文語訳舊約聖書(1953年版)(振り仮名付き)
章: 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20
歴代志略上
10:1 茲にペリシテ人イスラエルと戰ひけるがイスラエルの人々はペリシテ人の前より逃げギルボア山に殺されて倒れたり
10:2 ペリシテ人はサウルとその子等を追撃しかしてペリシテ人サウルの子ヨナタン、アビナダブおよびマルキシユアを殺せり
10:3 斯その戰闘烈しうしてサウルにおし迫り射手の者等つひにサウルに追つきければサウルは射手の者等のために惱めり
10:4 サウル是におひてその武器を執る者に言けるは汝の劍をぬき其をもて我を刺せ恐らくはこの割禮なき者等きたりて我を辱しめんと然るにその武器を執る者痛くおそれて肯はざりければサウルすなはちその劍をとりてその上に伏たり
10:5 武器を執る者サウルの死たるを見て己もまた劍の上に伏て死り
10:6 斯サウルとその三人の子等およびその家族みな共に死り
10:7 谷に居るイスラエルの人々みな彼らの逃るを見またサウルとその子等の死るを見てその邑々を棄て逃ければペリシテ人來りてその中に住り
10:8 明る日ペリシテ人殺されたる者を剥んとて來りサウルとその子等のギルボア山にたふれをるを見
10:9 すなはちサウルを剥てその首とその鎧甲を取りペリシテの國の四方に人を遣はしてこの事をその偶像と民に告しめ
10:10 しかしてかれが鎧甲をその神の室に蔵め彼が首をダゴンの宮に釘けたり
10:11 茲にペリシテ人がサウルになしたる事ことごとくヤベシギレアデ中に聞えければ
10:12 勇士等みな起りサウルの體とその子等の體とを奪ひ取てこれをヤベシに持きたりヤベシの橡樹の下にその骨を葬りて七日のあひだ斷食せり
10:13 斯サウルはヱホバにむかひて犯せし罪のために死たり即ち彼はヱホバの言を守らすまた憑鬼者に問ことを爲して
10:14 ヱホバに問ことをせざりしなり是をもてヱホバかれを殺しその國を移してヱツサイの子ダビデに與へたまへり
11:1 茲にイスラエルの人みなヘブロンに集まりてダビデの許に詣り言けるは我らは汝の骨肉なり
11:2 前にサウルが王たりし時にも汝はイスラエルを率ゐで出入する者なりき又なんぢの神ヱホバ汝にむかひて汝はわが民イスラエルを牧養ふ者となり我民イスラエルの君とならんと言たまへりと
11:3 斯イスラエルの長老みなヘブロンにきたりて王の許にいたりければダビデ、ヘブロンにてヱホバの前に彼らと契約をたてたり彼らすなはちダビデに膏をそそぎてイスラエルの王となしサムエルによりて傳はりしヱホバの言のごとくせり
11:4 かくてダビデはイスラエルの人々を率ゐてエルサレムに往りヱルサレムは即ちヱブスなりその國の土人ヱブス人其處に居り
11:5 是においてヱブスの民ダビデに言けるは汝は此に入べからずと然るにダビデはシオンの城を取り是すなはちダビデの邑なり
11:6 この時ダビデいひけるは誰にもあれ第一にエブス人を撃やぶる者を首となし將となさんと斯てゼルヤの子ヨアブ先登して首となれり
11:7 ダビデその城に住たればこれをダビデの邑と稱へたり
11:8 ダビデまたその邑の四方すなはちミロ(城塞)より内の四方に建築をなせり邑の中のその餘の處はヨアブこれを修理へり
11:9 斯てダビデはますます大になりゆけり萬軍のヱホバこれとともに在したればなり
11:10 ダビデが有る勇士の重なる者は左のごとし是等はイスラエルの一切の人とともにダビデに力をそへて國を得させ終にこれを王となしてヱホバがイスラエルにつきて宣ひし言を果せり
11:11 ダビデの有る勇士の數は是のごとし第一は三十人の長たるハクモニ人の子ヤシヨベアム彼は槍を揮ひて一時に三百人を衝殺せし事あり
11:12 彼の次はアホア人ドドの子エレアザルにして三勇士の中なり
11:13 彼ダビデとともにパスダミムに在けるにペリシテ人其處に集りきて戰へり其處に大麥の滿たる地一箇所あり時に民ペリシテ人の前より逃たりしが
11:14 彼その地所の中に踐とどまり之を護りてペリシテ人を殺せり而してヱホバ大なる拯救をほどこして之を救ひたまへり
11:15 三十人の長なる三人の者アドラムの洞穴に下り磐の處に往てダビデに詣りし事あり時にペリシテ人の軍兵はレパイムの谷に陣どれり
