口語訳聖書(振り仮名付き)
章: 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34
申命しんめい記き
第24章 Dt-Audio
24:1 人ひとが妻つまをめとって、結婚けっこんしたのちに、その女おんなに恥はずべきことのあるのを見みて、好このまなくなったならば、離縁りえん状じょうを書かいて彼女かのじょの手てに渡わたし、家いえを去さらせなければならない。
24:2 女おんながその家いえを出でてのち、行いって、ほかの人ひとにとつぎ、
24:3 後のちの夫おっとも彼女かのじょをきらって、離縁りえん状じょうを書かき、その手てに渡わたして家いえを去さらせるか、または妻つまにめとった後のちの夫おっとが死しんだときは、
24:4 彼女かのじょはすでに身みを汚けがしたのちであるから、彼女かのじょを去さらせた先さきの夫おっとは、ふたたび彼女かのじょを妻つまにめとることはできない。これは主しゅの前まえに憎にくむべき事ことだからである。あなたの神かみ、主しゅが嗣し業ぎょうとしてあなたに与あたえられる地ちに罪つみを負おわせてはならない。
24:5 人ひとが新あらたに妻つまをめとった時ときは、戦争せんそうに出だしてはならない。また何なにの務つとめもこれに負おわせてはならない。その人ひとは一年ねんの間あいだ、束縛そくばくなく家いえにいて、そのめとった妻つまを慰なぐさめなければならない。
24:6 ひきうす、またはその上石うわいしを質しつにとってはならない。これは命いのちをつなぐものを質しつにとることだからである。
24:7 イスラエルの人々ひとびとのうちの同胞どうほうのひとりをかどわかして、これを奴隷どれいのようにあしらい、またはこれを売うる者ものを見みつけたならば、そのかどわかした者ものを殺ころして、あなたがたのうちから悪あくを除のぞき去さらなければならない。
24:8 らい病びょうの起たった時ときは気きをつけて、すべてレビびとたる祭司さいしが教おしえることを、よく守まもって行おこなわなければならない。すなわちわたしが彼かれらに命めいじたように、あなたがたはそれを守まもって行おこなわなければならない。
24:9 あなたがたがエジプトから出でてきたとき、道みちであなたの神かみ、主しゅがミリアムにされたことを記憶きおくしなければならない。
24:10 あなたが隣人りんじんに物ものを貸かすときは、自分じぶんでその家いえにはいって、質物しちものを取とってはならない。
24:11 あなたは外そとに立たっていて、借かりた人ひとが質物しちものを外そとにいるあなたのところへ持もち出ださなければならない。
24:12 もしその人ひとが貧まずしい人ひとである時ときは、あなたはその質物しちものを留とめおいて寝ねてはならない。
24:13 その質物しちものは日ひの入いるまでに、必かならず返かえさなければならない。そうすれば彼かれは自分じぶんの上着うわぎをかけて寝ねることができて、あなたを祝福しゅくふくするであろう。それはあなたの神かみ、主しゅの前まえにあなたの義ぎとなるであろう。
24:14 貧まずしく乏とぼしい雇人やといにんは、同胞どうほうであれ、またはあなたの国くにで、町まちのうちに寄留きりゅうしている他国たこく人じんであれ、それを虐待ぎゃくたいしてはならない。
24:15 賃銀ちんぎんはその日ひのうちに払はらい、それを日ひの入いるまで延のばしてはならない。彼かれは貧まずしい者もので、その心こころをこれにかけているからである。そうしなければ彼かれはあなたを主しゅに訴うったえて、あなたは罪つみを得えるであろう。
24:16 父ちちは子このゆえに殺ころさるべきではない。子こは父ちちのゆえに殺ころさるべきではない。おのおの自分じぶんの罪つみのゆえに殺ころさるべきである。
24:17 寄留きりゅうの他国たこく人じんまたは孤児こじのさばきを曲まげてはならない。寡婦かふの着物きものを質しつに取とってはならない。
24:18 あなたはかつてエジプトで奴隷どれいであったが、あなたの神かみ、主しゅがそこからあなたを救すくい出だされたことを記憶きおくしなければならない。それでわたしはあなたにこの事ことをせよと命めいじるのである。
24:19 あなたが畑はたけで穀物こくもつを刈かる時とき、もしその一束ひとたばを畑はたけにおき忘わすれたならば、それを取とりに引ひき返かえしてはならない。それは寄留きりゅうの他国たこく人じんと孤児こじと寡婦かふに取とらせなければならない。そうすればあなたの神かみ、主しゅはすべてあなたがする事ことにおいて、あなたを祝福しゅくふくされるであろう。
24:20 あなたがオリブの実みをうち落おとすときは、ふたたびその枝えだを捜さがしてはならない。それを寄留きりゅうの他国たこく人じんと孤児こじと寡婦かふに取とらせなければならない。
24:21 またぶどう畑はたけのぶどうを摘つみ取とるときは、その残のこったものを、ふたたび捜さがしてはならない。それを寄留きりゅうの他国たこく人じんと孤児こじと寡婦かふに取とらせなければならない。
24:22 あなたはかつてエジプトの国くにで奴隷どれいであったことを記憶きおくしなければならない。それでわたしはあなたにこの事ことをせよと命めいじるのである。
第25章 25:1 人ひとと人ひととの間あいだに争あらそい事ことがあって、さばきを求もとめてきたならば、さばきびとはこれをさばいて、正ただしい者ものを正ただしいとし、悪わるい者ものを悪わるいとしなければならない。25:2 その悪わるい者ものが、むち打うつべき者ものであるならば、さばきびとは彼かれを伏ふさせ、自分じぶんの前まえで、その罪つみにしたがい、数かぞえて彼かれをむち打うたせなければならない。25:3 彼かれをむち打うつには四十を越こえてはならない。もしそれを越こえて、それよりも多おおくむちを打うつときは、あなたの兄弟きょうだいはあなたの目めの前まえで、はずかしめられることになるであろう。 25:4 脱穀だっこくをする牛うしにくつこを掛かけてはならない。 25:5 兄弟きょうだいが一緒いっしょに住すんでいて、そのうちのひとりが死しんで子このない時ときは、その死しんだ者ものの妻つまは出でて、他人たにんにとついではならない。その夫おっとの兄弟きょうだいが彼女かのじょの所ところにはいり、めとって妻つまとし、夫おっとの兄弟きょうだいとしての道みちを彼女かのじょにつくさなければならない。25:6 そしてその女おんなが初はじめに産うむ男おとこの子こに、死しんだ兄弟きょうだいの名なを継つがせ、その名なをイスラエルのうちに絶たやさないようにしなければならない。25:7 しかしその人ひとが兄弟きょうだいの妻つまをめとるのを好このまないならば、その兄弟きょうだいの妻つまは町まちの門もんへ行いって、長老ちょうろうたちに言いわなければならない、『わたしの夫おっとの兄弟きょうだいはその兄弟きょうだいの名なをイスラエルのうちに残のこすのを拒こばんで、夫おっとの兄弟きょうだいとしての道みちをつくすことを好このみません』。25:8 そのとき町まちの長老ちょうろうたちは彼かれを呼よび寄よせて、さとさなければならない。もし彼かれが固執こしつして、『わたしは彼女かのじょをめとることを好このみません』と言いうならば、25:9 その兄弟きょうだいの妻つまは長老ちょうろうたちの目めの前まえで、彼かれのそばに行いき、その足あしのくつを脱ぬがせ、その顔かおにつばきして、答こたえて言いわなければならない。『兄弟きょうだいの家いえをたてない者ものには、このようにすべきです』。25:10 そして彼かれの家いえの名なは、くつを脱ぬがされた者ものの家いえと、イスラエルのうちで呼よばれるであろう。 25:11 ふたりの人ひとが互たがいに争あらそうときに、そのひとりの人ひとの妻つまが、打うつ者ものの手てから夫おっとを救すくおうとして近ちかづき、手てを伸のべて、その人ひとの隠かくし所ところをつかまえるならば、25:12 その女おんなの手てを切きり落おとさなければならない。あわれみをかけてはならない。 25:13 あなたの袋ふくろに大小だいしょう二種しゅの重おもり石いしを入いれておいてはならない。25:14 あなたの家いえに大小だいしょう二種しゅのますをおいてはならない。25:15 不足ふそくのない正ただしい重おもり石いしを持もち、また不足ふそくのない正ただしいますを持もたなければならない。そうすればあなたの神かみ、主しゅが賜たまわる地ちで、あなたは長ながく命いのちを保たもつことができるであろう。25:16 すべてこのような不正ふせいをする者ものを、あなたの神かみ、主しゅが憎にくまれるからである。 25:17 あなたがエジプトから出でてきた時とき、道みちでアマレクびとがあなたにしたことを記憶きおくしなければならない。25:18 すなわち彼かれらは道みちであなたに出会であい、あなたがうみ疲つかれている時とき、うしろについてきていたすべての弱よわっている者ものを攻せめ撃うった。このように彼かれらは神かみを恐おそれなかった。25:19 それで、あなたの神かみ、主しゅが嗣し業ぎょうとして賜たまわる地ちで、あなたの神かみ、主しゅがあなたの周囲しゅういのすべての敵てきを征服せいふくして、あなたに安息あんそくを与あたえられる時とき、あなたはアマレクの名なを天てんの下したから消けし去さらなければならない。この事ことを忘わすれてはならない。 第26章 26:1 あなたの神かみ、主しゅが嗣し業ぎょうとして賜たまわる国くににはいって、それを所有しょゆうし、そこに住すむ時ときは、26:2 あなたの神かみ、主しゅが賜たまわる国くににできる、地ちのすべての実みの初物はつものを取とってかごに入いれ、あなたの神かみ、主しゅがその名なを置おくために選えらばれる所ところへ携たずさえて行いかなければならない。26:3 そしてその時ときの祭司さいしの所ところへ行いって彼かれに言いわなければならない、『きょう、あなたの神かみ、主しゅにわたしは申もうします。主しゅがわれわれに与あたえると先祖せんぞたちに誓ちかわれた国くにに、わたしははいることができました』。26:4 そのとき祭司さいしはあなたの手てからそのかごを受うけ取とってあなたの神かみ、主しゅの祭壇さいだんの前まえに置おかなければならない。 26:5 そして、あなたはあなたの神かみ、主しゅの前まえに述のべて言いわなければならない、『わたしの先祖せんぞは、さすらいの一アラムびとでありましたが、わずかの人ひとを連つれてエジプトへ下くだって行いって、その所ところに寄留きりゅうし、ついにそこで大おおきく、強つよい、人数にんずうの多おおい国民こくみんになりました。26:6 ところがエジプトびとはわれわれをしえたげ、また悩なやまして、つらい労役ろうえきを負おわせましたが、26:7 われわれが先祖せんぞたちの神かみ、主しゅに叫さけんだので、主しゅはわれわれの声こえを聞きき、われわれの悩なやみと、骨折ほねおりと、しえたげとを顧かえりみ、26:8 主しゅは強つよい手てと、伸のべた腕うでと、大おおいなる恐おそるべき事ことと、しるしと、不思議ふしぎとをもって、われわれをエジプトから導みちびき出だし、26:9 われわれをこの所ところへ連つれてきて、乳ちちと蜜みつの流ながれるこの地ちをわれわれに賜たまわりました。26:10 主しゅよ、ごらんください。あなたがわたしに賜たまわった地ちの実みの初物はつものを、いま携たずさえてきました』。そしてあなたはそれをあなたの神かみ、主しゅの前まえに置おいて、あなたの神かみ、主しゅの前まえに礼拝れいはいし、26:11 あなたの神かみ、主しゅがあなたとあなたの家いえとに賜たまわったすべての良よい物ものをもって、レビびとおよびあなたのなかにいる寄留きりゅうの他国たこく人じんと共ともに喜よろこび楽たのしまなければならない。 26:12 第だい三年ねんすなわち十分ぶんの一を納おさめる年としに、あなたがすべての産物さんぶつの十分ぶんの一を納おさめ終おわって、それをレビびとと寄留きりゅうの他国たこく人じんと孤児こじと寡婦かふとに与あたえ、町まちのうちで彼かれらに飽あきるほど食たべさせた時とき、26:13 あなたの神かみ、主しゅの前まえで言いわなければならない、『わたしはその聖せいなる物ものを家いえから取とり出だし、またレビびとと寄留きりゅうの他国たこく人じんと孤児こじと寡婦かふとにそれを与あたえ、すべてあなたが命めいじられた命令めいれいのとおりにいたしました。わたしはあなたの命令めいれいにそむかず、またそれを忘わすれませんでした。26:14 わたしはその聖せいなる物ものを喪ものうちで食たべたことがなく、また汚けがれた身みでそれを取とり出だしたことがなく、また死人しにんにそれを供そなえたことがありませんでした。わたしはわたしの神かみ、主しゅの声こえに聞きき従したがい、すべてあなたがわたしに命めいじられたとおりにいたしました。26:15 あなたの聖せいなるすみかである天てんからみそなわして、あなたの民たみイスラエルと、あなたがわれわれに与あたえられた地ちとを祝福しゅくふくしてください。これはあなたがわれわれの先祖せんぞに誓ちかわれた乳ちちと蜜みつの流ながれる地ちです』。 26:16 きょう、あなたの神かみ、主しゅはこれらの定さだめと、おきてとを行おこなうことをあなたに命めいじられる。それゆえ、あなたは心こころをつくし、精神せいしんをつくしてそれを守まもり行おこなわなければならない。26:17 きょう、あなたは主しゅをあなたの神かみとし、かつその道みちに歩あゆみ、定さだめと、戒いましめと、おきてとを守まもり、その声こえに聞きき従したがうことを明言めいげんした。26:18 そして、主しゅは先さきに約束やくそくされたように、きょう、あなたを自分じぶんの宝たからの民たみとされること、また、あなたがそのすべての命令めいれいを守まもるべきことを明言めいげんされた。26:19 主しゅは誉ほまれと良よき名なと栄さかえとをあなたに与あたえて、主しゅの つくられたすべての国民こくみんにまさるものとされるであろう。あなたは主しゅが言いわれたように、あなたの神かみ、主しゅの聖せいなる民たみとなるであろう」。 第27章 27:1 モーセとイスラエルの長老ちょうろうたちとは民たみに命めいじて言いった、「わたしが、きょう、あなたがたに命めいじるすべての戒いましめを守まもりなさい。27:2 あなたがたがヨルダンを渡わたってあなたの神かみ、主しゅが賜たまわる国くににはいる時とき、あなたは大おおきな石いし数個すうこを立たてて、それにしっくいを塗ぬり、27:3 そしてあなたが渡わたって、あなたの先祖せんぞたちの神かみ、主しゅが約束やくそくされたようにあなたの神かみ、主しゅが賜たまわる地ち、すなわち乳ちちと蜜みつの流ながれる地ちにはいる時とき、この律法りっぽうのすべての言葉ことばをその上うえに書かきしるさなければならない。27:4 すなわち、あなたがたが、ヨルダンを渡わたったならば、わたしが、きょう、あなたがたに命めいじるそれらの石いしをエバル山やまに立たて、それにしっくいを塗ぬらなければならない。27:5 またそこにあなたの神かみ、主しゅのために、祭壇さいだん、すなわち石いしの祭壇さいだんを築きずかなければならない。鉄てつの器うつわを石いしに当あてず、27:6 自然しぜんのままの石いしであなたの神かみ、主しゅのために祭壇さいだんを築きずき、その上うえであなたの神かみ、主しゅに燔祭はんさいをささげなければならない。27:7 また酬恩祭しゅうおんさいの犠牲ぎせいをささげて、その所ところで食たべ、あなたの神かみ、主しゅの前まえで喜よろこび楽たのしまなければならない。27:8 あなたはこの律法りっぽうのすべての言葉ことばをその石いしの上うえに明あきらかに書かきしるさなければならない」。 27:9 またモーセとレビびとたる祭司さいしたちとは、イスラエルのすべての人々ひとびとに言いった、「イスラエルよ、静しずかに聞ききなさい。あなたは、きょう、あなたの神かみ、主しゅの民たみとなった。27:10 それゆえ、あなたの神かみ、主しゅの声こえに聞きき従したがい、わたしが、きょう、命めいじる戒いましめと定さだめとを行おこなわなければならない」。 27:11 その日ひまたモーセは民たみに命めいじて言いった、27:12 「あなたがたがヨルダンを渡わたった時とき、次つぎの人ひとたちはゲリジム山やまに立たって民たみを祝福しゅくふくしなければならない。すなわちシメオン、レビ、ユダ、イッサカル、ヨセフおよびベニヤミン。27:13 また次つぎの人ひとたちはエバル山やまに立たってのろわなければならない。すなわちルベン、ガド、アセル、ゼブルン、ダンおよびナフタリ。27:14 そしてレビびとは大声おおごえでイスラエルのすべての人々ひとびとに告つげて言いわなければならない。 27:15 『工人こうじんの手ての作さくである刻きざんだ像ぞう、または鋳いた像ぞうは、主しゅが憎にくまれるものであるから、それを造つくって、ひそかに安置あんちする者ものはのろわれる』。民たみは、みな答こたえてアァメンと言いわなければならない。 27:16 『父ちちや母ははを軽かろんずる者ものはのろわれる』。民たみはみなアァメンと言いわなければならない。 27:17 『隣人りんじんとの土地とちの境さかいを移うつす者ものはのろわれる』。民たみはみなアァメンと言いわなければならない。 27:18 『盲人もうじんを道みちに迷まよわす者ものはのろわれる』。民たみはみなアァメンと言いわなければならない。 27:19 『寄留きりゅうの他国たこく人じんや孤児こじ、寡婦かふのさばきを曲まげる者ものはのろわれる』。民たみはみなアァメンと言いわなければならない。 27:20 『父ちちの妻つまを犯おかす者ものは、父ちちを恥はずかしめるのであるからのろわれる』。民たみはみなアァメンと言いわなければならない。 27:21 『すべて獣けものを犯おかす者ものはのろわれる』。民たみはみなアァメンと言いわなければならない。 27:22 『父ちちの娘むすめ、または母ははの娘むすめである自分じぶんの姉妹しまいを犯おかす者ものはのろわれる』。民たみはみなアァメンと言いわなければならない。 27:23 『妻つまの母ははを犯おかす者ものはのろわれる』。民たみはみなアァメンと言いわなければならない。 27:24 『ひそかに隣人りんじんを撃うち殺ころす者ものはのろわれる』。民たみはみなアァメンと言いわなければならない。 27:25 『まいないを取とって罪つみなき者ものを殺ころす者ものはのろわれる』。民たみはみなアァメンと言いわなければならない。 27:26 『この律法りっぽうの言葉ことばを守まもり行おこなわない者ものはのろわれる』。民たみはみなアァメンと言いわなければならない。 第28章 28:1 もしあなたが、あなたの神かみ、主しゅの声こえによく聞きき従したがい、わたしが、きょう、命めいじるすべての戒いましめを守まもり行おこなうならば、あなたの神かみ、主しゅはあなたを地ちのもろもろの国民こくみんの上うえに立たたせられるであろう。28:2 もし、あなたがあなたの神かみ、主しゅの声こえに聞きき従したがうならば、このもろもろの祝福しゅくふくはあなたに臨のぞみ、あなたに及およぶであろう。28:3 あなたは町まちの内うちでも祝福しゅくふくされ、畑はたけでも祝福しゅくふくされるであろう。28:4 またあなたの身みから生うまれるもの、地ちに産さんする物もの、家畜かちくの産うむもの、すなわち牛うしの子こ、羊ひつじの子こは祝福しゅくふくされるであろう。28:5 またあなたのかごと、こねばちは祝福しゅくふくされるであろう。28:6 あなたは、はいるにも祝福しゅくふくされ、出でるにも祝福しゅくふくされるであろう。 28:7 敵てきが起たってあなたを攻せめる時ときは、主しゅはあなたにそれを撃うち敗やぶらせられるであろう。彼かれらは一つの道みちから攻せめて来くるが、あなたの前まえで七つの道みちから逃にげ去さるであろう。28:8 主しゅは命めいじて祝福しゅくふくをあなたの倉くらと、あなたの手てのすべてのわざにくだし、あなたの神かみ、主しゅが賜たまわる地ちであなたを祝福しゅくふくされるであろう。28:9 もし、あなたの神かみ、主しゅの戒いましめを守まもり、その道みちを歩あゆむならば、主しゅは誓ちかわれたようにあなたを立たてて、その聖せいなる民たみとされるであろう。28:10 そうすれば地ちのすべての民たみは皆みなあなたが主しゅの名なをもって唱となえられるのを見みてあなたを恐おそれるであろう。28:11 主しゅがあなたに与あたえると先祖せんぞに誓ちかわれた地ちで、主しゅは良よい物もの、すなわちあなたの身みから生うまれる者もの、家畜かちくの産うむもの、地ちに産さんする物ものを豊ゆたかにされるであろう。28:12 主しゅはその宝たからの蔵くらである天てんをあなたのために開ひらいて、雨あめを季節きせつにしたがってあなたの地ちに降ふらせ、あなたの手てのすべてのわざを祝福しゅくふくされるであろう。あなたは多おおくの国民こくみんに貸かすようになり、借かりることはないであろう。28:13 主しゅはあなたをかしらとならせ、尾おとはならせられないであろう。あなたはただ栄さかえて衰おとろえることはないであろう。きょう、わたしが命めいじるあなたの神かみ、主しゅの戒いましめに聞きき従したがって、これを守まもり行おこなうならば、あなたは必かならずこのようになるであろう。28:14 きょう、わたしが命めいじるこのすべての言葉ことばを離はなれて右みぎまたは左ひだりに曲まがり、他たの神々かみがみに従したがい、それに仕つかえてはならない。 28:15 しかし、あなたの神かみ、主しゅの声こえに聞きき従したがわず、きょう、わたしが命めいじるすべての戒いましめと定さだめとを守まもり行おこなわないならば、このもろもろののろいがあなたに臨のぞみ、あなたに及およぶであろう。28:16 あなたは町まちのうちでものろわれ、畑はたけでものろわれ、28:17 あなたのかごも、こねばちものろわれ、28:18 あなたの身みから生うまれるもの、地ちに産さんする物もの、牛うしの子こ、羊ひつじの子こものろわれるであろう。28:19 あなたは、はいるにものろわれ、出でるにものろわれるであろう。 28:20 主しゅはあなたが手てをくだすすべての働はたらきにのろいと、混乱こんらんと、懲こらしめとを送おくられ、あなたはついに滅ほろび、すみやかにうせ果はてるであろう。これはあなたが悪あくをおこなってわたしを捨すてたからである。28:21 主しゅは疫病えきびょうをあなたの身みにつかせ、あなたが行いって取とる地ちから、ついにあなたを断たち滅ほろぼされるであろう。28:22 主しゅはまた肺病はいびょうと熱病ねつびょうと炎症えんしょうと間あいだけつ熱ねつと、かんばつと、立たち枯がれと、腐くさり穂ほとをもってあなたを撃うたれるであろう。これらのものはあなたを追おい、ついにあなたを滅ほろぼすであろう。28:23 あなたの頭あたまの上うえの天てんは青銅せいどうとなり、あなたの下したの地ちは鉄てつとなるであろう。28:24 主しゅはあなたの地ちの雨あめを、ちりと、ほこりに変かわらせ、それが天てんからあなたの上うえにくだって、ついにあなたを滅ほろぼすであろう。 28:25 主しゅはあなたを敵てきの前まえで敗やぶれさせられるであろう。あなたは一つの道みちから彼かれらを攻せめて行いくが、彼かれらの前まえで七つの道みちから逃にげ去さるであろう。そしてあなたは地ちのもろもろの国くにに恐おそるべき見みせしめとなるであろう。28:26 またあなたの死体したいは空そらのもろもろの鳥とりと、地ちの獣けものとのえじきとなり、しかもそれを追おい払はらう者ものはないであろう。28:27 主しゅはエジプトの腫物はれものと潰瘍かいようと壊血病かいけつびょうとひぜんとをもってあなたを撃うたれ、あなたはいやされることはないであろう。28:28 また主しゅはあなたを撃うって気きを狂くるわせ、目めを見みえなくし、心こころを混乱こんらんさせられるであろう。28:29 あなたは盲人もうじんが暗くらやみに手探てさぐりするように、真昼まひるにも手探てさぐりするであろう。あなたは行ゆく道みちで栄さかえることがなく、ただ常つねにしえたげられ、かすめられるだけで、あなたを救すくう者ものはないであろう。28:30 あなたは妻つまをめとっても、ほかの人ひとが彼女かのじょと寝ねるであろう。家いえを建たてても、その中なかに住すまないであろう。ぶどう畑はたけを作つくっても、その実みを摘つみ取とることがないであろう。28:31 あなたの牛うしが目めの前まえでほふられても、あなたはそれを食たべることができず、あなたのろばが目めの前まえで奪うばわれても、返かえされないであろう。あなたの羊ひつじが敵てきのものになっても、それを救すくってあなたに返かえす者ものはないであろう。28:32 あなたのむすこや娘むすめは他国民たこくみんにわたされる。あなたの目めはそれを見み、終日しゅうじつ、彼かれらを慕したって衰おとろえるが、あなたは手てを施ほどこすすべもないであろう。28:33 あなたの地ちの産物さんぶつおよびあなたの労ろうして獲えた物ものはみなあなたの知しらない民たみが食たべるであろう。あなたは、ただ常つねにしえたげられ、苦くるしめられるのみであろう。28:34 こうしてあなたは目めに見みる事柄ことがらによって、気きが狂くるうにいたるであろう。28:35 主しゅはあなたのひざと、はぎとに悪わるい、いやし得えない腫物はれものを生しょうじさせて、足あしの裏うらから頭あたまの頂いただきにまで及およぼされるであろう。 28:36 主しゅはあなたとあなたが立たてた王おうとを携たずさえて、あなたもあなたの先祖せんぞも知しらない国くにに移うつされるであろう。あなたはそこで木きや石いしで造つくったほかの神々かみがみに仕つかえるであろう。28:37 あなたは主しゅがあなたを追おいやられるもろもろの民たみのなかで驚おどろきとなり、ことわざとなり、笑わらい草ぐさとなるであろう。28:38 あなたが多おおくの種たねを畑はたけに携たずさえて出でても、その収穫しゅうかくは少すくないであろう。いなごがそれを食くいつくすからである。28:39 あなたがぶどう畑はたけを作つくり、それにつちかっても、そのぶどう酒しゅを飲のむことができず、その実みを集あつめることもないであろう。虫むしがそれを食たべるからである。28:40 あなたの国くににはあまねくオリブの木きがあるであろう。しかし、あなたはその油あぶらを身みに塗ぬることができないであろう。その実みがみな落おちてしまうからである。28:41 むすこや、娘むすめがあなたに生うまれても、あなたのものにならないであろう。彼かれらは捕とらえられて行いくからである。28:42 あなたのもろもろの木き、および地ちの産物さんぶつは、いなごが取とって食たべるであろう。28:43 あなたのうちに寄留きりゅうする他国たこく人じんは、ますます高たかくなり、あなたの上うえに出でて、あなたはますます低ひくくなるであろう。28:44 彼かれはあなたに貸かし、あなたは彼かれに貸かすことができない。彼かれはかしらとなり、あなたは尾おとなるであろう。28:45 このもろもろののろいが、あなたに臨のぞみ、あなたを追おい、ついに追おいついて、あなたを滅ほろぼすであろう。これはあなたの神かみ、主しゅの声こえに聞きき従したがわず、あなたに命めいじられた戒いましめと定さだめとを、あなたが守まもらなかったからである。28:46 これらの事ことは長ながくあなたとあなたの子孫しそんのうえにあって、しるしとなり、また不思議ふしぎとなるであろう。 28:47 あなたがすべての物ものに豊ゆたかになり、あなたの神かみ、主しゅに心こころから喜よろこび楽たのしんで仕つかえないので、28:48 あなたは飢うえ、かわき、裸はだかになり、すべての物ものに乏とぼしくなって、主しゅがあなたにつかわされる敵てきに仕つかえるであろう。敵てきは鉄てつのくびきをあなたのくびにかけ、ついにあなたを滅ほろぼすであろう。28:49 すなわち主しゅは遠とおい所ところから、地ちのはてから一つの民たみを、はげたかが飛とびかけるように、あなたに攻せめきたらせられるであろう。これはあなたがその言葉ことばを知しらない民たみ、28:50 顔かおの恐おそろしい民たみであって、彼かれらは老人ろうじんの身みを顧かえりみず、幼おさない者ものをあわれまず、28:51 あなたの家畜かちくが産うむものや、地ちの産物さんぶつを食くって、あなたを滅ほろぼし、穀物こくもつをも、酒さけをも、油あぶらをも、牛うしの子こをも、羊ひつじの子こをも、あなたの所ところに残のこさず、ついにあなたを全まったく滅ほろぼすであろう。28:52 その民たみは全国ぜんこくですべての町まちを攻せめ囲かこみ、ついにあなたが頼たのみとする、堅固けんごな高たかい石いしがきをことごとく撃うちくずし、あなたの神かみ、主しゅが賜たまわった国くにのうちのすべての町々まちまちを攻せめ囲かこむであろう。28:53 あなたは敵てきに囲かこまれ、激はげしく攻せめなやまされて、ついにあなたの神かみ、主しゅが賜たまわったあなたの身みから生うまれた者もの、むすこ、娘むすめの肉にくを食たべるに至いたるであろう。28:54 あなたがたのうちのやさしい、温和おんわな男おとこでさえも、自分じぶんの兄弟きょうだい、自分じぶんのふところの妻つま、最後さいごに残のこっている子供こどもにも食物しょくもつを惜おしんで与あたえず、28:55 自分じぶんが自分じぶんの子供こどもを食たべ、その肉にくを少すこしでも、この人々ひとびとのだれにも与あたえようとはしないであろう。これは敵てきがあなたのすべての町々まちまちを囲かこみ、激はげしく攻せめ悩なやまして、何なにをもその人ひとに残のこさないからである。28:56 またあなたがたのうちのやさしい、柔和にゅうわな女おんな、すなわち柔和にゅうわで、やさしく、足あしの裏うらを土つちに付つけようともしない者ものでも、自分じぶんのふところの夫おっとや、むすこ、娘むすめにもかくして、28:57 自分じぶんの足あしの間あいだからでる後産ごさんや、自分じぶんの産うむ子こをひそかに食たべるであろう。敵てきがあなたの町々まちまちを囲かこみ、激はげしく攻せめなやまして、すべての物ものが 乏けつぼうするからである。 28:58 もしあなたが、この書物しょもつにしるされているこの律法りっぽうのすべての言葉ことばを守まもり行おこなわず、あなたの神かみ、主しゅというこの栄さかえある恐おそるべき名なを恐おそれないならば、28:59 主しゅはあなたとその子孫しそんの上うえに激はげしい災わざわいを下くだされるであろう。その災わざわいはきびしく、かつ久ひさしく、その病気びょうきは重おもく、かつ久ひさしいであろう。28:60 主しゅはまた、あなたが恐おそれた病気びょうき、すなわちエジプトのもろもろの病気びょうきを再ふたたび臨のぞませて、あなたの身みにつかせられるであろう。28:61 またこの律法りっぽうの書しょにのせてないもろもろの病気びょうきと、もろもろの災わざわいとを、主しゅはあなたが滅ほろびるまで、あなたの上うえに下くだされるであろう。28:62 あなたがたは天てんの星ほしのように多おおかったが、あなたの神かみ、主しゅの声こえに聞きき従したがわなかったから、残のこる者ものが少すくなくなるであろう。28:63 さきに主しゅがあなたがたを良よくあしらい、あなたがたを多おおくするのを喜よろこばれたように、主しゅは今いまあなたがたを滅ほろぼし絶たやすのを喜よろこばれるであろう。あなたがたは、はいって取とる地ちから抜ぬき去さられるであろう。28:64 主しゅは地ちのこのはてから、かのはてまでのもろもろの民たみのうちにあなたがたを散ちらされるであろう。その所ところで、あなたもあなたの先祖せんぞたちも知しらなかった木きや石いしで造つくったほかの神々かみがみにあなたは仕つかえるであろう。28:65 その国々くにぐにの民たみのうちであなたは安やすきを得えず、また足あしの裏うらを休やすめる所ところも得えられないであろう。主しゅはその所ところで、あなたの心こころをおののかせ、目めを衰おとろえさせ、精神せいしんを打うちしおれさせられるであろう。28:66 あなたの命いのちは細ほそい糸いとにかかっているようになり、夜昼よるひる恐おそれおののいて、その命いのちもおぼつかなく思おもうであろう。28:67 あなたが心こころにいだく恐おそれと、目めに見みるものによって、朝あさには『ああ夕ゆうであればよいのに』と言いい、夕ゆうには『ああ朝あさであればよいのに』と言いうであろう。28:68 主しゅはあなたを舟ふねに乗のせ、かつてわたしがあなたに告つげて、『あなたは再ふたたびこれを見みることはない』と言いった道みちによって、あなたをエジプトへ連つれもどされるであろう。あなたがたはそこで男女だんじょの奴隷どれいとして敵てきに売うられるが、だれも買かう者ものはないであろう」。 第29章 29:1 これは主しゅがモーセに命めいじて、モアブの地ちでイスラエルの人々ひとびとと結むすばせられた契約けいやくの言葉ことばであって、ホレブで彼かれらと結むすばれた契約けいやくのほかのものである。 29:2 モーセはイスラエルのすべての人ひとを呼よび集あつめて言いった、「あなたがたは主しゅがエジプトの地ちで、パロと、そのすべての家来けらいと、その全ぜん地ちとにせられたすべての事ことをまのあたり見みた。29:3 すなわちその大おおきな試こころみと、しるしと、大おおきな不思議ふしぎとをまのあたり見みたのである。29:4 しかし、今日こんにちまで主しゅはあなたがたの心こころに悟さとらせず、目めに見みさせず、耳みみに聞きかせられなかった。29:5 わたしは四十年ねんの間あいだ、あなたがたを導みちびいて荒野あらのを通とおらせたが、あなたがたの身みにつけた着物きものは古ふるびず、足あしのくつは古ふるびなかった。29:6 あなたがたはまたパンも食たべず、ぶどう酒しゅも濃こい酒さけも飲のまなかった。こうしてあなたがたは、わたしがあなたがたの神かみ、主しゅであることを知しるに至いたった。29:7 あなたがたがこの所ところにきたとき、ヘシボンの王おうシホンと、バシャンの王おうオグがわれわれを迎むかえて戦たたかったが、われわれは彼かれらを撃うち敗やぶって、29:8 その地ちを取とり、これをルベンびとと、ガドびとと、マナセびとの半なかばとに、嗣し業ぎょうとして与あたえた。29:9 それゆえ、あなたがたはこの契約けいやくの言葉ことばを守まもって、それを行おこなわなければならない。そうすればあなたがたのするすべての事ことは栄さかえるであろう。 29:10 あなたがたは皆みな、きょう、あなたがたの神かみ、主しゅの前まえに立たっている。すなわちあなたがたの部族ぶぞくのかしらたち、長老ちょうろうたち、つかさたちなど、イスラエルのすべての人々ひとびと、29:11 あなたがたの小ちいさい者ものたちも、妻つまたちも、宿営しゅくえいのうちに寄留きりゅうしている他国たこく人じんも、あなたのために、たきぎを割わる者ものも、水みずをくむ者ものも、みな主しゅの前まえに立たって、29:12 あなたの神かみ、主しゅが、きょう、あなたと結むすばれるあなたの神かみ、主しゅの契約けいやくと誓ちかいとに、はいろうとしている。29:13 これは主しゅがさきにあなたに約束やくそくされたように、またあなたの先祖せんぞアブラハム、イサク、ヤコブに誓ちかわれたように、きょう、あなたを立たてて自分じぶんの民たみとし、またみずからあなたの神かみとなられるためである。29:14 わたしはただあなたがたとだけ、この契約けいやくと誓ちかいとを結むすぶのではない。29:15 きょう、ここで、われわれの神かみ、主しゅの前まえにわれわれと共ともに立たっている者ものならびに、きょう、ここにわれわれと共ともにいない者ものとも結むすぶのである。 29:16 われわれがどのようにエジプトの国くにに住すんでいたか、どのように国々くにぐにの民たみの中なかを通とおってきたか、それはあなたがたが知しっている。29:17 またあなたがたは木きや石いしや銀ぎんや金きんで造つくった憎にくむべき物ものと偶像ぐうぞうとが、彼かれらのうちにあるのを見みた。29:18 それゆえ、あなたがたのうちに、きょう、その心こころにわれわれの神かみ、主しゅを離はなれてそれらの国民こくみんの神々かみがみに行いって仕つかえる男おとこや女おんな、氏族しぞくや部族ぶぞくがあってはならない。またあなたがたのうちに、毒草どくそうや、にがよもぎを生しょうずる根ねがあってはならない。29:19 そのような人ひとはこの誓ちかいの言葉ことばを聞きいても、心こころに自分じぶんを祝福しゅくふくして『心こころをかたくなにして歩あゆんでもわたしには平安へいあんがある』と言いうであろう。そうすれば潤うるおった者ものも、かわいた者ものもひとしく滅ほろびるであろう。29:20 主しゅはそのような人ひとをゆるすことを好このまれない。かえって主しゅはその人ひとに怒いかりとねたみを発はっし、この書物しょもつにしるされたすべてののろいを彼かれの上うえに加くわえ、主しゅはついにその人ひとの名なを天てんの下したから消けし去さられるであろう。29:21 主しゅはイスラエルのすべての部族ぶぞくのうちからその人ひとを区く別べっして災わざわいをくだし、この律法りっぽうの書しょにしるされた契約けいやくの中なかのもろもろののろいのようにされるであろう。29:22 後のちの代よの人ひと、すなわちあなたがたののちに起おこるあなたがたの子孫しそんおよび遠とおい国くにから来くる外国がいこく人じんは、この地ちの災わざわいを見み、主しゅがこの地ちにくだされた病気びょうきを見みて言いうであろう。29:23 ――全ぜん地ちは硫黄いおうとなり、塩しおとなり、焼やけ土つちとなって、種たねもまかれず、実みも結むすばず、なんの草くさも生しょうじなくなって、むかし主しゅが怒いかりと憤いきどおりをもって滅ほろぼされたソドム、ゴモラ、アデマ、ゼボイムの破滅はめつのようである。――29:24 すなわち、もろもろの国民こくみんは言いうであろう、『なぜ、主しゅはこの地ちにこのようなことをされたのか。この激はげしい大おおいなる怒いかりは何なにゆえか』。29:25 そのとき人々ひとびとは言いうであろう、『彼かれらはその先祖せんぞの神かみ、主しゅがエジプトの国くにから彼かれらを導みちびき出だして彼かれらと結むすばれた契約けいやくをすて、29:26 行いって彼かれらの知しらない、また授さずからない、ほかの神々かみがみに仕つかえて、それを拝おがんだからである。29:27 それゆえ主しゅはこの地ちにむかって怒いかりを発はっし、この書物しょもつにしるされたもろもろののろいをこれにくだし、29:28 そして主しゅは怒いかりと、はげしい怒いかりと大おおいなる憤いきどおりとをもって彼かれらをこの地ちから抜ぬき取とって、ほかの国くにに投なげやられた。今日こんにち見みるとおりである』。 29:29 隠かくれた事ことはわれわれの神かみ、主しゅに属ぞくするものである。しかし表あらわされたことは長ながくわれわれとわれわれの子孫しそんに属ぞくし、われわれにこの律法りっぽうのすべての言葉ことばを行おこなわせるのである。 第30章 30:1 わたしがあなたがたの前まえに述のべたこのもろもろの祝福しゅくふくと、のろいの事ことがあなたに臨のぞみ、あなたがあなたの神かみ、主しゅに追おいやられたもろもろの国民こくみんのなかでこの事ことを心こころに考かんがえて、30:2 あなたもあなたの子供こどもも共ともにあなたの神かみ、主しゅに立たち帰かえり、わたしが、きょう、命めいじるすべてのことにおいて、心こころをつくし、精神せいしんをつくして、主しゅの声こえに聞きき従したがうならば、30:3 あなたの神かみ、主しゅはあなたを再ふたたび栄さかえさせ、あなたをあわれみ、あなたの神かみ、主しゅはあなたを散ちらされた国々くにぐにから再ふたたび集あつめられるであろう。30:4 たといあなたが天てんのはてに追おいやられても、あなたの神かみ、主しゅはそこからあなたを集あつめ、そこからあなたを連つれ帰かえられるであろう。30:5 あなたの神かみ、主しゅはあなたの先祖せんぞが所有しょゆうした地ちにあなたを帰かえらせ、あなたはそれを所有しょゆうするに至いたるであろう。主しゅはまたあなたを栄さかえさせ、数かずを増まして先祖せんぞたちよりも多おおくされるであろう。30:6 そしてあなたの神かみ、主しゅはあなたの心こころとあなたの子孫しそんの心こころに割礼かつれいを施ほどこし、あなたをして、心こころをつくし、精神せいしんをつくしてあなたの神かみ、主しゅを愛あいさせ、こうしてあなたに命いのちを得えさせられるであろう。30:7 あなたの神かみ、主しゅはまた、あなたを迫害はくがいする敵てきと、あなたを憎にくむ者ものとに、このもろもろののろいをこうむらせられるであろう。30:8 しかし、あなたは再ふたたび主しゅの声こえに聞きき従したがい、わたしが、きょう、あなたに命めいじるすべての戒いましめを守まもるであろう。30:9 そうすればあなたの神かみ、主しゅはあなたのするすべてのことと、あなたの身みから生うまれる者ものと、家畜かちくの産うむものと、地ちに産さんする物ものを豊ゆたかに与あたえて、あなたを栄さかえさせられるであろう。すなわち主しゅはあなたの先祖せんぞたちを喜よろこばれたように再ふたたびあなたを喜よろこんで、あなたを栄さかえさせられるであろう。30:10 これはあなたが、あなたの神かみ、主しゅの声こえに聞ききしたがい、この律法りっぽうの書しょにしるされた戒いましめと定さだめとを守まもり、心こころをつくし、精神せいしんをつくしてあなたの神かみ、主しゅに帰きするからである。 30:11 わたしが、きょう、あなたに命めいじるこの戒いましめは、むずかしいものではなく、また遠とおいものでもない。30:12 これは天てんにあるのではないから、『だれがわれわれのために天てんに上のぼり、それをわれわれのところへ持もってきて、われわれに聞きかせ、行おこなわせるであろうか』と言いうに及およばない。30:13 またこれは海うみのかなたにあるのではないから、『だれがわれわれのために海うみを渡わたって行いき、それをわれわれのところへ携たずさえてきて、われわれに聞きかせ、行おこなわせるであろうか』と言いうに及およばない。30:14 この言葉ことばはあなたに、はなはだ近ちかくあってあなたの口くちにあり、またあなたの心こころにあるから、あなたはこれを行おこなうことができる。 30:15 見みよ、わたしは、きょう、命いのちとさいわい、および死しと災わざわいをあなたの前まえに置おいた。30:16 すなわちわたしは、きょう、あなたにあなたの神かみ、主しゅを愛あいし、その道みちに歩あゆみ、その戒いましめと定さだめと、おきてとを守まもることを命めいじる。それに従したがうならば、あなたは生いきながらえ、その数かずは多おおくなるであろう。またあなたの神かみ、主しゅはあなたが行いって取とる地ちであなたを祝福しゅくふくされるであろう。30:17 しかし、もしあなたが心こころをそむけて聞きき従したがわず、誘さそわれて他たの神々かみがみを拝おがみ、それに仕つかえるならば、30:18 わたしは、きょう、あなたがたに告つげる。あなたがたは必かならず滅ほろびるであろう。あなたがたはヨルダンを渡わたり、はいって行いって取とる地ちでながく命いのちを保たもつことができないであろう。30:19 わたしは、きょう、天てんと地ちを呼よんであなたがたに対たいする証人しょうにんとする。わたしは命いのちと死しおよび祝福しゅくふくとのろいをあなたの前まえに置おいた。あなたは命いのちを選えらばなければならない。そうすればあなたとあなたの子孫しそんは生いきながらえることができるであろう。30:20 すなわちあなたの神かみ、主しゅを愛あいして、その声こえを聞きき、主しゅにつき従したがわなければならない。そうすればあなたは命いのちを得え、かつ長ながく命いのちを保たもつことができ、主しゅが先祖せんぞアブラハム、イサク、ヤコブに与あたえると誓ちかわれた地ちに住すむことができるであろう」。 第31章 31:1 そこでモーセは続つづいてこの言葉ことばをイスラエルのすべての人ひとに告つげて、31:2 彼かれらに言いった、「わたしは、きょう、すでに百二十歳さいになり、もはや出入でいりすることはできない。また主しゅはわたしに『おまえはこのヨルダンを渡わたることはできない』と言いわれた。31:3 あなたの神かみ、主しゅはみずからあなたに先立さきだって渡わたり、あなたの前まえから、これらの国々くにぐにの民たみを滅ほろぼし去さって、あなたにこれを獲えさせられるであろう。また主しゅがかつて言いわれたように、ヨシュアはあなたを率ひきいて渡わたるであろう。31:4 主しゅがさきにアモリびとの王おうシホンとオグおよびその地ちにされたように、彼かれらにもおこなって彼かれらを滅ほろぼされるであろう。31:5 主しゅは彼かれらをあなたがたに渡わたされるから、あなたがたはわたしが命めいじたすべての命令めいれいのとおりに彼かれらに行おこなわなければならない。31:6 あなたがたは強つよく、かつ勇いさましくなければならない。彼かれらを恐おそれ、おののいてはならない。あなたの神かみ、主しゅがあなたと共ともに行いかれるからである。主しゅは決けっしてあなたを見放みはなさず、またあなたを見捨みすてられないであろう」。 31:7 モーセはヨシュアを呼よび、イスラエルのすべての人ひとの目めの前まえで彼かれに言いった、「あなたはこの民たみと共ともに行いき、主しゅが彼かれらの先祖せんぞたちに与あたえると誓ちかわれた地ちに入いるのであるから、あなたは強つよく、かつ勇いさましくなければならない。あなたは彼かれらにそれを獲えさせるであろう。31:8 主しゅはみずからあなたに先立さきだって行いき、またあなたと共ともにおり、あなたを見放みはなさず、見捨みすてられないであろう。恐おそれてはならない、おののいてはならない」。 31:9 モーセはこの律法りっぽうを書かいて、主しゅの契約けいやくの箱はこをかつぐレビの子孫しそんである祭司さいしおよびイスラエルのすべての長老ちょうろうたちに授さづけた。31:10 そしてモーセは彼かれらに命めいじて言いった、「七年ねんの終おわりごとに、すなわち、ゆるしの年としの定さだめの時ときになり、かりいおの祭まつりに、31:11 イスラエルのすべての人ひとがあなたの神かみ、主しゅの前まえに出でるため、主しゅの選えらばれる場所ばしょに来くるとき、あなたはイスラエルのすべての人ひとの前まえでこの律法りっぽうを読よんで聞きかせなければならない。31:12 すなわち男おとこ、女おんな、子供こどもおよびあなたの町まちのうちに寄留きりゅうしている他国たこく人じんなど民たみを集あつめ、彼かれらにこれを聞きかせ、かつ学まなばせなければならない。そうすれば彼かれらはあなたがたの神かみ、主しゅを恐おそれてこの律法りっぽうの言葉ことばを、ことごとく守まもり行おこなうであろう。31:13 また彼かれらの子供こどもたちでこれを知しらない者ものも聞きいて、あなたがたの神かみ、主しゅを恐おそれることを学まなぶであろう。あなたがたがヨルダンを渡わたって行いって取とる地ちにながらえる日ひのあいだ常つねにそうしなければならない」。 31:14 主しゅはまたモーセに言いわれた、「あなたの死しぬ日ひが近ちかづいている。ヨシュアを召めして共ともに会見かいけんの幕屋まくやに立たちなさい。わたしは彼かれに務つとめを命めいじるであろう」。モーセとヨシュアが行いって会見かいけんの幕屋まくやに立たつと、31:15 主しゅは幕屋まくやで雲くもの柱はしらのうちに現あらわれられた。その雲くもの柱はしらは幕屋まくやの入口いりぐちのかたわらにとどまった。 31:16 主しゅはモーセに言いわれた、「あなたはまもなく眠ねむって先祖せんぞたちと一緒いっしょになるであろう。そのときこの民たみはたちあがり、はいって行いく地ちの異ことなる神々かみがみを慕したって姦淫かんいんを行おこない、わたしを捨すて、わたしが彼かれらと結むすんだ契約けいやくを破やぶるであろう。31:17 その日ひには、わたしは彼かれらにむかって怒いかりを発はっし、彼かれらを捨すて、わたしの顔かおを彼かれらに隠かくすゆえに、彼かれらは滅ほろぼしつくされ、多おおくの災わざわいと悩なやみが彼かれらに臨のぞむであろう。そこでその日ひ、彼かれらは言いうであろう、『これらの災わざわいがわれわれに臨のぞむのは、われわれの神かみがわれわれのうちにおられないからではないか』。31:18 しかも彼かれらがほかの神々かみがみに帰きして、もろもろの悪あくを行おこなうゆえに、わたしはその日ひには必かならずわたしの顔かおを隠かくすであろう。31:19 それであなたがたは今いま、この歌うたを書かきしるし、イスラエルの人々ひとびとに教おしえてその口くちに唱となえさせ、この歌うたをイスラエルの人々ひとびとに対たいするわたしのあかしとならせなさい。31:20 わたしが彼かれらの先祖せんぞたちに誓ちかった、乳ちちと蜜みつの流ながれる地ちに彼かれらを導みちびき入いれる時とき、彼かれらは食たべて飽あき、肥こえ太ふとるに及およんで、ほかの神々かみがみに帰きし、それに仕つかえて、わたしを軽かろんじ、わたしの契約けいやくを破やぶるであろう。31:21 こうして多おおくの災わざわいと悩なやみとが彼かれらに臨のぞむ時とき、この歌うたは彼かれらに対たいして、あかしとなるであろう。(それはこの歌うたが彼かれらの子孫しそんの口くちにあって、彼かれらはそれを忘わすれないからである。)わたしが誓ちかった地ちに彼かれらを導みちびき入いれる前まえ、すでに彼かれらが思おもいはかっている事ことをわたしは知しっているからである」。31:22 モーセはその日ひ、この歌うたを書かいてイスラエルの人々ひとびとに教おしえた。 31:23 主しゅはヌンの子こヨシュアに命めいじて言いわれた、「あなたはイスラエルの人々ひとびとをわたしが彼かれらに誓ちかった地ちに導みちびき入いれなければならない。それゆえ強つよくかつ勇いさましくあれ。わたしはあなたと共ともにいるであろう」。 31:24 モーセがこの律法りっぽうの言葉ことばを、ことごとく書物しょもつに書かき終おわった時とき、31:25 モーセは主しゅの契約けいやくの箱はこをかつぐレビびとに命めいじて言いった、31:26 「この律法りっぽうの書しょをとって、あなたがたの神かみ、主しゅの契約けいやくの箱はこのかたわらに置おき、その所ところであなたにむかってあかしをするものとしなさい。31:27 わたしはあなたのそむくことと、かたくななこととを知しっている。きょう、わたしが生いきながらえて、あなたがたと一緒いっしょにいる間あいだですら、あなたがたは主しゅにそむいた。ましてわたしが死しんだあとはどんなであろう。31:28 あなたがたの部族ぶぞくのすべての長老ちょうろうたちと、つかさたちをわたしのもとに集あつめなさい。わたしはこれらの言葉ことばを彼かれらに語かたり聞きかせ、天てんと地ちとを呼よんで彼かれらにむかってあかしさせよう。31:29 わたしは知しっている。わたしが死しんだのち、あなたがたは必かならず悪わるい事ことをして、わたしが命めいじた道みちを離はなれる。そして後のちの日ひに災わざわいがあなたがたに臨のぞむであろう。これは主しゅの悪あくと見みられることを行おこない、あなたがたのすることをもって主しゅを怒いからせるからである」。 31:30 そしてモーセはイスラエルの全ぜん会衆かいしゅうに次つぎの歌うたの言葉ことばを、ことごとく語かたり聞きかせた。 第32章 32:1 「天てんよ、耳みみを傾かたむけよ、わたしは語かたる、地ちよ、わたしの口くちの言葉ことばを聞きけ。32:2 わたしの教おしえは雨あめのように降ふりそそぎ、わたしの言葉ことばは露つゆのようにしたたるであろう。若草わかくさの上うえに降ふる小雨こさめのように、青草あおくさの上うえにくだる夕立ゆうだちのように。32:3 わたしは主しゅの名なをのべよう、われわれの神かみに栄光えいこうを帰かえせよ。32:4 主しゅは岩いわであって、そのみわざは全まったく、その道みちはみな正ただしい。主しゅは真実しんじつなる神かみであって、偽いつわりなく、義ぎであって、正せいである。32:5 彼かれらは主しゅにむかって悪あくを行おこない、そのきずのゆえに、もはや主しゅの子こらではなく、よこしまで、曲まがったやからである。