口語訳聖書(振り仮名付き)

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 ヨブ

第1章    Jb-Audio 

1:1 ウヅのにヨブというひとがあった。そのひととなりはまったく、かつただしく、かみおそれ、あくとおざかった。

1:2 かれおとこにんおんなにんがあり、

1:3 その家畜かちくひつじ七千とう、らくだ三千とううし五百くびき、ろば五百とうで、しもべも非常ひじょうおおく、このひとひがし人々ひとびとのうちでもっとおおいなるものであった。

1:4 そのむすこたちは、めいめい自分じぶんに、自分じぶんいえでふるまいをもうけ、その三にん姉妹しまいをもまねいて一緒いっしょみするのをつねとした。

1:5 そのふるまいのがひとめぐりおわるごとに、ヨブはかれらをせて聖別せいべつし、あさはやきて、かれらすべてのかずにしたがって燔祭はんさいをささげた。これはヨブが「わたしのむすこたちは、ことによったらつみおかし、そのこころかみをのろったかもしれない」とおもったからである。ヨブはいつも、このようにった。

1:6 あるかみたちがて、しゅまえった。サタンもてそのなかにいた。

1:7 しゅわれた、「あなたはどこからたか」。サタンはしゅこたえてった、「きめぐり、あちらこちらあるいてきました」。

1:8 しゅはサタンにわれた、「あなたはわたしのしもべヨブのようにまったく、かつただしく、かみおそれ、あくとおざかるものにないことをづいたか」。

1:9 サタンはしゅこたえてった、「ヨブはいたずらにかみおそれましょうか。

1:10 あなたはかれとそのいえおよびすべての所有物しょゆうぶつのまわりにくまなく、まがきをもうけられたではありませんか。あなたはかれ勤労きんろう祝福しゅくふくされたので、その家畜かちくにふえたのです。

1:11 しかしいまあなたのべて、かれのすべての所有物しょゆうぶつってごらんなさい。かれかならずあなたのかおかって、あなたをのろうでしょう」。

1:12 しゅはサタンにわれた、「よ、かれのすべての所有物しょゆうぶつをあなたのにまかせる。ただかれをつけてはならない」。サタンはしゅまえからった。

1:13 あるヨブのむすこ、むすめたちがだい一のあにいえ食事しょくじをし、さけんでいたとき、

1:14 使者ししゃがヨブのもとにった、「うしたがやし、ろばがそのかたわらでくさっていると、

1:15 シバびとがおそってきて、これをうばい、つるぎをもってしもべたちをころしました。わたしはただひとりのがれて、あなたにげるためにました」。

1:16 かれがなおかたっているうちに、またひとりがった、「かみてんからくだって、ひつじおよびしもべたちをほろぼしました。わたしはただひとりのがれて、あなたにげるためにました」。

1:17 かれがなおかたっているうちに、またひとりがった、「カルデヤびとが三くみわかれてて、らくだをおそってこれをうばい、つるぎをもってしもべたちをころしました。わたしはただひとりのがれて、あなたにげるためにました」。

1:18 かれがなおかたっているうちに、またひとりがった、「あなたのむすこ、むすめたちがだい一のあにいえ食事しょくじをし、さけんでいると、

1:19 荒野あらのほうから大風おおかぜいてきて、いえすみをったので、あのわかひとたちのうえにつぶれちて、みなにました。わたしはただひとりのがれて、あなたにげるためにました」。

1:20 このときヨブはがり、上着うわぎき、あたまをそり、してはいし、

1:21 そしてった、 「わたしははだかははたいた。またはだかでかしこにかえろう。しゅあたえ、しゅられたのだ。しゅのみはほむべきかな」。

1:22 すべてこのことにおいてヨブはつみおかさず、またかみかっておろかなことをわなかった。 

第2章 

2:1 ある、またかみたちがて、しゅまえった。サタンもまたそのなかて、しゅまえった。

2:2 しゅはサタンにわれた、「あなたはどこからたか」。サタンはしゅこたえてった、「きめぐり、あちらこちらあるいてきました」。

2:3 しゅはサタンにわれた、「あなたは、わたしのしもべヨブのようにまったく、かつただしく、かみおそれ、あくとおざかるものにないことをづいたか。あなたは、わたしをすすめて、ゆえなくかれほろぼそうとしたが、かれはなおかたたもって、おのれをまっとうした」。

2:4 サタンはしゅこたえてった、「かわにはかわをもってします。ひと自分じぶんいのちのために、そのっているすべてのものをもあたえます。

2:5 しかしいま、あなたのべて、かれほねにくとをってごらんなさい。かれかならずあなたのかおかって、あなたをのろうでしょう」。

2:6 しゅはサタンにわれた、「よ、かれはあなたのにある。ただかれいのちたすけよ」。

2:7 サタンはしゅまえからって、ヨブをち、そのあしうらからあたまいただきまで、いやな腫物はれものをもってかれなやました。

2:8 ヨブは陶器とうき破片はへんり、それで自分じぶんをかき、はいなかにすわった。

2:9 ときにそのつまかれった、「あなたはなおもかたたもって、自分じぶんまっとうするのですか。かみをのろってになさい」。

2:10 しかしヨブは彼女かのじょった、「あなたのかたることはおろかなおんなかたるのとおなじだ。われわれはかみからさいわいをうけるのだから、わざわいをも、うけるべきではないか」。すべてこのことにおいてヨブはそのくちびるをもってつみおかさなかった。

2:11 ときに、ヨブの三にんともがこのすべてのわざわいのヨブにのぞんだのをいて、めいめい自分じぶんところからたずねてた。すなわちテマンびとエリパズ、シュヒびとビルダデ、ナアマびとゾパルである。かれらはヨブをいたわり、なぐさめようとして、たがいに約束やくそくしてきたのである。

2:12 かれらはをあげて遠方えんぽうからたが、かれのヨブであることをみとめがたいほどであったので、こえをあげてき、めいめい自分じぶん上着うわぎき、てんかって、ちりをうちあげ、自分じぶんたちのあたまうえにまきらした。