11:16 その時ダビデは砦に居りペリシテ人の鎮臺兵はベテレヘムにありけるが
11:17 ダビデ慕ひ望みて言けるは誰かベテレヘムの門にある井の水を持來りて我に飮せよかし
11:18 この三人すなはちペリシテ人の軍兵の中を衝とほりてベテレヘムの門にある井の水を汲取てダビデの許に携へきたれり然どダビデこれを飮ことをせす之をヱホバの前に灌ぎて
11:19 言けるは我神よ我決てこれを爲じ我いかで命をかけし此三人の血を飮べけんやと彼らその命をかけて之を携へきたりたればなり故にダビデこれを飮ことを爲ざりき此三勇士は是らの事を爲り
11:20 ヨアブの兄弟アビシヤイは三人の長たり彼は槍を揮ひて三百人を衝ころし三人の中に名を得たり
11:21 彼は第二の三人の中にて尤も貴くしてその首にせらる然ど第一の三人には及ばざりき
11:22 ヱホヤダの子カブジエルのベナヤは勇氣あり衆多の功績ありし者なり彼はモアブのアリエルの二人の子を撃殺せりまた雪の日に下りゆきて穴の中にて獅子一匹を撃殺せし事ありき
11:23 彼はまた長身五キユビト程なるエジプト人を殺せりそのエジプト人は機織の滕のごとき槍を手に執をりしに彼は杖をとりて之が許に下りゆきエジプト人の手よりその槍を捩とりてその槍をもて之を殺せり
11:24 ヱホヤダの子ベナヤ是等の事を爲し三勇士の中に名を得たり
11:25 彼は三十人の中にて尊かりしかども第一の三人には及ばざりきダビデかれを親兵の長となせり
11:26 軍兵の中の勇士はヨアブの兄弟アサヘル、ベテレヘムのドドの子エルハナン
11:27 ハロデ人シヤンマ、ペロニ人ヘレヅ
11:28 テコア人イツケシの子イラ、アナトテ人アビエゼル
11:29 ホシヤ人シベカイ、アホア人イライ
11:30 ネトパ人マハライ、ネトパ人バナアの子ヘレデ
11:31 ベニヤミンの子孫のギベアより出たるリバイの子イツタイ、ピラトン人ベナヤ
11:32 ガアシの谷のホライ、アルバテ人アビエル
11:33 バハルム人アズマウテ、シヤルボニ人エリヤバ
11:34 ギゾニ人ハセム、ハラリ人シヤゲの子ヨナタン
11:35 ハラリ人サカルの子アヒアム、ウルの子エリパル
11:36 メケラ人へペル、ペロニ人アヒヤ
11:37 カルメル人ヘヅライ、エズバイの子ナアライ
11:38 ナタンの兄弟ヨエル、ハグリの子ミブハル
11:39 アンモニ人ゼレク、ゼルヤの子ヨアブの武器を執る者なるベエロテ人ナハライ
11:40 エテリ人イラ、エテリ人ガレブ
11:41 ヘテ人ウリヤ、アヘライの子ザバデ
11:42 ルベン人シザの子アデナ是はルベン人の軍長の一人にして從者三十人を率ゐたり
11:43 マアカの子ハナン、ミテニ人ヨシヤバテ
11:44 アシテラ人ウジヤ、アロエル人ホタンの子等シヤマとヱイエル
11:45 デジ人シムリの子エデアエルおよびその兄弟ヨハ、
11:46 マハウ人エリエル、エルナアムの子等エリバイおよびヨシヤワヤ、モアブ人イテマ
11:47 エリエル、オベデ、ソメバ人ヤシエル
12:1 ダビデがキシの子サウルの故によりて尚チクラグに閉こもり居ける時に彼處にゆきてダビデに就し者は左のごとしその人々は勇士の中にしてダビデを助けて戰ひたる者
12:2 能く弓を彎き右左の手を用ゐて善く石を投げ弓矢を發つ者なりしが倶にベニヤミン人にしてサウルの宗族たり
12:3 首はアヒエゼル次はヨアシ是らはギベア人シマアの子等なり又ヱジエルおよびペレテ是らはアズマウラの子等なり又ベラカおよびアナトテ人ヱヒウ
12:4 またギベオン人イシマヤ彼は三十人の中の勇士にして三十人の首なり又エレミヤ、ヤハジエル、ヨハナン、ゲデラ人ヨザバデ
12:5 エルザイ、エリモテ、ベアリヤ、シマリヤ、ハリフ人シバテヤ
12:6 エルカナ、エシヤ、アザリエル、ヨエゼル、ヤシヨベアム是等はコラ人なり
12:7 またゲドルのエロハムの子等たるヨエラおよひゼバデヤ
12:8 ガド人の中より曠野の砦に脱きたりてダビデに歸せし者あり是みな大勇士にして善戰かふ軍人能く楯と戈とをつかふ者にてその面は獅子の面のごとくその捷きことは山にをる鹿のごとくなりき
12:9 その首はエゼルその二はオバデヤその三はエリアブ
12:10 その四はミシマンナその五はヱレミヤ
12:11 その六はアツタイその六はエリエル
12:12 その八はヨハナンその九はエルザバデ