32:6 愚おろかな知恵ちえのない民たみよ、あなたがたはこのようにして主しゅに報むくいるのか。主しゅはあなたを生うみ、あなたを つくり、あなたを堅かたく立たてられたあなたの父ちちではないか。32:7 いにしえの日ひを覚おぼえ、代々よよの年としを思おもえ。あなたの父ちちに問とえ、彼かれはあなたに告つげるであろう。長老ちょうろうたちに問とえ、彼かれらはあなたに語かたるであろう。32:8 いと高たかき者ものは人ひとの子こらを分わけ、諸しょ国民こくみんにその嗣し業ぎょうを与あたえられたとき、イスラエルの子こらの数かずに照てらして、もろもろの民たみの境さかいを定さだめられた。32:9 主しゅの分ぶんはその民たみであって、ヤコブはその定さだめられた嗣し業ぎょうである。32:10 主しゅはこれを荒野あらのの地ちで見みいだし、獣けもののほえる荒あれ地ちで会あい、これを巡めぐり囲かこんでいたわり、目めのひとみのように守まもられた。32:11 わしがその巣すのひなを呼よび起おこし、その子この上うえに舞まいかけり、その羽はねをひろげて彼かれらをのせ、そのつばさの上うえにこれを負おうように、32:12 主しゅはただひとりで彼かれを導みちびかれて、ほかの神々かみがみはあずからなかった。32:13 主しゅは彼かれに地ちの高たかき所ところを乗のり通とおらせ、田畑たはたの産物さんぶつを食くわせ、岩いわの中なかから蜜みつを吸すわせ、堅かたい岩いわから油あぶらを吸すわせ、32:14 牛うしの凝乳ぎょうにゅう、羊ひつじの乳ちち、小羊こひつじと雄羊おひつじの脂肪しぼう、バシャンの牛うしと雄おやぎ、小麦こむぎの良よい物ものを食くわせられた。またあなたはぶどうのしるのあわ立たつ酒さけを飲のんだ。32:15 しかるにエシュルンは肥こえ太ふとって、足あしでけった。あなたは肥こえ太ふとって、つややかになり、自分じぶんを つくった神かみを捨すて、救すくいの岩いわを侮あなどった。32:16 彼かれらはほかの神々かみがみに仕つかえて、主しゅのねたみを起おこし、憎にくむべきおこないをもって主しゅの怒いかりをひき起おこした。32:17 彼かれらは神かみでもない悪霊あくれいに犠牲ぎせいをささげた。それは彼かれらがかつて知しらなかった神々かみがみ、近ちかごろ出でた新あたらしい神々かみがみ、先祖せんぞたちの恐おそれることもしなかった者ものである。32:18 あなたは自分じぶんを生うんだ岩いわを軽かろんじ、自分じぶんを造つくった神かみを忘わすれた。32:19 主しゅはこれを見み、そのむすこ、娘むすめを怒いかってそれを捨すてられた。32:20 そして言いわれた、『わたしはわたしの顔かおを彼かれらに隠かくそう。わたしは彼かれらの終おわりがどうなるかを見みよう。彼かれらはそむき、もとるやから、真実しんじつのない子こらである。32:21 彼かれらは神かみでもない者ものをもって、わたしにねたみを起おこさせ、偶像ぐうぞうをもって、わたしを怒いからせた。それゆえ、わたしは民たみともいえない者ものをもって、彼かれらにねたみを起おこさせ、愚おろかな民たみをもって、彼かれらを怒いからせるであろう。32:22 わたしの怒いかりによって、火ひは燃もえいで、陰府よみの深ふかみにまで燃もえ行いき、地ちとその産物さんぶつとを焼やきつくし、山々やまやまの基もといを燃もやすであろう。32:23 わたしは彼かれらの上うえに災わざわいを積つみかさね、わたしの矢やを彼かれらにむかって射いつくすであろう。32:24 彼かれらは飢うえて、やせ衰おとろえ、熱病ねつびょうと悪わるい疫病えきびょうによって滅ほろびるであろう。わたしは彼かれらを獣けものの歯はにかからせ、地ちに這はうものの毒どくにあたらせるであろう。32:25 外そとにはつるぎ、内うちには恐おそれがあって、若わかき男おとこも若わかき女おんなも、乳ちのみ子ごも、しらがの人ひとも滅ほろびるであろう。32:26 わたしはまさに言いおうとした、「彼かれらを遠とおく散ちらし、彼かれらの事ことを人々ひとびとが記憶きおくしないようにしよう」。32:27 しかし、わたしは敵てきが誇ほこるのを恐おそれる。あだびとはまちがえて言いうであろう、「われわれの手てが勝かちをえたのだ。これはみな主しゅがされたことではない」』。32:28 彼かれらは思慮しりょの欠かけた民たみ、そのうちには知識ちしきがない。32:29 もし、彼かれらに知恵ちえがあれば、これをさとり、その身みの終おわりをわきまえたであろうに。32:30 彼かれらの岩いわが彼かれらを売うらず、主しゅが彼かれらをわたされなかったならば、どうして、ひとりで千人にんを追おい、ふたりで万まん人にんを敗やぶることができたであろう。32:31 彼かれらの岩いわはわれらの岩いわに及およばない。われらの敵てきもこれを認みとめている。32:32 彼かれらのぶどうの木きは、ソドムのぶどうの木きから出でたもの、またゴモラの野のから出でたもの、そのぶどうは毒どくぶどう、そのふさは苦にがい。32:33 そのぶどう酒しゅはへびの毒どくのよう、まむしの恐おそろしい毒どくのようである。32:34 これはわたしのもとにたくわえられ、わたしの倉くらに封ふうじ込こめられているではないか。32:35 彼かれらの足あしがすべるとき、わたしはあだを返かえし、報むくいをするであろう。彼かれらの災わざわいの日ひは近ちかく、彼かれらの破滅はめつは、すみやかに来くるであろう。32:36 主しゅはついにその民たみをさばき、そのしもべらにあわれみを加くわえられるであろう。これは彼かれらの力ちからがうせ去さり、つながれた者ものもつながれない者ものも、もはやいなくなったのを、主しゅが見みられるからである。32:37 そのとき主しゅは言いわれるであろう、『彼かれらの神々かみがみはどこにいるか、彼かれらの頼たのみとした岩いわはどこにあるか。32:38 彼かれらの犠牲ぎせいのあぶらを食くい、灌祭かんさいの酒さけを飲のんだ者ものはどこにいるか。立たちあがってあなたがたを助たすけさせよ、あなたがたを守まもらせよ。32:39 今見いまみよ、わたしこそは彼かれである。わたしのほかに神かみはない。わたしは殺ころし、また生いかし、傷きずつけ、またいやす。わたしの手てから救すくい出だしうるものはない。32:40 わたしは天てんにむかい手てをあげて誓ちかう、「わたしは永遠えいえんに生いきる。32:41 わたしがきらめくつるぎをとぎ、手てにさばきを握にぎるとき、わたしは敵てきにあだを返かえし、わたしを憎にくむ者ものに報復ほうふくするであろう。32:42 わたしの矢やを血ちに酔よわせ、わたしのつるぎに肉にくを食くわせるであろう。殺ころされた者ものと捕とらえられた者ものの血ちを飲のませ、敵てきの長髪ちょうはつの頭あたまの肉にくを食くわせるであろう」』。32:43 国々くにぐにの民たみよ、主しゅの民たみのために喜よろこび歌うたえ。主しゅはそのしもべの血ちのために報復ほうふくし、その敵てきにあだを返かえし、その民たみの地ちの汚けがれを清きよめられるからである」。32:44 モーセとヌンの子こヨシュアは共ともに行いって、この歌うたの言葉ことばを、ことごとく民たみに読よみ聞きかせた。32:45 モーセはこの言葉ことばを、ことごとくイスラエルのすべての人ひとに告つげ終おわって、32:46 彼かれらに言いった、「あなたがたはわたしが、きょう、あなたがたに命めいじるこのすべての言葉ことばを心こころにおさめ、子供こどもたちにもこの律法りっぽうのすべての言葉ことばを守まもり行おこなうことを命めいじなければならない。32:47 この言葉ことばはあなたがたにとって、むなしい言葉ことばではない。これはあなたがたのいのちである。この言葉ことばにより、あなたがたはヨルダンを渡わたって行いって取とる地ちで、長ながく命いのちを保たもつことができるであろう」。 32:48 この日ひ、主しゅはモーセに言いわれた、32:49 「あなたはエリコに対たいするモアブの地ちにあるアバリム山やますなわちネボ山やまに登のぼり、わたしがイスラエルの人々ひとびとに与あたえて獲えさせるカナンの地ちを見渡みわたせ。32:50 あなたは登のぼって行いくその山やまで死しに、あなたの民たみに連つらなるであろう。あなたの兄弟きょうだいアロンがホル山やまで死しんでその民たみに連つらなったようになるであろう。32:51 これはあなたがたがチンの荒野あらのにあるメリバテ・カデシの水みずのほとりで、イスラエルの人々ひとびとのうちでわたしにそむき、イスラエルの人々ひとびとのうちでわたしを聖せいなるものとして敬うやまわなかったからである。32:52 それであなたはわたしがイスラエルの人々ひとびとに与あたえる地ちを、目めの前まえに見みるであろう。しかし、その地ちに、はいることはできない」。 第33章 33:1 神かみの人ひとモーセは死しぬ前まえにイスラエルの人々ひとびとを祝福しゅくふくした。祝福しゅくふくの言葉ことばは次つぎのとおりである。 33:2 「主しゅはシナイからこられ、セイルからわれわれにむかってのぼられ、パランの山やまから光ひかりを放はなたれ、ちよろずの聖者せいじゃの中なかからこられた。その右みぎの手てには燃もえる火ひがあった。33:3 まことに主しゅはその民たみを愛あいされる。すべて主しゅに聖別せいべつされたものは、み手てのうちにある。彼かれらはあなたの足あしもとに座ざして、教おしえをうける。33:4 モーセはわれわれに律法りっぽうを授さづけて、ヤコブの会衆かいしゅうの所有しょゆうとさせた。33:5 民たみのかしらたちが集あつまり、イスラエルの部族ぶぞくがみな集あつまった時とき、主しゅはエシュルンのうちに王おうとなられた」。33:6 「ルベンは生いきる、死しにはしない。しかし、その人数にんずうは少すくなくなるであろう」。33:7 ユダについては、こう言いった、「主しゅよ、ユダの声こえを聞きいて、彼かれをその民たみに導みちびきかえしてください。み手てをもって、彼かれのために戦たたかってください。彼かれを助たすけて、敵てきに当あたらせてください」。33:8 レビについては言いった、「あなたのトンミムをレビに与あたえてください。ウリムをあなたに仕つかえる人ひとに与あたえてください。かつてあなたはマッサで彼かれを試こころみ、メリバの水みずのほとりで彼かれと争あらそわれた。33:9 彼かれはその父ちち、その母ははについて言いった、『わたしは彼かれらを顧かえりみない』。彼かれは自分じぶんの兄弟きょうだいをも認みとめず、自分じぶんの子供こどもをも顧かえりみなかった。彼かれらはあなたの言葉ことばにしたがい、あなたの契約けいやくを守まもったからである。33:10 彼かれらはあなたのおきてをヤコブに教おしえ、あなたの律法りっぽうをイスラエルに教おしえ、薫香くんこうをあなたの前まえに供そなえ、燔祭はんさいを祭壇さいだんの上うえにささげる。33:11 主しゅよ、彼かれの力ちからを祝福しゅくふくし、彼かれの手てのわざを喜よろこび受うけてください。彼かれに逆さからう者ものと、彼かれを憎にくむ者ものとの腰こしを打うち砕くだいて、立たち上あがることのできないようにしてください」。33:12 ベニヤミンについては言いった、「主しゅに愛あいされる者もの、彼かれは安やすらかに主しゅのそばにおり、主しゅは終日しゅうじつ、彼かれを守まもり、その肩かたの間あいだにすまいを営いとなまれるであろう」。33:13 ヨセフについては言いった、「どうぞ主しゅが彼かれの地ちを祝福しゅくふくされるように。上うえなる天てんの賜物たまものと露つゆ、下したに横よこたわる淵ふちの賜物たまもの、33:14 日ひによって産さんする尊たっとい賜物たまもの、月つきによって生しょうずる尊たっとい賜物たまもの、33:15 いにしえの山々やまやまの産さんする賜物たまもの、とこしえの丘おかの尊たっとい賜物たまもの、33:16 地ちとそれに満みちる尊たっとい賜物たまもの、しばの中なかにおられた者ものの恵めぐみが、ヨセフの頭あたまに臨のぞみ、その兄弟きょうだいたちの君くんたる者ものの頭あたまの頂いただきにくだるように。33:17 彼かれの牛うしのういごは威厳いげんがあり、その角つのは野牛やぎゅうの角つののよう、これをもって国々くにぐにの民たみをことごとく突つき倒たおし、地ちのはてにまで及およぶ。このような者ものはエフライムに幾いく万まんとあり、またこのような者ものはマナセに幾いく千せんとある」。33:18 ゼブルンについては言いった、「ゼブルンよ、あなたは外そとに出でて楽たのしみを得えよ。イッサカルよ、あなたは天幕てんまくにいて楽たのしみを得えよ。33:19 彼かれらは国々くにぐにの民たみを山やまに招まねき、その所ところで正ただしい犠牲ぎせいをささげるであろう。彼かれらは海うみの富とみを吸すい、砂すなに隠かくれた宝たからを取とるからである」。33:20 ガドについては言いった、「ガドを大おおきくする者ものは、ほむべきかな。ガドは、ししのように伏ふし、腕うでや頭あたまの頂いただきをかき裂さくであろう。33:21 彼かれは初穂はつほの地ちを自分じぶんのために選えらんだ。そこには将軍しょうぐんの分ぶんも取とり置おかれていた。彼かれは民たみのかしらたちと共ともにきて、イスラエルと共ともに主しゅの正義せいぎと審判しんぱんとを行おこなった」。33:22 ダンについては言いった、「ダンはししの子こであって、バシャンからおどりでる」。33:23 ナフタリについては言いった、「ナフタリよ、あなたは恵めぐみに満みたされ、主しゅの祝福しゅくふくに満みちて、湖みずうみとその南みなみの地ちを所有しょゆうする」。33:24 アセルについては言いった、「アセルは他たの子こらにまさって祝福しゅくふくされる。彼かれはその兄弟きょうだいたちに愛あいせられ、その足あしを油あぶらにひたすことができるように。33:25 あなたの貫かんの木きは鉄てつと青銅せいどう、あなたの力ちからはあなたの年としと共ともに続つづくであろう」。33:26 「エシュルンよ、神かみに並ならぶ者ものはほかにない。あなたを助たすけるために天てんに乗のり、威光いこうをもって空そらを通とおられる。33:27 とこしえにいます神かみはあなたのすみかであり、下したには永遠えいえんの腕うでがある。敵てきをあなたの前まえから追おい払はらって、『滅ほろぼせ』と言いわれた。33:28 イスラエルは安やすらかに住すみ、ヤコブの泉いずみは穀物こくもつとぶどう酒しゅの地ちに、ひとりいるであろう。また天てんは露つゆをくだすであろう。 33:29 イスラエルよ、あなたはしあわせである。だれがあなたのように、主しゅに救すくわれた民たみがあるであろうか。主しゅはあなたを助たすける盾たて、あなたの威光いこうのつるぎ、あなたの敵てきはあなたにへつらい服ふくし、あなたは彼かれらの高たかき所ところを踏ふみ進すすむであろう」。 第34章 34:1 モーセはモアブの平野へいやからネボ山やまに登のぼり、エリコの向むかいのピスガの頂いただきへ行いった。そこで主しゅは彼かれにギレアデの全ぜん地ちをダンまで示しめし、34:2 ナフタリの全部ぜんぶ、エフライムとマナセの地ちおよびユダの全ぜん地ちを西にしの海うみまで示しめし、34:3 ネゲブと低地ていち、すなわち、しゅろの町まちエリコの谷たにをゾアルまで示しめされた。34:4 そして主しゅは彼かれに言いわれた、「わたしがアブラハム、イサク、ヤコブに、これをあなたの子孫しそんに与あたえると言いって誓ちかった地ちはこれである。わたしはこれをあなたの目めに見みせるが、あなたはそこへ渡わたって行いくことはできない」。34:5 こうして主しゅのしもべモーセは主しゅの言葉ことばのとおりにモアブの地ちで死しんだ。34:6 主しゅは彼かれをベテペオルに対たいするモアブの地ちの谷たにに葬ほうむられたが、今日こんにちまでその墓はかを知しる人ひとはない。34:7 モーセは死しんだ時とき、百二十歳さいであったが、目めはかすまず、気力きりょくは衰おとろえていなかった。34:8 イスラエルの人々ひとびとはモアブの平野へいやで三十日にちの間あいだモーセのために泣ないた。そしてモーセのために泣なき悲かなしむ日ひはついに終おわった。 34:9 ヌンの子こヨシュアは知恵ちえの霊れいに満みちた人ひとであった。モーセが彼かれの上うえに手てを置おいたからである。イスラエルの人々ひとびとは彼かれに聞きき従したがい、主しゅがモーセに命めいじられたとおりにおこなった。34:10 イスラエルには、こののちモーセのような預言者よげんしゃは起おこらなかった。モーセは主しゅが顔かおを合あわせて知しられた者ものであった。34:11 主しゅはエジプトの地ちで彼かれをパロとそのすべての家来けらいおよびその全ぜん地ちにつかわして、もろもろのしるしと不思議ふしぎを行おこなわせられた。34:12 モーセはイスラエルのすべての人ひとの前まえで大おおいなる力ちからをあらわし、大おおいなる恐おそるべき事ことをおこなった。
25:1 人ひとと人ひととの間あいだに争あらそい事ことがあって、さばきを求もとめてきたならば、さばきびとはこれをさばいて、正ただしい者ものを正ただしいとし、悪わるい者ものを悪わるいとしなければならない。
25:2 その悪わるい者ものが、むち打うつべき者ものであるならば、さばきびとは彼かれを伏ふさせ、自分じぶんの前まえで、その罪つみにしたがい、数かぞえて彼かれをむち打うたせなければならない。
25:3 彼かれをむち打うつには四十を越こえてはならない。もしそれを越こえて、それよりも多おおくむちを打うつときは、あなたの兄弟きょうだいはあなたの目めの前まえで、はずかしめられることになるであろう。
25:4 脱穀だっこくをする牛うしにくつこを掛かけてはならない。
25:5 兄弟きょうだいが一緒いっしょに住すんでいて、そのうちのひとりが死しんで子このない時ときは、その死しんだ者ものの妻つまは出でて、他人たにんにとついではならない。その夫おっとの兄弟きょうだいが彼女かのじょの所ところにはいり、めとって妻つまとし、夫おっとの兄弟きょうだいとしての道みちを彼女かのじょにつくさなければならない。
25:6 そしてその女おんなが初はじめに産うむ男おとこの子こに、死しんだ兄弟きょうだいの名なを継つがせ、その名なをイスラエルのうちに絶たやさないようにしなければならない。
25:7 しかしその人ひとが兄弟きょうだいの妻つまをめとるのを好このまないならば、その兄弟きょうだいの妻つまは町まちの門もんへ行いって、長老ちょうろうたちに言いわなければならない、『わたしの夫おっとの兄弟きょうだいはその兄弟きょうだいの名なをイスラエルのうちに残のこすのを拒こばんで、夫おっとの兄弟きょうだいとしての道みちをつくすことを好このみません』。
25:8 そのとき町まちの長老ちょうろうたちは彼かれを呼よび寄よせて、さとさなければならない。もし彼かれが固執こしつして、『わたしは彼女かのじょをめとることを好このみません』と言いうならば、
25:9 その兄弟きょうだいの妻つまは長老ちょうろうたちの目めの前まえで、彼かれのそばに行いき、その足あしのくつを脱ぬがせ、その顔かおにつばきして、答こたえて言いわなければならない。『兄弟きょうだいの家いえをたてない者ものには、このようにすべきです』。
25:10 そして彼かれの家いえの名なは、くつを脱ぬがされた者ものの家いえと、イスラエルのうちで呼よばれるであろう。
25:11 ふたりの人ひとが互たがいに争あらそうときに、そのひとりの人ひとの妻つまが、打うつ者ものの手てから夫おっとを救すくおうとして近ちかづき、手てを伸のべて、その人ひとの隠かくし所ところをつかまえるならば、
25:12 その女おんなの手てを切きり落おとさなければならない。あわれみをかけてはならない。
25:13 あなたの袋ふくろに大小だいしょう二種しゅの重おもり石いしを入いれておいてはならない。
25:14 あなたの家いえに大小だいしょう二種しゅのますをおいてはならない。
25:15 不足ふそくのない正ただしい重おもり石いしを持もち、また不足ふそくのない正ただしいますを持もたなければならない。そうすればあなたの神かみ、主しゅが賜たまわる地ちで、あなたは長ながく命いのちを保たもつことができるであろう。
25:16 すべてこのような不正ふせいをする者ものを、あなたの神かみ、主しゅが憎にくまれるからである。
25:17 あなたがエジプトから出でてきた時とき、道みちでアマレクびとがあなたにしたことを記憶きおくしなければならない。
25:18 すなわち彼かれらは道みちであなたに出会であい、あなたがうみ疲つかれている時とき、うしろについてきていたすべての弱よわっている者ものを攻せめ撃うった。このように彼かれらは神かみを恐おそれなかった。
25:19 それで、あなたの神かみ、主しゅが嗣し業ぎょうとして賜たまわる地ちで、あなたの神かみ、主しゅがあなたの周囲しゅういのすべての敵てきを征服せいふくして、あなたに安息あんそくを与あたえられる時とき、あなたはアマレクの名なを天てんの下したから消けし去さらなければならない。この事ことを忘わすれてはならない。
第26章 26:1 あなたの神かみ、主しゅが嗣し業ぎょうとして賜たまわる国くににはいって、それを所有しょゆうし、そこに住すむ時ときは、26:2 あなたの神かみ、主しゅが賜たまわる国くににできる、地ちのすべての実みの初物はつものを取とってかごに入いれ、あなたの神かみ、主しゅがその名なを置おくために選えらばれる所ところへ携たずさえて行いかなければならない。26:3 そしてその時ときの祭司さいしの所ところへ行いって彼かれに言いわなければならない、『きょう、あなたの神かみ、主しゅにわたしは申もうします。主しゅがわれわれに与あたえると先祖せんぞたちに誓ちかわれた国くにに、わたしははいることができました』。26:4 そのとき祭司さいしはあなたの手てからそのかごを受うけ取とってあなたの神かみ、主しゅの祭壇さいだんの前まえに置おかなければならない。 26:5 そして、あなたはあなたの神かみ、主しゅの前まえに述のべて言いわなければならない、『わたしの先祖せんぞは、さすらいの一アラムびとでありましたが、わずかの人ひとを連つれてエジプトへ下くだって行いって、その所ところに寄留きりゅうし、ついにそこで大おおきく、強つよい、人数にんずうの多おおい国民こくみんになりました。26:6 ところがエジプトびとはわれわれをしえたげ、また悩なやまして、つらい労役ろうえきを負おわせましたが、26:7 われわれが先祖せんぞたちの神かみ、主しゅに叫さけんだので、主しゅはわれわれの声こえを聞きき、われわれの悩なやみと、骨折ほねおりと、しえたげとを顧かえりみ、26:8 主しゅは強つよい手てと、伸のべた腕うでと、大おおいなる恐おそるべき事ことと、しるしと、不思議ふしぎとをもって、われわれをエジプトから導みちびき出だし、26:9 われわれをこの所ところへ連つれてきて、乳ちちと蜜みつの流ながれるこの地ちをわれわれに賜たまわりました。26:10 主しゅよ、ごらんください。あなたがわたしに賜たまわった地ちの実みの初物はつものを、いま携たずさえてきました』。そしてあなたはそれをあなたの神かみ、主しゅの前まえに置おいて、あなたの神かみ、主しゅの前まえに礼拝れいはいし、26:11 あなたの神かみ、主しゅがあなたとあなたの家いえとに賜たまわったすべての良よい物ものをもって、レビびとおよびあなたのなかにいる寄留きりゅうの他国たこく人じんと共ともに喜よろこび楽たのしまなければならない。 26:12 第だい三年ねんすなわち十分ぶんの一を納おさめる年としに、あなたがすべての産物さんぶつの十分ぶんの一を納おさめ終おわって、それをレビびとと寄留きりゅうの他国たこく人じんと孤児こじと寡婦かふとに与あたえ、町まちのうちで彼かれらに飽あきるほど食たべさせた時とき、26:13 あなたの神かみ、主しゅの前まえで言いわなければならない、『わたしはその聖せいなる物ものを家いえから取とり出だし、またレビびとと寄留きりゅうの他国たこく人じんと孤児こじと寡婦かふとにそれを与あたえ、すべてあなたが命めいじられた命令めいれいのとおりにいたしました。わたしはあなたの命令めいれいにそむかず、またそれを忘わすれませんでした。26:14 わたしはその聖せいなる物ものを喪ものうちで食たべたことがなく、また汚けがれた身みでそれを取とり出だしたことがなく、また死人しにんにそれを供そなえたことがありませんでした。わたしはわたしの神かみ、主しゅの声こえに聞きき従したがい、すべてあなたがわたしに命めいじられたとおりにいたしました。26:15 あなたの聖せいなるすみかである天てんからみそなわして、あなたの民たみイスラエルと、あなたがわれわれに与あたえられた地ちとを祝福しゅくふくしてください。これはあなたがわれわれの先祖せんぞに誓ちかわれた乳ちちと蜜みつの流ながれる地ちです』。 26:16 きょう、あなたの神かみ、主しゅはこれらの定さだめと、おきてとを行おこなうことをあなたに命めいじられる。それゆえ、あなたは心こころをつくし、精神せいしんをつくしてそれを守まもり行おこなわなければならない。26:17 きょう、あなたは主しゅをあなたの神かみとし、かつその道みちに歩あゆみ、定さだめと、戒いましめと、おきてとを守まもり、その声こえに聞きき従したがうことを明言めいげんした。26:18 そして、主しゅは先さきに約束やくそくされたように、きょう、あなたを自分じぶんの宝たからの民たみとされること、また、あなたがそのすべての命令めいれいを守まもるべきことを明言めいげんされた。26:19 主しゅは誉ほまれと良よき名なと栄さかえとをあなたに与あたえて、主しゅの つくられたすべての国民こくみんにまさるものとされるであろう。あなたは主しゅが言いわれたように、あなたの神かみ、主しゅの聖せいなる民たみとなるであろう」。 第27章 27:1 モーセとイスラエルの長老ちょうろうたちとは民たみに命めいじて言いった、「わたしが、きょう、あなたがたに命めいじるすべての戒いましめを守まもりなさい。27:2 あなたがたがヨルダンを渡わたってあなたの神かみ、主しゅが賜たまわる国くににはいる時とき、あなたは大おおきな石いし数個すうこを立たてて、それにしっくいを塗ぬり、27:3 そしてあなたが渡わたって、あなたの先祖せんぞたちの神かみ、主しゅが約束やくそくされたようにあなたの神かみ、主しゅが賜たまわる地ち、すなわち乳ちちと蜜みつの流ながれる地ちにはいる時とき、この律法りっぽうのすべての言葉ことばをその上うえに書かきしるさなければならない。27:4 すなわち、あなたがたが、ヨルダンを渡わたったならば、わたしが、きょう、あなたがたに命めいじるそれらの石いしをエバル山やまに立たて、それにしっくいを塗ぬらなければならない。27:5 またそこにあなたの神かみ、主しゅのために、祭壇さいだん、すなわち石いしの祭壇さいだんを築きずかなければならない。鉄てつの器うつわを石いしに当あてず、27:6 自然しぜんのままの石いしであなたの神かみ、主しゅのために祭壇さいだんを築きずき、その上うえであなたの神かみ、主しゅに燔祭はんさいをささげなければならない。27:7 また酬恩祭しゅうおんさいの犠牲ぎせいをささげて、その所ところで食たべ、あなたの神かみ、主しゅの前まえで喜よろこび楽たのしまなければならない。27:8 あなたはこの律法りっぽうのすべての言葉ことばをその石いしの上うえに明あきらかに書かきしるさなければならない」。 27:9 またモーセとレビびとたる祭司さいしたちとは、イスラエルのすべての人々ひとびとに言いった、「イスラエルよ、静しずかに聞ききなさい。あなたは、きょう、あなたの神かみ、主しゅの民たみとなった。27:10 それゆえ、あなたの神かみ、主しゅの声こえに聞きき従したがい、わたしが、きょう、命めいじる戒いましめと定さだめとを行おこなわなければならない」。 27:11 その日ひまたモーセは民たみに命めいじて言いった、27:12 「あなたがたがヨルダンを渡わたった時とき、次つぎの人ひとたちはゲリジム山やまに立たって民たみを祝福しゅくふくしなければならない。すなわちシメオン、レビ、ユダ、イッサカル、ヨセフおよびベニヤミン。27:13 また次つぎの人ひとたちはエバル山やまに立たってのろわなければならない。すなわちルベン、ガド、アセル、ゼブルン、ダンおよびナフタリ。27:14 そしてレビびとは大声おおごえでイスラエルのすべての人々ひとびとに告つげて言いわなければならない。 27:15 『工人こうじんの手ての作さくである刻きざんだ像ぞう、または鋳いた像ぞうは、主しゅが憎にくまれるものであるから、それを造つくって、ひそかに安置あんちする者ものはのろわれる』。民たみは、みな答こたえてアァメンと言いわなければならない。 27:16 『父ちちや母ははを軽かろんずる者ものはのろわれる』。民たみはみなアァメンと言いわなければならない。 27:17 『隣人りんじんとの土地とちの境さかいを移うつす者ものはのろわれる』。民たみはみなアァメンと言いわなければならない。 27:18 『盲人もうじんを道みちに迷まよわす者ものはのろわれる』。民たみはみなアァメンと言いわなければならない。 27:19 『寄留きりゅうの他国たこく人じんや孤児こじ、寡婦かふのさばきを曲まげる者ものはのろわれる』。民たみはみなアァメンと言いわなければならない。 27:20 『父ちちの妻つまを犯おかす者ものは、父ちちを恥はずかしめるのであるからのろわれる』。民たみはみなアァメンと言いわなければならない。 27:21 『すべて獣けものを犯おかす者ものはのろわれる』。民たみはみなアァメンと言いわなければならない。 27:22 『父ちちの娘むすめ、または母ははの娘むすめである自分じぶんの姉妹しまいを犯おかす者ものはのろわれる』。民たみはみなアァメンと言いわなければならない。 27:23 『妻つまの母ははを犯おかす者ものはのろわれる』。民たみはみなアァメンと言いわなければならない。 27:24 『ひそかに隣人りんじんを撃うち殺ころす者ものはのろわれる』。民たみはみなアァメンと言いわなければならない。 27:25 『まいないを取とって罪つみなき者ものを殺ころす者ものはのろわれる』。民たみはみなアァメンと言いわなければならない。 27:26 『この律法りっぽうの言葉ことばを守まもり行おこなわない者ものはのろわれる』。民たみはみなアァメンと言いわなければならない。 第28章 28:1 もしあなたが、あなたの神かみ、主しゅの声こえによく聞きき従したがい、わたしが、きょう、命めいじるすべての戒いましめを守まもり行おこなうならば、あなたの神かみ、主しゅはあなたを地ちのもろもろの国民こくみんの上うえに立たたせられるであろう。28:2 もし、あなたがあなたの神かみ、主しゅの声こえに聞きき従したがうならば、このもろもろの祝福しゅくふくはあなたに臨のぞみ、あなたに及およぶであろう。28:3 あなたは町まちの内うちでも祝福しゅくふくされ、畑はたけでも祝福しゅくふくされるであろう。28:4 またあなたの身みから生うまれるもの、地ちに産さんする物もの、家畜かちくの産うむもの、すなわち牛うしの子こ、羊ひつじの子こは祝福しゅくふくされるであろう。28:5 またあなたのかごと、こねばちは祝福しゅくふくされるであろう。28:6 あなたは、はいるにも祝福しゅくふくされ、出でるにも祝福しゅくふくされるであろう。 28:7 敵てきが起たってあなたを攻せめる時ときは、主しゅはあなたにそれを撃うち敗やぶらせられるであろう。彼かれらは一つの道みちから攻せめて来くるが、あなたの前まえで七つの道みちから逃にげ去さるであろう。28:8 主しゅは命めいじて祝福しゅくふくをあなたの倉くらと、あなたの手てのすべてのわざにくだし、あなたの神かみ、主しゅが賜たまわる地ちであなたを祝福しゅくふくされるであろう。28:9 もし、あなたの神かみ、主しゅの戒いましめを守まもり、その道みちを歩あゆむならば、主しゅは誓ちかわれたようにあなたを立たてて、その聖せいなる民たみとされるであろう。28:10 そうすれば地ちのすべての民たみは皆みなあなたが主しゅの名なをもって唱となえられるのを見みてあなたを恐おそれるであろう。28:11 主しゅがあなたに与あたえると先祖せんぞに誓ちかわれた地ちで、主しゅは良よい物もの、すなわちあなたの身みから生うまれる者もの、家畜かちくの産うむもの、地ちに産さんする物ものを豊ゆたかにされるであろう。28:12 主しゅはその宝たからの蔵くらである天てんをあなたのために開ひらいて、雨あめを季節きせつにしたがってあなたの地ちに降ふらせ、あなたの手てのすべてのわざを祝福しゅくふくされるであろう。あなたは多おおくの国民こくみんに貸かすようになり、借かりることはないであろう。28:13 主しゅはあなたをかしらとならせ、尾おとはならせられないであろう。あなたはただ栄さかえて衰おとろえることはないであろう。きょう、わたしが命めいじるあなたの神かみ、主しゅの戒いましめに聞きき従したがって、これを守まもり行おこなうならば、あなたは必かならずこのようになるであろう。28:14 きょう、わたしが命めいじるこのすべての言葉ことばを離はなれて右みぎまたは左ひだりに曲まがり、他たの神々かみがみに従したがい、それに仕つかえてはならない。 28:15 しかし、あなたの神かみ、主しゅの声こえに聞きき従したがわず、きょう、わたしが命めいじるすべての戒いましめと定さだめとを守まもり行おこなわないならば、このもろもろののろいがあなたに臨のぞみ、あなたに及およぶであろう。28:16 あなたは町まちのうちでものろわれ、畑はたけでものろわれ、28:17 あなたのかごも、こねばちものろわれ、28:18 あなたの身みから生うまれるもの、地ちに産さんする物もの、牛うしの子こ、羊ひつじの子こものろわれるであろう。28:19 あなたは、はいるにものろわれ、出でるにものろわれるであろう。 28:20 主しゅはあなたが手てをくだすすべての働はたらきにのろいと、混乱こんらんと、懲こらしめとを送おくられ、あなたはついに滅ほろび、すみやかにうせ果はてるであろう。これはあなたが悪あくをおこなってわたしを捨すてたからである。28:21 主しゅは疫病えきびょうをあなたの身みにつかせ、あなたが行いって取とる地ちから、ついにあなたを断たち滅ほろぼされるであろう。28:22 主しゅはまた肺病はいびょうと熱病ねつびょうと炎症えんしょうと間あいだけつ熱ねつと、かんばつと、立たち枯がれと、腐くさり穂ほとをもってあなたを撃うたれるであろう。これらのものはあなたを追おい、ついにあなたを滅ほろぼすであろう。28:23 あなたの頭あたまの上うえの天てんは青銅せいどうとなり、あなたの下したの地ちは鉄てつとなるであろう。28:24 主しゅはあなたの地ちの雨あめを、ちりと、ほこりに変かわらせ、それが天てんからあなたの上うえにくだって、ついにあなたを滅ほろぼすであろう。 28:25 主しゅはあなたを敵てきの前まえで敗やぶれさせられるであろう。あなたは一つの道みちから彼かれらを攻せめて行いくが、彼かれらの前まえで七つの道みちから逃にげ去さるであろう。そしてあなたは地ちのもろもろの国くにに恐おそるべき見みせしめとなるであろう。28:26 またあなたの死体したいは空そらのもろもろの鳥とりと、地ちの獣けものとのえじきとなり、しかもそれを追おい払はらう者ものはないであろう。28:27 主しゅはエジプトの腫物はれものと潰瘍かいようと壊血病かいけつびょうとひぜんとをもってあなたを撃うたれ、あなたはいやされることはないであろう。28:28 また主しゅはあなたを撃うって気きを狂くるわせ、目めを見みえなくし、心こころを混乱こんらんさせられるであろう。28:29 あなたは盲人もうじんが暗くらやみに手探てさぐりするように、真昼まひるにも手探てさぐりするであろう。あなたは行ゆく道みちで栄さかえることがなく、ただ常つねにしえたげられ、かすめられるだけで、あなたを救すくう者ものはないであろう。28:30 あなたは妻つまをめとっても、ほかの人ひとが彼女かのじょと寝ねるであろう。家いえを建たてても、その中なかに住すまないであろう。ぶどう畑はたけを作つくっても、その実みを摘つみ取とることがないであろう。28:31 あなたの牛うしが目めの前まえでほふられても、あなたはそれを食たべることができず、あなたのろばが目めの前まえで奪うばわれても、返かえされないであろう。あなたの羊ひつじが敵てきのものになっても、それを救すくってあなたに返かえす者ものはないであろう。28:32 あなたのむすこや娘むすめは他国民たこくみんにわたされる。あなたの目めはそれを見み、終日しゅうじつ、彼かれらを慕したって衰おとろえるが、あなたは手てを施ほどこすすべもないであろう。28:33 あなたの地ちの産物さんぶつおよびあなたの労ろうして獲えた物ものはみなあなたの知しらない民たみが食たべるであろう。あなたは、ただ常つねにしえたげられ、苦くるしめられるのみであろう。28:34 こうしてあなたは目めに見みる事柄ことがらによって、気きが狂くるうにいたるであろう。28:35 主しゅはあなたのひざと、はぎとに悪わるい、いやし得えない腫物はれものを生しょうじさせて、足あしの裏うらから頭あたまの頂いただきにまで及およぼされるであろう。 28:36 主しゅはあなたとあなたが立たてた王おうとを携たずさえて、あなたもあなたの先祖せんぞも知しらない国くにに移うつされるであろう。あなたはそこで木きや石いしで造つくったほかの神々かみがみに仕つかえるであろう。28:37 あなたは主しゅがあなたを追おいやられるもろもろの民たみのなかで驚おどろきとなり、ことわざとなり、笑わらい草ぐさとなるであろう。28:38 あなたが多おおくの種たねを畑はたけに携たずさえて出でても、その収穫しゅうかくは少すくないであろう。いなごがそれを食くいつくすからである。28:39 あなたがぶどう畑はたけを作つくり、それにつちかっても、そのぶどう酒しゅを飲のむことができず、その実みを集あつめることもないであろう。虫むしがそれを食たべるからである。28:40 あなたの国くににはあまねくオリブの木きがあるであろう。しかし、あなたはその油あぶらを身みに塗ぬることができないであろう。その実みがみな落おちてしまうからである。28:41 むすこや、娘むすめがあなたに生うまれても、あなたのものにならないであろう。彼かれらは捕とらえられて行いくからである。28:42 あなたのもろもろの木き、および地ちの産物さんぶつは、いなごが取とって食たべるであろう。28:43 あなたのうちに寄留きりゅうする他国たこく人じんは、ますます高たかくなり、あなたの上うえに出でて、あなたはますます低ひくくなるであろう。28:44 彼かれはあなたに貸かし、あなたは彼かれに貸かすことができない。彼かれはかしらとなり、あなたは尾おとなるであろう。28:45 このもろもろののろいが、あなたに臨のぞみ、あなたを追おい、ついに追おいついて、あなたを滅ほろぼすであろう。これはあなたの神かみ、主しゅの声こえに聞きき従したがわず、あなたに命めいじられた戒いましめと定さだめとを、あなたが守まもらなかったからである。28:46 これらの事ことは長ながくあなたとあなたの子孫しそんのうえにあって、しるしとなり、また不思議ふしぎとなるであろう。 28:47 あなたがすべての物ものに豊ゆたかになり、あなたの神かみ、主しゅに心こころから喜よろこび楽たのしんで仕つかえないので、28:48 あなたは飢うえ、かわき、裸はだかになり、すべての物ものに乏とぼしくなって、主しゅがあなたにつかわされる敵てきに仕つかえるであろう。敵てきは鉄てつのくびきをあなたのくびにかけ、ついにあなたを滅ほろぼすであろう。28:49 すなわち主しゅは遠とおい所ところから、地ちのはてから一つの民たみを、はげたかが飛とびかけるように、あなたに攻せめきたらせられるであろう。これはあなたがその言葉ことばを知しらない民たみ、28:50 顔かおの恐おそろしい民たみであって、彼かれらは老人ろうじんの身みを顧かえりみず、幼おさない者ものをあわれまず、28:51 あなたの家畜かちくが産うむものや、地ちの産物さんぶつを食くって、あなたを滅ほろぼし、穀物こくもつをも、酒さけをも、油あぶらをも、牛うしの子こをも、羊ひつじの子こをも、あなたの所ところに残のこさず、ついにあなたを全まったく滅ほろぼすであろう。28:52 その民たみは全国ぜんこくですべての町まちを攻せめ囲かこみ、ついにあなたが頼たのみとする、堅固けんごな高たかい石いしがきをことごとく撃うちくずし、あなたの神かみ、主しゅが賜たまわった国くにのうちのすべての町々まちまちを攻せめ囲かこむであろう。28:53 あなたは敵てきに囲かこまれ、激はげしく攻せめなやまされて、ついにあなたの神かみ、主しゅが賜たまわったあなたの身みから生うまれた者もの、むすこ、娘むすめの肉にくを食たべるに至いたるであろう。28:54 あなたがたのうちのやさしい、温和おんわな男おとこでさえも、自分じぶんの兄弟きょうだい、自分じぶんのふところの妻つま、最後さいごに残のこっている子供こどもにも食物しょくもつを惜おしんで与あたえず、28:55 自分じぶんが自分じぶんの子供こどもを食たべ、その肉にくを少すこしでも、この人々ひとびとのだれにも与あたえようとはしないであろう。これは敵てきがあなたのすべての町々まちまちを囲かこみ、激はげしく攻せめ悩なやまして、何なにをもその人ひとに残のこさないからである。28:56 またあなたがたのうちのやさしい、柔和にゅうわな女おんな、すなわち柔和にゅうわで、やさしく、足あしの裏うらを土つちに付つけようともしない者ものでも、自分じぶんのふところの夫おっとや、むすこ、娘むすめにもかくして、28:57 自分じぶんの足あしの間あいだからでる後産ごさんや、自分じぶんの産うむ子こをひそかに食たべるであろう。敵てきがあなたの町々まちまちを囲かこみ、激はげしく攻せめなやまして、すべての物ものが 乏けつぼうするからである。 28:58 もしあなたが、この書物しょもつにしるされているこの律法りっぽうのすべての言葉ことばを守まもり行おこなわず、あなたの神かみ、主しゅというこの栄さかえある恐おそるべき名なを恐おそれないならば、28:59 主しゅはあなたとその子孫しそんの上うえに激はげしい災わざわいを下くだされるであろう。その災わざわいはきびしく、かつ久ひさしく、その病気びょうきは重おもく、かつ久ひさしいであろう。28:60 主しゅはまた、あなたが恐おそれた病気びょうき、すなわちエジプトのもろもろの病気びょうきを再ふたたび臨のぞませて、あなたの身みにつかせられるであろう。28:61 またこの律法りっぽうの書しょにのせてないもろもろの病気びょうきと、もろもろの災わざわいとを、主しゅはあなたが滅ほろびるまで、あなたの上うえに下くだされるであろう。28:62 あなたがたは天てんの星ほしのように多おおかったが、あなたの神かみ、主しゅの声こえに聞きき従したがわなかったから、残のこる者ものが少すくなくなるであろう。28:63 さきに主しゅがあなたがたを良よくあしらい、あなたがたを多おおくするのを喜よろこばれたように、主しゅは今いまあなたがたを滅ほろぼし絶たやすのを喜よろこばれるであろう。あなたがたは、はいって取とる地ちから抜ぬき去さられるであろう。28:64 主しゅは地ちのこのはてから、かのはてまでのもろもろの民たみのうちにあなたがたを散ちらされるであろう。その所ところで、あなたもあなたの先祖せんぞたちも知しらなかった木きや石いしで造つくったほかの神々かみがみにあなたは仕つかえるであろう。28:65 その国々くにぐにの民たみのうちであなたは安やすきを得えず、また足あしの裏うらを休やすめる所ところも得えられないであろう。主しゅはその所ところで、あなたの心こころをおののかせ、目めを衰おとろえさせ、精神せいしんを打うちしおれさせられるであろう。28:66 あなたの命いのちは細ほそい糸いとにかかっているようになり、夜昼よるひる恐おそれおののいて、その命いのちもおぼつかなく思おもうであろう。28:67 あなたが心こころにいだく恐おそれと、目めに見みるものによって、朝あさには『ああ夕ゆうであればよいのに』と言いい、夕ゆうには『ああ朝あさであればよいのに』と言いうであろう。28:68 主しゅはあなたを舟ふねに乗のせ、かつてわたしがあなたに告つげて、『あなたは再ふたたびこれを見みることはない』と言いった道みちによって、あなたをエジプトへ連つれもどされるであろう。あなたがたはそこで男女だんじょの奴隷どれいとして敵てきに売うられるが、だれも買かう者ものはないであろう」。 第29章 29:1 これは主しゅがモーセに命めいじて、モアブの地ちでイスラエルの人々ひとびとと結むすばせられた契約けいやくの言葉ことばであって、ホレブで彼かれらと結むすばれた契約けいやくのほかのものである。 29:2 モーセはイスラエルのすべての人ひとを呼よび集あつめて言いった、「あなたがたは主しゅがエジプトの地ちで、パロと、そのすべての家来けらいと、その全ぜん地ちとにせられたすべての事ことをまのあたり見みた。29:3 すなわちその大おおきな試こころみと、しるしと、大おおきな不思議ふしぎとをまのあたり見みたのである。29:4 しかし、今日こんにちまで主しゅはあなたがたの心こころに悟さとらせず、目めに見みさせず、耳みみに聞きかせられなかった。29:5 わたしは四十年ねんの間あいだ、あなたがたを導みちびいて荒野あらのを通とおらせたが、あなたがたの身みにつけた着物きものは古ふるびず、足あしのくつは古ふるびなかった。29:6 あなたがたはまたパンも食たべず、ぶどう酒しゅも濃こい酒さけも飲のまなかった。こうしてあなたがたは、わたしがあなたがたの神かみ、主しゅであることを知しるに至いたった。29:7 あなたがたがこの所ところにきたとき、ヘシボンの王おうシホンと、バシャンの王おうオグがわれわれを迎むかえて戦たたかったが、われわれは彼かれらを撃うち敗やぶって、29:8 その地ちを取とり、これをルベンびとと、ガドびとと、マナセびとの半なかばとに、嗣し業ぎょうとして与あたえた。29:9 それゆえ、あなたがたはこの契約けいやくの言葉ことばを守まもって、それを行おこなわなければならない。そうすればあなたがたのするすべての事ことは栄さかえるであろう。 29:10 あなたがたは皆みな、きょう、あなたがたの神かみ、主しゅの前まえに立たっている。すなわちあなたがたの部族ぶぞくのかしらたち、長老ちょうろうたち、つかさたちなど、イスラエルのすべての人々ひとびと、29:11 あなたがたの小ちいさい者ものたちも、妻つまたちも、宿営しゅくえいのうちに寄留きりゅうしている他国たこく人じんも、あなたのために、たきぎを割わる者ものも、水みずをくむ者ものも、みな主しゅの前まえに立たって、29:12 あなたの神かみ、主しゅが、きょう、あなたと結むすばれるあなたの神かみ、主しゅの契約けいやくと誓ちかいとに、はいろうとしている。29:13 これは主しゅがさきにあなたに約束やくそくされたように、またあなたの先祖せんぞアブラハム、イサク、ヤコブに誓ちかわれたように、きょう、あなたを立たてて自分じぶんの民たみとし、またみずからあなたの神かみとなられるためである。29:14 わたしはただあなたがたとだけ、この契約けいやくと誓ちかいとを結むすぶのではない。29:15 きょう、ここで、われわれの神かみ、主しゅの前まえにわれわれと共ともに立たっている者ものならびに、きょう、ここにわれわれと共ともにいない者ものとも結むすぶのである。 29:16 われわれがどのようにエジプトの国くにに住すんでいたか、どのように国々くにぐにの民たみの中なかを通とおってきたか、それはあなたがたが知しっている。29:17 またあなたがたは木きや石いしや銀ぎんや金きんで造つくった憎にくむべき物ものと偶像ぐうぞうとが、彼かれらのうちにあるのを見みた。29:18 それゆえ、あなたがたのうちに、きょう、その心こころにわれわれの神かみ、主しゅを離はなれてそれらの国民こくみんの神々かみがみに行いって仕つかえる男おとこや女おんな、氏族しぞくや部族ぶぞくがあってはならない。またあなたがたのうちに、毒草どくそうや、にがよもぎを生しょうずる根ねがあってはならない。29:19 そのような人ひとはこの誓ちかいの言葉ことばを聞きいても、心こころに自分じぶんを祝福しゅくふくして『心こころをかたくなにして歩あゆんでもわたしには平安へいあんがある』と言いうであろう。そうすれば潤うるおった者ものも、かわいた者ものもひとしく滅ほろびるであろう。29:20 主しゅはそのような人ひとをゆるすことを好このまれない。かえって主しゅはその人ひとに怒いかりとねたみを発はっし、この書物しょもつにしるされたすべてののろいを彼かれの上うえに加くわえ、主しゅはついにその人ひとの名なを天てんの下したから消けし去さられるであろう。29:21 主しゅはイスラエルのすべての部族ぶぞくのうちからその人ひとを区く別べっして災わざわいをくだし、この律法りっぽうの書しょにしるされた契約けいやくの中なかのもろもろののろいのようにされるであろう。29:22 後のちの代よの人ひと、すなわちあなたがたののちに起おこるあなたがたの子孫しそんおよび遠とおい国くにから来くる外国がいこく人じんは、この地ちの災わざわいを見み、主しゅがこの地ちにくだされた病気びょうきを見みて言いうであろう。29:23 ――全ぜん地ちは硫黄いおうとなり、塩しおとなり、焼やけ土つちとなって、種たねもまかれず、実みも結むすばず、なんの草くさも生しょうじなくなって、むかし主しゅが怒いかりと憤いきどおりをもって滅ほろぼされたソドム、ゴモラ、アデマ、ゼボイムの破滅はめつのようである。――29:24 すなわち、もろもろの国民こくみんは言いうであろう、『なぜ、主しゅはこの地ちにこのようなことをされたのか。この激はげしい大おおいなる怒いかりは何なにゆえか』。29:25 そのとき人々ひとびとは言いうであろう、『彼かれらはその先祖せんぞの神かみ、主しゅがエジプトの国くにから彼かれらを導みちびき出だして彼かれらと結むすばれた契約けいやくをすて、29:26 行いって彼かれらの知しらない、また授さずからない、ほかの神々かみがみに仕つかえて、それを拝おがんだからである。29:27 それゆえ主しゅはこの地ちにむかって怒いかりを発はっし、この書物しょもつにしるされたもろもろののろいをこれにくだし、29:28 そして主しゅは怒いかりと、はげしい怒いかりと大おおいなる憤いきどおりとをもって彼かれらをこの地ちから抜ぬき取とって、ほかの国くにに投なげやられた。今日こんにち見みるとおりである』。 29:29 隠かくれた事ことはわれわれの神かみ、主しゅに属ぞくするものである。しかし表あらわされたことは長ながくわれわれとわれわれの子孫しそんに属ぞくし、われわれにこの律法りっぽうのすべての言葉ことばを行おこなわせるのである。 第30章 30:1 わたしがあなたがたの前まえに述のべたこのもろもろの祝福しゅくふくと、のろいの事ことがあなたに臨のぞみ、あなたがあなたの神かみ、主しゅに追おいやられたもろもろの国民こくみんのなかでこの事ことを心こころに考かんがえて、30:2 あなたもあなたの子供こどもも共ともにあなたの神かみ、主しゅに立たち帰かえり、わたしが、きょう、命めいじるすべてのことにおいて、心こころをつくし、精神せいしんをつくして、主しゅの声こえに聞きき従したがうならば、30:3 あなたの神かみ、主しゅはあなたを再ふたたび栄さかえさせ、あなたをあわれみ、あなたの神かみ、主しゅはあなたを散ちらされた国々くにぐにから再ふたたび集あつめられるであろう。30:4 たといあなたが天てんのはてに追おいやられても、あなたの神かみ、主しゅはそこからあなたを集あつめ、そこからあなたを連つれ帰かえられるであろう。30:5 あなたの神かみ、主しゅはあなたの先祖せんぞが所有しょゆうした地ちにあなたを帰かえらせ、あなたはそれを所有しょゆうするに至いたるであろう。主しゅはまたあなたを栄さかえさせ、数かずを増まして先祖せんぞたちよりも多おおくされるであろう。30:6 そしてあなたの神かみ、主しゅはあなたの心こころとあなたの子孫しそんの心こころに割礼かつれいを施ほどこし、あなたをして、心こころをつくし、精神せいしんをつくしてあなたの神かみ、主しゅを愛あいさせ、こうしてあなたに命いのちを得えさせられるであろう。