文語訳舊約聖書(1953年版)(振り仮名付き)

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箴言

  第1章

1:1 ダビデの子こイスラエルの王わうソロモンの箴言しんげん

1:2 こは人ひとに智慧ちゑと訓誨をしへとをしらしめ哲言さときことばを暁さとらせ

1:3 さとき訓をしえと公義ただしきと公平こうへいと正直なほきとをえしめ

1:4 拙者つたなきものにさとりを與あたへ少者わかきものに知識ちしきと謹愼つつしみとを得えさせん爲ためなり

1:5 智慧ちゑある者ものは之これを聞ききて學がくにすすみ 哲者さときものは智略ちりやくをうべし

1:6 人ひとこれによりて箴言しんげんと譬喩たとへと智慧ちゑある者ものの言ことばとその隠語いんごとを悟さとらん

1:7 ヱホバを畏おそるるは知識ちしきの本もとなり 愚おろかなる者ものは智慧ちゑと訓誨をしへとを軽かろんず

1:8 我わが子こよ汝なんぢの父ちちの��をしへをきけ 汝なんぢの母ははの法おきてを棄すつることなかれ

1:9 これ汝なんぢの首かうべの美うるはしき冠かんむりとなり 汝なんぢの項くびの妝飾かざりとならん

1:10 わが子こよ惡者あしきものなんぢ誘いざなふとも從したがふことなかれ

1:11 彼等かれらなんぢにむかひて請こふ われらと偕ともにきたれ 我儕われらまちぶせして人ひとの血ちを流ながし 無辜つみなきものを故ゆゑなきに伏ふしてねらひ

1:12 陰府よみのごとく彼等かれらを活いきたるままにて呑のみみ 壯健すこやかなる者ものを墳はかに下くだる者もののごとくになさん

1:13 われら各樣さまざまのたふとき財貨たからをえ 奪うばひ取とりたる物ものをもて我儕われらの家いへに盈みたさん

1:14 汝なんぢわれらと偕ともに籤くじをひけ 我儕われらとともに一ひとつの金嚢かねぶくろを持もつべしと云いふとも

1:15 我わが子こよ彼等かれらとともに途みちを歩あゆむことなかれ 汝なんぢの足あしを禁とどめてその路みちにゆくこと勿なかれ

1:16 そは彼かれらの足あしは惡あくに趨はしり 血ちを流ながさんとて急いそげばなり

1:17 (すべて鳥とりの目めの前まへにて羅あみを張はるは徒勞いたづらなり)

1:18 彼等かれらはおのれの血ちのために埋伏まちぶせし おのれの命いのちをふしてねらふ

1:19 凡すべて利りを貧むさぼる者ものの途みちはかくの如ごとし 是これその持主もちぬしをして生命いのちをうしなはしむるなり

1:20 智慧ちゑ外そとに呼よばはり衢ちまたに其その聲こゑをあげ

1:21 熱閙かまびすしき所ところにさけび 城市まちの門もんの口くち邑まちの中なかにその言ことばをのべていふ

1:22 なんぢら拙つたなき者もののつたなきを愛あいし 嘲笑者あざけるもののあざけりを樂たのしみ 愚おろかなる者ものの知識ちしきを惡にくむは幾時いつまでぞや

1:23 わが督斥いましめにしたがひて心こころを改あらためよ 視みよわれ我わが霊れいを汝なんぢらにそそぎ 我わが言ことばをなんぢらに示しめさん

1:24 われ呼よびたれども汝なんぢらこたへず 手てを伸のべたれども顧かへりみる者ものなく

1:25 かへつて我わがすべての勸告すすめをすて我わが督斥いましめを受うけざりしに由より

1:26 われ汝なんぢらが禍災わざはひにあふとき之これを笑わらひ 汝なんぢらの恐懼おそれきたらんとき嘲あざけるべし

1:27 これは汝なんぢらのおそれ颶風はやての如ごとくきたり 汝なんぢらのほろび?風つじかぜの如ごとくきたり 艱難なやみとかなしみと汝なんぢらにきたらん時ときなり