12:13 その十はヱレミヤその十一はマクバナイ
12:14 是等はガドの人々にして軍旅の長たりそ最も小き者は百人に當りその最も大なる者は千人に當れり
12:15 正月ヨルダンその全岸に溢れたる時に是らの者濟りゆきて谷々に居る者をことごとく東西に打奔らせたり
12:16 茲にベニヤミンとユダの子孫の中の人々砦に來りてダビデに就きけるに
12:17 ダビデこれを出むかへ應へて之に言けるは汝ら厚志をもて我を助けんとて來れるならば我心なんぢらと相結ばん然ど汝らもし我手に惡きこと有ざるに我を欺きて敵に付さんとせば我らの先祖の神ねがはくは之を監みて責たまへと
12:18 時に聖霊三十人の長アマサイに臨みて彼すなはち言けるはダビデよ我らは汝に屬すヱツサイの子よ我らは汝を助けん願くは平安あれ汝にも平安あれ汝を助くる者にも平安あれ汝の神汝を助けたまふなりと是においてダビデ彼らを接いれて軍旅の長となせり
12:19 前にダビデ、ペリシテ人とともにサウルと戰はんとて攻きたれる時マナセ人數人ダビデに屬り但しダビデ等は遂にペリシテ人を助けざりき其はペリシテ人の君等あひ謀り彼は我らの首級をもてその主君サウルに歸らんと言て彼を去しめたればなり
12:20 斯てダビデ、チクラグに往る時マナセ人アデナ、ヨザバデ、ヱデアエル、ミカエル、ヨザバデ、エリウ、ヂルタイこれに歸せり皆マナセ人の千人の長たる者なりき
12:21 彼等ダビデを助けて敵軍に當れり彼らは皆大勇士にして軍旅の長となれり
12:22 當時ダビデに歸して之を助くる者日々に加はりて終に大軍となり神の軍旅のごとくなれり
12:23 戰爭のために身をよろひヘブロンに來りてダビデに就きヱホバの言のごとくサウルの國をダビデに歸せしめんとしたる武士の數は左のごとし
12:24 ユダの子孫にして楯と戈とを執り戰爭のために身をよろへる者は六千八百人
12:25 シメオンの子孫にして善戰かふ大勇士は七千一百人
12:26 レビの子孫たる者は四千六百人
12:27 ヱホヤダ、アロン人を率ゐたり之に屬する者は三千七百人
12:28 またザドクといふ年若き勇士ありきその宗家の長たる者二十二人ありたり
12:29 サウルの宗族ベニヤミンの子孫たる者は三千人是ベニヤミン人は多くサウルの家に尚も忠義を盡しゐたればなり
12:30 エフライムの子孫たる者は二萬八百人皆大勇士にしてその宗家の名ある人々たり
12:31 マナセの半支派の者は一萬八千人皆名を録されたる者なるが來りてダビデを王にたてんとす
12:32 イツサカルの子孫たる者の中より善く時勢に通じイスラエルの爲べきことを知る者きたれりその首二百人ありその兄弟等は皆これが指揮にしたがへり
12:33 ゼブルンの者は五萬人皆よく身をよろひ各種の武器をもて善く戰闘をなし一心に行伍を守る者なりき
12:34 ナフタリの者は將たる者千人楯と戈とを執てこれに從ふ者三萬七千人
12:35 ダン人は二萬八千六百人にして皆そなへを守る者なりき
12:36 アセルの者は四萬人にして皆よく陣にのぞみ且行伍を守る者なりき
12:37 またヨルダンの彼旁なるルベン人とガド人とマナセの半支派の者は十二萬人みな各種の武器を執て戰爭にいづるに勝る者なりき
12:38 是等の行伍を守る軍人等眞實の心を懐きてヘブロンに來りダビデをもてイスラエル全國の王となさんとせり其餘のイスラエル人もまた心を一にしてダビデを王となさんとせり
12:39 彼ら彼處に三日をりてダビデとともに食ひかつ飮り其はその兄弟等これがために備をなしたればなり
12:40 また近處の者よりイツサカル、ゼブルンおよびナフタリの者に至るまでパンと麥粉の食物と乾無花果と乾葡萄と酒と油等を驢馬駱駝牛馬に載きたりかつ牛羊を多く携へいたれり是イスラエルみな喜びたればなり
13:1 茲にダビデ千人の長百人の長などの諸將とあひ議り
13:2 而してダビデ、イスラエルの全會衆に言けるは汝らもし之を善とし我らの神ヱホバこれを允したまはば我ら?く人を遣してイスラエルの各地に留まれる我らの兄弟ならびにその諸郊地の邑々にをる祭司とレビ人とに至らせ之をして我らの所に集まらしめん
13:3 而して我らまた我らの神の契約の櫃を我らの所に移さんサウルの世には我ら之に就て詢ことをせざりしなりと
13:4 會衆みな然すべしと言り其は民みな此事を善と觀たればなり