30:7 あなたの神かみ、主しゅはまた、あなたを迫害はくがいする敵てきと、あなたを憎にくむ者ものとに、このもろもろののろいをこうむらせられるであろう。30:8 しかし、あなたは再ふたたび主しゅの声こえに聞きき従したがい、わたしが、きょう、あなたに命めいじるすべての戒いましめを守まもるであろう。30:9 そうすればあなたの神かみ、主しゅはあなたのするすべてのことと、あなたの身みから生うまれる者ものと、家畜かちくの産うむものと、地ちに産さんする物ものを豊ゆたかに与あたえて、あなたを栄さかえさせられるであろう。すなわち主しゅはあなたの先祖せんぞたちを喜よろこばれたように再ふたたびあなたを喜よろこんで、あなたを栄さかえさせられるであろう。30:10 これはあなたが、あなたの神かみ、主しゅの声こえに聞ききしたがい、この律法りっぽうの書しょにしるされた戒いましめと定さだめとを守まもり、心こころをつくし、精神せいしんをつくしてあなたの神かみ、主しゅに帰きするからである。 30:11 わたしが、きょう、あなたに命めいじるこの戒いましめは、むずかしいものではなく、また遠とおいものでもない。30:12 これは天てんにあるのではないから、『だれがわれわれのために天てんに上のぼり、それをわれわれのところへ持もってきて、われわれに聞きかせ、行おこなわせるであろうか』と言いうに及およばない。30:13 またこれは海うみのかなたにあるのではないから、『だれがわれわれのために海うみを渡わたって行いき、それをわれわれのところへ携たずさえてきて、われわれに聞きかせ、行おこなわせるであろうか』と言いうに及およばない。30:14 この言葉ことばはあなたに、はなはだ近ちかくあってあなたの口くちにあり、またあなたの心こころにあるから、あなたはこれを行おこなうことができる。 30:15 見みよ、わたしは、きょう、命いのちとさいわい、および死しと災わざわいをあなたの前まえに置おいた。30:16 すなわちわたしは、きょう、あなたにあなたの神かみ、主しゅを愛あいし、その道みちに歩あゆみ、その戒いましめと定さだめと、おきてとを守まもることを命めいじる。それに従したがうならば、あなたは生いきながらえ、その数かずは多おおくなるであろう。またあなたの神かみ、主しゅはあなたが行いって取とる地ちであなたを祝福しゅくふくされるであろう。30:17 しかし、もしあなたが心こころをそむけて聞きき従したがわず、誘さそわれて他たの神々かみがみを拝おがみ、それに仕つかえるならば、30:18 わたしは、きょう、あなたがたに告つげる。あなたがたは必かならず滅ほろびるであろう。あなたがたはヨルダンを渡わたり、はいって行いって取とる地ちでながく命いのちを保たもつことができないであろう。30:19 わたしは、きょう、天てんと地ちを呼よんであなたがたに対たいする証人しょうにんとする。わたしは命いのちと死しおよび祝福しゅくふくとのろいをあなたの前まえに置おいた。あなたは命いのちを選えらばなければならない。そうすればあなたとあなたの子孫しそんは生いきながらえることができるであろう。30:20 すなわちあなたの神かみ、主しゅを愛あいして、その声こえを聞きき、主しゅにつき従したがわなければならない。そうすればあなたは命いのちを得え、かつ長ながく命いのちを保たもつことができ、主しゅが先祖せんぞアブラハム、イサク、ヤコブに与あたえると誓ちかわれた地ちに住すむことができるであろう」。 第31章 31:1 そこでモーセは続つづいてこの言葉ことばをイスラエルのすべての人ひとに告つげて、31:2 彼かれらに言いった、「わたしは、きょう、すでに百二十歳さいになり、もはや出入でいりすることはできない。また主しゅはわたしに『おまえはこのヨルダンを渡わたることはできない』と言いわれた。31:3 あなたの神かみ、主しゅはみずからあなたに先立さきだって渡わたり、あなたの前まえから、これらの国々くにぐにの民たみを滅ほろぼし去さって、あなたにこれを獲えさせられるであろう。また主しゅがかつて言いわれたように、ヨシュアはあなたを率ひきいて渡わたるであろう。31:4 主しゅがさきにアモリびとの王おうシホンとオグおよびその地ちにされたように、彼かれらにもおこなって彼かれらを滅ほろぼされるであろう。31:5 主しゅは彼かれらをあなたがたに渡わたされるから、あなたがたはわたしが命めいじたすべての命令めいれいのとおりに彼かれらに行おこなわなければならない。31:6 あなたがたは強つよく、かつ勇いさましくなければならない。彼かれらを恐おそれ、おののいてはならない。あなたの神かみ、主しゅがあなたと共ともに行いかれるからである。主しゅは決けっしてあなたを見放みはなさず、またあなたを見捨みすてられないであろう」。 31:7 モーセはヨシュアを呼よび、イスラエルのすべての人ひとの目めの前まえで彼かれに言いった、「あなたはこの民たみと共ともに行いき、主しゅが彼かれらの先祖せんぞたちに与あたえると誓ちかわれた地ちに入いるのであるから、あなたは強つよく、かつ勇いさましくなければならない。あなたは彼かれらにそれを獲えさせるであろう。31:8 主しゅはみずからあなたに先立さきだって行いき、またあなたと共ともにおり、あなたを見放みはなさず、見捨みすてられないであろう。恐おそれてはならない、おののいてはならない」。 31:9 モーセはこの律法りっぽうを書かいて、主しゅの契約けいやくの箱はこをかつぐレビの子孫しそんである祭司さいしおよびイスラエルのすべての長老ちょうろうたちに授さづけた。31:10 そしてモーセは彼かれらに命めいじて言いった、「七年ねんの終おわりごとに、すなわち、ゆるしの年としの定さだめの時ときになり、かりいおの祭まつりに、31:11 イスラエルのすべての人ひとがあなたの神かみ、主しゅの前まえに出でるため、主しゅの選えらばれる場所ばしょに来くるとき、あなたはイスラエルのすべての人ひとの前まえでこの律法りっぽうを読よんで聞きかせなければならない。31:12 すなわち男おとこ、女おんな、子供こどもおよびあなたの町まちのうちに寄留きりゅうしている他国たこく人じんなど民たみを集あつめ、彼かれらにこれを聞きかせ、かつ学まなばせなければならない。そうすれば彼かれらはあなたがたの神かみ、主しゅを恐おそれてこの律法りっぽうの言葉ことばを、ことごとく守まもり行おこなうであろう。31:13 また彼かれらの子供こどもたちでこれを知しらない者ものも聞きいて、あなたがたの神かみ、主しゅを恐おそれることを学まなぶであろう。あなたがたがヨルダンを渡わたって行いって取とる地ちにながらえる日ひのあいだ常つねにそうしなければならない」。 31:14 主しゅはまたモーセに言いわれた、「あなたの死しぬ日ひが近ちかづいている。ヨシュアを召めして共ともに会見かいけんの幕屋まくやに立たちなさい。わたしは彼かれに務つとめを命めいじるであろう」。モーセとヨシュアが行いって会見かいけんの幕屋まくやに立たつと、31:15 主しゅは幕屋まくやで雲くもの柱はしらのうちに現あらわれられた。その雲くもの柱はしらは幕屋まくやの入口いりぐちのかたわらにとどまった。 31:16 主しゅはモーセに言いわれた、「あなたはまもなく眠ねむって先祖せんぞたちと一緒いっしょになるであろう。そのときこの民たみはたちあがり、はいって行いく地ちの異ことなる神々かみがみを慕したって姦淫かんいんを行おこない、わたしを捨すて、わたしが彼かれらと結むすんだ契約けいやくを破やぶるであろう。31:17 その日ひには、わたしは彼かれらにむかって怒いかりを発はっし、彼かれらを捨すて、わたしの顔かおを彼かれらに隠かくすゆえに、彼かれらは滅ほろぼしつくされ、多おおくの災わざわいと悩なやみが彼かれらに臨のぞむであろう。そこでその日ひ、彼かれらは言いうであろう、『これらの災わざわいがわれわれに臨のぞむのは、われわれの神かみがわれわれのうちにおられないからではないか』。31:18 しかも彼かれらがほかの神々かみがみに帰きして、もろもろの悪あくを行おこなうゆえに、わたしはその日ひには必かならずわたしの顔かおを隠かくすであろう。31:19 それであなたがたは今いま、この歌うたを書かきしるし、イスラエルの人々ひとびとに教おしえてその口くちに唱となえさせ、この歌うたをイスラエルの人々ひとびとに対たいするわたしのあかしとならせなさい。31:20 わたしが彼かれらの先祖せんぞたちに誓ちかった、乳ちちと蜜みつの流ながれる地ちに彼かれらを導みちびき入いれる時とき、彼かれらは食たべて飽あき、肥こえ太ふとるに及およんで、ほかの神々かみがみに帰きし、それに仕つかえて、わたしを軽かろんじ、わたしの契約けいやくを破やぶるであろう。31:21 こうして多おおくの災わざわいと悩なやみとが彼かれらに臨のぞむ時とき、この歌うたは彼かれらに対たいして、あかしとなるであろう。(それはこの歌うたが彼かれらの子孫しそんの口くちにあって、彼かれらはそれを忘わすれないからである。)わたしが誓ちかった地ちに彼かれらを導みちびき入いれる前まえ、すでに彼かれらが思おもいはかっている事ことをわたしは知しっているからである」。31:22 モーセはその日ひ、この歌うたを書かいてイスラエルの人々ひとびとに教おしえた。 31:23 主しゅはヌンの子こヨシュアに命めいじて言いわれた、「あなたはイスラエルの人々ひとびとをわたしが彼かれらに誓ちかった地ちに導みちびき入いれなければならない。それゆえ強つよくかつ勇いさましくあれ。わたしはあなたと共ともにいるであろう」。 31:24 モーセがこの律法りっぽうの言葉ことばを、ことごとく書物しょもつに書かき終おわった時とき、31:25 モーセは主しゅの契約けいやくの箱はこをかつぐレビびとに命めいじて言いった、31:26 「この律法りっぽうの書しょをとって、あなたがたの神かみ、主しゅの契約けいやくの箱はこのかたわらに置おき、その所ところであなたにむかってあかしをするものとしなさい。31:27 わたしはあなたのそむくことと、かたくななこととを知しっている。きょう、わたしが生いきながらえて、あなたがたと一緒いっしょにいる間あいだですら、あなたがたは主しゅにそむいた。ましてわたしが死しんだあとはどんなであろう。31:28 あなたがたの部族ぶぞくのすべての長老ちょうろうたちと、つかさたちをわたしのもとに集あつめなさい。わたしはこれらの言葉ことばを彼かれらに語かたり聞きかせ、天てんと地ちとを呼よんで彼かれらにむかってあかしさせよう。31:29 わたしは知しっている。わたしが死しんだのち、あなたがたは必かならず悪わるい事ことをして、わたしが命めいじた道みちを離はなれる。そして後のちの日ひに災わざわいがあなたがたに臨のぞむであろう。これは主しゅの悪あくと見みられることを行おこない、あなたがたのすることをもって主しゅを怒いからせるからである」。 31:30 そしてモーセはイスラエルの全ぜん会衆かいしゅうに次つぎの歌うたの言葉ことばを、ことごとく語かたり聞きかせた。 第32章 32:1 「天てんよ、耳みみを傾かたむけよ、わたしは語かたる、地ちよ、わたしの口くちの言葉ことばを聞きけ。32:2 わたしの教おしえは雨あめのように降ふりそそぎ、わたしの言葉ことばは露つゆのようにしたたるであろう。若草わかくさの上うえに降ふる小雨こさめのように、青草あおくさの上うえにくだる夕立ゆうだちのように。32:3 わたしは主しゅの名なをのべよう、われわれの神かみに栄光えいこうを帰かえせよ。32:4 主しゅは岩いわであって、そのみわざは全まったく、その道みちはみな正ただしい。主しゅは真実しんじつなる神かみであって、偽いつわりなく、義ぎであって、正せいである。32:5 彼かれらは主しゅにむかって悪あくを行おこない、そのきずのゆえに、もはや主しゅの子こらではなく、よこしまで、曲まがったやからである。32:6 愚おろかな知恵ちえのない民たみよ、あなたがたはこのようにして主しゅに報むくいるのか。主しゅはあなたを生うみ、あなたを つくり、あなたを堅かたく立たてられたあなたの父ちちではないか。32:7 いにしえの日ひを覚おぼえ、代々よよの年としを思おもえ。あなたの父ちちに問とえ、彼かれはあなたに告つげるであろう。長老ちょうろうたちに問とえ、彼かれらはあなたに語かたるであろう。32:8 いと高たかき者ものは人ひとの子こらを分わけ、諸しょ国民こくみんにその嗣し業ぎょうを与あたえられたとき、イスラエルの子こらの数かずに照てらして、もろもろの民たみの境さかいを定さだめられた。32:9 主しゅの分ぶんはその民たみであって、ヤコブはその定さだめられた嗣し業ぎょうである。32:10 主しゅはこれを荒野あらのの地ちで見みいだし、獣けもののほえる荒あれ地ちで会あい、これを巡めぐり囲かこんでいたわり、目めのひとみのように守まもられた。32:11 わしがその巣すのひなを呼よび起おこし、その子この上うえに舞まいかけり、その羽はねをひろげて彼かれらをのせ、そのつばさの上うえにこれを負おうように、32:12 主しゅはただひとりで彼かれを導みちびかれて、ほかの神々かみがみはあずからなかった。32:13 主しゅは彼かれに地ちの高たかき所ところを乗のり通とおらせ、田畑たはたの産物さんぶつを食くわせ、岩いわの中なかから蜜みつを吸すわせ、堅かたい岩いわから油あぶらを吸すわせ、32:14 牛うしの凝乳ぎょうにゅう、羊ひつじの乳ちち、小羊こひつじと雄羊おひつじの脂肪しぼう、バシャンの牛うしと雄おやぎ、小麦こむぎの良よい物ものを食くわせられた。またあなたはぶどうのしるのあわ立たつ酒さけを飲のんだ。32:15 しかるにエシュルンは肥こえ太ふとって、足あしでけった。あなたは肥こえ太ふとって、つややかになり、自分じぶんを つくった神かみを捨すて、救すくいの岩いわを侮あなどった。32:16 彼かれらはほかの神々かみがみに仕つかえて、主しゅのねたみを起おこし、憎にくむべきおこないをもって主しゅの怒いかりをひき起おこした。32:17 彼かれらは神かみでもない悪霊あくれいに犠牲ぎせいをささげた。それは彼かれらがかつて知しらなかった神々かみがみ、近ちかごろ出でた新あたらしい神々かみがみ、先祖せんぞたちの恐おそれることもしなかった者ものである。32:18 あなたは自分じぶんを生うんだ岩いわを軽かろんじ、自分じぶんを造つくった神かみを忘わすれた。32:19 主しゅはこれを見み、そのむすこ、娘むすめを怒いかってそれを捨すてられた。32:20 そして言いわれた、『わたしはわたしの顔かおを彼かれらに隠かくそう。わたしは彼かれらの終おわりがどうなるかを見みよう。彼かれらはそむき、もとるやから、真実しんじつのない子こらである。32:21 彼かれらは神かみでもない者ものをもって、わたしにねたみを起おこさせ、偶像ぐうぞうをもって、わたしを怒いからせた。それゆえ、わたしは民たみともいえない者ものをもって、彼かれらにねたみを起おこさせ、愚おろかな民たみをもって、彼かれらを怒いからせるであろう。32:22 わたしの怒いかりによって、火ひは燃もえいで、陰府よみの深ふかみにまで燃もえ行いき、地ちとその産物さんぶつとを焼やきつくし、山々やまやまの基もといを燃もやすであろう。32:23 わたしは彼かれらの上うえに災わざわいを積つみかさね、わたしの矢やを彼かれらにむかって射いつくすであろう。32:24 彼かれらは飢うえて、やせ衰おとろえ、熱病ねつびょうと悪わるい疫病えきびょうによって滅ほろびるであろう。わたしは彼かれらを獣けものの歯はにかからせ、地ちに這はうものの毒どくにあたらせるであろう。32:25 外そとにはつるぎ、内うちには恐おそれがあって、若わかき男おとこも若わかき女おんなも、乳ちのみ子ごも、しらがの人ひとも滅ほろびるであろう。32:26 わたしはまさに言いおうとした、「彼かれらを遠とおく散ちらし、彼かれらの事ことを人々ひとびとが記憶きおくしないようにしよう」。32:27 しかし、わたしは敵てきが誇ほこるのを恐おそれる。あだびとはまちがえて言いうであろう、「われわれの手てが勝かちをえたのだ。これはみな主しゅがされたことではない」』。32:28 彼かれらは思慮しりょの欠かけた民たみ、そのうちには知識ちしきがない。32:29 もし、彼かれらに知恵ちえがあれば、これをさとり、その身みの終おわりをわきまえたであろうに。32:30 彼かれらの岩いわが彼かれらを売うらず、主しゅが彼かれらをわたされなかったならば、どうして、ひとりで千人にんを追おい、ふたりで万まん人にんを敗やぶることができたであろう。32:31 彼かれらの岩いわはわれらの岩いわに及およばない。われらの敵てきもこれを認みとめている。32:32 彼かれらのぶどうの木きは、ソドムのぶどうの木きから出でたもの、またゴモラの野のから出でたもの、そのぶどうは毒どくぶどう、そのふさは苦にがい。32:33 そのぶどう酒しゅはへびの毒どくのよう、まむしの恐おそろしい毒どくのようである。32:34 これはわたしのもとにたくわえられ、わたしの倉くらに封ふうじ込こめられているではないか。32:35 彼かれらの足あしがすべるとき、わたしはあだを返かえし、報むくいをするであろう。彼かれらの災わざわいの日ひは近ちかく、彼かれらの破滅はめつは、すみやかに来くるであろう。32:36 主しゅはついにその民たみをさばき、そのしもべらにあわれみを加くわえられるであろう。これは彼かれらの力ちからがうせ去さり、つながれた者ものもつながれない者ものも、もはやいなくなったのを、主しゅが見みられるからである。32:37 そのとき主しゅは言いわれるであろう、『彼かれらの神々かみがみはどこにいるか、彼かれらの頼たのみとした岩いわはどこにあるか。32:38 彼かれらの犠牲ぎせいのあぶらを食くい、灌祭かんさいの酒さけを飲のんだ者ものはどこにいるか。立たちあがってあなたがたを助たすけさせよ、あなたがたを守まもらせよ。32:39 今見いまみよ、わたしこそは彼かれである。わたしのほかに神かみはない。わたしは殺ころし、また生いかし、傷きずつけ、またいやす。わたしの手てから救すくい出だしうるものはない。32:40 わたしは天てんにむかい手てをあげて誓ちかう、「わたしは永遠えいえんに生いきる。32:41 わたしがきらめくつるぎをとぎ、手てにさばきを握にぎるとき、わたしは敵てきにあだを返かえし、わたしを憎にくむ者ものに報復ほうふくするであろう。32:42 わたしの矢やを血ちに酔よわせ、わたしのつるぎに肉にくを食くわせるであろう。殺ころされた者ものと捕とらえられた者ものの血ちを飲のませ、敵てきの長髪ちょうはつの頭あたまの肉にくを食くわせるであろう」』。32:43 国々くにぐにの民たみよ、主しゅの民たみのために喜よろこび歌うたえ。主しゅはそのしもべの血ちのために報復ほうふくし、その敵てきにあだを返かえし、その民たみの地ちの汚けがれを清きよめられるからである」。32:44 モーセとヌンの子こヨシュアは共ともに行いって、この歌うたの言葉ことばを、ことごとく民たみに読よみ聞きかせた。32:45 モーセはこの言葉ことばを、ことごとくイスラエルのすべての人ひとに告つげ終おわって、32:46 彼かれらに言いった、「あなたがたはわたしが、きょう、あなたがたに命めいじるこのすべての言葉ことばを心こころにおさめ、子供こどもたちにもこの律法りっぽうのすべての言葉ことばを守まもり行おこなうことを命めいじなければならない。32:47 この言葉ことばはあなたがたにとって、むなしい言葉ことばではない。これはあなたがたのいのちである。この言葉ことばにより、あなたがたはヨルダンを渡わたって行いって取とる地ちで、長ながく命いのちを保たもつことができるであろう」。 32:48 この日ひ、主しゅはモーセに言いわれた、32:49 「あなたはエリコに対たいするモアブの地ちにあるアバリム山やますなわちネボ山やまに登のぼり、わたしがイスラエルの人々ひとびとに与あたえて獲えさせるカナンの地ちを見渡みわたせ。32:50 あなたは登のぼって行いくその山やまで死しに、あなたの民たみに連つらなるであろう。あなたの兄弟きょうだいアロンがホル山やまで死しんでその民たみに連つらなったようになるであろう。32:51 これはあなたがたがチンの荒野あらのにあるメリバテ・カデシの水みずのほとりで、イスラエルの人々ひとびとのうちでわたしにそむき、イスラエルの人々ひとびとのうちでわたしを聖せいなるものとして敬うやまわなかったからである。32:52 それであなたはわたしがイスラエルの人々ひとびとに与あたえる地ちを、目めの前まえに見みるであろう。しかし、その地ちに、はいることはできない」。 第33章 33:1 神かみの人ひとモーセは死しぬ前まえにイスラエルの人々ひとびとを祝福しゅくふくした。祝福しゅくふくの言葉ことばは次つぎのとおりである。 33:2 「主しゅはシナイからこられ、セイルからわれわれにむかってのぼられ、パランの山やまから光ひかりを放はなたれ、ちよろずの聖者せいじゃの中なかからこられた。その右みぎの手てには燃もえる火ひがあった。33:3 まことに主しゅはその民たみを愛あいされる。すべて主しゅに聖別せいべつされたものは、み手てのうちにある。彼かれらはあなたの足あしもとに座ざして、教おしえをうける。33:4 モーセはわれわれに律法りっぽうを授さづけて、ヤコブの会衆かいしゅうの所有しょゆうとさせた。33:5 民たみのかしらたちが集あつまり、イスラエルの部族ぶぞくがみな集あつまった時とき、主しゅはエシュルンのうちに王おうとなられた」。33:6 「ルベンは生いきる、死しにはしない。しかし、その人数にんずうは少すくなくなるであろう」。33:7 ユダについては、こう言いった、「主しゅよ、ユダの声こえを聞きいて、彼かれをその民たみに導みちびきかえしてください。み手てをもって、彼かれのために戦たたかってください。彼かれを助たすけて、敵てきに当あたらせてください」。33:8 レビについては言いった、「あなたのトンミムをレビに与あたえてください。ウリムをあなたに仕つかえる人ひとに与あたえてください。かつてあなたはマッサで彼かれを試こころみ、メリバの水みずのほとりで彼かれと争あらそわれた。33:9 彼かれはその父ちち、その母ははについて言いった、『わたしは彼かれらを顧かえりみない』。彼かれは自分じぶんの兄弟きょうだいをも認みとめず、自分じぶんの子供こどもをも顧かえりみなかった。彼かれらはあなたの言葉ことばにしたがい、あなたの契約けいやくを守まもったからである。33:10 彼かれらはあなたのおきてをヤコブに教おしえ、あなたの律法りっぽうをイスラエルに教おしえ、薫香くんこうをあなたの前まえに供そなえ、燔祭はんさいを祭壇さいだんの上うえにささげる。33:11 主しゅよ、彼かれの力ちからを祝福しゅくふくし、彼かれの手てのわざを喜よろこび受うけてください。彼かれに逆さからう者ものと、彼かれを憎にくむ者ものとの腰こしを打うち砕くだいて、立たち上あがることのできないようにしてください」。33:12 ベニヤミンについては言いった、「主しゅに愛あいされる者もの、彼かれは安やすらかに主しゅのそばにおり、主しゅは終日しゅうじつ、彼かれを守まもり、その肩かたの間あいだにすまいを営いとなまれるであろう」。33:13 ヨセフについては言いった、「どうぞ主しゅが彼かれの地ちを祝福しゅくふくされるように。上うえなる天てんの賜物たまものと露つゆ、下したに横よこたわる淵ふちの賜物たまもの、33:14 日ひによって産さんする尊たっとい賜物たまもの、月つきによって生しょうずる尊たっとい賜物たまもの、33:15 いにしえの山々やまやまの産さんする賜物たまもの、とこしえの丘おかの尊たっとい賜物たまもの、33:16 地ちとそれに満みちる尊たっとい賜物たまもの、しばの中なかにおられた者ものの恵めぐみが、ヨセフの頭あたまに臨のぞみ、その兄弟きょうだいたちの君くんたる者ものの頭あたまの頂いただきにくだるように。33:17 彼かれの牛うしのういごは威厳いげんがあり、その角つのは野牛やぎゅうの角つののよう、これをもって国々くにぐにの民たみをことごとく突つき倒たおし、地ちのはてにまで及およぶ。このような者ものはエフライムに幾いく万まんとあり、またこのような者ものはマナセに幾いく千せんとある」。33:18 ゼブルンについては言いった、「ゼブルンよ、あなたは外そとに出でて楽たのしみを得えよ。イッサカルよ、あなたは天幕てんまくにいて楽たのしみを得えよ。33:19 彼かれらは国々くにぐにの民たみを山やまに招まねき、その所ところで正ただしい犠牲ぎせいをささげるであろう。彼かれらは海うみの富とみを吸すい、砂すなに隠かくれた宝たからを取とるからである」。33:20 ガドについては言いった、「ガドを大おおきくする者ものは、ほむべきかな。ガドは、ししのように伏ふし、腕うでや頭あたまの頂いただきをかき裂さくであろう。33:21 彼かれは初穂はつほの地ちを自分じぶんのために選えらんだ。そこには将軍しょうぐんの分ぶんも取とり置おかれていた。彼かれは民たみのかしらたちと共ともにきて、イスラエルと共ともに主しゅの正義せいぎと審判しんぱんとを行おこなった」。33:22 ダンについては言いった、「ダンはししの子こであって、バシャンからおどりでる」。33:23 ナフタリについては言いった、「ナフタリよ、あなたは恵めぐみに満みたされ、主しゅの祝福しゅくふくに満みちて、湖みずうみとその南みなみの地ちを所有しょゆうする」。33:24 アセルについては言いった、「アセルは他たの子こらにまさって祝福しゅくふくされる。彼かれはその兄弟きょうだいたちに愛あいせられ、その足あしを油あぶらにひたすことができるように。33:25 あなたの貫かんの木きは鉄てつと青銅せいどう、あなたの力ちからはあなたの年としと共ともに続つづくであろう」。33:26 「エシュルンよ、神かみに並ならぶ者ものはほかにない。あなたを助たすけるために天てんに乗のり、威光いこうをもって空そらを通とおられる。33:27 とこしえにいます神かみはあなたのすみかであり、下したには永遠えいえんの腕うでがある。敵てきをあなたの前まえから追おい払はらって、『滅ほろぼせ』と言いわれた。33:28 イスラエルは安やすらかに住すみ、ヤコブの泉いずみは穀物こくもつとぶどう酒しゅの地ちに、ひとりいるであろう。また天てんは露つゆをくだすであろう。 33:29 イスラエルよ、あなたはしあわせである。だれがあなたのように、主しゅに救すくわれた民たみがあるであろうか。主しゅはあなたを助たすける盾たて、あなたの威光いこうのつるぎ、あなたの敵てきはあなたにへつらい服ふくし、あなたは彼かれらの高たかき所ところを踏ふみ進すすむであろう」。 第34章 34:1 モーセはモアブの平野へいやからネボ山やまに登のぼり、エリコの向むかいのピスガの頂いただきへ行いった。そこで主しゅは彼かれにギレアデの全ぜん地ちをダンまで示しめし、34:2 ナフタリの全部ぜんぶ、エフライムとマナセの地ちおよびユダの全ぜん地ちを西にしの海うみまで示しめし、34:3 ネゲブと低地ていち、すなわち、しゅろの町まちエリコの谷たにをゾアルまで示しめされた。34:4 そして主しゅは彼かれに言いわれた、「わたしがアブラハム、イサク、ヤコブに、これをあなたの子孫しそんに与あたえると言いって誓ちかった地ちはこれである。わたしはこれをあなたの目めに見みせるが、あなたはそこへ渡わたって行いくことはできない」。34:5 こうして主しゅのしもべモーセは主しゅの言葉ことばのとおりにモアブの地ちで死しんだ。34:6 主しゅは彼かれをベテペオルに対たいするモアブの地ちの谷たにに葬ほうむられたが、今日こんにちまでその墓はかを知しる人ひとはない。34:7 モーセは死しんだ時とき、百二十歳さいであったが、目めはかすまず、気力きりょくは衰おとろえていなかった。34:8 イスラエルの人々ひとびとはモアブの平野へいやで三十日にちの間あいだモーセのために泣ないた。そしてモーセのために泣なき悲かなしむ日ひはついに終おわった。 34:9 ヌンの子こヨシュアは知恵ちえの霊れいに満みちた人ひとであった。モーセが彼かれの上うえに手てを置おいたからである。イスラエルの人々ひとびとは彼かれに聞きき従したがい、主しゅがモーセに命めいじられたとおりにおこなった。34:10 イスラエルには、こののちモーセのような預言者よげんしゃは起おこらなかった。モーセは主しゅが顔かおを合あわせて知しられた者ものであった。34:11 主しゅはエジプトの地ちで彼かれをパロとそのすべての家来けらいおよびその全ぜん地ちにつかわして、もろもろのしるしと不思議ふしぎを行おこなわせられた。34:12 モーセはイスラエルのすべての人ひとの前まえで大おおいなる力ちからをあらわし、大おおいなる恐おそるべき事ことをおこなった。
26:1 あなたの神かみ、主しゅが嗣し業ぎょうとして賜たまわる国くににはいって、それを所有しょゆうし、そこに住すむ時ときは、
26:2 あなたの神かみ、主しゅが賜たまわる国くににできる、地ちのすべての実みの初物はつものを取とってかごに入いれ、あなたの神かみ、主しゅがその名なを置おくために選えらばれる所ところへ携たずさえて行いかなければならない。
26:3 そしてその時ときの祭司さいしの所ところへ行いって彼かれに言いわなければならない、『きょう、あなたの神かみ、主しゅにわたしは申もうします。主しゅがわれわれに与あたえると先祖せんぞたちに誓ちかわれた国くにに、わたしははいることができました』。
26:4 そのとき祭司さいしはあなたの手てからそのかごを受うけ取とってあなたの神かみ、主しゅの祭壇さいだんの前まえに置おかなければならない。
26:5 そして、あなたはあなたの神かみ、主しゅの前まえに述のべて言いわなければならない、『わたしの先祖せんぞは、さすらいの一アラムびとでありましたが、わずかの人ひとを連つれてエジプトへ下くだって行いって、その所ところに寄留きりゅうし、ついにそこで大おおきく、強つよい、人数にんずうの多おおい国民こくみんになりました。
26:6 ところがエジプトびとはわれわれをしえたげ、また悩なやまして、つらい労役ろうえきを負おわせましたが、
26:7 われわれが先祖せんぞたちの神かみ、主しゅに叫さけんだので、主しゅはわれわれの声こえを聞きき、われわれの悩なやみと、骨折ほねおりと、しえたげとを顧かえりみ、
26:8 主しゅは強つよい手てと、伸のべた腕うでと、大おおいなる恐おそるべき事ことと、しるしと、不思議ふしぎとをもって、われわれをエジプトから導みちびき出だし、
26:9 われわれをこの所ところへ連つれてきて、乳ちちと蜜みつの流ながれるこの地ちをわれわれに賜たまわりました。
26:10 主しゅよ、ごらんください。あなたがわたしに賜たまわった地ちの実みの初物はつものを、いま携たずさえてきました』。そしてあなたはそれをあなたの神かみ、主しゅの前まえに置おいて、あなたの神かみ、主しゅの前まえに礼拝れいはいし、
26:11 あなたの神かみ、主しゅがあなたとあなたの家いえとに賜たまわったすべての良よい物ものをもって、レビびとおよびあなたのなかにいる寄留きりゅうの他国たこく人じんと共ともに喜よろこび楽たのしまなければならない。
26:12 第だい三年ねんすなわち十分ぶんの一を納おさめる年としに、あなたがすべての産物さんぶつの十分ぶんの一を納おさめ終おわって、それをレビびとと寄留きりゅうの他国たこく人じんと孤児こじと寡婦かふとに与あたえ、町まちのうちで彼かれらに飽あきるほど食たべさせた時とき、
26:13 あなたの神かみ、主しゅの前まえで言いわなければならない、『わたしはその聖せいなる物ものを家いえから取とり出だし、またレビびとと寄留きりゅうの他国たこく人じんと孤児こじと寡婦かふとにそれを与あたえ、すべてあなたが命めいじられた命令めいれいのとおりにいたしました。わたしはあなたの命令めいれいにそむかず、またそれを忘わすれませんでした。
26:14 わたしはその聖せいなる物ものを喪ものうちで食たべたことがなく、また汚けがれた身みでそれを取とり出だしたことがなく、また死人しにんにそれを供そなえたことがありませんでした。わたしはわたしの神かみ、主しゅの声こえに聞きき従したがい、すべてあなたがわたしに命めいじられたとおりにいたしました。
26:15 あなたの聖せいなるすみかである天てんからみそなわして、あなたの民たみイスラエルと、あなたがわれわれに与あたえられた地ちとを祝福しゅくふくしてください。これはあなたがわれわれの先祖せんぞに誓ちかわれた乳ちちと蜜みつの流ながれる地ちです』。
26:16 きょう、あなたの神かみ、主しゅはこれらの定さだめと、おきてとを行おこなうことをあなたに命めいじられる。それゆえ、あなたは心こころをつくし、精神せいしんをつくしてそれを守まもり行おこなわなければならない。
26:17 きょう、あなたは主しゅをあなたの神かみとし、かつその道みちに歩あゆみ、定さだめと、戒いましめと、おきてとを守まもり、その声こえに聞きき従したがうことを明言めいげんした。
26:18 そして、主しゅは先さきに約束やくそくされたように、きょう、あなたを自分じぶんの宝たからの民たみとされること、また、あなたがそのすべての命令めいれいを守まもるべきことを明言めいげんされた。
26:19 主しゅは誉ほまれと良よき名なと栄さかえとをあなたに与あたえて、主しゅの つくられたすべての国民こくみんにまさるものとされるであろう。あなたは主しゅが言いわれたように、あなたの神かみ、主しゅの聖せいなる民たみとなるであろう」。
第27章 27:1 モーセとイスラエルの長老ちょうろうたちとは民たみに命めいじて言いった、「わたしが、きょう、あなたがたに命めいじるすべての戒いましめを守まもりなさい。27:2 あなたがたがヨルダンを渡わたってあなたの神かみ、主しゅが賜たまわる国くににはいる時とき、あなたは大おおきな石いし数個すうこを立たてて、それにしっくいを塗ぬり、27:3 そしてあなたが渡わたって、あなたの先祖せんぞたちの神かみ、主しゅが約束やくそくされたようにあなたの神かみ、主しゅが賜たまわる地ち、すなわち乳ちちと蜜みつの流ながれる地ちにはいる時とき、この律法りっぽうのすべての言葉ことばをその上うえに書かきしるさなければならない。27:4 すなわち、あなたがたが、ヨルダンを渡わたったならば、わたしが、きょう、あなたがたに命めいじるそれらの石いしをエバル山やまに立たて、それにしっくいを塗ぬらなければならない。27:5 またそこにあなたの神かみ、主しゅのために、祭壇さいだん、すなわち石いしの祭壇さいだんを築きずかなければならない。鉄てつの器うつわを石いしに当あてず、27:6 自然しぜんのままの石いしであなたの神かみ、主しゅのために祭壇さいだんを築きずき、その上うえであなたの神かみ、主しゅに燔祭はんさいをささげなければならない。27:7 また酬恩祭しゅうおんさいの犠牲ぎせいをささげて、その所ところで食たべ、あなたの神かみ、主しゅの前まえで喜よろこび楽たのしまなければならない。27:8 あなたはこの律法りっぽうのすべての言葉ことばをその石いしの上うえに明あきらかに書かきしるさなければならない」。 27:9 またモーセとレビびとたる祭司さいしたちとは、イスラエルのすべての人々ひとびとに言いった、「イスラエルよ、静しずかに聞ききなさい。あなたは、きょう、あなたの神かみ、主しゅの民たみとなった。27:10 それゆえ、あなたの神かみ、主しゅの声こえに聞きき従したがい、わたしが、きょう、命めいじる戒いましめと定さだめとを行おこなわなければならない」。 27:11 その日ひまたモーセは民たみに命めいじて言いった、27:12 「あなたがたがヨルダンを渡わたった時とき、次つぎの人ひとたちはゲリジム山やまに立たって民たみを祝福しゅくふくしなければならない。すなわちシメオン、レビ、ユダ、イッサカル、ヨセフおよびベニヤミン。27:13 また次つぎの人ひとたちはエバル山やまに立たってのろわなければならない。すなわちルベン、ガド、アセル、ゼブルン、ダンおよびナフタリ。27:14 そしてレビびとは大声おおごえでイスラエルのすべての人々ひとびとに告つげて言いわなければならない。 27:15 『工人こうじんの手ての作さくである刻きざんだ像ぞう、または鋳いた像ぞうは、主しゅが憎にくまれるものであるから、それを造つくって、ひそかに安置あんちする者ものはのろわれる』。民たみは、みな答こたえてアァメンと言いわなければならない。 27:16 『父ちちや母ははを軽かろんずる者ものはのろわれる』。民たみはみなアァメンと言いわなければならない。 27:17 『隣人りんじんとの土地とちの境さかいを移うつす者ものはのろわれる』。民たみはみなアァメンと言いわなければならない。 27:18 『盲人もうじんを道みちに迷まよわす者ものはのろわれる』。民たみはみなアァメンと言いわなければならない。 27:19 『寄留きりゅうの他国たこく人じんや孤児こじ、寡婦かふのさばきを曲まげる者ものはのろわれる』。民たみはみなアァメンと言いわなければならない。 27:20 『父ちちの妻つまを犯おかす者ものは、父ちちを恥はずかしめるのであるからのろわれる』。民たみはみなアァメンと言いわなければならない。 27:21 『すべて獣けものを犯おかす者ものはのろわれる』。民たみはみなアァメンと言いわなければならない。 27:22 『父ちちの娘むすめ、または母ははの娘むすめである自分じぶんの姉妹しまいを犯おかす者ものはのろわれる』。民たみはみなアァメンと言いわなければならない。 27:23 『妻つまの母ははを犯おかす者ものはのろわれる』。民たみはみなアァメンと言いわなければならない。 27:24 『ひそかに隣人りんじんを撃うち殺ころす者ものはのろわれる』。民たみはみなアァメンと言いわなければならない。 27:25 『まいないを取とって罪つみなき者ものを殺ころす者ものはのろわれる』。民たみはみなアァメンと言いわなければならない。 27:26 『この律法りっぽうの言葉ことばを守まもり行おこなわない者ものはのろわれる』。民たみはみなアァメンと言いわなければならない。 第28章 28:1 もしあなたが、あなたの神かみ、主しゅの声こえによく聞きき従したがい、わたしが、きょう、命めいじるすべての戒いましめを守まもり行おこなうならば、あなたの神かみ、主しゅはあなたを地ちのもろもろの国民こくみんの上うえに立たたせられるであろう。28:2 もし、あなたがあなたの神かみ、主しゅの声こえに聞きき従したがうならば、このもろもろの祝福しゅくふくはあなたに臨のぞみ、あなたに及およぶであろう。28:3 あなたは町まちの内うちでも祝福しゅくふくされ、畑はたけでも祝福しゅくふくされるであろう。28:4 またあなたの身みから生うまれるもの、地ちに産さんする物もの、家畜かちくの産うむもの、すなわち牛うしの子こ、羊ひつじの子こは祝福しゅくふくされるであろう。28:5 またあなたのかごと、こねばちは祝福しゅくふくされるであろう。28:6 あなたは、はいるにも祝福しゅくふくされ、出でるにも祝福しゅくふくされるであろう。 28:7 敵てきが起たってあなたを攻せめる時ときは、主しゅはあなたにそれを撃うち敗やぶらせられるであろう。彼かれらは一つの道みちから攻せめて来くるが、あなたの前まえで七つの道みちから逃にげ去さるであろう。28:8 主しゅは命めいじて祝福しゅくふくをあなたの倉くらと、あなたの手てのすべてのわざにくだし、あなたの神かみ、主しゅが賜たまわる地ちであなたを祝福しゅくふくされるであろう。28:9 もし、あなたの神かみ、主しゅの戒いましめを守まもり、その道みちを歩あゆむならば、主しゅは誓ちかわれたようにあなたを立たてて、その聖せいなる民たみとされるであろう。28:10 そうすれば地ちのすべての民たみは皆みなあなたが主しゅの名なをもって唱となえられるのを見みてあなたを恐おそれるであろう。28:11 主しゅがあなたに与あたえると先祖せんぞに誓ちかわれた地ちで、主しゅは良よい物もの、すなわちあなたの身みから生うまれる者もの、家畜かちくの産うむもの、地ちに産さんする物ものを豊ゆたかにされるであろう。28:12 主しゅはその宝たからの蔵くらである天てんをあなたのために開ひらいて、雨あめを季節きせつにしたがってあなたの地ちに降ふらせ、あなたの手てのすべてのわざを祝福しゅくふくされるであろう。あなたは多おおくの国民こくみんに貸かすようになり、借かりることはないであろう。28:13 主しゅはあなたをかしらとならせ、尾おとはならせられないであろう。あなたはただ栄さかえて衰おとろえることはないであろう。きょう、わたしが命めいじるあなたの神かみ、主しゅの戒いましめに聞きき従したがって、これを守まもり行おこなうならば、あなたは必かならずこのようになるであろう。28:14 きょう、わたしが命めいじるこのすべての言葉ことばを離はなれて右みぎまたは左ひだりに曲まがり、他たの神々かみがみに従したがい、それに仕つかえてはならない。 28:15 しかし、あなたの神かみ、主しゅの声こえに聞きき従したがわず、きょう、わたしが命めいじるすべての戒いましめと定さだめとを守まもり行おこなわないならば、このもろもろののろいがあなたに臨のぞみ、あなたに及およぶであろう。28:16 あなたは町まちのうちでものろわれ、畑はたけでものろわれ、28:17 あなたのかごも、こねばちものろわれ、28:18 あなたの身みから生うまれるもの、地ちに産さんする物もの、牛うしの子こ、羊ひつじの子こものろわれるであろう。28:19 あなたは、はいるにものろわれ、出でるにものろわれるであろう。 28:20 主しゅはあなたが手てをくだすすべての働はたらきにのろいと、混乱こんらんと、懲こらしめとを送おくられ、あなたはついに滅ほろび、すみやかにうせ果はてるであろう。これはあなたが悪あくをおこなってわたしを捨すてたからである。28:21 主しゅは疫病えきびょうをあなたの身みにつかせ、あなたが行いって取とる地ちから、ついにあなたを断たち滅ほろぼされるであろう。28:22 主しゅはまた肺病はいびょうと熱病ねつびょうと炎症えんしょうと間あいだけつ熱ねつと、かんばつと、立たち枯がれと、腐くさり穂ほとをもってあなたを撃うたれるであろう。これらのものはあなたを追おい、ついにあなたを滅ほろぼすであろう。28:23 あなたの頭あたまの上うえの天てんは青銅せいどうとなり、あなたの下したの地ちは鉄てつとなるであろう。28:24 主しゅはあなたの地ちの雨あめを、ちりと、ほこりに変かわらせ、それが天てんからあなたの上うえにくだって、ついにあなたを滅ほろぼすであろう。 28:25 主しゅはあなたを敵てきの前まえで敗やぶれさせられるであろう。あなたは一つの道みちから彼かれらを攻せめて行いくが、彼かれらの前まえで七つの道みちから逃にげ去さるであろう。そしてあなたは地ちのもろもろの国くにに恐おそるべき見みせしめとなるであろう。28:26 またあなたの死体したいは空そらのもろもろの鳥とりと、地ちの獣けものとのえじきとなり、しかもそれを追おい払はらう者ものはないであろう。28:27 主しゅはエジプトの腫物はれものと潰瘍かいようと壊血病かいけつびょうとひぜんとをもってあなたを撃うたれ、あなたはいやされることはないであろう。28:28 また主しゅはあなたを撃うって気きを狂くるわせ、目めを見みえなくし、心こころを混乱こんらんさせられるであろう。28:29 あなたは盲人もうじんが暗くらやみに手探てさぐりするように、真昼まひるにも手探てさぐりするであろう。あなたは行ゆく道みちで栄さかえることがなく、ただ常つねにしえたげられ、かすめられるだけで、あなたを救すくう者ものはないであろう。28:30 あなたは妻つまをめとっても、ほかの人ひとが彼女かのじょと寝ねるであろう。家いえを建たてても、その中なかに住すまないであろう。ぶどう畑はたけを作つくっても、その実みを摘つみ取とることがないであろう。28:31 あなたの牛うしが目めの前まえでほふられても、あなたはそれを食たべることができず、あなたのろばが目めの前まえで奪うばわれても、返かえされないであろう。あなたの羊ひつじが敵てきのものになっても、それを救すくってあなたに返かえす者ものはないであろう。28:32 あなたのむすこや娘むすめは他国民たこくみんにわたされる。あなたの目めはそれを見み、終日しゅうじつ、彼かれらを慕したって衰おとろえるが、あなたは手てを施ほどこすすべもないであろう。28:33 あなたの地ちの産物さんぶつおよびあなたの労ろうして獲えた物ものはみなあなたの知しらない民たみが食たべるであろう。あなたは、ただ常つねにしえたげられ、苦くるしめられるのみであろう。28:34 こうしてあなたは目めに見みる事柄ことがらによって、気きが狂くるうにいたるであろう。28:35 主しゅはあなたのひざと、はぎとに悪わるい、いやし得えない腫物はれものを生しょうじさせて、足あしの裏うらから頭あたまの頂いただきにまで及およぼされるであろう。 28:36 主しゅはあなたとあなたが立たてた王おうとを携たずさえて、あなたもあなたの先祖せんぞも知しらない国くにに移うつされるであろう。あなたはそこで木きや石いしで造つくったほかの神々かみがみに仕つかえるであろう。28:37 あなたは主しゅがあなたを追おいやられるもろもろの民たみのなかで驚おどろきとなり、ことわざとなり、笑わらい草ぐさとなるであろう。28:38 あなたが多おおくの種たねを畑はたけに携たずさえて出でても、その収穫しゅうかくは少すくないであろう。いなごがそれを食くいつくすからである。28:39 あなたがぶどう畑はたけを作つくり、それにつちかっても、そのぶどう酒しゅを飲のむことができず、その実みを集あつめることもないであろう。虫むしがそれを食たべるからである。28:40 あなたの国くににはあまねくオリブの木きがあるであろう。しかし、あなたはその油あぶらを身みに塗ぬることができないであろう。その実みがみな落おちてしまうからである。28:41 むすこや、娘むすめがあなたに生うまれても、あなたのものにならないであろう。彼かれらは捕とらえられて行いくからである。28:42 あなたのもろもろの木き、および地ちの産物さんぶつは、いなごが取とって食たべるであろう。28:43 あなたのうちに寄留きりゅうする他国たこく人じんは、ますます高たかくなり、あなたの上うえに出でて、あなたはますます低ひくくなるであろう。28:44 彼かれはあなたに貸かし、あなたは彼かれに貸かすことができない。彼かれはかしらとなり、あなたは尾おとなるであろう。28:45 このもろもろののろいが、あなたに臨のぞみ、あなたを追おい、ついに追おいついて、あなたを滅ほろぼすであろう。これはあなたの神かみ、主しゅの声こえに聞きき従したがわず、あなたに命めいじられた戒いましめと定さだめとを、あなたが守まもらなかったからである。28:46 これらの事ことは長ながくあなたとあなたの子孫しそんのうえにあって、しるしとなり、また不思議ふしぎとなるであろう。 28:47 あなたがすべての物ものに豊ゆたかになり、あなたの神かみ、主しゅに心こころから喜よろこび楽たのしんで仕つかえないので、28:48 あなたは飢うえ、かわき、裸はだかになり、すべての物ものに乏とぼしくなって、主しゅがあなたにつかわされる敵てきに仕つかえるであろう。敵てきは鉄てつのくびきをあなたのくびにかけ、ついにあなたを滅ほろぼすであろう。28:49 すなわち主しゅは遠とおい所ところから、地ちのはてから一つの民たみを、はげたかが飛とびかけるように、あなたに攻せめきたらせられるであろう。これはあなたがその言葉ことばを知しらない民たみ、28:50 顔かおの恐おそろしい民たみであって、彼かれらは老人ろうじんの身みを顧かえりみず、幼おさない者ものをあわれまず、28:51 あなたの家畜かちくが産うむものや、地ちの産物さんぶつを食くって、あなたを滅ほろぼし、穀物こくもつをも、酒さけをも、油あぶらをも、牛うしの子こをも、羊ひつじの子こをも、あなたの所ところに残のこさず、ついにあなたを全まったく滅ほろぼすであろう。28:52 その民たみは全国ぜんこくですべての町まちを攻せめ囲かこみ、ついにあなたが頼たのみとする、堅固けんごな高たかい石いしがきをことごとく撃うちくずし、あなたの神かみ、主しゅが賜たまわった国くにのうちのすべての町々まちまちを攻せめ囲かこむであろう。28:53 あなたは敵てきに囲かこまれ、激はげしく攻せめなやまされて、ついにあなたの神かみ、主しゅが賜たまわったあなたの身みから生うまれた者もの、むすこ、娘むすめの肉にくを食たべるに至いたるであろう。28:54 あなたがたのうちのやさしい、温和おんわな男おとこでさえも、自分じぶんの兄弟きょうだい、自分じぶんのふところの妻つま、最後さいごに残のこっている子供こどもにも食物しょくもつを惜おしんで与あたえず、28:55 自分じぶんが自分じぶんの子供こどもを食たべ、その肉にくを少すこしでも、この人々ひとびとのだれにも与あたえようとはしないであろう。これは敵てきがあなたのすべての町々まちまちを囲かこみ、激はげしく攻せめ悩なやまして、何なにをもその人ひとに残のこさないからである。28:56 またあなたがたのうちのやさしい、柔和にゅうわな女おんな、すなわち柔和にゅうわで、やさしく、足あしの裏うらを土つちに付つけようともしない者ものでも、自分じぶんのふところの夫おっとや、むすこ、娘むすめにもかくして、28:57 自分じぶんの足あしの間あいだからでる後産ごさんや、自分じぶんの産うむ子こをひそかに食たべるであろう。敵てきがあなたの町々まちまちを囲かこみ、激はげしく攻せめなやまして、すべての物ものが 乏けつぼうするからである。 28:58 もしあなたが、この書物しょもつにしるされているこの律法りっぽうのすべての言葉ことばを守まもり行おこなわず、あなたの神かみ、主しゅというこの栄さかえある恐おそるべき名なを恐おそれないならば、28:59 主しゅはあなたとその子孫しそんの上うえに激はげしい災わざわいを下くだされるであろう。その災わざわいはきびしく、かつ久ひさしく、その病気びょうきは重おもく、かつ久ひさしいであろう。28:60 主しゅはまた、あなたが恐おそれた病気びょうき、すなわちエジプトのもろもろの病気びょうきを再ふたたび臨のぞませて、あなたの身みにつかせられるであろう。28:61 またこの律法りっぽうの書しょにのせてないもろもろの病気びょうきと、もろもろの災わざわいとを、主しゅはあなたが滅ほろびるまで、あなたの上うえに下くだされるであろう。28:62 あなたがたは天てんの星ほしのように多おおかったが、あなたの神かみ、主しゅの声こえに聞きき従したがわなかったから、残のこる者ものが少すくなくなるであろう。28:63 さきに主しゅがあなたがたを良よくあしらい、あなたがたを多おおくするのを喜よろこばれたように、主しゅは今いまあなたがたを滅ほろぼし絶たやすのを喜よろこばれるであろう。あなたがたは、はいって取とる地ちから抜ぬき去さられるであろう。28:64 主しゅは地ちのこのはてから、かのはてまでのもろもろの民たみのうちにあなたがたを散ちらされるであろう。その所ところで、あなたもあなたの先祖せんぞたちも知しらなかった木きや石いしで造つくったほかの神々かみがみにあなたは仕つかえるであろう。28:65 その国々くにぐにの民たみのうちであなたは安やすきを得えず、また足あしの裏うらを休やすめる所ところも得えられないであろう。主しゅはその所ところで、あなたの心こころをおののかせ、目めを衰おとろえさせ、精神せいしんを打うちしおれさせられるであろう。28:66 あなたの命いのちは細ほそい糸いとにかかっているようになり、夜昼よるひる恐おそれおののいて、その命いのちもおぼつかなく思おもうであろう。28:67 あなたが心こころにいだく恐おそれと、目めに見みるものによって、朝あさには『ああ夕ゆうであればよいのに』と言いい、夕ゆうには『ああ朝あさであればよいのに』と言いうであろう。28:68 主しゅはあなたを舟ふねに乗のせ、かつてわたしがあなたに告つげて、『あなたは再ふたたびこれを見みることはない』と言いった道みちによって、あなたをエジプトへ連つれもどされるであろう。あなたがたはそこで男女だんじょの奴隷どれいとして敵てきに売うられるが、だれも買かう者ものはないであろう」。 第29章 29:1 これは主しゅがモーセに命めいじて、モアブの地ちでイスラエルの人々ひとびとと結むすばせられた契約けいやくの言葉ことばであって、ホレブで彼かれらと結むすばれた契約けいやくのほかのものである。 