文語訳舊約聖書(1953年版)(振り仮名付き)
列王紀略上
1:1 爰にダビデ王年邁みて老い寝衣を衣するも温らざりければ
1:2 其臣僕等彼にいひけるは王わが主のために一人の若き處女を求めしめて之をして王のまへにたちて王の左右となり汝の懐に臥て王わが主を暖めしめんと
1:3 彼等乃ちイスラエルの四方の境に美き童女を求めてシユナミ人アビシヤグを得て之を王に携きたれり
1:4 此童女甚だ美くして王の左右となり王に事たり然ど王之と交はらざりき
1:5 時にハギテの子アドニヤ自ら高くし我は王とならんと言て己のために戰車と騎兵および自己のまへに驅る者五十人を備へたり
1:6 其父は彼が生れてより已來汝何故に然するやと言てかれを痛しめし事なかりきアドニヤも亦容貌の甚だ美き者にてアブサロムの次に生れたり
1:7 彼ゼルヤの子ヨアブおよび祭司アビヤタルと商議ひしかば彼等之に從ひゆきて助けたり
1:8 されど祭司ザドクとヱホヤダの子ベナヤと預言者ナタンおよびシメイとレイならびにダビデに屬したる勇士はアドニヤに與せざりき
1:9 アドニヤ、エンロゲルの近邊なるゾヘレテの石の傍にて羊と牛と肥畜を宰りて王の子なる己の兄弟および王の臣僕なるユダの人を盡く請けり
1:10 されども預言者ナタンとベナヤと勇士とおのれの兄弟ソロモンとをば招かざりき
1:11 爰にナタン、ソロモンの母バテシバに語りていひけるは汝ハギテの子アドニヤが王となれるを聞ざるかしかるにわれらの主ダビデはこれを知ざるなり
1:12 されば請ふ來れ我汝に計を授て汝をして己の生命と汝の子ソロモンの生命を救しめん
1:13 汝往てダビデ王の所に入り之にいへ王わが主よ汝は婢に誓ひて汝の子ソロモンは我に継で王となりわが位に坐せんといひたまひしにあらずや然にアドニヤ何故に王となれるやと
1:14 われまた汝が尚其處にて王と語ふ時に汝に次て入り汝の言を證すべしと
1:15 是においてバテシバ寝室に入りて王の所にいたるに王は甚だ老てシユナミ人アビシヤグ王に事へ居たり
1:16 バテシバ躬を鞠め王を拝す王いふ何なるや
1:17 かれ王にいひけるはわが主汝は汝の神ヱホバを指て婢に汝の子ソロモンは我に継で王となりわが位に坐せんと誓ひたまへり
1:18 しかるに視よ今アドニヤ王となれり而て王わが主汝は知たまはず
1:19 彼は牛と肥畜と羊を饒く宰りて王の諸子および祭司アビヤタルと軍の長ヨアブを招けりされど汝の僕ソロモンをば招かざりき
1:20 汝王わが主よイスラエルの目皆汝に注ぎ汝が彼等に誰が汝に継で王わが主の位に坐すべきを告るを望む
1:21 王わが主の其父祖と共に寝たまはん時に我とわが子ソロモンは罪人と見做さるるにいたらんと
1:22 バテシバ尚王と語ふうちに視よ預言者ナタンも亦入きたりければ
1:23 人々王に告て預言者ナタン此にありと曰ふ彼王のまへに入り地に伏て王を拝せり
1:24 しかしてナタンいひけるは王わが主汝はアドニヤ我に継で王となりわが位に坐すべしといひたまひしや
1:25 彼は今日下りて牛と肥畜と羊を饒く宰りて王の諸子と軍の長等と祭司アビヤタルを招けりしかして彼等はアドニヤのまへに飮食してアドニヤ王壽かれと言ふ
1:26 されど汝の僕なる我と祭司ザドクとヱホヤダの子ベナヤと汝の僕ソロモンとは彼請かざるなり
1:27 此事は王わが主の爲たまふ所なるかしかるに汝誰が汝に継で王わが主の位に坐すべきを僕に知せたまはざるなりと
1:28 ダビデ王答ていふバテシバをわが許に召せと彼乃ち王のまへに入て王のまへにたつに
1:29 王誓ひていひけるはわが生命を諸の艱難の中に救ひたまひしヱホバは活く
1:30 我イスラエルの神ヱホバを指て誓ひて汝の子ソロモン我に継で王となり我に代りてわが位に坐すべしといひしごとくに我今日爲すべしと
1:31 是においてバテシバ躬を鞠め地に伏て王を拝し願くはわが主ダビデ王長久に生ながらへたまへといふ
1:32 ダビデ王いひけるはわが許に祭司ザドクと預言者ナタンおよびヱホヤダの子ベナヤを召と彼等乃ち王のまへに來る