2:13 こうして七日なぬか七夜ななよかれともしていて、ひとことかれはなしかけるものがなかった。かれくるしみの非常ひじょうおおきいのをたからである。 

第3章 

3:1 こののち、ヨブはくちひらいて、自分じぶんうまれたをのろった。

3:2 すなわちヨブはった、

3:3 「わたしのうまれたほろびうせよ。おとこが、たいにやどった』とったそのようになれ。

3:4 そのくらくなるように。かみうえからこれをかえりみられないように。ひかりがこれをてらさないように。

3:5 やみと暗黒あんこくがこれをりもどすように。くもが、そのうえにとどまるように。くらくするものが、これをおびやかすように。

3:6 そのは、くらやみが、これをとらえるように。としのうちにくわわらないように。つきかずにもはいらないように。

3:7 また、そのは、はらむことのないように。よろこびのこえがそのうちにかれないように。

3:8 をのろうものが、これをのろうように。レビヤタンをふるおこすにたくみなものが、これをのろうように。

3:9 そのけのほしくらくなるように。ひかりのぞんでも、られないように。また、あけぼののまぶたをることのないように。

3:10 これは、わたしのははたいじず、またなやみをわたしのかくさなかったからである。

3:11 なにゆえ、わたしはたいからて、ななかったのか。はらからたときいきえなかったのか。

3:12 なにゆえ、ひざが、わたしをけたのか。なにゆえ、ぶさがあって、わたしはそれをったのか。

3:13 そうしなかったならば、わたしはしてやすみ、 ねむったであろう。そうすればわたしはやすんじており、

3:14 自分じぶんのためにあときずなおしたおうたち、参議さんぎたち、

3:15 あるいは、こがねをち、しろがねをいえたしたきみたちと一緒いっしょにいたであろう。

3:16 なにゆえ、わたしは人知ひとしれずおりる胎児たいじのごとく、ひかりないみどりごのようでなかったのか。

3:17 かしこでは悪人あくにんも、あばれることをやめ、うみつかれたものも、やすみを

3:18 とらわれびとともやすらかにおり、使つかものこえかない。

3:19 ちいさいものおおきいものもそこにおり、奴隷どれいも、その主人しゅじんからはなされる。

3:20 なにゆえ、なやものひかりたまい、こころくるしむものいのちたまわったのか。

3:21 このようなひとのぞんでもない、これをもとめることはかくれたたからるよりも、はなはだしい。

3:22 かれらははかいだすとき、非常ひじょうよろこたのしむのだ。

3:23 なにゆえ、そのみちかくされたひとに、かみが、まがきをめぐらされたひとに、ひかりたまわるのか。

3:24 わたしのなげきはわが食物しょくもつかわってきたり、わたしのうめきはみずのようにながる。

3:25 わたしのおそれるものが、わたしにのぞみ、わたしのおそれおののくものが、わがおよぶ。

3:26 わたしはやすらかでなく、またおだやかでない。わたしはやすみをない、ただなやみのみがる」。 

第4章 

4:1 そのとき、テマンびとエリパズがこたえてった、

4:2 「もしひとがあなたにむかって意見いけんべるならば、あなたははらてるでしょうか。しかしだれがだまっておれましょう。

4:3 よ、あなたはおおくのひとおしえさとし、おとろえたつよくした。

4:4 あなたの言葉ことばはつまずくものをたすけおこし、かよわいひざをつよくした。

4:5 ところがいま、このことがあなたにのぞむと、あなたはない。このことがあなたにれると、あなたはおじまどう。

4:6 あなたがかみおそれていることは、あなたのよりどころではないか。あなたのみちまったきことは、あなたののぞみではないか。

4:7 かんがえてみよ、だれがつみのないのに、ほろぼされたものがあるか。どこにただしいもので、ほろぼされたものがあるか。

4:8 わたしのところによれば、不義ふぎたがやし、害悪がいあくをまくものは、それをっている。

4:9 かれらはかみのいぶきによってほろび、そのいかりのいきによってえうせる。

4:10 ししのほえるこえ、たけきししのこえはともにやみ、わかきししのきばはられ、

4:11 じしは獲物えものずにほろび、じしのらされる。

4:12 さて、わたしに、言葉ことばがひそかにのぞんだ、わたしのみみはそのささやきをいた。

4:13 すなわちひと熟睡じゅくすいするころ、よるまぼろしによっておもみだれているとき

4:14 おそれがわたしにのぞんだので、おののき、わたしのほねはことごとくふるえた。

4:15 ときに、れいがあって、わたしのかおまえぎたので、わたしのはよだった。

4:16 そのものはちどまったが、わたしはその姿すがたわけることができなかった。一つのかたちが、わたしのまえにあった。わたしはしずかなこえいた、

4:17 『ひとかみまえただしくありえようか。ひとはそのつくぬしまえきよくありえようか。

4:18 よ、かれはそのしもべをさえたのみとせず、その天使てんしをもあやまれるものとみなされる。

4:19 まして、どろいえものちりをそのもといとするものしみのようにつぶされるもの

4:20 かれらはあさからゆうまでのあいだくだかれ、かえりみるものもなく、永遠えいえんほろびる。

4:21 もしその天幕てんまくつなかれらのうちにられるなら、ついにさとることもなく、にうせるではないか』。 

第5章 

5:1 こころみにんでみよ、だれかあなたにこたえるものがあるか。どの聖者せいじゃにあなたはたのもうとするのか。

5:2 たしかに、いきどおりはおろかなものころし、ねたみはあさはかなものなせる。

5:3 わたしはおろかなものるのをた、しかしわたしは、にわかにそのすみかをのろった。

5:4 そのらはやすきをず、まちもんでしえたげられても、これをすくものがない。

5:5 その収穫しゅうかくえたひとべ、いばらのなかからさえ、これをうばう。また、かわいたものはその財産ざいさんをあえぎもとめる。

5:6 くるしみは、ちりからおこるものでなく、なやみはつちからしょうじるものでない。

5:7 ひとうまれてなやみをけるのは、うえぶにひとしい。

5:8 しかし、わたしであるならば、かみもとめ、かみに、わたしのことをまかせる。

5:9 かれおおいなることをされるかたで、はかれない、その不思議ふしぎなみわざはかぞえがたい。

5:10 かれあめらせ、みずおくられる。

5:11 かれひくものたかくあげ、かなしむものげて、安全あんぜんにされる。

5:12 かれ悪賢わるがしこものはかりごとをやぶられる。それで何事なにごともそのになしげることはできない。

5:13 かれかしこものを、かれ自身じしん悪巧わるだくみによってとらえ、まがったものはかりごとをくつがえされる。

5:14 かれらはひるも、やみにい、真昼まひるにも、よるのように手探てさぐりする。

5:15 かれまずしいものかれらのくちのつるぎからすくい、またつよものからすくわれる。

5:16 それゆえとぼしいもののぞみがあり、不義ふぎはそのくちじる。

5:17 よ、かみいましめられるひとはさいわいだ。それゆえ全能者ぜんのうしゃこらしめをかろんじてはならない。

