口語訳聖書(振り仮名付き)

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サムエル

第14章    2Sm-Audio 

14:1 ゼルヤのヨアブはおうこころがアブサロムにかっているのをった。

14:2 そこでヨアブはテコアにひとをつかわして、そこからひとりのかしこおんなれてこさせ、そのおんなった、「あなたはかなしみのうちにあるひとをよそおって、喪服もふくあぶららず、んだひとのためにながいあいだかなしんでいるおんなのように、よそおって、

14:3 おうのもとにき、しかじかとかれかたりなさい」。こうしてヨアブはその言葉ことば彼女かのじょくちさづけた。

14:4 テコアのおんなおうのもとにき、してはいし、「おうよ、おたすけください」とった。

14:5 おうおんなった、「どうしたのか」。おんなった、「まことにわたしは寡婦かふでありまして、おっとにました。

14:6 つかえめにはふたりのどもがあり、ふたりはあらそいましたが、だれもかれらをけるものがなかったので、ひとりはついにものってころしました。

14:7 すると全家ぜんかぞくがつかえめにさからいって、『兄弟きょうだいころしたものたすがよい。われわれはかれころしたその兄弟きょうだいいのちのためにかれころそう』とい、かれらは世継よつぎをもころそうとしました。こうしてかれらはのこっているわたしの炭火すみびして、わたしのおっとをも、あとつぎをも、のおもてにとどめないようにしようとしています」。

14:8 おうおんなった、「いえかえりなさい。わたしはあなたのことについて命令めいれいくだします」。

14:9 テコアのおんなおうった、「わがしゅおうよ、わたしとわたしのちちいえにそのつみしてください。どうぞおうおうくらいにはつみがありませんように」。

14:10 おうった、「もしあなたになにものがあれば、わたしのところれてきなさい。そうすれば、そのひとかさねてあなたにれることはないでしょう」。

14:11 おんなった、「どうぞおうが、あなたのかみしゅをおぼえて、報復ほうふくをするものかさねてほろぼすことをさせず、わたしのころされることのないようにしてください」。おうった、「しゅきておられる。あなたのかみすじちることはないでしょう」。

14:12 おんなった、「どうぞ、つかえめにひとこと、わがしゅおうわせてください」。ダビデはった、「いなさい」。

14:13 おんなった、「あなたは、それならばどうして、かみたみかってこのようなことはかられたのですか。おういまこのことわれたことによって自分じぶんつみあるものとされています。それはおう追放ついほうされたものかえらせられないからです。

14:14 わたしたちはみなななければなりません。にこぼれたみずふたたあつめることのできないのとおなじです。しかしかみは、追放ついほうされたものてられないように、てだてをもうけるひといのちることはなさいません。

14:15 わたしがこのことおう、わがしゅおうとしてたのは、わたしがたみおそれたからです。つかえめは、こうおもったのです、『おうもうげよう。おうは、はしためのねがいのようにしてくださるかもしれない。

14:16 おういてくださる。わたしとわたしのともほろぼしてかみぎょうからはなれさせようとするひとから、はしためをすくしてくださるのだから』。

14:17 つかえめはまた、こうおもったのです、『おう、わがしゅ言葉ことばはわたしを安心あんしんさせるであろう』と。それはおう、わがしゅかみ使つかいのようにぜんあくきわけられるからです。どうぞあなたのかみしゅがあなたとともにおられますように」。

14:18 おうおんなこたえてった、「わたしがうことにかくさずこたえてください」。おんなった、「おう、わがしゅよ、どうぞってください」。

14:19 おうった、「このすべてのことにおいて、ヨアブのがあなたとともにありますか」。おんなこたえた、「あなたはたしかにきておられます。おう、わがしゅよ、すべておう、わがしゅわれたことからひとみぎにもひだりにもまがることはできません。わたしにめいじたのは、あなたのしもべヨアブです。かれがつかえめのくちに、これらの言葉ことばをことごとくさづけたのです。

14:20 ことのなりゆきをえるため、あなたのしもべヨアブがこのことをしたのです。わがきみにはかみ使つかい知恵ちえのような知恵ちえがあって、うえのすべてのことをっておられます」。

14:21 そこでおうはヨアブにった、「このことゆるす。って、若者わかものアブサロムをかえるがよい」。

14:22 ヨアブはにひれしてはいし、おう祝福しゅくふくした。そしてヨアブはった、「わがしゅおうよ、おうがしもべのねがいをゆるされたので、きょうしもべは、あなたのまえめぐみをたことをりました」。

14:23 そこでヨアブはってゲシュルにき、アブサロムをエルサレムにれてきた。

14:24 おうった、「かれ自分じぶんいえきこもらせるがよい。わたしのかおてはならない」。こうしてアブサロムは自分じぶんいえきこもり、おうかおなかった。

14:25 さてぜんイスラエルのうちにアブサロムのように、うつくしさのためほめられたひとはなかった。そのあしうらからあたまいただきまでかれにはきずがなかった。

14:26 アブサロムがそのあたまとき、そのかみをはかったが、おうのはかりで二百シケルあった。毎年まいねんおわりにそれをるのをつねとした。それがおもくなると、かれはそれをったのである。

14:27 アブサロムに三にんのむすこと、タマルというのひとりのむすめうまれた。タマルはうつくしいおんなであった。

14:28 こうしてアブサロムはまんねんあいだエルサレムにんだが、おうかおなかった。

14:29 そこでアブサロムはヨアブをおうのもとにつかわそうとして、ヨアブのところひとをつかわしたが、ヨアブはかれところにこようとはしなかった。かれふたたひとをつかわしたがヨアブはこようとはしなかった。

14:30 そこでアブサロムはその家来けらいった、「ヨアブのはたけはわたしのはたけとなりにあって、そこに大麦おおむぎがある。ってそれにはなちなさい」。アブサロムの家来けらいたちはそのはたけはなった。

14:31 ヨアブはってアブサロムのいえにきてかれった、「どうしてあなたの家来けらいたちはわたしのはたけはなったのですか」。

14:32 アブサロムはヨアブにった、「わたしはあなたにひとをつかわして、ここへるようにとったのです。あなたをおうのもとにつかわし、『なんのためにわたしはゲシュルからきたのですか。なおあそこにいたならばかったでしょうに』とわせようとしたのです。それゆえいまわたしにおうかおさせてください。もしわたしにつみがあるならおうにわたしをころさせてください」。

14:33 そこでヨアブはおうのもとへってげたので、おうはアブサロムをしよせた。かれおうのもとにきて、おうまえにひれしてはいした。おうはアブサロムにくちづけした。 

第15章 

15:1 こののち、アブサロムは自分じぶんのために戦車せんしゃうま、および自分じぶんまえけるもの五十にんそなえた。

15:2 アブサロムははやきてもんみちのかたわらにつのをつねとした。ひとうったえがあっておう裁判さいばんもとめにると、アブサロムはそのひとんでった、「あなたはどのまちものですか」。そのひとが「しもべはイスラエルのこれこれの部族ぶぞくのものです」とうと、

15:3 アブサロムはそのひとった、「よ、あなたの要求ようきゅうく、またただしい。しかしあなたのことをくべきひとおうがまだてていない」。

15:4 アブサロムはまたった、「ああ、わたしがこののさばきびとであったならばよいのに。そうすればうったえ、またはもうしてのあるものは、みなわたしのところにきて、わたしはこれに公平こうへいなさばきをおこなうことができるのだが」。

15:5 そしてひとかれ敬礼けいれいしようとしてちかづくと、かれべ、そのひときかかえてくちづけした。

15:6 アブサロムはおうにさばきをもとめてるすべてのイスラエルびとにこのようにした。こうしてアブサロムはイスラエルの人々ひとびとこころ自分じぶんのものとした。

15:7 そして四ねんおわりに、アブサロムはおうった、「どうぞわたしをかせ、ヘブロンで、かつてしゅてたちかいをはたさせてください。

15:8 それは、しもべがスリヤのゲシュルにいたときちかいをてて、『もししゅがほんとうにわたしをエルサレムにかえってくださるならば、わたしはしゅ礼拝れいはいをささげます』とったからです」。

15:9 おうかれに、「やすらかにきなさい」とったので、かれってヘブロンへった。

15:10 そしてアブサロムは密使みっしをイスラエルのすべての部族ぶぞくのうちにつかわしてった、「ラッパのひびきをくならば、『アブサロムがヘブロンでおうとなった』といなさい」。

