文語訳舊約聖書(1953年版)(振り仮名付き)

章: 1  2  3  4

マラキ書

  第1章

1:1 これマラキによりてイスラエルにのぞめるヱホバのことば重負おもになり

1:2 ヱホバいひたまふわれなんぢらをあいしたり しかるになんぢなんぢいかに我儕われらあいせしやと ヱホバいふエサウはヤコブのあにあらずや されどわれはヤコブをあい

1:3 エサウをにくめり つわれかれやまあらその嗣業しげふやまいぬにあたへたり

1:4 エドムは我儕われらほろぼされたれどもふたたあれたるところたてんといふによりて萬軍ばんぐんのヱホバかくいひたまふ 彼等かれらたてん されどわれこれをたふさん ひと彼等かれら惡境あくきやうとよびまたヱホバのつねいかりたまふ人民じんみんとなへん

1:5 なんぢらこれをいはん ヱホバはイスラエルのおほいなりと

1:6 そのちちうやましもべはそのしゆうやまふ さればわれもしちちたらばわれうやまふこといづくにあるや われもししゆたらばわれをおそるることいづくにあるや なんぢら藐視あなど祭司さいしよと萬軍ばんぐんのヱホバいひたまふ しかるに汝曹なんぢらはいふ我儕われらいかなんぢ藐視あなどりしやと

1:7 なんぢけがれたるパンをわがだんうへささげしかして我儕われらいかなんぢけがせしやと 汝曹なんぢらヱホバのだいいやしきなりといひしがゆゑなり

1:8 なんぢ盲目めくらなるもの犠牲いけにへささぐるはあしきあらずや また跛足あしなへなるものと病者やめるものささぐるはあしきあらずや いまこれをなんぢ方伯つかさささげよ さればかれなんぢをよろこぶや なんぢ受納うけいるるや 萬軍ばんぐんのヱホバこれをいふ

1:9 なんぢかみわれらをあはれみたまはんことをもとめよ これらはすべなんぢらのになれり かれなんぢらをいれんや 萬軍ばんぐんのヱホバこれを

1:10 なんぢらがわがだんうへにいたづらにをたくことなからんためになんぢらのうち一人ひとりとびらづるものあらまほし われなんぢらをよろこばず またなんぢらのより獻物ささげものうけじと萬軍ばんぐんのヱホバいひたま

1:11 いづところよりところまでの列國くにぐにうちわがおほいならん また何處いづこにてもかうきよ獻物ささげものわがささげん そはわが列國くにぐにうちおほいなるべければなりと萬軍ばんぐんのヱホバいひたま

1:12 しかるになんぢらこれけがしたり そは爾曹なんぢらはヱホバのだいけがれたり またそのすなはちその食物かていやしといへばなり

1:13 なんぢらはまた如何いか煩勞わづらはしきことにあらずやといひかつこれを藐視いやしめたり 萬軍ばんぐんのヱホバこれをいふ またなんぢらはうばひしもの跛足あしなへたるものやめものたづさきたれり なんぢらかく獻物ささげものたづさきたればわれこれなんぢらのよりうくべけんや ヱホバこれをいひたまへり

1:14 むれうちをすあるにちかひててきずあるものをヱホバにささぐる詐僞者いつはりもののろはるべし そはわれおほいなるわうまたわが列國くにぐにおそれらるべきなればなり 萬軍ばんぐんのヱホバこれをいふ

  第2章

2:1 祭司さいしいまこの命令いひつけなんぢらにあたへらる

2:2 萬軍ばんぐんのヱホバいひたまふ汝等なんぢらもしきしたがはずまたこれをこころにとめずわが榮光さかえせずばわれなんぢらのうへのろひきたらせん またなんぢらの祝福めぐみのろはん われすでにこれのろへり なんぢらこれをこころにとめざりしによりてなり

