文語訳舊約聖書(1953年版)(振り仮名付き)

章: 1  2  3  4  5  6  7  8  9  10  11  12

ヱレミヤ記

  第1章

1:1 こはベニヤミンの地ちアナトテの祭司さいしの一人ひとりなるヒルキヤの子こヱレミヤの言ことばなり

1:2 アモンの子こユダの王わうヨシヤの時ときすなはちその治世よの十三年ねんにヱホバの言ことばヱレミヤに臨のぞめり

1:3 その言ことばまたヨシヤの子こユダの王わうヱホヤキムの時ときにものぞみてヨシヤの子こユダの王わうゼデキヤの十一年ねんのをはり即すなはちその年としの五月ごぐわつヱルサレムの民たみの移うつされたる時ときまでにいたれり

1:4 ヱホバの言ことば我われにのぞみて云いふ

1:5 われ汝なんぢを腹はらにつくらざりし先さきに汝なんぢをしり汝なんぢが胎たいをいでざりし先さきに汝なんぢを聖きよめ汝なんぢをたてて萬國ばんこくの預言者よげんしやとなせりと

1:6 我われこたへけるは噫ああ主しゆヱホバよ視みよわれは幼少をさなきにより語かたることを知しらず

1:7 ヱホバわれにいひたまひけるは汝なんぢわれは幼少をさなしといふ勿なかれすべて我わが汝なんぢを遣つかはすところにゆき我わが汝なんぢに命めいずるすべてのことを語かたるべし

1:8 なんぢ彼等かれらの面かほを畏おそるる勿なかれ蓋そはわれ汝なんぢと偕ともにありて汝なんぢをすくふべければなりとヱホバいひたまへり

1:9 ヱホバ遂つひにその手てをのべて我わが口くちにつけヱホバ我われにいひたまひけるは視みよわれ我わが言ことばを汝なんぢの口くちにいれたり

1:10 みよ我われけふ汝なんぢを萬民ばんみんのうへと萬國ばんこくのうへにたて汝なんぢをして或あるひは抜ぬき或あるひは毀こぼち或あるひは滅ほろぼし或あるひは覆たふし或あるひは建たて或あるひは植うゑしめん

1:11 ヱホバの言ことばまた我われに臨のぞみていふヱレミヤよ汝なんぢ何なにをみるや我われこたへけるは巴旦杏はたんきやうの枝えだをみる

1:12 ヱホバ我われにいひたまひけるは汝なんぢ善よく見みたりそはわれ速すみやかに我わが言ことばをなさんとすればなり

1:13 ヱホバの言ことばふたたび我われに臨のぞみていふ汝なんぢ何なにをみるや我われこたへけるは沸騰にえたちたる?なべをみるその面おもては北きたより此方こなたに向むかふ

1:14 ヱホバ我われにいひたまひけるは災わざはひ北きたよりおこりてこの地ちに住すめるすべての者ものにきたらん

1:15 ヱホバいひたまひけるはわれ北きたの國々くにぐにのすべての族やからをよばん彼等かれらきたりてヱルサレムの門もんの入口いりくちとその周圍まはりのすべての石垣いしがきおよびユダのすべての邑々まちまちに向むかひておのおのその座ざを設まうけん

1:16 われかれらの凡すべの惡事あしきことのために我わが鞫さばきをかれにつげん是こはかれら我われをすてて別ほかの神かみに香かうを焚たきおのれの手てにて作つくりし物ものを拝はいするによる

1:17 汝なんぢ腰こしに帶おびして起たちわが汝なんぢに命めいずるすべての事ことを彼等かれらにつげよその面かほを畏おそるる勿なかれ否しからざれば我われかれらの前まへに汝なんぢを辱はづかしめん

1:18 視みよわれ今日けふこの全國ぜんこくとユダの王わうとその牧伯つかさとその祭司さいしとその地ちの民たみの前まへに汝なんぢを堅かたき城しろ鐵くろがねの柱はしら銅あかがねの牆かきとなせり

1:19 彼等かれらなんぢと戰たたかはんとするも汝なんぢに勝かたざるべしそはわれ汝なんぢとともにありて汝なんぢをすくふべければなりとヱホバいひたまへり

  第2章

2:1 ヱホバの言ことば我われにのぞみていふ

2:2 ゆきてヱルサレムに住すめる者ものの耳みみにつげよヱホバ斯かくいふ我われ汝なんぢにつきて汝なんぢの若わかき時ときの懇切まことなんぢが契ちぎりをなせしときの愛あい曠野あらのなる種たね播まかぬ地ちにて我われに從したがひしことを憶おぼゆと

2:3 イスラエルはヱホバの聖物きよきものにしてその初はじめに結むすべる實みなりすべて之これを食くらふものは罰つみせられ災わざはひにあふべしとヱホバ云いひたまへり

2:4 ヤコブの家いへとイスラエルの家いへの諸すべての族やからよヱホバの言ことばをきけ

2:5 ヱホバかくいひたまふ汝等なんぢらの先祖せんぞは我われに何なにの惡事あしきことありしを見みて我われに遠とほざかり ?むなしき物ものにしたがひて?むなしくなりしや

2:6 かれらは我儕われらをエジプトの地ちより導みちびきいだし曠野あらのなる岩穴あなある荒あれたる地ち旱かはきたる死しの蔭かげの地ち人ひとの過すぎざる地ち人ひとの住すまはざる地ちを通とほらしめしヱホバはいづこにあるといはざりき

2:7 われ汝等なんぢらを導みちびきて園そののごとき地ちにいれ其その實みと佳物よきものをくらはしめたり然されど汝等なんぢら此處ここにいり我わが地ちを汚けがし我わが?業さんげふを憎にくむべきものとなせり

2:8 祭司さいしはヱホバは何處いづこにいますといはず律法おきてをあつかふ者ものは我われを知しらず牧者ぼくしやは我われに背そむき預言者よげんしやはバアルによりて預言よげんし益えきなきものに從したがへり

2:9 故ゆゑにわれ尚なほ汝等なんぢらとあらそはん且また汝なんぢの子孫しそんとあらそふべしとヱホバいひたまふ

2:10 汝等なんぢらキッテムの諸島しまにわたりて觀みよまた使者つかひをケダルにつかはし斯かくのごとき事ことあるや否いなやを詳細つまびらかに察さつせしめよ

2:11 その神かみを神かみにあらざる者ものに易かへたる國くにありや然しかるに我民わがたみはその榮さかえを益えきなき物ものにかへたり

2:12 天てんよこの事ことを驚おどろけ慄をののけいたく怖おそれよとヱホバいひたまふ

2:13 蓋そはわが民たみはふたつの惡事あしきことをなせり即すなはち活いける水みづの源みなもとなる我われをすて自己みづから水溜みづためを掘ほれりすなはち壞やぶれたる水溜みづためにして水みづを有たもたざる者ものなり

2:14 イスラエルはしもべなるか家いへにうまれし僕しもべなるかいかにして?掠とらはれものとなれるや

2:15 わかき獅子ししかれにむかひて哮ほえその聲こゑをあげてその地ちを荒あらせりその諸邑まちまちは焚やかれて住すむ人ひとなし

2:16 ノフとタパネスの諸子こどもらも汝なんぢの頭首かしらの髮けをくらはん

2:17 汝なんぢの神かみヱホバの汝なんぢを途みちにみちびきたまへる時ときに汝なんぢこれを棄すてたるによりて此事このこと汝なんぢにおよぶにあらずや

2:18 汝なんぢナイルの水みづを飮のまんとてエジプトの路みちにあるは何なにゆゑぞまた河かはの水みづを飮のまんとてアツスリヤの路みちにあるは何故なにゆゑぞ

2:19 汝なんぢの惡あしきは汝なんぢをこらしめ汝なんぢの背そむきは汝なんぢをせめん斯かく汝なんぢが汝なんぢの神かみヱホバをすてたると我われを畏おそるることの汝なんぢの衷うちにあらざるとは惡あしく且かつ苦にがきことなるを汝なんぢ見みてしるべしと主しゆなる萬軍ばんぐんのヱホバいひ給たまふ

2:20 汝なんぢ昔むかしより汝なんぢの軛くびきををり汝なんぢの縛なはめを截たちていひけるは我われつかふることをせじと即すなはち汝なんぢすべての高山たかやまのうへと諸すべての�慳�あをきの下したに妓女あそびめのごとく身みをかがめたり

2:21 われ汝なんぢを植うゑて佳よき葡萄ぶだうの樹きとなし全まつたき眞まことの種たねとなせしにいかなれば汝なんぢわれに向むかひて異ことなる葡萄ぶだうの樹きの惡あしき枝えだにかはりしや

2:22 たとひ嚥哘そうだをもて自みづから濯あらひまたおほくの灰汁あくを加くはふるも汝なんぢの惡あくはわが前まへに汚けがれたりと主しゆヱホバいひ給たまふ

2:23 汝なんぢいかで我われは汚けがれずバアルに從したがはざりしといふことを得えんや汝なんぢ谷たにの中うちのおこなひを觀みよ汝なんぢのなせしことを知しれ汝なんぢは疾とく走はしるわかき牝めの駱駝らくだにしてその途みちにさまよへり