1:33 王彼等にいひけるは汝等の主の臣僕を伴ひわが子ソロモンをわが身の騾に乗せ彼をギホンに導き下り
1:34 彼處にて祭司ザドクと預言者ナタンは彼に膏をそそぎてイスラエルの上に王と爲すべししかして汝ら喇叭を吹てソロモン王壽かれと言へ
1:35 かくして汝ら彼に隨ひて上り來るべし彼は來りてわが位に坐し我に代りて王となるべし我彼を立てイスラエルとユダの上に主君となせりと
1:36 ヱホヤダの子ベナヤ王に對へていひけるはアメンねがはくは王わが主の神ヱホバ然言たまはんことを
1:37 ねがはくはヱホバ王わが主とともに在せしごとくソロモンとともに在してその位をわが主ダビデ王の位よりも大ならしめたまはんことを
1:38 斯て祭司ザドクと預言者ナタンおよびヱホヤダの子ベナヤ並にケレテ人とペレテ人下りソロモンをダビデ王の騾に乗せて之をギホンに導きいたれり
1:39 しかして祭司ザドク幕屋の中より膏の角を取てソロモンに膏そそげりかくて喇叭を吹きならし
1:40 民みなソロモン王壽かれと言り民みなかれに隨ひ上りて笛を吹き大に喜祝ひ地はかれらの聲にて裂たり
1:41 アドニヤおよび彼とともに居たる賓客其食を終たる時に皆これを聞りヨアブ喇叭の聲を聞ていひけるは城邑の中の聲音何ぞ喧囂やと
1:42 彼が言をる間に視よ祭司アビヤタルの子ヨナタン來るアドニヤ彼にいひけるは入よ汝は勇ある人なり嘉音を持きたれるならん
1:43 ヨナタン答へてアドニヤにいひけるは誠にわが主ダビデ王ソロモンを王となしたまへり
1:44 王祭司ザドクと預言者ナタンおよびヱホヤダの子ベナヤ並にケレテ人とペレテ人をソロモンとともに遣したまふ即ち彼等はソロモンを王の騾に乗せてゆき
1:45 祭司ザドクと預言者ナタン、ギホンにて彼に膏をそそぎて王となせり而して彼等其處より歓て上るが故に城邑は諠囂し汝らが聞る聲音は是なり
1:46 又ソロモン國の位に坐し
1:47 且王の臣僕來りてわれらの主ダビデ王に祝を陳て願くは汝の神ソロモンの名を汝の名よりも美し其位を汝の位よりも大たらしめたまへと言りしかして王は牀の上にて拝せり
1:48 王また斯いへりイスラエルの神ヱホバはほむべきかなヱホバ今日わが位に坐する者を與たまひてわが目亦これを見るなりと
1:49 アドニヤとともにある賓客皆驚愕き起て各其途に去りゆけり
1:50 茲にアドニヤ、ソロモンの面を恐れ起て往き壇の角を執へたり
1:51 或人ソロモンに告ていふアドニヤ、ソロモン王を畏る彼壇の角を執て願くはソロモン王今日我に劍をもて僕を殺じと誓ひ給へと言たりと
1:52 ソロモンいひけるは彼もし善人となるならば其髮の毛一すぢも地におちざるべし然ど彼の中に惡の見るあらば死しむべしと
1:53 ソロモン王乃ち人を遣て彼を壇より携下らしむ彼來りてソロモン王を拝しければソロモン彼に汝の家に往といへり
2:1 ダビデ死ぬる日近よりければ其子ソロモンに命じていふ
2:2 我は世人の皆往く途に往んとす汝は強く丈夫のごとく爲れ
2:3 汝の神ヱホバの職守を守り其道に歩行み其法憲と其誡命と其律例と其證言とをモーセの律法に録されたるごとく守るべし然らば汝凡て汝の爲ところと凡て汝の向ふところにて榮ゆべし
2:4 又ヱホバは其甞に我の事に付て語りて若汝の子等其道を愼み心を盡し精神を盡して眞實をもて吾前に歩ばイスラエルの位に上る人汝に缺ることなかるべしと言たまひし言を堅したまはん
2:5 又汝はゼルヤの子ヨアブが我に爲たる事即ち彼がイスラエルの二人の軍の長ネルの子アブネルとヱテルの子アマサに爲たる事を知る彼此二人を切殺し太平の時に戰の血を流し戰の血を己の腰の周圍の帶と其足の履に染たり
2:6 故に汝の智慧にしたがひて事を爲し其白髮を安然に墓に下らしむるなかれ
2:7 但しギレアデ人バルジライの子等には恩惠を施こし彼等をして汝の席にて食ふ者の中にあらしめよ彼等はわが汝の兄弟アブサロムの面を避て逃し時我に就たるなり
2:8 視よ又バホリムのベニヤミン人ゲラの子シメイ汝とともに在り彼はわがマナハイムに往し時勵しき詛言をもて我を詛へり然ども彼ヨルダンに下りて我を迎へたれば我ヱホバを指て誓ひて我劍をもて汝を殺さじといへり