15:11 二百にんまねかれたものがエルサレムからアブサロムとともった。かれらはなにこころなくき、何事なにごとをもらなかった。

15:12 アブサロムは犠牲ぎせいをささげているあいだひとをつかわして、ダビデのかんギロびとアヒトペルを、そのまちギロからせた。徒党ととうつよく、たみはしだいにアブサロムにくわわった。

15:13 ひとりの使者ししゃがダビデのところにきて、「イスラエルの人々ひとびとこころはアブサロムにしたがいました」とった。

15:14 ダビデは、自分じぶん一緒いっしょにエルサレムにいるすべての家来けらいった、「て、われわれはげよう。そうしなければアブサロムのまえからのがれることはできなくなるであろう。いそいでくがよい。さもないと、かれらがいそいついて、われわれにがいをこうむらせ、つるぎをもってまちつであろう」。

15:15 おうのしもべたちはおうった、「しもべたちは、わが主君しゅくんおうえらばれるところをすべておこないます」。

15:16 こうしておうき、その全家ぜんかかれしたがった。おうは十にんのめかけをのこしていえまもらせた。

15:17 おうき、たみはみなかれしたがった。かれらはまちはずれのいえにとどまった。

15:18 かれのしもべたちはみなかれのかたわらをすすみ、すべてのケレテびとと、すべてのペレテびと、およびかれしたがってガテからきた六百にんのガテびとはみなおうまえすすんだ。

15:19 ときおうはガテびとイッタイにった、「どうしてあなたもまた、われわれとともくのですか。あなたはかえっておうともにいなさい。あなたは外国がいこくじんで、また自分じぶんくにから追放ついほうされたものだからです。

15:20 あなたは、きのうたばかりです。わたしは自分じぶんところらずにくのに、どうしてきょう、あなたを、われわれとともにさまよわせてよいでしょう。あなたはかえりなさい。あなたの兄弟きょうだいたちもれてかえりなさい。どうぞしゅめぐみと真実しんじつをあなたにしめしてくださるように」。

15:21 しかしイッタイはおうこたえた、「しゅきておられる。わがきみおうきておられる。わがきみおうのおられるところに、ぬもきるも、しもべもまたそこにおります」。

15:22 ダビデはイッタイにった、「ではすすんできなさい」。そこでガテびとイッタイはすすみ、またかれのすべての従者じゅうしゃおよびかれともにいたどもたちもみなすすんだ。

15:23 国中くにぢゅうみな大声おおごえいた。たみはみなすすんだ。おうもまたキデロンのたにわたってすすみ、たみみなすすんで荒野あらのほうかった。

15:24 そしてアビヤタルものぼってきた。よ、ザドクおよびかれともにいるすべてのレビびともまた、かみ契約けいやくはこをかいてきた。かれらはかみはこをおろして、たみがことごとくまちてしまうのをった。

15:25 そこでおうはザドクにった、「かみはこまちにかきもどすがよい。もしわたしがしゅまえめぐみをるならば、しゅはわたしをかえって、わたしにそのはことそのすまいとをさせてくださるであろう。

15:26 しかしもししゅが、『わたしはおまえをよろこばない』とそうわれるのであれば、どうぞしゅしとおもわれることをわたしにしてくださるように。わたしはここにおります」。

15:27 おうはまた祭司さいしザドクにった、「よ、あなたもアビヤタルも、ふたりのたち、すなわちあなたのアヒマアズとアビヤタルのヨナタンをれて、やすらかにまちかえりなさい。

15:28 わたしはあなたがたから言葉ことばがあってらせをうけるまで、荒野あらのわたにとどまります」。

15:29 そこでザドクとアビヤタルはかみはこをエルサレムにかきもどり、そこにとどまった。

15:30 ダビデはオリブやま坂道さかみちのぼったが、のぼときき、そのあたまをおおい、はだしでった。かれともにいるたみもみなあたまをおおってのぼり、きながらのぼった。

15:31 ときに、「アヒトペルがアブサロムと共謀きょうぼうしたもののうちにいる」とダビデにげるひとがあったのでダビデはった、「しゅよ、どうぞアヒトペルの計略けいりゃくおろかなものにしてください」。

15:32 ダビデがやまいただきにあるかみれいはいする場所ばしょにきたときよ、アルキびとホシャイはその上着うわぎき、あたまつちをかぶり、てダビデをむかえた。

15:33 ダビデはかれった、「もしあなたがわたしとともすすむならば、わたしの重荷おもにとなるであろう。

15:34 しかしもしあなたがまちかえってアブサロムにかい、『おうよ、わたしはあなたのしもべとなります。わたしがこれまで、あなたのちちのしもべであったように、わたしはいまあなたのしもべとなります』とうならば、あなたはわたしのためにアヒトペルの計略けいりゃくやぶることができるであろう。

15:35 祭司さいしたち、ザドクとアビヤタルとは、あなたとともにあそこにいるではないか。それゆえ、あなたはおういえからくことをことごとく祭司さいしたち、ザドクとアビヤタルとにげなさい。

15:36 あそこにはかれらとともにそのふたりのたち、すなわちザドクのアヒマアズとアビヤタルのヨナタンとがいる。あなたがたはいたことをことごとくかれらのによってわたしに通報つうほうしなさい」。

15:37 そこでダビデのともホシャイはまちにはいった。そのときアブサロムはすでにエルサレムにはいっていた。 

第16章 

16:1 ダビデがやまいただきぎて、すこしったとき、メピボセテのしもべヂバは、くらをいた二とうのろばをき、そのうえにパン二百ほしぶどう百ふさ、なつのくだもの一百、ぶどうしゅふくろせてきてダビデをむかえた。

16:2 おうはヂバにった、「あなたはどうしてこれらのものをってきたのですか」。ヂバはこたえた、「ろばはおう家族かぞくるため、パンとなつのくだものは若者わかものたちがべるため、ぶどうしゅ荒野あらのよわったものむためです」。

16:3 おうった、「あなたの主人しゅじんはどこにおるのですか」。ヂバはおうった、「エルサレムにとどまっています。かれは、『イスラエルのいえはきょう、わたしのちちくにをわたしにかえすであろう』とおもったのです」。

16:4 おうはヂバにった、「よ、メピボセテのものはことごとくあなたのものです」。ヂバはった、「わたしは敬意けいいあらわします。わがしゅおうよ、あなたのまえにいつまでもめぐみをさせてください」。

16:5 ダビデおうがバホリムにきたとき、サウルのいえ一族いちぞくものがひとりそこからてきた。そのをシメイといい、ゲラのである。かれてきながらえずのろった。

16:6 そしてかれはダビデとダビデおうのもろもろの家来けらいかっていしげた。そのときたみ勇士ゆうしたちはみなおう左右さゆうにいた。

16:7 シメイはのろうときにこうった、「ながひとよ、よこしまなひとよ、れ、れ。

16:8 あなたがかわっておうとなったサウルのいえをすべてしゅがあなたにむくいられたのだ。しゅ王国おうこくをあなたのアブサロムのわたされた。よ、あなたはながひとだから、わざわいうのだ」。

16:9 ときにゼルヤのアビシャイはおうった、「このんだいぬがどうしてわがしゅおうをのろってよかろうか。わたしに、ってかれくびらせてください」。

16:10 しかしおうった、「ゼルヤのたちよ、あなたがたと、なんのかかわりがあるのか。かれがのろうのは、しゅかれに、『ダビデをのろえ』とわれたからであるならば、だれが、『あなたはどうしてこういうことをするのか』とってよいであろうか」。

16:11 ダビデはまたアビシャイと自分じぶんのすべての家来けらいとにった、「わたしのからたわががわたしのいのちもとめている。いま、このベニヤミンびととしてはなおさらだ。かれゆるしてのろわせておきなさい。しゅかれめいじられたのだ。

16:12 しゅはわたしのなやみをかえりみてくださるかもしれない。またしゅはきょうかれののろいにかえて、わたしにぜんむくいてくださるかもれない」。

16:13 こうしてダビデとその従者じゅうしゃたちとはみちったが、シメイはダビデにならんでかいのやま中腹ちゅうふくき、きながらのろい、またかれかっていしや、ちりをげつけた。