2:24 汝なんぢは曠野あらのになれたる野のの牝驢馬めろばなり其その欲よくのために風かぜにあへぐその欲よくのうごくときは誰たれかこれをとどめえん凡すべてこれを尋たづぬる者ものは自みづから勞らうするにおよばすその月つきの中うちに之これにあふべし

2:25 汝なんぢ足あしをつつしみて跣足はだしにならざるやうにし喉のどをつつしみて渇かわかぬやうにせよしかるに汝なんぢいふ是こは徒然いたづらなり然しかりわれ異ことなる國くにの者ものを愛あいしてこれに從したがふなりと

2:26 盜人ぬすびとの執とらへられて恥辱はづかしめをうくるがごとくイスラエルの家いへ恥辱はづかしめをうく彼等かれらその王わうその牧伯つかさその祭司さいしその預言者よげんしやみな然しかり

2:27 彼等かれら木きにむかひて汝なんぢは我わが父ちちなりといひまた石いしにむかひて汝なんぢは我われを生うみみたりといふ彼等かれらは背せを我われにむけて其その面かほをわれに向むけずされど彼等かれら災わざはひにあふときは起たちてわれらを救すくひ給たまへといふ

2:28 汝なんぢがおのれの爲ために造つくりし神かみはいづこにあるやもし汝なんぢが災わざはひにあふときかれら汝なんぢを救すくふを得えば起たつべきなりそはユダよ汝なんぢの神かみは汝なんぢの邑まちの數かずに同おなじければなり

2:29 汝等なんぢらなんぞ我われとあらそふや汝なんぢらは皆みな我われに背そむけりとヱホバいひ給たまふ

2:30 我われが汝なんぢらの衆子こどもらを打うちしは益えきなかりき彼等かれらは懲治いましめをうけず汝等なんぢらの劍つるぎは猛たけき獅子ししのごとく汝等なんぢらの預言者よげんしやを滅ほろぼせり

2:31 なんぢらこの世よの人ひとよヱホバの言ことばをきけ我われはイスラエルのために曠野あらのとなりしや暗くらき地ちとなりしや何故なにゆゑにわが民たみはわれら徘徊ゆきめぐりて復また汝なんぢに來きたらじといふや

2:32 それ處女をとめはその飾物かざりものを忘わすれんや新婦はなよめはその帶おびをわすれんや然されど我民わがたみの我われを忘わすれたる日ひは數かぞへがたし

2:33 汝なんぢ愛あいを得えんとて如何いかに汝なんぢの途みちを美よくするぞよされば汝なんぢの行おこなひはあしき事ことを爲なすに慣なれたり

2:34 また汝なんぢの裾すそに辜つみなき貧者まづしきものの生命いのちの血ちありわれ盜人ぬすびとの穿うがちたる所ところにて之これを見みずしてすべて此等これらの上うへにこれを見みる

2:35 されど汝なんぢいふわれは辜つみなし故ゆゑにその怒いかりはかならず我われに臨のぞまじとみよ汝なんぢわれ罪つみを犯をかさざりしといふにより我われ汝なんぢとあらそふべし

2:36 なんぢ何故なにゆゑにその途みちを易かへんとて迅とくはしるや汝なんぢアツスリヤに恥辱はづかしめをうけしごとくエジプトにも亦また恥辱はづかしめをうけん

2:37 汝なんぢ兩手もろてを頭かうべに置おきてかしこよりも出去いでさらんそはヱホバ汝なんぢのたのむところの者ものを棄すつれば汝なんぢ彼等かれらによりて望のぞみを遂とぐること無なかるべければなり

  第3章

3:1 世よにいへるあり人ひともしその妻つまをいださんに去さりゆきてほかの人ひとの妻つまとならば其その夫をつとふたたび彼かれに歸かへるべけんやさすれば其その地ちはおほいに汚けがれざらんや汝なんぢはおほくの者ものと姦淫かんいんを行おこなへりされど汝なんぢわれに皈かへれよとヱホバいひ給たまふ

3:2 汝なんぢ目めをあげてもろもろの童山はげやまをみよ姦淫かんいんを行おこなはざる所ところはいづこにあるや汝なんぢは曠野あらのにをるアラビヤ人びとの爲なすがごとく路みちに坐ざして人ひとをまてり汝なんぢは姦淫かんいんと惡あくをもて此この地ちを汚けがせり

3:3 この故ゆゑに雨あめはとどめられ春はるの雨あめはふらざりし然されど汝なんぢ娼妓あそびめの額ひたひあれば肯あへて恥はぢず

3:4 汝なんぢいまより我われを呼よびていはざらんや我わが父ちちよ汝なんぢはわが少時わかきときの交友ともなり

3:5 窮かぎりなくその怒いかりを含ふくまんや恒つねに之これを存たもたんやと視みよ汝なんぢはかくいへど力ちからをきはめて惡あくを爲なすなり

3:6 ヨシヤ王わうのときヱホバまた我われにいひ給たまひけるは汝なんぢそむけるイスラエルのなせしことを見みしや彼かれはすべての高山たかやまにのぼりすべての�慳�あをきの下したにゆきて其處そこに姦淫かんいんを行おこなへり

3:7 彼かれこのすべての事ことを爲なせしのち我われかれに汝なんぢわれに歸かへれと言いひしかどもわれに歸かへらざりき其その悖もとれる?妹しまいなるユダ之これを見みたり

3:8 我われに背そむけるイスラエル姦淫かんいんをなせしにより我われかれを出いだして離?状りえんじやうをあたへたれどその悖もとれる?妹しまいなるユダは懼おそれずして往ゆきて姦淫かんいんを行おこなふ我われこれを見みる

3:9 また其その姦淫かんいんの噪さわぎをもてこの地ちを汚けがし且かつ石いしと木きとに姦淫かんいんを行おこなへり

3:10 此この諸もろもろの事ことあるも仍なほ其その悖もとれる?妹しまいなるユダは眞心まごころをもて我われにかへらず僞いつはれるのみとヱホバいひたまふ

3:11 ヱホバまた我われにいひたまひけるは背そむけるイスラエルは悖もとれるユダよりも自己おのれを義ただしとす

3:12 汝なんぢゆきて北きたにむかひ此言このことばを宣のべていふべしヱホバいひたまふ背そむけるイスラエルよ歸かへれわれ怒いかりの面おもてを汝なんぢらにむけじわれは矜恤あはれみある者ものなり怒いかりを限かぎりなく含ふくみをることあらじとヱホバいひたまふ

3:13 汝なんぢただ汝なんぢの罪つみを認いひあらはせそは汝なんぢの神かみヱホバにそむき經へめぐりてすべての�慳�あをきの下したにて異邦人ことくにびとにゆき汝等なんぢらわが聲こゑをきかざればなりとヱホバいひ給たまふ

3:14 ヱホバいひたまふ背そむける衆子こどもらよ我われにかへれそはわれ汝等なんぢらを娶めとればなりわれ邑まちより一人ひとり支派わかれより二人ふたりを取とりて汝等なんぢらをシオンにつれゆかん

3:15 われ我わが心こころに合かなふ牧者ぼくしやを汝等なんぢらにあたへん彼等かれらは知識ちしきと明哲さとりをもて汝等なんぢらを養やしなふべし

3:16 ヱホバいひたまふ汝等なんぢら地ちに��まして多おほくならんときは人々ひとびと復またヱホバの契約けいやくの櫃はこといはず之これを想おもひいでず之これを憶おぼえずこれを尋たづねずこれを作つくらざるべし

3:17 その時ときヱルサレムはヱホバの座位みくらゐと稱となへられ萬國ばんこくの民たみここに集あつまるべし即すなはちヱホバの名なによりてヱルサレムに集あつまり重かさねて其その惡あしき心こころの剛愎かたくななるにしたがひて行あゆまざるべし

3:18 その時ときユダの家いへはイスラエルの家いへとともに行あゆみて北きたの地ちよりいで我わが汝なんぢらの先祖せんぞたちに與あたへて嗣つがしめし地ちに偕ともにきたるべし

3:19 我われいへり嗚呼ああわれいかにして汝なんぢを諸子こどもらの中うちに置おき萬國ばんこくの中うちにて最もつとも美うるはしき?業さんげふなる此この美地よきちを汝なんぢにあたへんと我われまたいへり汝なんぢわれを我わが父ちちとよび亦また我われを離はなれざるべしと

3:20 然しかるにイスラエルの家いへよ妻つまの誓ちかひに違そむきてその夫をつとを棄すつるがごとく汝等なんぢらわれに背そむけりとヱホバいひたまふ

3:21 聲こゑ山やまのうへに聞きこゆ是こはイスラエルの民たみの悲かなしみ祈いのるなり蓋そは彼等かれらまがれる途みちにあゆみ其その神かみヱホバを忘わするればなり

3:22 背そむける諸子こどもらよ我われに歸かへれわれ汝なんぢの退違そむきをいやさん／視みよ我儕われらなんぢに到いたる汝なんぢはわれらの神かみヱホバなればなり

3:23 信げに諸もろもろの岡をかとおほくの山やまに救すくひを望のぞむはいたづらなり誠まことにイスラエルの救すくひはわれらの神かみヱホバにあり

3:24 羞恥はぢはわれらの幼時わかきときより我儕われらの先祖せんぞの?業さんげふすなはち其その多おほくの羊ひつじとそのおほくの牛うしおよび其その子こその女むすめを呑盡のみつくせり