5:18 かれきずつけ、またつつみ、ち、またそのをもっていやされる。

5:19 かれはあなたを六つのなやみからすくい、七つのうちでも、わざわいはあなたにれることがない。

5:20 ききんのときには、あなたをあがなって、まぬかれさせ、いくさのときには、つるぎのちからまぬかれさせられる。

5:21 あなたはしたをもってむちたれるときにも、おおいかくされ、ほろびがときでも、おそれることはない。

5:22 あなたはほろびと、ききんとをわらい、けものをもおそれることはない。

5:23 あなたはいし契約けいやくむすび、けものはあなたとやわらぐからである。

5:24 あなたは自分じぶん天幕てんまく安全あんぜんなことをり、自分じぶん家畜かちくのおりを見回みまわっても、 けたものがなく、

5:25 また、あなたの子孫しそんおおくなり、そのすえがくさのようになるのをるであろう。

5:26 あなたは高齢こうれいたっしてはかはいる、あたかもむぎたばをその季節きせつになってはこびあげるようになるであろう。

5:27 よ、われわれのたずねきわめたところはこのとおりだ。あなたはこれをいて、みずからるがよい」。 

第6章 

6:1 ヨブはこたえてった、

6:2 「どうかわたしのいきどおりがただしくはかられ、同時どうじにわたしのわざわいも、はかりにかけられるように。

6:3 そうすれば、これはうみすなよりもおもいに相違そういない。それゆえ、わたしの言葉ことば軽率けいそつであったのだ。

6:4 全能者ぜんのうしゃが、わたしのうちにあり、わたしのれいはそのどくみ、かみおそるべき軍勢ぐんぜいが、わたしをおそめている。

6:5 ろばは、青草あおくさのあるのにくであろうか。うし飼葉かいばうえでうなるであろうか。

6:6 あじのないものしおがなくてべられようか。すべりひゆのしるはあじがあろうか。

6:7 わたしの食欲しょくよくはこれにれることをこばむ。これは、わたしのきらう食物しょくもつのようだ。

6:8 どうかわたしのもとめるものがられるように。どうかかみがわたしののぞむものをくださるように。

6:9 どうかかみがわたしをほろぼすことをよしとし、べてわたしをたれるように。

6:10 そうすれば、わたしはなおなぐさめをはげしいくるしみのなかにあってもよろこぶであろう。わたしはせいなるもの言葉ことばいなんだことがないからだ。

6:11 わたしにどんなちからがあって、なおたねばならないのか。わたしにどんなおわりがあるので、なおしのばねばならないのか。

6:12 わたしのちからいしちからのようであるのか。わたしのにく青銅せいどうのようであるのか。

6:13 まことに、わたしのうちにたすけはなく、すくわれるのぞみは、わたしからいやられた。

6:14 そのともたいするいつくしみをさしひかえるものは、全能者ぜんのうしゃおそれることをすてる。

6:15 わが兄弟きょうだいたちは谷川たにがわのように、出水でみずのようにあざむく。

6:16 これはこおりのためにくろくなり、そのうちにゆきかくれる。

6:17 これはあたたかになるとり、あつくなるとそのところからなくなる。

6:18 隊商たいしょうはそのみちてんじ、むなしいところってほろびる。

6:19 テマの隊商たいしょうはこれをのぞみ、シバのたびびとはこれをしたう。

6:20 かれらはこれにたよったために失望しつぼうし、そこにてみて、あわてる。

6:21 あなたがたはいまわたしにはこのようなものとなった。あなたがたはわたしの災難さいなんおそれた。

6:22 わたしはったことがあるか、『わたしにあたえよ』と、あるいは『あなたがたの財産ざいさんのうちからわたしのために、まいないをおくれ』と、

6:23 あるいは『あだのからわたしをすくせ』と、あるいは『しえたげるものからわたしをあがなえ』と。

6:24 わたしにおしえよ、そうすればわたしはだまるであろう。わたしのあやまっているところをわたしにさとらせよ。

6:25 ただしい言葉ことばはいかにちからのあるものか。しかしあなたがたのいましめはなにいましめるのか。

6:26 あなたがたは言葉ことばいましめうるとおもうのか。のぞみのえたものかたることはかぜのようなものだ。

6:27 あなたがたは、みなしごのためにくじをひき、あなたがたのともをさえいするであろう。

6:28 いま、どうぞわたしをられよ、わたしはあなたがたのかおかっていつわらない。

6:29 どうぞ、おもいなおせ、まちがってはならない。さらにおもいなおせ、わたしのは、なおわたしのうちにある。

6:30 わたしのした不義ふぎがあるか。わたしのくちわざわいわきまえることができぬであろうか。 

第7章 

7:1 地上ちじょうひとには、はげしい労務ろうむがあるではないか。またその雇人やといにんのようではないか。

7:2 奴隷どれい夕暮ゆうぐれしたうように、雇人やといにんがその賃銀ちんぎんのぞむように、

7:3 わたしは、むなしいつきたせられ、なやみのよるあたえられる。

7:4 わたしはるときにう、『いつきるだろうか』と。しかしよるながく、あかつきまでころびまわる。

7:5 わたしのにくはうじとつちくれとをまとい、わたしのかわかたまっては、またくずれる。

7:6 わたしのはたのひよりもはやく、のぞみをもたずにる。

7:7 記憶きおくせよ、わたしのいのちいきにすぎないことを。わたしのふたたさいわいることがない。

7:8 わたしをものは、かさねてわたしをることがなく、あなたがわたしにけられても、わたしはいない。

7:9 くもえて、なくなるように、陰府よみくだものがってることがない。

7:10 かれふたたびそのいえかえらず、かれところも、もはやかれみとめない。

7:11 それゆえ、わたしはわがくちをおさえず、わたしのれいのもだえによってかたり、わたしのたましいくるしさによってなげく。

7:12 わたしはうみであるのか、りゅうであるのか、あなたはわたしのうえ見張みはりをかれる。

7:13 『わたしのとこはわたしをなぐさめ、わたしの寝床ねどこはわがなげきをかるくする』とわたしがうとき、

7:14 あなたはゆめをもってわたしをおどろかし、まぼろしをもってわたしをおそれさせられる。

7:15 それゆえ、わたしはいきまることをねがい、わがほねよりもむしろえらぶ。

7:16 わたしはいのちをいとう。わたしはながきることをのぞまない。わたしにかまわないでください。わたしのいきにすぎないのだから。

7:17 ひと何者なにものなので、あなたはこれをおおきなものとし、これにみこころをとめ、

7:18 あさごとに、これをたずね、なく、これをこころみられるのか。

7:19 いつまで、あなたはわたしにはなさず、つばをのむまも、わたしをてておかれないのか。

7:20 ひと監視かんしされるものよ、わたしがつみおかしたとて、あなたになにをなしえようか。なにゆえ、わたしをあなたのまととし、わたしをあなたの重荷おもにとされるのか。

7:21 なにゆえ、わたしのとがをゆるさず、わたしの不義ふぎのぞかれないのか。わたしはいまつちなかよこたわる。あなたがわたしをたずねられても、わたしはいないでしょう」。 