16:14 おうおよびともにいるたみはみなつかれてヨルダンにき、かれはそのところいきをついだ。

16:15 さてアブサロムとすべてのたみ、イスラエルの人々ひとびとはエルサレムにきた。アヒトペルもアブサロムとともにいた。

16:16 ダビデのともであるアルキびとホシャイがアブサロムのもとにきたとき、ホシャイはアブサロムに「おう万歳ばんざいおう万歳ばんざい」とった。

16:17 アブサロムはホシャイにった、「これはあなたがそのともしめ真実しんじつなのか。あなたはどうしてあなたのとも一緒いっしょかなかったのか」。

16:18 ホシャイはアブサロムにった、「いいえ、しゅとこのたみとイスラエルのすべての人々ひとびとえらんだものにわたしはぞくし、かつそのひと一緒いっしょにおります。

16:19 かつまたわたしはだれにつかえるべきですか。そのまえつかえるべきではありませんか。あなたのちちまえつかえたように、わたしはあなたのまえつかえます」。

16:20 そこでアブサロムはアヒトペルにった、「あなたがたは、われわれがどうしたらよいのか、はかりごとをべなさい」。

16:21 アヒトペルはアブサロムにった、「あなたのちちいえまもるためにのこされた、めかけたちのところにはいりなさい。そうすればイスラエルはみなあなたが父上ちちうえにくまれることをくでしょう。そしてあなたと一緒いっしょにいるものつよくなるでしょう」。

16:22 こうしてかれらがアブサロムのために屋上おくじょう天幕てんまくったので、アブサロムはぜんイスラエルのまえちちのめかけたちのところにはいった。

16:23 そのころアヒトペルがさづけるはかりごとはひとかみのみげをうかがうようであった。アヒトペルのはかりごとはみなダビデにもアブサロムにもともにそのようにおもわれた。 

第17章 

17:1 ときにアヒトペルはアブサロムにった、「わたしに一万二千のひとえらさせてください。わたしはって、今夜こんやダビデのあとをい、

17:2 かれつかれてよわくなっているところをおそって、かれをあわてさせましょう。そしてかれともにいるたみがみなげるとき、わたしはおうひとりをり、

17:3 すべてのたみ花嫁はなよめがそのおっとのもとにかえるようにあなたにかえらせましょう。あなたがもとめておられるのはただひとりのいのちだけですから、たみはみなおだやかになるでしょう」。

17:4 この言葉ことばはアブサロムとイスラエルのすべての長老ちょうろうこころにかなった。

17:5 そこでアブサロムはった、「アルキびとホシャイをもびよせなさい。われわれはかれうことをきましょう」。

17:6 ホシャイがアブサロムのもとにきたとき、アブサロムはかれった、「アヒトペルはこのようにった。われわれはかれ言葉ことばのようにおこなうべきか。いけないのであれば、いなさい」。

17:7 ホシャイはアブサロムにった、「このたびアヒトペルがさづけたはかりごとはくありません」。

17:8 ホシャイはまたった、「ごぞんじのように、あなたのちちとその従者じゅうしゃたちとは勇士ゆうしです。そのうえかれらは、うばわれたくまのように、ひどくいかっています。また、あなたのちちはいくさびとですから、たみとも宿やどらないでしょう。

17:9 かれいまでもあななかか、どこかほかのところにかくれています。もしたみのうちのいくひとかが手始てはじめにたおれるならば、それをものはだれでも、『アブサロムにしたがたみのうちに戦死者せんししゃがあった』とうでしょう。

17:10 そうすれば、ししのこころのようなこころのあるいさましいひとであっても、おそれてってしまうでしょう。それはイスラエルのすべてのひとが、あなたのちち勇士ゆうしであること、またかれともにいるものが、いさましい人々ひとびとであることをっているからです。

17:11 ところでわたしのはかりごとは、イスラエルをダンからベエルシバまで、うみべのすなのようにおおくあなたのもとにあつめて、あなたみずからたたかいにのぞむことです。

17:12 こうしてわれわれはかれつかる場所ばしょかれおそい、つゆがにおりるようにかれうえくだる。そしてかれおよびかれともにいるすべてのひとをひとりものこさないでしょう。

17:13 もしかれがいずれかのまち退しりぞくならば、ぜんイスラエルはそのまちになわをかけ、われわれはそれをたにたおして、そこに一つの小石こいしられないようにするでしょう」。

17:14 アブサロムとイスラエルの人々ひとびとはみな、「アルキびとホシャイのはかりごとは、アヒトペルのはかりごとよりもよい」とった。それはしゅがアブサロムにわざわいくだそうとして、アヒトペルのはかりごとをやぶることをさだめられたからである。

17:15 そこでホシャイは祭司さいしたち、ザドクとアビヤタルとにった、「アヒトペルはアブサロムとイスラエルの長老ちょうろうたちのためにこういうはかりごとをした。またわたしはこういうはかりごとをした。

17:16 それゆえ、あなたがたはすみやかにひとをつかわしてダビデにげ、『今夜こんや荒野あらのわた宿やどらないで、かならわたってきなさい。さもないとおうおよびともにいるたみはみな、ほろぼされるでしょう』といなさい」。

17:17 ときに、ヨナタンとアヒマアズはエンロゲルでっていた。ひとりのつかえめがってかれらにげ、かれらはってダビデおうげるのがつねであった。それはかれらがまちにはいるのをられないようにするためである。

17:18 ところがひとりの若者わかものかれらをてアブサロムにげたので、かれらふたりはいそいでり、バホリムの、あるひとりのひといえにきた。そのひとにわ井戸いどがあって、かれらはそのなかくだったので、

17:19 おんなはおおいをってきて井戸いどくちうえにひろげ、むぎをそのうえにまきらした。それゆえそのことなにれなかった。

17:20 アブサロムのしもべたちはそのおんないえにきてった、「アヒマアズとヨナタンはどこにいますか」。おんなかれらにった、「あの人々ひとびと小川おがわわたってきました」。かれらはたずねたが見当みあたらなかったのでエルサレムにかえった。

17:21 かれらがったのち人々ひとびと井戸いどからのぼり、ってダビデおうげた。すなわちかれらはダビデにった、「って、すみやかにかわわたりなさい。アヒトペルがあなたがたにたいしてこういうはかりごとをしたからです」。

17:22 そこでダビデはって、ともにいるすべてのたみ一緒いっしょにヨルダンをわたった。夜明よあけには、ヨルダンをわたらないものはひとりもなかった。

17:23 アヒトペルは、自分じぶんはかりごとがおこなわれないのをて、ろばにくらをき、って自分じぶんまちき、そのいえかえった。そしていえひと遺言ゆいごんしてみずからくびれてに、そのちちはかほうむられた。

17:24 ダビデはマハナイムにきた。またアブサロムは自分じぶんともにいるイスラエルのすべての人々ひとびと一緒いっしょにヨルダンをわたった。

17:25 アブサロムはアマサをヨアブのかわりにぐんちょうとした。アマサはかのナハシのむすめでヨアブのははゼルヤのいもうとであるアビガルをめとったイシマエルびと、はイトラというひとである。

17:26 そしてイスラエルとアブサロムはギレアデの陣取じんどった。

17:27 ダビデがマハナイムにきたとき、アンモンの人々ひとびとのうちのラバのナハシのショビと、ロ・デバルのアンミエルのマキル、およびロゲリムのギレアデびとバルジライは、

17:28 寝床ねどこはち土器どき小麦こむぎ大麦おおむぎこな、いりむぎまめ、レンズまめ

17:29 みつ凝乳ぎょうにゅうひつじ乾酪かんらくをダビデおよびともにいるたみべるためにってきた。それはかれらが、「たみ荒野あらのつかれかわいている」とおもったからである。 

第18章 

18:1 さてダビデは自分じぶんともにいるたみ調しらべて、そのうえに千にんちょう、百にんちょうてた。

18:2 そしてダビデはたみをつかわし、三ぶんの一をヨアブのに、三ぶんの一をゼルヤのヨアブの兄弟きょうだいアビシャイのに、三ぶんの一をガテびとイッタイのにあずけた。こうしておうたみった、「わたしもまたかならずあなたがたと一緒いっしょます」。

18:3 しかしたみった、「あなたはてはなりません。それはわれわれがどんなにげても、かれらはわれわれにこころをとめず、われわれのなかばがんでも、われわれにこころをとめないからです。しかしあなたはわれわれの一万にひとしいのです。それゆえあなたはまちなかからわれわれをたすけてくださるほうがよろしい」。