3:25 われらは羞恥はぢに臥ふし我われらは恥辱はづかしめに覆おほはるべしそは我儕われらとわれらの列祖せんぞは我われらの幼時わかきときより今日こんにちにいたるまで罪つみをわれらの神かみヱホバに犯をかし我儕われらの神かみヱホバの聲こゑに遵したがはざればなり

  第4章

4:1 ヱホバいひたまふイスラエルよ汝なんぢもし歸かへらば我われに歸かへれ汝なんぢもし憎にくむべき者ものを我わが前まへより除のぞかば流蕩さまよはじ

4:2 かつ汝なんぢは眞實まことと正直なほきと公義ただしきとをもてヱホバは活いくと誓ちかはんさらば萬國ばんこくの民たみは彼かれによりて福祉さいはひをうけ彼かれによりて誇ほこるべし

4:3 ヱホバ、ユダとヱルサレムの人々ひとびとにかくいひ給たまふ汝等なんぢらの新田しんでんを耕たがやせ荊棘いばらの中なかに種まくなかれ。

4:4 ユダの人々ひとびととヱルサレムに住すめる者ものよ汝等なんぢらみづから割禮かつれいをおこなひてヱホバに屬つきおのれの心こころの前まへの皮かはを去され然しからざれば汝等なんぢらの惡行あしきおこなひのためわが怒いかり火ひの如ごとくに發はつして燃もえんこれを滅けすものなかるべし

4:5 汝等なんぢらユダに告つげヱルサレムに示しめしていへ?らつぱを國くにの中うちに吹ふけとまた大聲おほごゑに呼よばはりていへ汝等なんぢらあつまれ我儕われら堅かたき邑まちにゆくべしと

4:6 シオンに指示しめす合圖あひづの旗はたをたてよ逃にげよ留とどままる勿なかれそは我われ北きたより災わざはひとおほいなる敗壞ほろびをきたらすればなり

4:7 獅子ししは其その森もりよりいでて上のぼり國々くにぐにを滅ほろぼすものは進すすみきたる彼かれ汝なんぢの國くにを荒あらさんとて?すでにその處ところよりいでたり汝なんぢの諸邑まちまちは滅ほろぼされて住すむ者ものなきに至いたらん

4:8 この故ゆゑに汝等なんぢら麻あさの衣ころもを身みにまとひて悲かなしみ哭なげけそはヱホバの烈はげしき怒いかりいまだ我儕われらを離はなれざればなり

4:9 ヱホバいひたまひけるはその日ひ王わうと牧伯等きみたちはその心こころをうしなひ祭司さいしは驚おどろき預言者よげんしやは異あやしむべし

4:10 我われいひけるは嗚呼ああ主しゆヱホバよ汝なんぢはまことに此民このたみとヱルサレムを大おほいにあざむきたまふすなはち汝なんぢはなんぢら安やすかるべしと云いひ給たまひしに劍つるぎ命いのちにまでおよべり

4:11 その時ときこの民たみとヱルサレムにいふものあらん熱あつき風かぜ曠野あらのの童山はげやまよりわが民たみの女むすめにふききたると此こは簸ひるためにあらず潔きよむる爲ためにもあらざるなり

4:12 これよりも猶なほはげしき風かぜわれより來きたらん今いま我われかれらに鞫さばきを示しめさん

4:13 みよ彼かれは雲くものごとく上のぼりきたらん其その車くるまは颶風はやてのごとくにしてその馬むまは鷹わしよりも疾はやし嗚呼ああわれらは禍わざはひなるかな我儕われら滅ほろぼさるべし

4:14 ヱルサレムよ汝なんぢの心こころの惡あくをあらひ潔きよめよ然さらばすくはれん汝なんぢの惡あしき念おもひいつまで汝なんぢのうちにあるや

4:15 ダンより告つぐる聲こゑありエフライムの山やまより災わざはひを知しらするなり

4:16 汝なんぢら國々くにぐにの民たみに告つげまたヱルサレムに知しらせよ攻せめかこむ者もの遠とほき國くにより來きたりユダの諸邑まちまちにむかひて其その聲こゑを揚あぐと

4:17 彼かれらは田圃たはたをまもる者もののごとくにこれを圍かこむこは我われに從したがはざりしに由よるとヱホバいひ給たまふ

4:18 汝なんぢの途みちと汝なんぢの行おこなひこれを汝なんぢに招まねけりこれは汝なんぢの惡あくなり誠まことに苦にがくして汝なんぢの心こころにおよぶ

4:19 嗚呼ああわが腸はらわたよ我わが腸はらわたよ痛苦いたみ心こころの底そこにおよびわが心胸むねとどろくわれ默もくしがたし我わが靈魂たましひよ汝なんぢ?らつぱの聲こゑと軍いくさの鬨さわぎをきくなり

4:20 敗滅ほろびに敗滅ほろびのしらせありこの地ちは皆みな荒あらされわが幕屋まくやは頃刻にはかにやぶられ我わが幕まくは忽たちまち破やぶられたり

4:21 我われが旗はたをみ?らつぱの聲こゑをきくは何時いつまでぞや

4:22 それ我民わがたみは愚おろかにして我われを識しらず拙つたなき子等こどもにして曉さとることなし彼かれらは惡あくを行おこなふに智さとけれども善ぜんを行おこなふことを知しらず

4:23 われ地ちを見みるに形かたちなくして空むなしくあり天てんを仰あふぐに其處そこに光ひかりなし

4:24 我われ山やまを見みるに皆みな震ふるへまた諸すべての丘をかも動うごけり

4:25 我われ見みるに人ひとあることなし天空そらの鳥とりも皆みな飛とびされり

4:26 我われみるに肥美ゆたかなる地ちは沙漠あれちとなり且かつその諸すべての邑まちはヱホバの前まへにその烈はげしき怒いかりの前まへに毀こぼたれたり

4:27 そはヱホバかくいひたまへりすべて此地このちは荒地あれちとならんされど我われことごとくは之これを滅ほろぼさじ

4:28 故ゆゑに地ちは皆みな哀かなしみ上うへなる天てんは暗くらくならん我われすでに之これをいひ且かつこれを定さだめて悔くいずまた之これをなす事ことを止やめざればなり

4:29 邑まちの人ひとみな騎兵きへいと射者いての咄喊さけびのために逃にげて叢林もりにいり又また岩いはの上うへに升のぼれり邑まちはみな棄すてられて其處そこに住すむ人ひとなし

4:30 滅ほろぼされたる者ものよ汝なんぢ何なにをなさんとするや設令たとひ汝なんぢくれなゐの衣ころもをき金こがねの飾物かざりをもて身みを粧よそほひ目めをぬりて大おほきくするとも汝なんぢが身みを粧よそほふはいたづらなり汝なんぢの戀人こひびとらは汝なんぢをいやしめ汝なんぢのいのちを索もとむるなり

4:31 われ子こをうむ婦をんなのごとき聲こゑ首子うひごをうむ者ものの苦くるしむがごとき聲こゑを聞きく是これシオンの女むすめの聲こゑなりかれ自みづから歎なげき手てをのべていふ嗚呼ああわれは禍わざはひなるかな我わが靈魂たましひ殺ころす者もののために疲つかれはてぬ

  第5章

5:1 汝等なんぢらヱルサレムの邑まちをめぐりて視み且かつ察さとりその街ちまたを尋たづねよ汝等なんぢらもし一人ひとりの公義ただしきを行おこなひ眞理まことを求もとむる者ものに逢あはばわれ之これ(ヱルサレム)を赦ゆるすべし

5:2 彼かれらヱホバは活いくといふとも實まことは僞いつはりて誓ちかふなり

5:3 ヱホバよ汝なんぢの目めは誠實まことを顧かへりみるにあらずや汝なんぢ彼かれらを撻うてどもかれら痛苦いたみをおぼえず彼等かれらを滅ほろぼせどもかれら懲治いましめをうけず其その面かほを磐いはよりも硬かたくして歸かへることを拒いなめり

5:4 故ゆゑに我われいひけるは此輩これらは惟ただいやしき愚おろかなる者ものなればヱホバの途みちと其その神かみの鞫さばきを知しらざるなり

5:5 われ貴人たふときひとにゆきて之これに語かたらんかれらはヱホバの途みちとその神かみの鞫さばきを知しるなり然しかるに彼かれらも皆みな軛くびきを折をり縛なはめを斷たてり

5:6 故ゆゑに林はやしよりいづる獅子ししは彼かれらを殺ころしアラバの狼おほかみはかれらを滅ほろぼし豹へうはその邑まちをねらふ此處ここよりいづる者ものは皆みな裂さかるべしそは其その罪つみおほくその背違そむきはなはだしければなり