29:2 モーセはイスラエルのすべての人ひとを呼よび集あつめて言いった、「あなたがたは主しゅがエジプトの地ちで、パロと、そのすべての家来けらいと、その全ぜん地ちとにせられたすべての事ことをまのあたり見みた。29:3 すなわちその大おおきな試こころみと、しるしと、大おおきな不思議ふしぎとをまのあたり見みたのである。29:4 しかし、今日こんにちまで主しゅはあなたがたの心こころに悟さとらせず、目めに見みさせず、耳みみに聞きかせられなかった。29:5 わたしは四十年ねんの間あいだ、あなたがたを導みちびいて荒野あらのを通とおらせたが、あなたがたの身みにつけた着物きものは古ふるびず、足あしのくつは古ふるびなかった。29:6 あなたがたはまたパンも食たべず、ぶどう酒しゅも濃こい酒さけも飲のまなかった。こうしてあなたがたは、わたしがあなたがたの神かみ、主しゅであることを知しるに至いたった。29:7 あなたがたがこの所ところにきたとき、ヘシボンの王おうシホンと、バシャンの王おうオグがわれわれを迎むかえて戦たたかったが、われわれは彼かれらを撃うち敗やぶって、29:8 その地ちを取とり、これをルベンびとと、ガドびとと、マナセびとの半なかばとに、嗣し業ぎょうとして与あたえた。29:9 それゆえ、あなたがたはこの契約けいやくの言葉ことばを守まもって、それを行おこなわなければならない。そうすればあなたがたのするすべての事ことは栄さかえるであろう。 29:10 あなたがたは皆みな、きょう、あなたがたの神かみ、主しゅの前まえに立たっている。すなわちあなたがたの部族ぶぞくのかしらたち、長老ちょうろうたち、つかさたちなど、イスラエルのすべての人々ひとびと、29:11 あなたがたの小ちいさい者ものたちも、妻つまたちも、宿営しゅくえいのうちに寄留きりゅうしている他国たこく人じんも、あなたのために、たきぎを割わる者ものも、水みずをくむ者ものも、みな主しゅの前まえに立たって、29:12 あなたの神かみ、主しゅが、きょう、あなたと結むすばれるあなたの神かみ、主しゅの契約けいやくと誓ちかいとに、はいろうとしている。29:13 これは主しゅがさきにあなたに約束やくそくされたように、またあなたの先祖せんぞアブラハム、イサク、ヤコブに誓ちかわれたように、きょう、あなたを立たてて自分じぶんの民たみとし、またみずからあなたの神かみとなられるためである。29:14 わたしはただあなたがたとだけ、この契約けいやくと誓ちかいとを結むすぶのではない。29:15 きょう、ここで、われわれの神かみ、主しゅの前まえにわれわれと共ともに立たっている者ものならびに、きょう、ここにわれわれと共ともにいない者ものとも結むすぶのである。 29:16 われわれがどのようにエジプトの国くにに住すんでいたか、どのように国々くにぐにの民たみの中なかを通とおってきたか、それはあなたがたが知しっている。29:17 またあなたがたは木きや石いしや銀ぎんや金きんで造つくった憎にくむべき物ものと偶像ぐうぞうとが、彼かれらのうちにあるのを見みた。29:18 それゆえ、あなたがたのうちに、きょう、その心こころにわれわれの神かみ、主しゅを離はなれてそれらの国民こくみんの神々かみがみに行いって仕つかえる男おとこや女おんな、氏族しぞくや部族ぶぞくがあってはならない。またあなたがたのうちに、毒草どくそうや、にがよもぎを生しょうずる根ねがあってはならない。29:19 そのような人ひとはこの誓ちかいの言葉ことばを聞きいても、心こころに自分じぶんを祝福しゅくふくして『心こころをかたくなにして歩あゆんでもわたしには平安へいあんがある』と言いうであろう。そうすれば潤うるおった者ものも、かわいた者ものもひとしく滅ほろびるであろう。29:20 主しゅはそのような人ひとをゆるすことを好このまれない。かえって主しゅはその人ひとに怒いかりとねたみを発はっし、この書物しょもつにしるされたすべてののろいを彼かれの上うえに加くわえ、主しゅはついにその人ひとの名なを天てんの下したから消けし去さられるであろう。29:21 主しゅはイスラエルのすべての部族ぶぞくのうちからその人ひとを区く別べっして災わざわいをくだし、この律法りっぽうの書しょにしるされた契約けいやくの中なかのもろもろののろいのようにされるであろう。29:22 後のちの代よの人ひと、すなわちあなたがたののちに起おこるあなたがたの子孫しそんおよび遠とおい国くにから来くる外国がいこく人じんは、この地ちの災わざわいを見み、主しゅがこの地ちにくだされた病気びょうきを見みて言いうであろう。29:23 ――全ぜん地ちは硫黄いおうとなり、塩しおとなり、焼やけ土つちとなって、種たねもまかれず、実みも結むすばず、なんの草くさも生しょうじなくなって、むかし主しゅが怒いかりと憤いきどおりをもって滅ほろぼされたソドム、ゴモラ、アデマ、ゼボイムの破滅はめつのようである。――29:24 すなわち、もろもろの国民こくみんは言いうであろう、『なぜ、主しゅはこの地ちにこのようなことをされたのか。この激はげしい大おおいなる怒いかりは何なにゆえか』。29:25 そのとき人々ひとびとは言いうであろう、『彼かれらはその先祖せんぞの神かみ、主しゅがエジプトの国くにから彼かれらを導みちびき出だして彼かれらと結むすばれた契約けいやくをすて、29:26 行いって彼かれらの知しらない、また授さずからない、ほかの神々かみがみに仕つかえて、それを拝おがんだからである。29:27 それゆえ主しゅはこの地ちにむかって怒いかりを発はっし、この書物しょもつにしるされたもろもろののろいをこれにくだし、29:28 そして主しゅは怒いかりと、はげしい怒いかりと大おおいなる憤いきどおりとをもって彼かれらをこの地ちから抜ぬき取とって、ほかの国くにに投なげやられた。今日こんにち見みるとおりである』。 29:29 隠かくれた事ことはわれわれの神かみ、主しゅに属ぞくするものである。しかし表あらわされたことは長ながくわれわれとわれわれの子孫しそんに属ぞくし、われわれにこの律法りっぽうのすべての言葉ことばを行おこなわせるのである。 第30章 30:1 わたしがあなたがたの前まえに述のべたこのもろもろの祝福しゅくふくと、のろいの事ことがあなたに臨のぞみ、あなたがあなたの神かみ、主しゅに追おいやられたもろもろの国民こくみんのなかでこの事ことを心こころに考かんがえて、30:2 あなたもあなたの子供こどもも共ともにあなたの神かみ、主しゅに立たち帰かえり、わたしが、きょう、命めいじるすべてのことにおいて、心こころをつくし、精神せいしんをつくして、主しゅの声こえに聞きき従したがうならば、30:3 あなたの神かみ、主しゅはあなたを再ふたたび栄さかえさせ、あなたをあわれみ、あなたの神かみ、主しゅはあなたを散ちらされた国々くにぐにから再ふたたび集あつめられるであろう。30:4 たといあなたが天てんのはてに追おいやられても、あなたの神かみ、主しゅはそこからあなたを集あつめ、そこからあなたを連つれ帰かえられるであろう。30:5 あなたの神かみ、主しゅはあなたの先祖せんぞが所有しょゆうした地ちにあなたを帰かえらせ、あなたはそれを所有しょゆうするに至いたるであろう。主しゅはまたあなたを栄さかえさせ、数かずを増まして先祖せんぞたちよりも多おおくされるであろう。30:6 そしてあなたの神かみ、主しゅはあなたの心こころとあなたの子孫しそんの心こころに割礼かつれいを施ほどこし、あなたをして、心こころをつくし、精神せいしんをつくしてあなたの神かみ、主しゅを愛あいさせ、こうしてあなたに命いのちを得えさせられるであろう。30:7 あなたの神かみ、主しゅはまた、あなたを迫害はくがいする敵てきと、あなたを憎にくむ者ものとに、このもろもろののろいをこうむらせられるであろう。30:8 しかし、あなたは再ふたたび主しゅの声こえに聞きき従したがい、わたしが、きょう、あなたに命めいじるすべての戒いましめを守まもるであろう。30:9 そうすればあなたの神かみ、主しゅはあなたのするすべてのことと、あなたの身みから生うまれる者ものと、家畜かちくの産うむものと、地ちに産さんする物ものを豊ゆたかに与あたえて、あなたを栄さかえさせられるであろう。すなわち主しゅはあなたの先祖せんぞたちを喜よろこばれたように再ふたたびあなたを喜よろこんで、あなたを栄さかえさせられるであろう。30:10 これはあなたが、あなたの神かみ、主しゅの声こえに聞ききしたがい、この律法りっぽうの書しょにしるされた戒いましめと定さだめとを守まもり、心こころをつくし、精神せいしんをつくしてあなたの神かみ、主しゅに帰きするからである。 30:11 わたしが、きょう、あなたに命めいじるこの戒いましめは、むずかしいものではなく、また遠とおいものでもない。30:12 これは天てんにあるのではないから、『だれがわれわれのために天てんに上のぼり、それをわれわれのところへ持もってきて、われわれに聞きかせ、行おこなわせるであろうか』と言いうに及およばない。30:13 またこれは海うみのかなたにあるのではないから、『だれがわれわれのために海うみを渡わたって行いき、それをわれわれのところへ携たずさえてきて、われわれに聞きかせ、行おこなわせるであろうか』と言いうに及およばない。30:14 この言葉ことばはあなたに、はなはだ近ちかくあってあなたの口くちにあり、またあなたの心こころにあるから、あなたはこれを行おこなうことができる。 30:15 見みよ、わたしは、きょう、命いのちとさいわい、および死しと災わざわいをあなたの前まえに置おいた。30:16 すなわちわたしは、きょう、あなたにあなたの神かみ、主しゅを愛あいし、その道みちに歩あゆみ、その戒いましめと定さだめと、おきてとを守まもることを命めいじる。それに従したがうならば、あなたは生いきながらえ、その数かずは多おおくなるであろう。またあなたの神かみ、主しゅはあなたが行いって取とる地ちであなたを祝福しゅくふくされるであろう。30:17 しかし、もしあなたが心こころをそむけて聞きき従したがわず、誘さそわれて他たの神々かみがみを拝おがみ、それに仕つかえるならば、30:18 わたしは、きょう、あなたがたに告つげる。あなたがたは必かならず滅ほろびるであろう。あなたがたはヨルダンを渡わたり、はいって行いって取とる地ちでながく命いのちを保たもつことができないであろう。30:19 わたしは、きょう、天てんと地ちを呼よんであなたがたに対たいする証人しょうにんとする。わたしは命いのちと死しおよび祝福しゅくふくとのろいをあなたの前まえに置おいた。あなたは命いのちを選えらばなければならない。そうすればあなたとあなたの子孫しそんは生いきながらえることができるであろう。30:20 すなわちあなたの神かみ、主しゅを愛あいして、その声こえを聞きき、主しゅにつき従したがわなければならない。そうすればあなたは命いのちを得え、かつ長ながく命いのちを保たもつことができ、主しゅが先祖せんぞアブラハム、イサク、ヤコブに与あたえると誓ちかわれた地ちに住すむことができるであろう」。 第31章 31:1 そこでモーセは続つづいてこの言葉ことばをイスラエルのすべての人ひとに告つげて、31:2 彼かれらに言いった、「わたしは、きょう、すでに百二十歳さいになり、もはや出入でいりすることはできない。また主しゅはわたしに『おまえはこのヨルダンを渡わたることはできない』と言いわれた。31:3 あなたの神かみ、主しゅはみずからあなたに先立さきだって渡わたり、あなたの前まえから、これらの国々くにぐにの民たみを滅ほろぼし去さって、あなたにこれを獲えさせられるであろう。また主しゅがかつて言いわれたように、ヨシュアはあなたを率ひきいて渡わたるであろう。31:4 主しゅがさきにアモリびとの王おうシホンとオグおよびその地ちにされたように、彼かれらにもおこなって彼かれらを滅ほろぼされるであろう。31:5 主しゅは彼かれらをあなたがたに渡わたされるから、あなたがたはわたしが命めいじたすべての命令めいれいのとおりに彼かれらに行おこなわなければならない。31:6 あなたがたは強つよく、かつ勇いさましくなければならない。彼かれらを恐おそれ、おののいてはならない。あなたの神かみ、主しゅがあなたと共ともに行いかれるからである。主しゅは決けっしてあなたを見放みはなさず、またあなたを見捨みすてられないであろう」。 31:7 モーセはヨシュアを呼よび、イスラエルのすべての人ひとの目めの前まえで彼かれに言いった、「あなたはこの民たみと共ともに行いき、主しゅが彼かれらの先祖せんぞたちに与あたえると誓ちかわれた地ちに入いるのであるから、あなたは強つよく、かつ勇いさましくなければならない。あなたは彼かれらにそれを獲えさせるであろう。31:8 主しゅはみずからあなたに先立さきだって行いき、またあなたと共ともにおり、あなたを見放みはなさず、見捨みすてられないであろう。恐おそれてはならない、おののいてはならない」。 31:9 モーセはこの律法りっぽうを書かいて、主しゅの契約けいやくの箱はこをかつぐレビの子孫しそんである祭司さいしおよびイスラエルのすべての長老ちょうろうたちに授さづけた。31:10 そしてモーセは彼かれらに命めいじて言いった、「七年ねんの終おわりごとに、すなわち、ゆるしの年としの定さだめの時ときになり、かりいおの祭まつりに、31:11 イスラエルのすべての人ひとがあなたの神かみ、主しゅの前まえに出でるため、主しゅの選えらばれる場所ばしょに来くるとき、あなたはイスラエルのすべての人ひとの前まえでこの律法りっぽうを読よんで聞きかせなければならない。31:12 すなわち男おとこ、女おんな、子供こどもおよびあなたの町まちのうちに寄留きりゅうしている他国たこく人じんなど民たみを集あつめ、彼かれらにこれを聞きかせ、かつ学まなばせなければならない。そうすれば彼かれらはあなたがたの神かみ、主しゅを恐おそれてこの律法りっぽうの言葉ことばを、ことごとく守まもり行おこなうであろう。31:13 また彼かれらの子供こどもたちでこれを知しらない者ものも聞きいて、あなたがたの神かみ、主しゅを恐おそれることを学まなぶであろう。あなたがたがヨルダンを渡わたって行いって取とる地ちにながらえる日ひのあいだ常つねにそうしなければならない」。 31:14 主しゅはまたモーセに言いわれた、「あなたの死しぬ日ひが近ちかづいている。ヨシュアを召めして共ともに会見かいけんの幕屋まくやに立たちなさい。わたしは彼かれに務つとめを命めいじるであろう」。モーセとヨシュアが行いって会見かいけんの幕屋まくやに立たつと、31:15 主しゅは幕屋まくやで雲くもの柱はしらのうちに現あらわれられた。その雲くもの柱はしらは幕屋まくやの入口いりぐちのかたわらにとどまった。 31:16 主しゅはモーセに言いわれた、「あなたはまもなく眠ねむって先祖せんぞたちと一緒いっしょになるであろう。そのときこの民たみはたちあがり、はいって行いく地ちの異ことなる神々かみがみを慕したって姦淫かんいんを行おこない、わたしを捨すて、わたしが彼かれらと結むすんだ契約けいやくを破やぶるであろう。31:17 その日ひには、わたしは彼かれらにむかって怒いかりを発はっし、彼かれらを捨すて、わたしの顔かおを彼かれらに隠かくすゆえに、彼かれらは滅ほろぼしつくされ、多おおくの災わざわいと悩なやみが彼かれらに臨のぞむであろう。そこでその日ひ、彼かれらは言いうであろう、『これらの災わざわいがわれわれに臨のぞむのは、われわれの神かみがわれわれのうちにおられないからではないか』。31:18 しかも彼かれらがほかの神々かみがみに帰きして、もろもろの悪あくを行おこなうゆえに、わたしはその日ひには必かならずわたしの顔かおを隠かくすであろう。31:19 それであなたがたは今いま、この歌うたを書かきしるし、イスラエルの人々ひとびとに教おしえてその口くちに唱となえさせ、この歌うたをイスラエルの人々ひとびとに対たいするわたしのあかしとならせなさい。31:20 わたしが彼かれらの先祖せんぞたちに誓ちかった、乳ちちと蜜みつの流ながれる地ちに彼かれらを導みちびき入いれる時とき、彼かれらは食たべて飽あき、肥こえ太ふとるに及およんで、ほかの神々かみがみに帰きし、それに仕つかえて、わたしを軽かろんじ、わたしの契約けいやくを破やぶるであろう。31:21 こうして多おおくの災わざわいと悩なやみとが彼かれらに臨のぞむ時とき、この歌うたは彼かれらに対たいして、あかしとなるであろう。(それはこの歌うたが彼かれらの子孫しそんの口くちにあって、彼かれらはそれを忘わすれないからである。)わたしが誓ちかった地ちに彼かれらを導みちびき入いれる前まえ、すでに彼かれらが思おもいはかっている事ことをわたしは知しっているからである」。31:22 モーセはその日ひ、この歌うたを書かいてイスラエルの人々ひとびとに教おしえた。 31:23 主しゅはヌンの子こヨシュアに命めいじて言いわれた、「あなたはイスラエルの人々ひとびとをわたしが彼かれらに誓ちかった地ちに導みちびき入いれなければならない。それゆえ強つよくかつ勇いさましくあれ。わたしはあなたと共ともにいるであろう」。 31:24 モーセがこの律法りっぽうの言葉ことばを、ことごとく書物しょもつに書かき終おわった時とき、31:25 モーセは主しゅの契約けいやくの箱はこをかつぐレビびとに命めいじて言いった、31:26 「この律法りっぽうの書しょをとって、あなたがたの神かみ、主しゅの契約けいやくの箱はこのかたわらに置おき、その所ところであなたにむかってあかしをするものとしなさい。31:27 わたしはあなたのそむくことと、かたくななこととを知しっている。きょう、わたしが生いきながらえて、あなたがたと一緒いっしょにいる間あいだですら、あなたがたは主しゅにそむいた。ましてわたしが死しんだあとはどんなであろう。31:28 あなたがたの部族ぶぞくのすべての長老ちょうろうたちと、つかさたちをわたしのもとに集あつめなさい。わたしはこれらの言葉ことばを彼かれらに語かたり聞きかせ、天てんと地ちとを呼よんで彼かれらにむかってあかしさせよう。31:29 わたしは知しっている。わたしが死しんだのち、あなたがたは必かならず悪わるい事ことをして、わたしが命めいじた道みちを離はなれる。そして後のちの日ひに災わざわいがあなたがたに臨のぞむであろう。これは主しゅの悪あくと見みられることを行おこない、あなたがたのすることをもって主しゅを怒いからせるからである」。 31:30 そしてモーセはイスラエルの全ぜん会衆かいしゅうに次つぎの歌うたの言葉ことばを、ことごとく語かたり聞きかせた。 第32章 32:1 「天てんよ、耳みみを傾かたむけよ、わたしは語かたる、地ちよ、わたしの口くちの言葉ことばを聞きけ。32:2 わたしの教おしえは雨あめのように降ふりそそぎ、わたしの言葉ことばは露つゆのようにしたたるであろう。若草わかくさの上うえに降ふる小雨こさめのように、青草あおくさの上うえにくだる夕立ゆうだちのように。32:3 わたしは主しゅの名なをのべよう、われわれの神かみに栄光えいこうを帰かえせよ。32:4 主しゅは岩いわであって、そのみわざは全まったく、その道みちはみな正ただしい。主しゅは真実しんじつなる神かみであって、偽いつわりなく、義ぎであって、正せいである。32:5 彼かれらは主しゅにむかって悪あくを行おこない、そのきずのゆえに、もはや主しゅの子こらではなく、よこしまで、曲まがったやからである。32:6 愚おろかな知恵ちえのない民たみよ、あなたがたはこのようにして主しゅに報むくいるのか。主しゅはあなたを生うみ、あなたを つくり、あなたを堅かたく立たてられたあなたの父ちちではないか。32:7 いにしえの日ひを覚おぼえ、代々よよの年としを思おもえ。あなたの父ちちに問とえ、彼かれはあなたに告つげるであろう。長老ちょうろうたちに問とえ、彼かれらはあなたに語かたるであろう。32:8 いと高たかき者ものは人ひとの子こらを分わけ、諸しょ国民こくみんにその嗣し業ぎょうを与あたえられたとき、イスラエルの子こらの数かずに照てらして、もろもろの民たみの境さかいを定さだめられた。32:9 主しゅの分ぶんはその民たみであって、ヤコブはその定さだめられた嗣し業ぎょうである。32:10 主しゅはこれを荒野あらのの地ちで見みいだし、獣けもののほえる荒あれ地ちで会あい、これを巡めぐり囲かこんでいたわり、目めのひとみのように守まもられた。32:11 わしがその巣すのひなを呼よび起おこし、その子この上うえに舞まいかけり、その羽はねをひろげて彼かれらをのせ、そのつばさの上うえにこれを負おうように、32:12 主しゅはただひとりで彼かれを導みちびかれて、ほかの神々かみがみはあずからなかった。32:13 主しゅは彼かれに地ちの高たかき所ところを乗のり通とおらせ、田畑たはたの産物さんぶつを食くわせ、岩いわの中なかから蜜みつを吸すわせ、堅かたい岩いわから油あぶらを吸すわせ、32:14 牛うしの凝乳ぎょうにゅう、羊ひつじの乳ちち、小羊こひつじと雄羊おひつじの脂肪しぼう、バシャンの牛うしと雄おやぎ、小麦こむぎの良よい物ものを食くわせられた。またあなたはぶどうのしるのあわ立たつ酒さけを飲のんだ。32:15 しかるにエシュルンは肥こえ太ふとって、足あしでけった。あなたは肥こえ太ふとって、つややかになり、自分じぶんを つくった神かみを捨すて、救すくいの岩いわを侮あなどった。32:16 彼かれらはほかの神々かみがみに仕つかえて、主しゅのねたみを起おこし、憎にくむべきおこないをもって主しゅの怒いかりをひき起おこした。32:17 彼かれらは神かみでもない悪霊あくれいに犠牲ぎせいをささげた。それは彼かれらがかつて知しらなかった神々かみがみ、近ちかごろ出でた新あたらしい神々かみがみ、先祖せんぞたちの恐おそれることもしなかった者ものである。32:18 あなたは自分じぶんを生うんだ岩いわを軽かろんじ、自分じぶんを造つくった神かみを忘わすれた。32:19 主しゅはこれを見み、そのむすこ、娘むすめを怒いかってそれを捨すてられた。32:20 そして言いわれた、『わたしはわたしの顔かおを彼かれらに隠かくそう。わたしは彼かれらの終おわりがどうなるかを見みよう。彼かれらはそむき、もとるやから、真実しんじつのない子こらである。32:21 彼かれらは神かみでもない者ものをもって、わたしにねたみを起おこさせ、偶像ぐうぞうをもって、わたしを怒いからせた。それゆえ、わたしは民たみともいえない者ものをもって、彼かれらにねたみを起おこさせ、愚おろかな民たみをもって、彼かれらを怒いからせるであろう。32:22 わたしの怒いかりによって、火ひは燃もえいで、陰府よみの深ふかみにまで燃もえ行いき、地ちとその産物さんぶつとを焼やきつくし、山々やまやまの基もといを燃もやすであろう。32:23 わたしは彼かれらの上うえに災わざわいを積つみかさね、わたしの矢やを彼かれらにむかって射いつくすであろう。32:24 彼かれらは飢うえて、やせ衰おとろえ、熱病ねつびょうと悪わるい疫病えきびょうによって滅ほろびるであろう。わたしは彼かれらを獣けものの歯はにかからせ、地ちに這はうものの毒どくにあたらせるであろう。32:25 外そとにはつるぎ、内うちには恐おそれがあって、若わかき男おとこも若わかき女おんなも、乳ちのみ子ごも、しらがの人ひとも滅ほろびるであろう。32:26 わたしはまさに言いおうとした、「彼かれらを遠とおく散ちらし、彼かれらの事ことを人々ひとびとが記憶きおくしないようにしよう」。32:27 しかし、わたしは敵てきが誇ほこるのを恐おそれる。あだびとはまちがえて言いうであろう、「われわれの手てが勝かちをえたのだ。これはみな主しゅがされたことではない」』。32:28 彼かれらは思慮しりょの欠かけた民たみ、そのうちには知識ちしきがない。32:29 もし、彼かれらに知恵ちえがあれば、これをさとり、その身みの終おわりをわきまえたであろうに。32:30 彼かれらの岩いわが彼かれらを売うらず、主しゅが彼かれらをわたされなかったならば、どうして、ひとりで千人にんを追おい、ふたりで万まん人にんを敗やぶることができたであろう。32:31 彼かれらの岩いわはわれらの岩いわに及およばない。われらの敵てきもこれを認みとめている。32:32 彼かれらのぶどうの木きは、ソドムのぶどうの木きから出でたもの、またゴモラの野のから出でたもの、そのぶどうは毒どくぶどう、そのふさは苦にがい。32:33 そのぶどう酒しゅはへびの毒どくのよう、まむしの恐おそろしい毒どくのようである。32:34 これはわたしのもとにたくわえられ、わたしの倉くらに封ふうじ込こめられているではないか。32:35 彼かれらの足あしがすべるとき、わたしはあだを返かえし、報むくいをするであろう。彼かれらの災わざわいの日ひは近ちかく、彼かれらの破滅はめつは、すみやかに来くるであろう。32:36 主しゅはついにその民たみをさばき、そのしもべらにあわれみを加くわえられるであろう。これは彼かれらの力ちからがうせ去さり、つながれた者ものもつながれない者ものも、もはやいなくなったのを、主しゅが見みられるからである。32:37 そのとき主しゅは言いわれるであろう、『彼かれらの神々かみがみはどこにいるか、彼かれらの頼たのみとした岩いわはどこにあるか。32:38 彼かれらの犠牲ぎせいのあぶらを食くい、灌祭かんさいの酒さけを飲のんだ者ものはどこにいるか。立たちあがってあなたがたを助たすけさせよ、あなたがたを守まもらせよ。32:39 今見いまみよ、わたしこそは彼かれである。わたしのほかに神かみはない。わたしは殺ころし、また生いかし、傷きずつけ、またいやす。わたしの手てから救すくい出だしうるものはない。32:40 わたしは天てんにむかい手てをあげて誓ちかう、「わたしは永遠えいえんに生いきる。32:41 わたしがきらめくつるぎをとぎ、手てにさばきを握にぎるとき、わたしは敵てきにあだを返かえし、わたしを憎にくむ者ものに報復ほうふくするであろう。32:42 わたしの矢やを血ちに酔よわせ、わたしのつるぎに肉にくを食くわせるであろう。殺ころされた者ものと捕とらえられた者ものの血ちを飲のませ、敵てきの長髪ちょうはつの頭あたまの肉にくを食くわせるであろう」』。32:43 国々くにぐにの民たみよ、主しゅの民たみのために喜よろこび歌うたえ。主しゅはそのしもべの血ちのために報復ほうふくし、その敵てきにあだを返かえし、その民たみの地ちの汚けがれを清きよめられるからである」。32:44 モーセとヌンの子こヨシュアは共ともに行いって、この歌うたの言葉ことばを、ことごとく民たみに読よみ聞きかせた。32:45 モーセはこの言葉ことばを、ことごとくイスラエルのすべての人ひとに告つげ終おわって、32:46 彼かれらに言いった、「あなたがたはわたしが、きょう、あなたがたに命めいじるこのすべての言葉ことばを心こころにおさめ、子供こどもたちにもこの律法りっぽうのすべての言葉ことばを守まもり行おこなうことを命めいじなければならない。32:47 この言葉ことばはあなたがたにとって、むなしい言葉ことばではない。これはあなたがたのいのちである。この言葉ことばにより、あなたがたはヨルダンを渡わたって行いって取とる地ちで、長ながく命いのちを保たもつことができるであろう」。 32:48 この日ひ、主しゅはモーセに言いわれた、32:49 「あなたはエリコに対たいするモアブの地ちにあるアバリム山やますなわちネボ山やまに登のぼり、わたしがイスラエルの人々ひとびとに与あたえて獲えさせるカナンの地ちを見渡みわたせ。32:50 あなたは登のぼって行いくその山やまで死しに、あなたの民たみに連つらなるであろう。あなたの兄弟きょうだいアロンがホル山やまで死しんでその民たみに連つらなったようになるであろう。32:51 これはあなたがたがチンの荒野あらのにあるメリバテ・カデシの水みずのほとりで、イスラエルの人々ひとびとのうちでわたしにそむき、イスラエルの人々ひとびとのうちでわたしを聖せいなるものとして敬うやまわなかったからである。32:52 それであなたはわたしがイスラエルの人々ひとびとに与あたえる地ちを、目めの前まえに見みるであろう。しかし、その地ちに、はいることはできない」。 第33章 33:1 神かみの人ひとモーセは死しぬ前まえにイスラエルの人々ひとびとを祝福しゅくふくした。祝福しゅくふくの言葉ことばは次つぎのとおりである。 33:2 「主しゅはシナイからこられ、セイルからわれわれにむかってのぼられ、パランの山やまから光ひかりを放はなたれ、ちよろずの聖者せいじゃの中なかからこられた。その右みぎの手てには燃もえる火ひがあった。33:3 まことに主しゅはその民たみを愛あいされる。すべて主しゅに聖別せいべつされたものは、み手てのうちにある。彼かれらはあなたの足あしもとに座ざして、教おしえをうける。33:4 モーセはわれわれに律法りっぽうを授さづけて、ヤコブの会衆かいしゅうの所有しょゆうとさせた。33:5 民たみのかしらたちが集あつまり、イスラエルの部族ぶぞくがみな集あつまった時とき、主しゅはエシュルンのうちに王おうとなられた」。33:6 「ルベンは生いきる、死しにはしない。しかし、その人数にんずうは少すくなくなるであろう」。33:7 ユダについては、こう言いった、「主しゅよ、ユダの声こえを聞きいて、彼かれをその民たみに導みちびきかえしてください。み手てをもって、彼かれのために戦たたかってください。彼かれを助たすけて、敵てきに当あたらせてください」。33:8 レビについては言いった、「あなたのトンミムをレビに与あたえてください。ウリムをあなたに仕つかえる人ひとに与あたえてください。かつてあなたはマッサで彼かれを試こころみ、メリバの水みずのほとりで彼かれと争あらそわれた。33:9 彼かれはその父ちち、その母ははについて言いった、『わたしは彼かれらを顧かえりみない』。彼かれは自分じぶんの兄弟きょうだいをも認みとめず、自分じぶんの子供こどもをも顧かえりみなかった。彼かれらはあなたの言葉ことばにしたがい、あなたの契約けいやくを守まもったからである。33:10 彼かれらはあなたのおきてをヤコブに教おしえ、あなたの律法りっぽうをイスラエルに教おしえ、薫香くんこうをあなたの前まえに供そなえ、燔祭はんさいを祭壇さいだんの上うえにささげる。33:11 主しゅよ、彼かれの力ちからを祝福しゅくふくし、彼かれの手てのわざを喜よろこび受うけてください。彼かれに逆さからう者ものと、彼かれを憎にくむ者ものとの腰こしを打うち砕くだいて、立たち上あがることのできないようにしてください」。33:12 ベニヤミンについては言いった、「主しゅに愛あいされる者もの、彼かれは安やすらかに主しゅのそばにおり、主しゅは終日しゅうじつ、彼かれを守まもり、その肩かたの間あいだにすまいを営いとなまれるであろう」。33:13 ヨセフについては言いった、「どうぞ主しゅが彼かれの地ちを祝福しゅくふくされるように。上うえなる天てんの賜物たまものと露つゆ、下したに横よこたわる淵ふちの賜物たまもの、33:14 日ひによって産さんする尊たっとい賜物たまもの、月つきによって生しょうずる尊たっとい賜物たまもの、33:15 いにしえの山々やまやまの産さんする賜物たまもの、とこしえの丘おかの尊たっとい賜物たまもの、33:16 地ちとそれに満みちる尊たっとい賜物たまもの、しばの中なかにおられた者ものの恵めぐみが、ヨセフの頭あたまに臨のぞみ、その兄弟きょうだいたちの君くんたる者ものの頭あたまの頂いただきにくだるように。33:17 彼かれの牛うしのういごは威厳いげんがあり、その角つのは野牛やぎゅうの角つののよう、これをもって国々くにぐにの民たみをことごとく突つき倒たおし、地ちのはてにまで及およぶ。このような者ものはエフライムに幾いく万まんとあり、またこのような者ものはマナセに幾いく千せんとある」。33:18 ゼブルンについては言いった、「ゼブルンよ、あなたは外そとに出でて楽たのしみを得えよ。イッサカルよ、あなたは天幕てんまくにいて楽たのしみを得えよ。33:19 彼かれらは国々くにぐにの民たみを山やまに招まねき、その所ところで正ただしい犠牲ぎせいをささげるであろう。彼かれらは海うみの富とみを吸すい、砂すなに隠かくれた宝たからを取とるからである」。33:20 ガドについては言いった、「ガドを大おおきくする者ものは、ほむべきかな。ガドは、ししのように伏ふし、腕うでや頭あたまの頂いただきをかき裂さくであろう。33:21 彼かれは初穂はつほの地ちを自分じぶんのために選えらんだ。そこには将軍しょうぐんの分ぶんも取とり置おかれていた。彼かれは民たみのかしらたちと共ともにきて、イスラエルと共ともに主しゅの正義せいぎと審判しんぱんとを行おこなった」。33:22 ダンについては言いった、「ダンはししの子こであって、バシャンからおどりでる」。33:23 ナフタリについては言いった、「ナフタリよ、あなたは恵めぐみに満みたされ、主しゅの祝福しゅくふくに満みちて、湖みずうみとその南みなみの地ちを所有しょゆうする」。33:24 アセルについては言いった、「アセルは他たの子こらにまさって祝福しゅくふくされる。彼かれはその兄弟きょうだいたちに愛あいせられ、その足あしを油あぶらにひたすことができるように。33:25 あなたの貫かんの木きは鉄てつと青銅せいどう、あなたの力ちからはあなたの年としと共ともに続つづくであろう」。33:26 「エシュルンよ、神かみに並ならぶ者ものはほかにない。あなたを助たすけるために天てんに乗のり、威光いこうをもって空そらを通とおられる。33:27 とこしえにいます神かみはあなたのすみかであり、下したには永遠えいえんの腕うでがある。敵てきをあなたの前まえから追おい払はらって、『滅ほろぼせ』と言いわれた。33:28 イスラエルは安やすらかに住すみ、ヤコブの泉いずみは穀物こくもつとぶどう酒しゅの地ちに、ひとりいるであろう。また天てんは露つゆをくだすであろう。 33:29 イスラエルよ、あなたはしあわせである。だれがあなたのように、主しゅに救すくわれた民たみがあるであろうか。主しゅはあなたを助たすける盾たて、あなたの威光いこうのつるぎ、あなたの敵てきはあなたにへつらい服ふくし、あなたは彼かれらの高たかき所ところを踏ふみ進すすむであろう」。 第34章 34:1 モーセはモアブの平野へいやからネボ山やまに登のぼり、エリコの向むかいのピスガの頂いただきへ行いった。そこで主しゅは彼かれにギレアデの全ぜん地ちをダンまで示しめし、34:2 ナフタリの全部ぜんぶ、エフライムとマナセの地ちおよびユダの全ぜん地ちを西にしの海うみまで示しめし、34:3 ネゲブと低地ていち、すなわち、しゅろの町まちエリコの谷たにをゾアルまで示しめされた。34:4 そして主しゅは彼かれに言いわれた、「わたしがアブラハム、イサク、ヤコブに、これをあなたの子孫しそんに与あたえると言いって誓ちかった地ちはこれである。わたしはこれをあなたの目めに見みせるが、あなたはそこへ渡わたって行いくことはできない」。34:5 こうして主しゅのしもべモーセは主しゅの言葉ことばのとおりにモアブの地ちで死しんだ。34:6 主しゅは彼かれをベテペオルに対たいするモアブの地ちの谷たにに葬ほうむられたが、今日こんにちまでその墓はかを知しる人ひとはない。34:7 モーセは死しんだ時とき、百二十歳さいであったが、目めはかすまず、気力きりょくは衰おとろえていなかった。34:8 イスラエルの人々ひとびとはモアブの平野へいやで三十日にちの間あいだモーセのために泣ないた。そしてモーセのために泣なき悲かなしむ日ひはついに終おわった。 34:9 ヌンの子こヨシュアは知恵ちえの霊れいに満みちた人ひとであった。モーセが彼かれの上うえに手てを置おいたからである。イスラエルの人々ひとびとは彼かれに聞きき従したがい、主しゅがモーセに命めいじられたとおりにおこなった。34:10 イスラエルには、こののちモーセのような預言者よげんしゃは起おこらなかった。モーセは主しゅが顔かおを合あわせて知しられた者ものであった。34:11 主しゅはエジプトの地ちで彼かれをパロとそのすべての家来けらいおよびその全ぜん地ちにつかわして、もろもろのしるしと不思議ふしぎを行おこなわせられた。34:12 モーセはイスラエルのすべての人ひとの前まえで大おおいなる力ちからをあらわし、大おおいなる恐おそるべき事ことをおこなった。
27:1 モーセとイスラエルの長老ちょうろうたちとは民たみに命めいじて言いった、「わたしが、きょう、あなたがたに命めいじるすべての戒いましめを守まもりなさい。
27:2 あなたがたがヨルダンを渡わたってあなたの神かみ、主しゅが賜たまわる国くににはいる時とき、あなたは大おおきな石いし数個すうこを立たてて、それにしっくいを塗ぬり、
27:3 そしてあなたが渡わたって、あなたの先祖せんぞたちの神かみ、主しゅが約束やくそくされたようにあなたの神かみ、主しゅが賜たまわる地ち、すなわち乳ちちと蜜みつの流ながれる地ちにはいる時とき、この律法りっぽうのすべての言葉ことばをその上うえに書かきしるさなければならない。
27:4 すなわち、あなたがたが、ヨルダンを渡わたったならば、わたしが、きょう、あなたがたに命めいじるそれらの石いしをエバル山やまに立たて、それにしっくいを塗ぬらなければならない。
27:5 またそこにあなたの神かみ、主しゅのために、祭壇さいだん、すなわち石いしの祭壇さいだんを築きずかなければならない。鉄てつの器うつわを石いしに当あてず、
27:6 自然しぜんのままの石いしであなたの神かみ、主しゅのために祭壇さいだんを築きずき、その上うえであなたの神かみ、主しゅに燔祭はんさいをささげなければならない。
27:7 また酬恩祭しゅうおんさいの犠牲ぎせいをささげて、その所ところで食たべ、あなたの神かみ、主しゅの前まえで喜よろこび楽たのしまなければならない。
27:8 あなたはこの律法りっぽうのすべての言葉ことばをその石いしの上うえに明あきらかに書かきしるさなければならない」。
27:9 またモーセとレビびとたる祭司さいしたちとは、イスラエルのすべての人々ひとびとに言いった、「イスラエルよ、静しずかに聞ききなさい。あなたは、きょう、あなたの神かみ、主しゅの民たみとなった。
27:10 それゆえ、あなたの神かみ、主しゅの声こえに聞きき従したがい、わたしが、きょう、命めいじる戒いましめと定さだめとを行おこなわなければならない」。
27:11 その日ひまたモーセは民たみに命めいじて言いった、
27:12 「あなたがたがヨルダンを渡わたった時とき、次つぎの人ひとたちはゲリジム山やまに立たって民たみを祝福しゅくふくしなければならない。すなわちシメオン、レビ、ユダ、イッサカル、ヨセフおよびベニヤミン。
27:13 また次つぎの人ひとたちはエバル山やまに立たってのろわなければならない。すなわちルベン、ガド、アセル、ゼブルン、ダンおよびナフタリ。
27:14 そしてレビびとは大声おおごえでイスラエルのすべての人々ひとびとに告つげて言いわなければならない。
27:15 『工人こうじんの手ての作さくである刻きざんだ像ぞう、または鋳いた像ぞうは、主しゅが憎にくまれるものであるから、それを造つくって、ひそかに安置あんちする者ものはのろわれる』。民たみは、みな答こたえてアァメンと言いわなければならない。
27:16 『父ちちや母ははを軽かろんずる者ものはのろわれる』。民たみはみなアァメンと言いわなければならない。
27:17 『隣人りんじんとの土地とちの境さかいを移うつす者ものはのろわれる』。民たみはみなアァメンと言いわなければならない。
27:18 『盲人もうじんを道みちに迷まよわす者ものはのろわれる』。民たみはみなアァメンと言いわなければならない。
27:19 『寄留きりゅうの他国たこく人じんや孤児こじ、寡婦かふのさばきを曲まげる者ものはのろわれる』。民たみはみなアァメンと言いわなければならない。
27:20 『父ちちの妻つまを犯おかす者ものは、父ちちを恥はずかしめるのであるからのろわれる』。民たみはみなアァメンと言いわなければならない。
27:21 『すべて獣けものを犯おかす者ものはのろわれる』。民たみはみなアァメンと言いわなければならない。
27:22 『父ちちの娘むすめ、または母ははの娘むすめである自分じぶんの姉妹しまいを犯おかす者ものはのろわれる』。民たみはみなアァメンと言いわなければならない。
27:23 『妻つまの母ははを犯おかす者ものはのろわれる』。民たみはみなアァメンと言いわなければならない。
27:24 『ひそかに隣人りんじんを撃うち殺ころす者ものはのろわれる』。民たみはみなアァメンと言いわなければならない。
27:25 『まいないを取とって罪つみなき者ものを殺ころす者ものはのろわれる』。民たみはみなアァメンと言いわなければならない。
27:26 『この律法りっぽうの言葉ことばを守まもり行おこなわない者ものはのろわれる』。民たみはみなアァメンと言いわなければならない。
第28章 28:1 もしあなたが、あなたの神かみ、主しゅの声こえによく聞きき従したがい、わたしが、きょう、命めいじるすべての戒いましめを守まもり行おこなうならば、あなたの神かみ、主しゅはあなたを地ちのもろもろの国民こくみんの上うえに立たたせられるであろう。28:2 もし、あなたがあなたの神かみ、主しゅの声こえに聞きき従したがうならば、このもろもろの祝福しゅくふくはあなたに臨のぞみ、あなたに及およぶであろう。28:3 あなたは町まちの内うちでも祝福しゅくふくされ、畑はたけでも祝福しゅくふくされるであろう。28:4 またあなたの身みから生うまれるもの、地ちに産さんする物もの、家畜かちくの産うむもの、すなわち牛うしの子こ、羊ひつじの子こは祝福しゅくふくされるであろう。28:5 またあなたのかごと、こねばちは祝福しゅくふくされるであろう。28:6 あなたは、はいるにも祝福しゅくふくされ、出でるにも祝福しゅくふくされるであろう。 28:7 敵てきが起たってあなたを攻せめる時ときは、主しゅはあなたにそれを撃うち敗やぶらせられるであろう。彼かれらは一つの道みちから攻せめて来くるが、あなたの前まえで七つの道みちから逃にげ去さるであろう。28:8 主しゅは命めいじて祝福しゅくふくをあなたの倉くらと、あなたの手てのすべてのわざにくだし、あなたの神かみ、主しゅが賜たまわる地ちであなたを祝福しゅくふくされるであろう。28:9 もし、あなたの神かみ、主しゅの戒いましめを守まもり、その道みちを歩あゆむならば、主しゅは誓ちかわれたようにあなたを立たてて、その聖せいなる民たみとされるであろう。28:10 そうすれば地ちのすべての民たみは皆みなあなたが主しゅの名なをもって唱となえられるのを見みてあなたを恐おそれるであろう。28:11 主しゅがあなたに与あたえると先祖せんぞに誓ちかわれた地ちで、主しゅは良よい物もの、すなわちあなたの身みから生うまれる者もの、家畜かちくの産うむもの、地ちに産さんする物ものを豊ゆたかにされるであろう。28:12 主しゅはその宝たからの蔵くらである天てんをあなたのために開ひらいて、雨あめを季節きせつにしたがってあなたの地ちに降ふらせ、あなたの手てのすべてのわざを祝福しゅくふくされるであろう。あなたは多おおくの国民こくみんに貸かすようになり、借かりることはないであろう。28:13 主しゅはあなたをかしらとならせ、尾おとはならせられないであろう。あなたはただ栄さかえて衰おとろえることはないであろう。きょう、わたしが命めいじるあなたの神かみ、主しゅの戒いましめに聞きき従したがって、これを守まもり行おこなうならば、あなたは必かならずこのようになるであろう。28:14 きょう、わたしが命めいじるこのすべての言葉ことばを離はなれて右みぎまたは左ひだりに曲まがり、他たの神々かみがみに従したがい、それに仕つかえてはならない。 28:15 しかし、あなたの神かみ、主しゅの声こえに聞きき従したがわず、きょう、わたしが命めいじるすべての戒いましめと定さだめとを守まもり行おこなわないならば、このもろもろののろいがあなたに臨のぞみ、あなたに及およぶであろう。28:16 あなたは町まちのうちでものろわれ、畑はたけでものろわれ、28:17 あなたのかごも、こねばちものろわれ、28:18 あなたの身みから生うまれるもの、地ちに産さんする物もの、牛うしの子こ、羊ひつじの子こものろわれるであろう。28:19 あなたは、はいるにものろわれ、出でるにものろわれるであろう。 28:20 主しゅはあなたが手てをくだすすべての働はたらきにのろいと、混乱こんらんと、懲こらしめとを送おくられ、あなたはついに滅ほろび、すみやかにうせ果はてるであろう。これはあなたが悪あくをおこなってわたしを捨すてたからである。28:21 主しゅは疫病えきびょうをあなたの身みにつかせ、あなたが行いって取とる地ちから、ついにあなたを断たち滅ほろぼされるであろう。28:22 主しゅはまた肺病はいびょうと熱病ねつびょうと炎症えんしょうと間あいだけつ熱ねつと、かんばつと、立たち枯がれと、腐くさり穂ほとをもってあなたを撃うたれるであろう。これらのものはあなたを追おい、ついにあなたを滅ほろぼすであろう。28:23 あなたの頭あたまの上うえの天てんは青銅せいどうとなり、あなたの下したの地ちは鉄てつとなるであろう。28:24 主しゅはあなたの地ちの雨あめを、ちりと、ほこりに変かわらせ、それが天てんからあなたの上うえにくだって、ついにあなたを滅ほろぼすであろう。 28:25 主しゅはあなたを敵てきの前まえで敗やぶれさせられるであろう。あなたは一つの道みちから彼かれらを攻せめて行いくが、彼かれらの前まえで七つの道みちから逃にげ去さるであろう。そしてあなたは地ちのもろもろの国くにに恐おそるべき見みせしめとなるであろう。28:26 またあなたの死体したいは空そらのもろもろの鳥とりと、地ちの獣けものとのえじきとなり、しかもそれを追おい払はらう者ものはないであろう。28:27 主しゅはエジプトの腫物はれものと潰瘍かいようと壊血病かいけつびょうとひぜんとをもってあなたを撃うたれ、あなたはいやされることはないであろう。28:28 また主しゅはあなたを撃うって気きを狂くるわせ、目めを見みえなくし、心こころを混乱こんらんさせられるであろう。28:29 あなたは盲人もうじんが暗くらやみに手探てさぐりするように、真昼まひるにも手探てさぐりするであろう。あなたは行ゆく道みちで栄さかえることがなく、ただ常つねにしえたげられ、かすめられるだけで、あなたを救すくう者ものはないであろう。28:30 あなたは妻つまをめとっても、ほかの人ひとが彼女かのじょと寝ねるであろう。家いえを建たてても、その中なかに住すまないであろう。ぶどう畑はたけを作つくっても、その実みを摘つみ取とることがないであろう。28:31 あなたの牛うしが目めの前まえでほふられても、あなたはそれを食たべることができず、あなたのろばが目めの前まえで奪うばわれても、返かえされないであろう。あなたの羊ひつじが敵てきのものになっても、それを救すくってあなたに返かえす者ものはないであろう。28:32 あなたのむすこや娘むすめは他国民たこくみんにわたされる。あなたの目めはそれを見み、終日しゅうじつ、彼かれらを慕したって衰おとろえるが、あなたは手てを施ほどこすすべもないであろう。28:33 あなたの地ちの産物さんぶつおよびあなたの労ろうして獲えた物ものはみなあなたの知しらない民たみが食たべるであろう。あなたは、ただ常つねにしえたげられ、苦くるしめられるのみであろう。28:34 こうしてあなたは目めに見みる事柄ことがらによって、気きが狂くるうにいたるであろう。28:35 主しゅはあなたのひざと、はぎとに悪わるい、いやし得えない腫物はれものを生しょうじさせて、足あしの裏うらから頭あたまの頂いただきにまで及およぼされるであろう。 28:36 主しゅはあなたとあなたが立たてた王おうとを携たずさえて、あなたもあなたの先祖せんぞも知しらない国くにに移うつされるであろう。あなたはそこで木きや石いしで造つくったほかの神々かみがみに仕つかえるであろう。28:37 あなたは主しゅがあなたを追おいやられるもろもろの民たみのなかで驚おどろきとなり、ことわざとなり、笑わらい草ぐさとなるであろう。28:38 あなたが多おおくの種たねを畑はたけに携たずさえて出でても、その収穫しゅうかくは少すくないであろう。いなごがそれを食くいつくすからである。28:39 あなたがぶどう畑はたけを作つくり、それにつちかっても、そのぶどう酒しゅを飲のむことができず、その実みを集あつめることもないであろう。虫むしがそれを食たべるからである。28:40 あなたの国くににはあまねくオリブの木きがあるであろう。しかし、あなたはその油あぶらを身みに塗ぬることができないであろう。その実みがみな落おちてしまうからである。28:41 むすこや、娘むすめがあなたに生うまれても、あなたのものにならないであろう。彼かれらは捕とらえられて行いくからである。28:42 あなたのもろもろの木き、および地ちの産物さんぶつは、いなごが取とって食たべるであろう。28:43 あなたのうちに寄留きりゅうする他国たこく人じんは、ますます高たかくなり、あなたの上うえに出でて、あなたはますます低ひくくなるであろう。28:44 彼かれはあなたに貸かし、あなたは彼かれに貸かすことができない。彼かれはかしらとなり、あなたは尾おとなるであろう。28:45 このもろもろののろいが、あなたに臨のぞみ、あなたを追おい、ついに追おいついて、あなたを滅ほろぼすであろう。これはあなたの神かみ、主しゅの声こえに聞きき従したがわず、あなたに命めいじられた戒いましめと定さだめとを、あなたが守まもらなかったからである。28:46 これらの事ことは長ながくあなたとあなたの子孫しそんのうえにあって、しるしとなり、また不思議ふしぎとなるであろう。 28:47 あなたがすべての物ものに豊ゆたかになり、あなたの神かみ、主しゅに心こころから喜よろこび楽たのしんで仕つかえないので、28:48 あなたは飢うえ、かわき、裸はだかになり、すべての物ものに乏とぼしくなって、主しゅがあなたにつかわされる敵てきに仕つかえるであろう。敵てきは鉄てつのくびきをあなたのくびにかけ、ついにあなたを滅ほろぼすであろう。28:49 すなわち主しゅは遠とおい所ところから、地ちのはてから一つの民たみを、はげたかが飛とびかけるように、あなたに攻せめきたらせられるであろう。これはあなたがその言葉ことばを知しらない民たみ、28:50 顔かおの恐おそろしい民たみであって、彼かれらは老人ろうじんの身みを顧かえりみず、幼おさない者ものをあわれまず、28:51 あなたの家畜かちくが産うむものや、地ちの産物さんぶつを食くって、あなたを滅ほろぼし、穀物こくもつをも、酒さけをも、油あぶらをも、牛うしの子こをも、羊ひつじの子こをも、あなたの所ところに残のこさず、ついにあなたを全まったく滅ほろぼすであろう。28:52 その民たみは全国ぜんこくですべての町まちを攻せめ囲かこみ、ついにあなたが頼たのみとする、堅固けんごな高たかい石いしがきをことごとく撃うちくずし、あなたの神かみ、主しゅが賜たまわった国くにのうちのすべての町々まちまちを攻せめ囲かこむであろう。28:53 あなたは敵てきに囲かこまれ、激はげしく攻せめなやまされて、ついにあなたの神かみ、主しゅが賜たまわったあなたの身みから生うまれた者もの、むすこ、娘むすめの肉にくを食たべるに至いたるであろう。28:54 あなたがたのうちのやさしい、温和おんわな男おとこでさえも、自分じぶんの兄弟きょうだい、自分じぶんのふところの妻つま、最後さいごに残のこっている子供こどもにも食物しょくもつを惜おしんで与あたえず、28:55 自分じぶんが自分じぶんの子供こどもを食たべ、その肉にくを少すこしでも、この人々ひとびとのだれにも与あたえようとはしないであろう。これは敵てきがあなたのすべての町々まちまちを囲かこみ、激はげしく攻せめ悩なやまして、何なにをもその人ひとに残のこさないからである。28:56 またあなたがたのうちのやさしい、柔和にゅうわな女おんな、すなわち柔和にゅうわで、やさしく、足あしの裏うらを土つちに付つけようともしない者ものでも、自分じぶんのふところの夫おっとや、むすこ、娘むすめにもかくして、28:57 自分じぶんの足あしの間あいだからでる後産ごさんや、自分じぶんの産うむ子こをひそかに食たべるであろう。敵てきがあなたの町々まちまちを囲かこみ、激はげしく攻せめなやまして、すべての物ものが 乏けつぼうするからである。 