13:5 是においてダピデはキリアテヤリムより神の契約の櫃を舁きたらんとてエジプトのジホルよりハマテの入口までのイスラエル人をことごとく召あつめ
13:6 而してダビデ、イスラエルの一切の人とともにバアラといふユダのキリアテヤリムに上り往きケルビムの上に坐したまふヱホバ神の名をもて稱らるる契約の櫃を其處より舁のぼらんとし
13:7 乃ち神の契約の櫃を新しき車に載てアビナダブの家より牽いだしウザとアヒオその車を御せり
13:8 ダビデおよびイスラエルの人はみな歌と琴と瑟と?鼓と鐃?と喇叭などを以て力をきはめ歌をうたひて神の前に踊れり
13:9 かくてキドンの禾場に至れる時ウザ手を神の契約の櫃に伸してこれを扶へたり其は牛これを振たればなり
13:10 ウザその手を伸て契約の櫃につけたるによりてヱホバこれに向ひて忿怒を發してこれを撃たまびければ其處にて神の前に死り
13:11 ヱホバ、ウザを撃たまひしに因てダビデ怒れり其處は今日までペレヅウザ(ウザ撃)と稱へらる
13:12 その日ダビデ神を畏れて言り我なんぞ神の契約の櫃を我所に舁ゆくべけんやと
13:13 ダビデその契約の櫃を己のところダビデの城邑にうつさず之を轉らしてガテ人オベデエドムの家に舁いらしめたり
13:14 神の契約の櫃オベデエドムの家にありて其家族とともにおかかるること三月なりきヱホバ、オベデエドムの家とその一切の所有を祝福たまへり
14:1 茲にツロの王ヒラム使者をダビデに遣はし之がために家を建させんとて香柏および木匠と石工をおくれり
14:2 ダビデはヱホバの固く己をたててイスラエルの王となしたまへるを暁れり其はその民イスラエルの故によりてその國振ひ興りたればなり
14:3 ダビデ、ヱルサレムにおいてまた妻妾を納たり而してダビデまた男子女子を得たり
14:4 そのヱルサレムにて得たる子等の名は左のごとしシヤンマ、シヨバブ、ナタン、ソロモン
14:5 イブハル、エリシユア、エルバレテ
14:6 ノガ、ネベグ、ヤピア
14:7 エリシヤマ、ベエリアダ、エリバレテ
14:8 茲にダビデの膏そそがれてイスラエル全國の王となれる事ペリシテ人に聞えければペリシテ人みなダビデを獲んとて上れりダビデは聞て之に當らんとて出たりしが
14:9 ペリシテ人すでに來りてレバイムの谷を侵したりき
14:10 時にダビデ神に問て言けるは我ペリシテ人にむかひて攻上るべきや汝彼らを吾手に付し給ふやヱホバ、ダビデに言たまひけるは攻上れ我かれらを汝の手に付さんと
14:11 是において皆バアルベラジムに上りゆきけるがダビデつひに彼處にて彼らを打敗り而してダビデ言り神水の破壞り出るごとくに我手をもてわが敵を敗りたまへりと是をもてその處の名をバアルペラジム(破壞の處)と呼ぶなり
14:12 彼ら其處にその神々を遺ゆきたればダビデ命じて火をもてこれを焚せたり
14:13 斯て後ペリシテ人復谷を侵しければ
14:14 ダビデまた神に問に神これに言たまひけるは彼らを追て上るべからず彼らを離れて回りベカの樹の方よりこれを襲へ
14:15 汝ベカの樹の上に進行の音あるを聞ば即ち進んで戰ふべし神汝のまへに進みいでペリシテ人の軍勢を撃たまふべければなりと
14:16 ダビデすなはち神の己に命じたまひし如くしてペリシテ人の軍勢を撃やぶりつつギベオンよりガゼルにまでいたれり
14:17 是においてダビデの名諸の國々に聞えわたりヱホバ諸の國人に彼を懼れしめたまへり
15:1 ダビデはダビデの邑の中に自己のために家を建て又神の契約の櫃のために處を備へてこれがために幕屋を張り
15:2 而してダビデ言けるは神の契約の櫃を舁べき者は只レビ人のみ其はヱホバ神の契約の櫃を舁しめまた己に永く事しめんとてレビ人を擇びたまひたればなりと
15:3 ダビデすなはちヱホバの契約の櫃をその之がために備へたる處に舁のぼらんとてイスラエルをことごとくエルサレムに召集めたり
15:4 ダビデまたアロンの子孫とレビ人を集めたり
15:5 即ちコハテの子孫の中よりはウリエルを長としてその兄弟百二十人
15:6 メラリの子孫の中よりはアサヤを長としてその兄弟二百二十人
15:7 ゲルシヨンの子孫の中よりはヨエルを長としてその兄弟百三十人
15:8 エリザバンの子孫の中よりはシマヤを長としてその兄弟二百人
15:9 ヘブロンの子孫の中よりはエリエルを長としてその兄弟八十人