18:4 おうかれらにった、「あなたがたのもっといとおもうことをわたしはしましょう」。こうしておうもんのかたわらにち、たみみなあるいは百にん、あるいは千にんとなってった。

18:5 おうはヨアブ、アビシャイおよびイッタイにめいじて、「わたしのため、若者わかものアブサロムをおだやかにあつかうように」とった。おうがアブサロムのことについてすべてのちょうたちにめいじているときたみみないていた。

18:6 こうしてたみはイスラエルにかってき、エフライムのもりたたかったが、

18:7 イスラエルのたみはそのところでダビデの家来けらいたちのまえやぶれた。そのそのところ戦死者せんししゃおおく、二万におよんだ。

18:8 そしてたたかいはあまねくそののおもてにひろがった。このもりほろぼしたものは、つるぎのほろぼしたものよりもおおかった。

18:9 さてアブサロムはダビデの家来けらいたちにった。そのときアブサロムは騾馬らばっていたが、騾馬らばおおきいかしのの、しげったえだしたとおったので、アブサロムのあたまがそのかしのにかかって、かれ天地てんちあいだにつりさがった。騾馬らばかれててぎてった。

18:10 ひとりのひとがそれをてヨアブにげてった、「わたしはアブサロムが、かしのにかかっているのをました」。

18:11 ヨアブはそれをげたひとった、「あなたはそれをたというのか。それなら、どうしてあなたはかれをそのところで、おとさなかったのか。わたしはあなたにぎん十シケルとおびすじあたえたであろうに」。

18:12 そのひとはヨアブにった、「たといわたしのぎん千シケルをけても、しておうてきすることはしません。おうはわれわれがいているところで、あなたとアビシャイとイッタイに、『わたしのため若者わかものアブサロムを保護ほごせよ』とめいじられたからです。

18:13 もしわたしがそむいてかれいのちをそこなったのであれば、何事なにごとおうかくれることはありませんから、あなたはみずからってわたしをめられたでしょう」。

18:14 そこで、ヨアブは「こうしてあなたとともにとどまってはおられない」とって、に三すじげやりをり、あのかしのにかかって、なおきているアブサロムの心臓しんぞうにこれをとおした。

18:15 ヨアブの武器ぶきる十にん若者わかものたちはいて、アブサロムをころした。

18:16 こうしてヨアブがラッパをいたので、たみはイスラエルのあとをうことをやめてかえった。ヨアブがたみきとめたからである。

18:17 人々ひとびとはアブサロムをって、もりなかおおきなあなげいれ、そのうえにひじょうにおおきい石塚いしづかげた。そしてイスラエルはみなおのおのその天幕てんまくかえった。

18:18 さてアブサロムはきているあいだに、おうたに自分じぶんのために一つのはしらてた。それはかれが、「わたしは自分じぶんつたえるがない」とおもったからである。かれはそのはしら自分じぶんをつけた。そのはしら今日こんにちまでアブサロムのいしぶみととなえられている。

18:19 さてザドクのアヒマアズはった、「わたしははしってって、しゅおうてきからすくされたおとずれをおうつたえましょう」。

18:20 ヨアブはかれった、「きょうは、おとずれをつたえてはならない。おとずれをつたえるのは、ほかのにしなさい。きょうはおうんだので、おとずれをつたえてはならない」。

18:21 ヨアブはクシびとにった、「って、あなたのことおうげなさい」。クシびとはヨアブにれいをしてはしってった。

18:22 ザドクのアヒマアズはかさねてヨアブにった、「何事なにごとがあろうとも、わたしにもクシびとのあとからはしってかせてください」。ヨアブはった、「よ、おとずれのむくいをられないのに、どうしてあなたははしってこうとするのか」。

18:23 かれった、「何事なにごとがあろうとも、わたしははしってきます」。ヨアブはかれった、「はしってきなさい」。そこでアヒマアズは低地ていちみちはしってき、クシびとをした。

18:24 ときにダビデは二つのもんあいだにすわっていた。そして見張みはりのもの城壁じょうへきもん屋根やねにのぼり、をあげてていると、ただひとりではしってくるものがあった。

18:25 見張みはりのものばわっておうげたので、おうった、「もしひとりならば、そのくちにおとずれがあるであろう」。そのひといそいできてちかづいた。

18:26 見張みはりのものは、ほかにまたひとりはしってくるのをたので、もんほうばわってった、「よ、ほかにただひとりではしってものがあります」。おうった、「かれもまたおとずれをってくるのだ」。

18:27 見張みはりのものった、「まっさきはしってひとはザドクのアヒマアズのようです」。おうった、「かれひとだ。いおとずれをってくるであろう」。

18:28 ときにアヒマアズはばわっておうった、「平安へいあんでいらせられますように」。そしておうまえにひれしてった、「あなたのかみしゅはほむべきかな。しゅおう、わがきみてきしてをあげた人々ひとびとわたされました」。

18:29 おうった、「若者わかものアブサロムは平安へいあんですか」。アヒマアズはこたえた、「ヨアブがしもべをつかわすとき、わたしはおおきなさわぎをましたが、何事なにごとであったかりません」。

18:30 おうった、「わきへって、そこにっていなさい」。かれはわきへってった。

18:31 そのときクシびとがきた。そしてそのクシびとはった、「わがきみおういおとずれをおけくださるよう。しゅはきょう、すべてあなたにてきしてったものどものから、あなたをすくされたのです」。

18:32 おうはクシびとにった、「若者わかものアブサロムは平安へいあんですか」。クシびとはこたえた、「おう、わがきみてき、およびすべてあなたにてきしてち、がいをしようとするものは、あの若者わかもののようになりますように」。

18:33 おうはひじょうにかなしみ、もんうえのへやにのぼっていた。かれきながらこのようにった、「わがアブサロムよ。わが、わがアブサロムよ。ああ、わたしがかわってねばよかったのに。アブサロム、わがよ、わがよ」。 

第19章 

19:1 ときにヨアブにげるものがあって、「よ、おうはアブサロムのためにかなしんでいる」とった。

19:2 こうしてその勝利しょうりはすべてのたみかなしみとなった。それはそのたみが、「おうはそののためにかなしんでいる」とひとうのをいたからである。

19:3 そしてたみはそのたたかいにげてじているたみがひそかに、はいるように、ひそかにまちにはいった。

19:4 おうかおをおおった。そしておう大声おおごえさけんで、「わがアブサロムよ。アブサロム、わがよ、わがよ」とった。

19:5 ときにヨアブはいえにはいり、おうのもとにきてった、「あなたは、きょう、あなたのいのちと、あなたのむすこむすめたちのいのち、およびあなたのつまたちのいのちと、めかけたちのいのちすくったすべての家来けらいかおをはずかしめられました。

19:6 それはあなたが自分じぶんにくものあいし、自分じぶんあいするものにくまれるからです。あなたは、きょう、ぐんちょうたちをも、しもべたちをもかえりみないことをしめされました。きょう、わたしはりました。もし、アブサロムがきていて、われわれがみなきょうんでいたら、あなたのにかなったでしょう。

19:7 いまってって、しもべたちにねんごろにかたってください。わたしはしゅをさしてちかいます。もしあなたがられないならば、今夜こんやあなたとともにとどまるものはひとりもないでしょう。これはあなたがわかときからいままでにこうむられたすべてのわざわいよりも、あなたにとってわるいでしょう」。

19:8 そこでおうってもんのうちのについた。人々ひとびとはすべてのたみに、「よ、おうもんしている」とげたので、たみはみなおうまえにきた。

さてイスラエルはおのおのその天幕てんまくかえった。

19:9 そしてイスラエルのもろもろの部族ぶぞくなかたみはみなあらそってった、「おうはわれわれをてきからすくし、またわれわれをペリシテびとのからたすされた。しかしいまはアブサロムのためにくにのそとにげておられる。

19:10 またわれわれがあぶらそそいで、われわれのうえてたアブサロムはたたかいでんだ。それであるのに、どうしてあなたがたはおうみちびきかえることについて、なにをもわないのか」。

19:11 ダビデおう祭司さいしたちザドクとアビヤタルとにひとをつかわしてった、「ユダの長老ちょうろうたちにいなさい、『ぜんイスラエルの言葉ことばおうたっしたのに、どうしてあなたがたはおうをそのいえみちびきかえる最後さいごものとなるのですか。