2:3 われなんぢらのためにたねをいましめん またふんすなはちなんぢらの犠牲いけにへふんなんぢらのかほうへまきちらさん なんぢらこれとともにたづさへさられん

2:4 わがこの命令いひつけをなんぢらにくだあたふるはわが契約けいやくをしてレビにたもたしめんためなるをなんぢるべし 萬軍ばんぐんのヱホバこれをいふ

2:5 わがかれむすびし契約けいやく生命いのち平安へいあんとにあり がこれをかれあたへしはかれわれおそれしめんがためなり かれわれをおそれわがまへにをののけり

2:6 眞理まことおきてかれくちあり不義ふぎその口唇くちびるにあらず かれ平安へいあん公義こうぎをとりてわれとともにあゆみまたおほくひと不義ふぎよりたちかへらせたりき

2:7 祭司さいし口唇くちびる知識ちしきもつべくまたひとかれくちよりおきて諮詢たづぬべし そは祭司さいし萬軍ばんぐんのヱホバの使者つかひなればなり

2:8 しかるになんぢらはみちはな衆多おほくひとおきて躓礙つまづかせレビの契約けいやくやぶりたり 萬軍ばんぐんのヱホバこれをいふ

2:9 なんぢらはわがみちまもらずおきてをおこなふにあたりてひとかたよりしゆゑにわれもなんぢらを一切すべてたみまへかろめられまたいやしめられしむ

2:10 我儕われらちちみな同一ひとつなるにあらずや われらをつくりしかみ同一ひとつなるにあらずや 我儕われら先祖せんぞたち契約けいやくやぶりて各々おのおのおのれの兄弟きやうだいにいつはりをおこなふはなん

2:11 ユダは誓約ちかひにそむけり イスラエルおよびエルサレムのなかにはにくむべきことおこなはる すなはちユダはヱホバのあいしたまふ聖所せいじよけがして他神あだしかみむすめをめとれり

2:12 ヱホバこれをおこなふひとをばしゆなるものをもつかふるものをもヤコブの幕屋まくやよりのぞきたまはん 萬軍ばんぐんのヱホバに獻物ささげものをささぐるものにてもまたしか

2:13 つぎにまたなんぢらはこれをなせり すなはなみだなきなげきとをもてヱホバのだんをおほはしめたり ゆゑかれもはや獻物ささげものかへりみずまたこれをなんぢらのよりよろこいれたまはざるなり

2:14 なんぢらはなほ何故なにゆゑぞやとふ そはこれはヱホバなんぢとなんぢのわかときつまあひだにいりてあかしをなしたまへばなり かれはなんぢの伴侶ともなんぢ契約けいやくをなせしつまなるになんぢ誓約ちかひそむきてこれを

2:15 ヱホバはただひとつつくりたまひしにあらずや されどもかれにはなほみたまあまりありき 何故なにゆゑにひとつのみなりしや かみ敬虔うやまふすゑんがためなりき ゆゑになんぢらこころつつしみそのわかときつま誓約ちかひにそむきてすつるなかれ

2:16 イスラエルのかみヱホバいひたまふ われは離縁りえんにくみまた虐遇しへたげをもてそのころもおほひとにくゆゑなんぢ誓約ちかひにそむきてつま待遇あしらはざるやうこころにつつしむべし 萬軍ばんぐんのヱホバこれをいふ

2:17 なんぢらはことばをもてヱホバを煩勞わづらはせり されどなんぢいかにわづらはせしやと 如何いかにとなればなんぢらすべあくをなすものはヱホバのよしえかつかれよろこばるとひ また審判さばきかみいづくにあるやといへばなり

  第3章

3:1 われわが使者つかひつかはさん かれわがかほまへみちそなへん またなんぢらがもとむるところのしゆすなはちなんぢらの悦樂よろこ契約けいやく使者つかひ忽然たちまちその殿みやきたらん かれきたらんと萬軍ばんぐんのヱホバいひたまふ

3:2 されどそのきたにはたれたへえんや その顯著あらはるときにはたれたちえんや かれきんをふきわくるものごと布晒ぬのざらし灰汁あくのごとくならん

3:3 かれはぎんをふきわけてこれをきよむるもののごとくせん かれはレビのすゑきよ金銀きんぎんごとくかれらをきよめん しかして彼等かれらをもて獻物ささげものをヱホバにささげん