2:9 然りといへども彼を辜なき者とする勿れ汝は智慧ある人なれば彼に爲べき事を知るなり血を流して其白髮を墓に下すべしと
2:10 斯てダビデは其父祖と偕に寝りてダビデの城に葬らる
2:11 ダビデのイスラエルに王たりし日は四十年なりき即ちヘブロンにて王たりし事七年エルサレムにて王たりし事三十三年
2:12 ソロモン其父ダビデの位に坐し其國は堅固く定まりぬ
2:13 爰にハギテの子アドニヤ、ソロモンの母バテシバの所に來りければバテシバいひけるは汝は平穩なる事のために來るや彼いふ平穩たる事のためなり
2:14 彼又いふ我は汝に言さんとする事ありとバテシバいふ言されよ
2:15 かれいひけるは汝の知ごとく國は我の有にしてイスラエル皆其面を我に向て王となさんと爲りしかるに國は轉てわが兄弟の有となれり其彼の有となれるはヱホバより出たるなり
2:16 今我一の願を汝に求む請ふわが面を黜くるなかれバテシバかれにいひけるは言されよ
2:17 彼いひけるは請ふソロモン王に言て彼をしてシエナミ人アビシヤグを我に與て妻となさしめよ彼は汝の面を黜けざるべければなり
2:18 バテシバいふ善し我汝のために王に言んと
2:19 かくてバテシバ、アドニヤのために言とてソロモン王の許に至りければ王起てかれを迎へ彼を拝して其位に坐なほり王母のために座を設けしむ乃ち其右に坐せり
2:20 しかしてバテシバいひけるは我一の細小き願を汝に求むわが面を黜くるなかれ王かれにいひけるは母上よ求めたまへ我汝の面を黜けざるなり
2:21 彼いひけるは請ふシユナミ人アビシヤグをアドニヤに與て妻となさしめよ
2:22 ソロモン王答て其母にいひけるは何ぞアドニヤのためにシユナミ人アビシヤグを求めらるるや彼のために國をも求められよ彼は我の兄なればなり彼と祭司アビヤタルとゼルヤの子ヨアブのために求められよと
2:23 ソロモン王乃ちヱホバを指て誓ひていふ神我に斯なし又重ねて斯なしたまへアドニヤは其身の生命を喪はんとて此言を言いだせり
2:24 我を立てわが父ダビデの位に上しめ其約せしごとく我に家を建たまひしヱホバは生くアドニヤは今日戮さるべしと
2:25 ソロモン王ヱホヤダの子ベナヤを遣はしければ彼アドニヤを撃て死しめたり
2:26 王また祭司アビヤタルにいひけるは汝の故田アナトテにいたれ汝は死に當る者なれども嚮にわが父ダビデのまへに神ヱホバの櫃を舁き又凡てわが父の艱難を受たる處にて汝も艱難を受たれば我今日は汝を戮さじと
2:27 ソロモン、アビヤタルを逐いだしてヱホバの祭司たらしめざりき斯ヱホバがシロにてエリの家につきて言たまひし言應たり
2:28 爰に其風聞ヨアブに達りければヨアブ、ヱホバの幕屋に遁れて壇の角を執たり其はヨアブは轉てアブサロムには隨はざりしかどもアドニヤに隨ひたればなり
2:29 ヨアブがヱホバの幕屋に遁れて壇の傍に居ることソロモンに聞えければソロモン、ヱホヤダの子ベナヤを遣はしいひけるは往て彼を撃てと
2:30 ベナヤ乃ちヱホバの幕屋にいたり彼にいひけるは王斯言ふ出來れ彼いひけるは否我は此に死んとベナヤ反て王に告てヨアブ斯言ひ斯我に答へたりと言ふ
2:31 王ベナヤにいひけるは彼が言ふごとく爲し彼を撃て葬りヨアブが故なくして流したる血を我とわが父の家より除去べし
2:32 又ヱホバはヨアブの血を其身の首に歸したまふべし其は彼は己よりも義く且善りし二の人を撃ち劍をもてこれを殺したればなり即ちイスラエルの軍の長ネルの子アブネルとユダの軍の長ヱテルの子アマサを殺せり然るに吾父ダビデは與り知ざりき
2:33 されば彼等の血は長久にヨアブの首と其苗裔の首に皈すべし然どダビデと其苗裔と其家と其位にはヱホバよりの平安永久にあるべし
2:34 ヱホヤダの子ベナヤすなはち上りて彼を撃ち彼を殺せり彼は野にある己の家に葬らる
2:35 王乃ちヱホヤダの子ベナヤをヨアブに代て軍の長となせり王また祭司ザドクをしてアビヤタルに代しめたり