5:7 我われなに故ゆゑに汝なんぢをゆるすべきや汝なんぢの諸子こどもらわれを棄すて神かみにあらざる神かみを指さして誓ちかふ我われすでに彼かれらを誓ちかはせたれど彼かれら姦淫かんいんして娼妓あそびめの家いへに群集むれあつまる

5:8 彼かれらは肥こえたる牡馬をむまのごとくに行ゆきめぐりおのおの嘶いななきて隣となりの妻つまを慕したふ

5:9 ヱホバいひたまふ我われこれらの事ことのために彼かれらを罰ばつせざらんや我わが心こころはかくの如ごとき民たみに仇あたを復かへさざらんや

5:10 汝等なんぢらその石垣いしがきにのぼりて滅ほろぼせされど悉ことごとくはこれを滅ほろぼす勿なかれその枝えだを截除きりのぞけヱホバのものに有あらざればなり

5:11 イスラエルの家いへとユダの家いへは大おほいに我われに悖もとるなりとヱホバいひたまふ

5:12 彼等かれらはヱホバを認みとめずしていふヱホバはある者ものにあらず災わざはひわれらに來きたらじ我儕われら劍つるぎと饑饉ききんをも見みざるべし

5:13 預言者よげんしやは風かぜとなり言ことばはかれらの衷うちにあらず斯かく彼かれらになるべしと

5:14 故ゆゑに萬軍ばんぐんの神かみヱホバかくいひたまふ汝等なんぢらこの言ことを語いふにより視みよわれ汝なんぢの口くちにある我わが言ことばを火ひとなし此民このたみを薪たきぎとなさんその火ひ彼かれらを焚盡やきつくすべし

5:15 ヱホバいひ給たまふイスラエルの家いへよみよ我われ遠とほき國人くにびとをなんぢらに來きたらしめん其その國くには強つよくまた古ふるき國くになり汝等なんぢらその言ことばをしらず其その語かたることをも曉さとらざるなり

5:16 その箙えびらは啓ひらきたる墓はかのごとし彼かれらはみな勇士ゆうしなり

5:17 彼かれらは汝なんぢの穡かりいれたる物ものと汝なんぢの糧食くひものを食くらひ汝なんぢの子女むすこむすめを食くらひ汝なんぢの羊ひつじと牛うしを食くらひ汝なんぢの葡萄ぶだうの樹きと無花果いちぢくの樹きを食くらひまた劍つるぎをもて汝なんぢの��たのむところの堅かたき邑まちを滅ほろぼさん

5:18 されど其時そのときわれことごとくは汝なんぢを滅ほろぼさじとヱホバいひたまふ

5:19 汝等なんぢら何なにゆゑにわれらの神かみヱホバ此等これらの諸すべてのことを我儕われらになしたまふやといはば汝なんぢかれらに答こたふべし汝なんぢら我われをすて汝なんぢらの地ちに於おいて異ことなる神かみに奉つかへしごとく汝なんぢらのものにあらざる地ちに於おいて異邦人ことくにびとにつかふべしと

5:20 汝なんぢこれをヤコブの家いへにのべまたこれをユダに示しめしていへ

5:21 愚おろかにして了知さとりなく目めあれども見みえず耳みみあれども聞きこえざる民たみよこれをきけ

5:22 ヱホバいひ給たまふ汝等なんぢらわれを畏おそれざるか我わが前まへに戰慄をののかざるか我われは沙すなを置おきて海うみの界さかひとなしこれを永遠とこしなへの限界かぎりとなし踰こゆることをえざらしむ其浪そのなみさかまきいたるも勝かつことあたはず澎湃なりわたるもこれを踰こゆるあたはざるなり

5:23 然しかるにこの民たみは背そむき且かつ悖もとれる心こころあり?すでに背そむきて去されり

5:24 彼かれらはまた我儕われらに雨あめをあたへて秋あきの雨あめと春はるの雨あめを時ときにしたがひて下くだし我儕われらのために收穫かりいれの時節ときを定さだめ給たまへる我わが神かみヱホバを畏おそるべしと其心そのこころにいはざるなり

5:25 汝等なんぢらの愆とがはこれらの事ことを退しりぞけ汝等なんぢらの罪つみは嘉物よきものを汝なんぢらに來きたらしめざりき

5:26 我民わがたみのうちに惡者あしきものあり網あみを張はる者もののごとくに身みをかがめてうかがひ罟わなを置おきて人ひとをとらふ

5:27 樊籠かごに鳥とりの盈みつるがごとく不義ふぎの財たから彼かれらの家いへに充みつこの故ゆゑに彼かれらは大おほいなる者ものとなり富とめる者ものとなる

5:28 彼かれらは肥こえて光澤つやあり其その惡あしき行おこなひは甚はなはだし彼かれらは訟うつたへをたださず孤みなしごの訟うつたへを糺たださずして利達さかえをえ亦また貧者まづしきものの訴うつたへを鞫さばかず

5:29 ヱホバいひ給たまふわれかくのごときことを罰ばつせざらんや我わが心こころは是かくのごとき民たみに仇あだを復かへさざらんや

5:30 この地ちに驚おどろくべき事ことと憎にくむべきこと行おこなはる

5:31 預言者よげんしやは僞いつはりて預言よげんをなし祭司さいしは彼かれらの手てによりて治をさめ我民わがたみは斯かかる事ことを愛あいすされど汝等なんぢらその終をはりに何なにをなさんとするや

  第6章

6:1 ベニヤミンの子等こどもらよヱルサレムの中うちより逃のがれテコアに?らつぱをふきベテハケレムに合圖あひづの火ひをあげよそは北きたより災わざはひと大おほいなる敗壞ほろびのぞめばなり

6:2 われ美うるはしき窈窕たをやかなるシオンの女むすめを滅ほろぼさん

6:3 牧者ぼくしやは其その群むれを牽ひきて此處ここにきたりその周圍まはりに天幕てんまくをはらん群むれはおのおのその處ところにて草くさを食くらはん

6:4 汝なんぢら戰端たたかひを開ひらきて之これを攻せむべし起たてよわれら日午ひるにのぼらん嗚呼ああ惜をしいかな日ひははや昃かたむき夕日ゆふひの影かげ長ながくなれり

6:5 起たてよわれら夜よの間うちにのぼりてその諸もろもろの殿舍やかたを毀こぼたん

6:6 萬軍ばんぐんのヱホバかくいひたまへり汝なんぢら樹きをきりヱルサレムに向むかひて壘るいを築きづけこれは罰ばつすべき邑まちなりその中うちには唯ただ暴逆ばうぎやくのみあり

6:7 源みなもとの水みづをいだすがごとく彼かれその惡あくを流いだすその中うちに暴逆ばうぎやくと威虐しひたげきこゆ我わが前まへに憂うれへと傷きずたえず

6:8 ヱルサレムよ汝なんぢ訓戒いましめをうけよ然しからざれば我わが心こころ汝なんぢをはなれ汝なんぢを荒蕪あれちとなし住すむ人ひとなき地ちとなさん

6:9 萬軍ばんぐんのヱホバかくいひたまふ彼かれらは葡萄ぶだうの遺餘のこりを摘つみとるごとくイスラエルの遺のこれる者ものを摘つみとらん汝なんぢ葡萄ぶだうを摘取者つみとるもののごとく?しばしば手てを筐かごに入いるべし

6:10 我われたれに語かたり誰たれを警いましめてきかしめんや視みよその耳みみは割禮かつれいをうけざるによりて聽きこえず彼かれらはヱホバの言ことばを嘲あざけりこれを悦よろこばず

6:11 ヱホバの怒いかりわが身みに充みつわれ忍しのぶに倦うむこれを衢街ちまたにある童子こどもらと集あつまれる年少者わかきものとに泄もらすべし夫をつとも婦つまも老おいたる者ものも年とし邁すすみし者ものも執とらへらるるにいたらん

6:12 その家いへと田地はたけと妻つまはともに佗人たにんにわたらん其そはわれ手てを擧あげてこの地ちに住すめる者ものを撃うてばなりとヱホバいひたまふ

6:13 夫それ彼かれらは少ちひさき者ものより大おほいなる者ものにいたるまで皆みな貪婪者むさぼるものなり又また預言者よげんしやより祭司さいしにいたるまで皆みな詭詐いつはりをなす者ものなればなり

6:14 かれら淺あさく我民わがたみの女むすめの傷きずを醫いやし平康やすからざる時ときに平康やすし平康やすしといへり

6:15 彼かれらは憎にくむべき事ことを爲なして恥辱はづかしめをうくれども毫すこしも恥はぢずまた愧はぢを知しらずこの故ゆゑに彼かれらは傾仆たふるる者ものと偕ともにたふれん我わが來きたるとき彼かれら躓つまづかんとヱホバいひたまふ