1:28 そのとき彼等かれらわれを呼よばん 然されどわれ應こたへじ 只管ひたすらに我われを求もとめん されど我われに遇あはじ

1:29 かれら知識ちしきを憎にくみ又またヱホバを畏おそるることを悦よろこばず

1:30 わが勸すすめに從したがはず凡すべて我わが督斥いましめをいやしめたるによりて

1:31 己おのの途みちの果みを食くらひおのれの策略はかりごとに飽あくべし

1:32 拙つたなき者ものの違逆そむきはおのれを殺ころし 愚おろかなる者ものの幸福さいはひはおのれを滅ほろぼさん

1:33 されど我われに聞きくものは平穩おだやかに住すまひかつ禍害わざはひにあふ恐怖おそれなくして安然やすらかならん

  第2章

2:1 我わが子こよ汝なんぢもし我わが言ことばをうけ 我わが誡命いましめを汝なんぢのこころに蔵をさめ

2:2 斯かくて汝なんぢの耳みみを智慧ちゑに傾かたぶけ汝なんぢの心こころをさとりにむけ

2:3 もし知識ちしきを呼よび求もとめ聰明さとりをえんと汝なんぢの聲こゑをあげ

2:4 銀ぎんの如ごとくこれを探さぐり 秘かくれたる寳たからの如ごとくこれを尋たづねば

2:5 汝なんぢヱホバを畏おそるることを暁さとり 神かみを知しることを得うべし

2:6 そはヱホバは智慧ちゑをあたへ 知識ちしきと聰明さとりとその口みくちより出いづればなり

2:7 かれは義人ただしきひとのために聰明さとりをたくはへ 直なほく行あゆむ者ものの盾たてとなる

2:8 そは公平こうへいの途みちをたもち その聖徒せいとの途みちすぢを守まもりたまへばなり

2:9 斯かくて汝なんぢはつひに公義ただしきと公平こうへいと正直なほきと一切すべての善よき道みちを暁さとらん

2:10 すなはち智慧ちゑなんぢの心こころにいり 知識ちしきなんぢの霊魂たましひに樂たのしからん

2:11 謹愼つつしみなんぢを守まもり 聰明さとりなんぢをたもちて

2:12 惡あしき途みちよりすくひ虚偽いつはりをかたる者ものより救すくはん

2:13 彼等かれらは直なほき途みちをはなれて幽暗くらき路みちに行あゆみ

2:14 惡あくを行おこなふを樂たのしみ 惡者あしきもののいつはりを悦よろこび

2:15 その途みちはまがり その行爲おこなひは邪曲よこしまなり

2:16 聰明さとりはまた汝なんぢを妓女あそびめより救すくひ 言ことばをもて諂へつらふ婦をんなより救すくはん

2:17 彼かれはわかき時ときの侶ともをすて その神かみに契約けいやくせしことを忘わするるなり

2:18 その家いへは死しに下くだり その途みちは陰府よみに赴おもむく

2:19 凡すべてかれにゆく者ものは歸かへらず また生命いのちの途みちに達いたらざるなり

2:20 聰明さとり汝なんぢをたもちてよき途みちに行あゆませ 義人ただしきひとの途みちを守まもらしめん

2:21 そは義人ただしきひとは地ちにながらへをり 完全またき者ものは地ちに止とどまらん

2:22 されど惡者あしきものは地ちより亡ほろぼされ悖逆もとる者ものは地ちより抜ぬきさらるべし

  第3章

3:1 我わが子こよわが法おきてを忘わするるなかれ 汝なんぢの心こころにわが誡命いましめをまもれ

3:2 さらば此事このことは汝なんぢの日ひをながくし生命いのちの年としを延のべ平康やすきをなんぢに加くはふべし

3:3 仁慈あはれみと眞實まこととを汝なんぢより離はなすことなかれ 之これを汝なんぢの項くびにむすび これを汝なんぢの心こころの碑いしぶみにしるせ

3:4 さらばなんぢ神かみと人ひととの前まへに恩寵めぐみと好名ほまれとを得うべし

3:5 汝なんぢこころを盡つくしてヱホバに倚��よりたのめ おのれの聰明さとりに倚よることなかれ

3:6 汝なんぢすべての途みちにてヱホバをみとめよ さらばなんぢの途みちを直なほくしたまふべし

3:7 自みづから看みて聰明さとしとする勿なかれ ヱホバを畏おそれて惡あくを離はなれよ

3:8 これ汝なんぢの身みに良薬くすりとなり汝なんぢの骨ほねに滋潤うるほひとならん

3:9 汝なんぢの貨財たからと汝なんぢがすべての?物なりいでものの初生うひなりをもてヱホバをあがめよ

3:10 さらば汝なんぢの倉庫くらはみちて餘あまり 汝なんぢの酒?さかぶねは新あたらしき酒さけにて溢あふれん

3:11 我わが子こよ汝なんぢヱホバの懲治こらしめをかろんずる勿なかれ その譴責いましめを受うくるを厭いとふこと勿なかれ

3:12 それヱホバはその愛あいする者ものをいましめたまふ あたかも父ちちのその愛あいする子こを譴いましむるが如ごとし

3:13 智慧ちゑを求もとめ得うる人ひとおよび聰明さとりをうる人ひとは福さいはひなり

3:14 そは智慧ちゑを獲うるは銀ぎんを獲うるに愈まさりその利りは精金せいきんよりも善よければなり

3:15 智慧ちゑは眞珠しんじゆよりも尊たふとし 汝なんぢの凡すべての財貨たからも之これと比くらぶるに足たらず

3:16 其その右みぎの手てには長壽ながきいのちあり その左ひだりの手てには富とみと尊貴たふときとあり

3:17 その途みちは樂たのしき途みちなり その徑みちすぢは悉ことごとく平康やすし

3:18 これは執とる者ものには生命いのちの樹きなり これ持もつものは福さいはひなり

3:19 ヱホバ智慧ちゑをもて地ちをさだめ 聰明さとりをもて天てんを置すゑたまへり

3:20 その知識ちしきによりて海洋うみはわきいで 雲くもは露つゆをそそぐなり

3:21 我わが子こよこれらを汝なんぢの眼めより離はなす勿なかれ 聰明さとりと謹愼つつしみとを守まもれ

3:22 然さらばこれは汝なんぢの霊魂たましひの生命いのちとなり汝なんぢの項くびの妝飾かざりとならん

3:23 かくて汝なんぢやすらかに汝なんぢの途みちをゆかん 又またなんぢの足あしつまづかじ

3:24 なんぢ臥ふすとき怖おそるるところあらず 臥ふすときは酣うまく睡ねむらん

3:25 なんぢ猝然にはかなる恐懼おそれをおそれず 惡者あしきものの滅亡ほろびきたる時ときも之これを怖おそるまじ

3:26 そはヱホバは汝なんぢの倚��よりたのむものにして汝なんぢの足あしを守まもりてとらはれしめたまはざるべければなり

3:27 汝なんぢの手て善ぜんをなす力ちからあらば之これを爲なすべき者ものに爲なさざること勿なかれ

3:28 もし汝なんぢに物ものあらば汝なんぢの鄰となりに向むかひ 去さりて復また來きたれ明日あすわれ汝なんぢに予あたへんといふなかれ

3:29 汝なんぢの鄰となりなんぢの傍かたはらに安やすらかに居をらば之これにむかひて惡あくを謀はかること勿なかれ

3:30 人ひともし汝なんぢに惡あくを爲なさずば故ゆゑなく之これと爭あらそふこと勿なかれ

3:31 暴虐しへたぐる人ひとを羨うらやむことなく そのすべての途みちを好よしとすることなかれ

3:32 そは邪曲よこしまなる者ものはヱホバに惡にくまるればなり されど義者ただしきものはその親したしき者ものとせらるべし

3:33 ヱホバの呪詛のろひは惡者あしきものの家いへにあり されど義者ただしきものの室いへはかれにめぐまる

3:34 彼かれは嘲笑者あざけるものをあざけり 謙へりくだる者ものに恩惠めぐみをあたへたまふ

3:35 智者さときものは尊榮たふときをえ 愚おろかなる者ものは羞辱はぢ之これをとりさるべし

  第4章

4:1 小子こども等らよ父ちちの訓をしへをきけ 聰明さとりを知しらんために耳みみをかたむけよ

4:2 われ善よき��をしへを汝なんぢらにさづく わが律おきてを棄すつることなかれ

4:3 われも我わが父ちちには子こにして 我わが母ははの目めには獨ひとりの愛子いとほしごなりき

4:4 父ちちわれを��をしへていへらく我わが言ことばを汝なんぢの心こころにとどめ わが誡命いましめをまもれ 然さらば生いくべし

4:5 智慧ちゑをえ聰明さとりをえよ これを忘わするるなかれ また我わが口くちの言ことばに身みをそむくるなかれ

4:6 智慧ちゑをすつることなかれ彼かれなんぢを守まもらん 彼かれを愛あいせよ彼かれなんぢを保たもたん

4:7 智慧ちゑは第一だいいちなるものなり 智慧ちゑをえよ 凡すべて汝なんぢの得えたる物ものをもて聰明さとりをえよ

4:8 彼かれを尊たふとべ さらば彼かれなんぢを高たかく擧あげん もし彼かれを懐いだかば彼かれ汝なんぢを尊榮たふとからしめん