15:10 ウジエルの子孫の中よりはアミナダブを長としてその兄弟百十二人
15:11 ダビデ祭司ザドクとアビヤタルおよびレビ人ウリエル、アサヤ、ヨエル、シマヤ、エリエル、アミナダブを召し
15:12 これに言けるは汝らはレビ人の宗家の長たり汝らと汝らの兄弟共に身を潔めイスラエルの神ヱホバの契約の櫃を我が其の爲に備へたる處に舁のぼれよ
15:13 前には之をかきしもの汝らにあらざりしに縁て我らの神ヱホバわれらを撃たまへり是は我らそのさだめにしたがひて之に求めざりしが故なりと
15:14 是において祭司等とレビ人等イスラエルの神ヱホバの契約の櫃を舁のぼらんと身を潔め
15:15 レビの子孫たる人々すなはちモーセがヱホバの言にしたがひて命じたるごとく神の契約の櫃をその貫ける枉によりて肩に負り
15:16 ダビデまたレビ人の長等に告げその兄弟等を選びて謳歌者となし瑟と琴と鐃?などの樂器をもちて打はやして歓喜の聲を擧しめよと言たれば
15:17 レビ人すなはちヨエルの子ヘマンとその兄弟ベレキヤの子アサフおよびメラリの子孫たる彼らの兄弟クシャヤの子エタンを選べり
15:18 また之に次るその兄弟等これと偕にあり即ちゼカリヤ、ベン、ヤジエル、セミラモテ、ヱイエル、ウンニ、エリアブ、ベナヤ、マアセヤ、マツタテヤ、エリペレホ、ミクネヤおよび門を守る者なるオベデエドムとヱイエル
15:19 謳歌者ヘマン、アサフおよびエタンは銅の鐃?をもて打はやす者となり
15:20 ゼカリヤ、アジエル、セミラモテ、ヱイエル、ウンニ、エリアブ、マアセヤ、ベナヤは瑟をもて細き音を出し
15:21 マツタテヤ、エリペレテ、ミクネヤ、オベデエドム、ヱイエル、アザジヤは琴をもて太き音を出して拍子をとれり
15:22 ケナニヤはレビ人の長にして負舁事に通じをるによりて負舁事を指揮せり
15:23 またベレキヤとエルカナは契約の櫃の門を守り
15:24 祭司シバニヤ、ヨシヤパテ、ネタネル、アマサイ、ゼカリヤ、ベナヤ、ヱリエゼル等は神の契約の櫃の前に進みて喇叭を吹きオベデエドムとヱヒアは契約の櫃の門を守れり
15:25 斯ダビデとイスラエルの長老および千人の長等は往てオベデエドムの家よりヱホバの契約の櫃を歓び勇みて舁のぼれり
15:26 神ヱホバの契約の櫃を舁ところのレビ人を助けたまひければ牡牛七匹牡羊七匹を献げたり
15:27 ダビデは細布の衣をまとへり又契約の櫃を舁ところの一切のレビ人と謳歌者および負舁事を主どれるケナニヤも然りダビデはまた白布のエポデを着居たり
15:28 斯てイスラエルみな聲を擧げ角を吹ならし喇叭と鐃?と瑟と琴とをもて打はやしてヱホバの契約の櫃を舁のぼれり
15:29 ヱホバの契約の櫃ダビデの邑にいりし時サウルの女ミカル?より窺ひてダビデ王の舞躍るを見その心にこれを藐視めり
16:1 人々神の契約の櫃を舁いりて之をダビデがその爲に張たる幕屋の中に置ゑ而して燔祭と酬恩祭を神の前に献げたり
16:2 ダビデ燔祭と酬恩祭を献ぐることを終しかばヱホバの名をもて民を祝し
16:3 イスラエルの衆庶に男にも女にも都てパン一箇肉一片乾葡萄一塊を分ち與へたり
16:4 ダビデまたレビ人を立てヱホバの契約の櫃の前にて職事をなさしめ又イスラエルの神ヱホバを崇め讃めかつ頌へしめたり
16:5 伶長はアサフその次はゼカリヤ、ヱイエル、セミラモテ、ヱヒエル、マツタテヤ、エリアブ、ベナヤ、オベデエドム、ヱイエルこれは瑟と琴とを弾じアサフは鐃?を打鳴し
16:6 また祭司ベナヤとヤハジエルは喇叭をとりて恒に神の契約の櫃の前に侍れり
16:7 當日ダビデ始めてアサフとその兄弟等を立てヱホバを頌へしめたり其言に云く
16:8 ヱホバに感謝しその名をよびその作たまへることをもろもろの民輩の中にしらしめよ
16:9 ヱホバにむかひてうたへヱホバを讃うたへそのもろもろの奇しき跡をかたれ
16:10 そのきよき名をほこれヱホバをたづぬるものの心はよろこぶべし
16:11 ヱホバとその能力とをたづねよ恒にその聖顔をたづねよ
16:12 16:13 その僕イスラエルの裔よヤコダの子輩よそのえらびたまひし所のものよそのなしたまへる奇しき跡とその異事とその口のさばきとを心にとむれ
16:14 彼はわれらの神ヱホバなりそのおほくの審判は全地にあり