19:12 あなたがたはわたしの兄弟きょうだい、わたしの骨肉こつにくです。それにどうしておうみちびきかえる最後さいごものとなるのですか』。

19:13 またアマサにいなさい、『あなたはわたしの骨肉こつにくではありませんか。これからのちあなたをヨアブにえて、わたしのぐんちょうとします。もしそうしないときは、かみ幾重いくえにもわたしをばっしてくださるように』」。

19:14 こうしてダビデはユダのすべてのひとこころを、ひとりのように自分じぶんかたむけさせたので、かれらはおうに、「どうぞあなたも、すべての家来けらいたちもかえってきてください」といおくった。

19:15 そこでおうかえってきてヨルダンまでると、ユダのひとひとおうむかえるためギルガルにきて、おうにヨルダンをわたらせた。

19:16 バホリムのベニヤミンびと、ゲラのシメイは、いそいでユダの人々ひとびとともくだってきて、ダビデおうむかえた。

19:17 一千にんのベニヤミンびとがかれともにいた。またサウルのいえのしもべヂバもその十五にんのむすこと、二十にんのしもべをしたがえて、おうまえにヨルダンにくだった。

19:18 そしておう家族かぞくわたし、おうこころにかなうことをしようとわたわたった。ゲラのシメイはヨルダンをわたろうとするときおうまえにひれし、

19:19 おうった、「どうぞわがきみが、つみをわたしにしられないように。またわがきみおうのエルサレムをられたに、しもべがおこなったわることおもされないように。どうぞおうがそれをこころめられないように。

19:20 しもべは自分じぶんつみおかしたことをっています。それゆえ、よ、わたしはきょう、ヨセフの全家ぜんかのまっさきくだってきて、わがしゅおうむかえるのです」。

19:21 ゼルヤのアビシャイはこたえてった、「シメイはしゅあぶらそそがれたものをのろったので、そのためにころされるべきではありませんか」。

19:22 ダビデはった、「あなたがたゼルヤのたちよ、あなたがたとなにのかかわりがあって、あなたがたはきょうわたしに敵対てきたいするのか。きょう、イスラエルのうちでひところしてかろうか。わたしが、きょうイスラエルのおうとなったことを、どうして自分じぶんらないことがあろうか」。

19:23 こうしておうはシメイに、「あなたをころさない」とって、おうかれちかった。

19:24 サウルのメピボセテはくだってきておうむかえた。かれおうったからやすらかにかえまで、そのあしかざらず、そのひげをととのえず、またその着物きものあらわなかった。

19:25 かれがエルサレムからきておうむかえたときおうかれった、「メピボセテよ、あなたはどうしてわたしとともかなかったのか」。

19:26 かれこたえた、「わがしゅおうよ、わたしの家来けらいがわたしをあざむいたのです。しもべはかれに、『わたしのために、ろばにくらをけ。わたしはそれにっておうともく』とったのです。しもべはあしなえだからです。

19:27 ところがかれはしもべのことをわがしゅおうまえに、あしざまにったのです。しかし、わがしゅおうかみ使つかいのようでいらせられます。それで、あなたのいとおもわれることをしてください。

19:28 わたしのちち全家ぜんかはわがしゅおうまえにはみなんだひとにすぎないのに、あなたはしもべを、あなたの食卓しょくたく食事しょくじをする人々ひとびとのうちにかれました。わたしになんの権利けんりがあって、かさねておううったえることができましょう」。

19:29 おうかれった、「あなたはどうしてなおも自分じぶんのことをうのですか。わたしはめました。あなたとヂバとはその土地とちけなさい」。

19:30 メピボセテはおうった、「わがしゅおうやすらかにいえかえられたのですから、かれにそれをみならせてください」。

19:31 さてギレアデびとバルジライはロゲリムからくだってきて、ヨルダンでおう見送みおくるため、おうともにヨルダンにすすんだ。

19:32 バルジライは、ひじょうに年老としおいたひとで八十{さいであった。かれはまた、ひじょうに裕福ゆうふくひとであったので、おうがマハナイムにとどまっているあいだおうやしなった。

19:33 おうはバルジライにった、「わたしと一緒いっしょわたってきなさい。わたしはエルサレムであなたをわたしとともにおらせてやしないましょう」。

19:34 バルジライはおうった、「わたしは、なおなにねんいきながらえるので、おうともにエルサレムにのぼるのですか。

19:35 わたしは今日こんにち八十さいです。わたしに、いことわるいことがわきまえられるでしょうか。しもべはべるもの、むものをあじわうことができましょうか。わたしはうたおとこうたおんなこえをまだくことができましょうか。それであるのに、しもべはどうしてなおわがしゅおう重荷おもにとなってよろしいでしょうか。

19:36 しもべはおうともにヨルダンをわたって、ただすこきましょう。どうしておうはこのようなむくいをわたしにむくいられなければならないのでしょうか。

19:37 どうぞしもべをかえらせてください。わたしは自分じぶんまちで、父母ふぼはかちかくでにます。ただし、あなたのしもべキムハムがここにおります。わがしゅおうともかれわたってかせてください。またあなたがいとおもわれることかれにしてください」。

19:38 おうこたえた、「キムハムはわたしとともわたってかせます。わたしは、あなたがいとおもわれることかれにしましょう。またあなたがのぞまれることはみな、あなたのためにいたします」。

19:39 こうしてたみはみなヨルダンをわたった。おうわたったとき、バルジライにくちづけして、祝福しゅくふくしたので、かれ自分じぶんいえかえっていった。

19:40 おうはギルガルにすすんだ。キムハムもかれともすすんだ。ユダのたみはみなおうおくり、イスラエルのたみなかばもまたそうした。

19:41 さてイスラエルの人々ひとびとはみなおうところにきて、おうった、「われわれの兄弟きょうだいであるユダの人々ひとびとは、なにゆえにあなたをぬすって、おうとその家族かぞく、およびダビデにともなっているすべての従者じゅうしゃにヨルダンをわたらせたのですか」。

19:42 ユダの人々ひとびとはみなイスラエルの人々ひとびとこたえた、「おうはわれわれの近親きんしんだからです。あなたがたはどうしてこのこといかられるのですか。われわれがすこしでもおうものべたことがありますか。おうなに賜物たまものをわれわれにあたえたことがありますか」。

19:43 イスラエルの人々ひとびとはユダの人々ひとびとこたえた、「われわれはおうのうちに十のぶんっています。またダビデのうちにもわれわれはあなたがたよりもおおくをっています。それであるのに、どうしてあなたがたはわれわれをかろんじたのですか。われらのおうみちびかえろうと最初さいしょったのはわれわれではないのですか」。しかしユダの人々ひとびと言葉ことばはイスラエルの人々ひとびと言葉ことばよりもはげしかった。 

第20章 

20:1 さて、そのところにひとりのよこしまなひとがあって、をシバといった。ビクリので、ベニヤミンびとであった。かれはラッパをいてった、「われわれはダビデのうちにぶんがない。またエッサイののうちにぎょうたない。イスラエルよ、おのおのその天幕てんまくかえりなさい」。

20:2 そこでイスラエルの人々ひとびとみなダビデにしたがことをやめて、ビクリのシバにしたがった。しかしユダの人々ひとびとはそのおうにつきしたがって、ヨルダンからエルサレムへった。

20:3 ダビデはエルサレムの自分じぶんいえにきた。そしておういえまもるためにのこしておいた十にんのめかけたちをって、一つのいえれてまもり、またやしなったが、彼女かのじょたちのところには、はいらなかった。彼女かのじょたちはまでじこめられ一生いっしょう寡婦かふとしてすごした。

20:4 おうはアマサにった、「わたしのため三のうちにユダの人々ひとびとあつめて、ここにきなさい」。

20:5 アマサはユダをあつめるためにったが、かれさだめられたときよりもおくれた。

20:6 ダビデはアビシャイにった、「ビクリのシバはいまわれわれにアブサロムよりもおおくのがいをするであろう。あなたの主君しゅくん家来けらいたちをひきいて、かれのあとをいなさい。さもないとかれ堅固けんご町々まちまちて、われわれをなやますであろう」。

20:7 こうしてヨアブとケレテびととペレテびと、およびすべての勇士ゆうしはアビシャイにしたがってた。すなわちかれらはエルサレムをて、ビクリのシバのあとをった。

20:8 かれらがギベオンにある大石おおいしのところにいたとき、アマサがきてかれらにった。ときにヨアブは軍服ぐんぷくて、おびをしめ、そのうえにさやにおさめたつるぎをこしむすんでびていたが、かれすすときつるぎはちた。