4:9 かれ美うるはしき飾かざりを汝なんぢの首かうべに置おき 榮さかえの冠弁かんむりを汝なんぢに予あたへん

4:10 我わが子こよきけ 我わが言ことばを納いれよ さらば汝なんぢの生命いのちの年としおほからん

4:11 われ智慧ちゑの道みちを汝なんぢに��をしへ義ただしき徑みち筋すぢに汝なんぢを導みちびけり

4:12 歩あるくとき汝なんぢの歩あゆみは艱なやまず 趨はしるときも躓つまづかじ

4:13 堅かたく訓誨をしへを執とりて離はなすこと勿なかれ これを守まもれ これは汝なんぢの生命いのちなり

4:14 邪曲よこしまなる者ものの途みちに入いることなかれ 惡者あしきものの路みちをあやむこと勿なかれ

4:15 これを避さけよ 過すぐること勿なかれ 離はなれて去され

4:16 そは彼等かれらは惡あくを爲なさざれば睡ねむらず 人ひとを躓つまづかせざればいねず

4:17 不義ふぎのパンを食くらひ暴虐しへたげの酒さけを飮のめばなり

4:18 義者ただしきものの途みちは旭光あさひのごとし いよいよ光輝かがやきをまして晝ひるの正午もなかにいたる

4:19 惡者あしきものの途みちは幽冥くらやみのごとし 彼かれらはその蹟つまづくもののなになるを知しらざるなり

4:20 わが子こよ我わが言ことばをきけ 我わが語かたるところに汝なんぢの耳みみを傾かたぶけよ

4:21 之これを汝なんぢの目めより離はなすこと勿なかれ 汝なんぢの心こころのうちに守まもれ

4:22 是こは之これを得うるものの生命いのちにしてまたその全體ぜんたいの良薬くすりなり

4:23 すべての操守まもるべき物ものよりもまさりて汝なんぢの心こころを守まもれ そは生命いのちの流ながれこれより出いづればなり

4:24 虚偽いつはりの口くちを汝なんぢより棄すつさり 惡あしき口唇くちびるを汝なんぢより遠とほくはなせ

4:25 汝なんぢの目めは正ただしく視み汝なんぢの眼瞼まなぶたは汝なんぢの前まへを眞直ますぐに視みるべし

4:26 汝なんぢの足あしの徑みちをかんがへはかり 汝なんぢのすべての道みちを直なほくせよ

4:27 右みぎにも左ひだりにも偏かたよること勿なかれ汝なんぢの足あしを惡あくより離はなれしめよ

  第5章

5:1 我わが子こよわが智慧ちゑをきけ 汝なんぢの耳みみをわが聰明さとりに傾かたぶけ

5:2 しかしてなんぢ謹愼つつしみを守まもり汝なんぢの口唇くちびるに知識ちしきを保たもつべし

5:3 娼妓あそびめの口唇くちびるは蜜みつを滴したたらし 其その口くちは脂あぶらよりも滑なめらかなり

5:4 されど其その終をはりは茵?いんらんの如ごとくに苦にがく兩刃もろはの劍つるぎの如ごとくに利するどし

5:5 その足あしは死しに下くだり その歩あゆみは陰府よみに趣おもむく

5:6 彼かれは生命いのちの途みちに入いらず 其その徑みちはさだかならねども自みずから之これを知しらざるなり

5:7 小子こども等らよいま我われにきけ 我わが口くちの言ことばを棄すつる勿なかれ

5:8 汝なんぢの途みちを彼かれより遠とほく離はなれしめよ 其その家いへの門かどに近ちかづくことなかれ

5:9 恐おそらくは汝なんぢの榮さかえを他人たにんにわたし 汝なんぢの年としを憐憫あはれみなき者ものにわたすにいたらん

5:10 恐おそらくは他人たにんなんぢの資財たからによりて盈みたされ 汝なんぢの勞苦はたらきは他人たにんの家いへにあらん

5:11 終をはりにいたりて汝なんぢの身みなんぢの體からだ亡ほろぶる時ときなんぢ泣なき悲かなしみていはん

5:12 われ��をしへをいとひ 心こころに譴責いましめをかろんじ

5:13 我わが師しの聲こゑをきかず 我われを��をしふる者ものに耳みみを傾かたぶけず

5:14 あつまりの中なか會衆くわいしうのうちにてほとんど諸もろもろの惡あくに陷おちいれりと

5:15 汝なんぢおのれの水溜みづためより水みづを飮のみ おのれの泉いづみより流ながるる水みづをのめ

5:16 汝なんぢの流ながれをほかに溢あふれしめ 汝なんぢの河かはの水みづを衢ちまたに流ながれしむべけんや

5:17 これを自己おのれに歸きせしめ 他人たにんをして汝なんぢと偕ともにこに與あづからしむること勿なかれ

5:18 汝なんぢの泉いづみに福祉さいはひを受うけしめ 汝なんぢの少わかき時ときの妻つまを樂たのしめ

5:19 彼かれは愛うつくしき?めじかのごとく美うるはしき鹿しかの如ごとし その乳房ちぶさをもて常つねにたれりとし その愛あいをもて常つねによろこべ

5:20 我わが子こよ何いかなればあそびめをたのしみ 淫婦いんぷの胸むねを懐いだくや

5:21 それ人ひとの途みちはヱホバの目めの前まへにあり 彼かれはすべて其その行爲おこなひを量はかりたまふ

5:22 惡者あしきものはおのれの愆とがにとらへられ その罪つみの繩なはに繋つながる

5:23 彼かれは訓誨をしへなきによりて死しに その多おほくの愚おろかなることに由よりて亡ほろぶべし

  第6章

6:1 我わが子こよ汝なんぢもし朋友とものために保證うけあひをなし 他人たにんのために汝なんぢの手てを拍うたば

6:2 汝なんぢその口くちの言ことばによりてわなにかかり その口くちの言ことばによりてとらへらるるなり

6:3 我わが子こよ汝なんぢ友ともの手てに陷おちいりしならば斯かくして自みづから救すくへ すなはち往ゆきて自みづから謙へりくだり只管ひたすらなんぢの友ともに求もとめ

6:4 汝なんぢの目めをして睡ねむらしむることなく 汝なんぢの眼瞼まぶたをして閉とぢしむること勿なかれ

6:5 かりうどの手てより鹿しかののがるるごとく 鳥とりとる者ものの手てより鳥とりののがるる如ごとくして みづからを救すくへ

6:6 惰者ものよ蟻ありにゆき其その爲なすところを觀みて智慧ちゑをえよ

6:7 蟻ありは首領かしらなく有司つかさなく君主きみなけれども

6:8 夏なつのうちに食しよくをそなへ 収穫かりいれのときに糧かてを斂をさむ

6:9 惰者ものよ汝なんぢいづれの時ときまで臥ふし息やすむや いづれの時ときまで睡ねむりて起おきざるや

6:10 しばらく臥ふししばらく睡ねむり 手てを叉こまぬきてまた片時しばらくやすむ

6:11 さらば汝なんぢの貧窮まづしきは盗人ぬすびとの如ごとくきたり汝なんぢの缺乏ともしきは兵士つはものの如ごとくきたるべし

6:12 邪曲よこしまなる人ひとあしき人ひとは虚偽いつはりの言ことばをもて事ことを行おこなふ

6:13 彼かれは眼めをもて?めくばせし 脚あしをもてしらせ 指ゆびをもて示しめす

6:14 その心こころに虚偽いつはりをたもち 常つねに惡あくをはかり 爭端あらそひを起おこす

6:15 この故ゆゑにその禍害わざはひにはかに來きたり 援助たすけなくして立刻たちまちに敗やぶらるべし

6:16 ヱホバの憎にくみたまふもの六むつあり 否いなその心こころに嫌きらひたまふもの七ななつあり

6:17 即すなはち驕たかぶる目めいつはりをいふ舌した つみなき人ひとの血ちを流ながす手て

6:18 惡あしき謀計はかりごとをめぐらす心こころ すみやかに惡あくに趨はしる足あし

6:19 詐僞いつはりをのぶる證あかし人ひと および兄弟きやうだいのうちに爭端あらそひをおこす者ものなり

6:20 我わが子こよ汝なんぢの父ちちの誡命いましめを守まもり 汝なんぢの母ははの法おきてを棄すつる勿なかれ

6:21 常つねにこれを汝なんぢの心こころにむす び之これをなんぢの頸くびに佩おびよ

6:22 これは汝なんぢのゆくとき汝なんぢをみちびき 汝なんぢの寝いぬるとき汝なんぢをまもり 汝なんぢの寤さむるとき汝なんぢとかたらん

6:23 それ誡命いましめは燈火ともしびなり 法おきては光ひかりなり �碍�をしへの懲治こらしめは生命いのちの道みちなり

6:24 これは汝なんぢをまもりて惡あしき婦をんなよりまぬかれしめ 汝なんぢをたもちて淫婦いんぷの舌したの諂媚へつらひにまどはされざらしめん

6:25 その艶美うるはしきを心こころに戀したふことなかれ その眼瞼まなぶたに捕とらへらるること勿なかれ

6:26 それ娼妓あそびめのために人ひとはただ僅わづかに一撮ひとつまみの糧かてをのこすのみにいたる 又また淫婦いんぷは人ひとの尊たふとき生命いのちを求もとむるなり