28:58 もしあなたが、この書物しょもつにしるされているこの律法りっぽうのすべての言葉ことばを守まもり行おこなわず、あなたの神かみ、主しゅというこの栄さかえある恐おそるべき名なを恐おそれないならば、28:59 主しゅはあなたとその子孫しそんの上うえに激はげしい災わざわいを下くだされるであろう。その災わざわいはきびしく、かつ久ひさしく、その病気びょうきは重おもく、かつ久ひさしいであろう。28:60 主しゅはまた、あなたが恐おそれた病気びょうき、すなわちエジプトのもろもろの病気びょうきを再ふたたび臨のぞませて、あなたの身みにつかせられるであろう。28:61 またこの律法りっぽうの書しょにのせてないもろもろの病気びょうきと、もろもろの災わざわいとを、主しゅはあなたが滅ほろびるまで、あなたの上うえに下くだされるであろう。28:62 あなたがたは天てんの星ほしのように多おおかったが、あなたの神かみ、主しゅの声こえに聞きき従したがわなかったから、残のこる者ものが少すくなくなるであろう。28:63 さきに主しゅがあなたがたを良よくあしらい、あなたがたを多おおくするのを喜よろこばれたように、主しゅは今いまあなたがたを滅ほろぼし絶たやすのを喜よろこばれるであろう。あなたがたは、はいって取とる地ちから抜ぬき去さられるであろう。28:64 主しゅは地ちのこのはてから、かのはてまでのもろもろの民たみのうちにあなたがたを散ちらされるであろう。その所ところで、あなたもあなたの先祖せんぞたちも知しらなかった木きや石いしで造つくったほかの神々かみがみにあなたは仕つかえるであろう。28:65 その国々くにぐにの民たみのうちであなたは安やすきを得えず、また足あしの裏うらを休やすめる所ところも得えられないであろう。主しゅはその所ところで、あなたの心こころをおののかせ、目めを衰おとろえさせ、精神せいしんを打うちしおれさせられるであろう。28:66 あなたの命いのちは細ほそい糸いとにかかっているようになり、夜昼よるひる恐おそれおののいて、その命いのちもおぼつかなく思おもうであろう。28:67 あなたが心こころにいだく恐おそれと、目めに見みるものによって、朝あさには『ああ夕ゆうであればよいのに』と言いい、夕ゆうには『ああ朝あさであればよいのに』と言いうであろう。28:68 主しゅはあなたを舟ふねに乗のせ、かつてわたしがあなたに告つげて、『あなたは再ふたたびこれを見みることはない』と言いった道みちによって、あなたをエジプトへ連つれもどされるであろう。あなたがたはそこで男女だんじょの奴隷どれいとして敵てきに売うられるが、だれも買かう者ものはないであろう」。 第29章 29:1 これは主しゅがモーセに命めいじて、モアブの地ちでイスラエルの人々ひとびとと結むすばせられた契約けいやくの言葉ことばであって、ホレブで彼かれらと結むすばれた契約けいやくのほかのものである。 29:2 モーセはイスラエルのすべての人ひとを呼よび集あつめて言いった、「あなたがたは主しゅがエジプトの地ちで、パロと、そのすべての家来けらいと、その全ぜん地ちとにせられたすべての事ことをまのあたり見みた。29:3 すなわちその大おおきな試こころみと、しるしと、大おおきな不思議ふしぎとをまのあたり見みたのである。29:4 しかし、今日こんにちまで主しゅはあなたがたの心こころに悟さとらせず、目めに見みさせず、耳みみに聞きかせられなかった。29:5 わたしは四十年ねんの間あいだ、あなたがたを導みちびいて荒野あらのを通とおらせたが、あなたがたの身みにつけた着物きものは古ふるびず、足あしのくつは古ふるびなかった。29:6 あなたがたはまたパンも食たべず、ぶどう酒しゅも濃こい酒さけも飲のまなかった。こうしてあなたがたは、わたしがあなたがたの神かみ、主しゅであることを知しるに至いたった。29:7 あなたがたがこの所ところにきたとき、ヘシボンの王おうシホンと、バシャンの王おうオグがわれわれを迎むかえて戦たたかったが、われわれは彼かれらを撃うち敗やぶって、29:8 その地ちを取とり、これをルベンびとと、ガドびとと、マナセびとの半なかばとに、嗣し業ぎょうとして与あたえた。29:9 それゆえ、あなたがたはこの契約けいやくの言葉ことばを守まもって、それを行おこなわなければならない。そうすればあなたがたのするすべての事ことは栄さかえるであろう。 29:10 あなたがたは皆みな、きょう、あなたがたの神かみ、主しゅの前まえに立たっている。すなわちあなたがたの部族ぶぞくのかしらたち、長老ちょうろうたち、つかさたちなど、イスラエルのすべての人々ひとびと、29:11 あなたがたの小ちいさい者ものたちも、妻つまたちも、宿営しゅくえいのうちに寄留きりゅうしている他国たこく人じんも、あなたのために、たきぎを割わる者ものも、水みずをくむ者ものも、みな主しゅの前まえに立たって、29:12 あなたの神かみ、主しゅが、きょう、あなたと結むすばれるあなたの神かみ、主しゅの契約けいやくと誓ちかいとに、はいろうとしている。29:13 これは主しゅがさきにあなたに約束やくそくされたように、またあなたの先祖せんぞアブラハム、イサク、ヤコブに誓ちかわれたように、きょう、あなたを立たてて自分じぶんの民たみとし、またみずからあなたの神かみとなられるためである。29:14 わたしはただあなたがたとだけ、この契約けいやくと誓ちかいとを結むすぶのではない。29:15 きょう、ここで、われわれの神かみ、主しゅの前まえにわれわれと共ともに立たっている者ものならびに、きょう、ここにわれわれと共ともにいない者ものとも結むすぶのである。 29:16 われわれがどのようにエジプトの国くにに住すんでいたか、どのように国々くにぐにの民たみの中なかを通とおってきたか、それはあなたがたが知しっている。29:17 またあなたがたは木きや石いしや銀ぎんや金きんで造つくった憎にくむべき物ものと偶像ぐうぞうとが、彼かれらのうちにあるのを見みた。29:18 それゆえ、あなたがたのうちに、きょう、その心こころにわれわれの神かみ、主しゅを離はなれてそれらの国民こくみんの神々かみがみに行いって仕つかえる男おとこや女おんな、氏族しぞくや部族ぶぞくがあってはならない。またあなたがたのうちに、毒草どくそうや、にがよもぎを生しょうずる根ねがあってはならない。29:19 そのような人ひとはこの誓ちかいの言葉ことばを聞きいても、心こころに自分じぶんを祝福しゅくふくして『心こころをかたくなにして歩あゆんでもわたしには平安へいあんがある』と言いうであろう。そうすれば潤うるおった者ものも、かわいた者ものもひとしく滅ほろびるであろう。29:20 主しゅはそのような人ひとをゆるすことを好このまれない。かえって主しゅはその人ひとに怒いかりとねたみを発はっし、この書物しょもつにしるされたすべてののろいを彼かれの上うえに加くわえ、主しゅはついにその人ひとの名なを天てんの下したから消けし去さられるであろう。29:21 主しゅはイスラエルのすべての部族ぶぞくのうちからその人ひとを区く別べっして災わざわいをくだし、この律法りっぽうの書しょにしるされた契約けいやくの中なかのもろもろののろいのようにされるであろう。29:22 後のちの代よの人ひと、すなわちあなたがたののちに起おこるあなたがたの子孫しそんおよび遠とおい国くにから来くる外国がいこく人じんは、この地ちの災わざわいを見み、主しゅがこの地ちにくだされた病気びょうきを見みて言いうであろう。29:23 ――全ぜん地ちは硫黄いおうとなり、塩しおとなり、焼やけ土つちとなって、種たねもまかれず、実みも結むすばず、なんの草くさも生しょうじなくなって、むかし主しゅが怒いかりと憤いきどおりをもって滅ほろぼされたソドム、ゴモラ、アデマ、ゼボイムの破滅はめつのようである。――29:24 すなわち、もろもろの国民こくみんは言いうであろう、『なぜ、主しゅはこの地ちにこのようなことをされたのか。この激はげしい大おおいなる怒いかりは何なにゆえか』。29:25 そのとき人々ひとびとは言いうであろう、『彼かれらはその先祖せんぞの神かみ、主しゅがエジプトの国くにから彼かれらを導みちびき出だして彼かれらと結むすばれた契約けいやくをすて、29:26 行いって彼かれらの知しらない、また授さずからない、ほかの神々かみがみに仕つかえて、それを拝おがんだからである。29:27 それゆえ主しゅはこの地ちにむかって怒いかりを発はっし、この書物しょもつにしるされたもろもろののろいをこれにくだし、29:28 そして主しゅは怒いかりと、はげしい怒いかりと大おおいなる憤いきどおりとをもって彼かれらをこの地ちから抜ぬき取とって、ほかの国くにに投なげやられた。今日こんにち見みるとおりである』。 29:29 隠かくれた事ことはわれわれの神かみ、主しゅに属ぞくするものである。しかし表あらわされたことは長ながくわれわれとわれわれの子孫しそんに属ぞくし、われわれにこの律法りっぽうのすべての言葉ことばを行おこなわせるのである。 第30章 30:1 わたしがあなたがたの前まえに述のべたこのもろもろの祝福しゅくふくと、のろいの事ことがあなたに臨のぞみ、あなたがあなたの神かみ、主しゅに追おいやられたもろもろの国民こくみんのなかでこの事ことを心こころに考かんがえて、30:2 あなたもあなたの子供こどもも共ともにあなたの神かみ、主しゅに立たち帰かえり、わたしが、きょう、命めいじるすべてのことにおいて、心こころをつくし、精神せいしんをつくして、主しゅの声こえに聞きき従したがうならば、30:3 あなたの神かみ、主しゅはあなたを再ふたたび栄さかえさせ、あなたをあわれみ、あなたの神かみ、主しゅはあなたを散ちらされた国々くにぐにから再ふたたび集あつめられるであろう。30:4 たといあなたが天てんのはてに追おいやられても、あなたの神かみ、主しゅはそこからあなたを集あつめ、そこからあなたを連つれ帰かえられるであろう。30:5 あなたの神かみ、主しゅはあなたの先祖せんぞが所有しょゆうした地ちにあなたを帰かえらせ、あなたはそれを所有しょゆうするに至いたるであろう。主しゅはまたあなたを栄さかえさせ、数かずを増まして先祖せんぞたちよりも多おおくされるであろう。30:6 そしてあなたの神かみ、主しゅはあなたの心こころとあなたの子孫しそんの心こころに割礼かつれいを施ほどこし、あなたをして、心こころをつくし、精神せいしんをつくしてあなたの神かみ、主しゅを愛あいさせ、こうしてあなたに命いのちを得えさせられるであろう。30:7 あなたの神かみ、主しゅはまた、あなたを迫害はくがいする敵てきと、あなたを憎にくむ者ものとに、このもろもろののろいをこうむらせられるであろう。30:8 しかし、あなたは再ふたたび主しゅの声こえに聞きき従したがい、わたしが、きょう、あなたに命めいじるすべての戒いましめを守まもるであろう。30:9 そうすればあなたの神かみ、主しゅはあなたのするすべてのことと、あなたの身みから生うまれる者ものと、家畜かちくの産うむものと、地ちに産さんする物ものを豊ゆたかに与あたえて、あなたを栄さかえさせられるであろう。すなわち主しゅはあなたの先祖せんぞたちを喜よろこばれたように再ふたたびあなたを喜よろこんで、あなたを栄さかえさせられるであろう。30:10 これはあなたが、あなたの神かみ、主しゅの声こえに聞ききしたがい、この律法りっぽうの書しょにしるされた戒いましめと定さだめとを守まもり、心こころをつくし、精神せいしんをつくしてあなたの神かみ、主しゅに帰きするからである。 30:11 わたしが、きょう、あなたに命めいじるこの戒いましめは、むずかしいものではなく、また遠とおいものでもない。30:12 これは天てんにあるのではないから、『だれがわれわれのために天てんに上のぼり、それをわれわれのところへ持もってきて、われわれに聞きかせ、行おこなわせるであろうか』と言いうに及およばない。30:13 またこれは海うみのかなたにあるのではないから、『だれがわれわれのために海うみを渡わたって行いき、それをわれわれのところへ携たずさえてきて、われわれに聞きかせ、行おこなわせるであろうか』と言いうに及およばない。30:14 この言葉ことばはあなたに、はなはだ近ちかくあってあなたの口くちにあり、またあなたの心こころにあるから、あなたはこれを行おこなうことができる。 30:15 見みよ、わたしは、きょう、命いのちとさいわい、および死しと災わざわいをあなたの前まえに置おいた。30:16 すなわちわたしは、きょう、あなたにあなたの神かみ、主しゅを愛あいし、その道みちに歩あゆみ、その戒いましめと定さだめと、おきてとを守まもることを命めいじる。それに従したがうならば、あなたは生いきながらえ、その数かずは多おおくなるであろう。またあなたの神かみ、主しゅはあなたが行いって取とる地ちであなたを祝福しゅくふくされるであろう。30:17 しかし、もしあなたが心こころをそむけて聞きき従したがわず、誘さそわれて他たの神々かみがみを拝おがみ、それに仕つかえるならば、30:18 わたしは、きょう、あなたがたに告つげる。あなたがたは必かならず滅ほろびるであろう。あなたがたはヨルダンを渡わたり、はいって行いって取とる地ちでながく命いのちを保たもつことができないであろう。30:19 わたしは、きょう、天てんと地ちを呼よんであなたがたに対たいする証人しょうにんとする。わたしは命いのちと死しおよび祝福しゅくふくとのろいをあなたの前まえに置おいた。あなたは命いのちを選えらばなければならない。そうすればあなたとあなたの子孫しそんは生いきながらえることができるであろう。30:20 すなわちあなたの神かみ、主しゅを愛あいして、その声こえを聞きき、主しゅにつき従したがわなければならない。そうすればあなたは命いのちを得え、かつ長ながく命いのちを保たもつことができ、主しゅが先祖せんぞアブラハム、イサク、ヤコブに与あたえると誓ちかわれた地ちに住すむことができるであろう」。 第31章 31:1 そこでモーセは続つづいてこの言葉ことばをイスラエルのすべての人ひとに告つげて、31:2 彼かれらに言いった、「わたしは、きょう、すでに百二十歳さいになり、もはや出入でいりすることはできない。また主しゅはわたしに『おまえはこのヨルダンを渡わたることはできない』と言いわれた。31:3 あなたの神かみ、主しゅはみずからあなたに先立さきだって渡わたり、あなたの前まえから、これらの国々くにぐにの民たみを滅ほろぼし去さって、あなたにこれを獲えさせられるであろう。また主しゅがかつて言いわれたように、ヨシュアはあなたを率ひきいて渡わたるであろう。31:4 主しゅがさきにアモリびとの王おうシホンとオグおよびその地ちにされたように、彼かれらにもおこなって彼かれらを滅ほろぼされるであろう。31:5 主しゅは彼かれらをあなたがたに渡わたされるから、あなたがたはわたしが命めいじたすべての命令めいれいのとおりに彼かれらに行おこなわなければならない。31:6 あなたがたは強つよく、かつ勇いさましくなければならない。彼かれらを恐おそれ、おののいてはならない。あなたの神かみ、主しゅがあなたと共ともに行いかれるからである。主しゅは決けっしてあなたを見放みはなさず、またあなたを見捨みすてられないであろう」。 31:7 モーセはヨシュアを呼よび、イスラエルのすべての人ひとの目めの前まえで彼かれに言いった、「あなたはこの民たみと共ともに行いき、主しゅが彼かれらの先祖せんぞたちに与あたえると誓ちかわれた地ちに入いるのであるから、あなたは強つよく、かつ勇いさましくなければならない。あなたは彼かれらにそれを獲えさせるであろう。31:8 主しゅはみずからあなたに先立さきだって行いき、またあなたと共ともにおり、あなたを見放みはなさず、見捨みすてられないであろう。恐おそれてはならない、おののいてはならない」。 31:9 モーセはこの律法りっぽうを書かいて、主しゅの契約けいやくの箱はこをかつぐレビの子孫しそんである祭司さいしおよびイスラエルのすべての長老ちょうろうたちに授さづけた。31:10 そしてモーセは彼かれらに命めいじて言いった、「七年ねんの終おわりごとに、すなわち、ゆるしの年としの定さだめの時ときになり、かりいおの祭まつりに、31:11 イスラエルのすべての人ひとがあなたの神かみ、主しゅの前まえに出でるため、主しゅの選えらばれる場所ばしょに来くるとき、あなたはイスラエルのすべての人ひとの前まえでこの律法りっぽうを読よんで聞きかせなければならない。31:12 すなわち男おとこ、女おんな、子供こどもおよびあなたの町まちのうちに寄留きりゅうしている他国たこく人じんなど民たみを集あつめ、彼かれらにこれを聞きかせ、かつ学まなばせなければならない。そうすれば彼かれらはあなたがたの神かみ、主しゅを恐おそれてこの律法りっぽうの言葉ことばを、ことごとく守まもり行おこなうであろう。31:13 また彼かれらの子供こどもたちでこれを知しらない者ものも聞きいて、あなたがたの神かみ、主しゅを恐おそれることを学まなぶであろう。あなたがたがヨルダンを渡わたって行いって取とる地ちにながらえる日ひのあいだ常つねにそうしなければならない」。 31:14 主しゅはまたモーセに言いわれた、「あなたの死しぬ日ひが近ちかづいている。ヨシュアを召めして共ともに会見かいけんの幕屋まくやに立たちなさい。わたしは彼かれに務つとめを命めいじるであろう」。モーセとヨシュアが行いって会見かいけんの幕屋まくやに立たつと、31:15 主しゅは幕屋まくやで雲くもの柱はしらのうちに現あらわれられた。その雲くもの柱はしらは幕屋まくやの入口いりぐちのかたわらにとどまった。 31:16 主しゅはモーセに言いわれた、「あなたはまもなく眠ねむって先祖せんぞたちと一緒いっしょになるであろう。そのときこの民たみはたちあがり、はいって行いく地ちの異ことなる神々かみがみを慕したって姦淫かんいんを行おこない、わたしを捨すて、わたしが彼かれらと結むすんだ契約けいやくを破やぶるであろう。31:17 その日ひには、わたしは彼かれらにむかって怒いかりを発はっし、彼かれらを捨すて、わたしの顔かおを彼かれらに隠かくすゆえに、彼かれらは滅ほろぼしつくされ、多おおくの災わざわいと悩なやみが彼かれらに臨のぞむであろう。そこでその日ひ、彼かれらは言いうであろう、『これらの災わざわいがわれわれに臨のぞむのは、われわれの神かみがわれわれのうちにおられないからではないか』。31:18 しかも彼かれらがほかの神々かみがみに帰きして、もろもろの悪あくを行おこなうゆえに、わたしはその日ひには必かならずわたしの顔かおを隠かくすであろう。31:19 それであなたがたは今いま、この歌うたを書かきしるし、イスラエルの人々ひとびとに教おしえてその口くちに唱となえさせ、この歌うたをイスラエルの人々ひとびとに対たいするわたしのあかしとならせなさい。31:20 わたしが彼かれらの先祖せんぞたちに誓ちかった、乳ちちと蜜みつの流ながれる地ちに彼かれらを導みちびき入いれる時とき、彼かれらは食たべて飽あき、肥こえ太ふとるに及およんで、ほかの神々かみがみに帰きし、それに仕つかえて、わたしを軽かろんじ、わたしの契約けいやくを破やぶるであろう。31:21 こうして多おおくの災わざわいと悩なやみとが彼かれらに臨のぞむ時とき、この歌うたは彼かれらに対たいして、あかしとなるであろう。(それはこの歌うたが彼かれらの子孫しそんの口くちにあって、彼かれらはそれを忘わすれないからである。)わたしが誓ちかった地ちに彼かれらを導みちびき入いれる前まえ、すでに彼かれらが思おもいはかっている事ことをわたしは知しっているからである」。31:22 モーセはその日ひ、この歌うたを書かいてイスラエルの人々ひとびとに教おしえた。 31:23 主しゅはヌンの子こヨシュアに命めいじて言いわれた、「あなたはイスラエルの人々ひとびとをわたしが彼かれらに誓ちかった地ちに導みちびき入いれなければならない。それゆえ強つよくかつ勇いさましくあれ。わたしはあなたと共ともにいるであろう」。 31:24 モーセがこの律法りっぽうの言葉ことばを、ことごとく書物しょもつに書かき終おわった時とき、31:25 モーセは主しゅの契約けいやくの箱はこをかつぐレビびとに命めいじて言いった、31:26 「この律法りっぽうの書しょをとって、あなたがたの神かみ、主しゅの契約けいやくの箱はこのかたわらに置おき、その所ところであなたにむかってあかしをするものとしなさい。31:27 わたしはあなたのそむくことと、かたくななこととを知しっている。きょう、わたしが生いきながらえて、あなたがたと一緒いっしょにいる間あいだですら、あなたがたは主しゅにそむいた。ましてわたしが死しんだあとはどんなであろう。31:28 あなたがたの部族ぶぞくのすべての長老ちょうろうたちと、つかさたちをわたしのもとに集あつめなさい。わたしはこれらの言葉ことばを彼かれらに語かたり聞きかせ、天てんと地ちとを呼よんで彼かれらにむかってあかしさせよう。31:29 わたしは知しっている。わたしが死しんだのち、あなたがたは必かならず悪わるい事ことをして、わたしが命めいじた道みちを離はなれる。そして後のちの日ひに災わざわいがあなたがたに臨のぞむであろう。これは主しゅの悪あくと見みられることを行おこない、あなたがたのすることをもって主しゅを怒いからせるからである」。 31:30 そしてモーセはイスラエルの全ぜん会衆かいしゅうに次つぎの歌うたの言葉ことばを、ことごとく語かたり聞きかせた。 第32章 32:1 「天てんよ、耳みみを傾かたむけよ、わたしは語かたる、地ちよ、わたしの口くちの言葉ことばを聞きけ。32:2 わたしの教おしえは雨あめのように降ふりそそぎ、わたしの言葉ことばは露つゆのようにしたたるであろう。若草わかくさの上うえに降ふる小雨こさめのように、青草あおくさの上うえにくだる夕立ゆうだちのように。32:3 わたしは主しゅの名なをのべよう、われわれの神かみに栄光えいこうを帰かえせよ。32:4 主しゅは岩いわであって、そのみわざは全まったく、その道みちはみな正ただしい。主しゅは真実しんじつなる神かみであって、偽いつわりなく、義ぎであって、正せいである。32:5 彼かれらは主しゅにむかって悪あくを行おこない、そのきずのゆえに、もはや主しゅの子こらではなく、よこしまで、曲まがったやからである。32:6 愚おろかな知恵ちえのない民たみよ、あなたがたはこのようにして主しゅに報むくいるのか。主しゅはあなたを生うみ、あなたを つくり、あなたを堅かたく立たてられたあなたの父ちちではないか。32:7 いにしえの日ひを覚おぼえ、代々よよの年としを思おもえ。あなたの父ちちに問とえ、彼かれはあなたに告つげるであろう。長老ちょうろうたちに問とえ、彼かれらはあなたに語かたるであろう。32:8 いと高たかき者ものは人ひとの子こらを分わけ、諸しょ国民こくみんにその嗣し業ぎょうを与あたえられたとき、イスラエルの子こらの数かずに照てらして、もろもろの民たみの境さかいを定さだめられた。32:9 主しゅの分ぶんはその民たみであって、ヤコブはその定さだめられた嗣し業ぎょうである。32:10 主しゅはこれを荒野あらのの地ちで見みいだし、獣けもののほえる荒あれ地ちで会あい、これを巡めぐり囲かこんでいたわり、目めのひとみのように守まもられた。32:11 わしがその巣すのひなを呼よび起おこし、その子この上うえに舞まいかけり、その羽はねをひろげて彼かれらをのせ、そのつばさの上うえにこれを負おうように、32:12 主しゅはただひとりで彼かれを導みちびかれて、ほかの神々かみがみはあずからなかった。32:13 主しゅは彼かれに地ちの高たかき所ところを乗のり通とおらせ、田畑たはたの産物さんぶつを食くわせ、岩いわの中なかから蜜みつを吸すわせ、堅かたい岩いわから油あぶらを吸すわせ、32:14 牛うしの凝乳ぎょうにゅう、羊ひつじの乳ちち、小羊こひつじと雄羊おひつじの脂肪しぼう、バシャンの牛うしと雄おやぎ、小麦こむぎの良よい物ものを食くわせられた。またあなたはぶどうのしるのあわ立たつ酒さけを飲のんだ。32:15 しかるにエシュルンは肥こえ太ふとって、足あしでけった。あなたは肥こえ太ふとって、つややかになり、自分じぶんを つくった神かみを捨すて、救すくいの岩いわを侮あなどった。32:16 彼かれらはほかの神々かみがみに仕つかえて、主しゅのねたみを起おこし、憎にくむべきおこないをもって主しゅの怒いかりをひき起おこした。32:17 彼かれらは神かみでもない悪霊あくれいに犠牲ぎせいをささげた。それは彼かれらがかつて知しらなかった神々かみがみ、近ちかごろ出でた新あたらしい神々かみがみ、先祖せんぞたちの恐おそれることもしなかった者ものである。32:18 あなたは自分じぶんを生うんだ岩いわを軽かろんじ、自分じぶんを造つくった神かみを忘わすれた。32:19 主しゅはこれを見み、そのむすこ、娘むすめを怒いかってそれを捨すてられた。32:20 そして言いわれた、『わたしはわたしの顔かおを彼かれらに隠かくそう。わたしは彼かれらの終おわりがどうなるかを見みよう。彼かれらはそむき、もとるやから、真実しんじつのない子こらである。32:21 彼かれらは神かみでもない者ものをもって、わたしにねたみを起おこさせ、偶像ぐうぞうをもって、わたしを怒いからせた。それゆえ、わたしは民たみともいえない者ものをもって、彼かれらにねたみを起おこさせ、愚おろかな民たみをもって、彼かれらを怒いからせるであろう。32:22 わたしの怒いかりによって、火ひは燃もえいで、陰府よみの深ふかみにまで燃もえ行いき、地ちとその産物さんぶつとを焼やきつくし、山々やまやまの基もといを燃もやすであろう。32:23 わたしは彼かれらの上うえに災わざわいを積つみかさね、わたしの矢やを彼かれらにむかって射いつくすであろう。32:24 彼かれらは飢うえて、やせ衰おとろえ、熱病ねつびょうと悪わるい疫病えきびょうによって滅ほろびるであろう。わたしは彼かれらを獣けものの歯はにかからせ、地ちに這はうものの毒どくにあたらせるであろう。32:25 外そとにはつるぎ、内うちには恐おそれがあって、若わかき男おとこも若わかき女おんなも、乳ちのみ子ごも、しらがの人ひとも滅ほろびるであろう。32:26 わたしはまさに言いおうとした、「彼かれらを遠とおく散ちらし、彼かれらの事ことを人々ひとびとが記憶きおくしないようにしよう」。32:27 しかし、わたしは敵てきが誇ほこるのを恐おそれる。あだびとはまちがえて言いうであろう、「われわれの手てが勝かちをえたのだ。これはみな主しゅがされたことではない」』。32:28 彼かれらは思慮しりょの欠かけた民たみ、そのうちには知識ちしきがない。32:29 もし、彼かれらに知恵ちえがあれば、これをさとり、その身みの終おわりをわきまえたであろうに。32:30 彼かれらの岩いわが彼かれらを売うらず、主しゅが彼かれらをわたされなかったならば、どうして、ひとりで千人にんを追おい、ふたりで万まん人にんを敗やぶることができたであろう。32:31 彼かれらの岩いわはわれらの岩いわに及およばない。われらの敵てきもこれを認みとめている。32:32 彼かれらのぶどうの木きは、ソドムのぶどうの木きから出でたもの、またゴモラの野のから出でたもの、そのぶどうは毒どくぶどう、そのふさは苦にがい。32:33 そのぶどう酒しゅはへびの毒どくのよう、まむしの恐おそろしい毒どくのようである。32:34 これはわたしのもとにたくわえられ、わたしの倉くらに封ふうじ込こめられているではないか。32:35 彼かれらの足あしがすべるとき、わたしはあだを返かえし、報むくいをするであろう。彼かれらの災わざわいの日ひは近ちかく、彼かれらの破滅はめつは、すみやかに来くるであろう。32:36 主しゅはついにその民たみをさばき、そのしもべらにあわれみを加くわえられるであろう。これは彼かれらの力ちからがうせ去さり、つながれた者ものもつながれない者ものも、もはやいなくなったのを、主しゅが見みられるからである。32:37 そのとき主しゅは言いわれるであろう、『彼かれらの神々かみがみはどこにいるか、彼かれらの頼たのみとした岩いわはどこにあるか。32:38 彼かれらの犠牲ぎせいのあぶらを食くい、灌祭かんさいの酒さけを飲のんだ者ものはどこにいるか。立たちあがってあなたがたを助たすけさせよ、あなたがたを守まもらせよ。32:39 今見いまみよ、わたしこそは彼かれである。わたしのほかに神かみはない。わたしは殺ころし、また生いかし、傷きずつけ、またいやす。わたしの手てから救すくい出だしうるものはない。32:40 わたしは天てんにむかい手てをあげて誓ちかう、「わたしは永遠えいえんに生いきる。32:41 わたしがきらめくつるぎをとぎ、手てにさばきを握にぎるとき、わたしは敵てきにあだを返かえし、わたしを憎にくむ者ものに報復ほうふくするであろう。32:42 わたしの矢やを血ちに酔よわせ、わたしのつるぎに肉にくを食くわせるであろう。殺ころされた者ものと捕とらえられた者ものの血ちを飲のませ、敵てきの長髪ちょうはつの頭あたまの肉にくを食くわせるであろう」』。32:43 国々くにぐにの民たみよ、主しゅの民たみのために喜よろこび歌うたえ。主しゅはそのしもべの血ちのために報復ほうふくし、その敵てきにあだを返かえし、その民たみの地ちの汚けがれを清きよめられるからである」。32:44 モーセとヌンの子こヨシュアは共ともに行いって、この歌うたの言葉ことばを、ことごとく民たみに読よみ聞きかせた。32:45 モーセはこの言葉ことばを、ことごとくイスラエルのすべての人ひとに告つげ終おわって、32:46 彼かれらに言いった、「あなたがたはわたしが、きょう、あなたがたに命めいじるこのすべての言葉ことばを心こころにおさめ、子供こどもたちにもこの律法りっぽうのすべての言葉ことばを守まもり行おこなうことを命めいじなければならない。32:47 この言葉ことばはあなたがたにとって、むなしい言葉ことばではない。これはあなたがたのいのちである。この言葉ことばにより、あなたがたはヨルダンを渡わたって行いって取とる地ちで、長ながく命いのちを保たもつことができるであろう」。 32:48 この日ひ、主しゅはモーセに言いわれた、32:49 「あなたはエリコに対たいするモアブの地ちにあるアバリム山やますなわちネボ山やまに登のぼり、わたしがイスラエルの人々ひとびとに与あたえて獲えさせるカナンの地ちを見渡みわたせ。32:50 あなたは登のぼって行いくその山やまで死しに、あなたの民たみに連つらなるであろう。あなたの兄弟きょうだいアロンがホル山やまで死しんでその民たみに連つらなったようになるであろう。32:51 これはあなたがたがチンの荒野あらのにあるメリバテ・カデシの水みずのほとりで、イスラエルの人々ひとびとのうちでわたしにそむき、イスラエルの人々ひとびとのうちでわたしを聖せいなるものとして敬うやまわなかったからである。32:52 それであなたはわたしがイスラエルの人々ひとびとに与あたえる地ちを、目めの前まえに見みるであろう。しかし、その地ちに、はいることはできない」。 第33章 33:1 神かみの人ひとモーセは死しぬ前まえにイスラエルの人々ひとびとを祝福しゅくふくした。祝福しゅくふくの言葉ことばは次つぎのとおりである。 33:2 「主しゅはシナイからこられ、セイルからわれわれにむかってのぼられ、パランの山やまから光ひかりを放はなたれ、ちよろずの聖者せいじゃの中なかからこられた。その右みぎの手てには燃もえる火ひがあった。33:3 まことに主しゅはその民たみを愛あいされる。すべて主しゅに聖別せいべつされたものは、み手てのうちにある。彼かれらはあなたの足あしもとに座ざして、教おしえをうける。33:4 モーセはわれわれに律法りっぽうを授さづけて、ヤコブの会衆かいしゅうの所有しょゆうとさせた。33:5 民たみのかしらたちが集あつまり、イスラエルの部族ぶぞくがみな集あつまった時とき、主しゅはエシュルンのうちに王おうとなられた」。33:6 「ルベンは生いきる、死しにはしない。しかし、その人数にんずうは少すくなくなるであろう」。33:7 ユダについては、こう言いった、「主しゅよ、ユダの声こえを聞きいて、彼かれをその民たみに導みちびきかえしてください。み手てをもって、彼かれのために戦たたかってください。彼かれを助たすけて、敵てきに当あたらせてください」。33:8 レビについては言いった、「あなたのトンミムをレビに与あたえてください。ウリムをあなたに仕つかえる人ひとに与あたえてください。かつてあなたはマッサで彼かれを試こころみ、メリバの水みずのほとりで彼かれと争あらそわれた。33:9 彼かれはその父ちち、その母ははについて言いった、『わたしは彼かれらを顧かえりみない』。彼かれは自分じぶんの兄弟きょうだいをも認みとめず、自分じぶんの子供こどもをも顧かえりみなかった。彼かれらはあなたの言葉ことばにしたがい、あなたの契約けいやくを守まもったからである。33:10 彼かれらはあなたのおきてをヤコブに教おしえ、あなたの律法りっぽうをイスラエルに教おしえ、薫香くんこうをあなたの前まえに供そなえ、燔祭はんさいを祭壇さいだんの上うえにささげる。33:11 主しゅよ、彼かれの力ちからを祝福しゅくふくし、彼かれの手てのわざを喜よろこび受うけてください。彼かれに逆さからう者ものと、彼かれを憎にくむ者ものとの腰こしを打うち砕くだいて、立たち上あがることのできないようにしてください」。33:12 ベニヤミンについては言いった、「主しゅに愛あいされる者もの、彼かれは安やすらかに主しゅのそばにおり、主しゅは終日しゅうじつ、彼かれを守まもり、その肩かたの間あいだにすまいを営いとなまれるであろう」。33:13 ヨセフについては言いった、「どうぞ主しゅが彼かれの地ちを祝福しゅくふくされるように。上うえなる天てんの賜物たまものと露つゆ、下したに横よこたわる淵ふちの賜物たまもの、33:14 日ひによって産さんする尊たっとい賜物たまもの、月つきによって生しょうずる尊たっとい賜物たまもの、33:15 いにしえの山々やまやまの産さんする賜物たまもの、とこしえの丘おかの尊たっとい賜物たまもの、33:16 地ちとそれに満みちる尊たっとい賜物たまもの、しばの中なかにおられた者ものの恵めぐみが、ヨセフの頭あたまに臨のぞみ、その兄弟きょうだいたちの君くんたる者ものの頭あたまの頂いただきにくだるように。33:17 彼かれの牛うしのういごは威厳いげんがあり、その角つのは野牛やぎゅうの角つののよう、これをもって国々くにぐにの民たみをことごとく突つき倒たおし、地ちのはてにまで及およぶ。このような者ものはエフライムに幾いく万まんとあり、またこのような者ものはマナセに幾いく千せんとある」。33:18 ゼブルンについては言いった、「ゼブルンよ、あなたは外そとに出でて楽たのしみを得えよ。イッサカルよ、あなたは天幕てんまくにいて楽たのしみを得えよ。33:19 彼かれらは国々くにぐにの民たみを山やまに招まねき、その所ところで正ただしい犠牲ぎせいをささげるであろう。彼かれらは海うみの富とみを吸すい、砂すなに隠かくれた宝たからを取とるからである」。33:20 ガドについては言いった、「ガドを大おおきくする者ものは、ほむべきかな。ガドは、ししのように伏ふし、腕うでや頭あたまの頂いただきをかき裂さくであろう。33:21 彼かれは初穂はつほの地ちを自分じぶんのために選えらんだ。そこには将軍しょうぐんの分ぶんも取とり置おかれていた。彼かれは民たみのかしらたちと共ともにきて、イスラエルと共ともに主しゅの正義せいぎと審判しんぱんとを行おこなった」。33:22 ダンについては言いった、「ダンはししの子こであって、バシャンからおどりでる」。33:23 ナフタリについては言いった、「ナフタリよ、あなたは恵めぐみに満みたされ、主しゅの祝福しゅくふくに満みちて、湖みずうみとその南みなみの地ちを所有しょゆうする」。33:24 アセルについては言いった、「アセルは他たの子こらにまさって祝福しゅくふくされる。彼かれはその兄弟きょうだいたちに愛あいせられ、その足あしを油あぶらにひたすことができるように。33:25 あなたの貫かんの木きは鉄てつと青銅せいどう、あなたの力ちからはあなたの年としと共ともに続つづくであろう」。33:26 「エシュルンよ、神かみに並ならぶ者ものはほかにない。あなたを助たすけるために天てんに乗のり、威光いこうをもって空そらを通とおられる。33:27 とこしえにいます神かみはあなたのすみかであり、下したには永遠えいえんの腕うでがある。敵てきをあなたの前まえから追おい払はらって、『滅ほろぼせ』と言いわれた。33:28 イスラエルは安やすらかに住すみ、ヤコブの泉いずみは穀物こくもつとぶどう酒しゅの地ちに、ひとりいるであろう。また天てんは露つゆをくだすであろう。 33:29 イスラエルよ、あなたはしあわせである。だれがあなたのように、主しゅに救すくわれた民たみがあるであろうか。主しゅはあなたを助たすける盾たて、あなたの威光いこうのつるぎ、あなたの敵てきはあなたにへつらい服ふくし、あなたは彼かれらの高たかき所ところを踏ふみ進すすむであろう」。 第34章 34:1 モーセはモアブの平野へいやからネボ山やまに登のぼり、エリコの向むかいのピスガの頂いただきへ行いった。そこで主しゅは彼かれにギレアデの全ぜん地ちをダンまで示しめし、34:2 ナフタリの全部ぜんぶ、エフライムとマナセの地ちおよびユダの全ぜん地ちを西にしの海うみまで示しめし、34:3 ネゲブと低地ていち、すなわち、しゅろの町まちエリコの谷たにをゾアルまで示しめされた。34:4 そして主しゅは彼かれに言いわれた、「わたしがアブラハム、イサク、ヤコブに、これをあなたの子孫しそんに与あたえると言いって誓ちかった地ちはこれである。わたしはこれをあなたの目めに見みせるが、あなたはそこへ渡わたって行いくことはできない」。34:5 こうして主しゅのしもべモーセは主しゅの言葉ことばのとおりにモアブの地ちで死しんだ。34:6 主しゅは彼かれをベテペオルに対たいするモアブの地ちの谷たにに葬ほうむられたが、今日こんにちまでその墓はかを知しる人ひとはない。34:7 モーセは死しんだ時とき、百二十歳さいであったが、目めはかすまず、気力きりょくは衰おとろえていなかった。34:8 イスラエルの人々ひとびとはモアブの平野へいやで三十日にちの間あいだモーセのために泣ないた。そしてモーセのために泣なき悲かなしむ日ひはついに終おわった。 34:9 ヌンの子こヨシュアは知恵ちえの霊れいに満みちた人ひとであった。モーセが彼かれの上うえに手てを置おいたからである。イスラエルの人々ひとびとは彼かれに聞きき従したがい、主しゅがモーセに命めいじられたとおりにおこなった。34:10 イスラエルには、こののちモーセのような預言者よげんしゃは起おこらなかった。モーセは主しゅが顔かおを合あわせて知しられた者ものであった。34:11 主しゅはエジプトの地ちで彼かれをパロとそのすべての家来けらいおよびその全ぜん地ちにつかわして、もろもろのしるしと不思議ふしぎを行おこなわせられた。34:12 モーセはイスラエルのすべての人ひとの前まえで大おおいなる力ちからをあらわし、大おおいなる恐おそるべき事ことをおこなった。
28:1 もしあなたが、あなたの神かみ、主しゅの声こえによく聞きき従したがい、わたしが、きょう、命めいじるすべての戒いましめを守まもり行おこなうならば、あなたの神かみ、主しゅはあなたを地ちのもろもろの国民こくみんの上うえに立たたせられるであろう。
28:2 もし、あなたがあなたの神かみ、主しゅの声こえに聞きき従したがうならば、このもろもろの祝福しゅくふくはあなたに臨のぞみ、あなたに及およぶであろう。
28:3 あなたは町まちの内うちでも祝福しゅくふくされ、畑はたけでも祝福しゅくふくされるであろう。
28:4 またあなたの身みから生うまれるもの、地ちに産さんする物もの、家畜かちくの産うむもの、すなわち牛うしの子こ、羊ひつじの子こは祝福しゅくふくされるであろう。
28:5 またあなたのかごと、こねばちは祝福しゅくふくされるであろう。
28:6 あなたは、はいるにも祝福しゅくふくされ、出でるにも祝福しゅくふくされるであろう。
28:7 敵てきが起たってあなたを攻せめる時ときは、主しゅはあなたにそれを撃うち敗やぶらせられるであろう。彼かれらは一つの道みちから攻せめて来くるが、あなたの前まえで七つの道みちから逃にげ去さるであろう。
28:8 主しゅは命めいじて祝福しゅくふくをあなたの倉くらと、あなたの手てのすべてのわざにくだし、あなたの神かみ、主しゅが賜たまわる地ちであなたを祝福しゅくふくされるであろう。
28:9 もし、あなたの神かみ、主しゅの戒いましめを守まもり、その道みちを歩あゆむならば、主しゅは誓ちかわれたようにあなたを立たてて、その聖せいなる民たみとされるであろう。
28:10 そうすれば地ちのすべての民たみは皆みなあなたが主しゅの名なをもって唱となえられるのを見みてあなたを恐おそれるであろう。
28:11 主しゅがあなたに与あたえると先祖せんぞに誓ちかわれた地ちで、主しゅは良よい物もの、すなわちあなたの身みから生うまれる者もの、家畜かちくの産うむもの、地ちに産さんする物ものを豊ゆたかにされるであろう。
28:12 主しゅはその宝たからの蔵くらである天てんをあなたのために開ひらいて、雨あめを季節きせつにしたがってあなたの地ちに降ふらせ、あなたの手てのすべてのわざを祝福しゅくふくされるであろう。あなたは多おおくの国民こくみんに貸かすようになり、借かりることはないであろう。
28:13 主しゅはあなたをかしらとならせ、尾おとはならせられないであろう。あなたはただ栄さかえて衰おとろえることはないであろう。きょう、わたしが命めいじるあなたの神かみ、主しゅの戒いましめに聞きき従したがって、これを守まもり行おこなうならば、あなたは必かならずこのようになるであろう。
28:14 きょう、わたしが命めいじるこのすべての言葉ことばを離はなれて右みぎまたは左ひだりに曲まがり、他たの神々かみがみに従したがい、それに仕つかえてはならない。
28:15 しかし、あなたの神かみ、主しゅの声こえに聞きき従したがわず、きょう、わたしが命めいじるすべての戒いましめと定さだめとを守まもり行おこなわないならば、このもろもろののろいがあなたに臨のぞみ、あなたに及およぶであろう。
28:16 あなたは町まちのうちでものろわれ、畑はたけでものろわれ、
28:17 あなたのかごも、こねばちものろわれ、
28:18 あなたの身みから生うまれるもの、地ちに産さんする物もの、牛うしの子こ、羊ひつじの子こものろわれるであろう。
28:19 あなたは、はいるにものろわれ、出でるにものろわれるであろう。
28:20 主しゅはあなたが手てをくだすすべての働はたらきにのろいと、混乱こんらんと、懲こらしめとを送おくられ、あなたはついに滅ほろび、すみやかにうせ果はてるであろう。これはあなたが悪あくをおこなってわたしを捨すてたからである。
28:21 主しゅは疫病えきびょうをあなたの身みにつかせ、あなたが行いって取とる地ちから、ついにあなたを断たち滅ほろぼされるであろう。
28:22 主しゅはまた肺病はいびょうと熱病ねつびょうと炎症えんしょうと間あいだけつ熱ねつと、かんばつと、立たち枯がれと、腐くさり穂ほとをもってあなたを撃うたれるであろう。これらのものはあなたを追おい、ついにあなたを滅ほろぼすであろう。
28:23 あなたの頭あたまの上うえの天てんは青銅せいどうとなり、あなたの下したの地ちは鉄てつとなるであろう。
28:24 主しゅはあなたの地ちの雨あめを、ちりと、ほこりに変かわらせ、それが天てんからあなたの上うえにくだって、ついにあなたを滅ほろぼすであろう。
28:25 主しゅはあなたを敵てきの前まえで敗やぶれさせられるであろう。あなたは一つの道みちから彼かれらを攻せめて行いくが、彼かれらの前まえで七つの道みちから逃にげ去さるであろう。そしてあなたは地ちのもろもろの国くにに恐おそるべき見みせしめとなるであろう。
28:26 またあなたの死体したいは空そらのもろもろの鳥とりと、地ちの獣けものとのえじきとなり、しかもそれを追おい払はらう者ものはないであろう。
28:27 主しゅはエジプトの腫物はれものと潰瘍かいようと壊血病かいけつびょうとひぜんとをもってあなたを撃うたれ、あなたはいやされることはないであろう。
28:28 また主しゅはあなたを撃うって気きを狂くるわせ、目めを見みえなくし、心こころを混乱こんらんさせられるであろう。
28:29 あなたは盲人もうじんが暗くらやみに手探てさぐりするように、真昼まひるにも手探てさぐりするであろう。あなたは行ゆく道みちで栄さかえることがなく、ただ常つねにしえたげられ、かすめられるだけで、あなたを救すくう者ものはないであろう。
28:30 あなたは妻つまをめとっても、ほかの人ひとが彼女かのじょと寝ねるであろう。家いえを建たてても、その中なかに住すまないであろう。ぶどう畑はたけを作つくっても、その実みを摘つみ取とることがないであろう。
28:31 あなたの牛うしが目めの前まえでほふられても、あなたはそれを食たべることができず、あなたのろばが目めの前まえで奪うばわれても、返かえされないであろう。あなたの羊ひつじが敵てきのものになっても、それを救すくってあなたに返かえす者ものはないであろう。
28:32 あなたのむすこや娘むすめは他国民たこくみんにわたされる。あなたの目めはそれを見み、終日しゅうじつ、彼かれらを慕したって衰おとろえるが、あなたは手てを施ほどこすすべもないであろう。
28:33 あなたの地ちの産物さんぶつおよびあなたの労ろうして獲えた物ものはみなあなたの知しらない民たみが食たべるであろう。あなたは、ただ常つねにしえたげられ、苦くるしめられるのみであろう。
28:34 こうしてあなたは目めに見みる事柄ことがらによって、気きが狂くるうにいたるであろう。
28:35 主しゅはあなたのひざと、はぎとに悪わるい、いやし得えない腫物はれものを生しょうじさせて、足あしの裏うらから頭あたまの頂いただきにまで及およぼされるであろう。
28:36 主しゅはあなたとあなたが立たてた王おうとを携たずさえて、あなたもあなたの先祖せんぞも知しらない国くにに移うつされるであろう。あなたはそこで木きや石いしで造つくったほかの神々かみがみに仕つかえるであろう。
28:37 あなたは主しゅがあなたを追おいやられるもろもろの民たみのなかで驚おどろきとなり、ことわざとなり、笑わらい草ぐさとなるであろう。
28:38 あなたが多おおくの種たねを畑はたけに携たずさえて出でても、その収穫しゅうかくは少すくないであろう。いなごがそれを食くいつくすからである。
28:39 あなたがぶどう畑はたけを作つくり、それにつちかっても、そのぶどう酒しゅを飲のむことができず、その実みを集あつめることもないであろう。虫むしがそれを食たべるからである。
28:40 あなたの国くににはあまねくオリブの木きがあるであろう。しかし、あなたはその油あぶらを身みに塗ぬることができないであろう。その実みがみな落おちてしまうからである。
28:41 むすこや、娘むすめがあなたに生うまれても、あなたのものにならないであろう。彼かれらは捕とらえられて行いくからである。
28:42 あなたのもろもろの木き、および地ちの産物さんぶつは、いなごが取とって食たべるであろう。
28:43 あなたのうちに寄留きりゅうする他国たこく人じんは、ますます高たかくなり、あなたの上うえに出でて、あなたはますます低ひくくなるであろう。
28:44 彼かれはあなたに貸かし、あなたは彼かれに貸かすことができない。彼かれはかしらとなり、あなたは尾おとなるであろう。
28:45 このもろもろののろいが、あなたに臨のぞみ、あなたを追おい、ついに追おいついて、あなたを滅ほろぼすであろう。これはあなたの神かみ、主しゅの声こえに聞きき従したがわず、あなたに命めいじられた戒いましめと定さだめとを、あなたが守まもらなかったからである。
28:46 これらの事ことは長ながくあなたとあなたの子孫しそんのうえにあって、しるしとなり、また不思議ふしぎとなるであろう。
28:47 あなたがすべての物ものに豊ゆたかになり、あなたの神かみ、主しゅに心こころから喜よろこび楽たのしんで仕つかえないので、
28:48 あなたは飢うえ、かわき、裸はだかになり、すべての物ものに乏とぼしくなって、主しゅがあなたにつかわされる敵てきに仕つかえるであろう。敵てきは鉄てつのくびきをあなたのくびにかけ、ついにあなたを滅ほろぼすであろう。
28:49 すなわち主しゅは遠とおい所ところから、地ちのはてから一つの民たみを、はげたかが飛とびかけるように、あなたに攻せめきたらせられるであろう。これはあなたがその言葉ことばを知しらない民たみ、
28:50 顔かおの恐おそろしい民たみであって、彼かれらは老人ろうじんの身みを顧かえりみず、幼おさない者ものをあわれまず、
28:51 あなたの家畜かちくが産うむものや、地ちの産物さんぶつを食くって、あなたを滅ほろぼし、穀物こくもつをも、酒さけをも、油あぶらをも、牛うしの子こをも、羊ひつじの子こをも、あなたの所ところに残のこさず、ついにあなたを全まったく滅ほろぼすであろう。
28:52 その民たみは全国ぜんこくですべての町まちを攻せめ囲かこみ、ついにあなたが頼たのみとする、堅固けんごな高たかい石いしがきをことごとく撃うちくずし、あなたの神かみ、主しゅが賜たまわった国くにのうちのすべての町々まちまちを攻せめ囲かこむであろう。
28:53 あなたは敵てきに囲かこまれ、激はげしく攻せめなやまされて、ついにあなたの神かみ、主しゅが賜たまわったあなたの身みから生うまれた者もの、むすこ、娘むすめの肉にくを食たべるに至いたるであろう。
28:54 あなたがたのうちのやさしい、温和おんわな男おとこでさえも、自分じぶんの兄弟きょうだい、自分じぶんのふところの妻つま、最後さいごに残のこっている子供こどもにも食物しょくもつを惜おしんで与あたえず、
28:55 自分じぶんが自分じぶんの子供こどもを食たべ、その肉にくを少すこしでも、この人々ひとびとのだれにも与あたえようとはしないであろう。これは敵てきがあなたのすべての町々まちまちを囲かこみ、激はげしく攻せめ悩なやまして、何なにをもその人ひとに残のこさないからである。
28:56 またあなたがたのうちのやさしい、柔和にゅうわな女おんな、すなわち柔和にゅうわで、やさしく、足あしの裏うらを土つちに付つけようともしない者ものでも、自分じぶんのふところの夫おっとや、むすこ、娘むすめにもかくして、
28:57 自分じぶんの足あしの間あいだからでる後産ごさんや、自分じぶんの産うむ子こをひそかに食たべるであろう。敵てきがあなたの町々まちまちを囲かこみ、激はげしく攻せめなやまして、すべての物ものが 乏けつぼうするからである。
28:58 もしあなたが、この書物しょもつにしるされているこの律法りっぽうのすべての言葉ことばを守まもり行おこなわず、あなたの神かみ、主しゅというこの栄さかえある恐おそるべき名なを恐おそれないならば、
28:59 主しゅはあなたとその子孫しそんの上うえに激はげしい災わざわいを下くだされるであろう。その災わざわいはきびしく、かつ久ひさしく、その病気びょうきは重おもく、かつ久ひさしいであろう。
28:60 主しゅはまた、あなたが恐おそれた病気びょうき、すなわちエジプトのもろもろの病気びょうきを再ふたたび臨のぞませて、あなたの身みにつかせられるであろう。
28:61 またこの律法りっぽうの書しょにのせてないもろもろの病気びょうきと、もろもろの災わざわいとを、主しゅはあなたが滅ほろびるまで、あなたの上うえに下くだされるであろう。
28:62 あなたがたは天てんの星ほしのように多おおかったが、あなたの神かみ、主しゅの声こえに聞きき従したがわなかったから、残のこる者ものが少すくなくなるであろう。
28:63 さきに主しゅがあなたがたを良よくあしらい、あなたがたを多おおくするのを喜よろこばれたように、主しゅは今いまあなたがたを滅ほろぼし絶たやすのを喜よろこばれるであろう。あなたがたは、はいって取とる地ちから抜ぬき去さられるであろう。
28:64 主しゅは地ちのこのはてから、かのはてまでのもろもろの民たみのうちにあなたがたを散ちらされるであろう。その所ところで、あなたもあなたの先祖せんぞたちも知しらなかった木きや石いしで造つくったほかの神々かみがみにあなたは仕つかえるであろう。
28:65 その国々くにぐにの民たみのうちであなたは安やすきを得えず、また足あしの裏うらを休やすめる所ところも得えられないであろう。主しゅはその所ところで、あなたの心こころをおののかせ、目めを衰おとろえさせ、精神せいしんを打うちしおれさせられるであろう。
