくに入いることができないと誓ちかった。 

96:1 新あたらしい歌うたを主しゅにむかってうたえ。全ぜん地ちよ、主しゅにむかってうたえ。

96:2 主しゅにむかって歌うたい、そのみ名なをほめよ。日ひごとにその救すくいを宣のべ伝つたえよ。

96:3 もろもろの国くにの中なかにその栄光えいこうをあらわし、もろもろの民たみの中なかにそのくすしきみわざをあらわせ。

96:4 主しゅは大おおいなる神かみであって、いともほめたたうべきもの、もろもろの神かみにまさって恐おそるべき者ものである。

96:5 もろもろの民たみのすべての神かみはむなしい。しかし主しゅはもろもろの天てんを造つくられた。

96:6 誉ほまれと、威厳いげんとはそのみ前まえにあり、力ちからと、うるわしさとはその聖所せいじょにある。

96:7 もろもろの民たみのやからよ、主しゅに帰きせよ、栄光えいこうと力ちからとを主しゅに帰きせよ。

96:8 そのみ名なにふさわしい栄光えいこうを主しゅに帰きせよ。供そなえ物ものを携たずさえてその大庭おおにわにきたれ。

96:9 聖せいなる装よそおいをして主しゅを拝おがめ、全ぜん地ちよ、そのみ前まえにおののけ。

96:10 もろもろの国民くにたみの中なかに言いえ、「主しゅは王おうとなられた。世界せかいは堅かたく立たって、動うごかされることはない。主しゅは公平こうへいをもってもろもろの民たみをさばかれる」と。

96:11 天てんは喜よろこび、地ちは楽たのしみ、海うみとその中なかに満みちるものとは鳴なりどよめき、

96:12 田畑たはたとその中なかのすべての物ものは大おおいに喜よろこべ。そのとき、林はやしのもろもろの木きも主しゅのみ前まえに喜よろこび歌うたうであろう。

96:13 主しゅは来こられる、地ちをさばくために来こられる。主しゅは義ぎをもって世界せかいをさばき、まことをもってもろもろの民たみをさばかれる。 

97:1 主しゅは王おうとなられた。地ちは楽たのしみ、海うみに沿そった多おおくの国々くにぐには喜よろこべ。

97:2 雲くもと暗くらやみとはそのまわりにあり、義ぎと正せいとはそのみくらの基もといである。

97:3 火ひはそのみ前まえに行いき、そのまわりのあだを焼やきつくす。

97:4 主しゅのいなずまは世界せかいを照てらし、地ちは見みておののく。

97:5 もろもろの山やまは主しゅのみ前まえに、全ぜん地ちの主しゅのみ前まえに、ろうのように溶とけた。

97:6 もろもろの天てんはその義ぎをあらわし、よろずの民たみはその栄光えいこうを見みた。

97:7 すべて刻きざんだ像ぞうを拝おがむ者もの、むなしい偶像ぐうぞうをもってみずから誇ほこる者ものははずかしめをうける。もろもろの神かみは主しゅのみ前まえにひれ伏ふす。

97:8 主しゅよ、あなたのさばきのゆえに、シオンは聞きいて喜よろこび、ユダの娘むすめたちは楽たのしむ。

97:9 主しゅよ、あなたは全ぜん地ちの上うえにいまして、いと高たかく、もろもろの神かみにまさって大おおいにあがめられます。

97:10 主しゅは悪あくを憎にくむ者ものを愛あいし、その聖徒せいとのいのちを守まもり、これを悪あしき者ものの手てから助たすけ出だされる。

97:11 光ひかりは正ただしい人ひとのために現あらわれ、喜よろこびは心こころの正ただしい者もののためにあらわれる。

97:12 正ただしき人ひとよ、主しゅによって喜よろこべ、その聖せいなるみ名なに感謝かんしゃせよ。