第8章 

8:1 ときにシュヒびとビルダデがこたえてった、

8:2 「いつまであなたは、そのようなことうのか。あなたのくち言葉ことばあらかぜではないか。

8:3 かみ公義こうぎげられるであろうか。全能者ぜんのうしゃ正義せいぎげられるであろうか。

8:4 あなたのたちがかれつみおかしたので、かれらをそのとがのわたされたのだ。

8:5 あなたがもしかみもとめ、全能者ぜんのうしゃいのるならば、

8:6 あなたがもしきよく、ただしくあるならば、かれかならずあなたのためにって、あなたのただしいすみかをさかえさせられる。

8:7 あなたのはじめはちいさくあっても、あなたのおわりは非常ひじょうおおきくなるであろう。

8:8 さきひとうてみよ、先祖せんぞたちのたずねきわめたことまなべ。

8:9 われわれはただ、きのうからあったもので、なにらない、われわれのにあるは、かげのようなものである。

8:10 かれらはあなたにおしえ、あなたにかたり、そのさとりから言葉ことばさないであろうか。

8:11 かみぐさどろのないところ生長せいちょうすることができようか。あしみずのないところにおいしげることができようか。

8:12 これはなおあおくて、まだられないのに、すべてのくささきだってれる。

8:13 すべてかみわすれるものみちはこのとおりだ。かみしんじないもののぞみはほろびる。

8:14 そのたのむところはたれ、そのるところは、くもののようだ。

8:15 そのいえによりかかろうとすれば、いえたず、それにすがろうとしても、それはえない。

8:16 かれまえ青々あおあおしげり、そのわかえだそのにはびこらせ、

8:17 その石塚いしづかにからませ、いわあいだきていても、

8:18 もしそのところからのぞかれれば、そのところかれこばんでうであろう、『わたしはあなたをたことがない』と。

8:19 よ、これこそかれみちよろこびである、そしてほかのものからしょうじるであろう。

8:20 よ、かみまったひとてられない。またあくおこなもの支持しじされない。

8:21 かれわらいをもってあなたのくちたし、よろこびのこえをもってあなたのくちびるをたされる。

8:22 あなたをにくものはじせられ、しきもの天幕てんまくはなくなる」。 

第9章 

9:1 ヨブはこたえてった、

9:2 「まことにわたしは、そのことそのとおりであることをっている。しかしひとはどうしてかみまえただしくありえようか。

9:3 よしかれあらそおうとしても、千に一つもこたえることができない。

9:4 かれこころかしこく、力強ちからづよくあられる。だれがかれにむかい、おのれをかたくなにして、さかえたものがあるか。

9:5 かれは、やまうつされるが、やまらない。かれいかりをもって、これらをくつがえされる。

9:6 かれが、ふるうごかしてそのところはなれさせられると、そのはしらはゆらぐ。

9:7 かれめいじられると、ない。かれはまたほしじこめられる。

9:8 かれはただひとりてんり、うみなみまれた。

9:9 かれ北斗ほくと、オリオン、プレアデスおよびみなみ密室みっしつつくられた。

9:10 かれおおいなることをされることははかりがたく、不思議ふしぎことをされることはかずれない。

9:11 よ、かれがわたしのかたわらをとおられても、わたしはかれない。かれすすかれるが、わたしはかれみとめない。

9:12 よ、かれうばられるのに、だれがかれをはばむことができるか。だれがかれにむかって『あなたはなにをするのか』とうことができるか。

9:13 かみはそのいかりをやめられない。ラハブをたすけるものどもはかれのもとにかがんだ。

9:14 どうしてわたしはかれこたえ、言葉ことばえらんで、かれ議論ぎろんすることができよう。

9:15 たといわたしはただしくてもこたえることができない。わたしをめられるものあわれみをわなければならない。

9:16 たといわたしがばわり、かれがわたしにこたえられても、わたしのこえみみかたむけられたとはしんじない。

9:17 かれ大風おおかぜをもってわたしをくだき、ゆえなく、わたしにおおくのきずわせ、

9:18 わたしにいきをつかせず、にがものをもってわたしをたされる。

9:19 ちからあらそいであるならば、かれよ、さばきのことであるならば、だれがかれすことができよう。

9:20 たといわたしはただしくても、わたしのくちはわたしをつみあるものとする。たといわたしはつみがなくても、かれはわたしをまがったものとする。

9:21 わたしはつみがない、しかしわたしは自分じぶんらない。わたしは自分じぶんいのちをいとう。

9:22 みな同一どういつである。それゆえ、わたしはう、かれつみのないものと、しきものとをともほろぼされるのだ』と。

9:23 わざわいがにわかにひところすようなことがあると、かれつみのないもの苦難くなんをあざわらわれる。

9:24 悪人あくにんわたされてある。かれはその裁判人さいばんにんかおをおおわれる。もしかれでなければ、これはだれのしわざか。

9:25 わたしの飛脚ひきゃくよりもはやく、ってさいわいない。

9:26 これははしることあしぶねのごとく、えじきにおそいかかる、わしのようだ。

9:27 たといわたしは『わがなげきをわすれ、うれがおをかえて元気げんきよくなろう』とっても、

9:28 わたしはわがもろもろのくるしみをおそれる。あなたがわたしをつみなきものとされないことをわたしはっているからだ。

9:29 わたしはつみあるものとされている。どうして、いたずらにろうする必要ひつようがあるか。

9:30 たといわたしはゆきあらい、灰汁あくきよめても、

9:31 あなたはわたしを、みぞのなかまれるので、わたしの着物きものも、わたしをいとうようになる。

9:32 かみはわたしのようにひとではないゆえ、わたしはかれこたえることができない。われわれはともにさばきにのぞむことができない。

9:33 われわれのあいだには、われわれふたりのうえくべき仲裁者ちゅうさいしゃがない。

9:34 どうかかれがそのつえをわたしからはなし、そのいかりをもって、わたしをおそれさせられないように。

9:35 そうすれば、わたしはかたって、かれおそれることはない。わたしはみずからそのようなものではないからだ。 

第10章 

10:1 わたしは自分じぶんいのちをいとう。わたしは自分じぶんなげきをつつまずいあらわし、わがたましいくるしみによってかたろう。

10:2 わたしはかみもうそう、わたしをつみあるものとされないように。なぜわたしとあらそわれるかをらせてほしい。

10:3 あなたはしえたげをなし、みのわざをて、悪人あくにん計画けいかくてらすことをしとされるのか。

10:4 あなたのっておられるのはにくか、あなたはひとるようにられるのか。

10:5 あなたのひとのごとく、あなたのとしひとねんのようであるのか。

10:6 あなたはなにゆえわたしのとがをたずね、わたしのつみ調しらべられるのか。

10:7 あなたはわたしのつみのないことをっておられる。またあなたのからすくしうるものはない。

10:8 あなたのはわたしをかたどり、わたしをつくった。ところがいまあなたはかえって、わたしをほろぼされる。

10:9 どうぞおぼえてください、あなたはつちくれをもってわたしをつくられたことを。ところが、わたしをちりにかえそうとされるのか。

10:10 あなたはわたしをちちのようにそそぎ、乾酪かんらくのようにかたまらせたではないか。

10:11 あなたはにくかわとをわたしにせ、ほねすじとをもってわたしをみ、

10:12 いのちといつくしみとをわたしにさづけ、わたしをかえりみてわがれいまもられた。

10:13 しかしあなたはこれらのことをみこころめおかれた。このことがあなたのこころのうちにあったことわたしはっている。

10:14 わたしがもしつみおかせば、あなたはわたしにをつけて、わたしをつみからはなされない。

10:15 わたしがもしわるければわたしはわざわいだ。たといわたしがただしくても、わたしはあたまげることができない。わたしははじち、なやみをているからだ。

10:16 もしあたまをあげれば、あなたは、ししのようにわたしをい、わたしにむかってふたたびくすしきちからをあらわされる。

10:17 あなたは証人しょうにんえてわたしをめ、わたしにむかってあなたのいかりをし、あらたに軍勢ぐんぜいしてわたしをめられる。

10:18 なにゆえあなたはわたしをたいからされたか、わたしはいきえてられることなく、

10:19 たいからはかはこばれて、はじめからなかったもののようであったなら、よかったのに。

10:20 わたしのいのちはいくばくもないではないか。どうぞ、しばしわたしをはなれて、すこしくなぐさめをさせられるように。

10:21 わたしがって、かえることのないそのまえに、これをさせられるように。わたしはくら暗黒あんこくく。

10:22 これはくらで、やみにひとしく、暗黒あんこく秩序ちつじょなく、ひかりもやみのようだ」。 

第11章 

11:1 そこでナアマびとゾパルはこたえてった、

11:2 「言葉ことばおおければ、こたえなしにすまされるだろうか。くち達者たっしゃひととされるだろうか。

11:3 あなたのむなしい言葉ことばひと沈黙ちんもくさせるだろうか。あなたがあざけるとき、ひとはあなたをじさせないだろうか。

11:4 あなたはう、『わたしのおしえただしい、わたしはかみいさぎよい』と。

11:5 どうぞかみ言葉ことばし、あなたにむかってくちびるをひらき、

11:6 知恵ちえ秘密ひみつをあなたにしめされるように。かみはさまざまの知識ちしきをもたれるからである。それであなたはるがよい、かみはあなたのつみよりもかるくあなたをばっせられることを。