2:36 又王人を遣てシメイを召て之に曰けるはエルサレムに於て汝の爲に家を建て其處に住み其處より此にも彼にも出るなかれ
2:37 汝が出てキデロン川を濟る日には汝確に知れ汝必ず戮さるべし汝の血は汝の首に歸せん
2:38 シメイ王にいひけるは此言は善し王わが主の言たまへるごとく僕然なすべしと斯シメイ日久しくエルサレムに住り
2:39 三年の後シメイの二人の僕ガテの王マアカの子アキシの所に逃されり人々シメイに告ていふ視よ汝の僕はガテにありと
2:40 シメイ乃ち起て其驢馬に鞍置きガテに往てアキシに至り其僕を尋ねたり即ちシメイ往て其僕をガテより携來りしが
2:41 シメイのエルサレムよりガテにゆきて歸しことソロモンに聞えければ
2:42 王人を遣てシメイを召て之にいひけるは我汝をしてヱホバを指て誓しめ且汝を戒めて汝確に知れ汝が出て此彼に歩く日には汝必ず戮さるべしと言しにあらずや又汝は我に我聞る言葉は善しといへり
2:43 しかるに汝なんぞヱホバの誓とわが汝に命じたる命令を守ざりしや
2:44 王又シメイにいひけるは汝は凡て汝の心の知る諸の惡即ち汝がわが父ダビデに爲たる所を知るヱホバ汝の惡を汝の首に歸したまふ
2:45 されどソロモン王は福祉を蒙らんまたダビデの位は永久にヱホバのまへに固く立べしと
2:46 王ヱホヤダの子ベナヤに命じければ彼出てシメイを撃ちて死しめたりしかして國はソロモンの手に固く立り
3:1 ソロモン、エジプトの王パロと縁を結びパロの女を娶て之を携來り自己の家とヱホバの家とエルサレムの周圍の石垣を建築ことを終るまでダビデの城に置り
3:2 當時までヱホバの名のために建たる家なかりければ民は崇邱にて祭を爲り
3:3 ソロモン、ヱホバを愛し其父ダビデの法憲に歩めり但し彼は崇邱にて祭を爲し香を焚り
3:4 爰に王ギベオンに往て其處に祭を爲んとせり其は彼處は大なる崇邱なればなり即ちソロモン一千の燔祭を其壇に献たり
3:5 ギベオンにてヱホバ夜の夢にソロモンに顯れたまへり神いひたまひけるは我何を汝に與ふべきか汝求めよ
3:6 ソロモンいひけるは汝は汝の僕わが父ダビデが誠實と公義と正心を以て汝と共に汝の前に歩みしに囚て大なる恩惠を彼に示したまへり又汝彼のために此大なる恩惠を存て今日のごとくかれの位に坐する子を彼に賜へり
3:7 わが神ヱホバ汝は僕をして我父ダビデに代て王とならしめたまへり而るに我は小き子にして出入することを知ず
3:8 且僕は汝の選みたまひし汝の民の中にあり即ち大なる民にて其數衆くして數ふることも書すことも能はざる者なり
3:9 是故に聽き別る心を僕に與へて汝の民を鞫しめ我をして善惡を辨別ることを得さしめたまへ誰か汝の此夥多き民を鞫くことを得んと
3:10 ソロモン此事を求めければ其言主の心にかなへり
3:11 是において神かれにいひたまひけるは汝此事を求めて己の爲に長壽を求めず又己のために富有をも求めず又己の敵の生命をも求めずして惟訟を聽き別る才智を求めたるに因て
3:12 視よ我汝の言に循ひて爲り我汝に賢明く聡慧き心を與ふれば汝の先には汝の如き者なく汝の後にも汝の如き者興らざるべし
3:13 我亦汝の求めざる者即ち富と貴とをも汝に與ふれば汝の生の涯王等の中に汝の如き者あらざるべし
3:14 又汝若汝の父ダビデの歩し如く吾道に歩みてわが法憲と命令を守らば我汝の日を長うせんと
3:15 ソロモン目寤て視るに夢なりき斯てソロモン、エルサレムに至りヱホバの契約の櫃の前に立ち燔祭を献げ酬恩祭を爲して其諸の臣僕に饗宴を爲り
3:16 爰に娼妓なる二人の婦王の所に來りて其前に立ちしが
3:17 一人の婦いひけるはわが主よ我と此婦は一の家に住む我此婦と偕に家にありて子を生り
3:18 しかるにわが生し後第三日に此婦もまた生りしかして我儕偕にありき家には他人の我らと偕に居りし者なし家には只我儕二人のみ
3:19 然るに此婦其子の上に臥たるによりて夜の中に其子死たれば
3:20 中夜に起て婢の眠れる間にわが子をわれの側より取りて之を己の懐に臥しめ己の死たる子をわが懐に臥しめたり