6:27 人ひとは火ひを懐ふところに抱いだきてその衣ころもを焚やかれざらんや

6:28 人ひとは熱あつさ火ひを踏ふみて其その足あしを焚やかれざらんや

6:29 その隣となりの妻つまと姦淫かんいんをおこなふ者ものもかくあるべし 凡すべて之これに捫さはる者ものは罪つみなしとせられず

6:30 竊ぬすむ者ものもし饑うゑしときに其その饑うゑを充みたさん爲ためにぬすめるならば人ひとこれを藐かろんぜじ

6:31 もし捕とらへられなばその七倍しちばいを償つくのひ其その家いへの所有もちものをことごとく出いださざるべからず

6:32 婦をんなと姦淫かんいんをおこなふ者ものは智慧ちゑなきなり 之これを行おこなふ者ものはおのれの霊魂たましひを亡ほろぼし

6:33 傷きずと陵辱はづかしめとをうけて其その恥はぢを雪すすぐこと能あたはず

6:34 ?忌ねたみその夫おつとをして忿怒いかりをもやさしむればその怨うらみを報むくゆるときかならず寛ゆるさじ

6:35 いかなる贖あがなひ物ものをも顧かへりみず 衆多おほくの饋物おくりものをなすともやはらがざるべし

  第7章

7:1 我わが子こよわが言ことばをまもり我わが誡命いましめを汝なんぢの心こころにたくはへよ

7:2 我わが誡命いましめをまもりで生命いのちをえよ 我わが法おきてを守まもること汝なんぢの眸子ひとみを守まもるが如ごとくせよ

7:3 これを汝なんぢの指ゆびにむすび これを汝なんぢの心こころの碑ひに銘しるせ

7:4 なんぢ智慧ちゑにむかひて汝なんぢはわが姉妹しまいなりといひ 明理さとりにむかひて汝なんぢはわが友ともなりといへ

7:5 さらば汝なんぢをまもりて淫婦いんぷにまよはざらしめ 言ことばをもて媚こぶる娼妓あそびめにとほざからしめん

7:6 われ我わが室いへの?まどにより?子れんじよりのぞきて

7:7 拙つたなき者もののうち幼弱者わかきもののうちに一人ひとりの智慧ちゑなき者ものあるを觀みたり

7:8 彼かれ衢ちまたをすぎ婦をんなの門かどにちかづき其その家いへの路みちにゆき

7:9 黄昏たそがれに半宵よひに夜半よはに�邂�くらやみの中なかにあるけり

7:10 時ときに娼妓あそびめの衣ころもを着きたる狡さかしらなる婦をんなかれにあふ

7:11 この婦をんなは譁さわがしくしてつつしみなく 其その足あしは家いへに止とどまらず

7:12 あるときは衢ちまたにあり 或ある時ときはひろばにあり すみずみにたちて人ひとをうかがふ

7:13 この婦をんなかれをひきて接吻くちつけし恥はぢしらぬ面かほをもていひけるは

7:14 われ酬恩祭しうおんさいを献ささげ今日けふすでにわが誓願ちかひを償はたせり

7:15 これによりて我われなんぢを迎むかへんとていで 汝なんぢの面かほをたづねて汝なんぢに逢あへり

7:16 わが榻とこには美うるはしき褥しとねおよびエジプトの文?あやぬのをしき

7:17 沒藥もつやく蘆薈ろくわひ桂皮けいひをもて我わが榻とこにそそげり

7:18 來きたれわれら詰朝よのあくるまで情じやうをつくし愛あいをかよはして相あひなぐさめん

7:19 そは夫をつとは家いへにあらず遠とほく旅立たびだちして

7:20 手てに金嚢かねぶくろをとれり 望月もちづきならでは家いへに歸かへらじと

7:21 多おほくの婉言なまめきたることばをもて惑まどはし口唇くちびるの諂媚へつらひをもて誘いざなへば

7:22 わかき人ひとただちにこれに隨したがへり あだかも牛うしの宰地ほふりばにゆくが如ごとく 愚おろかなる者ものの桎梏あしかせをかけらるる爲ためにゆくが如ごとし