11:7 あなたはかみふかこときわめることができるか。全能者ぜんのうしゃ限界げんかいきわめることができるか。

11:8 それはてんよりもたかい、あなたはなにをなしうるか。それは陰府よみよりもふかい、あなたはなにりうるか。

11:9 そのりょうよりもながく、うみよりもひろい。

11:10 かれがもしきめぐってひととらえ、さばきにあつめられるとき、だれがかれをはばむことができよう。

11:11 かれいやしい人間にんげんっておられるからだ。かれ不義ふぎときこれにこころをとめられぬであろうか。

11:12 しかしろばのひととしてうまれるとき、おろかなものさとりをるであろう。

11:13 もしあなたがこころただしくするならば、かみかってべるであろう。

11:14 もしあなたの不義ふぎがあるなら、それをとおれ、あなたの天幕てんまくあくまわせてはならない。

11:15 そうすれば、あなたはじることなくかおをあげることができ、かたって、おそれることはない。

11:16 あなたはくるしみをわすれ、あなたのこれをおぼえることは、ながったみずのようになる。

11:17 そしてあなたのいのち真昼まひるよりもひかかがやき、たといくらくてもあさのようになる。

11:18 あなたはのぞみがあるゆえにやすんじ、保護ほごされてやすらかにいこうことができる。

11:19 あなたはしてやすみ、あなたをおそれさせるものはない。おおくのものはあなたの好意こういもとめるであろう。

11:20 しかししきものおとろえる。かれらはうしない、そののぞみはいきえるにひとしい」。 

第12章 

12:1 そこでヨブはこたえてった、

12:2 「まことに、あなたがたのみ、ひとである、知恵ちえはあなたがたとともぬであろう。

12:3 しかしわたしも、あなたがたと同様どうようさとりをもつ。わたしはあなたがたにおとらない。だれがこのようなことらないだろうか。

12:4 わたしはかみばわって、かれたものであるのに、そのとも物笑ものわらいとなっている。ただしくまったひと物笑ものわらいとなる。

12:5 やすらかなものおもいには、不幸ふこうものたいするあなどりがあって、あしのすべるものっている。

12:6 かすめうばもの天幕てんまくさかえ、かみいからすものやすらかである。自分じぶんかみたずさえているもの同様どうようだ。

12:7 しかしけものうてみよ、それはあなたにおしえる。そらとりうてみよ、それはあなたにげる。

12:8 あるいはくさうてみよ、かれらはあなたにおしえる。うみうおもまたあなたにしめす。

12:9 これらすべてのもののうち、いずれかしゅがこれをなしたことをらぬものがあろうか。

12:10 すべてのものいのちおよびすべてのひといきかれのうちにある。

12:11 くち食物しょくもつあじわうように、みみ言葉ことばをわきまえないであろうか。

12:12 いたものには知恵ちえがあり、いのちながものにはさとりがある。

12:13 知恵ちえちからかみともにあり、深慮しんりょさとりもかれのものである。

12:14 かれ破壊はかいすれば、ふたたてることができない。かれひとめれば、ひらすことができない。

12:15 かれみずめれば、それはかれ、かれみずせば、をくつがえす。

12:16 ちからふか知恵ちえかれともにあり、まどわされるものまどわすものかれのものである。

12:17 かれたちをはだかにしてき、さばきびとらをおろかにし、

12:18 おうたちのきずなをき、かれらのこし腰帯こしおびき、

12:19 祭司さいしたちをはだかにしてき、ちからあるものほろぼし、

12:20 みずからたのものたちの言葉ことばうばい、長老ちょうろうたちの分別ふんべつり、

12:21 きみたちのうえあなどりをそそぎ、つよものたちのおびき、

12:22 くらやみのなかからかくれたことどもをあらわし、暗黒あんこくひかりし、

12:23 国々くにぐにおおきくし、またこれをほろぼし、国々くにぐにひろくし、またとらき、

12:24 たみちょうたちのさとりをうばい、かれらをみちなき荒野あらのにさまよわせ、

12:25 ひかりなきくらやみに手探てさぐりさせ、うたもののようによろめかせる。 

第13章 

13:1 よ、わたしのは、これをことごとくた。わたしのみみはこれをいてさとった。

13:2 あなたがたのっていることは、わたしもっている。わたしはあなたがたにおとらない。

13:3 しかしわたしは全能者ぜんのうしゃものおう、わたしはかみろんずることをのぞむ。

13:4 あなたがたはいつわりをもってうわべをつくろものみな無用むよう医師いしだ。

13:5 どうか、あなたがたはまった沈黙ちんもくするように。これがあなたがたの知恵ちえであろう。

13:6 いま、わたしのろんずることをくがよい。わたしのくちあらそうことにみみかたむけるがよい。

13:7 あなたがたはかみのために不義ふぎおうとするのか。またかれのためにいつわりをべるのか。

13:8 あなたがたはかれにひいきしようとするのか。かみのためにあらそおうとするのか。

13:9 かみがあなたがたを調しらべられるとき、あなたがたは無事ぶじだろうか。あなたがたはひとあざむくようにかれあざむくことができるか。

13:10 あなたがたがもし、ひそかにひいきするならば、かれかならずあなたがたをめられる。

13:11 その威厳いげんはあなたがたをおそれさせないであろうか。かれをおそれるおそれがあなたがたにのぞまないであろうか。

13:12 あなたがたの格言かくげんはいのことわざだ。あなたがたのたてつちたてだ。

13:13 もくして、わたしにかかわるな、わたしははなそう。何事なにごとでもわたしにるなら、るがよい。

13:14 わたしはわがにくをわがり、わがいのちをわがのうちにく。

13:15 よ、かれはわたしをころすであろう。わたしは絶望ぜつぼうだ。しかしなおわたしはわたしのみちかれまえまもこう。

13:16 これこそわたしのすくいとなる。かみしんじないものは、かみまえることができないからだ。

13:17 あなたがたはよくわたしの言葉ことばき、わたしのべるところみみれよ。

13:18 よ、わたしはすでにわたしのならべた。わたしはとされることをみずからっている。

13:19 だれかわたしとあらそことのできるものがあろうか。もしあるならば、わたしはもくしてぬであろう。

13:20 ただわたしに二つのことゆるしてください。そうすれば、わたしはあなたのかおをさけてかくれることはないでしょう。

13:21 あなたのをわたしからはなしてください。あなたのおそるべきことをもってわたしをおそれさせないでください。

13:22 そしておおよびください、わたしはこたえます。わたしにものわせて、あなたご自身じしん、わたしにおこたえください。

13:23 わたしのよこしまと、わたしのつみがどれほどあるか。わたしのとがとつみとをわたしにらせてください。

13:24 なにゆえ、あなたはみかおをかくし、わたしをあなたのてきとされるのか。

13:25 あなたはまわされるをおどし、あがったもみがらをわれるのか。

13:26 あなたはわたしについてにがことどもをきしるし、わたしにわかときつみがせ、

13:27 わたしのあしあしかせにはめ、わたしのすべてのみちをうかがい、わたしのあし周囲しゅういかぎりをつけられる。

13:28 このようなひとくされたもののようにて、むしわれた衣服いふくのようにすたれる。 