16:15 なんぢらたえずその契約をこころに記よ此はよろづ代に命じたまひし聖言なり
16:16 アブラハムとむすびたまひし契約イサクに與へたまひし誓なり
16:17 之をかたくしヤコブのために律法となしイスラエルのためにとこしへの契約となして
16:18 言たまひけるは我なんぢにカナンの地をたまひてなんぢらの嗣業の分となさん
16:19 この時なんぢらの數おほからず甚すくなくしてかしこにて旅人となり
16:20 この國よりかの國にゆきこの國よりほかの民にゆけり
16:21 人のかれらを虐ぐるをゆるしたまはずかれらの故によりて王たちを懲しめて
16:22 宣給くわが受膏者たちにふるるなかれわが預言者たちをそこなふなかれ
16:23 全地よヱホバにむかひて謳へ日ごとにその拯救をのべつたへよ
16:24 もろもろの國のなかにその榮光をあらはしもろもろの民のなかにその奇しきみわざを顯すべし
16:25 そはヱホバはおほいなり大にほめたたふべきものなりまたもろもろの神にまさりて畏るべきものなり
16:26 もろもろの民のすべての神はことごとく虚しされどヱホはもろもろの天をつくりたまへり
16:27 尊貴と稜威とはその前にあり能とよろこびとはその聖所にあり
16:28 もろもろのたみの諸族よ榮光とちからとをヱホバにあたへよヱホバにあたへよ
16:29 その聖名にかなふ榮光をもてヱホバにあたへ献物をたづさへて其前にきたれきよき美はしき物をもてヱホバを拝め
16:30 全地よその前にをののけ世界もかたくたちて動かさるることなし
16:31 天はよろこび地はたのしむべしもろもろの國のなかにいへヱホバは統治たまふ
16:32 海とそのなかに盈るものとはなりどよみ田畑とその中のすべての物とはよろこぶべし
16:33 かくて林のもろもろの樹もまたヱホバの前によろこびうたはんヱホバ地をさばかんとて來りたまふ
16:34 ヱホバに感謝せよそのめぐみはふかくその憐憫はかぎりなし
16:35 汝ら言へ我らの拯救の神よ我らを救ひ我らを取り集め列邦のなかより救ひいだしたまへ我らは聖名に謝しなんぢのほむべき事をほこらん
16:36 イスラエルの神ヱホバは窮なきより窮なきまでほむべきかなすべての民はアーメンととなへてヱホバを讃稱へたり
16:37 ダビデはアサフとその兄弟等をヱホバの契約の櫃の前に留めおきて契約の櫃の前に常に侍りて日々の事を執行なはせたり
16:38 オベデエドムとその兄弟等は合せて六十八人またヱドトンの子なるオベデエドムおよびホサは司門たり
16:39 祭司ザドクおよびその兄弟たる祭司等はギベオンなる崇邱においてヱホバの天幕の前に侍り
16:40 燔祭の壇の上にて朝夕斷ず燔祭をヱホバに献げ且ヱホバがイスラエルに命じたまひし律法に記されたる諸の事を行へり
16:41 またヘマン、ヱドトンおよびその餘の選ばれて名を記されたる者等彼らとともにありてヱホバの恩寵の世々限なきを讃まつれり
16:42 即ちヘマンおよびヱドトンかれらとともに居て喇叭鐃?など神の樂器を操て樂を奏せり又ヱドトンの子等は門を守れり
16:43 かくて民みな各々その家にかへれり又ダビデはその家族を祝せんとて還りゆけり
17:1 ダビデその家に住にいたりてダビデ預言者ナタンに言けるは觀よ我は香柏の家に住む然れどもヱホバの契約の櫃は幕の下にありと
17:2 ナタン、ダビデに言けるは神なんぢとともに在せば凡て汝の心にある所を爲せ
17:3 その夜神の言ナタンに臨みて曰く
17:4 往てわが僕ダビデに言へヱホバかく言ふ汝は我ために我の住べき家を建べからず
17:5 我はイスラエルを導びき上りし日より今日にいたるまで家に住しこと無して但幕屋より幕屋に移り天幕より天幕に遷れり
17:6 我イスラエルの人々と共に歩みたる處々にて我わが民を牧養ふことを命じたるイスラエルの士師の一人にもなんぢ何故に香柏の家を我ために建ざるやと一言にても言し事ありや
17:7 然ば汝わが僕ダビデに斯言べし萬軍のヱホバかく言ふ我なんぢを牧場より取り羊に隨がふ處より取て我民イスラエルの君長と爲し
17:8 汝が凡て往る處にて汝と偕にあり汝の諸の敵を汝の前より斷されり我また世の中の大なる人の名のごとき名を汝に得させん
17:9 かつ我わが民イスラエルのために處を定めて彼らを植つけ彼らをして自己の處に住て重て動くこと無らしめん