6:16 ヱホバかくいひたまふ汝なんぢら途みちに立たちて見み古ふるき徑みちに就つきて何いづれか善よき道みちなるを尋たづねて其その途みちに行あゆめさらば汝なんぢらの靈魂たましひ安やすきを得えん然されど彼かれらこたへて我儕われらはそれに行あゆまじといふ

6:17 我われまた汝なんぢらの上うへに守望者まもるものをたて?らつぱの聲こゑをきけといへり然されど彼等かれらこたへて我儕われらは聞きかじといふ

6:18 故ゆゑに萬國ばんこくの民たみよきけ會衆くわいしうよかれらの遇あふところを知しれ

6:19 地ちよきけわれ災わざはひをこの民たみにくださんこは彼かれらの思おもひの結むすぶ果みなりかれら我わが言ことばとわが律法おきてをきかずして之これを棄すつるによる

6:20 シバより我わが許もとに乳香にうかうきたり遠とほき國くにより菖蒲あやめきたるは何なんのためぞやわれは汝なんぢらの燔祭はんさいをよろこばず汝なんぢらの犠牲いけにへを甘うましとせず

6:21 故ゆゑにヱホバかくいひたまふみよ我われこの民たみの前まへに躓礙つまづくものをおく父ちちと子ことそれに蹶つまづき隣人となりびととその友とも偕ともに滅ほろぶべし

6:22 ヱホバかくいひたまふみよ民たみ北きたの國くによりきたる大おほいなる民たみ地ちの極はてより起おこる

6:23 彼かれらは弓ゆみと槍やりをとる殘忍ざんにんにして憫あはれみなしその聲こゑは海うみの如ごとく鳴なるシオンの女むすめよかれらは馬うまに乗のり軍人いくさびとのごとく身みをよろひて汝なんぢを攻せめん

6:24 我儕われらその風聲うはさをききたれば我儕われらの手て弱よわり子こをうむ婦をんなのごとき苦痛くるしみと劬勞いたみわれらに迫せまる

6:25 汝なんぢら田地はたけに出いづる勿なかれまた路みちに行あゆむなかれ敵てきの劍つるぎと畏怖おそれ四方よもにあればなり

6:26 我民わがたみの女むすめよ麻衣あさのころもを身みにまとひ灰はひのうちにまろび獨子ひとりごを喪うしなひしごとくに哀かなしみていたく哭なげけそは毀滅者ほろぼすもの突然にはかに我われらに來きたるべければなり

6:27 われ汝なんぢを民たみのうちに立たてて金かねを驗こころむる者もののごとくなし又また城しろのごとくなすこは汝なんぢをしてその途みちを知しらしめまた試こころみしめんためなり

6:28 彼かれらは皆みないたく悖もとれる者ものなり歩行あるきて人ひとを謗そしる者ものなり彼かれらは銅あかがねのごとく鐵くろがねのごとし皆みな邪よこしまなる者ものなり

6:29 ?ふいごは火ひに焚やけ鉛なまりはつき鎔匠とかすものはいたづらに鎔とかす惡者あしきものいまだ除のぞかれざればなり

6:30 ヱホバ彼かれらを棄すてたまふによりて彼等かれらは棄すてられたる銀ぎんと呼よばれん

  第7章

7:1 ヱホバよりヱレミヤにのぞめる言ことば云いふ

7:2 汝なんぢヱホバの室いへの門もんにたち其處そこにてこの言ことばを宣のべて言いへヱホバを拜をがまんとてこの門もんにいりしユダのすべての人ひとよヱホバの言ことばをきけ

7:3 萬軍ばんぐんのヱホバ、イスラエルの神かみかくいひ給たまふ汝なんぢらの途みちと汝なんぢらの行おこなひを改あらためよさらばわれ汝等なんぢらをこの地ちに住すましめん

7:4 汝なんぢら是これはヱホバの殿みやなりヱホバの殿みやなりヱホバの殿みやなりと云いふ僞いつはりの言ことばをたのむ勿なかれ

7:5 汝なんぢらもし全まつたくその途みちと行おこなひを改あらため人ひとと人ひととの間あひだを正ただしく鞫さばき

7:6 異邦人ことくにびとと孤兒みなしごと寡やもめを虐しへたげず無辜者つみなきものの血ちをこの處ところに流ながさず他ほかの神かみに從したがひて害がいをまねかずば

7:7 我われなんぢらを我わが汝等なんぢらの先祖せんぞにあたへしこの地ちに永遠えいゑんより永遠えいゑんにいたるまで住すましむべし

7:8 みよ汝なんぢらは益えきなき僞いつはりの言ことばを��たのむ

7:9 汝等なんぢらは盜ぬすみ殺ころし姦淫かんいんし妄いつはりて誓ちかひバアルに香かうを焚たき汝なんぢらがしらざる他ほかの神かみにしたがふなれど

7:10 我わが名なをもて稱となへらるるこの室いへにきたりて我わが前まへにたち我われらはこれらの憎にくむべきことを行おこなふとも救すくはるるなりといふは何いかにぞや

7:11 わが名なをもて稱となへらるる此この室いへは汝なんぢらの目めには盜賊ぬすびとの?すと見みゆるや我われも之これをみたりとヱホバいひたまふ

7:12 汝等なんぢらわが初はじめシロに於おいて我わが名なを置おきし處ところにゆき我わがイスラエルの民たみの惡あくのために其處そこになせしところのことをみよ

7:13 ヱホバいひたまふ今いま汝なんぢら此等これらのすべての事ことをなす又またわれ汝なんぢらに語かたり頻しきりにかたりたれども聽きかず汝なんぢらを呼よびたれども答こたへざりき

7:14 この故ゆゑに我われシロになせしごとく我わが名なをもて稱となへらるる此この室いへになさんすなはち汝等なんぢらが��たのむところ我わが汝なんぢらと汝なんぢらの先祖せんぞにあたへし此この處ところになすべし

7:15 またわれ汝等なんぢらのすべての兄弟きやうだいすなはちエフライムのすべての裔すゑを棄すてしごとく我わが前まへより汝なんぢらをも棄すつべし

7:16 故ゆゑに汝なんぢこの民たみのために祈いのる勿なかれ彼かれらの爲ために歎なげくなかれ求もとむるなかれ又また我われにとりなしをなす勿なかれわれ汝なんぢにきかじ

7:17 汝なんぢかれらがユダの邑まちとヱルサレムの街ちまたになすところを見みざるか

7:18 諸子こどもらは薪たきぎを拾あつめ父ちちは火ひを燃たき婦をんなは麺こなを搏こねパンをつくりて之これを天后てんこうにそなふ又またかれら他ほかの神かみの前まへに酒さけをそそぎて我われを怒いからす

7:19 ヱホバいひたまふ彼かれら我われを怒いからするか是これおのが面かほを辱はづかしむるにあらずや

7:20 是故このゆえに主しゆヱホバかくいひたまふ視みよわが震怒いかりとわが憤怒いきどほりはこの處ところと人ひとと獸けものと野のの樹きおよび地ちの果みにそそがん且かつ燃もえて滅きえざるべし

7:21 萬軍ばんぐんのヱホバ、イスラエルの神かみかくいひたまふ汝なんぢらの犠牲いけにへに燔祭はんさいの物ものをあはせて肉にくをくらへ

7:22 そはわれ汝等なんぢらの先祖せんぞをエジプトより導みちびきいだせし日ひに燔祭はんさいと犠牲いけにへとに就つきてかたりしことなく又また命めいぜしことなし

7:23 惟ただわれこの事ことを彼等かれらに命めいじ汝なんぢら我わが聲こゑを聽きかばわれ汝なんぢらの神かみとなり汝なんぢら我民わがたみとならん且かつわが汝なんぢらに命めいぜしすべての道みちを行あゆみて福祉さいはひをうべしといへり

7:24 されど彼かれらはきかず其その耳みみを傾かたむけずおのれの惡あしき心こころの謀はかりごとと剛愎かたくななるとにしたがひて行あゆみまた後うしろを我われにむけて其その面かほを向むけざりき

7:25 汝なんぢらの先祖せんぞがエジプトの地ちをいでし日ひより今日こんにちにいたるまでわれ我わが僕しもべなる預言者よげんしやを汝なんぢらにつかはし日々ひび晨あさより之これをつかはせり

7:26 されど彼かれらは我われにきかず耳みみを傾かたむけずして其その項うなじを強こはくしその列祖せんぞよりも愈まさりて惡あくをなすなり

7:27 汝なんぢ彼かれらに此等これらのすべてのことばを語かたるとも汝なんぢにきかずかれらを呼よぶとも汝なんぢにこたへざるべし

7:28 汝なんぢかく彼かれらに語かたれこれは其その神かみヱホバの聲こゑを聽きかずその訓いましめを受うけざる民たみなり眞實まことはうせてその口くちに?たえたり

7:29 (シオンの女むすめよ)汝なんぢの髮かみを剃そりてこれを棄すて山やまの上うへに哀哭なげきの聲こゑをあげよヱホバその怒いかるところの世よの人ひとをすててこれを離はなれたまへばなり

7:30 ヱホバいひたまふユダの民たみは我わが前まへに惡あくを行おこなへり即すなはちその憎にくむべき者ものを我わが名なをもて稱となへらるる室いへに置おきてこれを汚けがせり