3:4 そのときユダとエルサレムの獻物ささげものはむかしごとまたさきとしのごとくヱホバによろこばれん

3:5 われなんぢらにちかづきて審判さばきをなし巫術者うらなひしやにむかひ姦淫かんいんおこなものにむかひいつはりちかひをなせるものにむかひ傭人やとひびと價金あたひをかすめ寡婦やもめ孤子みなしごをしへたげ異邦人ことくにびと推抂おしまわれおそれざるものどもにむかひてすみやかあかしをなさんと萬軍ばんぐんのヱホバいひたまふ

3:6 それわれヱホバはかはらざるものなり ゆゑにヤコブの子等こらなんぢらはほろぼされず

3:7 なんぢらその先祖せんぞたちよりこのかたわが律例おきてをはなれてこれをまもらざりき われにかへれ われまたなんぢらにかへらん 萬軍ばんぐんのヱホバこれをしかるになんぢらはわれらなににおいてかへるべきやといへ

3:8 ひとかみものをぬすむことをせんや されどなんぢらはわがものぬすめり なんぢらはまたなににおいてなんぢものをぬすみしやといへり 十ぶんの一および獻物ささげものおいてなり

3:9 なんぢらは呪詛のろひをもてのろはる またなんぢら一切すべて國人くにびとはわがものをぬすめり

3:10 わが殿みや食物しょくもつあらしめんためになんぢ什一じふいちをすべてわがくらにたづさへきたれ しかしてこれをもてわれこころみわがてんまどをひらきているべきところなきまでに恩澤めぐみなんぢらにそそぐやいなやをるべし 萬軍ばんぐんのヱホバこれを

3:11 われまた噬食かみくらものをなんぢらのためおさへてなんぢらの?物さんぶつをやぶらざらしめん またなんぢらの葡萄ぶだうをしてときのいたらざるまへにそのはたけにおとさざらしめん 萬軍ばんぐんのヱホバこれをいふ

3:12 また萬國ばんこくひとなんぢらを幸福さいはひなるものととなへん そはなんぢたのしきとなるべければなり 萬軍ばんぐんのヱホバこれをいふ

3:13 ヱホバいひたまふ なんぢらは言詞ことばをはげしくしてわれさからへり しかるもなんぢらは我儕われらなんぢらにさからひてなにをいひしやといへり

3:14 なんぢらはいへらくかみ服事つかふることは徒然いたづらなり われらその命令いひつけをまもりかつ萬軍ばんぐんのヱホバのまへかなしみてあゆみたりとてなにえきあらんや

3:15 いまわれらは驕傲たかぶるものを幸福さいはひなりととなふ またあくをおこなふものもさかんになり かみこころむるものすらもすくはると

3:16 そのときヱホバをおそるるものたがひあひかたりヱホバみみをかたむけてこれをききたまへり またヱホバをおそるるものおよびその記憶おぼゆもののためにヱホバのまへ記念おぼえふみをかきしるせり

3:17 萬軍ばんぐんのヱホバいひたまふ われわがまうくるにかれらをもてわがたからとなすべし またひとおのれにつかふるをあはれむがごとくわれ彼等かれらをあはれまん

3:18 そのときなんぢらはさらにまた義者ただしきものあしきものとかみ服事つかふるものとつかへざるものとの區別わかちをしらん

  第4章

4:1 萬軍ばんぐんのヱホバいひたまふ のごとくにやくきたらん すべて驕傲者たかぶるものあくをおこなふものわらのごとくにならん そのきたらんとする彼等かれらやきつくしてえだものこらざらしめん

4:2 されどわがをおそるるなんぢらにはいでてのぼらん そのつばさにはいやちからをそなへん なんぢらはをりよりいでしこうしごと躍跳おどら

4:3 またなんぢらはあくにんふみつけん すなはちわがまうくるにかれらはなんぢらのあしうらしたにありてはひのごとくならん 萬軍ばんぐんのヱホバこれを

4:4 なんぢらわがしもべモーセの律法おきてをおぼえよ すなはちがホレブにてイスラエル全體ぜんたいのためにかれめいぜし法度のり誡命いましめをおぼゆべし

4:5 よヱホバのおほいなるおそるべききたるまへにわれ預言者よげんしやエリヤをなんぢらにつかはさん

4:6 かれちちこころにその子女こどもこころおもはせ 子女こどもこころにそのちちをおもはしめん きたりてのろひをもてうつことなからんためなり