20:9 ヨアブはアマサに、「兄弟きょうだいよ、あなたはやすらかですか」とって、ヨアブはみぎをもってアマサのひげをとらえてかれくちづけしようとしたが、

20:10 アマサはヨアブのにつるぎがあることにづかなかったので、ヨアブはそれをもってアマサの腹部ふくぶして、そのはらわたをながし、かさねてつこともなくかれころした。

こうしてヨアブとその兄弟きょうだいアビシャイはビクリのシバのあとをった。

20:11 ときにヨアブの若者わかもののひとりがアマサのかたわらにってった、「ヨアブに味方みかたするもの、ダビデにつくものはヨアブのあとにしたがいなさい」。

20:12 アマサはんで大路おおじなかにころがっていたので、そのそばにものはみなかれちどまった。このひとたみがみなちどまるのをて、アマサを大路おおじからはたけうつし、衣服いふくをそのうえにかけた。

20:13 アマサが大路おおじからうつされたので、たみみなヨアブにしたがってすすみ、ビクリのシバのあとをった。

20:14 シバはイスラエルのすべての部族ぶぞくのうちをとおってベテマアカのアベルにきた。ビクリびとはみなあつまってきてかれしたがった。

20:15 そこでヨアブとともにいたすべての人々ひとびとがきて、かれをベテマアカのアベルにかこみ、まちかってつちるいきずいた。それはとりでにかっててられた。こうしてかれらは城壁じょうへきをくずそうとしてこれをった。

20:16 そのとき、ひとりのかしこおんなまちからばわった、「あなたがたはきなさい。あなたがたはきなさい。ヨアブに、『ここにきてください。わたしはあなたにうことがあります』とってください」。

20:17 かれがそのおんな近寄ちかよると、おんなは「あなたがヨアブですか」とった。かれは「そうです」とこたえた。するとおんなかれに「はしための言葉ことばをおきください」とったので、「きましょう」とかれった。

20:18 そこでおんなった、「むかし人々ひとびとはいつも、『アベルでたずねなさい』とって、ことさだめました。

20:19 わたしはイスラエルのうちの平和へいわな、忠誠ちゅうせいものです。そうであるのに、あなたはイスラエルのうちでははともいうべきまちほろぼそうとしておられます。どうしてしゅぎょうを、のみつくそうとされるのですか」。

20:20 ヨアブはこたえた、「いいえ、けっしてそうではなく、わたしが、のみつくしたり、ほろぼしたりすることはありません。

20:21 事実じじつはそうではなく、エフライムの山地さんちひとビクリのをシバというものをあげておうダビデにそむいたのです。あなたがたがかれひとりをわたすならば、わたしはこのまちります」。おんなはヨアブにった、「かれくび城壁じょうへきうえからあなたのところげられるでしょう」。

20:22 こうしてこのおんな知恵ちえをもって、すべてのたみところったので、かれらはビクリのシバのくびをはねてヨアブのところした。そこでヨアブはラッパをきならしたので、人々ひとびとってまちり、おのおのいえかえった。ヨアブはエルサレムにいるおうのもとにかえった。

20:23 ヨアブはイスラエルのぜんぐんちょうであった。エホヤダのベナヤはケレテびと、およびペレテびとのちょう

20:24 アドラムは徴募ちょうぼにんちょう、アヒルデのヨシャパテは史官しかん

20:25 シワは書記官しょきかん、ザドクとアビヤタルとは祭司さいし

20:26 またヤイルびとイラはダビデの祭司さいしであった。 

第21章 

21:1 ダビデのに、としまたとしと三ねん、ききんがあったので、ダビデがしゅたずねたところ、しゅわれた、「サウルとそのいえとに、ながしたつみがある。それはかつてかれがギベオンびとをころしたためである」。

21:2 そこでおうはギベオンびとをしよせた。ギベオンびとはイスラエルの子孫しそんではなく、アモリびとののこりであって、イスラエルの人々ひとびとかれらとちかいをてて、そのいのちたすけた。ところがサウルはイスラエルとユダの人々ひとびとのために熱心ねっしんであったので、かれらをころそうとしたのである。

21:3 それでダビデはギベオンびとにった、「わたしはあなたがたのために、なにをすればよいのですか。どんなつぐないをすれば、あなたがたはしゅぎょう祝福しゅくふくするのですか」。

21:4 ギベオンびとはかれった、「これはわれわれと、サウルまたはそのいえとのあいだ金銀きんぎん問題もんだいではありません。またイスラエルのうちのひとりでも、われわれがころそうというのでもありません」。ダビデはった、「わたしがあなたがたのためになにをすればよいとうのですか」。

21:5 かれらはおうった、「われわれをほろぼしたひと、われわれをほろぼしてイスラエルの領域りょういきのどこにもおらせないようにと、たくらんだひと

21:6 そのひと子孫しそんにんわたしてください。われわれはしゅやまにあるギベオンで、かれらをしゅまえにかけましょう」。おうった、「わたしましょう」。

21:7 しかしおうはサウルのヨナタンのであるメピボセテをしんだ。かれらのあいだ、すなわちダビデとサウルのヨナタンとのあいだに、しゅをさしててたちかいがあったからである。

21:8 おうはアヤのむすめリヅパがサウルにんだふたりのアルモニとメピボセテ、およびサウルのむすめメラブがメホラびとバルジライのアデリエルにんだ五にんって、

21:9 かれらをギベオンびとのわたしたので、ギベオンびとはかれらをやましゅまえにかけた。かれら七にんともたおれた。かれらは刈入かりいれのはじめの、すなわち大麦おおむぎりのはじめにころされた。

21:10 アヤのむすめリヅパは荒布あらぬのをとって、それを自分じぶんのためにいわうえき、刈入かりいれのはじめから、その人々ひとびと死体したいうえてんからあめるまで、ひるそらとり死体したいうえにこないようにし、よるけもの近寄ちかよらせなかった。

21:11 アヤのむすめでサウルのめかけであったリヅパのしたことがダビデにきこえたので、

21:12 ダビデはってサウルのほねとそのヨナタンのほねを、ヤベシギレアデの人々ひとびとところからってきた。これはペリシテびとがサウルをギルボアでころしたに、にかけたベテシャンの広場ひろばから、かれらがぬすんでいたものである。

21:13 ダビデはそこからサウルのほねと、そのヨナタンのほねたずさえてのぼった。また人々ひとびとはそのかけられたものどものほねあつめた。

21:14 こうしてかれらはサウルとそのヨナタンのほねを、ベニヤミンののゼラにあるそのちちキシのはかほうむり、すべておうめいじたようにした。こののちかみはそののために、いのりかれた。

21:15 ペリシテびとはまたイスラエルと戦争せんそうをした。ダビデはその家来けらいたちとともくだってペリシテびととたたかったが、ダビデはつかれていた。

21:16 ときにイシビベノブはダビデをころそうとおもった。イシビベノブは巨人きょじん子孫しそんで、そのやりは青銅せいどうおもさ三百シケルあり、かれあたらしいつるぎをびていた。

21:17 しかしゼルヤのアビシャイはダビデをたすけて、そのペリシテびとをころした。そこでダビデの従者じゅうしゃたちはかれちかってった、「あなたはわれわれとともに、かさねて戦争せんそうてはなりません。さもないと、あなたはイスラエルのともしすでしょう」。

21:18 こののちふたたびゴブでペリシテびととのたたかいがあった。ときにホシャびとシベカイは巨人きょじん子孫しそんのひとりサフをころした。

21:19 ここにまたゴブで、ペリシテびととのたたかいがあったが、そこではベツレヘムびとヤレオレギムのエルハナンは、ガテびとゴリアテをころした。そのやりのはた巻棒まきぼうのようであった。

21:20 またガテでふたたたたかいがあったが、そこにひとりのたかひとがあり、そのゆびあしゆびは六ぽんずつで、そのかずわせて二十四ほんであった。かれもまた巨人きょじんからうまれたものであった。