7:31 又またベンヒンノムの谷たにに於おいてトペテの崇邱たかきところを築きづきてその子女むすこむすめを火ひに焚やかかんとせり我われこれを命めいぜずまた斯かかることを思おもはざりし

7:32 ヱホバいひたまふ然されば視みよ此處ここをトペテまたはベンヒンノムの谷たにと稱となへずして殺戮ほふりの谷たにと稱となふる日ひきたらん其そは葬はうむるべき地所ところなきまでにトペテに葬はうむるべければなり

7:33 この民たみの屍しかばねは天空そらの鳥とりと地ちの獸けものの食物くひものとならんこれを逐おふものなかるべし

7:34 その時ときわれユダの邑まちとヱルサレムの街ちまたに欣喜よろこびの聲こゑ歡樂たのしみの聲こゑ新婿はなむこの聲こゑ新婦はなよめの聲こゑなからしむべしこの地ち荒蕪あれはつればなり

  第8章

8:1 ヱホバいひたまふその時とき人ひとユダの王等わうたちの骨ほねとその牧伯等つかさたちの骨ほねと祭司さいしの骨ほねと預言者よげんしやの骨ほねとヱルサレムの民たみの骨ほねをその墓はかよりほりいだし

8:2 彼等かれらの愛あいし奉つかへ從したがひ求もとめ且かつ祭まつれるところの日ひと月つきと天てんの衆群しうぐんの前まへにこれを曝さらすべし其その骨ほねはあつむる者ものなく葬はうむる者ものなくして糞土ふんどのごとくに地ちの面おもてにあらん

8:3 この惡あしき民たみの中うちののこれる餘遺のこりの者ものすべてわが逐おひやりしところに餘のこれる者もの皆みな生いくるよりも死しぬることを願ねがはんと萬軍ばんぐんのヱホバ云いひたまふ

8:4 汝なんぢまた彼かれらにヱホバかくいふと語かたるべし人ひともし仆たふるれば起おきかへるにあらずやもし離はなるれば歸かへり來きたるにあらずや

8:5 何故なにゆゑにヱルサレムにをる此民このたみは恒つねにわれを離はなれて歸かへらざるや彼かれらは詐僞いつはりをかたく執とりて歸かへることを否いなめり

8:6 われ耳みみを側そばだてて聽きくに彼かれらは善よきことを云いはず一人ひとりもその惡あくを悔くいてわがなせし事ことは何なにぞやといふ者ものなし彼かれらはみな戰場いくさばに馳入はせいる馬うまのごとくにその途みちに歸かへるなり

8:7 天空そらの鶴つるはその定期ときを知しり斑鳩やまばとと燕つばめと鴈かりはそのきたる時ときを守まもるされど我民わがたみはヱホバの律法おきてをしらざるなり

8:8 汝なんぢいかで我われら智慧ちゑありわれらにはヱホバの律法おきてありといふことをえんや視みよまことに書記しよきの僞いつはりの筆ふで之これを僞いつはりとせり

8:9 智慧ちゑある者ものは辱はづかしめられまたあわてて執とらへらる視みよ彼等かれらヱホバの言ことばを棄すてたり彼かれら何なにの智慧ちゑあらんや

8:10 故ゆゑにわれその妻つまを他人たにんにあたへ其その田圃たはたを他人たにんに嗣つがしめん彼かれらは小ちひさき者ものより大おほいなる者ものにいたるまで皆みな貪婪者むさぼるものまた預言者よげんしやより祭司さいしにいたるまで皆みな詭詐いつはりをなす者ものなればなり

8:11 彼かれら我民わがたみの女むすめの傷きずを淺あさく醫いやし平康やすからざる時ときに平康やすし平康やすしといへり

8:12 彼かれら憎にくむべき事ことをなして恥辱はづかしめらる然されど毫すこしも恥はぢずまた恥はぢを知しらずこの故ゆゑに彼かれらは仆たふるる者ものと偕ともに仆たふれんわが彼かれらを罰ばつするときかれら躓つまづくべしとヱホバいひたまふ

8:13 ヱホバいひたまふ我われ彼かれらをことごとく滅ほろぼさん葡萄ぶだうの樹きに葡萄ぶだうなく無花果いちぢくの樹きに無花果いちぢくなしその葉はも槁かれたり故ゆゑにわれ殲滅者ほろぼすものを彼かれらにつかはす.

8:14 我われら何なんぞ此ここにとどまるやあつまれよ我われら堅かたき城邑まちにゆきて其處そこに滅ほろびん我儕われらヱホバに罪つみを犯をかせしによりて我われらの神かみヱホバ我われらを滅ほろぼし毒どくなる水みづを飮のませたまへばなり

8:15 われら平康やすきを望のぞめども善よきこと來きたらず慰なぐさめらるる時ときを望のぞむにかへつて恐懼おそれきたる

8:16 その馬うまの嘶いななきはダンよりきこえこの地ちみなその強つよき馬うまの聲こゑによりて震ふるふ彼かれらきたりて此この地ちとその上うへにある者ものおよび邑まちとその中うちに住すめる者ものを食くらふ

8:17 視みよわれ呪詛まじなひのきかざる蛇へび蝮まむしを汝なんぢらのうちに遣つかははさん是これ汝なんぢらを?かむべしとヱホバいひたまふ

8:18 嗚呼ああわれ憂うれふいかにして慰藉なぐさめをえんや我わが衷うちの心こころ惱なやむ

8:19 みよ遠とほき國くにより我民わがたみの女むすめの聲こゑありていふヱホバはシオンに在いまさざるか其その王わうはその中うちに在あらざるかと(ヱホバいひたまふ)彼かれらは何故なにゆゑにその偶像ぐうざうと異邦ことくにの?むなしき物ものをもて我われを怒いからせしやと

8:20 收穫かりいれの時ときは過すぎ夏なつもはや畢をはりぬされど我われらはいまだ救すくはれず

8:21 我民わがたみの女むすめの傷いたみによりて我われも傷いたみ且かつ悲かなしむ恐懼おそれ我われに迫せまれり

8:22 ギレアデに乳香にうかうあるにあらずや彼處かしこに醫者いしやあるにあらずやいかにして我民わがたみの女むすめはいやされざるや

  第9章

9:1 ああ我われわが首かうべを水みづとなし我わが目めを涙なみだの泉いづみとなすことをえんものを我民わがたみの女むすめの殺ころされたる者ものの爲ために晝夜ひるよる哭なげかん

9:2 嗚呼ああわれ曠野あらのに旅人たびびとの寓所やどりどころをえんものを我民わがたみを離はなれてさりゆかん彼かれらはみな姦淫かんいんするもの悖もとれる者ものの族ともがらなればなり

9:3 彼かれらは弓ゆみを援ひくがごとく其その舌したをもて僞いつはりをいだす彼かれらは此この地ちにおいて眞實まことのために強つよからず惡あくより惡あくにすすみまた我われを知しらざるなりとヱホバいひたまふ

9:4 汝なんぢらおのおの其その隣となりに心こころせよ何いづれの兄弟きやうだいをも信しんずる勿なかれ兄弟きやうだいはみな欺あざむきをなし隣となりはみな讒そしりまはればなり

9:5 彼かれらはおのおの其その隣となりを欺あざむきかつ眞實まことをいはず其その舌したに?いつはりをかたることを��をしへ惡あくをなすに勞つかる

9:6 汝なんぢの住居すまひは詭譎いつはりの中なかにあり彼かれらは詭譎いつはりのために我われを識しることをいなめりとヱホバいひたまふ

9:7 故ゆゑに萬軍ばんぐんのヱホバかくいひたまへり視みよ我われかれらを鎔とかし試こころむべしわれ我民わがたみの女むすめの事ことを如何いかになすべきや

9:8 彼かれらの舌したは殺ころす矢やのごとしかれら詭いつはりをいふまた其その口くちをもて隣となりにおだやかにかたれども其その心こころの中うちには害がいをはかるなり

9:9 ヱホバいひたまふ我われこれらの事ことのために彼かれらを罰ばつせざらんや我わが心こころはかくのごとき民たみに仇あだを復かへさざらんや

9:10 われ山やまのために泣なき?さけび野のの牧場まきばのために悲かなしむこれらは焚やかれて過すぐる人ひとなしまたここに牛うし羊ひつじの聲こゑをきかず天空そらの鳥とりも獸けものも皆みな逃にげてさりぬ

9:11 われヱルサレムを邱墟くづれづかとし山犬やまいぬの?すとなさんまたユダの諸すべての邑々まちまちを荒あらして住すむ人ひとなからしめん

9:12 智慧ちゑありてこの事ことを曉さとる人ひとは誰たれぞやヱホバの口くちの言ことばを受うけてこれを示しめさん者ものは誰たれぞやこの地ち滅ほろぼされまた野ののごとく焚やかれて過すぐる者ものなきにいたりしは何故なにゆゑぞ