17:10 又惡人昔のごとく即ち我民イスラエルの上に士師を立たる時より已來のごとく重ねて彼らを荒すこと無るべし我汝の諸の敵を圧服ん且今我汝に告ぐヱホバまた汝のために家を建ん
17:11 汝の日の滿汝ゆきて先祖等と偕になる時は我汝の生る汝の子を汝の後に立て且その國を堅うせん
17:12 彼わが爲に家を建ん我ながく彼の位を堅うせん
17:13 我は彼の父となり彼はわが子となるべし我は汝の先にありし者より取たるごとくに彼よりは我恩惠を取さらじ
17:14 却て我かれを永く我家に我國に居置ん彼の位は何時までも堅く立べし
17:15 ナタン凡て是等の言のごとく凡てこの異象のごとくダビデに語りければ
17:16 ダビデ王入てヱホバの前に坐して言けるはヱホバ神よ我は誰わが家は何なれば汝此まで我を導きたまひしや
17:17 神よ是はなほ汝の目には小き事たりヱホバ神よ汝はまた僕の家の遥後の事を語り高き者のごとくに我を見?たまへり
17:18 僕の名譽についてはダビデこの上何をか汝に望むべけん汝は僕を知たまふなり
17:19 ヱホバよ汝は僕のため又なんぢの心に循ひて此もろもろの大なる事を爲し此すべての大なる事を示たまへり
17:20 ヱホバよ我らが凡て耳に聞る所に依ば汝のごとき者は無くまた汝の外に神は無し
17:21 地の何の國か汝の民イスラエルに如ん是は在昔神の往て贖ひて己の民となして大なる畏るべき事を行なひて名を得たまひし者なり汝はそのエジプトより贖ひいだせし汝の民の前より國々の人を逐はらひたまへり
17:22 而して汝は汝の民イスラエルを永く汝の民となしたまふヱホバよ汝は彼らの神となりたまへり
17:23 然ばヱホバよ汝が僕とその家につきて宣まひし言を永く堅うして汝の言し如く爲たまへ
17:24 願くは汝の名の堅く立ち永久に崇められて萬軍のヱホバ、イスラエルの神はイスラエルに神たりと曰れんことを願くは僕ダビデの家の汝の前に堅く立んことを
17:25 我神よ汝は僕の耳に示して之が爲に家を建んと宣へり是によりて僕なんぢの前に祈る道を得たり
17:26 ヱホバよ汝は即ち神にましまし此恩典を僕に傳たまへり
17:27 願くは今僕の家を祝福て汝の前に永く在しめたまへ其はヱホバよ汝の祝福たまへる者は永く祝福を蒙ればなり
18:1 此後ダビデ、ベリシテ人を撃てこれを服し又ペリシテ人の手よりガテとその郷里を取り
18:2 彼またモアダを撃ければモアブ人はダビデの臣となりて貢を納たり
18:3 ダビデまたハマテの邊にてゾバの王ハダレゼルを撃り是は彼がユフラテ河の邊にてその權勢を振はんとて往る時なりき
18:4 而してダビデ彼より車千輛騎兵七千歩兵二萬を取りダビデまた一百の車の馬を存してその餘の車馬は皆その足の筋を切り
18:5 その時ダマスコのスリア人ゾバの王ハダレゼルを援けんとて來りければダビデそのスリア人二萬二千を殺せり
18:6 而してダビデ、ダマスコのスリアに鎮臺を置ぬスリア人は貢を納てダビデの臣となれりヱホバ、ダビデを凡てその往く處にて助たまへり
18:7 ダビデ、ハダレゼルの臣僕等の持る金の楯を奪ひて之をヱルサレムに持きたり
18:8 またハダレゼルの邑テブハテとクンより甚だ衆多の銅を取きたれりソロモンこれを用て銅の海と柱と銅の器具を造れり
18:9 時にハマテの王トイ、ダビデがゾバの王ハダレゼルの總の軍勢を撃破りしを聞て
18:10 その子ハドラムをダビデ王に遣し安否を問ひかつこれを賀せしむ其はハダレゼル曾てトイと戰闘をなしたるにダビデ、ハダレゼルと戰ひて之を撃やぶりたればなりハドラム金銀および銅の種々の器を携へきたりければ
18:11 ダビデ王そのエドム、モアブ、アンモンの子孫ペリシテ人アマレクなどの諸の國民の中より取きたりし金銀とともに是等をもヱホバに奉納たり
18:12 ゼルヤの子アビシヤイ鹽谷にてエドム人一萬八千を殺せり
18:13 斯てダビデ、エドムに鎮臺を置エドム人は皆ダビデの臣となりぬヱホバかくダビデを凡その往處にて助けたまへり
18:14 ダビデはイスラエルの全地を治めてその諸の民に公平と正義を行へり
18:15 ゼルヤの子ヨアブは軍旅の長アヒルデの子ヨシヤパテは史官
18:16 アヒトブの子ザドクとアビヤタルの子アビメレクは祭司シヤウシヤは書記官
18:17 ヱホヤダの子ベナヤはケレテ人とペレテ人の長ダビデの子等は王の座側に侍る大臣なりき