28:66 あなたの命いのちは細ほそい糸いとにかかっているようになり、夜昼よるひる恐おそれおののいて、その命いのちもおぼつかなく思おもうであろう。
28:67 あなたが心こころにいだく恐おそれと、目めに見みるものによって、朝あさには『ああ夕ゆうであればよいのに』と言いい、夕ゆうには『ああ朝あさであればよいのに』と言いうであろう。
28:68 主しゅはあなたを舟ふねに乗のせ、かつてわたしがあなたに告つげて、『あなたは再ふたたびこれを見みることはない』と言いった道みちによって、あなたをエジプトへ連つれもどされるであろう。あなたがたはそこで男女だんじょの奴隷どれいとして敵てきに売うられるが、だれも買かう者ものはないであろう」。
第29章 29:1 これは主しゅがモーセに命めいじて、モアブの地ちでイスラエルの人々ひとびとと結むすばせられた契約けいやくの言葉ことばであって、ホレブで彼かれらと結むすばれた契約けいやくのほかのものである。 29:2 モーセはイスラエルのすべての人ひとを呼よび集あつめて言いった、「あなたがたは主しゅがエジプトの地ちで、パロと、そのすべての家来けらいと、その全ぜん地ちとにせられたすべての事ことをまのあたり見みた。29:3 すなわちその大おおきな試こころみと、しるしと、大おおきな不思議ふしぎとをまのあたり見みたのである。29:4 しかし、今日こんにちまで主しゅはあなたがたの心こころに悟さとらせず、目めに見みさせず、耳みみに聞きかせられなかった。29:5 わたしは四十年ねんの間あいだ、あなたがたを導みちびいて荒野あらのを通とおらせたが、あなたがたの身みにつけた着物きものは古ふるびず、足あしのくつは古ふるびなかった。29:6 あなたがたはまたパンも食たべず、ぶどう酒しゅも濃こい酒さけも飲のまなかった。こうしてあなたがたは、わたしがあなたがたの神かみ、主しゅであることを知しるに至いたった。29:7 あなたがたがこの所ところにきたとき、ヘシボンの王おうシホンと、バシャンの王おうオグがわれわれを迎むかえて戦たたかったが、われわれは彼かれらを撃うち敗やぶって、29:8 その地ちを取とり、これをルベンびとと、ガドびとと、マナセびとの半なかばとに、嗣し業ぎょうとして与あたえた。29:9 それゆえ、あなたがたはこの契約けいやくの言葉ことばを守まもって、それを行おこなわなければならない。そうすればあなたがたのするすべての事ことは栄さかえるであろう。 29:10 あなたがたは皆みな、きょう、あなたがたの神かみ、主しゅの前まえに立たっている。すなわちあなたがたの部族ぶぞくのかしらたち、長老ちょうろうたち、つかさたちなど、イスラエルのすべての人々ひとびと、29:11 あなたがたの小ちいさい者ものたちも、妻つまたちも、宿営しゅくえいのうちに寄留きりゅうしている他国たこく人じんも、あなたのために、たきぎを割わる者ものも、水みずをくむ者ものも、みな主しゅの前まえに立たって、29:12 あなたの神かみ、主しゅが、きょう、あなたと結むすばれるあなたの神かみ、主しゅの契約けいやくと誓ちかいとに、はいろうとしている。29:13 これは主しゅがさきにあなたに約束やくそくされたように、またあなたの先祖せんぞアブラハム、イサク、ヤコブに誓ちかわれたように、きょう、あなたを立たてて自分じぶんの民たみとし、またみずからあなたの神かみとなられるためである。29:14 わたしはただあなたがたとだけ、この契約けいやくと誓ちかいとを結むすぶのではない。29:15 きょう、ここで、われわれの神かみ、主しゅの前まえにわれわれと共ともに立たっている者ものならびに、きょう、ここにわれわれと共ともにいない者ものとも結むすぶのである。 29:16 われわれがどのようにエジプトの国くにに住すんでいたか、どのように国々くにぐにの民たみの中なかを通とおってきたか、それはあなたがたが知しっている。29:17 またあなたがたは木きや石いしや銀ぎんや金きんで造つくった憎にくむべき物ものと偶像ぐうぞうとが、彼かれらのうちにあるのを見みた。29:18 それゆえ、あなたがたのうちに、きょう、その心こころにわれわれの神かみ、主しゅを離はなれてそれらの国民こくみんの神々かみがみに行いって仕つかえる男おとこや女おんな、氏族しぞくや部族ぶぞくがあってはならない。またあなたがたのうちに、毒草どくそうや、にがよもぎを生しょうずる根ねがあってはならない。29:19 そのような人ひとはこの誓ちかいの言葉ことばを聞きいても、心こころに自分じぶんを祝福しゅくふくして『心こころをかたくなにして歩あゆんでもわたしには平安へいあんがある』と言いうであろう。そうすれば潤うるおった者ものも、かわいた者ものもひとしく滅ほろびるであろう。29:20 主しゅはそのような人ひとをゆるすことを好このまれない。かえって主しゅはその人ひとに怒いかりとねたみを発はっし、この書物しょもつにしるされたすべてののろいを彼かれの上うえに加くわえ、主しゅはついにその人ひとの名なを天てんの下したから消けし去さられるであろう。29:21 主しゅはイスラエルのすべての部族ぶぞくのうちからその人ひとを区く別べっして災わざわいをくだし、この律法りっぽうの書しょにしるされた契約けいやくの中なかのもろもろののろいのようにされるであろう。29:22 後のちの代よの人ひと、すなわちあなたがたののちに起おこるあなたがたの子孫しそんおよび遠とおい国くにから来くる外国がいこく人じんは、この地ちの災わざわいを見み、主しゅがこの地ちにくだされた病気びょうきを見みて言いうであろう。29:23 ――全ぜん地ちは硫黄いおうとなり、塩しおとなり、焼やけ土つちとなって、種たねもまかれず、実みも結むすばず、なんの草くさも生しょうじなくなって、むかし主しゅが怒いかりと憤いきどおりをもって滅ほろぼされたソドム、ゴモラ、アデマ、ゼボイムの破滅はめつのようである。――29:24 すなわち、もろもろの国民こくみんは言いうであろう、『なぜ、主しゅはこの地ちにこのようなことをされたのか。この激はげしい大おおいなる怒いかりは何なにゆえか』。29:25 そのとき人々ひとびとは言いうであろう、『彼かれらはその先祖せんぞの神かみ、主しゅがエジプトの国くにから彼かれらを導みちびき出だして彼かれらと結むすばれた契約けいやくをすて、29:26 行いって彼かれらの知しらない、また授さずからない、ほかの神々かみがみに仕つかえて、それを拝おがんだからである。29:27 それゆえ主しゅはこの地ちにむかって怒いかりを発はっし、この書物しょもつにしるされたもろもろののろいをこれにくだし、29:28 そして主しゅは怒いかりと、はげしい怒いかりと大おおいなる憤いきどおりとをもって彼かれらをこの地ちから抜ぬき取とって、ほかの国くにに投なげやられた。今日こんにち見みるとおりである』。 29:29 隠かくれた事ことはわれわれの神かみ、主しゅに属ぞくするものである。しかし表あらわされたことは長ながくわれわれとわれわれの子孫しそんに属ぞくし、われわれにこの律法りっぽうのすべての言葉ことばを行おこなわせるのである。 第30章 30:1 わたしがあなたがたの前まえに述のべたこのもろもろの祝福しゅくふくと、のろいの事ことがあなたに臨のぞみ、あなたがあなたの神かみ、主しゅに追おいやられたもろもろの国民こくみんのなかでこの事ことを心こころに考かんがえて、30:2 あなたもあなたの子供こどもも共ともにあなたの神かみ、主しゅに立たち帰かえり、わたしが、きょう、命めいじるすべてのことにおいて、心こころをつくし、精神せいしんをつくして、主しゅの声こえに聞きき従したがうならば、30:3 あなたの神かみ、主しゅはあなたを再ふたたび栄さかえさせ、あなたをあわれみ、あなたの神かみ、主しゅはあなたを散ちらされた国々くにぐにから再ふたたび集あつめられるであろう。30:4 たといあなたが天てんのはてに追おいやられても、あなたの神かみ、主しゅはそこからあなたを集あつめ、そこからあなたを連つれ帰かえられるであろう。30:5 あなたの神かみ、主しゅはあなたの先祖せんぞが所有しょゆうした地ちにあなたを帰かえらせ、あなたはそれを所有しょゆうするに至いたるであろう。主しゅはまたあなたを栄さかえさせ、数かずを増まして先祖せんぞたちよりも多おおくされるであろう。30:6 そしてあなたの神かみ、主しゅはあなたの心こころとあなたの子孫しそんの心こころに割礼かつれいを施ほどこし、あなたをして、心こころをつくし、精神せいしんをつくしてあなたの神かみ、主しゅを愛あいさせ、こうしてあなたに命いのちを得えさせられるであろう。30:7 あなたの神かみ、主しゅはまた、あなたを迫害はくがいする敵てきと、あなたを憎にくむ者ものとに、このもろもろののろいをこうむらせられるであろう。30:8 しかし、あなたは再ふたたび主しゅの声こえに聞きき従したがい、わたしが、きょう、あなたに命めいじるすべての戒いましめを守まもるであろう。30:9 そうすればあなたの神かみ、主しゅはあなたのするすべてのことと、あなたの身みから生うまれる者ものと、家畜かちくの産うむものと、地ちに産さんする物ものを豊ゆたかに与あたえて、あなたを栄さかえさせられるであろう。すなわち主しゅはあなたの先祖せんぞたちを喜よろこばれたように再ふたたびあなたを喜よろこんで、あなたを栄さかえさせられるであろう。30:10 これはあなたが、あなたの神かみ、主しゅの声こえに聞ききしたがい、この律法りっぽうの書しょにしるされた戒いましめと定さだめとを守まもり、心こころをつくし、精神せいしんをつくしてあなたの神かみ、主しゅに帰きするからである。 30:11 わたしが、きょう、あなたに命めいじるこの戒いましめは、むずかしいものではなく、また遠とおいものでもない。30:12 これは天てんにあるのではないから、『だれがわれわれのために天てんに上のぼり、それをわれわれのところへ持もってきて、われわれに聞きかせ、行おこなわせるであろうか』と言いうに及およばない。30:13 またこれは海うみのかなたにあるのではないから、『だれがわれわれのために海うみを渡わたって行いき、それをわれわれのところへ携たずさえてきて、われわれに聞きかせ、行おこなわせるであろうか』と言いうに及およばない。30:14 この言葉ことばはあなたに、はなはだ近ちかくあってあなたの口くちにあり、またあなたの心こころにあるから、あなたはこれを行おこなうことができる。 30:15 見みよ、わたしは、きょう、命いのちとさいわい、および死しと災わざわいをあなたの前まえに置おいた。30:16 すなわちわたしは、きょう、あなたにあなたの神かみ、主しゅを愛あいし、その道みちに歩あゆみ、その戒いましめと定さだめと、おきてとを守まもることを命めいじる。それに従したがうならば、あなたは生いきながらえ、その数かずは多おおくなるであろう。またあなたの神かみ、主しゅはあなたが行いって取とる地ちであなたを祝福しゅくふくされるであろう。30:17 しかし、もしあなたが心こころをそむけて聞きき従したがわず、誘さそわれて他たの神々かみがみを拝おがみ、それに仕つかえるならば、30:18 わたしは、きょう、あなたがたに告つげる。あなたがたは必かならず滅ほろびるであろう。あなたがたはヨルダンを渡わたり、はいって行いって取とる地ちでながく命いのちを保たもつことができないであろう。30:19 わたしは、きょう、天てんと地ちを呼よんであなたがたに対たいする証人しょうにんとする。わたしは命いのちと死しおよび祝福しゅくふくとのろいをあなたの前まえに置おいた。あなたは命いのちを選えらばなければならない。そうすればあなたとあなたの子孫しそんは生いきながらえることができるであろう。30:20 すなわちあなたの神かみ、主しゅを愛あいして、その声こえを聞きき、主しゅにつき従したがわなければならない。そうすればあなたは命いのちを得え、かつ長ながく命いのちを保たもつことができ、主しゅが先祖せんぞアブラハム、イサク、ヤコブに与あたえると誓ちかわれた地ちに住すむことができるであろう」。 第31章 31:1 そこでモーセは続つづいてこの言葉ことばをイスラエルのすべての人ひとに告つげて、31:2 彼かれらに言いった、「わたしは、きょう、すでに百二十歳さいになり、もはや出入でいりすることはできない。また主しゅはわたしに『おまえはこのヨルダンを渡わたることはできない』と言いわれた。31:3 あなたの神かみ、主しゅはみずからあなたに先立さきだって渡わたり、あなたの前まえから、これらの国々くにぐにの民たみを滅ほろぼし去さって、あなたにこれを獲えさせられるであろう。また主しゅがかつて言いわれたように、ヨシュアはあなたを率ひきいて渡わたるであろう。31:4 主しゅがさきにアモリびとの王おうシホンとオグおよびその地ちにされたように、彼かれらにもおこなって彼かれらを滅ほろぼされるであろう。31:5 主しゅは彼かれらをあなたがたに渡わたされるから、あなたがたはわたしが命めいじたすべての命令めいれいのとおりに彼かれらに行おこなわなければならない。31:6 あなたがたは強つよく、かつ勇いさましくなければならない。彼かれらを恐おそれ、おののいてはならない。あなたの神かみ、主しゅがあなたと共ともに行いかれるからである。主しゅは決けっしてあなたを見放みはなさず、またあなたを見捨みすてられないであろう」。 31:7 モーセはヨシュアを呼よび、イスラエルのすべての人ひとの目めの前まえで彼かれに言いった、「あなたはこの民たみと共ともに行いき、主しゅが彼かれらの先祖せんぞたちに与あたえると誓ちかわれた地ちに入いるのであるから、あなたは強つよく、かつ勇いさましくなければならない。あなたは彼かれらにそれを獲えさせるであろう。31:8 主しゅはみずからあなたに先立さきだって行いき、またあなたと共ともにおり、あなたを見放みはなさず、見捨みすてられないであろう。恐おそれてはならない、おののいてはならない」。 31:9 モーセはこの律法りっぽうを書かいて、主しゅの契約けいやくの箱はこをかつぐレビの子孫しそんである祭司さいしおよびイスラエルのすべての長老ちょうろうたちに授さづけた。31:10 そしてモーセは彼かれらに命めいじて言いった、「七年ねんの終おわりごとに、すなわち、ゆるしの年としの定さだめの時ときになり、かりいおの祭まつりに、31:11 イスラエルのすべての人ひとがあなたの神かみ、主しゅの前まえに出でるため、主しゅの選えらばれる場所ばしょに来くるとき、あなたはイスラエルのすべての人ひとの前まえでこの律法りっぽうを読よんで聞きかせなければならない。31:12 すなわち男おとこ、女おんな、子供こどもおよびあなたの町まちのうちに寄留きりゅうしている他国たこく人じんなど民たみを集あつめ、彼かれらにこれを聞きかせ、かつ学まなばせなければならない。そうすれば彼かれらはあなたがたの神かみ、主しゅを恐おそれてこの律法りっぽうの言葉ことばを、ことごとく守まもり行おこなうであろう。31:13 また彼かれらの子供こどもたちでこれを知しらない者ものも聞きいて、あなたがたの神かみ、主しゅを恐おそれることを学まなぶであろう。あなたがたがヨルダンを渡わたって行いって取とる地ちにながらえる日ひのあいだ常つねにそうしなければならない」。 31:14 主しゅはまたモーセに言いわれた、「あなたの死しぬ日ひが近ちかづいている。ヨシュアを召めして共ともに会見かいけんの幕屋まくやに立たちなさい。わたしは彼かれに務つとめを命めいじるであろう」。モーセとヨシュアが行いって会見かいけんの幕屋まくやに立たつと、31:15 主しゅは幕屋まくやで雲くもの柱はしらのうちに現あらわれられた。その雲くもの柱はしらは幕屋まくやの入口いりぐちのかたわらにとどまった。 31:16 主しゅはモーセに言いわれた、「あなたはまもなく眠ねむって先祖せんぞたちと一緒いっしょになるであろう。そのときこの民たみはたちあがり、はいって行いく地ちの異ことなる神々かみがみを慕したって姦淫かんいんを行おこない、わたしを捨すて、わたしが彼かれらと結むすんだ契約けいやくを破やぶるであろう。31:17 その日ひには、わたしは彼かれらにむかって怒いかりを発はっし、彼かれらを捨すて、わたしの顔かおを彼かれらに隠かくすゆえに、彼かれらは滅ほろぼしつくされ、多おおくの災わざわいと悩なやみが彼かれらに臨のぞむであろう。そこでその日ひ、彼かれらは言いうであろう、『これらの災わざわいがわれわれに臨のぞむのは、われわれの神かみがわれわれのうちにおられないからではないか』。31:18 しかも彼かれらがほかの神々かみがみに帰きして、もろもろの悪あくを行おこなうゆえに、わたしはその日ひには必かならずわたしの顔かおを隠かくすであろう。31:19 それであなたがたは今いま、この歌うたを書かきしるし、イスラエルの人々ひとびとに教おしえてその口くちに唱となえさせ、この歌うたをイスラエルの人々ひとびとに対たいするわたしのあかしとならせなさい。31:20 わたしが彼かれらの先祖せんぞたちに誓ちかった、乳ちちと蜜みつの流ながれる地ちに彼かれらを導みちびき入いれる時とき、彼かれらは食たべて飽あき、肥こえ太ふとるに及およんで、ほかの神々かみがみに帰きし、それに仕つかえて、わたしを軽かろんじ、わたしの契約けいやくを破やぶるであろう。31:21 こうして多おおくの災わざわいと悩なやみとが彼かれらに臨のぞむ時とき、この歌うたは彼かれらに対たいして、あかしとなるであろう。(それはこの歌うたが彼かれらの子孫しそんの口くちにあって、彼かれらはそれを忘わすれないからである。)わたしが誓ちかった地ちに彼かれらを導みちびき入いれる前まえ、すでに彼かれらが思おもいはかっている事ことをわたしは知しっているからである」。31:22 モーセはその日ひ、この歌うたを書かいてイスラエルの人々ひとびとに教おしえた。 31:23 主しゅはヌンの子こヨシュアに命めいじて言いわれた、「あなたはイスラエルの人々ひとびとをわたしが彼かれらに誓ちかった地ちに導みちびき入いれなければならない。それゆえ強つよくかつ勇いさましくあれ。わたしはあなたと共ともにいるであろう」。 31:24 モーセがこの律法りっぽうの言葉ことばを、ことごとく書物しょもつに書かき終おわった時とき、31:25 モーセは主しゅの契約けいやくの箱はこをかつぐレビびとに命めいじて言いった、31:26 「この律法りっぽうの書しょをとって、あなたがたの神かみ、主しゅの契約けいやくの箱はこのかたわらに置おき、その所ところであなたにむかってあかしをするものとしなさい。31:27 わたしはあなたのそむくことと、かたくななこととを知しっている。きょう、わたしが生いきながらえて、あなたがたと一緒いっしょにいる間あいだですら、あなたがたは主しゅにそむいた。ましてわたしが死しんだあとはどんなであろう。31:28 あなたがたの部族ぶぞくのすべての長老ちょうろうたちと、つかさたちをわたしのもとに集あつめなさい。わたしはこれらの言葉ことばを彼かれらに語かたり聞きかせ、天てんと地ちとを呼よんで彼かれらにむかってあかしさせよう。31:29 わたしは知しっている。わたしが死しんだのち、あなたがたは必かならず悪わるい事ことをして、わたしが命めいじた道みちを離はなれる。そして後のちの日ひに災わざわいがあなたがたに臨のぞむであろう。これは主しゅの悪あくと見みられることを行おこない、あなたがたのすることをもって主しゅを怒いからせるからである」。 31:30 そしてモーセはイスラエルの全ぜん会衆かいしゅうに次つぎの歌うたの言葉ことばを、ことごとく語かたり聞きかせた。 第32章 32:1 「天てんよ、耳みみを傾かたむけよ、わたしは語かたる、地ちよ、わたしの口くちの言葉ことばを聞きけ。32:2 わたしの教おしえは雨あめのように降ふりそそぎ、わたしの言葉ことばは露つゆのようにしたたるであろう。若草わかくさの上うえに降ふる小雨こさめのように、青草あおくさの上うえにくだる夕立ゆうだちのように。32:3 わたしは主しゅの名なをのべよう、われわれの神かみに栄光えいこうを帰かえせよ。32:4 主しゅは岩いわであって、そのみわざは全まったく、その道みちはみな正ただしい。主しゅは真実しんじつなる神かみであって、偽いつわりなく、義ぎであって、正せいである。32:5 彼かれらは主しゅにむかって悪あくを行おこない、そのきずのゆえに、もはや主しゅの子こらではなく、よこしまで、曲まがったやからである。32:6 愚おろかな知恵ちえのない民たみよ、あなたがたはこのようにして主しゅに報むくいるのか。主しゅはあなたを生うみ、あなたを つくり、あなたを堅かたく立たてられたあなたの父ちちではないか。32:7 いにしえの日ひを覚おぼえ、代々よよの年としを思おもえ。あなたの父ちちに問とえ、彼かれはあなたに告つげるであろう。長老ちょうろうたちに問とえ、彼かれらはあなたに語かたるであろう。32:8 いと高たかき者ものは人ひとの子こらを分わけ、諸しょ国民こくみんにその嗣し業ぎょうを与あたえられたとき、イスラエルの子こらの数かずに照てらして、もろもろの民たみの境さかいを定さだめられた。32:9 主しゅの分ぶんはその民たみであって、ヤコブはその定さだめられた嗣し業ぎょうである。32:10 主しゅはこれを荒野あらのの地ちで見みいだし、獣けもののほえる荒あれ地ちで会あい、これを巡めぐり囲かこんでいたわり、目めのひとみのように守まもられた。32:11 わしがその巣すのひなを呼よび起おこし、その子この上うえに舞まいかけり、その羽はねをひろげて彼かれらをのせ、そのつばさの上うえにこれを負おうように、32:12 主しゅはただひとりで彼かれを導みちびかれて、ほかの神々かみがみはあずからなかった。32:13 主しゅは彼かれに地ちの高たかき所ところを乗のり通とおらせ、田畑たはたの産物さんぶつを食くわせ、岩いわの中なかから蜜みつを吸すわせ、堅かたい岩いわから油あぶらを吸すわせ、32:14 牛うしの凝乳ぎょうにゅう、羊ひつじの乳ちち、小羊こひつじと雄羊おひつじの脂肪しぼう、バシャンの牛うしと雄おやぎ、小麦こむぎの良よい物ものを食くわせられた。またあなたはぶどうのしるのあわ立たつ酒さけを飲のんだ。32:15 しかるにエシュルンは肥こえ太ふとって、足あしでけった。あなたは肥こえ太ふとって、つややかになり、自分じぶんを つくった神かみを捨すて、救すくいの岩いわを侮あなどった。32:16 彼かれらはほかの神々かみがみに仕つかえて、主しゅのねたみを起おこし、憎にくむべきおこないをもって主しゅの怒いかりをひき起おこした。32:17 彼かれらは神かみでもない悪霊あくれいに犠牲ぎせいをささげた。それは彼かれらがかつて知しらなかった神々かみがみ、近ちかごろ出でた新あたらしい神々かみがみ、先祖せんぞたちの恐おそれることもしなかった者ものである。32:18 あなたは自分じぶんを生うんだ岩いわを軽かろんじ、自分じぶんを造つくった神かみを忘わすれた。32:19 主しゅはこれを見み、そのむすこ、娘むすめを怒いかってそれを捨すてられた。32:20 そして言いわれた、『わたしはわたしの顔かおを彼かれらに隠かくそう。わたしは彼かれらの終おわりがどうなるかを見みよう。彼かれらはそむき、もとるやから、真実しんじつのない子こらである。32:21 彼かれらは神かみでもない者ものをもって、わたしにねたみを起おこさせ、偶像ぐうぞうをもって、わたしを怒いからせた。それゆえ、わたしは民たみともいえない者ものをもって、彼かれらにねたみを起おこさせ、愚おろかな民たみをもって、彼かれらを怒いからせるであろう。32:22 わたしの怒いかりによって、火ひは燃もえいで、陰府よみの深ふかみにまで燃もえ行いき、地ちとその産物さんぶつとを焼やきつくし、山々やまやまの基もといを燃もやすであろう。32:23 わたしは彼かれらの上うえに災わざわいを積つみかさね、わたしの矢やを彼かれらにむかって射いつくすであろう。32:24 彼かれらは飢うえて、やせ衰おとろえ、熱病ねつびょうと悪わるい疫病えきびょうによって滅ほろびるであろう。わたしは彼かれらを獣けものの歯はにかからせ、地ちに這はうものの毒どくにあたらせるであろう。32:25 外そとにはつるぎ、内うちには恐おそれがあって、若わかき男おとこも若わかき女おんなも、乳ちのみ子ごも、しらがの人ひとも滅ほろびるであろう。32:26 わたしはまさに言いおうとした、「彼かれらを遠とおく散ちらし、彼かれらの事ことを人々ひとびとが記憶きおくしないようにしよう」。32:27 しかし、わたしは敵てきが誇ほこるのを恐おそれる。あだびとはまちがえて言いうであろう、「われわれの手てが勝かちをえたのだ。これはみな主しゅがされたことではない」』。32:28 彼かれらは思慮しりょの欠かけた民たみ、そのうちには知識ちしきがない。32:29 もし、彼かれらに知恵ちえがあれば、これをさとり、その身みの終おわりをわきまえたであろうに。32:30 彼かれらの岩いわが彼かれらを売うらず、主しゅが彼かれらをわたされなかったならば、どうして、ひとりで千人にんを追おい、ふたりで万まん人にんを敗やぶることができたであろう。32:31 彼かれらの岩いわはわれらの岩いわに及およばない。われらの敵てきもこれを認みとめている。32:32 彼かれらのぶどうの木きは、ソドムのぶどうの木きから出でたもの、またゴモラの野のから出でたもの、そのぶどうは毒どくぶどう、そのふさは苦にがい。32:33 そのぶどう酒しゅはへびの毒どくのよう、まむしの恐おそろしい毒どくのようである。32:34 これはわたしのもとにたくわえられ、わたしの倉くらに封ふうじ込こめられているではないか。32:35 彼かれらの足あしがすべるとき、わたしはあだを返かえし、報むくいをするであろう。彼かれらの災わざわいの日ひは近ちかく、彼かれらの破滅はめつは、すみやかに来くるであろう。32:36 主しゅはついにその民たみをさばき、そのしもべらにあわれみを加くわえられるであろう。これは彼かれらの力ちからがうせ去さり、つながれた者ものもつながれない者ものも、もはやいなくなったのを、主しゅが見みられるからである。32:37 そのとき主しゅは言いわれるであろう、『彼かれらの神々かみがみはどこにいるか、彼かれらの頼たのみとした岩いわはどこにあるか。32:38 彼かれらの犠牲ぎせいのあぶらを食くい、灌祭かんさいの酒さけを飲のんだ者ものはどこにいるか。立たちあがってあなたがたを助たすけさせよ、あなたがたを守まもらせよ。32:39 今見いまみよ、わたしこそは彼かれである。わたしのほかに神かみはない。わたしは殺ころし、また生いかし、傷きずつけ、またいやす。わたしの手てから救すくい出だしうるものはない。32:40 わたしは天てんにむかい手てをあげて誓ちかう、「わたしは永遠えいえんに生いきる。32:41 わたしがきらめくつるぎをとぎ、手てにさばきを握にぎるとき、わたしは敵てきにあだを返かえし、わたしを憎にくむ者ものに報復ほうふくするであろう。32:42 わたしの矢やを血ちに酔よわせ、わたしのつるぎに肉にくを食くわせるであろう。殺ころされた者ものと捕とらえられた者ものの血ちを飲のませ、敵てきの長髪ちょうはつの頭あたまの肉にくを食くわせるであろう」』。32:43 国々くにぐにの民たみよ、主しゅの民たみのために喜よろこび歌うたえ。主しゅはそのしもべの血ちのために報復ほうふくし、その敵てきにあだを返かえし、その民たみの地ちの汚けがれを清きよめられるからである」。32:44 モーセとヌンの子こヨシュアは共ともに行いって、この歌うたの言葉ことばを、ことごとく民たみに読よみ聞きかせた。32:45 モーセはこの言葉ことばを、ことごとくイスラエルのすべての人ひとに告つげ終おわって、32:46 彼かれらに言いった、「あなたがたはわたしが、きょう、あなたがたに命めいじるこのすべての言葉ことばを心こころにおさめ、子供こどもたちにもこの律法りっぽうのすべての言葉ことばを守まもり行おこなうことを命めいじなければならない。32:47 この言葉ことばはあなたがたにとって、むなしい言葉ことばではない。これはあなたがたのいのちである。この言葉ことばにより、あなたがたはヨルダンを渡わたって行いって取とる地ちで、長ながく命いのちを保たもつことができるであろう」。 32:48 この日ひ、主しゅはモーセに言いわれた、32:49 「あなたはエリコに対たいするモアブの地ちにあるアバリム山やますなわちネボ山やまに登のぼり、わたしがイスラエルの人々ひとびとに与あたえて獲えさせるカナンの地ちを見渡みわたせ。32:50 あなたは登のぼって行いくその山やまで死しに、あなたの民たみに連つらなるであろう。あなたの兄弟きょうだいアロンがホル山やまで死しんでその民たみに連つらなったようになるであろう。32:51 これはあなたがたがチンの荒野あらのにあるメリバテ・カデシの水みずのほとりで、イスラエルの人々ひとびとのうちでわたしにそむき、イスラエルの人々ひとびとのうちでわたしを聖せいなるものとして敬うやまわなかったからである。32:52 それであなたはわたしがイスラエルの人々ひとびとに与あたえる地ちを、目めの前まえに見みるであろう。しかし、その地ちに、はいることはできない」。 第33章 33:1 神かみの人ひとモーセは死しぬ前まえにイスラエルの人々ひとびとを祝福しゅくふくした。祝福しゅくふくの言葉ことばは次つぎのとおりである。 33:2 「主しゅはシナイからこられ、セイルからわれわれにむかってのぼられ、パランの山やまから光ひかりを放はなたれ、ちよろずの聖者せいじゃの中なかからこられた。その右みぎの手てには燃もえる火ひがあった。33:3 まことに主しゅはその民たみを愛あいされる。すべて主しゅに聖別せいべつされたものは、み手てのうちにある。彼かれらはあなたの足あしもとに座ざして、教おしえをうける。33:4 モーセはわれわれに律法りっぽうを授さづけて、ヤコブの会衆かいしゅうの所有しょゆうとさせた。33:5 民たみのかしらたちが集あつまり、イスラエルの部族ぶぞくがみな集あつまった時とき、主しゅはエシュルンのうちに王おうとなられた」。33:6 「ルベンは生いきる、死しにはしない。しかし、その人数にんずうは少すくなくなるであろう」。33:7 ユダについては、こう言いった、「主しゅよ、ユダの声こえを聞きいて、彼かれをその民たみに導みちびきかえしてください。み手てをもって、彼かれのために戦たたかってください。彼かれを助たすけて、敵てきに当あたらせてください」。33:8 レビについては言いった、「あなたのトンミムをレビに与あたえてください。ウリムをあなたに仕つかえる人ひとに与あたえてください。かつてあなたはマッサで彼かれを試こころみ、メリバの水みずのほとりで彼かれと争あらそわれた。33:9 彼かれはその父ちち、その母ははについて言いった、『わたしは彼かれらを顧かえりみない』。彼かれは自分じぶんの兄弟きょうだいをも認みとめず、自分じぶんの子供こどもをも顧かえりみなかった。彼かれらはあなたの言葉ことばにしたがい、あなたの契約けいやくを守まもったからである。33:10 彼かれらはあなたのおきてをヤコブに教おしえ、あなたの律法りっぽうをイスラエルに教おしえ、薫香くんこうをあなたの前まえに供そなえ、燔祭はんさいを祭壇さいだんの上うえにささげる。33:11 主しゅよ、彼かれの力ちからを祝福しゅくふくし、彼かれの手てのわざを喜よろこび受うけてください。彼かれに逆さからう者ものと、彼かれを憎にくむ者ものとの腰こしを打うち砕くだいて、立たち上あがることのできないようにしてください」。33:12 ベニヤミンについては言いった、「主しゅに愛あいされる者もの、彼かれは安やすらかに主しゅのそばにおり、主しゅは終日しゅうじつ、彼かれを守まもり、その肩かたの間あいだにすまいを営いとなまれるであろう」。33:13 ヨセフについては言いった、「どうぞ主しゅが彼かれの地ちを祝福しゅくふくされるように。上うえなる天てんの賜物たまものと露つゆ、下したに横よこたわる淵ふちの賜物たまもの、33:14 日ひによって産さんする尊たっとい賜物たまもの、月つきによって生しょうずる尊たっとい賜物たまもの、33:15 いにしえの山々やまやまの産さんする賜物たまもの、とこしえの丘おかの尊たっとい賜物たまもの、33:16 地ちとそれに満みちる尊たっとい賜物たまもの、しばの中なかにおられた者ものの恵めぐみが、ヨセフの頭あたまに臨のぞみ、その兄弟きょうだいたちの君くんたる者ものの頭あたまの頂いただきにくだるように。33:17 彼かれの牛うしのういごは威厳いげんがあり、その角つのは野牛やぎゅうの角つののよう、これをもって国々くにぐにの民たみをことごとく突つき倒たおし、地ちのはてにまで及およぶ。このような者ものはエフライムに幾いく万まんとあり、またこのような者ものはマナセに幾いく千せんとある」。33:18 ゼブルンについては言いった、「ゼブルンよ、あなたは外そとに出でて楽たのしみを得えよ。イッサカルよ、あなたは天幕てんまくにいて楽たのしみを得えよ。33:19 彼かれらは国々くにぐにの民たみを山やまに招まねき、その所ところで正ただしい犠牲ぎせいをささげるであろう。彼かれらは海うみの富とみを吸すい、砂すなに隠かくれた宝たからを取とるからである」。33:20 ガドについては言いった、「ガドを大おおきくする者ものは、ほむべきかな。ガドは、ししのように伏ふし、腕うでや頭あたまの頂いただきをかき裂さくであろう。33:21 彼かれは初穂はつほの地ちを自分じぶんのために選えらんだ。そこには将軍しょうぐんの分ぶんも取とり置おかれていた。彼かれは民たみのかしらたちと共ともにきて、イスラエルと共ともに主しゅの正義せいぎと審判しんぱんとを行おこなった」。33:22 ダンについては言いった、「ダンはししの子こであって、バシャンからおどりでる」。33:23 ナフタリについては言いった、「ナフタリよ、あなたは恵めぐみに満みたされ、主しゅの祝福しゅくふくに満みちて、湖みずうみとその南みなみの地ちを所有しょゆうする」。33:24 アセルについては言いった、「アセルは他たの子こらにまさって祝福しゅくふくされる。彼かれはその兄弟きょうだいたちに愛あいせられ、その足あしを油あぶらにひたすことができるように。33:25 あなたの貫かんの木きは鉄てつと青銅せいどう、あなたの力ちからはあなたの年としと共ともに続つづくであろう」。33:26 「エシュルンよ、神かみに並ならぶ者ものはほかにない。あなたを助たすけるために天てんに乗のり、威光いこうをもって空そらを通とおられる。33:27 とこしえにいます神かみはあなたのすみかであり、下したには永遠えいえんの腕うでがある。敵てきをあなたの前まえから追おい払はらって、『滅ほろぼせ』と言いわれた。33:28 イスラエルは安やすらかに住すみ、ヤコブの泉いずみは穀物こくもつとぶどう酒しゅの地ちに、ひとりいるであろう。また天てんは露つゆをくだすであろう。 33:29 イスラエルよ、あなたはしあわせである。だれがあなたのように、主しゅに救すくわれた民たみがあるであろうか。主しゅはあなたを助たすける盾たて、あなたの威光いこうのつるぎ、あなたの敵てきはあなたにへつらい服ふくし、あなたは彼かれらの高たかき所ところを踏ふみ進すすむであろう」。 第34章 34:1 モーセはモアブの平野へいやからネボ山やまに登のぼり、エリコの向むかいのピスガの頂いただきへ行いった。そこで主しゅは彼かれにギレアデの全ぜん地ちをダンまで示しめし、34:2 ナフタリの全部ぜんぶ、エフライムとマナセの地ちおよびユダの全ぜん地ちを西にしの海うみまで示しめし、34:3 ネゲブと低地ていち、すなわち、しゅろの町まちエリコの谷たにをゾアルまで示しめされた。34:4 そして主しゅは彼かれに言いわれた、「わたしがアブラハム、イサク、ヤコブに、これをあなたの子孫しそんに与あたえると言いって誓ちかった地ちはこれである。わたしはこれをあなたの目めに見みせるが、あなたはそこへ渡わたって行いくことはできない」。34:5 こうして主しゅのしもべモーセは主しゅの言葉ことばのとおりにモアブの地ちで死しんだ。34:6 主しゅは彼かれをベテペオルに対たいするモアブの地ちの谷たにに葬ほうむられたが、今日こんにちまでその墓はかを知しる人ひとはない。34:7 モーセは死しんだ時とき、百二十歳さいであったが、目めはかすまず、気力きりょくは衰おとろえていなかった。34:8 イスラエルの人々ひとびとはモアブの平野へいやで三十日にちの間あいだモーセのために泣ないた。そしてモーセのために泣なき悲かなしむ日ひはついに終おわった。 34:9 ヌンの子こヨシュアは知恵ちえの霊れいに満みちた人ひとであった。モーセが彼かれの上うえに手てを置おいたからである。イスラエルの人々ひとびとは彼かれに聞きき従したがい、主しゅがモーセに命めいじられたとおりにおこなった。34:10 イスラエルには、こののちモーセのような預言者よげんしゃは起おこらなかった。モーセは主しゅが顔かおを合あわせて知しられた者ものであった。34:11 主しゅはエジプトの地ちで彼かれをパロとそのすべての家来けらいおよびその全ぜん地ちにつかわして、もろもろのしるしと不思議ふしぎを行おこなわせられた。34:12 モーセはイスラエルのすべての人ひとの前まえで大おおいなる力ちからをあらわし、大おおいなる恐おそるべき事ことをおこなった。
29:1 これは主しゅがモーセに命めいじて、モアブの地ちでイスラエルの人々ひとびとと結むすばせられた契約けいやくの言葉ことばであって、ホレブで彼かれらと結むすばれた契約けいやくのほかのものである。
29:2 モーセはイスラエルのすべての人ひとを呼よび集あつめて言いった、「あなたがたは主しゅがエジプトの地ちで、パロと、そのすべての家来けらいと、その全ぜん地ちとにせられたすべての事ことをまのあたり見みた。
29:3 すなわちその大おおきな試こころみと、しるしと、大おおきな不思議ふしぎとをまのあたり見みたのである。
29:4 しかし、今日こんにちまで主しゅはあなたがたの心こころに悟さとらせず、目めに見みさせず、耳みみに聞きかせられなかった。
29:5 わたしは四十年ねんの間あいだ、あなたがたを導みちびいて荒野あらのを通とおらせたが、あなたがたの身みにつけた着物きものは古ふるびず、足あしのくつは古ふるびなかった。
29:6 あなたがたはまたパンも食たべず、ぶどう酒しゅも濃こい酒さけも飲のまなかった。こうしてあなたがたは、わたしがあなたがたの神かみ、主しゅであることを知しるに至いたった。
29:7 あなたがたがこの所ところにきたとき、ヘシボンの王おうシホンと、バシャンの王おうオグがわれわれを迎むかえて戦たたかったが、われわれは彼かれらを撃うち敗やぶって、
29:8 その地ちを取とり、これをルベンびとと、ガドびとと、マナセびとの半なかばとに、嗣し業ぎょうとして与あたえた。
29:9 それゆえ、あなたがたはこの契約けいやくの言葉ことばを守まもって、それを行おこなわなければならない。そうすればあなたがたのするすべての事ことは栄さかえるであろう。
29:10 あなたがたは皆みな、きょう、あなたがたの神かみ、主しゅの前まえに立たっている。すなわちあなたがたの部族ぶぞくのかしらたち、長老ちょうろうたち、つかさたちなど、イスラエルのすべての人々ひとびと、
29:11 あなたがたの小ちいさい者ものたちも、妻つまたちも、宿営しゅくえいのうちに寄留きりゅうしている他国たこく人じんも、あなたのために、たきぎを割わる者ものも、水みずをくむ者ものも、みな主しゅの前まえに立たって、
29:12 あなたの神かみ、主しゅが、きょう、あなたと結むすばれるあなたの神かみ、主しゅの契約けいやくと誓ちかいとに、はいろうとしている。
29:13 これは主しゅがさきにあなたに約束やくそくされたように、またあなたの先祖せんぞアブラハム、イサク、ヤコブに誓ちかわれたように、きょう、あなたを立たてて自分じぶんの民たみとし、またみずからあなたの神かみとなられるためである。
29:14 わたしはただあなたがたとだけ、この契約けいやくと誓ちかいとを結むすぶのではない。
29:15 きょう、ここで、われわれの神かみ、主しゅの前まえにわれわれと共ともに立たっている者ものならびに、きょう、ここにわれわれと共ともにいない者ものとも結むすぶのである。
29:16 われわれがどのようにエジプトの国くにに住すんでいたか、どのように国々くにぐにの民たみの中なかを通とおってきたか、それはあなたがたが知しっている。
29:17 またあなたがたは木きや石いしや銀ぎんや金きんで造つくった憎にくむべき物ものと偶像ぐうぞうとが、彼かれらのうちにあるのを見みた。
29:18 それゆえ、あなたがたのうちに、きょう、その心こころにわれわれの神かみ、主しゅを離はなれてそれらの国民こくみんの神々かみがみに行いって仕つかえる男おとこや女おんな、氏族しぞくや部族ぶぞくがあってはならない。またあなたがたのうちに、毒草どくそうや、にがよもぎを生しょうずる根ねがあってはならない。
29:19 そのような人ひとはこの誓ちかいの言葉ことばを聞きいても、心こころに自分じぶんを祝福しゅくふくして『心こころをかたくなにして歩あゆんでもわたしには平安へいあんがある』と言いうであろう。そうすれば潤うるおった者ものも、かわいた者ものもひとしく滅ほろびるであろう。
29:20 主しゅはそのような人ひとをゆるすことを好このまれない。かえって主しゅはその人ひとに怒いかりとねたみを発はっし、この書物しょもつにしるされたすべてののろいを彼かれの上うえに加くわえ、主しゅはついにその人ひとの名なを天てんの下したから消けし去さられるであろう。
29:21 主しゅはイスラエルのすべての部族ぶぞくのうちからその人ひとを区く別べっして災わざわいをくだし、この律法りっぽうの書しょにしるされた契約けいやくの中なかのもろもろののろいのようにされるであろう。
29:22 後のちの代よの人ひと、すなわちあなたがたののちに起おこるあなたがたの子孫しそんおよび遠とおい国くにから来くる外国がいこく人じんは、この地ちの災わざわいを見み、主しゅがこの地ちにくだされた病気びょうきを見みて言いうであろう。
29:23 ――全ぜん地ちは硫黄いおうとなり、塩しおとなり、焼やけ土つちとなって、種たねもまかれず、実みも結むすばず、なんの草くさも生しょうじなくなって、むかし主しゅが怒いかりと憤いきどおりをもって滅ほろぼされたソドム、ゴモラ、アデマ、ゼボイムの破滅はめつのようである。――
29:24 すなわち、もろもろの国民こくみんは言いうであろう、『なぜ、主しゅはこの地ちにこのようなことをされたのか。この激はげしい大おおいなる怒いかりは何なにゆえか』。
29:25 そのとき人々ひとびとは言いうであろう、『彼かれらはその先祖せんぞの神かみ、主しゅがエジプトの国くにから彼かれらを導みちびき出だして彼かれらと結むすばれた契約けいやくをすて、
29:26 行いって彼かれらの知しらない、また授さずからない、ほかの神々かみがみに仕つかえて、それを拝おがんだからである。
29:27 それゆえ主しゅはこの地ちにむかって怒いかりを発はっし、この書物しょもつにしるされたもろもろののろいをこれにくだし、
29:28 そして主しゅは怒いかりと、はげしい怒いかりと大おおいなる憤いきどおりとをもって彼かれらをこの地ちから抜ぬき取とって、ほかの国くにに投なげやられた。今日こんにち見みるとおりである』。
29:29 隠かくれた事ことはわれわれの神かみ、主しゅに属ぞくするものである。しかし表あらわされたことは長ながくわれわれとわれわれの子孫しそんに属ぞくし、われわれにこの律法りっぽうのすべての言葉ことばを行おこなわせるのである。
第30章 30:1 わたしがあなたがたの前まえに述のべたこのもろもろの祝福しゅくふくと、のろいの事ことがあなたに臨のぞみ、あなたがあなたの神かみ、主しゅに追おいやられたもろもろの国民こくみんのなかでこの事ことを心こころに考かんがえて、30:2 あなたもあなたの子供こどもも共ともにあなたの神かみ、主しゅに立たち帰かえり、わたしが、きょう、命めいじるすべてのことにおいて、心こころをつくし、精神せいしんをつくして、主しゅの声こえに聞きき従したがうならば、30:3 あなたの神かみ、主しゅはあなたを再ふたたび栄さかえさせ、あなたをあわれみ、あなたの神かみ、主しゅはあなたを散ちらされた国々くにぐにから再ふたたび集あつめられるであろう。30:4 たといあなたが天てんのはてに追おいやられても、あなたの神かみ、主しゅはそこからあなたを集あつめ、そこからあなたを連つれ帰かえられるであろう。30:5 あなたの神かみ、主しゅはあなたの先祖せんぞが所有しょゆうした地ちにあなたを帰かえらせ、あなたはそれを所有しょゆうするに至いたるであろう。主しゅはまたあなたを栄さかえさせ、数かずを増まして先祖せんぞたちよりも多おおくされるであろう。30:6 そしてあなたの神かみ、主しゅはあなたの心こころとあなたの子孫しそんの心こころに割礼かつれいを施ほどこし、あなたをして、心こころをつくし、精神せいしんをつくしてあなたの神かみ、主しゅを愛あいさせ、こうしてあなたに命いのちを得えさせられるであろう。30:7 あなたの神かみ、主しゅはまた、あなたを迫害はくがいする敵てきと、あなたを憎にくむ者ものとに、このもろもろののろいをこうむらせられるであろう。30:8 しかし、あなたは再ふたたび主しゅの声こえに聞きき従したがい、わたしが、きょう、あなたに命めいじるすべての戒いましめを守まもるであろう。30:9 そうすればあなたの神かみ、主しゅはあなたのするすべてのことと、あなたの身みから生うまれる者ものと、家畜かちくの産うむものと、地ちに産さんする物ものを豊ゆたかに与あたえて、あなたを栄さかえさせられるであろう。すなわち主しゅはあなたの先祖せんぞたちを喜よろこばれたように再ふたたびあなたを喜よろこんで、あなたを栄さかえさせられるであろう。30:10 これはあなたが、あなたの神かみ、主しゅの声こえに聞ききしたがい、この律法りっぽうの書しょにしるされた戒いましめと定さだめとを守まもり、心こころをつくし、精神せいしんをつくしてあなたの神かみ、主しゅに帰きするからである。 30:11 わたしが、きょう、あなたに命めいじるこの戒いましめは、むずかしいものではなく、また遠とおいものでもない。30:12 これは天てんにあるのではないから、『だれがわれわれのために天てんに上のぼり、それをわれわれのところへ持もってきて、われわれに聞きかせ、行おこなわせるであろうか』と言いうに及およばない。30:13 またこれは海うみのかなたにあるのではないから、『だれがわれわれのために海うみを渡わたって行いき、それをわれわれのところへ携たずさえてきて、われわれに聞きかせ、行おこなわせるであろうか』と言いうに及およばない。30:14 この言葉ことばはあなたに、はなはだ近ちかくあってあなたの口くちにあり、またあなたの心こころにあるから、あなたはこれを行おこなうことができる。 30:15 見みよ、わたしは、きょう、命いのちとさいわい、および死しと災わざわいをあなたの前まえに置おいた。30:16 すなわちわたしは、きょう、あなたにあなたの神かみ、主しゅを愛あいし、その道みちに歩あゆみ、その戒いましめと定さだめと、おきてとを守まもることを命めいじる。それに従したがうならば、あなたは生いきながらえ、その数かずは多おおくなるであろう。またあなたの神かみ、主しゅはあなたが行いって取とる地ちであなたを祝福しゅくふくされるであろう。30:17 しかし、もしあなたが心こころをそむけて聞きき従したがわず、誘さそわれて他たの神々かみがみを拝おがみ、それに仕つかえるならば、30:18 わたしは、きょう、あなたがたに告つげる。あなたがたは必かならず滅ほろびるであろう。あなたがたはヨルダンを渡わたり、はいって行いって取とる地ちでながく命いのちを保たもつことができないであろう。30:19 わたしは、きょう、天てんと地ちを呼よんであなたがたに対たいする証人しょうにんとする。わたしは命いのちと死しおよび祝福しゅくふくとのろいをあなたの前まえに置おいた。あなたは命いのちを選えらばなければならない。そうすればあなたとあなたの子孫しそんは生いきながらえることができるであろう。30:20 すなわちあなたの神かみ、主しゅを愛あいして、その声こえを聞きき、主しゅにつき従したがわなければならない。そうすればあなたは命いのちを得え、かつ長ながく命いのちを保たもつことができ、主しゅが先祖せんぞアブラハム、イサク、ヤコブに与あたえると誓ちかわれた地ちに住すむことができるであろう」。 第31章 31:1 そこでモーセは続つづいてこの言葉ことばをイスラエルのすべての人ひとに告つげて、31:2 彼かれらに言いった、「わたしは、きょう、すでに百二十歳さいになり、もはや出入でいりすることはできない。また主しゅはわたしに『おまえはこのヨルダンを渡わたることはできない』と言いわれた。31:3 あなたの神かみ、主しゅはみずからあなたに先立さきだって渡わたり、あなたの前まえから、これらの国々くにぐにの民たみを滅ほろぼし去さって、あなたにこれを獲えさせられるであろう。また主しゅがかつて言いわれたように、ヨシュアはあなたを率ひきいて渡わたるであろう。31:4 主しゅがさきにアモリびとの王おうシホンとオグおよびその地ちにされたように、彼かれらにもおこなって彼かれらを滅ほろぼされるであろう。31:5 主しゅは彼かれらをあなたがたに渡わたされるから、あなたがたはわたしが命めいじたすべての命令めいれいのとおりに彼かれらに行おこなわなければならない。31:6 あなたがたは強つよく、かつ勇いさましくなければならない。彼かれらを恐おそれ、おののいてはならない。あなたの神かみ、主しゅがあなたと共ともに行いかれるからである。主しゅは決けっしてあなたを見放みはなさず、またあなたを見捨みすてられないであろう」。 31:7 モーセはヨシュアを呼よび、イスラエルのすべての人ひとの目めの前まえで彼かれに言いった、「あなたはこの民たみと共ともに行いき、主しゅが彼かれらの先祖せんぞたちに与あたえると誓ちかわれた地ちに入いるのであるから、あなたは強つよく、かつ勇いさましくなければならない。あなたは彼かれらにそれを獲えさせるであろう。31:8 主しゅはみずからあなたに先立さきだって行いき、またあなたと共ともにおり、あなたを見放みはなさず、見捨みすてられないであろう。恐おそれてはならない、おののいてはならない」。 31:9 モーセはこの律法りっぽうを書かいて、主しゅの契約けいやくの箱はこをかつぐレビの子孫しそんである祭司さいしおよびイスラエルのすべての長老ちょうろうたちに授さづけた。31:10 そしてモーセは彼かれらに命めいじて言いった、「七年ねんの終おわりごとに、すなわち、ゆるしの年としの定さだめの時ときになり、かりいおの祭まつりに、31:11 イスラエルのすべての人ひとがあなたの神かみ、主しゅの前まえに出でるため、主しゅの選えらばれる場所ばしょに来くるとき、あなたはイスラエルのすべての人ひとの前まえでこの律法りっぽうを読よんで聞きかせなければならない。31:12 すなわち男おとこ、女おんな、子供こどもおよびあなたの町まちのうちに寄留きりゅうしている他国たこく人じんなど民たみを集あつめ、彼かれらにこれを聞きかせ、かつ学まなばせなければならない。そうすれば彼かれらはあなたがたの神かみ、主しゅを恐おそれてこの律法りっぽうの言葉ことばを、ことごとく守まもり行おこなうであろう。31:13 また彼かれらの子供こどもたちでこれを知しらない者ものも聞きいて、あなたがたの神かみ、主しゅを恐おそれることを学まなぶであろう。あなたがたがヨルダンを渡わたって行いって取とる地ちにながらえる日ひのあいだ常つねにそうしなければならない」。 31:14 主しゅはまたモーセに言いわれた、「あなたの死しぬ日ひが近ちかづいている。ヨシュアを召めして共ともに会見かいけんの幕屋まくやに立たちなさい。わたしは彼かれに務つとめを命めいじるであろう」。モーセとヨシュアが行いって会見かいけんの幕屋まくやに立たつと、31:15 主しゅは幕屋まくやで雲くもの柱はしらのうちに現あらわれられた。その雲くもの柱はしらは幕屋まくやの入口いりぐちのかたわらにとどまった。 31:16 主しゅはモーセに言いわれた、「あなたはまもなく眠ねむって先祖せんぞたちと一緒いっしょになるであろう。