21:21 かれはイスラエルをののしったので、ダビデの兄弟きょうだいシメアのヨナタンがかれころした。

21:22 これらの四にんはガテで巨人きょじんからうまれたものであったが、ダビデのとその家来けらいたちのたおれた。 

第22章 

22:1 ダビデはしゅがもろもろのてきとサウルのから、自分じぶんすくされたに、このうた言葉ことばしゅかってべ、

22:2 かれった、

しゅはわがいわ、わがしろ、わたしをすくもの

22:3 わがかみ、わがいわ。わたしはかれたのむ。わがたて、わがすくいつのわがたかきやぐら、わがどころわが救主すくいぬし。あなたはわたしを暴虐ぼうぎゃくからすくわれる。

22:4 わたしは、ほめまつるべきしゅばわって、わたしのてきからすくわれる。

22:5 なみはわたしをとりまき、ほろびの大水おおみずはわたしをおそった。

22:6 陰府よみつなはわたしをとりかこみ、のわなはわたしに、たちかった。

22:7 苦難くなんのうちにわたしはしゅび、またわがかみばわった。しゅがそのみやからわたしのこえかれて、わたしのさけびはそのみみにとどいた。

22:8 そのときふるいうごき、てんもといはゆるぎふるえた。かれいかられたからである。

22:9 けむりはそのはなからたちのぼり、はそのくちからきつくし、白熱はくねつすみかれからた。

22:10 かれてんひくくしてくだられ、くらやみがかれあししたにあった。

22:11 かれはケルブにってび、かぜつばさってあらわれた。

22:12 かれはその周囲しゅうい幕屋まくやとして、やみとくもみずあつまりとをかれた。

22:13 そのみまえかがやきから炭火すみびた。

22:14 しゅてんからかみなりをとどろかせ、いとたかものこえされた。

22:15 かれはまたはなってかれらをらし、いなずまをはなってかれらをやぶられた。

22:16 しゅのとがめと、そのはなのいぶきとによって、うみそこはあらわれ、世界せかいもといが、あらわになった。

22:17 かれたかところからべてわたしをとらえ、大水おおみずなかからわたしをげ、

22:18 わたしのつよてきと、わたしをにくものとからわたしをすくわれた。かれらはわたしにとって、あまりにもつよかったからだ。

22:19 かれらはわたしのわざわいにわたしに、たちかった。しかししゅはわたしの支柱しちゅうとなられた。

22:20 かれはまたわたしをひろところきだされ、わたしをよろこばれて、すくってくださった。

22:21 しゅはわたしのにしたがってわたしにむくい、わたしのきよきにしたがってわたしにむくいかえされた。

22:22 それは、わたしがしゅみちまもり、あくおこなわず、わがかみからはなれたことがないからである。

22:23 そのすべてのおきてはわたしのまえにあって、わたしはその、みさだめをはなれたことがない。

22:24 わたしはしゅまえけたところなく、みずからをまもってつみおかさなかった。

22:25 それゆえ、しゅはわたしのにしたがい、そののまえにわたしのきよきにしたがって、わたしにむくいられた。

22:26 忠実ちゅうじつものには、あなたは忠実ちゅうじつものとなり、 けたところのないひとには、あなたはけたところのないものとなり、

22:27 きよものには、あなたはきよものとなり、まがったものには、かたいぢなものとなられる。

22:28 あなたはへりくだるたみすくわれる、しかしあなたのたかぶるものこれをひくくせられる。

22:29 まことに、しゅよ、あなたはわたしのともしわがかみはわたしのやみをてらされる。

22:30 まことに、あなたによってわたしはてきぐんをふみほろぼし、わがかみによっていしがきをとびえることができる。

22:31 このかみこそ、そのみちのうちどころなく、しゅ約束やくそく真実しんじつである。かれはすべてかれたのものたてである。

22:32 しゅのほかに、だれがかみか、われらのかみのほか、だれがいわであるか。

22:33 このかみこそわたしの堅固けんごどころであり、わたしのみち安全あんぜんにされた。

22:34 わたしのあしをめじかのあしのようにして、わたしをたかところ安全あんぜんたせ、

22:35 わたしのたたかいにらされたので、わたしのうで青銅せいどうゆみくことができる。

22:36 あなたはそのすくいたてをわたしにあたえ、あなたのたすけは、わたしをおおいなるものとされた。

22:37 あなたはわたしがあるひろ場所ばしょあたえられたので、わたしのあしはすべらなかった。

22:38 わたしはてきって、これをほろぼし、これをやすまではかえらなかった。

22:39 わたしはかれらをやし、かれらをくだいたのでかれらはつことができず、わたしのあしもとにたおれた。

22:40 あなたはたたかいのために、わたしにちからびさせわたしをめるものをわたしのしたにかがませられた。

22:41 あなたによって、てきそのうしろをわたしにけたので、わたしをにくものをわたしはほろぼした。

22:42 かれらはまわしたが、すくものはいなかった。かれらはしゅさけんだが、かれらにはこたえられなかった。

22:43 わたしはかれらをのちりのようにこまかにちくだき、ちまたのどろのように、みにじった。

22:44 あなたはわたしを国々くにぐにたみとのあらそいからすくし、わたしをもろもろの国民こくみんのかしらとされた。わたしのらなかったたみがわたしにつかえた。

22:45 異国いこくひとたちはきてわたしにこび、わたしのことくとすぐわたしにしたがった。

22:46 異国いこくひとたちは、うちしおれてそのしろからふるえながらてきた。

22:47 しゅきておられる。わがいわはほむべきかな。わがかみ、わがすくいいわはあがむべきかな。

22:48 このかみはわたしのために、あだをむくい、もろもろのたみをわたしのしたかれた。

22:49 またわたしをてきからすくし、あだのうえにわたしをあげ、暴虐ぼうぎゃく人々ひとびとからわたしをすくされた。

22:50 それゆえ、しゅよ、わたしはもろもろの国民くにたみなかで、あなたをたたえ、あなたの、みをほめうたうであろう。

22:51 しゅはそのおうおおいなる勝利しょうりあたえ、あぶらそそがれたものに、ダビデとその子孫しそんとに、とこしえに、いつくしみをほどこされる」。 

第23章 

23:1 これはダビデの最後さいご言葉ことばである。エッサイのダビデの託宣たくせんすなわちたかげられたひとヤコブのかみあぶらそそがれたひとイスラエルのうたびとの託宣たくせん

23:2 「しゅれいはわたしによってかたる、その言葉ことばはわたしのしたうえにある。

23:3 イスラエルのかみかたられた、イスラエルのいわはわたしにわれた、ひとただしくおさめるものかみおそれて、おさめるものは、

23:4 あさひかりのように、くものないあさに、かがやきでる太陽たいようのように、若草わかくさばえさせるあめのようにひとのぞむ』。

23:5 まことに、わがはそのように、かみともにあるではないか。それは、かみが、よろずそなわってたしかなとこしえの契約けいやくをわたしとむすばれたからだ。どうしてかれはわたしのすくいねがいを、みななしとげられぬことがあろうか。

23:6 しかし、よこしまなひとは、いばらのようで、をもってることができないゆえ、みなともてられるであろう。

23:7 これにれようとするひとてつや、やりのをもって武装ぶそうする、かれらはことごとくかれるであろう」。

23:8 ダビデの勇士ゆうしたちのつぎのとおりである。タクモンびとヨセブ・バッセベテはかの三にんのうちのちょうであったが、かれはいちじに八百にんかって、やりをふるい、それをころした。

23:9 かれつぎはアホアびとドドのエレアザルであって、三勇士ゆうしのひとりである。かれは、たたかおうとしてそこにあつまったペリシテびとにかってたたかいをいどみ、イスラエルの人々ひとびと退しりぞいたとき、ダビデとともにいたが、

23:10 ってペリシテびとをち、ついにつかれ、がつるぎにいてはなれないほどになった。そのしゅおおいなる勝利しょうりあたえられた。たみかれのあとにかえってきて、ただころされたものをはぎるばかりであった。

23:11 かれつぎはハラルびとアゲのシャンマであった。あるとき、ペリシテびとはレヒにあつまった。そこに一面いちめんにレンズまめつくった地所じしょがあった。たみはペリシテびとのまえからげたが、

23:12 かれはその地所じしょなかって、これをふせぎ、ペリシテびとをころした。そしてしゅおおいなるすくいあたえられた。

23:13 三十にんちょうたちのうちの三にんくだってって刈入かりいれのころに、アドラムのほらあなにいるダビデのもとにきた。ときにペリシテびとの一たいはレパイムのたにじんっていた。