3:21 朝に及びて我わが子に乳を飮せんとて興て見るに死ゐたり我朝にいたりて其を熟く視たるに其はわが生るわが子にはあらざりしと
3:22 今一人の婦いふ否活るはわが子死るは汝の子なりと此婦いふ否死るは汝の子活るはわが子なりと彼等斯王のまへに論り
3:23 時に王いひけるは一人は此活るはわが子死るは汝の子なりと言ひ又一人は否死るは汝の子活るはわが子なりといふと
3:24 王乃ち劍を我に持來れといひければ劍を王の前に持來れり
3:25 王いひけるは活る子を二に分て其半を此に半を彼に與へよと
3:26 時に其活子の母なる婦人心其子のために焚がごとくなりて王に言していひけるは請ふわが主よ活る子を彼に與へたまへ必ず殺したまふなかれと然ども他の一人は是を我のにも汝のにもならしめず判たせよと言り
3:27 王答ていひけるは活子を彼に與へよ必ず殺すなかれ彼は其母なるなりと
3:28 イスラエル皆王の審理し所の判決を聞て王を畏れたり其は神の智慧の彼の中にありて審理を爲しむるを見たればなり
4:1 ソロモン王はイスラエルの全地に王たり
4:2 其有る群卿は左の如しザドクの子アザリヤは相國
4:3 シシヤの子エリホレフとアヒヤは書記官アヒルデの子ヨシヤパテは史官
4:4 ヱホヤダの子ベナヤは軍の長ザドクとアビヤタルは祭司
4:5 ナタンの子アザリヤは代官の長ナタンの子ザブデは大臣にして王の友たり
4:6 アヒシヤルは宮内卿アブダの子アドニラムは徴募長なり
4:7 ソロモン又イスラエルの全地に十二の代官を置り其人々王と其家のために食物を備へたり即ち各一年に一月宛食物を備へたり
4:8 其名左のごとしエフライムの山地にはベンホル
4:9 マカヅとシヤラビムとベテシメシとエロンベテハナンにはベンデケル
4:10 アルポテにはベンヘセデありシヨコとヘベルの全地とは彼擔任り
4:11 ドルの高地の全部にはベンアヒナダブあり彼はソロモンの女タパテを妻とせり
4:12 アルヒデの子バアナはタアナクとメギドとヱズレルの下にザルタナの邊にあるベテシヤンの全地とを擔任てベテシヤンよりアベルメホラにいたりヨクネアムの外にまで及ぶ
4:13 ギレアデのラモテにはベンゲベルあり彼はギレアデにあるマナセの子ヤイルの諸村を擔任ち又バシヤンなるアルゴブの地にある石垣と銅の關を有る大なる城六十を擔任り
4:14 イドの子アヒナダブはマハナイムを擔任り
4:15 ナフタリにはアヒマアズあり彼もソロモンの女バスマテを妻に娶れり
4:16 アセルとアロテにはホシヤイの子バアナあり
4:17 イツサカルにはパルアの子ヨシヤパテあり
4:18 ベニヤミンにはエラの子シメイあり
4:19 アモリ人の王シホンの地およびバシヤンの王オグの地なるギレアデの地にはウリの子ゲベルあり其地にありし代官は唯彼一人のみ
4:20 ユダとイスラエルの人は多くして濱の沙の多きがごとくなりしが飮食して樂めり
4:21 ソロモンは河よりペリシテ人の地にいたるまでとエジプトの境に及ぶまでの諸國を治めたれば皆禮物を餽りてソロモンの一生の間事へたり
4:22 偖ソロモンの一日の食物は細麺三十石粗麺六十石
4:23 肥牛十牧場の牛二十羊一百其外に牡鹿羚羊小鹿および肥たる禽あり
4:24 其はソロモン河の此方をテフサよりガザまで盡く治めたればなり即ち河の此方の諸王を悉く統治たり彼は四方の臣僕より平安を得たりき
4:25 ソロモンの一生の間ユダとイスラエルはダンよりベエルシバに至るまで安然に各其葡萄樹の下と無花果樹の下に住り
4:26 ソロモン戰車の馬の厩四千騎兵一萬二千を有り
4:27 彼代官等各其月にソロモン王のためおよび總てソロモン王の席に來る者の爲に食を備へて缺るとこるなからしめたり
4:28 又彼等各其職に循ひて馬および疾足の馬に食する大麥と蒭蕘を其馬の在る處に携へ來れり
4:29 神ソロモンに智慧と聰明を甚だ多く賜ひ又廣大き心を賜ふ海濱の沙のごとし
4:30 ソロモンの智慧は東洋の人々の智慧とエジプトの諸の智慧よりも大なりき