そのときこの民たみはたちあがり、はいって行いく地ちの異ことなる神々かみがみを慕したって姦淫かんいんを行おこない、わたしを捨すて、わたしが彼かれらと結むすんだ契約けいやくを破やぶるであろう。31:17 その日ひには、わたしは彼かれらにむかって怒いかりを発はっし、彼かれらを捨すて、わたしの顔かおを彼かれらに隠かくすゆえに、彼かれらは滅ほろぼしつくされ、多おおくの災わざわいと悩なやみが彼かれらに臨のぞむであろう。そこでその日ひ、彼かれらは言いうであろう、『これらの災わざわいがわれわれに臨のぞむのは、われわれの神かみがわれわれのうちにおられないからではないか』。31:18 しかも彼かれらがほかの神々かみがみに帰きして、もろもろの悪あくを行おこなうゆえに、わたしはその日ひには必かならずわたしの顔かおを隠かくすであろう。31:19 それであなたがたは今いま、この歌うたを書かきしるし、イスラエルの人々ひとびとに教おしえてその口くちに唱となえさせ、この歌うたをイスラエルの人々ひとびとに対たいするわたしのあかしとならせなさい。31:20 わたしが彼かれらの先祖せんぞたちに誓ちかった、乳ちちと蜜みつの流ながれる地ちに彼かれらを導みちびき入いれる時とき、彼かれらは食たべて飽あき、肥こえ太ふとるに及およんで、ほかの神々かみがみに帰きし、それに仕つかえて、わたしを軽かろんじ、わたしの契約けいやくを破やぶるであろう。31:21 こうして多おおくの災わざわいと悩なやみとが彼かれらに臨のぞむ時とき、この歌うたは彼かれらに対たいして、あかしとなるであろう。(それはこの歌うたが彼かれらの子孫しそんの口くちにあって、彼かれらはそれを忘わすれないからである。)わたしが誓ちかった地ちに彼かれらを導みちびき入いれる前まえ、すでに彼かれらが思おもいはかっている事ことをわたしは知しっているからである」。31:22 モーセはその日ひ、この歌うたを書かいてイスラエルの人々ひとびとに教おしえた。 31:23 主しゅはヌンの子こヨシュアに命めいじて言いわれた、「あなたはイスラエルの人々ひとびとをわたしが彼かれらに誓ちかった地ちに導みちびき入いれなければならない。それゆえ強つよくかつ勇いさましくあれ。わたしはあなたと共ともにいるであろう」。 31:24 モーセがこの律法りっぽうの言葉ことばを、ことごとく書物しょもつに書かき終おわった時とき、31:25 モーセは主しゅの契約けいやくの箱はこをかつぐレビびとに命めいじて言いった、31:26 「この律法りっぽうの書しょをとって、あなたがたの神かみ、主しゅの契約けいやくの箱はこのかたわらに置おき、その所ところであなたにむかってあかしをするものとしなさい。31:27 わたしはあなたのそむくことと、かたくななこととを知しっている。きょう、わたしが生いきながらえて、あなたがたと一緒いっしょにいる間あいだですら、あなたがたは主しゅにそむいた。ましてわたしが死しんだあとはどんなであろう。31:28 あなたがたの部族ぶぞくのすべての長老ちょうろうたちと、つかさたちをわたしのもとに集あつめなさい。わたしはこれらの言葉ことばを彼かれらに語かたり聞きかせ、天てんと地ちとを呼よんで彼かれらにむかってあかしさせよう。31:29 わたしは知しっている。わたしが死しんだのち、あなたがたは必かならず悪わるい事ことをして、わたしが命めいじた道みちを離はなれる。そして後のちの日ひに災わざわいがあなたがたに臨のぞむであろう。これは主しゅの悪あくと見みられることを行おこない、あなたがたのすることをもって主しゅを怒いからせるからである」。 31:30 そしてモーセはイスラエルの全ぜん会衆かいしゅうに次つぎの歌うたの言葉ことばを、ことごとく語かたり聞きかせた。 第32章 32:1 「天てんよ、耳みみを傾かたむけよ、わたしは語かたる、地ちよ、わたしの口くちの言葉ことばを聞きけ。32:2 わたしの教おしえは雨あめのように降ふりそそぎ、わたしの言葉ことばは露つゆのようにしたたるであろう。若草わかくさの上うえに降ふる小雨こさめのように、青草あおくさの上うえにくだる夕立ゆうだちのように。32:3 わたしは主しゅの名なをのべよう、われわれの神かみに栄光えいこうを帰かえせよ。32:4 主しゅは岩いわであって、そのみわざは全まったく、その道みちはみな正ただしい。主しゅは真実しんじつなる神かみであって、偽いつわりなく、義ぎであって、正せいである。32:5 彼かれらは主しゅにむかって悪あくを行おこない、そのきずのゆえに、もはや主しゅの子こらではなく、よこしまで、曲まがったやからである。32:6 愚おろかな知恵ちえのない民たみよ、あなたがたはこのようにして主しゅに報むくいるのか。主しゅはあなたを生うみ、あなたを つくり、あなたを堅かたく立たてられたあなたの父ちちではないか。32:7 いにしえの日ひを覚おぼえ、代々よよの年としを思おもえ。あなたの父ちちに問とえ、彼かれはあなたに告つげるであろう。長老ちょうろうたちに問とえ、彼かれらはあなたに語かたるであろう。32:8 いと高たかき者ものは人ひとの子こらを分わけ、諸しょ国民こくみんにその嗣し業ぎょうを与あたえられたとき、イスラエルの子こらの数かずに照てらして、もろもろの民たみの境さかいを定さだめられた。32:9 主しゅの分ぶんはその民たみであって、ヤコブはその定さだめられた嗣し業ぎょうである。32:10 主しゅはこれを荒野あらのの地ちで見みいだし、獣けもののほえる荒あれ地ちで会あい、これを巡めぐり囲かこんでいたわり、目めのひとみのように守まもられた。32:11 わしがその巣すのひなを呼よび起おこし、その子この上うえに舞まいかけり、その羽はねをひろげて彼かれらをのせ、そのつばさの上うえにこれを負おうように、32:12 主しゅはただひとりで彼かれを導みちびかれて、ほかの神々かみがみはあずからなかった。32:13 主しゅは彼かれに地ちの高たかき所ところを乗のり通とおらせ、田畑たはたの産物さんぶつを食くわせ、岩いわの中なかから蜜みつを吸すわせ、堅かたい岩いわから油あぶらを吸すわせ、32:14 牛うしの凝乳ぎょうにゅう、羊ひつじの乳ちち、小羊こひつじと雄羊おひつじの脂肪しぼう、バシャンの牛うしと雄おやぎ、小麦こむぎの良よい物ものを食くわせられた。またあなたはぶどうのしるのあわ立たつ酒さけを飲のんだ。32:15 しかるにエシュルンは肥こえ太ふとって、足あしでけった。あなたは肥こえ太ふとって、つややかになり、自分じぶんを つくった神かみを捨すて、救すくいの岩いわを侮あなどった。32:16 彼かれらはほかの神々かみがみに仕つかえて、主しゅのねたみを起おこし、憎にくむべきおこないをもって主しゅの怒いかりをひき起おこした。32:17 彼かれらは神かみでもない悪霊あくれいに犠牲ぎせいをささげた。それは彼かれらがかつて知しらなかった神々かみがみ、近ちかごろ出でた新あたらしい神々かみがみ、先祖せんぞたちの恐おそれることもしなかった者ものである。32:18 あなたは自分じぶんを生うんだ岩いわを軽かろんじ、自分じぶんを造つくった神かみを忘わすれた。32:19 主しゅはこれを見み、そのむすこ、娘むすめを怒いかってそれを捨すてられた。32:20 そして言いわれた、『わたしはわたしの顔かおを彼かれらに隠かくそう。わたしは彼かれらの終おわりがどうなるかを見みよう。彼かれらはそむき、もとるやから、真実しんじつのない子こらである。32:21 彼かれらは神かみでもない者ものをもって、わたしにねたみを起おこさせ、偶像ぐうぞうをもって、わたしを怒いからせた。それゆえ、わたしは民たみともいえない者ものをもって、彼かれらにねたみを起おこさせ、愚おろかな民たみをもって、彼かれらを怒いからせるであろう。32:22 わたしの怒いかりによって、火ひは燃もえいで、陰府よみの深ふかみにまで燃もえ行いき、地ちとその産物さんぶつとを焼やきつくし、山々やまやまの基もといを燃もやすであろう。32:23 わたしは彼かれらの上うえに災わざわいを積つみかさね、わたしの矢やを彼かれらにむかって射いつくすであろう。32:24 彼かれらは飢うえて、やせ衰おとろえ、熱病ねつびょうと悪わるい疫病えきびょうによって滅ほろびるであろう。わたしは彼かれらを獣けものの歯はにかからせ、地ちに這はうものの毒どくにあたらせるであろう。32:25 外そとにはつるぎ、内うちには恐おそれがあって、若わかき男おとこも若わかき女おんなも、乳ちのみ子ごも、しらがの人ひとも滅ほろびるであろう。32:26 わたしはまさに言いおうとした、「彼かれらを遠とおく散ちらし、彼かれらの事ことを人々ひとびとが記憶きおくしないようにしよう」。32:27 しかし、わたしは敵てきが誇ほこるのを恐おそれる。あだびとはまちがえて言いうであろう、「われわれの手てが勝かちをえたのだ。これはみな主しゅがされたことではない」』。32:28 彼かれらは思慮しりょの欠かけた民たみ、そのうちには知識ちしきがない。32:29 もし、彼かれらに知恵ちえがあれば、これをさとり、その身みの終おわりをわきまえたであろうに。32:30 彼かれらの岩いわが彼かれらを売うらず、主しゅが彼かれらをわたされなかったならば、どうして、ひとりで千人にんを追おい、ふたりで万まん人にんを敗やぶることができたであろう。32:31 彼かれらの岩いわはわれらの岩いわに及およばない。われらの敵てきもこれを認みとめている。32:32 彼かれらのぶどうの木きは、ソドムのぶどうの木きから出でたもの、またゴモラの野のから出でたもの、そのぶどうは毒どくぶどう、そのふさは苦にがい。32:33 そのぶどう酒しゅはへびの毒どくのよう、まむしの恐おそろしい毒どくのようである。32:34 これはわたしのもとにたくわえられ、わたしの倉くらに封ふうじ込こめられているではないか。32:35 彼かれらの足あしがすべるとき、わたしはあだを返かえし、報むくいをするであろう。彼かれらの災わざわいの日ひは近ちかく、彼かれらの破滅はめつは、すみやかに来くるであろう。32:36 主しゅはついにその民たみをさばき、そのしもべらにあわれみを加くわえられるであろう。これは彼かれらの力ちからがうせ去さり、つながれた者ものもつながれない者ものも、もはやいなくなったのを、主しゅが見みられるからである。32:37 そのとき主しゅは言いわれるであろう、『彼かれらの神々かみがみはどこにいるか、彼かれらの頼たのみとした岩いわはどこにあるか。32:38 彼かれらの犠牲ぎせいのあぶらを食くい、灌祭かんさいの酒さけを飲のんだ者ものはどこにいるか。立たちあがってあなたがたを助たすけさせよ、あなたがたを守まもらせよ。32:39 今見いまみよ、わたしこそは彼かれである。わたしのほかに神かみはない。わたしは殺ころし、また生いかし、傷きずつけ、またいやす。わたしの手てから救すくい出だしうるものはない。32:40 わたしは天てんにむかい手てをあげて誓ちかう、「わたしは永遠えいえんに生いきる。32:41 わたしがきらめくつるぎをとぎ、手てにさばきを握にぎるとき、わたしは敵てきにあだを返かえし、わたしを憎にくむ者ものに報復ほうふくするであろう。32:42 わたしの矢やを血ちに酔よわせ、わたしのつるぎに肉にくを食くわせるであろう。殺ころされた者ものと捕とらえられた者ものの血ちを飲のませ、敵てきの長髪ちょうはつの頭あたまの肉にくを食くわせるであろう」』。32:43 国々くにぐにの民たみよ、主しゅの民たみのために喜よろこび歌うたえ。主しゅはそのしもべの血ちのために報復ほうふくし、その敵てきにあだを返かえし、その民たみの地ちの汚けがれを清きよめられるからである」。32:44 モーセとヌンの子こヨシュアは共ともに行いって、この歌うたの言葉ことばを、ことごとく民たみに読よみ聞きかせた。32:45 モーセはこの言葉ことばを、ことごとくイスラエルのすべての人ひとに告つげ終おわって、32:46 彼かれらに言いった、「あなたがたはわたしが、きょう、あなたがたに命めいじるこのすべての言葉ことばを心こころにおさめ、子供こどもたちにもこの律法りっぽうのすべての言葉ことばを守まもり行おこなうことを命めいじなければならない。32:47 この言葉ことばはあなたがたにとって、むなしい言葉ことばではない。これはあなたがたのいのちである。この言葉ことばにより、あなたがたはヨルダンを渡わたって行いって取とる地ちで、長ながく命いのちを保たもつことができるであろう」。 32:48 この日ひ、主しゅはモーセに言いわれた、32:49 「あなたはエリコに対たいするモアブの地ちにあるアバリム山やますなわちネボ山やまに登のぼり、わたしがイスラエルの人々ひとびとに与あたえて獲えさせるカナンの地ちを見渡みわたせ。32:50 あなたは登のぼって行いくその山やまで死しに、あなたの民たみに連つらなるであろう。あなたの兄弟きょうだいアロンがホル山やまで死しんでその民たみに連つらなったようになるであろう。32:51 これはあなたがたがチンの荒野あらのにあるメリバテ・カデシの水みずのほとりで、イスラエルの人々ひとびとのうちでわたしにそむき、イスラエルの人々ひとびとのうちでわたしを聖せいなるものとして敬うやまわなかったからである。32:52 それであなたはわたしがイスラエルの人々ひとびとに与あたえる地ちを、目めの前まえに見みるであろう。しかし、その地ちに、はいることはできない」。 第33章 33:1 神かみの人ひとモーセは死しぬ前まえにイスラエルの人々ひとびとを祝福しゅくふくした。祝福しゅくふくの言葉ことばは次つぎのとおりである。 33:2 「主しゅはシナイからこられ、セイルからわれわれにむかってのぼられ、パランの山やまから光ひかりを放はなたれ、ちよろずの聖者せいじゃの中なかからこられた。その右みぎの手てには燃もえる火ひがあった。33:3 まことに主しゅはその民たみを愛あいされる。すべて主しゅに聖別せいべつされたものは、み手てのうちにある。彼かれらはあなたの足あしもとに座ざして、教おしえをうける。33:4 モーセはわれわれに律法りっぽうを授さづけて、ヤコブの会衆かいしゅうの所有しょゆうとさせた。33:5 民たみのかしらたちが集あつまり、イスラエルの部族ぶぞくがみな集あつまった時とき、主しゅはエシュルンのうちに王おうとなられた」。33:6 「ルベンは生いきる、死しにはしない。しかし、その人数にんずうは少すくなくなるであろう」。33:7 ユダについては、こう言いった、「主しゅよ、ユダの声こえを聞きいて、彼かれをその民たみに導みちびきかえしてください。み手てをもって、彼かれのために戦たたかってください。彼かれを助たすけて、敵てきに当あたらせてください」。33:8 レビについては言いった、「あなたのトンミムをレビに与あたえてください。ウリムをあなたに仕つかえる人ひとに与あたえてください。かつてあなたはマッサで彼かれを試こころみ、メリバの水みずのほとりで彼かれと争あらそわれた。33:9 彼かれはその父ちち、その母ははについて言いった、『わたしは彼かれらを顧かえりみない』。彼かれは自分じぶんの兄弟きょうだいをも認みとめず、自分じぶんの子供こどもをも顧かえりみなかった。彼かれらはあなたの言葉ことばにしたがい、あなたの契約けいやくを守まもったからである。33:10 彼かれらはあなたのおきてをヤコブに教おしえ、あなたの律法りっぽうをイスラエルに教おしえ、薫香くんこうをあなたの前まえに供そなえ、燔祭はんさいを祭壇さいだんの上うえにささげる。33:11 主しゅよ、彼かれの力ちからを祝福しゅくふくし、彼かれの手てのわざを喜よろこび受うけてください。彼かれに逆さからう者ものと、彼かれを憎にくむ者ものとの腰こしを打うち砕くだいて、立たち上あがることのできないようにしてください」。33:12 ベニヤミンについては言いった、「主しゅに愛あいされる者もの、彼かれは安やすらかに主しゅのそばにおり、主しゅは終日しゅうじつ、彼かれを守まもり、その肩かたの間あいだにすまいを営いとなまれるであろう」。33:13 ヨセフについては言いった、「どうぞ主しゅが彼かれの地ちを祝福しゅくふくされるように。上うえなる天てんの賜物たまものと露つゆ、下したに横よこたわる淵ふちの賜物たまもの、33:14 日ひによって産さんする尊たっとい賜物たまもの、月つきによって生しょうずる尊たっとい賜物たまもの、33:15 いにしえの山々やまやまの産さんする賜物たまもの、とこしえの丘おかの尊たっとい賜物たまもの、33:16 地ちとそれに満みちる尊たっとい賜物たまもの、しばの中なかにおられた者ものの恵めぐみが、ヨセフの頭あたまに臨のぞみ、その兄弟きょうだいたちの君くんたる者ものの頭あたまの頂いただきにくだるように。33:17 彼かれの牛うしのういごは威厳いげんがあり、その角つのは野牛やぎゅうの角つののよう、これをもって国々くにぐにの民たみをことごとく突つき倒たおし、地ちのはてにまで及およぶ。このような者ものはエフライムに幾いく万まんとあり、またこのような者ものはマナセに幾いく千せんとある」。33:18 ゼブルンについては言いった、「ゼブルンよ、あなたは外そとに出でて楽たのしみを得えよ。イッサカルよ、あなたは天幕てんまくにいて楽たのしみを得えよ。33:19 彼かれらは国々くにぐにの民たみを山やまに招まねき、その所ところで正ただしい犠牲ぎせいをささげるであろう。彼かれらは海うみの富とみを吸すい、砂すなに隠かくれた宝たからを取とるからである」。33:20 ガドについては言いった、「ガドを大おおきくする者ものは、ほむべきかな。ガドは、ししのように伏ふし、腕うでや頭あたまの頂いただきをかき裂さくであろう。33:21 彼かれは初穂はつほの地ちを自分じぶんのために選えらんだ。そこには将軍しょうぐんの分ぶんも取とり置おかれていた。彼かれは民たみのかしらたちと共ともにきて、イスラエルと共ともに主しゅの正義せいぎと審判しんぱんとを行おこなった」。33:22 ダンについては言いった、「ダンはししの子こであって、バシャンからおどりでる」。33:23 ナフタリについては言いった、「ナフタリよ、あなたは恵めぐみに満みたされ、主しゅの祝福しゅくふくに満みちて、湖みずうみとその南みなみの地ちを所有しょゆうする」。33:24 アセルについては言いった、「アセルは他たの子こらにまさって祝福しゅくふくされる。彼かれはその兄弟きょうだいたちに愛あいせられ、その足あしを油あぶらにひたすことができるように。33:25 あなたの貫かんの木きは鉄てつと青銅せいどう、あなたの力ちからはあなたの年としと共ともに続つづくであろう」。33:26 「エシュルンよ、神かみに並ならぶ者ものはほかにない。あなたを助たすけるために天てんに乗のり、威光いこうをもって空そらを通とおられる。33:27 とこしえにいます神かみはあなたのすみかであり、下したには永遠えいえんの腕うでがある。敵てきをあなたの前まえから追おい払はらって、『滅ほろぼせ』と言いわれた。33:28 イスラエルは安やすらかに住すみ、ヤコブの泉いずみは穀物こくもつとぶどう酒しゅの地ちに、ひとりいるであろう。また天てんは露つゆをくだすであろう。 33:29 イスラエルよ、あなたはしあわせである。だれがあなたのように、主しゅに救すくわれた民たみがあるであろうか。主しゅはあなたを助たすける盾たて、あなたの威光いこうのつるぎ、あなたの敵てきはあなたにへつらい服ふくし、あなたは彼かれらの高たかき所ところを踏ふみ進すすむであろう」。 第34章 34:1 モーセはモアブの平野へいやからネボ山やまに登のぼり、エリコの向むかいのピスガの頂いただきへ行いった。そこで主しゅは彼かれにギレアデの全ぜん地ちをダンまで示しめし、34:2 ナフタリの全部ぜんぶ、エフライムとマナセの地ちおよびユダの全ぜん地ちを西にしの海うみまで示しめし、34:3 ネゲブと低地ていち、すなわち、しゅろの町まちエリコの谷たにをゾアルまで示しめされた。34:4 そして主しゅは彼かれに言いわれた、「わたしがアブラハム、イサク、ヤコブに、これをあなたの子孫しそんに与あたえると言いって誓ちかった地ちはこれである。わたしはこれをあなたの目めに見みせるが、あなたはそこへ渡わたって行いくことはできない」。34:5 こうして主しゅのしもべモーセは主しゅの言葉ことばのとおりにモアブの地ちで死しんだ。34:6 主しゅは彼かれをベテペオルに対たいするモアブの地ちの谷たにに葬ほうむられたが、今日こんにちまでその墓はかを知しる人ひとはない。34:7 モーセは死しんだ時とき、百二十歳さいであったが、目めはかすまず、気力きりょくは衰おとろえていなかった。34:8 イスラエルの人々ひとびとはモアブの平野へいやで三十日にちの間あいだモーセのために泣ないた。そしてモーセのために泣なき悲かなしむ日ひはついに終おわった。 34:9 ヌンの子こヨシュアは知恵ちえの霊れいに満みちた人ひとであった。モーセが彼かれの上うえに手てを置おいたからである。イスラエルの人々ひとびとは彼かれに聞きき従したがい、主しゅがモーセに命めいじられたとおりにおこなった。34:10 イスラエルには、こののちモーセのような預言者よげんしゃは起おこらなかった。モーセは主しゅが顔かおを合あわせて知しられた者ものであった。34:11 主しゅはエジプトの地ちで彼かれをパロとそのすべての家来けらいおよびその全ぜん地ちにつかわして、もろもろのしるしと不思議ふしぎを行おこなわせられた。34:12 モーセはイスラエルのすべての人ひとの前まえで大おおいなる力ちからをあらわし、大おおいなる恐おそるべき事ことをおこなった。
30:1 わたしがあなたがたの前まえに述のべたこのもろもろの祝福しゅくふくと、のろいの事ことがあなたに臨のぞみ、あなたがあなたの神かみ、主しゅに追おいやられたもろもろの国民こくみんのなかでこの事ことを心こころに考かんがえて、
30:2 あなたもあなたの子供こどもも共ともにあなたの神かみ、主しゅに立たち帰かえり、わたしが、きょう、命めいじるすべてのことにおいて、心こころをつくし、精神せいしんをつくして、主しゅの声こえに聞きき従したがうならば、
30:3 あなたの神かみ、主しゅはあなたを再ふたたび栄さかえさせ、あなたをあわれみ、あなたの神かみ、主しゅはあなたを散ちらされた国々くにぐにから再ふたたび集あつめられるであろう。
30:4 たといあなたが天てんのはてに追おいやられても、あなたの神かみ、主しゅはそこからあなたを集あつめ、そこからあなたを連つれ帰かえられるであろう。
30:5 あなたの神かみ、主しゅはあなたの先祖せんぞが所有しょゆうした地ちにあなたを帰かえらせ、あなたはそれを所有しょゆうするに至いたるであろう。主しゅはまたあなたを栄さかえさせ、数かずを増まして先祖せんぞたちよりも多おおくされるであろう。
30:6 そしてあなたの神かみ、主しゅはあなたの心こころとあなたの子孫しそんの心こころに割礼かつれいを施ほどこし、あなたをして、心こころをつくし、精神せいしんをつくしてあなたの神かみ、主しゅを愛あいさせ、こうしてあなたに命いのちを得えさせられるであろう。
30:7 あなたの神かみ、主しゅはまた、あなたを迫害はくがいする敵てきと、あなたを憎にくむ者ものとに、このもろもろののろいをこうむらせられるであろう。
30:8 しかし、あなたは再ふたたび主しゅの声こえに聞きき従したがい、わたしが、きょう、あなたに命めいじるすべての戒いましめを守まもるであろう。
30:9 そうすればあなたの神かみ、主しゅはあなたのするすべてのことと、あなたの身みから生うまれる者ものと、家畜かちくの産うむものと、地ちに産さんする物ものを豊ゆたかに与あたえて、あなたを栄さかえさせられるであろう。すなわち主しゅはあなたの先祖せんぞたちを喜よろこばれたように再ふたたびあなたを喜よろこんで、あなたを栄さかえさせられるであろう。
30:10 これはあなたが、あなたの神かみ、主しゅの声こえに聞ききしたがい、この律法りっぽうの書しょにしるされた戒いましめと定さだめとを守まもり、心こころをつくし、精神せいしんをつくしてあなたの神かみ、主しゅに帰きするからである。
30:11 わたしが、きょう、あなたに命めいじるこの戒いましめは、むずかしいものではなく、また遠とおいものでもない。
30:12 これは天てんにあるのではないから、『だれがわれわれのために天てんに上のぼり、それをわれわれのところへ持もってきて、われわれに聞きかせ、行おこなわせるであろうか』と言いうに及およばない。
30:13 またこれは海うみのかなたにあるのではないから、『だれがわれわれのために海うみを渡わたって行いき、それをわれわれのところへ携たずさえてきて、われわれに聞きかせ、行おこなわせるであろうか』と言いうに及およばない。
30:14 この言葉ことばはあなたに、はなはだ近ちかくあってあなたの口くちにあり、またあなたの心こころにあるから、あなたはこれを行おこなうことができる。
30:15 見みよ、わたしは、きょう、命いのちとさいわい、および死しと災わざわいをあなたの前まえに置おいた。
30:16 すなわちわたしは、きょう、あなたにあなたの神かみ、主しゅを愛あいし、その道みちに歩あゆみ、その戒いましめと定さだめと、おきてとを守まもることを命めいじる。それに従したがうならば、あなたは生いきながらえ、その数かずは多おおくなるであろう。またあなたの神かみ、主しゅはあなたが行いって取とる地ちであなたを祝福しゅくふくされるであろう。
30:17 しかし、もしあなたが心こころをそむけて聞きき従したがわず、誘さそわれて他たの神々かみがみを拝おがみ、それに仕つかえるならば、
30:18 わたしは、きょう、あなたがたに告つげる。あなたがたは必かならず滅ほろびるであろう。あなたがたはヨルダンを渡わたり、はいって行いって取とる地ちでながく命いのちを保たもつことができないであろう。
30:19 わたしは、きょう、天てんと地ちを呼よんであなたがたに対たいする証人しょうにんとする。わたしは命いのちと死しおよび祝福しゅくふくとのろいをあなたの前まえに置おいた。あなたは命いのちを選えらばなければならない。そうすればあなたとあなたの子孫しそんは生いきながらえることができるであろう。
30:20 すなわちあなたの神かみ、主しゅを愛あいして、その声こえを聞きき、主しゅにつき従したがわなければならない。そうすればあなたは命いのちを得え、かつ長ながく命いのちを保たもつことができ、主しゅが先祖せんぞアブラハム、イサク、ヤコブに与あたえると誓ちかわれた地ちに住すむことができるであろう」。
第31章 31:1 そこでモーセは続つづいてこの言葉ことばをイスラエルのすべての人ひとに告つげて、31:2 彼かれらに言いった、「わたしは、きょう、すでに百二十歳さいになり、もはや出入でいりすることはできない。また主しゅはわたしに『おまえはこのヨルダンを渡わたることはできない』と言いわれた。31:3 あなたの神かみ、主しゅはみずからあなたに先立さきだって渡わたり、あなたの前まえから、これらの国々くにぐにの民たみを滅ほろぼし去さって、あなたにこれを獲えさせられるであろう。また主しゅがかつて言いわれたように、ヨシュアはあなたを率ひきいて渡わたるであろう。31:4 主しゅがさきにアモリびとの王おうシホンとオグおよびその地ちにされたように、彼かれらにもおこなって彼かれらを滅ほろぼされるであろう。31:5 主しゅは彼かれらをあなたがたに渡わたされるから、あなたがたはわたしが命めいじたすべての命令めいれいのとおりに彼かれらに行おこなわなければならない。31:6 あなたがたは強つよく、かつ勇いさましくなければならない。彼かれらを恐おそれ、おののいてはならない。あなたの神かみ、主しゅがあなたと共ともに行いかれるからである。主しゅは決けっしてあなたを見放みはなさず、またあなたを見捨みすてられないであろう」。 31:7 モーセはヨシュアを呼よび、イスラエルのすべての人ひとの目めの前まえで彼かれに言いった、「あなたはこの民たみと共ともに行いき、主しゅが彼かれらの先祖せんぞたちに与あたえると誓ちかわれた地ちに入いるのであるから、あなたは強つよく、かつ勇いさましくなければならない。あなたは彼かれらにそれを獲えさせるであろう。31:8 主しゅはみずからあなたに先立さきだって行いき、またあなたと共ともにおり、あなたを見放みはなさず、見捨みすてられないであろう。恐おそれてはならない、おののいてはならない」。 31:9 モーセはこの律法りっぽうを書かいて、主しゅの契約けいやくの箱はこをかつぐレビの子孫しそんである祭司さいしおよびイスラエルのすべての長老ちょうろうたちに授さづけた。31:10 そしてモーセは彼かれらに命めいじて言いった、「七年ねんの終おわりごとに、すなわち、ゆるしの年としの定さだめの時ときになり、かりいおの祭まつりに、31:11 イスラエルのすべての人ひとがあなたの神かみ、主しゅの前まえに出でるため、主しゅの選えらばれる場所ばしょに来くるとき、あなたはイスラエルのすべての人ひとの前まえでこの律法りっぽうを読よんで聞きかせなければならない。31:12 すなわち男おとこ、女おんな、子供こどもおよびあなたの町まちのうちに寄留きりゅうしている他国たこく人じんなど民たみを集あつめ、彼かれらにこれを聞きかせ、かつ学まなばせなければならない。そうすれば彼かれらはあなたがたの神かみ、主しゅを恐おそれてこの律法りっぽうの言葉ことばを、ことごとく守まもり行おこなうであろう。31:13 また彼かれらの子供こどもたちでこれを知しらない者ものも聞きいて、あなたがたの神かみ、主しゅを恐おそれることを学まなぶであろう。あなたがたがヨルダンを渡わたって行いって取とる地ちにながらえる日ひのあいだ常つねにそうしなければならない」。 31:14 主しゅはまたモーセに言いわれた、「あなたの死しぬ日ひが近ちかづいている。ヨシュアを召めして共ともに会見かいけんの幕屋まくやに立たちなさい。わたしは彼かれに務つとめを命めいじるであろう」。モーセとヨシュアが行いって会見かいけんの幕屋まくやに立たつと、31:15 主しゅは幕屋まくやで雲くもの柱はしらのうちに現あらわれられた。その雲くもの柱はしらは幕屋まくやの入口いりぐちのかたわらにとどまった。 31:16 主しゅはモーセに言いわれた、「あなたはまもなく眠ねむって先祖せんぞたちと一緒いっしょになるであろう。そのときこの民たみはたちあがり、はいって行いく地ちの異ことなる神々かみがみを慕したって姦淫かんいんを行おこない、わたしを捨すて、わたしが彼かれらと結むすんだ契約けいやくを破やぶるであろう。31:17 その日ひには、わたしは彼かれらにむかって怒いかりを発はっし、彼かれらを捨すて、わたしの顔かおを彼かれらに隠かくすゆえに、彼かれらは滅ほろぼしつくされ、多おおくの災わざわいと悩なやみが彼かれらに臨のぞむであろう。そこでその日ひ、彼かれらは言いうであろう、『これらの災わざわいがわれわれに臨のぞむのは、われわれの神かみがわれわれのうちにおられないからではないか』。31:18 しかも彼かれらがほかの神々かみがみに帰きして、もろもろの悪あくを行おこなうゆえに、わたしはその日ひには必かならずわたしの顔かおを隠かくすであろう。31:19 それであなたがたは今いま、この歌うたを書かきしるし、イスラエルの人々ひとびとに教おしえてその口くちに唱となえさせ、この歌うたをイスラエルの人々ひとびとに対たいするわたしのあかしとならせなさい。31:20 わたしが彼かれらの先祖せんぞたちに誓ちかった、乳ちちと蜜みつの流ながれる地ちに彼かれらを導みちびき入いれる時とき、彼かれらは食たべて飽あき、肥こえ太ふとるに及およんで、ほかの神々かみがみに帰きし、それに仕つかえて、わたしを軽かろんじ、わたしの契約けいやくを破やぶるであろう。31:21 こうして多おおくの災わざわいと悩なやみとが彼かれらに臨のぞむ時とき、この歌うたは彼かれらに対たいして、あかしとなるであろう。(それはこの歌うたが彼かれらの子孫しそんの口くちにあって、彼かれらはそれを忘わすれないからである。)わたしが誓ちかった地ちに彼かれらを導みちびき入いれる前まえ、すでに彼かれらが思おもいはかっている事ことをわたしは知しっているからである」。31:22 モーセはその日ひ、この歌うたを書かいてイスラエルの人々ひとびとに教おしえた。 31:23 主しゅはヌンの子こヨシュアに命めいじて言いわれた、「あなたはイスラエルの人々ひとびとをわたしが彼かれらに誓ちかった地ちに導みちびき入いれなければならない。それゆえ強つよくかつ勇いさましくあれ。わたしはあなたと共ともにいるであろう」。 31:24 モーセがこの律法りっぽうの言葉ことばを、ことごとく書物しょもつに書かき終おわった時とき、31:25 モーセは主しゅの契約けいやくの箱はこをかつぐレビびとに命めいじて言いった、31:26 「この律法りっぽうの書しょをとって、あなたがたの神かみ、主しゅの契約けいやくの箱はこのかたわらに置おき、その所ところであなたにむかってあかしをするものとしなさい。31:27 わたしはあなたのそむくことと、かたくななこととを知しっている。きょう、わたしが生いきながらえて、あなたがたと一緒いっしょにいる間あいだですら、あなたがたは主しゅにそむいた。ましてわたしが死しんだあとはどんなであろう。31:28 あなたがたの部族ぶぞくのすべての長老ちょうろうたちと、つかさたちをわたしのもとに集あつめなさい。わたしはこれらの言葉ことばを彼かれらに語かたり聞きかせ、天てんと地ちとを呼よんで彼かれらにむかってあかしさせよう。31:29 わたしは知しっている。わたしが死しんだのち、あなたがたは必かならず悪わるい事ことをして、わたしが命めいじた道みちを離はなれる。そして後のちの日ひに災わざわいがあなたがたに臨のぞむであろう。これは主しゅの悪あくと見みられることを行おこない、あなたがたのすることをもって主しゅを怒いからせるからである」。 31:30 そしてモーセはイスラエルの全ぜん会衆かいしゅうに次つぎの歌うたの言葉ことばを、ことごとく語かたり聞きかせた。 第32章 32:1 「天てんよ、耳みみを傾かたむけよ、わたしは語かたる、地ちよ、わたしの口くちの言葉ことばを聞きけ。32:2 わたしの教おしえは雨あめのように降ふりそそぎ、わたしの言葉ことばは露つゆのようにしたたるであろう。若草わかくさの上うえに降ふる小雨こさめのように、青草あおくさの上うえにくだる夕立ゆうだちのように。32:3 わたしは主しゅの名なをのべよう、われわれの神かみに栄光えいこうを帰かえせよ。32:4 主しゅは岩いわであって、そのみわざは全まったく、その道みちはみな正ただしい。主しゅは真実しんじつなる神かみであって、偽いつわりなく、義ぎであって、正せいである。32:5 彼かれらは主しゅにむかって悪あくを行おこない、そのきずのゆえに、もはや主しゅの子こらではなく、よこしまで、曲まがったやからである。32:6 愚おろかな知恵ちえのない民たみよ、あなたがたはこのようにして主しゅに報むくいるのか。主しゅはあなたを生うみ、あなたを つくり、あなたを堅かたく立たてられたあなたの父ちちではないか。32:7 いにしえの日ひを覚おぼえ、代々よよの年としを思おもえ。あなたの父ちちに問とえ、彼かれはあなたに告つげるであろう。長老ちょうろうたちに問とえ、彼かれらはあなたに語かたるであろう。32:8 いと高たかき者ものは人ひとの子こらを分わけ、諸しょ国民こくみんにその嗣し業ぎょうを与あたえられたとき、イスラエルの子こらの数かずに照てらして、もろもろの民たみの境さかいを定さだめられた。32:9 主しゅの分ぶんはその民たみであって、ヤコブはその定さだめられた嗣し業ぎょうである。32:10 主しゅはこれを荒野あらのの地ちで見みいだし、獣けもののほえる荒あれ地ちで会あい、これを巡めぐり囲かこんでいたわり、目めのひとみのように守まもられた。32:11 わしがその巣すのひなを呼よび起おこし、その子この上うえに舞まいかけり、その羽はねをひろげて彼かれらをのせ、そのつばさの上うえにこれを負おうように、32:12 主しゅはただひとりで彼かれを導みちびかれて、ほかの神々かみがみはあずからなかった。32:13 主しゅは彼かれに地ちの高たかき所ところを乗のり通とおらせ、田畑たはたの産物さんぶつを食くわせ、岩いわの中なかから蜜みつを吸すわせ、堅かたい岩いわから油あぶらを吸すわせ、32:14 牛うしの凝乳ぎょうにゅう、羊ひつじの乳ちち、小羊こひつじと雄羊おひつじの脂肪しぼう、バシャンの牛うしと雄おやぎ、小麦こむぎの良よい物ものを食くわせられた。またあなたはぶどうのしるのあわ立たつ酒さけを飲のんだ。32:15 しかるにエシュルンは肥こえ太ふとって、足あしでけった。あなたは肥こえ太ふとって、つややかになり、自分じぶんを つくった神かみを捨すて、救すくいの岩いわを侮あなどった。32:16 彼かれらはほかの神々かみがみに仕つかえて、主しゅのねたみを起おこし、憎にくむべきおこないをもって主しゅの怒いかりをひき起おこした。32:17 彼かれらは神かみでもない悪霊あくれいに犠牲ぎせいをささげた。それは彼かれらがかつて知しらなかった神々かみがみ、近ちかごろ出でた新あたらしい神々かみがみ、先祖せんぞたちの恐おそれることもしなかった者ものである。32:18 あなたは自分じぶんを生うんだ岩いわを軽かろんじ、自分じぶんを造つくった神かみを忘わすれた。32:19 主しゅはこれを見み、そのむすこ、娘むすめを怒いかってそれを捨すてられた。32:20 そして言いわれた、『わたしはわたしの顔かおを彼かれらに隠かくそう。わたしは彼かれらの終おわりがどうなるかを見みよう。彼かれらはそむき、もとるやから、真実しんじつのない子こらである。32:21 彼かれらは神かみでもない者ものをもって、わたしにねたみを起おこさせ、偶像ぐうぞうをもって、わたしを怒いからせた。それゆえ、わたしは民たみともいえない者ものをもって、彼かれらにねたみを起おこさせ、愚おろかな民たみをもって、彼かれらを怒いからせるであろう。32:22 わたしの怒いかりによって、火ひは燃もえいで、陰府よみの深ふかみにまで燃もえ行いき、地ちとその産物さんぶつとを焼やきつくし、山々やまやまの基もといを燃もやすであろう。32:23 わたしは彼かれらの上うえに災わざわいを積つみかさね、わたしの矢やを彼かれらにむかって射いつくすであろう。32:24 彼かれらは飢うえて、やせ衰おとろえ、熱病ねつびょうと悪わるい疫病えきびょうによって滅ほろびるであろう。わたしは彼かれらを獣けものの歯はにかからせ、地ちに這はうものの毒どくにあたらせるであろう。32:25 外そとにはつるぎ、内うちには恐おそれがあって、若わかき男おとこも若わかき女おんなも、乳ちのみ子ごも、しらがの人ひとも滅ほろびるであろう。32:26 わたしはまさに言いおうとした、「彼かれらを遠とおく散ちらし、彼かれらの事ことを人々ひとびとが記憶きおくしないようにしよう」。32:27 しかし、わたしは敵てきが誇ほこるのを恐おそれる。あだびとはまちがえて言いうであろう、「われわれの手てが勝かちをえたのだ。これはみな主しゅがされたことではない」』。32:28 彼かれらは思慮しりょの欠かけた民たみ、そのうちには知識ちしきがない。32:29 もし、彼かれらに知恵ちえがあれば、これをさとり、その身みの終おわりをわきまえたであろうに。32:30 彼かれらの岩いわが彼かれらを売うらず、主しゅが彼かれらをわたされなかったならば、どうして、ひとりで千人にんを追おい、ふたりで万まん人にんを敗やぶることができたであろう。32:31 彼かれらの岩いわはわれらの岩いわに及およばない。われらの敵てきもこれを認みとめている。32:32 彼かれらのぶどうの木きは、ソドムのぶどうの木きから出でたもの、またゴモラの野のから出でたもの、そのぶどうは毒どくぶどう、そのふさは苦にがい。32:33 そのぶどう酒しゅはへびの毒どくのよう、まむしの恐おそろしい毒どくのようである。32:34 これはわたしのもとにたくわえられ、わたしの倉くらに封ふうじ込こめられているではないか。32:35 彼かれらの足あしがすべるとき、わたしはあだを返かえし、報むくいをするであろう。彼かれらの災わざわいの日ひは近ちかく、彼かれらの破滅はめつは、すみやかに来くるであろう。32:36 主しゅはついにその民たみをさばき、そのしもべらにあわれみを加くわえられるであろう。これは彼かれらの力ちからがうせ去さり、つながれた者ものもつながれない者ものも、もはやいなくなったのを、主しゅが見みられるからである。32:37 そのとき主しゅは言いわれるであろう、『彼かれらの神々かみがみはどこにいるか、彼かれらの頼たのみとした岩いわはどこにあるか。32:38 彼かれらの犠牲ぎせいのあぶらを食くい、灌祭かんさいの酒さけを飲のんだ者ものはどこにいるか。立たちあがってあなたがたを助たすけさせよ、あなたがたを守まもらせよ。32:39 今見いまみよ、わたしこそは彼かれである。わたしのほかに神かみはない。わたしは殺ころし、また生いかし、傷きずつけ、またいやす。わたしの手てから救すくい出だしうるものはない。32:40 わたしは天てんにむかい手てをあげて誓ちかう、「わたしは永遠えいえんに生いきる。32:41 わたしがきらめくつるぎをとぎ、手てにさばきを握にぎるとき、わたしは敵てきにあだを返かえし、わたしを憎にくむ者ものに報復ほうふくするであろう。32:42 わたしの矢やを血ちに酔よわせ、わたしのつるぎに肉にくを食くわせるであろう。殺ころされた者ものと捕とらえられた者ものの血ちを飲のませ、敵てきの長髪ちょうはつの頭あたまの肉にくを食くわせるであろう」』。32:43 国々くにぐにの民たみよ、主しゅの民たみのために喜よろこび歌うたえ。主しゅはそのしもべの血ちのために報復ほうふくし、その敵てきにあだを返かえし、その民たみの地ちの汚けがれを清きよめられるからである」。32:44 モーセとヌンの子こヨシュアは共ともに行いって、この歌うたの言葉ことばを、ことごとく民たみに読よみ聞きかせた。32:45 モーセはこの言葉ことばを、ことごとくイスラエルのすべての人ひとに告つげ終おわって、32:46 彼かれらに言いった、「あなたがたはわたしが、きょう、あなたがたに命めいじるこのすべての言葉ことばを心こころにおさめ、子供こどもたちにもこの律法りっぽうのすべての言葉ことばを守まもり行おこなうことを命めいじなければならない。32:47 この言葉ことばはあなたがたにとって、むなしい言葉ことばではない。これはあなたがたのいのちである。この言葉ことばにより、あなたがたはヨルダンを渡わたって行いって取とる地ちで、長ながく命いのちを保たもつことができるであろう」。 32:48 この日ひ、主しゅはモーセに言いわれた、32:49 「あなたはエリコに対たいするモアブの地ちにあるアバリム山やますなわちネボ山やまに登のぼり、わたしがイスラエルの人々ひとびとに与あたえて獲えさせるカナンの地ちを見渡みわたせ。32:50 あなたは登のぼって行いくその山やまで死しに、あなたの民たみに連つらなるであろう。あなたの兄弟きょうだいアロンがホル山やまで死しんでその民たみに連つらなったようになるであろう。32:51 これはあなたがたがチンの荒野あらのにあるメリバテ・カデシの水みずのほとりで、イスラエルの人々ひとびとのうちでわたしにそむき、イスラエルの人々ひとびとのうちでわたしを聖せいなるものとして敬うやまわなかったからである。32:52 それであなたはわたしがイスラエルの人々ひとびとに与あたえる地ちを、目めの前まえに見みるであろう。しかし、その地ちに、はいることはできない」。 第33章 33:1 神かみの人ひとモーセは死しぬ前まえにイスラエルの人々ひとびとを祝福しゅくふくした。祝福しゅくふくの言葉ことばは次つぎのとおりである。 33:2 「主しゅはシナイからこられ、セイルからわれわれにむかってのぼられ、パランの山やまから光ひかりを放はなたれ、ちよろずの聖者せいじゃの中なかからこられた。その右みぎの手てには燃もえる火ひがあった。33:3 まことに主しゅはその民たみを愛あいされる。すべて主しゅに聖別せいべつされたものは、み手てのうちにある。彼かれらはあなたの足あしもとに座ざして、教おしえをうける。33:4 モーセはわれわれに律法りっぽうを授さづけて、ヤコブの会衆かいしゅうの所有しょゆうとさせた。33:5 民たみのかしらたちが集あつまり、イスラエルの部族ぶぞくがみな集あつまった時とき、主しゅはエシュルンのうちに王おうとなられた」。33:6 「ルベンは生いきる、死しにはしない。しかし、その人数にんずうは少すくなくなるであろう」。33:7 ユダについては、こう言いった、「主しゅよ、ユダの声こえを聞きいて、彼かれをその民たみに導みちびきかえしてください。み手てをもって、彼かれのために戦たたかってください。彼かれを助たすけて、敵てきに当あたらせてください」。33:8 レビについては言いった、「あなたのトンミムをレビに与あたえてください。ウリムをあなたに仕つかえる人ひとに与あたえてください。かつてあなたはマッサで彼かれを試こころみ、メリバの水みずのほとりで彼かれと争あらそわれた。33:9 彼かれはその父ちち、その母ははについて言いった、『わたしは彼かれらを顧かえりみない』。彼かれは自分じぶんの兄弟きょうだいをも認みとめず、自分じぶんの子供こどもをも顧かえりみなかった。彼かれらはあなたの言葉ことばにしたがい、あなたの契約けいやくを守まもったからである。33:10 彼かれらはあなたのおきてをヤコブに教おしえ、あなたの律法りっぽうをイスラエルに教おしえ、薫香くんこうをあなたの前まえに供そなえ、燔祭はんさいを祭壇さいだんの上うえにささげる。33:11 主しゅよ、彼かれの力ちからを祝福しゅくふくし、彼かれの手てのわざを喜よろこび受うけてください。彼かれに逆さからう者ものと、彼かれを憎にくむ者ものとの腰こしを打うち砕くだいて、立たち上あがることのできないようにしてください」。33:12 ベニヤミンについては言いった、「主しゅに愛あいされる者もの、彼かれは安やすらかに主しゅのそばにおり、主しゅは終日しゅうじつ、彼かれを守まもり、その肩かたの間あいだにすまいを営いとなまれるであろう」。33:13 ヨセフについては言いった、「どうぞ主しゅが彼かれの地ちを祝福しゅくふくされるように。上うえなる天てんの賜物たまものと露つゆ、下したに横よこたわる淵ふちの賜物たまもの、33:14 日ひによって産さんする尊たっとい賜物たまもの、月つきによって生しょうずる尊たっとい賜物たまもの、33:15 いにしえの山々やまやまの産さんする賜物たまもの、とこしえの丘おかの尊たっとい賜物たまもの、33:16 地ちとそれに満みちる尊たっとい賜物たまもの、しばの中なかにおられた者ものの恵めぐみが、ヨセフの頭あたまに臨のぞみ、その兄弟きょうだいたちの君くんたる者ものの頭あたまの頂いただきにくだるように。33:17 彼かれの牛うしのういごは威厳いげんがあり、その角つのは野牛やぎゅうの角つののよう、これをもって国々くにぐにの民たみをことごとく突つき倒たおし、地ちのはてにまで及およぶ。このような者ものはエフライムに幾いく万まんとあり、またこのような者ものはマナセに幾いく千せんとある」。33:18 ゼブルンについては言いった、「ゼブルンよ、あなたは外そとに出でて楽たのしみを得えよ。イッサカルよ、あなたは天幕てんまくにいて楽たのしみを得えよ。33:19 彼かれらは国々くにぐにの民たみを山やまに招まねき、その所ところで正ただしい犠牲ぎせいをささげるであろう。彼かれらは海うみの富とみを吸すい、砂すなに隠かくれた宝たからを取とるからである」。33:20 ガドについては言いった、「ガドを大おおきくする者ものは、ほむべきかな。ガドは、ししのように伏ふし、腕うでや頭あたまの頂いただきをかき裂さくであろう。33:21 彼かれは初穂はつほの地ちを自分じぶんのために選えらんだ。そこには将軍しょうぐんの分ぶんも取とり置おかれていた。彼かれは民たみのかしらたちと共ともにきて、イスラエルと共ともに主しゅの正義せいぎと審判しんぱんとを行おこなった」。33:22 ダンについては言いった、「ダンはししの子こであって、バシャンからおどりでる」。33:23 ナフタリについては言いった、「ナフタリよ、あなたは恵めぐみに満みたされ、主しゅの祝福しゅくふくに満みちて、湖みずうみとその南みなみの地ちを所有しょゆうする」。33:24 アセルについては言いった、「アセルは他たの子こらにまさって祝福しゅくふくされる。彼かれはその兄弟きょうだいたちに愛あいせられ、その足あしを油あぶらにひたすことができるように。33:25 あなたの貫かんの木きは鉄てつと青銅せいどう、あなたの力ちからはあなたの年としと共ともに続つづくであろう」。33:26 「エシュルンよ、神かみに並ならぶ者ものはほかにない。あなたを助たすけるために天てんに乗のり、威光いこうをもって空そらを通とおられる。33:27 とこしえにいます神かみはあなたのすみかであり、下したには永遠えいえんの腕うでがある。敵てきをあなたの前まえから追おい払はらって、『滅ほろぼせ』と言いわれた。33:28 イスラエルは安やすらかに住すみ、ヤコブの泉いずみは穀物こくもつとぶどう酒しゅの地ちに、ひとりいるであろう。また天てんは露つゆをくだすであろう。 33:29 イスラエルよ、あなたはしあわせである。だれがあなたのように、主しゅに救すくわれた民たみがあるであろうか。主しゅはあなたを助たすける盾たて、あなたの威光いこうのつるぎ、あなたの敵てきはあなたにへつらい服ふくし、あなたは彼かれらの高たかき所ところを踏ふみ進すすむであろう」。 第34章 34:1 モーセはモアブの平野へいやからネボ山やまに登のぼり、エリコの向むかいのピスガの頂いただきへ行いった。そこで主しゅは彼かれにギレアデの全ぜん地ちをダンまで示しめし、34:2 ナフタリの全部ぜんぶ、エフライムとマナセの地ちおよびユダの全ぜん地ちを西にしの海うみまで示しめし、34:3 ネゲブと低地ていち、すなわち、しゅろの町まちエリコの谷たにをゾアルまで示しめされた。34:4 そして主しゅは彼かれに言いわれた、「わたしがアブラハム、イサク、ヤコブに、これをあなたの子孫しそんに与あたえると言いって誓ちかった地ちはこれである。わたしはこれをあなたの目めに見みせるが、あなたはそこへ渡わたって行いくことはできない」。34:5 こうして主しゅのしもべモーセは主しゅの言葉ことばのとおりにモアブの地ちで死しんだ。34:6 主しゅは彼かれをベテペオルに対たいするモアブの地ちの谷たにに葬ほうむられたが、今日こんにちまでその墓はかを知しる人ひとはない。34:7 モーセは死しんだ時とき、百二十歳さいであったが、目めはかすまず、気力きりょくは衰おとろえていなかった。34:8 イスラエルの人々ひとびとはモアブの平野へいやで三十日にちの間あいだモーセのために泣ないた。そしてモーセのために泣なき悲かなしむ日ひはついに終おわった。 34:9 ヌンの子こヨシュアは知恵ちえの霊れいに満みちた人ひとであった。モーセが彼かれの上うえに手てを置おいたからである。イスラエルの人々ひとびとは彼かれに聞きき従したがい、主しゅがモーセに命めいじられたとおりにおこなった。34:10 イスラエルには、こののちモーセのような預言者よげんしゃは起おこらなかった。モーセは主しゅが顔かおを合あわせて知しられた者ものであった。34:11 主しゅはエジプトの地ちで彼かれをパロとそのすべての家来けらいおよびその全ぜん地ちにつかわして、もろもろのしるしと不思議ふしぎを行おこなわせられた。34:12 モーセはイスラエルのすべての人ひとの前まえで大おおいなる力ちからをあらわし、大おおいなる恐おそるべき事ことをおこなった。
31:1 そこでモーセは続つづいてこの言葉ことばをイスラエルのすべての人ひとに告つげて、
31:2 彼かれらに言いった、「わたしは、きょう、すでに百二十歳さいになり、もはや出入でいりすることはできない。また主しゅはわたしに『おまえはこのヨルダンを渡わたることはできない』と言いわれた。
31:3 あなたの神かみ、主しゅはみずからあなたに先立さきだって渡わたり、あなたの前まえから、これらの国々くにぐにの民たみを滅ほろぼし去さって、あなたにこれを獲えさせられるであろう。また主しゅがかつて言いわれたように、ヨシュアはあなたを率ひきいて渡わたるであろう。
31:4 主しゅがさきにアモリびとの王おうシホンとオグおよびその地ちにされたように、彼かれらにもおこなって彼かれらを滅ほろぼされるであろう。
31:5 主しゅは彼かれらをあなたがたに渡わたされるから、あなたがたはわたしが命めいじたすべての命令めいれいのとおりに彼かれらに行おこなわなければならない。