23:14 そのときダビデは要害ようがいにおり、ペリシテびとの先陣せんじんはベツレヘムにあったが、

23:15 ダビデは、せつにのぞんで、「だれかベツレヘムのもんのかたわらにある井戸いどみずをわたしにませてくれるとよいのだが」とった。

23:16 そこでその三にん勇士ゆうしたちはペリシテびとのじんとおって、ベツレヘムのもんのかたわらにある井戸いどみずって、ダビデのもとにたずさえてきた。しかしダビデはそれをもうとはせず、しゅまえにそれをそそいで、

23:17 った、「しゅよ、わたしはだんじてむことをいたしません。いのちをかけてった人々ひとびとを、どうしてわたしはむことができましょう」。こうしてかれはそれをもうとはしなかった。三勇士ゆうしはこれらのことをおこなった。

23:18 ゼルヤのヨアブの兄弟きょうだいアビシャイは三十にんちょうであった。かれは三百にんかって、やりをふるい、それをころした。そして、かれは三にんともた。

23:19 かれは三十にんのうちもっとたっとばれたもので、かれらのちょうとなった。しかし、かの三にんにはおよばなかった。

23:20 エホヤダのベナヤはカブジエル出身しゅっしん勇士ゆうしであって、おおくのてがらをてた。かれはモアブのアリエルのふたりのころした。かれはまたゆきくだっていって、あななかでししをころした。

23:21 かれはまた姿すがたのうるわしいエジプトびとをころした。そのエジプトびとはにやりをっていたが、ベナヤはつえをとってそのところくだっていき、エジプトびとのからやりをもぎとって、そのやりをもってころした。

23:22 エホヤダのベナヤはこれらのことをして三勇士ゆうしともた。

23:23 かれは三十にんのうちに有名ゆうめいであったが、かの三にんにはおよばなかった。ダビデはかれ侍衛じえいちょうとした。

23:24 三十にんのうちにあったのは、ヨアブの兄弟きょうだいアサヘル。ベツレヘム出身しゅっしんのドドのエルハナン。

23:25 ハロデ出身しゅっしんのシャンマ。ハロデ出身しゅっしんのエリカ。

23:26 パルテびとヘレヅ。テコア出身しゅっしんのイッケシのイラ。

23:27 アナトテ出身しゅっしんのアビエゼル。ホシャびとメブンナイ。

23:28 アホアびとザルモン。ネトパ出身しゅっしんのマハライ。

23:29 ネトパ出身しゅっしんのバアナのヘレブ。ベニヤミンびとのギベアからたリバイのイッタイ。

23:30 ピラトンのベナヤ。ガアシのたに出身しゅっしんのヒダイ。

23:31 アルバテびとアビアルボン。バホリム出身しゅっしんのアズマウテ。

23:32 シャルボン出身しゅっしんのエリヤバ。ヤセンのたち。ヨナタン。

23:33 ハラルびとシャンマ。ハラルびとシャラルのアヒアム。

23:34 マアカ出身しゅっしんのアハスバイのエリペレテ。ギロ出身しゅっしんのアヒトペルのエリアム。

23:35 カルメル出身しゅっしんのヘヅロ。アルバびとパアライ。

23:36 ゾバ出身しゅっしんのナタンのイガル。ガドびとバニ。

23:37 アンモンびとゼレク。ゼルヤのヨアブの武器ぶきもの、ベエロテ出身しゅっしんのナハライ。

23:38 イテルびとイラ。イテルびとガレブ。

23:39 ヘテびとウリヤ。わせて三十七にんである。 

第24章 

24:1 しゅふたたびイスラエルにかっていかりをはっし、ダビデを感動かんどうしてかれらにさからわせ、「ってイスラエルとユダとをかぞえよ」とわれた。

24:2 そこでおうはヨアブおよびヨアブとともにいるぐんちょうたちにった、「イスラエルのすべての部族ぶぞくのうちを、ダンからベエルシバまでめぐってたみかぞえ、わたしにたみかずらせなさい」。

24:3 ヨアブはおうった、「どうぞあなたのかみしゅが、たみいまよりも百ばいしてくださいますように。そしておう、わがしゅがまのあたり、それをられますように。しかしおう、わがしゅなにゆえにこのことよろこばれるのですか」。

24:4 しかしおう言葉ことばがヨアブとぐんちょうたちとにったので、ヨアブとぐんちょうたちとはおうまえ退しりぞき、イスラエルのたみかぞえるためにった。

24:5 かれらはヨルダンをわたり、アロエルから、すなわちたになかにあるまちからはじめて、ガドにかい、ヤゼルにすすんだ。

24:6 それからギレアデにき、またヘテびとのにあるカデシにき、それからダンにいたり、ダンからシドンにまわり、

24:7 またツロの要害ようがいき、ヒビびと、およびカナンびとのすべてのまちき、ユダのネゲブにてベエルシバへった。

24:8 こうしてかれらはくにをあまねくめぐって、九かげつと二十にちてエルサレムにきた。

24:9 そしてヨアブはたみ総数そうすうおうげた。すなわちイスラエルには、つるぎを勇士ゆうしたちが八十万あった。ただしユダの人々ひとびとは五十万であった。

24:10 しかしダビデはたみかぞえたのちこころめられた。そこでダビデはしゅった、「わたしはこれをおこなっておおきなつみおかしました。しかししゅよ、いまどうぞしもべのつみってください。わたしはひじょうにおろかなことをいたしました」。

24:11 ダビデがあさきたとき、しゅ言葉ことばはダビデの先見者せんけんしゃである預言者よげんしゃガデにのぞんでった、

24:12 「ってダビデにいなさい、『しゅはこうおおせられる、「わたしは三つのことをしめす。あなたはその一つをえらぶがよい。わたしはそれをあなたにおこなうであろう」と』」。

24:13 ガデはダビデのもとにきて、かれった、「あなたのくにに三ねんのききんをこさせようか。あなたがてきわれて三かげつてきまえげるようにしようか。それとも、あなたのくにに三疫病えきびょうをおくろうか。あなたはかんがえて、わたしがどのこたえを、わたしをつかわされたかたになすべきかをめなさい」。

24:14 ダビデはガデにった、「わたしはひじょうになやんでいますが、しゅのあわれみはおおきいゆえ、われわれをしゅおちいらせてください。わたしをひとにはおちいらせないでください」。

24:15 そこでしゅあさからさだめのときまで疫病えきびょうをイスラエルにくだされた。ダンからベエルシバまでにたみんだものは七万にんあった。

24:16 てん使つかいをエルサレムにべてこれをほろぼそうとしたが、しゅはこの害悪がいあくい、たみほろぼしているてん使つかいわれた、「もはや、じゅうぶんである。いまあなたのをとどめるがよい」。そのときしゅ使つかいはエブスびとアラウナののかたわらにいた。

24:17 ダビデはたみっているてん使つかいときしゅった、「わたしはつみおかしました。わたしはあくおこないました。しかしこれらのひつじたちはなにをしたのですか。どうぞあなたのをわたしとわたしのちちいえけてください」。

24:18 そのガデはダビデのところにきてかれった、「のぼってってエブスびとアラウナのしゅ祭壇さいだんてなさい」。

24:19 ダビデはガデの言葉ことばしたがい、しゅめいじられたようにのぼってった。

24:20 アラウナはおろして、おうとそのしもべたちが自分じぶんほうすすんでくるのをたので、アラウナはてきておうまえにひれしてはいした。

24:21 そしてアラウナはった、「どうしておうわがしゅは、しもべのところにこられましたか」。ダビデはった、「あなたからり、しゅ祭壇さいだんきずいてたみくだわざわいをとどめるためです」。

24:22 アラウナはダビデにった、「どうぞおう、わがしゅのよいとおもわれるものってささげてください。燔祭はんさいにするうしもあります。たきぎにするこくうしのくびきもあります。

24:23 おうよ、アラウナはこれをことごとくおうにささげます」。アラウナはまたおうに、「あなたのかみしゅがあなたをけいれられますように」とった。

24:24 しかしおうはアラウナにった、「いいえ、代価だいか支払しはらってそれをあなたからります。わたしは費用ひようをかけずに燔祭はんさいをわたしのかみしゅにささげることはしません」。こうしてダビデはぎん五十シケルでうしとをった。

24:25 ダビデはそのところしゅ祭壇さいだんきずき、燔祭はんさい酬恩祭しゅうおんさいをささげた。そこでしゅはそののためにいのりかれたので、わざわいがイスラエルにくだることはとどまった。