第14章 

14:1 おんなからうまれるひとみじかく、なやみにちている。

14:2 かれはなのようにれ、かげのようにって、とどまらない。

14:3 あなたはこのようなものにさえひらき、あなたのまえして、さばかれるであろうか。

14:4 だれがけがれたもののうちからきよいものをすことができようか、ひとりもない。

14:5 そのさだめられ、そのつきかずもあなたとともにあり、あなたがそのかぎりをさだめて、えることのできないようにされたのだから、

14:6 かれからをはなし、をひいてください。そうすればかれ雇人やといにんのように、そのたのしむことができるでしょう。

14:7 にはのぞみがある。たといられてもまたをだし、そのわかえだえることがない。

14:8 たといそのなかい、そのみきつちなかれても、

14:9 なおみずうるおいにあえばをふき、若木わかぎのようにえだす。

14:10 しかしひとねばえうせる。いきえれば、どこにおるか。

14:11 みずみずうみからえ、かわがかれて、かわくように、

14:12 ひとして、またきず、てんのつきるまで、ざめず、その ねむりからさまされない。

14:13 どうぞ、わたしを陰府よみにかくし、あなたのいかりのやむまで、ひそませ、わたしのためにときさだめて、わたしをおぼえてください。

14:14 ひとがもしねば、またきるでしょうか。わたしはわが服役ふくえきしょにちあいだわが解放かいほうるまでつでしょう。

14:15 あなたがおおよびになるとき、わたしはこたえるでしょう。あなたはみのわざをかえりみられるでしょう。

14:16 そのときあなたはわたしのあゆみをかぞえ、わたしのつみのがされるでしょう。

14:17 わたしのとがはふくろなかふうじられ、あなたはわたしのつみりかくされるでしょう。

14:18 しかしやまたおれてくずれ、いわもそのところからうつされる。

14:19 みずいしをうがち、大水おおみずのちりをあらる。このようにあなたはひとのぞみをたれる。

14:20 あなたはながくかれって、かれかせ、かれかおかたちをかわらせていやられる。

14:21 かれらはたっとくなっても、かれはそれをらない、いやしくなっても、それをさとらない。

14:22 ただおのがいたみをおぼえ、おのれのためになげくのみである」。 

第15章 

15:1 そこでテマンびとエリパズはこたえてった、

15:2 「知者ちしゃはむなしき知識ちしきをもってこたえるであろうか。東風ひがしかぜをもってそのはらたすであろうか。

15:3 やくたない談話だんわをもってろんじるであろうか。無益むえき言葉ことばをもってあらそうであろうか。

15:4 ところがあなたはかみおそれることをて、かみまえいのことをやめている。

15:5 あなたのつみはあなたのくちおしえ、あなたは悪賢わるがしこひとしたえらもちいる。

15:6 あなたのくちみずからあなたのつみさだめる、わたしではない。あなたのくちびるがあなたにさからって証明しょうめいする。

15:7 あなたは最初さいしょうまれたひとであるのか。やまよりもさきうまれたのか。

15:8 あなたはかみ会議かいぎにあずかったのか。あなたは知恵ちえ独占どくせんしているのか。

15:9 あなたがるものはわれわれもるではないか。あなたがさとるものはわれわれもさとるではないか。

15:10 われわれのなかにはしらがのひとも、年老としおいたひともあって、あなたのちちよりも年上としうえだ。

15:11 かみなぐさめおよびあなたにたいするやさしい言葉ことばも、あなたにとって、あまりにちいさいというのか。

15:12 どうしてあなたのこころくるうのか。どうしてあなたのはしばたたくのか。

15:13 あなたがかみにむかってをいらだて、このような言葉ことばをあなたのくちからすのはなぜか。

15:14 ひとはいかなるものか、どうしてこれはきよくありえよう。おんなからうまれたものは、どうしてただしくありえよう。

15:15 よ、かみはそのせいなるものにすらしんかれない、もろもろのてんかれにはきよくない。

15:16 ましてにくむべきけがれたものまた不義ふぎみずのようにひとにおいては。

15:17 わたしはあなたにかたろう、くがよい。わたしは自分じぶんことべよう。

15:18 これは知者ちしゃたちがその先祖せんぞからうけて、かくところなくかたつたえたものである。

15:19 かれらにのみこのさづけられて、他国たこくじんはそのなかしたことがなかった。

15:20 しきひと一生いっしょうあいだ、もだえくるしむ。残酷ざんこくひとにはとしかずさだめられている。

15:21 そのみみにはおそろしいおときこえ、繁栄はんえいときにもほろぼすものかれのぞむ。

15:22 かれは、くらやみからかえりうるとはしんぜず、つるぎにねらわれる。

15:23 かれ食物しょくもつはどこにあるかといつつさまよい、くら手近てぢかそなえられてあるのをる。

15:24 なやみとくるしみとがかれおそれさせ、たたかいのそなえをしたおうのようにかれつ。

15:25 これはかれかみさからってそのべ、全能者ぜんのうしゃさからって高慢こうまんにふるまい、

15:26 たてあつめんをもって強情ごうじょうに、かれにはせかうからだ。

15:27 またかれ脂肪しぼうをもってそのかおをおおい、そのこしには脂肪しぼうにくあつめ、

15:28 ほろぼされた町々まちまちみ、ひとまないいえ荒塚あらつかとなるところにおるからだ。

15:29 かれめるものとならず、そのとみはながくつづかない、またることはない。

15:30 かれくらやみからのがれることができない。ほのおはそのわかえだらし、そのはなかぜられる。

15:31 かれをしてみずからあざむいて、むなしいことにたよらせてはならない。そのむくいはむなしいからだ。

15:32 かれときのこないまえにそのことがなしげられ、かれえだみどりとならないであろう。

15:33 かれはぶどうののように、そのじゅくさないをふりおとすであろう。またオリブののように、そのはなおとすであろう。

15:34 かみしんじないもののやからはなく、まいないによる天幕てんまくほろぼされるからだ。

15:35 かれらは害悪がいあくをはらみ、不義ふぎみ、そのはらいつわりをつくる」。 

第16章 

16:1 そこでヨブはこたえてった、

16:2 「わたしはこのようなこと数多かずおおいた。あなたがたはみなひとなぐさめようとして、かえってひとわずらわすものだ。

16:3 むなしき言葉ことばに、はてしがあろうか。あなたはなにげきしてこたえをするのか。

16:4 わたしもあなたがたのようにかたることができる。もしあなたがたがわたしとかわったならば、わたしは言葉ことばって、あなたがたをめ、あなたがたにかってあたまることができる。

16:5 またくちをもって、あなたがたをつよくし、くちびるのなぐさめをもって、あなたがたのくるしみをやわらげることができる。

16:6 たといわたしはかたっても、わたしのくるしみはやわらげられない。たといわたしはしのんでも、どれほどそれがわたしをるであろうか。

16:7 まことにかみいまわたしをつかれさせた。かれはわたしのやからをことごとくあらした。

16:8 かれはわたしを、しわらせた。これがわたしにたいする証拠しょうこである。またわたしのやせおとろえた姿すがたって、わたしをめ、わたしのかおにむかって証明しょうめいする。