4:31 彼は凡の人よりも賢くエズラ人エタンよりも又マホルの子なるヘマンとカルコルおよびダルダよりも賢くして其名四方の諸國に聞えたり
4:32 彼箴言三千を説り又其詩歌は一千五首あり
4:33 彼又草木の事を論じてレバノンの香柏より墻に生る苔に迄及べり彼亦獣と鳥と匐行物と魚の事を論じたり
4:34 諸の國の人々ソロモンの智慧を聽んとて來り天下の諸の王ソロモンの智慧を聞及びて人を遣はせり
5:1 ツロの王ヒラム、ソロモンの膏そそがれて其父にかはりて王となりしを聞て其臣僕をソロモンに遣せりヒラムは恒にダビデを愛したる者なりければなり
5:2 是に於てソロモン、ヒラムに言遣はしけるは
5:3 汝の知ごとく我父ダビデは其周圍にありし戰爭に因て其神ヱホバの名のために家を建ること能はずしてヱホバが彼等を其足の跖の下に置またふを待り
5:4 然るに今わが神ヱホバ我に四方の太平を賜ひて敵もなく殃もなければ
5:5 我はヱホバのわが父ダビデに語てわが汝の代に汝の位に上しむる汝の子其人はわが名のために家を建べしと言たまひしに循ひてわが神ヱホバの名のために家を建んとす
5:6 されば汝命じてわがためにレバノンより香柏を?出さしめよわが僕汝の僕と共にあるべし又我は凡て汝の言ふごとく汝の僕の賃銀を汝に付すべし其は汝の知ごとく我儕の中にはシドン人の如く木を?に巧みなる人なければなりと
5:7 ヒラム、ソロモンの言を聞て大に喜び言けるは今日ヱホバに稱譽あれヱホバ、ダビデに此夥多しき民を治むる賢き子を與たまへりと
5:8 かくてヒラム、ソロモンに言遣りけるは我汝が言ひ遣したる所の事を聽り我香柏の材木と松樹の材木とに付ては凡て汝の望むごとく爲すべし
5:9 わが僕レバノンより海に持下らんしかして我これを海より桴にくみて汝が我に言ひ遣す處におくり其處にて之をくづすべし汝之を受よ又汝はわが家のために食物を與へてわが望を成せと
5:10 斯てヒラムはソロモンに其凡て望むごとく香柏の材木と松の材木を與へたり
5:11 又ソロモンはヒラムに其家の食物として小麥二萬石を與へまた清油二十石をあたへたり斯ソロモン年々ヒラムに與へたり
5:12 ヱホバ其言たまひしごとくソロモンに智慧を賜へりまたヒラムとソロモンの間睦しくして二人偕に契約を結べり
5:13 爰にソロモン王イスラエルの全地に徴募人を興せり其徴募人の數は三萬人なり
5:14 ソロモンかれらを一月交代に一萬人づつレバノンに遣せり即ち彼等は一月レバノンに二月家にありアドニラムは徴募人の督者なりき
5:15 ソロモン負載者七萬人山に於て石を?る者八萬人あり
5:16 外に又其工事の長なる官吏三千三百人ありて工事に作く民を統たり
5:17 かくて王命じて大なる石貴き石を鑿出さしめ琢石を以て家の基礎を築かしむ
5:18 ソロモンの建築者とヒラムの建築者およびゲバル人之を?り斯彼等材木と石を家を建るに備へたり
6:1 イスラエルの子孫のエジプトの地を出たる後四百八十年ソロモンのイスラエルに王たる第四年ジフの月即ち二月にソロモン、ヱホバのために家を建ることを始めたり
6:2 ソロモン王のヱホバの爲に建たる家は長六十キユビト濶二十キユビト高三十キユビトなり
6:3 家の拝殿の廊は家の濶に循ひて長二十キユビト家の前の其濶十キユビトなり
6:4 彼家に造り附の格子ある?を施たり
6:5 又家の墻壁に附て四周に連接屋を建て家の墻壁即ち拝殿と神殿の墻壁の周圍に環らせり又四周に旁房を れり
6:6 下層の連接屋は濶五キユビト中層のは濶六キユビトを第三層のは濶七キユビトなり即ち家の外に階級を造り環らして何者をも家の墻壁に挿入ざらしむ
6:7 家は建る時に鑿石所にて鑿り預備たる石にて造りたれば造れる間に家の中には鎚も鑿も其外の鐵器も聞えざりき
6:8 中層の旁房の戸は家の右の方にあり螺旋梯より中層の房にのぼり中層の房より第三層の房にいたるべし
6:9 斯彼家を建終り香柏の橡と板をもて家を葺り
6:10 又家に附て五キユビトの高たる連接屋を建環し香柏をもて家に交接たり
6:11 爰にヱホバの言ソロモンに臨みて曰く