7:23 遂つひには矢やその肝きもを刺ささん 鳥とりの速すみやかに羅あみにいりてその生命いのちを喪うしなふに至いたるを知しらざるがごとし

7:24 小子等こどもらよいま我われにきけ 我わが口くちの言ことばに耳みみを傾かたむけよ

7:25 なんぢの心こころを淫婦いんぷの道みちにかたむくること勿なかれ またこれが徑みちに迷まよふこと勿なかれ

7:26 そは彼かれは多おほくの人ひとを傷きずつけて仆たふせり 彼かれに殺ころされたる者ものぞ多おほかる

7:27 その家いへは陰府よみの途みちにして死しの室しつに下くだりゆく

  第8章

8:1 智慧ちゑは呼よばはらざるか 聰明さとりは聲こゑを出いださざるか

8:2 彼かれは路みちのほとりの高處たかきところまた街衢ちまたのなかに立たち

8:3 邑まちのもろもろの門かど邑まちの口くちおよび門々かどかどの入いり口くちにて呼よばはりいふ

8:4 人々ひとびとよわれ汝なんぢをよび 我わが聲こゑをもて人ひとの子等こらをよぶ

8:5 拙つたなき者ものよなんぢら聰明さとりに明あきらかなれ 愚おろかなる者ものよ汝なんぢら明あきらかなる心こころを得えよ

8:6 汝なんぢきけ われ善事よきことをかたらん わが口唇くちびるをひらきて正ただしき事ことをいださん

8:7 我わが口くちは眞實まことを述のべ わが口唇くちびるはあしき事ことを憎にくむなり

8:8 わが口くちの言ことばはみな義ただし そのうちに虚偽いつはりと奸邪よこしまとあることなし

8:9 是これみな智さとき者ものの明あきらかにするところ 知識ちしきをうる者ものの正ただしとするところなり

8:10 なんぢら銀ぎんをうくるよりは我わが��をしへをうけよ 精金せいきんよりもむしろ知識ちしきをえよ

8:11 それ智慧ちゑは眞珠しんじゆに愈まされり 凡すべての寳たからも之これに比くらぶるに足たらず

8:12 われ智慧ちゑは聰明さとりをすみかとし 知識ちしきと謹愼つつしみにいたる

8:13 ヱホバを畏おそるるとは惡あくを憎にくむことなり 我われは傲慢たかぶりと驕奢おごり惡あしき道みちと虚偽いつはりの口くちとを憎にくむ

8:14 謀略はかりごとと聰明さとりは我われにあり 我われは了知れうちなり 我われは能力ちからあり

8:15 我われに由よりて王わう者しやは政まつりごとをなし 君きみたる者ものは義ただしき律おきてをたて

8:16 我われによりて主しゆたる者ものおよび牧伯つかさたちなど凡すべて地ちの審判人さばきびとは世よををさむ

8:17 われを愛あいする者ものは我われこれを愛あいす 我われを切せちに求もとむるものは我われに遇あはん

8:18 富とみと榮さかえとは我われにあり 貴たふとき寳たからと公義ただしきとも亦また然しかり

8:19 わが果みは金きんよりも精金せいきんよりも愈まさり わが利りは精銀せいぎんよりもよし

8:20 我われは義ただしき道みちにあゆみ 公平こうへいなる路徑みちすぢのなかを行あゆむ

8:21 これ我われを愛あいする者ものに貨財たからをえさせ 又またその庫くらを充みたしめん爲ためなり

8:22 ヱホバいにしへ其その御みわざをなしそめたまへる前さきに その道みちの始はじめとして我われをつくりたまひき

8:23 永遠えいゑんより元始はじめより地ちの有あらざりし前さきより我われは立たてられ

8:24 いまだ海洋うみあらず いまだ大おほいなるみづの泉いづみあらざりしとき我われすでに生うまれ

8:25 山やまいまださだめられず 陵をかいまだ有あらざりし前さきに我われすでに生うまれたり

8:26 即すなはち神かみいまだ地ちをも野のをも地ちの塵ちりの根元もとをも造つくり給たまはざりし時ときなり

8:27 かれ天てんをつくり海うみの面おもてに穹蒼おほぞらを張はりたまひしとき我われかしこに在ありき

8:28 彼かれうへに雲氣そらをかたく定さだめ 淵わだの泉いづみをつよくならしめ

8:29 海うみにその限界かぎりをたて 水みづをしてその岸きしを踰こえざらしめ また地ちの基もとゐを定さだめたまへるとき

8:30 我われはその傍かたはらにありて創造者つくりてとなり 日々ひびに欣よろこび恒つねにその前まへに樂たのしみ

8:31 その地ちにて樂たのしみ又また世よの人ひとを喜よろこべり

8:32 されば小子等こどもらよ いま我われにきけ わが道みちをまもる者ものは福さいはひなり

8:33 ��をしへをききて智慧ちゑをえよ 之これを棄すつることなかれ

8:34 凡おほよそ我われにきき 日々ひびわが門もんの傍かたはらにまち わが戸口かどの柱はしらのわきにたつ人ひとは福さいはひなり

8:35 そは我われを得うる者ものは生命いのちをえ ヱホバより恩寵めぐみを獲うればなり

8:36 我われを失うしなふものは自己おのれの生命いのちを害そこなふ すべて我われを惡にくむものは死しを愛あいするなり

  第9章

9:1 智慧ちゑはその家いへを建たて その七ななつの柱はしらを?成きりなし

9:2 その畜けものを宰ほふり その酒さけを混和まぜあはせ その筵ふるまひをそなへ

9:3 その婢女はしためをつかはして邑まちの高たかき處ところに呼よばはりいはしむ

9:4 拙つたなき者ものよここに來きたれと また智慧ちゑなき者ものにいふ

9:5 汝等なんぢらきたりて我わが糧かてを食くらひ わがまぜあはせたる酒さけをのみ

9:6 拙劣つたなきをすてて生命いのちをえ 聰明さとりのみちを行あゆめ

9:7 嘲笑者あざけるものをいましむる者ものは恥はぢを己おのれにえ 惡人あしきひとを責せむる者ものは疵きずを己おのれにえん

9:8 嘲笑者あざけるものを責せむることなかれ 恐おそらくは彼かれなんぢを惡にくまん 智慧ちゑある者ものをせめよ 彼かれなんぢを愛あいせん

9:9 智慧ちゑある者ものに授さづけよ 彼かれはますます智慧ちゑをえん 義者ただしきものを��をしへよ 彼かれは知識ちしきに進すすまん

9:10 ヱホバを畏おそるることは智慧ちゑの根本もとなり 聖者きよきものを知しるは聰明さとりなり

9:11 我われにより汝なんぢの日ひは多おほくせられ 汝なんぢのいのちの年としは増ますべし

9:12 汝なんぢもし智慧ちゑあらば自己おのれのために智慧ちゑあるなり 汝なんぢもし嘲あざけらば汝なんぢひとり之これを負おはん

9:13 愚おろかなる婦をんなは嘩さわがしく且かつたなくして何事なにごとをも知しらず

9:14 その家いへの門かどに坐ざし邑まちのたかき處ところにある座ざにすわり

9:15 道みちをますぐに過すぐる往來ゆききの人ひとを招まねきていふ

9:16 拙つたなき者ものよここに來きたれと また智慧ちゑなき人ひとにむかひては之これにいふ

9:17 竊ぬすみたる水みづは甘あまく密ひそかに食くらふ糧かては美味よきあぢありと

9:18 彼處かしこにある者ものは死しにし者ものその客きやくは陰府よみのふかき處ところにあることを是等これらの人ひとは知しらざるなり

  第10章

10:1 ソロモンの箴言しんげん智慧ちゑある子こは父ちちを欣よろこばす 愚おろかなる子こは母ははの憂うれへなり

10:2 不義ふぎの財たからは益えきなし されど正義ただしきは救すくひて死しを脱まぬかれしむ

10:3 ヱホバは義者ただしきものの霊魂たましひを餓うゑしめず 惡者あしきものにその欲ほつするところを得えざらしむ

10:4 手てをものうくして動はたらくものは貧まづしくなり 勤つとめはたらく者ものの手ては富とみを得う

10:5 夏なつのうちに斂あつむる者ものは智かしこき子こなり 収穫かりいれの時ときにねむる者ものは辱はぢをきたす子こなり

10:6 義者ただしきものの首かうべには福祉さいはひきたり 惡者あしきものの口くちは強暴あらきことを掩おほふ