19:1 此後アンモンの子孫の王ナハシ死ければその子これに代りて王となりたり
19:2 ダビデ言けるは我ナハシの子ヌンをねんごろに遇らはんかれが父われをねんごろにあしらひたればなりとダビデすなはち彼をその父の故によりて慰めんとて使者を遣はせりダビデの臣僕等アンモンの子孫の地に往きハヌンに詣りてこれを慰めけるに
19:3 アンモンの子孫の牧伯等ハヌンに言けるはダビデ慰籍者を汝につかはしたるに因て彼なんぢの父を尊ぶと汝の目に見ゆるや彼の臣僕等は此國を窺ひ探りて滅ぼさんとて來れるならずやと
19:4 是においてハヌン、ダビデの臣僕等を執へてその鬚を剃おとしその衣服を中より斷て腎までにして之を歸したりしが
19:5 或人きたりて此人々の爲られし事をダビデに告ければダビデ人をつかはして之を迎へしめたりその人々おほいに愧たればなり即ち王いひけるは汝ら鬚の長るまでヱリコに止まりて然る後かへるべしと
19:6 アンモンの子孫自己のダビデに惡まるる樣になれるを見しかばハヌンおよびアンモンの子孫すなはち銀一千タラントをおくりてメソポタミヤとスリアマアカおよびゾバより戰車と騎兵とを雇ひいれたり
19:7 即ち戰車三萬二千乗にマアカの王とその兵士を雇ひければ彼ら來りてメデバの前に陣を張り是においてアンモンの子孫その邑々より寄あつまりて戰はんとて來れり
19:8 ダビデ聞てヨアブと勇士の惣軍を遣しけるに
19:9 アンモンの子孫は出て邑の門の前に戰爭の陣列をなせり又援助に來れる王等は別に野に居り
19:10 時にヨアブ前後より敵の攻寄るを見てイスラエルの倔強の兵士の中を抽擢て之をしてスリア人にむかひて陣列しめ
19:11 その餘の民をばその兄弟アビシヤイの手に交してアンモンの子孫にむかひて陣列しめ
19:12 而して言けるはスリア人もし我に手強からば汝我を助けよアンモンの子孫もし汝に手強からば我なんぢを助けん
19:13 汝勇しくなれよ我儕の民のためと我らの神の諸邑のために我ら勇しく爲ん願くはヱホバその目に善と見ゆる所をなしたまへと
19:14 ヨアブ己に從へる民とともに進みよりてスリア人を攻撃けるにスリア人かれの前より潰奔れり
19:15 アンモンの子孫はスリア人の潰奔れるを見て自己等もまたその兄弟アビシヤイの前より逃奔りて城邑にいりぬ是においてヨアブはヱルサレムに歸れり
19:16 スリア人はそのイスラエルに撃やぶられたるを見て使者を遣はして河の彼旁なるスリア人を將ゐ出せりハダレゼルの軍旅の長シヨバクこれを率ゆ
19:17 その事ダビデに聞えければ彼イスラエルを悉く集めヨルダンを渡りて彼らの所に來り之にむかひて戰爭の陣列を立たりダビデかく彼らにむかひて戰爭の陣列を立たれば彼らこれと戰へり
19:18 然るにスリア人イスラエルの前に潰たればダビデ、スリアの兵車の人七千歩兵四萬を殺しまた軍旅の長シヨバクを殺せり
19:19 ハダレゼルの臣たる者等そのイスラエルに撃やぶられたるを見てダピデと和睦をなしてこれが臣となれりスリア人は此後ふたたびアンモンの子孫を助くることを爲ざりき
20:1 年かへりて王等の戰爭に出る時におよびてヨアブ軍勢を率ゐて出でアンモン人の地を打荒し往てラバを攻圍りされどダビデはヱルサレムに止まりたりヨアブつひにラバを撃壞りてこれを滅ぼせり
20:2 ダビデ彼らの王の冠冕をその首より取はなしたりしがその金の重を量り見るに一タラントありまたその中に寶石を嵌たるありき之をダビデの首に冠らせたり彼また甚だ衆多の掠取物をその邑より取り
20:3 而して彼またその中の民を曳いだし鋸と鐵の打車と斧とをもてこれを斬りダビデ、アンモンの子孫の一切の邑に斯く爲り而してダビデとその民はみなヱルサレムに歸りぬ
20:4 この後ゲゼルにおいてペリシテ人と戰爭おこりたりしがその時にホシヤ人シベカイ巨人の子孫の一人なるシバイを殺せり彼等つひに攻伏られき
20:5 復ペリシテ人と戰爭ありしがヤイルの子エルハナン、ガテのゴリアテの兄弟ラミを殺せりラミの槍の柄は機の滕の如くなりき
20:6 またガテに戰爭ありしが其處に一人の身長き人ありその手の指と足の趾は六宛にして合せて二十四あり彼も巨人の生る者なりき
20:7 彼イスラエルを挑みしかばダビデの兄弟シメアの子ヨナタンこれを殺せり
20:8 是等はガテにて巨人の生る者なりしがダビデの手とその臣僕の手に斃れたり