9:13 ヱホバいひたまふ是これ彼かれら我わがその前まへに立たてしところの律法おきてをすて我わが聲こゑをきかず之これに從したがはざるによりてなり

9:14 彼かれらはその心こころの剛愎かたくななるとその列祖せんぞたちがおのれに��をしへしバアルとに從したがへり

9:15 この故ゆゑに萬軍ばんぐんのヱホバ、イスラエルの神かみかくいひたまふ視みよわれ彼等かれらすなはち斯この民たみに茵?いんちんを食くらはせ毒どくなる水みづを飮のませ

9:16 彼かれらもその先祖せんぞたちもしらざりし國人くにびとのうちに彼かれらを散ちらしまた彼かれらを滅ほろぼし盡つくすまで其その後うしろに劍つるぎをつかはさん

9:17 萬軍ばんぐんのヱホバかくいひたまふ汝なんぢらよく考かんがへ哭婦なきをんなをよびきたれ又また人ひとを遣つかはして智かしこき婦をんなをまねけよ

9:18 彼かれらは速すみやかにきたりて我儕われらのために哭哀なきかなしみ我儕われらの目めに涙なみだをこぼさせ我儕われらの目蓋まぶたより水みづを溢あふれしめん

9:19 シオンより哀かなしみの聲こゑきこゆ云いはく嗚呼ああわれら滅ほろぼされ我われら痛いたく辱はづかしめらる我われらは其その地ちを去さり彼かれらはわが住家すみかを毀こぼちたり

9:20 婦をんなたちよヱホバの言ことばをきけ汝なんぢらの耳みみに其その口くちの言ことばをいれよ汝なんぢらの女むすめに哭なくことを��をしへおのおのその隣となりに哀かなしみの歌うたを��をしふべし

9:21 そは死しのぼりてわれらの窓まどよりいり我われらの殿舍やかたに入いり外そとにある諸子こどもらを?たやし街ちまたにある壯年わかきものを殺ころさんとすればなり

9:22 ヱホバかくいへりと汝なんぢ云いふべし人ひとの屍しかばねは糞土ふんどのごとく田野はたけに墮おちんまた收穫者かりいるるもののうしろに殘のこりて斂あつめずにある把たばのごとくならんと

9:23 ヱホバかくいひたまふ智慧ちゑある者ものはその智慧ちゑに誇ほこる勿なかれ力ちからある者ものは其その力ちからに誇ほこるなかれ富者とめるものはその富とみに誇ほこること勿なかれ

9:24 誇ほこる者ものはこれをもて誇ほこるべし即すなはち明哲さとくして我われを識しる事こととわがヱホバにして地ちに仁惠めぐみと公道おほやけと公義ただしきとを行おこなふ者ものなるを知しる事こと是これなり我われこれらを悦よろこぶなりとヱホバいひたまふ

9:25 9:26 ヱホバいひたまひけるは視みよわれすべて陽まへの皮かはに割禮かつれいをうけたる者ものすなはちエジプトとユダとエドムとアンモンの子孫ひとびととモアブと野のにをりてその鬚ひげを剃そる者ものとを罰ばつする日ひきたらんそはすべて異邦人ことくにびとは割禮かつれいをうけずまたイスラエルの家いへも心こころに割禮かつれいをうけざればなり

  第10章

10:1 イスラエルの家いへよヱホバの汝なんぢらに語いひたまふ言ことばをきけ

10:2 ヱホバかくいひたまふ汝なんぢら異邦人ことくにびとの途みちに效ならふ勿なかれ異邦人ことくにびとは天てんにあらはるる徴しるしを懼おそるるとも汝なんぢらはこれを懼おそるる勿なかれ

10:3 異國人ことくにびとの風俗ならはしはむなしその崇あがむる者ものは林はやしより斫きりたる木きにして木匠たくみの手てに斧をのをもて作つくりし者ものなり

10:4 彼かれらは銀ぎんと金きんをもてこれを飾かざり釘くぎと鎚つちをもて之これを堅かためて搖動うごかざらしむ

10:5 こは圓まるき柱はしらのごとくにして言ものいはずまた歩あゆむこと能あたはざるによりて人ひとにたづさへらる是これは災害わざはひをくだし亦または福祉さいはひをくだすの權ちからなきによりて汝なんぢらこれを畏おそるる勿なかれ

10:6 ヱホバよ汝なんぢに比たぐふべき者ものなし汝なんぢは大おほいなり汝なんぢの名なは其その權威ちからのために大おほいなり

10:7 汝なんぢ萬國ばんこくの王わうたる者ものよ誰たれか汝なんぢを畏おそれざるべきや汝なんぢを畏おそるるは當然たうぜんなりそは萬國ばんこくのすべての博士はかせたちのうちにもその諸國くにぐにのうちにも汝なんぢに比たぐふべき者ものなければなり

10:8 彼かれらはみな獸けもののことくまた痴愚おろかなり?むなしき者ものの��をしへは惟ただ木きのみ

10:9 タルシシより携たづさへ來きし銀箔ぎんぱくウパズより携たづさへ來きし金きんは鍛冶かぢと鑄匠いものしの作つくりし物ものなり��あをと紫むらさきをその衣ころもとなす是これはすべて巧たくみみなる細工人さいくにんの工作わざなり

10:10 ヱホバは眞まことの神かみなり彼かれは活いける神かみなり永遠えいゑんの王わうなり其その怒いかりによりて地ちは震ふるふ萬國ばんこくはその憤怒いきどほりにあたること能あたはず

10:11 汝等なんぢらかく彼かれらにいふべし天地てんちを造つくらざりし諸神かみたちは地ちの上うへよりこの天てんの下したより失うせさらんと

10:12 ヱホバはその能ちからをもて地ちをつくり其その智慧ちゑをもて世界せかいを建たてその明哲さとりをもて天てんを舒のべたまへり

10:13 かれ聲こゑをいだせば天てんに衆おほくの水みづありかれ雲くもを地ちの極はてよりいだし電いなびかりと雨あめをおこし風かぜをその府庫くらよりいだす

10:14 すべての人ひとは獸けものの如ごとくにして智ちなしすべての鑄匠いものしはその作つくりし像ざうのために辱はぢをとる其その鑄いるところの像ざうは僞物いつはりものにしてその中うちに靈魂たましひなければなり

10:15 是これらは?むなしき者ものにして迷妄まよひの工作わざなりその罰ばつせらるるときに滅ほろぶべし

10:16 ヤコブの分ぶんは是かくのごとくならず彼かれは萬物ばんもつの造化主つくりぬしなりイスラエルはその?業さんげふの杖つゑなりその名なは萬軍ばんぐんのヱホバといふなり

10:17 圍かこみの中うちに坐ざする者ものよ汝なんぢの包つつみを地ちより取とりあげよ

10:18 ヱホバかくいひたまふみよ我われこの地ちにすめる者ものを此度このたび擲なげうたん且かつかれらをせめなやまして?とらへられしむべし

10:19 われ毀傷いたみをうく嗚呼ああわれは禍わざはひなるかな我わが傷きずは重おもし我われいふこれまことにわが患難なやみなりわれ之これを忍しのぶべし

10:20 わが幕屋まくやはやぶれわが繩索なはは悉ことごとく斷きれ我わが衆子こどもらは我われをすてゆきて居をらずなりぬ幕屋まくやを張はる者ものなくわが幃まくをかくる者ものなし

10:21 牧者ぼくしやは愚おろかにしてヱホバを求もとめず故ゆゑに利達さかえずその群むれはみな散ちれり

10:22 きけよ風聲うはさあり北きたの國くにより大おほいなる騒さわぎきたる是これユダの諸邑まちまちを荒あらして山犬やまいぬの?すとなさん

10:23 ヱホバよわれ知しる人ひとの途みちは自己おのれによらず且かつ歩行あゆむ人ひとは自みづからその歩履あゆみを定さだむること能あたはざるなり

10:24 ヱホバよ我われを懲こらしたまへ但ただ道みちにしたがひ怒いからずして懲こらしたまへおそらくは我われ無むに歸きせん

10:25 汝なんぢを知しらざる國人くにびとと汝なんぢの名なを?よばざる族やからに汝なんぢの怒いかりを斟そそぎたまへ彼かれらはヤコブを噬くらひ之これをくらふて滅ほろぼしその牧場まきばを荒あらしたればなり

  第11章

11:1 ヱホバよりヱレミヤにのぞめる言ことばいふ

11:2 汝なんぢらこの契約けいやくの言ことばをききユダの人ひととヱルサレムにすめる者ものに告つげよ

11:3 汝なんぢかれらに語かたれイスラエルの神かみヱホバかくいひたまふこの契約けいやくの言ことばに遵したがはざる人ひとは詛のろはる

11:4 この契約けいやくはわが汝なんぢらの先祖せんぞをエジプトの地ち鐵てつの爐かまどの中うちより導みちびき出いだせし日ひにかれらに命めいぜしものなり即すなはち我われいひけらく汝なんぢら我わが聲こゑをきき我わが汝なんぢらに命めいぜし諸すべての事ことに從したがひて行おこなはば汝なんぢらは我民わがたみとなり我われは汝なんぢらの神かみとならん