10:7 義者ただしきものの名なは讃ほめられ 惡者あしきものの名なは腐くさる

10:8 心こころの智さとき者ものは誡命いましめを受うく されど口くちの頑愚おろかなる者ものは滅ほろぼさる

10:9 直なほくあゆむ者ものはそのあゆむこと安やすし されどその途みちを曲まぐる者ものは知しらるべし

10:10 眼めをもて?めくばせする者ものは憂うれへをおこし 口くちの頑愚おろかなる者ものは亡ほろぼさる

10:11 義者ただしきものの口くちは生命いのちの泉いづみなり 惡者あしきものの口くちは強暴あらきことを掩おほふ

10:12 怨恨うらみは爭端あらそひをおこし 愛あいはすべての愆とがを掩おほふ

10:13 哲者さときもののくちびるには智慧ちゑあり 智慧ちゑなき者ものの背せのためには鞭むちあり

10:14 智慧ちゑある者ものは知識ちしきをたくはふ 愚おろかなる者ものの口くちはいまにも滅亡ほろびをきたらす

10:15 富とめる者ものの資財たからはその堅かたき城しろなり 貧者まづしきもののともしきはそのほろびなり

10:16 義者ただしきものが動作はたらきは生命いのちにいたり 惡者あしきものの利り得とくは罪つみにいたる

10:17 ��をしへをまもる者ものは生命いのちの道みちにあり懲戒こらしめをすつる者ものはあやまりにおちいる

10:18 怨うらみをかくす者ものには虚偽いつはりのくちびるあり 誹謗そしりをいだす者ものは愚おろかなる者ものなり

10:19 言ことばおほけれぼ罪つみなきことあたはず その口唇くちびるを禁とどむるものは智慧ちゑあり

10:20 義者ただしきものの舌したは精銀せいぎんのごとし 惡者あしきものの心こころは値あたひすくなし

10:21 義者ただしきものの口唇くちびるはおほくの人ひとをやしなひ 愚おろかなる者ものは智慧ちゑなきに由よりて死しぬ

10:22 ヱホバの祝福めぐみは人ひとを富とます 人ひとの勞苦ほねをりはこれに加くはふるところなし

10:23 愚おろかなる者ものは惡あくをなすを戯たはむれごとのごとくす 智慧ちゑのさとかる人ひとにとりても是かくのごとし

10:24 惡者あしきものの怖おそるるところは自己おのれにきたり 義者ただしきもののねがふところはあたへらる

10:25 狂風あらしのすぐるとき惡者あしきものは無むに歸きせん 義者ただしきものは窮かぎりなくたもつ基もとゐのごとし

10:26 惰おこたる者もののこれを遣つかはすものに於おけるは酢すの歯はに於おけるが如ごとく煙けぶりの目めに於おけるが如ごとし

10:27 ヱホバを畏おそるることは人ひとの日ひを多おほくす されど惡者あしきものの年としはちぢめらる

10:28 義者ただしきものの望のぞみは喜悦よろこびにいたり惡者あしきものの望のぞみは絶たゆべし

10:29 ヱホバの途みちは直なほき者ものの城しろとなり 惡あくを行おこなふものの滅亡ほろびとなる

10:30 義者ただしきものは何時いつまでも動うごかされず 惡者あしきものは地ちに住すむことを得えじ

10:31 義者ただしきものの口くちは智慧ちゑをいだすなり 虚偽いつはりの舌したは抜ぬかるべし

10:32 義者ただしきもののくちびるは喜よろこばるべきことをわきまへ 惡者あしきものの口くちはいつはりを語かたる

  第11章

11:1 いつはりの權衝はかりはヱホバに惡にくまれ 義ただしき法馬ふんどうは彼かれに欣よろこばる

11:2 驕傲たかぶりきたれば辱はぢも亦またきたる謙へりくだる者ものには智慧ちゑあり

11:3 直なほき者ものの端荘ただしきは己おのれを導みちびき悖逆者もとれるものの邪曲よこしまは己おのれを亡ほろぼす

11:4 寳たからは震怒いかりの日ひに益えきなし されど正義ただしきは救すくふて死しをまぬかれしむ

11:5 完全まつたき者ものはその正義ただしきによりてその途みちを直なほくせられ 惡者あしきものはその惡あくによりて跌たふるべし

11:6 直なほき者ものはその正義ただしきによりて救すくはれ 悖逆もとれる者ものは自己おのれの惡あしきによりて執とらへらる

11:7 惡人あしきひとは死しぬるときにその望のぞみたえ 不義ふぎなる者ものの望のぞみもまた絶たゆべし

11:8 義者ただしきものは艱難なやみより救すくはれ 惡者あしきものはこれに代かはる

11:9 邪曲よこしまなる者ものは口くちをもてその鄰となりを亡ほろぼす されど義ただしき者ものはその知識ちしきによりて救すくはる

11:10 義ただしきもの幸福さいはひを受うくればその城邑まちに歓喜よろこびあり 惡あしきもの亡ほろぼさるれば歓喜よろこびの聲こゑおこる

11:11 城邑まちは直なほき者ものの祝いはふに倚よりて高たかく擧あげられ 惡者あしきものの口くちによりて亡ほろぼさる

11:12 その鄰となりを侮あなどる者ものは智慧ちゑなし 聰明さとき人ひとはその口くちを噤つぐむ

11:13 往ゆきて人ひとの是非よしあしをいふ者ものは密事みそかごとを洩もらし 心こころの忠信ちうしんなる者ものは事ことを隱かくす

11:14 はかりごとなければ民たみたふれ 議士ぎし多おほければ平安やすらかなり

11:15 他人よそびとのために保證うけあひをなす者ものは苦難くるしみをうけ 保證うけあひを嫌きらふ者ものは平安やすらかなり

11:16 柔順やはらかなる婦をんなは榮譽ほまれをえ 強つよき男子をとこは資財たからを得う

11:17 慈悲あはれみある者ものは己おのれの霊魂たましひに益えきをくはへ 殘忍なさけなき者ものはおのれの身みを擾わづらはす

11:18 惡者あしきものの獲える報むくいはむなしく 義ぎを播まくものの得うる報賞むくいは確かたし

11:19 堅かたく義ぎをたもつ者ものは生命いのちにいたり 惡あくを追おひもとむる者ものはおのれの死しをまねく

11:20 心こころの戻もとれる者ものはヱホバに憎にくまれ 直なほく道みちを歩あゆむ者ものは彼かれに悦よろこばる

11:21 手てに手てをあはするとも惡人あしきひとは罪つみをまぬかれず 義人ただしきひとの苗裔すゑは救すくひを得う

11:22 美うるはしき婦をんなのつつしみなきは金きんの環わの豕ぶたの鼻はなにあるが如ごとし

11:23 義人ただしきひとのねがふところは凡すべて福祉さいはひにいたり 惡人あしきひとののぞむところは震怒いかりにいたる

11:24 ほどこし散ちらして反かへりて増ますものあり 與あたふべきを吝をしみてかへりて貧まづしきにいたる者ものあり

11:25 施與ほどこしを好このむものは肥こええ 人ひとを潤うるほす者ものはまた利潤うるほひをうく

11:26 穀物こくもつを蔵をさめて糶うらざる者ものは民たみに詛のろはる 然しかれど售うる者ものの首かうべには祝福さいはひあり

11:27 善ぜんをもとむる者ものは恩惠めぐみをえん 惡あくをもとむる者ものには惡あしき事こときたらん

11:28 おのれの富とみを恃たのむものは仆たふれん されど義者ただしきものは樹きの��あを葉ばのごとくさかえん

11:29 おのれの家いへをくるしむるものは風かぜをえて所有もちものとせん 愚おろかなる者ものは心こころの智さときものの僕しもべとならん

11:30 義人ただしきひとの果みは生命いのちの樹きなり 智慧ちゑある者ものは人ひとを捕とらふ

11:31 みよ義人ただしきひとすらも世よにありて報むくいをうくべし况まして惡人あしきひとと罪人つみびととをや

  第12章

12:1 訓誨をしへを愛あいする者ものは知識ちしきを愛あいす 懲戒こらしめを惡にくむものは畜けもののごとし

12:2 善よき人ひとはヱホバの恩寵めぐみをうけ 惡あしき謀略はかりごとを設もうくる人ひとはヱホバに罰つみせらる