6:12 汝今此家を建つ若し汝わが法憲に歩みわが律例を行ひわが諸の誡命を守りて之にしたがひて歩まばわれはが汝の父ダビデに言し語を汝に固うすべし
6:13 我イスラエルの子孫の中に住わが民イスラエルを棄ざるべし
6:14 斯ソロモン家を建終れり
6:15 彼香柏の板を以て家の墻壁の裏面を作れり即ち家の牀板より頂格の墻壁まで木をもて其裏面をはりまた松の板をもて家の牀板をはれり
6:16 又家の奧に二十キユビトの室を牀板より墻壁まで香柏をもて造れり即ち家の内に至聖所なる神殿を造れり
6:17 家即ち前にある拝殿は四十キユビトなり
6:18 家の内の香柏は瓠と咲る花を雕刻める者なり皆香柏にして石は見えざりき
6:19 神殿は彼其處にヱホバの契約の櫃を置んとて家の内の中に設けたり
6:20 神殿の内は長二十キユビト濶二十キユビト高二十キユビトなり純金をもて之を蔽ひ又香柏の壇を覆へり
6:21 又ソロモン純金をもて家の内を蔽ひ神殿の前に金の鏈をもて間隔を造り金をもて之を蔽へり
6:22 又金をもて殘るところなく家を蔽ひ遂に家を飾ることを悉く終たりまた神殿の傍にある壇は皆金をもて蔽へり
6:23 神殿の内に橄欖の木をもて二のケルビムを造れり其高十キユビト
6:24 其ケルブの一の翼は五キユビト又其ケルブの他の翼も五キユビトなり一の翼の末より他の翼の末までは十キユビトあり
6:25 他のケルブも十キユビトなり其ケルビムは偕に同量同形なり
6:26 此ケルブの高十キユビト彼ケルブも亦しかり
6:27 ソロモン家の内の中にケルビムを置ゑケルビムの翼を展しければ此ケルブの翼は此墻壁に及び彼ケルブの翼は彼の墻壁に及びて其兩翼家の中にて相接れり
6:28 彼金をもてケルビムを蔽へり
6:29 家の周圍の墻壁には皆内外ともにケルビムと棕櫚と咲る花の形を雕み
6:30 家の牀板には内外ともに金を蔽へり
6:31 神殿の入口には橄欖の木の戸を造れり其木匡の門柱は五分の一なり
6:32 其二の扉も亦橄欖の木なりソロモン其上にケルビムと棕櫚と咲る花の形を雕刻み金をもて蔽へり即ちケルビムと棕櫚の上に金を鍍たり
6:33 斯ソロモン亦拝殿の戸のために橄欖の木の門柱を造れり即ち四分の一なり
6:34 其二の戸は松の木にして此戸の兩扉は摺むべく彼戸の兩扉も摺むべし
6:35 ソロモン其上にケルビムと棕櫚と咲る花を雕刻み金をもてこれを蔽ひて善く其雕工に適はしむ
6:36 また鑿石三層と香柏の厚板一層をもて内庭を造れり
6:37 第四年のジフの月にヱホバの家の基礎を築き
6:38 第十一年のブルの月即ち八月に凡て其箇條のごとく其定例のごとくに家成りぬ斯ソロモン之に建るに七年を渉れり
7:1 ソロモン己の家を建しが十三年を經て全く其家を建終たり
7:2 彼レバノン森の家を建たり其長は百キユビト其濶は五十キユビト其高は三十キユビトなり香柏の柱四行ありて柱の上に香柏の梁あり
7:3 四十五本の柱の上なる梁の上は香柏にて蓋へり柱は一行に十五本あり
7:4 また?三行ありて?と?と三段に相對ふ
7:5 戸と戸柱は皆大木をもて角に造り?と?と三段に相對へり
7:6 又柱の廊を造れり其長五十キユビト其濶三十キユビトなり柱のまへに一の廊ありまた其柱のまへに柱と階あり
7:7 又ソロモン審判を爲すために位の廊即ち審判の廊を造り牀板より牀板まで香柏をもて蔽へり
7:8 ソロモンの居住る家は其廊の後の他の庭にありて其工作同じかりきソロモン亦其娶りたるパロの女のために家を建しが此廊に同じかりき
7:9 是等は内外とも基礎より檐にいたるまで又外面にては大庭にいたるまで皆鑿石の量にしたがひて鋸にて剖たる貴き石をもて造れるものなり
7:10 又基礎は貴き石大なる石即ち十キユビトの石八キユビトの石なり
7:11 其上には鑿石の量に循ひて貴き石と香柏あり
7:12 又大庭の周圍にに三層の鑿石と一層の香柏の厚板ありヱホバの家の内庭と家の廊におけるが如し
7:13 爰にソロモン人を遣はしてヒラムをツロより召び來れり