16:9 かれいかってわたしをかきき、わたしをにくみ、わたしにかってをかみらした。わたしのてきするどくして、わたしをめる。

16:10 人々ひとびとはわたしにかってくちり、あなどってわたしのほおをち、ともにあつまってわたしをめる。

16:11 かみはわたしをよこしまなものわたし、悪人あくにんげいれられる。

16:12 わたしはやすらかであったのに、かれはわたしをき、くびとらえて、わたしをくだき、わたしをててまととされた。

16:13 その射手しゃしゅはわたしをかこむ。かれ無慈悲むじひにもわたしのこし射通いとおし、わたしのきもながさせられる。

16:14 かれはわたしをやぶって、やぶれにやぶれをくわえ、勇士ゆうしのようにわたしに、はせかかられる。

16:15 わたしは荒布あらぬのはだいつけ、わたしのつのをちりにせた。

16:16 わたしのかおいてあかくなり、わたしのまぶたにはふかいやみがある。

16:17 しかし、わたしのには暴虐ぼうぎゃくがなく、わたしのいのりきよい。

16:18 よ、わたしのをおおってくれるな。わたしのさけびに、やすところさせるな。

16:19 よ、いまでもわたしの証人しょうにんてんにある。わたしのために保証ほしょうしてくれるものたかところにある。

16:20 わたしのともはわたしをあざける、しかしわたしのかみかってなみだそそぐ。

16:21 どうかかれひとのためにかみ弁論べんろんし、ひととそのともとのあいだをさばいてくれるように。

16:22 数年すうねんれば、わたしはかえらぬ旅路たびじくであろう。 

第17章 

17:1 わがれいやぶれ、わがき、はかはわたしをっている。

17:2 まことにあざけるものどもはわたしのまわりにあり、わがつねかれらのあなどりをる。

17:3 どうか、あなたみずか保証ほしょうとなられるように。ほかにだれがわたしのために保証ほしょうとなってくれるものがあろうか。

17:4 あなたはかれらのこころじて、さとることのないようにされた。それゆえ、かれらに勝利しょうりさせられるはずはない。

17:5 まえるためにともうったえるものは、そのらのがつぶれるであろう。

17:6 かれはわたしをたみわらぐさとされた。わたしはかおにつばきされるものとなる。

17:7 わがうれいによってかすみ、わがからだはすべてかげのようだ。

17:8 ただしいものはこれにおどろき、つみなきものかみしんぜぬものたいしていきどおる。

17:9 それでもなおただしいものはそのみちかたたもち、いさぎよをもつものはますますちからる。

17:10 しかし、あなたがたはみなふたたるがよい、わたしはあなたがたのうちにかしこものないのだ。

17:11 わがり、わがはかりごとはやぶれ、わがこころねがいもやぶれた。

17:12 かれらはよるひるえる。かれらはう、『ひかりくらやみにちかづいている』と。

17:13 わたしがもし陰府よみをわたしのいえとしてのぞみ、くらやみに寝床ねどこをのべ、

17:14 あなかって『あなたはわたしのちちである』とい、うじにかって『あなたはわたしのははわたしの姉妹しまいである』とうならば、

17:15 わたしののぞみはどこにあるか、だれがわたしののぞみをることができようか。

17:16 これはくだって陰府よみ関門かんもんにいたり、われわれはともにちりにくだるであろうか」。 

第18章 

18:1 そこでシュヒびとビルダデはこたえてった、

18:2 「あなたはいつまで言葉ことばにわなをもうけるのか。あなたはまずさとるがよい、それからわれわれはろんじよう。

18:3 なぜ、われわれはけもののようにおもわれるのか。なぜ、あなたのおろかなものえるのか。

18:4 いかっておのがものよ、あなたのためにてられるだろうか。いわはそのところからうつされるだろうか。

18:5 しきものひかりえ、そのほのおひかりはなたず、

18:6 その天幕てんまくのうちのひかりくらく、かれうえのともしびはえる。

18:7 そのちからあるあゆみはせばめられ、そのはかりごとはかれたおす。

18:8 かれ自分じぶんあしあみにかかり、またおとあなうえあゆむ。

18:9 わなはかれのかかとをとらえ、あみわなはかれとらえる。

18:10 なわはかれとらえるためにかくされ、あみかれとらえるためにみちもうけられる。

18:11 おそろしいこと四方しほうにあってかれおそれさせ、そのあゆみにしたがってかれう。

18:12 そのちからえ、わざわいかれをつまずかすためにそなわっている。

18:13 その皮膚ひふやまいによっていつくされ、のういごはかれ手足てあしいつくす。

18:14 かれはそのたのところ天幕てんまくからはなされて、おそれのおうのもとにいやられる。

18:15 かれぞくさないものかれ天幕てんまくみ、硫黄いおうかれのすまいのうえにまきらされる。

18:16 したではそのれ、うえではそのえだられる。

18:17 かれ形見かたみからほろび、かれはちまたにえる。

18:18 かれひかりからやみにいやられ、なかからされる。

18:19 かれはそのたみなかもなく、まごもなく、かれのすみかには、ひとりものこものはない。

18:20 西にしものかれについておどろき、ひがしものはおじおそれる。

18:21 まことに、しきもののすまいはこのようであり、かみらないものところはこのようである」。 

第19章 

19:1 そこでヨブはこたえてった、

19:2 「あなたがたはいつまでわたしをなやまし、言葉ことばをもってわたしをくだくのか。

19:3 あなたがたはすでに十度とたびもわたしをはずかしめ、わたしをわるくあしらってもなおじないのか。

19:4 たといわたしが、まことにあやまったとしても、そのあやまちは、わたし自身じしんにとどまる。

19:5 もしあなたがたが、まことにわたしにかってたかぶり、わたしのはじろんじるならば、

19:6 『かみがわたしをしえたげ、そのあみでわたしをかこまれたのだ』とるべきだ。

19:7 よ、わたしが『暴虐ぼうぎゃく』とさけんでもこたえられず、たすけをもとめても、さばきはない。

19:8 かれはわたしのみちにかきをめぐらして、えることのできないようにし、わたしのみちくらやみをかれた。

19:9 かれはわたしのさかえをわたしからはぎり、わたしのこうべからかんむりうばい、

19:10 四方しほうからわたしをりこわして、うせさせ、わたしののぞみをのようにり、

19:11 わたしにかっていかりをやし、わたしをてきのひとりのようにおもわれた。

19:12 その軍勢ぐんぜいがいっせいにて、るいきずいてせ、わたしの天幕てんまくのまわりにじんった。

19:13 かれはわたしの兄弟きょうだいたちをわたしからとおはなれさせられた。わたしを人々ひとびとまったくわたしに疎遠そえんになった。

19:14 わたしの親類しんるいおよびしたしいともはわたしを見捨みすて、

19:15 わたしのいえ宿やどものはわたしをわすれ、わたしのはしためらはわたしを他人たにんのようにおもい、わたしはかれらの他国たこくじんとなった。

19:16 わたしがしもべをんでも、かれこたえず、わたしはくちをもってかれわなければならない。

19:17 わたしのいきはわがつまにいとわれ、わたしはおなはらたちにきらわれる。

19:18 わらべたちさえもわたしをあなどり、わたしががれば、わたしをあざける。

19:19 したしい人々ひとびとみなわたしをいみきらい、わたしのあいした人々ひとびとはわたしにそむいた。

19:20 わたしのほねかわにくにつき、わたしはわずかにかわをもってのがれた。

19:21 わがともよ、わたしをあわれめ、わたしをあわれめ、かみのみがわたしをったからである。

19:22 あなたがたは、なにゆえかみのようにわたしをめ、わたしのにくをもって満足まんぞくしないのか。