11:5 われ汝なんぢらの先祖せんぞに乳ちちと蜜みつの流ながるる地ちを與あたへんと誓ちかひしことを成就なしとげんと即すなはち今日こんにちのごとしその時とき我われこたへてアーメン、ヱホバといへり

11:6 またヱホバ我われにいひたまひけるは汝なんぢすべて此等これらの言ことばをユダの諸邑まちまちとヱルサレムの衢ちまたにしめし汝なんぢら此この契約けいやくの言ことばをききてこれを行おこなへといふべし

11:7 われ汝なんぢらの列祖せんぞをエジプトの地ちより導出みちびきいだせし日ひより今日こんにちにいたるまで切せちに彼かれらを戒いましめ頻しきりに戒いましめて汝なんぢら我わが聲こゑに遵したがへといへり

11:8 然されど彼かれらは遵したがはずその耳みみを傾かたむけずおのおの其その惡あしき心こころの剛愎かたくななるにしたがひて歩あゆめり故ゆゑにわれ此この契約けいやくの言ことばを彼等かれらにきたらす是こはわがかれらに之これを行おこなへと命めいぜしかども彼等かれらがおこなはざりし者ものなり

11:9 またヱホバ我われにいひたまひけるはユダの人々ひとびととヱルサレムに住すめる者ものの中うちに叛逆はんぎやくの事ことあり

11:10 彼かれらは我わが言ことばをきくことを好このまざりしところのその先祖せんぞの罪つみにかへり亦また他ほかの神かみに從したがひて之これに奉つかへたりイスラエルの家いへとユダの家いへはわがその列祖せんぞたちと締むすびたる契約けいやくをやぶれり

11:11 この故ゆゑにヱホバかくいひ給たまふみよわれ災禍わざはひをかれらにくださん彼かれらこれを免まぬかるることをえざるべし彼かれら我われをよぶとも我われ聽きかじ

11:12 ユダの邑まちとヱルサレムに住すめる者ものはゆきてその香かうを焚たきし神かみを?よばんされど是等これらはその災禍わざはひの時ときに?たえてかれらを救すくふことあらじ

11:13 ユダよ汝なんぢの神かみの數かずは汝なんぢの邑まちの數かずのごとし且かつ汝なんぢらヱルサレムの衢ちまたの數かずにしたがひて恥はづべき者ものに壇だんをたてたり即すなはちバアルに香かうを焚たかんとて壇だんをたつ

11:14 故ゆゑに汝なんぢこの民たみの爲ために祈いのる勿なかれ又またその爲ために泣なきあるひは求もとむる勿なかれ彼かれらがその災禍わざはひのために我われを呼よぶときわれ彼かれらに聽きかざるべし

11:15 わが愛あいする者ものは我わが室いへにて何なにをなすや惡あしき謀はかりごとをなすや願ねがひと聖きよき肉にく汝なんぢに災わざはひを脱まぬかれしむるやもし然しからば汝なんぢよろこぶべし

11:16 ヱホバ汝なんぢの名なを嘉果よきみある美うるはしき�憇轎�あをかんらんの樹きと稱よびたまひしがおほいなる喧?さわぎの聲こゑをもて之これに火ひをかけ且かつその枝えだを折をりたまふ

11:17 汝なんぢを植うゑし萬軍ばんぐんのヱホバ汝なんぢの災わざはひをさだめ給たまへりこれイスラエルの家いへとユダの家いへみづから害そこなふの惡あくをなしたるによるなり即すなはちバアルに香かうを焚たきてわれを怒いからせたり

11:18 ヱホバ我われに知しらせたまひければ我われこれを知しるその時とき汝なんぢ彼かれらの作爲わざを我われにしめしたまへり

11:19 我われは牽ひかれて宰ほふられにゆく羔こひつじの如ごとく彼かれらが我われをそこなはんとて謀はかりごとをなすを知しらず彼かれらいふいざ我われら樹きとその果みとを共ともに滅ほろぼさんかれを生いける者ものの地ちより?たちてその名なを人ひとに忘わすれしむべしと

11:20 義ただしき鞫さばきをなし人ひとの心腸しんちやうを察さぐりたまふ萬軍ばんぐんのヱホバよ我われわが訴うつたへを汝なんぢにのべたればわれをして汝なんぢが彼かれらに仇あだを報かへすを見みせしめたまへ

11:21 是ここをもてヱホバ、アナトテの人々ひとびとにつきてかくいひたまふ彼等かれら汝なんぢの生命いのちを取とらんと索もとめて言いふ汝なんぢヱホバの名なをもて預言よげんする勿なかれ恐おそらくは汝なんぢ我われらの手てに死しなんと

11:22 故ゆゑに萬軍ばんぐんのヱホバかくいひ給たまふみよ我われかれらを罰ばつすべし壯丁わかきひとは劍つるぎに死しにその子女むすこむすめは饑饉ききんにて死しなん

11:23 餘のこる者ものなかるべし我われ災わざはひをアナトテの人々ひとびとにきたらしめわが彼かれらを罰ばつするの年としをきたらしめん

  第12章

12:1 ヱホバよわが汝なんぢと爭あらそふ時ときに汝なんぢは義ただし惟ただわれ鞫さばきの事ことにつきて汝なんぢと言いはん惡人あくにんの途みちのさかえ悖もとれる者もののみな福さいはひなるは何故なにゆゑぞや

12:2 汝なんぢかれらを植うゑたり彼かれらは根ねづき成長そだちて實みを結むすべりその口くちは汝なんぢに近ちかづけどもその心こころは汝なんぢに遠とほざかる

12:3 ヱホバ汝なんぢわれを知しり我われを見みまたわが心こころの汝なんぢにむかひて何いかなるかを試こころみたまふ羊ひつじを宰ほふりに牽ひきいだすがごとく彼かれらを牽ひきいだし殺ころす日ひの爲ためにかれらをそなへたまへ

12:4 いつまでこの地ちは哭なげきすべての畑はたけの蔬菜あをものは枯かれをるべけんやこの地ちに住すめる者ものの惡あくによりて畜獸けものと鳥とりは滅ほろぼさる彼かれらいふ彼かれは我われらの終をはりをみざるべしと

12:5 汝なんぢもし歩行者かちのものとともに趨はしりてつかれなばいかで騎馬者うまにのれるものと競きそはんや汝なんぢ平安おだやかなる地ちを恃たのまばいかでヨルダンの傍ほとりの叢くさむらに居をることをえんや

12:6 汝なんぢの兄弟きやうだいと汝なんぢの父ちちの家いへも汝なんぢを欺あざむきまた大聲おほごゑをあげて汝なんぢを追おふかれらしたしく汝なんぢに語かたるともこれを信しんずる勿なかれ

12:7 われ我わが家いへを離はなれわが?業さんげふをすて我わが靈魂たましひの愛あいするところの者ものをその敵てきの手てにわたせり

12:8 わが?業さんげふは林はやしの獅子ししのごとし我われにむかひて其その聲こゑを揚あぐ故ゆゑにわれ之これを惡にくめり

12:9 我わが?業さんげふは我われにおけること班駁まだらある鳥とりのごとくならずや鳥とり之これを圍かこむにあらずや野ののすべての獸けものきたりあつまれ來きたりてこれを食くらへ

12:10 衆おほくの牧者ぼくしやわが葡萄ぶだう園ばたけをほろぼしわが地ちを踐踏ふみあらしわがうるはしき地ちを荒野あれのとなせり

12:11 彼かれらこれを荒地あれちとなせりその荒地あれち我われにむかひて哭なげくなり一人ひとりもかへりみる者ものなければこの全地ぜんちは荒あれたり

12:12 毀滅者ほろぼすものは野ののすべての童山はげやまのうへに來きたれりヱホバの劍つるぎ地ちのこの極はてよりかの極はてまでを滅ほろぼすすべて血氣いのちある者ものは安やすきをえず

12:13 彼かれらは麥むぎを播まきて荊棘いばらをかる勞ほねをれども得うるところなし汝なんぢらはその作物つくりもののために恥はづるにいたらん是これヱホバの烈はげしき怒いかりによりてなり

12:14 わがイスラエルの民たみに嗣つがしむる?業さんげふをせむるところのすべてのわが惡あしき隣となりにむかひてヱホバかくいふみよわれ彼等かれらをその地ちより拔出ぬきいだしまたユダの家いへを彼かれらの中うちより拔出ぬきいだすべし

12:15 われ彼かれらを拔出ぬきいだせしのちまた彼かれらを恤あはれみておのおのを其その?業さんげふにかへし各人おのおのをその地ちに歸かへらしめん

12:16 彼等かれらもし我民わがたみの道みちをまなび我わが名なをさしてヱホバは活いくと誓ちかふこと嘗かつて我民わがたみを��をしへてバアルを指さして誓ちかはしめし如ごとくせば彼かれらはわが民たみの中うちに建たてらるべし

12:17 されど彼かれらもし聽きかざれば我われかならずかかる民たみを全まつたく拔出ぬきいだして滅ほろぼすべしとヱホバいひたまふ