12:3 人ひとは惡あくをもて堅かたく立たつことあたはず 義人ただしきひとの根ねは動うごくことなし

12:4 賢かしこき婦をんなはその夫をつとの冠弁かんむりなり 辱はぢをきたらする婦をんなは夫をつとをしてその骨ほねに腐くされあるが如ごとくならしむ

12:5 義者ただしきもののおもひは直なほし 惡者あしきものの計はかるところは虚偽いつはりなり

12:6 惡者あしきものの言ことばは人ひとの血ちを流ながさんとて伺うかがふ されど直なほき者ものの口くちは人ひとを救すくふなり

12:7 惡者あしきものはたふされて無なきものとならん されど義者ただしきものの家いへは立たつべし

12:8 人ひとはその聰明さとりにしたがひて譽ほめられ 心こころの悖もとれる者ものは藐いやしめらる

12:9 卑賤いやしくしてしもべある者ものは自みづからたかぶりて食しよくに乏ともしき者ものに愈まさる

12:10 義者ただしきものはその畜けものの生命いのちを顧かへりみる されど惡者あしきものは殘忍ざんにんをもてその憐憫あはれみとす

12:11 おのれの田地でんちを耕たがへすものは食しよくにあく 放蕩はうたうなる人ひとにしたがふ者ものは智慧ちゑなし

12:12 惡者あしきものはあしき人ひとの獲えたる物ものをうらやみ 義者ただしきものの根ねは芽めざをいだす

12:13 惡者あしきものはくちびるの愆とがによりて罟わなに陷おちいる されど義者ただしきものは患難なやみの中うちよりまぬかれいでん

12:14 人ひとはその口くちの徳によりて福祉さいはひに飽あかん 人ひとの手ての行爲わざはその人ひとの身みにかへるべし

12:15 愚おろかなる者ものはみづからその道みちを見みて正ただしとす されど智慧ちゑある者ものはすすめを容いる

12:16 愚おろかなる者ものはただちに怒いかりをあらはし 智かしこきものは恥はぢをつつむ

12:17 眞實まことをいふものは正義ただしきを述のべ いつはりの證あかし人びとは虚偽いつはりをいふ

12:18 妄みだりに言ことばをいだし劍つるぎをもて刺さすがごとくする者ものあり されど智慧ちゑある者ものの舌したは人ひとをいやす

12:19 眞理まことをいふ口唇くちびるは何時いつまでも存たもつ されど虚偽いつはりをいふ舌したはただ瞬息まばたきのあひだのみなり

12:20 惡あしき事ことをはかる者ものの心こころには欺詐あざむきあり 和平やはらぎを謀はかる者ものには歓喜よろこびあり

12:21 義者ただしきものには何なにの禍害わざはひも來きたらず 惡者あしきものはわざはひをもて充みたさる

12:22 いつはりの口唇くちびるはヱホバに憎にくまれ 眞實まことをおこなふ者ものは彼かれに悦よろこばる

12:23 賢かしこき人ひとは知識ちしきをかくす されど愚おろかなる者もののこころは愚おろかなる事ことを述のぶ

12:24 勤つとめはたらく者ものの手ては人ひとををさむるにいたり惰おこたる者ものは人ひとに服つかふるにいたる

12:25 うれひ人ひとの心こころにあれば之これを屈かがます されど善言よきことばはこれを樂たのします

12:26 義者ただしきものはその友ともに道みちを示しめす されど惡者あしきものは自みづから途みちにまよふ

12:27 惰おこたる者ものはおのれの猟かり獲えたる物ものをも燔やかず 勉つとめはたらくことは人ひとの貴たふとき寳たからなり

12:28 義ただしき道みちには生命いのちありその道みちすぢには死しなし

  第13章

13:1 智慧ちゑある子こは父ちちの�碍�をしへをきき 戯謔あざける者ものは懲治こらしめをきかず

13:2 人ひとはその口くちの徳とくによりて福祉さいはひをくらひ悖逆者もとれるものの霊魂たましひは強暴しへたげをくらふ

13:3 その口くちを守まもる者ものはその生命いのちを守まもる その口唇くちびるを大おほきくひらく者ものには滅亡ほろびきたる

13:4 惰おこたる者ものはこころに慕したへども得うることなし 勤つとめはたらく者ものの心こころは豊饒ゆたかなり

13:5 義者ただしきものは虚偽いつはりの言ことばをにくみ 惡者あしきものははぢをかうむらせ面かほを赤あかくせしむ

13:6 義ぎは道みちを直なほくあゆむ者ものをまもり 惡あくは罪人つみびとを倒たふす

13:7 自みづから富とめりといひあらはして些少すこしの所有もちものもなき者ものあり 自みづから貧まづしと稱となへて資財たからおほき者ものあり

13:8 人ひとの資財たからはその生命いのちを贖あがなふものとなるあり 然されど貧者まづしきものは威嚇おびやかしをきくことあらず

13:9 義者ただしきものの光ひかりは輝かがやき惡者あしきものの燈火ともしびはけさる

13:10 驕傲たかぶりはただ爭端あらそひを生しやうず 勸告いさめをきく者ものは智慧ちゑあり

13:11 詭計たばかりをもて得えたる資財たからは減へる されど手てをもて聚あつめたくはふる者ものはこれを増ますことを得う

13:12 望のぞみを得うること遅おそきときは心こころを疾やましめ 願ねがふ所ところ?すでにとぐるときは生命いのちの樹きを得えたるがごとし

13:13 御み言ことばをかろんずる者ものは亡ほろぼされ 誡命いましめをおそるる者ものは報賞むくいを得う

13:14 智慧ちゑある人ひとの�碍�をしへはいのちの泉いづみなり 能よく人ひとをして死しの罟わなを脱のがれしむ

13:15 善ぜんにして哲さときものは恩めぐみを蒙かうむる されど悖逆もとれる者ものの途みちは艱難なやみなり

13:16 凡おほよそ賢かしこき者ものは知識ちしきに由よりて事ことをおこなひ 愚おろかなる者ものはおのれの痴おろかを顯あらはす

13:17 惡あしき使者つかひは災禍わざはひに陷おちいる されど忠信ちうしんなる使者つかひは良薬くすりの如ごとし

13:18 貧乏まづしきと恥辱はづかしめとは�碍�をしへをすつる者ものにきたる されど譴責いましめを守まもる者ものは尊たふとまる

13:19 望のぞみを得うれば心こころに甘あまし 愚おろかなる者ものは惡あくを棄すつることを嫌きらふ

13:20 智慧ちゑある者ものと偕ともにあゆむものは智慧ちゑをえ 愚おろかなる者ものの友ともとなる者ものはあしくなる

13:21 わざはひは罪人つみびとを追おひ 義者ただしきものは善よき報むくいをうく

13:22 善よき人ひとはその?業さんげふを子孫しそんに遺のこす されど罪人つみびとの資財たからは義者ただしきもののために蓄たくはへらる

13:23 貧まづしき者ものの新田しんでんにはおほくの糧かてあり されど不義ふぎによりて亡ほろぶる者ものあり

13:24 鞭むちをくはへざる者ものはその子こを憎にくむなり 子こを愛あいする者ものはしきりに之これをいましむ

13:25 義ただしき者ものは食しよくをえて飽あく されど惡者あしきものの腹はらは空むなし

  第14章

14:1 智慧ちゑある婦をんなはその家いへをたて 愚おろかなる婦をんなはおのれの手てをもて之これを毀こぼつ

14:2 直なほくあゆむ者ものはヱホバを畏おそれ 曲まがりてあゆむ者ものはこれを侮あなどる

14:3 愚おろかなる者ものの口くちにはその傲ほこりのために鞭笞むちあり 智者さときものの口唇くちびるはおのれを守まもる

14:4 牛うしなければ飼蒭かひば倉ぐらむなし牛うしの力ちからによりて生なり?いづる物ものおほし

14:5 忠信まことの證あかし人びとはいつはらず 虚偽いつはりのあかしびとは?言いつはりを吐はくく

14:6 嘲笑者あざけるものは智慧ちゑを求もとむれどもえず 哲者さときものは知識ちしきを得うること容易たやすし

14:7 汝なんぢおろかなる者ものの前まへを離はなれされ つひに知識ちしきの彼かれにあるを見みざるべし