19:23 どうか、わたしの言葉ことばが、きとめられるように。どうか、わたしの言葉ことばが、書物しょもつにしるされるように。

19:24 てつふでなまりとをもって、ながくいわきざみつけられるように。

19:25 わたしはる、わたしをあがなうものきておられる、のちかれかならうえたれる。

19:26 わたしのかわがこのようにほろぼされたのち、わたしはにくはなれてかみるであろう。

19:27 しかもわたしの味方みかたとしてるであろう。わたしのものはこれ以外いがいのものではない。わたしのこころはこれをのぞんでこがれる。

19:28 あなたがたがもし『われわれはどうしてかれめようか』とい、また『こと根源こんげんかれのうちにいだされる』うならば、

19:29 つるぎをおそれよ、いかりはつるぎのばつをきたらすからだ。これによって、あなたがたは、さばきのあることをるであろう」。 

第20章 

20:1 そこでナアマびとゾパルはこたえてった、

20:2 「これによって、わたしはこたえようとのおもいをおこし、これがために心中しんじゅうしきりにさわつ。

20:3 わたしはわたしをはずかしめる非難ひなんく、しかし、わたしのさとりのれいがわたしにこたえさせる。

20:4 あなたはこのことらないのか、むかしからうえひとかれてよりこのかた、

20:5 しきひとほこはしばらくであって、かみしんじないものたのしみはただつかのまであることを。

20:6 たといそのたかさがてんたっし、そのあたまくもにおよんでも、

20:7 かれはおのれのふんのように、とこしえにほろび、かれものうであろう、『かれはどこにおるか』と。

20:8 かれゆめのようにって、ふたたることはない。かれよるまぼろしのようにはらわれるであろう。

20:9 かれはかさねてかれることがなく、かれのいたところふたたかれることがなかろう。

20:10 そのらはまずしいものめぐみをもとめ、そのかれざいつぐなうであろう。

20:11 そのほねにはわかちからちている、しかしそれはかれともにちりにすであろう。

20:12 たといあくかれくちあまく、これをしたうらにかくし、

20:13 これをしんでてることなく、くちなかふくんでいても、

20:14 その食物しょくもつかれはらうちかわり、かれうち毒蛇どくへびどくとなる。

20:15 かれざいをのんでも、またそれをす、かみがそれをかれはらからされるからだ。

20:16 かれ毒蛇どくへびどくい、まむしのしたかれころすであろう。

20:17 かれみつ凝乳ぎょうにゅうながれる川々かわがわることができない。

20:18 かれはほねおってたものをかえして、それをうことができない。そのあきないによって利益りえきをもってたのしむことができない。

20:19 かれまずしいものをしえたげ、これをてたからだ。かれいえうばっても、それをてることができない。

20:20 かれ欲張よくばりはることをらぬゆえ、そのたのしむなにものをもすくうことができないであろう。

20:21 かれのこしてべなかったものとては一つもない。それゆえ、その繁栄はんえいはながくつづかないであろう。

20:22 そのちからちているときかれ窮境きゅうきょうおちいり、なやみのがことごとくかれうえのぞむであろう。

20:23 かれがそのはらたそうとすれば、かみはそのはげしいいかりをおくって、それをかれうえ注ぎそそぎかれ食物しょくもつとされる。

20:24 かれてつ武器ぶきまぬかれても、青銅せいどうかれ射通いとおすであろう。

20:25 かれがこれをそのからけば、きらめくじりがそのきもからてきて、おそれがかれうえのぞむ。

20:26 もろもろの暗黒あんこくかれ宝物ほうもつのためにたくわえられ、ひとおこしたものでないかれきつくし、その天幕てんまくのこっているものほろぼすであろう。

20:27 てんかれつみをあらわし、おこってかれめるであろう。

20:28 そのいえ財産ざいさんうばられ、かみいかりのえうせるであろう。

20:29 これがしきひとかみからけるぶんかみによってさだめられたぎょうである」。 

第21章 

21:1 そこでヨブはこたえてった、

21:2 「あなたがたはとくと、わたしの言葉ことばき、これをもって、あなたがたのなぐさめとするがよい。

21:3 まずわたしをゆるしてかたらせなさい。わたしがかたったのち、あざけるのもよかろう。

21:4 わたしのつぶやきはひとたいしてであろうか。わたしはどうして、いらだたないでいられようか。

21:5 あなたがたはわたしをて、おどろき、くちにあてるがよい。

21:6 わたしはこれをおもうとおそろしくなって、からだがしきりにふるえわななく。

21:7 なにゆえしきひときながらえ、老齢ろうれいたっし、かつ力強ちからづよくなるのか。

21:8 そのらはかれらのまえかたち、その子孫しそんもそのまえかたつ。

21:9 そのいえやすらかで、おそれがなく、かみのつえはかれらのうえのぞむことがない。

21:10 その雄牛おうしたねあたえて、あやまることなく、その雌牛めうしんで、そこなうことがない。

21:11 かれらはそのちいさいものどもをれのようにし、そのらはおどる。

21:12 かれらはつづみことわせてうたい、ふえによってたのしみ、

21:13 そのをさいわいにごし、やすらかに陰府よみにくだる。

21:14 かれらはかみう、『われわれをはなれよ、われわれはあなたのみちることをこのまない。

21:15 全能者ぜんのうしゃ何者なにものなので、われわれはこれにつかえねばならないのか。われわれはこれにいのっても、なんのえきがあるか』と。

21:16 よ、かれらの繁栄はんえいかれらのにあるではないか。悪人あくにんはかりごとは、わたしのとおおよところでない。

21:17 悪人あくにんのともしびのされること、いくたびあるか。そのわざわいかれらのうえのぞむこと、かみがそのいかりをもってくるしみをあたえられること、いくたびあるか。

21:18 かれらがかぜまえのわらのようになること、あらしにられるもみがらのようになること、いくたびあるか。

21:19 あなたがたはう、かみかれらのつみみたくわえて、そのらにむくいられるのだ』と。どうかそれをかれ自身じしんむくいて、かれらにそのつみらせられるように。

21:20 すなわちかれ自身じしんにそのほろびをさせ、全能者ぜんのうしゃいかりをかれらにませられるように。

21:21 そのつきかずのつきるとき、かれらはそののちいえになんのかかわるところがあろうか。

21:22 かみてんにあるものたちをさえ、さばかれるのに、だれがかみ知識ちしきおしえることができようか。

21:23 あるもの繁栄はんえいをきわめ、まったやすらかに、かつおだやかにに、

21:24 そのからだには脂肪しぼうち、そのほねずいうるおっている。

21:25 あるものこころくるしめてに、なんのさいわいをもあじわうことがない。

21:26 かれらはひとしくちりにし、うじにおおわれる。

21:27 よ、わたしはあなたがたのおもいをり、わたしをがいしようとするたくらみをる。

21:28 あなたがたはう、『王侯おうこういえはどこにあるか、悪人あくにん天幕てんまくはどこにあるか』と。

21:29 あなたがたは道行みちゆ人々ひとびとわなかったか、かれらの証言しょうげんれないのか。

21:30 すなわち、わざわい悪人あくにんまぬかれ、はげしいいかりのかれすくされる。

21:31 だれがかれかって、そのみちらせるものがあるか、だれがかれのしたことかれむくいるものがあるか。

21:32 かれはかかれてはかき、つかうえ見張みはりされ、

21:33 たにつちくれもかれにはこころよく、すべてのひとはそのあとにしたがう。かれまえったものかぞえきれない。

21:34 それで、あなたがたはどうしてむなしいことをもって、わたしをなぐさめようとするのか。あなたがたのこたえいつわ以外いがいなにものでもない」。