31:6 あなたがたは強つよく、かつ勇いさましくなければならない。彼かれらを恐おそれ、おののいてはならない。あなたの神かみ、主しゅがあなたと共ともに行いかれるからである。主しゅは決けっしてあなたを見放みはなさず、またあなたを見捨みすてられないであろう」。
31:7 モーセはヨシュアを呼よび、イスラエルのすべての人ひとの目めの前まえで彼かれに言いった、「あなたはこの民たみと共ともに行いき、主しゅが彼かれらの先祖せんぞたちに与あたえると誓ちかわれた地ちに入いるのであるから、あなたは強つよく、かつ勇いさましくなければならない。あなたは彼かれらにそれを獲えさせるであろう。
31:8 主しゅはみずからあなたに先立さきだって行いき、またあなたと共ともにおり、あなたを見放みはなさず、見捨みすてられないであろう。恐おそれてはならない、おののいてはならない」。
31:9 モーセはこの律法りっぽうを書かいて、主しゅの契約けいやくの箱はこをかつぐレビの子孫しそんである祭司さいしおよびイスラエルのすべての長老ちょうろうたちに授さづけた。
31:10 そしてモーセは彼かれらに命めいじて言いった、「七年ねんの終おわりごとに、すなわち、ゆるしの年としの定さだめの時ときになり、かりいおの祭まつりに、
31:11 イスラエルのすべての人ひとがあなたの神かみ、主しゅの前まえに出でるため、主しゅの選えらばれる場所ばしょに来くるとき、あなたはイスラエルのすべての人ひとの前まえでこの律法りっぽうを読よんで聞きかせなければならない。
31:12 すなわち男おとこ、女おんな、子供こどもおよびあなたの町まちのうちに寄留きりゅうしている他国たこく人じんなど民たみを集あつめ、彼かれらにこれを聞きかせ、かつ学まなばせなければならない。そうすれば彼かれらはあなたがたの神かみ、主しゅを恐おそれてこの律法りっぽうの言葉ことばを、ことごとく守まもり行おこなうであろう。
31:13 また彼かれらの子供こどもたちでこれを知しらない者ものも聞きいて、あなたがたの神かみ、主しゅを恐おそれることを学まなぶであろう。あなたがたがヨルダンを渡わたって行いって取とる地ちにながらえる日ひのあいだ常つねにそうしなければならない」。
31:14 主しゅはまたモーセに言いわれた、「あなたの死しぬ日ひが近ちかづいている。ヨシュアを召めして共ともに会見かいけんの幕屋まくやに立たちなさい。わたしは彼かれに務つとめを命めいじるであろう」。モーセとヨシュアが行いって会見かいけんの幕屋まくやに立たつと、
31:15 主しゅは幕屋まくやで雲くもの柱はしらのうちに現あらわれられた。その雲くもの柱はしらは幕屋まくやの入口いりぐちのかたわらにとどまった。
31:16 主しゅはモーセに言いわれた、「あなたはまもなく眠ねむって先祖せんぞたちと一緒いっしょになるであろう。そのときこの民たみはたちあがり、はいって行いく地ちの異ことなる神々かみがみを慕したって姦淫かんいんを行おこない、わたしを捨すて、わたしが彼かれらと結むすんだ契約けいやくを破やぶるであろう。
31:17 その日ひには、わたしは彼かれらにむかって怒いかりを発はっし、彼かれらを捨すて、わたしの顔かおを彼かれらに隠かくすゆえに、彼かれらは滅ほろぼしつくされ、多おおくの災わざわいと悩なやみが彼かれらに臨のぞむであろう。そこでその日ひ、彼かれらは言いうであろう、『これらの災わざわいがわれわれに臨のぞむのは、われわれの神かみがわれわれのうちにおられないからではないか』。
31:18 しかも彼かれらがほかの神々かみがみに帰きして、もろもろの悪あくを行おこなうゆえに、わたしはその日ひには必かならずわたしの顔かおを隠かくすであろう。
31:19 それであなたがたは今いま、この歌うたを書かきしるし、イスラエルの人々ひとびとに教おしえてその口くちに唱となえさせ、この歌うたをイスラエルの人々ひとびとに対たいするわたしのあかしとならせなさい。
31:20 わたしが彼かれらの先祖せんぞたちに誓ちかった、乳ちちと蜜みつの流ながれる地ちに彼かれらを導みちびき入いれる時とき、彼かれらは食たべて飽あき、肥こえ太ふとるに及およんで、ほかの神々かみがみに帰きし、それに仕つかえて、わたしを軽かろんじ、わたしの契約けいやくを破やぶるであろう。
31:21 こうして多おおくの災わざわいと悩なやみとが彼かれらに臨のぞむ時とき、この歌うたは彼かれらに対たいして、あかしとなるであろう。(それはこの歌うたが彼かれらの子孫しそんの口くちにあって、彼かれらはそれを忘わすれないからである。)わたしが誓ちかった地ちに彼かれらを導みちびき入いれる前まえ、すでに彼かれらが思おもいはかっている事ことをわたしは知しっているからである」。
31:22 モーセはその日ひ、この歌うたを書かいてイスラエルの人々ひとびとに教おしえた。
31:23 主しゅはヌンの子こヨシュアに命めいじて言いわれた、「あなたはイスラエルの人々ひとびとをわたしが彼かれらに誓ちかった地ちに導みちびき入いれなければならない。それゆえ強つよくかつ勇いさましくあれ。わたしはあなたと共ともにいるであろう」。
31:24 モーセがこの律法りっぽうの言葉ことばを、ことごとく書物しょもつに書かき終おわった時とき、
31:25 モーセは主しゅの契約けいやくの箱はこをかつぐレビびとに命めいじて言いった、
31:26 「この律法りっぽうの書しょをとって、あなたがたの神かみ、主しゅの契約けいやくの箱はこのかたわらに置おき、その所ところであなたにむかってあかしをするものとしなさい。
31:27 わたしはあなたのそむくことと、かたくななこととを知しっている。きょう、わたしが生いきながらえて、あなたがたと一緒いっしょにいる間あいだですら、あなたがたは主しゅにそむいた。ましてわたしが死しんだあとはどんなであろう。
31:28 あなたがたの部族ぶぞくのすべての長老ちょうろうたちと、つかさたちをわたしのもとに集あつめなさい。わたしはこれらの言葉ことばを彼かれらに語かたり聞きかせ、天てんと地ちとを呼よんで彼かれらにむかってあかしさせよう。
31:29 わたしは知しっている。わたしが死しんだのち、あなたがたは必かならず悪わるい事ことをして、わたしが命めいじた道みちを離はなれる。そして後のちの日ひに災わざわいがあなたがたに臨のぞむであろう。これは主しゅの悪あくと見みられることを行おこない、あなたがたのすることをもって主しゅを怒いからせるからである」。
31:30 そしてモーセはイスラエルの全ぜん会衆かいしゅうに次つぎの歌うたの言葉ことばを、ことごとく語かたり聞きかせた。
第32章 32:1 「天てんよ、耳みみを傾かたむけよ、わたしは語かたる、地ちよ、わたしの口くちの言葉ことばを聞きけ。32:2 わたしの教おしえは雨あめのように降ふりそそぎ、わたしの言葉ことばは露つゆのようにしたたるであろう。若草わかくさの上うえに降ふる小雨こさめのように、青草あおくさの上うえにくだる夕立ゆうだちのように。32:3 わたしは主しゅの名なをのべよう、われわれの神かみに栄光えいこうを帰かえせよ。32:4 主しゅは岩いわであって、そのみわざは全まったく、その道みちはみな正ただしい。主しゅは真実しんじつなる神かみであって、偽いつわりなく、義ぎであって、正せいである。32:5 彼かれらは主しゅにむかって悪あくを行おこない、そのきずのゆえに、もはや主しゅの子こらではなく、よこしまで、曲まがったやからである。32:6 愚おろかな知恵ちえのない民たみよ、あなたがたはこのようにして主しゅに報むくいるのか。主しゅはあなたを生うみ、あなたを つくり、あなたを堅かたく立たてられたあなたの父ちちではないか。32:7 いにしえの日ひを覚おぼえ、代々よよの年としを思おもえ。あなたの父ちちに問とえ、彼かれはあなたに告つげるであろう。長老ちょうろうたちに問とえ、彼かれらはあなたに語かたるであろう。32:8 いと高たかき者ものは人ひとの子こらを分わけ、諸しょ国民こくみんにその嗣し業ぎょうを与あたえられたとき、イスラエルの子こらの数かずに照てらして、もろもろの民たみの境さかいを定さだめられた。32:9 主しゅの分ぶんはその民たみであって、ヤコブはその定さだめられた嗣し業ぎょうである。32:10 主しゅはこれを荒野あらのの地ちで見みいだし、獣けもののほえる荒あれ地ちで会あい、これを巡めぐり囲かこんでいたわり、目めのひとみのように守まもられた。32:11 わしがその巣すのひなを呼よび起おこし、その子この上うえに舞まいかけり、その羽はねをひろげて彼かれらをのせ、そのつばさの上うえにこれを負おうように、32:12 主しゅはただひとりで彼かれを導みちびかれて、ほかの神々かみがみはあずからなかった。32:13 主しゅは彼かれに地ちの高たかき所ところを乗のり通とおらせ、田畑たはたの産物さんぶつを食くわせ、岩いわの中なかから蜜みつを吸すわせ、堅かたい岩いわから油あぶらを吸すわせ、32:14 牛うしの凝乳ぎょうにゅう、羊ひつじの乳ちち、小羊こひつじと雄羊おひつじの脂肪しぼう、バシャンの牛うしと雄おやぎ、小麦こむぎの良よい物ものを食くわせられた。またあなたはぶどうのしるのあわ立たつ酒さけを飲のんだ。32:15 しかるにエシュルンは肥こえ太ふとって、足あしでけった。あなたは肥こえ太ふとって、つややかになり、自分じぶんを つくった神かみを捨すて、救すくいの岩いわを侮あなどった。32:16 彼かれらはほかの神々かみがみに仕つかえて、主しゅのねたみを起おこし、憎にくむべきおこないをもって主しゅの怒いかりをひき起おこした。32:17 彼かれらは神かみでもない悪霊あくれいに犠牲ぎせいをささげた。それは彼かれらがかつて知しらなかった神々かみがみ、近ちかごろ出でた新あたらしい神々かみがみ、先祖せんぞたちの恐おそれることもしなかった者ものである。32:18 あなたは自分じぶんを生うんだ岩いわを軽かろんじ、自分じぶんを造つくった神かみを忘わすれた。32:19 主しゅはこれを見み、そのむすこ、娘むすめを怒いかってそれを捨すてられた。32:20 そして言いわれた、『わたしはわたしの顔かおを彼かれらに隠かくそう。わたしは彼かれらの終おわりがどうなるかを見みよう。彼かれらはそむき、もとるやから、真実しんじつのない子こらである。32:21 彼かれらは神かみでもない者ものをもって、わたしにねたみを起おこさせ、偶像ぐうぞうをもって、わたしを怒いからせた。それゆえ、わたしは民たみともいえない者ものをもって、彼かれらにねたみを起おこさせ、愚おろかな民たみをもって、彼かれらを怒いからせるであろう。32:22 わたしの怒いかりによって、火ひは燃もえいで、陰府よみの深ふかみにまで燃もえ行いき、地ちとその産物さんぶつとを焼やきつくし、山々やまやまの基もといを燃もやすであろう。32:23 わたしは彼かれらの上うえに災わざわいを積つみかさね、わたしの矢やを彼かれらにむかって射いつくすであろう。32:24 彼かれらは飢うえて、やせ衰おとろえ、熱病ねつびょうと悪わるい疫病えきびょうによって滅ほろびるであろう。わたしは彼かれらを獣けものの歯はにかからせ、地ちに這はうものの毒どくにあたらせるであろう。32:25 外そとにはつるぎ、内うちには恐おそれがあって、若わかき男おとこも若わかき女おんなも、乳ちのみ子ごも、しらがの人ひとも滅ほろびるであろう。32:26 わたしはまさに言いおうとした、「彼かれらを遠とおく散ちらし、彼かれらの事ことを人々ひとびとが記憶きおくしないようにしよう」。32:27 しかし、わたしは敵てきが誇ほこるのを恐おそれる。あだびとはまちがえて言いうであろう、「われわれの手てが勝かちをえたのだ。これはみな主しゅがされたことではない」』。32:28 彼かれらは思慮しりょの欠かけた民たみ、そのうちには知識ちしきがない。32:29 もし、彼かれらに知恵ちえがあれば、これをさとり、その身みの終おわりをわきまえたであろうに。32:30 彼かれらの岩いわが彼かれらを売うらず、主しゅが彼かれらをわたされなかったならば、どうして、ひとりで千人にんを追おい、ふたりで万まん人にんを敗やぶることができたであろう。32:31 彼かれらの岩いわはわれらの岩いわに及およばない。われらの敵てきもこれを認みとめている。32:32 彼かれらのぶどうの木きは、ソドムのぶどうの木きから出でたもの、またゴモラの野のから出でたもの、そのぶどうは毒どくぶどう、そのふさは苦にがい。32:33 そのぶどう酒しゅはへびの毒どくのよう、まむしの恐おそろしい毒どくのようである。32:34 これはわたしのもとにたくわえられ、わたしの倉くらに封ふうじ込こめられているではないか。32:35 彼かれらの足あしがすべるとき、わたしはあだを返かえし、報むくいをするであろう。彼かれらの災わざわいの日ひは近ちかく、彼かれらの破滅はめつは、すみやかに来くるであろう。32:36 主しゅはついにその民たみをさばき、そのしもべらにあわれみを加くわえられるであろう。これは彼かれらの力ちからがうせ去さり、つながれた者ものもつながれない者ものも、もはやいなくなったのを、主しゅが見みられるからである。32:37 そのとき主しゅは言いわれるであろう、『彼かれらの神々かみがみはどこにいるか、彼かれらの頼たのみとした岩いわはどこにあるか。32:38 彼かれらの犠牲ぎせいのあぶらを食くい、灌祭かんさいの酒さけを飲のんだ者ものはどこにいるか。立たちあがってあなたがたを助たすけさせよ、あなたがたを守まもらせよ。32:39 今見いまみよ、わたしこそは彼かれである。わたしのほかに神かみはない。わたしは殺ころし、また生いかし、傷きずつけ、またいやす。わたしの手てから救すくい出だしうるものはない。32:40 わたしは天てんにむかい手てをあげて誓ちかう、「わたしは永遠えいえんに生いきる。32:41 わたしがきらめくつるぎをとぎ、手てにさばきを握にぎるとき、わたしは敵てきにあだを返かえし、わたしを憎にくむ者ものに報復ほうふくするであろう。32:42 わたしの矢やを血ちに酔よわせ、わたしのつるぎに肉にくを食くわせるであろう。殺ころされた者ものと捕とらえられた者ものの血ちを飲のませ、敵てきの長髪ちょうはつの頭あたまの肉にくを食くわせるであろう」』。32:43 国々くにぐにの民たみよ、主しゅの民たみのために喜よろこび歌うたえ。主しゅはそのしもべの血ちのために報復ほうふくし、その敵てきにあだを返かえし、その民たみの地ちの汚けがれを清きよめられるからである」。32:44 モーセとヌンの子こヨシュアは共ともに行いって、この歌うたの言葉ことばを、ことごとく民たみに読よみ聞きかせた。32:45 モーセはこの言葉ことばを、ことごとくイスラエルのすべての人ひとに告つげ終おわって、32:46 彼かれらに言いった、「あなたがたはわたしが、きょう、あなたがたに命めいじるこのすべての言葉ことばを心こころにおさめ、子供こどもたちにもこの律法りっぽうのすべての言葉ことばを守まもり行おこなうことを命めいじなければならない。32:47 この言葉ことばはあなたがたにとって、むなしい言葉ことばではない。これはあなたがたのいのちである。この言葉ことばにより、あなたがたはヨルダンを渡わたって行いって取とる地ちで、長ながく命いのちを保たもつことができるであろう」。 32:48 この日ひ、主しゅはモーセに言いわれた、32:49 「あなたはエリコに対たいするモアブの地ちにあるアバリム山やますなわちネボ山やまに登のぼり、わたしがイスラエルの人々ひとびとに与あたえて獲えさせるカナンの地ちを見渡みわたせ。32:50 あなたは登のぼって行いくその山やまで死しに、あなたの民たみに連つらなるであろう。あなたの兄弟きょうだいアロンがホル山やまで死しんでその民たみに連つらなったようになるであろう。32:51 これはあなたがたがチンの荒野あらのにあるメリバテ・カデシの水みずのほとりで、イスラエルの人々ひとびとのうちでわたしにそむき、イスラエルの人々ひとびとのうちでわたしを聖せいなるものとして敬うやまわなかったからである。32:52 それであなたはわたしがイスラエルの人々ひとびとに与あたえる地ちを、目めの前まえに見みるであろう。しかし、その地ちに、はいることはできない」。 第33章 33:1 神かみの人ひとモーセは死しぬ前まえにイスラエルの人々ひとびとを祝福しゅくふくした。祝福しゅくふくの言葉ことばは次つぎのとおりである。 33:2 「主しゅはシナイからこられ、セイルからわれわれにむかってのぼられ、パランの山やまから光ひかりを放はなたれ、ちよろずの聖者せいじゃの中なかからこられた。その右みぎの手てには燃もえる火ひがあった。33:3 まことに主しゅはその民たみを愛あいされる。すべて主しゅに聖別せいべつされたものは、み手てのうちにある。彼かれらはあなたの足あしもとに座ざして、教おしえをうける。33:4 モーセはわれわれに律法りっぽうを授さづけて、ヤコブの会衆かいしゅうの所有しょゆうとさせた。33:5 民たみのかしらたちが集あつまり、イスラエルの部族ぶぞくがみな集あつまった時とき、主しゅはエシュルンのうちに王おうとなられた」。33:6 「ルベンは生いきる、死しにはしない。しかし、その人数にんずうは少すくなくなるであろう」。33:7 ユダについては、こう言いった、「主しゅよ、ユダの声こえを聞きいて、彼かれをその民たみに導みちびきかえしてください。み手てをもって、彼かれのために戦たたかってください。彼かれを助たすけて、敵てきに当あたらせてください」。33:8 レビについては言いった、「あなたのトンミムをレビに与あたえてください。ウリムをあなたに仕つかえる人ひとに与あたえてください。かつてあなたはマッサで彼かれを試こころみ、メリバの水みずのほとりで彼かれと争あらそわれた。33:9 彼かれはその父ちち、その母ははについて言いった、『わたしは彼かれらを顧かえりみない』。彼かれは自分じぶんの兄弟きょうだいをも認みとめず、自分じぶんの子供こどもをも顧かえりみなかった。彼かれらはあなたの言葉ことばにしたがい、あなたの契約けいやくを守まもったからである。33:10 彼かれらはあなたのおきてをヤコブに教おしえ、あなたの律法りっぽうをイスラエルに教おしえ、薫香くんこうをあなたの前まえに供そなえ、燔祭はんさいを祭壇さいだんの上うえにささげる。33:11 主しゅよ、彼かれの力ちからを祝福しゅくふくし、彼かれの手てのわざを喜よろこび受うけてください。彼かれに逆さからう者ものと、彼かれを憎にくむ者ものとの腰こしを打うち砕くだいて、立たち上あがることのできないようにしてください」。33:12 ベニヤミンについては言いった、「主しゅに愛あいされる者もの、彼かれは安やすらかに主しゅのそばにおり、主しゅは終日しゅうじつ、彼かれを守まもり、その肩かたの間あいだにすまいを営いとなまれるであろう」。33:13 ヨセフについては言いった、「どうぞ主しゅが彼かれの地ちを祝福しゅくふくされるように。上うえなる天てんの賜物たまものと露つゆ、下したに横よこたわる淵ふちの賜物たまもの、33:14 日ひによって産さんする尊たっとい賜物たまもの、月つきによって生しょうずる尊たっとい賜物たまもの、33:15 いにしえの山々やまやまの産さんする賜物たまもの、とこしえの丘おかの尊たっとい賜物たまもの、33:16 地ちとそれに満みちる尊たっとい賜物たまもの、しばの中なかにおられた者ものの恵めぐみが、ヨセフの頭あたまに臨のぞみ、その兄弟きょうだいたちの君くんたる者ものの頭あたまの頂いただきにくだるように。33:17 彼かれの牛うしのういごは威厳いげんがあり、その角つのは野牛やぎゅうの角つののよう、これをもって国々くにぐにの民たみをことごとく突つき倒たおし、地ちのはてにまで及およぶ。このような者ものはエフライムに幾いく万まんとあり、またこのような者ものはマナセに幾いく千せんとある」。33:18 ゼブルンについては言いった、「ゼブルンよ、あなたは外そとに出でて楽たのしみを得えよ。イッサカルよ、あなたは天幕てんまくにいて楽たのしみを得えよ。33:19 彼かれらは国々くにぐにの民たみを山やまに招まねき、その所ところで正ただしい犠牲ぎせいをささげるであろう。彼かれらは海うみの富とみを吸すい、砂すなに隠かくれた宝たからを取とるからである」。33:20 ガドについては言いった、「ガドを大おおきくする者ものは、ほむべきかな。ガドは、ししのように伏ふし、腕うでや頭あたまの頂いただきをかき裂さくであろう。33:21 彼かれは初穂はつほの地ちを自分じぶんのために選えらんだ。そこには将軍しょうぐんの分ぶんも取とり置おかれていた。彼かれは民たみのかしらたちと共ともにきて、イスラエルと共ともに主しゅの正義せいぎと審判しんぱんとを行おこなった」。33:22 ダンについては言いった、「ダンはししの子こであって、バシャンからおどりでる」。33:23 ナフタリについては言いった、「ナフタリよ、あなたは恵めぐみに満みたされ、主しゅの祝福しゅくふくに満みちて、湖みずうみとその南みなみの地ちを所有しょゆうする」。33:24 アセルについては言いった、「アセルは他たの子こらにまさって祝福しゅくふくされる。彼かれはその兄弟きょうだいたちに愛あいせられ、その足あしを油あぶらにひたすことができるように。33:25 あなたの貫かんの木きは鉄てつと青銅せいどう、あなたの力ちからはあなたの年としと共ともに続つづくであろう」。33:26 「エシュルンよ、神かみに並ならぶ者ものはほかにない。あなたを助たすけるために天てんに乗のり、威光いこうをもって空そらを通とおられる。33:27 とこしえにいます神かみはあなたのすみかであり、下したには永遠えいえんの腕うでがある。敵てきをあなたの前まえから追おい払はらって、『滅ほろぼせ』と言いわれた。33:28 イスラエルは安やすらかに住すみ、ヤコブの泉いずみは穀物こくもつとぶどう酒しゅの地ちに、ひとりいるであろう。また天てんは露つゆをくだすであろう。 33:29 イスラエルよ、あなたはしあわせである。だれがあなたのように、主しゅに救すくわれた民たみがあるであろうか。主しゅはあなたを助たすける盾たて、あなたの威光いこうのつるぎ、あなたの敵てきはあなたにへつらい服ふくし、あなたは彼かれらの高たかき所ところを踏ふみ進すすむであろう」。 第34章 34:1 モーセはモアブの平野へいやからネボ山やまに登のぼり、エリコの向むかいのピスガの頂いただきへ行いった。そこで主しゅは彼かれにギレアデの全ぜん地ちをダンまで示しめし、34:2 ナフタリの全部ぜんぶ、エフライムとマナセの地ちおよびユダの全ぜん地ちを西にしの海うみまで示しめし、34:3 ネゲブと低地ていち、すなわち、しゅろの町まちエリコの谷たにをゾアルまで示しめされた。34:4 そして主しゅは彼かれに言いわれた、「わたしがアブラハム、イサク、ヤコブに、これをあなたの子孫しそんに与あたえると言いって誓ちかった地ちはこれである。わたしはこれをあなたの目めに見みせるが、あなたはそこへ渡わたって行いくことはできない」。34:5 こうして主しゅのしもべモーセは主しゅの言葉ことばのとおりにモアブの地ちで死しんだ。34:6 主しゅは彼かれをベテペオルに対たいするモアブの地ちの谷たにに葬ほうむられたが、今日こんにちまでその墓はかを知しる人ひとはない。34:7 モーセは死しんだ時とき、百二十歳さいであったが、目めはかすまず、気力きりょくは衰おとろえていなかった。34:8 イスラエルの人々ひとびとはモアブの平野へいやで三十日にちの間あいだモーセのために泣ないた。そしてモーセのために泣なき悲かなしむ日ひはついに終おわった。 34:9 ヌンの子こヨシュアは知恵ちえの霊れいに満みちた人ひとであった。モーセが彼かれの上うえに手てを置おいたからである。イスラエルの人々ひとびとは彼かれに聞きき従したがい、主しゅがモーセに命めいじられたとおりにおこなった。34:10 イスラエルには、こののちモーセのような預言者よげんしゃは起おこらなかった。モーセは主しゅが顔かおを合あわせて知しられた者ものであった。34:11 主しゅはエジプトの地ちで彼かれをパロとそのすべての家来けらいおよびその全ぜん地ちにつかわして、もろもろのしるしと不思議ふしぎを行おこなわせられた。34:12 モーセはイスラエルのすべての人ひとの前まえで大おおいなる力ちからをあらわし、大おおいなる恐おそるべき事ことをおこなった。
32:1 「天てんよ、耳みみを傾かたむけよ、わたしは語かたる、地ちよ、わたしの口くちの言葉ことばを聞きけ。
32:2 わたしの教おしえは雨あめのように降ふりそそぎ、わたしの言葉ことばは露つゆのようにしたたるであろう。若草わかくさの上うえに降ふる小雨こさめのように、青草あおくさの上うえにくだる夕立ゆうだちのように。
32:3 わたしは主しゅの名なをのべよう、われわれの神かみに栄光えいこうを帰かえせよ。
32:4 主しゅは岩いわであって、そのみわざは全まったく、その道みちはみな正ただしい。主しゅは真実しんじつなる神かみであって、偽いつわりなく、義ぎであって、正せいである。
32:5 彼かれらは主しゅにむかって悪あくを行おこない、そのきずのゆえに、もはや主しゅの子こらではなく、よこしまで、曲まがったやからである。
32:6 愚おろかな知恵ちえのない民たみよ、あなたがたはこのようにして主しゅに報むくいるのか。主しゅはあなたを生うみ、あなたを つくり、あなたを堅かたく立たてられたあなたの父ちちではないか。
32:7 いにしえの日ひを覚おぼえ、代々よよの年としを思おもえ。あなたの父ちちに問とえ、彼かれはあなたに告つげるであろう。長老ちょうろうたちに問とえ、彼かれらはあなたに語かたるであろう。
32:8 いと高たかき者ものは人ひとの子こらを分わけ、諸しょ国民こくみんにその嗣し業ぎょうを与あたえられたとき、イスラエルの子こらの数かずに照てらして、もろもろの民たみの境さかいを定さだめられた。
32:9 主しゅの分ぶんはその民たみであって、ヤコブはその定さだめられた嗣し業ぎょうである。
32:10 主しゅはこれを荒野あらのの地ちで見みいだし、獣けもののほえる荒あれ地ちで会あい、これを巡めぐり囲かこんでいたわり、目めのひとみのように守まもられた。
32:11 わしがその巣すのひなを呼よび起おこし、その子この上うえに舞まいかけり、その羽はねをひろげて彼かれらをのせ、そのつばさの上うえにこれを負おうように、
32:12 主しゅはただひとりで彼かれを導みちびかれて、ほかの神々かみがみはあずからなかった。
32:13 主しゅは彼かれに地ちの高たかき所ところを乗のり通とおらせ、田畑たはたの産物さんぶつを食くわせ、岩いわの中なかから蜜みつを吸すわせ、堅かたい岩いわから油あぶらを吸すわせ、
32:14 牛うしの凝乳ぎょうにゅう、羊ひつじの乳ちち、小羊こひつじと雄羊おひつじの脂肪しぼう、バシャンの牛うしと雄おやぎ、小麦こむぎの良よい物ものを食くわせられた。またあなたはぶどうのしるのあわ立たつ酒さけを飲のんだ。
32:15 しかるにエシュルンは肥こえ太ふとって、足あしでけった。あなたは肥こえ太ふとって、つややかになり、自分じぶんを つくった神かみを捨すて、救すくいの岩いわを侮あなどった。
32:16 彼かれらはほかの神々かみがみに仕つかえて、主しゅのねたみを起おこし、憎にくむべきおこないをもって主しゅの怒いかりをひき起おこした。
32:17 彼かれらは神かみでもない悪霊あくれいに犠牲ぎせいをささげた。それは彼かれらがかつて知しらなかった神々かみがみ、近ちかごろ出でた新あたらしい神々かみがみ、先祖せんぞたちの恐おそれることもしなかった者ものである。
32:18 あなたは自分じぶんを生うんだ岩いわを軽かろんじ、自分じぶんを造つくった神かみを忘わすれた。
32:19 主しゅはこれを見み、そのむすこ、娘むすめを怒いかってそれを捨すてられた。
32:20 そして言いわれた、『わたしはわたしの顔かおを彼かれらに隠かくそう。わたしは彼かれらの終おわりがどうなるかを見みよう。彼かれらはそむき、もとるやから、真実しんじつのない子こらである。
32:21 彼かれらは神かみでもない者ものをもって、わたしにねたみを起おこさせ、偶像ぐうぞうをもって、わたしを怒いからせた。それゆえ、わたしは民たみともいえない者ものをもって、彼かれらにねたみを起おこさせ、愚おろかな民たみをもって、彼かれらを怒いからせるであろう。
32:22 わたしの怒いかりによって、火ひは燃もえいで、陰府よみの深ふかみにまで燃もえ行いき、地ちとその産物さんぶつとを焼やきつくし、山々やまやまの基もといを燃もやすであろう。
32:23 わたしは彼かれらの上うえに災わざわいを積つみかさね、わたしの矢やを彼かれらにむかって射いつくすであろう。
32:24 彼かれらは飢うえて、やせ衰おとろえ、熱病ねつびょうと悪わるい疫病えきびょうによって滅ほろびるであろう。わたしは彼かれらを獣けものの歯はにかからせ、地ちに這はうものの毒どくにあたらせるであろう。
32:25 外そとにはつるぎ、内うちには恐おそれがあって、若わかき男おとこも若わかき女おんなも、乳ちのみ子ごも、しらがの人ひとも滅ほろびるであろう。
32:26 わたしはまさに言いおうとした、「彼かれらを遠とおく散ちらし、彼かれらの事ことを人々ひとびとが記憶きおくしないようにしよう」。
32:27 しかし、わたしは敵てきが誇ほこるのを恐おそれる。あだびとはまちがえて言いうであろう、「われわれの手てが勝かちをえたのだ。これはみな主しゅがされたことではない」』。
32:28 彼かれらは思慮しりょの欠かけた民たみ、そのうちには知識ちしきがない。
32:29 もし、彼かれらに知恵ちえがあれば、これをさとり、その身みの終おわりをわきまえたであろうに。
32:30 彼かれらの岩いわが彼かれらを売うらず、主しゅが彼かれらをわたされなかったならば、どうして、ひとりで千人にんを追おい、ふたりで万まん人にんを敗やぶることができたであろう。
32:31 彼かれらの岩いわはわれらの岩いわに及およばない。われらの敵てきもこれを認みとめている。
32:32 彼かれらのぶどうの木きは、ソドムのぶどうの木きから出でたもの、またゴモラの野のから出でたもの、そのぶどうは毒どくぶどう、そのふさは苦にがい。
32:33 そのぶどう酒しゅはへびの毒どくのよう、まむしの恐おそろしい毒どくのようである。
32:34 これはわたしのもとにたくわえられ、わたしの倉くらに封ふうじ込こめられているではないか。
32:35 彼かれらの足あしがすべるとき、わたしはあだを返かえし、報むくいをするであろう。彼かれらの災わざわいの日ひは近ちかく、彼かれらの破滅はめつは、すみやかに来くるであろう。
32:36 主しゅはついにその民たみをさばき、そのしもべらにあわれみを加くわえられるであろう。これは彼かれらの力ちからがうせ去さり、つながれた者ものもつながれない者ものも、もはやいなくなったのを、主しゅが見みられるからである。
32:37 そのとき主しゅは言いわれるであろう、『彼かれらの神々かみがみはどこにいるか、彼かれらの頼たのみとした岩いわはどこにあるか。
32:38 彼かれらの犠牲ぎせいのあぶらを食くい、灌祭かんさいの酒さけを飲のんだ者ものはどこにいるか。立たちあがってあなたがたを助たすけさせよ、あなたがたを守まもらせよ。
32:39 今見いまみよ、わたしこそは彼かれである。わたしのほかに神かみはない。わたしは殺ころし、また生いかし、傷きずつけ、またいやす。わたしの手てから救すくい出だしうるものはない。
32:40 わたしは天てんにむかい手てをあげて誓ちかう、「わたしは永遠えいえんに生いきる。
32:41 わたしがきらめくつるぎをとぎ、手てにさばきを握にぎるとき、わたしは敵てきにあだを返かえし、わたしを憎にくむ者ものに報復ほうふくするであろう。
32:42 わたしの矢やを血ちに酔よわせ、わたしのつるぎに肉にくを食くわせるであろう。殺ころされた者ものと捕とらえられた者ものの血ちを飲のませ、敵てきの長髪ちょうはつの頭あたまの肉にくを食くわせるであろう」』。
32:43 国々くにぐにの民たみよ、主しゅの民たみのために喜よろこび歌うたえ。主しゅはそのしもべの血ちのために報復ほうふくし、その敵てきにあだを返かえし、その民たみの地ちの汚けがれを清きよめられるからである」。
32:44 モーセとヌンの子こヨシュアは共ともに行いって、この歌うたの言葉ことばを、ことごとく民たみに読よみ聞きかせた。
32:45 モーセはこの言葉ことばを、ことごとくイスラエルのすべての人ひとに告つげ終おわって、
32:46 彼かれらに言いった、「あなたがたはわたしが、きょう、あなたがたに命めいじるこのすべての言葉ことばを心こころにおさめ、子供こどもたちにもこの律法りっぽうのすべての言葉ことばを守まもり行おこなうことを命めいじなければならない。
32:47 この言葉ことばはあなたがたにとって、むなしい言葉ことばではない。これはあなたがたのいのちである。この言葉ことばにより、あなたがたはヨルダンを渡わたって行いって取とる地ちで、長ながく命いのちを保たもつことができるであろう」。
32:48 この日ひ、主しゅはモーセに言いわれた、
32:49 「あなたはエリコに対たいするモアブの地ちにあるアバリム山やますなわちネボ山やまに登のぼり、わたしがイスラエルの人々ひとびとに与あたえて獲えさせるカナンの地ちを見渡みわたせ。
32:50 あなたは登のぼって行いくその山やまで死しに、あなたの民たみに連つらなるであろう。あなたの兄弟きょうだいアロンがホル山やまで死しんでその民たみに連つらなったようになるであろう。
32:51 これはあなたがたがチンの荒野あらのにあるメリバテ・カデシの水みずのほとりで、イスラエルの人々ひとびとのうちでわたしにそむき、イスラエルの人々ひとびとのうちでわたしを聖せいなるものとして敬うやまわなかったからである。
32:52 それであなたはわたしがイスラエルの人々ひとびとに与あたえる地ちを、目めの前まえに見みるであろう。しかし、その地ちに、はいることはできない」。
第33章 33:1 神かみの人ひとモーセは死しぬ前まえにイスラエルの人々ひとびとを祝福しゅくふくした。祝福しゅくふくの言葉ことばは次つぎのとおりである。 33:2 「主しゅはシナイからこられ、セイルからわれわれにむかってのぼられ、パランの山やまから光ひかりを放はなたれ、ちよろずの聖者せいじゃの中なかからこられた。その右みぎの手てには燃もえる火ひがあった。33:3 まことに主しゅはその民たみを愛あいされる。すべて主しゅに聖別せいべつされたものは、み手てのうちにある。彼かれらはあなたの足あしもとに座ざして、教おしえをうける。33:4 モーセはわれわれに律法りっぽうを授さづけて、ヤコブの会衆かいしゅうの所有しょゆうとさせた。33:5 民たみのかしらたちが集あつまり、イスラエルの部族ぶぞくがみな集あつまった時とき、主しゅはエシュルンのうちに王おうとなられた」。33:6 「ルベンは生いきる、死しにはしない。しかし、その人数にんずうは少すくなくなるであろう」。33:7 ユダについては、こう言いった、「主しゅよ、ユダの声こえを聞きいて、彼かれをその民たみに導みちびきかえしてください。み手てをもって、彼かれのために戦たたかってください。彼かれを助たすけて、敵てきに当あたらせてください」。33:8 レビについては言いった、「あなたのトンミムをレビに与あたえてください。ウリムをあなたに仕つかえる人ひとに与あたえてください。かつてあなたはマッサで彼かれを試こころみ、メリバの水みずのほとりで彼かれと争あらそわれた。33:9 彼かれはその父ちち、その母ははについて言いった、『わたしは彼かれらを顧かえりみない』。彼かれは自分じぶんの兄弟きょうだいをも認みとめず、自分じぶんの子供こどもをも顧かえりみなかった。彼かれらはあなたの言葉ことばにしたがい、あなたの契約けいやくを守まもったからである。33:10 彼かれらはあなたのおきてをヤコブに教おしえ、あなたの律法りっぽうをイスラエルに教おしえ、薫香くんこうをあなたの前まえに供そなえ、燔祭はんさいを祭壇さいだんの上うえにささげる。33:11 主しゅよ、彼かれの力ちからを祝福しゅくふくし、彼かれの手てのわざを喜よろこび受うけてください。彼かれに逆さからう者ものと、彼かれを憎にくむ者ものとの腰こしを打うち砕くだいて、立たち上あがることのできないようにしてください」。33:12 ベニヤミンについては言いった、「主しゅに愛あいされる者もの、彼かれは安やすらかに主しゅのそばにおり、主しゅは終日しゅうじつ、彼かれを守まもり、その肩かたの間あいだにすまいを営いとなまれるであろう」。33:13 ヨセフについては言いった、「どうぞ主しゅが彼かれの地ちを祝福しゅくふくされるように。上うえなる天てんの賜物たまものと露つゆ、下したに横よこたわる淵ふちの賜物たまもの、33:14 日ひによって産さんする尊たっとい賜物たまもの、月つきによって生しょうずる尊たっとい賜物たまもの、33:15 いにしえの山々やまやまの産さんする賜物たまもの、とこしえの丘おかの尊たっとい賜物たまもの、33:16 地ちとそれに満みちる尊たっとい賜物たまもの、しばの中なかにおられた者ものの恵めぐみが、ヨセフの頭あたまに臨のぞみ、その兄弟きょうだいたちの君くんたる者ものの頭あたまの頂いただきにくだるように。33:17 彼かれの牛うしのういごは威厳いげんがあり、その角つのは野牛やぎゅうの角つののよう、これをもって国々くにぐにの民たみをことごとく突つき倒たおし、地ちのはてにまで及およぶ。このような者ものはエフライムに幾いく万まんとあり、またこのような者ものはマナセに幾いく千せんとある」。33:18 ゼブルンについては言いった、「ゼブルンよ、あなたは外そとに出でて楽たのしみを得えよ。イッサカルよ、あなたは天幕てんまくにいて楽たのしみを得えよ。33:19 彼かれらは国々くにぐにの民たみを山やまに招まねき、その所ところで正ただしい犠牲ぎせいをささげるであろう。彼かれらは海うみの富とみを吸すい、砂すなに隠かくれた宝たからを取とるからである」。33:20 ガドについては言いった、「ガドを大おおきくする者ものは、ほむべきかな。ガドは、ししのように伏ふし、腕うでや頭あたまの頂いただきをかき裂さくであろう。33:21 彼かれは初穂はつほの地ちを自分じぶんのために選えらんだ。そこには将軍しょうぐんの分ぶんも取とり置おかれていた。彼かれは民たみのかしらたちと共ともにきて、イスラエルと共ともに主しゅの正義せいぎと審判しんぱんとを行おこなった」。33:22 ダンについては言いった、「ダンはししの子こであって、バシャンからおどりでる」。33:23 ナフタリについては言いった、「ナフタリよ、あなたは恵めぐみに満みたされ、主しゅの祝福しゅくふくに満みちて、湖みずうみとその南みなみの地ちを所有しょゆうする」。33:24 アセルについては言いった、「アセルは他たの子こらにまさって祝福しゅくふくされる。彼かれはその兄弟きょうだいたちに愛あいせられ、その足あしを油あぶらにひたすことができるように。33:25 あなたの貫かんの木きは鉄てつと青銅せいどう、あなたの力ちからはあなたの年としと共ともに続つづくであろう」。33:26 「エシュルンよ、神かみに並ならぶ者ものはほかにない。あなたを助たすけるために天てんに乗のり、威光いこうをもって空そらを通とおられる。33:27 とこしえにいます神かみはあなたのすみかであり、下したには永遠えいえんの腕うでがある。敵てきをあなたの前まえから追おい払はらって、『滅ほろぼせ』と言いわれた。33:28 イスラエルは安やすらかに住すみ、ヤコブの泉いずみは穀物こくもつとぶどう酒しゅの地ちに、ひとりいるであろう。また天てんは露つゆをくだすであろう。 33:29 イスラエルよ、あなたはしあわせである。だれがあなたのように、主しゅに救すくわれた民たみがあるであろうか。主しゅはあなたを助たすける盾たて、あなたの威光いこうのつるぎ、あなたの敵てきはあなたにへつらい服ふくし、あなたは彼かれらの高たかき所ところを踏ふみ進すすむであろう」。 第34章 34:1 モーセはモアブの平野へいやからネボ山やまに登のぼり、エリコの向むかいのピスガの頂いただきへ行いった。そこで主しゅは彼かれにギレアデの全ぜん地ちをダンまで示しめし、34:2 ナフタリの全部ぜんぶ、エフライムとマナセの地ちおよびユダの全ぜん地ちを西にしの海うみまで示しめし、34:3 ネゲブと低地ていち、すなわち、しゅろの町まちエリコの谷たにをゾアルまで示しめされた。34:4 そして主しゅは彼かれに言いわれた、「わたしがアブラハム、イサク、ヤコブに、これをあなたの子孫しそんに与あたえると言いって誓ちかった地ちはこれである。わたしはこれをあなたの目めに見みせるが、あなたはそこへ渡わたって行いくことはできない」。34:5 こうして主しゅのしもべモーセは主しゅの言葉ことばのとおりにモアブの地ちで死しんだ。34:6 主しゅは彼かれをベテペオルに対たいするモアブの地ちの谷たにに葬ほうむられたが、今日こんにちまでその墓はかを知しる人ひとはない。34:7 モーセは死しんだ時とき、百二十歳さいであったが、目めはかすまず、気力きりょくは衰おとろえていなかった。34:8 イスラエルの人々ひとびとはモアブの平野へいやで三十日にちの間あいだモーセのために泣ないた。そしてモーセのために泣なき悲かなしむ日ひはついに終おわった。 34:9 ヌンの子こヨシュアは知恵ちえの霊れいに満みちた人ひとであった。モーセが彼かれの上うえに手てを置おいたからである。イスラエルの人々ひとびとは彼かれに聞きき従したがい、主しゅがモーセに命めいじられたとおりにおこなった。34:10 イスラエルには、こののちモーセのような預言者よげんしゃは起おこらなかった。モーセは主しゅが顔かおを合あわせて知しられた者ものであった。34:11 主しゅはエジプトの地ちで彼かれをパロとそのすべての家来けらいおよびその全ぜん地ちにつかわして、もろもろのしるしと不思議ふしぎを行おこなわせられた。34:12 モーセはイスラエルのすべての人ひとの前まえで大おおいなる力ちからをあらわし、大おおいなる恐おそるべき事ことをおこなった。
33:1 神かみの人ひとモーセは死しぬ前まえにイスラエルの人々ひとびとを祝福しゅくふくした。祝福しゅくふくの言葉ことばは次つぎのとおりである。
33:2 「主しゅはシナイからこられ、セイルからわれわれにむかってのぼられ、パランの山やまから光ひかりを放はなたれ、ちよろずの聖者せいじゃの中なかからこられた。その右みぎの手てには燃もえる火ひがあった。
33:3 まことに主しゅはその民たみを愛あいされる。すべて主しゅに聖別せいべつされたものは、み手てのうちにある。彼かれらはあなたの足あしもとに座ざして、教おしえをうける。
33:4 モーセはわれわれに律法りっぽうを授さづけて、ヤコブの会衆かいしゅうの所有しょゆうとさせた。
33:5 民たみのかしらたちが集あつまり、イスラエルの部族ぶぞくがみな集あつまった時とき、主しゅはエシュルンのうちに王おうとなられた」。
33:6 「ルベンは生いきる、死しにはしない。しかし、その人数にんずうは少すくなくなるであろう」。
33:7 ユダについては、こう言いった、「主しゅよ、ユダの声こえを聞きいて、彼かれをその民たみに導みちびきかえしてください。み手てをもって、彼かれのために戦たたかってください。彼かれを助たすけて、敵てきに当あたらせてください」。
33:8 レビについては言いった、「あなたのトンミムをレビに与あたえてください。ウリムをあなたに仕つかえる人ひとに与あたえてください。かつてあなたはマッサで彼かれを試こころみ、メリバの水みずのほとりで彼かれと争あらそわれた。
33:9 彼かれはその父ちち、その母ははについて言いった、『わたしは彼かれらを顧かえりみない』。彼かれは自分じぶんの兄弟きょうだいをも認みとめず、自分じぶんの子供こどもをも顧かえりみなかった。彼かれらはあなたの言葉ことばにしたがい、あなたの契約けいやくを守まもったからである。
33:10 彼かれらはあなたのおきてをヤコブに教おしえ、あなたの律法りっぽうをイスラエルに教おしえ、薫香くんこうをあなたの前まえに供そなえ、燔祭はんさいを祭壇さいだんの上うえにささげる。
33:11 主しゅよ、彼かれの力ちからを祝福しゅくふくし、彼かれの手てのわざを喜よろこび受うけてください。彼かれに逆さからう者ものと、彼かれを憎にくむ者ものとの腰こしを打うち砕くだいて、立たち上あがることのできないようにしてください」。
33:12 ベニヤミンについては言いった、「主しゅに愛あいされる者もの、彼かれは安やすらかに主しゅのそばにおり、主しゅは終日しゅうじつ、彼かれを守まもり、その肩かたの間あいだにすまいを営いとなまれるであろう」。
33:13 ヨセフについては言いった、「どうぞ主しゅが彼かれの地ちを祝福しゅくふくされるように。上うえなる天てんの賜物たまものと露つゆ、下したに横よこたわる淵ふちの賜物たまもの、
33:14 日ひによって産さんする尊たっとい賜物たまもの、月つきによって生しょうずる尊たっとい賜物たまもの、
33:15 いにしえの山々やまやまの産さんする賜物たまもの、とこしえの丘おかの尊たっとい賜物たまもの、
33:16 地ちとそれに満みちる尊たっとい賜物たまもの、しばの中なかにおられた者ものの恵めぐみが、ヨセフの頭あたまに臨のぞみ、その兄弟きょうだいたちの君くんたる者ものの頭あたまの頂いただきにくだるように。
33:17 彼かれの牛うしのういごは威厳いげんがあり、その角つのは野牛やぎゅうの角つののよう、これをもって国々くにぐにの民たみをことごとく突つき倒たおし、地ちのはてにまで及およぶ。このような者ものはエフライムに幾いく万まんとあり、またこのような者ものはマナセに幾いく千せんとある」。
33:18 ゼブルンについては言いった、「ゼブルンよ、あなたは外そとに出でて楽たのしみを得えよ。イッサカルよ、あなたは天幕てんまくにいて楽たのしみを得えよ。
33:19 彼かれらは国々くにぐにの民たみを山やまに招まねき、その所ところで正ただしい犠牲ぎせいをささげるであろう。彼かれらは海うみの富とみを吸すい、砂すなに隠かくれた宝たからを取とるからである」。
33:20 ガドについては言いった、「ガドを大おおきくする者ものは、ほむべきかな。ガドは、ししのように伏ふし、腕うでや頭あたまの頂いただきをかき裂さくであろう。
33:21 彼かれは初穂はつほの地ちを自分じぶんのために選えらんだ。そこには将軍しょうぐんの分ぶんも取とり置おかれていた。彼かれは民たみのかしらたちと共ともにきて、イスラエルと共ともに主しゅの正義せいぎと審判しんぱんとを行おこなった」。
33:22 ダンについては言いった、「ダンはししの子こであって、バシャンからおどりでる」。
33:23 ナフタリについては言いった、「ナフタリよ、あなたは恵めぐみに満みたされ、主しゅの祝福しゅくふくに満みちて、湖みずうみとその南みなみの地ちを所有しょゆうする」。
33:24 アセルについては言いった、「アセルは他たの子こらにまさって祝福しゅくふくされる。彼かれはその兄弟きょうだいたちに愛あいせられ、その足あしを油あぶらにひたすことができるように。
33:25 あなたの貫かんの木きは鉄てつと青銅せいどう、あなたの力ちからはあなたの年としと共ともに続つづくであろう」。
33:26 「エシュルンよ、神かみに並ならぶ者ものはほかにない。あなたを助たすけるために天てんに乗のり、威光いこうをもって空そらを通とおられる。
33:27 とこしえにいます神かみはあなたのすみかであり、下したには永遠えいえんの腕うでがある。敵てきをあなたの前まえから追おい払はらって、『滅ほろぼせ』と言いわれた。
33:28 イスラエルは安やすらかに住すみ、ヤコブの泉いずみは穀物こくもつとぶどう酒しゅの地ちに、ひとりいるであろう。また天てんは露つゆをくだすであろう。
33:29 イスラエルよ、あなたはしあわせである。だれがあなたのように、主しゅに救すくわれた民たみがあるであろうか。主しゅはあなたを助たすける盾たて、あなたの威光いこうのつるぎ、あなたの敵てきはあなたにへつらい服ふくし、あなたは彼かれらの高たかき所ところを踏ふみ進すすむであろう」。
第34章 34:1 モーセはモアブの平野へいやからネボ山やまに登のぼり、エリコの向むかいのピスガの頂いただきへ行いった。そこで主しゅは彼かれにギレアデの全ぜん地ちをダンまで示しめし、34:2 ナフタリの全部ぜんぶ、エフライムとマナセの地ちおよびユダの全ぜん地ちを西にしの海うみまで示しめし、34:3 ネゲブと低地ていち、すなわち、しゅろの町まちエリコの谷たにをゾアルまで示しめされた。34:4 そして主しゅは彼かれに言いわれた、「わたしがアブラハム、イサク、ヤコブに、これをあなたの子孫しそんに与あたえると言いって誓ちかった地ちはこれである。わたしはこれをあなたの目めに見みせるが、あなたはそこへ渡わたって行いくことはできない」。34:5 こうして主しゅのしもべモーセは主しゅの言葉ことばのとおりにモアブの地ちで死しんだ。34:6 主しゅは彼かれをベテペオルに対たいするモアブの地ちの谷たにに葬ほうむられたが、今日こんにちまでその墓はかを知しる人ひとはない。34:7 モーセは死しんだ時とき、百二十歳さいであったが、目めはかすまず、気力きりょくは衰おとろえていなかった。34:8 イスラエルの人々ひとびとはモアブの平野へいやで三十日にちの間あいだモーセのために泣ないた。そしてモーセのために泣なき悲かなしむ日ひはついに終おわった。 34:9 ヌンの子こヨシュアは知恵ちえの霊れいに満みちた人ひとであった。モーセが彼かれの上うえに手てを置おいたからである。イスラエルの人々ひとびとは彼かれに聞きき従したがい、主しゅがモーセに命めいじられたとおりにおこなった。34:10 イスラエルには、こののちモーセのような預言者よげんしゃは起おこらなかった。モーセは主しゅが顔かおを合あわせて知しられた者ものであった。34:11 主しゅはエジプトの地ちで彼かれをパロとそのすべての家来けらいおよびその全ぜん地ちにつかわして、もろもろのしるしと不思議ふしぎを行おこなわせられた。34:12 モーセはイスラエルのすべての人ひとの前まえで大おおいなる力ちからをあらわし、大おおいなる恐おそるべき事ことをおこなった。
34:1 モーセはモアブの平野へいやからネボ山やまに登のぼり、エリコの向むかいのピスガの頂いただきへ行いった。そこで主しゅは彼かれにギレアデの全ぜん地ちをダンまで示しめし、
34:2 ナフタリの全部ぜんぶ、エフライムとマナセの地ちおよびユダの全ぜん地ちを西にしの海うみまで示しめし、
34:3 ネゲブと低地ていち、すなわち、しゅろの町まちエリコの谷たにをゾアルまで示しめされた。
34:4 そして主しゅは彼かれに言いわれた、「わたしがアブラハム、イサク、ヤコブに、これをあなたの子孫しそんに与あたえると言いって誓ちかった地ちはこれである。わたしはこれをあなたの目めに見みせるが、あなたはそこへ渡わたって行いくことはできない」。
34:5 こうして主しゅのしもべモーセは主しゅの言葉ことばのとおりにモアブの地ちで死しんだ。
34:6 主しゅは彼かれをベテペオルに対たいするモアブの地ちの谷たにに葬ほうむられたが、今日こんにちまでその墓はかを知しる人ひとはない。
34:7 モーセは死しんだ時とき、百二十歳さいであったが、目めはかすまず、気力きりょくは衰おとろえていなかった。
34:8 イスラエルの人々ひとびとはモアブの平野へいやで三十日にちの間あいだモーセのために泣ないた。そしてモーセのために泣なき悲かなしむ日ひはついに終おわった。
34:9 ヌンの子こヨシュアは知恵ちえの霊れいに満みちた人ひとであった。モーセが彼かれの上うえに手てを置おいたからである。イスラエルの人々ひとびとは彼かれに聞きき従したがい、主しゅがモーセに命めいじられたとおりにおこなった。
34:10 イスラエルには、こののちモーセのような預言者よげんしゃは起おこらなかった。モーセは主しゅが顔かおを合あわせて知しられた者ものであった。
34:11 主しゅはエジプトの地ちで彼かれをパロとそのすべての家来けらいおよびその全ぜん地ちにつかわして、もろもろのしるしと不思議ふしぎを行おこなわせられた。
34:12 モーセはイスラエルのすべての人ひとの前まえで大おおいなる力ちからをあらわし、大おおいなる恐おそるべき事ことをおこなった。