7:14 彼はナフタリの支派なる?婦の子にして其父はツロの人にて銅の細工人なりヒラムは銅の諸の細工を爲すの智慧と慧悟と知識の充ちたる者なりしがソロモン王の所に來りて其諸の細工を爲り
7:15 彼銅の柱二を鋳たり其高各十八キユビトにして各十二キユビトの繩を環らすべし
7:16 又銅を鎔して柱頭を鋳て柱の顛に置ゆ此の頭の高も五キユビト彼の頭の高も五キユビトなり
7:17 柱の上にある頭の爲に組物の網と鏈樣の槎物を造れり此頭に七つ彼頭に七つあり
7:18 又二行の石榴を一の網工の上の四周に造りて柱の上にある頭を蓋ふ他の頭をも亦然せり
7:19 柱の上にある頭は四キユビトの百合花の形にして廊におけるがごとし
7:20 二の柱の頭の上には亦網工の外なる腹の所に接きて石榴あり他の柱の四周にも石榴二百ありて相列べり
7:21 此柱を拝殿の廊に竪つ即ち右の柱を立て其名をヤキンと名け左の柱を竪て其名をボアズと名く
7:22 其柱の上に百合花の形あり斯其柱の作成り
7:23 又海を鋳なせり此邊より彼邊まで十キユビトにして其四周圓く其高五キユビトなり其四周は三十キユビトの繩を環らすべし
7:24 其邊の下には四周に匏瓜ありて之を環れり即ち一キユビトに十づつありて海の周圍を圍り其匏瓜は海を鋳たる時に二行に鋳たるなり
7:25 其海は十二の牛の上に立り其三は北に向ひ三は西に向ひ三は南に向ひ三は東に向ふ海其上にありて牛の後は皆内に向ふ
7:26 海の厚は手寛にして其邊は百合花にて杯の邊の如くに作れり海は二千斗を容たり
7:27 又銅の臺十を造れり一の臺の長四キユビト其濶四キユビト其高三キユビトなり
7:28 其臺の製作は左のごとし臺には嵌板あり嵌板は邊の中にあり
7:29 邊の中にある嵌板の上に獅子と牛とケルビムあり又邊の上に座あり獅子と牛の下に花飾の垂下物あり
7:30 其臺には各四の銅の輪と銅の軸あり其四の足には肩のごとき者あり其肩のごとき者は洗盤の下にありて凡の花飾の旁に鋳つけたり
7:31 其口は頭の内より上は一キユビトなり其口は圓く一キユビト半にして座の作の如し又其口には雕工あり其鏡板は四角にして圓からず
7:32 四の輪は鏡板の下にあり輪の手は臺の中にあり輪は各高一キュビト半
7:33 輪の工作は戰車の輪の工作の如し其手と縁と輻と轂とは皆鋳物なり
7:34 臺の四隅に四の肩の如き者あり其肩のごとき者は臺より出づ
7:35 臺の上の所の高半キユビトは其周圍圓し又臺の上の所の手と鏡板も臺より出づ
7:36 其手の板と鏡板には其各の隙處に循ひてケルビムと獅子と棕櫚を雕刻み又其四周に花飾を造れり
7:37 是のごとく十の臺を造れり其鋳法と量と形は皆同じ
7:38 又銅の洗盤十を造れり洗盤は各四十斗を容れ洗盤は各四キユビトなり十の臺の上には各一の洗盤あり
7:39 其臺五を家の右の旁に五を家の左の旁に置ゑ家の右の東南に其海を置り
7:40 ヒラム又鍋と火?と鉢とを造れり斯ヒラム、ヱホバの家の爲にソロモン王に爲る諸の細工を成終たり
7:41 即ち二の往と其柱の上なる頭の二の毬と柱の上なる其頭の二の毬を蓋ふ二の網工と
7:42 其二の網工の爲の石榴四百是は一の網工に石榴二行ありて柱の上なる二の毬を蓋ふ
7:43 又十の臺と其臺の上の十の洗盤と
7:44 一の海と其海の下の十二の牛
7:45 及び鍋と火?と鉢是也ヒラムがソロモン王にヱホバの家のために造りし此等の器は皆光明ある銅なりき
7:46 王ヨルダンの低地に於てスコテとザレタンの間の粘土の地にて之を鋳たり
7:47 ソロモン其器甚だしく多かりければ皆權ずに措り其銅の重しれざりき
7:48 又ソロモン、ヱホバの家の諸の器を造れり即ち金の壇と供前のパンを載る金の案
7:49 および純金の燈臺是は神殿のまへに五は右に五は左にあり又金の花と燈盞と燈鉗と
7:50 純金の盆と剪刀と鉢と皿と滅燈器と至聖所なる内の家の戸のため及び拝殿なる家の戸のためなる金の肘鈕是なり
7:51 斯ソロモン王のヱホバの家のために爲る諸の細工終れり是においてソロモン其父ダビデが奉納めたる物即ち金銀および器を携へいりてヱホバの家の寳物の中に置り