14:8 賢かしこき者ものの智慧ちゑはおのれの道みちを暁さとるにあり 愚おろかなる者ものの痴おろかは欺あざむくにあり

14:9 おろろかなる者ものは罪つみをかろんず されど義者ただしきものの中なかには恩惠めぐみあり

14:10 心こころの苦くるしみは心こころみづから知しる其そのよろこびには他人たにんあづからず

14:11 惡者あしきものの家いへは亡ほろぼされ 正直なほき者ものの幕屋まくやはさかゆ

14:12 人ひとのみづから見みて正ただしとする途みちにしてその終をはりはつひに死しにいたる途みちとなるものあり

14:13 笑わらふ時ときにも心こころに悲かなしみあり 歓樂たのしみの終はてに憂うれへあり

14:14 心こころの悖もとれる者ものはおのれの途みちに飽あかん 善よき人ひともまた自己おのれに飽あかん

14:15 拙つたなき者ものはすべての言ことばを信しんず 賢かしこき者ものはその行あゆみを愼つつしむ

14:16 智慧ちゑある者ものは怖おそれて惡あくをはなれ 愚おろかなる者ものはたかぶりて怖おそれず

14:17 怒いかり易やすき者ものは愚おろかなることを行おこなひ 惡あしき謀計はかりごとを設まうくる者ものは惡にくまる

14:18 拙者ものは愚おろかなる事ことを得えて所有もちものとなし 賢かしこき者ものは知識ちしきをもて冠弁かんむりとなす

14:19 惡者あしきものは善よき者ものの前まへに俯伏ふしし 罪つみある者ものは義者ただしきものの門もんに俯伏ひれふす

14:20 貧者まづしきものはその鄰となりにさへも惡にくまる されど富とめる者ものを愛あいする者ものはおほし

14:21 その鄰となりを藐いやしむる者ものは罪つみあり 困苦なやめる者ものを憐あはれむものは幸福さいはひあり

14:22 惡あくを謀はかる者ものは自己おのれをあやまるにあらずや 善ぜんを謀はかる者ものには憐憫あはれみと眞實まこととあり

14:23 すべての勤勞ほねをりには利益りえきあり されど口唇くちびるのことばは貧乏まづしきをきたらするのみなり

14:24 智慧ちゑある者ものの財寳たからはその冠弁かんむりとなる 愚おろかなる者もののおろかはただ痴おろかなり

14:25 眞實まことの證あかし人びとは人ひとのいのちを救すくふ ?言いつはりを吐はくく者ものは偽いつはり人びとなり

14:26 ヱホバを畏おそるることは堅かたき依��たのみなり その兒こ輩らは逃避のがれ場ばをうべし

14:27 ヱホバを畏おそるることは生命いのちの泉いづみなり 人ひとを死しの罟わなより脱のがれしむ

14:28 王わうの榮さかえは民たみの多おほきにあり 牧伯きみの衰敗ほろびは民たみを失うしなふにあり

14:29 怒いかりを遅おそくする者ものは大おほいなる知識ちしきあり 氣きの短みじかき者ものは愚おろかなることを顯あらはす

14:30 心こころの安穩おだやかなるは身みのいのちなり 娼嫉ねたみは骨ほねの腐くさりなり

14:31 貧者まづしきものを虐しへたぐる者ものはその造主つくりぬしを侮あなどるなり 彼かれをうやまふ者ものは貧者まづしきものをあはれむ

14:32 惡者あしきものはその惡あくのうちにて亡ほろぼされ義者ただしきものはその死しぬる時ときにも望のぞみあり

14:33 智慧ちゑは哲者さときものの心こころにとどまり 愚おろかなる者ものの衷うちにある事ことはあらはる

14:34 義ぎは國くにを高たかくし罪つみは民たみを辱はづかしむ

14:35 さとき僕しもべは王わうの恩めぐみを蒙かうぶり 辱はぢをきたらす者ものはその震怒いかりにあふ

  第15章

15:1 柔和やはらかなる答こたへは憤恨いきどほりをとどめ��はげしき言ことばは怒いかりを激おこす

15:2 智慧ちゑある者ものの舌したは知識ちしきを善よきものとおもはしめ 愚おろかなる者ものの口くちはおろかをはく

15:3 ヱホバの目めは何處いづくにもありて惡人あしきひとと善よき人ひととを鑒かんがみる

15:4 温柔やさしき舌したは生命いのちの樹きなり 悖もとれる舌したは霊魂たましひを傷いたましむ

15:5 愚おろかなる者ものはその父ちちの訓をしへをかろんず 誡命いましめをまもる者ものは賢かしこき者ものなり

15:6 義者ただしきものの家いへには多おほくの資財たからあり 惡者あしきものの利潤まうけには擾累わづらひあり

15:7 智者さときもののくちびるは知識ちしきをひろむ 愚おろかなる者ものの心こころは定さだまりなし

15:8 惡者あしきものの祭物そなへものはヱホバに憎にくまれ 直なほき人ひとの祈いのりは彼かれに悦よろこばる

15:9 惡者あしきものの道みちはヱホバに憎にくまれ 正義ただしきをもとむる者ものは彼かれに愛あいせらる

15:10 道みちをはなるる者ものには嚴きびしき懲治こらしめあり 譴責いましめを惡にくむ者ものは死しぬべし

15:11 陰府よみと?淪ほろびとはヱホバの目めの前まへにあり 况まして人ひとの心こころをや

15:12 嘲笑あざける者ものは誡いましめらるることを好このまず また智慧ちゑある者ものに近ちかづかず

15:13 心こころに喜樂たのしみあれば顔かほ色いろよろこばし 心こころに憂苦うれひあれば氣いきふさぐ

15:14 哲者さときもののこころは知識ちしきをたづね 愚おろかなる者ものの口くちは愚おろかをくらふ

15:15 艱難者なやめるものの日ひはことごとく惡あしく 心こころの懽よろこべる者ものは恒つねに酒宴さかもりにあり

15:16 すこしの物ものを有もちてヱホバを畏おそるるは多おほくの寳たからをもちて擾煩わづらひあるに愈まさる

15:17 蔬菜やさいをくらひて互たがひに愛あいするは肥こえたる牛うしを食くらひて互たがひに恨うらむるに愈まさる

15:18 憤いきどほり易やすきものは爭端あらそひをおこし 怒いかりをおそくする者ものは爭端あらそひをとどむ

15:19 惰おこたる者ものの道みちは棘いばらの籬まがきに似にたり 直なほき者ものの途みちは平坦たひらかなり

15:20 智慧ちゑある子こは父ちちをよろこばせ 愚おろかなる人ひとはその母ははをかろんず

15:21 無知むちなる者ものは愚おろかなる事ことをよろこび 哲者さときものはその途みちを直なほくす

15:22 相あひ議はかることあらざれば謀計はかりごとやぶる 議者はかるものおほければ謀計はかりごとかならず成なる

15:23 人ひとはその口くちの答こたへによりて喜樂よろこびをう 言語ことばを出いだして時ときに適かなふはいかに善よからずや

15:24 智人さときひとの途みちは生命いのちの路みちにして上うへへ昇のぼりゆく これ下したにあるところの陰府よみを離はなれんが爲ためなり

15:25 ヱホバはたかぶる者ものの家いへをほろぼし 寡婦やもめの地界さかひをさだめたまふ

15:26 あしき謀計はかりごとはヱホバに憎にくまれ 温柔やさしき言ことばは潔白いさぎよし

15:27 不義ふぎの利りをむさぼる者ものはその家いへをわづらはせ 賄賂まひなひをにくむ者ものは活いきながらふべし

15:28 義者ただしきものの心こころは答こたふべきことを考かんがへ 惡者あしきものの口くちは惡あくを吐はく

15:29 ヱホバは惡者あしきものに遠とほざかり 義者ただしきものの祈祷いのりをききたまふ

15:30 目めの光ひかりは心こころをよろこばせ 好よき音信おとづれは骨ほねをうるほす

15:31 生命いのちの誡命いましめをきくところの耳みみは智慧ちゑある者ものの中間なかに駐とどまる

15:32 ��をしへをすつる者ものは自己おのれの生命いのちをかろんずるなり 懲治こらしめをきく者ものは聰明さとりを得う

15:33 ヱホバを畏おそるることは智慧ちゑの訓をしへなり 謙遜へりくだりは尊貴たふときに先さきだつ